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2015年2月25日 第6回 医療事故調査制度の施行に係る検討会 議事録
医政局総務課医療安全推進室
○日時
平成27年2月25日(水)13:00~17:20
○場所
主婦会館 プラザエフ スズラン(9階)
○議事
○田上医療安全推進室長補佐
それでは、定刻になりましたので、第6回「医療事故調査制度の施行に係る検討会」を開催させていただきます。
初めに、お手元に配布いたしました資料の確認をさせていただきます。本日お配りいたしました資料でございますが、真ん中のメーンの資料といたしまして、議事次第、座席表、開催要項、構成員名簿のほか、資料1といたしまして、「 主な論点のこれまでの検討状況 」。
資料2-1といたしまして、「医療機関が行う医療事故調査について」。
資料2-2といたしまして、「センターが行う調査について」。
資料2-3といたしまして、「医療事故の定義について」。
資料2-4といたしまして、「医療事故発生時の報告について」。
資料3といたしまして、「第5回医療事故調査制度の施行に係る検討会 議事録」をお配りしております。
また、右手のほうに構成員の皆様からの提出資料といたしまして、まとめて配布しております。本日は、大磯構成員、加藤構成員、堺構成員、田邉構成員、永井構成員から提出資料がございます。
また、左手のほうに参考資料といたしまして、参考資料集をお配りしております。
資料に不備等がございましたら、事務局までお伝えください。よろしゅうございますでしょうか。
これより議事に入りたいと思います。審議の円滑な実施のために、撮影はここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○田上医療安全推進室長補佐
それでは、以後の進行につきましては、山本座長にお願いいたします。
○山本(和)座長
皆さん、こんにちは。
それでは、本日の議事を始めたいと思います。
まず、資料1をごらんください。これが主な論点について、これまでのこの検討会で議論してきたところ、それから、最後、第6回というところが本日御議論いただく論点を示したところでございます。本日は、この表にもありますように、主な論点全てについての御議論を頂戴し、取りまとめを試みたいと考えているわけであります。
本検討会は、当初、議論を開始する際には、構成員の間にかなり大きな意見のずれがあったように思います。座長として、取りまとめを図れるかどうか、非常に不安な心境ではありました。ただ、この間の議論の中で、この制度の趣旨、それは言うまでもありませんけれども、医療事故の原因につきまして、それを明らかにする調査を行い、同種の事故の発生を将来にわたって防止し、医療の安全を図っていくという基本的な制度趣旨については、各構成員の間にはおよそ異論はないものであったと思います。
ただ、それに向けた方向性、どういう方法をとるかということについての意見の違いがあり、議論がされてきたわけでありますけれども、その本来の制度の趣旨についての共通認識を踏まえて、各構成員が真摯な御議論をこれまでいただいて、私の見たところ、かなり多くの点について意見の一致が見られるようになってきて、取りまとめが視野に入ってきたということではないかと考えております。この間、真摯な御議論をいただいてきた構成員の皆様方に、改めて座長として感謝申し上げたいと思います。
とはいえ、なお幾つかの論点について意見の隔たりがあるということは疑いのないところだと思います。本日、その意見の調整に努めたいと考えておりますけれども、最初に申し上げておきますが、私としては無理な形での取りまとめをしようとは考えておりませんので、本日も活発な御議論を頂戴できればと思っております。
ただ、本日、3時間の時間を事務局に用意していただきましたけれども、それでもなおいろいろな議論があると思います。議論の時間として十分と言えるかというところには、やや不安もあるところです。できれば本日の御議論は、事務局から提案されている資料の内容いかんについての御意見に絞る形で御意見を頂戴したいということを重ねてお願いしたいと思います。その趣旨で、場合によっては各構成員の御発言中に私が介入させていただくということもあろうかと思います。なるべくそういうことにならないようにしたいと思いますけれども、あらかじめ御了解いただければと思います。
それで、本日の進め方でございますけれども、この資料1にもございますように、まず前回、御意見が多かった医療機関が行う医療事故調査、いわゆる院内調査の問題についての御議論をいただいた後、引き続きましてセンターが行う調査について議論したいと思います。その後、前回、若干積み残しになってしまいましたが、残りの時間で医療事故の定義及び医療事故発生時の報告という点について御議論をいただき、最初に申し上げたとおり取りまとめを図っていきたいと考えております。
どうぞ。
○大磯構成員
大磯ですが、議事進行についてなのですけれども、加藤構成員の提出資料を拝見させていただいたのですけれども、著しい問題がある資料であると考えますので、その点に関して意見を言わせていただいた上で、内容に移っていただきたいと思います。
加藤構成員資料の20ページをごらんください。私が第5回に引用させていただきました意見書に対する疑義として書かれているわけですけれども、青字で示されている「Doctors who commit suicide while under GMC fitness to practise investigations」に、私の意見書の内容と明らかに異なった内容が書かれているということなのですね。しかし、加藤構成員提出資料が示すGMC fitness to practiseプロセスというのは、下記の要件に該当する苦情が寄せられたときにGMCで行う調査であり、調査の結果、診療内容の適切性に問題が認められた場合には、助言、警告、診療制限といった処分が出されるということで、下記の要件として、管理不備、職権乱用、不十分な診療行為とか犯罪行為、並びに身体的または精神的に健康でないことといったものが挙げられているということでございます。
そして、同GMCのレポートには、目的としまして、「本レポートは医師の診療内容の適切性と、審査対象にある脆弱な立場による医師への影響を減らし、どうしたらGMCは自殺などの悲劇をもっと防ぐことができるのかということを調べる目的で行われている」と明記されています。ところが、加藤構成員提出資料20ページと21ページに書かれている内容は、一部は正しいのですけれども、誤訳が非常に多く全体とすると誤った紹介となっています。
特に、28名の自殺者が出ているということですけれども、20名は医師が健康上の問題を抱えていたのですけれども、8名は既存の精神疾患とは関係なく自殺しており、この8人のうち2名は診療行為に関して、7名は管理に関して、そして5人は詐欺行為の有無についての調査を受けていたということでございます。その中で自殺したということですね。GMCは、医師がいかなる司法プロセスにおいてもそうであるように、過失があったと証明されるまで無罪であると扱われているように感じられる環境を整えなければならない。調査は、できる限り早くかつ効果的に患者を守る必要性を考慮しつつも、配慮ある方法で行わなければならないと書かれており、また恐らく現行制度では。
○山本(和)座長
まことに申しわけありませんが、時間の関係がありますので、御意見を端的に。
○大磯構成員
端的にいきます。済みません。
本日、追加で意見書を提出させていただいたのですけれども、山本座長から意見書の配布を拒否されましたので、このような状況になっていることだけは申し伝えさせていただいた上で、簡潔にお話をさせていただきますと、加藤構成員の提出資料に重大な誤りがあるということでございまして、例えば「この意見書が提出された文脈からすると、イギリスでは医療事故調査を受けている医師が鬱病に陥って114名も死亡しているのだろうかと、驚きを感じましたので、この情報の原典に当たってみようと考えましたが、大磯意見書ではこの情報の原資料の出典が明記されていない」と書かれているのです。
しかし、第5回大磯意見書には、BMJ Openの論文のURLまで示しております。その論文のイントロダクションに114名の医師が死亡しているという旨は書かれております。したがいまして、意図的に情報源を隠蔽しているかのような記載がされており、故意に人の社会的評価を低下させるものと言えるでしょう。
また、「この調査は、GMC fitness to practise investigationと呼ばれている(和訳するならば、「GMC臨床適応健康調査」というような表現をとるのでしょうか)。」「GMC fitness to practise investigationを一言で紹介するのであれば、「診療行為の適切性に関する調査」というよりは、「臨床を担当するには不適当な健康状態が疑われた医師の調査」と要約するのが正確であろうと思われる」と加藤意見書には書かれておりますけれども、この和訳・要約は間違っています。
○山本(和)座長
わかりました。要するに、加藤先生の御意見に誤りがあるという御意見を述べられているということですね。
○大磯構成員
虚偽の事実に基づいて、私の社会的信用を棄損・低下させるような表現が全般において認められると。
○山本(和)座長
承知しました。そのような御意見があったということは。
○大磯構成員
したがいまして、山本座長に、加藤構成員が、このような名誉毀損に該当するような資料提出をするということは、本検討会の構成員として看過しがたい重大な欠陥があると言わざるを得ないので、加藤構成員の解任を要求します。
○山本(和)座長
委員の解任につきましては、私の承知している限りは、検討会の開催要綱にはその規定が存在しないと理解しております。したがって、もちろん私の一存で解任することもできませんし、恐らくはこの会議の多数決でも解任はできないものと理解しておりますので、今の申し出は残念ながら採用できないということになろうかと思います。
○大磯構成員
それであるならば、少なくともこのような事実誤認に基づき、人の社会的信用を低下させるような文書を政府の厚生労働省の資料として提出され、公開させることは、非常に重大な問題がございますので、当該資料に関しては回収していただくか、削除していただくような対応をとっていただかないと、法的措置も含めて検討せざるを得ないという状況です。
○山本(和)座長
これまでは、各資料につきましては、委員から基本的には御自由に提出いただくことになっていたかと思います。もちろん、それについていろいろな御意見あるいは御不満、あるいはそれが名誉毀損に当たる等の御意見はあろうかと思いますけれども、それは本検討会の場で、その審議、あるいはそれが名誉毀損等に当たるかということを判断することは不可能だと思いますので、法的措置等と言われるのであれば、それはこの検討会の外でそのような御議論をしていただければと思います。
○大磯構成員
了解いたしました。いずれにしましても、加藤氏の構成員としての資質には重大な欠陥があることは指摘させていただきます。ありがとうございました。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、議事の中身に入りたいと思います。
まず、資料2-1につきまして、事務局のほうから御説明をお願いします。
○大坪医療安全推進室長
資料2-1につきまして御説明させていただきます。
たてつけのあり方は、これまでと同様でございます。お開きいただきまして、法律の条文とその位置関係を1ページ目。
2ページ目から4ページ目までにつきましては、直近の第5回検討会で構成員の先生方からいただきました御意見を整理してございますので、御参考にしてください。
続きまして、5ページに参ります。医療機関が行う医療事故調査の方法等につきましてでございますが、これまで5回御検討いただきました結果、ほとんどのところが黒塗りで御承認いただけたものと考えてございますので、いま一度確認していただければと思います。
方法についての省令の部分は、必要な範囲で、これらの中から選択した上で、情報の収集及び整理を行うことにより行うものとする。その通知の解釈としまして、右側にこれまで御同意いただきました内容を記載してございます。
1点だけ、3つ目の○の中の小さい枝番でございますけれども、一番下、「血液、尿等の検体の分析の必要性を考慮」としておりましたところ、前回、加藤構成員から、検体の保存ということも検討の必要があるのではないかということで、ここに新たに「保存」と入れさせていただいている点だけが新しくなっております。
続きまして、6ページでございます。医療事故調査の結果、センターへ報告しなければならないことになっております部分につきまして、報告事項、報告方法につきましては、省令で以下の事項を記載した報告書をセンターに提出して行うということで、日時/場所/診療科、医療機関名/所在地/連絡先、医療機関の管理者、患者情報、医療事故調査の項目、手法及び結果ということで御了解をいただいているもと考えております。
その解釈を右にお示ししております。前回、大磯構成員の提出資料の中で、報告書に記載すべきことですとか、あらかじめ教示すべきことなどについて御意見をいただいております。それをそのままということではちょっと長いものですから、座長のほうから、事務局でその概要をまとめて御提案するようにという御指示をいただいておりますので、1つ目の○のところ、「本制度の目的は医療安全であり、個人の責任を追及するためのものではない」ということは、これまでに既に御了解いただいているところですが、それを「報告書冒頭に記載する」と追記させていただいております。
2つ目につきましては、その報告書の目的は、医療法の中におきましては、センターへの提出と御遺族への説明であること。それを記載することにつきましては差し支えないものと考えておりますので、それは医療機関の御判断でしていただくのかなと考えております。それ以外の用途に用いる可能性について、あらかじめ当該医療従事者へヒアリングの際に教示することが適当である。こういう形で提案させていただいております。
報告事項につきまして、新たに御確認いただきたいところは、医療事故調査の項目、手法及び結果、その中身でございますが、「原因を明らかにするための調査の結果」であること。「必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること」という記載。
それから、再発防止策につきましては、田邉構成員のほうから任意であるということのイメージが薄いのではないかという御指摘をいただいておりますので、「調査において再発防止策の検討を行った場合に」と、冒頭、つけさせていただいております。
また、「当該医療従事者が報告書の内容について意見がある場合等は、その旨記載すること」という御意見もいただいておりますので、その旨も加筆しております。
また、次の○も田邉構成員のほうから、既存にある制度についても報告する窓口がありますよということをお示ししてはどうかという御意見をいただきましたので、そこも加筆させていただいております。
続きまして、7ページ。管理者の方には、センターへの報告の前にあらかじめ御遺族に御説明していただくことになっておりますが、その説明方法につきましてですが、前回、「口頭又は書面の適切な方法」とさせていただいておりましたけれども、その双方の場合もあるということが読み取りにくいのではないかという御指摘いただいておりますので、「口頭又は書面若しくはその双方」と加えさせていただいております。「適切な方法により行う」ということで、法文との整理から、これで足りるのではないかということで整理させていただきました。
また、2つ目の○についてはいろいろ御意見ございました。御遺族の意向を踏まえてという御意見とか、御遺族の納得ですとか、さまざま御意見がありました中で、事務局といたしましては、「調査の目的・結果について、遺族が納得する形で説明するよう努めなければならない」という記載ぶりではどうかということで提案させていただきます。
以上でございます。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
それでは、順次、各構成員の御意見を頂戴したいと思いますが、まず資料5ページ、医療事故調査の方法ということですが、これは前回の資料からは未修正ということで、基本的にはこの方向で進めるということでおおむね合意があるのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
どうぞ、西澤構成員。
○西澤構成員
大体、これでいいと思います。
1点だけです。一番上の○ですが、「本制度の目的は医療安全であり、個人の責任を追及するためのものではないこと」と書いてありますが、この「目的は医療安全であり」では不十分だと思います。ここは、厚労省のQ&Aに書いてありまして、皆さん方も承認したと思いますので、そこを引用して、「本制度の目的は医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うことである。」そして、「個人の責任を追及するためのものではない」と、加筆していただいたほうがよくわかるのではないかと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
いかがでしょうか、今の御意見については、基本的にはこれは意見の一致があったところだと思いますので、そのような形にその部分は修正していただければと思います。
ほかにはよろしゅうございましょうか。どうぞ、大磯構成員。
○大磯構成員
調査の方法のところで匿名化に関する記載が見当たらなかったので、連結可能匿名化等、匿名化を行うことは記載していただきたいということと。
5ページの右側の※印、「当該医療従事者のヒアリング」のところで、「ヒアリング結果は内部資料として取り扱い、開示しないこととし、その旨をヒアリング対象者に伝える」ということですけれども、この法律上の趣旨としては、文書提出命令の関係の要件、要は内部性と不利益性の議論でございますので、法律の専門家ではない医療従事者がわかるように、例えば私が第5回意見書で提出した用例を示すような形で記載していただけたらと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
前者は、6ページの報告事項・報告方法のところには匿名化の記載がございますけれども、それでは。
○大磯構成員
作業として、調査の冒頭の段階で匿名化作業を行って、匿名化資料で基本的には調査を進める。要は、臨床研究を行う場合だったとしても、被験者がエントリーした段階で匿名化作業を行いますね。それと同じような形で、調査の段階から匿名化したほうが、間違いが起きづらいということです。
○山本(和)座長
ちょっと具体的なイメージがわからないのです。例えば、医療事故調査のためにいろいろな人にヒアリングしますが、それを匿名化するということ。
○大磯構成員
その段階で、例えば大磯医師だった場合には、ヒアリングした段階で連結対応表を作成して、Aとか01番という形にして、聞き取り調査票といった書面は、全て基本的には匿名化した情報で取り扱うべきである。
○山本(和)座長
御趣旨はわかりましたが、通知にあれしては細かい感じもしますが、事務局のほうから今の2点について。
○大坪医療安全推進室長
最終的にその報告書の匿名化が担保されていれば足りるのか、医療機関の規模等にもよりますし、そこは内部の御判断でよろしいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○山本(和)座長
いかがでしょうか。
○大磯構成員
内部の判断というのも、もちろん尊重すべきだと思うのですけれども、結局、医療機関が文書提出命令に対して、どういうふうな保護方法があるかということに関して理解がないわけですね。したがって、少なくとも通知の段階で連結可能匿名化すると記載されていれば、医療機関としては非常にシンプルに理解できる方法。臨床研究でなじんでいますので、そのような形のほうがトラブルが起きやすくないので、責任追及に向かわなくなってよろしいのではないかということです。
○山本(和)座長
第2点の今のことは、「当該医療従事者のヒアリング」のところに記載されている「法的強制力がある場合を除く」との関係で、文書提出命令等の場合、法的強制力がある場合、どういう場合が除かれるかということを明示したほうがいいということですか。
○大磯構成員
そういうことです。第5回の意見書で提出させていただいた文書というのは、そこを意識したものであることは山本先生には明白だと思います。
○山本(和)座長
ただ、どのような場合に文書提出義務がないかというのは、私はかつて100ページぐらいの論文を書いたことがありますが、この通知で一言二言で書くというのはかなり難しい感じもします。この通知に基づいて、Q&A的なものもつくられるのではないかと思うのです。その中である程度明らかになるのかなという感じもするのですが。
どうぞ、西澤構成員。
○西澤構成員
5ページは、院内での事故調査のときですね。その中では、管理者が加わっていて、ほとんどが内部の医療機関の職員なので、全て名前がわかっているわけですね。その中での匿名化というのは、ちょっとイメージがわかないのです。それは、外部に出るときには、当然匿名化は当たり前で、それは6ページに書いています。調査の段階で匿名化というのは、例えば関係者を呼ぶときに、普通は名前がわかっているわけなので、そのときの匿名化というのはどういうイメージか、ちょっと教えてください。
○大磯構成員
医師同士だと臨床研究が一番イメージしやすいと思います。要は、採血、血液検体をとったときには、その段階で匿名化し、番号を付与しますね。その形で院内の調査も進めていったほうがトラブルが起きづらいだろうという意味ですけれども、西澤先生、御理解いただけましたか。
○西澤構成員
検体とかはわかるのですが、例えばヒアリングとかで当事者とか、いろいろな方を呼ぶときには、当然名前とかがわかるわけですね。そのあたりで当該従事者のヒアリングとか関係者のヒアリングが入っていますので、そうであればきちんと分けた上で、人のところは実際無理だと思いますが。例えば下のほうに書いてある血液、尿にしても、事故が起きれば、対象も重なると思いますし、匿名化のイメージが私の頭の中で浮かばないのですが、ちょっと教えていただければ。
○山本(和)座長
小田原構成員、どうぞ。
○小田原構成員
今、大磯先生の話を聞きまして、僕はもっともだなと、これは漏れていたと思います。匿名化というときに、最後の報告書の段階で匿名化する。それは今まで決まった話なのですが、今、大磯先生の言われた話は、院内で調査の段階から書類を匿名化すべきだという話だと思います。だから、ここで手を加えるとするならば、それらの事項に関し、情報の収集・整理を行うものとする。この段階から匿名化しましょう。要するに、匿名性の確保に努めつつ、情報の収集・整理を行うという形で、最初の院内でのヒアリングの段階から、その書類関係は名前をずっと書くのではなくて、医師A、医師Bという形で書類を整理していったほうがいいのではないかという意見だと思います。
そういう意味で、非常にもっともだと思いましたので、整理、情報収集の段階から、どこまでできるかという話がありますので、匿名化に努めつつということは入れておくべきではないかと思いました。
○山本(和)座長
もちろん、当然できる場合とできない場合というか、匿名化すると意味がなくなる場合も当然ありますね。
○小田原構成員
だから、100%できる、できないという話じゃなくて、少なくとも記録に残る記録媒体があるわけですね。それを考えたときに、できるものについては、要するに配慮しながらやれということは大事なことじゃないかと思いますが。
○山本(和)座長
どうぞ。
○河野構成員
技術的な観点からいきますと、事実を追うときに時系列をつくると思います。そのときに固有名詞を出してやるのか、あるいは医師Aでやるのかにつきましては、固有名詞が入ると固有名詞のバイアスが入る可能性があるのです。なので、医師Aと書いたほうがいい場合があると思います。
それから、検体とかに対しては、匿名化することによってエラーがある可能性があるかなと、ちょっとそれが心配です。どこまで記述するかということをもっと技術的な観点で判断すべきだと私は思います。
○山本(和)座長
わかりました。問題はかなり技術的なところのような気もしますので、ここでこの通知でどこまで具体的に書き込めるかというのは、ちょっと難しいような気もしますが、どうぞ、有賀先生。
○有賀構成員
今、技術的な話がされましたので、それはそれでもういいのですけれども、長らく医療安全管理部門で責任者をやってきて、僕も副院長のころですけれども、院内で顔がわかる、名前がわかるということが、むしろ該当事例について、ある職場の人間関係などを深く洞察すると、名前がわかってはいけない場合が実はあります。これは、現にやっていくとそういうことがあるので、当時から見れば必要に応じて、僕は「ある職員Xは・・・」という形でディスカッションした覚えがございます。本人にも、そういうふうにするからちゃんとしゃべってねという話をしてやっています。これは、その職員のいろいろな意味での立場を守るためには、私は必要だったのだと今、思い出しました。
