ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会)> 第7回社会保障審議会福祉部会 議事録(2014年10月20日)




2014年10月20日 第7回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成26年10月20日(月)10:00~12:00


○場所

航空会館大ホール7F
(東京都港区新橋1-18-1)


○出席者

田中滋 (部会長)
石橋真二 (委員)
猪熊律子 (委員)
鎌倉克英 (委員)
(代理:西條由人参考人)
小林光俊 (委員)
関川芳孝 (委員)
高橋英治 (委員)
武居敏 (委員)
橘文也 (委員)
対馬徳昭 (委員)
花井圭子 (委員)
福間勉 (委員)
藤井賢一郎 (委員)
藤野興一 (委員)
松原由美 (委員)
松山幸弘 (委員)
三好昇 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

業務運営・財務運営の在り方について

○議事

○田中部会長 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第7回「福祉部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しいところをお集まりいただき、どうもありがとうございます。

 まず、委員の出欠状況について、事務局より説明をお願いします。

○西辻総務課長 本日の委員の出席状況について御報告をいたします。

 本日は、川井委員、黒岩委員、高橋福太郎委員、堀田委員、宮本委員から御欠席の連絡をいただいております。

 また、黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人にお越しいただいております。

 なお、小林委員、松原委員からは、若干おくれるという御連絡をいただいております。また、猪熊委員は、現在、こちらに向かわれているというふうに承知しております。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 議事に入ります前に、ただいま紹介のありました欠席委員の代理として出席されている参考人について、皆様の御承認をいただかなくてはなりません。

 本日御欠席の黒岩委員の代理として、西條由人参考人の御出席について異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中部会長 ありがとうございます。

 続いて、議事に入る前に、資料の確認を行います。

 事務局、説明をお願いいたします。

○西辻総務課長 それでは、お手元の資料につきまして確認をさせていただきます。

 本日の配付資料といたしまして、資料「業務運営・財務運営の在り方について」を配付させていただいております。

 なお、今回、資料の完成がおくれまして、委員の皆様方には直前の昨日にメールで送付させていただく結果になりましたことをおわび申し上げます。

 以上でございます。

○田中部会長 では、早速、議事に入ります。

 事務局より資料の説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 資料の説明を申し上げます。

 資料の「業務運営・財務運営の在り方について」を御説明いたします。

 1ページをお開きください。「地域公益活動の位置づけ」とございます。

 これまで3回にわたりまして、財務運営・業務運営について御議論いただきました。資料については、7ページにございます「社会福祉法人の財務規律のイメージ」について御議論いただいたところでございます。

 今回は、この中で、社会福祉法人の事業に位置づけられます地域公益活動について、中心に御議論いただければと存じます。

 2ページの資料でございます。「地域公益活動の位置づけ」でございます。

 まず初めに「地域公益活動」は以下の要件を満たす事業または活動としてはいかがかという点でございます。

 第1に、社会福祉を目的とするものであること。

 第2に、地域におけるニーズがあること。

 第3に、公的制度による給付の対象となっていないことでございます。

 この内容につきましては、これまでの御議論と、資料の8ページにございますが、これまでに地域公益活動または社会貢献活動に関する「規制改革実施計画」や「社会福祉法人の在り方等に関する検討会報告書」の内容を踏まえて設定いたしたものでございます。

 2ページをごらんください。

 2つ目の○でございます。社会福祉法人は社会福祉事業または公益事業を行うこととされています。

 この中で、公益事業については、社会福祉事業以外の事業であって、その事業を行うことが公益法人の目的となり得る社会福祉と関連する事業であると解されております。公益事業の内容につきましては、限定列挙等の形で事業が限定されるものではございません。

 当部会におきまして、これまでの議論の中で、公益事業について、現場、所轄庁の指導の段階におきまして事業が限定されるという問題があるというような御指摘が多々ございました。これにつきましては、厚生労働省といたしましても、ここにありますとおりの趣旨を踏まえまして、今後、制度改正の内容も踏まえまして、公益事業というものは基本的には限定列挙等のものではないということをきっちりと周知徹底することとし、運用について、今後、対応してまいりたいと思っております。

 したがいまして、社会福祉法人が行う社会福祉を目的とする事業は、全て社会福祉事業または公益事業に該当することになります。

 これらを整理しました概念図が下にある図でございます。社会福祉事業と公益事業がございまして、これらの中で地域公益活動というものは包摂されるものと考えられます。

 上の3つ目の○をごらんください。

 したがいまして、今回の財務規律の仕組みの中で再投下対象財産の再投下の対象となるものは、以下の2つに分類されることになります。

 1つは、地域公益活動でございます。

 もう一つは、地域公益活動以外の社会福祉事業または公益事業により供給される福祉サービスの充実でございます。

 地域公益活動は、以下の図におきましては公的制度の給付対象ではないという分類の事業の中に位置づけられる形になります。

 以上が2ページの説明でございます。

 続きまして、3ページを御説明いたします。

 「地域公益活動に係る責務等の内容」でございます。この資料におきましては、再投下投資対象の財産があるかないかで、その責務の内容につきまして整理したものでございます。

 まず、地域公益活動に係る責務の範囲でございます。これにつきましては、再投下投資対象財産がない場合、直接の費用の支出を伴わないものに係る「地域公益活動」の実施となります。

 また、再投下投資対象財産がある場合でございますが、これにつきましては、左記の責務に加えまして計画的再投下財産を投下して行う「地域公益活動」の実施となります。

 行政の関与につきましては、事前と事後で分けております。再投下投資対象財産がない場合につきましては、事後におきまして現況報告書に基づく指導監督が行われることとなると考えられます。

 また、再投下投資対象財産がある場合につきましては、事前の関与といたしましては再投下計画の承認がございます。事後の関与といたしましては、届け出、これは更新の計画でございますが、届け出された再投下計画に基づく指導監督となります。

 次に、地域ニーズ反映の枠組みでございますが、再投下投資対象財産がない場合は、法人の事業計画において位置づけていただくことになるかと考えられます。

 一方、再投下投資対象財産がある場合につきましては、これまでも議論がありました地域協議会あるいは地域福祉計画において把握されたニーズをもとに再投下計画を策定することとなると考えられます。

 次のページをごらんください。

 このように地域公益活動を位置づけた上で、これに関します枠組みについて資料で整理しております。

 まず、地域における福祉ニーズの把握でございます。これにつきましては、例としてはここにございますとおり、生計困難者に対する無料・低額の福祉サービスの提供、高齢者の生活支援、生活保護世帯の子供への教育支援、人材育成事業など、規制改革実施計画におきまして掲げられてありますこうしたような内容が考えられます。

 このような地域福祉ニーズにつきましては、右の欄にございますが、地域における協議会、地域福祉計画において把握するということが当部会におきまして議論されてまいりました。また、地域における協議会につきましては、福祉に関する既存の枠組みの活用をという御議論がございまして、そのような既存の枠組みの活用を想定しております。

 さらに、このような地域における協議会等の機能でございますが、福祉ニーズの把握、法人間の連携・協働の調整などが考えられます。

 このようにして把握されました福祉ニーズにつきまして、各法人におきまして把握された地域における福祉ニーズを踏まえた地域公益活動を展開していただくこととなるかと考えられます。

 図におきましては、再投下対象財産がある法人、ない法人で整理をさせていただいております。

 Aの再投下対象財産がない社会福祉法人につきましては、x活動とありますが、直接費用の支出を伴わないものが責務のある地域公益活動として考えられると考えます。

 また、再投下対象財産があるBやCにつきましては、もちろんこのような直接費用の支出を伴わない活動も含められますが、それ以外に、上記の地域における福祉ニーズで把握されました中で直接費用を伴うような活動、「アルファ活動」「ベータ活動」と書いてありますが、このようなものを再投下計画において位置づけていただくことになろうと考えられます。

 また、再投下計画につきましては、前回の部会におきまして御議論いただきましたが、行政による再投下計画の承認という行為が考えられます。

 行政につきましては、右の欄にございますが、計画の承認は所轄庁が行うことが考えられます。しかし、地域によりましては、必要に応じて他の地方公共団体との調整をしていただくことになろうかと考えられます。

 また、α活動がB社会福祉法人とC社会福祉法人それぞれに書いてありますが、このように同種の活動をする場合があろうかと考えられます。これらにつきましては、実施する上での必要に応じて連携していただくことになろうかと考えられます。

 次のページをごらんください。

 ただいま御説明いたしました行政による「再投下計画の承認について」ですが、前回の部会におきましても御議論がございました。その御議論を踏まえまして、このように整理をしております。

 所轄庁による再投下計画の承認におきましては、確認の対象として考えられる事項は次のとおりである。

 再投下の対象となる「地域公益活動」が要件に適合しているかというのが第1点でございます。要件というのは、先ほど申し上げました、社会福祉を目的とするものであること、地域におけるニーズがあること、公的制度による給付の対象となっていないことでございます。

 第2番目に、再投下対象財産の額が適正に算出されているかでございます。前回の部会におきまして控除対象財産について考え方が示されましたが、そのような考え方に従いまして適正に算出されているかということでございます。

 第3番目に、事業等の実施期間、支出額等に妥当性・実効性があるかという点を確認いただくことになろうかと考えられます。

 次のページをごらんください。6ページでございます。以上を踏まえまして「地域公益活動についての考え方」をまとめております。

 まず「社会福祉法人の本旨と地域公益活動の位置づけ」でございます。

 社会福祉法人は、民間の事業主体として、自主性・自律性に基づく事業運営のもと、第1に、社会福祉事業に係る福祉サービスの供給確保の中心的な役割を果たすとともに、地域における多様で複雑な福祉ニーズにきめ細かく対応し、または既存の制度では対応できない人々への支援を行うことにより地域の福祉を担うことを本旨とする。これは通念的に解釈されているものでございます。

 これを受けまして、社会福祉法人が責務として担う「地域公益活動」は、その本旨に照らし、社会福祉を目的とし、地域におけるニーズがあり、公的制度による給付の対象となっていない事業または活動であると考えられるのではないかという点です。

 また、これらの事業または活動は、社会福祉法に規定する社会福祉事業または公益事業に包摂されると考えられます。

 このように社会福祉法人の本旨から地域公益活動の位置づけを論理的に導いた上で、規制改革実施計画につきましては、以下のとおり決定されております。

 ○すべての社会福祉法人に対して、社会貢献活動(生計困難者に対する無料・低額の福祉サービスの提供、生活保護世帯の子供への教育支援、高齢者の生活支援、人材育成事業など)の実施を義務づける。そのために、社会貢献活動の定義の明確化や会計区分の整備、社会貢献活動への拠出制度の創設などの検討を行う。

