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2015年1月26日 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第33回) 議事録

○日時

平成27年1月26日(月)13:58~16:18


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)


○出席者

永井部会長、斎藤委員、祖父江委員、花井委員、福井委員、藤川委員、本田委員、三好委員

○議事

(以下、議事録)

 

○永井部会長

 時間よりも少し早いですが、皆さんお揃いですので、ただいまから第33回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を開催いたします。委員の皆様方には、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、内山部会長代理が欠席とのことです。最初に、事務局から本日の議事についての説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 説明の前に1点報告です。先般持ち回りにより御審議いただきました国立高度専門医療研究センター6法人の組織・業務全般の見直し案については、参考資料4のとおり、皆様の御意見を踏まえ、厚生労働大臣が114日に決定し、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会に提出しております。委員の皆様方におかれましては、短時間での資料確認にもかかわらず、御意見等を賜り、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事について説明いたします。本日の議事ですが、お手元に配布しております議事次第のとおり、本年度が中期目標期間の最終年度に該当する国立高度専門医療研究センター6法人の「新中長期目標案について」及び、「役員報酬規程の改正について」です。参考資料1を御覧ください。1つ目の○のとおり、昨年6月に成立した改正独立行政法人通則法の施行に伴い、平成2741日より、国立高度専門医療研究センター6法人は、「研究開発の成果の最大化」を目的とし、研究開発を主要業務とする「国立研究開発法人」に分類されることになります。

 この国立研究開発法人の中長期目標については、2つ目の○にありますとおり、研究成果の最大化に関する事項を定めるとともに、参考資料3に添付しておりますが、昨年9月に総務大臣が決定した独立行政法人の目標の策定に関する指針に基づき策定することとされております。また、中長期目標の策定に当たっては、改正独立行政法人通則法第35条の43項及び第4項の規定に基づき、あらかじめ総務省に設置される独立行政法人評価制度委員会の意見を聴くとともに、当該意見聴取に先立っては、各府省に設置される研究開発に関する審議会の意見を聴かなければならないとされているところです。

 なお、本年度においては、改正独立行政法人通則法の施行前ではありますが、同法附則第2条の規定により、新中長期目標の策定に関して必要な手続などについては、改正後の規定の例により行うこととされております。ただ、現時点では各府省において研究開発に関する審議会が設置されておりませんので、独立行政法人評価委員会、即ち本部会が研究開発審議会に代わって意見聴取を担うこととなります。このため、本部会においては新中長期目標案について御意見を賜ることとし、本日は国立高度専門医療研究センター6法人の新中長期目標案について御審議いただくこととしております。

 具体的な流れですが、参考資料13ページ目に図を付けておりますので、こちらを見ていただくと分かりやすいかと思います。なお、本日御審議いただく新中長期目標を受けて、法人が作成することとなる新中長期計画については、改正独立行政法人通則法附則第2条の規定により策定された中長期目標に関して、同条第3項の規定により、改正法施行日、即ち平成2741日をもって、新しい中長期目標とみなされることから、改正法施行日に法人から認可申請がなされ、そのあと主務大臣が認可する流れになる予定です。

 続いて、国立研究開発法人の中長期目標について説明いたします。国立研究開発法人の中長期目標については、総務大臣が定める独立行政法人の目標の策定に関する指針に基づき策定することとなりますが、これまでの中期目標から幾つか変更点がありますので、ポイントを絞って説明いたします。参考資料2を御覧ください。今回の法改正に伴う変更点については、大きく分けて3つあります。1つ目は、目標期間の設定についてです。こちらは、これまで中期目標を3年以上5年以下の範囲で定めることとなっておりましたが、研究開発業務については、例えば大規模なプロジェクトの場合など、5年以上での目標設定や評価が適切な場合もあることから、国立研究開発法人については、5年以上7年以下の中長期の目標期間を設定する形に改正されております。

2つ目は、目標に定める事項、項目についてです。こちらは、参考資料2の裏面を見ていただいたほうが分かるかと思います。右側が改正前で、左側が改正後で、2と書かれている所です。これまでは、中期目標の期間、業務運営の効率化に関する事項、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項といった形で設定されておりましたが、左にありますとおり、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項に代わり、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項といった項目を設定する形になっております。なお、表面に戻りまして、中央の赤の矢印のとおり、当該事項については、研究開発の事務及び事業に係る目標といった目標を設定することとされております。

最後に、3つ目の○のポイントですが、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項において設定する研究開発の事務及び事業に係る目標についてです。こちらは、1、2と書かれているとおり、2つポイントがあります。1点目は、あらかじめ目標策定時に評価軸、いわゆる評価の視点を設定して、主務大臣が目標と合わせて法人に提示することになっている点です。「評価軸」とは、科学的・技術的観点、社会的・経済的観点、国際的観点等を踏まえて設定する、研究開発の事務及び事業に係る評価の視点であり、研究開発の事務及び事業の評価に当たっては、設定した評価軸を基本として定性的・定量的な観点から評価を実施することとされております。

 また2ですが、この評価軸に関連する指標等の設定に当たっては、「評価指標」、「モニタリング指標」の2つに区分して設定することとなっております。こちらは、目標等において設定される、例えば論文発表件数や論文被引用件数、特許出願件数などといった定量的な指標については、必ずしも研究開発業務のアウトカムに直結するとは限らず、場合によっては、法人がこれらの指標を上げること自体を目的としてしまい、近視眼的あるいは断片的な研究開発を助長してしまうおそれがある場合もあり得ることから、研究開発の事務及び事業については、指標等の設定に当たって評価・評定の基準とすべき指標として「評価指標」、正確な事実把握のための指標として「モニタリング指標」といった2つに区分して設定するとともに、評価軸において明示することとされております。具体的には、資料1-3で評価あるいはモニタリングという形で分けて表示しております。

 以上、1、2のポイントについては、総務大臣が定める独立行政法人の目標の策定に関する指針において示されるものですが、同指針においては、評価軸等の設定に当たっては、法人の意見を踏まえるとともに、研究開発審議会等の外部有識者の意見を踏まえて適切に設定することとされておりますので、今般、本部会において御意見を賜ることとしております。なお、評価軸や指標の記載例は、お手元の参考資料3の2から参考資料3の5に記載されておりますので、審議の際に御参照いただければと思います。

 また、本日の国立高度専門医療研究センター6法人の新中長期目標案に係る審議については、研究開発の事務及び事業に係る目標、それから研究開発以外の事務及び事業に係る目標、評価軸案と3つのパートに区分して説明させていただくとともに、御意見を賜ることとしております。

事務局からは以上です。

 

○永井部会長

 ただいま、事務局から国立研究開発法人の中長期目標の策定について説明がありましたが、委員の皆様から御意見、御質問等ありましたら、御発言をお願いいたします。

 

○本田委員

 言葉の意味合いを教えていただきたいのですが、参考資料2の裏側の中期目標において、これまでは国民に対して提供するサービス、その他うんぬんという事項の部分が変更になり、研究開発の成果の最大化うんぬんという項になっております。ここに、「研究開発の成果の最大化」という考え方が書いてはありますが、全体としての成果を上げるという意味はとても大事だと思うのですが、個々の研究開発法人とはいえ、病院等を持っていらっしゃるこちらの法人は、特に個々の方々への国民に対するサービスの視点は、ここには含まれているという考え方でよろしいのですか。

 

○政策評価官室長補佐

 そこは、第2号の「その他の業務」に含まれております。

 

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、議事に入ります。まず、国立高度専門医療研究センター6法人の新中長期目標案について、審議をお願いいたします。最初に、法人所管課から、研究開発の事務及び事業に係る目標について説明いただき、そのあとに質疑応答という流れで進めていきます。では、よろしくお願いいたします。

 

○医政局医療経営支援課長

 まず、ナショナルセンター、いわゆる国立高度専門医療研究センターについては、平成22年に独法化し、5年を経過したところです。当独法評価委員会NC部会においても、研究開発、医療の提供など、各ナショナルセンターでは一定の評価を頂いたところです。次期中長期目標の策定に当たっては、昨年夏の当委員会において御審議を頂きました見直し当初案について、その後総務省の政・独委での御審議を踏まえ、総務省から勧告の方向性が示されました。先生方からも貴重な御意見を頂きながら、先般見直し内容を策定したところです。

 事務局からも説明がありましたが、独法通則法の改正に伴い、ナショナルセンターは平成27年度より研究開発成果の最大化を目的として、国立研究開発法人に分類されます。国立研究開発法人においては、総務大臣から示された指針の内容を踏まえ、厚生労働大臣、国立研究開発法人の長の両者の適切な意思疎通のもとに、しっかり練り上げた中長期目標、中長期計画を策定することとされていることから、各ナショナルセンターの意見を踏まえつつ、中長期目標案を策定したところです。

 資料1-1は、左側に勧告の方向性を踏まえた見直し内容、右側にその反映状況を中長期目標案に記載しております。見直し内容の事項に沿って、事務及び事業の見直しが、110ページです。その次に、業務実施体制の見直し等が、1112ページ。最後に、財務内容の改善の3つに分類して説明いたします。なお、一番初めの事務及び事業の見直しについては、研究開発と研究開発以外に分けて説明いたします。資料1-2については、中長期目標()6ナショナルセンター横並びで記載したものですが、時間の都合上、資料1-1の概要にて、6ナショナルセンターに共通するところを中心に説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 初めに、中長期目標()の前文の2、法人の役割(ミッション)と書いてあります。簡単に説明いたしますと、ナショナルセンターはナショナルセンターが担う疾患に係る医療に関し、調査、研究及び技術の開発、医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、医療の向上を図り、公衆衛生の向上及び増進に寄与することとされております。また、独立行政法人通則法に基づき、国立研究開発法人として、研究開発の最大限の成果を確保することとされております。具体的には、1ページの下に下線が引いてあります。高度かつ専門的な新しい治療法や、その他の治療成績向上に資するための研究開発及び医療の提供等。2つ目は、難治性・希少性の疾患に関する研究開発及び医療の提供等。3点目は、学会等が作成する診療ガイドラインの作成・改訂に資するような研究開発。4点目は、中長期にわたって継続的に実施する必要のある疫学的なコホート研究です。最後に、これは国際医療研究センターのみが記載することになりますが、国際的視点に基づく保健医療サービスに関する研究及び密接に関連する国際保健医療協力の実施等に取り組むものとしております。

