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2015年2月13日 第2回 医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ議事録

○日時

平成27年2月13日(金)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

到達目標とその評価の在り方に関する研究の中間報告について
臨床研修修了者アンケート調査について
その他 等

○議事

第2回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関する

ワーキンググループ

議事次第

 

 

 


○森医師臨床研修専門官 定刻より少々早いですけれども、委員の先生方もおそろいになりましたので、今から第2回「医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」を開催いたしたいと思います。

 本日は先生方には御多忙のところ、御出席をいただきましてまことにありがとうございます。

 初めに、前回のワーキンググループで御欠席されておりました清水構成員の御紹介をいたしたいと思います。

 ワーキンググループ委員としまして清水貴子構成員、社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院人材育成副センター長でございます。一言よろしくお願いいたします。

○清水構成員 よろしくお願いいたします。1回目欠席で申し訳ございませんでした。どうぞよろしくお願いします。

○森医師臨床研修専門官 また、本日は金丸構成員、神野構成員、田中構成員、中島構成員から、所用により御欠席との御連絡をいただいております。

 また、今回参考人として東京医科歯科大学の奈良信雄先生に御参加いただいております。

 文部科学省医学教育課より、平子企画官にお越しいただく予定となっておりますが、所用により遅れております。

 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。福井先生、よろしくお願いいたします。

○福井座長 それでは、議事に入りたいと思います。

 初めに、事務局より資料の確認をお願いします。

○森医師臨床研修専門官 それでは、資料の確認をいたします。

 ここでカメラがございましたら退室をお願いしたいと思います。

(カメラ退室)

○森医師臨床研修専門官 お手元の資料をごらんください。

 事務局提出資料といたしまして、資料1厚生労働科学研究『医師臨床研修の到達目標とその評価の在り方に関する研究』にかかる現状について

 別添1 診療能力を踏まえた到達目標設定の在り方に関する研究

 別添2 医師のプロフェッショナリズムを踏まえた到達目標の在り方に関する研究

 別添3 医師養成全体の動向を踏まえた到達目標のあり方に関する研究

 別添4 到達目標の評価手法の標準化に関する研究(中間報告)

 資料2 平成26年臨床研修修了者アンケート調査結果(概要)

 資料3 平成27年医師臨床研修修了者アンケート調査票(案)

 参考資料1 ワーキンググループの開催要項及び構成員名簿

 参考資料2 臨床研修の到達目標

 参考資料3 医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループについて

 参考資料4 到達目標・評価の在り方にかかる論点について

 参考資料5 卒前教育・医師国家試験・臨床研修・専門医に関するスケジュール

 また、委員の先生方には机上配付とまして部会報告書等を置いておりますので、適宜御参照ください。

 不足する資料や乱丁等ありましたら事務局にお申しつけください。

○福井座長 よろしいでしょうか。

 それでは、議題1、到達目標とその評価のあり方に関する研究の中間報告について、まず事務局より説明をお願いいたします。

○森医師臨床研修専門官 それでは、お手元の資料1をごらんください。到達目標及び評価のあり方の見直しに向けた検討につきましては、本ワーキングで行っているところですが、臨床研修部会で示された見直しの方向性を踏まえ、その検討の基礎資料として平成26年度、厚生労働科学研究において関係データの収集・分析を行っております。本日はその中間報告を行っていただきますが、まずは事務局より全体を簡単に御紹介いたしたいと思います。

 本研究班は「医師臨床研修の到達津目標とその評価の在り方に関する研究」と題しまして、福井先生に研究代表者となっていただいております。期間は1年間となっております。5つの分担研究から構成され、1つ目の診療能力を踏まえた到達目標設定のあり方に関する研究では、研修医の診療能力の実態等を把握するための調査を行い、コンピテンシーの概念を整理するとともに、行動特性を踏まえた具体的な到達目標について検討することを目的としております。詳細は後ほど分担研究者でいらっしゃる大滝構成員より、別添1で御説明いただきたいと思います。

 2つ目、人口動態や疾病構造、医療提供体制の変化等を踏まえた到達目標のあり方に関する研究では、疫学等のデータを用いて押さえるべき頻度の高い疾患等を検討するとともに、アンケート調査結果を用いて過去のデータと比較分析しながら研修医の基本的診療能力に与えた影響を調査することを目的としております。分担研究者として、聖路加国際大学の高橋先生に御担当いただいておりますが、こちらの中間報告については本日、割愛させていただきます。

 3つ目、医師のプロフェッショナリズムを踏まえた到達目標のあり方に関する研究では、プロフェッショナリズムをコンピテンシーの1つと捉え、中間目標や研修方略の検討を行うとともに、医師キャリア形成のあり方、体制の整備について検討を行うことを目的としております。

 分担研究者として杏林大学の野村英樹先生に御担当いただいておりますが、本日、所用により御出席が難しかったため、詳細は福井座長より別添2で後ほど御紹介いただきたいと思います。

 4つ目、医師養成全体の動向を踏まえた到達目標のあり方に関する研究では、卒前教育におけるモデルコアカリキュラム、国家試験の出題基準、臨床研修到達目標の比較可能な表を作成するなどして、これらの連続性の観点から到達目標について検討を行うことを目的としております。詳細は後ほど分担研究者でいらっしゃる奈良参考人より、別添3で御説明いただきたいと思います。

 5つ目、到達目標の評価手法の標準化に関する研究では、評価手法や運用について実態を把握するための調査を行い、評価手法の標準化等について検討を行うことを目的としております。詳細は後ほど分担研究者でいらっしゃる前野構成員より、別添4で御説明いただきたいと思います。こちらの内容は1つ目の大滝構成員の研究内容と関連が深いため、資料の御説明は別添1、別添4を先にお願いしたいと思います。

 資料1の説明は以上になります。

○福井座長 ありがとうございます。

 今までの説明につきまして、何か御意見、御質問ございませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは、ただいま説明がございましたように、今年度の研究の中間的な報告となりますけれども、各分担研究者からそれぞれの研究結果についてお話をしていただきたいと思います。内容が多いため前半と後半に分けて説明していただいて、それぞれ御質問やご意見を伺いたいと思います。どうぞ気楽に意見を述べていただければと思いますので、本日はよろしくお願いいたします。

 最初に大滝先生からよろしくお願いいたします。

○大滝構成員 別添1をごらんください。2つの束になっておりまして、1つ目がパワーポイントのスライドをもとにつくっていただいた資料ですが、研究の進め方の概要と、そこで整理された論点をお示ししたものです。当初は新たな目標の枠組みのたたき台的なところまで、こういった研究で示すことも想定されていたのですが、研究班の中でいろいろ議論をいたしまして、また、この研究班の位置づけから言っても、そこまで具体的なたたき台をお示しするよりも、まずは論点整理を中心に、今回行った調査から資料をお示しするのが適当であるという判断になりまして作成したものです。

 2つ目の束、別紙と括弧書きでついております。インタビュー分析結果(案)となっております。まだ全てのデータの処理を組み込めていないのですが、8割方の情報を整理した分析途中のものです。どのように分析したかは、これから御紹介してまいります。

 それでは、パワーポイントのスライドにお戻りいただいて、これに沿って概略を御説明してまいります。

 担当したのは私と、私の職場の准教授の川畑、学術研究院の武冨です。

 まず研究の概要です。目的は、診療能力を踏まえた到達目標の具体的なあり方と適用の妥当性について検討するということで、具体的には研修医の診療能力の実態、それから、現在の目標の過不足、目標の構成に関する問題点などを把握することを目指しました。後で前野先生から説明していただく大規模なアンケート調査でも一部、この目標に関する質問項目はあるのですが、より突っ込んだ深い意見あるいは網羅的に情報や御意見を集めるといったことを目的として、今回はインタビュー調査を行いました。臨床研修指導医を対象とするインタビュー調査です。

 研究デザインは、フォーカスグループインタビューという方法をとりました。これはグループダイナミクスを活用して、多様な意見が出てきやすい形でインタビューを行うことによって、より幅広い、深い意見を引き出す研究方法です。今回は参加者と直接利害関係がない、この場合には同じ職場にいないといった程度ですが、研究者ということで私たち3人が交代で司会進行、裏方などを務めました。

 インタビュー参加者のグルーブ構成ですが、新医師臨床研修制度で研修した人を若手と位置付けて、そういった人たち3~4名、さらにこの制度が導入される前と後の両方を知っておられる、両方で指導したことがある指導医の先生方、ここではベテラン3~4名と書いてありますが、両者を合計で最大8名ぐらい入る形で各グループをつくることを計画しました。グループ数は3~4グループ、参加者数は20名程度を予定して研究を開始しました。所要時間は1グループ当たり1時間程度のインタビューを行うことを計画しました。

 次のページに行っていただきまして、では参加者をどうリクルートしたかということですが、これは研究班の中でこういった調査に建設的な意見を述べていただける、また、実際に現場のことをよく知っておられる指導医を紹介していただいて、その中から地域、指導しておられる施設、バックグラウンドとなっておられる診療科、そういったことをいろいろ配慮して、リストをつくって順番にお願いをしました。

 インタビューの進め方ですが、半構造化面接として、聞く目的をある程度定めて、ただ、その項目について比較的自由に話していただくというやり方で行いました。最初にまずICですね。了承をいろいろお願いした上で、基本情報の確認、進行予定やインタビューの目的の説明などのオリエンテーションをして、その後、質問としては主に目標について、また、一部は評価についても、それぞれの話題で幾つかの質問を行いました。また、制度全体のよい点、改善すべき点などについても意見を伺いました。最後に追加などがないかの確認を含めたまとめを行って終わる、という形で進めました。

