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2014年12月24日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成26年12月24日(水)14:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、延東委員、尾崎委員、佐藤委員、高橋委員、永山委員、根本委員、宮井委員、由田委員、吉成委員、鰐渕委員

事務局

山本基準審査課長、黒羽課長補佐、大田課長補佐、松倉専門官、小川専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局農産安全管理課 峯戸松課長補佐
農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 山木専門官 

○議題

(1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について
   ・動物用医薬品モサプリド
   ・動物用医薬品及び飼料添加物ラサロシド
   ・農薬及び動物用医薬品テフルベンズロン
   ・農薬クロラントラニリプロール
   ・農薬ジクロベニル
   ・農薬フルミオキサジン
   ・農薬マラチオン
   ・農薬クロチアニジン

(2)その他

○議事

○大野部会長 どうもお待たせして申しわけございませんでした。きょうの部会を開催したいと思います。

 事務局からお願いいたします。

○事務局 それでは、ただいまより部会を開催させていただきます。

 本日は石井委員、斉藤委員より御欠席されるとの御連絡をいただいておりますが、農薬・動物用医薬品部会の委員14名中12名の御出席をいただいておりますので、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立していることを御報告いたします。

 利益相反に関しまして、過去3年間における寄附金等の受け取りについて事前に各委員に連絡を行ったところ、クロチアニジン、フルミオキサジン、マラチオンについて該当がございました。これら3剤につきましては鰐渕委員より審議で意見を述べていただくことはできますが、最終的な議決に参加いただくことはできませんので御報告させていただきます。

○大野部会長 ありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。初めに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局 本日お配りしました資料は、まず議事次第と配付資料一覧、さらに委員名簿と関係省庁の方の出席者の名簿をつけた資料の次に座席表がございます。

 その後ろに、本日御審議いただく品目につきまして、それぞれ資料1-1、資料2-1のように報告書を資料8まで配付させていただいております。

 その後ろに資料1-2、資料2-2のように、食品安全委員会の評価書等についても同様に資料8まで配付させていただいております。

 なお、資料5のジクロベニルにつきましては、参考資料といたしまして資料5-3を机上配付のみさせていただいております。農薬フルオピコリドの部会報告書でございます。

 本日マラチオン及びクロチアニジンのARfDに対する短期暴露評価についても御審議いただく予定としております。前回11月部会で御了承いただきました「急性参照用量を考慮した残留基準の設定について」を参考資料として御用意させていただいております。

 不足している資料等がございましたら、事務局までお願いいたします。

○大野部会長 ありがとうございます。

 きょうの議事次第の中にフルオピコリドが入っていませんけれども、資料としてはありますが、これは。

○事務局 ジクロベニルと共通代謝物がございますので、参考資料ということで添付させていただいております。

○大野部会長 わかりました。ありがとうございます。

 皆さんよろしいでしょうか。それでは、審議に入りたいと思います。本日は農薬について5剤、動物用医薬品について1剤、動物用医薬品及び飼料添加物について1剤、農薬及び動物用医薬品1剤について御審議いただきます。きょうの報告書の作成に当たりましては、先生方に既に資料を御検討いただいて、いろいろコメントをいただきました。どうもありがとうございました。

 それでは、議題1の食品中の残留農薬等の基準値設定でございます。最初に動物用医薬品モサプリドの審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 モサプリドについて説明させていただきます。

 資料1-1をごらんください。今般の残留基準の検討につきましては、本成分を有効成分とする製剤に関して、馬に用いる動物用医薬品としての製造販売の承認申請がなされたことに伴い御審議いただくものでございます。今回が初回の審議の剤です。

 用途としては、馬の消化管運動促進薬として申請されております。日本ではモサプリドクエン酸塩に水和物を有効成分とするヒトの医薬品が承認されていますが、動物用としてはこれまでイヌ用しか承認されておらず、食用動物用途としては承認されていませんでした。海外においても食用動物用の医薬品としては使用されておりません。

 化学名及び構造、物性については、その下に記載したとおりです。

 次のページの(5)適用方法及び用量についてです。モサプリドクエン酸塩を有効成分とする強制経口投与剤につきまして、使用方法として1日当たり体重1kgにつき2.0mg以下の量を強制的に経口投与することとなっており、休薬期間は2日間となっております。対象動物は馬のみです。

 残留試験についてですが、分析の概要にありますとおり、モサプリド。代謝物であるM1を対象として分析を行っております。本試験においては馬にモサプリドクエン酸塩を常用量3日間投与した後、1日、2日及び3日後の筋肉、脂肪、肝臓及び腎臓におけるモサプリドクエン酸塩の残留量及び代謝物M1の濃度を示しております。また、組織に残留している物質はモサプリドですが、検量線をモサプリドクエン酸塩として分析してあるため、結果についてはモサプリドクエン酸塩と示してあります。なお、肝臓については3点の検出値がみられることから、VICHのガイドラインに基づき直線回帰分析を用いて、投与後2日における最大許容濃度の上限を求めました。

 次に、5ページ目の食品安全委員会における食品健康影響評価についてです。モサプリドクエン酸塩として評価されており、ラット混餌投与の発がん性試験をもってADI 0.03mg/kg体重/dayと示されております。

 諸外国における状況ですが、先ほどお話いたしましたように食用動物を対象とした諸外国での資料はなく、国際基準、諸外国においてADI及び基準値の設定はありません。

 基準値案についてですが、家畜残留試験においてモサプリドクエン酸塩及び代謝物M1の分析が行われていますが、M1の残留量が低いことから、残留の規制対象には含めないことといたします。

 なお、残留試験結果はモサプリドクエン酸塩の残留量として示されていることから、残留試験の結果に換算係数0.687を乗じて基準値案の試算を行っております。基準値案は別紙1に示すとおりです。

 肝臓については先ほどお話いたしましたように、直線回帰分析を用いて求めた投与後2日における最大許容濃度の上限をもって基準値の根拠とし、それ以外の部位については休薬1日の残留値の平均に標準偏差の3倍を加算したものを基準値の根拠としております。

 暴露評価については、ADIがモサプリドクエン酸塩として評価されていることから、モサプリドの基準値案に換算係数1.46を乗じて、モサプリドクエン酸塩の数値として試算を行いました。その結果、高齢者で最大0.05%、一般でも0.05%となっております。

 最後のページは答申案になります。

 事務局からの説明は以上です。御審議のほうお願いいたします。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 これは初回審議ということでございます。順繰りに御審議していただきたいと思います。

 まず化学名、化学構造についていかがでしょうか。

○吉成委員 2カ所ほど御修正いただきたいのですけれども、化学名のモサプリドと、参考で載っているモサプリドクエン酸塩ともになのですが、2行目にbenzamideと書かれているのですけれども、その前の半角スペースが要りませんので、両方とも削除していただければと思います。ほかはよろしいかと思います。

○大野部会長 片括弧とbの間が要らないということですか。ありがとうございます。

 では薬理作用のところはいかがでしょうか。

○尾崎委員 2行目のところなのですけれども「セロトニン45-HT4 )」となっています。そのHT4 を受容体の後に持ってきて、5-HT4 Rをつけて受容体の後に持っていくといいと思います。

 あと、アセチルコリンの略語ですけれども、これは不要かなと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 ほかにこの略語は使っていないですね。事務局よろしいですか。

 それでは、適用方法、用量あたりについて、宮井先生いかがでしょうか。

○宮井委員 よろしいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 今までのところで先生方、御意見ございますでしょうか。

 では薬物動態、代謝、そのところで吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 説明があったのですけれども、代謝物M1というものと2つぐらい代謝物が実際にはできます。ただ、残留試験で残留がM1に関しては低いこと。それから、説明がなかったのですけれども、これはラットとか毒性試験の動物でも認められる代謝物ですので、暴露も十分に検討されていることから、規制対象は親化合物だけという現在の案でよろしいのではないかと思います。

○大野部会長 ありがとうございました。私も同様に考えました。

 今までのところで先生方、御意見ございますでしょうか。

 それでは、安全性の面で鰐渕先生、いかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。

○大野部会長 ありがとうございます。

 分析方法、分析結果あたりについていかがでしょうか。事前にその辺については十分に見ていただいたかなと思いますけれども、さらに何かございますでしょうか。よろしいですか。

 基準値と国際的整合性あたりについていかがでしょうか。よろしいですか。

 薬理作用は化学名のところを修正いただきましたけれども、修正したものをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 次の品目ですけれども、動物用医薬品及び飼料添加物ラサロシドについての御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、ラサロシドについて説明をさせていただきます。

 資料2-1、本剤の残留基準の検討につきましては、IT申請がなされたことに伴い、ポジティブリスト制度導入時に設定された、いわゆる暫定基準の見直しについて審議を行うものでございます。今回が初めて御審議いただく剤です。

 概要の用途ですが、本剤は Streptomyces lasaliensis が産生する抗生物質です。ラサロシドはラサロシドAを主成分とし、そのほかの類縁物質としてラサロシドBCD及びEを含む混合物です。活性はほとんどがラサロシドAにあり、このほかの類縁物質は活性成分の総重量の10%以下とされています。

 海外では牛、家禽等のコクシジウム症の治療に用いられます。また、国内では牛及び鶏の成長促進を目的とした飼料添加物としても使用されております。国内で動物用医薬品としての承認はなく、ヒト用医薬品としては使用されておりません。

 (3)化学名、(4)構造及び物性については、下記のとおりとなっております。

 (5)適用方法及び用量ですが、国内の飼料添加物としての使用方法、海外の使用方法について下記のとおり示しております。ここで1点修正がありまして、国内での使用方法の注釈中に一番下の行になるのですけれども、「1μg(力価)は、標準ラサロシドナトリウム1μgに相当する」となっておりますが、こちらは「標準ラサロシド1μgに相当する」が正しくなっておりますので、ナトリウムについて後で削除いたします。

 続きまして「2.対象動物における残留試験について」です。3つの残留試験について示しておりますが、全てにおいて分析対象の化合物はラサロシドAとなっております。残留試験の結果ですが、1の試験では牛に対して行われておりますが、投与後01及び3日後の各組織中の残留量は、全て検出下限未満となっております。

