ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 雇用環境・均等局が実施する検討会等> 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会> 第4回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会(2014年12月19日)




2015年1月23日 第4回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成27年1月23日(金)13:00~14:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12階)


○出席者

委員

佐藤座長、池田委員、神吉委員、武石委員、田代委員、中井委員、両角委員

厚生労働省

木下大臣官房審議官、蒔苗職業家庭両立課長、飯野職業家庭両立課育児・介護休業推進室長、中井職業家庭両立課長補佐、川島老健局振興課長補佐

○議題

1.有識者等からのヒアリング
(1)東芝労働組合における仕事と介護の両立のための取組について
(中井委員)
(2)介護休業制度と介護離職について~JILPT仕事と介護の両立に関する調査結果速報~(池田委員)
2.その他

○配布資料

資料1 東芝労働組合における仕事と介護の両立のための取り組みについて(中井委員資料)
資料2  「仕事と介護の両立に関する調査」結果速報 (池田委員資料)

○議事

〇佐藤座長 それでは、ただいまから、「第4回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」を始めさせていただきます。御多忙のところ、御出席ありがとうございます。本日は、石山委員が所用で御欠席です。

 本日は、議事次第にありますとおり、委員の方2名からヒアリングをするという形になっております。

 まず最初に、中井委員から「東芝労働組合における仕事と介護の両立のための取組について」お話しいただき、続きまして、池田委員から「介護休業制度と介護離職について~JILPT仕事と介護の両立に関する調査結果速報」ですね。今日発表だそうですが、お話しいただきます。

  それぞれ御発表をいただいた後、15分程度質疑応答の時間をとりたいと思います。最後に、また、全体の議論をする時間を設けられればと思います。

  第1回から第3回までの資料は、お手元のファイルにとじてありますので、適宜御利用いただければと思います。

 それでは、最初に中井委員から御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

〇中井委員 それでは今日は、「東芝労働組合における仕事と介護の両立のための取組」ということで御報告をさせていただきます。

 ただ、労働組合といいましても、会社とともに実施をしている内容も多いですし、制度的には会社の内容ということになりますので、その点、承知おきをいただければと思います。また、お手元にも資料を配付させていただいておりますが、一部映写のみの資料を用意しておりますので、プロジェクターを使って御説明をさせていただきます。

 今日の内容ということでまとめております。最初は、当社の仕事と介護の両立支援制度に関する御説明、そして、介護アンケート調査の実施で、これは佐藤先生の研究会にも御協力をいただいて実施させていただいたもの、そして、その結果を踏まえて、今、東芝労使でどのような取組をしているのかということと、私ども東芝労働組合が所属しています上部団体の連合であったり、電機連合の調査の結果も紹介させていただければと思っております。最後、私のほうで組合員の皆様とお話をさせていただいたり、いろいろな調査のところから出てきた働く方からの意見に対する課題といったことでまとめさせていただければと思います。

 最初に、東芝の仕事と介護の両立支援制度です。

 「介護休職」「短時間勤務」については、法定を少し上回らせていただいているような内容で、介護休職は、1人につき通算365日で、短時間勤務と合わせて3年となる日までということで運用しております。短時間勤務については、介護休職を含めて満3年まで利用できるという状況です。

 「介護休暇」は無給になりますが、要介護者1人につき年間5日で、半日単位での取得ができる仕組みになっております。

 続いて、「ワイドプラン休暇」になりますが、こちらは、年次有給休暇の切り捨て分を各自積み立てている休暇になりますが、介護事由で使用する場合は、原則保有する年休を全て取得した後に、このワイドプラン休暇を充当することができるというものになっております。

 また、「費用補助」ということで書かせていただいておりますのは、選択型福祉制度「カフェテリアプラン」の中で、介護に関するメニューについては、通常ポイントの1.2倍、通常は1ポイント100円で、このカフェテリアプランを運用しておりますが、それが介護関係になると120円で、優遇されていることになります。ちなみに、育児関係は1.5150円になっています。

 「相互理解プログラム」は、制度というよりも実際のの運用になりますが、介護だけではなく育児も含めてですけれども、休職前であったり、復職後に、本人と上長が面談するのは当然ですが、そこに必ず人事担当者が入って、休職中の連絡方法であったり、復職後のキャリア等について話し合う機会を必ず設けるということでやっております。

 最後、介護ということでの限定ではないのですけれども、年次有給休暇は、当社は付与日数が24日になっております。ですので、繰越を含めると最大48日所有している人がいます。半日休暇については、30回(15日分)までで、年休を時間単位でも取得できまして。こちらは法定の20日を超える部分に対して取得が可能で、最大8日間分になっています。基本は1時間単位ですけれども、1時間を超えると15分単位で取得ができますので、比較的フレキシブルに年休が取得できるという環境になっております。

 続いて、これまでの制度の変遷ということで簡単にまとめさせていただいております。

92年に育児休業法が施行された年に、介護休職と介護の短時間勤務制度についても新設しております。これは上部団体の電機連合として、統一の要求基準ということで、この介護休職と短時間勤務制度の新設を設定していたこともあり、電機連合の加盟組合全体として取り組んで、新たに新設されたということになります。

 ここがきっかけになりますが、以降、当社の育児も含めて介護に関わる制度は、労働協約書に関わる部分になりますので、基本は、2年に1回春闘で労働組合から要求をして、交渉の結果、改定をしていくという流れになっています。ただ、それだけではなく、日頃の労使の話し合いの中で、改善が必要だということがあれば、育児・介護を含めて、この交渉期間にこだわらず改定をしているというような流れもございます。要求内容については、基本的には、働く組合員さんの一番近くにおります各支部が、それぞれのニーズであったり、日頃の相談活動の中から、皆さんが困っていることを吸い上げて年々改善をしてきているというような状況になっております。

 続いて、次のページですが、直近になりますが、先ほどお話をさせていただきました時間単位年休については、2006年に新たに新設をされております。当初は、フレックスが非適用の組合員の方、例えば製造・技能の職種に就かれている方とか、交替勤務の方、そういったフレックス対応ができない方を対象に、介護・育児・看護を目的に新設をされておりますが、この時間単位年休も、フレックスであったり、裁量労働の方も使えるように見直しを行ったり、また、事由も、以前は介護・看護・育児と限定されておりましたが、限定を外し、特に取得事由の制限はないというような改定を行っています。

 直近では2010年の育介法の改正で、介護休暇が新設され、その2年後に、介護休暇をよりフレキシブルに取得できるようにということで、半日単位で取得できるように交渉の中で話し合いをさせていただき、半日単位での取得が可能になったという経緯になっております。

 仕事と介護の両立支援の実績になります。介護休職、短時間勤務については、これは全従業員対象で取得されている方の人数。介護休暇は労働組合として調査をした結果ということになります。介護休職、年々少しずつは増えてはいますけれども、年間、直近で16名というような形になっています。短時間勤務は、全ての事由で計算していますので、育児がほとんどになっております。労働組合で調査しても、短時間勤務もまだそれほど多くなく、十数名とかそういったぐらいの人数になっているという状態です。介護休暇は、これは組合員だけの人数になっておりますが、22名で、これも少しずつ増えてはいるのですけれども、当社は年休が比較的フレキシブルに使えますので、まずはそちらを使って、どうしても無給になります介護休暇は、年休も使い切ると、その後、自身の体調とかそういうところで取得ができなくなってしまいますので、そんなバランスを見ながら、最後ぎりぎりのところで介護休暇を使われているというようなことがうかがえます。

 直近の「東芝労使における介護支援策の検討経緯」をまとめさせていただいております。

 このように、制度をこれまでも見直しを行っていましたが、先ほどの介護休暇の半日単位の取得ができるようになった2012年に組合から、介護をしながら働く方々の支援のあり方の協議の申し入れを行っています。実はこのとき、介護休職と短時間勤務を合わせて満3年というのがあったので、その期間の通算を外したいというのがあって、こういう申し入れをしたのですけれども、実際、いろいろな面から議論をしたものの、やはり介護についてはどのようなニーズがあるかわかってないということで、最初は、そのニーズを把握する活動から始めて、制度の見直し等はそれ以降実施していくことになり、2012年度に介護のアンケート調査をさせていただいております。

