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2014年12月9日 第22回医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会議事録

医政局経済課

○日時

平成26年12月9日(火)10:00~12:00


○場所

グランドアーク半蔵門「富士西の間」


○議事

○吉武流通指導官 

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第22回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」を開催いたします。

 携帯電話につきましては、会議中は電源をお切りくださいますようお願いいたします。

 初めに、委員の交代がございましたので、新たに委員に加わっていただいた方を御紹介させていただきます。日本製薬工業協会流通適正化委員会副委員長、高野様でございます。

 

○高野委員 

おはようございます。日本製薬工業協会の高野でございます。前任者同様どうぞよろしくお願いいたします。

 

○吉武流通指導官 

次に、委員の出欠状況を御報告いたします。本日は関委員、長瀬委員、三村委員から御欠席の連絡をいただいております。それでは、ここで開催に当たりまして、審議官の飯田より挨拶を申し上げます。

 

○飯田大臣官房審議官 

ただいま御紹介にあずかりました医政局の審議官、飯田でございます。

 委員の皆様におかれましては、日ごろ本懇談会の運営に多大な御尽力をいただきまして、どうもありがとうございます。また、本日は年末で非常にお忙しい時期にお集まりいただき、この議論に参加をいただき、感謝を申し上げたいと思います。

 医薬品の流通改善については、これまで本懇談会でもいろんな議論をいただき、その議論を踏まえて我々も取り組みを進めてきたところでございますが、本日は特に平成26年度上半期、4月から9月における流通実態について、まず御議論をいただきたいと思っておるところでございます。

 後ほど事務局から詳細を御報告させていただきますが、本年9月末時点の妥結率は大幅に改善しておりまして、全体では92%、200床以上の病院では93.9%、20店舗以上のチェーン薬局では96.7%、その他では98.7%と、全て90%以上ということで、非常に改善してきております。これも関係の皆様が非常に御努力をいただいた成果だと思っておりますので、この場をかりまして関係者の皆様に厚くお礼を申し上げたいと思います。

 ただ、数字上はこのようにあらわれておりますし、いろんな取引の統計上の金額ベースの数字等を把握しておりますけれども、我々は流通改善を進める上では、現場の皆様の実態、直接生の声をお聞きして取り組みを進めていかなければならないと強く意識しておりますので、その点でも活発な御議論をいただければと思っている次第でございます。また、流通改善の影響についてもいろんな御意見を賜りたいと思っております。

 また、一方で、薬価調査・改定のあり方については、政府全体についてもいろいろな議論がございます。1021日に開催されました経済財政諮問会議で総理から厚生労働大臣に対して、医薬品市場の実態の早急な把握、薬価制度の見直しについて、これはよく言われていることでございますけれども、社会保障の効率化、重点化、国民負担の軽減、そういうことについて、諮問会議ともよく調整をしながら議論を進めるようにという指示がおりておりまして、この点についても、本日、まさに関係される方がお集まりいただいておりますので、皆様方に御意見を頂戴できればと思います。

 その点に対しても我々は2つ留意しないといけないと思っております。

 第1点は、流通改善は市場実勢価格主義に基づく銘柄別収載方法が基本でございますので、この不可欠な制度がどういうふうになっているのか、これについてまず留意をしないといけないという点でございます。

 第2点は、繰り返しになりますけれども、今回は上半期について議論いただくわけですが、未妥結減算制度の影響等も含めまして、今、流通の構造がどうなっているのか、どういうふうに改善してきているのか、実態はどうなのか、そういうことも踏まえてこの問題も議論していかないといけないということでございまして、きょうは主に2つの問題でございますが、活発な御議論をしていただければと思います。

 そのような議論を踏まえまして、我々も今後とも流通改善に取り組んでいく所存でございますので、関係者の方々の御協力を切にお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。

 

○吉武流通指導官 

続きまして、本日の資料でございますが、机の上に配付させていただいております議事次第に記載のとおり配付しておりますので、御確認をお願いいたします。不足の場合がございましたらお申し出ください。

 御発言される際のマイクですが、発言される際は中央のボタンを押していただき、終わりましたら再度ボタンを押すよう注意書きが置いてございます。発言の際には、こちらを御参照くださいますようお願いいたします。

 それでは、以降の議事進行につきましては嶋口座長にお願いしたいと思います。

 嶋口座長、よろしくお願いいたします。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。それでは、早速本日の議題に入りたいと思います。

 今、審議官からもお話がございましたように、本日議論をすべきことは2つなのですが、最初にまず報告として、26年度上期(4月~9月)の流通の実態がどうなっているかという話、それに関連して、いわゆる未妥結減算制度の流通への影響についてどうなっているかということ、そして、薬価調査・改定の頻度変更の場合における流通への影響について御意見を伺う、そういう2つでございます。

 流通実態につきましては、今回は未妥結減算制度の影響が強かったということでございますので、1と2の議題を一緒にして、その後で薬価調査・改定の頻度変更の影響について議論したいと思っております。ということで、よろしく御意見をお願いしたいと思います。

 それでは、早速でございますが、まず上期(4月~9月)の流通実態についての御報告を事務局からお願いしたいと思います。資料1をベースにして御説明いただけるということでございますので、池元首席、よろしゅうございますでしょうか。

 

○池元首席流通指導官 

事務局でございます。

 まず、資料1「平成26年度上期(4月~9月)の流通実態」でございます。

 1ページにつきましては、卸連様の御協力をいただきまして、従来から実施しております妥結状況調査の平成26年9月取引分についての結果でございます。総合計欄にあるとおり、薬価ベース金額の妥結率は92.6%ということで、薬価改定直後の24年9月と比較しますと49.1%の大幅増加。薬価調査時、昨年9月と比較しても19.1%の増加という結果でございます。これにつきましては、販売側、購入側双方の御努力の結果かというふうに考えております。

 マーカーを引いているところがいわゆる未妥結減算の対象となる設置主体、機関でございますが、冒頭審議官の挨拶の中でもございましたとおり、200床以上の病院でいきますと93.9%、チェーン薬局(20店舗以上)も96.7%、その他の薬局で98.7%ということで、大幅に向上をしているところでございます。

 2ページは平成18年度以降の妥結率の推移につきましてグラフ化したものでございます。本年9月取引分に係る妥結率につきましては、過去と比較して高い数値になっているということが見てとれるかと思います。

 続きまして、3ページにつきましては、平成24年以降の四半期における医療機関、薬局の区分ごとの妥結率でございます。こちらの説明は割愛させていただきます。

 4ページは、24年度以降の四半期におけます200床以上の病院、医療機関の設置主体ごとの妥結率を示した資料でございます。従来低調だった医療機関を含めまして、妥結率は大幅に増加しております。一番右側の欄をごらんいただければと思います。

 その一方で、妥結率と同じように、現行薬価基準で必要な単品単価取引の状況でございますが、5ページを見ていただきますと、こちらのデータにつきましても、卸連様、特に大手卸5社の御協力をいただきまして、加重平均値をもとにグラフ化したものでございます。

 左側の200床以上の病院を見ていただきますと、単品単価取引は24年度の61.4%から57.3%ということで、若干減少をしている。逆に単品総価につきましては28.5%から31.6%ということで、若干増加している状況でございます。

 右側の調剤薬局チェーンにつきましては、単品単価取引が24年度と比較して若干増加しているというところでございます。

 これにつきましては、流改懇のもとに設置されていますワーキング、卸連様と日本薬局協会で設置しておりますが、その影響がかなり出ているのかなというふうに考えているところでございます。

 なお、単品総価の取引については若干増加しているという状況でございます。

 6ページにつきましては、仕切価等の各種水準の推移を示した表でございます。こちらも大手卸5社の全品目の税抜き加重平均の薬価に対する水準を単純平均して、26年4月以降、8%の消費税率引き上げになりましたので、そういった関係で税相当分を調整した上で整理をした資料でございます。これでいきますと、24年度と比較してほとんど変わりはないのですが、仕切価率は若干上昇しているということ。あと、割戻し・アローアンスは若干拡大している。結果として最終原価は若干縮小して、納入価率も若干下落して、一次売差マイナスについては若干拡大しているという状況でございます。

 資料は、簡単でございますが、以上でございます。

 本日の懇談会の参考資料1としまして、いわゆる未妥結減算制度に係る資料を添付してございます。時間の関係がございますので、説明は省略させていただきますが、御議論の参考としていただければと思います。

 事務局のからは以上でございます。

 

○嶋口座長 

池元首席、どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの流通実態の報告につきまして、卸連から何か補足等がございましたらお願いしたいと思うのですが。村井さん、お願いいたします。

 

○村井委員 

私のほうから1点補足させていただきたいのは単品単価取引の状況でございます。5ページでございます。今、若干の増加というお話がありましたが、私どもとしては、今回それは変化がほとんどなかったという認識でおります。

 実態を申し上げますと、4月から始まりまして8月まではほぼ単品単価取引を中心とした交渉で進んできたというふうに思っておりますが、その時点で妥結率はおおむね4748%ということでございました。9月の末が終わって結果92でございますので、9月1カ月間にいかに多くの最終交渉があったかということで、ここは時間の関係、件数の関係もございまして、勢い単品総価的な交渉にならざるを得なかったというふうに理解しております。

