ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金記録訂正分科会)> 第1回社会保障審議会年金記録訂正分科会議事録(2015年1月8日)




2015年1月8日 第1回社会保障審議会年金記録訂正分科会議事録

○日時

平成27年1月8日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省12階 専用第12会議室


○出席者

   山崎分科会長、池田委員、石倉委員、大山委員、神津委員、児島委員、白波瀬委員、鈴木委員、南委員

○議題

(1) 年金記録訂正分科会長の選任について
(2) 年金記録の訂正に関する方針について
(3) その他

○議事

○梶野政策企画官 ただいまより、第1回「社会保障審議会年金記録訂正分科会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 分科会長選出まで少しの間、議事進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いします。

 本日は、第1回ですので、塩崎厚生労働大臣から御挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。

 

○塩崎厚生労働大臣 皆さん、おはようございます。厚生労働大臣の塩崎恭久でございます。

 第1回目の「社会保障審議会年金記録訂正分科会」の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。

 年金記録の確認、そして訂正につきましては、平成19年6月以降、総務省に臨時に設けられました年金記録確認第三者委員会で年金記録の訂正のあっせんとして行われてまいりましたけれども、昨年6月の法律の改正に伴いまして、恒常的な年金記録訂正手続として、厚生労働大臣に年金記録の訂正を求める制度が整備をされました。これによりまして、年金記録の訂正請求が新たに国民の皆様の権利として位置づけられ、また、訂正や不訂正の決定に不服がある場合、審査請求や訴訟手続にも途が開かれることになったわけでございます。

 本分科会は、この新たな訂正手続の制度におけます判断基準等について御審議をいただくということで新設したところでございまして、本年3月の制度の運用開始に向けて、しっかりとした基準の取りまとめができますよう、委員の皆様方には御努力を願いたいと思っているところでございます。

 年金制度は、国民お一人お一人に対しまして、非常に長期にわたりかかわりを持つ制度でございます。仮に年金記録に間違いがあった場合には、個人の給付に大きな影響を与えることになるわけでございまして、厚生労働省において年金記録の厳格な管理を行うことは当然でございますけれども、他方で国民の皆様から訂正請求があった場合、訂正の要否を公平、公正に判断しなくてはなりません。委員の皆様方の御意見をしっかりと伺って、3月以降、国民の皆様からの年金記録の訂正請求に対し、的確に対応してまいりたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、ぜひとも忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げるところでございます。

 先ほどの第三者委員会ができたときに、本当に我々は、ちょうど第1次安倍内閣でございましたけれども、いかに政府に対する信頼、そして、この年金制度における信頼が、国民の皆様の言ってみれば暮らしの大もとであるかということを実感させていただいたわけでありまして、今日こうしてスタートいたしましたこの分科会においてのいろいろな御判断に基づいて運営が行われる年金制度が国民の皆様に信頼されるものとしてさらなる厚みを増していけるように、皆様方の御努力をお願い申し上げたいと思います。

 大変お忙しい皆様でありますけれども、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げて、御挨拶にいたしたいと思います。ありがとうございました。

 

○梶野政策企画官 ありがとうございました。

 塩崎大臣におかれましては、公務のため、これにて退席されます。どうもありがとうございました。

 

(塩崎厚生労働大臣退室)

 

○梶野政策企画官 続きまして、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。

 お手元の資料1-1に委員名簿をつけさせていただいております。五十音順で御紹介申し上げたいと思います。所属と役職は名簿に記載がございますので、恐れ入りますが、お名前のみ御紹介をさせていただきます。

 池田委員でいらっしゃいます。

 

○池田委員 池田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 石倉委員でいらっしゃいます。

 

○石倉委員 石倉です。よろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 大山委員でいらっしゃいます。

 

○大山委員 大山です。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 神津委員でいらっしゃいます。

 

○神津委員 神津でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 児島委員でいらっしゃいます。

 

○児島委員 児島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 白波瀬委員でいらっしゃいます。

 

○白波瀬委員 白波瀬です。よろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 鈴木委員でいらっしゃいます。

 

○鈴木委員 鈴木です。よろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 瀬川委員でいらっしゃいますが、本日は御欠席でございます。

 南委員でいらっしゃいます。

 

○南委員 よろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 山崎委員でいらっしゃいます。

 

○山崎委員 山崎です。よろしくお願いいたします。

 

○梶野政策企画官 以上でございます。

 本日、御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立していることを御報告申し上げます。

 なお、事務局からの出席者につきましては、お手元の座席表にございますので、そちらをもって紹介にかえさせていただきたいと思います。

 それでは、議事に移らせていただきます。

 年金記録訂正分科会の分科会長の選出につきましては、お手元に資料1-2として社会保障審議会令の抜粋を御用意してございます。この審議会令の資料の下のほうですけれども、第5条第3項に「分科会に分科会長を置き、当該分科会に属する委員の互選により選任する。」と記載されております。本分科会には、社会保障審議会の委員として、白波瀬委員、山崎委員のお二方がいらっしゃいます。あらかじめお二方で御相談いただきまして、山崎委員に分科会長をお願いするということになってございます。これによりまして、互選によって山崎委員が分科会長に選出されたということでございます。

 それでは、ここからの議事運営につきましては、山崎分科会長にお願いしたいと思いますが、カメラにつきましては、ここで退室をお願いいたします。

 

(カメラ退室)

 

○梶野政策企画官 それでは、山崎分科会長、お願いします。

 

○山崎分科会長 分科会長を仰せつかりました山崎でございます。皆様の御協力を得ながら、会の円滑な運営に努めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、私から分科会長代理を指名させていただきたいと思います。分科会長代理につきましては、お手元の資料1-2にありますとおり、社会保障審議会令第5条第5項におきまして、分科会長に事故があるときに、その職務を代理するものとして、分科会長があらかじめ指名することとされています。

 私といたしましては、御本人が本日は御欠席でございますけれども、本分科会の設置の経緯等につきよく御存じで、現在、総務省年金記録確認第三者委員会で厚生年金部会の部会長をお務めであられます瀬川委員に、ぜひ分科会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○山崎分科会長 それでは、そのようにさせていただきますので、事務局のほうから瀬川委員にそのようにお伝えください。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事次第に沿って進めてまいります。

 まず初めに、「(2)年金記録の訂正に関する方針について」について御議論いただきます。この議題では、本年3月から年金記録の訂正請求に関する事務処理を開始するに当たり、厚生労働大臣が訂正に関する方針を策定し、示すことになりますが、事務局から、この訂正に関する方針の考え方や訂正決定に係る認定基準案について御説明いただき、委員の皆様に御議論いただきたいと考えます。

 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。

 

○赤澤事業企画課長 おはようございます。事業企画課長でございます。

 それでは、お手元の資料に従いまして、まずは資料2と資料3の束につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。もう御案内のお話ではございますが、年金記録の訂正手続、おめくりいただきまして1ページでございますが、先ほど大臣からの御挨拶にもありましたように、昨年6月の法改正によって新たにつくられたということでございます。見直し前は、総務大臣のあっせんという事実上の行為を受けて年金記録の訂正を行っていたわけでございますが、見直し後は、訂正請求というものを明確に位置づけ、地方厚生(支)局長の訂正決定、これは行政処分ということで、これを踏まえて年金記録の訂正ということで、決定に不服がある場合は、不服申し立て手続や司法手続にも移行可能としたということでございます。

 2ページ目でございます。「年金記録の訂正請求手続の流れ」ということでございます。これも御案内のいつもの資料でございますが、訂正請求を日本年金機構の窓口で受け付けて、年金事務所の段階で訂正できるものは年金事務所の段階で訂正をするということで、そうでないものにつきましては、地方厚生(支)局長に関係資料を送付しまして、地方厚生(支)局長がいろいろ調査を行った結果、地方審議会にその訂正または不訂正の諮問を行い、その地方審議会の答申の結果に従い、訂正・不訂正決定を行うという仕組みになっているところでございます。

 下にございます本審議会の分科会は、この訂正・不訂正決定の審議の認定の判断基準をつくるものという位置づけになっているところでございます。

 3ページでございます。基準の議論をいただくに際して、もう一度、厚生年金特例法の御説明をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正では、厚生年金特例法のほうも改正になっております。この厚生年金特例法でございますが、端的に申し上げれば、事業主が保険料の給与天引きを従業員からはしていたにもかかわらず、事業主がその保険料を国のほうに納めていなかったというケースでございます。この法律は平成19年に制定されておりますが、平成19年に制定される前は、保険料の徴収権が時効消滅しますと、厚生年金保険法の75条本文の規定により、仮に事業主が被保険者から保険料を控除していても、国に納めていなければ、その期間に関する年金額には反映しないこととなっていたところでございます。これが年金記録問題の中でいろいろ議論になりまして、厚生年金特例法という法律ができて、総務省の第三者委員会が厚生年金特例事案に該当すると、要するに、事業主が保険料を控除していたということを第三者委員会が認めれば、厚生年金特例事案に係る期間についても、時効消滅する前に厚生年金の届け出があったものとして年金額に反映するという法律がつくられたわけでございます。

