ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(生活環境水道部会)> 第16回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録(2014年1月14日)




2015年2月5日 第16回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

健康局水道課

○日時

平成27年2月5日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省12階専用第12会議室


○出席者

相澤委員 秋葉委員 猪股委員 遠藤委員 大垣委員
大澤委員 大住委員 岡部委員 尾崎委員 滝沢委員
中野委員 永井委員 那須委員 西尾委員 西村委員
古米委員 細井委員 山根委員

○議題

(1)浄水処理対応困難物質について
(2)水質基準等の見直しについて
(3)水質異常時における摂取制限等を伴う給水継続の考え方について
(4)水道行政の最近の動向について
(5)その他

○議事

○宮崎水道課長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第 16 回厚生科学審議会生活環境水道部会を開催させていただきます。委員の皆さま方には、御多用の折、また足下の悪い中、お集まりいただきまして御礼を申し上げます。

厚生労働省健康局水道課長の宮崎です。部会長選出までの間、議事進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

議事に先立ちまして、新村健康局長より、御挨拶を申し上げます。

 

○新村健康局長

おはようございます。健康局長の新村と申します。よろしくお願いいたします。委員の皆さまにおかれましては、本日は御多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

昨年 1 月の第 15 回の本部会では、浄水施設での対応が困難な物質への対応や、水質基準値の改正案について御審議いただきました。今年度に入り、水道課長が設置する水質基準逐次改正検討会において、更なる検討を進め、これらに対する方針が示されましたので、その内容について、本日、御審議を賜りたいと存じます。

また、前回の本部会で検討状況を説明させていただいた水質異常時の対応に関する考え方についてもヒアリングを行いましたので、その結果を紹介させていただきます。また、予算や地方分権等の水道行政に関する最近の動きにつきまして御報告した上で、御意見を賜りたいと考えております。

委員の皆さまにおかれましては、それぞれの御専門の見地から、忌憚のない御意見を頂戴できればと考えております。本日はよろしくお願い申し上げます。

 

○宮崎水道課長

それでは今回の会議におきましては、部会の委員の改選がございましたので、新しく当部会に御就任いただきました委員の御紹介をさせていただきます。

一般社団法人東京ビルヂング協会理事の猪股徳臣委員です。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授の滝沢智委員です。鳥取大学理事・副学長の細井由彦委員です。

続きまして、本日の出欠の状況について御報告させていただきます。委員 20 名中、現在 18 名の委員が御出席していただいておりまして、出席委員は過半数に達しておりますので会議は成立しておりますことを御報告いたします。なお、清古委員、藤井委員は欠席という連絡を受けております。

次に、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第と座席表のほかに、資料 1 「『浄水処理対応困難物質』の設定について」、資料 2-1 「ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸に係る水質基準に関する省令等の改正について ( ) 」、資料 2-2 「最新の科学的知見に基づく今後の水質基準等の改正方針 ( ) 」、資料 2-3 「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法等の改正について ( ) 」、資料 3 「水質異常時における摂取制限等を伴う給水継続の考え方についてのヒアリング結果」、資料 4 「水道行政の最近の動向」でございます。

あと、参考資料 1 2 3 としまして、委員名簿、これまでの開催経緯、関係法令等を添付してございますので、もし、過不足等ありましたら、事務局までお申し付けいただくようお願いいたします。

続きまして事務局の紹介をさせていただきます。まず、先ほど御挨拶させていただきました健康局長の新村でございます。大臣官房審議官の福元でございます。私、宮崎でございます。水道計画指導室長の高澤でございます。課長補佐の松田でございます。水道水質管理官の長坂でございます。補佐の服部でございます。生活衛生課課長補佐の中島でございます。なお、局長は公務のため、途中退席させていただくことにしておりますので、御了承願います。

次に、前回の開催以降、委員の任期が満了しておりまして、本日の部会は委員の再任後、初めての開催となります。このため、改めて部会長を選任する必要がございます。厚生科学審議会令第 6 条の規定によりまして、部会長は委員、この部会では、大垣委員、那須委員、藤井委員、岡部委員の 4 名の委員の中から委員の互選により、選任をすることとなっております。委員の皆さまにお諮りしたいと思いますが、部会長への御推薦があればお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。

 

○岡部委員

はい

 

○宮崎水道課長

岡部委員、よろしくお願いします。

 

○岡部委員

川崎市の健康安全研究所の岡部です。

今回も部会長には前回同様で、特にこの方面について御造詣の深い大垣先生にお願いできればというふうに思います。

 

○宮崎水道課長

ありがとうございました。ただいま、大垣委員を御推薦いただきましたが、委員の皆さま方、よろしいでしょうか。

それでは、大垣委員は部会長席へ御移動をお願いいたします。マスコミの方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、これ以降は大垣部会長に議事の進行をお願いいたしますので、よろしくお願いいたします。

 

○大垣部会長

おはようございます。部会長に御推薦いただきました。出来るだけのことはいたしたいと思います。

渇水や、あるいは災害がありますと水道が注目されるわけでありますが、その一方、通常の生活の中では当たり前のものになっておりまして、なかなか国民の皆さまの認識が弱いようなところもあるかと思います。それで、この水道部会ではできるだけのその社会的な変化、あるいは科学的な知見の変化の中で委員の皆さまの御経験、あるいは知識から御発言をいただいて、より良い日本の水道の建設に進んで行きたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いをいたします。

それでは部会長代理を決めることになっておりますが、前回、東京工業大学の藤井委員にご就任いただいておりましたが、引き続き、藤井委員に部会長代理をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

それでは、議題の 1 ですが、「浄水処理対応困難物質について」、事務局から説明をお願いいたします。

 

○長坂水道水質管理官

それでは、資料 1 について御説明をさせていただきます。資料 1 ですが、こちらにつきましては、昨年の本部会でも一度、御議論をいただきまして、その後、水質基準逐次改正検討会におきまして、 2 回議論をいただきました結果、この「浄水処理対応困難物質」の設定についてということで、こちらを各事業体に通知したいという内容としてまとめたものです。

まず、 1. はじめにですが、経緯等が書かれております。平成 24 5 月に利根川水系で発生した大規模な断水を伴う水道水質事故につきまして、ホルムアルデヒドの基準超過が問題となったわけですが、その原因物質であるヘキサメチレンテトラミンは、水道法に基づく水質基準の項目等々に該当しない、いわゆる規制対象物質でない物質でしたが、浄水処理によって有害物質のホルムアルデヒドを生成するという物質でした。

このような事故の再発を防止するためには、これと同様に浄水処理によって副生成物として水質基準項目等を生成するような物質等を特定し、それらの物質の水道水源への流入を防止する対策等を促すということが必要と考えます。さらに、水道水源の上流にこれらの物質を排出する可能性のある事業者が存在する水道事業者等におきましては、この当該物質によるリスクの存在を認識して、万が一、事故が起こった場合に備えておくということが望ましいと思います。

以上の認識から、この通常の浄水処理によって、水質基準項目等を高い比率で生成する物質を新たに「浄水処理対応困難物質」と位置付けて、その取扱いについても検討を行いました。

2 の「浄水処理対応困難物質」の位置付けです。今般、検討対象とする物質については、万一の水質事故時を除きまして、通常は水道水や水道原水から検出されることは稀です。水道事業者等に水質検査を義務付けることとなる全国一律の水質基準及びそれに準ずる水質管理目標設定項目と馴染むものではないと。また、要検討項目という科学的な知見がまだ得られてないもの、これとも性質が異なるというものですので、これらとは別の位置づけを与える必要があると考えました。検討対象とする物質については、まず第一にはその水道水源の上流で、これらの物質を水道水源に排出する可能性のある事業者等に対して、これらの物質が水道水源に排出された場合、水道水質事故の原因となるということを知らせて、注意を促すことが重要です。このため、水道事業者等のみならず、排出側を含めた関係者がこれらの物質に対して注意を払うということを目的として、新たに「浄水処理対応困難物質」というカテゴリを設定して、対象となる物質を位置付けたいと考えました。

次ページの 3. 対象物質の要件ですが、水質基準及び水質管理目標設定項目には該当しないけれども、通常の浄水処理によって水質基準又は水質管理目標設定項目にかかる物質のうち、人の健康の保護に関する項目に該当する物質を高い比率で生成することから、万一、原水に流入した場合に通常の対応が困難な物質、こちらを対象としたいと考えております。