このことは、匿名化に関して議論したことじゃないのですが、職員一人一人がもし何らかのことがあれば、あなたたちは自分で自分を守るための弁護士さんをつけることも必要なのですよ。病院には病院の顧問弁護士がいますので、私は私の立場として彼を利用するかもしれませんがという話もしたことがございます。この手の話が出るということは、そこまで十二分に気を使えという話なのだと私は思います。これは、現に中で働く人からすると、あのときもこれと同じだなということを思い出したので、今、発言しました。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、この点については、先ほど来出ていますように、かなり技術的なところもある、どの程度のことができるのかというところもあろうかと思いますので、引き取らせていただいて、ほかにも議論すべき点が多々あると思いますので、論点は大変よくわかりましたので、もしよろしければ先に進めたいと思いますけれども、加藤構成員、どうぞ。
○加藤構成員
別の論点の話です。資料5ページの通知の2行目ですけれども、「調査については当該医療従事者を除外しないこと」とあるのは、従来確認している点でありますけれども、当該医療従事者からヒアリングをきちんとしてくださいという趣旨と理解しているので、「調査の対象については」と、ここを明記していただきたいということであります。
○山本(和)座長
よろしゅうございましょうか。
それでは、恐縮ですが、次に6ページの調査結果の報告事項に移りたいと思いますが、この点につきましては、前回、ここはいろいろ御議論いただいて、その結果を踏まえて事務局のほうで修正文言を入れていただいております。基本的には、前回の御議論を反映しているものとは思いますけれども、Pとなっている部分、前回の御提案に基づいて作成した新たな部分もございますので、御意見をいただければと思います。
加藤構成員、どうぞ。
○加藤構成員
資料の6ページの下のほうの「当該医療従事者が報告書の内容について意見がある場合等は、その旨を記載すること」。そうすると、例えば御遺族が何か事実関係について認識に随分違いがあるという場合には、そのことを両論併記のような形ですることが可能なのか。もし可能だということであれば、あわせてその趣旨が伝わるような通知にしていただきたいということであります。
○山本(和)座長
御遺族の問題ということですかね。
どうぞ。
○松原構成員
御遺族の方からそのような意見があるときには、ぜひ第三者機構に出すのが望ましいと私は思います。
○山本(和)座長
記載すべきだという御意見ですか。いかがでしょう。今のあれに反映するとすれば、「当該医療従事者及び遺族が」という記載になるということです。
どうぞ、永井構成員。
○永井構成員
遺族がいろいろと問題や、疑問を感じて、センターへ再調査を依頼する気になっているときには、病院側もそれを理解していただきたい、遺族側の疑問についても記載しておいたほうが、病院としてもその内容は理解できていることがセンターに伝わると思いますので、ぜひそういうふうにしていただければありがたいと思います。
○山本(和)座長
いかがでしょうか。特に御異論がなければ、そのように修正したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
それでは、その部分は先ほど私が申し上げたような形で、「及び遺族」という文言を入れることにしたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ、有賀構成員。
○有賀構成員
御遺族からの異論があるかないかということと、それから、このような医療事故についてきちんと調査することとは全く独立した別個のことです。第三者を入れて、それなりの結果を出すという話は、この仕組みの基本的な話としても、先ほどの医療の質をよくすることであるという話になりますので、御遺族の意見があれば、もちろん書いても構いませんし、なければないで書く必要もありませんし、もともとの趣旨からするとそういうことなので、医学部長病院長会議はそんなことがあってもなくても、やることはやるのだという主張です。
医療者の場合には、これは根本的なことなので、書いておかないとどうにもならないのかもしれませんが、御遺族に関してはそういうことだということを一応理解した上で、では書きましょうねという話にしていただきたいと思います。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、ほかのところで。どうぞ、大磯構成員。
○大磯構成員
済みません、6ページの右側、○の2つ目、「センターへの提出及び遺族への説明を目的としたものであることを記載することは差し支えないが、それ以外の用途に用いる可能性」云々に関しましては、田邉構成員の提出資料31ページの(2)の内容を記載することが望ましいと考えます。要は、医療従事者は法律に明るくないのです。だから、何に使われるのかということに関して、通知の段階で少なくとも民事責任、刑事責任に使われますよということを明記することが、医療従事者の理解という意味から非常に重要であるということと。
3つ目の○ですけれども、「以下の事項を報告する」のところの「原因を明らかにするための調査の結果」というのは、事前のレクで聞いたときには、6条の11第一項の「厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査」から引っ張ってきていると伺ったのです。そうすると、6条の11の4項が「その結果を」ということですので、原因を明らかにするための調査の結果をセンターに報告するという読み方になるわけですね。
そうしますと、「センターへは以下の事項を報告する」ということの全体が原因を明らかにするための調査の結果であって、その内容として、例えば日時/場所/診療科であったり、医療機関名/所在地/連絡先、再発防止策云々というのがぶら下がってくるのかなと思うのですね。
つまり、報告事項1、2、3、4、5、6の中の1つのところに「原因を明らかにするための調査の結果」と入ってしまうと、「医療事故調査の項目、手法及び結果」というのは、原因を明らかにするための調査の結果じゃないのかと読めてしまうのです。ですので、この「原因を明らかにするための調査の結果」というのは上のところに来て、その中身として、日時/場所/診療科云々というのがあるという書き方をするのが、多分正しいのかなと思いました。
それと、再発防止策に関しましては、繰り返し議論がなされているのですけれども、結局のところ、昨今、東京女子医大での事例などでも調査報告書が刑事訴追の資料と既になっているという情報・報道が出ておりますので、そういったことなどが起きないように、個別事例に関する再発防止策ということを記載することは、法的責任追及に直接結びつくということを鑑みると、記載すべきではないのではないかと考えます。
○山本(和)座長
3点ほどの御意見があったかと思いますが、事務局のほうからコメントございますか。
○大坪医療安全推進室長
田邉先生の御意見書の文言ということについては、引き続き御議論いただきたいと思っておりますが、2つ目にいただきました、「原因を明らかにするための調査の結果」は、すべからく全てそうではないかという御指摘はそのとおりだと思いますが、そうなりますと、一番最初の事務局の提案では、「医療事故調査の項目、手法及び結果」という中で、今、赤で書いております「原因を明らかにするための調査の結果」のところを「原因分析」という単語で提案させていただいたものを、原因分析と言いますと意味合いがいろいろ異なる場合もあるということで、さまざま御議論を経た結果、こういう形の文言ということで前回、御提案があったところと考えております。
そうなりますので、先生の御指摘、これも調査の結果を報告するのではないかというのは、そのとおりでございますけれども、省令でお示ししている部分の中身の解釈ということになりますと、そこをもう少しわかりやすい言葉で置きかえる必要が出てくるのではないかということも考えます。
また、再発防止につきましては、これまでもたくさん御意見がございました中で、5ページに戻りますけれども、調査の中で検討することが望ましいけれども、必ずしもその策が得られるとは限らないことに留意ということであれば、無理に再発防止を何かつくり上げるということで、そういう縛りがあると思考が停止することもあるという有賀構成員の御意見も前回ございましたので、相当の配慮をして、こういう書きぶりでということで御了解いただいたと考えておりますので、それをした場合であれば、その旨記載するという委任性を担保するという形を踏まえて、今回、6ページのような言葉で提案させていただいております。
以上です。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
いかがでしょうか。宮澤構成員。
○宮澤構成員
今の再発防止策に関してですけれども、事務局のほうから御説明ありましたとおり、再発防止策は必ず書くというものではありませんし、それが必ず刑事責任の追及に結びつくというわけではありません。これは、知った上で、過去にさかのぼってどうなのか、何かやれることが再発防止のためにあるのかということの観点によるのであって、刑事責任に必ず結びつくという観点は誤りかと思っております。
○山本(和)座長
小田原構成員。
○小田原構成員
先に宮澤先生が言われて、それが誤りだと僕は思わないのですが、それは置いておきまして、今回のこれは、事務局でかなり苦心してつくられた跡が見え見えでございます。今回の取りまとめに向けて、かなり苦心されたのであろうと思いますので、私は原案どおり、これでよろしいのではないかと思いました。
○山本(和)座長
西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員
今、小田原構成員が言ったとおり、私も原案に賛成ですが、文章の解釈です。
2つ目の○で、「報告書はセンターへの提出及び遺族への説明を目的としたものであることを記載」となっていまして、下のほうへ行くと、「当該医療従事者等の関係者について匿名化」、あるいは「医療機関が報告する医療事故調査の結果に院内調査の内部資料は含まない」と書いていますので、現在、例えば東京女子医大などで出されている報告書とは違うということを、まずきちんと確認したほうがいいと思います。
私たちの研究班でも同じように、私たち研究班が考える報告書は、「院内調査資料終了後に、最終的に外部(センター、遺族)に対して提出するものを指すこととする。また、その作成目的は医療事故の再発防止であり、個人の責任追及のためのものではないことを基本的な考え方とする。そのため、個人の責任追及に繋がらないようにするための、記載事項を検討する」ということで、今、検討している最中でございます。そういうことをきちんと踏まえれば、例えば再発防止策を書いたにしても、それは責任追及となるものは書かない。そうでないものは書くという選択をすればいいということですので、そういう解釈でこのままでいいのではないかと私も思っております。
○山本(和)座長
どうぞ、大磯構成員。
○大磯構成員
西澤先生のおっしゃられたことというのは、まさにそのとおりで、医療従事者が危惧しているのは、そうならないように書いてほしいと。ただ、現状、残念ながらそのようになっていなくて、東京女子医大の事例においても、結局、調査報告書というものが捜査資料になってしまっていることに関して、強い危惧を抱いているということなのですね。
宮澤先生の御指摘の刑事事件に必ずしもなるわけではないというのは、それはそのとおりなのですけれども、刑事事件になる例があるから注意しなければいけないというのが重要な論点であって、全てがそうではないから気にしなくていいというのは暴論であると思います。
したがって、現実、刑事訴追の資料にもなっておりますので、そういった資料になっていることから、特に注意して、西澤先生が今おっしゃられたような記載の仕方をするべきであるということを、通知のところには書いていただきたいということでございます。
○山本(和)座長
松原構成員。
○松原構成員
先ほどの話に戻りますと、「原因を明らかにするための」のところは、十分に議論した結果でございますので、大変なエネルギーを費やして、大体皆さんが理解しているところなので、私はこれで良いと思っております。
2番目の問題ですけれども、確かに医療従事者は法律を勉強しているわけではないので、わからない人もいるかもしれません。しかし、今回の目的は、患者さんのため、国民のためにもシステムをチェックし直すためのものでありますので、そこを踏まえますと、これは互いに信頼して、勤務医の先生が簡単に理解できる程度のものでよろしいのではないかと思います。
ですので、もし書くとしたら、「報告書はセンターへの提出及び遺族への説明を目的としたものであることを記載することは差し支えない」で終わって、後の文は、「皆さん、よくそういうこともありますよ」ということを御説明いただけばいいと思いますし、宮澤先生がおっしゃるように、そういう話にはならないという意見もありますので、ここは一歩でも二歩でも譲って、後は我々の中でそういうことにならないようにという話をしてまいりたいと思います。
目的は、とにかく二度と同じような事故を起こさないためにはどうしたらいいかです。そのためには、適切な資料が上がらないといけません。どこかの事故のように、病院の勤務医の先生が黙秘権を行使することは医療の安全のためには決して許されることではありません。そうならないように互いに信頼しながらやっていくのを、この文書にしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○山本(和)座長
わかりました。
では、永井構成員。
○永井構成員
この再発防止の文書は、表現に関して妥協をして、いいと思います。皆様方がおっしゃっているように、個人責任を問わないようにするということは何かというと、その個人の背景なりシステム的な問題がどのぐらいあるかを検討することになるわけです。個人責任をとったら、もうそれで終わります。しかし、個人責任の背景なりシステムの問題を探求して、何も再発防止が出てこないというのは、私は絶対ないのではないかと思っています。ぜひ個人責任を問う姿勢じゃなく、再発防止をどのようにするかという深い検討をぜひ取り組んでいただきたい。そこでわかったことは、書くなり告知して、院内でもしっかり再発防止に取り組む姿勢が欲しいと思います。
○山本(和)座長
米村構成員。
○米村構成員
3点、大磯構成員からあった御指摘のうち、医療従事者に対する教示事項以外の点については、原案どおりで差し支えないかと考えております。ただ、医療従事者に対して、民事責任、刑事責任の証拠として用いられる可能性を教示するという点について、こういった内容を通知に書き込んだ場合に、それがどういう結果をもたらすかということを考えますと、私は、そのような内容を盛り込むことには、賛成いたしかねるというところでございます。
と申しますのは、基本的にはこの制度というのは、原因分析、医療事故防止のための医療安全のための原因を明らかにするための調査であるということ、そういった目的のプロセスであるということは、これはここにおられる皆様方の御了解のもとにあることだろうと考えております。にもかかわらず、こういった形で民事訴訟、刑事訴訟に用いられる可能性があるからということを通知の中に書き込むというのは、むしろそういう用途を厚労省が容認していると受け取られるのではないかということを、私は大変危惧いたします。
もちろん、田邉先生、大磯先生は、医療従事者の実態といいますか、一人一人の顔を思い浮かべられながら、こういう人々のためには、こういったことを情報として提供するほうがよいだろうという御判断をされたのだろうと思います。それはそれで大変重要な御判断だろうと思いますし、それは弁護士として依頼人の利益を守るという意味では大変重要なお考えだろうと思うわけですけれども、それを厚労省が公にそのように言いなさいと宣言するということがもたらす社会的な意味というものを考えますと、逆にこれは制度を誤解させる一つの重要なきっかけになってしまう可能性があるのではないかと考えます。
しかし、そうはいっても、一定の事項を説明する必要があるという中に、それをニュアンスとして含ませるという程度であれば、かろうじて容認できるかと思いますので、原案の表現はそのぎりぎりの妥協策として、私はこの程度であれば容認しても差し支えなかろうと存じます。ただ、民事訴訟、刑事訴訟という単語を出すことには反対いたします。
○山本(和)座長
ありがとうございました。この原案の内容で、いろいろな角度からの御見解はあるわけですけれども、文言としてはこの内容でまとまるのではないかという印象を私としては受けているのですけれども、いかがでしょうか。
加藤構成員、どうぞ。
○加藤構成員
6ページのどういうヒアリング対象者にどんな話をするかという点は、実はこの制度の大事な点でありまして、私は今までの議論で前面に出てこなかったのが、プロフェッショナルとしてのオートミーを発揮するという場面だということだと思います。ある意味ではプロフェッショナルとしての誇りをかけて、医療事故について隠さず、逃げず、ごまかさず、その原因を明らかにして、可能な限り教訓を引き出し、医療安全に生かすことによって、診療に関連した予期しない死亡事故という不幸な出来事を少しでも減らしていこうという決意をして、医療界が積極的に取り組むというメッセージは、きちんとそれぞれのヒアリングに当たってもお話ししていただきたい。
医療従事者の当事者となった方からのヒアリングに当たっては、そういう医療事故から教訓を学びとって安全な医療にしていく、そういうふうにつないでいくためにやることだから、診療経過の詳細等、知っていることは全て私たちに語ってほしいというメッセージこそ、ある意味でプロフェッショナルとして発すべきメッセージだろうと思っております。その辺が責任の問題とか、いろいろなことばかりが前面に出てくるようなありようにならないように、ぜひお願いしたいなと思っています。
○山本(和)座長
ありがとうございました。米村構成員の先ほどの御意見も同様の趣旨だと思いますが、基本的にこの文言でまとまるのであれば、それでまとめたいと思いますが、文言になお異論があるという御意見があれば承りたいと思いますが、松原構成員は、「それ以外の用途に用いる可能性については、あらかじめ当該医療従事者へ教示することが適当である」と書くこと自体に反対ということ。
○松原構成員
「差し支えない」で切ったほうがいいと私は思います。それ以上のことは、一番根底のところをまた蒸し返す話になりますので、それを通知上、書く必要はないと思います。
○山本(和)座長
わかりました。それでは、この部分につきましても、なお御異論はあるということですので、これもこちらで引き取らせていただいて、申しわけありませんが、次の話題に移りたいと思います。
7ページの。
○有賀構成員
どうしても言っておかなきゃいけないことがありますので。
○山本(和)座長
では、端的にお願いします。
○有賀構成員
プロフェッショナルオートノミーという言葉は非常にしばしば巷間で言われていますが、このようなテーマに関して言う限り、例えば昭和大学病院が患者さんの健康を守るために頑張るぞという意味で組織的な対応をしているという観点で、プロフェッショナルオートノミーという言葉を使ってくださっても構わない。ですが、何でもかんでもゲロを吐けということのために本件をプロフェッショナルオートノミーという言い方をするのは、私は間違っていると思います。ですから、その件はきちんとしておかないといけないと私は思います。
以上です。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
それでは、7ページの遺族への説明方法及び説明事項の点でございます。この点につきましては、前回、説明方法の問題について御議論があり、今回の提案では、「遺族への説明については、適切な方法により行う」ということを前提として、2番目の○で、「遺族が納得する形で説明するよう努めなければならない」という原案になっております。これも前回の御議論を反映したものと承知しておりますけれども、御意見を承れればと思います。
では、田邉構成員、どうぞ。
○田邉構成員
まず、前提としまして、事前に郵送で配付されました資料と、今日のものとが文言がかなり変わっておるのでございます。お気づきの方も多いと思いますけれども、この点の御説明が事務局からなかったので、どういうことかなというのが1つであります。このために、私のほうは意見書に反映させることができませんでした。
それと、中身でございますけれども、「適切な方法を管理者が判断する」というところはもともと黒字になっておりまして、意見も特に分かれていなかったものが赤字になって変更されておるというところも、いささか奇異でございます。
それから、次のところの「調査の目的・結果について、遺族が納得する形で説明するよう努める」というところですけれども、納得というレベルはかなり高いと思います。特に、本件の事故というのは管理者も予期しない、説明もされていない、そういうものが対象でございますから、身内を失った御遺族がそう簡単に、納得のレベルまで行くまで努めるというのは、これはかなり大変なのではないか。
ただ、御遺族の方に結果をわかりやすく説明するというのは当然必要なことでございますので、きょう出ております資料でもありますが、2-3の8ページについております。医療法第1条の4第2項です。医師、歯科医師、その他医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るように努めなければならない。こういう文言がございますので、わかりやすい言葉で丁寧に、場合によっては書いたものをお渡しになるのもいいでしょうし、言葉で丁寧に説明されるのもいいでしょうし、そういった形で「理解を得るように努める」という記載にしていただけると、医師とか医療機関のほうも十分できると思います。
御遺族にとっても、納得のレベルにこの段階で到達するのは難しいのではないかと思います。ですから、そこは医療法の言葉、法律の文言でもありますので、こちらにぜひ変えていただきたいと思うものであります。
○山本(和)座長
ありがとうございました。今、この間の経緯について、どういう経緯でこういう文言になったのかということも含めた御質問がございましたので、ちょっとそれは事務局のほうからお話をお願いします。
○大坪医療安全推進室長
御説明いたします。
第5回にいただきました構成員の御意見をもう一度見直しをさせていただきました。先週まで未定稿ということで御案内しておりました資料は、第5回のときにお示ししたものを、原案どおりという御意見もいただいていたものですから、なるべく原案をいじらない形でいろいろな方々からの御意見を反映させるような工夫をしておりました。
いま一度、いただいた御意見を整理いたしますと、3方向ほどに分かれておりまして、御遺族が望むのであれば、報告書を文書で出すという案、それを原則とするという案、第5回でお示しした案からはちょっと遠いところにある御意見もいただいておりました。また、「遺族が望むのであれば報告書を提供する」という表現にしてくれといった御意見もございました。中間の案としましては、高宮構成員のほうから「遺族の希望を尊重する」という書きぶりはどうだろうかという折衷案もいただきました。
原案どおりという御意見と相当程度離れている御意見の中で、これは医療の信頼関係で成り立つという御意見もたくさんいただいておりましたので、管理者が判断するのだという書き方をすることが、信頼関係を構築する上でよろしいのかどうかと事務局のほうも考えさせていただきまして、ここは、管理者は遺族に対して説明しなければならないとしか条文には置いておりません。その方法とかについては委任しているものではございませんので、法で規定しているものは管理者が説明するということだけでございますので、遺族への説明について、適切な方法により説明を行うということでよろしいのではないかと事務局は考えているということでございます。
また、2つ目の「遺族が納得する形で説明するよう」というところにつきましては、納得するように説明するではなく、あくまで形でございまして、これは上の「適切な方法」にかかっているわけですけれども、方法にかかる意味で納得する方法でという意味で事務局としては提案しているところでございます。
○山本(和)座長
この「納得する形で」というのはそういう趣旨のようですが、確かに日本語としては、これはちょっとわかりにくいことは間違いないですね。
どうぞ。
○田邉構成員
私はそういうことをお聞きしたいのではなくて、それでは納得する形になっていないですね。我々は非常に忙しい中で、いつも短い、タイトなところで直前にたたき台を送られて、それに対して意見書を出したり、検討してきて、きょう、速やかに意見を述べてまとめるように努力しているわけなので、それが直前になって三、四日の間で変わってしまって、事務局案がまた別のものが出て、そこにいろいろな資料が盛り込まれているというのでは、また一からやり直しなのです。ですから、今日、最後でそんなことを言うのもあれかと思いますけれども、そういった運用自身がいかがなものかと思います。
「納得する形で」と言うのですけれども、納得というのはかなりレベルが高いですよ。形ということをお考えになるのであれば、医療法の文言で理解を得るということで十分じゃないかと私は思います。
○山本(和)座長