 その次の年の2013年交渉で、そのアンケート結果をベースに、介護に関しては、まだまだ情報提供が必要だということを労使で共通認識を持ちまして、2013年度は情報共有、情報提供といった視点で支援策を労使で実施しております。

 その結果を踏まえて、2014年度、再度、佐藤先生の研究会に大変お世話になりまして、調査を実施させていただきまして、これからの交渉期間も含めて、また、課題の整理を行っていこうかと考えている状態です。

 最初に実施をしました介護アンケートの概要になります。

201210月で、40歳以上の従業員4,000名で実施をしております。回答者は2,563名で64%。ただ、全問回答をしていただいている方に限ると、61%になっております。

 主な結果といったことで御紹介をさせていただきます。こちら映写のみになっております。

 まず、現在の介護の状況ということで、介護をしている方は大体8.6%です。ただ、5年後の介護の可能性を質問させていただくと、やはり「かなり高い」とか、「可能性が少しある」とか、7割から8割の方が介護の可能性について「ある」とお答えになっています。

 介護に対する不安についての設問になりますが、「非常に不安に感じる」とか、「不安を感じる」「少し」までいれると、全体で95%の方が不安に感じられていますし、さらに、仕事の継続の可否の質問をしますと、一定程度、3割ぐらい「続けられないと思う」と。不安が大きいといったところから回答されているのだと思いますし、本当にそういった状況になってないのでわからないといったことを含めると、68%の方が、仕事が継続できるかどうか不安であったりとか、続けられないのではないかといったことを思われているという状況になっていました。

 また、先ほどの介護アンケートの結果の中で、「不安に感じる」と言われた方の具体的な不安内容をお聞きしております。緑の塗りつぶしになっているのが、情報不足に関連する不安で、例えば公的介護の保険の仕組みがわからないとか、適切な介護サービスが受けられるかわからないとか、仕事と介護を両立するための仕組みがわからないということで、情報がないことで不安に思っていることが非常に多く回答としてありました。

 また、介護がいつまで続くかわからず、将来の見通しを立てにくいということが一番多い回答でしたが、そのほか、青のところで、「そもそも労働時間が長い」とか、「介護の制度があっても、利用しにくい雰囲気がある」というような回答もされていて、組織風土そのものにも課題があるのではないかといったことで、これらの不安を解消するための施策をその翌年度実施をしていくことになりました。

 こちらも映写のみになっております。そのアンケート調査の結果を分析した、2013年度以降、情報提供と組織風土といったところを主に各種施策を展開していくことになりました。情報に関する不安への対処ということでは、介護セミナーの実施であったり、金銭面での不安解消では、自助努力による財産形成についてなど、各種情報提供であったり、相談窓口の設置というような取組をステップ1として行いました。

 ステップ2としては、どちらかというと組織風土に関連する不安への対処ということで、管理職向けの研修であったり、職場内のディスカッション等々を行ってきたということです。

 以降、そういった取組をしていく中で、ニーズを把握して、会社制度に関連する不安がもし大きい部分があったら、そこはその次のステップとして、見直しを検討していきましょうということで取り組んでまいりました。

 具体的な取り組んだものになります。

 まず最初に、労使共催で介護セミナーを開催しております。40歳代、50歳代の介護未経験者の方を対象として、介護はこういうものなんですよという実態であったり、介護保険の仕組みであったり、実際に介護に関わる費用はどのくらいかといったことまで含めての1時間半から2時間ぐらいだったかと思いますが、セミナーを労使共催という形で開催しております。

 このアンケートの結果は非常に好評でして、「とても参考になった」とか、「参考になった」という方が90%ですね。実際に初めて聞いてみて、介護のイメージがつかめたとか、準備をしていくことが大切なんだということを、改めて認識していただくいい機会になったかと思っております。

WEBセミナーの配信で、この介護セミナーと同様の内容をWEB上でも配信をしております。また、社外からのアクセスも可能にして、同様の内容を流しておりますが、残念ながら、こちらのWEBセミナーは期待していたほど実は配信数が伸びていないという課題もございます。

 続いて、情報の提供の続きになりますが、介護の基本的な知識のハンドブックを販売したり、相談窓口を設置しています。また、ハンドブックの販売やセミナー等全ての取組をまとめて会社から通知していただいたりというような取組をしております。

 また、労働組合としても、介護の両立支援制度を知っていただくとか、こういう情報提供の機会を会社が設けてくれているといったことを周知していきたいということで、これは昨年の4月に労働組合の機関紙、ニュースで組合員の皆さんに配布をさせていただいておりますが、定期的に、次回も、4月か5月ぐらいに介護をテーマにした情報提供をしていきたいなと考えております。

 先ほど、組織風土の点で、職場ミーティングのお話を少しさせていただきましたが、東芝の中では、グループを含めてになりますが、各職場で定期的に職場ミーティングを開催しております。それはさまざまなテーマを設定しているのですが、その中で、会社のほうで、そのテーマに介護を1つ入れていただいております。昨年のちょうど今ぐらいの時期に、介護をテーマに職場で話し合いをしていただきました。突然介護をせざるを得なくなった従業員の方が同じ職場に出ましたというような事例を設定して、それについて話し合っていただくとか、想定をしながら話し合っていただくということで、これは多分介護だけではなく、例えば急に体調を崩された方が職場に出たとか、育児休職でどなたかが休んだとか、そうしたときに職場が協力態勢をしくようにするにはどうしたらいいかとか、そういったことに結びつくような話し合いをしていただいたということになります。

 こういった取組を2013年度を中心に行っておりまして、今年度は、その情報提供とか周知という取組も継続をしながら、さらに、ニーズの把握を行っていこうということで、2回目の「仕事と介護の両立に関する調査」を、10月に実施させていただいております。この結果については、まだ詳細を分析し切れていない部分がありますので、今回ちょっとお出しすることはできないのですけれども、2013年度1年間、労使でさまざまな情報提供を行ってきたのですが、実際、それぞれの施策であったり、取組が、まだ認知度がそれほど伸びていないという、ちょっと残念な結果に終わっております。

 そういったことからすると、みんな介護は不安なのだけれども、やはり直面しないと、自身ではなかなか情報は取りに行かないと。ただ、このアンケートを通じて、改めて意識していただいたり、その取組の施策を知っていますかというようなアンケートの項目も入れましたので、このアンケートをしたことで、取組や制度・施策を改めて知ることができたというコメントが幾つかありましたので、そういう意味でもアンケート調査が、ニーズの把握だけではなく、そういう意識を変えていくきっかけにもなるということで有効ではないのかなと思いました。

 そのほか、この調査は、介護に直面する可能性の高い40歳以上の方に調査をしておりますが、労働組合として、組合員は比較的若年層が人数の割合としては多くありますので、そこの取組、本当に40歳以上で区切ってしまっていいのかどうか。本当に若者が何を考えているのかどうかというのを、この研究会の調査シートを活用させていただいて、同じ内容を若年層20代・30代にもとらせていただいております。これも今集計中ですので、結果がわかりましたら、また、報告をしていきたいと思っております。

 あとは、経験者へのヒアリング調査で、まだまだ大々的な人数はできておりませんが、少しずつ介護を実際にされている方に対して両立するにあたってどういったことを工夫されているかとか、制度の利用状況であったりとか、困っていること、不安に思っていること等をヒアリングをしていきたいと考えております。

 続いて、労働組合の上部団体の調査結果を少し御紹介をさせていただきます。既に御存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、まず連合で、「要介護者を介護する人の意識と実態に関する調査」を2014年の2月から4月にかけて実施されています。こちらのアンケートについては、基本的には組合員の方に配布をしておりますが、ただ、実際に介護をされている方ということで、組合員以外の方にもシートは配布されているというものになっております。

