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2015年2月9日 第10回医療法人の事業展開等に関する検討会 議事録
医政局医療経営支援課
○日時
平成27年2月9日(月)18:00~19:30
○場所
イイノホール&カンファレンスセンターRoom A(4階)
○出席者
田中座長 (慶應義塾大学名誉教授) |
今村委員 (公益社団法人日本医師会常任理事) |
大道委員 (一般社団法人日本病院会副会長) |
梶川委員 (日本公認会計士協会副会長) |
川原委員 (株式会社川原経営総合センター代表取締役社長) |
鶴田委員 (全国衛生部長会会長(静岡県理事)) |
西澤委員 (公益社団法人全日本病院会会長) |
橋本委員 (東京大学大学院医学研究科教授) |
加納参考人(日野委員代理) (一般社団法人日本医療法人協会会長) |
松井委員 (立教大学法学部教授) |
松原委員 (明治安田生活福祉研究所主席研究員) |
塚本参考人(山崎委員代理) (公益社団法人日本精神科病院協会副会長) |
浦野委員 (全国社会福祉法人経営者協議会総務委員長) |
太田委員 (公益社団法人全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長) |
瀬古口委員 (公益社団法人日本歯科医師会常務理事) |
○議事
○田中座長 定刻になりましたので第10回医療法人の事業展開等に関する検討会を開催いたします。
議事に入る前に委員の出欠状況と事務局より資料の確認をお願いします。
○事務局 本日は遅い時間に恐縮でございます。
まず、本日の出席状況ですけれども、猪熊委員につきましては欠席との連絡をいただいております。瀬古口委員、日野委員、山崎委員につきましては、代理人の方が御出席されています。あと、長谷川委員がちょっと遅れているということです。
それでは資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を確認いただければと思います。本日の資料ですが、資料1で「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて(案)」、それから資料2としまして「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設について(概要)(案)」、参考資料としまして「医療法人の事業展開等に関する検討会開催要綱」です。
資料の不備等がございましたら事務局までお伝えいただければと思います。
○田中座長 早速、議題に入ります。地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設、及び医療法人制度の見直しについてですが、前回までの議論や事務局での検討を踏まえて資料を作成していただきました。この資料の説明を事務局からお願いします。
○事務局 それでは資料1を御覧いただければと思います。地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて(案)です。前回資料に付け加えまして、この1ページ目の大部分の内容を追記してございます。追記の内容としましては、これまでの経緯ということで、1段落目に日本再興戦略、6月に閣議決定したものにつきまして検討を求められているという話です。またということで、医療法人制度に関しましては日本再興戦略、規制改革実施計画、参議院厚生労働委員会附帯決議おいて検討を求められているということです。
3段落目ですが、これらを踏まえ、本検討会において検討したところですが、以下の整理を基本とすることがおおむね妥当であるというふうに考えられる。厚生労働省においては更に検討すべき論点も残っていることから引き続き精力的に検討・調整を行い、医療法改正を含めた制度改正及びその運用に適切に取り組むよう期待するというのが中心です。
その下の段落、前回の検討会で、御意見があった大きな意見としまして、そこに書かせていただいています。まず、1段落目が非営利新型法人に関してですが、松原委員、大道委員からあった御意見でございますが、医療における非営利性の確保の重要性に鑑み、具体的な制度設計や運用面も含めて非営利性が適切に確保されることを強く求めるものである。
次の段落は、まずは今村委員からの御意見で、医療法人の分割制度はより良い地域医療の実現のために適切に運用されること、後段は西澤委員からの御意見で、社会医療法人の認定要件の見直しはあくまで例外的な措置であり、基本的には引き続き厳格な認定基準を維持すべきであることを申し添える、という形にしています。
2ページでございます。前回からの修正点を中心に説明をさせていただきます。1地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設についてですが、この概要と言いますか、表書きの部分ですが、5行目のところ、長谷川委員のほうから情報の観点が重要だという御指摘がありまして、「ヒト・モノ・カネ・情報」というように書いています。