従前お示ししていた事実上の案が直前に修正されたということについては、座長として私にも責任があると考えておりますので、これは構成員の皆さん全員に対してお詫びを申し上げたいと思います。
中身についての御意見、引き続きいただきたいと思いますが、宮澤構成員から。
○宮澤構成員
中身の部分なのですけれども、6ページに戻っていただいてお読みいただきたいのですが、赤字で書いてある部分です。「報告書はセンターへの提出及び遺族への説明を目的としたものである」。報告書というのは、遺族への説明を目的としたものであるとはっきり書かれている。ということになると、7ページに戻りますと、遺族への説明のためにつくられている、説明を目的としてつくられている報告書が、この説明の際に交付されないというのは、明らかに2つの文章の中で矛盾していると思います。
その意味では、ここは「遺族への説明については、報告書を交付し、口頭で説明を加えるという方法により行う」とすべきと考えています。それは、今までの議論にありました適切な方法、あるいは納得する形。いわば抽象概念であって、人によって中身がどのように盛られるかというのは極めて多様になっております。通知の形として出すためには、具体性をもって、どのようにしたらよいのか、現場で混乱が起こらないように方法をきちんとガイドするものでなければならないと思います。その意味では、前の部分と合わせるように、報告書というのが遺族への説明を目的としてつくられたものである以上、それを交付しながら説明する。これが前提、大原則であると私は考えています。
○山本(和)座長
その場合に、遺族としては必ずしも説明書の交付は必要ないと、口頭で説明してくれれば足りるという場合まで、説明書の交付は必要と。
○宮澤構成員
その意味では原則ということで結構です。遺族のほうで説明書は要らないという形で表明されたのであれば、その場合にまで渡す必要はないと思います。
○山本(和)座長
恐らく事務局としては、それをこの「納得する形で」というところで表現しようとしたのだと思いますが、先生がおっしゃるように多義的だという御批判はあるだろうと思います。
堺構成員。
○堺構成員
この場で口頭あるいは紙面で議論があったわけですけれども、医療現場の意見が今までなかなか議論されていなかったような気がするのですけれども、実は今回、日本病院会でアンケート調査を行いました。提出資料の27ページをごらんいただきたいのです。
日本病院会でやったわけですけれども、ちょっと簡単に御説明申し上げます。世の中では、日本病院会は公的病院優位、大病院優位ということが言われているのですけれども、決してそんなことはないので、平成27年1月15日現在で会員病院が2,411病院あるのですけれども、そのうち公的病院が35.5%、私的病院が64.5%です。病床規模でいきますと、200床未満が49.4%ですから、必ずしも言われているような構成じゃないということでございます。
今回、27ページの調査概要にありますけれども、去年の10月3日から11月28日までアンケートを行いました。892病院、実に37.2%の施設から回答をいただきました。先ほどの病床規模に関連して言いますと、回答病院のうち200床未満が36%で、500床以上が20%です。
1枚おめくりいただいて28ページでございます。これは、質問として「新制度では、院内調査の『結果』は、遺族へ報告、説明することに決まっています。『報告書』や『説明書』に関してお聞かせ下さい」ということです。決まったわけではなかったわけですけれども、報告書を遺族に渡すことについて、実に73.9%の病院は、「当然手渡すべきである、匿名性を配慮した上で手渡すべきである」。それから、13.2%が、説明を十分に行うので、先ほどおっしゃいましたように、納得が得られたら渡さなくてもいいだろうということです。
それから、「説明会」について、説明会はこの検討会では議論がなかったわけですけれども、必要性について、83.5%が必要あるのではないかということを言っています。
それから、「『説明会』での遺族、病院からの質問の対応」につきまして、「報告のみとし、質問は一切受け付けない」というのはわずか0.3%。
ですから、これは日本病院会の会員病院に限ったことではございますけれども、現場の病院は、報告書の手渡しについてはかなり前向きに考えているということをぜひ御理解いただければと思います。
以上でございます。
○山本(和)座長
ありがとうございます。大変貴重な資料を提出いただいたところです。
どうぞ、和田構成員。
○和田座長代理
最初に、まず規範的、理念的、制度論的に整理をしてみたいと思います。第一に、事故が起こったことについて、透明性をもって患者さんにその経緯をきちんと伝えていく。それを理解してもらえるような形で、文書の形で交付するということは、僕はあるべきことだと思っています。ただ、これは、判例上、顛末報告義務として医療側に課せられているアカウンタビリティのシステムです。それはそれとして必要なシステムとしてあると考えています。
他方、第二に、この検討会で議論しているシステムというのは、冒頭の座長の整理を初め、議論の中でも何回も出てきているように、医療安全の向上を目的とするものだということです。中島和江先生のプレゼンでもあったと思いますが、こちらの医療安全向上システムの場合には、非懲罰性、あるいはその前提として、むしろ秘匿性が要請されるようなシステムだということです。
そうすると、先ほど宮澤先生がおっしゃったように、患者さんへの説明を目的のひとつとしている制度ではありますけれども、そのことと文書をそのまま患者さんに交付しなければならないということは、ちょっと違う、直結はしないだろうと思います。
私自身の解釈としては、この医療安全向上のための文書は公開するかどうか、一応括弧つきであるかと思います。ただし、同時に、地方で、アカウンタビリティー上の説明文書というのは必要だとも思います。たとえば、医療安全上のこの事故報告書に基づいて、患者さんへの説明文書を病院が別途作成し、透明性を保つために、交付するということは必要なことだろうと思います。これは理念的、制度的な整理です。
他方、機能的、実質論的なところで申し上げますと、今、病院会のデータにもありましたように、恐らく多くのケース、たとえば、患者さんと病院の間で大きなそごもなく、両方が協調的に考えておられるような場面では、医療安全向上システム上の今回の事故報告書を、アカウンタビリティー文書として流用する形で提出されるということも、それは当然あっていいことだと思います。
しかし、医療安全向上を目的とする文書を、アカウンタビリティのための文書として交付することを原則としてしまうと、よしあしは別として、恐らくこの制度自体が機能しなくなってしまって、防御的に対策をとらざるを得ないと考える医療者の方たちもたくさんいらっしゃると思います。これは1件であっても、あるいは単なる可能性であっても、そのリスクに直面した人は防御的反応をとります。そうすると、医療安全文書の中に本当の医療安全に貢献するような豊かな情報が盛り込まれない。本当に貧困化して形式的なものになってしまうと、制度自体が本当に意味がなくなってしまう危険がないだろうかという危惧を持ちます。
そこで、結論ですけれども、今回の厚労省のほうで出されている上のほうの文章ですけれども、これは先ほども出ていましたように、これまで議論を重ねて、さらにいろいろなことを考慮されて、苦渋の中でこういう文章にされたかと思います。ですので、今の述べたような現実上の可能性とか、あるいは二面的な制度の規範的な枠組みということを考えた場合には、恐らくこの文章以外にない。この文章のもとでは、もちろん文書を提供出来るケースでは医療機関は医療安全文書によって、アカウンタビリティーを同時に果たすこともできるでしょうし、そうでなくて別途のアカウンタビリティー文書をつくることも可能になります。これが一番妥当なところではないかと思います。
それから、もう一点、今のとは違う論点で、2つ書いてある後段のほうです。内容じゃなくて「納得する形で」と提案されていますけれども、そうであるとすれば、形の部分は、前段で「適切な方法により行う」という文言の中に、むしろ含まれているのではないかと思います。そうすると、むしろシンプルに元の形でもいいのではないかと思います。僕としては、余り両極端な議論では合意は難しく、厚労省のまとめあたりが最終的な落ち着きどころかなと考えております。
以上です。
○山本(和)座長
その落ち着きどころというのは、2つ目の○も含めてそうなのかどうかということですか。
○和田座長代理
2つ目のところは、今、申し上げたように、僕個人としては上のほうにも含まれていて、元の前段のみのシンプルな形がいいだろうと思いますけれども、強くそれを主張しなければならないとは考えておりません。前段のところがこういう形でまとまれば、それでよいのではないかと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。では、西澤構成員。
○西澤構成員
まず、この報告書の件ですが、今、堺先生から日本病院会でのアンケートの結果が出ました。私たちの協会でもいろいろアンケートとかをやっておりますが、報告書自体を出すか出さないかということはアンケートしていないのですが、それは出すのが当然だろう的な雰囲気で今、議論が行われているということだけは紹介しておきたいと思います。
それから、「納得」という言葉ですが、よくある言葉だと受け取る方もいるかもしれませんが、思い出したのですが、お亡くなりになりましたCOMLの辻本さんという方、たしか数年前の医療部会委員です。そこで、当時、インフォームド・コンセントとか患者さんと医療人の信頼関係という話があって、説明するだけじゃだめなのです。それを理解して納得することが大事なのですということで、あのとき、たしか医療部会の中で患者・国民の「納得」という言葉が初めて入ったと思います。厚労省はそういうことを踏まえて「納得」という言葉をずっと使ってきたと思います。
そういう思いをここで入れるかどうかの判断だと思います。私としては、そういう思いは入れていくべきなのかなと考えております。
○山本(和)座長
高宮構成員、どうぞ。
○高宮構成員
前回の検討会で遺族の希望を鑑みるということを言った日精協の高宮ですが、今回の事務局の案は非常によくまとめられていると思いますので、ぜひこの文案で進められることを希望いたします。
○山本(和)座長
どうぞ。
○田邉構成員
西澤構成員の御発言ですが、納得医療、インフォームド・コンセントは、医療行為の事前の話なのです。侵襲行為を受けるようなときは、もちろんその中身がわかって、納得して、本当に腑に落ちた形でリスクも受け入れた形で受けていただかないといけない。これはよくわかるのですけれども、今回の事故の制度というのは、実際に非常に最悪のシナリオが起こってしまった。その後での事柄ですから、そこで納得というのはなかなか難しいと思います。そこにどうしても納得できないと続けて、医療従事者との間でずっと緊張が高まっていくようなケースはいっぱいあります。だから、そこを努力させるというのは、僕は余り適切ではないのかなと。
だから、むしろそれよりも客観的に十分な、わかりやすい説明をするというところに重点を置いていただいたほうがいいので、「理解」という医療法の文言を用いるとか、従前の事務局案であります「分かりやすく」といったところに重点を置いた通知にしていただいたほうが、「納得」と書いてあるじゃないかということで、いつまでもある意味おつき合いをしなければいけないということもあるわけですね。そういうことになると、医療従事者の疲弊というのは並大抵のものではないと思いますし、こういった点でも、私のようにずっと納得せずにいる者もおるわけですから、そういった御遺族に直面する医療機関のことも考えていただきたいと思います。
○山本(和)座長
御趣旨は大変よくわかるところです。原案の趣旨、私の理解では、先ほどもありましたけれども、「遺族が納得する」という部分は、調査の結果等についてまで納得するように説明するというよりは、その形式、口頭で説明するのか、書面を渡すのかというところが納得するという趣旨ではないかと理解しているのですが、どうぞ、米村構成員。
○米村構成員
私には、田邉構成員の御意見は、大変よく理解できるところでございまして、先ほど和田構成員からも指摘がありましたように、この2つの○の関係がよくわかりません。そういった論理関係を気にするのが法学者の悪いところでありまして、しかし、こういう場では少しお役に立てるかもしれないと思って発言させていただきます。
前段と後段が同じようなことを言っているようで、しかし、少し違うことを言っているようでもあるので混乱を招くように思います。特に、「納得する形で」という「形」が極めて曖昧な言葉でありまして、普通、法律や公式文書などでは通常出てこない表現ですので、それが、内容的にも納得を得なければならないと読めることになるのではないかという田邉構成員の御指摘につながるのだろうと理解いたします。その意味で、私、田邉構成員の指摘に賛成でありまして、これは若干修正を要するのではないか。少なくとも内容についての納得を得るということと、手段・方法についての納得を得るということは違う話ですので、それを違う形で規定するほうが望ましいだろうと考えております。
基本的には、医療法1条の2でしたでしょうか、法律の規定などとの対比で申しますならば、一般的に内容についてであれ、手段・方法についてであれ、「遺族が十分理解できるよう説明することを努めるものとする」とか、その程度の表現は絶対入ってよい表現であろうと思います。ですから、最初に総論的に一般的な内容・手段・方法、全てを包括した努力義務というものをまず書いていただいた上で、具体的な説明方法について遺族が納得する適切な方法により行うということではいかがでしょうか。第1項目と第2項目をひっくり返して、第2項目を総論的な規定として位置づけ直し、第1項目を新たな第2項目として、手段・方法に関する規定として位置づけ直す。それに特化した規定として、遺族の納得は新しい第2項目のほうに入れていただくというのが適切ではないかということで、改めて御提案さしあげたいと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございました。恐らく今のが事務局の趣旨を適切に説明してくださった。そして、規定の仕方としては、そのほうが望ましいのではないかという御意見だったと思いますが、いかがでしょうか。
永井構成員、どうぞ。
○永井構成員
この2番目が出てきたのは、正直なところ、宮澤先生がおっしゃったものが我々の強い要望でありました。しかし、この2番目について言うと、田邉さんがさっきおっしゃったように、報告書を渡すことも含む。要するに、さっき堺先生もおっしゃったような、報告書を説明されても、いただいて検証したいということがあるわけですから、そこに対して、まずそういうものも遺族が強く要請したら出すことについても、具体的に書いてもらうのが一番いいのです。さっきの田邉さんのお話の中に、報告書の提出みたいなものも入っていますとおっしゃっていただいたので、そういうことまで含んで理解できます。
それができにくいのだったら、宮澤先生がおっしゃったぐらいのはっきりわかる言葉にしていただきたいと強く思います。
○山本(和)座長
では、加藤構成員。
○加藤構成員
遺族への説明に関して、文書できちんとすべきだというのは、かねてより言ってきたところですので、繰り返しはしませんが、きょう、堺構成員からの資料で、約74%の医療機関が当然手渡すべきであるという状況になっています。この制度がスタートして、年月が過ぎていくときには、そういうことが当然当たり前になっているのだろうと思っています。その将来の方向性という意味では、要らないという人にどうしても渡なきゃいかぬかどうかは別としても、欲しいという人に渡さないというありようこそ、非常に不自然な感じがするわけですね。
ですから、方向としては、原則的に希望すれば交付すべきものであるという趣旨のことを、この中に入れてほしいと思っているのですが、そういう趣旨を踏まえて、この通知ができているということであれば、この文言、基本的に「形」のところは、先ほどの米村構成員の整理の仕方でもよいかと思いますけれども、趣旨としてはそういう意味合いで理解して賛成したいということであります。
○山本(和)座長
小田原構成員、どうぞ。
○小田原構成員
混乱しないように黙っていたのですが、宮澤構成員の話を支持される話がたくさん。さっきの説明、法律家の先生に素人が言うのは甚だ失礼でございますが、6ページの報告書その他を御遺族に渡すのは当たり前だという説明をしておりましたが、法律がそのようになっていないのでありまして、センターへの提出と遺族への説明、2つの項目ですね。
しかも、前段の部分については、これは提出と書いてありますが、第6条11にセンターに報告しなければならないと書いてありますし、遺族のほうについては6条の11ですか、報告するに当たって説明しなければならない。2つの項目を書いてあるわけですから、これは2つの項目であって、宮澤先生が言われたように1つに両方をということではないのではないかと思います。
したがって、いろいろ意見もあるでしょうし、先ほどの日病の調査にしても、十何%であれ、とんでもないという異論があるわけでございます。非常に苦心の策でまとめられた案でございますので、とりあえずこれで取りまとめるというのが適当ではないかと思います。
○山本(和)座長
今の御意見の趣旨は、2番目の○、「遺族が納得する形で」というのが遺族が納得するような適切な方法によって行うという趣旨かと思いますが、そういうことであれば了解できるということですか。
○小田原構成員
私は、基本的にはこれは理解だろうと思います。ただ、先ほどから方法論についてのものだということでございますので、そういうことを明確にさせるのであれば、のめない範囲ではないなという意味で、もろ手を挙げて賛成ということではございませんが、ここまで来た事務局の苦労を考えると、ここらが限度なのではないかということで手打ちはいかがでしょうかということを申し上げたところでございます。
○山本(和)座長
ありがとうございました。みんながもろ手を挙げるのはなかなか難しいと思っていますので。
有賀構成員、どうぞ。
○有賀構成員
日本病院会のデータを私、見て、大変いろいろなことを思い出しました。医学部長病院長会議でも、何かをした後に報告するときに報告書をつくらないという話はあるまいということで、医学部長病院長会議の中の理事会なり総会で随分しかられました。
しかし、今度の法律の基本的な筋からいえば、渡すことに関して全く問題はないのですけれども、ひょっとしてひょっとすると。利益相反的な要素が入っているような形で、この委員会が展開していることはもう否めない事実なので、そういうことを全体として考えれば、これは報告書の持つ問題点についても議論すべきなのだという話を私は医学部長病院長会議の中で孤軍奮闘で話をした。みんなだんだんわかってきて、有賀さんの言うことは正しいのではないかということで、最終的にあのメッセージになっているのです。
ですから、日本病院会のこのデータは、素直な、非常によいドクターたちがそのままやれば、僕も実はそうなのです。だけれども、こういう社会の仕組みということを考えると、77%オーケーだからいいという問題ではないということだけはしっかりしておきたいと思います。
それから、もう一つ、米村先生が上のほうに持ってきてもいいのではないかという、「納得する形」という部分の話ですが、この「納得」という言葉は皆さん非常によく使っているのですが、例えば安全と安心という言葉がありますね。安全はサイエンスですけれども、安心は心の問題です。つまり、飛行機は何万回飛んで1回落ちる。だから、安全だ。だけれども、安心しないので乗らない。これは心の問題。
だから、説明とか理解をというのは、これはある意味サイエンスなのですが、納得というのは心の問題なのです。ずっと心の問題じゃない文言がきちんと並んでいたときに、突然「納得」という言葉が出てきたので、僕は事前の資料をもらったときに、ここだけ違うディメンジョンが展開したなという感じがした。そういう意味で気持ち悪いと思ったのです。だから、医療法云々で「理解」ということであれば、理解する形で説明するという話だと思います。
もう一つ言うと、「努めなければならない」。上は「行う」ですし、そもそもさっきも「内容を示す」ですし、「匿名化する」ですね。「努める」で私はいいのではないかと思うのです。なぜここだけmustとかhave toみたいな話がぽんと出てくるのか。通知というのは、守ってねという話になるわけですから、私は「遺族が理解する形で説明する」とか、そういう普通の言葉にしてほしい。
○山本(和)座長
堺構成員。
○堺構成員
和田構成員の御意見に一言だけ言わせていただきたいのですけれども、これを余りやると、この制度自体が成り立たないのではないかということをおっしゃったと思うのですけれども、実は先ほど言ったように、有賀先生が別に捉えられたのですけれども、75%ぐらいがやろうと思っているし、そういう病院が大半なのですね。制度が成熟してくると、そういう病院がどんどんふえてくると思っているのです。ですから、医療現場ではこういう医療安全というのを非常に真摯に取り組んでいますし、これを悪くするような考えは余り働いていないと思うので、ぜひその辺は誤解のないように御理解いただければと思っています。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
全体の御議論としては、「遺族が納得する形」が説明の適切な方法にかかるということを前提として、それで原案の趣旨でよいのではないかという御議論、御意見と納得というのはなお強いのではないか、遺族が理解するというところが適切ではないかという御意見があって、私はそんなにそれが違うことを意味しているようにも思えないのですが、文言的には、なお御意見に違いがあるように伺いました。
では、豊田構成員、どうぞ。
○豊田構成員
これは、結局のところ、遺族に対してきちんと説明することが大切な目的なので、遺族に内容がわかるように、丁寧に説明して、その内容が伝わればいいわけなので、「納得」とか「理解」という言葉を無理に当てはめることで言い合ってもしかたがないと思います。伝わるように努めるのは、医療者は当たり前だと思っていらっしゃると思うので、余りにも納得されないようでしたら「納得」をとっていただいても、私はいいと思います。それよりも、現場で努力することのほうに努力していっていただきたいので、「納得」をとったらいかがでしょうか。もちろんほかの言葉遣いにするわけですけれども、「納得」ではない言葉をきちんと考えたほうがいいと思います。
○山本(和)座長
それは、理解を得るとか、そういうものでも構わないという御趣旨ですか。
○永井構成員
豊田さんは病院の医療安全を担当する立場にいるから、そうおっしゃるかもしれません。もしここを「理解」にするなら、豊田さんと同じことを言うと思うのですが、遺族が納得するように十分に分かりやすく説明してほしい。要するに、理解を深めるということが物すごく大切なことなのですが、1回ぐらい説明してわからなくて、次にお願いしても、もう説明したでしょうとか言って断ってしまう病院はまだ結構あります。患者さん、また遺族に、納得までは確かに難しいと思います。理解するように説明してほしい。
その理解の中には、報告書を自分で持っていって、一生懸命勉強して、そして理解しようとします。それが何もなかったら、理解するすべはない。そういう意味で、「理解」という言葉がいいとすれば、理解できるように、1回ぐらいの説明でシャットアウトせずにやっていただきたいというのが強い願いです。
○山本(和)座長
その理解できるように説明するのであれば、必ずしも報告書自体を交付するということまでは必要ない。
○永井構成員
報告書は欲しい。
○山本(和)座長
それは、多分そういうことだと思いますので。
○豊田構成員
ですから、結局、納得したいという話からこうなっているので、通知のところに「納得」という言葉を入れるのが適切でないならば、それは外してもいいと思いますし、「理解」という言葉でいいと思うのですけれども、永井さんも多分同じだと思いますが、納得する、理解するために報告書が欲しいという話が遺族からあれば、それは対応することに努めてくださいということです。実際に、納得するために報告書が必要だという方もいらっしゃるのですから、私たちとしては、報告書を交付していただきたいというのが一番の願いです。
ただ、現時点で、このスタートの10月の時点で、どうしても全件やることが難しいということであれば、譲歩した形にはなりますが、医療機関が努めていく中で、医療者の方々、病院の方々もどういうことが大切なのか、必要なのかということを、やっていく中で理解されると思いますので、患者側としては交付していただきたいという気持ちに変わりはありませんけれども、その辺を御理解いただき、行っていただきたいです。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
原案は、調査の目的・結果を遺族に対してわかりやすい方法で説明する。これがほとんど黒字だったのですね。これを変えたことで混乱していますから、どうでしょうか、原案に返すというのが皆さん、一番納得がいく話ではないか。皆さんおっしゃっていることは、まさに原案どおりの話をされたのではないかと思いますので、原案に戻すということで、後は事務局案どおりということでいかがかなと思いますが。
○山本(和)座長
