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2014年11月18日 第65回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課

○日時

平成26年11月18日(火)
10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

【公益代表】松爲委員、山川委員
【労働者代表】板垣委員、榎本委員、桑原委員、高松委員、斗内委員
【使用者代表】栗原委員、塩野委員、高橋委員、平岡委員、福田氏
【障害者代表】阿部(一)委員、小出委員、竹下委員、堤委員
【事務局】生田職業安定局長、広畑雇用開発部長、宮本障害者雇用対策課長、畑地域就労支援室長、松永調査官、川村主任障害者雇用専門官、中園障害者雇用対策課長補佐

○議題

(1)合理的配慮指針について2
 ・ 別表について(資料1-2)
 ・ 前回の議論を踏まえて修正した指針案について(資料1-1)
(2)その他

○議事

○山川分科会長

ほぼ定刻となっておりますので、ただいまから第 65 回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は阿部正浩委員、菊池委員、武石委員、中川委員、本郷委員が御欠席です。本郷委員の代理として、日本商工会議所の福田様に御出席いただいています。

毎回お願いしていますけれども、御発言の際には、手を挙げて、お名前を言っていただいて、それから御発言ということにいたしたいと思います。

本日の議題は、議事次第にありますとおり、 (1) 「合理的配慮指針について」その 2 回目となります。それと (2) 「その他」となっています。それでは早速、議題 (1) 「合理的配慮指針についてマル2」の議事に入ります。前回も御議論いただきまして、議論が残っておりました別表について、まず御議論いただいて、それから前回の御意見を踏まえて、修正した指針の本文の案について御議論いただく、そういう順序を考えています。別表については、既に前回説明が事務局からなされていますので、御意見の交換に入りたいと思います。資料 1-2 からが別表になります。御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○阿部 ( ) 委員

日身連の阿部です。確認と言いますか質問は、採用後の合理的配慮の所で「出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること」という「通院」が入っている障害種別と、知的障害の方、発達障害の方それぞれ体調には配慮するけれども「通院」の文言が入っていない種別があることに関してです。例えば、知的障害の方の 3 分の 1 の方は身体障害もある、ただし、資料 1-2 の一番上には「障害が重複している場合を含む」とありますけれども、なんとなくこの知的障害の方、発達障害の方に「通院」という文言がないと、そこの配慮は要らないのではないかみたいな誤解を受けないかなと思って、確認です。またそれぞれの団体の方にも、この辺のところは特に要らないのかどうかの確認もいただきたいと思いました。

○山川分科会長

ありがとうございます。要らないのかどうかの確認というのは、どういう趣旨ですか。

○阿部 ( ) 委員

知的障害と発達障害には「通院」という文言が入っていないので、入っていなくてもよいのかどうかということです。

○山川分科会長

1 つは御質問ということで、重複障害という話も御発言の中にありましたけれども、事務局の松永調査官、お願いします。

○松永調査官

障害者雇用対策課調査官の松永です。今の阿部委員からの御質問ですけれども、今の案は研究会のときに作った事務局案そのままですので、そのときの書き分けた意図というか、思いを御説明させていただいた上で、また御意見いただければと思います。知的障害とか発達障害の場合は、もともと生まれつきでそういう障害をお持ちの方が大半でありまして、中途でそういう知的障害や発達障害になる方はあまり想定されないので、こういう方は障害を起因として通院するケースはあまりないのではないかとの思いがあって、ここでは通院を入れずに他の障害と書き分けたというのが、事務局案を作ったときの考えです。障害が重複するようなケースについては、重複は入りますと書いてありますので、それぞれの障害のところで読めるというようなこともありますし、そこは全部統一して入れるという考え方もあるかもしれません。そこは御議論いただければとは思いますけれども、今の案で書き分けたのはそういう意図です。

○山川分科会長

もう 1 点は、御出席の団体の方々にも御意見をお聞きしたいということでしたので、何かありますか。

○小出委員

育成会の小出です。知的障害ですけれども、服薬をしているというケースは比較的表に出ることではありませんが、比較的多くの方が服薬をしているということはあります。そういうことで、定期的な通院というのはありますけれども、業務上、会社の中では、短時間労働が多いので、有休まで取らせてもらえるかどうかはありませんけれども、それらは業務の中での通常の配慮というか、そういうことがあればということで、知的の場合は重複があることもありますが、そんなに大きな問題ではないのかなと思います。

○山川分科会長

ほかにありますか。

○堤委員

精神の堤でございます。発達障害の方は、調査官も今、生まれつきとおっしゃいましたけれど、確かに生まれつきの方もいらっしゃいますが、精神障害者との境の方も結構おられまして、お医者さんのほうでもこの当事者は発達障害なのか、精神障害なのか分からないというケースもあるというふうに、お医者さんからも聞いております。実際に、発達障害の方は精神の手帳をお持ちですから。結構、発達障害でも自閉症とかもろもろありますが、精神障害との境目が分からず、医者もどっちか分からないという状態もあって、お薬を飲んでいる方もおられます。それで、発達障害のところには「通院」ということを入れてもらったほうがよろしいのではないかと、私はそのように思います。

○山川分科会長

ほかにありますか。栗原委員。

○栗原委員

今のお話は私からすれば当然のことです。というのは、私どもの会社にも月に 1 度病院に行って薬を頂いてくる方が何人かおります。それを駄目だというのではなくて、病院に行ってもらうことは別に配慮とも何とも思っておらず、普通のことだと思っています。最初に、月に 1 度薬をもらいに行くので病院に行きます、通院しますという話をしてもらえばいいだけの話で、改めてここにどうのこうのと書き込む言葉ではないと私は思っています。事前に言っていただければ、企業はみんな分かります。障害をお持ちの方なので、病院に行くのは当然だと私は思いますし、どこの企業さんでも、お分かりいただけるのではないでしょうか。

○山川分科会長

ほかに御意見はありますでしょうか。障害の種類によっても若干違うかもしれないような感じもありますが、ここは事務局が調整して、統一性なり均一性が取れる形で、更に修文等を御検討いただくということをお願いできるでしょうか。

○事務局

はい。

○山川分科会長

ほかに御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○竹下委員

竹下です。別表の内容を見ていますと、少し偏りがあるのではないかと思います。と申しますのは、条文では 36 条の 3 ですか、今点字で持っていないので正確な言い方はできませんが、それを見ていると、 36 条の 3 で合理的配慮の内容として、設備及び援助を行う者の配置を含んだ必要な措置と書かれていると思います。ところが、この別表を見てみますと、必要な措置というのはそういう意味では幅広いものだと思いますけれども、少なくとも重要な要素として例示されている、設備と援助を行う者という 2 つの要素があるのに、その設備については相当な項目が並んでいると思うのですが、援助を行う者についての記載が、別表のどの障害者の項目を見ても全くないと思うのです。条文の 36 条の 3 の立て方からすれば、この別表は偏っていると言わざるを得ないのではないかと思いますが、この点は、なぜこうなったのか御説明いただければ有り難いです。