次の1.非営利新型法人の法人格・名称ということで、一般社団法人の内から基準に該当するものを認定する形です。名称につきましても地域医療連携推進法人(仮称)ですが、書かさせていただいています。
2.の事業地域範囲です。これは毎度ではありますけれども地域医療構想区域を基本とするとなります。
3ページ目の3番ですが、非営利新型法人の参加法人の範囲ということです。1ポツ、医療として病院などをやっている法人が必須だと。2ポツ、それに加えて介護事業、その他地域包括ケアの推進に資する事業のみを行う非営利法人についても参加法人とすることができることになっています。
3ポツは今村委員の御意見で、営利法人を認めないというのに加えまして、営利法人を主たる構成員とする非営利法人、こういったものも追記させていただきます。その次の2つも今村委員の関連でございますけれども、参加法人を社員とすることを原則とするということです。この社員という場合につきましては、その新型法人の目的に照らして不当に差別的な取扱いをしてはならないということです。
最後のポツですが、社会福祉法人の関係については現在、改革中の制度改革の内容と整合性を図るということに加えまして、前回西澤委員から御意見いただきましたその他の非営利法人につきましても、その法人制度を踏まえた参加となるよう留意するということです。
4番、非営利新型法人の業務内容です。(1)統一的な連携推進方針の決定ということです。おめくりいただきまして1ポツは医療の関係は必須事項で記載することとして、それ以外に地域包括ケアの事業、共通業務といったものについて記載できるということです。
その次の2ポツ目ですが、今村委員の御意見でございますけれども、地域医療構想と整合性を、この連携推進方針はとっていくということです。
次のポツで、これは太田委員からもいただきましたけれども、社会福祉法人を念頭に置かれての発言でしたが、参加法人の目的・事業を踏まえ、その非営利新型法人内において、この統一的な方針の策定においては十分に調整を行うということです。
(2)のその他の業務ということです。1ポツ目のところでは、従前どおりでございますけれども研修を含めたキャリアパス、共同購入などを実施できるということに加えまして、介護事業、その他地域包括ケアの推進に資する事業、これで本部機能というかこの新型法人が行う業務に支障のない範囲内の事業については実施できるということです。
それから5ページ目で、ここは特に修正というところはございませんが、1番上が関連事業を行う株式会社・一般社団法人への出資が一定の要件でできると。2つ目は非営利新型法人自身による病院等の経営というのも一定の範囲内でできる。
3ポツ目は支出、本部経費と共通の委託料といったものがあるということです。
5.非営利新型法人のガバナンスの仕組みということで、議決権の取扱いについてです。原則として社員は各一個の議決権を有する。ただ定款で別段の定めをすることもできる。しかし、この場合にでも不当に差別的な取扱いをしないことと。6ページ目の一番上ですが、拠出金の額に応じた異なる取扱いは行わないということです。
次の○ですが、統括方法等ということです。これも従前どおりですが意見聴取又は協議・承認、そういった内容を事項ごとに選択できる。その事項は予算、借入金、重要な資産の処分、事業計画などということです。
1番下の○参加法人の加入・脱退です。加入・脱退は任意ということですが、2ポツ目のところの脱退の点で、前回、松井委員から御指摘のありましたように、貸付金の清算が条件ということが絶対ではないだろうということでございますので、留意しつつという表現に変えています。
7ページですが、一番上は非営利新型法人の理事長要件ということでして、新型法人の代表であるということで、全て都道府県知事の認可を経るということです。
2ポツ目ですが、地域医療連携推進協議会の開催ですが、今村委員から御指摘がございましたが、地域関係者の意見をいろんな場面や内容に反映させる。例えば統一的な連携推進方針、この決定を含む法人運営に反映させる、こういったことが大事ではないかということです。
2ポツ目の後段ですが、これも今村委員からでございますけれども、目標とその評価というのをこの協議会は行うわけですけれども、非営利新型法人はその評価内容を公表するということです。
6番ですが、非営利性の確保です。従前どおりの内容ですけれども、3ポツ目のところ、従前非営利新型法人の役員及び社員に営利法人の役職員を就任させないということでしたけれども、今村委員、梶川委員の御指摘を踏まえまして、非営利新型法人の役員には利害関係のある営利法人の役職員を就任させないということです。最後のポツも今村委員からのご指摘で、役員については親族等の就任制限要件を課すということです。
8ページ目です。こちらにつきましても今村委員からですが、医療法の規定を準用するのが原則ということで、例示としまして定款変更における都道府県知事の認可等を入れさせていただいています。
2つ目が医療審議会からの意見聴取ということで、2ポツ目で今村委員からの御指摘ですが、都道府県知事が認定をしますけれども、認定基準を欠くに至った場合については勧告・措置命令・認定取消、こういったものができるということです。
