ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 歯周疾患検診マニュアルの改定に関する検討会> 第1回 歯周疾患検診マニュアルの改定に関する検討会(議事録)(2015年2月12日)




2015年2月12日 第1回 歯周疾患検診マニュアルの改定に関する検討会(議事録)

健康局 がん対策・健康増進課

○議事

○古賀補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第1回歯周疾患検診マニュアルの改定に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様には、御多忙の折お集まりいただき、御礼申し上げます。

 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課の古賀と申します。よろしくお願いいたします。

 開会に当たりまして、健康局長の新村より御挨拶申し上げます。

○新村局長 健康局長の新村と申します。よろしくお願いいたします。

 委員の皆様方におかれましては、日ごろより厚生労働行政に御協力いただきまして、感謝申し上げます。

 歯の健康のための取り組みとして平成7年に老人保健事業の総合健康診査として歯周疾患検診が導入され、平成20年からは健康増進事業において、高齢期における健康を維持し、食べる楽しみを享受できるよう、歯の喪失を予防することを目的として進めております。

 歯周疾患検診マニュアルにつきましても、平成12年に改定して以来、歯周病に関する研究も進み、科学的知見の蓄積が進んでおりますことから、最近の知見を踏まえて検討していただく必要があると考えて検討会を開催することといたしております。

 本検討会では、歯周疾患検診マニュアルの改定に向けて委員の皆様方から忌憚のない御意見をいただければありがたいと考えております。

 以上、簡単ですけれども、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 続きまして、構成員として御就任いただきました先生方を御紹介させていただきます。お手元の資料の2ページをごらんくださいませ。

 初めに、和泉構成員でございます。

○和泉構成員 和泉と申します。よろしくお願いします。

○古賀補佐 続きまして、佐藤構成員でございます。

○佐藤構成員 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 高澤構成員でございます。

○高澤構成員 高澤と申します。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 沼部構成員でございます。

○沼部構成員 沼部です。どうぞよろしくお願いいたします。

○古賀補佐 埴岡構成員でございます。

○埴岡構成員 埴岡です。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 三浦構成員でございます。

○三浦構成員 三浦でございます。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 湊構成員でございます。

○湊構成員 湊です。よろしくお願いします。

○古賀補佐 森田構成員でございます。

○森田構成員 森田です。よろしくお願いします。

○古賀補佐 なお、本日は北原構成員より欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、事務局を紹介いたします。

 正林がん対策・健康増進課長でございます。

○正林課長 正森です。よろしくお願いします。

○古賀補佐 原田がん対策・健康増進課長補佐でございます。

○原田補佐 原田と申します。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 寺原たばこ対策専門官でございます。

○寺原専門官 寺原と申します。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 江副がん対策推進官でございます。

○江副推進官 江副と申します。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本日は、オブザーバーとして医政局歯科保健課の大島課長補佐に御出席いただいております。

○医政局歯科保健課大島課長補佐 大島と申します。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。

 お手元の議事次第、その後、資料1といたしまして、開催要綱、1ページから2ページでございます。

 次に、資料2、歯周疾患検診に関する施策的背景、3ページから8ページでございます。

 資料3、高澤構成員資料、9ページから18ページでございます。

 資料4、沼部構成員資料、19ページから28ページでございます。

 資料5、三浦構成員資料、29ページから34ページでございます。

 資料6、埴岡構成員資料、35ページでございます。

 資料7、湊構成員資料、37ページから45ページでございます。

 資料8、佐藤構成員資料、47ページから61ページでございます。

 資料9、歯周疾患検診マニュアルの改定の論点(案)、63ページでございます。

 参考資料1といたしまして、平成26年度健康増進事業実施要領、65ページから83ページでございます。

 参考資料2、歯周疾患検診マニュアル(平成12年改定)、85ページから105ページとなっております。

 資料の確認は以上でございます。もしお手元に配られていないものあるいは落丁等ございましたら事務局までお申しつけください。

 続きまして、検討会の位置づけについて原田がん対策・健康増進課長補佐より説明いたします。

○原田補佐 では、資料1について私より御説明させていただきます。

3ページの資料1をごらんください。

 本検討会の目的は、歯の健康のための取り組みの一つとして平成7年より老人保健事業に基づく総合健康診査において歯周疾患検診が導入され、その実施方法を解説することを目的として平成7年6月に歯周疾患検診マニュアルを取りまとめ、平成12年の改定を経て現在まで使用されてきたところでございます。

 平成12年の改定から10年以上が経過しておりまして、科学的知見の蓄積や、さらに第二次「健康日本21」におきましても、歯・口腔の健康に関する事項等も掲げられている等、近年、歯周疾患検診を取り巻く現状が変化しつつあることから、最新の知見を踏まえ、マニュアルを改定することを目的としまして、本検討会を設置し、改定に向けた検討を行っていきたいと考えているところでございます。

 簡単ではございますが、以上になります。

○古賀補佐 続きまして、開催要綱4の(1)に「構成員の互選により座長を置き」とありますことから、座長の選出をさせていただきたいと思います。

 まず、御推薦があればどなたかよろしくお願いいたします。三浦先生、お願いします。

○三浦構成員 我が国の歯周病ケアにおいてすぐれた数多くの実績を有していらっしゃる和泉構成員が適任ではないかと思うところでございます。よろしくお願いいたします。

○古賀補佐 ありがとうございます。

 そのほか何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。

 異論がないようですので、和泉構成員に座長をお願いしたいと思います。

 和泉構成員におかれましては、座長席のほうへ移動をお願いいたします。

(和泉構成員、座長席へ移動)

○古賀補佐 それでは、以後の進行を和泉座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○和泉座長 それでは、御推薦いただきましたので、座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○古賀補佐 撮影はここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○和泉座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。

 まず最初に、歯周疾患検診に関する施策的背景につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○原田補佐 では、事務局より歯周疾患検診に関する施策的背景につきまして、3ページの資料2に沿って御説明いたします。

資料2をごらんください。

 我が国における歯肉の有所見状況としましては、下のページにございますように、平成23年の歯科疾患実態調査により歯肉に所見を有する者は年齢とともに増加を認め、次のページにございますように、24年度の地域保健・健康増進事業報告をお示ししておりますが、歯周疾患検診受診者のうち、どの年齢におきましても、要精検者は8割を超えているところでございます。

歯周疾患検診としましては、先ほど若干お伝えしましたけれども、平成7年に総合健康診査として追加されており、さらに歯周疾患を高齢期の生活を重視する観点から取り組みを推進すべき疾患の一つと考え、平成12年には総合健康診査として行われていたものから節目検診へと独立し、平成20年からは健康増進事業として実施されているところでございます。

 また、平成12年より始まりました「健康日本21」の第一次におきまして、歯の健康として8020運動の実現に向けた具体的な目標を示し、生涯を通じた歯及び口腔の健康増進を図り、進めてまいりました。

 次のページの下をごらんいただければと思います。12年にわたって行ってまいりました第一次「健康日本21」の最終評価をお示しいたします。その中では、40歳、50歳における者を対象とされておりますが、進行した歯周炎の減少につきましては、目標を達成したというところが評価されております。

 次のページ以降にもございますように、歯周病については成人期においていまだに有病者率等が高率であることや、高齢期においても自分の歯を有する者が増加しており、また全身疾患等との関連が注目されていることからも、健康日本21の第二次におきましては、歯・口腔の健康の目標の一つとして歯周病を有する者の割合の減少を掲げております。

 また、平成23年の「歯科口腔保健の推進に関する法律」に基づき、平成24年には「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」が定められ、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関する施策の総合的な推進を進めているところでございます。

 簡単ではございますが、以上でございます。

○和泉座長 ありがとうございました。

 では、ここから各構成員より提出いただいております資料をもとに質疑を行いまして、論点についての総合的な議論を行いたいと思います。

 まず、高澤構成員から御説明をお願いいたします。

なお、高澤構成員におかれましては、途中で御退席されるということなので、質疑に関しましては、先に行うことといたします。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○高澤構成員 本日はこの後ほかに科研の予定が入っておりまして、途中退席で申しわけございません。現場のところを先に説明ということで、恐縮ですけれども、説明させていただきます。

 資料は9ページからになります。

 まず、私は千葉県の市原市、市町村に勤務する歯科衛生士ですが、千葉県の調査をしたことがございまして、61回日本口腔衛生学会で発表したものを資料としてつけさせていただいております。これも科研でやったものですが、千葉県には35市町村に常勤歯科衛生士がおりまして、9ページの下の千葉県の地図にあるように、現在、成人歯科健診をやっているところの多くは歯科衛生士がいるところです。

