ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会)> 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録(2014年12月19日)




2014年12月19日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成26年12月19日(火)
17:00~


○場所

新橋会議室8F8E


○出席者

出席委員(16名) 五十音順

稲 田 英 一、  大 戸    斉、 大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、
嶋    緑 倫、  鈴 木 邦 彦、 千 堂 年 昭、 田 崎 哲 典、 
前 野 一 雄、○濱 口    功、◎半 田    誠、 三 谷 絹 子、
三 村 優美子、 山 口 照 英、 吉 澤 浩 司、 渡 邉 治 雄
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名) 五十音順

朝 倉 正 博、 小 幡 純 子、 花 井 十 伍、 益 子 邦 洋

日本赤十字社

碓井総括副本部長、日野製造販売統括管理監、西田副本部長

行政機関出席者

浅 沼 一 成 (血液対策課長 他)

○議事

○血液対策課長 定刻となりましたので、ただ今から「平成26年度第1回薬事・食品衛生審議会血液事業部会」を開催いたします。なお、本日は公開で行うこととなっていますので、よろしくお願いいたします。

 本日は朝倉委員、小幡委員、花井委員、益子委員から御欠席との御連絡を頂いています。また、稲田委員、鈴木委員からは遅れて出席されるとの御連絡を頂いています。現時点では全委員20名中14名の出席をいただき、遅れて来られる委員の方を加えますと16名の出席となります。現時点でも定足数に達していますので、薬事・食品衛生審議会令、第9条により、本部会が成立しましたことを御報告申し上げます。

 また、本日は日本赤十字社血液事業本部から、碓井総括副本部長、日野製造販売総括管理監、西田副本部長にお越しいただいていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて各委員の利益相反の確認を行いましたところ、稲田委員、岡田委員、嶋委員、千堂委員から関連企業より一定額の寄附金、契約金などの受取の報告を頂きましたので、御報告いたします。なお、本日の議題は利益相反に関係する審議事項はなく、報告事項のみとなっています。念のため申し上げておきます。

 カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。この後の進行については、半田部会長にお願いいたします。

○半田部会長 事務局より、資料の確認をお願いします。

○血液対策課長 資料の確認をさせていただきます。まず議事次第、座席表、委員名簿。

 議題1関連は、資料1「平成27年度の血液製剤の安定供給に関する計画()について」。

 議題2関連は、資料2-1「献血推進2014の達成状況について」、資料2-2「献血推進に係る新たな中期目標」、資料2-3「わが国における将来推計人口に基づく輸血用血液製剤の供給本数等と献血者数のシミュレーション(2014年試算)(グラフ)」、資料2-4「平成27年度の献血の推進に関する計画()」、資料2-5「平成27年度の献血の推進に関する計画()新旧対照表」、参考資料1「献血者数の推移」、参考資料2「複数回献血者及び複数回献血クラブについて」です。

 議題3関連です。資料3-1「献血血液におけるシャーガス病に対する安全対策関係」として、1.献血血液のシャーガス病に対する安全対策検討の経緯、2.シャーガス病に対する安全対策の進捗状況について、3.献血時のシャーガス病に対する今後の安全対策について、4.献血時のシャーガス病に対する今後の安全対策について(第2回安全技術調査会の審議結果)、5.中南米の居住歴・旅行歴のある方の献血の保管検体を対象にシャーガス病に関する遡及調査を実施することについての倫理的な整理。資料3-2「献血血液の個別NAT導入関係」として、1.次期NATスクリーニングシステムの導入について、2.血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン改正(通知)、3.献血血液の個別NAT導入に伴う輸血用血液製剤のNATに必要とされる検出限界値の見直しについて、4. (通知)「献血血液の個別NAT導入に伴う輸血用血液製剤のNATに必要とされる検出限界値について」。資料3-3「血液製剤に対する安全性確保を目的とした核酸増幅検査(NAT)の実施に関するガイドラインの改正について」。資料3-4「ヒトパルボウイルスB19DNAの国内標準品候補品の評価」。資料3-5「パルボウイルスB19DNA参照パネル候補品の力価の評価」。資料3-6「日本赤十字社におけるヘモビジランスについて」。資料3-7「原料血漿の貯留保管期間の見直しについて」。

 議題4関連です。資料4-1「血液製剤及び献血に関する感染症報告事項について」。資料4-2「フィブリノゲン製剤等に関する報告事項について」。資料4-3「オーストラリアの視察報告について」。資料4-4「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」の改正関連として、1.「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」の改正等について、2.「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」(平成26年9月改正)。資料4-5「『献血血液の研究開発等での使用に関する指針』に基づく公募の評価等結果について(平成26年度)」。資料4-6「デングウイルスの国内感染が確認されたことに伴う対応について」。

 議題5関連です。資料5-1「平成25年度血液製剤使用実態調査(要点)」。資料5-2「平成25年度血液製剤使用実態調査(輸血管理体制)」。資料5-3「平成25年度血液製剤使用実態調査(小規模施設に焦点を当てて)」。資料5-4「平成25年度血液製剤使用実態調査(血液製剤使用実態)」。資料5-5「『輸血療法の実施に関する指針』の改正」。資料5-6「『血液製剤の使用指針』の改正」。以上です。不足等があればお申し出いただければと思います。

○半田部会長 議題1に入ります。議題1は「平成27年度の血液製剤の安定供給に関する計画()について」です。当該計画案につきましては、血液法の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて策定されるものです。本日は、この場で皆さんの意見を伺い、部会としての意見をまとめたいと思います。最終的に皆さんに御判断いただくのは次回3月の部会となります。それでは、資料1を御説明願います。

○事務局 議題1「平成27年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()」について、資料1で説明いたします。需給計画は、血液法第25条の規定に基づき、翌年度の血液製剤の安定供給に関する計画を策定するものです。資料1の2ページを御覧ください。血液法第25条第2項に規定されている、本計画で定めることとされている各事項についてです。第1の、平成27年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量については、4ページの別表第1に内容があります。第2の、平成27年度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標については、5ページの別表第2に、第4の、平成27年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標については、6ページの別表第3にそれぞれお示ししています。なお、別表第1~第3の需要見込量や目標量に関しては、血液法に基づく関係製造販売業者からの届出や、近年の供給実績を基に、医療需要に対して過不足が生じることなく安定的に供給されるよう算出したものです。2ページ、第3の、平成27年度に確保されるべき原料血漿の量の目標は、91万Lを目標量としています。この目標量の算出の考え方については、8ページの所で触れさせていただきます。

 第5の「その他原料血漿の有効利用に関する重要事項」の1の「原料血漿の配分」ですが、3ページを御覧ください。1の、原料血漿の種類ごとの標準価格については、次回に開催される当部会において、日本赤十字社の財務状況等を踏まえ御審議いただくことになりますので、今回は空欄とさせていただいています。2は、採血事業者から各国内製造販売業者へ配分する平成27年度における原料血漿の種類ごとの配分見込量です。各社安定供給に必要な量の配分を希望しています。また、1ページの中ほどの5のインヒビター製剤の箇所と、7ページの(参考)のインヒビター製剤の欄に、本年7月に承認され11月から供給が開始されている、乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子、化血研のバイクロット配合静注用、インヒビターを保有する血友病患者向けの止血治療用バイパス製剤になりますが、こちらの血液製剤を新たに追加しています。

 次に、少し飛びまして8ページの、平成27年度の原料血漿確保目標量()については、26年度と比較して1万Lの減とし、91万Lとしています。2.の各社の受入希望量は、凝固因子製剤用が計47.5万L、その他の分画製剤用が計44.0万Lで、合計は91.5万Lとなります。受入希望量より確保目標量が少なくなっています0.5万L分につきましては、平成17年以降、国内自給の推進には、将来にわたって安定的に原料血漿が確保・供給される必要があり、毎年度献血者を安定的に確保する必要があるので、製造業者の原料血漿必要量に多少の余裕を見込んだ確保目標量の設定が必要との考え方に基づいて一定量の上乗せを行ってきました結果、在庫量がある程度確保されていることから、有効期間の問題もあり、在庫分から一部を配分するものとなっています。