4. 対象物質については、別添 1 のとおりですが、別添 1 をちょっと御覧いただきたいと思います。 1 枚めくり、別添 1 の表があります。真ん中の欄が生成する水質基準等物質で、その左がいわゆる前駆体で、浄水処理をする前の物質です。一番上のグループは、塩素処理によってホルムルデヒドを生成してしまう物質です。一番上にヘキサメチレンテトラミン、事故を起こした物質がありますが、その他にも計 7 つの物質について、これはホルムアルデヒドを塩素処理によって生成しやすい物質だということで挙げています。

その下のグループが、塩素処理によってクロロホルムを生成してしまう物質でして、こちらについても科学的知見により、 6 物質について掲げています。一番最後のところが、オゾン処理によって臭素酸を作ってしまうもの等々のもので、臭化物のグループになりますけども、これを前駆体として挙げさせていただいています。こういった物質について、今回、「浄水処理対応困難物質」に掲げたいと考えています。

元に戻っていただきまして、現時点の科学的な知見で、こういった物質とか挙げておりますので、新たな知見が得られた場合には随時見直しを行うということで考えています。

5 の「浄水処理対応困難物質」の取扱いですが、 (1) は、まず排出側での管理の促進ということで、このような物質については、まずは公共用水域への流入がないように対策が講じられることが重要と考えます。水道事業者等については、水源におけるこれらの物質の流出のおそれの把握に務めることが必要になってくると考えます。万が一、当該物質が水道水源に流入したような場合には、原因者から環境部局及び関係する水道事業者等に速やかに連絡をする体制が構築されるように関係者との連携に努めていただきたいということが水道事業者に考えられることです。

(2) ですが、この事故把握のための体制の整備でして、水源を共有する水道事業者等の間の連携を密にするとともに、河川管理者、環境部局等の関係行政部局や研究機関との連絡体制の強化、実施可能な措置及び役割の明確化により、事故発生時の状況を正確かつ迅速に把握できる体制の整備に努めていただきたいと。なお、この「浄水処理対応困難物質」ですが、この物質は当該物質の副生成物である水質基準等物質を検査することによって検知することができることから、当該物質そのものを新たに定期的な水質検査の対象に加える必要はないと、なお書きをさせていただいております。

(3) は、「浄水処理対応困難物質」によるリスクの把握です。「浄水処理対応困難物質」を水道水源に排出する可能性のある事業場が水道水源の上流にあるという水道事業者等においては、水安全計画の手法も活用しながら、浄水施設に対する当該物質によるリスクの把握に努めていただきたいと考えています。

(4) 影響緩和措置による対応能力の強化です。十分な配水池容量、水源を複数化する等は水質事故による給水への影響を軽減する上で有効です。また、水道施設に排水機能を整備すること等、こういった対応能力の強化に努めていただきたいということを書かせていただいてます。

最後に、 6. その他過去に水質事故の原因となった物質等についてです。過去に水質事故を起こした物質として、別添を付けています。別添 2 として、過去に水質事故の原因となった物質等ということで、物質群などを含めまして、全部で 21 項目を挙げています。一番左に物質等ということで、真ん中の欄にどういった事故を起こしたかとかいうことを書かせていただいております。

戻っていただきまして、こちらについては、過去に事故を起こしたということがありますので、これらについても水道水源における水質事故への注意が必要と考えており、この 5. に準じた対応に努めていただきたいと考えております。

以上が「浄水処理対応困難物質」の設定についてということで、説明は以上です。

 

○大垣部会長

ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、あるいは御意見等、ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

特に御意見はないということでよろしいでしょうか。

 

○滝沢委員

細かいことで恐縮ですけども、 4 ページの別添 1 のところで、生成実験の下の※ですけれども、生成実験の結果から、こういうような、こんな物質を選出されたということで御説明いただいているんですけども、※の 1 のほうは重量比で、※の 2 のほうはモル比でやられてるんですけど、これは反応プロセスの違いで重量比がいいものとモル比がいいものの選出基準の違いがあるのでしょうか。

 

○長坂水道水質管理官

基本的には文献を引用しておりまして、そのときの元にやっていただいた実験系がこういうことで、ホルムアルデヒドのほうは重量比でしたが、クロロホルムのときはモル比で検討されたというものを引用しているのでこういったことになっています。

 

○大垣部会長

どなたか、この件で知見をお持ちの方、いらっしゃいますか。今の説明で、元の文献でそうなっているということですね。他にはいかがでしょうか。

本日説明いただいた資料 1 を、ここの部会として了承するということになっておりますが、この資料 1 を了承してよろしいでしょうか、他に御意見なければ。それでは了承いただいたことといたします。どうもありがとうございました。

それでは、次の議題 2 に移ります。「水質基準等の見直しについて」、事務局より説明をお願いします。

 

○長坂水道水質管理官

水質基準等の見直しについては、資料を 3 つ用意しております。 2-1 2-3 を一気に説明いたします。資料 2-1 です。「ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸に係る水質基準に関する省令等の改正について ( ) 」です。

1. で概要を書いております。水質基準等については、厚生科学審議会答申におきまして、最新の科学的知見に従って、逐次改正方式により見直しを行うこととされております。厚生労働省では水質基準逐次改正検討会を設置して検討を進めております。平成 26 1 月に実施した生活環境水道部会において了承されておりました、ジクロロ酢酸とトリクロロ酢酸に係る水質基準等の見直しの方向性を踏まえまして、次のとおり関係する省令等を改正したいというものです。

(1) 水質基準の改正についてです。平成 26 7 月に食品安全委員会に対して、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の水質基準を改正するということについて意見を求めましたところ、昨年の 10 月に食品健康影響評価について通知されました。 1 枚めくった所に参考 1 が付いております。トリクロロ酢酸とジクロロ酢酸及びクロロ酢酸についての食品健康影響評価の数値を頂いております。これに基づきまして、水質基準に関する省令の一部を表 1 のとおり改正したいというものです。なお、クロロ酢酸についても併せて評価をいただいて通知を頂きました。こちらについては、従前の基準値と同値が導かれますので対応方針に変更はありません。

(2) 水質管理目標設定項目に係る改正です。水質管理目標設定項目のうち、フタル酸ジ (2- エチルヘキシル ) 3 物質について、健康局長通知で設定しておりますが、これを表 2 のとおり改正したいと考えております。表 1 2 はどちらもパブリックコメントに供しております。

2 ページです。意見募集の実施ということで、水質基準について 1 件の意見、水質管理目標設定項目についても 1 件の意見の提出がありました。

詳細については、別紙の 6 7 ページに 1 項目ずつの意見が書いてあります。どちらの意見も基準値改正そのものに対する意見ではありませんでしたので、意見に対する考え方はそちらに書いておりますが、水質基準の ( ) と水質管理の目標設定項目の ( ) については、原案のままと考えております。

2 ページに戻りまして、今後の予定です。 1(1) に掲げる省令と (2) に掲げる局長通知の改正を行いまして、いずれも平成 27 4 1 日から施行したいと考えております。資料 2-1 については、以上です。

資料 2-2 です。「最新の科学的知見に基づく今後の水質基準等の改正方針の ( ) 」です。 1. は先ほども概要で説明したとおりです。水質基準については、最新の科学的知見に従いまして、逐次改正方式により見直しを行うとされております。平成 15 4 28 日の厚生科学審議会答申に基づいて、このような体制を取っております。

下のほうです。平成 26 年度の第 2 回水質基準逐次改正検討会は昨年の 12 月に開催しております。こちらにおいて、内閣府食品安全委員会の新たな健康影響評価等の知見等に基づいて、今後の水質基準等の改正方針について検討され、見直しの方向性が整理されております。

2 ページです。「今後の水質基準等の見直し」です。 2-1 として「食品健康影響評価の結果への対応方針」です。基準値、評価値等に変更があるかという検討を行ったものです。農薬と農薬以外ということで、農薬は非常に多数の物質がありますので分けて書いております。まず、農薬以外です。新たな食品健康影響評価の結果が示されたものについては、現在、要検討項目に分類されておりますフタル酸ジ (n- ブチル ) があります。