 「介護者支援のために支援を希望する制度やサービス」の部分だけを抜き出して紹介をしておりますが、やはりニーズとして高かったのは、左の棒グラフになりますが、緊急時の相談・支援体制とか、2つ飛んで、夜間などのヘルパーの柔軟な促進など、緊急対応時の支援が求められているという結果になっております。また、棒グラフの2番目、3番目になりますが、生活援助の介護保険適用範囲の拡大であったり、低所得世帯向けの介護費用の助成であったりということで、一定程度費用面での負担軽減に対する要望もありますし、また、項目としては、右のほうにあるのですけれども、介護者が休養できる保険制度の新設であったり、健康支援ということで、生活面・健康面への支援が求められていることがわかります。

 特に右側に、それぞれの状況別のクロス集計を記載させていただいておりますが、認知症の状況が比較的重い方を介護されている方については、その健康面であったり、生活面での支援という、休養できる制度の新設であったり、健康面への管理といったところへの要望が強くなっているというような、やはりストレスが大きいというところからこういった要望が強くあるのかなと思っております。

 続いて、電機連合の「生活実態調査」で、これは少し古くなりますが、2013年7月から8月にかけて、電機連合の加盟組合の組合員の方に回答をしていただいているものになります。まず、「要介護状態の家族の有無」で、男性が9.7%、女性が11.2%で、先ほどの東芝の結果を見ても、大体10%前後になるのかなという状況です。ただ、この3年間の変化を見ると、このアンケート上では、変化はそれほど大きなものは見られていない。男性はちょっとふえているのかなということはありますが、見えませんでした。

 次のページに、「介護をしつつ安心して働き続けるために必要なこと」でまとめさせていただいておりますが、一番必要なことで3つ選択肢を選んでいただいておりますが、「介護をしている人への職場の理解」の回答が一番多く、特に男性の回答が多かったのが特徴的なことかなと思います。また、「短時間勤務など柔軟な働き方の整備」も次に回答としては多かったのですけれども、こちらについては女性の回答が少し多い傾向にあるということです。続いて要望のあったのが、介護費用の負担の拡大であったり、介護休業休暇中の賃金保障ということで、経済的負担の軽減を求める声があったという状態になります。

 電機連合は今こういった取組をしておりますが、電機連合の加盟組合の今の制度の導入状況ということで紹介をさせていただいております。電機連合として、介護の制度等も目標とする水準を設定しておりまして、介護休職については、「分割可」とした上で、通算1年取得できるように取り組んでいきましょうと。介護短時間については、3年間で、ミニマム1年間、1日2時間以上の短縮が取れるようにということでの目標を設定しております。

 導入制度の例ということで、介護休職に関しては、通算2年とか、そういった法定を超える休職を設定している組合も多くございます。法定を超える組合としては、379組合(83.2%)となっておりますし、短時間勤務については、3年間であったり、事由消滅まで等、その期間を長く設定している組合が多くあるという状況になります。

 その下は、電機連合として加盟組合の組合員の全体の制度の取得状況を紹介させていただいておりますので、お読み取りいただければと思います。

 最後に、アンケート結果であったり、私がお会いした実際に介護をされている組合員の方、管理職の方とも一部お話をさせていただいておりますが、そういったことから課題と考えることをまとめさせていただいております。

 まず、介護をされてない方は、やはり介護が不安というような声が非常に多い。でも、先ほどの2回目のアンケートの結果を見ると、どうも、まだ取組が周知されていないということを考えると、一定程度プッシュ型の情報提供も必要ではないかと思っています。経験している人の実感として、いざといったときに非常にあわてふためくという声をよく聞きますので、一定程度の情報は事前にプッシュ型で提供していく必要があるのではないかなということを考えております。また、実家が遠方で、そのために働き続けられるか不安、辞めざるを得ないのではないかとか、そういった御意見も非常に多くありました。ただ、実際に実家が遠方でも両立をされている方もいらっしゃるいますので、そういった方のロールモデルを提示していくようなことも重要なのではないかと考えておりますし、また、これは非常に1企業労使では難しい課題ではあるのですけれども、勤務地の配慮というようなことも必要なのかなと。そういったことの希望も多い状態になっているということになります。

 続いて、下の段は、介護経験者から伺っている御意見でありますが、やはりいつまで続くかわからない不安は非常に多く皆さん言われています。そういったところで、介護休職の分割取得であったり、介護休職と短時間が、今は合計で93日法定ではなっておりますので、本当にそれで十分なのかと。介護の平均年数を考えますと、93日で十分なのかといったことが上げられるかと思います。また、短時間勤務が、今、介護の仕組みの中では、いずれかの措置をとりましょうということで、育児と違って、制度として独立をしていないといったところも、ぜひ独立をして、きちんとある一定程度の期間を設定をしたほうが安心感につながるのかなと考えております。

 また、介護に関わる対応は、突発的でかつ短時間で終わるケースが多いということを非常に多く聞きますので、こちらはやはり柔軟な働き方の充実が必要だと思います。当社でも、半日、時間単位の年休で、そういう意味で介護休暇まで使わなくても済んだよという御意見も多くいただいておりますので、こういった取組も重要になってくるのかなと思います。

 あとは遠距離介護。これは課題としては非常に難しいのですけれども、時間的にも費用面でも厳しいという御意見が多くあります。その中の1つを解決できるかなというのは、在宅勤務も考えられるのですけれども、勤務地の配慮であったり、費用面、法的な制度ではないですけれども、航空会社さんなんかで介護帰省の割引とかもございますが、そういった何か費用面の補助等についても、皆さんとしては望まれているところではあると思います。

 あとは、先ほどのアンケートの結果にもあったのですけれども、介護で一番大変な時期は、本当に精神面できつい。誰にも相談できないし、仕事の負荷も変わらない中で、例えばいろいろな手続をしなくてはいけない、呼び出しがかかる。そういったところで非常に精神的に厳しいというような御意見を何人かの方から聞いております。そういったことも考えると、メンタル面とか、先ほどあった健康面とか、何かしら介護をされている方へのケアといったことも大事だと思いますし、職場の中でその方がそういう不安を持ったまま孤立をすることがないような、職場全体での理解であったりとか、そういう取組が大事なのかなと考えております。介護費用面の心配が一定程度アンケートからは読み取れますが、介護休職時の、今、雇用保険からの一定の支給はありますが、社会保険料の免除が育児休職と同様な形で実施をしていただくとか、少しにはなりますけれども、そういったことも費用補助の一面になるのではないかと考えております。

 長くなりましたが、以上で終わります。

〇佐藤座長 どうもありがとうございました。東芝労使で取り組まれている内容や組合として独自に調べていただいたことも含めて御紹介いただきました。どなたからでも、御質問があれば出していただければと思いますが、いかがでしょうか。

〇田代委員 調査をかませながら施策を進めておられるというのはすばらしいなと思います。セミナーとか職場ミーティングの徹底度というか、セミナーは大体どれくらいの方が来られているのか。職場ミーティングはそもそもがすごいなと思うのですけれども、そういうのにこういうテーマを取り上げて、抵抗なくというか、皆さんちゃんと真面目にというか話し合ってもらえているものなのでしょうか。

〇中井委員 介護セミナーについては、残念ながら、人数的にはそれほど出席者は多くありませんで、2回開催しまして、合計250名の方が出席をしていただいております。

 職場のミーティングになりますが、基本的に職場のミーティングは、介護だけではなく、定期的に実施していますので、幾つかテーマは選択できるようにはなっているのですけれども、必ず職場ミーティングをやったことを登録しなければいけないので、そういったことで徹底をしているという状況です。

〇佐藤座長 よろしいですか。

〇田代委員 はい。

〇佐藤座長 ほかの方は。

〇池田委員 3ページの制度の枠組みのことで伺いたいのですが、従業員に対する調査もされているということで、もし、そのバックデータがあったらということですが、介護休職の通算期間が365日で、時短勤務が3年ということの根拠は何か。一般論ではなくて、例えばそういう従業員がいたという例でもいいのですけれども。こういう制度の期間の話をしているときに、どうしても問題になるので。根拠と言うと大げさですけれども、組合として交渉するに当たって、ベンチマークにしたものがあれば教えていただきたいのです。

