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2014年10月27日 第1回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成26年10月27日(月)14:00~17:00


○場所

イイノホール&カンファレンスセンター「RoomA」
(東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング4階)


○出席者

田中滋 (部会長)
石橋真二 (委員)
鎌倉克英 (委員)
川井太加子 (委員)
(代理:西條由人参考人)
小林光俊 (委員)
高橋福太郎 (委員)
武居敏 (委員)
花井圭子 (委員)
(代理:河原至誓参考人)
堀田聰子 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

(1)委員長の指名について
(2)介護人材確保の具体的な方策について

○議事

○西辻総務課長 それでは、定刻よりまだ若干ございますけれども、出席予定の委員の皆様がおそろいになりましたので、ただいまから第1回福祉人材確保専門委員会を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 委員長を選出いただくまでの間、議事進行を務めさせていただきます社会・援護局総務課長の西辻でございます。

 では、まず開会に当たりまして、社会・援護局長の鈴木より一言御挨拶を申し上げます。

○鈴木社会・援護局長 社会・援護局長の鈴木でございます。

 本日は、皆様御多忙の中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。

 御案内のように、2025年に向けまして、福祉人材の確保が喫緊の課題になっております。とりわけ介護人材につきましては、その確保に向けまして、国として大きな道筋を示すとともに、実効性ある対策を講じていくように強く求められているところでございます。

 こうした点を踏まえまして、この専門委員会におきましては、人材確保のための制度的な対応につきまして、年内を一つの目途として御検討をお願いをいたしたいというふうに考えてございます。

 厚生労働省におきましては、この委員会で御検討いただいた内容も踏まえまして、今後の介護報酬改定、あるいは予算対応なども含めまして、人材確保のための総合的な方策を策定をしてまいりいというふうに考えております。また、この方策も踏まえまして、必要な法律の改正、あるいは8年ぶりとなりますけれども、人材確保指針の見直しなども進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 年末まで大変タイトなスケジュールでございますけれども、委員の皆様方におかれましては、精力的に御検討を進めていただきますようお願いを申し上げまして、御挨拶にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

○西辻総務課長 それでは、本日御出席の委員の皆様を五十音順で紹介をさせていただきます。お名前のみの紹介とさせていただきますので、所属、役職等につきましては、お手元の資料1の2枚目の委員名簿で御確認をいただければと存じます。

 まず、石橋真二委員でございます。

 川井太加子委員でございます。

 小林光俊委員でございます。

 高橋福太郎委員でございます。

 失礼いたしました。鎌倉克英委員を飛ばしてしまいました。鎌倉克英委員でございます。

 武居敏委員でございます。

 田中滋委員でございます。

 花井圭子委員でございます。

 堀田聰子委員でございます。

 柳川純一委員でございます。

 また、本日は黒岩祐治委員、福間勉委員から御欠席の連絡をいただいております。

 なお、黒岩委員の代理として神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人に、また、福間委員の代理として公益社団法人全国老人福祉施設協議会介護人材対策委員会幹事の河原至誓参考人にお越しをいただいております。

 西條参考人及び河原参考人の御出席について、委員会の御承認をいただければと思いますが、いかかでございましょうか。

(異議なしと声あり)

○西辻総務課長 ありがとうございます。

 御出席の委員の方が3分の1を超えておりますので、本日の会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 また、事務局からの出席者につきましては、お手元の座席図のとおりでございますので、紹介にかえさせていただきます。

 続きまして、お手元の資料を確認いただきたいと存じます。

 皆様のお手元には資料ナンバー1から5まで5種類の資料を配付させていただいております。

 まず資料1でございますが、社会保障審議会福祉部会『福祉人材確保専門委員会』の設置について、資料2以降はA4横の資料になりますが、資料2が介護人材の確保について、資料3が福祉人材確保対策検討会における議論の取りまとめ、資料4が(参考資料)福祉人材確保対策検討会で示された意見、資料5が介護人材確保の具体的な方策についてでございます。

 よろしいでしょうか。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 まずは委員長の指名についてでございます。

 本委員会の委員長でございますが、資料の1をごらんいただきたいと思います。社会保障審議会福祉部会『福祉人材確保専門委員会』の設置についてという資料でございますが、この2.構成等のところに専門委員会に委員長を置き、委員長は部会長が指名するというふうになっております。

 福祉部会の部会長に御指名いただくに当たり、事務局のほうで何人かの委員の方に伺いましたところ、部会長である田中委員に引き続きこの委員会の委員長も御就任いただきたいけれどもどうだろうかという御意見でございました。そのような状況を含めまして、田中部会長に御相談申し上げたところ、委員の皆様の御賛同をいただけるのであれば、委員長を引き受けてもよいとの御意向でございました。

 そこで、事務局から委員の皆様に確認をさせていただきたいと思いますが、福祉部会の部会長である田中委員に本委員会の委員長をお願いするということでいかがでございましょうか。

(異議なしと声あり)

○西辻総務課長 ありがとうございます。

 それでは、御自身を指名するという形になって大変恐縮ではございますが、田中部会長に御自身を本委員会の委員長に指名していただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○田中委員長 事務局とも相談しましたけれども、親部会との関係と、前に行われた検討会との関係もあり、また、今、局長が言われたように、期間が大変短いので、この際自分で引き受けてしまうことにいたしますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。審議については皆様のお力を必要としております。

○西辻総務課長 ありがとうございました。

 では、以降の進行は田中委員長にお願いいたします。

○田中委員長 早速議事に入りましょう。

 本日は介護人材確保の具体的な方策についてを議題といたします。

 初めに、資料について事務局から、武内室長から説明をお願いいたします。

○武内福祉人材確保対策室長 それでは、福祉人材確保対策室長の武内でございます。

 お手元の資料、3種類のものがございます。資料2については、こちらで議論を進めていただくに当たっての基本的なデータ集、3、4が福祉人材確保対策検討会の取りまとめなど、資料5が本専門委員会での議論に要するための論点などという構成になっております。少々お時間をいただきまして、皆様御案内の部分、多いかと思いますが、全体の資料について御紹介をさせていただきます。

 まず資料2介護人材の確保についての基礎的なデータに関する資料です。

 1ページ目をご覧いただきますと、この資料の構成は、介護人材をとりまく現状と見通し介護人材確保に向けた課題と取組介護福祉士資格の取得方法、そして、介護人材確保に係る最近の議論等という構成になっております。

 ポイントをかいつまんで全体を御紹介させていただきます。

 それでは、2ページを飛ばしまして3ページから介護人材をとりまく現状と見通しについてです。

 3ページにございますように、介護職員は、就業形態、年齢構成、この双方を見ましても、正規、非正規という雇用形態もさまざまですし、あるいは年齢構成、下の段を見ていきますと、この青く囲んであるところを中心的な労働供給源としながら、さまざまな年齢層、男女の比率で構成されているという、介護業界、介護職員の現状がいろいろな組み合わせになっているということがわかるかと思います。

 4ページをごらんいただきますと、あわせまして、訪問介護員、左、右に施設等の介護職員、緑色に常勤、青に非常勤という形で、直感的に面積の大きさで人数のボリュームを示しています。このように介護業界におきましては、訪問、施設等の違いに応じても常勤、非常勤、さまざまな方々が入っている業界だということがわかります。

 また、この下に小さい数字で採用率、離職率というところも記させていただいており、訪問介護については常勤、施設等については非常勤の方々の離職率が高いという傾向が見てとれます。

 5ページにまいります。そのうち、名称独占の資格である介護福祉士の方々がどれだけおられるのかというデータです。

 青では、介護福祉士の登録者数が110万人に平成24年度に至っているほか、実際に従事されている方は63万人ぐらいということで、表の一番右下のところにありますように、介護福祉士の従事率は58.4%、6割弱というふうになっております。

 6ページにまいります。訪問介護員(ホームヘルパー)につきましては、さまざまな研修を経て介護に従事されているということが多いのですけれども、1つの参考の数字としましては、訪問介護の養成研修修了者数、一番右の数字のところでは、383万人、単純合計となりますが、こうした方々がホームヘルパーを担われる可能性のある人材プールとして存在しているということがわかります。

 7ページにまいります。7ページは賃金の水準についてです。

 こちら、黄色い部分が介護に関連する部分の数字でありまして、一番下、ホームヘルパー、福祉施設介護員につきましては、男女計、左から3つ目のところを見ますと、決まって支給する現金給与額、月額218,000円、219,000円という水準が出ております。これらを他の医療関係、福祉関係の専門職種として並べた表がこちらの表です。

 8ページにまいります。賃金の初任給につきまして、勤続年数1年未満の方々の給与額はどのくらいかということで、左が19歳以下、右が2024歳ということで、若干年齢が上がると上がりますけれども、やはり産業計に比べてはやや低い傾向にあるということがわかります。

 9ページにまいりますと、介護職員の方々が保有資格に応じて給与が上がっているということも見てとれます。一番下の無資格から初任者研修、介護福祉士、ケアマネジャーと上がっていくに従って、実賃金という部分が上がってまいります。

 次に、量的な話にまいります。10ページです。介護保険制度施行以降、介護職員がどのように推移してきたかというデータです。

12年度の施行時からおよそ3倍強の規模感で増加をしてきております。一番最新の数字では176.5万人。一定の補正を加えておりますが、176.5万人という数字になってきております。

11ページをごらんいただきますと、こうした介護職員の順調な伸びの中でも、なお人材の不足感があるということを示しています。

 左のグラフでは、青い部分が介護の有効求人倍率、赤のラインが介護の失業率ですが、青の有効求人倍率は近年伸び続けています。グレーの部分を拡大したものが右になっております。これら経済情勢やさまざまな社会経済上の要因によって上下動していますが、やはり現在なお人材不足感が高まっているということが見てとれます。

12ページです。全国の状況だけではなく、全国の各地域の格差について記したものです。

 こちらをごらんいただきますと、赤の棒グラフでは、介護の有効求人倍率、各県によってばらつきがあります。東京あるいは愛知では4倍近い有効求人倍率があり、その後にも岐阜県や千葉県などが続いております。ただ、下の四角囲いにありますように、今後高齢化の色彩が各地域によって異なる中で、地域の特性に応じた対応が必要になるであろうということが読み取れます。

 次に13ページです。離職率・採用率の状況についてです。

 緑色が介護職員、紫色が産業計です。こちらを特に右下の折れ線グラフを見ていただきますと、介護職員については、かつて20%を超える離職率から、最近では1617%まで低下をし、まだ産業計に比べると若干高い水準にはありますが、最近はやや落ちついてきているという状況にあります。

14ページです。介護人材の不足感について、その要素を分解してみたものです。

 アンケートに基づいた結果ですけれども、訪問介護、右上の施設等の職員について、不足感がどれぐらいあるかというアンケートの結果です。オレンジ色の高さが不足があると答えた方々のかさの高さです。

 その理由について、下の段、採用が困難である。事業拡大したいが人材確保できない。そして離職率が高いといった順番で不足感の理由が述べられているところです。

15ページにまいります。今後どうなるのかということですけれども、これは、平成24年の3月に行われた医療介護に係る長期推計での数字です。推計値で平成24年度(2012年度)で149万人、一番右の平成37年度(2025年度)には237249万人という形で推計をされております。

16ページにまいります。こうしたマクロの推計が平成24年度に行われたことに続きまして、現在、各都道府県ごとの介護人材の需給推計の作業をしていただいています。

 下の棒グラフでは、そのプロセスを図示しておりますけれども、現在、国が作成をした需給推計のワークシートに基づいて、各都道府県において2025年度までの都道府県別の介護人材の需要と供給の推計をしていただくという作業の最中にあります。現在、一時的な集約作業を行い、都道府県の皆様とコミュニケーションをとらせていただきながら、需給推計の作業を進めているということも含みおきいただきたいというふうに思います。

17ページ以降、人材確保に向けた課題と取組についてです。

18ページでは、介護に対するイメージ。赤く囲ってある部分についてはネガティブなイメージ、それ以外はポジティブなイメージとして、両者相半ばしているということがわかります。ただし、きつい仕事、給与水準が仕事という問題意識をどう捉えていくかということが課題になります。

19ページ、20ページにかけては、介護福祉士の方々が職場を選択した理由とやめた理由というのが挙げられております。

 こちらを見ますと、19ページでは、やりたい職種・仕事内容、あるいは3番目の能力や資格が生かせるなど、介護という仕事への志、思いという部分が非常に強く出ているということに対し、20ページをごらんいただきますと、やめる時点では、結婚、出産・育児ということのほか、2番目と3番目、法人・事業所の理念や運営のあり方への不満、職場の人間関係の問題など、マネジメント、雇用管理の部分が大きな離職の原因になっているということが見てとれます。

21ページ、この離職ということに関しまして、縦軸に事業所の割合、横軸に離職率の階級を分けております。これをごらんいただきますと、介護業界の離職率と申しましても、10%未満という低い離職率にとどまっている事業主も5割から6割程度あるという一方で、30%以上の離職率にあるところも2割ぐらいあるということで、この二極化あるいは多極化という状況についての問題意識を共有させていただきたいというふうに思います。

 次に、22ページでは、離職率ということについて事業所規模別・法人格別で見るとどうなるかということを示しています。一言だけ申し上げますと、左のグラフでは、規模が大きくなるに従って離職率はやや低くなる傾向が見られるということが見てとれます。