3 ページの表を御覧ください。この表で現行の評価はどうなっているかといいますと、平成 15 年の答申に基づいているもので、真ん中に当たります TDI( 一日耐容摂取量 ) 66 μ g/kg 体重 / 日ということで、 UF( 不確定係数 ) 1000 ということでしたので、評価値は 0.2mg/L( 暫定 ) とされております。今回、食品安全委員会の評価内容が右に書いてあります。一番下を御覧ください。評価結果としては、 TDI を設定することが可能ということで、 0.005mg/kg 体重 / 日という評価値を頂いております。

この評価値を用いますと、非発がん性毒性の TDI ですが、 1 日水を 2L 摂取して、体重 50kg の人、水道からの寄与率 10 %というデフォルトのやり方でやりますと、評価値を現行の 0.2mg/L( 暫定 ) から 0.01mg/L に変更するという計算になりますので、そのように変更したいという案です。

4 ページです。農薬類についても、農薬自体はたくさんありますが、新しい評価が出されたものがそこにあるように結構たくさんあります。一番下の星印の 2 の所にありますが、食品安全委員会が設定した ADI を用いまして、同じように 1 2L 摂取、体重 50kg 、水道からの寄与率 10 %として評価値を算出いたしますと、表の新評価値 ( ) という欄に数字があります。本文の所に、「網掛けの部分は、現行評価値と異なる対応方針」と書いてありますが、おそらく網掛けがコピーで消えてしまっていて申し訳ございません。

対応方針 ( ) が一番右の列にあります。ここに「緩和」「強化」「新規設定」と書いてあります。この文字が入っている所が今回、評価値を変更する、あるいは新たに作るものです。ここに網掛けが掛かっていると思っていただければと思います。農薬類については、この表の中で対応方針で何もない所はそのままですが、緩和、強化、新規設定となっている所について、新たな評価値にするという案です。

5 ページです。 2-2 「水質検査結果に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類の見直し」です。分類の見直しの検討方法は、平成 22 2 月の第 8 回の厚生科学審議会生活環境水道部会で了承されたもので、表 1 の「水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類に関する考え方」に基づいて、分類変更について検討しております。表 1 は分類要件 1 2 があります。分類要件 1 は、最近 3 か年継続で評価値の 10 %超過地点が 1 地点以上存在するというものです。分類要件 2 は、最近 3 か年継続で評価値の 50 %超過地点が 1 地点以上存在又は最近 5 か年の間に評価値超過地点が 1 地点以上存在するものです。この 2 つの分類要件で入替えが必要かどうかということを検討しております。

これについて、 1 ページめくって裏を御覧ください。表 2 があります。この表には先ほどの分類要件のマトリックスになっているところに各物質を検出状況から当てはめたものです。左下の箱を御覧ください。下の列が現時点で水質管理目標設定項目の物質がここに当てはまっております。ここから分類 1 の要件と 2 の要件から水質基準項目に格上げすべきだという箱です。ここについては、該当がありませんでした。さらに右上の箱を御覧ください。この行が見直し時点で水質基準項目のものが今、振り分けられております。一番右の所が水質基準から水質管理目標設定項目に落としてもいいのではないかという箱です。こちらに 1 物質、ジクロロメタンが入っております。

(2) 超過状況の検討結果です。今言ったことがざっと書いてありますが、ジクロロメタンについては最後の 4 行に書いてあります。ジクロロメタンについては、平成 22 年度に 10 %超過地点が存在しなかったということから、分類要件 1 の「最近 3 か年継続で評価値の 10 %超過地点が 1 地点以上存在」に該当しないということで、そういう箱に入りましたが、平成 23 年度には 50 %超過地点があり、平成 24 年度にも 10 %超過地点がそれぞれ確認されているということがありますので、引き続き水質基準に据え置いて管理していくことが望ましいと考えております。

上の (1) 分類見直しの検討方法の所にただし書きがあります。ただし、個々の項目の水質基準項目及び水質管理目標設定項目への分類について、総合的に評価して判断すべきであって、分類要件のみによって当てはめるべきものではないと、ただし書きが付いておりますので、この考え方に基づいて、引き続き水質基準でよろしいのではないかと考えております。

8 ページです。「対応方針 ( ) 」です。今説明した内容について、どのように対応するのかが書いてあります。 3-1 「新評価値の設定について」です。 2-1 の対応方針 ( ) に基づきまして、水質管理目標設定項目になっている対象農薬リスト掲載農薬の新評価値 ( ) については、パブリックコメント手続を経て新目標値を設定するということで、平成 27 4 月ではなく、平成 28 4 1 日から適用したいと考えております。

4 ページです。 (2) 農薬類の中で一番左に略号とあります。略号の上のほうだけ対 -005 、対 -006 と「対」と書いてあります。この「対」というのは対象農薬リスト掲載農薬です。これは水質管理目標設定項目です。「対」が付いているものについては、今 8 ページに戻って説明いたしました平成 28 4 1 日から適用するというものです。残りのものの要検討項目であるフタル酸ジ (n- ブチル ) 及び農薬類のうち、今説明いたしました「対」と付いていたもの以外については、本部会の審議をもって新目標値を設定して、平成 27 4 1 日から適用したいというものです。

3-2 は「分類の見直し」です。浄水中での検出状況による水質基準及び水質管理目標設定項目間での分類変更は、今回は行わないこととすると考えております。資料 2-2 についての説明は以上です。

資料 2-3 です。「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法等の改正について ( ) 」です。概要です。「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」、いわゆる「検査方法告示」と言っているものです。水質基準検査方法について規定しているものです。 (1) 新たな公定法を追加、及び (2) 標準原液についてトレーサビリティが確保をされたものについて使用を認めるということについて、改正を行いたいというものです。併せまして、検査方法告示への新たな公定法の追加に伴いまして、連携する 2 本の告示がありますので、同様に追加したいという内容です。

(1) の内容です。 1) 新たな公定法の追加です。検査方法の柔軟な見直しを行うために、本告示に導入すべき検査方法を公募しておりました。公募したものに対して、水道水質検査法検討会で検討を行いました結果、新たな検査方法を 1 つ追加してよいというものがありました。こちらは対象項目が右にあって、フェノール類に対して検査方法が固相抽出 - 高速液体クロマトグラフ - 質量分析法です。別紙 1 は具体的な内容です。これは非常に細かい話になりますので、本日、ここで全部説明することは省略いたします。こういうものを告示に追加したいということです。

2) 標準原液です。標準原液について、計量法に基づく国家計量標準にトレーサビリティが確保されたものを用いてもよいという規定を追加したいと考えております。ただし、標準原液の濃度については、現行の検査方法の告示で示されておりますので、その同じ濃度のものなら使っていいというものです。この内容ですが、現在、検査方法告示においては標準原液を自家調整することになっております。試薬何 mg を採って何 mL の溶媒に溶かして、標準原液を作ってくださいという規定です。

平たく言いますと、試薬メーカーから市販されている国家計量標準の証明が付いているものであれば、それを使っていいという規定を追加するというものです。参考までに別紙 2 を付けております。「計量法に基づく国家計量標準にトレーサビリティが確保されたもの」ということについて、説明資料を用意いたしました。国家計量標準とは、その国で唯一、濃度等の値の基準となるものということで、それに基づいて校正されて、測定の不確かさを含む校正証明書が発行されます。

トレーサビリティが確保されたものについては、今回の標準液の場合は、購入した標準原液がどの標準によって、どの程度の確からしさで校正されているかを、より上位の標準を用いた校正の繰り返し「校正の連鎖」によって、最終的に国家計量標準によって校正されているということが確認できるというものです。計量法に基づいて、こういうことがなされるようになっております。ちなみに、これは国際規格の相互承認ができるとなっておりますので、外国のものでも承認できるということになっております。

1 ページです。併せまして、 (2) 資機材等の材質に関する試験、 (3) 給水装置の構造及び材質の基準に係る試験の改正です。こういう告示方法の中にも (1) 1) の「フェノール類」の検査方法は同じ内容が規定されているものですので、こちらについても同様に追加したいということです。

この案については、意見募集を実施しております。パブリックコメントの手続を行いましたところ、 5 件の意見の提出がありました。詳細については、別紙 3 に書いてあります。おそらく実際に分析法をされている方からの御意見で大分細かい内容です。いずれも今回の原案を変える必要があるものではありませんでした。意見に対する考え方は書いておりますが、意見募集をした結果、原案どおりということで実施したいと考えております。

3. 今後の予定です。これらについては告示の改正を行いまして、いずれも平成 27 4 1 日から施行したいと考えております。資料 2-3 の説明は以上です。以上で一連の説明を終わります。