 単品総価と申しますのは、まず値引き率ありきの交渉です。それを卸が単品に振っているだけでございますので、品目一つ一つの価値に応じた価格交渉とは必ずしも言えないという問題があるというふうに認識しております。

 ただ、先ほど事務局のお話にもありましたように、日本保険薬局協会とのワーキングの中でいろいろ議論してきたこともございまして、一部の大手調剤チェーン薬局との間では妥結に至ったものをきちんと単品単価まで落とした覚書を締結させていただきました。そこは大きな前進だったというふうに理解しています。そこが調剤薬局チェーンとの単品単価の率が若干上昇した理由ではないかというふうに認識しております。以上です。

 

○嶋口座長 

村井委員、ありがとうございました。

 おおむね26年度上期の流通は良好な改善を見せているということですが、それに一番大きな影響を与えたのが未妥結減算の影響だと思います。ということで、早速そのような実態を踏まえまして、未妥結減算の影響について議論をこれからしていきたいと思います。

 議題におきましては、まず最初に卸連のほうから資料2-1「未妥結減算制度の流通への影響について」を説明していただきまして、その後でジェネリック販社協から資料2-2が提出されておりますので、これをベースにして説明をお願いしたいと思います。

 まずは卸連の中原委員からでよろしゅうございますでしょうか。では、お願いいたします。

 

○中原委員 

卸連の中原でございます。

 資料2-1の説明をさせていただきます。「未妥結減算制度の流通への影響について」でありますが、1つとして流通全般への影響。未妥結減算制度が導入されて、卸は、全国の200床以上の病院(2,700軒)、全保険薬局(5万5,000軒)に対して、繰り返し制度の説明や6カ月以内の早期妥結を念頭に置いた価格交渉を精力的に行ってまいりました。こうした取り組みが9月末の妥結率の大幅な向上につながっております。しかし、早期妥結のため従来以上の厳しい交渉をせざるを得ないケースや、単品単価交渉が行いづらいケースも少なくなく、流通改善に取り組んでいる卸としては不本意な面もありました。このため、真の流通改善にはつながっていないと考えられます。

 2つ目として川上取引への影響でございます。川上取引に関しましては、仕切価を含め、特段の変化は見られませんでした。ただし、流通改善で言われています売差マイナスの改善はまだできていない状況でございますので、引き続きワーキング等での意見交換を通して努力を重ねていく必要があると思います。

 3つ目として川下取引への影響でございます。チェーン薬局との取引。

 1つとして、9月までの妥結が優先され、価格交渉に多大な労力を費やしたものの、単品単価取引はほとんど進展しませんでした。

 2つ目として、部分妥結、特定卸のみ決める、特定の品目だけ決める、特定の期間のみ決める等の妥結が出てまいりました。未妥結減算制度の趣旨が十分に理解されていないと考えられます。

 3つ目として、チェーン薬局に加えて、一般の保険薬局への制度説明と妥結率の根拠となる資料の提供に要する事務負担が膨大であり、MSの通常業務に支障を来すほどでありました。未妥結減算の対象となる薬局の範囲を限定するとともに、妥結率の根拠となる資料の簡略化を望みます。

 4つ目として、価格の遡及値引きがないことを確認できたことは、流通改善の進展につながるものと評価できると思います。

 2つ目、200床以上の病院との取引でございますが、これに関しましても、保険薬局、チェーン薬局との取引とほとんど同じでございます。

 1つ目、9月までの妥結が優先され、価格交渉に多大な労力を費やしたものの、単品単価取引が若干後退いたしました。

 2つ目として、部分妥結が出てまいりました。未妥結減算の趣旨が十分に理解されていないものと考えられます。

 3つ目として、価格の遡及値引きができないことを確認できたことは、流通改善の進展につながると評価できます。

 「4.卸又は卸経営に与える影響」でございます。

 市場構造が変化しており、新薬創出加算品と後発品のシェアが拡大しております。また、10月から表示カルテルを実施して、消費税抜きの本体納入価を薬価から消費税分を引いた本体薬価からの値引き率であらわす価格交渉を行う旨の説明を行ってまいりました。そのような状況の中、今般の未妥結減算制度が導入されたことにより、MS活動を早期妥結に向けての価格交渉とその事務処理に集中させた結果、卸の営業利益率は低下し、厳しい決算となっております。

 次のページの図の説明をさせていただきます。これは市場構造の変化をあらわしたものでございますが、後発品の使用促進がございまして、25年度、金額ベースで7.7%の占有率だった後発品が8.8%と1.1ポイントふえております。逆に長期収載品におきましては置きかえが進みまして、32.3%だった占有率が29.1%と3.2ポイント占有率を減らしております。

 また、新薬創出加算に関しましては、30.2から34.2ということで、大幅に増加しております。これはオーファンドラッグ等、新製品の上市がございまして、ドラッグ・ラグの低下につながっているものと考えます。

 次のページの図2を見ていただきたいと思います。これは卸の経営状況の推移でございます。ここで見ていただきたいのは、平成26年度の上から2つ目の部分の販管費率のところです。平成25年度に関しまして、5.5だった販管費率が26年度5.915.860.3ポイント近く上がっております。この部分に関しましては、未妥結減算の労力増、後発品使用促進の流通負担の増加などがあってふえていると予想されます。

 あと、下の部分でございますが、卸の売上高の営業利益率でございますが、昨年度0.99%あったところが、この第2・四半期においては0.46%と半減いたしております。

 また、棒グラフのほうの売上高を見ていただきたいと思いますが、売上高は昨年度で6兆8,400億あったものが、今年度第2・四半期、半分で3兆3,000億、倍にすると6兆6,800億になり、これからも市場のシュリンクが起きていると言えると思います。

 以上で説明を終わらせていただきます。

 

○嶋口座長 

どうもありがとうございました。

 未妥結減算の影響というのは流通全体について非常に大きなインパクトがあったという意味では、劇薬とは言いませんけれども、かなりよい薬だったかもしれませんが、しかし、副作用もそれだけ多くて、卸にとってはなかなか大変だったと。そういう御報告で、売り上げ、利益ともなかなか厳しい。これは未妥結減算制度が原因なのか、それとも別の要因からなのか、そういった御説明をいただきました。

 それでは、引き続きまして、ジェネリック販社協の三浦委員から、資料2-2、ジェネリックのほうの卸についてはどうかということを御説明いただきたいと思います。資料2-2をベースにしてお願いいたします。

 

○三浦委員 

日本ジェネリック販社協会の三浦です。それでは、未妥結減算の影響につきまして報告いたします。

 このたび、会員企業87社に対しまして妥結率に関するアンケート調査を行いました。当協会会員は全国各地に存在しておりまして、地域密着型のジェネリック医薬品専門卸企業の団体であります。ジェネリック医薬品使用促進の拡大に努力している次第です。このたびの未妥結減算に対する当協会会員企業87社の妥結率を本年4月1日より9月30日までの取引件数ベースにおいて報告いたします。

200床以上の病院の妥結率は99.77%、保険調剤薬局の妥結率は99.78%、いずれもこれは取引件数ベースです。

 なお、アンケート調査表に未妥結減算制度について意見を記載する欄を設けましたところ、次のような意見が寄せられました。

 1点は、未妥結の原因としては、当協会会員企業の売上シェアが低いため妥結が後回しになり、結局、価格交渉の時間がなく未妥結となったというケースがありました。

 もう一点は、未妥結減算制度がスタートした本年4月1日からは、9月に価格交渉が集中し、単品ごとの価格交渉ができず、総価取引での妥結というケースがありました。

 今回の「価格妥結状況確認書」及び「品目リスト」の作成は、時間と経費、人的等の負担が非常に大きく、大変苦労した次第です。

 以上、報告にかえさせていただきます。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。

 今、卸連、ジェネリック販社協から御報告いただきましたが、資料提出が無い団体、委員の先生方からも色々と御意見があるのではないかと思いますので、ここで少し議論をオープンにしたいと思います。何かございますでしょうか。

 医療機関側からは何か御意見がございますか。未妥結減算の影響について。小山先生、お願いいたします。

 

○小山委員 

私立医科大学協会の小山です。

 結果として妥結率が上がったということは良かったのだけれども、単品単価取引が後退したというようなお話でした。資料1の5ページのところで、結局、価格改定があった24年と26年を比較すると少し下がっているという認識でよろしいのですね。でも、25年度に比べると26年度は上がっているというのは余り認識にはならないのでしょうか。


○嶋口座長
  その辺りはいかがでございましょう。資料1の5ページですね。

○小山委員
  各医療機関が非常に努力した結果だと思うのですけれども、どうも成績がよくないということなのですが、見方によっては、25年と26年を比べれば単品単価は上がっている、だけども、24年度の価格改定のあったときから比べると下がっているというような見方なのですね。だとするならば、どういうふうにそこら辺を考えたらいいのか、教えていただければと思います。

 

