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2015年1月28日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事録

医薬食品局食品安全部

○日時

平成27年1月28日(水)14:00~16:30


○場所

中央合同庁舎5号館12階
専用第14会議室


○出席者

食品衛生分科会員(敬称略)

安藤 言枝 大澤 真木子 大野 泰雄
春日 雅人 川西 徹 岸 玲子
栗山 真理子 古野 純典 二村 睦子
毛利 資郎 若林 敬二 渡邉 治雄

事務局

三宅 智 (食品安全部長)
福本 浩樹 (大臣官房審議官)
依田 泰 (企画情報課長)
山本 史 (基準審査課長)
三木 朗 (監視安全課輸入食品安全対策室長)
西村 佳也 (監視安全課食中毒被害情報管理室長)
梅田 浩史 (監視安全課HACCP企画推進室長)
岩崎 容子 (企画情報課長補佐)

○議題

1 開会
2 議題
(1)薬事・食品衛生審議会総会の報告
(2)分科会長の選任
(3)分科会長代理の指名
(4)委員等の所属する部会等の指名
(5)各部会長の選任結果報告
(6)報告事項
(7)文書配布による報告事項等
(8)その他の報告事項
・二枚貝の下痢性貝毒について
・急性参照用量(ARfD)を考慮した残留農薬基準の設定について
・BSE対策におけるゼラチン等に係る規制の見直しについて
・平成27年度輸入食品監視指導計画(案)ついて
・食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
3 閉会

○議事

○岩崎補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会」を開催いたします。食品安全部企画情報課の岩崎でございます。分科会長が選出されるまでの間、司会進行を務めさせていただきます。よろしくお願いします。

 本日は、石川委員、大前委員、岸田委員、河野委員、寺本委員、山本委員、西委員、西内委員から御欠席との御連絡をいただいております。現在の分科会委員総数、20名のうち、現時点で12名の御出席をいただいており、出席委員で過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立していることを御報告申し上げます。

 本日の議題につきましては、お手元の議事次第にありますように、分科会長の選出等を行っていただき、その後、事務局から何点か御報告を申し上げます。

 次に、事務局の異動がありましたので、紹介させていただきます。1216日付けで、企画情報課長に依田、1月1日付けで、国際食品室長に難波江、そして、HACCP企画推進室長に梅田が着任いたしました。それでは、開会に当たりまして、食品安全部長の三宅より挨拶を申し上げます。

○三宅部長 食品安全部長の三宅でございます。お集まりの皆様方におかれましては、日頃よりそれぞれの立場から食品安全行政の推進に御支援、御協力をいただき、誠に感謝申し上げます。また、この度、食品衛生分科会の委員に御就任をいただきまして、厚く御礼申し上げます。

 さて、本年に入りまして、ファーストフード等、食品への異物混入の事案等が相次いで報道されております。食の安全に対する国民の関心は一層高まっていると感じております。食品の衛生管理対策につきましては、今や国際標準となったHACCPの手法がありますが、今後、なお一層、このHACCPの普及推進に取り組んでまいりたいと考えております。HACCPの業務を一層推進するために、1月1日付けでHACCP企画推進室を新設しました。厚生労働省としては、委員の先生方のお力添えをいただきながら、食品安全の確保に関する諸課題について、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 本日は、食品衛生分科会長の選出等を行っていただいた後に、農薬の残留基準等の見直し等について報告させていただくこととしております。委員の皆様方におかれましては、我が国の食品安全行政の推進について、より一層のお力添えを賜るようお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いします。

○岩崎補佐 続きまして、資料の確認をします。本日、委員の皆様には、資料1として、食品衛生分科会名簿等、資料2として、報告事項に関する資料、資料3として、文書配布による報告品目等に関する資料、資料4として、そのほかの報告事項に関する資料、そのほか、ハードファイルですが、参考資料1冊と分科会の基礎資料1冊をそれぞれお配りしております。資料の不足や落丁等があれば事務局までお申しつけください。

 よろしいでしょうか。それでは、頭撮りはここまでとしますので、報道関係者の方は御退席を願います。

(報道関係者退席)

○岩崎補佐 早速ですが、議事に入ります。議題の()「薬事・食品衛生審議会総会の報告」です。1月26日に、本分科会が属する、薬事・食品衛生審議会総会が開催されました。同総会において、審議会会長に橋田充委員が選出されております。また、会長代理に岸玲子委員が指名されたことを報告します。続いて、食品衛生分科会に所属する委員の方々は、資料1の1ページ目の、食品衛生分科会名簿のとおりとなります。委員お1人ずつの御紹介は時間の都合上割愛させていただきます。御了承をお願いします。

 引き続き、次の議題、()「食品衛生分科会長の選出」に移ります。薬事・食品衛生審議会令第6条第3項によって、分科会長は分科会に属する委員の互選によることとなっております。御意見のある方は挙手をお願いします。

○大野委員 はい。

○岩崎補佐 大野委員、お願いします。

○大野委員 岸先生を推薦します。理由としては、今まで、去年までこの分科会の座長を務めてくださいまして、適切にやってくださったと私は思っております。それから、衛生分野について学識が高くて、現在も北海道大学の健康科学研究教育センターでセンター長を務めておられます。失礼ながらホームページも拝見しましたが、仕事をバリバリされておりまして、業績もずい分上げている。当然のこととして、アップデートの知識も非常に深いわけで、岸先生にやっていただくのがよろしいと思いました。

○岩崎補佐 ただいま大野委員から、岸委員に分科会長をお願いしてはどうかとの御意見がありましたが、皆さんよろしいでしょうか。

(拍手)

○岩崎補佐 ありがとうございました。それでは、分科会長は岸先生にお願いするということで決定させていただきます。岸委員、分科会長席に移動をお願いします。

(岸委員移動)

○岩崎補佐 それでは岸分科会長、一言御挨拶をお願いしてもよろしいでしょうか。

○岸分科会長 また分科会長を務めさせていただくことになった岸です。よろしくお願いします。食の問題は、水と空気と合わせて、人間にとって必須ですので、国民の皆様の関心が高いところで、私たちの分科会、サイエンスベーストで審議するのはもちろんですが、消費者の方、患者さんの立場の方、並びに、食品を生産している側の皆様、それから、多くの専門家の先生方という構成で、一つ一つ丁寧に審議していくのが非常に重要ではないかと思います。そのような分科会、委員の皆様の御協力を得て、つつがなく進めたいと思いますので、どうぞ御協力のほどをよろしくお願いします。

○岩崎補佐 ありがとうございました。以降の議事進行については岸分科会長にお願いします。

○岸分科会長 それでは、分科会長代理の選出ですが、薬事・食品衛生審議会令第6条第5項によると、分科会長が指名することと定められております。私としましては、国立感染症研究所の所長でもおられる渡邉委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。