7番、透明性の確保ということですが、2ポツ目の後段の最後のほうですが、いわゆるメディカルサービス法人を含む関係当事者との関係の報告、事業報告書等の閲覧を、今村委員からの御指摘で追加させていただきました。非営利新型法人の部分は以上です。
9ページからは医療法人制度の見直しについてです。1番、医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化ということです。(1)ですが、会計基準の適用・外部監査の義務付け、そういったものを一定規模以上に求めていくということです。
2ポツ目、これも同じく一定規模以上ですが、計算書類の公告を義務付けるということです。
3ポツ目のところは、座長からの御指摘で若干修正をさせていただきました。いわゆるメディカルサービス法人との関係の報告です。医療法人といわゆるメディカルサービス法人を含む関係当事者との関係の透明化・適正化、これらについて学校法人等と同様に知事に毎年報告させるという内容です。
10ページです。(2)医療法人のガバナンスの強化です。理事長及び理事の忠実義務、任務懈怠時の損害賠償責任について書いています。
2.医療法人の分割についてです。分割計画書等を作って、知事の認可でできるということです。
3.社会医療法人の認定要件の見直しについてです。こちらは前回、御説明しました救急医療等確保事業の継続の経過措置の関係です。2行目以降に前回の資料内容を若干反映させていただきました。その趣旨において救急医療等確保事業を継続させることができるように特別な計画を策定して、認可を受ければ収益事業を実施でき、それによりまして施設の改築・設備整備ができるという経過措置であることを明記させていただいています。
資料2を御覧いただければと思います。基本的に変更しているところはございませんけれども、前回、瀬古口委員から3ページ目ですが、歯科の話が明示的になっていないという話で、確かに歯科というのも連携の中心の1つですので、その点、他の診療科との並びで、歯科医師というのを書かせていただきました。
全般的に前回からの変更点は以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。前回の皆様の御発言を踏まえて、このような形になりました。ただいま事務局から説明のあった資料について、皆様から質問や御意見があればお願いいたします。
○今村委員 本検討会におきまして、私ども日本医師会は「非営利、地域に密着した地域連携を大前提とする」という提案をさせていただきました。制度設計とその運用にそのような考え方が反映されるようにすることが、恐らくこの検討会の総意だと考えたからです。
昨年までの案では、このような提案を相当程度取り入れていただき、構成員の先生方からも基本的に御賛同いただいたものと理解をしておりました。
今回の案ですが、一般社団法人となって、私としては相当大きな変更が行われたと思っておりまして、この点については遺憾です。ただ、その中でも非営利性あるいは地域医療重視を非常に色濃く出していただいたことについては大きく評価をいたします。
政府の大きな方針でもある地方創生、この基盤となる医療分野には少なくとも格差というものを持ち込むべきではない。医療の公共性と非営利性の観点から、ここに書いてある地域協議会、医療審議会、地域医療構想調整会議の厳しいチェックの下、地域住民への医療提供を最優先の制度とするべきだと考えております。
そこで若干の確認ですが、参加法人の共通業務や管理業務等の実施の2つ目のポツ、参加法人への資金貸付等の「租税回避手段となるような贈与」とはどのような場合を指しているのか、伺いたいと思います。医療法人に蓄積している剰余金等は相応の理由があって、使途には厳しい制限が設けられていると考えております。税金さえ払えば贈与できるという考え方ではないと思います。
もう1つ、前回の検討会でも申し上げましたが、複数の医療法人等を統括する点に鑑み、新型法人の理事長要件としては、医師以外の者が理事長となった場合には、理事の一定割合を医師にすること。これを改めて御検討を願いたいと考えております。以上です。
○田中座長 御質問がありましたので、お答えいただきます。
○事務局 1点目の資金貸付等の関係です。新型法人におきまして認められる業務として貸付、債務保証及び出資という内容でして、そのうちの一定範囲に限って認めるという趣旨です。御指摘のとおり、贈与という形が租税回避の手段となってはいけないという話でして、その点は認めないということを書きつつ、この辺りは税務当局などと引き続き調整をしていく内容も含まれておりますので、そういった点で、今回はこのような表現にさせていただいております。
○事務局 2点目について、私からお答えいたします。前回も御説明させていただいたと記憶しておりますが、医師の数というよりは参加法人の多くは医師が理事長になっております。そういったことを踏まえて、参加法人の関係者の意見が適切に反映されるような役員構成ということでして、そうした方向で指導すべく政府部内で調整をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○田中座長 御質問や御意見だけではなく、今、今村委員に言っていただいたように、全体としての評価でも結構ですのでお願いいたします。
