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2014年11月18日 第2回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成26年11月18日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

田中滋 (部会長)
石橋真二 (委員)
鎌倉克英 (委員)
川井太加子 (委員)
(代理:西條由人参考人)
小林光俊 (委員)
高橋福太郎 (委員)
武居敏 (委員)
(代理人:照沼光二参考人)
福間勉 (委員)
堀田聰子 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

介護人材の質的確保について

○議事

○田中委員長 おはようございます。

 定刻より1分早いかもしれませんが委員がおそろいですので、ただいまから第2回福祉人材確保専門委員会を開催いたします。

 委員の皆様におかれては、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

 初めに、委員の出欠状況について、事務局より説明をお願いします。

○関口福祉人材確保対策室長補佐 それでは、本日の委員の出欠状況につきまして、御報告をさせていただきます。

 本日は、黒岩委員、花井委員から御欠席の連絡をいただいております。

 また、黒岩委員の代理といたしまして、神奈川県保健福祉局福祉部西條由人参考人に、花井委員の代理として、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局部長の照沼光二参考人にお越しいただいております。

 なお、堀田委員からは少々おくれる旨の御連絡をいただいております。

 事務局側でございますが、鈴木社会・援護局長、谷内大臣官房審議官、西辻総務課長につきましては、公務のためにおくれてまいりますことを御報告いたします。

 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 議事に入る前に、西條参考人、照沼参考人の御出席について、委員の皆様の御承認をとる必要があります。

 よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○田中委員長 ありがとうございました。

 続いて、事務局より資料の確認をお願いします。

○関口福祉人材確保対策室長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。

 皆様のお手元には、資料1「介護人材の質的確保について」。

 資料2「介護人材の確保について」。

 参考資料1「石橋委員提出の資料」。

 参考資料2「小林委員提出の資料」。

 参考資料3「高橋委員提出の資料」を配付させていただいております。

 資料の過不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

 以上でございます。

○田中委員長 では、議事に入ります。

 本日は「介護人材の質的確保について」を議題として取り上げます。

 カメラはここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○田中委員長 初めに、事務局から資料の説明をお願いします。

○武内福祉人材確保対策室長 それでは、お手元の資料1に基づきまして御説明を申し上げます。

 「介護人材の質的確保について」というタイトルになっておりますが、1ページ目「介護人材確保に向けた基本的な考え方」。

 この部分は、第1回の専門委員会でお示ししたものと同じです。

 本日は質的確保についての議論をさせていただきますが、その前提となる部分は量的確保の部分と共通しておりますので、改めて、おさらいも兼ねてこちらにつけさせていただいております。

 検討に向かっての基本的な考え方につきまして、まず1つ目については、人材の量的確保と質的確保を両輪として、介護人材の「量」と「質」の好循環を進めるという視点に立つ。その上で「参入促進」「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」という3つのアプローチによる総合的な政策対応を図るということです。

 2番目、3番目、4番目につきましては第1回でも御説明をさせていただきましたので、ポイントだけ申し上げますと、2では「人材のセグメント(層)に応じた、きめ細やかな方策を講じる」ということで、目指すべき姿として、○1から○5までを掲げております。これはまた次のページでも御報告します。

 3番、4番については前回御議論いただいた役割分担の話、4番については定量的な目標を定め、時間軸に沿った対応をしていく必要があるのではないかといったことを記載をしておりました。

 2ページ目をごらんください。

 今、申し上げたことをイメージ図として示したものです。

 これも前回お示しをさせていただきました。現状、専門性にかかわらずさまざまな人材が混在しているというまんじゅう形の人材構造から、右側の富士山形の構造にしていく。すなわち、より専門性の高い方と、そうでない方というのを役割分担、機能分化をしていくということと、裾野の拡大を図っていくということをお示ししました。

 下の段にありますように、青い部分は「量的確保」、オレンジ色の部分は「質的確保」という部分で、第1回ではAとB、量的確保の部分を一度御議論いただいたということでありましたが、今回は特にCの資質の向上の部分、この辺にフォーカスして議論を進めていただければと思います。

 なお、○1から○5までの、○5の表現については、まだ引き続き工夫をしてまいります。

 3ページ目から今回お示しをする新たな資料です。

 3ページ目、「介護人材の質的確保の検討にかかる基本的な視点」というものです。これから議論を進めていただくに当たっての基本の出発点となる部分を書かせていただいております。きょう提起をさせていただいている論点は、福祉人材確保検討会で整理された論点を踏まえたものです。本日は、これらについての具体的な対応あるいは議論の深掘りといったことをお願いしたいと思います。

 3つ、(1)から(3)までございます。それぞれ、相互に関連をしておりますが、以下のような視点に立って考えてはいかがかということで掲げております。

 「(1)介護人材の全体像の在り方」について。

 人材需給が逼迫する中で、限られた人材をより有効活用するといった観点から、介護人材を一律に捉えてきたこれまでの見方を転換し、多様な人材層を類型化した上で、機能分化を進めていく。それぞれの人材層の意欲・能力に応じた役割・機能、必要な能力、教育、キャリアパスのあり方に応じた具体的な方策が求められるということです。

 2つ目が、その中で「介護福祉士の在り方」にフォーカスをした部分です。

 この人材の全体像の中で、介護福祉士については、専門性の高い人材として、中核的な役割を果たすべきであるという考えに立ち、資質の向上、専門職としての社会的評価を高めるための具体的方策を講じる。このために介護ニーズの多様化・高度化に対応した養成・教育プロセスの確立、役割の明確化等の方策が求められるのではないかということを示しております。

 3つ目には、この介護福祉士のあり方の中で「資格取得方法の一元化」というものについて、(1)、(2)の考え方、また介護福祉士の資質・社会的評価の向上という視点から、資格取得方法の一元化、とりわけ延期をされている養成施設への国家試験の義務づけなどの実施が重要ではないかということを書いております。その時期の明示、必要な環境整備等を進めることが必要であるということを出発点として掲げさせていただいています。

 下の模式図では、(1)で「介護人材の全体像の在り方」、その介護福祉の部分をフォーカスしたものが(2)、そして「介護福祉士の在り方」に関する資格取得方法の部分をダブルクリックしたものが「資格取得方法の一元化」という構造になっております。

 それでは、個別の論点について「論点と考え方」を4ページ以降にお示ししております。

 4ページが「(1)人材の全体像の在り方について」です。

 この「論点と考え方」の中には4つの丸があります。検討会でもこれまで類型化し、機能分化をしていくという方向性を提案してきたわけなのですけれども、まず1つ目の丸では、類型化・機能分化を進めていく目的と必要性について改めてどう考えるかという点です。この点に関し、類型化・機能分化を進めることにより、人材の有効活用を図ることができるのではないか。あるいは2つ目、介護福祉士を専門性の高い中核的職務に重点化するということによって、より質の高い介護実践につなげることができるのではないか。また、キャリアアップの姿が明らかになることにより、人材の参入・定着の促進に資するのではないかということを示しております。

 2つ目について。それでは、類型化・機能分化をどのように検討し、進めていくべきかという方法論なのですけれども、この点については、人材層ごとの機能・役割、人材像、それから量的な比重などを明らかにしていくべきではないか。また、人材層ごとのキャリアパスの整備、能力、それを裏づける教育・養成のあり方、キャリアパスの具体的な設計をしていくべきではないかということ。そして、これらを検討するに当たって3つ目では、検討に当たっては、現場で人材がどのように配置され、どのように業務を行っているかを検証する必要があるのではないかということを示しております。

 3つ目、特に中核的な存在として介護福祉士を位置づけるべきではないかということで、この点について、介護ニーズの多様化、高度化やICT等での技術進歩に対応したものということを念頭に置いて、介護福祉士の機能・役割について検討していくべきではないかということを示しています。

 最後の丸について、手順としまして、上記の検討について、どのような手順あるいは時間軸を考えていくべきかということに関しては、介護現場ではさまざまな実態があるという中で、まずは実態を把握するということ、先進事例を参考とするということをしながら整理を進めていってはどうかと整理をさせていただいています。

 次に、5ページに参ります。

 「介護福祉士の在り方について」です。

 ここも、3つの丸があります。

 1つ目では、介護福祉士に求められる機能・役割を介護人材の機能分化の中で位置づけていくに当たって、どのような専門性や能力が必要となるか、具体的に定義していくべきではないかということです。

 その前提として、現状において、介護福祉士がどのような機能・役割を果たしていて、それをどう評価するかということ。今後、例えば介護ニーズの多様化・高度化への対応、チームケアを実施する上でのリーダーシップの涵養などの観点から、これからの介護福祉士に必要な資質をどう考えるかということも論点として挙げております。

 そして、それを踏まえた上で「これから必要とされる専門性や能力を獲得するため、どのような具体的方策を講じるべきか」というのが2つ目の丸です。

 その中には1つ目のポツにありますように、現在の介護福祉士の養成・教育の内容や方法を検証した上で、必要に応じて教育内容の充実を図るべきではないか。これに伴って、国家試験の内容・水準についても必要な見直しを検討すべきではないか。2つ目では、現在の介護福祉士について、上記の対応を行った上で、介護福祉士になった後も継続的に資質の向上を促すための環境整備や促進の方策が必要ではないか。3つ目では、今後、介護福祉士の定義・役割、専門性の評価のあり方などについても必要な検討を進めるべきではないかということを挙げております。

 3つ目の検討の実行論としましては「介護人材の全体像と併せ、十分に実態を把握し、先進事例を踏まえつつ、整理することが必要ではないか」ということを示しております。

 6ページに参ります。

 「介護福祉士資格取得方法の一元化について」という部分であります。

 この部分は最初のページで申し上げたとおり、養成施設への国家試験の義務づけを中心とした一元化をどう行っていくかという論点です。

 まず、1つ目の丸では「介護人材の類型化及び機能分化を進めることと、資格取得方法の一元化との関係についてどう考えるか」ということです。

 1つ目のポツでは、資格取得方法の一元化は、介護福祉士の資質、社会的評価の向上に資するということとともに、そういった魅力づけが進むことによって、介護人材への参入を促進することによって、富士山の形の引き上げあるいは裾野の拡大といったところに資するのではないか、介護人材の類型化や機能分化を促進することにつながるのではないかということが1つです。

