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2014年10月16日 第3回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成26年10月16日(木)16:00~18:00


○場所

厚生労働省  専用第14会議室(12階)


○議題

(1)今後の予定について
(2)院内がん登録の項目について
(3)その他

○議事

○がん対策推進官 定刻となりましたので、ただいまより第3回「がん登録部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、本日の委員の出欠状況でございます。本日は薄井委員、川本委員、中西委員、本田委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、磯部委員より若干おくれるという御連絡をいただいております。

 本日のがん登録部会の委員定数24名に対しまして、現時点で19名でございますので、議事運営に必要な定足数13名に達していることを御報告申し上げます。

 また、本日は2名の参考人を招聘しております。

 国立がん研究センターがん対策情報センターの柴田亜希子参考人。

 松田智大参考人でございます。

 それでは、以後の進行は、辻部会長にお願いいたします。

○辻部会長 それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 では、最初に、事務局から資料の確認をお願いします。

○がん対策推進官 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 座席表、議事次第に続きまして、

 資料1「がん登録部会委員名簿」。

 資料2「今後の予定について(イメージ)」。

 資料3、院内がん登録の項目について。

 資料4「全国がん登録 届出マニュアルについて」。

 資料5、全国がん登録 国民向けPRについて。

 参考資料1~5がファイルにまとめてとじてございます。

 また、それとは別に、白と赤の冊子で「地域がん登録の手引き」をおつけしております。

 さらに、追加の資料として、参考資料7としまして、ホチキスどめのものでございますが、「がん診療連携拠点病院院内がん登録標準登録様式」(一部抜粋)という資料をつけてございます。

 資料の不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。○辻部会長 ありがとうございます。

 資料に問題ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 議題1「今後の予定について」につきまして、事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料2をごらんいただけますでしょうか。今後の予定についてのイメージをこちらに記しております。

 現在、第2回がん登録部会まで終了いたしまして、政省令の内容を了承いただいたところでございます。

 本日が第3回がん登録部会でございまして、この後2カ月に1度ぐらいの頻度で部会を開催していく予定でございます。

 第4回がん登録部会におきましては、全国がん登録記載マニュアル等を議題とする予定でございまして、12月の下旬には医療機関向けの説明を行う予定でございます。

 そのほか、都道府県向けの説明会を12月から1月ごろに予定したいと考えております。

 また、第5回がん登録部会におきましては、同意代替措置に係る指針等について、第6回がん登録部会におきましては、データ利用と提供ガイドライン等を議題とする予定でございます。

 続きまして、2ページでございます。

 「がん登録部会における今後の議事(イメージ)」でございます。こちらは指針や運用マニュアル等で整理が必要な事項について検討することとしておりまして、大きく3つに整理しております。

 まず1つ目は「法律上、部会での検討が必要なもの」。これは、同意代替措置に係る指針でございます。

 2つ目は「法律上、策定を定められている指針」といたしまして、院内がん登録に係る指針でございます。

 3つ目は「全国がん登録の実施に係る事務的ガイドライン」ということで、運用マニュアル、運用のためのガイドラインとして、全国がん登録記載マニュアルですとか、データ利用と提供に関するガイドライン、個人情報保護に関するガイドラインを考えております。

 続いて、3ページでございます。

 まず「同意代替措置に係る指針」につきましては、附則の第2条第1項に「同意に代わる措置として厚生労働大臣が定める指針に従った措置を講じているとき」と規定されております。

 ポイントといたしましては、法施行前に既に走っているがんに係る調査研究において、同意にかわる措置としてどういう措置を講じていれば、法施行後に改めて同意を取り直す必要がないかということでございます。

 こちらは第5回、第6回のがん登録部会で御検討いただく予定でございます。

 続きまして、4ページでございます。

 「院内がん登録に係る指針」につきましては、第44条第1項に「厚生労働大臣が定める指針に則して院内がん登録を実施するよう努める」と規定されております。

 これまでのがん登録部会において、全国がん登録の項目につきましては御了承いただいております。院内がん登録の項目につきましては、この全国がん登録との整合性を図っていく予定でして、今回第3回と、第4回のがん登録部会で事務局案を提示する予定としております。

 続きまして、5ページでございます。

 「運用マニュアル(ガイドライン)」でございますが、「全国がん登録記載マニュアル」につきましては、病院が届け出をする際に必要な項目について、「データ利用と提供に関するガイドライン」につきましては、データを利用・提供する際の手続ですとか、利用・提供状況についての御報告というものを考えております。

 また「個人情報保護に関するガイドライン」につきましては、安全管理措置をどうするかといったことについて記載をする予定でございます。

 これらにつきましては、第4回~第6回の3回にかけてがん登録部会で事務局案をお示しする予定としております。

 資料2につきましては以上でございます。

○辻部会長 ありがとうございました。

 ただいま資料2に沿いまして、今後の予定につきまして御説明いただきました。これにつきまして何か委員の皆様から御質問、御意見あればいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 1つ、私からよろしいですか。医療機関向けの説明とか都道府県向けの説明というのは、12月から1月ごろを予定されているようですけれども、これは1回なのでしょうか。それとも何回か分けてやるのでしょうか。その辺の考えを教えていただけますか。

○事務局 医療機関向けの説明と都道府県向けの説明は、それぞれ別に行う予定としておりまして、医療機関向けの説明につきましては、地域がん登録全国協議会が主催で行われますシンポジウムの中で、少し説明をさせていただきたいと考えております。

○辻部会長 ほかにどなたか、御意見とか御質問ありますでしょうか。

 よろしいでしょうか。今後の予定ということですので、こういった形で進めていくということでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、2つ目の議題に入りますけれども、「院内がん登録の項目について」ということにつきまして、初めに事務局からこれまでの経緯について御説明いただいた上で、参考人の国立がん研究センターのほうから資料の御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○事務局 それでは、院内がん登録の項目につきまして、これまでの経緯を簡単に御説明いたします。

 院内がん登録は皆さん御存じのことかと思いますが、当該施設でがんの診断、治療を受けた全患者について、がんの診断、治療、予後に関する情報を登録する仕組みでございます。施設におけるがん診療の実態を把握し、がん診療の質の向上とがん患者の支援を目指して行われております。

 本日、参考資料7に一部抜粋でおつけしております「がん診療連携拠点病院院内がん登録標準登録様式 登録項目とその定義」につきましては、2001年度に編成された厚生科学研究費研究班「がん診療の質の向上に資する院内がん登録システムの在り方及びその普及に関する研究」班、これは主任研究者、山口直人先生が初めて2003年度版を公表されました。

200511月に「院内がん登録のあり方に関する検討会」が設置されましたが、この検討会において、地域がん診療連携拠点病院で実施されている院内がん登録の標準登録項目等について検討を行い、ここでの議論を踏まえ、院内がん登録における必須項目を定めております。