 

○大垣部会長

御苦労さまでした。 3 つの資料を説明いただきました。それでは、皆様の御意見、御質問を頂きたいと思います。取りあえず資料 2-1 から順番にやっていきたいと思います。いかがでしょうか。

 

○西村委員

確認です。トリクロロ酢酸の場合には、新基準値が約 10 分の 1 に下がることになります。今までパブリックコメントなどで周知されていますので大丈夫だと思いますが、分析に関しての精度確保は順調にこの 4 月から施行について進んでいるかどうか、情報をお持ちであれば御紹介していただければと思います。

 

○長坂水道水質管理官

こちらについては、昨年の 1 月より周知されているということもありまして、事業体等にも確認をしております。基本的には対応できると、アンケートを取った時点で対応できないけれども、これから確認をして最終的には対応できるようにするというお答えを頂いておりまして、今年の 4 1 日から施行しても問題はないと考えております。

 

○西村委員

分かりました。どうもありがとうございました。

 

○大垣部会長

ほかにはいかがですか。ないようでしたら資料 2-2 に移ります。もし資料 2-1 について後で思い付かれたら、いつでも結構ですのでお願いいたします。資料 2-2 について、御意見、御質問はいかがですか。

 

○西尾委員

聞き逃してしまったかもしれないのですが、 4 ページの (2) の所で網掛けが消えてしまっているかもしれませんが、対応方針の中で緩和されたもの、強化されたものがあると思います。緩和されたというのはいろいろ事情があると思いますが、主としてどのような理由から緩和されたのですか。

 

○長坂水道水質管理官

現行評価値と新評価値の数値の違いは、基本的には元となる ADI の毒性の評価値から同じ方法で算出しておりますので、 ADI 自身の数値が緩くなったということです。これは新しい科学的知見が出てきた場合、より低濃度で効くという毒性評価値が出てくることもあります。逆に、データが少ないと不確定係数がかえって高い場合があります。そうすると不確定係数が、より確定的な数字になって不確定係数が低くなると毒性の評価値が高くなるということがあります。一つ一つの物質について見たわけではないのですが、いろいろな要因があって、特に一番大きな要因として 1 つ言えるのは、新しい知見が出てきたことによって不確定係数が小さくなることがあるので、数字が大きくなるということがあります。

 

○西尾委員

ありがとうございました。よりデータがきちんと取れるようになって精緻になったゆえに厳密になって、決して基準が甘くなったという意味ではないということですか、分かりました。

 

○大垣部会長

今の御質問は緩和や強化という言葉のイメージの問題です。これは科学的知見に基づいて変更したということにすぎません。多分、今の御質問、御指摘のとおりかと思います。

 

○西尾委員

一般消費者からすると、何か強化はいい気がしますが、緩和はよく事情が分からないと誤解を招きやすいので、専門家向けの資料の中ではいいと思いますが、コミュニケーションをするときには少し御留意いただけるといいと思います。以上です。

 

○大垣部会長

ほかにいかがですか。それでは、資料 2-3 に関しまして、御意見、御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 

○西村委員

これはコメントとして述べたいと思います。標準原液について、私自身は現在この方法で問題ないと思います。パブリックコメントにもありますように、将来的にトレーサビリティが確保されているものについては、濃度について多少、そこの段階で正確な値が位置付けされておりますので、それを使えるような形で、是非、今後検討していただいて、そういうものも使用できるように進めていただければ、実際に使う検査機関の方々は利便性が高くなるのではないかと思いますので、検討していただければと思います。以上です。

 

○長坂水道水質管理官

今、御意見を頂いた所は、別表の一番最後に意見に対する考え方が書いてあります。今回は標準原液で告示に載っている濃度のみを追加しました。それ以外にもという御意見をパブリックコメントでいただいておりまして、そこに考え方を書いております。現行告示の標準原液濃度以外の濃度については、分析精度、特に低濃度について保障できるかどうかという確認が取れていないということです。今、御意見いただいたとおり、それ以外の濃度を用いることについて今後、検討を進めていきたいと考えております。

 

○西村委員

ありがとうございました。今回この現行どおりで私も標準原液は設定された濃度を使うということで結構ですので、よろしくお願いいたします。

 

○大垣部会長

ありがとうございました。ほかには御意見いかがでしょうか。

 

○山根委員

中身についてというよりも、大変素朴な質問です。新たな公定法の追加ということで、これは公募して検討を行って決まったということだと思います。こういうときの公募というのは、どのくらいの期間で募集をしてどのくらいの応募があるのかですとか、あとは国際的な統一のルールに合わせてやられることも特にないのか、それと新しい分析法は、以前より使いたいというニーズがあったのかという辺りを教えていただければと思います。

 

○長坂水道水質管理官

公募については、これまで 3 回ほど実施しております。過去に公募しておりますので、今日はその資料は手元に用意しておりません。これまでの公募は、 1 回について 2 か月ほどの公募期間を用意しております。こちらについて少し短いというお話もあったので、もし次に公募する場合は、もう少し長く取る可能性もあります。記憶なのですが、 1 回目と 2 回目が大体 10 件ほどのものがあって、 3 回目のものは 3 件ほどの公募がありました。

国際的なルールは、特に統一されたものがあるということではありませんが、検査方法自体は国によって変わるものではないと思います。検査方法を専門家の先生に検討していただいたものでして、統一ルールがあるわけではないが、そんなに国際的に変わるというものではないと考えております。ニーズは、公募で出して分析方法に携わる基本的には専門家や会社などの方が応募してきます。当然そういう分析方法でその方がやりたいということで出してこられます。ニーズがあるかどうかも含めて検査方法の検討会で検討いただいております。ニーズがあるものについては、こういう形で追加していくという考え方です。

 

○大垣部会長

ありがとうございました。ほかにはいかがですか。

 

○古米委員

2-3 ではなくて 2-2 でよろしいですか。 2-2 2 ページにあるようにフタル酸ジ (n- ブチル ) に関しては毒性評価が定まらないということで、要検討項目に入っていたけれども、それに関する新しい知見が入ったので評価値が変わった。評価値が変わったことによって 0.01 になって、一番最後のページの参考に書いてあるように新しい評価値に対して 10 %値や 50 %値と比較することが新たにできた。そうして見ると平成 22 年から平成 24 年の 3 か年連続では 10 %値を超えていないという確認もできる。そうすると、知見が増えたことによって検討しているのですが、分類の見直しの検討の所の記載で言うと、 3 年連続して 10 %超過値があると、ある意味水質管理目標設定項目になる可能性が出てきます。そういうときに要検討項目について新たな評価値が出たときに、同時に水質管理目標項目の議論を同時並行的に行うのかどうかという考え方は、どう整理されておられますか。

 

○長坂水道水質管理官

要件検討項目については、今もお話をいただいたとおり毒性評価値がこれまで定まっていないとか、あるいは検出状況自体がまだ不確かな部分があります。参考に検出状況ということで、これまで得られたデータを仮に新しい 0.01 という数字で見た場合ということで参考をまとめております。もともと 0.2 という数字で分析しておりますので、 10 分の 1 まで見るという場合は 0.02 までしか測っていないというデータも当然含まれております。そういうデータが参考になるのかということがあります。

9 ページの一番下の※です。本データは水道課で実施している水質関連調査で収集をしたものですが、要検討項目については、実は国が示した検査法がありません。各事業体で独自に測定されたものです。必ずしも精度が確保された検査結果でないものが含まれている可能性があります。ですから、現時点では参考の数値という扱いですので、新たな毒性の評価値が定まりましたので、今後どういう測定法でやるのかということも含めて、データをそろえていって、必要があれば次の検討に進むと考えております。

 

○大垣部会長

よろしいですか。

 

○古米委員

はい。

 

○大垣部会長

ほかにいかがですか。全体を通してどこでも結構です。ないようでしたら、資料 2-1 2-2 2-3 ですが、 1 つだけ資料 2-3 1 ページの一番下の行の告知は、誤植ですか。修正ということでよろしいですか。告示にすればいいのですか。

 

○長坂水道水質管理官

「告示」でございます。

 

○大垣部会長

では「知」を取るということで、はい。これ以外の修正はないということで、よろしいでしょうか。それでは、今の誤植だけ修正して成案にするということで、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。それでは、議題 3 に移ります。「水質異常時における摂取制限等を伴う給水継続の考え方について」です。資料 3 についてお願いいたします。

