ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会> 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について(2014年5月29日)




2014年5月29日 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について

医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室

○日時

平成26年5月29日(木)10:00~12:00


○場所

コンベンションルームAP東京八重洲通り(13階A+B室)


○議事

北村座長 第22回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会を開催します。本日は御多忙のところ、多くの先生方、特に参考人の先生方、お忙しい中お集まりいただきまして、厚く御礼申し上げます。

 まず、委員の先生方の出欠状況並びに配付資料の確認をお願いします。

医療機器審査管理室長 委員の出欠状況を報告いたします。医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会委員16名のうち、現時点で11名の委員の皆様方に御出席いただいています。そのほか、吉田先生、千葉先生が遅刻です。また、葉梨先生から1時間遅れで参加するという御連絡を受けています。

 また、本日は検討品目に関する専門家として、ワーキンググループより4名の先生方に、参考人として出席いただいておりますので、紹介いたします。

 東海大学医学部内科学系循環器内科教授の小林義典先生です。

 九州大学病院ARO次世代医療センター准教授の戸高浩司先生です。

 独立行政法人国立生育医療研究センター臨床研究センター治験推進室長の中村秀文先生です。

 東京医科大学形成外科学講座教授の松村一先生です。

 申し遅れましたが、私は4月1日付けの人事異動により、医療機器審査管理室長に就任した山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、配付資料の確認をいたします。

 資料1 これまでの選定品目の現状(平成26年4月30日現在)

 資料2 平成25年度 学会等からの要望内容の概要一覧

 資料3 ワーキンググループによる評価レポート

 参考資料1 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会 委員名簿

 参考資料2 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会 開催要領

 参考資料3 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討の進め方

 参考資料4 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討の進め方(流れ図)

 参考資料5 ニーズ品目の選定の流れ

 参考資料6 学会提出の要望書

 参考資料7 早期導入候補品目の評価資料

 不足等があれば事務局にお知らせください。

 これより議事に入りますので、傍聴の方のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。

 座長、よろしくお願いいたします。

北村座長 議事に入ります。まず、委員の利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いいたします。

事務局 利益相反の確認結果です。本日の議題に係る検討品目に関連する企業からの寄付金及び契約金等の受取状況を伺ったところ、本日の検討品目については、議論に参加いただけない委員等はいらっしゃいませんでした。従いまして、本日は全ての委員が議論に参加できることを報告いたします。

北村座長 議題1.「これまでの選定品目の現状について」です。事務局から説明をお願いいたします。

事務局 議題1では、本検討会で選定した品目に関して、平成25年8月9日に開催した前回の検討会以降の進捗について、資料1に沿って報告いたします。資料1を御覧ください。

 1ページ目です。No.3 植込み型補助人工心臓のうち、センチュリーメディカル社から承認申請のあったJarvik2000植込み型補助人工心臓システムが、平成251122日付けで承認されました。これにより、植込み型補助人工心臓については、本検討会で選定した全ての品目が本邦に導入されたことになります。

No.4血管内塞栓物質のうちジョンソン・エンド・ジョンソン社により、承認申請準備中でしたTrufill n-Butyl cyanoacrylate (n-BCA) Liquid Embolic Systemが、開発中止となりました。これは、本品の類似品が承認を取得したためで、本品の要望学会である日本脳神経血管内治療学会に報告いたしまして、了承を頂いています。

No.12放射線治療補助材のうち、東洋メディック社による承認申請準備中の品目が平成25年9月20日付けで承認申請されました。

 2ページ目です。No.18日本ストライカー社により承認申請された頭蓋内動脈ステント、ウィグスパンステントが、平成251122日付けで承認されました。

No.24水晶体嚢拡張リングのうち、HOYA社から承認申請のあったHOYAシーティーアールが、平成251220日付けで承認されました。

No.26気管・気管支用ハイブリッドステントのうち、スーガン社から承認申請のあった、AERO気管気管支用ハイブリッドステントが平成26年2月24日付けで承認されました。

 3ページ目です。創外固定用金属ピンのうち、日本メディカルネクスト社により承認申請検討中の品目が、平成26年4月2日付けで、承認申請されました。

No.31人工内耳のうち、メドエルジャパン社から承認申請のあった、メドエル人工内耳EASが平成25920日付けで承認されました。

 4ページ目です。No.54日本ライフライン社により承認申請のあった電極装着のガイドワイヤー、Nykanen RFワイヤが平成26年2月8日付けで承認されました。

No.57冷凍凝固カテーテルアブレーションシステムのうち、日本メドトロニック社により承認申請のあったArctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル、Freezor Max冷凍アブレーションカテーテル、Achieveマッピングカテーテル、FlexCath Advance ステアラブルシース及びメドトロニックCryoConsoleについては、平成25年9月24日付けで、優先審査品目に指定され、平成26年2月19日付けで承認されました。

 5ページ目です。No.59ボストン・サイエンティフィックジャパン社により承認申請準備中の気管支温熱療法装置が、平成251226日付けで承認申請され、平成26年2月20日付けで優先審査品目に指定されました。

No.60経頭蓋反復磁気刺激によるうつ病治療装置のうち、ミユキ技研社の品目以降については、前回の検討会にて選定した品目です。報告は以上です。

北村座長 この検討会の先生方や学会の努力で承認申請され、承認された品目、約60品目のうち、90数%が既に保険収載されています。ここで選定して、早期導入品目として承認申請していただいて、承認が下りれば、今年の7月1日付けの保険収載予定の品目を加えると、60品目近いうちの90数%が保険収載されるということで、委員の先生方の努力、医薬食品局の努力が報われているのではないか。医学界に保険収載という最終の形で、還元できているのではないかと思い、私からも御礼申し上げます。

 今の御説明に、御質問等はございますか。積極的に申請を進めてもいただいておりますし、幾つか申請が遅れている、あるいは準備中のまま長時間滞っているものも、ないわけではありません。しかし、それについては個別検討してくださいとお願いしているところです。よろしいですか。

事務局 先ほどの報告に誤った点が1点ありましたので、訂正いたします。

 4ページのNo.54、日本ライフライン社により承認申請のあった電極装着のガイドワイヤー、Nykanen RF ワイヤについてです。先ほどは承認日を2月8日と報告いたしましたが、資料のとおりの平成26年3月26日付けの承認ですので、この点を訂正させていただきます。失礼いたしました。

北村座長 よろしいですか。

 では、議題2.「平成25年度の学会からの要望について」、事務局より御説明をお願いいたします。

事務局 まず、参考資料3をご覧下さい。本検討会では、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会の進め方に従い、学会等から募集した要望について、ワーキンググループで作成した選定案を基に御審議いただきまして、別紙1「検討会における対象医療機器等の選定の考え方」に従って、対象医療機器を選定しています。本議題では、平成25年度に学会等から募集した要望に関するワーキンググループでの検討結果を中心に、資料2に沿って報告させていただきます。 まず、1ページ目の についてです。こちらは平成25年5月1日から7月1日までの要望分です。

No.25-1日本女性骨盤底医学会から要望のあった、骨盤底メッシュについては、承認申請済みの品目であったため、対象外としました。

No.25-2日本内視鏡外科学会から要望のあったsurgical tissue management systemについては、要望学会と面会したところ、要望が保険区分に関する内容であり、薬事承認以外であることを確認しましたので、対象外といたしました。No.25-3及びNo.25-4についても同様でした。

No.25-5日本外科学会から要望のあった腫瘍凍結治療器については、海外において承認等を受けていない製品でしたので、対象外といたしました。

No.25-6日本呼吸療法医学会から要望のあった、搬送用熱交換器については、要望の適応が海外では承認を受けていないことを確認しましたので、対象外としました。

No.25-7日本呼吸療法医学会から要望のあったダブルルーメン送脱血管のうち、Maquet社の製品については、今回ワーキンググループで評価レポートを作成しましたので、本日の議題3で御検討いただきたい品目です。

No.25-8 OriGen社の製品については、資料を整備してワーキンググループで再検討することとなっております。

No.25-9、No.25-10及びNo.25-11の日本救急医療学会からの要望については、その前の日本呼吸療法医学会からの要望と同一の製品で、先ほどの整理と同様です。

 次に 2. 平成25年9月1日から1031日に受付分の要望について説明いたします。

No.25-12日本てんかん学会からの要望は、要望学会から取下げの御連絡を頂いております。

No.25-13日本膵臓学会から要望のあったヒト合成セクレチンについては、ヒトに投与して用いる体内診断用の医薬品であるため、対象外といたしました。

No.25-14日本膵臓学会から要望のあった膵外分泌機能診断キットは、資料を整備してワーキンググループで再検討することとなっております。1ページ目は以上です。

 2ページ目に移ります。

No.25-15日本呼吸療法医学会から要望のあった胸部生体インピーダンス計測器については、学会の要望書からは、本品を用いて胸部インピーダンス計測を行うことの医療上の有用性等を評価できないということから、ワーキンググループにて非選定としました。ワーキンググループの開催後、要望学会に面会の上で説明しまして、御了承いただいております。

