ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(厚生労働行政の推進に資する研究に関する委員会)> 第1回 厚生労働行政に資する研究に関する委員会 議事録(2015年1月14日)




2015年1月14日 第1回 厚生労働行政に資する研究に関する委員会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成27年1月14日(金) 10:00~12:00


○場所

三田共用会議所大会議室


○出席者

委員

松谷委員長
大久保委員、大野委員、金子委員、岸委員、齋藤委員
中村耕三委員、中村利孝委員、吉倉委員、若林委員

○議題

1.委員会の設置について
2.各研究事業の概要について
3.関係学会からのヒアリング
4.報告書のまとめ方及び今後のスケジュール

○配布資料

資料1 委員会の設置について
資料2-1 各研究事業の概要について(行政政策分野)
資料2-2 各研究事業の概要について(厚生科学基盤研究分野)
資料2-3 各研究事業の概要について(疾病・障害対策研究分野)
資料2-4 各研究事業の概要について(健康安全確保総合)
資料3-1 日本公衆衛生学会資料
資料3-2 日本産業衛生学会資料
参考資料 厚生労働行政に資する研究に関する委員会名簿

○議事

○中山研究企画官

 それでは、定刻となりましたので、第1回「厚生労働行政の推進に資する研究に関する委員会」を始めさせていただきたいと思います。

 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 議事に入ります前に、厚生科学課長の椎葉から御挨拶をさせていただきたいと思います。

○椎葉課長

 おはようございます。新年明けましておめでとうございます。ことしもどうかよろしくお願いいたします。

 厚生科学課長の椎葉でございます。日ごろより厚生労働科学研究の推進につきましては、委員の皆様方、また、関係学会の皆様方から御支援、御協力をいただきまして、まことにありがとうございます。また、本日は大変お忙しい中、御出席いただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。

 さて、皆様御案内かと思いますが、厚生労働科学研究のうち医薬品の創出などの研究につきましては、本年の4月から独立行政法人日本医療研究開発機構、いわゆるAMEDというものに集約化されることになりましたが、一方で、それら以外の厚生労働行政の推進に関する研究につきましては、引き続き厚労省で実施することになっているわけでございます。

 この引き続き厚生労働省が実施する研究につきましては、政策課題の決定のためには大変重要なものだと考えておりまして、AMEDの対象となる研究と車の両輪となって進められるべきものであるとの認識を持っているわけでございます。

 この委員会におきましては、これらの研究の現状や重要性、今後あるべき方向性につきまして取りまとめていただきたいということでございます。それを受けまして、厚生労働省内のそれぞれの部局で実施する研究事業に反映し、効果的な研究の推進に努めていきたいと考えているところでございます。先生方におきましては、ぜひ活発な御議論をいただくようお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、挨拶とさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

○中山研究企画官

 それでは、今回第1回ということでございますので、本日御出席の委員の先生方につきまして御紹介をさせていただきたいと思います。

 まだ資料の確認をしておりませんが、お手元に資料の束があると思いますけれども、その資料を飛び越えて、参考資料というところの1枚目に委員名簿がついてございますので、これも御参照しながらお願いしたいと思います。

 それでは、御紹介させていただきますが、東京大学環境安全本部の大久保靖司先生です。よろしくお願いします。

 次に、公益財団法人木原記念横浜生命科学振興財団の大野泰雄先生です。

 次に、国立社会保障・人口問題研究所の金子隆一先生です。

 北海道大学環境健康科学研究教育センターの岸玲子先生です。

 国立病院機構名古屋医療センターの齋藤英彦先生です。

 次に、国立障害者リハビリテーションセンターの中村耕三先生です。

 国立国際医療研究センターの中村利孝先生です。

 次に、あいうえお順になりますので、国立保健医療科学院の松谷有希雄先生です。

 国立感染症研究所の吉倉廣先生です。

 静岡県立大学の若林敬二先生です。

 委員の方々は以上であります。

 本日、全ての委員の方々に御出席いただいております。

 また、本日、参考人といたしまして、日本公衆衛生学会と日本衛生学会を代表いたしまして相澤好治先生に御出席いただいております。

 さらに、日本産業衛生学会より圓藤吟史先生に御出席いただいております。

 続きまして、事務局ですが、厚生科学課長の椎葉でございます。

 また、厚生科学課の担当であります角野と、私は研究企画官の中山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、配付資料の確認をいたします。

 議事次第が1枚目にありまして、資料1と資料2がございます。資料3-1、3-2と資料4の1枚紙があります。

 次に、参考資料が1から4までということになっています。

 もし何かないものなどがありましたら、お知らせいただければと思います。

 配付資料のほかに、専門委員に任命された先生方には辞令と所属の指名書、既に委員に発令されています先生には指名書のみを配付しているということでございますので、よろしくお願いします。

 よろしいでしょうか。

 次に、委員会の委員長ですけれども、厚生科学審議会科学技術部会の部会長からの指名により、松谷委員にお願いすることになっております。

 松谷委員長から一言お願いいたします。

○松谷委員長

 審議会の科学技術部会長から御指名を受けまして座長を務めることになりました松谷でございます。皆様方の御協力のもとに審議を円滑に進めたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今、課長の御挨拶にございましたように、健康・医療など、厚生労働省が所管している分野の研究について、学会では以前から大きな関心を持っていたわけですけれども、近年、産業界などもっと広い各界の方々も関心を持っていただくようになって参りました。大変喜ばしいことだと思います。それらを受けて、単に厚生労働省だけではなくて、政府を挙げてこの分野の研究の推進に取り組もうという体制を整えることになったと伺っております。

 その結果、この4月からは、先ほどのお話にありましたように、新しい独立行政法人日本医療研究開発機構も発足しますし、また、そこでファンディングエージェンシーとしての役割も大きく担われることになると伺っております。

 一方で、従前、厚生労働省が担ってきたいろいろな研究の中で、特に政策に関する部門等については、引き続き厚労省において担うというすみ分けがなされたということでございまして、これらについて、どのようにそれらを総合しながら、よい方向での研究が進められるかについて、厚生科学審議会でも御議論をいただくことになったわけです。従って、当委員会の使命は、厚生科学審議会の審議に必要な方向性等、現状の取りまとめとこれからのあり方について審議し、厚生科学審議会の審議に資するということが目的ではないかと思っております。その方向で進めていきたいと思っておりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

○中山研究企画官

 ありがとうございます。

 それでは、以降の進行につきましては、松谷委員長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○松谷委員長

 それでは、早速議事に入りたいと思います。2時間ほどの大変短い時間ですけれども、よろしくお願いします。

 まず、議題に沿って進めたいと思いますが、議題1の本委員会の設置につきまして、事務局から説明をお願いします。

○中山研究企画官

 それでは、簡単に説明させていただきたいと思います。

 資料1をごらんください。資料1と参考資料2という横の紙を両方並べて見ながらお願いしたいと思います。

 参考資料2ですけれども、厚生労働科学研究事業というものにつきましては、冒頭の挨拶などにもございましたとおり、日本医療研究開発機構に集約するというタイプの研究費とそれ以外の研究費というものがございますということです。

 日本医療研究開発機構を「AMED」と呼んでいますが、AMEDに集約するタイプの研究費を医療分野の研究開発と呼ぶとするならば、医療分野の研究開発以外の研究というものは厚生労働省において引き続き実施するということになっています。

 ちなみに、来年度の予算要求額の規模でございますけれども、概算要求額では477億円、厚生労働省で引き続き実施するものについては93億円ということでございましたが、これについては、本日、来年度予算というものが閣議決定されておりまして、実際の来年度予算という値でいきますと、医療分野の研究開発のほうが474億円で、それ以外というのが72億円ということになっています。そういった規模であるということでございます。

 その2つのタイプにつきまして、向かって左側のAMEDに集約されるタイプというものにつきましては、ここ一、二年の間、推進計画が策定されるとか、さまざまな点で脚光を浴びてきたというところがございますが、厚労省に残るほうの研究費についても、施策の推進という意味では非常に重要だということで、その重要性についてきちっとまとめていくということも大事だろうということを考えてきたということでございます。

 そこで、資料1のほうにございますとおり、昨年の1224日の厚生科学審議会科学技術部会におきまして、そういった厚労省で引き続き実施する研究についても、その現状と重要性、さらには将来的な方向性とか目標といったものについて取りまとめるべきである、そのための委員会を設置すべきであるということで、科学技術部会の意見をいただいたということでありまして、当初の予定としては、できれば昨年中に開催しようということで、昨年の年内を目途に検討を開始するということでしたが、先生方の御都合なども調整するという関係で、この1月14日になったということでございます。

 目標といたしましては、後ほど御説明しますが、厚労省に残る研究事業について、それぞれの研究事業の重要性などについて、文章として報告書をまとめるということをこの委員会の目的としたいというふうに考えているという状況でございます。

 以上でございます。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。

 よろしゅうございますか。

 このような趣旨で設けられたという背景、趣旨でございます。

 では、続きまして、議題2に進みたいと思います。各研究事業の概要につきまして、事務局から説明をお願いします。

○中山研究企画官

 済みません。先ほどの説明で一部訂正をさせてください。先ほどの参考資料2「厚生労働科学研究事業の概要について」というところで、来年度のAMEDに集約される研究費というものを「474」と言ってしまったのですけれども、これは研究費以外のものも含んでいる予算ということでございまして、研究費という意味では「411」です。ここは訂正させていただきます。失礼いたしました。

 それでは、資料2の全体的な説明をさせていただきます。まず、今回は第1回ということでございますので、「厚生労働科学研究費補助金 各研究事業の概要」ということで資料をつくらせていただきました。これについて、多岐にわたるのですが、まずはどういったものあるのだということを一度はお話を聞いていただきたいと思っておりまして、一通り各担当者から説明をさせていただくということにしたいと思います。

 研究事業につきましては、資料2の1ページにありますとおり、IからIVに大きく分かれます。Iの行政政策研究分野は、社会保障とか統計に関するようなところ、あとは国際、国際保健に関するようなものがIの行政政策研究分野でございます。

 IIの厚生科学基盤研究分野については、実際の医薬品とか医療機器を実用化するとか、あるいは再生医療の実用化とか、そういったものが全て含まれている分野なので、ここについてはほとんど全てがAMEDのほうに集約される研究費なのですけれども、一部未承認薬を実際に使わなければいけないといったものについて研究で実施しているという、ちょっと特殊なケースなのでございますが、そういったものがここには少しだけ残っているということかと思います。

 IIIの疾病・障害対策研究分野につきましては、各種がんとか難病といった疾患分野に分かれておりまして、ここについてもかなり多くの部分は医薬品とか医療機器の創出に資するような研究ということで、AMEDのほうに行っている研究費が多いです。

 ただ、ここについては、実際の社会科学的なといいますか、そういった分野として残っている部分もかなりあるということかと思います。

 IVの健康安全確保総合研究分野というものについては、そもそもAMEDの対象となっていない食品衛生とか、化学物質対策とか、労働安全とか、危機管理とか、そういった研究が含まれているところだと。ここについてはほぼ全て厚労省に残っている研究事業だと思っていただくとよろしいかと思います。

 この後の資料の構成につきましては、1枚めくっていただきますと、「政策科学推進研究について」というところがございますが、上が厚生労働行政についての施策と研究の関係を述べているということでありまして、下のポンチ絵につきましては、実際の具体的な研究がその事業では何があるのかといったことがまとめられているという構成になっていまして、次のページからずっと続きますが、上段が政策と研究の関係、下が具体的な研究の内容という構成になっているということであります。

 この後、各担当からそれぞれについて説明をさせていただきたいと思います。

○事務局

 政策評価官室の大木と申します。よろしくお願いします。

 政策科学総合研究事業は、政策科学推進研究事業と統計情報総合研究事業の2本立てとなっておりまして、私からは政策科学推進研究事業について簡単に説明させていただきます。

 政策科学推進研究事業は、我が国の社会保障を取り巻く状況を鑑み、特に効率的な社会保障制度の構築に資する研究を推進させるために、人口・少子化問題など、社会保障全般に関する課題を扱う人文社会科学系に関する研究を行うこととしております。