 2つ目、介護福祉士を介護人材の中核的な人材像と位置づけることに伴って、全ての介護人材を介護福祉士とするという考え方はとられないということになるかと思います。これを踏まえまして、資格取得方法のあり方と介護人材の量的・質的確保という方向性の関係性についてどう考えるかという論点です。すなわち、平たく申し上げますと、この介護人材というのが中核的な分野を担う専門的人材として位置づけられることによって、この量的な部分と直結することにはならないのではないかといった観点も含めて御議論いただければと思います。

 2つ目の丸です。「資格取得方法の一元化の実施について、これまで施行延期を繰り返してきた経緯を踏まえつつ、どのような時期に行うことが適当と考えるか」という論点です。

 この一元化の実施について、時期としてはここでは3つの考え方を掲げさせていただいております。「(ア)速やかな実施」「(イ)一定の年数を経た後の実施」「(ウ)円滑な移行措置を講じつつ、漸進的に実施する」という3つの考え方があろうかということを示させていただいています。これまでの経緯あるいは現状を踏まえ、この(ア)から(ウ)について、どのような考え方をとるべきであるかという論点です。

 それぞれについての留意点として掲げておりますのが、(ア)については、円滑な実施を図るための準備期間、あるいは学生等の混乱を招くことがないかという観点でどう考えるか。(イ)については、これまでの延期が繰り返されてきた経緯から、一定の年数を経た後の実施ということについて確実な施行が確保できるかという観点があろうかと思います。(ウ)の漸進的な実施については、現行制度からの円滑な移行を図るためにどのような配慮を考えていくことができるかといった論点を掲げております。

 そして、3つ目の丸では、一元化を円滑に実施するに当たっては、どのようなボトルネック、障害の是正が必要と考えられるかという点です。

 今後、一元化を円滑に実施していくためには、各養成ルートにおける状況を踏まえ、例えば実務者研修を受けやすい環境整備あるいは養成施設の教育体制の強化など、どのような措置を講じることによって円滑な施行に結びつけていくことができるかといったことを論点として掲げております。

 それから7ページ以降、7、8、9ページでは、この専門委員会に先立って行われた「福祉人材確保対策検討会における議論の取りまとめ」を御参考として添付させていただいております。

 なお、資料2の「介護人材の確保について」というデータ集の中でも、本日の議論に資する部分、主に35ページ以降となりますので、適宜、議論に供していただきたいと思っておりますが、その中で48ページ、52ページには、関連する資料を追加させていただいておりますので、そちらも議論の中で御参照いただければと思います。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 介護人材が全員介護福祉士ではないとの提示はなかなか画期的ですね。ある時代は全員介護福祉士と言われていたときもありました。

 これは、比喩で言えば、全ての医療職は医師でなくてはならないとか、全ての医療職は看護師ではなくてはならないなどではないことと同じですね。医療には薬剤師、歯科医師、各種療法士、栄養士、いろいろな方が働いていますので、事務職もあれば、看護を手伝う人もいる。まさに介護の分野も、中核人材としての介護福祉士がもちろん一番大切だけれども、それ以外の方も入れることによって広くする。これを6ページ、8ページの図などで前回からこういうふうに出ることになったのは大変結構なことだと存じます。

 本日は、質的確保について、事務局から大きな3つのテーマが提示されました。

 1つ目は「介護人材の全体像の在り方」。

 2つ目は「介護福祉士の在り方」。

 3つ目は「介護福祉士の資格取得方法」です。

 それぞれ、基本的な視点と論点が提示されました。

 そこで、本日は全体を大きく2つの時間帯に分けることにいたします。

 前半では、1つ目、2つ目のテーマである、介護福祉士のあり方を含めた介護人材の全体像について議論を行います。

 後半では、3つ目のテーマである、6ページ、介護福祉士の資格取得方法について時間を分けて議論を行います。

 また、石橋委員、小林委員、高橋委員から、3つ目のテーマに関して資料が提出されています。いずれも後半の議論の冒頭に説明をいただこうと考えています。

 まずは、資料1の4ページと5ページ「介護人材の全体像」と「介護福祉士の在り方」について、御意見、御質問をお願いいたします。

 ただいまの資料1の4ページと5ページに関しての議論を行います。

 石橋委員、どうぞ。

○石橋委員 私が提出させていただいた資料の2ページ目のところにつきましては、論点1、2のところに関連するものでございますので、そちらのほうを使って説明させていただきたいと思います。

 私の提出の資料ですけれども、2ページ、まず「介護をめぐるニーズの変化-高度化と専門化と多様化-」ということですが、今、介護ニーズというのはいろいろ変わりつつあり、介護ニーズが高度化、専門化、多様化してきている中において、介護福祉士等は、このようなニーズに応えていくべきだと考えております。

 例えば、一つ目ですけれども「認知症高齢者の増加にともない非薬物療法による認知症ケアが求められており、それを担える介護人材が必要」だということ。

 二つめとして、これから地域包括ケアシステムが推進されていく中において、特に在宅限界を高めて、地域で高齢者が最期まで暮らすことができるためには「排せつ」「食事」「入浴」などの介護だけではなく、医療的な知識をある程度有し、介護のスキルや関連知識、応用力を持った介護人材が、裾野の広い介護スタッフの中で中核的人材として求められています。それにより幅広い地域の介護力をより効果的に活用できるのではないかと考えています。

 三つ目として、本人の力を引き出し、自立に向けた介護が求められている中、それを担える人材が必要。併せて、人間の尊厳にふさわしい介護が求められています。

 また、介護保険制度の安定的発展のためにも漫然とした介護ではなく、効率的・効果的な介護を実践していくために、機能に着目したケアが求められております。

 さらには、チームケアが求められていく中、チームリーダーとしての能力を持った介護人材が、求められていると思っています。

 このように介護職の中で、介護ニーズの高度化、専門化に応えることができるような中核的な役割を介護福祉士が担っていくべきだと考えていますし、これからの介護福祉士は、そのような資格にすべきと考えています。

 したがいまして、4ページ、5ページのところの論点に書かれているところの5ページの2つ目の丸のところですけれども、このような求められる介護福祉士を養成いくためには、これから必要とされる専門性や能力を獲得するために、3つの論点が書かれておりますが、その求められる介護福祉士の役割・機能を担うために、現在の介護福祉士の養成・教育内容や方法を検証をした上で、必要に応じて教育内容の充実を図るべきだと思いますし、あわせて国家試験の内容・水準の見直し。それから、介護福祉になった後も継続的に資質の向上を促すために、環境整備の促進、またはキャリアアップの方策が必要だと考えております。

 したがいまして、介護職を一律に評価していくのではなくて、今求められている、特に中核的な部分については介護福祉士が担っていくべきであって、そのための検討を今後速やかに進めるべきだと思っています。

○田中委員長 ありがとうございます。

 西條参考人、お願いします。

○西條参考人 ありがとうございます。

 我々自治体としては、あくまでも利用者に対するサービスの質の向上というものが一番大事なことだと思っています。その上で現在のA層、介護福祉士の配置比率なのですけれども、厚労省の24年度の調査によりますと、特別養護老人ホームなど入所系施設全体では46.6%という数字が出ています。これに対しまして、居宅サービス事業等につきましては27.1%。こうした大きな差があるのです。

 今後、介護の地域移行が進む中で、質の高いサービスを提供していくには、特に通所系とか訪問系事業所の介護福祉士の配置比率を高めていく必要があるのではないかと考えております。この中で、基本的な考え方として裾野を広げると、もう一つ、役割を分けるという2つがありますけれども、2ページ、3ページの図で示されておりますが、この3ページのCの部分です。この辺が「基礎的な知識・技能を有する者」とは、具体的にどのレベルにある介護職員のことを指すのか、あるいは誰がそのレベルにあると評価するのか、このあたりが課題になるのかなと。むしろ、ここはBの層の「研修等を終了し一定の水準にある者」、これは初任者研修修了者あたりを意識されているのかなと思うのですけれども、ここはC層ぐらいかなと。その上のBの「研修等を終了し一定の水準にある者」というのは、私の考えではこれは実務経験3年以上の実務者研修修了者あたりがここにくるのかなと。

 そうして考えますと、Aの「介護福祉士」のオレンジの部分はもうちょっと裾野に広げた方が、我々としては全体で5割以上は目指すべきであって、量的な問題を言うのであれば、そのあたりを目標にしたらどうかと考えております。

○田中委員長 ありがとうございました。

 図でも5割に見えるような比率の絵を描けということでしょうかね。

 ないようでしたら、私からも1つ。

 これは座長ではなくて委員としての発言ですが、4ページの3つ目の丸に介護福祉士の機能・役割が書かれています。進展する介護ニーズの多様化、高度化に対応すべき。それから、ICT等での技術進歩に対応したものであるべきと書いてあります。

 私は、ICTよりももっと大切な技術は、まずはケア技術ですね。認知症を含むケア技術の進歩に対応すること。それから、これから著しく進化していくはずのロボットなどに代表される福祉用具の進化に対応すること。そして3番目くらいがICTかなと思います。ICTは場合によっては介護福祉よりももしかしたら事務部分の話かもしれないですが、現場ではもちろんタブレットなどを使うでしょうが。したがって、ここでの意味は、進展する介護ニーズの多様化、高度化に応ずると同時に、ケア技術や最先端のロボット等を含む福祉用具の進化に対応するとの理解のほうが正しいのではないかと感じました。

 福間委員お願いいたします。

○福間委員 資料2で介護人材の実態がどうなのかというのを見たときに、例えば15ページのところを見ますと、ここでも人材層ごとの機能・役割とか人材像、量的比重などを明らかにすべきというのが論点にありますけれども、実際に介護職員は今168万人という中で、訪問系ですと70%は非常勤で34万人だと。通所系がちょうど半々ぐらいですけれども、これらを別のデータで見ると、1カ所当たりにすると、介護職で見れば約10人未満、7~8人ということになります。事務系を入れても10人ぐらいがせいぜいというのが訪問系、通所系の事業所のマンパワーの状態だと思うのです。

