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2015年1月23日 第12回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成27年1月23日(金)10:00~12:00


○場所

東海大学校友会館「安蘇の間」
(東京都千代田区霞が関3-2-5)


○出席者

田中滋 (部会長)
鎌倉克英 (委員)
川井太加子 (委員)
黒岩祐治 (委員)
(代理:大橋正行参考人)
関川芳孝 (委員)
高橋英治 (委員)
武居敏 (委員)
橘文也 (委員)
対馬徳昭 (委員)
花井圭子 (委員)
福間勉 (委員)
藤井賢一郎 (委員)
藤野興一 (委員)
堀田聰子 (委員)
松山幸弘 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

社会福祉法人制度改革に関するその他の論点について

○議事

○田中部会長 では、定刻となりましたので、ただいまより、第12回福祉部会を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただき、どうもありがとうございます。

 初めに、委員の出欠状況について事務局より説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、本日の委員の出席状況について御報告をいたします。

 本日は、猪熊委員、石橋委員、小林委員、高橋福太郎委員、松原委員、宮本委員、三好委員から御欠席の連絡をいただいております。堀田委員は途中から参加されます。なお、黒岩委員におかれては、所用により途中退席されます。また、小林委員の代理として、日本介護福祉士養成施設協会副会長の大橋正行参考人、黒岩委員の退席後の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人にお越しいただいております。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 議事に入る前に、ただいま御紹介のありました欠席の委員の代理として出席いただいている参考人について、皆様の御了承を頂戴しなくてはなりません。

 本日御欠席の小林委員の代理として大橋正行参考人、黒岩委員の退席後の代理として西條由人参考人の御出席について、異議はございませんでしょうか。

(異議なしと声あり)

○田中部会長 ありがとうございます。

 続いて、議事に入る前に資料の確認を行います。

 事務局から確認をよろしくお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。

 本日は、配付資料といたしまして、

 資料1 黒岩委員提出資料

 資料2 地域協議会について

 資料3 広域的に事業展開する社会福祉法人に対する所轄庁の指導監督について

 資料4 法人の合併について

を配付させていただいております。御確認をよろしくお願いします。

○田中部会長 ありがとうございました。

 では、早速、議事に入りましょう。

 初めに、黒岩委員より資料1について説明をお願いいたします。

○黒岩委員 ありがとうございます。

 この部会に出席することがなかなかできず、申しわけございませんでした。また、きょうは冒頭発言させていただいて、この後すぐ別の政府の会議がありまして、そちらにいかなければいけないので、冒頭だけで申しわけございません。

 私からは、全国知事会の意見も踏まえながらお話をしたいと思います。お手元にお配りしています資料1社会福祉法人制度の見直しに関する意見をごらんいただきたいと思います。

 基本的に、本部会の中で、余裕財産のある法人は地域公益活動に活用するといったことを義務づけるという内容が打ち出されておりますけれども、この点について特に申し上げたいと思っているところであります。

 そもそも、この社会福祉法人の余裕財産というものの定義が明らかではないということ。誰が一体どのような基準・根拠をもって判断するのかといったあたりをまずは示していただきたいということがあります。それとともに、その余裕財産を地域公益活動に活用せよということでありますけれども、この地域公益活動とは要するに何を意味するのかということ、この定義も曖昧である。そもそも社会福祉法人が行うことができるとされております社会福祉事業、公益事業、収益との関係の中で、この定義及びその範囲といったものを明確化していただく必要があるということであります。

 この社会福祉法人の余裕財産というものの定義がしっかりできた上で考えた場合に、法的な位置づけが明確でない地域公益活動に使うということではなくて、やはり法人本来の使命であります社会福祉事業に使うべきだと。中でも、都市部におきましては特別養護老人ホームがまだまだ不足気味でありまして、こうした入所系の第1種社会福祉事業の安定的な運営、そしてその充実に向かってまずは再投下すべきと考えております。

 特にこの特別養護老人ホームといいますのは、やはり個室が基本だと私は考えております。余裕財産といったものがあるとしても、まず、こういったあたりの整備にそれをしっかり使うことが筋だろうと考えております。

 社会福祉法人制度そのものを考えてみますと、そもそも、行政資源が不十分だった戦後の荒廃期に、社会福祉の責任を行政に置きながらも、事業の実施を民間に委ねるというスキームの中で設けられたものでありまして、この間、措置から契約という変化はありました。私財を投げ打って社会福祉に尽力された先達の御努力には深く敬意を表するとともに、その志といったものは未来に向けて確実に継承すべきと考えておりまして、今申し上げたとおり、社会福祉事業を推進してこその社会福祉法人であります。まずは、法人が主体となりまして制度創設以来の使命を果たしてもらう。そこには行政の過度な関与は不要だと考えておりまして、これを全国知事会の意見も踏まえながらの私からの発言とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいまの御発言に対して、委員の皆様から御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

(発言する者なし)

○田中部会長 では、大変貴重な御意見、ありがとうございました。

 では、次の議事に移らせていただきます。

 事務局より資料の説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、資料の説明を続けさせていただきます。

 まず、資料2『地域協議会』について、御説明申し上げます。

 第7回の当部会におきまして地域協議会について御議論いただきました。地域協議会につきましては、前回の部会におきまして、社会福祉法人の責務といたしまして、地域における公益的な活動を位置づけるべきではないかという御意見がありました。これらを踏まえまして、この部会におきましても数回にわたり議論がされております。地域協議会につきましては、地域の実情に応じた運営を考慮しつつ、社会福祉法人が地域公益活動を実施するに当たり、地域における福祉ニーズが適切に反映されるよう以下のような仕組みとしてはどうかという点で整理させていただいております。

 地域協議会につきましては、この部会におきましては、地域公益活動についての地域における福祉ニーズを適切に把握する観点から設けるべきだという議論となっております。また、これをもって社会福祉法人等によります地域福祉活動推進の今後の基盤とするということが議論されております。

 地域協議会につきましては、地域において地域の意見を聞く場として考えられております。これについて、その開催主体でございますが、所轄庁が既存の福祉に関する協議会を活用して開催することができるものとしてはどうかという点です。当部会におきます議論では、新たな会議をつくるというよりは、後ほどの資料にございますような地域ケア推進会議等、既にあります会議を活用して、ここに地域の福祉関係者が一堂に会し、地域におきます福祉ニーズを議論し、また調整する場としてはどうかという御議論でございました。

 また、開催主体といたしましては、地域協議会の運営について、社会福祉協議会を活用するということも御議論としてありました。そもそも社会福祉協議会は、地域におきます社会福祉事業等の事業者の調整を行うことが本来的な機能として位置づけられております。したがいまして、その社会福祉協議会を活用し、中心的な役割を果たしていただくというケースが想定されるのではないかということが挙げられます。

 また、地域協議会の機能でございますが、社会福祉法人が実施する地域公益活動に係る地域における福祉ニーズの把握、地域公益活動の実施体制の調整。例えば複数の法人が連携・協働して地域公益活動を行う場合、それについての検討・調整を行う。また、社会福祉法人が地域公益活動に取り組むに当たりまして、その実施状況を確認するという機能が考えられるのではないかとしてここに整理させていただいております。

 3ページをごらんください。具体的な運用でございます。所轄庁におきましては、地域ケア推進会議等の既存の福祉に関する協議会を活用し、各協議会の代表者、地域住民、所轄庁・関係市町村等が参加して、地域公益活動を実施しようとする社会福祉法人が、可能な範囲で制度横断的に、地域における福祉ニーズの把握が可能な場を開催することを基本としてはどうかということです。

 当部会におきましては、高齢者介護や児童・障害者などさまざまな分野につきまして、でき得れば制度横断的に地域のニーズを把握する場があるべきであるという御議論がございました。その点を含めまして可能な範囲で制度横断的にとしております。

 一方、地域協議会の開催については、各地域における既存の福祉に関する協議会の設置状況、活動状況を踏まえた柔軟な運用とすることとしてはどうかとしております。すなわち、地域によりましては、地域協議会の母体となり得るような会議が設置されていない、あるいは活動状況が余りないような地域もございます。このような点につきましては柔軟な運用としてどうかということです。例えば複数の所轄庁に共同開催、あるいは既存の協議会の社会福祉法人の出席などです。

 恐縮ですが、次の4ページをごらんください。ポンチ絵で描いておりますが、基本的には所轄庁が、既存の福祉に関する協議会の代表者等と社会福祉法人や地域住民が参集し、制度横断的に地域における福祉ニーズを把握すること等を目的とする『地域協議会』を開催といたしまして、でき得る限り制度横断的な地域ニーズを把握する場を設けるというのが基本ではないかという御議論でございました。