 次に、第2の研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項です。1番は、研究・開発に関する事項。(1)担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進です。ナショナルセンターが担う疾患について、症例集積性の向上、臨床研究及び治験手続の効率化、研究者・専門家の育成・確保、臨床研究及び治験の情報公開、治験に要するコスト・スピード・質の適正化に関して、より一層強化することとしております。また、ファースト・イン・ヒューマン試験をはじめとする治験・臨床研究体制を整備し、これまで以上に研究開発を推進することとしております。

 ※の所ですが、これは国際医療研究センターのみが記載することになります。国際保健の向上に寄与するため、病院、国際医療協力局、研究所の連携を基盤としながら、国内外の保健医療機関、研究機関、学会、民間等との共同研究の一層の推進を図ることとしております。

 各ナショナルセンターの重点化の具体的な内容は、見直しの内容と同じ内容を目標案としております。時間の関係上、全てを説明いたしませんが、主なものについて説明いたします。まず、国立がん研究センターですが、遺伝子の解析等による未来型医療を実現するための診断・治療法の研究開発。難治性がん、希少がんなどを中心とした新規治療法の研究開発。国立循環器病研究センターですが、より実用性の高い人工心臓、人工血管や急性心筋梗塞患者の救命治療における超小型補助循環システム等医療機器の研究開発。本態や発症機序が明確でない循環器疾患における医工学融合による疾患毎、患者毎に最適と考えられる新規治療法の研究開発。国立精神・神経医療研究センターですが、人工核酸医薬品等を用いたこれまで治療薬がなかった筋ジストロフィーの治療薬の研究開発。従来の作用機序とは異なる副作用が少なく、かつ成績良好な多発性硬化症の治療薬の研究開発です。

 国立国際医療研究センターですが、新興・再興感染症や顧みられない熱帯病といった国際的な感染症に対する革新的な診断・治療法の研究開発。エイズ、肝炎、糖尿病・代謝性疾患及び免疫疾患に対する新たな医薬品や診断・治療法の研究開発です。

 国立成育医療研究センターです。免疫不全症の遺伝子治療に関する研究開発。先天性代謝異常症に対する再生医療の研究開発です。

 最後に、国立長寿医療研究センターです。認知症の先制治療薬、早期診断技術の開発や予防。これは、コグニサイズの発展・改良などですが、その方法の確立等の研究開発。フレイル・ロコモなどの老年病に関する診断・予防についての研究開発です。これは、全て説明はしておりませんが、以上説明した事項を取り組むなどして、医療推進に大きく貢献する研究成果を、中長期目標期間中に12件以上あげることとしております。また、原著論文数については、第二期中長期計画等に適切な数値目標を設定することとしております。

6ページです。(2)の実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備に記載している内容です。医療分野研究開発推進計画に基づき、臨床研究及び治験を進めるため、症例の集約化を図るとともに、今後もこれらの資源を有効に活用しつつ、臨床研究の質の向上、研究者・専門家の育成・人材確保等、更なる機能の向上を図り、基礎研究成果を実用化につなぐ体制を構築することとしております。

 具体的には、センター内や産官学の連携の強化、治験・臨床研究の推進、ゲノム医療の実現化に向けた基盤整備を行い、特にナショナルセンター・バイオバンクネットワークを最大限活用し、ナショナルセンターが担う疾患に関する難治性・希少性疾患の原因解明や創薬に資する治験・臨床研究を推進するために、良質なバイオリソースを収集・保存するバイオバンクの体制に、より一層の充実を図ることとしております。

 また、運営費交付金を財源とした研究開発と同様に、競争的研究資金を財源とする研究開発においても、センターの取り組むべき研究課題として、適切なものを実施する仕組みを構築することとしております。研究開発に関する内容については、以上です。

 

○永井部会長

 ただいま御説明いただきました研究開発の事務及び事業に係る目標について、御意見、御質問等ありましたら、御発言をお願いいたします。最初に私から、見直し内容というのは、第一期の目標に対して見直しをする重点項目という理解でよろしいでしょうか。それを織り込んだのが、右側の中長期目標()という位置付けですか。

 

○医政局医療経営支援課長

 第一期の中期目標を踏まえて、見直し内容が出されました。それを踏まえ、今回の第二期という形になります。

 

○斎藤委員 

 研究開発になりますと、どうしても長期の投資が必要になり、なかなかその成果が数字として表れないのではないかと思います。それでいて、収支は黒字になるようにという要求は、非常に厳しい目標なのかなという気がいたします。研究開発に力を入れるということで、予算が多く付くとか、何かそういうような支援策は裏に付いてくるのでしょうか。

 

○医政局医療経営支援課長

 非常にお答えづらい御質問です。確かに、毎年毎年運営費交付金という形で財務当局から厳しい査定を受けているのが現状です。ただ、私どもの第一期中期計画中のことを踏まえ、特に研究所の経費等については、削減できるのも限界のレベルにきていると考えております。そのため、平成27年度の予算要求は既に今度国会審議がなされますので、これは決まってしまいますが、平成28年度以降については、もう少し予算要求を工夫したいと。その中で、確かに病院部門については、恐らく財務当局からはそれなりに収支相償という形にしろと言われると思います。全く稼ぎのない所、いわゆる研究所部門や国際医療研究センターの国際協力局については、できるだけ財政を財務当局から工夫して取れるように努力したいと考えております。

 

○花井委員

 お金の話が出てしまったので、ついでというと申し訳ないのですが、第一期中期計画のときに予想より運営費交付金が下がったという事情があり、中期は長期で目標を決めます。そうすると、もちろん単年度予算主義というのはよく分かっているのですが、その間にかなり当てが外れたということになると、計画自体は厳しくなるけれども評価はされるというところが、第一期ではあったと思います。今回も明言はできないと思うのですが、病院を持っていますから、医業収入についてはそれぞれの努力と経営の効率化の部分で自己努力があると思います。ある種、今の研究について計画を立てるのに、最初はこのぐらいの水準で考えたのにどんどん下がってしまえば困ると。この辺りは、一期目の反省を踏まえというか、二期目はその辺りの手当は考えているのですか。例えば、予算獲得を努力するのは前提なのかもしれませんが、国全体の財源の問題なので、起きたときにそれでもやることをやりなさいというのは酷なことになろうかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○医政局医療経営支援課長

 今、花井先生からの御指摘で、私どもも辛いところですが、基本的には、例えば7年間なら7年間の事業計画を策定し、今後中長期計画を財務省に説明することになります。これは、第一期中期計画や、ほかの独法と同じような形になるのではないかと思いますが、恐らく予算は毎年度毎年度勝負だということで、先ほど申し上げたとおり、何とか工夫をしながらやっていかざるを得ないのかなというのが現状です。

 

○花井委員

 財務省と厚生労働省の関係がどういう関係かは分かりませんが、通則法が改正され、こういう仕組みでやるというのは国で決めたことなので、例えば5年、7年というところで国の長期計画はきちんとしてもらわなければ困るということは、釘をさしていただけたらと思います。

 

○医政局医療経営支援課長

 ありがとうございます。

 

○祖父江委員

 今と同じラインの話なのですが、結局お題目というか旗印がずっと並んでいるのですが、それを実行するためのインフラをどうするのだと。今、触れられましたが、例えば病院と研究所のセグメントが分かれていますよね。それを、どのようにお金を使っていくのかとか、人材について、研究オンリーで病院とは関係ない所の手当をどうするのか。更には、外部資金の話はまた出てきますが、本当の研究オリエンテッドに投資する予定があるのかなど、先程来の疑問と同じなのですが、そういうものとセットになって研究オリエンテッドという方向が出てくるのが、本来の姿だと思うのですね。そこがうたっていなくて、これを目標とすると、目標ばかりがずっと並んでいますので、ではこれを実現する手立てはどうしたらいいかという議論がどこかで必要ではないかという気がいたします。その辺りは同じラインですので、答えも同じだと思いますが。

 

○医政局医療経営支援課長

 答えが同じくなってしまいますが、そこのところもよく考えながら私どもも努力をしていかなければいけないと思います。

 

○福井委員

 私は内容のことで、こういうテーマがあるということを決め打ち的に書かれておりますが、私自身はかなり短い期間でテーマ自体が変わっていくと。恐らく、国立国際医療研究センターは、非常にアンテナを鋭敏に尖らせておいて、世界あるいは日本の中で新たな問題がどういうところにあって、それについてこのように研究なり医療なりを動かしていく必要があると。テーマ自体についてのフレキシビリティーというか、そういう役割がそれぞれの分野、それぞれのセンターにもあると思うのですが、何となくそのような視点もあっていいのではないかと思います。それぞれのテーマばかりバーッと羅列しておくと、それから外れるとやりにくいのではないかなという感じもいたしました。

 

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。研究開発とこれに関わる医療の提供とあるのですが、人材の育成はミッションに含まれますか。いかがでしょうか。

 

○医政局医療経営支援課長

 すみません。研究開発以外の所で、また説明いたします。

 

○永井部会長

7ページですね。

 

○祖父江委員

 今の御意見は、研究テーマの継続性の点ですが、私も同感です。どういうことかといいますと、今のAMEDもそうなのですが、最初に目標を掲げて、そこから外れるといけないというような圧力がかかってきます。プロジェクト型は、今そうなっているのですね。それは、研究を進める上で非常にやりにくい形だと思います。やはり、新しいアイディアを盛り込んで研究をどんどん発展させていくことになると、最初の骨子のどこまでをプロトタイプとして提案していくのかというやり方はあると思うのですが、箸の上げ下げまでチェックが入り、研究のラインから外れているじゃないかという話になると、これは本末転倒になると思います。運用の仕方をどうするか、あとの評価の問題だと思います。そこは、きちんと議論する必要があると思いますが。

 