 我が国を取り巻く状況としましては、例えば急激に進む少子化及び高齢化、就業形態の多様化、単身高齢者世帯の増加や地域コミュニティーの弱体化などが挙げられます。

 このような変化に対応した政策を立案するためには科学的根拠が必要であり、本研究事業は、医療、介護、福祉、年金、雇用などの各制度が内包する課題の解決、各制度の効率化を推進することを目標に設定しております。

 この目標に向けた大きなカテゴリーを3つほど設定しております。

 1つ目は、社会・経済構造の変化と社会保障に関する研究です。具体的には昨今の人口減少を踏まえた次世代将来推計システムの開発とか、社会保障費用をマクロ的に把握する統計の向上に資する研究を出す研究となります。

 2つ目は、世帯・個人の経済・生活状況と社会保障に関する研究です。具体的には都市部における医療、介護、福祉等の連携に資する情報共有システムのあり方を提言する研究ですとか、就業状態の変化と積極的労働市場政策に関する研究などがございます。

 残念なことに昨今メディアで児童虐待を見聞したりするわけですが、このような児童虐待事例の検証や防止策の立案に関する研究もこのカテゴリーで行っております。

 3つ目は、社会保障分野における厚生労働行政施策の効果的な推進等に関する研究です。具体的には地域包括ケア提供体制のあり方を提供する研究ですとか、高齢者介護サービスの質の包括的評価に関する研究などがございます。

 また、将来的に医療費の抑制に資するということで、レセプト情報・特定健診等の情報データベースの利活用に関する研究などもこのカテゴリーで行っております。

 非常に簡単ではございますが、本研究事業の概要は以上でございます。どうもありがとうございました。

○中山研究企画官

 統計情報総合研究事業をお願いします。

○事務局

 統計情報部の渡でございます。

 統計情報総合研究の概要について御説明いたします。7ページをごらんください。本事業では保健・医療、社会保障政策の立案で使用される各種統計調査について質を確保するため、統計の精度・国際比較可能性の向上のための手法の検討や、国際分類の改善に資するための研究、これら統計調査を高度に分析して、具体的な政策課題についてエビデンスを創出する研究などを実施しております。

 施策による統計の活用例を挙げますと、患者さんの受療の状況を把握している患者調査は、医療計画の策定における基準病床数の算定に活用されたり、指標例に項目を挙げたりしておりますし、医師・歯科医師・薬剤師調査で把握した医療従事者の情報や、人口動態統計で把握した死因の状況は、我が国の医療体制や疾病対策の検討の基礎となる情報でございます。

 また、国際的な疾病分類であるICDに関しては、その分類をもとに各種調査が行われておりますので、これについての検討は、今後施策のための情報をどう集めるかの基礎となるものでございます。

 8ページをごらんください。具体的な内容につきましては、概要にありますとおり、統計情報の高度な分析という観点から、医師・歯科医師・薬剤師調査を初めとした複数の統計調査を分析し、医師確保対策に資する情報を得ようとする研究。統計の精度向上という観点から人口動態統計の調査票となる死亡診断書の記載の現状を把握し、時代に即した死亡統計のあり方を提言する研究や、また、縦断調査における脱落についての補正の可能性の検討を行う研究、さらに国際比較のためにOECDに提出するための推計手法を検討する研究などを予定しております。

 本研究事業以外には統計の精度向上や統計分類の検討に対応する方法はなく、本研究事業は、厚生労働省の政策の推進に必要不可欠なものと考えております。

 簡単でございますが、以上です。

○中山研究企画官

 それでは、地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究事業をお願いします。

○事務局

 国際課の木阪でございます。よろしくお願いいたします。

 地球規模保健課題推進研究は、いわゆる国際保健分野において母子保健や感染症対策など、日本が培ってきた貴重な技術、経験を途上国に移転する、あるいは国際社会において保健医療政策策定に日本が関与するといったことを通じまして、地球規模の保健課題の解決に日本が取り組むという研究でございます。

 具体的に申しますと、本研究の研究結果をもとに日本が国際会議で発言する際の対処方針の根拠となる、もしくはWHOのガイドライン等にその研究成果が取り上げられる等、そういった貢献をしている研究でございます。

 具体的に取り組む中身なのですが、スライド番号の10番目にございますように、感染症や母子保健、もしくは公衆衛生的な緊急事態といった、これまでも重要性が指摘されていたものに加えまして、世界的に進む高齢化、もしくは人口動態の変化に伴って疾病構造が変わってまいりました。今、世界的にNCDと呼ばれます生活習慣病対策が重要になってまいりましたので、そういった広い分野のものを視野に入れまして、日本の外交戦略、もしくは国連のポストミレニアム開発目標といった世界の潮流を視野に入れつつ、日本の国際協力政策に資する研究を進めるといった研究事業でございます。

 ありがとうございました。

○中山研究企画官

 次に、未承認薬評価研究事業をお願いいたします。

○事務局

 研究開発振興課、鈴木でございます。

 私から未承認薬評価研究事業について御説明させていただきます。13ページ、下の段のほうをごらんください。

AMEDに移管する分が「研究開発関連の分野」と記載された事業になります。こちらは臨床研究・治験推進研究事業と言いまして、革新的な医薬品の創出を目指し、エビデンスを確立するための質の高い臨床研究や医師主導治験を支援する事業となっております。

 具体的には、先進医療として実施が認められた臨床研究や国際水準の臨床研究、医師主導治験等を支援しております。

 臨床研究の中で、行政施策の推進に資する分野だと判断して1課題のみを切り出して、来年度からも厚生労働省にて引き続き推進することとしました。

 上の段をごらんください。こちらは未承認薬評価研究事業と申しまして、平成8年度より薬害エイズ等によりHIVに感染した血友病患者を救済するために開始した研究事業を支援しております。

 研究の概要としては、研究班が臨床研究の実施のために未承認のHIV治療薬を海外より個人輸入をして、その薬剤を必要とする患者の人道的な治療研究に対して用いる臨床研究になります。こちらは、海外の承認条件に基づいて治療研究を応用し、治療効果や安全性、副作用などのエビデンスを構築することにより、最適治療法の開発を目指す研究となっております。

 本研究はHIV訴訟原告団に対する和解措置として開始された事業であり、大変行政的に重要な研究と

なっております。

 以上です。

○中山研究企画官

 ここで一旦切りたいと思います。

○松谷委員長

 ありがとうございます。

 I、IIに分類されている研究事業についてのごく簡略な御説明がありましたけれども、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。先生、どうぞ。

○若林委員

 簡単な質問ですけれども、政策科学推進研究のところの予算要求額が書いてないのですが、そこだけ。

○松谷委員長

 予算額についてのご質問です。

○事務局

 大変申しわけありません。資料を持ち合わせてございませんで、宿題とさせてください。申しわけございません。

○中山研究企画官

 ちょっと時間を下さい。

○松谷委員長

 では、調べていただいて。

 ほかにございますでしょうか。行政政策研究分野と基盤研究分野。基盤研究分野は1課題だけが残っているということですけれども。よろしいですか。

 では、また後ほどでも気がついたところを質問していただくということで、続けたいと思います。

 続きまして、IIIの疾病・障害対策研究分野につきまして、事務局から説明をお願いします。

○中山研究企画官

 では、健やか次世代育成総合研究事業をお願いします。

○事務局

 母子保健課の木下でございます。

 スライド番号の17番、18番に沿いまして御説明させていただきます。我が国の急速な少子化や地域社会の活力の低下といったものを背景に、子供の健全な成長への悪影響といったものが懸念されておりまして、将来の我が国の社会に広く影響を与えることが懸念されております。これまで母子保健に関する国民運動であります「健やか親子21」の展開でありますとか、小児慢性特定疾患治療研究事業、その他各種施策でこれらに対する取り組みを推進しているところでございます。

 母子保健に関します施策の充実がますます求められている昨今におきまして、さらなる効果的な施策の充実を図る上で、その基盤となります本研究事業は非常に重要となっております。

 本事業におきましては、妊娠、出産、子育て等のライフステージにおける各課題に対応した研究に取り組んでおります。

 本事業の成果を幾つか御紹介いたしますと、平成26年度からは先天性の代謝異常検査でありますタンデムマス法を用いた検査を全国で実施することが可能となったほか、不妊治療に対します医療費の助成をより安全かつ適切な事業とするために、対象となる方の年齢や助成回数、実施に係る人員体制の見直し等を行ってきております。

 また、「健やか親子21」のこれまでの取り組みに対します最終評価と次期計画の策定に際しましては、各都道府県の母乳育児の実施率、また3歳児の虫歯の割合といったものが都道府県ごとに格差があるといったような知見も、これらの研究事業を通じまして得られ、それらを踏まえた施策の実施を行っているところでございます。

 次年度につきましては、従前と比べまして、高齢になってからの妊娠・出産の増加、疾病以外の社会的なリスクといったものが増えていることもあり、ハイリスク妊婦の方に対します早期発見、また、適切な保健指導のあり方の検討でありますとか、出生前診断や生殖補助医療における医学的な課題に加え、倫理的な側面を包含しておりますこれらの課題の解決に向けた研究に今後取り組んでいくこととしております。

 以上になります。

○中山研究企画官

 次に、がん対策研究事業をお願いします。

○事務局

 がん対策の研究事業に関しまして、スライド番号1920を用いまして、健康局がん対策・健康増進課より説明申し上げます。

 がん対策につきましては、平成18年6月に成立しましたがん対策基本法及び基本法に基づきまして策定されたがん対策推進基本計画に基づきまして、がんによる死亡者の減少、全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持・向上、また、がんになっても安心して暮らせる社会の構築という3つの目標達成に向けまして、施策を総合的かつ計画的に推進しているところでございます。

 さらに、がん研究につきましては、新たに文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣の3大臣の確認のもと、「がん研究10か年戦略」を策定いたしまして、平成26年度から研究を推進しているところでございます。

 「がん研究10か年戦略」に基づきまして、厚労省のがん研究といたしましては、AMEDに移管されます革新的がん医療実用化研究事業と、スライドにお示ししておりますがん政策研究事業の2つの研究事業を推進しております。

 スライド番号19の中ほどにございますがん研究10か年戦略で重視する観点といたしましては、「がんの根治をめざした治療」「がん患者とその家族のニーズに応じた苦痛の軽減」「がんの予防と早期発見」「がんとの共生」という4つの観点を掲げております。

 後の3つに関しましては特に政策と関連が深く、本研究事業で推進していく必要があると考えております。

 具体的な研究事項といたしましては、下に平成27年度の予算要求内容をお示ししておりますが、がん検診の質の向上に資する研究やがん登録等の医療データベースを活用した研究、また、緩和ケアなどに関連するがん患者の地域完結型医療の推進に資する研究等を推進する予定としております。

 以上です。

○中山研究企画官

 では、次に、循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策政策研究事業をお願いします。

○事務局

 がん対策・健康増進課の高山と申します。

 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策政策研究事業について、御説明いたします。我が国におきましては、循環器疾患・糖尿病などの生活習慣病は医療費の約3割、死亡者数の約6割を占めておりまして、急速な高齢化を背景にますます重要な課題となっております。

 予防の観点からは、国民健康づくり運動である、平成25年開始になりましたけれども、健康日本21(第二次)、また、疾病対策としては生活習慣病対策というものの充実が求められておりまして、さらなる施策の推進を行っていく上で必要となる科学的根拠の集積を行うことが重要と考えております。

 健康日本21(第二次)は5つの基本方針から構成されておりまして、健康寿命の延伸と健康格差の縮小に関する研究、生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底に関する研究、健康を支え、守るための社会環境の整備に関する研究、社会を営むために必要な機能の維持に関する研究、また、栄養、食生活、身体活動、運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣病及び社会環境の改善に関する研究という柱を立てまして、幅広く実施しているところであります。