 一方で、入所系は常勤が主力でありますし、大体30人ぐらいの介護職がいて、そのほかの専門職を入れたら40人ぐらいというのが特養も老健も同じような状態があると思うのです。そういう常勤で数十人の事業所の規模で回っていく状態像と、10人ぐらいでほとんどが非常勤という、まして訪問介護の場合は登録ヘルパーというような実態で、そこでの定着や確保の問題の深刻感もありますが、実際に介護人材をどう育てるかとか、どう養成するか、またはキャリアパスなどというものがどういう形で組み立てられるのかとか、かなり違うと思うのです。

 そういう小規模事業所内での状態をどのように労働管理とあわせて育成するかというのを、別のきちんとした研究で深掘りして、同時に労働サイドの地域での指導なり支援というバックアップも含めて構築していかないといけないのではないかというのが1点。

 それと、後にも出てくるかもしれませんが、裾野を広げるということと介護というものをきちんと理解していく上で、実はこういう施設における箱物よりは、ヘルパーで動き回っている、またはデイサービスで動き回っていることが地域の中では一番目につくわけです。今問題になっておりますのは、小規模通所介護という、この間まで鍼灸マッサージの看板だったところがデイサービスになっているという実態の中で、そこの状態をうまくしていかないと、イメージとしては、いつも人が変わっている状態でどうなのというイメージとしてもよくならないという悪循環ではないかと思うのです。

 特に私はそのあたりをきちんとターゲットにしたことをしていかないと、施設系はどちらかというとそれぞれ組織もあるし規模もありますので、まだまだ課題はあってもずっと長年取り組んでいらっしゃる世界です。これからの地域包括ケアも含めると、在宅のマンパワーを必要とすることを考えると、このあたりを深掘りしていく必要があるのではないかと感じております。

○田中委員長 大変的確な御指摘をありがとうございました。

 この辺の、先ほどの第1点については堀田委員から、最近どんな研究が進んでいるかを教えていただければと。もし何なら終わってからでも結構ですが。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員 今、福間委員からもお話がありましたが、今、まさに特養がほとんど、介護度で言えば、東京のケースですが、介護度4以上の重介護になっているということが実態でございます。ですから、特養の場合は重介護ですが、医師も来る、さらには看護師も常駐しているということで、おっしゃったようにかなり対応力はあるだろうと思うのですが、問題はやはり在宅です。在宅ケアをどう充実したものにしていくかということについて、おっしゃったように、いろいろな意味で深掘りをしていく必要があるということは同じ意見であります。

 私は前回の福祉部会でも申し上げましたが、それには在宅ケアに関するトレーニングセンターのようなものをぜひつくって、ケース・バイ・ケースでいわば利用者の状況に応じた、さまざまなサービス機能をきちっと分析をし、それを評価し、それを具現化していくという取り組みを具体的に、国の主導のもとにでも結構なのですが、我々、例えば介養協あるいは職能団体、老施協、老健協の協力で一致して、そういう研修教育センターのようなもの、トレーニングセンターもぜひ一方では検討していただきたいと思っています。

 在宅では、本当にいろいろなケースがあるわけでございまして、それに十分に対応できているのかどうなのかも、今のところはっきり検証ができていないのが実態であるというところでございますので、そこのところはぜひ検証をしていく、あるいは介護の総合研究所のようなものをぜひつくっていただきたいということを私は申し上げているのですが、そういうものでもつくって深掘りをしていくということは一方でぜひ考えていただきたい、これは要望でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 4ページのところなのですけれども、まず機能分化を進めていくという方向性はこれまである程度整理されているもので、それはそれでそのようにと思うのです、2点申し上げたくて、1点目は考え方です。

 2点目は、具体的にどのように検討し、進めていくべきかという点に関連するものです。

 まず、1点目なのですが、確かにこの機能分化あるいは専門分化していくという方向性はある程度とめられないでしょうし、他方で妥当性もあるものだと思っています。

 でも、もう一方で考えてみると、それは地域包括ケアシステムの構築という上でも重要な観点ですけれども、それぞれ専門職は機能分化あるいは専門分化してくことはとめられない、あるいはそれが妥当だとしても、生活者の側からすると、いかにそれを生涯を通じて統合的にチームとして実現するかということが重要になってくるので、一人一人の専門職が機能分化するあるいは専門分化するということは、それはそれで進めながらも、住民の側からすると、そのさまざまな専門化・機能分化したものが統合的にどう実現できるかということをチームのあり方として検討していくことも並行して進めていったほうがいいのではないかと思います。

 そのことというのは、実はこの機能分化とか専門分化ということを議論しつつも、そのベースとしては、生涯を通じて統合的にその機能を提供するということを目的と考えると、もしかすると専門職間の統合であったりとか、先ほど福間委員からも事業所の規模に関するお話もありましたが、小規模な事業所あるいは事業所を超えた組織の統合といったことも視野に入れた形で、一人一人の専門職の機能分化・専門分化ということと、それをいかに統合的に実現するかというチームとか組織、あるいは機能分化しつつもベースのところの専門職統合を図っていくということも考え方としては重要ではないかというのが1点目です。

 丸の2つ目のところですが「今後、介護人材を類型化し、機能分化をどのように検討し、進めていくべきか」ということですけれども、これは1つの例としてなのですが、ヨーロッパ各国でこの機能分化あるいは専門職の資格の体系を整理していくときによくとられる方法というのが、こういった全国の代表で話すというのはなかなか難しいので、幾つかのモデル的な地域を選んだ形で、それぞれの地域、多分日本で言うと、せっかく都道府県レベルでさまざまな協議会とかができつつあるので、都道府県の中でワーキングをつくるということもいいのかなと思いますけれども、地域レベルで職能団体とか事業者団体、教育訓練機関とか、ここにお出ましになっているような地域版だと思うのですけれども、そのような方々に代表を出していただきながら、あと利用者、患者さん、保険者とかも入っている例が多いですけれども、現状としてケアの現場で具体的なケースとして、例えば虚弱な高齢者に対してとか、認知症の方に対してとか、もっと家庭レベルで、高齢者が認知症で、それを介護している子が精神的に障害を持っていて、そのさらに小さい子がひきこもりになっていたりとか、そのようなふくそう的なケースというのも今世界中にあるわけです。

 そういう幾つかのモデル的な抱える課題の類型別に、それは介護だけではないのですが、具体的にどの職種が現状でどのように介入しているのか。それが今後の持続の可能性を考えた上で、ふさわしい形なのかということを地域レベルで具体的なケースに基づいて棚卸しをしていく。そういった結構地道な作業を通じて、今後のあるべき機能分化あるいは統合の方向性というものを議論した上で持ち上がるというようなことをやっていまして、もちろん日本の現状に合う文脈でやっていけばと思うのですけれども、具体的にこの機能分化や量的な比重ということを議論する上では、やはりここのトップの方々だけが集まる数回では済まないものがありますので、よりリアルに一つ一つの事例を通じた形で棚卸しをして、それが将来にわたって望ましいのか、そうでもないのかということの議論をしていくというプロセスも非常に重要なのではないかなと思います。

 以上です。

○田中委員長 興味深いヨーロッパの進化を説明いただきました。

 ありがとうございました。

 照沼参考人、お願いいたします。

○照沼参考人 済みません、代理出席を認めていただいてありがとうございます。

 今の類型化と機能分化のところですが、今回、介護福祉士は2025年までに5割を目指すということで、あと、ほかの人たちはB層、C層ということになっていくと思うのですけれども、やはり業務内容、役割を明確に区分けするということは結構困難が予想されます。具体的に生々しい話で言うと、先ほど小規模事業所の話がありましたけれども、職場で職員・職場の分断が起きてしまうのではないか、余りきつきつにやってしまうと、職場がぎすぎすしてしまう可能性も懸念されますので、やはり全体の社会的評価を向上させていくという中で丁寧に機能分化を進めていかないといけないと思います。実際の職場で何が起きるかということに思いをはせながら議論は進めていった方がいいのではないかと思います。否定しているわけではありません。

 それと、検討会に出ていた平川からこれだけは確認してこいと言われたのですけれども、3ページの左下の「介護人材の全体像の在り方」のC層の一番下が、富士山のすそ野にもやがかかっているような絵になっているのですけれども、これは全員労働者ということでよろしいのですね。

 以上です。

○田中委員長 室長、お答えください。

○武内福祉人材確保対策室長 このC層のところで裾野の拡大を広げるという意味で、いろいろな濃淡があるということで少しぼやけた感じになっているということで、特段そこに深い意味はないのですけれども、このC層の方々に関しては、裾野を拡大するということで、基本的には介護職で働かれる労働者の方がコアになるということです。ただ、その延長線上として、ほかの多様な形態でのかかわり方というものがあるのかどうか、その余地を否定するものでもありませんので、その辺も引き続き議論していただければと思います。

○照沼参考人 ありがとうございました。

 ボランティアということについてこの間も議論になっていると思うのですけれども、ボランティアというのはあくまでも善意で、善意というのは個人の生活環境とか経済状況によって幾らでも変わるので、そういう当てにならないならないものを最初から当てにしてはいけないと思うので、C層までちゃんと労働者である必要があります。結果としてボランティアに依存しなければいけない状況というのはあるのかもしれませんけれども、最初からそこを前提にした議論というのはどうなのかと思いますので、意見として申し上げます。

 以上です。

○田中委員長 川井委員お願いします。

○川井委員 介護福祉士の専門性をより高めるための養成・教育が必要であるということについては全く異論のないところであります。

 では、必要な能力としてその1、その2、今の話をあわせてでよろしゅうございますか。

 そうしたときに、多職種連携についての実践力とか改革・改善力、マネジメント能力というものがありますけれども、現状の1,850時間の養成の中でどんなものができているのかというと、業務遂行とか、ある程度の指導力とか、こういうものは現在の教育の中で養われていると思っています。しかし、地域包括ケアシステムであるとか多職種連携、改革・改善力、マネジメント能力といったものにつきましては、より高い専門性が求められる部分であると考えますので新たに、高めるための教育が必要になってくるのではないかと思います。