○藤川委員

 全般的な話としては、金はやらないし、課題は勝手に決めてそれをやれと言われて、大変お気の毒としか言いようがないような内容とも思えます。それを今言っても、恐らく担当の方は、努力しますということをおっしゃるしか方法がないことを前提に、この目標案に対して発言するのであれば、先ほど他の先生もおっしゃっていたように、今まで5年であったものを少し延ばすと、7年までの中で6年ぐらいになるのではないかとお聞きしていますが、長くなれば長くなるほど、そのテーマが固定されるということが非常に国にとっても損失のような気がいたしますので、変えることができる仕組みといいますか、変えることを恐れないで済むような仕組みを何とか工夫してつくっておくべきだなというような気はいたします。

 あとは、この話とは違う矮小化された話で申し訳ありませんが、6ページ目のバイオバンクの所の表現なのですが、左の見直しで政・独委が言ってきている外部との関係として、外部からも収集し、また外部へ提供できるようにという、外部との関係で双方向を求めてきているように取れます。中長期目標で掲げているものには、余りそのような感じにまとめ上げたものが読めないのですね。これは、恐らく国としてはなるべく広くやったほうがいいのではないかという視点かなとは思いますので、収集・保存とは書いてあるのですが、外に出すというようなところは余り読み込めなかったので、それは少しあってもよろしいのかなと。少し次元が違う話ですが、そのように思いました。

 

○医政局医療経営支援課長

 先ほどの祖父江先生と藤川先生の初めの御質問なのですが、中長期計画を途中で変更ができることになっておりますので、これは制度上そのような形になっております。先ほど申し上げられたとおり、何か特別なものが出てきたとか、その時々に出てきたものについては、変更が可能かと考えております。

 

○藤川委員

 制度上は可能だとは思うのですが、それはなかなか難しいというようなことがないように、変わるのが当たり前だというほうが、むしろなかなか政・独委はそう思っていただけないかもしれないのですが、私はそのように思いますので、そういうことを恐れない仕組みにしてほしいなと思いました。

 

○医政局医療経営支援課長

 はい、分かりました。

 

○永井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

 

○花井委員

 先ほど、成果主義的になりすぎているという話で、具体的には評価の話と関係してしまっており、結局定量的・定性的という話が出ているようですが、こういう項目が出るとこれは定量的にやらざるを得なくなって、どのぐらいできましたか、マルペケみたいな感じになりますよね。そうなると、やはり中長期的には少し萎縮した感じに。結局、それぞれのナショナルセンターが持つ成り立ちや全体の評価を定性的にすると、やはりそこはもう少し大きく読めるものがあっていいのではないかと。そもそも、総務省がここまで細かく決めるのだったら、ここで何をやるのだと。気を悪くするぐらい成果でこれをやりなさいみたいに言っています。そもそも、もう少しナショナルセンターというのは、国全体のナショナルセンターとして大きな役割を担ってきていますし、これからもそうだと思うのですよね。その中で、これと、これと、これと、これをきちんとやれば、きちんと評価しますよと言われているような、若干不愉快というか、手足を縛ったことを上から批判するわけではないですが、ここではもう少しナショナルセンターの特質を掲げて、そこを定性的評価として落とすようにすると、評価するほうもしやすくなるのではないかと思いますので、御検討いただけますか。評価との関係になってくると思うのですが。例えば、今まで評価に時間がかかっていたと思うのですが、何日も評価に時間をかけるのなら、1日ぐらい出かけて行って、そこで見るとかでいいと思うのですが、センター自体がきちんといい方向に行っているかを評価するのも大事だと思うのですよね。そこを、少しうまく入れていただけたらと思います。

 

○医政局医療経営支援課長

 検討したいと思います。

 

○祖父江委員

 細かい文言的な所に入るのかもしれません。コンセプトが裏にあるので、少し申し上げておきたいなと思いました。コホート研究というのが1つの柱になっていますよね。これが書きぶりとしては、疫学的なコホート研究と書いてあるのです。コホート研究というのは、何を目的にするのかという、多分多目的なコホート研究という意味がここに入っていると思います。介入研究のベースにするとか、創薬に結び付ける、それから予防に結び付けるとか、病態研究のベースをつくるなど、いろいろな意味のコホートがあり得ると思うのです。単に、疫学的なコホートをやるということだけでは、非常に矮小的な感じがします。では、ナショナルセンターというのはどういうコホートをやって、どれぐらいの規模で何を目指すのかを少しきちんとした形で盛り込む必要があるのではないかと思います。

 ほかでは、恐らく全国スケールのきちんとしたコホートをやるのは、私はナショナルセンターだと思いますので、今後非常に重要になるという感じがします。

 

○医政局医療経営支援課長

 センターとも少し相談をして、書きぶりを考えたいと思います。

 

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そういたしますと、ただいまの研究開発の事務及び事業に係る目標については、御意見を後ほど取りまとめることとし、次の研究開発以外の事務及び業務に係る目標の議論に移ります。先ほど同様に、まず所管課から御説明を頂き、そのあとに質疑応答をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○医政局医療経営支援課長

 研究開発以外の事項の目標について御説明いたします。概要のペーパーの6ページの下段です。

 まず、2.医療の提供に関する事項ということで、(1)医療政策の一環として、センターで実施すべき高度かつ専門的な医療、標準化に資する医療の提供です。これについては、国内外の研究施設及び研究部門と密接な連携を図り、その研究成果を活用し、高度かつ専門的な医療の提供を引き続き推進することとしております。また、各病院の医療の質や機能の向上を図る観点から、ナショナルセンターとして提供することを求められている臨床評価指標を策定し、医療の質の評価を実施して情報の発信をすることとしております。

7ページです。(2)の患者の視点に立った良質かつ安心できる医療の提供ということです。医療の高度化・複雑化が進む中で、各医療従事者が高い専門性を発揮しつつ、患者の状態に応じた適切な医療を提供するなど、医師及びその他の医療従事者等によるチーム医療を推進し、質の高い医療の提供を行うこととしております。「研究開発成果の最大化」と、「適正・効果的かつ効率的な業務運営」との両立の実現に資するよう、病院ごとの手術件数・病床利用率・平均在院日数・入院実患者数等について第二期中長期計画等に適切な数値目標を設定することとしております。

7ページの中段の3.人材育成に関する事項です。1つ目の○の「リーダーとして活躍できる人材の育成」ということで、ナショナルセンターが国内外の有為な人材の育成拠点となるよう、各ナショナルセンターが担う疾患に対する医療及び研究を推進するに当たり、リーダーの人材の育成を継続して実施することとしております。

8ページの「モデル的研修・講習の実施」です。高度かつ専門的な医療技術に関する以下の研修を実施するなど、モデル的な研修及び講習を実施し、普及に努めることとしております。具体的には、まず、国立がん研究センターにおいては、内視鏡による低侵襲がん治療等の研修、国立循環器病研究センターにおいては、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するバルーン肺動脈形成術等の研修、国立精神・神経医療研究センターにおいては、うつ病、統合失調症やパーキンソン病に対する治療法の研修、国立国際医療研究センターにおいては、エボラ出血熱やエイズ等の国際的な感染症に対する治療法等の研修、国立成育医療研究センターにおいては、未熟児網膜症早期手術等の研修、国立長寿医療研究センターにおいては、FDGを用いた、このFDGというのはPET検査に必要な薬剤で、蛍光検査薬と聞いておりますが、これを用いたポジトロン断層撮影によるアルツハイマー病診断法等の研修等になります。なお、研修等については第二期中長期計画等に適切な数値目標を設定することとしております。

 また、9ページですが、長寿医療研究センターにおいては個別に見直し内容があることから、別途、専門修練医用の研修プログラムの作成など、専門修練医制度を整備することとしております。

4.医療政策の推進に関する事項の(2)医療の均てん化並びに情報の収集及び発信に関する事項です。まず、6法人共通ですが、診療ガイドラインの作成に更に関与するとともに、ホームページを活用すること等により普及に努める。また、疾患に関する知識、知見を収集、整理及び評価し、科学的根拠に基づく診断及び治療法等について、国民向け及び医療機関向けの情報提供の充実を図ることとしております。

 個別のところですが、国立がん研究センターにおいては、「全国がん登録データベース」の運用と、院内がん登録情報等の収集を確実に実施するということ。また、第二期中長期目標期間中に、国のがん対策の企画立案又は実施に必要な最新の5年の生存率などのデータを整理して、医療の均てん化等を促進することとしております。

10ページです。これは、がん研究センターを除く5法人共通のものです。関係学会とも連絡しつつ、センターが担う疾患に係る中核的な医療機関間のネットワーク化を推進し、高度かつ専門的な医療の普及を図り、医療の標準化に努めることとしております。

4.医療政策の推進等に関する事項の(1)国への政策提言に関する事項に記載している内容です。研究医療の均てん化等に取り組む中で明らかになった課題などを、科学的根拠に基づき、科学的見地から国への専門的提言を行うこととしております。

11ページです。第3の業務運営の効率化に関する事項の1.効率的な業務運営に関する事項の(1)効率的な業務運営体制です。ナショナルセンター等の間において、事務用消耗品をはじめとして、医療機器などの共同調達等を進めることとしております。医薬品や医療機器の実用化に向けた出口戦略機能の強化や、新たな視点や発想に基づく研究等の推進のため、他の施設との人事交流をこれまで以上に推進することとしております。また、ナショナルセンター間及びナショナルセンターと国立病院機構間における看護師等の人事交流を更に進めることとしております。また、特に医療安全においては、ナショナルセンター間における医療安全相互チェックを行うこと。全職員を対象とした医療安全や感染対策のための研修会を年2回以上開催し、受講状況を確認すること。医療安全委員会を月1回以上開催することなど、医療事故防止、感染管理及び医療機器等の安全管理に努めることとしております。

12ページです。その他の業務運営に関する事項の4.その他の事項(施設・設備整備、人事の適正化に関する事項を含む)(2)人事の最適化に関する事項です。人事の最適化には、法人と大学等との間でのクロスアポイントメント制度を導入することとしております。

 少し戻りますが、1.法令遵守等内部統制の適切な構築です。研究不正など、不適切な事案に適切に対応するため、組織として研究不正等を事前に防止する取組を強化するとともに、管理責任を明確化するなど、コンプライアンス体制を強化することとしております。また、研究開発等に係る物品及び役務の調達に関する契約に係る仕組みの改善を踏まえ、一般競争入札を原則としつつも、研究開発業務を考慮し、随意契約によることができる事由を規程等において明確化し、公正性、透明性を確保しつつ、合理的な調達に努めることとしております。