〇中井委員 そういう意味では、介護休職・介護短時間も、電機連合としての方針に沿うものが多いかと思います。2012年に組合から、介護期間が長くなっているので、今、休職と短時間が合わせて3年となっているところを少し長くしたいという話をしたのですけれども、それで困っている方の事例がいらっしゃるからといったところがなかなか我々もつかみ切れてなかったので、この今の取組につながっているということになります。

〇佐藤座長 よろしいですか。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 今ちょっと確認だけですけれども、3年までというのは、最初に取ってからということですね。だから、その取る時期によってその3年が違ってくるわけですね。そういうことですね。

〇中井委員 そうです。

〇武石委員 東芝さんなので製造現場の方が結構いらっしゃると思うのですが、そういう方たちの介護に関して、ホワイトカラーの方と違うニーズみたいなのはあるのでしょうか。

〇中井委員 その部分もこれからちょっと把握をしていきたいなとは思っておりますが、特に東芝は半導体を中心に交替勤務を持っておりますので、交替勤務の方ですと、なかなか休まる時間がない。勤務と昼間家に在宅することでの介護とで休まる時間がないというような御意見もありますが、具体的に全体の方向性としてまではまだつかみ切れてない状態ではあります。

〇両角委員 幾つかあるのですけれども、まず1つは、毎年労使交渉をして協約でという御説明でしたけれども、それは基本的に、労働組合から具体的な御提案をされて、話し合うという形なのでしょうか。

〇中井委員 そうです。基本は、労働組合から労使交渉の中で要求をして、話し合いを行っていきますが、中には、労使でお互い話し合った上で改定に向けていこうということで、制度を変えていくケースも、例えば育児なんかですと、双方で必要性を確認をして変更していくというようなこともございます。

〇両角委員 ありがとうございます。

 休職とか休暇とかは、これは有給ではないのですね。

〇中井委員 はい。休職は無給になりますし、休暇も、介護休暇については無給になります。

〇両角委員 協約上の制度なので、そうすると、非正規の人には適用されていないということで、組合員だけですね。

〇中井委員 制度によっては、直接雇用の非正規の方も対象にはなっております。

〇佐藤座長 よろしいですか。

〇両角委員 はい。ありがとうございました。

〇佐藤座長 ほかには。

〇神吉委員 3ページの「再雇用の仕組み」でお伺いしたいと思います。再雇用できる仕組みは、理論的には、もし、これがきちんと機能していれば、その休暇がどれぐらいまでかという上限と、それから、辞めても、また戻れるということで、そこまで休暇の期間にこだわらなくてもよくなる可能性を秘めていると思うのですが、実際には、再雇用制度がたくさんの企業にあるのだけれども、ほとんど使われてないとお聞きしますので、6ページで、再雇用で戻って来られた方の人数は出てないのですけれども、もし御存じであれば、それがどれぐらいいらっしゃるのかということが1点。

 実際に、再雇用の仕組みがどういうものかについて、その現職との関係で、例えば賃金水準とか、勤務地あるいは契約期間などで、もし基準などがありましたら教えていただければと思います。

〇中井委員 再雇用制度ですが、残念ながら、当社も、配偶者転勤の同伴での退職に対する再雇用というケースは何件かございますが、それほど多くはございません。介護はまだ実態を確認しておりません。

 その中で、制度としての再雇用の仕組みは、基本的には、その再雇用される時点でのキャリア採用と同様の扱いということになりますので、その時点での職務能力等を判断して、賃金・資格等が決まっていくということになります。

 あとは、一応制度的には、正社員だけではなく、嘱託等の可能性も制度的にはあるという仕組みになっております。

〇両角委員 ありがとうございました。

 介護離職に関して、それが活用されない原因は、中途採用扱いで、賃金水準が落ちるから、キャリアトラップから外れるからということがメインなのでしょうか。

〇中井委員 ちょっとそこまでの分析はまだできてはいないですけれども、以前、介護離職をされた方の状況を組合独自で調べたことがあるのですけれども、そもそもの時点で休職をお勧めしても、休職を選択せずに退職をされている方も一定数いらっしゃるのですね。なので、遠方に帰られるとかいう方も多いですし、戻って再雇用といったところにつながらないケースもあるのかもしれません。正確な分析はでき切っていません。申しわけありません。

〇両角委員 ありがとうございました。

〇武石委員 最後の課題のところで、介護休職の分割取得という、休職のほうの分割があるのですが、この研究会でも議論になっています介護休暇のほうをふやすというようなことも考えられると思うのですけれども、労働組合としてその辺りをどんなふうにお考えでしょうか。

〇中井委員 介護休職となりますと、やはり一定期間長くとかそういったこともありますので、柔軟な働き方といった意味でも介護休暇のところで入れてしまったのですが、日数をふやす、1日単位、2、3日と、そういう細かい単位で休暇が取れる介護休暇をふやすことは有用だと思っております。

〇武石委員 両方重要ということですね。

〇中井委員 そうですね。

〇武石委員 わかりました。

〇佐藤座長 どうもありがとうございます。

12ページに今やっている調査のことが書かれているのですけれども、これは特に期待しているのは若者のところで、もともとの調査のときに、介護保険の被保険者が40歳以上だったので、40歳以上で区切って、実態としても40代後半から、特に親御さんの介護であれば直面することが多いので対象としたのですけれども、実際に厚労省の別の調査で見て、39歳以下でも介護の方が意外にいることがわかって、想像以上に結構いるので、また結果を御報告いただければと思います。

 もう一つは、2回目の調査は、御説明があったように、情報提供を受けたかどうかとか、研修に参加したかどうかというのがわかるので、それで、本当に介護不安が減っているかどうか。もしかしたらふえてしまう可能性もあるので、そこは難しいですけれども、そんな分析が出てきたら、また教えていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは続けて、JILPTで実施されて、今日、速報が出た結果について、池田委員から御説明いただければと思います。

〇池田委員 池田です。よろしくお願いいたします。

 お手元の資料2を御参照ください。Press Releaseと左上に書いてある、独立行政法人労働政策研究・研修機構と書いてある資料です。

 こちらは私が担当しまして、昨年の9月に「仕事と介護の両立に関する調査」という名前で、JILPTで実施しました調査結果の速報です。本日この研究会に併せて、JILPTからリリースということになっていまして、研究会後に解禁されます。

JILPTでは、仕事と介護に関する調査はこれまでもやってきて、前回の改正のときにも、その調査結果を紹介させていただいたのですが、今回改めて、この両立の実態を総合的に把握しようということで調査を実施いたしました。

 その中で、中長期的に見ていろいろな課題を抽出する作業もしていまして、必ずしも育児・介護休業法のフレームで対策を打つことが適切ではなく、ほかのアプローチが必要な課題も含めて調査しました。そうしたいろいろある課題の中から、今日は、前回までの研究会で少し議論になりました介護休業制度の枠組みにかかわるところについて調査結果をまとめたものを御報告したいと思います。

 まず、【調査結果のポイント】で、最初の1行目に書いているのですが、端的に言って何がわかったかというと、介護のために仕事を休むという労働者は少なくないのですが、介護休業を長い期間取る、もしくはそういう長い期間の休業が欲しいと望む、そういう労働者よりは、比較的短い期間の休暇で細切れに、ないしは柔軟に休みながら両立を図ると、そういう人が多いという、そういう実態が見えてまいりました。これまでの研究会等でも似たようなことは指摘されてきたのですが、少し踏み込んだ実態が見えてきたのかなというところでございます。