(拍手)

○岸分科会長 それでは、渡邉委員にお願いします。次は議事の()「委員等が所属する部会等の指名」に移ります。各委員の所属に関わる規定につきまして、事務局より説明をお願いします。

○岩崎補佐 ()「委員等が所属する部会等の指名」についてですが、部会に所属すべき委員については薬事・食品衛生審議会令第7条第2項によりまして、調査会に属すべき委員については食品衛生分科会規定第3条第2項によって、それぞれ分科会長が指名することとされております。

○岸分科会長 事務局から説明がありましたとおり、各部会、調査会に所属していただく委員、臨時委員、専門委員については、規定等により私が指名することとされております。これに基づきまして、ただいま事務局から配布していただいている名簿のとおりとしたいと思います。どうぞ御覧ください。

 それでは、各部会の長の選出を行いたいと思いますが、事務局から具体的な手順の説明をよろしくお願いします。

○岩崎補佐 それでは、各部会長の選出の方法について御説明を申し上げます。薬事・食品衛生審議会令第7条第3項により、部会長は各部会に所属する委員の互選によって定めることとされております。これから、17階の専用第20会議室において各部会長の選出を行っていただき、後ほど改めて再開する分科会においてその結果を報告させていただきたく存じます。部会に所属しておられない委員の先生方、安藤委員、大澤委員、春日委員、川西委員には申し訳ありませんが、こちらの会場のお席でお待ちいただくことになります。なお、14時半を目途に分科会を再開する予定としておりますので、よろしくお願いします。移動される委員の方々は事務局が御案内しますので、エレベーターで17階の専用第20会議室へ移動いただけますか。よろしくお願いします。

○岸分科会長 それでは、一時中断して移動となります。よろしくお願いします。

(17階の専用第20会議室に委員は移動)

○岸分科会長 分科会を再開いたします。各部会で決定いただきました部会長について、事務局から報告をお願いいたします。

○岩崎補佐 部会名と今決定いただきました部会長名を報告いたします。食品規格部会、大前和幸委員。食中毒部会、山本茂貴委員。乳肉水産食品部会、山本茂貴委員。添加物部会、若林敬二委員。農薬・動物用医薬品部会、大野泰雄委員。器具・容器包装部会、大野泰雄委員。新開発食品調査部会、寺本民生委員。伝達性海綿状脳症対策部会、毛利資郎委員。放射性物質対策部会、山本茂貴委員。以上です。

○岸分科会長 今の報告でよろしいですか。次に移ります。今日は審議事項がなくて、報告事項です。まず、農薬等の9品目について報告をお願いします。

○説明者(大田) 残留農薬等について報告します。資料2の1ページを御覧ください。1剤目はイマザピルです。本剤は海外での農薬の使用に関連してインポートトレランスによる基準設定依頼があり、基準を設定するとともにポジティブリスト制度導入時に設定された暫定基準の見直しを行うものです。

 本剤はイミダゾリノン系の除草剤で日本国内での使用はありませんが、アメリカ、オーストラリア等で使用が認められており、国際基準も設定されております。食品安全委員会におきましては、イヌの慢性毒性試験の無毒性量を基にADIは2.8mg/kg体重/dayと設定されております。基準値案ですが、残留の規制対象をイマザピルとしておりまして、基準値案を次ページより別紙1としてお示ししております。

 インポートトレランス申請により、ブラジルの残留試験結果を基に大豆に基準を設定する案としており、その他の食品については、主に国際基準を採用する案としております。これらの基準値案により暴露評価をTMDI試算で行いますと、幼小児で0.3%のADI占有率となっております。

 4ページのカスガマイシンについてです。本剤はインポートトレランス申請によります基準を設定するとともに暫定基準の見直しを行うものです。アミノグルコシド系の抗生物質で殺菌剤として農薬として用いられています。日本国内では、米、キャベツ、みかん等の農作物に使用が認められており、アメリカ、カナダにおいても使用が認められておりますが、国際基準は設定されておりません。食品安全委員会におきましては、ラットの2世代繁殖試験の無毒性量を基にADIは0.094mg/kg体重/dayと設定されております。基準値案ですが、残留の規制対象をカスガマイシンとしまして、基準値案を次ページの別紙1にお示ししております。これらの基準値案によりまして、暴露評価をTMDI試算で行いますと幼小児で4.6%のADI占有率となっております。

 8ページは、ジフルフェニカンです。本剤は暫定基準の見直しを行うものです。フェノキシニコチンアニリド系の除草剤で国内で小麦及び大麦に農薬登録があります。EUやオーストラリアにおいても基準が設定されておりますが、国際基準は設定されておりません。食品安全委員会においては、ラットの慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量を基にADIが0.23mg/kg体重/dayと設定されております。基準値案は、残留の規制対象をジフルフェニカン本体としまして、基準値案を次ページの別紙1にお示ししております。これらの基準値案により暴露評価をTMDI試算で行いますと、幼小児で0.2%のADI占有率となっております。

14ページは、トリフルミゾールです。本剤は農林水産省より魚介類の基準設定依頼があったことから、当該基準を設定するとともに暫定基準の見直しを行うものです。イミダゾール系殺菌剤で国内での使用が認められております。また、国際基準や欧米においても残留基準が設定されております。食品安全委員会において、ラットによる2年間の慢性毒性/発がん性併合試験によりADIは0.015mg/kg体重/dayと設定されております。

 無毒性量ではなく最小毒性量を用いたことから安全係数が300となっております。基準値案については残留の規制対象を記載のとおりとしておりまして、農産物及び畜産物については、トリフルミゾール本体に加えまして、一部代謝物も規制対象としております。基準値案は次ページより別紙1にお示ししております。これらの基準値案により、暴露評価をEDI試算により行いますと、幼小児で25.8%のADI占有率となっております。

 続きまして、21ページのピラゾスルフロンエチルです。本剤は暫定基準の見直しを行うものです。スルホニルウレア系の除草剤で、国内では稲のみに農薬登録があります。国際基準や海外の主要国における残留基準の設定はありません。食品安全委員会においては、イヌの慢性毒性試験の無毒性量を基にADIは0.01mg/kg体重/dayと設定されております。基準値案は残留の規制対象をピラゾスルフロンエチルとしまして、次ページの別紙1にお示ししております。この米の基準値案により暴露評価をTMDI試算で行いますと、幼小児で2.6%のADI占有率となっております。