13ページです。第4の財務内容の改善に関する事項です。1.自己収入の増加に関する事項ですが、治験・臨床研究体制を強化して、日本医療研究開発機構等からの競争的資金や企業治験等の外部資金の獲得を更に進めることとしております。2.資産及び負債の管理に関する事項です。これについては、法人における繰越欠損金の発生要因等の分析を踏まえ、可能な限り早期に繰越欠損金が解消されるよう、具体的な繰越欠損金解消計画を作成することとしております。以上です。

 

○永井部会長

 それでは、ただいまの御説明について御質問等をお願いいたします。

 

○斎藤委員

 今、医療費がこれだけ上がっているときに、予防医学というものが大変重要だと思うのですが、今御説明いただいた中では予防医学に関して余り強調されていなかったように思います。循環の「かるしお」や、長寿のコグニサイズなどの取組は、予防医学として大変重要で、しかも、国民に分かりやすい努力をしていらっしゃる。しかし高度な医療という取り方をされていない気がするのです。日本の医療政策において予防医学は大変重要なところだと思いますので、そこをもう少しどこかで強調していただけないかという気がいたしました。

 

○医政局医療経営支援課長

 ありがとうございます。申し訳ありませんが、この概要には予防のことは余り記載しておりませんでした。実際的には、細かくなりますが、資料1-28ページに、2という所がありまして、戦略的な研究・開発のところに、各センターでも、がんの予防法や生活習慣病の予防法の開発に取り組むというのは文言としては入れているような状況です。8ページの2の、がんであれば2行目、循環器であれば6行目に、予防が全て入り込んでいる形に作っております。

 

○福井委員

 それに関してですが、それぞれのセンターに予防という分野があるというのは分かりますが、それを全部まとめるということは国としては難しいのですか。予防という切り口で、やはり、みんなの目に見える形で、そこからいろいろな、国民全体に対する行動変容を求めるような何か発信基地として、もっと目に見える形にしたほうが、それぞれの6つのセンターに分散して予防が部分的に組み込まれているよりも、随分インパクトが違うのではないかと個人的には思っています。

 

○医政局医療経営支援課長

 今月、各ナショナルセンターと私ども厚生労働省の中の関係課との意見交換といったものを、今後、総会、若しくはワーキンググループを作ってやることにしております。ですから、予防をどこの部局でやるかというのは少しありますが、そういう中で全体をまとめてやっていく方法もあるのではないかと、私のほうでは考えております。

 

○福井委員

 極端ですが、WHO関係の会議に出たときも、医療者の最終目的は誰も病院に来ないようにすることだというぐらいに、予防というものが費用効果的にもものすごく良いということも含めて、もっともっと投資をするべきだし、国を挙げてやる方向に、是非動かしてもらえればと思います。

 

○永井部会長

 恐らくそれは、予防に限らず、6ナショナルセンターの共通項目というようなものがあるのだと思うのです。今の目標では、それぞれの目標になっていて、それは予防であれ、例えばゲノム研究であれ、あるいは、これからのビッグデータへの対応など、何か共通の行動目標やインフラというものがあってもいいのではないかと思うのです。その点について何かお考えはおありでしょうか。

 

○医政局医療経営支援課長

 現状で申し上げれば、法人が全部個別になっているので、もし全体で何かをやっていくということになれば、私どもの医療経営支援課のほうでいろいろアイデアを出していかなければいけないのではないかと思っております。

 

○永井部会長

 むしろナショナルセンターの先生方はその辺りをどうお考えになっていらっしゃるかですね。それぞれでやるのはなかなかしんどいのではないかと思いますが。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 おっしゃるとおりで、まず、予防医学というか、医学かどうかは別として、やはり基本的には病気を治している間はいつになっても患者の数は減らないということだろうと思います。ですから、いかに、今、どこの国でもどんどん医療費がGDPの中に占める割合が多くなっていって、それをどうするかというと、やはり福井先生がおっしゃったように、病院に来ないようにする。これが我々のミッションでもあると思います。ですから、そういう意味で、予防医学というか、先制医療というか、そういうものに対してナショナルセンターはどこもこれから力を入れていきたいと思っていて、ビッグデータの話もそうですし、いろいろなところでナショナルセンターの総長が定例と、必要があれば随時集まって議論をする会をやっております。その中で、では具体的にこれをやりましょうというのは、今の段階ではまだできていません。

 ただ、こういうことをアピールしていきましょう、こういうことを同じ方向で目指してやっていきましょうということは出てきていますし、バイオバンクも6つ一緒に集まってやるというところに来ています。予防という視点でナショナルセンターがまとまるというのは、かなりコンセンサスはもうできていると私は思います。具体的にどういう形で、どういうプロセスでやっていこうかというところまではまだ煮詰っておりませんが、そういう方向でいくという意識は6ナショナルセンターの中ではディスカッションしておりますし、そうできていると思います。

 こういう目標には書いておりませんが、我々はそういう方向に行かなければ、我々の存在意義がないというぐらいに思っておりますので、そういう方向で、是非頑張りたいと思います。

 

○花井委員

 今の件と非常に関係あるのですが、資料1-11ページの右側の前文にある、「国の医療政策として、NCが担う疾患に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り」これを受けて、「もって公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」と書いてあるのです。これを各ナショナルセンターで見ると、大体横並びに写し取られていて、唯一、精神だけが「専門的な医療並びに精神保健の向上を図り」という言葉が挟まれているだけです。ただ、高度かつ専門的な医療の向上を図ることだけを特化してここに書いてあって、それを受けて、「公衆衛生の向上」と結ぶのであれば、今の観点がここに書かれておくほうがいいような気がします。

 更に具体的なのですが、資料1-110ページの右下に、これは新しい項目だと思うのですが、「科学的根拠に基づき、かつ、患者を含めた国民の視点に立ったものにするため、科学的見地から国への専門的提言を行うこと」を今度は求められていますよね。これは6年に1回だけ提言するのか、毎年提言するのかよく分かりませんが、ここについても、「我が国の医療政策展開等のうち、特に研究開発に係る分野について」というのは、もちろん研究開発保持なので研究開発を強調するのはそうなのですが、例えばこの提言の中に、今言われたようなことを当然に盛り込めば、その提言書を横串に刺せば、1つのナショナルセンターとしての予防提言というものになると思うのです。そうすると、10ページの右下のテキストにも、余りにも研究開発に関する専門的提言だけを何か定期的に取りまとめるという意図もちょっと分かりにくいのですが、しかしながら、これは新しい試みなので、今言った論点をここに盛り込むというのも考え方としてはあると思うのですが、いかがでしょうか。

 

○医政局医療経営支援課長

 ナショナルセンターとも相談の上、書きぶりなどは工夫したいと思います。

 

○祖父江委員

 今の質問と少し異なるのですが、今のことに関して言えば、これはずっと議論があると思うのですが、ナショナルセンターをNIHのように1つにして全体をガバニングしていくという考え方と、今のように6つに分けてやっていくという考え方は、在り方委員会などでずっと議論がありましたよね。ですが、私自身は、やはり疾病構造に非常にバラエティーがあるので、それぞれの疾患オリエンテッドにやってもらいたいということで、6つでやったらどうかという意見に賛成したのです。横糸的にやって、国として、ミッションとして旗を揚げるというやり方はやれると思うのです。ですから、そういうところはどこがあるのかということをもう少し考えていただくといいのではないかとは思います。それが1つです。

 私の質問は、附属病院の在り方が、確かずっと前から議論があって、今の手術件数、病床利用率、稼動率、在院日数、入院患者数というので縛っていくというやり方は、どちらかというと、ここでもうけてお金を生み出しなさいとも少し取れるのですが、研究オリエテッドにせよということであると、この病院の在り方自体をもう少し深めた議論をやっていく必要があるのではないかと思います。せっかくこういう疾患オリエンテッドにナショナルセンターが出来ていますので、そこでやる研究にアジャストする病院の在り方というのは、もちろん一部にはクリニカルトライアル的な病床、病棟を持っている所も出てきているのですが、その病院の性格、位置付けというものをもう少し議論を深めたらどうかというのが1つです。

 それから、もちろん地域に根差した病院というのもあり得ると思うのです。そこから出てきた地域医療システムを全国発信していくというベースになるという点では、それはあり得るとは思うのですが、やはりナショナルセンターとして、では病院はどうあるかというところで、確かほかの何の資料だったか忘れてしまったのですが、地域オリエンテッドのニュアンスが非常に強い場合は、何か別の法人にその病院を移し替えなさいという提言がどこかにあったように思いますので、その辺りも踏まえて議論をもう少し深める必要があるのではないかと思います。

 

○医政局医療経営支援課長

 この見直し内容については、先ほど言った法人全体の制度の在り方や、今、先生が言われた地域医療の文言は除いてあります。というのは、どちらかと言えば厚生労働省の案件であり、直接、中長期目標とは関連していないことから、今回は載せないことにしております。ですから、当然、総務省のほうからもそういうお話もあるので、どのタイミングでどういうふうに皆さんの御意見を聞きながら考えていくのかということになると思いますので、またその時点では、いろいろ御意見を頂ければと思います。

 

○本田委員

2点あります。今の部分で、私も気になっていたのですが、研究に基づく法人ですので、病院の在り方というのが、患者、国民にもよく分からなくて、どの時点でここで診てもらえるのかと患者は思ってしまうのです。やはり、役割というものをもう少し深めていただいて、国民に発信していく。それで、この法人はこういう目的のためにやっているのだというのを、それ以外は排除するというわけにはいかないとは思うのですが、その辺りをもう少し分かるようにしていただかないと混乱するなというのを常々感じています。

 病院ごとの手術件数や病床利用率なども数値目標を設定して出していくというのも、一体どういう手術なのか、「どこでもできる手術をやるわけじゃないよね」とか、その辺りが全くよく分からないので、そういうことも御検討いただいて、もう少し分かるように書いて、また、そういうことを目標に設定していっていただきたいというのが1つあります。