 次に11ページです。平成27年度都道府県別原料血漿確保目標量(事務局案)ですが、従来から、原料血漿の確保については、都道府県別に目標を定め御協力をいただいています。これは、全体の確保目標量案の91万Lを各都道府県別に割り当てたものです。計算の考え方は従来どおりです。

 次に、13ページです。平成25年度需給計画の実施状況です。原料血漿確保実績ですが、確保目標量92.0万Lに対して94.7万Lを確保し、確保目標量を達成しています。

 次に15ページの別表を御覧ください。アルブミン製剤の国内自給率については、平成19年度の62.8%をピークに横ばいの状況が続いており、平成25年度は前年度と比較すると0.9ポイント下がり58.7%となっています。また、血液凝固第VIII因子製剤については、遺伝子組換え製剤のシェアの伸張により、国内血漿由来製剤の自給率は低下の状況が続いています。人免疫グロブリン製剤の国内自給率は0.2ポイント上昇し、95.9%となっています。各製剤の国内自給率の推移については20ページ及び21ページを後ほど御参照ください。

 次に16ページの平成26年度需給計画の上半期(4月~9月)の実施状況です。今年度上半期の原料血漿確保実績は、確保目標量92.0万Lに対し、50%を超える46.1万Lが確保できており、製造販売業者へは計画どおり配分できるものと見込まれます。

17ページの別表を御覧ください。今年度上半期のアルブミン製剤の国内自給率は56.4%となっています。ここ数年横ばいの傾向が続いているところですが、26年度は下がってしまうのか、また上昇するのか、下半期の状況を注視したいと思います。また、血液凝固第VIII因子製剤は引き続き国内血漿由来製剤のシェアが低下しています。人免疫グロブリン製剤の国内自給率は0.2ポイント上昇し96.1%となっています。以上、平成25年度、平成26年度上半期のいずれも、国内での医療需要をほぼ満たす血液製剤が安定的に供給されているところです。

 製剤ごとの供給量や国内自給率の状況については、18ページに平成25年度需給計画の計画及び実績、平成26年度需給計画の計画及び上半期の実績、平成27年度需給計画の計画値を並べ、さらに各年度における原料血漿の配分計画と実績についてまとめた資料をお示しています。

1924ページは各製剤の状況を図表やグラフにまとめてお示ししたものです。後ほどこちらを御覧いただければと存じます。資料1の説明は以上です。

○半田部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問はいかがでしょうか。

○大戸委員 全体の目標量については意見はありません。12ページの福島県のところですが、福島県は震災以降避難をされ、住所を移した人で5万人、県外に避難している人は数万人おります。平成22年度の国勢調査データによって試算されるということは、著しく合理性を欠くのではないかと思います。

○半田部会長 今の御意見に関して、何かありますか。

○事務局 御意見ありがとうございます。こちらの12ページの目標量はいわゆる目安のような性格の値ですので、実際は都道府県がブロック単位の中で調整して具体的な目標量を定めていますので、その震災の影響の辺りも少し加味しながらやっていただく形になるのかなとは考えていますが、御意見を伺った上で、来年度以降はまた考えたいと思います。

○大戸委員 よろしくお願いいたします。

○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○前野委員 アルブミンの自給率ですが、年々少しずつ下がっているわけですけれども、先ほどのお話では、それが横ばいか少し上がると言われたような気がしますが、その根拠というか、どういう理由でそのようにみられるのか。むしろ下がっていくのが通常ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○事務局 以前の、供給の在り方に関する検討会の提言でも、DPCの導入により、より安価な外国産製剤を使う傾向があるという提言をいただいていまして、その傾向は変わっていないのかなとは考えているのですが、国内自給というのは法律での基本理念になっていますので、状況を注視しながら、国内の自給率を上げる方策を国としても考えていきたいと思います。

○半田部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがですか。

○岡田委員 5ページで、アルブミンの遺伝子組換えが「0」になっていますけれども、これは製造をやめてしまったのか、それとも限りなくゼロに近いということで「0」になっているのでしょうか。

○事務局 こちらは田辺三菱製薬のメドウェイのことかと思うのですが、企業の話なので余り詳しくは申し上げられないのですが、薬事法違反で供給停止になっており、一応その供給再開に向けたいろいろな手続を社内で検討しているところだとは聞いています。取りあえず今のところ、平成27年度中に供給できるという見込みが立っていないということで「0」として出してきているのかと思います。

○岡田委員 同じく4、5ページです。4ページは見込まれる血液製剤の種類と量、5ページが製造・輸入されるべき血液製剤の種類と量ですが、その一番右の数字を見ますと、製造・輸入目標量が、必要と見込まれる製剤の種類及び量よりも、いずれも若干多くなっているのです。例えばアルブミンは、見込まれる量が2752,300と書いてありますが、製造・輸入されるべき量の方が2777,300という形になっていて、計がいずれも多い数字が記載されていますが、その根拠は何でしょうか。

○事務局 3ページの一番下の2番を御覧ください。平成13年3月に、遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤の出荷一時停止等の問題が生じたことを踏まえ、毎年度の需給計画において、いわゆる緊急事態に対応できるように製造販売業者等は一定の在庫を保有することが望ましいということで、需給計画でうたっています。具体的には、19ページの関連表を御覧いただくと、一番右の欄が平成27年度末の在庫量で、何箇月分かを示した数字になっています。御覧になると分かりますように、緊急時等に備え、一定程度の在庫を持っていただくことをメーカーにお願いしている関係で、いわゆる需要よりも製造や輸入量が多くなっているかと思います。

○半田部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 ちょっと1点、アルブミンに集中して申し訳ないですが、22ページの図を見ていただくと、平成26年度の見込みと平成27年度の見込みで、更に全体の供給量が増えているのですが、これはどういう根拠でこうなったのでしょうか。

○事務局 こちらは、あくまで現時点での見込みということで、基本的にメーカーの方で見込みを立てるときには、直近の実績値を基に算出しているものですから、今回は平成25年度の実績値を基に算出した結果、こうした形で26年度より増えた形にはなっています。具体的な増える要因があるわけではないのですが、実績の方は見込みより減るケースも考えられるかと思います。

○半田部会長 ありがとうございます。それでは、次回の部会において、原料血漿の配分価格を含めて決定させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 はい、ありがとうございました。それでは、議題2「平成26年度献血推進調査会の審議結果及び平成27年度の献血の推進に関する計画()について」、資料の御説明をお願いします。

○事務局 資料2-1から資料2-3について御説明いたします。まず資料2-1の「献血推進2014」の進捗状況について御説明いたします。献血推進2014とは、必要な血液を安定的に確保することができるようにするために、平成22年度から平成26年度までの5年間の中期目標として作成されたものです。項目にあるとおり、大きく三つの目標を掲げております。その状況については、表の下の方の()から()に記載してあります。

 状況としては、若年層の献血率について、10代は平成23年度に一時低下しましたが、平成2425年度と上昇しております。20代は平成22年度に上昇したのですが、その後は低下している状況です。このことからも、引き続き若年層への働きかけを積極的に行っていく必要があると考えております。()は集団献血です。企業献血についてですが、平成25年度末の段階で、目標としている5万社を達成しました。しかし、新規開拓を行う余地はまだあるため、引き続き企業献血の働きかけを積極的に行っていく必要があると考えております。()の複数回献血については、着実に数字を伸ばしてきたのですが、平成25年度に少し減少してしまいました。今後の血液の安定供給のためにも、この複数回献血は引き続き協力していただける方々の拡大に取り組んでいく必要があると考えております。資料2-1については以上です。

