ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 国際課が実施する検討会等> 国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会> 第4回 国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会 議事録 (2014年2月18日)




2014年2月18日 第4回 国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会 議事録

○日時

平成26年2月18日(火)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 13階国際課会議室
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号


○議題

(1)国際的なActive Agingにおける日本の貢献に関する検討会報告書案について
(2)その他

○議事

○杉田専門官 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより第4回「国際的なActive Agingにおける日本の貢献に関する検討会」を開催いたします。

 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、開会に当たりまして、厚生労働省国際課課長の堀江裕より御挨拶を申し上げます。

○堀江国際課長 皆様、こんにちは。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は予定していました会議室が急遽ほかの用務でとられてしまいまして、大分窮屈な部屋になってしまいました。傍聴の皆様、ようこそお見えになりました。傍聴の数も大体ぐらいの感じにはなっているのでほっとしているところでございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

昨年の6月からスタートいたしまして、今回4回目ということで、この検討会の報告書をまとめたいということで、きょう準備させていただいております。その間に国内調査、外国調査、それぞれの先生方にはハイレベル会合にも入っていただいて、ASEANの国々の方々とも交流していただいたこともありまして、そのものに対して感謝申し上げるわけですけれども、そうしたこともありまして、記録をつけると分量が多くなってしまったところがございまして、なかなか捨てがたいということがございます。

尾身座長から事前に言われていますのは、最後に発表する際には、忙しい人でもさっと見られるような簡略なエグゼクティブサマリーをきちんと準備するようにと指示はいただいていますが、きょうのところは、荷崩れしないようにまとめるところでいっぱいになってしまっておりますので、それはそれとしてお詫びし、今後その辺の取り組みをすることをお約束しながら、きょう会議に参加いただければと存じております。また、言い足りない部分は後ほど機会もあるかと思いますので、またよろしくお願いしたいと思います。

○杉田専門官 続きまして、出席状況ですが、本日は林構成員が欠席となっています。堀田構成員は今向かっていらっしゃると思います。

 次に、お手元の資料の御確認をお願いいたします。

 一番上に議事次第がありまして、その次に資料1、ホッチキス止めのもの。

資料2、1枚の資料です。

 資料3、43ページまでの資料です。

 資料4、こちらは1枚の資料になっています。

それから、その下に、机上配付のみになっていますが、ジャカルタ新聞、昨年の11月に「ASEAN地域における高齢化に係る国際協力に関するセミナー」というものを開催しまして、その記事がジャカルタ新聞に掲載されたものになります。

その次が、お正月の記事ですが、JICAのタイでのプロジェクト、「要援護高齢者等のための介護サービス開発プロジェクト」、「LTOP」のプロジェクトですが、これに関する記事を共同通信の記者さんが取材されまして、東北や関東、九州地方で掲載をされているものになります。

その下に座席表があると思います。

 以上になりますが、資料に不足がある方は事務局までお知らせください。

 写真撮影はここまでとさせていただきます。

 それでは、以降の進行は座長にお願いいたします。

○尾身座長 それでは、第4回の検討会を始めたいと思います。

 きょうの主な目的は、事務局が整理していただいた報告書(案)について、十分議論していただきたいと思います。

それに加えて時間が少しあると思いますけれども、この報告書(案)をファイナルにした後に、これをどう活用したり、どう広報したりしていくかという部分についても議論してみたいと思います。

 それでは、事務局より報告書(案)の資料について説明をお願いします。

○山内国際協力室長 事務局から説明をさせていただきます。資料1でございます。

先般行われました「ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合」の結果概要でございます。本会合に御協力いただきました委員の先生方にはこの場を借りて、改めて御礼を申し上げたいと思います。ASEANからの保健、福祉、労働政策に関する担当の方々を含めまして、総勢85名の参加を得まして非常に活発な議論が行われ、ためになったという評価をいただいているところでございます。

この資料を1枚めくっていただきますと、本ハイレベル会合により採択された提言がございます。時間の関係上、これは説明を省きますが、このような考え方の提言が採択されまして、この考え方も含めまして報告書の中に一部盛り込まれています。

さらに、その下の資料2でございますが、先般行われました日・ASEAN特別首脳会議でございますが、これに関して、高齢化の関連のトピックスについて抜き出した資料でございまして、裏をめくっていただきますと、項目が3つ並んでおりますが、一番上でこの首脳会合における総理の御発言の中で、「世界第一の健康寿命達成国である日本が大きく貢献できる」というところで、2つ目の「・」で、高齢化も含めて新たな課題の取り組みに貢献していきたいという発言がございました。

真ん中ですが、これは首脳会議において採択された「日・ASEAN友好協力に関する協力ビジョン・ステートメント」の中で、高齢化に起因する問題に対処するために協力を強化していくという記載がございます。

一番下、さらにそのビジョン・ステートメントに基づく計画の中で、一番下の「・」に、「政策対話及びモデル事業の促進や高齢化社会に関する人材育成をASEAN加盟国及び日本の高齢者への保健オンライン福祉サービスの向上への協力を促進する」という記載がございます。

続きまして、それでは報告書に関して説明をさせていただきます。

やや分量多いものですから、1つずつ読むよりは、ざっとこういう流れという形で報告書を説明させていただいて、御意見につきましては、その後、頂戴できればと思っております。

1ページ目に目次がございまして、次に「はじめに」でございます。「検討会の目的と概要」。世界の高齢化が進行していて、まれにみる早さで高齢化が進んだ日本に対する国際協力に関する期待があり、ASEAN諸国のニーズを明確にし、日本の経験・知見を活用した国際協力を推進する。その戦略について検討する目的で検討会を開催しており、枠組みにつきましては、その下の図1の検討アプローチで以前説明させていただいたとおりでございます。

3ページでございますが、「調査の対象国」として、ASEAN諸国全ての国で、その中でもODA対象国で特に高齢化の進展の著しく、一人当たりGDPが中程度以上の国。報告書の図の青枠を中心に検討を行い、現地調査を実施したところでございます。

次の4ページ目ですが、ここから「第1章 Active Agingの背景と国際的な潮流」で、「1.ASEAN諸国における高齢化の状況」でございます。

表1に関して説明がございまして、高齢化関連の指標が並んでおりますが、高齢化の特に進んでいる国を順に一覧にさせていただいたところでございます。

さらにその下で、ASEAN諸国の倍加計数が1ページめくっていただきますと表2にございますが、見ていただきますと、我が国よりさらに早いペースで高齢化が進展する国があり、そのような国においても、まだ高齢化対策は日本の進捗の状況と比較するとまだ十分とは言いがたい状況にあります。

続きまして、次の6ページですが、ここから「2.Active Agingの国際的な潮流」ということで、Active Agingに関する説明になりますが、定義として、そこに記載しております2002WHOActive Agingの定義というものがございまして、とりわけActive Agingの3つの柱として、参加(Participation)、健康(Health)、安全(Security)という説明がそれぞれございます。

ページをめくっていただきまして、7ページがその基本3柱の図ですが、下のところが、さらに2012年発表されましたEU全体の取り組みを推進していく方針の中においては、雇用、社会参加、自立した生活を柱として挙げているところでございます。

Active Agingに関しましては、高齢者に関する施策を国家レベルで普遍的な施策体系として達成できている国はそれほど多くないわけですが、既存の資源を有効活用してActive Agingを施策の柱の1つとしている国は少なくなく、その中で、高齢者(active Aging)、生産的な高齢者(product aging)、高齢者支援(community based elderly care)、さらにはAging in Aging in Place、このような項目を立てている国が多い状況があります。

8ページの下半分ですが、「Active Agingに関するその他の論点」として「高齢者の定義とActive Agingの考え方」ということで、日本では一般的に65歳以上、ASEAN諸国では60歳以上がおおむね定義となっていますが、ただ、それは75歳までの高齢者の心身の状態は、まだ良好な場合も多く、元気な状態にあるということが言える状況の中で、Active Agingの考え方においては、高齢者の支援を受ける利用者である以上に、社会の支え手、家族の支え手であるという主体的な地域の中での役割を果たすと位置づけられているということでございます。

次の9ページ目ですが、基本的な概念として「セルフケアの考え方」もActive Agingに関連して挙げることができ、そういった個人が自律的に健康管理に取り組むようなプログラムを開発していくことが重要であり、NCD(Non communicable Diseases)にもそれが効果的であるという記載がございます。

そこから下、「Active Agingに関連する配慮すべき事項」として、女性の高齢者が多くなっていることを念頭に制度設計を行うことで、多様な価値観や文化、伝統を考慮する。あるいは家族の役割が変わってきていて、高齢化対策を検討するに当たりモニタリングしていく必要がある。

高齢化対策の取り組み、具体的には地域が主体となって取り組む必要があって、地域の役割が強調されています。

11ページからが第2章でございまして、「ASEAN諸国の社会保障制度及び高齢化対策の現状」ということで、ベトナムから入っております。

ベトナムの現状としては、高齢化率が7%~14%になる期間の最も短い国で、その中でも社会資本整備は遅れている状況にありまして、社会保障制度はその中でも包括的なものが実施されておりますが、例えば年金でいうと、大企業でない場合は加入がなかなか進まない状況にあり、医療保険制度は全国統一のものがあって、皆保険達成を目指しているのですが、医療資源にもまだ格差があり、十分な医療を受けられない場合がある状況などが記載されております。

12ページ、「高齢者ケア」でございます。

家族やコミュニティベースでの在宅ケアが中心になっている状況。施設ケアに関しては老人ホーム(Nursing Room)と社会保護センターが、2つの大きな分類として施設があり、近年では民間の施設が病院に併設されるなどできてきている状況を記載しております。

12ページの下、「高齢者の健康促進・社会参加」の中で、国家計画の中ではNCD対策が明記されておりまして、予防や早期発見に注力していく方向性が示されております。

次の13ページでございますが、社会参加に関してはベトナム高齢者協会が非常に組織率が高く、国と連携してさまざまなプログラムを実施している状況にあります。

Active Agingに関する特徴・課題」としては、介護に関してはまだ生活支援は家族が実施していくものと理解されており、施設に関して利用は限定され、まだ不足している状況にある。また、ケアに関する基準、施設ごとにその質が異なっている状況も存在している状況でございまして、また、NCD対策に関しては治療に重点が置かれているものの、基礎的な医療資源が十分でないため、継続的に治療を受けることが困難な状況にあります。

13ページの下、タイですが、タイは最も早い段階で高齢化が到来する国として、具体的な施策の全国的な普及が課題となっており、専門的サービスの開発や地域でのサービス展開の方法などがその焦点となっております。

14ページですが、「社会保障制度」としては、年金制度や色々なものがございますが、インフォーマルセクターの所得保障が今でも大きな課題になっている状況。医療保障におきましては、国民皆保障を達成しているものの、医療職数には限りがあり、保健ボランティアが基礎的保健サービスの機能の充実に貢献している状況があります。

「高齢者ケア」に関しては、在宅を中心に家族とコミュニティが担っていて、ここでも高齢者ボランティアを中心にして居宅ケアを推進していっている状況があります。また、介護推進自治体として「タンボン介護プログラム」が実施されている状況ですが、このように試験的に展開されているものがあるものの、持続性に課題を抱えている状況がございます。

15ページですが、施設ケアにおいては、低所得者を対象とした公的なもの、また民間、主に富裕層向けになると思うのですが、医療を必要とするようなナーシングホーム、ホスピスの4類型が主にあるという状況でございます。

