ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会)> 第9回社会保障審議会福祉部会 議事録(2014年11月19日)




2014年11月19日 第9回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成27年11月19日(水)10:00~12:00


○場所

イイノホール&カンファレンスセンター「RoomB」
(東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング4階)


○出席者

田中滋 (部会長)
猪熊律子 (委員)
鎌倉克英 (委員)
(代理:西條由人参考人)
関川芳孝 (委員)
高橋英治 (委員)
高橋福太郎 (委員)
(代理:浦野正男参考人)
(代理:菊池達美参考人)
対馬徳昭 (委員)
(代理:平川則男参考人)
福間勉 (委員)
藤井賢一郎 (委員)
藤野興一 (委員)
堀田聰子 (委員)
松原由美 (委員)
松山幸弘 (委員)
三好昇 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しについて

○議事

○田中部会長 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第9回「福祉部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれては、御多忙の折、お集まりいただき、どうもありがとうございます。

 初めに、委員の出欠状況について、事務局より説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、本日の委員の出席状況について御報告をいたします。

 本日は、石橋委員、川井委員、黒岩委員、小林委員、武居委員、橘委員、花井委員、宮本委員から御欠席の連絡をいただいております。

 また、黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人。

 武居委員の代理として、全国社会福祉法人経営者協議会総務委員長の浦野正男参考人。

 橘委員の代理として、日本知的障害者福祉協会副会長の菊地達美参考人。

 花井委員の代理として、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長の平川則男参考人にお越しいただいております。

 なお、藤野委員、堀田委員からおくれる旨、連絡をいただいております。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 議事に入る前に、ただいま御紹介のありました欠席委員の代理として御出席いただいている参考人について、皆様からの御承認をとる必要があります。

 本日、御欠席の黒岩委員、武居委員、橘委員、花井委員の代理として、西條由人参考人、浦野正男参考人、菊地達美参考人、平川則男参考人の御出席について異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中部会長 ありがとうございます。

 続いて、議事に入る前に、事務局より資料の確認をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。

 本日は、配付資料といたしまして、資料「社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し」、参考資料1「第7回福祉部会における主な意見(概要)」、参考資料2「第8回福祉部会における主な意見(概要)」を配付させていただいております。

 御確認をよろしくお願いします。

 なお、本日の議事については「業務運営・財務運営の在り方について 等」とお知らせしておりましたが「社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しについて」とさせていただきたく存じます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 議事に入りましょう。

 初めに、前回の第8回福祉部会の議題であった「行政の関与の在り方」について、当日御欠席されていた三好委員が発言なさりたいとのことなので、御意見を頂戴いたします。

 なお、前回の資料は、お手元の青いファイルの中に入っていますので、御参照ください。

 三好委員、よろしくお願いします。

○三好委員 江別市長の三好でございます。

 早速、冒頭に発言する機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 前回、10日の委員会を欠席いたしまして、そのときのテーマと言いますのは、行政にかかわるあり方の問題ということでありましたので、ぜひ発言をさせていただきたいと思いまして、お許しいただきました。

 資料を見ますと、10日の日にも、都道府県が市を支援する仕組みが必要ではないかとの指摘があること。さらにはその規定を整備すべきではないかという説明があったようでございます。

 私もぜひその点をいま一度、念押しと言ったらおかしいですけれども、改めて現場を所管する市としても、全く同じ思いでございますので、その思いを委員の皆様方にお伝えをしたいという思いで発言させていただきたいと思います。

 第二次一括法によりまして、平成25年の4月から市が法人の指導・監督をすることになりました。地方分権で進めるという1つの地方主体のあり方につきましては、これは十分理解するところでありますけれども、実際に1年半指導してみて、いかに福祉における専門性または会計等の専門性、これが必要かということ。さらにこの業務の範囲といいますのが1市に限ったものではないということがありまして、やはりほかの市との連携または隣の町、町村との連携、都道府県との連携がいかに必要かということが認識されました。

 特に、私も意識しておりますのは、やはり専門性でございます。

 例えば、北海道の例で申し上げますと、人口4,000人の市がございます。

 片や中核市になる前の20万を超える市ももちろんございます。この4,000人程度の市では、専任職員がいるかということになりますと、全くいません。ほかの事業をやりながら、社会福祉法人の管理・監督・指導をしているという状況でございます。

 そのような市では山間地域が非常に多いわけでありますけれども、そういうところでは、福祉事業がその市の中心事業というところもあります。農業や林業的な事業もありますけれども、山間地域でありますから、高齢者だけが残りますので、どうしても福祉事業が必要である。または知的障害ですとか、そういう事業を誘致して、町おこしをしよう。市の産業を興そうといった動きがこれもありまして、福祉事業がメーンというわけではありませんが、主要産業の1つとなっている市もございます。

 そういう市では、これも以前にもお話し申し上げましたけれども、そういう市の法人の発言というのは、地域では非常に大きな発言になります。その発言に対して、市の責任者が指導するということになりますと、当該市だけではなかなか難しい実態、これは現実問題としてあります。

 したがいまして、その法人としての公益性を担保するためには、私は都道府県はその指導役または調整役になっていただきたいという思いでございます。そういう何市かが連携して、指導・監視をする、または指導する。多分、これから出てくる公益活動もあると思います。そういう調整をするという機能が私は必要ではないかなと思っておりまして、これを要綱の中に明示していただきたいなと思っております。

 前回も、松山委員のほうで発言されておりますけれども、これから、外部監査の制度が出てきます。専門性の監査をやった方の監査の内容が、市町村の指導・監督とあわせてそれを理解した上でできるかということがやはり私も非常に不安でございます。

 その仕組みを考えなければ、私どものほうで小さな市では監査法人のやった監査内容を踏まえて、指導することができるかということもなかなかできない。そういう実態が私は出てくるのではなかろうかと思っておりまして、それを補完する何がしかの手立て、これは必要ではないかなと思っています。

 これがどういう形がいいのかというのは、いろいろあろうかと思いますけれども、地域ごとに違う面があるかもしれません。

 しかしながら、これの調整をしていただけるというのが、やはりこれまで実績のある都道府県、これがやはり大きな役割を果たすことになるのではなかろうかと思いまして、その明示をぜひしていただければなと思って発言をしております。

 よろしくお願いいたします。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいまの御発言に対して、御意見、御質問等ありましたら、お願いいたします。

 この件はよろしいですか。

○西條参考人 今回の分権一括法で、市に権限が移ったということにつきましては、もともとこれは国の機関委任事務なのですね。それが都道府県から市に移った。

 これからの地域福祉というのは、市町村が主体となって進めるという中で、都道府県に、今、専門性がおありになるというような御発言がありますけれども、それは長らく法人監査指導をしていたという実績があるから、そういうノウハウの蓄積があるから、そういった指導もできるのでしょうけれども、やはり、今、言われた支援という部分では、さまざま都道府県としていろいろ支援することはできると思うのですけれども、制度としてそれがどうなのかと言ったときに、やはり法的根拠との関係で、非常に難しいものがあると思います。指導権限といいますのは、あくまでも法的な根拠に基づいて、全国一律な指導をするというのが根幹にありますので、それをある都道府県だけが特別な指導をするというのは、それは法の趣旨にも反することだと思っていますので、制度的な根拠はあるが体力がないからできないから、都道府県の支援をというのは、そこは違うと私は思います。

○三好委員 指導権限までということをお話ししているつもりはございません。

 指導権限は、当然、市にあると思います。この仕組みからいきましても、当然、市にあると思いますけれども、それの材料または基本的な考え方、調整をしていただける。これは都道府県に相談をしても、これは市の業務ですから、それは市で考えてくださいという形になるのでは、これは市としても一番サービスを受けるのは地域住民で市民でありますから、そういう方たちにとってみたら不幸なことになるのではなかろうかと思います。

 それからもう一つは、私、都道府県の役割の中に、研修という、人材育成というものはどうしても出てくるような気がしてなりません。そういう広域的な立場で人材を育成し、そして広域的な立場でその各指導がばらばらにならないような調整をしていただける。そういう役割が私は必要ではないかと思っています。

 以上でございます。

○西條参考人 その辺の役割につきましては、当然、私どもも微に入り細に入りといいますか、必要に応じて、特に法的な根拠も必要なくやらせていただいていますし、人材育成につきましては、もともと広域的な観点から、都道府県の役割とされておりますので、その辺については、しっかりと今後とも市に対しても支援をさせていただきたいなと思っております。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 西條参考人のおっしゃったとおり、法定受託事務でございますから、法律に従ってということだと思います。

 同じく生活保護というのは、法定受託事務だと思うのですが、生活保護の場合は、市町村の生活保護事務にかかわる監査というのが都道府県の役割として明示されておりますので、要は社会福祉法人の指導監査における県の役割とどのように法的に位置づけていただくかという御議論だと思いますので、そのあたり、ちょっと人口が5,000人いらっしゃらないというのは、多分、全国でも例外的なところなので、その問題をどうするかは別途考えるにいたしましても、やはりきちんとした都道府県が市町村を指導・監督をかわりにやるというのはどうかと思うのですけれども、指導・監督するという役割を私も法的に明示していただいたほうがいいかなということと、一部事務組合あるいは広域連合のようなものをつくって、やれるかやれないのかというものも検討の余地があるのかなと思います。