 もう1つは、先ほど、医療政策などを横串で考えるなどということが議論に上がっていたと思うのですが、特に、これまでの第一期のときの評価でいろいろ読ませていただいたときに、医療政策、医療提言という部分で、よく、委員会に出て何々を発言したというのが常に入っていて、それは提言なのだろうかということを常に思っています。やはりナショナルセンターとして、国や政策的な医療に対して、科学的な面だけではなくて、医療体制というものや、研究体制もそうですが、そういうものについてきっちりデータをもって提言していただくということ。今回こういうふうに書いてありますが、そういうことをしっかりやっていただきたいと感じています。

 具体的に、がんセンターはいろいろな経緯から、がん対策情報センターという部署を持っていて、そこで様々なデータ収集、分析、患者さんとの意見交換などを踏まえて、がん対策協議会で、在り方やいろいろなデータを提示して、政策提言というのか、きちんとエビデンスを出して、という議論を既に始めていると思いますが、ほかのセンターにはそういう、がん対策情報センターのような舞台がないというのが、私はとても残念で、国としても、やはりこれを求めていくのであれば、そういうものをきっちり作れるようなことを支援していくということを考えていただけないかと感じています。また、それぞれのセンターでもそういうことが大事だということであれば、それこそ横串で同じようにデータが使えるようにするとか、何かしら検討いただいて、それが先ほどおっしゃったようなナショナルセンターとしての、何というのか、国への発信や国民への発信にもつながっていくと思いますし、幅や奥が広がっていくと思いますので、そういうことも検討の中に入れていただければいいと感じています。

 

○国立長寿医療研究センター理事長

 少し補足させていただきますと、国立長寿医療研究センターは、在宅医療と認知症について、この5年間で2件、正式な政策提言をしております。そして、そのバックグラウンドは、がんのような中のものではなくて、国民の中の高齢者の認知症や在宅医療に関係する団体を束ねる組織を作って、意見交換をしながら、その内外のエビデンスのデータと合わせて、数字的なものも含めて、2件の提言をしております。ですから、医療の内容によって、各センターが内部の局でやられたほうが効率的なところもありますし、より国民の幅広い組織の御意見を聞きながらエビデンスをいかした政策提言に結び付けるような在り方もあると考えています。いずれにしても、がんだけではありませんのでよろしくお願いいたします。

 

○本田委員

 よく分かりました。ただ、そういうことが、一括して見えるような形があるほうが分かりやすいなということで、連携をお願いしたいということです。

 

○三好委員

 意見なのですが、2点あります。1点は、今、横串の話が出ましたが、横串を作る限りは、横串に計画して、マネージメントして、戦略を立てるという機能が要るはずなのです。今、それがない状態でその話をしてしまうと、これはまた組織論とか振出しに戻るような気がします。そこは本当に大事なところなので、どういうふうに考えられているかということなのです。だとすると、横串をマネージメントするオーガナイゼーションがない状態で、この計画はどういう位置付けにするのか分かりにくい。その横串のところは、各センター協力して何か作ってくださいと言うのなら、これをまとめた計画を策定する部門が要るはずだから、ちょっと中途半端になります。今回、新たに国の研究開発機関として位置付けられたわけですが、組織の現状を踏まえると、それを束ねて方針を出す所がどこなのか、単に各センターにお願いして、どこかのリーダー的センターが音頭を取ってやっていくのか、それが1つです。

2つ目は、この中長期目標についてです。通常、中長期的な目標はビジネスや企業だと、ミッションがあるのですが、これまでの目標を踏まえて、達成した、しなかった、だから次のゴールはこうしましょうというプロセスが出てくるのです。そこは、どうしても組織が国の機関なのでなかなか見えにくいところがあるのですが、落ちているような気がするのです。だから、この目標を見ていて、各センターは多分、これに基づいて各中長期計画を作られると思うのですが、そのゴールがよく見えないのです。文章では最初の所には書いてあるのですが、どういうレベルなのか。もちろん日本のリーダー的ナショナルセンターとして機能するのですが、では国際的にはどうなのか、こういうレベルを目指します、というところがはっきり書いていないと、その先になかなか展開しにくい。そこがはっきりすると、今度は、これを目指すからこの程度の資源が要る、それを踏まえて各センターは国の分と、自らで稼ぐ外部資金とを合わせてこういうことができると、決めることができます。よって、それを目指すというところがはっきりしてくるのではないかと思うのです。

 業務運営の効率化でも、いきなり、共同調達を進めましょうと、何かいきなり小さいところから入っているような気がするのです。人材育成も同様です。私が思うのは、日本のナショナルセンターだから、それは日本のリーダーであるのは当然なのですが、例えば、世界とは言わないまでも、やはりアジアのリーダーであるべきです。そういう視点を考えると、どういう人材があって、どういう交流があってなどというところが出てくるのではないかと思います。私も海外へ行っていろいろな医薬品の関係の団体と話していると、アジアには個々人で優秀な人はいるのですが、全体としてはまだまだのレベルであるため、やはりそこは本来、日本がリーダー的役割を担うべきであり、それをナショナルセンターが担うのかどうかは別にして、そういうゴールをかなりしっかり持っておかないと、私だったら計画を立てにくいなと思います。勝手に作ってしまって、「お金が足りない」、「これではできない」などとなってしまうので、各センターはこれから苦労されるのではないかなという印象を持ちました。

 

○福井委員

9ページから10ページに関わることで、本田委員が言われたことと恐らく同じだと思いますが、がん研究センターが行われているような、がん登録と似たようなことを、各ナショナルセンターが、主な疾病についてはできるだけの権限とお金と人を、是非貼り付けて、いろいろな、本当に重要な病気ばかりを扱っている所ですので、それぞれのセンターがデータの収集ができて、それに基づいていろいろな提言ができて、がんと同じようなことをもっともっとたくさんできないかなと思っています。

 

○祖父江委員

 私も全く同感で、先ほどコホートを全国レベルと言ったのは、正にレジストリーを全国スケールで各疾患について、何パーセントフォローできるか分かりませんが、やはりそれがナショナルセンターの一番大きなミッションではないか。ほかの施設というかインスティテュートではちょっとできないと思うのです。それがやれるのはナショナルセンターだと思いますので、これは是非お願いしたいということが1つです。

 もう1つは、8ページの人材育成のところで、各センターが研修を実施する研修、講習の細かな内容がずっと書いてありますが、これはこれで是非やっていただくといいのですが、これも今までの中で議論が随分出たと思うのですが、今、日本の専門医制度が非常に大きく変わりますよね。その中で、ナショナルセンターをどう位置付けるのか。大学はもう位置付けはできていますし、病院もそうですし、各地域のクリニックも、専門医制度のシステムの中にコミットしているのです。ではナショナルセンターとしては、どこの部分をどういう形で引き受けるのかという議論がもう少しあってもいいのではないかと思います。そこがないと、単発的な研修をやるだけになってしまいますので、国の医療制度全体の中にきちんとした形で位置付けられたほうがいいのではないかと私は個人的に思っています。

 

○藤川委員

 今の8ページの右側です。これで56年間評価をすると考えたときに、各センターが出していらっしゃる一つ一つの研修が、非常に漠然としたものと、すごく細かいものがあって、ここに書いてしまうと56年間これを件数評価するのかなというのは、ちょっと厳しいようなものもあるので、もう少し自由度があるものを書かれるほうがいいのではないかと、評価をするときのことを考えて、そのように思いました。

 もう1点です。先ほどの共同購入の件は、政・独委がそこをピックアップしたから上げてきた問題ということで、実際の資料1-2のほうを見ると、項目の1つに上げられていることだと理解した上で申し上げます。政・独委のほうが、「共同調達等を行うことにより、コスト削減を図るものとする」と言ってきているものを、こちらで、「共同調達等を進める」と書いています。目的としては、当然、コスト削減を図るために言っていることだと思うのですが、これを落としてしまうと、実際のセンターは結構、この共同調達という言葉に捉われて、どうしてもしなくてはいけないという方向になって、やらないと評価の問題になるよねというようなところがどうしてもあると思うのです。ほかの独法で、共同調達をやったことによってコストが上がって困っているとおっしゃっている所が実はありまして、あくまでも共同調達をすることが目的ではなく、コストを削減することが目的なので、場合によってやらなくても、コストが下がるのであればそれを選択できるようにするのは結構大事ではないかと思いましたので、これは落とさないでいただきたいと思います。

 

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしければ全体を通して、研究開発から今のところまで含めて御意見を頂ければと思います。

 

○三好委員

 これは先ほどとも関連するのですが、やはり原資の話が全く出ないで中長期計画が立てられるのかなという気がします。コスト削減の話でも、全体の資源と、使う費用とがあって、だからここをコスト削減しましょうと本来なるのですが、いきなり、漠然と共同調達してコスト削減しましょうと言っても、当然やるべきことなので、それが悪いとは言わないのですが、考える内容は、各ナショナルセンターで考える話と、全体で考える話が出てくると思うのですが、何か土台がないと難しいのではないでしょうか。何のために、これまで評価をやってきて、課題を把握し、それを踏まえて、次のPDCAサイクルをどう回すか検討すべきところを、そこのプランニングのところが、こういう作り方では、どうしてもプランがもう一つクリアにならないですね。

 

○医政局医療経営支援課長補佐

 中長期計画の策定の際に、第一期も行ったのですが、運営費交付金の投入する計画額というものを、今回も、財務省と協議しなければいけないのですが、そういうものを書き込むことにしております。資金の入れ方、それは先ほども、工夫しなければいけないという御説明をさせていただきましたが、そのようなところで、例えば5年間、6年間、7年間、どのように入れていくかというものを踏まえた計画を作っていただくという形を考えております。

 

○三好委員

 一応、入るのですか。

 

○医政局医療経営支援課長補佐

 はい。計画の中に入ります。あと、建物整備なども入れていきたいと思っております。

 

○花井委員

 先ほどの、手段と目的の議論に似ているのですが、12ページのクロスアポイントメント制度は、大学とナショナルセンター間の技術シーズの円滑な橋渡しのために、これがいいというふうに言っているので、導入せよということなのですが、これは相手もあることなのです。この手段をマストで導入しろと言っているのですが、これはここまで書き込まなくても。これは大学法人が相手なので、相手がそれにメリットを見出さなかったら導入しようがないと思うのです。私は知らないで言っているので、どういうものかという説明と、がんセンターはやっているということなのですが、これはマストでみんな簡単に導入できるものなのですか。