○嶋口座長 

では、事務局からよろしゅうございますか。

 

○城経済課長 

事務局でございます。

 おっしゃるように、1年ごとに比べていきますと上がっているということだと思います。ただ、診療報酬改定の後、薬価改定の後のサイクルを考えますと、基本的に2年に1回で動いている中で、新しい薬価が決まり、そこから交渉が始まり、妥結をしていく。そして1年たったところで、1年契約のところについてはそこでリセットして、また契約、交渉をされる。それから2年契約でやられているところはそのままという形でやっていかれるという流れを考えますと、まず比較するのは、2年ごとに対応する、2年前のものと比較するというやり方がふさわしいのかなということで、こういう比較をしております。ですので、必ずしもこの比較でいいかどうかというのはわかりませんが、少なくとも初年度の最初の6カ月でどれぐらい進んだかと見るときの見方としては、この比較をしていただくのが良いと考えており、そのように整理しております。

 

○嶋口座長 

どうぞ。

 

○小山委員 

ありがとうございます。

 もう一つ卸連のほうからの問題点として、単品単価が非常に落ちたというところを今、ずっと言っているわけですけれども、いわゆる未妥結減算制度の考え方が十分理解されていないというような趣旨で書かれておりますが、病院側とすると、ある意味非常に協力しているわけですので、前回も申し上げましたけれども、御褒美がつくられれば、もうちょっと理解が進むと思うのですね。ところが、未妥結減算の、これ以上下にいたら点数を下げるぞと言われれば、そのぎりぎりのところを求めるのが世の常だと思うのですね。でも、この制度を本当に理解していただくためには、こういうことで協力していただければこんな良いことがありますよというものがあるならば、もう少し正しく理解されて前へ進めるのではないかという感じを少し持ちましたので、意見としてよろしくお願いします。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。加算も加えろという御意見でございますね。これについては御意見としてということでありますので。ありがとうございました。どうぞ。

 

○鈴木委員 

妥結率が劇的に改善したのは非常によかったと思っておりますが、皆さんのお話を聞いておりますと、説明とか、あるいは書類の作成等に時間がかかった、大変だったというお話がございました。これについては、初年度のために大変だったので、毎年繰り返せば同じことを繰り返すわけですから、負担が軽減していくとお考えなのか、それとも毎年負担が重いとお考えなのか。負担が重いとすれば、どういうところを改善すればもう少しやりやすくなるとお考えなのか。そういう御意見をお聞かせいただければと思います。以上です。

 

○嶋口座長 

それはどちらに。事務局に。卸。

 

○鈴木委員 

卸連さんのところですね。

 

○嶋口座長 

では、卸連さんで。

 

○村井委員 

その件については2つございます。特に私どもが問題になっていると思いましたのは、薬局さん全てを対象にしているということで、ここに書いておりますけれども、5万5,000軒を対象にしている。ここは、慣れるから2回目以降は労力が減るということではなくて、まず圧倒的に数が多い。一方、病院さんの場合は2,700軒ということで、先ほど小山先生のお話にもありましたように、私医大協のほうでも色々なディスカッションの場等を設けていただき、話をさせていただきましたので、こちらのほうは回数を重ねれば、多分それなりの慣れということが出てくるのかなと思うけれども、いかんせん5万5,000軒という件数は何ともならないというところが一つ。

 妥結を証する書類の作成でございますが、段ボールの数で数えても膨大な数になるという量でございまして、これも慣れるから減るという話ではございませんで、この辺の提出書類の様式等についても見直しをお願いしたいと思っております。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。

 薬剤師会からよろしゅうございますか。森さん。

 

○森委員 

ありがとうございます。

 まずは今回、関係者の努力によって流通改善が進んだことは事実で、今後も引き続き流通改善への取り組みは必要だと思っております。今、村井委員からお話がありましたけれども、未妥結に関して、指摘を受けていなかった小規模の薬局はそもそも未妥結とは無関係で、今回の未妥結減算の導入に伴う事務負担増に対する苦情や改善を求める声が非常に多くありました。そのため、卸にも過大な負担が生じたと聞いております。

 また、先ほど単品単価の取引の推移状況ということでお話がありましたけれども、一定の増加傾向が示されていますが、短期間の交渉の影響で、例えば9月に単品総価取引にならざるを得なかったとか、総価取引へ回帰しないかなど、今後の動向を見据えつつ、保険医療機関、保険薬局及び医薬品卸のそれぞれにおいてどのような影響が生じたのかを検証することが不可欠ではないかと思っております。以上です。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。では、お願いいたします。

 

○中村委員 

保険薬局協会の中村でございます。よろしくお願いします。

 今回の上期の価格決定の状況について、過去のことも少し触れまして御説明を申し上げたいと思います。

 私は協会会長として、今回の減算方式の導入によって、報告されたとおりの妥結率になっていることは事実でございますので、関係者の御努力、特に卸さん側のデータ提供、交渉における御協力がここには出ていると思います。

 それ以前に、流通改善が長年行われてきて、2年ごとに元へ戻ることを繰り返してきたと私自身は記憶しております。せっかくうまくいったのに、また元へ戻ったということを繰り返しきて、流改懇を幾らやっても2年ごとに元へ戻る、こういうことを繰り返していることについて、協会としては、まず流通改善の必要性を地方の隅々の経営者まで知らせることが重要であるという認識から理解促進のため勉強会を始めました。一昨年が全国22カ所において、地元の卸連の皆さん、それから時としては本部の卸連の皆さん、それから経済課の皆さんにも来ていただいて、相当激しく議論をし、また現場の状況もいろんな角度からお互いに知り合うということから、時としては非常に激しい議論があった場面もございます。

 2年目が昨年ですが、12カ所、同じような形を同じようなメンバーで繰り返してまいりました。一部においては、流通改善の本当の必要性、薬価制度上、いかに必要かということはよく理解されたと認識しております。

 日本保険薬局協会に入っている株式会社と言われている形態の20店舗以上店舗を有する会社の入会率は約半分でございます。半分が入会されておりますので、全体をほぼ示せるようなアンケートになるのではないかと思っております。

 近年は、保険薬局協会の理事会、常任理事会にも経済課の城課長を中心に出席いただいて、今後のことも含めて、さらに詳しく議論をするようになってきています。卸さんと我々、間に入っていただいている経済課を中心とした信頼関係というのは、以前にも増してここへ来て相当構築できているというふうに思っております。今後、減算方式が仮になくても、その交渉状況は過去とは違ってきていると協会会長として報告できることになるのではないかなと思っております。

 今回の上期の結果は、まず減算方式による成果が確かにあったと思いますが、それ以上に売る側、買う側の信頼関係、流通改善の必要性という面において理解が得られているということは非常に大きな成果であると思っております。

 今後も目的は長期にわたる医療用医薬品の薬価制度上における適正な流通、適正な価格構成が一番重要なポイントだろうと思いますので、一時的に減算方式だけがうまくクリアできればいいという考え方は全くないわけではないかもしれませんが、それはあってはならないことでありますので、我々の協会の幹部会議でも盛んに指導をさせていただいています。

 ワーキンググループを流改懇の前に数回必ず行っています。時としては社名の固有名詞を出してまで御指摘があった時期もございます。そこまで非常に厳しい意見のやりとりがあった中で、それぞれの会社の経営者も今日の減算を含めた価格決定のメカニズムを十分に理解している状況であると思います。我々協会としては、この理解が今回の流通改善の最大の成果だと思っています。

 私が大きいことを言っても、今後、元の木阿弥になったと叱られるかもしれませんが、今後も引き続いて、減算が有ろうが無かろうが、卸さんとの信頼関係においてしっかりと薬価制度及び流通改善の正しい姿に向かって努力をしてまいりたいと考えておりますので、是非よろしく御理解のほどお願いしたいと思います。

 以上でございます。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。どうぞ。

 

○鈴木委員 

今の中村会長の御発言を聞くと、未妥結減算制度は無くてもいいのではないかというような、早くもそういう話なのですけれども、それは違うのではないでしょうか。これが無くなったら、おっしゃったように元の木阿弥にすぐ戻ってしまうと思いますので、これを改善しながら続けていくことが大事ではないかと考えます。意見でございます。

 

○嶋口座長 

それに対して何か。

 

○中村委員 

私は、減算方式が決定する昨年の末から今年度の当初については非常に反対させていただいて、言葉は適切でないかもしれませんが、非常に抵抗した時期がございます。

 しかし、結果が出ていない団体の責任者として、やるならば徹底してこの薬価制度に基づく流通改善が実現できることに4月からスイッチを切り替えまして、これを十二分に理解した中で、さらに会員に向かって理解を得られるよう活動をしてまいりました。卸さんとも相当なやりとりがあった中での今回の結果ですので、減算方式も大きなウエートがございますが、それだけでなく相当なお互いの理解の中でこのような結果が出たと考えています。

