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2014年12月5日 2014年12月5日 第2回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会 議事録

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成26年12月5日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12階)


○出席者

委員

佐藤座長、池田委員、石山委員、神吉委員、武石委員、田代委員、中井委員、両角委員

厚生労働省

安藤雇用均等・児童家庭局長、木下審議官、古川総務課長、蒔苗職業家庭両立課長、飯野職業家庭両立課育児・介護休業推進室長、中井職業家庭両立課長補佐、川島老健局振興課長補佐

○議題

1 第1回研究会の議論について
2 介護保険制度の概要について
3 仕事と家庭の両立支援に関する実態調査項目案について
4 その他

○配布資料

資料1 第1回研究会の議論について
資料2  第1回研究会における御指摘事項に関する補足資料
資料3 介護保険制度の概要
資料4 仕事と家庭の両立支援に関する実態調査項目案について
参考資料1 仕事と家庭の両立支援に関する既存の調査結果
参考資料2 JILPT「仕事と介護の両立に関する調査」概要

○議事

 

○佐藤座長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第2回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会を開催させていただきます。御多忙のところ、御参集いただきましてありがとうございます。本日は議事次第のとおり、第1回研究会の議論の内容について整理していただいたものと、質問を出していただいたものについて、可能な範囲で御用意いただけるということです。それと、実態調査の項目等について御議論いただきたいと思います。本日は、両角委員は御欠席の連絡を頂いております。第1回の研究会資料はお手元のファイルにとじてありますので、適宜御覧ください。

 本日、第2回目ですが、第1回目に御欠席の武石委員にお越しいただいておりますので、簡単に自己紹介をよろしくお願いいたします。

 

○武石委員 おはようございます。法政大学の武石でございます。前回、欠席をして申し訳ありませんでした。大変重要なテーマだと思っております。一緒に勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長 どうもありがとうございます。それでは、本日の議題に入ります。まず議題1は、第1回の研究会の議論について、事務局から資料の説明を受け、その後、追加的な意見交換を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 では、資料1に基づき、第1回の研究会の議論について御説明いたします。

 第1回研究会の議論について、検討事項1、仕事と介護の両立の在り方です。(1)介護休業の在り方に関しては、介護休業期間を長期にするニーズはない。分割取得が良いのではないかとの御指摘をいただきました。また、介護休業は、家族の介護の準備のための休業として周知しているところもあり、分割取得などを可能とできればよい。というような御指摘もありました。また、その際、所得保障の視点も必要であるとの御指摘もありました。育児の場合は、労働者が子育てに関われるようにする制度としているが、介護の場合は、仕事と介護の両立のために準備する期間であり、労働者が介護を抱え込まないための「介護準備休業」のようなものであるという御指摘もありました。

(2)介護期の柔軟な働き方の充実に関しては、介護の状況は、例えば遠距離かどうか等の個別の事情によることが大きいため、柔軟な勤務制度が重要である。フレキシブルな働き方が重要である。例えば、就業時間中に時間休でケアマネとの面談等を行うことが可能とするなどが必要であるとの御指摘をいただきました。

(3)その他として、企業において、従業員の誰が介護の課題を抱えているかをまず把握することが難しい。辞めるときになって、初めて企業が知ることもある。コミュニケーションの仕組みから議論をする必要があるとの御意見もありました。また、介護保険制度に係る情報提供は重要であるという指摘や、夫婦どちらかが非正規になることで、介護ニーズに対応することがあることの御指摘もありました。

 また、地域包括に事前に相談しても、介護が発生してから対応すると回答していることも多く、事前に教育することが重要である。同じく、教育に関しては、介護について、周知・教育をどうしていくかが重要である。最終的には個々人が考えていくという素地を作っていくことが必要であるとの御指摘がありました。また、子育ての関係についても、介護と子育てを同時に担う者が増えているとの御指摘もありました。

 そのほか、介護を担う50代の従業員については、60歳以降も、これまで同様のキャリアを歩むかどうかは、自身のキャリアの問題でもある。一社で継続雇用する前提でいくのか、社会全体の労働力移動を含めて議論をする必要があるのではないかという御指摘もいただきました。

 続いて、検討事項2、多様な家族形態・雇用形態に対応した、育児期の柔軟な働き方の充実についてです。(1)育児休業に関して、育児については、法定制度は整ってきているとの御指摘。また、非正規雇用の労働者について、同一企業で育児休業取得後も働き続けることが見込まれることが取得要件とされているが、諸外国では、そのような要件は見られないとの御指摘。同じく、非正規雇用の労働者について、所得保障と雇用継続は、それぞれ問題になるというような御指摘もありました。

(2)、子の看護休暇については、議論はありませんでした。

(3)、勤務時間短縮等の措置、所定外労働の免除等に関しては、男性の子育てへの関わりを増やすためにも、勤務時間短縮等の措置、所定外労働の免除について、小学校低学年まで対象年齢を引き上げてはどうかとの御指摘がありました。その一方で、勤務時間短縮等の措置等について、フルタイム勤務に早く戻ると継続就業できない働き方を放置したままで、制度として延長することが適当かどうかは、要検討であるとの御指摘もありました。また、両立できないということに関して、労働時間の長さに加えて、就業時間帯の問題もある。勤務時間短縮等の措置を利用しても、延長保育のお迎えには間に合わないというような場合もあるとの御指摘もありました。

 そのほか、育児期は20代、30代はキャリア上、重要な時期に当たる。キャリアをどのように確保するかも重要な課題であるとの御指摘がありました。

 検討事項3の男性の仕事と家庭の両立の促進に関しては、男性の育児への関わりについては、長時間労働がネックとなっているとの御指摘。また、先ほどもありましたが、男性が子育てへの関わりを増やすためにも、勤務時間短縮等の措置、所定外労働の免除について小学校低学年まで対象年齢を引き上げてはどうかとの御指摘。そのほか、男性が保育園のお迎えができるといった環境の整備をする必要がある。多様な男性の子育て参加を進めることが必要であり、特に専業主婦がいる男性の子育て参加をどのように進めていくかが問題であるとの御指摘がありました。

 検討事項4、その他として、法律上の話かどうかは別として、育児期・介護期の転勤配慮についても議論が必要であるとの御指摘がありました。

 続いて、資料2です。これら第1回研究会における御指摘事項に関して、補足資料を幾つか御用意させていただきました。資料2に基づいて説明いたします。

 まず、補足資料は、議論の前提として、育児・介護休業法に基づく、仕事と介護の両立支援のための法制度が現行はどのようになっているかについて、補足を申し上げます。一番最初に付けている資料がそれに当たります。

 まず、2ページは、育児・介護休業法の概要についてです。こちらが現行の育児・介護休業法の全体の立て付けになっています。このうち黄色で色付けした所が介護関連の制度です。介護休業制度、短時間勤務等の措置、時間外労働の制限、深夜業の制限、介護休暇制度、転勤についての配慮、不利益取扱いの禁止があります。そのほか、実効性の確保として、苦情処理の仕組みなどがあるところです。それぞれの具体的な制度については、次ページです。

3ページは、介護のための両立支援制度の概要についてまとめております。まず、介護休業制度については、法律上、介護休業とは要介護状態にある対象家族を介護をするためにする休業をいい、労働者は事業主に申し出ることにより、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日まで介護休業をすることができるということになっています。ここで言うところの要介護状態は、負傷、疾病又は身体上、若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態とされています。また、対象となる家族については、配偶者、これは事実上婚姻関係にある者も含む。父母及び子、これらに準ずる者として、同居し扶養している祖父母、兄弟、姉妹及び孫を含みます。それに加えて配偶者の父母、これらの方々が対象家族になるということに法律上されています。取得の対象となる労働者の方については、原則、全ての男女労働者の方で、期間雇用者については、一定の要件を満たした場合に取得ができるということになっています。

 続いて、介護休暇については、要介護状態にある対象家族の介護、その他の世話を行う労働者が、対象家族が1人であれば、年5日まで、2人以上であれば、年10日まで1日単位で休暇を取得することができることになっています。ここで言うところの、対象家族の介護、その他の世話の内容ですが、1対象家族の介護2対象家族の通院等の付き添い、対象家族が、介護サービスの提供を受けるために必要な手続の代行、その他の対象家族に必要な世話というような内容となっています。

 介護のための所定労働時間の短縮措置等ですが、事業主は、短時間勤務制度、その他の措置(短時間勤務制度等の措置)を講じなければならないというようにされています。この短時間勤務制度等の措置の選択肢の内容ですが、1~4ということで、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、介護サービスを利用する場合に、労働者が負担する費用を助成する制度、その他、これに準ずる制度というものが選択肢になっています。そして、これらの制度については、要介護状態にある対象家族1人につき、介護休業した日数と合わせて、少なくとも93日は利用できるようにする必要があるとされています。そのほか、時間外労働の制限については、1か月24時間、1150時間を超える時間外労働をさせてはならない。また、深夜業の制限として、労働者が請求した場合には、その労働者を深夜(午後10時から午前5時まで)において、労働をさせてはならないというようになっています。

 その他として、労働者の配置に関する配慮ということで、労働者に就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合に、その変更によって、介護が困難になる労働者がいるときは、当該労働者の介護の状況に配慮しなければならないという規定もあります。今、申し上げた介護休暇から配慮の規定までについては、対象労働者の方は、期間雇用者も含め、原則、全ての男女労働者(日々雇用者を除く)、この方が対象労働者になっています。

 そのほか、不利益取扱いの禁止として、今申し上げたような制度の申出や、取得を理由として、解雇などの不利益な取扱いをしてはならないとなっています。また、一番下に所得保障というように載せた部分については、第1回の議論でも所得保障について御指摘があったところですけれども、介護休業給付として、雇用保険より給付が出ることになっています。これは1回の介護休業期間(ただし、介護休業の開始日から最長3か月)について、介護休業開始時の賃金月額の4割を介護休業給付金として支給するといった仕組みになっています。