 こうした能力を5割に相当する約130万人の介護福祉士全てに求めるのかということになりますけれども、やはりこれは介護福祉士の一部ということで高みを目指していくことになるのではないかと思います。その場合一部の介護福祉士をどのように具体的に明らかにしていくのかといったときに、養成のプロセスの段階から、4年制をフィールドとした養成をするということとか、3年以上にするとか、そういうことが今の1,850時間の介護福祉士養成の時間数を生かした上でやるのかなどについて考えていかなければいけないのかと思います。

 そしてそうなりますと、ある程度の一定期間を設けながら、内容、国家試験、それから、例えば上級介護福祉士となれば、そういう人たちに対する報酬等々を含めた議論がさらに進められるべきではないかと思っております。

○田中委員長 ありがとうございます。

 福間委員、どうぞ。

○福間委員 4ページのところに、中核的な存在として介護福祉士を位置づけるという、それ自体はいいのでありますけれども、今後の課題として、それを進めるという意味でもより具体化を政策的にもとるべきではないかと思います。

 具体的に言いますと、介護福祉士の一番大きな働く領域は介護分野であります。けれども、介護保険サービスの領域の中にいろいろな人員配置上の名称がつくられてきておりますが、介護福祉士ということを特記したものはないのではないかと思うのです。例えば、地域包括支援センターというのができたときに、社会福祉士、それから保健師または看護師とありますけれども、介護福祉士というのが独立した位置づけでは表現されていないように思うのです。

 そのほかにも養成研修としては、いろいろなニーズに応えて介護保険のサービスが充実していきますけれども、ある一定の研修を修了している者がいることというのが最低基準上の要件になっていく。それ自体が実質的な配置基準になってしまっていて、介護福祉士はそういうところに登場してこない。その矛盾をちゃんとしないと、中核的な存在としての介護福祉士というのはあくまでも理念にすぎなく、実態としてはどこにも位置づけがないということになる。働く者、または勉強してその資格を取る者の目指すステータスが見えていないということなのです。そこをぜひ、より具体的な方向というものも考えていくべきだということを私は思います。

○田中委員長 ありがとうございました。

 老健局は、今の点はいかがですか。

○老健局 御指摘のとおり、例えば訪問介護であれば初任者研修(旧ヘルパー2級)が要件になっていたりとか、施設系ですと、特にそうしたことも。それぞれ施設管理者とかそうしたところの要件というのはありますけれども、ただ、加算とかの中で一定の、介護福祉士の職員の占める割合が4割以上の場合だとサービスの体制が整っているということで加算をするとか、そうした制度はありまして、もちろん介護福祉士は介護保険サービスの中で担っていただいている中核的な存在ですので、そこをいかに評価していくかということについては留意をしているつもりでございます。

○田中委員長 武居委員、お願いします。

○武居委員 先ほどの川井委員の御指摘の件に関係してですが、5ページのこれからの介護福祉士に必要な資質をどう考えるかというところに書いてある介護実践力の後の部分です。改革・改善力とかマネジメント能力の話がございました。

 これは、介護福祉士にももちろん必要な資質ではあろうと思いますが、福祉人材全体に共通したマネジメント能力に関係すると思われますので、介護福祉士の専門性の上に立つものというよりも、福祉人材全体にかかわるものとして考えていくべきではないかと思います。そして、それはむしろ現業者のキャリアパスの育成というところで考えていく必要があるのではないかと思います。

○田中委員長 ありがとうございます。

 柳川委員、お願いします。

○柳川委員 4ページ目になりますが、今回の議論というのは専門性といったところなのですけれども、先ほど連合さんのほうからもありましたが、専門性を支える裏に総合性みたいなものがあるはずで、民間の場合ですとよくジョブローテーションなどをやっていきますが、その意味で2ページ目の1番下の裾野の部分といったところが、実は専門性を支える可能性があるのではないかと考えております。

 実態のところ、我々民間も当然転職という問題を抱えながら、よりよい人材を獲得する一方で、長年勤めている人間の人的定着というものを図っていくわけです。ケアというのは座長も御指摘のとおり、ケア技術と同時にコミュニケーション能力というものが非常に重要視されると考えられます。そのため、専門的な知識というものの縦のライン、キャリアといったところで介護福祉士という位置づけは大事な一方で、この潜在的に介護福祉士になるであろう、少なくとも介護に関心があって働いているであろうという人たちを、研修も含めて何らかの人的資源として育成していくという方向性を同時に打ち出すことによって、こちらの介護福祉士の専門性も生きてくるという相対的な評価ができるのではないだろうかと考えています。

 ですから、堀田委員も御指摘されていましたが、組織のあり方が重要です。「専門職で介護福祉士なのだから、じゃあよろしくね」というのだと多分現場は回らないですし、もう一つ、入り口理論で言うと、大変失礼ですが弁護士の数をふやしても職がなければどうしようもなかったので、経営サイドがきっちりと、この資格を持っている人は少なくとも中核人材で専門職として雇うのだといった一種の意思統一みたいなものを、組織のあり方としてきっちり図っていく必要があるのではないかと考えています。

 いずれにしても、一番下の層が上を目指して介護でやっていこうと思うのか、もっと言うなら介護業界で3年働いた後に他産業に転職した際、介護業界は大変だったけれどもあの経験がよかったと言えるよう、ケア技術なり、コミュニケーションなり、ビジネスマナーみたいなもので専門職を支えていくといったところは検討すべきではないかと思います。それが、いずれ量的な確保にも好循環につながってくる可能性があるのではないかと考えています。

 以上です。

○田中委員長 鎌倉委員、お願いします。

○鎌倉委員 失礼します。

 3ページ目のところなのですけれども「介護人材の全体像の在り方」というこの図を、例えば特別養護老人ホームのような事業所にそのまま当てはめますと、実際、介護職員というのはこのA、B、Cがいると考えられます。

 そして、業務自体の内容はどういうものかと考えてみますと、実際は同じような仕事をこのA、B、Cの層の人たちがするとなったときに、同じ仕事をしているのに給与が高い、安いという問題が出てくるだろうと思います。次に、例えばAの介護福祉士の方たちが専門性を高めるということで医療行為を行うことができる研修を受講して、資格を取得した場合です。これは機能とすればB、Cと違った機能をちゃんと持っていますので、それなりに給料が高いということでも組織の中で認められるだろうと思われます。A、B、Cという層を事業所の中に当てはめたときにどういうイメージになるのか、そういうものを事業所の中でどう整合性をとっていくのかということも議論の中に入れていただければと思います。

○田中委員長 堀田委員お願いします。

○堀田委員 今、鎌倉委員が御指摘になったことと関連するのですが、今この議論しているような、今の3ページの図のA、B、Cのような機能分化を図っていったとして、その評価なりということが割と短絡的にAであればBよりも高くみたいなことの議論に簡単に行きがちなのですけれども、やはりどのような資格を持っているかあるいはどのような専門性を学校教育なり資格取得までの段階で身につけていることになっているかということと、実際に現場で発揮している職務遂行能力というのが、まだ現段階ではギャップがあったりします。せっかく、そういう観点からつくられてきたキャリア段位制度もそれなりのコストをかけてつくってきたものだと思いますので、単純にA、B、Cということに基づきながら、それを組織の中でなり制度の中でどう評価するのかという議論というよりも、その人たちが実際に現場で発揮している能力、実践的な能力がどうなのかということを通じて、媒介させた形で評価のことを議論しないと、ちょっと難しくなってくるのかなという気がします。

 その観点から、今回の資料の4ページ、5ページのところではキャリア段位制度については全く言及がないわけですけれども、現状で完全なものとは思っていませんが、せっかくつくられてきたものですので、キャリア段位制度なども一つの素材にしながら、あれをより民主的な形というか皆様が、専門職の方々御自身が高めていけるような、そして今は介護だけですけれども、先ほど武居委員がおっしゃったように、実は介護だけではなくて福祉、さらに多職種全てが直面している世の中の疾患構造の変化であり、ケアの専門職に共通して変容することが期待されているコンピテンシーということでもあると思いますので、今あるキャリア段位制度というものを現場で発揮している職務遂行能力を見るということの物差しとして参考になるのではということに加えて、それを素材としながら、今後より広く、多職種の中で民主的な形で継続的に、各職種の専門性がこのニーズに応じて高まっていくというような仕組みをつくっていくことも重要ではないかと思います。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員 2つ申し上げたいことがあるのですが、1つは先ほど地域包括ケアシステムの中に、中核的な人材に介護福祉士を位置づけるということを、これは老健局からもそのように考えているというお話でありましたが、要するに文章上ははっきりそういうことが出てないですから、これはぜひ入れていただきたいです。

 それはなぜかといえば、やはり介護福祉士が利用者に一番近いところで、まさに利用者の状況を一番よく把握しているわけでありますので、ぜひそれは中核的な人材にきちんと位置づけていただく。また、それに対応できる介護福祉士の養成システムというのも、我々養成校協会としても考えているわけでありますので、ぜひそこはそういうことを考えていただきたいというのが1つ。

 それから、2つ目は今の堀田委員のお話でありますが、私もキャリア段位制度というのは、1つはきちんとしたウトカム評価のシステムということでありますから、実践力のアウトカム評価をきちんとしていくということが一つのメルクマールとして、介護福祉士の力量を把握する意味で大変重要なシステムの一つだと思っております。

 したがって、この前私は外国、特にオーストラリアに行ってきたのですが、オーストラリアでは介護に関するトレーニングパッケージというものをきちんとつくって、このトレーニングパッケージの基本というのは、アウトカム評価を基本としてきちんと評価できるように、そこまでの教育プログラムをつくって実施をしているということでありますので、そこはぜひキャリア段位制度なんかも参考にしていただきたいと思うし、資料3の裾野のところを広げるというところでは、そういうパッケージプログラムのようなものをもう一回つくり直して、きちんと研修を受けた人たちが仕事ができるようなこともぜひ考えていただきたいと思っていることが一つ。