 今回、鶏を含めた家禽とその卵についてEUの基準値をもととしたIT申請がなされておりますが、その根拠となった残留試験について26にお示しいたします。

 次に「3ADIの評価」ですが、ラサロシドナトリウムとして評価されており、毒性学的ADIについては0.005mg/kg体重/day、微生物学的ADIとして0.0317mg/kg体重/dayと評価されております。結論として、より低いほうの毒性学的ADIを用いて0.005mg/kg体重/dayと設定することが適当であると評価されております。

 「4.諸外国における状況」ですが、JECFAにおいて評価されており、ADIが日本同様0.005mg/kg体重/dayと設定されており、米国等5カ国において調査した結果、各国で基準値が設定されております。

 「5.基準値案」ですが、残留の規制対象としてラサロシドAと考えております。こちらについてはJECFA及びEUにおいても同様にラサロシドAを指標とされております。基準値案は別紙1のとおりです。

 暴露評価についてですが、ADIはラサロシドナトリウムとして評価されたことから、基準値案に換算係数1.037を乗じて計算いたしました。TMDIを用いて評価した結果、一番高い幼小児でも10.5%となっており、国内のADIの許容範囲内となっております。

 最後のページが答申案となっております。なお、本剤は抗生物質ですので「基準値を設定しない食品に関しては含有してはならない」が適用されております。

 事務局からは以上です。御審議のほどお願いいたします。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 これも初回審議ですので順を追って御審議をお願いいたします。

 まず化学名、化学構造についていかがでしょうか。

○吉成委員 よろしいでしょうか。化学名に非常に細かい修正をまずお願いしたいのですけれども、1ページ目の化学名の参考の上のほうの化学名でsodium saltと一番最後にあるのですが、英語表記ですのでカンマの後ろにスペースをあけていただきたいというところが1点、細かい修正です。

 それから、事務局にも相談しているのですが、どうしたらいいか体裁がまだわからないのですけれども、今回の剤のラサロシドというものが混合物であるということがありますので、化学名のところに記載すべきものが何なのかというところがよく私もわかりませんで、ラサロシドAが主成分であるのであれば、ラサロシドAナトリウムあるいはラサロシドAの化学名なり構造式を書くべきかと思うのですけれども、ただ、全て参考という形で書くのが適切なのかなと思います。ラサロシドというもの自体が実際には非常に曖昧で、存在しないといいますか、あるところではラサロシドがほとんどラサロシドAと同等に扱われている場合もありますので、ラサロシドAの化学名を書いていただくのもいいかと思うのですけれども、どうしたらいいか後ほど相談して決めさせていただくのがいいかなと思います。

○大野部会長 皆さんいかがでしょうか。10%ぐらい不純物というか混合物でラサロシドA以外のものが含まれていると書いてあったと思います。その場合にどういう表現をするかということについて事務局と相談して決めたいということですけれども、よろしいでしょうか。

 事務局、よろしいですか。では、それについてお願いいたします。

○吉成委員 済みません、もう一点追加で、これはメールでお伝えしたのに直っていなかったことに気づきまして、これは全てに共通するのですけれども、化学名の一番上から2つ目とかラサロシドA、ラサロシドB、ラサロシドD、ラサロシドE全てなのですけれども、2行目の真ん中あたりに閉じるほうの大括弧があって、その後にtetrahydroというふうに続くのですけれども、そこの間スペース要りませんので、ラサロシドCにはスペースが入っていないのですが、入っていないのが正しくて、ほかのところはなぜか全部スペースが入ってしまっていますので、ラサロシドそのものとラサロシドA、ラサロシドB、ラサロシドD、ラサロシドEに関して、大括弧閉じるのところの後のスペースを全て削除いただければと思います。

○大野部会長 ありがとうございました。

 薬理作用のところ、尾崎先生いかがでしょうか。

○尾崎委員 よろしいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 薬物動態、代謝のところは吉成先生、いかがでしょうか。

○吉成委員 幾つか代謝物が出ているみたいなのですけれども、非常に少ないのと、親化合物が主ということで、案のとおり規制対象ラサロシドAということでよろしいのではないかと思います。

○大野部会長 ありがとうございました。私も同様に考えました。

 今までのところで先生方で御意見ございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、安全性の面で鰐渕先生、いかがでしょうか。

○鰐渕委員 毒性学的なADIと微生物学的なADIそれぞれさせていただいているのですけれども、記載のとおりで0.005という形で毒性学的なADIのほうがより低いということで、こちらを採用するということで結構かと思います。

○大野部会長 ありがとうございました。

 ちょっと質問なのですけれども、この場合のウサギでの生殖毒性試験と慢性毒性/発がん性試験とでのNOELが同じですね。発生毒性、催奇形とかそういうものが出た場合には安全係数を大きくすることがあるかなと思うのですが、これは特にその必要はないのですか。

○鰐渕委員 場合によるとは思うのですけれども、普通、催奇形性が出たとしても程度によると思うのです。余分な安全係数2とか3とか入れるのは、催奇形性自身の大きさというか重篤さによると思います。

○大野部会長 ちょっと気がついたのですけれども、奇形ではないですね。2mgで上顎と頬骨の癒合、13肋骨と骨盤肢体の位置異常といったものが出ている。骨化不全とか、どちらかというと奇形でないもの、バリエーションですね。

○鰐渕委員 体重が低いので1をとっていますが。

○大野部会長 わかりました。ありがとうございました。

 今までのところで先生方で御意見ございますでしょうか。

 それでは、分析方法、分析結果についていかがでしょうか。根本先生、お願いします。

○根本委員 分析結果、方法の前に3ページの適用方法のところの一番最後の2行で修正が先ほど口頭であったと思うのですけれども、修正では標準ラサロシドナトリウムがナトリウムという言葉を削るという御説明だったと思うのですが、このラサロシドナトリウムという飼料添加物の規格が農水省の省令で出ているのですけれども、そのときの定義としては、ラサロシドナトリウムの力価は、ラサロシドナトリウムとしての量を質量(力価)で示す。1μg(力価)は標準ラサロシドナトリウム1μgに相当する。標準ラサロシドの本質はラサロシドナトリウムであるというような定義づけがされているのですけれども、それと違う記載、書きぶりになってしまうのですが、それは問題ないのでしょうか。こちらで標準ラサロシドというもの自体が存在するのかどうか。農水さんのほうでは標準ラサロシドナトリウムというふうに、ナトリウムを入れたものとしての取扱いなので、取扱いが製剤と基準設定とで違うことになるので、ここで記載するのはどちらかと言うと製剤の話だとすれば、ラサロシドナトリウムとして規定している農水さんの書きぶりをそのまま踏襲したほうがいいのかなと思ったのですけれども。

○事務局 前回の部会のときも同じ箇所であったのですけれども、ここについては農水省の示しているものと合わせるべきだと思いますので、確認してこちらについては修正するようにいたします。

○根本委員 お願いします。

○大野部会長 では、お願いいたします。

 ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

○根本委員 細かいことで恐縮ですが、5ページの表1の脚注で、aに液体シンチレーション測定とあるのですけれども、評価書等ではHPLC(高速液体クロマトグラフ)で液シンではかっていることになっていますので、一応、分離した上ではかっていることが分かるように高速液体クロマトグラフというような言葉を液体シンチレーションの前に入れていただけたらなと思います。

 その下のcで不等号の定義を追加していただいているのですが、このとき「結果中に定量下限値以下の値が含まれる」ということですが、以下ではなくて、ここは未満の値ということではないかと思います。同じようにそれが表4にもありまして、以下ではなく未満の値が含まれているということではないかと思いますので、御検討をいただければと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 では、確認してくださるようお願いいたします。

 ほかにございますでしょうか。分析の素人が言うのはちょっと気が引けるのですけれども、4ページの分析法の海外の鶏のところの1行目の後のほうから「塩基性として n -ヘキサン・トルエン(11)混液に転溶する。高速液体クロマトグラフで定量するとなっているのですが、「する。」の後に高速液体クロマトグラフがすぐ来てしまうので、これがちょっと変な感じがしたのです。この混液をそのまま液クロにかけるわけですね。だからほかのところだと「転溶し、」になっているのですが、そこに何か入っているのかなと思ったのですけれども、入っていないですね。こういうふうに書くのですか。

○永山委員 以前にもこんな書きぶりはないことはなかったのですけれども、途中そのまま何もせずにそれを使っている場合に切るか切らないかというところで、もし切らないのであれば混液に転溶した後、高速液体クロマトグラフで定量するという表記になるのかもしれませんけれども、その間、多分そのまま混液をやってしまっているのだと思うのです。

○大野部会長 今までこういう表現で特に誤解がなかった。

○永山委員 こういう表記も以前ございました。

○大野部会長 わかりました。

 次ですけれども、2行目から「ヘキサン層を採り、アセトニトリル溶液として液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)で定量する」というのはつながらない感じがしたのです。「試料からメタノール・水(91)混液で抽出し、n-ヘキサン/ギ酸分配して、ヘキサン層を採り、アセトニトリル溶液として」。ヘキサン層を採ってアセトニトリル溶液という、この間に何か入っているのかなと思って、これはどういうことなのですか。

○永山委員 これの意味合いはヘキサン/ギ酸を分配して、そのうちのヘキサン層の部分をとって、それをアセトニトリルに溶媒を変えているという意味合いになると思うのです。ですから、丁寧に書くのであれば、 n -ヘキサン層を採り、濃縮したヘキサンを除去した後、アセトニトリル溶液にかえるという意味合いになるのです。

○大野部会長 濃縮乾固するとか、そういう表現は必要ないのですか。

○永山委員 「アセトニトリル溶液として」と言ったときに、これをどう判断するかということになると思いますけれども、わかりにくければ少し工夫したほうがよろしいかと思います。今すぐは出てこないのですが、少し検討されるとよろしいかもしれないですね。

○大野部会長 分析の先生方がこれで何とも思わなければ、それでいいのかなと思うのですけれども、普通の表現なのですか。

○永山委員 そうですね。これは大分省略して書いてありますので、実際にはヘキサン層を採った後、そのヘキサンという有機溶媒を飛ばしてなくなして、その後にアセトニトリルを加えて、そこに残留物を溶かして、そのアセトニトリル溶液をLC-MS/MSに注入するという段取りだと思います。

○大野部会長 説明するとそうなるのですね。

 こういう表現で分析の先生方が特に問題ないようにお考えのようですので、このままでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、この表現はそのままとして、分析結果についてはよろしいですか。お願いします。