4ページは、介護のための両立支援制度の改正経過です。こちらを簡単に見ると、介護休業については、平成1141日までは3か月までの努力義務だったところ、平成1141日施行分から対象家族1人に1回限り3か月まで義務化されています。その後、平成1741日の施行分から現行の姿、要介護状態ごとに1回、対象家族1人に通算93日までということで改正されました。

 介護休暇については、前回の改正、平成22630日施行分から創設されました。また、介護のための所定労働時間の短縮措置等については、平成1141日分から施行されており、引き続き同内容で設置されています。

 一番下の介護休業給付については、平成1141日から休業前賃金の25%、平成1311日からは休業前賃金の40%で施行されています。

5ページは、介護休業に関して、要介護状態を判断する際の「常時介護を必要とする状態」というものはどういうものかという判断基準になっています。これらに2週間以上該当する場合には、育介法上、要介護状態とされているところです。

 内容としては、介護保険の基準よりも広くなっていると考えられる内容になっています。具体的には、次のいずれかに該当するものというところで、日常生活動作事項、第1表の事項欄の歩行、排泄、食事、入浴及び着脱衣の5項目の動作事項のうち、全部介助が1項目以上又は一部介助が2項目以上あり、かつその状態が継続されると認められること。又は、第2表の行動欄の7項目のうち、いずれか1項目以上が重度又は中度に該当し、かつその状態が継続されると認められることとされているところです。以上が、現行の介護関係の制度の内容です。

6ページ目以降は、第1回の議論で御指摘を受けた点について、補足のデータを載せました。こちらを簡単に説明いたします。まず、6ページは、前回の議論で、介護休業取得率が低い理由は何かという御指摘を、両角先生から頂きましたが、それに関連して、介護をしている就労者に介護のために利用した勤務先の制度を尋ねたものです。その結果、利用していないという回答が最も多くなっています。また、利用した制度の中で、男女共に有給休暇を半日単位や時間単位等の休暇制度、遅刻、早退又は中抜けなどの柔軟な対応の順で高くなっています。

7ページは、同じことを離職者の方に聞いたものです。結果として、利用していないが最も多くなっており、利用した制度の中でも、有給休暇の半日単位や時間単位のような休暇制度の順で高くなっています。

8ページは、利用していない人が最も多くなっているところを、その理由について尋ねたものです。制度を利用しない理由としては、介護に係る両立支援制度がないためというように回答している割合が最も高くなっており、離職者の中で、特に高くなっている所です。これらから両立支援制度はそもそもないと思っている労働者の方が多いことがうかがえます。

9ページは、介護休業制度の利用目的は、何のために介護休業を利用しているのかという御議論が前回あったかと思いますが、それについてのデータを掲載しています。介護休業制度の利用目的を見ると、離職者については、排泄や入浴等の身体介護の割合が最も高くなっています。一方で、就労者については、こちらのデータ自体が、就労者の介護休業利用者が13人とn値が極めて小さいところで出たデータということで御留意いただく必要があるかと思いますが、就労者については、入退院の手続の割合が最も多く、このような結果です。

10ページは、前回の議論で、企業において、従業員の誰が介護の課題を抱えているのかを把握することが難しいといったような御指摘もあって、介護の問題を抱えている従業員の把握の有無について聞いたものです。その結果、介護の問題を抱えている従業員がいるかを把握している事業所の割合は、51.7%、約半分という結果が出ています。

11ページは、別の調査において、従業員の介護ニーズの把握状況を聞いています。この結果からも、従業員の介護ニーズの把握状況、特に把握をしていないという回答している者が46.4%、約半数を占める結果になっています。また、介護事由で制度を利用した従業員がいる企業のほうが何らかの方法で、従業員の介護の実態やニーズを把握している割合が高いという結果になっています。

12ページは、従業員の介護ニーズの把握方法・内容についてのデータになります。介護ニーズの把握方法としては、相談があった人について実施しているの割合が最も高い一方で、定期的に把握しているなどの割合が低くなっており、個別の把握に留まっている状況がうかがえます。

 把握の内容としては、割合の高いものから、現在介護をしているか。あるいはどのような働き方を望んでいるか。仕事と介護の両立を行う上で困っていることはないか、困りそうなことはないかの順になっています。

13ページは、介護について、労働者が誰に相談をしたかというデータです。その結果として、相談をした人を見ると、家族・親族、ケアマネジャーの順で割合が高くなっており、勤務先に相談した割合が低いという結果です。

14ページは、仕事と介護の両立支援として、企業が取り組んでいることを見ると、企業は現在、介護休業制度や介護休暇等に関する法定の制度を整えるという割合が特に高くなっており、逆に言えば、それに留まっている状況です。例えば、情報提供を行うことであったり、相談窓口や相談担当者を設ける。実態・ニーズ把握を行うことなどの回答割合は10%に留まっており、そのような状況になっています。

15ページは、介護休業制度、介護休暇制度の整備状況を御用意いたしました。前回、研究会の検討課題である介護休業制度の在り方や介護休暇制度の在り方に関して、それらはどのように使われているのかという御指摘もあり、それらの整備状況について御紹介いたします。介護休業制度については、法定を上回る内容を整備している企業は約2割となっています。その内容は、取得期間の割合が最も高くなっています。介護休暇制度については、法定を上回る内容を整備している企業は約1割で、その内容は、取得単位の割合が最も高く、次いで、取得日数、賃金補てんの順になっています。

16ページは、検討課題である介護期の柔軟な働き方の充実に関して、介護休業・介護休暇以外の制度の導入状況の調査です。その状況は、1日の所定労働時間を短縮する制度が約7割で、最も高くなっています。次いで、半日単位、時間単位等の休暇制度、始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げが多くなっています。

17ページは、それらの柔軟な働き方の制度の利用状況についてのデータです。介護事由での制度の利用状況を見ると、失効年次有給休暇の積立制度の介護事由利用や、半日単位、時間単位等の休暇制度、1日の所定労働時間を短縮する制度の順で割合が高くなっています。全体として、介護事由での制度利用は進んでいないということが見て取れるところです。

18ページは、前回の御議論の中で、育児期・介護期の転勤配慮についても議論が必要との御指摘がありましたので、勤務時間の配慮に関する調査についても載せています。勤務場所への配慮を行っているかを見ると、仕事と介護を両立できる範囲内での異動・転勤とするなど、異動・転勤先を配慮しているが最も割合が高くなっています。逆に言うと、異動・転勤を免除しているであったり、本人の希望による異動・転勤を認めている等の割合が少なく、また、そもそも異動によって、勤務場所が変わることはないと回答されている方も30%近くいます。

19ページは、先ほど企業におけるニーズ把握に関する御指摘もありましたが、従業員が介護に関する両立支援制度を円滑に利用できるよう、支援するために取り組んでいることに関する調査です。制度利用開始時に、職場の上長や人事担当者と面談を実施、職場の管理職等が部下の個人的な悩みなどを聞くよう周知というような割合が高い一方、特に行っていないという回答されている方も同程度となっています。

20ページは、両立を支援する上での課題として、企業が考えていることは何かということを載せています。従業員の年齢構成から、今後介護を行う従業員が増えることが懸念されるとの割合が最も高くなっています。前回の資料等で足下、1年間で10万人が離職しているという状況について御紹介いたしましたが、企業も介護を行う従業員が増え、介護をしながら働かざるを得ないという状況が増えることは、かなり深刻に感じているということがうかがい知れるかと思います。

21ページは、職場における両立等に関する意識の浸透度別の制度の利用状況です。こちらは、職場における両立に関する意識が浸透している企業においては、ほかと比較して、介護休業制度、介護休暇とも、利用者のいる割合が高いという結果になっています。

22ページは、前回の御議論の中で、介護に関する情報提供が重要だという御指摘もありました。これについて、介護関連情報の正社員への情報提供については、特に提供している情報はないと答えている所が約7割を占めています。情報提供をしている企業で最も割合が高いのは、介護保険制度の仕組みであり、その方法としては、社内のイントラネットに掲載している等の割合が高くなっています。

23ページは、介護に関する経済的支援です。前回、所得保障に関する御指摘もあって載せています。企業における介護が必要となった人に対する経済的支援は、特に行っていないと回答をしている所が84.9%を占めています。

24ページ以降は、介護をしつつ、働いてらっしゃる方について、どのような状況におかれているか。イメージを共有するために、その介護されている方の役職とか、介護を必要とされている方の状況ということで、実際、どのような介護をされているか等についてのデータを付けています。簡単に説明いたします。

 まず、24ページで、現在介護をしている就労者、正社員の方の役職と抵抗感ということで、介護を担っている就労者の役職の構成と、就労者全体の役職との構成に大きな違いはないという状況です。抵抗感については、上司や同僚に介護について知られることの抵抗感は、介護をしている男女共に、「あまりない」「ない」を合わせた割合が7割を超えており、抵抗感を持つ人はそれほど多くないという結果です。

25ページは、介護を必要とする父母の状況について、介護を必要とする父母の年齢は、75歳以上の割合が父母共に7割前後を占めています。また、自宅からの距離については、自身で介護をしている親については、片道30分未満の割合が7割を超えている状況です。

26ページは、要介護認定の状況や認知症の有無について、就労者の父母と、離職者の父母の要介護認定の状況について比較すると、全体として、離職者の父母のほうが目立って要介護度が高いわけではないというところが見て取れるデータがあります。また、認知症の有無の分布については、就労者と離職者とではほとんど変わらないという状況です。

27ページは、介護費用の負担状況についてです。男女共に、負担していない(親などが負担している)割合が最も高く、5割を超えています。

28ページは、介護による離職者の離職理由としては、仕事と手助け・介護の両立が難しい職場だったための割合が最も高く、次いで、自身の心身の健康状態が悪化したための割合が高くなっています。

29ページは、働きながら介護をされている方について、どのような介護をしているかということや、あるいは役割分担について調査したものです。こちらは、働きながら介護をしている方については、排泄や入浴等の身体介護について、事業者や要介護者の配偶者が担っている割合が高いという状況です。それ以外の項目については、例えば、入退院の手続などについては、就労者の割合が高くなっています。