 以来、多くの病院等で採用されまして、主任研究者がかわるも、現在に至るまで継続して研究班によってメンテナンスされているというような状況でございます。

 経緯につきましては以上でございます。

○辻部会長 それでは、資料3に沿いまして、参考人のほうから御説明をお願いします。

○柴田参考人 国立がん研究センターの柴田でございます。

 資料3をごらんください。

 今後の本部会におかれましては、院内がん登録の標準登録様式の項目について提示したものについて御意見をいただくという段取りになっておりますが、本日におきましては、まず、現段階で考えております項目についてお示ししております。

 本項目は今、事務局から御説明いただいたとおり、脈々と続いてきましたがん診療連携拠点病院の院内がん登録の標準登録様式の登録項目とその定義を検討している研究班で、今は国立がんセンターの研究班で行っておりまして、主任研究者が本日欠席しております西本になっておりますが、西本のほうで継続して研究班を引き継いでおります。その研究班において、これらの項目を議論の上、挙げております。

 見方ですけれども、まず「院内がん登録標準登録様式 項目(案)」、「項目名」と「備考」を挙げさせていただいておりまして、一番右側に「全国がん登録項目」を、1番から26項目を前回までの部会において了承していただいておりますが、それに対応する番号を振らせていただいております。

 今回、番号つきの全国がん登録の項目の一覧の資料を御提示していないので大変わかりにくくて恐縮でございますが、それぞれどういう項目かにつきましては、先に資料4を見ることになってしまって申しわけありませんが、資料4のページをめくっていただいて、目次の「2.届出項目について」のところにある項目が全部で26項目ありまして、これと対応しているということになります。

 院内がん登録の標準登録様式、その項目につきましては、大きく5つの情報に分けて考えられております。

 一番左端の欄をごらんいただきたいのですけれども、1つは「基本情報」。これは患者さんの属性等を示す情報になります。

 次のところが「診断情報」。これは診断日ですとかその病院にとってその患者さんがどのような患者さんなのかということを登録するような項目になります。

 ページを繰っていただきまして、右下にページ番号がある2ページ目になりますが、3つ目の大項目として「腫瘍情報」を登録するところがございます。こちらの腫瘍情報において、腫瘍情報ですので、どの部位に発生した、どういう組織型のどういう診断根拠で診断されたがんなのかという情報とともに、発見時の病期情報を登録することになります。

 3ページ目に移りますと、こちらは大項目としては「初回治療情報」を登録するという項目になります。

 最後の大項目としましては「追跡情報」というものになります。

 今度、参考資料7をごらんいただけますでしょうか。

 参考資料7の一番後ろのほうになりますが、下のページ番号で言うと8ページ、9ページをごらんください。

 こちらが多くのがん診療連携拠点病院で採用いただき、現在もこれで登録をいただいております「院内がん登録 標準登録様式2006年度版修正版」というものでございます。最終修正は2012年に行われております。

 これは現在の地域がん登録の標準登録項目、これも2003年に研究班が定めた25項目になりますが、2004年に地域がん登録関連の研究班が定めた標準登録項目25項目との対応を示しているものになります。

 簡単に見ていただきますと、一番右側に拠点病院の院内がん登録項目と、地域がん登録の標準登録との対応の仕方を掲載しておりますが、上からしばらくは「そのまま提出」という言葉がございますが、少したちますと登録項目160を登録している場合はそのまま提出でよし、そうでない場合は以下のとおり変換してくださいというようなことが、幾つかそういう項目がございます。

 これらの院内がん登録の登録項目と地域がん登録の登録項目の微小な差異が、地域がん登録への院内がん登録、病院からの届け出を妨げる要因であると多くの病院から御指摘を受けていたところでございます。

今回全国がん登録を開始するに当たりましては、この法制化の議論の最中から、今後全国がん登録を開始し院内がん登録を推進するに当たっては、ぜひ院内がん登録の項目と全国がん登録の項目は合わせるべきであるという御意見を多数の関連の方から頂戴しているところでございます。

 ということで、参考資料7の、従前の最新の多くの拠点病院で既に採用していただいております「院内がん登録 標準登録様式2006年度版修正版」をベースとして、全国がん登録の先日御了承いただいた新しい26項目との整合性がとれるというか同一となるように組み直したものが、資料3に掲載しております「院内がん登録項目(案)」となります。項目数としましては、院内がん登録としては66項目になります。

 実は2006年度版修正版においては、それぞれ項目が必須項目と推奨項目とオプション項目というものを持っていまして、推奨項目だけで考えますと、ほぼ今回の院内がん登録標準登録様式の項目(案)と同じになります。オプション項目を除いた形とお考えいただければよろしいかと思います。

 細かく一つ一つの項目については、今回は御提示するというだけにとどめまして、そのそれぞれの項目の定義の仕方ですとか区分ですとかは、まだ研究班において検討している最中でございますので、これは次回の部会において提示させていただきたいと考えております。

 私からの一時的な説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○辻部会長 ありがとうございました。ただいま資料3と参考資料7に沿って御説明をいただきました。従来から行われているがん診療連携拠点病院の2006年版の修正版をもとに、前回お決めいただいた26項目と同一になるような形で資料3を案として出していただいたということであります。

 この具体的な、かなり資料3の細かいところ、説明ですとか定義とかそういったことにつきましては、次回の部会で御説明いただきまして、もんでいただくということになりますけれども、きょうはこの段階で何か御質問とか御意見とかありますでしょうか。

 はい、どうぞ。

○天野委員 ありがとうございます。

 質問になりますが、今、資料3と参考資料7の御説明をいただいたのですが、例えば資料3の2ページの「腫瘍情報」のところで「治療前(臨床)分類」とか「術後病理学的分類」という項目がありまして、それに対応するというか現在の状況ということで、参考資料7のほうで見ますと、5ページにそれについての取り扱い等が解説として記載されているかと思います。確認したいのが、今、病理分類というのが参考資料7の5ページのほうを見ますと、2006年度修正版では、例えば項目番号でいうと240250260のあたりが2006年度修正版では5部位では標準項目というふうな記載がされているかと思うのですけれども、これは現状では5部位以外は記載しなくてもいいという取り扱いになっているのかということが質問です。

 同様に、例えば参考資料7の6ページを見ますと、項目番号の450番で「初回治療開始日」の日付などもオプション項目になっているかと思うのですけれども、こういった項目は非常に重要な項目かと思うのですが、これが新しい資料3のほうで提示されている項目のほうで必須として扱われるのか、それとも標準なのか、オプションなのか。そういった取り扱いについては現状どのようにお考えなのかということを教えていただければと思います。