 それから、協会とは外れていますが、入札制度というのを初めて導入いたしました。これは限られた十数社の方で、もともと予定価というものを公表して、いわゆるバイイングパワーで安く買うのでなくて、こういう値段を私たちは望みたいという、我々が言う公正な値段を表示した中で、全国37社ぐらいの御協力を得て行いました。当初いろいろ誤解があったのですけれども、前半の3カ月は、見事に単品単価で進めることができました。これは入札制度ですから、全部契約書も存在するという新しい方式がそこで実現したことは事実でございますが、我々は、永遠にこの方法が良いということでなくて、流通改善がスムーズにいく一つの手法としてこういうこともやってみる必要があるのではないかという趣旨でやらせていただきました。この取り組みもそれなりの成果を後押ししたことにもなっているのではないかなと考えておりますので、御報告を申し上げます。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。

 いろいろなお立場から御発言いただきましたが、メーカーは直接かかわっているかどうかわからないのですが、メーカーから何か御意見ございましたら、製薬協からお願いいたします。

 

○青柳委員 

製薬協流通適正化委員会の青柳でございます。

 まずもって、今回9月末の妥結率が92%を超えるという高い妥結率になったことに関しまして、卸の皆様方あるいは医療機関、調剤薬局の皆様方の御努力に対して、メーカーからもまずは御礼を申し上げたいと思います。

 一方、村井委員、あるいは中原委員、あるいは三浦委員からも御報告がありましたけれども、いわゆる単品単価の契約が少し後退をしてしまっているのではないか。市場実勢価格に基づくものが薬価制度の根幹であるということから考えますと、やはり単品単価で医薬品の価値を評価していただいた上で、価格交渉をいただくということがメーカーにとっては非常に重要なことだと認識をしておりますので、特にチェーン調剤薬局のところの件数は単品単価交渉の割合がふえていますけれども、その他調剤薬局である約5万5,000軒では単品総価が増えているのではないかという御指摘もありましたので、そこのところについては、メーカーからすれば少し危惧をするというところになるかなと思っています。以上でございます。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。単品総価が増えたというのは、やはり未妥結減算制度の問題が相当あるかという御認識でございましょうか。

 

○青柳委員 

未妥結減算制度は期限が決められているので、物理的な点からも、単品総価という取引に行かざるを得なかったということから影響が大であったかなというふうに思っています。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。その他、是非ここで御発言しておきたいという点がありましたら、お願いしたいと思います。ございますか。上原先生、第三者的な立場で何か一言いただけましたら。

 

○上原委員 

一応、私も医薬品のことについて一生懸命勉強したつもりですけれども、第三者的な立場で、ひょっとしたらピントがずれた意見になるかもしれませんが、お許しいただきたい。

 今回の妥結を早めたというのは、かなり高く評価して良いのではないか。その中で私が注目したのは遡及値引きがなくなったということです。これは価格妥結の遅れとともに、この業界特有のものであって、普通の流通にはあり得ないことが無くなったという意味では一歩前進だと考えます。ただ、一歩前進と言っても、普通に流通にどの程度近づいたかどうかはわかりませんが、業界特有の制度を考えると、私は、かなり高く評価して良いのではないかと思います。

 ただ、これは減算方式という劇薬で前進したところが大きい。この劇薬を飲み込んで前進したというところには2つの意味がある。一つは、何で今までできなかったのか劇薬がないとできなかったのかということ、もう一つは、皆さん、相当知的な方々で御理解があるため協調できたということです。

 そこで、これを踏まえて、私のほうからお願いしたいのは、やはり減算制度というのは確かに劇薬なのだけれども、これをバネとしてどういう価格妥結の標準化したシステムをつくるかということに取り組んでほしいと思います。確かにビジネスは個別契約なのですが、世界的に見て流通が効率化される条件は、みんなが認めた標準化したような取引慣行とか取引システムをつくって、それを守りつつ個別対応をしていくということが重要であって、特に単品単価は世界標準だといえます。その意味で、単品単価をきちっと制度化する方向を考えていくべきです。この実現には、流通過程のIT化も必要です。

 この会合で前から言っているのですが、情報システム化を進めて、どこにどれだけ在庫があるのかとか、どの経路にどのような商品がどれだけ流れているのかとか、そういうことを把握しつつ価格交渉に入るというのは世界の流れとなってきています。

 ですから、減算制度をバネとして、価格妥結の方法を標準化していくことが非常に重要です。流通というのは、標準化を基準として個別取引が動いていく。その辺を頭の中に入れてほしい。

 それから、これは少し別な話ですが、特に流通過程を大切にしない業界は多くの問題を抱えてしまうというのが私の基本的な考え方です。特に卸売過程というのは生産と消費をつなぐ非常に重要な役割を担っており、ここのところがうまく機能しないと、業界としても後々まで問題が残る。製・配・販が一緒になって流通の効率化に努力していただきたい。

 以上です。

 

○嶋口座長 

どうも貴重な意見、ありがとうございました。今の上原委員の御意見などを踏まえて、それから流通改善の動向などについて、古くからこの懇談会にも携わっていらっしゃいます松谷委員から一言いただければ、ありがたいと思います。

 

○松谷委員 

私も長くかかわっていて、これだけの制度が変化すると、これだけ流通も変化するのかと。また、我々も変化せざるを得ない。やはり制度の中で仕事をしているのだなということを結果として痛感させられました。

 また、未妥結減算が導入されて病院団体の方やいろんな方に説明に伺ったり、いろんなことをして理解していただいたのですけれども、今回のこの劇薬は、我々業界の中で言うと、消費税が5%から8%になったということも一緒でしたし、同時に経営に何が一番影響を与えたのかということで言うと、私は、カテゴリーチェンジが急速に進んで、ジェネリックの比率が多くなり、卸はこの期間、6カ月で対前年の売り上げが3~4%ぐらいダウンしたということで、その結果として、売買差益は売り上げに対する売買差益率ですが、会社組織としては、いきなり人を減らすわけにいきませんので、そういう意味では経費率が上がる、それがマージンを半分にした。何がこれだけの経営悪化につながったかをもう少し検証しなければいけないなと。そういうふうに思っています。

 先ほどからも話が出ているように、医療用医薬品が銘柄別収載である以上は、単品単価取引が絶対だということで、緊急提言の中に早期妥結と総価取引からの是正、この2つ。3つ目の川上の取引としては売差マイナスの解消というのがあるのですけれども、この中で言うと、メーカーの思っていらっしゃる薬価差に対する値ごろ感と、医療機関や薬局さんの持っていらっしゃる値ごろ感との違いがそのまま売差マイナスになっているのだというふうに認識しております。

 特に何年か前に流通改善が進んだ中で言うと、薬価差が本体価格で6.3%になったときに、これでほぼ薬価差問題は解決したということが厚労省内なり業界内で認識として広がって、ほとんどのメーカーの仕切価が、それぞれ品目によって少し違いますけれども、平均すると6.3%前後にほとんどが張りついている。したがって、結果として出る前回の薬価差が、平均すると8.2%ですから、その違いがその売差マイナスにつながっているような、こんな感じなので、最終的には薬価差を経済合理性に合わせて、どれぐらいのばらつきがあって、どれぐらいの範囲におさまるべきかということがどこかで議論されないと、この問題は解決できないのではないかというふうに思っております。

 その3つの課題の中で早期妥結というのは、今度の劇薬でこういうことになったわけですが、あとは我々卸連でも申し上げましたように、価格交渉及び妥結率の根拠となる資料作成等に相当の時間が使われるということは、その間の時間を他のことに使えばもっとプラスになったので、かかったものの倍ぐらいの影響力が我々の中にあったのではないか。こんな認識をしております。以上です。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。平成19年に緊急提言というのが出まして、その中で、今、松谷委員がおっしゃったように、3つの課題、売差マイナスの改善と、単品単価への推進、今回の未妥結仮納入の改善ということがあったのですけれども、もっと根の深いところもあるという御指摘を松谷さんがしてくださいました。とりわけ売差マイナスをどうするか、これが今後の課題かもしれないということですね。どうもありがとうございました。

 その他に何か御意見ございましたら。よろしゅうございますか。それでは、森さん。

 

○森委員 

ありがとうございます。今、上原委員から今回の制度が劇薬だという話がありました。薬剤師にとっては、劇薬はより作用が強くて、副作用も出やすいということで、慎重に調剤するのですけれども、今回話を聞いたら、確かに数字としては上がったのですが、さまざまな課題というものが聞かれたような気がします。そうした意味では、今回の導入に伴う検証はきちんと実施して、その評価をきちっと見きわめる必要があると改めて感じました。以上です。

 

○嶋口座長 

どうもありがとうございました。

それでは、議題2の問題は一応ここまでにさせていただきまして、3番目の議題、薬価・調査改定の頻度変更の場合の影響に入りたいと思います。今まで2年に1回という薬価改定でありましたが、これを1年にどうかという議論が今、出ておりますので、これについてこの場でも少し議論をいただきたいと思います。

 早速「薬価調査・改定の頻度変更の場合における流通への影響」というテーマで、参考2「薬価調査・改定の在り方」が皆さん方のお手元に行っておりますので、事務局より参考2をベースにして御説明をいただきたいと思います。池元首席、よろしゅうございますか。

 