 内容の分析過程ですが、3人の研究者が分担してデータを処理して、具体的には会話の要点を抽出して、抽象化などの言いかえによりコード化して、それを後でもう少し詳しく述べますが、類型化して整理してまいりました。その整理した内容について3人の研究者で合議して、再検討するという作業を今、繰り返しているところであります。

 実際には先ほど申しましたように、1グループの人数、インタビューの回数など、当初の計画どおりには、それぞれの先生の御都合があり進まなかった面がありますが、約20名の方からいろいろ御意見を伺うことができました。ちなみに予算の関係や御都合もあり、今回は全てインターネットでSkypeを用いてこのフォーカスグループインタビューを行いました。

 では、分析結果をもとにした論点整理について御紹介してまいります。これは後ろの別紙を先に見ていただいたほうがわかりすいと思いますので、そちらをまずごらんください。これが分析の作業の経過がわかるような形で分析結果を一覧としてまとめたものです。繰り返しになりますが、これはまだ分析の途中で、この後、また少しずつデータが加わる予定ですが、おおむね大きな変更はないと考えております。

 大分類としては、大きい論点としてどのようなものがあるかを整理しました。それが大分類というところに書いてあります。目標の設定、評価、研修制度、さらに研修病院別の研修の特性といった話題。それから、プライマリ・ケアのトレーニングの入口という位置づけ、と分けてみました。これらの分け方について何か御意見があればお願いします。

 また、その下の中分類については、これもいろいろ議論したのですが、ポジティブな面とネガティブな面に分けると論点を整理しやすいだろうと考えて、中分類は原則としてポジティブ、ネガティブに分けられるものは分けて、分けにくいものはその他という形で整理してみました。

 その下の小分類については、出てきたいろいろな意見をもとに、それらをおおむねこういった論点でまとめられるだろう、という項目でまとめ、さらにその中のまた少し細かいいろいろな意見を、一段下げてお示ししたものであります。これをもとにさらにもう少し整理したのが、パワーポイントの資料の4ページから2枚と少しのスライドにまとめたものであります。そちらのほうに戻りまして、御紹介してまいります。

 まず1つ目の項目が、目標の内容の範囲と項目数についての意見です。現在の目標についてプライマリ・ケアを学ぶので網羅的で妥当であるという御意見。必要かつ十分であるという、ちょうどいいという御意見。多いと言われるが、実際にきちんと研修させれば到達可能であるという意見が、複数の方から出された一方で、項目数が多過ぎるという意見もかなりありました。

 2つ目が、目標を設定することの効果。一体この目標があることによって何か良い効果があるのかということですが、実は目標を意識する機会がそれほどないという意見もかなり聞かれました。研修の節目にリマインダーとして、これはやっておかないといけないということを思い出す効果があるとか、研修先によって研修が偏らないような標準化あるいはコアの部分を示すという意味があるとか、研修のプログラムをつくるときに、この目標を見ながらつくったなど、効果がある、意味があるという御指摘がある一方で、特に行動目標については、目標の文言はあるけれども、評価することがとても難しくて、自分のところでは形骸化しているという御意見。経験ができないまま終わる目標があるので、あるいはほとんどの研修医が経験するのに苦労する目標があるので、それは問題だ、効果が疑問だといった御意見がありました。

 次は、研修理念と目標の関係です。プライマリ・ケア能力の涵養は重要ということは、かなり多数の皆さんから御意見をいただきましたが、研修理念と目標の間に乖離があるのではないか。研修理念と目標のつながりがわかりにくい。それから、研修医が実際に研修するときに、その人なりにいろいろなことを目指して研修するわけですが、それとここに書かれている目標の間にずれがあるように思う、といった御意見。それから、先ほどの研修理念と目標の乖離ともつながるのですが、研修理念の中には社会的役割が盛り込まれているけれども、それが具体的な目標の中にどう反映されているのか、そこが欠如しているのが問題でないかといった御意見をいただきました。

 目標項目の選び方については、現状の症例との乖離があるとか、研修する診療科の基準。どの科を必修にしてどの科を選択にするかということが、途中で制度が一部変更されましたが、科の基準が選択になったのに、その科でしか学べないことが必修になっているのは不整合ではないかという御意見もいただきました。ABというのはA項目、B項目という設定を指しています。これが設定された根拠は何なのか。どういう意味でこれが設定されているかわかりにくいという御意見もいただきました。それから、先ほどの目標設定の効果の中でも触れましたが、経験が困難な項目があることについて、問題点として指摘されていました。

 次のスライドにまいりまして、目標の到達レベルについても、これはほぼ一致した御意見ですが、どのレベルといいますか、どういう状況になったら到達したと評価していいという、そのレベル設定の基準がはっきりしないという意見を多くの方からいただきました。やむを得ず自分たちでレベル設定をしているというところが多かったと思います。

 評価方法の偏りという形でまとめてみましたが、これは実際に評価をどう行っているかというと、経験目標をただチェックすることに追われているといった御意見。それから、レポートを書かせる、あるいは書くことに追われているけれども、それで本当に評価として妥当なのか疑問であること。先ほども出ましたが、行動目標の評価方法はどういったことが適当なのか、かなり難しくて困っているといった御意見。メインの研修病院以外の施設での研修をお願いする場合に、その研修内容を具体的にきちんと評価することがなかなか難しいという御意見もいただきました。また、頻繁かつ継続的に評価することが望ましいことはわかっているが、それがなかなかできない。ローテーションの節目あるいは年度末などにまとめて評価することが実態として多いといった御意見もいただきました。

 評価方法の工夫として、それぞれでいろいろな工夫をなさっていることも多く意見や御紹介をいただきました。研修手帳をつくっている。EPOCを活用している。レポートの書き方をいろいろ工夫して指導している。ポートフォリオ的な評価のいろいろなツールを使っている。評価者を広げていく。指導医だけではなくて患者さんや他の職種、特に看護師さんから評価してもらうことが有効だという御意見も多くの方からいただきました。また、ただ単にチェックをするというよりも振り返りをしてフィードバックして、いわゆる形成的評価に当たるのかと思いますが、そういった評価を心がけている。それから、Mini-CEXという実際の臨床現場での活動を観察しながらチェックするような評価票を使っているとか、米国のACGMEの評価システムの導入を試みているといった御意見や御紹介をいただきました。

 研修制度に対する御意見としては、全国共通の方針、コアとなる目標というものが明示されることは大切だという御意見。研修支援体制がこの制度によって整備されてきた、と評価する意見がある一方で、研修を運営するインセンティブが理念と異なり、つまり医師を集める、後期研修医を集めるために研修プログラムを立ち上げているというのが、病院に研修プログラムを置いている実際のインセンティブなので、それが理念とちょっとずれているといった御意見もいただきました。

 また、この制度全体に対する評価や、各プログラムに対する評価も同様に、これからさらに充実させていく必要があるといった御指摘もいただきました。

 最後のスライドに1項目だけ残っていますが、考慮すべき関連事項としまして、目標を見直すに当たっていろいろな社会背景の変化、専門医制度の導入との連動、連続性。それから、この後も話題になると思いますが、卒前、卒後研修の連動といったことを考慮する必要性について、大勢の方から御指摘をいただきました。

 また、制度を変えるということは現場にかなりの負担を強いることになるので、それについても、このほうが正しいと変えたことによって、現場の負担がかなり増すということにも配慮しながら、いろいろ検討してほしいという御意見をいただきました。

 最後に、その紙の裏側を見ていただきますと、これはインタビュー調査からではなくて、インタビュー調査の計画などを研究班の中で議論する中で目標に関する議論を幾つか行いましたので、それについて整理したものです。既にワーキンググループの中でも議論されたものがあるかと思いますが、簡単に御紹介してまいります。まずアウトカム評価型のカリキュラム、目標の立て方、そういったものが望ましいのではないかということで、研修修了時に到達すべき能力(コンピテンシー)を整理し、その目標と評価方法の整合性を高めるといったようなこと。それから、既に出ております医道審議会の分科会報告書の方針の検証として、例えば外来の診療能力についての取り扱いであるとか、従来の経験目標については能力を担保する根拠として組み込めるのではないかとか、卒前教育との一貫性といったことについても目標面で話し合いました。

 それから、今の話ともつながりますが、到達目標としての能力(コンピテンシー)をどう構造化するかについては、まず上位目標をここに書いてあります程度の数に整理した上で、その下に下位のより具体的な目標を組み込んでいき、その中に経験目標を組み込む形にすれば、ただ単に経験目標を一つ一つしらみつぶしにやっていくことが目標なのではなくて、より大きい全体の目標の中における経験目標の持つ意味がわかるのではないかといったことです。

 さらに先ほども出ましたレベル設定については、達成度を判断する基準として、これはルーブリックと最近は呼ぶ方が多いようですが、そういったことを定めてはどうかということが出ました。経験目標の構造化についてはここに書いてありますように、経験のレベルを具体的に設定してはどうかといったこと。その場合にも単一の基準ではなくて、最低限の基準と、さらにできればここまでいくのが望ましいといった、2段階にしたレベル設定が望ましいのではないかという御意見をいただきました。

 また、関連情報として今まで出た話題にも関連して、研究班で幾つかの資料が紹介されましたので、特に研修目標に関連する情報で共有したい内容を、ここに整理してございます。

 私からの資料の説明は以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 続きまして、前野先生より御説明をお願いします。その後、ディスカッションをしたいと思います。

○前野構成員 それでは、別添4をお開きください。私が担当した調査は、実際の評価方法の標準化というテーマをいただきまして、最終的には標準化を考えていくわけですが、そもそも現在の評価でどのような、実際の今のルールで実際どのように評価されているのだろうということの現状把握を目的とした調査を行いました。

