ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会)> 第14回社会保障審議会福祉部会 議事録(2015年2月12日)




2015年2月12日 第14回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成27年2月12日(木)16:00~18:00


○場所

グランドアーク半蔵門「富士東」(4階)
(東京都千代田区隼町1-1)


○出席者

田中滋 (部会長)
石橋真二 (委員)
猪熊律子 (委員)
鎌倉克英 (委員)
川井太加子 (委員)
(代理:西條由人参考人)
小林光俊 (委員)
関川芳孝 (委員)
高橋英治 (委員)
武居敏 (委員)
(代理:末吉孝徳参考人)
対馬徳昭 (委員)
(代理:平川則男参考人)
福間勉 (委員)
藤井賢一郎 (委員)
藤野興一 (委員)
堀田聰子 (委員)
松原由美 (委員)
松山幸弘 (委員)
三好昇 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

社会福祉法人制度改革について(報告書案)

○議事

○田中部会長 皆さんこんにちは。定刻になりましたので、ただいまより第14回福祉部会を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。

 初めに、委員の出欠状況について事務局より説明をお願いします。

○西辻総務課長 委員の出席状況につきまして御報告を申し上げます。

 本日は黒岩委員、高橋福太郎委員、橘委員、花井委員、宮本委員から御欠席の連絡をいただいております。

 また、黒岩委員の代理といたしまして、神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人。

 橘委員の代理といたしまして、日本知的障害者福祉協会事務局長の末吉孝徳参考人。

 花井委員の代理といたしまして、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局局長の平川則男参考人にお越しをいただいております。

 なお、猪熊委員、小林委員、関川委員からは、若干おくれるとの御連絡をいただいております。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 議事に入る前に毎回のことですが、ただいま御紹介のありました欠席の委員の代理として出席されている参考人について、皆様の御承認をとりつけたいと思います。

 本日御欠席の黒岩委員、橘委員、花井委員の代理として、西條由人参考人、末吉孝徳参考人、平川則男参考人の御出席について異議はございませんでしょうか。

(異議なしと声あり)

○田中部会長 ありがとうございます。

 続いて、資料に入る前に資料の確認を行います。事務局から説明してください。

○西辻総務課長 お手元の資料につきまして確認をさせていただきます。

 本日は配付資料といたしまして2点。

 資料1社会保障審議会福祉部会報告書~社会福祉法人制度改革について~(案)。

 資料2前回の意見を踏まえた修正箇所についてでございます。

 御確認をよろしくお願いいたします。

○田中部会長 ありがとうございました。

 早速議事に入ります。前回は報告書の素案について皆様に御議論をいただきました。本日は報告書~社会福祉法人制度改革について~の取りまとめを行いたいと存じます。前回の御議論を受けて、私から事務局に指示して報告書案を修正していただきました。前回からの修正点について事務局から説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、部会長の御指示に従いまして、修正した点につきまして説明をさせていただきます。

 資料1が、修正を反映した報告書案です。

 資料2が、前回の御意見を踏まえて修正した箇所が記載されております。

 まず資料2をお開きください。資料2にございますとおり、まず3ページでございます。報告書の3ページになります。その第3段落目でございますが、これにつきましては前回の部会におきまして、花井委員より御意見がありました人材確保に対する認識というものが社会福祉法人改革において前提としてあるという御意見を踏まえまして、修正されたものでございます。読み上げさせていただきます。また、今後の高齢化等に伴う福祉ニーズの急増に対応するために必要な人材の確保に当たっては、処遇の改善をより一層進めることが重要である。社会福祉法人がその役割を適切に果たすためには、率先して、職員の処遇改善や労働環境の整備等に取り組むことが期待される。

 続きまして、報告書の8ページの第3パラグラフでございます。この点につきましては、前回の部会におきまして御議論いただきましたコンプライアンスの体制について御了承いただきましたので、これを報告書に反映しております。読み上げさせていただきます。一般財団法人・公益財団法人と同様に、理事の職務執行についてのコンプライアンス(法令遵守等)を確保するための体制整備について、理事会の議決事項とし、一定規模以上の法人については、その体制整備を義務付けることが必要である。

 続きまして11ページでございます。資料2では2パラと書いておりますが、大変申しわけございませんが、資料の調整の結果、現在の報告書では第1パラグラフとなっております。これにつきましては運営協議会に関する記述でございますけれども、前回の御議論の中で、前回の記述であると議決機関に代替するような誤解がある等の御指摘がございましたので、この文章を変更しております。読み上げさせていただきます。評議員会が議決機関として位置付けられることに伴い、現行の評議員会が担っている諮問機関としての機能の一部を代替する仕組みとして、各法人が地域の代表者や利用者または利用者の家族の代表者等が参加する運営協議会を開催し、意見を聞く場として位置づけることにより、地域や利用者の意見を法人運営に反映させることが適当である。

 続きまして14ページでございます。これにつきましても恐縮ですが、第3パラグラフになります。(2)の2つ目の段落ですが、これは前回の部会におきまして定款を公表対象とすることについて御了承を得ましたので、これを報告書に反映しております。読み上げさせていただきます。定款、貸借対照表、収支計算書、役員報酬基準を公表対象とすることを法令上位置づける必要がある。

 最後になりますが、21ページでございます。これにつきましては前回の部会におきまして、再投下の中で社会福祉事業への投資の内容が資料では明らかではあるが、報告書では明確になっていないという御意見がございました。これを踏まえまして修正したものでございます。

 これにつきまして21ページの第1段落でございます。読み上げさせていただきます。『再投下計画』には、社会福祉法人が実施する社会福祉事業又は公益事業により供給される福祉サービスへの再投下の内容や事業計画額が計上されるが、計画を検討するに当たっての優先順位については以下のとおり考えるべきである。