 以上です。

○田中部会長 ほかよろしゅうございますか。

 では、本日の本題を取り上げることにします。

 事務局より資料の説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、資料の「社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し」について、御説明申し上げます。

 資料の2ページをごらんください。

 本日、御議論いただきたいのは3点ございます。

 「1.給付水準について」「2.合算制度について」「3.公費助成について」です。

 3ページでございます。

 全体のついての「検討に当たっての基本的な視点」を設定させていただいております。

 読み上げさせていただきますが、社会福祉施設職員等退職手当共済制度(以下「社会福祉退職手当制度」という。)については、措置制度から契約制度への移行、多様な経営主体の参入など社会福祉事業の在り方が変容する中、社会福祉法人と他の経営主体とのイコールフッティングの観点等を踏まえ、総合的に制度の在り方を検討することが必要。

 2点目でございます。

 社会福祉退職手当制度の給付水準等については、制度の安定的な運営を考慮しつつ、長期加入に配慮するなど人材確保に資する制度設計とすべきが2点目でございます。

 簡単に4ページでございますが「社会福祉施設職員等退職手当共済制度の概要○1」でございます。

 この制度は昭和36年に実施されております。

 「目的」でございますが、2つ目のポツにございますように、社会福祉法人の経営する社会福祉施設等の職員の待遇改善を図る目的で制度化されたものでございます。

 「概要」は以下のとおりでございます。

 社会福祉施設等とそれから後ほど申し上げますが、特定介護保険施設等を経営する社会福祉法人等でございます。

 加入対象となるのは、社会福祉施設等と特定介護保険施設等そして申出施設等でございます。

 右のほうでございますが、財政方式でございますが、賦課方式をとっております。

 そして、被共済職員1人当たり単位掛金額、4万4,700円が現在の掛金でございます。

 これにつきまして、現在、社会福祉施設職員と、中心になるのは社会福祉施設職員ですが、国と都道府県の公費補助3分の1ずつがございます。

 中には、この公費補助がない類型がございまして、その場合は掛金が3倍になるということであります。

 被共済職員数は、783,846人。26年4月1日現在でございます。

 退職手当金支給者数は、25年度実績で7万1,286人。

 退職手当支給総額は、9422,0472,000円。

 退職手当金支給平均額でございますが、1321,725円となっております。

 次のページをごらんください。

 制度の概要でございますが、これにつきましては、社会福祉法人が共済契約者となりまして、独立行政法人福祉医療機構との間で共済契約を締結します。それに基づきまして、掛金を負担いたします。

 これに対しまして、国と都道府県が補助金を負担いたしまして、それを合わせた形で退職手当金が施設職員に対して支給される形になっております。

 それから、規模感等は下にあるとおりでございます。

 6ページ以下でございます。主な改正経緯でございますが、ここは簡単に申し上げますが、先ほど申し上げましたように、昭和36年に制度が発足しております。当初、社会福祉事業が地方公共団体と社会福祉法人によりまして担われていた時代がございます。

 そして措置が中心の時代でございました、これにつきましては、その間、社会福祉法人の職員の給与のその他の待遇面で公立の社会福祉施設との職員において比較して格差があるということで、それの格差を埋めるという形で制度が発足しております。

 また、平成4年にはゴールドプランを踏まえまして、在宅福祉事業につきましても対象事業に追加しております。

 平成12年におきましては、社会福祉法人に加入者を限定するとともに、共済契約対象となる施設を申出施設と先ほどありましたが、老人保健施設等も拡大いたしております。

 次のページをごらんください。

 平成17年の改正でございます。

 前回改正でございますが、18年4月1日に施行されております。この内容については、ちょっとポイントを申し上げます。前回、18年4月1日に施行されました改正におきましては介護保険におきまして、民間とのイコールフッティングの観点から、公的助成を廃止するという改正を行ってございます。

 これは、先ほど申し上げましたように、当初は社会福祉法人と地方公共団体が社会福祉事業の担い手でございましたが、介護保険の施行以降、株式会社等の経営主体が参入するという状況がございます。

 また、措置から報酬制度への移行がされたということがございました。

 これを踏まえまして、介護保険におきまして、高齢者関係の施設・事業については、公的助成を廃止したと。すなわち3分の2の公費補助がなくなり、3分の3の掛金を法人が負担する形になっております。

 ただし、経過措置といたしまして、それまでに加入されていた方、既加入職員については、社会福祉施設等職員とみなす。すなわち、先ほど申し上げました特定介護保険施設ではなく、社会福祉施設等職員とみなしまして、引き続き公的助成の対象といたしております。

 また、2点目の改正事項でございますが、給付水準のあり方を見直しております。この改正までの給付水準は、基本的に国家公務員の退職手当制度に準じた水準で出しておりました。

 しかしながら、民間との均衡や安定的な運営を図る観点から、前回、この福祉部会においても議論されましたが、給付水準を1割抑制しております。

 ただし、経過措置といたしまして、それから施行された平成18年4月1日以降に退職した場合、その支給乗率につきましては、平成18年4月1日以降に、実際に退職した場合の期間に基づきます支給乗率と、18年3月31日、すなわち施行前に退職したと仮定した場合の支給乗率を比較いたしまして、金額の多いほう、すなわちそれまでの期待利益というものを尊重した形で経過措置が組まれております。

 また、3番目の改正事項でございますが、この改正までは、施設から施設への継続した、つまり切れ目なく継続した異動のみ通算するという仕組みになっておりましたが、今後、18年の改正におきましては、退職後2年以内に再び被共済職員になると、一定の要件を満たす場合には、前後の期間を合算できるという形にして改正を満たしております。

 8ページをごらんください。

 この18年の改正のときには、福祉部会におきまして、この制度改正が議論されております。

 そして、最終的に以下の方向の意見書がまとめられております。

 1番でございますけれども、1の(1)公費助成のあり方につきましては、児童・障害等のその他の施設・事業に係る公費助成、すなわちこの18年改正では、介護保険に関する公費助成が見直されたわけですが、その他の類型にあります児童・障害等につきましては、今回、あわせて見直すべきとの指摘もあったが、高齢者関係とは異なり、社会福祉法人がサービスの中核的な担い手となっている現状もあり、また、公費助成の見直しの閣議決定の経緯やさらには障害者関連施策など、制度自体の枠組みの変更が検討されている中で、同時に結論を得ることは困難であることから、今回は公費助成を維持することとし、その取り扱いは将来の検討課題とすることが適当であると。

 すなわち、将来の検討課題として宿題となっている状況でございます。

 「(2)給付の在り方の見直し」につきましては、今回の改正においては、当面の措置として給付水準を一定程度抑制することとし、現行の支給水準との連続性も配慮して、おおむね現行水準から1割程度引き下げることが適当と考えられるという形で結論されております。

 9ページ以降でございます。

 以上が総論でございます。

 ここから3つの論点につきまして、御説明申し上げます。

 まず、第1の論点「1.給付水準について」でございます。

 現状につきましては、制度創設時は民間の社会福祉施設職員と公立の社会福祉施設職員との処遇面での均衡を図る観点から、国家公務員退職手当制度と同様の支給水準とされておりました。

 前回、平成18年の見直しによりまして、民間との均衡や制度の安定化を図る等の観点から、当面の措置として当時の国家公務員退職手当制度の支給水準からおおむね1割引き下げた改正が行われております。

 ただし、※印にございますように、その後国家公務員退職手当制度については、退職給付の官民均衡を図る観点から、平成24年の法律改正により、段階的に退職手当の支給水準を引き下げております。そしてそれを平成26年7月より本格施行するということでございまして、すなわち、社会福祉の退職手当制度が国家公務員の水準より1割引き下げましたが、さらにその後、国家公務員の退職手当がそれ以上の水準も含めまして下げられているという状況にあるということでございます。

10ページでございます。

 「2.課題」でございます。

 福祉人材の確保に当たり、社会福祉事業の職場への「定着」を促進することが重要であります。しかしながら、現行の国家公務員退職手当制度と比較すると、長期加入に配慮した支給乗率となっていないというのが第1点です。

11ページでございますが、右のほうの図でございます。

 支給乗率の図でございますが、被共済職員期間に応じまして、支給乗率が上がっていくことを示しております。

 この中で、国家公務員に対しまして、このブルーのラインの実線が社会福祉退職手当共済です。ごらんいただけますように、具体的には前のページにも関係しますけれども、前のページにありますように、被共済職員期間が15年までは、社会福祉退職手当制度の支給乗率が国家公務員の退職手当制度の支給乗率を上回っております。

 一方、16年から24年までの間は、国家公務員退職手当のほうが上回っているという状況にあります。

 引き続きまして、1215ページまでは、現在の給付水準に関する資料でございますので、御参照いただければと存じます。

16ページは、これは施設事業別の共済職員の平均加入期間でございまして、大体やはり平均的には7年から8年程度の方が多いということが、ここで見てとれます。

17ページをごらんください。

 給付水準につきましての考え方として整理させていただいております。

 社会福祉退職手当制度は、社会福祉施設等に従事する人材を確保し、福祉サービスの安定的供給と質の向上に資することを目的としている。その給付水準の見直しに当たっては、民間との均衡を考慮しつつ長期加入に配慮した支給水準など、職員の定着に資するような仕組みとすべきではないか。