 資料2-2「献血推進に係る新たな中期目標」について御説明いたします。資料2-1で、現行の中期目標について御説明しましたが、今年度でその目標期間が終了しますので、新たな目標設定を行う必要があるということで、12月2日に開催された献血推進調査会において御議論を頂き、決定した内容についての御報告になります。新たな目標の名称は「献血推進2020」としました。

 これまでの中期目標は、先ほどの資料にもありましたけれども「献血推進2014」ということで、平成22年度から5年間の目標を立ててきましたが、今回は数字に切りが良いこともあり、また2020年はオリンピックイヤーであることもあり、変則的ではありますが、期間6年間の中期目標としました。ただし、この間3年を経過した頃をめどに中間評価を行い、状況の変化等を加味し、必要に応じて数値目標を変更することにいたしました。

 依然20代、30代といった若年層の献血者が減少していることから、将来の血液が不足するだろうという推計に対し、いかに必要な血液を確保していくかということを、血液法に基づいて毎年度作成しております年度計画とともに、中期的な目標を掲げて取り組んでいきたいという考え方から作成しております。

 目標の項目としては、まず若年層の献血者数の増加ですが、これまでの目標に加え、新たに30代の献血率の増加を盛り込みました。

 この献血率の目標設定についての考え方は、資料2-3のシミュレーションのグラフを用いて御説明いたします。今回のシミュレーションは、2010(平成22)にも同様のシミュレーションを行い、その推計を基に現在の中期目標である「献血推進2014」における、10代、20代の目標献血率を算出していることから、今回、当時のシミュレーションを直近で把握できている実績数値に置き換えるとともに、可能な限り詳細に算出したものです。基となるデータは2012年に東京都福祉保健局がまとめた輸血状況調査結果、それから国立社会保障・人口問題研究所から発表される将来推計人口と近年の血液製剤の供給状況や、献血者の状況等を用いて推計しました。

 グラフ1の図は、献血可能人口の推移について推計したものをグラフにしたものです。黄色の部分が50歳未満の人口で、緑色の部分が50歳以上の人口です。緑の線が献血可能人口で、1669歳までの人口を示しています。これを見ると、高齢化と総人口の減少により、献血可能人口がどんどん減少していくことが分かります。このような状況下で推計をしております。

 2ページのグラフ2は、先ほどの献血可能人口の年齢別の内訳を表したものです。3ページのグラフ3は、緑色の線が輸血用血液製剤の供給予測をグラフにしたものです。この線を出すには、先ほどの東京都の調査の結果、50歳未満と50歳以上の方の輸血用血液製剤の使用量を実績に、各年の年代別人口を乗じて計算しました。したがって、その輸血用血液製剤の使用量が多い50歳以上の人口が増加すれば、増加傾向になっておりますが、やがて50歳以上を含めた全体の人口が減少していくので、緑色の線の供給予測も減少していっています。

 もう一つは、血漿分画製剤用の原料血漿については棒グラフで示しています。2015年については、過去3年の平均値である95万Lを取りあえずこの推計のときには置きました。その翌年以降については、血漿分画製剤の需要動向に不確定要素が多いので、今回は毎年100万Lということで置かせていただき、この二つを合わせた量の献血が必要となるという前提で、必要な献血者数を割り出しました。

 4ページのグラフ4は棒グラフで、赤色と橙色を足したものが、先ほどのグラフ3で示した、必要となる輸血用血液製剤と原料血漿量から算出した、各年の必要献血者数になります。橙色の部分が2013年の献血可能人口における献血率の実績6%のまま今後移行していった場合には、献血していただける献血者数がどんどん減少していってしまうということで、赤色の部分が献血不足者数を示しております。

 この中で供給量が一番大きくなると予想される2027(平成39)には約85万人の献血者が不足する推計になりました。

 そこで、この不足分を充足させていくためには、各年代の献血率がどの程度になればよいのか、どのように推移していけばよいのかを算出したのが5ページのグラフ5になります。2027年には、下の年代別の表ですが、橙色で塗られている所の献血率、その通過点として、青色で塗られている所の2020年には、例えば1619歳であれば7.0%、20歳代であれば8.1%、30歳代7.6%とありますが、これだけの献血率を確保していかなければならない。今回の新たな中期目標の献血率の目標については、青色の所から数字を引用し、目標値に設定しております。

 資料2-2に戻ります。今回の新たな目標値、若年層の献血者数の増加の10代、20代、30代の目標値は、今の計算によって得られた数値を入れております。その他に安定的な集団献血の確保について、今回は6万社を目標としております。これは、直近の平成25年度における、対前年度増加実績である1,400社を毎年増加させていくという計算で算出しております。複数回献血については、今回は目標を達することがなかなか難しい状況になっているので、今回も120万人とさせていただきました。

 さらに今回の中期目標では、献血の周知度を図るための指標として、日本赤十字社が主に高校を中心に実施している献血セミナーという、献血制度の勉強会の実施についての目標値を設定いたしました。これは、平成25年度の実績を基に、それが年5%ずつ増加していった場合の数字ということで、目標値は1,600回にさせていただきます。

 この資料の裏面に、これらの目標を達成するために、重点的に取り組むべき項目を記載しております。()献血の普及啓発というのは、広く国民に献血の意義を知ってもらうこと、そのための効果的な啓発活動が必要であるということです。()若年層対策の強化です。()安心・安全で心の充足感が得られる環境の整備です。これは、「献血推進2014」の重点取組にも記載しております。まず献血に御協力いただく方が、安心・安全に献血できるとともに、心の充足感を得られることから、継続して献血をしていただける環境整備をしていくことが必要であるとしています。これらの具体的な取組については後ほど説明する年度計画に記載しておりますので、ここでは記載しておりません。以上です。

○半田部会長 続けて資料2-4と資料2-5の説明をお願いします。

○事務局 続けて資料2-4と資料2-5について御説明いたします。これが、毎年度策定する献血推進計画で、平成27年度の献血の推進に関する計画、いわゆる「献血推進計画()」になります。資料2-4は、今回の案の修正箇所を既に反映させ、溶け込ませた資料です。資料2-5は、平成26年度計画との新旧対照表になっていますので、説明は資料2-5の新旧対照表に沿って御説明いたします。

 左の枠が平成27年度の計画案、右の枠が平成26年度の計画です。1ページ、右下のページでは18ページの冒頭の平成27年度に献血により確保すべき血液の目標量についてです。平成27年度に必要と見込まれる輸血用血液製剤の数量が記載されています。これも、各都道府県に調査を実施し、来年度の需要を予測したものです。その結果、199万Lの血液を献血により確保する必要があるとなっております。平成26年度計画では205万Lでしたので、若干低い数値となっております。

 2ページの中段の部分ですが、先生方の資料では朱書きになっていると思います。資料2-4でいうと、4ページの2ポツ目にあります。企業等における献血の推進対策として、20代、30代の献血率の低下の現状を踏まえ、その世代の普及啓発が大切だという考え方から、「国及び採血事業者は、企業等に対して、特に20歳代・30歳代の労働者の献血促進について協力を求める」という文言を追加いたしました。

 3ページの上の方ですが、献血推進協議会の活用の所に、「ボランティア組織」を追加いたしました。これは、現状でも献血推進協議会の構成員としてボランティア組織の方々には御参加いただいておりましたので、逆に抜けているのがおかしいということで、今回は一層の連携を図っていくという意味で追加いたしました。

