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2015年2月26日 第16回 緩和ケア推進検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成27年2月26日(木)
17:30~19:30


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議題

(1)緩和ケア提供体制の実地調査に関するワーキンググループ報告
(2)在宅緩和ケアの質の向上や医療連携の推進について
(3)その他

○議事

○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第16回「緩和ケア推進検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。がん対策推進官の江副でございます。

 本日の構成員の出欠状況につきまして御報告いたします。

 本日は、小川構成員、小松構成員、細川構成員におかれましては、御都合により御欠席との連絡を受けてございます。

 また、武藤構成員が若干おくれるとの御連絡をいただいております。

 本日は参考人として、聖隷三方原病院の森田参考人にお越しいただくこととしておりますが、若干おくれているようでございます。

 また、前回に引き続きまして、医政局地域医療計画課在宅医療推進室の奈倉室長補佐に出席いただいております。

 それでは、資料の御確認をお願いいたします。

 座席表、議事次第に続きまして、

 資料1 緩和ケア推進検討会開催要綱

 資料2 緩和ケア推進検討会構成員名簿

 資料3 「緩和ケア提供体制の実地調査に関するワーキンググループ」における検討経緯

 資料4 緩和ケア提供体制の実地調査に関するワーキンググループでの議論の内容

 資料5 第15回緩和ケア推進検討会の議事概要(在宅緩和ケア抜粋)

 資料6 地域において緩和ケアを提供するための論点(たたき台)

 資料7 「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」研修完了に向けた計画書について(案)

 資料8 がん診療連携拠点病院の痛みの評価方法の開発について(森田参考人提出資料)

 資料9 若いがん患者に対するがん・生殖医療及び緩和ケアに関する意見書(第46回がん対策推進協議会・資料7)

 資料10 がん対策に関する世論調査の結果(緩和ケア関連部分の抜粋)

 資料11 緩和ケア推進検討会の今後の進め方(案)

となっております。

 また、冊子として参考資料をつけております。

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 特にないようでしたら、この後の進行は花岡座長にお願いいたします。

○花岡座長 本日はお忙しい中、また、足元の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。第16回「緩和ケア推進検討会」を始めたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 本日は、まず、緩和ケア提供体制の実施調査に関するワーキンググループの報告、前回に引き続き、在宅緩和ケアの質の向上や医療連携の推進について議論をしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、議題(1)の緩和ケア提供体制の実地調査に関するワーキンググループの報告から始めたいと思いますが、まずは資料3、4に基づきまして、ワーキンググループ座長の池永構成員より御報告をお願いいたします。

○池永構成員 ありがとうございます。座長の池永でございます。

 前回の緩和ケア推進検討会以降、ワーキングで話し合われました内容について御報告を申し上げます。

 まず、資料3におきまして、2回会議をしており、あと4回、4施設において実地調査を行っております。第14回の会議では、がん疼痛の除去に向けた取り組みをどのように進めていけばよいのか。また、実地調査の方法、新しい拠点病院の設置要件の中にありますPDCAサイクルを緩和ケアの部分においてどのように回したらいいかということについて話し合いました。

 第15回におきましても、実地調査、また、緩和ケア研修会の修了を、拠点病院の新指針に基づく修了率を向上させるためにどのように取り組んでいけばよいのかについて話し合ってまいりました。また、実地調査も、地域においての拠点病院であるとか新しく拠点病院に認可された施設、先進的な取り組みをしているような施設を中心に見せていただき、よい取り組み、現場においての課題等を実地調査しております。

 資料4に参ります。議論の内容について、何点かまとめたものについて御報告させていただきます。

 まず初めに、1番、がん疼痛に対しての対応でございますが、後で森田参考人からも御報告があるかと思いますが、細川班を中心に、拠点病院においての疼痛緩和治療に対する提供体制の評価方法について、ワーキンググループ内でも検討を行っております。また、さらに得られました具体的な評価方法の試行調査まで行われていると報告されております。いずれにしましても、今後、一定の評価方法が全国の拠点病院によって活用され、継続的な疼痛緩和が全国一定の基準によって維持される、また評価されることが望まれるだろうと。具体的にその取り組みをどうしていくのかについて、議論を深めております。

 2番目でありますが、実地調査の報告、また、その実地調査から見えてくるものについて議論をしております。

1が苦痛のスクリーニングについてでありますが、苦痛のスクリーニングの徹底については、各拠点病院によって取り組みが行われておりますが、まだ十分ではないと判断が実地調査から見えてまいります。特に、病院を挙げて、全診療科で統一されたスクリーニング方法によって、外来患者に対しては診察日ごと、入院患者に対しては1週間ごとに行われている施設というのは、新指針が出ておりますが、まだほとんどないような状況でございます。また、スクリーニング以上に、スクリーニングの結果に基づくトリアージが適切に行われ、適切なスタッフにつないでいくというスクリーニングの後の取り組みが大変重要でありますが、単にスクリーニングしたままで苦痛が放置されないように注意しなければならないと考えております。

 そのために、スクリーニング後の対応を徹底させるための、いわゆる専門・認定看護師やスクリーニング体制を補助するような事務職の人的保証も重要であることが実地調査で明らかになっております。スクリーニングを行った後、そのデータをきちんとまとめ、必要に応じて評価していくことが重要であるという、そのためにも人的な保証というのは非常に重要であることが明らかになっております。各拠点病院においての取り組みも今後期待されますが、特に先進的な施設の取り組みについては、モデルケースとして全国の拠点病院に情報発信していき、また、それを活用していくことが重要であるということが議論されております。

 2でありますが、現況報告書でございます。拠点病院で毎年現況報告がされておりますが、国が求めています基準では適切に記載されていないということもありました。現況報告書を確認しても、なかなか現場まできちんとそれが伝わっていない、評価されていない、実際と異なるということも見えてまいりました。「整備されている」という項目に「はい」と記載されていても実際には行われていないことや、適切な人員配置が行われていないという現状も実地調査で見えてまいりました。単に書面だけの報告書で評価するのではなくて、やはり実地で確認する、また、緩和ケアの専門家がその目で評価するということも重要であることがわかってまいりました。実地調査を行うメンバーの緩和ケアに関する知識も十分であることが求められます。さらに、現況報告書が事務部門だけで作成されていたり、国の方針がいわゆる現場のスタッフまで十分浸透していない。また、現場のスタッフが現況報告書にどのように報告されているのかが十分に理解されていないということも問題として挙げられ、現場のスタッフまできちんと国の方針、考えを浸透させる必要があると考えられます。

 3でありますが、緩和ケア研修会修了率に関しては、まず、このがん患者の主治医や担当医となる医師を中心に評価するのがよいのではないかという意見であります。拠点病院の中には、実際、主治医や担当医としてかかわらない医師もおりますし、がん以外の診療科もある施設もございます。まずは、やはりこの研修会の意図、意義を考えた上で、この主治医や担当医になる医師の修了率をきちんと評価し、そこを改善していく必要があるのではないかとワーキンググループでは考えられました。少なくともそれらの対象の医師に対しては、平成28年度内には9割以上の修了率を目指すというのが当面の目標ではないかと考えております。特に、そこまで至っていない施設に関しては、修了計画書などを提出していただくことにより、計画的に修了医師をふやしていく必要があるのではないか。単に数を評価するのではなくて、やはり病院を挙げて計画書に基づく修了率の向上を目指していただく必要性があるのではないかということです。あわせて、初期研修医2年目から卒後3年目までの研修医師に対しても修了率を評価する必要があると考えます。これは、拠点病院の新指針においては、全ての研修医がということになっております。研修医師に関しては、病院内での緊急対応や時間外の呼び出し、当直業務も多いため、受講しやすい配慮を病院長などに依頼することも重要であると考えられました。

 また、現在のところ、修了率が比較的高い施設と、一方で低い施設が認められます。実地調査においては、病院長の受講や各科診療部長の受講など、施設内の意識が非常に影響していると考えられますので、今後、病院長や教授などを対象とした緩和ケア研修会を開催していくことも施設の修了率を上げるためには有効ではないかと議論されております。

 3番目、PDCAサイクルに関してですが、この緩和ケアにおいてのPDCAのサイクルの構築に対しては、現在、ピアレビュー、いわゆる拠点病院間における相互評価を行っていくための事務局機能というものが重要になるだろうと考えられております。そのためには都道府県の関与も不可欠となり、その体制づくりのためのモデル作成が、国立がん研究センターを中心とした研究班によって準備中であり、その動向を見ながら、今後のPDCAサイクルの構築について議論を続けていきたいと考えております。

 4番目、バッジ・ポスターの配布でございます。主治医や担当医がいわゆる緩和ケア研修会の修了医師であるかどうかということを患者・家族にもわかりやすいように示すということが新指針では示されております。また一方で、医師の研修受講のモチベーションを上げるためにも、修了医師に対するバッジを厚生労働省の委託事業として日本緩和医療学会が作成しております。また、平成26年度中には、現在、拠点病院に勤務している緩和ケア研修会修了の常勤医師を中心として配布する予定に年度内では考えております。また一方で、ポスターでございますが、患者・家族には、苦痛やつらさを訴えていただきたいということと、医療従事者には、訴えがあった場合には、この苦痛やつらさを必ず受けとめてほしいということを伝える。そういうことについて積極的に普及啓発をすることを拠点病院の重要な役割として周知徹底するために、普及啓発用ポスターを委託事業によって作成しており、年度内に各拠点病院に多数配布する予定になっております。

 このバッジとポスターにつきましては、資料に添付しておりますが、医療従事者向けというのがこの赤いもので「痛み、つらさ、キャッチしないのは、レッドカード!」というものでございます。そして、バッジについての紹介、あと、緩和ケア研修会を受講していただく必要があるということを医療従事者に示すためのポスターが、この赤いほうであります。

 患者・家族向けに対しては、つらさ、苦痛を訴えてほしいということで、この水色のシャボン玉のポスターになります。患者さんの訴えというのは、本当にシャボン玉のように非常に小さな声であったり壊れやすいものでありますけれども、そこをきちんと訴えていただき、医療者が受けとめる。そのために、まずは訴えていただきたいということを目指し、このようなポスターを作成しております。また、この中にもバッジのことについて紹介し、このようなものを主治医、担当医がつけているかを確認していただきたいということを示しております。

 あと、バッジでありますが、5ページ目にあります、このようないわゆる金バッジみたいなものですけれども、「緩和ケア研修会修了者」ということで「厚生労働省」と示し、医師もつけたくなるような、また、患者・家族の方もそれを確認しやすいようなバッジというもので作成しております。

 資料のほうに戻りますが、5番目、在宅緩和ケアについての議論でありますが、地域包括ケアシステムは、疾患を限定した体制づくりを目指しているものではなく、既存の地域リソースに基づいた医療・介護・福祉の提供体制の包括的な構築を目指したものであると考えられます。しかし、がんに関しては、病状の急速な悪化や症状マネジメントへの配慮、専門的な知識も必要であり、現在の地域リソースでも十分でない場合もございます。