 一方で、現実の問題といたしまして、地域によりましては、例えば地域ケア推進会議は設置されているが、自立支援協議会や子ども・子育て協議会が設置されていない場合などが想定されます。このような場合につきましては、例えば、法人が実施を検討している地域公益活動に最も関連のある既存の福祉に関する協議の場に社会福祉法人が参加するなど、実際の運用はそのような柔軟なものとしてはどうかという点でございます。

 1ページ戻りまして3ページでございますが、3つ目の○です。既存の福祉に関する協議会の多くは地方公共団体が設置するものであります。所轄庁におきましては、社会福祉法人が福祉ニーズを把握する機会を円滑に得ることができるよう、関係地方公共団体と必要な調整を行ってはどうかということでございます。

 例えば、都道府県におきまして、郡部、町村などにおける会議等との調整で、所轄庁は都道府県になりますので、その点における必要な調整をしていただくことが必要ではないかという点でございます。

 また、地域公益活動を実施する社会福祉法人は、毎年度、地域協議会への参加等により地域における福祉ニーズの把握に努めるとともに、地域公益活動の実施状況を地域協議会の場に対して定期的に報告することとしてはどうかという点でございます。

 説明は以上でございますが、いずれにいたしましても、地域公益活動は、当然、社会福祉法人の把握するニーズ等を反映する必要もあるけれども、基本的には地域オリジンであるべきだという当部会の御意見を踏まえまして地域協議会の構想が出ております。それにつきましては、既存の会議を活用する等によりまして柔軟な運用としてはどうか。

 そういうことを踏まえまして、今後、地域における地域福祉というものを、より横の広がりを持って展開できるような仕組みとしてはどうかという御議論でございました。その内容をこの資料におきまして整理させていただいております。

 以上が資料2でございます。

 続きまして、資料3を御説明申し上げます。資料3広域的に事業展開する社会福祉法人に対する所轄庁の指導監督についてでございます。これにつきましては、第8回福祉部会の行政の関与の在り方についての会で御議論いただきました。すなわち、従来、都道府県が所轄庁でございましたが、現在は一般市まで所轄庁の権限が委譲されております。また、社会福祉法人の所轄庁は都道府県または一般市でございますが、事業は基本的には市町村が施設監査等を行う形で関与しているケースが多うございます。法人監査と事業に対する施設監査というものがありまして、従来、都道府県が一括的に法人監査を行っている場合は基本的には単純な構造でございましたが、現在、そのように地方分権が進む中、所轄庁、関係地方公共団体との連絡調整が必要だということが御議論されました。

 これに対しまして、第8回福祉部会におきましては、法人所轄庁と当該法人の事業所または従たる事務所が所在する区域の法人所轄庁である都道府県または市との連携に関する所要の規定を認定NPOの制度を参考に御提案させていただいております。

 それにつきましては4ページ以下をごらんください。4ページは第8回で提出させていただいた資料でございます。例えば、東京都を所轄庁といたしますある法人が新潟県に事業所を持っている、あるいは関係市、別の市に事業所を持っている場合に、施設監査と法人監査との調整が非常に難しい。あるいは、東京都が遠い自治体における状況を把握することが非常に難しいということで、次のページにございます認定NPO法人の監督の仕組み、すなわち所轄庁と関係知事が要請したり、意見を求めたり、あるいは関係知事が報告徴収、検査、勧告、命令などをするという仕組みがありますので、これを参考に検討してはどうかという御議論をしていただきました。

 一方、その後、関係団体、あるいは法制的な整理をいたしましたところ、以下の課題があることがわかっております。2ページの2つ目の○のポツでございますけれども、法人所轄庁の要請に基づくものとはいえ、関係都道府県又は市が法人に対し、一定の監督権限(報告徴収、検査、勧告、命令)を行使することについては、所轄庁の監督権限との関係で難しい問題がある。すなわち、所轄庁が本来担います報告徴収、検査、勧告、命令といった監督権限を関係の自治体が同じように行うことについて、この調整をどうするかという法制的な問題、あるいは実務的な問題がございます。

 第2に、法人監査におきまして主たる事務所以外を対象とする実地の監査が考えられますが、これにつきましては福祉各法に基づきます施設監査の内容と基本的には重複するものと考えられます。

 このような点を踏まえまして、3ページ考え方でございます。第8回福祉部会におきましては、法人所轄庁と事業所が所在する地方公共団体の所轄庁との連絡調整という形で整理させていただきましたが、むしろ、広域的に事業展開する法人に対しましては、法人所轄庁による法人監査と当該法人の事業所が所在する区域の行政庁による施設監査との連携を図るため、所用の規定を整備してはどうかという点でございます。すなわち、法人監査と施設監査の連絡調整をするほうが実効性があり、また、法制的な問題もないのではないかという点です。

 これにつきましては、医療法におきまして参考となる規定がございます。下にございます医療法66条の3でございます。医療法におきましても、地方分権が進む中、関係都道府県知事が当該医療法人に対して適当な措置をとることが必要であるときは、当該医療法人の業務を監督する都道府県知事に対してその旨の意見を述べることができるという規定がございます。これと同様に、社会福祉法人につきましても、社会福祉法人が設置する事業所が所在する区域の行政庁は適当な措置をとることが必要であると認めるときは、当該社会福祉法人の業務を監督する所轄庁に対し、その旨の意見を述べることができる旨の規定を整備してはどうかという点でございます。

 このような規定を整備することによりまして、法人所轄庁と施設を所管する行政庁との連絡調整が行えることになるのではないかという点で改めて御提案させていただく次第でございます。

 続きまして、資料4法人の合併についてでございます。

 法人の合併につきましては、現状でございますが、社会福祉法人が合併するには、理事の3分の2以上の同意(定款でさらに評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決)を経た上で、所轄庁の認可を受けなければならないとされております。合併の認可件数につきましては、平成23年度11件、平成24年度17件、平成25年度7件となっております。

 考え方でございますが、評議員会の議決機関化に伴い、社会福祉法人の合併については、一般財団法人・公益財団法人と同様に、評議員会の議決。一般財団法人・公益財団法人におきましては、議決に加わることができる評議員の3分の2以上とされておりますが、特別議決を要することとすべきではないかという点が1点です。

 第2点目でございますが、所轄庁による合併の認可等必要な手続は維持した上で、一般財団法人・公益財団法人を参考に、合併契約の作成、合併の類型に応じた評議員又は債権者に対する開示書類等に関する規定を整備すべきではないかという点でございます。

 すなわち、第1点目が、合併につきまして、今回議決機関化される評議員会におきます特別議決を要することとすべきということ。第2点目は、現在の手続でございますが、これは最終ページをごらんください。現行の手続につきましては、合併契約等が行われた後に、先ほど申し上げました理事の同意がございます。その上で所轄庁による認可がございます。そして、財産目録・貸借対照表の作成が書類として義務づけられています。そして、債権者への公告・催告が行われまして、最終的に登記される形になっております。

 一般財団・公益財団との違いは、一般財団は準則主義によって設立されますものですから所轄庁の認可はございませんが、社会福祉法人は認可がございます。そうした違いは当然維持した上で、左から2番目の評議員会の議決(特別議決)とするということと、関係書類の整備でございますが、契約の内容、権利義務の承継に関する事項等の備置きを今回新たに整備してはどうかということでございます。基本的には、手続面を整備することによりまして必要な合併についてもよりスムーズに行えることを目指すという改革でございます。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 では、資料別に順番に議論してまいります。

 初めに、資料2について、御意見、御質問等があればお願いいたします。

 どうぞ。

○武居委員 地域協議会についてです。

 先ほど2番目に御説明がありました、広域的な法人でなければ通常はサービスの対象はおおよそ市町村レベルと考えられます。したがいまして、地域協議会も、個別の社会福祉法人のニーズを考える上では、多くは市町村レベルの話ではないかと今まで考えられた部分があると思います。

 それで、ただいまの2ページ目ですが、下から2番目の○に複数の法人の連携の部分が出てまいります。現在行われております複数の法人の連携のケースは、例えば大阪府でありますとか、その他、神奈川県とか埼玉県とか、幾つかその事業が始まっておりますが、いずれも、狭い範囲では法人の数が少ないということがあって、市町村レベルの話ではなくて県レベルの取り組みとなってきていると思います。その辺で、通常のニーズの市町村レベルの対応の話と、複数の法人の連携のような非常に広域的になる市町村を超えるレベルの連携の話はどのように兼ね合いを考えたらいいのか、その辺を少しお話しいただければと思います。