○山川分科会長

質問ですので、事務局の松永調査官、お願いします。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永でございます。研究会のときの議論を御紹介いたしますと、今、竹下委員がおっしゃったように、法律上の条文の中では、採用後の合理的配慮というものについては「障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない」ということで、合理的配慮の手段としては、設備の整備や援助を行う者の配置とか、ハード、ソフトそれぞれが、法律に書いてあるわけです。それ自体は当然法律上の枠組みとしてあるわけですが、別表に具体的な事例を記載するというときに、これは分科会で法律改正の議論をしたときからずっとあったのですが、合理的配慮というのは多様かつ個別性が高いということで、全ての措置を網羅的に書ききれない。そういった中で一定の例を示すことになり、別表に例示という形で示しているものです。ここの別表にどういう例を載せるかについては、本文と言いますか、資料 1 のほうの議論になりますけれども、多くの事業主が対応できると考えられる措置を、別表で事例として示そうということで、そこで議論をしていただいて、今の別表の案になっているということです。

御指摘のように、人的な支援が少ないのではないかということでしょうけれども、採用後の配慮の所には「業務指導や相談に関し、担当者を定めること」と人の配置ということで書いていますし、あとは「他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること」といった所も、人的支援に当たるようなものもあるかと思います。あとはどの程度のものを載せるかですが、一応、多くの事業主が対応できると考えられる措置として、どういうものを挙げるのが適当か、御議論をいただいた結果、今のこの別表になっているということです。研究会のときの議論の経緯ということで、紹介させていただきました。

○山川分科会長

研究会での検討の経緯も含めてという、御説明をいただきましたけれども、竹下委員、何かありますか。

○竹下委員

竹下です。検討の結果は御説明を聞いて分かりました。確かに 2 つあると思うのですね。そういう人的支援を具体的に書き込むことが、網羅的にできるはずもなければ、逆に、常に人的支援が最低限と言っていいか分かりませんが、必要不可欠なものとして並べることには、ケースバイケースなので、困難があるということもあり得ると思います。しかし一定、人的支援がまさに法律で要素として書かれているのに、それの例示がないというのは、今後、合理的配慮が充実していく上では、やはりおかしなことになり兼ねないと思います。

例えば、今は別表の話ですけれども、その基礎となる本文の資料の 1-1 のほうもおかしいわけです。別表の基礎となるはずの第 4 の合理的配慮の内容の中の、ページ数は言えませんが、その 1 の中の (2) を見ても、 36 条の 3 の条文を、言わばここで分かりやすくするべき部分だと思うのですが、この内容を見ていると、逆にその内容の具体性がよりなくなってしまっているのです。 (2) の「事情を改善するための」の後に「必要な措置」までの間が全部抜け落ちてしまっているわけです。具体的な例示というまでもなく、言わば条文でさえ要素としている「施設」という言葉も、あるいは人的配置ということも抜け落ちてしまっているわけです。これではどう考えても、基本的考え方や指針というには、不完全なものになり兼ねないと思うのです。そういう点からも、条文がせっかくそこまできちんと明確な要素として、「施設」と「援助を行う者の配置」と書いているわけですから、やはりここにそのことを明確に記載すべきだろうし、そのことを更に具体化した別表では、その人的支援というのは、どういうものを指すのだろうということが分かるようにする記載が必要であろうと思います。それが別表ではなくて、この本体の部分なのかもしれませんが、人的支援というのはこういうものを指すのだということぐらいを、言っておかないといけないのではないかと思います。

蛇足かもしれませんが、人的支援というのは、一人の障害者のために一人の新たな職員を採用しろと、それには多分無理があると思うのです。もちろん、例えば、職場介助者などそういう制度自身もあるわけですが、逆に従来の従業員の中から障害労働者に対する支援を行う者の理解を求める、あるいは協力関係を作り出すことも、支援の形態として十分あり得るわけですから、そういう援助を行う者の配置についての具体的な内容が、どこかで見えるようにしていただくことが必要だろうと思います。

○山川分科会長

ほかにこの点に御意見はありますでしょうか。

○小出委員

育成会の小出です。まさに竹下委員が言われるのも、十分私どもも理解できます。また、知的障害のほうで言わせていただきますと、この本文の手順とかいろいろありますけれども、例えば 4 ページの (2) 合理的配慮に係る措置の内容に関する話合いという所で、当事者それから使用者との話合いで、その合意の下に、ということが多く書かれています。私ども知的障害というのはまた知的障害でありまして、コミュニケーション障害なものですから、介助者というか、そのような人を付けることがこの話合いの中には必要になってきます。その辺のところで資料 1-2 の表を見ますと、採用後の合理的配慮の所には、全ての障害の所に「業務指導や相談に関し、担当者を定めること」というものが入っています。ただ、障害特性を理解できない上での合理的配慮というのは、私はできないと思いますので、この全ての障害の所に、採用後の業務指導や相談に関して担当者を定めること、知的の場合は採用時も就労支援機関の職員等の同席を認めることということがあえて書かれています。これにはもう一つ、こういう含みがあるということを確認させていただきたいのですが、障害特性を理解した上で、この合理的配慮をする担当者を定めているというものです。努力義務にはなると思うのですが。また、使用者のほうでそういうものが理解できないということであれば、適切な機関、ハローワーク等に申し出て、その特性についての理解を深めることをしていただきたいと、これは一つの要望になります。

○山川分科会長

ほかに。

○堤委員

精神の堤でございます。今、竹下先生と小出さんがおっしゃったとおり、全く私も同感です。精神障害者の場合は、今日の会議に当たり、各理事全員に意見を求めたのですが、その中で是非言ってほしいというのが、 6 ページの精神障害の所に「業務指導や相談に関し、担当者を定めること」と書いてありますけれど、これはどうも具体的ではないと。皆さんからの意見は、精神障害者は非常に症状に波があるというのが、他の障害の方と大きく違うところで、そういう意味で、小出委員がおっしゃったように、業務指導や相談に関し「障害特性を理解した」という、この文言を入れていただきたいと。そのように希望します。業務指導や相談に関し、障害特性を理解した担当者を定めていただきたいと思います。それだけが皆さんからの御意見でしたので、ここでお願いしておきたいと思います。

○山川分科会長

幾つか御意見を頂いています。ほかにありますか。

○栗原委員

皆さんの御要望はよく分かります。しかしながら、障害を持たれた方を雇用しようという場合、すでに雇用している企業もあれば、これから雇用しようという企業もあります。そのときに、全て分かる人を付けてくれというのは、少々無理があるのではないかという感じもいたします。