 また、がんに関しては、国は拠点病院を中心とした地域連携システムの構築をこれまで検討してまいりました経緯も踏まえ、今後、地域包括ケアシステムのリソースの中に、拠点病院や緩和ケア病棟のような専門的緩和ケアを提供できる体制を地域のシステムの中に注いでいくということも重要であると考えております。具体的には、拠点病院や緩和ケア病棟にある専門的緩和ケア提供体制、緩和ケアチームや緩和ケア外来等を、地域包括ケアシステムの中でも有効に利用できるような、現場に、地域に向かっていくようなアウトリーチ機能を充実させて、より有機的に既存のリソースを地域で活用できるようになることが期待されるのではないかと議論をしております。

 以上、この推進検討会までにワーキングで話し合われました議論の内容について御報告させていただきました。

 ありがとうございます。

○花岡座長 池永構成員、どうもありがとうございました。

 ワーキンググループの報告でございますけれども、皆様方から御意見、御質問等はございますでしょうか。

 松島構成員、どうぞ。

○松島構成員 ありがとうございます。

 まず、1の苦痛のスクリーニングについてですけれども、我々も実際に病院でやっておりますと、まず患者さんにつけていただいて、それからそれを評価するという過程がありますね。そして、評価に基づいて患者さんに実際に会いに行く。さらに、お会いしていろいろとお話を聞く。それをもとの評価と突き合わせて、またそこで再評価をすると、非常に一人一人やっていくのに手間がかかって、しかも、診察日ごとなど毎回毎回やっていくとなると、これだけで私どもの業務というのがパンクしてしまっているのは事実でして、夜中まで整理をやっていても追いつかないというところがあります。やはり事務員の方を雇うなど、何かそれに見合うだけの人的な保証というのは必要かなと、つくづく思っております。ですから、ワーキンググループで明らかにして戴いたことのとおりだと思います。

 3の研修会ですけれども、今までは漠然と10万人とかいう目標があったかと思うのです。ただ、これは、では、自分たちの病院でどのくらいやったらいいのかというのがよくわからなかったので、今、池永先生が言われたように9割とはっきりとその病院、病院で目標が立ったということは非常に評価すべきことだと思います。また、研修医が受けていくということになると、だんだん修了率が満たされていくということになると思いますので、ぜひこれは実行していきたいと思います。

 どうもありがとうございます。

○花岡座長 松島構成員、どうもありがとうございました。

 ほかに何かございますでしょうか。

 実地ワーキングのほうで調査をやっていただきましたけれども、これは池永構成員、新しく認定された拠点病院と前からある拠点病院とは、かなり格差があるものですか。

○池永構成員 当然、新しく認可されたところ、まだ十分に緩和ケアが評価されていなかったり、十分に取り組まれなかったり、まだ新指針に基づいたところまでできていないところもございますので、その点はやはり、どのような方法があるのかということを実地調査を通して取り組んでいただくはずみになるのではないかと思われます。

 あと、新しい、古いだけではなくて、やはり病院の規模、また、例えば緩和ケア研修会などでは大学病院のような、いわゆる臨床研修医が大変多くいらっしゃるところは決して年に1回の研修会では終わらないという状況もありますので、その点、やはり大学病院等の取り組み等についても頑張っていただかないといけないなという点も見えてまいりました。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 やはり母数が多いと、結局、受講率が目についたように上がっていかないという面もあるのだろうと思いますけれども、そういうところも後ほど出てくるかと思いますが、ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、どうもありがとうございました。

 引き続きまして、(2)の在宅緩和ケアの質の向上や医療連携の推進についてに移りたいと思います。

 まず、事務局より資料5、6に基づきまして、御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、事務局より、資料5、6の説明をさせていただきます。

 資料5は、前回の第15回「緩和ケア推進検討会」の議事概要、特に在宅緩和ケアの部分の抜粋となります。1ページ及び2ページ目がなります。

 まず、在宅緩和ケアの質の向上や医療連携の推進につきまして、全般的な内容としましては、地域包括ケアシステムについて、その中にがんをどのように入れていくのか。あるいは、終末期のがん患者さんを地域の中で支えていくためには、地域の状況に応じてさらに別途検討していく必要があるのではないかという意見が出ました。

 体制的なところでは、がん診療連携拠点病院は2次医療圏レベルで患者さんが集まってくるという状況ですが、地域包括ケアシステムの場合は中学校区域レベルということがありますので、どのように連携を促進していくのかということの検討が必要であるという御意見が出ました。

 さらに体制のところですが、がん診療連携拠点病院及び緩和ケア病棟、さらに、緩和ケアの連携の拠点となるような診療所等が連携しながら、地域完結型の在宅緩和ケアシステムを完成させていく必要があるのではないかという御意見がありました。

 また、その緩和ケア連携の拠点となる診療所、例えば、機能強化型在宅療養支援診療所のようなところが中心となって地域で整備していく必要があるのではないかという御意見がありました。

 また、その地域社会でがん患者さんを支えていく体制を構築するためには、それぞれの地域の特性に応じた体制づくりを検討していく必要があるのではないかという御意見がありました。

 2枚目ですが、連携方法に関しましては、がん診療連携拠点病院の緩和ケアチームや緩和ケア病棟のスタッフが、退院した患者さんを継続サポートしながら、在宅医の先生方の支援や教育を実施していく必要があるのではないかという方法が提案されております。

 教育面におきましては、終末期がん患者さんに適切に対応するためには、在宅関連の医療・福祉従事者にも一定のがん診療に関する知識や経験が必要とされるのではないかと。

 さらに、トータルケアが可能な訪問看護師等の養成が必要ではないかという御意見が挙げられました。

 下段には、緩和ケアプログラムによる地域介入研究班、OPTIM研究班の報告をまとめたものになります。

 2つ目の点ですけれども、ネットワークにより地域のリソースが最大利用されることが必要であるということであります。そのためには、地域拠点となるような事務局やコーディネーター機能が必要で、例えば、地域緩和ケアコーディネーターのような関係者間あるいは施設間を調整するような者の配置が必要ではないかという報告が上がっております。

 そして、専門家に気軽に相談できるようなネットワーク構築と、その可視化が必要であるという報告がありました。

 また、緩和ケアに関する知識と技術を相互に伝え合うような体制、セミナーであったり共通ツールなどの整備。

 あと、情報提供や教育が必要であるという報告がありました。

 そして、多職種地域カンファレンスなど、あるいは管理者レベルでの運営委員会など、レベルに応じた顔の見える関係の構築が必要であるのではないかという報告がありました。

 退院前カンファレンス等のプログラムの導入、リソースに関するデータベースの公開が必要であるという報告がありました。

 3ページ以降は、過去の検討会及び委員会で地域連携関連の議論を抜粋したものを参考資料として挙げておりますが、この内容に関しましては、拠点病院の指定要件等に大部分は落としこんでいる状況であります。

 資料5は以上になります。

 続きまして、資料6を御提示させていただきます。

 これは、地域において緩和ケアを提供するための論点のたたき台となります。前回あるいはその前の検討会、委員会、専門委員会等の議論も踏まえまして、課題を事務局のほうで大きく4つに分けて整理しております。

 1つ目は、地域の中でのネットワーク構築が十分ではないという課題。そして、地域社会でがん患者を支える体制を構築する上で、それぞれの地域の特性に応じた体制づくりがまだ十分でないという課題を挙げております。

 それに対応する「対応の方向性」としましては、地域包括ケアシステムの概念を踏まえつつ、入院医療機関が診療所等と連携して、患者とその家族の意向に応じた切れ目のない地域完結型の在宅医療の提供体制を構築するための方策について、今後どのように考えていったらいいのかという方向性を挙げております。

 2つ目は、地域で生じる緩和ケアに関する問題について、専門家に気軽に相談できるネットワーク構築やその可視化が十分ではないという報告、及び、緊急対応等、在宅緩和ケアのバックアップ体制が十分でないという課題を挙げております。

 それについての対応の方向性としましては、拠点病院や緩和ケア病棟の医療従事者が、在宅医療従事者と情報の共有・統合を行い、その中で緊急時の受け入れ体制を整備するための方策についてどのように考えたらいいのかということを挙げております。

 3つ目は、地域拠点、事務局あるいはコーディネーターのような機能が地域で十分ではないという課題を挙げております。

 それに対応しましては、既存の地域リソースを最大限利用するために、拠点病院や診療所等の関係施設間の調整を行う機能をそれぞれの地域の特性に応じて確保する方策についてどのように考えていけばよいのかという方向性を挙げております。

 最後は、終末期がん患者に適切に対応するためには、在宅関連の医療・福祉従事者のがん診療に関する知識や経験がまだ十分ではないのではないかという課題を挙げております。

 それに対応しまして、在宅関連ケアを担う医療・福祉従事者向けの在宅緩和ケアに関する研修等を拠点病院や診療所等が連携して実施する方向性についてどのように考えるかという形で、事務局より4つの課題及び今後の対応の方向性をたたき台として挙げさせていただきますので、これを踏まえて御議論、御意見いただければと存じます。

 よろしくお願いします。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 それでは、地域における緩和ケアの推進につきましての御議論をお願いしたいと思いますけれども、皆様から御意見、御質問等はございますでしょうか。

 特に地域完結型在宅緩和ケアシステムということにつきまして、これは小笠原先生が前もおっしゃっておられましたけれども、その点につきましての御意見等がございましたら、お願いいたします。

○小笠原構成員 構成員の小笠原です。

 今までは、池永先生たちのいわゆる緩和ケア病棟とか、がん医療連携拠点病院を中心に日本中に緩和ケアを広げていこうということで、まず病院だったと思うのです。しかしこれからは、いかに在宅緩和ケアを広げていくかというのが国民に求められていることかと思います。一番の根幹は、現実問題、病院で亡くなる人と家で亡くなる人だと、苦しめば入院されるのが普通ですから家で亡くなれる人というのは本当に穏やかに亡くなっている人が多いのかなと、これがまずベースと思っています。だとしたら、緩和ケア拠点診療所が中心となって広げていくべきではありますが、がん医療連携拠点病院の緩和ケアチームの医師とか緩和ケア病棟の医師も含め、いかにして在宅で最後まで支えてあげられる、いわゆるいのちを生き切るということが家で、在宅でできる、そういう日本にしていくのが望ましい姿だと、一番大きな理念を考えた上で物事を考えていかないと、ややこしくなってしまうのかなと思っています。

 だからこそ、拠点病院から緩和ケア病棟に行くことも多い現実ですけれども、最終的には緩和ケア病棟から在宅に行ったときに、また、直接拠点病院から在宅へ行ったときに、在宅でかかりつけ医がかかわっていかざるを得なくなると思うのです。緩和ケア拠点診療所プラスかかりつけ医や在宅療養支援診療所とで、どうやって日本中の多くの人を支えていくかという、そこへ皆さんのエネルギーを注いでいくというシステムをつくっていかないといけないかと思っています。