 特に現在は項目が示されているだけで、どこまでいったら経験したと言えるかということに関しては明確なルールがないわけです。それから、その項目数が適切かどうか。それから、やることになっているけれども、実際はやらなくても修了している可能性がある。つまり各施設の修了認定というのは各施設で判定した後、それが確かにどのように行われていたかということの外部からのチェックというのは実質上、全く入らない。つまり検証委員会が判を押せば、そのまま厚生労働省に届け出るという形になっているわけです。

 こういった事情を踏まえて、今のルールで実際にどれぐらい行われているのかということをまず把握しよう。それをもとに今後の議論を進めよう、という趣旨で現状把握を目的とした調査を行いました。

 調査の概要について最初に申し上げたいと思います。別添4の1ページ目、リクルート方法です。REISを使いまして、そこには厚生労働省が認定するプログラムが全部データベース化されているわけです。そこに連絡先も書いてありますので、まずそこのプログラム責任者に対して郵送の形で調査を行いました。返送は紙で返してもいいし、ウェブで入力してもいい。それと同時にそのプログラム責任者にその施設の指導医と研修医に対して調査に関して同意をいただく書類を一緒に送りました。つまり、REISのプログラム責任者にプログラム責任者そのものに対する調査と、その先の指導医、研修医調査の同意をとるお願いと、2つの書類をお送りいたしました。

 そして、プログラム責任者から直接の回答はそのまま入力して、指導医、研修医対象の調査に関する同意をいただいた施設に、今度は指導医と研修医を対象とした、ウェブ入力限定の調査フォーマットのURLをお送りしまして、それぞれのプログラム責任者から自施設の指導医と研修医にそのままメールを転送していただきました。そしてその指導医、研修医はそのメールに書いてあるURLをクリックしてウェブアンケートの入力画面に飛び、そこで入力をすることになっております。

 プログラム責任者調査は一応、匿名という形で行いましたけれども、同意を得て転送していただくには連絡先を書いていただくしかないので、そこは別の形で集めまして、指導医・研修医対象につきましては個人名を集めないという形で調査を行いました。ただ、どの施設が答えたかということは連結できるような形で調査を行っております。

 ここまでがいわゆる研究デザインになります。

 どのような質問をしたかということに関しては、回答を見ながら御説明したほうがわかりやすいかと思いますので、そちらを中心にお話をさせていただきます。

 概要に関しては、別添4の1ページ目から3ページ目に書いてあります。基本的にはこれを説明するのですけれども、3枚目の別紙1のアンケートの実数を見ながら見ていただければと思います。

 まず別紙1に沿ってお話をしていきたいと思いますが、まずどれぐらい結果が返ってきたかというのは別添4のほうに戻りまして、依頼数はプログラム責任者の調査は依頼数855施設、回答があったのは384施設です。残念ながら半分には届きませんでしたが、380ということでかなりの病院から御回答をいただいております。大学病院、市中病院の別に関しては下に示すとおりです。

 プログラム責任者アンケートの結果について、別紙1をごらんいただければと思います。1ページ目の病床数、研修医数、1年目、2年目に関しては、バックグラウンドですので目を通していただければと思います。研修医のフォーマットには何を使っているかということに関しては、EPOCと答えた人が一番多くて49%ですので、EPOCEPOCミニマムを足しますと半数以上の施設がEPOCを使っているという結果でした。

 レポートのフォーマットに関しては特に国の指定はないわけなのですが、内科学会の症例記録の書式を使っているところが最も多いところです。これに関しては細か過ぎる、あるいは経験を確認すればいい、さまざまな意見があると思いますけれども、実際にこのアンケートをつくるときに我々が漏れ聞いていたところでは、レポートをその証拠が確認できるサマリーのコピーの提出で代用しているところがあるという情報がありましたので、そういう聞き方をしてみたのですが、サマリーのみと答えたところも8.9%あった。つまりコピーで終わりにして、レポートは特に書いていないところです。

 最近、医学教育で話題になっているポートフォリオですけれども、それを自主的にやっているところは極めて少ないということです。指導医以外のQ5の評価に関しては、実施しているところのほうが多いということで、大体3分の2ぐらいの施設で実施しているということです。内訳はごらんのとおりで、一番多いのは看護師でした。

 4ページ目Q6、ローテーションごとに評価をしているかということなのですが、これは全ての診療科で実施しているというところが最も多いのですが、本来であればほとんどとか幾つかという回答があってはいけない。つまりやっていない、評価をしていないローテーションが1つ以上あるということになるわけですけれども、実際、そういう施設があるということです。

 次は修了評価をどれぐらい厳密にやっているかという質問です。これは、私は非常に疑問だったので、そこに対する質問を幾つかしてみました。修了評価において到達目標の評価はどう行っているかということなのですが、特に決めていないというところも幾つかあるということです。それから、手技に関しても同じように特に決めていないというところがそれなりにありまして、逆にOSCEなどをあえて行って厳密に評価している施設は極めて少ないことがわかります。

 経験目標をどうやって確認しているかということなのですけれども、これもEPOCまたはそれに準じるという形で答えているところが一番多いのですが、ここも特に決めていない施設がありました。この調査は研修医が実際にいるところにしか送っていませんので、10年間運用している中で、それでも特に評価の基準は決めていないというところもそれなりにあるというのは、出口の評価としてはかなり微妙な施設もゼロではない、ということが言えるかと思います。

 レポートの提出なのですが、実際に私も筑波大学で見ていると不備なレポートがあるのです。その場合は書き直させているのですけれども、その記載内容のチェックも、やっているところがもちろん多いのですが、やっていないところも一定数ある。同じように提出漏れがある場合。本来であればレポートの提出漏れがあったら修了できないはずなのですが、全て記入されるまで修了認定しないと答えたところはこれぐらいの割合にとどまっていて、多少抜けがあっても認めているところと大体半々ぐらいという結果でした。

 問9からは、研修そのもののプログラム責任者にどれぐらいの負担かという調査ですけれども、かなり負担、やや負担が圧倒的に多いということです。そして、実際に負担をかけてやっている評価は成長に役立っているかということに関しては、比較的好意的な意見のほうが多かったように思います。ただ、項目数は圧倒的に多過ぎるという意見が多いですし、見直しは行うべきだという意見が圧倒的でした。

 では、続きまして指導医アンケートに進ませていただきたいと思います。指導医アンケートは結局、同意が得られて配付した施設が280施設なのですけれども、配付したのだけれども、1個も返ってこなかったところもあります。返ってきたところが174施設。配付数、この次の研修医もそうなのですが、できるだけ負担を減らすためにメールを転送していただきました。ですから、そのメールを転送していただいた数だけ報告していただいていますので、その数が指導医は5,130名で、最終的な回答数は1,213人ということで、分母を5,130と置くと回答率は23%となります。ここはメールベースですので、どうしてもこういう低い回収率になってしまうのですが、絶対数としては1,000人以上集まったというアンケートです。

 また別紙2に戻りまして、それぞれの分布、それから、医師経験年数については属性ですので目を通していただければと思います。

 3ページのQ3、指導医評価を記入するときに、今EPOCですと自己評価をチェックして、デフォルトでボタンを押すと自己評価はそのまま指導医評価で認められるようになっていて、違う場合はそこをつけかえる形になっています。実際、指導医は研修医の自己評価をどれぐらい参考にして評価をつけているのだろうということなのですが、多少、参考にする人は多いのですが、ただ追認という人はほとんどいないです。何らかの評価をしているということが言えると思います。

 そのEPOCの評価、これを形成的評価としてフィードバックをしているかということなのですが、定期的、不定期にしていると答えたのは半分もいかないぐらいで、していないところのほうがいい。つまり形成的としては使っていないということですね。フィードバックの回数としてもQ4に示すとおりです。

 評価フォーマットにどれぐらい時間を使うかということなのですけれども、大体1カ月当たり30分以内ということで、30分以上使っていると答えた人は12%にとどまっておりました。なのでそんなに時間をかけずにはやっているということです。

 次のQ6からは、ここは複雑なので少し説明を加えたいと思います。この調査をするときに私が考えていたのは、実際にQ6の1の下に四角囲みでa十分できる、bできる、c要努力、d評価不能とありますけれども、EPOCはこういう構成になっております。このように何をもってできると言うのか、何をもって十分できると言うのか、この辺はかなりばらつきがあるのではないかという仮説を立てまして、そのデータをとるということを今回の研究の目玉にいたしました。

 基準として使ったのは、欧米でよく使われているマイルストーンです。マイルストーンのEBMに該当するものを、ちょっとこの辺は研究の方法的にはこれでいいのかというのは細かく詰めてはいないのですが、それに模した形でLevel 0~4を設定しました。その下にLevel 0なのかLevel 1の下のほうなのか、1と2の中間なのか、Level 2の真ん中なのか、2と3の中間なのかというような形で段階のチェック欄があります。

 これはウェブアンケート限定で、まずQ1の問題を見せて、現在指導している研修医を1人思い浮かべてください。今、指導していない場合は最後に指導した研修医の1人を思い浮かべてください。その研修医を評価してくださいということで、最初の画面はEPOCと同じa、b、c、dの画面が出ます。それを入力した後にもう一回クリックすると、そのLevel 0~4のチェックボックスがあらわれて、そこでもう一回評価していただくという形になっております。

 その5ページの下にありますQ6EBMの実践ができるというところの色のついたグラフなのですけれども、このレベルの青がa十分できるという形で、このグラフはEPOCで答えた場合のa、b、c、dをあらわしています。それぞれ次の回答でLevel 0Level 1Level 1-2とありますが、それでどう答えたかということが縦に並んでいます。簡単に申し上げますと、例えばbのできる、赤い棒を見ていただくと、そのEPOCの答え方だとbと答えた人が、次の画面でレベルのどこを選んだかということを見ていただくと、Level 2が一番多いのですが、上にも下にもかなりのばらつきがあるということがわかります。