 国家公務員退職手当制度において、民間との均衡を考慮して支給水準の見直しが行われ、本年7月から本格施行されており、社会福祉退職手当制度と比較して長期加入に配慮した支給乗率になっていることから、国家公務員退職手当制度に準拠した支給乗率としてはどうか。

 給付水準を見直した場合、既加入職員の期待利益を保護する観点から、適切な経過措置を講じてはどうかの3点でございます。

 以上が第1点の給付水準についてでございます。

 「2.合算制度について」です。

 合算制度につきましては、現状でございます。

 被共済職員である期間が「1年以上」である場合、退職した日から起算して「2年以内」に、退職手当金を請求しないで再び被共済職員になり、かつ、その者が福祉医療機構に申し出たときは、退職手当額の計算に際し、前後の各期間を合算するという制度になっております。

 前回改正時までは、先ほど申し上げましたように、継続して施設間を異動する場合のみ合算しておりました。

 なお、この合算制度につきまして、現在の合算制度の利用状況でございます。

25年度でございますが、25年度は退職者数は8万6,477人となっております。これに対しまして。25年度の段階で、合算制度利用申込者数は873人でございます。

 この合算制度の利用申し込みされた方のうち、共済制度にさらに復帰された方、すなわち社会福祉施設等に復帰されて、共済制度に復帰された方は437人にとどまっております。

 なお、この申込者数というのは、25年度以前の方も含んでおります。すなわち、2年以内であれば合算できますので、25年から起算しまして、2年以前前からの方も含めてでございます。

 その結果、437人が共済制度に復帰して、合算制度を利用しているという状況でございます。

 「課題」でございます。

 福祉人材の確保に当たり、社会福祉事業の職場への「定着」を促進することが重要であるが、合算制度を利用して社会福祉事業の職場に復帰する者の割合は低い。

 中小企業の職員が加入する中小企業退職金共済制度(以下「中退共」と申します。)における通算制度、これは企業間を転職した場合の掛金納付実績等を通算する制度につきましては、ポータビリティの向上の観点から、現行、2年の掛金納付月数の通算に係る申出期間を3年に見直すことを、現在、検討中でございます。

 大体同時期に制度改正を行う予定でございます。

19ページにつきましては、現在の通算措置についての説明でございますので、御参照ください。

20ページ以下、21ページまでは、これも中小企業退職金共済制度の概要につきましての資料でございますので、御参照いただければと存じます。

22ページでございます。

 「3.考え方」です。

 出産、育児、介護その他の事由により退職した職員が、社会福祉事業の職場に復帰しやすい環境を整える観点から、合算制度をより利用しやすい仕組みとすべきではないか。

 2点目です。被共済職員が退職した日から2年以内に再び被共済職員になった場合、前後の期間を合算する規定について、中退共と同様に、期間を3年に見直してはどうかでございます。

 以上が第2点の論点でございます。

 引き続きまして、第3番目の論点について御説明いたします。

 「3.公費助成について」です。

 まず、現状でございます。

 保育所等の児童関係施設・事業や障害者・児関係の施設・事業につきましては、公費助成の対象となっております。現在、国3分の1、都道府県3分の1、経営者すなわち社会福祉法人3分の1の負担割合となっております。

 加入職員については、保育所及び障害者・児関係の施設・事業では増加、介護関係施設・事業では横ばいです。ただし、介護関係の公費助成の対象となる職員数は減少しております。

24ページをごらんいただければと存じます。

 この中で、公費助成対象職員数の中で、保育所につきましては、ごらんのとおり、年々これは増加していることが見てとれます。また、障害者総合支援法関連施設等につきましても、これが増加していることが見てとれます。

 一方、介護保険施設の公費助成の対象職員数につきましては、これは年々減少しております。

 ただし、下のほう「公費助成対象外職員数」の中に、内数といたしまして、介護保険施設等がございます。こちらのほうの介護保険施設等、これを合計いたしますと、上のほうの介護保険施設等と合計いたしますと、これはほぼ横ばいになっているという状況にございます。

 また、23ページでございますが、3番目の丸でございます。

 保育所及び障害者・児関係の施設・事業では、株式会社やNPO等の経営主体の参入が可能となっております。ただし第1種社会福祉事業を除きます。特に障害分野では、平成2410月時点で、社会福祉法人が35.2%、営利法人が35.2%とほぼイーブン。そしてNPO法人等が17.3%となっており、経営主体の多様化が進んでおります。

 これにつきましては、25ページの資料をごらんください。

 これは、各経営主体別割合を示したものでございますが、今、申し上げましたように、障害分野につきましては、社会福祉法人が35.21%、そして営利法人も35.19%となっておりまして、介護分野ほどではございませんが、営利法人の参入が進んでいる状況でございます。

 一方、保育につきましては、営利法人が、現在、1.88%にとどまっている状況でございます。

26ページをごらんください。

 「2.課題」でございます。

 1つ目の丸でございます。

 前回改正、すなわち平成18年4月施行された改正におきまして、児童・障害者関係の施設・事業に係る公費助成につきましては、高齢者関係の施設・事業とは異なり、社会福祉法人がサービスの中核的な担い手となっている現状や制度自体の枠組みの変更が検討されている中で、同時に結論を得ることは困難であることなどから、公費助成を維持することとされております。その取り扱いは今後の課題とされております。

 2番目でございます。

 障害者総合支援法関係の施設・事業の運営費は障害福祉サービス等報酬により賄われておりますが、同じ報酬の仕組みである特別養護老人ホーム等の介護保険の対象となる施設・事業については、前回の改正において、介護保険制度における他の経営主体とのイコールフッティングを図る観点から、公費助成が廃止されております。

 また、保育所については、現在、待機児童解消が社会的な課題となる中、子ども・子育て支援新制度が平成27年度、すなわち来年度から本格施行されることとなっております。

 また、平成29年度までの間、待機児童解消加速化プランにも取り組むこととされております。

 なお、保育所につきましては、子ども・子育て支援新制度を検討する子ども・子育て会議等におきまして、株式会社が利用する中退共と社会福祉法人を対象とする社会福祉退職手当制度では公費助成に差があることの問題が保育所を経営する株式会社の委員から指摘されているという状況がございます。

27ページ、28ページにつきましてですが、27ページは障害福祉サービスの変遷を示した資料でございます。

28ページは、今、申し上げました待機児童解消加速化プランについてまとめた資料でございます。

29ページの最終ページをごらんください。

 「3.考え方」を整理させていただいております。

 まず、第1に保育所及び障害者総合支援法等に関する施設・事業。これは児童福祉法に基づく障害児を対象とする事業も含みます。これにつきましては、介護関係施設・事業において、公費助成が既に廃止されていること。他の経営主体とのイコールフッティングの観点等から、公費助成のあり方を見直すべきではないかという点でございます。

 これにつきましては、各分野別に記しております。

 障害者総合支援法等に関する施設・事業、これは上記にあります括弧書きの中「(児童福祉法に基づく障害児を対象とする事業を含む。)」については、前回改正時に公費助成を維持すると。その理由とされました障害者関連施策に係る制度移行が完了していること等から、前回改正時の介護保険関係施設・事業と同様に、公費助成のあり方を見直す必要があるのではないかという点でございます。

 一方、保育所につきましては、子ども・子育て支援新制度が平成27年度から本格施行されること。平成29年度まで待機児童解消加速化プランに取り組むことなどを踏まえ、公費助成のあり方については、さらに検討すべきではないか。

 次の点でございます。

 公費助成のあり方を見直すに当たっては、既加入者の期待利益に配慮した経過措置を講ずるとともに、公費助成の見直しに伴う法人の掛金負担の増分を、見直し後の報酬等の改定において、適切に報酬等に反映するよう措置すべきではないか。

 そして、なお、措置施設・事業については、他の経営主体の参入がない上に、介護関係施設・事業や障害者総合支援法等に関する施設・事業のように報酬により運営費を賄うシステムになっていないことから、今回の見直しでは公費助成を維持することとしてはどうか。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 ただいま説明のありました「社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しについて」、委員の皆様から御質問、御意見を頂戴いたします。

 どうぞ。

 平川参考人、お願いします。

○平川参考人 ありがとうございます。

 この退職手当共済制度の関係でありますけれども、基本的に制度発足の趣旨としては、社会福祉法人に従事する人材を確保して、福祉サービスの安定的な供給としての向上を目的としているということがあるかと思います。

 そういった意味で、現在、福祉人材、慢性的な人材不足という状況でありまして、この退職手当共済制度も人材確保の上で極めて重要な位置づけにあるのではないかとは考えているところでありますので、基本的に見直しについては、慎重な検討が求められるのではないかと考えているところであります。

 また、運営の内容は、財政方式が賦課方式であるということもありますが、退職手当共済制度という形になると、かなりほかの例えば公的年金と比べても、いわゆる成熟度がかなり低いという制度となっています。

