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2015年2月2日 障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年2月2日(月)9:30~12:30


○場所

厚生労働省専用第14会議室(中央合同庁舎第5号館12階)


○出席者

佐藤進座長、大塚晃構成員、吉川隆博構成員、田村綾子構成員、寺島彰構成員、野沢和弘構成員、山下幸子構成員

○議事

○佐藤座長

 おはようございます。定刻になりましたのでただいまから第 4 回ワーキンググループを開催いたします。皆さん、朝早くから御苦労様です。ありがとうございます。

 ではまず、最初に事務局から委員の出席状況や資料の確認をお願いします。

 

○福井企画課課長補佐

 おはようございます。本日はワーキンググループ構成員の皆様、御出席です。また、前回も申し上げましたが、作業チームの構成員にも関係団体の意見を聞いていただいたほうが今後効率的、効果的に議論が行われるのではないかということで、本日も作業チームの構成員も同席していただいております。

 続きまして資料の確認をします。資料は 1 9 まで、本日お集まりの団体の御意見をお配りしております。過不足等ありましたら、事務局までお申し付けください。

 

○佐藤座長

 それでは議事に入ります。本日のスケジュールについて、事務局から報告をしてください。

 

○福井企画課課長補佐

 初めに、本日出席の関係団体の方々を紹介します。一般社団法人日本難病・疾病団体協議会様、特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク様、一般社団法人日本自閉症協会様、社会福祉法人全国重症心身障害児 ( ) を守る会様、公益社団法人日本重症心身障害福祉協会様、全国重症心身障害日中活動支援協議会様、一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会様、全国肢体不自由児施設運営協議会様、一般社団法人全国児童発達支援協議会様、以上 9 団体の方々です。

 本日の進め方ですが、 3 団体ずつ 3 つのグループに分けてヒアリングを実施します。 1 団体 10 分以内で発言していただき、グループ全体の発言の終了後、 25 分程度を質問等の時間とします。発言が 8 分を超えた段階で事務局から 1 度合図をします。これを繰り返し、 2 グループ目の終了後に 1 度休憩を挟んで、全体で 3 時間程度を見込んでいます。よろしくお願いします。

 

○佐藤座長

 それでは皆さん御協力をお願いします。特に時間配分については守っていただきますように、よろしくお願いします。

 では最初に、日本難病・疾病団体協議会から御発言をお願いします。

 

○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会伊藤代表理事

 お手元に資料をお届けしていますので、概略だけ説明します。 1 つはこの難病法が今年の 1 1 日から施行され、同時に小児慢性特定疾病についても、児童福祉法の改正が 1 1 日から施行されました。この意義については私どもは大変高く評価していますが、他の制度との有機的な連携による総合的なものでなければならないと法律では規定しているので、是非とも障害者福祉その他の制度と有機的な連携が取られるよう希望します。

 なお、やはり病気の方々、あるいは医療に携わる方々もそうですが、障害者の福祉制度が馴染んでおらず、なかなかその制度の意味というのが広がらないところではありますが、関係部局の方々の努力によって少しずつ取組が進められています。

2 枚目に、難病法の附則第 3 条に基づく個別の検討について、障害者福祉サービスと言いながらも、非常に医療的なケアの必要な難病あるいは病気を持った障害者の様々な支援等についての連携が今後もっと進むよう、期待をしたいと思います。

 また、通院、通学など手帳のない対象疾病の子どもたちについても、移動支援等をお願いしたいと思っています。障害者の就労支援が今、大きな課題になっていますが、難病、内部障害についても非常に重要な課題ですので、他の障害施策と同様に取り組まれることを希望しています。 (2) にありますが、障害支援区分の認定について、現在、難病患者の認定マニュアルの改定が進められていますが、非常に良くできたマニュアルとなっていますが、あちこちで講演や勉強会をしても、なかなか関係者に浸透しにくいものでした。これからせっかくできる改定版も、多分なかなか浸透しないのではないか。ホームページ等でお知らせするだけではなく、実際認定にあたる調査員や審査会の委員、市町村の窓口の担当者、相談支援専門員には本当に行きわたるように、印刷をして配布していただきたいと強く希望します。

 様々なコミュニケーション障害や、そういうものを持つ難病の患者も多いわけで、しかも進行形の患者に対しては、適切にコミュニケーション支援が行われなければならないと思うのですが、障害が顕著になってからの支援では、なかなか患者さんも操作その他に、むしろ疲労を感じるというか、それはもう要らないということになってしまいかねませんので、できるだけ軽症のうちからこれらの支援について行われることを希望します。

 また精神障害もそうですが、難病も高齢になってから発病する人たちが多いという状況が生まれてきています。その中でも 65 歳以上の障害の方々、発症の方々が介護保険しか使えないということで、大変困っているわけです。また以前から手帳を使って取得している方と、受けることのできるサービスに大きな段差ができているというか、違いがありますのでそういう形でも、年齢の制限を福祉サービスの中に設けることはいかがなものかと、私どもも感じております。

 あとは自立支援医療などにつきましても、いろいろ基本合意等もあるので、様々に提言されているところではありますが、なかなかこれが実際の負担や医療の提供等に結び付いておりませんので、是非、「骨格提言」の文言を踏まえて、この障害者サービスの中に難病も位置付けられるよう、期待したいと思います。

 また、特に病気を持っている障害者というのは、専門病院が少ないということもあって、遠方の病院に通わなければならない。通院等の大きな負担がありまして、この辺について緊急に支援をお願いしたいと思います。また、是非これらの支援を検討するに当たっては、当事者団体の代表も含めて検討をお願いしたいと思います。骨格提言では難病等について検討する会を設置するものとなっていますが、どのように設置されるのか。あるいはそれに当事者がどのように加わることができるのかということについても、見直しの中で明確にしていただきたいと思います。

 また病気の場合は疾病ごとに、非常に特性が異なっておりまして、その点では認定マニュアルが大変良くできているわけですが、是非この特性に応じて必要な支援が受けられるよう、どうも今までの経験ですと、窓口で既に従来の固定した考え方の障害施策の観点から、いろいろ指導される、あるいは認定されることが多く見受けられ、なぜ難病がこの総合支援法の対象になったのかというところから、基本に立ち返って支援等を検討していただければと思います。

 その他、施策についてですが、身体障害者福祉法の障害認定基準の抜本的な見直しをお願いしたいと思います。例えば様々な内部障害がありますが、中でも臓器機能障害と位置付けられているのですが、膵臓の機能の障害を持っているインスリンの欠乏症の方々、一種の機能障害だと思いますが、インスリンを打たなければならないにもかかわらず、他の臓器との区別が大変ありまして、なぜそのように区別されなければならないのかということについて私も強く疑念を持っております。肝臓病の認定についても重篤にならなければ対象にならないということもあります。しかし、膵臓の機能障害や肝蔵の方々は人命に関わる緊急性を要しているわけですから、是非次回の見直しの時期ではなくて、緊急に見直しを実施すべきであるということをお願いしたいと思います。

 先ほど申し上げた 65 歳を超えて発病する難病患者と、 65 歳以前に障害者手帳を持っている患者との差別も十分に解消されるよう、検討をお願いしたいと思います。私たちは基本的には総合支援法に入れていただいたことにより、固定された障害や疾病を対象とするだけではなく、日々変化をする患者さんも対象に入れていただいたわけですが、障害、高齢等区別することのない福祉制度になるようにお願いしたいと思います。必要な人に必要な福祉サービス、支援を利用できるような制度としていただきたいと強くお願いしたいと思います。

 差別のない社会を作ろうとして、今、様々な検討がされております。提言もされたり、差別解消法がまとまったりしているわけですが、同じ障害の中で病気を持つ人が制度の中身自体が既に区別、差別されていると見受けられます。まず障害者の福祉の中で、そういう差別がないような制度にしていかなければならないと思っています。

 例えば、難病患者だと就労支援や雇用の支援、障害者の認定、障害年金等あるいは対象となる疾病が限られているということを含めて、病名等で区別されないような制度にするべきであると思います。取り分け、今、既にある制度で対応できるものも一杯あると思いますので、それは見直しを待たずに是非検討をしていただきたいと思いますし、将来の見直しにあたっては、障害、高齢等区別のない、特に年齢の区別のないような福祉制度をこの見直しの中では検討していただきたいということをお願いしておきます。以上です。

 

○佐藤座長

 はい、ありがとうございました。では続きまして、難病のこども支援全国ネットワークから御意見をお願いします。

 

○特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 皆さん、おはようございます。私は認定 NPO 法人難病のこども支援全国ネットワークの福島と申します。本日はこのような貴重な機会をいただきまして、大変ありがとうございます。お手元の資料 2 に従って御説明します。

 まず総論ですが、これは改めて私の口から申し上げるまでもないこととは思いますが、今回検討していただくにあたり、総合福祉部会による、いわゆる骨格提言の完全実施を目指した議論を、是非進めていただきたいと思っております。

2 つ目は病気に関わる部分ですが、今年の 1 月から総合支援法の対象となる疾患が 151 に拡大されてきたのですが、疾患名による括りだけではなく、難病や慢性疾患による活動制限や参加制約を含む新たな障害の認定の基準が必要だと考えます。例えば人工呼吸器を使用している。あるいは経管による栄養注入をしている。気管切開をしているなど、医療依存度の高い一定の状態によっても障害福祉サービスが利用できるように検討する必要があると思います。

 また、痛みやだるさなど難病や慢性疾患による生きづらさ、暮らしにくさを考慮すること。それから、病気ですので進行性の病気もありますし、疾患によっては増悪や寛解、再発を繰り返すこともあります。いわゆる障害=固定という概念では括れない、そういった部分も是非考慮していただきたいと思います。

 各論については 4 つに分けて書いています。 1 点目は家族支援の必要性とその充実についてです。難病や慢性疾患、障害のある子どもの子育ては保育や学校教育、そして就労という子どもの成長・発達・自律のライフステージにおいて、親自身による体験的な知識だけでは解決することが難しいことに向き合わなければならないことも多くあります。そういった意味で家族全体に大きな影響を及ぼすわけです。

 また家族による丸抱えの生活というものは、子どもの自律や社会参加の制約要因となっていることにも目を向ける必要があると考えます。難病や慢性疾患、障害のある子ども本人への支援に加えて、その親や兄弟を含む包括的な家族支援が必要です。例えばレスパイトやショートステイなどのサービスの確保。ピアサポートや親の会など、当事者による体験的知識をいかした相談支援が必要です。

2 点目は、医療的ケアのある子どもへの支援についてです。たんの吸引、経管栄養、導尿などのいわゆる医療的ケアの必要な子どもたちが地域生活をしているケースが増えてますけれども、現行の障害福祉サービス、特に居宅系のサービスにおいては、こうした医療に分類されている行為を必要としている子どもが使うことのできるサービスが制度上存在していません。つまり、日常生活において介護者たる家族の大きな負担となっている状況です。

 医療的ケアがあるために、幼稚園や保育所、学校への受入れに制約が生じたり、集団活動や学習活動から排除されたりする例は、今でも枚挙に暇がありません。また、難病や慢性疾患を原因とする障害については、医療と福祉を切り離して考えることは難しく、医療保険制度と障害福祉サービスの谷間を作らない制度の構築が必要であります。例えば子どもに対する訪問看護は医療保険制度の 1 つとして実施されていますが、診療報酬上の制約が多くあり、長時間や頻回の利用が難しいというのが現状です。

 そこで、障害福祉サービスに訪問看護を新たに位置付け、医療依存度の高い利用者への支援を確保する必要があると思います。また、一定の研修を受けて医療的ケアを行うことができるヘルパーを派遣するヘルパー事業所や研修機関、養成機関への支援といったものが必要だと思います。

3 点目は通常の学級に在籍する子どもたちへの支援です。特別支援学校における基礎的環境整備との差を埋めるための合理的な配慮が不可欠です。特に通常の学級においては、今でも親の付添いを強要されたり、修学旅行に連れて行ってもらえないなどの差別的事例が聞こえてきます。文科省のほうで行っている特別支援教育支援員制度だけでは子どもの多様なニーズや校外行事などに対応しきれないことも、しばしばあります。学校内、宿泊を伴う修学旅行や林間学校などを含む校外学習時においても障害福祉サービスの居宅介護や重度訪問介護、医療保険による訪問看護を利用できるようにすべきだと思います。

 また、通学が保証されなければ教育機会を保証したことにはなりません。学校への通学時においてもこうした福祉サービスが利用できるようにすべきだと思います。ときにはヘルパー自身が運転する車による通学支援も必要です。

 最後、その他ですが、これも一例ですけれども、電動車椅子に関する通知には、現在、支給対象者が学齢時以上であって、少なくとも小学校高学年以上を対象とすることが望ましいという記述があります。こういった記述を論拠として、現実には市町村において電動車椅子が必要な子どもに対して、本人の障害特性を無視して必要な支援が受けられないといったケースが生じています。皆様御案内のとおり、通知というのは地方自治法上の技術的助言に過ぎないわけで、法的拘束力はないと言われていますが、現実的には市町村の支給決定に大きな影響を与えているといった観点から、一律に制約を与えるような通知については、是非見直していただきたいと思います。

 それから最後に、子どもを対象とした事業所は大変数が少ないので、そうした事業所を育成するために、例えば利用者の都合でキャンセルした場合、あるいは遠くからヘルパーを派遣する事業所に対して、何らかの報酬、支援といったものがあると、子どもに対する事業所が増えてくると思います。以上、大変雑駁ですが、説明を終わります。

 

○佐藤座長

はい、ありがとうございました。では 3 番目に日本自閉症協会からの御意見をお願いします。

 

○一般社団法人日本自閉症協会柴田理事

 日本自閉症協会の柴田と申します。よろしくお願いします。では、課題に沿って述べさせていただきます。まず、常時介護を要する障害者等の支援についてですが、特に知的障害を伴う自閉症の人に現われる強度行動障害については、一般的な支援区分 6 の水準をはるかに超えた支援の体制と、専門性を必要としております。これに対する強度行動障害の支援加算制度を設けるように希望します。

 これは今回の報酬改正でも、方向性としては出されているとは思うのですが、まだ不十分だと思います。全ての障害福祉サービスの中にこういうものが必要ですが、生活面を支える入所グループホーム、短期入所については特に必要かと思います。

 それから、グループホームにおける個別のヘルパー利用は現在、特例となっていますが、これを恒常的な制度にすることが重要だと思います。

また、移動の支援については、個別給付に加えていただきたいと思います。ただその際に、一部の自治体ではこれを柔軟に活用している所があるようで、一律の体制にすることにより使いにくくなるのではないかという懸念もあるようです。ベースとしては個別給付に加えるとともに、それぞれの自治体が上乗せのサービスを行えるような柔軟な仕組みにしていただきたいと思います。

 次に就労の支援についてです。現在、生活介護事業と就労継続 B に分かれておりますが、これを「活動支援事業」として統合し、障害支援区分に応じて職員を手厚く配置する制度にしていただきたいと思います。ただ、働くということに誇りを持っている利用者もいますので、その辺の表現の配慮は必要かと思います。また、たとえ一本化されないにしても、現在の「生活介護事業」という事業名は、実態に合わないので、「活動支援事業」に事業名を変えていただきたいと思います。