 それからついでに申し上げますと、このキャリア段位制度については内閣府が中心に今進めて、先生に座長を務めていただいたわけでありますが、私どもも介養協としては養成校が380校ほどあるのですが、ちょうどあしたから全教員を集めて研修会をやる予定になっております。四日市が会場でございますが、そこへ内閣府から来て、我々はまず養成校の幹部及び教員たちにきちんと御説明していただくということをプログラムとして入れております。

 ですから、養成校の中でもそういうものをきちんと理解し、教員たちがきちんとそのことを把握していくという筋道も私としては立てていきたいと思っておりますので、そういう意味では介護の専門性を上げる一つのツールにはなるという認識でございます。

○田中委員長 ありがとうございます。

 ジョブ・ディスクリプションについては私もキャリア段位制度構築にかかわってきたので申し上げると、それぞれのジョブ・ディスクリプションでその仕事ができるかできないかを評価する。評価するに当たって、恣意的な評価ではいけないから評価者、アセッサーを先に4,000人、5,000人つくって、それから評価に入る。記述自体も、統計的にも理論的にもとてもすぐれたものです。お二方から言っていただきましたが、ぜひ内閣府の制度など知らないなどと言わないで、使っていってください。

 室長、それは大丈夫ですか。よその省のものは使わないなんてことはないですね。

 石橋委員、お願いします。

○石橋委員 先ほどから議論にありますように、介護福祉士は中核的な存在として位置づけるべきであるとすると、理念だけではなく、裏づけができるように、介護福祉士としての任用資格を設けるとか、介護報酬の中で評価していくということをしていかないと介護福祉士になりたいと思う人たちがふえないと思いますので、そこをあわせて対応していくべきだということが1点。

 それから、介護ニーズの多様化・高度化というのはこれからも継続していくわけですから、介護福祉士の資格を取ったらそれで終わりではなくて、その後キャリアアップしていく仕組みというのが必要になってくるわけですから、より高度な専門職として認定介護福祉の検討が進められて、モデル研修などを行っていますけれども、この仕組み活用していくべきではないかと思っています。キャリアアップの仕組みができることによって、介護の専門性が高まり、仕事としての魅力が高まり、介護人材確保に大きく貢献するのではないかと思います。

○田中委員長 西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 この図の話なのですけれども、さまざまな議論が出ていますが、資格は取ったからといって、即その事業所において自動的にチームリーダーになるとか、施設長になるわけでもないというのはまず押さえておきたいと思うのです。その上で特に入所系の、武居委員のような大規模な施設を経営されている方はノウハウを持っていらっしゃると思うのですが、圧倒的に多い小規模な事業者さん、経営者さんというのはこういった介護職の育成プログラム自身を持ってないのではないかと思うのです。

 そういったことを、モデルケースといいますかモデル育成プログラム、その事業所においてどのように介護職員を育てていくか、そういったものを示していく必要が、特に小規模事業者に対してはあるのかなと感じました。

 高校とか養成施設のプログラムも変えていかなくてはいけないと思っているのですけれども、若い人は事業所に入ってどうやって自分は育っていくのだろうかと不安になる。その育て方自体が、今のところ経営者さんというのはどの程度理解されているのかなというのが感想として持っています。

○田中委員長 先ほど柳川委員も御指摘になった経営のところですね。現場で働く方々と、こうした試験制度のような制度、政策の間に実は経営者の役割がとても重要であるとお2人から御指摘いただきました。

 ありがとうございます。

 ちょうど11時ですが、前半についてはほかによろしゅうございますか。

 どうぞ、照沼参考人。

○照沼参考人 ちょっと話が戻ってしまいますけれども、先ほどアウトカム評価とか介護福祉士はちゃんと介護報酬で手当てしていくべきだという御意見があって、そのとおりだと思います。

 もっと突き詰めていくと、同じ専門性を発揮しているのであれば、それこそ正規労働者であろうと、非正規労働者であろうと、フルタイムであろうと、パートであろうと、そこの違いはないと思います。前回の労働環境、処遇の改善の話になってしまうかもしれませんけれども、やはりその専門性というところを捉えたときの均等・均衡待遇をきちんとしていくことが、実は多様な働き方の人たちを受け入れることになり、すそ野の拡大につながると思いますので、その点も押さえておいていただきたいと思います。

 以上です。

○田中委員長 福間委員、どうぞ。

○福間委員 たびたび済みません。

 この裾野の図、特に細かいのでいくと2ページになりますけれども、その後のところに書いてありますが「子育て中・後の女性」と「若者等」と「中高年齢者」とあるのですが、もう一つ、ほかの調査でも実際のヒアリングで、やはり介護が対人援助なので、障害者自身がワーカーとしても非常に機能するという実践もあります。せっかく裾野を広げるのであれば、障害者も働く人ですので、入れていただけるといいのではないか。現場でも、現実にそういう例もたくさん出ていると聞いておりますので。

○田中委員長 ありがとうございます。

 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 今、福間委員にまさに言っていただいたのですけれども、我々民間も当然、障害者の法定雇用率の問題があるのですが、非常に我々がおつき合いしている企業の経営者さんも、障害者の雇用をすると職場が少しほっとするというか、非常にぎすぎすした議論もやわらかくなるというようなことを聞いています。

 ニュースにもありましたけれども、特に公的な機関における障害者雇用というのは大変重要ですし、民間も今それをダイバーシティという形で取り組んでいますので、福間委員の言うとおり、障害者の雇用といったところの裾野も私どもは期待したいと考えております。

 以上です。

○田中委員長 武内室長。

○武内福祉人材確保対策室長 御指摘いただきましてありがとうございます。

 障害者についてはまさにおっしゃるとおり、大事な裾野の拡大の一つの候補だと考えております。「若者等」の「等」のところには実はそういう含意もありまして、検討会の第6回でそういう御議論もいただきましたので、そのようなことで書かせていただきましたが、きょうの御指摘を受けて、より明確化していくという方向で考えたいと思います。

○田中委員長 前半の議論はここまでといたします。

 後半の議論に移りましょう。

 資料1の6ページ「介護福祉士資格取得方法の一元化について」です。

 初めに、資料を提出された石橋委員、小林委員、高橋委員より説明をお願いします。

 大変申しわけありませんが時間の制約もありますので、それぞれ5分間を厳守した上でプレゼンをお願いいたします。

 最初に、石橋委員から説明をお願いします。

○石橋委員 それでは、先ほど提出させていただきました、第2回人材確保専門委員会の資料でございます。

 2ページのところは先ほど説明させていただきましたので、次の3ページのところから御説明させていただきたいと思います。

 四角く囲んであるところでございますけれども、介護保険法等で示されている尊厳を守り、自立支援の介護を行うためには、高い倫理、十分なコミュニケーション能力、個別に応じた介護が実現できること等が必要であり、そのためには中核的介護職、いわゆる介護福祉士に高い教育と専門性が必要であると思います。

 質の高い介護福祉士や介護職員を養成していくことが、利用者像の変化や利用者のニーズの対応、何より介護保険の効率化にもつながると思っています。

 したがいまして、その右側のところになりますけれども、介護福祉士の資格取得方法の一元化により、介護福祉士の質が担保されるとともに国民に対してのサービスの向上にもつながると考えています。また、介護福祉士の社会的評価が向上し、介護福祉士が魅力ある職業として確立することもできます。

 このように、資格取得方法の一元化というのは結果的に介護の人材確保に大きく貢献するものであり、介護人材の量的拡大を妨げるものではないということを申し上げたいと思っております。

 続きまして4ページですけれども「国家試験(要請施設ルート)の義務付けについて」でございます。

 これにつきましてはまだ先送りということになってはいますけれども、やはり我々としてはこちらに書いてありますように、医療等の専門職は全ての者が一定の教育課程をきちんと経て、全ての者が国家試験を受けて、それで専門職として質の担保・評価、魅力ある職業として確立しているわけでございます。

 したがいまして、介護福祉士も福祉の専門職として当然そうすべきだと考えています。

 そして、そのためには養成施設卒業生には試験を課すことで一定の質を担保して、評価の向上にもつなげていくことが必要かと考えています。

 当然、実務者経験ルートには一定の教育が必要だと考えています。

 したがいまして、養成施設ルートにおける質の担保には国家試験の義務づけというのは欠かせない。それが結果的に質の担保・評価を高めるということにつながるのではないかと思っています。

 ここのところなのですけれども、論点その3の2つ目の丸のところに書いてありますけれども、この中で意見を上げるとすれば、やはり一元化の実施時期につきましては「(ア)速やかな実施」もしくは「(ウ)円滑な移行措置を講じつつ、漸進的に実施する」というような考え方で、先送りはしないということが大前提だと思っています。先ほどの資料に示されているように養成教育課程の見直し、また、国家試験のあり方の見直し等々進めながら、試験の義務を行っていくべきだと思っています。

 それから、次の5ページにつきましては「実務者ルートの実務者研修について」ということで、これは実務者ルートの方についても、やはり一定の教育をしていかないと質の担保ができないということを申し上げているところでございます。そして、実務者の方にとっても、国家試験を受けるために教育を受けることが出来るということは大きなメリットであるということでございます。

 次の6ページに関しましては、実務者研修というのは現場の方は働きながら負担が大きいという見方もありますけれども、実際には通信過程のコースが8~9割ぐらいで、実質的に職場のほうを休むのは一週間ぐらいのスクーリングで賄えるということでございます。また、さまざまな受講する際の研修費用の貸し付けの制度とか、代替要員の費用支援の制度などがあり、それをしっかり活用すればそれほど負担がありません、さらにその支援に関しては充実すべきではないかということは思っています。

 それから、最後の7ページのところですけれども、あわせてキャリアパスの確立をしっかり取り組む必要性がある。介護福祉士の資格を取った後も、その後新たな介護ニーズに対応できるように、または専門性を確保できるようにキャリアパスを確立して、介護という職業を魅力あるものにすることが何より必要だと考えています。

 例えば、認定介護福祉士の取り組みなど、介護福祉士の資格取得後のキャリアパスの形成や勉強する意欲に応え、また仕事をしながら学ぶ意欲を促進することにより、資質のさらなる向上と長く働き続ける意欲を持たせるような仕組みが必要。 専門的な知識・技術を研修し、キャリアアップが図られるよう職員に対する研修条件の整備、施設や事業者、法人が取り組むことを明確化、義務化していく。