10ページをお開きください。早食いや、よくかめないという肥満やメタボリックシンドロームとの関連が高いとされている中、特定健診と歯周疾患検診がどのようにリンケージされているか、千葉県の調査をしたものでございます。

 平成23年に行いまして、回答率は100%でありました。11ページの下にありますように、歯周疾患検診を実施しているところは38市町村ありましたが、ほかの健診と同時開催しているのが6市町村、同時開催していないのが34市町村、歯周疾患検診を実施していないのが14市町村ということで、特定健診と4、骨粗鬆症検診と2、がん検診と1、結核検診と2ということで、複数回答ではありますが、ほとんどの市町村が歯周疾患検診は単独で実施しているという状況です。

12ページと13ページには、38市町村の常勤歯科衛生士の配置の有無と、個別検診か集団検診か、また対象者、22年度の実施数、特定健診とどんな形で一緒にやっているかというところを一覧にしたものになっております。

 ここは市町村の番号はばらばらですが、千葉県の中でも都心に近いほうは個別検診が多く、単独で実施している傾向がありまして、房総半島の南のほうの農村部になりますと集団検診でほかの健診と実施しているという傾向が見られました。

 また、このときにはまだマニュアルの改定は全くない状況でしたので、今後、変更する予定はあるかというところでは、ほとんどの市町村がこのまま実施するという回答でありました。

14ページからは特定健診・特定保健指導等のデータ活用についてお聞きしておりましたが、やはりほとんど特に活用していないという状況です。また、歯科分野と特定健診などとのかかわりも、特定健診には歯科に関する項目がほとんど入っていないという形で、同じ生活習慣病をターゲットにしている割にはこういった時点ではまだまだリンケージは難しい状況にありました。健康教室などは行っていますが、検診とのかかわりは見られていないという状況です。

16ページをお開きください。この時点での考察としましては、歯周疾患検診及び特定健診はどちらも生活習慣病予防の対策でありますが、双方が連動していないという実態が確認されました。

 また、ほとんどの市町村で歯周疾患検診の変更予定がなく、特定健診・特定保健指導においても、肥満や糖尿病等に関する教室においても十分なかかわりとは言えない状況にありました。

市町村はどうしても国のマニュアルに基づいて行うところが多いもので、通知があったりマニュアルの変更があると動くのですが、当時は平成12年度のマニュアルをもとに実施している市町村がほとんどですので、こういった状況でありました。

17ページにはインタビューということで、この時点で歯科医師や常勤歯科衛生士に幾つか聞いた声を出させていただいております。どの市町村においても受診率の低さなど課題が多い事業ではありますが、やはり健診をすることが目的化していることが多く、課題の割には変更などの検討がされていない状況です。受診率の分母がわからなかったり、歯科医師会が絡んでくるので、どうしていいかわからない、また評価の仕方がわからない、目的が明確ではないので、そのような状況です。また、市町村においては成人事業イコール成人歯科健診となっているところもありますので、重要な事業ではありながら、そのまま実施しているという状況でした。

 また、歯科医師会のほうとしては、結局、要治療となるので、その日にすぐ治療ができなかったり、診療所で行う歯周疾患検診ということであればそちらのほうが内容が豊富であり、行動の変容に結びつける内容となっていない、問診が少ない、節目でやっているところは5年に一遍だけでいいのか、精度管理ができない、歯科医師会が説明会に参加しなかったり、なかなかできなかったり、行政が説明会を開催しないということで、形骸化しているような検診になっている状況がうかがえました。

また17ページの下からは、本市が行っております検診を書かせていただきましたけれども、本市では20歳以上の節目ではなく、500円の費用負担で行っております。個別で行っておりますけれども、ここでお話しするような内容ではなく、受診数がかなり少ない状況になっております。

ただ、数年前から、問診項目をきちんと入れなければいけないということで、日本歯科医師会の生活歯援プログラムの導入に向けての勉強会なども行ったりしております。今、20の問診項目も使っておりますが、それが実際しっかりとしたプログラムになっているということはまだありません。今はまだまだ歯科医師が検診を行って、歯科衛生士また歯科医師がその結果を説明して、ブラッシング指導をして、フロスや歯間ブラシを指導してということで、問診がうまく活用できていなかったり、また実際にそういったことがしっかりと勉強できている状況ではありませんので、やはり今後、人材育成が非常に大きなポイントになってくると考えております。

以上です。

○和泉座長 ありがとうございました。

ただいまの御説明に対しまして、御質問、御意見がございましたら、ぜひお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

○佐藤構成員 高澤さん、ありがとうございました。ちょっとお聞きしたいのですが、11ページから13ページにわたって調査をされて、千葉県内には54の市町村があって、実施市町村が54分の38で、あとはやっていないということですね。集団と個別というふうに検診の方式が書かれていますが、併用というところはないのでしょうか。

○高澤構成員 これは22年度の調査でありまして、後期高齢者の説明会のときには41市町村が実施と、ふえている状況にはありました。また、個別検診と集団検診は、千葉県の場合には併用はなく、この時点ではそのような結果でした。

○和泉座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○埴岡構成員 16ページの考察マル2のところですが、個人データのリンケージが全くなされていない状況だということです。私も経験がありますが、もともとこっちのデータとこちらのデータをあわせるような照合表がないと後から考えてもできないということがあります。この場合はどうだったのですか。例えば受診者の番号でたどろうと思えばたどれるとか、そういうことだったのか、それとももともとマニュアルにそういうのが書いていなかったから思いつかなかったとか、どういう理由でしょうか。

○高澤構成員 まず、歯周疾患検診を単独で考えているところがほとんどですので、特定健診が始まったときに、歯科の関連というところは千葉県内でもそういった研修も余りなく、それぞれの市町村で考えてはいるのですが、そういうところまで検討されているところがなかったようです。どちらもほとんどがシステム化されておりますので、入力はされていますが、それを拾い上げるというところまではこの時点ではどこもリンケージするようなところはなかったという状況です。

○埴岡構成員 逆に言うと、マニュアルに何か言葉があればそういう発想ができるということでしょうか。

○高澤構成員 マニュアルは末端の市町村では非常に大きな意味がありますので、そういうことがきちんと位置づけられて、どういう利点があるということが伝われば、もちろんそういうことは検討されると思われます。

○和泉座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○佐藤構成員 17ページの「インタビューからの声」というところですが、この中で、ポツの下から5つ目に「5年に1回だけでいいのか(節目健診)」と書いてあります。これは一応10年に一回で、40歳、50歳、60歳、70歳というのが現行の国が示すものだということになっています。先ほどの12ページ、13ページに戻って、40歳以上節目とか、40歳以上とか、20歳以上とか、いろいろ書いてあるけれども、これは健康増進法に基づく健康増進事業ですから、市町村の判断でかなりフレキシブルに事業は進められるということですので、その実態はどんなものなのでしょうか。

○高澤構成員 ここは5年ごとの節目でやっている市町村でした。12ページ、13ページにありますように、ここに書いてあるところでも40歳以上節目というのが一番多いのですが、ここには5歳刻みでやっているところと10歳刻みのところが両方混在している状況になっています。対象者のとり方については各市町村でまちまちという状況になっております。

○佐藤構成員 つまり、国は10年に一回が適当であろうということですが、市町村によっては5年に一回が適当であろう、こう判断されて実施されるところが少なくないという実態なのか、ごくまれにそういったところがあるのかということに関してはどうなのでしょうか。

○高澤構成員 やはりマニュアルどおりにやっているところが一番多いかとは思われます。中には5年に一遍、または40歳以上、18歳以上、20歳以上と書いてあるところは節目ではなくて、それ以上の全部の年齢を対象に行って、毎年受けることができるというところもありますので、5年に一遍はまれかもしれませんが、毎年受けるとしているところもあります。

 要は、歯科医院で行う歯科検診と国の事業で行う歯科検診が今までは同じようなレベルになってしまっていたというか、そこで市町村も対象者の選別というところでかかりつけ歯科医を持ってもらうためにいろいろ工夫しているということで、生活習慣病あたりをもう少し持ってくると対象のとり方も今後マニュアルが改定すると違ってくるのかなとは考えております。