 下の方ですが、献血者が安心して献血できる環境の整備、これは先ほどの中期目標にも同じような文言があること、平成26年度の献血推進計画案をパブリックコメントに出した際に、より一層くつろげる献血ルーム作りをといった御意見が幾つかありましたので、今回の計画において追加いたしました。

 右側の平成26年度計画には、「移動採血車の外観の見直し等」というのがありましたが、今回はこれを削除いたしました。平成22年度の推進計画にここは盛り込まれ、日本赤十字社において、平成22年度中に全移動採血車についての外観の見直しは既に完了していて、本来であれば平成23年度か平成24年度の計画のときに見直すべきであった箇所が抜け落ちていましたので、今回削除いたしました。

 4ページは、資料2-4でいうと、5ページの下の方になります。1の2.として、献血者の利便性の向上というのがあります。現行は長文で分かりづらいという御指摘と、その一番初めと最後の所に同じような文言として、「献血者の安全に配慮」という文字がダブッてしまっている、それが文章が分かりづらい理由ではないかということで、文章の内容を精査するとともに、「整備及び充実」の前に、「一層の」という文言を追加し、これからも一層取組を行っていくということにいたしました。修正点は以上です。

 その他に今回は参考資料1として、これはいつも付けさせていただいているものですが、「献血者数の推移」についてと、今回は、複数回献血者が重要だということで、献血推進調査会の先生方の御指導もあり、参考資料2「複数回献血者及び複数回献血クラブについて」を参考として配布しております。以上です。

○半田部会長 それでは、当該審議結果の内容、そして計画案について御意見、御質問等はありますか。大変厳しい将来需給の見通しということで、それに対していかに献血を推進していくかということで、こういう議論の中で、このような計画が挙がったわけです。

○田崎委員 参考資料の通し番号の22ページはいつも出ているグラフです。40代、50代の方が平成18年、あるいは平成17年を境にかなり上昇しています。若い20代、30代がリピーターになるのは少ない、ドロップアウトするという説明がありましたが、逆にこの世代の方々が非常に増えているというその根拠というか、何かここで策をなされたのでしょうか。

○事務局 40代、50代に対する特段の策はしていません。私もその年代なのですが、我々の年代は高校生時代にも、高校献血とかいろいろやっていた世代でもあります。そういう意味で、年代別のこれは献血者数の割合で来ていますので、20代、30代が下がっていくのと相対して40代、50代の率が上がって見えてしまっているところが若干ありますので、多く増加しているように見えます。

 すみません、間違えました。率ではありませんので、今のは撤回いたします。献血ルームや移動採血車の環境の整備というのは、皆さんがより来られるような形での整備はしてまいりました。

○田崎委員 資料2-2の2ページの2.で、20代、30代がリピーターにならずにドロップアウトするのが多いのはなぜですか。

○事務局 若い方は、最近いろいろな情報や活動というか、いろいろなことができるようになっているというのもあります。もう一つ言えるのは、妊娠・出産というものがあって、一度献血から離れてしまうと、また復活するのが難しいのかということが考えられるかと思います。

○三村委員 先ほどの説明の中で、20代、30代の方たちの非常に厳しい現状と、それと同時に企業などへの働きかけを一層強化する、集団献血という場がかなり有効かもしれないという説明がありました。それで行動計画ということで拝見すると非常に充実していただいて、3ページには、子育ての世代に対してはいろいろ工夫すると書かれています。これは大変よくできていると思います。4ページの企業に対する働きかけの所が、まだまだ少し弱いかなと。これがちょっと残念なところがあります。5万社までいきましたので、目標は確実に達成されているわけですが、これをもうちょっと増やす方法はないのだろうか。

 これは、前にも日赤から御紹介頂いたときに、地域の中でかなりいろいろな工夫をされている事例もあります。4ページで、地域の実情に即した方法で、確かにこの方法でよろしいのですけれども、何かいろいろ良い事例を共有するとか、協力を得てということを採血事業者の方から企業に対して積極的に働きかけるような、場とか工夫ができないだろうか。この辺りは可能性があるのではないかと思いますので、その辺りはもう少し検討していただければと考えております。

○日本赤十字社西田副本部長 貴重な御意見ありがとうございます。採血事業者としても、地域事情を考慮しつつ、地域に根付いた企業の方々に是非とも御協力いただけるように、これからも国及び地方行政とともに具体的な対策を考えていきます。

○大平委員 先ほどの委員の質問で、40代、50代が増加傾向にあって、そして20代、30代がドロップアウトしているということに対してはお答えになっていないところがあります。いろいろな資料があるはずなので、ここは何か根拠を裏付けできるようにしていただきたい。20代、30代の方については、今も企業の問題が出ましたけれども、企業での労働時間の問題などが結構大きなハンディになっているのではないかというところがあります。そこは、どういう状況の下に、こういう傾向になっているかを示すことができるのではないかということがあると思います。なるべくそういう根拠は出していただいて、そしてこのグラフは正確性があることを示していただくようにお願いします。

○三谷委員 私も、皆さんと同じような質問になってしまうかと思います。献血推進の中期計画に関してです。2020年の目標等を伺ったわけですが、まず「献血推進2014」の平成25年までの実績を拝見すると、若年層の献血、特に20代での献血が目標値より大きく下回っています。複数回の献血の増加に関しても、目標値よりも20万人近く下回っているという現状があります。この目標値の設定に関しては、経緯の所で説明が書かれているのですが、そもそもこの目標値の算定自体がどのぐらいの精度を持ってなされているのか。目標から大幅にずれて下回ってしまった場合には、明確にそこの理由を考察していただいて、次の計画を立てていただきたいと思いました。

○半田部会長 非常に貴重な御意見を二つ頂きましたが、事務局から何かありますか。

○事務局 御意見をありがとうございます。分析はしっかりしたいと思います。若年層だけ特別というわけではなくて、各年代層全ての献血率を上げていこうという形での推計になっています。ですから、20代だけ特別高い設定をしているわけではないのですけれども、20代の献血率が伸び悩んでいるということは、今後そこはよく考えて、それをどうやったら伸ばしていけるか検討していきたいと思います。

○三谷委員 非常に細かくて恐縮なのですけれども、この目標値の算定に関して経緯を拝見すると、供給体制の構築と、「献血構造改革」の結果及び日赤のシミュレーションの結果等を踏まえてこの数字が出てきたと書いてあります。この数字は、こうでなければならないという目標値になるのでしょうか。

○事務局 こうでなければならないというと。

○三谷委員 例えば、供給体制の構築とか、日赤のシミュレーションの結果とか、いろいろなパラメーターがあって多分この数字になっていると思うのです。そのパラメーターの重み付けによって最終的な数字は少し違うのかと思うのです。この目標というのは、このマストの数字であって、こうでなくてはいけないというものですか。

○事務局 いいえ、あくまで目標として、不足するという推計が出ていますから、これに向かって国も日本赤十字社も都道府県も努力していかなければいけないという目標値です。

○濱口部会長代理 供給する方の目標ということで掲げられた数値はかなり厳しいという印象を持っています。一方でこれが不足するようになったことを現実で考えた場合に、実際に使う側にどういう形で協力をお願いするか、ということも同時に考えていかなくてはいけないのかと。供給する側が一生懸命供給だけを増やしていくような試みだけやっていっても、なかなか現実味は帯びてこないのかと思います。そこで、例えば医療機関の方で、こういう状況を十分に把握した上で、有効な輸血が行われているのかどうか、場合によってはそこを効率良くするためにはどうすればいいのか、ということを一方で検討してもらい、そして総合的に血液が十分に回っていくようなプランも今後は考えていただけるのだったら出していただければと思います。