○池元首席流通指導官 

事務局でございます。配付しております参考2「薬価調査・改定の在り方」について、若干お時間をいただいて御説明をさせていただきます。

 まず、1ページ目でございます。こちらのほうは、本年6月24日に閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2014」におきまして、2行目に書いているとおり、2年に一度の薬価調査・改定が患者負担、保険料負担、公費負担に影響を与えている現状を踏まえて、薬価調査・薬価改定のあり方について、診療報酬本体への影響にも留意しつつ、その頻度を含めて検討するとされました。

 それを受けまして、次ページ以降には、1021日に開催されました経済財政諮問会議の関係資料をつづってございます。

 2ページにつきましては、当日の会議におきまして、有識者の委員から提出されました薬剤に係る国民負担の軽減に向けて、薬価と薬市場の実態調査に着手すべきという資料でございます。内容は省略させていただきます。

 3ページは、当日の会議におきまして、これは飯田審議官の挨拶の中でも触れさせていただきましたとおり、総理から厚生労働大臣に対しまして、2行目のところにありますとおり、「薬市場の実態の早急な把握をはじめとする薬価制度の見直し」ということが指摘をされております。一番下のところにありますとおり、「年内を目途に諮問会議に報告していただきたい」というのが、総理から厚労大臣に対するメッセージでございます。ただ、今般の解散総選挙によりまして、諮問会議への報告の時期が若干先に延びるのかなというふうに考えております。

 なお、その後ろのほうにつきましては、当日の厚生労働大臣の提出資料ということで、資料をつけさせていただいております。まず、4ページの下のほうにありますとおり、基本的な考え方としましては、今後とも市場実勢価格に基づいて適正に薬価改定を行っていくということが一つでございます。

 もう一つは、同時に、革新的な医薬品の開発とか、有効で安全な医薬品の安定供給の確保に留意する必要があるということでございます。

 続きまして、5ページでございます。これにつきましては、薬価の毎年改定の課題としまして、真ん中よりちょっと上のほうにございますが、1つとしましては、メーカーサイドの革新的な医薬品の創薬意欲を損なうおそれがあるのではないかということ。

 2つ目としましては、市場価格の適正な把握のための技術的な問題があるのではないかということ。

 3つ目としましては、従来から診療報酬改定と薬価改定を同時にやってきている経緯がございます。そういった関係で診療報酬への影響を及ぼすのではないかということ。

 最後に、毎年改定に関する歴史的な経緯ということで、昭和60年前後に頻回改定に近いものがございましたけれども、結果として現在はおおむね2年に一度程度の全面改定となった経緯がございます。そういったものを示した資料でございます。御議論の参考としていただければと思います。事務局からは以上でございます。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。ということで、劇薬なのかどうかわかりませんけれども、大きな新しい改革の方針ということで出ております。単純な質問で恐縮なのですが、閣議決定が6月24日にされたということで、これは頻度をもう少し高めろという御示唆だと思いますが、2ページに有識者委員提出資料ということで、「薬価の適切な改定と薬価制度の改善」、これはどういう有識者会議か、性格を教えていただけるとありがたいのですが。お願いいたします。

 

○城経済課長 

事務局でございます。経済財政諮問会議の構成としては、閣僚と民間議員、有識者議員から成るということでありまして、民間議員、有識者議員が4名ということになっております。その中で各省庁を代表してということで閣僚の御発言があったりするわけですが、厚生労働省から臨時委員として大臣が出席し、提出している資料が先ほど紹介されたものであります。この有識者委員の提出資料というのは、今、申し上げた4人の民間議員、有識者議員が当日御提出されて意見を述べられたときの資料であります。決定事項ではありませんが、相当強く参考にされるものということだろうと思います。性格としてはそういうものだと思います。

 

○嶋口座長 

そうですか。ありがとうございました。それから、昭和62年に1年の議論が相当あって、そして、やはり2年だというふうに決まったと。この経緯のところを今、簡単に御説明いただきましたが、これは資料の6ページに、毎年改定から昭和62年建議までの経緯とありますが、これは簡単に言うとどういう経緯だったでしょうか。お願いいたします。

 

○城経済課長 

事務局でございます。先ほど御紹介した参考2の資料の6ページに経緯を整理したものがございます。昭和二十何年以降、今の新しい診療報酬の体系の中で薬価が決められているわけですが、薬価調査、薬価改定についてのルールは、必ずしも確定的なものがあったわけではない中でやっておりました。3年に1回ということでやっていた時期もあるということですが、昭和56年以降、その間も何回か中医協での御議論があった上でということでありますが、薬価改定をきちんと切り下げるということであろうと思いますが、大幅に引き下げをしている時期が続いております。

 その中で、58年以降、596061と毎年改定的な改定が行われた時期がございました。そのときの中身ですが、58年、当時は部分改正というものもあって、乖離率が大きい、シェアが大きい医薬品について、群としてということもありますが、そこだけの引き下げを行うといった改定が行われていた時期であります。

58年1月から4.9%の引き下げ、59年3月に16.6%の引き下げ、その前の56年に18.6%という大きな引き下げがあったということもありまして、5年間で46%という引き下げがあったということで、そういった引き下げ。これは全体の医薬品の取扱高そのものにも影響がありますし、お取引先であるメーカーもしくは医療機関等々の反対というか、御意見などを踏まえると、そういったもののために薬価調査に協力するというのはいかがなものかという議論が当時、卸からあったということを聞いております。

 その後、60年、61年というふうに毎年厚労省のほうで薬価改定をするということで、薬価調査を行い、部分改正、全面改正を行ってきた結果として非常に大きな引き下げが毎年続いたこと。それから関係団体、これは卸がということではなくて、薬価調査は卸にお願いしているわけですが、メーカーも含めて、さまざまな団体の方々、そのお取引先が反対をされている中で薬価調査に協力するというのはなかなか厳しいということで、薬価調査そのものに対しては、協力はするけれども、自主的にどうするかというのを判断するということがあって、事実上、回収率が非常に悪くなってしまった結果、薬価改定はできなかったというのが61年のところでございます。

 新しい算定方式そのものを考えるということで、関係団体、製造、流通、診療側、支払い側を含めて、中医協で十分御議論いただいて、海外メーカー等からも意見を聞き、その結果、算定方式と頻度と、もちろん診療報酬改定等のことも皆さん、お考えの上で、関係者全員で合意して、中医協で62年5月に建議がなされた。それが今の改定ルールの基礎であり、今の2年に一度の薬価改定の基礎であるということでございます。

 ですので、こういった形で、これまでは頻度だけで考えたわけではなくて、ルールとセットで関係者の合意の上でやってきた。そういう歴史的な経緯があるという趣旨でございます。

 

○嶋口座長 

詳細な説明をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、今回の頻度、1年ごとにするかどうかという議論に対しまして、卸連から資料3-1、ジェネリック販社協から資料3-2が提出されておりますので、それぞれの御説明をこれからいただきたいと思います。まずは卸連の中原委員からでよろしゅうございますか。資料3-1ですね。

 

○中原委員 

卸連の中原でございます。資料3-1の説明をさせていただきます。薬価調査・改定の頻度変更があった場合における流通への影響でございます。この部分においてはかなり予想が入っておりますことを、御理解いただきたいと思います。

 流通に与える影響ということで、1つとして、薬価を頻回改定することになれば、メーカーは従来どおりの収益確保のため、高仕切価設定をする可能性があります。また、医療機関は従来の薬価差益を確保するため、価格交渉が難航するおそれがあります。

 その結果、1つとして、高仕切価と従来の薬価差益要求の間にあって、一次売差マイナスの改善が進まないおそれがあると考えます。

 2つ目として、価格交渉が難航することにより、単品単価取引が後退するおそれがあると考えられます。

 このように、種々の問題が生じ、流通改善が後退しかねないと思われます。

 2つ目として、現行の2年に1回の薬価改定でもカテゴリーチェンジが急速に進んでおり、薬価改定の頻度を増すと新薬創出加算品以外の薬価の下落のスピードがさらに速まるなど、医薬品市場に大きな影響があると見込まれます。医薬品市場の急激な変化は、医薬品流通の安定を損なうばかりではなく、医薬品の供給体制全体に重大な悪影響を及ぼす恐れがあります。

 先ほど未妥結減算のところの市場構造の資料でも説明しましたが、現状でも後発品の置きかえ3%と、先ほど言いましたけれども、市場のシュリンクは起きております。

 薬剤の国民負担は減少している。このことが貢献しているのではないかと思います。

 「2.卸又は卸経営に与える影響」でございます。

 1つ目、公的医療保険制度のもとで、公定価格である診療報酬と薬価は不可分の関係にあり、薬価改定は診療報酬改定と同時に行われるべきであります。仮に、薬価改定と診療報酬改定が切り離して行われた場合には、薬価差益が増大する懸念も考えられ、卸に甚大な影響を及ぼすおそれがあると思われます。

 2つ目、薬価を頻回改定すれば、常時価格交渉を行う等、多大な労力を費やすことになり、MSの情報収集・提供機能等、価格交渉以外の通常業務に支障を生ずるおそれがあります。また、災害や感染症発生時への対応等にも支障を生ずることにより、緊急時の社会インフラとしての側面を全うできないおそれがあると思われます。