とあります。

 このような社会福祉法人の本旨から考えられる論理的な帰結と規制改革実施計画を踏まえまして、今回の資料にございます「地域公益活動に係る責務」をまとめますと、以下のとおりでございます。

1「地域公益活動」(直接費用の支出を伴わないものを含む。)を実施することを全ての社会福祉法人の責務として法律上位置づける。

2「地域公益活動」の実施状況を公表することを法律上明記する。

3再投下対象財産を保有する法人は、必ず、当該財産を活用して地域の福祉ニーズを踏まえた「地域公益活動」を計画的に実施することとし、その上でさらに再投下可能な財産がある場合には、これを「地域公益活動」以外の社会福祉事業または公益事業により供給される福祉サービスの充実に計画的に投下することとする。

その際、公益的な見地から地域の福祉ニーズを把握する枠組みを整備する。

以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 本日は、今、説明いただきました資料について討議してまいりましょう。

 どうぞ皆様から御意見、御質問がありましたらお願いします。

 武居委員、お願いします。

○武居委員 2ページにあります「地域公益活動の位置づけ」の条件のところに3つございます。社会福祉を目的とするものであること、地域におけるニーズがあること。そして、3番目に公的制度による給付の対象となっていないこと、これについてさらに議論が必要なのではないかと思います。

 例えば介護保険事業でも、会計処理をして最終的に赤字のものもあるので、単に不採算事業だということだけでここに位置づけるものではない。これはよくわかります。

 前々回、経営協から提出した資料の中にも幾つか事例を挙げましたが、例えば、保育所が障害児を受け入れているというような場合に、市町村によっても違いますけれども、その子供のために通常の保育士にプラスして常時1人の保育士を配置したとしても、大体半分程度の補助しかないというケースがよくあるわけでございます。こういう事業こそ社会福祉法人に積極的な取り組みをしてほしい事業だと思うのですが、一部でも公的な制度の給付対象であるものは地域公益活動の対象としないとすることが、今後の福祉サービスの充実につながるものかどうかというのは疑問な感じがいたします。

 したがって、単純に少しでもお金が入っていれば全て×ということではなくて、もう少しそこのあり方の方法を考えるべきではないかと思います。

○田中部会長 補助がほとんど費用をカバーするならいいけれども、一部しか出ていないような場合はどう考えるかということでしたが、何かお答えになりますか。

○岩井福祉基盤課長 ただいま武居委員より御指摘ありました公的制度による給付があるかについての考え方でございますけれども、そもそも地域公益活動は、規制改革実施計画におきましては「社会貢献活動」と言われておりました。

 このような社会福祉法人の本来的なそもそもの慈善団体的な性格につきまして、社会的な使命として求められるものにつきましては、やはり公的責任と民間の社会福祉法人の責任の分離の考え方もありますので、基本的には地域公益活動というものは公的制度による給付の対象となっていないものと考えることが妥当ではないかと考えております。

 もちろん細部につきまして、いろいろと内容を詰める必要はあろうかと思いますが、もう一点申し上げますと、今回の枠組みでは、地域公益活動に該当するものだけを社会福祉法人の再投下対象財産の投下先としているわけではございませんし、基本的には、後ほどまた御議論があろうかと思いますが、地域公益活動以外の社会福祉事業または公益事業に基づく福祉サービスの供給ということも、この再投下対象財産を通じて促進していただくことが必要だと考えられますので、そちらのほうで位置づけられるものと考えております。

○田中部会長 せっかくですから、わかるまで質問を重ねて結構ですよ。いかがですか。

 高橋委員。

○高橋英治委員 日本保育協会の高橋でございます。

 2点ほど、今ほど武居委員がおっしゃったことにかぶるのですけれども、どうもいまいちまだはっきりと理解がなかなかしづらいところがあります。

 公的制度による給付の対象となっていないこと、例えば、保育の場合でいいますと、さまざまな本体事業以外、周辺事業と言われるかもわかりませんが、そこがいわゆる補助金ということになっておりまして、それは市町村の事業としての補助金制度でありますので、具体的に言いますと、例えば、地域子育て支援の活動にしても、一銭もそのことに関しての補助が出ていないところと、指定制みたいな格好になっていますので、そういう補助が出ているところと、地域子育て支援以外にも一切補助が出ていないところと出ているところ、そういった項目が非常に多うございまして、その辺が公的制度による給付の対象となっていないことということと照らし合わせたらどう考えたらいいのかというのが、いま一つまだ飲み込めておりません。

 2点目は、また違う話になるのですが、事前の承認ということにつきまして、現在の社会福祉法第61条に事業経営の準則というのがありますけれども、そこで言われていることは、あくまでも民間としての経営自主権というものを国及び地方公共団体は尊重するような規定があるわけですが、ここは前回も申し上げましたけれども、承認ということで、それがいい悪いを判断するとか、そこに妥当性・実効性があるかとかいうことになってきますと、ややもすると行政のほうはちょっと勘違いされる可能性もあったりするのが非常に危惧されるところだとは思います。

 以上でございます。

○田中部会長 後段は、将来の実際の所轄庁による承認のところへの御懸念ですね。

 前段は、補助金が少しでもあったらだめかと。先ほどの武居委員と同じ御意見ですが、法的な制度ではないけれども、例えば、今年度の予算限りの補助金がついたら、それだけで外れるか外れないか、そういうことも含まれますね。

 藤野委員、どうぞお願いします。

○藤野委員 先ほどのお二方の意見というか、質問とかぶる形になると思いますけれども、例えば、今、虐待防止でかなり要保護児童地域対策協議会という形で市町村に設置することが義務化されていまして、我々のような社会的養護をやっている法人が密接に連携をとってやる必要があるのです。そんなことに対して、公的制度による給付の対象となっていないとも、いるとも判断をする者によって違ってくると思うのです。

 今、社会的養護の主管は、都道府県が措置制度の部分をやっております。地域協議会などの活動というのは市町村の事業です。そういう意味で、保育園などですと市町村が主体の事業となっていますからあれですが、そんなことでいえば、社会的養護の施設がそういうことをやることに関しては、極めて公益性の高い事業だと私は思っているのですけれども、それを「公的制度による給付の対象となっていないこと」ということで判断を云々ということについては、やはりある程度解説的なものが要るのだろうと思うのです。

 要するに、例えば、地方交付税で出ているとかいいましても、地方交付税の使い方については市町村が自由にやりますので、全く回っていなかったり、そんなことがいっぱいあるのです。だから、ここのところをどう判断をするのかということ。

もう一つ、実態としては、例えば公益事業制度に載っていないようなことをやろうとすれば、やる人間というのは、現に社会福祉法人が制度で抱えている人間が、オーバーワーク的なことを含めてかかわるわけですよね。そうすると、実態的には都道府県は兼務はだめだと。これは措置費をそちらに回していることになるから、だめだと言うのですよね。だから、その辺のことも緩和しないと、社会福祉法人が本当に自由にいろいろな公益的、先駆的な事業をやっていくというふうに活性化しないと思うのです。だから、その辺の緩和のことも、この際ここで議論をして、ある程度反映させてほしいと思います。

 済みません、長くなりました。

○田中部会長 皆さんから公的制度による給付の限定の話と、例えば、公益活動を行うと兼務と言われてしまわないかといった御懸念が示されましたが、課長、お願いします。

○岩井福祉基盤課長 まず、第1点でございますが、今、藤野委員からございましたように、公益性のある活動であることは間違いない。すなわち、社会福祉事業自体が公益性の高いものとして考えられますので、それはそのとおりであろうかと思っておりますし、先ほどありましたように、例えば事業の延長的に行われています障害児保育とか延長保育とか、これ自体の意義が、全く公益性がないというわけではないということはもちろんございます。

 一方、資料もつけておりますけれども、今回のこの地域公益活動または社会貢献活動に関する議論というものは、やはりその背景には、一つは、他の経営主体との関係、イコールフッティング論というのがございます。

 そういう中で、社会福祉法人がこれまでの公益性のみではなく、さらに社会福祉法人が社会的使命として持つべきところは何かという議論が行われておりまして、そういう中で制度での対象外のところとか、あるいは対象外の方に対する福祉ニーズ、または公的な給付等もないところでも地域のニーズを把握して対応していただくというのがやはり社会福祉法人としてのさらなる社会貢献、地域公益活動ではないかという点で、このように整理させていただいているという趣旨でございます。

 繰り返しになりますけれども、今、委員がおっしゃられましたような活動は公益性がないというのではなくて、今回、制度化するに当たりまして、そのような範囲を設けてはどうかと考える次第です。もちろん具体的な中身、運用とか基準につきましては、整理する必要があると考えております。

 また、公益活動につきまして、これまでのさまざまな運用とか制度との関係は、この部会においても繰り返し委員から御議論いただいております。これらにつきましては、そもそも社会福祉法の枠組み、たてつけ等に対して新たな軸が入るものでございますので、これは整理させていただきたいと思っておりますので、またこれにつきましては、その点を整理させていただいた上でと思っております。

 以上です。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 従来、社会福祉法人は、社会福祉事業に集中していて余りほかの事業をやっていないという批判がありました。しかし、現実にさまざまなところの実態を見ると、そうではなくて本来事業の周辺のところで幾つかの事業を今までいろいろな法人が取り組んでいるということが、今回、明らかになってきただろうと思いますし、そのことにスポットライトを当てて、それが本来事業の一つであると位置づけていただくことは大変重要なことですし、いいことだと思います。

 ただ、イコールフッティングという点から、その対象と考えられるNPOとか企業が行う事業と明らかに違う事業であることを求めるとすると、多少無理があるのではないかなという感じがします。誰もやらない事業などというのはないのではないかと思われます。

 これは例として適切かどうかわかりませんけれども、社会医療法人として認定される医療の条件というのは、一般の医療法人が全く行っていないものかというと、そうではないわけでありまして、ある医療の中の公益的な内容の基準を設けているということで、同じ事業であっても、事業の比率などの基準によって分けているということもあるので、その辺を参考にして、公的なお金の給付ということに関する条件設定をもう少し考えたほうがいいのではないかなと思います。

○田中部会長 御意見ありがとうございました。

 三好委員、お願いします。

○三好委員 江別市でございます。

 今の公的制度という範疇の話でございますけれども、市町村レベルでいきますと、福祉サービス、子育て支援などなど政策的なものの要素が非常に強くなってきております。隣の町ではこういう事業を対象にするけれども、我が町はこれを対象にしよう。これを補助制度に入れて政策的なものを進めていこうということが非常に多くなってきまして、都市間競争のような、政策競争のような形になっております。