○半田部会長 ありがとうございました。時間の関係で今のを最後としたいと思います。非常に厳しい状況になっていることもありますので、今いろいろな御意見を頂きましたが、より積極的に働きかけをしていただいて、あとは目標値の設定も根拠をもう一度きちんと見直していただく。目標値から外れた場合はどうしていくか、という辺りもきちんと検証していただくことが必要ではないかという議論だったと思います。それから、最後には適正使用ということで、使用者への働きかけも非常に重要なポイントではないか。本日頂いた議論を踏まえ、パブリックコメントの募集等々も含め、今後必要な手続を経た上で、当該計画案に関しては次回の部会で最終案を提示することにさせていただきます。よろしいでしょうか。

 続いて、平成26年度の安全技術調査会の審議結果について資料の説明をお願いします。

○事務局 資料3-1を御覧ください。資料3-1は、献血血液におけるシャーガス病の安全対策に関するものです。1ページ、資料3-1.を御覧ください。シャーガス病は、平成23年6月のWHO会議を契機に対策を進めており、今年度はこのページの下の黒枠の中の3点を検討いたしました。1点目は、シャーガス病の疫学調査の結果については、5ページ、資料3-1.を御覧ください。平成2410月から、シャーガス病のリスクがあるとして表にある1.から3.の項目、1.中南米で生まれた又は育った、2.母親が中南米諸国で生まれた又は育った、3.中南米諸国に通算4週間以上滞在したという3点を確認しております。平成26年8月31日までの期間において、表に示すように全採血者の0.225%に相当する約2万1,000人がこの三つのリスクのいずれかに該当しております。

 更に6ページに示すように、平成25年1月から、このリスクに該当する方のうち、同意を得られた方を対象にシャーガス病の抗体検査を行ったところ、全7,295人のうち、リスク1.、2.に該当する2人において陽性が判明しました。陽性者のうち1名は、過去にも献血歴がありましたが、遡及調査の結果、受血者にシャーガス病の感染はないことを確認しております。もう1名の陽性者は、リスクがある献血血液について製造制限を設けるという対策を講じた後に、初回の初めての献血をされたということで、特に製剤に影響はありません。

 シャーガス病の安全対策の2点目は、献血血液の安全対策の見直しについてです。2ページの青枠内に示すように、現在は先ほど申し上げた3点を問診で確認をした後、該当献血者の血液は血漿分画製剤用の原料血漿として利用するという製造制限を設ける安全対策を講じております。先ほどの疫学調査の結果や、8ページに示しております、諸外国の状況等を勘案し、安全対策の見直しを行いました。

 その結果を13ページ、資料3-1.で示しております。問診内容として、中南米諸国で生まれた又は育った、母親又は母方の祖母が中南米諸国で生まれた又は育った、中南米諸国で連続して4週間以上滞在又は居住したことがある。これらに該当する方で、過去にシャーガス病検査の陰性履歴がある場合は、製造制限を外して通常採血を行うこと。また、該当地域を離れてから6か月以上経過した方について採血を行うことが、安全技術調査会で了承されました。

 シャーガス病の安全対策の3点目は、過去の献血血液の保存検体を用いた調査です。資料15ページ、資料3-1.に示しております。過去に献血された血液の検査に当たっては二つの問題が指摘されました。論点1、シャーガス病について遡及し検査することの倫理的な問題の有無については、献血血液は他人の生命・健康にかかわるものであり、保管検体はその安全性確保のために貯蔵されているものであるため、安全技術調査会で調査をすることの承認を頂いております。

 論点2、遡及調査によって判明した結果を伝えることについては、検査結果を知ることは一定の利益があり、基本的に知らせることが望ましいとされました。ただし、供血者の知らないでいる権利を守るため、一定の周知期間を設けることとされております。現在、過去の献血血液の調査の準備を進めている状況です。資料3-1は以上です。

 資料3-2は、本年8月から献血血液の検査に個別NATが導入になったことに関するものです。17ページからの資料3-2.に示す新しいシステムについて、検査精度等が十分であるかなどを、安全技術調査会で御審議いただき、了承を得た後に個別NATを8月から導入しております。

25ページを御覧ください。資料3-2.では、個別NAT導入による、「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の改正を示しております。新旧対照表を52ページ以降に示しております。このガイドラインの主な改正点は2点あります。1点目は、医療機関発の情報で因果関係を確認する場合、保管検体が個別NATでスクリーニングされていたか否かにかかわらず、保管検体の個別NATを実施する。一方、供血者発の検査結果から病原体の感染が判明した場合は、個別NATでスクリーニングが実施されていた場合は、保管検体の個別NATは再度実施せず、遡及調査を進めること。これが1点目の改正点です。2点目は、「薬事法」が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改正されたことに関する変更です。

81ページ、資料3-2.を御覧ください。こちらに示すように、血漿分画製剤のプール前の血漿について、輸血用血液製剤のNATに必要とされる検出限界値を見直しております。20プールNATを前提とした場合、NATに用いるプール前の検査用検体の血漿で必要とされるNAT検出限界値として、こちらの表の左の列に示すように、HBV-DNA:2,000IU/mL、HCV-RNA:2,000IU/mL、HIV-RNA:4,000IU/mLを担保できる精度管理を求めておりましたが、個別NAT導入に伴い、20プールNATに比べ、おおまかに20倍程度の感度向上が期待されるため、これまでの検出限界値を20分の1にした値、右の列に示すようにHBV-DNA:100IU/mL、HCV-RNA:100IU/mL、HIV-RNA:200IU/mLに変更しております。資料3-2は以上です。

○半田部会長 資料3-1と資料3-2に関して御意見あるいは御質問をお願いします。

○大戸委員 この個別NAT検査に関わる検査機器については前にもお尋ねしたのですが、その機器のおおよその価格、それからNAT検査に日本赤十字社は年間どのぐらい使用されているのか、そのバックグラウンドを教えてください。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 機器に関しては、本日はなかなかお答えできないかと思います。年間530万人の献血をスクリーニングするのに、大体どのぐらいのランニングコストがかかるかということであれば、恐らく50億円程度の費用と見積っています。個別NATを実施するに当たり、7月までは20プールをやっておりました。検査本数が増えるということではあるのですけれども、その当時の費用を上回らないことを前提に個別NATを実施しました。

○三谷委員 個別NAT検査で、感度が20倍に上がったということなのですけれども、ウインドウピリオドという点ではどのぐらい短縮されたと考えてよろしいでしょうか。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 理論的には先生がおっしゃるように、今までは20プールやっていたので、それを個別にするということは20倍上がるということなのです。それぞれHBVとHCVとHIVについては、それぞれのウイルスが倍になる時間が全然違ってきます。そういうこともあり、HBVであればおよそNATウインドウの短縮は10日です。HIVとHCVに関しては2倍になる速度が非常に速いです。そういうこともあり、短縮するのは20プールとそんなに変わらないのですけれども、大体1日半から2日程度だと思います。そういうことでもあるのですけれども、一昨年報道されたように、HCVとHIVの20プールの、いわゆるマスコミ的に言うとすり抜けがあったということです。

○半田部会長 よろしいでしょうか。それでは資料3-3から資料3-7までの説明をお願いします。

○事務局 それでは、87ページ、資料3-3について説明いたします。「血液製剤のウイルスに対する安全性確保を目的とした核酸増幅検査(NAT)の実施に関するガイドライン」です。本ガイドラインは、血液製剤会社等が血液製剤の安全性確保を目的に行うNATの適切な精度管理がなされるように、検査の精度の確保や方法の標準化のための基本事項を示すという性質のものです。改定に当たっては、昨年度、安全技術調査会の下に、NAT小委員会を設定させていただき議論されました。