 要するに、保険料を払う方が多いけれども、手当の給付の額が少ないという内容であります。

 これはある意味、長く勤める方が少ないという状況を示しているものであり、労働条件の改善などによって、職員が長く勤められるような環境改善が必要であるということは、この数字からも見えるのではないかと思います。

 給付水準の問題と合算の問題、それから公費助成の問題がありますが、そういった意味で、給付水準の問題につきましては、基本的には長く働き続けられるような仕組みという基本的な考え方というものが必要ではないかと考えているところであり、また、合算の関係につきましては、この方向でいいのかと思います。

最後に問題は公費助成のところですが、今日的に介護労働者の確保というのは、極めて重要であり、ある意味国家的な課題として掲げられている中で、公費助成の安易な見直しということにはすべきではないと考えているところです。

 また、一方で、賦課方式という形でありますので、例えばある意味介護労働者、社会福祉法人で働く労働者が長く働き続けられるような条件が続いていくという形になっていきますと、だんだん制度の成熟度が増していきます。

 そうなっていきますと、やはり、だんだん運営が厳しくなっていくという一方でそういう問題が出てくる可能性があります。

 そういった意味で、公費による助成というものが一定程度必要ではないかと考えているところでありますので、ぜひとも公費助成のあり方を見直すべきではないかということについては、慎重に検討すべきだと考えています。

 また、26ページに「障害者総合支援法関係の施設・事業の運営費は障害福祉サービス等報酬により賄われているが、同じ報酬の仕組みである特養等介護保険の対象となる施設・事業については、前回の改正において、介護保険制度における他の経営主体とのイコールフッティングを図る観点から、公費助成が廃止されている。」との記載がありますが、この点については、「同じ報酬の仕組み」という点に少し疑問があります。障害者総合支援法は財源が税という形になりますが介護保険については社会保険制度ということでありますので、「同じ報酬の仕組み」という表現が正確であるのかということについて御見解をお伺いしたいと思います。

 以上です。

○田中部会長 1点質問がありましたので、お願いします。

○岩井福祉基盤課長 報酬制度ということでございますけれども、趣旨は、基本的には退職手当制度が重要であるという平川委員の御発言のとおりであると考えておりまして、それにつきましては、そのイコールフッティング等も考えまして、基本的にはその報酬というものできっちりとそれを反映させていくというのが筋ではないかという考え方でございます。

 今、おっしゃいました介護保険と障害の報酬についてなのですが、おっしゃるとおり、財源は異なります。一方は公費で行っておりまして、一方は保険料が入っているということでございますが、いずれにしましても、報酬といたしまして、その事業運営に必要な費用、収支状況等も含めまして、それを実態調査等で調査しまして、それを適切に反映するという仕組みになっております。

 したがいまして、このような退職手当に係る費用なども、そういうもので現在から今後、それを見ていくということが必要ではないかという点では同じだろうということでここに書かせていただいている状況でございます。

○田中部会長 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 基本的には、先ほど説明があったことに特に措置施設・事業については残していただくというようなことで基本的にはあれなのですが、ただ、社会的養護の分野は、措置が残っている分野です。それは虐待等、うなぎ上りに凄まじい状況になっていまして、それの受け皿としての施設はやはり措置を残していただく必要があると思っておりますが、そういう中で、特に、今回、消費税10%が先送りになったということの中で、子ども・子育て支援プランの財源等、かなり心配をしております。

 それがなければ、やはり制度そのものを27年実施と言われているそのもの自体が非常にしんどい状況になってくるのだろうと思いますが、そういう中で、やはり例えば保育所などにしましても、一部例えば被虐待児については、措置的なものが復活されているわけですよね。そういう中で、やはり保育所についても、残していただきたいと思っているところです。

 そういう意味で、ここに先ほど説明されたことで当面よろしくお願いしたいと思います。

○田中部会長 高橋委員、お願いします。

○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。

 今、藤野委員がおっしゃったこととほとんど同じでございますけれども、改めてということですが、保育所の実態を改めて25ページを見ていただきますと、実態的に、現在「行政」と書いてありますけれども、いわゆる公立の保育所ですね。公立の保育所が41.34%、社会福祉法人が51.7%、営利法人が1.88%ということで、まだまだ全体的な数値の中では公立の割合も非常に高い現状があります。

 そういった状況の中で、今回、退職共済で示された給付水準について及び合算制度について、公費助成についてですけれども、給付水準については、より職員の定着に資するような格好に持っていっていただければありがたいと思いますのと、合算制度についても、特に示された特に示された案で構わないのではないかと思います。

 それから、公費助成につきましては、先ほどの保育所の状態の中で、また新制度が非常に消費税の関係で財源がどうなるかも私も非常に不安には思っておりますけれども、27年度からの新制度が改正されるということもありますので、引き続き充実した制度になるように、構築していただければありがたいと思っております。

 以上でございます。

○田中部会長 浦野参考人、お願いします。

 浦野参考人 この退手の制度につきましては、御説明にもありましたように、当初、公私格差の是正をするという観点から出発をしたということでございます。

 当時、いわゆる措置費の中には、退職金の分は算定されていないという論理があったわけですね。

 実態としてどうだったかは結構細かい積みあげ計算をして、退職金に相当する人件費は措置費には含まれていませんというようなロジックがあったように記憶をしております。

 ただ、その後、介護保険が契約制になり、障害が契約制に移行するという中で、報酬に移行したということ。それから、多様な供給主体の参入ということで、イコールフッティングの観点からの見直しと。

 基本的にはその線で理解はできるわけですけれども、ぜひお願いをしたいことは、御説明にもありましたように既存の職員の期待利益ということは、守っていただきたいなということ。

 それから、この制度そのものを存続していくということ。これが非常に大事なことなのだろうと思います。

 たとえ負担割合が変わっても、社会福祉法人に勤務をしている職員は、こういった退職手当制度があるのだということは、非常に重要なことなのだろうと思っております。

 その上で、その制度がスタートしたときには、公私格差是正と言っていたわけですが、先ほど高橋委員のほうからもお話がありましたように、保育所について言いますと、実態として公私が相半ばしている状況の中で、公務員保育士は、当然、公務員としての退職手当制度があると。社会福祉法人がここで3分の3負担になったときに、そもそも保育所運営費というのは、措置費をベースにして組み立てられていると思いますので、退職金の財源が参入されているのかどうなのかということは、1つ論点になり得るのかなと思っております。

 その場合、保育所の運営費を公立保育士と遜色のない処遇をしていくという観点から、見直し得るのかどうなのか。この辺については考えるべきところではないかなと思っております。

 それから、合算制度について、期間の延長、間の期間の2年から3年へということですけれども、延ばしていただくということは大いに結構だろうと思います。

 3年と言わず、もうちょっと延ばしてもいいのかなという気もしないでもないですけれども、その点については肯定的に受けとめております。

 繰り返しになりますけれども、制度そのものをきちんと維持していくということが、今、一番大事なことだろうと思っております。

 以上でございます。

○田中部会長 菊地参考人、お願いします。

○菊地参考人 私は、今、福祉人材の不足ということがかなり重要なこれからの近々の課題になってくる。

 そういう中で、今、この退職共済というのは、やはり福祉関係を学ぼうとする人にとっても、今、退職共済があるのだよということも含めて、勉強していただこうと考えたり、そういう中で、今、福祉人材の確保のめどが立つということになってきてから、もう一度考えるということが私は必要ではないかなと思うのです。

 もう一点は、精神障害とか、そういった人たちが第4期障害福祉計画の中で、いわゆる地域生活をしていくという動きになってくるわけですけれども、そういう中で、現在で人材が不足しているという現状を考えると、さらに、今後、結局人材は本来はもっともっと必要になってくるはずなのですが、そのめどが立たないという中で、こういったところを例えば刺激をしてくるというのは、やはり福祉関係で働く人たちの意識低下とか、あるいはそのこれから福祉関係で働こうと思っている人たちにとっても、非常にマイナスになってくると思います。

 もう一点は、今、人口の都市部と地方との格差というものがかなり動きが出始めています。

 そういう中で、人材というものが、やはりそういう中での不足ということも出てきている。

 そういう中を考えると、ある程度のめどが立つということになってから、やはりもう一度考えるべきであろうと考えます。

 あと、3分の2が公費、3分の1が法人で払うというそういう形になっているわけですけれども、公費の部分の若干の見直しというのは、やはり必要ではないかなとは感じます。

 ですから、維持するということを前提として、その部分の見直しということを検討されてはどうかと思います。

 以上です。

○田中部会長 藤野委員。

○藤野委員 やはり、人材確保というか、そういう面で社会的養護の分野というのは、非常にしんどい状況です。

 都市部以外のところも含めて、とにかく募集してもなかなか来ない。来ても、すぐやめるという状況というのがやはり続いておりまして、虐待等で傷ついた子供たちを養育するということの中で、本当に職員がなかなか定着しないというのは、大きな課題なのですね。

 そういう中で、その例えば、保育所と社会的養護と比べても、保育所には例えば、今回、3%の給与アップというのが続いていますよね。ところが社会的養護は外されているのですね。ただでさえ、戦後から変わっていない、そういう状況の中で、給付水準そのものが実質的には非常に低いのですね。

 だから、そういうことの中で、今回、何とか社会的養護のほうも保育所と同じ形で3%アップをお願いしたいということをやっておりますけれども、そんな状況があるということが1つ。