 それから、支給決定の在り方については、協議調整モデルということがかなり言われたのですが、私どもとしては現在の障害支援区分を引き続き継続し、これの充実を図ることが現実的であろうと考えております。見直しのときに、それまでの 2 次判定の結果が 1 次判定に反映されるような仕組みになっているので、合理的な考え方ではないかと思います。ただ、発達障害の方たちは従来の区分が非常に低く出ていたので、今回の改正でも 1 次判定であまり上がらないようになっています。今後 2 次判定の中で精度が上がってくれば、それが次の制度見直しのときに 1 次判定に反映されますので、 3 年ごとの見直しを繰り返して、精度を上げていただきたいと思います。

 それから、意思決定支援の在り方についてですが、これは障害者権利条約の第 12 条から出てきた言葉で、その行為についての意思能力の不十分な障害者が、権利主体として自らの法的能力を行使するための支援ということが基本的な考え方であって、代行決定のことではありません。

 意思決定支援の中に 3 つの要素があると考えています。第 1 は意思疎通・情報提供の支援、第2は意思形成の支援、第3は意思拡張・意思実現の支援です。その中で特に 2 番目の意思形成の支援についてですが、本人の表現している意思が本人にとって非常にマイナスである、いわゆる自損意思ということがしばしばあるわけで、大事なのは、そのときに本人にとってより良い意思形成ができるように支援することです。その課程ではどうしても支援する側の価値観が入るので、そこに支援者の倫理として「本人にとっての最善の利益」という考え方が必要なのだろうと思います。この議論はまだ未成熟で、支援する側の価値観が入らないようにすべきだという意見もあるようですが、それは不可能ではないかと思います。

 その際に、複数の関係者でよく話し合うこと、例えばサービス等利用計画や個別支援計画については担当者 1 人で作るのではなく、原則、個人も参加して本人の信頼する職員や家族、後見人等を含み、チームで考える仕組みが重要で、そうしないと、どうしても独善的な結果に陥りやすいと思われます。

 それから、サービス利用計画や個別支援計画にあたっても、可能な限り、本人が選択決定し、本人なりのサインを行う仕組みをしっかりと導入する必要があると思います。現在、一部では本人を抜きにして、家族とだけの合意で進められている実態がありますので、ここは大きな改革が必要ではないかと思います。

 次に、成年後見制度の利用の促進についてです。これも先ほど言いましたように、障害者権利条約第12条は、本人の権利を制限せずに意思決定支援を行う制度の創設を求めています。これは民法改正の問題ですが、そういう背景があることを前提に考える必要があろうかと思います。そうしますと特に条約第 12 条の第 4 項における法的能力の行使に関する措置における保障について、これを速やかに実現することが必要かと思います。民法 858 条には本人の意思の尊重ということもありますので、それを単なる飾り文句にせず、実質的に行われるようにすること、あるいは現在も後見人による本人財産の横領などもありますので、裁判所による後見監督を強化すること等も必要かと思います。

 また、短期間に適用すること、定期審査をすること等が必要です。それから後見類型が 85 %となっていますので、この点は特に見直し等が必要であろうかと思います。団体後見の活用、公費負担等も検討していただきたいと思います。

 意思疎通支援の在り方については、社会参加場面や司法の場面で必要かと思います。また高齢障害者に対する支援の在り方については、基本的に成人期に馴染んだ環境はなるべく継続すること、特に人的な環境がとても大事です。 65 歳以上は介護保険優先ということについて市町村が適切に判断するようにという通知が出ていますが、市町村によっては一律に介護保険を適応するということもあるようなので、再度、障害福祉サービスの利用が可能だということを徹底していただきたいと思います。以上、よろしくお願いします。

 

○佐藤座長

 はい、ありがとうございました。以上、 3 団体、三方から案件をいただきました。ただいまの御意見に関しまして、質問あるいは更にもう少し詳しくということがありましたら、各構成員の皆さんから御発言をお願いしたいと思います。

 

○大塚構成員

 大塚です。まず、 1 番目の一般社団法人日本難病疾病団体協議会の方と、 2 番目の認定 NPO 法人難病のこども支援全国ネットワークの方に御質問させていただきます。 1 点ですが、難病と疾病について、様々な特性があると、そういうことに配慮されたきめ細かい支援をしていかなければならないということが重要だと思っています。そういう意味では、それぞれ異なる疾病特性、それから変化ということを考えると、最終的には相談支援専門員が作るサービス利用計画の中で、きちんとその難病あるいは疾病の特性を理解した支援計画が作られるべきだと思っています。そういう意味では、皆さんが、今の相談支援の体制あるいは難病への理解も含めて、どんな課題があって、どんなことをすればもっともっと難病の特性に配慮したきちんとした計画、それからそれに続くサービスが提供されると考えるか、ということをお聞きしたいと思います。

 それからもう 1 点いいですか。日本自閉症協会さんにお話をお聞きしたいと思います。 1 点です。意思決定の支援ということで、支援者が独善的な支援に陥りやすいという、そういうことが起こりやすいということから、客観性を担保するために複数の関係者でよく話し合って、チームでやると。私もそのような仕組が非常に必要だと思っています。このときに、本人の信頼する支援職員や家族後見人等を含むチームということですけれども、例えばこういう中において、自閉症の方自身は、施設に生活をなされていますけれども、地域での生活を望むと。ただ、それを支援するチームの方たちが、やはりこの方は施設で生活すべきだというような、本人とチーム関係者に意見の相違があったとき、本人の最善の利益の観点から、どのような仕組において本人の最善の利益を守っていくべきかをお聞きしたいと思います。

 

○佐藤座長

 それでは、難病団体からお願いします。

 

○日本難病・疾病団体協議会伊藤代表理事

 日本難病疾病団体協議会の伊藤です。なかなか難しいのですね。従来の福祉の認定や指導をしていた部局が突然、たくさんのしかも難しい難病というのは何百種類も出てくるということで、びっくりしておられますが、実際はしかし、基本的な疾病ごとの類型をきちんと分ければ、そんなに難しいことを学ぶ必要もないと思いますし、保健衛生部局との行政間の中の連携がきちんとできれば、そういう資源をお互いに利用すればそんなに難しいことではないと思います。先ほども申し上げましたけれども、今作られている最中だと思いますが、難病患者等の認定マニュアル、障害認定マニュアルの案ですが、これは大変なかなかよくできていまして、短いコンパクトなものの中に要点をおさえて、このようにすれば病気の特性とか変化に対応できますよということが書かれているので、私はこれを是非浸透していただきたい、関係者の方々にどんどん配っていただきたい、そこから始まるのではないかと思っています。また、それを保健部局にも認識させていただきたいというように思います。

 

○佐藤座長

 難病のこども支援全国ネットワーク、お願いします。

 

○難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 御質問ありがとうございます。まず、確認させていただきたいのですが、総合支援法の対象に 151 疾患となったわけですけれども、これはあくまでも指定難病関連の病気ということで、小児慢性特定疾病については、指定難病と重複していないものについては、基本的には障害福祉サービスの対象となっていないという現状があります。小児慢性特定疾病の場合は、日常生活用具の給付はありますけれども、それに限られているというのが現状です。今の御質問いただいた部分は、指定難病を中心とした 151 についてはなかなか実際の福祉サービスの利用には結びついていないというように聞き及んでいるところです。従来より例えば肢体不自由等に該当していて利用している方以外については、やはりきめ細やかなサービス提供をする仕組が必要だと考えるわけですけれども、難病ですと例えば保健師とかそういった部分で従来より支援している所もありますので、是非その保健とかそうした分野と連携を深めていただいて、難病や慢性疾患の障害特性を踏まえた形で、計画相談等に結びつけていただければと思います。

 

○佐藤座長

 自閉症協会、お願いします。

 

○日本自閉症協会柴田理事

 地域への移行について、本人が地域移行したいということに対して、家族とか施設の職員がそれに反対するというようなことは考えられることだと思います。基本はやはり本人の意思が中心です。もう 1 つは、支援の基本として「本人の最善の利益」ということをしっかり押さえなければいけないだろうと思います。ではそれを仕組でどうするかについては、本人の意思決定を支えるような、もう少し特別なシステムが必要ではないかと思うのです。例えば、発達障害の方で、親から莫大な財産相続を受けて、その全財産を特定のある団体に全額寄付するのだというようなこともあります。その団体に日常的に付き添われて、すっかりそれがいいことだというように思い込んでしまっている。それに対して、保佐人などが、全財産をなくしてしまうと後の生活が成り立たないので、思いとどまるように説得しても、本人は応じない。そのような非常に強固な自損意思をもつ場合に、本人に寄り添って本人がじっくりと考え直すよう支援するような、そういう特別な支援が必要ではないかと思います。イギリスではイムカという意思決定支援のためのシステムがあるそうでが成年後見だけでも対応しきれないし、さきほどの地域移行のときに生じる問題でも、単にチームを組むだけでは解決できないという問題もありますので、どのようなものがいいのかよく分からないですけれども、もう 1 つ仕組みが必要だろうと思います。地域社会における総合的な支援が必要で、こういう単発の支援だけでやろうということにちょっと無理があると思います。それについてはよく皆で検討して、もう少し考える必要があるのではないかと思います。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○田村構成員

 田村です、よろしくお願いいたします。 1 つ目の難病疾病団体協議会さんと難病のこども支援全国ネットワークさんにお伺いします。病気の症状がいろいろあることにより、生活にたくさんしづらさが生じて、そこが障害となるので、福祉サービスでというお話だったと思うのです。

 一方で、福祉領域の方が医療行為をどこまでできるのかという話が絡んでくる面があるのかなと思いまして、ただ、逆に御家族がやっているぐらいのことであれば、ヘルパーさんにもやっていただけるのではないかとか、そこの技術をきちんと養成すればいいのではないかというお話もあると思うのですけれども、逆の考え方として、医療のサービスがより充実することによって、福祉ではなくて、医療が必要なところはもっと医療を入れるというそういう発想も他方ではあるのかなと思います。福祉サービスの中に医療をもっと含めたほうがいいという御意見のようにお聞きしたのですが、その辺りの理由をもう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

 

○日本難病・疾病団体協議会伊藤代表理事

 多分、人工呼吸器装着患者さんへの支援とか、吸引のことがメインだと思うのですが、それ以外にも今は中心静脈の点滴とか、胃ろうを設置した場合などもいろいろあると思うのですが、基本的に例えば訪問看護がもっと充実すれば、それが頻繁に行われるならば、ヘルパーさんの支援とうまくかみ合っていくことができるのですが、相当重度にならないと困難だということもあるのです。そういうこと、あるいは吸引できるように、ヘルパーさんもなっているわけですけれども、実際にはかなり現実的でないような長期の研修とか、様々なものを課せられて結局事業所もヘルパーさん本人もちょっと敬遠してしまうという現象を招いていますので、そういうことではなくて、これは生きていくために必要なことですから、医療というように限定していいのか、もっと生活支援なのかという考え方も分けると同時に、医療面がもっと在宅というところまで下りてこないと、難しいのではないかと思います。そこら辺の考え方があまり限定的に捉えることによって、かえって問題を生じているのかなと考えています。

 

○難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 医療行為と言いましても、先生にも御指摘いただきましたように、いわゆる医療的ケアと言いますか、痰の吸引とか経管栄養とか導尿の補助、そういった家庭で親が行っているような行為について、例えばヘルパーとか訪問看護そういったサービスを使って、学校あるいは自宅でサービスが利用できるようにしていただきたいということで申し上げているわけで、何か特別な病院でなければできないようなことを求めているわけではないということを確認させていただきたいと思います。

 それから先ほど訪問看護について、是非障害福祉サービスでという話を申し上げたと思うのですが、これは今でも医療保険制度の診療報酬において訪問看護は位置付けられているわけですけれども、医療保険制度というのは大変大きな制度ですので、あまり正直に申し上げて、率直に申し上げてきめ細やかな形にはなっていない。例えば、先ほども申し上げましたとおり、通常、呼吸器などを着けていないと、訪問看護は週に 3 回、 1 回長くても 1.5 時間ぐらいしか利用できないのが現実です。それではほとんど実際は役に立たないわけで、そうした障害という極めて限定と言いますか、そうした特性にきめ細やかに対応するために、是非障害福祉サービスに位置付けていただきたいと、そういった意味で申し上げたところです。

 

○田村構成員

 ありがとうございます。今の最後の部分の訪問看護について、その場合に従事者は訪問の看護師さんという前提でおっしゃっていますか。

 

○難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 はい、訪問看護ステーションにいらっしゃる訪問看護師さんと思っています。

 

○田村構成員

 ありがとうございます。

 

○野沢構成員

 野沢です。難病のこども支援ネットワークさんに聞きたいのですが、通常の学級に在籍する子どもたちに教える、これはとても切実で、大事なものだと思っています。こういう子たちの合理的配慮、これはどこに求めるのかという議論があるかと思うのですね。特別支援教育支援員、介助員、この介助員がこういういろいろな医療的ケアができるような体制をつくるべきだと。つまり学校の運営者とか学校の設置者にこの合理的配慮を求める、学校の中のことなのですから。というのは何かよりストレートなように見えたりもするのです。これを国のこういう制度を学校内で使えるようにするとなると、この制度を替えていく。更に個々の学校や個々の子どもたちのことを運営者に求めていくということで、何か 2 段階あるような感じがして、どこに求めるのがいいのかなという、その辺は実現すればどこでもいいのでしょうけれども、それについてのお考えあるいは文科省等の交渉がもしあれば、どんな状況なのかお聞きしたいです。

 あと、日本自閉症協会柴田さんにお聞きしたいのですが、いわゆるパーソナルアシスタンスについて、自閉症協会はどんな御意見を持っているのか、パーソナルアシスタンスといってもそれぞれ団体によって定義がバラバラなので、一概にあれかもしれませんけれども、自閉症協会の中では、パーソナルアシスタンスについては、特に意思決定支援の絡みの中で、なかなか意思決定が難しい人を、常時長時間の介護というのはどのように考えたらいいのか、御意見があったらちょっとお聞かせ願いたいと思います。

 

○難病のこども支援全国ネットワーク福島常務理事

 御質問ありがとうございます。御指摘いただきました特別支援教育支援員、介助員の制度ですが、これは平成 19 年から文科省のほうで地方財政措置として始めた制度です。ですから補助金とかではないので、一般財源として地方自治体にお金が流れているという形です。実際、この制度がまだできていない市町村もあります。それから、お金の部分ですが、文科省で用意しているお金をこの人数で割ると、 1 人頭 100 万円程度で、先ほど御指摘いただいた例えば看護師さんをこの支援員として雇用するというのは、ちょっと現実的にはかなり難しい状況もあります。この制度ですが、先ほども御説明させていただいたように、使える時間に制約があったり、使える範囲に制約があるケースもあります。私自身も自分の子どもの経験がありますけれども、例えば宿泊を伴う行事には使えないとか、そうした制約があります。そうなってくると結局、例えば修学旅行で申しますと、参加できないか親が付き添うと、その 2 つの選択しかなくなってしまうというのが現状です。御指摘いただいたとおり、私も一義的には学校のほうできちんと合理的配慮としてそうしたものを確保するのが筋だと思いますけれども、ただ、現実、地域の学校においては、そのような体制は整っていないというように認識をしています。したがって、あくまで補完的な意味でという形ですけれども、障害福祉サービスのヘルパーとかそうしたものが学校関係、通学校内、そうした校外行事を含めて使えるようになれば、地域の学校に通っている子どもたちと親たちにとっては大変大きな支援になるとそのように考えています。