 今回、昨年6月に成立しました法案では、この厚生年金特例法も改正いたしております。これが4ページでございます。この4ページに書いてございますように、厚生年金特例法を改正いたしまして、今までは総務省の地方第三者委員会の御審議の結果に基づき、厚生年金特例法事案であると、要するに、事業主が保険料を控除しているにもかかわらず、国に納めていないということを総務省の第三者委員会が認めていたものを今回は、我々が今回設置します地方審議会のほうでそこを認定するという仕組みに変えるとともに、簡単な厚生年金特例法事案の認定につきましては、年金事務所段階で引き続きできる、そういう仕組みにさせていただいているところでございます。特に年金事務所段階での厚生年金特例法事案であるという確認の基準につきましては、省令事項という形で省令に明確に書くという形の法律構成になっているところでございます。

 5ページは、その関係条文ということでございます。

 6ページをごらんいただきたいと思います。6月に成立した法案の、いわゆる附帯決議が書かれているところでございます。年金記録の訂正手続につきましては、年金記録確認第三者委員会による手続と比較して国民に不利益が及ばないよう適切な制度及び体制の構築を行うという形で、制度見直し後も国民に不利益が及ばないようにする必要があるという御指摘を参議院の厚生労働委員会からいただいているということでございまして、このような御指摘を踏まえ、我々としても適切に制度を運営していかなければならないという状況にあるところでございます。

 以上が手続の概要ということで、引き続きまして、大変恐縮でございますが、資料3-1に従いまして、今回の判断基準についての御説明をさせていただきたいと思います。

 資料3-1をごらんいただきたいと思います。まず、資料3-1が今回の判断基準の概要、大まかな姿を書いているものでございます。

 1枚おめくりいただきまして、資料3-1の1枚のペーパーでございますが、「年金記録の訂正に関する方針と総務省の基本方針等の関係」について位置づけたペーパーでございます。

 現在の総務省の基本方針につきましては、お手元のほうにも参考資料で御用意させていただいておりますが、総務大臣の決定という形で1つのペーパーになっているところでございます。一番最後の資料についております、これがそのものでございますが、これにつきまして、今回の我々の方針におきましては、総務省の第三者委員会における審議結果等を踏まえて記述を充実したいと思っております。平成19年に総務省の第三者委員会が発足して以降、幾多の事例が蓄積されておりまして、そのような中で、第三者委員会でいろいろな判断が出されてきております。そういうものがこの基本方針の中に全て書かれているわけではございませんので、実例を積み重ねたものを全て取りまとめまして、それを今回の方針の中に位置づけるという形で、引き続き、第三者委員会における審議の方針を引き継ぐ形での指針にさせていただきたいと思っております。

 そういうことになりますと、その方針というのもかなりの量になるところでございます。今回、別添資料でつけておりますものが一連のものになるわけでございまして、今までの平成19年以来の審議結果を踏まえますとかなりの量になるということで、これを複数のものに分けるという形にさせていただいているところでございます。

 一番最初が厚生労働省告示ということで、マル1のところでございます。原簿の訂正に関する方針ということで、告示で基本的な部分を書かせていただきたいと思っております。それは今回の資料で言いますと、別添資料1になるところでございます。

 左のマル2のところが国民年金原簿及び厚生年金保険原簿の訂正に関する事務取扱要領ということで、これがいわゆる事務の取り扱い部分ということでございます。基本的には、ここでは事務の取り扱いや請求者の範囲、対象となる記録、調査対象・調査事項の例ということで、現在の総務省の基本方針でも調査対象・調査事項の例を書いておりますが、こういう実務的なものを書かせていただくのが、事務取扱要領で別添資料2がこれに相当するものでございます。

 引き続きまして、マル3のところでございます。訂正請求認定基準・要領ということで、これも別添資料3、別添資料4、別添資料5という形でありまして、これがいわゆる審査基準でございます。これは、訂正の要否を判断するに当たっての審査基準を定めているというものでございます。

 最後に、別添資料6が年金事務所段階における訂正処理基準の要領ということでございます。

 こちらの1枚紙で申し上げますと、 マル4の部分ということでございまして、年金事務所段階における訂正処理基準・要領というものでございます。これは今の日本年金機構の年金事務所段階で年金記録の訂正を行うために、今いろいろな基準があるわけでございますが、これを一まとめにした形で整理をしているものがこれに当たるということでございます。

 以上が、今回の審査基準の基本的なイメージということでございます。

 具体的な内容について御説明をさせていただきたいと思います。資料3-2でございます。資料3-2が、先ほど申し上げましたマル1の部分、厚生労働省告示、一番幹になる部分の内容ということでございます。

 お開きいただきまして、2ページでございますが、「総務省と厚生労働省の基本方針の比較」をしておるところでございます。基本的には総務省の基本方針はあっせんで、こちらのほうは訂正決定ということでございますので、基本的な仕組みが若干異なるところはございますが、いわゆる訂正に係る精神というものは基本的に引き継ぎたいと思っております。公正な判断をやらないといけないようなことを2ページの総務省のほうの指針で書いておりますが、これにつきましても、3ページに書いてございますように、最初の前文のところで、公平、公正に判断するということを書いているところでございます。

 また、3ページの「第一 基本的考え方」のところには、先ほどの参議院の厚生労働委員会の附帯決議や現在の総務省の基本方針も踏まえ、国民に不利益が及ぶことがないようにしなければならないと位置づけているところでございます。

 引き続きまして、4ページでございます。資料の収集等も国民の立場に立って幅広く収集するということで書かせていただいております。第二の二のあたりでございます。

 第二の三においては、厚年特例法の関係もきっちりやっていくということ、それから、全国で統一的な運用がなされるよう努力していくということでございます。

 第三が中核でございます「判断の基準」でございます。現在の総務省の判断の基準は、「社会通念に照らし『明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと』とする。」という、いわゆる疎明基準によっているところでございますが、今回の判断基準も同様に「訂正請求の内容が、社会通念に照らして明らかに不合理ではなく、一応確からしいものであることとする。」という形で、この判断を行うに当たっての基本的な考え方を書いているところでございます。

 それから、いろいろな資料を集めて総合的に判断するということを書かせていただいて、具体的な審査の基準につきましては、お手元の資料のほうにブレークダウンしているという状況になっているところでございます。

 引き続きまして、6ページ、7ページをごらんいただきたいと思います。6ページが事務取扱要領の概要ということでございます。これは、先ほども御説明させていただきました具体的な事務取り扱いの内容を図にしているものでございますので、割愛させていただきます。

 7ページ以降でございます。総務省の基本方針では、別表としまして調査事項とその調査対象が書かれております。今回も、この事務取扱要領で別紙としまして、調査事項と調査対象を書かせていただいているところでございます。

 この調査事項につきましては、こちらに書いてございますように、現在、総務省でやっているものを、実際にやっているものも踏まえまして、充実しているという形になっております。

 調査対象として、現在も金融機関とか、例えば法務局とか、そういうところも調べておりますので、そういうものも含めた形で新たに整理をし直しているというのが今回の内容となっております。ごらんいただきたいと思います。

 引き続きまして、資料3-3でございます。認定基準の具体的な内容につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

 資料3-3は、国民年金と脱退手当金につきましての認定基準の比較ということでございます。

 認定基準のほうでございますが、まず、訂正基準の要領の概要ということで、1ページ目をごらんいただきたいと思います。国民年金の訂正の基準ということでございます。国民年金の訂正の基準につきましては、その中で特に特定事案の基準と総合認定の基準というのを設けているところでございます。特定事案の基準というのは、この基準に該当しますと基本的に無条件で訂正という形になるという基準でございます。国民年金の場合は、複数の期間について請求をするということがございますが、該当する全ての請求期間について、この特定事案の基準に該当する場合は年金事務所段階で訂正をしてもらうということで、一部だけ該当するという場合は、地方厚生(支)局のほうに取り扱いを上げて、該当する一部の期間については特定事案の基準により、該当しない期間につきましては、総合的に見て認定をするという案にしているところでございます。

 2ページをごらんいただきたいと思います。ということで、特定事案の基準は、年金事務所段階における訂正処理基準、これは後ほど出てきますが、こちらと基本的に同じ基準としておりまして、年金事務所段階での訂正処理基準は、全ての請求期間がこの特定事案の基準に合致する場合は年金事務所段階で訂正をするという形に整理させていただいております。それ以外の形につきましては、特定事案の基準に該当する期間については特定事案の基準に、そして、それ以外のものは総合認定の基準にという形で整理をさせていただいているということでございます。

 引き続きまして、3ページでございます。「総務省の基本方針と特定事案の基準及び総合認定の基準の比較」ということでございます。

 この表の見方は、この網かけの部分が現在の総務省の基本方針で書いてある「肯定的な関連資料の例」ということで、こういうものがあると訂正というふうに認めるという肯定的な関連資料の例が書いてあります。その部分をどのように取り込んでいるかを示しているものでございます。この網かけの部分がその部分でございまして、網かけをしていない部分は、現在、総務省のほうでこういうことも見て審議をきっちりやっておりますというものを具体的に図にしているものでございます。

 この左の部分が総務省の基本方針、右の部分が厚生労働省の今回の認定基準でございますが、3ページは「特定事案の基準」ということで、年金事務所段階での訂正処理基準と同じものを今回書かせていただいているということでございます。