 それと、もう一つは、ちょっとこの辺は細かいことで申しわけないですが、検討してほしいなと思うのは、周辺部分の事業が結構いろいろな制度ができているのです。自立援助ホームもかなり制度化されましたし、それから児童家庭支援センターもありますし、それから、例えばアフターケアの事業でも、新しく制度的にも加わってきています。

 そういうものが同じ法人でやっておりますと、当然、人事異動があるわけですね。

 そうすると、そこに載っていない部分というのは、異動しますと、その分外されてしまうのですね。制度に載っていない部分が。

 だから、その辺もぜひこの際細かいことですけれども、加えていただきたいなと思っております。済みません。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今まで発言いただいた各委員のおっしゃることに基本的に納得をしてお聞きしていたのですが、議論する場でございますので、あえてちょっと違う議論をしたいと思っているのですが、まず、事務局から御説明がありましたように、イコールフッティングという観点は、今は外すことはできないのだろうと思います。

 それから、今、各委員からお話がありましたように、人材確保という観点から論じなければいけないと。

 それから、藤野委員、高橋委員からお話があったように、消費税の10%というのは見送られた中で、社会保障をどうやって維持していくかと。先進国日本が一番高齢化が進んでいる中で、付加価値税に関してだけ比べても、比較的低い水準にあると。しかし、これは国民的にはこれ以上上げることは受け入れてもらえないという中で、どれだけ維持可能で、コンパクトな社会保障をやっていかなければいけないかということは、非常に重要なテーマではないかと思います。

 そのときに、人材不足にどのようにお金を使うと効果的なのだろうか、社会保障にどのようにお金を使うことが効果的なのだろうかという観点が必要なのではないかと思います。

 1つに、退職金という仕組みが、今、日本型雇用が変わっていく中で、私自身も今いる勤め先が3カ所目でございまして、それぞれ微々たる退職金をもらいましたが、私自身は別に退職金というのは、勤める魅力ではございませんし、あるいは年金制度もポータブルになってくるという中で、退職金に税金をつぎ込んでいくということがどの程度福祉人材の確保に有効なのだろうかという観点はあるのではないかと思います。

 例えば、中退共の制度ですと、掛金が非課税になるということで、中小企業にとってインセンティブが湧くわけでございますが。社会福祉法人は税金も払っていないということで、こういった中退共のような制度がインセンティブを持たない。退職金制度をつくってもらうためには、今ある法律が必要だということは理解できるわけでございます。

 そういう今日的な社会保障という観点から申し上げますと、第1点目の給付水準についての手前のほうの方々が国家公務員より高めになっていて、長く勤められた方が低めになっているというのは、これは社会福祉法人ですと、少なくとも現状ではそう長期に勤められている方よりも、短期でやめられる方のほうが多いでしょうから、これをやることによって、恐らく国の負担も減らせるということでありますし、なおかつ長期に勤めていただくというインセンティブを高めるということでございますから、これほどハッピーなことはないので、ぜひおやりいただきたいということに、これは多くの合意を得られるのだと思いますし、これは合算制度につきましても、どこで有効にお金を使うかという観点から言いますと、2年が3年になったということになりますと、例えば子育てで離れられたといったような場合にも有効に使える可能性もありますから、恐らくいいのではないかということになると思います。

 3番目の公費助成という部分がどう考えてもつくものであれば、つけてくださいという話にしかならないと思うのですが、しかし、イコールフッティングの観点といいますより、果たしてここにお金をつぎ込むと。過去ですと、ここで社会保障のお金を削ったから、ほかにつくわけではないということですから、全部守ろうという観点はあったかのように思いますが、現状の政府の動向を見ておりますと、社会保障全体で幾らにしていくのか、どこを削っていって、どこを足すのかといったような議論が政策を決定していく過程の中で、新聞等を見る限りにおいて、重要視されているかのように思います。

 私自身は、守れるものであれば、守っていただきたいと思いつつも、現状の厳しい社会保障を維持していくという観点から言えば、イコールフッティング論もあわせて保育、障害といったところ、このあたりについて、国の公的な掛金をなくしていくというのは、どこをめり張りをつけるかという観点でやむを得ざると。忸怩たる思いをしながら、やむを得ざる公費助成のカットということになるのではないかと思います。

 以上です。

○田中部会長 岩井課長、お願いします。

○岩井福祉基盤課長 いろいろと御意見いただきまして、ちょっと私の説明が、今回、かなりあっさりしたものでございまして、ちょっと誤解がないように申し上げたいと思います。

 退職手当制度を維持すべきという御意見が幾つかございました。これ自体は事務局といたしましても、維持する必要があると考えておりますので、今後とも魅力のある制度にしていくということが必要かと考えております。

 先ほどからイコールフッティング論と申し上げておりますのは、退職手当制度を維持して、さらに、今、藤井先生からもお話がありましたが、やはり退職手当というものに対する法人の経営判断とか、選択肢というものは、やはりいろいろあろうかと思いますし、そういう判断をしていただくことは前提でございますが、退職手当の費用負担につきまして、イコールフッティングと言っていますのは、まず、第一義的にはやはり株式会社とか、他の経営主体とのイコールフッティングで、社会福祉法人のみに、国庫あるいは都道府県の助成があるという制度が果たしてこれが合理的な説明ができるかという議論でございます。

 すなわち、その報酬であらゆる経営主体が同じ公定価格で報酬を受けている中で、その公費助成が説明できるかということが発端でございます。

 したがって、そういうものは、ある意味公平にできるように報酬の中でそういう退職手当の負担というものはちゃんと対応されていくべきではないかというのが先ほど申し上げた趣旨でございます。

 したがいまして、イコールフッティングの第一義的な意味はそういう意味であるということと、退職手当は維持すべきということで、そこは今後も制度の見直しをきっちりしていくということで、いずれにせよ人材確保は重要でございますので、そういう観点から総合的に施策を見て対応していくべきではないかという提案であるということです。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 課長も藤井委員も社会保障制度全体を見据えて議論しなくてはならないとの御指摘でしたね。

 どうぞ、お願いします。

○藤井委員 浦野参考人もおっしゃったことですし、御説明にもあったのですが、期待利益というものですね。今、かけておられる方々に関して言いますと、この方々にこれから違う制度になりましたと言うのは、これは人材確保の観点からいうと、一番まずいのであろうと思います。

 今、入られる方が社会福祉法人だと退職金がいいのだよということが人材確保にどれほど効率的になっているかというのはやや疑問があるのですが、期待利益を守るということは非常に必要なことだと思いますので、その点、確実な御説明がなかったので、浦野参考人のおっしゃったことに私も賛成でございますので、よろしくお願いいたします。

○田中部会長 その点、課長いかがですか。

 お願いします。

○岩井福祉基盤課長 期待利益と申しますか、現在、既加入者につきましては、前回の介護保険のときにおきましても、既加入者については、公費助成を維持するという制度をしておりまして、今回の事務局提出資料についても、その点を配慮しました経過的な措置といいますか、そこを論点として、例えば最終ページの下から2つ目の丸で「公費助成のあり方を見直すに当たっては、既加入者の期待利益に配慮した経過措置を講ずるとともに」という一文を入れさせていただいております。

 また、給付水準の見直しにつきましても、これも前回の改正で介護保険施設事業のときに行われましたが、資料の17ページでございます。「給付水準を見直した場合、既加入職員の期待利益を保護する観点から、適切な経過措置を講じてはどうか」という点を論点として挙げさせていただいております。

 この内容につきましては、先ほど御説明いたしました7ページにあります改正経緯でございますが、前回の改正のときに、7ページの2の2つ目のポツでございますけれども、先ほど申し上げましたように。改正前後の支給乗率については、金額の多いほうを支給するという経過措置を設けております。これも一応念頭に置きまして御議論いただければという趣旨でございます。

○田中部会長 よろしいですか。

 期待利益については、一応、2カ所で言及されていて、守る方向で書いてありますね。

 どうぞ、福間委員、お願いします。

○福間委員 1つ質問をさせていただきます。

 介護保険施設関係については、先ほど来の御説明で私たちも当初大分不安を持ってはいたのですが、皆さんそれぞれ新規の職員も加入するという方向がほとんどの体制だったと思うのですが、その当時、危惧したことは、加入しない人が増えていくと、全体のパイが維持できなく、掛金が上がっていくのではないかということでした。そのあたりの推移がわかれば教えていただきたいのと、今後について、どのように展望されているかということをお伺いしたいと思います。

○岩井福祉基盤課長 掛金水準でございますが、改正されました平成18年の次で、平成18年以前は4万2,300円でございましたので、平成19年から4万4,700円となっておりまして、これは現在でも4万4,700円が維持されております。

 前回の福祉部会の意見にもございますが、この中期的に掛金が安定するような財政運営をするようにということでございまして、現時点で、この4万4,700円で、安定的な運営ができると考えております。

 いずれにしましても、今、福間委員がおっしゃいましたように、1つは既加入者について、公費助成を維持するというのは1つのポイントかなと思っておりまして、そこについては、今回も維持するということでございます。さらに、長期的に先ほどから賦課方式の議論もありましたが、長期的に財政運営すべきという論点もこれはあろうかと思います。