○田中部会長 連携に関しては市町村を越える場合がある、それをどうするかという御質問でした。

○岩井福祉基盤課長 ここで想定されるのは、おっしゃいますとおり、市町村とかその所轄庁のレベルでの連携が基本ではあると思います。一方で、今、委員からお話がございましたように、もう少し広域なレベルで行われている地域公益活動もございます。そういうものについては、所轄庁同士と申しますか、その辺の連携。あるいは協議会についても、共同開催というのもありましたが、どこの協議会でやるかとか、その辺は運用の中で柔軟な対応をしていくことが必要ではないかと考えておりまして、それは、今後、運用を定める中で検討していきたいと思います。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今の武居委員の御質問に続けてですが、この考え方は、法定受託事務であるということで、国がかなりきちんと細かいことまで考えてくれと。冒頭で知事会の意見がございましたけれども、当然なのだろうと思うのです。これは、各法人が地域のニーズをつかんでもらうものであるから、所轄庁に地域の実態に合わせて柔軟なやり方をするというやり方でお願いするということで、わかりやすく、ややこしい面が出てくるのではないかと思うのです。

 ややこしい面のついでで申し上げますと、市である社会福祉法人の場合には問題はそんなにややこしくないと思うのです。政令市でありますと、区ごとに設けるという話になってくるのかもしれませんが、そうでないレベルの市レベルになったとき、かなり広域的な市がふえております。市全体でやっていいよと。これも実態に合わせてということなのですけれども、1つの考え方みたいな。現に高齢者の世界では日常生活圏域みたいなものがございますし、実態に合わせて柔軟にと言いつつも、お願いする国の側から、この実態に合わせて柔軟に把握すべき福祉ニーズというのはどういうものかというお願いがないと、どの程度柔軟にやっていいのか市は悩むのではないかと思います。このあたり、私も、市の実態に合わせて柔軟にということで大変結構だとは思いますけれども、考え方を示さないといろいろなやり方が出てくる。いろいろなやり方は出てきていいのですけれども、もともとの考え方から離れていくものも出てきはしないかという心配がございます。

 それから、市はいいと申しましたが、都道府県がやっている場合。1つは、町村にあるからやっている場合と、幾つかの都道府県にわたっているので県がやっている場合に分かれまして、これは両方話が違うのだろうと思います。武居委員は、広域的な話はとりあえず除いてということでお話しいただいたのですが、もともと私がこの地域協議会をぜひというお話をしたときは、今、広域的にわたっている法人が非常にふえている中で、いろいろな地域のニーズを把握してもらうために、評議員、理事に各地域の人を入れてほしいといったような事実上の要請があることに関して余り実質的ではない。

 アメリカのNPO等では、広域的に活動しておられるノンプロフィットの団体は各地域ごとにボードを設けておられる。そうしたほうがいいのではないかということから申し上げたと思います。むしろ広域的な団体、広域的な法人のほうが。原点になりました法人はいいのでございますけれども、東京であるとか、横浜であるとか、地域展開をされたときに、どこまで本当にその地域のことを考えてやっておられるのだろうかという疑問が現実には大きくなっているのではないかということで申し上げました。複数都道府県にわたっている場合にどのように地域協議会に参加してもらうか。しかも、これは町とかに所在すると。どこでもいいのですけれども、群馬県の法人が埼玉県内の町に来ておられる場合にはどういったものがふさわしいのかというのはちょっと難しい問題で、整理しなければいけない問題かと思います。

 町や村にある単独法人であるがゆえに県がやっているというケースは、武居委員のお話を敷衍しまして、できる限り町や村の範囲でお任せするという考え方をお示しいただいたほうがいいのではないかと私は思います。いろいろなパターンをもとに、お願いしている本質と考え方みたいなものをぜひ。この会でどこまで整理できるかは別にいたしまして、基本的に、大きな所轄庁が責任を持ってやっていただきたいという国のお願いは理解いたしましたし、柔軟にやることは理解いたしましたけれども、その先の問題が、事実上、実務的には大変混乱しがちな話ではないかと懸念いたします。

 もう一点は、ちょっと別な話になりまして、私自身、実は所轄庁がやるということは余り想定しておりません。お話を聞きまして、所轄庁がやるというのは大変いいことだろうなと。

 と申し上げますのは、社会福祉法人はさまざまな形で地域で連携しておられますが、その連携の輪に入ってこられない社会福祉法人がある現実がございます。実はこれが非常に大きな問題で、今、武居委員を初め何人もの委員の方がうなずかれたので、私の実感が合っているのだろうと思ったのですけれども、こういった方もあわせて、地域ニーズを、市側が考えるもの、各法人が考えるもの、住民が考えるものをきちんと議論して、これは出てこなければいけない会があるということはとても必要なことだろうと思います。

 ただ、1点。先ほど申し上げましたように、法人みずからが地域のニーズを考えて、例えば高齢者福祉をやっているのであれば、特養の個室化も重要だし、さらに地域包括ケアと考えたときに、今の社会福祉事業にないものを展開していかなければいけないというニーズを酌み取るのは、武居委員が以前おっしゃっておられたように、やはり最前線でサービスを提供しておられる方々になるのだと思うのです。

 私は何を申し上げたいかと言いますと、行政、所轄庁が設けるものも大変重要だと。もう一つは、各地域ごとに主体的に運営協議会みたいなものを拠点に設けることを義務づけてはどうかということでございます。これは現に高齢者の地域密着型サービスの中にはかなり取り入れられつつありますし、いろいろ意見はありますけれども、地域移行支援型ホームについては、行政主導のものと法人主導のものと両方つくるということでございますから、今回、社会福祉法人に行政主導と法人主導の両方設けるというのが特に過重なことになるとは思えないということもあります。

 なぜ法人主体に設けてほしいかという論点が4つほどございます。

 1番目は、行政主体のものであれば、参加していればいいやとどうしてもなりがちでございますので、法人みずからがやられるという主体性の面だと思います。地域密着型サービスの運営協議会が機能しているところは結構あるのですが、お話を聞く限り、やはり法人に主体性が生まれてくるというところがポイントだと思います。今、主体性と申し上げましたが、経営のことを考えますと、情報を集める意思決定をする組織を動かすという3段階あったときに、行政がやれるもので情報は集まると思うのです。では、そこで意思決定をして組織を動かそうかといったときの主体性ということで、第1点目に必要だということ。

 2番目は、動くのは、やはり現場のケアを担っておられる方々、サービスを担っている方々でございますから、理事長や施設長が、偉い人が集まる会でこういうことが必要らしい、やろうと言われても、どこまでこれが主体的に伝わるか。むしろ、自分たちが地域の人たちと話し合った中で、こういったことをやらなければいけないという日本型のミドルアップダウン型の意思決定が行われるほうがよほど実質に合うものになるのではないか。ですから、2番目の論点は、主に現場のフロントラインにいらっしゃるリーダーの方々が主体的に考えられているところがポイントではないか。

 3番目でございますが、先ほど社会福祉法人で参加されない法人がいらっしゃるということを申し上げました。積極的に協力関係にある法人方でも、それぞれのお話を聞きに行きますと、やはり同じ分野のライバルですから、いろいろなことを包み隠さず言うわけにはいかないということが所轄庁が行われる会では現に起き得ると思います。それを考えますと、自分たちが主体的になっていろいろなことを考えられて言える、主体的にやれる、近隣のライバルが入らないようなところでやるという枠組みがあってもいいのではないかというのが3番目です。

 4番目は、先ほど申し上げましたように、もともとは好意的に活動している社会福祉法人の理事会・評議員会に、広域展開をしている各地域の方々の理事や評議員を入れていただくことが現実に余り機能していませんし、今後も機能できるとは思えません。むしろ地域に協議会を設けることを義務化して、この協議会によって話し合われていることが理事会・評議員会の中できちんとうまく展開しているのかをチェックしていただくとか、そういったガバナンスの仕組みのほうが地域のニーズにかなう活動を広域展開されている法人に期待できるのではないかという理由でございます。

 ですので、きょうお示しいただいたものは、今後パターンごとに少し御整理をいただきたいことと、もう一点、法人側が地域協議会をやることを義務化してほしいなと私は思っております。それを御検討いただければと思います。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 福間委員、どうぞ。

○福間委員 今の藤井委員のお話に関連することであります。

 この地域協議会と別に、評議員会・理事会の検討の際に評議員会の性格が変わってくると。それによって、現在求めている地域住民の参加とか、利用者の代弁機能とか、そのあたりを別途考えるというお話だったと思うのですが、そこが具体的にどうなったか。過去の資料を見てもまだそこが出ていないように思ったのです。つまり、広域の問題もありますけれども、その法人が現に地域の住民の声を聞く、今の機能を別に設けるとしたときに、これとの関係をどうするのかをしないと、何か重なってくるような気もするので、そのあたり。特に今の中でも、1法人1町村内でおさまるのであれば、その住民参加の協議会が別途法人主体でつくられれば、そこに行政も出席するとか、何らかの横断的な柔軟性を持たせれば屋上屋にならないような気もします。そのあたりの整理をお伺いしたいと思います。