 今までお話ししていただいたことは非常にいいことかなと思っていまして、前回私が言ったこともかなりまとめていただいて喜んでいます。多くの医師は患者さんの希望をかなえてあげるという視点を大切にされていると思いますが、国民にアンケートをとると在宅死を希望されるのは6割ぐらいとおっしゃるのですが、実際、家に帰ってきて適切な在宅緩和ケアを提供していると緩和ケア病棟を予約していてもほとんど誰も入院されなくなってしまうのが現状なのです。そこで入院する理由、例えば、家族が疲れるとか、苦痛が緩和されないとか、いろいろ入院する理由を一つ一つ解決していって、そして、最後まで支えられるような日本にするにはどういうシステムを作るのかという知恵を絞っていただく。このことが一番重要だと思っています。今日お話ししていただいたことをやっていただくと、かなり広がっていくのかなと喜んでいます。

 個別については、前回私はお話しさせてもらったものですから、皆さんとディスカッションをさせていただければいいのかなと思っています。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 このあたりにつきましてはいかがでございましょうか。

 武藤構成員、いかがでしょうか。

○武藤構成員 遅くなりまして申しわけございませんでした。

 大事な要点をまとめていただいて、ここに書かれているとおりだと思います。私どものクリニックでは、東大病院の緩和ケアを専門にやっている先生に非常勤で週に1回来ていただいていまして、それが実によくうまく機能しているように思います。大学で学んでいる先生から、私達が最先端の緩和ケアの考え方を我々が学ぶ事ができます。逆に、大きな病院で緩和ケアをやっている先生が、在宅の中でどこまでできて、どういう状況であれば病院から在宅に患者さんを紹介すべきかなどを学んでいただく機会にもなっています。このような関係の中で、大学病院から、がんのターミナルの方を御紹介いただくようなケースがふえてまいりました。

 「クリニックと拠点病院が両方連携しながら医師が学んでいく」ということが、地域全体の緩和ケアの総量を増やしていくと考えます。例えば、私どもが大学病院や拠点病院に行って学ぶ、もしくは拠点病院の先生がこちらに来て学ぶ、そういったことができますと、非常にスムーズに連携がとれるということもあります。そういった観点も御検討いただければと思います。ありがとうございました。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 小笠原先生。

○小笠原構成員 ありがとうございます。

 武藤先生のおっしゃるのは実に正しいことで、一般的な日本の在宅緩和ケアをきちんとやっている医師は、そういう感じかなと思っています。

 ただ、ちょっと加えさせていただくと、緩和ケア病棟の医師は、スキルはしっかりしていると思っています。専門看護師、認定看護師でも。でも、在宅医療のことはあまり御存じないのですね。だから、痛みを取るとかそういうことに関しては、例えば武藤先生のところのチームへ東大の緩和ケア病棟の医師に来てもらうと痛みという部分に関しては取れると思うのですが、最終的にはどのくらい患者さんの生活を含め最後まで支えられるかということなのですよ。人間が生きるということは、病気を持って生きて、生かされている喜びの中で家で亡くなるのか、支えきれず最終的に入院して亡くなるか、多くはそのどちらかなのです。実際当院へ緩和ケアチームや緩和ケア病棟に10年位勤務した日本緩和医療学会の専門医が来た時は、知識は豊富で私も教えてもらいました。痛みの取り方というのはある程度上手でしたが、彼に任せると、5割くらいは入院してしまいそうでした。なぜかというと、やはり生活、人間というか、家というものを知らないと無理なのです。かかりつけ医のよさを知らない。かかりつけ医は家から暮らしを知っている、家でのケアマネジメントが一つ。もう一つは、在宅医療をきちんとできるのは、薬の使い方が病院と在宅では異なるのでやはり在宅での緩和ケアの技術、スキルですね。もう一つは、ホスピス、つまりいのちの考え方・生き方・死に方、看取りの哲学です。その3つがそろって初めて在宅でみとることが概ね100%できるようになってくるわけですから、3つの要素をどううまくスキルアップするかということです。なお、前述の専門医は教育的在宅緩和ケアなど8か月間で在宅看取り率の実力が概ね85%に近づきつつあると思っています。

 だから、武藤先生の所のように緩和ケア病棟の医師に在宅に来ていただいたり、教えてもらう。スキルがわからないことは、私も持続皮下注射や硬膜外麻酔を知らなかったときは緩和ケア病棟や緩和ケアチームの麻酔科医師に電話して教えてもらったわけです。スキルを教えてもらうことは非常に大事だから、いいと思います。そのときに、その医師は在宅ではこんな患者でも家で最後までみとれるのだということを教えてあげる。これは我々が教えてあげないと誰も教えてくれないのですね。だから、池永先生に教えるというのは申しわけないのだけれども、多分、池永先生がいきなり在宅緩和ケアに行っても90%も看取れないのですね。正確なデータはわからないですが、緩和ケア病棟の医師は、せいぜい在宅看取り率7割ぐらいで一旦とまってしまって、在宅のスキルを覚えて初めて8割、THPのケアシステムになると9割の壁をぽんと超えられるような印象です。だから、お互いが勉強し合うという気持ちで来ていただくことが必要です。我々在宅をやっている医師も、かかりつけ医、在宅療養支援診療所、モルヒネの使い方の得意な医師がいるわけです。そういう意味で、緩和ケア病棟や緩和ケアチームの医師に在宅にぜひ来てほしいと思っています。来てもらったときに、その人を教えがてら、彼らもまた教えてくれるというチームもあれば、ただ教えていただくという場合もあると思うのですが、そういう意味でいろいろなケース、とにかく緩和ケア病棟で診ていた患者さんを退院させて、その人が再入院しないようにするノウハウを身につけてもらいたい。

 去年も全国で70回講演し、いろいろな話を伺いました。これは言ってしまっていいかわからないですけれども、緩和ケア病棟や緩和ケアチームの医師の中で『小笠原先生のようなところに退院させてしまったら二度と患者は戻ってこないと、病診連携にならないから、そんな診療所には送らないほうがいいね、行ったり来たりするのが病診連携の考えでしょう。部屋も空いてしまうし。』というもいらっしゃいます。そうではなくて、退院して最後まで支えられるようなスキルを教える。そのように緩和ケア病棟や緩和ケアチームの医師もなっていただけると在宅のチームもやりやすい。それに、いつでも入院できるという安心感が患者・家族だけでなく、在宅医にもある場合は在宅看取り率も高くなります。だから再入院しなくてもよいように支えられる緩和ケア病棟は空室があっても経営が成り立つように診療報酬をつけることも重要です。患者・家族を苦しめてしまうと再入院してしまうのですから、これがベストのシステムだと思います。在宅の緩和ケア拠点診療所が日本中にある程度あって教えに行く、支えに行くというソステムになれば、概ね80%から100%看取りまで支えられますから、そういうものと両方が必要になってくるかと思っています。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 きょうは医政局在宅医療推進室の奈倉補佐に来ていただいておりますので、ちょっとその辺のところの御意見を伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○医政局地域医療計画課在宅医療推進室 在宅医療推進室の奈倉と申します。

 きょうは非常に活発な議論をありがとうございます。

 この緩和ケアの考え方で、拠点病院をつくって地域に広げていくという考え方は非常にすばらしいことと思っておりまして、実は、私たち医政局のほうで在宅医療連携拠点事業というのを平成23年、24年にさせていただいたのですけれども、そのときにも、この緩和ケアの地域への展開のやり方について、OPTIM のやり方について非常に参考にさせていただきました。

 現在のところ、この地域包括ケアシステムを全国に展開していこうとしているところですが、どうしてもなかなかネックになるのが、大きい病院と地域の間を結ぶツールが非常に少ないというところだと思うのです。小笠原先生のように地域で緩和ケアを一生懸命やっていらっしゃって、病院ともコミュニケーションがとれる方というのは非常に貴重な存在だと思いますし、武藤先生もそういう活躍をされていると思うのです。在宅医療を熱心にやっていらっしゃる先生が、病院ともコミュニケーションをとり、地域の患者さんを支えていく、そのハブの機能を担うことが今後すごく大切であると思います。在宅医療をやっているからといって、みんな緩和ケアに精通しているわけではありませんし、また、がんの末期になってくると、やはり家族が心配になって、救急車を呼んで病院に運ばれていくというケースが結構あると聞いておりますので、その辺、在宅医のほうも緩和ケアに精通していただいて、そこは病院の先生に教えていただくことが大切でしょう。また、病院の先生も、在宅とはどのようにやっているのかというのを知っていただくことによって、武藤先生がおっしゃるように、地域に帰すことができるでしょうし、地域に行ったきりで、それが寂しいという気持ちもわからないでもないですけれども、在宅でみとることができたということは、それは非常に緩和ケアがうまくいったということだと思っていただいて、日本全体でそういう方向性を向いていただけるとありがたいなと思っております。

 どうもありがとうございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 ほかにはいかがでございましょうか。

 川本構成員、どうぞ。

○川本構成員 今のお話をお伺いしておりまして、先ほど出していただきました論点整理のコーディネーターの機能とか、あと、医療者の研修等を今後考えたらどうでしょうかという、その点にちょっと関連することかなと思いましたので発言させていただきたいと思います。

 地域における緩和ケア推進、在宅ということになりますと、やはり地域ごとでのニーズが変わりますので、その地域の包括ケア単位で研修等を企画して、そういう研修をして皆さん、在宅の医療・福祉の方のスキルを上げていくというのは大切であると思っています。特に拠点病院の先生方には、そのときのアウトリーチといいますか、講師として来ていただけるようにして、顔の見える関係をつくっていただけたらどうかと思っております。

 それから、私どものほうでは、よく在宅医療をしておりますと、看護師の方が在宅医療に対して学びたいという意識が非常に強くて、今、医療機関の自主的な取り組みで、看護師の方が訪問看護ステーションのほうに短期研修とかで1カ月ぐらい行っているということで成果を上げているような実績がございます。そうすると、在宅医療に対してのスキルも上がりますし、非常にいい成果が上がって、かなりの水準まで緩和ケアも上がってきているということがわかりますので、できれば人事交流的な研修というのが非常に有効ではないかと考えております。

 特に病院では、看護師長クラス、管理者クラスの方の意識を変えないとなかなか難しいということで、そういう意味からも、人事交流ということが非常に有効ではないかと考えておりますので、参考になればということで発言させていただきました。

○花岡座長 川本構成員、どうもありがとうございました。

 そのほかに。

 では、有澤構成員、お願いいたします。

○有澤構成員 在宅医療となりますと、やはり地域を考える中で医療の、または介護の多職種の連携が必要と思います。病院であれば医療の専門職の集合体でありますから、そうすると小笠原先生のような診療所でも、当然、薬局の薬剤師、あるいは地域の介護職、訪看の看護師さんと、みんなが連携をしていかなければいけない。そういった中では、それぞれが独立した機関となっていますから、その中できちんと顔が見える連携をとるために、やはり多職種間の連携が必要だと思いますし、薬局に関しては、特に緩和ケアに多いと言われている麻薬ですね。麻薬を主に扱っています。患者さんのところにそういった在薬管理も含めて、亡くなった後の管理も薬局はしっかり担っていこうという中で、現在、日本の中で今、診療報酬の点数の中では措置されているのですが、基準調剤加算1とか2を持っているところは必ず麻薬の取り扱いの届け出をしなければならないとなっています。