○柴田参考人 現状での検討班での見解をお話しさせていただきたいと思います。

 まず、1点目のTNMの病期分類の5部位の登録の現状につきましては、5部位については必ず登録してください。そのほかについてはできるだけ登録してくださいという状況でございます。

 実態として今、国立がん研究センターのほうでは、年に1度がん診療連携拠点病院から院内がん登録データの提供を受けまして分析させていただいているところですが、空欄ではなく、5部位以外のほとんど入力はされております。しかしながら、登録実務者の教育のほうを徹底しておりますのは、5部位プラス前立腺に今のところは限っております。教育の時間の問題と、あとは初級研修にかけられる時間の問題で、5部位プラス前立腺に限定しております。院内がん登録の実務者の中級研修におきましては、ほぼ全てのTNM項目に関して教育をさせていただいておりまして、中級研修を受けた実務者が配置されているような拠点病院におかれましては、ある程度きちんとしたTNMが全登録対象について登録されていると考えられます。

 2点目につきましては、現状の2006年度版修正版においてオプション項目とされている項目につきましては、これもほとんどの拠点病院においては登録されております。ただし、推奨項目と比べましてやはり登録の質といいますかは落ちます。必ず入れなくてはいけないというものではありませんので、徹底度が異なると思っていただければと思います。

 その理由としましては、オプション項目につきましては、先ほど申しました年に1度国立がん研究センターで収集している項目ではございませんので、国立がん研究センターのほうでチェックをかけていない。入っていても入っていなくても、それについてはチェックをかけていないということです。ですので、現状では入力が不徹底なところはある状況です。

 今回の資料3において御提案しております項目につきましては、全て必須で入れてくださいということを研究班では検討しておりますので、最後の御質問につきましては、今後は必須ということです。

 以上です。

○天野委員 ありがとうございます。必須項目ということですので、分類というかやはり病期分類というのは5大がんに限らず最低限必須な情報だと思いますので、ぜひ入れていただきたいというのがあります。

 あと、これは病期分類に比べると重要度はもしかしたら落ちると言われるかもしれませんが、参考資料7の4ページのほうで、「診断情報」のところで幾つかの項目がありまして、例えば患者さんへのインフォームドコンセントが適切に行われているかどうかということを含めた告知状況などの項目が、資料3のほうを見ると現状では抜けているかと思うのです。これは実際カルテ等から読み取るのは難しいということはもしかしたらあるのかもしれませんが、ただ、患者さんに適切な情報提供であるとか説明が行われることを担保するためには非常に重要な項目かと思うのですが、このあたりの議論は今、どのようになっているかお聞かせいただけますでしょうか。現状では資料3では抜けていると思うのです。

○柴田参考人 告知状況につきましては、天野委員のおっしゃるとおりカルテから本当に拾いにくい項目でして、なかなか実務者に登録をお願いすると、登録が徹底できない。登録されていても、確からしさがわからないということになっておりまして、今回の研究班での検討の段階では、できるだけ確からしく登録できる項目に限定しようということはございまして、抜けてございます。

 今、いただいた意見は、また検討班に持ち帰らせていただきまして、再度検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○辻部会長 はい、どうぞ。

○松本委員 ありがとうございます。今の天野委員の御質問に関連することでございます。

 病期分類のことについて、今後は必須になっていくということを伺いました。それで、5大がんだけではなくほかのがんについてもという御意見でしたけれども、例えば子宮頸がんについてはがん検診も行われております。また、ワクチンということもありまして、その効果を見ていくということでぜひともこの病期分類というのは必要かと考えますので、よろしくお願いいたします。

 意見として申し上げさせていただきました。

○坂元委員 参考資料7、ちょっと細かいところで申しわけないのですけれども、がん登録のところの「診断情報」の150の「来院経路」の中に「剖検にて」というのがあるのですが、これは偶然剖検で見つかったら死後情報として届けるという意味でしょうか。つまりこの「来院経路」の中に入っているのでしょうか。死後登録はないと考えていたのですが、ちょっとここを教えていただければと思います。

○柴田参考人 お答えさせていただきます。

 こちらは地域がん登録、全国がん登録と違いまして、病院の登録ですので、その病院で剖検をした結果、その患者さんにがんが発見されたときに登録対象として登録していただくということになっておりますが、実際には、やはり剖検で初めてがんが見つかったという場合においては、その結果が病理部のほうにしか残っていないことがございまして、登録漏れは起きやすいというふうに実務者のほうからは聞いております。

○坂元委員 そうすると、院内がん登録と全国のがん登録の整合性をとるというときに、この部分は今後の院内がん登録には「剖検にて」というのは入れないということなのですか。

○柴田参考人 こちらの150番の「来院経路」は、今回の全国がん登録と整合性を考えている院内がん登録標準登録様式の項目、資料3のほうでは、従前の150番に相当する「来院経路」のほうが、13番の「来院経路」として残っておりまして、全国がん登録の「発見経緯」のほうに「剖検発見」というものを前回まで区分として例示させていただいたと思いますが、そちらは「発見経緯」のほうとして残ることになります。

○辻部会長 黒田先生、どうぞ。

○黒田委員 資料3の全国がん登録項目のところの番号をちょっと、逆引き表がないのでどうなっているのかなと思って追ってみたのですが、19番がない気がするのですけれども、対応するところはございますでしょうか。

○柴田参考人 大変失礼いたしました。資料3の「院内がん登録項目(案)」の34番の「外科的治療の有無」18は合っております。38の「鏡視下治療の有無」が19で、42番の「内視鏡的治療の有無」が20。その下の46番の「観血的治療(外科的・鏡視下・内視鏡的)の範囲」のところに番号を入れ忘れましたので、これが21となりまして、全てで26項目になります。大変失礼いたしました。ありがとうございます。

○辻部会長 どうもありがとうございます。

 どうぞ。

○黒田委員 よろしいですかね。済みません。

 今度はちょっと質問なのですが、前回までの議論の中で、院内がん登録で取り扱いましょうといっていたところの中に、「来院経路」の取り扱いになるのかもしれませんけれども、紹介元・紹介先の病院をつながないと情報として連絡がとれないので、データベースの検索を考えたときに余りデータとして使いにくいのではないかという議論を差し上げたことがあると思うのですが、そのあたりの取り扱いはどうなりますでしょうか。

○柴田参考人 お答えさせていただきます。失礼いたしました。

 実は現在の2006年度版修正版のほうにおきましてもないですね。こちらのほうにも紹介元・紹介先はありません。ところが、国立がん研究センターのほうで院内がん登録用にお使いくださいとして提供しておりますHos-CanRという登録ソフトがございますが、そちらにおいては、実は紹介元・紹介先病院を登録する欄がございまして、そちらのソフトを使っているところでは、事実上としてはそういう項目も登録されているところでございます。それらの、今までHos-CanRのほうで管理項目として扱ってきたものにつきましては、こちらの院内がん登録の標準項目(案)とは分けまして、管理項目としては引き続き推奨していくことになるのかなと考えております。