 本研究事業は、下の22番になりますけれども、これらを健康づくり分野、健診・保健指導分野、生活習慣病対策分野と別の切り口でも構成しておりまして、それぞれ対応するものについて研究を進めているところであります。これらの研究から体系的に取得した科学的根拠を用いまして健康日本21(第二次)の推進を図るとともに、生活習慣病対策について推進をしているというところです。

 これまでの取り組みといたしましては、健康日本21の策定及びその評価、今後の施策、健康づくりの指標として広く用いられている身体活動基準の策定、食事摂取基準や健診・保健指導プログラム等の改訂等に活用しております。

 また、次年度につきましては、平成29年度に予定されております健康日本21(第二次)の中間評価、第7次の医療計画、第3期の医療費適正化計画の改定のための議論に資するデータを提供するということが求められておりまして、政策に直結した研究を実施しているところでございます。

 以上です。

○中山研究企画官

 それでは、女性の健康の包括的支援研究事業を引き続きお願いします。

○事務局

 引き続きがん対策・健康増進課から女性の健康の包括的支援政策研究事業について、御説明をいたします。

 女性の健康の包括的支援政策研究事業につきましては、平成27年度より新設をお願いしてまいりました研究事業となっております。これまで我が国における女性の健康に関する取り組みにつきましては、主に疾病分野ごとに展開されてきていたということで、ホルモンの影響等によってライフステージごとに劇的に変化するという女性の健康の特性を踏まえた取り組みや支援という点が不十分であったと指摘されております。

 こうした問題意識を踏まえまして、女性の健康については、心身の状態が人生の各段階に応じて大きく変化するという特性に着目した対策を行うことが重要であると考えられておりまして、こうした観点から、女性の健康の包括的支援に関する法律案の作成の動きもございます。同法律案の第9条におきましては、「女性の健康に関する調査研究の推進について」という条項が作成されておりまして、女性の健康の包括的支援に資する研究について記載をされているところでございます。

 現在、平成26年度の特別研究ということで、女性の健康に関する研究の今後のあり方についての研究ということをお願いしておりまして、女性の健康を包括的に支援する研究のあるべき姿について議論をいただいているところです。

 平成26年度にまとめられる研究班の報告書を参考にしつつ、平成27年度以降、本研究事業は、女性の健康の一層の推進を図るために、女性の健康を生涯にわたり包括的に支援するために資する研究について取り組んでいくこととしています。

 以上です。

○中山研究企画官

 それでは、次に難治性疾患等政策研究事業をお願いします。

○事務局

 健康局疾病対策課でございます。

 「難病対策における難治性疾患政策研究事業の位置付け」というスライドを用いまして、現在の難病の施策について簡単に御説明をさせていただきます。最終的な難病対策の大きな目標でございますが、左下側「総合的な難病対策」ということになろうかと思っております。この中で一番御関心があるのは医薬品・医療機器の開発ということで、これはAMEDに委託させていただきます研究費のほうで、例えば神経難病に対する新しいリハビリテーションの方策でありますとか、多発性硬化症に対する治療薬でございますとか、そういった成果が出ているところでございますし、薬事承認まで持っていったもの、薬事審査中のものという形で成果を上げているところでございますが、政策研究として非常に重要になりますところは、こういう希少な疾患につきまして実態を把握するとか、あるいはガイドラインをつくっていくという取り組みについて支援をしていくこと、あるいはこういう希少な疾患に対して実態を把握するために、我々は指定難病という形で医療費助成を行ってまいりますが、医療費助成の対象とするかどうかというときに、診断基準がしっかりしているかとか、患者さんの数はどうですか、あるいは御生活の状況はどうですかという実態をいただいて、医療費助成の対象にするかどうかというところを議論しておりますので、そういったところの支援のためにこの研究費を用いさせていただいているというところでございます。

 具体的にはスライドの26ページ目でございますが、こちらの領域別/疾患別基盤研究分野というところでそういった基礎的データをいただきまして、医療費助成の対象の疾患を選ぶとか、あるいはそういう患者さんの場所を把握させていただいて、新しい医薬品開発をしている研究班につなぐとか、そういった活用法を実施しているところでございます。

 難病に関しては以上でございますが、続いて、当課で所管しておりますので、めくっていただきまして、27ページ目、リウマチ・アレルギー対策における政策研究以降についても簡単に御案内をさせていただきます。

 リウマチ・アレルギー対策につきましても、先般、アレルギー対策基本法という形で法律も成立させていただきましたが、アレルギー対策の中で注目されておりますのは、画期的な治療法を開発するというところも大事でございますが、既に確立された治療法について、いかに専門的な知識を均てん化をしていくかというところが非常に大事であるという形で、識者の先生方からいただいておりまして、そういった取り組みに対する支援ということで研究事業を用いさせていただいているところでございます。

 具体的に申し上げさせていただきますと、下側28ページ目でございます。アレルギー疾患の実態を把握するということで、大規模な疫学調査を実施して、今の患者さんがどういった治療を受けておられるか、専門医へのアプローチをしているか、あるいはもう既にガイドラインがございますが、そのガイドラインが適切に使われているかといったような実態調査をまさに実施しているところでございますとか、そういったガイドラインが手元に届くため、あるいはセルフメディケーションを行うためにどういった方法が効果的かといったところを中心に研究を進めているところでございます。

 同じ分野に入っているのですが、29ページからの移植医療につきましても、カテゴリー的に同じ疾病対策課で実施しておりますので、あわせて御案内をさせていただきます。

 移植医療につきましても、希少、数が少ない治療方針であるというところは臓器移植について言えると思っておりますし、血液、造血幹細胞移植に関しましても、ドナー様に協力していただかなければいけないというところもありますので、そういった通常の治療と異なるところで重点的にケアをしなければいけないというところがございます。

 そういったところで支援を行うために、具体的に移植医療基盤整備研究分野ということとで研究を実施しておりまして、スライド30ページ右側でございますが、これは「造血幹細胞移植分野の状況」というところの血液移植のほうでございましたら、ドナーの方々について安全に採取させていただくこと。移植が必要と決まってから、コーディネートを短期間で実施するというところがございますので、そのノウハウの集積でございますとか、あるいは臓器移植というところでございましたら、これは先般も移植がございまして、倫理的に問題がないかとか、相当着目されているところでございますので、そういう選択について適切になされているか。あるいは諸外国と比べて倫理的に問題がないかといったところを中心に研究を進めているところでございます。

 最後、当課所管の部分、もう一枚めくっていただきまして、総合的な痛み対策における慢性の痛み政策研究事業というところがございますので、こちらも簡単に御案内をさせていただきます。

 慢性の痛みというところを訴えられる方は、数としては非常に多うございます。痛みという症状でいきますと、非常にたくさんの方々がいらっしゃるわけでございますが、実際その痛みをどういう形で因数分解をしていくか。まさに難病に属するような痛み疾患があるかどうか。その他の例えば整形疾患でございますとか、そういったものに属するものなのかというところで、痛みという切り口で、横串で把握させていただいた上で、そういった因数分解をしていくというところが非常に重要でございまして、特に政策研究で進めているところは、こういう痛みに関しまして注目をさせていただいて、実際拠点という形で18カ所ほど指定をさせていただいて、痛みという形で訴えられた患者様について、どういった実態であるかという形をまとめていただいているということでございます。そちらの中で、どういった形の痛みの方がいらっしゃるか、そういう難病の研究でありますとか、ほかの研究に生かせるものはないかという形で調査を進めているところでございます。

 当課所管の部分は以上でございます。

○中山研究企画官

 それでは、長寿科学政策研究事業をお願いします。

○事務局

 老健局老人保健課の森岡です。よろしくお願いいたします。

 長寿科学政策研究事業でございますけれども、33ページになります。3つの分野に分けて取り組んでおりまして、老年病等長寿科学分野、介護予防・高齢者保健福祉分野、運動器疾患総合研究分野の3つに分けて取り組んでおります。

 特に2つ目の介護予防の分野につきましては、介護保険で自治体のほうが地域支援事業におきまして介護予防に取り組んでおりますけれども、そちらのほうのマニュアル作成等に取り組んでおります。

34ページをごらんいただければと思います。27年度の研究の概要について御説明いたします。

 既存の事業に加えまして、27年の介護報酬改定におきまして生活期のリハビリテーションですとか、リハビリテーションマネジメントについて評価する方向で検討されております。そちらのほうのマニュアルとかマネジメントの項目について研究を行っていきたいと考えております。

 また、介護保険法のほうが去年6月に改正されましたけれども、地域支援事業のほうにおきまして在宅医療・介護連携の推進事業が加わっております。これは27年4月から自治体のほうで順次取り組んでいくことになりますが、そちらのほうのマニュアルの作成についてもこちらの研究のほうで対応していきたいと思っております。

 以上でございます。

○中山研究企画官

 次に、障害者政策総合研究事業をお願いします。

○事務局

 障害保健福祉部企画課の田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 障害者政策総合研究事業ですけれども、まず、障害者の研究のうちAMEDに移管できる研究は身体知的障害分野のごく一部、それから精神障害分野の医療にかかわる部分のみでございまして、こちらの厚生労働行政に係る研究としましては障害福祉施策の研究が中心となっております。

35ページ、36ページです。背景としまして、障害児も含め障害者は増加傾向にございまして、現在、約788万人、人口の6.2%と言われておりまして、在宅、通所の障害者がふえており、障害者の高齢化も進んでいるという状況にございます。

 そのような中で、障害児・者の社会参加の機会の確保や、地域社会における共生の実現等の施策に関する知見を得るための行政研究の推進が必要となっております。

 具体的には、四角の中の○の上から説明していきますと、平成26年1月に障害者権利条約の批准を行いましたが、それを受けた障害者基本計画の策定、それから平成25年4月に障害者総合支援法が施行されましたが、その3年後見直しで附帯決議としまして、常時介護を要する障害者を定義づける客観的な基準を確立するための検討ですとか、障害者の就労支援のあり方に関する検討等が述べられております。

 それから、本日閣議決定します障害福祉サービス等の報酬改定、こちらは介護報酬改定に合わせて3年に一度行われていますが、次回の平成30年度の改定に向けて、障害者の65歳問題というのもございますので、介護報酬との関係を整理する必要がございます。

 また、身体障害者福祉法に基づいて身体障害者手帳の認定基準がございますが、医学の発展等に伴いこちらも随時見直しが必要でして、近年ではペースメーカー装着後や人工関節置換後の見直し、聴覚障害の見直し等を行いました。他にも、今後見直しを行う予定の障害種別がございます。

 次に、障害児への支援の検討ですけれども、平成26年7月に障害児支援の在り方に関する検討会が取りまとめられましたが、増加している発達障害児に対する施策や、重症心身障害児に係る在宅医療との連携等、障害児の地域社会への参加・包容の推進と合理的配慮に向けた検討が必要とされております。

 精神障害の分野におきましては、平成26年7月に長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策にかかる検討会というのが取りまとめられましたが、精神障害者に対する居宅等における保健医療及び福祉サービスの在り方の検討、それから精神医療の質を一般医療と同等に良質かつ適切なものにするため、精神医療機能病床の適正化など、病院の構造改革のための検討のための調査が必要です。

 ギャンブル依存症、薬物依存症を含む依存症対策や、依然として若年者の死因の1位であります自殺対策、こちらも平成28年度から内閣府より厚生労働省へ移管される見通しがありますし、DPATのあり方など災害時における適切な精神医療について、それから医療観察法制度開始後10年目に際し一般精神医療のモデルとなる観察法医療のあり方についてなど、このような検討を行う必要がございます。

 簡単ですが、以上です。

○中山研究企画官

 次に、認知症政策研究事業をお願いします。

○事務局

 同じく老人保健課から認知症政策研究事業について御説明いたします。

37ページでございます。こちらのほうの事業でございますけれども、下半分の左側に記載しております3つの分野に分けて取り組んでおります。認知症の本態解明に関する分野、認知症の実態に関する分野、認知症への対策に関する分野、この分野に取り組みまして、この事業の目標であります認知症の標準的なケアの手法の確立ですとか、認知症に優しい地域を構築するということを目指しております。