 また一方で、地方に権限移譲ということで、麻薬の免許の延長がこれから図られる。あるいは、麻薬の業者間のやりとりが地方厚生局で届け出、薬局間同士でいろいろと在庫の調整ができたのが都道府県に権限移譲されて、かつ、その許可期間も長くなるといった感じで、ますます麻薬の取り扱いというのがきちんとした規制の中で、薬局で適正に処理できる、やりやすいような方向性になっていますので、こういったようなものの活用の検討もお願いしたいということ。もう一つは、拠点病院と診療所の医師の連携も必要ですが、薬剤師としてもそういった観点から、拠点病院の薬剤師と現場の薬剤師の連携を図る上で、さまざまな交流なり研修なり、そういったものも必要なのではないかと思います。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 それでは、池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 森田参考人にお聞きしたいのですけれども、専門的緩和ケアのチームとか緩和ケア病棟の医師が、地域の診療所と一緒に患者さんを在宅に診に行くというのは、先生がOPTIM プロジェクトの中で実際に診療所の先生と一緒に診に行ったという活動をされていたと思うのですけれども、実際それをやられてどうかということと、何か課題とか、どのように工夫したらそういうものを進めていくことができるのかについて、どのようにお考えだったかということを教えていただけたらと思っています。

○森田参考人 私があれをやって一番思ったのは、先ほど武藤先生が少しおっしゃったのですけれども、緩和ケアの中身を教えに行くみたいな発想で始まるのですよ、ああいうのは外づけで。よくメディアで報道されるのも、スーパー先生、地域を回るみたいにするのだけれども、そういう感じではなくて、在宅の視点と研究者は呼んでいましたね。在宅の視点のある看護ケアとか、在宅の視点のある緩和治療とかが身についていくというのがおもしろい。

 例えば、具体的な話だと、病院の緩和治療の専門の先生が痛みの取れない人のところに行くと、ケタミンという薬を点滴に入れたらとかと無造作に言うわけですけれども、そういうデリバリーは普通できない。ガイドライン上に書いてあってもそういうことはできないので、ほかの方法で考えていくとかですね。

 あと、例えば、薬の話に限らせてもらいますと、夜、せん妄で使う薬は、入院だと割と短く切れのいい薬のほうがいいのですけれども、おうちで使うときは、夜ぐっすり寝られるほうがいいのでちょっと長い薬を使ったほうがいいとかですね。これはわかりやすく薬のことだけをお話ししましたけれども、そういう在宅ならではの視点が病院の医師に身につくので非常にいいなと、行き出してほどなく気がつきました。

 あとは、車の中とかで一緒に移動するので、この人の考え方みたいなものがとにかくわかるのが一番よかったですね。ちまたを歩いているといろいろなうわさが飛び交って、あそこはいい、悪い、あそこはいい、悪いみたいなうわさ話ばかりになってしまうので、その話の本当のところみたいなところが、価値観とかがわかるといろいろなことがやりやすくなる。その2点がよかったです。

 ただ、継続してやるというのが、今、浜松でやっているのですけれども、ほとんどの人は事実上出る時間がなかったりしますね。全部オフタイムで出ていくので、出たときは誰かがカバーしないといけないとか、そういう物理的なことがあるので、やればいいのだけれども、プラクティカルにロジをどう組めばいいのだろう、車はどこから出るのかとか、出た車は何かあったら誰が保険をつけてくれるのかとか、そういうことがすごく大変でした。

○池永構成員 でも、一定の効果なり、それは病院側も診療所側も非常によい効果は期待できるといことでしょうか。

○森田参考人 結局、同じものを見ても、ぴんとくる人とぴんとこない人がいるので、人それぞれだと思いますが、アベレージとすると、いい効果があったと思います。

○池永構成員 ありがとうございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 田村です。

 おまとめいただいた、本当にそのとおりだなと思っておりますことと、今お話しされていたような取り組みですとかも、本当にとてもすばらしい、できたらいいなと思うのです。が、私はいつも、これが具体的にどの線だったらこれに向けてまずスタートできることかなというのを考えているのです。

 先生たちが出向くというのは、そのおうちのことがわかって、とても大きな学びが病院から行くとあると思うのです。けれども、本当に物すごく忙しい中で、それをたくさん広げていくということがなかなかできなくて、そして、チームでいるので、実際出向くことで訪問薬剤が何をやってくれるのかとかいうことの知識も、行ってわかるということも物すごくたくさんあるのですが、現実的にやれることと考えると、やはり病棟で退院をする患者さんに退院カンファをする。そのときに在宅の人になるべく多く来てもらう。ケアマネさんから始まって、いろいろな方が来て、そこでやりとりをするという、本当に小さい接点ですけれども、まずそこなのではないかなと。思います。おうちに帰られたときに、どんなスタッフが、どんなことができるのかということを多くのレベルで拡げる。ここではそんなことはあり得ないと思うのですが、病院の中ではほとんど在宅には余り関心がなくて知らないということがまだまだ多い。

 だから、おうちに行きたいといっても、もう無理といって緩和に転院をさせる患者さん、そういう流れで緩和ケアへ来る方がまだたくさんいるという現実があるので、「退院カンファレンスの多職種での合意形成」をやっていくところでかなり点数を厚くするとか、それを応援するような仕組みをつくる。というのがまずスタートなのかなと。現実的なところでそんな思いがあります。

○花岡座長 ありがとうございます。

 林先生、どうぞ。

○林構成員 在宅移行に関して、私なんかは大学ですから、小笠原先生の意見もよくわかります。ただ、在宅が全て100%よいと先生はいつもおっしゃるけれども、そうでないこともあり得ると私は思うのですね。在宅は一つの選択肢であるべきで、今までその選択肢を与えられなかったことが問題なので、必ずしもその患者さんにとってベストになるとは限らないという考え方で私はいます。むしろ、在宅がいいとか病院がいいとかではなく、今まで病院や先生方との交流がなかったことが問題なので、森田先生のOPTIM のようなことで交流ができたことが地域の、結局トータルのソーシャルキャピタルを上げたと考えていけばいいのかなと思っています。

 逆に、例えばうちの診療科ですと、研修医のバイト先、ちょっと下劣な言い方かもしれない、バイト先は在宅医の先生に行かせています。そこで現場を知ってこいという教育をしています。それから、新宿区の開業医の先生を非常勤講師に採用して、我々のカンファレンスとかキャンサーボードに参加していただいて、そうすると、やはりどちらにも学びがあるのですね。その姿勢はずっと持っていくべきだと思います。

 前回もお話しましたけれども、地域包括ケアという言葉が先走りしていて、それがよく見えてこない部分がありますね。厚労の中でも、老健局がやっている介護とか痴呆を中心としてずっとやってこられたようなプロジェクトがあり、医政局がやるような在宅推進もありますね。それから、ここへ来て健康局からがんの緩和ケアをオミットすると。だから、恐らく今後の医療を支えるとすると、地域包括ケアというのは更生医療の根幹になると思うので、まず行政から3つも4つも分かれて提案されても、どのプロジェクトを見ていいのかわからないみたいな状況もあったりします。地域のトータルのソーシャルキャピタルを全部使い切るというのが私はOPTIMのメッセージだったと思うので、それは緩和ケアと特筆する必要はないし、全体の医療の中で考えていけばいいのかなとは思っています。

○花岡座長 ありがとうございます。

 中川先生、どうぞ。

○中川構成員 先ほど武藤構成員が東大の緩和ケア医と交流されているという話が出ましたが、現実には大学の多くの若い医師が、そもそも小笠原構成員がなさっているようなことが現実に可能だと思っていないのですね。というよりも、やはり関心を持っていないです。

 また、医学部教育の中で、やはりもう少し在宅に関する教育の機会が、そもそも緩和ケア自体がないわけですけれども、在宅について少し学ぶという場があったら随分変わるのではないかなという気はいたします。

○花岡座長 ありがとうございます。

 患者サイドからはいかがでしょうか。

 波多江構成員、どうぞ。

○波多江構成員 患者・家族の立場からお話しさせていただきます。

 小笠原構成員がおっしゃった、やはり在宅はいいものだ、穏やかな最期になるという前提からこれは始めていくということなのですけれども、私も30年くらい前からずっと在宅は大事だと思って、両親もうちでみとりました。仲間もみとりましたが、やはり最後の1~2週間の夜も昼もなく大変なときには、池永構成員のいらっしゃるような緩和ケア病棟でゆっくり過ごして、一番家を楽しめる時期はおうちで過ごすというのがいいのではないかなと今、感じているのです。やはり行ったり来たりということが可能な状況であってほしいと思っています。

 もう一つ、やはり食べることはとても大事で、生きる意欲を沸き立たせるものなので、管理栄養士さんというのも、このスタッフ、チームの中でしっかり位置づけをしていただきたいなと思っております。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 前川構成員、いかがですか。

○前川構成員 私も先ほどから思っていたのですけれども、よくマスコミ、テレビなどでも、在宅医療、在宅はとてもすばらしいというテレビ番組とかがあって、在宅をしないと家族、がんの患者である、例えば夫とか親とかを在宅で見てあげられなかったというような気持ちになったりすると思うのですね。先ほど波多江構成員がおっしゃったように、やはり患者・家族が選ぶことのできる現在の医療体制になればいいなと思います。

 今、関東方面というか、都会ではいろいろな在宅の先生もいらっしゃるし、緩和ケア病棟とか緩和ケアのできるところもありますけれども、地方はここで議論しているところと全く違って、在宅にしてくださいと言われても、在宅でがんの患者さんを見ることのできる開業医さんは少ないです。本当に少ないです。そのこともちょっと頭に入れておいていただきたいなと思います。

 以上です。

○花岡座長 ありがとうございます。

 武藤構成員、どうぞ。

○武藤構成員  前川構成員がおっしゃったことに同意します。私どもも「千の風の会」という遺族の会をやっているのです。そのときに、最後に病院で亡くなった患者さんの御遺族が来て、すごく後悔されているときがあります。私達は、そういった患者さんのご家族には「後悔する必要は全くないのですよ」とお話しています。要するに、終末期における選択肢をたくさん持てることが一番なのです。林構成員がおっしゃったように、今までは、その選択肢がなかなかなくて、納得しないまま病院で最期を過ごさざるを得なかったということがあったのです。

 結局は、地域の実情に応じて、患者さんが選択肢を広く持てることが重要だと思います。患者さんだけでは情報を手に入れるのが難しい場合も多いので、地域としてそういう情報を入手できる仕組みを作ることが重要です。例えば、もし在宅が患者さん、ご家族にとって必要であると思ったら「あそこに先生がいる」という情報を提供するなど選択肢をふやしてあげることが良いのでないかと思っています。

○花岡座長 ありがとうございます。

 小笠原構成員、何かございますか。

○小笠原構成員 ありがとうございます。

 皆さん、おっしゃるのは実に的を射ているといいますか、確かに今は20%しか在宅で亡くなっていないし、ましてやがんだと10%を超えていないのですよ。だから、誰だって病院で亡くなるのが当たり前だと思っているその世の中に、すぐ在宅医療がいいからといって全員なびくなどということはあり得なくて、多分これから10年後に半分まで、なかなか行かないかなと実は思っています。でも、2025年からずっと高齢者は多くなって、支えていかないといけない時代ですから、今までと同じように、あれが難しい、これが難しいといってやっていると、なかなかスキルアップしないし、進んでいかない気がしています。