 

○医政局医療経営支援課長補佐

 確かに、クロスアポイントメント制度を導入することが目的になってしまってはいけないとは思うのです。現実的に、今、できそうなのが国立大学法人という所が相手になろうかと思うのですが、ナショナルセンターの職員が大学のほうに行って仕事をする場合もあります。逆に大学から来てもらうこともありますので、本当にこれは、個別具体的な、例えば研究のテーマなどに絞って、本当にピンポイントで、できるか、できないかというところを進めていくことになります。現実的には、幾つか既に調整が始まっているセンターもありますので、進めていきたいと考えております。

 

○花井委員

 普通に可能であれば問題ないと思うのですが、何か相当ピンポイントな手段で、やりなさいと書いてあるので、質問しました。ありがとうございます。

 

○永井部会長

 今、医療法の改正をにらんで、病院がいろいろな法人がグループ法人を作って連携するという話も出ています。地域が中心かもしれませんが。各ナショナルセンターの病院は、これにどういう影響を及ぼし得るか。あるいは、場合によっては6ナショナルセンター病院の共通法人などを作れるのかどうか。その点の見込みを教えていただけますか。

 

○医政局医療経営支援課長

 これは、もともと地域包括ケアと医療、介護が密接に連携してできるようにということですので、部会長から一番初めにお話のあった、6センターができるかというと、これはまだ正式には決まっていませんが、ある程度、二次医療圏や、医療法で今度定める地域医療構想区域という、非常に狭い範囲になろうかと思いますので、ナショナルセンター6センターがそういう法人になるということは難しいだろうと思います。

 ではナショナルセンターが、その新しい法人に入れるのかというと、構造的には入れるかもしれませんが、ただ、そこの中で、今お話したとおり、医療、介護の連携ということをいろいろ考えていくと、ナショナルセンターの性格からいくと、微妙に違うのではないかという感じがしています。ですから、議論されている新型の医療法人類型にナショナルセンターが入れるかというと、制度上はもしかしたら可能かもしれませんが、余り現実的ではないのではないかと、私個人的には思っています。

 

○永井部会長

 いずれにしても、そういう動きをよく見ておく必要はあるということですね。

 

○医政局医療経営支援課長

 まだ今後、医療法の改正等々が行われますので、そういう情報等については、ナショナルセンターのほうにも情報をお流ししたいと思っております。それに併せまして、各先生からいろいろ御意見を頂いたものについては、また私どもの中で相談して考えていきたいと思います。ありがとうございました。

 

○福井委員

6ページの一番下から7ページの上のところで、この部分は、それぞれのナショナルセンターが、1つの施設として、医療の質や機能の向上を図るということだろうと思うのですが、できましたら、それぞれのナショナルセンターが担当している病気や病態の、日本全国の医療の質などをモニターして、フィードバックをかけられるような、先ほどと似たようなことで申し訳ないのですが、権限とデータ収集力、人というものを与えられると、随分、自分の施設だけの医療の質の評価にとどまらなくて、国全体としてすごくメリットになるのではないかと思います。

 

○祖父江委員

 先ほどから予算というか、資金というか、インフラというか、そういうものをどうやっていくかというところが、やはりどうしても残ってしまうと思うのですが、厚労省としては、今、いろいろひねくり回しても、パイが大きくならないとやれないと思うのです。ですから、パイをどうやって大きくしようとしているのか、ナショナルセンターは今までと同じぐらいのパイでやればいいとお考えなのか。私はやはりパイのサイズ自体を大きくして、研究型に打って出るということがないとやれないのではないかと思います。国立大学法人は今、非常に競争原理をどんどん入れていて、研究型の大学には重点的にお金を集約しようとしています。ナショナルセンターは競争原理を入れてというわけにはいかないので、厚労省の中で、傾斜配分にするのか、あるいは、打って出てパイを大きくしようとしているのか。何かその方策がちょっと見えないのです。先ほどと同じ議論かもしれませんが、「鋭意検討します」だけではなくて、もう少し具体的な話を聞かせていただきたい。

 

○医政局医療経営支援課長

 考えていますのは、まず1つは、今の交付金の制度は、平成27年度の予算を申し上げると、政府は交付金そのものを10%削減する。例えばナショナルセンター全体で持っている交付金が、ちょっと具体的な数字ではないですが、例えば100億あったら、10%をまず減少しなさいと。ですから、10億を削りなさいと。10億削った上で、その時々の政策に合ったテーマを決めて、推進枠と言って要求するという構造なのです。ですので、100億あったら、90億はまず規定経費ですよ、10億については、新しい、必要なものはこの枠の中で要求をしなさいと。ただ、この10億は、実際は20億までいいですよなどと、枠自体は少し広がるのですが、恐らく、金の収まりは最大でも10億という予算の作りになっています。

 そういう中でどういうふうにやっていくかというのは、財務省とこれからいろいろ協議を続けていこうと思っていますが、まず考えるのは、少なくとも今の研究所などは、人件費などを1割ずつカットしていったら、結果的に給料まで削らなければいけないという状況になりますから、最低限、研究所の経費は確保していく。こちらの推進枠、今は推進枠と言って、今後どういう言い方をするか分かりませんが、その時々のテーマというか重点課題のような部分のためのお金をどんどん要求していくという形で増やしていく。必要なお金は、もうこれ以上削らせないような何か方策を立てた上で、必要なものをどんどん要求していくというやり方しかないのではないかと思います。

 ただ、先生もおっしゃられたとおり、厚労省自体が、社会保障費がものすごく膨らんでいきますので、そういう中で何らか、他の省庁よりも負担を強いられる。それは私どもの省で負担をしなければ、ほかの省も負担をしないという構図ですから、当然、そういう負担は強いられる中で、どういうふうに隙間を縫ってやっていこうかとは考えます。補正や、その時々の財源状況はあると思いますが、恐らく、これだけ必要だと打って出ても、財源がこれだけしかないと言われるので、いろいろな形で、例えば極端にいけば補助金がもらえれば、補助金のほうで取るとか、委託費で頂くとか、それはいろいろなやり方があるのではないかと思っています。

 

○祖父江委員

 そういう部分も、ナショナルセンターの方々もある程度努力し、例えば外部資金を取って努力してくださいとか、そういう目標的なものが見えるとやり様があると思うのです。その辺を厚労省に、NCの方向性としてはどうしたらいいかというところを言っていただけると、皆さん少し活力が出るのではないかという感じはします。

 

○医政局医療経営支援課長

 外部資金については、私どもの予算とはちょっと別な話になると思いますので、各ナショナルセンターでいろいろなツールを使いながら、外部資金を取っていただくしかないのではないかと思っています。

 

○祖父江委員

 例えば、国立大学法人などは数がたくさんありますから、集約と、スクラップ・アンド・ビルドまではいかないですが、それに近いことをやっているわけです。非常に中心的なところに仕込みを入れるということを、今、どんどんやろうとしています。厚労省も、このナショナルセンターが非常に大事だということであれば、そういうもう少し大きい発想をしていただけるといいかなという感じは、少ししております。

 

○本田委員

 実務が分からないので何とも言えない部分もあるのですが、ただ、目標というか、あるべき方向性を示していかないと、お金も付かない部分もあるでしょうし、例えば、今、議論されている脳卒中の基本法などに、がんセンター的なデータバンクや情報センターのようなものを作るのだということを入れ込むとか、認知症は今、政府も国家戦略としてやるのだと言っているのだから、そこにきっちり書き込んでしまうとか、そういうことをして、あるべき像を見せていかないと、私たちも応援の仕様がないですし、そういうことは、やはり打って出て、お金のことも考えつつなのですが、方向性を示していただきたいと思います。

 

○永井部会長

 よろしいでしょうか。そうしましたら、基本的にはこの案は大体のところは了解なのですが、いろいろな御意見が出ましたので、その辺りを含めて少し修正を加えた形で、部会として了承したいと思います。なお、具体的な修正については、私のほうで、事務局と相談して調整いたしますので、御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○永井部会長

 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 続いて、国立高度専門医療研究センター6法人の評価軸案について御審議をお願いいたします。まず、法人所管課から御説明いただいて、その後、議論をいたします。

 

○医政局医療経営支援課政策医療推進官

 それでは、評価軸案についての概要を御説明いたします。資料は1-3、「国立高度専門医療研究センターの評価に関する主な評価軸等について()」です。それと参考資料3の1、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」の13ページ辺りを適宜御参考にしつつ、御確認を頂ければと思います。

 評価軸というのは、例えば科学的・技術的観点、社会的・経済的観点、国際的観点、時間的観点、妥当性の観点、マネージメントの観点、政策的観点といったものを踏まえて設定されるもので、研究開発の事務及び事業の評価に際しての重要な視点となるものです。また、目標を定める際は研究開発成果の最大化という趣旨を踏まえ、量的な観点だけではなく質的な観点、この両者を総合的に評価・判断されるべきものですので、そういったところに鑑み、適切に評価軸を設定することとしているところです。

 具体的には資料1-3に、法人ごとの評価軸について、中長期目標の柱のうちの第2の研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項というのが一番左側の列に書いてあり、その事項ごとに整理しております。その事項には2点あります。1ページの(1)が「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」です。2ページ先ですけれども、(2)が「実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備」です。その2点ごとに整理しています。この2つの事項について、それぞれ1から5の評価軸の案を設定しております。それぞれの評価軸の案に対しては、定性的な視点と定量的な視点という双方の観点から、関連する評価指標、モニタリング指標の案をそれぞれ設定しています。評価軸については次のとおりです。