 これについては、また、今後の課題として御議論いただければと存じます。

○田中部会長 関川委員、お願いします。

○関川委員 府立大学の関川でございます。

 社会福祉士、保育士を養成する養成校の立場から発言させていただければと思います。

 私ども、学生を福祉の現場に送り出す立場からすれば、福祉の仕事には、生涯働き続けることのできる職場であり、かつ働き甲斐のある労働条件が保障されるべきであると常々考えております。

 退職手当共済制度は、職員の方の労働条件を考える上でも、とても重要な制度であると考えます。ですから、今後とも公務員準拠の退職手当、共済制度を堅持してほしいと思っております。

 御案内のとおり、退職金には、賃金の後払いとしての性格と、それまでの勤続に対する功労報奨的な性格がございます。他方、機能として考えますと、勤続56年の短期加入者と勤続25年、30年、40年に及ぶ長期加入者では、退職金の持つ意味が異なると思っております。中でも、長期加入者にとっては、退職金は老後の生活保障にとってはなくてはならないもので、この点について、御配慮いただきたいと思っておりました。

 したがって、福祉の仕事に対する社会的な評価としても、退職金の功労報奨的な性格を重視していただいて、今後とも、社会福祉施設で働く職員には、公務員並みの老後の生活保障がこの制度で維持されるべきものと考えております。

 確かに資料11ページを見ますと、15年勤続年数以上の方々の支給乗率が低いということが問題であろうと思います。資料17ページ、事務局からの提案にもありますように、給付水準の見直しについても、被共済職員期間15年以上の方に対する支給乗率は、国家公務員の水準に準拠するよう、引き上げの方向で検討をお願いしたいと思っております。

 他方、25年を超える方については、社会福祉施設職員の退職手当共済制度のほうが支給乗率自身は上回っておりますけれども、平均支給額で比較した場合は、どういう結果になるのでしょうか。例えば、国立のぞみの園の職員の方の平均退職手当支給額と比較した場合には、社会福祉施設職員の退職手当共済の給付乗率は上回っていても、平均支給額は決して高くないと思われます。この25年を超える被共済職員期間の方について、支給乗率だけでなく平均支給額をも比較の材料に加えていただき、国家公務員の退職手当制度の支給乗率を上回っている部分について、はたして支給乗率を引き下げる必要があるのか否かについて検討いただきたいと思います。

 2つ目の合算制度については、たとえば保育士の方が結婚し、その後、妊娠・出産のために退職しても、また再び保育士として再び戻ってきていただけるようにするためにも、この合算する期間をさらに延ばすということは賛成なのですけれども、3年に延長すれば、合算制度を利用して福祉の職場に戻る人が増えるのかは、あらためて検討が必要と思います。

中小企業退職金共済制度の見直しで、合算間が3年に引き延ばされる予定とのことですが、そもそも合算期間3年というのはどういう根拠から定められたものなのでしょうか。例えば、若い保育士や介護職の方など立場にたって考えてみますと、結婚・妊娠・出産、あるいは親の介護を理由として退職される方々が、この制度を利用する場合には、「3年以内に福祉の仕事に戻る」ことを退職時に決めて、退職金を請求せず退職することが前提となっていると考えますが、こうした前提は実態に合ったものなのでしょうか。事務局より御説明をいただきたいと思っております。

 そして3つ目でございますけれども、公費助成の見直しについて意見を述べたいと思いまう。

 先ほど申しましたように、退職金手当共済制度は、ぜひとも堅持していただきたい。ただ、今回の提案では、障害等の施設・事業については、公費助成を廃止するという提案であったかのように思います。

 これでこのような障害施設・事業において、新規採用の職員については掛金が上がることになりますが、公費助成の廃止をきっかけとして、事業主の方々のなかで、契約を解除し退職手当制度から脱退する方が増えてまいりますと、制度の空洞化が起きてしまうのではないかと懸念されるところでございます。

 実際、平成17年改正のときに、介護保険対象となる高齢者関係の施設・事業においては、お手元の資料にもありましたように、契約件数が減っております。資料24ページの表を見ていただきますと、平成18年から19年にかけて、約43,000人の方々加入者数が減っているところでございます。

 恐らくは、この中には掛金が上がったことによって共済契約を解除した事業者が含まれているのと考えます。障害関係の施設・事業において、今回、公費助成を廃止するということであれば、こうしたことが繰り返されないように、施設関係者の方々については、十分な配慮をお願いしたいところでございます。

 以上です。

○田中部会長 岩井課長、御質問にお答えください。

○岩井福祉基盤課長 ただいま、関川委員の御意見につきまして、ちょっと補足的にお答え申し上げます。

 通算の3年の規定でございますが、これは交流ということ自体を絞ってお答えするのは難しいのですが、現在、中小企業退職共済のほうでも議論されている状況です。

 一般的に、やはり育児休業とか、さまざまな実態を含めて3年程度は必要ではないかという議論が行われているとは承知しております。

 一方で、長ければ長いほどよいかと言われますと、これもその保険制度的に制度設計の難しい面もありますし、長い間休まれるということをどう評価するかということもございます。

 したがって、その1つの論点として、中退共の議論を踏まえまして3年ということを提案させていただいているということでございます。

 それから、2点目でございますが、前回の改正で、介護保険の関係で、減っているという御議論で、先ほどちょっと私の説明が足りなかったのかもしれませんが、24ページの資料でございますが、今、御指摘いただきました介護保険施設等で、これは公費助成対象職員数が減っているということでございます。

 すなわち、平成18年の改正時点に、既に加入されていた方は、引き続き現在も公費助成の対象となっています。こういう方々は、当然、少しずつやめていかれますので、そこは数は減っているということを示しているものです。

 一方で、下のほうの公費助成対象外職員数のところに介護保険施設等というのがございますが、これについてはちょっとふえている状況でございます。

 すなわち、その新規加入はふえている状況です。あわせますと、先ほど申し上げましたように、まさに横ばいの状況でございまして、介護保険の分野におきましては、これは減っているという状況ではないということが言えるということです。事実だけ御説明します。

○関川委員 ただいまの事務局の説明に対して、意見があります。まず合算制度についてです。例えば、保育士の合算制度の3年ということですが、長ければいいというものではないとありました。なるほど、合算期間10年に延長と言われると、制度としてどうかという考えもあろうかと思いますが、例えば、妊娠・出産を理由に退職する女性職員をモデルとして考えてみますと、第一子を出産し職場に戻るならまだしも、第二子まで出産し育児するために職場を離れる期間と考えると、少し3年では短いのかなと思います。最低5年位の通算期間が必要ではないかと考えます。

 次に、介護施設については、前回公費助成を廃止したが、加入職員数が現状ではみれば横ばいだという説明がありました。福祉人材全体で言えば、保育も障害も全体数は伸びていて、特に介護保険の分野で一番職員数がふえているのではないかと思います。にもかかわらず、18年から26年になって、新規加入者数を加えても18年の加入者数にようやく戻ったにすぎません。やはり公費助成の廃止は、退職金手当制度からの脱退による加入者の減少に大きな影響があったのではないかと考えているところでございます。

○田中部会長 課長、どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 一応、念のためその2点目でございますが、新規自体はふえているということでございます。

 申し上げたのは、当然、先生おっしゃるように、介護分野につきまして、人材が拡大しているわけですから、ここから読みとれるのは、社会福祉施設の退職手当制度以外の選択肢がございます。

 中退共とか、各県で行っている共済制度とか、そういう意味では、選択肢が広がり、それを選択する法人があるということは見てとれます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、新規もふえつつあって、全体で横ばいということですので、現時点で基本的に制度に対する安定的な運営ということで、問題があるというわけではないということを御説明したに過ぎません。

 以上です。

○田中部会長 菊地参考人もお願いします。

○菊地参考人 これは小さな説明になってしまうとは思うですが、私の事業所、法人でも、介護関係、特に、今、地方の町とか、そういったところに地域密着型の多機能センターをやったり、介護保険関係もやったり、障害関係もやっております。

 数的には障害関係のほうが非常に多いわけですけれども、その中に保育園も数カ所、それも地方で行政がやっていて、やっていけなくなったところを受けながら、そういう中でやって行く中で、職員の働くという、職員の立場から考えたときに、例えば保育は残って、障害はなくなるとか、そういうイメージがすごく悪くなるのです。

 そういったことに関して、どう担保していくかと考えると、相当の時間を要していかないと、経営者の部分だけで言えば、ある程度それはやむを得ないとなるかもしれないけれども、結局負担をしていくという部分がだんだんと重荷になってくるとなると、結局は保育だけが残って、例えば障害はあると。あるいは介護関係も私たちは退職共済に当然入っていますけれども、その部分がどんどん膨らんでくる。そのことと、あと職員が退職共済の枠から外されたという。特に障害関係に熱意を持って働いている人のそのイメージというものをどう担保するのかというのは、今後、相当その影響が出てくると私は思うのです。

 ですから、ここで介護関係と同じだよという形で捉えていくとなると、さまざまなところが本当に同じなのかどうかというのをこれから先、相当突き詰めていかなければいけないだろうと。