 同じように要努力と答えた場合も、山はさすがにそれぞれずれてはいるのですが、これもかなりのばらつきがあります。このように細かく評価するとかなりばらつくのを、EPOCの評価ではかなり大ざっぱにまとめていますし、ある意味では逆転現象も起こり得る。つまり同じ研修医のパフォーマンスを見ても「十分できる」とつける人もいれば、「できる」とつける人もいるということで、かなりばらつきが大きいということが言えるかと思います。

 同じ傾向は、そのほかの全ての質問に見られますので、説明は省略させていただきます。

 そのような趣旨で次の6~9ページをごらんいただければと思います。手技系の質問もしたがったので気管挿管とか8ページとか聞いてみたのですが、それは当然、気管挿管を見る指導医でなければ評価不能に印がついてしまうわけなので、各経験領域から1つずつ問題をつくってやりましたので、こういう結果になります。

11ページ、経験目標についてどのレベルで経験ありと評価しているかということなのですが、要するにどこで経験ありとしているか。Q7の上に受け持ち医として患者を担当し、診断治療のプロセスに主体的にかかわったもので初めて経験ありと判断している。その次は、同じチームの中で診療プロセスという形で、上から5段階あります。この質問を入れた背景として、ほとんど経験していないのに経験していると指導医が言っているのではないかという話がありまして、こういう評価をしてみたわけなのですけれども、例えば一番下のカンファレンスにおいて、誰か別の人がいた症例の横で聞いていて何か発言したというものでも経験ありとしている指導医が少ないものの121人いる。10%ぐらいはいるということです。

 それから、負担に関する傾向はプログラム責任者と同じです。負担になっていると答える人が半分ぐらい。成長に役立っていると申しているのが約半分ぐらいという結果です。項目数もやはり多いし、見直しは必要というのも同じ傾向でした。

 続きまして、研修医アンケートです。これも配付の仕方は同じです。回収率は22.8%という結果でした。バックグラウンドとかは目を通していただいて、3ページですけれども、フィードバックを受けたことがあるかという質問に関してはないということで、形成的に余り使われていないということです。

 入力する時間としては15分以下という人が一番多い。短い時間でささっと入れているということです。

 4ページからは先ほどと全く同じです。今度は研修医の自己評価です。これも非常に控えめにつける人と、非常に自信満々の人とかなりばらつきがあることがわかりますし、できるも要努力も余り分布の山が変わらないといいますか、余り識別になっていないのではないかと考えております。

 これもその後ずっと目を通していただきまして、10ページのどれぐらいで自分は経験ありとするかということなのですけれども、これも同じようにチームにちょっと加わったらありとするという人もそれなりにいるということです。負担、それから、役に立っているかということに関しても同じような傾向が見られているかなと。このことに関してはプログラム責任者も指導医も研修医も、大体同じような傾向が見られているのではないかと思っております。

 長くなりましたが、以上です。

○福井座長 ありがとうございました。

15分ぐらいディスカッションに使いたいと思いますが、いかがでしょうか。大滝先生と前野先生の発表、大変興味深い内容だと思いますが。

 ちなみに、大滝先生は実際に何名の方が対象になって、何チームでされたのでしょうか。

○大滝構成員 最終的にたしか1人欠席して19ぐらいになったと思います。グループはお一人だけでやったものも含めて6回、グループインタビューの形で、そのうち1人は個人インタビューになったのですが、その程度の数だったと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかいかがでしょうか。古谷先生、どうぞ。

○古谷構成員 感想で申しわけないのですけれども、この2つのレポートなのですが、かなり温度差が大きいというか、大滝先生の報告ですと例えばルーブリックを設けてとか、目標を2段階にしてとか、目標数は十分であるという答えも多かったみたいですけれども、現場はどうかというと、評価をしていないような形であったりとか、例えばルーブリックを設けたとしてもそれをやらないのではないかとか、目標が多過ぎるのではないかという意見が随分出ていて、乖離がすごく認められたのです。想定内と言えば想定内なのかもしれないのですが、そうするとこの目標を設定することをどういうふうに考えていけばいいのかということがなかなか結論としては出しにくいと思うのですけれども、どうでしょう。厳しく目標をつくっていけばいくほど実行可能性が低くなりますし、逆にこんな感じでいいんだよという大まかな目標という形であれば、目標設定の意味合いが低くなってくるような気もするのですが、その辺のところ、研究者の先生方にお聞きするのもどうかと思うのですけれども、何か御意見ありますでしょうか。

○大滝構成員 確かにいわゆる質的研究なので、バイアスをかけて選んでいるというか、目的を持って調査対象を選んでいます。建設的な意見を述べていただくためです。つまり今の研修制度なんか全然だめだよ、という人を選んでいないというのが事実です。ですから、それも今の先生がおっしゃった言い方で言うと、温度差の一因にはなっていると思います。

 こういった意見だけで新たな制度をつくることの問題というのももちろんあるとは思っています。ただ、前野先生の報告にありましたように、現状ではよくないという面も明らかになってきていますので、それをどう変えるかを考えるときにこういったポジティブかつ建設的な意見の中から、ヒントといいますか、実際の具体策をつくっていけるのではないか。そういった位置づけになるのではないかと思っています。

○福井座長 前野先生、どうぞ。

○前野構成員 マジョリティーに聞けば手を抜きたいという答えになるのはある程度予想はしていて、実際に現状ですら多過ぎる、負担だという意見のほうがマジョリティーなのです。ですから、医学、教育学的にみてあるべき姿にしても実行されなければ絵に描いた餅になるわけで、どうやってそこを担保していくかというところが非常に大事だと思っています。

 今回の調査はプログラム責任者対象の調査が半分を切っています。どちら側にデータが寄っているかということを考えると、良い研修をしている方に偏っている可能性の方が大きいと思います。それでこの結果ですから、実際はもっと多い可能性もあるのではないかと個人的には思っているわけです。今後のやり方として旗を高く掲げるけれども、抜け道だらけというやり方もあるでしょうが、ある程度旗は下げるけれども、そのかわり例えばピアレビューとかダブルチェックとか抜き打ち検査などでしっかり運用する方法もあります。トータルとしてどちらのほうがいい研修医を送り出せるのかということは議論していただかないといけないと思いまして、そういう議論の1つの材料に、今やるとこれぐらいの人がこうしていますよというものも重要かなと思って、こういうデータを出しました。だからある意味、大滝先生と今回の我々の調査がこれだけずれるのは、そうかなと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。小森先生、どうぞ。

○小森構成員 前野先生の御発表の中で評価についてはEPOCスタンダード、ミニマム。これ以外のフォーマットは何を指しているのかを教えて下さい。次にスタンダード、ミニマムの母集団が少ないので難しいと思うのですが、そこに一定の傾向が見られたかということが2点目の質問です。

 3点目には、指導医の方も研修医の方も形成的な評価を受けていない、あるいはしていないという意識を御自分で強く持っておいでますね。そのことについての解析とか考え方というのは、アンケートから何かうかがえたでしょうか。

○前野構成員 まず最初に、EPOCに準ずるというのは、EPOCというのはいわゆるある1つのデータのソフトウェアですから、それを使っていない施設は、例えばそれを紙に印刷したものを使っているとか、そういう意味です。準ずる項目というので私が意図した意味は、十分にできる、できる、要努力、評価不能のざっくりとした4つで聞いているという趣旨で聞いております。

 スタンダードとミニマムを選んだ、評価方法を選んだ集団による層別化した解析はまだ行っていないです。これは1月末までやっていた研究なので、それはこれからそういう観点、切り口からもデータを解析したいと思います。

 3点目の返していないという人は、これはもちろん数値データからは読み取れないのですが、実際に運用をしている私の感覚から言うと、書けと言われたから書いて提出して終わり。つまりいわゆる書けと言われたから書いているのであって、これを形成的に評価に使うものだという認識をしていないという人が多いのではないかと想定しています。

○小森構成員 ありがとうございます。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。清水先生、どうぞ。

○清水構成員 質問ですが、よろしいでしょうか。大滝先生のお出しになったインタビュー分析結果の1ページ目の目標設定その他。10年経験したことによるなれとか、使いなれたというのは目標自体になれたという意味なのか、評価のEPOCの使い方とかそういうものになれたという意味なのか、何になれたという意味なのかもう少しお教えいただけますでしょうか。

○大滝構成員 これはたしか半構造化の中で今の制度における目標のわかりにくい点について伺ったときに、慣れましたねと。つまり、今の制度にもう慣れてきて、どこに何が書いてあるかとか、そういうことがわかるようになった。先ほども少し触れましたけれども、変えると相当負担がかかるということの意見は別の方から出てきて、それとつながる部分もあるのかなと思います。今の制度がとてもいいとまでは言えないけれども、もう10年たって皆さんが使っている。それを変えることの影響も考えながら見直しは進めないといけない、そういう論点に含まれると思ってここに挙げてあります。

○清水構成員 ありがとうございます。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。前野先生が説明された中で、別紙1でしょうか、案外指導医以外の評価者からの評価を実施しているというのが多くて、これは当初余り強調していなかったと思うのですけれども、卒後臨床研修評価機構で外部評価するときに随分このことを御指摘してきた経緯がありまして、恐らくそれもこれだけの数値になっているのではないかと感想ですが。

○前野構成員 私も正直、こんなに多いとは思っていなかったので、ここはいい意味で驚いたところです。今、福井先生のお話を聞いて、外部評価機構の評価をおたくは受けましたかという質問項目を入れておけば、それがきっかけになったかどうかもわかったかなと思ったので、ちょっと変数に入れていませんでした。