○浦野委員 ここまで10回にわたった検討が行われ、事務局を含めて、皆様方が大変御尽力くださって、この文書ができたと感じております。改めて皆様方に敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。その上で、書き直していただきたいという要望ではありませんが、改めて確認的に私どもの考え方を申し上げたいと思っております。
3ページに社会福祉法人の参加の在り方について、現在、検討中の社会福祉法人制度改革の内容との整合性を図る、と書いてあります。また4ページでは、統一的な連携推進方針については、参加法人の目的事業、すなわち社会福祉法人が参加するとすれば、社会福祉法人の目的事業を踏まえ、十分な調整を行うと書いてあります。ここに含意するところは、今、社会福祉法人制度改革が進められている中で、社会福祉法人の非営利性を確実なものにする、現行でも社会福祉法人の資金を外部に流出させることはないという大原則や、評議員会を重要事項の議決機関にする方向で、検討が進められていることを十分に踏まえていただくことを、実際の制度設計の上では是非お願いしたいと思っております。
社会福祉法人にとって極めて大事なことは、社会福祉法人の資産に私有財産制を一切持たせないということであり、地域医療連携推進法人に社会福祉法人が参加するとしても、そこで持ち分のある組織と、持ち分のない組織との間で不適切な関係にならないような制度設計にしていただきたいというのが、私どもの要望です。
○田中座長 ありがとうございました。社会福祉法人の立場からの確認を頂きました。
○西澤委員 今までかなりの回数の会議で、ここまでまとまったということでは、この内容でよろしいと思います。ただ、議論するときに、特に地域医療連携推進法人ですが、これは地域医療構想を達成するためというのが大前提で、委員はこれを作ったと思います。そうであればこそ、この事業地域範囲も地域医療構想区域としたのだと思っています。
2ページの上に、地域医療構想を達成するための1つの選択肢ということで書いてはあるのですが、これが大前提であれば、1ページの鑑の文章の中に、いわゆる新型法人が地域医療構想を達成するため、ということを明文化していただいたほうが、より私たちの意思が伝わるのではないかと思いますので、もし変更が可能であればお願いしたいと思います。
○田中座長 西澤委員の「地域医療構想のために」を1ページに入れることは可能かとの質問ですが、いかがですか。
○事務局 いろいろ考えられるかと思います。1つは「その際、特に」というところに地域医療構想との整合性の確保ということを加える。もし、座長はじめ、先生方の総意であれば、例えば「非営利性が適切に確保されるとともに、併せて地域医療構想との整合性が確保されることを強く求めるものである」という形ではいかがかと思います。
○田中座長 「強く求める」ものの対象に、ここに「地域医療構想との整合性」を入れるという案でいかがでしょうか。西澤委員、いかがですか。
○西澤委員 「強く求める」よりも、今回の議論がそういう前提でやったので、入れるのであれば、「特に、非営利新型法人については」のすぐ後ぐらいに「地域医療構想を達成するため」がうまく入れば、そのほうが今回の趣旨に合うのではないかと考えておりますが、いかがですか。
○事務局 「非営利新型法人については」の後という御趣旨ですか。先に順番を入れ替えまして「非営利新型法人については、地域医療構想との整合性を図るとともに、医療における非営利性の確保の重要性に鑑み」というほうがよろしいでしょうか。
○田中座長 この点、ほかの委員の方の承認も得なくてはいけませんので、いかがですか。1ページの4段目に「地域医療構想に資する」との文言を入れるという案がやり取りされましたが、特段異論はありませんか。
○事務局 もし、御異論がなければ、確認のために読み上げさせていただきますが、よろしいですか。
1ページの4段落目です。「その際、特に、非営利新型法人については、」に追加ですが、「地域医療構想との整合性を図るとともに、」、従前どおりの「医療における」につなげてくという修正ではいかがでしようか。
○田中座長 よろしいですか。では、そのように文章を変えることにいたします。ほかに全体を通しての感想でも結構ですが、いかがですか。
○鶴田委員 まず確認ですが、10ページの次の1、2ページの「地域医療連携推進法人制度の仕組み」の中の下のほうです。今回設置主体については全くなくなってしまったのでお聞きしますが、下のほうに都道府県病院、若しくは地域の独立行政法人の医療機関も含まれるという理解でよろしいですか。
○事務局 今の資料で申し上げますと、参加法人(社員)の1ポツで「地域で医療機関を開設する複数の医療法人その他の非営利法人は参加法人とすることを必須とする」と書いてあり、この制度自体が医療の連携ということで、医療法人以外の非営利法人、医療機関を開設するものというのを対象にしているということです。