 ○1社会福祉法人は、社会福祉事業の実施を主たる目的とする法人であることから、社会福祉事業への投資(施設の新設・増設、新たなサービスの展開、人材への投資等。社会福祉法人による利用者負担の経験など社会福祉事業に関する地域における公益的な取組を含む。)を最優先に検討する。なお、実質的に社会福祉事業と同じ機能を担う、いわゆる小規模事業についても併せて検討する。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明のように、修正をしていただきました。これについて御質問や御意見がありましたらお願いいたします。

 平川参考人、お願いします。

○平川参考人 ありがとうございます。

 修正点について、前回と比較して3ページの3パラ目職員の処遇改善や労働環境の整備について明確に記載いただいたことに関して、まず感謝申し上げたいと思います。社会福祉法人がその役割を適切に果たすためには、人材確保という観点からも、職員の処遇改善に向けて、より他の事業者に先だって、率先して進めていくことが極めて重要であると考えているところです。また介護給付費分科会におきましても、介護職員の処遇改善の基本的な考え方というところで、労働環境、処遇の改善といった視点から対策を総合的に講じていくことが必要であるという審議報告になっております。

この点、今回加えていただいた箇所については、職員の処遇改善や労働環境の整備等に取り組むことが期待されるという表現になっておりますので、この末尾については、可能であれば必要であるといった、もう少し積極的な表現に変更していただくことの検討をお願いしたいと考えます。

 以上です。

○田中部会長 ただいま期待されるではなく、もう少し強い表現にしてはどうかという御意見がありましたが、いかがでしょうか。事務局お答えください。

○岩井福祉基盤課長 もしもこの場で御議論いただけるとすれば、期待されるよりは、例えばこの報告書の中で使われている用語といたしましては、例えば求められるという形に修正していただくことを御了承いただければ、そういうことに修正することも可能かと思います。

○田中部会長 期待されるではなく求められるに変更は可能なようですが、いかがですか。

○小林委員 今の期待されるよりは、まだ求められるのほうが確かに強いと思いますので、今のお話で必要であるか求められるということで、そういう強い表現にしていただいたほうがいいだろうと私も思います。

○田中部会長 賛成の御意見がありました。では求められるへの変更に反対の意見はないようですので、そのようにさせていただきましょうか。ありがとうございます。

 ほかに本日の修正点に関する御質問や御意見はございますか。ないようですと、報告書の案とは関係なく最終回になると思いますので、皆様からの感想でも伺いたいところですが、報告書については今の一言を変えることを除いて案のとおりでよろしゅうございますでしょうか。西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 感想も含まれると思いますけれども、御発言を許していただければと思います。

 今回の社会福祉法人改革で、都道府県として一貫して主張しておったのは、社会福祉資本がまだまだ不十分であると実感している中で、今後とも社会福祉法人に期待することが大きい。その中で一部の社会福祉法人に余裕財産があるからといって、それが社会福祉事業以外に流出するおそれはないかということを懸念しておりました。その意味で、法人がこれまで以上に自主性を発揮して透明性を高め、地域ニーズを踏まえた民主的な運営により、社会福祉事業を鋭意遂行していただくための仕組みづくりを進めていくことには異論はございません。

 ただ、社会福祉法人は社会福祉事業を法人本来の自主性を発揮して行ってこそ、社会福祉法人があると考えておりまして、自治体としてはまさにそこに期待しているのであって、この新しい仕組みの中で特に法人の経営改善、透明性の確保について必要以上に行政の関与という部分は、できるだけなくしたほうがよいのではないかと思っております。

 こうした観点で気になる点があります。25ページから26ページにかけまして(2)指導監督の機能強化についてでございますけれども、記載の方向性に異論はございません。これだけの事務を法人及び所轄庁が行うには、人件費も含めて財政負担を伴います。特に自治体の財政負担につきましては機関委任事務である以上、国が適切に予算措置をしていただくよう、切に要望するものでございます。

 もう一点、次の(3)国・都道府県・市の役割と連携の在り方についてです。都道府県の管内の指導監督を支援する役割については、これも機関委任事務であることに鑑みまして、現行法との整合性をとって基準等を整備されるようお願いしたいと思います。

 具体的にここの2パラの4行目で都道府県には広域的な立場で研修を行うなどと書いていますが、研修はまさに国の機関委任事務といいますか、国の役割ではないかと考えております。もしここで都道府県の広域的な立場でということであれば、調整の場を設けるとか、市、県も含めて管内所轄庁の監査の指導方法にそごがないように、調整の場を設ける程度の表現のほうがよろしいのではないかと考えております。

 また、次の財務諸表、現況報告書等の情報提供でございますけれども、都道府県の法人指導は何も社会福祉法に基づく指導監督だけではないし、これが万能ではないことはまず御理解いただければと思います。その意味で、これらの情報を法人の指導監督に活用ということではなくて、法人の自主的な経営改善を促すための資料として活用といったような表現のほうがより適切かなと思っています。所轄庁としては、その経営努力の結果の財務諸表を見て、初めて公金が外部流出していないか、適正に執行されているかということを判断するものと考えておりますので、以上、意見として申し述べたいと思います。

○田中部会長 今の西條参考人がおっしゃった趣旨が反映されるような文章であればいいわけですが、それはそういうふうにとっていいのでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 所轄庁、特に都道府県あるいは国の役割がそれぞれあるということを御議論いただきましたし、その基準を示すとか、あるいは国がしっかりした役割を果たすというのは、この中に盛り込んでおります。また、都道府県の役割というものもその中では広域的な公共団体として、これは当部会でも御意見が出ましたが、研修を初めそういうバックアップをすることの必要性というものは御議論がありました。また、指導監督というものの機能強化という御議論もありましたので、もちろん経営を自主的に強化していただくためにデータを使っていただくこともありますが、そうしたことも含めてこういう報告書案になっていると思いますので、西條参考人のおっしゃることも含め、全て反映されていると理解しております。

○西條参考人 私が言っているのは、研修という言葉を使った途端に指導監督という表現になってしまうということを申し上げています。その場合、ここで市の職員に法人の指導監督に必要な会計や福祉に関する専門的な知識が求められていることからという、この部分は当然、都道府県の職員にも求められている話でございまして、これをなぜ都道府県が市に対して指導研修みたいな形でやるのか。その部分が表現的に疑問を持っているということです。