24ページは、フルアジナムです。本剤は農薬取締法に基づく適用拡大申請及びインポートトレランスによる基準設定依頼により基準を設定いたします。暫定基準の見直しも併せて行うこととしております。本剤はピリジナミン系の殺菌剤で、JMPRにおける評価はなされておりませんが、日本及び欧米において基準値が設定されております。食品安全委員会においては、イヌの1年間、慢性毒性試験の無毒性量を基にADIが0.01mg/kg体重/dayと設定されております。ほかに発がん性試験におきましてラットで甲状腺腫瘍、マウスで幹細胞腫瘍の増加が認められております。

 これらの発生機序は遺伝毒性メカニズムとは考え難く、閾値の設定は可能との評価が食品安全委員会において行われております。遺伝毒性試験の結果も全て陰性となっております。基準値案ですが、残留の規制対象をフルアジナムとしまして、次ページより別紙1に示しております。これらの基準値案により暴露評価をEDI試算で行いますと、幼小児で51.6%のADI占有率となっております。

29ページは、フルオルイミドです。本剤は農薬取締法に基づく適用拡大申請に基づく基準値設定依頼により基準を設定するものです。併せて暫定基準の見直しも行います。マレイミド骨格を有する殺菌剤で、国内での登録はありますが国際機関や欧米等の主要国では基準が設定されておりません。食品安全委員会におきましては、ラットの2年間、慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量を基にADIは0.092mg/kg体重/dayと設定されております。

 基準値案は、フルオルイミドについて次ページに別紙1として示しております。多くの暫定基準は削除されまして、りんご、茶など4作物のみ残留基準を設定する案となっておりまして、33ページが最終的な基準値の案、答申案となっております。これらの基準値案によりまして、暴露評価をTMDI試算で行いますと、幼小児で23.3%のADI占有率となります。

34ページは、ホサロンです。農薬取締法に基づく適用拡大申請に基づく基準値設定依頼がありましたので、基準の設定をするものです。また、併せて暫定基準の見直しを行います。本剤は有機リン系の殺虫剤で、日本だけではなく欧米においても基準が設定されており、国際基準も設定されております。食品安全委員会におきましては、ラットの2年間慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量を基にADIは、0.002mg/kg体重/dayと設定されております。基準値案は残留の規制対象をホサロンとしまして、次ページの別紙1に基準値案をお示ししております。これらの基準値案により、暴露評価をEDI試算で行いますと、幼小児で25.4%のADI占有率となっております。

39ページは、ジクラズリルです。こちらは動物用医薬品ですが、インポートトレランスによる基準設定依頼があったことから、基準を設定するとともに暫定基準の見直しを行うものです。本剤はコクシジウム類を駆除するために用いられるもので、国内での承認はありません。国際機関欧米等では評価がなされております。

 食品安全委員会におきましては、マウスの慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量を基にADIが0.03mg/kg体重/dayと設定されております。基準値案についてですが、残留の規制対象をジクラズリルとしまして、次ページの別紙1にお示ししております。主に国際基準を採用する案としております。これらの基準値案により暴露評価をTMDI試算で行いますと、幼小児で5.8%のADI占有率となっております。報告は以上です。

○岸分科会長 報告事項9品目についてお聞きしましたが、委員の皆様から御意見や質問等ございますか。

○大澤委員 いずれの薬剤も推定1日摂取量を1日摂取許容量で乗した値が、幼小児でかなり高くなっていまして、特に24ページのフルアジナムでは、1~6歳で51.6%となっているのですが、実際にこの推定1日摂取量をどれくらいと仮定して、例えば、柑橘類やりんごなどの影響があると思います。幼小児でどれくらいの量を1日に摂取していると51.6%になるのですか。

○岸分科会長 事務局からお願いします。

○大澤委員 こういう質問をいたしますのは、御家庭によっては偏った与え方をしていたりということがあった場合に、許容量を超える可能性があると思いまして、そういう場合に食育というか乳幼児に与える食品の量の目安として、こういうものは余りたくさん与えてはいけないというか、そういうことをある程度忠告する必要があると思いました。

○説明者(大田) まず、ADIについては、80%以下の占有率であれば健康に影響はないものと考えております。幼小児のフルアジナムについてですが、農薬の推定の摂取量が幼小児全体でEDI試算ですと、一人当たり1日当たり85.1μgと計算されております。オレンジが22.3μg、りんごが15.5μg。この2つの食品が比較的フルアジナムを摂取する由来の食品としては量が多いものになっております。

○大澤委員 良く分からないのですが、その場合に例えば、りんごは何gぐらいなのかとか、オレンジはどれぐらいなのかとか分かりますか。

○説明者(大田) 今は資料を持ち合わせておりませんので、後ほど報告いたします。

○岸分科会長 ほかに何かありますか。

○大野委員 私から審議の経過で少し議論になった所を報告してよろしいでしょうか。

○岸分科会長 よろしくお願いいたします。

○大野委員 私のほうから審議の報告をしてよろしいでしょうか。それぞれの品目についていろいろ議論があったのですが、主なものとしてはトリフルミゾール、トレインフルミゾールの測定対象物質について、部会では……FM601という代謝物を測定対象物とするとしたのですが、これは国際基準と若干違います。国際基準ではアニジン骨格を含む代謝物をみんな含めていて、これと若干違うところがあります。それについて、国際基準と違うところで問題はないのかということがありました。これについては、国際基準で定められた分析方法は回収率が悪くて、それを基準にするわけにはいかないという意見があり、独自の基準になっています。

 フルオルイミドについてですが、フルオルイミドは結構不安定なものです。毒性実験をやっているときに餌の中で分解してしまいます。それに対する考察が、食品安全委員会の評価書に明記されていなかったので、その辺を十分配慮してADIが決められたのかどうかという部分が議論になりました。その内容について食品安全委員会に問い合わせましたところ、毒性試験そのものが分解するということを前提にして何割か多めに物を入れて、大抵は1週間に1度ぐらい餌を調整しますが、その間に減少する量を見込んで入れてある。そういう試験の結果に基づいてADIを決めてあるということの回答がありましたので、了解したところです。以上です。

○岸分科会長 どうもありがとうございました。御説明で良く分かったと思います。

○大野委員 もう1つ、大澤先生の御質問に対しての回答です。国民の食物の品目ごとの摂取量調査を何年間に1度か、何年毎か詳しいことは覚えていないのですが、それは多分、健康医療研究所でやっているのではないかと思います。その結果が何年間に1度、集計されて私どもの所に結果が提示されています。

 もちろん事務局でそれを見て、例えば、一般的に平均としてりんごだったらどのくらい食べているか、老齢者や幼少児ではどのくらいかということを調べた結果が提出されています。それを基にそれぞれの基準値と摂取量を掛け合わせてそれを合計して、それで全体としての摂取量の推定値がADI比の上で問題ないかということを確認して、80%以下の場合には問題ないということで了解しています。