○根本委員 細かいことで恐縮ですけれども、7ページの一番上の6の鶏に関しても、ほかの検討と同じようにどういうものに何羽使ったとかいう数とか、そういったものも同じように記載していただければと思います。

○事務局 卵用種で18羽で行われていますので、そちらを記載するようにいたします。

○大野部会長 お願いいたします。

5ページ2の鶏から始まるところなのですけれども、ここのところに投与量が125mg/kg体重/day、カプセル2/dayとなっているのですが、125mg/kg投与したのではなくて、餌に混ぜたとしたら125ppmに相当するというものではないかと思ったのです。ほかのところはそういう表現になっていたのです。7ページの6もゼラチンカプセルに入れた125ppmの濃度のものを投与したのではなくて、餌に混ぜたとしたら125ppmに相当する。そういうふうに見ていたら書いてありますので、確認してくださるようお願いいたします。

○事務局 はい。確認して修正いたします。

○大野部会長 お願いいたします。

 今までのところで先生方いかがでしょうか。よろしいですか。

 基準値と国際的整合性、そのあたりについていかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、幾つか確認していただくところ、修正したところと確認して必要に応じて修正するところがございましたけれども、確認して修正するところについてはそれほど本筋にかかわることではありませんので、コメントを出していただいた先生と私にお任せいただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。

 それでは、そういったことで必要な修正をするということで、このラサロシドの修正案をこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 それでは、次の品目ですけれども、農薬及び動物用医薬品テフルベンズロンについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 3剤目のテフルベンズロンでございます。

 資料3-1、本剤はその他のきく科野菜への適用拡大申請、コーヒー豆へのIT申請、暫定基準の見直しについて御審議いただくものでございまして、部会は初回となります。

 本剤は殺虫剤として使用されておりまして、昆虫のキチン質合成を阻害することにより効果を示すと考えられております。

 化学名、構造式、物性ついては記載のとおりでございます。

 適用の範囲及び使用方法については2ページから記載しておりまして、国内の使用方法につきましては23ページにかけて記載しております。今回拡大申請のなされたものを3ページに記載しているのですが、葉ごぼうについては四角で囲って記載しております。

 海外の使用方法につきましては、4ページにコーヒー豆について記載しております。

 作物残留試験の分析についてですが、分析対象は親化合物と代謝物Gでございまして、分析法については記載のとおりでございます。

 国内の作物残留試験につきましては、78ページの別紙1に記載しております。

 代謝物の残留についてですが、ほとんど定量限界未満という結果になっております。

 海外の作物残留試験につきましては、9ページに記載しております。

5ページにADIの評価について記載しております。慢性毒性試験による最小毒性量からADI0.01mg/kg体重/dayと評価されております。

 諸外国における状況についてですが、JMPRにより毒性の評価がなされておりまして、ばれいしょ、すもも等に国際基準が設定されております。

 その他の地域については、記載のとおりとなっております。

 続いて基準値案についてですが、代謝物の残留が少ないことから規制対象を親化合物のみとしておりまして、食品安全委員会の暴露評価対象も親化合物のみとなっております。

 基準値案につきましては1012ページの別紙2をごらんください。登録の有無に○が記載されているものは国内登録のあるものでございまして、「申」が記載されている箇所は拡大申請のある作物で、ITと記載されているものは今回IT申請がありました作物になります。また、りんご等につきましては国際基準がございますので、そちらを採用しております。

 これらの基準値案により暴露評価を行いましたものが13ページの別紙3でございまして、EDI試算により最も高い幼小児で60.0%のADI占有率となっております。

 最後に1516ページが答申案となります。

 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 これも初回審議ということでございます。化学名、構造式、物性あたりについて吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 問題ないと思うのですけれども、そのもの自身ではないのですが、4ページの代謝物Gの名称が違うと思いますので、そちら御修正いただきたいのですけれども「3, 5-ジクロロ-2, 4-ジフルオロベンゾイル尿素」とありますが、これはフェニル尿素となりますので、そちらだけ御修正ください。

 以上です。

○大野部会長 ありがとうございます。これはベンゾイルとつくと、教えていただきたいのですけれども、ベンゼンのところにcがもう一つ入るのですか。

○吉成委員 そうです。

○大野部会長 わかりました。ありがとうございます。

 それでは、薬理作用のところいかがでしょうか。

○尾崎委員 結構です。

○大野部会長 ありがとうございます。

 薬物動態、代謝のところ、また吉成先生いかかでしょうか。

○吉成委員 動植物ともに代謝を幾つか受けて、今回測られているGなどもできますけれども、Gの構造と親化合物の構造を見ていただくと分かるように分解物でして、実際に検出される量もほとんどないということで特に問題となるような代謝物もありませんので、案のとおり親のみということでよろしいのではないかと思います。

○大野部会長 ありがとうございました。

 私も見ましたけれども、代謝物Gが作残試験だと大豆だけで出ているのですが、ほかのものでは出ていませんので、親化合物だけれども、代謝物とすることについてよろしいかと思います。

 今までのところ、先生方から御意見ございますでしょうか。宮井先生、お願いします。

○宮井委員 これでいいかと思ったのですけれども、ほかのものと表現をそろえるために、昆虫のキチン質合成を阻害することにより殺虫効果を示すものと考えられているとかのように修正した方がよいと思います。

○大野部会長 尾崎先生、よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 事務局、よろしいですか。

○事務局 はい。

○大野部会長 ありがとうございます。

 それでは、安全性はいかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。ただ、今回一番低かった毒性のあれが最小毒性量なので、余分の追加係数2を入れているということで200という形になっています。それを記載していただいていますので、これで結構です。

○大野部会長 ありがとうございました。

 今までのところで先生方から御意見ございますでしょうか。

 それでは、分析方法と分析結果についていかがでしょうか。よろしいですか。

 基準値と国際的整合性についていかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 全体を通して御意見ございますでしょうか。特にないようでしたら、先ほど用途の薬理作用のところが若干表現が修正されました。あと代謝物の化学名ですね。そこの修正がございましたが、この修正したものをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 次の品目ですけれども、農薬のクロラントラニリプロールについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、クロラントラニリプロールについて説明をさせていただきます。

 資料4-1、クロラントラニリプロールは、前回は平成253月に報告しており、今回で4回目の報告となります。今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づくオクラとしょうがの適用拡大申請に伴う基準値設定依頼、及び関連企業から小麦、落花生などへのインポートトレランス申請がなされたことを踏まえ、当部会で御審議をいただくものでございます。

 概要です。クロラントラニリプロールは殺虫剤です。昆虫の筋小胞体膜のカルシウムチャンネルに作用して、カルシウムイオンを放出させ、筋収縮を起こすことにより殺虫効果を示すものと考えられています。

 化学名、構造式及び物性は記載のとおりでございます。

 「2.適用の範囲及び使用方法」です。(1)が国内での使用方法で、今回、適用拡大申請がなされたものは5ページの表の一番下、オクラとしょうがでございますが、四角で囲ってあります。

8ページからが海外の使用方法でございます。米国、EU、オーストラリア、ニュージーランドにおける使用方法を記載しております。

 「3.作物残留試験結果」です。分析対象の化合物を親化合物のクロラントラニリプロールとし、記載のとおりの分析法と定量限界で試験を実施しております。これらを用いた作物残留試験結果が国内は15ページからの別紙1-1、海外は別紙1-2が米国・カナダで18ページからで、25ページの別紙1-3がオーストラリア、26ページの別紙1-4がニュージーランドから提出されたデータでございます。今回追加提出されたデータは網かけして記載してございます。

 「4.魚介類への推定残留量」「5.畜産物への推定残留量」については今回、変更はございませんので説明は省略させていただきます。

 進みまして「6ADIの評価」でございます。食品安全委員会ではADI0.26mg/kg体重/dayと評価しており、こちらは前回と一緒の値です。

 「7.諸外国における状況」です。2008年にJMPRにおける毒性評価が行われ、ADIも設定されております。国際基準は穀類、葉菜類、果菜類、仁果類果実、核果類果実等に設定されております。主要国地域における状況は記載のとおりでございます。

 「8.基準値案」です。残留の規制対象を前回同様、クロラントラニリプロール親化合物のみとする案としてございます。食品安全委員会による食品健康影響評価においても農産物、畜産物及び魚介類の暴露評価対象物質は、クロラントラニリプロールを設定しております。

 これらを踏まえました基準値案が別紙227ページからになります。まず30ページにあるとうがらし(乾燥させたもの)は国際基準があるのですが、今回こちらの案では削除させていただいております。というのは、とうがらしのもとといいますか、その他のナス科野菜に既に20ppmの基準が置かれているので、生鮮の基準値のほうが乾燥加工品よりも大きいので、置いておく意味がないと判断し、削除させていただいております。

 また、今回申請のあったものは登録の有無のところに28ページの中段ぐらいなのですが、オクラ、しょうがのところに「申」を入れております。あと、IT申請があったものはITと記載してございます。

 今回、今まで米国のマイナー作物登録支援の国家事業でいろいろな作物の読み替えをしていたのですが、安全性が高いためEPAが認めたようなのですが、作物の形態から読み替えが難しいのではないかと思われるものも大きく見直しております。

 見直しを踏まえ、暴露評価を行いましたものが31ページからの別紙3でございます。一番高い幼小児でTMDIで試算して55.1%のADI占有率となりました。

36ページからが答申案でございます。

 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 これについては今まで何回も御検討いただいたということで、継続のものについては特に問題ないかと思いますけれども、一応、見直してみて化学名、構造式、物性、ここのところはよろしいですか。ありがとうございます。

 薬理作用のところはよろしいでしょうか。特にないようですね。

 適用方法のところは新たに加わったものもございますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 代謝についてもよろしいですね。

 安全性のところについても、特に問題はないですね。ありがとうございます。

 分析方法、分析結果についても特に変わっていないと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 基準値の設定について、今回いろいろ検討していただいて修正していただきましたけれども、それについていかがでしょうか。山内先生、お願いします。

○山内委員 確認ですけれども、先ほどおっしゃった形態の読みかえが難しく、見直しをしたというのは具体的にどれですか。

○事務局 では、説明させていただきます。

 まず小豆類、えんどう、そら豆、落花生、その他の豆なのですが、こちら未成熟の豆の作残試験をもとに乾燥豆へ残留基準を置くように読みかえをしておりましたので、今までそういった読み替えは行っていないので、乾燥豆のオーストラリアのデータを提出いただいて見直しております。