○田中部会長 報告書の表現なのか、今後出されるガイドライン等の中身で御懸念を晴らすかだと思うのですが、それはいかがですか。

○岩井福祉基盤課長 これは実際に都道府県によりましては研修等を行って、各所轄庁を支援していただいているということ。また、この部会におきましても御要望が強かった点でございます。そうしたものを含めてしていただくということで、所轄庁であるという機能だけではなくて、国、都道府県がその役割で重層的に役割を果たしていただくというのが、今回の部会の御意見だと思われますので、そういう方向で今後、明確に基準は示していきたいと思っております。いずれにしましても、各所轄庁が機能的に機能されるようなことは、国として責任を持ってやっていきたいと思います。

○田中部会長 松山委員、お願いします。

○松山委員 今の議論ですけれども、私は医療計画とか介護計画、福祉計画の立案、制度運営において今後、都道府県が相当な権限と責任を持ってやらざるを得ない時代が来ると思うのです。

 そういう意味で、今回の答申の中で市と都道府県の関係をどのように書くかというのは別の問題として、近い将来の姿を念頭において都道府県の役割をより重く、明確にしておく必要がある。ちなみに社会福祉法人の所轄が県から市におりた結果、何が起きているかということが、現在234ある社会医療法人のうち社会福祉法人も経営しているグループ55について当該社会福祉法人の財務諸表を集めようとしてわかりました。それは県から市に当然所轄がおりているはずなので、まず市に電話しました。そうしたら、市の方が一生懸命調べてくれたのですけれども、自分のところが所轄になっているかどうかわからないと言うのです。県庁に聞いてくれと言うので県庁に電話しましたら、所轄は市になっていると言うのです。また、県庁は社会福祉法人は通知によって財表公開が実質義務づけられているので、ホームページを見てくださいと言うのです。こちらはホームページを見てもないから聞いているのです。現場がどうなっているかというのを誰も把握せずに走っている感じがします。

 また、地方厚生局とか県庁、市によっては、まとめて所轄の社会福祉法人の財務諸表とリンクを張っていただいているのですけれども、それをクリックしても目的の財務諸表を入手できないことが多々あります。例えば、貸借対照表や事業活動収支計算書ではなく現況報告書をホームページで公開している社会福祉法人があります。現況報告書には通常簡易版財表が記載されているのですが、中には簡易版財表にデータ未記入の社福があります。データを書いていない不思議な開示を行っているのです。これは、所轄庁は社福のホームページにリンクをはっても自らは内容を見ていないということです。このような現場の混乱を収拾していくためには2つの方法があります。1つ目はたしか黒岩委員がおっしゃったと思うのですが、データベースをつくるに当たっては国レベルできちんとしたものをつくってほしい。私も社福の財務データベースについては国が管理する仕組みが必要と思います。2つ目は現場を指導するのは所轄が市であっても、県が何らかの関与をしていかないとだめではないかということです。

 なお、結論として今回の福祉部会での議論は、かなり画期的な内容であると評価しています。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 今とは違う点でよろしいですか。

○田中部会長 先に今の点で結論を出しておきましょうか。都道府県の役割について。

○藤井委員 今の点なのですが、社会福祉法人の許認可等については法定受託事務でありまして、介護保険のような自治事務ではないので、少し考え方の整理が必要なのだろうと思うのですけれども、調整であるとか連絡とかいったことが法定受託事務の場合に都道府県に対して法律、政令等でそれを行うものと書かれることを想定しておられるのか、それともそういったことを書かなくても、当然地方自治法の趣旨に基づいて法定受託事務においても都道府県がそういったことをやるべきという意味で書かれておられるのかで、先ほどの御質問の意味が変わってくると思うのですけれども、そのあたりはどのような考え方に基づいておられるのでしょうか。この文章ですけれども。

○田中部会長 課長、お願いします。

○岩井福祉基盤課長 今回の報告書は、制度改革を具現化するという方向性を示していただいております。現在の法定受託事務であるか問題もありますが、基本的に都道府県あるいは国の役割というものがここでなければ、社会福祉法人の改革あるいは適正な運用はできないという御認識のもとに、その役割を位置づけるということでございますので、そうした法令上の位置づけをきっちり設ける方向で検討をしております。

○藤井委員 そうしますと、法定受託事務だから、これは都道府県が関係ないという議論にはならなくて、そういった都道府県の役割が位置づけられるような法令上の整理はこれからするけれども、ここにきちんと明記はされるべきであるというのがこれまでの議論ですし、事務局の御意見であるということでございます。ということであれば、私はこの文章はこのとおりでいいのではないかと思います。

○田中部会長 ほかにこの点についてはいかがでしょうか。どうぞ。

○藤野委員 先ほどの運営委員会の修正のときに言うべきだったのですが。

○田中部会長 前の話ですか。都道府県の話を決めてしまいましょう。

 多分、西條参考人の言った書き方をするとまた意味が違ってきてしまうため、むしろこれはこのまま読めますので、あとは今後の法令上の整理とか、ガイドライン等でおっしゃったことが入るように、今後も注視することでいかがでしょうか。

○西條参考人 研修を行う等で読みますけれども、私どもは何も指導監督だけで法人の指導といいますか、運営を支援しているわけではないので、その点、全てが監査監督だけで全てここで終結するというのはいかがなものかという趣旨で発言させていただいたわけで、研修も1つのやり方、具体的な方法論に過ぎないのですが、具体的に研修とやってしまうと今、国が実施していただいている研修との位置づけはどうなるんだという問題にもなりますので、その意味で言っているわけであって、むしろ都道府県の新たな役割として研修を加えるというのは、監査の指導監督の中では整合性がとれないのではないかという趣旨です。

○田中部会長 簡易な修正としては、都道府県は研修と書かれたところを取ってしまえばいいのですか。

○西條参考人 先ほど言いましたように調整の場を設けるとか、そういった一定の水準を保つ。きちんとした水準を保つように調整の場を設けるとか、そういうことであれば、そのやり方としては研修ということも考えられるのですけれども、研修という具体的な言葉がすなわち市への指導監督という権限を持った行動になりますので、そこはどうなんだということを言っているわけです。