 したがって、公的制度、補助制度が対象になる、または実施しているのみでは非常にバランスに欠けることになるのではなかろうかと私は思っておりますので、先ほど具体的な検討という話がございましたけれども、より具体的に内容の仕組みを検討していくことが重要ではないかなと私は思っております。

 そういう仕組みを入れて検討していく。そして、それを例示として各地域でその必要性を必ず判断していただいて、その地域の中での議論の上にそれを実施するという形が必要ではないかと私は思っています。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 松山委員、お願いします。

○松山委員 資料の3ページの「地域公益活動に係る責務等の内容」なのですが、これはストックに注目して再投下投資対象財産があるか、ないかで区分なさっているのは理解できるのですけれども「無」のところで直接費用の支出を伴わないものに係る「地域公益活動」の実施ということになると、では、再投下投資対象財産がないところは直接費用の支出を伴うことをしなくてもいいみたいな印象が何となくあるのですが、それは誤解を招かないようにしないといけないのではないか。

 というのは、理由が2つあります。1つは、社会福祉法人の在り方検討会のときに、たしか具体例として千葉県の社会福祉法人が免除されている法人税相当額を毎年自主的に地域公益活動に使っているという事例が紹介されました。そういうところは恐らく再投下投資対象財産はないと思うのです。毎年、納税額相当額を地域のために使っているわけですから。でも、それは物すごく評価すべき行動だと思うのです。だから、直接費用を伴う活動であってもどんどんやってくださいというような考え方のほうがいいのではないか。

 2つ目の理由は、この表ではストックに注目していますが、では、フローがどうなっているかというと、例えばですけれども、今、厚労省が所轄している社会福祉法人の2012年度分財務諸表が本省と地方厚生局のホームページで公開されていますので、経常収支差額率の平均を計算すると、高齢者施設123法人が6.23%、保育所77法人が7.31%、高齢者施設と保育所を併営している45法人が5.23%、障害者施設29法人が8.59%です。

 したがって、社会福祉法人が黒字の10%とか20%を仮に地域公益活動に直接費用の支出を伴うものとして出したとしても、決して経営に影響は受けないと思うのです。むしろ地域に対する貢献度が上がると思うので、地域公益活動の分類のときに、一つの考え方として再投下投資対象財産の有無で区分するというのは重要なのですけれども、フローの財源のことも考えて、再投下投資対象財産がない法人であっても、直接費用の支出を伴う活動を積極的に行ってくれることは非常に歓迎であるというような考え方をしておく必要があるのではないかということです。

○田中部会長 3ページの表の解釈はとても大切ですから、課長、今の点、再投下資産がない場合はどうかということでしたので、御説明ください。

○岩井福祉基盤課長 今回3ページの資料につきましては、松山委員御指摘のとおり、まず、ストックに着目して整理しております。これにつきましても、今後、これを整理していく必要はあろうかと考えますが、全ての法人に対しまして地域公益活動というものは責務として求められるというのではないかという御議論がございます。その中で、今回、再投下投資対象財産の流れという中で整理いたしますと、このとおりになることはまず間違いないかと考えております。

 一方、フローとストックがまた違うということも松山委員がおっしゃるとおりでございます。これにつきましては、結局、フローだけ見ますと松山委員御指摘のようなケースも当然考えられますが、中期的にはなかなか経営的に影響もあろうということもございますので、責務として現段階でこのように制度的に位置づけられるものは、この資料にある範囲かなということで整理させていただいております。

 いずれにいたしましても、松山委員御指摘のように、再投下投資対象財産がない法人に対しましても、そのような取り組みをしていただくこと自体は推奨されることだと考えておりますので、そういった趣旨も踏まえて、今後、整理していくのかと考えています。

 一方で、先ほど来の各委員の御議論がございますとおり、地域公益活動のみが社会福祉法人の社会的使命ではないということはあろうかと思います。その辺との兼ね合いも含めて、制度設計をすべき問題ではないかと考えます。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。それから高橋委員。

○藤井委員 松山委員の意見に補足という形なのですが、3ページについては、再投下投資資産があるところとないところで扱いが違うというのは表でよくわかります。ただ、6ページの下の「地域公益活動に係る責務」で、本体事業をしっかりやることは当然のこととして、今後、全ての社会福祉法人の責務として地域公益活動を法律上位置づけるというのもまたこちらにございます。

 ここで言う「地域公益活動」というものが、イニシャルコストとして出すものはないところはやらなくていいということではなくて、イニシャルコスト、ランニングコスト、あるいはコストを伴わないもの、この3種類あると思うのですけれども、いずれかの地域公益活動をやらなくてはならないということだと思います。

 3ページのところは「無」と「有」で、左側の「無」のところに「直接費用の支出を伴わない」と書いていますが、ランニングコストも当然あろうかと思いますので、ここは「直接費用を伴わない」というよりは「再投下投資対象財産の投下を伴わない」と書いていただいたほうがわかりやすいのではないかと思います。

 今後、この再投下投資対象財産がどういうものなのかという線が出てくるかと思いますが、実務上は資産計上するような減価償却資産のことを指しておられるのかどうなのかとか、この線は実務上あるかなと思います。

 今、松山委員がおっしゃったことについて、前回の再生産投資資産というものをどうみなすかということで1点申し上げておきたいのが、利益を上げて法人税相当額あるいは固定資産税相当額を全額地域のために出していたとしても、当然、利益は残るわけです。その利益額は残していていいよということを松山委員はおっしゃっているわけでありまして、一応、私も大まかな考え方としては賛成でございますが、今、松山委員が改めておっしゃっていただいた利益率を聞きますと、これ全額についてそのように考えていいかはちょっとよくわからなくなるのでございますけれども、いずれにせよ、全部再投下するのだというような言い方が前回あったと思うのですが、松山委員の話は全部再投下という話にはなっていないという点を、今後、議論いただければと思います。

 先ほど来議論になっていました最初の点にちょっと戻らせていただくと「公的制度により給付の対象となっていないこと」という条件をどのようにしていただくかというのが、皆さん、一番気になっていることだと思います。

 私も前回申し上げまして、たまたま赤字になっているからこれがそれに入るなんて言ってほしくないのですが、老健局のほうで、今、過疎地における通所訪問サービスの調査をやっておるのでございますが、かなり遠いところまで社会福祉法人だから頑張って行こうというふうにやっておられるところは多うございます。過疎地等ですとやはり社会福祉法人がやっているところが多くなっておりまして、片道30分ぐらいかかるところ、あるいは1時間ぐらいかかるところに行っておられるという情報がございまして、当然、黒字にはならない。

 特に高知県等では市町村でお金を出していただいている。お金は出しているのですが、それで足りないことは市町村もよくわかっているといったようなものがございますし、課長がおっしゃっていただいたイコールフッティングの議論でいいますと、地方公共団体からすれば、なじみの社会福祉法人にいろいろお願いしたいということが、これはNPO、株式会社から見ればイコールフッティングではないということになるわけでございますが、一方で、金額的には余り引き受けたくないけれども、しかし、やっていかなければいけない。これは社会福祉法人にしかお願いできないというものもやっていこうかという、押しつけられるという言い方をすると違うのですけれども、そういった逆イコールフッティングみたいなこともございまして、そのあたりの「公的制度による給付の対象となっていない」とは何かというのは、私ももう一度改めて細かく議論していただければと思います。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋英治委員 少し数字が松山委員のほうから出ましたので、少しだけまた別な数字を御紹介させていただきたいと思いますが、厚生労働省所管、地方厚生局所管ということになりますと、結構大きな法人のデータだと思っておりますけれども、子ども・子育て会議において昨年とった3分の1抽出のデータですが、社福の保育所の場合の収支の率が、これで見ると、全国の状態ですけれども、4.8%という数字も一方でありますので、その辺は多分大きな法人さんの収支率の御紹介をされたのだと理解しておりますが、実態調査のこういう数字もあるということだけ、少し申し上げておきたいと思います。

○田中部会長 福間委員、お願いします。

○福間委員 公益活動の責務の関係ですが、資料の6ページのところに責務の○3で「再投下対象財産を保有する法人」とありますが、これでいくと、初めに、対象財産を保有する法人の場合には、それを活用して地域公益活動を計画的に実施する。その上でさらに再投下可能な財産がある場合に、公益活動以外の福祉事業または公益事業となる。

 これは前のページに、地域公益活動以外の社会福祉事業または公益事業は、福祉を目的とする事業ということでくくられていると思うのですが、そうしますと、資料の7ページのところのいわゆる決算を終えて残った金を次年度どうするかというときに、法人としては、本来事業として持っている社会福祉または公益事業としての福祉を目的とする事業をまずやろうと。その上で地域公益活動としてくくられるものをやろうとか、いずれもやろうという計画が立つと思うのですが、前々回からの議論の中でも、本来事業に付随するものは事業の継続に必要な財産の控除対象のほうなのか、計画的再投下にも線引きできないような感じもするのです。この文言を読むと、初めに地域公益活動ありきで、その上でさらにとなると、余った金をそちらだというのは、法人の事業計画的なイメージでいうと逆のように思えるのですが、ややこの書きぶりが理解に苦しんでおりますので、再コメントをお願いしたいと思います。

○田中部会長 本業の将来についての投下と、余ったお金を使う社会福祉事業、公益事業、地域公益事業の関係について御疑問がありましたので、御説明を願います。

○岩井福祉基盤課長 6ページの○3についてですが、これにつきましては、当部会におきましても、地域公益活動とその他の福祉サービスの充実について御議論がございました。

 ここに記しております趣旨でございますが、まず、地域公益活動につきましては、義務づけるという閣議決定等もございますし、また、この部会におきましても、地域におけるニーズがある場合には、それにまず対応するのが社会福祉法人の本来的・社会的使命であろうということもございますので、地域ニーズがあるのであれば、必ずしていただくということが必要ではないかという趣旨でございます。

 しかしながら、当部会におきましても御議論がありましたが、社会福祉法人の本来業務というのは社会福祉事業でございます。その中ではさまざまな社会的ニーズがございまして、これに応えていくことがむしろ社会的使命を果たすことではないかという御議論もございます。

 したがいまして、ここの解釈も御議論いただく必要があろうかと思いますが、基本的には必ず地域公益活動をしていただくことは必要かと考えますが、例えば、再投下対象財産を全て地域公益活動に投下していくことまで求める必要はないのではないか。地域公益活動については実施するけれども、その他の再投下対象財産で、本来、社会福祉事業として求められていることに対応していくということが考えられるのではないかという趣旨で書かせていただいております。