80%と申しますのは、前にも申し上げたかもしれませんが、農薬以外からも摂取される可能性がありますので、その部分を20%という形に見込んで食品からの摂取は80%以内に収めるということで設定されております。それぞれの年齢層の方がどれだけ摂取しているかという表については、先ほど後でということでしたので、説明いただければと思います。以上です。

○岸分科会長 どうもありがとうございました。そのほか追加、御質問等ありますか。それでは、事務局から後で資料を回していただきますようお願いします。これで報告事項の9品目は終わりです。次は、文書配布による報告事項です。イマザピックからルフェヌロンまでです。これは文書配布による報告事項となっております。委員の皆様のお手元には郵送で事前に配布されていると思いますので、この場で特段の意見がなければ次へ移りますが、よろしいでしょうか。何か御意見はございますか。ないようですので、次に移ります。()に飛びます。その他の報告事項です。8の()が二枚貝の下痢性貝毒について、説明お願いします。

○説明者(仲川) それでは、その他の報告事項の1つ目です。二枚貝の下痢性貝毒については、資料4の1ページを基に説明いたします。本件は、今まで動物のマウスを使って下痢性貝毒を検査していましたが、機器分析法に移行しようというものです。貝毒には幾つか種類がありますが、我が国では下痢性貝毒及び麻痺性貝毒について、昭和55年の通知によりマウス試験法により規制値を超える貝類販売等を禁止しております。そのため近年市販される貝類による食中毒は報告されておりません。このうち下痢貝毒については、国際的に成分ごとに基準値が設定されており、より高精度で高感度に毒の検出が可能な機器分析法への導入が進められつつあります。

 上記を踏まえまして、我が国においても国際的な整合性の観点から機器分析法への移行及びそれに対応した基準値の設定について検討しました。現行の規制等についてですが、日本においては基準値0.05MU/gということで、マウス法によって確認しております。このマウス法を簡単に説明いたしますと、貝からの抽出物をマウスの腹腔内に投与し、マウスが死亡するかで判定しております。

 マウスの腹腔内毒性を示すものとして、表の基準値の横にありますが、OA群、PTX群、YTX群があります。これらの物質については、マウスの腹腔内に投与した場合マウスが死亡する原因となりうるものです。このうちPTX群、YTX群については、ヒトへの毒性を示すデータや今まで中毒事例がないということです。また、動物も腹腔内ではなくて経口投与をした場合、毒性はとても低くて下痢原性はないと言われおります。そのため、国際的な基準を定めているコーデックスでは、PTX群、YTX群について基準値は設けず、ヒトに対する下痢原性が認められるオカダ酸群に対して、0.16mgオカダ酸群当量/kgという基準値を設定しております。

 食品安全委員会の評価についてです。食品安全委員会でもヒトへの下痢原性が認められるオカダ酸群を評価対象として評価しています。下痢性貝毒については、慢性毒性というよりは食べて急性的に下痢が認められるかどうかということですので、急性参照用量が設定されました。矢印の下の今後の対応方針です。貝の可食部1kg当たり0.16mg、コーデックスで定められている基準値上限のオカダ酸群がもし貝に含まれていたと想定して暴露評価を試算すると、103gを超えて喫食する場合には食品安全委員会で設定された急性参照用量を超えることになります。

 一方で、貝毒は中腸腺という消化管に当たる部位に蓄積することが示されており、中腸腺を除去することによりヒトへの健康影響は低くなるものと考えられており、現状でも中腸腺を除去することによって可食部の出荷を許可しております。食品安全委員会の評価書においては、諸外国が既に0.16mgオカダ酸群当量/kgという規制値を導入して機器分析法へ移行していて、特段問題は起きていないという状況であり、機器分析法ではオカダ酸群を特異的に高感度で測定できることを踏まえると、現行のリスク管理、マウスの試験法から機器分析法によるリスク管理に移行しても下痢性貝毒が発生するリスクが上昇するとは考えにくいとされております。上記を踏まえまして、現行のリスク管理措置を行うことを前提に下痢性貝毒の規制値については、国際基準に合わせ引き続き食品衛生法第6条に基づいて規制していくことを方針にしております。説明は以上です。

○岸分科会長 何か御質問等ございますか。

○毛利委員 確認です。結局マウスユニットを使わないようにしたということなのですか。

○説明者(仲川) はい、そうです。

○毛利委員 分かりました。

○岸分科会長 よろしいでしょうか。

○安藤委員 下痢性貝毒は、結構、地方の産地の自治体でモニタリングの検査が行われていると思いますが、産地の産業局の自治体でもマウスをやめて機器分析に移行なさる予定なのですか。

○説明者(仲川) 本件につきましては、農林水産省とも協力して情報共有しながら進めてきたところです。実際には産地の所もできれば機器分析法に移行してほしいという要望もありましたので、ある程度調整はできていると思っています。ただ、移行期間を若干設けて混乱のないようにしたいと考えております。

○安藤委員 ありがとうございます。

○岸分科会長 そのほかいかがですか。今後の対応方針の一番最初のところに中腸腺を除去することを良く市民に伝えたほうがいいように書かれております。二枚貝は関心が高い割に皆さん良く食べますので、こういう具体的なところの試験法を変えたときに市民の側にはという意味で、同時にみんなに伝えていくようにするといいかもしれません。

○説明者(仲川) 現在でも可食部について0.05MU/gでの規制であり、もし規制値を超えるときには、中腸腺を生産地で除去しないと出荷してはいけないとしておりますので、引き続きそういう対応にしようと考えております。御意見いただいたように、こちらとしてもどういう情報提供、リスクコミュニケーションができるかということは検討したいと思います。

○岸分科会長 次に移ります。次は、急性参照用量を考慮した残留基準の設定についてです。

○説明者(大田) 資料4の2ページです。急性参照用量については、これまで導入の準備を進めてきました。昨年11月の農薬・動物用医薬品部会において、残留基準設定における暴露評価に必要なデータを公表するとともに、暴露評価の方法について国際的な手法を踏まえ取りまとめました。2ページからが、その際の農薬・動物用医薬品部会の資料です。まず、ARfD導入の経緯等を説明いたします。資料の11ページを御覧ください。急性参照用量はヒトが24時間又はそれより短時間の間の経口摂取によって健康に悪影響が生じないと推定される摂取量のことです。

 これまで、基準設定に用いてきましたADIは慢性毒性の指標であり、今後は急性毒性の指標であるARfDも考慮して基準を設定していくことになります。農薬のリスク評価を行う国際機関のJMPRでは、2000年頃よりARfDの設定が開始されており、その後、暴露評価や毒性評価の手法について検討、改良が行われております。資料にお示ししておりますように、手法についてガイダンス等に取りまとめられ公表されております。