○田中部会長 どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 少し話が混乱していると思うのですが、いわゆる所轄庁としての指導監督とか、あるいは行政官のそういう関係ではなく、研修はその一例でございまして、これは私の記憶では三好委員から御意見が出たと思いますが、現在の所轄庁の能力をバックアップするのがとにかく喫緊であるということから、そういう支援体制というものを重層的につくるんだということで御議論があったと思っております。したがいまして、今、西條参考人がおっしゃるような趣旨で書かれているものではございませんし、これ自体は今回の部会で非常に重要な議論であったと認識して、ここの報告書で書かれていると認識しております。

○西條参考人 事務局でそういう趣旨で書いているということであれば、納得いたします。

 以上です。

○田中部会長 今の趣旨のもとにと理解いたしました。

 戻った論点ですか。どうぞ。

○藤野委員 何点かありますが、運営協議会の先ほどの議論のときに言うべきだったと思うのですが、11ページの今度直していただいた趣旨のそこの部分はいいと思いますが、もう一つ、運営協議会というのは文章を見ますと運営協議会を全部のところでつくらなければいけないのかという議論が現場では必ず出てくると思うのです。そういう意味で言うと、4行目の運営協議会を開催しというのを例えば運営協議会を設けることができる。運営協議会において広く意見を聞く場として位置づけることにより、地域や利用者の意見を云々という形で設けることができるという表現にすれば、どこも設けなければならない。とはならない。

 この度の法人改革について、ガイドライン等でいろいろ細かいことを決めていただけるのだろうと思うのですが、現場サイドとしてはこういうふうに書いてあると、運営協議会というのは新たにまたつくらなければいけないのかということになりますので、その辺はできたら考えていただきたい。

 要するに今回のこの改革について、1つは例えば評議委員会と理事会の関係についてですけれども、評議員会を招集するのは理事長が理事会の議決を経て招集するのだろうと思うのですが、その辺が理事会と評議員会と具体的にはどういう関係になるのか。例えば招集は誰がするのかとか、そういうことを教えてほしいということと、小規模法人について次ページで過渡的な経過措置をとるということについては非常にありがたいなと思っています。

 心配しますのは、これだけの社会福祉法人の事務量ですね。事務について社会福祉法人の本部機能強化ということがあると思いますけれども、これは本部といいましても社会的養護の分野でいいますと、施設から本部にお金を持っていきにくく。今までですとなかなかもって行けなくて、本部に事務を置くこと自体がかなりしんどい状況にあるのだろうと思うのです。

 そういう点で言うと、先ほど県のほうも予算措置してくださいと言われるように、社会的養護とかそういう分野においても、事務本部の強化ということが何らかの形でお願いしたいと思うのと、ガイドラインをつくられるということなので、そこに現場の今まで出された意見というか、そういうものをぜひ落とし込んでいただければいいなと思います。

○田中部会長 御質問は、運営協議会が必置であるかという点と、評議員会の招集者は誰か。本部経費について何か集めやすい考え方があるかなどでしたが、いかがでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 まず運営協議会なのですが、この部会でも御議論いただきましたし、前回も答弁させていただいたと思うのですが、基本的には任意設置と考えております。ただ、文章にするときに運営協議会を設置することができるということが空文と申しますか、別にそれは制度がなくてもできますので、そういうことを書くこと自体が非常に文章的に難しいということで、ここではある意味、適当であるという形でその任意設置の意味を書かせていただいているということで、基本的には必置の機関ではないと考えております。今後の制度設計については、またいろいろと御意見を伺いながらしたいと思っております。

 評議員会の招集権者ですが、これは公益法人の例を見ますと理事会でございますが、もちろん評議員会にも招集請求をすることもできる形になってございますので、こうした公益法人等の例を参考に制度設計をしたいと考えております。

 本部につきましては、これは繰り返し委員からも御意見をいただいておりますので、今回の報告書にも入れましたが、実際に今でもある程度、歴史的には本部とか組織の弾力的な運用というのは取り組まれておりますが、そうしたものを今回の新たな仕組みを踏まえて今後検討していきたいと考えております。それは今後の検討と思っております。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 前回ちょっと時間切れでしたので、幾つか確認の質問をお願いしたいと思います。

 まず1点は6ページ目ですが、この報告書の中で経営組織のガバナンスという言葉は非常に重要な言葉ではないかと思っています。

 まず6ページの3行目のところに内部統制(ガバナンス)という表現。それから、3つ目の段落の下から2行目のところに、ここは日本語の部分がなくガバナンスという表現。さらに8ページの下から3行目は内部統制(ガバナンス)という表現になっています。この報告書全体の中でどちらを優先するかということではなくていいと思うのですが、ガバナンスという言葉の整理について、もう少し統制のとれたものにしていただいたほうがいいのではないかというのが1点です。

 もう一つは、ガバナンスというのはここでは内部統制という訳で考えるのかどうかという点を、御質問としてお願いしたいと思います。

 2点目は、8ページの下から2段目の今回新しく加わった部分、前回特に質問がなかった部分でございますが、コンプライアンスを確保するための体制整備について、法令遵守体制についてであります。現行の介護保険法の中で介護サービス事業者業務管理体制の整備の通知が出ていると思います。これとの関係をどのように考えるのか。

 もう一点、これも全体の報告書の中で大変重要な部分だと思いますが、地域における公益的な云々という言葉が出てまいります。もちろんこれも非常に重要な点であります。17ページには幾つか地域における公益的な取組という表現がされていますが、一部23ページのところには上から5行目、地域における公益的な活動という表現になっています。括弧つきでありますので、ここがある特定のものを表していて一般の言葉としては使っていないのだろうと思いますが、これは同じものと考えていいかどうかという質問が3つ目であります。