「高齢者の健康促進・社会参加」につきましては、社会参加の促進を目指して「高齢者生活向上センター」を整備していく予定。

また、雇用の促進については、自立に関する資金的な援助を行う基金や高齢者のためのリソース活用という意味でBrain Bankという制度が発足しています。

またNCD対策の一環として健診制度が全国的に実施されておりまして、いわゆる血液検査のスクリーニング実施率は8割に達しているという状況にあるようでございます。

次の16ページですが、「Active Agingに関する特徴・課題」として、民間の居宅サービスの提供はいまだ見られない状況で、政府と連携したNGOや地域ボランティアが活動の中心になっている状況があります。

インドネシアも比較的短期に高齢化が進む国であります。社会保障制度としては、公務員に対するもの、民間企業の被用者向けのものやインフォーマルセクターに対するもの等々が整備されている状況で、特に近年の動きとしては、ことしを目標に国民皆保険制度の社会保障制度が導入される予定となっております。

17ページ、「高齢者ケア」に関しては、施設が州政府、民間等々さまざまなものが社会活動を実施しているものがございますが、対策として、主に身寄りのない高齢者、障害を持つ高齢者を主たる対象としている状況がございます。通所型の施策としては、コミュニティレベルでのデイサービスがあります。

また、社会福祉活動としては、地域ボランティアを中心に組織化されたものがあり、また高齢者向けのコミュニティレベルのホームヘルプサービスがNGOから提供されている状況がございます。

18ページ、「高齢者の健康促進・社会参加」、保健省(MOH)が実施するプロジェクトである事業等々ございまして、コミュニティベースの定期的な地域保健活動が行われていて、政府主体のNCD対策が推進されている状況がございますが、実施状況は十分ではない。

Active Agingに関する特徴・課題」としては、皆保険に向けた現在積極的な組織改変、制度改正を実施している状況ですが、そういった制度改正に向けても財政的な持続性や社会保障制度への加入率の向上等々課題がある状況でございます。

また、高齢者ケアに関しては、高齢者支援の格差が地域レベルであることと、施設基準、サービス内容に関する管理がない状況が指摘されております。

19ページでございますが、マレーシアは高齢化スピードが緩やかな状況にございまして、ただ、都市化、核家族化の進展が認められており、高齢者ケアに関する社会的な支援の必要性は政府にも強く認識されている状況でございます。

「社会保障制度」としては、年金制度、医療制度等整備されている状況にはありますが、実施状況についてはまだ格差があるといった指摘がございます。

「高齢者ケア」に関しては、支援は家族やコミュニティベースで実施されているものでありまして、居宅ケアであるホームヘルプサービスがありますが、幅広くサービスを提供している状況であります。ホームヘルパーは主に住民ボランティアが担っています。

施設に関しては、いわゆる高齢者施設が保健省所管のものとして、あと介護施設がございます。

20ページ、「高齢者の健康促進・社会参加」でございますが、保健所に来所した高齢者に無料で健診を実施している状況がございます。

社会参加からは、アクティビティセンター(PAWE)というものがございまして、ネットワーク構築や健康増進のための取り組みを行っている状況でございます。

雇用確保については、統計データベースや経済能力向上プログラムといって、少額な所得を得る取り組みが実施されております。

Active Agingに関する特徴・課題」としては、経済的自立を重視している政策を掲げており、地域社会に根ざした支援システムの構築を目指している国で、ただ、先ほど申し上げたように、支援システムの構築の取り組み量、実施地域が非常に限られている状況で格差のある状況が指摘されております。

21ページ、「日本における高齢化対策とActive Aging」です。「高齢化対策の変遷」ということで、国民皆保険を達成した状況から老人医療費の無料化が導入された経緯や、さらには社会的入院と言われ、在宅での療養環境や介護の受け入れが困難なために、入院が長期化している現象が問題化した状況と、その後、ゴールドプランによりそれに対応した状況が記載されております。

一方で、日本の中でActive Agingの動きとしては、用語そのものは登場しないのですが、例えば『高齢社会白書』等々において、そういった施策の推進の中で考え方が取り入れられている状況や、さらに「健康日本21」の健康増進の取り組みの中でも同様の考え方が取り込まれている状況が記載されております。

22ページにおきましては、地域包括ケアシステムの構築の推進が現在政策として掲げられており、地域での高齢者支援の取り組みが広がっている状況が記載されております。

23ページ、「高齢化施策に関する取組」ということで、日本の社会保障制度の特徴、国民皆保険制度、医療費の増加しているような状況、公的年金制度に関する記載。

さらには、24ページに移っていただきまして、介護保険制度が創設されて、現在負担のあり方や制度運営の見直しに加えて、質の確保・向上に向けたさまざまな改革が行われている状況が記載されております。

NCD対策(非感染症疾患対策)」ですが、感染症からNCDが死因の主流になってきた中で、さまざまな施策が展開されてきたこと。

さらに「健康日本21」の中で、現在第二次のプログラムが始まったところなのですが、発症予防と重症化予防の徹底が基本的な方向として示され、推進されている点が記載されています。

「高齢者関連施設の整備と規制」の中で、これまでゴールドプランなどを通じて、建設を拡大してきて、現在は在宅ケアを中心としたサービス展開を図る方向性を模索している状況が記載されております。

25ページで、「在宅サービスの展開と地域資源の拡充-地域包括ケアシステムの展開」ということで、その考え方に関する説明が記載されております。

26ページ、「高齢者の社会参加」ですが、ここでは老人クラブに関する記載と、高齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに、地域社会の活性化に貢献する組織としてシルバー人材センター、この役割に関する記載。また、高齢者が自らビジネスを展開していくような先進事例に関する記載がございます。

「その他」の事項として、いわゆる高齢者の現状を調査するための社会統計の整備や高齢者の自立度を測定し指標化していくシステムの重要性に関する記載がございます。

26ページの下からは、国内調査結果ということで、千葉県の柏市、27ページより山梨県北杜市、下より品川区、さらに28ページからは滋賀県東近江市それぞれの調査に関する結果の記載がございます。

30ページに飛びます。ここは最後の章で「今後の国際協力に向けた提言」ということで、はじめに「高齢化対策分野における日本の協力の意義」という項目がございます。

ここでは、現在日本においては高齢者のための社会保障、これは社会システムの中でも大きな位置づけを占めるようになり、今後さらに進展する高齢化に対応していくためには、持続可能な社会の仕組みを構築するために努力を積み重ねている状況の記載。

一方でASEAN諸国では、日本以上のスピードで、これから高齢化が進む国もあるため、日本以上にスピードをもって高齢化に対応していくことが必要になるのではないか。

その意味で、日本の歴史や経験をヒントにして、高齢化対策の構築していくことが重要ではないかという記載でございます。

31ページですが、ただ、その中でも地域の役割については、現在ではASEAN諸国がさまざまな取組事例があり、日本が学ぶことも少なくない、という記載がございます。

「2.ASEAN諸国における高齢化に対する国際協力のニーズと協力の方向性」については、まず1番目として、「高齢化対策に関する中長期的な国家戦略の策定」という項目があります。

ASEAN諸国の中ではタイとベトナムが高齢化の進む先頭集団、第1グループで、続いてマレーシア、インドネシア、ミャンマー、カンボジアがその後に続いて、フィリピン、ラオスはやや時間をかけて進むと考えております。特にタイやベトナムにおいては国家レベルでもそういった社会システムの構築が急がれる状況の中で、方向性はいろいろ示されているのですが、全国的なサービス展開にはまだ至っていない。

その中でASEAN諸国においては、保健を担当する省庁と福祉を担当する省庁が分かれている状況が多く、そういった異なる2省庁間を橋渡しするような取り組みの支援が考えられます。

32ページ、「社会保障制度の整備」でございますが、ASEAN各国それぞれいろいろな段階に応じて社会保障制度を整備していく中で、年金であれば、例えばまだ大規模事業所の被用者に限定されている状況であり、そういった年金の手当の仕組みづくりや年金の理解促進の支援が考えられる。

医療保障については、インフォーマルセクターに対する医療給付、これをどうするかが共通の課題になっている状況があり、その中で基礎的な医療資源が地域にはまだ普遍的に存在しないような状況があり、そういった医療インフラ整備も推進しつつ財源の裏づけとして医療保障制度の開発への支援が求められているのではないでしょうか。

NCD対策」につきましては、これに対応するための医療提供体制、予防、健康増進のための社会基盤整備の重要性が認識されており、例えばASEAN地域では、喫煙についてはいろいろな施策があるのですが、今後、例えば栄養や教育などの分野でもまだ取り組む余地があり、そのような分野におけるポピュレーション・アプローチ、さらには二次予防の観点から言えば、健診のノウハウを提供するなど、そういったNCD対策の必要性を伝達していくことも有効と考えられます。

「高齢者関連施設の整備と規制」、33ページでございます。ASEAN諸国における施設の類型としては、社会保護施設、高級老人ホーム、中間層向けの老人ホーム、このような3つのカテゴリーで、現在富裕層を対象とした高齢者のホームと中所得層を対象とした高齢者ホームが民間資本により建設が相次いでいる状況があります。

国レベルでは、在宅を中心としたケアが大きな方針と掲げられていますが、ただ、こういった在宅や施設の整備のバランス、このような高齢者介護に関する国レベルでの施策のグランドデザインが必要ではないでしょうか。

さらに民間施設に関するサービスの質、これがどの程度関与するかはそれぞれの国で考え方が違うのですが、高齢者施設のサービスの質に関しては、そういった最低基準の設定や基準に関する民間施設への適用をどうするかは今後検討していく必要があるだろうということでございます。

「在宅サービスの展開と地域資源の拡充」に関しましては、在宅ケアを提供する仕組みをいかに地域レベルでそういうシステムを構築していくかということが現在大きな課題になっていますが、34ページ、現在ほとんどの国では在宅サービスは存在していない状況があります。

ASEANの国々は財政的な制約が多い中で、いろいろな支援機関や医療機関との協力の中でボランティア、NGOを活用した地域資源を発掘していくことが大きな流れになっているわけですが、そういった公的サービスより家族の支援や、特に地方部においてはボランティアに対する技術支援が取り組みの中心になっていて、例えば、今タイで進めているような「LTOP」において、公的サービスの開発が進められている経験は、今後ASEAN諸国に紹介することも期待されることでございます。

「高齢者の社会参加」につきまして、地域活動に政府が補助金を出すような取り組みが散見される状況ですが、持続的に取り組みを行っていく状況は難しくて、より政府側としては持続性があるようなモデルを示していくことが必要ではないでしょうか。

地域包括ケアシステムの構築は日本では進められているわけですが、地域住民の互助機能の見直しが進められている中で、ASEAN諸国との学び合いが共有できる状況にあるということでございます。

また、シルバー人材センターなどの仕組みを日本は有しており、こういった経験の共有、支援が協力として考えられます。

「人材育成」に関しては、行政職員の能力向上や、さらに専門家、学術関係の交流を今後積極的に推進し、情報の蓄積を進めていく必要があるということです。

35ページ、介護に関する専門人材の養成ですが、介護を担うにあたり、現在は家族以外では、メイドやボランティアが中心ですが、技術の専門性を高め、ケアの質を向上させていくため、政策対話や研修やセミナー、こういったプログラムを提供していく方向性があるのではないでしょうか。