事務局の趣旨としては、私の理解を申し上げると、これは先ほど米村構成員がまとめていただいたのと基本的には同種だと思うのですけれども、まず全体としては、遺族への説明に当たっては、遺族が十分に理解できるように、わかりやすい説明に努めなければならないということがある。
その説明の方法については、この上の○にかかるわけですが、遺族への説明については、遺族が納得するような適切な方法。それが口頭又は書面若しくはその双方という、この適切な方法というところが、遺族が納得するような適切な方法というのが、確かに書き方はよくなかったと思うのですが、原案はもともとそういう趣旨だと思うのですが、そのような理解で全体のコンセンサスが得られるかどうかを確認したいと思います。
どうぞ、田邉構成員。
○田邉構成員
それだと反対です。納得ということは、要するに心情的に受け入れないといけないレベルですので。
それから、方法についても。
○山本(和)座長
方法についてです。納得するというのは適切な方法だけにかかります。
○田邉構成員
報告書原本でないと納得しないといった場合、納得しないとなりますから、それはまずいのではないか。
○山本(和)座長
それは反対ということですね。
○田邉構成員
だから、方法については、端的に原案でいいと。ここは、むしろ中身の説明については理解を得るようにきちんと説明しましょう。その2つを書くというほうがいいと思います。
ただ、事務局のほうが、もし御説明のようなお考えでお書きになっているのであれば、それはちょっと違うのではないかということを申し上げたいと思います。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、これは御同意は、なかなかコンセンサスは得られないということだと思いますけれども、賛成の御意見ですか、コンセンサスを得られると。どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
苦心作ですから、事務局案でもういいのではないですか。もうまとめましょう。
○山本(和)座長
どうぞ。
○葛西構成員
日本病院会の調査にもありますように、私は宮澤構成員の意見に賛成です。今後のことを考えますと、例えば「報告書又は説明用の資料」となっておりますので、原則として書面を用いる。あるいはそれがこの原案どおりということになりますと、書面又は口頭ということになると思います。原則として書面を用いていくのは、今後の医療のあるべき姿だと思います。
○山本(和)座長
宮澤構成員は、先ほど私が提示したというか、事務局の趣旨ですが、それで御納得というか。どうぞ。
○宮澤構成員
発言の冒頭に、文言としては、「遺族への説明については、報告書を交付し、口頭で説明を加える方法により行う」という文書がよろしいのではないでしょうかと言っておりますので、この場合、報告書の交付が前提になると思います。もちろん、座長が言われたとおり、要らないと言っている方に無理やり渡すというわけではありません。原則の形として報告書そのものを渡すということを前提とするというのが意見です。
○山本(和)座長
それは、遺族が納得する適切な方法というのと違いますか。
○宮澤構成員
違うと思います。遺族が納得するというのは、「納得」というのは、今まで幾つか議論が出ているように抽象概念ですから、その中身がどういう形のものを持つのかというのは、極めて多義的で、同床異夢という形になる危険性があります。特に、この通知という形で出す限りは、具体的な内容を含む必要があると思っています。その意味では、「納得」とか「適切な方法」という抽象概念が入ってくるのは好ましくないと考えております。
○山本(和)座長
わかりました。ということで、今、事務局の本来の趣旨を反映したような文章も私から申し上げさせていただきましたが、なお反対の方向からだと思いますが、それについてはまさに納得できないという御意見がございましたので、この点についても預からせていただいて、これはかなり大きな問題だと思いますので、きょう決着をつけるのは難しいことかと思いますが、松原構成員。
○松原構成員
いろいろな考え方があります。私はこの制度を適切に運用して必ずや日本の国の医療にプラスになると思っております。ここでいろいろな意見が一方に偏ってしまいますと、結局はうまくいかなくなります。いろいろな立場の方がいらっしゃいます。病院の管理者・経営者の方もいれば、勤務医の先生もいらっしゃいます。家族の方、遺族の方もいらっしゃるし、病気になって、病院にかかって手術を待っている方もいらっしゃいます。そこで一遍に全てを思うようにではなくて、互いに歩み寄りながらやっていかねばならないと思います。
恐らくこの文章は、事務局が相当苦労して、行ったり来たり、意見を聞いてくださってつくられた文章ということがにじみ出ております。ぜひ、私はこの文章でとりあえず始めさせていただければ、先ほどの75%だけではなくて、私たちは医療界として、これが全員が出せるような形になるように努力いたします。そこを信頼していただいて、ぜひこの形でまとめていただきたいと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
どうぞ、大磯構成員。
○大磯構成員
和田先生が、おっしゃられたように、説明責任の議論というのは本制度から外れているところですので、医療安全という意味でQ&Aにも書いてあるように、責任追及にならないように議論していただきたいというのは、そのとおりだと思います。しかし、残念ながら、報告書を紛争解決のツールと考えていらっしゃる方もいらっしゃるようですので、そのような考え方はないので、考え方を変えていただかないと困るということであります。
今回、ずっと手を挙げていたのは、その議論はとりあえず小田原先生の結論で納得なのですけれども、もう一点。
○山本(和)座長
別の点ですか。
○大磯構成員
6ページと7ページに関して、別の点です。
○山本(和)座長
わかりました。それは、後で御発言いただく機会をちゃんとあれしますので、今の点だけですが、とりあえずこの説明方法につきましては、かなり多くの方々が事務局の示したといいますか、私が読み上げたようなところでよろしいのではないかという御意見、さまざまな立場からそういう御意見が得られたように思います。ただ、まだ最終的に納得いただけない構成員も存在するということは明らかだと思いますので、今の段階で私の判断では取りまとめるということは難しかろうという感じを持ちますので、これはここで取りまとめたという結果にはせずに、私のほうで預からせていただきたいという形にしたいと思います。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○小田原構成員
今、預かりと言われましたが、取りまとめをしないという意味でしょうか。
○山本(和)座長
ですから、きょうは取りまとめは難しいという私の認識です。
どうぞ、松原構成員。
○松原構成員
いつまでもこの議論をしていましても、それぞれの立場があります。互いに信頼して、自分の意見だけではなくて、これで1回やってみて、そして、だめであればまた考えていくという方法をとらないと。ポジションが皆さん違いますから。しかし、これをきちんとやることが国民のためになり、良い医療ができるわけですから、ぜひ取りまとめていただきたいと思います。
○山本(和)座長
取りまとめろという御意見も。
○小田原構成員
会議の予備日をとっていないのです。
○山本(和)座長
しかし、最初に強引に取りまとめるつもりはないと申し上げましたし、会議が始まるに当たって強引に取りまとめるなという御意見も頂戴していますので、座長としては、それは反映せざるを得ない。しかも、この会議の規則においては、多数決で決めるという規定はありませんので、納得されない構成員がおられる限りは、それは取りまとめはできません。私にその権利はありません。ですから、私は伺いました。納得されないですかと伺ったところ、何人かの構成員は納得しないと言われたので、それはできないということです。
それでは、もう一回確認しましょうか。どうぞ、田邉構成員。
○田邉構成員
それで取りまとめないとすると、両論併記の方法と、続行して会議を続けるというのと2つの方法があるのですけれども、座長はどちらをお考えでしょうか。
○山本(和)座長
もし可能であれば、もう一回続行したいと思いますが、先ほど松原構成員が言われたように、何回議論しても同じであるということであれば、それはその段階で両論併記にならざるを得ないというのが私の認識です。
○小田原構成員
今回が最後で、何とかまとめようということで我々は協力しているつもりですが、意見が違えばまとめないということであれば、意見はもともと全く違うわけですね。要するに、最初からこの話はまとまらない。
○山本(和)座長
おっしゃるとおりで、それでどういうところであれば、全員が納得するのは難しいけれども、ぎりぎりこれであればやむを得ないと。松原構成員が言われたように、これで制度として始めてみようということで、構成員の皆さんがもろ手を挙げて、先ほど言われたように賛成ではないかもしれないけれども、取りまとめには反対しないということであれば、それは私はぜひとも取りまとめたいと思っております。
○小田原構成員
それを何とか取りまとめようということで、事務局のこれでいいじゃないかということで、いろいろあります。言いたいこともあるが、今回出ている、これでまあいいじゃないかという話をしているわけですね。それで、座長が言われるように、最初からその話であれば、こっちはこっちの言い分はあるわけですから、それは原点に返って、議論の最初に返る話になるのではないかと思うのです。
○山本(和)座長
どうぞ、堺構成員。
○堺構成員
随分いろいろ座長に気を使っていただいて申しわけないですけれども、もう一度先ほどと同じ質問をしていただいて、できたら、きょう取りまとめいただいて、両論併記というのはできたら避けていただきたい感じがするのですけれどもね。
○山本(和)座長
それは、私の希望でもあります。
どうぞ。
○田邉構成員
済みません、事務局案というのが前回と今回、ここに出ているもの。いろいろごっちゃになって、もう一度、これが事務局案だというものをアナウンスしていただいて、それでいいかどうかということを確認していただければ。
○山本(和)座長
印刷物があるのですか。
○大坪医療安全推進室長
恐れ入ります。今、御意見いただきまして、きょう、なるべく合意をいただきたいということで、事務局のほうで米村先生ですとか、あと理解に努めるよう、小田原先生の意見を反映したものを今、修正をおつくりいたしましたので、それをほかの議論を進めていただく中で、後ほどまたお配りして確認いただけたらありがたいと思っているのですけれども、よろしいでしょうか。
○山本(和)座長
もし、そういうことでよろしければ、本来であれば休憩時間中にそれをやっていただくべきなのですが、時間がありませんので、恐縮ですけれども、議論を進めていただいて、印刷物ができましたら、またここに戻りたいということにしたいと思います。
どうぞ。
○小田原構成員
今の話、これを取りまとめる方向なのかどうかの確認。かなりオーバーヒートしていますから、私もトイレに行きたいし、どうでしょう、5分ぐらい休憩して頭を冷やすというのは。
○山本(和)座長
そうしないでも恐らく延長になると思うのですが、かなり延長になりそうですが。
○小田原構成員
では、5分休憩で5分延長で。
○山本(和)座長
では、かなり厳密に5分間ぐらいの休憩をとりたいと思います。
(休 憩)
○山本(和)座長
それでは、構成員全員おそろいですので、再開したいと思います。
休憩中に先ほどの文書が皆さんのところに。まだ配られていない。では、早く配ってください。
(文書配付)
○山本(和)座長
それでは、念のために事務局のほうで読み上げていただけますか。
○大坪医療安全推進室長
かしこまりました。
1つ目の○のほうで、1番と2番を逆転させております。「遺族への説明に当たっては、遺族が十分に理解できるよう、わかりやすい説明に努めなければならない」。
2つ目の○につきましては、「遺族への説明については、遺族が納得する適切な方法(口頭)」、口頭の後ろに省略しておりますが、説明内容をカルテに記載又は書面。書面の後ろも、従前の報告書又は説明用の資料を追加していただければと思います。「若しくは、その双方により行う」という案でいかがでしょうか。
○山本(和)座長
という提案ということになります。
それでは、これで取りまとめとして受け入れていただけるかどうかということをお伺いしたいと思います。
どうぞ、宮澤構成員。
○宮澤構成員
今回、御苦労されて内容をお書きいただいて、「遺族への説明については、遺族が納得する適切な方法」という形で、その中に書面、書面の中には報告書又は説明用の資料ということでありますので、納得する形で遺族の希望に従うということがこの文書の中に担保されていると考えますので、この案であれば賛成いたします。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
ほかに。永井構成員、どうぞ。
○永井構成員
今、宮澤先生が担保されていると。僕、担保は、遺族が要望したら報告書がいただけることの担保が、本当にこの文章説明であるのかなと。それが、この間の「納得する形で」というのは、その部分も含んでいると私は思ったのですが、この文章の中ではそれがなくなってしまっているのではないかと思います。この辺、僕のとり方が間違いなのか。宮澤先生、これでどうして担保されるのですか。
○山本(和)座長
どうぞ、宮澤構成員。
○宮澤構成員
遺族が納得する適切な方法ということで、どの形で納得するのかということは遺族側に投げられている課題だと考えています。したがって、方法に関して、事故報告書を渡してください。これで納得いたしますということを遺族がきちんと表明すれば、その形によって説明がなされると考えますので、私はこの書き方で内容的には担保されていると考えています。
○山本(和)座長
どうぞ、永井構成員。
○永井構成員
「遺族への説明については」と書いてあるのですね。だから、この方法の中に、若しくは、双方かの後ろに「報告書の交付」という言葉が例えば入れば、それは必ずしも要求するのではないですけれども、そういう言葉がない限りは、説明について口頭又は書面での説明だけすれば、報告書を交付しなくて良いとなってしまうのではないでしょうか。
○山本(和)座長
そこは、先ほど事務局が説明して、これが不正確で。
○永井構成員
書面を説明の後に遺族から書面を取り上げることだってあるわけです。
○山本(和)座長
それは想定されていないと思いますけれどもね。
○永井構成員
それはないのですね。
○山本(和)座長
だから、それも含めて遺族が納得する方法だということだと思うので、それは普通、遺族は納得しないのではないか。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
先ほどから私は、最初の事務局案に賛成だと申し上げてまいりました。
まず、今度の案ですが、これは議論の経過上、ここの説明の項目については、書きぶりは別として、管理者の判断でということはずっと決まってきた話でございます。ここの部分については、「納得する」を削っていただきたい。説明については、適切な方法でということであればオーケーでございます。それでなければ、最初の原案のほうがよろしい。
○山本(和)座長
田邉構成員、どうぞ。
○田邉構成員
私も小田原構成員の意見に賛成であります。前段については問題ないと思うのですけれども、遺族が要求すれば、センターが出した報告書そのままを遺族に交付しなければいけないという義務を含む規定であれば、絶対に反対でございます。取りまとめる必要はありません。
○山本(和)座長
わかりました。取りまとめに御反対だという御意見がございましたので、この段階で取りまとめるということはできないということになると思います。ということで、そういう意味でこの点は私に引き取らせていただきたいと思います。
どうぞ。
○大坪医療安全推進室長
一応確認でございますが、もともとの原案について、もう一度御意見を伺っていただくのは可能でしょうか。
○山本(和)座長
わかりました。全くの原案ですね。きょうの原案だとすると、先ほど管理者が。
○大坪医療安全推進室長
きょう、事務局のほうから提出した。
○山本(和)座長
「管理者が判断する」というのも除かれた原案ですね。
○大坪医療安全推進室長
そうです。
○山本(和)座長
それでは、これについてはいかがですか。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
先ほども言いましたように、これであれば可といたします。
○山本(和)座長
原案賛成。
ほかの方の御意見。
○松原構成員
賛成です。
○山本(和)座長
原案賛成。
宮澤構成員、どうぞ。
○宮澤構成員
原案という形で行うのであれば、一文だけ加えていただきたいというのが私の意見でございます。それは、「遺族への説明については、口頭(説明内容をカルテに記載)又は」云々という後に、「若しくは、その双方で遺族の希望を反映した適切な方法により行う」という一文を入れていただければ、その形で賛成いたします。
○山本(和)座長
その一文が入らなければ反対ということですね。
○宮澤構成員
はい。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、その一文を入れるということについて、反対の方はおられますか。どうぞ。
○田邉構成員
反対です。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、まとまりませんので、先ほどのような形で私が引き取って、この段階では取りまとめをしないことにしたいと思います。
それでは、大磯構成員、ここでもう一つあるというのは。
○大磯構成員
別論点になるのですけれども、7ページの説明方法と、6ページの医療従事者が報告書の内容について意見がある場合等は、その旨を記載すると、両論併記が可能となるようなところですけれども、何度も言っているように、東京女子医大の事例でも、つい最近、調査報告書が刑事事件に使われておりますので、第5回添付でお示ししたように、当該医療従事者の同意訂正及び異議申立権限を付与しなければまずいでしょうと。
加藤先生、米村先生が医師のプロフェッショナルオートノミーみたいな議論をされているのですけれども、私ども法律家は国民の人権をしっかりと保護するというのは。
○山本(和)座長
申しわけありませんが、教示のところの話ですか。
○大磯構成員
違います。医療者への同意訂正、異議申立に関する権限を遺族に説明する前に付与すべきであるということです。
○山本(和)座長
6ページの先ほどの2つ目の○とは違う話。
○大磯構成員
6ページの2つ目は、事前の説明の話です。3個目の○の黒ポツの一番下です。「当該医療従事者が報告書の内容について意見がある場合等は、その旨を記載すること」ということで、異議申立権とか同意訂正権ではなくて、両論併記で意見を付与することとなっているのですけれども、そこに関しましても、繰り返し第5回の意見書で申し上げているとおり、憲法38条1項がございますので、同意訂正権限とか拒否権とか異議申立権がないと問題があると。
○山本(和)座長
よくわかりませんが、報告書について異議申立とは、誰に対して何を。
○大磯構成員
当該医療従事者が報告書の中身に問題があった場合、要は事実とは異なるという場合に、この6ページの3つ目の○の一番下のPが書いてあるところですと、当該医療従事者が事実と違いますよという場合には、意見がある場合ということで、その旨を記載するということで、報告書の下に意見を付すという対応になっているのですけれども、それでは足りないと。
○山本(和)座長
これに反対だということですか。
○大磯構成員
これだけではなくて、この報告書で間違い、問題があった場合には、訂正権限を持たせてあげないと。
○山本(和)座長
訂正権限というのは、どういう権限ですか。
○大磯構成員
調書の場合に読み聞かせを行った後に。
○山本(和)座長
この報告書に記載された意見がこう記載されているけれども、実は私の意見はそれとは違うのですみたいな権限を認めるということですか。
○大磯構成員
そうです。
○山本(和)座長
わかりました。要するに、報告書の内容について、医療従事者の意見を記載するわけですけれども、それが自分が言った本当の意見とは違うという場合に、それを訂正するということを認めると。
○大磯構成員
はい。
○山本(和)座長
それは当然含まれて、これは先ほどのお話で遺族の意見も入ることになったわけですけれども、その内容が反映されていなければ、それに対して不満を述べる機会は設けられることに当然なるのだろうと思いますが。
○大磯構成員
当然なるのでしたら、記載していただけたら問題ないと思います。
○山本(和)座長
わかりました。ただ、それに基づいて、これが当然訂正されるわけではないということは、御理解されていますね。
○大磯構成員
当然に訂正されるわけではないのはいいのですけれども、最終的にどうなるかということ。
○山本(和)座長
そういう機会を与えるということですね。
○大磯構成員
はい。
○豊田構成員
ちょっと質問です。私がやってきたことをイメージしてみたのですが、少しわかりにくいのは、報告書をまとめるときに、当該の医療従事者にヒアリングして、その当事者につくったものを見てもらったり、内容が違うときには説明してもらったりというやりとりがあると思うのですけれども、それをやりとりしても病院と意見が食い違って、勝手に書かれてしまった場合というイメージですか。そんな病院があるということですか。
○大磯構成員
まさにそのような方法で豊田さんの右斜め後ろにいる佐藤先生が刑事訴追を受けた。だから、問題なのです。
○豊田構成員
これからもそういう病院があると考えますか。
○大磯構成員
まさに同じ病院で、憲法38条1項を盾にするのはけしからぬといって、警察に調査報告書を提出しているので危惧しているのです。
○山本(和)座長
わかりました。いずれにしろ、そういう御意見があったということで、この点もそれでは引き取らせていただいて、議論を先に進めたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
まだ大分残っておりますので、次に資料2-2、今度はセンター調査につきまして事務局のほうから御説明いただきます。
○大坪医療安全推進室長
センター調査の資料2-2を御説明させていただきます。
飛ばさせていただきまして4ページをお開きください。センター調査の依頼及び調査の内容、医療機関の協力等についてまとめてございます。
依頼の部分は、従前から事務局が提案しておりますように、法律の条文どおり、「医療機関の管理者又は遺族は、医療機関の管理者が医療事故としてセンターに報告した事案については、センターに対して調査の依頼ができる」ということで御異論なかったかと思います。
その調査の内容や医療機関の協力につきましては、1つ目の○、院内調査が既に終了していれば、院内調査の検証が中心である。その場合、包含的に必要に応じてセンターから協力依頼を求められる場合があるので協力してくださいということで、これは御異論なかったかと思います。
2つ目の○、医療事故調査がまだ終了する前にセンターに調査の依頼があった場合ですが、これも基本的には「院内調査の進捗状況等を確認するなど、医療機関と連携」していただきたいと考えておりまして、そこまでは御了解だったかと思います。
その上で、事務局として提案させていただいておりますのは、まだ終わっていない場合でありましても、早期にその調査の結果が得られることが見込まれる場合には、基本的には院内事故調査の結果を待って、その検証を行うということがよろしいのではないかと考えております。そうでありましても、もちろん医療機関においては院内事故調査を着実に行っていただくこととともに、必要に応じてセンターからの協力依頼には応じていただきたいという案で提案しております。
3つ目の○は、これは御異論なかったかと思います。
2つ、○を追加しておりますけれども、これも前回の御議論の中で、調査に必要な資料を協力依頼できると条文上、なっておりますが、「合理的な範囲で」という御意見がございましたので、追記してございます。
また、院内調査と同様に、センターが管理者とか御遺族に報告いたします調査の結果に、医療機関の調査報告書等の内部資料はオートマティックには含まないということで記載させていただいております。
5ページに参ります。センターから御遺族・医療機関への報告の運用・方法でございます。調査が終了いたしましたら、以下の事項を記載した調査結果報告書を、医療機関と御遺族に交付するというところは御了解かと思います。
内容につきまして、「原因を明らかにするための調査の結果」まではよろしかったと思いますが、※で注釈をつけてございます。「調査の結果、必ずしも原因が明らかになるとは限らない」。これは、院内調査のところの書きぶりと同様でございます。
その上で、もう一つの※印、「原因分析は客観的な事実から構造的な原因を分析するものであり、個人の責任追及を行うものではない」、これは前回までに御了解いただいたかと存じます。
再発防止につきましては、今回、御議論が相当割れておりました。書く、書かないということで議論が停滞してございましたので、事務局といたしましては、本日、案を提案させていただきたいと思っております。これは、センター調査を行います際に再発防止策を書くとするのであれば、注釈といたしまして、繰り返しではございますが、個人の責任追及にならないように注意していただくこと。また、実際にそれぞれの医療機関において、実際に講ずることができる再発防止策かどうかという観点もあるかと思いますので、医療機関の状況・規模とか管理者の御意見を踏まえた上で記載するということではいかがかと考えておりますので、御議論いただければと思います。