 次が28ページのなつみかんから、その他のかんきつ類でございますが、こちら仁果類(りんご、なし)、核果類(あんず、もも)などの作物より読みかえをしておりましたので、コーデックス基準を採用する案とさせていただいております。

 次が29ページのバナナ、パパイヤ、パイナップル、グアバ、マンゴー、パッションフルーツのところなのですが、こちらもなつみかんなどのかんきつと同様に仁果類と核果類より読み替えて、変数等をかけて基準を設定しておりました。アボガドについてはニュージーランドの残留基準となるデータが提出されましたので、それをもとに0.5ppmとする案としております。

 主要なところは以上です。

○山内委員 わかりました。

○大野部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、全体を通して御意見ございますでしょうか。吉成先生、お願いします。

○吉成委員 非常に細かいところなのですけれども、12ページの2にいろいろ代謝物が測定されているのですが、その中に代謝物Nというものがありまして、化学名が間違っていますので修正いただきたいのですけれども、1行目の終わりのほうに3,8-methylとあるのですが、これはmethylですので3, 8の片方しかないです。これは8なはずですので「3,」を取っていたただいて「6-chloro-8-methyl-4」という形になると思います。その御修正だけいただければと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 事務局わかりましたでしょうか。

○事務局 修正させていただきます。念のため、また部会終了後に確認させてください。

○大野部会長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。全体を通して気になるところ、よろしいでしょうか。よろしいですか。それでは、ここに若干化学名のところの修正の御提案がございましたけれども、そうやって修正するということで、この案をこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。

 それでは、次はジクロベニルです。それについて御審議をお願いいたします。

 事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 では、ジクロベニルについて御説明させていただきます。

 資料5-1、ジクロベニルは今回、初回審議でございます。農林水産省より魚介類への基準設定の要請があり、あわせて暫定基準の見直しを行うため御審議をお願いするものでございます。

 まず、概要ですが、ジクロベニルはニトリル系除草剤で、主に根からの吸収により植物組織内を生長点部に移行し、細胞の異常分化を起こし、枯死させると考えられております。

 化学名、構造式及び物性は、ごらんのとおりでございます。

2の適用の範囲及び使用方法について、国内ではりんご、なし、ももに適用がございます。このほかに水稲の稲の刈り取り後の土壌への散布、い草など水田で栽培される非食用作物への適用があることから、魚介類への基準設定が要請されております。

 続きまして、2ページの作物残留試験ですが、分析対象化合物をジクロベニル及び2, 6-ジクロロベンズアミドとし、分析法の概要は記載のとおりでございます。

 作物残留試験の結果は6ページの別紙1に示しております。

3ページに戻っていただきまして、魚介類への推定残留量について御説明いたします。水産動物被害予測濃度は水田PECtier20.22ppbとしております。また、ジクロベニルはオクタノール/水分配係数が2.70であり、魚類濃縮性試験が実施されていないことから、回帰式により生物濃縮係数を44と算出しました。これらの値を用いまして推定残留量は0.05ppmと算出されております。

 続きましてADIの評価ですが、イヌを用いた1年間の慢性毒性試験の無毒性量を用いまして、ADI0.01mg/kg体重/dayと食品安全委員会で評価をいただいております。また、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験におきまして、肝細胞腫瘍の有意な増加が認められておりますが、腫瘍の発生機序は遺伝毒性によるものとは考えがたく、閾値を設定することは可能であると評価されております。

4ページですけれども、諸外国における状況につきまして、JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準は設定されておりません。アメリカ、オーストラリア等において基準が設定されております。

 「7.基準値案」につきましては、規制対象を農産物にあってはジクロベニル及び代謝物BAMとし、魚介類においてはジクロベニルとしております。ジクロベニル本体よりもBAMのほうが残留しやすい傾向がございまして、欧米においてもBAMを暴露評価対象及び規制対象としていることから、BAMを規制対象に含める案といたしました。なお、BAMは農薬フルオピコリドの代謝物でもございまして、フルオピコリドの基準が設定されている食品におきましては、BAMが検出された場合にはフルオピコリドの使用状況または残留試験結果を踏まえ、規格基準への適否を判断することとしております。

 まずジクロベニルの基準値案については、7ページ、8ページの別紙2をごらんください。これらの基準値案により暴露評価を行いますと、結果を9ページの別紙3-1に示しておりますけれども、TMDI試算によりまして最も高い幼小児のADI比は3.7%となっております。

4ページに戻っていただきまして、下のほうですけれども、代謝物BAMについても暴露評価を行っております。農薬フルオピコリドについては直近では平成2411月に部会審議が行われております。参考資料としまして資料5-3ということで、そのときのフルオピコリドの報告書を机上に配付させていただいております。こちらの部会報告書におきましては、フルオピコリドまたはジクロベニルの基準値を改正する場合には、共通代謝物であるBAMについても暴露評価を行うこととされております。そのため、フルオピコリド由来のBAMとジクロベニル由来のBAMの残留試験結果等を用いまして、EDI試算により暴露評価を行いました。結果は10ページの別紙3-2になります。最も高い幼小児のADI比は1.1%となっております。

12ページの最後のページが答申案でございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 これは初回審議ということでございます。それでは、化学名、化学構造、物性、そのあたりについて吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 問題ないと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 薬理作用、用途、そのところはいかがでしょうか。

○尾崎委員 結構です。

○大野部会長 ありがとうございます。

 使用方法について宮井先生、いかがでしょうか。

○宮井委員 よろしいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 薬物動態、代謝物、その辺について吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 今、御説明がありましたように植物でBAMといわれる代謝物ができまして、比較的残留しやすい。構造的にも還元されて、その後、酸化されるという構造で、必ずしも完全に安全であるような代謝物とは言い切れないところがありますので、それも含めて考慮していただくということの現在の案のとおりでよろしいのではないかと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 私も同様に考えました。BAMが残留しているということで、それについて測定対象物質に入れるということでよろしいかなと思いました。

 今までのところで先生方、御意見ございますでしょうか。

 それでは、安全性の面でいかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。

○大野部会長 ありがとうございます。

1つ質問があるのですけれども、イヌの1年間の慢性毒性試験で1mg/kgが無毒性量だったということで、それでADIを設定していますけれども、食品安全委員会の報告を見ると、その直後にイヌで2年間の試験をやっていますね。

○鰐渕委員 2年間というのは発がん性試験なので、慢性毒性は1年です。

○大野部会長 そうですね。これは発がん性試験ということなのですね。食品安全委員会の報告の32ページ。

○鰐渕委員 慢性毒性試験とは書いてありますけれども、何で2年間なのか。

○大野部会長 それでは1.3mg/kgNOELになっているので、より長期のもので若干高い値が載っているからなっているので、こちらを設定の根拠にするのが普通かなと思ったのです。

○鰐渕委員 一般的に慢性毒性のイヌは1年なので、そちらでとったのではないですか。2年の慢性毒性は余りしないと思います。

○大野部会長 私はこの2年間の慢性毒性試験のデータそのものは見ていないのであれだったのですけれども、もし発がん性の実験としてやったとしたら、毒性評価の項目が若干少ないとか、そういうことがあったのかなと思ったのです。

○鰐渕委員 そうかもしれないです。

○大野部会長 一般的には、より長期のものがあれば長期のほうのNOAELで決めるということですね。ありがとうございました。

 今までのところで先生方、御意見ございますでしょうか。

 よろしいですか。それでは分析方法、分析結果、そのあたりについていかがでしょうか。永山先生、お願いします。

○永山委員 大変細かいことで恐縮なのですけれども、作物残留試験の(12の分析法の概要の1)ジクロベニルの2行目「グラファイトカーボンミニカラム」と表記されていますが、報告書では「ミニ」の記載を特にしておりませんので、この「ミニ」を削除していただければと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。分析の先生方、よろしいでしょうか。

 ほかにございますでしょうか。それでは、基準値と国際的整合性、そのあたりについていかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、若干修正がございましたけれども、修正したものをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。

 次は農薬フルミオキサジンについて御審議お願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、農薬フルミオキサジンについて説明させていただきます。

 資料6-1、本剤はえだまめへの適用拡大申請、ホップへのIT申請、暫定基準の見直しについて御審議いただくものでございまして、部会は初回となります。

 本剤は除草剤として使用されておりまして、クロロフィル生合成経路のプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼを阻害することにより、光合成を阻害し殺草効果を示すと考えられております。

 化学名、構造式、物性については記載のとおりでございます。

 適用の範囲及び使用方法については、2ページから記載しております。今回拡大申請がなされたえだまめについては、四角で囲って表記しております。また、IT申請のありましたホップについては、米国の使用方法を2ページに記載しております。

 作物残留試験の分析についてですが、分析対象は親化合物と代謝物M20とその抱合体でございまして、分析法については記載のとおりでございます。

 国内の作物残留試験につきましては、6ページの別紙1-1に記載しており、大豆について代謝物M20とその抱合体について分析されておりますが、定量限界未満となっております。

 海外の作物残留試験につきましては、7ページに記載しております。

4ページのADIの評価についてですが、慢性毒性/発がん性併合試験による無毒性量からADI0.018と評価されております。

 諸外国における状況についてですが、JMPRにより毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。

 その他の地域については記載のとおりとなっております。

 続きまして基準値案についてですが、代謝物の残留が少ないことから規制対象は親化合物のみとしておりまして、食品安全委員会の暴露評価対象も親化合物のみとなっております。

 基準値案につきましては89ページの別紙2に記載しておりまして、登録の有無に○が記載されているものが国内登録のあるもので、「申」が記載されている箇所が拡大申請のある作物です。ITと記載されているものがIT申請により基準値を設定する作物になります。

 これらの基準値案により、暴露評価を行いましたものが10ページの別紙3でございまして、TMDI試算により一番高い幼小児で2.9ADI占有率となっています。

 最後に13ページが答申案となります。

 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 これは初回審議ということでございます。

 化学名、構造式、物性、そのあたりについて吉成先生いかがでしょうか。

○吉成委員 問題ないと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 用途、薬理作用、そのあたりについて尾崎先生よろしいですか。