 ただ、必須としてはなかなか含めることは難しいのではないかと研究班のほうでは検討段階で話しておりまして、今回こちらの項目案として出させていただいているものは必ず登録してくださいというものでございますので、そちらは含めておりません。

○黒田委員 必須にされない積極的理由を教えてください。

○柴田参考人 必須としますと、実務者さんは必ず登録するとは思うのですけれども、必ずしも診療録からその情報がとれない場合もあると聞いております。必須項目をふやすとそれだけ実務者さんの負担もふえるということもございまして、必ずしもがん登録とがんに関する情報、がんの統計に関する情報と言えないものについては、必須からは外すという考え方で今回検討は進めておりましたが、また先生の意見も研究班のほうに持ち帰らせていただきまして、再度検討させていただきたいと思います。

○辻部会長 はい、どうぞ。

○永井委員 先ほどから聞いていますと、いわゆるがん診療連携拠点病院の2006年度の様式と、それから、全国の26項目のがん登録として、この間決めた様式と、今度の院内がん登録の66項目という、この3つのがん登録のポリシーというのですか。そのあたりが全く見えてこないと思います。

 例えばさっきの天野さんの告知の問題なども、これは結局現場として診療情報管理士がカルテから非常にとりにくいから項目に入れないという話と、こういう機会に病院として、医療者として告知の有無ぐらいちゃんとカルテに書いてよという話とちょっと私は違うような気がしています。そこに書いていないから、とれないから外すというのは今回の法律の趣旨と違うような気が私はしており、そのあたりの例えば入力の問題なのか教育の問題なのか、診療情報管理士の教育の問題、それから医師の教育・入力の問題等々のところが全体的に見えてこない。ポリシーというのか、目的は何かということと運用の問題について、どういう整合性を持ってこういう項目を選択していらっしゃるのかというところが、今いちはっきりしないのですけれども、そのあたりはいかがですか。

○柴田参考人 十分に私が御回答できるか自信はないのですけれども、私の考える範囲で申しますと、がん診療連携拠点病院400施設ですら、院内がん登録の登録体制にかなりの実力差と申しますか差異がございまして、院内がん登録を普及し始めて、2003年からだと理解しておりますが、かなり状況は改善してきたとは言えます。国立がん研究センターのほうで院内がん登録の提供を受けて分析している上でも、最初に分析した2007年と比べて、今、最新の分析した2012年ではかなり質が改善しているのは間違いございません。

 ただ、やはり個々の、本当に400の病院のレベルで見ますと、まだまだ教育も徹底していない。実務者も毎年入れかわるようなところがございまして、そういう現状も踏まえますと必須として義務づけるようなものにつきましては、やはり限定して実務者さんがとりやすいもので考えたいというのが根底にある。正しくとれるというものを根底にしています。

 こちらの66項目につきましても、実は研究班のほうでは必ず今の段階で全部正確にとれると考えているわけではなく、これぐらいなら実務者さんに努力していただいて、きちんととっていただくようにしましょうという最低の一応ラインと考えての66項目と認識しております。

○永井委員 それはよくわかるのですけれども、私は今、医療の質を少しやっているのですが、臨床指標というのがありますが、臨床指標、クリニカルインディケーター、QIというのは、一番の欠点はとりやすいものしかとれない。要するに、本当に大事なものでも、とれないものはとろうとしない、とれるものしかとってこない。だから臨床指標というのはいろいろな問題が起きているわけで、それと同じことがこの場合も言え、やはりとりにくいものでもとっていかなければ駄目だというところを、もう少し考えていただきたいと思うのです。さっきの告知の件なども多分そうだと思うのですが。

○辻部会長 ありがとうございます。

 今、永井先生と柴田先生とのやりとりは、多分視点が違っているところがありまして、柴田先生のお話は、現実的に精度を高めるということで、私もがん登録にかかわっていますけれども、やはりデータが抜けてしまったとか、そのために集計できなくなってしまうという、実際上の難しさがありますね。

 一方、永井先生は、この際だからちゃんとしようということですね。多分、柴田先生は病院管理士が採録しやすいようにという視点で当面実現可能なことを押さえていくというお考えですが、永井先生は、医師たるものこれくらいのことはカルテに書いてくれという視点で、今回の制度改正をもとに、その辺を高めるようなインパクトまで持ったほうがいいのではないかというお考えで、とても重要なことだと思います。

 これにつきまして今度、次回の委員会のときに厚労省としての考えも出していただきながらその辺は詰めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ほかに御意見ございますでしょうか。

 大木先生にちょっとお聞きしたいのですけれども、先生はずっと長い間地域がん登録の御経験がありまして、今度全国統計になりますと、先生のやっていらっしゃるシステムも若干変えていかなければいけないと思うのですが、そういった視点から見て今回の項目案についていかがでしょう。何か御意見があったらいただきたいのです。

○大木委員 私は一番最初の勉強会のときに申し上げたとおり、大きく変更されてしまうと、今までとったデータとの整合性が変わってしまうという心配があります。

 確かに永井先生のおっしゃるとおり、告知のデータとかがあれば一生懸命とろうと思いますし、当院でもそこの部分については医師に確認するというようなステップを踏んでおりますが、一方で、私も疫学のほうが中心ですので、欠損値ばかりのデータや主観によって、この人がつけたらこうなるけれども、この人がつけたらこうなるというのでは正確な比較ができず、せっかく集めたデータが実のあるものにならないのではないかという懸念があります。そういった点では、実行可能性を踏まえて最低限に絞り、診療の先や紹介先・紹介元についても院内ではきちんととるべきかと思っておりますので、その辺のデータについても、病院の中で自分たちの病院としてどうしていくかということを視点に踏まえながら、最低限のものを国に出すというような形が望ましいのではないかなと考えています。

 あと、先ほどの黒田先生の施設の紹介元・紹介先なのですが、きちっとした病院でそのようなコードを持って病院を登録し、更新し、データをとっていくことは有意義だと思いますが、本当に小さな始めたばかりのところが、テキストで病院の名前を1つ入れたとしても、「何々病院」と入れるのか「何とか病院機構何とか」と名前を入れるのかでデータは本当にいかようにもなります。ですので、そういった基本をきちっと踏まえながら一歩ずつ精度を高めていくことが大事かなと考えています。