次に「高齢化に関する社会統計等の整備」ですが、極めて困難な状況の中で、継続的なデータ収集が必要で、特に自立度に関する全国的な基準がないことから、科学に基づいた施策、立案が難しい状況にあり、こういった支援に関する方法も考えられるのではないでしょうか。

36ページ、「協力における日本のアプローチのあり方」で、日本は現在、ASEAN+3の枠組みの中で、保健大臣/社会福祉大臣等の会合、さらには毎年ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合を実施していますが、こうした政策対話の場を継続的に確保していくこが重要です。

また、そういった政策対話に加え、技術協力プロジェクト、先ほど申し上げたタイで「コミュニティにおける高齢者向け保健医療・福祉サービスモデルの形成プロジェクト(CTOP)」に続きまして、現在「要援護高齢者等のための介護サービス開発プロジェクト(LTOP)」が実施されているわけですが、LTOPではケアマネジメント等の介護専門サービスの開発を行っており、そういう取り組みとともに、マレーシアとの間では高齢化に関する経験を共有するプロジェクトを今後実施していく予定です。

JICAにおきましては、研修をこれまで進めてきましたが、そういった場は経験を共有し、逆に日本が学ぶ場として貴重な場となっており、今後もUHCや高齢化を焦点とした研修の場を活用することに期待できるということでございます。

民間におきましても、介護サービス、医療・介護機器関係の展開、これを模索する企業も現れておりまして、そういった民間での協力も期待されているところです。

37ページ、「ASEANの高齢化対策関連のネットワーク形成」ですが、ネットワーク形成ということで、ASEAN地域内におる高齢化対策の有識者のネットワークを形成していくというアプローチの中で、そういった場を設定し、有識者の交流を行うといったことも想定されます。

さらに「日本側の伝達と必要とされる知見の再整理」ということで、各国の文化や社会経済状況にあわせた協力ということで、その方法や内容を再整理し、さらには各国が使えるような国際協力を行っていく中で、英語化された情報が不可欠となります。

さらには、国際協力を推進していくための人材を育成していく必要があります。

「各地域における優先課題と協力のあり方」ですが、1番目にベトナムがございます。短期間に高齢化への対応を必要とする国として、多岐にわたる要望をいただいているところですが、特に施設に関しては、質の確保、規制のあり方について政府も関心を持っている状況でして、有力なテーマの1つ。

また、個別の施策の検討を行うことに加え、高齢化が進展した場合の課題解決のための施策のグランドデザインを検討する必要があるのではないか。

さらに、UHCに向けた取り組みの支援として、基礎的な医療資源の整備を進めるとともに、日本の経験等の共有という形で支援を行っていく方法も有効と考えられます。

タイにつきましては、具体的な支援策の全国的な普及が課題となっているわけですが、現在実施しておりますLTOP、こういった中で専門サービスの普及とともに、国の政策レベルでの高齢者支援の仕組みづくり、これにつながっていくことが期待されています。こういった専門サービスとたくさんいるボランティア、これを組み合わせた上でどのように施策を推進していくかといったことも課題であり、それを支援していくことも考えられます。

また、こういった取り組みを先進的に進めているタイは、周辺国への技術的な援助国としても期待されているところです。

インドネシアですが、施設や人材育成、こういう部分ではまだ十分でない状況があります。特に統一化された国レベルでの高齢者ケアの基準づくりやケアの質の確保に向けた基準づくりが優先的に取り組める課題ではあると思っています。

また、インドネシアは非常に文化、民族、社会構造の違いが大きいということで、地域に合った取り組みが必要です。

人口規模が非常に大きい国なのですが、高齢化が早く進むということで、UHCを含む社会保障制度の構築を目指していて、そういった分野でも協力が可能ではないでしょうか。ほかのASEAN地域と同様に情報交換、相互協力を推進していくことが求められております。

40ページですが、マレーシアでございます。マレーシアは地域社会に根ざした支援システムを構築していくことを目指す方向性ですが、量や実施地域の点で限られているということで、具体的な戦略が必要となっている段階で、また民間の高齢者施設が増加している中で質の確保のための規制のあり方も課題となっている状況でございます。

それ以外の「ASEAN諸国」の中でシンガポール、ブルネイですが、政策協議を行っていくということと、介護サービスや福祉用具・機器、介護人材に関して情報を提供していく。

フィリピンについては、ASEAN諸国の中で高齢化の進展が遅い国ですが、むしろこういった地域格差を解消して、将来の高齢化の基盤づくりを優先していく方向性。さらには災害に対して高齢者支援や福祉的対応などについて、日本の災害の経験を共有していくという方向性もあるのではないか。

 ミャンマー、ラオス、カンボジアにおきましても、保健医療資源の整備や将来的なUHCの確立に向けた取り組みを優先していく方向性が記載されております。

41ページの図13が日本の貢献をまとめたイメージでございます。

42ページ、「おわりに」でございますが、この中で特に2つ目の「○」ですが、2014年度、社会保障をテーマとしたASEAN諸国との間の協力、強化を目的とした「ASEAN日本社会保障ハイレベル会合」に加えて、今後新たに「ASEAN日本アクティブ・エイジング地域会合(仮称)」を6月に開催することを現在計画していることと、さらに今年は「ASEAN+3保健大臣会合の開催が予定されておりまして、これらの機会を重ねて、Active Agingに向けた取り組みを日本から積極的に支援していくことが期待されるという記載でございます。

以上です。

○堀江課長 座長、もう少しだけ補足させていただきます。

○尾身座長 はい。

○堀江課長 ご清聴いただきましてありがとうございます。きょうはギャラリーの方もたくさんお見えになっているので申し上げますと、2ページを開けておいていただきたいのでございますけれども、今かなり忠実に説明してくれているのですけれども、そういうのを全て理解しようとすると大変な内容になっているわけでございまして、ただ、それをみんなで一緒の立場で心配しなくてもいいのではないかというあたりで、特にギャラリーの方の気を楽にしたいというのが、それで2ページを開けていただいているわけでございますけれども、図を3つ見ていただくことになります。

2ページに図1がございまして、ASEANでいえば、Problem Identification、問題をどう特定していくかということが大事でしょう。それからPortfolio of Japan Experience、日本の経験はどんなものがあるかという知識を整理することが大事でしょうと。そうしたことによってSolution(Project)が出来てくるのではないか、こういうことであって、ASEANでいえば高齢化がどんなに進んでいるのか。それから、4カ国についての調査記述がなされているわけですが、どんな状況があっただろうかということが調べられる範囲で書いてあるということです。

それから、日本の側でいえば、社会保障制度はどうあるべきかみたいなことをしていたら、こんな国際化の話では追いつかないぐらい幅が広いわけでございますけれども、どんな経験を日本はしてきて、それぞれどんな分野でどんなことがあったということを整理したあたり、その辺までが1章、2章でございます。

それで、どういう結論があり得るのかというのが第3章でございまして、それが30ページ以降になりますが、35ページを開けておいていただきますと、表4がありまして、Active Agingの3要素は、健康(Health)、参加(Participation)、安全(Security)WHOの定義などを援用しながら整理した上で、施設サービス、居宅サービス、NCD対策(非感染性疾患対策)、生活習慣病に近いと思います。Participation(社会参加)、就労・生きがい対策、医療保障、老齢所得保障、どんなものが協力の内容としてあり得るだろうかというのを総論的に整理しているのが35ページまでのところでございまして、その後、36ページ、むしろ38ページから、各国について、より具体的に敢えて言うならば、こんな協力があるかというものを整理してみているものでございまして、それをまとめたものが41ページにある図13です。

13は、この検討会が進む過程の中で、ASEAN・日本特別首脳会議が1211日から13日ぐらいのところにあったわけでございまして、その際に厚生労働省が資料提出する形で、この図13に非常に近いものを提出したところ、それがそのまま会議資料になってしまいましたので、それをさらに改善をして今回ご提出しているところになってございます。

ここの中でいえば、タイがいろいろ先進的に取り組みを始めている。マレーシア、ベトナムあたりが、今、非常に熱心に新しいプロジェクトを進めようとしている。インドネシアは、今、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の大改革の緒についている。そして、フィリピンは大きな台風があったという意味では、日本と同じように被災をされているところに着目して書いてございます。シンガポール、ブルネイはODAということでは対象外なわけでございますけれども、むしろ日本のすぐれた技術などをもっと使っていただくような形で働きかけをすることもあるのではないかということ。ラオス、カンボジア、ミャンマーはタイの周辺国ということもあり、UHCを既に10年も前に導入されているタイが、実質手を動かす形で日本が支援するみたいなこともあるのではないかということが、第3章の4番のところに国ごとにいろいろと書いてある、こういうことでございます。「おわりに」のところは今後の展望が書いてある。

そういうことでございまして、山内室長が説明したものは正確なのでございますけれども、まじめな聴衆の方はそれを覚えようとすると大変なことになるので、少し気を楽にしていただきたいと思ったわけです。

それから、この際、御紹介しておきますけれども、この資料をつくるに当たりましては、私どもで作成しているわけでございますけれども、今回これは委託事業として、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの岩名さん、武井さんがいろいろなサポートしてくれていまして、きょうも横のほうに影武者のように座ってくれていますので、一言お礼方々ご紹介しておきたいと思います。ありがとうございました。

○尾身座長 どうもありがとうございます。

 それでは、残りの時間、3時45分ぐらいまで、今説明をしていただいた検討報告書(案)について議論をしてみたいと思います。今、事務局からの説明がありましたけれども、ハイライトはおそらく第3章だと思いますので、第1章と第2章をまず議論して、それが終わったら第3章について独立して話を進めていきたいと思います。

それでは、第1章、第2章について、何かコメント、修正するべきところ等々ありましたら、どうぞ発言をください。

○堀江課長 私ばかりしゃべっても何ですが、ページ3、4のところで、統計を少し整理したものを図2、表1として用意させていただいているのですけれども、これは既にこの会にもともとから提出しているものなのですが、出所のところにUN:World Population Prospectsを使っていて、2010年を使っていたのですけれども、この検討会をやっているうちに2012というのが出てきてしまい、ここは直しているのですけれども、ほかのところで根っこの部分を変えてしまったものですから、ほかに影響して、それまで直しきれてないというような状況もありますということだけ少し補足しておきます。

○尾身座長 わかりました。

 それでは、コメント、質問等々ございますか、堀田構成員。

○堀田構成員 9ページ、10ページのあたりなのですけれども、まず「セルフケアの考え方」のところで、「自らの健康を自らの責任で管理する」というところがやや意味が狭くとられているような感じがいたしまして、まずは自分の生き死にを自分で決めて、自分の心身の健康をというか、自分の尊厳を自分で守っていくというか、そういう感じで少し広げていただけるといいのではないか。自分の生き方、死に方を自分で決める。そして心身の健康を自分で守って支えていくという感じで広げていただけるといいかと思います。

それから、セルフマネジメントのプログラムなのですけれども、学び合いのプログラムをつくっていくというところが割と世界的な潮流として大きいのではないかと思いますので、「やってね、皆さん」という感じではなくて、学び合っていくというような感じのことを入れていただくといいかなと思います。