○田中部会長 既存サービスに対する地域住民なり利用者代表のかかわりの話と、新たに地域公益活動で行う場合の地域協議会との関係をお2人とも疑問に思っていらっしゃるようですが、御説明いただけますか。

○岩井福祉基盤課長 これまでの部会におけます議論でございますが、まず、地域協議会というのは、地域公益活動という新たな福祉ニーズの把握、そしてその調整ということでございますので、ある意味、法人単位ではなく地域単位であり、主体も地域でございます。その際に、さらに福祉部会における議論が進みまして、再投下計画におきまして地域協議会における審議がその審査事項になりましたので、その制度の中に枠組みとして入ってきております。かつ、その活用するところも、地域ケア推進会議等、一般的に地方自治体が設置している会議を活用することが基本という議論でございます。そういう意味で、所轄庁におきまして開催主体となっていただくことが提案されているものでございます。

 一方、先ほどからございますように、例えばかつての評議員会にかわるような役割を果たす、福祉サービスに対する意見や調整につきましては、この部会におきましてありましたのが、運営協議会を別途法人単位で設置することができることにしてはどうかということでございます。これにつきまして法律上の制度にするかどうかというのは法制的な問題がございます。義務づけにするならば法制的な問題がございますが、いずれにせよ、そのような仕組みを考えてはどうかということでございますので、そういう地域におけますニーズの把握・調整と、法人、あるいは施設におけますサービスに対する地域ニーズや利用者の意見を反映させるというものは分けて考えるというのがこの部会での議論でございます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 地域協議会という話が出てくるたびに、具体的に児童の分野でやっていく場合に、どういうことなのか、イメージがなかなか出てこなかったのです。例えば、今、市町村に義務化されている要保護児童対策地域協議会があります。まさに要保護児童ですから、貧困対策とか、そういうことも含めて議論がされる場所ではないかと私は思っていまして、それを活性化することが必要だということを常に思っていました。地域協議会が市町村につくられるということであれば、児童の場合であればそういうことなのかなと思うのです。

 そのほかに、例えば社会福祉審議会もあります。そこでは横断的な議論がされますが、全法人が参加しているわけではありません。行政レベルでそれを推進するのだというのであれば、行政が設置する協議会に参加するのだろうと考えたりもしますが、具体的な展開に関して、もう少し説明していただけますか。

○田中部会長 課長、御説明いただけますか。

○岩井福祉基盤課長 わかりやすく説明できるかわかりませんが、基本的には、当部会では横断的なニーズを把握することが望ましいということがございました。一方で、現在の仕組みが、基本的には福祉の世界というのは、各法、あるいは各事業でそれぞれ発展してきた経緯がございまして、ある意味、タコつぼ化しているという批判もございます。我が国の地域福祉の課題は、やはりその辺を地域ニーズで横断的に見るということがあるのではないかということがございまして、地域協議会はこれを基盤としていく1つのきっかけになるのではないかということでございました。そういう意味では、基本型といいますか、理想的な姿は、各協議会、会議等、関係者が一堂に会して御議論いただくというのが1つあるのではないか。

 さらに申し上げますと、本来、社会福祉協議会というものは、法律上の位置づけがございますが、社会福祉事業を調整する立場にあるところでございますので、そういうものが実質的には所轄庁を助けるというか、実質的な運営をするケースも考えられるのではないかということもあります。

 さらに、そのような実態がなかなか難しいという地域ニーズがある部分につきましては、先ほど委員からもありましたように、それぞれの会議を活用していただいて、そこで御議論いただくというやり方もあるだろうし、さらに申し上げると、もう少し簡便なやり方も当面は考えられるのではないか。いずれにしても、地域におけますニーズを把握する。当然、社会福祉法人が把握するニーズを基本にすべしという御議論もありましたが、地域公益活動については、社会福祉法人がオリジンというよりは地域でのオリジンという形が必要だという御議論を踏まえまして、このような制度がいいのではないかというものでございます。

 よろしいでしょうか。

○田中部会長 ここは新たな地域公益活動に関して何のニーズが存在するかを討議する場であって、既存のサービス、既になさっているサービスに対する地域での協議とはちょっと違うようですね。

 鎌倉委員、どうぞ。

○鎌倉委員 ちょっと初歩的な話に戻りますけれども、地域公益活動について確認させてください。先ほど知事会のほうからの意見がありました。社会福祉法人が行う事業が社会福祉事業、公益事業、収益事業と分かれていますけれども、地域公益活動は、公益事業の中に位置づけられているかどうかを再度説明いただけませんか。

○田中部会長 前回のところですね。これももう一度説明いただけますか。

○岩井福祉基盤課長 前回第11回の資料がお手元にファイルでございますので、ごらんいただければと思います。

 地域における公益的な活動というのは2つの意味がございまして、まず、6ページでございます。これは、全ての社会福祉法人に対して地域における公益的な取り組みを実施する責務を位置づけるべきではないかというものでございます。ここは考え方を示しておりまして、基本的には福祉ニーズが多様化・複雑化している。これに対して、営利法人やNPOも含めさまざまな主体が創意工夫により対応していくことが必要である。その中で社会福祉法人はその本旨に従って、他の事業主体では対応が困難な福祉ニーズに対応していくことが求められるのではないかということです。

 その社会福祉法人の本旨でございますが、社会福祉事業を中心的に担うことは間違いございません。ただ、社会福祉事業というのは、あくまで社会福祉法におきまして、例えば規制が必要であるとか、助成が必要であるという、ちょっと誤解を招く表現ですが、ある意味、定型的な事業でございまして、社会福祉を目的とする事業は社会福祉事業に限られたものではございません。そういうものを行う必要がありますので、これは制度発足以来ございますが、実際にそういうことを社会福祉法人は担ってきた。それを法律上では公益事業として位置づけておるわけです。したがいまして、社会福祉法人は社会福祉事業または公益事業、さらに収益事業ができる形になっております。

 この公益事業でございますが、これは社会福祉基礎構造改革のときに社会福祉法第24条として明記されたわけでございますけれども、社会福祉事業に係る福祉サービスの供給確保の中心的な役割を果たすだけではなくて、既存の制度の対象とならない福祉サービスに対応するということ。これはその解釈があるわけですが、やる、すべしだということが今日的な社会福祉法人の意義とされております。

 そういうことを勘案しますと、営利企業ではできないような、市場で安定的・継続的に供給されることが望めないサービス、すなわち既存の制度の対象とならないサービスを無料または低額な料金による供給する事業の実施が求められるのではないか。そして、閣議決定である規制改革実施計画におきましても、こうした社会福祉法人のあり方を徹底する観点から、生計困難者に対する無料・低額の福祉サービスの提供などの社会貢献活動の実施を義務づけるべしとなっております。

 こうした考え方に基づきまして、当部会におきまして前回整理していただいたのは日常生活・社会生活上の支援を必要とする者に対して無料又は低額の料金により福祉サービスを提供することを社会福祉法人の責務として位置付けと。

 ここで言います無料又は低額の料金により福祉サービスを提供するというのは、社会福祉事業または公益事業に該当するものです。例えば社会福祉事業で言えば、いわゆる社福減免と言われます利用料の軽減措置を社会福祉事業の中で取り組むということもこの中に入るだろう。あるいは公益事業でございますが、例えば、一般的には介護保険の対象とならないような生活支援をされている法人とか、児童養護施設であれば、退所者に対する生活支援をされているようなケースもあろうかと思います。さまざまなケースがございますが、そういうものは一般的には無料または低額でされているということでございまして、そういうものも含まれるという形でございます。

 一方、次のページでございますけれども、今回、余裕財産を明確化する。余裕財産の使途といたしまして、これは福祉サービスに社会福祉法人が使っていただくわけですが、法律上は社会福祉事業または公益事業になります。これにつきましては、先ほど黒岩委員からもありましたけれども、社会福祉事業というものが大切なのだという当部会での御議論もございました。そういうものを踏まえまして、基本的には、前回の部会におきまして余裕財産の使い方の再投下計画におきまして優先順位をつけております。基本的には地域ニーズを把握いたしまして、社会福祉事業、例えば介護保険で先ほどの特養の整備ですとか、待機児童がある場合の保育所の整備とか、個室化というお話もございましたし、さまざまな社会福祉事業の拡充を第一優先で考えるべきではないかという点でございました。

 さらに、余裕財産がある場合につきましては、先ほどからありますような地域公益事業。既存の制度では対応できない福祉ニーズが実際にありまして、これは民間事業者としての社会福祉法人が担っておられるところでございますので、そこの拡充に当てていただく。さらにあればでございますけれども、これはその他の公益事業に当てるという準備づけをすることが前回整理されていたわけです。