 具体的に申しますと、1、2、3であらかじめ要点をまとめさせていただいております。

 まず1つ目。これは今まで言われてきたような介護離職の実態が本調査でも明らかになっています、ということで、身体介助の必要性が高い場合、あるいは認知症による見守りが常態化しているような場合は就業が難しくなって、介護開始時の勤務先を離職して非就業になっている割合がやや高くなっています。あるいは、介護において、いわゆるマネジメント的な役割ですね。介護の準備・手続を担っている場合。あるいは、最近、日本でも単身介護などが問題になっていますが、自分以外に介護を担う家族がいないという場合にも、やはり就業が難しくなっているという実態が確認されました。

 2番目として、勤務先の両立支援制度が離職に対してどう影響しているかということですが、介護が始まった時点の勤務先に介護休業制度があることが影響しています。これは就業規則等によって、会社独自にルールがちゃんとつくられているという場合ですが、そういった場合には、仕事を辞めずに調査時点まで継続就業している割合が高くなります。実は、この結果は今まで確認されていなかったというか、介護休業制度を取っている人が余りにも少な過ぎて、効果が本当にあるのかないのかわかっていませんでした。ですが、一応介護休業がだんだんポピュラーになってきたところで、今回こういう結果が出たということは、今後の議論にとって非常に有益ではないかなと思っております。

また、法定を超える介護休業制度については、これはあくまで労働者の個人的な認識の範囲ですが、分割取得ができる場合は、離職防止につながっているようです。また、勤務時間短縮等の措置にかかわる話ですが、実は残業免除というのが結構有益ではないかと、そういう結果が出ています。

また、先ほどの短い期間で柔軟に休む、という話ですが、介護のために実際にどのぐらいの日数休んでいるかということで、調査票の中で、一応介護休業に相当するような期間ということで、年休で取っている等も含めて、1週間を超える期間を連続して休んだ経験があるかということを聞いているのですが、実際にそういう形でまとまった期間を休んでいる労働者の割合は15.1%で、そんなに高くないですね。割と細切れで休んでいるというのが実情のようです。また、1週間を超える場合でも、その日数を具体的に聞いてみると、2週間以内が非常に多いということで、分割したほうが両立をはかりやすいということの期間的な観点からのバックデータがこれで取れたかなと思っております。

また、現在、正規雇用で就業している対象者に、過去1年間に介護のために仕事を休んだことがありますかということを聞いているのですが、実際に休んでいるという人は約半数ですから、やはり休んでいる人自体は少なくない。ただ、具体的に何日休みましたかと聞いてみると、7日を超えることは非常に少ないということですので、介護休暇の日数の検討、あるいは休業の分割といったときに、何か月もというのは余りないのかなという、そういう結果が見えてまいりました。

ちょっと具体的な調査の中身についてお話ししていきたいと思います。2ページを開けていただきたいと思います。これは、これから本研究会で実施する調査のパイロット的な位置づけにもなっておりますので、調査のフレームについて少し詳しくお話ししていきたいと思います。

「調査の趣旨」は、両立困難な実態と両立支援の課題を明らかにすることですが、調査の設計の部分で、調査対象として、現在、家族・親族を介護している人を調査対象にしています。この人たちに対して、「主な調査項目」に、「介護開始時の」とありますが、介護が始まった時点で、要介護者がどういう状態で、本人がどういう仕事に就いていたかということを、過去を振り返っていただく形で回答を得ています。そのときに、どういう状況にあった人が、現在、仕事を辞めてしまっているか、続けているかということを聞いています。また、仕事は続けられているけれども、当時の勤務先は辞めたという、そういうような転職して仕事を続ける、そういう状況も把握できるようにしています。過去から現在にかけて時系列で追いかけていくという、そういう調査の設計です。

調査対象は、同居している人だけでなく、別居している場合も含めて、家族・親族を介護している男女となっています。この調査は平成24年度の「就業構造基本調査」の設計に合わせてあります。なので、介護の定義も、「就業構造基本調査」の定義に準じています。

年齢は、今回の研究会でやる調査のように64歳まで含めようか迷ったのですが、差し当たり定年退職をどういうふうに分析上扱うかということの方針がはっきりしてなかったので、一応通常の企業の現役世代の人事労務管理を念頭に置いた設計ということで、今回の調査では59歳で切っています。今日は報告してない部分ですが、配置とか異動とか人事制度にかかわるいろいろなことを聞いている部分があるので、定年退職者の退職後の雇用状況を念頭に置くとやや複雑になると思いました。サンプルサイズは回収で2,000件、WEBモニター調査にしていますので、2,000件回収できるまでということにしています。

また、通常の調査では「家族を介護していますか」という聞き方をしているのですが、ヒアリング調査を一昨年(平成24年度)に実施したときに、別居のおじ・おばを通いで介護しているという人が数人いたのですね。そのおじ・おばが、例えば子供がいなかったりとか、あるいは子どもがいても、その子どもを頼れないとか、そういった事情で自分がやらなければいけないというような話がいくつかあったので、「親戚」という言葉をトライアルで入れてみました。実際に、回収結果で、どういう要介護者との続柄の分布になったかというと、思ったよりおじ・おばを介護しているというケースはありませんでした。

ただ、20代を含めると、祖父母が、配偶者も入れて10%ぐらいというところなので、年老いた親の介護だけでなく、祖父母との関係もちょっと見ていく必要があるかなと、そういうことはいえると思います。

調査は日本リサーチセンターが保有する登録モニターに対して、WEBアンケート調査として行いました。調査会社が数社でシェアしているモニターから取るという、そういうスタイルになっています。

回収結果ですが、「平成24年度就業構造基本調査」の【性・年齢・雇用形態別】の分布及び【男女・職業別】分布が回収結果として近似するように取っています。この調査はWEB調査ですので、全国規模の代表性のあるサンプルに偏りなく近づけたいということと、どうしてもWEBモニター調査をしますと、ホワイトカラー層に回収が偏る傾向があります。先ほど武石先生から、その現業職の方のお話がありましたが、男性で言うと生産工程従事者ですね。それから、女性で言うとサービス職。ここのところをしっかり取っておくことが、日本全国で介護している人の実情に近いデータにするためには必要だろうということで、こういう形で調査をしました。サンプルサイズは2,000件ですが、現場で働いている人の数をどの程度確保できるかという問題を考えると、やみくもにサンプルサイズをふやせないという事情もあります。これは、今度こちらで調査を設計するときに、事務局と相談していく留意点かなと思います。

〇佐藤座長 確認ですが、3ページにある「性」で、全部このようになるように割り当てたのですか。

〇池田委員 「就業構造基本調査%」というのが。

〇佐藤座長 つまり、かなり細かく割り当てたということですね。例えば正社員で男性で303949に取れとやった。そういうことですね。

〇池田委員 そういうことです。このセルに合わせて、下もです。

〇佐藤座長 下の職業も両方チェックしてやったのですね。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 御苦労様です。だから、こうなっているということですね。

〇池田委員 そういうことです。これは、実は契約するときに、このとおり取れるということを入札条件にしてやりました。

〇佐藤座長 わかりました。

〇池田委員 そうして得られた調査結果を4ページから、お示ししております。実は今回の調査は、必ずしも高齢者介護に限定していないということですので、1990年代のかなり早いうちから介護を始めているというような人もいまして、介護休業制度が義務化される前のサンプルも少なからずあります。昔の制度的背景のもとで辞めたという人の話をしても、議論がミスリードしていく部分が多くなるだろうと思いましたので、育児・介護休業法で介護休業が企業の義務となって、かつこの研究会でも議論になりました介護保険制度が制度として施行された2000年4月以降に介護を開始したサンプルについての結果を、ここで御報告させていただきます。

 まず4ページ、「家族介護者の離転職状況」ですが、グラフで、介護を始めた時点で雇用の仕事で働いていた人が、調査時点の今までに、同じ勤務先で仕事に就いている場合に白い帯で「継続」としています。当時の仕事は辞めたけれども、今、別の仕事に就いていますという人を黄色の帯で「転職」として、当時の介護開始時には勤務先を辞めて、今はもう仕事をしていませんという人を「離職」という青い帯で示しています。