○田中部会長 福間委員、よろしいですか。

○福間委員 御説明そのものはわかるのですが、そうしますと「必ず」と「その上でさらに」ということは、初めに地域公益活動ありきで、その次に本来の部分に付随するニーズに応えると、順番をそうすることが果たしていいのかどうか。

 逆に言えば、先ほどの表の中で、財産があるなしでの云々とありますけれども、あるなしではなくて、その財産を計画的に投じるときに、あるなしが結果的には多寡であったりとかが出るのだと思うのですが、この並べ方はやや違和感を覚えます。

○田中部会長 課長、どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 こちらの記述の仕方の考え方は整理する必要があろうかと思いますが、決して時系列で考えているわけではございませんで、基本的には地域公益活動が義務づけられるという位置づけを踏まえまして、まず冒頭に書かせていただいております。

 なお、これも前回までの御議論でありましたが、基本的には社会福祉法人が本来の業務を行う部分につきましては、先ほどからありますように、そもそも年度ごとの経常的な取り組みの中で費用化していただくことが必要でありますし、適当かと考えられます。その上でさらに利益が蓄積した場合の再投下先の問題があるということもあります。

 したがいまして、まず、義務化されるところは必ずやっていただくということはありますが、それに全て費消するわけではなくて、その他の社会福祉法人が担うべき事業活動を充実させていただくこともあわせてやっていただくという形で、時間軸的にはこれは同時のものであろうかと考えております。

○田中部会長 藤野委員、お願いします。それから関川委員の順でいきましょう。

○藤野委員 2ページの下のところで、社会福祉事業の青い部分と公益事業の黄色い部分、それにまたがって「地域公益活動」という形でされている。これについては、いいなと思っています。

 ただ、その場合の青い部分と黄色い部分とが重なる部分と、先ほどから言っているのは、そこで公的制度による給付の対象となっていないことというものの理解ですね。だから養護施設とか、そういう社会的養護の分野でいいますと、アフターケアというのは義務だとされていますけれども、アフターケアの費用としては、例えば、着のみ着のままで帰ってきた出身者を受け入れて1カ月ほど居候させるとか、そのようなことは食費から何から、費用としてそういうのがついているわけではないですよね。だから、それはやはり本来事業であると言われれば本来事業であるし、そうでないと言えばそうなのですよね。だから、それは非常に小さい例ですけれども、やはり虐待防止の事業としてはかなりお金も投入してやっているわけです。

 ところが、それはほとんどが制度に含まれていない部分なのです。例えば、地域児家センというあれがありますが、それなどは補助金制度ですが、やればやるほど赤字になる状況になっているのだけれども、どうしても必要な事業なので我々としては万難を排してやっているわけですよね。

 だから、その中で児家センなら児家センというのが制度にあるのですけれども、それ以外にかなり出費してやっている事業、例えば24時間電話相談だとか、一時保護所を設けてやるとか、そんな事業ですよね。そういうのをこのまたがった青の部分とするのか、黄色の部分とするのかというのは、やはりその辺の整理をある程度していただいたほうがいいのではないかなと思います。

○田中部会長 今後、整理もお願いするということですね。

 では、関川委員、先にお願いします。

○関川委員 非常に短い間で前回議論を踏まえていただいて、前回資料で曖昧なところが非常にクリアになっている、と思います。特に地域公益活動の位置づけについては、非常にわかりやすいものになっています。

 それを踏まえて、2ページ、3ページの資料について、字句等の変更を検討していただきたい部分が幾つかありますので、参考までに申し添えたいと思います。

 2ページ目につきましては、位置づけですから、まずは社会福祉法に地域公益活動を法的義務として位置づけるということをまず最初に書いていただいて、そして、なぜそれが必要なのかという意味づけを明記していただいたら、全ての社会福祉法人がこれにかかわることの意味が明確になるのではないかと思います。

 また、2ページの概念図なのですけれども、下の図に社会福祉事業と公益事業とありますが、イメージ的には公益事業の公的制度の給付対象となっているものはごくわずかなので、右側の青い破線の部分は少し上のほうに上げていただいて、地域公益活動に含まれないが公益活動として社会福祉法人に期待されている役割というものは非常に大きいのだと明記していただけたら、そこに投資対象財産の投下が期待されているということが図的に明らかになるのではないかと思っています。できれば例示なども入れていただくと、イメージ的にはわかりやすいと考えます。

 もう一つは、実は、この枠の中に入らない社会福祉法人による地域に対する貢献的な活動があるのではないかと思っています。

 例えば、文化伝承、祭りであったり、地域産業の振興であったり、まちおこしであったりということを、施設を一つの社会資源として利用しながら、そこに寄与するということも地域社会における社会福祉法人の重要な役割であると思います。しかし、それは再投下対象財産の対象とできない、かつ福祉を目的としない地域貢献活動であると考えます。それは、この図の枠の外に位置づけられると思いますが、社会福祉法人による地域のおける役割として過小評価してはいけないものと考えますので、概念図においても位置づけていただけたら、関係者の理解が得られやすいかなと思っております。

 次に、資料3ページですが、松山委員、藤井委員が御指摘のとおり、私も「地域公益活動に係る責務の範囲」で再投下投資対象財産のない場合に関しては「直接費用の支出を伴わないものに係る」ではなくて「再投下投資対象財産の投資をしないで行う」というような定義のほうが望ましいのではないかと思います。

 また、その下の行政の関与の「事前」のところですけれども、実際には、その年度当初の現況報告書には当該年度の事業計画が含まれ所轄庁に届け出されているわけですから「事前」のところは斜線ではなく、「現況報告書(事業計画書)の届け出」があることを書き入れておいていただいきたいと思います。

 さらには、同ページにあります地域ニーズの反映の枠組みのところですが、「法人みずから地域の福祉ニーズの把握に努め、法人の事業計画に位置づける」というように記載していただいくことが望ましいと考えます。右の「『地域協議会』、地域福祉計画において把握されたニーズを基に」というとありますから、これと合わせた記述のほうが、その反映の枠組みが明確になると思います。

 以上が事務局資料について、基本的に賛成ですけれども、字句や表現など工夫していただいたらよろしいのではないかという意見でございます。

 さて、ここで一番申し上げたいのは、4ページにあります「地域における福祉ニーズの把握」の大きな四角の部分でございます。

 昨年度、兵庫県の老人福祉事業協会が県下会員施設に対して地域貢献の取り組みについての調査をしたことがございます。私もそれにかかわらせていただいたのですが、やはり施設を社会資源として活用しながらも直接費用の支出をしないいろいろな活動をなさっているということがわかりました。ただ、それらは確かに地域ニーズに基づく事業・活動なのですけれども、今、地域が直面する深刻な福祉課題と少しずれているような内容が多数ございました。

 こうしたことから、地域公益活動についても、やはり住民参画による地域の課題解決型のソーシャルマーケティングという発想・枠組みが必要ではないかと思ったわけでございます。そのようなソーシャルマーケティングという立場に立って、ニーズ把握の枠組みを制度化することが大切です。制度化にあたっては、地域における福祉ニーズの把握についても、把握のプロセスを少し具体的にフローチャートとして概念図に示しておくことが必要なのではないかと考えます。

 前回武居委員がおっしゃったように、私も、地域の福祉ニーズは、なによりも実際に地域で仕事をしている施設の職員、なかでも相談員の方々がもう既によく把握されていると思います。法人として問題であるのは、それが個々の職員が把握しているニーズを聞き取り整理・統合し、法人組織として様々な地域ニーズを把握するという場面が少ないことです。したがって、まずは法人組織として職員から意見を聴取し、法人として地域ニーズを把握することが、第一のステップとして必要なのではないかと思います。

その上で、第二のステップとして、地域住民が考えるニーズ・ウオンツを反映する仕組みとして、地域協議会との協議あるいは、地域福祉計画からニーズを把握することになるのであろうと思います。問題は、地域協議会や地域福祉計画の策定に係る議論の場において把握されたものに限るのか、それとも職員が把握した地域ニーズでもよいのか、議論があるところかと思います。これは最終的な所轄庁の確認のところで、地域におけるニーズがあることというところが確認の対象になっておりますが、地域協議会あるいは地域福祉計画の場で議論されたもの以外のニーズも対応できるのかどうなのかというところは、事務局にお考えをお聞きしたいところでございます。

 さて、今申し上げた問題は、ニーズの内容あるいは範囲の問題ですけれども、もう一つ手続の問題があるのではないかと考えております。手続の問題というのは、この地域福祉計画で明らかにされた地域ニーズであったり、地域協議会の場で議論された地域ニーズであれば、それを計画にそのまま取り込めばいいのか、法人に求められる手続きとして考えて、実際に地域協議会の場で意見聴取・協議をするところまで必要なのか検討が必要かと思います。

 私見ながら、私自身は、住民参画のもとで地域ニーズを法人と住民とが双方向で協議した上で決定することが重要と考えていますから、むしろ意見交換の場で双方のニーズ、すなわち法人が把握した地域ニーズと、地域が考えるニーズ・ウオンツをすり合わせて、共同作業として福祉課題にどうかかわるのかということを話し合う場、意見聴取の場をぜひともこのプロセスの制度化の中で位置づけていただきたいと思っています。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 図の描き方に関する建設的なコメントが何点かありました。それから、ニーズ把握の方法は協議会での議論に限るのかに関する御質問でした。今後、手続について考えるべきだとの御意見をいただきました。お願いします。

○岩井福祉基盤課長 今、御指摘いただきました点も含めてお答えいたします。

 その前に、本日、御議論が進みまして、地域公益活動と地域公益活動以外の福祉サービスの充実は基本的にはどちらも重要であり、この仕組みにおきましても、当然、地域公益活動は義務づけられるという位置づけになりますが、決してそれ以外のものがそういう意味で優劣するわけではなく、その充実もこの再投下計画に基づく投資の中で位置づけられるということは御理解いただけたかと思います。

 また、先ほど来、委員からさまざまな御意見がございますとおり、現在、社会福祉法人が担っておられる障害児保育やその他社会的養護におけますさまざまな取り組み、その中には採算性のないものとか、非常にコストがかかるものがあるということも周知のことかと考えております。

 ただ、今回の制度におきまして地域公益活動を位置づけるということは、そうしたこれまで社会福祉法人が担ってこられた事業というもの自体は、先ほどの言葉をおかりしますと、やはり社会福祉法人の本来的な取り組みであるのではないか。もちろんその取り組みを否定するものではございませんし、積極的に評価されるべきでございますが、そのような本来的な事業の取り組み、あるいは事業の延長として行われるものを地域公益活動として改めて位置づける必要があえてあるのか。