 

○日本自閉症協会柴田理事

 パーソナルアシスタンスそのものは非常に重要な制度だと思います。ただ、これをどう解釈するかの問題ですが、 1 1 で支援するということであれば、行動援護、あるいは重度訪問介護等があるわけです。もともとスウェーデンでこれが言い出されたときに、障害者本人が依頼して、障害者本人が統制するという要素が強かったように思います。しかし、自閉症の方に、ヘルパーを統制し、又はヘルパーを養成するというような、そういうことが本人にできるかというと、それは非常に難しいでしょう。そういう意味でいうと、当初スウェーデンでラツカさんが言い出したようなパーソナルアシスタンスではないと思います。

 それから、カナダのマニトバ州などでは、逆に意思決定の支援というのは、家族や友人等の地域におけるシステムが行い、パーソナルアシスタンスはそれと協力するという立場にしていて、パーソナルアシスタンス自身は意思決定支援に関わらないという設定をしているようですが、それもちょっといきすぎだと思います。やはり御本人のことを一番よく知っているということがとても大事です。そういう点では家族もそうですが、個別的に日常的に関わるヘルパーが、本人のことが一番よく分かるということがあります。

ただ、先ほど意思決定支援のところで申しましたように、パーソナルアシスタンスの個性とか考え方が非常に強く影響をしますので、それが本人にとってはマイナスになることもあり得ようかと思います。

 また、支援の現場が密室化されますので、そこで何が起こっているのか、周りから見て、第三者から見てよく分からないということもあり得るわけです。そういう点では、先ほど言いましたように、チームでの支援というのが非常に重要です。ただ、チーム支援だけで足りるかというと、先ほど大塚さんに申し上げましたけれども、もう 1 つ何か仕掛けが必要なのではないかと思います。だから、パーソナルアシスタンスは大事ですが、それを意思決定支援のための制度というように位置付けることには無理があるのではないかと思います。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 

○高橋作業チーム構成員

 札幌市の高橋です。まず、日本難病疾病団体協議会さんに 1 点お尋ねします。それと自閉症協会柴田さんにも 1 つ教えていただきたいのですが。初めに伊藤さんにお尋ねしますが、 ALS 患者などのコミュニケーション支援のお話をいただいたのですが、もう少し具体的に教えていただければと思います。どんな具合の介助、制度、方法というものをイメージされているのか。

 

○日本難病・疾病団体協議会伊藤代表理事

 今 ALS 患者さんの発症の年齢もかなり高くなってきているのですが、進行が非常に早いのも 1 つ特徴にありまして、その進行の度合いを見て、その時点でこういう支援、あるいはコミュニケーション支援とか様々なものが必要だといって、それが決定されて実際に物がきて、それから練習をしてとなると、進行には全然追いつかないです。そういう意味で、今は軽症であっても早めに必要。特にコミュニケーションは必ず必要ですので、早いうちにそういうものに慣れることが大事だと思うのですが、なかなかそれは難しいです。それからそういう患者さんにコミュニケーションの指導や訓練をする、あるいはパソコンなども使えるように指導する制度がないので、ほとんどボランティアとしてどなたかがやってくださるのですが、ボランティアのいない地域は、折角パソコンをもらっても使うに至らず、ちょっとやってみてそれで結局使えないということで終わってしまう、面倒だということでやめてしまうということになると、様々な意思疎通ができないことによって、なお病気の進行が早くなる、あきらめが出てくるともっと進行が早くなってくるという現状もありますので、ベッドにしても車椅子にしても、電動車椅子にしても、ヘルパーさんを導入しても全て早めに、前もってそれを予測して、患者さんに十分理解をしてもらって、相互に信頼関係ができるような段階から導入していかないと、実際の支援にはならないのではないだろうかと。そういうケースが多いということだと思います。

 

○高橋作業チーム構成員

 自閉症協会さんに。先ほど生活介護と就労 B のところで、新たな名称の仕掛けというお話だったのですが、私は札幌市なのですが、両方やっている事業所は結構多いです。実質的には求めている内容のサービスが行われているのですが、これは単純に名称と言いますか、イメージだけの問題なのかもう 1 つ踏み込んだところで、当人同士の拘りというのでしょうか、何かそうしたものをお求めなのでしょうか。

 

○日本自閉症協会柴田理事

 求めるというのは。

 

○高橋作業チーム構成員

 現に、生活介護の事業所と就労 B をやっている、両方やっている事業所は多いのですね。なので、実態としては賄えているのかなという印象を私自身は持っていたのですが、御提案の内容というのは、それらを一本化したサービス、そういうイメージをされている御提言なのでしょうか。

 

○日本自閉症協会柴田理事

2 つのことを言ったので、すみませんでした。まず 1 つは生活介護という事業種別名についてですが、これは生活を介護する事業ではなくて日中活動を支援する事業だと思います。障害者自立支援法制定の当時は、こういう重度の方の通所の制度がない中で、そこに手厚い支援をするために、税金を投入しやすくするためということもあって、こういう名称が使われたのだろうと思いますけれども、既に制度が定着してきましたので、本来的な表現として、生活介護ではなくて「活動支援事業」というように直していただきたいと思います。

 2つめは、就労 B と生活介護を一本化するかどうかということについてです。障害支援区分 2 の方は生活介護が使えないわけですから、就労 B ということになりますけれども、その中にもかなり濃厚な支援が必要とする方がいらっしゃるということもあるので、一本の制度にしていいのではないかという意見です。ただ、それに対して、実際に利用している御本人が就労 B の方は、自分は働いているという誇りをもっているため、それが活動支援とかいう名前になった場合に、本人の誇りはどうなるのかという意見もありまして、その辺は少し丁寧な説明によって解決する必要があると思います。生活介護事業の中でも作業を行い、工賃も支給できるというようになっていますので、この 2 つの事業の中身はそんなに違いはないと思われますので、これは制度的には統合したほうがいいのではないかなと思います。

 

○高橋作業チーム構成員

 はい、分かりました。

 

○佐藤座長

 それでは、御三方の御意見に関しての質疑の時間もまいりましたので、ここで一旦切りたいと思います。どうもありがとうございました。

                        

( ヒアリング団体入替 )

 

○佐藤座長

 続いて、全国重症心身障害児 ( ) を守る会、それから日本重症心身障害福祉協会、同じく全国重症心身障害日中活動支援協会、今申し上げた順で、御意見を伺いたいと思います。まず最初に、重症心身障害児 ( ) を守る会から御意見をいただきます。それぞれお三方、 10 分ずつお願いいたします。

 

○社会福祉法人全国重症心身障害児 ( ) を守る会秋山副理事長

 全国重症心身児 ( ) を守る会です。本日は、このような機会をいただきましてありがとうございます。私どもの要望・意見書は資料の 4 です。

1 の重症心身障害者の生活支援の在り方ということですが、重症心身障害者の親は、障害がどんなに重くても可能な限り地域で共に生活したいということで頑張っております。しかしながら、重症児者は医療の支援を必要とするという特徴があります。地域での生活にあたっては在宅支援の充実とともに、施設入所支援との組合わせによる安心安全な支援の仕組みが必要とされております。

 在宅の重症児者の日常生活は、親、家族の支えのもとに営んでいるのが実態です。平成 24 年度から厚生労働省の公募事業として、重症児者の地域生活モデル事業が実施されております。このモデル事業での結果を見ると、それぞれ地域の実情に応じた具体的・先駆的な取組が報告されております。こうした成果を踏まえ、その取組が各地域に普及されることが期待されているところです。このモデル事業から見えてきたことは、地域自立支援協議会などと連携する重症児者地域生活支援システムが必要であり、調整機能を持つコーディネーターを配置して、情報の共有化を図り、支援を必要とする人の状況に応じて社会資源や、これらを有機的に連携した障害福祉サービスを、提供する仕組みを構築することが望まれているところでございます。

2 の施設入所の在り方です。重症児者の施設入所は、医療支援と生活介護により、医療を含む障害程度の軽減を図ることを目指しているものです。したがって、入所支援と在宅支援とを一体的に考えて、必要に応じて交互に運用される循環型の支援体系としてあるべきだと考えます。しかし、入所療育によっても重度の医療支援や重度の身体障害及び重度の知的障害が重複するために、地域への復帰ができない状態にある者が大多数となっております。このため重症児者にはその特性に配慮した児者一貫の継続入所支援、この制度が必要とされております。

3 の在宅者の支援と入所待機者の状況でございます。重症児者の在宅者数は、約 2 7,000 人と推計されています。在宅者の中には医療的ケアの重症化、あるいは障害の重度化、親などの介護者の高齢化による介護力の低下などが報告されておりますが、在宅支援施策の基盤が脆弱な現状におきましては、地域で安心して生活ができる状況にはありません。このような実態を反映して、施設入所の希望者は増加傾向にあります。平成 24 2 月の調査によりますと、入所待機者数は約 3,700 人と推計されます。そのうち、今すぐ入所が 38.6 %、将来に備えては 28.1 %となっていました。将来に備えての理由は、医療的ケアの重症化、障害の重度化の進行、親など介護者の高齢化・介護能力の低下、親亡き後の不安などの問題によるもので、在宅介護に限界を感じての施設入所希望であります。

 重症児者の親は可能な限り地域で共に暮らしたいと願っているわけですので、これを支援助長をすることで安心安全な生活が確保できるようになれば、入所の希望が大幅に低減される効果があるものと考えています。

4 の地域移行についてです。重症児者施設入所者の地域移行を進めるに当たっては、本人の判断能力や意思を慎重に見極めて実施する必要があります。施設での療育効果によって障害程度が改善し、本人による意思が確認できる者である場合には、医療的ケアの支援体制が確保されるケアホーム等への移行が考えられます。これを積極的に進めるためには、重度訪問介護事業との連携を検討する必要があるのではないかと、このように思っています。このことによって自己実現を支援する意義は、大きいものがあると思います。

5 NICU 、退院児への支援です。最近、 NICU から退院した人工呼吸器を着けた児童が、在宅に多く見られるようになりました。医療と福祉の連携による支援が、課題とされております。 NICU の後方支援の在り方としまして、相談支援、訪問看護、訪問介護、入浴サービス、短期入所などのほかに、必要に応じての体調調整を図る医療入院施設の確保などが挙げられております。

 後方支援の 1 つの体系として、重症児者の入所施設が存在しておりますが、直ちに入所を受けるのではなく、在宅施策事業と合わせ、体調調整のための一時入院、訪問医療を組み合わせた支援体制とすることで、在宅での生活の安心を支えることになるものと考えております。

6 の成年後見制度についてです。重症心身障害者の施設入所者については、障害福祉サービスを受給するにあたりまして、成年後見を付けないと契約ができないということで、ほとんどの利用者は成年後見人を選任しています。その選任された後見人の 90 %は、親や兄弟等の親族による後見となっております。しかし、親も高齢化してまいりました。そして後見人を続けられないような状況になってきております。したがって、第三者による後見人の選任が必要となっている状況です。

 申し上げるまでもなく、成年後見人の業務は財産管理と身上監護ということになります。財産管理については家庭裁判所によって支出項目内容が審査されて、適正な業務執行に対するチェックが行われております。この支出内容の範囲については、家庭裁判所により見解が分かれております。裁判所管轄の地域によって格差が生じておりまして、後見人の間ではそれぞれ意見を交換し、割り切れないという思いを持っております。家庭裁判所の裁量、判断の独立性は肯定されなければなりませんが、管轄区域の違いによって格差が生じているとすれば、国民に対する公平性の観点から全国的に統一した指針が設定されることが望ましいものと考えております。

 次に、身上監護の問題でありますが、後見人が親・親族の場合には身内としての立場からの身の上監護でありまして、面会、散歩、身体の世話までも身上監護のうちのものとなっているのが実態でございます。第三者による身上監護は契約事務、これに相当するような事務が監護とされております。したがいまして、親・親族から見た場合には、期待されるものは何もしてくれないという不満となっているわけであります。そこで、法人による後見制度の推進を図ることが求められております。 NPO 等法人による後見人は、後見人に支払う報酬が低額に抑えることができるという利点があります。また、身上監護については付加契約によって本来の後見人の事務に面会、散歩などについて、ボランティア的に関わることを加えるなどで利用者の生活に優しい潤いをもたらすことになり、親・親族に代わる見守り看護に応えるということになります。このように、法人後見を推進することは、障害者支援として極めて有意義なものであると考えます。これを普及育成するために、助成制度を実施していただきたいというのが、お願いでございます。

7 の常時介護が必要な人への支援、移動支援など障害福祉サービスの在り方についての要望でございます。 4 点挙げております。 1 つは、重度訪問介護事業者の増加に向けた取組みであります。重度訪問介護事業につきましては重度の知的障害者にも対象が広がったことは高く評価していますが、残念ながら事業者数は極めて少なくて、利用ができないというのが現状でございます。事業者の増加を図る対策をお願いしたいということでございます。

2 つ目は、移動支援を介護給付の対象にしていただきたいというものであります。移動支援は、移動困難な障害者にとって障害者の社会参加促進や、行政での手続き、医療機関での受診等、大変重要なサービスです。しかし、地域間格差が大きいのが現状でございます。どこの自治体でも、同じ程度のサービスが受けられるように、地域生活支援事業ではなくて、介護給付としていただきたいというのが、お願いでございます。

3 つ目は、重症児者の入院時の付き添いを給付対象としていただきたいということです。重症児者が入院したときは、本来的ではない付き添いを求められたことがございますが、このような特別な事情がある場合に限り、時間制限などの一定の条件下で、居宅介護として認めていただきたいということであります。現在、地域生活支援事業等で対応している市町村があるようでございますが、介護給付として支給できるようにお願いいたします。

4 点目の重症児者通所の送迎への支援であります。事業運営上、送迎ができない事業者や居住地によっては配車ルートからも外れてしまうなどで通所できなかったり、通所が制限される場合がございます。居宅介護の通院等介助あるいは他のサービスへの対応を可能にしていただきたいということであります。以上が、私どもの要望でございます。よろしくお願い申し上げます。

 

○佐藤座長

 どうもありがとうございました。続きまして、重症児者福祉協会からお願いします。

 

○公益社団法人日本重症心身障害児福祉協会木実谷理事

 公益社団法人日本重症心身障害児福祉協会の理事の木実谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、このような機会を与えていただきましてありがとうございます。資料 5 のほうを御参照ください。障害者総合支援法及び児童福祉法の一部改正では、「児者一体の運用」が可能な体制にしていただいたことをはじめとして、重症心身児者の特性を御配慮いただきましたことを感謝申し上げます。