例えば知的障害者の場合、一人ではお話ができない場合があると、介助者を付けることがあります。私などの場合も、話が難しくなると、できれば親御さんや施設の人を呼んでほしいというお話をすることがあります。それはこちらの話しを分かっていただくためで、それ以外は日常的にある話ではなくて、何か問題があったときには対応できるということですから、常々介助を付けるということは、どうなのかなという感じがいたします。必要に応じてやることが配慮の一部に入るのではないかと私は思います。

○山川分科会長

ほかに御意見はありますか。

○竹下委員

竹下です。栗原委員のおっしゃったことには、基本的には賛成です。そのとおりだと思います。私の表現が、後で誤解を招くかもしれませんが、常に障害者にべったり 1 人の人間を配置するということは、それ自身は合理的だとは思わないし、それこそ、本当の意味で障害者の自主性を引き出すことにすらならないと思います。まさに栗原委員がおっしゃるように、必要なときに必要な場面において、必要な範囲で人的支援を行うことこそが、この 36 条の 3 が求めている内容だと思うのです。ただ、今回の本文というか、指針そのものを見ても、別表を見ても、今、栗原委員がおっしゃったような趣旨のものすら見えてこない、ということが非常にまずいのではないかと思っているのです。

更に 1 つの例で言うと、聴覚障害の所を見てもらったら「筆談」というのは出てくるのですが、手話という言葉が一切出てこないのです。私は聴覚障害者の方をあまり分かってないかもしれませんが、少なくても聴覚障害者のコミュニケーションを図るのに、筆談ももちろん使いますけれども、今、手話が中心であることは多分、全ての委員共通に御理解いただけていると思います。それで、聴覚障害者を採用したときに、手話通訳者を配置しろというと、これは聴覚障害者の方に怒られるかもしれませんけれども、いきなりそれは無理があると思っています。そうではなくて、手話による援助ということは、場面によってはいろいろ考えられるわけです。例えば、必要な場面だけ手話通訳ができる人を配置することもあるでしょうし、従業員の中でサークル又は研修によって、基礎的な手話を覚えて、最小限のコミュニケーションを図ることもあるでしょう。これは現に、たくさんの事業所で実現していることとお聞きしています。そういう形の支援は、十分あり得るのではないかと思うわけです。

○山川分科会長

ほかはいかがでしょうか。

○栗原委員

栗原です。竹下委員がおっしゃっていたことは、ほぼ私と同じ意見ではないかと思います。ただ 1 つ、例えば、今でも手話が必要な職場には、当然手話の方がいらっしゃると思います。その個々企業に応じて、雇用されている障害者によって、いろいろな配慮がされていると思うのです。例えば、私どもは知的障害者を雇用しておりますが、手話通訳の方がいるかというと当然いません。もしそういう方が来られても、うちで対応はできません。それはやはり一緒に来ていただいてやっていただくしかない、そういうことだと思うのです。それに応じて連れて来ていただく分には構いませんけれど、企業でもって、それを全てということは多分難しい。またはそれを強制されると、入口に来られなくなってしまうのではないかと思います。

○山川分科会長

ほかにありますか。

○福田氏 ( 本郷委員代理 )

日本商工会議所の福田と申します。私どもも今の栗原委員の御発言と似たような意見ですが、やはり網羅的な対応というのが非常に難しいケースもあります。今お話がありました、事業主の方々がこれから障害者の皆さんの雇用を促進していくという観点からも、網羅的な対応をこちらのほうで記載するというのは、非常に難しいのではないかと考えております。

○小出委員

育成会の小出です。栗原委員のおっしゃることは、まさにそのとおりだと思います。私どもも、知的障害者一人ひとり特性が違うという、自閉症とダウン症では全く特性が違います。そういう意味でも、必要に応じて会社の人がその障害を十分理解することは不可能だと思いますので、先ほど申しました、然るべき機関の支援を申し出ていただきたいと、そのように思います。先週も雇用者側の方々に集まっていただきまして、その場で出た話題ですが、昨年ディーラーの方が、規模が大きくなったもので、知的障害者を 3 人採用して、それで付けた職場が、洗車の所です。それから担当者をちゃんと 1 人付けたと。ただ、半年もたたないうちに、その 3 人のうち 2 人が辞めてしまったということです。洗車なら、体力もあり健康なものですからできるよ、というような見方をされたみたいです。ただ、洗車とは車をきれいにすると。そのきれいにするということが理解できない、そういうこともありまして、もろもろのことがあり、そちらの担当者も精神的なことで病んでしまって、辞めてしまったということです。これは会社側に対する過重な負担です。私が求めているのは、是非そういうときに、それらの支援機関というか、そういう所が企業、あるいは障害者に手を差し伸べられるような体制を、障害者雇用促進法が施行されると同時に、そういうものを充実させていただけたらなと、そのようなことです。

○山川分科会長

栗原委員どうぞ。

○栗原委員

栗原です。小出委員のおっしゃることは本当にそのとおりだと思うのですが、せっかく縁があって入ってきていただいた障害者が簡単に辞めてしまうというのは、お互いに損だと思うのです。分からないことを教えるというのは、生活相談員、生活指導員による制度があることを記憶しております。

当然、企業は障害者を受け入れるための資格を取得したり、研修等をお受けになっていると思うのです。そういった方が指導するというシステムが、今は出来上がっていると思うのです。資格取得や研修等を、やっていないのであれば、企業に資格取得していただたり、研修を受けていただくことを先にやられた方がいいのかなと私は思います。ですから、これは特別のことではないと思うのです。

○山川分科会長

ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。かなり共通して御理解いただいている部分もあろうかと思いますが、お聞きしていて、 3 つくらいの次元の違う問題が含まれているような感じも抱いております。 1 つは既に項目のあるもの、例えば業務指導や相談に関する担当者についての内容に関わる問題、あるいは解釈かもしれません。例えば障害特性への理解をしっかりしていただくとか、状況の変動に関する理解が重要であるといった、既にある項目をどのように解釈するか、あるいは明らかにしていくかということが第 1 です。

2 は、まさに別表に具体的にどこまで書き込めるかという点で、別表の趣旨等もあります。具体的な例として、どこまで書くかというのが、 2 番目の次元の問題かと思います。第 3 は、既に御発言が幾つかございましたが、本文も含めて考えるということで、例えば支援者の配置ということでしたら、条文にも書いてあるということで、そういう措置もあるということが法律で定められているけれども、それが軽視されるようなイメージを与えないようにするという、その 3 つの次元があるように思われます。

その辺りは、どの次元で対応ができるかについて、事務局に修文も含めて調整をしていただきたい。私としては、条文に書いてあることが軽視されるというイメージを、世の中に与えるというのはどうかという感じがしておりますので、今回の御議論を踏まえて、更に御検討をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。これまで頂いた種々の御意見についての説明でも結構ですが、事務局から何かありますか。