 そうして見ると、介護が始まった時点で、例えば身体介助の必要性が高い場合に、離職を示す右側の青い帯がちょっと長くなっている。つまり、仕事を辞めて、今はもう働くことができていないとか、働いていないという、そういう結果が見えてまいります。

 もう一つ、認知症があった場合。認知症があっても、軽い場合は必ずしも就業にマイナスの影響があるとは言い切れない部分があるのですが、やはり見守りがいつも必要な状態にあるという場合は、一番右側の青い帯がやはり伸びているということで、従前言われていたようなことがこちらのデータでも確認できるという、そういう結果です。

 また、5ページに行きまして。介護が始まった当時に、いわゆる準備のために介護休業を取るという、そういう議論はこの研究会でもあったかと思いますが、具体的に、例えば入退院の手続や付き添い、あるいは介護サービスの利用手続、もしくはそれ以外の在宅介護の準備。人によっては、例えば住宅をバリアフリー住宅に改修したりとか、あるいはいろいろ介護用品のレンタルの手配とか、いろいろな手続があると思うので、自分がそういう役割を担いましたという人とそうではないという人を比較してみると、やはり右側の帯が長くなっていると、そういう結果になっています。

 また、自分以外に介護を担う家族や親戚が「いた」と言っている人の場合は比較的継続率が高くなっていますが、そういう人が「いない」という場合には、やはり離職している割合が高いという、そういう結果になっています。

 ちなみに、介護サービスに関しては、これは最初の段階で、何らかの事情で利用できなかった場合に、それが離職に結びつくかということで言うと、差し当たってはそうではなさそうだというのが、下の結果です。もう少し細かく分析してみると違った結果になるかもしれませんが、差し当たりはそういうことで、介護役割を中心的に担う、家族の支援が得られない、そういった人は就業が難しくなっていることが確認できます。

 これに対して、両立支援制度の影響はどうですかということが6ページ以降に結果として出ていますが、図表3に示しておりますように、介護が始まったその当時の勤務先について、介護休業制度「あり」という場合には白い帯が長くなっています。「なし」「わからない」の場合は、黒い帯の「離職」もふえているのですが、働けるけれども、ほかの会社に移っているという、転職の割合も少し高くなっています。実際、介護休業制度に関しては、制度はあっても、1回ということだと取り控えが起きることもあるのですが、継続している人が、当時の勤務先で介護休業制度を取ったかどうか、介護休業を取ったかどうかということで見ると、図表4にありますように、実際に取って続けているという割合が高いということですので、N=84なので、ケースとして、それでも多いとは言えないのですが、一応介護休業制度が会社にあって、それが取れると継続できるのではないかということがデータとして言えそうな、そういう結果ではないかなと思います。

〇佐藤座長 確認ですが、これは、どこかで介護に入って、今はもう終わってしまった人もいれば、まだ介護をしている人、両方入っていますか。

〇池田委員 今、介護している人だけです。

〇佐藤座長 今、介護している人の全部ですね。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 わかりました。

〇池田委員 まだ介護が終わってない方です。

〇佐藤座長 今、介護をしていて、かつ始まったのが2000年4月以降ということですね。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 わかりました。ということは、介護は終わったわけではないけれども、再就職しているということですね。

〇池田委員 そういうことです。

 7ページで、雇用形態との関係を見ているのですが、勤務先の介護休業制度が自分に適用されているという人で、実際にそれを取っているという人は、現段階では圧倒的に正規雇用の人が多い。非正規雇用も、傾向としては似たような傾向を確認できるのですが、データとして、まだあんまりはっきりとしたことが言えるサンプルが確保できてないということで、この後、ほかのいろいろな働き方とか、他の休暇・休業制度との関係を見ると、この後は、正社員の働き方を念頭に置いて調査結果をごらんいただきたいと思います。

 子育てに関しては、制度を利用できるためには制度周知が大事です、というようなことが言われているのですが、介護休業に関して言うと、その制度周知に効果があるというふうには、今のところはちょっと言えない結果になっています。そもそも制度周知「あり」という割合が余り高くないこともあって、周知以前にまず労働者本人が制度を認知しているかどうかということが影響しているようです。

 8ページ目、介護休業中の所得保障についてですが、所得保障がない場合に比べると、何らかの所得保障があったほうが白い帯が長くなっているということになるのですが、全額保障される場合でも、一部保障との間にあまり違いがないという結果になっています。所得保障がないというのは、介護休業で給付金は出るのですが、例えば、本人がそのことを知らないとかそういうことも含めてですので、あくまでも個人の理解の範囲での話だということを御承知おきください。

 9ページに、介護休業の最長期間についての質問を入れています。勤務先に介護休業制度がある場合に、それが法定どおりの3か月までなのか、3か月を超える期間認められるのか、そういうことは「わからない」のかということで比較しています。一番下の「介護休業制度なし」は、先ほどの正規雇用の結果を比較対象として再掲しているものです。こうすると、3か月超の介護休業が認められるという場合でも、「継続」の割合はそんなに変わってないということです。

実際、法定を超える休業制度を認めているところはそんなにサンプルとして多いわけではないので、実際に、御本人が好きなだけ取れるとしたら、どのぐらい取りたいですかという質問をちょっと入れています。そうすると、「わからない」が一番多いという結果になっています。介護はいつまで続くかわからないですし、この先どうなるかわからないですし、いろいろな意味で「わからない」というのが正直なところなのだなと思いました。ただ、実際に仕事を続けている人を見ると、「93日以内」の割合が相対的には高いですね。そういうところから、93日で足りないわけでもないという面もうかがえます。

分割取得の話ですが、10ページの図表11に示していますように、分割して取得できたかどうかということですが、「分割できた」というほうが白い帯、要するに「継続」という割合が長くなっているという結果です。

図表12で、介護休業を自由に分割できるとしたら、どのぐらいの期間を分割したいですかということを今度聞いています。これも「わからない」が多い。特に、辞めている人ほどわからないみたいなのですね。ただ、御本人のニーズとして、もう一つ見逃せないのは「3~4日程度を複数回」が高いことです。この程度の日数を介護休業と呼ぶにふさわしいかどうかはともかく、御本人の意識としては、細切れで取れるほうが便利だと、そういう意識を垣間見ることができる結果かなと思います。

そうすると、介護休暇があったらいいのではないかという、そういう話になるのですが、介護休暇については、年休との関係をもう少し見なければいけないところがありまして、介護休暇単体で見た場合、勤務先に介護休業制度があるという会社で、プラス介護休暇もあったら、より続けるかというと、必ずしもそうではない結果が出ています。

また、短時間勤務制度。これも現段階で制度があるかどうかということで言うと、必ずしも制度があると白い帯が長くなるとはちょっと言い切れない部分があります。法定自体が93日というところですので、これも時短勤務制度そのものが即座に役に立たないということではないと思うのですが、データとしては、はっきりとした結果が出てないということになります。それよりも、図表16でありますように、残業や休日労働を免除する制度ですね。子育てのほうは、子が3歳に達するまで単独で義務化されていると思いますが、これに相当する制度がある場合に、この白い帯が長くなるという結果が出ています。フルタイムで働く人が、それ以上に時間短縮する必要があるかどうか、議論する必要があるかもしれません。少なくとも残業がなく、定時でしっかり帰れれば両立が図れるという、そういう人が少なからずいるのかなと、そういうような印象を受ける結果となっています。

では、具体的にどのぐらい介護のために仕事を休んでいるかという日数についてですね。先ほど、本人に意識の上で聞いても「わからない」ということが多かったので、実際の行動面でどのぐらい休んでいるのかということについて、13ページから結果を示しています。図表17の左側が、介護が始まった当時の勤務先ですね。1週間を超えて連続した期間、これは介護休業に相当するような期間を念頭に置いて質問を組んでいるのですが、そういった期間仕事を休んだ経験がありますかということで、「あり」「なし」で、「あり」に相当する割合を青い帯で示しています。