 厚生労働省では、厚生労働科学研究によりARfDに対する短期暴露評価を行うために必要なデータの整備を進めてまいりました。整備されたデータは、4~10ページにお示ししております。主なデータは各食品の1日最大摂取量と農作物のユニット重量です。ユニット重量は、農作物の1個体の重量です。残留試験は複数の個体を混合して試験が行われますが、農場内での各個体への残留農薬の量にばらつきがありますので、適正使用における非常に高農度の残留を推定するために、個体ごとのばらつきを考慮することからユニット重量のデータが必要となっております。

 厚生労働省では、暴露評価を行うためにこれらのデータを整備してまいりましたが、ARfDを設定する食品安全委員会においても毒性評価に係る研究が行われております。昨年2月に農薬の急性参照用量の設定における基本的な考え方が取りまとめられております。また、6月頃よりリスク評価が開始された農薬については、ARfDについて審議が行われております。

12ページです。ADIとARfDに対する暴露評価の違いをお示ししております。資料の向かって左半分は、これまで行ってきましたADIに対する暴露評価です。農薬の平均残留濃度と平均的な各食品の摂取量により農薬の推定摂取量を求めまして、ADIの80%を超えないことを確認してきました。右半分がARfDに対する暴露評価の説明です。

 ADIの場合と異なりまして、農薬の最高残留農度と最大摂取量を用いまして、各食品における農薬の推定摂取量を求め、その値がARfDを超えないことをもって安全性を確認しております。適正に使用した場合に農薬が非常に高濃度で残留し、更にその食品をたくさん食べるという非常に起こりにくいケースを想定しております。24時間以内にそのように状況が複数の食品摂取において生じることは考え難いことから、食品ごとにARfDと比較しております。

13ページです。残留基準設定の流れをお示ししております。ARfDもADIと同様に毒性試験における無毒性量を通常安全係数100で割り求められます。厚生労働省では、ADI、ARfDを考慮して基準を設定することになり、国内で使用される農薬については使用基準を見直す必要が生じる場合があります。

 2ページに戻ります。暴露評価の方法について、もう少し詳しく説明いたします。農薬の摂取量の推定には、JMPRと同様に一点推定法を用いることといたしました。計算式は10ページに記載しております。1度に食べる食品の重量や農作物の個体数、農薬の残留量のばらつきを考慮しまして、4つのケースに分類されております。そのケースごとに計算式が決められております。これらの計算式によりまして、各食品について農薬の摂取量が推定されます。

 2ページの中ほどです。評価対象のグループです。通常は1歳以上の一般のグループと幼少児のグループについて暴露評価を行うことになります。また、食品安全委員会において妊婦又は妊娠している可能性のある女性のグループについて、発生毒性試験等における胎児への急性影響などを基にARfDが設定される場合があります。そのような場合に当該女性のグループについても暴露評価を行うこととしております。

 幼少児のグループについては一部データ数の少ない食品もありますが、暴露評価の対象としております。今後摂取量データの更新、拡充について検討していく予定です。また、日本では作物残留試験の例数が少ないことから、例数が少ない3例以下の場合ですが、より安全側に立って、最高残留農度よりも更に高い値である残留基準を用いまして、暴露評価を行うこととしております。

 3ページの4に記載しておりますが、農薬の推定摂取量がARfDを超過した場合は、使用方法の見直しによる基準値案の引下げや、必要なデータの追加による推定摂取量の確認などを個別に検討し、ARfDの超過が生じないように基準を設定することとしております。

先ほどのりんごの摂取量がどれぐらいかという御質問ですが、幼少児の場合は30.9gという数値です。こちらはADIに対する暴露評価に使う平均的な数値です。7ページの真ん中ぐらいです。今回ARfDの評価を行う場合には、りんご180gとなっております。ですので、りんごについて言えば平均的には30gぐらい、最大摂取量で言えば180gぐらいと6倍の差があります。

 それから、先ほどの説明の中で追加で質問ということで頂いたのですが、TMDIというものはどういうものなのかという御質問なのですが、TMDIは資料2の1ページを御覧ください。下のほうに暴露評価と書いてありまして、各ADI占有率が記載されております。理論最大1日摂取量と書いてあります。残留基準いっぱいまで農薬が残留していると考えまして暴露評価を行うものです。

 資料4の12ページを御覧ください。左半分のADIに関する説明の所で、吹き出しになっておりますが、規定された使用基準による残留試験結果(平均残留農度)という言葉があります。TMDI試算という場合には残留試験結果を平均残留濃度ではなく、より高い残留基準値を用いて計算することになります。なぜ基準値案を用いるかと言いますと、基準値案を用いたほうが計算の手間が簡単であるということが1点あります。平均残留濃度より許容幅を置いて基準値が設定されますので、より高い値となっておりますTMDI試算をしてADIを超えないものは、EDI試算というのですが、こちらの平均残留濃度を用いて計算しても当然ADIの80%を超えないということで、まず、TMDI試算をしまして、ADIの80%を超えるような場合にはEDI試算ということで、実際の残留試験の結果を用いて、より実態に近い状態での試算を行うことになっております。説明は以上です。

○岸分科会長 ちょうど大澤委員から先ほど質問があったところが、具体的に私たちもイメージがつかめて良かったと思います。ほかの委員の皆様も含めまして、何か御意見ございますか。

○若林委員 このARfDの値の導入は今のところ農薬を対象に考えていますか。食品添加物等や食品に関わるものはたくさんあります。そういうものについて今後どのようになっていくのかについて御説明いただけますか。

○説明者(大田) 今のところ国際的に見てもARfDが導入されているのは農薬が中心になっております。先ほど貝毒もARfDの話があったと思うのですが、それ以外に動物用医薬品についても、まだ検討段階ですが、議論が行われている途中ということで、そういう国際的な議論も踏まえまして今後検討していくべき問題であると思っております。

○若林委員 当面、食品添加物などに関しては従来どおりのADIを用いたものになるだろうという推測ですか。

○説明者(大田) はい。

○岸分科会長 今までこのやり方でしていなかったものも振り返って、一応値としては点検していくということになるのですか。

○説明者(大田) 今現在、JMPR等、海外で設定されているARfDに対していろいろ試算を行っております。ARfDに対する占有率が高いものについては、計画的に早めにARfDを設定していく必要があると思っております。今はまだ、どういう農薬から先にARfDを設定していくかという優先度を検討している段階です。

○若林委員 ARfDを導入するのはは、まず、農薬だという理由はどこにあるのですか。

○説明者(大田) 具体的な理由は私は存じ上げていないのですが、ただ、ARfDを設定する機会になったのは、先ほど資料の11ページでJMPRで2000年ぐらいからARfDの導入が開始されたということですが、この少し前に食品を食べていて残留農薬を原因として急性的な影響が出るような事例が若干あったために、ARfDの設定が開始されたと聞いております。