続きまして、6ページでございます。従前の案で、報告書の取扱いにつきましては、個別の調査の結果は、「法的義務のない開示請求に応じない」ということで、前回、それほど御議論が異なってはおりませんでしたが、その中でもともとの趣旨を記載したほうがいいのではないかという御意見ございましたので、冒頭につけ加えております。
さらに、その調査の結果というものを具体に「報告書及びセンター調査の内部資料」と書きかえさせていただいております。
また、その下、「その他」でございますけれども、それ以外の目的の公表などについてもお問い合わせがございましたので、基本的には6条の21に守秘義務が課せられておりますということで、改めてこちらに掲載しております。
以上でございます。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
それでは、これについても順次御議論いただきたいと思いますが、まず4ページのセンター調査の依頼及び医療機関の協力についてのお話でありますけれども、医療機関の協力につきましては、法律上は医療機関はセンターに協力するということにもともとなっておりますので、それを受けて、前回の御意見を踏まえる形で追記をしていただいたということかと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、宮澤構成員。
○宮澤構成員
4ページ、一番下の赤字でございますけれども、「センターが報告する調査の結果に院内調査報告書等の内部資料は含まない」と書いてあるのですが、院内調査報告書そのものを指しているのか、それとも院内調査の前提になった聞き取り、その他の内容のものを示しているのかという点です。院内調査でも、生の聞き取り書き、これは当然、内部資料として開示しないということで私も結構だと思うのですが、調査報告書そのものは第三者機関たるセンターのほうに提出するという形で開示が予定されているものですから、これそのものは内部資料という扱いにはならずに、患者・遺族の側に渡されるものであろうと考えています。
これは、意見として、まず「報告書等の内部資料」に関して、どれを含んでいるのか。そして、報告書そのものに関しては、センターが遺族側が報告する調査結果の中に含まれるべきであるというのが1つの意見。疑問と質問と意見です。
○山本(和)座長
事務局のほうでクラリファイしていただいて。
○大坪医療安全推進室長
事務局といたしましては、院内調査の結果報告書といいますのは、センターに報告するための文書と理解しておりますので、それはセンターに対して提出することが義務づけられていると考えています。
一方で、個別にセンターに調査依頼があった場合は、センターはセンターの調査結果報告書を管理者と御遺族に報告するということが法律のたてつけになっておりますので、その過程で検証に用いた院内調査報告書本体及び内部資料というものは、センターの調査結果報告書に含まれないと考えております。
○山本(和)座長
それだといかがでしょうか。はい。
○宮澤構成員
それでは、意見として申し上げますけれども、院内調査報告書ができ上がって、それを検証していくというのがセンターでの検証だということになるならば、その検証の題材にあった、何を書いてあって、どういう形のものが検証の題材になったかというのが開示されずに、こういう形で検証しましたという検証の報告が果たしてできるのかということになると、それは恐らくできないだろう。検証する限りは、検証の対象となったものをはっきり提示する。こういう検証をして、この部分に関してはこのような判断をいたしましたというのが検証であって、それ以外の形での検証というのはないと私は考えております。
ですから、ここの報告の中には、院内報告書そのものは遺族に渡されるべき報告書の中に含まれると考えるべきと私は思います。
○山本(和)座長
先ほどの御議論との連続性もあると思いますが。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
事務局案どおりで結構かと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。永井構成員、どうぞ。
○永井構成員
宮澤さんと同じような意見ですけれども、センターに回ってきてセンターが調査するときに、報告書全部をそのままつけることはないとしても、どんな検証をしたか。その中で、これが妥当であるとか、そういう意味で言うと、報告書の中身を別記して使うということが必ず起こってくる。それを許容しないと、センターの調査はもう一回全部やり直すということになりそうです。
そういう意味では、一般的な内部資料がここまでというのはありますが、せっかく院内で事故調査した内容を検証するのですから、医療機関でしっかりやったらほとんど問題ないかもしれませんし、その中に何か問題があるとすれば指摘しなければならないという意味では、報告書の中身を流用することは絶対あり得る。しないと大変なことになるのではないかと思っているので、この文章をこのまま書いたら誤解を招くのではないかという感じがします。
○山本(和)座長
院内調査報告書そのものではない。
○永井構成員
そのものにはなっていない。「等の内部資料は含まない」というのは、宮澤さんがさっき言ったように、この中に書いている分を結果の中に入れてはいけないという理解もできるのではないですか。
○山本(和)座長
院内調査報告書の中に書いてあることが。
○永井構成員
僕も、この文書のままだったら、そういう心配をします。
○山本(和)座長
どうぞ、事務局の趣旨として。
○大坪医療安全推進室長
言葉がちょっと不足していたかもしれません。もちろん、センターが行います調査の中で、院内調査が終了している場合には、その検証ということが中心になるのではないかということで御提案をさせていただいております。ただ、センターに調査の依頼が上がった場合には、独立してセンターとして調査を行うことになりますので、その報告書のクレジットは当然センターになるわけです。その調査の過程において、院内調査結果報告書を十分活用していただくということはあるのだろうと思います。その重複した調査というものが必要になると思っております。
もちろん不足があれば、そこは補足的に協力依頼を求めてセンター報告書というのができるだろうと思いますが、最終的には、それをそのまま張って、それがいいとか悪いという話ではなくて、センターが院内調査報告書も一つの資料として調査した上で、センターの名前で調査報告書というものが出るのだと考えております。
○山本(和)座長
どうぞ、西澤構成員。
○西澤構成員
わかりました。センターの調査の結果に、ですから、たしか院内調査の報告書のときには、院内調査の内部資料は含まない、それは表に出さないということを書いていました。当然、センター調査をするときには内部資料は使うと思います。ただ、使うのはいいけれども、センターの報告の結果には内部資料は出さないということは、院内調査でも出していないものを、こちらでも出しませんということをただ言っているだけの話で、内部資料は調査するときに使うのは当たり前という判断でこのように書いていると思います。そういうことで、永井さんの言う心配、これを使わないということではないということであれば、この文章でいいのではないかと思います。
○山本(和)座長
宮澤構成員。
○宮澤構成員
少し整理しておく必要があると思うのですけれども、本来的に事故報告書というものがつくられる前の段階の事実上の聞き取り書き、このときあなたはどうしたのかとか、どういう判断をしてこうやったのかとか、そういう生の供述のようなものは、内部資料、当然、公表することを前提にしていませんから、それは純粋な内部資料として外部には出さない。その内部資料を前提としてでき上がった事故報告書というものは、そもそもセンターに出していく、外部に出していくことを予定しているものですから、これは内部資料ではなくて出されるものでしょうと。
ですから、報告書そのものが、ここに「院内事故調査終了後にセンターが調査する場合は、院内調査の検証が中心となる」と書いてあります。院内事故調査の検証をするという中には、院内事故調査がどのような形で行われたかという点に関しては、当然、それにどのようなものが書かれているのか、どういう形で検証したのかということの判断のためには、院内事故調査報告書がどのような形でできているかというのは、その報告には必須の前提事項、事実情報となると私は考えています。
その意味では、ここに書いてある「院内調査報告書等の内部資料」というのは、院内調査報告書をつくる前提としてとられた録取書、生の事故の調査の経過記録というものに関して、これは内部資料というものであって、報告書そのものは、ここで言う内部資料には当たらないであろうという整理です。
○山本(和)座長
それは、恐らく事務局の整理とは違って、もちろんセンターが検証する前提としては、院内調査報告書は前提になっていますので、センターが最終的に自分で書く報告書の中で院内事故調査報告書に書かれていたことを、どのように自分の報告書の中で取り上げるかということは、それはセンターの判断として問題がありますが、その院内事故報告書自体を調査結果としてセンターの報告書の添付文書にするとか、そういうことはここでは想定されていませんということが書かれているのだと思いますが。
○宮澤構成員
それを理解した上で、それに反対しているということです。
○山本(和)座長
わかりました。反対の御意見を承りました。
はい。
○有賀構成員
現在進行中なので、具体的な名前は伏せさせていただきますが、某大学と一般病院の
2つの病院が絡んだ、比較的急性期の患者さんの事故の院内調査を、東京都医師会の委員会、東京都医師会というプラットフォームで行なおうという議論をしております。私がたまたまその委員会の委員長をさせられます。で、このことと随分似ているなということで少し議論しました。
要するに、A病院からの報告はどうやらできているみたいですし、B病院ももう準備しているという話があるので、A病院とB病院のそれらは東京都医師会の私の委員会にデータが上がってくる。それをもとにしながら、または関係したかもしれない人にちょっと来てねということをしながら、二、三回やって、どういうことなのだろうということを把握するというプロセスになろうと思います。
そのときに、A病院から来た報告書そのものは、東京都医師会のその委員会の中での議論を、ここでの議論のセンターが行う調査の中身になぞらえて考えると、いわゆる調査のための一つの材料というか、マテリアルにすぎないですね。東京都医師会の私が委員長の委員会は、私どもとしてA病院とB病院の一連の流れをどういうふうに説明して、そしてこれはどういうことでこうだったのだということをきちんとやろうねという話になっていますので、A病院から来たものが、それはA病院が報告したものだから、そのまま出せみたいな話は全く違う話なのです。
ここで宮澤先生が出せと言っているのは、センターなり、具体的に私が委員会の委員長をやっている立場で言いますと、そんなことを言われても、出すのだったらA病院の問題であって、私たちの問題ではないとつっぱるのが筋だと私は思っています。何でもかんでも出せみたいなことばかり言うから話がこんがらがってしまうので、私は医療安全のために何が大事なのだということの筋を通せば、出すものは出すし、出さなくてもいいものは出さなくていいわけですよ。そのことをきちんとやらないで、ほかの話を・・・。
○山本(和)座長
御趣旨はよくわかりました。
どうぞ、加藤構成員。
○加藤構成員
4ページの一番下の今のところですけれども、これはある意味では念のために書かれたものだと理解しておりました。宮澤構成員の指摘どおり、これは修文したほうがいいと私は思います。センターが報告する調査の結果の中に、内部資料は含まないというところが基本になっていたものだろうと思うのですけれども、そこの前の「院内事故調査報告書等の」というのを削って、「医療機関が調査の過程で作成した内部資料は含まない」。そういう趣旨で従来あったのではないかと思いますので、そのように訂正していただきたいと思います。
○山本(和)座長
わかりました。そこは、多分認識が違っているのだろうと思いますので、意見の対立があるということで、この部分も引き取らせていただきたいと思います。
ほかの点について。この点は、意見を引き取るということで、何か御不満が。
○鈴木構成員
ではなくて。鈴木でございます。4ページの一番下の○に関しては、「調査の結果に」というところから始まっております。4ページのマル1、マル2にあるように、調査の依頼と調査の内容が議論になっているのですね。そこに調査の結果が混じってしまっているから混乱が起きていると思いまして、調査の結果の範囲に関しては5ページの議論でなされるべきなので、それで皆さんの中で読み方に齟齬が生じているかと思います。
4ページにおいて調査の結果がかかわるとしたら、結果に向けてどういう調査内容を行うかという範囲だと思いますので、そこは先ほど有賀先生がおっしゃられたことかと。あと、前回、私、申し上げましたけれども、必要な調査というのを事前に特定し切るのは、事件が多様過ぎて、恐らく無理であって、有賀先生がおっしゃられたように、筋を通して、その事案に対して誠心誠意必要なものを厳選していくということでしか、多分なし得ないと思います。内部資料を含まない云々というのは、あくまでも次のページの調査結果に関してのものと整理して、必要な調査というのは、その事案において必要なものが何なのか。
当然必要なものをセンターのほうは医療機関に要求しますし、それに対して合理的理由なく医療機関が断れば、それは場合によったら違法原因をつくっていくことにもなりかねないでしょうし、そこは相互に意見を統一して、あるべき姿を模索するしかないと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございます。記載場所はここではないだろうという御指摘は、まことにごもっともで、そのとおりだと思いますが、中身について意見の対立があるという点については同じことですので、基本的にはそれはここでは、これ以上御議論いただいても意見の一致を見ることは多分難しいだろうと思いますので、引き取らせていただくということにしたいと思います。
別の問題ですね。どうぞ。
○大磯構成員
センター依頼についての通知の一番上の○です。「センターに対して調査の依頼ができる」ということでしたけれども、従前より議論があったように、紛争化している場合においては、紛争処理を優先させるべきであり、本制度は、医療安全のための制度ですので、紛争化しているからとか、納得がいかないからセンター調査をしてくれというのは、そもそも本制度の目的から外れてしまうだろうということですので、記載としてわかりやすく、既に紛争状態にある場合には、紛争処理、紛争の解決を先行させて、紛争の解決がついた後に医療安全のための調査を行うとすれば、問題は起きないのではないか。
ここのところで問題となっているのは、報告書を裁判に利用しようとしている人がこれまで繰り返しいたということで、そこに対する疑義があるということですので、紛争化している場合には、医療安全のための調査は一旦中止して、紛争が解決したのを確認してから医療安全のための調査をすればよろしいのかなと思います。
もう一点、下から2つ目の○ですが、「センターは医療機関に協力を求める際は、調査に必要かつ合理的な範囲で協力依頼を行うこととする」ということになっていて、追加の資料等が欲しい場合には、合理的な範囲で当該病院に対して資料の提出を求めるわけですけれども、その際、院内調査のところでもお話ししたように、病院内で匿名化作業を行った上で、匿名化した資料をセンターに届け出るというところは、誤解のないように明記していただきたいということでございます。
○山本(和)座長
第1点は法律の解釈にもかかわることだと思いますけれども、事務局のほうから御説明。
○大坪医療安全推進室長
その話は、第2回、第3回のときも御議論があった上で、このような文言になっていると事務局は理解しています。紛争状態にある場合に、調査を一旦とめるとか、そういうことは医療法においては規定がございません。別途の法律に基づいて、それぞれの趣旨に基づいて、いろいろな調査・捜査等があるのだろうと思いますが、そこについてはそれぞれの目的においてなされるものだろうと考えておりますので、医療法の設定に関しましての御議論の中では、そういったところを触るということは難しいのではないかという御議論の上で、現在、このような案になったと思っております。
○大磯構成員
医法協ガイドラインにも書かれておりますし、6条の17の第1項は、「必要な調査を行うことができる」ということで、裁量権をかなり幅広く認めております。安全のための調査をするなと言っているわけではないです。最終的にすることに関しては、医療安全に向けて積極的に行うべきですけれども、紛争化しているさなかに院内調査を行って、鑑定意見書まがいのものを提出してしまうと、結局どちらの味方についたみたいな中立性の問題も出てきますし、そういったことはするべきではないですし、6条の17の第1項が裁量権を幅広く認めているような書きぶりになっておりますので、そのような解釈はできるのではないかと思います。
○山本(和)座長
今の事務局の御答弁は、この「できる」というのは必ずしも裁量規定ではなくて、権限規定としての「できる」をあらわしているものだという御意見だと思いますが。
○山本(和)座長
どうぞ。
○宮澤構成員
紛争化している場合は調査しないというのは、現実的には医療安全から遠ざかる内容と考えます。これは、御存じのとおり、医療紛争というのは非常に長期化するというのが常識でございます。現在でも2年ちょっとかかる。それ以前は3年ぐらいかかっていたというふうに、非常に長期化する傾向があります。そのような長期化する事件の紛争の解決まで待った上で、安全の調査をする。これは事実関係がますます不明確になるわけです。そのときにどのようなことをやったか、それすら記憶の彼方に飛んでしまうという意味では、そういう形で紛争が解決するまで待つというのは、現実的な安全対策としては不適切な考えかと思います。
○山本(和)座長
ほかにいかがでしょう。どうぞ、鈴木構成員。
○鈴木構成員
鈴木です。いろいろな政策的意見は抜きに、6条の17の1項の読み方だけを法律家の立場で申し上げると、前回も申し上げましたけれども、「必要な調査を行うことができる」と書いてあって、その「できる」を法の趣旨を超えて著しく羈束するような形で通知を設定することはできないと思いますので、ある場合にはやっちゃいけないとか、それを通知レベルで物すごく羈束する形で規定することは困難だと思います。その状況に応じて、どんなことが必要で、どんなことができるかということが事案を通じて判断されることになるのかなと考えます。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
まさに今、鈴木先生が言われたように、ここは書けないだろうと思います。それは、これでやむを得ないだろうと思いますが、現実の話になりますと、先ほど宮澤先生が言われた話は別でありまして、同時並行で、これはする主体がセンターになります。センターが紛争化しているものに実際調査を始めて結論を出すと、今の女子医大みたいに警察が出せという話になって大混乱になります。医療安全のための制度だと、これは紛争解決に使ってはならぬのだという原則はきちんとすべきです。
ただ、法的には、今、鈴木先生が言われたようにここで規定するのは無理だろうと思いますので、これは今後スタートするセンターが、自分たちの役割としてルールできちんと、そういうものについてはやらない、あるいは結果が出るまで待つということは、センターの役割として今後考えるべき問題であろう。今回のものについては、これでよろしいのではないかと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございます。
それでは、よろしいでしょうか。もしよろしければ、続いて。
どうぞ、米村構成員。
○米村構成員
米村でございます。大分時間が迫ってきておりますので、ほかの論点につきまして申し上げたい。6ページの上半分の四角の中の記載についてです。
○山本(和)座長
失礼、何ページですか。
○米村構成員
6ページ。
○山本(和)座長
済みません、4ページが終わって、これから5ページに移ろうとしたところです。
○米村構成員
失礼いたしました。
○山本(和)座長
申しわけありません、順番にやっておりますので。
次、5ページで、遺族・医療機関への報告方法、報告事項ということでございますけれども、ここは特に再発防止策のところがずっと御議論になっているわけですが、今回、事務局のほうで※印の注釈をつけることでどうかという御提案がございましたので、この点について御議論いただければ。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
これは難しいところでございますが、事務局の努力を多といたしまして、ぎりぎりこれでいいのではないかと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、高宮構成員。
○高宮構成員
日精協の高宮ですが、私も特に2つ目の一番下の※印、「当該医療機関の状況及び管理者の意見を踏まえた上で記載すること」。これは、我々、単科精神科病院は、特定機能病院のような、かなり充実した組織と違いますので、当該医療機関でできる再発防止策というのを考えていただくことが大事だと思いますので、これでお願いしたいと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございます。この点は異論がないところかと思います。
どうぞ、加藤構成員。
○加藤構成員
5ページの「当該医療機関の状況」というのは、管理者等から事実上、意見を聞いていく中であらわれてきていることかなと理解すれば、「管理者の意見を」ということがどういう意味を持つのだろうか。削除してもいいのではないかという感じを私は持ちました。
○山本(和)座長
ただ、どうしても削除しなければいけないほどのことはないということであれば、かなり事務局も取りまとめに向けて苦労してあれしたところですので。
○加藤構成員
その趣旨であれば、この時期ですから了解いたします。
○山本(和)座長
ありがとうございました。それでは、この点はそういうことで、この原案で取りまとめに向けて整理させていただきたいと思います。
それで、6ページで米村構成員の。
○米村構成員
ありがとうございます。先ほどは失礼いたしました。
上半分の部分につきまして、前回、私、所用によりまして欠席させていただいたもので、詳しく承知しておりませんでしたが、「法的義務のない開示請求に応じないこと」というあたり、前回も少し議論があったようでございます。しかしながら、これを、拝見したときに大変驚きまして、こちらのほうは削除していただきたいということを申し上げたいと思います。
なぜかといいますと、これは厚労省の権限外であり、この検討会の権限外だからでございます。法的義務のない開示請求というのは、前回の議事録等も拝見いたしますと、およそ一般的に民法・刑法、その他民事訴訟法・刑事訴訟法、その他の法令に基づく義務を全て含んだ意味で用いられているようでございます。
しかしながら、この検討会は、そもそも医療法の改正を受けて、医療法の改正によって設立される医療事故調査・支援センターというものに関する事故調査の業務内容について定める、そのための通知を検討事項としております。ここには、法律の解釈、適用の際に必要な運用事項というのが含まれているわけですけれども、それを明らかにするというのがこの検討会の目的でございまして、他の法律関係に該当するものについて、センターがどういうふうに行動するかについて、一定のことを言うという権限は厚労省にはないと認識しております。
仮に、これが厚労省所管の行政機関であって、厚労省の一般的・包括的な監督権あるいは監督義務があるという場合でしたら、これは行政組織法上の要請として、そのような種々の法的義務についても監督する必要が出てくると思われますけれども、このセンターはそのような組織とはされておりません。いわゆる第三者機関、法的には、一般法人法に基づく一般社団法人もしくは一般財団法人でございまして、いわゆる民間の機関でございます。民間の機関の行動に対して、例えばよそからお金を借りたときに、きちんと返済期限までに返済をすべきであるということを厚労省が通知で言うようなことはできない、これは権限外のことだからです。ですので、これは削除していただきたいと思います。
ただ、恐らく趣旨としては、まさに前回、追加されたような、「個人の責任を追及するためのものではない」と、それをおっしゃりたいのだろうと忖度いたしますので、それを前面に立てていただいて、「個人の責任を追及する用途に用いてはならない」、そのような形で書くのが適切ではなかろうかと考える次第でございます。
○山本(和)座長
「用途に用いてはならない」という主語は、センターですか。
○米村構成員
センターがということでございます。
○山本(和)座長