 具体的には、38ページのほうに今後取り組んでいく予定であります研究について記載させていただいております。

 まず、2つありまして、上のほうですけれども、認知症による徘回、行方不明の問題に向けた研究について取り組んでいきたいと考えております。こちらのほうは2012年に9,600名余りが徘回などで行方不明ということで、行方不明の方の家庭環境等の実態把握を進めまして、自治体の取り組みに活用していきたいと考えております。

 また、下半分でございますけれども、高齢化の進展を背景としてMCIがふえているということで、そのような方の認知症への移行を予防するということで研究を進めていきたいと思っております。そちらの成果につきましては、医療計画・介護保険事業支援計画に反映するなど、適切に対応していくということを予定しております。

 以上でございます。

○中山研究企画官

 次に、新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業をお願いします。

○事務局

 健康局結核感染症課でございます。

 本事業では今後新たに国内で発生が危惧される感染症や、ほとんど克服されたと考えられておりましたが、再び発生の見られる感染症、一類感染症などを初めとした国外から持ち込まれる可能性のある感染症など、国民の健康に大きな影響を与える感染症等に対して、感染症対策の基盤を強化する研究や、危機管理のための研究、予防接種の有効性・安全性に関する研究等を推進することで、感染症から国民の健康を守るために必要な研究成果を得ることを目指しております。

 今、申し上げましたような感染症といいますのは世界的にも注目されているところでございまして、今後国内での発生が危惧されるこのような感染症に対して、科学的なエビデンスに基づいた政策の推進が求められているところでございます。

 具体的な研究課題といたしまして、40枚目のスライドにお示しいたしました。

 感染症対策研究といたしましては、薬剤耐性菌の蔓延に関する健康及び経済学的リスク評価。

 予防接種政策研究といたしましては、予防接種に関する費用対効果研究、副反応報告の疫学的解析に関する研究などを予定しております。

 以上です。

○中山研究企画官

 それでは、次にエイズ対策政策研究事業をお願いいたします。

○事務局

 健康局疾病対策課でございます。

 スライド41ページ目、エイズ対策政策研究事業について御説明をさせていただきます。エイズの今の状況を簡単に説明させていただきますと、一つは、画期的な治療法を開発する、あるいはハイリスクの方に対してワクチンを投与するというところは長年注目をされているところでございますが、こちらに関しましても、実用化のほうで我が国発の医薬品の開発が進んでおるとか、あるいは有望なシーズの選定というところが着実に進んでおるところでございます。

 他方、政策的な問題点といたしましては、首都圏とか関西圏とか、そういったところのエイズの伸びというのは一段緩やかになっているところでございますが、その他の地域というところは、まだまだエイズの罹患者数がふえているというところがございます。

 そういった中で、ハイリスクの方にどういう形でアプローチをしていくかとか、あるいは動向をしっかり把握するというところが重要なところでございます。また、エイズというところは、血液製剤による和解というところがございまして、HIV感染とHCVの感染、あるいは血友病と3つ合併している、そういった方々に対して、どういった形で治療が戦略的に行えるかというところを研究しているというところでございます。

 具体的にはスライドの42ページでございます。先ほどの政策的なところ、ハイリスクのところで申しますと、男性の同性愛者の感染というのが非常に多いので、そういった方々に対する普及啓発の方法でございますとか、予防手法というところが着目をされているところでございますし、実態を把握するというところも着目をされているところでございます。

 薬物乱用の方々に対してどういう形をとれるかというところもテーマと捉えてございます。

 また、HIV感染被害者の方々に対するアプローチという形でございますが、総合的な医療体制をどうやって構築していくかとか、最近、先ほど申し上げました画期的な治療法、治療ノウハウが蓄積されてきたことがございますので、逆に長期療養の中でどういう形で治療戦略を立てていくかという形が新しく着目されているところでございますので、そういった方策の検討、実態の把握というところを進めている。あるいは合併症対策をどうするかとか、あるいはHCVに合併しておりますので、そういう合併に対してどういう治療戦略がとれるかというところ、事例を把握しながら集積を行っているという調査研究でございます。

 以上でございます。

○中山研究企画官

 それでは、IIIの最後であります肝炎等克服政策研究事業をお願いします。

○事務局

 健康局疾病対策課肝炎対策推進室です。

 肝炎対策の現状及び政策研究について説明させていただきます。肝炎は、御存じのように、全国で非常に持続感染者数が多いことから、国内最大級の感染症であること、また、本人の自覚なく肝硬変や肝がんへ進行し、多くの年間の死亡者数が出ていることなどの社会的背景を踏まえまして、平成21年に肝炎対策基本法が成立しております。その中で研究の推進というものが一つの重要な施策として掲げられております。

 法に基づいて基本的な指針というものが有識者によって策定されておりまして、その中でも研究の総合的な推進、具体的には肝炎に関する基礎・臨床研究及び疫学研究、また行政的な課題を解決するための研究というものが重要な項目として記載されております。

 これを受けまして、専門家によって策定されました肝炎研究10カ年戦略の中で、先ほどの基礎研究、臨床研究、創薬研究に加えまして疫学研究、行政研究が盛り込まれまして、これらの成果を施策に反映させることが重要とされております。

 昨今のAMEDの移管の動きにより、基礎研究や臨床研究、創薬研究等はAMEDで引き続き所管される予定となっておりますが、疫学・行政研究については、施策への反映の面から引き続き厚生労働省で所管して管理していく予定となっております。

 具体的な政策研究の項目としましては、先ほど申しました10カ年戦略の中で疫学研究について項目が定められまして、継続的に行うことが求められております。

 その社会的な背景というのも、受検に至っていない人の存在、知識不足による新たな感染、地域や社会における適切な医療提供の促進、それらの課題を解決するために、平成27年度も引き続き記載したような具体的な研究課題に対して研究を推進していきたいと考えております。

 これらにより、普及啓発や肝炎ウイルス検査の促進、また、最終的には適切な肝炎医療の推進に加えまして、これらの行政施策や研究班の成果の評価というものを行い、国内最大級の感染症である肝炎の克服を目指した診療体制・社会基盤の整備を図っていきたいと考えております。

 以上です。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 IIIの疾病・障害対策研究分野は非常に幅広いので、若干量が多かったと思いますが、御意見、御質問ございますか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員

 小さいことですけれども、予算のところに「要求額」と「要望額」という2つの言葉が出てきて、両者が同じ場合もあるし、片方が多い場合もあるのですが、これはどういう違いなのですか。

○中山研究企画官

 予算要求の仕方の中で、裁量的経費という場合には前年度予算から例えば10%なりを削減して、それを基本の要求額ということで要求するというタイプと、そこに要望額として乗せて予算要求をするという、2つのタイプがあるのです。その違いを「要求額」「要望額」と言っているということでありまして、要求額というのは、基本的にほぼつくであろうというタイプの予算。要望額というのは、例えば政府全体で健康医療戦略を進めているというところがあるので、さらに上乗せで乗せられないかということで要求するというタイプの額であります。

 これは政府全体の政策の必要性に応じてつくか、つかないかわからない、もしかしたらつかないと思ったほうがいいというぐらいの要求額として見たほうがいいということでありまして、ここで書いてあるのは、それを分けてある場合と一緒に書いてある場合とが混在していますので、確かにわかりにくいというところがあります。これについては、最終的なポンチ絵の整理をする際に、今度は来年度の予算額というのが固まりますので、そこで幾らついたのかということ、かつ今年度予算は幾らだったのかということで、今後の額については統一した形で記載を整理したいと思います。

○松谷委員長

 どうぞ。

○齋藤委員

 今、各部局のお話を伺っていますと、疾病対策課で、例えば4142にエイズ対策政策研究事業というのがありますね。一方、1314に未承認薬評価研究事業というのがあって、これは研発課だと思うのですが、この未承認薬というのは、抗HIV薬のことが触れてあるのですが、これが別々に分かれている理由は、今までの経緯があるとか、あるいは予算をとるためにこうしたほうがとりやすいとか、いろんな理由があると思うのですが、本当は一体となって推進したほうがわかりやすいことはわかりやすいのではないかなという素人の感想です。

○中山研究企画官

 ここはいろいろと経緯があったと思いますが、実際のところは感染症課と研発課で多分。どうぞ。

○事務局

 健康局疾病対策課でございます。

 エイズと言えば、何となく健康局で全部やっている感じがするのですけれども、実は厚生労働省各局を挙げて対応をとっておりまして、副作用全体の把握というところは医薬局で実施をしている。新しい治療薬をとってくる、海外から未承認薬であるとか適応外を持ってくるというところは、医政局がもともと大きな形でやってございますので、その中でやっているというところ。エイズの総合対策ということを健康局で実施をしているというところでございまして、先ほど私が、そういう3つ合併している方々に対する医療ということで丸めて申し上げてしまったのですが、未承認薬のほうは、そういう形で医政局とやっておりまして、その他の移植医療でございますとか、そういったところで通常のものと異なるノウハウというところが必要と伺っておりますので、そういったところの実態把握というところは健康局でやらせていただいておりまして、何となく課が分かれていると別々にやっているように見えるのですが、定期的に集まって進捗の管理をさせていただいているので、そこはちゃんとやらせていただきたいと思っております。済みません。

 以上でございます。

○齋藤委員

 もう一点、済みません。しかし、未承認薬と言えば、何も抗HIV薬だけでなく、抗がん薬でもいっぱいありますね。そこのところはPMDAか何かがやっているのですか。ほかのところは。

○中山研究企画官

 未承認薬一般に関しては、未承認薬検討会議、正式な名前は違ったかもしれませんけれども、未承認薬に関する検討会があって、そこに対して必要なものについては、企業に対しての開発を要請するというような仕組みが厚生労働省の中にあります。

 これは担当課から説明してもらったほうがいいかもしれませんが、ここについては、エイズの原告団の和解でしたか、そういった政治的経緯があったということかというふうに思います。

○松谷委員長

 齋藤委員、よろしいでしょうか。

○齋藤委員

 はい。

○松谷委員長

 ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。どうぞ。

○若林委員

37ページ、38ページの認知症の政策研究経費ですけれども、認知症は非常に大きな問題になっているのですが、平成27年度の要求が0.3億円と26年度予算よりもかなり少なくなっています。AMEDのほうでそれをカバーするような予算があるのですか。これは社会的にも非常に大きな問題になると思うのですけれども、いかがですか。

○事務局

 こちらのほうは26年度予算が1.3億円ございますが、戦略研究が1億円分含まれていまして、来年度は戦略研究について取り組まないということで、3,000万が基本になります。こちらのほうは記載を間違えまして、修正させていただきたいと思うのですけれども、3,000万の大体9割ぐらいで要求しておりまして、要望のほうも数千万で要望しておりまして、そちらのほうのついた額は大体450万ぐらいといった事実関係でございます。こちらのほうは修正させていただきたいと思います。

○中山研究企画官

 補足ですけれども、認知症研究自体の重要性はおっしゃるとおりで、我々も十分認識しています。ただ、新聞などの報道でも御存じかもしれませんが、J-ADNIの問題というのがいろいろあったりということで、そこが解決するまでの間はというようなところで、研究についても保留という状態になっていたということは確かであります。そこについて一旦けりもついておりますので、来年度以降については、全体として限りある研究費ではありますけれども、認知症研究というものに対してはしっかりやっていかなければいけないというのが政府全体の方針としてありますので、そういった意味で、AMEDに行く予算も含め、しっかり対応していかなければいけない課題であるということは認識しております。

○松谷委員長

 若林委員、よろしいですか。

○若林委員

 はい。

○松谷委員長

 認知症の関係については、政府でまた新しい施策も打ち出されたようですので、その中で研究も進められるのではないかと思います。

 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。中村委員、どうぞ。

○中村(利)委員

 疾病・障害に関連するところまで伺って、まず今回のこういう大きな施策の変更、研究開発分野の中で創薬、医療機器、直接医療としての個人を対象としたといいますか、そういう研究開発はAMEDのほうに行くという感じが私はして、それで、今回疾病・障害についての話をお聞かせいただくと、それらの成果物ないしは現在ある治療法や医療機器を使って、それをどのように運用して、制度化して、ルール化して、より効率よくそういった成果物を使っていくかという、いわばマネジメントの部分がこの研究事業のほうに残ってきている、そういうわけではないかという気がしたのです。