 改正点については101ページからの新旧対照表に3点示してあります。1点目としては、これまで適用範囲がHIV、HBV、HCVの3ウイルスを主に対象としておりましたが、それ以外のウイルスも対象とできるように記載を整理しております。2点目は103ページの下、新旧対照表で左が新、右が旧となっていますが、ここに記載があるとおり、昨今の技術の発達に伴って、自動検査装置やキット品の利用ができるようになりましたため、これらを利用する場合の留意点等を追記させていただきました。3点目としては、複数のウイルスを同時に検出できるマルチプレックスNATというものが普及していまして、その場合の検査のバリデーションで求められる要件や、陽性反応が出た場合の対応。こういった3点について記載しております。

125ページです。資料3-4「パルボウイルスB19DNA国内標準品候補品の評価」です。血漿分画製剤の原料血漿に実施しているパルボウイルスB19のNATの精度の管理のために、国内標準品を作成し、精度管理に十分な標準品が作成されたことについて、こちらでは報告いただいております。

135ページです。資料3-5「パルボウイルスB19DNA参照パネル候補品の力価の評価」ということで、パルボウイルスについて、国内外の11施設による共同研究を行っていただいて、ジェノタイプ(遺伝子()型)によって、その別に低濃度・高濃度のサンプルの力価の参照パネルを作成していただいて、結果が報告されました。138ページにあるように、大体、正規分布となるデータとなっています。

141ページです。資料3-6「日本赤十字社におけるヘモビジランス」についてです。こちらでは、感染性・非感染性合併症の動向等の把握が行われていまして、今回の報告では、全体として非感染性合併症、感染性合併症ともに減少傾向であることが報告されています。非感染性合併症については143ページの下段にありますとおり、輸血関連急性肺障害(TRALI)に関しては減少傾向になっています。一方、輸血関連循環過負荷(TACO)に関しては、ある程度の件数が起きていることについて報告されています。

 続いて、感染性の合併症の動向に関して、特に御覧いただきたいのは、147ページの下の部分です。こちらに示すように、平成24年8月よりB型肝炎のHBc抗体値による献血制限の厳格化が行われ、それ以降、HBVの感染例が減少したことが報告されています。その他、未熟児を中心に、CMV(サイトメガロウイルス)の感染症の報告等がされており、保管検体からCMVのDNAが検出された例は今のところありませんが、抗体陰性の血液の使用を呼び掛けていくこと等が報告されています。

151ページです。資料3-7「原料血漿の貯留保管期間の見直しについて」です。本件の経緯ですが、もともと平成9年度に、特にHBV、HCV、HIVが血漿分画製剤に混入しないように、2か月の貯留保管が開始され、平成12年度より、貯留保管期間を6か月に延長していただいておりましたが、今般、日本赤十字社より、貯留保管期間を2か月に短縮したいとの申出があり、まずは安全技術上の観点から、平成26年度第2回安全技術調査会に諮られました。日本赤十字社より、あくまで不活化工程が含まれる血漿分画製剤の原料についてのみで、新鮮凍結血漿については従来どおり6か月の貯留をすること。また、152ページの下のグラフのとおり、徐々に量を調整していくために、実際に貯留保管期間が2か月に達するには6~7年を要すること。期待される効果としては、次のページに見られるように、現在の貯留保管期間6か月が2か月となることで、原料血漿の有効期限は1年以内ということですので、製造メーカーの製造スケジュールには余裕ができるであろうということ。また、HBV、HCV、HIVは、個別NATの導入等もあり、それで除外された上、更に不活化工程を経ることで安全性には問題がないのではないかということ。また、ヤコブ病等、ほかのものに関しては156ページの真ん中です。ヤコブ病に関しては、ヤコブ病リスク、19801996年の期間の英国への渡航歴は年々減少しています。また、輸血による感染事例は国内ではないことが説明されました。

 これに対して、やはり未知の病原体等を踏まえると、定期的に見直しを行うべきであるという意見があり、安全技術上の観点から言うと、条件付きで許容するというような意見となっておりました。安全技術調査会ではそのような意見でしたが、その結果を踏まえて、一昨日の1217日、平成26年度血液事業部会運営委員会の方で、需給や、そもそもの必要性等、その他の総合的な観点から、まずは意見を伺うということで議題とされましたので、運営委員会の内容ではありますが、ここで一緒に説明させていただきます。掲示された情報の説明内容が、やはり不足していることや、そもそもの必要性について、日本赤十字社からの説明がまだ不十分ではないか。また、製剤会社等の意見等も分かる形で情報が必要であり、貯留保管期間を日本赤十字社と製造業者等で分担する道や、そうすることによって貯留保管期間を変えずに運用する改善方法や、期間短縮をする代わりに、複数回献血クラブ等を活用して、アクティブクアランチを導入する等、安全性を損なわない道の模索を図った上で、検討した上での報告がされるべきではないかといったような御指摘がありました。運営委員会の指摘を受けて、こちらに関しては、引き続き検討を行っているところです。資料に関しては以上です。

○半田部会長 ただいまの御説明に関して、御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。

 最後の原料血漿の貯留期間の短縮に関しては、運営委員会の御意見等々があったと思うのですが、最終的には、今後どういう見通しというか、どういうステップを踏まれるのでしょうか。

○事務局 これからは、運営委員会の委員の先生方にもう一度説明させていただいて、また必要な情報を、どういうものが必要なのかを調整した上で、また、製剤会社にも関連することですので、そういったカウンターパートとも調整を図りつつ、どういう道があるのか、そもそも行うべきかどうかも含めて、関係者の中で調整を図りたい。その上で、運営委員会等に諮って、場合によっては安全技術上にまだ必要なことがあれば、安全技術調査会に再度諮る等も含めて検討し、慎重に手続を踏んだ上で、行う、行わない等を含めて検討していきたいと考えております。

○半田部会長 ありがとうございました。事務局におかれては、今の御意見等をまた勘案されて、血液の安全性の向上についてますます努力していただければと思います。

 続いて、議題4「平成26年度の運営委員会の審議結果」についてです。資料4-1から資料4-3を御説明願います。

○事務局 はじめに感染症報告です。1ページ、資料4-1「供血者から始まる遡及調査実施状況」です。右端の列、平成26年4月1日~平成26年9月30日が直近の情報です。この6か月間では、一番上の3,068件が期間中に遡及調査の対象となった献血件数です。右端の列の中ほどの12件が、遡及調査の対象のうち個別NATが陽性となった件数で、12件全てHBVでした。同じ列の更に下は、受血者情報が判明した件数の中で、陽転事例は0件です。

 2ページは、平成2511月~平成2610月報告分の感染症報告事例のまとめです。この期間に感染症報告は、輸血用血液製剤95件でした。このうちHBV感染報告事例は34件、うち献血者の保管検体の個別NAT陽性事例は3件、HCV感染報告事例は27件、うち献血者の保管検体の個別NAT陽性事例は0件、HIV感染報告事例は、昨年11月にありました1件で、献血者の保管検体の個別NAT陽性事例でした。その他33件の報告があります。

 3ページです。献血の中のHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数を示しています。献血10万件当たりの陽性件数は、平成25年は1.210、平成26年1月~9月では1.330です。資料4-1は以上です。

 5ページ、資料4-2は、平成25年度に実施したフィブリノゲン製剤納入先医療機関の書面調査結果です。平成2510月、フィブリノゲン製剤の納入実績医療機関5,677施設に対して、その状況調査を実施した結果、4,119施設、72.6%から回答がありました。今回の調査では、新たに155施設から1,009人のフィブリノゲン製剤の投与判明者が報告されています。資料4-2は以上です。