○和泉座長 ほかに、どうぞ。

○森田構成員 12ページ、13ページ、今お話があったように個別と集団はどちらかであるということで、これは市町村が勝手にと言ったらおかしいけれども、決めるわけですね。なぜ個別を選んだ、なぜ集団を選んだ、それから比較があればの話ですが、個別の事業をやっているところはこういう利点があった、集団に比べてこういう部分があった、そういう分析はあるのでしょうか。

○高澤構成員 先ほど言いましたように、地区性がかなりあると思いまして、要は歯科医院の数が多いところは個別のほうが受けやすいということで個別検診を歯科医師会と考えて選んでいるところが多いようです。農村部になってくると歯科医院が少ないので、ほかの集団健診と一緒にやるというようなイメージが多いというのは、マッピングしてみると少し出てきました。

○森田構成員 個別の場合はどうやって周知を。

○高澤構成員 ほとんどのところが広報などで周知したり、個別で何歳になったら全数通知とかというところで契約している歯科医院に行ってくださいというような形になります。

○和泉座長 ありがとうございます。

ほかにございますか。

 では、1つだけ。16ページで個人データのリンケージがされていないということですが、歯科の検診の結果、特定健診なりほかの検診とリンケージするときに、個別にやられた場合にはそれをつなぎあわせることに対して何か法的な規制とかそういうものはないのですか。我々、研究の段階では、そういうリンクする法的な規制がありますが、検診という事業に関してはそういうことは余り考えなくてもいいのかということです。

○高澤構成員 後は個人情報ということで、何にこの検診の結果を使うかということを住民にきちっと周知しておけば恐らく問題ないのではないか。これは同じ生活習慣病なので、何かリンクがあったほうがそれぞれ受ける側も利点があるのではないかということで研究したものですが、結局はなかったという結果でした。

○和泉座長 その辺は多分、厚労省が指導したほうがいいと思いますが、わかりました。ありがとうございます。

それでは、時間が少々超過していますが、続きまして、沼部構成員御提出の資料4について御説明をお願いいたします。

○沼部構成員 それでは、19ページの資料4をごらんください。

 去年、原田さんから、現行の歯周疾患マニュアルの改定についてのポイントは何かないという御相談をいただきまして、その意見をまとめたのがこの資料になります。

 「1.歯周病の病因論や分類、用語の変更について」「2.検査指標(CPI)の考え方」「3.歯周病と全身疾患、生活習慣との関連」という項目に大きく分けさせていただいております。

 まず、歯周病の病因論や分類、用語の変更についてということで、現行のマニュアルに使われている分類はやはり古いものであるということです。

22ページの図1をごらんください。こちらは現行マニュアルにある分類ですが、23ページの分類法が現行の日本歯周病学会がつくった歯周病の分類システムです。

ここで1つ、提言しているところとしては「歯周疾患」という言葉を最近は使わなくなってきています。特に学生教育においては全て「歯周病」という言葉を使っているということから「歯周疾患」から「歯周病」に変える時期ではないかという提言です。

 2番目として検査指標(CPI)の考え方、これが恐らく一番大きな論点になる部分ではないかと思います。24ページにあるのが現行のマニュアルの抜粋ですが、これが1997年(平成9年)のCPIです。これは代表歯10歯を検査して記載を6歯するということで、代表歯を選んで検査します。恐らく歯科疾患実態調査などにもこれが応用されているのではないかと思いますが、2013年にWHOOral Health Surveys Basic Methodが第5版を出しました。第5版ではかなり変更がなされているということです。それが25ページ、26ページ、27ページ、28ページです。

何が変わっているのかというと、まず特徴としては全歯を対象にプロービングポケットデプスを測定しましょうということ、プロービング時の出血も測定しましょうということ、それを行った上で各コードづけを行うということになっています。その一方、以前にあった歯石の触知の有無の表記をなくしているということです。

26ページの破線で囲ってあるのが歯周組織の状態を記載するものになっています。

 さらに、アタッチメントロスは、歯周病の世界では、歯周炎が起こって付着が喪失していてという状態を把握して治療計画に結びつける大事なポイントではありますが、それを検査しましょうということで、その検査の記入用紙が28ページにあります。上のところに破線で囲ってある部分がアタッチメントロスをはかる部分です。これについては現行のCPIの代表歯を選んで行うということになっています。

 もし第5版に従うとしたら現在のマニュアルをかなり変更しなければならなくなるということなのですが、先生方もお感じのように、いろんな問題が現場では起こりかねないということです。確かに被験者の一人一人の口腔内の歯周組織の状態を把握する上ではこれだけのことをやっておけばいいわけですが、検診の場というところにそれがそぐうかということですね。アタッチメントロスなどの測定を含めてくると検診時の歯周組織検査をより複雑なものにしてしまうということになります。一方、WHOCPIの指標というのは今後、世界のスタンダードになっていく可能性もあるということですので、これをこれからのマニュアルに入れておかないと、将来、国際比較をするときに日本の状態が前のままで新しいものではないということでそごが生じる可能性もあるということ、そういう懸念もあるということです。

仮定ですが、第5版のCPIを取り入れてやっていくと精度は高くなるのでしょうが、これまでに行ってきたさまざまなCPIの値と変わってくるわけですから、そことの連続性が失われるという問題も出てくるかと思います。今回のマニュアルではこれをどういうふうに捉えていくのかというのが視点になるのかと思います。

 歯周疾患の検査が複雑化するということは、恐らく被験者、験者、双方に時間や疲労、時には苦痛の負担を強いるものであって、多人数を対象とした検診には適応しないと思いますが、これらのことを踏まえまして、本邦の歯周疾患の検診に新たなCPIの指標を採用するのか、データの連続性の考慮や現場の混乱を回避するために従来の評価基準を踏襲するのかの議論が必要かと考えています。

 また、被験者への負担を軽減させる検診方法の一つとして、CPIではなくて一次検査として、例えばより高い精度で歯周疾患を検出できる問診、医療面接の内容を準備するか、プロービングよりも侵襲性の低い歯周疾患のスクリーニング法を導入して、そこで要精密検査と判定された者に対して二次検査として歯科医院などで新たなCPIを使った検査を行うという考え方もあるのかと思います。

 3番目として歯周病と全身疾患、生活習慣との関連、これも旧マニュアルではほとんどなかった部分かと思います。現在、歯周病と全身疾患との関連というのはかなりのことがわかってきておりますので、特に被験者の人たちからは、こういう歯周病と関連するような疾患の有無、経験の有無などを聴取する必要があるかと思います。特に糖尿病との関連もかなり重要視されてきているものですので、問診事項として自己の管理状態を含めて聴取する必要があるかと思います。

 また、最後ですけれども、喫煙者への対応、これも歯周病と喫煙との関連というのはかなりエビデンスが出てきたというところから、もっと一歩踏み込んだ喫煙状態の聴取等も必要ではないか。例えば1日の喫煙本数、喫煙歴等、また喫煙開始時期、ニコチン依存度の聴取なども行ってもいいのではないかと考えています。

 以上、3つの部分を歯周疾患検診マニュアルの改定のポイントとして提言させていただきました。以上です。

○和泉座長 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、三浦構成員御提出の資料5について説明をよろしくお願いいたします。

○三浦構成員 資料の29ページからということになります。これまでの各構成員、そして原田課長補佐の御説明と一部重複しているところもありますので、そこは割愛して要点だけお示しするような形にしたいと思います。

29ページでございますが、市区町村での歯周疾患検診の実施率は56.4%にとどまっているということで、ここでより一層の拡充が必要であろうと考えられます。

 また、先ほど全体の概況の御報告の中でもございましたけれども、現行の歯周疾患検診では要精検者の割合が約8割ということで、スクリーニングとして妥当性の向上が必要ではないかというところでございます。この中の幾つかの原因はあろうかと思いますが、CPIによる現行の検診では、コード2(歯石あり)をチェックしているものでございますけれども、コード2以上が要精検に含まれてしまうということ問題であるところです。歯石は歯周病の患者でなくても生理的に沈着することもあるわけで、そのことによって要精検者が多くなっている可能性が否定できません。

30ページの下の部分、歯周疾患検診としてのCPIの特色の4番目の項目、BOP、歯石、PDを一つの評価基準の中に混在させたというのが従来のCPIの学術的な大きな特色でした。このときに歯石ありをBOPより上位のコードとして置いてしまったことでいろいろな齟齬が生じたようなところがあるわけです。

31ページの上へ移っていただいて、CPI-modifiedの特色ということで、先ほど沼部構成員から詳細に説明があったところですが、上に書いてあるような特色、BOPPDをおのおののスコアで評価する、歯石については評価項目から外す、BOPPDは口腔内にある全ての歯を対象、そしてアタッチメントロスを入れるということが特色の大きなところです。