○松永調査官

障害者雇用対策課の松永です。今、いろいろ御意見を頂きましたので、そういう御意見も踏まえて、どのような修正ができるかということを考えたいと思います。それから、さっき私のこれまでの経緯の説明のところで 1 つ言い忘れたのですが、別表は別表として、それと併せて、もっと具体的な事例集を充実させて周知してほしいというご意見も、併せて頂きました。先ほどの障害理解のところですとか、常にずっと張り付くのではなくて、スポット、スポットでやるのだというところのニュアンスというのは、そういった事例集の提供の中で、ある程度お示しすることもできると思います。いずれにしましても、頂いた御意見なども踏まえまして、どういう修正ができるかは考えたいと思います。

○山川分科会長

おそらく、障害特性の理解は個々の具体的な措置でも全体に係るということで、それが個々の例でも、具体的にはどういうことかが分かるような例示が、どこかの説明でできればという感じもしております。今、特に人的支援のことについて種々、御議論いただきましたが、ほかの項目についてでも結構ですので御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思います。

○栗原委員

栗原です。これは、竹下委員のところになると思うのですが、視覚障害ということで、資料 1-2 の別表なのですが、私どもの所では視覚障害の方がいらっしゃらないのでよく分からないのですが「募集内容について音声等で提供する」「採用試験について、点字や音声等による実施や、試験時間の延長を行うこと」とあります。これは、分かるような気もするのですが、どのくらいの企業さんにこういうことをやっていただけるのか。

また、こう書き込むのはどうなのかなという気もします。視覚障害の方を採用したいという企業さんは、それなりの努力をしてくると思うのです。採用を考えている企業がここまでやれと言われてしまったら、二の足を踏むのではないか。これは、私ども門外で分からないのですが、素人目に見てそのように思ったので、今言わせていただきました。

○山川分科会長

ありがとうございます。今の御意見ないし御質問は、先ほどの竹下委員の御発言に関してでしょうか。それとも要望書との関係でしょうか。

○栗原委員

それもあります。

○山川分科会長

含めて、はい。団体等から幾つか要望書が出されておりまして、配布資料の中に一緒に入っていると思います。今の栗原委員の御発言は、竹下委員への御質問のような趣旨でしょうか。

○栗原委員

いえいえ。私は全然分らないので、こういうものをやってどうなのかなというようなことを思った次第です。

○山川分科会長

失礼しました。

○竹下委員

私が答えてよければ是非、答えさせていただきます。栗原委員、御質問ありがとうございます。確かに全ての事業所に、全ての職種において、視覚障害者の採用のための点字受験を実施しろと、それは多分、合理性も妥当性もないと思うのです。一番典型的な例示をするなら、タクシーの乗務員の募集をしているのに点字の試験をやれという、そんなばかげた話は多分現実的にはないだろうと、率直に思います。

それに対して、栗原委員自身もおっしゃったように、視覚障害者も採ってみようかな、これはまた余計な言い方かもしれませんが、採ったら視覚障害がある人でも、いい仕事をしてくれるかもしれんなと思ったときに、やはり、そのときにこそ点字受験が必要なのです。また、これは弱視の人ですが拡大文字であったり、それから音声化された、例えば今どき電子化されたデータは全て音声で読み上げてくれるわけですが、そういうものによって試験に臨めたり、あるいは募集内容を確認できると、視覚障害者自身があらゆる募集の場面で情報を得るという形で、アクセスができるわけです。

もちろん、その結果として事業所で募集したが、残念ながら視覚障害者の人にできる職種が見つけられないという場合もあるでしょうから、不採用になっても仕方がないわけです。やはり、採用段階からの点字化や音声化、拡大文字化をすると、能力を持った視覚障害者を募集できるという条件ができあがってくる。それから、逆に試験実施そのものにおいても、点字や拡大文字が実施されないと、結局その人の能力そのものが測ってもらえないという事態にもなりかねない。そういうことを避けるということが、ここで言われている要望の趣旨だと思いますので、是非御理解いただければと思います。

○山川分科会長

ありがとうございました。

○栗原委員

反論するわけではありませんが、私が思ったのは、普通、雇用してみようかなという企業は、点字の試験だとかいろいろなことをやるというのは、かなり専門的なものを要求する企業や大企業だと思います。一般的に私ども中小企業の場合、面接で大体決めます。その際に、ここまでのことを言われてしまうと、面接も二の足を踏んでしまう感じがしたので、先ほどそういう主旨でお話をさせていただいたわけです。

大体、中小というのは、まず、ほとんど面接で雇用を決めると、私は思うのです。ですから、大企業であればこういうことをやるかもしれません。これは私の未知の分野ですから何とも言えませんが、普通であれば応募される方が、ここまでのことを企業に要望するのかなという感じがしたので、先ほどお話をいたしました。

○山川分科会長

ありがとうございます。

○高橋委員

高橋でございます。今までの議論を聞かせていただきますと、別表がどういう位置付けなのかということについて、この審議会の委員の中で共通の理解がない部分もあるのではないかと感じるところであります。ただいまの意見交換を聞かせていただいても、やはり多様な方を網羅する基準を設けるということは、そもそも不可能です。また、別表は特にミニマム基準ではなく、ここにも書かれておりますとおり、 1 つの事例であって、比較的多くの企業が取り組みやすいであろうと、研究会で御議論いただいた内容をまとめたものにすぎないところであるのに、どうもこれに盛り込まないと合理的配慮の提供でないといった御発言もあるような印象もあります。

やはり、本当に合理的な配慮というのは、個別性も高く多様性にも富んでおります。先ほど事務局からもありましたが、様々な対応もあると思いますが、それらを全て別表に列記していくという対応よりも、事務局で後ほどお作りいただく事例集の中に、様々なことを書き込んでいただいて、その事例集をどんどん充実していただくという方向のほうが、対応としては望ましいのではないかと感じております。以上です。

○山川分科会長

ありがとうございました。別表の趣旨については、御指摘のとおりかと思います。できるだけ多くの企業が実施できるものというのが 1 つで、しかし他方で例示、あくまでも例示である。つまり、これに尽きるものでもないし、状況に応じてこれが適用されない場合もあり得るという意味で、両方に働く例示であるという趣旨については、本文及び別表の頭書きのところで示されているかと思います。研究会の議論の中で検討した結果、そのような趣旨として設けることになったということであります。

その上で、どこまで書くかという点で、御議論が種々出ているということかと思います。できるだけ多くの事業主が実施できるということと、例示ということが、ちょっと日本語として緊張関係にあるような気もしておりますので、その辺がいろいろ御意見が出る背景かという感じはいたしております。今の高橋委員の御発言は、御意見ということでよろしいでしょうか。何か事務局に質問ということはありますか。

○高橋委員

ございません。

○山川分科会長

ありがとうございました。ほかに今の点も含めまして、御質問ございますか。

○高松委員

連合の高松です。私も今の高橋委員の御意見に賛成です。あくまでミニマム基準ではないことを明確にし、例示することでよろしいと思います。その際、 1 つお願いしたいことは、先ほど松永調査官から具体的な事例集を出していく旨のお話もありましたが、別表自体が事例的な性格を持っておりますので、具体的な事例集とこの別表との関連付け、位置付けを明確化していただきたい、との意見を付したいと思います。以上です。