 

○長坂水道水質管理官

それでは、資料 3 「水質異常時における摂取制限等を伴う給水継続の考え方についてのヒアリング結果」を御覧ください。こちらですが、昨年の部会で 1 回議論しておりますが、その後、摂取制限等を伴う給水継続の検討に活かすために、水道関係団体及び水道利用者を対象に、 3. に示すような摂取制限等を伴う給水継続の考え方についてヒアリングを実施いたしました。 2 「ヒアリング対象」ですが、水道関係団体は、そこに書かれた 7 団体、水道利用者側は、そこに書かれた 2 団体について、ヒアリングをさせていただきました。

2 ページに、 3 「ヒアリング内容」があります。こちらの 1) 7) は、昨年の部会で議論いただいた際の考え方を要約した内容です。 1) 「基本的な考え方」については、本対策は、突発的な水質事故の発生により、水道水質基準を一時的に超過した場合に限り、摂取制限等を実施しつつ、生活用水を確保するために給水を継続するためのものであるというものです。 2) 「検討対象物質」ですが、水質基準の各項目のうち、長期的な健康影響をもとに基準値が設定されている有害物質を対象として、病原生物の検出や生活関連項目の基準超過については対象とはしない。また、仮に飲用したとしても、健康には影響がない程度の濃度レベルや期間を対象とするということです。

3) 「緊急時の対応体制の整備」ですが、この水道事業者等は、このときケースバイケースの対応が求められるということになりますので、あらかじめ対策の意思決定及び実施体制、他事業者との連携体制を整備する必要がある。 4) 「実態把握、原因究明と低減化対策の実施」ですが、この摂取制限の実施の前提として、こういった実態把握、原因究明及び必要に応じて低減化対策の実施が求められる。 5) 「利用者への周知」については、本対策の実施に当たって、日頃からの利用者に対する周知が必要だと。また、実際に対策を講ずる場合については、摂取制限の実施、解除に当たって、利用者に対して、原因、措置の内容及び実施期間等について、適切に周知をする必要があるということ。特に、より確実な周知が必要な人たちがいるということ。

6) 「応急給水による飲用水の供給」ですが、こちらは摂取制限を行いますので、応急給水によって飲用水を供給することが求められる。最後の 7) 「摂取制限等の解除」については、解除に当たっては、末端の給水栓において実施する水質検査によって、水質基準に適合していることを確認することとしております。

次の 3 4 ページに、以上の 1) 7) の内容について、先ほどの関係団体の方々はどう思いますかということでヒアリングをした内容をまとめております。水道関係団体と水道利用者で別に表を作っておりまして、簡単にかいつまんで、どういった意見があったか御説明します。まず、水道関係団体へのヒアリング結果では、 1) 「基本的な考え方」に対しては、選択肢が増えることは良い。施設整備等を考えるきっかけとなるという意見。水質基準の重みが低下しないか懸念がある。水質異常時とはいえ、水質基準を超過する水が蛇口から出ているとなると水道水への信頼が揺るぎかねないという、やや肯定的な意見と疑念を持つ意見という両方がありました。 2) 「検討対象物質」については、対象となる物質が何か明確にするべきであるというのがありました。 3) 「緊急時の対応体制の整備」については、用水供給や第三者委託の場合は、あらかじめ取決めをしておくことが重要等の意見がありました。

4) 「実態把握、原因究明と低減化対策の実施」については、流域協議会等へは、包括委託では事業体だけではなく受託者も参加したほうがいいという意見がありました。 5) 「利用者への周知」に関しては、周知方法は複数必要で、経験上、ビラは確実という意見、エリアメールが有効ではないか、活用したらどうかという意見、曖昧な情報を提供してしまうと、受取り手によっては悪いほうへ取ってしまい、対応者が批判の対象となりかねないといった意見、供給先によっては営業補償等の二次賠償や風評被害のおそれがあるという意見、その周知の方法として、いろいろ必要だということ、周知の仕方によってもいろいろ問題が起こるだろうという意見がありました。 6) 「応急給水による飲用水の供給」については、飲用水の配布等では行政との連携が必要との意見がありました。最後の 7) 「摂取制限等の解除」については、水道法第 18 条の検査の請求が多数来るような場合、対応が困難であるという意見がありました。

水道利用者へのヒアリング結果ですが、 1) 「基本的な考え方」としては、これまでの水道事業者等の水道水への安全確保に対する取組を後退させるものであってはならないということが非常に重要だという意見。日本の水道水については 100 %に近い信頼度があるので、それと同じ水道管から基準を超過した水が出ることについて利用者としては抵抗があり、感覚的に受け入れづらい。これは同じような意見が水道関係団体でもありました。御嶽山の噴火や集中豪雨等の自然災害により、水道が被災、汚染を受ける可能性も高まっており、生活用水だけでも送りたいとする行政の考えも理解はできる。こういった逆の考え方も理解できるという意見もありました。 2) 「検討対象物質」ですが、対象となる物質が何か明確にするべき。「健康には影響がない程度の濃度レベルや期間」と言われても分からないので、明確にすべきということ。さらには、現在の水質基準以外の別の基準は考えたこともないという意見を頂いております。

3) 4) については、しっかりとやってほしいということで、これは事業体側の問題ですので、利用者からはきちんとやってほしいということです。 5) 「利用者への周知」ですが、一番上にありますように、利用者全体にくまなく周知することは難しいのではないかということがあります。エリアメールが有効という意見もある一方で、高齢者には伝わらないのではないか、高齢者にはテレビが有効であるという意見がありました。それから、正確な情報提供をしなければ後の影響が大きくなって心配という意見や、情報を詳しく伝えるほど、受取り手によって安全と思う人と、より不安になる人が出るという、周知のいろいろな難しさを抱えているという意見を頂きました。 6) 「応急給水による飲用水の供給」では、応急給水を万全にして、脱水症状等の問題を発生させないようにすべきという意見。ちなみに、特に高齢者については、並ぶのも大変だという意見を頂きました。

今回はこういったヒアリング結果として御報告をさせていただき、こちらについても水質基準逐次改正検討会で今、検討を進めていたところですが、なかなかいろいろと難しい問題が多く、より慎重に検討を進めるべきであるということで、継続して検討している状況です。資料 3 については以上です。

 

○大垣部会長

ありがとうございました。水質異常時における給水の考え方の議論ですが、ただいまの資料説明に関して何か御質問あるいは御意見がありましたらお願いします。御意見を見てみますと、想定している災害の異常時の種類が、それぞれ意見ごとに違いますし、対応する立場、震災等の経験がある方とない方の違い、あるいは水質に関する知識の違いなど、いろいろなものが混ざっておりますので、慎重な整理、検討が更に必要かと思います。是非御意見をいただければと思います。現実問題として、現場の事業者が遭遇すると大変苦労するといいますか、判断に迷うところでありますので、できるだけ情報を整理して提示しておくことが必要かと思いますが、いかがでしょうか。

 

○滝沢委員

難しいということで継続審議をされるという、正にその難しい点がいろいろここに書かれているのではないかと思いますが、その中の 1 つで私が一番難しいなと気になったところは、 7) 番の解除の点です。ここに書いてある手続が必要な手続だろうと思うのですが、末端の給水栓からの水質検査ということで、やはり一旦、水道管の中に飲用を制限してほしい水が入ってしまったときに、いかにしてその管の中の水が全てきれいな水に置き換わったかどうかを担保するかということが、やはり難しいのかなと。

事業者には、いろいろなお考えがあるかと思いますが、浄水場の中であっても配水池にそういう水が入ったときに、洗うということに対して、皆さん、非常に手間もかかりますし、大変な作業をされると思うのですよね。それが管の中に入ってしまうと、更に難しい状況を招くことがあって、そこも踏まえて摂取制限で本当に給水するほうがいいのか、あるいは一旦止めてしまって、安全が確保した段階でもう一度給水再開するほうがいいのかというのは、各事業者にはいろいろなお考えがあるかもしれませんが、非常に重要な判断なのかなと思います。洗い切るための水道管の中の滞留時間等を考えると、それで本当に洗い切って、仮に 2 3 日かかるとすると、その間の水をどうやって捨てるのかなど、非常に現実的に難しいだろうなと思われる操作が入ってきます。