 逆に申しますと、本来的な事業はきっちりと福祉サービスの充実の中で取り組んでいただく。さらに求められる地域公益活動というものが、今回、求められているわけですから、それを位置づける必要があるのではないかということです。

 また、公的な制度からの給付につきましても、もちろんその額の多寡とか、さまざまな御議論があることは当然理解できるわけですけれども、公的な主体によるそうした政策的な措置、誘導があるものを地域公益活動として捉えるのかということを考えますと、常識的、社会通念的にやはりそこは公的制度による給付の対象外のところで、社会福祉法人が公益性を根拠に特に先駆的に取り組んでいる部分と考えるのが必要ではないかというのが事務局の案でございます。

 繰り返しになりますが、本来事業で行われている部分については、積極的に評価されるものでございますし、今回の再投下対象計画におきましても、やはり同等に再投下の促進が図られるものであると考えている次第でございます。

 続きまして、関川委員からの御指摘の点でございますが、地域における枠組みですが、前回、武居委員から御指摘がありましたとおり、例えば法人等の現場、あるいは職員からのオリジンのところでニーズが出てくるのではないかということについても、大変貴重な意見でありますし、妥当性があろうかと思われます。当然、地域における協議会等におきましては、こうした法人からのニーズの発信というのが必要でございますし、それに取り組むような仕組みが必要かとは考えております。

 また、地域のニーズというものが把握された上で、これを全て権力的に社会福祉法人に割り当てるということは、制度としては妥当性がないだろうと考えております。このような話し合いの場を踏まえまして、最終的には社会福祉法人におきましてこれを選択し、判断し、取り組んでいただく形になるのかと考えております。

 ただ、それが公益性との観点から社会的に認知されるかということは別物でございますので、ここに行政の関与の役割が出てくるのではないか。その際、地域協議会における議論というものを踏まえていただくのが、余り行政に裁量性を持たせるということも現実的に難しいですし、問題もあろうかと考えられますので、地域協議会における協議を経たというのも一つプロセスとしては必要ではないかということで、このような仕組みを提案している次第です。

 以上です。

○田中部会長 関川委員、もう一度どうぞ。

○関川委員 今の話にかかわって1点だけ確認させていただきたいのですが、地域協議会でそれぞれの法人が提案をして、説明をして、協議の場を設けるということになりますと、例えば政令市でいきますと、社会福祉法人の数はかなり多くなって、それを1回の協議会でさばけるのかという実務的な問題が出てくるのではないかなと思っているのですが、その点はいかがでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 これは資料にもございますとおり、地域協議会というものをどのような枠組みでつくるかということに絡んでくる問題かと思っています。この部会におきましても、地域包括ケア等の既存の枠組みというものを活用するべきではないかという御議論もございました。その点を踏まえて、今後、制度設計する話かと考えています。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 まず、事務局から御説明があった「公的制度による給付の対象となっていないこと」という部分ですが、事務局の御説明で事務局のお立場は理解いたしました。

 私が先ほど申し上げたのは、社会福祉法人の側に立ってそういう意見を申し上げたのですけれども、確かに社会福祉法人批判が非常にある、この会議の外の、コップの外のことを考えますと、かなり厳しい改めてというものになるというのは、それはそれで理解いたしました。

 その上でなのですけれども、やはりグレーな部分はあるだろう。例えば、過去、社会福祉法人ですと、制度にも何もないものをやるといったときに、やはり行政にも相談をして、できたら行政にも補助金をつけてくださいというやり方をする場合が非常に多いと思います。これは補助金をつけてもらった瞬間に地域公益活動にならないのでは、これから補助金をつけてもらうことをやめるから、市町村に相談することがなくてもいいではないかみたいになっても変な話でございますので、このあたりは現実的実態に沿ってグレーゾーンについてさばいていただければなと思います。

 4点ほどあるのですけれども、最初にこの地域公益事業の線ということになるのですが、まず、地域公益事業の中に再投資計画が必要なものがあるということがあり、地域公益事業あるいは本来事業の外側に社会福祉法人がやり得ることがあるという線もあるのではないかと思います。

 と申し上げますのは、前回、関川委員がおっしゃっておられた、済みません、関川委員の全部と言っているわけではなくて、国際貢献的なものというのは、やはり地域貢献事業としては認めにくいのではないかといったようなことがあり得る。

 例えば、乳児院がISSJと連携して国際養子縁組をするための何か活動をしている。これぐらいですと、地域公益事業と呼ぶのか、呼ばないのかというのは微妙な線になってきます。

 それから、地域振興とかいったものになりますと、例えばですけれども「Piece to Peace」というNPOがありまして、フェアトレード商品を売って利益を上げている株式会社がある。似たような活動を社会福祉法人でもやりたい。

 これはやっていただいていいのだと思うのですが、地域公益事業ではないだろうとか、つまり、今回、地域公益活動というのが出ましたのは、これまでのこちらの議論で、いろいろやりたいのだが地方公共団体がやらせてくれないということに対して、義務、やってくださいという看板をつけていただいたのはいいのですけれども、さらに枠組みができますと、その外側はやってはけしからんという話にまたなりますと、これは社会福祉法人の規制をどんどん厳しくしているだけになってまいりますので、ぜひこの外側にも当然やっていいことがあるよというのを、今回、法改正をされる話でございますから、きちんと位置づけていただきたいなというのが1点目です。

 2点目ですが、これは福間委員がおっしゃっていただいた話で、6ページの下の部分ですが、私も福間委員と全く同じような印象を受けまして、この再投下対象財産というものが、前回の整理でいいますと、余裕財産の中で運転資金再生産費用、現在の事業に使っているものの控除対象を除きますと再投下対象財産になるということですから、1つは、地域公益活動に再投下してもらうもの、もう一つは、本来事業の拡大再生産というものが当然入ってくると思います。

 特にサービスの形態が変わってくる。高齢者などでは10年ぐらいで2倍のニーズの伸びといったことがございますので、当然、社会福祉法人も拡大再生産をしていただくということになると、この再投下対象財産というのは、拡大再生産部分と地域公益活動についてあるということなのですが、経営判断をするときにばらばらに考えるとは思えないのです。

 今度、新しい建物をつくるときに、その一画にこういうものをつくるということでございますから、別々のものとしてでき上がるものではなくて、やはり事業計画として一体的におつくりいただいて、その中で地域公益活動にかかわることに関しては、行政が承認というできるだけ義務的行為でないものでやっていただくということではないかと思うのですが、先ほど福間委員がおっしゃっていただいたように、○3はどうもそういうふうに読みにくいものですから、もしそうではないということであれば、そう教えていただきたいのですけれども、それでよいということであれば、ちょっと表現上の問題があるかなと思います。

 3番目なのですが、これが藤野委員がおっしゃっていただいた地域福祉事業と公益事業の整理ということなのですけれども、そもそも現在の社会福祉法における地域福祉事業というのは第1種と第2種がございまして、第1種は法律で明確に定義されている入所系の施設というものが多くなっているわけでございますが、例えば、特別養護老人ホームという中でいいますと、今、特別養護老人ホームにかかわる措置というのはほとんどない現状でございまして、あるいはこれは在り方委員会の中でも雄谷委員がおっしゃっていたのですけれども、あらゆるサービスは入所中心から地域へと行っているのが、第1種に入所施設が書いてある。もともと入所施設というのは、人権上の問題とか、そういうことがあるがゆえにといったことだと思うのですけれども、この社会福祉事業の中身そのものも今回を機に少し議論いただく、見直しいただければなと思います。

 最後、4番目なのですけれども、関川委員が先ほど来おっしゃっておられる地域協議会の話なのですが、これを聞くたびに思い出すのが社会福祉協議会でございまして、思い出すなんて言ったら失礼なのですが、社会福祉協議会のことは念頭に置かないでこの委員会はずっと進んできているわけでございますが、社会福祉協議会が期待される役割を担っておられれば、この議論は多分不要だったのだろうと思います。

 逆に言えば、適切に活動されている地区もないわけではございませんから、こう言うとまた怒られるかな。そういうところは、そういう枠組みに乗っていただこうというのが事務局案だと思うのですけれども、現に関川委員が御心配されているのは、そういう地区が余り多くない。枠組みそのものがないということでございますので、この後、議論していただくホールディングカンパニーとかアライアンスとか、そういったような話が出てくると思うのですけれども、地域包括ケアなんかでいいますと、特に多領域にわたるという共通した取り組みが必要でございますから、一法人だけで取り組むのではなくて、多法人が共同・連携してやるような枠組みというものをこれにあわせてお考えいただきたいなと。その上で各法人がきちんとした経営自主権を持って、みずからの判断で積極的に地域に貢献していくというものにどうやったらなるのだろうかといった仕組みを議論できればと思っております。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 今のコメントに何かお答えになりますか。

 追加で鎌倉委員、どうぞ。

○鎌倉委員 今、藤井委員が言われた社会福祉協議会のところです。私は小さな町の社会福祉協議会の委員をしております。4ページ目の図を見ていただきますと、「地域における福祉ニーズの把握」という項目の中に出ております生活困窮者、高齢者の生活支援、生活保護の子供の教育という項目について、その社会福祉協議会が来年度に行いたいという話が出ておりました。しかし、予算がなくてどうしようかということでした。この社会福祉協議会は、収益事業を行い、自己資金を持って、地域福祉活動事業に充てていたのですが、予算の確保が難しい状況でした。

 この委員会の協議の中で、話し合われています社会福祉法人の数ですが、前の資料にありますように、社会福祉協議会は1,901事業所です。施設経営法人は16,980事業所と数が全然違うので、社会福祉協議会はちょっと横に置かれて話されているようなことがあります。

 社会福祉協議会の中には、積極的に公益活動に取り組んでいるところもあることも念頭に置いて、検討をいただきたい。

 あと4ページ目の図の下のところで、α活動ということがございますよね。例えば、Cの社会福祉法人が社会福祉協議会で、Bのほうが施設経営法人であるとします。α活動に対して施設経営法人のほうが協力をするという資金援助というようなことが実際に可能なのかというのを質問ということで、補足で入れさせていただきます。

○田中部会長 では、両委員のコメント並びに質問についてお答えください。

○岩井福祉基盤課長 藤井委員から多岐にわたる御指摘をいただきましたが、まず、前半にございました、先ほど福間委員からもありました意見につきましては、当部会においても、本日、このように御議論いただきましたことも踏まえてまた整理したいと思いますが、おっしゃるとおり、基本的には社会福祉法人が事業計画を考える中で、福祉サービスへの投下と地域公益活動の取り組みということを一体的に考えるものと考えています。