 一方、7ページは「総合認定の基準」が基本的には書かれているということで、こちらも総務省のほうの網かけの部分に総務省の基準を書いておりまして、それ以外の部分は、現在、総務省で自主的に見ている部分を基準に落とし込んでいるという状況でございます。

 引き続きまして、厚生年金保険について御説明をさせていただきます。資料3-4をごらんいただきたいと思います。

 資料3-4の1ページでございます。厚生年金保険も基本的な構造は同じ形になっておりまして、特定事案の基準と総合認定の基準に分かれております。特定事案の基準は、年金事務所段階での訂正処理基準と同じ基準になっておりまして、厚生年金の場合は、どうしても年金事務所段階で訂正をしていただくのが嫌だと、地方厚生(支)局長のほうに、やはりそこのほうで判断してほしいという方につきましてのみ特定事案の基準を使うという形に整理しております。それ以外は総合認定の基準という形でやらせていただきたいと思っております。

 お手元の資料の2ページをごらんいただきたいと思います。「厚生年金保険記録訂正請求認定基準・要領(案)の概要」というところでございます。こちらに書いてございますように、先ほど御紹介させていただきました厚生年金法の75条の関係を中心に要件を整理しております。

 まず、被保険者の資格要件があるかどうかというところを審議し、その後、厚生年金法の75条のただし書きに該当するかどうか。厚生年金法の75条のただし書きは、保険者が届け出をしていれば給付に反映するというものでございますが、このあたりの審議。それから、厚年特例法に該当するかどうかというあたりを順に審議していく、そういう仕組みになっているところでございます。

 お手元の資料をめくっていただきまして、今度は4ページでございます。厚生年金保険法75条の関係ないケースということで、いわゆる保険料の徴収について時効が生じないケース、育休とか産休のとき等々の基準ということで、こちらのほうは基本的な被保険者の資格要件とかを見るのと、あとは事実関係を確認するという形になっているところでございます。

 5ページでございます。総務省の基本方針と厚生労働省の認定基準・要領の比較ということでございます。厚生年金につきましては、総務省の基本方針、別表3というところで、基本的に申し立てを認める方向で検討するものと書いております。この中の類型が、加入期間の相違とか全部記録なしという類型があるわけでございますが、今回はこの類型を、さらに詳細に第1から第5という類型に分けまして、これらの基準につきまして詳細に見るという形で、現在総務省で行われているものを反映した形で充実をしているということでございます。

 また、現在の総務省の基本方針では、被保険者の資格要件をどのように見るかということは特に書かれておりませんが、こういうものにつきましても、総務省で具体的にきちんと見ることになっておりますので、こういうものについても新たに追加するということでございます。

 引き続きまして、6ページと7ページでございます。こちらが現在の総務省の基本方針で、申し立てを認める方向ではこういうものがあるよというのが書かれているものでございます。これにつきまして、先ほど御紹介させていただきました第1から第5の類型に沿いまして、こういうものは訂正を認めるよというものを全て整理しているのが、今回の基準ということでございます。

 「第3章 総合認定の基準」では、積極的な理由と消極的な理由、この右の表にございます白抜きの部分が積極的な理由、黒抜きの部分が消極的な理由を整理しておりまして、この積極的な理由に当たれば、基本的には訂正を認めるという形になっております。この網かけがかかっている部分が総務省の基本方針に今入っている部分、そうではない部分は、現在実質的にやられている部分を紙に落としているということでございます。

 引き続きまして、9ページでございますが、先ほども見ていただきました、その基準を見るときにどのような具体的な事例があるかというのを整理しているものでございます。これも総務省のほうでずっとこういう形で、今もこういう関係資料、周辺事情はこういうものがあるというのが列挙されておりますが、網かけの部分がそれで、網掛けでない部分が実質的に今、総務省のほうでやっているものを全て紙に落としているのがこの形の資料ということでございます。

 以上が厚生年金でございます。

 年金記録の訂正手続につきまして、資料3-5「社会保険庁等通知・機構事務処理要領と年金事務所段階における訂正処理基準の比較」でございます。こちらのほうは、いわゆる年金事務所段階における訂正処理基準がございます。これをまとめているものでございます。

 1ページをごらんいただきますと、対象となる事案、国民年金、厚生年金、脱手、厚年特例事案につきまして、年金事業所段階で訂正できるものの一覧を書かせていただいているところでございます。

 資料をごらんいただきますと、2ページに「年金事務所段階の記録回復基準全体像」ということで書いております。現在、実はこの年金記録事務所段階の記録の回復基準の全体像は、国民年金法、厚生年金保険法という形で、旧社会保険庁の通知、それから機構の事務要領、我々の今の年金局になってからの通知という形で、いろいろな形でばらばらに出されております。これらのものを、今回、基本方針という形で一つの形にまとめるということで用語の統一等を図っておりますが、基本的な内容は変えていないという状況でございます。

 それを3ページ以下に書いておりまして、3ページに出ておりますように、基本的には変えていないということを書いております。唯一追加しておりますのは、3ページの下線の部分でございます。基本的に内容の追加や変更をやっているのではなくて、現在出ております通知、機構の要領、そういうものが全ていろいろなところに書かれている状況でございますので、これを一つの形にまとめているというのが今回の訂正処理基準でございます。

 最後に、資料3-5の一番最後のペーパーのところでございます。11ページ、「厚生年金特例法に基づく年金事務所段階での記録訂正に係る厚生労働省令について」ということでございます。

 冒頭申し上げましたように、厚生年金特例法につきましては、省令で年金事業所段階の基準を書くということになっております。これが法改正によって決まっているところでございますが、1点だけ、旧船員保険法と旧農林共済法の受給権者についてどう書くかということがございます。

 それにつきましては、12ページに書いているところでございまして、12ページが現在の厚生年金特例法の年金事務所段階での訂正処理のいわゆる3類型ということでございます。賞与事案、同一企業等内転勤事案、一般事案、これらの基準に合致すれば、年金事務所段階で厚生年金特例法の適用を認めてしまうということになっているわけでございます。

 旧船保、旧農林につきましては、賞与事案というのは平成15年4月以降のものでございますので、ございません。同一企業等内転勤事案というのも、第三者委員会が旧船保、旧農林の事案を分析して、包括的意見を出しているという状況にございませんので、これも旧船保、旧農林については設定しないということで、一番最後の一般的事案、要するに事業主が給与から保険料を控除されているということが給与明細書や賃金台帳で明確にわかるケース。これは旧船保、旧農林の受給権者につきましても事案として生じ得ると思いますので、これにつきまして、特に定めるという形で整理をさせていただきたいと考えているところでございます。

13ページ、14ページは、その整理の関係でございます。右側が包括的意見、左側が現在の省令案として考えているものでございます。

14ページにございますように、いわゆる一般事案につきましては、旧船保、旧農林だけ、この一般事案的事案につきまして省令で書くという整理にさせていただきたいと思っております。

 以上が大体の概要の説明でございます。

 本日お手元に用意しております別添資料は、先ほどから御説明しておりますように、これらの方針、基準・要領を取りまとめているものでございます。事前に先生方から御意見をいただいている部分も踏まえまして、その部分も基本的に入れた形での整理をさせていただいておりますということで、御理解をいただきたいと思います。

 それから、先ほど脱退手当金については時間の関係上説明を省かせていただきましたが、基本的には国民年金と同じような形で構成をつくっておりますので、そちらのほうも御理解いただきたいと思います。

 ちょっと長くなりましたが、以上で簡単に御説明を終わらせていただきます。

 以上でございます。

 

○山崎分科会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の皆様から御質問、御意見を頂戴したいと思います。

 白波瀬委員。

 

○白波瀬委員 ありがとうございました。

 私のこれまでやってきた専門とはちょっと違いますので、皆様にはすごく基本的な質問なのかもしれないのですけれども、確認の上で教えていただきたいと思うのですが、これだけの作業をやられるに当たって、基準の問題なのですけれども、私がすごく不自然に感じたのは、基本的に国民の利益ということですので、そちらのほうにもう軸足が行っていると。極論を言えば、国民が請求すればそれを自動的にというところまでは行かないのですけれども、原則その申し立てに対して受け入れる姿勢であるということはわかるのですが、この基準のところに、社会通念に照らして明らかに不合理でなく、一応確からしいと認められることという基準が明記されているのですね。過去の歴史等々があって、それを私が十分理解していないので、その意味では、そんなことを言うこと自体おかしいのかもしれないのですけれども、まず社会通念というのが、この書き方ですと絶対的に正しいというか、それを前提として、それに対して不合理かどうかという判断をすると。

 2番目が、やはり言葉的に私にはしっくりこないのは、一応確からしいと認められるということが、確からしいということと一応というのがくっついていること自体、極めて逃げの体制を感じてしまったり、専門用語ということで、こういう疑問を呈すること自体、不合理なのかもしれないのですけれども、このあたりのニュアンスというか方向性をお教えいただきたいと思います。