○黒田委員 済みません。今、名前が出てきたのであれなのですけれども、今、言われたお話ですね。病院のデータをどう入れるかという話については、入力ツールのつくり方の問題だと理解をしています。だから、入力ツールのつくり方として文字情報で入力するような形をとれば、今、先生がお話しになったような状況は起こり得るわけですが、結局これを使って入力してくださいということをどんな形で提供するかによって状況は変わってくると思いますので、国がんさんのほうは準備するのにえらい大変になると思うのですけれども、一度きちんと準備をしておけばデータの精度というのは十分高められるであろうと考えます。

 このあたりは、データを収集するときにどうやってそれを離散化するかというデータ収集の基本中の基本ですので、そのあたりについては準備の形によってくるのではないかという気がしています。

 もう一つ、お話になっていた継続性というのは確かにおっしゃるとおりものすごく大事なことではあるのですが、片方で継続したものだけでいいかというところは多分議論の本質だと思うのです。今つくられているのは、これまで統計的な目的でつくられたものにのっとっていらっしゃるわけですけれども、先般この部会の中でもお話を差し上げたとおり、臨床家の視点から見ると、この情報では臨床研究のベースラインのデータとしては全く役に立たないという御指摘がございますから、そういったものも含めて、情報として何を追加でとるべきなのかというところまで立ち帰って御議論というか御検討いただいて、そのときのデータの粒度ですね。どんな離散化をした形でデータをつくるのかというところを御検討いただくほうが、本質に近いところに行くのではないかなという気がいたします。

 そのときに離散化の形態が変わってしまうと確かにデータが変わるので、そこは、ではどんなマッピングテーブルを用意して過去のものを読みかえるのか、それの読みかえが可能なのかという技術的な話になるのではないかと考えます。

 以上、意見です。

○辻部会長 ありがとうございました。

 ほかにどなたかありますでしょうか。

 平田先生、どうぞ。

○平田委員 各論的なお話で申しわけないのですが、外科治療のところの、資料3の3ページの向かって左側の「初回治療情報」の34、番号を振っている中で、38番からは「鏡視下治療」というふうに入っていますが、これはある意味では手法なので、外科的治療の中に含まれる内容で、独立はしないわけですね。そうだとすると、この治療法を推進するがためにこの項目を立てたのか、どうしてこれを独立させたかというのかの意図を込めて設定しているのですか。もし基本情報だけで行くとすれば、入力しなくてもよろしい項目かなとも思われるのです。しても問題はないのですけれども、わざわざ入れる必要性があるのかなという。

 例えばこうするとすると、その下の「内視鏡的治療」というのも、初回治療の中で外科治療とともに内視鏡的治療も行う、一緒にやることもあるのですね。そうすると厳密には非常に複雑になるのです。もう一つの問題としてはコンバートというか、鏡視下治療をやっていたけれども開腹だとか開胸にしなければいけないとかということがあります。そのような場合診療情報管理士さんの対応が難しくなる。

 低侵襲手術が国民に割合高い頻度で提供されていますよという情報を将来伝えるがために入れるとするならば必要かもしれませんけれども。登録者の現場の状況と、これを特化して入れることの意味が天秤にのるため、どれぐらい必要性があるかなということが疑問になります。医者とあるいは看護師さんと診療情報管理士さんのやりとりが非常に複雑になるかなということもあり得るので、項目を省いてもよろしいのかなという考えはあります。

 大方の手術を鏡視下手術としている病院が、先進施設は当然となっています。それが外科治療の標準だと思っていますので、御一考いただければいいのかなと思います。

○柴田参考人 鏡視下は、体腔鏡的治療として従前からとってきた項目ではありますが、これは全国がん登録の項目として提示させていただいたときは、体腔鏡的治療として提示していたものになります。

 この院内がん登録系の研究班の議論において、まさに体腔鏡的というよりは鏡視下というほうが適切なのではないかという議論になって、まず名前をこのように変更させていただけないかというのが実は御提案の1つではあったのですが、では外科的治療と鏡視下治療を分ける必要はあるのかどうかという先生の本質の議論につきましては、実際アメリカの院内がん登録では分けてはいないです。ですので、アメリカの院内がん登録のデータと比較しようとするときは、統計としてはこれは今くっつけて統計解析に回しているというのが現状ではあるのですが、院内がん登録の研究班の研究班員の中には、やはり消化器系を担当する内科医、外科医の方が、がんの数から診療実績としてどうしても多く含まれておりまして、その方々の意見が反映されて当初から外科的治療と体腔鏡的治療はしっかりと分けましょうということになっていたかと思います。

 ですが、これも先生の御意見は、御意見がございましたということで研究班に持ち帰らせていただきたいと思います。

○辻部会長 ありがとうございました。

 ほかによろしいでしょうか。

 黒田先生、どうぞ。

○黒田委員 たびたび済みません。

 外科的治療の種類の話とかになったときに、結局、情報管理士がデータを入れるときに、そもそもあるデータをどう解釈するかという解釈の範囲が入ってくるということを意味しますね。そうすると、ではもともとどんな形でデータがあるかというと、一番元のデータはレセプトの形でデータの提出をしておりますので、そういったところのデータからコンバートする形にするような方法論を考えておけば、これはメソッドの問題になってきますけれども、ある程度ばらつきは抑えられる気もしますし、逆に言うと、そのレベルの情報が欲しいというのが臨床家の意見でしたから、そのあたりのところ、院内がんの中で検討されることというのはあり得ないのでしょうか。レセプトとの連携で考えると、ある程度の提携ができるのではないかと考えるわけですか、いかがでしょう。

○柴田参考人 現状の院内がん登録の教育におかれましては、本当にカルテからの情報収集、電子カルテの登録されている中からのテキスト項目からの読み取りの教育に従事しておりまして、余りレセプトに登録された内容から登録できるものは起こしてくるというところについては、十分に研究班で検討したり、あるいは教育として行ってきたことはないという認識です。

 黒田先生のおっしゃることも研究班のほうに持ち帰らせていただきまして、こういう意見もございましたが、新たな方向性としてあり得るのではないかというふうに伝えさせていただきたいと思います。

○辻部会長 どうぞ。

○坂元委員 資料3の院内がん登録のところの「基本情報」の1で、「病院等の名称」とあるのですが、これは住所とか何もなくて、病院の名称だけなのでしょうか。例えば同じ病院の名称は多分全国に幾つもあると思うのですけれども、何か病院がわかるという、そういうものは何かあるのでしょうか。

○柴田参考人 御回答させていただきます。

 全国がん登録の項目としての「病院等の名称」につきましては、病院等から届け出をいただくときの情報として、登録項目とは別に住所情報等、管理者情報等を入れていただくことになっておりますが、院内がん登録のそれぞれの項目としましては、やはり病院等の名称だけの登録になります。