 そこで、在宅医療連携拠点事業が今から3年ぐらい前から始まり世の中が一変して、日本医師会も在宅へと本気になって、日本医師会長を筆頭に在宅医療の会に出ていただいて、我々も非常に心強く思っています。

 ただ、がんの場合は、先ほどから言いましたように、家族が介護で疲れてしまうということ、これはケアマネジメントが下手と言うとまたケアマネジャーに怒られるのですが、痛みで苦しむ患者を見ている家族が精神的にも疲れると、もうダブルパンチで絶対家にいられません。だから、まず我々の緩和ケア推進検討会としては、緩和ケアをきちんとできる医師と同時に、看護師さんから薬剤師さんからみんなで緩和ケアのスキル、痛みを取るスキル、それはやはり広げていこうということが一つと、痛みが取れれば、あとは家族が介護で疲れるか疲れないかだけなのです。これは脳卒中の患者であろうと、老衰の患者であろうと、家族が疲れてしまえば入院になってしまうわけですから、地域包括ケアシステムでどうしたら疲れないようにするかという、その2点です。それはやはり医療と介護を含めたケアマネジメントですね。これの中心は訪問看護師であり、トータルヘルスプランナーだと思っているのですが、そこを育てることが大事だと思っています。

 私自身もかかりつけ医として在宅医療を26年やっているから多くの方にとって在宅緩和ケアが絶対いいと思っています。武藤先生のようにまだ開業して5年くらいの頃は在宅看取り率が50%くらいでそんなにたくさん看取りができたわけではなく、10年ぐらいの時に70%ぐらい、スキルが上がると15年で概ね85%、20年で概ね95%と看取り率がどんどん上がっていきました。介護保険が出来たことも良かったです。在宅看取り率が概ね85%になると在宅緩和ケアにはこういうスキルが必要だとわかってきましたし、95%を超えると在宅の本当の良さがわかりました。前回、質の高い緩和ケア拠点診療所の基準は在宅看取り率が概ね85%とお話させていただきましたが、もっとも重要なのは社会貢献の意思のある診療所で往診同行や教育的在宅緩和ケアのできるスキルがあり地域に開かれた診療所でないといけないと思います。そうでなければ皆様も行ってみたいとは思われないのではないですか。皆さんがおっしゃったようないろいろなことは全部、本当に正しいことで、いいことだから、それを全部進めていく。そのようになっていくと変わっていくかなと。

 あと申しわけないのですけれども、いわゆる緩和ケアの研修会、私は出ていないのです。私自身も、緩和ケア推進検討会の構成員をやっていて何でおまえは出ていないのだと言われるのですが、それまで出る気は正直なかったのです。みんなから聞いて出てもしようがないなと思っていました。でも、構成員になった以上、出ようと思ったのですが、私は2日続けて出られないのですよ。年間70回講演したり、いろいろなことをやっていると出られないから、忙しい開業医も出られるようにしてもらうこともいいのかな、開業医も受けたほうがいいのだろうなと思っているのです。

 それと、要するに、病院の医師や看護師、緩和ケア病棟の医師も大学教授もそうですが、そういった方が私がお話ししたような質の高い緩和ケア拠点診療所に行って、在宅医療の現場を見る。現場を見ずに頭の中でだけ考えていても、なかなか現実問題進まないものですから、ぜひここにお見えになる方は、全員いわゆる緩和ケア拠点診療所に行って往診同行をやっていただく。そうすると意識ががらっと変わってくる可能性があります。我々も緩和ケアの勉強会、研修会に出ないといけないとみんなに言うつもりですが、ここにお見えになる方もぜひとも在宅の現場に来ていただけるとありがたいなと思っています。そうすると話がかみ合ってくるかと思います。

 やはり患者さんの表情が、家にいるのと病院にいるのとでは違って当たり前なのです。もちろん私も、開業して10年ぐらいのところは、皆さんちょこちょこ入院したりしていました。それはやはり、今から思うと、スキルが足らなかった、痛みの取り方が下手だったとか、家族を疲れさせてしまったとか、みんな当てはまることばかりで深く反省しましたし、今だったらほぼ全部解決できる。来月も厚労省とか財務省とかいろいろな人が11人ぐらい当院に見学にいらっしゃいますので、ぜひとも皆さんも近くの在宅緩和ケア拠点診療所で往診同行とか、そういうことをやっていただけるといいかなと思っています。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 ちょうど今、医師会の話が出ましたけれども、道永構成員、医師会の考えを含めて何かお願いいたします。

○道永構成員 余り医師会としての意見というのは申し上げられないのですが、恐らく今ここに出席している方々の思いは皆同じだと思うのです。在宅が全てではないけれども、その患者さん、家族の方が選ぶ選択肢として在宅はあると。在宅に移行する場合には、先ほどからお話が出ましたが、緩和ケア病棟なり拠点病院から退院されるときに、多職種を含んだ、開業の今後在宅で診ていただける先生も含めたカンファレンスをちゃんとやって、その後のフォローもちゃんとやっていただければと思っています。

 先ほど研修会の話が出て、患者さんの会のほうからも研修会は余り役に立たないのではないかというお話もちょっと伺っていますが、こちらは医師会として、開業の先生が受けられるような体制にしてくださいと要望しておりますので、恐らく少し内容が変わっていると思います。

 恐らく、ふだん、がん患者さんの緩和ケアをやっていない先生方には、やはりハードルが高いと思うので、地区医師会でそういったことをやっている先生方にお願いをして、一緒に同行して診療を見ていくということが、やはり座学というよりも実際の勉強になると思うので、医師会としてはそういったことで進めていければと思っています。

○花岡座長 非常にありがとうございました。

 活発な御意見をいただきましたが、時間の関係もございますので、本日いただきました御意見は事務局とも整理いたしまして、今後の参考にさせていただきたいと思います。

 それでは、引き続きまして、(3)のその他の議題でございますけれども、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会、今、話題に出ましたが、研修完了に向けた計画書案につきまして、資料7に基づき、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より、資料7について御説明、御報告させていただきます。

 「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」の研修完了に向けた計画書の案を御提示させていただきます。

 背景としましては、がん対策推進基本計画では、5年以内に、がん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を修得することを目標としています。特に拠点病院では、自施設のがん診療に携わる全ての医師が緩和ケア研修を修了することを目標としております。また、拠点病院の整備指針におきましては、このがん診療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修会を、施設に所属する初期臨床研修2年目から初期臨床研修修了後3年目までの全ての医師が修了する体制の整備を求めております。

 現状としましては、昨年の9月30日時点で全国で5万2,254名の医師がこの研修会を修了しておりますが、一方で、拠点病院においても、主治医や担当医になるような方でも必ずしも受講していないという状況であります。

 それに対しまして、この基本計画の趣旨に基づきまして、5年以内ですので29年6月までに拠点病院に所属するがん診療に携わる全ての医師が緩和ケア研修を修了できるように、拠点病院と都道府県に対して計画書の提出を求めることを考えております。

 2枚目になりますが、その計画書の案になります。29年6月までに、拠点病院におきまして「がん診療において、がん患者の主治医や担当医となる者」が9割以上の受講完了。2つ目は、初期研修2年目から研修修了後3年目までの全ての医師の受講完了。3つ目としまして、拠点病院の院長の受講完了に向けた計画書を拠点病院から上げていただくことを計画しております。

 記載内容としましては、今年度末、27年3月31日現在の主治医や担当医となる者、そして、3月31日現在での修了者数を上げていただきます。同時に、研修医の方も同じように全ての医師数、その修了者数を上げていただきます。そして、2年後の平成29年3月31日時点での達成目標を設定していただきまして、その目標達成に向けた取り組みを具体的に記載していただくような計画書を作成しております。

 3枚目ですが、現況報告書等でも「がん患者の主治医や担当医となる者」の記載を今年度の研究報告書で記載していただいているのですけれども、その算出基準が若干不明瞭だという問い合わせがありましたので、今回、事務局のほうで主治医や担当医となる者の算出基準を作成しております。

 中段のところになりますが、この「がん診療において、がん患者の主治医や担当医となる者」の算出基準としまして、1としまして、次に掲げる診療科の医師を含むこととしております。消化器内科、消化器外科、呼吸器内科、呼吸器外科等の呼吸器系の診療科、乳腺外科、内分泌外科、泌尿器科、婦人科、耳鼻科、頭頸部外科、口腔外科、血液内科、腫瘍内科、放射線治療科、放射線腫瘍科、緩和ケア内科、ホスピス科系の診療科等を挙げております。

 2としまして、そのほかの診療科、例えば麻酔科、ペインクリニック科、脳外科、整形外科、血管外科、心療内科、精神科等で、1に該当しないような診療科であっても、当該医療機関でがん診療に携わっている場合は母数に追加することとしております。

 3としまして、後期臨床研修医については、1、2の診療科に該当する場合は母数に含むことという形で算出基準を設けております。

 これにつきまして、報告ベースですけれども、御検討をお願いいたします。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 それでは、この計画書案につきまして、皆様から御意見、御質問などを受けたいと思いますが、いかがでございましょうか。基本的には拠点病院をベースにした研修ということになりますし、また、若い方々、研修医をベースにした形になりますので、確実に数はふえるのですけれども、現在活躍されている先生方の、今もお話に出ましたような2日にわたる研修会というのはなかなか現実的ではないというところもございます。その辺のところについて、これでは特に触れていないわけですね。これからの報告につきましては。

○事務局 ことしの2月に開催指針を改定いたしました。旧指針の中では、一般型といいまして2日連続受けることが望ましいという文言が入っていたのですけれども、新指針ではそこを落としました。ですので、一般型というのを推奨するということは、新指針ではないようになっております。一方で、やはり開業医の先生等が受けやすいような形としまして、単位型という自由に選択できるような形を今後推奨していくことを検討しております。

○花岡座長 ありがとうございます。

 今月やられたのですか。

○事務局 開催指針の局長通知は今月に出しております。

○花岡座長 ということでございますが、小笠原先生、いかがですか。そんな感じになっております。

○小笠原構成員 出てみたいなとは思っています。出られるようにしていただければ、出たいと思います。

○花岡座長 よろしゅうございますか。

 このような形でとにかく研修者の率、数をふやしていかなければということがまずありますが、当面5万幾らという数になりますけれども、毎年8,000人ぐらいずつふえておられるのですか。もうちょっとふえていますか。

○事務局 年間8,000人ずつぐらいの伸び率になっております。

○花岡座長 小笠原先生、どうぞ。

○小笠原構成員 出ていないのに言ってはいけないのですけれども、これは在宅のドクターは講師のほうに入っているのですか。

○事務局 講師はファシリテーターという言い方をしていますけれども。

○小笠原構成員 ファシリテーターにはなっているわけですか。

○事務局 そこは企画責任者の先生が、例えば地域連携のセッションもありますので、そこに地元の地域の先生にファシリテーターとして来ていただくというようなアレンジをしていただいております。