30ページは、それに対して、介護をしていた離職者の介護内容について、同様の内容を載せています。こちらは、排泄や入浴等の身体介護についても、本人も行っている割合が高くなっています。回答者が1人で介護を抱えがちであったとみられ、負担が重くなって離職したことがここから見て取れる結果となっています。

31ページは、働きながら介護をされている方の介護を行っている頻度についてです。こちらを見ると、就労者に比べて離職者の方のほうが、ほぼ毎日と回答している割合が高い結果になっています。

32ページは、 それを介護項目別の頻度として見たものです。就労者は定期的な声掛け、見守りや、家事について、ほぼ毎日行っている人が6割を超える。一方で、入退院の手続や急変時の対応、関係機関からの呼び出し対応は、その他と回答されており、これらは突発的な対応が求められている介護であるということが見て取れるかと思います。

33ページは、介護をされている方の勤務形態について、父母の居場所、又は、要介護度に関わらず、フルタイムの通常勤務で働いている方が、約9割という結果です。

34ページは、利用している介護サービスについて、在宅に父母がいる場合は、通所系サービス、訪問系サービスの順で割合が高いが、サービスを利用していないと回答されている割合も約3割いるところです。以上が、補足データです。

 資料2の別添を御用意させていただきました。こちらについては、第1回の議論で、介護休業と介護休暇の取得事由の違い等について御指摘がありました。したがって、それぞれの制度の取扱いについて比較をまとめたものです。

 介護休業制度と介護休暇制度の比較ですが、まず制度の創設については、先ほど見たとおり、介護休業制度は、平成1141日施行になっています。対して、介護休暇制度は、平成22630日施行です。介護保険制度は、平成1241日施行となっており、介護休業制度はそれよりも前となり、介護休暇制度は、介護保険制度ができてから作られたものとなっています。

 制度趣旨に関しては、介護休業制度は、介護を要する家族を抱えた労働者が、その介護のために緊急やむを得ない場合に一定期間休むことにより、雇用の継続を図ることができるようにするものと位置付けられています。このため、取得期間の考え方の所を見ると、家族が介護に関する長期的方針を決めることができるようになるまでの期間ということで、制定されている制度になっています。

 一方で、介護休暇については、その制度趣旨は、介護に関する長期的方針の決定後の期間における仕事と介護の両立支援のため、以下のように労働者が仕事を休まざるを得ないような場合に対応するものということで、一時的に介護をしなければならなくなった場合や、対象家族が通院等をする際の付き添い、あるいは介護保険関係の手続等、これらについて介護休暇でカバーするというようにされています。

 なお、介護休業制度、介護休暇制度の改正経過については、先ほど御覧いただきましたが、介護保険の制度の施行後の直近の改正の内容を、こちらに載せています。直近の改正の内容として、介護休業制度は、要介護状況ごとに1回対象家族の1人につき、トータルで通算93日まで取得を可能とする。加えて、期間雇用者も取得が可能とするものです。

 一方、介護休暇制度は、前回の改正において、制度導入され、まだ改正はされたことがないという状況です。

 次ページは、これらの制度を取得する際の事業主への申出事項についても整理しています。こちらの下線部は、事業主は、事実を証明する書類の提出を求めることができるとされています。例えば、介護休業制度であれば、介護休業申出に係る対象家族の氏名及び労働者との続柄。あるいは介護休業申出に係る対象家族が要介護状態にある事実などがこれに該当します。介護休暇制度についても、同様の事項が対象となっています。資料については以上です。

 

○佐藤座長 この前の議論に関わる、あるいは委員の皆様から質問が出た点などについて対応できる大部な資料を御用意いただいてありがとうございます。これからの進め方ですが、まず資料2と別添についての御説明、もうちょっとこれどうなのという質問があれば伺うことにします。その後、資料1のほうの論点で、皆様が出したことが入っていないところがあれば別ですけれど、もちろんそれは伺いますが、特に資料1の前回出していただいた論点を踏まえながら、前半の今日は介護のほうを中心に追加的な御意見を伺えればと思います。

 前半の資料で、2930ページの御説明いただいたのですけれども、基本的に、これは両方とも正社員として就業している人で、1つは今も就業しながら仕事と両立する。離職者は、離職する前なのですね。ですから離職する前にどういうふうにしていたか。今ではなくて。そこが誤解する可能性があるので、離職する前はどうしていたか。そういう意味で、離職する前にかなり直接自分で介護をしていた、その後離職に結びついているというふうに見ていただくデータです。

 あともう1つだけ。資料2の別添です。これは私が言ったことか分かりませんが、介護保険制度が出る前に介護休業が入ったということで、そこはかなり介護休暇の趣旨の違いなのですけれども、一応これを見ると、介護休業は、期間も93日というので長期的方針を決める。それを決めるために取るのだけれども、ただし自分で介護するということではないと取れないのですね。そこがちょっとなんですね。長期的な方針を決めるという期間だといいながら、他方で取るためには自分で介護しなければいけないという理解でいいですか。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 はい。

 

○佐藤座長 そうですね。この話で、例えば父親が今病院に入院していて、自分は直接介護をしなくていいのだけれど、1か月ぐらいで退院すると。退院の準備のために認定を受けたり、住宅改修で1か月かかるなんていうときは、厳密にいうと介護休業は取れないという感じですね。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 個別のケースなので、事情をよく聞きながら取れる場合もあると思いますし、取れない場合もあると思います。

 

○佐藤座長 ただ基本的には、現状の法律でいうと、休業中に準備だけしてたらまずいわけ。介護をしていないと。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 準備がどういうものかによると思うのです。介護のためにどういうことをするかということなので、今の1か月みたいな話ですと、具体的に考えなくてはだめですけれども、介護の目的のために休業する。

 

○佐藤座長 資料23ページを見ると、概要の所で「対象家族を介護するためにする休業をいい」と。これと先ほどの説明で、介護するためというのは直接介護するのか、準備まで入るか、そこなのですけどね。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 介護休暇制度のほうは、「介護その他の世話」ということで、その他の世話の所で、例えば通院等の付き添いなどは整理されています。

 

○佐藤座長 介護休業のほうは。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 その他の世話という所がないので、いわゆる付き添い等は含まれないと。

 

○佐藤座長 多分そうですね。現状の理解ではね。介護保険制度はできる前だったというのがあって、つまり介護の社会化という議論になる前なので、基本的には本人が介護するしかなかったわけですよね。多分それがあって、当時としてはそういう文脈があったのだろうと思います。ただ、介護休暇は介護保険制度の後なので。当時介護休業もあったので、ケアマネジャーと会ったりみたいなのも含めて多分考えられたけど、介護休業のほうは導入当時の趣旨なのかなという気もしないでもない。

 

○佐藤座長 では、その辺を踏まえて議論いただければ。

 

○武石委員 今の関連で、企業の方が一番苦慮されているのは、介護かどうかと判断するところですが、企業で介護休業を出したとすると、この給付というのは、基本的に企業が認めると給付金は出るのでしょうか。そこで、また給付のところで以後厳格な判断はされるのですか。事務的にどのようになるのでしょうか。

 

○佐藤座長 法定を上回る形で介護休業を企業が認めた場合、この給付は法定通りかという話ね。

 

○武石委員 はい。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 確認しますが。

 

○佐藤座長 では、それはまた御検討ください。給付の、企業としてはかなり取得の目的を法定を上回る形で認めているという場合ですね。その場合、今度給付になったときにどうかという。ちょっと御検討ください。

 それでは、私が質問しすぎてしまいましたが、資料2あるいは資料別添2で。

 

○石山委員 資料25ページ、スライド5なのですが、この日常生活動作の表については、恐らく平成11年に作成されて、そのまま改訂されていないという理解でよろしいでしょうか。そうなりますと、第1表の全部介助の所の食事なのですが「臥床のままで食べさせなければ食事ができない」。現在は、こういった介助は極力避けるように指導がなされていますので、これを適用しなければならないとなると、対象者がかなり狭くなってしまうと思いますので、現在の状態に合わせた全部介助の介助の在り方を記載するほうがいいのではないかと思います。

 あともう1点よろしいでしょうか。スライド26の図表17です。介護している父母の認知症の有無という所で、ここはとても重要かなと思ってこのスライドを拝見したのです。認知症の有無にかかわらずというところで、特にその差はないという結果が出ているのですが、ここでの認知症とはどのような基準で認知症と判断することになっていたのか、もしお分かりになればと思いまして、質問させていただきます。

 

○佐藤座長 26ページの図表17。調査票を見ていただくと、私の記憶では、多分本人の判断なので、多分そこが曖昧なところが残っている可能性が高いと思います。ちょっと調べていただきます。

 

○石山委員 分かりました。実際に認知症があるかないかということよりも、認知症あるいは認知機能の低下によって、BPSD、問題となる行動があるかないかによって、介護の難しさは発生してきますので、これをもってのみ差がないと判断してしまうと、やや現場と乖離してしまうかなという懸念を抱きました。以上です。

 

○佐藤座長 その点は今度、個人調査をやるので、石山委員の御指摘を少し考えて調査票の設計を考えたいなと思っています。前半の御指摘は、確かに先ほどの認定基準は、介護保険制度導入前なので介護保険の認定とは違うということと、もう1つは高齢者介護だけではないので、もちろん今みたいな点はあれなのですけれど、介護休業のほうはもうちょっと広い。そのことも踏まえたり、後は介護保険制度に入ったときの、入った後の認定の基準等を見て、多分見直しは必要な所があるかなという気はしています。ほかには資料2、あるいは別添資料1で。

 

○武石委員 質問というよりも感想ですが、24ページで、抵抗感が「あまりない」「ない」が7割なのですが、これは就労者に限定した調査なので、多分辞めている人たちは抵抗感があって辞めているのではないかと思います。働いている人も抵抗感があるという人が2割いるので、やっぱり抵抗感は大きいのではないかなというのが1つ解釈として重要なのではないかということ。