23ページです。23ページから24ページにかけては、この現在の状況に対して、どのような施策的な取組がなされているかということであります。

23ページでは人材の量と質の好循環を促していく。そして、そのための環境整備をしていくというコンセプトを、この3つの取組を一体的に進めていく必要があるということを23ページでは述べております。

24ページでは、それらの施策について、具体的に、何を今やっているのかということについて、現在講じられている施策のメニューを一覧的に示しております。

 このうち、主軸となるのが福祉・介護人材確保緊急支援事業というもので、左上の四角の一番下であるとか、右のキャリアアップ支援の一番下であるとかというところに括弧内で記載をされております。

 これを具体的に取り出したものが25ページです。

 福祉・介護人材確保緊急支援事業という形で、平成25年度、520億円の基金の中の内数ということになりますが、基金という形で所要額の積み増しを行う中で、下にありますような4つの事業を中心とした各都道府県ごとの状況に応じたメニューで事業を展開しております。

 そして、26ページは、こうした都道府県での取組について、一部の先進的あるいは積極的な事例というのを4つ御紹介をさせていただいております。

 この中では、京都府におかれては、2つ目の、福祉人材育成認証制度というもので、人材育成に積極的に取り組む事業者の見える化を図っておられる。静岡県については、介護職員の賃金水準向上に向けた取組方針を発表し、モデル給与表やキャリアパス基準例を作成するなどの取組をされておられる。あるいは埼玉県では、介護職員合同入職式などの実施。岡山県では、地域の法人が学び会う、そういった機会をつくり出すといったような取組をされておられます。

 これらの26ページ、それぞれの県について詳しく述べたのが27ページ以降なんですけれども、特に27から31ページまでは、京都府の取組を紹介しております。

 若干触れさせていただきますと、28ページ、都道府県における介護人材確保・定着に向けた取組例(京都府)のきょうと福祉人材育成認証制度についてというものを一部紹介をさせていただいております。

 この中では、各事業者が人材の育成に取り組んでいる場合に、審査を経て認証を行うということを府下で行われておられるということになっております。そして、29ページには、その具体的な評価の基準というものが御紹介をされておりますし、30ページでは、認証事業所を公表し、若者へ働きやすい職場として推薦をするというような使い方をされているということ。31ページには、取組の状況、事業者の数、それから、制度開始後の効果例として、これは検証中でありますが、事業所がそれぞれ抱える課題を明確化し、意識の向上につながっているということも御参考までにつけさせていただいております。

32ページには静岡県の例があります。こちらは割愛をさせていただきまして、33ページでは、介護報酬に関しまして、人材に関しては、これまで類似の取組によって処遇改善の取組など、あるいは介護報酬の改定が行われてきたということが示されています。

34ページでは、福祉人材センターというものが都道府県単位で置かれておりますが、こちらで福祉に関しての就労あっせん、啓発・広報、相談支援などを行っているということを御紹介をさせていただきます。

 そして、35ページ以降、こちらは後ほど御説明いたしますが、直接的には第2回の委員会での議論に供する部分が多いと思いますので、どういうものが入っているかということだけ御紹介をしたいと思います。

36ページでは、実務経験、養成施設、福祉系高校ルート、3ルートによる介護福祉士の資格取得方法があり、その内容について示しております。

37ページには資格取得方法の一元化についてのこれまでの経緯、38ページから39ページにわたっては、過去の19年、23年の関連する検討会の報告書の概要ということをつけております。

40ページには、資格取得方法の見直しの施行延期、さきの通常国会で成立した医療介護総合確保支援法での内容について御紹介をしております。

41ページは各種カリキュラムの比較。42ページは実務者研修の概要。43ページからも実務者研修の目的などが記載をされております。若干、このあたり駆け足になって恐縮ですが、以下、実務者研修について議論に供するための資料がずっと続いております。

47ページにまいりますと、介護福祉士養成施設の入学者数、定員充足率についての資料がございますし、この議論のために、離職者訓練とは何か、あるいは介護福祉士の就学資金貸付制度とは何かといったものも48ページ、49ページにございます。

50ページでは、福祉系高等学校の定員数と入学者数ということを記載をさせていただいております。

51ページ以降は、介護人材確保に係る最近の議論ということで、52ページ、53ページでは、昨年の介護保険部会での取りまとめの抜粋がついております。

 その介護保険部会で出された資料が54ページから55ページにわたってあります。こちらも割愛をさせていただいて、その上で56ページ、ことしの通常国会で出された医療・介護総合確保推進法において、人材確保に関しまして、この3点が盛り込まれていますというおさらいになります。

 1つ目が新たな財政支援制度ということで、厚労省が定める総合確保方針に基づいて、都道府県が人材確保の取組を行っていく。このための新たな財政支援を行っていくということ。2つ目が介護人材確保のための検討ということで、法律の公布後1年を目途として検討を加え、所要の措置を講じるという本委員会の前提となっている部分も御紹介をさせていただき、3番目では、介護福祉士の資格方法の見直しという部分で、施行が延期をされているということになっております。

 この1番について詳細に引き延ばしたのが57ページの新たな財政支援制度ということで、27年度から介護部分についてもスタートをします。

 そして、58ページには、地域における医療・介護総合確保方針の内容が書いており、この中では5番で介護従事者の確保に関する事業というのも盛り込まれております。

 最後に立法府の動きですが、59ページ、介護・障害福祉従事者処遇改善法という議員立法において、処遇の改善について財援の確保も含め検討を加え、必要があるときはその結果に基づいて必要な措置を講じるという形で立法がなされております。

 これが基本的なデータとなります。

 その上で、介護人材確保については、ことしの6月から福祉人材確保対策検討会というところで議論を進めてまいりました。その検討会では、こちらの委員会で御議論いただく前提として、福祉人材に係る論点の整理及び基本的な方向性について議論をしていただきました。そちらも御紹介をさせていただきます。右肩、資料3です。

 こちらでは、福祉人材確保対策検討会での議論の取りまとめ、1ページに全体像がございますが、介護人材、社会福祉士、障害福祉人材について、総合的な検討を行ったということがございます。

 その内容について簡単に御紹介いたしますと、2ページ目、介護人材確保の方向性ということについて、11の方向性を示しています。

 まず1つ目の柱、参入促進については1から4までということで、1では、介護の持つ深さ楽しさ広さという3つの切り口からのメッセージを社会全体に発信していこうという話。2つ目は、介護業界が若者に選ばれる業界に生まれ変わるために、経営者の意識改革などを図っていこうという観点。3つ目が、女性や中高年齢者層などの幅広い担い手を確保していこうという方向性。4つ目が他業界に負けない採用戦略。その中には求人に当たっての経営理念の見える化や給与体系の整備などを行っていく。そしてマッチングを強化をしていくという方向性を打ち出しています。

 3ページ目にまいります。

 3ページ目の1つ目の柱は資質の向上。5番から8番までです。5番では、多様な働き方や機能に応じたキャリアアップということで、介護人材について類型化を進め、そしてそれらに応じたキャリアパスの整備、キャリアアップを図れる環境を実現しようということです。

 6番では、介護福祉士の専門性と社会的評価を向上させていくという方向性。そのための環境整備を進めていく。

 そして7番では介護福祉士の資格取得方法の見直しに向けた取組ということで、詳細にはまた次のページにありますけれども、ここではポイントが述べられておりまして、中期的には介護福祉士の専門性、社会的評価の向上という観点を踏まえた介護福祉士のあり方とあわせた検討を行い、当面は国家試験の義務づけの延期などを行うということが述べられています。

 8番では、小規模事業所の共同による人材育成を支援していこうという方向性。

 9番では、労働環境、処遇の改善に向けたマネジメント能力・人材育成力の向上というものを行っていく。そのために賃金水準の改善はもとより、経営者の能力の向上、事業者の評価・認証などが挙げられています。

10番、11番では全体的な取組として、10番では、地域での学校、企業など、あらゆる主体が連携する場の創設と、地域ぐるみの地域全体で人を育み支えるという方向性。11番では、いわゆるグランドデザインというもので、国は関係者の参画のもと、10年間を念頭においたグランドデザインを描いていく。そして、役割を分けて取組を進めていこうということが述べられています。

 そして、5ページでは、介護人材の全体像と介護福祉士の担うべき機能の方向性ということで、介護人材の全体像につきましては、1.にありますように、介護人材の機能分化を進めていこうということ。その際には、介護を担う人材層について、介護福祉士、研修等を修了し、一定の水準にある方、基本的な知識・技能を有する方というおおむね3つの人材層に大別することができるのではないか。ただし、これらについても引き続き検討を進める必要があろうということが述べられております。

 そして、2.では、介護福祉士が担うべき機能のあり方ということで、2025年までに介護人材の5割を介護福祉士が占めることを目指す。そして、介護福祉士の専門性をより一層高めるための養成・教育の強化、そして介護福祉士の能力や機能の評価の向上のあり方などについて、中期的視点に立った検討を進めるべきであるというような方向が述べられております。

 そして6ページでは、今申し上げた内容が具体的に図化されておりますので、これも必要に応じて参照いただければと思います。

 7ページは、社会福祉士、障害福祉分野、これは直接この検討会の本日の議論にかかわりませんので割愛させていただきますが、福祉人材の重要な一つのカテゴリーとして、社会福祉士、障害福祉分野についても議論をさせていただきました。

 その後、8ページ、9ページには、メンバーの方々と開催経緯について資料が載っています。

 長くなって恐縮ですが、最後にといいますか、ここからがきょうのメインになりますが、資料5介護人材確保の具体的な方策についてということで、資料5の御説明に移ります。

 資料5の1ページでは、介護人材確保に向けた基本的な考え方。どういう出発点に立ってこの議論を進めていくのかということについて、共有を図らせていただくということの意味合いで整理をさせていただいております。

 4点あります。1点目、人材の量的確保、質的確保を両輪として、この量と質の好循環を進めるという視点に立つ。量か質かという二者択一ではなく、両者を好循環させていくという視点には立ってはどうかと。その上で、参入促進資質の向上労働環境・処遇の改善という3つの政策アプローチによる総合的な政策対応を図る。

 そして2つ目。現在の介護人材に係る課題。この構造的な変化、若年者人口の減少、介護ニーズの高度化・多様化などを踏まえて、介護人材とそれに関する介護業界の構造を転換をしていくということが必要ではないか。その際、対象とする人材のセグメント、層に応じたきめ細やかな方策を講じることが必要ではないかということを掲げております。

 この下、表もございますが、1と2に関しまして、次の2ページの図をごらんください。

 今申し上げた介護人材・介護業界の構造転換ということに関しましてのイメージ図です。

 左側の現状をごらんいただきますと、青い部分が専門性のやや薄い方、オレンジ色の部分が専門性の高い方というふうにごらんをいただきますと、今はこれらが一つ混在しているといいますか、ごった煮になっている。こういう状況になっているという問題認識を最初に挙げさせていただいております。

 ここでは、将来展望、キャリアパスが見えづらい。あるいは早期の離職などが多い。そして、介護職への理解・イメージ向上も不十分であるという問題意識。これをおまんじゅう型といいますか、そういうものから右側の富士山のような形に持っていこうという形を一つ目指すべき姿として提案をさせていただいております。

 この中では、下の段を見ていただきますと、○1から○5という切り口が書いておりますので、あわせてごらんをいただきます。

 ○1すそ野を拡げる。この山のすそ野、女性、若者等、中高年齢者となっていますが、ここにより多様な人材の参入促進を図るというすそ野を広げるというアプローチが1つ。

 そして、2つ目長く続ける。この山を登り続ける、ずっと長く山から下山せずに登り続けるという、一旦介護の仕事につかれた方の定着促進を図るという方向性。

 3つ目は道を作ると書いておりますが、この山を登っていく上に当たっての道をクリアにしていく。意欲や能力に応じたキャリアパスを構築していくということ。

 4つ目は山を高くするということ。専門性の明確化・高度化を図り、継続的な質の向上を促していくということ。

 5つ目が、ここに点線を入れておりますけれども、役割を分けると書いておりますが、限られた人材を有効活用するという観点からも、機能の分化を進めていくということ。この5つの方向性で山を変えていくということを掲げさせていただいております。

 そして、これをどういうふうに取り組んでいくかということについては、この表の左のところにあります青い部分が量的確保のアプローチ、参入、それから、労働環境・処遇の改善という部分が貢献をします。そして、オレンジ色の部分、質的確保。これはCで資質の向上と書いております。○3の道を作るという部分についてはBとCが両方相まって効果を発揮してくるということを示しております。

 こちらが、もう一度1ページに戻っていただきますと、今、2の四角の表の中に書かせていただいたことです。

 そして、こういった将来像を目指すに当たって、3では、この政策対応、具体的な政策対応に当たっては、介護事業者を初め、都道府県など地域の関係者の適切な役割分担のもとに、連携して取組を進めていく体制を構築するということであります。

 4番では、2025年に向けて、どういう政策展開へのプロセスをつくっていくかということに関しましては、定量的な目標を定め、時間軸に沿った対応を計画的に講じていくということを述べさせていただいております。