2つ目の「○」に関しては、「健康教育、疾病予防~」とありますけれども、「社会保障教育」というものも入れていただけるといいかなと思います。

あと、10ページで、これは第3章のところにもつながっていくと思うのですけれども、最後の「○」に、「地域ごとの特性にあわせた施策展開や地方行政官への能力向上が重要になる」と書いてありますが、本当にそのとおりなのですけれども、そのことに加えて、後ろにも関連すると思うので、Active Agingということを考えていく上では、地域ごとに住民の方々の健康の状況や考え方、健康に対する意識も違っていて、ニーズや資源が違うというだけではなくて、それにも影響を及ぼしますけれども、住民の方々の考え方も違うので、住民自らがその地域の最適をローカル・オプティマムというか、住民を巻き込みながら、「住民自らが地域の最適を選んでいくことが重要」というようなニュアンスを少し入れていただけるといいかと思います。以上です。

○尾身座長 大変鋭い御指摘で、幾つかあったと思いますけれども、最初の「自らの健康」というところを少し広げて尊厳だとか、それはよろしいですね。文字は事務局に任せていただいて。

それから、学びのことは、堀田構成員、どこのセクションで言ったらいいですか。

○堀田構成員 セルフマネジメントのところを学び合いという感じにしていただければいいと思います。

○尾身座長 そこにも上から来るのではなくて、みんなで学び合うというところをそこに。

○堀田構成員 はい。

○尾身座長 わかりました。それから社会保障についても少しみんなで勉強するという、これはいいですね。それから、最後の点は、住民が自ら参加して、住民の考え方等も十分反映されるということですね。これについてはほかの委員の方、よろしいですね。確かにおっしゃるとおりだと思うので、ぜひその辺を事務局は反映させて修文をお願いします。大変すばらしいご指摘ありがとうございます。

その他、ございますか。曽根構成員。

○曽根構成員 Active AgingActiveのところを阻害する要因は何かと考えたとき、疾病があると思います。NCD対策のことはいろいろ書かれていますが、認知症に関する記述はないか、あるいは薄いと思うのです。その点はこの検討会でどのように捉えたらいいのか伺いたいと思います。

○尾身座長 認知症というのがサーチするとどのぐらい出てきますか、この42ページで。ほとんど出てきてないですね。実はこれは皆さん御承知だと思いますけれども、イギリスが、今、認知症のほうで非常にリーダーシップとっていて、今、日本は高齢者化の問題をやっているのだけれども、確かに、今、曽根構成員がおっしゃったように、認知症のところが比較的というか、かなりサイレントになっているので、ここは意図的に省いたというよりは、この文脈の中で認知症のこともカバーされているのだけれども、明示的には言葉を使わなかったということで、事務局は意図的に下げたということではもちろんないですね。

○堀江課長 申しわけございません。認知症も避けてはおりませんし、逆に寝たきりというもので明示的に書いてもいないという意味でいくと、予防とケアと分けていて、ケアのほうに、例えば疾病の対策をするという意味でいえばケアに入るし、認知症なら認知症、寝たきりなら寝たきりになりにくいようにするという意味で予防のほうに入るという形になっています。

今、座長からイギリスが中心になってという言葉がございました。宣伝を兼ねて申し上げますと、昨年の12月に認知症サミットをG8で行ったということがありまして、厚生労働省も土屋副大臣筆頭に私も随行いたしまして行ってきておりますが、日本に恐らく280万人は認知症の方がいて、440万人まで潜在的な人がいらっしゃるというようなことがありまして、重要なテーマだと思います。

解決策でございますけれども、明示的に避けているものではないと申し上げたものの明示的に書いてもいないというのも確かなことでございますので、そういうものも対象のスコープに入っていますということを書かせていただくようなことでいかがかと思いますが、要は認知症について入っていきますと、コミュニティでの支え合い、例えばアルツハイマー協会のような取り組み、かなり個別になってきている。

それとアジアの部分でのインパクトはまだG8のインパクトとは少し違うところがあって、殊さらには書いてはおりませんが、堀田委員の手が半分挙がっていますので。

○堀田構成員 ちょうど私も指摘をさせていただこうと思っていたところで、アイディアとして、23ページのところに、「高齢化対策に関する取組」というのが、社会保障から始まっていますけれども、「NCD対策」のところに「健康日本21」まで書いてありますけれども、せめてオレンジプランのことを入れておくというのがいいのではないか。全体としては認知症がおっしゃったようにあちこちにありますが、一応入れておくのがいいかなと思いました。

○尾身座長 認知症のことを少し整理して、同時に、例えば8ページの「Active Agingに関するその他の論点」の(ア)の2行目に「高齢者の心身の状態」なんていうことが書いてありますね。ここに書いてあるような「心身」といって、恐らく高齢者のいろいろな問題というのはフィジカルな問題と、認知の問題とありますね。それは両方あるのだということで、これはアジアの発展途上国にはまだないけれども、これから恐らくそういうことが増えるだろうという意味なことを、体・フィジカルのほうと認知のほうと両方を少しどこかに折り込んで書いて、今、堀田構成員が言ったところをやれば、そういう誤解も解けるのではないかと思うので、適宜、場所があれば両方を入れておいていただければいいのではないかと思います。

そんなところで認知症はよろしいですね。これはみんなの共通の理解。どうぞ、鈴木構成員。

○鈴木構成員 認知症の件で、今の8ページもそうなのですが、高齢者の定義で65歳以上を高齢者全体で見てしまうと、NCDというものと認知症というものとがなかなか混在してクリアに書き分けられないのだと思うのです。私、第1回目の会議でも申し上げたと思うのですが、日本の場合、これだけ大きな集団、すなわち全体の25%を占めて、実数でいうと3,000万人以上の方がいるときに、一括で「高齢者」と呼びきってしまうことができないのですね。

認知症というのは、特にアルツハイマーは御存じのようにAging dependentsな病気で、80歳以上でないとまず出てこないのです。それ以降、有病率がものすごく高くなってくるのですね。ですからNCDというのは、これは実は前期の高齢者までの問題なので、一般に私たちがNCDと言った場合、日本語でいうと「生活習慣病」という意味合いが強いです。認知症がNCDかどうかというのは非常に議論のあるところで、私はいわゆるライフスタイル・リレーテッドのものではなくて、Aging dependentsなものなのですね。

しかも私たち日本が、アジアのこれからの国々に、何か私たちの経験や実態をお伝えするときには、高齢者というのは日本では65歳以上だし、75歳以上というのは心身の機能が明らかに減衰して、それに伴ってNCDとは必ずしも言えないようなアルツハイマーであるとか、日本で「ロコモ」という運動器不安定症であるとか、栄養と口腔といったような、前期の方々には見られないものが出てくるので、全部細かく書く必要はないのですが、そういうコンセプチュアルなフレームワークをきちんとしないと多分今のような混乱が起きるのではないかという気がいたします。

○堀田構成員 今の先生の御指摘は大変重要で、私は丸め込んで入れてしまえばいいのではないかということを言ってしまったのですけれども、今、先生がおっしゃったことをお聞きしながら少し思ったのは、これも第3章にもつながるところかと思うのですけれども、御指摘のように、高齢化が進んでいくことによって疾患構造が変わっていき、さらに複合的な疾患を持っていく人たちが増えていき、それに対する対応をとっていかざるを得なくなっていくということが前にも出てきて、それで先ほど高齢化対策に関する取り組みのNCDのところで認知症も触れてしまえばと申し上げましたけれども、例えば高齢化が進んでいったことによって、認知症有病率の高い人たちであり、慢性疾患を複合的に持っている人たちも増えていき、だからこそ旧来のこういう対策だけでは済まなくなってきたという枠組みを1つ立てて、第3章でも、人口の高齢化というのは、そういう疾患構造の変化とか対策の変化を見せているのだということの共有も必要だというような感じで引き取っていくというのが正当なのかもしれないと思わされました。すみません、感想です。

○堀江課長 鈴木構成員のおっしゃったことをさらりと入れるのは可能だと思います。と言った上で、座長の根本的な話にかかわってくるのですけれども、このペーパーをどなたに向けて発するのかというところを考えると、ASEANの国々の人たちが重要な対象者であることは間違いがなくて、そちらでは60歳以上を高齢者という定義でガンガンにきていますので、そういうものだけではないのだということで、日本は65歳を混ぜたりしておりますので、あまりアカデミックに、すみません、批判ではないのですけれども、入ってしまいますと、教材的な本としてあまり向かなくなってしまうところがあるので、ずぼんと入らない程度に書いてまとめるぐらいがいいかと私は思っておりまして、多分専門的な角度から見ていくと、まだまだ不十分な部分があるかもしれませんけれども、少しシンプルにしている。それでも40ページを越してしまったと、こんな状況でございます。

○尾身座長 今、堀江課長から、ここに鈴木構成員がおっしゃったことを少し入れることは可能だと、そういう話があったので、私のサゼッションは、今、高齢者の定義というのは確かに大事で、こういうことがありますということで、恐らく読む人は高齢者の定義がどうなっているのか、そのものをそれほど興味は、それは情報としては必要だけれども、それが主たる関心でなくて、今、鈴木構成員と堀田構成員がおっしゃったように、高齢化社会がもたらす健康に対する問題は何なのかということを少しここに、未曾有の高齢化社会で、今まで人類が経験したことのないような新しい、今言ったような一人がいろんな問題、複数の疾患を持つし、認知症という余り人類が経験してないようなことも出てくる。そういう新たなチャレンジが出てきているのだということをここに書けば、定義も書いて、定義及び高齢化社会がもたらす我々のチャレンジみたいなことにすると、今の両方の懸念が一挙に解決するのではないかと思いますけれども、どうですか。

○堀江課長 事務局というか、課の人もいるので、簡単に話してしまえば、アジアにおいて、60歳以上を高齢者としてとらえている傾向にあって、日本では一言で言えば65歳以上を高齢者として定義づけつつ、しかし高齢者の心身の特性みたいなものは年齢によって一律に決まるものでもないし、逆に言えば、認知症のような課題は、今、鈴木先生の言葉をそのままおかりしてしまえば、後期の高齢者により重点的に出るような問題として認識されている、というぐらいでピリオドを打ってしまうということもあるかと思います。

○尾身座長 そうですね。そういうことで修文はお任せしますけれども、意味としては、高齢化社会がもたらすそういう側面、認知症も含めて、そういうものが出てくるということを少しここに書いておけば、今、鈴木構成員、堀田構成員の懸念は十分反映される。

その他、ございますか、大泉構成員。

○大泉構成員 2つあります。1つは、今回の研究会が非常にユニークな点は“Active Aging”という言葉を使ったということだと思うのですが、それをアジアの支援としてなぜ取り入れたのかというようなことをもう少し説明した方がよいと思います。それは、アジアではこれから高齢化は進むのだけれども、まだインパクトは小さいと。今の段階ですべきことを検討するための視点であったと私は理解しています。

2つ目は、「Active Agingに関連する配慮すべき事項」として5つ挙げられているうち1つ目、2つ目、3つ目は、私としては全く問題ないと思っています。1つは女性の問題、文化の問題、そして家族の問題。

4番目、5番目が、もう少し整理が必要ではないかと感じています。4番目は中央から地方へというような指摘だと思うのですが、配慮すべき点には、地方の財政能力であるとか、行政能力という点が含まれるのかなと思います。

5番目については、インフォーマルセクターに関するものですが、個人の資産能力などにも触れておくべきかもしれません。各国において所得格差が著しいなかで、どのように公平なサービスを供与できるかあるいはコミュニティの持っているキャパシティの格差にも触れておく必要があると思います。