No.25-16日本呼吸療法医学会から要望のあった気管支肺胞洗浄カテーテルは、次回のワーキンググループで評価レポートを検討することとなっております。

、平成26年1月1日から2月28日受付分の要望について説明いたします。

No.25-17集中治療医学会から要望のあった気管支肺胞洗浄カテーテルは、先ほど説明しましたNo.25-16と同一の品目です。

No.25-18No.25-19日本レーザー歯学会から要望のあった、歯科用半導体レーザー手術装置については、次回のワーキンググループで評価レポートの要否を検討することとなっております。

 最後に、平成24年度以前の要望分について説明いたします。

No.22-39及びNo.22-40No.24-15No.24-19について、ワーキンググループで評価レポートを作成しましたので、本日の議題3で御検討いただきたい品目です。

No.23-18日本小児循環器学会から要望のあった、経カテーテル人工弁については、資料を整備してワーキンググループで再検討することとなっています。

No.24-18日本泌尿器科学会から要望のあった、高密度焦点式超音波治療装置については、学会要望書から医療上の有用性等を評価できないことから、ワーキンググループにて非選定としました。ワーキンググループの開催後、要望学会に面会の上で説明し、御了承いただいております。

 事務局からの説明は以上です。

北村座長 ただいまの説明について、御質問等はございませんか。学会からの要望を事務局で検討し、対象外あるいは未整備のもの、いろいろありますが、次回のワーキンググループのレポート審査に係るものも幾つかありましたが、いかがでしょうか。

千葉委員 今の最後のNo.24-18の高密度焦点式超音波治療装置についてです。ほかのものでもそういうものがありましたが、医療上の有用性の評価が困難である理由というか、背景というか、もう少し御説明願えれば有り難いのですが。

事務局 お答えいたします。こちらについては、本邦の一部の医療機関で、既に医師の裁量権の下で使用されているものですが、学会からの要望書に添付された資料が、1カ所の医療機関のみで収集され、ほかの医療機関でのデータがないということから、その要望書に添付された資料に基づいて有用性を評価していいものかということが問題になりました。事務局からは以上です。

 佐藤先生から御記憶がありましたら、追加をお願いします。

佐藤委員 事務局から説明がありましたように、基本的にこういった取下げの場合には、有用性が判断できない、あるいはデータは示されているけれども、エビデンスが十分ではないと判断しています。千葉委員 そうしますと、今のところ有用性が認められない、あるいは評価が困難であるということですから、データが集積され、エビデンスがだんだんと集積されれば、これがまたいつか対象になると考えてよろしいのでしょうか。

佐藤委員 基本的にはそうです。その辺についてはワーキンググループでも、以前に取り下げたものに対しての敗者復活はあり得るというコンセンサスは得ています。先ほど、事務局からの説明にあったように、学会に説明し、承認していただいたということですが、その辺をきちんと説明しておかないといけないことは、ワーキンググループでも意見がありました。

千葉委員 例えば泌尿器科ですと、海外では製品化している大きな会社もあります。私の知っている範囲ですが、世界的に結構な症例で行われているという印象を持ってきた製品ですので、日本でまだ症例は少ない、あるいは限定されているというだけで取り下げてしまうというのは、もったいないという印象を持っております。

佐藤委員 先生の御指摘のとおりで、その辺の非選定の場合の理由は明確にしておかないといけないと思います。データが少ない、今後集積されれば再挑戦していただけるということは、学会にきちんと伝えておかなければいけないと思います。

千葉委員 了解しました。

北村座長 1回取り下げても、何度でも出していただいて結構ですので、学会で改めて検討していただいて出していただくという形でいいかと思います。よろしいですか。

 議題3.「早期導入品目の選定について」に入ります。先ほどの説明どおり、5品目があります。1番目のバルーン拡張型ステント(CP STENT)についての審議に入ります。中村先生から御説明いただけますでしょうか。

中村参考人 No.22-39、バルーン拡張型ステント(CP STENT)No.22-40のバルーン拡張型ステント(COVERED CP STENT)です。

 まず、No.22-39番、資料3の です。

 要望学会は日本小児循環器学会、対象疾患は先天性心疾患に伴う肺動脈狭窄、大動脈縮窄、上又は下大静脈狭窄です。使用目的は、これらの疾患に対して、バルーンカテーテルを用いて拡大留置することにより狭窄を解除し、血行動態を正常化するものです。製造企業名はNuMED、輸入企業名が株式会社トライテックです。

 外国の承認状況は、米国は未承認で臨床試験が進行中、欧州では2004年1月に、先天性又は再発大動脈縮窄、幾つかの条件が書いていますが、これらについてCEマークを取得しています。

 対象医療機器の概要です。プラチナ-イリジウム合金性ワイヤを格子状に成型したセグメントをレーザー溶接で連結し、連結部分を金でろう付けしたバルーング拡張型ステントです。ステントはカテーテルに格納して狭窄部にデリバリーされ、バルーンカテーテルで拡張して留置されます。拡張径が1224mmまでのサイズバリエーションがあります。対象疾患についてです。今回は幾つかの疾患について要望が出されておりますが、本検討会の選定の考え方に従い、欧州で承認のある大動脈縮窄を対象疾患として、今回レポートを作成いたしました。

 2ページ、疾患の概要です。大動脈縮窄症は胸部の下行大動脈に狭窄を持つ疾患で、重症の場合、下半身に必要な血流を供給することができないため、新生児期より動脈管の狭小化の過程で、心不全や腎不全を合併し、致死的な経過を取ります。心不全等の症状が見られなくても、放置すると上半身の高血圧を誘発し、脳血管や眼底血管の動脈硬化を促進することで、若年期より眼底出血や頭蓋内出血の原因となり、生命の危険や大きな障害を残すという、非常に重篤な疾患です。

 国内で、JPICJapan Pediatric interventional Cadiology)という研究会で、専門家の会で疫学調査をしていまして、大動脈縮窄症は年間に5~10例と報告されています。

 既存の治療法と課題です。本邦では、外科治療が可能であればそれが行われるわけですが、困難な場合は代替治療として、バルーンカテーテルを用いて血管形成術を行っています。限局性の大動脈縮窄ですと、バルーン血管形成術の有効性も比較的高いのですが、症例によっては大動脈瘤や大動脈解離などの重篤な合併症を生じ、また広範囲の大動脈縮窄には有効性が乏しいと言われています。

 医療上の有用性です。2011年の米国の心臓学会のScientific statementでは、大動脈縮窄の治療において成人の血管径まで拡大できる、ステントを留置できる程度の再縮窄には、ステント留置が推奨クラス 、エビデンスレベルがB。先天性縮窄では推奨クラス2、エビデンスレベルがBとして推奨されていまして、海外では、治療の中で大切な位置付けが確立しているとお考えになっていいと考えます。

 しかし、本邦では現時点では、このような適応を持つステントはないため、バルーンカテーテルによる血管形成術を行ったにもかかわらず再発する症例においても、バルーンによる形成を繰り返すことをせざるを得ないため、本品が導入されますと、適切なステント留置で対応することができます。

 臨床使用に関する論文です。かい摘んで説明しますと、バルーン血管形成術で血管壁の亀裂、動脈瘤の形成、狭窄部の拡張不全、再狭窄を生じ、動脈瘤の発生が5~11.5%あったということで、ステントを用いることによって、大動脈瘤合併症を減少することが認められている。105例での報告で、全例において大動脈の圧較差が解消したということで、これはFDAの申請時のデータの一部が論文化されております。

 4ページです。国内では、大動脈縮窄を対象としたステントはありません。なお、現在、国内では大動脈縮窄症が極めて少なく、むしろ「肺動脈狭窄の疾患が多いということから、肺動脈狭窄を対象とした医師主導治験が検討されている」とありますが、現在、治験届が提出され、PMDAからの照会事項に対応しているところで、早ければ6月には実際の治験がスタートすることになっています。

 検討結果です。本邦において先天性心疾患に対するステント留置術は適応外ではありますが、1980年代後半から実施されており、大動脈縮窄に適応を有するステントがないことから、第一選択としてはバルーン血管形成術又は外科治療が選択されています。バルーンでは繰り返した処置によっても効果不十分な症例も存在し、侵襲が大きいが治療を実施したとしても、無効又は再狭窄を来して、再介入を必要とする場合も多くございます。

 本品目で、大動脈縮窄に対する適応が取得されれば、多くの患者でステント留置術が大動脈縮窄に対する治療における第一選択となり、繰り返すバルーン血管形成術や侵襲の大きい外科手術を回避することが可能となります。さらに、治療に関する入院日数の短縮や治療効果も比較的長期に維持されることが期待できます。

 本品目は、この適応について、欧州でCEマークを取得しておりまして、米国でも治験が実施されております。本品について、肺動脈狭窄及び大動脈狭窄等の大血管狭窄に対する有用性を報告した文献もございますが、本検討会では、海外で既に承認されているものの早期導入ということですので、CEマークを取得している大動脈縮窄を適応の範囲として、早期の導入品目に選定すべきと判断しました。

 なお、本品の開発は、本邦における先天性心疾患に伴う大血管狭窄症のうち、症例数が多く、学会要望にも含まれる肺動脈狭窄についても進められることが望ましいと考えております。