○岸分科会長 そのほかに何か御意見、御質問等いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ARfDの話はここまでといたしまして、3番目がBSE対策におけるゼラチン等に関わる規制の見直しについて、説明をお願いします。

○説明者(小西) お手元の資料4の14ページと15ページで御説明させていただきます。14ページにありますとおり、世界的にBSEのリスクが減少しているという状況を踏まえ、厚生労働省では随時BSE対策の見直しについて検討してきたところです。今般、ゼラチン等コラーゲンの規制について見直しをすることとしましたので、その概要について報告させていただきます。

 昨年、伝達性海綿状脳症対策部会で御議論いただき、食品安全委員会の答申が、昨年10月に得られたところです。関連の資料は、本日は文書配布の資料ということで、資料3の27ページから、「伝達性海綿状脳症対策部会からの報告」として配布させていただいております。具体的にどのような形で輸入措置を見直すのかということについて、15ページの資料に基づいて説明いたします。

 ゼラチン/コラーゲンと言いますのは、ウシとかブタの骨や皮から作られる蛋白質です。ゼラチンは御承知のとおり、ゼリーなどに使われ、食品に粘り気を出すようなものです。コラーゲンケーシングは主に皮から作られ、ソーセージの皮などに使われるものです。

 BSE発生国のウシ由来のゼラチンとコラーゲンについては、現在まで、輸入禁止という措置が続けられておりました。今般の見直し内容につきまして、まず上の段のゼラチン/コラーゲン製品から説明してまいります。原材料は、日本でも特定部位としている30か月例を超える頭部と脊柱の骨は、引き続き原料としてはならない。それ以外の部位の骨を使ったゼラチンについては、輸入は可能である。ただし、ここで黒く網掛けしていますが、その場合であってもきっちりと製造基準を満たさなければいけない。この製造基準の中に、酸又ははアルカリ処理とか、高温殺菌といった処理が含まれますが、こういった工程は仮に異常プリオン蛋白が含まれたとしても、その感染性を低減させるといった効果が認められるというものです。

 皮由来のコラーゲンについては、皮はそもそも異常プリオン蛋白が蓄積しない部位であるということを踏まえ、特段の製造基準などは設定せず、コラーゲンであれば輸入は認めるということにしています。

 続いて、下の段の原材料としての輸入措置の見直しについてです。これは、ウシの骨、皮を輸入して、国内でゼラチン/コラーゲンを作るような場合を想定したものです。原材料については、ゼラチン/コラーゲンに加工されたものについては、異常プリオン蛋白質が仮に含まれたとしても感染性が低減するような工程を経ているものですから安全と認められますが、原材料の状態で輸入され、それが万が一ゼラチン/コラーゲン以外のものに転用された場合のリスクについて懸念が示されたということがあり、原材料については評価済みの国だけに限定しています。この評価済みの国というのは、食品安全委員会のリスク評価を既に受けた、現在ですと、アメリカ、カナダ、フランス、アイルランド、オランダ、ポーランドということになっています。これらの国からの原材料についても、輸入を認め、更にその国内の工場でも、きっちりと製造基準を満たしたゼラチンになるよう、又はコラーゲンになるように監視していくということです。

 このような形で輸入を再開するということで、先週まで国内のパブリックコメントを実施しており、現在はWTO通報の最中ですので、その手続が終わり次第、関係の告示、省令、通知の改正により、ゼラチン/コラーゲンの輸入を認める予定にしています。説明は以上です。

○岸分科会長 ただいまの説明のゼラチン等に係る規制の見直しですが、御意見や御質問はございますでしょうか。

○川西委員 私自身は今のこういう状況、BSEに関しては発生頭数が劇的に減っていますから、こういう措置は妥当だと思います。

 ただ、こういうときに、こういうように緩めたというか、最終的に今の改正後は、このような基準にした根拠というか、何を基にこれを採用したかというのは、例えば諸外国でほとんど健康被害が生じていないとか、諸外国の基準に準じたとか、その辺りはどうなのでしょうか。

 というのは、私は医薬品のほうに関わることがありまして、そのための知識として聞いておきたいのです。

○説明者(小西) 本日、文書配布させていただいている資料3の30ページを御覧ください。ここに表の形で、OIEにおけるゼラチンに係る規定を示しています。原材料規制とか製造基準については、このOIEの規制とか諸外国における規制を参考に設定したところです。

○毛利委員 補足させていただきます。これにつきましては伝達性海綿状脳症対策部会で2回検討いたしました。昨年5月16日に食品安全委員会に答申するという前の段階で一度、科学的に適正かどうかについて、諸外国が緩めたからといって日本でもそのまま緩めていいのかどうかということがありますので、検討いたしました。

 その結果は30ページにも記載されていますが、製造のプロセスを経ていくと、最初は脂肪を取るところで102乗ほどプリオンの感染価が下がります。それから、アルカリ処理のところで104.2乗から4.8乗、加熱処理が加わって、それで106.2乗から6.8乗下がります。それに、ウシとヒトの種のバリアを安全係数として103乗を掛けて、安全性は十分に確保できると結論に達したわけです。その後、食品安全委員会に諮問されました。リスク管理措置について、1021日にもう一度部会で検討いたしました。

 リスク管理措置については、厚生労働省は輸入の書類のチェックから製造の基準について、かなりの仕事量であると推測されますが、随分きめ細かいリスク管理措置を行うということで、それであれば問題はないだろうと結論いたしました。食品安全委員会というのは御存じのように、基本的に科学的な基準での評価ですから、実際にリスク管理措置ができるかどうかということまで、1021日に最終的に検討させていただいた結果としてこういう結論に至りました。

○岸分科会長 ただいまの規制の見直しについて、ほかに御意見、御質問等はございませんか。なければ次に進めさせていただきます。

 議事次第の5番「そのほかの報告事項」の()平成27年度輸入食品監視指導計画()についてです。お願いいたします。

○説明者(今川) 資料4の16ページです。平成27年度輸入食品監視指導計画()の概要ということで、今、計画案を策定しているところですので、その御報告を申し上げます。16ページ、17ページで計画案の概要をまとめていますが、18ページで輸入食品の監視体制の概要について御説明いたします。

 上の図ですが、輸入食品の監視体制の概要です。大きく3つのカテゴリーに分けて実施しております。1つは輸出国対策、輸入時の対策、国内対策と分けています。3つの文字のすぐ横に、縦の文字で「輸入食品監視指導計画に基づき実施」と書いていますが、こういった3つの対策の中で、特に輸出国対策、輸入時対策を中心に、毎年度計画を立てて実施しているところです。今回御報告申し上げるのは、この部分です。