○福井座長 片岡先生、どうぞ。

○片岡構成員 前野先生に教えていただきたいのですが、修了評価における到達目標の評価でEPOCまたはそれに準じるという回答が多いと思うのですけれども、これは例えば経験目標何パーセント以上を満たしているという、その数値的なものを使っているということなのか、あるいはもっと独自のC判定が幾つ以上あったら修了させないとか、そういった基準を設けているということも読みとれる回答があったのか、そのあたりを教えてください。

○前野構成員 この質問どおりにしか聞いていないので、そこは読みとれないですが、なのでこの選択肢の中で相対的に選んでいるので、今、先生が言われたようなことをやっていても、ただ選んでも準じるになってしまうかなと思います。

○福井座長 伴先生、どうぞ。

○伴構成員 大滝先生に、わかればお聞きしたいのですけれども、前野先生のいろいろなアンケート項目の中で、際立って興味深いと言うと語弊がありますが、研修評価が研修医の成長にどれぐらい役立っているかという質問が、プログラム責任者は64%役立っている。役立っていないのが24%ぐらいなのですけれども、指導医のほうは役立っていないのはその倍の48%ぐらいあって、研修医は64%ぐらい役立っていないと言っているのです。この結果の解釈は、教授錯覚とは少し違うかもしれませんが、上のほうの人は役立っていると思っているのだけれども、研修医自身は余り役立っていないと思っているという回答になっているのですが、その辺の理由といいますか、大滝先生のインタビューから、何か浮かび上がってくるものはありますでしょうか。

○大滝構成員 今回インタビューしたところは、指導に熱心なところが比較的多かったと認識していますが、それでも先ほど御紹介したように、目標を設定する効果のところでまず出てきたのがリマインダー、つまり何かが研修医にフィードバックされて成長を促すというよりも、研修を終わるためにはこれをつけないといけない、という効果が一番先に出てくるような、そんな使われ方が、研修熱心なところでもかなり中心になっているというのは印象的でした。

 それから、今回の論点整理の中にはまだきちんと整理できていなくて入れていないのですが、今の先生の御発言で思い出したのですけれども、かなりの方がおっしゃったのは研修医、それから、その前の医学生がこの目標自体を知らないというのです。そもそも知らない。知らなくて、これをやらないといけないんだよと言われると、ああそうなんですかという、そういうレベルがかなり多い。何人かの参加者の方は、もっと卒前教育において、卒後ではこういう目標で研修をするんだということを学生にアピールすること。そして、卒前と卒後の間に連続性があることが大事なのではないかという御意見は、複数の方からあったと記憶しています。今、思いついたのはそういったところです。

○福井座長 ありがとうございます。よろしいですか。

 それでは、次に移りたいと思います。野村先生の御担当である分担研究に関しましては、野村先生が本日御欠席ですので私から簡単に説明させていただきたいと思います。

 別添2をごらんいただきたいと思います。医師のプロフェッショナリズムを踏まえた到達目標のあり方に関する研究です。

 最初の○ですが、これは臨床研究の基本理念にうたわれている医師としての人格の涵養を具体化するとの観点から、プロフェッショナリズムを人格の涵養、コンピテンシーの1つとして捉え、中間目標と研修方略に係る検討の参考にするため、学会や民間、海外のプロフェッショナリズム並びにキャリア形成のコンピテンシー策定に関する取り組みについて情報収集を行いました。このページの下に書かれてあります。日本医学教育学会、日本外科学会、全国医学部長病院長会議、他職種におけるキャリア教育、米国ACGME、米国AAME、英国NHSなどが情報源になっています。

 現在までの案として、2ページ以降にプロフェッショナリズムの目標が全部で8項目書かれております。8項目のうち最初の3項目が社会における医師という視点から、第1項目が社会的使命への貢献ということです。7行にわたって説明しておりますが、これは社会のニーズに応えるためのあらゆる方策を実行する能力を修得するということです。5~6行目に書いてある部分です。構成ですが、その文章から下にa、b、c、dと書いてあります。aが研修修了時の到達目標で、これが2年間の到達目標となります。時間をさかのぼってbが医学部卒業時の社会的使命の貢献についての到達目標です。cが医学部在学中の5年次から始まる大学が大部分と思いますが、臨床実習開始時の到達目標、dが医学部入学時の選抜基準となっています。社会的使命への貢献については、以上のような基準が考えられる、時間をさかのぼっていく形で、いわゆるマイルストーン的な目標設定になっています。

 3ページ目にいきまして、2番目が支援を受ける姿勢と支援する姿勢。これは医師だけではなく、他職種も含めて支援するという内容になっております。ここでも研修修了時の到達目標がこの点に関しまして2項目挙げられています。

 3番目が、医師としての信頼に値する道徳性。これは患者や社会からの信頼に値する道徳性を身につけるという目的です。4ページに行きまして研修修了時の到達目標としては研究や著述などにおいて不正行為を働いたり虚偽を含めることがないという項目設定になっています。

 4ページ目の真ん中から下ですけれども、組織やチーム、対人関係における医師という枠組みの中では、4番目として多様な価値観の受容と性差への対応です。2つ目の中黒の文章ですが、医師は生物学的性差と社会的性差を正しく認識するという点が書かれております。研修修了時の到達目標が2項目挙げられています。

 5ページ目が5つ目の項目でして、組織やチームのリーダー、フォロワーとしての役割、研修修了時の到達目標が2項目挙げられています。

 6ページ目が第6項目で、人間性と患者中心の視点。研修修了時の到達目標は、患者の自立性を尊重した病状、選択肢の説明を行う。そして、病を持つ患者の生活を支援するため、介護・福祉制度の利用や社会的支援の獲得に向けた調整を行っている、という2項目が挙げられています。

 6ページ目の下3分の1くらいのところで、7番目が卓越性の追求と生涯学習です。研修修了時の到達目標が7ページ目の上のところに3項目挙げられています。みずから進んで指導者の評価を受け、助言を受けて自己のパフォーマンスを改善する。学会発表の準備を行い、指導者や同僚の助言を繰り返し受けて、よりよいものに仕上げる努力を行った上で発表する。医学雑誌のコンテンツを定期的にチェックし、新たなエビデンスを吟味し、自分の診療を改善する。それらが挙げられています。

 最後に、自己管理とキャリア形成ということで、医師は社会的使命を全うするためにも、健康という価値を提供することを役割とする立場として、ロールモデルとなるためにもみずからの健康に留意するという文章が2つ目の中黒のところにあります。研修修了時の到達目標として、5ないし10年程度先までの自分なりのキャリアプランを持っているという項目が挙げられています。まだこれはたたき台のようですので、このような考え方で今、検討を行っているということでございます。

 続きまして、奈良先生から御説明をお願いできますでしょうか。

○奈良参考人 東京医科歯科大学の奈良でございます。私に与えられたテーマは、医師養成全体の動向から見た臨床研修到達目標のあり方に関する研究であります。先ほど御紹介がありましたが、大滝先生あるいは前野先生のアンケートを見ましても、到達目標の項目についてはいろいろな御意見があり、例えば網羅的で妥当だとか、必要十分であるとか、到達可能であるという意見がある反面、項目数が多過ぎる、経験できないといったことも述べられております。

 そのような意見も踏まえ、卒前の医学部教育でどういうことが教えられ、その評価である国家試験の出題基準、さらには臨床研修の到達目標について項目をチェック致しました。  

卒前の教育では、平成13年に提示された医学教育モデルコアカリキュラムが根幹になったいます。21世紀に入り、従来の医学教育よりもむしろ踏み込んで、医師として身につけておくべき実践的な臨床能力、地域、態度、技能というものを到達目標として明確に定めのが、医学教育モデルコアカリキュラムです。現在これは医学部80校全てで導入されており、基本的にはこれに基づいて卒前教育がなされております。しかしながら、これはあくまでもコアであり、全ての大学医学部でまったく同じ教育が行われているわけではありません。モデルコアカリキュラムはあくまでも医学部で教育する内容の3分の2に過ぎず、残りの3分の1は各大学で独自の、あるいは選択制のカリキュラムを作ってもらうことを推奨しています。

 医学教育モデルコアカリキュラム策定のコンセプトは、従来の学体系を排除し、基礎医学と臨床医学を統合した形で教育することにあります。統合型教育の方が学生にとって理解しやすいし、実践的な能力を身につけるのにも有効と考えられるからです。モデルコアカリキュラムは平成13年3月の公表後後、平成1912月、平成23年3月の2回にわたって改訂され、現在は平成22年度改訂版が使われています。

 モデルコアカリキュラムは、7つの領域に分けられています。Aが基本事項として、医師が身につけておくべきプロフェッショナリズムなどにかかる教育です。Bは医学・医療と社会で、従来の公衆衛生学等が該当します。Cは医学一般で、これは従来の基礎医学にあたり、人体の構造と機能に関わる基本的な理解が求められます。Dは人体各器官の構造、機能、病態、診断、治療です。まさしく基礎医学と臨床医学を統合したカリキュラムになります。Eは感染症や免疫異常など、全身にまたがる疾患等についてです。Fは診療の基本で、医療面接、診察、検査法などにかかる事項です。これらを履修後、学生は共用試験を受け、合格すれば臨床実習を受けることとなります。Gには臨床実習での到達目標が定められています。

 医学部を卒業後は、国家試験を受験し、合格すれば臨床研修に入るわけです。医師国家試験の出題基準は平成25年に改訂されたものが現在用いられています。このときの改訂では、必要ないような希少疾患等は除き、医師が絶対に身につけておくべき必要なものを出題する観点から、common disease等を中心に出題するということが決められました。

 今回、私が目的とした研究の目的が、1つは先ほども項目数のことについて御意見がありましたが、必要ないと考えられるものは削り、その一方で当時は設定されていなかったが現時点では必要な目標を加えるために、資料を作成することです。