 本品が本邦に導入された場合、先天性心疾患に対するインターベンション治療は難度が高く、本品の適応対象となる症例数は極めて少ないと考えられることから、実施施設に対する要件、医師に対する技術要件を含む学会ガイドラインの策定が必要であると考えられます。

 本治療の対象となる先天性心疾患の多くは、生命に重大な影響がある致死的な疾患であることから、適応疾患の重篤性はA、また既存治療としてバルーン血管形成術や外科手術はあるものの、バルーン血管形成術では治療ができない症例が多く、本治療は既存治療と比較して、より侵襲性が少ない治療であることから、医療上の有用性はBと判断いたしました。以上です。

北村座長 中村先生からの御説明がありましたが、御質問等はございませんでしょうか。COVERED CP STENTと使い分けるポイントは。

中村参考人 CP STENTよりもCOVERED CP STENTのほうが圧に強いということがあります。後の報告書にも書いていますが、大動脈縮窄の処置を行う場合にはCOVERED CP STENTを万が一のためにバックアップとして用意しておいて、CP STENTを使う。それで耐えられないようであれば、COVERED CP STENTを使うという形で、既に海外での治験も進行しているということです。

北村座長 主に高圧系、大動脈縮窄に対してCOVERED CP STENTのほうを使うということでしょうか

中村参考人 そうですね。両方使うのですが、圧が高いものについてはCOVEREDが必要だろうという判断だと思います。

北村座長 逆に、肺動脈系統では、カバーがないほうが血栓などは少ないかもしれないというようなことはあるのでしょうか

中村参考人 現在、国内でスタートしようとしている治験では、CP STENTだけで行うということで進んでいます。

北村座長 下大静脈とか、こういった所の狭窄も、広範囲の血管狭窄に用いる大型のステントですね。

中村参考人 左様でございます。

北村座長 何種類ぐらいあるのですか。

中村参考人 すみません、細かい数までは記憶していないのですが、かなり細かく径と長さが分かれております。

北村座長 いかがでしょうか。今現在は、小児科の先生は肺動脈の狭窄はいろいろな疾患で再発をしてくることがありますが、今はどうされているのですか。

中村参考人 バルーンや外科手術を行っていない場合には、ほかの国内で使えるステントを代用して使っておられるのですが、それが供給の問題があやしかったりとか、適応を取る意思が企業になかったりということで、今回この新しいものを要望することになりました。

北村座長 成長期にある、特に小さな0歳、1歳という子どもにステントを使ってしまうことも認めているのですか。

中村参考人 細かい年齢は覚えておりませんが、一番径の小さいものが使える年齢が、ある程度大きくなったお子さんからだと聞いております。それ以上のお子さんであれば、それを入れて、成長に伴って、また、途中でバルーンを用いて少し広げることもされると理解しています。

北村座長 このステントはバルーンの大きさを入れ替えていけば、かなり段階的に膨らませるのですか。

中村参考人 そう理解しています。再度膨らますことがあると説明を受けています。

吉田()委員 今の御説明を伺って、既存の治療ではできないことができるとか言っておられるのですが、なぜ医療上の有用性がAではなくてBなのですか。

中村参考人 個人的にはAでもよろしいと思うのですが、一応外科手術とか、バルーンで開くということもあるところで、Bにしております。こちらでAが適当であるといえば、私には全く異論はございません。

吉田()委員 それよりも侵襲が少なくてよいのであれば、ほかに治療法があったら全部Bにするわけではないのではないですか。よりよいものであれば、既存の治療を上回ればAでいいのではないかと思うのですが、どういう議論だったのかなと思うので。

事務局 事務局からお答えします。こちらのA、B、Cの区分について、参考資料3の8ページを御覧ください。この検討会を始めた早い時期に、A、B、Cをどのように振り分けるか、この検討会の中で決めていただいたものです。

 医療上の有用性区分については()を御覧ください。Aは、既存の治療法、予防法若しくは診断法がないものです。Bは、欧米において承認されており、有効性・安全性等、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法よりも優れている。こういう標語で分けていますので、ワーキンググループではBという判断を頂いております。

吉田()委員 そうすると、欧米で承認されていたらみんなBなの。

中村参考人 既存の治療法、予防法がないわけではない。外科手術とかバルーンで対応できる症例はあるけれども、それだけでは対応できないものについて、これが使えるとか、より優れているというニュアンスだったもので、AとするよりはBではないかという議論だったと理解しています。

吉田()委員 それはいいのですが、欧米において承認されてBだったら、みんなBになってしまうから。

佐藤委員 それは違います。先ほど中村参考人が言ったような議論でBにしたと思います。

 ただ、AにするかBにするかというのは、いつもワーキンググループでは揉めるところでして、今までの議論の選定品目との相対的なものも含めて、どうするかという議論もあります。

 ですので、AとBだけを見ると、そのもの自体がそれだけで判断されるというのは、ワーキンググループでも困るという議論は、これまでもございました。

吉田()委員 それは了解しているのですが、Bに「欧米において承認されており」と一言入ると、欧米において承認されてないものはここには出てこないので、これは条件には関係ないのではないですか。

佐藤委員 そうですね。Bという要件には関係ございません。

笠貫委員 その場合に、北米で569本ということで、アメリカが一番データを取っているのかもしれないのですが、このバルーン血管形成術と外科治療法と比較して、どれだけこれが第一選択になるだろうと言っている根拠、そういうデータはあるわけですよね。

中村参考人 ございます。例えば水散きホースのようなものを想像していただけると分かるのですが、グニャッとなり、どうしても折れ曲がるところで水が貯まってしまうようなことがあるのですが、そこを内腔からバルーンで開いても、それを抜いてしまうと解剖学的な構造のため、またグニャッとなって閉じてしまうようなものがあって、そういった所にはステントを入れないと効かないといった実例の報告は多数ございます。

笠貫委員 実例よりも、エビデンスとしてあるわけですか。

中村参考人 ございます。

笠貫委員 比較試験があるのですか。

中村参考人 私は医師主導治験の肺動脈狭窄のほうでの議論でいろいろあったのですが、結局、比較のしようがないということなのです。バルーンを使ってよくなるものもあれば、バルーンと比較できなくても、言ってみればステントを使わないと駄目、例えば破裂してしまうということがあるので、明確な比較試験はなかったと記憶しています。

笠貫委員 医療機器の場合は比較試験ではなくてもヒストリカルなものでも、それでどうであるかという。

中村参考人 それはございます。

笠貫委員 明らかに、これが優れていることでしょうか。

中村参考人 はい。

笠貫委員 ヨーロッパではCEマーク、アメリカでは510(k)なのですか。

中村参考人 臨床試験での評価を求められています。

笠貫委員 そうすると、アメリカでは569本、これはまだ承認されないで使われている本数ということですね。

中村参考人 すみません、そこまで細かくは。

事務局 位置付けとしては、IDEInvestigational Device Exemption)です。臨床試験自体は終わっているようで、データ収集中のようです。今後は、その治験データと臨床試験データを用いて、PMAPre Market Approval)に向かうことになると思います。

笠貫委員 この辺がCEマークとアメリカでどうか、アメリカは510(k)なのかPMAなのか。アメリカの場合には、そういう意味ではIDEだと。これからの問題だと。その辺のところを、アメリカとヨーロッパでどういう承認条件にあるのかということは、必ず書いておいていただきたいと思います。

事務局 承知いたしました。

北村座長 これは、現在、小児循環器領域では、ガイドラインの作成を進めている状況にあるのですか。それとも何もない状況ですか。動静脈に関わらず、血管のステント治療、もちろん冠動脈になったらまた別問題になるけれども、肺動脈、大静脈、大動脈関係のガイドラインの作成をお願いしなければいけませんよね。

中村参考人 ガイドラインという形で存在したかどうかは思い出せませんが、現時点では、かなり手技に慣れた先生方が、一部の施設で適応外で使用しているような状況ですので、承認され、市販されるようになった場合には、きちんとしたガイドラインを作らないといけないとか、講習会をすることは、先生方がお考えになっています。

北村座長 今まで、ここで承認した場合に、申請してきた学会に、「ガイドラインを作成しなさい」と命じていたのですかね。それを条件に承認するとか、そういうのはありましたか。

事務局 全ての製品ではありませんが、要望学会にガイドラインの作成をお願いしている品目はございます。

北村座長 それは可能なのですね。ガイドラインの作成を誰が判断するのですか。

事務局 薬事・食品衛生審議会で承認の可否を審議するときに、条件がないと承認できないということであれば、承認条件を付すことがあります。しかし、その承認条件には、具体的にガイドラインを作りなさいということは書きません。

北村座長 PMDAが審査する段階では、どういうものを適応として日本で使うのですかということを明確にした、申請者側の要望とマッチするものがないと駄目でしょうね。

事務局 はい。

北村座長 この検討会で選定しても、ガイドラインの作成という書類を添えて、PMDAに運ばないと、向こうも何に使うのですかということになり兼ねないと思うのですが。

 ですから、この検討会からそれを条件付けて学会に承認という形は取っていいわけですね。

事務局 承認条件を付した場合に、その承認条件に紐付く学会ガイドラインとして、こういったものが必要と、このニーズ検討会から助言を与えている記録を残していただきますと、それを踏まえて審査が進むことになると思います。