 それに関連して、これは言葉で表現しにくい部分がありますが、地域における公益的な取り組み、または地域における公益的な活動というものは、社会福祉事業といわゆる社会福祉法人の公益事業両方にまたがるものであって、そのうちの公益事業にかかわる部分を地域公益事業という規定で読んでいると理解をしてよろしいかどうか。

 以上の点についてお願いをいたします。

○田中部会長 4点の質問にお答えください。

○岩井福祉基盤課長 まずガバナンスについての御質問でございます。これは事務局といたしましては、起草した段階でガバナンスというものの中で中に含まれるかどうかは私どもよりは先生方のほうがお詳しいかと思いますが、経営組織とか内部統制、特に内部の管理にかかわる部分について、内部統制という意味でのガバナンスという形に明記しております。一般的なガバナンスですとか、さらに一般的な考え方としてのガバナンスとか、経営組織にかかわらない部分については、むしろガバナンスという形で書き分けるような工夫をしたということでございます。

 コンプライアンスにつきましては、部会においても御指摘がございました。これについては基本的には法人運営にかかわる部分と今回の制度では考えておりまして、一般的な事業運営とかサービス内容を切り分けるといいますか、役割分担する方向で制度設計をしたいと考えております。

 地域におけるという文言でございますが、委員御指摘のとおり、地域における広域的な取り組みは、いわゆる社会福祉事業または公益事業双方にかかわるものをあらわしております。一方、地域公益事業として括弧づけで名称をつけていますのは、これは社会福祉法上の公益事業に係る部分だけでございます。地域における広域的な取り組みと活動というものは、統一しているつもりなのですが、まだあるという御指摘でございますので、ここは後ほど部会長の御指示を踏まえて整理させていただければと思います。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 ガバナンスの書き分けの点ですけれども、武居委員が御指摘するまでは私も流して読んでいたのですが、事務局の御説明どおりで書き分けられていると思うのですが、内部統制(ガバナンス)って、内部統制の訳としてガバナンスは余り正しくないような気がするので、内部統制でいいのではないか。(ガバナンス)は不要なのではいなかと思いますが、そのあたりぜひこれは田中部会長が御専門だと思いますので、言葉を整理させていただければと思います。

○田中部会長 その点はどういたしましょうか。後できちんと議論する必要もあるし、政府部内のガバナンスをこの報告書の中ではとても重視するという声も聞いておりますので、勝手にここで変えられるかどうかはわかりませんが、御指摘ありがとうございます。それでよろしいですか。

○岩井福祉基盤課長 後ほど部会長と御相談させていただきたいと思います。

○田中部会長 ガバナンスはこの報告書にとって大変重要な部分なので、藤井委員御指摘のように訳語としてイコールな関係かどうかを含め、どういう書き方にするか微修正があり得るかもしれません。事務局と相談いたします。できれば言葉を残しながらうまく調整をしたいと思います。

 ほかにいかがですか。どうぞ。

○藤井委員 今回変えたところなのですが、変えたところそのものではないのですけれども、21ページで1パラ目に変わったというものの○1なのでございますが、改めて質問なのですが、一番最後のいわゆる小規模事業についてもあわせて検討する。いわゆる小規模事業についてもという部分は、どういう意味合いだったかということを確認させていただければと思います。

○岩井福祉基盤課長 ここで言います小規模事業というのは、社会福祉法上、第26条の公益事業として行われているものでございますが、社会福祉事業の中で例えば定数が不足している等によって、社会福祉事業として認められないものを指しております。そういう意味でいわゆるとして書かせていただいております。

○藤井委員 では、できれば等でもいいのですけれども、短期間事業も入れてはどうかなと。社会福祉法上ですと6カ月でしたか。例えば年越し派遣村みたいな事業は社会福祉事業に入らないという区分けがございますので、短期間事業みたいなものもこれから社会が変動していく中で要望があると思いますので、等でも結構ですけれども、社会福祉法上の例外ということであれば、ぜひ御検討いただければと思います。

○田中部会長 どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 そこら辺は事実関係等を整理しまして、また部会長と御相談させていただければと思います。

○田中部会長 ほかにいかがでしょうか。

 今までに出たところをまとめますと、3ページの処遇改善のところは期待されるを求められるに変える。あとは活動と取り組み、2つ目ガバナンス、3つ目の今の点についてはどのようにするとより間違いがないかどうかを、ここで簡単に決められないので調整した上で微修正を加える形になると思います。

 西條参考人の言われた点については、御懸念のないように今後きちんと検討を詰めていくという扱いにいたします。

 対馬委員、お願いします。

○対馬委員 今の件ですが、21ページ目○1社会福祉法人は社会福祉事業の実施を主たる目的とする法人であることから、社会福祉事業への投資、施設の新設、増設と新たなサービスの展開と書いていますが、この表現を地域包括ケア体制に向けたサービスの展開とされたらどうかと思います。

○藤野委員 地域包括支援センターというのは特に障害の分野が主ではないかと思う。子供の分野では包括ケアセンターみたいな使い方はしていないと思う。それで先ほどのいわゆる実質的な社会福祉事業と同じ機能を担う小規模事業についてもあわせて検討するというのは、児童の分野では結構あるのではないかと思って見ております。

○田中部会長 課長、どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 ただいまの点については今、藤野委員がおっしゃった内容を私ども意識しておりまして、介護、障害分野だけでなく、さまざまな分野も包括的に読めるように今の文言にさせていただいております。

○田中部会長 現実に新たなの中に地域包括ケアは間違いなく入りますが、地域包括ケアだけではない問題も、世の中には社会福祉法人の取り組みの期待として貧困とか虐待は地域包括ケアを外れるかもしれませんので新たなで両方読めると理解してください。

○対馬委員 お願いが2点あるのですが、20ページ目の(2)内部留保の明確化ということで、2つ目の黒ポツです。控除対象財産額は社会福祉法に基づく事業に活用している不動産。○2が現在の事業の再生産に必要な財産。○3の必要な運転資金ということで報告書の内容の表現としてはこれでいいのですが、今後、都道府県が指導する際に、委員会でも私の質問に岩井課長が返答してくださいましたが、この運転資金の目安として、3カ月分というのをぜひ入れていただけないかという点が1つです。