 さて、この度の障害者総合支援法施行 3 年後の見直しに当たりまして、当協会からの要望として以下の事項をお願いいたします。基本的には入所の部門は今高齢化、それから医療の重度化ということがキーワードになっております。在宅の実態ですと、支援の充実、これは、入所がなかなかできないということから在宅を充実させようということが出ております。そのようなことを基本として、以下のような要望をお願いいたします。

1 、重症心身障害児者が家族との関係が途絶した場合や、本人の意思表示が困難ないし不能な場合、より高度な医療的ケアの実施に際して、従来の成年後見人には医療同意の権限がなく、判断に限界があるので、意思決定支援の在り方について法的な支援の整備を図り、指針を明示していただきたい。

2 、重症心身障害児者の一貫した療育が続けられるよう、現在の療養介護・医療型障害児施設の定員区分における流動的な取扱いを維持していただきたい。

3 NICU 等から退院してくるような、発達期に重度の障害を受けた重複障害児に対して、特別な配慮を求めます。発達期の障害のために、病態に応じて成長とともに変形・拘縮が進行し、呼吸機能・消化機能まで様々な影響を及ぼすため、早期からの積極的なリハビリなどの発達段階に応じた支援が必要です。また、合併症が多いため、長期的な予後が厳しく、発達期に受けた重症児は、児者一貫体制で連続した支援がなければ生命を維持することは困難です。

4 、重症心身障害児者の在宅支援 ( 短期入所 ) の強化を図るため、短期入所整備費、特別重度支援加算、送迎加算の増額をお願いしたい。在宅で生活する重症心身障害児者が急増しており、短期入所の希望は多くなっていますが、特に超・準超重症児に対応するための受入れ病床の増整備に当たっては、監視モニター、呼吸管理装置などの施設負担が大きく、苦慮しております。なお、現行制度では 1 床の整備も 5 床の整備も同額の加算となっていますが、整備する病床数に応じた加算をしていただきたい。また、運営面においても超・準超重症児者の処遇に係る経費が加算額をはるかに上回っている状態であり、今後これが受入れ制限につながる可能性があります。 NICU 等を退院し、在宅で生活する超・準超重症児者にとっては短期入所利用は不可欠であり、受入れ増が急務となっております。そのためには、超・準超重症児者には特別重度支援加算の増額をお願いします。更に、在宅の重症児者が短期入所を利用する医療型の施設は数が少なく、相当遠方からの施設利用となる場合が多い現状です。気管切開者をはじめ、看護師の添乗を必要とする利用者も多く、施設負担が大きい状況です。家族が利用しやすい短期入所とし、在宅支援の強化を図る必要があることから、送迎加算の増額をお願いします。

5 、緊急短期入所確保加算 ( 空床保障 ) が平成 24 年度に制度化されましたが、単価が低く、円滑に機能するまでには至っていない状況と考えます。空床保障するベッドの確保並びに加算費の増額等の検討をお願いします。

6 、医療と看護が必要な方たちへのサービスについて、福祉面からの捉え方がまだまだ不十分な状態です。痰の吸引等の医療的ケアが福祉職員に認められましたが、例えば、人工呼吸器が必要な方などには生活介護日中支援においても送迎、活動中など、常時看護師が必要になりますが、こうした方を受け入れるためには看護師の数を増やさなければなりません。通所事業や短期入所では、人工呼吸器使用や酸素使用等のコストは施設負担になります。こうした超・準超重症児については、それに相応する加算支給がなされるべきだと思います。通所及び短期入所における超・準超重症児者への支給加算を手厚くお願いいたします。 7 、障害児の移動支援は、「通年かつ長期にわたる外出は利用できない」となっているため、原則通学については利用できないこととなっています。そのため自分で通学できない児童については送迎は保護者が行わなければなりませんが、状況によっては学校を休まざるを得ないこともあります。また、医療的ケアのニーズが高い重症心身障害児者は移動支援の対象外となることがほとんどです。教育を受ける権利の確保と、保護者の状況で通学が左右されることのないように、移動支援の利用制限の見直しをお願いします。また、医療的ケア対応の移動支援事業の制度整備をお願いしたいと思います。

8 、重症心身障害児者を地域で支援するための医療との連携体制の構築を図っていただきたい。どんなに重い障害があっても地域で生活ができるようにすることが重要ですが、医療的安定が見られる重症心身障害の方で、かつ本人の意思が確認できる方は生活環境をアセスメントし、医療的ケアを保障した上で、地域移行が図られるべきであると思います。また、移行に際しては地域の小児神経専門医等と施設の協力・連携体制の整備が不可欠ですが、現状では個々の施設に委ねられている状況であり、地域の理解、安心できる施設体系整備についての取組が必要であると考えます。

9 、障害支援区分の決定により医療も障害福祉サービスも規定されますが、生存のために施設入所及び医療的ケアが不可欠である重症心身障害者であっても、障害支援区分によっては退所を求められることもあることから、必要な支援が十分に反映されるよう、障害支援区分の認定の適合性が図られるようにしていただきたい。

10 、サービス等利用計画 ( 障害児支援利用計画 ) の作成は利用児者のニーズに対応できていないのが現状であり、その要因には専門性、特に医療の知識の報酬単位が低いことから、「経験豊富な職員を相談支援専門医として任用できない」、「障害児相談支援は利用計画に係る相談よりも、それ以前の基本相談に多大な時間と労力がかかる」という制度的課題があります。このことから、相談支援専門員の養成と増員、指定相談支援事業所の増設、単価の引上げに向けた検討をお願いしたい。また、サービス等利用計画等の代替えとなるよう、計画案の作成や、利用者自らが作成するセルフプランの支援等、緊急的対応がなされていますが、重症心身障害の方々における意思決定支援内容を含めた総合的な相談支援の在り方の検討もお願いしたい。なお、地域で生活する障害者に対して、地域で提供可能な支援や、その時点で必要とする支援について、家族が必ずしも認識していないケースがあることから、サービスの家族支援が確実に行われる、かつ、家族周知が確実に行われるような体制の整備をお願いしたい。

11 、障害者本人の意思決定支援を尊重する視点から、非言語コミュニケーションに対する支援の充実を図っていただきたい。言語機能や音声機能に障害がある方が意思疎通を図るためのコミュニケーションエイドを利用しやすい環境とするため、機器購入の自己負担軽減、機器の委譲制度、機器の活用をサポートできる人材の育成などの体制整備を図っていただきたい。

12 、障害者本人が 65 歳になった時点で、障害福祉サービスを選ぶのか、介護保険を選ぶのか選択できるようにしていただきたい。また、障害者の高齢化による医療の問題も配慮していただきたい。現在、施設利用の在宅の障害者について、 65 歳になった時点で、市町村の判断により、介護保険移行を前提に障害福祉サービスに上乗せて介護保険も利用していることから、本人負担の増及びサービス内容、環境の変化による問題が起きています。施設入所者についても、 65 歳を過ぎて施設退所や、負担の増による将来の生活が不安化することが考えられます。また、高齢化、機能低下により、医療が必要となっても、医療の提供が受けられないことも考えられることから、様々な特性のある障害者に対しては将来安定した生活が送れるよう配慮していただきたい。以上でございます。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。では、続きまして日中活動支援協議会のほうからお願いします。

 

○全国重症心身障害日中活動支援協議会木村幹事長

 全国重症心身障害日中活動支援協議会幹事長の木村と申します。本日は、このような機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。当協議会を代表して、障害者総合支援法施行後 3 年の見直しについて、意見を申し述べさせていただきます。

 はじめに、見直し規定の 1 番目にある「常時介護が必要な障害者の支援の在り方について」の意見を申し上げます。重症児者の在宅生活は家族による手厚い介護・監護の上に成り立っています。これらの家族が担っている介護・監護を現行の医療福祉サービスに置き換えた場合、現行のサービス支給量ではその全てを賄い切れないほど膨大です。常時介護が必要な重症児者の支援において、第 1 には在宅生活維持のための親の更なる負担軽減、第 2 には家族介護に頼らない地域生活支援、第 3 には親亡き後の支援体制の構築が肝要であると考えております。

 第 1 の親の更なる負担軽減について、まずは日中活動支援の立場から 3 点ほど申し上げます。例えば、重症児者と重度知的障害者を比較した場合、独立歩行が可能かどうか、座位保持ができるか、指先が使えるか、嚥下障害があるかないか等によって、必要最低限の支援の量は何倍も違います。また、基本的な福祉における知識・技能に加えて、基礎的なリハビリテーションの知識や、医療的な対応が必要です。濃厚な医療的ケアが必要な重症児者の場合には、更に看護職員の加配が必要です。この場合、医療連携体制や訪問介護のような一時的、または部分的な関わりではなく、療育活動全体において常に医療的配慮の中で発達支援なり、ライフステージに応じた個別対応が行われる必要があります。このため重症児者の日中活動支援では定員にかかわらず、人員基準を大きく上回る 2 名以上の看護職員が配置されています。重症児者の日中活動支援では、たとえ医療的ケアを多く要さなくても、定員 5 名では原則 1 1 、定員 5 名を超える場合であっても、それに準じた人員配置が必要と考えます。

2 番目は超重症児者等の医療的ケアへの対応です。超・準超重症児の利用が増えており、利用者全体の 3 割を超え、入所施設と同等の割合となっています。超重症児はその必要とする医療的ケアが濃厚であるがゆえ、多くの人手を要しています。特に、人工呼吸器の操作などは高度の専門性と経験が求められ、看護師であれば誰でも対応できるというものではありません。加えて、改修工事や設備整備などの初期投資が必要になります。超重症児を受け入れるか否かによって、事業所の負担や収支差率の格差が大きくなっています。なお、超重症児などの濃厚な医療的ケアを要する利用者の場合、当該医療的ケアが他の福祉サービスに上乗せして提供されなければなりません。仮に、それができない場合には医療的ケアを要する人が多ければ多いほど他の利用者のケアが薄くなるか、もしくは事業所の負担にてスタッフを加配するしかありません。現在、全ては事業所の判断と責任と負担において超重症児を受け入れていますが、収支状況は極めて厳しく、制度上、超重症児を受け入れられる人員基準及び報酬体系についての見直しが必要であると考えております。

3 番目はリハビリテーションについてです。多くの利用者が日中活動支援事業所でのリハビリテーションの提供を望んでいますが、報酬が極めて低いことから専門職の配置を含め、当該ニーズに応えることができる事業所は極めて少数です。このため、多くの利用者が日中活動支援の利用日数を減らし、他の訪問系サービス等を使いながら医療機関を受診し、リハビリテーションを受けています。日中活動支援事業所でのリハビリテーションの実施が促進されることは、効率的な医療・福祉サービスの提供につながり、利用者の利便性も大きく向上するものと考えます。

 次に、日中におけるサービス提供時間延長の考え方について申し上げます。現在、障害福祉サービス等報酬等改訂検討チームでは、保護者の就労支援という観点も含めて、重症児者対象の通所支援における受入れ時間の延長を報酬上評価することと併せて、開所時間減算の適用区分の拡大が検討されています。意見書には、日中活動支援事業のみで、日中のサービス提供時間を延長することの問題点や課題を記載いたしましたが、いずれにいたしましても親の就労支援を含む社会参加を促進する観点からは、サービス提供時間は保育所と同様の 10 12 時間が 1 つの目安となり得ます。重症児者に対する日中のサービス提供時間の更なる延長は、送迎と日中活動支援の在り方、日中活動支援と訪問系その他のサービスとの連続した利用、移動支援の更なる充実、医療的ケアの保障など、様々な観点からの検討と、段階的な取り組みが必要であると考えます。

 次に、親の更なる負担軽減の上に重要な短期入所について申し上げます。重症児者及び家族にとって、短期入所は在宅生活を継続させる上で極めて重要な役割を担っていますが、特に医療的ケアに対応した短期入所事業所及びその定員は著しく不足しています。にもかかわらず、短期入所定員を増加させるための公的補助制度は十分とは言えません。医療型短期入所の基本単位及び特別重度支援加算の見直しに加えて、短期入所定員の増加に伴う施設・設備整備補助金制度の拡充等の施策が必要ではないかと考えております。

 次に、家族介護に頼らない地域生活支援、親亡き後の支援体制の構築についてです。この場では 2 点にしぼって意見を申し上げます。 1 つ目は、医療的ケアを要する重症心身障害者について 24 時間の医療的ケアをどう保障していくかが、福祉制度上の重要な課題であると考えております。福祉職による痰の吸引や訪問看護では、対応困難なケースもあり、福祉予算から医療的ケアに対応する看護職員を配置できるような制度設計が必要であると考えております。

2 つ目は親亡き後の支援体制の構築において、現在でもしばしば問題化しておりますが、本人の意思表示が極めて困難な重症心身障害者に対する侵襲的治療等の高度の医療の可否判断が挙げられます。成年後見人には医療同意の権限がなく、判断に限界がありますので、意思決定支援及び後見の在り方について、法的な整備なり指針が必要であると考えられます。

 次に、重症児者の地域生活を推進するための重症児者コーディネーターの養成と配置についてです。地域の障害者相談支援事業所では重症児者の利用件数が必ずしも多くなく、経験が乏しい事業所も少なくありません。重症児者本人及び家族と福祉・医療・教育等を結び、重症児者の在宅地域生活を支える重症児者コーディネーターの養成と配置についても検討する必要があると考えます。特に、困難が予想される施設から地域への移行に際して、当該コーディネーターが果たしうる役割は大きいと考えられます。

 次に、 1-2 として重症児者の送迎及び移動の支援について申し上げます。重症児者が在宅生活を維持させるためには、複数の障害福祉サービスを効果的に組み合わせる必要があり、それぞれのサービスを利用するごとに送迎及び移動の支援が必要であると考えます。にもかかわらず、現行のサービスごとの送迎加算は、報酬上、重症児者の特殊性が反映されておらず、各サービス事業所は利用者の送迎ニーズに十分に応え切れていません。例えば、短期入所と日中活動支援の事業所間の送迎は、送迎加算の対象外となっているため、いずれかの事業所もしくは家族の負担において送迎せざるを得ません。このためニーズはあるにもかかわらず、複数のサービスの連続利用を断念せざるを得ず、実質的な利用制限が発生しています。特に、医療的ケアに対応した移動支援を提供している事業所はほとんど存在していないため、超重症児者とその御家族の日常生活における行動範囲は、本人の意思や希望にかかわらず、狭められています。重症児者にとって必要な支援が途切れることのないよう、その特殊性に応じた送迎及び移動支援の改善が必要であると考えます。

 最後に、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方について、意見を申し上げます。現行の各サービスごとの人員基準、報酬基準、利用者のサービス支給量等は事実上、現行の障害支援区分により決定されており、障害支援区分は障害福祉制度の根幹を成していると言えます。しかしながら、例えば重症心身障害、重度知的障害、強度行動障害ではそれぞれに必要な支援の量と質が大きく異なっているにもかかわらず、区分が同じであれば、事業所の人員も報酬も、また本人への支給量も同一となっています。このため、現在の障害支援区分を中心に据えた障害福祉における給付制度は、必ずしも必要とされる支援の質と量が適切に反映されているとは言えないと考えております。障害支援区分を抜本的に見直すか、もしくは障害特性に応じた人員基準、報酬基準及び各種加算を大幅に見直すなど、障害者 1 1 人に必要とされる支援の質と量が適切に反映される制度への改正を望んでおります。以上でございます。