北村座長 どなたか御意見はございますか。

笠貫委員 肺動脈狭窄に対して治験を考えているという話でしたが、肺動脈狭窄は年間3040例とすると、この承認を受けるための治験には、とても時間がかかって遅れると思うのです。企業主導型の治験をするということではないのですね。

中村参考人 医師主導治験です。

笠貫委員 そうすると、これは先進医療Aかな。

中村参考人 医師主導治験の場合には、先進医療の手続は必要ありませんので、PMDAに何度も相談に行きまして、骨子を固めまして。試験期間2年ぐらいで済ませる方向で、どこまで申し上げていいのか分かりませんが、うまくいけば大動脈縮窄の海外でのデータがまとまる時期に合わせられないかなというぐらいのスピード感を期待して、進めているところです。

笠貫委員 その承認申請のときに付けるという資料として、治験を進めていくと。

中村参考人 そうありたいと考えております。

北村座長 何を適応として使うかは、PMDAとの相談によって決定されてきていますね。

中村参考人 そのとおりです。

北村座長 それと、先進医療で行うという場合には、非常にややこしく、微妙で選択肢があるのはいいのですが、ややこしいところがあるのです。

 しかし、子どもに使うのであれば、高額の先進医療はなかなか適応しにくいこともあるでしょうしね、早く何例かはやれということになるかもしれませんけれども、ガイドラインを添えてPMDAで承認を受けて、先ほど申しましたように、早く保険導入に持っていってもらおうということが筋だと、やりやすいと思います。

 私としましても、申し上げたように各関連学会、心臓血管外科のフォローが要るのかどうか、小児循環器関係者だけでよいのか、外科医の対応が必要な場合があり得るということで、そういう施設の条件と、どういう患者、ここに少し書いてありますが、解剖学的に狭窄といったら、少し狭いから入れようということになってもいけませんので、圧力の差がある狭窄にするのかどうか、それは小児の循環器の専門家にお任せしたいと思いますが、どういう条件で適応するかを明確にしていただきたいと。そして、当検討会では早期導入品に選定しますが、それを付けて、あとはPMDAで具体的に日本人への適応性を何例で見てほしいということがあるかどうかの検討に入ってもらうという形で、よろしいですか。

( 異議なし)

北村座長 その形でお願いいたしまして、選定ということにさせていただきたいと思います。

 引き続き中村先生から、COVERED CP STENTのお話をお願いします。

中村参考人 こちらも要望があったのは同じく小児循環器学会ですが、これはバルーンやステント留置では、通常のベアのステントではリスクが高い大動脈縮窄に対するカテーテル治療が対象です。製造企業はNuMED、輸入企業はトライテックでございます。承認状況は先ほどと同じで米国では未承認、欧州では2004年1月CEマークということで、米国では治験が進んでおり、いくつか条件が書いてあります。

 対象医療機器ですが、CP STENTePTFEの人工血管を縫着したバルーン拡張型のカバードステントで、拡張径が1220mmのサイズバリエーションがございます。バルーン血管形成術やベアステントの留置では、血管損傷や亀裂のリスクが高い大動脈縮窄の狭窄部の拡張に用います。

 次ページです。対象疾患ですが、 1. 内腔3mm未満で閉塞に近い重症縮窄、マルファン症候群、ターナー症候群など、大動脈壁の脆弱性がある症候群に合併した、大動脈縮窄及び60歳以上の大動脈縮窄など、バルーン形成術やステント留置ではリスクが高い大動脈縮窄。 2. が外科治療やカテーテル治療の遠隔期に合併した大動脈瘤、 3. 大動脈縮窄に対するバルーン血管形成術やステント留置に合併した、大動脈損傷に対する緊急的な治療などが対象となります。大動脈縮窄のバルーン形成術やステント留置術に伴う大動脈の解離や亀裂が致死的な合併症となるため、このような治療がされています。

 疫学調査は、先ほどもありましたが、 が年間5~10例、 が数例、 については年間1、2例です。

 既存の治療法と課題ですが、 及び の疾患に対する治療法は、他の治療法はありません。

 医療上の有用性ですが、大動脈縮窄に対するバルーン血管形成術やステント留置が困難な症例や、大動脈の解離や亀裂のリスクが高い大動脈縮窄、大動脈縮窄に対する外科治療やカテーテル治療の遠隔期における合併症の治療では、カバードステントによって脆弱な大動脈壁を保護して、致死的な合併症のリスクを低減することが望ましいと考えられています。また、バルーン血管形成術やベアステント留置に合併した大動脈損傷では他に治療法がなく、このような治療を行う場合には緊急時に備えてカバードステントを準備しておくことが推奨されております。そのため、本品を導入することにより、バルーン血管形成術やステント留置術による治療が困難な症例及びリスクが高い大動脈縮窄並びに治療遠隔期における合併症に対するステント留置術や、バルーン血管形成術やベアステント留置の合併症に対する緊急治療が可能になってまいります。

 臨床治療に関する論文は3報ほど引用されておりますが、33例全例で成功、30例全例で改善、22例の成人患者で有効性といったものが列挙されております。

 4ページです。我が国における開発状況ですが、本品と同様な、大動脈縮窄に用いる製品は未導入です。検討結果ですが、この前段に書いてあることはほとんど今申し上げましたが、 については一般的に外科治療を行われているが侵襲が大きくまた、リスクが高い。また、 のバルーン血管術やステント留置に合併した大動脈損傷の緊急的治療には、既存の治療法がなく、これによる緊急治療は唯一の治療法になる可能性が高い。COVERED CP STENTは大動脈縮窄を適応として欧州でCEマークを取得しており、米国でも大動脈縮窄を対象として、臨床試験が実施されております。本品が本邦に導入された場合、先天性疾患に対するカテーテル治療としては難度が高く、本品の対象となる症例数は極めて少ないと考えられることから、学会はガイドラインの作成は必須と、先ほども御指摘がありましたが、施設の選定等も含めて実施されると考えられております。本治療の対象となる先天性疾患の多くは、生命に重大な影響がある致死的な疾患であることから、適応疾患の重篤性としてはA、また既存治療としてバルーン血管形成術や外科手術があるものの、外科手術と比較してより侵襲性が少ない治療であり、既存の治療法では治療ができない症例も存在することが考えられることから、医療上の有用性はBと判断いたします。以上です。

北村座長 ありがとうございました。御質問等ございましたらお願いしますが。先ほど言われたように、先ほどのステントだけで膨らませたときには、血管内膜のフラップができたり、ちょっとエキストラバゼーション(血流の血管外漏出)のようなものが見えたりすると、これにすぐ切り替えるわけですね。

中村参考人 はい。

北村座長 そうすると、ある意味、先ほどのものとセットで準備するということになる場合も少なくないということですか。

中村参考人 そういうことです。

北村座長 60歳以上の大動脈縮窄というのも書いてあるのですが、これは今の下行大動脈への動脈瘤に対するステントグラフトと何が違うのですか。

中村参考人 ちょっと私は、小林先生、分かりますか。すみません。そこまでの知識はございません。申し訳ありません。

北村座長 このカバードステントには、大動脈に引っかかるピンが付いているのですか。

中村参考人 どうでしょう。

北村座長 今、下行大動脈瘤の成人の場合の動脈瘤に対しては、ステントグラフトが爆発的に増えて手術する代わりにそれを使うというのが増えていますけれども、成人の場合はそれでもいけるのではないかと思います。

中村参考人 私の理解では の所に書いてある60歳以上、マルファン、ターナーというのは、いずれも通常のステントを使った場合に、血管が脆弱なので、持ちこたえられないというので、周りを覆われたものを入れるというように認識しております。

北村座長 分かりました。どなたか御質問はありますか。

澤委員 北村先生の件と同じなのですが、参考資料7のNo.22-40には写真付きで出ているのですが、成人で使われているものを、今度は小児に適応になるものとして承認したいということが今回の目的なのでしょうか。今、座長がおっしゃられたように、ただ内腔の大きさの違いということ以外に、何か小児用に特殊な引っかかりになるような構造が加えられているのでしょうか。

事務局 事務局で分かる範囲ではお答えいたします。こちらの製品につきましては、No.22-40というカラーの写真が載っている企業資料が、製品を御理解いただく上では一番分かりやすいと思います。こちらには、血管壁への固定用のフックのような構造はございません。現在、学会要望の適応で承認を受けている製品ではございませんので、既存の大動脈瘤治療用のステントグラフトで治療できる範囲もあるかもしれませんが、基本的に大動脈治療用のステントグラフトの適応は、大動脈瘤の治療ということであって、今回もこの製品の要望された適応というのが、大動脈縮窄部の拡張治療ということになりますので、承認を受けていただく適応が違うと思われます。