 もう一点、報酬の件ですが、15ページ目(2)適正な役員報酬について。これも表現としては報告書の内容のとおりでいいのですが、例えば、いまだに各市町村が指導監査で理事長の報酬については日当でないとだめだと言っている事がありますので、これも同様に都道府県の指導の際に当たっては理事長、特に常勤をしている場合と明確にされていいと思います。できれば日当の支給はだめだということを何らかの形で文章にしていただけないか。特に運転資金については、特養の100ベッドで1カ月違うと約4,000万円の違いが生じます。日数をはっきりしておかないと、都道府県が指導の際に2カ月だ、3カ月だという話になる可能性がありますので、そこは国として具体的な月数を定めていただきたいと考えます。

○田中部会長 運転資金と適正な役員報酬について、この報告書の文言ではない今後の扱いをお願いします。

○岩井福祉基盤課長 控除対象財産の算定というのは、内部留保明確化のここの報告書にありますとおり、まさに要になりますので、これにつきましては施行までの間に専門的な見地からも検討いたしまして、これはもちろんさまざまな事情を勘案するところがあろうかと思いますが、基本的にこれを統一するという基準をしっかり示して、各所轄庁とも連携して、それをそのとおりやっていただく方向で取り組みます。報酬につきましても、この部会で御議論ありましたように、数字ではなかなか難しいという御議論でございますが、基本的な考え方とか、何がどうあるべきかということですね。今まである意味、役員報酬については出ていませんでしたので、ここをしっかり示していくということで取り組みたいと思います。

○田中部会長 どうぞ。

○西條参考人 どこの県がそういう指導をされているのかわかりませんけれども、私どもは勤務実態が適切で、かつ、法人の定款にしっかり報酬規程というものが定められていれば何の問題ないということになっていますので、まずは勤務実態を見ます。それに伴う報酬であれば指摘事項には当然なり得ないわけですから、その辺は全てがそういうふうにやっているわけではないということだけ御理解いただければと思います。

○田中部会長 正しい扱いですね。勤務実態に伴い役員は当然、正当な報酬を得ておかしくないと思います。ありがとうございます。よろしゅうございますか。

 武居委員、お願いします。

○武居委員 意見が少なくなってきましたので要望ということで申し上げます。

 先ほど来、藤野委員からも出ておりましたが、今後は具体的にガイドラインというものをつくる段階になるのだろうと思います。御存じのように社会福祉法人ないし社会福祉施設を経営している法人等の中には、非常に規模のばらつきがあり、それから、現行の財務運営上の規定等も幾つか違いがあるというところから考えますと、ぜひガイドラインをつくる際には現場の運用上の問題等を広く意見を聞きながら、実務的に現場に合ったものをぜひ検討していただきたいと思います。

○田中部会長 では、取りまとめのプロセスでよろしゅうございますか。報告書案そのものの審議はここまでといたします。どうぞ。

○関川委員 前回時間がなかったものですからお尋ね残したところがあるのですが、御発言させていただいてよろしいでしょうか。

 内容について1点と、後はお願いが2点でございます。

 第三者評価の受審促進の考え方を、少し報告書の中でも反映していただければと考えております。部会では十分な議論ができませんでしたので、そこまで報告書の中では第三者評価について取り上げないということなのだと思いますが、例えば14ページに情報開示の方向性の部分がございます。現況報告書の内容が括弧で挙げておりますが、その中に福祉サービス、第三者評価の受審の有無などを例示していただけないだろうかと考えております。実際に現況報告書の中では第三者評価の受審の有無、金額まで記載されておりますので、例示として、第三者評価の受審も書き加えていただきたいと思います。社会福祉法人には、サービスの質を向上に努力する義務があり、ガバナンスの観点からも、こうした義務を果たしているか、国民に説明する責任があると考えるからです。

 それと関連いたしまして、行政の役割と関与のあり方で25ページでございます。(2)の黒丸2つ部分、○2のところで会計監査人が作成する会計監査報告書及び運営協議会の議事録を提出してとありますが、任意設置である運営協議会の議事録提出を求めるのであれば、ガバナンスの観点からそれと同じぐらいの重要と考える第三者評価の受審などを要件につけ加えていただけないだろうか、ぜひとも検討いただきたいという部分でございます。

 第2点目は、再投下計画を作成することと関連いたしますけれども、優先的に検討するべき社会福祉事業ですが、社会福祉事業の範囲の見直しについても改めて今回の社会福祉法改正の中で御検討いただけないだろうか。これは報告書の中で言及するべきものではないと思いますけれども、社会福祉法の改正において、社会福祉事業の範囲の見直しをするのかについて、教えていただきたいと思います。

 例えば部会の中でも発言させていただきましたが、生活困窮者自立支援法関連の事業などは、第2種社会福祉事業として明記していただいたほうがいいようにも思います。さらには子ども・子育て新制度における地域子ども・子育て事業の幾つかについて、現行の社会福祉法では社会福祉事業として明記されていない部分が残っているように思います。

 もう一つは、介護保険の中で社会福祉法人が通常、実施しているものをどう扱うか、検討する必要はないでしょうか。現行の社会福祉事業は、高齢者に関連する事業についてみると、老人福祉法に定める事業に限定されていますが、介護保険の事業も社会福祉事業とするべきではないかと思います。これについて事務局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。これが2点目でございます。

 3点目は最後のおわりにの部分でございますけれども、積み残した検討課題などはもう少し具体的に例示していただければ幸いでございます。社会福祉法人のあり方検討会の中で論点整理した問題のうち、今回触れていない社会福祉法人相互の連携・協業の話などがございます。社会福祉法人が地域公益事業を地域で展開し社会福祉法人の責務を果たしていく場合では、大阪の社会貢献事業のように、法人による協業という1つの方法があるかと思います。それについての財政規律、業務規律など、本来は検討していただく必要があったと思っていますけれども、今後の検討課題ということで例示いただければと考えております。