○小笠原構成員 そういうときに、今当院で行っている遠隔診療利用型在宅医療モデル事業を始める前までは医師や看護師、薬剤師等に往診同行をやっていました。やはり往診同行に本当は来ていただくとがらっと意識が変わるかと思うのです。ただ、そこでやはり点数がついていないと、ドクターも往診同行をやるのはなかなか大変なのです。その辺を医政局の方と健康局の方で詰めていただけるとありがたいなと思っています。ちょっと話がずれてごめんなさい。

○花岡座長 ありがとうございます。

 時間と数が必要なのですが、特に研修の中にはロールプレイというのがございまして、患者役、教師役というか、医師役というのを入れかわり立ちかわりやるような形をとっているのですけれども、これは芝居みたいな形になるので、いろいろやりにくい点もあるかもしれませんが、そういう形の実地的なところはあるのですね。だから、そんなことも含めて先生も出席していただいて、それでその御感想をと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 この計画書を見て、とても患者・家族の立場からうれしく思います。ずっと以前の緩和ケア専門委員会のころには、院長先生もこの研修会を受けるべきだとか私は発言したことがあるのですけれども、そのころは、えっ、何だというような、本当に変なことを言っているというか、ちょっと常識外のことを言っているような雰囲気だったのですけれども、それが計画書を見ると、院長の受講のありなしとか、いろいろな意味で緩和ケアがこの数年で認知されてきたというか、計画が進んできたという、この計画書を見てすごくうれしい思いがしております。ありがとうございます。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 川本構成員、どうぞ。

○川本構成員 こちらの医師のほうの研修とは違う意見なのですけれども、今、看護のほうも診断時から緩和ケアが推進できるようにということで研修会を開かせていただいております。今、拠点病院を中心としてやっているのですけれども、先ほどの議論にもなりました、地域での在宅緩和ケアを推進していくためには、機能強化型の訪問看護ステーションがございますけれども、そこにおります認定・専門看護師の方にもそういう研修を受けていただくと、さらに推進できるかなと思っております。その辺のところの発展のことに関しましても御尽力いただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○花岡座長 ありがとうございます。

 看護サイドも非常に大切で、緩和ケア専門看護師等のこともございますけれども、このような研修会がそちらのほうからも必要であろうというのは重々感じているところですが、事務局のほうはいかがですか。看護師研修会とかそういうものについての計画とかはあるのですか。

○事務局 現在、日本看護協会様に委託事業としてお願いしております。この2年間は、まずは拠点病院の専門あるいは認定の看護師さんを対象にするということを最優先でお願いしておりましたが、今後、川本構成員の御意見もいただきましたので、地域のナース等も検討していくような形になるかと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。

 加賀谷構成員、どうぞ。

○加賀谷構成員 看護師の研修会に便乗して述べるのではなくて、薬剤師の教育・研修についてはいつも置いていかれるように思います。先程、小笠原先生のお話にもありましたが、大学病院とか拠点病院と同じような治療が在宅でできるようにするには、注射剤を調製できるような薬剤師や、あるいはオピオイドの知識がもっと深い薬剤師が育っていないといけません。学会レベルでは例えば緩和医療薬学会で緩和薬物療法認定薬剤師の認定制度を持っています。充実したチーム医療を推進するためには、地域緩和医療の担い手として緩和薬物療法認定薬剤師の参加が望ましいという文言をぜひ事務局でご検討頂き付記していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○花岡座長 ありがとうございます。

 チーム医療になりますので、本当に全て携わるところというと、ほかの職種も関連してくるような感じになりますが、管理栄養士の問題も出ましたけれども、精神科とかいろいろなところも入ってくる形になりますし、いわゆる緩和ケアセンターの構想の中に構成員の名前が入っていますが、そういうところを含めた形での総合的な研修会というのも必要であるのではないかということは感じるところです。

 ほかにはよろしゅうございますか。

 どうぞ。

○田村構成員 今、先生がおっしゃってくださったことが申し上げたいなと思っていたことだったのですけれども、先ほど先生がおっしゃってくださったように、実際に推進していくに当たって、チームでチームのメンバーが1つのカリキュラムを学ぶ。例えば、連携を学ぶなり、地域を学ぶなり、そのような一緒に学ぶという教育プログラムを考えていくことに取り組むことが、少しできてくるといいのではないかと思うのです。看護は看護でとか、薬剤は薬剤でとか、連携のほうでは社会福祉士ソーシャルワーカーはソーシャルワーカーで、というのももちろんそれぞれでやっていると思うのですけれども、むしろチームで進めることを一緒に学ぶような研修会も考えていけたらいいなと思っています。

○花岡座長 田村構成員、ありがとうございます。非常に建設的な意見だと思いますが、ほかによろしゅうございますか。

 それでは、ありがとうございます。今いただきました意見を事務局で整理し、進めさせていただきたいと思います。

 続きまして、がん診療連携拠点病院の痛みの評価方法の開発についてということで、これは細川班がやっておりますが、きょうは御欠席ということで、森田参考人をお呼びしていますので、森田先生のほうからお願いいたします。

○森田参考人 細川先生のかわりで発表させていただきます。

 私たちの班では、先行研究班で病院ごとの痛みの指標をつくるというのは長年にわたってあったのですけれども、その達成課題が到達しないということで引き受けさせていただいて、病院施設ごとの痛みを評価する指標をつくるということと、あとは、全国のオピオイド量の推移を把握するというミッションをもらって1年間活動しました。結果、2つに分けてお話をして、要約のところを言葉で簡単に読ませていただきます。

 どういうやり方をするかというと、1施設だけにまず限って、その中で、がんの患者さんを確実にサンプリングできるかということを確かめます。サンプリングの問題のほうがかなり重要で、痛みを評価するのに何を使うかという議論にいつもなるのですけれども、そちらよりも、確実にその病院にいらっしゃる方を全員拾えているかということを確認するのが非常に重要です。では、そのサンプリングの正しさと指標の正しさというもののチェックがし終わった。それを踏まえて、今、調査マニュアルをつくって、幾つかに指標を絞って、複数の病院で実際にはかれるかというのを確認しているということです。

 要約のところの太字で書いてあるところだけ読みます。おおむね結論からいうと、調査を行う看護師さんがある一定数確保できれば、施設単位の数字を出すということは多分できるようになると思います。数年以内だと思います。

 幾つか注意事項があって、その下に太字で書いたのですが、1つは調査体制です。つまり、適当にアンケートを配って書いてもらって返ってくるみたいなイメージだと、痛みの強い患者さんというのは、当たり前ですが調査票に書けませんので、非常に結果がよくなってきたり、悪くなってきたりするので、ちゃんとサンプリングされているかということを確認するような体制が必要だということです。

 下の2つは、1つは、今回出てくる数字が、例えばある病院が8点、ある病院が3点といっても、それがその病院の痛み治療のわざの力というか、痛み緩和力をあらわしているわけではイコールではないという認識が大事です。わかりやすく言うと、例えば、肺がんの治療成績を出すときに、ある病院が生存率が何%で、ある病院が何%と出したときに、イコール肺がん治療能力ではないですね。それぞれの診る施設の肺がんのステージによって明らかに変わってしまいます。痛みの場合はステージという概念がまだ国際的に確立していなくて、つまり、痛みの強い、イコールほぼ進行期の患者さんの多い施設では、多分悪目に出るでしょうし、非常に早期の患者さんばかりを見ているような施設では、かなり低く出ると思います。なので、こうやって出てきた数字を何か間違って、痛み何とかランキングみたいな感じに使われると非常に数字が誤用されるので、もし使うときはその辺をしっかり使っていただきたいと思います。

 2つ目の限界点で書いてあるのは、縦断でも一緒なのですけれども、横断調査でやって、例えば30%痛みが不十分な人とわかったときに、3割の人がずっと苦しんでいるようなイメージを持たれるような解釈の仕方は避けてほしいということです。その30%の方は、横断面で痛かった方なので、1週間後には痛みがなくなっている人というのも含まれているわけです。ずっとではないですね。生涯苦しみっ放しの人ということではないので、そういう数字の解釈上のことを、数字ではかるのであればくっつけて出すような構造をしていただきたいというのが要約のところです。

 以下、ちょっと数値を説明させていただきます。

 めくっていただいて、資料1のところですが、これは右側の図でポイントが2つあるのは、除外される患者さんがやはり相当数いるということが1点と、右側が、がん患者さんで一番痛い場所を聞いたときに、がんの痛みは半数ぐらいになるということです。これは国際的な研究でも全部そうですが、治療関連痛、例えば肺がん手術をした後の脇が痛いとかいうのが入ってきたり、もともと持っている膝とか肩の痛みが入ってくるので、後で問題になりますが、痛み減らすプロジェクトみたいなものを考えるときに、どこの痛みを減らしたいのかということをあらかじめ設定しておかないと調査母数が決められないということです。

 資料2ですが、これはちょっとほっとするデータですけれども、この方法を使うと、除外された患者さんと調査対象になる患者さんとでは、痛みの程度に余り大きな差がありません。なので、除外患者がすごく多くならなければ、調査できた患者さんだけから調査を拾っていったとしても、痛みの数値はおおむね適切にとられているだろうということになります。

 資料3のところは、線が引いてあるのが調査の概念とカテゴリーとかいうような内容で、例え痛みの強さというのは7とか4とか数字のことですね。その中でどういう聞き方をするのか、例えば10段階で聞くのか、最大で聞くのかみたいなことは余り大きな問題ではなくて、アンダーラインを引いたカテゴリーの1つずつをとったほうがよかろうということです。強さと、生活への影響と、医療者の対応、あるいは満足度のような概念ですね。その3個か4個ぐらいがいいと思います。これは相互に相関が余り強くないので、つまり、患者さんからとってみると別々のことだということです。痛みの強さが減るということと対応してもらっているということですね。別々のことになっています。

 資料4は、大きい表ですけれども、表のほうの概要のメッセージは、左側に測定概念です。痛みの強さをこういう方法ではかったとしたらというのが書いてあって、右上のほうの軸が、母数をどの患者さんに置くかです。一番右が、がんの痛みのある人だけです。右から3個目が、がん患者さんである痛みを全て拾った場合です。母数をとった場合に、上に書いてある数字が、痛みが不十分だと考えられるパーセントになります。

 2つメッセージがあって、例えば、どのツールを使うかによって、すごくインパクトのイメージが違いますね。全く同じ減少を伝えるにも限らず、例えば医療者の対応というツールを使うと、不十分な人は10%になりますが、VRSという4段階の強さを使うと50%ぐらいになります。同じ現象を見るにもかかわらず、何を指標に使うかでかなり違うということが1点。

 もう1点は母数の問題で、もし一番右のがんの痛みだけを減らすというふうにプロジェクトをするのであれば、これは大きな大学病院で1回調査をして40人ぐらいしかマスとしてとれないので、御存じのとおり、簡単に言うと何百人ぐらいとらないと割と信頼性のある数値にならないので、40回のサンプリングを5回か6回行わないと、施設としては数値が安定してこないということになります。

 こういう基礎データをもとに、では、どうはかろうかという議論をしていけばいいのではないかと思うのですけれども、こういう基礎データが今まで日本になかったので、一応議論する土台をつくったと思います。