 したがいまして、資料の7ページにおけます地域公益事業というのは、既に社会福祉事業には優先的に投資されております。先ほどの利用者軽減も投資されていると整理されますので、○2のここで言う地域公益事業はいわゆる公益事業に当たるということでございます。

 ちょっと長くなりましたが、御説明を終わります。

○田中部会長 ありがとうございます。

 前回の資料の8ページですか。この○3、○4、○5は明確な序列があるという解説でしたね。ありがとうございます。

 高橋委員、お願いします。

○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。ちょっと的外れなことを聞くかもわからないのですけれども。

 地域協議会が地域公益活動に資する者の会議であるということは理解しているのですけれども、既存のさまざまな会議の活用ということも先ほどから言われております。まさに自治体レベルにおいてもさまざまな種別のさまざまな会議があります。なおかつ、義務ではないのだろうと思うのですけれども、地域の全体的なものの計画としていわゆる地域福祉計画というものが存在しているわけです。その計画自体は自治体に策定を義務づけられておるものではありませんけれども、そういったことも含めて、全ての自治体が策定しているわけではないということ。そこにはお金が伴っていかないということもあるのでしょうけれども、全体的な地域福祉計画もあり、さまざまな地域でさまざまな会議もあり、もっと言いますと、その会議とか計画が、その地域というのは果たしてどこまでのことを言うのか。公益的なことは藤井先生がおっしゃいましたけれども、地域というものはどこまでのことを指していくのか。

 計画によっては、例えば市内のブロック単位でつくっているもの、中学校区単位でつくっているもの。昨今では、自助・公助・共助の観点から、いわゆる地域のまちづくり計画みたいなものがありまして、その場合は、もっと細かい小学校区単位とかいうものも存在するわけであります。さらに、この地域協議会というものの位置づけが既存の計画や会議の中でどのような位置づけになっていくのか。大分前にも、横串を指すようなものでないといけないのではないかというお話もありましたけれども、私の頭の中にその位置づけの整理がいまひとつできていないということであります。

○田中部会長 地域という言葉の曖昧さから来る御質問ですが、いかがですか。

○岩井福祉基盤課長 先ほどから各委員からいただいています地域をどう考えるかというのは、今後詰めてまた整理していく必要があろうかと思います。

 1つは、広域的な方向でございます。これにつきましては、この資料にも若干ありますが、所轄庁間の連携とか、協議会等の共同開催とか、いろいろな形で対応していく必要があろうかと思います。

 一方、先ほど高橋委員からございましたように、より狭い範囲での地域ニーズの把握ということもあろうかと思います。例えば介護の世界で申し上げますと、基本的には、個別の示談調整等は、例えばコミュニティとして最小単位。小学校区は今のところないですが、中学校区とか、そのレベルで行われますが、一般的な政策課題の把握等は基本的には市の単位で行われているというのが実態かと思います。もちろん大きな市がございますので、その場合はまたその配慮が要るかと思いますが、基本的にはそのあたりのレベルではないかと考えております。これは、各委員の御意見なども踏まえまして、今後整理していきたいと思います。

○田中部会長 今、課長が言われたように、介護の世界では、個別ニーズについては中学校区単位で考えて地域ケア会議を設ける、そして、それらから抽出されてくる、中学校区単位では解決できない政策レベルの話は地域ケア推進会議、すなわち市に設けられるレベルで会議をするという2層立てになることが明示されています。これも1つの例です。それがいいかどうかはわかりませんが、介護のほうではそうなっています。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今、武居委員と藤野委員がおっしゃったことで、この地域協議会に関して今後整理していただきたい点は、軸として、横断的なのか、分野別なのか、代表が出てくるのか、みんなが出てこなければいけないのか、それから、高橋委員がおっしゃった地域の捉え方の広さということなのだろうと思います。

 私自身も、あるいはお2人が御懸念されていることも一緒ではないかと思うのが、これは、全領域横串というようなことは頭にありつつ、これまで、最初の軸であります横断的・分野別ということで言うと、横断的なものとしてあるものが、高橋委員がおっしゃった地域福祉計画、社会福祉審議会、社会福祉協議会。この3つが機能していないという言い方はしたくないのですけれども、むしろ個別の分野別のところで日本の福祉というのは発展してきたということがございまして、横串を刺そうとしているものが横串として十分機能していない面がどうしてもあるということ。イメージとして横串が刺されたものは私自身にも浮かび上がってこないところでございます。

 第1の軸の横断的なのか、分野別なのかということで、横断的ということを設けるのであれば、既存の地域福祉計画をつくるものであるとか、社協であるとか、社会福祉審議会を活用するというのは結構なのでございますけれども、今まで横断でつくり上げてこられなかった日本の社会福祉をどう変えていくかという視点を、社会福祉法人全体もそうですし、政策としてもかなりお持ちいただかないと絵に描いた餅になるのではないかという懸念があるのではないかと思います。ですので、横断的分野別という軸と、代表を出すのか、全法人が出るのかという軸と、地域の広さという軸で地域協議会という点についてさらに議論していただければと思います。

○田中部会長 関川委員、お願いします。

○関川委員 私も、この地域協議会の趣旨、再投下計画に関わるガバナンスの仕組みについては、賛成でございます。しかしながら、実際にこれが機能するかどうかという視点から考えた場合には、論点が幾つもあって、機能させるためには難しい運用上の課題があると思っております。本来は、再投下計画において実施する地域公益活動についてどのような事業を実施するかについても、社会福祉法人がニーズを把握して計画を立てるべきものなのだろうと思っております。最終的に評議員会で地域の福祉の代表である社会福祉協議会の方から意見を聞くとか、民生委員の方から意見を聞くとか、その意見書を付して行政の承認なり確認なりを受ければいいものなのだろうと当初は思っておりました。

 ただ、25年度に兵庫県老人福祉事業協会が会員施設に対し調査をしましたところ、地域にはさまざまな困り事があるということはわかっていながらも、社会福祉法人の方々は何をやったらいいかわからないとお答えされる方が5割、6割ありました。こういう仕組みがあると、地域において何が求められているかがわかりやすいと思います。

 ところで、社会福祉法人からすれば、この仕組みであれば、法人の求めに応じてすみやかに地域協議会を設置する義務を法律上明記していただく必要があると思います。再投下計画を作成する必要があるのに、所轄庁にお願いしても、事務対応に追われ、地域協議会が開かれませんでは困りますので、そこは開催することができるではなくて設置しなければならないという法整備が必要になります。

 資料の2ページにもありますとおり、社会福祉協議会が中心的な役割を負う自治体が多いであろうと私も思っております。ただ、社会福祉協協会にこういう関係者を集めていただいて、地域のニーズについて意見を集めて整理する会議を開いていただき、社会福祉法人に各再投下計画を策定し、かつ、地域公益活動を実施しようとする社会福祉法人に事業説明をしていただいて意見交換をすることになると、やはりそこにも行政コストがかかってくるのだろうと思います。社協にお任せというわけにはいきませんので、市としてそれについての予算措置を講じなければならないという性格のものなのかなと思います。国としても予算措置をしていただく必要があります。

 提案の趣旨について理念的には賛成できますが、果たして行政コストをかけてまで、本来、社会福祉法人がマーケティングを行い事業提案するべき部分を公費を投入し仕組みをつくるべきなのかというところが、私自身、非常に悩んでいるところでございます。

 それから、法人の運営からみますと、地域公益活動を予算計上し、次年度4月以降の事業計画に反映させることになります。地域公益活動を行うとなると、2月、3月に行われる予算を審議する理事会・評議員会にかけなければいけません。そうしますと、その前に再投下計画について所轄庁から承認をいただく必要があります。資料にあるようなプロセスで、再投下計画を作成するとなりますと、まず、地域協議会を開いていただいて、その意見を踏まえて理事会で決議をして、自治体、所轄庁に承認をいただいて、初めて3月の事業計画と予算が編成できるという流れになります。そうしますと、1月から2月の中旬ぐらいまでに地域協議会を開いていただき意見聴取できないと、3月の事業計画及び予算を審議する理事会・評議員会にはかけられない。こうした時間的にもタイトなプロセスのなかで、所轄庁が事務対応できるのか、心配でございます。

 3つ目に関しましては、複数自治体において広域的に事業展開する社会福祉法人による地域広域活動についても、難しい問題があります。この場合の地域協議会はどのように開催されるべきなのでしょうか。所轄庁となる都道府県は、それぞれ複数の自治体の各事業所のある地域のニーズをどのように把握するのでしょうか。実際に御提案いただいている制度の趣旨にもとづき、住民の意見を伺い、きめ細やかに対応する仕組みを動かそうといたしますと、所轄庁である都道府県が各自治体の地域のニーズを調整しなければならなくなります。社会福祉法人が幾つもの市町村で事業をしている場合には、その市町村の自治体関係者、社会福祉協議会関係者、さらには民生委員等々の方々に集まっていただいて、初めてそのAという法人の公益活動について妥当かどうかが検討する、協議するということになるのでしょうか。ここでも、時間的にもタイトなプロセスのなかで、都道府県が事務対応できるのか、心配でございます