 こういった議論を本委員会ではお願いを申し上げたいと考えておりまして、3ページでは、当面の議論のスケジュールということで、当面、かりそめに4回を念頭におかせていただいた場合、今回は量的な確保策、AとB、そして役割分担と連携。Dの部分ですね。Dの部分は、申しわけありません、2ページ目の一番右のところに黄色く塗っている部分で役割分担と連携というふうにありましたが、このA、B、Cの取組をしていく土台としてのD。このA、B、Dの議論というのを今回進められてはいかがかというふうに考えております。

 そして、4ページ目にまいります。4ページ目では、本委員会の前提として行われた検討会での議論がどのようにこの委員会に流し込まれていくのかという対照表になっておりますので、こちらもごらんください。11の方向性で取りまとめられた論点、整理された論点に基づいて具体化をしていく、具体的な政策対応に向けての議論をしていくというのが本委員会での役割ということになってまいります。

 その意味で、5ページ目以降では、具体的な肉づけをしていくに当たっての切り口を論点という形で整理をさせていただいております。

 5ページが、まず参入促進という部分についての論点です。

 この論点の考え方は、左の箱にありますように、対象となる人材層ごとに切り出してあります。

 まず未就業者層。介護に関心のない方々に対し、右の論点のところを見ていただきますと、1つ目では、介護に関心のない層に対して、例えば、以下のような観点からの取組が考えられるのではないかということで、介護への親しみを持つための機会の創出、それから、事業者や職員がみずから具体的なイメージの発信をするということ。2つ目では、地域住民からの情報発信を強化し、双方向での理解促進を進めるということ。

 2つ目のでは、将来の担い手たる小中学生に対して、小中学生が高齢者と接することができるような体験型学習の機会、あるいは2つ目の介護事業者自らが積極的に地域開放を進めるといったような観点。

 3つ目のでは、就職活動期の高校生や大学生、それから、地域の潜在的な労働力としておられる子育て中・後の女性や中高年齢者層などに対するアプローチとしましては、職場体験の充実やボランティア活動の推進など、介護の接点づくり。そして2つ目が、一般企業との連携も図りながら、介護体験や介護について基礎的な知識を学ぶための研修等の推進。

 4つ目のでは、こうした参入促進、特に未就業者の方々への参入促進の取組が、当面、すそ野の拡大という意味で重点をおいた取組が必要ではないかということ。

 そして一番下のでは、特に人口減少が進む地域において、住民の参画を得ながら、地域ごとのきめ細やかな対策を促進していくべきではないかということを掲げております。

 6ページです。参入促進。次の層、別の層になりますが、未就業者層のうち、介護を就職の選択肢と考えられている方、一旦離職されてしまった方、潜在介護福祉士の方々に対してです。

 1つ目のでは、介護を現実的な就職の選択肢として考えようとされている方々に対しての取組として。

 介護事業者の取組として、賃金体系キャリアパス、人材育成システムなどの整備とその見える化を図り、情報提供を強化をしていくということ。2つ目では、介護事業者の方々の経営理念や事業計画など、中長期的なビジョンを見えるようにし、アピールをしていくということ。3つ目では、現実感を持って職場に入りやすくできるような職場体験、介護実習などの取組。

 2つ目のでは、多様な人材へのきめ細やかなマッチングを可能とするため、求人情報などの共有化の推進など、福祉人材センターとハローワークの連携の強化。

 それから、福祉人材センターにおけるアウトリーチによる情報収集、求人改善などの指導の取組。3つ目には、介護事業者それぞれが互いに学び合う効果的な取組、他産業・他事業者の効果的な取組について学び合うといった機会の創出。

 3つ目のには、潜在介護福祉士の方々に対しては、離職されている間のブランクによる不安を払拭するため、再研修や職場体験の実施など。そして、継続的に職場復帰を促すための、例えば継続的に情報提供するなどの効果的な方策を講じるといったような観点を入れております。

 7ページでは、次に労働環境・処遇の改善、Bという部分についての論点です。これらについても、現に従事している方々、経営者・マネジメントの方々と分けています。

 現に従事している方々に対しての労働環境・処遇の改善について。

 まず1つ目のカテゴリーは、入職初期段階の方々に対して。離職者の約7割が入職後3年以内の方々であるということを踏まえ、ここの部分の定着のための取組の例として3つ挙げております。

 入職初期段階の職員の方々が働きやすい環境整備。例えば、エルダーやメンターの活用などを進めるということ。2つ目では、入職初期段階で将来展望が持てるよう、将来展望が持てないということが一つの離職原因の大きな要素になっていたということを踏まえまして、賃金体系、キャリアパス、キャリア支援の仕組みの見える化を進めるということ。3つ目、新人職員が安心して働けるよう、基礎的な知識・技術を学びやすい環境の整備。

 そして、2つ目のカテゴリーでは、育児等との両立を目指す方々に関してです。

 ここでは、介護職員の方々の離職理由として結婚、出産・育児が上位に挙がっていることを踏まえつつ、職場内の育児休業制度の充実や保育の支援などの環境整備を進めるということを挙げております。

 3つ目のカテゴリーでは、中堅職員、チームリーダーの方々に対し、一定の経験を積んだ方々がそれぞれのキャリア設計に応じて専門性を高め、定着していただくということの観点から、介護福祉士を志す方々、専門性を目指す職員の方々の学びの機会の創出。それから、その専門性を評価するためのキャリアパスの構築などを掲げております。

 そして、最後の経営者・マネジメント層の方々に関しましては、労働環境・処遇の改善に向けたその重要性の理解、改革のインセンティブを持っていただくという観点から3つ挙げておりますが、キャリアパスの構築、運用のためのノウハウの定着推進。2つ目は、他産業、他事業者の方々の先駆的な取組、具体的な手法の理解を進めるということ。それから3つ目、より効果的な取組を進められる事業者の方々が見えるようになるように事業者の見える化を進める、あるいは情報公開を進めるという論点を挙げております。

 そして、最後のページ、8ページになります。今度は、A、Bに続いてD、役割分担と連携ということに関してです。

 具体的方策についての論点として、介護人材確保について、介護事業者の方々の自助努力を前提としつつ、地域全体で人材を育てるという観点から、3つのことを例示をさせていただいております。

 都道府県において、介護事業者の方々の切磋琢磨を促すため、その取組の見える化を進めるということ。2つ目の点では、企業や学校など、地域のあらゆる関係機関との連携の場を構築し、事業者の取組を促すということ。そして、3つ目が、国は、こうした地域の取組を推進するため、中長期的な視点に立った方策を示すということ、これらを論点として掲げております。

 下の図では、一番左、緑色の人材層の違いに応じて、紫色を介護事業者、赤、都道府県等において、これまで述べてきたような取組のアプローチを少し丸めて書かせていただいております。さまざまな役割を果たしていただくことが期待をされる。

 その中で、真ん中にある矢印になっておりますが、事業者の方々と地域の都道府県などの皆様との相互作用を生み出していくということが地域における人材確保のために必要じゃないかということを示し、その下には、矢印がありますけれども、人材確保育成に取り組む事業への認証評価などというのが例示的に示されております。

 これらのサイクルを地域で回していくための土台として黄色い部分、地域の関係機関などの連携の場、地域住民も含めた連携の場、プラットフォームとも言うべき連携の場を構築をしていくということ。

 そして、オールジャパンで見ていきますと、この土台として国はこれらの取組の具体化に向けた中長期的な視点に立った方策を提示し、促進をしていくという環境整備をしていく。これらがパッケージとなって地域での取組を回し、展開をしていくというサイクルをつくっていってはいかがかというようなことであります。

 長くなりましたが、以上でございます。

○田中部会長 たくさん、大切な資料と論点の提示、ありがとうございました。

 皆さん、最後の論点の資料5の2ページ、4ページの言葉遣いが、役所用語とは思えない文学的なのがわかりましたか。すそ野を拡げる、長く続ける、山を高くする。私はDのところもどうせなら山の魅力を広めるとかつけてほしかったですね。ここだけ文学的表現が欠けているので。こういう方策も大変いいと感じました。

 ただいまの事務局の説明ですと、介護人材確保の具体的な方策については、量的確保と質的確保の両方が重要である。これは皆さん納得できますね。本日は、そのうち、主に量的確保の観点から議論してはどうかとの説明であったと理解いたしました。

 量的確保については、説明にもありましたように、大きく分けて参入促進労働環境・処遇の改善、それから役割分担と連携の3つの切り口に分けられます。本日はそれぞれの切り口ごとの具体的方策について、皆様から意見を頂戴したいと存じます。

 なお、本日は3時間という長丁場を予定していることもあり、参入促進について議論の後、一旦、5分から10分程度の休憩を挟みます。その後労働環境・処遇の改善並びに役割分担と連携について議論をしてまいります。

 まずは最初の参入促進について、皆様からの御意見を頂戴します。お願いします。石橋委員、どうぞ。

○石橋委員 議論に入る前に、少し御質問させていただきたいと思います。

 先般、読売新聞で、介護分野の人手不足解消に向けて資格要件を緩和する新しい資格をつくるという厚労省の方針が決まったという記事が出ましたけれども、このことについて御確認を先にさせていただきたいと思います。

○田中委員長 室長、お答えください。

○武内福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。

 御指摘いただきましたのが1015日の読売新聞の朝刊で、介護資格要件を緩和という記事が出ております。こちらについては、この前身といいますか、先ほど御紹介しました福祉人材確保検討会でもさまざまな議論が行われたものの一部を抽出をして記事にされているものと推測をしております。

 結論から申し上げますと、資格要件の緩和というのが決まったわけではありません。それは石橋委員も入っておられた人材確保検討会の中では、そういったアイデアも委員の皆様の中から一部御提案があったのは事実ですけれども、そういったことについて合意があったという事実はございません。

 いずれにしましても、この人材確保について具体的な政策対応としてどのようにやっていくのかということについては、この委員会で具体的な議論を進めていただくということでお願いをしたいと考えております。

○石橋委員 ありがとうございました。了解しました。

○田中委員長 ほかに質問でも結構ですけれども、基本的に、せっかくお集まりの委員の方々は専門の皆様ですから、参入促進について、先ほどの論点に関するコメントや、また、それとは違う新たな視点などの提示をお願いいたします。

 早速お願いします。

○石橋委員 続けて申しわけありませんけれども、参入促進についての御意見を申し上げたいと思います。

 私ども、看護学生の入試の面接試験を行っていますと、入学の動機で一番多いのが、小中学校の子供のころに病院に行って優しい看護婦さんに出会えたとか、看護師さんの働いている姿に憧れて看護師を目指したというような動機が非常に多かったわけですけれども、介護の現場におきましては、措置制度のときは特に地域から離れたところに施設などが建てられて、なかなかそういう障害者の方と触れ合う機会がない。介護の現場を触れ合う機会が地域の人たちが十分にない。最近では介護保険制度が導入されて、少しそこは緩和されてはいますけれども、やはり看護師、医療分野の専門職ほど介護分野というのは、介護の現場に触れ合う機会というのは、地域の住民の人たちは余りありません。特に子供の小中学生においては、将来どうするか。キャリアのことを考えるのに当たって、そういう触れ合う機会がないということで、やはり大きなマイナスだと思いますので、ここの中にも提案されておりますけれども、社会福祉法人を中心として、地域と連携しながら、介護体験の機会とか、ボランティアの機会等をふやしていただきたいということと、あわせて、文科省のほうでもキャリア教育が取り組まれておりますけれども、キャリア教育の中においても、介護体験とかボランティア活動の促進を義務づけていただけるというか、そのような機会を増やすということがまず重要であると思っています。

 ただ、そうはいっても、実際に介護の現場で働いている方の賃金が安かったりとか、キャリアが見えなかったりすると、大きな問題でありますので、実際に、ここにも書いてあります、賃金の見える化とか、キャリアパスの制度化というのは、今後必要になってくると思っています。

 静岡県では、モデル賃金表、給与表ですとか、キャリアの基盤整備についての取組を紹介されておりましたけれども、前の人材確保の基本指針の見直しの中においても、例えば福祉職の給与表をモデルとして参考にしたらどうかというようなものがたしかあったと思いますけれども、介護の仕事について、介護職としてもほかの産業と比べてもこれだけ給料がきちんと確保されている、定期的に昇給があり、将来的にも見通しがあるということが示されていたりとか、それから、介護職に入って介護福祉士、また、その上の上位資格、キャリアパスの整備が示されるということがきちんと見える化されると、参入促進に大きな効果があるのではないか、ということを申し上げたいと思います。

○田中部会長 ありがとうございます。

 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 済みません、まず質問で、この専門委員会の検討項目なんですけれども、資料3の1ページ目の福祉人材確保対策検討会における議論の取りまとめの全体像という中で、資料5の具体的な方策についてというのを見ますと、この全体像のうち、介護人材のところについてこの専門委員会は議論するのであって、タイトルは福祉人材確保専門委員会ですけれども、社会福祉士とか障害福祉人材のことはこの専門委員会では特に議論しないという理解でいいのでしょうかというのが質問です。

○武内福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。

 当面は介護人材にフォーカスをした議論を進めていきたいというふうに考えております。ただ、その後、福祉人材確保指針の改正などへつながる議論も予定をしておりますので、その中では福祉人材全体、障害分野、社会福祉士も含めた議論という形で移行していきたいと考えております。