それらを考えると、早く水を出してほしいという希望が、飲用以外でも使う用途が当然あるので、そういう希望は当然あるとは思うのですが、一方、安全な水を供給するということを考えると、この解除という手続で非常に困難が伴うのかなと。これをきちんとやろうと思うと、やはり数日かかってしまう。すると、むしろ早く回復するための手続としては、一旦止めて、できるだけ早く問題解決して再度供給するほうが、場合によっては早く安全な水を供給することにつながる場合もあるのかなという気がいたしました。

 

○大垣部会長

ありがとうございます。想定している事故によって、またいろいろと変化があると思いますが、ほかにはよろしいですか。

 

○古米委員

今回、ヒアリングの結果を見て、確かに慎重に検討していくことが非常に重要だと思います。水道での話と、今から申し上げることが直接つながるかどうか分かりませんが、私自身は環境回復検討会という、除染や放射性廃棄物関連の委員会に出ておりますけれども、その中でも、いかに住民がリスクに対して正しく理解するかが非常に重要だということが、そちらでも議論されています。これもある意味、健康リスクに対してどういう考え方で、どう基準が設定されているのかを、やはり多くの国民なり住民に知っていただくことで、何かあったときの対応としては非常にスムーズにいくと私は思います。こういった考え方を提示するということ以上に、こういう設定で水道は供給されています、そして安全な水が供給されていますということを、もう少ししっかりと伝えていく努力をすることが大事なのかなと感じたので、発言させていただきました。

 

○大垣部会長

ありがとうございます。

 

○山根委員

今の御意見にも重なるのですが、様々な問題がたくさんあると思いますけれども、検討を深めて良い結論を導いていただきたいと思っています。消費者の理解や情報提供、利用者への周知というのがやはり鍵になるのかなと思っています。どこかにも記載がありましたが、断水や水質事故がいつでも起こり得るのだという意識がかなり低いと思います。やはり日頃のコミュニケーションも大事なのかなと思いますし、最近、情報提供ということでは、電車の中の画面広告でも緊急時の連絡先や給水ポイント等の説明の広告が流れているのを見たりしております。あれはとてもいい取組だなと思っておりますが、都心の電車に限らず地方ではどういうのが適切なのかというのもありますので、様々な取組を進めていただきたいと思います。

情報提供が不足していると、残念ながら、何かのときにやはり一部パニックになってペットボトルの買い占めに走るといったことも起こりますので、特に病人や乳幼児など、そういった対象の方々が過度に不安になったりしないように、幅広い視野で考えていければと思います。

もう 1 点。先日の、阪神淡路大震災をいろいろ振り返る様々な報道等がありまして、その中でも盛んに古い水道管や施設を何とか今取り換えなければ大変だという報道がたくさんありました。こういった情報が流れたこのタイミングで進まないと、また皆忘れてしまって遅れるのかなという危機感を持っておりまして、是非その辺りも消費者への理解が進むように注意喚起等していただければと思っています。以上です。

 

○大垣部会長

ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、この件は引き続き事務局で検討を続けていただくということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

それでは、次の議題 4 「水道行政の最近の動向について」に移ります。事務局から説明をお願いいたします。

 

○松田水道課長補佐

事務局から、資料 4 に基づいて最近の動向について御紹介させていただきます。 1 ページは「新水道ビジョンの推進について」です。 2 ページは「新水道ビジョンの策定」です。これは、平成 25 3 月に公表しており、この審議会でも御紹介させていただいているものです。この点について、もう一回おさらいさせていただきます。

枚挙にいとまがない課題ということで、人口や給水量の減少、又は施設の更新需要の増大、水質リスクの増大、職員数の減少、東日本大震災等の危機管理対策といった課題を踏まえ、「安全」「強靱」「持続」の 3 つの視点で、「アセットマネジメントの徹底」とか、「水道施設のレベルアップ」「広域化・官民連携等による組織力アップ」などの各種取組についての方向性について、このビジョンにお示しているものです。

3 ページでその中身については、安全、強靱、持続について、それぞれ水道の理想像と、当面の目標点、取組の方向性とそれぞれ記載されています。当面の目標点として、安全では、水道関係者の連携により、全ての水道が安全な水を確保していく。強靱については、全ての水道事業者が、最重要給水拠点に関する管路、配水池、浄水場の耐震化を完了する。持続については、全ての水道事業者が資産管理を実施していく。こういう目標点に向かって、以下に示される、それぞれ安全、強靱、持続に関する取組が列挙されているということです。

新水道ビジョンを策定したことを受けて、各種方策を推進するために、我々としてもいろいろな体制を組んで取り組んでいるところです。 4 ページに「新水道ビジョン推進協議会」とあります。これは、新水道ビジョンに示された方策を推進するために、方策の実施主体となる関係者が、その実施状況を共有し、連携していくための枠組みとして開催しているということです。構成メンバーは、我々水道課と、関係する団体として日水協、給水工事技術振興財団、保健医療科学院、水道運営管理協会、水道技術センター、簡易水道協議会、水団連などの団体も入っております。学識者として滝沢委員に入っていただいています。

活動としては、これまでの取組として 4 回開催しております。直近では、 1 月に新水道ビジョンの推進協議会を開催しています。新水道ビジョンに示される取組について、様々な施策について、いつまでに何を行うのかという点について、ロードマップを昨年 5 月に策定し、このロードマップに沿った取組がどう展開されているかという点について、今年の 1 月の協議会で報告をして、さらに関係する団体等の連携方策をどうすべきかについて議論しています。今後も引き続きこの協議会の場を通じ、関係団体と連携をして、新水道ビジョンに示される施策を取り組んでいきたいと思っております。

5 ページです。先ほどの推進協議会では、厚生労働省と関係団体との議論の場ということではあるのですが、実際に水道事業を行う主役の水道事業体の皆様方、更にそのドライビングフォースとなる都道府県の衛生行政の方々とも、新水道ビジョンの取組について共有をしながら、更にそれを発進し、地域内の連携を図り、先進的な取組を横展開していく。このようなことを目的として、厚生労働省の主催で地域懇談会を開催しております。地域懇談会では、それぞれの地域で先進的な取組を実施している水道事業体の方々に、ゲストスピーカーとして来ていただき、話題提供をしていただいて、その上でいろいろなブロックに分け、テーマを決めてディスカッションを行うということです。テーマとしては、やはり広域化、耐震化、水質管理の問題といった、全国の水道事業体の方々の共通の課題についてテーマを絞って議論していただいています。

開催状況としては、平成 25 年度、平成 26 年度で全国 6 か所を回り、ひとまず一巡したところです。来年度も更に発展させる形で開催テーマの設定を行っていきたいと思っています。水道事業体の方々が、別の水道事業体の方々とこういう議論をする場はなかなかないものですから、こういう機会は我々としても大事にしていきたいと思っております。

6 ページは、「平成 27 年度予算案等」です。 7 ページで、「平成 27 年度の水道施設整備関係予算案」を紹介いたします。この表の左側の「区分」の一番下に書いてある、水道施設整備費で、一番下側に欄があり、※で「災害復旧費を除いた場合」と書いてあります。この額を見ると、平成 26 年度の予算額 A と、平成 27 年度予算案 B ということで、 A がどのように B になったかという点について見ていただければと思います。かいつまんで言うと、この予算案について、水道施設整備費は平成 27 年度の予算案としては約 305 億円となっています。これは、平成 26 年度の額に比べて、約 50 億円の増額です。 305 億円の上に書いてある括弧書きの部分が、平成 26 年度の補正予算案を含んでいます。平成 26 年度の補正予算は 250 億円ですので、それを含めると、この括弧書きに示されるとおり、約 555 億円が付いています。

この水道施設整備費の内訳の中で見ると、「耐震化等交付金」という部分が新たに創設されているのが分かります。これは、地方公共団体が、地域の実情を踏まえ、耐震化事業に自由に配分できるものとして、平成 27 年度予算で 50 億円、平成 26 年度補正予算で 215 億円、それで合計 265 億円を計上しております。

8 ページは、「水道施設整備費年度別予算額の推移」を示しております。平成 26 年度の予算額プラス平成 25 年度補正予算額と、平成 27 年度予算案プラス平成 26 年度補正予算案を比較すると、これについては昨年よりも残念ながら減少しています。当初予算で見ると、久しぶりに増額しています。補正予算と一体的に執行していくことを我々は考えております。