 

○佐藤座長

 ただいま重症心身障害児者に関する 3 つの団体から御意見を頂きましたので、これから質疑あるいは更なる詳しい説明を求められる場合には、御発言をお願いします。では、どちらからでもどうぞ。

 

○大塚構成員

3 団体の方、どうもありがとうございました。 2 つの質問があります。 1 つは、全国重症心身障害者を守る会と最後の日中活動支援協議会の方、 2 団体に。重症児支援コーディネーターということで、両団体についてはこれの必要性を申し述べられましたが、私も重心に特化したというか専門性を持ったコーディネーターの存在が必要だと思います。このコーディネーターになる人の要件、どういう人がなればいいのかとか、仕事は幾つか書いていただいていますが、どのような役割があるかとか、全国でどのぐらい必要であるとか、余り具体的なイメージはまだないかもしれませんが、どのように考えたらいいのかをお聞きしたいと思っています。

2 点目の質問は、日本重症心身障害福祉協会さんにお願いいたします。 1 において、重心の方の意思表示が困難ないし不能な方について、従来の成年後見人には医療同意の権限がないということで、意思決定支援の在り方についての法的な整備を図ってくださいということがありましたが、このことについてもう少し説明をしていただきたいのです。例えば、成年後見人には医療権限の同意がないということで、今後は成年後見人による意思決定あるいは代理決定の権限の仕組みをつくるということなのでしょうか。そうにも見受けられるのですが、その意味。そうすると、なかなか意思表示が困難な人については、医療同意だけではなくて、生活であるとか人生上の決定についても代理決定が必要、広い範囲にわたるとも考えられると思うのですが、この法的な整備の具体的な内容について、もし御意見があったらお願いします。

 

○佐藤座長

 守る会からお願いします。

 

○全国重症心身障害児 ( ) を守る会秋山副理事長

 今のコーディネーターの関係ですが、実は私どもが平成 24 年にこのモデル事業を実施することになりました。その結果、今もこれに関係しながら同じような、コーディネーターと言うかどうか分かりませんが、システムを作ってやっているわけです。

 ところで、この専門相談員が実は非常に重要な役割を果たしているわけで経験をかなり積んだ人、もちろん専門性を持った人ということですし、それと同時に人格的に、これは申し上げていいか分かりませんが、各機関と調整をしたり、実際の親とも調整をするわけです。これは人格的に優れた人が求められると。非常に抽象的ですが、言うならばそういうことが基本にあるのではないかと。もちろん、いろいろな知識は当然のことです。

 

○重症心身障害日中活動支援協議会木村幹事長

 今、先生がおっしゃられたことともかぶるわけですが、力量が求められるということで、特に医療の人と一定程度対等に語り合う、あるいは重症児施設など大きな所に対して対等に語り合いながら、在宅生活を進めていくということで、これは経験がかなりなければならないと思います。必ずしも重症児施設の経験である必要はないとは思いますが、医療的対応を含めた経験をしっかりと持っていないと、その辺が相手にされないとは言いませんが、力量を求められるだろうと思います。それで、先ほど言ったように、基本的な相談支援の能力に加えて、家族や親の抱えている状況を理解しながら、そこを進めていくということです。やはり重症児の知識、技能と相談支援の知識、技能どちらも高いものが求められるだろうと思います。

 どのぐらいの数かということですが、私も段階的なのではないかと思っていまして、まず第 1 段階は都道府県レベルでしょうし、第 2 段階としては、例えば児童相談所設置市(中核市)とか、そういった段階的なことになるのかと思いますが、求められている所は、どちらかというと地方です。小さい市町村、その市町村の中に重症児が 1 人いるかいないかという所は、支給決定を含めて非常に困っていらっしゃるところがありますので、そういうところに手を差し延べるということで、結構、広範囲なところからのスタートではないかと思います。

 

○佐藤座長

 先ほどの成年後見の医療的ケアに関しても。

 

○日本重症心身障害福祉協会木実谷理事

 成年後見制度は、今、協会でもかなりいろいろ議論になっているところですが、結論は出ませんが、親兄弟が成年後見人になっていらっしゃる方は、何となくいろいろ相談に乗ってくださって、先ほど大塚先生が言われたように、本人のことをいろいろよく知っていることが前提ですが、決定に携わっていただける。

 しかしながら、そうではない、特に司法書士とか、そういう法曹界の人に頼んでいる場合には、経済的なこと以外は口を出さないことを絶対守っておられるということで、とても現場では困っています。しょうがないから私のような施設長が判断して、親でもないのに何か手術していいとか、利害が場合によっては相反するかもしれない。施設長は手術してほしいかもしれない。だけど、本人はしたくない、あるいは、そういう成年後見、親兄弟だったら反対するかもしれない場合もありますので、今、その辺はとても結論の出ないところで議論をしている最中です。

 親兄弟なら、いろいろ法律の規定のはみ出たところでも何となくオーケーしている。痰の吸引然りですよね。家ではやっていた。御飯も何か無茶苦茶食べさせる。家で食べているのだから、施設でも食べさせろとよく怒られるのですが、でも、むせて、むせて、これはどう見ても気管に入っているねという感じで理解せざるを得ない場合でも、家でやっているのだから大丈夫とか言われまして、こちらは非常に苦慮していまして、家庭で肉親の方が関わっている場合と、全くそこから離れてきちっと法的にやらなくてはいけない場合とかなり違ってきますので、その辺をどうやったらいいのかということの構築を相談しながらやらせていただきたいということで、まだ具体的にどういう整備というふうなきちっとしたものはありません。

 

○木村作業チーム構成員

 重症心身障害者を守る会の説明の中で重度訪問介護の事業所数が非常に少ないのがありましたが、私は対応できるヘルパーといいますか、ヘルパーがいない話はよく聞くのですが、事業所数が足りないというのは余り聞いたことがなくて、ここは実際に事業所として本当にやる事業所がそもそもないという話なのか、それとも重症心身障害児者に対応できる事業所が少ないということなのか、どちらのことなのだろうと、そこをお願いできませんか。

 

○全国重症心身障害児 ( ) を守る会秋山副理事長

 おっしゃるとおりですが、ニワトリとタマゴの問題ではありませんが、対応できるヘルパーがいないのが非常に大きいと思います。したがいまして、事業所があっても、結局、事業所は使えないわけですから、そういう意味で事業所が足りないと言っているのは、今申し上げたような、基本的にはそこの介護のできる介護員のスキルアップをしていただくのが一番近い対応の仕方ではないかと思います。

 

○佐藤座長

 よく意味の分からない所が 1 か所と、数字の上の確認をお聞きしたいと思います。まず、重症心身福祉協会の資料で 3 ページの上のほうの 9 に「障害支援区分」について触れておられますが、「生存のために施設に入所及び医療的ケアが不可欠である重症心身障害者であっても、障害支援区分によっては退所を求められることがあることから」と、これは施設入所ができない程度に軽い区分が出ることがあり得るということですか。ここの意味がよく分からないのですが。

 

○日本重症心身障害福祉協会木実谷理事

 私自身も真意が少し分かりにくかったところではあるのですが、これは施設からの要望として出ておりまして、今、先生おっしゃったような意味だと思うのです。重症心身障害の場合、普通は 5 とか 6 に出るのですが、ですから、本当に厳密な意味で重症心身障害児者かということが少し疑問に思っています。これはいろいろな施設から多岐にわたるものが出ていったもので、整理の確認がきちっと取れていない状況で出したものもありますので、申し訳ありません。

 

○全国重症心身障害児 ( ) を守る会秋山副理事長

 これに関連しまして、実は私どもサービスを利用させている親のほう、子どもの案件ですが、親のほうの意見をいろいろ聴いてみますと、これが平成 24 年に改正になって、今まで入っていた人の中には効果によりましてかなり改善されている人もいると。ただ、もう年齢も相当いっていますので、その人は実際に地域に出られないと。そういう人のために特例措置で継続させていただいているのです。その特例措置のものが、若干、そうした人たちが一定数支援区分が判定されたときに、 5 よりも下がる可能性はあるのではないかと思います。それを親の人たちは非常に心配しておりますので、そういうことがないようにしていただきたいということで、私も先ほど申し上げた中にはそういったことが 1 つあります。

 実際に 5 6 で入った人がいろいろ経過の中で改善されて、後の判定のときに 4 以下になったという形の人があるとすれば、そういう人たちについては、退所を求められることになるかもしれません。そういう場合も同じように行き場所の問題とか、そういうことも非常に不安になったと。今申し上げたように、今まで継続の人の問題、新たに入っても、その人たちの次の行き先がはっきり示されていないといいますか、本当は行き場所がきちっとあればいいのですが、それがないということから、非常に不安であるということを、いつも私の関係者が集まったときに、それはそういうふうに。

 

○佐藤座長

 確かにそういう実態、何か所か重心の施設を見学させていただいたときに、あれ、この人がどうして重心の施設にいるのだろうということも実際には思っておりましたが、背景にはそういう事情があるのだということですね。分かりました。

 数字のことですが、日中活動支援協議会は、かつての A 型、 B 型と言われた重心の通園事業だと思いますが、今、全国に何箇所ぐらいあって、利用されている方は何人ぐらいおられるのでしょうか。

 

○重症心身障害日中活動支援協議会木村幹事長

 かつては予算事業で重症心身障害者通園事業と銘打って独自の事業でしたので、明確に把握されていましたが、平成 24 年度以降、生活介護に法定化されましたので、その事業所が主たる対象を重症心身障害としているか否かが、我々として把握しにくくなってきています。いずれにしても我々が把握している段階では、 310 か所程度だろうと思います。そのうち 216 か所程度が、今、当協議会の会員になっていないということです。どんどん増えているのかもしれません。今、その辺も把握が十分にできにくくなっています。

 

○佐藤座長

 先ほどどこの資料だったか忘れましたが、すぐに施設に入所を必要とする、あるいは、いずれはということですが、実際には、 310 か所ぐらいの重心の方が生活介護に参加していると思うのですが、実際、そこら辺はどうなのでしょうか。今の状態の中で 310 か所ですと、 3,000 人ぐらいおられるのですか。

 

○重症心身障害日中活動支援協議会木村幹事長

 もう少し多数かな、 7,000 人ぐらいはいるのではないでしょうか。

 

○佐藤座長

 そこでも同じような比率で、すぐに、ないしはもう少し後に入所施設に移りたいというようにおっしゃっているのでしょうか。

 

○重症心身障害日中活動支援協議会木村幹事長

 それは、私どもも調査したことがない。守る会さんのほうでしょうか。今すぐ入所したい方が何パーセントいるかということですね。

 

○佐藤座長

 つまり、ほかのサービスと日中活動のサービスを組み合わせていけば、必ずしも重心の方全員が入所を望んでいるわけではないと、先ほどのお話がありましたが、そういう点は状況としてはいかがでしょうかということです。

 

○重症心身障害日中活動支援協議会木村幹事長

 重症児の日中活動は、いわゆる重症児者通園事業ができるまではなかったので、高等学校までは訪問教育を含めて、教育という社会参加の場があったわけですが、卒業すると全く何もないという時代が長くあって、そこで出てきたのが重症児者通園モデル事業でした。このモデル事業も 3 年も 4 年も掛かり、やっと一般事業化するという、苦労の連続だったわけです。

 そこのときは、週 1 回ないし 2 回しか通えないのが当たり前だったのです。希望者に対して事業所が余りにも少ない。そういう中でほぼ 5 6 年で急激にサービスが増えてきて、日中活動支援には週 1 回ないし 2 回しか通えないけれども、重度訪問を使ったり、移動支援を使ったりということで、だんだん増えてきたところです。今、やっと週 5 日程度の通う場ができたとか、あるいは月に何百時間の重度訪問が付いたりということが、ほんのここ数年来で急激に増えてきたことがあります。ですから、本当に最終的にこれから詰めるところだと思うのですが、今、私が申し上げたような連続した利用というのは、各サービスの送迎が制度上認められてはじめて成り立ちます。今はまだ少し途切れているところがありますので、ここさえしっかりとつながってくれば、短期入所や居宅系、訪問系、日中活動系の連続したサービスの利用が途切れることなくつながり、在宅生活はかなり持続が可能ではないかと考えております。

 

○寺島構成員

 日本重症心身障害福祉協会様にお尋ねいたします。 3 ページの 11 に「非言語コミュニケーションに対する支援の充実を図っていただきたい」というのがあって、その中に、「機器購入の自己負担軽減」という文があるのですが、このような機器の購入の自己負担は最大 1 割だと思っていたのですが、この福祉機器の自己負担の軽減についてもう少し詳しく教えていただきたいと思っているのです。

 

○日本重症心身障害福祉協会木実谷理事

 今、現実負担になっている 1 割とか、そういった負担はあるのですが、それ以外の対象といいますか、そういうのもあるよう理解していますので、そういったものに対しても幅広く負担金を軽減していただきたいという意味です。

 

○寺島構成員

 何か例があれば教えていただきたいと思います。

 

○日本重症心身障害福祉協会木実谷理事

 例はよく分かりません。

 

○野沢構成員

 各団体の御意見を伺って、医療同意を成年後見でどう折合いをつけるのかと、これは非常に多く聞く御意見で、とても切実なことだと思います。守る会の方、成年後見そのものをもっと使いやすくというか、すべきということが書かれているかと思うのですが、その一方で、今、国連の権利条約を批准して、本人の権限を制限する成年後見はやめたほうがいいのではないかと。

 特に日本の成年後見でも、後見類型はもう廃止すべきという意見が結構あるのですが、これについてはどう考えるのかとお三方にお聞きしたいのです。もし、仮に後見類型をやめるとして、それに代わるべきものとして意思決定支援、本人の意見を酌み取れるような、本人の最善の利益を酌み取れるようなやり方を模索していく、構築するべきだということで、今いろいろ議論しているのですが、重度の知的障害とか、知的障害を伴う自閉症の方とか、重心の方は、相当難しいだろうというのは分かるのです。そういうことは可能であるとすれば、どのような方法があるのだろうか。後見人が本人の行為を、代弁したり代行するのではなくて、本人の行為を酌み取って日々の法律行為から事実行為に至るまで実現していくことについては、各団体はどのような議論があるのかお聞きしたいのですが。

 

○全国重症心身障害児 ( ) を守る会秋山副理事長

 非常に難しい問題でして、例えば選挙権の問題がありました。選挙権の問題は、私どもは成年後見をみんなが取るということになったときに、選挙権はどうなるのかということが非常に問題になりました。選挙権がなくなってしまうということだと。然らば、重症児者は中には自己の意思表示ができることがありますが、自己判断ができない、自己の意思を主張することもできない、そういう人たちが本来的な成年後見になっておりまして、そういうことから言うと、意思決定をどこまでサポートしたら、その人の本当の意思が伝わるのかどうかということになります。