CPI-modifiedの特性としますと、炎症に基づく所見のみを評価することになった点はスクリーニング評価としての妥当性の向上に大きくつながるのではないかと考えられます。

 ただ、先ほど来御指摘のあったとおり、その分、精査するということになりますので、検診時間の増大につながるということです。現行の歯周疾患検診の実施率も半数ちょっと、そして受診者率は非常に低いという現状を踏まえますと、受診者率の向上を目指さなければいけないところでございます。そういったところで大きな障壁になるのではないかと考えられます。

31ページの下でございますが、大きなところは下2つになります。全歯を対象とするCPI modifiedの原法を採択した場合、検診時間が長くなってしまうというところをどういうふうに考えるか。

 アタッチメントロスのほうが歯周病評価においてはステイブルで、より学術的な価値は高いと考えられますが、特に集団検診の場ではなかなか実施が難しいのではないか。実施する場合は診査者間の十分なキャリブレーションが求められるのではないかと考えています。

32ページへ移っていただきたいと思います。問診票についてでございます。WHOが出しているOral Health Surveyのところにも記載がありますけれども、WHOの大もとのマニュアルはWHONCD対策のマニュアルに大変影響を受けた書きぶりになっておりまして、問診票を非常に重要視しているという形になっています。ベースのところで問診票ががっちりあって、その上でクリニカルなアセスメントがあって、それから生化学的なアセスメントを行うような段取りになっているところです。問診票についてもそのような流れを受けて何らかの形で強化したほうがいいのではないかというところでございます。

 最近の調査研究において問診票の質問項目を工夫することにより、より的確に歯周疾患のリスクを把握できる可能性を示唆する論文が幾つか報告されています。CPI の診査が難しい地域においては質問紙を用いたチェックによって代用になるという報告もございます。また、日本口腔衛生学会歯周病委員会の報告で、CPIの補完的な方法として質問紙調査の有用性を指摘しています。あと、質問紙の評価を唾液潜血試験と組み合わせるとさらに敏感度と特異度が増して、よりスクリーニングとして妥当性が増すという報告もあります。

 これらのことを踏まえまして、先行研究でどのような質問紙項目が取り上げられているかというところでございます。幾つかのものを列挙いたしました。アンダーラインを引っ張った部分に関しましては、複数の研究者が項目として挙げているところでございます。先ほど来御指摘がある喫煙、年齢、それ以外の歯肉からの出血、発赤・腫脹等の炎症、歯の動揺、こういったものが多くの研究者から項目として挙がってきているというところでございます。

 唾液潜血検査についてでございますが、こちらは利点欠点一覧で簡単にまとめさせていただきました。利点につきましては、歯科専門職以外でも実施できるというところが大きな利点であり、半定量でリスクが段階別に評価でき、また質問紙と組み合わせるとスクリーニングとしての有効性が向上するとの報告があります。この分野の研究は日本の研究者が非常に強い領域なので、我が国の知見が論文報告で多く出されていて、そのまま応用しやすいというところもあります。一部有料で自己負担を求めているところではありますが、試験紙を用いた方法を歯周疾患検診の一部として導入している自治体もあります。

 欠点としましては、先行研究において、単独で利用する場合は、特異度、敏感度は必ずしも高くないというところと、我が国からの知見が多いということは裏表の関係でほかの国からの知見が少ないということになります。最後に書いたところですが、重要なことで、意外とコストがかかるというところもあります。

 それらのことを総合的に踏まえましてまとめたのが最後のものになります。歯石の付着を評価から除外して、BOPPDを別個に一つの軸として評価するCPI-modifiedは、従来のCPI に比べて、より妥当性が高い方法ではないかと考えられます。ただし、対象歯については検討が必要ということです。

ここには書いていないところですが、アタッチメントロスの評価をどういうふうに置くのかということについても検討が必要かと思います。

そもそも論として、実施率と受診率を高めるための工夫も次のマニュアル改定では非常に重要なところではないかと考えています。

 質問紙調査については、もともと健康増進事業なので、もうちょっと拡充を図ってしかるべきではないかというところで、せっかく拡充を図るのでしたら、より有効活用できるような、例えば潜血試験と組み合わせて、よりリスク評価ができるような工夫をするといいのではないかと考えているところです。

 私からの報告は以上でございます。

○和泉座長 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、埴岡構成員の御提出の資料6について御説明をお願いいたします。

○埴岡構成員 私の資料は1枚にまとめてあります。こちらをごらんください。

 大きく3つの枠に囲まれていますが、1番目は実態把握という観点からのマニュアルの見方、2番目が最近の知見と社会の動向をあわせたマニュアルの見方、3番目が個別の事項という形で配置しています。

 1番目の実態把握ということで、きょうはCPIの変更の話題があっていますが、そちらのほうはどちらかというと「サーベイの方法」を主体としたもので、検診とはもちろん関係あるのですが、「サーベイの変化」の結果も関係するのかもしれません。

 日本の歯科疾患実態調査では有病率が指標になりますが、5070歳代がピークである。つい最近出された論文では、これは疾病負担の評価で、発病率という推計をしていますが、こちらのほうは3040歳代がピークである。このギャップは一体どこにあるのかということで、私の考えでいくと、サーベイの対象が違うというのと、重度かそうでないかというのと、日本の場合は重度の場合の件数を低く見積もっているのではないかと考えています。これがマニュアルの中に反映できれば根本的なところでいいのかなと考えます。

 2番目は社会の背景と科学的知見の背景ですが、左から順番にいきますと生活習慣病対策ということで、今、一つのバックグラウンドになっているのが微小の炎症が体に持続的に影響を及ぼすということがあります。歯科の場合は口の中の細菌が中心になっているのですが、破壊の結果というよりは炎症に注目する必要があるのではないか、そういうことで隣にあるNCDの共通リスク因子ということにもつながっていくのではないかと思います。さらに、重症の歯周炎が低く見積もられているのかということですが、重症の歯周炎の場合は口腔機能の低下に直結しますので、そこを重視した考えも必要ではないかと思います。もちろん職種間の関係がありますので、医科と歯科の連携を考える必要があるということで、こういう検診の機会を逃さないようにきちんとした生活習慣の指導をしていく必要があるのではないかと考えました。

 個別の事項ということですが、これは大きく検診と保健指導ということで分けています。検診につきましては、先ほど言いましたように、重度の歯周炎がポイントになるだろうと思います。その中でアタッチメントロスの指標がどうかということです。もう一つ、質問紙もそうですが、これまでに頻回に起こった自覚症状という点をもう少し重視してはどうか。歯周疾患の受療歴も重要なポイントになるのではないかと思います。

保健指導につきましては、行動変容を重視して、行動変容のステージをもう少し明確にしてはどうか。行動変容の意思があるのかどうかということです。指摘がありましたように、喫煙につきましては、喫煙歴も重視する。かかりつけ歯科医の制度ができてからかなり時間がたっていますので、途中で転勤とかでかかりつけ歯科医が中断しているということもありますので、そういうところも聞いてはどうか。ただ、余り聞き過ぎると焦点がぼけますので、どの点が重要であるかを明示することも重要ではないかと考えます。

保健管理の支援ということですが、自己管理も含めて、長期的に管理ができるような工夫ができればいいのかと思います。もう一つは、動機というのは上がったり下がったりしますので、上がったときにぱっとフォローできるような仕組みもあればいいのかなと思います。特に歯肉炎というのは目で見えますので、そういうところを生かせれば行動変容にも生かせるのではないかと思います。

最後にその他ということでつけ加えていますが、アメリカやイギリスの歯科医師会が最近は電子たばこについてかなりコメントを出しております。口の中を見る機会は働きかけができやすいので、今、制度的にはこれを規制するかどうかという話をしている段階だと思いますが、そういう利点もあるのではないかと思います。

検診と保健指導の中で質問項目があると思いますが、もう少し配置を明確にすることによって、マニュアルを利用する人が、実施する側も受ける側もはっきりわかるようにしておいたほうがいいのではないかと思います。

さらに、全身との関係ということで、学校歯科検診では、体、顔貌から入ったりしますので、そういうところも入れてはどうかと思います。

先ほど実施側と受診者側のデータということがありましたが、PDCAサイクルで事業を評価するときも受診者の側と実施する側の両方の視点からこういう評価をしてはどうかと思いました。

以上です。

○和泉座長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、湊構成員御提出の資料7について御説明をお願いいたします。