 もう1つが制度利用のデータです。いろいろな制度を利用した、利用しなかったという、67ページに勤務先の制度利用の状況があるのです。6ページが就労者で、7ページが離職者で、介護休業の利用を見ると離職者が13%と多くて、むしろ就労者のほうが利用していないということで、介護休業があっても辞めてしまっているというところが、どうしてなのかなという辺りが重要な点かなと思いました。以上2点です。

 

○佐藤座長 前半の点で、自分が親の介護などの課題があることを職場で話すことは抵抗感がないのですね。ただ現状でいうと、会社に話している人はすごく少ないので、多分抵抗感はないのだけれど、少し議論はしなくてはいけない。1つは言いにくい職場状況。本人は言ってもいいのだけれど、言いにくい職場状況というのもあるかも分かりません。もう1つ、言っても支援をどうせ受けられないだろうというのもあるかもしれないなと思いますが、これは分かりません。

 あと先ほど離職者のほうが介護休業というのも、もしかすると離職者は介護休業を取って介護してしまっているのかもしれない。介護してしまっていると離職ということなので、これはなかなか。本当は仕事を続けられたのですよというのはあれですけど、もしかすると介護休業を取っている間に何をしていたのかというのは結構大事な点かも分からなくて、準備をやっていれば、もしかしたら復帰できているかもしれない。これは少し議論しなくてはいけないなと思います。

 かなり詳細なデータで、これからのいろいろな議論に有益なものを集めていただいていますが、ほかによろしいですか。それでは資料1のほうで、武石委員は前回いなかったので、もう少し出したいというのがあるかも分かりませんが、基本的に今日は資料1の表側、もちろん2のほうを出していただいては駄目という意味ではありませんけれど。主に仕事と介護の両立のほうにもう少し出たものについて、実はこの辺の深堀りというか、ここは実はということでもいいですし、新たに論点でもいいですので、御自由に出していただければと思います。よろしくお願いします。

 

○池田委員 前回、分割取得に関する議論がいろいろ出た中で、先ほどの佐藤先生や武石先生の御指摘が関連するのですが、制度の趣旨として、介護休暇のほうに介護保険関係手続などがありますね。サービスを得るまでの手続の簡便性は、介護保険以降はかなり変わっているので、分割取得という選択肢だけではなくて、休暇日数を増やすのとどっちがいいか、そういう発想で議論を深めたほうがいいかなという感想を持ちました。

 

○佐藤座長 それに関わって、現状で介護休業を取る人が比較的少ない理由の1つは、現状、法定では分割できない。1回取ったら終わりなわけですね。もちろん要介護状態が変わればとあるのですが、基本的にはもう一度骨折か何かで治って退院して、またというような状況はいいですけれど、普通は余りいないので。そうすると1回しか取れないと思っていると、本当に必要なときに取ろうと思って取らないというのがあると思うのです。例えば最後、看取りのときに取っておきたいなど多分そういうことも少し。ですから、分割になると準備でも使おうという可能性もあると思う。1回というと余計その準備は有給なり介護休暇も使って、本当にどうしても自分が全面に出なければいけないというときに介護休業を使っているのかもしれないなという気はします。

 

○田代委員 今の点で実体としては、特に当社はかなり法定を上回るいろいろな仕組みを持っています。育児もそうですが、どちらかというと男性のほうでしょうけれども、正直わざわざ無給の休業を取るよりも、まず年次有給休暇が結構余っているのでそれを使い、あと、うちは介護休暇とは言わないのですが、ファミリーフレンドリーという名称の多目的休暇の中の事由としてやっています。それも結構積み立てられるので、何もなければ相当な日数持っています。そうすると、2ヶ月くらい休業を取るくらいだったら、有給で取れてしまう人もいるのではないかなと思うのですね。

 

○佐藤座長 多分、準備と考えて、もちろん長く必要な場合の準備もあるけれども、そんなに長くない場合は、確か有給なり積立て休暇で。だから事実上はそういう形で準備していて、それで本当にどうしてもいろいろなことで介護ということになると、介護休業を使っているという可能性もあるかも分かりませんね。その中で今度どういう制度設計するかという。

 

○田代委員 もう1点。たまたま昨日先生に、経団連でご講演いただいた際に、正に今の点、所得補償のあるなしが行動に表れていることに関して、その所得補償をどこまで企業がすべきかということが、大きな論点になりました。当社においては、会社の制度ではないのですけれども、共済会という互助会的な仕組みの中で、それらしきことは結構やっていて、はたと思ったところがあるのです。特に大企業の恵まれている制度の中では、そこと制度の在り方の選択の中で従業員がチョイスをしているという実態があるということだと思います。

 

○佐藤座長 ですから、所得補償は2つ意味があって、現状の本人が休業を取ると会社から賃金が出なくなったことを、それをどう社会的にカバーするかという現状が4割。もう1つは、働いていれば、本人がその親の介護にかかる費用を本人が負担してしまうと。そこでかかる、それをどうするという2つがあるかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 

○中井委員 分割取得と休暇増というところと合わせて、今、短時間勤務と合わせて93日という限定がある点、そこもやはり休業を取ってしまうと、次にそんなに休業ほどではないけれども、短時間が必要な事由が発生したときにどうかといったことで、なかなか休業に踏み切れなかったり、もちろん双方そうなんですけれども、93日の限定というのも、両方合わせて課題になるのかなと思っております。

 

○佐藤座長 分割という議論、分割というのは変ですけれども、今は1回しか取れないのが2回目も取れるという趣旨ですよね。そうすると、初めから1回しか取れないとなると、利用を少し自分で限定して本当に必要なときに。本当に必要なのは今の現状で介護するときではないかと思っている人が多いので、まだ介護しなくていいから取らない。多分これは結構大きいかなと思うのですけど。ただ、分割が問題になるのは今みたいに準備で、例えば93日の1か月取って2回目といったとき、1日でも分割できるかどうか。他方で介護休暇入っていますからね。5日あるので土日休みがあるとき、9日くらいはどうにかなるので。そうすると、もしかしたら1回目は93日、2回目は10日以上というのはあるかも分からない。介護休暇があるときで分割というのはどうするかというのは、結構また議論する必要があるかなとは思っています。

 

○神吉委員 介護中心のお話というところで申し訳ないのですが、せっかく分割取得のお話が出たので、これは育児休業にも同じように適用できるのではないかと思うのです。行政処分の話ではなくて概念的な話ですけれど、要介護状態というのは要育児状態みたいなのも本当はあるのではないかと考えています。今この育児休業は、子供が小さい幼児期にもう集中しているのですが、実際その育児に関する社会支援というのは、かなり充実していて、待機児童の問題はありますけれど、単純に預かってもらえる時間のことを考えると、実は就学前が一番長くて7時過ぎまで預かってもらえる。小1になって学童になると6時までになり、小4になって学童サービスが終わる多くの自治体では3時ということになってくると。本当にその就学前というところだけに着目したというのはどうかということも合わせて、介護休業だけではなくて育児休業に関しても分割取得で、上限は1年でいいのかもしれないのですけれど、保育園にすぐに預けられて、そのときはニーズはなかったのだけれども、小学校に上がってむしろニーズが出てきたという人も使えるようにできるといいかなと思うのです。雇用保険との関係もあると思うのですが、考えたいと思っています。

 あと介護に関しても、ちょっと。育児に関しても、すごく幼児期に偏っているというのもあるのですが、介護に関しても高齢期にすごく偏っているというふうに、問題点があるのではないかなと思っています。先ほど佐藤先生から御指摘があったように、介護休業というのは、本来は高齢者介護だけではなくて、非高齢障害者に関する介護についてもカバーされているはずにもかかわらず、そこがちょっと抜け落ちているかなと。この調査も介護されているのは親であるという前提でなされているのですが、実は子供を介護していたりする場合も本当はあるはずです。恐らく、現状では子供が障害を持ってしまうと働くのをあきらめる人のほうが多いということで、もしかしたら労働市場にそれほど残っていないのですくい上げにくいのかもしれないのですが、子供の介護も少なからず社会的な問題として存在していると思うので、何らかの改革が必要ではないかなと思っています。以上です。

 

○佐藤座長 御指摘は両方とも、特に後半は大事な点です。ただ調査をやるときは、もちろん介護休業のほうは高齢者介護だけではないのですが、これから増えてくる。もちろんそれ以外は大事ではないという意味ではなくて、これから増えてくる層ということを一応初めから理解した上で対象を絞って調査しているという。それを無視しているのではなくて、そういうふうに御理解いただければと思います。ですから、もちろんここでは高齢者介護以外も含めて議論すると。ただ調査する上では、なかなかあれなのでということです。

 あと前半の育児休業の分割について言うと、法定を上回る部分について、育児休業3年取れますという企業では、その3年を取れるのを小学校の3年までみたいにしている会社もあることはあります。ですから、そういう会社でどんなふうに使われているかなというのは、ただ1歳までにしたときにどうなるか分かりませんが、長い所は結構そういう会社もあります。ほかにはいかがでしょうか。幾つかこのあとも議事はありますが、よろしいですか。

 あとその他で、これは育児も介護もですが、転勤配慮です。多分、ここも配慮というのは、現状の転勤のシステムをそのままにしておいて配慮するという配慮と、現状の転勤を見直して、できるだけ転勤の回数を減らすとか対象者を減らすとかやった上での配慮の2つがあるので、多分両方含めた感じで配慮の所に書いておいていただくと。現状の転勤はもうしようがないという前提で、配慮というだけでは、やはりなかなかこれから難しいかなという気もします。ちょっと膨らませて書いておいていただくといいかなと。よろしいですか。

 次の議題2は介護保険制度です。企業による両立支援だけではなく、やはり介護の社会化ですね。介護保険制度のほうと車の両輪で進めないとなかなか難しいので、もう1つの議題として介護保険制度の概要について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

 

○川島老健局振興課長補佐 それでは、資料3に基づいて介護保険制度の概要について説明いたします。スライド2です。要介護度別の認定者数の推移です。介護保険のサービスを使うに当たりましては、要介護認定を受ける必要がありますので、その認定者の推移を示したものです。一番左側ですが、平成12年は218万人です。一番右側ですが、平成254月現在は564万人と、この13年間で約2.6倍に増えております。