 それから、実務者研修の円滑な実施。

 4番目に、事業者(管理者)のマネジメント能力の向上のための対策などの推進というのをあわせて行っていく必要性があると考えています。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 引き続き、小林委員から参考資料2の説明をお願いいたします。

○小林委員 わかりました。

 それでは、私のほうの資料を出させていただいておりますので、そこの1ページ「介護福祉士教育の直面する五つの課題」というは、第一には今まで言われているように、地域包括ケアシステムを実効あるものにするためには、医療行為と関連した質の高い介護技術習得を目指す実践的な専門教育の強化を図っていくということ。

 2つ目には、在宅ケアの充実、多職種協働等で、サービス提供責任者の役割の担い手の育成をするということ。

 3つ目には、今もう議論になっている実務者研修の教育の質の担保とその実践協力、これは教員による協力ということです。

 第4には、職能団体とともにこれからの国際化に対してのことで、労働力の流動化という中で、介護専門職のキャリアアップとしての今の認定介護福祉士あるいは管理介護福祉等の専門介護福祉士制度を構築し、介護のプロフェッショナルとしての位置づけの確立をしていく。

 第5には、介護福祉士の固有の専門性の確立と、社会的評価や信頼の制度的な確立による処遇改善をしていかなければならない。

 以上の5つの課題に取り組んでいくという基本姿勢でおります。

 そして、資格制度の見直しについては議論がいろいろ出てきました。

 3番目の「3つの資格取得ルートと、専門職としての位置づけ」のところでは、介護福祉士の資格取得ルートには、対人サービスの他の専門職、すなわち理学療法士や作業療法士あるいは看護師と違って、この3つのルートがあって、非常に複雑な状況になっているということが一つの特色かなと思っております。

 国は、1987年当初は養成校で教育を受けることが基本で、専門職という位置づけにしていたということです。ところが、高等教育機関の教育を受けた人が専門職となって、受けていない人が一般職となるのは国際的なルール、高等教育ということは高等学校教育ということではなくて、いわば高校卒業以上の大学あるいは専門学校等の教育を高等教育と言うわけでありますけれども、そこで専門教育を受けた者を専門職という位置づけというのは、これは国際ルールであるという問題が1つあります。

 あとは、養成校の経緯に関しては、ここで示されているとおりということであります。

 そして、私はこの3ページで、今まさに我々養成校そのものが定員割れ等を含めて大変厳しい状況にあるということです。今は、まさに養成施設そのものが壊滅して消えてしまうぎりぎりの段階まで来ているという認識を会長として持っているわけです。

 専門職としての位置づけを担保する制度として介護福祉士が創設されたはずであり、そうした体制のあり方をグランドデザインとして、いま一度明確に描く必要がある、それがこの検討会の一つの役割だと思っております。

 福祉系高校と同じ位置づけならば、学生は何も上の学校、すなわち専門学校や大学などで介護を学ぶ必要はなく、高校で学べばよいと思うのは必然であると思うのです。その理由で学生が集まらず、撤退された大学や専門学校の養成校が非常に多いということであります。例えば、介護保険が導入された平成12年か13年当時は430校ほどあった養成校が、現在は378校に減っているということで、その378校においてもほとんどが定員割れの経営の危機状況にあるというのが実態であります。

ですから、私は専門職としての位置づけがどうかということが大きなテーマとしてあると思っているわけであります。

 そして「求められる総合的判断力とマネジメント能力」、マネジメント能力の必要ということをずっと言われてきたわけでありますが、養成施設では入学生の定員割れという厳しい状況が続いており、働く人にとって魅力のある業界を構築しなければ若い人は集まってこない。そして、量の確保の好循環につながるような対策をぜひ立ててほしいというところで。

○関口福祉人材確保対策室長補佐 済みません、そろそろ5分を経過しておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。

○小林委員 わかりました。失礼しました。

 というようなことを含めて、やはり介護の教育というものをきちんと高度化を一方ではしていくことをぜひやらせていただきたいということで、管理介護福祉士なども提案させていただいたということであります。

 以上です。どうもありがとうございました。

○田中委員長 ありがとうございました。

 では、最後に高橋委員から説明をお願いいたします。

○高橋委員 福祉系高校ルートにつきましては、資料2ページに掲載されましたように養成施設ルートと同様の授業実施時間数と福祉の専門指導者としての資格・実務経験を有した教員の確保が義務づけられました。

 また、平成25年度入学生までについては、資料2ページの太枠で説明しております。

 改正前の授業時間数で卒業し、その後福祉の現場で9カ月間の実務経験を経て、卒業1年後に国家試験を受験できるという特例高校が、経過措置として認められておりました。

 特例高校については、既に募集停止となり、現在2年、3年生のみとなっております。

 福祉系高校、特例高校においては、23年の受験に向け、ほかのルートに先行して、平成21年度から厳しい養成条件を満たし、厚労省、文科省の両省の指導監督のもとで、それまで以上の質の高い介護福祉士の養成に努めてまいりました。

 平成21年度に福祉系高校として指導するため、法改正からの短い時間での準備については、各校に大変な作業量と多額の出費がありました。しかし、法改正からたった2年後の平成23年には、医療的ケアの指導等による見直しにより、養成施設ルートでの国家試験受験を3年、あわせて実務経験ルートにおいても研修の義務を3年延期し、さらに600時間の研修を450時間に緩和する省令の見直しがされました。この時点で、既に福祉系高校は21年度入学生が新制度の条件を満たし、資格取得を目指し、正当な国家試験を目前に控えているころでございます。また、福祉系高校は新制度による増えた授業、実習時間数の確保をしながら次年度入学生に対応するため、医療的ケア導入に向けての準備も強いられました。

 平成23年の法改正及び省令見直しについては、他ルートの緩和のみ実施され、福祉系高校の厳しい実態への措置はありませんでした。さらに、今年1月には人手不足を理由に、養成施設ルートの国家試験受験を認めぬ要件を加えて義務化されていた医療的ケアの導入についても、福祉系高校が既に整備されている現状にもかかわらず、義務化を解除との方針が発表されました。

 福祉系高校ルート以外の他ルートには、新制度の実施が一度も実施されたことなく、緩和措置が2度もしかれているにもかかわらず、新制度の影響を一番受けている福祉系高校には全く配慮のない制度の施行には、不公平感を感じずにはいられません。

 7月の検討会の際に提示しましたように、新制度導入後の福祉系高校卒業の介護福祉士については、19年度法改正の背景にありました、質の高い介護福祉士の養成に間違いなく貢献してきているものと思います。

 また、特例高校においても資料3ページにありますように、卒業生のほとんどが福祉関係へ就職をし、9カ月の実務経験の後に、国家試験を受験して介護福祉士となっております。実務経験ルートにおいては、現場での3年の実務経験と450時間の研修で受験可能というルートがあるのであれば、3年間で実務経験ルートの3倍以上に当たる1,225時間の授業時数を満たし、9カ月の実務経験後に受験資格を取得できるルートがこのまま継続できれば、高校の福祉教育からの介護人材の確保にさらに貢献できるものと考えられます。

 現在、特例高校として福祉教育を設置している学校に継続意思の調査を行ったところ、資料4ページのような回答が得られました。調査回答の学校の定員数は合計で1,332名、そのうち継続を希望する学校は22校あり、その定員数の合計は906名となりました。

○関口福祉人材確保対策室長補佐 そろそろ5分たちますので、簡潔にお願いしたいと思います。

○高橋委員 後、この特例高校を廃止しなければ、日本の約900人の福祉を目指す者の入り口をふさぐことになります。高校の福祉教育においても、福祉を担う人材を一人でも多く養成できるよう、現在の特例高校の要件での介護福祉士養成過程を一つのルートとして認めていただきたく希望いたします。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 お三方とも時間に協力いただきまして感謝いたします。

 事務局からの説明資料1の6ページの説明並びにお三方からの説明を踏まえて、皆様から御議論を頂戴したいと存じます。

 柳川委員、お願いします。

○柳川委員 資格についての議論だということで、まず6ページ目の実施についてなのですけれども、商工会議所としては資格の施行について、十分経営サイドに周知する時間はまずいただきたいということと、一度決めたやり方は継続してやっていただきたい、この2点を希望いたします。

○田中委員長 論点として資料1の6ページに示されたことに対して、それぞれのお立場から御意見を頂戴したいと存じます。

 どうぞ、追加でお願いします。

○柳川委員 済みません、私の勉強不足かもしれないのですが、ルートの問題はさておき、資格の中で当然ケア技術の専門ということなのですが、例えば民間とかの場合ですと、新しく入った新卒に対して、例えばコンプライアンスについてやビジネスマナーに関する研修を行います。専門職なので、そういったものはもともとあるだろうという考え方もあると思うのですけれども、そこは資格の中では例えばカリキュラムではなく研修など、先ほど武居委員もおっしゃいましたけれども、福祉人材の養成みたいなところで枠組みとして考えていらっしゃるかどうか質問させてください。

○武内福祉人材確保対策室長 今、確認しましたところ、現在のカリキュラムの中でもコンプライアンスに関する事項は入っているということであります。

○柳川委員 どうもありがとうございました。

○高橋委員 座長、何でもいいですか。

○田中委員長 どうぞ。

○高橋委員 先ほど時間だと言われて、本当はあと2倍しゃべりたいのですけれども、申し上げることができませんでしたので、どなたもおっしゃいませんので、私にちょっと時間をいただきたいと思います。

 こんなこと言ったらまた怒られると思うのですけれども、福祉系高校は平成19年度に非常に厳しい、けんかを売る気で言っているのではないのですが、あたかも介養協のほうが専門家であるというお話のもとで、質の高い介護福祉士を養成するのは高校生では無理ではないのかというような、生徒もそういう見方をされ、もう一つ、教員もそういう見方をされたのです。私はこのことについて非常に腹が立ったのであります。

 教員というのは質が低いと言われると、私のことを言われている。私は質が低いのですけれども、それでもそれなりのことはやってきていますので、大学の先生にはおくれはとらないと自分では思っておるものですから。本当はとっているかもしれませんが。