○辻部会長 大分時間も迫ってきましたので、これくらいにさせていただきたいと思いますけれども、よろしいですか。

 きょう、かなり本質的な議論があったと思います。特に、考えなければいけないなと思いましたのは、永井先生の提起されたことで、登録全体のポリシーといいますかそういったところを明らかにして、その上でこういう基準でつくったのだというようなところを出していくことは大事だと思いますので、それも含めまして研究班のほうで御議論いただきたいと思います。ただ、時間が限られていましたので、もし何か御意見ありましたらば、国がんの柴田先生のほうにメールあるいはお電話などで御意見いただければまた話していただけるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。

 それで、次の議題に移らせていただきたいと思います。

 3つ目の「その他」ということでありますけれども、これにつきまして国立がん研究センターのほうから2点あるということですので、まず、1点目から御説明をお願いします。

○柴田参考人 それでは、続きまして国立がん研究センター柴田から「その他」の1の資料4「全国がん登録 届出マニュアルについて」と、本当に今回はさわりだけになりますが、このようなものの作成を考えておりますという御提示だけになりますが、御提示させていただきます。

 今回ちょっと寂しい内容に情報提供がとどまってしまいましたのは、実際としてこちらの全国がん登録の届出マニュアルは、新しく決まる院内がん登録の標準登録様式の項目とその定義とかなりのところ連携してつくっていくことになります。全国がん登録の項目と院内がん登録の項目と共通している部分につきましては、同じ区分、同じ定義で登録されないといけませんので、まず院内がん登録の項目と、その区分と、その登録の仕方である定義が固まってきましたら、こちらの全国がん登録の届出マニュアルについての内容のほぼ8割方が固まるという考え方でおります。

 実際のイメージしているものとしましては、公的にこちらの全国がん登録の届出マニュアルのほうは、今回法律に基づいて全国がん登録に病院等に協力していただくための必要なものになりますので、こちらは死亡診断書の記入マニュアルというふうに、これも厚生労働省のほうで発行していただいているものなのですが、こちらぐらいの情報は含む内容のものを想定しております。

 ただ中身につきましては、今度はちょっといろいろこちらだけの御提示で申しわけないのですが、アメリカのほうのがん登録の届け出というか登録マニュアルとなっていますフォードというものがございまして、こちらが非常にわかりやすい、実務者にとっても医療者にとってもわかりやすい構成になっておりますので、こちらを参考に中身のほうは詰めさせていただく予定です。

 本日のところは、こちらに関しての御説明は以上になります。

○辻部会長 何かこれにつきまして御質問とか御意見はございますでしょうか。

 はい、どうぞ。

○坂元委員 しつこくて申しわけありません。

 この資料4の「全国がん登録 届出マニュアル」のさっきの説明ですと、これ以外の項目もあるということなのですね。なぜかというと、さっき病院の住所が入ると言ったと思いますが、これを見ると「病院等の名称」しかこちらにはないので、今の説明の理解では項目はこれ以上ないと思います。例えばこの「病院等の名称」の次に「病院の住所」というのがあるという理解でよろしいのですね。

○柴田参考人 病院等の住所につきましては、もしかすると「方法」のところの(4)の「届出の方法」のところで、届け出時に病院等の住所を記載してくださいというふうになるかもしれませんし、あるいは病院等の名称の説明の中に、病院の住所情報も登録してくださいという、この下にドリルダウンした形での御説明になると思います。

 以上です。

○辻部会長 ほかにどなたかございますか。

 よろしいでしょうか。

 それでは、次の第2点目につきまして、国立がん研究センターのほうから御説明をお願いします。

○松田参考人 国立がん研究センターがん統計研究部の松田です。

 資料5を準備させていただきました。あと、会の開始直前に地域がん登録全国協議会が発行している一般国民向けのパンフレットも参考までに配付させていただいておりますので、御参考ください。

 以前、会において天野委員からも多分御質問があったと思うのですけれども、全国がん登録の一般国民に向けてのPRについてどのように厚労省はお考えかという御質問がありまして、順次進めていきますというような御回答を厚労省側はされたと思うのですが、平成26年度の全国がん登録の予算の中の一部に、一般国民に向けての説明ですとか広報についての予算も含まれているということで、国立がん研究センターのほうではこれを受けて、既にどのように一般国民に向けてPRをしていったらいいだろうということについて、都道府県の担当者向けの説明会ですとか、今の全国がん登録マニュアルありますけれども、こういった医療従事者もしくは医療機関向けの資料とあわせて、同時に一般国民向けのPR素材もしくはPR方法について検討を開始しているところです。

 今回は、そういったことについて委員の皆様方に御報告を差し上げて、もし何かアドバイス等あればいただいて、こちらに関しましてもPR方法やPR素材の作成に生かしていきたいなと思っております。

 資料のほうをまず、ごらんください。今、申し上げたとおり、全国がん登録制度は、一般国民、それから、都道府県ですとか医療機関全てがその立ち場に合わせて、内容を熟知した上で一丸となって進めていくことで登録精度も上がりますし、データの利用も進むと理解しております。

 目的としましては、全国がん登録制度について「国民における制度の理解を深める」という非常にシンプルなものになっております。ただし、地域がん登録、現在実施をしておりますが、都道府県の実施している地域がん登録の認知度というのは、厚生労働省の内閣府の調査に基づいた結果を見ましても、やはり10%行くか行かないかというようなぐらいの認知度でして、現時点で一般国民ががん登録について認知をしているかというと、甚だ疑問な点があります。

 2番目の「方向性と方針」のところに書いてありますように、ただ、一般国民が理解をきちんとしないと地域がん登録事業の事業自体が進まないとか、国民の健康が阻害されるとか、がん登録はそういうような性質のものではありませんので、がん登録を知ってもらって何か行動を起こして、がん検診をしましょうとか生活習慣に気をつけましょうという類いの方向の広報ですとか説明とは異なると考えております。

 そういう意味で、具体的な行動を喚起する必要は広報においてないのですが、ただし、将来一般国民全員ががんになるリスクは抱えておりますし、がんになった患者さんの個人情報というのを個別の同意なく1カ所に集めて、それをがん対策に役立てるというようなある意味センシティブな事業ですので、一般国民がこのがん登録制度の意義を十分に理解して、かつ自分たちの情報がそこに使われて、厳格な安全管理のもとでデータベースが作成され、がん対策に生かされて、将来の日本国民の健康に役立っているということを間違いなく理解をして、そういった制度に対して協力的な意識を持っていただくということが重要だと思っております。

 そのために何かをしましょうとか、こういったことをみんなでやりましょうというよりは、きちんとこういう制度が存在して、こういうためにこういう制度をやらなければいけない。さらに全国がん登録という制度に発展していった経緯について理解をした上でなじみを持ってもらって、こういう制度に誤解をして反対をするとか、誤解をして非常に猜疑心を持ってがん登録という制度を非難するとかそういったことがないというのが最終的な目的だと考えております。