 ですので、余り資料が大きくなると難しいかとは思いますが、特に疾病・障害に関連したところでは、また機会があれば、例えば認知症なら認知症で、どれぐらいのどういう分野がAMEDに行っていて、どういうものがこちらに来ているかというものが一度見える機会を私たちにつくっていただけるとありがたいです。皆さん、よくわかっておられるようですが、私たちにはそれが見えませんので、よろしくお願いします。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 次回以降の議論の中でも非常に重要な論点だと思いますので、現状の考え方の整理をまずしていただく。それを来年度以降、どういう形で整理すべきかについては、この委員会として意見を出してもよろしいところだと思いますので、まとめの中でまたそこを御議論いただきたいと思います。

 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

○中村(耕)委員

 今の中村先生の御意見とも関係があるのですが、AMEDとこちらでやるのが車の両輪でというのはそのとおりだと思うのですが、その関連づけのところはどういうふうに理解できるようになるのか。

 私の場合ですと、障害にかかわるわけですけれども、全く切り離されるわけでもないところもあります。AMEDのほうの領域の進捗状況が、今、中村先生が言われたように、マネジメントのところへ来るときに、その進捗がどこまで行っているのかというのがわからないと、それが政策推進研究のところの根拠になるような場合、その辺の関連づけをどのように理解できるようになるのかということです。

 両輪といっても、全く別個に走っているわけではなくて、間につないでいるものがある場合、その辺、理解させていただけると大変ありがたいなというふうに感じております。可能であれば、よろしくお願いしたいと思います。

○松谷委員長

 ありがとうございます。

 次の議論に少し入りかけてまいりましたけれども、IIIのところで特になければ、IVの御説明をいただいた後に今の議論に戻りたいと思います。IIIの関係で何かほかにございませんでしょうか。

 では、よろしければ、続きまして、IV、健康安全確保総合研究分野につきまして、事務局から説明をお願いします。

○中山研究企画官

 それでは、最初に地域医療基盤開発推進研究事業をお願いします。

○事務局

 医政局総務課でございます。

 地域医療基盤開発推進研究事業について御説明申し上げます。医政局が研究内容の計画主体となりまして、効率的な医療提供体制の構築、医療の質の向上を目指し、また、新たな医学・医療技術や情報通信技術等を活用し、地域医療の構築を後押しするといったことを目的としております。また、災害時に備えた医療提供体制に関する研究も限られた予算の範囲内であわせて実施をしているところでございます。次年度の総予算額は2.7億円を予定しております。

 研究の報告自体でございますが、施策や関係者のネットワーク構築というものに反映されるものが多いという状況でございます。今までの実績例といたしましては、院内感染専門家ネットワークの形成、臨床データベース構築の参考にするなど、また、医師臨床研修制度や看護師国家試験の改善に資する形でも研究成果が活用されております。

47ページの中ほどの資料にもございますように、研究課題は大きく4つの柱で集約されます。

 1点目が医療提供体制の構築・整備。

 2点目が良質な医療の提供。

 3点目が医療人材の育成・確保。

 4点目が大規模災害時の医療確保でございます。

 例示でございますが、例えば(1)の中では、現在、国の検討会で議論が進行しておりますいわゆる2025年問題を見据えた地域医療構想につきまして、各自治体で具体的な構想、計画を策定する際の目安となるものに資するような材料といったものを研究していただいているところでございます。

 また、(2)の良質な医療の提供ということに関しましては、診療ガイドラインの作成・普及のさらなる後押しをする施策に関して、また、遠隔医療の普及、電子カルテの普及・促進ということについても研究事業を実施しているところでございます。

47ページの資料の中で「(新)」に加えてアンダーラインが引いてあるものに関しましては、48ページのパワーポイントで御説明いたします27年度の新規公募課題ないしは新規指定研究課題とすることを予定しているものでございます。

48ページのほうは、平成27年度の新規の研究事業の内容の例示でございます。こちらも時代の必要性というものを反映した新たな研究課題を設定できればということで検討しておるところでございまして、1つ目といたしましては、「良質な医療の提供」というカテゴリーのもと、高齢化社会における死因究明の推進に関する研究、脳性麻痺の発生状況と産科医療補償制度に関する研究。

 「(2)医療人材の育成・確保」という観点では、看護職員の確保に関する研究、保健師、助産師、看護師の基礎教育における臨地実習での教育体制のあり方に関する研究などを行う予定でございます。

 行政庁が開催する検討会では深く掘り下げることが難しい、また、純粋な競争的資金では研究対応が難しい課題に関しまして、有識者の方々の御協力をいただきながら、課題解決につながる御提言をいただけるような研究事業の運営を今後も続けてまいれればと考えております。

 以上でございます。

○中山研究企画官

 次に、労働安全衛生総合研究事業です。よろしくお願いします。

○事務局

 安全衛生部計画課の船井です。よろしくお願いいたします。

 私ども労働安全衛生行政が所管しております行政のミッションは、次のページの1番目にあります「職場での健康安全リスクとその対策」ということでございまして、いわば労働者の健康と安全の確保でございますけれども、これは国民生活の安全という観点だけではなくて、我が国の社会・経済を支える労働者の方一人一人が安全に安心して働けるという観点からも非常に重要な行政課題であるというふうに認識しております。

 これらの課題に対する対応につきましては、施策を展開する上で、科学的、医学的なデータやエビデンスに基づいた施策展開というのが必要不可欠でございまして、厚生労働科学研究費におきましてはその一翼を担ってきたという経緯にございます。

 現在私どもが抱えている課題、たくさんございますが、中でも、上のスライドの右側にありますように、新たな課題に対する対応ということで、メンタルヘルスの問題でありますとか、化学物質の管理の問題、社会・経済情勢の変化に伴う新たな課題への対応。労働災害の発生状況を見ても、かなりサービス産業化というのが進んでおりまして、従来型の対策がなかなかとりにくくなってきている。こういった課題もございます。

 そのような新しい健康上のリスク、または社会・経済情勢の変化に対応して、最新の技術や知見を踏まえて必要な規制の見直しを展開していく。そのためにも厚生労働科学研究費に求められる役割というのは、これまで以上に増していると考えております。

 下のスライドに移りまして、私どもが行政ミッションを進めていく上で、中期計画、5年計画を定めておりまして、「第12次労働災害防止計画」と言っております。その目標は、資料にありますとおり、計画期間中に15%災害を減らしましょうということでございまして、そのための重点対策ということで、4つの柱を掲げております。

 厚生労働科学研究費補助金で実施させていただく研究につきましても、この重点の柱に沿った形でやっておりまして、平成27年度につきましては、特に下のところにあります行政推進施策が及ぼす事業場における取り組みや労働者の安全意識、健康面での効果に関する調査研究という柱で、大きく分けて安全分野、健康分野、それぞれ27年度新たにやらせていただきたいということで要求をしております。

 額につきましては、2枚目のスライドの上のところにありますように、8,800万円ということで、要求額、要望額を合わせてお願いをしているところでございます。

 ただ、この額につきましても、平成14年度にこの安全衛生総合研究事業をスタートしておりますけれども、そのときに比較しますと大体3分の1ぐらいでございます。5年前との比較でも大体3割減ということでございまして、非常に厳しい状況にある。

 冒頭申し上げましたように、労働者の健康と安全の確保というのは、全国5,300万の労働者の方々が日本の経済成長を支えているわけでございまして、その基盤となる、災害に遭わないということを実現するためには、ぜひとも必要な研究でございますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○中山研究企画官

 それでは、食品の安全確保推進研究事業とカネミ油症に関する研究事業をあわせてお願いします。

○事務局

 食品安全部企画情報課でございます。

 それでは、食品の安全確保推進研究事業とカネミ油症に関する研究事業をあわせて御説明させていただきます。

 まず最初に、食品の安全確保推進研究事業でございますが、こちらは国民の健康の保護を最優先といたしました食品安全行政の下支えをする研究を実施しております。近年、食生活が多様化し、食品分野における各種技術の進展、生産や流通のあり方も複雑化しております。こうした中、放射性物質の問題、O157などの病原性微生物などによる大規模食中毒の発生、BSE対策の見直し、科学物質や重金属による汚染、さらにはここ最近世間をにぎわせておりますが、異物混入事件の発生など、食品の安全をめぐる課題は枚挙にいとまがございません。

 このため、厚生労働省としては、科学技術の進展、食品流通の広域化、国際化などに応じて食品の安全性の確保のための施策を迅速かつ確実に進めていく必要がございます。

 当省は、御承知のとおり、リスク管理機関として食品衛生法に基づく食品添加物、食品に残留する農薬などの規格基準の策定、また、その基準が守られているかどうかの検査・監視を行っております。これらのリスク管理措置は、全て科学的データに基づき実施する必要があるため、本研究事業を最大限に活用しているところでございます。

 本事業では、食品に関するさまざまな危害要因について、最新の科学的知見、海外の対応状況などの情報を収集し、それらをもとにリスク評価の必要性について検討を行い、必要に応じてリスク評価のためのデータの収集をいたしております。

 リスク評価は食品安全委員会において実施されますが、リスク評価後、速やかに規格基準の策定や検査・監視などのリスク管理措置を開始するために、検知法の開発も同時に行っております。

 また、一旦策定いたしました規格基準や、引き続きその状況が変化する中で、妥当性の検証も引き続き実施していく必要がございます。

 このように本研究事業で実施している研究は全てリスク管理措置やリスクコミュニケーション等の食品安全行政施策に直結しており、このため、各担当者は日ごろより各研究班と密にコミュニケーションをとり、情報交換をしながら研究を進めていただいているところでございます。

 最後に、本事業のもう一つの重要な役割として食品分野の専門家の育成という側面があることも申し添えさせていただきたいと思います。現在、残念ながら食品分野の専門家が大変少なく、今後もふえ続ける食品をめぐる課題に対応するための専門家の育成が喫緊の課題となっております。本事業を通じて、若い研究者の方々に食品分野の研究に取り組んでいただき、将来、専門家としてリスク管理、リスク評価を含めた食品のリスク分析において御活躍いただけることを期待しているところです。

 また、本日説明している他の事業も同じような状況かと思いますが、過去5年間で本事業は半分にまで縮小されております。これ以上の縮小は施策を実施する上で支障を来すのではと、担当としても大変危機感を抱いているところでございます。

 引き続きまして、カネミ油症に関する厚生労働研究を御説明いたします。

 カネミ油症につきましては、発生当初より厚生労働省において研究を実施しておりましたが、平成24年8月に成立いたしましたカネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律において、国の責務として位置づけられたところでございます。こちらも着実に進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

○中山研究企画官

 続きまして、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業をお願いします。

○事務局

 医薬食品局でございます。

 資料のほうは55番のところになります。いわゆる薬事行政という行政分野におきましては、こちらのほうに4つほど挙げさせていただいておりますけれども、医薬品・医療機器などの審査、安全対策、監視、被害救済などのほか、例えば薬物乱用防止対策とか、献血・血液関係の事業、薬局・薬剤師関連の分野などがございます。

 こちらの中で緑で色をつけておりますけれども、例えば医薬品・医療機器などの横断的な研究、具体的にいきますと、製剤技術の開発とか毒性評価の開発といった研究分野とか、新しい製品開発を進めるための指針とかガイドラインづくり、環境整備といったものにつながるような研究につきましては、今度できます医療研究開発機構のほうで実施する研究として進める予定でございます。したがいまして、この4つの分野でいきますと、上のほうにあるところでは緑の部分が多くなるというイメージでこの資料をつくっております。

 一方、厚生労働省の行政として、例えば行政権限として執行するような検査、取り締まりにつながるような研究とか、具体的な行政施策を検討・立案するためのベースとなる調査・分析につながるような研究といったものにつきましては、引き続き厚生労働省のほうで実施する予定にしております。