以上です。

○尾身座長 今の大泉構成員の指摘、特に10ページの最後の2つの「○」、特に中央政府の役割云々いという地方分権のところをもう少し、本来これはWHOも地域のパティシペイションなんていうところが3つの柱のひとつとして強調されているので、確かに基本的枠組みは中央政府の役割と言っているのだけれども、実際のActive Agingにおいて主要なプレーヤーの1つは地域ですね。だから、確かにこの文章自体は少しおっしゃるように修文を少しされたらいいのではないかと、私も今お聞きして、中央政府の役割はもちろんあるのだけれども、かなりの部分はコミュニティでやらなくてはいけないという話ですね。

○大泉構成員 はい。

○尾身座長 そういうことだから、ここは中央政府の役割はもちろん位置づけられるものというよりも、中央政府の役割はもとよりたくさんある。しかし、それが実行されるのは地域での、先ほどの個人の活動、地域での参加等々のことを、ここは修文されたら誤解がないのではないかと思いますね。

それから、2番目の問題は、先ほどの住民ということは、先ほど堀田構成員も少し言われたことと関連するから、先ほどの堀田構成員のコメントを入れるところで、大泉構成員の意見も一緒にやられたらどうですか。よろしいですか、事務局は。

○堀江課長 そうさせていただきます、と言った上で、私もタイで専門家をしていたときの経験から申し上げますと、自治体の役割が強調されて、こう書いておいてあれなのですけれども、アジアにおいては自治体に当事者意識がなかったりするというところがございまして、というのは保健サービスなどを国営で末端までやっていたりしますので、そういう意味で、そうした地方の自治体への意識喚起なり強化なりというあたりを少し書いたらいいのかしらと思います。

○曽根構成員 若干関係するかもしれないのですけれども、26ページからの国内調査結果が幾つか書かれていて、私も実際に参加させていただいていろいろ学ぶところが多かったのですけれども、これが報告書の中でどのように位置づけられるかが曖昧だと思いました。26ページに「参考となる事例とポイントを整理した」と書いてあり、それぞれの事例ごとにポイントは書いてあるのですけれども、これらの事例をどのようにASEAN諸国に役立てていただくのかというところが必ずしも明確ではないと思います。

ざっと見たところ、多分共通するポイントとしては、マルチセクトラルアプローチであるということ、高齢者自身が参加していること、それからヒューマンリソースを強化していることの3点があげられるかと思いました。先ほどの話、自治体自身が力を持ってアクティブにやることによって社会が変わっていく、コミュニティを強化していくというところがポイントかと思うので、個別事例はいろいろあるのですけれども、そういうまとめをどこかに書いて、こういうところを各自治体の事例から学んでいただきたいとか、あるいは日本もそもそも自治体のこういう取り組みが国全体に波及したり、国の政策として取り上げられたりといったことが見られるので、自治体も国だけに頼らず、自分たちでいろいろ創意工夫をしていくべきであるというような、そんなメッセージもあるのではないかと思いました。

○尾身座長 確かにいい指摘ですね。時間の関係で、1つのサゼッションは、国内調査結果でポイントを整理したと書いてありますね。そこで読者は何かと、結論は何かというときに、今、曽根構成員の個別には千葉から書いてあるのだけれども、ポイントを整理し、ここから得られた共通のメッセージは今おっしゃった3つのことがということを少し書いておくと。こういう3つのマルチレイヤーの話、ヒューマンリソース云々の話が共通の1つのサクセスストーリーのエッセンスとして取り上げられたと。さらに個別のことは下を見てくれと、こういう書きぶりでどうですか。

○堀江課長 この報告書の最大の弱点をうまくついていただきまして、この調査がどう報告書に結びつけられているのかというのは、本当にありがとうございます。みんな悩んできて、事務局をサポートしてくださっている方も苦笑いしておりますので、そのとおりにさせていただきたいと思います。

○尾身座長 それでは、その他ございますか、江口構成員。

○江口構成員 修文ということではなくて、全体のスタンスについてですが、今までの御意見を聞いていて、報告書や検討会のスタンスに関する感想にやや違和感を感じるのです。というのも、実際私はベトナム、タイも見せていただいて、高齢者の施設や在宅の高齢者を見せていただいたわけですね。確かに認知症とか、そういったものはすごく大事なのですが、これらの国の介護の実際は、施設では高齢者がベッドに置かれていて、お医者さんもいるかいないかわからない。在宅も報告書に書いてありますが、在宅サービスらしいものも十分ない。そういう中でどうしていこうか、というのが検討会の議論なのではないか。

したがって、いろんな高度なことを望むのは簡単なのですが、非常にわかりやすく言うと、例えば高齢者対策の発展段階として、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップがあるとすれば、第3ステップを望むのも大事なのですが、まずはそれぞれの国の実情に応じて、第1ステップだったら、次のステップはこういうのがあるのだが、それは可能なのかとか、ステップ・バイ・ステップの議論が必要なのではないでしょうか。実際の現場を見ると、今の日本で議論になっている高齢者対策のイメージと、これらの国々の現場で高齢者が置かれている状況とはかなりギャップがあるのではないか。日本の第3ステップのレベルの議論だけで先導するのがいいのだろうか。もちろんそれも必要な場合があります。例えば認知症などに医学的にどう対応するかといったことは大事な議論なのですが、実際に施策を考えるときには、まだ在宅サービスも何もないところにどうしていくかという話と、それから、日本のようにいろいろな在宅サービスがある中でこれをどう組み合わせるかというレベルの話とはかなり違うのではないか。

ASEANのハイレベル会合で来日したアジアの国の関係者も日本の現場に行かれていると思うのですが、多分、彼らが日本の進んだ施策を見ることによって、ああ、日本ではこういうことをやっているのかというのを学んで、そのうちの何分の1でも、自分の国で利用できたらなと感じていただくことが大事なのではないか。どこの国もすぐに第3ステップに行けばいいのですが、実際を見ると、その前にもう少しステップ・バイ・ステップみたいなものが必要であって、多分この検討会は、そういう意味ではステップ・バイ・ステップで最初から第3ステージを目指すということは余り念頭に置かない方がよいのではないかと思います。今までの議論を聞いた感想です。

○尾身座長 わかりました。今の江口構成員のお話は、我々みんな多分同感だと思いますね。実際の現場はそうバラ色ではない、ないないづくしのところが。そういう意味では提言を1段階、2段階という、1つの方法ですけれども、実は第2章ですか、各国の実情という欄があります。第2章のベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアの実情というところを見ると、かなり現実についても書かれていて、例えば13ページのベトナムの「(オ)Active Agingに関する特徴・課題」の「○」の1つ目の3行目を見ると、「高齢者向けの介護施設は、貧困高齢者の利用に限定され、絶対数に不足している」ということも書いて、そういう意味では現状はこうだということはかなり正確に記載されていて、では次、どうするかというのは、ある程度、遠い向こうにはこういうものを少しずつ目指すという書きぶりになっている。

○江口構成員 別に文章を直せというのではなくて、今までの御議論を聞いていると、実際現場を見た感じとギャップがある。ご意見はわかるけれども、あの現場を見ると、すぐにはそこまで行けないのではないかという率直な印象ですね。

○尾身座長 確かにそうですね。それで、今の話と1つ、先ほど大泉構成員が言われた、なぜActive Agingなのかという問題提起があったから、そこで、今の江口構成員の話とも一緒で、私のサゼッションは検討会の目的の1ページ、ここになぜActive Agingなのか。日本が今先進で、まだ他の多くの国は、いずれそうなるのだということを書いておくことが、今、江口構成員の、実は日本はかなり先へ行っているのだけれども、いずれ、そういう問題になるということの1つのメッセージでもあるから、「はじめに」というところを、会の目的は何で、なぜActive Agingというのか、これは日本が経験していて、まだ多くの国が必ずしも日本と同じではないのだけれども、いずれ、そうなるので、これを先駆的な取り組みとしてやったみたいというような趣旨のことを書くと、大泉構成員、先ほどはそういうことですね。

○大泉構成員 はい。

○尾身座長 江口構成員の話でも、日本は進んでいるので、実はそう簡単には追いつかないけれども、道標の1つの参考としてやるのだということが問題意識になりますね。

○曽根構成員 今の関連で言うと、多分途上国は今の日本ではなくて、30年前とか40年前とか、昔の日本の対応というか流れを知りたい。参考にできると思っているのではないでしょうか。科学院に来る途上国からの研修生に聞いても、日本の歴史を教えてくれという声が多くあります。

そういう意味では、21ページの「高齢化対策の変遷」のところですが、例えば医療費が上がったというなら、どのくらい上がったのかを示すべきだと思います。表3など字が細かい表が載っているのですけれども、これだけ見ても多分何も伝わらないと思うので、もう少し日本がどういう歩みしてきたのかを図を使って説明的に示してもよいのではと思いました。

○尾身座長 実は話がずれて恐縮ですが、厚生労働省の佐藤健康局長も来られていましたし、正林感染症課長も、沖縄でつい数日前に会議があったのですね。感染症を中心にして、どう日本が世界に貢献できるか。私もたまたまそこへ行って、そこで実は同じような話が出て、発展途上国に、今、一部で日本の先進的な医療技術やら薬を売ればいいのではないかという動きが先進技術ですね。という動きが一方である。同時に、それだけでは事の一面しか伝えないのではないか、日本のステート・オブ・ザ・アートのテクノロジーだけではなくて、日本は平均寿命が上がり欧米並みになったのは、日本の公衆衛生対策などがしっかりした保健所などがあって、GDPが上がる前にしっかり対策打ったので、日本の平均寿命が欧米並みになった。お金だけではないのだというようなことが参加者からかなり強いメッセージで、沖縄の会議にはそのステートメントにそのことが入りました。

そのことは、確かにこの中に、高齢化対策と同時に、これはUHCのことも書いてありますね。いずれアジアの中で、そういう日本の歩んできた、高齢化対策だけではなくて、少し広い意味で、日本が健康寿命を獲得してきたか、そこだけワンパラグラフを書かれたら、そういうものなのかと。高齢者対策、このこともそのまま残しておいていただく。そうすると全体として発展途上国の人は参考になるのではないかという感じがしますね。

○堀田構成員 今のところにも関連しつつ、後ろの第3章も入った発言をしてもよろしいですか。

○尾身座長 関連があれば、どうぞ。

○堀田構成員 余り増やしたら、いけないと思うのですけれども、私は海外へ今回行けてないのですが、今、まだ割と病院や施設をつくろうと、どちらかというとやろうとしているのではないかと思うのですけれども、日本が病院から、今、地域へ行こうとしていて、それによるコストとの関係みたいな、居場所がどのような感じだったかというか、多分ASEANの各国はまだ箱ものをつくろうという段階にあるのだとするということなのですけれども、それでずっと来て、今、日本は地域へと行こうとしていて、何かその辺の流れも少しあるといいのではないか。これはあってもなくてもいいほうの1個目です。

ぜひ入れていただきたいのは、先ほどの江口構成員のおっしゃったのをお聞きしながら思ったのは、2点目のほうで、日本の経験の中で、例えば介護保険を導入したというのは、自律とか自己決定というものをしっかりと理念として共有しようという転機でもあって、このことは非常に重要な点ではないかと思うのですね。