 3番目の説明をさせていただきます。「ターゲット層とメッセージ」なのですが、メッセージの伝達方法については、メディアという形ではさまざまなものが考えられます。以前は、例えばテレビのCMだとか新聞広告ですとかそういったものが一番一般国民になじみのあるマスメディアですし、そういったところに一面に広告を出すですとか、テレビのCMを打つことによって全国がん登録制度が始まりますということを伝えるのがいいのではないかというような案もありましたが、多分皆様御存じのとおりそういった広告を出す、もしくはテレビのCMをつくるというのは莫大な費用がかかりまして、全体的な予算を考えましても、余りがん登録のPRをするに至っては、先ほど申し上げたような目的に対しての対価としては多過ぎるということで、ふさわしくないのではないかと現在は考えております。

 そのために「自発的に紹介したくなる」というところが国立がん研究センター内で今、検討している方向性としては重要なポイントなのではないかなと思っております。具体的には、例えば最近のSNSですとかチャットをするようなツールですとか、ああいったものを使って情報の伝達をするという行為が現在は一般的になってきているということも考えまして、例えばそういうウエブを使って、こういう広告があるよとか、こういうチラシがあるよ、こういうポスターができているよというのが一般の国民が興味を持って知り合いに伝えていっていただけるような、ある意味口コミというか、知り合いにこういうものを伝えたいと思わせるような内容のPRの素材をつくる、PRの何かそういった媒体をつくるということがいいのではないかなというのが、現在挙がっている案です。

 もちろんそれには、予算が許せばいろいろなウエブページに載せてもらうですとか、雑誌の広告に載せてもらうですとか方法としては幾つかあると思うのですが、大々的に何か大きな今ある新聞、テレビといったようなメディアに広告を載せるほどの予算はないですし、載せたことによるフィードバックというのがこちらが期待しているものではないのではないかと今、考えているところです。

 4番目、現在、どのような方法で進めるかというところなのですが、こうした案については、国立がん研究センターのがん対策情報センターにがん情報提供研究部というのがありまして、こちらが皆さん御存じのがん情報のウエブページを中心的に作成し、がんについてもパンフレット、それから、冊子、単行本等を作成して、全国の拠点病院ですとか一般の医療機関、国民に向けて発信をすることを業務の中心としてやっている部署があります。がん対策情報センターのセンター長を含め、がん情報提供研究部の面々と現在協議を進めておりまして、今、申し上げたような方針で、どのように効果的にがん登録ということを国民に浸透させて、誤解なく理解を進めるかということを検討しています。

 それを進めるに当たって、我々でどのようにしたらいいかということを検討していくことは、がん情報提供研究部のほうも一応プロとしてやっているわけですので、それ自体間違っていないと思うのですけれども、やはり国民という対象が非常に大きい、さまざまな年齢層ですとかさまざまな職種、そういった非常につかみがたい対象を相手にがん登録のPRをしていくに当たって、我々以外に一般の民間企業ですとか団体を相手に広告について非常に今までの経験が豊富なコンサルタントがいれば、こういった方に入っていただいて、どういった媒体を使っていくのが我々の今の目的に沿っているかということについてアドバイスをいただいたり、実際素材づくりをするに当たって人材を紹介していただくとかそういったことをしていくのがいいのではないかなと思っておりまして、既に何人かそういったコンサルタントにもお話を持ちかけて、いろいろアドバイスをもらいながら進めようとしているところです。

 広告媒体の最適化、コンテンツ制作について相応のコンサルタントにアドバイスをもらって進めていこうと思っているのですが、現在つくろうと思っているところは、国立がん研究センターのがん情報サービス内にウエブページを作成して、最終的にはそこに誘導するというか、そこに詳しい情報があれば、そこに興味のある方はアクセスをしてそこを見るという方法がいいのではないかと考えております。

 また、全国がん登録のロゴですとかキャッチコピー。こういったものをつくって、親しみやすさをより高めていくということも考えておりますし、それに当たってロゴですとかキャッチコピーを散りばめた媒体をつくりまして、先ほど申し上げたウエブページを、興味があってより深く知りたい方はこちらをごらんくださいというような形で誘導するような媒体をつくるということを考えております。

 媒体については必ずしも1つではなくて、いろいろなものを組み合わせてこういった活動をしていくのがいいのではないか。先ほどちょっとお金がかかり過ぎると申し上げましたが、一応まだ候補としては残しておりまして、新聞ですとか雑誌の広告、テレビCMですとか、さらにはウエブ、それからフリーペーパーに載せるとか、ここら辺方法と媒体が今、混在しておりますけれども、ポスター、チラシをつくって配布するですとかいろいろな方法があると思います。こういったものを組み合わせて、どれかにする。ポスターをつくってどこかに配るだけとかではなくて、ポスターをつくりながらも何か新聞広告を載せるとか、いろいろな形で国民に浸透させていきたいと考えております。

 そして、5点目になりますけれども、こうしたことを実施した上で、現在の国立がん研究センターのがん対策情報センターでもある程度実施はしておりますが、きちんと広告、PRの評価をしていきたいと思っています。やりっ放し、ポスターつくりっ放しで国民周知できたでしょうというような形では考えておりませんで、例えばそういったものを配布した後で何かサンプリングの調査をするですとか、ウエブに誘導するという案が採用されるのであれば、そうした媒体をつくって配布した後に、ウエブのアクセス数がこれだけ伸びましたとか、よくヤフーのアクセス数がキーワードで検索できるとかありますけれども、あのような形で目に見えるような効果があったというような評価をできるようなPRの仕方というのを考えています。

 時期なのですけれども、今年度中の事業ということで進めておりますので、3月末までには事業を完全に一区切りをつけたいと思っておりますが、ウエブサイトについては、できれば10月末と書いておりますけれどもちょっと目標ということで、この1~2カ月中には作成をしてアップしたいと思っておりまして、そのほかのロゴを含めた媒体につきましては2月ぐらいを目標に、かつその評価というのがありますので、評価についてもとりあえずの媒体をつくって、それを頒布した後の状況というのを確認するために、1カ月ぐらい早くその媒体の完成をした上で、その後例えば1カ月間様子を見て評価に充てるというような、今、プログラムを考えております。

 全国がん登録の国民向けPRとしては、私からの報告は以上になりますけれども、もう1枚お配りした「あなたと子孫と人類のために。」という、地域がん登録全国協議会。これは地域がん登録を実施している都道府県が会員となって運営しているNPO法人ですけれども、ここが多分5年前ぐらいですか、やはり認知度が低いという現状を踏まえまして、一般国民に対してがん登録のことをもっと知ってもらおうということで作成した資料を今回お配りしています。