○田中部会長 高橋委員、お願いします。

○高橋委員 室長さん、質問すると御迷惑のような気がしますが、これは1015日の新聞をコピーしてまいりました。これを見ると、厚生労働省方針として、人手不足解消を狙って、現行の資格を取得しやすくするか、よりハードルの低い新たな資格を創設するか、こう書かれております。こういう方向で、必要な100万人の増員の問題を解消しなければいけないということだと思うんですが、この、新しくハードルの低い資格、そういう制度をこの場で検討するんですか。

○武内福祉人材確保対策室長 今、御指摘いただいたのは、先ほど石橋委員からもお話があった読売新聞の記事だということだと考えておりますが、こちらについては、まず事実関係としては、何かそれを厚労省が決めたり決定をしたという事実はございません。その上で、どういう考えでこの記事が書かれたのかわかりませんが、今後具体的な介護人材確保に向けた参入促進、資質の向上といった具体的な方策については、幅広くこの場で議論していただくということは必要であろうというふうに考えています。

 その際に、この記事にありますようなことについて、それがありきで議論するということは考えておりません。ただし、前の検討会の中でもそういった御提案をされる方はおられましたので、そういった御意見も含めて幅広い議論をこちらの委員会でも行っていただければというふうに考えております。

○高橋委員 以前、ホームヘルパーというのがございまして、ホームヘルパーは1級から3級まで。3級は50時間だったと思うのですが、2級は130時間ですか、1級は230時間だったでしょうか。それを今は廃止していますね。それにかわって、またいろいろな別なものをやりましたけれども、それも600時間が450時間というふうに現在はなっているのではないでしょうか。

○武内福祉人材確保対策室長 御指摘のとおり、かつて旧ヘルパー研修というのがありまして、50時間、430時間というものがその後の研修体系の整理の中で廃止をされて、現在の初任者研修、実務者研修という形に整理をされてきたということは、そのとおりでございます。

○高橋委員 今日は参入等についてのお話だというので、余り私がしゃべってはいけないのかなとは思っているのですが、今、室長さんが資料の2のページ36を説明してくれましたが、そこを見ると、資格のレベルが低くなっているかどうかはわかりませんけれども、これから資格取得をいろいろと検討していくというのであれば、養成施設ルート、実務経験ルート、福祉系高校ルート、この各3分野は、36ページに示されているとおりでございます。

 量のことばかり、今、問題になっているようですけれども、平成19年においては、今さら申し上げなくても、質が大事なんだということで、当時、いろいろな論議をいただいたわけなんですね。そういう結果、36ページにあるような形になっておるんですけれども、ちょっとだけお時間を頂戴したいと思うのですけれども、福祉系高校は、厚労省が求めることについては全部受け入れて、それに全力投球でもって今日に至っておるわけです。しかし、どうでしょう。養成ルートは、卒業すれば国家資格を自動的に頂戴するということであって、その辺の担保というのは、卒業時に共通試験をやっているとは言うのですけれども、これは、一度不合格であった者についても、再受験するとか、再々受験するとか、そういう一定レベルに達しない者に対しても各校において任されているような話も聞きます。そうすると、一方において質を担保しなければいけないと言いながら、担保されていると言えるのかどうか、私は非常に疑問を感じているところでございます。

 これまでも福祉系高校はいろいろな機会を頂戴したときに、その実態等については御報告申し上げていますけれども、新しいカリキュラムを修了した生徒さんにおいては、88.1%が合格をするといったようなことでもあるし、特例校とか専攻科とか通信制とか、こういうところでは71.2%という実績を示しておるわけですね。ちょっとテーマからそれたかもしれないけれども、そういう意味で私は、養成施設ルートは本当に担保に相当する教育がなされているのかどうかということにすこぶる疑問を感じているところであります。

 そういう意味で、今度、資格取得について論議をする場合に、卒業時共通試験の実態というものをもし室長さんのほうで資料としてお持ちであるのであれば、お示しいただければ、そのことも念頭に置きながら、考えについてお話をさせていただきたいと、こう思っておるところです。

 まとまりのない話で大変恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。

○田中委員長 資料5の1ページの1行目には質と量の好循環を進めると書いてあります。それにかかわっての問題提起であったと感じますが、室長、何かお答えになりますか。それとも、次回以降、質の話をするときに改めてお答えになりますか。

○武内福祉人材確保対策室長 はい。

○田中委員長 そうさせていただきましょうか。質と量は両者ともに無視できません。今、高橋委員の言われたことはどちらかというと質にかかわる大変重要な問題提起でありました。それについては、もしまた資料があれば、次回までに用意をしてください。ありがとうございます。

 参入促進、具体的に言うと、資料の5ページ、6ページに書かれているようなことについて、何か御意見おありでしょうか。花井委員、お願いいたします。

○花井委員 資料5ページについて少し意見を述べたいと思います。

 2行目のところに『楽しさ』や『広さ』を伝えという記載がありますが、ここに少し違和感を持っています。これから2025年に向けて介護人材が100万人必要だということは共通の認識になっているかと思いますが、なぜそれだけ必要かというと、それだけ社会的に必要になってきているからだということと、それから、人材を確保することが重要であるからだと思います。ですから、その必要性とか重要性をきちんと伝えることがまず必要ではないかと思います。働く上で楽しさは必要ですが、実態はやはり大変な仕事だろうと思っておりますので、むしろ社会的な評価という意味で、必要性、重要性というのがあってもいいのではないかということが1つです。

 それから、介護に関心のない層というところで、一番関心のないと言い切ってしまうと問題があるかもわかりませんが、どちらかというと現役サラリーマン男性の関心が薄いのではないか。関心がないか、あるいは、個人で介護の悩みを抱えていて、なかなか言えない男性が相当多いように実感しています。女性たちは、集まると、介護の話がたくさん出て、共通して介護で働いている方たちは大変で、本当に感謝したいねという話が出るのですが、そういう意味で言うと、社会的に介護の人材をふやしていかなければいけないということを認識するためには、関心がない、あるいはあってもなかなか表に出せないという人たちを対象にする施策が必要ではないかと思います。

 資料には地域住民ですとか、主婦とかと書いてありますが、主婦層は十分過ぎるぐらい関心があります。ですから、もっと企業で働く労働者、会社員の方とか、あるいは地域で会社員を対象にした講座等を開いて、その中身についても、一番みんな何で困っているかというと、例えば、親が認知症になったときに、どこに相談に行ったらいいのか、どこの病院に行って相談したらいいのか、右往左往しているというのが多く見られます。どこに行けばそういう相談に乗れるのか、そして介護保険制度というのはどういうものかというものをきちんと伝えていく。その作業が社会的、全体的に介護の人材が必要だという認識につながっていくのではないかと思います。

 主婦、ボランティアも大切ですが、もっと全体的に介護の必要性を認識できるように、方法、対象をもう少し広く捉える必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○田中委員長 大変すばらしい視点、ありがとうございます。介護に直接携わらないにしても、その人たちが介護職への尊敬をもち、大切さをわかっていないと広まらない。ありがとうございます。

 堀田委員、柳川委員の順でお願いします。

○堀田委員 お先に失礼します。

 花井委員がおっしゃったことにも関連しながらなんですが、まず、全体としてこの専門委員会から出す何か取りまとめに関して、介護人材というものが何をイメージしているのかというのがはっきりと伝わるようにしたほうがいいと思います。私も、今、花井委員がおっしゃったように、介護人材という言葉を聞いて一般の方がイメージするのは、恐らく広くケアの担い手という意味よりも、介護現場で賃金を得ながら仕事についている方というのをイメージする方が多いのではないかと思うのですけれども、この検討会で議論しているのは、あるいはこの論点の中でイメージされているのも、介護現場で賃金を得て働く方々だけのことを議論しようとしているのか、それとも、社会全体で全ての方がケアの担い手、その全てのことをもって介護人材というふうに呼ぼうとしているのかということは、将来的なメッセージとしても重要なことで、私は、広くケアの担い手をどう確保するかということで議論を進めていくことに非常に意義があると思っています。ということで、次回以降に整理をつけていただければというのが1つ目です。

 それから、そのことに関連しますが、5ページの、今、花井委員がおっしゃったところですけれども、この全ての方々をケアの担い手にしていくという発想は極めて重要だと思っていまして、別の検討会で申し上げたかもしれませんが、実際に地域の中で社会福祉法人と商工会議所などが連携して、特に中高年の一般企業の男性たちの介護離職がふえていたりというような方向での問題意識を持っている事業所側の意識と、就労とケアをバランスさせていくというようなことと、いずれは生きがい就労としても介護にというふうなことの両方の思いが合致して、そんな連携をというような取組もあったりするように聞いているところですので、そういった取組も推進していくという方向性も出される必要があるのではないかと思います。というのが大きく1つ目です。

 それから、5ページ、6ページ、全体としてなんですけれども、さまざまな方々、社会全体として介護というものの中身、それが仕事としてということから、そうではなくてもさまざまなありようとしてケアに携わる方々がいらっしゃいますが、その中身を見せていくということの方向性が全体として貫かれているのは非常に意味があると思います。

 そのときに、介護の仕事とは何なのかということに加えて、これまでもこれに関連する検討会の中で、さまざま発表があったと思うのですけれども、ケア、介護そのものではなくて、そのことが例えばまちづくりとか、あるいはほかの領域のアートとかスポーツとか、いろいろな組み合わせを、現場ではいろいろな組み合わせが起きてきていて、そのことによって新たな可能性が生まれ得るんだということも含めて、開いていくことによって伝わっていく、そういうプラスのケアのイメージを豊かにしていくというような努力も必要ではないかと思います。そうでないと、楽しさ、広さというイメージがちょっと浮いたものになってしまうと思います。

 他方で、今のはプラスのイメージを伝えるほうだったと思うのですが、やはりマイナスではないと。まだまだ保護者だったり学校の先生だったりが、なかなか介護の仕事に進むことを後押ししてくれないというような話も長年言われていることで、そういったマイナスのイメージを払拭するという意味では、絶対にデータが必要で、そのためには、それぞれの地域ごとなのか、全国でもう少し使えるものがあったほうがいいのかもしれないですけれども、マイナスではないということを言うためには、実際のリアルなデータが必要なので、そういったものをしっかりと整備していくということも確実に重要だと思います。

 そのことと6ページの見える化と書かれていることも通じると思います。全体としてそこの地域で介護の仕事についているということが、実はほかと比べて遜色なく食っていけているとか、やはり難しいとか、そういうようなリアルさを伝えることも重要ですし、事業所の中でも、意外と先がちゃんと見えるようになっているんだよとか、あるいはどうなんだということがしっかり見えるようにしていくということは、少なくともマイナスではないと。希望が持てるということを伝えるためには絶対に必要なので、イメージを豊かにしていくということに加えて、マイナスを払拭するということのためのアカウンタビリティの向上、データを蓄積するということは確実に重要だと思います。

 それから、最後ですけれども、それぞれの対象層ごとにさまざまなアプローチをしていこうで、特に参入促進、マッチングを高めていこうという方向性は、これまで余りやれていなかったところなので、非常に重要だと思っているのですけれども、そのときに、現段階では、例えばここで整理くださっているような若者、主婦層、中高年、それぞれが、どういうチャネルで、どういう情報を得て、どういう情報にひかれて入ってきているのか。それで、もらった情報とリアルが合っているのか、ガクッときたのかどうなのかというようなことも、それぞれの地域のマッチングにかかわるさまざまな事業者側、マッチングの機関、そして教育機関側だったり、ほかの企業だったりするかもしれないのですけれども、そういったところで情報共有をしていく必要があると思います。そうでないと、全体としての情報発信、全体としてのイメージ発信というのは、誰にも響かないということになると思いますので、そこを一歩進めるようなことも重要ではないかなと思います。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 ほとんど花井委員と堀田委員に言われてしまったことと重複するのですけれども、まず私の意見ですが、参入促進はもちろん大変重要なんですが、民間でもそうですが、本業、これをしっかりするということが一番ですので、やはり労働環境処遇の改善というものはしっかりやっていく必要があるのではないかと考えます。

 それと、花井委員もおっしゃっていましたが、民間でも、~50歳ぐらいになると、リアルに親の問題というのが見えてきて、実際にそれでちょっとストレス的に不安定になって、労働生産性が落ちる可能性があるという御相談も多数いただいています。健保組合や共済組合など健康相談やメンタル相談の窓口がありますので、そういった窓口の活用を促進するためのPRも必要なのではないかなと考えます。

 あと、外部労働市場にどうしても依存していく必要性があると思いますので、6ページにありますように民間でも当然ハローワークなどを活用していますが、業界に詳しい民間の人材紹介会社、人材派遣会社という役割も認めていく必要があるのではないかなというふうに考えます。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 西條参考人、お願いします。

○西條参考人 ありがとうございます。

 参入促進、5ページのところで少し都道府県としての意見を述べさせていただきます。

 ここでテーマとなっているまず第1は、イメージアップということなんですが、イメージアップするには、記述にもありますが、対象とする層に応じたアプローチが必要だと考えております。その意味で、2つ目に小中学生に対し体験学習をというふうにさらっと書かれているんですけれども、私どもはむしろ、体験学習とかそういったリアルな体験をするのであれば、むしろターゲットは高校生が主体になるべきではないかと思っています。この年代、小中学生ですね。私どもは、この年代を対象として福祉作文のコンクールとか絵本のコンクール、ポスターのコンクール、こういった形で、小学生から見た福祉のまちづくり、あるいは福祉、介護とはどういうものだということをみずから考えていただくような機会を提供させていただいています。その中で、我々関係者としても気がつかなかった、はっと驚くような福祉の視点というのが小学生のほうから出てくるのです。そういったことで、むしろ今後の担い手としての小学生の視点というのは、我々、非常に勉強になるところでありまして、リアルな介護体験をするよりも、むしろ小学生の目を活かした、視点を活かした取組のほうがここでは重要ではないかと思います。