 先ほども申し上げましたとおり、地域公益活動自体は、義務づけられますので必ずしていただくことが必要かと思いますが、地域公益活動で全て支出していただくわけではなくて、社会的なニーズに対応する形で福祉サービスへの投下もこの中で検討をいただく形になろうかと思います。

 ただ、こういう議論があります背景には、やはり社会福祉法人が事業拡大をするという方向はありますけれども、福祉サービス自体が市場と考えれば、それに対応していれば社会的な使命を果たしたとも言えますが、一方で、福祉という世界におきまして、市場では対応できないようなニーズがあるという認識があり、地域公益活動という形で、公的では対応できない部分も含めて対応していく必要があるのではないかというのが今回の議論の流れではないかと考えています。そういう意味では、地域公益活動はやはり社会福祉法人としていただく必要がある。

 一方で、市場に乗るようなニーズがある部分がございます。特に社会的ニーズといたしましては、待機児童の問題ですとか、先ほど申し上げました介護の問題とか、さまざまございます。そういうものに対しては投下していただく必要がございますので、このような形で書かせていただいていますが、基本的には事業判断を踏まえて、両方ともしていただけるような仕組みにはしていきたいと考えております。

 そういう中で、社会福祉事業に関する御意見がございました。これにつきましても、藤井委員のおっしゃることは私どもとしても理解できるものでございますが、当然、社会福祉事業の見直しとなりますと、今回のような法人運営の議論のみではなく、サービスの供給体制ですとか、さまざまなサービス論も含めた議論をしなければなりませんので、今回、この福祉部会において議論をする中では、これはなかなか全体的に取り組むのは難しいかと考えております。今後の課題かと考えております。

 社協についてお二人の委員から御意見がございましたが、当然、社協の仕組みというものは、本来業務といたしましては今回の地域協議会のような役割を担うものでございます。また、それに対しまして、社協に対する現状認識も委員からありましたとおりでございまして、これも確かに正鵠を射たものであるかなと考えております。

 事務局といたしましては、現段階におきましては社協も一つの選択肢として考えております。そういう中で社協とか、あるいは地域福祉計画とか、あるいは既存の協議会を活用するというふうに、今のところ広い射程で捉えておりまして、その中でどのようなものが現実的なものかというのを、今後、考えていくのではないかと考えております。

 以上です。

○田中部会長 西條参考人、どうぞ。

○西條参考人 ありがとうございます。

 この議論の前提というのは、あくまで余裕財産といいますか、再投下財産のある法人に対して、どう支出計画をつくっていこうというお話だったと思うのですけれども、2ページの図を見て、何か随分議論が拡散しているような気がしております。

 この2つ目の○で公益事業は「限定されるものではない」と書いていますね。でも、これは一応、法的にも社会福祉法の26条、政令で限定列挙されていると解釈しておりますので、先ほどの議論もありましたけれども、まずもって、左側の公的制度の給付対象でないものというのが再投下対象財産の再投下の財産として出てくるわけがない。

 余裕財産というのは、もともといろいろな形で法人さんがため込んで、ため込んでと言っては失礼ですが、余裕があった財産なのですけれども、それには当然、今までの経緯の中で法的な資金が何らかの形で補助金なり、あるいは介護保険給付なりで受けているはずですから、それでもって余裕が出てきているわけですよね。

 それに対して、何かこれを分けて対象であるものを公益活動に使えみたいな、こんな図になっているのはちょっとどうかなと思っていまして、先ほどほかの委員からも御指摘があったように、再投下対象財産にするのであれば、社会福祉事業か公益事業、あるいはグレーゾーン、そのグレーゾーンの部分を社会福祉事業か公益事業の定義解釈という形でおさめないと、本来の社会福祉法人がやるべき役割というのが薄れてくるような気がしてしようがないのです。

 もう一つ、4ページのところですが、ここで言う地域福祉計画をつくるのが地域における協議会という枠組みですけれども、今、既に市町村におきましては、地域福祉計画をつくる枠組みの中で、法的にも住民参加でつくりなさいと縛られていますので、何らかの住民参加の形で地域福祉計画をつくっているという実態がございますので、そういったものが基本的にその中に民生委員もあれば、社会福祉法人も入れてそういう枠組みをつくって、地域ニーズというものを把握していただければよいのかなと思っていまして、社会福祉協議会は、確かに藤井先生がおっしゃったように、今、役割が随分変わってきております。社会福祉事業といいますか、もともと社会福祉法人格ですので、社会福祉事業をやっている法人が市町村レベルではほとんどなのですね。あと、会員組織のいろいろな互助活動とか提言活動をされているのが都道府県レベルの社会福祉協議会であるということを、まず、前提として御理解いただければなと思っています。

 あと、6ページの○3の表現、福間委員からも御指摘があったように、その上でさらに余裕があればまた再投下の対象にしなさいというような表現なのですが、確かに時系列云々でいえばこうではないとは思うのですけれども、考え方としては地域貢献活動に積極的に社会福祉法人がかかわるということはわかるのですが、やはり自治体からすれば、社会福祉事業を本来の役割として進めていただかないと地域福祉が成り立たないというのが前提でありますので、余裕があればの範囲の中で、さらに余裕があれば、本来であれば社会福祉事業の充実に使っていただきたいというのが自治体側の意見でございます。

 以上でございます。

○田中部会長 地域貢献活動に関する割と根本的な議論だと思うのですが、どうですか、いかがでしょう。

○岩井福祉基盤課長 この部会におきましても、公益事業についての御議論が再三ありまして、本来、本日の資料としてつければよろしかったのですが、今、法令上のお話が出ましたので、一応、御紹介いたしますと、社会福祉法の第26条の第1項におきましては「社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益を目的とする事業又はその収益を社会福祉事業若しくは公益事業(第二条第四項第四号に掲げる事業その他の政令で定めるものに限る。第五十七条第二号において同じ。)の経営に充てることを目的とする事業を行うことができる」となっています。

 すなわち、社会福祉法人は、社会福祉事業と公益事業ができる。もう一つ、社会福祉事業と一部の公益事業に充てるための収益事業を行えるとしております。

 ただいま申し上げました収益事業として、その充当先としては社会福祉事業と一部の公益事業なのですが、その一部の公益事業を定めたものが社会福祉法施行令第4条でございまして、限定列挙されております。したがいまして、委員のおっしゃるのは多分ここのことではないかなと考えておりまして、社会福祉法といたしましては公益事業は限定列挙をしておりませんし、厚生労働省としてもそのような指導はしていません。

 委員からも御指摘がありましたように、現場におきましてもやはり国の方針がある必要があるということもございまして、そういう中で、現場におきましてそのような混乱があるとすれば、今回の制度の改革も含めまして、きっちりと周知徹底していきたい。したがいまして、公益事業自体は限定列挙ではない。ただし、その範囲自体は、やはりそれを拡散するのは問題でございますので、その点はきっちりと対応していきたいと思っております。

○田中部会長 対馬委員、どうぞ。

○対馬委員 2つあります。

 1つは、行政による再投下計画の承認の件であります。

 私どもは、4つの行政区で仕事をやらせてもらっているのですが、地域のニーズ把握については行政によってかなり差があるのではないかと考えます。その中で、果たして再投下計画の承認申請を上げたときに、適切な判断ができるのかという心配をしています。私は、承認ではなくて届け出で良いのではないかと考えています。

 私どもも31年間の事業の中で、現場の職員が実際に在宅のお年寄りからいろいろな話を聞いて、こんなことで不安になっている、こんなことで悩んでいる、そういった小さな声を聞いた上で在宅の利用者にアンケート調査をし、その上で、将来必要だと考えたニーズについては事業開発をし、法人の独自事業として位置づけてやってまいりました。そしてそれが最終的に国の制度になった事業もあります。私は現場の最先端の職員がお年寄りのニーズを一番知っていると考えます。行政が再投下計画を承認するのはいかがかと考えています。

 2つ目は質問なのですが、今、私どもの法人は、東北の震災の復興支援関連や、大都市圏で入居希望者の数が増加傾向にあると考えています。そういった市で特別養護老人ホームの整備について公募があったときには、積極的に手を挙げているところであります。

 その公募の際に施設整備について事業計画を提出するのですが、整備する時の資金の内訳の中には、今まで法人が内部留保してきた一部資金を施設整備に充てる計画をつくっています。そのときは国からも交付金が出ますし、市からも補助金が出ます。今回、公益活動計画の中で施設整備を行う時にどのように位置づけるかを教えていただけませんでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 済みません。まず、前半につきましては、承認とか、法制的な詰めは今後させていただきますが、基本的には、武居委員からもありましたし、対馬委員からもありましたとおり、福祉の現場の声というのが重要であるということは私どもも重々認識しておりますし、実際にはそのような形でニーズを把握される方も多いかと考えていますので、先ほど申し上げましたように、協議会等の枠組みはそういう声が届くような仕組みが必要かと思っております。

 一方で、現在、社会福祉法人とか福祉に対する考え方として、当然でございますけれども、福祉というものは決して社会福祉法人だけがするものではございませんし、やはり地域で考えるべきものであるという考え方があろうかと思います。地域の声を届けるという一方の声も必要かと。そういう意味では協議会等の枠組みが必要で、そういう中で把握した中で、最終的には福祉に対する供給体制につきましても、やはり一定の関与と責任があります行政が関与する必要があるだろう。

 ただ、行政の関与につきましては、裁量性が大き過ぎるものですとか、あるいは非常に機械的なもの、しゃくし定規にならないような仕組みを考えたいということを事務局としては考えている次第で、委員の御心配については、できる限り制度の中で検討していきたいと思っています。

 大変失礼ですが、済みません、2番目の御質問なのですが、私ども、問題認識のところがはっきり理解できませんでしたので、もう一度お願いできますでしょうか。

○対馬委員 私どもの法人は、今、例えば、東北の復興の支援をするだとか、大都市圏でまだ特別養護老人ホームの入居者の希望者が多くて、なかなかそれを解消できないような実態にあります。

 私どもの法人としては、そういう市が特別養護老人ホームの整備について公募をするわけであります。今その公募に私どもは積極的に手を挙げているわけでありますが、そのときに、必ずどういう事業計画で特別養護老人ホームを整備するかということで書類の提出をするわけでありますが、そこで一番大事なのは、やはり資金計画を組むわけでありますが、その資金の中に手持ち資金という枠があって、これは今まで私どもの法人が蓄積してきた利益、要するに、繰り越し利益の一部をここの手持ち資金に充当するという考え方でやっているわけでありますが、この場合、新しい地域公益活動として行う場合に、この整備には最終的には国から交付金が出て、市から補助金が出るわけでありますので、今回、その取り扱いはどうなるかという質問です。