 繰り返しですけれども、基本的に国民の立場に立つという軸足自体は国民の利益のほうに立っていて、そのこと自体に異議を申し上げるつもりはないのですけれども、いかんせんこれだけの膨大な作業を行われるということに対して、落としどころが一応確からしいと思われるものと来られると、ある意味で徒労感を感じてしまうというのが正直なところなのですが、そのあたりはいかがなものでしょうか。

 以上です。

 

○山崎分科会長 いかがでしょうか。

 

○赤澤事業企画課長 まず、先ほど先生もおっしゃっておられましたように、これまでの経緯という意味で申し上げますと、私どもの基準というのは、書いておりますように、参議院の厚生労働委員会で国民に不利益が及ばないようにしていかないといけないという附帯決議をいただいておりまして、そういう意味で、我々といたしましては、総務省の基本方針を基本的には踏襲する形で審議基準をつくらないといけないと考えております。

 そういう意味で考えたときに、平成19年に総務省の基本方針をつくったわけでございますが、その段階では恐らくいろいろな事例が蓄積されていなかった状況でございます。当時の年金記録問題が非常に騒がれている中で、できるだけ、いわゆるいろいろなところでの記録の誤りをきちんと国民の利益に立ってやっていくためには、厳密な証明ではなくて、専門用語で疎明と言いますが、大まかな心証といいますか、そういうものがあれば認めていこうということで、しかも、それを厚生労働省の外である総務省において一つの審議会、分科会を設けてそれをつくったという経緯があります。ですから、当初はそういう事例が蓄積していない中で、国民の立場になって、普通の人が通常であればそれで正しい、確かなのではないかというものについてやっていこうという形になっていたというのが経緯でございます。

 今回、我々がつくっております基準というのはどういうことかといいますと、そういう基準の考え方のもとで、今までたくさんの事例が蓄積しております。そういう事例のもとで基準をつくっているということで、その基準をそのまま持ってきているということで、今回、我々が用意しています基準は、その一応確からしいというものの範囲はどこまでなのかというのがこれまで蓄積した事例により固まってきたので、それを示しているというふうに、まず全体の内容としては御理解いただきたいと思います。

 そういう経緯の中で、学術的な話のほうに若干移らせていただきますと、いわゆる疎明基準というものについてですが、端的に言えば、当初、総務省は何でそう書かれたかというのは、先生には申しわけないですが、これは多分、法律用語というものでございまして、民事訴訟法の本とかを読みますと、基本的には民事訴訟法では裁判官が事実認定をやるに当たっては、その事実の存在について確信を得た状態でないといけないのですけれども、一定のもの、民事保全手続、仮差押、仮処分とかいうものについては疎明でいいとなっております。この疎明でいいというのは、この教科書もそう書いてあるのですが、「事実の存在が一応確からしいという程度の心証で十分とされる場合があり、疎明と呼ばれる」と書いておりまして、極めて法律用語でございます。

 若干、先生が不自然と考えられるのも、そうかなという気はするのですが、いわゆる民事訴訟手続において、厳密な証明でなくてもいいような分野があって、そういう考え方をこちらのほうにも持ってきて、当時は社会保険庁のいろいろな記録のずさんな管理、それから、事業主の先ほど申し上げました厚生年金特例法みたいな事案もありましたので、そういう意味で、国民の立場に立ってということで、いわゆる法律的な考え方で一応確からしいというのを最初に置いたという理解ではないかと思います。それがずっと事例が蓄積してきて、今回は、一応確からしいの範囲というのはこういうものだというものが確立してきた、それを基準として、きょう御議論いただいていると御理解いただきたいと思います。

 言葉につきましては法律用語的なものでございますが、先ほども申し上げましたように、参議院の附帯決議もありますので、我々としては、その表現をそのまま踏襲させていただきたいということでございます。

 

○山崎分科会長 いかがですか。

 

○白波瀬委員 わかりました。

 

○山崎分科会長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ、白波瀬委員。

 

○白波瀬委員 済みません。勉強会に参加できなかったので、基本的なところが。

 いろいろな過去のデータを突き合わされるということなのですけれども、データ自体はもう電子化されているような状況にあるのか、そのあたりの状況をお知らせ願えますか。

 

○赤澤事業企画課長 恐縮でございますが、それでは、お手元にございます本日の資料をごらんいただきたいと思います。

 一番最後に今後の準備という資料がありますが、資料5の3ページをごらんいただきたいと思います。総務省の第三者委員会で、過去のデータと関連蓄積資料がありまして、今どういう状況になっているかと申し上げますと、2つございます。1つが、総務省も基本的にはあっせん文というのを被保険者の方、それから、申し立てをされた方にお示ししております。このあっせん文の内容を収録している、いわゆるエクセルシートみたいな感じのものがございます。これが事案情報データということでございます。

 それから、そのあっせん文をつくるに当たって調査でいろいろな関連資料を取得しております。例えば、ある事業所にお勤めであったということを確認するために、雇用保険はどうだったかとか、当時お勤めの同僚に、あの人は勤めていたかどうかという証言を電話で聞いたり、こういういろいろな資料を実は関連資料として用意しております。

 最初の事案情報データというのは、こちらに書いてございますように、例えば国民年金、厚生年金保険の別とか、受付年月日がいつとか、申し立ての期間はいつかとか、こういうものをエクセルシート上みたいな形で整理しているもので、これを1つデータとして総務省が今持っている。これにつきましては、そのまま我々が提供を受ける形でやりたいと考えております。ただ若干、当時非常に急いでこの事案情報データを総務省さんはつくられたもので、それ自身は仕方なかったことなのですが、若干使い勝手が悪いところはございますが、これはそのまま提供を受けさせていただいて、例えば過去にあっせんの申し立てをされている方がもう一度この訂正請求をされるようなケースであれば、こういうものを見て、どういう事案だったかということを確認できるようにしたいというのが1点目でございます。

 2番目に、調査で取得した関連資料がございます。これは、例えば雇用保険の先ほど申し上げましたような状況とか、そういうものにつきましては、かなり膨大な量の資料を集めて総務省のほうは事実認定を行っております。これを全部持ってくるわけにはなかなかいきませんので、これは個々の事案ごとにファイルとなって保管されているものでございますので、仮に、例えば以前あっせんの申し立てをされた人がもう一度訂正請求で出てくるという話になれば、その人のものを指定して総務省さんに見せてくださいとお願いしていただくと提供いただけるという形での処理をしたいと思っております。

 いずれにいたしましても、行政機関個人情報保護法の問題等がございますので、それはきっちりクリアした形で情報をいただけるという形にしたいと思っております。

 我々のほうは、先ほど申し上げましたように、今度の新しい仕組みで事案のデータの蓄積をしていきます。それのほうは、今の総務省さんの事案情報データシステムよりもさらに分析がしやすいような形でのシステムを今つくっておりまして、我々のほうで今度、訂正決定をやっていくものについては、その事案情報データシステムを新たにそこに入力していって、いろいろな検索ができるようする。例えば昭和20年代の記録に対する訂正請求はどんなものがあるかとか、こういう形で訂正決定をしているものにはどういうものがあるかとか、こういうものが分析できるようなことを、我々のほうはそういう形での情報システムをつくって、いずれにしても、いろいろな事例を分析できるようにしてやりたいと考えているところでございます。

 

○山崎分科会長 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、続きまして、「年金記録の訂正手続に関する論点」について、事務局より説明をお願いいたします。

 

○赤澤事業企画課長 それでは、「年金記録の訂正手続に関する論点」について御説明をさせていただきたいと思います。

 こちらのほうも事前に御意見を伺っている部分を踏まえまして、再度修正をした上で、本日御提示させていただいているところでございます。

 最初からちょっと御説明をさせていただきます。資料4の論点1ということでございます。まず、訂正請求の取り扱いのことでございますが、請求者が法定の請求者適格を有していない場合とか、訂正請求の内容が法定の対象記録の訂正ではないような場合は訂正請求を却下とし、そうではないケース、既に訂正決定や不訂正決定がされたようなケースについては不訂正決定としてよいかという論点でございます。

 今回の訂正請求の手続では、請求者の方が、こういう方が請求できるというのが決まっております。基本的には被保険者、被保険者であった方、その方が亡くなられた場合は遺族年金や未受給の年金ということになりますので、それの受給権をお持ちの方が訂正請求の請求者適格があるということでございます。また、訂正請求は法定の対象記録、こういう記録を訂正の対象にするという形で省令で書いておりますので、こういうものではないものを要求されたケースにつきましては、訂正請求を却下としたいと。

 それから、マル3にありますような、以前に訂正決定や不訂正決定がされていて、訂正請求の期間や対象記録が全く同じで新たな事情がないようなケース、これについては不訂正決定としていいのではないかという形で論点としてお示ししているところでございます。

 2ページ、その理由ということでございます。まず、請求者の適格や対象記録を満たさない者につきましては、そもそも訂正請求制度の対象になりませんので、法律上は地方審議会への諮問も不要でございます。ただ、今回我々が考えておりますのは、訂正請求の手続は、審議会の審議結果に基づいて訂正の要否を決定するという趣旨の制度であると我々は考えておりますので、却下の処分であったとしても、実質的に地方審議会のほうに諮問させていただきたいと思っております。そういうことによりまして、これは却下の処分であるよということについて、きっちり審議会でも御確認いただいて処理を行いたいと思っているところでございます。