○尾崎委員 結構です。

○大野部会長 ありがとうございます。

 宮井先生、お願いします。

○宮井委員 用途のところの一番最初の「 N -」はつけないのが普通ですので、削除してもらえますか。

○大野部会長 尾崎先生、よろしいですか。

○尾崎委員 はい。

○大野部会長 では、取ってくださるようお願いいたします。

 適用方法のところ、宮井先生よろしいですか。

○宮井委員 特に問題ありません。

○大野部会長 ありがとうございます。

 体内動態と代謝物について吉成先生、いかがでしょうか。

○吉成委員 この剤ですけれども、動物、植物ともに非常にたくさんの種類の代謝物が出ますが、実際に残留試験等で認められるのは未変化体が主ということで、今回、測定対象になっているM20とその抱合体に関しても残留はほとんどないということで、一部の植物、大豆でみられますけれども、それ以外はほとんどみられないということで、親のみということでよろしいかと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 私も同様に考えました。みかんとかぶどうとか果実での移行は極めて少ないということでして、残留試験でも代謝物は一部を除いて残っていないということで、測定対象物としては親だけでよろしいかと思いました。

 安全性の面ではいかがでしょうか。

○鰐渕委員 いろいろ奇形を含んで出ているのですけれども、結果的に遺伝毒性の発がん物質で発がん性がないということからNOAELを設定できるということで、この記載のとおりで大丈夫かと思います。

○大野部会長 ありがとうございました。

 今までのところで先生方、御意見、御質問ございますでしょうか。宮井先生、お願いします。

○宮井委員 2ページの海外での使用方法で、ホップの使用目的で地下茎からの新梢と書いてあるのですけれども、ホップはつる性の作物なので新梢というのは訳がまずいのではないかと思うのです。ホップの場合どういう言葉を使ったらいいのかわからないのですが、地下茎から出た茎の部分だと思うのです。これは英語を和訳したのではないかと思うのですけれども、樹木だったら新梢でいいのですが、ホップの場合、新梢という言葉はおかしいので。

○大野部会長 新梢というと、これは枝という。

○宮井委員 普通は枝ですね。後でどういう訳語がいいのか検討したいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。それでは、後で事務局と相談してくださるようお願いいたします。

 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

 分析方法、分析結果、そのあたりについてはいかがでしょうか。永山先生、お願いします。

○永山委員 また大変細かいことで恐縮なのですが、分析法の概要のところの4行目以降の「または」のところの次のところで、液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計が最初のところでもう出ていますので、2回目のときは液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計は切って、直接LC-MS/MSの表記でよろしいかと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 細かいところでも重要なので、ぜひ御指摘くださるようお願いいたします。細かいところを気にしていると意外と重要なところが見つかったりすることもございますので、ぜひ遠慮なさらずに御指摘してくださるようお願いいたします。

 ほかにございますでしょうか。ありがとうございます。それでは、基準値と国際的整合性、そのあたりについてはいかがでしょうか。

 それでは、若干修正がございました。それから、表現について事務局と相談して修正するところがございましたけれども、修正については御指摘いただいた先生と事務局とで相談して決めてくださるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。それでは、若干修正したものと、必要に応じて修正するものが含まれていますけれども、それを踏まえてできたものをこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 ここで普段はやらないのですけれども、10分間ほど休憩をいただきたいと思います。少し確認したいところがありまして、それを確認したいと思いますので、済みませんが、お忙しいと思いますけれども、10分間休憩をくださるようお願いいたします。35分からまた再開したいと思います。

 

(休  憩)

 

○大野部会長 お待たせしました。部会を再開したいと思います。

 次は農薬のマラチオンでございます。それについて御審議をお願いいたします。

 事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 まずマラチオンの具体的な審議に入っていただく前に、この後、マラチオンとクロチアニジンにつきましては食品安全委員会でARfD、急性参照用量が設定されておりまして、それに照らして残留基準の妥当性について御審議をいただくことになります。そのため、この両剤につきましては部会報告書の様式を少し変更させていただいております。

 まず最初に、様式の変更について私から御説明を差し上げ、その後、具体的な審議に入っていただければと思います。

 資料7-1、マラチオンの報告書を使いまして御説明を差し上げます。それから、参考資料としてついているかと思うのですが、前回11月のこの部会におきまして短期推定摂取量の算出方法について御了解をいただいたかと思いますので、そのペーパーもお手元に置きながらごらんいただければと思います。

 資料7-1をごらんいただきまして、まず変更になっているところですが、10ページをごらんください。「4ADI及びARfDの評価」という項目です。ここは従来から食品安全委員会の評価結果を記載しているところなのですが、従来はADIのみを記載しておりました。今回ARfDが設定されている農薬につきましては、1 ADIの下に2 ARfDと項目を設けまして、そこに設定されたARfDの値、根拠となった試験の内容などを記載させていただいております。この点がまず様式の変更点となります。

11ページ「6.基準値案」の(3)暴露評価のところをごらんください。ここに項目として1長期暴露評価と2短期暴露評価の2つの項目を記載しております。

 まず1長期暴露評価ですが、これは従来から記載させていただいているとおりのものでして、ADIに対して何パーセントを占めるかというものを記載させていただいております。これは従来から記載しているとおりなのですが、2の短期暴露評価を記載することに伴って、長期暴露評価という表現で項目名をつけさせていただいております。

 次に2の短期暴露評価のほうですが、こちらにつきましては先月の部会で御了解をいただきました短期推定摂取量の推計方法にしたがって、実際に各食品ごとに推計を行いまして、それが一般及び幼小児のそれぞれの集団において急性参照用量ARfDを超えていないということを確認しております。その旨を記載させていただいております。

 なお、詳細な推定結果につきましては、別紙4-1及び4-2を新たにつけております。こちらにつきましては23ページをごらんください。まず23ページから24ページにかけて別紙4-125ページに別紙4-2が新たについております。4-14-2の違いですが、表題に書いてありますとおり、4-1は一般集団を対象として短期暴露評価を行った結果です。一方、4-2のほうは幼小児、16歳を対象とした集団について、同じく短期暴露評価を行ったものになります。

23ページに戻っていただきまして表の御説明をいたします。タイトル行のところ、一番左側が食品名(基準値設定対象)とありまして、その右側に食品名(ESTI推定対象)とございます。この違いなのですが、まず左側は実際に基準値を設定していただくときの食品名。これは別紙2とか3あるいは答申の食品名に対応する食品名が記載しております。それに対しましてその右側、ESTI推定対象というものですが、まずESTIというのは短期推定摂取量の英語の頭文字です。これを推定したときの食品名がこちらに記載しております。基本的には左側の食品名と11対応のものが多いのですが、例えば大麦ですと大麦と麦茶に分かれていたり、あるいはその少し下のほうを見ていただいて、その他のあぶらな科野菜というところでは、たかなと菜花に分かれて、それぞれESTIを推定しているという形になっております。

 タイトル行のところで、その右側に基準値案というものがございまして、これは本日御審議いただく基準値の案を記載させていただいております。

 その右が評価に用いた数値ということで、本日の案では基準値案と全く同じ数字が入っております。この評価に用いた数値というのは何かというと、前回、短期推定摂取量の算出方法を御了解いただいたときに、作物残留試験の例数が4例以上の場合は最大残留濃度HRを用いる。一方で作物残留試験の例数が3例以下の場合には、基準値案そのものを用いるというルールで御了解をいただきました。

 ただ、実際の運用としましては、まず全てについて基準値案をもとにESTIを算出いたしまして、それがARfDを超える場合については、より精密な評価ということで、HRを使った推計をさせていただこうと思っております。すなわち、作物残留試験が4例以上あるかないかにかかわらず、まずは基準値案で算出をし、それでARfDを超えた場合には、HRが利用できる場合はHRを使ってさらに推定をする。そういう段階的な形をとらせていただきたいと思っております。

 今回につきましては、基準値案を使った推計で既にARfDを下回っていることを確認しておりますので、HRは採用しておりません。

 その右の欄、ESTIと書いておりますが、これは先ほど申し上げました短期推定摂取量、農薬を短期間に最大どれぐらい摂取しているかというものを推計した数値です。一番右の欄ですが、そのESTIARfDに対して何パーセントに相当するかというものを書かせていただいております。これが100を超えていなければARfDを下回っているという意味になります。

 ここの欄の数字の記載の仕方なのですが、注釈に小さい字で記載しておりますとおり、有効数字は基本的に1けたとして、その次の位を四捨五入して算出をしております。ただし、この値が100を超える場合には、有効数字2けたとして記載をさせていただきたいと思っております。

 以上、ARfDの導入に伴います様式の変更について、まずは御説明を申し上げました。

 様式の変更について御質問があれば、この段階で御意見をいただければと思っております。いかがでしょうか。

○大野部会長 いかがでしょうか。ただいま説明いただいたことについて御質問、御意見ございますでしょうか。永山先生、お願いします。

○永山委員 内容にかかわることではないのですけれども、先ほどからESTI、略称といいますか、それを使われていますが、これのフル記載といいますか、こういうことだというのはどこかに記載しておく必要はございませんでしょうか。

○事務局 まずESTIの略称が何を意味しているか、正式な名称を御説明するのを省略してしまったので申し上げますと、これはEstimated Short Term Intakeの略称になります。それが資料のどこにも現在記載していない状況でしてS11ページのところにそれが短期推定摂取量に相当するということは書かせていただいているのですが、今、申し上げたEstimated Short Term Intakeの略であるということが特に記載しておりませんでした。もしその点、記載したほうがよいということであれば、どこか適当なところに書かせていただきたいと思います。

○永山委員 22ページのTMDIについては表の下にフル記載がございますので、バランスをとるのであれば記載されたほうがいいのではないかと思ってお聞きしました。

○事務局 それでは、記載をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○大野部会長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。それでは、先に進めてくださるようお願いします。

○事務局 それでは、マラチオンの具体的な審議に入らせていただきます。事務局から説明を差し上げます。

○事務局 それでは、マラチオンについて御説明させていただきます。

 資料7-1、まず1点、修正がございます。18ページの別紙2中ほどやや下にうめの基準値案を示してございますが、その右側に作物残留試験成績の数値が振ってあるかと思います。ここにある0.31という数値を0.031に訂正していただきますようお願い申し上げます。