 あと、報酬の中に、では退職部分を例えば上乗せをするような考えになったときに、もともとの報酬の積立というのが、一体何を根拠に本当に労働基準法やそういったものに全て合うような、それで働けるような今の報酬体系なのかということになってくると、それもかなり検討しなければいけないのではないかなと思うのです。

 ですから、単に退職共済のそれだけという切りとった考え方ではなくて、もっと周りの広い部分からぜひ捉えて、それだけ退職共済のあり方というものをもう一度考える必要性があると思います。

 若干の見直しをするということは、当然必要だろうと私は思っています。

 しかし、今のままだと、つじつま合わせみたいな感じになってきて、障害関係で働いている人たち、あるいは保育で働いている人たち、私のところは結局保育から障害へ異動したり、あるいは介護から異動したりということで職員のその時々に合ったような、結局環境を整えていこうということで、いわゆる地方の中で人材不足を何とか補っているということですけれども、そういったさまざまなやり方とか、運営の仕方、あるいは報酬体系の問題とか、あるいは、今、地方でどういうことが起こっているのか。

 つまり、関東地方だけでも、都市部と地方でのかなりの違いというものがあって、そういうことをどれだけ見て、このことに手をつけようとするのかということが必要だと、その辺を十分な議論というのが余りにも私はされていないと捉えています。

 ぜひ、もうちょっとじっくりと検討すべきだと私は思います。

 早急に結論を出そうとなってくると、結局は後に今度は保育も制度が変われば、保育も要らないのではないと、どんどんそうなってくると。

 だから、結局は、今の退職共済制度を廃止し、そして独立行政法人のそこも結局なくするまで考えるのかと極端に言えば、そこまで結局考えてしまうと。

 ですから、もっと冷静に捉えていただきたいなと思います。

 以上です。

○田中部会長 退職共済制度の廃止という御発言がありましたが、そういうニュアンスではないですよね。

○岩井福祉基盤課長 先ほども御説明いたしましたように、社会福祉施設の退職手当制度自体は、これは維持するという方向で考えておりますので、廃止ということを念頭に置いているわけではございません。

○田中部会長 福間委員、どうぞ。

○福間委員 ここの退職手当との状況のところでの調整の案がございましたけれども、資料の15ページを見ておりますと、ちょっと違和感を感じるのが、福祉共済手当の場合に43年以上というのがずっと延び続けるという、公務員の場合は多分、等級表がそこから横ばいではないかと思うのですが、43年から全く頭打ちとなる。民間のところがずっと43年以上も延びていく状態というのが、表を通しても何か違和感を感じる。多分、賦課方式ですので、全体の中ではオーナー施設長が70とかでやめるときに、こういうものがどんと出てくるのではないかというような気がします。それは逆に言うと大変大きな額の退職金を取られるというのも、一つの評価ではあるかもしれないけれども、職員から見ると非常に違和感を感じるのではないかとか、いろいろ考えると、もう少しこのあたりは国公に準拠するのであれば、長期といっても最長期のところは、あわせていくことで、全体がきちんとバランスがとれるということも、官民の比較という意味では、大事なポイントではないかと思います。

○田中部会長 御指摘ありがとうございました。

 平川参考人、お願いします。

○平川参考人 違う観点で申しますと、この退職金というのは、基本的には、給与の後払いの性格ということでありますので、個別の企業年金等に含めて、労使の協議の場というものがつくられているという状況であります。

 ただ、この制度の場合、どうも事業主や労働側の運営に対してのチェックとか、そういう意見表明の場がないように思えますので、どのような運営をされているのかというのをお聞きしたいと思います。もしその意見表明の場がないようであれば、その事業主や労働組合の代表者が運用内容についてチェックする場というのが必要ではないかと考えているところですので、今後の検討課題ということで参考にしていただければと思います。

 以上です。

○田中部会長 共済制度の運営については御存じですか。

○岩井福祉基盤課長 制度全体についてという御意見でございますか。

○平川参考人 独立行政法人で、これは運営しているかと思いますけれども、事業主の掛金もかなり入っておりますので、一方で、その事業主の掛金というのは、退職金は給与の後払いという性格もありますので、その辺は労使でどういうような運用状況というのはチェックをしていくというのが、仕組みとして必要ではないかなと思っています。

 それで、その辺のチェックの場というのはどのように行っているのかという質問をさせていただきました。

○岩井福祉基盤課長 まず、基本的に給付水準ということが中心だと思いますけれども、これは法律で決めておりますので、基本的には法律の段階でも国会での議論を踏まえて決定するという仕組みになっております。

 そういう意味では、ちょっと個別の労働条件というよりは、制度としてどれぐらい退職手当を行うということは、これは法律事項としてなっていると。

 当然、その事業者ごとの退職手当とか、例えば、退職手当制度をこれをさらに県のものを一緒に使っている法人などもあるとかいろいろございます。

 そういうものを組み合わせて、どうされるかという個別の問題は、各事業者において、やはりそういう形で議論されることと思いますけれども、制度としては、これは政策として国会の審議を踏まえた上での法律事項ということになろうかと思います。

○田中部会長 西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 今、ちょっとチェックという話も出たので、発言させていただきたいのですけれども、今回の制度のあり方の見直しにつきましては、これまでの経緯とか、制度の趣旨の存続、それから政策的な配慮、こういうことも必要でありますので、慎重な検討が必要だと思いますけれども、1点、公費助成の部分で、都道府県が3分の1負担になっている。この部分について、ちょっと言及させていただきたいのですが、私はいつも法的根拠についてうるさく言いますのは、行政事務というのは、もとより法令的な根拠が、あるいは政策的な意図というものがなければできないし、予算編成も支出もできない。すなわち、県民への説明責任を果たせないということから申し上げているわけでありまして、その点をちょっと誤解のないようにしていただければと思うのですけれども、これは都道府県の助成、法的根拠としましては、共済法の19条により、補助ができると。地財法との関係でこういった条文になっている。つまり、都道府県の意思として補助ができるという規定になっています。しなさいということではない。それで、法人監査の権限とか、政令中核市に至っては、今、事業所の指導権限も全部移譲されているわけですね。その中で、都道府県が恐らく施設運営、職員の配置、こういったことについて、何のチェックもできずに、この予算を組むというのが、今の制度上、非常に私どもは難しくなっています。

 その中で、だから少なくともこの大都市特例といいますか、政令中核市にも、こういった補助主体となっていただくような制度にぜひしていただきたいなと。

 そういった点も、この場において、議論していただきたい。これが提案といいますか、お願いでございます。

○田中部会長 柳川委員、お願いします。

○柳川委員 12ページ目なのですが、前回の議論でもありました外部監査とも絡むと思うのですが、大体民間企業ですと、監査が入るということと、プラス内規などもありますが、例えばオーナーの独走など、そういうところがあってはならず、最後の3年、5年でいきなり給料が上がって、基礎額が上がるなどという、そういうところもゼロではないかと思うのですが、賦課方式ということもありますが、実態としてそういう事例というのは、社会福祉法人で起きているのでしょうか。質問です。

○岩井福祉基盤課長 それはちょっと確認できません。

○柳川委員 やはり、公金も入っていますので、ちょっとそういうイレギュラーなことは起きないようなチェックがどこかで必要ではないのかなと感じます。

 先ほど福間委員もおっしゃっていましたけれども、いきなりあの人だけが退職金がすごく上がったなどというのも、ちょっと不公平感が出る可能性があるので、多分、本俸の平均給与月額のところが計算基礎額に反映されると思いますが、その辺のチェックみたいなものはやはり必要ではないかなと思います。

○岩井福祉基盤課長 補足なのですが、ちょっと資料には負けているのですけれども、今、委員から御指摘がありましたような視点は、実はちょっと重要でございまして、そのため一応ここに退職前6カ月の本俸月額の平均額に応じて設定という形で、過去見直した経緯がございまして、退職直前に給与を上げるとか、そういうことのないようにしています。

 その点は、ちゃんとチェックが入っているという形になります。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今の件に関してもう一件質問がございまして、通常、企業ですと、取締役就任時に退職金をもらうケースが多いと思うのですが、社会福祉法人の場合、先ほど福間委員のおっしゃった、オーナーがたくさんもらう可能性があるのではないかというお話がありましたけれども、理事で例えば40年、50年勤務しておられるような方がいらっしゃった場合、これはどういう扱いになっているのかということを1点お伺いしたいことと。

 それからあと2点ほどございまして、これも福間委員からおっしゃられた被共済職員が今回の改定で減るようなことになった場合、共済制度云々というお話がちょっと前にございました。

 関川委員のほうから、24ページで被共済職員の推移について、事務局と質疑があったかと思うのですが、ちょっとこれは興味にもなるのですけれども、確かに平成19年~23年までというのは、介護保険施設等の公費助成対象職員数というのが減る中で、公費助成対象外職員数はふえておりますけれども、ふえているほうが少ないということで、純減になっているのだと思うのですが、24年度以降、むしろ、公費対象外職員数のほうが多い。

 純増に転じておりまして、制度にとっては好ましいことだと思うのですね。

 こういった形で当初は、経営の観点、いろいろ勘案された上で、抜けられる方が多いのだけれども、結局は、やはりこの制度を活用しようという経営者が多いという話であれば、福間委員の心配はしなくてもいいのかなと思いながら聞いたのですけれども、このあたりの分析がもしあれば教えていただきたいという点と。