○岩井福祉基盤課長 ただいまの御質問の特養とか、そういうものの整備につきましては、今回の整理でいきますと地域公益活動ではなくて本来的な事業の展開であると考えられまして、資料でいえば、福祉サービスの充実というところで呼んでいるところかなと考えています。

 そういう中で、利益を蓄積された内部留保を自己資金に使っていただくというのは今までもあったことでございますし、今後もむしろそういった社会ニーズに対応して、内部留保を計画的に投下していただくということもこの制度の趣旨の一つでございますので、そう御理解いただければと思います。

○対馬委員 そうすると、地域公益活動ではないと。

○岩井福祉基盤課長 基本的には地域公益活動には当たらないのかなと、今、お聞きして考えております。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 1点提案です。先ほどから問題になっている2ページの「公的制度による給付の対象となっていないこと」の文言ですけれども、例えば「費用必要財源の全額が公的制度による給付の対象となっていないこと」としてはいかがかと考えております。

 こうすることで、本来公的制度で費用の全額が給付対象になっているにもかかわらず、マネジメントの問題で赤字になっているということを地域公益活動として提出することを除外できると同時に、先ほど高知の事例だったと思うのですけれども、自治体のほうで新しいことを始めるに際し、補助金の額がもともとコストに見合わないというようなときに、社会福祉法人が貢献していくということをサポートできるのではないか。

 現実的には、多分これから社会福祉法人と自治体が福祉計画等をいろいろ話し合っていく中で、新しいニーズに応えるときに、補助金は出るけれども、それは費用の一部でしかないという事例が結構出てくるのではないかと思うのです。それを高く評価してあげるためにも「費用必要財源の全額が公的制度による給付の対象となっていないこと」も地域公益活動に含めるとしたらいかがかということなのです。

○田中部会長 御提案です。本体の社会福祉事業と、そうではない、社会福祉事業だけれども費用が出ていないものとの境目をどう引くかという御議論です。いかがですか。

○岩井福祉基盤課長 全額補助で、あるいは費用弁償分が全て公費で出るということはなかなか多くはございませんし、難しい問題として何が費用かということもあろうかと思います。そういう意味ではなかなか難しいと思いますが、いずれにいたしましても、先ほどから申し上げていますように、地域公益活動というものがどのように社会福祉法人の社会的使命として考えられるかということを踏まえて整理する必要があるのではないかなと思っています。そういう意味でいいますと、公費が全額入っていなければ地域公益活動というのは、常識的にはなかなかなじまないのかなと考えています。

○田中部会長 柳川委員、お願いします。

○柳川委員 4ページ目になりますけれども、地域公益活動の協議会の役割についてなのですが、私自身のふだんの活動などからの知見から見ると、既存の社協さんを使うということではなくて、やはり今回これだけの改革をするわけですから、仕切り直しとして新しい協議会というものを設置すべきではないかと考えています。

 その一方で、地域福祉計画というのは、民主社会で言う、いわゆる行為プロセスとしても機能しつつありますので、そこと関係性を強めながら、言うなれば両輪みたいな格好で新しい地域協議会みたいなものを設定されたほうがよいのではないかなと考えています。

○田中部会長 ありがとうございます。

 三好委員、お願いします。

○三好委員 地域公益活動の中の福祉ニーズの把握ということで、今、柳川委員さんからも言われましたけれども、今回、私どもも福祉計画を策定中でございます。しかしながら、公益活動を意識してつくっているわけではございません。また別の次元の話になるのではなかろうかと私は思っています。

 地域には社協が一生懸命やっている市町村もありますし、また、社協が施設運用をして別な形での仕方をしているところもありますし、さらには社協運営のために収益事業をやりながら活動しているものもたくさんあります。いろいろな地域ごと、市町村ごとにそういう差がありますので、この辺は地域の中で、地域で一番いいものというか、すばらしい形を任せていただけるような仕組みにしていただければなと思っています。

 大くくりは決められても結構だと思いますけれども、この中で地域で選んで地域の形で協議会をつくって、その中で公益活動の認知をする、または仕組みをつくるといった形が必要ではないかと私は思っています。これはぜひ要望をさせていただきたいと思います。

 もう一つは法人の数です。政令市のように高齢者施設を運営されているところもたくさんある。または児童関連もたくさんある。しかしながら、市によっては1カ所しかないというところもあります。また、全くその事業ができないところもあります。したがって、以前にもお話し申し上げましたが、前回のときにも議論になっているようでありますけれども、やはり行政を超える広域的な協議といったことがぜひ必要でございます。

 そういう意味からいきますと、都道府県という話もありましたけれども、何がしかそういう広域で議論する。それで、地域の不均衡といいましょうか、法人がたくさんあるところにはそういうサービスがたくさん行き届くかもしれませんが、ないところはそういう恩恵が受けられないという形になり得ますので、それはやはり少し広域的なところで議論させていただければなと思っております。

 以上でございます。

○田中部会長 貴重な論点、ありがとうございました。

 関川委員、お願いします。

○関川委員 先ほど対馬委員が御指摘の2番目の点でございます。新規事業を今後とも展開していく場合の財源はどのように配慮されているかという点です。

 今回、提示していただいた枠組みというのは、中長期的に見ると収支相償になる。以前の事務局御説明では、収支相償の原則は事業を行う社会福祉法人の会計にはそぐわないという説明がありましたけれども、再投下対象財産の地域還元という枠組みの理解を深めていくと、最終的に中長期的には収支相償になって利益は残らない仕組みになっていると私は理解しております。

 そうしますと、対馬委員の御懸念のとおり、新規事業を行う財源が3年後、あるいは5年後には再投下対象財産も残っておらず新規事業を行う財源を確保できないといった事態が多数出てくるのではないかと思います。

 将来、新規事業を行うために保有可能な財源を計画的再投下対象財産の中で位置づけるのか。これは今、事務局提案であろうかと思いますが、もう一つは、いわゆる内部留保の中で、控除対象財産の中に新規事業を行うための保有財産を含めて考えるということもできるのではないか。将来施設を整備するための財産を控除対象財産として保有を認める、そのような考え方も一つ選択肢としてあるように思います。介護サービスなどは、今後も基盤整備が必要になるわけですから、社会福祉法人の会計において利益の一部を施設整備に必要な財産として積み立て活用することは、社会福祉の向上にも寄与できると思います。無制限というわけにはいかないでしょうけれども、法人の財政規模に応じて何%とかというような、控除対象財産に含めることはできないだろうかと考えるわけですが、いかがでしょうか。

○田中部会長 図でいうと7ページになりますね。

○関川委員 7ページです。

○田中部会長 この線引きは厳密な点だと思うのですが、御説明ください。

○岩井福祉基盤課長 ただいまの点は前回に御議論いただいたものでございますが、今回の制度の趣旨は、社会福祉法人のいわゆる内部留保というものを明確化するのがまず前提でございまして、基本的に内部留保というものがあって、さらに余裕財産というものがあれば、それを計画的に地域に還元していただくというのが今回の趣旨でございます。

 今、委員から御指摘のありましたような控除対象財産に入れた場合には、計画的な対象にはなりませんので、基本的には、場合によっては内部留保としてそのままたまる形になります。そのようなものを置くことは防ぐという観点から再投下計画という位置づけにしたいと考えておりまして、今回はそのような新規事業の拡充等については、再投下計画に乗せて、長期的な事業についてはそれを積み立てていただく。そして区分経由するという仕組みを御提案している次第で、それにつきましては、前回、御理解いただいたところであろうかなと考えております。

 したがいまして、そういう意味では、控除対象財産は本当に再生産に必要なものに限ることが適当だと考えております。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 先ほど三好委員のほうから別の枠組みというお話をされて、はたと思いまして、前もおっしゃっておられたように、今、地域福祉計画等々、あるいは社協の地域福祉活動計画をつくっておられるときに、しっかりさまざまな社会福祉法人も参加して、本当に協働するような計画がつくられているケースが、余り多くはないのですけれども、あります。

 そういうものはそのまま使えばいいのではないかみたいな発想で先ほど申し上げましたが、よく考えると、入っていない主体というのが結構多いのではないか。例えば、商工会みたいなものは含まれていないケースも、いいものの中にあるように思いますし、やはり改めて器というのは、今あるものを活用してと、使えるものを活用して、行政がつくって住民が参加しても、公募した人は何人かで意見もほとんど言っていなくて、誰もそんな計画を知らないという地域福祉計画が残念ながらありますから、これをそのまま活用するというのはあり得ない話だと思うのですけれども、やはり市内に今ある社会福祉法人が、これはいい計画だ、我々もそれに乗ってやっているのだという仕組みがあれば、それを使うにしても、三好委員がおっしゃったことを踏まえて、本当にこれからの地域福祉を考える上で、このやり方でいいのかということは洗い直した上で、今あるものを使うということではないかと思います。

 ただ、前々から少し気になっているのですが、西條参考人が自治体の立場ということでおっしゃっていることと、その他経営者側、私もどちらかというとそちら側の立場で話しがちになるのですけれども、どうも微妙に食い違っているような感じを受けております。西條参考人もうなずいていただいたので、そうだろうと思います。私は、これはしようがないし、そうなのだろうと思うのです。

 ただ、このときに、行政側が権力でもって社会福祉法人に言うことを聞かせるということは、多分、西條参考人もしようとは思っておられないし、正しいとは思っておられないと思うのです。ただ、これは神戸市だからそうであって、ほかに行きますとそういうことをやられる方がいらっしゃるかもしれない。

 法令上の整備はこれからという話でございますが、法令上の整理をしていただくとして、これをちょっとおかしいと。我々としては主体的に参加しにくいというものまで押しつけられて、強引に参加させられるといったようなものを、これは行政措置とか行政命令であればちゃんと訴えていく先はあると思うのですが、形的には相対的なお願いみたいな形をとるようなことであれば、ADRみたいな仕組みでもいいですけれども、いずれにせよ、これは提案なのですが、社会福祉法人のほうがちょっと困っていると訴えかけていって仲裁する仕組み、こういったものもつくっていただかないと、せっかくのこの仕組みがうまくいきませんし、この仕組みがあることによって自治体も変な押しつけをしようとしない。やはり地域のこと、住民のこと、社会福祉法人のことを考えた上で意見を集めながらやってくれるということがありますので、こういった仕組みも、法制上の整理をしていただくときにお願いできればと思います。