 真ん中の列が「主な評価軸」です。(1)の1から申し上げます。まず科学的・技術的観点として、成果・取組の科学的意義(独創性、革新性、先導性、発展性等)が十分大きなものであるか。2が国際的観点として、成果・取組が国際的な水準等に照らし十分大きな意義があるものか。3が妥当性の観点として、成果・取組が国の方針や社会のニーズに適合しているか。4がアウトリーチ・理解増進の観点として、社会に向けて研究・開発の成果や取組の科学技術的な意義や社会経済的価値を分かりやすく説明し、社会から理解を得ていく取組を積極的に推進しているか。5が政策への貢献の観点として、調査・分析に基づいた疾病対策の企画立案、提言等による政策への貢献がなされているか。そういう形での1から5です。

(2)の「実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備」に対する評価軸も、1から5まであります。1が研究開発環境の整備・充実の観点として、研究・開発の体制の充実が図られ、研究成果の実用化に向けた橋渡しに係る取組が十分であるか。2が科学技術イノベーション創出・課題解決のためのシステムの推進の観点として、有望なシーズを実用化へつなぐ成果の橋渡し、成果の社会還元に至る取組が十分であるか。3が妥当性の観点として、研究開発の体制・実施方策が妥当であり、法人としての信頼性が確保されているか。4が社会的・経済的観点として、診療ガイドラインの作成・情報提供等の取組により、国の医療の標準化に貢献しているか。5が研究者、研究開発人材の育成・支援の観点として、医療政策を牽引するための国際的な水準等に照らして活躍できる研究者、研究開発人材の育成が図られているか。

 このように、それぞれ中長期目標にある(1)(2)の部分ごとに、1から5までの評価軸の案を提示させていただいたところです。また、各評価軸を評価するための具体的な評価指標、モニタリング指標については、資料1-3の一番右の列に記載のとおりです。それぞれ(1)(2)の1から5を、定性的、定量的というように分けて箇条書きで記載しています。

 

○永井部会長

 ただいまの御説明について、御質問等をお願いいたします。

 

○花井委員

 評価軸は良いと思うのですけれども、この横表の備考は、落とし込んだものを確定してしまうのですか。例えば、第一期のときにはどうしても分けられないから、結局重複して載せるわけですよね。そうすると、ここでは工夫として3ページの研究開発環境整備・充実の観点に、定性的・定量的に治験、臨床研究計画、実施件数を載せて、4ページの頭の科学技術イノベーション創出・課題解決のためのシステム推進の観点に、先進医療を定量評価で載せているわけです。それは実際には必然性のない振り分けだと思うのです。テクニカルな問題としてこういうように整理するというように、ここで決めてやってしまうという趣旨なのか、たまたま一番右の箱は、例えばこういうことですよというものなのか。キリキリやるとちょっとこの場では決められない。

 例えば、先進医療の中には臨床研究も入っていたりするわけですよね。わざわざ振り分けて、こちらはこちらの評価の定量で、こちらは評価だというのは、必ずしも必然的にそういうように一義に決まるものではないのです。ただ、取りあえずこの評価の仕方はこういうことにするのだと、ここで決めてしまうという話なのか、備考はあくまでも参考で、例えばこういうことですというものなのか。そこを御確認いただけますか。

 

○医政局医療経営支援課政策医療推進官

 独立行政法人の目標の策定に関する指針の14ページにもありますように、主務大臣が指標を設定するときに、御質問のあった関連する評価指標やモニタリング指標についても、評価軸とセットでお示しすることにはなるのですけれども、もし位置と掲載されている場所に改善の余地があるとか、そういった御意見がありましたら御指摘いただければと思っております。

 

○花井委員

 もう具体的に言ってしまいます。例えばここです。4ページにファースト・イン・ヒューマンが入っているわけですよね。そうすると、これを厳密に運用すればファースト・イン・ヒューマン試験をやれたとしても、このスキーム、このやり方だと、やっていても3ページの研究開発環境の整備・充実には全然評価されないことになるのですよ。そうではなく、横断している所は評価の指標の定量的・定性的な所も、割とかぶって評価しても構わない、そこは臨機応変に見るということですか。ギリギリとこの表でやると、今のような話になる。もう本当にしゃくし定規に読めば、幾ら治験をやったところで科学技術イノベーション創出・問題解決のためのシステム推進の観点からは評価されないと読めてしまうわけです。そういう趣旨ではないということですか。あるいは、そういう趣旨だからこの場で移動させてくださいと、今おっしゃったのですか。

 

○医政局医療経営支援課政策医療推進官

 今回、真ん中の評価軸の列と一番右側のそれぞれの評価指標、モニタリング指標はそれぞれ横で対応してはいるのですけれども、例えば、箇条書きにしている評価指標が複数の評価軸にも関係してくることがあれば、それぞれの評価指標に掲載するような工夫をする。要するに、1つの視点を1か所の欄だけに設けるのではなく、それぞれの所に設けるような形も検討したいと思います。

 

○永井部会長

 ただ、これは割と画一的な見方ですね。もちろん、こういうものが1つの指標になるとは思うのですが、各ナショナルセンターにはそれぞれの取組があり、社会からの要請があるわけですから、各ナショナルセンター独自の評価軸があってもいいのではないかと思うのです。その辺については、むしろナショナルセンターの先生方にお聞きしたいのです。こういうものも大事ではないかという御提案があればお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。こういう項目で本当に画一的に評価してよいのかということです。もちろん、これはこれで使うことも大事だと思いますけれども、実際に社会から求められているものは違う可能性があると思います。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事長

 今、永井先生がおっしゃったところは非常によく分かりますし、私たちもそういうところがあることは常々考えております。ですから今回、ここに掲げてある項目そのものは恐らく共通に、どのセンターも入れることができるというか、評価することができる数値のものが、リストアップされていると思います。それに加え、更に各センターで独自のものに取り組んだ場合に、それが評価の対象にしていただけるような欄というか、項目が入っていると、非常に有り難いと思います。

 

○永井部会長

 よろしいでしょうか。当たり前と言えば当たり前の話なのです。

 

○医政局医療経営支援課長

 この評価軸そのものは、6センター全部共通でつくらなければいけないものにはならないはずなので、再度センターと相談をさせていただきます。各センターで独自色のものが出てくると思います。ここにお示ししたのは、全般の統一的なイメージと御理解いただければ非常に有り難いと思います。

 

○国立国際医療研究センター企画戦略局長

 私どもは例えばエイズの治療薬の国際共同治験に、10数年ぶりに日本人を対象として治験を実施するということで参加し、現在取り組んでいるところです。このことによって、ドラッグラグを解消するにしても日本人のデータを使って、患者の皆様に薬を届けることができるという、大変貴重な取組ですので、定量的な数値目標以外の定性的な目標が評価されるように、評価軸を工夫していただきたいと現場からは思っております。

 

○藤川委員

 先ほど所管課より、同じ項目でも両方に掛かることも考えるとおっしゃっていたと思うのですが、実際に前に評価をやってみて、同じ項目をダブルカウントするのは、やはりあまり良くないと感じました。それよりそれぞれの観点で、同じようなことであってもこちらの観点だとこういう評価になるというように、きちんと分けてはっきりしていただかないと評価がブレます。そこはセンターごとに個性も出しつつ、同じものはダブルにしないで、別の観点にきちんと分けていただきたいと思いました。

 

○永井部会長

 ほかに御意見はございませんか。もしよろしければ、国立高度専門医療研究センター6法人の評価軸案については、原案をある程度基本としつつ、ただいま頂いた御意見を加えた形で修正した上で、本部会として了承したいと思います。修正については、私に御一任いただければと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○永井部会長

 それでは、そのようにさせていただきます。続いて、国立高度専門医療研究センター6法人の役員報酬規程の改正について、御審議をお願いいたします。まず事務局から御説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 独立行政法人の役員報酬規程について御説明いたします。独立行政法人は、役員報酬規程を改正した場合、独立行政法人通則法第52条第2項の規定に基づき、主務大臣へ届けることとされています。また、当該届出がなされた際には、同法第53条第2項の規定に基づき、独立行政法人評価委員会は、役員報酬の支給基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかといった点について意見を申し出ることができるとされていますので、本部会において御意見を賜ることとしています。続いて、法人所管課から説明をお願いします。

 

○医政局医療経営支援課長

 それでは、説明いたします。資料は1-4になります。この内容については、昨年8月に人事院勧告がなされまして、国の指定職に係る特別給、これは、いわゆるボーナスですが、これについて、年間0.15月分が引き上げられました。独法の役員報酬についても、通則法に国家公務員給与などを考慮して定めることとされています。今回の改正は、国の特別給、いわゆるボーナスに相当するナショナルセンターの業績年俸ですので、国家公務員給与に準じて改正を行ったというものです。以上です。

 

○永井部会長

 それでは、ただいまの御説明について御質問等あればお願いします。よろしいでしょうか。特段の修正意見はございませんでしたので、6法人の役員報酬規程の改正については、本部会として了承とさせていただきたいと思います。

(各委員了承)

 

○永井部会長

 ありがとうございました。それでは、最後に、所管課及びナショナルセンターから御挨拶をお願いします。

 

○医政局医療経営支援課長

 本日は、ありがとうございました。ナショナルセンターは、第一期におきましても、各ナショナルセンターが、研究所、病院、各部門が連携して取り組んで、その中で多くの研究成果を上げてきたと思っております。冒頭、申し上げたとおり、来年度から新たに国立研究開発法人となるわけでございますので、本委員会で皆様から頂きました御意見等を踏まえまして、第二期におきましてもしっかりやっていきたいと所管課としては考えております。本日は、ありがとうございました。

 

○永井部会長

 それでは、がんセンターからお願いします。

 

○国立がん研究センター企画戦略局長

 がんセンターでございます。今日、委員の先生方からいつもいろいろな励ましをいただいておるのですが、私どもがんセンター、というかナショナルセンターとしましては、毎年、運営費交付金10%を自動的に削られる中、毎年、どんなに努力しても6億、7億収入がカットされて、その中で頑張れというのは、どこまで頑張ればいいのかといつも自問自答しているところを皆様方に少し応援いただいて、非常に、もう少し頑張ってみるかなという気にはなりました。ただ、それを先生方が評価してくださるので、今後とも、特に厚労省の方々が頑張ってくれるのですけれども、財務省の方々というのは、我々ナショナルセンターに対してお金を入れろというふうに余りおっしゃってくれないところもあるので、是非、応援をいただいて、厚労省の方々が予算を取りやすいように、今後とも御支援をお願いしたいと思います。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 国立循環器病研究センターの橋本でございます。評価委員の先生方には、第一期のとき、大変いろいろと評価というよりもアドバイスを頂いたと思っておりますし、我々が考えていることを今日もそうですが、代弁していただく。あるいは、我々が考えているところを更に突っ込んでいただく。そして、我々が少し思い付いていないことまで御提言いただいて、本当に口先だけではなくて、有り難く思っております。