 資料3の6ページを見ていただきますと、これは広域に事業展開する社会福祉法人に対する指導監督体制のイメージですが、同じことが地域協議会を開催する場合に当てはまるのではないかと考えます。主たる事務所がA県E町にある社会福祉法人が4つのそれぞれ異なる事業所で事業を行っている場合、法人が考える地域公益活動について、所轄庁Aが地域協議会を開催する場合、複数の自治体にある幾つかの地域の意見調整を行うために、それぞれ関係者をお呼びしてその場で協議するのか。それとも、各事業所、各自治体で開かれる地域協議会から意見をいただいて、その意見をもとにA県が開く地域協議会で書類審査をして、ニーズがあるかどうか確認をするのかなど、検討するべき課題は多い上、所轄庁がこの仕組みを運営できるかどうか、懸念されます。このように、複数自治体において広域的に事業展開する法人の所轄庁の対応はとても大変であるように思っています。これについて御意見いただければ幸いでございます。

○田中部会長 お2人の委員からの懸念事項についてわかる範囲でお答えください。

○岩井福祉基盤課長 具体的な設計については今後の問題であろうかと思いますが、事務局として、今、これを整理させていただいて提案した段階で申し上げますと、基本的には所轄庁が全てのニーズ、例えば先ほどありました東京都が新潟県のニーズを調整する必要は全くありませんし、できるものではございません。それぞれのところの連絡調整はあろうかと思いますが、基本的には法人がそれぞれ事業展開する場におきましてそういう地域協議会に出席する形になりますので、最終的には再投下計画のところで、そういう協議会の審議の結果とか、ニーズを踏まえたものを再投下計画を申請する段階で所轄庁に出されれば、そこで情報が集約されるのではないかと考えております。

 例えば、先ほどありましたように、複数の法人が広域的な活動をされるとかいう場合は、むしろ積極的に所轄庁間で連携をとっていただいて、その地域福祉を形づくっていただくという方向はあろうかと思いますが、今、事務的に所轄庁が全部調整するというようなことが想定されているわけではございません。

 以上です。

○田中部会長 西條参考人、お願いします。

○西條参考人 いろいろ議論がございます。新たな地域ニーズを把握する仕組みとして地域協議会をつくろうという動きは特に異論ないのですけれども、そこになぜ所轄庁という言葉があるのか。特に所轄庁と言ってしまうと、指導監督権限を持っているわけですから、行政の関与を強めるという動きになります。所轄庁が無理やり社会福祉法人にこうした仕事をしてくれとか、事業をしてくれとか、そういう指導監督権限まで持ってしまうというのは、非常に逆行しているな、違和感があるなと思っています。

 ここでの議論でも、地域公益活動というのは、そもそも法人の主体的な創意工夫で行うべきものといった整理がされているはずだと思うのですけれども、その中で、なぜ指導監督権限を持つ所轄庁を絡めようとするのか、その辺の理由がちょっとわからない。

 一方で、ここの資料の2ページに地域協議会の運営については、社会福祉協議会が中心的な役割を果たすケースが想定されると書かれております。ちなみに私ども神奈川県の場合、昨年度来、生活保護に至る手前の生活困窮者を支援する仕組みとしてライフサポード事業を展開しておりまして、これは大阪府でも同様な事業を行っています。

 これはどのように立ち上がったかといいますと、県の社会福祉協議会の会員といいますのは、社会福祉法人、法人会員です。その方々が提案して、一同にこういった事業を神奈川県で展開しようではないかといった中で、お金も出し合いながら基金を設置しまして、その基金を使ってそういった生活困窮者を支援する仕組みをつくったわけです。これがまさに広域的なレベルでの社会福祉法人の創意工夫による事業であります。各所轄庁も、この事業を社会福祉事業として位置づけて承認している。こうした例もございますので、わざわざここで所轄庁を絡めるというよりも、地域協議会をつくるのであれば、市町村レベルでも社会福祉協議会を持っていますし、県レベルでもあります。こうしたものを活用するのが本来の姿ではないのかと私は思います。

○田中部会長 この点も所轄庁の指導監督権限と法人の自主性に関しての御懸念でしたので、御説明ください。

○岩井福祉基盤課長 地域協議会を設置する主体として所轄庁として挙げております理由は、今回の改革におきまして地域公益活動を社会福祉法人の責務として位置づけて、また、再投下計画の中で位置づけて、さらに地域協議会というものがその審査事項等の実質的な判断をする場になります。社会福祉法人に対する責務、義務として実施するものの、議論する場を設置するという意味で所轄庁がすることになっておりまして、今、委員がおっしゃったような指導監督をするとか、そういう趣旨でここを設けるものではございませんので、そこは分けて御議論いただければと思います。あくまで社会福祉法人が行うべき事業を議論する場を設置するという意味で、社会福祉法人を所轄する行政庁がまず主体となる。

 実際の運用といたしましては、社会福祉協議会という地域におきます資源を活用することが十分考えられますし、むしろあるべきではないかという議論があるので、そういうことを活用していくということでございます。

 さらにもう少し申し上げますと、さまざまな行政間の連携という観点からも、所轄庁に一定の役割が求められるのではないかという点でございます。

 以上でございます。

○田中部会長 こうしてお互いに懸念を晴らしていくのは大変必要なことですが、ほかにいかがでしょうか。

 では、資料2について、また後で気づかれた場合は戻っていただいても構いませんが、ここで資料3の中身についての質問、討論をお願いいたします。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 法令的な枠組み等々でございまして、お話を聞いて、なるほどなというのがまず先にございまして、意見とかそういうレベルではないのです。医療法のほうが何せことしの4月から施行される話なので、これをこのように動かしてどういう問題があるかというのがまだよくわからないところでございますので、いかんとも言いがたいところではあるのですが、医療法の枠組みと今回の社会福祉法人の枠組みが違うとすれば、2つあるのではないかと思います。

 医療法の枠組みでいいますと、基本、都道府県、政令市同士のやりとりになると思うのですが、社会福祉法人の話ですと、市や特別区から都道府県のほうに情報を提供することになるのではないかと思います。これはちょっと自信がないので、間違ったら教えてください。という問題が1点。

 もう一点は、医療法人の場合、私が想定する限り、例えば北海道の法人がぽんと東京に出てくるとか、そういう地域をぽんと離れた展開よりは、むしろ隣の都道府県にじわじわと展開するケースのほうが多いのではないか。一方で、社会福祉法人に関して、今、特に高齢分野で注目されていますのは、地方から東京近県に多く進出してこられるケースでございます。

 何を心配しているかといいますと、医療行政でも、介護あるいは福祉行政でも、全国一律の社会保障制度とはいえ、私がいろいろな法人に話を聞くにつけ、その地域ごとの医療の考え方、福祉の考え方が違うものだなと思うのです。どこでもいいですけれども、例えば東北地方のある県で指導を受けていることが、東京都の23区に来ると全然違うことを言われるということはよく聞く話でございます。医療のように、近隣県ではない、県県同士ではないということで、枠組みがちょっと違うことによって懸念されることはないかどうか。私の懸念される点が枠組みの整理として合っているのかどうかという質問。

 まだ動いていませんので、医療でどのような難しさがあるかわかっていないので、机上の空論で申しわけないのですけれども、医療とはかなり重なる部分があるにしても、ちょっと違う部分があるという点について、どのような検討なり見解をお持ちかお教えいただければと思います。

○田中部会長 岩井課長、お願いします。

○岩井福祉基盤課長 今、十分理解できなかったのですが、まず、医療との違いでございます。

 基本的に今回の社会福祉法人については、近隣県がどうかというのは実態論でございますので、今、にわかに実態がわかりませんので把握できませんが、制度的な枠組みでいうと、基本的には法人の所轄としての指導監督と、医療はさらに衛生規制でございますので、施設の所轄というものがありまして、こういうものとの連携が必要であろうということは同じかなと。社会福祉法人の場合も、かつての1施設1法人であった法人類型がかなり多段階に展開される中で、そうしたことも必要になってくるという意味では、同じ構造ではないかと。一方で、特に社会福祉法人について地方分権がより進んでいまして、そういうものを踏まえるとこういう規定が必要になるのではないかと思っております。