 以上です。

○田中部会長 西條代理人。

○西條参考人 済みません。藤井委員がおっしゃったので、ちょっと反応させていただきます。

 何も私も、地方公共団体がいろいろ裁量権をかざして云々言われますが、そういうわけではなくて、かざさざるを得ない。とにかく法人指導というのは機関委任事務ですので、先ほど課長もおっしゃっていましたけれども、法的な位置づけとか政令根拠は、それも我々にとってみれば根拠なのです。国の指導があって初めて私たちは事務を受けている。市もそうだと思うのです。それに基づいて社会福祉事業をしっかりとやっていただきたいという趣旨で、御指導をさせていただいているわけでありまして、余り裁量権をがんじがらめにやると法人の自主性というものを損なう可能性も高くありますので、法の解釈といいますか、読みを少し拡大解釈できるような法整備ができないかと常々訴えているのは事実でございますので、その辺は御理解いただければと思います。

 先ほど協議会の話も出ましたけれども、現行では確かに地域福祉計画をつくるときに、うちの県内の市町村は、ある程度商工会とか、そういった経済界の意見も聞きながら、何より法人の意見を聞きながら計画をつくっているという実態がございますので、できればそういう形でいろいろな人の声、地域ニーズをくみ上げる仕組みというものを新たにつくっていく。そういった視点も大切ではないかなと思っております。

○藤井委員 機関委任事務から法定受託事務ということで変わって、条例でつくれる部分も出てきているということでございますので、市のほうでやはりきちんと責任を持ってやれる部分もあると同時に、これは在り方委員会でも話が出たのですが、法定受託事務でありながら国のほうが市町村、あるいはこれまででいいますと都道府県、あるいは新たに区・市のやっているような実態とか状況というのはなかなか把握できる状態になっていない。

 ですから、西條参考人がおっしゃるとおりでございまして、これらのことをあわせて、単にこの枠組みだけつくってしゃくし定規なことになるのではなくて、あるべき法定受託事務というもの、これは法定受託事務かどうかという線引きだけしただけで、法定受託事務のあり方というのは余り議論も検討もされていないように思うのですが、そういう線に沿った上で国が制度をつくり、それを市とか政令市、市・区が受けるといったようなものと、法人の自主性が発揮できるという枠組みをお考えいただかないと、できたはいいけれども、誰にとってもハッピーでないものになる可能性があるという点では一致していると思いますので、その点は国のほうによろしくお願いいたします。

○田中部会長 本来、審議会とは有識者の集まりであって、委員同士の討議がベースなのです。決して事務局との質疑応答会ではないし、この審議会では全くありませんが、たまに事務局に対する陳情会になっていたりすることがあるので、委員同士の討議は大変歓迎です。

 花井委員、三好委員、お願いします。

○花井委員 ありがとうございます。

 意見と質問を述べたいと思います。1つは、2ページの最後の○のところがやはりよくわからないのです。「『地域公益活動』以外の社会福祉事業又は」云々と書いてありますが、一番の中心は、社会福祉法人の持っている性格というのは、そもそも福祉をやるということになっていて、今、問題になっているのは、内部留保があるから地域公益活動を義務づけるかどうかという話が出ていると思うのですが「それ以外の」と言った時点でちょっとわからなくなるので、もう少し整理していただけたらという要望です。

 3ページのところですが、行政の関与の再投下投資対象財産の有無の「無」のところで、斜線が引いてあるということに対しては、承認とまでは行かないまでも「届け出」ぐらいは入れるべきではないかと思います。

 質問なのですが、その一番右に「届出(更新)」となっているのですが、例えば、承認を受けて事業を実施した。そしてPDCAサイクル的なことはここでは想定されていないのかどうかということです。

 4ページのところで、先ほど来、出ている地域協議会ですが、例えば地域福祉計画ですとか、老人保健計画等々さまざまな計画があって、それは行政が中心になっていろいろな方に参加していただいてつくっていると思うのですが、この場合、誰が声をかけて協議会をつくるのかというのがちょっと見えないのです。

 例えば、どういう方が入るべきだということがそれぞれの計画で義務づけられるかですが、ここで言う協議会といった場合に、今後、法定化していくということなのか。地域の協議会というのはいっぱいあるのですが、ここでつくる協議会と地域福祉計画の協議会との関連性とか、あるいは虐待の問題DVとかが起こってくると、医療とも関係してくるでしょうし、そう考えると、どういう協議会なのか。社会福祉法人だけでつくるものなのか、地域住民を巻き込んだものなのか、そのほかとの連携はどうするのか等々がまだ見えないので、そのあたりもお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

 以上です。

○田中部会長 質問が2点ございましたので、お答えください。

○岩井福祉基盤課長 まず、これは繰り返しになりますが、地域公益活動と福祉サービスの関係につきましては、先ほどから委員からありますように、さまざまな活動を社会福祉法人ができること自体はもちろん当然のことでございますが、今回、この中で責務として位置づけるものが地域公益活動であるという趣旨です。

 地域公益活動は、社会福祉事業または公益事業によりまして、社会福祉法人が供給する福祉サービスに基本的には包摂されるものであると考えております。

 その中で、先ほどから御議論がありますように、これまで取り組んでこられました本来事業、また、その延長的な本来事業、いずれにしても本来事業ですが、本来事業や、公的に支援が行われている、あるいは公的主体が主導しているような事業を除くところを、今回、社会福祉法人の社会的使命として望まれているのではないかということで、地域公益活動をこのように定義させていただいています。

 したがいまして、今回、位置づけるような地域公益活動というのは、あくまで社会福祉事業または公益事業による福祉サービスの中に入るものであって、その中の一つを特に切り出しているという関係になっております。そこでその義務づけということが出てくるという御理解をいただければと思っております。

 その上で、もう一つ、届け出のお話がございました。届け出につきましても、基本的には、これも御議論があると思いますが、もう一つ、更新の解釈でございますけれども、これは当然PDCAという考え方がございまして、届け出された内容が本来の地域公益活動を含めた再投下計画の内容として不適切な場合は指導監督が行われるという考え方があろうかと思います。

 また、届け出については、基本的には社会福祉法人の場合、冒頭にございますとおり、費用が出ない場合も含めて、地域公益活動の公表を義務づけていますので、行政に対する届け出だけではなく、ある意味一般の国民に対する届け出と言ってもよろしいかと思いますが、報告という形はとらせていただきたい、公表義務はとらせていただきたいと考えております。

 計画につきましては、これは前回も御議論がありまして、さまざまな協議会あるいは計画というものがある中でどのように整理するかということでございまして、これも今後の制度設計になりますが、前回の部会におきまして出ました一つの方向性といたしましては、いずれにしても、さまざまな分野・領域につきまして横串のものであることが必要であろうという御議論がございまして、今後この点を一つのポイントとして整理していきたいと思っております。

 そういう中で、社協あるいは地域包括ケアなどの枠組みが一つ議論として出ましたので、そういうものも含めて、今後、横串の体制というものを考えていくのではないかなと考えております。

 以上です。

○田中部会長 時間になってまいりましたが、三好委員、手を挙げていらしたですね。

○三好委員 都道府県と市の立場はちょっと違うと思っておりまして、平成25年4月から、市が所管する法人については市のほうの指導監督義務が出るようになりました。それまでは市と地域の法人とは、一緒に社会福祉事業をやったり、子供の事業をやったり、お互いに協力しながら、この事業はどうするという形で協力しながら進めてまいりました。

 しかしながら、平成25年4月からは指導監督権が一部出るようになりました。市にとりまして、今はこれまでと違う立場で接しておりますので、ある意味では法律に基づいた指導をしながら、事業については協力するという形になっています。したがいまして、ほとんどの市がそういう形だと思いますけれども、法人とともに協力しながら事業展開をしているというのが実態だと私は思っております。

 先ほど地域の協議会については自由裁量でというお話を申し上げましたけれども、基本は大きな枠組みをつくっていただくのは当然だと思います。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、さまざまな計画があって特別な事業もこれまたあります。子供に対する障害児の保育の問題ですとか、特別な事業もありますので、そこそこ地域全体で検討するには、地域にふさわしいというのでしょうか、その地域に合った協議会をつくらせていただきたいと思っております。

 社協が一生懸命頑張っているところもありますし、さらには、先ほど申し上げました地域福祉計画の中で、地域包括ケアの関連のエリアで頑張っているところもあります。しかしながら、そういうエリアを超えてやるところも、市町村を越えて全体の法人でやっているところもたくさんあります。そういうところを踏まえて地域公益活動を議論するということになりますと、地域に合った形の裁量をぜひ加えていただきたいと思っています。

 以上でございます。

○田中部会長 では、これを最後で事務局からお答えください。社会福祉法人は民間の事業体として自主性・自律性と書いてあるけれども、地方の自律性もある程度勘案してほしい、ならびに地域も、小さい自治体の場合には広域で実施することもあるけれども、いかがかという御質問でしたが、いかがでしょうか。

○岩井福祉基盤課長 ただいま、基本的に制度の設計に当たりましては、地方自治体の自律性というものを尊重して考えていきたいと思っております。

 よろしゅうございましょうか。

○田中部会長 活発な御議論をありがとうございました。

 まだあるかもしれませんが、一応、時間になりましたので、本日はここまでとさせていただきます。

 次回の開催について、説明をお願いします。

○西辻総務課長 次回でございますが、1110日、月曜日の10時からイイノホールカンファレンスルームで開催を予定しております。

 なお、業務運営と財務運営につきましては、本日まで4回にわたり御議論をいただきました。余裕財産の明確化ですとか、あるいは地域公益活動等への再投下という大きな枠組みにつきましては、基本的に方向を共有いただいたと考えておりますので、次回は、きょう出された幾つかの個別論点につきまして、これも含めてまた整理した上で、このテーマについての方向性をまとめていただきたいと考えております。

 次回は、次の論点であります法人の連携、行政の関与等、その他の論点につきましてもあわせて御議論をいただければと思っております。

 また、第1回の部会において設置の御承認をいただきました福祉人材確保専門委員会でございますが、第1回目の会議を1027日、月曜日、14時から予定しております。専門委員会の委員にも御就任いただく委員の皆様には、専門委員会に所属する旨の社会保障審議会会長からの指名書をお手元の封筒に入れさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 こちらのほうの会場等の詳細は、追って連絡させていただきます。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 これにて本日の審議を終了いたします。お忙しい中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会)> 第7回社会保障審議会福祉部会 議事録(2014年10月20日)

ページの先頭へ戻る