 薬の安定供給には投資が必要でございます。それがなければ国民貢献ができないおそれがあると思います。以上でございます。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。卸連としては、これはちょっと賛成しかねるという意見でございましょうか。ありがとうございました。では、これは後で議論することとして、続いて、ジェネリック販社協の三浦委員、お願いできますか。

 

○三浦委員 

日本ジェネリック販社協会の三浦です。

 

○嶋口座長 

資料3-2ですね。

 

○三浦委員 

資料3-2です。それでは、「薬価調査・改定の頻度変更の場合における流通への影響」につきまして、報告いたします。

 今回の「価格妥結状況確認書」及び「品目リスト」の作成には、時間・経費・人的等の負担が非常に大きく、大変であったということは、先ほど報告させていただいたとおりでございまして、薬価の頻回改定についても同じことが言えることであり、薬価の頻回改定を不安視している会員企業が多くありました。

 妥結率のアンケート調査表に、薬価の頻回改定に対する意見についても記載欄を設けており、次のような意見が寄せられました。

 1点は、薬価改定前後での買い込み、在庫絞りが起き、安定した流通量の乱れ・急配達などが予想されます。

 もう一点は、薬価改定時、3月~9月にかけてMSは価格設定、妥結、システム反映など莫大な労力が必要となります。通常業務時間内でこれらの作業を行う余裕がないため、休日を返上しての作業、夜間作業がどうしても必要になっています。

MS業務として安定的な配送、的確な情報提供、情報収集に悪影響を及ぼす可能性もあります。以上、報告申し上げます。

 

○嶋口座長 

ジェネリック販社協の立場からも余り賛成できないという御意見でございますね。ありがとうございました。それでは、その他のお立場からいろいろ御意見をいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。どうぞ。

 

○鈴木委員 

日本医師会では、この問題に関しては横倉会長が何度も記者会見等で発言されております。頻度の変更というのは、事実上、毎年改定を意味すると考えられますが、診療報酬改定と薬価改定はセットで行うことを前提に薬価算定ルールが設定されており、薬価の毎年改定は診療報酬とのバランスを欠くことになります。また、健康保険法では診察、薬剤の支給、処置などの療養の給付を受けることが規定されておりますが、このことは、すなわち健康保険法において、薬剤は診察等と不可分一体であることを意味しており、その財源を切り分けることは不適当です。

 さらに、薬価改定を毎年行うことになれば、医療機関及び調剤薬局のレセコンなどや保険者のマスター更新に毎年膨大な費用が発生するほか、医療従事者、特に事務スタッフの研修などによって、大きな負担を強いることになります。

 以上をもって、我々としては反対ということでございます。

 

○嶋口座長 

わかりました。それでは、中村委員、お願いいたします。

 

○中村委員 

保険薬局協会の立場で少し薬価頻回改定についての御意見を申し上げたいと思います。

 現在、協会のほうの上層幹部会議でもこのテーマを大きく取り上げていまして、毎年やることが良いか悪いかという議論以前に、国民皆保険制度上において「いつでも、誰でも、どこでも」医療が適切に行われる前提として、国民のための医療用医薬品が開発されて、それから医療機関にお薬が届いているという事実がなければ、医療が適正に行われることは大変難しくなります。

 今の状況では、配送センターを集約したり、あるいは場合によっては、夜間、休日における電話一本での緊急配送には大変コストがかかります。こうした対応が受け入れられないケースも若干出始めております。医療機関側の我々も相当な在庫を持ったり、場合によっては、自社で集約したセンターを持つなど未知の取り組みをしなければなりません。そうしてまでも国民の医療を守るため対応しなければなりません。

 ですが、財源の問題とか薬価制度の頻回改定による作業量の増加も非常に重要なことですけれども、それ以前に、日本の医薬品メーカーさんが国民のために新しい薬剤を開発するためのコストはどの程度必要なのか、あるいは今日まで世界では珍しく偽薬がほとんど存在しない日本の流通を形成された卸さんの流通のあり方をどこまで尊重し、我々も協力していくか。そして、医療機関から患者さんに薬が即刻提供できるか。このことを守れる範囲内の薬価改定のあり方というものを総合的に考えておかないといけないのではないかなと思っています。

 もう一点は、ジェネリックのウエートが非常に高まってきています。これはもちろん、国の政策でもあるし、諸外国との比較論もあるのですけれども、この詳細について御意見を申し上げる場ではないのですが、これも流通、価格形成、薬価のあり方等を含めて、今のうちに適切な方法論を議論し、考えておかないと、大変な結果になると思います。先ほど卸さんのほうからも、30年来、前年の実績、半年間にわたって3~4%売り上げが落ちたというのは初めてと聞いております。その背景は、ジェネリックの推進が非常に進んだということが大きな要因であるということは、我々薬局を通じて承知しておりますので、この点についても一つの大きなテーマ、あるべき流通のあり方というものについてはもう一度検討する必要があるのではないか考えます。

 最後に、前回の流改懇で出ていましたように、新薬価制度ができて、今のRゾーンのあり方が適切であるかどうかももう一度セットで考えておくことが必要ではなかったかなと思っています。Rゾーンのあり方についての議論をしていただくような時間があれば非常に結構かなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。ということで、ほとんど賛成しかねるという御意見ですが、では、森委員も同じ趣旨かもしれませんが、お願いいたします。

 

○森委員 

ありがとうございます。健康保険制度における薬価と診療報酬とは不可分一体の関係で、これらの改定はセットで行うことが前提だと思っております。

 その中で、我が国の医療において診療報酬と医療提供体制は車の両輪として機能するもので、診療報酬の改定は単に費用面の問題だけではなくて、算定要件や施設基準の見直しなど、評価をする内容の方向性によって、医療提供体制の構築にも大きな影響を及ぼすのではないかと思っております。そういう中で、診療報酬の改定は、過去の改定結果の検証等を行った上で、その後の見直しの方向性を見きわめていくことが不可欠で、中医協では改定結果の検証調査を実施してその内容を評価することになっています。

 評価の方向性が正しいことを確認した上で次のステップに進まないと、結果的に医療提供体制に悪影響を及ぼして、その結果、国民及び患者にも不利益をもたらすことになるのではないかと思っております。

 また、薬価改定の頻度改定に関しては、薬価調査だけではなくて、関係者における対応作業が伴うため、人的面や費用面における負担増が生じることにも留意が必要ではないかと思っております。以上です。

 

○嶋口座長 ありがとうございました。では、どうぞ。

 

○佐藤委員 

日本病院薬剤師会です。

 鈴木委員や森委員のお話にも関係するのですが、医療機関としては、ジェネリック医薬品の場合も新薬もそうですけれども、品質の問題と情報提供、安定供給と3つございまして、品質は、にせ薬とかそういうものに対してどういう対応をするか。経費率が当然かかるという部分ですね。我々の医療機関もそうですし、卸も企業もかかる。また、情報提供もMRさん、MSさんを含めて、あと我々もDIもすごくかかる。そういう面でかなり経費率がかかる。

 それに対して、我々医療機関ですと、普通の診療報酬以外にも、薬価差とかいろんな部分が常に需要としてあるということで、その質を担保しているということがあって、それが患者とか国民の医療に行く。

 そしてもう一つ、一番大きいのは安定供給なのですが、流通の問題も、今日の議論がありますけれども、昭和58年云々、その段階で卸の経営が落ちてきているということで、それによって欠品等、そういうものが我々に来るということは、稼働率の問題等を含めて、医療の効率化も非常に悪くなるということがあります。

 もう一つ問題なのは、我々は今、大学病院にいるのですが、新薬に関して流通をやっている段階で、製薬企業が毎年薬価を下げた段階で開発費が下がるということは、それでなくても、海外、いわゆるグローバルなものに対して、日本におけるイノベーションがまずいというときに、逆の話になってしまうのではないか。そうすると、我々は新薬で患者さんの治療効果を上げるということ、そういうものに対してもマイナスになる。となると、1年ごとに薬価を下げることによって、ある程度医療費が下がる、医療費のものが変わるのですけれども、実質的な本当の医療の質というのをトータルで担保した場合、どちらが一体プラスなのかというと、我々はマイナス面が大きいのではないかと思います。個人的な見解です。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。今、佐藤委員からもメーカーさんの新薬に対する意欲もちょっと下がるかもしれないという御指摘がございましたが、お願いいたします。

 

○今堀委員 

製薬協の今堀でございます。

 今の件につきましては、ことしの5月に日薬連と製薬協の両会長が共同声明という形で、「薬価の毎年改定について」ということで表明させていただいておりますけれども、その中で訴えているとおり、メーカーとしては毎年改定に反対でございます。

 研究開発型の製薬産業といいますのは、イノベーションの担い手ということで、我が国の経済成長に貢献していく、これを強く期待されているわけでございますが、日本再興戦略、また、健康・医療戦略の中でもこの考えを後押しするような政策がたくさん盛り込まれているというところでございます。