 それは先ほど選挙権と同じようにこれは全部取ってしまうのだと、それも 1 つの方法だと思いますが、現実にそうしたときに、いろいろな契約もそうですが、簡単に言えば契約です。契約は本人ができない、判断能力もないとなったときに、それをどうするのかということだったら考えられますので、何かそうした代わるべきものがあるのならいいのですが、本人の意思が、こういうふうに制約することは権利条約に違反するということになって、では何もできないということになったら、どうなるのか。そこのところがうまく整理できる、あるいはクリアできるものがあれば、決して成年後見にこだわっているわけではありませんが、今、非常に難しい問題だと申し上げたのは、そういうことです。

 

○佐藤座長

 先ほど野沢さんが提起された問題について、お二方にもそれぞれお考えがありましたら。

 

○日本重症心身障害福祉協会木実谷理事

 先ほども少し触れましたが、 3 障害一元化という 1 つの大きい舞台が始まってから、その中で大問題の 1 つがこれだと思うのです。障害の種類によって、あるいは個々の状況によって、医療をどう決めていくかは、この一体としては考えられないことだと思っています。それの代表例ではないかと思っています。

 親でも自分の子は何を考えているか分からないと。だから、今、この子が本当に幸せかどうか知りたい、分かれば本当に気持ちが楽になります、自分がやっていることが本当にこの子にとって役に立っているのかという意味でよくおっしゃいますが、それの最たるものが、医療や何かをどうしていったらいいか。でも親も最近、最低何もしないでくださいと言いますが、痛みだけは取ってくださいとか、それは親が一般的にそう判断して言っていることであって、実は本人の意思ではありません。そうだろうなと想像しているわけです。ですから、親のない方や何かはそういったものを特に分かるわけがないので、また、それを表現することが十分できないのが重心ですから、それについては第三者が関わって何か構築していかなくてはいけないのかと思っていますが、私はこれは本人の意見を代弁することは絶対にできないと思っています。ですから、第三者がそれを本人に不利益にならない判断をどう下せるかということではないかと思っています。それ以上のことがなかなかできないのが重症心身障害児者の特徴ではないかと思っています。

 

○重症心身障害日中活動支援協議会木村幹事長

 当協議会は、この項目について分けて独立させることができなかったわけです。しかしながら、先ほどから先生方もおっしゃられているように、例えば重症児は入所の部分では現実にこの問題が出てきているわけです。今後、在宅生活を進めていけば、親無き後に間違いなくこの問題が出てきます。だからこそ、この問題について提起だけはしておこうと考えました。先ほど野沢先生が重症心身福祉協会の方に御質問したことは、私は同感の思いがありまして、その議論をどう進めていくのかが大事なのだろうと思います。

 我々としては、これについては結論を出せていないのでこれしか書けていないのですが、個人的に思うことは、私としても特定の誰か、親や家族ではない第三者が、その人の気持ちを代弁して物事を決めていくことについては、大いなる懸念を持っています。たとえ重度の障害者であっても意思はあるのだとかという議論についても、大変一種の怖さを感じることがあります。我々としては、やはり多職種でやっていくことが大事なのではないかと思っていますし、それぞれの立場があります。例えば、居住支援では一番身近な立場でずっと見ているでしょうし、それにサービス利用計画を作る相談支援事業者、あるいは後見人、そして日中活動支援をする人たち、そういったいろいろな立場からしっかりと議論することが重要ではないかという思いを持っています。

 ただ、誰が中心になるのかという議論があるだろうと思います。それが、一番身近にいる人なのか、それとも相談支援事業者なのか、日中なのかと。一番身近にいる人が有力だとは思いますが、ここについては一定の議論があるのではないかと考えます。いずれにしても、中心になる人は決めておいたほうがいいと思います。

 

○野沢構成員

 そういうものが構築されるまでは、今の後見は必要だと、分からないですが。

 

○重症心身障害日中活動支援協議会木村幹事長

 後見人や身元引受人、御家族というような人以外が判断する場合には、今申し上げたように多職種、複数人でちゃんと話合いをして、その結果を記録に残しておくことが大事ではないかと思います。特定の人の責任で行うことは、よろしくないのではないかと思っています。

 

○高木作業チーム構成員

 重心守る会様の議論の中で「安全安心に」という所が出てまいります。非常に重要だとは思うのですが、病院レベルでの安全安心を在宅に求めるのは、現実的にはなかなか難しい部分もあるし、在宅で自由に生活をすること自体が、一定のリスクも背負って覚悟を決めて在宅で暮らしていることもあるのではないかと思うのです。在宅の現場の福祉職員に安全安心にお願いしますと言われたら、例えば腰が引ける部分もあるのではないかということもあって、この安全安心という部分を在宅においてどう考えているかを、少しお聞きしたいと思います。

 

○全国重症心身障害児 ( ) を守る会秋山副理事長

 重症心身障害の人たちは、割合気管の弱い人が多いのです。そうすると、肺炎を起こすことがあります。そうした経緯が結構あります。こうしたときに、病院をすぐに受診しなければなりません。そうすると、入院ということになるのだろうと思いますが、なかなか救急車を呼んでも来てくれないと。ましてや、病院もなかなか見当たらないという実態があります。だから、そういう意味において、すぐバックアップできるか、在宅からすぐにそういうことがあったというときに、救急車に乗ってすぐに受け付けてくれるような所が実は全くないと、全くないと言ってはあれですが。

 例えば、都会などで生まれ育った人は、主治医がそれぞれの所におります。でも主治医も病院である場合、開業医である場合もあります。開業医の場合に、休みだったり何かすると行けないと。そうすると、病院ということになります。だから、病院は今言った形でいつでも受けてくれる体制を取ってほしいというのが 1 つあります。

 今、いろいろなサービスがあります。サービスがありますが、先ほどコーディネーターの話がありましたが、サービスがうまく連携して機能してくれないと。そこのところに大きいものがあるのではないかと思います。だから、そういうものがきちっとできれば、ある意味の安心です。それから医療の場合、安全です。そういうものが担保されるのではないだろうかと。だから、通所施設へ行って安全が確保できない。つまり、そこで安全を確保しろと言われるという話は、そこは私も誤解しているかもしれませんが、それはそれぞれの場所で最善の努力をしていただくと。現実には、そこで急変したとき、医療機関に付属していればいいのですが、していない場合には、先ほど言いましたように救急車を呼ぶことになります。実は救急車を呼んだときに、先ほど申し上げたようになかなか対応ができなかったと、私の所は現実にそれを経験していますので、その辺はこれからそうしたことも含めて在宅施策の中でそうしたものをくみ上げていただければ、将来的に安心ができるのではないかということです。

 

○佐藤座長

 以上、 3 団体の皆さんからの御意見を頂いたということで、ここで一旦切りたいと思います。お三方、どうもありがとうございました。なお、ここで 10 分弱の休憩を取りたいと思います。

                                     ( 休憩 )

                             ( ヒアリング団体入替え )

 

○佐藤座長

 それでは、議論を再開したいと思います。ここからは、全国肢体不自由児者父母の会連合会、それから、全国肢体不自由児施設運営協議会、全国児童発達支援協議会という順番でお願いします。では、全国肢体不自由児者父母の会連合会、よろしくお願いします。

 

○全国肢体不自由児者父母の会連合会石橋副会長

 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会、現在、副会長を務める石橋より意見、要望をさせていただきたいと思います。提出した意見書につきましては、全国 47 都道府県の各県から上がってきたものをそれなりの順序で並べましたが、文脈がつながっていない所があることについてはお許しを願います。

 まず、常時介護を要する障害者等に対する支援につきまして、居宅介護サービスを受けているにしても、食事介助や入浴介助などを行うにはかなりの経験や知識が必要となります。人材を確保するために、報酬体系やスキルアップのための研修制度・内容の検討が必要であり、医療的ケアは、訪問看護師派遣事業を拡大しまして、居宅だけではなく、通所施設や日中一時支援、短期入所先への派遣検討が必要と考えます。人材の確保は人材のある所から受けるという考えです。

 見直しがされまして、障害支援区分による、区分ごとの利用指針がありません。国庫負担基準は区分ごとの上限が示されているが、この上限の引上げが必要と考えます。国庫負担基準の上限が定められているため、市町村での財政事情で、重度肢体不自由児者に対する重度障害福祉サービスが十分に使えず、格差が生じております。このことを補う仕組みはありますが、人口規模の少ない市町村では超過分が非常に負担となり、なかなか使われていないこともあります。

 重度訪問介護の適正な支給決定について平成 19 2 16 日付けの厚労省障害福祉課事務連絡で、重度訪問介護の要件に該当する者であっても、サービスの利用形態によっては、重度訪問介護ではなく居宅介護の支給決定を行うことが適切であるとされています。しかし、病院や施設から自宅に移って、地域で生活を行う場合、そのようになっていない。特に対象者の希望内容で、連続 8 時間を希望しない場合、この希望しない場合というのは、朝に 2 時間、昼に 2 時間、夕に 2 時間の支援を受けた場合、合わせて 6 時間なので、重度訪問介護にしてくださいと、それならば、毎日であっても上限内で利用ができますというふうな誤った誘導をして、安い単価でお世話をさせるようにされている地域もあります。

 次に、手話通訳等を行う者の派遣その他の件に関しましては、老人での視覚障害、特に糖尿病性網膜症等で同行援護を必要とされる方も多く、この場合に認定調査が必要となっておりますが、必要でしょうか。視力障害の医師判断、診断だけで同行援護を認めてもよいと考えております。

 次に、高齢の障害者に対する支援の在り方についてです。高齢の障害者に対する支援の在り方は、すなわち当会にとってみれば、親の高齢にともなう支援が併せて必要なケースが出てきております。そのことは後に述べるとしまして、 65 歳以上の介護保険対応になると、車椅子、ベッドの規格が個人仕様ではなくて一律貸与であること、 1 割の費用負担が発生することがあります。これまで、その方の体格に合わせて車椅子やベッドが設けられているのが、介護保険では一般的な仕様となることについて不安を持っております。

 これまでの 3 年間において、市町の担当者の理解が足りないことが多々あります。平成 19 年の通知の、「一律に、優先的に利用するものとはしない」とあるのに、取りあえず一度介護保険のサービスを使ってほしいという誘導が多い。この傾向の多いのは、若年での脳梗塞後遺症による肢体不自由者にその誘導傾向が強くなっております。

65 歳でサービス利用が変わることにより、在宅生活の維持が無理と自分で判断すると、地域を離れることになり地域社会との関わりがなくなってしまいます。高齢になってからの社会参加は本人の意思で出ていくことが難しくなります。高齢になると若い障害者との交流が難しくなってくる、などと意見が寄せられております。行動援護や同行援護、重度訪問介護の移動加算を使って外出し、様々な地域の行事などに参加していますが、介護保険ではどうなるのかという不安の声が寄せられております。

 以上が最初に求められた項目ですが、障害者等の移動の支援につきましては、移動支援に関し、通勤は対象外となっています。通勤手段がないと、車椅子利用者にとってなかなか困難なケースが出ております。この対象外となっている通勤を福祉サービスではなく、就労支援で対応することが必要と考えております。それから、在宅の肢体不自由者は、その移動について、家族である親が運転して支援を行っているのが大多数です。本人の高齢化にともなう障害の重度化や二次障害に加え、家族の高齢化による介護力の著しい低下によって、自主的に免許証の返上という事例も生じております。家族による移動支援が困難になっている現実もあります。医療の進歩や科学技術の進歩により、今まで自宅から出ることができなかった障害者が学校に通い、地域に出かけて社会活動ができるようになってきました。従前の医療、看護、介護の考え方ではなく、あらゆる障害者が様々な社会生活を送れるよう、移動支援の再構築を考えるときではないかと思います。行政側の受取り方も障害の特性によって変わってきておりまして、通院介助、外出介護等で、親の同席は認められておりません。でも、なかなかそうはいかず、どうしても同席をしなければならない場面が多々ありますが、認められない理由として、タクシー代わりに使用されては困るとの認識が行政にあるようです。障害種別による困り感の違いと本質をもう少し理解していただきたいです。それから、親が免許証を返上するなど、親のほうで移動支援ができなくなってきておりますので、その移動支援に自家用車が使えるなどのことも考えていただきたいです。

 就労支援につきましては、就労支援センターを企業の中に、総合的にきちんと受け入れてくれる仕組みづくりが必要ではないかと思います。支給決定の在り方についてはここに書いてあるとおりでして、最後に、先ほどからも出ている成年後見制度の件につきまして、最近あった事例を報告して、参考にしていただければと思います。私ども全肢連は、財産管理と身上監護は別にしたほうがよいのではないかという考えをもって、要望書も提出しております。その一番の例が、親の財産を相続するに当たりまして、成年後見人を付けてくださいということで、成年後見人を付けて、財産相続の事務が終わった後もその後見が続くことが。無知だったからと言われればそれまでですが、それが残って、逆に費用負担感だけが残ったという事例がありました。

 どうもありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。続きまして、全国肢体不自由児施設運営協議会、お願いします。

 

○全国肢体不自由児施設運営協議会朝貝会長

 全国肢体不自由児施設運営協議会会長の朝貝と申します。本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。前任の君塚先生が体調を崩して、先月から私が会長になっております。よろしくお願いします。

 まず、資料 8 にいく前に、肢体不自由児施設の役割を少し説明、報告したいと思います。肢体不自由児療育を中心とした医療型障害児入所施設ですが、全国に 59 施設あります。それで、特別支援学校を隣設、併設しているのが特徴です。 70 年の歴史を積み重ねて、多領域にわたる専門的な人材を育成して、変化する社会のニーズに合わせて、日本の障害児療育の源流として、社会のセーフティーネットとしての役割を担ってまいりました。ただ、経営母体は民間が段々多くなってきていまして、約 60 %が民営で運営しております。障害児医療を基盤に、教育と福祉が連携した地域の拠点施設として、その役割は単なる入所施設に留まらず、障害児の地域生活支援や地域への人材派遣など多機能に展開して、今後、地域とのネットワークの更なる充実が求められている状況です。また、入所児の重症化によって肢体不自由児の状況は大きく変化しております。肢体不自由児というネーミングが、知的はよく、何となく手足が不自由というようなイメージなのですが、実際は、障害程度は重症心身障害児相当で、知的に少しいいというぐらいの人の入所が増えているのが実態です。

 それでは、資料 8 を説明したいと思います。意見書の提出について。昨年 7 16 日に取りまとめられました、障害児支援の在り方に関する検討会報告書における、提言及び障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおける議論を十分に踏まえ、医療型障害児入所施設の運営が継続的かつ安定的になされるよう、以下の事項について特段の御配慮がなされるようお願い申し上げます。

1. 施設機能の活用と適性評価について。医療型障害児入所施設 ( 旧肢体不自由児施設 ) においては、肢体不自由児のみならず、重症心身障害児の急変時の治療、レスパイトなどの短期入所、将来の二次障害を見据えての入所集中リハなど、数日から 6 か月程度の利用のニーズにも対応しています。被虐待児、家庭破綻による医療療育 ( 教育を含む ) を必要とする重度例の社会的入所が増加し、児童相談所あるいは乳児院などからも最も頼りにされておりますが、応えきれていない状態です。身体機能を最大限に伸ばすといった一定目的を持った入所を制限せざるを得ない状況です。そのため、一定目的を持った短期間の入所機能の維持のために、セーフティーネットとしての、長期間の入所の制度的な裏付けに加えて、有期間の入所機能を維持できるように、有期の医療療育の入所に対し報酬上の評価をしていただくことが必要です。