さらに、項目だけでなく、到達すべき項目のレベルを設定することもあります。実際に卒前、卒後に履修すべき項目を比較すると、多くが重複しています。しかし、学生時代に学ぶことと、臨床研修で修得すべき内容にはレベル、すなわち”深さ”には相違があります。そこで、卒前卒後の履修項目を対比し、到達度のレベルを設定することも目的としました。

 資料には、医学教育モデルコアカリキュラム、医師国家試験出題基準、臨床研修到達目標を対比させたものです。ここにはそれぞれの項目のレベルも記載していますが、このレベル設定は私の個人的な見解で、研究班でもまだ十分に議論していないことから、あくまでも参考ということでご理解をお願いしたいと思います。

レベルの深さは次のようにa~eの5段階を設定しました。aは知っておればよい、とのレベルです。bはシミュレーターで、cは学生同士あるいは模擬患者さんで実施できるレベルとしました。dは医師の指導監督下ででき、eは単独でできるという区分けにしました。つまり、Millerの提唱しているknowsknows howshows howdoesを少し細かく設定しました。

 対比表につきましては、いちいち御説明する必要はなく、ご覧いただければと思います。

表の見方としては、一番左側のカラムが平成22年度改訂の医学教育のモデルコアカリキュラムです。次のカラムが国家試験の出題基準の必修の項目、その次のカラムは医師国家試験出題基準の総論と各論で、これは合わせて記載しています。一番右のカラムは臨床研修の到達目標です。これらを横にご覧頂いて対比されると、どの項目が必要で、どの項目が必要でないかの検討資料になると思います。赤字の小文字で書いているa~eは、先ほど申しましたように、私の個人的見解としての到達度の深さを示しています。

なお、臨床研修の到達目標にはキャピタルのAとかBがありますが、これとはちょっと違った観点ですので、あえて小文字のaとかbと書いています。例えば、1の行動目標のところで医師としての職責です。豊かな人間性と生命の尊厳についての深い認識を有し、人の命と健康を守る医師としての職責を自覚する。これは当然医師として身につけておくべきことで、国家試験の必修項目にも、臨床研修到達目標にも明示されています。同じように基本的姿勢あるいは態度については、コアカリキュラムについては医師としての職責あるいは患者中心の視点、コミュニケーション能力、チーム医療、総合的診断能力、地域医療、医学教育の執行、自己研鑽ということで書かれていますが、これが国家試験あるいは研修目標には、どう書かれているかをご覧いただければと思います。

 経験目標、経験すべき診察法・検査・手技という事項では、より具体的な目標が出てまいります。例えばコアカリキュラムで、全身状態とバイタルサインとして、例えば学生でも身長、体重を測定し、BMIを算出し栄養状態が評価できることが明記されています。これは指導下で学生もできなければいけないと判断し、私はdと表記しています。一方、国家試験出題基準では、一般的な身体診察の項目があり、これもdとして、卒業生が実施できなければいけないと判定しております。

 国家試験の総論、各論のところは2次、3次救急患者の診察で、よりグレードの高いことが書かかれています。これは指導医の下でも実施できなくてもやむを得ず、a~bぐらいでいいのではないかと思い、記載しています。一方、臨床研修の到達目標での同じような項目ですが、これらの基本的な身体診察は研修が終わった時点では単独でできなければならないわけで、eと判定しています。

 検査のところでは、健診目標のところで基本的な臨床検査について私はb~eと判定しておりますが、研修目標のところでも、自身でできなければならないものと、原理や解釈だけを知っていれば良いものとにレベルを分けています。

繰り返しになりますが、各項目のレベル、深さは重要で、今後研究班でさらに検討したいと考えます。

 その次の資料をご覧ください。これは医事課の森専門官に作っていただいた資料です。医師国家試験出題基準や医学教育モデルコアカリキュラムでは記載されているのに、臨床研修目標で抜けているところをピックアップしてもらったものです。

 例えば参考資料の1ページ目に、国家試験の必修出題基準のところには医療の質と安全の確保として医療裁判がありますが、研修目標には医療裁判に触れていません。また、研修到達目標に、全身症候の中で脱水が欠落している、国家試験には明記されている胸水、異常心音、腹膜刺激症状、腹部膨隆、血栓傾向などが研修の到達目標には出ていないということもおわかりいただけると思います。染色体とか遺伝相談は研修医が全てできる必要はないですけれども、少なくとも知識としては知っておいたほうがいいかなという項目もあります。

今後この対比表を見ながら研修到達目標の整理、削除するものは削除し、追加が必要なものは追加するといった見直しが行われればと思います。

 なお、卒前教育から臨床研修までだけでなく、専門医研修、生涯学習との連続性についても検討する必要がありますが、これらは今後の課題にしたいと思います。

 以上、御報告をさせていただきました。

○福井座長 ありがとうございます。

 奈良先生には大変な作業をしていただきました。大変参考になる資料となっていて、ぜひこれを踏まえてディスカッションをしたいと思います。10分ぐらい御意見、御質問がございましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○伴構成員 よく卒前のコアカリキュラム、あるいは国家試験出題基準と卒後初期臨床研修の到達目標で重なっている、重複しているという議論が出てくるのです。奈良先生の今のお話ですと、卒前のカリキュラムあるいは国家試験の出題基準にはあるけれども、研修到達目標にはないというものがあるということが、卒後初期臨床研修の研修到達目標で欠けているようなニュアンスで言われたような気もするのですが、むしろそれがないほうがいいのではないかという部分も結構あると逆に言えないでしょうか。

○奈良参考人 御指摘のとおりだと思います。医学部のときに知っておく、あるいは修得しておくべき項目の中には、研修のときに必要でないものがたくさんあるわけです。学生の時に知識として持っておく必要があるにしても、実際の臨床現場では必ずしも必要でない項目があります。ただ、だからといって学生のときに勉強しなくてよいというわけではなく、知っておくことは重要という観点で見たいと思います。いずれにしても、研修目標に書かれていないものはたくさんあります。

しかし、その一方で研修目標になくても良いのか、もう一回見直すことも必要だと思います。例えば脱水は臨床研修でもしばしば遭遇するし、修得しておくべき事項ですが、意外にも研修到達目標に書かれていません。これらを精査する必要があると思っています。

○福井座長 いかがでしょうか。高橋先生、どうぞ。

○高橋構成員 野村先生いらっしゃらないところで恐縮なのですけれども、このプロフェッショナリズムを踏まえた到達目標のあり方のプロフェッショナリズムの範囲は、どういうふうに考えられてディスカッションされているのか。というのは、この内容を見ますと、現在の厚労省の到達目標に通じるようなところが結構いっぱい入っていて、プロフェッショナリズムだけで到達目標を全て含むとも受け取れるのです。ただ、コンピテンシーの1つとしてプロフェッショナリズムを挙げていらっしゃるとすると、研修のコンピテンシーにはプロフェッショナルリズム以外のコンピテンシーもあり、それはほかの部門で考えてということが必要になってくるかなと思いまして、どのぐらいの広がりを考えられているのか教えていただきたいと思います。

○福井座長 私はよくわかりませんけれども、そもそもプロフェッショナリズムの定義が千差万別ですので、どの部分をどこに書くのかという話と、プロフェッショナリズムというまとまりを持ったものを提示した方がいいのかという話があると思います。議論する人によってプロフェッショナリズムの範囲というかイメージが随分違うものですから。例えば医学知識もプロフェッショナリズムに含めて考えるという人もいますし、それを除いて価値観だけをプロフェッショナリズムと考えようという人までスペクトラムが広いようですので、研究班でいろいろ話し合った上で、野村先生にまとめをお願いしたいと思います。

 古谷先生、どうぞ。

○古谷構成員 先ほどの大滝先生のと今回の奈良先生のと関連になるのですけれども、ここで比較的コモンな例えば胸水であるとか脱水が抜けていたりとか、逆に大滝先生の先ほどのディスカッションのところで研修目標が適切でないという意見がいっぱいあったということなのですが、具体的に例えばどういう項目を外したほうがいいとか、こういうものがあったほうがいいというディスカッションがあったのかということが少し気になりまして、もし聞かせていただければと思ったのです。

○大滝構成員 具体的な項目で言いますと、いろいろなプログラムで比較的共通して苦労しているのが、例えば眼科の目標です。それはレベル設定をどこまでやれば経験したと言っていいのかということも含めての話です。それから、あとは結核が割と問題になるケースが多いと思います。挙げていけばまだまだあるのですけれども、そういった具体的なことも幾つか話題になりました。

○福井座長 清水先生、どうぞ。

○清水構成員 先ほどの奈良先生の深さの話と関連してなのですが、国家試験の出題範囲が決められると卒前の教育が誘導されるように、臨床研修の目標をちゃんとつくっておくことで臨床研修の内容が規定されるといいますか、引っ張られるところがございますね。例えば先ほどの話で、コアカリと国家試験にはあって臨床研修の目標にはあえて入れないとか、または臨床研修の目標は同じ項目でも深さを考慮するかとか、どういう基準で臨床研修目標をふやしたり減らしたり、違う種類のものにするのかというのを考えるときに、奈良先生の膨大な資料がとても役に立つのかなと思うのですけれども、先生がこの作業をされてみて、今の点についてどうやっていけば筋道が見えるかみたいな何かアイデアがございましたら、お教えいただきたいと思います。

○奈良参考人 なかなか難しい議論だと思うのです。今回の資料はあくまでも私1人の個人的見解で、何人かで見て、しかも専門分野の違う人も交えて、これは臨床研修で残すべきだとか、要らないのではないか、ということをディスカッションしないといけないと思います。今後研究班等で詳しく議論すると同時に、いろいろな方々にパブリックコメントを求めて、よりブラッシュアップしなければいけないかなと思います。