 そのかわりと言っては何ですけれども、私ども、黒岩知事の発案で、介護の現場に光を当てるという取組の一つとして、昨年度から高校生介護職場体験促進事業というものを前にも紹介させていただいていますが、やっています。これはどういう事業かといいますと、まず、全ての県立高校でカリキュラムに介護の授業というものを組み込みます。そこで教材を使って現場の教の方自らが介護の重要性とか魅力、介護の重要性、こういったものをきちんと伝える。それから、施設の現場の職員の方が学校に出向いていって、出張介護授業をやっていただく。その中で、現場の職員の皆さんの発信力といいますか、自分の仕事を理解していただくためのプレゼンテーションといいますか、そういったことも身につけていただいています。さらには、高校生みずからが福祉の現場に行きたいと思う方には、インターンシップという場を提供する。この3本立てで、何より大切にしているのは、本人が自分の意思でこの業界に入ってもらうということを主眼として入れていることです。そうしたことで、自分自身が介護に対しての魅力といいますか、イメージが非常に変わってきたという感想もいただいておりまして、こうしたきめ細かなといいますか、高校生の立場に立ったきめ細かなアプローチ、こういった取組も中心に据える必要があるのかなと思います。

○田中部会長 紹介ありがとうございました。

 武居委員、どうぞ。

○武居委員 私は介護の学校で学生にアンケートをとりました。この学校に入学するに当たって反対した人は誰ですかという質問をしましたら、高校の先生と親という意見が一番多かったです。その反対に、応援してくれた人も似たような傾向でした。つまり、高校生が次の福祉系の学校に進路を決めようとしたときに、非常に影響が強いのは高校の先生と親であるというところを非常に感じました。

 高校の先生は、最近、教育実習の中では介護実習をしているにもかかわらず、なぜ反対意見が強いのだろうか。反対をするお母さんは、介護のことをよく知っているにもかかわらず、なぜ反対をするのだろうかと考えますと、介護ということ、介護の中身は知っていても、職業としての介護であるとか、職業人としてやるべきことというのを余り知らないのではないかなという感じがいたします。

 我々は、イメージアップも含めて、福祉サービスというのは大変重要な仕事ですということを今まで言ってきた経過もありますし、その仕事のやりがいということをいろいろな形で伝えてきました。しかし、反対にそのことがある部分で特殊な仕事というようなイメージを作ったり、やりがいを美化するようになった結果になってはいないだろうかという反省をする必要があると最近思っているところでございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 花井委員、どうぞ。

○花井委員 先ほどサラリーマン層の関心が薄いと発言しましたが、最近は認知症になる両親を抱えて大変苦労しているサラリーマン男性も知っていますので、全てとは決して思っておりません。ただ、層としては多いのではないかということを言いたかったということです。

 それから、今、介護を理由として退職される方が、先ほども出ましたが、10万人を超えています。それが今後も増え続けているというこの現実をきちんと見ておかなければいけないだろうと思っております。また、介護保険ができたのは非常に重要なことですが、なかなか制度が知られていない。例えば、いろいろなサービスが保険を使って受けられること、使えるということが知られていない。ですから、やりがいですとか、必要性、重要性等々はあるのですが、もっと具体的に制度のことをきちんと、こうすれば使えるのだということを伝えていくことによって、介護への理解、介護を担う方たちへの理解が深まるのではないか。その意味で、介護保険をきちんと伝えるということが必要であるということを改めて強調したいと思います。

 以上です。

○田中委員長 そのとおりですね。

 ほかにいかがですか。柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 今回の議論で量的な確保というのはもっともなんですが、ちょっと民間的なうがった見方を申しますと、本当に量的確保ができないとき、どうしたらいいんだろうというところで、技術的なイノベーションが挙げられます。弊社も実は先日Pepper を買ったのですけれども、ロボットとか、そういったところの視座というのも質的なほうに絡むと思うのですが、入れておいたほうがいいのではないかなと考えます。

 今、高校生という議論が出ましたけれども、今の小・中・高というのはまさに我々の時代に比べてITに親しんでいますので、もしかしたらそういう工学的なところやテレビ電話とかスカイプとかでできる領域があるかもしれません。当然民間の資格要件に絡むところなので、微妙な問題だと思うのですが、量的に確保するためにここを議論しているというのは重々承知しているのですが、そのような方策というのも、ほかの部会でも結構ですし、議論していく、視座に入れていく必要があるのではないかなと感じております。

 以上です。

○田中部会長 おっしゃるとおりですね。ICTとかロボットは、労働環境かもしれないし、参入促進につながるかもしれないし、役割分担かもしれない。全てでしょうね。特に、先ほどのやめる理由に腰痛が出てきていますけれども、そういうものを防ぐには実は大変大きな要素です。

 ありがとうございます。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 今の花井委員と柳川委員がおっしゃったことと観点が共通だと思うのですが、これは、検討委員会の段階でも申し上げたように思うのですけれども、施策の方向性は、参入促進、労働環境・処遇の改善とかというので、わりと長く、余り変わらずきていると思うのですけれども、結局、持続可能性ということを考えると、需要を減らしていくというような観点をしっかりと持つことがすごく重要で、実は今お二人がおっしゃったことというのは、仕事としてこの介護をやる人たちに対する需要ということを考えると、例えば、インフォーマルな御家族とか地域でできることをふやしていく、あるいはさらに御自身にできるセルフケアを高めていく、それから、生産性を高めていくみたいなアプローチというのは、それは先ほどの介護人材全体、ケアの担い手全体ということではなくて、仕事として介護につく人たちに対する需要の伸びを抑制していくという観点では非常に欠かせないもので、明解にはそのようなアプローチでは整理がされていないわけですけれども、そういった目で柱としてはこれをそういうふうに立てないという趣旨でこうなっていると思うのですが、全体的に議論を進める上で重要ではないかなと思っています。

 以上です。

○田中部会長 河原参考人、お願いします。

○河原参考人 済みません、失礼いたします。

 今まで皆さんのお話を聞いていて、ここまで考えていただいておりますので、我々現場の人間としても、あとは形にするだけであって、何でふえないんだろうというぐらいの意見を持っているのですけれども、現場のイメージで言わせていただくと、イメージアップというのはとても大事だなと思っています。小学生であったりだとか、いろいろな意見をいただいていて、本当にそれは大事なことだなと思っているのですけれども、面接とか我々させていただくと、男性も女性も、若い方も高齢の方も来られるのですけれども、働いて、今までの経験の中で、介護は大変だというイメージがあったと皆さん言うんですね。入ってから何カ月かすると。でも、それまでされていた、ほかで働いていた方からすれば、実は労働時間がほかの一般企業よりもきっちり、帰れる時間には帰れるし、休めるときは休めるしという時間がほかよりありますよという意見のほうが私の中では意外とあるんですね。ですので、そういうところをしっかりアピールしていかないといけないんじゃないかなと思っています。

 あと、今、ワーキングチームのほうでも話し合っていると思うのですけれども、介護の業界の働き方というのは、今、社会的なニーズにすごく合致しているというふうに私は思っておりまして、若い人材に向けても、今、週休3日で15万円で働きたいという若者がたくさんふえているということをこの前テレビでやっていて、実はそれは介護の業界にすごく近いんじゃないかなと思っています。週に3日ぐらい働いて15万円だったら、我々の業界でもそういう場を提供していくことができるんじゃないかなと思いますし、若者だけではなくて、子供を育てながらという方も、実はしっかりと週40時間働くのではなくて、緩く働きたい。この緩く働きたいという方が、今、社会的にすごくふえているんじゃないかなと思っています。

 そういう面で言えば、もし主婦の方であれば、介護全体をすることは初めできなくても、その方が持っていらっしゃるスキルの中で、介護の仕事というのは実はすごくモジュール化できるんじゃないかなと思っておりまして、介護の補助の部分ですね。理念であったりだとか、お皿洗いであったりだとか、掃除であったりだとか、主婦の方が能力を生かせる現場でもあると思いますので、しっかりとした介護福祉士の方を我々も経営者として求めてしまうのですけれども、そういう前段階として、緩く働くということに目線を向けた人をうまく使っていくということが、我々の業界、今、一番大事なことなんじゃないかなと思っております。

○田中部会長 大変貴重な情報です。働き方として見ると、ブラック企業よりよほどいい。ブラック企業かどうか知りませんが、そういうところがある。今の働き方のモジュール化ですね。先ほど柳川委員が技術革新、ICTロボットを言われましたが、実はプロセスの革新があって、そのうち、先ほどの山の高さで言えば、高いほうの人を下膳、配膳、お皿洗いに使ってはもったいないので、そこはいろいろな役割に分け、年収目的も違うので使い分けていくべきと、大変貴重なことを言っていただいたと思います。ありがとうございます。

 参入促進についてはいかがですか。よろしゅうございますか。西條参考人、川井委員の順でお願いします。

○西條参考人 6ページのキャリアパス制度とか、そういった介護事業者の取組として考えられる例を御紹介いただいていますけれども、この業界、離職率が高いけれども、採用率も高いという現状があります。それはやめる理由にも出ているのですけれども、経営理念が事業者さんと働いている人の間でそごが生じているとか、そういった原因があります。まず入る段階で、とどめる工夫というものをしっかりと見える化といいますか、見せていく必要があると思うのですね。私どもでやっていますのは、人材センターで求人登録などやっていますけれども、その登録票の中にしっかりと、我が社の方針じゃないですけれども、人材育成方針とか、キャリアパスの整備をどうしているかということを、まずしっかり書き込めるよう登録票の形式自体を変えていくべきだと思います。あと、情報公表制度というものを介護保険課のほうが中心でやっていますが、その中身もある意味充実させ、発進力を高めていくことが必要かなと。そういった形で事業者さんの人材育成の取組をアピールしていく機会を行政としても提供していくのが得策かなと思っています。

○田中部会長 ありがとうございます。

 川井委員、どうぞ。

○川井委員 先ほどからのお話の中で、愛護に関心のない人も含め全ての人を対象として掘り起こしていくという、全てという視点というのは、私自身も介護人材の量的確保というところで大切だということを再度確認いたしました。先ほどから出ています、緩く働きたいとか、モジュール化とか、そうした働き方等の中で、いろいろな人たちを介護の現場で受け入れるということは介護の現場で牽引していく人、先ほど介護福祉士をというようなお話もありましたけれども、そういう人がいるということが重要になってきます。そうした人がいて、きちんと牽引していければ、広く人材を養成、確保していくことができるのではないかということを感じました。

○田中委員長 そのとおりですね。

 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 何度も申しわけありません。

 今の、私も労働環境や処遇の改善のところに重なる議論かなと思ったのですが、リーダーを確保するという意味で、弊社のほうも、例えば社会人大学院に行ったり、MBAをとったりしてから、すぐ逃げられてしまうのも困るのですけれども、そのような外部との接触の機会というものを、社会事業大学などを通じて少し後押しすることもいいのかなと思います。実務ばかりをやっていますと理論的なことも知らなければいけないなということを実感します。実務をやったからこそ資格が生きる、資格を持ったからこそ実務に生かせるという、そういう好循環のところもぜひガバナンス改革も含めて経営理念のほうで考えていただきたいなと思います。

○田中委員長 そうですね。多分Bにもかかわる話ですが、重要な点でした。

 1時間半たったから、ここでちょっと休憩を入れましょうか。リフレッシュのために。

 では、今33分ですか。40分ぐらいまでよろしいですか。休憩をさせていただきます。

 

(休 憩)

 

○田中委員長 予定の時間になりましたので、審議を再開いたします。

 次は、7ページ労働環境・処遇の改善について、皆様の御意見をお願いします。もちろん質問でも結構です。

 先ほどどなたかも御指摘になりましたが、資料1の20ページにある介護福祉士をやめた理由の一覧の中で、労働環境・処遇からすると、事業者のマネジメントの責任であって、制度でもなければ、意欲の問題でもない、職の魅力の問題でもなく、職場のマネジメントの問題が、結構2位、3位、5位と上がってきています。こういうところも処遇改善の中で経営者マネジメント層に与えられた課題だと感じますが、経営している方などから、柳川さんを含めて、何かこの辺についていかがでしょうか。お願いします。

○柳川委員 すみません。また僣越ながら御意見を申し上げたいと思います。

 資料5の7ページのところの議論にもなると思うのですが、介護福祉士などのカリキュラムに、法令遵守とか、そういったところの議論とか講義がなかったというふうに記憶しています。定着率の問題というところでして、職員の皆さんから見ると、当然、ジョブに関して、先輩なり上司からいろいろ物を教わるというのは大事なのですが、同時にメンタルといいますか、あるいは今、委員長もおっしゃったとおり、企業理念とかが分からないといったところで、やはり法令遵守の観点でコンプライアンスについて何か物を申せるという制度環境というのは必要なのではないかなと考えます。