後ろの33ページ、「高齢者関連施設の整備と規制」、「在宅サービスの展開と地域資源の拡充」というところの中に、33ページの真ん中あたりに、「在宅を中心としたケアを原則とする考え方を中心に据えるなど国際的な高齢者ケアの潮流」等々と書いてあるのですけれども、多分各国なり各地域は世界の動きを見て真似していくというところだと思うので、大分前の状況なのだと思うのですけれども、そもそも御本人の尊厳とか、そういうものはどういうものなのかということを共有しておかないとすごくぶれてしまうことになると思うので、後ろで改めてそこを触れようと思うのですが、日本の流れの中でも、1つ2000年の介護保険の導入と自立支援とか自己決定とか尊厳ということを改めて国民全体が共有するメルクマールになったというようなことを、それがないとどんどん変な方に行きかねないというような意味で、規範の共有みたいな意味合いとして位置づけていただけるといいなと思います。以上です。

○尾身座長 具体的にはどこに、自律、介護のことを書きますか。

○堀田構成員 2122ページの「高齢化対策の変遷」の、介護保険が導入されたのはどこかにあるのですね。

○堀江課長 21ページの(1)の3番目の「○」のところに介護保険への導入、ちらりと書いてあります。

○堀田構成員 そのことをしっかりと、自律、尊厳、それがないとActive Agingが成り立たないと思うので、共有する契機になったというような理解が正しいと期待しますが。

○堀江課長 あと24ページの上の「○」です。

○堀田構成員 どちらでも構わないです。

○尾身座長 それは日本の介護保険の精神にも当然そういうのは表れているから、これは書いたらいいのではないですか、両方の場所に。

○堀田構成員 共有することが大事ということを後ろに。

○尾身座長 これは事務局よろしいですね。そのことは特に問題ない。

○堀江課長 はい。

○尾身座長 どうもありがとうございます。ほかにございますか。今、3章に移りましたので、2章、3章、そろそろ。

○江口構成員 この前のASEANのハイレベル会合に出していただいたときの感想を踏まえてなのですが、もちろん日本が進んでいることはあるのですけれども、ASEAN各国で、例えばタイの人がこうやっているというと、ほかの国の人が、なぜ、そうなっているのだとか、日本がすごいから、みんな日本のことを学ぶわけではなくて、意外と各国が同じようなことをやっていても、隣の国のことは知らなかったりするのです。先ほど言ったレベルの話ではないですけれども、最初に3段階あるとして、仮に1と言ったら怒られますけれども、1のレベルのところでも、いや、うちはこうやっていて、お宅はこうだとか、互いに学ぶところがあるのではないか。しかも意外にASEANの国同士が知らないのではないかと思いました。もちろん日本がここにいるから、ここを目指せというのもあるけれども、隣の国同士、同じようなところで、お宅はこういう知恵があったのとか、国同士の学び合いというのでしょうか、実はそこも結構お互いに意義があるのではないか。だからああいうASEANで、例えば社会保障、高齢化とかをみんながフランクに議論し合う場が必要なのではないかという気がしました。37ページの(イ)の2番目の「○」、「日本の主導によって、エリア単位での政策協議の場を設定し、定期的に有識者の交流を行う」、こういうのも大事ですが、エリア単位というのはどういうエリアを意味しているのかよくわからないのですが、どうも聞いていると、別に日本だけではなくて、隣の国で、ああ、そういうのをやったのとか、これはどうやって説得したのかとか、そういうもっとフリーな情報交換の場とか、そういうのも役に立つのかなという印象があるのです。余り日本のこれがこうだからと押しつける必要はなくて、例えばこういう問題についで、うちはこうやっている、ほかの国はこうやっているとか、そういうディスカッションというか、情報交換の場があって、そういう場を日本がうまくセッティングをする。

その中でもし何かあったら、日本は例えばこういう経験をしたとか、そうすると、それぞれの国に応じて、それぞれが取り入れるとか、何かそういった意味で、日本だけは上から目線で見る必要もなくて、実はみんなそれぞれ議論していると、お互いに学び合うことがあるのではないか。私はASEANの場を見て、そういうものも必要だと思いまして、そういう趣旨をどこかに入れていただければと思うのです。

○堀江課長 「おわりに」みたいな格好になっているところで恐縮なのですけれども、まさに、今、学び合いといいますか、場の提供みたいなところが、42ページのところに書いてありまして、ASEAN+3の場で、まさにそれはエリアというのはASEANの地域ということでいいのだと思うのですけれども、ASEANの地域での協力強化という話があって、それでASEAN地域における高齢化に関する国際協力に関するセミナーが開かれ、まさに最初に紹介がありましたように、特別首脳会議においても今後協力を強化していくというようなことになっているし、また、これから先も、例えば、今、計画中ですと書いてあるような会議もして、ASEANのつなぎの側面もこの中に入れております。

○尾身座長 そういうことで、多分事務局は江口構成員のおっしゃったことは当然。今、江口構成員が指摘されたので、私もひとつ。今、初めて気がつきましたけれども、37ページの(イ)2番目の「○」に、「日本の主導によって」というのがあるので、これは外国語にもし翻訳されるのであれば、「日本の先駆的な経験なども参考にし」というぐらいにしておけば、今のセンチメントはいいですね。

○堀江課長 気持ちとしては、イニシアチブぐらいは書こうかなと思うのですけれども。

○尾身座長 イニシアチブのほうがいいですね。日本の経験をイニシアチブを持って、その辺でいいのではないですか。その他、堀田構成員。

○堀田構成員 31ページからなのですけれども、まず、「高齢化対策に関する中長期的な国家戦略の策定」のところで、これは日本もあまり得意ではないところではないかと思うのですけれども、Active Agingということに関して、その定義であるとか目標設定をして政策に取り組んで評価をするというような、その一連のプロセス、定義を共通に持って、そして政策を一緒に、先ほどのプラットフォームというか、横を見ながらでも、勉強しながら作って、評価することをしっかりやれるようにすると、それは先ほどのプラットフォームの場も生きてくると思うので、国レベル、特にここは国家戦略なので、政策を立案して、実施して、評価するというサイクルをきっちりと作っていく。これは特に別に日本が進んでいるわけでは余りないと思うのですけれども、これが重要だということを入れていただくといいのではないかと思います。

あと、これはこのままがいいかどうかわからないというレベルなのですが、今は32ページの「(エ)高齢者関連施設の整備と規制」とあって、33ページに「(オ)在宅サービスの展開と地域資源の拡充」とあって、今のASEANの国々からすると、これでいいのかもしれないのですが、もしかすると「多様な居場所や住まいとケアの整備」として、2つをくっつけると、すみません、これはASEANからするとわかりにくくなるかもしれないですが、どうでしょうかという程度の話です。1個目はぜひ入れていただきたい。

それから、まとめて言ってしまうか、切るか、どちらがよろしいでしょうか。

○尾身座長 どうぞ、言ってください。

○堀田構成員 3つ目は、先ほどのことと関連するのですが、これもどこに入れるべきか、「高齢者の社会参加」のところなのか、どこなのかと思うのですが、日本で成年後見とかがありますけれども、これから特にサービスがまだまだ足りなくて、これから高齢化がどんどん進んでいきますという国々の場合は、その人がその人らしく生きていくというときの意思決定を支援する枠組みが非常に重要で、そのことが、これは日本でもまだ課題がある点だと思いますけれども、Active Agingというところからすると、どこかに入ってくれないかというような感じがします。これは今さら無理だったら結構です。

それから、あと2つです。もう一つは、34ページのところの上から2つ目の「○」なのですけれども、「家族機能が強く残っていることから~家族を支援することや」と書いてあると思うのですが、これに関しても、特に欧米諸国と比べると、日本がなかなかケアする人たちの位置づけが難しくて、ケアする人を認識して、それを支援するという枠組みができていないものがあって、しかし、恐らくこれからアジアでもケアする人たちの負担とか燃え尽きとか、離職とか何とかということが出てきて、このケアする人たちの位置づけをどうするかということは、これは先ほどの日本が進んでいるという話ではなくて、しっかりと、特に家族に依存しているところが大きい色合いのエリアだからこそ、その家族というものをどう認識し、家族共ども支援していくかということは考える余地があるというのは、これはぜひ入れていただきたいと思います。

最後の点ですが、「人材育成」のところなのですけれども、現状では、行政職員と専門職という2つに関して書かれている形だと思うのですけれども、前半からの流れを受けますと、セルフマネジメントについて、自分たちで学び合う。それから、この直近のところでいくと、介護者・家族が学び合うとか、地域住民全体で学んでいくといったことも、これは1個「○」を立てて、今、行政専門職とありますけれども、本人、介護者、そして地域が学び合っていくというような、そういう学び合い、育成というような枠組みも考えていく必要があるというのは、これは入れていただきたいと思います。

以上です。

○尾身座長 それでは、今の堀田構成員から5つくらいありましたけれども、31ページの「高齢化対策に関する中長期的な国家戦略」のところ、ただ、作るのではなくて評価してくれと、これは当然のことで、これは入れてください。これは議論の余地がない話だと思います。

それから、32ページの「高齢者関連施設の整備と規制」と「在宅サービスの展開と地域資源の拡充」を一緒に、これはどこかに両方いろいろありますと、便宜的に分けましたということで、どこかに書いておけばいいのではないでしょうか。

それから、次に高齢者の意識決定、「高齢者の社会参加」のときに、自分らの意思を尊重すると、これは高齢者が社会参加というのは、もちろんそういうことが前提になっているわけで、もし可能であれば、そういうことをひとつ言葉を入れるとすれば、高齢者の意思ということですね。

○堀田構成員 意思決定の枠組み。言ってから気がついたことだと思うので、すみません。

○尾身座長 それと34ページの上から2つ目の家族のことで、家族でケアする人に対するいろんな対策もいずれ大事になってくるという話ですね。これも少しどこかに一言、確かにそれはおっしゃるとおりですね。

それと「人材育成」のところに、行政職員、専門家ではなくて、家族なども、これは人材というところに入るのかどうか、地域の人々みんながそういう能力を持たなくてはいけないということですね。だから、これは一般の人の参加ということでやるのか、人材育成というのは家庭の人を人材育成とするかどうかわからないけれども、一般の人々のインパワーメントですね。そういう話ですね。だから、ここはタイトルを「人材育成及び人々のインパワーメント」として、一般の人たちの開発する能力をサポートするというようなことですね。そんなことでどうですか。

○堀田構成員 はい。

○堀江課長 少し難しい感じがしていまして、難しいというのはよくないですよという意味ではなくて、多分どこかにまとめて、先々の本格的な高齢社会においては、例えば本人の意思決定、家族のケア、セルフマネジメントへの支援などということも課題になるぐらいのところに、くくってしまったほうがいいというか、何となくアジアの国々でいくというと、そこで人が寝ていると、隣のおばちゃんがやってきて、何かやっていますみたいなような次元なものですから、貢献とかというようなものは、先ほどの江口構成員のお話からすると、少し遠いところにあるような気もするというところが少しあって、ですから、先ほどの江口構成員の言葉をかりれば、高度な部分を少しまとめてどこかに整理するような形にしたらどうかなと。