○福井座長 高橋先生、どうぞ。

○高橋構成員 その点に関係してなのですけれども、例えば画像検査までではbからeまで適用を判断して結果を読めればというレベルでbからeまでなさっているのですけれども、そのほかの疾患群等につきましてはほとんどがeですね。単独で。そのあたりの先生自身のレベル設定というのは、初期研修が終わった段階でのe、単独でできるというのはどの程度を考えられてこれをつくられているのか。教えていただきたいと思います。

○奈良参考人 研修目標に掲げられている疾患は当然研修終了時点で実施できなければならないという意味でeにしました。ただ、検査などは、臨床検査技師や放射線診療技師が行って医師が行っていないものもあり、グレードを下げてみました。これらの点は、もう少し皆さんの御意見をいただかないといけないかなと思います。先ほど眼科の話しもありましたが、診療科によっても違うと思いますので、広い立場から議論しなければならないと思います。

○福井座長 伊野先生、どうぞ。

○伊野構成員 そもそも論になってしまうかもしれないのですけれども、昔から卒前、卒後のシームレス化ということだとか、国家試験とモデルコアの共通にしましょうというお話があって、大滝先生からも先ほどのそれにはコンピテンシーの能力としてまとめる。先生が先ほどa~eをなさったような、こういった枠組みで1本の筋にしていくことが、膨大な仕事かもしれませんけれども、一番研修医にとっても学生にとっても理想的だなと思うのですが、いかがでしょうか。

○福井座長 そういう話し合いを今しているところです。どなたか先生よろしいですか。

○奈良参考人 ご指摘の通りです。試案としてa~eのランクを出していますが、これでいいのかどうかも含めて、各項目でのレベルを設定する必要があります。こうしたレベル設定をしておかなければ、学生も研修医も自分たちが置かれた立場でどこまでやっていいのかどうかわからないと思います。到達目標を一覧表にして、自分たちはどの立ち位置にいるかが分かれば効率的に学修できると思いますので、今後はスリム化し、かつ、ブラッシュアップする必要があるかなと思います。

○福井座長 前野先生、どうぞ。

○前野構成員 そのレベルのところでこの前ワーキンググループでも申し上げたのですけれども、滅多に出会わないが、そうなったときに対応できる能力が必要。例えば挿管もそうなのですけれども、今、麻酔科ローテーションは必修になっていませんが、救急は必修になっています。でも、救急の予期せぬ挿管を研修医にさせられないという現状がありまして、それから、除細動とかも除細動を実際に研修医がかけられないですね。つまり麻酔中は除細動をかけないでいいように全身管理をするわけですから、でも実際、そうなったときはかけられる手技は持っていなければいけない。

 つまり何が言いたいかといいますと、短いローテーションの間でくまなく経験できるとは限らないけれども、修得しておかなければいけない能力はシミュレーション教育をやるしかないと思うのです。ですからこのできるという中にシミュレーションでという学習方略をもって修了証をもらった人をできるとカウントするとか、そういう要素も今後は必要になってくるのではないかと思うのです。

 ですから先ほど伴先生言われましたように、同じ項目を入れていいのかというものがありましたけれども、挙げていく中でより応用的な力が求められるという中に挙がっていくと、何をもってできると言っていいかということの、現場で除細動をかけたことがないと認めないだとなかなか終われないですが、その辺はシミュレーションがあればいいとか、そういったところも含めてレベル設定が必要になってくるのではないかと思います。これは1つの意見です。

○奈良参考人 コアカリキュラムの中でも、技能のところはシミュレーターでいいとか、学生同士とか、区分けをしています。今回、私が試案で出したレベル設定は、aは知っていればよいのですが、bはシミュレーターでできれば良い、といった区分けにしています。臨床現場で経験していなくても、シミュレーターでマスターさえしておけば実際の場面に遭遇した際に実施できるということもあろうかと思います。余り細かく分け過ぎると分かりにくいと思い、5段階として試案を出させていただきました。

○福井座長 大滝先生、どうぞ。

○大滝構成員 大滝です。札幌千歳空港の天候が悪いので私は先に抜けさせていただくのですけれども、私の担当したところと関連して、今の報告との絡みで2点だけ申し上げます。

 1つはインタビューのときに結構な数の方がおっしゃったのが、目標を見直す、あるいは減らすというときには根拠が必要だ。どういう根拠に基づいてそうしたのか。果たしてそれが専門家の意見を聞くだけでいいのか、パブリックコメントだけでいいのか。例えば私の知っている範囲では、カナダの国家試験はどの領域からどれだけ出題するかをたしか有病率か何かをベースにして決めていると伺ったことがあります。もちろんどの基準がいいかということについても意見はあると思いますが、こういう根拠で決めたということを医療者、患者さんに説明できるようにしておくことは、これから大事なのではないかというのが1点目です。

 2点目は、これはある参加者の方が強くおっしゃっていたことで、先ほども少し申しましたが、医師の社会的役割。参考資料1のところに臨床研修の目標があって、到達目標の中の理念の中の真ん中に、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつということが書かれているのですが、これを反映する目標が極めて乏しいということです。今回奈良先生が比較していただいたものを見ても、社会的役割というと例えば医療安全であるとか倫理であるとか、公衆衛生的な知識があるかといったことが主になっているのですが、その先生がおっしゃっていたのは、医師不足です。医師不足の地域で働く、あるいはみんなが余り選ばない科にあえて進んで、そこで役に立つような医師になる、という思いを卒前、初期研修、卒後のキャリア形成の中で常に、医師になる人にそういった思いを持ってもらうような目標を、もっと明確に組み込んだほうがいいのではないかと、ある医師不足の地域で、余り研修医が入らなくてみんなが困っている診療科をしておられる医師の先生から、そこをぜひ意見として言いたいと伺いましたので、そのようななことも見直しの中で検討していただけたらと思います。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 以前の到達目標をつくったときには、医師不足がそれほど話題になっていなかったものですから、今度はそういう社会的な背景も踏まえて見直すことになると思います。

 ほかにはいかがでしょうか。小森先生、どうぞ。

○小森構成員 先ほど伴先生がおっしゃったように、関係者の先生方がよく言われることは、モデルコアカリキュラムと国家試験の出題基準と臨床研修の到達目標が一緒だと。これを同じことを3個問うというのは非常に理不尽だ。こういう論調の方もかなりいらっしゃいます。

 確かに深さ、そういう意味でさきほど奈良先生が深さという概念を入れられたのだと思うのです。だから小さな項目で恐縮ですけれども、これはあくまでも例示なのですが、遺伝子検査というのは全く臨床研修の到達目標には含まれていませんが、今、社会的なむしろ現象というか、ダイレクトコンシューマーというものが盛んにあって、そういった検査をお受けになろうとする、あるいは受けられた方々の相談に適切に応えるとか、そういう意味では時代的な背景で変わっていく面というのは確かにあるのだなと思いますけれども、先ほど伴先生が言われたこととあわせて、そういう意味ではそこの整理は必要なのだということを感じました。

 同時に、この部会と関係ないのですけれども、奈良先生も御出席でいらっしゃるので、今、大変幸運なことにとあえて申し上げたいと思うのですが、医師国家試験改善検討部会の議論が並行して行われておりますので、どうしてもばらばらに行われるとお互い、あそこが変わらないから変えられないねというのは、非生産的なことを何度も何度もしている歴史があるように私は感じるのです。奈良先生の資料は、ぜひ医師国家試験検討部会にも資料としてお出しをいただいていくことを事務局にもお願いしたいと思います。目的が違って申しわけありません。ただ、これはひるがえってこちらの部会の議論にもなってくるのだろうなと思います。

○福井座長 本当は医師の養成から生涯教育まで全部にわたってオーバービューできるような組織・母体があって、そこで常に整合性をとりながら卒前、卒後、専門医、生涯教育まで全部を考えられるような枠組みがつくれるといいですね。

 何か事務局から意見はありますか。だんだん話が大きくなっていくような気もしますが、よろしいですか。

○森医師臨床研修専門官 参考ですけれども、お配りしている参考資料5は卒前教育から国家試験、臨床研修、専門医に関して、これまでの経緯と将来に向けて、今動いているものについてまとめたものになります。

 将来に向けてですけれども、卒前教育、モデルコアに関しましては来年度の調査研究を計上したり、標準化といったような動きもあります。国家試験はまさしく小森構成員からもありましたように改善検討部会が動いております。専門医に関しては、御存知のとおり新しい専門医の仕組みの準備を進めているところで、これらを俯瞰できるような形でまとめたものです。

 これを全部議論できる場は確かにないのですけれども、各会に担当者それぞれが参加をしておりますし、今回も文科省からも御参加をいただいておりまして、密に情報共有なり議論の共有なりしていきたいと考えております。

○福井座長 ありがとうございます。

 それでは、時間も大分過ぎてきましたので、本日いただきました御意見を参考にしながら、私たち研究班でも取りまとめを進めていきたいと思います。取りまとめましたらこのワーキンググループにも御報告いたします。

 それでは、議題2、臨床研修修了者アンケート調査について、事務局より説明をお願いいたします。

○森医師臨床研修専門官 資料2をごらんください。時間も余りないですので、簡単に御紹介をしたいと思います。

 こちらは平成26年臨床研修修了者アンケート調査の概要をまとめたものになります。昨年11月に開催しました臨床研修部会において、この一部を速報として御報告しておりましたが、今回、最終報告としてまとめております。

 スライド1にありますように、対象者は7,534名、回収数が5,905、回収率が78.4%となっております。

 ページをおめくりいただきましてスライド3になりますが、新規の質問として行動目標について自己評価をいただきました。「十分に習得できた」「ある程度習得できた」と答えた研修医の割合が8割を超えております。全体の傾向としましては、臨床研修病院と比べて大学病院のほうが、ポイントが高くなっていたという傾向がありました。