センターが個人の責任を追及するための用途に使うというのは、具体的にどういう場合を想定されておられますか。
○米村構成員
「個人の責任を追及する目的での開示請求に応じてはならない」という形で書いていただくとよろしいのではないか。
○山本(和)座長
開示請求があったときに、何か目的を提示させて、それが個人の責任の追及だと否定するという意味。
○米村構成員
目的がセンターにわからなかったときにどうするのかということは、もちろん解釈の余地は残されているわけですけれども、明らかに個人の責任を追及する目的である場合には外されるという趣旨にしていただくことをお願いしたいと思います。
○山本(和)座長
どうぞ、田邉構成員。
○田邉構成員
私は、事務局案のままでよいと思います。確かに他法の制限そのものを通知でするのはできませんが、本制度の目的・趣旨等を明確化することで、文書提出命令の対象になるかどうかといった、他法の解釈判断の資料には十分なり得ますから、事務局案のような規定を置かれておくということは、他法の解釈の議論に有意と考えますので、このままでよいのではないかと思います。
○山本(和)座長
どうぞ、総務課長。
○土生総務課長
議論の前提として法律の条文を御紹介させていただきたいと思います。参考資料集ということでお配りさせていただいております医療法の規定が1ページ以降ございます。米村先生御指摘のとおり、一般社団法人のうちで一定の基準に合うものを厚労大臣が指定するといった構成になっているということでございます。したがいまして、この業務を適正にやっていただく。適正というのは非常に抽象概念ですので、どういうことが適当かというのはさまざまな解釈があり得るわけでございますけれども、例えば守秘義務についても、6条の21で、正当な理由がなく、知り得た秘密を漏らしてはならない。正当な理由が何なのかということもございます。
また、6条の24では、調査等業務の適正な運営を確保するために必要があるときには、センターに対する立入調査権あるいは報告徴収権等も規定されているということでございます。ただ、これにつきましては、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないということでございます。
さらには、こうした調査をした上で、6条の25、厚生労働大臣は、この節の規定、まさにこのセンター全体の規定でございますけれども、必要な限度において、センターに対し、調査等業務に関し監督上必要な命令をすることができるということでございますので、この業務を適切に遂行するための監督上の権限規定は、法律上、設けられているということは議論の上で念頭に置いていただければと思います。
○山本(和)座長
いかがでしょうか。当該業務を指定する際に、まさに目的である業務の結果として出てきた調査報告書あるいはその内部資料の取り扱いについて、厚生労働省が一定の通知をするというところまで、法律上、許されないということはないような気はするのですが。
○米村構成員
もちろん、法律の条文は抽象的な書き方をしておりますので、そのように解釈できる余地も全くないとは申しません。ただ、通常のこういった指定制度というものの運用はどうなっているかということで申しますと、例えば医療機関ですとちょっと違うといえば違うのですけれども、いずれにしても、民間の医療機関も都道府県知事の許可を得て、特定機能病院であれば厚生労働大臣の指定を受けて開設している形になります。
しかしながら、例えば先ほどお金を借りたときにという話をしましたが、個々の医療機関が民事上の義務について履行しているかどうかという点が厚労省の監督権限内であると言えるかがここでの問題です。もちろん、トータルな意味で、包括的にその医療機関が適切な医療を行える医療機関であるかということを判断する際の一材料には当然なると思われます。それは、医療法に基づく権限範囲で、経営状況等をも考慮に入れた上で、総合的に当該医療機関が医療を提供するに不適格であると判断されるのであれば、それなりの医療法上の処分が下されることはあり得ることであります。
しかしながら、厚労省所管外の法律に関する個々の法律関係について、このように行動せよと厚労省が具体的に指示することは、法的義務があってもなくても、よろしくないという理解でおりました。
基本的に、指定制度というものの通常の運用はそのようになっており、他の制度でも同様の運用がなされていると私は認識しております。どうしても業務との不可分性があるので、特定の法律関係についてだけ、こういうふうにしてくださいと、特定した形で厚労省が言うのであればともかくとして、他の制度全てについて、法的義務がない場合に開示しないということを一律に義務づけるというのは、これは権限外であろうと私は認識しております。
○山本(和)座長
そこは行政法上の解釈にかかることですので、ここで議論しても。では、行政法の専門家。
○山本(隆)構成員
1つは、今、米村先生が言われたように、法律は各省が所管していますので、法的義務があるかないかということについて、厚生労働省の一部局がほかの所管の法律の解釈を動かすことは、まず言えないだろうと思います。
もう一つ、この法的義務というのが一体どこまでを指しているのか。あるいは、法的義務とまでは言えないけれども、法律の趣旨に照らすと、こうするのが望ましいといったようなものまで考えますと、このように言い切ってしまうことには私はかなり抵抗があります。「本制度の目的は医療安全であり」というほうがここで言いたいメーンだと思いますので、そうだとすると、例えば「法的義務のない開示請求に対しては、本制度の目的が医療安全であって、個人の責任を追及するためのものでないことに留意すること」とか、むしろここで言わんとしている趣旨のほうを前面に出した表現にしたらいかがかと思います。
○山本(和)座長
誤解をあれするために、この原文の趣旨は、恐らく厚生労働省がある開示請求に対して法的義務があるかないかというのを、他の省庁が所管しているものを判断するというわけではなくて、それはどういう場合に法的義務があるかというのは、それぞれの法を所管している、最終的には日本では司法権が判断すべきことだということを前提にして、しかし、それで法的義務がないものについては応じないという趣旨で書かれているということだろうと思います。
ただ、今の御意見の趣旨は、ここまで書き切るということは、行政法の立場からしてもいかがなものかということでしたが、これもかなり議論を積み重ねて、ようやくここで御納得を得られそうな感じのところなので、文言を変えた場合に御同意が得られるかというのは甚だ自信はないのですけれども、いかがでしょうか、何かこの時点で御意見ありますか。今の両構成員の御意見は、このような形での取りまとめには反対だという御趣旨と理解してよろしいでしょうか。
どうぞ。
○山本(隆)構成員
通知のこの部分は、法的にいえば余り意味のないものであると、余り意味のない通知の定めであることを前提にするのであれば、私は特に反対はいたしません。
○山本(和)座長
ありがとうございます。
米村構成員。
○米村構成員
私は、大変恐縮ですが、反対させていただきます。意味のない規定を置くということは、ほかの解釈の余地を生み、かえって有害であると考えるからでございます。先ほど申し上げたような形で、センターの業務が他の法律関係、全てについて厚労省に縛られるという解釈を与える余地を生むことになりますと、センターの業務全てについて厚労省がさまざまなことについて監督することが出てくる可能性がございます。そういうことは、少なくとも認めるべきではありません。
今回の医療法改正では、むしろ、厚労省の強い監督権限が及ばないという位置づけだから第三者機関が選ばれたのだと私は認識しております。厚労省の中に、行政機関として、医療事故調査の機関を設けるという選択肢も十分あったわけですし、過去にはそういう案も検討されたわけですけれども、それは選ばれなかった。第三者機関が行うという制度が選ばれたわけであります。それが換骨奪胎されて行政機関が行うのと同じような形で運用されるきっかけを生むのは、私は反対であります。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、この点は反対の構成員がおられるわけですので、この段階では取りまとめるのは難しいということになりますので、私のほうで引き取らせていただきたいと思います。
ほかの点はよろしいでしょうか。
よろしければ、引き続きまして、資料2-3、医療事故の定義に入りたいと思いますが、事務局のほうから御説明をお願いします。
○大坪医療安全推進室長
2-3「医療事故の定義について」、御説明申し上げます。
6ページをお開きください。医療事故の定義、2つの事項がございますが、まず1つ目の「医療に起因し、又は起因すると疑われるもの」というところになります。これは、従前どおりのいただいた案をそのまま黒字にしてございます。
また、別紙、医療に起因する考え方の表を多少リバイスしたものをつけてございますので、御議論の参考にしていただければと思います。
8ページは、予期の部分でございます。「死亡又は死産を予期しなかったもの」とする場合、また省令部分につきましては、前回は議論しておりませんが、前々回までで御了解いただいたものと思います。
ただ、その省令を御了解いただくに当たりまして、その解釈の部分が非常に重要になる。この従前に説明したとか、文書等に記録したということが一般確率論であっては困るという話があったかと存じます。それを踏まえまして、通知のほうで事務局提案をさせていただいております。
1つ目の●、「省令第一号及び第二号に該当するものは、一般的な死亡の可能性についての説明や記録ではなく、当該患者個人の臨床経過等を踏まえて、当該死亡又は死産が起こりうることについての説明及び記録であることに留意すること」という案で提案させていただきますので、御議論ください。
その上で、御議論の中では、わかりやすく説明していただきたい、専門用語の羅列はやめていただきたいといった御意見がございましたので、そこについては2つ目の●、「患者等に対し当該死亡又は死産が予期されていることを説明する際は、医療法第一条の四第二項の規定に基づき、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めること」。従前、既存の法律で置いてございます文を再掲しております。
続きまして、9ページになります。「死産について」、別の枠で御議論をいただきました。死産については、前々回に産婦人科医会副会長、また池下先生のほうからいろいろと御意見を頂戴した上で、産婦人科医会の要望書の中の文言でよろしいのではないかということで、その文章に改めた形で1つ目の文を修正いたしております。
以上でございます。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
それでは、これも順次ということで、まず6ページの医療の範囲に関することでありますけれども、これについては、これまでおおむね御理解いただけているような感じがするのですが、加藤構成員、どうぞ。
○加藤構成員
8ページの。
○山本(和)座長
申しわけありません、今、6ページと7ページ、医療の点ですが。これはよろしゅうございますか。
どうぞ、田邉構成員。
○田邉構成員
6ページ、7ページということですが、この7ページというのは。
○山本(和)座長
参考資料です。
○田邉構成員
これは含まないという理解。
○山本(和)座長
6ページが審議の対象です。
○田邉構成員
それでしたら特に構わないですが、死産のところとの平仄を合わせていただきたいと思います。全体にまとめたものは、また後ほどに。
○山本(和)座長
わかりました。それでは、死産のところでということですか。
はい。
○大坪医療安全推進室長
恐れ入ります。ちょっと田邉構成員のお声が聞こえなかったのですが。
○山本(和)座長
恐縮ですが、もう一度お願いします。
○大坪医療安全推進室長
7ページの取り扱い。
○田邉構成員
ですから、7ページが通知の一部となって、これが医療に起因しての定義となるというのであれば、意見は多々ございますけれども、そうではないと。
○大坪医療安全推進室長
これは案といいますか、御判断の一助という位置づけで通知としてお示ししたいと考えておりますが。
○田邉構成員
通知なのですね。それですと、死産との平仄があるので、よろしいですか。
○山本(和)座長
どうぞ。
○田邉構成員
死産と死亡を同一に同じように考えるというコンセンサスだったと思いますので、9ページの記載の死産についての医療起因性の話については、「手術、処置、投薬及びそれに準じる医療行為」と、比較的侵襲的、作為的な行為が列記されて、これに準ずると書いてあります。
ところが、7ページですと、診察といった部分や検体検査。検体採取は侵襲的なものがありますけれども、検体検査は、採血したものを分離して調べるようなものでございますので、こういったところが列記されていると、死産との平仄が若干合わないのではないか。私の意見では、今回の予算案からしても、1,000件ぐらいとか、数もたくさんは分析できないと思いますし、また医療機関の負担等も考えますと、死産と同様の比較的侵襲的な行為、作為的な行為に起因したもののみを医療に起因したという定義にしていただいたほうがわかりやすいのではないかと思います。
○山本(和)座長
どうぞ。
○大坪医療安全推進室長
基本的に7ページの資料は、医療の範囲についてお示ししたものでございます。それで、この中で前回、死産について御意見を賜ったところ、私の理解におきましては、その起因性についての御意見だったのではないかと考えております。診察を外すということではなくて、妊婦の検診後の胎動停止などについて、なお現在の科学でわからないことがまだ多いのであるという、産科という領域に特化した御意見を頂戴したと考えておりまして、それを全て診察行為という意味ではなく、産科領域に特化した中で検診の限界があるといったお話ではなかったかと思います。
そのために、産科医会としては、産婦人科、お産を多く扱っていらっしゃる先生方について、医療の範囲の中での起因性について御判断いただく際に、その産科の検診という行為の限界というものも考えた上で御判断いただきたいという趣旨ではなかったかと考えております。
○山本(和)座長
定義的には、この6ページの一番上の○に「医療」と書かれていて、ここで「手術、措置、投薬及びそれに準じる医療行為」という産科のほうと同じようなことが書かれていて、ただ、その後に括弧書きで検査と書かれているという構成になっている。
○田邉構成員
検査も準じるということで、侵襲的な検査もございますのでわかるのですけれども、そうなりますと、7ページの左の欄がかえって混乱を招くのではないか。不作為についての関連性といったものまで広げてしまうと、多過ぎるのではないかと思いますので、7ページの表をそのままつけるのは考えていただきたいと思います。
○山本(和)座長
どうぞ。
○大坪医療安全推進室長
言葉が不足していたかもしれません。7ページは、あくまでも医療の範囲をお示ししたもので、資料に2つマトリックスがございますが、左側、「下記の『医療』に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産」ということで、ここにお示ししている診察とか検査とか治療は、あくまで医療の範囲をお示ししておりまして、そこについては御異論がなかったかと考えております。
○田邉構成員
ただ、起因ということで言いますと、不作為であっても、見ていなかったから死んだのだという事案はあると思います。だから、そういったものまで含むととられるのであれば、死産とは平仄が合わないのではないかと思ったもので、質問させていただきました。
○大坪医療安全推進室長
かしこまりました。この資料の中では、起因性については特に何もお示ししてございません。たまたま死産の御意見の中では、その起因性について限界があるのだという御意見があったと考えています。ですので、もしこの平仄、マトリックスの書き方が誤解を生むということであれば、ここは医療をお示ししているのだと書き直させていただきたいと思います。
○山本(和)座長
そのほうがいいですね。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
よろしければ、続きまして、8ページの予期しなかったものについて、先ほど御紹介ありましたように、省令案は前回、御提示して、おおむね合意がいただけた感じがするわけですが、その際、いろいろ御注意いただいたところを通知に追記するという形で、8ページの右側の赤字の部分が出ているということで、全体としては大きな異論はなかったように思われますが、加藤構成員、どうぞ。
○加藤構成員
8ページの省令の3番目ですけれども、これは事前に説明もないし診療録あるいはその他の文書にも一切記録はない。しかしながら、管理者が後から聞いたらば予期されていると考えられるということで、そういう場合は報告しないということになります。どういう場合にそういうことが考えられるか。説明を十分している時間的余裕がないとか、文書に書いている余裕がないとかいうことは、救急などの場面は想定できるのですけれども、これが余りに膨らみ過ぎてしまうと、報告するケースがそこでかなり限定されてしまわないかということで、通知の中で、ここで3番目に書いていることの趣旨は、こういうものとして理解すべきであるということを解釈指針として示しておく必要があるのではないかと考えます。
ここで言うのは、後から何とでも言えるという世界ではなくて、そういうことができなかった合理的なケース、1、2でそういうものの原則があると思いますけれども、そうでないけれども、特段の理由があったと考えられるケースと、絞りをかけておかないといけないという意味です。
○山本(和)座長
ありがとうございました。前回の事務局の3号についての御説明でも、基本的にはそういう緊急時を想定しているという御説明があったわけですが、今、加藤構成員は、そうであれば通知のほうにその旨を明示したほうがいいのではないかという御趣旨だったかと思いますが、どうぞ、永井構成員。
○永井構成員
加藤先生と同じようなことですけれども、この3番目が、説明にあった救急みたいなことについては僕らは理解できますけれども、ほかの事例は何かあるのでしょうか。ほかの事例もあるとすれば、この通知に書いてもいいのですが、3番目は救急がメーンだとすれば、「救急時など」。「など」で、また違うものが入っても、3番目は特例だということで、省令の中にちゃんと書き入れるべきじゃないかという感じがするのですけれどもね。
○山本(和)座長
永井構成員は、省令にも書くべきだという御意見だということですね。
事務局のほうとしては、緊急の場合以外として、こういう例があるということは想定されているのでしょうか。
○大坪医療安全推進室長
全ての医療についての範囲を承知しているわけではございませんが、少なくとも前回、前々回、私、申し上げましたように、緊急時などにつきましては、当然こういうシチュエーションがあるであろうと考えて3号を立てております。その他の領域においてもあり得るということであれば、御意見いただいた上で、また通知等にどういうふうに反映させるかという余地はあると考えております。
○山本(和)座長
どうぞ、大磯構成員。
○大磯構成員
非常にシンプルな例ですけれども、例えば大腸がんの手術をして、縫合不全等の合併症は当然起きうるわけですね。ですけれども、たまたま縫合不全と書いていなかった、説明していなかった。もちろん法的には説明義務違反の議論が出てくるのですけれども、通常起こり得る合併症の話ですので、その場合は、当然管理者が予期していたということです。臨床上のことは、それ以外にもいろいろなパターンというのはあり得ると思いますので、救急だけという絞りを加えるよりも、医療従事者に対して、ある程度の判断の余地を与えないと非常に窮屈になってしまうのかなと思います。
○山本(和)座長
鈴木構成員。
○鈴木構成員
鈴木です。
過去の事案を通じて、永井様の御質問に答えたいと思うのですけれども、過去の裁判例ですと、患者様が説明を放棄していて、医療従事者が一生懸命説明しようとしたけれども、もう先生、いいよという形で遮断した場合が1つ挙げられると思います。
そのほか、内視鏡などを何度も繰り返して受けている患者様の場合に、1回目、2回目はすごく細かく説明をそのときに受けているのですけれども、それが3回目とか4回目になった場合には、患者様も理解が高まっているということで、1回目と同じような事細かな説明はしないでも、患者様は理解できているだろうという判断をされたものもあったりするので、繰り返し同じ処置を受けているとか、あるいは患者の立場に立たれる方が専門家、医療従事者の場合には、当然理解している。判断するための情報が既に具備されているという形で、具体的にカルテに書いていないとか書面になっていないということは起き得ると思います。
ただ、書面になっていなくても、放棄の場合には説明を受けるチャンスをみずから要らないと言っているわけですし、繰り返し受ける処置の場合には、理解し切っているので、カルテに書いていないということも起き得るのかと思います。
以上でございます。
○山本(和)座長
小田原構成員。
○小田原構成員
両先生が言われましたことはそういうことなのですが、全体としては、これはもともと予期しなかった漠然とした話ですので、限定列記ということは不可能だと思います。あくまでも例示として、事務局のほうで救急等、わかりやすい例を出されたということでございます。限定列記するような話に聞こえましたので、これは確認しておきたい。あくまでも救急と出したのは例示ですね。先ほど、とり方がほかにもいろいろという話になるので、これは限定列記ではないことを確認したい。
○大坪医療安全推進室長
かしこまりました。もし、特定できるものであれば、それは通知に書くことは可能だと申し上げただけで、今、先生方の御意見で、さまざまなシチュエーションでそういうことがあり得るということであれば、それはちょっと難しいのではないかと思います。
○小田原構成員
例示だけですね。
○大坪医療安全推進室長
はい。
○山本(和)座長
永井構成員、どうぞ。
○永井構成員
大磯先生がおっしゃった合併症も予期したということがあるのですが、僕は緊急の例は物すごく理解しやすいのですけれども、違うところだったら説明してあげてほしいですね。説明しようとしても聞かなかったというのはいいのですが、これをそのまま3番も同列で書くと、大変失礼な言い方をすると、3番に適用されることが多くならないかという危惧を抱いてしまう。3番にみんな持ってこられたら、全部そういう理由にされる。そんなことはないと期待したいですが、1、2で十分わかるのに、3番が来ると、この文章では現場が物すごく混乱するのではないでしょうか。
そういうふうに理解していますので、そこを納得する。「その他」と言ってもいいですけれども、救急なり、などでいっぱい入るならいいですけれども、何を言っているのかが、この3番で理解できるのでしょうか。
○山本(和)座長
そうすると、緊急の場合その他というような。
○永井構成員
例えば、3番がそのままだったら、さっき加藤先生がおっしゃったように、通知の中で3番は救急時などのようにとか、そういう突然のことが起こったときには、こういう3番もあっていいのですが、一、二、三とあると、現場の中で三でもいいのかという戸惑いを感じると思います。これは3番にある事例だから、説明しなかったものでいいのだという話に持っていかれるおそれが多分にあるのではないかと心配です。
○山本(和)座長
そうすると、通知のところで、3号というのは緊急の場合その他と。
○永井構成員
「など」でもいいです。要は、何を言っているか。ここに出ている方はみんなわかっています。しかし、現場の医師なり、どこかに説明しておかないと、3番は何のためにあるのかというのは、ほとんどの人が理解できないのではないかと思います。
○山本(和)座長
いかがでしょうか、加藤構成員。
○加藤構成員
1番、2番が基本的には原則的なものとして書かれているのだろうと思うのですけれども、説明する余裕もなかったし、あらかじめ文書に記録することができなかったような場合を3号で救急などを想定しているのですが、ある意味ではそういう説明がなかった、あるいは文書にも記録がないということが、何らかの特段の合理的な理由があると考えられるような場合に限定して、この3号というのがイメージされているのだろうということだと思うので、その趣旨を通知の中に書き込むことは可能なことだと私は思います。工夫していただければ。
○山本(和)座長
緊急の場合、その他、こういう1号、2号のようなことが事前にできなかったということに合理的な理由がある場合には、この3号によって対応するということが可能であると。
どうぞ。
○有賀構成員
昭和大学の有賀です。
こういう新たな社会の仕組みというか、ルールができると、例えば東京都医師会にしても、品川区医師会にしても、皆に説明するというプロセスが入りますので、ぱっと見で見てわかるかという話でいけば、いろいろなところでぱっと見で見てわからないところはいっぱいあるわけで、医療に関してはわかりますけれども、法律の話なので。ですから、そういう意味では、僕だってぱっと見で見てわからない話を一生懸命理解しようと思って、耳を傾けているという話です。