 以上、3点でございます。

○田中部会長 では3点お願いいたします。

○岩井福祉基盤課長 まず第三者評価についてでございますが、委員の御発言がありましたとおり大変重要な課題とは考えております。ただ、今回の部会におけます審議、事務局で提出しまして整理した考え方といたしましては、第三者評価については、これは例えば高齢者ならば高齢者とか、そういう事業、施設ごとに今それが整備されております。そういう中で進めていくという観点から、法人運営に今回は特化して議論をしていただきましたので、基本的には議論はなかった。かつ、報告書の内容には入っておりません。例えば先ほど委員からありました現況報告書の括弧書きの例示なのですが、実は例示を挙げている事項には意味がありまして、社会福祉法人運営に関するものとして、例えば規制改革実施計画などによって求められたものを挙げております。したがって、そういうものが入っていることを明示しているわけでございますので、そこは御理解をいただければと思っております。

 また、指導監督についても、例えば運営協議会との関係で第三者評価というものを入れられないかということなのですが、これはよく議論をして整理しなければならないと思います。と申しますのは、今回この指導監督は法人監査を意味しております。第三者評価一般的にはサービスとか事業運営の観点から行うものでございますので、ストレートにそれを代替できるものではない。全くないとは思いませんけれども、そういうことでございますので、そこはにわかにこれを取り入れることはできないのではないかと思っております。

 最後の3点目ですが、今後の課題につきましては前回もお話申し上げましたとおり、今回の内容については、今回の部会は社会福祉法人のさまざまな課題、公益性、非営利性とか、あるいはいろいろな信頼性が失われている事態に対しまして、どう対応するかということを御議論いただきました。これに絞ってこの報告書自体は書かれております。そうした課題で今後の課題として書かれておりますので、その点に絞らせていただければと思っております。もちろん委員がおっしゃるように前回もお話しましたが、連携とか協業というものについての重要性は変わりませんので、それは今後またそういう機会をもって議論されるのかなと思っております。

 飛ばしましたが、社会福祉事業については、これは社会福祉法人のあり方ではなくて、社会福祉事業としてどうあるべきかという議論ですので、今回の福祉部会で御議論いただいておりませんし、するものではないかと思っております。それもまた必要であれば今後の検討課題だろうと思います。

○田中部会長 社会福祉をめぐる課題はいろいろとありますが、この部会では基本的に社会福祉法人の経営のあり方に絞って議論してまいりましたので、そのような報告書になっております。

 ほかに御意見はございますか。どうぞ。

○藤野委員 福祉人材確保の専門委員会やこの部会の専門委員会としてつくられていると思いますけれども、その報告といいますか、その辺、今の状況等を報告していただければと思います。

○田中部会長 福祉人材委員会は総務課長でいいですか。

○西辻総務課長 この部会の下に福祉人材の確保の専門委員会をつくっていただきまして、そこで御議論いただいております。昨年来何回かやっておりまして、最近ちょっととまっているのですけれども、今、中で内容について御議論をいただいております。また、福祉人材の専門委員会も別途、ちょっと日程が若干おくれておりますが、委員会を開いて取りまとめさせていただく。その結果につきましては、この部会との関係では部会の下に置くことになっておりますが、平場で部会を開催して御報告させていただくのか、あるいは座長と御相談して個別の委員の先生方に御報告させていただくのか、やり方も含めてまた御報告をさせていただければと思っております。

○田中部会長 よろしゅうございますか。

 では、本日いただいた意見のうち、幾つか語句の修正が残るところについては取り扱いを私に御一任いただくことでよろしゅうございますでしょうか。

(異議なしと声あり)

○田中部会長 大筋としてはそのようにさせていただきます。ありがとうございます。

 実際には小規模法人に対して厳しい報告かもしれませんが、代替案はより緩い方向ではなくて、この報告書の代替案はもっと厳しい世間の風だと思います。報告は今よりも厳しいけれども、それよりもさらに、あるいは必ずしも味方ではない声に対する対応と考えれば、これは厳しいけれども、愛情のあるものだと私は理解しております。

 事務局から今後の報告書の取り扱いについてお願いいたします。

○西辻総務課長 具体的には1カ所、3ページの3パラ目の文末期待されるを求められるに変えるというところにつきましては、修正を御了解いただきましたので、そこを修正いたしますとともに、御意見の中で何カ所か文言整理の必要があるということでしたので、そこにつきましては部会長に御指示をいただきながら文言を整理いたしまして、最終盤につきましては委員の皆様に御送付させていただきます。その上で厚生労働省のホームページに公表させていただきたいと考えております。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 大演説されても困るのですけれども、何か一言、言っておきたい方はおられますか。

○高橋英治委員 日本保育協会の高橋でございます。

 全部感想ですけれども、多分この部会で現場を持っていらっしゃる中では一番小さな法人規模だと思います。たかだか2億ぐらいですので、一番小さな法人規模だと思うのですが、保育は大多数がそれぐらいの、もしくは1億ちょっととか2億という施設が多いわけです。

 この8月から始まりました部会ですが、保育を含めて以前から信じられないような不祥事が報道されるたびに、強い憤りと情けなさを覚えておりました。一方でほとんどの社会福祉法人の経営者は、実際にはさまざまなことで地域の広域的な活動は行ってきている。現在も行っているのだろうと思います。そのことを社会福祉法人の経営者は意外と奥ゆかしいみたいなところがありまして、余りやっているんだと胸を張ったり言わなくて、粛々とタイガーマスクではないのですけれども、人知れず行っているところもあるのではないかと思うのですが、今回の社会福祉法人改革の理念や内容については、全ての社会福祉法人が理解して実践していくことが大切であると実感をしました次第ですし、保育についてはついついこの4月から始まる新制度に目が向きがちなのですが、この改革についての話についてもしっかりと伝えていきたいと思っております。しかし、冒頭申しましたように非常に小さな法人が多い保育の世界ですので、小さな法人にとって配慮できるところは十分に御検討いただければと思っております。