○湊構成員 湊です。よろしくお願いします。

 井川町における歯科検診の実施状況ということで御紹介させていただきます。

 当町は人口が5,143人という小さな町です。検診の対象者について30歳以上の循環器健診を申し込まれた方とマル1で書いてありますが、当町では平成20年度に特定健診が導入されていますが、被保険者にかかわらず全住民を対象とした健診を継続して実施しておりまして、30歳以上の住民の方で循環器健診を希望された方全員を歯科検診の対象として通知を出しております。さらに、65歳以上の方で歯科検診を希望された方を対象にしておりまして、人数としては30歳以上の方で2,000人ぐらい、65歳以上の方で20人ぐらいの方が希望もしくはこちらから勧奨している人数になります。

 さらに、健診受診時に糖尿病等の既往のある方に対しては、診察の医師のほうからも受診勧奨を実施し、受診につなげている状況です。

 歯科検診の実際についてですが、歯科検診は集団検診として行っております。歯科医師1名、歯科衛生士2名にて行っておりまして、歯科医師については医師会のほうに依頼、契約し、派遣していただいております。歯科衛生士については個別に依頼し、お願いしているところです。

 対象となった方には事前に、検診実施の半月前に問診票を配付しまして、記入し、当日に持ってきていただいています。

 循環器健診が基本健診ですが、そちらに併設して実施しておりまして、土日を含む実質8日間実施しております。土日は午前午後ともに行っていますが、来ていただいている先生が開業医の先生ということもありまして、土日以外は午前中のみの実施となっております。

 検診結果、問診票に基づきまして、歯科衛生士が保健指導を行っています。

 結果票については2枚複写となっておりまして、1枚を本人に渡し、要精検となった方にはその用紙を持ってかかりつけ医のほうで精検を受けるよう勧めております。

38ページの下に図をつけていますが、歯科検診という単独の事業として行っているのではなくて、あくまでもトータル的な健診として基本健診の中に歯科検診も全身を診てもらうということで一連の流れで行えるということを意識づけるようにしています。

 実際の図ですが、総合受付を通りまして、がん検診等も当日受けられますし、基本健診を受け、最終的に歯科検診も一連の流れで受けることができるというふうになっております。

 続いて39ページ目、受診勧奨・周知についてです。基本健診は当町では循環器健診と呼んでおりますが、申し込み時に、歯科検診を併設し無料で受診できることをPRしております。健診実施月の広報にて歯科検診の必要性や歯周疾患の及ぼす影響について啓蒙しております。また、健康づくり推進員等、住民組織への健康教育の実施を行っております。

 受診者数、受診率についてですが、2,000人ほど勧奨もしくは希望されて、平成26年度は157名の受診となっております。やはり年々減少傾向というところが当町で課題となっています。

 受診者の方を年代的に見ますと、40歳、50歳では1割に満たない状況となっております。

 そのほかの歯科保健事業として当町では、乳幼児歯科健診の実施、1歳6カ月児・3歳児歯科健診時に保護者への歯科健診の実施、フッ化物洗口事業の実施、8020事業への対象者の推薦等を行っております。

 課題としては、対象者を幅広く実施することで若い世代にも歯科保健に対する関心を高めることができておりますが、毎年受診する方が固定化してきている状況にあります。歯科検診の必要性や目的がまだ十分に理解されておらず、受診拒否する方も多い状況です。 また、検診で要精密検査となっても、その後、医療機関受診につながっているかまで把握できていないのが現状です。

43ページが実施月に広報に載せている町からのお知らせですが、歯周病が及ぼす体への影響ということで、特にこういったことを周知しております。

 続いて45ページになりますが、基本健診の中の一つの項目として歯科検診もあり、一連の流れで受けてくださいという意識づけをするために、受付から歯科検診までが一連の健診の内容というふうな広報で周知しております。

 以上です。

○和泉座長 ありがとうございました。

(高澤構成員退席)

○和泉座長 続きまして、佐藤構成員御提出の資料8について御説明をお願いいたします。

○佐藤構成員 日本歯科医師会の佐藤でございます。

 きょうは、資料8として一連のものを持ってまいりました。別添で机上にカラーのパンフレットも用意をさせていただいたところでございます。

 ここに「生活歯援プログラム」とタイトルされていますが、正式名称は「標準的な歯科健診プログラム・保健指導マニュアル」ということで、通称、生活歯援プログラムで、平成20年度から特定健診・特定保健指導が制度上、開始されましたが、実は同様のコンセプトをもって平成16年から日本歯科医師会は新しい成人歯科健診ということで検討を始めてきて、以来10年以上経過しています。その内容を集約したものがここにお示ししている生活歯援プログラムで、見開きで8ページほどございますけれども、このパンフレットの中に書かれている内容であります。

 コンセプトは、特定健診・特定保健指導とほぼ同様なわけでございます。これまでの疾病発見型から一次予防を中心とした、いわゆる質問紙を中心とした新しい健診システムの提案です。

 ここに「生活歯援プログラムとは」と書いてありますけれども、一次予防が大きなポイントであり、しかも生活習慣病の予防を目指す、こういうことで、まずは質問紙に記入していただく。内容は20問、それぞれ自覚症状や環境、生活習慣に基づくカテゴリーに分かれているものを分類しながら、その階層化したものの中で、保健指導と一体化した健診を行う、これが3ページに書かれているものです。しかも、最終的にはそれをフォローアップし、評価に結びつけるという一連の流れを示しています。

 5ページを見ていただくとレーダーチャートで、歯の健康力というコンセプトで、目で見てよくわかるような形でリスクが判定できる、こういった内容になっております。

全身とのかかわりということが近年さまざまな研究でほぼ明らかになりつつありますので、今後は、データヘルスの事業も進んでいきますし、当然、KDBとかNDBというビッグデータがレセプトあるいは各種の検診とひもつけをされるということから、より明確にこれらのエビデンスは確認できる状況になってくるだろうと思います。そういうことを踏まえて、私どもとしては、生活歯援プログラムという新たな成人歯科健診プログラムを提唱しています。

 そこで、6ページにありますけれども、このプログラムの効果ということで、指導による生活習慣の改善、これは歯や口腔のことだけではなく、日常の生活習慣も含めて改善を図るというのがこの保健指導のねらいでありますので、当然、メタボとの関連で肥満の予防、解消のため、ゆっくりかんで食事をしましょうということにもこの改善効果は示されたということであります。

何回か保健指導を受けていただくということがありますが、モデル的なものとしては、初回は集団で健診、保健指導を行い、その後、地域の診療所での保健指導に結びつけていく。ここが大きなポイントであり、やはり地域の歯科医療機関がしっかりと健康をテーマにした、拠点機関としての役割を担っていただけるような将来の形を想定しているということであります。

最近は、働く人のためのお口の中の予防管理ということで、これは今後、職域ともつながる可能性を持っていると考えております。歯が多く残っている人ほど年間の医科の医療費が少ないということが職域の保険組合等のさまざまなデータからも示されてきていますので、今後、データヘルス計画に基づく保険者のデータヘルス事業というものの中で、歯科にかかわるようなさまざまな健診や保健指導が進められるということも情報としてはお聞きしているところでございます。

55ページは、今年度、モデル的に全国で実施されている後期高齢者医療の被保険者に係る歯科健康診査「高齢者歯科口腔健診表(例示)」となっていますが、保険局のほうで予算化しまして、今年度から始まっている75歳以上の後期高齢者に行っている健診事業であります。

内容としては、今、全国で行われているものは、いわゆる健康増進事業のようにかなりフレキシブルにさまざまなオプションをどのように組み合わせてもどんな形でやってもいいというような事業として実施されています。今年度は初年度でありますので、10県ほどで行われているということです。来年度は実施あるいは検討中というところも含めて31都道府県で実施というような、私どもの全国の都道府県歯科医師会の調査で情報を得ているということでございます。ここは後期高齢者にかかわるところですので、口腔機能に着目した内容、プラス現行の歯周疾患検診を踏まえたものとして示されています。

問診票が57ページの別紙2でございます。これも20問になっているわけですけれども、実はこれは先ほど説明した生活歯援プログラムの質問紙票の質問内容をマイナーチェンジした内容で、基本的には生活歯援プログラムの質問紙票とほぼ同等の内容構成になっているものでございます。

「歯科口腔保健の推進に関する法律」ができた後、私どもが目指している生涯を切れ目なく進められる健診制度の確立というところにこれらがつながっていくことを今、目指している、そんな状況でございます。