○尾身座長 堀田構成員、それはよろしいですね。

○堀田構成員 はい。

○尾身座長 それはもう。

○堀江課長 あと一点だけ。先ほども出てきたのですけれども、ASEANの国々は施設整備や施設主義を中心に置いている感じではないというのがありまして、むしろ在宅のほうが、お金もかからないからというのが中心にあってなのですけれども、昔の30年前、40年前ぐらいの日本がそうだったかどうかわからないのですが、むしろ病院をつくるほうに、あるいは老人ホームをつくるほうにプライオリティーがあって、在宅が置かれていましたという歴史をたどっていないと今の時点では思っておりますというのがありますので、そこは、どこで見ていただければいいかというと、33ページの下のところ、「ASEANの諸国では、公的な施設サービスの展開には消極的な国が多く、基本的には」、在宅がいいのだから在宅ですということか、施設にやるお金がないから在宅なのですという意味かというあたり、判然としないのですけれども、基本的には在宅ケアを提供する仕組みをいかにして地域の中で構築していくかが、政府方針となっているという方に近いのではないかと思っています。

○萱島構成員 立派な報告書と提案をまとめていただいてありがとうございます。非常に活発な議論がされている中で、さらにコメントするのも憚られるような感じもあるのですけれども、3点触れさせていただきたいと思います。

最初の2点は簡単な点なのですが、36ページに「民間による高齢化支援」というのがあって、ここに書かれているのは、民間企業による協力のイメージなのかと思ったのですけれども、例えばNPOや市民団体によるものもあるのではないかと思いました。日本国内の高齢化の事業も、行政だけでなく、さまざまな団体が担っているのではないかと思うのです。そういったところが、今すぐに海外での何か協力をしようとか、連携をしようというようなところにまで行ってないのかもしれないのですけれども、生活に近いところの領域の活動でもあるだけに、NPOや市民団体が、今後直接的に海外とつながっていくことも将来の方向性としてはあってもいいのかなとも思いました。商売として、事業として、民間企業がなさる部分とそういう市民団体のようなところがなされていく部分の両方が民間というときにあるのかなと思い、そこがもし可能であれば書いていただければというのが1点。

2点目は、38ページのところです。「日本側の伝達に必要とされる知見の再整理」の1点目がいろいろな日本の知見を目に見える形にする、文章化したり整理したりするということで、これは私も非常に重要だと思うので、書いていただいて非常にありがたく思っております。それに比べて、2つ目の人材育成のところがやや短いのですけれども、援助の実施を担うJICAとしては、人材を育成というか発掘というようなところがとても重要だと思っていまして、例えばどういう日本国内の人材がポテンシャルを持っているのか、どういうところの人材に今後かかわっていただく必要があるのか、もう少し可能であれば書いていただきたい。

例えば地方自治体が行政の中でも医療の現場に近いところでいろいろな行政サービスを担っていただいており、堀江課長にもいろいろ指導していただいているタイのプロジェクトでは地方自治体関係者に専門家として現地に赴任してもらっていますし、例えばそういうところがどのように今後、日本政府の高齢化部分の支援としてかかわっていただけるか、もしくは民間団体、NPOの関係者にもODA事業に参画していただくことも必要と思いますので、ここももう少し書いていただけるとよいかなと思ったのが2点目です。

3点目が、どこに書いてよいかわからなかったのですが、いろいろ高齢化対策、もしくは社会保障の事業をやって難しいなと思うのが、先方政府のオーナーシップがきちんと確保されていないとうまくいかないというのが非常に実感として感じるところでございます。31ページに「ASEAN諸国における高齢化に対する国際協力のニーズと協力の方向性」のところに「国家戦略」というのがあるので、ここの中に書くのかなと思ったのですが、32ページに「社会保障制度の整備」というのもあり、例えば社会保障制度の整備を本格的にある程度の規模のODAでやるとしても、先方の方針や決定や政策が揺らぐと大変協力がしにくいというところがあり、軸となる政策そのものは先方政府に決めてもらわないとできないという意味では、相手側のオーナーシップ、もしくは政策決定といったものが前提になってくると思います。

さらにここまで書かれるか、書くのがよいかというのはありますが、社会保障政策は相当政治的な調整や混乱というか、駆け引きの中で物事は決まっていくというのが、堀江課長と御一緒しましたタイの案件でも日々感じておりまして、そういったところを覚悟しつつというか、踏まえて協力をしていく必要がある。そういう意味でも途上国側のオーナーシップや意思決定が前提になる領域だということがどこかに書けるといいかなと思いました。

○尾身座長 時間がそろそろ迫っておりますので、36ページの今の民間のことと、38ページの人材のことは事務局から後で簡単にお話していただき、最後のオーナーシップのところは、おっしゃるとおりで、私もサゼッションは実は2ページ目、2ページの英語で書かれている図がありますね。これについて絵はあるのだけれども、文章で説明されてないので、実はここは今おっしゃるCorporation Approach、最初の“User orientedCorporationというのはそのことを言っているわけですね。相手のオーナーシップを無視してはできないということが基本的な認識であったので、これが出てきたので、ここの文章を少し、せっかく絵があるのだから、2ページのところを、これは大原則ですから、そこに少し書かれれば今のお話はいいのではないか。

あと、36ページ、民間の話と人材の話はもしコメントがあれば。

○堀江課長 36ページの民間の話は、おっしゃるとおりなので、少し足そうと思います。やや産業政策的な政府方針、内閣の方針がございまして、そちらのほうの絵、きちんと書いておこうかと思ったあたりが先立って、具体例として、いわゆるボランティアベースと言っては失礼ですけれども、営利ベースでないもの、非営利ベースのものの記述をあまりしてなかったというところは反省でございますので、そこは直したいと思います。

それから、38ページのあたりは、多分修正ができると思うのですけれども、具体的な文章までイメージができてないので、またJICAの方によく教わります。

○鈴木構成員 全体的に第3章もそうなのですけれども、今回、Active AgingということでASEAN諸国でのいろんなActive Agingの取り組みに対して、日本がどういう経験をしてきたか、そういう共有のインフォメーションを共通にしましょうということでよくわかっているつもりなのですけれども、この中に「健康日本21」のことが少し書かれていて、そういうものも日本で頑張ってやっていますよというのがあるのですが、その中に最も重要な1一つが「健康寿命の延伸」というのがありますね。これがASEANの今回のActive Agingの1つのベースメントだと思うのですが、ほとんど書かれてないのですね。

こういった健康寿命の延伸というところが非常に重要でして、それは平均寿命が短いところも長いところも同じ尺度でやれることなのですね。例えば日本のように非常に極端というか、平均寿命の長いところが、後期高齢者の先ほどから少し出ている老年症候群、わけても認知症を予防することによって健康寿命を少しでも長くする。逆に言うと不健康寿命を縮めるという努力をしていくわけです。例えばASEANのほかの、まだ寿命がそれほど長くないところは、まさにNCDを克服することによって、NCDからもたらされてくる不健康寿命の大きさを縮めるという戦略だと思うのですね。

今後、日本が高齢化対策分野における日本の協力が必要ということで、例えば30ページの図12などには、ParticipationHealth Securityがあるのですが、その中に、例えばAverage Health Life Expectancyを長くするのだという取り組みが全く出てない。それから、最初の4ページの表1も、Average Health Life Expectancy は出ているのだけれども、例えばWHOが出しているような、Healthy Average Life Expectancyが出ていないのですね。だから、何かそういった健康寿命を延伸するということが1つ大事な取り組みとして各国でやるべきことなのではないかという気はするのですけれども、いかがでしょうか。

○尾身座長 今の鈴木構成員のお話はもっともで、1つ参考に示すと、今、6ページのHealthのところには、鈴木さんの言われたことが書かれているのですね。つまりただ生きるのではなくて、健康に生きる。これをもう少しどうエキスパンドするかという話で、多分今日議論しているときに「健康寿命」という言葉は使わなかったけれども、当然みんなそれを頭の中に入れて議論していたわけで、ここはもし入れるなら、6ページのところを少しエキスパンドして、そういうことを。あとは健康(Healthy)寿命のほうのデータは今ありますか、ここに載せられるのか、4ページに。

○堀江課長 少し年度がずれるかもしれませんけれども、あるのです、DALYを使って。面倒なのは、すみません、会議の尊厳を冒しているわけではなくて、少し面倒なのは、「健康日本21」の指標が国際指標と違っているというところがございまして、そこが言語上のコミュニケーションがとりにくいところが。

○鈴木構成員 ただ、コミュニケーションは同じ基準で出しています。

○堀江課長 指標にはもちろん載っています。ただ、日本のほうは健康寿命と平均寿命の差を縮めていきたいというときの健康寿命の尺度を違えて使っているといところが実はございまして、ややこしいテクニカルな話をしているのですけれども、その辺があるのと、あと、4ページにある表が、いわゆる客観的指標を主に使っているものですので、そこに健康寿命も客観的ですよといえばそれまでなのですけれども、かっちりした度合いが少し薄いというところがあって、この表に入れるのをやや躊躇いたしました。

○鈴木構成員 こだわりません。

○尾身座長 今、おっしゃっていることはもっともなので、6ページのところに健康のところを少し説明するのと、あと30ページの絵、ParticipationHealthSecurityというのが書いてあって、ここのHealthというのは、実は単に生物学的に生きているだけではない、そういうことも健康に生きているのだということも書かれたら、今の鈴木構成員の、そんなところでどうでしょうか。

そろそろ時間も迫ってきて、報告書について、これだけはというのは、もう大体出ましたか、よろしいですか。最後これだけはというのを。

○曽根構成員 日本も決してサクセスストーリーだけではないので、失敗したこととは言いませんけれども、もう少し早く取り組んでいたらもっとよかったのにという点が幾つかあるのかもしれません。具体的にここに入れるかどうかは別として、例えば37ページの「日本側の伝達に必要とされる知見の再整理」のところに、日本の経験には、ネガティブとポジティブ両方あるので、そういうのも合わせて参考にしていただきたい、そんなメッセージをつけ加えてはいかがかと思いました。

○堀江課長 今の書けるところは直したいと思いますが、30ページの「今後の国際協力に向けた提言」の最後のところに、ASEAN諸国は、日本が過去の高齢化対策の発展において経験してきた改革について、サービス充実と財政規律の確保の両面について十分に分析することが求められる。これにより日本の支援により「経験する必要のない改革リスク」を回避しながら、それぞれの国によってやっていただいたらいいのではないかというような書き方をしてございまして、ありていに申し上げますと、日本の医療の歴史は、老人医療費無料化をどう克服していくかというところにあったのです、みたいなところは、各国からすると、それに突っ込んでいくと大変だよなというようなところには思い立っていただけるようにしていくのではないかと思います。

○大泉構成員 「経験する必要のない改革リスク」という言葉は、変える必要があるかもしれません。

○堀江課長 考え直したいと思いますが、いずれにしましても、日本の経験の中での失敗をしてきたものというのは、それをあれは失敗したと言い切れるかどうかというところがなかなか言いづらいものがあって、だけど、それをやると、こういう付加反応が起きましたよということをわかってほしいとか、そういうことを言わんがために書いております。直させていただきます。

○尾身座長 そうですね。日本がいろんな試行錯誤を重ねてきたということを書けばいいのではないですか。

構成員の方、貴重なご意見ありがとうございました。最終版は事務局のほうでやって、あとは私も最終的にチェックさせていただいて、最終的に共有を。

それでは最後、時間が本当は超過したのですけれども、(案)がとれて報告書になって、これをどう実は活用するか、どういうところにこれを配るか、ということも少し残りの時間、議論をしてみたいと思うのですけれども、まず報告書の取扱いについて、少し事務局から、その後、最後の時間、どういうところに配って、どういう理由の仕方をするか、議論してみたいと思います。