 あとは先ほどありましたように、社会福祉法人そのものの自主性というものも重んじるようなものであってほしいと思うことと、これから多分細かいことの運用上の話がたくさんされてくるのだと思うのですけれども、ぜひともそういったこともあわせて御検討していただければありがたいと思います。どうもありがとうございました。

○田中部会長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○三好委員 今回、私もこの審議会に参加させていただきまして、地方自治体では今、高齢化に伴います需要増と、さらには新しい仕組み、システムがどんどん取り入れられてきておりまして、先ほどの子供関連もそうでございますけれども、さまざまな対応が求められておりまして、そこに対する指導または対応ということも求められています。なかなか追いつかないという状況が今、続いてございまして、今回の法人改革の中でも市町村が担うべく役割はあるのですが、その役割を全うするにはどうしたらいいかということを自問自答している状況でございまして、今回、報告書の中に現状の市の置かれている立場というものが報告書に盛り込まれておりまして、さらには私どものほうで記載をしておりますのは、これからのガイドラインももちろんありますけれども、今回は地域協議会ですとか、さらには再投下に関連した広域活動などの新たな仕組みづくりも報告書の中に盛り込まれております。地域にとりまして非常に期待をしてございまして、そういう平場での議論というものがこれからできること。そのことが地域にとって福祉を身近なものに、もっと身近なものに取り組まなければならない状況でありますので、期待をしているところでございまして、御議論いただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 できますれば、先ほどもお話が出ましたけれども、ガイドラインがこれから示されますので、よりきめ細かなガイドラインをつくっていただいて、私ども指導しやすい、または地域で活動しやすいガイドラインにしていただければと思っております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○田中部会長 三好委員、ありがとうございました。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 こういう偉い皆さんが集まっているところでなかなか話づらいのですが、田中部会長おっしゃったことを非常に強く私もそのとおりだなと。中小規模の社会福祉法人の実態を知りにつけ、今回の改革というのは極めて大変なことを迫られるということは、おっしゃっているとおりなのでございますが、ここの部会はかなり社会福祉法人の経営者側に立った議論が進められたがゆえに、実際に非難されている側の非難の度合いであるとか姿勢であるとかを鑑みますと、田中部会長まさにおっしゃったとおり、小さくて大変だから一定の猶予は必要にしても、この程度でいいよという話にはなかなか許していただけないだろう。広域法人改革というものが一定の成果をおさめたように認識しておりますが、あれは公益に行けるか行けないかというところの選択があったがゆえに、うまくいった面があるかと思いますが、今回の社会福祉法人改革は、みんなで社会福祉法人を目指していくということですので、かなりしんどい面があろうかと。

 ただ、一方で私はある小規模な障害の法人で、もともとNPO、法人格もなかったかな。とにかく障害の場合は、小規模では社会福祉法人をとりやすいというので社福をとっておられるのですが、今回の趣旨をいろいろ聞かれたので御説明したら、それだったらうちは維持できないからNPOでいいかなというお話もされておりまして、なるほどそういう発想もあるのかなと思いました。

 ですので、ある意味、今回社会福祉法人として世の中に期待されていく水準をやるのはハードルがあるし、ハードルを越えるために全員が全員本当に行けるのかどうなのかというのは、法の施行等々を通じて引き続きウォッチしていくといいますか、これまで戦後あるいは介護保険、障害福祉サービス制度以降でも、社会福祉法人というのは福祉の中核を担ってきたわけでございますが、今回の改革を通じて、より一層国民の望む形にしていけるようにはしていかなければいけない。

 先ほど三好委員がおっしゃったように、これは恐らく地方自治とコインの裏表といいますか、地方自治はこれまで団体実施が強調されてきた面があるのではないかと私は思っておりますけれども、本当の意味での住民自治が進むということと、今回の社会福祉法人が地域に根差した広域的な活動をしていくということが両輪になって、初めて国民あるいは経済団体の方々に御理解していけることだと思いますので、まずは最低限のルール、社会福祉法人としてのルールをどうみんなで英知を集めて協力して、汗を流してクリアしていくかということに加えて、さらに地域の人にいい改革だったと。あの改革のおかげで地域が変わったと言われるようなことになっていけたらいいのではないかと思っております。

 以上でございます。

○田中部会長 藤井委員、ありがとうございました。

 ほかに御発言がないようでしたら、報告書、社会福祉法人制度の改革についての取りまとめに当たり、鈴木社会・援護局長から御挨拶を頂戴いたします。

○鈴木社会・援護局長 社会・援護局長の鈴木でございます。

 田中部会長初め、委員の皆様方には昨年8月以来、大変タイトなスケジュールの中で精力的に御審議を賜りまして、本日、報告書を取りまとめていただきました。まことにありがとうございました。

 今後、福祉ニーズが多様化、高度化する中で、社会福祉法人に求められる役割というのはますます大きなものになってくるだろうと思っております。今回の報告書では3つの柱、第1にガバナンスの強化、第2に透明性の確保、第3に内部留保の問題を初めといたします財務規律の確立、こういった点を中心に社会福祉法人制度始まって以来の大きな改革の内容を御提言いただいたものと承知をしております。この内容は、社会福祉法人の皆さんが本来の姿に立って、国民の信頼のもとに福祉サービスの中心的な担い手として引き続き役割を果たしていただく。そういった基本となる形だと思っております。

 私ども厚生労働省といたしましては、本日いただきました御提言をもとに、所要の法案をこの国会に提出して、いただいた改革の姿をしっかりと実行してまいりたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、引き続き御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。これまでの御審議まことにありがとうございました。

○田中部会長 局長、ありがとうございました。

 当部会では、社会福祉法人制度改革について14回、大変密度高く御審議いただきました。委員の皆様の御協力に深く感謝いたします。

 なお、先ほど御発言がありましたが、福祉人材確保対策についてはまだ審議中です。審議の上、報告書を取りまとめなければなりません。委員として重なっている方々、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の部会はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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