北村座長 適応が違うのですよね。

四宮委員 基本的なことで申し訳ないのですが、これ、カバードステントは何種類かあるのでしょうか。要するにCPステントの太さが何種類かあって、それを乳幼児だったらだんだん成長していくので、カバーの大きさが広がらないとあとで困る、というようなことはどうなのでしょうか。

北村座長 誰かお答えになれる方はおられますか。

中村参考人 私自身は循環器ではないので、聞いている話ではありますけれども、長さとサイズは各種CPステントでも御説明したとおりあるということで、網目になっていますので、成長に応じてある程度広げるということはできるということで、入れ替えるということは、何か不具合があった場合以外はあり得ないというふうに聞いています。

事務局 先ほど、長さと大きさの御質問があったと思いますけれども、皆さんに御覧いただいている企業側から出ているNo.22-40と、No.22-39、それぞれに1枚めくっていただくと製品の概要が記載されています。カバードのほうが1220mmまで拡張可能で、カバーがないほうが1224mmまで拡張できるということがありますので、サイズはそこに記載されていることが分かっています。

中村参考人 あと場合によっては2本続けて使うようなことはされるとは聞いています。

千葉委員 文書を拝読して思いましたのは、隣接する血管径の20%を超えるものでなければいけないという表現が最初にあったと思います。その次のページには、内腔が3mmという数字が書いてございますね。20%という1つのスタンダードと3mmのスタンダードが常に同時に合致するものなのでしょうか。専門ではないのでお教えいただければと思いますが。どちらの基準をこれから選んでいくのであろうかという質問です。

中村参考人 適応のところは、このようなものということで、このうちのどれかというところで20%を超える場合と書いてあると理解しております。それから、次のページの のほうは、閉塞に近いという意味で、内腔3mm未満という所です。

千葉委員 ですから、閉塞に近い内腔3mmが、20%を超えているのかということを伺っているのです。

中村参考人 そこまで細かい実際の解剖については私もわかりません。

北村座長 20%の血管狭窄というのは、実質的に圧を生じない場合もたくさんあるし、3mmというのは、閉塞に近い状態で、3mmの血管を、例えば1cm以上に拡張すると、裂け目ができるわけですよね。その裂け目が怖いので、カバーしておこうということなのですけれども、カバーがありますと、今度は外を回っていく血液をどう止めるかというところが問題で、成人の場合も動脈瘤の場合もピンが付いていて、大動脈の壁に埋め込むような形になるのです。しかし、これにはピンが付いていませんので、流入部の形状の太さのところから外側に流れる血液をどう止めるのかなと思いました。狭いところだけできちっとくい込ませるように広げるというのですが、目測の20%を適応にしますと。不要なステントをいっぱい入れるということになるのでは。

千葉委員 そうしますと3mmのほうが重要であると考えてよろしいのでしょうか。

北村座長 圧力の差が生じて、心臓に負荷がかかっていることが必要なのですが、それも動脈系と静脈系でどのくらいの負荷、何年の負荷というようなことを考慮する必要があります。これが過剰適用につながるところですが、それは医者たちの良識に任せないと仕方がないというか、ある程度の基準も必要ですよね。20%で全部やっていたら、これはもう血管径の20%の狭窄なんてナンセンスに近い数値ですよ。

千葉委員 おっしゃるとおりですね。もう1点、60歳以上の話が最初、座長からもあったと思いますが、60歳以上の方にこれを使ってもらう場合に、小児循環器学会ではない、普通の循環器学会からの要望も、逆に厚労省側から、あるいはPMDA側からお話するものなのでしょうか。

事務局 先ほどのガイドラインの話と関係することになるかと思うのですが、当然これが小児以外の用途にも使用されるのであれば、そのガイドラインも作成してくださいとお願いする宛先の学会は小児だけではなくて、成人も含むことになると思います。

千葉委員 分かりました。

吉田()委員 今の話だと、カバードステントのほうは、小児を対象にしたものではないということですか。小児を対象としてカバードステントのこのタイプを小児のファーストトラックにのせてほしいという話なので、成人の話は関係ないのではないですか。承認後に成人に使うかどうかは別にして、我々は、今、子供に使っていいかどうかという話を判断すればいいだけで、その話は次の話になると思うのですが。

北村座長 まあ、このカバードステントは、飽くまで大動脈縮窄と明記されていますので、いわゆる大人の大動脈瘤に対しては適応にならないということが1つありますよね。大動脈縮窄の場合にそれが小児循環器領域の先生が使う小児対象の場合と、成人になっている場合の大動脈縮窄と書いてなくても、60歳以上の大動脈縮窄と書いていますので、飽くまでも適応症は縮窄ということに限った中での利用だと思いますね。

吉田()委員 要望されているのは日本小児循環器学会だけですよね。日本小児循環器学会は、子供に使いたいと言って申請したので、その他の用途に関しては、一応は関係ないのではないですか。審議すべき範疇にないのではないかと思うのです。

事務局 よろしいでしょうか。今ガイドライン、狭窄のほうの小児系のことを見ていますけれども、こちらでも対象年齢は小児に限っておりません。小児循環器の先方としましては、自分たちが見ている先天性疾患に対してこのステントを使いたいという、疾患として見て申請されておられるので、小児限定というおつもりで要望されているわけではないと思います。

吉田()委員 そうすると、これは申請の暁には、成人も含んで誰でも使えることになりますか。

中村参考人 成人も含んでいないと、年齢を超えてまだ症状がある方は、段階的に治療されていくようなこともありますので、成人になってもこういった手技の専門家が診られているところもあります。

吉田()委員 老人までは診られないですよね。

中村参考人 そこはちょっと私も。

吉田()委員 それは道具のことを見ればいいのであって、適応のことは我々考えなくていい。適応のことはその次の話であって、僕らとしてはニーズが高いかどうかという判断から外れることができるのですか。その定義の領域というのは。

北村座長 アダルトコンジェニタルというのは、日本でもそうですし、世界でも誰が診るべきかというのが大きな問題であるということです。ただ、こういうインターベンションをやっているカーディオロジストたちは、冠動脈が中心で、先天性の複雑な心臓病を持っている人をよく知らないのです。一方、コンジェニタルをやっている人たちは、主に子ども対象ですが、高齢者の症例があるのですね。あるいは手術で生存していった人が、またいろいろな合併症を起こすことも。グローンナップのコンジェニタルですね。その人たちの治療を誰が担っていくかという問題は続いているのですが、まあ、コンジェニタルを勉強している小児循環器の専門家が大人も診ていくという方向性は大体できてきているようなので、成人の場合でも、明らかに高齢者であっても、明らかに先天性疾患に起因する場合は、その人たちが治療するということは、認められているとは思います。ですから、こういった場合、誰が判断するかといったら、その施設によっても違うでしょうけれども、大人の先生がやられてももちろんかまわないわけですけれども、先天性の子どもの先生がやられてもかまわないと思います。

中谷委員 対象としてアダルトコンジェニタルも含まれると私は思ったのですが、1つだけよくわからないのは、なぜ60歳以上なのかということです。あるいは59歳までのことは、あえて書かなくて。アダルトコンジェニタルで縮窄症の病気のある人というのは全部含むというようにも読めると思うのですが。何で60歳以上なのですか。

北村座長 などと書いてありますからね。よく分かりませんが、あまりこの議論をここでしても実りのない議論ですので、申請者に確認しましょう。

事務局 先ほどいただいた御意見の御回答になるか分かりませんが、小児とおっしゃっているのは、恐らく要望学会が日本小児循環器学会だったと思います。ここで御検討いただきたいのは、申請があった製品自体が、どのような適応になっていて、それがニーズとしてふさわしいかどうかだと思っています。小児循環器学会から御提案のあった機器ですが、それ自体は適応症を読んでいただきますと、小児に限定しているわけではないので、適応を狭く理解してニーズにする必要はないのではないと思います。学会からの提案書につきましても、日本小児循環器学会から提案があって、関連する団体名として、日本心臓外科学会も書いてありますので、両方の製品とも小児を含む適応を想定されているのではないでしょうか。

笠貫委員 先ほどのCP STENTのほうは、日本では医師主導型の治験をして、IDEでのPMAとトータルスタディーとすることで、ちょうど治験が終わる頃に承認申請を考えております。今のCOVERED CP STENTについて、日本で医師主導型治験をする予定はありますか。

中村参考人 日本での治験は肺動脈狭窄でして、肺動脈狭窄に対してはCOVERED CP STENTを使う予定はありません。

笠貫委員 そうすると、日本では大動脈狭窄に関しては試験の予定はなくて。

中村参考人 実質上症例数が少なくてできないので海外データでいけないかと考えています。

笠貫委員 これもアメリカのIDEで進行中で、症例数はアメリカで773本ということになっています。この中には適応の年齢を超えた大動脈狭窄について臨床試験が進んでいるということだと思うのですが、そのときのトータルスタディーが、どういうプロトコルでやられているか、あるいは何例までいっているかは分かりますか。

中村参考人 すいません。ちょっと研究代表者の昭和医大の富田先生はご存じですが、正確な数字は覚えておりません。

笠貫委員 正確な数字ではなくても、かなり進行しているのか、成績がいいのか、分かりますか。

中村参考人 COASTスタディーの1本目が終わって2本目が確かに今CP STENTに加え、COVERED CP STENTをバックアップで使うという形で動いていて、数十例の症例が入っていると記憶しています。