 そんな中で、薬価の毎年改定といいますのは、こうした政策の方向性に反するものであるということで、各企業の競争力を一様に弱体化させていってしまうといったものでありますし、製薬産業の発展、また、今、お話しいただいた創薬に向けた取り組みの努力といったものを評価し、支援するという視点を欠くものである。このように考えているところでございます。

 流通ということから見てみますと、薬価を頻回に改定されますと、極めて短期間で価格交渉が求められるということになりますので、製品個々の価値に見合った価格水準の形成が非常に困難になるだろうということが考えられます。こういった点からも毎年改定には反対でございます。以上でございます。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。昭和62年の頃からの状況を知っていらっしゃるのではないかと思いますので、松谷委員お願いいたします。

 

○松谷委員 

そのことでお話ししようと思ったのですけれども、4回連続、1回が全面改定で、部分改定が3回あった。あの当時の薬価差というのは、品目によってものすごく大きくて、今の薬価差とは全然違っており、あの当時の問題は参考にならないと。今はずっと落ち着いた形でなっているというふうに思います。

 頻回改定については、10年ちょっと前に中医協で1回議論されまして、そのときの結論というか、最終的には2年に1回ということで、もう一回落ちついたわけですけれども、そのときの議論の中でたしか診療側の委員の方から、薬価というのは市場実勢価格だと。市場実勢価格というのは基本的にはマーケットメカニズムが働くのだと。頻回改定をすれば、価格が下がってしまうのがわかるから、マーケットメカニズムは働かない。そういう意味からも反対だというお話。

 片っ方ではどんどん下がるということと、片っ方は下がらなくなるということ、両方の見方で、どちらになるのかわからない。捉え方によって違う問題が出てくる。こんな印象も持ちました。

 それから、国民の薬剤負担という意味で言えば、私どもは、先ほどもお話が出ましたように、今のジェネリックの推進等で実際にこれだけ売り上げが減っているということ自体は、国民の薬剤負担が減ってくることに直接つながっているわけですから、その部分で今、大変苦しい経営に陥っている中で、毎年改定になると、自分たちがやる社会インフラとしての地域医療、ライフラインを守るという意味からも適正利潤がとれないような状況にすぐ陥ってしまうのではないか。こういう心配を流通業者としては思っておりますので、もっと慎重に考えていただきたい。

 歴史的なそういう過去のいろんな意見で、その当時のことを余り知らない方が民間議員として、毎年下がればこれだけ出るという単純な論理がそのまま総理のところまで行ってしまうということ自体が非常に怖いというか、もっと中医協を大事にしていただきたい。こんなふうに思います。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。誰も賛成という意見がないようなのですが、事務局でこの処理の仕方というのは今後どうなるのか。それを御説明していただけるとありがたいと思うのですが。

 

○城経済課長 

事務局でございます。現状では諮問会議において宿題が出ているということでありますが、いつかということについては、よくわからないというのが現状であります。

 ただ、この会議は流通の懇談会でありますので、こうしたことについて決定をする場ではないものの、流通の当事者に広く出ていただいているということもありますので、この場が皆さんの御意見を公式の場で表明していただくのに良い機会ということで、紹介していただいているということであります。

 ここで取りまとめを行うとか、整理するとかいう形ではないと思っております。ただ、ここの御意見をある程度箇条書きにした形なりを用意して、中医協でいずれ御議論されることがあれば、そこで御紹介するときに使えると良いということでありますので、そういう機会があるのであれば、そういった場を通じて意見として出していく、その材料をこの後、皆さんの御意見を更にいただいた上で、整理をさせていただければと思っております。もちろん、議事録も残っておりますので全文もございますし、抜粋なり箇条書きなりのまとめができれば、それはそれで我々としては使わせていただきたい、そういう趣旨であります。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。もともと流通改善懇談会というのは意思決定機関ではありません。恐らくこの問題は最終的には中医協なりが決めるものですが、ただ、それに対して、先ほど資料の御説明にもありましたように、安倍首相が年内をめどにとにかく一つの方向を出すようにと発言されている。今は、解散総選挙になりましたから、それはできないと思いますけれども、そういう方向でいきたいというのが政府の見解かもしれませんが、流通のプレーヤーである当委員会のメンバーの御意見というのは極めて貴重だと思いますので、これをまとめてしかるべきところに示していく、そういう形になるのではないかと思います。それが、今いただいた意見だと思います。ありがとうございました。

 アカデミアの世界では、そのくらい反対があるということは、すばらしい革新なのだ、革新は皆反対が当たり前だ、とそういうふうに見てしまいがちなのですが、こうなると、どうしてもアカデミアの代表の上原先生のほうから一言御意見をいただければありがたいと思います。

 

○上原委員 

政府の価格介入は明確な目的と明確な効果がはっきりしない限り、経済学的に言うと政府や制度で価格を規定するのは長期的に見て非効率だと思います。いろんな理由をつけ加えて当局が価格を規定しようとすると、かえって目的と効果が不明確になるだけでなく、他に悪影響を及ぼします。

 これを読むと、一つは、実勢価格を反映するように調査をするとかと書いてありますけれども、私は、実勢価格を反映しようとしたら、反映できるような仕組みを先に考えるべきであって、それと、価格をこうすべきだと改定案を出すのとは矛盾している。実勢価格を反映しようとしたら、価格改定という論理は弱くなると思う。

 もう一つ、国民のためと言いますけれども、いろんな研究成果を見ますと、実勢価格を反映するような価格体系ができるのはむしろ国民の選択に依存します。国民の選択がスムーズに反映できるような流通システムにすべきであって、価格を人為的に下げたり上げたりするということは、後から問題が起こるというふうに私は思います。ぜひこれは慎重に考えてもらいたいと思います。

 

○嶋口座長 

アカデミアの面から見てもそんな性急にする必要があるだろうかという御意見だったような感じがいたします。そのほか、是非これは言っておきたいという御意見がございましたら、遠慮なくお願いいたします。

 

○酒井委員 

全国自治体病院協議会の酒井でございます。

 まず、毎年薬価改定というその考えは、薬価はいつも変わるものだから、少なくとも実勢価格を薬価に反映するということで考えられたのだろうと思うのですが、先ほどからいろんな構成員の方がおっしゃっていますように、診療報酬改定とセットでないと意味がないと思います。我々病院の側でもたくさん意見が出ておりましたけれども、毎年薬価改定をされると、まず価格交渉に要する時間と人件費と申しますか、大変時間と労力を要するわけです。

 それから、日本医師会の鈴木構成員もおっしゃっていましたが、我々病院は、薬価が変わりますと、病院の情報システムを大幅に変えなければいけない。そういう問題も出てきまして、とても1年に1回の薬価改定についていけないのではないかと思うのです。ですから、そもそも毎年改定という議論が出てきたのは、毎年改定して、さらに薬価を毎年下げるという内容でこれが出てきたかどうかということを伺いたいのですけれども、お答えは難しいでしょうか。薬価が上がるということはあり得ないのではないかと思うのですが。

 

○嶋口座長 

一般論としてはあり得ないでしょうね。ただ、従来の流通改善というのが遅々として進みにくかった。何か新しいものを入れていかなければいかぬだろうということで、前回は減算をやったのですが、今回はもう一つの、劇薬になるかどうかわかりませんが、これだけ反対があるということは、流通業界にとってかなりの劇薬であると思いますけれども、そういうものが出てきたということで、上がるということはまずないのではないかと思いますが。では、そのあたりをお願いいたします。

 

○城経済課長 

事務局でございます。厚生労働省からの提案ではないということがございますので、その趣旨について、私のほうから述べる立場ではありませんが、文案、いろんな答申等々を見る限り、2年単位で薬価差を解消していくよりも、1年単位で解消したほうが早く薬価差を解消できる。逆に言うと下がっていくということを念頭に置いた提案であろうと思われます。

 もう一つ、上がるかどうかという話ですが、普通の商品であれば、コスト、インフレ等々によって物価の動きもございますから、上がったり、下がったりということが実勢価だと思いますが、薬価については、基本的に償還価格にキャップをかけて、その中での交渉ということになっております。実勢価が上がる仕組みはもともと組み込まれていませんので、不採算などのときに引き上げるという仕組みが特例的にございますが、基本的には下がる方向性にしか働かないということだろうと思います。

 

○嶋口座長 

どうぞ。

 

○酒井委員 

それともう一つ、毎年改定も含めてですが、最初の未妥結減算の話でも、これは医療用医薬品独特の取引形態、例えば未妥結とか仮納入とか総価取引とかいったいろんな問題を抱えている医薬品の不透明な取引慣行の改善が当懇談会の目的ですよね。妥結していないということは、薬価形成過程での適正な実勢価格に反映できないからということで、未妥結の減算という、ペナルティーを設けて、結果的には妥結率の数字は上がったのですけれども、実際には単品単価取引の進展には今のところまだつながってはいませんね。もう少し見てみなければわかりませんが、毎年改定となると、未妥結減算と比較にならないような、もっと大きな影響が我々医療機関にも出てくると思うのですね。ですから、これは絶対してほしくないですね。診療報酬改定も毎年やるというなら別ですけれども、それは無理でしょう。診療報酬改定は、影響度調査をして、その結果の検証に基づいて次の診療報酬の改定につなげてくいわけですから、薬価だけ毎年改定というのはちょっと無理があると思います。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。どうも部分最適を狙ってこういうことをやっても、別のところで色々と歪みが出てきて、なかなかうまくゆかないのではないか、そういう意見が大半だったような感じがいたします。