 それから、既に訂正決定がされているケースにつきましては、当然、訂正請求の要件は満たしておりますので、法律上の手続に基づいてやることになるわけでございますが、新たな事実が出てこないということになりますれば、不訂正決定という形になるのではないかと考えているところでございます。それが論点1でございます。

 論点2は、事前にいろいろ御意見を伺って整理をし直したものでございます。実は訂正請求の対象となる記録の話ということでございます。訂正請求の対象となる記録として、今、総務省の第三者委員会では、お手元のペーパーで言いますと10ページでございますが、国民年金の死亡一時金とか特別一時金の支給をもらっていないというような申し立てについても判断をしているという現状がございます。これについてどう考えるかという論点でございます。

 7ページのところをごらんいただきたいと思いますが、現在、原簿にはいろいろな事項が記録してあるわけでございますが、その中で訂正請求の対象になる記録につきましては、省令で規定しているということになります。7ページに書いてございますように、訂正請求の対象となる記録を省令で見ますと、こちらに書いてあるように、国民年金と厚生年金ではこういう形になっているという状況でございます。この中に実は給付に関する事項がございまして、この給付に関する事項というのはどこまでが含まれるのかというのが論点ということでございます。

 先ほど申し上げました国民年金の死亡一時金の経緯につきましても、給付に関する事項ではあるので、我々も内部でいろいろ考えてみた結果、やはり一応請求の対象となる記録には間違いないだろうということで、これは法律の規定に基づいて、こういうものについて死亡一時金を受けていないといったような請求があれば、当然それはお受けして、訂正決定または不訂正決定をしなければならないだろうと考えた次第でございます。

 その上で、8ページをごらんいただきたいと思います。実は現在、給付に関する事項はどういうものがあるかということを整理しているところでございます。この下の図は、記録に位置づけてある事項がどういう形になっているかというのを整理しているものでございます。現在、記録に書いてある事項には大きく2つございます。受給権の存否や給付額の決定に関連する事項とそれ以外の事項ということで、我々が通常よく記録に書いてある事項と言っておりますのは、被保険者の資格をいつ取得したかとか、資格をいつ喪失したとか、そういうところでございます。

 それ以外に、給付に関する事項とはどういうものがあるかというのが、この網かけで書いております、線でさらに書いてございます「(保険)給付に関する事項」の部分と考えております。

 1つが、請求者が受給する受給権の存否や年金額に影響を与える事項で、事実関係ではない、要するに、資格をいつ取得したかとか、いつ被保険者になったかというような話ではないものでございます。先ほども御説明しました厚生年金保険法の75条の適用の関係とか、こういうものが1つあります。

 もう一つが、給付金、死亡一時金を支払ったかどうかだけを争われるようなケースがマル2としてあって、こういうものの情報も、今、実は給付に関する事項ということで年金記録に書かれているということでございます。

 それから、マル3というものがございます。マル3はどういうことかといいますと、年金給付を受給する場合には、いわゆる裁定の請求というものを行います。その裁定の請求によって、裁定という処分が厚生労働大臣により行われて初めて確定する事項というのがございます。例えば年金額、それから、受給をいつ開始するかとかについては、いわゆる裁定という行為を経て初めて確定するというもの、こういうものが3つあるのではないかと思っております。

 これらの処理をどうするかということでございますが、9ページをごらんいただきたいと思っております。そのマル1とマル2の部分につきましては、基本的には地方厚生(支)局、日本年金機構における調査、地方審議会における審議を踏まえて訂正決定、不訂正決定の対象にするという形で整理したいと思っているところでございます。

 一方、先ほども申し上げました裁定という行政処分の結果、決定されるような事項、年金額とかにつきましては、原簿に記録された事実関係に基づいて、いつ被保険者になったかというような事実関係に基づいて、法令の規定を適用した上で、いわゆる裁定という処分を経て記録内容が決定されたものということでございます。これを端的に言えば、訂正請求を行っても、その処分の結果と記録の内容は一致をしておりますので、原簿の記録を訂正する必要性がなくて、不訂正の決定となるのではないかと思っております。

 こういうものを争いたいということであれば、それはそもそも処分そのものについて争うということになりますので、それは社会保険審査制度のほうでやるべき話ということで整理をさせていただきたいと思っております。

 ということで、10ページでございます。死亡一時金そのものについて支給したとする記録について、その支給の有無について争うというのは、これは処分の結果に伴い発生するものではないと考えて、その事実について淡々と我々のほうとしては訂正決定、不訂正決定の議論を行うということの整理という形で、現在の第三者委員会の取り扱いと同じような形で処理をさせていただきたいと整理させていただいているところでございます。

 引き続きまして、11ページは、保険給付の基礎とはならない訂正請求とかをどうするかという問題でございます。

 記録を訂正しても、実は給付に影響しないというケースがございます。1つが、先ほど申し上げましたマル1の部分でございます。下のマル1のところで、厚生年金保険法第75条本文該当ということで、保険料の徴収時効がもう過ぎてしまっていて、保険料の徴収時効の2年間に届け出とかをしていないので給付に反映しないというようなケース。2番目が、年金記録の訂正の申し立ての中で、例えば一日事案と言われるものでございまして、同月内の、例えば5月15日ではなくて5月14日に私は就職したんだ、だから15日を14日にしてほしいというケースでございます。給付は月単位で見ますので、これも給付には影響を及ぼさないという、大きく申し上げれば2つのケースがあるのではないかと考えているところでございます。

 これの現在の第三者委員会の取り扱いは、13ページに書いているところでございます。13ページに書いてございますように、保険給付の基礎とはならない被保険者期間に係る訂正請求、厚年法の75条の保険料徴収の時効が来ているようなケースにつきましては、現在、実はこういうケースの場合であったとしても、第三者委員会はあっせんをやっていない状況でございます。一方、いわゆる同一月内の一日事案のようなケースにつきましては、あっせんをしているという状況にございます。

 今回、我々は、年金記録の訂正手続におきましては、記録を正確に管理することが必要であるという前提に立っておりまして、訂正請求という権利を国民の権利と位置づけ、その請求の権利が上がってきた以上、訂正の決定または不訂正決定というものをやらないといけないという義務が我々厚生労働省、地方厚生(支)局には課せられているということになりますので、いずれにケースにつきましても、保険給付に影響があろうとなかろうと、訂正決定の判断までやっていくという形で整理をさせていただきたいと思っているところでございます。

 引き続きまして、15ページ、いわゆる減額可能性事案ということでございます。訂正請求に理由が認められる年金受給権者の請求のうち、記録を訂正することで、実は年金額がふえずに減額になってしまう可能性がある事案をどうするかということでございます。これにつきましては、地方審議会に諮問する前にその旨を請求者に説明し、なお請求者が訂正請求を維持する場合は訂正決定するという形にさせていただきたいと思っております。

 具体的に減額可能性事案について請求者が請求を取り下げる場合を除き、訂正決定とするという形にしておりまして、これは基本的には申請があった以上、先ほど申し上げましたように我々は応答する義務があるということで、仮に減額可能性事案であったとしても、基本的には訂正決定までいかないといけないと考えているところでございます。

 具体的にはどういう形で考えているかということでございますが、16ページでございます。地方厚生(支)局長は、年金受給者の訂正請求であって訂正決定が妥当と考える事案について、訂正後の年金記録に基づいて年金額試算を日本年金機構に依頼します。地方厚生(支)局長は、日本年金機構が行った年金額試算の結果を踏まえて、地方審議会に諮問する前に、減額可能性事案に該当しないことが明らかな事案を除いて、対象事案全てについて減額可能性がありますという説明を行って、訂正請求を維持されるかどうかという確認をしたいと思っております。訂正請求を維持されない場合は、請求者に請求の取り下げ書の提出を求めまして、提出された取り下げ書に基づいて取り下げ処理を行いたいということです。訂正請求を取り下げますと、当然このシステムはワークしませんので、そこはそれで終わりということになるわけでございます。それでも訂正請求を維持されたいという場合であれば、地方審議会に諮問したいと考えております。

 諮問した結果、答申では結果が変わるということがございます。そういうこともございますが、その段階でもう一度請求をされた方に、結果が異なる場合、もう一度年金額試算を日本年金機構からもらって、その結果を踏まえて、それでもあなたは訂正請求を維持されますかという確認をさせていただいて、その関係で、それでも維持されるというケースであれば、我々は答申結果に基づいて訂正決定、不訂正決定の処分を行って、訂正処理を日本年金機構にしてもらうとともに、厚生労働大臣の委任を受けた地方厚生(支)局長が訂正をすべきだという決定をすれば、当然それに基づきまして記録の訂正をやり、再裁定処理もするという形で処理をしたいと考えております。

 基本的には、減額の可能性があるものについては2回、取り下げのケースについて被保険者の方に御確認いただいて、それでもという方についてのみ処理をさせていただくという形での手続をさせていただきたいと考えているところでございます。