 それでは、マラチオンについて説明をさせていただきます。今般の残留基準の検討につきましては、ポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準、いわゆる暫定基準の見直しに伴う基準値設定について御審議いただくものでございます。今回が初めての審議でございます。

 「1.概要」についてです。本剤は有機リン系殺虫剤でございます。アセチルコリンエステラーゼを阻害することで殺虫効果を発現すると考えられております。

 化学名、構造式及び物性につきましては記載のとおりでございます。

 ページをめくっていただきまして「2.適用の範囲及び使用方法」でございます。2ページ以降に使用方法が記されてございます。

9ページ「3.作物残留試験」についてです。分析対象化合物をマラチオンとする作物残留試験が実施されておりまして、結果につきましては13ページからの別紙1に記載しております。

10ページ「4ADI及びARfDの評価」についてです。ADI 0.24mg/kg体重/dayという評価となっております。先ほども少し説明がありましたが、ARfDについても追記してございます。ヒトを対象とした臨床試験における無毒性量を安全係数10で除した値1.5mg/kg体重と評価がなされております。

 「5.諸外国における状況」です。JMPRにおいて毒性評価が行われ、ADI及びARfDが設定されております。国際基準についても小麦、ぶどう等に設定されております。

 その他諸外国の基準値についても記載のとおり設定されております。

 これらを踏まえて「6.基準値案」についてです。残留の規制対象をマラチオン(親化合物のみ)とする案としております。食品安全委員会におきましても、暴露評価対象物質をマラチオンと評価しております。

 次に基準値案でございますが、17ページの別紙2をごらんください。本剤にはコーデックス基準が設定されておりまして、一部の加工食品を除いて採用する案としております。また、今回暫定基準の見直しを検討するに当たり、本基準についても修正しております。

 まず、国内登録のあるものについて表中の登録の有無のところに○が記してあるものでございますが、国内外の使用実態を踏まえ、作物残留試験成績に基づいて下方修正しても問題ないと判断されるものについては、下方修正する案としております。具体的にはごぼう、しろうり、その他のうり科野菜、うめの4品目でございます。

 一方、国内登録のないものについては、国内外の使用実態を踏まえ削除する案としております。該当するものといたしましてはこんにゃくいも、こまつな等の9品目についてです。なお、今回基準の下方修正または削除を行うに当たり、判定基準となった国内外の使用実態については、国際基準も含め海外における基準値が設定されていないことを確認し、かつ、過去5年間の検出事例がないことを踏まえて判断しております。

 それ以外の修正については、基準値のけた数をそろえる修正を行っております。

 これらの基準値案により、長期暴露評価を行いましたのが21ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして一番高い幼小児で28.3%のADI占有率となっております。また、本剤にはARfDが設定されていることから、これにより短期暴露評価を行いましたのが続く別紙4-1及び別紙4-2でございます。これによりARfDを超過した基準値はございませんでした。

 なお、今回の残留基準の検討は暫定基準の見直しを契機としたものですが、今回お示ししております基準値案では暫定基準の見直しに加え、本基準についてもコーデックス基準に合わせる等の見直しを行っております。この点につきましては事務的に調整が必要となる可能性がありますが、本部会において本日お示しした基準値案を前提に御審議いただき、その結果を踏まえ、事務局で必要な調整を行った後、分科会へと御報告させていただく予定でおります。

 最後のページが答申案となります。

 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、順を追って御審議お願いいたします。化学名、化学構造、物性、そのあたりについて吉成先生、いかがでしょうか。

○吉成委員 問題ないと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 用途、薬理作用、このところはよろしいでしょうか。

○尾崎委員 結構です

○大野部会長 ありがとうございます。

 宮井先生、いかがですか。

○宮井委員 よろしいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 体内動態と代謝物、そのあたりについて吉成先生、いかがでしょうか。

○吉成委員 動物ではエーテルなりエステル結合が切れていろいろな代謝物ができるのですけれども、植物ではほとんど親化合物が主ということですし、一部できる代謝物もラットなどの毒性試験が行われている動物で見られる代謝物であるということから、安全性の評価の面で問題ないということですので、基準は案のとおり規制対象マラチオン(親化合物のみ)ということでよろしいのではないかと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。私も同様に考えます。

1つ疑問があるのですけれども、動物での代謝実験でラットでマラオキソンができているデータとできていないデータがあるのです。ラットで2つ試験をやっていて、C14標識体でやったときにはマラオキソンができていて、リンにラベルをしたときにはできていないのです。14Cでやったのは経口投与なのですけれども、腹口腔内投与でやったときにはできていないのです。何かそこのところは変だなと思ったのです。

○吉成委員 できるとは思いますけれども、エステルが切れたりエーテルが切れたりのほうが早くて、実際に検出されていないだけではないかと思うのですが、できないことは教科書的にも間違いないと思っています。実験動物でやれば特にです。ただ、できる量としては、この場合切れるほうが多分早いでしょうから、それほど多くはないと思います。

○大野部会長 わかりました。動物での適用というか、残留基準を決めるということは今回ないので、特にいいかなと思ったのですけれども、ちょっと疑問に思いました。

 今までのところで先生方、御意見ございますでしょうか。

 それでは、安全性のところで鰐渕先生、いかがでしょうか。

○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。

○大野部会長 ありがとうございます。

 先生方、皆さんよろしいでしょうか。それでは、分析方法、分析結果、そのあたりについていかがでしょうか。よろしいですか。

 基準値と国際的整合性についていかがでしょうか。山内先生、お願いします。

○山内委員 基準値の見直しのやり方の確認の意味も含めて質問させてください。質問の一つ目です。17ページですが、上から2行目の小麦は国際基準が10ppmなので今回これに合わせたというのはわかります。その下の大麦は、国際基準はないけれども2にしたのはどういう理由ですか。

 質問二つ目です。とうもろこしは国際基準が0.05なのですけれども、2にした理由はなぜですか。

 三つ目です。にらですが、現行基準が2.0ですが、今回設定しなかったのはなぜでしょうか。

○大野部会長 ありがとうございます。

 では事務局お願いします。

○事務局 今回の本基準の見直しに関して確認いたしましたのは2点ございまして、まず主要5カ国について残留基準が設定されているかどうかという点と、過去5年間の検出事例をチェックいたしました。そこで大麦に関しては主要5カ国いずれかの国に基準値が設定されておりまして、かつ、検出事例もございましたので、現行の基準値を維持する案としております。

 とうもろこしに関しましても主要5カ国いずれかの国に基準値が設定されておりまして、コーデックス基準が設定されているのですが、主要5カ国の基準値がコーデックス基準よりも大きい基準値が設定されておりましたので、コーデックス基準に合わせると違反が出る可能性があったということで、現行の基準値を維持する案としております。

 最後に、にらについてなのですが、これは基準値を削除する案としております。理由は過去に検出事例がないという点に加えて、主要5カ国に基準値が設定されておりませんでしたので、国内外の使用実態を考慮した上で削除しても問題ないであろうと判断いたしました。

 以上でございます。

○山内委員 わかりました。

 もう一点、もし説明されていたら悪いのですけれども、18ページ真ん中のほう、なつみかんの基準値案が斜め線で2つ書いてありますね。これはほかのものと何が違いますか。

○事務局 マラチオン自体かなり古い農薬でございまして、現行の基準値も古い基準値なのですが、かつてはなつみかんについては、なつみかんとなつみかんの果皮という2つの基準値に分かれて設定されておりました。現在ではなつみかんは果実全体の基準値のみとなりましたので、基準値を統合する形でこのような表記にさせていただいております。

○山内委員 わかりました。ありがとうございます。

○大野部会長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、全体を通して御意見ございますでしょうか。特にございませんでしょうか。それでは、ESTIの略語について追記するということ。それから、1つ数字が変わったものがございましたね。18ページのうめについて記載が若干修正されたということがございましたけれども、この修正したものをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 それでは、本日の最後の品目ですけれども、クロチアニジンについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料8-1をごらんください。クロチアニジンについて御説明いたします。

 本剤の今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴いまして、基準値設定の依頼がなされたことに伴うものです。なお、本剤につきましては昨年6月の本部会において一度御審議をいただきましたが、その後、食品安全委員会に再評価を依頼するなどといった経緯がございます。まずその経緯について御説明を申し上げたいと思います。

 資料の36ページをごらんいただけますでしょうか。35ページから36ページにかけて、これまでの経緯を簡単に記載しております。36ページの一番上の行、平成25626日という欄をごらんいただきますと、このときに本部会、農薬・動物用医薬品部会において一度御審議をいただきまして、基準値の改正案につきまして御了解をいただいたところです。ただ、その後、パブリックコメントなどで急性的な影響を含めまして本剤の安全性についての意見が寄せられました。そうした中、本日御審議いただく予定の急性参照用量ARfDを考慮した残留基準の検討につきまして、ちょうど準備が整ったという時期でもありましたので、特に急性参照用量を新たに設定していただくという趣旨で食品安全委員会に再度の評価依頼を行っておりました。それが平成2647日になります。このときに食品安全委員会に再度の評価依頼を行いまして、その結果が本年107日に通知されたところであります。

 なお、平成25712日というところをごらんいただきますと、その間に新たな適用拡大申請というものが出てきておりまして、稲、さとうきび等につきまして新たな適用拡大申請がありましたので、本日はこの部分も含めて御審議をいただく予定です。なお、この間、前回の部会以降にコーデックス基準が新たに採用されたものもございまして、そういったものも後ほど御説明を差し上げる予定です。

 それでは、最初のページに戻っていただければと思います。本剤はネオニコチノイド系の殺虫剤です。

 化学名、構造式及び物性につきましては、お示ししたとおりです。

2ページ、適用の範囲及び使用方法を記載しております。四角の枠で囲ったところが今回、拡大申請のなされているところですが、前回の部会で一度御審議いただいたところも含めまして、今回、四角囲みで囲っております。これらにつきましても改めて御審議をいただければと思っております。

 続きまして16ページから作物残留試験について記載をしております。分析の対象化合物はクロチアニジン、分析法の概要はお示ししたとおりです。

 作残試験の結果につきましては別紙1をごらんください。別紙121ページ以降に記載してございます。このうち網かけで塗ってあるところが適用拡大に伴って追加で提出された試験になります。