 済みません。第2点目がちょっとよくわかりません。

○藤井委員 実態論のほうは結構なのですけれども、基本の情報の行き渡しが、おっしゃったように、社会福祉のほうが地方分権が進んでいますので、病院と法人という情報のやりとりが都道府県同士のやりとりになるというのが医療ではないか。それに対して、福祉で事業と法人ということになりますと、都道府県に対して区市町村が情報を提供するという流れになってくるのだと思うのです。地方公共団体の関係性がちょっと違ってくる部分は特に懸念することはないのか。

○岩井福祉基盤課長 おっしゃるとおり、基本的には、医療の場合は都道府県同士で、社会福祉法人の場合は事業が市町村に権限委譲されていますので、より複雑、かつ、おっしゃいました基準の問題とかあろうかと思います。逆に申しますと、そういう意味で連携のこういう規定がないと法人指導が非常に難しいということで、今回規定を入れるということです。

 基本的には、法人に関しては、今回、行政の規制の基準を明確化するということはこの部会におきましてもお約束している点でございますが、施設との関係につきましてはまた別の問題でございますので、そういう問題はあろうかと思います。いずれにせよ、その連携がとれないと法人監査もできない時代になっているということで規定を整備してはどうかということです。

○藤井委員 懸念しておりますのは、医療に関しては、いわば47通りと言うと言い過ぎですけれども、47都道府県の考え方がある。政令市は入りますけれども。それに対して福祉でいきますと、全国1,700自治体の考え方があって、それが分権の流れである程度認められているところがある。法人を設置している都道府県がそういった情報を集めてどのように理解、解釈していくかというのは結構難しい話が介在しているなと。

 私の実体験で言いますと、極論すると、ある市ではいいとされていることが別の市でいくと全くおかしいと。どちらもそれなりに考え方はわかる。自治体が適当なことをやっているわけではなくて、考えた上でそういうことが発生しているというのが現在の福祉の地方分権が進んだ実態でございまして、事業所サービスの所轄を持っておられる方々の情報をどう集めるかというのは実態論として結構難しそうだなと思ったものですから、ぜひ具体論を詰めていかれるときには、市町村、都道府県等のお話をしっかり聞いていただいて制度をつくっていただいたほうがいいのかなと思います。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 今、藤井委員が実態論をとおっしゃいましたので、ちょっと補足といいますか説明させてもらうのですが、まず、この資料の2ページで課題として挙げられている2つ目の○の一番下のポツ法人監査において主たる事務所以外を対象とする実地の監査は、福祉各法に基づく施設監査の内容と基本的に重複すると考えられるとあります。そもそも法人監査と施設の監査というのは根拠も見る観点も全く違うというのが正解なのです。現在でも、社会福祉法70条によりまして、施設監査というのは事業所が所在する都道府県または政令中核市が担っています。厚労省の通知の中でも、施設監査と法人監査は連携して行うこととされておりまして、当該法人の施設監査の情報につきましては、法人監査を行う所轄庁にきちんと情報提供させていただいています。複数事業所を持つ法人の法人監査は、そうした情報を把握していながら、法人全体として運営がどうなのかということ。法人全体の運営として所轄庁が責任を持って行っているというのが実態でございます。

 そうした中で、資料の随所に、必要があると認めるときは法人業務を監督する所轄庁に意見を述べるとありますが、ここで言う意見とは具体的にどのようなことが想定されているのか、この点はちょっと疑問に思っています。

○田中部会長 情報は今でも提供している、ここで言う意見とは何かとの御質問でしたが、お答えになりますか。

○岩井福祉基盤課長 ただいま参考人からもありましたように、基本的には法人監査と施設監査は観点が違いまして、実態は、今まで一緒に監査に入っているケースが多かったと思いますが、これから広域的になりましてそれがなかなか難しいということも出てきますので、こういう規定が必要ではないかという趣旨です。

 この意見でございますけれども、これは今後の整理でございまして、その前提に、法人監査と施設監査、その観点は違いますが、今後その法人監査のあり方を見直す中で、この辺の役割分担とか重点化の方向はしていくべきだろうと。その中で、施設監査という観点から、法人監査に必要な観点からも重要な事項等があれば、そういう点について意見を求めるということもあるのではないか。いずれにしても、この辺は監査の内容を整理して今後詰めていきたいと考えております。

○田中部会長 資料3についてほかに御意見、御質問はございますか。

 よろしければ、資料4、合併についての御意見、御質問に移ります。お願いいたします。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋(英)委員 合併についての資料で、合併の認可件数が23年度11件、24年度17件、25年度7件と記載されております。基礎資料の中での件数でも、いわゆる施設経営法人の合併認可件数が23年度は6件、24年度が16件、25年度はちょっとわかりませんけれども、そういう資料があります。この具体的な施設経営法人の合併の内容といいましょうか、どういう格好での合併の事例があったのかというのがもしわかれば、具体例を二、三、教えていただければと思います。

○岩井福祉基盤課長 申しわけございません。それは把握しておりません。

○田中部会長 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 合併について、評議員会が議決機関になれば、3分の2以上の議決が必要だということですが、それはよくわかりますし、異議はありません。ただ、その場合に、理事会の意思、理事会との関係はどうなるのでしょうか。実際には、多額の借金の保証人になったり、様々な責任を個人の立場で担っているのが理事さんたちでありまして、従来であれば、理事会の3分の2及び評議員会の3分の2、両方の決議が必要だということになっていたのですけれども、その辺の関係はどうなのか、教えていただけますか。

○田中部会長 理事会の合併に関する関与について御説明ください。

○岩井福祉基盤課長 法律上の整理はまた必要なのですが、基本的には、評議員会がそれを議決することによって合併が有効となるということです。意思決定は評議員会であると。

 ただ、これは、私どもよりもむしろ各委員のほうが御存じだと思いますが、基本的にはこのような重要事項はまず理事会で議論があり、その上で評議員会などにおきます審議があろうかと思いますので、その辺は、理事会よりも、現場の業務執行を行う立場からいたしまして、議論の過程には入られるのではないかと思います。

 ただ、経費を負担しているとか、そういう観点ではなくて、理事会はあくまで業務執行の観点かと思います。

○田中部会長 私も公益財団法人の理事を幾つか務めておりまして、合併の経験もあります。当然、長く議論し、回数を重ね、合併に行こうと最初に決めるのは理事会です。ただし、それが法律上有効になるかどうかは評議員会の議決を経るのであって、評議員会が最初からリードして決めるというケースは余り見たことはありません。理事会で議論をし、決めて、これを評議員会に上げることを議決します。こんな感じでした。多分、こちらもそのような形になるのではないでしょうか。

 関川委員、どうぞ。

○関川委員 幾つか教えていただきたいことがあります。

 資料の3ページで、一般財団法人・公益財団法人の開示書類が事前開示事項と事後開示事項に分かれておりますが、どの段階を事前・事後と言うのでしょうか。4ページを踏まえて教えていただければありがたいです。

○岩井福祉基盤課長 今、ちょっと確認させてください。後ほどお答えいたします。

○関川委員 それとの関係で、開示の狙いは何でしょうか。これについても、教えていただければと思います。

○岩井福祉基盤課長 開示の目的は、債権者保護ということです。その事前・事後は、済みません、公益財団等の手続等を確認させていただきまして、後ほど御報告させていただければと思います。

○関川委員 債権者保護は重要だと思います。もう一つは、利用者家族の利益を踏まえて開示の時期をいただく必要があるように思います。利用者家族の利益保護と考えると、この評議員会の議決の前に、合併契約が成立した段階で合併に関する情報が閲覧できるように、契約内容などの書類の備え置きなどしていただけると、利用者家族が法人に説明を求めることができます。また、話し合いの内容を見て中立公正な評議員会が合併を承認するかどうかを決めるという手続をルール化していただく必要はないだろうかというのが1点でございます。

 もう一点ございます。合併のあり方に関して御提案いただいておりますが、同様に、事業譲渡についてもルール化しておく必要はないでしょうか。社会福祉法においては、合併については、そのルール・手続が定められておりますが、事業譲渡についての規定はなかったように思います。事業譲渡についても、法人の基本財産の処分でございますので、当然、評議員会の議決を求めるべきと考えます。以前経営組織について審議しましたが、評議員会の議決事項として、事業譲渡があがっていなかったように思います。

 こうして考えますと、合併について評議員会の議決が必要と法律上明記するのであれば、あわせて、事業譲渡についてのルール化も今回の法改正で御検討いただいたほうがいいのではないかという意見でございます。

○田中部会長 利用者家族に関する情報開示と事業譲渡について御質問がありましたが、いかがでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 2点とも法制的な整理の問題かと思っています。現在、法制局等とも相談しておりますので、その中で整理されるものと思いますが、私の考え方を申し上げますと、このような書類自体は、内容を見ていただければわかりますように、基本的には債権者保護を目的としたものでございます。一方、利用者等につきましては、当然、事業自体を廃止するとか、そういう問題ではございませんので、これは継続されるものだと思います。また、御懸念もあろうかと思いますが、当然、この社会福祉法人の場合はそれであるからこそ認可されるわけでございます。その点できっちり見られるものと思っております。