 以上でございます。

○和泉座長 ありがとうございました。

 ただいま資料3から8まで御説明いただきまして、資料3につきましては、高澤先生が御退室されましたので、資料4から8につきまして、これから御質問、御意見をいただきたいと思います。何か、御質問、御意見がありましたら、どうぞ。

○佐藤構成員 湊構成員にお伺いしたいのですが、39ページの資料7、受診者数、受診率、これは平成22年度からの結果が表にまとめられているわけです。22年度から23年度にかけてが極端に減っている。その後も漸減という状況で、結果的には2000分の157ということです。課題だとおっしゃっていたので、確かに課題なのですけれども、具体的にはどういうファクターがあるのか、もしおわかりのようなものがあれば少し補足的に説明していただけるとありがたいです。

○湊構成員 はっきりとした分析、検討等はしていないので、予測としてなのですけれども、実際、基本健診を受けられた方の人数もちょうど平成22年ごろより減ってきておりまして、やはり人口の減少とともに健診受診者数が減少してきているというところがあります。それと、歯科検診の受診者数が伸び悩んだということで、平成22年度ごろより、当初は土日も午前中のみの実施だったのですけれども、受診者数をふやしたいということで、土日は午後も先生のほうにお願いして実施しました。そのころは特に声かけ等も強化して行いまして、少し受診者数が伸びたのですけれども、その後また伸び悩んでいるという状況になっています。

○佐藤構成員 三浦構成員からも御質問があるのかもしれないのですが、健診会場の平面図のようなものがあって、循環器系統の健診ですから、当然、血液検査をするわけですね。一連の血液検査からずっと18番までいって、階段をおりて出口の近くに歯科検診のセクションがあるということなのですが、そこを素通りしていく人はどのぐらいいるのですか。

○湊構成員 健診自体は8日間に1,500人ぐらい受けられます。とりあえず、汚い平面図なのですけれども、20番の最終チェックというところに私たち保健師が必ずおりまして、帰る際には必ず歯科検診の受診勧奨ということで一人一人に声をかけているので、全員この前を通ります。

○佐藤構成員 検診は受けない。

○湊構成員 声はかけるのですけれども、今、歯医者さんにかかっているから受けなくていいですとか、いろいろな理由でお断りされる方が多いです。素通りしているのかもしれません。

○佐藤構成員 それを素通りと言うのかなと思ったのですけれども、わかりました。ありがとうございます。

○和泉座長 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、一つお伺いしたいのですが、三浦先生と沼部先生もおっしゃったと思うのですけれども、唾液の潜血検査は具体的にはどういうものを使って、質問等の評価と組み合わせると精度が向上するという報告があるということなのですけれども、具体的にその点を三浦先生にお願いいたします。

○三浦構成員 御質問ありがとうございます。今、唾液潜血検査を行う試験紙はペリオスクリーンが出しているものが多分一番よく使われるかと思います。昔はサリバスターという商品がありましたけれども、今、発売が中止になっているので、我が国の唾液潜血で調査研究をされている先生方のかなりの割合がペリオスクリーンを用いているという形になります。

 お示しした資料の中で34ページに、説明は省いたのですけれども、参考文献を列挙させていただきました。ペリオスクリーン単独で評価をして、特異度、敏感度を出している久山町のデータを九州大学さんが持っているということで、嶋崎先生たちのグループが「Journal of Periodontology」に出されているデータが精度管理的にも一番確実というか、妥当性が高いのではないかというところでございます。

 その具体的なデータですけれども、敏感度が0.72、特異度が0.52、単独で使った場合はこのようなデータが出てきています。それは久山町のデータで、サンプル数もある一定数が獲得できており、データ精度は、2,861名のデータということになっているので、疫学的にも妥当性があるのかなというところであります。

 全く同じ客体で調査はしていないのですけれども、質問紙調査と組み合わせることによって有効性が向上してくるという報告をしているのが参考文献のところの3番目の森田らのデータというところであります。唾液潜血をペリオスクリーンではない方法で測定しているところなのですけれども質問紙項目との組み合わせ方にもよりますけれども、最終的にはROCカーブをとってベストなところの組み合わせを見つけているというような形になっています。最終的には、特異度、敏感度両方合わせた値が1.44になるところまで向上が図れたというようなデータが出てきています。

 用いている方法は若干違うところが弱いところですけれども、何らかの形で質問紙を組み合わせると、ある程度、唾液潜血が持っているディスアドバンテージをカバーできる可能性がある、そのような状況でございます。 

○和泉座長 ありがとうございました。

ほかに何か御質問、御追加ございませんか。どうぞ。

○森田構成員 今の質問に関連してなのですけれども、こういう唾液潜血とか質問票というのは、結局どんな人をスクリーニングしたいかで大きく変わります。今後、市町村でやるにしても、何を導入してどんな方法をとろうと、ふるいにかける必要があるかどうかも含めてですけれども、まずふるいにかけることを前提とするならばどんな人をふるいにかけるかによって、唾液潜血がいいやら悪いやらという評価が大分変わってくると思うのです。私も勉強不足でわからないのですけれども、嶋崎先生などはどんな人をふるいにかけようとしてこの質問票に頼ったのかということです。

○三浦構成員 嶋崎先生たちの論文では、質問票というか、唾液潜血でやられているという形ですね。研究フィールドとして久山町を持っているので、そこで統制された調査研究をやられているというふうに私は解釈をしているので、久山町の一般住民をリクルートしてという形かと思います。

○森田構成員 どんな人を唾液潜血で拾おうとしているのかということはある程度クリアにしておかないと。

○三浦構成員 その研究云々ではなくて、ここの場ですね。

○森田構成員 はい。

○三浦構成員 この歯周疾患検診は、大もとが大枠の健康増進事業の一環としての位置づけがあるので、その対象と違えることはできないと思います。それ自体は、一般の地域の健康づくりのために資する事業を展開するというのが全体のプログラムの目指すところなので、結局ターゲットとするのは一般の地域住民というところです。特に歯周病の場合は成人期以降の方ではないかと思っていますけれども、このあたりは事務局のほうがより的確な回答になろうかと思うところです。

○原田補佐 事務局から失礼いたします。どのような方が対象かという点に関しましては、先ほど三浦構成員のほうから御発言いただきましたとおり、いわゆる住民の方々ということになってきます。

 以上です。

○和泉座長 ありがとうございました。

ほかに何か御質問、御追加はございませんか。どうぞ。

○埴岡構成員 三浦構成員に。31ページの下のほうにアタッチメントロスのキャリブレーションのことを書いてあるのですが、これは実際可能なのでしょうか。

○三浦構成員 私自身もこのあたりはこの検討会の場でぜひ御議論していただきたいのです。今、私どもが歯科疾患実態調査の研究班を持たせていただいて、当然、歯科疾患実態調査の中でもCPIを用いているところなのですけれども、その中でもCPI modified への対応が話題として出てきたので、そのメリットとデメリットをまとめましょうということを研究事業の一環でやってきたときに、その席上、班員の先生方の皆さん方から、アタッチメントロスをやるというのはすごい準備の時間がかかるという話は出てきたところです。

ここから先は私見なのですけれども、クリニックに来ていただいて個別で検診するときにはアタッチメントロスに対してはある程度サポートができるかなと思います。しかし、集団検診の場でやろうと思うとかなり打ち合わせをしておく必要があって、環境を整えて、ある程度、検診の環境を標準化する必要があるのかなと思っております。それが市町村にできるかどうかというのは現実論とするとなかなか厳しいかなと個人的に思っているところではあります。

○埴岡構成員 私が思ったのは、割と年齢の高い人は補綴物がたくさん入っているのですけれども、そのときにアタッチメントロスの基準となる点をはっきりと見つけるのはもともと難しいのではないかというふうなことで、十分なキャリブレーションができないのではないかと思いました。

 以上です。

○和泉座長 ありがとうございました。

ほかに、御質問、御追加ございませんか。

 それでは、今回御欠席の厚木保健福祉事務所の北原構成員から、第1回検討会でコメントとして伝えることが可能であればお伝えくださいということで意見をいただいています。それを御紹介したいと思います。その中に今のアタッチメントロスの問題もありますし、またCPI-modifiedについての問題も含まれていますので、御紹介したいと思います。