 コンプライアンスの関係というのは、当然、企業の場合ですと、メンタルヘルスとかにもかかわってきますし、あと、御存じのとおり、明治以降の大改正で会社法が改正されて以来、内部統制上、コンプラというのは義務になっていますので、そういったところもぜひ御活用いただけたらいいのかなというのが1点ございます。

 それから、もう一点、マネジメントについては、先ほど、外での勉強とかも申し上げましたけれども、やはりキャリアパスの中で、どうしても、これは職に関しての介護人材の意味ですが、フェース・トゥ・フェースの場面というのを想定していると思うのですが、例えば間接部門とか、あるいは相談、サポート業務とか、そういったようなところにつなげる複線的なキャリアパスというものはやはり構築していく必要があるのではないかなというふうに考えます。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 武居委員、お願いします。

○武居委員 これは、先ほど私が職業としての介護というお話をさせていただいたところと関係をするわけですが、かつての我々の業界の中では、現場の職員も管理者も、サービスのあり方については非常に熱心に考えてきた経過があると思います。つまり、どういうサービスを提供したらいいのか。そのためにはどういう環境であって、どれだけ人の配置をしてというような、要するに、利用者のことは一生懸命考えてきたと思います。一方で、働く人についての考え方、それから、人を雇用していく、先ほどコンプライアンスのお話もございましたけれども、常識的な対応の仕方、いわば全体的なマネジメントも含めてだろうと思うのですが、その辺の知識を得、それをうまく使っていくというようなことが十分できていなかったのではないかと思います。

 特に、管理者の位置になってしまえば相当分かっているのですが、現場の職場長のレベルの人たちがその辺の知識が十分ではない。そのことで労働している人と現場の長との間の齟齬のようなものが結構あるのではないかということを、感じます。

 もう一点、先日、あるシンポジウムで某大学の理事長さんと私とでシンポジウムで意見交換をする機会に、私のほうから少し象徴的な意味として、現場のほうは、就職してきた職員が挨拶もできないというようなことをマイナス要因として言う。一方で学校のほうでは、実習に出したのに、余りのひどさに就職するのも嫌がっていると言う。どうも両者の間に十分な意思疎通が足りないように思います、と。学校の役割ももう少しこの全体の中に書きながら、もちろん養成校、大学も含めてだろうと思いますが、どのような連携ができるのかというところにも視点を当てていく必要があると考えます。

○田中委員長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 7ページの介護人材の量的確保に向けた論点○3の表ですが、労働環境・処遇の改善というテーマになっていながら、労働環境についてくくられた枠がないというのがどうかなと思われますので、労働環境という枠を一つ設けるべきではないかと思います。

 さまざま課題があるということを、私どもも調査している中で承知しております。資料2の3ページからさまざまな実態調査が出されており、特に3ページを見ますと、訪問介護では約8割と、圧倒的に非正規職員が多くなっております。今、非正規が雇用労働者の約4割弱と言われておりますので、そこからしますとこれは相当高い比率だと思います。そして、介護人材の年齢構成の男女比を見ると男性の場合は20歳から39歳までの比率が高いですが、その前後はだんだん落ちていき、逆に女性は40代から高まっていくという、非常に職業として考えたときにいびつな年齢構成、男女比になっております。

 それから、もっと不思議なのは、勤続年数によって賃金が変わるというのは、そのとおりなのですが、7ページを見ますと、勤続年数がさほど変わらないのに、男女の賃金格差が大きいということが見てとれます。そして、8ページにあります初任給でも、19歳、20歳、24歳、既にこの時点で男女の賃金格差が見られ、労働環境というのを考えたときに、働き続ける上でどうなのかなというのが実態として見てとれます。

 したがいまして、7ページのところには、育児等との両立を目指す者と、ここだけ具体的に育児休業制度というのがありますけれども、やはり労働環境という枠を1つとって、賃金ですとか、年休がとりにくいとか、安全衛生の問題とか、さまざまな労働関係法令の遵守という観点を入れることが必要ではないかと思います。

 それから、短時間労働者、あるいは非正規が多く、とりわけ訪問介護のところで非正規が多いということは、多分そういう働き方が合っているのかなということも思えます。そうすると、均等待遇や均衡処遇の観点が非常に重要ではないかと思います。短時間であるから、あるいは非正規であるから安くていいということではないと思いますので、ぜひともこれからの将来を考えたときに、特に安全衛生がとても気になるのですが、労働法令の遵守であるとか、男女の賃金格差を改善していくとか、そういうことをきちんと打ち出していく必要があると考えます。そのことが介護産業全体を印象を高めていくことにもなると思います。また、先ほど来、主婦層とか女性とかという言葉が盛んに出てきますが、私はこれからを考えたときに、男女がともに介護を担っていくという方向を目指すことが一番いいのではないかと思っておりまして、そういう意味で言うと、若い男性が寿退社という言葉が言われるような業界でなくするためにも、そういうことをきちんと打ち出したほうがいいのではないかなと思いますので、ぜひ労働環境という枠をつくって、そこの中に入れてほしいと思います。

 以上です。

○田中委員長 事務局に対する強い注文でしたので、検討をきちんとしてくださいね。

 河原参考人、お願いします。

○河原参考人 失礼いたします。

 今のお話の男性のほうがお給料が高いというイメージが余りないもので、どちらかと言えば、現場としては女性のほうが人材として欲しいもので、男性のほうが高いのは不思議だなというふうに、これは感想です。

 処遇の改善に関してですけれども、やはり続けるということが一番大事なことなのかなというふうに思っておりまして、続けていただく仕組みをどうにか構築していく必要があるのではないかなと思っています。19歳とか20歳の現場職員で言えば、私、処遇はそんなに悪くないと正直思っておりまして、夜勤をすれば手取りで20万円前後いくんじゃないかなと思っておりますので、一般的な企業と比べても、現場の介護職員というのはお給料が低いというイメージはないんですね。

 ただ、問題なのは、30代、40代、50代になったときに、一般企業との格差がすごいんですね。それの仕組みといえば、続かないので、我々の経営者としては、雇用をしないといけないので、ハローワークだとか、そういうところにいい条件で出したいわけですよ。いい条件で出すためには、どこからお金を引っ張ってくるのかというと、法人の中で人件費に使える額というのは、ある程度筒いっぱいになってきていますので、後ろのほう、40代、50代になったときの伸びていくお給料を削って、前のほうにつけるわけですよね。だから、上がっていく斜めの強い台形ではなくて、ほとんど上がらない、四角形に近い、長方形に近いような台形になってしまっているというのが我々の業界の悪いところで、そうすれば、その状況になると、よけいに長く続けることに対するインセンティブがないんですね。逆に、移ったときのほうが、今だったら新しい職場がどんどんできていますので、これぐらいのお給料で私たちは募集していますよというような形で転職するほうがお給料が上がるということのほうが多いんですね。ですので、やはり継続することのほうが一番大きな問題なのかなと思っております。

 あと、やめた理由のところで、法人の事業所の理念や運営のあり方に不満があったというところが大きな問題だと思うのですけれども、その原因としては、我々の業界、入職してからマネジメントに行くまでの期間がすごく短いと思うんですね。これだけ人材不足で雇用が続かないので、ここに書いてあるような3年ぐらいすれば、ある程度の役職についてもらわないと我々も困るし、つけられたときに、自分は介護職として現場の仕事がしたいと思って入職した人間が、勤務表をつくれ、デイサービスで言えば、ある程度経営目標を与えられて、営業しろという形に、自分は老人の横で介護をしたいのに、経営をしろというふうに、一気に3年ぐらいの間に転換がきたりするわけですよ。

 そのときに、介護業界のよくない点だと思うのですけれども、一般的な企業がするような、入職してからの一般的なビジネスマナーであったりだとかという研修をするような制度がほとんどないと思いますので、一気に社会人にならないといけないというような感じで、すごく悩む職員をたくさん見てきました。ですので、介護をしようと思って入った人間が、一気に役職がついて企業人になっていかないといけないという、そのスピード感が、多分この3年というところに出てきているのではないかなというイメージも私の中であるので、そこら辺を、継続するということで、その点もクリアできることなのかなと思いますので、長く続けることへのインセンティブを考えるということが、継続して確保するということへのすごいプラスになってくるのではないかなと思います。

 以上です。

○田中委員長 石橋委員、どうぞ。

○石橋委員 その意見に関係することでもあるのですけれども、介護の現場に就職して2~3年の間にやめる方は結構多いと。その理由は、法人の理念とか経営に問題があるということだけではなくて、人間関係に悩んでやめてしまうという若い方たちが結構多いと聞いています。そのときに相談できる先輩や直属の上司がいなかったということでやめざるを得なかったというような相談を結構受けるんですけれども、そういう意味においては、経営マネジメント、経営者の方たちがその能力を高めることも大切ですが、直属の上司とか中間管理職とかが、いわゆるチームリーダー、初任者を指導する主任クラスの方の養成をしっかり行う。また、中間管理職としてのマネジメントができる方をしっかり養成するというか、入職後に段階的に育てていく仕組みを構築しないと、職員の定着がうまくいかないのではないかと思っています。

 また、介護の現場経験が少ないのに、リーダーとしての研修を十分受けていない、教育も受けていないのに、そういう役割を担うと、今度は逆に責任感などの重圧でやめてしまう。そういう話も聞いております。したがって、そのためには、入職後ステップアップできるようなキャリアアップと同時に、研修体制というものをきちんと築いていくことも必要であると思います。

○田中委員長 そうですね。介護職としての質を上げる研修はいろいろとつくられているけれども、実は、職場の第一線管理者になる、要は経営側に入るときの訓練も、何らかの体制を、個別の組織がつくることが難しければ、業界全体で協力するとか、地域で協力するなどの形で、あるいは職能団体、もしくは特養グループなら特養グループで研修をつくるようなことも必要でしょうね。介護の職の質とはちょっと違う話ですが、全体としての人材を守るためには、先ほど来、柳川委員が言っておられるように、介護研修も含めて、実は今まで余り考えられてこなかったし、してこなかったという感じの御発言がありました。皆さん、大変いい意見を言っていただきまして、ありがとうございます。

 鎌倉委員、お願いいたします。

○鎌倉委員 失礼します。

 これは私事になるのですけれども、特別養護老人ホームで働いて、今、35年になります。働き始めたころは、介護の専門職はありませんでした。近所の人たち、ここでいう未就業層の方たちが介護職として働いておりました。時代が流れ、1987年に法律ができ、介護福祉士が誕生したのは1988年です。介護の専門性が世に出て、今の流れに入ってきているわけです。しかし、当時から全ての介護現場、事業所が100%介護福祉士で介護職員を賄ってきたかというと、それは全然なかったわけです。介護保険が施行される間際には、私の特養では介護福祉士が介護職の7割を超えていました。介護保険が施行されたときには、介護職でケアマネージャー資格を取得した者が13人いましたが、その人たちは次々と他の事業所に引き抜かれやめていきました。そして、だんだん介護福祉士の割合が減ってしまい、最近は50%を切ってしまい、加算もとれない状態になってしまいました。振り返ってみますと、いつの時代も介護人材は不足していたと思います。

 今回の議論に戻りますと、富士山の形の一番底辺にあたるところに介護人材が集まるにはどうするのかということが一つ課題であると思います。

 それから、先ほどいったような介護保険の事業所で、介護の専門職として山の頂上の方で働くとことと下の方では議論の仕方が違ってくるのではないでしょうか。

 未就業の人たちを何とか介護のところへ入っていただくには、いろいろな宣伝をして、あなたでも介護できますよというような、また、身近なところで福祉をやりませんかという形のアプローチがあると思います。

 専門職になってくると、これは介護福祉士会には専門介護福祉士というか、認定介護福祉士というような形で非常に高度になっていくという流れの中にありますので、議論においては、そこのところを分けて話をされたほうがいいのではないかと思います。

○田中委員長 そのとおりですね。山を高めるとかすそ野を拡げるなどの表現がそれに当たるのだと思います。御指摘ありがとうございました。

 武居委員、よろしく。

○武居委員 関連しての話ですが、私たち現場を預かる者として、介護の職員というのをどう考えてきたかというと、日常的な周辺の業務で専門性が低いと一般的に見られる部分から、直接ケアの技術のような専門性の高いと言われる部分まで、幅広い業務をするべきだというように、今までずっと教育をし、そういう人材育成をしてきたと思います。

 ただ、今回の議論のような形で量的拡大をといったときには、全ての業務を介護福祉士という専門職が担っていくというようにはなかなかいかないのだろうと思います。例えば、看護職も今までの歴史を見ると、看護の専門性ということをどう考えるのかという議論の流れの中で、他の職種に分担をしてもらえる業務は何かということで、どんどんほかの職種やほかの非専門職に仕事を分担することによって、自分たちの職域の高さの確保であるとか、必要人数の確保をしてきたと思われます。介護も、そういう方向に考えていかなければいけないだろうと思うのですが、石橋委員に、委員の間で少し質問をしてもいいというお話でしたので、介護福祉士会のほうではどんなふうにお考えになるのかというのを少しお聞きしたいと思います。