 それから、2点目は事業譲渡でございます。事業譲渡も、基本的には社会福祉法に規定がございます。ただ、一部違うのは、私の記憶するところで申し上げますと、一般財団・公益財団の場合、事業の全部譲渡について評議員会の議決を求めております。しかしながら、社会福祉法人の場合、事業の全部譲渡ということは基本的には考えられないですし、認められるものではないと考えられますので、そこら辺は今、法制局と整理しているところでございます。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今の法律上の整備の話なのですが、このような形で合併していく際に、ここで書いておられるのはおっしゃるとおり債権者保護ということで、これが重要なので、どういう書類を出すかという意味なのだと思うのですが、利用者保護というのは全く別の観点の法制になるのだろうと思います。ですから、関川先生がおっしゃったような利用者保護の観点でこちらと一緒になるというよりは、利用者保護は利用者保護で独立した関係で、社会福祉法人が対象にしている利用者というのは、一般の利用者といろいろな意味でパワーが。支援しなければいけない方々ですので、その点をどうするかというのは、ほかの法人並びというよりは、これを機にお考えいただいたほうがいいかもしれない。

 特に、法人がかわりますと、契約を一からやり直すことになると思います。私は、現に今、ある法人でそういうことを手伝っておりまして、利用者さんが非常に不安になって不穏になっていくといったことがありますので、これは法律に書く内容云々ではないかもしれませんが、利用者保護というのは、他方と並びということではなくて、特に注意してお書きいただければということが1点でございます。

 もう一点は、承継した権利義務に関する事項が全くわからないので教えていただきたいのです。承継した権利義務に関する事項等というのがあるのですが、先ほど藤野委員がおっしゃった、今、福祉医療機構は求めていないのですけれども、とはいえ、法人債務の保証を理事の方々がやっておられるというのが非常に多いと思います。それもかなり大きな金額をやっておられる。形式的とは言いながら、現実に事が起これば負担しなければいけないような金額を負っておられることが多いと思うのですけれども、この関係が合併することによってどう変わるかというのは、開示されているものの中に入っているものなのでございましょうか。

○岩井福祉基盤課長 今、手元に資料等がありませんので確認できませんので、それも後ほど御報告させていただければと思います。

○藤井委員 今の件で。

 社会福祉法人の成り立ちを考えますと、過去は、財産をお持ちの社会事業家のような方が自分の私財を投げ打ってという形が多かったように思いますけれども、必ずしもそこまで資産を持たないような、例えば公務員のOBであるとか、社会福祉法人のOBであるとか、そういった方々が始められるときに、実際には社会福祉法人は多くの場合施設を要求しますので、非常に設備投資が必要だと。その肩がわりを受けているというのが、これはちょっと。例えば公益財団とか公益社団の成り立ちとは結構違う話でございまして、この債務保証をしているという問題を頭に置いた上でどう考えるのかという視点はやはり必要かなという気がしております。法制局等、法務省等とやられるときに、ぜひ御検討いただければと思います。

○田中部会長 先ほどの質問でわからないことは次回に回してください。実務的な話はまた調べるしかないですが、大枠として、合併したい場合には評議員会を最終議決機関とするという方向については特に異論はなかったと思います。

 ほかに。本日の議論を通じて何か御意見ございますでしょうか。

 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 私は冒頭の知事の意見には基本的に賛成です。そういう意味で言えば、例えば地域協議会の開催や、新しい公益事業への取組みということが言われてきたわけですが、児童の分野で言いますと、地域のニーズはわざわざ探さなくとも、例えて言うならば、もう燃えて火事になっていますから、それを必死で消しているというのが実際です。むしろ、様々な制約や不足の中で、本来の社会福祉事業の役割さえ十分に果たせていないのではないかいう状況がある中で、従来の我々の役割をきちんと果たすことこそが、本来必要なのではないかと思っています。

 新しい考え方として加わるところがあっていいと思いますけれども、基本的な考え方の整理については、よろしくお願いしたいと思います。

○田中部会長 ありがとうございます。

 福間委員、どうぞ。

○福間委員 その他になるとは思うのですが、冒頭の知事会からの意見書について。別にこれは知事会への質問ではないのであの場では申し上げませんでした。先ほど、行政の関与、権限拡大については質疑でわかったのですが、もう一つ、疑問に思いましたのは4 行政による情報集約と公表についてという部分です。ここには情報集約・分析・公表とありまして、そして県の独自な分析結果の公表の可能性なども言及されているのですが、そもそも9月11日に提起された資料をもう一度確認させていただきますと、情報を集約し、わかりやすく開示するという表現であって、分析というのはないのです。私、素人ですけれども、一定の調査目的なり集約目的があって、その上での分析結果というのがあるのだと思います。分析というのはそういう点ではやや作為的な部分があって、不安に思いますので、必要最低限そういうのはあるのでしょうけれども、情報の集約・公表と、そこに入る分析というのは言葉が違うのではないか。確認の意味で、そういうニュアンスが内容的には含まれているのかどうか。御提案のかつての資料の中にあるのかということをお伺いしておきたい。

○田中部会長 厚労省としてデータを集めるとき、収集だけではなくて、分析についてはどう考えるか。知事会からは分析すべきだと書いてありますが、いかがでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 ちょっとお待ちいただけますか。資料を確認します。

 その前にちょっと御報告させていただいてよろしいですか。

○田中部会長 どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 先ほどの御質問の件でございます。

 まず、合併の事前開示と事後開示でございますけれども、事前開示の事前というのは合併契約の備え置き開始日でございます。事後開示というのは合併の効力発生日を言うとなっております。公益法人・一般財団では合併の効力発生日となっております。

 それから、承継した権利義務に関する事項でございますが、これは一応、省令にありまして、省令上は、吸収合併により吸収合併存続法人が吸収合併消滅法人から承継した重要な権利義務に関する事項とだけ書いております。この運用は今わかりませんので、また調べまして御報告いたします。

 以前の資料、第8回の資料の21ページ考え方の中で財務諸表、現況報告書等については、所轄庁として法人の指導監督等に活用するほかと。その中で、今申し上げました所轄庁として法人の指導監督等に活用するほか、都道府県は、広域的な地方公共団体として、管内の法人に係る書類を収集の上、法人規模や地域特性に着目した分析を行う等により、管内所轄庁の支援、地域住民のサービス利用、法人による経営分析に活用できるようにしと。それから国においては、都道府県において収集した情報を基に、全国的なデータベースを構築するべきではないかという点でございます。

 今の御質問は、この情報収集に分析が入るかということですが、このときの議論では、基本的に、単に収集するだけではなく、例えば事業法人が経営分析に活用できるようにする。その前段階である程度分析して、こういう傾向があるとか、そういうことを示すとか。あるいは地域住民に対してもサービス利用がわかりやすいように活用するという意味での分析ということは当然想定されるという形で議論されているかと思います。

 国においてそれをデータベースにする際も、基本的にはデータベースというのは収集するものでございますが、ただデータが並んだものだけをベースとしても意味がございませんので、ある程度利用に供されるような形で分析等を加えるということはできますし、データベースとして収集した以上は、あらゆる方々がこれを分析することは可能になろうかと思っておりますので、そういう意味で議論されたと記憶しております。

○田中部会長 関川委員、どうぞ。

○関川委員 一般財団・公益財団の事前・事後については理解できました。今回、その考え方を社会福祉法人の合併についても取り入れるのでしょうか。その場合、資料4の4ページ、時間の経過が書かれた見直しのイメージの図の中ではどこに入ることになるのでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 基本的には一般財団・公益財団というものを参考にしたいと思っていますが、先ほど申し上げましたように、社会福祉法人と一般財団・公益財団は、例えば認可法人であるかどうかとか、違う点がございますので、この辺は法制的にちょっと整理する必要があります。ここの場でお答えすることはちょっと難しいと御理解いただければと思います。

○田中部会長 ほかによろしゅうございますか。

 皆様からの御意見や御質問を通じて回を重ねるごとに理解が進んできました。もちろん、法律ではなく、さらに下におりないとわからない話もありますが、社会福祉法人の法人としての経営の改革に向けての議論は、12回重ねてくると大分理解が進みましたね。

 予定の時間には達していませんが、よろしゅうございますか。

 では、本日の議論についてはここまでといたします。

 次回の開催について事務局から説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 次回の開催については追って御連絡させていただきます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 では、これにて本日の審議を終了いたします。皆様、活発な御質問、御意見ありがとうございました。


(了)

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