それとは別に、実際に介護休業を取ったかどうか。左側は制度の中身を問わない。右側は介護休業という形で休んだかどうかということを聞いています。そうすると、若干数値がぶれてくるところはあるのですが、どちらも似たような結果になっていまして。先ほど

言いましたが、認知症による見守りの必要がある場合とか、あるいは介護の準備や手続をしたと言っている人は、やはりまとまった期間休むということになっているというふうになっています。

ほかに、介護サービスを利用できないという場合になったときに、先ほど結果を見たように、だから即座に辞めるというわけではありませんが、その間、いろいろつなぐ意味で仕事を休んでいるのかなと、そういう結果が見えてまいります。

実際に、1週間超えて休んだと言っても、どのぐらいの期間休んだのですかということを、1回の休んだ期間の最長と、現在に至るまでの通算日数ということで2種類に分けて聞いています。結果を見ると、1回の最長日数も通算日数もどちらも、2週間以内が圧倒的に最も高くなっています。3か月はもとより、1か月を超える期間もかなり少ない。先ほどから言っていますが、短い期間を柔軟に取っていくという、そういう行動をとっている人が多いことがうかがえる結果です。

また、実際に介護休業を取らなかった人が、どういう理由で取ってないのかということを図表20で出していますが、これも辞めたかどうかにかかわらず、目立って値が高いのは普通の休日とか休暇制度で対応できたという割合です。

ただ、辞めた人に関して言うと、「勤務先に制度がなかった」も高い。「ない」というのは、先ほど、会社として認知度が上がってないという話もありましたが、労働者に制度の存在が、まだちゃんと届いていないということの影響があるだろうということです。あるいは、「職場に取得した人がいなかった」という割合も高いという結果が出ていますので、制度の存在、あるいは休業を取れるということのメッセージをしっかり発していくことが、離職防止につながるのかなと思います。

それから、「もっと大変な時期に備えて、取らずに取っておいている」という理由もあるのですが、これは今仕事を続けている人の割合が相対的に高い。2割弱ですが、やはり取り控えも結果としてうかがえるということです。

最後に、例えば過去1年ということに関して、1年間にどれぐらいの人が仕事を休んでいるのだろうと、介護休暇の議論も念頭に置いた質問の結果を示しております。15ページの図表2122をごらんください。「過去1年間に介護のために仕事を休んだ総日数」で、現在、正規雇用で働いている人について集計しています。そうすると、「0」つまり、休んでないという人が大体半分ぐらい。もう半分が何らかの形で休んでいるということですが、最も多いのは1~7日以内ですね。介護休暇プラス法定休日が1~2日、あるいは年休が1~2日つくと7日になりますから、大体そのぐらいのボリュームが最も割合として高い。先ほど、1週間を超える期間休んだ経験について結果を示しましたが、2週間以内(14日以内)でおさまっているところが10%ぐらいです。およそ2週間以内というところが本当に多くて、さらに、もう少し長く見積もっても31日まで、せいぜい1か月というところです。法定介護休業は93日までですが、93日まで休む人は少ないという状況です。

ただ、遠距離の介護に関して言うと、少し長く休む傾向も見えます。今回、全国規模でデータを取ると、すごく遠方に親がいるという割合が少なかったので、毎日往復するのは難しいだろうという目安で、片道1時間以上・1時間未満で別居の介護を分けています。結果を見ると、1時間以上要介護者宅まで時間がかかるという場合には若干日数が延びています。統計的な有意差がないので、余り強気なことは言えないのですが、そういう傾向がややあります。それでも14日以内、1か月ぐらいというところなので、そういう意味では法定93日を超える期間をまとまって休む話にはならないのかなという結果です。

また、図表22で、実際に本人が何日間ぐらい過去1年間に介護休業を取ったかという日数ですが、これはデータクリーニングするときにどうしようか迷っているのですが、まだそのままにしています。1~7日は1週間以内で介護休業を取っているという割合が、12.8%で一番高くなっていて、長い期間取るのは非常に少ないという結果が出ています。また、介護休業ということになると、別居の介護だけでなく、同居で取っているという割合も若干高くなっていることになっています。

いずれにしても、このデータからうかがい知れるのは、93日間を超える長い期間の休業を取りたいとか、あるいはそれによって両立が可能になるという、そういう側面よりも、短い期間、1週間以内、介護休暇のスタイルと、それを超える場合でも、2週間とか1か月以内とか、そういう期間で休みながら両立をしているという、そういう実情がうかがえるかなと、そういう結果になっております。

〇佐藤座長 どうもありがとうございました。

 実際に今介護をしている人で、その方が介護の課題に直面してから、どういうふうに両立してきているか、あるいは転職したり、離職というようなことを御説明いただきました。もうちょっと説明してほしいとか、あるいはこういう分析をしてほしいということがございますか。どんな御意見でも構いません。

〇両角委員 まず全体的なことでいろいろ伺っていて、離職を防ぐには、見通しを立て得るような制度をつくることが総論としては大事かなという気がして、つまり、何か突然そのことが起こって、どうなるか今後わからないときに、使わないかもしれないけれども、いろいろな制度があって何とかなりそうだというその何か見通しが立てられるということが大事かな。自分の経験からもそういうふうに思います。ですから、休業の分割取得とか、柔軟な働き方とか、制度としてつくっておくことは、実際取る人がそれほど多くなかったとしても、政策的には割と大事なのかなという気がしました。

 それから、もう一つは年休を使うので、それほど介護休業を取らなくてもいい。それはさっきの東芝のお話にもあって、現実に今の職場においては、それが自然な生き方だとわかるのですけれども、本来の年休制度の趣旨からすれば、それはちょっと問題であって。一方、年休のほうは年休のほうで、ちょっと今後制度を変えて、使用者に付与義務を課したりして、消化率を上げていこうという、そういう何か動きも割と現実的に起きてきている中で、年休でカバーできるからということはどうなのかなと。そこは難しいですけれども、年休の消化率が低いことが前提となっているような話でもあり、そういう介護があるかもしれないから、年休をちょっと残しておこうみたいな、そういう循環もなくはないような気もするので、このことはちょっと検討する必要があるかなと思いました。

〇池田委員 はっきりとした結果はまだ示せる段階にないのですけれども、介護のために年休を取った日数も調査票で聞いていて、どうも、そこはトレードオフの関係がありそうだということがあります。この話をするたびに、両角委員と同じ御指摘をやはり受けるのですね。年休を介護のために使うことが良いのかどうかという問題はあります。それはちょっとこれからデータでも留意してやっていきたいと思います。

 もう一つ、この後、どこまでデータを分析するかによるのですけれども、年休を取ることが介護との関係で、制度の枠組み上で一番問題になるのは、多分不利益取扱いとの関係ではないかなと思うのですね。介護休暇を取る場合には、育介法上の不利益取扱いが適用されますけれども、年休はそうではないですね。そういう意味でもなるべく介護休暇を取ったほうがいいという考え方を私も持っているところです。ただ、無給だとやはり難しいかなというのがあります。法定介護休暇を有給化することが議論として成立するのかどうかというのは、私の手の及ぶ範囲ではない話ですのですが、そういうふうに思っています。

〇佐藤座長 年休を介護に取っておくというのは不自然だけれども、でも、実際上は、あったら、無給か有給かって、当然有給のほうを使うよね。わざわざ残すためではないけれども、あるんだから、そこをどうするかですね。そのために残すのは変だと思います。

 ほかには。

14ページの図表20は、これまでも議論しましたけれども、現状で言うと、法定で分割できないので、いざという、看取りのときに取っておきたいというようなこともあるかなということで、ですから、分割できる会社とそうでないところで分けるとどうなるか。わからないからやっていただくということで、この取っておくというのは、もう少し分割できれば多くなるのか。分割できる会社かできないところで多少取得しなかった理由が出てくるといいかな。

〇池田委員 そうですね。そこはもう少し。

〇佐藤座長 お願いします。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 本人が主たる介護者かどうかはわかるのですか。