16ページ「4.畜産物への推定残留量」について記載がございますが、これは前回の部会のとおりから変更はございません。

18ページ「5ADI及びARfDの評価」です。今回、食品安全委員会の再評価を受けた結果を記載しております。1ADIにつきましては従前と同じく0.097mg/kg体重/dayという値がついております。また、2 ARfDにつきましては、今回の再評価に伴い新たに設定されたもので、こちらはラットの急性神経毒性試験における無毒性量を根拠といたしまして、0.6mg/kg体重という値が設定されております。

 「6.諸外国における状況」ですが、JMPRにおいて毒性評価が行われ、ADI及びARfDが設定されております。また、国際基準も設定されておりまして、米国、カナダ、EU等におきましても記載したような作物に対して残留基準が設定されているところです。

19ページ「7.基準値案」ですが、まず残留の規制対象はクロチアニジンのみとしております。なお、食品安全委員会の評価結果でも、暴露評価対象物質はクロチアニジンのみとされております。

 ここで「ただし」と書いてあるところなのですが、クロチアニジンにつきましては同じく殺虫剤として農薬登録がなされているチアメトキサムの代謝物として生ずるものがありますので、チアメトキサムの使用によるクロチアニジンの残留が認められております。我が国ではクロチアニジンとチアメトキサムが同一作物に使用が認められているため、基準値の規制対象をクロチアニジンとチアメトキサム由来のクロチアニジンの和とさせていただいております。この考え方自体は前回御審議いただいたとおりのものになります。

 具体的な基準値案につきましては別紙2をごらんください。別紙226ページから記載をしております。前回の部会で一度御審議いただいて、了承いただいたものにつきましても改めて基準値案としてお示しさせていただいております。前回からの変更点のみを口頭で申し上げます。

 まず、前回の部会以降に新たな拡大申請がありました作物が3つあります。具体的には米、さとうきび、ねぎの3種になります。これらにつきましては拡大申請を受けまして新たな基準値案を提案させていただいております。それ以外に前回の部会から変更のありましたものとして、新たにコーデックス基準を採用して基準値案を提案させていただいているものがございます。具体的に申し上げますと、26ページではさといも類、かんしょ、やまいも、こんにゃくいも、その他のいも類、てんさい、大根類の根、西洋わさび、ごぼう、サルシフィー、にんじん、パースニップ、しいたけ、以上になります。

 もう一点、変更点ですが、27ページの中ほどにぎんなんがございますが、こちらのぎんなんにつきましては現行の基準値0.02ppmというものが設定されているのですが、今回これを削除する案とさせていただいております。理由につきましては、先ほどのマラチオンと考え方は同じですが、コーデックス基準が設定されておらず、諸外国におきましても主要5カ国において基準値が設定されていないもの。また、国内でも登録がない、かつ、モニタリング検査においても残留が検出されていない。こういったものにつきましては基準値を削除するという方針で、ぎんなんは削除させていただいております。

 別紙2について基本的な説明を少し飛ばしてしまいましたが、この別紙2は少し通常とは異なる変則的な表になっておりまして、クロチアニジンについての登録の有無や作残試験の結果を真ん中あたりに記載しているのですが、その右側にチアメトキサムについての欄を設けております。これは先ほど規制対象物質のところで御説明したように、クロチアニジンの規制対象としては、チアメトキサムから代謝物として生じるクロチアニジンの残留についても考慮して基準値案を設定するという考え方に立っておりますので、チアメトキサムについて国内での登録の有無あるいは一番右側の列ですが、チアメトキサム由来のクロチアニジンの残留試験の結果などを記載させていただいております。すなわち、クロチアニジンの基準値案を検討するに当たっては、クロチアニジンを使った場合の残留と、チアメトキサムを使った場合に生じるクロチアニジンの残留の両者を考慮して、基準値案を設定させていただいております。

19ページ(3)暴露評価のところですが、1長期暴露評価の結果を20ページの表に記載しております。最大となりますのは、幼小児の集団においてTMDI試算でADI57.9%に相当しております。また、2短期暴露評価の結果につきましては、いずれの食品においてもARfDを超えていないことを確認しておりますが、具体的には別紙4-1及び4-2をごらんください。

32ページ、一番右側のところがARfDに対する割合ですが、いずれも100%を下回っております。

 最後37ページ以降が答申案となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、これについては何回も御審議いただきましたけれども、順を追って御審議いただきたいと思います。

 化学名、化学構造、物性、そのあたりについては今までと同じですけれども、よろしいですか。ありがとうございます。

 薬理作用、用途、そのあたりはいかがでしょうか。

○尾崎委員 これは2行目のところ、表現法の統一ということでアゴニスト作用により殺虫効果を示すものと考えられているというふうに修正がよいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 宮井先生、よろしいですか。

○宮井委員 よろしいです。

○大野部会長 それでは、薬物動態と代謝物、それについても今までとデータは同じですけれども、よろしいでしょうか。

○吉成委員 いいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 安全性のところで後でまた事務局から説明いただこうと思いますけれども、鰐渕先生、その前に何か。

○鰐渕委員 十分先ほども事務局、大野部会長ともディスカッションをして、一応食品安全委員会からの内容に納得しましたので、事務局からの説明をお聞きしたいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 それでは、先ほどからおくれたり時間をいただいたりしたのはそういうことなので、私から説明をさせていただいて、それから事務局からまた説明をいただきたいと思うのですけれども、クロチアニジンについて今回、急性参照用量を食品安全委員会で設定していただいたのですが、その毒性データが一般の集団ラットでNOAEL60mg/kgというデータがございます。急性神経毒性の用量ですけれども、それが食品安全委員会の報告の33ページ、その上のほうに記載されています。ラットで急性神経毒性試験の結果がサマライズされていて、最後に無毒性量は雄で60mg/kg体重であると考えられたということで、このデータをもとに急性参照用量を設定してあったのですけれども、その前の前のページ、30ページを見ると一般薬理試験のところで中枢神経系への作用、第3番目のカラムですが、痙攣誘発作用のところで最小作用量が25mg/kgで、最大無作用量が12.5mg/kgと書いてございます。

 食品安全委員会ではどうしてこの値をとらなかったのかということが気になって、事務局の御意見を伺ったところです。これをもしこちらをとると急性参照用量と摂取量との比が100を超えてしまうのです。そういうこともあって御意見を伺いました。それについて私にとって納得できる説明をいただきましたので、それについて皆さんにも事務局から説明していただければと思います。

 松倉さん、お願いいたします。

○事務局 それでは、事務局から御説明いたします。

 食品安全委員会の評価書、資料8-230ページをごらんください。30ページに一般薬理試験の結果が記載されておりまして、先ほど部会長から御説明のあったような結果が記載されております。これにつきまして急性参照用量ARfDの設定根拠と最終的にはなっていないのですが、まずその考え方を御説明差し上げます。

 考え方としましては、まず一般薬理試験というのは、もともと薬理作用を確かめるための試験、そういう狙いで実施されておりまして、無毒性量の設定に当たって、もともと重点的な評価資料とはなっていないようなのですが、ただ、この急性参照用量の設定に当たっては、一般状態についてはその試験結果を考慮するとされております。逆に言いますと、その下に書いてあるような痙攣誘発作用(電撃痙攣)のような意図的に電撃を与えてどういった作用が出るかどうかということについては、これは我々が一般に食品を摂取するときの状態とは違う人工的な実験条件でのものですので、これについては採用せず、一般状態のところについて考慮するという考え方のようです。

 もう一点申し上げますと、電撃痙攣という実験自体については、動物愛護の観点から最近は国際的にも実施すべきではないという考え方が広まっているということで、その点からもこの評価結果については一応記載してあるけれども、評価においては重きを置いていないということだそうです。

 次に、一般状態のところについては、急性参照用量の設定に当たって考慮するという考え方なのですが、今回のクロチアニジンの薬理試験の結果につきまして、具体的に食品安全委員会で審議をされておりまして、その結論としましては、慎重に検討した結果、雄3例のみの試験であって動物数も少ないこと、認められた影響が弱い症状であること、毒性の定量的な評価ができないこと等を踏まえて総合的に判断し、急性参照用量の設定根拠には用いないという判断がなされております。

 ということで、この一般薬理試験については今回設定されたARfDの直接の根拠にはなっていないということを御報告させていただきます。

 以上です。

○大野部会長 ありがとうございました。

 今、言われたような説明を伺って私は納得したのですけれども、鰐渕先生はいかがでしょうか。

○鰐渕委員 先ほどお伺いして、十分納得できましたので結構かと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。薬理作用という面では尾崎先生が詳しいと思いますけれども、その辺いかがでしょうか。

○尾崎委員 結構だと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 電撃で痙攣を誘発して、それに対する影響を見たということで私も極めて特殊な条件下での実験だったので、そういうときのデータを基準設定に使うのは、まだその辺が確立していないこともあるし、特殊なところなので適切ではないのではないかと私は思ったところです。

 ほかの先生方いかがでしょうか。佐藤先生、お願いします。

○佐藤委員 今のところで一般の集団と書いてあるのが意味がわからなかったのですが、これは無毒性量ではないのですか。

○大野部会長 そうですね。これはいかがでしょうか。

○事務局 資料8-118ページ2 ARfD1つ下の行のところかと思いますが、御指摘のとおり無毒性量が適切かと思いますので、修正をさせていただきます。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、今までのところについて、ほかのところも含めて御意見ございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、分析法、分析結果その他については今まで御審議いただきましたけれども、さらに何か気がついたところございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、基準値についていかがでしょうか。今回いろいろ検討していただきましたけれども、いかがでしょうか。国際的整合性を含めて。根本先生、お願いします。

○根本委員 23ページでほうれんそうの使用方法が申請の範囲内で試験が行われていないということで、前回たしかその後、申請する予定であるようにお伺いしたのですが、現状でどうなっているのかと、34ページで幼小児で推定したESTIの比率がほうれんそうで70%ということで一応クリアはしているのですけれども、ほうれんそうに関して何とかもう少し基準値に対して使用するほうで、もう少し低濃度で使用することで効果が出ないものかどうか心配なのですが、その点、申請の状況とか、どうしてもこのくらいの濃度をかけないと実用性がないのかどうか、その辺をお伺いしたいのです。