 スライド3です。実際に介護保険サービスを利用している人の数です。平成12年では184万人が、平成24年になりますと458万人ということで、こちらも12年間で約2.5倍に増えております。

 スライド4です。介護の希望(本人の希望)です。自分が介護が必要になった場合、どこで介護を受けたいかということを調査した結果を示したものです。青、赤、緑の部分が自宅で介護を受けたいということで、約4分の3の方が自宅で介護を受けたいという回答をしております。残りについては、特養やサ高住のようなケア付き住宅で介護を受けたいという希望をしている方もおります。

 スライド5です。介護の希望(家族の希望)を調査したものです。両親に介護が必要となった場合の介護の希望ということで、青、赤、緑のところを見ていただくと、こちらもやはり約4分の3ということで、自宅で介護を受けさせたいという家族の希望が多いという状況になっております。

 ただ、本人の希望と家族の希望で主に違うところについては、赤の部分と緑の部分です。赤のところでいきますと、本人の場合には介護サービスと家族の両方を組み合わせて介護を受けたいという希望が24%。片や家族の希望になりますと49%となっておりまして、親の介護が必要になった場合に何らかの手助けをしたいと考えている方が多い。片や本人の希望ですと、家族に迷惑は掛けられないということかと思いますが、家族に依存せずに生活できるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けたいという状況になっております。

 スライド6です。今後の介護保険を取り巻く状況についてです。まず、上の部分です。65歳以上の高齢者人口と75歳以上の高齢者人口の今後の推移、見込みを示したものです。特に2025年のところです。いわゆる団塊の世代が75歳を迎えるところですが、65歳以上の人口については、2025年には30.3%という割合を示します。75歳以上の人口についても18.1%という高い割合を示します。2055年では75歳以上の人口が更に増えまして、約4分の125%を超えるという推計です。真ん中のところについては、認知症高齢者、独居世帯や夫婦のみの高齢者世帯の推計を示したものです。こちらについても、高齢者の伸びと同様に増えていくという推計がなされております。

 一番下のところです。地域ごとに見た75歳以上の人口の今後の推移です。いわゆる都市部と言われる所の埼玉、千葉、神奈川、大阪、愛知、東京は2010年に75歳以上の人口については、10%を切っている状況です。2025年には20%に近くなるということで、特に埼玉では2倍に増えるという推計になっております。片や地方部ですが、鹿児島、島根、山形は、もともと高齢者の割合が高いということもありますが、緩かな伸びを示しているということで、地域によって今後の高齢者の伸びの増加傾向に違いが生じるという推計が出ております。

 スライド7です。地域包括ケアシステムの構築です。そういう状況を踏まえて、今後、地域の状況に応じて高齢者を支えていく仕組みが必要です。そこで、その仕組みとしまして、今年、成立しました医療介護総合確保促進法にも位置付けられました地域包括ケアシステム、これは、医療・介護予防・住まい・生活支援が、包括的に確保される体制を市町村が中心となって構築の実現に向けて取り組むということになっております。下が地域包括ケアシステムのイメージを図として示したものです。図を見ても分かりますように様々な主体によって、様々なサービスが提供されることによって、高齢者の状態に応じて適切なサービスが提供されることによって地域で高齢者を支えていくという仕組みになっております。

 スライド9です。介護保険制度の仕組みについてです。保険者が市町村ということになります。そこの囲みの中身については、財源構成を示しておりまして、いわゆる税金で半分、保険料で半分という財源構成になっております。保険料については、下に第1号被保険者と第2号被保険者とありますが、この方々から保険を徴収するという仕組みです。実際にサービスを利用するに当たりましては、右上の囲みにありますが、そのようなサービスを利用する。利用するに当たっては、費用の1割を負担して利用することになります。残り9割については、保険者からサービス事業所に支払いが行われるという仕組みになっております。

 スライド10です。介護保険制度の被保険者を示したものです。第1号被保険者と第2号被保険者がおりまして、第1号被保険者が65歳以上の方です。基本的に65歳以上の方が介護保険サービスを利用できる方ということになります。受給要件は、要介護認定を受けた方です。第2号被保険者についても、サービスを利用できることにはなっておりますが、受給要件を見ていただくと、いわゆる要介護状態になった原因が加齢に起因する疾病による場合に限定されているという仕組みになっております。

 スライド11です。実際に利用の手続を示したものです。まず、利用者は市町村の窓口に行っていただきまして、利用するに当たっては要介護認定を受けることになります。まず、その前段階として認定調査、これは調査員が訪問して本人の状況等を調査します。それと、医師の意見書を基に要介護認定を行います。その結果、要介護15と判断された方については、介護給付のサービスを利用できます。在宅サービスについては、ケアプランに基づいてのサービスの提供ということになります。認定の結果、要支援12になった方については、予防給付が利用できます。また、非該当の方については、それぞれ市町村で実施しております地域支援事業のサービスの提供を受けることができます。

 スライド12です。介護サービスの種類を示したものです。大きく分類すると4つです。上側が、いわゆる介護給付のサービス、要介護者が利用できるサービスです。下側が、予防給付を行うサービスです。要支援者がサービスを受けられるものになっております。右と左については、左側が地域密着サービスです。これは、市町村が指定するサービスです。右側が、都道府県・政令市・中核市等が指定するサービスという体系になっております。

 スライド13です。それぞれのサービスを体系別に整理したものです。在宅から施設という流れで体系を整理しております。訪問系サービスは、主なものとして訪問介護、いわゆるヘルパーが自宅を訪問するサービス。それと通所系サービスということで、主なサービスとしてはデイサービス。短期滞在系サービスとしては、いわゆるショートステイ。居住系サービスとしては、いわゆる介護付き有料老人ホームと言われるような所のサービス又は認知症のグループホームが居住系サービスとして整理ができます。それと、入所系サービスということで、特養や老健の施設という体系になっております。

 地域包括支援センター、ケアマネジャーです。こちらは、高齢者や家族を支える機関や者ということになります。スライド15です。地域包括支援センターについてです。市町村が設置しておりますが、主な業務としては、総合相談支援業務ということで、各種相談を幅広く受け付けて制度横断的に支援を実施する。そこには、社会福祉士やケアマネジャー、保健師等が配置されておりまして、幅広くそこでチームアプローチをしていくというセンターの仕組みになっております。

 ケアマネジメントの体系については飛ばしまして、17ページです。ケアマネジャーの概要です。サービスの利用の手続のところでも出てきましたケアプランを作成する者がケアマネジャーです。ケアマネジャーは利用者の相談に応じて、利用者や家族の心身の状況等を把握した上でケアプランを作成し、ケアプランを作成した内容に基づいてサービスの提供が開始されるという仕組みになっております。サービスを受けるに付きましては、1割の負担があるのですが、プランの作成に当たっては利用者の負担はないという仕組みになっております。18ページですが、下の左側の居宅における業務の流れを示しています。利用者がケアマネジャーに依頼して、それに基づきましてケアマネジャーがプランを作成します。プランの作成に当たりましては、利用者の同意を得て初めてプランが確定されるという仕組みになります。プランに基づいてサービスが提供されるということになります。

19ページです。ケアマネジャーの業務、ケアマネジメントの流れを示したものです。まず、アセスメントをして予後、予測立て、それに基づいてケアプランの原案を作成します。原案を作成したところで、原案に位置付けられた各サービスの提供事業者と利用者家族で担当者会議を開いて、そこでプランの確定をします。そのプランに基づいてサービスが提供され、給付管理とありますが、介護サービスを受けるに当たっては限度額がありますので、その管理もケアマネジャーが行うということになります。その後、利用状況をモニタリング、評価して更に、またプランの変更等の必要があれば再アセスメントということで、左側から右側への流れを再び取るという仕組みになっております。

 居宅サービスについてです。スライド21です。訪問介護の概要です。利用者宅を訪問して入浴・排泄・食事等の介護又は調理・洗濯・掃除など家事等の提供をするサービスになっております。サービスの類型として、大きく身体介護、生活援助、通院等乗降介助というものがあります。スライド2223については、その利用状況を示したものですので、これについては説明を省きます。スライド24です。小規模多機能居宅介護です。こちらは、平成18年に創設されたサービスで、いわゆる「通い」を中心として泊まりの機能と訪問の機能を合わせ持つサービス事業所です。ですので、どのサービスを利用しても顔なじみの職員によるサービスが受けられるというサービスです。

 スライド25です。24時間対応の定期巡回・随時対応サービスです。平成24年に創設されたサービスです。訪問介護と訪問看護が連携して定期的に巡回、訪問するサービスです。また、状況の変化や必要に応じて随時のサービスも提供するという新たに平成24年度に設けられたサービスです。

 スライド26です。地域支援事業です。それぞれ市町村が行う事業です。いわゆる認定を受けていない方に対してもサービスが提供されるもので、介護予防事業や包括的支援事業、こちらは地域包括支援センターの業務になります。一番下に、任意事業ということで、それぞれ市町村が地域の実情に応じて、任意でサービスを組んで提供している事業です。家族介護支援事業や配食・見守り、こういうサービスを市町村が実情に応じて事業として提供しております。

 スライド27です。家族支援です。内容としましては、家族介護支援事業ということで、家族の方への介護の知識や技術の習得のための教室を開催、次の認知症高齢者の見守り事業ということでは、ボランティアによる見守りの訪問や徘徊高齢者を早期に発見する仕組みの構築や運用をする事業。それと、家族介護継続支援事業ということで、介護をしている家族のための交流会の開催や慰労金の支給、介護用品の支給などが地域支援事業の中で実施されております。

 最後になりますが、介護サービスの情報公表です。各サービスをインターネットでそれぞれの事業所の状況をアップしているものです。どのような内容がインターネット上で見られるかについては、スライド31に公表されている内容ということで、基本情報と運営情報ということで大きく2つあります。事業者の名称、所在地、従業者に関するものが基本情報として示されております。