 高校の先生には、福祉課の教科を持っていても、ほかにいっぱい資格を義務づけられたのです。これもやれ、あれもやれと、そうしないと生徒に教えられないという義務づけがされました。それでも資質の高い介護福祉士を養成するのだということであるので、福祉系高校としては、とにかく一生懸命、文科省と厚労省の言うことには従ってやっていかなければいけないと思って頑張ってきたのですが、今日に至るまで福祉系高校はそのまま、ほかのほうはどんどん緩和されてきているということです。

 私はここで福祉系高校の教員に対して、厚労省と文科省が義務づけている研修制度を毎年やってほしいとは言いませんが、2年に一遍とか3年に一遍ぐらいずつは継続をしていただきたい。そうしなければ、質の高い介護福祉士を何千人も世に送り出すということが途切れてしまうと思います。

 公立の先生というのは異動があります。私立の教員は定年があるのです。そうすると、厚労省と文科省で義務づけている資格の講習等ができなくなると、自動的に福祉系高校は教員がいないから消滅をする。なくするのであれば、それが一番簡単に消滅させる方法かもしれませんけれども、私は福祉系高校の理事長の立場においては、これはぜひ継続していただきたい。

 本当はここでもっておしまいだったのですが、課長さんにやめろと言われたのでやめました。

 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 川井委員、どうぞ。

○川井委員 先ほどの御説明でいきますとその3になりますので、ここでの私が考えます大きな課題としましたら、資格取得方法の一元化というところになりますので、延期になっておりました介養協が国家試験に向けてどう準備をしていくのかということになってくると思うわけです。

 そうしましたときに、これまで延期が2回ありましたので、要はまたかと言われないようにしないといけないと思います。そうしますと速やかに国家試験を実施ということが理想なのかもわかりませんが、速やかな実施と言いましたときに、学生が不利益をこうむるようなことになってはいけませんので、ここをよく考えながら、かつできるだけ早い時期に導入できるという方法で検討していくことが必要かと思います。

○田中委員長 西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 ありがとうございます。

 介護ニーズの多様化とか高度化、それから医療との連携。ますます介護職員の質の向上というものが課題となっていると思うのですけれども、その育成の役割を担うのは何といっても介護福祉士を養成する養成施設とか大学、短大、さらには今度、実務者研修の実施機関というもの、受験資格を取得するための実務者研修を実施する事業者ですが、このあたりの育成プログラムの質の向上を目指していく必要があるのではないかと思っています。

 現状、養成施設のカリキュラムにつきましては卒業後の国家試験の導入を是とするのであれば、高校卒業者にとって一段上の魅力といいますか、現場に行く手前で、いきなり現場に行くよりもまずは学校で学びたいと思えるようなカリキュラムをぜひつくっていただきたいなと思っています。

 さらに言えば、入職後に有意となるようなインセンティブというものも、進学者にとっては必要なことではないかと考えております。

 また、実務者研修の実施主体でありますが、現状を申し上げますと、旧基礎研修が実務者研修に移行したと理解されておるためなのか、実態としては初任者研修実施事業者がそのまま実務者研修にも参入しているという状況がございます。医療との連携のカリキュラムというのをこなせるだけの設備とか講師を備えているかというのは疑問な点も多々あります。そうした中で質の確保を言うのであれば、むしろこの分野を養成施設なり大学、短大なりがもっと担ってもよいのではないか、そういった分野にも進出してもよいのではないかと考えます。

 そうしないと、一元化は単に若者が養成施設に行こうとする動機を失わせるだけでなくて、実務ルートとの不公平感が出てくるのは否めないのではないか。現状でも福祉系高校と養成施設のカリキュラムが同一だということでありますので、一元化の時期が延長となっていますが、養成施設の役割、機能、そして実務者研修の内容、実施機関、位置づけなどについてしっかりと固めて、それを若者に対してアナウンスしないと若者が混乱するだけではないか。

 要は、若者がこの業界に入って、しっかりキャリアパスができる仕事だということを、養成施設を初め関係者の方々にお願いしてしっかり示していかないと、ますます若者の介護離れが進むのではないかと危惧しております。

 高校生であれば、いきなり現場で働くよりも、まずは養成施設とか福祉系大学に進学しまして、知識・技術を身につけるというのが普通ではないかと考えておりますし、そのほうが親も安心して進学させることができるのではないかと考えております。

○田中委員長 鎌倉委員、どうぞ。

○鎌倉委員 専門職というのを考えますときに、専門職を育てる教育システムが適切にあるかどうかということがはじめにあると思います。そして、教育を受けそれをクリアしたということを示すための国家試験等の試験、そういうことで一定の水準を持っていることをちゃんと確認をすることが必要だと思います。一元化のことについては、速やかにやられたほうがいいと考えます。

 そして、専門職の質の担保ということになりますと、後のフォローアップの重要性が言われる今、認定介護福祉士等の形で質の担保をするというシステムも必要だろうと考えます。

 速やかな一元化実施をされるということを希望します。

○田中委員長 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 大変ふざけた言い方に聞こえるかもしれませんけれども、サッカーは今、天皇杯をやっていますが、高校もプロも参加できているのです。例えば、介護甲子園ではないですけれども、せっかくこれだけの全国の団体の方がいらっしゃるので、競技大会ではないですが、そのようなイベントみたいなものを通じて啓発するいうのも有効ではないのかなというのが、民間的な発想としては感じた次第です。

 今、非常に重要な議論をしている中で非常にふざけた言い方かもしれないのですけれども、そういったやわらかい観点で、それぞれの高校なり大学なりをアピールする共通の場みたいなものがあってもおもしろいのではないかと思いました。

 以上です。

○田中委員長 小林委員、堀田委員の順でお願いします。

○小林委員 福祉系高校、高橋先生が大変努力をされて、若い高校生を介護業界へ送り出していただく、これはこれで私は重要な仕事の一つかと思うわけであります。問題なのは私どもの各地方の学校で、特養などを含めて地方の介護事業所なのですが、地域にある高等学校を回って、その卒業生を集めて介護福祉士になるには養成校へ行く必要はない、養成校へ行くのは無駄だと。そして、高校卒業でも自分のところで3年間働けば自然に介護福祉士を取れるようにちゃんとできるのだと言って、高校生を入れていただいた地方の施設がたくさんあるそうでございます。ところが、ほとんどが1年以内に、こんなはずではなかったということでその人たちはやめてしまうというのがほとんどだと実は聞いているのです。

 これが一つの問題であるかと思いまして、私は例えば北欧などを回って、フィンランドとかデンマークとかドイツなどを回って、介護の専門職の養成というのはほとんどが高等教育機関での養成が基本になっていると。それから、学び直しの学生というのが非常に多くて、学んでいただいている方々の平均年齢が2627歳だというのがほとんどなのです。

 そういうことを考えると、いわば介護というのはまさに人格あるいは人権の保障ということが大切であり、人の命や死生観を厳格にプロとして感じとって、個人の個性の違いを理解した上でしっかりとしたアセスメントを行い、エビデンスに基づいた介護サービスを提供する、そういうプロフェッショナルとしての自覚が介護職員には求められるということが基本にあると思うのです。

 高校を卒業して、有能な方は試験を受けて、そしてなられるという道もこれはこれで必要かとは思うわけでありますが、やはり専門職というものをどう捉えていくかということが大きな議論の分岐点の一つだと私は思っているのです。

 ただし、人材は確保しなければいけない。ですから、機能分化論を今回きちっと出していただいたのは、私は大きな進歩だと思っております。

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 ありがとうございます。

 幾つかありまして、1つは確かに研修の一元化をしていく上で、それなりに時間とさまざまなコストをかけながら研修を受けていくときに、先ほどの前半の議論と関連するのですが、結局受ける研修が、それがどこの場で受けようとも、現場のニーズに合っていないものになるリスクを常に持ちながらやっているので、研修の中身、カリキュラムの中身がしっかりと前半の議論にあったように、現在のニーズが常に振り返られて入っていくようなサイクルを確立していくことが非常に重要ではないかと思います。

 それから、それぞれの養成施設あるいは福祉系高校が、今、学び直しという話もありましたけれども、なってからさらに伸ばしていくというところに対しても、より資源を開いていただくことにも期待します。

 福祉系高校は、私は幾つか行かせていただいたことがありまして、特に地方での福祉系高校などでは、結構地域全体の事業者さんで余り力があるところがなくて、福祉系高校がとても伝統があるところの場合は、福祉系高校の卒業生ネットワークの中で物すごく学び合いがあったりとか、あるいは事業者さんが福祉系高校に研修を頼んでいるようなところにも出会ったことがあります。私が直近で行ったところは食物・福祉科というのをつくっていたと思うのですけれども、同じ学校の中でニーズに応じた形で柔軟なコース設計をしているところもあったりしましたので、これまで担ってきた養成に係る機能が、これから地域包括ケアシステムの構築の中で、これが全て先細っていくということではなくて、どのように着地できるのか。これまで、着実に果たしてきた機能というのがあるので、先ほど御指摘になったような入ってやめてしまうというのは高校のみならずどこでもあるので、その議論と切り離してこの福祉系高校の地域の中での、広く人材の生涯にわたっての養成の基盤というような位置づけも、一度整理をする余地があるのではないかと思います。

 以上です。

○田中委員長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 先ほどの小林委員の御指摘の点についてですが、事業所にとっては数の確保が先行するようなところが中にはある。しかし、そういう意味で無資格の人ないしは高校卒の人をすぐ受け入れたとしても、その後の事業所の教育システムが非常に重要なのではないか。業界の中でもそのようなお話をしております。したがって、先ほどの御指摘のようなケースは、やはり事業所側の意識の問題も一つあるのだろうと思います。

 しかし、一方で高校の先生方とお話をしておりますと、安易な非常に受け入れやすい就職先のような、そういう意識がありまして、そこも改めていかないといけないのではないか。簡単に就職できる場所、一旦送り出せばそれは就職したということで終わってしまうような高校側の安易な就職指導がまずいのではないかと思います。