○事務局 まずほうれんそうの適用拡大の申請ですが、前回の部会では今後、申請予定と御説明を差し上げました。実際に今、拡大申請が出ていると聞いております。

 ほうれんそうの基準値なのですが、これは実際、この使用方法に基づいて残留試験をした結果に基づいてこのような値を設定しております。農家においてもメーカーにおいても、無駄に過剰に使用するということはないと思いますので、実際にこういう必要性があって、このような使用方法が決まっているのかとは思います。

○大野部会長 よろしいですか。峯戸松さん、何か追加で意見ありますか。

○農林水産省 それでは農林水産省からも補足をさせていただきます。

 基本的には事務局から御説明があったとおりなのですけれども、農薬は使う以上は効果がないと意味がありませんので、当然殺虫効果を現場で示せる散布できる濃度、量等を決めておりますので、その量を確かに残留濃度が高いからといって濃度を下げてしまうと逆に効果がなくなって、効果がなくて残留しているだけという形になってしまいますので、そこについては十分な効果を示す濃度等の散布が必要ということになろうかと思います。もしそれで暴露評価上、問題があれば、当然その手法は認められないということで、認められる範囲で変更をするなり適用を削除することになろうかと思います。

○大野部会長 現在、拡大申請されているところでも同じような使用方法でやられているのでしょうか。

○農林水産省 そうです。申請と使用方法が作物残留試験で違うというものは散布時の濃度が違うということだったかと思うのですけれども、現在の申請ではこちらの作物残留試験で書かれている使用方法での申請があるということになります。

○大野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

○根本委員 どうもありがとうございます。

○大野部会長 鰐渕先生、お願いします。

○鰐渕委員 実際にほうれんそうだけ基準値がめちゃくちゃ高い。ほかにもっと効果のあるものを使うべきではないか。多分パブコメなんかにも出ていると思うのですが、みつばちがたくさん死んでいる要因の1つにも挙げられたりとかしているので、ある意味、ずば抜けて高いですね。だからもう少し効果のあるものに使用する側も変えていくことも指導していかれたほうがいいのではないかという気がしました。

○農林水産省 御意見ありがとうございます。そういう意味では虫も殺虫剤の耐性を持つことがありますので、人でよく耐性菌の話とかありますけれども、それと一緒で幾つかの選択肢を持っておくことが重要だと思います。同じ虫に対してもこの系統の農薬とほかの農薬の系統、そういうものを交互に使う等して耐性が出ないようにするとか、虫によってはそういうことも考えなくてはいけませんので、その使用する現場で別の薬剤を選択することも考えられると思います。必ずほうれんそうを栽培するときにこれを使うというわけではございませんので。

 一方、残留基準値が高いという御指摘ですけれども、それについては当然使用方法に基づいて作物残留試験が実施されておりまして、その残留濃度に基づいて暴露評価上、問題がない場合は基準値が設定されておりますが、この使用方法がほうれんそうの場合、前の適用表を見ていただくと分かるのですけれども、濃度については先ほどお話したように効果のある量ということで決められておりまして、もう一つ、この濃度に影響するのが収穫前日数なのですが、これについても作物ごとに生産現場での必要性などを考慮して農薬メーカーのほうで検討して申請をされているものです。ほうれんそうについては収穫前日までという使用方法が必要だということで申請がなされておりまして、そういう点もあって少しほうれんそうについては残留基準値を高目にすることが必要になっているというのが現状だと考えております。

○大野部会長 鰐渕先生、そういうことですけれども、よろしいですか。

○鰐渕委員 はい。

○大野部会長 ほうれんそうと、ほかの葉野菜との使用するときの希釈倍数とか、まく量とかそんなに変わらないのに、収穫前日までというのはほかの葉野菜でもあるのに、なぜほうれんそうだけだめなのかなという気がするのですけれども、ほうれんそうというのは特殊なものなのですか。

○山内委員 これは26ページの上から3分の1ぐらいのところに、かぶ類の葉っぱも同じ40になっていますね。だから同じような野菜なので理解できるのと、それから、かぶ類の葉の例で言いますとクロチアニジンの作物残留試験成績が27.42.99となっていて、ほうれんそうの場合は同様に9.9727.0となっていて、実際に残留する実数値から基準値案を決めるときの御約束で多目に設定しています。つまり、試験結果からから言うと実際は最大27.0までの残留だが、基準値を設定するときには、最大の残留値をカバーできるように、大きく設定しており、このため、基準値は40ppmになっているということは理解しておいたほうがいいと思います。作物残留試験では現在では、2例しか行われていませんが、今後は増やす方向を検討していると聞いています。件数が増えたときに、結果分布の様子がさらに明らかになり、大きく変える必要があれば、また検討し直すことも必要だと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。

 峯戸松さん、何かありますか。

○農林水産省 作物ごとの違いということで言えば、今、山内先生からもお話があったように2例でどこまでわかっているかというところもございますし、あと作物の形状ですとか、大きさとか、そういったものによっても当然残留濃度が変わってまいりますので、例えば先ほどのほうれんそうの作物残留試験ですと同じページには葉菜はないですけれども、ほかに白菜の登録なんかもございますし、収穫3日前となっているのですが、こういったものもほうれんそうみたいに開いている作物だと、上から散布する農薬というのはたくさん受けとめますが、白菜とかであれば閉じてしまっていますので、その閉じた球の表面にしか上からまいた農薬はかかりません。しかも中がしっかり詰まっていて重いということなので、濃度としてあらわすときには当然低くなってくるということもございますので、ほうれんそうが特殊かというとほかにも類似の作物がございますので、同じ処方をすれば同じ程度の残留があってもおかしくはないのですけれども、比較的開いていて、軽量の野菜、葉菜のようなものというのは残留濃度が、同じ情報だとほかの葉菜などに比べるとレタスとかキャベツ、白菜などの閉まったような葉菜に比べると高くなる傾向があると言えると思います。

○大野部会長 御説明どうもありがとうございます。

 山内先生、お願いします。

○山内委員 実際に家庭で食べるときは、買ってきたものを、家で水で洗いますね。そうすれば、残留値が27.0であっても、食べるときにはさらに洗い落とされるわけですね。

○農林水産省 当然、ほうれんそうは通常生より洗って湯がいて食べることが多いですので、あとは農薬の性質にもよりますけれども、例えばクロチアニジンだと水溶性の高い農薬ですので、そこで煮汁に出ていってしまえば実際に食べるほうれんそうとしてはもっと低い濃度になっていることが想像されるかと思います。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

○事務局 事務局から補足させていただきます。今、御議論いただいたことの繰り返しになってしまうかもしれないのですが、残留基準の決め方としては、農薬の使用方法がいろいろある中で、一番最大残留するであろう使用方法に基づいて作物残留試験を実施して、当然その試験の結果というのはばらつくのですが、そのばらつきの中の一番高いところをカバーできるような基準値を設定するという考え方で、ほうれんそうだと40ppmという値になっています。

 ただ、現実には常に農家の方が一番最大残留するような使用方法を毎回しているわけではないですし、先ほど収穫前日まで使えるというのも、それは使う必要があれば使えるという意味で、毎回収穫前日まで使うわけではありませんので、実際にはもっと残留量は少ないですし、残留のばらつきを考慮したときも最大で40ppmぐらいなのだけれども、平均的な残留というのはもっと少ないと考えられております。

 先ほど山内委員からは、調理過程での減少ということについても言及をいただきましたが、私どもマーケットバスケット方式による実際の農薬の摂取量調査というものもやっております。これは実際に平均的な食品の摂取量を考慮しまして、それらの食品にどれくらい農薬が残留しているかという調査を毎年度やっているのですが、ネオニコチノイド系農薬について言えば、ADIに対する割合としては0.何パーセントという値にとどまっております。これはきょう試算をお示ししたTMDI計算などではADI比で数十パーセントという値なのですが、実際に摂取量調査をやってみると0.何パーセントという値になっていて、理論上、摂取するとこれだけ最大残留するという仮定のもとの値と、実際の摂取量というのもまた大きく違うのかなと考えております。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 皆さんよろしいでしょうか。全体を通していかがでしょうか。御意見ございますでしょうか。

 それでは、若干表現が変更されたところがございましたけれども、変更したものをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、本日の審議結果の食品衛生分科会での取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、お手元にお配りしております横1枚の紙をごらんください。平成2233日に了承されました「食品衛生分科会における確認事項」に基づきまして、本日の部会で御審議いただきました農薬5剤、動物用医薬品1剤、動物用医薬品及び飼料添加物1剤、農薬及び動物用医薬品1剤について、分科会での取扱い原案を御用意させていただきました。

 本日御審議いただきました品目のうち、モサプリドにつきましては新たに残留基準を設定するものであることから、区分1といたしました。

 クロチアニジン、ジクロベニル、テフルベンズロン、フルミオキサジン、マラチオン、ラサロシドにつきましては、既に設定されている残留基準の一部改正に該当しますことから、区分3といたしております。

 クロラントラニリプロールにつきましては、食品安全委員会での評価の結果に変更がないことから、区分4とする案とさせていただきました。

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 ただいま説明していただきました分科会での取扱いについて、御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいですか。特にないようですので、この部会としてはそのような形でよろしいか、分科会長の御意見を伺って承認を得たいと思います。

 そのほかに報告事項はございますでしょうか。

○事務局 特にございません。

○大野部会長 それでは、今後の手続について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 本日御審議いただきました農薬5剤、動物用医薬品1剤、動物用医薬品及び飼料添加物1剤、農薬及び動物用医薬品1剤につきましては、食品安全委員会からの通知を受けておりますので、何品目か修正が必要なものがございますが、御確認いただいた修正版をもって部会報告書とさせていただきます。

 今後の手続につきましてはパブリックコメント、WTO通報、消費者庁協議等必要な手続きを進める予定としております。

○大野部会長 ありがとうございました。

 そのほか報告事項等はございますでしょうか。

○事務局 特にございません。

○大野部会長 皆さんもよろしいでしょうか。

 それでは、次回の予定について説明をお願いいたします。

○事務局 次回の本部会の開催日程につきましては、平成27120日火曜日の午前を予定しております。出欠につきましては、後日、御確認させていただきます。詳細につきましても追って御連絡申し上げます。

 それから、御連絡ですけれども、机上に配付しております委員必要事項連絡票は、会議終了後に係のほうで集めますので、机上に置いたままでお願いいたします。

○大野部会長 ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして本日の部会を終了いたします。どうも御審議ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省食品安全部基準審査課
03-5253-1111 内2921

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