 また、運営情報として、事業所の取組状況の有り無しを示した情報が載っております。利用者の権利擁護の取組の状況の有り無しや、サービスの質の確保への取組の状況の有り無し、また相談、苦情等への対応。こういうものに取り組んでいるか否かの有り無しについて情報が公表されております。統一的なフォーマットで公表されておりますので、それぞれサービス事業者の特性を比較、検討ができるというものになっております。残りの2ページは、今後の見直しやアクセス数を示したものですので、説明は省きます。私からの説明は以上です。

 

○佐藤座長 介護保険制度と、多少その周辺までを含めて説明いただきましたので、御質問、御意見があればどなたからでも出していただければと思います。

 

○田代委員 改めて自分の無知を認識したということなのですが、素朴な質問で最初の23ページに認定者数と介護者別の利用者数、この23ページのギャップは認定されているがサービスを受けていない人と解釈してよろしいのでしょうかということと、単純に暗算でできないのですが、その率というかギャップは広がっているという御認識なのか、だんだん縮まっているというか、その辺はどのように捉えられておりますか。

 

○川島老健局振興課長補佐 確かにギャップについては、認定は受けているけれどもサービスを利用されていないという方になります。ここについては、いわゆる認定を、いつでもサービスを利用できるようにということで、御守り代わりに取られる方というのも実際におられます。それと、実際に認定を受けてサービスの利用を始めようということで、ケアマネジャーが入って調整するのですが、調整した結果やはりサービスは利用しませんという方もいらっしゃいますので、そこがギャップとして現れているのかと思います。ギャップが広がっているか広がっていないかについては、分析はしておりません。

 

○佐藤座長 よろしいですか。

 

○田代委員 はい。

 

○佐藤座長 ほかに何かありますか。

 

○武石委員 2点質問です。ケアマネジャーが重要になってくると思うのですが、この方たちの教育体系の中で、両立に関してどのくらい知識としてケアマネジャーたちが持つべきものとして位置付けられているのか。要は家族が仕事をしていることに関して、ケアマネジャーに理解していただくための取組はどのようになっているかが1つです。

27ページのシートで、地域支援事業による家族支援というものがあるのですが、これは実際に介護になった後の支援ですか。例えば介護になる前に介護についての情報を得ておくとか、そういうものはこの中に盛り込まれているのですか。

 

○佐藤座長 今の2点にほとんど重なるのですが、追加的に言うと、前半について言うとケアマネジャーは要介護者が必要とする、普通生活ができるようにどういうサービスを使ってケアプランを作るわけですが、他方要介護者の家族が、例えば月に1回出張があるとすると、ショートステイをどう組むか、当然違ってきますよね。ですから、多分そういうことをケアマネジャーは当然教育を受けているのかどうかということだと思うのです。

 後者の点は、27ページのところは見ると家族に介護させるための、昔流に言うと専業主婦で介護している、働いている人は両立できるような支援というよりは、家族が介護している。もちろん介護保険のサービスはありますが、それを円滑にできるように支援している教育みたいな感じがしないでもないです。多分、そこは武石委員と両方とも重なっています。

 

○川島老健局振興課長補佐 まず、ケアマネジャーですが、当然ケアマネジャーの職務としまして、利用者支援、家族支援も入りますので、研修を受けてから業務に就く仕組みになっております。まず、研修を受ける前に試験を受けていただいて、その試験に合格した方が研修を受けて、その後業務に就くということになります。その研修の中で、そういう教育はしております。

 研修体系については、特にケアマネジャーの質の向上もありまして、平成28年度から新カリキュラムによって、更に質の向上を図るということで、新たなカリキュラムで、また研修が行われるということになっておりますので、その辺りも含めて家族支援という視点も当然、研修の中に盛り込まれております。地域支援事業の中の家族介護支援ですが、どちらかというと現状、家庭の中で介護をされている方に対する支援という形になっております。

 

○佐藤座長 特に前半は、家族が働いていれば両立できるように支援するということをケアマネジャーに考えていただきたいということです。

 

○石山委員 前半の御質問について、家族の支援の中でも両立支援に関するというところでの教育は、なされているのかということについてです。現行の介護支援専門員の法定研修の中で家族の支援に関して触れられているのは、実務研修から主任研修の中で全部で194時間の時間数はあるのですが、家族に関して触れているのは、そのうち6時間です。

 ただ、家族に触れているというのは家族支援というものに特化した課目ではなく、ターミナル、認知症に関する課目の中で、少し家族についてもサポートしなければならないということが触れられています。ですので現行の研修体系の中で仕事と介護の両立に関することについての教育は、まだ、なされていないというところです。ただ、今御説明がありましたように平成28年から新カリキュラムになりますが、そこの中で専門研修12だったかな、と主任研修の中で家族の支援が必要な事例という課目が出てまいりまして、そこの中の厚労省から出された内容の告示の中では仕事と介護の両立に関するサポートということが文言として入ってきています。

 

○佐藤座長 時間は非常にまだ少ないです。

 

○石山委員 少ないですね。もう1つここについて、研修カリキュラムとしては入ったのですが、私としては1点課題があると思っておりますのは、スライド17の「ケアマネジャー(介護支援専門員)とは」というところの定義です。要介護者や要支援者からの相談に応じるとともに、要介護者や要支援者が心身の状況に応じた適切なサービスを受けられるようにとありますので、介護支援専門員が行うアセスメント、いわゆる情報収集シート、厚生労働省から提示されているものが課題分析標準項目、23項目というものがありますが、ここの中で家族情報を得るための項目は1項目にとどまっていて、介護力というだけにとどまっております。ですから、介護力をどこまで細かく読み解くかというのは、介護支援専門員一人一人の主観に依存しているところがありますので、分析については、これからかなり課題がいると思っております。

 

○佐藤座長 やはり介護保険制度ができた当時の要介護者の家族の状況と、多分、今とは相当違ってきていると思うのです。要介護者の家族が働いていなくて、この人が24時間介護というのは、とても無理なので、その人がある程度そうではない状況を作れるようにデイサービスとか。ただ、これからはこの人はフルタイムで働いているという前提で考えると、石山委員が言われたことも大事になると思います。ですから、もちろん働きながら両立している人が地域支援事業による家族支援のセミナーに行くと、介護の仕方を教えてもらうことになるのです。やはり、両立の仕方ではないので、行き場所がないみたいなことかなという気もしないので、労働政策でいうと65歳までは男女ともに働けるようですが、当然、親の介護の課題に直面しても働き続けるということだそうで、そういう働きながら介護をするということを想定にシフトする必要があると思います。ほかに何かありますか。

 

○池田委員 関連してなのですが、私も仕事をしながら介護をしている人からいろいろ話を聞くと、結局、ケアプランが作られた後の残余部分を家族がやるということになるのです。要するに、今この枠組みを聞いてもそうなのですが、家族の役割として何を期待しているのかがはっきりしません。家族の役割とサービスで賄う部分がはっきりしないので、悪い言い方をすると、都合よく家族に投げられているという感じがして、仕事との両立にあたって、計画が立たないのです。ケアマネとのコミュニケーションもあまり取れていなかったりすると、突然、この日とこの日はヘルパーが来られないので御家族でやってくださいとか言われてしまったりするようです。胃ろうをどうしますかといったように、家族の判断を求められることもありますが、今の介護は相当情報収集をして専門的な知識を蓄えないと対応できないことが増えています。両立の体制作りにあたって、情報収集の負担はかなり重いのです。18ページの居宅における業務の流れのイメージで利用者とケアマネジャーと事業者の三角形で話が成立しているかのようになっていますが、家族が何をしなければいけないのかということをきちんと議論して、その上で家族が働いているという話に持っていく必要があるように思います。

 

○佐藤座長 それはいいですね。

 

○池田委員 はい。

 

○佐藤座長 ほかにいかがですか。

 

○石山委員 今の池田委員の御意見に関連しまして、スライド19を使いまして意見を申し上げます。今、家族の役割を明確にしなければ、なかなかいいように投げられているというお話がありました。ケアマネジャーの立場から見ますと、家族と面接をしなければならないタイミングは、この表でいきますとアセスメント、そしてサービス担当者会議、モニタリングです。これは、介護支援専門員が従うべき厚生労働省令に定められているのですが、就労されている方の場合にはアセスメントに同席できない場合が多くあります。あるいは、担当者会議に同席できません。当然モニタリングも同席できませんと言われてしまいますので、こちらとしても顔を合わせてお話をする機会がないまま、そして日々の電話だけの調整になっていく。より互いが要求していることなどの話ができないということになっていますので、先ほど出ました介護休暇と介護休業をどのように作っていくのかを、ここの最低限必要な頻度に合わせて設定していただけるようになるといいと思います。

 

○佐藤座長 非常に大事な点で、特にこれから要介護12までは在宅でということになる。在宅というのは、もちろん親御さんが住んでいるところなので、同居とは限りませんが、そうすると、その家族がケアマネジメントのポイント、ポイントで、ケアマネジャーーが会えるということが大事なので、多分、それは介護休業である必要はなくて介護休暇ですね。あるいは有給かも分かりません。それは、働いていてもある面で家族がやることだと思います。

 

○武石委員 細かいのですが、今ので言うと例えばアセスメントサービス担当者は、どれくらいの頻度で、どのくらいの時間のお休みがあればいいのですか。

 

○石山委員 頻度で申しますと、まず、新規で申請をなさる場合には認定調査を受けるというところから始まりますので、そこでおよそ調査を受けるのに1時間くらい、これは年に12回というところかと思います。

 

○佐藤座長 認定調査のときに立ち会うということですか。

 

○石山委員 まず、正しい認定結果を得なければ必要な単位数を得ることができませんので、この入口をしっかりと押えるということになります。それから、介護支援専門員との契約。これはケアマネの契約だけではなくて、利用するサービス事業所ごとに契約が必要ですので、これは本当に初期段階では一度で済まないということがありますので、34日は見込んでいたほうが。

 