9 ページは予算の事業概要と、 10 ページに、耐震化等の交付金制度について紹介しております。これで目新しいものとして、「新 2 」と書いて、「生活基盤施設耐震化等交付金」というものがあるということです。その詳細について示したものが 10 ページの交付金です。これは、「生活基盤施設耐震化等交付金」ということですが、水道施設だけではなくて、保健衛生施設の耐震化も含めた、非公共の交付金です。ただ、水道分について補正予算として、平成 26 年度は 215 億円、平成 27 年度の当初予算では 50 億円を確保しています。従来は公共の枠で予算が付いていたということですが、今回は、非公共の枠で予算が増額しました。

新たな交付金制度の部分については、今後更に交付要綱を詰めていくということではあるのですけれども、現在の対象施設として、水道施設については、災害時でも安全で良質な水道水を供給し、将来にわたり持続可能かつ強靱な水道を構築するという部分で、上水道事業の施設や簡易水道事業の施設などを対象にしていこうと考えています。

次に、「地方分権改革について」、御紹介いたします。 11 ページがタイトルで、 12 ページが具体的な中身です。「地方分権改革における水道法における水道事業の認可権限移譲」です。昨年は広島県、中国知事会等 7 団体から、水道事業の国の認可権限を都道府県に移譲してほしいと。それは、都道府県がイニシアティブを取って、広域化等を推進していきたいということが背景にあって、権限移譲の提案が内閣官房に寄せられました。そこで、内閣官房に、こういうことが提案されているということで、これは水道以外にもいろいろなものの提案が寄せられて、関係省庁に移譲してはどうかということで、内閣官房がそれぞれの省庁に対応を求めるものです。それぞれの省庁が、それぞれの事業の観点から、移譲についてどう考えるかという点について、対応の考え方のやり取りをさせていただいたところです。平成 26 10 29 日に開催された分権改革有識者会議の提案募集検討専門部会で、それぞれの関係府省の対応方針を公表しています。この対応方針については、つい最近の 1 30 日に閣議決定されています。

具体的に、水道の事業認可についてはどういう中身かについて紹介いたします。黄色の部分ですが、広域化等を推進する水道事業基盤強化計画を策定し、業務の監視体制を十分に整える都道府県であって、その事務・権限の移譲を希望するものに対し、都道府県内で水利調整が完結する水道事業、あとは用水供給事業、そのうち都道府県が経営主体であるものは除きますが、それらを対象に移譲していきます。

また、「なお」書きの部分で、都道府県内で水利調整が完結しない水道用水供給事業から受水する水道事業については、水道用水供給事業との事業統合を行うことを水道事業基盤強化計画に盛り込んだ場合には移譲対象とするという方針が決定されております。

こういう方針を盛り込んだ部分についての背景として、 3 番目に「手挙げ方式による権限移譲」というのがあります。地方分権委員会の有識者会議のヒアリングでも、我々としても主張させていただきました。都道府県の水道事業を管轄する衛生行政の部局の施策の推進体制、水道事業の新水道ビジョンに示されるような施策の推進体制や、その水道事業の監視体制、具体的には人数とか出先機関があるかどうかなのですが、そういうものはばらつきがあるという課題がある。こういうことも踏まえて、業務の監視体制や広域化などを推進する取組について一定条件を満たした場合であって、その権限移譲を希望する都道府県について、手挙げ方式の権限移譲を行うことを方針としたということです。

ある程度こういう体制が整って、また新水道ビジョンに示されるような広域化等の取組をしっかりやっていこうという、意欲的な都道府県に対して移譲していくということで、都道府県の水道事業基盤強化についての指導権の発揮を促していきたい、さらに底上げをしていただきたいと我々としては考えております。

今後の進め方ですが、この対応方針の閣議決定を踏まえ、地方分権改革の制度改正と併せて所要の改正を行っていこうと思っています。併せて、権限移譲を認める一定の条件、水道事業基盤強化計画にどういうものを定めるべきか。 2 番には、広域化や施設の計画的更新・耐震化、水質管理といった点を示されていますけれども、どういうものを中身を定めるべきか。都道府県の監視体制はどうあるべきかというものについては、今後具体的に検討していきたいと考えております。

14 ページは、「水道施設の計画的更新・耐震化について」です。「管路の老朽化の現状と課題」ということですが、昭和 40 年代後半から急速に整備された水道施設が更新時期を迎えつつあって、法定耐用年数が 40 年を超えた管路が約 1 割に上っています。これは「管路経年化率」という点についてグラフを見ていただけれは、年々上昇していて、老朽化が進行していることが分かるかと思います。それに伴って、老朽化を原因とする漏水などの管路事故が懸念されるということです。管路の更新率については年々低下しているということです。平成 25 年度末では 0.79 %まで低下しています。全ての管路が更新されるには、理論的に約 130 年もかかるというありえない状況に陥っています。

15 ページで、「水道施設における耐震化の状況」について御報告させていただきます。水道は、災害時にも、生活に不可欠な水を供給する重要なインフラであります。管路の耐震化適合率、基幹管路の適合率の部分ですが、平成 25 年度末では 34.8 %にとどまっています。上水施設も 22.1 %と低い状況にあります。配水池は、他の基幹管路や上水施設に比べて、単独での改修がしやすいということで、若干箪震化率が高いのですけれども、それでも 47.1 %です。こういう主要な施設の耐震化の状況もかなり厳しい状況にあるということです。

16 ページで、「耐震化計画の策定状況」です。厚生労働省では、耐震化計画の策定指針を作り、水道事業体の耐震化計画の策定支援を行い、結果として管路とか水道施設の耐震化を進めようということで我々は考えています。そもそも、その根っこになる耐震化計画自体の策定率は、中小の水道事業体を中心に低い状況にあります。こういう水道施設の耐震化を全国的に進めていくためにも、策定率を向上していく必要があると我々は考えています。結果として、 5 万人未満の水道事業体では計画ありの割合が 3 割にも満たないわけです。こういう事業体では、計画を立案したりするのも非常に厳しい状況もあろうかと思いますので、そういう点も含め、広域化も含めて考えていかなければならないというのは、この資料から見ても分かるかと思います。

17 ページは、「厚生労働省のアセットマネジメントに関する取組」です。老朽化や耐震化の問題に適切に対応していくために、水道施設の計画的更新が必要だということです。その裏付けとなる事業計画を作るわけですが、その下地としてアセットマネジメントを作ってほしいということで我々は取り組んできております。平成 21 4 月に、このアセットマネジメントの手引きを作り、その手引きがなかなか中小事業体には難しい課題もあり、それでは「簡易支援ツール」を作ろうということで、平成 25 6 月に公表しております。それで、都道府県単位で簡易支援ツールの講習会を、我々水道課の職員を派遣して実施し、平成 25 年度中には 45 都道府県で開催し、現在は 47 都道府県に何らかの形で簡易支援ツールについて周知をしています。

そういう結果を受けて、平成 24 年から 1 年で 22.2 ポイント上昇しました。このアセットマネジメントを実施したらそれでいいというわけではなくて、このアセットマネジメントの結果を、計画部門と経営部門がしっかり認識を共通した上で事業計画、経営戦略に反映させて、計画的更新を促していくのが課題だと我々は考えております。

18 ページは、「国土強靱化基本計画」です。東日本大震災もありましたし、今後は南海トラフ巨大地震や首都直下地震など、巨大災害が起こり得るという部分で、「国土強靱化基本法」が平成 25 年の秋の臨時国会で成立しました。それを受けて、「国土強靱化基本計画」が平成 26 6 3 日に閣議決定されております。水道も含めた、ライフラインの管路施設の耐震化がこの計画に示されています。併せて、「国土強靱化アクションプラン 2014 」の中で、水道関係の記載が詳細に示されております。基幹管路の耐震適合率を平成 24 年の 34 %から平成 34 年には 50 %まで引き上げる業績指標も示されております。併せて耐震化計画の策定とか、応急給水場所の周知とか、そういうことが盛り込まれています。昨年も集中豪雨で、広島市の土石流被害、御嶽山の火山噴火などで、水道事業に甚大な影響が生じています。国土強靱化基本計画を踏まえ、耐震化を進めていきたいと我々は考えております。

20 ページは、「官民連携について」です。政府の成長戦略の中で、民間投資を喚起する成長戦略が含まれております。この中で水道関係の記載として、 PPP/PFI の活用の中で、集中強化期間の間で、公共施設等運営権方式、いわゆるコンセッション方式ですが、こういう活用をした PFI 事業の案件数について、重点分野ごとの数値目標、これは上水道について 6 件が設定されております。政府の中で目標設定されておりますので、こういうコンセッションを行おうという区分について、我々としてもいろいろな技術的支援等を通じて行っていく取組を行っております。