○田中委員長 それが審議会の本来のあり方だと思うので、どうぞお答えください。

○石橋委員 ありがとうございます。

 理想を言えば、本当に介護の現場で働く方は、全ての者が質の高い介護福祉士が望ましいのですけれども、現実はそうはいきません。したがいまして、これまでの検討会の中でもお話があったと思いますけれども、介護現場には多様な働き方をする人材もいますし、この際、介護福祉士とそうでない介護職の役割というのを明確化して、介護福祉士の社会的評価を得るような仕組みにしていくべきだと考えています。次の委員会では、質のところの話の中で、介護福祉士の役割が出てくるのではないかと思っていますけれども、介護福祉士も含めて、介護人材を一律に捉えるのではなくて、それぞれに役割分担を明確化したほうが介護福祉士の社会的評価が高まるのではないかなと思っています。

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 うまく7ページのところにフィットするかどうかわからないのですけれども、質と効率をどう両立できるような職場をつくっていくかということを考えたときに、今の議論とも一部かかわるかもしれないのですけれども、どの世界も、それは医療でも介護でも福祉でも、時間がたてば専門分化をしようとするのは一方でとめられなくて、でも、本人、使う側からすると、それは大変困った状況にもなるわけで、専門職としてはどんどん分化、高度化、山も上がっていこうというような、分かれていこうみたいな動きは一方とめられない中で、チームとしてゼネラルにケアをするのか、みたいな、チームの組み方ということに対しても、もう少しこの職場の中で、それは先ほどのモジュール化であるとか、すそ野何とか、分担とかということをかなり前面に押し出しているからこそ、役割分担とやっていくと、利用する側からは非常に迷ってしまうということになりかねないので、それを出すのであれば、ますます、特にこの地域包括ケアシステムを構築していく中で、事業所同士もそうですけれども、事業所の中でゼネラルにチームとして、一人一人は専門性を高めていったとしても、どういうふうに組んでいくのかという、チームの持ち方ということは一つ重要な論点ではないかと思います。

 それから、もう一つ、質と効率の両立ということを考えたときに、バックオフィスの機能というか、現場の最前線の直接処遇に当たる方々を本当に支援できる間接部門のあり方、その効率化みたいなことも、実はBのところでもう少し議論されてもいいところではないかと思います。というのが大きな1つ目です。

 それから、7ページのところが対象となる人材層別に整理をしてくださっていて、これはこれでもちろん重要ですけれども、職場全体として考えると、いかにこのさまざまな方々それぞれの意識を踏まえた形で、それぞれの意識に合った形で職場に対するコミットメントを高めるかということがとても重要で、1つには、そもそも一人一人の職員が、すごく基礎的なことですけれども、どういう就業意識で、どういうふうに働きたくて、どういうことをこの先期待しているのかということを十分に聞き取れていないところもまだまだあるので、まずは第1段階目としては、ちゃんと一人一人の職員が違う思いで入ってきて、どういうことを期待しているのか。必ずしも山に登りたい人だけではないので、そういうことを聞き取るということがまず1つ大事ではないでしょうかということ。

 それから、全体としてコミットメントを高めるというところでいくと、仕事上のコミュニケーションがしっかり、ケアにかかわるコミュニケーション、あるいは施設だったら委員会とかちゃんとやれているのに加えて、経営方針とかケアの大きな方向性みたいなものについても、だから職場の中の縦横のコミュニケーションがちゃんととれている職場というのは、従業員の満足度が高かったりとか、就業継続意識が高いということはいろいろな分析でわかっているので、そういったターゲット別ということとは別に、職場全体として縦横のコミュニケーションを促すような、そして、外との風通し、それも皆さんから御指摘があったと思うのですけれども、職場の中としてもオープンで、そして、外との風通し、外との交流もあるようなということが、結局は高めていくということにつながるんじゃないかなと思います。

 それで、結果として、多分重要なのが、それをどこかの段階でも申し上げたような気がするのですけれども、どんなにこうやって書かれているようなキャリアパスがつくられたりとかなんとかであっても、結局そこの勤務先のサービスの質に満足をしていないとやめていくということが、最近、調査しているとすごく実感されることなので、この前に申し上げていたような、職場内の縦横のコミュニケーション、そしてオープン、外に対してもオープンであることというのを追求することで、多分結果としてサービスの質もついてくるのだと思いますので、他方でキャリア単位制度の活用とかもあるのだと思いますけれども、この労働環境・処遇の改善ということが一人歩きするのではなくて、これがサービスの質に資する形で行われているんだということが明確に職場の中でも合意されているような職場をつくることが重要ではないかと思います。

 以上です。

○田中委員長 調査に基づく発言で、大変裏打ちがあって結構ですね。ありがとうございます。

 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 今の堀田委員の意見とも重なるのですが、労働環境・処遇の改善については、経営者の意思というのはすごく大事だと思います。若干、労働集約産業であるということである一方で、今言ったとおり、夢がないとか、先が見えないということもあるので、いわゆるポータビリティの面で、こちらでやった場合、隣接分野においても働けるんだというぐらいの人材を育てるという覚悟が1点必要なのかなと思います。

 もう一点は、働く人もemployabilityを高めるチャンスなんだということがわかるような社内コミュニケーションというのが必要だと思います。よくあるキャリアアンカー論とかもありますが、我々民間も、あるときは人が大事だ、あるときは市場が大事だということをいろいろ言うのですけれども、結局は、最近、人に戻っているのですが、弊社とかはそうなのですが、取組として、よく面接のときに履歴書を見て、何をやりたいというだけではなくて、本当にキャリア志向表みたいなのをちゃんとつくって、この人はそもそもどんな価値を持っているんだ、どんな生きがいを持っているのか。仮に生きがいが社会福祉士と関係なかったとしても、ほかの基準が高ければ、当然採用すればいいだけであって、まず、その人のことを知りましょうというような丹念な作業を入職の際にきちんとやるというのが大事なのかなと思います。

 それで、また当然仕事をしていく中、スキルアップする中で変化していくときに、まさに堀田委員が今おっしゃったとおり、縦横の中で、ああ、こういうふうに変わっていったんだな、この人はどうもemployabilityが高まりそうだなとか、あるいはこの人は残念だけど、介護じゃなくて児童分野のほうがいいのかなとか、そういうようなところの判定というところを経営層もきちんとマネジメントの中で組み込んでいくのがよろしいのかなと思います。

 以上です。

○田中委員長 では、最後の8ページです。役割分担と連携。まとめのところも含めて議論いたしましょうか。今までにもかなりここにかかわることが出ていましたけれども、最後の○4です。ここだけ絵になっていますね。

 今まで出ていなかった論点は、このページで言うと、下の黄色のところと青のところです。ここは個別の組織を超えて、行政、国の役割も私たちは議論していいわけですから、これについても御意見があればお願いします。

 西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 この役割分担の中で、非常に都道府県というところが強調されているのですが、我々、もちろん人材確保対策、都道府県の役割の中心だとは思っています。しかしながら、今後、これはいつも堀田先生がおっしゃるとおり、地域包括ケアシステムを構築していかなければいけない。これからは在宅介護・看護の時代になります。そうなりますと、主体はどこかと。そういった仕組みをつくるのは、やはり市町村なんですね。その市町村の取組を我々都道府県がバックアップしていくというのがまず第一で、主として、せめて書くのだったら、都道府県等じゃなくて、都道府県市町村等の役割と。あるいは市町村、あるいは地域包括ケアセンターですね。この辺まで踏み込んで書かないと、市町村さんも自覚してくれないんじゃないかと思っていますので、ぜひその辺の記述をよろしくお願いしたいと思います。

○田中委員長 市町村代表はおられないので、誰か反論をかわりにしますか。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 反論というわけではないのですけれども、まず両面あって、一方では、おっしゃるように、市町でさまざまな計画を立てていくときに、担い手のことに十分にまだまだ意識を持っていただく余地があるし、それから、地域包括支援センターであるとか、さらに小さな小地域などでしっかりと対応を進めていくことで、大きな意味でのケアの担い手の役割分担なども見えていく可能性があるので、そのことも書き込まれていいというふうに思うのですけれども、他方で、実際に地域包括ケアシステムの構築の計画を立てていく、責任を持ってやっていくということは基礎自治体だと思いますけれども、人材ということで考えると、それぞれの市区町村が立てていった、現段階であれば、関連するいろいろな計画、いずれは地域包括ケア計画になっていくのだと思いますけれども、そういったものに連動する形で必要な担い手についても出していったものを集約をして、だから、都道府県が全部決めてやってということではなくて、市区町村がやっていくことを後ろからバックアップする。地域で全体として、人は動いていくので、市区町村だけでといっても、かなり動くので、都道府県ぐらいの圏域で考えて、しっかりと必要な量や質の計画を立てて、それに基づいた対策を実践してモニタリングをするというような、マネジメント一連のプロセスですね。これはぜひ都道府県で市区町村から吸い上げながら行っていただけるといいなと思いますし、それに向かってもう走り始めておられて、今回もさまざまな都道府県のいろいろな取組が出されているところでもありますので、それを後押しする意味でも、都道府県における人材に関するマネジメントプロセスをしっかりと回していくということは、十分に共通の認識にしていけるといいのではないかなというふうに期待します。

○田中委員長 西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 委員同士ということでよろしいですか。

 まさに私ども、一切役割を放棄するというか、むしろこれから強化するという意思は強く持っています。その意味で、例えば人材センターの機能を、今のところ、キャリア支援専門員さんというものを配置していただきまして、これは基金によって配置されているので、来年度以降どうなるかという不安はあるのですけれども、ここはしっかり国としても、ぜひここのキャリア支援専門員、ここの人たちが頑張っていただいたおかげで、きめの細かいマッチングができて、今、求人数、求職数も、登録者数は昨年の倍になっているんですね。しかも、マッチング率も非常に効果よく高まっています。

 ここで、6ページに潜在介護福祉士の活用ということで、できれば、こういった離職した人とか、あるいは介護福祉士に合格した人にも、ぜひ人材センターへの登録を促すような働きかけといいますか、そういった仕組みも必要なのかなと。我々としては、まず、人材育成の中心である人材センターというものの取組をさらに強化してまいりたいと思っていますし、市町村がつくる計画に対する支援もしっかりとやっていきたいと思っております。

○田中委員長 ありがとうございます。

 両者食い違っているわけではなくて、それぞれの仕事ぶりはよくわかりました。人材センターは確かに県レベルのほうがいいでしょうね。市町村では難しいですから。看護もそうなっていますし。ありがとうございます。

 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 ちょっと質問なんですが、黄色の部分のプラットフォームというのは、親会の福祉部会でもガバナンス改革の中でいろいろ吸い上げるプラットフォームをつくりましょうというのですが、これは別個で考えるということでしょうか。

○田中委員長 8ページの黄色のところについて何かあれば。

○武内福祉人材確保対策室長 すみません、福祉部会で人材に関するプラットフォームの構築という議論でしょうか。

○柳川委員 人材に限らないのですけれども、そういう地域の代表とかで公益活動とか、そういったところでも一応プラットフォームをつくるようなのですが。

○田中委員長 地域貢献活動の話で出ていました。それとの違いは何かという御質問ですね。

○武内福祉人材確保対策室長 それは、この時点では別物だというふうに考えています。ここでは幾つかの先進的な都道府県でいろいろなセクターの方が集まってプラットフォームをつくり、そこでの人材に関する課題を共有し、その方向性、取組を一致させて一緒に取り組むと、そういうものをイメージして書いております。

○柳川委員 わかりました。ありがとうございました。

 それで、また神奈川県さんに聞いてしまうことになるかもしれないのですが、地元で場をつくるとなったときに主体というのは、商工会議所やNPOなどがあると思うのですが、市町村単位でも、隣の町にはあってもこちらの市にはないというところがあるので、お隣の町ではこういうNPOもあるという情報は、ぜひ地域包括ケアシステム推進の意味でも、やはり都道府県単位でデータ公開がいいんじゃないのかなと思います。データというのが、先ほどもミクロの話でキャリアの話とか、そういうのが出ていましたけれども、そういうデータがあって、いろいろ分析して考えることによって、法人運営とか、そういったところにも十分つながっていきますし、当然そこからの結果を市民に公開していけば、それだけ啓発活動にはつながると思いますので、ぜひそういったところは都道府県というのがやはり一つ単位ではないのかなと考えます。

 以上です。

○田中委員長 どうぞ、西條さん。

○西條参考人 神奈川県に対するご意見ですので発信させていただきます。

 神奈川県は、ほかの地方と比べては失礼なのですけれども、まず、各市がそれぞれ独自の特色を活かしながら、プラットフォーム的なものは既にあるんですね。横の連携という意味で今のお話でございましたら、もちろん情報を集約して、一般にオープンするという仕組みは考えられますけれども、全国一律で話しているわけではないので、申しわけないですけれども、そういった取組もそれぞれの地域の選択によって進めるべきで、強制的にやるというのはちょっとどうかなと思っているんです。やはりあくまでもそれぞれの市町村。地域というと、我々が思い浮かべるのは、やはり市町村単位なんですね。そこの市町村の特色ある取組を侵さない限り、幅広い支援ができるのですけれども、強制的に都道府県がこの役割だというふうに決めつけるのは、ほかの都道府県に対してもどうかなというところがあったものですから、それぞれの事情によるんじゃないかなと思います。それは、あくまでも各市町村それぞれ、都道府県それぞれの選択によるんじゃないでしょうかね。