2. 一元化等を踏まえた職員配置について。平成 24 年度から障害児入所支援における一元化が行われてきましたが、それまでの障害種別ごとの人員配置基準や報酬体系については、支援費の時代から何ら変えられることなく、今日まで残された形となっております。特に入所児の 4 割を重症心身障害児が占め、肢体不自由児も多くは重症化しており、多くの職員を要し、人件費が多大な割合となっております。つきましては、障害種別ごとの専門性を維持することにも配慮しつつ、必要な人員配置が可能となるような施設給付費の設定が必要です。

3. 加算措置の拡充について。医療型障害児入所施設 ( 旧肢体不自由児施設 ) においては、年々増加傾向にある被虐待児や発達障害児への取組みなど、多様なニーズに対応して、専門の職員を配置するなどして支援を行ってきています。また、先ほど重心のほうからも出ておりましたが、 NICU からの在宅移行というところで、 2 か月前後の親子入所で、お母さんあるいは保護者に、在宅での生活ができるような支援をしていると。そういう必要性が増す中で、重症児の長期入所が優先され、規模を縮小せざるを得ない状況です。更に、古くから、医療型通所施設や特別支援学校への技術支援を現在まで行っております。なお、既に入所している 18 歳以上の加齢児への対応については早急な対策が求められています。つきましては、多様なニーズに適切に対応するために必要な加算措置を講じていただくことが必要です。

 心理的ケア加算 ( 被虐待児及び発達障害児対応加算 ) 。年々増加する被虐待児や発達障害を合併する児を対象として、カウンセリングやペアレントトレーニングの手法を用いて、児への適切な関わり方を保護者に習得してもらうことにより、安定的な親子関係を構築することを目的として、被虐待児や発達障害を合併する児童を受け入れた施設に、臨床心理士を配置した場合に加算するなどの措置が必要です。

 家族支援加算 ( 親子入所における母親指導・家族支援に対する指導加算 ) 。親子入所については平成 24 年度から小規模グループケアの対象とされましたが、親子入所中の母親からは、水道光熱費や食事代などの実費分のみ負担していただいております。親子入所期間中には、日常生活における援助の手法や留意点など、様々な形でたくさんの支援を行っております。入所中の母親指導に対する加算を設けるなど、適正な評価が必要です。

 地域支援加算。個別給付ではなく、施設機能に対する地域支援加算を設けるなど、適正な評価が必要です。以上でございます。どうもありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。続きまして、全国児童発達支援協議会からお願いします。

 

○全国発達支援協議会加藤会長

 一般社団法人全国発達支援協議会、通称 CDSJAPAN 、その会長を仰せつかっている加藤と申します。今日はよろしくお願いいたします。私たちの団体は、平成 24 年から制度が変わったのですが、その前の、知的障害児通園施設あるいは肢体不自由児通園施設、難聴児通園施設、そして、地域の自治体によって運営されている障害児通園事業、その辺の 4 つの団体が、平成 24 年から始まった一元化というような大きな制度の改正の動きを受けまして、大同団結をして今日に至っている団体です。その団体として、今回こういう機会をいただき、ありがとうございます。感謝申し上げます。一応意見書として、この裏表 1 枚もので提出しましたので、読まさせていただきます。

 この度は本ワーキンググループのヒアリングの場に、発達支援・家族支援・生活支援を mission とした全国関係者の集まりである、一般社団法人全国児童発達支援協議会に対して、このような機会を与えていただいたことにまずは感謝申し上げます。日頃から、私たち子ども関係者として実感することですが、育ち・学び・暮らし・働くなどという、生きる上での、相対的に様々な困難さがある児者とその家族の支援施策を議論するとき、圧倒的な minority の立場に置かれているのが子ども、特に就学前の子どもたちのことです。しかし、不幸中の幸い事として、平成 27 年度から第 4 期障害福祉計画の策定に向けて、国の基本指針の見直しが図られることになり、中でも、「その他の事項」という第 3 項目の所で「障害児支援の整備」が新規に加えられました。具体的には、「障害児支援の提供体制の確保に関する基本的な考え方」「子ども・子育て支援事業計画との連携」もう 1 つは、「障害支援のための計画的な基盤整備」といったものが新たな検討内容として加えられました。このことは子ども関係者として大いに意を強くしましたが、まだ十分ではないと認識します。これを機に、総合支援法の精神が社会にあまねく受け入れられ、浸透することを願い、 3 年後の見直しに際しては、子ども関連の積残し、未解決、新たに発生した課題に対して、子どもの視点に立って、しかも、スピード感をもって検討され、結果として、地域に暮らす要支援児とその家族への支援施策が一層の充実、拡大、発展することを願います。

 ついては、私たちの協議会として、以下のことを当面の喫緊の大枠的な課題、つまり、余り細かい数字的金銭的なところは敢えて省かせていただきました。この会の趣旨に沿わないのではないかという、私の勝手な判断でした。今後の施策的な改善と、前進に資することを期待します。ということで、 8 つの視点から申し述べさせていただきます。

 発達が気になる子ども、これは、一般的には、制度的には障害児と言われてしまうわけですが、児童憲章・児童権利条約・子どもの権利条約及び児童福祉法にある如く、そこには必ず「すべての子ども」と、枕言葉のように表記があるわけですが、子どもであることを再確認し、国家的、制度的なネグレクト事態を回避し、障害の有無や程度に関わらず、全て一般児童施策において、まず一義的に、適切な支援と保護をしなければならないと考えます。子ども・子育て支援法の中にはこうした、全ての子ども、全ての子育ての家族ということがもちろんうたわれるわけですが、実は法律の中身には、我々が課題にしている、対象とする子どもたちのことが限りなく希薄になっております。子ども・子育て支援会議というものが、国、自治体、区市町村レベルで広く設置されて、検討されているわけですが、例えば、そこで、そのメンバーの中に、地域の子どもたちの育ちを議論する場に、我々の関係者がほとんど入っていない。もちろん例外はありますが、ほとんど皆無に近い形で事が進んでいる実態があります。例えばその中でも、幼児の無償化が消費税の問題で少し先送りになっている感があるわけですが、この幼児の無償化といった場合にも、我々の子どもたちもその中に入っているかというと、入っていません。だから、それはちょっとひどいのではないかというのが私たちの、それは国がネグレクト状態を醸し出しているのではないかと危惧します。

2 番、障害の有無や程度に関わりなく、ユニバーサルな社会、インクルーシブな社会の構築を目指して、一人一人の個性が尊重され、発揮されて生きる共生社会・多様性社会を目指すべきです。これは今日、広くいろいろな所で主張されているわけです。どこでどのような暮らしをしようとも、次世代を担う一人一人の子どもの発達支援が適切に、タイムリーに、かつ十二分になされなければなりません。そういう意味で、どこでどのような生活をしようとも、その子どもの育ち、ニーズにしっかりと対応していく、応えていく体制システムが求められているわけで、先の在り方検討委員会においても、保育所等訪問支援事業の充実が指摘されたわけですが、これとてもまだまだ途上ということで、制度としては平成 24 年度以降に立ち上がったものの、まだ決して十分とは言えません。その背景にある原因はいろいろで、もちろんお金の問題もありますが、とにかくこれを一層充実しない限り、ユニバーサルな、あるいは、インクルーシブなというのが絵に書いた餅になることが懸念されます。

3 番目、子ども本人の権利はもちろんですが、併せて、特にこの時期には、兄弟とか保護者の生活、暮らしの権利についても十分に配慮されなければなりません。子ども自身の生き死にをも含む暮らしは、家族や兄弟の問題と一蓮托生、セットであるわけです。そういう意味では、当事者だけが対象になるのではなくて、まさに家族とか兄弟がしっかりとセットになって論じなければいけないと思います。そういう意味で、いろいろな形での支援、当事者がいない限りとか、当人がいない所で親と、あるいは兄弟との支援は給付の対象外みたいな話がよくあるわけですが、この小さな子どもたちの時期であってみればそれは全くあり得ないことだと思います。

4 番目、近年、児童虐待が大きな社会病理現象として喫緊の課題になっていますが、もちろん我が国においてもそうです。発達支援を濃密に必要とする子どもがそのような差別的な被害を受けないように、早急に具体策を講じる必要があろうかと思います。これについては、発達障害に対する偏見、差別、無理解というようなところで、そうした子どもたちが被虐待のターゲットになっている可能性が非常に高いと私たちは思うからです。

5 番目、子どもの育ちや育てが安心と安全のうちに営なまれること、その過程で派生する疑問や悩みや困り感をいつでもどこでも相談できる、具体的な助言や支援が得られる場としての、中立、公平、公正さが担当された相談機関が一定人口規模ごとにあること、また、制度上の多様な支援サービスのマネジャーとしての相談支援専門員の配置と、その質的担保を確保すると。これも徐々に充実されてきていますが、量的にも質的にもまだまだ不十分と言わざるを得ません。取りわけ、子どもの相談支援機関が限りなく貧弱であることはゆゆしき問題だと思います。これが増えない理由の 1 つとしては、また少し金目の問題に触れますと、基本相談がカウントされていない。これは大人にはないからです。大人のそれを子どもに適用するとそういうことになるわけで、子どもと大人は違うと、子どもは固有の課題があるという認識に立てば、この基本相談が如何に重要か、大切かがお分かりいただけると思います。

 それから、各種障害福祉サービスは、障害の認定を受け、障害手帳を所持しないとほぼ利用できないという、ある意味では手帳主義に陥っています。乳幼児期では、御案内のように、鑑別診断、あるいは保護者の思いも様々なものがありまして、手帳を受給するとか、公的な認定を受けることがなかなか難しい事態が決して珍しくありません。そういう意味では、手帳がなくても日常的に、身近な所で気軽に、精神的な負担のない所で、気づきの段階から既存の各種福祉サービスが利用できたら、あるいはそうすべきだと思う次第です。

 それから、子どもの本人支援・家族支援・生活支援の質的な拡充とその水準が強く求められていますが、取りあえず、今は量的な確保が優先順位は高いと思います。次には、質的な水準を上げなければいけない、サービスの質を上げなければいけないという意味では、我々の活動に対しては、ほかの子どもたち、健常と言われている子どもたちには保育指針とか幼稚園指導要領といったものがあるわけですが、我々にはそういうものが一切ありません。それはいろいろな意味でまずいのではないかと。結果として、その網目をくぐって、有象無象、いいことも悪いことも含めた様々な資源が乱立している実態があります。これについて、やはり一定水準確保のための縛りをかけていくべきではないかと思います。

 それから、子どもの発達権と親の就労やレスパイト、子どもの発達保障と地域生活など、幾つもの二律背反的な課題を持つ障害児通所支援、特にその中でも、昨今非常に大きな動きになっている放課後等デイサービスの在り方については、今日的には、これについての大きな方向を規制するとか、あるいは方向付けるとかいうようなものがなくて、自然発生的な形になっているのですが、一定の運営支援指針、あるいは、児童発達支援管理責任者のブラッシュアップ研修とか、スタッフの質の担保策などを早急に検討する必要があるのではないか、そういうことを強く感じている次第です。そういう意味では、このワーキンググループでも、この辺のことを根本的に議論していただくことを強く期待して、 CDSJAPAN の意見提出を終わります。ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。それでは、今から質議応答、意見に移りたいと思いますが、約 25 分間ぐらい時間が残されています。どうぞ、よろしくお願いします。

 

○山下構成員

 全国肢体不自由児者父母の会連合会様に 2 点お尋ねしたいと思います。

1 点目資料 7 2 ページ目の部分です。その上段の部分になりますが、どのような支援者をこの資料でお書きになっているような行為の技能修得者とお考えになるかという点です。 1 つには、こちらの部分でも書いてあるとおり、質の担保ということに当たっては、資格であったり研修受講というところが非常に大きな指標になるとは思います。骨格提言の中では、個別性の高い支援に対応するために、できるだけ従事者の間口を広く取って、現場体験を重視するという方向性もあります。その中で、父母の会連合会様としては、改めて高位の技能修得者をどういう方々だと想定するか。また、もし、現行の従事者要件についても何か御意見があればお聞きしたいと思います。

 もう 1 点目は、確認です。資料 3 ページ目、障害者等の移動の支援についてに関わるところです。確認ですが、移動支援は福祉サービスで行うのではなく、就労支援で対象にすることが必要であると考えますと書いておられます。この「福祉サービスで行うのではなく、就労支援で」とお書きになっているのは、障害者総合支援法の中で就労支援に位置付けるということなのか、それとも、雇用促進法を根拠にということなのか、その辺について確認させていただければと思います。以上です。

 

○佐藤座長

 では、お答えをどうぞ。

 

○全国肢体不自由児者父母の会連合会石橋副会長

 ありがとうございます。高位の技能というのは、やはりこの意見を寄せられた方は、その利用者に合ったという意味合いで書かれているのだろうと思います。一般的なこの意見の元には、そもそもヘルパーが始まりました 3 級の資格の方が当たっているという地区もあるようです。私は川崎市ですけれども、ヘルパー 2 級、 3 級の方は、もうヘルパー 2 級を取りなさいという形になっていて、事業所もその旨に動いておりますけれども、まだまだ前の等級のままの方が使われていて、そのお子さんに合っていないということから、この意見が出てきたと私は理解しています。

 それから、現場体験の件に関しては、医療的ケアの実務者研修もある意味では実務体験が一律的、形式的になっていて、その対応する利用者の所へ行きますと、そこでまた、ある意味では本当の実務体験をしないと、親のほうも安心して任せることができませんから、この辺の研修制度をある意味ではこの方に医療的ケアを必要とする子どもに対する介護者が必要だと決めてかかることができるのだったら、実習先をそういう方の所でするという方法もないだろうかと。逆に言ったら、回数は 1 回だけという形にして、家族にも報酬単価を払うとか、少し、そのような考え方もできないだろうかと私は個人的に思っております。

 移動支援のところは、企業側にということです。だから、雇用促進法で対応するようにできないだろうかということです。

 

○大塚構成員

3 団体の方、ありがとうございました。それぞれの団体の方に御質問をしたいと思います。肢体不自由児者父母の会連合会さんですけれども、 (3) に、高齢の障害者に対する支援の在り方ということで、いくつか説明がありましたけれども、肢体不自由の方の高齢化のイメージですよね。どんな生活で、特にここの場面においてはまだこれからでしょうけれども、居住の場ですよね。施設であれ、グループホームであれ、在宅であれ、どんな生活のイメージを持っていただいて、どんな支援があればということ。それから、積極的に介護保険も含めて、介護保険のことも書いてありましたけれども、どういうふうにサービスを使いながら生活をなさっているかというイメージがあったらお聞かせください。