 まず、検査指標についてということです。厚木では妊婦歯科健診を行っており、全歯を対象とした健診を行っている。全歯のため、代表歯より検査精度としては上がっていると思われる。歯周疾患検診では代表歯を対象、ただし、歯周疾患検診で全歯を対象とする場合には、1、検診に要する時間の増加、2、特に個別検診の場合では、要精査となり、検診と同一の歯科医院においてその後の治療を行うこととなった場合、歯周疾患検査の費用として検診費用と保険点数が発生することになる。検査費用が両方から負担されることになることから注意が必要であるという御意見をいただいています。

 それから、アタッチメントロスについてはということですけれども、1、集団検診の場合における実施実態、これは明るさ等と書いてありますので、多分ライトですね。検診項目数の増加により煩雑になる等を考慮すると検診としての導入は難しいかと考える。第2回のときに、厚木の歯周疾患検診の実態について資料を提出するというふうにコメントをいただいています。参考にしていただきたいと思います。

 ほかに何か御質問、追加ございませんか。

○佐藤構成員 先ほど生活歯援プログラムのことをお話ししましたが、実は昨年の4月でしたでしょうか、それまでがん対策・健康増進課さんとさまざまなこのお話にかかわるようなことをしている中で、Q&Aを出していただきました。市町村における健康増進事業を実施するに当たって生活歯援プログラムを使用しても差し支えないかという問いに対して、使っても差し支えないというアンサーが発出されたということですので、ここからはお願いという筋になるかもしれませんが、その結果、どの程度、健康増進事業において生活歯援プログラムが活用された自治体があるのか、できれば知りたいです。何か知る方法はないかということもお聞きしたいというか、できれば調べてほしいというお願いでもあるわけですが、よろしくお願いします。

○和泉座長 これはいかがですか。

○原田補佐 Q&Aにつきましては、先ほど佐藤構成員のほうからお話があったところでございますけれども、事業を実施した報告として上がってくる項目としてございますのが、先生方は御存じのところかと思いますが、受診された数であったり、大きな数値というものを一度上げていただく形になっているところでございまして、細かいところまでの確認をとるというのはまた別途検討が必要になるかとは思うところでございます。ちょっと難しいかと思われるところです。

 以上です。

○和泉座長 ありがとうございます。

それでは、御意見、御質問がないようでしたら、引き続き、本検討会の主な論点(案)について、今、資料3から資料8に関しまして御説明いただきまして、何となく皆様の頭の中に論点が浮かんできたのではないかと思いますが、これにつきましては、資料9に沿って事務局から、またさらに論点を整理するために説明をお願いいたします。

○原田補佐 では、事務局のほうから、有識者の先生方に御意見を伺ってまいりました結果を踏まえまして、63ページになりますけれども、資料9「『歯周疾患検診マニュアル』の改定の論点()」という形で作成させていただいております。

 まず、1つ目ですけれども、用語につきましては「歯周疾患」から「歯周病」等、教育の場におきましては用語が変更されているということを伺っております。

 続きまして、2の検査指標の考え方についてでございます。2013年にはCPI-modefiedWHOで提示されていることも踏まえまして、検査指標をどのように考えるかということ、また質問紙票や唾液検査等の研究も進んでおりますことから、参考として記載するかどうか、そういったことの必要性等について議論が必要ではないかということが出てきております。

 続きまして、3の歯周疾患の病因論と分類について、こちらも記載についてどのように考えるかといった点についてでございます。

また、4の歯周疾患と生活習慣及び全身疾患との関連について、こちらも記載の充実をすること、及び具体的に記載する項目についての議論が必要ではないかとの御意見をいただいております。また、特定健診と歯周疾患検診を同時に実施する等により歯周疾患検診の受診につなげるといった実施方法を行っていることもありますことから、参考としてそのような記載をするのはどうかといった御意見もいただいております。

続きまして、5の保健指導方法については、具体的な保健指導内容や受診の勧奨方法についての記載を充実させるのはどうかという御意見をいただいております。

最後、6の歯周疾患の動向についてという部分ですが、全体的に簡潔に記載することを踏まえまして、特に疫学的な動向や歯周治療の動向等、数値だったりとか、時期によって変化が出てくるものについては簡潔な記載としたり、記載場所を変更する等の御意見をいただいているところでございます。

以上です。

○和泉座長 ありがとうございます。

ただいま事務局から示された6つの論点を踏まえまして、今までの先生方の御意見を踏まえて意見交換をしたいと思います。

 資料9に論点を整理していただき、また今までの議論の中で何となく浮かび上がった論点、それを踏まえまして、まず6項目の中で、さらにこういう論点があるのではないかという追加の御提案がありましたら、御意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○佐藤構成員 その前に1つ、事務局に確認をしたいのですが、健康増進事業実施要領というのは今後いつごろ見直しをするとか、そういった健康増進事業全体の考え方というか、今後の対応というところで、もしそういったタイムスケジュール的なものも含めてあれば教えていただきたいということでございます。

○原田補佐 健康増進事業実施要領の本体のほうにつきましては、現在のところ、どのような形で改正を進めていくか、そういった点についてはまだ未定であるというところでございます。今後、そちらのことにつきましては、歯科に関する部分だけではなく、ほかの骨粗鬆症や肝炎検査、そういったものもございますので、そういったものと足並みをそろえながら検討をどのように進めていくべきかをまた考えていければと考えているところでございます。

 以上です。

○佐藤構成員 ということは、当面、短期的な時間軸においてはそのようなことは考えていないということで理解してよろしいですか。

○正林課長 それで結構です。

○和泉座長 ありがとうございます。

ほかに追加の御提案等ございますでしょうか。

○佐藤構成員 今、いろんな論点が示されたので、私どもの組織としては、健康増進事業によって歯周疾患検診が実施される市町村というのは、平成の大合併でその割合がふえたということであって、実質的には、やるところがそんなにふえたということではないのだろうと考えていますし、受診者率についても全くふえていないと考えてもいいのかなと思います。取り組みによってそれぞれの自治体でかなりの差があるということも、実は私、新潟の出身ですけれども、新潟県内においても17%ぐらいの実施率のところから3%台のところまで30の市町村の中で相当なばらつきがあると思っていますので、そういうことからすると、やはり今の状況からすれば、より受診率を高めるための一つの方策として質問紙等を使った検診の新たなあり方ということは検討するべきだろうと思っています。

唾液検査についても、実は新潟県では既に特定健診にオプションで入れています。そしゃく能力判定試験もオプションで入れています。市町村国保が保険者である、つまり基礎的な自治体のところでやっているのが、30市町村のうち何らかのことをやっているのが3分の2程度、20市町村ぐらいあります。そういう状況なので、今後の特定健診と歯周疾患検診のつながりというものも踏まえて、やはりそこは整合を持たせる形で進めていただくことが必要だろう、そういうふうに考えていますし、名称については今や歯周疾患ではないでしょうと、歯周病なのですよということに関しては異論ございません。

それから、CPIのことですけれども、やはりこれまでデータの有用性、継続性ということからして、現行のCPIというのは原則、当面残すべきだろうというふうには考えています。

歯石のことについては、三浦構成員等からお話もありましたから、そこに異論はなくて、それが的確な要精検というデータに影響を与えているということも否めませんから、それはCPIの見直しの部分に入ってくるファクターになり得ると考えます。

以上です。

○和泉座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょう。資料9をごらんいただきまして、また先ほどの説明に加えていきたいとか、また項目についての御意見がもしあれば、どうぞ。

○森田構成員 ここで一番押さえておいていかないといけないのは、どんな指標をつくるにしてもこれは疫学データには全くならないと思います。これで市町村の健康レベルなどとてもはかれるはずもないので、健康度を把握するとか、重症度を把握するとか、そういうばかなと言ったら怒られるかもわからないけれども、そういうナンセンスなことを考えずに、やはり住民の気づきとか、ちょっとでも考える機会を設けるチャンス、そういう方向で健康増進事業ならするべきだと思います。CPIがいいとか、アタッチメントがいいとかいうのは次の論議でいいと思うのですけれども、それによって何か市町村の基礎データをつくるというのは、そういう方向に行くととんでもないことになるのではないかと思います。

 それと、質問紙や唾液検査というのは、私の個人的な意見ですけれども、歯医者さんがもし検診するのなら、こんなものは要らないですね。歯医者さんができないところで使うのであればいいのだけれども、歯科医師がいる場所があって、そこで検診するのだったらこのようなものは不必要とは言いませんけれども、エビデンスとしては差があると思うので、上手に現場現場で使い分けるのがいいのではないかと思います。質問票ありき、検診ありきで話をするのも余り現実対応型ではないのかなと思います。