○高橋委員 ちょっといいですか。

○田中委員長 どうぞ、高橋委員。

○高橋委員 ちょっと黙っていられないな。

○武居委員 養成校の話ではないです。

○高橋委員 話を聞いていると、非常に私の認識と全く違う御発言ばかりですので、これは黙っていられません。

 私は以前にも全国650ぐらいの施設、青森県はもちろんです。青森県は皆、理事長さんとか施設長さんとはざっくばらんに常にコミュニケーションを図っております。

 それから、今はまずそちらの方ね、就職しやすいところ、安易な就職口とおっしゃっているけれども、確かにそういう捉え方をするのでしょうか。高校はそうは思っていませんよ。

 現場実習を3年間していて、そこで、あなたいい子だねとか、まじめだねということで、卒業前に大半の子供は、うちに来てくれ、うちに来てくれと、うちの学校の場合はそういうことで就職が決まっていっておるのです。ちゃんと県庁にも、役場にも就職はしているし、自衛隊にももちろん行っているし、福祉施設だから簡単に安易に行くところだなんて、これはどこの学校でもそういう指導はしていません。

 それから、高校さえ行けば何ですか、あなたはおっしゃっていましたね。行かなくても高校で資格を取れるから行く必要がないとかというようなことをおっしゃいませんか。

○小林委員 いや、そうではなくて、高校を卒業した人のことを施設側が3年間自分のところで就労しながら教育をして、介護福祉士の資格を取れる。したがって、高校を卒業して養成校などは行く必要はないという話が現場では出ていたと御紹介申し上げたのです。

○田中委員長 それは一般高校ですね。

○小林委員 一般高校のことです。

○田中委員長 武居委員の発言に対し誤解があったようですので、説明をお願いします。

○高橋委員 それから、福祉系高校の卒業生の離職率は低いのですよ。4.何%ですから、そういうことも以前に、私はアンケートを偽造していませんので、アンケートで出たとおり真実を報告しておりますので、福祉系高校の就職率は、就職率だけでなく、就職した後も長く勤めているということは認めていただきたいと思います。

○田中委員長 武居委員どうぞ。

○武居委員 すみません、高橋先生は誤解があったのではないかと思うのですが、私が申し上げたのは福祉の現場のことをよく知らない高校、つまり一般高校の中の就職担当者の先生の中にそういうケースがあるというお話をさせていただいたので、先生の団体のことについて申し上げたのではないので、ぜひ誤解のないようにお願いいたします。

○田中委員長 川井委員、どうぞ。

○川井委員 今のお話からちょっと変わってくるのですけれども、その1、その2、その3全体を通しての話ですが、例えばその1のところでありましたらキャリアパスを具体的に設計していくべきではないかとか、介護福祉士の機能・役割について、介護福祉ニーズの多様化・高度化に対応したものとすべきではないかとか、ここに書いてあることに対して皆さんが今、意見を出してきたわけですけれども、それに対して反対の意見とかはなかったように思うわけです。皆さん、同じような方向性かと思っています。そうなりますと、これをこれからどう進めていくのかということが具体的に記載されていかなければいけないのかなと思います。

 そうなれば、例えば検証していくとか、先ほどの設計を考えていくとか、そういうことを考えましたらこれから1年でということにはならないのかと思いますので、1年検証し、さらに法整備をしていくものがあればというようなことを進めていくとすれば、今後3年ぐらいはかかるかと思っています。

○田中委員長 福間委員、お願いします。

○福間委員 この資格取得の一元化については現場でも随分意見があり、混乱があったために、結果として延長するということになってきたかと思うのですが、やはり背景には深刻な人材難の中での現場ですと、当時500時間とか450時間を繰り出すときの代替職員がなかなか困難だとか、そういう不安感から来るものも相当ありました。今回、いろいろ検討いただいて柔軟に対応できるようなことで、結果的にこの一元化により、介護福祉士という資格取得のゴールがきちんとされるということは国民から見ても非常にはっきりすることで、私はそれでいいのではないかと思います。そのための調整をずっとしていただいたものとして、団体内でもコンセンサスはつくられてきたのかなと思っております。

 先ほどの議論にもありましたけれども、現場で介護福祉士というライセンスを持った人が、高校で頑張って勉強して現場で1年働きながら勉強もして試験を合格するという最短19歳から、専門学校に入って養成校を卒業して20歳で来る人と、現場に普通に入ってくると20代でも割と半ばぐらいですから、それから実務経験を経て資格を取ると20代後半が一番若い人だと思うのです。

 介護福祉士というライセンスそのものでも10年ぐらいの幅のある人たちがいる中で、先ほど来の議論の中でもやはり介護福祉士というものをより高度な専門職として位置づける場合、その人自身の人生のキャリアみたいなものがどうしても現場では、介護の場合は出てきてしまう。それを踏まえてやっていると混乱しますから難しいことですが、ただ単純に、例えば図の中に出ていました調整とか能力とかというバツバツのマークのあそこまで、8ページのA、B、C層のA層が介護福祉士のある程度の者だとすると、現場ではそこにそれぞれの能力の特質みたいなところで違和感が、同じ介護福祉士でも持ってしまうことから来る不信感が出てきてしまう。そのあたりは当然研修なり、そういうものの中できちんとつくっていかないといけない。

 ただただ、試験の中身を濃くしても難しいし、養成のカリキュラムを難しくしてもそうはいかない部分はたくさんあります。そのあたりについて、介護福祉士のステップの中で、免許を取るところまでのハードルをどんどん厳しくするというのは現実的ではないように思います。

 それだけプラスで申し上げておきます。

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 3というよりも、先ほどの川井委員のおっしゃったことと通じるというか、この後の進め方ということに関連してなのですが、少し4ページのところでも申し上げたと思うのですけれども、どれぐらいのタイムスパンでというのはさまざまな事情があると思うので、具体的にということではないのですけれども、これから期待することとして、この方向性で合意されたとして、具体的にどのように類型化・機能分化をするのかということに関しては、先ほども申し上げましたけども、できれば地域レベルでより実務的な形でケースを通じて、本来は多職種ですけれども、そこまで一気に難しければ、せめて高齢、障害、母子。福祉人材を通じた形で、現状の役割分担と今後望ましい役割分担ということを、かなり具体的に議論するフェーズが第1段階で必要だと思います。

 それと並行した形で、この介護福祉士の試験の話もそうだと思いますが、その中身も含めて継続的に現在の世の中のニーズに応じた形で、関連する職業資格の中身を高め続けていくということに関する枠組みをどう設定するのか、何年おきかにこういった会議をやっていくということでいいのかどうかということも、もう一度整理していく余地があると思います。

 あわせて、1つ目の具体的な役割分担のことの議論を進めていく中で、ある程度そのモデルが出てきたとすると、結果的にこの機能分化の目的というのも、全体として持続可能なケアを支えるモデルをつくっていくということだと思いますので、その幾つかの地域なりで具体的な役割分担のモデルができてきたとして、そのような機能分担でやっていった形に、チームをつくってやっていったとして、質と効率性の両面からいい結果が得られるのかということを検証するということも組み込んで今後のプロセスを考えていただきたいと期待します。

 以上です。

○田中委員長 時間になってまいりました。よろしゅうございましょうか。

 川井委員、どうぞ。

○川井委員 済みません、一言追加なのですけれども、先ほどの御意見に対して、要は介護福祉士に必要な能力の中で、介護実践力や改革、それから改善力、マネジメント能力。これらについては今の中でやっていくべきではないか、新たに養成の中で膨らますものではないのではないかというような意見だったかと思うのですけれども、やはり今後の議論の中で深めていく中で、今の1,850時間の中で何が不足しているのかということを考えながら、さらにどういうものが必要になってくるのかということを考えていく場にもなったらいいのではないかと思っております。

○田中委員長 そうですね、ケアの力を強めることはもちろん必要だけれども、例えば他者への指導力とか改革、改善は、先ほど福間委員が言われたように二十の若者に求めるのはちょっと厳しいですよね。介護福祉士としての資格、入職の時の訓練と、その後勤めているうちについてくる力をこの図では一緒に書いてありますが、本当はAで何年たったら全部プラスプラスになっていくという理解のほうが正しいのでしょう。

 左のほうの業務遂行力とか多職種と連携する力、これは福祉士である以上は持ってほしいですが、右側のほうは入職1年目の人に求めることは、介護福祉士に限らず看護師でも会社員でも無理ですから。

○川井委員 やはり、養成の中でやらなければいけない部分というのもあると思うのです。もちろん、経験の中で培われていくものもあると思います。

○小林委員 体系的な教育も必要だとおっしゃっているわけですね。

○川井委員 そうですね。実習と体系的な教育があわさって専門教育が充実するということです。

○田中委員長 そのとおりですね、ありがとうございました。

 武居委員、どうぞ。

○武居委員 今回、介護福祉士の資格についての話や介護人材の話になるわけですが、介護福祉士は介護福祉士、社会福祉士は社会福祉士という別々の体系としての検討ではなくて、やはりその共通部門をどう確保していくのかということもあわせて考える必要があるのではないかなと思います。

 就職先ということを考えてみますと、確かに介護のほうは非常に引く手あまた。一方で、社会福祉士のほうは社会福祉士として任用される職場がなかなかない。同じ福祉の業界の中で、教育的には、言ってみれば社会福祉士のほうがより高い教育であるような現実の中で、なかなか就職先がないというのを考えると、これは非常にもったいない話でもあると思うのです。そういう意味で、両者の共通点とそれぞれの違う専門性、この辺もやはり整理していく必要があるのではないかと思います。

○田中委員長 御議論ありがとうございました。

 本日の議論を通じて介護人材の全体像や、その中で中核を占めることが期待されている介護福祉士のあり方について理解が深まったように思います。引き続き、次回の委員会で具体的な対応についての議論を行います。予定の時間となりましたので、ここまでといたします。

 最後に、事務局より連絡があればお願いします。

○西辻総務課長 次回の日程でございますが、現在調整中でございますので、別途また御連絡をさせていただければと存じます。

○田中委員長 本日の委員会はここまでといたします。

 皆様、お忙しい中ありがとうございました。


(了)

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