 その中の1つが、やはりPDCAです。評価をされたものの、評価をされたけれど、そこにどういうインセンティブが働くのかということについては少し疑問がございます。その中で、私が思いますのは、そのPDCAを回すというか、例えば、ナショナルセンターはそもそも政策提言が少ないということをいただいて、私どもの所も、来年度から、政策提言を公報ではなくて政策提言ということを主眼にしたそういう部署を作ります。他のナショナルセンターでできている所もありますが、当センターはこれから作ります。

 もう1つは、それぞれのナショナルセンターが別々に提言をして、それはそれで意味がありますけれども、そうではなくて、先ほど御議論があったように、ナショナルセンター全体として、政策提言というか、総長6人でまとまって一緒に提言をしていきましょうということを前回も話し合いました。そういうことで、高い御評価を頂いても、それで運営費交付金が増えるわけではありませんし、何なんだという部分はありますが、その実効性の部分では、いただいた御提言が、我々が次にやっていくことに大変有用に働いているというふうに思っておりますので、改めて感謝申し上げたいと思います。

 そして、もう1つは、やはり、何のための中期かということだと思います。我々は、中期の間で、1年目はこういうことをし、2年目はこういうことをして最終的に良いものを作ろうというプランでやってまいりましたけれども、その点については、いろいろ第二期ではお考えいただいていると思いますので、是非、中期というのはどういう視点に立つのかということをしっかりお考えいただいて、実行していただけたらと思います。いずれにしましても、評価委員の先生方には大変御苦労をいただきましたし、そして、大変有用な御意見を、力強い、そして勇気の出るような御発言をたくさん頂きましたので、本当に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 

○国立精神・神経医療研究センター理事長

 国立精神・神経医療研究センターの樋口でございます。本日は、本当に長い時間にわたりまして、次期の中期目標に関する御議論を頂きました。聞かせていただいて、私たち、力強い応援団がいてくれるという非常にそういう気持ちを強くいたしました。

 厚労省のほうからの説明にありましたように、この第一期の5年間、やってみて一番大きな問題は、運営費交付金がカットされて、しかし、10%カットして、それを戻しの形で、特別枠のような形で戻ってきたと。これが繰り返されていって、更に、この5年間で何がそれによって大きく変わったかというのは、やはり、基礎体力と言いますか、研究基盤という部分がかなり押さえ込まれてきたというところが非常に大きいように思います。いろいろな研究事業は、その都度広がりをもって、新しいことをやりなさいということでどんどん広がっていったわけですけれども、結局、その研究基盤の所はその分カットされていきますので、このまま次の5年がくると途中で立っていられなくなるのではないかという思いが非常に強いという気がいたします。

 ですから、そこは、これから厚労省も一緒になって考えていただけるということで、何とか、基盤的なものはしっかりした上で、我々は、研究に関しては外部資金を獲得するように当然のことながら努力をしていく必要があるのですが、基盤の所だけは、これは外から持ってくるわけにいかないところでございます。そこは何とか次の5年間立っていけるように、そして、研究開発という使命を果たせるように、その辺りは今後とも是非よろしくお願いしたいと思っております。ありがとうございました。

 

○国立国際医療研究センター理事長

 国立国際医療研究センターの春日でございます。先ほども、橋本総長と樋口総長からおっしゃっていただきましたように、本当に的確かつ重要な問題を御指摘いただきまして、ありがとうございました。私ども6人の総長が昨年の秋に集まりまして、研究開発法人になるので、6つの法人として厚生労働省にこういう点をお願いしたいということを申し上げたのですが、今日の御議論の中では、ある程度の部分は、そこに私どもが要望として申し上げたことが入っておりましたけれども、それ以外にも、非常に新しい観点からの御提言を頂いて、本当に勉強になりましたし、有り難いと思いました。一番私が感じましたのは、先生方が、ナショナルセンターの在り方と言いますか、ナショナルセンターを非常に大事に思っていただいて、かつ、非常に期待していただいているということがよく身にしみて本日は分かりましたので、予算的な裏付けがないのですけれども、できるだけ委員の先生方の御期待にそえるように頑張りたいと改めて感じました。本日はどうもありがとうございました。

 

○国立成育医療研究センター病院長

 成育医療研究センターの賀藤でございます。評価委員の先生方には、今までずっとほかのナショナルセンターの先生方がおっしゃってくださいましたように、大変、心動かされるサポートをしていただくような御発言を頂きまして、有り難く思っております。

 ただ、成育医療研究センターは、カバーする分野が小児医療と産科医療、周産期医療でございます。特に、小児医療に関してはいろいろな問題がございます。例えば、私どものセンターでは、難病・希少疾患に関しての遺伝子診断、新しい治療の開発、再生医療を使った新しい治療法とか扱っております。遺伝子治療をやることは当然でございます。そういうことをやることを当然とした上で、以前は、難病、重症な疾患で亡くなっていた子供はもう亡くなることはあまりありません。例えば、昨年、私どもで手術をした患者が術後後にICU内管理を行っている時に死亡した例はありません。それは、大きな心臓手術をしても、肝移植をやっても、脳の手術をやっても全部生存しています。ただ、その子たちが退院するときに、正常な子供と同等のQOLを保って退院できるかというとそうではございません。今、私どもの問題は、いかにQOLを正常に保った子供を多くして退院させるかです。QOLを保てなくて寝た切りになってしまったり、他の何らかのスペシャル・メディカルニーズが必要な子供となったりして、在宅医療が必要となった子供が多くなってきました。これが、今、日本の小児病院の全体の問題でございます。ですから、在宅医療への移行に難渋すると新しい患者が入院できないということもございます。小児の在宅医療、社会医学的に見た小児の医療という観点からも、私どもは、日本で出現したこのような新しい問題の解決を図る役目があるのではないかと思っています。あとは、子供の貧困化に関してもそうです。何らかの医学的なケアが必要な心の問題もそうです。私どもは心の問題も扱っております。そういう、何らかの医学的にケアが必要な子供が、今現在、私どもが統計を取りまして156%でございます。だんだん増えてきます。そういうことも含めて、先進医療という分野のみではなく、小児医学を含めた、もっと広い視野に立って小児医療を行っていることへの御評価を頂くような形がいただければ有り難いと思っています。

 産科に関しては、私の病院は、大抵、初産の年齢が35歳前後です。高齢で働いている女性が産みやすくするシステムを作ることにも貢献したいと思っています。そういうことに関しても御評価いただけるようなことがあればと思っています。

 あと、いろいろ財政的なことがございますが、例えば、イギリスですと、イギリスの小児病院の建物は全て民間企業の寄付です。政府はお金を出しておりません。ですから、政府にお金を頼るということよりも、民間の企業が寄付をしていただけるような、寄付しやすいようなシステムを作っていただくということも、これは、厚労省とか財務省にお願いできればと思っています。民間がもう少し私どもに寄付をしてくださる、寄付しやすい、サポートしやすい体制を作っていただきたく存じます。もう少し民間の寄付を私たちは募って、それでもって何とか日本の小児、産科医療に貢献したいと思っていますので、この制度作りを少し私としてはお願いできればと思っています。今日はありがとうございました。

 

○国立長寿医療研究センター理事長

 国立長寿医療研究センターの鳥羽でございます。ありがとうございました。当初、病院長としてこの最初の評価委員会に出たときには、非常に怖い思いで、厳しい、通知表を付ける会なのでということで、いろいろ指摘されたことをきちんと聞いて直すのに精一杯だったときもございますけれども、今日は、それに増してお話を聞きますと、総長の先生方が言われたとおり、ナショナルセンターがどうして本当に必要かどうか。例えば、長寿、あるいは国循、がん、その必要性というものをまず分かっていただいており、そのナショナルセンターはどういう働きをすべきか、ということがあっての中期目標や評価ということを軸にお話ししていただいているので、我々が常々頭を悩ましていることを本当にいろいろな視点から指摘していただきまして、大変勉強になりました。怖い評価者ではなくて、むしろメンターのような存在ということで、私は、本当に感激しております。ナショナルセンターは宣伝力がないものですから、先生方が別の視点で、ナショナルセンターは課題があるけれども、こういうところはよくやっているということを、是非いろいろな所で発信していただければと思います。本当にありがとうございました。

 

○永井部会長

 それでは、最後に、事務局から今後の流れについて御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御説明いたします。本日、御審議いただきました国立高度専門医療研究センター6法人の新中長期目標案につきましては、このあと、本部会の意見を踏まえるとともに、更に、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で、必要な修正等を行い、厚生労働大臣が決定いたします。決定した内容につきましては、後日、委員の皆様にお送りいたします。事務局からは以上です。

 最後に、本部会の閉会に当たりまして、情報政策・政策評価審議官の安藤から御挨拶させていただきます。よろしくお願いします。

 

○情報政策・政策評価審議官

 委員の先生方におかれましては、本日、大変お忙しいところ、長時間にわたりまして、大変御熱心に、また貴重な御意見を頂きまして、誠にありがとうございます。今、事務局のほうから御説明申し上げましたとおり、国立高度専門医療研究センター6法人の第二期中長期目標()につきましては、本日、いただきました御意見を踏まえるとともに、総務省の政・独委の意見を頂きまして、厚生労働大臣のほうで決定させていただくという形になっております。

 それから、御案内のとおり、昨年の6月に独立行政法人通則法の改正ということがございまして、来年度から独法評価の仕組みも変わってまいりますし、本委員会につきましても、本年度末をもって役割を終えるということでございます。先生方におかれましては、委員を引き受けていただきましてから今日まで、大変長時間にわたりまして熱心に御議論をいただき、貴重な御意見を度々にわたりまして頂きました。改めて御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

 

○永井部会長

 それでは、これで終了いたします。本日はありがとうございました。



(了)

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