○佐藤座長 利用するサービスにおいて、その事業者と契約するということですか。

 

○石山委員 そうです。

 

○佐藤座長 それは、きちんとサインをしなければいけないのですね。

 

○石山委員 はい。プラス担当者が会した担当者会議にも参加をしなければなりません。所要時間は1時間くらいと思います。アセスメントも1時間程度見ていただくことになると思います。月々のモニタリングは毎月必要なのですが、やはり1時間程度見ていただくといいと思います。これ以外に介護なさる方が必要だと思いますのは、高齢者は体調不良が起きますので、体調不良のときに朝から突然会社に行けない、出社していても呼ばれる、徘徊しているときに呼ばれるということも出てくる。あと、御自身が昼夜逆転する。介護されている方が夜に寝ていなくて、ずっと対応していてとてもではないが翌朝はもう会社に行けないという状況もあるので、このようなものもプラスしたもので休暇が必要なのかなと思います。

 

○佐藤座長 ある程度初めに認定を受けると、あとは月1回ですか。

 

○石山委員 はい。

 

○佐藤座長 あと、もちろん年1回は介護認定を受けるということですか。

 

○石山委員 はい。

 

○中井委員 今のお話で先日も話をしたのですが、モニタリングを毎月1時間ということで、やはり有給でも半日であったり、全休を取得して1時間はなかなか。いろいろ今後何か起こるかもしれないという状況では、非常に取りづらいということもあります。それは介護されている方から言われたのですが、そこをきちんと時間単位であったり、半日で介護休暇が取れたりとか、そういう小まめな休暇制度があると、よりしっかりケアマネジャーとの対話の時間が取れると思います。

 

○佐藤座長 ケアマネジャーを呼んで夕方と土、日だけというわけにはいかないですよね。ケアマネジャーも普通にワークライフバランスを考えないといけないので、やはりケアマネジャーは普通の就業時間帯に家族が会うということも大事です。

1つだけ、介護保険制度の説明のところがあったかと思うのですが、10ページです。40歳で被保険者の2号になるわけですね。保険証が来るのが65歳の誕生日です。私が知る限り、40歳で被保険者になったときに、介護保険制度の説明をする文書を一切、渡していないと思うのです。そうすると2つ課題があって、1つは、4060歳も特定疾患でいうと使えるわけですよ。でも、多分こういうことを知らない可能性が高い。実際は40歳からでも特定疾患は使えるにもかかわらず情報提供されていない。

 もう1つは、本人が使えるようになるのは65歳過ぎですが、親の介護の課題に直面したときには、やはり介護保険制度をうまく使うということは大事だと思います。そうすると、特に50歳くらいになったときに親の介護ですから、当然そのときにも知識が必要だと思うのです。なぜ被保険者に介護保険制度の情報提供をしてこなかったのか、今はしていないのかということです。保険料を取るだけなのですよね。あるいは、その必要性を感じられているのかということです。その必要性は議論するところではないということですか。

 

○川島老健局振興課長補佐 そうですね、余り議論に挙がったというか。

 

○佐藤座長 ただ、現状はそうですよね。実際、情報提供をしていないでいいですね、私の理解で。そういう状況なので、やはり情報提供されていないので知らないというのはしようがないのです。親が要介護になって、介護休業取りますよと会社に来たときに認定を受けたのと言われて、「えっ」、という社員がたまにいたりするのは、おかしくない状況があると思います。それも検討課題かなと、一応検討していないということが分かればいいのです。よろしいですか。すみません、いろいろお伺いして、責めているわけではないのです。やはり、互いに連携する必要があると思います。それでは引き続き議題3で、前回も話しましたように実態把握です。もちろん今まで、いろいろな調査があるわけですが、石山委員が言われたように認知症と言っても何かあるかも分かりませんし、その辺で新たに調査するようですので、仕事の家庭の両立に関する実態調査、このようなことを考えているということについて、御説明いただければと思います。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 それでは、資料4及び参考資料1、参考資料2に基づきまして、仕事と家庭の両立支援に関する実態調査項目案について説明したいと思います。こちらは、前回の研究会の際に示した、実態調査の案につきまして、研究会のメンバーであられる、JILPTの池田先生の力もお借りしまして、基本設計を少し整理したことと、調査項目の案をもう少し詳しく示したものです。

 まず、資料4の基本設計、(1)企業調査です。こちらは、調査対象としまして、農林水産業、鉱業、公務を除く全業種ということで、従業員数はその数ごとに4カテゴリーと設定しました。そして、調査対象数としては5,000社、これで回収率20%以上を目指す。調査方法については、郵送配布・郵送回収、無記名を考えています。(2)労働者調査の基本設計につきましては、調査対象については、回収結果が就業構造基本調査の年齢、有職・無職、正規・非正規、職種の分布に近似するように対象者を設定したいと思っております。

 こちらは、下記2条件は全て満たす男女ということで、両立支援の本人又は配偶者の家族について介護をしていたが、過去1年間に介護が終了したことと設定したいと思っております。「介護が終了した」ということの意味ですが、下に書いてあるように、「介護をしていた対象家族について、介護が終了した」、その意味は、要介護状態から回復したか、あるいは、死去により介護が終了したことです。このように設定した理由としましては、これまでの調査では、現に介護をされている労働者や離職者の方について調査をしたものになっていますが、介護が終了して、振り返ってみて、どんな休業や支援制度がトータルでどれぐらい必要であったのかについて、これまでの調査では見ることができなかったことですので、今回、このように対象を設定することによってそれを見られるようにしたいです。

 労働者調査の回収数としては約3,000人、こちらも就業構造基本調査の分布に近似した結果となるように回収して、プロフィールに偏りが生じないようにしたいと考えております。調査方法につきましては、ネット上のモニター調査です。

 こちらは、対象者本人が家族の介護を行っていたということで、その介護の定義なのですが、介護休業における介護の定義をベースに、見守りや必要な手続などについても含むこととしたいと考えて、介護の所に書いてあるような定義によって調査をしたいと考えております。

 御参考までに、参考資料2を御覧ください。研究会のメンバーであられる池田先生のほうでも、現在、労働者を対象とした、「仕事と介護の両立に関する調査」を並行して行っていただいています。こちらの調査では、調査内容はこちらに書いていますが、調査対象として、現在、家族を介護されている方4,000人を対象としています。こちらの調査結果も出てきますので、併せて利用しつつ、池田先生のほうの調査と今回やる予定の調査、この2つの調査を併せて実態を把握したいと考えております。

 資料4に戻ります。具体的な調査項目についてです。こちらは、企業調査、労働者調査、共に調査項目を並べている所ですが、このうち、既存の調査で分かるような項目もありますので、それについては最終的に落としたものとしたいと考えております。なお、既存の調査でどういうものがあるかについては参考資料1のほうにまとめていますので、また御参考いただければと思います。

 具体的な調査項目ですが、(1)企業調査についてです。まず、属性としまして、所在地、業種、男女別の正社員数・直接雇用の非正規社員数、正社員に占める40歳以上の男女別割合等について調査をします。総論的な調査事項としましては、例えば、介護を機に離職した従業員数、現在、家族を介護している従業員の有無等について調査をしたいと思っております。2ページ目で、研究会の検討事項である、介護休業制度の在り方につきまして、例えば、規定整備状況や制度の内容について調べたいと考えたいと考えております。また、同じく検討事項である、介護期の柔軟な働き方の充実に関しては、介護休暇制度の様々な状況、あるいは、所定労働時間の短縮措置等の様々な状況について調査をしたいと思っております。その他としましては、例えば、仕事と介護の両立支援制度等にかかる情報提供の実施の有無と方法、介護保険制度・各種介護サービスの情報提供の実施の有無及び方法等について調べたいと考えております。

(2)労働者調査についてです。こちらは、属性につきましては、下にあるとおり、例えば、年齢、性別、世帯年収、居住地、世帯構成、(配偶者の有無及び末子年齢)です。こちらは末子年齢とありますので、育児を必要とする年齢の子供もいるかどうかもこちらで分かるかと思いますが、このような事項。あるいは、介護開始時及び介護終了時の勤務先の従業員数、就業形態、業種、職種、勤務形態、役職、週労働日数・時間、有給休暇取得日数、離転職の有無。あるいは、介護に関しまして、介護していた対象家族、扶養の有無、同居・別居の状況、介護に通う頻度・所要時間。介護していた対象家族の性別・年齢、居住場所、利用していた介護サービス、要介護度など。あるいは認知症の程度、また、介護を始めた時期及び終了した時期、介護の担い手、介護内容、介護頻度、介護事由などについて調査をしたいと思っております。総論的な調査事項としまして、例えば、仕事と介護の両立困難により退職した理由、仕事と介護の両立は困難だった理由など、介護休業制度の在り方に関しましては、取得の実績や、それ以外で1週間以上の休業を取得した実績など、介護期の柔軟な働き方の充実に関しましては、こちらも、介護休暇制度、所定労働時間の短縮措置等、それぞれについて実績等を調べたいと思っております。その他としましては、介護に関する相談先、勤務先への相談状況、勤務先へ相談するあるいはしない理由、といったことについて調査をしていきたいと思っております。以上でございます。

 

○佐藤座長 既に、割合近い時期に行われた企業調査、このテーマについてですね。個人調査の実施内容を踏まえて。あと、今並行して行われているのかな。JILPTの調査との重複を避けながら案を用意していただいています。いかがでしょうか。

 

○神吉委員 基本的なことなのですが。これは、過去1年に介護を終了していることを要件とされるとはどういう趣旨でしょうか。

 

○池田委員 今までの調査だと、今、介護している人を対象にしているのですね。我々が9月に実施した、参考資料2の調査も、今介護している人に、介護を始めた当時はどうでしたかといって、離職の状況を聞くというフレームなのですが、介護が終わってみないと必要な支援の全体像が分からないのです。必要な支援のメニューは分かるのですが、必要な支援の総量は終わってみないと分からない。介護休業も、いよいよターミナルに近づいてきたところで。

 

○佐藤座長 取っているかもしれない。

 