〇池田委員 わかります。

〇佐藤座長 多分、主たる介護者とそうでないかでも相当違うので、そこで、この制度の利用も相当違ってくるのが1つ。

あと、介護期間ね。多分、半年目の人もいれば、1年とか2年目の人もいると思うので、長く続けている人はどうなのかみたいなのが多少わかるといいかなと。これはお願いです。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 ほかには。

〇神吉委員 2ページの制度設計のところで、介護の定義というところと、それから、要介護者との続柄との分布などを見ますと、さっき御説明にもあったと思うのですけれども、これは主に加齢を主たる理由とする介護が中心とはなりつつも、一応これ全部入っているということで、それは子供が入って、配偶者も入ってということだと、これは恐らく先天性の理由に起因する障害に基づく介護と、交通事故とか疾病なんかによる中途障害の介護も全部含んでいるという、割合的には少ないですけれども、そういうことですね。

〇池田委員 そういうことです。

〇神吉委員 恐らくその介護の理由によって、介護者のニーズ、特に介護期間に対するニーズは結構違うと思うのですけれども、そういった要介護の理由に基づく分類みたいなものは特に今回されてないですか。

〇池田委員 今回は、要介護の理由は、質問票から最終的に削ったのですね。障害のケースと加齢に基づく疾病のケースとを調査設計上、上手に項目立てができなかったということがあるので、そこは介護開始時点の要介護者の年齢を特定できるので、例えば配偶者の人を介護しているけれども、それで40歳よりも前に始まっているとか、そこで、要するに年齢との関係である程度分類しようということで、今回は入れてないです。

〇神吉委員 今回は入れてないケースもあるということですね。

〇池田委員 はい。

〇神吉委員 ちょっとそれを知りたいなと思ったので、もしわかるようでしたら、また、教えてください。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 ほかには。

〇武石委員 調査をやったのかどうかわからないのですが、介護休業を取った人が、どのタイミングで取ったかとかはわかるのですか。

〇佐藤座長 制度利用はあくまでも過去1年間ですね。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 離職等々は、始まってから離職しているかどうか。

〇池田委員 調査票の中で二通りの聞き方をしていて、介護が始まった当時の勤務先でどういう制度を使ったことがあるかということを、あくまでもストックベースの経験として聞いているという話と。あとは、今働いている人に、過去1年間に介護のために何日休んで、そのときに介護休業を何日取ったかという、そういう聞き方をしているので、例えば介護が始まってからいろいろな紆余曲折があって、このタイミングで介護休業を取ったということは、今回はちょっと聞いてないのですね。

〇佐藤座長 最初のところは、介護が始まったときに利用した制度だけで、そこのところをスポット的に聞いているのですね。

〇池田委員 介護が始まった当時の会社で。

〇佐藤座長 その後もですか。

〇池田委員 はい。もう入っています。

〇神吉委員 そうすると、同じ会社にずっと勤めている人は、両方に答えているということですか。

〇池田委員 そういうことですね。

〇神吉委員 過去1年間はダブルになるわけですね。

〇池田委員 はい。

 今度の調査のときに、そこはしっかりと聞かなければいけないと思っているのですが、正直、こんなに介護休業を取ったという人が出ると思ってなかったので、取得者についてあんまり踏み込んだことを聞いても情報が得られないと思っていました。実は、2005年に調査したときにいろいろ聞いてみたのですが、ほとんど該当者がいなくて空振りになったという経験がありましたもので、今回、一応分析に堪える介護休業取得者がデータとして取れたというところを確認するにとどまっている状況です。今の御指摘はまさに今度設計する調査の中でメイントピックに入れたいなと思っています。

〇佐藤座長 最初取って、離職・転職も、これは一応今回はあれなので、いろいろな項目ごとにもう少し組み合わせてやれなくはないわけですね。

〇池田委員 そうですね。

〇佐藤座長 制度が認知していたとか、利用して分割できたとか、組み合わせて、何が効くかどうかをやれなくはないわけですね。

〇池田委員 できます。

〇佐藤座長 ほかには。

 非常に貴重な情報かなと思います。

〇武石委員 違う視点で、厚生労働省の方にお聞きしたいのです。前に聞いたかもしれないのですけれども、法律は93日を連続してですね。それを分割して取っていると、給付金が出るのは最初の1回のところだけしか出ないのですね。

〇蒔苗職業家庭両立課長 最初の1回だけです。

〇武石委員 法定を上回るようにしてしまうと、分割取得できてしまうと、給付金の視点から見ると、余りメリット感がないというのが今の制度ですね。

〇佐藤座長 そうね。分割利用できるというのはメリットだけれども、2回目は給付金がないという理解でいいですね。

〇武石委員 はい。

〇佐藤座長 すごく短くても出るのですか。手続するかどうかは別として、1日でも出るのですか。

〇蒔苗職業家庭両立課長 手続するかどうかです。

〇佐藤座長 もちろんあります。可能性としてはありますね。

 厚労省の方に、今日わからなくていいのですけれども、4064で、特定疾患の人で、つまり介護保険を使う人はどれぐらいいるのだろうと、実際上比率がわかるのか。40から64まで。介護のほうは、5歳刻みで、要支援・要介護認定を受ける比率はわかりますね。すごく低いのだと思うのですけれども、4064のところの特定疾患で使っている人はどれぐらいいるのだろうか。

〇川島老健局振興課長補佐 今はちょっと。

〇佐藤座長 今でなくていいです。ちょっと教えていただければ。

〇川島老健局振興課長補佐 はい。

〇佐藤座長 これはいつ頃報告書を。

〇池田委員 この春に出ます。

〇佐藤座長 ということですので、可能な範囲で我々が今日お願いしたようなこともやっていただけると思いますので、また、報告書がまとまったら、情報提供いただくというふうにはしたいと思いますが、よろしいですか。

〇池田委員 はい。

〇佐藤座長 それでは、今日は、中井委員と池田委員お二人から御説明いただいて、議論をするということで、それぞれ有益なお話で、どうもありがとうございました。

 この後ですけれども、全体を通じて、今日の御報告、あるいはこれまで、先ほど武石委員のようにちょっと聞いておきたいこととかあれば。特に資料が何かあってではないですね。

〇蒔苗職業家庭両立課長 ないです。

〇佐藤座長 特にあればということで。

 と言うと、逆に出にくいですか。

 無理に長くやる必要はないので。ただ、この辺を調べておいてとかいうことでも結構です。今まで、論点のところではかなり出してきているかなというふうには思います。

 この前の議論で、在宅で介護認定を受けた場合、どのぐらいケアマネジャーと会うのが必要かなというのを出していただいたりしていますので、今日の介護休暇なんかについても議論にはつながるかなと思います。

 もし御意見がなければ、ちょっと時間はありますけれども、ここまでということで。

それでは、次回の進め方ですけれども、外部から有識者の方を2名お招きしてお話しいただくということです。

お一人目は甲南大学の中里教授から「諸外国における男性の育児休業取得について」お話しいただく。お二人目は立命館大学の津止教授より「男性の介護支援について」ずっと教授が取り組まれていますけれども、そのお話について伺うということです。

その後、事務局から、平成25年度の仕事と介護の両立支援事業で「介護離職を呼ぼうするための職場環境モデル」これも既につくって、企業の方に提供しているものがありますので、あるいは介護をしている方がどう両立したらいいかというのをつくっていますので、それについて御説明いただくというふうになっていますので、また、よろしくお願いします。

それでは、次回の日程について御説明いただければと思います。

〇中井職業家庭両立課長補佐 本日は誠にありがとうございました。

 次回の日程ですが、2月10日(火)午後15時から17時というふうに予定してございます。場所については、厚生労働省の6階の専用第23会議室になってございますので、よろしくお願いいたします。

〇佐藤座長 それでは、特に今日御報告いただいた中井委員、池田委員、どうもありがとうございました。

 では、次回も、また、積極的に御議論いただければと思います。それでは、研究会はここまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<<照会先>>

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
電話 03-5253-1111(内7864)

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