一方で先ほど修正で付け加えた部分で若干ありますが、本文編の3ページの先ほどの社福の段落と同じですが、「その他の非営利法人についても、必要に応じ、当該法人制度を踏まえた参加となるよう留意する」と書いてあります。前回も答弁させていただきましたが、政府部内で詳細について、今後検討していくという趣旨です。
○鶴田委員 現時点では、まだ確定しないという理解でいいのですね。
○事務局 私どもとしては幅広い非営利法人が参加できるような制度設計を目指したいということですが、関係省庁との関係で、現時点では確定していないということです。
○鶴田委員 地域医療ビジョンを作成する上では都道府県の役割が大きいと思いますし、今の図から都道府県医療審議会とか、都道府県知事の認可、監督までは分かった話ですが、その中の部分において都道府県の役割が明確ではないという部分があるのと、衛生部長会として各都道府県に意見照会したところ、6県ぐらいの意見がありました。その意見については厚生労働省に提出していますが、対象になるか、否かによって、この意見が採用されるかどうかも分からないところがあります。もし対象になった場合には各都道府県の意見も聞いていただきたいと思います。お願いです。
○田中座長 こちらの報告書では、幅広い主体が参加できるようにという書き方になっていますが、総務省系列の病院の側の法律も影響するようなので、こちらだけで勝手に決めるわけにもいきません。省庁間のすり合わせを行う検討が必要です。
○日野委員(加納代理) 資料9ページの医療法人制度の見直しについてですが、これに関して一定規模以上の医療法人にということで、一定規模のと、数字的なものが出されているのですか、これに関しては今後議論して規模を決めていくということでよろしいでしょうか。
○事務局 前回、基本的な方向性について御議論頂きました。これも政府部内の調整ということもありますので、これまでの検討会の御意見を十分踏まえて、今後具体的に検討していくという整理です。
○田中座長 大きな異論がなければ今回が多分最終回となるでしょう。せっかくですから、今までの議論を踏まえて、新しい方向をめぐる議論について、委員の皆様からそれぞれお考えをお聞きしたいと思います。大道委員お願いいたします。
○大道委員 ここまでありがとうございます。前回、第9回のときに私は言わせていただいたのですが、今回こうした新しい法人制度ができるわけです。この新しい法人制度によって地域医療がいささかでも揺るがないようにしていただきたい。そのためにはこの新しい法人制度の法制化に当たっては、かなり厳しく、細かい所まで見ていっていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○田中座長 この報告書には、新型法人の話、既存の医療法人の分割の話、社会医療法人の認定要件と3つありますね。この会で一応まとまると、それぞれの今後の扱いはどうなるのですか。
○事務局 今後の予定ということでよろしいでしょうか。まずは政府部内の手続としましては、社会保障審議会医療部会にこの検討会の取りまとめを報告し、そこで更に審議をしていただくということが1つあります。
それから、具体的なところも含めて報告書にも書いてありますが、検討すべき、具体化すべきところもたくさんありますので、そこは政府部内で調整をしていくということです。座長から御指摘がありましたとおり、大きくは2つ、更に言えば3つの事項があるわけですが、いずれも医療法に関係することですので、医療法の改正案ということで、1つの改正法にまとめたいと考えております。
その後の予定ということで申し上げますと、自民党・公明党、与党との相談・協議、法案の審査ということになっていくわけでして、最終的にはそこで了解が得られれば、政府の提出法案として閣議決定がされ、国会に提出されます。その時期については前回も申し上げましたが、現時点ではまだ具体的な日程は未定ですが、恐らく3月中・下旬が1つの目標になるだろうということですので、それを目指して引き続き精力的に検討・調整をしていきたいと思っております。以上です。
○田中座長 今後の予定(案)について説明いただきました。
○松井委員 いろいろ御議論のあった内容を取りまとめていただきまして、本当に感謝申し上げます。法的な問題として2点ほど、確認をさせてください。
この制度は、医療法人間の連携を図っていくことを目指しており、医療法人同士で協調が保たれている場合には問題がないのだろうと思います。ただ法律家としては、この協調が何らかの事情で保たれなくなったときに、どこが問題になり得るのかということがどうしても気になるので、そこだけ簡単な確認です。