 輸出国対策として、輸出国政府を中心にして、あるいは輸入事業者を中心にして、製造時の現地での衛生管理をしっかりとやっていただきます。そうして管理してきたものについて、日本国内で輸入営業上使用する場合には、検疫所に必ず届出が必要ということになりここからが輸入時対策と真ん中のものになってくるわけです。

 その届出された内容、全ての食品について届出をしていただくのですが、その中で必要なもの、初回貨物ですとか、検査の命令が掛かっているものに対して検査を行っていき、検査に合格したもの、あるいは審査に合格したものが、合格として国内に入ってくるわけです。この国内に入ってくるときに、貨物を止めるわけではありませんが、検疫所で年間計画に基づいてモニタリング検査を行っています。これが、今の監視体制の概要です。

 この図の少し下の図ですが、食品衛生法の輸入食品に関して、同計画の条文があります。根拠規定としては、第23条になります。1厚生労働大臣は毎年度、翌年度の計画を定めるものとする。その計画の中には重点的に監視指導する事項あるいは輸入者、運営を行う営業者が自主的な衛生管理を実施するための事項を盛り込むことになっています。

16ページ、17ページです。実際の監視指導計画案については、19ページからですが、枚数が多いので、それをまとめたものが16ページ、17ページです。

 まず「序文」として、今年度行っている平成26年度の計画に基づいて現在行っていますが、実際に行った中心的なことを書いています。

 次に、「平成27年度計画において取り組む施策」ということで、真ん中の辺りに7つほど書いています。ここが、来年度に中心的に取り組むべき事項と考えています。

1つ目は、経済連携協定を踏まえた輸入動向に応じた監視体制の整備です。最近でも、日豪の経済連携協定、あるいは来年度以降は日本とEU、TPPといったものが締結されることが想定されますので、そういった新たな経済連携協定が締結されると、今まであった関税がなくなったりすると、新たな品目の輸入が急に増えることもあり得ますので、そういった動向に応じながら、監視体制を整備していきたいと考えているところです。

 次のポツです。海外の検出事例も最近は多いのですが、病原微生物について、現在行っている平成26年度の計画でも、かなり強化して実施しているところですが、引き続き病原微生物については人に直ちに健康被害を与え得るという可能性もありますので、引き続き強化をしていきたいと考えています。

 次に、ポジティブリスト制度です。平成18年からポジティブリスト制度は施行されていますが、残留農薬などの違反自体は減少傾向にはありますが、引き続き監視体制をしっかりしていきたいと考えています。

 次に、冷凍加工食品などで、全体的に違反事例というのは年間を通じて減少傾向にはあるのですが、まだまだ冷凍加工食品などで違反事例が散見されるところです。こういった大腸菌群とか、そういった汚染指標菌について、今年度は強化して実施していきたいと考えているところです。

 次に、先ほどもBSEの関係の話がありましたが、現在BSE発生国、アメリカ、カナダをはじめとしたBSE発生国で輸入がどんどん再開しているところです。今は6か国ほど輸入を再開していますが、今後も幾つかの国から再開要請がありますので、少しずつ再開していく可能性があります。そうしたときに、そういった国への新たに開けるときの対応をしていきたいと考えています。

 次に、輸入加工食品の自主管理に関する指針というのがあるのですが、主に相手国での製造段階での管理をしっかりやっていくことが中心に書かれています。これについて、分かりやすいチェックリストなどを作り、輸入者に、それに基づいてチェックをしていただき、検疫所もそういったチェックに基づく指導をしていくことを考えています。

 申し遅れましたが、下線部の所が、前年にはない新たに取り入れた事項です。主に2つで、成分規格の大腸菌群などを強化することと、ここのチェックリストです。

 次に、これは毎年度行っていますが、輸出国に定期的に相手国の制度の調査をしていますが、これを引き続き実施していきたいと考えています。

 次に、1番は「目的」、2番は「適用期間」です。適用期間は来年度で、4月から3月までの1年間です。3番は「輸入食品等の監視指導の基本的な考え方」、輸出国、輸入時、国内の3つの段階で実施していくというものです。

17ページの上にいきます。4番は「重点的に監視指導を実施すべき項目に関する事項」です。2つ目のポツに「モニタリング検査」と書いています。来年度の平成27年度には9万5,000件、今年度は約9万4,000件を計画していますので、約1,000件の増ということで考えています。主に増える項目としては、先ほど線を引いてある冷凍加工食品などの大腸菌群などの汚染指標菌の強化を考えています。

 次に、5番の「輸出国における衛生対策の推進」です。これは引き続き現地調査あるいは2国間協議といったものを中心に行っていきたいと考えています。

 6番目は「輸入者への自主的な衛生管理の実施に関する指導」です。この辺りで、先ほどのチェックリストなどを活用して輸入者に対して効果的に検疫所からも指導していく、輸入者も自主的に衛生管理ができるというようなことを実施したいと考えています。

 7番は「法違反が判明した場合の対応」、8番は「国民への情報提供」、9番は「その他」という形で、監視指導計画案を作成しているところです。

 この監視指導計画案について、先週の金曜日からパブリックコメントにかけています。約1か月間、2月23日までです。その後、この結果なども踏まえ、3月中に監視指導計画について官報に掲載させていただき、次年度の4月からはこの計画に基づいて、監視指導を実施していくと考えています。私からは以上です。

○岸分科会長 ただいまの平成27年度の輸入食品監視指導計画()の概要の御説明を頂きました。委員の皆様から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

 モニタリング検査は9万5,000件で1,000件増ということなのですが、感覚的に増えているように思う輸入食品に、確実にモニタリングしていただくのは消費者としては有り難いと思うのですが、予算が削られないように御尽力いただければと思います。

○説明者(今川) ありがとうございます。

○岸分科会長 そのほかはよろしいでしょうか。

○古野委員 大変御苦労だと思います。9万5,000件というのが総輸入件数のどれぐらいになるのか。監視員が1人当たり何件ぐらいを受けもたなければいけないのか。人手不足の深刻さがどれぐらいあるのかということを、もう少し国民に知って貰うとこの分野への理解が高まるのではないかと思います。

○説明者(今川) 今、大体全国で食品衛生監視員が399名いるのですが、その399名で書類の審査をしたり、現場検査に行ったり、実際の理化学検査、微生物の検査、残留農薬の検査といったことを行っています。

 全国に窓口としては、32か所の検疫所があり、大きな検査をするセンターは横浜と神戸にあります。そういったのが、今の検疫所の現状です。

 検査の件数としては、モニタリング検査は大体今は9万4,000~9万5,000件辺りを行っているのですが、輸入届出件数が220万件弱ありますので、その割合からすると、20分の1ぐらいかなと思います。