17ページでございます。論点5は、いわゆる補正の関係でございます。大きく申し上げれば、出てきた書類が不十分な場合、補正をお求めすることになりますが、幾ら補正を求めても補正を行っていただけないというケース、しかも、その補正が審議に非常に大きな影響を及ぼすような事項を補正していただけないというケースは、地方審議会に諮問した上で、訂正請求を不訂正決定とすることにさせていただければと考えているところでございます。

 それから、訂正請求に関する処分を行う前に請求者の方が死亡されるケースというのもあると思います。その場合は、その段階で処理を終了することとさせていただきたいと思っております。今回の訂正請求につきましては、死亡されたケースでは今度は受給権が、いわゆる遺族年金の受給権がある方にその受給権というものが発生しますので、その方が今度は訂正請求をしていただくという仕組みになっております。そういう仕組みでございますので、一旦その方の訂正請求は処理を終了して、新たに遺族の方について、引き続き、死亡された方の記録がおかしいという話であれば、訂正請求をもう一遍出していただく必要があるという処理になるのではないかと考えているところでございます。

19ページは、いわゆる標準処理期間についてということでございます。行政手続法に従いますと、訂正請求手続に係る標準処理期間というのを定めないといけないことになります。もちろんこの期間は目安でございますので、十分に審査が必要な場合はこれ以上に時間がかかってもいいわけでございますが、今回は、この標準処理期間をこの手続の要領に定めさせていただきたいと考えているところでございます。

 具体的には、こちらに書いてございますように、現在の総務省の第三者委員会の審議の中で、あっせん案の確認、総務大臣があっせん案を行うために地方の審議の結果が上がってくる間の内部事務、これに9日程度時間がかかっております。それから、厚労省の年金局、機構の本部での内部処理に10日程度かかっております。これらのものが今回、必要でなくなるのではないかと考えておりますので、全体で19日程度短縮した形での標準処理期間を定めさせていただきたいと考えているところでございます。

 以上が論点の関係でございます。

 先ほど申し上げました事務の取り扱いで、記録の訂正の範囲で申し上げました死亡一時金をどう取り扱うかという話でございます。事務取扱要領に、今回、実は別紙2というのをつけさせていただいております。別添資料2でございます。別添資料2の別紙2に訂正請求の対象記録というのを用意させていただいております。これは、こういうものが対象となるというのはやはりあったほうがいいのではないかという判断でつけさせていただいておりまして、省令に書いてある記録の事項をそのまま書いてあるということで書かせていただいております。

 この中で給付に関する事項も大まかに3つに分けておりまして、先ほども御説明させていただきました、受給権の存否や給付額の決定に影響を与える事項、給付に関する事実として記録される事項、そして、給付に関する処分により記録内容が決定される事項、それぞれがあるということで明示させていただきました。これらにつきましては、対象の記録にはなるということを事務取扱要領で明記させていただいて、以降は訂正請求があれば、先ほど御説明させていただいた論点に沿って処理をさせていただきたいということで考えているところでございます。

 以上、ちょっと長くなりましたが、論点の説明ということでございます。

 以上でございます。

 

○山崎分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの資料4の関係につきまして、御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

 なければ全体を通して質問等を。

 どうぞ、白波瀬委員。

 

○白波瀬委員 何度も済みません。

 2点ほどあります。1点目は、論点1のところのマル3なのですけれども、ちょっと私、論理的に理解ができなくて、マル1マル2というのは明確なのです。マル3というのは、内容が同じかどうか。つまり、このマル3というのは、当事者からすれば、要するに結果が出て、それに対して不服申し立てという形で次のところで行くような気が。つまり、同じかどうかというのを審査して、そこの仕組みが混乱しますので、マル3について教えていただきたい。

 つまり、原則は同じ内容であれば同じ結果が出るはずですので、前と同じかどうかということはひもづけしなくて、要するに独立しても同じ結果がどんどん出続けるという構造になりますね。そうすると、それが一番シンプルで、前のものと同じだったかどうかというところで判断すること自体、ちょっと私にはわからないなというのが1点目。

 2点目は減額のところなのですけれども、これで何度も確認をしてと。ここで公平性というのは誰にとってというところの問題も原理原則で出てくると思うのですけれども、基本的には本来もらうべき額に、不服に対するものということで全体の仕組みが決まっていると考えてよろしいですねということです。減額に対して2回確認を入れるわけですね。実際この申し立てについて申告すれば、実はあなたは本当はもう少し少なくしかもらえないのですよということに対して念押しを入れるわけですね。この行為そのものは、たくさんもらっていても、そのことは結局、政府のほうのというか、こちらのほうの間違いなので、それについてはこちらとしてはいたし方がないというようなことをこの手続上では言っているのかどうかということなのです。

 以上の2点です。

 

○赤澤事業企画課長 まず1点目でございます。資料で言いますと、資料4の1ページのマル3の部分ということでございます。実は先生がおっしゃるように、既に訂正請求がされているケースで訂正決定や不訂正決定がされているケースと同じケースであれば、全く同じなので、同じ結果しか出ないというのはそのとおりでございます。そのとおりなのでございますが、実は同じかどうかという判断というのは非常に難しいのです。事案によっては請求の内容が変わっているケースが当然あるわけです。例えば期間が微妙にずれているとか、そういうことはあり得るわけですね。そのときに、それを同じかどうかと判断するのは非常に微妙なケースがあると思います。そういうときに、我々事務方の段階でそれを同じだと判断したとしても、審議会で御議論していただくと、いや、これは実は微妙に変えているからやはり違うのではないかという判断もあると思っていまして、そこをきっちり審議会で御議論いただく必要があると考えています。

 これは一般的な裁判でも、いわゆる訴訟の対象となるものが何度も訴訟されたときに同じかどうかというのはすごく微妙な判断があるところと、それと同じ話で、今回もそこについては、確かにどう見ても一緒だと事務方が思っていたとしても、そこは本当にちゃんと審議会で御議論いただいて、先生方に見ていただいて、これは一緒ですねと御確認いただく。同じであれば当然不訂正決定になりますので、そういう処理をせざるを得ないのではないかと思っているのが1点目でございます。

 2点目のケースでございますが、いわゆる減額可能性事案ということでございますが、結局どういうことかというと、先ほど一応確からしいという話で先生から御議論がありました。一応確からしいというのは、広く国民の立場に立って物事を救う必要があるからということから出てきた基準なのですね。ですから、今回つくっている基準は、この平成19年6月から蓄積している一応確からしいの範囲を定めた基準に当てはめて判断するわけです。一応確からしいですから、正直ベースで申し上げれば、実は間違っている可能性だってあるのです。そこの事実確認というのは、最後はやはり御本人に確定していただかないといけないという考え方に我々は立っていて、一応確からしいという基準である以上、最後は事実確認をしていただく必要がある。そこは、一応確からしいというある程度範囲が広がった部分で、それで間違いない、事実だという確認はやはり御本人がしていただかないといけないという考え方に立っているということです。

 ですから、先生がおっしゃったような形で我々の旧社会保険庁なり旧厚生省の事務処理の誤りがあるからという話ではなくて、まさしく記録というのは事実を適正に反映すると。その事実に基づいて給付をやるという仕組みが記録でございますので、そこの事実の確認の部分が最終的に御本人が確認していないという話であれば、そこは事実は確定していないと。事実が確定できなければ、当然給付にも反映しないので、再裁定の処理も行えないということを入念的に2回にかけてやらせていただくと御理解いただけたら思っているところでございます。

 

○山崎分科会長 神津委員。

 

○神津委員 今のことに若干関連しまして、いわゆる第三者委員会で訂正決定がされなかったとか、例えばそういう事案について、今度の厚労省のこの委員会で裁定を求めてきた場合も同じようにこれが引き継がれるのかどうか、ちょっと確認をしたいのです。

 

○赤澤事業企画課長 まず、先ほど申し上げましたように、基本的には第三者委員会で上がった事案情報データというのはいただけることになっているので、どういう事案が過去にあるかどうかという件について、我々はわかることになっております。しかも、関連資料もきちんと取り寄せることができるようになっております。

 その上で、まず基本的には、向こうで非あっせんとなったケースについてですが、今回は総務省の第三者委員会の機能を我々はこちらのほうでやるということになりますけれども、法律的には向こうはあくまでもあっせんということで、総務省の行政相談の一環として、事実行為としてあっせんしているということになります。我々のほうは、訂正請求という権利を明確に法律に位置づけて、その権利に基づいて我々は行政処分で訂正決定をやるということになりますので、法律的な意味での仕組みは違うということになりますので、仮に昔、非あっせんになった方があったとして、我々のほうに訂正請求されてきたとしても、それは昔やったからだめですよとは言えないということになります。上がってきた場合は、当然その事案情報データシステムを使い、さらには個別の資料も御提供いただいて、それを見た上で判断するということになります。

 もちろん、先ほどもお話ししましたが、全く同じ事案であれば、基本的には同じ結果が出る。基準も同じでございますので同じ結果が出ると思いますし、もし仮に、おっしゃっている話がちょっと違っているというケースであれば、違っている部分については我々のほうで詳細な調査をやって、審議会にお諮りをして、そこで決めるという手続になると考えているところでございます。

 

○山崎分科会長 ほかにございますでしょうか。全体を通してでも結構です。

 どうぞ、大山委員。

 