 具体的には、下のほうに幾つか挙げておりますけれども、例えば献血推進のような研究ですとか、この研究を始めたときには、まだ「違法ドラッグ」と呼んでおりましたが、危険ドラッグの取り締まりにつながるような研究、それから美白の薬用化粧品で起こった問題の原因究明などにつながるような研究につきましては、厚生労働省のほうで引き続き実施するというイメージになりますので、この研究事業のほうでこれからも実施するということになります。

 以上でございます。

○中山研究企画官

 次に、化学物質リスク研究事業をお願いします。

○事務局

 医薬食品局の化学物質安全対策室でございます。

 まず、化学物質の安全対策に関しまして御説明いたします。57ページをごらんください。

 既存の取り組みといたしましてどういうものがあるかといいますと、例えば化学物質の審査規制法に基づいて化学物質のリスク評価を行っていたり、毒物及び劇物取締法に基づいて毒物劇物の有害性調査、それを通して毒物劇物の指定というものを行っていたり、シックハウス対策として室内空気化学物質の実態調査や、測定方法を検討したり、家庭用品の規制法に基づいて家庭用品に含まれる有害物質の試験・検査や基準の設定などを行ったり、あるいはナノマテリアルの安全対策や内分泌攪乱物質の対策などを行っております。

 こういった既存の取り組みに対して必要な課題や新たな課題が出てきておりますので、57ページの右下に書いてございます4つほどの課題につきまして、厚生労働科学研究におきまして実施しております。

 続きまして、58ページをごらんいただければと思います。具体的にどういう課題かと申しますと、中ほどに書いてありますように、一つ目が化学物質の評価方法の迅速化・高度化・標準化ですが、これはトキシコゲノミクスや定量的構造活性相関などの手法に基づきまして化学物質のリスク評価を行っているものです。

 その横に行っていただきまして、2つ目が化学物質の子どもへの影響評価ですが、これは乳幼児や胎児などの化学物質に対する高感受性集団、そういった方々に対する安全性が未解明というところもありますので、こういった分野を研究しております。

 斜め下に行っていただきまして、3つ目がナノマテリアルですが、こういった素材の安全性に関しまして、その評価がまだ確立していないということもございますので、こういった素材の体内動態や安全性評価の手法に関しまして研究をやっております。

 その横に行っていただきまして、4つ目が室内空気汚染対策ですが、いわゆるシックハウスにつきまして、室内濃度の指針値を10年ほど前に定めておりますけれども、指針値を定めた物質以外のものについてもいろいろと問題などが指摘されておりますので、そういったものに対しまして有害性情報を集めたり、調査研究を実施しているものでございます。

 平成27年度は4.3億円要求しておりまして、引き続きこういった研究分野の研究成果を出して、既存の枠組みにおける取り組みに活用・反映させていくことが非常に重要だと考えております。

 簡単でございますが、以上でございます。

○中山研究企画官

 それでは、最後に健康安全・危機管理対策総合研究事業をお願いします。

○事務局

 健康局がん対策・健康増進課地域保健室でございます。

 健康安全・危機管理対策総合研究事業について御説明させていただきます。59ページ、60ページを御確認いただければと思います。

 本研究事業は、健康危機管理・テロリズム対策研究分野、地域保健基盤形成に関する研究分野、水安全対策研究分野、生活環境安全対策研究分野といった4つの研究分野から成り立っております。

 その研究成果につきましては、それぞれの担当であります厚生科学課健康危機管理・災害対策室、健康局地域保健・保健指導室、水道課、生活衛生課、それぞれの施策に活用することにより、国家レベル、地域レベルでの健康危機管理基盤の形成、水道及び生活環境の安全性の確保を行い、安心・安全な国民生活を確保することを目的としたものでございます。

 健康危機管理の根拠となります知見のほうは、学際的な学問分野により得られ、その体制・仕組みは法制度、社会状況等を踏まえた実践により構築されていくものでございます。

 国民の健康と安全、効果的な健康危機管理体制を確保するために、平成27年度におきましても、下の60ページにございますように、それぞれの行政課題に合わせた研究の実施を予定しているところでございます。

 簡単でございますが、以上になります。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 IVの健康安全確保総合研究分野について御説明いただきましたけれども、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員

 全般に関することですが、この数年、疾患ごとの対策基本法という法律ができていますね。難病とかアレルギー疾患とか。脳卒中も今、対策基本法を審議中と伺っています。肝炎もそうです。そういう法律をつくることによって、今までの国庫補助金として研究補助をするのは、形を変えた予算のとり方といいますか、これは行政研究だけでなくて、AMEDのほうもそうなのですが、それは変わってくるのですか。法律ができようと、できなくても、その辺のところは変わらないのですか。

○松谷委員長

 御説明いただけますか。

○椎葉課長

 結論からいうと、ほとんど変わらない感じです。最近、議員立法でいろんな対策法ができることが多いのですけれども、その中で、研究というのは、「必ず国の責務」というふうに入るのですが、それに基づいて研究費が増額されるとか、そういったことはほとんどなく、現状を追認するという形が多うございます。

○齋藤委員

 では、法律ができても、研究費がある程度保証されるというわけではないわけですね。

○椎葉課長

 残念ながら研究費はほとんどふえないというのが現状でございます。

○松谷委員長

 法律の中身によるのだろうと思いますが、国庫負担が条文上明記されれば、当然義務的経費となりますが、事柄の性質上、疾病対策について国が義務的経費を規定するということは、今までの立法ではほとんどないと思います。かつての結核の強制入院であるとか精神の措置入院であるとか、そういうものは義務的経費になりますが、それ以外、今、議論されているようなアレルギーであるとか肝炎であるとか、そういうものについては予算措置として行われるという状況は余り変わらないのではないかと思います。

 ほかにございますでしょうか。岸委員、どうぞ。

 

○岸委員

 きょうのこのお話で27年度のことと昨年度のことはよくわかったのですが、やはり研究開発とか研究の維持と申しますか、重要な分野が過去5年、10年ぐらいどのように動いているのかということは、今後のことを考える上で重要ではないかと思うのですが、その辺の資料は、例えば次回とかというふうに出てくるのでしょうか。

○中山研究企画官

 準備することは可能だと思いますので、準備する方向でやらせていただきたいと思います。

○松谷委員長

 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。大野委員、どうぞ。

○大野委員

 大野ですけれども、全体としての仕事の内容というのはいいというか、余り文句はないのですが、食品の安全確保対策における研究において、専門家の育成というお話がございました。全体としてこの分野の研究の後継者の育成というのはどういうふうに考えておられるか。今の状況を見ると、非常に苦しい状況になっている。研究を担当している人が、もう後継者がいないような。それぞれの分野ごとに1人でやっているところが多い。少なくとも2人いれば、中心になった人がやめた後でもまた継続できるのですが、今のやり方というのは、どうしても足りない時は派遣職員とかそういう人を雇用してやっているわけですね。そういう人は後継者にならないですね。そういうこともこういう重要な分野については考えておかないといけないのではないかと思ったのですけれども。

○中山研究企画官

 おっしゃるとおりかと思います。研究費の中で人材育成というものに取り組む場合には、これまで厚労省としてはリサーチレジデントという仕組みを設けて取り組んできたという部分がございますが、実際のところそれぞれの分野でリサーチレジデントの制度を維持できないというか、できなくなってきているという状況があると思います。

 一方で、AMEDに行くほうについては、AMEDの仕組みを活用して、リサーチレジデントに相当するような人材育成の仕組みを導入しようという動きがあるというのも事実でありまして、ただ、厚労省に残るほうの研究費について、それに相当するようなものをどうするのかというのは、課題として残ったままの状況です。実際に研究費の事業規模を拡充していくことがなかなか難しいというような現実もあって、そこに回せるだけのお金もあるのかという話もあります。

 ですから、ここについては、今、どうするのかということで速やかにお答えはできないのですが、1つの課題としては認識しつつ、検討はさせていただきたいということにとどまざるを得ないという状況です。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 それでは、時間も押してまいりましたので。何かございますか。吉倉委員、どうぞ。

○吉倉委員

どこで発言していいかよくわからなかったのですが、結局、こういうぐあいにしてAMEDのほうの予算が膨らんで、こちらのほうは減る、ということは、例えば感染研なり食品衛生研究所なりにすれば、両方からお金が来るわけですね。そこの中の人員とか年度予算は決まっているわけですよ。だから、その組織の中でどちらから金を取るかという話になるわけです。もしもこの厚生科学関係の金が減れば、金を稼がないから、その関係の人員或いは事業に必要な年度予算を減らさざるをえない。それをどうするか。

 今の場合、減ったのはしようがないとしても、減ったからには、これを厚労省関係の、この中で何とかして有効利用しなければいけない。従来どおりの事をここに書いてあるのは大変いいのだけれども、金がないのだからこんなことはできない。もっと効率を上げなければいけない。そうすると、厚労省の場合だと、私の知っているのは感染研と食品衛生研究所と人口問題研究所ですが、行政とぴったり、あるいは行政機関と言っていいようなところがあるわけですね。そういう中で、先ほどの話で、AMEDからも予算が来るかもしれない。では、予算をとったらいいだろうと。そうすると、どうなるかというと、AMEDの場合は、事業費でやっていた事業も、AMEDの業績としての評価になりますから、当然そういうのはAMEDの目指す開発には該当しない。評価が下がる。そうすると、だんだんじり貧になるわけですね。

 私が東大に移ったのが1984年ぐらいで、その当時から研究費が非常にふえたのです。私は、がん研究費で、教室を運営していましたが、それで教室の使える金はふえた。しかし、講座費はどんどん減った。最後には100万ぐらいで、学生実習もできない。学生実習をやるために、がん研究費の中で費目のよさそうなもので買って、それで学生実習をやる。これをきっかけに厚労研究もそういうことになると、厚労省としての施策をやる上で、特にリスクアセスメント、食品の企画課の方が言っていらっしゃいましたが、非常に困るだろう。

 この表題が開発以外の研究というが、「以外の研究のコア(核心)は何だ」と。大雑把で何もわからない。「以外」ですからね。「以外」の中でのコアは一体何だろう。それをきちんとしないと、この議論は先に進まないのではないかと私は思います。だから、厚労省、AMEDも含めて、俗称「以外の研究」のコアとは一体何だと。そこのところをはっきりさせないと、うまくないのではないか。

 それから、今、言いかけた国研を行政機関としていかにうまく使うか。それをやらないと、散漫で、規模だけ小さくなった事業になる。今のところそんなような印象を持ちますけれども。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 論点が2つあったと思います。1つは国研の問題、後半は当委員会の一番核心の部分の議論ということだと思います。

 課長から何かございますか。

○椎葉課長

 関連して。参考資料2の一番下「医療分野の研究開発以外の研究については、国民生活の安全や衛生水準の向上を図るために必要不可欠な基盤的研究」ということで、一応こういう整理をしておりまして、これは国民生活の安全や衛生水準の向上を図るために必要不可欠な基盤となる研究だと。これについてはきちんとやっていこうということで、そういう位置づけにしております。ありがとうございました。

○松谷委員長

 吉倉委員。

○吉倉委員

 もう一つ、これだけ金が減ってきて、しかも、施策のためのいろんな課題が多い場合には、いわゆる研究をやる人と、言ってみれば厚生労働省、あるいは地方自治体の関係部局かもしれないけれども、それとの直接の対話が従来以上に必要になると思うのです。要するに、金を減らされた分だけどうやって効率を上げるかという話なのです。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 中村委員、どうぞ。

○中村(利)委員

 簡単に言います。同じようなことを言っているのですが、アドミニストレーションもサイエンスが必要なのです。ですから、私は、先ほど「マネジメント」という言葉を使いましたが、研究課題の概要をお伺いして、それの行政政策との関係もお伺いした。今後を考えていくと、それらの事業をどういうふうにサステーナブルにするかというタイプのものとアドホックでいいもの、そういう仕分けをまずして、その上でサステーナブルに必要なものの事業については、そういう観点を打ち出していくということが、今後この分野、AMEDと分かれたこういう研究課題の推進には必要かと思います。