 次のページの資料5は、実際につくっている調査用のマニュアルです。このマニュアルを使って看護師さんが調査をしていくということです。

 結果2ですが、これはことし与えられた課題でオピオイドの使用量の推移を見るということと、あと、病院間の差を見て、その差のついている要因を拾っていくという仕事です。図のほうで説明します。

 調査方法は、これは期間が限られていたので一番簡便な方法を使っています。各病院は1年間に使った総麻薬の量を都道府県に届け出をしています。これはがん患者さんに使われた量とは限りません。全ての麻薬の量ですね。届け出をしているので、その届け出の転記をしてもらって、患者数とかのデータは厚労省からいただいて集計を行ったという形になります。

 資料1を見ていただくと、この5年間、大勢として大きな変化は余りないように見えます。この中には、がん疼痛以外に使われているオピオイドも入っていますけれども、日本の現状から見れば多分、現状ではそれほど大きな変動にはなっていないのではないかと思います。

 資料2のほうは、使用量が多い施設と少ない施設、中間ぐらいの施設に大ざっぱに分けられるという、その数が7050170であるということです。母数はがん拠点病院です。

 ページをめくっていただいて、資料3ですが、オピオイド使用量が疼痛治療の質の指標になるかという質問を各病院の緩和ケア医にしているところ、意見が余り一致していないというのが実態だろうと思います。指標になると思っている先生と、指標にならない、あるいはわからないと思っておられる方が多いということです。

 指標にならない理由だけピックアップしてみましたが、上から3つ多いのが、患者自身の評価ではない、代理指標だからというのが1点と、病院によって患者層が異なるというのは先ほども言いましたが、特にこれはインタビューをしているとよくわかるのですが、病院の中には、医政局のグランドデザインに近くなっていって(注:急性期病院で進行がんの患者をみないように診療体制を変えていて)、終末期とか進行期の患者さんをなるべく診ないようになっている拠点病院もかなり多いですね。そうすると必然的に早期の患者さんばかりがいる感じになってくるので、病院全体に痛みのある人が、見落としているということではなくて、比率的に早期の患者さんが非常に多いというのがある。あと3つ目は、これは調査をやって、んっと思ったのですけれども、適切な治療をするとオピオイド量は少なくなるという回答が割と多かったと思います。

 資料4ですけれども、これは多い施設と少ない施設にインタビューをとって、その理由を聞いた結果を簡単に分析した結果です。ふえた理由は、いろいろこれまでやってきたようなことがよかったよという声があった。ただ、その中にも3つ目で、患者層が変化したというのは、緩和ケア病棟ができたとかいう理由で、それまで早期の患者さんが多かったのが、進行がんの人がふえたので、それを反映したにすぎないというお返事もありました。

 次ですが、少ないことが妥当であるとするという意見は、麻薬以外の鎮痛、これは放射線とかを挙げている人が多かったですね。放射線とか、神経ブロックとか、あるいは看護ケアとかを総合的にやっているので当施設は少ないと思うというような返事と、あとは施設の患者の背景です。

 以上が一応、細川班のおおむねの結果で、全体とすると、各拠点病院の痛みの実態というのを把握するベースを多分つくることができて、今後こういう会を含めて何を実際にはかっていくのか、どういう目的ではかっていくのかということが決まれば測定は可能な状態になっていると思います。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 それが現在のところの研究班の報告でございますが、皆様方から御意見、御質問等はございますでしょうか。

 松島構成員、どうぞ。

○松島構成員 1つお聞きしたいのですけれども、オピオイドを使ったときに副作用が出てきますね。これをうまく対応できるかできないかによって、オピオイドの使用量とか使い方は大分変わってくるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。

森田参考人 もうちょっとスペシフィックに質問すると、どういう答えを。

○松島構成員 たとえば、副作用にうまく対応できると、オピオイドはきちんと患者さんの痛みを取れる十分な量を使うことができるわけですね。ところが、副作用になかなかうまく対応できないとなると、結局オピオイドを減らしてしまい、十分使えていないということになってしまう可能性はないかなと思うのです。

○森田参考人 多分それに対する臨床医の意見を求められているわけではないと思うので(調査上の分かることをお話しします)。調査上は方法が2つあって、1つはコホートをとることですね。コホートをとるというのは、痛みで来た患者さんをある病院で100人連続的に集計して、その100人の方に行われた治療と結果のアウトカムをとるという方法だと思います。ただ、一般的にはこのような横断調査よりは非常に手間がかかるので、コストと手間はさらにふえる方法になると思います。

 2つ目は、こういう調査でやるとしたら、オピオイドの使用量と患者の痛みの評価を抱き合わせた調査をするということだと思います。例えば、次の調査で、各病院ごとの痛みのアベレージのぐあいとオピオイドの使用量をリンクさせるような解析方法を含むことが可能で、そうすると先生がおっしゃるみたいにオピオイドの少ない施設が、患者さんが困っていてかつ少ないのか、それとも、やはり患者層の違いだけで少ないのかとか、そこら辺にもうちょっと迫れるだろうなとは思います。

○松島構成員 どうもありがとうございました。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 林構成員、どうぞ。

林構成員 基礎的なデータがない中でつくっていただいたのはすごく価値のあることだと、本当にありがたいと思うのですけれども、少ない施設というのが経時的にどんどん少なくなっていく理由は、先ほど先生がおっしゃったように、そういう病院が患者を、ターミナルをアウトソーシングするようになっている傾向がどんどん強まっているというのを反映しているのかというのが1点です。

 それから、以前のような極端な使用量の人たち、モルヒネをグラム単位で使っているような方とか、フェンタニルのパッチを10枚も張っているような人たちがこのデータを引っ張っている可能性がないかというか、その偏差などもとれているのかということで、適切な使用をすればオピオイド量が少なくなるからと答えた方は、どちらかというと自信満々の緩和ケアなのではないかなという気がするのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。

○森田参考人 今、3つ質問をいただいたと思います。1つ目の、だんだん減っているところが病院の特性によるかどうかは、今回の調査だとわかりません。例えば、病院自体の平均在院日数であるとか、あるいはそうではなくても、例えば入院対象を変えてきたとかいうのは、今回、平均在院日数はデータとしてなくて、持っていないので抱き合わせができません。なので、幾つかとれなかった基礎的な数字があるので、やるとしたら、まだ可能だと思います。ただ、在院日数とかをとったとしても、例えば、よく聞く話が、痛みだけだと入院させないような感じになっている、がん治療の対象だったら入院になるけれども、症状だけだと対象にしていないよとなってきた場合は、数値上指標としてあらわれないので、多分、分析する方法は非常に厳しくなると思います。もちろん、実感としてどうかみたいなことをインタビューで聞くことはできますが、確実にそうですとか、違いますとはなかなか言いにくい。もう少し、減っている理由は、そう簡単ではない理由を探す必要があるかと思いました。

 2つ目の、先生がおっしゃったのは外れ値ですね。例えば、数が非常に多い施設で5グラムとか6グラムとかのオピオイドを使っている人が平均を引っ張るのではないかということですが、計算は中央値でしているので、大きいところが特に引っ張らないような計算の仕方をさせていただいています。ただ、例えば後ろのほうに匿名化して図をつけているのですが、見ていただくとわかるのですけれども、上がり下がりの図が非常に極端な施設が幾つかあって、これはそもそも母数の少ない拠点病院が多いですね。母数の少ない拠点病院は、分子も変わるのですけれども、分母もとにかくすごく変わっています。現況調査の数字を引っ張っているのですけれども、例えば、外来のがん患者数の桁が1桁、2桁、ぽんぽんぽんと毎年変わったりするデータを今回扱っているので、この外来患者数が本当なのかどうか私たちはわからないです。届け出された数値をそのまま使うしかありませんので、もしこれ以上さらに精度を高めるのだったらDPCと連結するとか、がん登録の精度が上がっているのだったらそういうものと連結していくとか、そのように精度を上げないと、上下に動く変動はある程度カバーできないかと思います。

 3つ目の、少ない理由が自信満々かどうかは私たちにはわからないので、それをもしやるとすると、今お話ししたのは鎮痛の強さを全て調べる研究なのですけれども、鎮痛の質を調べる研究というのが別にあります。やっていることの正しさですね。つまり、糖尿病が治ったかどうかということをアウトカムにするのではなくて、この糖尿病の患者さんに対して正しい治療が行われているかみたいなスコアリングをつけるような調査方法があって、これは8年前にがんセンターの東先生が取り組まれた研究班に一緒に入っていてつくりました。ですから、がん治療のほうは5大がんのクロリティー・インディケーターがつくられていて測定できるのです。

 緩和もそのときに説明の仕方と疼痛のインディケーターをつくったのです。それで実測してみたのです。ところが、実測すると、緩和のインディケーターは記録を見てわかることではないことが多いので、お1人当たり物すごく時間がかかって実測不可能になります。つまり、ほかのものだと、乳がんの患者さんが来たときにこれこれの検査をしている、していないみたいなことをそのまま書けばいいわけですが、痛みが5以上になったときにこれこれが出されているとか、便秘になったときにこれこれが出されているみたいなことを全部チェックしていかないといけないので、非常に手間がかかることになって、あのプロジェクトからは緩和の項目は今は外れているということになります。先生がおっしゃった3つ目は、もっと聞くのだったら、本当は質を見るような指標にチャレンジするのかなと思いました。

○林構成員 そうすると、次にここから進んでいく、この先で継続的に伸ばしていったほうがいい研究ではないかと思うのですけれども、ターゲットとして多い施設というのが、同じようないろいろな変異があるにしても、データとしては余りステーブルではない。この少ない施設がステーブルではないというところを突っ込むともう少し、そこでいろいろなデータを持ってくると、もっと深い研究ができるかと思ったのです。

○森田参考人 それは多分2つやり方があって、データベースをくっつけていくというやり方と、あと、先生方がほかにされているみたいな実際の訪問調査とか、今回のようなさらっとしたインタビューではなくて、実際にそこがどうなっているのか見に行くような質の調査でしょうね。2つがいいと思います。

 あと、マスで見るのであれば、患者の痛みととにかく抱き合わせたいと私はこの結果を見て本当に思っています。患者さんの痛みを同時に測定しないと、オピオイド量の解釈は非常に難しいなと思いました。

○林構成員 ありがとうございました。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 患者さんの痛みを測定するというのは、基本的にはどういうツールをお考えですか。

○森田参考人 1ページ目の要約の2つ目に書かせていただきましたアウトカムとすると、4個とればいいなと思っているのが、全部普通のことですね。1つは強さのNRS11段階で、2つ目が支障のNRS11段階、3つ目が、医療者の対応はPOSというツールがイギリスで開発されていて、これは全く対応してもらっていないから、もう対応してもらって問題が解決しているまで、昔で言う満足度に近い聞き方の、より心理的な影響の少ない版というのですかね。満足度だと期待の影響を受けると言われて、非常に高い期待をしている人は満足度を低くつけることがわかっているので、対応しているかどうかを聞くというのが3つ目。4つ目が、看護師さんから見た痛みの度合いというのが決まった聞き方があって、これをとることによって、多少代理指標になりますが、つまり多少不正確でありますが、全ての患者さんを聞くことができます。除外される患者さんにもとることができて、その1から4までのツールを今のところ考えています。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 痛みが強くて答えられない患者さんという状況ですね。それはどこから調べるような形になりますか。