くだんの3番で言いますと、ぱっと見でわかるという話は、ここにいっぱい出ています。ですが、実際問題として病院で医療安全の延長線上で事故調査に関する件をいろいろもんでいきますと、実にさまざまなことがあります。ここでは予期するという話で軸が組まれていますが、医学的なプロセスをどういうふうに解釈するのかということが難しかったり、その難しさに対応するための説明や、カルテの記載がどのようになっているかという話は、それ以上にまた難しい話になっていく。それらのことを、全体としてどうなのだということを病院の責任者、また診療の責任者が患者さんの家族に一生懸命説明するという話がいっぱいあります。
この部分は、ある意味医療安全を病院の中で一生懸命やっている人にとっては極めて重要で、1番と2番は当たり前みたいな話で、こんなものは書かなくたっていいじゃないかという話かもしれないぐらいに、この3番は含蓄が非常にある。さっきたまたま大腸がんの話をしましたが、あんな話ではなくて、本当にいろいろなことが病院では起こっていますので、この3番については、例えば救急などでもいいですけれども、救急ははっきり言って超単純。余りに単純で、もっと複雑な奇々怪々なことがあります。ですから、3番は残しておいていただかないと、病院が変にわけがわからなくなってしまうことがあると私は思います。医療安全のプロからすると、そうなります。
○山本(和)座長
今のお話は、この3号は基本的には残しながら、通知のほうで緊急の場合、その他1号や2号で記載できなかったことに合理的な理由があるような場合であると。その点についてはそういうことで。
○有賀構成員
3番は、世の中を惑わすみたいな言い方をする。そんなことは全くない。
○山本(和)座長
それはよく。
どうぞ、田邉構成員。
○田邉構成員
今の永井構成員とか加藤構成員のお話を伺っていると、紛争を意識されているのではないかと思いますけれども、本制度は医療安全のためですから、仮に説明義務違反があって、カルテにも書いていないとか、言っていないというケースであっても、事後的にこれはよくあることだというのは幾らでもあるわけですね。ですから、通知で救急とか、そういうことを書くというのは、余り限定する意味はないのではないか。特に、この3号は一方的な恣意的なものではなくて、安全管理のための委員会の意見という、かなりしっかりした意見を聴取した上ということになっています。
それから、もう一つは、大きな病院などで管理者は全くノータッチでよくわからないけれども、現場のほうである程度予期しているケースはあると思います。そういったものがこの3号で読めますので、限定列挙的な通知はやめていただきたい。例示で幾つか挙げられるのはいいと思いますけれども、限定列挙するための通知であれば、そういうものは逆にないほうが。あると、逆に現場は、これはどの例示に近いのか遠いのかというので、かえって混乱すると思います。臨床現場での判断ですから、このままでいいのではないかと思います。
○山本(和)座長
限定列挙的な例示ということまでは、恐らく求められていないと思いますので、結局、例示的な列挙ということかと思いますが、どうぞ。
○永井構成員
田邉さんはすぐ紛争だと言うのですが、紛争なんて誰も起こしたいと思っていません。なぜ起こったかを知りたいということです。なぜ起こったかを知りたいときに、突然亡くなった原因が合併症だけをすぐ言われても理解できる人は少ないでしょう。要するに救急のときはわかります。それだったら合併症も含めて、さっきのお話じゃないけれども、インフォームド・コンセントの中で最初に理解するほうがいいと思うし、この事態が起こるということは、本当に僕はまれというか、医療の現場ではこれはまれじゃないとおっしゃるとすれば、まれじゃないということも含めて、患者さん、家族にはしっかりした説明をしていただかないと、本当に理解できない、納得できないというところに行ってしまいます。原因はわかりませんけれども、合併症です、事故ではありませんとだけ説明されても理解できません。
○山本(和)座長
そういう趣旨ではないと思いますが、先ほどちょっと私が申し上げましたが、例えば緊急の場合、その他、1号により事前に説明するとか、2号により事前に記録するということができなかったような合理的な理由があるような場合、文言は練れていませんが、何かそういうことで意見がまとまるのであれば、それでまとめたいと思いますが、そうでなければ難しいと思います。
どうぞ。
○松原構成員
私どもも3を全部適用して、全て3で片づくとは思っていません。むしろ、合理的な理由があるときにこれを使う。逆にいえば、3号を適用する場合は合理的な必要がある場合とするとか、通知文で書いていただければ。合理的な理由が何もなくて3だけ使うということは、医療界においてあり得ないことです。もし、それで御理解賜るのであれば、そういう文章を入れることについては賛成です。
もう一点。ポジティブリストとネガティブリストをつくることの難しさは、これを検討するときに皆さん、随分考えて、ポジティブ、ネガティブでやると、結局うまくいかないから手続論でいこうということでこうしたわけですので、できればそういったリストではなくて、合理的な理由ということで御判断いただければ幸いでございます。
○山本(和)座長
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
予期というわからないものを規定しているのです。これはこれで、精いっぱいだろうと思います。例示もするべきではない。中途半端な例示は、混乱を招きます。これがベストであると思います。これで決まらないようだったら、もともと予期しなかったものの定義なので。そもそも座長が言われたように、この検討会の合意ということはスタートからあり得ない話だと思います。だから、これ以外にはあり得ません。しかも、省令については黒で書いてあるように、前回、合意済みの話でございます。
○山本(和)座長
省令については合意済みで、通知に付加するかどうか。
○小田原構成員
だから、通知についても、さっき言いましたように、これを踏まえた上で、これがベストであろう。これならば合意いたしますということでございます。
○山本(和)座長
わかりました。ということは、合意は見込めないということですので、この部分につきましては、これも私のほうで引き取らせていただくことにしたいと思います。
○西澤構成員
私は、日本医師会の松原副会長の意見に賛成です。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
それでは、今のところはそういう形で、引き続きまして、最後、死産です。これについてはいかがでしょうか。先ほど田邉構成員からは、医療との平仄という点についての御指摘ありましたが、ほかに御指摘いただくところがあれば。よろしゅうございましょうか。ここは基本、医療並びということだと思いますが。
それでは、以上でこの資料2-3を終わりまして、既に20分以上超過しているわけですけれども、まことに申しわけないですが、きょうはデスマッチということにならざるを得ないと思いますので、最後、この資料2-4までやってしまいたいと思います。事務局のほうから、これについて御説明をお願いします。
○大坪医療安全推進室長
2-4を御説明させていただきます。これは、医療事故が発生した場合、調査が始まる前のセンターへの報告の段階での規定でございます。
5ページまで飛んでいただいて、5ページの最後、これは法律事項ではございませんが、医療事故だと判断した場合に、管理者は「センターに報告しなければならない」しか法律では規定されておりませんが、その際、判断のプロセスの過程において御相談するという機能について御議論がございました。
2つ目の○ですが、「管理者が判断する上での支援として、センター及び支援団体は医療機関からの相談に応じられる体制を設ける」という案を事務局から提案いたします。この相談につきましては義務ではございませんで、最終的に判断権者はもちろん医療機関の管理者でございますが、その判断の際に相談する場合にはどちらにするのかといった疑義に対して、このように提案させていただきたいと思います。
その際、大磯構成員から秘匿性等の御意見がありましたので、それも付記させていただいております。
6ページに参ります。管理者が医療事故と判断した際には、遅滞なくセンターに報告しなければならないとなっております。報告事項につきましては、法文のほうを見ていただきたいのですが、下から4行目、「遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項」をセンターに報告となっております。
したがいまして、センターへの報告事項につきまして、1つ目の○、上で括弧で囲っておりますところは、既に法律で定められた事項ですので、ここで御議論いただくまでもないと存じまして、そのまま書いてございます。
今回、御議論の対象は、省令事項として、その他省令で定める事項を何にするかという御議論かと思っております。そこを切り分けまして、事務局提案としては、連絡先、医療機関名/所在地/管理者の氏名、患者情報。病名等につきましては、まだ調査に入る前ということで、ここは削除しております。医療事故調査の実施計画、これはどれくらいかかるのかということは必要であろうということで一致いたしましたので、黒で書いております。「その他必要な情報」と書いておりましたところ、「管理者が必要と認めた」ことと加筆するようにと御指摘がございましたので、そのようにしております。
その上で、通知のほうでございますが、法律、省令の解釈通知として、6ページの右側に書いております。日時/場所/診療科はよろしいかと思いますが、医療事故の状況として、最初の届け出の段階で何が届けられるのかということにつきましては、疾患名/臨床経過、報告時点で把握している範囲とさせていただいております。
その他、変わったところは文言整理だけでございます。医療機関名/所在地というものを加えさせていただいております。それだけでございます。
報告期限につきましては、特に数字で設けることなく、「遅滞なく」のままということ。なお、「遅滞なく」の解釈をお示ししたほうが誤解がないのではないかという御指摘で、座長のほうからお言葉をいただきましたので、それをそのままつけ加えさせていただいております。
7ページに参ります。管理者は、センターへ報告する前にあらかじめ御遺族に説明しなければならないとなっております。説明の事項につきましては省令で定めることとなっておりますので、その省令事項、基本的にはセンターへの報告事項の内容でよいであろうという御意見がありましたので、それを踏まえまして、同じように医療事故の日時、場所、状況。
センターへの報告事項は、法令で置いておりましたけれども、遺族への説明事項につきましては全て省令事項となっておりますので、そこを加えております。センターへの報告事項と違います点、加えております点が2カ所ございます。制度の概要、下から3つ目ですね。それと、2つ目、解剖(Ai)が必要な場合の同意取得のための事項。これは既に御了解をいただいておりますので、改めて確認のために御説明いたしております。
解釈通知のほうも、センターへの報告事項と同様に置いておりますので、御確認いただければと思います。
以上です。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
それでは、まず5ページの医療機関での判断プロセス(センターや支援団体への相談)についてという部分ですが、これまでの御議論でかなり御了解を得られているところかと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、加藤構成員。
○加藤構成員
5ページの支援団体の点です。センターに相談したらこう言い、また支援団体に聞いたらこう言うというばらつきが当初、起きるのかなという心配をしております。それで、センターが指定されまして、支援団体も決まってくるという段階では、センターが支援団体の代表の方々といいましょうか、この制度に積極的にかかわるところの団体を、具体的には研鑽、研修とか教育とか、いろいろなことをするプログラムが必要になってくるのではないかと考えております。
このセンター及び支援団体とここには書かれていますけれども、センターがそうした意味で均一なある意味でアドバイス等いろいろなことができるという方向性を具体的に今後示していただければと希望しているわけです。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、加藤構成員からは今後の運営のあり方についての御注意がございましたけれども、通知の内容としてはこういうことでよろしゅうございましょうか。
それでは、引き続きまして6ページ、これはセンターへの報告事項、報告期限についてということでございますが、これも第3回の御議論を踏まえて修正されているところですが、いかがでしょうか。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
ほぼ異論はないと思います。これで結構であろうと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。はい。
それでは、最後の7ページ、今度は遺族への説明事項の部分でございますけれども、これも基本的にはセンターに対する報告事項と同種のものを報告するということで、おおむねの合意が成立していたかと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
これもこのとおりで結構であろうと思います。
○山本(和)座長
どうぞ、大磯構成員。
○大磯構成員
1点だけですけれども、通知事項で血液とか体液を採取して保存するということですので、通知のところに、御遺族に対してはそういったものを御遺体から採取して保存しますよということは説明しておいたほうがよろしかろうと思いますので、死亡後に血液・尿等の体液の分析のために採取・保存しますよということを記載していただけたらと思います。
○山本(和)座長
どうぞ。
○柳原構成員
今の御意見につけ加えて、その場合、医療機関で全量消費しないようにお願いしたいと思います。
○山本(和)座長
どうぞ、永井構成員。
○永井構成員
解剖の場合の説明でも、本当にどこを解剖するのか。頭に関係なかったのに頭まで解剖されたとか、そういうこともあるので、解剖についても、脳・頭までやらなくちゃいけないときはそういう説明もしてほしいと思います。解剖の内容についてもしっかり説明してあげてほしいなということをお願いします。
○山本(和)座長
どうぞ。
○柳原構成員
今の永井さんの御意見には、私はちょっと違う意見を持っておりまして、本当に死因をきっちりと確定するためには、司法解剖レベルで頭も体も解剖するというのが基本だと思っています。これは私の体験で言うと、うちの父親は……。
○永井構成員
説明したほうがいい。
○柳原構成員
説明ですね。だから、頭が必要ないのにとおっしゃったので。
○永井構成員
説明しないまま、やらないでほしいということだけです。
○柳原構成員
そういう意味ですか。わかりました。説明という前段階で、私としては、基本的には全部解剖する。センターに届け出するような事案に関しては、そこまできっちりやるということで御遺族に説明するというところをきっちりしていただきたいと思います。後でトラブルになるのを避けるために。
○山本(和)座長
わかりました。
ほかにいかがでしょうか。今の御意見だと、7ページの御遺族への説明について、血液・体液の採取とか、その取り扱いについての説明を入れるべきだという。
解剖のところでは、これは同意取得のための事項に含まれるのかもしれませんが、永井構成員の言われたのは解剖の内容ですかね。どういう解剖をするかということと同意取得のための事項をあわせて。
○永井構成員
きょう論議した事実だとか。私は、さっき有賀先生がおっしゃったように、この内容だけで現場が本当にできるかといったら、多分できないと思います。そういう意味では、これから本当の現場が動きやすいガイドラインが出てくると思うので、そういう中にさっきのようなことも含めて検討される方は、ぜひいろいろな観点から検討して、現場が動きやすいようにリードしてほしいです。事故調査もしたことがないところが、調査ができるような教科書的なものがあるようにしていただきたい。そういうものをしっかりつくってもらいたい。
○山本(和)座長
それはおっしゃるとおりで、それは厚生労働省のほうも責任を持って考えておられることだろうと思います。
ほかにいかがですか。どうぞ。
○田邉構成員
今回の検討会では非常に対立点も多いわけですから、ガイドラインをおつくりになるということであっても、対立しているところに一方的な決着をつけるようなガイドラインはやめていただきたい。そうなると、現場は一切協力しなくなるということも厚労省はよく覚えておいていただきたいと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございました。
どうぞ、松原構成員。
○松原構成員
恐らく最大の問題点は、報告書の件だと思います。医療事故調査の7ページは、これは医療界は大体了解した話で、これなら行けるだろうということで厚生労働省さんが大分御努力いただいた所です。最後の調査の目的・結果については、遺族が納得する形で説明するよう努める、あるいは努めなければならないという文章です。
納得するということは不明瞭なので、なかなか難しいという御意見もあったので、例えば調査・目的の結果について、ここのところは皆さんが随分了解したところでありますので、「遺族が納得する形で」というのを「遺族が希望する方法で説明するよう努める」という形で、遺族の方の希望を十分に反映しなければならないという文章であれば、いろいろな先生方にも説明できると思うのですが、いかがでございましょう。
○山本(和)座長
これで一応、全体が終わっていますので、私が理解したところでは、もちろん文言的なもの、あるいは微調整と言うとあれですけれども、なお調整を要する部分はあろうかと思いますが、最大の残った問題が、今、松原構成員が御指摘になった医療事故調査の遺族への説明方法についての問題であったものと理解しています。そこで了解が何らか得られれば、他の問題点については、場合によってはある程度の一任をいただいて取りまとめるという形も可能かと思いますが、この問題点が残っている限りにおいては、そのような取りまとめは不可能だと認識しております。
そこで、今、松原構成員の御提案は、7ページの原案の2つ目の○が「遺族が納得する形」というのを「希望する形で」と。
○松原構成員
「希望する方法で説明するよう努める」。
○山本(和)座長
修正したら御納得がいただけるかという新たな御提案だと思いますので、一応お諮りしたいと思いますが、それで御納得いただけるでしょうか。
どうぞ、田邉構成員。
○田邉構成員
要するに、センターに医療機関から出す報告書そのものの強制開示を定める規定でないということが明確であれば、文言はほかの方が全員オーケーであれば賛成してもいいのですけれども、強制開示と読めるような規定であれば、いかなる文言であっても絶対に私は賛同しかねます。
○山本(和)座長
強制開示ということの御趣旨は。
○田邉構成員
遺族に対して、センターに出した調査報告書をそのまま渡すという内容を含むものであればだめと。
○山本(和)座長
センターがということですか。
○田邉構成員
いや、医療機関でしょう。7ページですから。
○山本(和)座長
医療機関が院内調査の結果ですね。
○田邉構成員
院内調査の結果をセンターに報告書を出しますね。それをそのまま遺族に渡すということを拒否する。
○山本(和)座長
センターが。
○田邉構成員
いや、医療機関が。
○山本(和)座長
そうすると、「希望する方法で」というのは。
○田邉構成員
だから、希望する方法でセンターに出した報告書をそのままくださいということを希望したら、そのとおりしなきゃいけないと読めてしまうので、それでは反対です。
○松原構成員
ですから、「希望する方法で説明するように努める」と。
○田邉構成員
だから、義務でないということが別途明記されておるのであれば、それでも構いません。
○松原構成員
座長、その意見でいいよという方がどれぐらいいるか、多数なのかどうか知りたいので。
○山本(和)座長
ただ、多数決をとるというのは。
○松原構成員
多数決じゃありません。どれぐらいの人たちがそれなら良いよと思っているかどうか、調べてください。
○山本(和)座長
今の御提案として。
○豊田構成員
上ですか、下ですか。
○山本(和)座長
下です。上はそのままということですね。
○松原構成員
そのままで、下のところが「納得する」というのはどういうことなのかわからなかったので、もっと明瞭にして、「患者さんの希望する方法で説明するよう努める」。
○山本座長
「遺族が希望する方法で説明するよう努める」という文言ということですね。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
基本的には理解だと思いますが、今、松原先生の御提案は強制ではないということでございますので、ぎりぎり賛成いたします。
○山本(和)座長
ほかにいかがでしょうか、この「努める」で。
どうぞ。
○宮澤構成員
文言的には「希望する方法で説明するよう努める」でいいと思うのですが、それと並行して、希望しても渡さなくてよいという形のことを付記するのであれば、それは反対です。
○山本(和)座長
その付記までは求められていないのではないかと理解しますが。
○田邉構成員
いや、私は付記を求めます。
○山本(和)座長
付記を求めなければ賛同できないということですね。
○田邉構成員
できません。
○山本(和)座長
それでは、取りまとめは無理ですね。
○松原構成員
とりあえず賛成者がどれぐらいいるかだけで十分です。
○山本(和)座長
参考までにですが、今の松原構成員が。どうぞ。
○葛西構成員
今の説明ではきちんと全員が完全に理解したと思えないので、ここで手を挙げるのは無理があると思います。
○山本(和)座長
わかりました。では、この段階では手を挙げていただくということまではしません。反対の意見の構成員がいまだおられるということですので、本日の段階での取りまとめというのは難しいということかと思います。
○大磯構成員
具体的にどうなるのですか、この先。
○山本(和)座長
それを今から御説明をいたしたいと思います。
私の理解では、きょうの冒頭に申し上げましたが、さらにそれ以上にきょうの御議論で、全体の方向性ということについては合意された点が多かったと思います。
ただ、今の点を代表的に、ほかに幾つか、私が整理しているところでは、院内調査の方法における匿名性の確保の問題、あるいは院内調査における医療従事者への教示の問題、それから報告書に意見が記載された場合の、それに対する訂正の申し立ての問題、あるいはセンターの調査結果として院内調査報告書を出すべきかどうか、出すことがあるということになるかどうかという点。
それから、法的義務のない開示請求という記載をすることが、厚生労働省の権限として認められるかどうかという問題。
さらに、先ほどの「予期しない」のところで、3号の部分について通知として何らかの例示、具体化というものをすべきかどうかという点について、私が一応の取りまとめ案をお示ししたところ、1人以上の構成員から反対があったと思います。
そういうことですので、これで取りまとめということにはなりません。本日、御意見の違いがあった点につきまして、私の希望としては、もう一回検討会を開催して、先ほど配られた厚労省の紙もそうですが、きょう新たに提案されたような事項も多かったので、もう一度頭を冷やしていただくというのはあれですけれども、少しクールダウンして取りまとめの可能性というものがないものかどうかということについて、できればもう一度試してみたいと思いますので、これは必ず最後にしますので、もう一度だけ本検討会を開催して議論を行いたいと考えますが、いかがでしょうか。もし、きょうで打ち切れということであれば、やむないことだとは思いますが。
どうぞ、永井構成員。
○永井構成員
基本的にもう一度やっていただくのはありがたいのですが、本当にもう一度で一致できるでしょうか。きょうと同じような話ばかりしているのではないかと思うのです。それだったら、厚労省案なりをしっかり出し、パブリックコメントするのだから、そういう線に動き出しながら、パブリックコメントの意見も含めて修正したほうがいいのではないか。10月なので、現場には早く提示しなくちゃいけないし、多分、もう一回やったって同じ、繰り返しですよ。
○山本(和)座長
その点の懸念というか、おそれというのは、もちろん私も感じないところではありません。ただ、他方で、きょうの御議論で当初からかなり御意見の対立があったところ、例えば再発防止の記載等についても、厚労省、事務局の御努力で一応のまとめができたところに鑑みると、一定の時間を置けば、ある程度納得いただける可能性が高まるのではないかという、希望的観測かもしれませんが、そういう希望を持っています。
もちろん、永井構成員が言われるように、いわば施行のおしりは切られていますので、それに間に合わないということはあり得ないわけですので、もう一回開くとしてもかなり近接した時期にならざるを得ない。そうすると、全員の構成員の日程が合うかというのは甚だ疑問になってくるわけですけれども、それでも開いたほうが、御欠席の委員は残念ながら、しかし事前に一定の御意見を述べていただいて、取りまとめの可能性を探るというのが相対的には望ましいのではないかというのが私の認識で、本当に取りまとめられるのか、取りまとめなければ責任がとれるのかと私に問われれば、それは責任は残念ながらとれはしないですけれども、希望としては、もう一度やってみるだけの値打ちはあるのかなという印象は持っているのですが。