○鈴木構成員 すみません、よろしいですか、そのことについて。これは英語版は出るのですか。

○堀江課長 この報告書につきまして、いま一歩、見直しをいたしまして、座長とも相談して適宜、また教えていただける方に教えていただきながらまとめたいと思います。

 それで、これができたらば、3月中を目標に英語版も準備したいと思います。それから、これは40ページ超しますので、英語にしても、それぐらいのボリュームになりますので、サマリーをきちんとつくって、本当はそこまできょう準備できればよかったのですが、とてもできなくて、サマリーをつくって、要は何というものをきちんと日本語版と英語版と準備したいと思って、むしろそちらのほうが活用されていくことになるのではないかと思います。

座長からのお問いかけは、誰に読んでいただくのですかということでいけば、とりあえず、今、日本語でできているわけで、日本の中で高齢者分野に思いを持っていただいている方々は、ASEANとの協力との関係において、当然読んでいただきたいと思いますし、そういう意味ではホームページ、ウェブサイトに載せさせていただきますので、広く読んでいただけるようにしたいと思います。あとは、この報告書をASEANの皆さんに、きょうの報告書の最後のほうに入っているような場を通じていろんなところで御紹介したいと思います。

きょう、ある程度書いてあるといえばあるけれども、余り明確になってなかったということで言うと、日本が技術協力で知識、経験を提供する部分という側面と、それと、場として使って、その場のある意味、ASEANの各国の皆さんの中で使っていただくような資料という側面もあるのだという位置づけも、当初この検討会を始めるときには余り明確でなかったような話も大分浮かんできたと思いますので、そういう報告書の使い方があるのではないかと思います。

○尾身座長 そういうことでよくわかりました。実は最後の時間少ないのですけれども、ぜひ私は構成員に簡単にコメントを求めたいのは、座長として、きょう大体これで骨子ができましたね。皆さん高齢者問題について長年関与されてきた専門家として、これはこういう形でまとめたものの価値。日本が高齢化社会のトップランナーなんていうことは誰でも知っているわけですね。そのことも多少書かれている。ほかの国がそれに追随していることも知っている。これは四十何ページの力作だと思いますが、私は短期間でよくここまでやってくれたと思いますが、これの価値というか、これを今の日本の社会、国際社会にとってこの報告書はどんなインパクト、みんな知っていることも書かれていますけれども、こういうことが、今回初めて1つのペーパーとして、特に後半のほうかもしれませんが、どんな価値、バリューがこの報告書に認められるか。それによって誰に配布するか、誰に読んでもらいたいか、高齢者に関心ある人だけなのか、もう少し医療全体のことなのか、そういうことも関係するから、この文章は、極端に言えば、こんなのは既にやっていますよという話であれば、それも1つのあれだけれども、いや、ここは確かに今までみんな知っている、何となく知っていたのだけれども、こういう形でまとめたのは初めてなのか、一体どこら辺にこの価値があるのか、一言ずつ教えていただくと、それが実は誰に配るかということと関係するので。

○萱島構成員 トップバッターで回ってきてしまいまして。

○尾身座長 すみません、急に。

○萱島構成員 ありがとうございます。JICAとしては、高齢者対策は、今、途上国にとっても重要なイシューになっておりますので、とても価値があると思っております。日本の知見を使っての貢献が最近のODAでは求められており、金額をたくさん出すからということではなく、まさに中身のある、サブスタンスのある日本らしい支援をどうできるかということが重要になっており、その具体例のトップ3の一つに必ず出てくるのが高齢者対策なのであります。ただ、高齢者の問題は、JICAの中でも一部専門的にやっている者がおりますが、数が必ずしも多くもないこともあって、何をどうしたらいいのかというのが、実は十分にODAの関係者でもわかっておりません。その意味では、今回非常にサブスタンシャルなところにわたって、まさに高齢者問題の根源的な問題である尊厳のようなところもいろいろ話も出てきていましたし、そういうところまで掘り起こして、どういうことが支援の内容として重要かというのが議論されたことは、私は本当に意味があると思います。

ユーザーとしては、ぜひJICAの中でもガイドラインとして使いたいと思いますし、厚生労働省やもしくは高齢者関係に携わられる地方の方々、民間の方々、さらにはASEANの方々にも読んでいただいて、こういうものをベースにしながらODA事業も進化していくと本当にいいなと思っております。

○大泉構成員 “Active Aging”という視点からアジアの高齢化を捉えるというのはすばらしくこのような視点を共有することは日本もASEANにとっても大切だと思います。これで全て終わったかというと、そうではなくて、これが多分入り口だろうと思いますが、啓蒙の意味で、この言葉を日本から発信するのは意味があります。

○江口構成員 一言で言えば、多様性と普遍性といいますか、個別性と普遍性といいますか、3ページの表、例えばASEANとかアジアとかいっても、高齢化率も違うしGDPも違う。そういう個別性の中で、ただ、将来的な高齢化対策といった普遍性の中で、最終的には括れる。私は多様性というのをきちんとまずは打ち出したということは意味あると思います。日本の白書、『高齢者白書』見ても、高齢化率が高いアジアの国しか載せていなかったり、低いところを載せてないのですね。そういう意味ではいろいろあるのだと。ただ、そういう中で共通な部分もあるのだと。

私は職業柄、多少そういったものに関心がある。英語版が出れば、英語の勉強も兼ねて学生などに読ませる。つまりアジアといってもいろいろなのだということを理解させるのに意味があるのかと思っています。

○鈴木構成員 私もすごく総論的に日本がどういう活動を今後広げていこうかということを紹介するのには、これはすごくベストな作り物だと思っています。こういう会議は結構多いのですね。例えば4月11日から、この中にもいらっしゃるかもしれませんけれども、韓国のソウルで、アジアン・パシフィック・カンファレンス・オブ・ヘルスプロモーション・オブ・ザ・リーダリーという国際会議が開かれます。多分こういうようなところでも、チャンスがあれば配っていけるのだろうと思っています。

それから、私どもの国立長寿医療研究センターは、長寿科学に関する先端的な研究組織ですけれども、研究所を抱えている国としてこういうことをやっているのだ、そういうストラテジーをきちんとお示しできる資料としてはベストだと思っていますので、ぜひ活用させていただきたいと思います。

○曽根構成員 私ども国立保健医療科学院としては、国内外の研修をやっておりますので、職員には日本の立ち位置をきちんと理解してもらう。それから、WHOや、JICAからの研修生に対しては、これを1つの議論のたたき台という形で示したいと思います。この報告書はASEAN諸国ですけれども、多分アフリカ諸国や中南米でも共通な部分が結構あると思いますので、そういうときの議論のたたき台や日本を理解していただく術として使っていきたいと思います。

○堀田構成員 私はASEANについては全く無知で参加したので非常に個人的に勉強になりました。それで“Active Aging”というのは、私も大きいと思いまして、そのことによって、高齢化に関心のある人だけではなくて、他主体が、本人もですけれども、マルチセクトラルと先ほどおっしゃいましたが、他主体が当事者意識を持つということのためにも、広く伝えていったほうがいいのではないかと思います。

それから、これから高齢化をというところに対するメッセージと日本を振り返った場合に、改めて今日もちらっと触れておりましたが、自律とか尊厳というよくわからないもの、この価値観を早いうちにしっかりと、価値を共有しておくということが、姥捨山を途中で通らないでも済むには非常に重要だということをしっかりと、そこは残して伝えるべきだし、日本でも改めて確認すべきではないかと思います。以上です。

○尾身座長 どうもありがとうございます。

 私も最後に個人的に。これは国際化、今回この検討会やられましたね。私は非常にすばらしいテーマを選んでいただいて、“コングラチュレーション”という感じだと思うのですけれども、私の期待は、せっかくこれが出てきて、今、先生方、これを高齢者に関心ある人たちだけではなくて、日本の医療全体、日本の社会、社会とも関係しますね。関心ある人たちに早くこれを報告書としてシェアしてほしい。

もう少し、具体的に言いますと、JICAさんは当然のことですけれども、実は堀江課長も実際に参加されているので、官邸を主導に、今の政治家の人たちで、特に興味がある、今、武見先生などがグローバルヘルスのことを時々会議やられていますね。そういうところで、実はこういうことをやっているのだということをぜひ、官邸にも当然話が行くし、内閣府にも行くし、厚生労働省の国際課だけのプロダクトとしていくのは少し惜しい気がしますので、ぜひどこかの会議でこのことを、国内的にはそこにはJICAも当然いますから、関係省庁もいるし、いろんなステークホルダーがいますので、そこでぜひこのことを早いうちにシェアをする。

それから、もう一つは、これは私が長くWHOに関与していたからあれですけれども、アジアンという1つのブロックに、いずれこれは世界的な日本のイニシアチブになり得るので、これはもちろんアジアンというのが最初の入り口でしたけれども、いずれこれができれば、WHOのいろんな機会に、こういうことでアジアンということだけでなくて、世界に先駆けて日本がこういうことをやっているという1つのマテリアルができたわけですから、これを先ほどのヘルスプロモーションの会議も含めてグローバルにこれを1つのシード、最初の種として生かされていくのが、言ってみれば日本の厚生労働省の国際課がやった、国際化という、実はそれが敷衍して日本の国内にも返ってきますね。そういうふうにこれを活用されていただければいいのではないかと思います。

そんなことでよろしいでしょうか。

それでは、どうもありがとうございました。次回の会議について、事務局から連絡ございますか。

○堀江課長 済みません、多分構成員の半分ぐらいの人は、次回の会議と聞いてぎょっとされるという話があって、事務的に申し上げますと、シナリオの順番が間違っているわけでございますけれども、この会議を始めたときは4回やって、その間に海外調査と国内調査と行ってまとめさせていただいて報告書を2月にまとめますと、こういった話になっていたわけでございまして、今いろいろな形で過分の評価であったり、過分の期待があったりして大変なのでございますけれども、事務局あるいは事務局を補佐していただける方でつくった案文では計り知れぬ内容がいろいろなところから出てきていたことは間違いがないので、このまとまった報告書のこれから先、こんな格好でASEANの会議に使っていきましたとか、その結果、どこどこの国ではこういう申し出があって、こんなふうな提案をこちらからして進めていますというような形で、できた報告書がいろいろな格好で使われるという前提で、今、前向きに話をしていただきましたけれども、逆に言うと、それがほこりをかぶらないようにしないために、Active Agingの報告書の成果、進捗状況をモニタリングする限りにおいて、尾身先生、ほかの先生方皆さんにもう少しお力添えをいただければと思っていて、節目を見ながら、節目の前か、節目の後かに、この報告書が、今これだけ進んでいますというプログレスレポートみたいな感じで報告をさせていただくことを中心にできたらと思っています。

では、次、またこういう報告書をつくりますというと、ここら辺に座っている人はぎょっとして、もうそれは契約外です、と言いそうなのですけれども、そういう意味ではなくて、これがどう生きているか、あるいはここの部分は、あまりうまくいかなかったので、こんなふうに直しながら実際には実施していますとか、そういうようなことを報告して、また御助言いただけるようにできたらと祈っていると、こういう状況でございまして、夏ぐらいに1回またお願いできたらと思っています。

○尾身座長 どうもありがとうございました。祈りが届くように、みんなで。

それでは、きょうはこれで終わりたいと思います。皆さんどうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 国際課が実施する検討会等> 国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会> 第4回 国際的なActive Aging(活動的な高齢化)における日本の貢献に関する検討会 議事録 (2014年2月18日)

ページの先頭へ戻る