○山川分科会長

ありがとうございました。別表と Q&A 集、事例集を出される場合の周知の仕方で、両者の関係ですとか、それを明らかにするという御趣旨でしょうか。そこは御要望ということでしたが、よろしいでしょうか。それはおそらく、使用者側の方々にとりましても、それぞれの位置付けが明確になるということは、いろいろスムーズに進められることになろうかと思います。

それ以外、やや本文の話にも入っておりますが、別表については、ほかにございますでしょうか。では特段なければ、本文につきまして前回、御議論をいただいた結果、若干修正をしていただいております。修正案について、事務局から説明をお願いします。

○松永調査官

松永でございます。資料 1-1 です。前回、御議論いただきました御意見を踏まえまして、修正案を作っておりますので、それについて説明をいたします。前回から修正したところは赤字でお示ししておりますので、順次その部分について説明いたします。

3 ページです。第 3 の「合理的配慮の手続」です。まず、 1 (1) のイです。合理的配慮という言葉が続けて出てきてしまっているということから、言葉の整理をいたしまして「合理的配慮については、」を削除しております。同じく 1 (3) の「合理的配慮の確定」については、事業主の思考プロセスに沿って記載すべきという御意見を頂いたことを踏まえまして、修正をしております。

具体的にイは「障害者との話合いを踏まえ具体的にどのような措置を講じるかを検討し、講じることとした措置の内容(障害者から申出があった具体的な措置が過重な負担に当たると判断した場合には、当該措置を実施できないことを含む。)を障害者に伝えること」といった形で修正しております。

ロは、今、イで記載しました検討に際しまして、過重な負担にならない範囲で、とり得る措置が複数あるときは、より提供しやすい措置をとることは差し支えないこと。また、障害者が希望する措置が過重な負担であったときは、過重な負担にならない範囲で合理的配慮に係る措置をとることということを記載しております。

ハは、イに記載した講じることとした措置の内容を障害者に伝えた際、障害者からの求めに応じて、当該措置を講じることとした理由等を説明することということを記載しております。その下の当初から記載していた、なお書きについては、上のロに記載したことを踏まえまして削除しております。

4 ページです。第 3 2 の「職場における合理的配慮の提供について」です。まず、 (1) のイの修正については、募集採用時の修正と、平仄を合わせた修正をしております。 2 (2) の話合いと、 (3) の確定の標題の所ですが「( 1(2) と同様)」ですとか「(ロ及びハは 1(3) と同様)」といった記載を入れておりまして、 1 の募集及び採用時の所と同様な記載をしているということが、一目で分かる修正をしております。それから、 2 (3) の確定ですが、こちらも修正をしておりますが、基本的に先ほど説明しました、 1 (3) の修正と同じ修正をしております。 1 箇所だけ違うところがあるのですが、 (3) のイの最後の行のところの、なお書きですが「なお、当該措置の実施に一定の時間がかかる場合は、その旨を障害者に伝えること」という一文を入れております。

6 ページです。第 4 の「合理的配慮の内容」です。 2 の冒頭です。御意見を頂きまして「採用後に講じる合理的配慮は職務の円滑な遂行に必要な措置であることから」という一言を追加しております。ちなみに「職務の円滑な遂行に必要な措置」という言葉は、法律上の採用後の合理的配慮の条文で用いている文言でありまして、それをここで引用しているものです。

7 ページです。第 5 の「過重な負担」です。まず、 2 4 行目の語尾の修正については、指針全体の平仄をとる観点から、事務局として修正をしたものです。 (1) から (5) までの過重な負担の判断要素の語尾ですが「○○が過重な負担の判断要素となること」となっておりましたが、この部分を削除しております。これに伴い、 (4) (5) については、それぞれ「当該企業の規模に応じた負担の程度」ですとか「財務状況に応じた負担の程度」という記載にしております。

(6) は「 (2) 及び (3) については、」と最初に入れていたのですが、公的支援の有無を考慮するのは、 (2) (3) だけではないという御意見を踏まえ、この部分を削除しております。 2 の部分ですが、なお書きとして過重な負担に該当する場合は、その理由も含めて障害者に伝えるということ、それから、過重な負担でない範囲で合理的な配慮の措置を講ずるということについては、ここでも記載しております。

8 ページです。第 6 の「相談体制の整備等」です。 3 のプライバシーの保護に関する記載の所ですが「その旨を周知する」と書いていたわけですが、「その旨」の指すところが分かりにくいという御指摘を踏まえて、ここはプライバシーを保護するために必要な措置「当該措置を講じていることについて周知すること」といった修正をしております。前回からの修正点は以上です。こちらについて御議論いただければと思います。

○山川分科会長

前回の御議論を踏まえまして、事務局に指針 ( ) 、本文の修正をしていただきました。御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○高松委員

連合の高松でございます。本文の 2 ページの第 2 「基本的な考え方」の 2 ですが、前回労働側委員より意見を申し上げましたが、今回、特に修正等がされておらず、事務局からの説明でも言及されていないので、質問したいと思います。前回、採用後の合理的配慮にある「事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合」については、労働側委員から質問して意見も述べさせていただきましたが、その際、事務局からは今後検討していくべき課題であるとの答弁がなされました。

当該部分に対して、このまま例示等がなされない場合には、厚生労働省はいつまでに課題を整理し、どのような周知を行おうとしているのかを、確認させていただきたいと思います。改めて事務局の考え方を確認させてください。以上です。

○松永調査官

松永でございます。今の御指摘のところについては、当然、この改正法を施行するまでの間に、整理をしてお示しするということは、していかなければいけないと思っております。ただ、実際にどこまでのことを聞くのかというのは、非常に局面、局面によって、ケースバイケースであろうかと思いますので、そこを指針に具体的に書くというのは、なかなか難しいところがあります。そこは、現行ではプライバシーに関するガイドラインがあって、手帳を持っているか持っていないかを確認するときのガイドラインがあるわけですが、そういうものに準じて何らかの形でお示しできるかどうかということを今、考えておりまして、この指針の策定と併せて施行までの間にやる必要があると思っております。

○高松委員

確かに難しい部分であることは理解しております。前回も意見いたしましたが、分かりやすさという観点と、現場での改善促進が図れるという観点で、是非、促進をお願いしたいと思います。以上です。