 ただ、私たちがいつも考えていますのは、検査を1割やりました、2割やりましたということよりも、輸出国での対策、輸入時の対策、そうした対策をしていただいて、特に、例えば貨物でチョコレートが入ってきたときに、書類審査は必ず行います。添加物を使っていれば添加物の検査を初回であれば実施していただく、検査結果が問題なければ通す。次に同じものが、その輸入者さんが入ってくれば、書類審査で製法が同じか、原材料が同じか、そういったものをしっかりと確認して、同じであれば基本的に検査結果は前回と同じだろうということで、検査をせずに貨物を通していく。2回目、3回目、4回目も、書類審査で同じであれば通していく。そうした中で計画的に、今日は抜き打ちでモニタリング検査を行政がやるということで、チェックをしていく。

 結果として検査の数があると思っていますので、検査ありきということではないかと考えています。ただ、先ほど分科会長からもお話がありましたが、できるだけ予算なり、人なりというのは、十分な検査ができるように確保していく努力はしていきたいと思っています。

○依田課長 補足です。人事体制についても、当然私たちどもとしても充実させていくことが好ましいわけでして、平成27年度の組織の定員の関係は、検査官についても18人。まだまだ不十分なところはありますが、所要の人員増も図りながらやっておりますし、先生方に応援団になっていただいて、引き続き実務を進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○古野委員 モニタリングするときに、例えば特定の国からのものは徹底的にやるとか、そういう方針はあるのですか。それは国際上作らないですか。

○説明者(今川) 確かに中国産というのは話題になりやすいのですが、そうかといって中国が取り分け違反の率が高いということではない状況です。もちろん、中国の輸入が全輸入件数の3分の1ぐらいを占めていますので、輸入がそれだけ多いと、当然検査する数も多いし、そうすると違反になる数も一番多くなりますので、今一番違反が多いのは中国です。ただ、違反率にすると、全世界的な平均よりも中国はむしろ低いような傾向にありますので、中国が取り分け問題があるということには考えていません。

 ただ、中国と日本ではほかの国にはない取組も行っており、その1つに日中食品安全推進イニシアチブを結んでいます。この仕組みに基づいて、毎年度担当者レベルの会議を開催しますし、大臣級の会合も適宜開催するということになっていますので、そうしたほかの国にはない仕組みの中で、何か問題があれば日本からも申入れをするし、中国からも要請がくるという体制は取っていますので、そういった体制の中で中国との食品衛生の協議を引き続き行っていきたいと考えています。

○三木室長 補足させていただきますと、今川が申し上げたように、輸入時の検査というのはある程度限りがあるわけです。人的なもの、予算的なものも、どんどん充実はさせていくという考えではおりますが、輸入時の検査というのは1から100まで検査をするというのは無理ですので、ある程度輸出国の対策、現地で日本の食品衛生法に合うものを作っていただき、それを輸入していただくという方向に進まなければいけないのかなという考えでおります。輸出国との協議についても、今川から話をしましたような、中国との2国間協議であるとか、個別に協議をしておりますし、あとは現地に行って、日本の食品衛生法についていろいろと御説明をして、現地の人にも理解していただくというような取組を進めております。

 もう1つ、最初の部長の挨拶の中にもありましたが、HACCPという衛生管理手法を日本に定着させていくということを含めて、日本でそういうことをやっていれば、外国にも要求ができますので、衛生的なものを輸入するためには、まず国内も充実していくというようなことで現在進めている状況です。

○岸分科会長 そのほかによろしいですか。

 それでは報告事項(5)で、「食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について」の報告を受けたいと思います。お願いいたします。

○説明者(黒羽) 食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について御説明いたします。資料4の35ページ目からを御覧ください。前回、昨年1021日に開催された、本食品衛生分科会において審議、若しくは報告されたもののその後のパブリックコメントとWTO通報についての状況について報告するものです。

 この表にお示ししておりますが、残留農薬等の基準と、食品添加物の基準について、全部で28品目あり、農薬及び動物用医薬品については25品目、食品添加物については3品目となっています。

 パブリックコメントの状況については、真ん中ほどの動物用医薬品のクロラムフェニコールが「パブリックコメントの対象外」と書いてありますが、こちらについてはこの当時の暫定基準値と同様に、新たな基準値も「不検出」という基準値であったことから、パブリックコメントの対象外となっているものです。

 また36ページの一番最後のアスパラギナーゼは前々回の昨年6月4日に行われた分科会後のパブリックコメントにおいて試薬試液中のアスパラギナーゼの名称とアスパラギナーゼの定義について御意見があったことから、6月4日に報告した規格基準を修正し、1021日の分科会で報告させていただいたものです。

 パブリックコメントを行った品目については、36ページ目の下から3つ目の2, -ジエチルピラジン以外の製剤について、御意見がございました。特に、35ページ目の9番目のものですが、動物用医薬品のアプラマイシンについては、パブリックコメントにおいて、基準値案に用いたブタへの休薬期間より実際はもっと短い国があるという御意見を頂いたところから確認し、実際に短い吸薬期間があるということを確認し、基準値案の修正をしています。そのため、再度1月20日に開催された農薬・動物用医薬品部会で御審議を頂いております。今後、本分科会で修正された基準値案について、御報告を行う予定です。

 それ以外のパブリックコメントの御意見については、基準値の緩和に対し反対という御意見とか、国際基準値に合わせることについて反対という御意見等を頂いていますが、毒性に関する科学的な問題や基準値案の見直しが必要なものということは、特にございませんでした。

 また、WTO通報については、1枚目の上から5番目と6番目のプロピザミドと、プロピコナゾールについて、御意見を頂いたところですが、その御意見を頂いた国の基準値を追加するようにという御要望でしたが、科学的なデータの御提出はなされておりませんでした。このため、アプラマイシン以外については、基準値案の変更なしとさせていただいております。御報告は以上です。

○岸分科会長 委員の皆様から、御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。これで用意した議題は終了いたしました。事務局から何か連絡事項はございますか。

○岩崎補佐 次回の分科会の開催につきましては、後日また御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○岸分科会長 それでは、少々時間より早いのですが、今日は審議事項がございませんでしたが、報告事項のところで先ほどの農薬の幼小児のTMDIの件、ARfD添加物はどうだとか、BSEの規制のことについて、それぞれの部会長から説明や御質問を頂き、部会に出ていないものもよく分かって、よかったかと思います。次回以降も報告事項のところで、できるだけ部会長の先生方に御説明いただければ有り難いと感じた次第です。

 今日の議題はこれで終わりましたので、閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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