 それから3番目でございますが、関川委員がおっしゃった2人お子さんを育てられて、その期間という話、私も重要な点だと思うのですが、現には例えば育児休業をとっておられた場合であれば、この期間は対象化されておられないので、当然、カウントから外れているということでいいのかどうなのか

 この3点、改めて制度的なことで申しわけありませんがお教えください。

○田中部会長 3点の質問にお答えください。

○岩井福祉基盤課長 まず、役員ですけれども、役員ですけれども、役員は退職手当制度の対象となってはおりませんので、いわゆる職員ですね。先ほど、お話があったのは、施設長と職員のことだと思います。それで、そういう中で、そういう長く勤められた方についてということで、基本的には、今回、国家公務員制度に準拠する形でという話で御提案していますので、そのようになれば、長期で長いところはカーブが直る形になるかと思います。

 2点目で済みません。この24ページの資料の分析ですが、ちょっと現時点でこれを把握できておりません。

 なかなか分析ができるかどうかも難しいかと思いますが、そういう状況にございます。

 済みません。育児休業期間で、勤められているところについては、一応、制度上、2分の1で共済職員期間に参入するという制度つくっております。

 今は私どももしかしたら、育児休業という言い方がまずかったと思います。

 育児等でやめられたとか、そういうことを含めて、一旦社会福祉事業の分野から外れられた方でまた復帰されるということも踏まえてということであろうかと思います。

○藤井委員 そしたら別段大丈夫ですね。ありがとうございました。

○田中部会長 対馬委員、お願いします。

○対馬委員 対馬でございます。

 特定介護保険施設については、助成金が出ておりませんので、事業主が全額掛金を負担しています。

 当法人は現在、職員数が増えていますので、年間数千万円に及ぶ掛金を負担していますが、例えば、今、全額事業主負担を一部職員の本人負担にすることができないかと考えています。

 民間のこういった退職金の制度の中には、事業主負担が2分の1で、本人負担が2分の1、という形になっている制度があります、こういった事が果たして可能かということを、お尋ねをしたいということが1つです。

 2つ目については、職員に年間のこの掛金の説明をしますと、古い職員はやはり定年後に退職金をもらうことを楽しみにしています。若い職員はそんなに法人が負担をしているのであれば、今の自分の給料に退職金のかけ金を上乗せしてほしいという職員もいます。例えば、法人全体は包括加入員になっていますが、本人の任意によって、この退職金制度に加入することはできないかをお尋ねしたいと思います。

○田中部会長 2点質問がありました。

○岩井福祉基盤課長 ちょっと1点目、そもそも退職手当制度以前の問題として、退職金の考え方もありますので、ちょっとこれは検討させていただきまして、また委員に御報告させてください。

 2点目ですけれども、今、包括加入であるということですが、おっしゃる趣旨はよくわかるのですが、当然、これは一種の保険制度なのですが、保険制度というのもちょっとおかしいかもしれませんが、逆選択といいますか、非常に保険的な発想から言うと、そういう形で選択すると、制度的に安定できなくなる可能性もありますので、ちょっと慎重に考えなければならないのかなと考えております。

○田中部会長 柳川委員、お願いします。

○柳川委員 今のお話とちょっと関連して、またもとの話に戻って恐縮なのですが、12ページ目についてです。私たちの世代はもう退職金はないかなと諦めているのですけれども、当然、退職金を楽しみにされているという人がいて、やはり優しい経営者さんがよくやったからちょっといきなり給与上げてしまおうかなというようなところも私は嫌いではない話なのですが、ただ、やはり公平性という観点から見ると、一応歯止めがあるということなのですけれども、退職前6カ月の平均額というのは、ちょっとどうかと思います。この規定が本当にそれでいいのかという点と、後に続く職員の皆さんが、あの人だけ特別扱いしているという思いを持つことが本当に経営上いいのかなという疑問があって、細かい話なのですが、もう少しちょっとこの歯止めの部分を明示する必要があると考えます。監査とかでチェックして、返還しろというのもまた妙な話ですが、やはり監査と連動した話になると思います。やはり全体の管理が重要であり、それから一緒に一生懸命働いている人たちの思いなどを考えた場合、これまでの頑張りに報いたいという経営者の気持ちはわからないではないけれども、イレギュラーというところに対する規定はもう少しきっちりと組んだほうがよろしいのではないのかなと、今、対馬委員のお話を聞いて感じた次第でございます。

 以上です。

○田中部会長 制度への信頼感のためにはモラルハザードを止めるような仕組みも必要ではないかとの御指摘でしたね。

 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 やはり、保育園の分野も要するに株式会社とか、そういうものが参入しているといっても、1.何%という数字がここにも上がっていますけれども、そういう状況ですし、やはり、今の児童の分野ということを考えたら、ぜひとも保育園も3年と言わず、残してほしい。

 というのは、やはり保育園がごそっと抜けますと、本当にパイというか、少なくなって、本当にこれは制度そのものが維持できるのかなということも思うので、ぜひ、今、残っている保育所だとか、社会的養護、そういうところ、あるいは障害の分野でもそちらの分野も残っていますし、その辺はぜひともこの制度を維持していただきたいということをお願いしたいと思います。

○田中部会長 課長、どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 先ほどの対馬委員からの御質問の件の第1点目なのですが、法律上は基本的にもう御存じのとおりでございますが、掛金は法人負担でございますので、これはそれは制度としてそういうものだろうと思いますが、その法人負担の部分をどう負担するかという御議論かなと思うのですが、ちょっとこれは制度とは別の枠外の話なので、ちょっとまた個別に御相談させていただければと思います。

○田中部会長 本日提示された資料に対する御意見はよろしゅうございますか。一当たり。

 松原委員、お願いします。

○松原委員 本日の資料に関して、特段、反対意見はないのですけれども、ただ、イコールフッティングの観点から見直すというロジックに私は違和感を覚えております。

 この理由について、正確に述べるには、1時間は必要としますので講演、それは別の場に譲るとしまして、簡単に申し上げると、イコールフッティングを究極的に進めていくと、結局、福祉事業を営利化することになります。逆に社福が非常に不利になる問題がある。言うまでもなく、営利というのは持分もあって、配当もあって、規制も少ない。これに対して社福は持分がなくて、配当も当然できなくて、いろいろ規制で足かせをはめられて経営をしている。その中で同じ条件で競争するというので、全てイコールフッティングとやっていくと逆に社福ばかり不利になっていく逆にそんなに営利が不利だと言うのであれば、社福として参入してくればいいものを営利でやるというのは、やはり営利のメリットを享受したまま経営したいという思惑が前提にあると思います。

 繰り返しますが、この話、もっと大きい理由を話すのにちょっと時間がかかるので、これぐらいでやめますけれども、イコールフッティングの観点から見直すのだというロジックで進めていくと、この問題だけではなくて、ほかのいろいろな問題にも非常に大きく波及していくと思いますので、ここには注意が必要だと思っております。

 以上です。

○田中部会長 改革は必要だけれども、ロジックのもとが別のものが必要だということですね。後で松原委員が教えてくれるかもしれませんので。

 ほかにいかがですか。

 どうぞ、松山委員。

○松山委員 1点教えていただきたいのですけれども、社会福祉法人の財務諸表を見ていると、退職積立金というような名目でたくさん積んでいるところとそうでないところに分かれています。職員の立場から見ると、この共済制度に入っているのであれば。ある程度財源が確保されていると思いますが、加入していない社会福祉法人で職員退職金の財源確保がどの程度できているのかという点について何か情報があるのでしょうか。それが不足しているのであれば、この共済制度をもっと拡充しないといけないという議論もできるかと思うのですけれども、財務諸表を見た限りではそれがわからなかったので、教えていただきたいのです。

○岩井福祉基盤課長 まさに今回のこのような退職手当制度に加入されている部分については、掛金負担されておりますので、いわゆる財務諸表上は費用化はされていますが、オフバランスになっていますので、全体像は見えてこないと。毎年の費用化はされていると思います。

 一方、こういう制度を利用していない法人については、これは退職給付の引当をしていただいた形でそれは財務諸表上出てくると。ですから、そこを見ていただくしかないのかなと思います。

 それがどのような水準かは、まさに処遇の問題でございますので、それがどこが適正水準かというのはなかなか難しいところがあろうかと思います。

 いずれにしろ、見るとしたらそういう見方をするしかないのかなと思います。

○田中部会長 ほかに意見がございませんでしたら、15分ほど残っていますが、ここで終了といたします。

 よろしゅうございますか。

 議題が変わって、きょうは「社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し」に移りましたが、皆様からそれぞれ真摯な御意見をいただきましてありがとうございました。

 次回の開催について、事務局から説明をお願いします。

○西辻総務課長 次回でございますが、1128日金曜日の13時から開催を予定しておりますが、議題、場所等の詳細は追って連絡させていただきます。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 では、本日の審議はここまでといたします。

 御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会)> 第9回社会保障審議会福祉部会 議事録(2014年11月19日)

ページの先頭へ戻る