 肢体不自由児施設運営協議会さんについて、医療型障害児入所施設ですけれども、 1 つ旧肢体不自由児施設から様々な形で地域の医療的な専門機関として機能していると拝見しています。その中で、心理的ケア加算だとか、被虐待児及び発達障害児の対応ということで、この中には、やはり心理的ケアも含めて、例えば強度行動障害の方など、旧自閉児小児施設が受けていたものを含めて範囲をオーバーラップさせながら支援することが、 1 つの地域のニーズに応えていく道かなと考えております。そのときに、現行の旧肢体不自由児の医師の方が肢体不自由児を中心に小児神経の方かもしれませんけど、それが心理的な行動障害であるとか自閉症の方も含めて、支援するとしたときに、どうすればいいのか今までの医師でやれるのか、あるいは複数必要なのか、どんな体制があればいいかということをお尋ねします。

 それから、 3 団体目は、加藤先生のところで、例えば、障害児通所支援の放課後等デイサービス、子どもの発達支援と親の就労支援という二律背反。この二律背反を 1 つ上の段階において、止揚するような、アウフヘーベーンするようなうまいことをやっていかなければならないと思うのですけれども、ただ、そもそも無理ではないかという考えもあるわけですよね。親の就労ということと子どものことは違うので、これは制度的に全く分けて、異なることでやったほうがいいとお思いでしょうか。それとも、 1 つの中に 2 つを入れながら、矛盾を抱えながら止揚していく形に整理していく形がいいかどうかということ。それからもう 1 つ、やはり通園施設からの問題は、専門性だと思うのですね。障害児の支援の在り方でも、ずっと専門性とは何かと障害のある方の領域や家族支援の専門性は何かとずっと議論されてきたのですが、長年の懸案であれ、様々な課題があると思っています。そのときに、協議会でこれだけの仕組みになったのだから、協議会認定の例えば障害児支援員、仮称ですけれども、これが私たちの療育や発達支援、あるいは家族支援をする、こういう資格者がいるのだということをそろそろやって、専門家議論にはもう決着を付けたほうがいいと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○佐藤座長

 それでは、順番にお願いいたします。

 

○全国肢体不自由児者父母の会連合会石橋副会長

 ありがとうございます。肢体不自由児の高齢に伴う生活というのは、肢体不自由と言いましても、ものすごく幅が広いです。医療的ケアを必要とする方から、医療的ケアは必要としないで、在宅で生活を続けている方と、グループホームで生活をされて頑張っている方もいらっしゃいます。なかなか医療的ケアを要する方のグループホームというのはケアホームという形からグループホームという名称に統一されて、法が進んでおりますけれども、先ほどの介助をされる方の質とは言いませんけれども、単価とそういうものとの見合いと、 1 番、今、ネックになっているのは、マンションの 1 室をケアホームとして利用するときに、程度区分が 4 以上の方がおられて、 75 %だと、私の記憶がそこなんですが、要するに消火設備(スプリンクラー)を付けなければならないといったときに、マンションの 1 室だけではオーナーさんとしてはペイはしないと。となると、全室に付けるのですかという議論があって、なかなか既存の建物でグループホームというのは難しい。どうするかといったら、やっぱり新規にそういう心持ちのある方を見つけて、最初から付けてもらうという、そういう話をしない限りは、この医療的ケアは人材とか単価の前に、まず、建物構造で今、行き詰まっているというのが実状かと思います。

 私の息子は、在宅にて一人で生活しておりますから、そういう方と、身辺自律ができるだけでもうちゃんとできますから、あと何ができないかと言ったら、嫁さんがいないだけなのですが、医療的ケアの持っている障害者というのは、在宅、グループホームのところがもう少し費用的に使えるようになれば、次には人という形にはいくとは思うのですけれども、その 2 つかなと。特に困っているのは、施設入所で施設におられた方が、施設の都合で、夏とか正月に帰らなきゃならない、そのときに居宅介護が使えないという、親が若いときにはそれが頑張れたけれど、親が高齢になってきますと、とても両親 2 人で入浴はできない。では、居宅介護のサービスを使おうと思ったら、それは福祉の二重という形で使えないということで、本人は帰りたい、親は帰ってくるなという声も聞いております。以上です。

 

○全国肢体不自由児施設協議会朝貝会長

 運営施設協議会ですが、ただいまの肢体不自由児が高齢になったときの様子を私も少し見ておりますので、追加させていただきたいと思いますが、必ず運動機能が低下してきますし、変形・拘縮が強くなってきますし、使わないための筋力低下が出てきます。それから、中には、引こもりで暇になってしまって、動けなくなってしまうとか、あるいはどこかが痛くなって動けなくなってしまう。あるいは、精神的に病んで来る人も中にはいるのです。そういうことで、二次障害を何とか防いで機能を維持していくということは、非常に大事なのです。

 それから、もう 1 つは、親の介護で、車椅子のトランスファーが今までは掴まって立ててたのが、もうそのまま抱き抱えないとトランスファーができないという状況になってしまえば、もう親御さんはだんだん歳を取ってきますし、子どもは大きくなりますので、そこのところをしっかりやっていかないと常に思っております。

 それから、自閉的な行動を取る入所児というのが最近増えてきてまして、例えば自傷行為とか、パニックを起こすとか、数は多くないのですが、医療型障害児入所施設でもそういう子が入っています。現にうちにも入ってます。 1 人入ると、大変なのですよね。もう、そういうところから、先ほど言っていただいたようなそういう人たちをどんどん受け入れるというところまでは、まだいってないのですけれども、そういう人たちが入ったら、数は少ないけれども、何とか面倒見てもらえるような加算というのは、非常にありがたいことだというふうに思います。

 それから、医師は、もうどんどん重症化してきていますので、私は整形外科医リハビリテーション医なのですが、そういう分野の医師がもう本当に絶滅危惧種になっています。小児神経の先生が多くなっていますので、そういう点では先ほどの自閉的な行動の障害の人たちは、受け入れやすいのではないかと思っていますが、逆に言うと、我々のように運動機能をしっかりやりたいというような医師が減ってきているというのが現状でございます。以上です。

 

○全国児童発達支援協議会加藤会長

 ありがとうございました。大塚先生からいただいた質問ですけれども、要するに親の就労権といいますか、社会参加権といいますか、やはりそれは基本的に特に母親の場合のことを指して言うわけですが、当然あると思います。あると思うし、それはしっかりと保障されなければいけないと。あるいは、子育てに疲れたときに、しっかりとレスパイトができるような、そういう場があったり、タイミングがあったりというのは、当然必要かと思います。

 ただ、一方では、親のある意味では、こういうことを言っていいかどうかあれですけれども、逃避といいますか、回避といいますか、要するに突き付けられた事実と向き合おうとしない、あるいは、今、向き合えるような精神的、肉体的なトレランスが十分ないという中で、一過性のものかもしれない、また、そうあってほしいと願うばかりですけれども、やはりそういう中でそのことを放置し続けることが我々、地域の中で子育ての専門性を掲げて働いている者にとって、それこそまた、責任回避ではないかと。やはり我々は、専門家としての権利と責任において、やはりそのことに対して苦言を呈するということが、我々のまた地域の中での役割でもあるのだろうと私自身は感じるます。ですから、そういう意味では、母親のそういう社会に出たい、社会で働きたい、就労を継続したい、そういう思いももちろんある、ある種レスパイトと思っているのですけれども、やはりそれに対して今、このとき、この時期は、しっかり子どもと向き合って、寄り沿って、私たちも精一杯協力しますと、一緒にこの事実を前向きに捉えましょうと、捉えるようにちょっと共に過ごしてみましょうということを申し上げてということが、私としては大事な時期だと思うのですね。

 ところが、今、社会的にも働く人が少ないということで、そういう家庭の主婦を引っぱり出すというような方向性になってるということもあるし、あるいは、ライフワークバランスというようなそういう大きなうねりもありますし、そういう意味では、本当にその辺、どっちがいいのか難しいのですけれども、そういうことをどっちの制度でと言われて、考えたこともなかったので、ちょっとあれですけれども、いずれにしろ、非常に悩ましい問題です。両輪だと思います。母親が健康で健やかに子育てをできるためには、母親自身の心身の健康が大事であるということも考えますと、やはりそのためには一体どんな支援サービスがあれば、家族がみな健やかに生活ができるかということをやっぱり関係者で考えていきたいなと考えている次第です。そのどっちをと言われても、ちょっと申し訳ありません。今後、宿題としていただいて、帰りたいと思います。

 それから、専門性の問題、これはもう、本当におっしゃるように、えんえんといつも突き付けられた我々に対する課題です。これに対しては、私たちの CDSJAPAN では、 2 年ぐらい前に発達支援学という 600 ページにわたる本を作らせていただきました。これは、この業界の我々が正に子どもに向き合ったときに、これだけのことは理解してないと、知っていないとできないというようなことを寄せ集めたものです。だから、そういう意味では、こういう人たちの養成も含めたテキストとしてということを強く意識したものです。我々が向き合わなければいけない課題、テーマというのは、ほぼリストアップし終わっていると思うのです。要は、以下に、そういう関係者に遍く知識と技術と経験、気づき、出会いをどこまで提供できるか、あるいはそういう場を提供できるかということかと思うのです。ですから、おっしゃっていただいたように、多分そういうことがライセンス的に民間の団体としてできればということは、我々半分冗談に考えてはいるのですけれども、これについても少し責任を感じてしっかり要請に答えていきたいと思いますし、是非、答えられたらいいなということを願っています。ありがとうございました。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。あと、お 1 人ぐらいは時間があるかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○高橋作業チーム構成員

 施設協さんと児童発達支援協議会さんのほうにお尋ねしたいと思います。たまたま、どちらもペアレントトレーニングについて触れていただいておりました。具体的にもう少し教えていただきたいのですが、これは「子どもの虹」が研修会とかやってトレーナーとか養成してますけれども、そういう有資格者の方を使って、実際には今後展開をしていきたいとお考えなのか、もう、実はやってるのだよと、そういうことも含めて、今後報酬上なり、そういう障害福祉サービスの体系の中に組み込んでほしいというお考えなのかをお聞かせいただきたいのと、児童発達支援協議会さんのほうには、今、お話がありましたけれども、いろいろ報酬も含めて、サービス提供の中で専門性も、非常に私は自治体の人間でございますので、サービスを指定する部署も持っています。たまたま、児童発達支援、放課後等デイサービス等については、札幌市の実態を申しますと、 250 以上の事業所がございます。多分、全国自治体で言えば、多い数で、そこのサービスの供給、質の問題など日頃からいろいろと課題としてやっております。そんな中で、親御さんの思い、今、レスパイトも含めてお話がありました。なかなか集団生活になじめないお子さんの居場所、そういったものでこの児童の通所、非常に有益だと思っているのですけれども、複数箇所、取り分け 1 週間のうちに 3 つとか通っているお子さんも現実に多くございます。この辺の複数通所について協会さんで、何かお考えがあれば、是非、参考にさせていただきたいと思います。

 

○佐藤座長

 それでは、時間がせまっておりますので、できるだけ簡潔にお答えいただきたいと思います。

 

○全国肢体不自由児施設協議会朝貝会長

 心理ケア加算のことですが、臨床心理士はもう既に配置しておりまして、現にペアレントトレーニングはやっております。近い将来、心理士が国家資格になると思いますので、そうなればもっとしっかりできるのではないかと思って、しっかり給付費に組み込んでいだきたいというのが、要望です。

 

○全国児童発達支援協議会加藤会長

 今、札幌市人口 200 万ぐらいですかね。 200 数十箇所というものすごい勢いで放課後デイが増えているという実態は、我々も把握しているところです。私の勤務する東京でも、似たような状況が起きてるかと思います。やはり、そこでは、もちろん非常に多様なニーズがそこに収斂していると思うのですね。 1 つには、そういうレスパイト的なもの、あるいは預かり的なものですね。月曜日から日曜日まで毎日ですよ。そして、特別支援学校に車が横付けで待ってて、そして、ピックアップして、そして事業所へ連れていって、夜の 8 9 時に家庭に帰すと。それは、親子さんのニーズかもしれませんけれど、それで子どもの育ちは保障されてるのかという、本当にそんなこと放置してていいのかということが私たちとしてはちょっと心痛むところがあります。

 それから、もう 1 つは預かりであるということは、結局要するに怪我のないよう、安心安全ということで、それはそれでいいのでしょうけれども、やはり相手が数をこなさなくてはいけないから、相手が自ずと選ばれて行くのですね。重い子は手がかかるし、数は扱えませんから、外されていくみたいな中で、結局行われていく。そして、そこにたずさわる職員も専門性が限りなく低い。例えば、発達支援員という資格とは何ですかと言われれば、別に誰でもいいという話ですね。だから酷いところは、札幌でもあるかと思うのですが、学生のアルバイト、それはそれで学生の生活の糧でいいのですけれども、子どもの育つ保障という意味でいくと、本当にそれでいいのかという問題がある。私たちは強く感じるところです。そういう意味では、やはりそこには自ずとインセンティブが働くべきだということと、先ほど申し上げたように、一定のしっかりとしたフレームの中で、やはり公的な給付が行われるべきではないかと。誰でもいい、何でもいいみたいな話では、ちょっとやっぱり、何か起きたときに大変なことになるぞというのが、私たちの懸念するところであります。

 

○高橋作業チーム構成員

CSP とかは、具体的にイメージしてるのですか。ペアレントトレーニング。コモンセンスペアレンティングに代表されるような、そういう手法でやろうとお考えですか。

 

○全国児童発達支援協議会加藤会長

 ですから、私どものような児童発達支援センターになりますと、臨床心理士、臨床発達心理士というのは、最近は必ず基本的にはいますので、そういう人たちが対応するということと、心身障害総合療育センターで、ペアレントトレーニングを年に何回も研修会講修会をやってくださいますので、そこにうちも結構職員を派遣したり、そういう形で、今、ペアレントトレーニングというのは、この業界でもキーワードになっていますので、非常にそういう研修の場、あるいは情報、そういうものは非常に潤沢に今、あると思います。提供されていると思いますので、要はそれをきちんと受講するかどうかと。例えば放課後ですと、小さな規模になると、 1 2 人を研修に出すということ自身が、非常にやりくりが難しいのです。そしてまた、研修に出して、直ぐ止めちゃうとか、積み上げがなかなかないとか、そういうやりくり上の問題、経営上の問題もいろいろあって、なかなか質が担保できないという現実があったりします。そういう意味では、その辺と、ペアレントトレーニングのプログラムの体系化ということとのうまい噛み合せが大事かと思います。

 

○佐藤座長

 ありがとうございました。それでは、予定しておりました時間を少し過ぎましたけれども、本日は、ここまでにしたいと思います。皆さん、どうも、ありがとうございました。

 では、事務局のほうから。

 

○福井企画科課長補佐

 本日は、お忙しい中、長時間にわたり、どうもありがとうございました。次回は、明後日 2 4 日の水曜日、 14 時より、厚生労働省専用第 22 会議室にて開催いたしますので、よろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長

 それでは、本日は、これで閉会といたします。皆さん、どうも、御苦労さまでした。ありがとうございました。


(了)

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