 続けてスライド4になりますけれども、こちらは経年で調査している項目になります。基本的な臨床知識、技術等について「自信をもってできる」「できる」と答えた研修医の割合は、全体的には年々上昇しておりますが、こちらの詳細については福井先生の研究班でも分析を続けているところです。

 スライド5は各診療科の平均研修期間になります。例年と大きな変化はなく、内科が最も長く9.4カ月、外科系、麻酔科は約2カ月、小児科、産婦人科、精神科が約1カ月となっておりました。

 スライド6は新規の質問になりますが、研修診療科で必修にはなっていない選択必修となっているもの、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科に関して、到達目標には定められている症例等に関してどのように経験、修得をしたかという質問をしております。他科合併症等で経験・修得した、救急外来で経験したといった回答が数多く挙げられております。

 スライド7以降は新規の質問になりますが、到達目標、経験が求められる疾患、病態の各項目について、基本的な診療能力の観点から適当と思うか、1~5のスケールで回答いただいたものです。不適当に近い1と2を合わせて大学病院、研修病院ともに10%を超えるものを御紹介しますと、スライド7では白血病、悪性リンパ腫、スライド15では男性の生殖器疾患、スライド17では眼科、視覚系の疾患の全ての項目、スライド20では寄生虫疾患、スライド23では先天性心疾患といったものが挙げられておりました。

 スライド25以降になりますけれども、臨床研修前後での将来希望する診療科を質問したものです。例年と傾向は大きく変わりません。麻酔科、精神科等を中心に増加傾向にありました。また、速報では載せていなかったデータですが、以前より総合診療科についても質問をしておりましたので、新たにスライド25の表に加えております。約2%弱で希望があるという回答となっておりました。

 スライド28以降は、主要な診療科について研修前後の出入りをあらわしたものですので、御参照ください。

 スライド35以降になりますけれども、研修修了後のキャリアパス等について質問をしたものになります。修了後に勤務する病院や入局予定、医学博士の取得希望、大学院進学の時期、研究分野について回答をいただいております。平成25年と比べてですが、大学病院の勤務予定は5割を超え、平成25年と比べても割合が高くなっておりました。入局予定者の割合も高くなっていたという結果となっております。

 スライド42以降になりますけれども、地域枠の状況等について回答をいただいたものになります。平成26年の研修修了者ということで、多くは平成18年度に入学した方になりますが、スライド43にありますように、いわゆる地域枠での入学者や奨学金の受給者というのは599人の回答となっております。

 支給元や研修中、修了後の地域等への従事等については、スライド4446にあるとおりでございます。

 スライド47以降になりますけれども、新規の質問になりますが、研修中の学術活動等について回答をいただきました。スライド4849にありますように、大学病院、臨床研修病院にかかわらず、約8割の研修医が何らかの学術活動を行っており、学会の参加、症例報告の研究、研究成果の発表等の回答が挙がってきております。

 スライド51にありますように、学術活動を行う上での障害としましては、時間がなかったという回答が一番多くありましたが、それ以外に指導医がその指導をする時間がなかった。手法や研究デザインの相談相手がいなかったなどの理由が挙げられてきております。

 続きまして資料3の説明もしたいと思います。この3月に臨床研修を修了する研修医を対象としましてアンケート調査案を用意しました。前回ワーキングにおいて臨床研修制度が導入されて10年がたつということで、今回、プログラム責任者や指導医も対象にアンケートを配付したいと考えております。その中でこの制度の効果や評価を現場の先生方にもお聞きするという趣旨になります。

 例えばプログラム責任者のアンケート案になりますけれども、問3になりますが、平成16年度の制度導入後の臨床研修と、それ以前に臨床研修を受けた医師を比べて、基本的な診療能力または御自身の専門もしくはその周辺領域に関しての影響というものを質問項目としております。

 そのほかに問4~6では、必修となっている地域医療研修についてこれまで現状を把握したことがなかったということもありまして、現状と望ましい研修について質問項目としております。

 また、問7では新たな専門医の仕組みの準備が進んでいることから、医療機関の体制の現状について質問項目としております。

 問8では、妊娠・出産・育児等を抱えても勤務が続けられるような環境整備について、平成24年の調査では研修医に対してニーズを聞いたことがありましたけれども、その現状について質問項目として挙げております。

 問9と10になりますが、到達目標に係る行動目標において、臨床研修中に研修医本人の基本姿勢や態度の観点から見られた問題と、その対応の現状について質問項目としております。

 指導医のアンケートにおきましても、プログラム責任者と同様の質問に加え、問8では御自身が16年度以降の臨床研修を受けられたかお聞きした上で、御自身への影響なども質問項目といたしました。

 研修医アンケートでは、従来の質問項目に加えまして、新たな専門医の仕組みの準備といったものが進んでいることも踏まえまして、問5、問8、問11におきまして研修修了後の病院、診療科を選んだ理由を質問項目としております。

 また、問14で専門医の取得の有無や、現在示されている19基本領域について希望を質問項目としております。

 問19以降は地域枠等に関する従来の質問ですけれども、今後、対象となる研修医もふえてくるということもありまして、問24になりますが、免除要件と御自身の今後の進路について質問項目といたしました。こちらの内容でよろしければ、来週早々にも臨床研修病院に配付するための準備を進めたいと思います。また、本結果につきましても、ワーキングの御議論で御活用いただきたいと考えております。

 資料の説明は以上になります。

○福井座長 ありがとうございます。

 時間が短くなって申しわけありません。5~6分程度これを眺めていただいて、このアンケートについてすぐに気がつくような変更点などがございましたら、ぜひ御意見を伺いたいと思います。できましたら来週のどこかの時点までで御意見をいただければ反映できると思います。

○森医師臨床研修専門官 印刷の関係で大変恐縮なのですけれども、月曜日の早いお時間に御意見をいただければと思います。

○福井座長 小森先生、どうぞ。

○小森構成員 事務局から特にここを変えましたとか、あとは例年と一緒ですというのは比較のために要るのですが、こことここを特に見てくださいというポイントを言っていただけませんか。

○森医師臨床研修専門官 プログラム責任者と指導医に関する質問についてはほとんどが新しい内容になっておりますので、全般的に見ていただければと思っております。研修医に関しましては、ベースは従来の質問と同じですけれども、追加的なものとしては問5、問8、問11に理由を聞くような質問を設けております。以前にも同じような質問はあったのですが、専門医の視点も加えて選択肢を挙げております。

 また新しい質問として、問14が専門医に関する質問、問1618は地域医療研修ということで新しく追加しております。地域枠に関しては問24が新しい質問項目です。こういったところを中心的に見ていただければと考えております。

○片岡構成員 多分誤植だと思うのですけれども、プログラム責任者の問10の文頭のところ、問13というのは問9ですね。

 あと、先ほど大滝先生がおっしゃったいわゆる医師不足地域で働く観点を含めようとすれば、医師不足地域での勤務やへき地医療への従事といった観点が選択肢に入っていてもいいのかなと思いました。

 以上です。

○福井座長 済みません、どの項目の話でしょうか。

○片岡構成員 例えばプロ責の問6の地域医療研修のところに、へき地医療とか医師不足地域とか、そういうものが地域医療研修の内容として大事かどうかとか、そういう選択肢も入れてもいいかなと思いました。

○森医師臨床研修専門官 同じ内容になるかどうかわからないのですけれども、問4に地域的なところを入れています。医師不足地域などを挙げておりますが、このような趣旨でよろしかったでしょうか。

○片岡構成員 意見なので別に採用していただかなくても結構です。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかには何か御意見ございませんでしょうか。

 それでは、宿題ということでよろしいでしょうか。大変申しわけないのですけれども、一度、目を通していただければありがたいですし、貴重なデータになりますので、この時点で何かこの項目を入れておけば将来役に立つのではないかというものがありましたら、ぜひ事務局にお願いしたいと思います。

 それでは、ほかにございませんようでしたら。小森先生、どうぞ。

○小森構成員 1点だけ。これまではどの診療科の領域で働きたいと思いますかという質問なのです。今回は、どの専門医をあなたはとりたいですか。とるとしたらどの領域ですか。現実にいろいろあるにしても、今、専門医を二十何歳ですか。つまり卒後5~6年以上たっている方を分母にして、専門医の取得率というものは大体70%ぐらいなのです。つまり決めかねていますというような人は排除して、今までの診療科の質問と合わないというか、見られないという可能性が出ますので、一概に私が一定の意見を申し上げているのではなくて、各委員の先生方にそこは御検討いただいてほしいなという気がします。

○森医師臨床研修専門官 趣旨に合うかわからないのですけれども、将来希望したい診療科については、研修医アンケートですと問9、10で従来の質問と同じものを質問項目に入れております。先ほど説明から漏れており申し訳ありません。これは従来の質問と同じで、それに追加して専門医の取得としてどのような領域に進みたいかといったものを問14で聞いておりまして、両方聞くような形になっております。問9、10に関しましては経年で聞くような形になっています。

○小森構成員 わかりました。そうすると乖離も見られるということですね。わかりました。理解しました。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 それでは、この臨床研修修了者アンケート調査の結果も参考にしながら、本ワーキング及び研究班でも議論をしてまいりたいと思います。

 次に議題3、その他について事務局より説明をお願いいたします。

○森医師臨床研修専門官 次回ワーキンググループの日程につきましては、研究班の進捗状況を踏まえながら、追って事務局から御連絡させていただきたいと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 最後に何かこれだけは言っておきたいということがございましたら。よろしいですか。

 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。


(了)

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