○森田参考人 除外理由の中で、そういう人がいればそれをチェックすることにして、除外されたとしても、この看護師から見た痛みの度合いPOSというので各施設単位で来て、この看護師から見たものは除外がされませんので、つまり全数調査が可能という感じになります。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 ほかには何かございますか。

 川本構成員、どうぞ。

○川本構成員 調査を行う看護師を一定期間確保できればということで書かれているのですけれども、どのような形のかかわり方をされていたのでしょうか。教えていただけると幸いです。

○森田参考人 パイロットの段階だと専門看護師さん1名に全てやってもらう方策をつくりました。それは、実際のサンプリングを揺れさせたくなかったからです。確実にできるということを重視したからです。今やっているのは、病棟の看護師さんベースでできるかどうかを試しています。病棟のある程度、ビデオとかをつくっているので、ビデオをつくったり講習を受けた看護師さんが、その病院の専門看護師さんのスーパーバイズのもとに動いて評価するということができると、恐らく一番ローコストというか、全国で展開する上で実施性が高いというやり方をやっています。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 6ページ目の資料4の少ないことが妥当であるとする意見のところで、森田参考人もおっしゃっていましたけれども、これはオピオイド以外の方法を行っているからと答えている中で、かなり放射線治療医がいるのではないかという気がしています。これは職種というか、診療科ごとのデータもあるのですか。

○森田参考人 これはなかったと思います。それぞれの病院の緩和ケア責任者の先生に回答してもらって、ひょっとしたらバックグラウンドをとっていたかもしれません。私がぱっと見た感想は、放射線治療の先生と麻酔の先生という印象でした。

○中川構成員 そのことに関連して、既にこの検討会でもお話ししたことがあると思うのですが、いわゆる緩和ケア病棟の中で放射線治療が包括されているという問題があります。これは通常のDPCでも放射線治療というのは外出しなのですけれども、緩和ケア病棟の中では完全に包括なのですね。果たしてこのことがどれだけ、本来行ってしかるべき放射線治療が緩和ケア病棟で行われていないかというデータがないのですね。それは細川先生を通じて緩和医療学会に調査のお願いをしているのですが、まだ時間がかかるのですね。ただ、こういう問題があるということは共有していただいて、やはり緩和ケア病棟でも積極的な放射線治療が行える環境をつくっていただきたいなと思っております。関連したことです。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 ほかにはよろしゅうございますか。ありがとうございました。

 それでは、事務局より、資料9、1011に基づきまして、報告をお願いしたいと思います。

○事務局 事務局より、資料9の説明をさせていただきます。

 昨年1212日にがん対策推進協議会が開催されまして、その中で、阿南委員から会長及び健康局長宛てに「若いがん患者に対するがん・生殖医療及び緩和ケアに関する意見書」が提出されております。特に若いがん患者の生殖機能の温存に向けた取り組み、そして、生殖機能消失に対する身体的、精神心理的苦痛の緩和への対策を国として早急に講じていただきたい。さらに、2番目としまして、次期基本計画に生殖機能への影響が生じる若いがん患者に対して以下の対策を盛り込んでいただきたい。

 1つ目として医療連携。医師のみならず、がん看護領域の専門・認定看護師や不妊症看護認定看護師、さらに臨床心理士など、ヘルスケアプロバイダー全体によるがん・生殖医療のサポート。

 2つ目として地域連携。各地域で完結する行政、基幹病院、クリニックの地域連携システムの構築が意見書として届いておりますので、情報提供させていただきます。

 引き続きまして、資料10になりますが、昨年11月に内閣府で「がん対策に関する世論調査」が実施されております。その中の緩和ケアにつきましての結果をお示ししております。また、今回初めて医療用麻薬に対する意識及び医療用麻薬の使用に対する意識も調査しておりますので、御参照いただければと存じます。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 最後の進め方につきまして、お願いいたしたいと思いますが。

○がん対策推進官 引き続きまして、今後の進め方につきまして、資料11で御説明いたします。これは冒頭、この検討会、昨年の6月から再開したわけですが、その後の状況及び今後の進め方について御説明します。

 議論を進めるべき課題については、大まかに言いまして2点あるというところは変わっておりません。

 今後のスケジュールですが、本日が平成27年2月で第16回ということで、これまで主に2つの観点、拠点病院における緩和ケアの推進、それから2点目の、地域において緩和ケアを提供するための施策ということで御議論いただいております。本日も地域における緩和ケア等について御議論いただきましたので、これまでの御議論を一定程度まとめていきたいと考えておりまして、5月ないしは6月あたりに次回の検討会を予定しておりますけれども、その間のワーキンググループでの議論も含めて、これまでの論点整理的なものを行っていきたいと考えております。めどとしましては、6月あたりには中間の取りまとめということをさせていただければと思っていまして、関連する動きとしましては、がん対策推進協議会におきまして基本計画の中間評価ということが想定されておりますので、そうした動きとあわせてこの中間のまとめというのを行っていきたいと考えております。

 その後は、また適宜開催をしまして、次の大きな動きとしましては、基本計画の見直しがございます。それは第3期の基本計画としまして、平成29年6月には改定をするということが予定されておりますので、今後、緩和ケアの観点でどういったことが必要かということも、この検討会でも議論していければと考えております。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 今の御報告を踏まえて、全体的に何か御意見等はございますでしょうか。

 池永構成員、どうぞ。

池永構成員 追加なのですけれども、資料4の一番最後のページ、御報告だけ忘れてしまっていたので、追加して御説明させていただきます。

 資料4の一番最後に、本年度の厚生労働省の委託事業で日本緩和医療学会が行いました普及啓発の事業、イベントについて御報告しております。厚労省の委託事業でありますので、この場合をかりて御報告させていただきますが、東京イベントと大阪イベント。東京イベントは市民公開講座として、いわゆる痛みやつらさをしっかりと医療従事者に伝えていただくために、また、医療者がそれをきちんと受けとめることができるように、その伝え方や伝えるコツ等についての市民公開講座を行っております。

 大阪のほうでは、街頭イベントといたしまして、がん相談支援センターをより多くの方々に知っていただくためのがん相談室というものを街頭で行いました。これについては、林構成員も行っておられます新宿区のオレンジバルーンフェスタが非常に効果的であるということも厚労省から教えていただき、そのような取り組みもしております。相談コーナーに関しては、オープン11時には行列ができるぐらいたくさんの方が並んでいただいて、個々に相談ということをしていただいております。参加者数ですけれども、東京のほうに関しては、ちょっと会場に入り切れないだろうという650名の申し込みがございました。あいにく当日は雪まで降りましたので、参加者数としては適度な広さ、400名の規模では適度な参加をいただいておりますし、大阪のほうでも、延べ人数でありますが、1,500名を超える方が来られています。

 やはり一般の市民の方々、緩和ケアについて、また、苦痛やつらさをどう対処したらいいのかということで大きな関心を持っておられるということがよくわかりましたので、今後も厚労省と相談しながら委託事業の中で普及啓発を進めていきたいと思っております。

 以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 ほかには何かございますか。

 小笠原構成員、どうぞ。

○小笠原構成員 ちょっと誤解されるといけませんけれども、別に私も緩和ケア病棟で亡くなるのがだめなどと一言も言っていなくて、これは誤解しないでください。病院がいい人は病院だし、もともと私も開業して10年間ぐらいは、がんだから緩和ケア病棟でそこで亡くなったらいいのではないかと思っていました。それが15年ぐらいたったとき、やはり在宅のほうが圧倒的に違うなと思って、20年になったときはもう確信になって、25年は、だからお話をしているだけです。

 本人が選ぶべき選択肢が出てきたということが一番大きいことであって、私はかかりつけ医を知っているし、プロフェッショナルを知っているので、やはり、モルヒネの使い方のできる人もできない人もいるのが現実だと思います。できない人は緩和ケア病棟や緩和ケアチームの医師に教えてもらえばいいし、教えるのに一番効果的なのは遠隔診療なのですよ。私が東京の医師・訪問看護師できればトータルヘルスプランナーと協働するなど条件はありますが、東京の患者を看取りできると思います。まだ遠隔診療では持続皮下注や薬の処方などの保険が通らないから薬が出せないのですね。それが一番大きいネックだと思っています。

 もう一つは、私たち往診医はいまだに16キロ制限があるものですから、16キロ以内だったらできるのですが、それを離れてしまっている場合は実はなかなか難しくなってきています。そういうときにも、教育的在宅緩和ケアを小笠原内科はやっているのですが、緩和ケア病棟の医師が教育の為に在宅に行くのは保険請求ができますが、在宅の診療所が教育の為に2カ所で行くときは原則保険請求できないのです。だから、ボランティア精神でやっているのですね。だから、なかなか広がっていかないのです。今、岐阜では遠隔診療利用型在宅医療モデル事業としてやっているのですが、教えるというのは生意気なのだけれども、事業の一環で一緒に患者さんを診るとすごくレベルアップします。だから、家で本当によかったとすごく御遺族が喜ばれると医師・看護師・薬剤師も充実感が味わえる。やはり成功体験を味わってもらえるのが日本を変えるかなと思っています。

 あと、森田先生のときに、課題は何ですかという話が出ましたが、緩和ケア病棟の先生方は、OPTIM で出ているのかもしれないのですけれども、緩和ケア病棟はちょっと点数がついたと思いますが、在宅はそれがついていないから広がっていかないのかなと思っています。そういうことで、今回いろいろなことで在宅が脚光を浴びれば浴びるほど選択肢がふえているわけです。我々は病院のことは昔病院にいたらからある程度わかっているのですが、病院の先生は在宅のことを御存じない方が多いものですから、お互いを知って初めて会話も成り立つし、患者さんのためにどこが一番いいかということがわかるかと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。

 波多江構成員、どうぞ。

○波多江構成員 若いがん患者に対するがん・生殖医療をということなのですけれども、私どもが若いがん患者さんの支援をしているときに、血液がんの女性でしたけれども、卵子を凍結保存する方法があるということを腫瘍内科のドクターも御存じなかったのですね。それで、そういうことをやってくださる婦人科があるということがわかって、それを始めたのですけれども、保管料も含めてお金がすごくかかるのです。ですから、治療する場合にはそのあたりに少し助成が行われるとかいうことが必要ではないかと感じました。それをお伝えしたいと思います。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 生殖医療も入ったような形になりますけれども、いろいろな面で今後の検討課題だと思います。

 あとはよろしゅうございますか。

 時間も迫っておりますので、今回の議論はここまでといたしたいと思いますが、最後に事務局のほうから連絡事項をお願いいたします。

○がん対策推進官 活発な御議論をありがとうございました。

 次回の検討会につきましては、また日程調整をさせていただきまして、御連絡をさせていただきます。5月、6月あたりをめどにしたいと考えております。

 ありがとうございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 それでは、時間も参りましたので、本日の会議はこれで終了したいと思います。構成員及び参考人の皆様方、長時間にわたりありがとうございました。


(了)

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