○田中委員長 どうぞ。

○柳川委員 おっしゃるところはわかります。神奈川県さんの場合、政令指定都市も大分抱えていらっしゃいますし、藤沢市さんとか、非常に福祉に熱心なところもおありです。ただ、そうでない市町村というのももちろんあると思いますし、当然、あと、国の施策にかなり縛られてしまっているという側面もあって、主体性をどこまで突っ込んでいいのかわからないという議論があると思うんですね。ですので、市町村という議論もあるのですけれども、同時に、県あるいは都道府県として、国との整合性みたいなものもどんなふうに今考えられているか、教えていただければと思います。

○西條参考人 当然、国との整合性というもの、国と市町村の間に立ちまして、我々、調整する立場にございますので、市町村の意向をまず吸い取って、それを国のほうへお伝えする、つなげていくという役割は当然持っております。その中で、何もさっきから我々が、都道府県が前面に立って頑張らないと言っているわけではなくて、やりますけれども、あくまでも市町村といいますか、地域の独自性、主体性、自主性、そこはやはり尊重していかないと、自治体の運営というのはうまくいかないんじゃないかと、そういうことだけ申し上げているんです。

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 それぞれの地域の文脈に応じた形でということで、私もそれが現実的だろうなと思います。必ずしも都道府県で必ずこの機関とこの機関とこの機関を置いた何かを新たに設けねばならないということではなくて、この目標としては、介護人材というものを地域全体でしっかりと考えて、さまざまな方々がそれぞれの現場でいろいろな問題意識を持っていらっしゃるので、その問題意識とビジョンを共有していく場所として、そういう場を持ちましょうということで、必ずラインナップを決めて、こういうものを新しくつくれということではなくて、そういう場があればいいんではないかという一つの提案で現実的にはいいのではないかと思います。もちろんその都道府県単位で設けられることが一つの選択ではあるのではないかと思いますが。というのがまず1つ目です。

 質問攻めから別の話にいきますと、ここのページ、図を描いていただいているので、逆にちょっと気になったのが、その関係の方々はこれでいいんでしょうかということなんですけれども、今、都道府県などの役割と介護事業者の役割(例)となっていますけれども、専門職自身の役割とか、あるいは学校の役割みたいなことはいいのかなというのが。それは、例えば職能団体、専門職のお立場だったら、特に具体的イメージの発信は自分たちじゃないとやっていけないじゃないかとか、あるいは学校も、自分たちが地域に見える化、継続的な地域全体で育むというのをこれからはやっていくぞとか、いろいろな、既にやっておられること、これからのビジョンというのがおありだと思うので、もしこの図がこのままどこかに歩いていくのだとすると、都道府県などと介護事業者だけというよりも、さまざまな、本日いらっしゃる皆様が実際現実に担っていらっしゃることもあるし、これからのビジョンということもおありだと思うので、余りいっぱい入れるとわけがわからなくなるかもしれないのですけれども、今、それはこれでいいのかしらというのが、外から見た投げかけです。

○田中委員長 どなたかお答えになりますか。いい問いかけだと思います。

○西條参考人 学校というのは養成校とかじゃなくて、一般の学校のことですか。

○堀田委員 養成校とか。教育機関。

○西條参考人 それならあれですけれども、プラットフォームという意味では、今、労働サイドさんのほうで介護労働の懇談会をやっていますよね。ああいった場の活用ということも我々既にやっていまして、そこで各事業者さんのすぐれた取組といいますか、好事例なども紹介していただきながら、ほかの事業者さんの取組に活かしていくというのもやらせていただいていますので、それはあくまで都道府県単位です。

○堀田委員 済みません、西條さんに御質問ということではなくて、どちらかというと、本日ここの場にいらっしゃる職能団体であるとか、教育訓練機関の方々が、ここに赤と紫とは別に、縦の柱として、教育訓練機関の役割とか、専門職の役割というのがなくてよろしいんでしょうかという皆様への投げかけでございます。

○田中委員長 石橋委員、いきましょうか。

○石橋委員 事務局の考えもあって表をおつくりになったと思いますが、堀田委員がおっしゃるとおり、専門職としても職能団体としてもプラットフォームの中にもきちんと位置づけをさせていただいて、その役割を担っていきたいという思いは確かにあります。もしそれでよければ、そういうことをお願いしたいと思います。

○田中委員長 事務局、どうぞ。

○武内福祉人材確保対策室長 では、事務局のほうからなんですが、こちらは、このページの主眼は、地域全体で人材を育み育てるという体制をつくる。そのためのプラットフォームをしっかりつくっていこうということが主眼のテーマになっておりまして、それを考える上で、この事業者の方々と都道府県の方々の役割を上に書いて、これを循環させていくための土台として黄色い部分が必要だということで、そういう思考過程を経て書きました。

 そういう意味において、専門職種の方々、あるいは教育機関の方々は、劣後する役割だという意図では全くありませんで、むしろさまざま関係する方、ステークホルダーが全て集まって、それぞれの責任を分担しながら進めていくという趣旨です。ちょっと舌足らずというか、図足らずというか、そういう感じになっておりますが、そのように御理解いただければと思います。

○田中委員長 鎌倉委員、どうぞ。

○鎌倉委員 先ほど介護福祉士会、石橋委員が言ったのと同じで、このプラットフォームは、先ほど答えが出されましたが、社会福祉士会も当然役割かあると考えます。それから、このペーパー全体にちょっと違和感があったことです。8ページに介護事業者の役割(例)が出ています。これ自体は今日のテーマである介護人材の量的確保に向けた論点ということで、介護人材のところでよろしいと思いますが、こういう介護事業者とか都道府県とかがいろいろこういうことをしていくという大前提は、結局、福祉制度の質の確保、あるいはサービスの質の確保ということだと思います。そのところは、例えば1ページ目のところに、人材の量的確保と質的確保を両輪としてというふう書かれておりますが、この前のところに、サービスの質の確保をすることは当然であり、大前提である。そのために介護人材の確保が必要だという文言を入ったほうがよろしいと思います。これは意見として。

○田中委員長 議論の進め方の説明をもう一度お願いします。量と質の関係ですね。この資料で言うと4ページになるのかな。

○武内福祉人材確保対策室長 そうですね。今おっしゃっていただいたこと、事務局の考えとしても全く一致をしております。介護人材が地域包括ケアシステムの構築に不可欠な社会基盤であると。そういう大前提に立った上で、それを確保するためのアプローチとして、量と質の好循環を確立していく。すなわち、多くの人材が介護に従事し、切磋琢磨を通じて質の向上が促される。そして評価も高まっていく。そして、その評価が高まり、魅力が高まることによって、また量的にも確保されていくという循環をつくっていこうということで、1ページの最初のページに書かせていただいた。ちょっとこの辺、大前提というか、究極の価値、達成すべき価値というところがここでは少し不明確だったかもしれませんが、そういう趣旨でございます。

○田中委員長 花井委員、お願いします。

○花井委員 事務局に質問なのですが、8頁の図の真ん中に認証・評価等とありまして、上のほうの説明文では、都道府県においてという主語になっています。この認証というのは、この事業所はすばらしい取組をしているので、その事業所がいろいろなパンフレットをつくるときにマル適マークや、くるみんマークのようなものを使えるといった、イメージなのでしょうか。

○武内福祉人材確保対策室長 そこも一つの例として掲げさせていただきましたので、具体的にどういう形があり得るのかというのは御議論いただきたいと思いますけれども、一つの参考例としましては、資料2の28ページ以降に、一つのモチーフとして、きょうと福祉人材育成認証制度というものがございます。先ほど少し駆け足で御説明をしてしまいましたが、28ページの左にありますような認証マークというのが、一定の水準、一定の基準を満たした事業者の方々に対しては付与をされて、その事業者の方々は、この認証があるということを一つの訴求するメッセージとして求職者の方に伝える、あるいは地域の方々に伝えるというようなやり方をしている例もございます。こういったことも参考に、具体的な形というのがあり得るのかというのを御議論いただければというふうに思います。

○田中委員長 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 すみません、ちょっと議論が戻ってしまうかもしれないのですが、いわゆるキャリアパスですね。こちらは、今までの議論はどちらかというとキャリア段位制とかも介護専門職を高めていきましょうという流れだったのですが、今日の議論の中で、やはり管理、マネジメントというのが出たので、一度包括的な案を出したほうがいいと思うんですね。なぜかといいますと、結局こういう情報を集めて役割分担しましょうといったときでも、どんなことが実際に社会福祉法人なり介護業界で行われているかというのを知れば、自分はここはできるかもしれないとか、あるいはここがやっぱり足りないかもしれないという一つの指標、メルクマールになると思うのですね。ですので、包括的なキャリアパスを一応出すということが一つポイントかなと感じます。

 そうすれば、実際に以前、福祉部会でも言ったのですけれども、商工会議所に登録している専門家に経理が得意な人間というのもいるかもしれませんし、また、高校生に焦点を当てていくという話もありましたけれども、うちのお父さんはこういう仕事をやっていたからできるかなと思う可能性もありますので、どんなキャリアパス、複線的なもので包括的なキャリアパスを一度まとめられて、案として出されたほうがいいんじゃないかなと思います。

 以上です。

○田中委員長 御提案ありがとうございました。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 今の8ページのプラットフォームの議論というのが、期待としては、この後やるかもとおっしゃっていた、社会福祉とか障害福祉分野も含めた形でのプラットフォームになっていくことを期待したいというふうに思ったりするのですけれども、事務局のイメージは、このプラットフォームというのは介護人材のためのプラットフォームであって、社会福祉とか障害福祉というのはまた別というようなイメージなのでしょうか。それとも、このプラットフォームは、それらも包含した形でのプラットフォームをイメージしておられるでしょうか。

○武内福祉人材確保対策室長 今日お示しした8ページの中では介護人材を念頭に置いています。しかし、堀田委員がおっしゃっていただいているような、ケアする人材としての包括的なプラットフォームをつくるというやり方もありましょうし、そういう広がりを持たせるということも重要な視点かと思いますので、そこは余談をもつことなく御議論いただければと思います。

○田中委員長 一わたり、よろしゅうございますか。どうぞ、武居委員お願いします。

○武居委員 8ページにまたこだわってしまってすみませんが、これは、私の私的な感想という形になる部分もありますけれども、介護人材の量的確保に向けた論点というところで、介護事業者と都道府県の役割がメインで書いてあって、他の教育機関とか専門職団体とかいうようなところは、いわばそれを下から支える団体になっている。この図を見たら、私は専門職団体と学校も同様にもっと中心的な役割として担っていかないといけないと思っていただきたいですね。というのは、どこかの部分だけが一生懸命やっていても、これはだめだろうと思うので、それぞれ関係しているいろいろなところが主体的に人材確保ができるような動きがないと、業界全体の底上げができないのではないかと思います。専門職団体と学校の意見をいただけたらいいなと私は期待していたのですが。

○田中委員長 事務局、どうぞ。

○武内福祉人材確保対策室長 わかりました。8ページの図がそういった偏った役割分担のイメージをもし与えてしまったのであれば、その辺は、今日いただいた観点も含めて、この業界というのは、事業主の方々だけではなくて、関係する方々が全て共同して同じ方向を向いて進めていくという趣旨をお伝えしたかったものですので、そういうふうに整理を工夫をしたいと思います。

○石橋委員 ぜひお願いします。

○鎌倉委員 同じくお願いします。

○田中委員長 職能団体から賛成だと言っていただきました。世の中は図で理解しますから、そこはとても大切です。個別の事業者が頑張るだけでは業界の底上げになりません。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 短くですが、そのプラットフォームなんですけれども、すごく簡単な一つの期待として、結構いろいろな場所で、それこそキャリアパスの事例をとか、仕事と育児だったり介護の両立をしている事例だったりとか、そんなものをもっと出してはとかと言われることがあるのですけれども、結構さまざまな部局だったり、さまざまな機関でそういうのをためてきているのではないかと思うんですね。最初のほうに申し上げた調査のこともそうで、最初に一度でもこういういろいろな人が顔を突き合わせたら、自分たちがどういう調査をやってきていて、どういう事例なりを蓄積してきていて、それでもこれがもっと欲しいんだとかということも一度棚卸しをしていただきたいなという気がするんですね。私もそれに加担していく一人でもあるので、何とも言えないのですけれども、さまざまな、それは事例ベースでも、数字の面での調査でも、いろいろなところがいろいろなことをやっていて、それらを一旦どこがどういうものを持っていて、何が本当に足りないのかというのも、まず第一に、そんなすごい大志を抱く前に、まず今まで何をやってきていて、どんなものを持っているのかということをお互いに見せ合って、何をやっていかなければいけないのかということを知るということも、まず出発点としては大事じゃないかなと思います。

○田中委員長 ほかに御意見はございませんでしょうか。

 本日出た議論については、事務局でまた引き取って、図柄の修正を含めて深化させてください。

 ここまでよろしゅうございますね。

 では、次回の開催について、事務局より説明をお願いします。

○西辻総務課長 次回でございますが、1118日の火曜日、9時からの開催を予定しております。詳細につきましては、追って連絡させていただきます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 本日の委員会はこれにて終了いたします。

 皆様、お忙しい中、長時間議論いただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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