かりに参加法人と非営利新型法人との間で何らかの意見の対立が生じたときに、どこに問題が生じるのだろうかということを改めて考えてみました。例えば5ページの会費の賦課について、参加法人が払わないという場合。議決権について、定款で異なる定め方をしたときに、社員間で対立が生じる場合。6ページの統括方法について、その統括方法が意見聴取・指導となっていて参加法人を拘束できないために、参加法人がある程度自由にやってしまって、非営利新型法人としては何もできないという場合。逆に、統括方法が協議・承認という形をとっていて、参加法人を拘束できるところ、参加法人が勝手なことをして取引などが無効になって、第三者との関係で問題が生じる場合。さらに加入・脱退というのは、もっとも先鋭に参加法人と非営利法人との間で対立が生じる場合だと思います。
今後、この制度が立ち上がりますと、実際にこの制度を使って非営利新型法人を作ることについて様々な形で広報をしたり、御指導されたりということが、関係の皆様にはあると思います。今、申し上げたような議決権の設計、会費の徴収、統括方法、あるいは加入・脱退の仕組みという辺りは、協調がうまくいっているときはいいのですが、協調できなくなったときに、一番問題が起こりやすいところです。従いまして、この辺りには問題が生じやすいのだということを前提にして、法人を作られたり、参加されたりする医療法人等の皆さんから御相談等を受けるときには、ぜひ御注意いただけたらというのが私の希望です。
2点目は細かい確認で恐縮ですが、8ページの7.の非営利新型法人の透明性の確保の2つ目のポツで、最後に「事業報告書の閲覧を義務付ける」という部分です。単純に表現の問題として、閲覧を義務付けるというのは、公衆に開示して閲覧ができるようにするという趣旨でよろしいでしょうか。閲覧というのは、普通は権利を持っている人が、閲覧する権利を持っているという使い方をするのですが、ここでは法人の側が開示ないし公示することなのか、あるいは本来のとおり権利者が閲覧を請求した場合にはそれを受け入れることが義務付けられるという趣旨なのか、どうなりますでしょうか。もし趣旨が、利害関係者が閲覧する権利を持っていて、法人としてはそれを受け入れなければならないということであれば、それが明確になるような表現のほうがいいのかなと思ったものですから、確認をさせていただきました。表現だけの問題ですので、私のほうに誤解がありましたら、大変申し訳ありません。
○田中座長 大切な点ですね。閲覧の意味を解説してください。
○事務局 2点御指摘の1点目は承知して、対応してまいりたいと思います。
2点目のほうは御指摘のとおりで、確かにおっしゃるとおりです。書きぶりが不十分であったのかなと考えています。現行の医療法や医療法人の制度において、各種書類などを閲覧に供しなければならないということで、そこを準用する、適用するという形を想定しての文言でした。「閲覧を義務付ける」という表現は、確かによろしくないと思いますので、8ページの7.の最後の部分の「事業報告書等」の所ですが、「事業報告書等を閲覧に供することを義務付ける」という修正をしたほうがより適切なのかと考えます。
○田中座長 社会福祉法人のほうでも、この辺は報告・開示・公示は議論してきましたが、いかがですか。
○松井委員 趣旨としては、今、頂戴したような表現でよいかと思っております。要は誰か利害関係者が閲覧する権利を持っていて、それを受けた側はそれを拒むことができないという趣旨かと思いますので、私自身は今の表現で違和感はありません。
○松原委員 私は今までずっと非営利新型法人はホームページ等で財務諸表を公開しなければならなくなったと思っていました。割とそういう方向の議論だったのではないかと思っています。利害関係者が閲覧できるというのは、今の医療法人と全く同じレベルです。今回の新型の場合には、もっと新しい法人で透明性は大規模なのかもしれない、地域医療に影響を与えるかもしれないという重要性を鑑みて、財務諸表関係はホームページ等で公開という方向だと思っていましたので、それが今の医療法人と同じレベルになるというのはいかがなのかと思います。
○事務局 まず医療法人のほうがどうかということですが、今回9ページ以降にまとめていただいたとおり、閲覧に供するというのは、正におっしゃったとおり、医療法人の今の規制ですが、9ページに書いているとおり、ここでは計算書類という言い方をしておりますが、それについては一定規模以上の医療法人に官報公告又はインターネット上の公開を義務付けるということですので、逆に申し上げますと、事業報告書については、今までどおりの閲覧に供するという義務付けではどうかという案になっておりますので、それと同じ規模の大きい医療法人と同じ扱いで新型法人のほうも整理をするというのが今の案です。
○田中座長 松原委員としては、本来は見せるべきだと考えるが、今回はそこまで行ってないとの理解ですね。閲覧を義務付けると書いてあって、自分たちの判断でネット上に公開することは可能ですか。
○事務局 はい。
○田中座長 むしろ自主的にそのようになることを期待したいですね。松原委員、よろしいですか。
○松原委員 この段階で報告書にこうしてほしいとは申し上げませんが、一委員としましては、今後育っていくことを期待したい法人で、非営利性を徹底していただきたい、公益性を徹底していただきたい。そういう趣旨でも財務諸表の公開は義務だろうと個人的に思います。