○大山委員 本来的な今の議論の論点と違うかもしれませんが、記録確認の中で他人の記録が混在しているケースがあるかと思うのです。その場合に増額も減額もあるかと思いますが、御当人の問題はそれでいいのですが、そこで判明した第三者の記録というものは今までどういう対応をされてきたのか、今後はどのように扱うのか、教えていただけるかなと思ったのですが、いかがですか。今まで、それは請求がないから全くノータッチという話なのか。

 

○赤澤事業企画課長 現在の状況なのですけれども、今の総務省のあっせんというのは、先ほども申し上げましたように、法律上は、いわゆる事実上の行為でやっていますので、請求者は我々のように権利として位置づけていないので、被保険者御本人とか、死亡された場合は受給権者という形になっていなくて、その死亡された方と親戚くらいだったら多分あっせんを認めていると思うのです。ですから、例えば遺族基礎年金でおじいさんとか、おばあさんとか、そういう人が言ってきても、多分あっせんを受け付けて処理しているのだと思うのです。

 我々の場合は、死亡された場合は受給権者でないとだめだと。

 

○大山委員 私が聞いたのは全くそういう関係ではなくて、第三者の記録が入っていた場合、その第三者の方には対応してきたのですかということと、今後はしていくのですかということを確認したかったのです。

 

○赤澤事業企画課長 そこなのですけれども、結局、申請が来ればやると思いますが、その申請の範囲が、親族みたいな方が言ってこられれば話は別だと思いますけれども、そうではない全く赤の他人です。私の親族でない人が言ってこられて、実は別の人が見つかったというケースは、多分それは取り扱っていないのだと思います。

 

○大山委員 だから、その辺のところが記録の訂正という、請求者に限るというだけの話なのか、国としても記録を確認するということであるとすれば、そういったことも問われるのではないかなという気がしたものですから、今まではいいと思うのですが、今後、間違った記録が確認できた場合、その第三者に対して記録の訂正を行うのかとかを伺いたかったのです。

 

○赤澤事業企画課長 ただ、そういう中で、例えば別の人の記録が出てきましたというケースで、それを機構として、ちょっと機構にも聞いてみたいのですが、放っておくわけにはなかなかいかないのかなという感じもするので、そこはちょっと。

 

○大山委員 そうですね。特に増額になる場合とかがあるかと思うのです。この論点とは違うかもしれませんが、ちょっと気にはなったので。

 

○梶野政策企画官 第三者の記録の見つかった状況にもよるのではないかと。今、確実なお答えは難しいですけれども、「同僚事案」とか、つまり、同じような事案で、同じ同僚の方の記録がある場合というのは三者委から年金機構に情報を流して、申請があったら記録を回復するということだったと思います。

 

○大山委員 だから、あくまでも本人から請求がなければやらないという話なのか、国のほうからある程度助言、あっせんをするのかというところかなと思うのです。今後、検討してからでも結構ですけれども、今ちらっとそういうことも考えたものですから。ケースとしてあるものですから。

 

○赤澤事業企画課長 事実関係をちょっと調べて、次回。

 

○大山委員 そうですね。私も事例は把握していないのですけれども。

 

○鈴木日本年金機構厚生年金保険部長 厚生年金保険部長の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。

 今ちょっと実務のほうを確認したところなのですけれども、要は、どなたかのあっせんをして、第三者の情報で、これは間違っているよといったことがあったときに、当事者には当然あっせんしますよといって、その方の同僚の方も申し立てしますかというような話をするということで、もし第三者で間違っている方がいれば、その情報をもとに請求していただくということができるようになってございます。

 

○樽見年金管理審議官 その対象の方に一応お知らせをしているということですね。

 

○大山委員 従来から一般的に第三者に対して、記録の間違いのおそれがある方については申請しなさいということはおっしゃっていると思います。ですから、直接的に今回そういった事例があった場合にはどうされるのかなということを確認したかったので御質問させてもらいました。

 

○樽見年金管理審議官 今回も同じでしょう。基本的には同じに。

 

○大山委員 では、請求がなければ直せない。

 

○樽見年金管理審議官 勝手にはやはり直せないということだと思いますので、先ほどのお話、課長から申し上げたとおり、年金記録の訂正の関係、最終的にその事実がはっきりわかるのは御本人であるということでやっておりますので、勝手には直せないということだと思いますけれども、御本人へ申請をしていただくとこのようになる可能性があるということをお知らせして、手続をとられますかというお勧めというか、それをすることになると思います。

 

○大山委員 あくまでも国民の年金の受給権を擁護するという立場で言うと、やはりある程度のそういった方策も必要ではないかと思っていましたので、御質問させてもらいました。

 

○山崎分科会長 池田委員。

 

○池田委員 ちょっと関係してくるかと思うのですけれども、この論点5のところなのですが、形式的な補正または訂正請求の内容の補正を求めた場合、請求者が補正を行わなかったり、その場合は不訂正決定をするということ。それから、マル2のほうは、その請求を行っている方が亡くなった場合には、訂正請求は処理を終了して、これは例えば遺族年金だというような形になっても、遺族が改めて申請をしなければいけないことになると理解してよろしいでしょうか。

 ちょっと今の御質問とも関係してくるかと思うのですけれども、訂正請求権が明確になったというところでは、ちょっと自己責任みたいな形になってしまうのをとても私は心配しておりまして、厚労省でわざわざ申し上げることもないのですが、特に今は高齢になっていて、認知症が出始める方などもふえていて、家族が常に、特にマル2の場合などは、亡くなれた方の奥さんが改めてその請求をというようなところでの心配を私は勝手にしている部分がございまして、こういったことに関してはどのようなお考えなのでしょうか。そのあたりも加味していただいているのだろうと思っていますが、いかがでしょうか。

 

○赤澤事業企画課長 論点5は、基本的には、法律的な整理はこうなるということを言わせていただいているものです。例えば、先ほどの訂正処理のマル2のケースでございますが、今の総務省のほうは、先ほども申し上げましたように行政相談としてあっせんをやっておりますので、実は御本人が亡くなられても、新たに申立てをやっていただかなくて、そのまま処理を進めているという現状にございます。我々のほうはどうしても権利として位置づけたもので、手続的にはやはりもう一度やってもらわないといけないということになると思います。

 ただ、先生がおっしゃるとおり、そこでもう処理終了というのでは、それはちょっと行政としては丁寧ではないし、いいことではないので、地方厚生(支)局のほうでそういうことがあれば、当然その遺族の方に手続を促すということをやることになると思います。促した上で、審議をしている対象は一緒でございますので、亡くなった方、被保険者であった方の記録でございますので、その審議結果は生きますので、多分その時点から審議をしたものを、途中まで調べたものは生かした形で、請求だけ出していただいて、あとはもうかなり調べていればそのまま諮問、答申に入って、手続に入っていくというような形になるのではないかと思っています。

 補正のケースも、当然そういう部分には十分配慮した形でやらないといけないと思っておりまして、均一的な補正を我々はここで言っているわけではなくて、本当に重要でわからない部分について御理解いただけなくて返していただかなかった場合はこうせざるを得ないのですが、そこも確かにおっしゃるように、認知症の方とかいろいろなケースがあると思いますので、丁寧な対応が要るのではないかと思っておりますので、そういう形で我々もやらせていただきたいと思っています。

 

○池田委員 そこは運用でというところですか。

 

○赤澤事業企画課長 そういうことです。

 

○池田委員 わかりました。

 

○山崎分科会長 児島委員。

 

○児島委員 確認なのですけれども、第三者委員会で非あっせんの決定を受けた方が、ここの年金記録の訂正にもう一度提出をするというようなケースはあるかと思いますが、その場合は論点1のマル3に該当になるのか、改めて年金記録訂正のほうで審議をやり直すのか、どちらになるのでしょうか。

 

○赤澤事業企画課長 厳密に申し上げますと、先ほど申し上げましたように仕組みが違うのですね。向こうは行政相談の一環でやっているのですが、こちらは法律の権利に基づいて訂正決定をやるという形になりますので、厳密に申し上げるとマル3には該当しなくて、全く新規の請求ということになります。全くの新規の請求ということになりますので、当然その方が請求者適格を有して、法定の対象記録であれば審議をするということになります。ただ、事案として既にあれば、その事案の情報が我々としては入手できますので、それを踏まえて全く新規のものとして判断をするということになると思います。

 ただし、事案の情報があれば、それだけ早く我々は判断ができるわけでございますので、そういうところで我々は判断をすることになると思います。仮に上がってきたものが前と全く一緒であればスピードが速くなると思いますし、ちょっと違えば、そこは十分審議をやると。法律的には全く新規の請求になりまして、マル3には該当しないということになると思います。

 

○児島委員 ありがとうございました。

 

○山崎分科会長 鈴木委員。

 