 9ページ、資料4-3です。こちらは「オーストラリア視察概要」です。献血時の虚偽申告に対し罰則を設けているオーストラリアで、罰則の設定の背景や、献血に及ぼす影響等を調査してまいりました。オーストラリアでは、罰則は1985年から導入されていますが、現在まで罰則の適用となった例はありません。結論としては10ページにまとめましたが、オーストラリアでは、検査目的の献血はHIV検査へのアクセスのしやすさや啓発活動などから問題とされておらず、国民全体のHIV陽性率に比べ、献血者の陽性率は低い状況です。献血に対する刑事罰は、ある程度の抑制効果にはなるものの、虚偽申告を防止するための中心的対処法とは考えられていませんでした。以上です。

○半田部会長 ただいまの御説明に関して、御意見、御質問はありますか。

○田崎委員 オーストラリアの視察の結果なのですが、教えていただきたいのは、オーストラリア視察の目的の一つに、ドナーの方に検査の結果を教えるかどうかということを調査し、我が国にそれを導入するのかどうかの参考にするということもあったと思うのです。オーストラリアは確か、HIVのドナーの方に結果をお知らせするという国だったと思います。

○事務局 はい、(オーストラリアでは)HIVは告知しています。

○田崎委員 それについて、今回の視察でどういう情報を得たのか。あるいは、我が国の方向性に何か影響を与えるような結果を得たのか。お願いします。

○事務局 田崎先生がおっしゃったとおり、オーストラリアはHIVの陽性に関しても情報を、献血者個人に告知する体制をとっていますが、その告知の方法は、かなりきちんと整備されていまして、面談の方法や、面談する人がトレーニングをうけているなどの、対応がとられていました。

 日本で告知をするかどうかに関しては、やはり、日本の一般的な検査体制が整備されて、献血者が間違っても献血でHIV感染が分かるというようなことがないという状況が整ったところで、新たに考えてもいいことか考えております。

○田崎委員 平成9年に「血液行政の在り方に関する懇談会」があり、その議事録を見ると、基本的には、原則として検査結果を通知するという結論になったと議事録に書いてあります。今の先生のお話では、結局、この議事録に書いてあるようになってないのは、体制が整っていないために通知をすることが今までなされていない。それが一番大きな原因、理由ということになりますか。

○事務局 現状においては、やはり、献血の目的等を考えますと、献血を受ける患者さんの安全性が最も優先されるべきことということで、HIVの検査の目的は、診断を目的としているのではなく、安全対策を目的として実施していただいています。当然、献血での検査に関しては、診断目的で受けるのではなく、診断を目的とされるのであれば、やはり、保健所等の検査を活用していただくというところで現状は来ております。そういった目的の違いが、まず前提にあります。その体制が整ってからのことは、また今後、検討が必要になってきますが、現状においては、やはり最優先されるべきは、献血を受けられる方の安全性だと考えております。

○半田部会長 田崎委員、よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 続けて、残りの資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 19ページ、資料4-4の1.です。平成24年度より、「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」に基づいて、研究開発等で献血血液の使用を希望する者の公募を行っております。本指針については、黒枠で示すように二つの問題点が指摘されました。問題点1-1、献血者からの包括同意の取得については、23ページ右側の変更案に示すように、献血の同意説明時に、研究開発に使用することの同意を頂く。また、27ページに例を示しておりますが、ホームページ上に研究内容等を記載することといたしました。

19ページに戻りまして、指針の問題点1-2です。「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」より不必要に厳格な部分があるという問題ですが、これについては、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」と同じ基準になるように整備しました。

 問題点2については、公募の対象範囲として、市場に流通している最終製品である血漿分画製剤は公募の対象としないと明確化しました。資料4-4は以上です。

 資料4-549ページには、この指針に基づく平成26年度の公募の評価等結果を示しております。資料4-5は以上です。

 資料4-655ページ以降は、今年の夏にデングウイルスの国内感染が確認されたことに伴う対応です。輸血によるデング熱感染の報告がありましたので、献血でも対応を行ったものです。8月27日にデングウイルスの国内感染が報告されたその日から、献血での対策を始めております。感染者の増加等に伴い対応を強化しております。59ページに示すように、このような御協力のお願いを配ったりしております。主な対応策は55ページの1.~4.です。1031日以降は国内感染症例が確認されていないことなどから、1114日以降、これらの対策を解除しております。また、来年度、デングウイルスの国内感染が確認された場合は、本年度と同様の対策を講じる予定です。資料4-6は以上です。

○半田部会長 ただいまの御説明に対して質疑応答をお願いいたします。

○大戸委員 資料4-446ページです。使用目的について、血液事業部会運営委員会で血液を渡す場合の基準ですが、最初のページより、きつい表現になっています。これだと、実際に頂けなくなってしまいます。

 例えば「使用目的」の(留意点)ですが、「公衆衛生の向上を目的とした使用であることが明らかでなければならない」と。明らかにしないと頂けないということです。それから、「使用する献血血液」の5行目から、「血液製剤の安全性向上を目的とした使用を除き、原則、用いてはならない」というのですが、これだと機器、試薬、製剤などの開発に使えないことになってしまいます。これは、誤解のないように、そういうものに譲渡が可能であるような文章に直していただければと思います。

○事務局 御指摘ありがとうございます。実際にどのような研究が、この公募の対象になるかなどといったものは、Q&Aの方に解説を示しておりますので、そちらも応募者の方には御覧いただければと考えております。

 また、先生の今の御指摘に関しましては、次の改正等を見据えながら、事務局でも検討したいと思います。ありがとうございます。

○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ただいまの御指摘がありましたので、またそれも考慮して検討を続けていただければと思います。

 それでは次に、議題5「平成26年度適正使用調査会の審議結果」について、資料5-1から資料5-6の御説明をよろしくお願いします。

○事務局 資料5は、10月に行われた平成26年度適正使用調査会での報告事項です。資料5-1から資料5-4は、血液製剤使用実態調査についての資料です。資料5-1が調査の要点、5-2が詳細な調査の内容、5-3が小規模医療機関に焦点を当てて分析したもの、5-4が輸血用血液製剤やアルブミン製剤等の診療科別、病床別、都道府県別の使用実態調査の内容となっています。説明に際しては7ページの資料5-2のスライドを用いて説明させていただきます。

 7ページ上段の「目的」です。血液製剤使用実態調査は医療機関における血液製剤の使用実態を把握することを目的として、国が日本輸血・細胞治療学会に委託し、毎年実施していただいているものです。回答集計にありますように、2013年は輸血実施施設数が1万1,015施設、本調査に回答いただいた回答率は44.4%となっています。回答いただいている施設で輸血用の血液製剤の全体の7080%は網羅しているだろうということが、会の中で言及されていました。

10ページの上段の真ん中の表は、輸血管理料に関してです。こちらは輸血管理に関する体制等も反映するものとなりますが、輸血管理料I若しくはIIの取得施設は年々増加している一方、その下段にあるとおり、輸血管理料取得施設の中で、適正使用加算を取得していない施設がおよそ30%含まれており、特に300床以上の施設で取得ができない理由としては、Alb/RBC比の基準をクリアできない施設がおよそ77%程度ありました。

12ページ下段です。300床以上の施設と300床未満の所を比較して見ていただきたいのですが、300床以上の施設では90%以上でそれぞれの輸血管理体制が整備されている一方で、300床未満の施設では、大体5070%の整備率です。

 また、資料5-323ページから小規模医療施設における輸血管理実施体制について言及されていますが、30ページを御覧ください。一例として30ページの上段に見られるとおり、小規模医療機関に関して、こちらは血液型検査の同一患者二重チェック体制ということになっていますが、大規模医療機関に対して小規模医療機関では、やはり、こうした安全対策として基本的な部分に関してもまだ不十分ということで、総じて小規模の医療機関で輸血の管理体制が不十分であるということが報告されています。