 この会は流通改善につながる、かなり改革に近いところまで踏み込んでゆくけれども、それはなかなか大変かもしれない、そういう御意見がたくさんあったような感じがいたします。

 そのほかに、是非この場で言っておきたいという御意見が委員の先生方からありましたら、受けたいと思います。では、村井委員、お願いします。

 

○村井委員 

先ほどの未妥結減算のときの上原先生のコメントに関連してなのですが、実は頻回改定になりますと、常時価格交渉をしているのが仕事みたいな事態になるのを極めて憂慮している。卸連の国際委員会で調べたのですが、海外におきましても、自由価格、市場実勢価主義で動いているアメリカですら、卸と病院あるいは卸と大手チェーンとの契約期間の平均は2~3年というものが一般的でございます。逆に言えば、それだけの期間は安定的な取引があるから、その期間の間に、先ほど上原先生御指摘の業務の標準化、在庫管理方式を入れる、IT化とかそういったことが進められる。全くそういう時間が与えられず、ただ価格交渉ばかりしているのでは、いつまでたっても基本が改善されないのではないかと思いました。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。たくさん貴重な意見をいただいていますが、その他何かございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、議題3につきましては、大体皆さん方の御意見を伺ったということで、ここで休憩をとらせていただいて、私から今までの御意見を少しまとめたものをお示ししたいと思います。10分程度でよろしゅうございますか。今、37分ぐらいですから、45分にしましょうか。8分ほど休憩をとって、事務局がいろいろ調べていただいたり、ヒアリングしていただいたことを含めて、今日の意見の取りまとめをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、45分に再開したいと思います。よろしくお願いいたします。終わるのは12時に終わりますから、御心配なく。

 

(休憩)

 

○嶋口座長 

それでは、時間が参りましたので、再開したいと思います。

 本日は、本当に活発な意見をありがとうございました。議論としては大きく2つ。1つは未妥結減算制度の流通への影響についてということで、さまざまな御意見をいただきました。事務局でも事前に各関係者の方々にヒアリングをして、本日もいろいろ御意見をいただいたわけでございますが、概ねこんなところが一つの考え方かということで申し述べますと、薬価が市場実勢価に基づいて決定される現行薬価基準制度においては、薬価基準によって市場実勢価を的確に把握するためには、医薬品の価値に見合った価格が医薬品ごとに決定していることは非常に重要である。これは大前提の話になるわけです。

 その中で未妥結減算制度導入によって、購入側、販売側双方の努力の結果、かなり妥結率が向上した。これは冒頭のほうで改善の実態を説明していただきましたが、概ね未妥結減算制度と皆さん方の御努力によって良い方向に向かったと。そういう意味では、良き劇薬だったかなという感じもいたします。

 ただ、もう一方では問題がそれなりにあり、これまで進捗してきた単品単価取引がもう一歩進展しなかった。そして、特定卸、特定品目、特定期間のみ妥結する形態が出てきた。このあたりが一つ問題だった。

 もう一つは、短期間での価格交渉、厚生局への報告と妥結の根拠となる資料の作成等、購入側、販売側ともかなりの時間と労力を費やした。このあたりが大変だったという御指摘がございました。

 本制度の対象となる保険薬局の範囲の見直しや報告資料の簡素化についての要望が委員の先生からございました。

 森委員からも御指摘がございましたが、単品単価取引は一定の増加が見られているけれども、短期間で行われた価格交渉の影響、つまり、総価取引への回帰の有無などを含めて、やはり検証する必要がこれから相当あるだろうという御指摘をいだきました。このあたりについても皆さんの御賛同があったような感じがいたします。

 また改めてこのあたりについては報告書の中で述べさせていただきますが、未妥結減算制度の今回の影響については、プラスもあったけれども、それなりの課題もたくさん残った。そういう御指摘と受けとめてよいかなという感じがいたします。

 2つ目の大きなテーマ「薬価調査・改定の頻度変更の場合における流通への影響について」ということでございますが、流改懇の立場は決定機関ではございません。先ほども指摘させていただきましたように、あくまでも医薬品流通に係る当事者の中で色々と意見を出し、そして、より適切な我が国の医薬品制度を構築していく、そういう立場でございますので、あくまでも流改懇の立場としての意見ということでとどめたいと思います。しかし、流通のメインプレーヤーの場がこの場でございますので、そういう意味から言うと、それなりの影響をぜひ発揮していただきたいということを外に向けて出していく、そんな感じがあります。

 まず、薬価調査・改定の頻度変更については、国民に良質の医療提供をする観点から考えなければいかぬだろうということ、非常に強い意見が出たと思います。

 そして、結果的にこの委員会の中で賛成は何にもなかったと。こういう頻度変更については賛成しかねるという意見が圧倒的だったという感じがいたします。

 理由としては、ただ嫌だ嫌だと言っているのではなくて、それなりの正当な理由があったような感じがいたします。革新的な新薬の創出意欲を損なう恐れがまずあるということ。これは製薬協からも御指摘がありましたけれども、国際的に競争していくに当たって、革新的な新薬の創出意欲というのは極めて重要にもかかわらず、こんなに頻度が高かったらいかがなものかという意見がございました。

 短期間での価格交渉により、単品単価取引が後退して、個々の医薬品の市場実勢価の的確な把握に支障を来す可能性があるのではないか。これは卸の側からも非常に強く出た意見でございますが、単品単価取引というものが今まで少しずつ進んでいるのに、これに水を差すようなことになってしまわないか、そういう御指摘がございました。

 それから、改定の頻度の増加に伴って、関係者の価格交渉にかかわる人的な負担や、システム変更等に係る経済的負担が非常に増えるだろうと。これは当事者の方々が皆、一様におっしゃったことで、時間と労力に関するコストがかなり大変であると。そういう意味から言うと、今でもかなり厳しい中でいかがなものかという御指摘がございました。

 改定頻度の変更は医薬品流通の安定を損ない、供給体制全般に重大な悪影響を及ぼす恐れがあるという御意見です。

 また、価格交渉に多大な労力を要し、通常業務に支障が生じ、災害時等への対応等、社会インフラとしての使命を全うできなくなる恐れがあると。

 それから、医療機関側から御指摘があった点ですが、健康保険法において、薬剤は診療等と一体不可分であって、薬価改定と診療報酬改定をセットで行うことを前提に算定ルールが設定されている。薬価のみ改定頻度を変更するということは、診療報酬とのバランスをやや欠くのではないか、そういう御指摘がございました。

 そういう意味から言うと、部分最適をやるような改革というのはいかがなものかと。どこかにまたひずみが出たら、元の木阿弥になってしまうという御指摘でございました。

 それから、診療報酬改定の事後的な検証同様、改定頻度についても、今回の未妥結減算制度導入後の結果だけではなくて、その内容を検証しないと、結果的に国民及び患者に不利益をもたらすことになるのではないかということであり、いずれも難しいということだけではなくて、それなりの建設的な内容を含めた御意見がたくさん出たような感じがいたします。

 繰り返しますが、これは流改懇の立場としての本日の意見の取りまとめということでございまして、これがどういうふうに処理されていくのかというのはまだ不透明なところがありますけれども、しかし、無視はされるようなことはないだろうと考えております。そういう意味で、一応こんなところが今日の懇談会の結論であろう、そんな感じがいたします。

 事務局からこれに関連して、今後の問題その他で御意見をいただければありがたいと思います。

 

○城経済課長 

事務局でございます。ありがとうございます。今、座長からもありましたように、この場は本件について決める場ではないものの、流通の関係者の皆様方にお集まりいただく場であるということで、御意見をいただく場として、今、座長にお取りまとめをいただいたもの、そういった御意見なのだと承知をしております。

 今のものを印刷する時間がございませんので、口頭読み上げとなりましたが、議事録上、記載されているものをベースに、追って皆様にお届けできるように整理したいと思います。

 それから、改めてまたきちんと議論する場、多分厚労省においては中医協だと思いますが、そういった場に御紹介するようにというふうな御指示が中医協のほうからございますれば、本日の取りまとめを御紹介するというふうに使わせていただきたいと思っております。当面の方向性として私のほうで見えているのは以上でございます。どうもありがとうございました。

 

○嶋口座長 

ありがとうございました。最後に、ぜひこの場で一言言っておきたいという御意見がございましたら、お受けしても結構だと思いますが。あと4~5分でちょうど12時になりますので、ちょっと言い足りなかった、是非このあたりは言っておきたいという御意見がございましたら、お受けしますが、よろしゅうございますか。

 それでは、これで全ての議事が終わりでございます。今日はありがとうございました。

以上です。


(了)
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医政局経済課

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