○事務局 私の説明が舌足らずだったかと思います。8ページはもともと7.のポツの2つ目ですが、外部監査の実施やホームページ等による財務諸表の公告というのは、新しい医療法並びで、これはこれで義務として明記をした上で事業報告書等という所については官報までは義務付けずに、一応閲覧に供する。もちろん自主的にホームページ等で公表されることは十分あり得べしということで、今の案はできています。
○田中座長 財務諸表については公告だそうです。
○橋本委員 前回は失礼いたしました。まず今回の検討案に関して、大変委員の先生方、並びに事務局の皆様方の御苦労があったことを、改めて敬意申し上げたいと思います。特に2の医療法人制度の見直し、医療法人の経営の透明性確保、並びにガバナンスの強化については、一定程度以上の進捗があったと思います。私としては2番に関しては高く評価したいと思っております。
それに比較しますと、1番の仮称法人制度の話に関しては、この場の段階に及んで、まだ文言の揺らぎや解釈の揺らぎがあります。先ほど今後どういう取扱いをされるのかということについては、政府与党などの御意見も伺っていう今後の手順について教えていただいたのですが、その段階で1つ伺いたいのは、法人制度の話と法人制度見直しの話をバンドにして報告書にしないと駄目ですか。
恐れていることは、1のほうは相当もまれると思いますので、1のほうがもまれた結果、2が落ちたりするのを非常に恐れます。1と2は別々に取り扱っていただいて、報告として上げていただくということをしたほうがいいのではないかと感じ始めたのですが、これについて御見解を教えてください。
○事務局 何と言いますか、報告書のまとめ方は座長はじめ、先生方の御意向に従うということですが、いずれにしても議論の当初から御説明しておりますとおり、それぞれ閣議決定あるいはそれに準ずるものがある大変重要な事項ですので、いずれかがいずれかに比較して重要ということではなくて、両方とも大変重要な事項として、私どもとしてはしっかり制度化に取り組んでいくということは、報告書がどのような形であっても変わりはないものと考えています。
○橋本委員 それについては他の委員の御意見も伺いたいところですが、2については非常に実効性も高いし、このまま推進すべきと思いますが、1の部分に関しては、先ほど来、挙がっている技術的な問題もさることながら、基本的にこれが本当に利用され得るのかと。先ほど来、今村先生や大道先生からも厳格な運用が非常に要求されていたと思いますが、この内容で、かつこれを厳格に運用した場合、果たして本当にこれに実際に手を挙げるような医療法人がいるのか。多分、私はいないと思います。
そういったものと実効性が比較的高いものとを、どちらも重要ですからと言って、1つの報告書にされてしまって、もし前が落ちたと同時に、後ろも落とされるとすると、これは後退になりますので、医療法人の経営の透明性の確保やガバナンスの強化というのは喫緊の問題ですので、これは是非2つに分けた報告書として提出されるようにお願いしたいと思います。特に法人の部分に関しては、これまでの議論を見ても、2回ほど前、吉田審議官から地域包括ケアシステムの新たなガバナンスを目指すという御発言を頂いたので、私としては少し安心したのですが、結局簡単に言わせていただくと、私的には大山鳴動して、ミミズ1匹程度かなと感じております。
実際にこれがうまく動くか動かないかの議論が出なかった理由としては、まず第一には、そもそもこれはホールディングカンパニーという内閣府側から降ってきたものに対して火消しで動かなければいけなかったという後手の対策であって、地域包括ケアや地域医療構想というものを積極的に展開しようという形の議論が残念ながら十分できなかったということに、最も根本的な問題があると思っています。
更に、その問題を展開していく上で、当初地域包括ケアという言葉が中心になっておりましたが、この言葉や地域医療構想といった言葉が、厚労省の内部でも実施・運用レベルの一致性や概念の内容であるかについて、省内で統一的な見解がなかったと思われます。その結果、医政局として取扱いが可能である地域医療構想という言葉に途中から積極的に乗り換えてきたという経過を見ても、今回残念ながら、局の縦割りの弊害がきれいに出てしまったと言えるのではないかと思います。
そういった点でも、この問題を今後ちゃんと展開していく上では、正に局を超え、省を超えた形のポリシーガバナンスの在り方を今後踏まえて検討していく必要がある事象であろうと。そういった発展性も考えると、1番と2番を並列で並べて内閣の御判断を仰ぐのはちょっと難しいのではないかと私は感じております。是非、他の委員の先生の御意見も伺ってみたいと思います。
○田中座長 ただいまの問題提起についてはいかがですか。
○今村委員 今、橋本委員から御意見ということでお聞きいたしましたが、数回前のこの検討会で座長からも言われましたように、この制度は、あくまでも地域医療構想を達成するための1つの選択肢である。この制度を有効に利用できると考える医療機関等が参加すべきであって、この趣旨に反するようなものが別の所から出てくるのは違うのではないかと思います。これは趣旨としてはこのとおりということで理解していいと思っております。