 こうした状況を受けて、資料には記載がないのですが、会議の中で、委員からは、今後、地域包括ケアや在宅医療の流れの中で、いかに安全性を確保しながら輸血療法を行っていくかについて、やはり診療所のような人手が少ない所では院外のリソースを活用する必要がある等の意見が出されていました。また、血液行政の在り方として、今後、在宅での輸血療法の体制を整えて推進していこうとするのか、それとも輸血療法は入院を主眼に置いて行っていくのか等考えていくにあたっては、輸血の実施理由等の分析が、やはりまだ不十分で、小規模医療機関の回答率を上げる工夫をした上での詳細な調査が必要であるということも言及されていました。

 資料5-439ページです。血液製剤の使用実態について、41ページを御覧いただくと分かるとおり、製剤ごとに書いてありますが、ほぼ横ばいではあるのですが、血小板製剤では軽度の増加を認めています。また、自己血輸血の患者数は減少傾向ということが言及されていました。アルブミン製剤使用についてはほぼ横ばいで、免疫グロブリン製剤に関しては増加傾向であることも報告されています。

 また、血液製剤の各都道府県別の使用量は49ページから記載されています。御覧になって分かるとおり、昨年と比べると、血小板については都道府県格差は縮小したものがある一方で、全体的には都道府県の格差があり、より詳細な分析や、適正使用の更なる推進が必要であることが意見されていました。血液使用実態調査に関しては以上です。

 資料5-557ページからと、資料5-689ページからです。こちらの二つに関しては、「輸血療法の実施に関する指針」と「血液製剤の使用指針」となっております。今年の1125日に、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)が施行されたことに伴う機械的な記載の改正を行っております。実際の内容の改定等においては、来年度、厚生科学研究班の内容も反映して改定を予定しております。事務局からは以上です。

○半田部会長 適正使用調査会での検討結果ということです。いかがでしょうか。質疑応答をお願いします。

○大戸委員 資料5-330ページです。ダブルチェックの件です。これはダブルチェックを促しているにもかかわらず、実際はしないというのは、保険点数上、診療点数に反映されていないということがあるのではないか。もし可能であれば、ダブルチェックすることが保険診療上も保障されるようにしていただけると有り難い。

○事務局 御意見として伺い、関係部署と調整をしていきたいと考えております。

○半田部会長 今の件に関しては、ある程度規模が大きくなるとダブルチェックを行っている。それは、診療報酬上あまり問題なく、大規模であればそれを埋め合わせするだけのキャパがあるので行っているという状況が推察される。ところが、小規模施設では、収入に直に反映するのでということで、やはり行っていないという状況というわけではないでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

○山口委員 ちょっと質問です。資料5-442ページなのですが、アルブミンに関しては徐々に少し減りつつあると。免疫グロブリン製剤が増加しているというのは、前から、海外では免疫グロブリンが割とよく使われて、日本はその逆で、免疫グロブリンよりもアルブミンの方がたくさん使われている現象だったと思うのですが、ここ数年増えてきているのは、適応症が拡大したわけではなくて、やはり実態として免疫グロブリンを使うケースが多くなっていると考えてよろしいでしょうか。

○事務局 詳細な内容、動向の何が影響を与えるかという分析までは何とも言えないところではありますが、実態としてはこういうところで来ている。そういった分析の必要性等の意見があったことに関しては伝えて、場合によっては検討等も考慮していきたいと考えております。

○濱口部会長代理 資料5-449ページです。血漿分画製剤の使用量について、都道府県ごとの格差がかなり大きい気がします。これは2013年のデータですが、例えば5年ぐらいのデータを並べてみて、使用量の非常に多い県と、あまり多くない県とが、もし連続してそういう県がランクされるのであれば、それについては、やはり全体として、その県の傾向として、もう少し検討する必要があるのではないかとか、そういう解析をやっていただけると、我々もこのデータが毎年コロコロ変わって、ある県が低いところから高いところに変わったりなどということがないのか、あるのかというデータも見せていただければと思います。

○事務局 そうした意見も、研究班の先生方等に伝えていきたいと考えております。

○鈴木委員 同じようなことなのですが、やはりこれだけの格差があるのに、毎年報告されていながら、それ以上踏み込んで分析していない気がします。もう少し深く分析した結果も、少しずつ加えていただきたいと思います。

○半田部会長 いかがでしょうか。非常に貴重な御意見を頂きました。もう少し踏み入って分析をしていただき、適正使用の推進を、より実効性のあるものを進めていっていただければということです。

 それから、診療報酬上の点からも、是非、適正使用の推進ということで、もう一度分析していただきたいとのことです。先ほどの大戸委員の御意見のように、そういう診療報酬上、特に血液型の検査は2回以上やることが指針にも明示されているのですが、実際、診療報酬上は1回で、もう1回は切られてしまうという現状がある。その辺りも、できましたら次回、平成28年の診療報酬改定ということで、医療課はなかなか固いとは思うのですが、その辺りもよろしくお願いできればと、そういう意見だと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 本日の議題は以上ですが、せっかくですから、委員の方々で、何か全体を通して御意見、御提案等おありでしょうか。

○大平委員 需給調査などを丁寧に量を調べておられるのですが、最近の円安の傾向などの問題で、貿易の関係でかなり輸入がしづらくなってきた場合のいろいろな勘案は、やはりそこに織り込んでいくのでしょうか。時期的にそんなにスパンの長い話ではないのか、それとも今後、そういう傾向が続いていくのか、それによってまた、輸入製剤等や原料血漿の確保は、やはり結構バランスを取っていく必要があるのではないかと思いますので、そこもきちんと織り込んで考えていただきたいと思います。

○半田部会長 ほかにはよろしいでしょうか。

○大戸委員 先ほどの資料3-2の1.です。

○半田部会長 個別NATの件ですね。

○大戸委員 はい。32ページの()の原料血漿のところです。「日本赤十字社の当該輸血用血液製剤に係る保管検体で個別NAT陽性であって製造前であれば早急に廃棄を依頼する」と書いてあります。36ページにも同じように書いてあるのですが、これは、廃棄をしなくて、むしろ、「廃棄又は研究用又は機器試薬の改良等に使ってもいい」ようにしていただければと思います。

 大平委員の意見と同じで、薬剤に関しては毎年何兆円も貿易赤字になっていることを考えると、日本国内から製薬メーカー、機器メーカーに開発を促すような方向にエンカレッジする方向にドライブを掛けていただきたいと思うところです。

○半田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。今の二つとも、非常に貴重な御意見だと思います。

○日本赤十字社日野製造販売総括管理監 個別NATを8月からやっておりますので、そういう意味では、「保管検体で個別NAT陽性であって製造前であれば」という部分が、20プールの当時のものであれば、20プール陰性で個別NAT陽性のものがあると思うのですが、今後はこういったケースはかなり少なくなってくるのではないかと思います。大戸先生がおっしゃることは十分よく分かりますが。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは、本日はこれで終わりにしたいと思います。次回の日程については、また後日事務局より連絡させていただきます。

○血液対策課長 閉会が近くなりましたので、事務局から一言申し上げたいと思います。今回で、この委員メンバーでの血液事業部会は、現時点では最後になると考えております。皆様の任期が迫っておりますので最後ということになります。来年早々になりますが、血液事業部会の新メンバーが薬事・食品衛生審議会の規程に基づき選出されることになりますが、一旦区切りということです。これまでの御指導、御鞭撻につきまして心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 また、今まで御任期いただいた委員の方々におかれまして、再選されない方々におきましては、永らく御検討を頂き感謝申し上げます。また、再選ということになられる委員の方々におかれましては、今後とも引き続き御指導、御鞭撻をお願い申し上げたいと思います。以上でございます。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは閉会にいたします。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 血液対策課 課長補佐 亀田(内線2905)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会)> 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録(2014年12月19日)

ページの先頭へ戻る