○松谷委員長

 ありがとうございます。

 研究をする側の目で見てもう一度整理をし直すということだと思うのですが、それに関連して、きょう関係の学会から参考人として、お二人御出席いただいております。参考人からヒアリングをしたいと思いますけれども、その経緯について、事務局から簡単に御説明をお願いします。

○中山研究企画官

 簡単に説明させていただきます。

 お手元の参考資料3をごらんください。平成26年9月4日付で日本衛生学会、日本産業衛生学会、日本公衆衛生学会の3学会が緊急提言ということで、いわゆる厚生労働省に残る研究の重要性というものについて提言を出していただいたという経緯がございますので、今回、その学会を代表してプレゼンをしていただく機会を設けたということでございます。よろしくお願いします。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 それでは、もう準備ができているようですので、日本公衆衛生学会及び日本衛生学会の相澤参考人から御発言をいただきたいと思います。

○相澤参考人

 皆様、おはようございます。相澤でございます。きょうは、こういった意見陳述の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

 先ほど御紹介がありましたけれども、この緊急提言の作成に携わったために、きょう意見陳述をさせていただく機会を与えていただきました。ありがとうございます。

PP

 まず、学会の説明でございますけれども、衛生学会は非常に歴史のある学会でございまして、昭和4年からできてまいりました。「人間・環境・健康の包括的理解を目指す」ということで、学会総会、雑誌、英文誌、連携研究会というようなことをやっております。会員は2,000人程度でございます。

PP

 公衆衛生学会は、戦後、アメリカの政策によってできた学会でございますけれども、衛生学会よりも応用的な、政策的なことを研究している学会でございまして、公衆衛生専門家の認定もしております。会員数は8,000人程度でございます。特に地方あるいは中央の衛生関係の行政の方も入っております。

PP

 「衛生学」というものでございますが、いろいろな学問分野がございますが、例えば人間の科学とか、あるいは環境の科学、そういったものを統合して人間と環境の総合作用の科学を研究するもので、最終的には人類社会の健全な発展を目指すということで、人間が健康で長生きするための方法を科学的に考えて実践する学問でございます。対象の学問、あるいは手段の科学というのがあると思いますけれども、衛生学は目的のための学問であるということでございます。

PP

 先ほど来いろいろ御説明がありましたが、厚生労働科学研究費とAMEDの関係でございます。これは平成26年度の予算でありますが、大体500億ぐらいあるところが、AMEDのほうに400億が移行して、その中に従来の厚生科学研究費の研究も入るわけでありますけれども、新独法以外のものが100億になっておりまして、これは医療分野の研究開発を除く研究で、国民生活の安全、保健福祉サービスを必要とする者への介入・支援等の手法開発、社会保障制度のあり方についての研究がこれに入るわけであります。

 総合科学技術会議で平成26年度に議論がされたようでございますが、国民生活の安全性の向上ということも非常に重要であるということが認識されております。

PP

 これは26年度と25年度の予算の内訳でございますけれども、先ほど来話がありましたが、行政政策研究分野など、赤字のところが減っているところでございます。マイナスの差額がここにありますし、パーセントであらわしますと8割から9割程度に減少している。減少しているところとふえているところがあるのですが、ふえているところは、いわゆる疾病・障害対策の分野でございます。10%ぐらいふえて、その分だけ健康安全確保総合分野、地域基盤、労働安全衛生、食品衛生、健康安全・危機管理、行政対策のところが減っていって、また来年も減っていくと。ずっと減り続けるということで、非常に危機感を持っております。

PP

 これは平成27年度の公募研究事業の内容でございますが、これは先ほどお話があったとおりでありまして、IとIVに挙げられておりますが、非常に大事なテーマがございます。

PP

 この傾向がずっと続きますと、疾病や対策の実施状況の把握が困難になってまいりますし、エビデンスに基づく政策の展開、あるいは対策の実施が困難になっていく。効率的・効果的な対策の実施が困難になる。対策実施における施設や地域的な格差の是正の解消が困難になります。国際的な研究が減少する。人材確保。これも他分野に流出しますし、また、育成の停滞が起きますと、最終的には国民の健康維持・推進を脅かされるということになります。健康危機感体制が脆弱になる。 働く人の安全衛生確保が不可能になるわけであります。

PP

 そこで、先ほどの緊急提言の要旨でございますけれども、食品衛生、安全衛生、そして健康安全・危機管理の分野は、政府が主導する経済成長に直接的につながるものではありませんが、国民の安全あるいは健康の確保を図る上で非常に重要なものであって、しかも、それは安倍首相が唱える経済成長の基盤となるわけであります。

 予想される予算の削減は、疾病予防と健康増進にかかわる研究の推進を妨げますので、国民生活の安全と健康確保に影響することになります。

 この3つの学会は、これらの分野にも十分な予算をつけて研究推進を可能にする等の環境整備を強く要望するということを出させていただきました。

PP

 さらに、今まで予防対策が人類にとって非常に役立ったという例をお見せいたします。天然痘でございますけれども、種痘を世界的に広げた方が日本の蟻田功先生でございまして、WHOの職員といたしまして、1966年から予算をつけて、1975年にアジア最後の患者、1977年、アフリカで最後。そして、1980年にWHOの総会で天然痘の根絶宣言を行いました。

 お金に換算するのは余り好きではないのですが、天然痘撲滅に13年間で3億ドルを使った。これは米国の心臓バイパスの手術費用2カ月分ということで、わずかな額であったわけであります。

 それ以後、種痘や治療に要した年間10億ドルの節約が可能になったということであります。

PP

 もう一つは化学物質暴露の影響でございますが、旧来、非常に高濃度の暴露で、中毒とか職業病が発生したわけでありますが、現在問題になっているのは低濃度暴露の影響でございます。

 内分泌攪乱作用とか、シックハウス症候群、アスベストの問題、それから母体への化学物質暴露による小児への影響、ナノ粒子の暴露影響、あるいは未規制物質の有害性評価といったことがございます。

PP

 例えばシックハウス症候群につきましては、1970年ごろから欧米で言われました。これはビルでの健康影響でございましたけれども、日本では建築物衛生法がございまして、定期的に調査をしたり、人材育成をしております。それがありましたので、日本では余り問題にならなかったのですが、一般住宅で問題になりまして、いわゆる「シックハウス症候群」という名前がつきました。これに対して厚生労働省が班会議をつくっていただきまして、石川先生、岸先生が班長なられております。岸先生が全国疫学調査をしております。私も班長として診断基準の作成等をして、その後も現在まで続いております。

 その効果として、建築基準法が改正されて、シックハウス症候群というのは、少なくとも以前よりは改善されているというふうに確信しております。

PP

 公衆衛生と医療の違いでございますけれども、臨床の先生がおられるのですが、公衆衛生は、対象が国民全体であり、一生の対策であります。医療の場合は、患者さんを対象として、治療期間に適用される。それに比べれば、公衆衛生的な対策というのは非常に大きい影響があるのではないかと思います。例えばコレラあるいは脚気、結核、天然痘、がん予防、生活習慣病等については、公衆衛生的な予防対策が非常に重要であると考えます。

PP

AMEDでがん、感染症、難病、医療分野の研究開発が重点化されて、進むわけですが、基礎研究として、非常に重要な課題であることは確かでありますが、残されたリスク評価に関する研究、あるいは社会医学的な研究、保健医療政策研究についても非常に大きな研究の重要性がございますので、国民生活の安全に関する研究、保健福祉サービスを必要とする者への介入・支援等の手法の開発研究、あるいは社会保障のあり方についての研究ということが進みませんと、的確な政策ができないということになります。

 規制の制度化とか、指針・マニュアルの作成、あるいは社会保障の新たな仕組みをつくる上ではこういった研究は非常に重要であるということは言うまでもございません。

PP

 国民生活の安全に関するもの。例えば感染症あるいは食品は非常に重要なことで、保健福祉サービスについては、生活習慣病、児童虐待のこと、あるいは社会保障のあり方、医療提供体制、社会保障制度の維持ということも、非常に重要であります。

PP

 これはこの委員会で考えていただきたい内容でございますけれども、食品衛生分野では、保健分野におけるレギュラトリーサイエンスの中で行われる必要がありますし、食品のリスクマネジメントには科学的な根拠とリスク評価、あるいはリスクコミュニケーションが必要です。食品の流通についても、国際協調と科学的根拠が求められますので、膨大な科学的なデータを示すことが求められております。微生物につきましても、科学的根拠のある数値を示すことがコーデックスで求められておりますので、関連する情報を世界貿易機関(WTO)に公開することが義務づけられておりますが、先ほど、人材育成の話がございましたけれども、微生物を培養することができないような若い技術者もいるということです。遺伝子診断が進んでおりますが、基本的なことができない研究者もいるというようなことを聞いております。

PP

 もう一つは少子化高齢社会におきます社会保障の維持のことでありますが、昨年亡くなりました宇沢弘文先生が「社会的共通資本としての医療」ということを強調されています。社会的共通資本というと、自然環境、あるいは社会的インフラ、あるいは制度資本があるわけですが、その中に医療を捉えられて、経済学者でございましたけれども、非常に医療に対する造詣が深い方でございました。

 例えば英国のNHSの危機というのは、サッチャーの政策で崩壊して、「日本の医療費亡国論」というのを厚生次官が言われましたが、中曽根・小泉内閣で医師数が削減され、また医療費が抑制された結果、医療崩壊の危機が訪れたわけであります。幸いにして少し点数が上がったということで、多少よくなっておりますけれども、まだまだ医師の過重労働は続いております。国民のほうもそういったことを反映しまして、長寿、健康寿命は、世界で最も長い国の一つですが、国民の自覚する健康感は世界でも最低でありますし、受診回数も多いという現状であります。

PP

 医療と福祉のことです。日本の国民性は、個人よりも集団で行うことが強いのではないかと思います。日体大名誉教授の清原先生は、西洋は「自我と知識」、日本は「無我と智恵」の社会だというふうに言っております。今、地域社会が崩壊しつつありますので、在宅医療を行う上でも地域社会を再生する必要があるだろうと思います。

 職域のほうもだんだん変わってまいりました。正社員が少なくなって、職域中心の社会も瓦解しております。ですから、今、地域社会を再構築して、組織化していく必要があると思います。それを行うためにはこういった研究を助成していかなければならないと思います。

 また、医師の労働条件が非常に劣悪であるということでありまして、当直明けでも1日中診療をするというような、労働基準法違反の状態が続いております。それを何とか是正しなければいけないということ。また、医師の偏在も是正する必要があるし、あるいは高額な医療機器の規制も必要かと思います。また終末期医療のあり方について、真剣に国民的なコンセンサスを得ていく必要もあると思います。

PP

 これが北里先生、私の所属していた大学の学祖のお話でありますが、先生は熊本から出てまいりまして、25歳のときに東京大学の医学生になって、そのときの演説の草稿が「医道論」というものであります。予防医学とその普及の必要性を説いておりまして、「人が摂生法を知らないと身体を健康に保てず、健康でないと衣食住を満たせる理(わけ)がない」と。

 また漢詩を書いておりますけれども、「保育蒼生吾所期」。これは「人民に摂生保健法を説いて身体の大切さを知らせ、病を未然に防ぐのが医道の基本である」ということを言っております。「人間窮達君休説」というのは、そのころの東大の先生もそうだったのかもしれませんが、権力者にこびるとか、金持ちを相手にするというような臨床医だけではいけないということです。先生は「ドンネルの男」と言われておりますが、雷を時々落としたようであります。北里先生が雷を落とさないような厚生行政をぜひ進めていただくようにお願いしたいと思います。

 以上でございます。どうもありがとうございました。

○松谷委員長

 それでは、引き続き圓藤参考人に日本産業衛生学会からの御報告をお願いしたいと思います。

○圓藤参考人

 日本産業衛生学会の圓藤でございます。このような機会を設けていただきまして、ありがとうございます。

 それでは、説明させていただきます。

PP

 日本産業衛生学会は1929年に設立されまして、産業衛生に関する学術の振興と、勤労者の職業起因性疾患の予防及び健康維持増進を図り、もって我が国の学術と社会の発展に寄与することを目的とする学術団体でございます。