○和泉座長 明快な御意見をありがとうございます。

ほかに、どうぞ。

○埴岡構成員 森田構成員の補足になるかもしれませんが、実態を把握するというよりは健康を増進していくのだということが主眼になるのであれば、この事業が向上していくような取り組みというものもこのマニュアルに含まれていたらいいのかなと思います。具体的に言うとPDCAサイクルを回せるような言葉を入れておくというふうにすれば、その地域の中で住民の健康度がどんどん上がっていくというようなものが目指せるのかなと思います。

○和泉座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

○佐藤構成員 今のお話は全く異論がなくて、実際に私どもが提案したこのプログラムも、健診をやることも可能である、しかし、裾野を広げるためにはこういった質問紙による調査というものがあって、それが、気づきと森田先生がおっしゃったように、しっかりと支援型の保健指導につながる、ここがポイントなので、そこを重視してほしいというのが今の国の健康寿命の延伸にかかわる取り組みと合致するところだというのは全く異論のないところです。

○和泉座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

○三浦構成員 歯周疾患検診においては集団と個別、両方の実施方法があるわけですけれども、両方がある程度共通の土台に立つような項目づくりというのも非常に重要ではないかと思います。個別しかできないようなものを入れ込むよりは、両方である程度しっかりとした対応ができる形にしてあげるほうが国が行う事業としてはふさわしいのではないかと思います。

○和泉座長 ありがとうございます。

沼部先生、いかがでしょうか。

○沼部構成員 今までこの論点を踏まえてお話をいろいろ聞かせていただいておりますが、支援型の保健指導ということに関して一つの方向性が大きく見えてきたということで、私の頭の中の考え方をかなり整理することができました。

 先ほど佐藤構成員から示された生活歯援プログラムのわずか20問の質問に答えるだけというこの絵を見て、私が考えていたものがかなり盛り込まれていたということで、WHOの健診などの考え方も質問紙法がコアであるということが定義づけられてきていますので、そういった意味ではこういうものをより積極的に取り入れる形の検診がまずは一段階としてよろしいのではないかと感じました。

 以上です。

○和泉座長 ありがとうございます。

それでは、湊構成員、一言いかがでしょうか。

○湊構成員 正直、わからない言葉もいっぱいあったのですけれども、実施に当たっては、市町村としてはコスト的な面とか、そういったあたりも中に入れ込んで検討してもらいたいというところとか、私どもの町は、歯科医師、歯科衛生士ともに町職員としてはいないので、そういった専門職の方からの指導を受ける、検診を受けるというあたりでも必ずコストがかかってきますので、そういった面も考慮した内容にしていただければありがたいと思います。

○和泉座長 ありがとうございます。

ほかに何かございますか。よろしいですか。

○佐藤構成員 スライドの中に歯科医師の派遣は医師会からと書いてありますが、歯科医師会ですね。医師会なのですか。

○湊構成員 医師会から派遣依頼ということでお願いをして、契約して来てもらうのですけれども、そこにもやはり報酬というあたりが。

○佐藤構成員 済みません。歯科医師会でしょうか、医師会でしょうか。

○湊構成員 歯科医師会です。

○和泉座長 ありがとうございました。よろしいですか。

 それでは、そろそろ時間になりますけれども、資料9で論点を挙げていただきまして、大体ここに集約されるのではないか、また少しプラスアルファもあると思いますが、このような論点を中心に、今後あと2回ですけれども、議論を進めていきたいと思います。よろしいでしょうか。何か御意見、御追加ありましたら、よろしくお願いいたします。

○沼部構成員 全体的なタイムステーブルをもう一回教えていただければと思います。

○和泉構成員 事務局からお願いいたします。

○原田補佐 では、事務局から御説明させていただきます。

本日いろいろ御議論いただきました論点を取りまとめまして、次回、第2回のときに事務局のほうから新しいマニュアルの大まかな枠組みをお示しして、中身についても御提示できる部分につきましては御提示していこうと思っております。そちらをもとにまた御議論いただきまして、最終的に第3回で取りまとめをするという形で進めていこうと思っております。

 本日のあと少しのお時間ですけれども、追加で御議論いただけるお時間がございましたら、できましたらCPIをどのような形で用いる必要があるか、また生活習慣や全身疾患のところについてどういった項目を記載すべきかを先に先生方の御議論をいただければ、そちらのほうを第2回の資料に反映させていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○沼部構成員 ありがとうございました。

○和泉座長 追加ということで、CPI-modefiedでいくのか、今までのCPIを中心に進めていくのか、御意見でいいですけれども、率直な御意見をお願いいたします。

 確かに全歯は精度的には上がるのですけれども、時間がかかってしようがないとか、そういう不利な点もありまして、その点を踏まえまして、先生方の御意見はいかがでしょうか。どうぞ。

○三浦構成員 やはり全歯となるとかなり時間がかかってしまうので、実現可能性から考えるとちょっと苦しいのではないかと思うところです。CPI-modefied の原法に必ずしも従わなくてもいいのかなと思うところもあるので、利便性や検診受診率の維持向上を踏まえると、もし何らかの形で入れるのでしたら、旧来のCPIの特定歯法が妥当ではないかというようには思います。ただ、CPIについては、先ほど佐藤構成員からも指摘がありましたけれども、コード2の問題というのは非常に大きいので、それはやはり改善すべきではないかと思います。要精査が8割というと全然引っかからない人のほうが圧倒的に少ないというのはスクリーニングとしてどうなのかなと思うところなので、そこを改善できればと思います。

 アタッチメントロスに関してはなかなか難しい問題があるので、重症化予防で歯科医院に行ってもらった後のところでサポートするというのが実現可能性を考えるとよいのではないかと、思うところでございます。

○和泉座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○沼部構成員 私も同意見で、まずアタッチメントレベルに関してはかなり現場が混乱する可能性があって、埴岡構成員が言ったようにキャリブレーションがとれないと思いますので、これは省くべきであろうと思います。

それから、CPIの対象歯の本数についても、これまでのCPIを使って検診していた先生方のことを考え、また負担を考えると、現行の代表歯を捉えて、そしてかつ先ほどの歯石の内容を除いたものを使ったmodefiedのもので行っていくのが妥当ではないかと考えています。

○和泉座長 ありがとうございます。

ほかに御追加ございませんか。

 これは今後、2回目の一つの論点になりますので、そこでもう少し議論を煮詰めたいと思います。

また、この検診の目的も、森田先生がおっしゃったように、まず実施しなければ、データとして残すというのはその次の段階ではないかという御意見もありましたので、第2回のときにそれをまたディスカッションしたいと思います。

 もう一つ、先ほどお話もありましたように、生活習慣及び全身疾患と関連ということなので、これについてどのようなところまで含めていくか、その御意見だけでもお伺いしたいと思います。歯周疾患、歯周病と全身の関係は注目されていまして、これについても、例えばここに書いてあります糖尿病とか循環器疾患に限らず、早産、低体重児出産の問題もありますし、どこら辺まで詳しく記載していくのかということなのですが、簡単に御意見をいただけますでしょうか。どうぞ。

○佐藤構成員 口腔と全身の関係のことは、既に平成20年度から始まっている特定健診・特定保健指導の、いわゆる保健指導実施者の指導マニュアルの中に10ページ近く歯科口腔にかかわる内容の記載がございます。それは、きょうお示ししたパンフレットの一番裏側のところにシェーマ化して載せています。沼部構成員からの21ページの内容とほぼ同じことでありますし、さらに言えば、喫煙のことに関しては、私ども日本歯科医師会のホームページの中に、歯科医院における禁煙支援への道というのが既に禁煙支援マニュアルというような形で掲載されておりますので、これはどなたでもダウンロード可能というようなことで、こういったことを含めてリンクできれば、それもいいだろうというふうに思います。

○和泉座長 ありがとうございます。

ほかに御意見ございますでしょうか。

 今回のマニュアルについてはぜひ充実したいと私自身も考えております。

 それでは、ほかに御意見等、御追加ないようでしたら、そろそろ時間になりましたので、本日の議論はここまでとしたいと思いますけれども、今後のスケジュールを簡単に、先ほどお話しいただきましたが、もう一回お願いいたします。

○古賀補佐 今後の日程について御案内をいたします。

次回、第2回の検討会は日程調整をさせていただいた結果、2月26日(木曜日)、13時から開催を予定しております。場所等詳細につきましては、また改めて御連絡を差し上げます。

○和泉座長 ありがとうございました。

それでは、本日はこれで閉会といたします。どうも御協力ありがとうございました。


(了)

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