○鈴木委員 論点のどこに係るかというのはちょっとあれで、全体的なことと手続に関して最近ちょっと話題になったことがありまして、弁護士の成年後見人がついているケースで、認知症の御本人の年金の記録が、どうも厚生年金の記録があるらしいのだけれども、年金を受給している形跡が全くなくて、年金事務所のほうに問い合わせても、勤務先を特定して年金の記録を確認するように申請書を書いてくれと言われて、本人は認知症ですから全くわからないし、期間も大体のことはわかるのだけれども、さっぱりわからなくて、どうにもならないというケースが散見されているようなのです。確かに弁護士の成年後見人だから自分で調べて訂正手続なり何なりを利用しなさいというのはわからないでもないのですが、そういったケースも多分散見されると思いますので、年金事務所のほうで、もしそういう成年後見人からの問い合わせがあった場合に、この手続を利用できるかできないかは今回のケースでわからないのですが、案内していただけたらありがたいなと。

 途中でもう、調査したのだけれども、わからなくて、結局、年金がもらえるのかもらえないのか、記録があるのかないのかすらわからないまま断念してしまっているケースもあるようなので、ちょっと検討していただければなと思います。

 

○小森日本年金機構事業企画部長 具体のケースのお答えには、十分承知していないのでならないと思いますけれども、この記録訂正手続について、十分そういう方、今おっしゃられたような方々についても周知が行くように、私どもとしても対応をしてまいりたいと思ってございます。

 

○赤澤事業企画課長 あと、具体的にどういうところで先生がおっしゃっていたような話が事務手続上うまくいくようにできるか、我々のほうでも機構と相談してみますので、多分そういうものはもうちょっと事務手続の要領みたいなものに書くとか、どういうことができるのかわかりませんが、ちょっと検討させていただきたいと思います。

 

○山崎分科会長 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、次の「新たな年金記録訂正手続の実施に向けた準備」について、事務局より説明をお願いいたします。

 

○赤澤事業企画課長 では、最後に今の準備状況について御紹介、御説明をさせていただきます。資料5をごらんいただきたいと思います。

 現在の準備状況でございます。第1弾目の政令を1031日付で公布しておるということで、1ページでございます。マル1年金記録訂正手続の設立準備」ということで政省令を出しておりまして、今、2弾目、3弾目の準備をしております。それから、 地方厚生(支)局の事務室の確保、調達手続などの準備も進めているところでございます。

 それから、研修でございます。日本年金機構は9月に1度やっておりますが、1月にもう一度説明会等をやると、今月やることにしております。また、2月ごろ、今度は地方厚生(支)局向けの研修を我々のほうからやって、地方厚生(支)局について、今回の基準等々について説明をして周知徹底、きちんとできるようにしていきたいと思っております。

 広報につきましては、11月から新たな訂正手続の事前申込書ということで事前予約を受け付けているところでございますが、この関係のチラシを配布したり、それから、パンフレットを今、作成しておりますので、これを年金事務所等で配付して、万全な体制をとりたいと考えているところでございます。

 2ページは、先ほども御説明させていただきましたように、事跡の管理システムを構築するということでございます。これによって我々のほうもきちんとシステム上で事案を管理していくということで、3ページは先ほど御説明させていただいた話でございます。

 それから、審議会の体制ということでございます。各ブロックごとの審議会を設けるということと、九州につきましては、沖縄の事案について専門的に取り扱う部会を設置して、それぞれ審議会を設けて、地方での議論に備えているところでございます。

 5ページ、地方年金記録訂正審議会の概要ということでございます。こちらに書いてあるような概要でやっていきたいと思っていますが、一番最後のところをごらんいただきたいと思います。今回の審議に当たっては、関係人の意見を聞く、いわゆる口頭意見陳述もできるような形で十分な審議を尽くしてまいりたいと思っているところでございます。

 引き続きまして、6ページ、地方年金記録訂正審議会の部会の数ということでございます。今の総務省の年金記録確認地方第三者委員会が右、我々のほうが左ということで、部会の数を若干調整しております。現在の総務省さんの事案の数を拝見させていただいて、事案の数が多いところに若干部会を多目に設定するという形で、いわゆる審議の関係を平たんな形でやりということで、地域ごとの委員の負荷の偏りが生じないような形での部会の数を設定しております。月平均、開催頻度を月2回程度でできる形での人数を設定しておるところでございます。

 それから、1つの部会に属する委員は、何らかの事情により1名が欠席しても議事が行える人数として4人という形で、現在こういう総数で部会の設置について準備を進めている状況でございます。

 7ページでございますが、今後の年金記録訂正手続の主なスケジュールということでございます。本日この訂正分科会を設置し、審議を開始しておりまして、今回の基本方針と認定基準、本日別添資料でつけた部分でございます。これにつきまして、パブリックコメントを早々に開始させていただきたいと思っております。パブリックコメントの御意見も踏まえて、最終的な案につきましては2月中旬から、もし遅ければ下旬ということになりますが、この分科会に諮問させていただきまして、御了解をいただければ、2月末にこの方針を公表させていただくということになります。3月1日から年金事務所において訂正請求の受付が開始され、4月から本格審議という運びになるところでございます。

 平成27年度以降についてでございますが、事業の実施が進んで事例が蓄積した段階でこの分科会を開催し、御審議をいただきたいと思っております。事業の実施状況の報告や、前例のない新たな事案があればその分析の検討、さらに、必要に応じて今回御議論いただいている方針の追加や改訂の必要があれば、それについても御議論をいただきたいと思っております。

 地方年金記録訂正審議会の委員からも、その場合は必要に応じて状況のヒアリング等を行って、できるだけ現場に即した問題点を取り上げる形での議論を平成27年度以降はやりたいと思っておりますので、引き続き御指導のほうをよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

 

○山崎分科会長 それでは、御意見、御質問があれば頂戴したいと思います。

 石倉委員。

 

○石倉委員 全体的な部分にかかわる部分なのですけれども、国民の利益を擁護していく中で、申立書を作成させて提出させるという仕事を受けて処分を決めていくことになろうかと思うのですが、1つは、今までの申立書の書式と今回例示されております書式についての相違点、工夫点等があれば教えていただきたいということです。つまり、比較的高齢の方の申し立てでありますので、簡素化することでありながら、記載していただかなければならないことは多数あるというところで工夫されたかと思うのですが、前回、総務省管轄のときと比べてどのような形にされているかを教えていただければと思います。

 

○赤澤事業企画課長 申立書の関係でございます。

 申立書の関係は、基本的には総務省さんのものをベースに我々も請求書、いわゆる請求申立書を用意しているという状況でございます。やはり、現在の書類もかなりいろいろなことを用意していただいているので、我々のほうも同じような形で用意せざるを得なくて、かなりの量になっているというのは確かに先生のおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、内容につきましてはベーシックな部分が当然、いろいろな調査をやる上でいろいろな情報をいただかないといけないので、そこはかなり大変な部分もありますが、我々として、これぐらいのものは要るかなという形で用意をさせていただいておるところでございます。また、その具体的な内容につきましては、次回、こういうふうにしていますというのを整理させていただきたいと思います。

 あともう一つ、我々が気にしておりますのは、先ほどもちょっとありましたように、今の総務省のほうでは事跡の管理システムをすごく急遽おつくりになられたので、事案の情報が十分シンプルにできないような形があって、そこが我々としては、うまく事案の情報が分析できるようにしたいと思っていまして、そういう観点からも、若干この申立書で工夫をしているようなところもあります。要するに、こういう事項があれば、これまでの審議の結果の分析ができて、今後の審議に生かせるのにというような事項も入れているところがあって、逆にそこが若干複雑になっているようなところもあるのかもしれませんが、ただ、我々としては必要なところでもあるので、そこは申請書についてもそういう形での整理をやらせていただいているところでございます。

 ちょっと回答になっていないようなところはあるのですが、基本的には総務省を踏襲しておりますが、事案の分析をしたようなところであれば、若干詳し目になっているところはあるかと思います。御質問の件を踏まえまして、次回、どういう形になっているかはこの場に出させていただきたいと思いますので、そこでまた御説明をさせていただきたいと思います。

 

○山崎分科会長 石倉委員。

 

○石倉委員 やはり御本人が申し立てするケースが多いと思うのです。そのときに、年金事務所の窓口で教えてあげられるような親切丁寧というのですかね、ぜひそのような部分に御配慮された形でお願いできればと。我々のような職業人、弁護士さんもそうですし、成年後見人もそうですけれども、そんな形でやる場合はつくれる部分だろうと思いますが、御本人請求の場合が多いでしょうから、ぜひその辺の御配慮を大切にしていただければと思います。

 

○赤澤事業企画課長 先ほどの鈴木先生の御指摘にも通じるお話だと思います。年金事務所の窓口で、いろいろな方に対してどのような形で丁寧な形で請求書を書いていただくかという問題だと思いますので、どういう形で周知徹底が図れるかについて、ちょっと整理をさせていただいて、次回の分科会のときに御議論いただいて、御報告させていただけるようにしたいと思います。

 

○山崎分科会長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議題等は全て終了しました。

 次回の日程につきまして、事務局から説明をお願いします。

 

○梶野政策企画官 本日は本当にお忙しいところをありがとうございました。

 次回の日程は、事前に御連絡さしあげておりますとおり、2月16日月曜日10時から開催したいと思います。場所は、また改めて御連絡します。

 ありがとうございました。

 

○山崎分科会長 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金記録訂正分科会)> 第1回社会保障審議会年金記録訂正分科会議事録(2015年1月8日)

ページの先頭へ戻る