○田中座長 橋本委員の御懸念は1と2が、報告書としては1つでもいいのかもしれませんが、今後、取り扱われる上で、片方が片方の足を引っ張るようなことはないでしょうね、という点でした。確実に、場合によっては1つだけでも進むことはあり得るか。
○二川医政局長 検討会としての報告書の形は検討会で御検討いただければいいと思いますが、そういった検討会がおまとめいただいた内容につきまして、先ほど総務課長が申し上げましたように、法案の形で政府内、与党と調整をしていくというものでして、両方ともどちらの課題にしても調整の取れたものを国会に提出していくということです。どちらも大変大きな課題でして、政府としては閣議決定でこういったことを進めていくということは決めているわけです。そういった意味でどちらかがなくなってしまうというものの位置付けではないのだと思っておりまして、この検討会でおまとめいただいたものに沿った形で政府内、与党の調整を進めていくという考えは変わりがありませんので、ここでおまとめていただけましたら、この線に沿って努力してまいりたいと考えております。
○田中座長 御尽力をお願いいたします。ほかにいかがですか。特にないようでしたら、この報告書については、先ほど1ページに1行文言が入ることになりました。それを除いてはこの案で行きたいと思いますが、いかがですか。
御異議がありませんでしたら、この取りまとめについては、先ほどの1行追加を加えた上で「医療法人の事業展開等に関する検討会取りまとめ」として、本日公表となります。
○事務局 8ページの閲覧のところも若干修正いたします。
○田中座長 失礼いたしました。2か所文言の追加修正が分かりやすくなるように入りますが、それを入れた上で本日公表という取扱いをしてください。それでよろしいですね。
10回にわたる議論の取りまとめの最後に当たりまして、二川医政局長から一言御挨拶をお願いいたします。
○二川医政局長 委員の皆様方におかれましては、平成25年11月からこの医療法人に関します様々な課題につきまして、精力的に御議論いただきまして、ありがとうございます。
ただいま座長からありましたように、今日の検討会で若干の修正があるということですが、検討会の報告書として取りまとめを頂きましたことにつきまして、まずもって感謝を申し上げたいと思います。
10回にわたりまして、検討会で御議論いただいております。特に昨年の9月以降、地域医療連携推進法人(仮称)の創設といったこと。それからもう1つの大きな課題の医療法人制度の見直しについて、日本再興戦略に示された課題に沿う形で様々な御意見がある中、取りまとめをしていただいたことにつきまして、厚く感謝申し上げたいと思います。
それから、最後のところで橋本委員からも御指摘がありました地域医療連携推進法人を創設していくということで、私どもは進めてまいりたいと思いますが、これは地域医療構想をこれから進めていく上での1つの選択肢と言いますか、1つの重要なツールとなっていくということを考えているところでして、こういったものを使いながら、地域での医療連携を進めていただきたいという思いで内容を詰めてまいりたいと思っているところです。
また、医療法人制度につきましては、経営の透明性の確保、ガバナンスの強化が求められてきたところでして、今回こういった一定の方向性をお示しいただきましたことにつきまして、大変感謝申し上げるところでございます。
先ほど来、私も申し上げましたし、総務課長も申し上げているところですが、本日のこの検討会の報告書を各方面に公表もいたしますし、政府内に御説明申し上げたいと思いますし、与党の自民党、公明党の関係の部会、PT等がございますので、そういった所につきましても、この検討会の報告書を御説明をし、具体の法案の作業に取り掛かってまいりたいと思っております。
スケジュールといたしましては、先ほど課長からも言いましたが、今通常国会の提出を目指すということで、大体3月の中・下旬ぐらいを目指して具体の法案の形にしていきたいと思っております。法案といたしましては、医療法人、医療に関する連携のそういったものですので、医療法の改正ということです。去年も医療法改正をしております。名前は「医療・介護総合確保推進法」で、多数の法律を束ねた改正でございましたが、それを達成するためのもう1つの手段といった位置付けで医療法の改正で考えていきたいというのが現在のところでございます。
内容の細部の詰め等々ございます。そういった過程におきまして、また各委員の先生方におかれましては、引き続き御支援賜りますようお願い申し上げまして、簡単でございますが、御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○田中座長 ありがとうございました。検討会を通じて、委員の皆様には円滑な議事の進行に御協力いただき、何より活発な御意見を頂戴したおかげで、この問題に対する理解が深まりました。感謝申し上げます。
以上にて、この会を終了することといたします。ありがとうございました。
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