21 ページは、「水道事業における官民連携の推進に向けて」です。現在の水道事業というのは、 PFI については比較的大規模な水道事業に見られるということで、導入事例はこれまで 12 件となっております。厚生労働省としては、 PFI など多様な連携形態の官民連携を進めるために、「水道分野における官民連携推進協議会」を開催し、水道事業者と民間事業者のマッチングを、経済産業省の公共水道の部局と一緒にこの協議会を毎回全国各地で開催し、毎回 100 200 名の出席者がいるという話です。直近では、 2 月に福岡で実施していこうと思っております。また、「官民連携の手引き」も平成 26 3 月に作っております。この中でコンセッション方式の導入も含めた内容に充実を図っています。こういう手引きを通じてコンセッション方式を導入したいという地方公共団体がありましたら、そこにこういう手引きを通じ、いろいろ支援をしていく取組を今行っています。

以上、水道行政の最近の動向ということで紹介させていただきました。

 

○大垣部会長

ただいまの説明に関し、御質問あるいは御意見がありましたらお願いします。

 

○尾崎委員

私からも少しお話をさせていただきます。松田課長補佐から説明がありましたとおり、現在の水道事業は様々な課題を抱えています。日本水道協会には、全国 1,350 の水道事業者の直面する課題を取りまとめている会員提出問題というものがあります。水道事業者のみでは解決できない多くの課題がそこに現れてきますので、その一部をご紹介します。

平成 26 年度は 22 題の会員提出問題があり、全国の水道事業者によってその取扱が議論されました。このうち 21 題については、会員の総意によって法整備や国の支援が必要との結論に至り、要望活動を行っています。要望の内容は財政支援が多いのですが、国において法整備、あるいは制度改正を進めていただきたい問題もあります。本日はこの場をお借りして 2 つだけお話させていただきます。

1 つ目は、地下水利用等に関する専用水道の問題です。近年、地下水等の膜処理水と水道水を混合して給水する、あるいはバックアップ用として水道水を使用するといった、地下水利用による専用水道の設置が全国的に急速に拡大しています。地方都市では、大型商業施設や病院などの大口需要者が、水道から地下水利用の専用水道に移行したことに伴い、大きな減収となっております。このため、施設整備に要した費用、固定費が回収できないという、水道の運営基盤を揺るがす問題となっています。昨年 7 月に水循環基本法が施行されましたので、この問題が解決されることを期待しているのですが、国に対しては、新規専用水道の設置規制等を含む新たな用水規制についての法整備や、専用水道の設置者及びその利用者に対して一定の負担を求めることができる仕組づくりなどについて、具体的な法整備の推進をお願いしているところです。

2 つ目にお伝えしたいのは、全国の水道事業者が、現行の給水装置工事の指定工事店制度に苦慮していることです。現在の指定工事店制度には更新制度がないため、ひとたび指定工事店として登録されると、水道事業者がその現状を把握することが非常に困難であるという問題があります。水道使用者に法外な料金請求を行う業者が現れていますが、こうした場合でも、水道事業者からその業者の所在が確認できません。また、技術力の低下などのトラブルも発生しております。これらのことは、平成 19 年の本制度に関する検討会で課題認識されたものの、制度そのものの改正には至らず、依然としてトラブル等の問題が多く発生しています。このようなことから、水道事業者からの改善の要望も多く、本協会では会員提出問題の議論をふまえて、平成 14 年度以降 8 回にわたって制度改正の要望を行っています。厚生労働省へは、現行制度における具体的な問題や、実態把握を進めていただくとともに、今後の対策についても検討していただきたいと要望しております。

 

○大垣部会長

事業体からの要望の観点ですが、いかがでしょうか。

 

○松田水道課長補佐

尾崎委員から 2 つの要望の話がありました。専用水道、地下水専用水道の現在の水道法の取扱いの部分についてまず紹介させていただきます。水道事業体と同様に、法に基づいて、施設について届出を行う必要がある。その上で水質検査や管理などが必要になっています。これについて、実際に衛生行政のほうで、専用水道の監督をしていく部分ですが、従前は、都道府県と保健所設置市で、これらの専用水道の指導を行ってきました。地方分権の流れの中で、専用水道についての監督の権限移譲についても、従来は保健所設置市だけだったのですが、保健所設置市以外の市にも権限移譲を行うことになっています。現在は、町村部分については都道府県が、市の部分は市が監督を行うとなっています。

今も、揚水規制のお話がありましたけれども、水道法の範疇にとどまる話ではなく、関係するものとして水循環基本法について紹介します。この法律は昨年 4 月に成立しました。現在、水循環政策本部が内閣に設置されていて、この水循環基本法に基づく、水循環基本計画を今年の夏までのできるだけ早い時期に策定しようということで、関係省庁と取り組んできているところです。この基本計画については、今、学識経験者の意見も聞きながら作っているわけですが、地下水の持続的な利用については、地域の状況に応じてその適正な利用と保全を推進する観点からの記載内容も検討しているところです。こういう基本計画で示されるような施策について、関係省庁とともに、共同して何ができるか検討していきたいと考えております。

指定工事店制度についての御指摘がありました。これは、日本水道協会からも、更新制度の創設の要望がありますし、また管工事業協同組合連合会からも、こういう更新制度の創設の要望があることは承知しております。今、いろいろと水道事業者に対し、指定工事店制度に関してどういう問題が起きているのかとか、そういうトラブルの状況、問題点みたいなものの実態を把握するような形でアンケートを行っています。アンケートの結果なども踏まえ、一体この指定工事店問題についてはどういう取組が必要かという点について、我々としても考えていきたいと思っております。

 

○大垣部会長

尾崎委員、よろしいでしょうか。

 

○尾崎委員

積極的な取組をお願いします。

 

○大住委員

これは、昨年度にも私から質問をして回答を頂いた内容です。本日の資料で、アセットマネジメントに関する取組の実施状況についての、平成 25 年度の数値が入っております。昨年度は簡易支援ツール、特に都道府県単位で簡易支援ツールに関する講習会を実施するということで、この効果も見込まれるという回答を頂きました。その一定の効果は確かにあったのかなという数値は確認できます。

ただ、特に中小の事業体の皆様方の実施割合を見て、これは決して満足できる数値ではないと思うのです。特に 5 万人未満では、今回頂いた資料では 23.8 ポイントも上昇したということで、この数値自体はそれなりに評価できるのかもしれませんけれども、実施割合が未だ 36.3 %にとどまっております。実施割合を更に引き上げるために、どのような努力が必要と考えますか。お答えください。

 

○松田水道課長補佐

もちろん引き続き講習会等の開催を、いろいろな場を通じて行っていくというのは当然であるのですけれども、我々としては、先ほど地域懇談会を紹介させていただきましたけれども、この地域懇談会を行う中で、こういうアセットマネジメントの実際の取組事例、又はアセットマネジメントを受けた事業の計画的な更新の実施とか、そういう先新的事例も紹介していくことで、更に 5 万人未満の事業体の方に、アセットマネジメントの実施の必要性を理解していただくということが必要なのだろうと思っております。

併せて、どうしても 5 万人未満の水道事業体の場合に、職員が非常に少なく、更にその職員が計画部門だけではなくて、維持管理の部分とか、場合によっては水質も含めて全部見ているような場合もありますので、こういう場合には非常に難しい場合もあります。そういう部分でいえば、広域化を含めた、事業統合、経営統合といったものも含め、総合的にやっていかなければいけないと我々としては思っています。

 

○大垣部会長

よろしいでしょうか。

 

○大住委員

はい。

 

○大垣部会長

全体に対して御意見、御質問はよろしいですか。御意見はないようですので事務局にお返しします。

 

○宮崎水道課長

委員の皆様方におかれましては、本日も活発な御議論、御審議をありがとうございました。御指示を受けました検討課題については、今後とも検討を引き続き進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。なお、本日の議事録については、皆様方に御確認を頂いた上で公開させていただきます。本日は、どうもありがとうございました。

 

○大垣部会長

本日は、大変貴重な御意見をありがとうございました。これで終わります。


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(了)
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TEL: 03-5253-1111 (内線4013)

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