どうぞ、松原構成員。
○松原構成員
調整していただいて、大体落ち着けば、それでよい。それでもまとまらないようだったら、もう一回開いていただくという方法でいかがでしょうか。
○山本(和)座長
はい。
堺構成員。
○堺構成員
座長先生に御苦労いただいているので、座長のお考えを尊重したいと思います。次回には、ぜひ何らかの結論に達せればありがたいと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございます。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
決まらなかったのだから、しようがないという話でありますが、今回のものは、先ほども言いましたように、予備日も何も組んでいないわけです。我々だって遊んでいるわけじゃなくて、スケジュールを今からこれのために組めと言われても、甚だ迷惑なところがございます。そのために今回、取りまとめのために譲るところを譲ってきたわけでございまして、まとまらないのだったらまとまらないで、そっちの話に行ったほうがいいのではないかと思います。とにかく次回まとめるのですということで座長が強い意思を示されて、どうしてもやるという話であれば日程調整に応じますが、それでもまとまるか、まとまらないかわからないというのを日程調整。
今回、予備日もないのですよ。予備日も組まずにやって、でき上がらなかったということは失態だと思うのです。
○山本(和)座長
まことに御批判はごもっともで。ただ、次回に必ずまとめられるかと言われれば、先ほど申し上げたように、私はまとめる自信はありません。そうなった場合には、最終的にまとまらなかった点については両論併記ということにならざるを得ないという認識は持っております。そういう認識であれば、もう開くなという御意見でしょうか。
○小田原構成員
私もこの会を壊そうとは思っておりません。先ほどからずっと協力してきていると言っております。
○山本(和)座長
それはよく認識しています。
○小田原構成員
座長がそういうことでやりましょうということであれば、極力、ほかの都合をつけて参加いたします。ただ、次回、今回みたいに何もかも先送りということではなしに、ある程度方向性をきちんと示していただきたい。きょうも、ほぼ決まった話が何回も蒸し返されています。そういうことを座長のほうでコントロールしていただくという前提であればということでございます。
○山本(和)座長
まことに申しわけないのですが、コントロールする権限が私にはないのです。多数決で決められるのならば、それはどこかの時点で多数決で決めます。あるいは、私に一任いただけるのであれば、それは一任いただきます。しかし、それは不可能なので、今のようなお話を申し上げているわけです。
○小田原構成員
わかりました。では、もう一回やりましょう。
○山本(和)座長
どうぞ。
○和田座長代理
提案ですけれども、先ほど座長がまとめられたように、一番対立が鋭い点は、報告書を患者さん側に手交するかどうかというあたりだったと思います。この論点に関しては、先ほどかなり合意可能なところまで来ていたのではないかと思うのです。松原先生が提案されたアイデアに反対されていると明示的に言われたのは田邉先生だけだったかと思います。
この点だけ、もう一押し、確定させて、その余の論点に関しては座長と事務局のほうである程度まとめられて、次回はこれを確認するという形の会にする。余り蒸し返した意見を繰り返すということにはしない。そのためにも、この報告書の論点については、きっちり詰めておいたほうがいいと思います。
そこで提案ですけれども、さっきの松原先生の「遺族が希望した場合に渡すように努めなければならない」というところに「可能な限り」というのを入れてはどうでしょうか。
○田邉構成員
私は、センターへ出す報告書をそのまま渡すというのは、基本的には反対なのです。だから、可能な限りとか、何が可能で何が可能でないのかということも議論がありますから、そこは別途のわかりやすい絵を描いて渡してあげてもいいし、口頭で説明を加えても、説明会をやってもいいと思うのです。説明するのはいいと思うのですけれども、センターに出したやつをそのまま渡すということが義務づけられるという規定はやめていただきたい。そこの1点だけなのです。
もう一つ、私が次回に合わないときに開いて、私がいないのを幸い、多数で決めるというのはいかがなものかと、御留意ください。
○山本(和)座長
どうしても日程が合わないときは、反対だという御意見をいただければ、その部分について取りまとめはしませんので。
どうぞ、加藤構成員。
○加藤構成員
きょうの議論を聞いていて、全員一致で全ての項目について合意が得られたという形には、私は悲観的なのです。しかしながら、かなりいい線に来た部分もあるのではないかという認識に関しては、多分皆さんも共通しているところがあると思います。このような状況の中で、両論併記にするのか、なるべくこのところまでまとめたとするのかを含めて、山本座長に一任したい。この検討会に出てくるのは結構大変なのです。精神的に大変という部分も含めて言えば、疲れる議論につき合ってきたなという気がします。しかしながら、それぞれに思いがあって、熱心な意見を述べておられるのだろうと思って、その点は参加してよかったとは思っていますけれどもね。
例えば遺族に対する、ある意味での不信感というものに対しては、決してそうではないですよ。永井さんや豊田さんたちが一生懸命、医療安全のために努力している、また私が担当した事件でも、御遺族が医療事故を起こした病院に医療安全のために3,000万円寄附した例などもあるのです。そういう御遺族が医療安全について積極的に取り組んでいくという芽もまた育っていくような、そして医療者の人たちがプロとして、まさにしっかりと自分たちでやろうという芽を育てていくような検討会に最終的にはなってほしいと思っていたわけです。
けれども、きょうの段階で、たった1人でも異論があれば、それは取りまとめをやめましょうという話だったら、次回やっても変わらないだろう。ある意味では、そういうことを含めて座長に一任したいなというのが私の本音です。
○山本(和)座長
松原構成員。
○松原構成員
もう一回やっても同じ結論になりますので、議論の一番大事なポイントは、座長、よく御存じですので、一任して、そして調整していただければと思います。
○山本(和)座長
有賀構成員。
○有賀構成員
松原先生の話と田邉先生のおっしゃっている話は、私はぎゅっと一緒くたにすることは可能だと思っています。現に、そういう形で東京都の多くの病院がやっております。さっき言ったように、報告書をつくるところで報告書を渡した例もありますし、現に私たちがやっている、超忙しいですので、カルテに記載して、そのカルテのコピーを持っていっていただくという形でやっているところもあります。
ですから、そのものをそのまま渡せみたいな話になると、現場はええっと後ろにふんぞり返って、それで終わりとなってしまいます。ですから田邉先生がおっしゃっていることと松原先生がおっしゃっていることを上手に足して、それでうまく山本先生がまとめていただくということでないと、多分これはエンドレスゲームになってしまって、寿命がどんどん縮まるので、お願いしたいと思います。やれると思います。もし、僕がそこに座ったら、きっとやらなきゃいかんと思うはずですから。
○山本(和)座長
かわっていただくのはいつでも結構ですが。
どうぞ。
○大磯構成員
繰り返しになるのですけれども、Q&Aにも書いてありますので、責任追及の議論をしないでいただきたいのです。責任追及にならないためにどうすべきか検討を進めるとQ&Aの8にも書いてありますし、アカウンタビリティーの話というのはWHOドラフトガイドラインでいっても、学習のためのシステムとは切り離さなければいけませんので、そこの議論というのは、何度も申し上げているとおり、紛争解決、説明責任は今回の事故調とは切り離しているのだ。やらないと言っているのではなくて、切り離して別でやるのだということに関して、ぜひ御理解いただきたいということと。
もう一点、昨日の夜9時に加藤先生から、冒頭お伝えしたように、誹謗中傷にかかるような提出資料が出されています。このようなことは本当にやめていただきたいのですよ。
○山本(和)座長
まことに申しわけないですが、今後の進め方についての議論です。
○大磯構成員
だから、そういう混乱を起こすような意見書を出さないように指揮監督してくださいということです。
○山本(和)座長
わかりました。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
座長に一任の話が出ています。別に一任はやぶさかではございませんが、白紙委任ではないということでお願いしたいと思います。
○山本(和)座長
白紙委任でない場合の条件というのはどういうものですか。
○小田原構成員
ちゃんと案について事前にすり合わせなり、意見を聞くなりを、集まる、集まらないにかかわらずやっていただきたい。
○山本(和)座長
意見を聞くことは可能だと思いますが、御同意を得るというところまでが条件だとすれば、それは私は受けられなくなりますが。御意見を伺えばよろしいですか。
○小田原構成員
もう一回やりましょうか。
○山本(和)座長
それでは、私に対する委任というのは難しそうですので、もう一回やるということになりましょうか。
○松原構成員
委任いたします。
○山本(和)座長
しかし、委任というのは、法律上、全ての方からいただかなければ効力は発生しないと思いますので、拒否される方がいる以上は難しいと。
どうぞ。
○加藤構成員
具体的に、例えば日を決めるわけですね。これだけの人が現実に日程調整をやって、事務局においてまとめますね。次回、何人ぐらいでやるつもりなのか。僕は、さんたんたる参加者というか、事態もあり得ると思うのですね。それよりも、今の議論を踏まえて、十分にいろいろなことを御検討いただいてきた座長が、みんなの意見をまさに踏まえて苦心されながらまとめるということに、その程度はもう了解しませんか。もう一回などというのではなくて。
○松原構成員
賛成です。
○山本(和)座長
いかがでしょうか。
どうぞ、瀬古口構成員。
○瀬古口構成員
私も、今回の提案については、事前に話を聞いておりまして、納得してここに参加してきたわけでございます。一言も発言しないというしんどさがありまして、きょう、ずっと聞いておりまして、本当は私は事前のレクで十分納得していたわけです。これにつきまして、またもう一回ということにつきましては非常に疑問を感じるところでありますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。
○山本(和)座長
いかがでしょうか。
どうぞ。
○福井構成員
新たな意見はございませんので、座長と事務局に一任させていただきたいと思います。
○山本(和)座長
それでは、最終的にもう一度確認させていただきますが、私にこの議論の取りまとめを御一任いただけるかどうかということです。反対の方は御意見をいただければと思います。
どうぞ、田邉構成員。
○田邉構成員
少数意見を付記していただけるのであれば、構いません。
○山本(和)座長
少数意見は付記するということですが、それで。
どうぞ。
○小田原構成員
確かに私も疲れました。休憩して、もう一回、その後続けてやりますか。今、言われたように、今の状態で全部委任という状況にはないですね。保留かもう一回やるか、この後もう一回やるか、延長するか。私は、きょうは朝までやっても結構でございます。ただし、休憩をとっていただきたいと思います。
○葛西構成員
何度も話し合いをして、議論というのは結構出尽くしたのかなと思っています。先ほど山本座長が言われたように、両論併記の部分があるのかもしれませんけれども、皆さん、言いたいことは大体言ったのかなと思っていまして、意見を言わないことが反対がなかったということではないということを踏まえていただいて、山本座長に一任したいと思います。
○山本(和)座長
それは重々認識しておりますし、意見が統一された部分も、皆さんが積極的に賛同したものでは決してないということも理解しています。
どうぞ。
○河野構成員
私は、世の中に完全はないと思っています。長い歴史の中で、民主主義ですら不完全。まして、リスクマネジメントは完璧はあり得ないということを考えますと、何が一番大事かというと、事故の再発防止ということできちんと調査する制度をどうやって運営するか。そのためには、エラーは個人の注意だけで起こるという、この古いモデルを、そうではなくて、背後要因をきちんと出して、医療業界全体を通じて、どうやって医療安全に取り組んでいくのか。これは、患者も全部含めてです。これを日本全体で考えていくことが重要で、調査員のトレーニングとか調査の方法のほうに私は早くシフトすべきだと私は思っています。
○山本(和)座長
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
今、まさに言われたところでございまして、私が白紙委任できないという話をしましたのは、医療安全の話であるけれども、そうでない話が現状、混じっているので、この状態で白紙委任はできませんよ。厚労省のQ&Aにも書いてあります。WHOドラフトガイドラインに基づく医療安全の仕組みだという大前提に立って、それを踏まえた上で座長が取りまとめをするのでということであれば、それを前提にしてお願いすることにはやぶさかではないと思います。
ただ、基本は、今までの議論をそのまま引き継いでという話であれば、医療安全の話でない話がたくさん混在しております。だから、その形で丸投げはできない。私は代表して出てきておりまして、ほかのドクターの意見をしょっておるわけです。ここで何もなしに、みんながこう言ったから折れて賛成したのだということは、私としては言えないということで、くどいですが、繰り返しますが、あくまでも医療安全の仕組みであるという仕組みにのっとってつくるのだと。厚労省のQ&A、WHOドラフトガイドラインに乗ってするのだということを前提で座長に一任ということであれば、一任しないということは言いません。
○山本(和)座長
もちろん医療安全のための仕組みであるということは、冒頭、私が申し上げましたように共通認識ですし、当然のことながら、私自身もそのような認識を持っております。ただ、問題は、医療安全を目的としているかということについての意見の食い違いがあったというのが、私は全ての人がこの制度は医療安全のための仕組みであるということを前提に御議論されていると思いますが、そこに至る道程に意見の食い違いがあったというのが私の認識ですので、もし私が取りまとめをするならば、医療安全のための仕組みであるということは、もちろん踏まえるわけですが、この場で行われた全ての議論全体を踏まえて最終的な取りまとめをするということにならざるを得ない。
私自身の独断で、私自身の医療安全観を皆さんに押しつけることもできませんし、一部の方の意見だけを取り上げることもできません。全体のこれまでの議論の流れを踏まえての取りまとめしかでませんが、それでは御不満であるということであれば、もう一度開くしかないというのが私の認識です。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
わかりました。もう一回やりましょう。
○山本(和)座長
それでは、そういう御意見ですので。はい。
○永井構成員
それで決めるのはないとしても、手を挙げるとしたらどっちが多いか。何でもう一回やるか。やっても多分同じです。
○山本(和)座長
もう一度やって意見の一致が見られれば、それはもう一度やらなくてもこの調整をした意見の一致は見られるのではないかと思っていまして、意見の一致が見られなければ、もう一回やっても意見の一致は見られない。結論的には両論併記になるということにならざるを得ない。先ほど田邉構成員が言っていただいたように、少数意見があれば、当然その少数意見も記載するという形での取りまとめになりましょうから、でき上がった結論は、恐らくもう一回開いても開かなくても私は同じことになるだろうという認識は持っております。
○松原構成員
そのとおりです。一任しますから調整していただいて、それでもどうしてももう一回開けという意見が強ければ、それも含めて一任します。省令の時期が来ていますから、お任せします。今、永井さんがおっしゃったように、1回、賛成のほうの挙手をとってみてください。
○有賀構成員
座長の山本先生、有賀ですけれども、先生が今、「私の医療安全観」とおっしゃいましたけれども、現に進行している病院における非常に大事な病院のクオリティーの表裏一体の医療安全というテーマは、現に存在していて、その医療安全をぜひ具現化するためのルールを社会の仕組みとしてつくっていこうねということであれば、本件については積極的に参加する価値があるので、医学部長病院長会議としても委員長の私を送り込んできているわけです。
僕がさっき、田邉先生の意見も松原先生の意見もぎゅっと足して、それができるはずだと言ったのは、WHOのガイドラインであれ、その他のいろいろな意見であれ、少なくとも医療安全をより強化していこうという仕組みに鑑みる限り、本件は少数意見を入れ込むというやり方でもいいのかもしれませんが、そうじゃなくてもきっちりできるはずだということを私は言ったのです。
ですから、松原先生がせっかく言っているので、それプラス田邉先生の意見をどういうふうに入れ込んでやっていけるかということについて厚生労働省で一生懸命考えて、それで皆さんに見せて、いいのではないかという話であればよい。この会議は、肉体的にもきついですけれども、精神的にもきついですね。ですから、ぜひ何とかしてほしいということでございます。さっき言ったことの繰り返しですが、医療安全というのは誰かの安全観の問題じゃないのです。現に患者を抱えている多くの医療施設で、同じように頑張っているのです。そのことだけはわかってください。
○山本(和)座長
十分わかっています。精神的・肉体的に一番大変なのは私です。それだけははっきり言わせていただきたいと思いますが、ということで、可及的な取りまとめに向けた努力をしていくということは当然のことです。
ただ、それの結果としても、なお取りまとめ、意見の一致が見られなかった場合には、そこは少数意見を付記するような形にならざるを得ないということもやむを得ないことだと思っているわけですが、それをそういう結論というか、ことを含めて、私に御一任いただけるか、いただけないか、もうその1点だと思います。一任いただけなければ、もう一度やってみる。その場で両論併記ということになる結論を、多分確認していただくことになる。その場合、日程調整はなかなか難しいだろうと思いますが、事務局に努力していただくということになろうかと思いますが。
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
取りまとめに御努力いただいて、すり合わせをいろいろしていただいて、それでまとまるようであれば、それでよし。まとまらないようであれば、やむを得ないので、もう一回やるということで、その決断を座長にお任せしたいと思います。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、先ほど申し上げたようにおしりが切られていますので、取りまとめに時間をかけて、その後だめだったから日程調整しましょうというのでは難しいと思いますので、とりあえず早い段階で日程調整していただいて、もしだめだったら、そこに設定するという期日を置いて、そこまで調整に向けての努力を行い、調整ができれば、そこでその日程はキャンセルして取りまとめを図る。そのような形ではいかがでしょうか。
どうぞ。
○大磯構成員
先に日程を決めましょうというのは、まさにそのとおりで、今、裁判所みたいに決められないのですか。
○山本(和)座長
それは人数が多過ぎると思います。
○大磯構成員
わかりました。
○山本(和)座長
どうぞ、豊田構成員。
○豊田構成員
賛成ですけれども、その際に、今、皆さん、頭が疲れていると思うのですけれども、後になってなるほどと浮かぶことがあると思うのです。例えば、それを事務局に採用してもらうとかじゃなくて、これはどうでしょうかと意見を出すというのはだめですか。
○山本(和)座長
それは、意見を出していただいて結構だと思います。
○豊田構成員
そうしたら、そうさせていただきたい。
○山本(和)座長
どうぞ、加藤構成員。
○加藤構成員
山本座長にはいろいろと大変な思いをさせることになるのですけれども、とりあえずここでのまとめというのを文書化していただいて、メールで流していただいて、それに対して、どうしてもこの部分は賛成できないというならば、文書でその構成員から出していただいて、それを添付して厚労省に最終のものだという形をとったらどうですか。
○山本(和)座長
その意見を添付する。先ほどの少数意見。こういう意見を述べました。
○加藤構成員
誰かがこういうことについて反対意見、留保しておきたいということがあれば、会を開いて、それを確認するのではなくて、先生が座長として今までの議論、要望も全部含めて、ある意味では取りまとめをされて、そしてメールでその文書を出していただくと、そこは私の意見とは違うという意見があるとしますね。そうだとすれば、その部分について少数意見を書いていただく。それは、そういう意見もあったということで取りまとめとすることを私は提案したい。
○山本(和)座長
ただ、それをやりますと、多分多くの項目について、皆さんの完全な同意というか、積極的な賛成をいただけているわけではないと認識しておりますので、結局、いろいろな項目について、自分はここはちょっと違うみたいなことが出てこないかということなのですが。今の御趣旨は、報告書の説明のところだけについてということですか。
○加藤構成員
いろいろな論点についてディスカッションして、大方まとまった部分もあるし、意見がまとまらなかった点があって、要するに預かりという形になった部分もありますけれども、その部分について若干の意見交換をそれぞれの場面でされて、それで調整できれば1本に書けますし、書けなければ両論併記のような形で山本座長がまとめることになるわけですね。それでも不十分という意見があり得るかもしれないと考えたときに、意見がある人はどうぞと言えば、そんなにみんなが今からあちこち書くとは、私は認識しない。1人いらっしゃるかどうか、そのぐらいの論点として絞られてきているのではないかと思われるので、そういう形で決着をつけていただきたい。切に願います。
○山本(和)座長
堺構成員、どうぞ。
○堺構成員
いろいろ議論が出たのですけれども、例えば座長に一任するとすれば、フリーハンドで座長のお考えにお任せするということでいいので、余り我々がいろいろこうやったらどうかと言うことは、もちろん座長がそれを取り入れていただけるかどうかはまた別ですけれども、フリーハンドで考えていただければ十分じゃないかと思います。
○山本(和)座長
ありがとうございます。
どうぞ、宮澤構成員。
○宮澤構成員
座長に一任するということは、私もそれで全く構わないと思っているのですが、今、この段階で山本座長に一任してしまうのは、座長に対して余りにも責任と重みを押しつけているような気がして、やはり気が引ける。その意味で、検討会をもう一回やって、それでもだめだったら座長に一任するという形が、恐らく肩の荷を我々のほうでも分かち合うという意味では一番いいのではないかと思います。座長の御判断にその点も任せたいと思います。
○山本(和)座長
どうぞ、小田原構成員。
○小田原構成員
さっき座長が言われました。大磯先生も言われましたように、日程を先に決めていただいて、その間、座長と事務局のほうで案を練っていただいて、それを先ほど加藤先生が言われましたように、メールでも何でもいいですから、それで意見聴取をした上でまとまれば、それでもよし。どうしても違う点があれば、やむを得ないので、決めた日程でもう一回やって、最後の詰めをするということでいいのではないかと思います。
○山本(和)座長
わかりました。
それでは、先ほど私が申し上げたような形で取り扱わせていただいて、ただ、この時点からの日程調整ですので、構成員皆様の御要望を全て取り入れるというのは不可能に近いということだけは認識いただいて、先ほどもお話ありましたように、もしどうしても御出席できないようであれば、事前に御意見をいただいて、当日はそれを踏まえて議論するということにしたいと思います。よろしゅうございましょうか。
どうぞ、永井構成員。
○永井構成員
皆さんがおっしゃったように、日程調整は大変厳しいと思うし、これだけの人数、多くの人が集まったら、一番多い日に設定するということで、私が駄目な時をわざわざ選んだと思うかもしれませんけれども、皆さん方のご都合が多いところで決まるということを納得していただかないと、日程調整は大変で、いつまでたっても決まらないと思いますので、それだけはお願いします。
○山本(和)座長
日程調整についてだけは、私に御一任いただけると思いますので、よろしくお願いします。
それでは、1時間余りにわたって延長した結果、またもう一回やるという帰結になったことについては、私自身、まことに申しわけないと思いますけれども、お許しをいただければと思います。
それでは、本日はこれで終了したいと思います。長時間にわたってありがとうございました。
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