PP

1929年に設立しましたときには、民間工場、官営工場、陸海軍工廠の各工場医、鉱山・炭鉱病院の医師、内務省社会局技師、鉱務監督官、倉敷労研の研究者が集まりまして、行政官庁からの諮問、会員からの提起された問題を協議し、答申、決議、建議がなされておりました。

1919年にILOができまして、ILOの日本版、あるいは労働安全衛生に絞った研究を行う組織として、学会というよりも協議する場になっております。この原点にもう一度立ち返って考える必要があるのではないかと思っております。

 八十余年の学会の歴史の中で、許容濃度等に関する委員会が1961年に設立され、現在も続いておりまして、管理濃度と相まって作業環境管理、作業管理に資する仕事をしております。

 また、労働基準法検討委員会というのを1970年につくりまして、労働基準法を改正して、よりよい安全衛生に関する物事を検討してはどうかという委員会でございまして、それに引き続き労働安全衛生法が1972年に成立したわけですが、安衛法成立改正に貢献してきたと思います。そして、その活動は現在では政策法制度委員会として受け継いでおります。

PP

 本日お話しするポイントは3つございまして、ひとつ目は、政策研究・レギュラトリーサイエンスの分野における研究予算を十分確保していただきたい。

 二つ目は、そのうちの労働安全衛生に関する研究を戦略的に推進する必要がある。

3つ目は、学会としましては、「近未来の産業衛生に係る研究課題検討ワーキンググループ」の活動から課題を考えていただきたいと思っております。

PP

 本日問題になっております研究費でございますが、新独法の対象研究事業に対して、対象外研究事業ということになっておりまして、対象外研究事業と対象事業と、車の両輪とはいうものの、車輪の大きさが大きく違うのではないかと懸念しております。

 また、「新独法対象外」という言い方は、非常に曖昧な言い方で、何を焦点にするのか明確でないように見えます。本当は厚生労働行政の施策に資する研究ということで、本日の会はこの名称のことも御検討いただければと思っております。

 私どもは、厚生労働行政の政策研究であろう思っておりますし、それを裏づけるサイエンスはレギュラトリーサイエンス、広い意味でのレギュラトリーサイエンスとして理解したい考えております。

 そのうちの労働安全衛生総合研究事業は、25年度は1.1億円が減額されて8,800万円という少ない金額になっております。

PP

 日本学術会議は、昨年、「これからの労働者の心の健康の保持・増進のために」という提言を出していただいております。労働者の心の健康に関する研究の一層の推進の必要性、労働者の心の健康づくりに関する研究基盤の課題としまして、「独立行政法人日本医療研究開発機構の創設にともなう医療分野の研究開発予算の再配分の中で、労働者の心の健康づくりを含めた労働安全衛生の推進のための研究予算が減額されることがないように留意する必要がある」という提言をまとめていただいております。

PP

 また、労働安全衛生に関する研究を戦略的に推進する必要性。これは2000年に「21世紀の労働衛生研究戦略」というのをまとめていただきまして、重点領域I、II、IIIに分けまして、これらの研究課題につきまして提言しております。しかし、戦略に基づく研究の展開を提案いたしましたが、残念ながらその後、継続的な活動は一部にとどまっていると思われます。

PP

 さらに、今日の目で見直しますと、重要な労働安全衛生研究の2つの方向性があろうと思います。1つは労働安全衛生における健康危機管理のための研究の推進。例えば有害物質の健康影響評価と対策の技術基盤確立。また、事前予測型の研究の推進。もう一つは変化する労働現場を見据えた研究の推進。新しい労働安全衛生リスクの早期発見と対応、経営のグローバル化、生産技術の進歩、労働力構成の変化に対応した労働安全衛生のあり方でございます。

PP

 例えば労働安全衛生における健康危機管理のための研究の推進の必要性につきましては、2005年のときには兵庫県でアスベストの問題が起こりまして、一般住民に肺がん・中皮腫が多発していることが明らかになりました。専門家の間では、アスベストの取り扱い状況から肺がん・中皮腫が多発することは予測しておりましたけれども、十分な政策として成り立っていなかったと思われます。

PP

 また、2012年には大阪の印刷事業場で胆管がんが多発したことが明らかになっております。それは幸い厚生労働科学特別研究事業として取り組ませていただきまして、対応させていただきました。専門家ですら予測できなかった事案でも臨機応変に取り組む必要がございます。また、現場からのニーズや意見を聞きながらスピード感を持って取り組んでいただく必要があると思っております。

PP

 変化する労働現場を見据えた研究におきましては、このようなものを課題として挙げております。

PP

 日本産業衛生学会では、「近未来の産業衛生に係る研究課題検討ワーキンググループ」を設置いたしまして審議しておりまして、間もなく公表する予定にしております。

PP

 その研究課題は、このような産業保健一般、職業病・作業関連疾患。

PP

 さらに、健康増進、メンタルヘルス、これらの問題について課題を挙げております。

PP

 最後に、食品衛生、労働安全衛生、健康安全・危機管理をはじめとして厚生労働行政に関わる分野は多数ございますが、それらの政策研究・レギュラトリーサイエンスの分野における研究予算を十分に確保する施策を要望いたします。

 さらに、学会が進めております「近未来の産業衛生に係る研究課題検討ワーキンググループ」などがございますので、それらと連携して聴取していただき、御検討いただければと思っております。

 以上でございます。どうもありがとうございます。

○松谷委員長

 両参考人の先生方、大変ありがとうございました。

 ただいまの御説明について、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。では、若林委員、どうぞ。

○若林委員

 特に質問というわけではないのですけれども、関連事項として追加発言をしたいのです。日本毒性学会など関連4学会が12月の初旬に、総合科学技術会議に毒性学の人材が非常に少なくなっていて、毒性学自体の研究が疲弊している。ですから、それを見直さないと大変なことになりますというような要望書、意見書を提出したということを申し添えます。

○松谷委員長

 ありがとうございます。

 他に特にないようでしたら、時間も押しておりますので、最後の議題に進みたいと思います。

 本日は中身の審議に入る時間がなかなかなかったので、次回以降議論したいと思います。その上で、最終的に当委員会としての報告書をまとめる必要があると思いますが、まとめ方の案について、事務局から御説明をお願いします。

○中山研究企画官

 それでは、資料4でございます。本委員会では最終的に文章としての報告書をまとめたいと考えています。まとめ方なのですけれども、きょう、簡単ですが、全体を説明させていただいたそれぞれの研究事業ごとに、(1)といたしまして研究課題の概要ということで、先ほど御指摘を岸先生からいただいたので、ここの中で、これまでの経緯的なものも含めてということになろうかと思いますが、研究課題の概要を把握できるようにするということ。

 (2)として行政施策と研究課題というものの関係。こういった研究がないと、施策としてどういうところが困るのか、どういうところが重要なのかというところをまとめていく。

 さらに、今後の方向性というものがどういうところにあるかということ。

 (4)目標として、これはかなり難しいということは十分認識しているのですけれども、できるだけ数値化できるものは数値化する形での目標を掲げるということ。

 (5)としまして、これは中村先生からも御指摘いただきましたが、厚生労働科学研究費の補助金として残る研究とAMED補助金となる研究の2つが存在するというような研究事業も多々ありますので、そうしたものについての関係、全体像としてはどういうことになるのかということ。両方にまたがるものについては、そういったものの関係についてまとめるということを考えたいと思っています。

 さらに、きょう説明させていただいたポンチ絵につきましても、これはばらばらになっていますので、もう少し統一性を持って精査するという形で、参考資料としても添付するというような形でまとめていきたいと思います。

 次回につきましては、全文をまとめるまでにはいけないと思いますので、ある程度それぞれの事業についての骨子といいますか、そういったものをできるだけ作成しまして、それについて御意見をいただいた上で、最終的な文章をまとめていくという流れにしていきたいと考えています。

 以上です。

○松谷委員長

 ありがとうございました。

 (5)のその他というのが相当大事な部分になりましょうし、また、(3)、(4)のところが大事な中身になるわけですね。枠組みとしてはこういう形になろうかと思いますが、何か御意見ございますでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員

 今の(5)なのですけれども、2つの研究事業について、予算がどういう割合でなっているかというのは簡単に出ると思うのですが、本当に必要なのはどちらかという、質に踏み込んでディスカッションできるといいと思うのですね。お金の大きさだけでなくて、そこまでいけるかどうかということ。もしできたらいいのではないかなと思うのですけれども。

○松谷委員長

 大変難しい課題ですけれども、そこまでやらないと、多分この委員会の意味がないでしょう。

○中山研究企画官

 両方必要だということになろうかと思います。

○松谷委員長

 ほかにございますでしょうか。金子委員、どうぞ。

○金子委員

 社会科学的な研究に関してなのですけれども、国の健康医療戦略という大きな方針における社会科学的な研究というものの基本的な考え方、位置付けはどうなっているのでしょう。社会が大きく転換していく中で、今日、いろいろお話があったような広範な医療を体系化するようなことを含んだ、いわば健康長寿インフラといいますか、そういうものを構築するための社会科学的な研究というものが健康医療戦略の中でどのように考えられているか。それを踏まえた上で、AMEDのほうでは社会科学的な研究に関しては扱っていないというふうに理解していいと思うのですけれども、そうしますと、厚生労働科学研究のほうでそれをやっていくということになろうかと思うので、その辺を整理したものを用意していただければと思います。

 もちろん、全体の対象としている分野の中で、社会科学というのは、先ほど見たように、第1分野、行政政策研究分野ということになろうかと思いますので、そんなにたくさんの資料は要りませんので、1つまとめていただければというふうに思うのですが。

○松谷委員長

 ありがとうございます。今回の動き、総理が本部長になった大きな枠組みの中でできたのが健康医療戦略で、その中にはこの部分も含めて全てが入って、そのうちの一部をAMEDが分担するというような仕組みになっておりますので、その辺のことがわかるような形で資料を整理して、特に人文関係の分野がその中でどういうふうに位置づけられるのかがわかるようにということだと思います。

 ほかにございますか。吉倉委員。

○吉倉委員

 先ほどちょっと言い残したようなことと関係があるのですが、要するに、厚生科学研究というのは政策設定のために使うわけですね。それが施策に反映されるわけです。それがよかったかどうかというのを証明しなければいけないですね。要するに、エビデンス・ベースド・ポリシーメーキング。そうすると、エビデンス・ベースドというのは、今、経済学とかああいう本を読むと、データを本当によく使っていますね。だから、統計に出ないようなエビデンスでは困る。

 そういう意味で、厚生科学研究費の中で、統計情報部が統計をやっているわけですけれども、研究者が使えるような形、要するに、ビッグデータとして今後厚生行政で行われているいろんなことの結果が統計に出るように、それに基づいてこういうこと。これは長期スパンになるけれども、そういうシステムを考えた上でこういうのをやるべきではないかと思います。

○松谷委員長

 ありがとうございます。

 課題としてはなかなか難しい面もあるかもしれませんけれども。

○中山研究企画官

 難しい課題だなと今、思っております。

○松谷委員長

 吉倉委員のおっしゃるとおり、この分野に限らず、全てについて、これからの施策はそういう方向で行かなければならないということだと思います。

 ほかにございますでしょうか。時間が押しておりますが、この機会でございますので、本日の議題以外で何か御発言があればお願いします。よろしいですか。

○角野主査

 先ほどの各研究事業の説明のうちの政策科学推進研究の27年度要求額についてなのですけれども、4.6億円となっております。

 以上です。

○松谷委員長

 ありがとうございました。最初の質問に対する御回答ということですね。

 他に特になければ、座長が不慣れで時間を超過してしまいましたが、本日の審議を終えたいと思います。

 事務局から連絡事項がございましたら、お願いします。

○中山研究企画官

 次回については、改めて調整させていただいた上で、日程や開催場所については御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松谷委員長

 それでは、本日はこれで終わりにいたします。委員の先生方、本当にありがとうございました。


(了)

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