北村座長 まだ3つ残っておりますので、そろそろ進まないと遅れてしまいます。これもガイドラインを先ほどのものと平行して、一緒に作られていいのではないですかね。どう使用するかについて、ガイドラインの作成を依頼しまして、選定ということでよろしいですか。セットで使うということもあるということですので、当検討会といたしましては、早期導入に向けての手続きをお願いし、ガイドラインの作成を関連学会と話し合ってください。小児循環器だけではなくて、できれば循環器学会と血管外科関連も合わせた形での作成を是非お願いしていただきたいと思います。それを合わせてPMDAでの審査を受けるという形でお願いいたします。

 それでは、3番目、リード抜去ダイレータシースセットについて、小林先生からお願いします。

小林参考人 よろしくお願いします。品目は、リード抜去ダイレータシースセットです。これに加えて、心内に遊離したリードをトラップして引いてくるNeedle's Eye Snareといいますが、この2品目が申請されております。要望学会が日本不整脈で、対象疾患は植込み型ペースメーカーあるいはICDに関する経静脈リード不全、これはリード感染らを持つ患者に適応になります。主に、皮下ポケット部の感染やリード感染敗血症が対象になるわけですが、それ以外にも停留リードによる重篤な不整脈、あるいは重篤な血栓塞栓症、停留リードによる重篤な不具合が発生する恐れのあるものが対象疾患になります。

 目的は、植込み型心臓デバイスのリード周囲の癒着組織を経皮的に剥離するために使用されます。もう1つのスネアのほうは、経皮的な手技によりリードを体外に牽引するために使用します。

 対象医療機器ですが、Byrd Dilator Sheathがダイレータシースセットで、Needle's Eye Snareがスネアセットです。製造企業がCook Vascular Inc.で、輸入企業がCook Japanです。

 外国承認状況ですが、両社とも実に1980年から90年代にかけて米国あるいはヨーロッパで既に使用が承認されております。現在も、かなり使用の経験が蓄積された状態です。

 対象医療機器の概要ですが、これはNo.24-15の最初のページを見ていただきますと、機器の写真が出てきますが、ペースメーカーやICDのリードを抜去する際に、リードの周囲にある組織を拡張して、癒着組織を剥離するために用いられるByrd Dilator Sheath。それから、リードを把持して安全に体外に牽引するために用いられるNeedle's Eye Snareです。Byrd Dilator Sheathは、インナーシース及びアウターシースの2本のシースから構成されています。図を御覧いただければ分かると思います。それから、Needle's Eye Snareは複雑な構造になっておりまして、スネア、シース、ガイドワイヤーなどからなっています。スネアは2本ありまして、ニードルズアイとスレッダーという2つのループから構成されています。この2つのループによって、リードを把持してこれをダイレータの中に、シースの中に収めて引っ張って取り出すというようなシステムです。それが動作原理ですが、Byrd Dilator Sheathはロッキングスタイレット、ロッキングデバイスでもいいのですが、リードに固定して、そこから血管内に本品を挿入して、リード周囲の癒着組織を機械的に剥離するということです。ニードルズアイは、先ほどお話しましたように、2つのスネアを利用して捕獲をして、シースの中に収納することによって、牽引してリードを回収するという方法です。

 対象疾患は、冒頭に述べましたが、主に感染症が多いということです。それ以外にも、リード不全、重篤な不整脈、血栓塞栓症などが対象疾患になります。これまでの疫学調査では、植込み型デバイスを留置されている患者は、現在大体30万人いらっしゃるといわれていますが、この中でリードあるいはデバイスの感染率ですが、植込み期間10年間で約3%。それから、リード不全に関しては約4%です。そのうち、リード抜去を必要とする症例は、大体3割ぐらいではないかといわれておりますので、感染によるリード抜去は年間900人、それからリード不全によるリード抜去は360人対象になるのではないかと推定されています。

 既存の治療方法との比較ですが、既存の治療法はスタイレット全体をリードに固定して、リードの牽引を可能にするリードロッキングデバイス。それから、レーザーシースを用いて癒着組織を剥離するエキシマレーザー、これはパワーシースというのですが、エキシマレーザーがあります。いずれも、ロッキングスタイレットと組み合わせることによってリード抜去が可能になるわけですが、実はレーザーは石灰化病変に非常に弱いということで、石灰化病変あるいは留置期間が長いリードでは、成功率が低くなるという欠点があります。これを、メカニカルシースを用いることによって改善するということです。

 もう1つは、これまでのシステムでは、静脈内で断線しているリードを牽引することができませんでした。しかし、リードの材質が変わり、スネアシステムを用いて可能になりました。

 4ページは、医療上の有用性についてです。これまでの報告では、いずれもコホートスタディーなのですが、症例数がかなり多い報告を抽出してみますと、Byrd Dilator Sheathは非常に高いリード抜去の成功率が報告されており、レーザーシースと比較しても劣ることのない成績であったとされております。それから、レーザーシースの適用が困難な石灰化病変に対して有効であり、これらのシースを併用することにより経静脈的リード抜去の成功率が高まることが期待されております。

 3つの論文が出ておりますが、Byrd Dilator Sheathに関してはペースメーカーでは大体98%、ICDでは92%前後の抜去成功率が示されています。それから、Needle's Eye Snareでは臨床的成功率は98.2%であったという報告がありました。5ページは、諸外国における使用状況についてです。Byrd Dilator Sheathは、約5年間、世界で2万6,000本が出ています。Needle's Eye Snareは、5,600本出ているという報告がありました。我が国の開発状況ですが、既存の治療法としてスタイレット全体をリードに固定し、リードの牽引を可能にする、リードロッキングデバイスとレーザーシース、いわゆるパワーシースを用いて癒着組織を剥離する方法があります。しかし、先ほどもお話しましたが、血管内で断線しているリードを保持して拡張シースによりリード周囲の癒着組織を剥離することを目的とした医療機器が開発されています。

 6ページです。検討結果を報告いたしますと、リード抜去の対象になる患者は放置すれば死に至たるような重篤な合併症を持つ場合が多いことから、適応疾患の重要性はA です。それから、既存の治療法は存在していますが、既存品では抜去困難な症例に対しても、本品が有効である可能性があることから、医療上の有用性はBと判断いたしました。なお、リード抜去術は心破裂のリスクが高い技術ですので、レーザーシースを用いたリード抜去の施設基準に準ずる施設で使用される必要があります。即ち、施設要件を設ける必要があると思います。それから、Needle's Eye Snareの使用は合併症のリスクが比較的低いのですが、特殊な技術トレーニングが必要であるということですので、使用者のトレーニングについて検討する必要があると思います。以上です。ありがとうございました。

北村座長 かなり歴史のある装置のようですが、エキシマレーザーのほうが価格は高いですよね。

小林参考人 はい。かなり高いです。

北村座長 この製品が、日本では中心に変わっていく可能性はどうですか。エキシマのほうも、この検討会で通した記憶があるのです。今は、もう保険導入されている機械になっているのですが、装置そのものが高額ですよね。両方使うのですか。

小林参考人 1回目の検討会で選定された気がします。エキシマレーザーを使う必要が出てくる患者はいらっしゃると思うのですが、金額にすると相当差が出ると推測されますので、こちらがまず第一選択ではないかと思います。

北村座長 新しいほうがですね。

小林参考人 ではないかと推測はされます。

北村座長 医療費のほうからみても、こちらのほうが安いかもしれません。98%の成功率があるというと、ほぼこれでいけるということですので。ほかに、御質問はありませんか。

笠貫委員 私は、その点での学会への質問なのですが、本来これはアメリカでは1996年に510(k)、ヨーロッパでは1998年にCEマークを取れていると。エキシマレーザーを検討会に出してきたのは平成19年ですから、このときに既にこの機器を早期導入という形で申し込むべきではあったのではないかと。それから、医療経済の問題もそうですが、患者の負担を考えると、学会としてはそこのところをもう一度反省していただいて、ニーズの高いといったときに医療経済だけでなく患者負担を含めてどのようなことを考えるかという順番を考えていただきたいということで、今回もし遅れたり逆になったりした理由が分かったら教えてください。

小林参考人 笠貫先生のおっしゃるとおりで、これは学会で順番を間違えたのかもしれませんが、私は反省すべき点だと思います。ただ、当時エキシマレーザーが出てきた頃というのは、いわゆるパワーシースということで、かなり有効性が期待されて、従来のメカニカルよりも恐らくいいだろうという印象があったので、学会はこれをまず要望をしようということになったのだと思います。ただ、いざ実際にやっていくにつれて、やはりこのパワーシースでもうまくいかないケース、特に石灰化病変に関しては、なかなかレーザーでも剥離できないことがあります。これは、やはり硬いシースでメカニカル、言い方は悪いですがこじ開けていくような形でやるほうが有効であることが分かっていますし、そういう症例報告もかなりあります。これも必要だろうということです。