○山川分科会長

ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はいかがですか。

○斗内委員

後半部分のところでもよろしいでしょうか。

○山川分科会長

本文の後半ですか。

○斗内委員

本文の後半の。

○山川分科会長

もちろん結構です。全体として御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。

○斗内委員

斗内でございます。 7 ページの「過重な負担」の表現についてです。前回も質問、指摘等いたしましたが、企業の規模をどのように見ていくのかが、どうも不明確な気がしております。指針の在り方の検討会議では、労働側としましても、いわゆる過重な負担の判断要素として、企業規模や企業施設の所有形態等、企業経営に与える影響を踏まえて、個別に判断されるのであろうという趣旨を表明いたしておりますが、やはり、企業の経営に与える影響をどう見るのかということが、非常に重要だということではなかろうかと思っております。

そういう意味では第 5 の「過重な負担」の中には、 (3) で費用・負担の程度ということ、それから (5) では企業の財務状況が判断要素に加えられているということから、その企業に与える影響の度合いは、そこの部分で推し量れるものではないかと思っております。そういう意味で申し上げますと、企業の規模とは、いわゆる従業員の数なのか、事業所の大きさなどもあるかと思いますが、どのように判断要素として組み込んでいくのか、やはりもう少し明確にしていく必要があるのではないか、更なる検討が必要ではないかということで、質問させていただければと思います。

○山川分科会長

ありがとうございます。第 5 1 の特に (4) 企業の規模が、一体どういう判断要素として働くのかという観点からの御質問かと思います。御質問ですので、事務局から松永調査官お願いします。

○松永調査官

松永でございます。これは、前回にもお話したかもしれませんが、この判断要素をどうするかというのを研究会でも議論したときに、おっしゃったように、それぞれの要素がかなり重複しつつあるのではないかという御指摘は、確かにありました。そのときにも議論としてあったのは、重複する部分、今おっしゃったように、費用のところと規模のところで、重なるところもないことはないのだろうけれども、ただ、規模というものに応じて、そういう観点で、この措置を講じることが過重になるのかどうかという視点は、それはそれで必要ですし、あとは費用がかかるということについても、それはそれで当然必要です。

そういった観点として、それぞれ見ていったときに、この (6) は特別ですが、 (1) から (5) までの要素というのは、過重かどうかを見る上で、それぞれ観点としては必要なのであろうということで、最終的にこの 5 つを判断要素としようということになったのです。そういう形で、研究会の結論としては、この 5 つということになりました。

○山川分科会長

この点は、使用者側の委員の方に、もし具体的な例などを挙げていただけるようでしたら、より内容的にも分かりやすくなるかと思います。

○栗原委員

栗原です。例と言われると困るのですが、企業規模は一般的に大企業であれ中小企業であれ、その内容によっては資本金で分ける場合もありますし、従業員の数で分ける場合もあります。業種によって、従業員の数も違ってくるということ、一般的に表されています。ただ、あまりに企業がどうのこうのと言うのではなくて、この中に書いてある財務状況というのが、やはり一番効いてくると私は思っています。

中小でも非常に儲かっている会社もあって、何でもしてあげられるという会社も中にはあると思います。ただ、大企業でも非常に厳しい会社も当然ある。企業規模はもちろん基本なのですが、財務状態などを全部含めて雇用に取り込むという中で、やっていくことは同じだということであれば、雇用に対して多少の温度差があるのは仕方がない。

これは当然、私なんかでも中小でできることと、やはり私のところもあまりもうかっていませんので、できることは限られてしまうと思うのですが、同じような規模でももうかっている会社だったら、もっとこのようにできるよという会社もあると思うのです。ですから、あまりその辺は言わないでいただいたほうが、よろしいのではないかな。企業に安心感を持ってもらえるような書き方にしておいていただいたほうが、企業としても取り組みやすいのではないかと思うのですが。どうも抽象的になって申し訳ございません。

○山川分科会長

斗内委員、何かありますか。

○斗内委員

斗内です。今、使用者側委員がおっしゃった内容で推し量られることが、私も一番重要だと思っています。やはり、企業の負担がどの程度の大きさなのかを推し量って、実施の困難度や財務の状況、設置の困難度を総合的に見ていくことにより、過重な負担の判断が成り立っていくことまでは、理解をさせていただいております。ただ、企業の規模が同じでも、合理的配慮をできる企業とできない企業があるとの例示もいただきました。そういう意味でいいますと、企業の規模が同じで、そのほかの財務の状況等も同じであれば、ではこの企業の規模というのは何をもって判断をするのかという点を、気にしております。前回もお話させていただきましたが、労働側としては、加盟組合に対し、あらゆる企業において差別を撤廃していく、そのために合理的配慮が実施されるのが基本的考え方だと周知していくことになりますが、その際には、この「企業の規模」について、説明が必要になるであろうことから、「企業の規模」が何を指すのかを明らかにしていただきたいと考えています。

○栗原委員

非常に同意できる部分もあるのですが、ただ、これはやはり大企業といわれる所、例えば全体から見ればほんの数パーセントかもしれない会社と中小とを、ある程度、文言で分けるのは必要ではないかと私は思います。ただ、できる所、できない所というのは企業での努力ですから。あくまでこういう文言で書くのであれば、やはり規模というような書き方をしていただいたほうが、かえって明確ではないかという気が私はしています。

ただ、できる、できないというのは各々会社の台所ですから、これは別問題だと思います。この中に書く内容としては、このほうがすっきりするのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。

○斗内委員

斗内です。前回、使用者側委員からは、大企業においての内容も御発言がありました。過重な負担の判断要素に「企業の規模」という、この項目自体が必要なのかどうかも含め、今一度検討すべきではないかと思います。趣旨は、私どもも十分理解しているつもりです。

○山川分科会長

ほかに御意見はありますか。

○高橋委員

高橋ですが、なぜ、斗内委員がそこまでこだわって問題がはらんでいると言うのか、ちょっと意味が分からなくて、もう一度説明していただいてもよろしいですか。何を問題視しているのか、それが全く理解できないので、分かりやすく説明いただけませんでしょうか。

○斗内委員

斗内です。 (1) から (5) に基づいて、過重な負担であるかどうかを判断がするための指針になろうかと思います。そういう意味では、極論になりますが、 (1) 「事業活動への影響の程度」、 (2) 「実現困難度」、 (3) 「費用・負担の程度」、 (5) 「企業の財務状況」が同程度で、いわゆる過重な負担には当たらないとなったときに、最後の (4) 「企業の規模」に基づいて、どのような判断をしていくことになるのでしょうか。そこは、例えば、企業の従業員数の大小によって判断をしていくことになるのでしょうかという意味合いです。

○高橋委員

高橋ですが、おっしゃっている意味が全く分かりません。私が質問したのは、企業の規模というものを、過重な負担の要素として入れるのはおかしいという御趣旨で御発言されているように承ったので、なぜ企業の規模を落とすべきなのかということについて御説明いただきたいと言ったら質問されてしまったので、よく分からなくなってしまったのですが。