○池田委員 取っているかもしれないし。先ほど佐藤先生がおっしゃったように、取り控えというのですか、取らずに取っておく。そうすると、結局、終わってみないと分からないことが情報として多いだろうと思うのです。時短勤務の話とかも、例えば、フルタイムからパートタイマーに転換して働いている人も少なからずいるのですが、それがどういう局面で発生して、時短勤務もどのぐらいの長さが必要なのかは、正直、今のところはまだ全然分かっていません。だから、割と近いタイミングで介護が終わって、記憶がまだ新鮮な人を取り出して、スタートからゴールまでの間にどういう支援が総量として必要かという情報がまだないので、その情報を取ることが制度の設計を考えていくときに必要だろうという考え方です。それ以外には、現状の働いている人の実情については先ほども御紹介いただいたように、今はかなりデータが豊富に蓄積されているので、それをもう1度聞くのは余り経済的ではないとか効率的ではないという議論の下での判断です。だから、1年というのが適切かどうかというのもまた議論です。

 

○佐藤座長 忘れない程度にですか。

 

○池田委員 ええ。忘れない程度に。

 

○佐藤座長 余り短かくするとサンプルを取れないのですか。

 

○池田委員 ええ。

 

○神吉委員 そうすると、この調査の対象は、基本的には介護保険の対象者のような高齢者の介護をしている人が中心になりますよね。

 

○池田委員 結果としてそうなる可能性が高い。

 

○神吉委員 ターミナルがはっきりとしているような。

 

○池田委員 JILPTの調査では、対象者の要介護者の年齢は切っていないので、子供を介護しているようなケースも含まれています。あと、重度の身体障害とか、あるいは、身体の程度がかなり重くて、若くして亡くなってしまったようなケースも入ってきますから、先生がおっしゃっているような、障害者介護について全くフォローできないわけではないと思います。

 

○神吉委員 既存の調査とこれを突き合わせることでということです。

 

○池田委員 そうですね。これも含めてということで。

 

○神吉委員 分かりました。ありがとうございました。

 

○佐藤座長 介護に要する期間は、平均で45年、10年以上は15%ぐらい。ですので、期間だけを見てもかなりバラつきが大きいので、途中で調査したのとかなり違います。やはり全体を見て振り返っていただくのが必要かと思います。特に介護休業、現状でいうと、もしかしたら最後のほうで取っているのかも分からない。ですから、今介護している人ととると、介護休業を使っていない人がたくさん出てくるけど、終わってみると、最後のほうで1か月、2週間取ったりと出てくるのかも分かりません。

 あともう1つは、高齢者介護だけではないことはすごく大事だと思います。ただ、この3,000人でいうと、普通に入れるとほんの数しか取れない、もしやるとすれば別に考えなければならないので、多分、そこは探せばほかにもあるかと思います。ですから、もちろんそれは排除するわけではないですが、調査設計上は難しいかと思います。

 

○田代委員 結構実務的な、細かい質問なのですけども。企業調査の最初で、離職した従業員数を、何人ですかとストレートに聞かれても把握できていないと思うので、逃げ道として幾つか、例えば休職を取ってそのまま離職した人とか、あるいは、そもそもそんなものは把握していませんと、そういうことでもいいとしてもらうと助かります。

 もう1つ、制度の充実度の調査の中で。先ほど言いましたが、会社としての規定には載っていないけど、共済だとか互助会といった、会社と別団体で独自にやっているもの、労働組合がやっているものまでは入れるかどうか分かりませんが、そちらに重きを置いている所も結構あるので、そういうことも含むというのか含まないというのか、それは補足が必要かなと思います。

 

○佐藤座長 情報提供とか相談なども健保組合でやったりしますよね。もちろんそれは考えさせていただきます。

 

○武石委員 私も、技術的な話なのですが。1つは、個人調査のほうで、同時期に複数の人を介護しているケースがあると思います。要は、過去1年間に終了したその人に関してというときに。そのときに、同じ時期に2人いたとか3人いたというのも把握しておくのが必要かと。

 

○池田委員 それは質問で入れておくことができるので。我々というかJILPTでやっているアンケート調査も、最初に、同居で介護している人と別居で介護している人の人数を書いてもらって、その上で、最も関わりが深い人について1人を回答していただくというフレームにしています。両親を同時に介護というケースも当然あると思いますし、その辺は調査設計するときの質問の組み方だと思います。ただ、余りここで実務的な話をするのも何ですが、ウェブモニター調査は紙の回答に比べて質問数がかなり制限されるので、その辺を考慮しながらの設計になると思います。そういう意味でも、既に分かっていることを入れずに、新たに欲しい情報だけをピンポイントで取っていくのがいいかと思います。

 

○武石委員 すみません。幾つかあって。あと、先ほど佐藤先生がおっしゃったように、長期にわたっていくので。例えば、どのタイミングで介護サービスを使っていたかと聞くのか、トータルで使ったと聞くか。

 

○佐藤座長 難しいね。

 

○武石委員 あと、家族がどのぐらい関わっているか。要は、サービスと職場と家族の3つをどう使ったか、そこが分かるようにするといいかなと。介護休業に関しても、もしかすると入っているかもしれませんが、どのタイミングで取ったかというのと、取って何をしていましたかと、介護休業のところは相当そこをきちんと聞かなければいけないかという感想です。

 

○池田委員 そうですね。どのタイミングでというのでいうと、私もまだ具体的な調査表を組んでいないので分からないのですが、まず、スタートとゴールという回数がある。開始と終了のタイミングはかなり特出しで調査ができると思います。いろいろと長くあるのは間の所です。これはある程度丸め込まないといけないかと思います。これについては、今まさに最中にある人についての情報は既存調査でありますので、その中から少しのクロスセクションの分析で補っていく感じで。だから、今回企画している調査だけで恐らく全てを理解しようとするのはちょっと難しいかと考えます。

 

 

○佐藤座長 振り返っていただいて、こういうサービスを利用したことと、もう1つは、どこまでやるかで。例えば、事前にこういうことを知っていればよかったというのがあるかもしれません。ですから、よく聞くのは、認定を受けようと思ったら、親が介護保険証をどこに入れているのかが分からない。つまり、実はその前に話しておかなかった。どこにしまってあるかを確認しておけばいいのだけど。事前に親と話をしておけばよかったとか、あとは、ケアマネジャーを変えることもできたんだとか、知らないという人が結構多かったりとか聞いてみて、やはり変えられるときに変えていればよかったと思うわけです。ちょっと聞いたほうがいいかと思います。

 

○石山委員 この調査の対象者の前提なのですが、要介護者は在宅で介護を受けていることが前提になりますか。

 

○池田委員 結局、それは介護の定義の取り方によると思います。実はJILPTのほうは、いろいろ、ああいうケースも含む、こういうケースも含むとか、これは含まないとかいっているうちに定義が複雑になってしまったので、統計調査として就調に準拠する形にしてあります。就調では自宅外の介護も含むとなっているので、そういう人もサンプルとしては取ってあります。一時的に入っている人もいると思いましたし。だから、広めに取っておいて、在宅かどうかというのも質問に入れておいて、在宅でない人は後で除けばいいというようにしました。

 

○佐藤座長 施設か在宅かで、まずは介護の定義を就調にそろえると。それによって施設の人も入ってきたら、それは施設の人は入ってきてもよいという趣旨ですね。

 

○池田委員 そうですね。JILPTのほうはそういうふうに組んでいます。

 

○佐藤座長 今回は。

 

○池田委員 今回のほうは特に、自宅外の介護も含むという前提でいいのですね。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 そうですね。

 

○池田委員 だから、トータルの介護期間で、最初から最後まで、ずっと施設や病院に入っていたような人を後で特定して、それはデータから除外します。

 

○佐藤座長 そうですね。確かに最後まで見ると、最後に施設、逆かも分からない、トータルで見ると、施設が結構出てくる可能性があります。

 

○池田委員 ただ、実施の後の本当に実務的な話なのですけど。今回、JILPTのアンケート調査でも、就調の分布に合わせて回収したのですが、あまり条件を細かく特定すると、モニターでもつかまらないケースが出てきます。例えば、男性のブルーカラーとか、現場作業員の方とか、女性だとサービス職など、2000件でもかなりギリギリでした。そういう意味で定義や条件はあまり厳しく設定しないで、広めにサンプルをたくさん取って、後で必要なところだけ取り出すようにしたほうがいいかと思います。

 

○佐藤座長 それは、技術的な所は御相談させていただいて。

 

○神吉委員 今日、介護保険のお話をいただいたのですが、それ以外の育介法上の介護、介護保険以外の介護についての部分は何かこれから検討されるのでしょうか。例えば、障害者総合支援法における介護給付費の受給対象の人がここに載ってくると思いますが、その家族で介護している人といったものがこれから検討されるのでしょうか。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 座長とも相談しながら検討します。

 

○神吉委員 では、お願いします。

 

○佐藤座長 ですから、育児・介護休業法の介護給付の範囲が広いので、そのときにどこまで必要かは少し検討した上で。そこだけという制度ではないので、そういう意味では、その周辺のことをフォローするかは検討させていただきます。

 よろしいでしょうか。これだとラッシュアワー時にぶつかるかも分かりませんけれども。まだまだ議論したいことはあるかと思いますが、今日、大事な点を出していただいたかと思いますので、ここまでにさせていただきたいと思います。次回は、石山委員から、介護現場での仕事と介護の両立の課題、田代委員から、日本電機株式会社における仕事と介護の両立支援の取組をそれぞれ御報告をいただき、その後、老健局から、これは大事な点ですが、認知症についてお話をいただく予定です。

 どうもありがとうございました。事務局から連絡があれば。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 次回の日程ですが、1219()、午前1012時です。場所なのですが、本省ではなくて、中央労働委員会会館内の会議室になっております。詳細については事務局より追って連絡しますが、場所は本省ではないということで御留意いただければと思います。

 

○佐藤座長 どうもありがとうございました。


(了)
<<照会先>>

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
電話 03-5253-1111(内7864)

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