北村座長 2つあるほうがいいですよ。順番は、確かにおっしゃるとおりで、これが主体性をとっていく中で、自然淘汰されていく。それが世の進歩だと思います。

小林参考人 非常に重篤な病態ですので、やはりオプションがたくさんあったほうがいいのではないかと思います。

北村座長 使う技術を行う医師たちの慣れと研修も大事だと思いますので、こういうものを導入した場合は研修をやる必要がありますか。

小林参考人 少なくともByrd Dilator Sheathに関しては、研修セミナーが必要です。今、エキシマレーザーに対しては、実施施設要件も加えて行っているので、実施医の研修が必要と思っていただいてよろしいかと思います。加えて、実施施設要件も必要です。

北村座長 今度は、機械的にしごいていく装置ですから。

小林参考人 かなりリスクの高いシースだと思います。

北村座長 やったほうがいいのであれば、また学会で組んでいただきたいと思います。これも、導入されれば、すぐ保険適用になると思いますが、この検討会として選定してよろしいですか。ありがとうございました。それでは、本検討会から助言させていただき、実施医の研修その他のことを含めて、PMDAと相談に入っていただきたいと思います。

 それでは、次は形状誘導ヘルメット機器について、松村先生から説明をお願いします。

松村参考人 よろしくお願いいたします。資料3の に沿って説明いたします。選定品の名称は、形状誘導ヘルメット。要望学会は、日本形成外科学会です。対象疾患は、乳児の外圧による頭蓋変形症、変形斜頭及び短頭が対象となります。乳児の頭蓋変形は、大きく分けて2つ存在します。1つは、頭蓋骨の縫合が早期に閉鎖することによる頭蓋変形。もう1つは、外圧による頭蓋変形です。本品は、外圧による頭蓋変形を対象とした製品です。対象機器はMichigan Cranial Reshaping Orthosisということで、輸入企業名はメディカルユーアンドエイとなります。

 外国での承認状況は、2010年米国で510(k)を取得しております。実際の製品ですが、石膏マスクはスキャナで乳児の頭蓋の形状を評価して、それに伴ってプラスチックとポリエチレンフォームから成るヘルメットを作る形になっております。実際には、子どもが自転車に乗るときに着けるようなヘルメットと理解していただければいいかと思います。

 2ページに移ります。作用原理ですが、この製品を装着して頭蓋の変形した突出した部分とヘルメットの内側が接触して、そこに圧力を加えることで頭蓋の非対象性又は形状を改善するものです。大体、生後5、6か月ぐらいから装着する患児が多いと思いますが、3、4週ごとにヘルメットの調整を行い、おおむね20週ぐらいで頭蓋の変形を矯正していく治療です。

 先ほど申し上げましたように、乳児期の外圧の変形には2つの種類がありますが、これは外圧による変形を対象としております。外圧による変形は、もちろん出生前と出生後があります。出生前では子宮内における持続的な外圧で、出生後の多くは、いわゆる向き癖と肢体不自由児の筋性と筋性斜頚の頚部の運動が制限された患児に見られます。

 これまで、いわゆる乳児期の外圧による頭蓋変形は、成長発達遅延や機能障害の原因とならないと考えられておりましたが、近年、斜頭等を伴う症例では、精神発達及び運動発達に遅れがみられるという報告が複数出てきまして、現在頭蓋変形と発達遅延の関連が注目されている次第です。

 3ページ、変形性斜頭は、精神発達を必ずしも生じるわけではありませんが、それ自体がリスクであると本論文で報告されております。このため、いわゆる中等度以上の向き癖が直らずに、そのまま経過しますと、頭蓋の変形が進行して固定化してしまう。こういうことになりますと、いわゆる侵襲性の高い手術、具体的に言いますと、頭蓋骨の骨切り手術をする症例にまで移行してしまうことがありますので、早期に乳児期の頭蓋骨の固定が起こる前に、治療を開始できればと思っております。

 患者数に関してですが、実際の変形があるというだけで調べますと、かなりの患者がおられます。米国では、1648%と報告されていますが、実際にこういったヘルメットを用いて治療をしなければいけないような患者は、大体400人に1人ぐらいと言われています。なかなか日本で、この400人に1人というのが治療対象になるかといいますと、恐らくこれよりもっと少ない数の患者が治療対象となるのだと思いますが、本邦の人口に当てますと、年間に2,500人程度と推定されます。こういった患者は、これまでどのように治療されてきたかといいますと、非常にプリミティブな方法で治療されていました。枕を変えたり、ガラガラで注意を引いたりして、同じ方向を向かせないようにするという、非常に原始的な方法で初期対応が取られておりました。当然、その中で頭蓋の変形が固定化した症例に関しては、骨切りを含む経過的な侵襲の高い手術に回っていたこともあります。こういったプリミティブな治療ですと、どうしても体の向きを固定するとかいろいろなことをしますので、欧米では窒息のリスクがあるということで注意喚起が発令されている状況でもあります。

 最後に、4ページに移ります。治療上の有用性に関してですが、これらの形状誘導ヘルメットを使うことで、より治療期間を短くすることができるといわれております。治療の改善が前者の1.3倍治療効果があったという報告もありますし、これまで治療の期間を非常に短縮することができたという報告を出されております。

 5ページは、諸外国の使用状況です。これはヨーロッパでは発売されていない製品ですが、米国では2004年から約1万個が使用されている状況にあります。そういった中で、本邦においてはこのようなデバイスが承認されていないので、導入をしたいということになります。

 検討結果に移ります。中等度以上の頭蓋変形では、持続的な頭部の自重がかかるために、頭蓋の変形が増悪、固定化し、疾病の進行は不可逆的であることから、適応疾患の重篤性はBと判断いたしました。また、これまでの従来の既存の治療法は実測等の一定のリスクがあることと、治療がうまくいかずに固定化されてしまうと、侵襲性の高い外科手術に頼らざるを得ないことを鑑みて、医療上の有用性はBと判断いたしました。以上です。よろしくお願いいたします。

北村座長 医療機器としての申請ですよね。米国も医療機器になっているのですよね。

松村参考人 はい。

北村座長 ですので、頭の形をよくしてあげたいという美容的な感覚では用いない。

松村座長 それは、はっきり具体的にどこまでがそうでという線引きは非常に難しいかと思いますが、米国においては実際に数を見てみますと、実際に変形のある人のごく一部に使われているということで、やはり医療機器としての目的で使われていると認識しております。

北村座長 20週で、赤ちゃんの頭は軟らかいから矯正できるのでしょうが、脳の機能との関係はありそうだという判定で、エビデンスとしてはまだ出来上がっていないのでしょうか。

松村座長 そうですね。エビデンスとしては不十分なところもややあるかと思います。これは、一方的な見方で、変形がある人と発達遅延の人との関連性はいろいろなエビデンスがあると思いますが、その治療をした対象に対してそれが発達遅延を防げたかということに関しては、まだ検討中と理解しております。

北村座長 御質問等ありますか。頭の骨とは固定はいらないのですね。

松村参考人 頭の骨とは固定はしません。ヘルメットをかぶるだけで、ヘルメットの大きさを調整していくというような治療になります。ですので、安全性は比較的高いと思っています。

笠貫委員 アメリカで、この頭蓋変形が1歳未満ですと1648%というのはびっくりしたのですが、その中で2014年に510(k)を置いてから1万人というと、かなりその中で適応を決められているのだと思うのですが、その適応については日本も変形という頭蓋変形があり、どういうものにこの医療機器を適応するのかというガイドライン的なものは作る予定ですか。

松村参考人 学会との相談になると思いますが、一般的には頭蓋変形が軽度のものは、頭の自重によって進行する場合は余りなく、進行性を有するような頭蓋変形が基本的に対象になります。ですから、ここにも書きましたが、中等度という意味は頭蓋変形が、頭の向き、頭の形が悪いと、頭の自重でどんどん変形してしまうようだというのが、1つ治療対象だと思います。ということで、御指摘のあったように、米国では恐らく25%ぐらいの変形があっても、治療しているのは0.25%というのは、実は軽い人が多くて、治療を要して実際に使われている人はそのぐらいの頻度だろうと理解しています。

北村座長 ちなみに、米国では金額は幾ですか。

松村参考人 すみません、金額は覚えておりません。そんなに高くはないと思います。

北村座長 自転車のヘルメットなら、何千円レベルですが、これは何十万になるのでしょうか。

松村参考人 すみません。分かりますか。

事務局 事務局でも把握しておりません。申し訳ありません。

千葉委員 これは、乳児の頭に装着して大体5か月間になりますよね。20週間とおっしゃいましたから。その間、これは朝から晩までずっと着けっぱなしですか。ある時間、1日何時間か離してあげるとか。

松村参考人 いろいろなプロトコルがあるようです。基本的には、着けているのだと思います。ただ、当然ながら圧迫を加えるものですので、その所の皮膚のトラブル等がありますので、定期的には外さないといけないと思います。