○山川分科会長

おそらくは、そもそもこれがほかの要素だけでカバーされるのではないかという御質問が 1 つ、趣旨の中には含まれている。つまり、 (6) はやや別次元の話なので、 (1) から (3) 、それから (5) だけで足りるのではないかというような御質問と、それから (4) が、おそらくは企業の規模といっても、従業員数や事業所数など幾つかの指標があるので、その具体的な中身がやや不明確であるというような御質問も、最初の頃におっしゃられたような気もしており、その 2 つでしょうか。それ自体の内容の分かりやすさと、他の要素との関係での必要性についての御質問かと受け止めました。

あとは、重複するのではないかという問題は、これは松永調査官から先ほど回答がありましたが、重複については研究会でも議論して、 (1) から (3) は、前回もありましたが、措置に着目している。 (4)(5) は、主体そのものに着目している。ちょっと着目度が違うので、重複自体はやむを得ないというような、研究会での議論だったと思います。それとは別に、この要素がどのように具体的に働くかという御質問が、別の趣旨として発言の中にはあったということで、よろしいでしょうか。そういうこともあって、先ほど何か具体例で御説明されると分かりやすいかなと思いました。若干、栗原委員からも御説明がありましたが、財務状況が等しい場合でも、規模によって違う場合があるのではないかという御発言もありましたよね。

○竹下委員

竹下です。私は、このままでいいと思うのですが。多分この疑問は、企業規模という言葉があることによって、例えば、うちは中小企業だから駄目だよという、大義名分に逆に使われはしないかという懸念からの御指摘ではないかとお聞きしています。私は、多分それは決してそうではないのだろうと。企業規模が仮に小さいからといって、直ちに過重となるわけではなく、逆に一定の経済的負担や費用負担があるにしても、企業規模でそれを吸収できるかどうかというところに、 (4) の意味があるのかなと理解しているのですが、違うのでしょうか。

○山川分科会長

これは御質問でもありましたので、事務局から何かありますか。

○松永調査官

松永です。観点が違うということで申し上げているのですが、 (3) (4) でどういう視点で見るのかというところでいくと、例えば (3) ではある措置を、合理的配慮をして、それによって今まで単独ではできない作業ができるようになったり、あるいは効率がよくなったりなど、一定の改善をするわけですね。その改善をするのに、例えば 10 万円のコストがかかりますとか、あとは人を 1 人充てなければいけませんというものがあり、それの改善の度合いと、それに要するコストが見合うかどうかというところの評価が、 1 つありますよね。それを見ようとしているのが、 (3) です。 (4) は、ではその 10 万円を負担するなり、人を 1 人充てるというような負担が、企業規模観から見たときにどうかと。見方の違いでいえば、そういう見方で、それぞれで過重かどうかを判断するときに、それぞれの評価は必要なのではないかということだと理解しているところです。

○山川分科会長

今一つ、首をかしげられているようですが。

○阿部 ( ) 委員

質問も含めてなのですが、例えば (6) にある公的支援の有無というのは、企業の規模によっても差があるものなのかとか、例えば産業医の配置の状況などがあるものかを教えていただくと、自分も考えやすくなるかと思いました。この中でも、産業医のことがほとんど出てこなかったもので、確認も含めて少し教えていただきたいと思います。

○山川分科会長

産業医などの場合は、まさに企業規模によって法的な規制の在り方が違っているところがありますが、事務局、いかがでしょうか。

○松永調査官

松永です。産業医は、一定規模以上だと置かなければいけないですとか、あとはもっと規模が大きくなると専任の者を置かなければいけないとされていますので、それに従ってやるということだと思います。公的支援と規模との関係でいきますと、例えば今 30 万円の費用がかかりますといったときに、半分の 15 万円は助成されて実際の自己負担が 15 万円となったときは、当然その 15 万円の負担が当該企業の規模観からしてふさわしいかどうかというところを見ようというのが、まさに評価のところです。当然、費用負担のところでも、 15 万円という負担と実際の改善の度合いで評価は一定程度なされるということで、そうやって見るものです。先ほど言った産業医の関係とかでいえば、当然もともと常にいる方なのかどうかというところで、実際は、規模によっての評価はなされるのかなと思っているところです。

○山川分科会長

ほかにいかがでしょうか。

○高橋委員

意見の意味がよく分かっていないので、とんちんかんな意見になってしまうかもしれませんが、何となく感じていることは、労働者側の委員の意見を聞いていると、合理的配慮というのはコスト論で論じているような印象を受けます。しかしながら、本当に個別性が高く多様性が高い対応をするときに、厳密に幾らかかるというように、割り切れない部分が、すごくあると思います。その上で、どうしても私は大企業寄りの発言になってしまい批判を受けるかもしれませんが、前回の会議でも申し上げましたが、より多くの多様な障害者を雇用しているような事業場や企業を想定いたしますと、本当に多様な合理的配慮の提供を求められる可能性があります。そのときに、ある程度限られた事業場の予算の中で、優先順位を付けて、どこまで対応していこうか、それは、コストとかは別にして、つまり、コストが高い人から先に優先するとか、コストが低いから先にやるということではなくて、まさに労働者の方の事情などを考慮して、優先順位を付けざるを得ない場合などもあるわけです。一律に、企業の規模が大きいから合理的配慮はやりやすい、過重な負担のハードルが高いのだとか低いのだということは論じ難い面がありますので、企業の規模で一律に判断することのないようにという意味でも、私は要素として置いておくことが重要なのではないかと感じます。

○山川分科会長

ほかに御意見はありますか。

○高松委員

「企業の規模」についての議論が続いていますが、発言内容から使用者側の委員の視点と労働側の委員の視点は、それほど相違がないと見ています。ただ、一番重要な点は、「企業の規模」という文言の意味を明確にしておかないと、誤解を招きかねないということです。大企業であるからこそ、その規模に応じて、合理的配慮を中小企業以上にやれという見方も出てきますし、逆に、中小企業であってもしっかりやらなければいけないという見方もあるわけです。この場合は当然、大企業かそれ以外かを分けるということなのでしょうが、前回の議論にもありましたが、「規模」という文言の意味をもう少し具体的にしていただいた上で指針に記載していかないと、判断要素としては、ほかの項目と比べた場合、非常に曖昧な文言である気がしました。同じ単語を使っていながら、読み手の立場によって「企業の規模」の解釈が違うことが気になりましたので、是非ここは明確にしていただきたい、という意見です。