千葉委員 例えば、頭をお風呂で洗ってあげるとか、そういうことは当然ですね。

松村参考人 簡単なヘルメットですので、マジックテープを外せばすぐとれますので、そういった管理はずっとしていると思います。

千葉委員 5か月間で頭がそれなりに多少成長していく、圧迫がだんだん強まっていくのはいいことですが、今言ったように皮膚の問題なども結構報告はあるのでしょうか。

松村参考人 実際には、このヘルメット自体が2つに分かれるようになっていて、頭が成長するとともにヘルメットも少しずつずらして大きくしていく形になります。ですので、それを定期的にフォローアップするということで、実際には皮膚トラブルで特に何かということは、大きな問題にはなっていないようです。

千葉委員 分かりました。

北村座長 やはり特許があるのでしょうね。真似して作れば、すぐできるような気もしてしまうと。それから、金額の相談も、保険適用ということになれば当然かかってくると思いますが、当検討会としては早期導入をしてあげてくれという形でよろしいですか。それでは、早期導入に向けての手続をお願いする中で、どのような適応にするか、ある程度絞らないと美容との境界が分かりにくい場合も多々考えられますので、その辺りも含めて検討をお願いしたいと思います。また、形成外科のほうから、整形外科も入るのか、形成外科だけでいいのかは分かりませんが、先ほど質問がありましたが、どのようなプロトコルを選択するかも含めて、形成外科で検討できますか。

松村参考人 関連する学会としては、形成外科学会並びに脳神経外科学会ですので、そういった方向とさせていただきます。

北村座長 ありがとうございました。それでは次の品目に入ります。次は、ダブルルーメンの送脱血管で、戸高先生お待たせいたしました。

戸高参考人 九州大学の戸高です。もともとこの品目は、東京大学の心臓外科の小野先生が御担当いただいて作成されたものを、私が代理で報告させていただきます。要は、カニュレーションチューブです。資料3の にありますように、対象疾患としては重症の急性呼吸不全です。ここでは吸性呼吸不全と書いてありますが、後ほど説明いたしますが、大体ARDS急性呼吸窮迫症候群の重症型を想定しております。酸素化が不十分になるような方に、膜型人工肺を使った体外の循環をする場合に使用するカニューレです。品目はAVALON ELITEといわれるもので、マッケ・ジャパンが輸入するものです。

 外国の承認状況は、米国が510(k)、欧州がCEマークを取得しています。

 製品のイメージは、写真を見ていただいて透明のカニューレがあって、2つの口が出ているということです。少し工夫があるのは、机上資料では分かりにくいのですが、一番厚い学会要望書の中の154ページにありますとおり、心臓に静脈からまっすぐ下に降りるような形で挿入していただきますと、エコーで位置合わせをするようですが、真ん中辺りから横向きに送血用の穴が空いておりまして、そこで酸素化した血液が肺循環のほうにきれいに向いていくというような工夫がされているようです。脱血用の穴は、下大静脈に入っている先端部分と、プロキシマルの上大静脈の辺りにも脱血用の穴が空いており、そこから脱血して人工肺に行って酸素化したものを、ここの側溝から引き込む形のデザインをしています。そういったイメージで使うものです。

 報告書に戻ります。この製品としては、サイズが13Fr31Frと非常に太いことが、流量を確保するために太いものであることが特徴です。1本のカテーテルに脱血用と送血用の2つのルーメンがあるために、VV ECMO静脈脱血-静脈返血の体外循環システムによって血液を酸素化する方法)と呼ばれる静脈から脱血して静脈に返すような人工肺の場合は、通常このような大きなルーメンのブラッドアクセスを2か所から取る必要がありますが、それが頸からの1か所で済むという、単にそれだけのメリットのデバイスではありますから、非常に有用性は高いと思います。

 対象疾患については、御承知置きのこととは思いますが、ARDSに代表される急性呼吸不全の原因として、肺炎などの直接的肺障害と、敗血症などの間接的肺障害があり、非常に酸素化が悪くなる、非心原性の肺水腫となって酸素化が悪くなり、予後不良であることは皆さん御存じのことだと思います。ステロイド等の投与をして回復を待つわけですが、その間に酸素化ができませんと、人工呼吸器を着けてピープを精一杯かけても、非常に酸素化が悪い場合は、まず全身循環、酸素化が保たれない場合がありますので、その間にECMOを使って生命維持をするというような機器になります。非常に予後の悪い疾患です。

 本品の承認が510(k)CEマークでされておりますので、臨床データがほとんどありません。報告書3ページの上に、2編だけ論文が書いてありますが、このように使ってうまく使いましたといったような報告で、特に何かと比較したとか、日本の物と比較したといったものではありません。ただ、下のほうに書いてあるのは、フランスにおける本品を使ったもののレジストリーがされており、52例に使用され、そのほとんどがARDSであったということです。この報告書には挙げておりませんが、17%ぐらいに侵入部からの出血があったぐらいで、特に大きな問題があったということが報告されております。

 そのような状況で、全世界で年間3,000本が使用されているということで、我が国において類似品は導入されておりません。透析のときに使うバスキャスと呼ばれるようなものは、同じような構造のものがありますが、サイズが全く違いますので、類似品はないといっていいと思います。

 検討結果にまいります。適応疾病の重篤性については、ARDSですので非常に重篤であり、生命に関わるということで統一させていただきました。医療上の有用性としては、本品がなければ大きな径の2本のカテーテルを例えば頸と大腿静脈から2本入れてECMOをするというのが現状だと思いますが、それでできなくはないということで、それに比べれば優れているということでリードさせていただきました。御申請のほど、よろしくお願いいたします。

北村座長 ダブルルーメンのディスポカテーテルともいえるのですが、VV ECMOによる酸素化に用いる。これは、どのポンプにも接続できるユニバーサルジョイントになっているのでしょうか。

戸高参考人 そのように思います。

北村座長 これは、挿入はセルディンガーの方法でやるのですか。

戸高参考人 オープンでもできるとは書いてありますが、ほとんどの場合、先ほどのレジストリーで見ますと、セルディンガー法でやっているみたいです。

北村座長 切開してですか。

戸高参考人 理論的にやっていると思います。

北村座長 太いですから、これは抜去するときは、止血もある程度大事ですね。こちらは、人工透析用の緊急ブラッドアクセスにも同じようなダブルルーメンカテーテルがありますよね。

戸高参考人 はい。

北村座長 それに類似した商品ですが、VV ECMOに使用する場合、こういうものもこの検討会で検討しなければいけないのですか。このディスポカテーテル類。医療機器といえば医療機器ですね。

事務局 特に、この検討会では、機械物と材料物の区別は付けていなかったと思います。

北村座長 御意見はありますか。これは駄目だという人はいないでしょうから、選定して良いと思いますがいかがでしょうか。特にほかにないようでしたら、これで本日の検討項目を終了いたします。5品目、全て早期導入ということで御了承いただきました。事務局から報告事項はありますか。

医療機器審査管理室長 次回の日程については、改めて日程調整の上、御案内させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。また、本日の議事録についても、作成し次第御確認をお願いしたいかと考えております。よろしくお願いいたします。

北村座長 ほかに何かありますか。

吉田()委員 事務局に確認いたします。先ほどの議論が中途半端になってしまったのですが、この検討会の守備範囲なのですが、別に適応疾患を決めるわけではありませんし、小児のほうで例えばこのようなものがあって使いたいといったときに、なるほど、そうだなと。しかし、大人にも使えるようにするか、しないかは審査のほうで決まるので、これは部会の話になってくると思うのですよ。ですから、もう少し気楽にディスカッションするためには、申請されたニーズが本当にニーズであるのだということだけでいいのに、何か話が散漫になっていってしまうので、そこまでやる必要はないのではないかと私は思うのですが、いかがですか。将来の承認事項も見込んで議論しなければいけないのでしょうか。

事務局 この検討会での目的は、先生がおっしゃるとおり、要望されたニーズが合っているかどうかだと思います。

吉田()委員 ですから、適応がどうなるかとか、もちろんガイドラインを工夫してほしいという意見を言うのはいいのですが、最終的に付けるかどうかを決めるのは部会です。

事務局 そのとおりです。

吉田()委員 ですから、そういう希望を述べるのはいいのですが、こうでなければ選定しないという話にはならないですよ。

事務局 先生がおっしゃるとおりです。

吉田()委員 ありがとうございました。

北村座長 選定しないというのは少ないですね。ただ、PMDAの方々も来られていますので、これだけ十分なディスカッションをやって、特に参考人としてこの道の専門家の先生が御意見を述べられるという会は、なかなか時間の限られた会議ではできません。本日強く要望しておけば、PMDAの方もこの審査担当の方がおられますので、早くやならければいけないなとか、それなり効果はあるように思います。現実に、ここで選ばれた品目の95%ぐらいが、既に保険収載されているのは、これは結構なパワーがあると思います。

吉田()委員 もう少し気楽に議論をしたほうがいいのではないかと思うものですから、そんなに先々のことをいろいろ言うよりも、ニーズが合っているかどうか、本当にそれで正しいのかどうか。頭の変形が治ったら、本当に頭がよくなるのですかというような議論のほうが、本当かもしれないと。

北村座長 それは、我々の興味のあるところですし、どんどんしていただいたらいいと思います。よろしいですか。それでは、第22回の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。


(了)

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