○山川分科会長

おそらく、明確性という観点が焦点になってきているかと思います。特に座長の個人的意見ということでもないのですが、判例などを見ますと休職からの復帰の事例、一種の中途障害の場合等があります。既に指針の中にも一部盛り込まれておりますが、例えば、ある職務が遂行できなくても、他に現実的に配置の可能な職務があるかどうかを探す。それも、合理的配慮の一環として出てくる。これが、今、判例等では非常に問題になっています。病気休職終了後の復職の問題に関して、判例の中では、配置の現実的な可能性の判断の中で、企業規模が 1 つの要素に上げられているものが、かなりあります。それは、事例を見ると、 1 つは企業の規模が大きいと、職務の内容が多様である。あるいは、同じことかもしれませんが、配置の対象になる従業員が複数というか、かなり多数になると。そういう職務の中身、あるいは従業員数が、判例では主として考慮されているような感じもします。ただ、それをそこまでこの指針の中には多分書き込めないと思いますが、何か分かりやすい例があれば、事務局に何か考えていただいて、この場に出すかどうかはともかく、何か分かりやすい材料を集めていただくというようなことでお願いできますか。私の知っている判例は、本人の職務やいろいろなものがあるのですが、その中に従業員規模が入っている判例があるぐらいですが。ほかに、いかがですか。

○桑原委員

組合側の桑原です。内容は違いますが、第5の「過重な負担」に関する質問です。労働者が合理的配慮を求めたのだけれども、過重な負担にあたるということで事業主から合理的配慮の提供を断わられた場合、労働者はどのようにして解決していくことができるのかをお聞きしたいです。当然、当事者同士の話し合いで解決することがまずは優先されるのでしょうが、当事者同士の話し合いでも解決に至らなかった場合は、最終的には裁判に提訴できるのか、できないのかという点を、お聞きしておきたいと思います。

○竹下委員

竹下です。第 6 の相談の所でお聞きしようと思っていたのですが、相談体制の充実、窓口や担当者を決めて研修も行うということは、非常に大事だと思っているのです。私は、こういう合理的配慮をめぐって裁判ということは、あまり想定したくないなと思っています。裁判で解決せざるを得ない問題もときにはあるのかもしれませんが、そうではなくて原則、企業内、事業所内の相談で解決できなかった場合の、いわば延長戦としての紛争解決機能といいますか、現在既に設けられている労働局長の下での個別労働紛争の解決機能であったり、その他の紛争解決の機能が、ここで十分にいかされるべきではないかと思っています。それが、スピード解決と、かつ妥当な結論を導くためにもふさわしいと。そうであればあるほど、そのことをどこかで道筋としても、記載しておくことが望ましいのかと思っていますが、いかがでしょうか。

○山川分科会長

紛争解決、あるいはそれに至る前の予防についての御質問でしたので、松永調査官お願いします。

○松永調査官

松永です。まず、桑原委員から御質問があった件ですが、過重な負担だという説明があって、障害者の側もしょうがないなということになれば、そこで終わります。桑原委員が今おっしゃったのは、過重な負担だと言われたけれども、御本人もどうしても納得できないといったときの手順ということですよね。今回指針で御議論いただいているのは合理的配慮の義務のところなのですが、それとは別の章立てで、苦情処理といいますか、紛争解決の章を今回新たに設けました。その中に、これは労働局の個別紛争処理法に基づく紛争調整委員会や、労働局長による助言指導、あとは今回我々が勧告を特例でできるようにした規定を入れてあるわけで、そういった規定が別途設けられております。我々としては、できるだけ労使間で円満解決していただくことをお願いしたいわけですが、どうしても労使間では難しいということになりますと、そういった労働局の紛争解決の仕組みの中で、何らかの解決が図られるかどうかということになる。それでも駄目なら裁判ということでやっていただくしかないというのが、一連の流れです。

また、竹下委員からの御意見は、そういった労働局での紛争解決の仕組みがあることをここの指針の中で記載できないのかという御指摘だろうと思います。これは研究会でも議論になったところです。先ほど申し上げましたとおり、紛争解決については、指針の章とはまた別の章にあります。そういう中にあって、またあえてそこで指針に書くことになりますと、合理的配慮を決める手続きの中で労働局の助言を必ず仰がなければいけないというニュアンスが出るのが、どうなのかと。それから、この指針は全ての事業主に適用されますので、あまり細々と手順みたいなところで書くのはどうなのかという議論がありました。研究会の結論としては、そういったことは、指針には盛り込まないとなったところです。ただ、研究会の報告書の最後に書いてありますが、事業主なり障害者の側から、そういったいろいろな助言や相談があったときには、それにきちんと応えていくのが、我々行政としての大事な役目です。相談があった場合については、対応できるようにしていくことや、紛争解決の仕組みがあるというようなことについては、この指針と併せて周知していく必要があると、考えているところです。

○山川分科会長

桑原委員、竹下委員、何かありますか。

○竹下委員

説明はよく分かりました。私が思っているのは、労働の現場である以上は、最後は裁判ということもやむを得ないのかもしれませんが、そうではなくて、せっかく第 6 で相談という大きな柱立てをしているわけですから、その本質からいえば、あるいはものの考え方からいえば、裁判ということに頼らないでといいますか、あるいは労働現場での調整ということに重きがあればあるほど、権利と権利の衝突という形よりは、調整という機能を期待した、紛争解決のための手続なり流れをどこかで示しておくことが必要である。無用なというのは言い過ぎでしょうか、裁判を増やすという形ではなく、物事をより適切に解決に導く点から、どこかに一言記載しておくことは十分必要であり、かつ意味のあることではないかと思うのですが。

○山川委員

ほかに御意見はありますか。第 5 の「過重な負担」の 2 に、今回示された過重な負担に当たると判断した理由を説明し、それから話し合って過重な負担にならない範囲で合理的配慮に係る措置をとるとあります。それから、第 6 の「相談体制の整備等」、これらは、竹下委員がおっしゃるような、紛争の予防に資する機能をもち得るものではないかと思います。外部に関しては、先ほど説明がありましたように、都道府県労働局の手続が利用できるということは、別途周知を図るということでした。そのような紛争予防の趣旨をもち得るようなことが、何か読み取れるような形になるかどうかも、修文として検討いただければという感じもしております。ほかにありませんか。

それから、私から言うのも変かもしれないのですが、第 5 1 (2) を今改めて読み直して思いましたが、日本語表現の問題ですが、削除した関係で「事業所の立地状況や施設の所有形態等により当該措置を講ずるための機器や人材の確保、設備の整備等の困難度」となり「立地状況や施設の所有形態等により」というのは「よる」のほうがいいのかなと。些末な表現の問題で申し訳ありませんが、この辺りの全体的な表現ぶりをもう一度更に見ていただければと思います。

6 まで御意見を頂いてきておりますが、ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。まだ若干時間はありますが、本日に関しては特段ないようでしたら、この辺りで終了いたします。本日は、大変有益な御意見を多数いただきました。今日の御意見を踏まえて、更に本文の修正の可否等を検討していただくようにお願いいたします。次回の日程について、事務局からお願いします。

○松永調査官

松永です。次回の日程は、 12 15 ( ) 10 時から 12 時です。場所は、決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。

○山川分科会長

それでは、本日の分科会は終了いたします。議事録の署名ですが、労働者代表は高松委員、使用者代表は栗原委員、障害者代表は竹下委員にお願いいたします。本日は、お忙しい中ありがとうございました。


(了)

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