 これを作成したときには、特に地域がん登録全国協議会のほうがいわゆるプロフェッショナルに入っていただいて文章を作成したり、この作成、配布の方法に関して何かアドバイスを受けたということはありませんで、一般の方に読んでいただいて構成等はしたと聞いておりますけれども、あくまで地域がん登録関係者がつくって、内容を吟味して、最終的にこの3つ折りのパンフレットにしたという形になっております。

 一般の方に読んでいただく構成にしたということで、私も関係者になって長くなりますので、これが一般の人に対してわかりやすいかどうかという客観的な判断がちょっとつきかねるようになっているのですが、私から見ると普通のがん登録ですとかがんの知識がない方でも、ある程度は読むとなぜがん登録をしなければならないのかとか、がん登録をすることでどういうメリットが国民にあるのかとか、そういうことがわかるようなものになっているのではないかなという気はします。

 ただ、見た目はきれいでかわいらしいなとは思うのですが、先ほど私が申し上げた友達に伝えようとか家族に教えようとかいうほどのキャッチーな感じといいますか、魅力があって、こんなものがあるんだとか、これを誰かに伝えたいというほどのインパクトというのはないのではないかなという気がしますので、全国がん登録のPRにおいては、例えば同じようなパンフレットをつくるに当たっても、もう少し人目を引いたり、インパクトがあって誰かにこれを教えてあげたい。また、もう1部もらって両親に配りたいとか、そういうようなモチベーションを持たせるようなものにしていきたいと考えております。

 私からは以上です。

○辻部会長 ありがとうございました。資料5に基づきまして御説明いただきました。

 今回のがん登録推進法といいますのは、がん登録を病院に義務づけるということで、これは法的な強制力があるわけでありますが、ただ、そうは申しましても、国民の方々がこのがん登録に対してきちんと御理解いただくということは制度に魂を入れるようなものですので、PRというのは非常に大事なことだと考えております。

 きょうはせっかくの機会ですので、臨床の先生方たくさんいらっしゃいますし、また、医師会を初め関連団体の先生方もいらっしゃいますし、あるいは患者会の方、そして法律・行政の方、さまざまな立場から委員になっていただいていますので、ぜひ忌憚のない御意見をお出しいただければと思います。

 はい、お願いします。

○家原委員 さまざまなPR方法を御提示いただきましてありがとうございます。

 意見なのですけれども、最近小中高生を対象にがん教育ということを積極的にしていると思われます。私もそれに携わっておりますけれども、文科省も含め、厚労省も恐らく御参与いただいているのではないかと思うのですが、命の教育ということで医療関係者とサバイバーの方と一緒に行って、主には、現状ではがんの予防と検診という事項になっておりますが、その中にぜひこのがん登録ということも入れるということは、大きなPRになるのではないかと考えます。

 小中高生というのは、さまざま先ほど御提示いただきましたSNSでありますとかウエブ、パンフレットもそうですが、読もうという能動的な行為が必要になるわけですけれども、授業という中では自然と情報が入ってきますし、それから、小中高生は家族に向かって、例えば御家族に対して「検診を受けている?」とか「今日こんな授業をしたよ」とかいうことを持ち帰る機会が多うございまして、そうなりますと家庭内ないしは御親戚、御近所等にも広がる可能性があるということで、非常に有効ではないかと現在考えられております。

 そういったことも考えますと、こういった機会を活用して、ある程度決まった定型的なスライドが今、作成されつつあるわけですけれども、その中に1枚、こういうことでがん情報から国策がなされているとか、こういうことでがんの罹患率がわかっているということを子供たちに教えるというのは非常に有効ではないかと考えます。

 以上です。

○辻部会長 ありがとうございました。

 ほかにはどなたか。

 松本委員、どうぞ。

○松本委員 ありがとうございます。国民向けのPRというのは非常に難しいものだと思いますので、それに対してお取り組みいただいているということに感謝を申し上げます。

 国民の半分はがん患者なわけですから、患者の立ち場から申し上げますと、残念ながら私の周りの患者会の会員に聞きますと、ほとんどの者はがん登録ということを知りませんし、その言葉を出しますと、残念ながらまだやはり不安だと、心配だという声が先に立ちます。それは情報が知られていないから、意義が知られていないからだと思います。伝えるということは大変大事なのですけれども、その前に当事者である患者・家族ががん登録という言葉に触れたときの不安を拭うという視点もぜひお持ちいただきたいと思っております。そのことが1点です。

 それから、この3つ折りのパンフレットを拝見しまして、割とよくできているのではないかなということを大変失礼ながら思ったのですけれども、実は私患者会活動をやっておりますが、きょう初めてこれを拝見いたしました。私どもの手元にさえという言い方は失礼ですけれども、なかなか届いていないということで、やはり刷り物というのは手に届くのは、本当に必要な人に届くというのはなかなか難しいのかなという気はしております。大変いいものですので、次にパンフレットをつくるのであれば、いかにそれがメーンターゲットに届くかということが大事かと思います。

 そしてSNSを使うということ。これは今の時代、恐らくそれは必要だとは思いますけれども、がん患者の多くはSNS世代ではないということへの対応ということもお考えいただかなければいけない。私の周りの患者一人一人の顔を思い浮かべたときに、その家族の顔を思い浮かべたときに、ではツイートをやっているか、フェイスブックをやっているかということを考えますと、そこの越えなければいけないものはあろうかと思います。

 それから、コンサルタントを入れて、プロの目を入れて考えていくということ。これは非常に効果的かとは思いますけれども、ぜひそこに私たち当事者の声も入れていただきたいということを一つ申し上げさせていただきたいと思います。

 いずれにしてもお取り組みは大変だと思いますけれども、私どもも協力してより効果的なものを考えられればいいかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○辻部会長 ありがとうございました。

 小俣委員、どうぞ。

○小俣委員 ありがとうございます。

 今の松本委員のお話と同じような内容にもなるのですが、1点目の患者当事者の視点というのが必要かと思います。そもそもPRをしていただくということは、大変難しいことかと思うのですが、特に小児がんの患者会となりますと、まずがん登録自体を聞いたこともないというような状況がございます。ですので今後患者会や職能団体で看護師協会であるとかソーシャルワーカーの協会であるとかそういうところで、総会などで少しPRをしてもらうとかというようなこともよいのではないかと考えております。

 それから、拠点病院には各相談支援センターがございます。先ほど松本委員がおっしゃったように、患者当事者ががん登録のことを知らずに相談する場合もあります。診断時に説明があるのかもしれないですが、登録自体が理解できていない場合もありますので、相談支援センターでも相談ができるような仕組みがあればよいと思います。

相談支援に携わる方たちには研修がございますので、相談支援センターに来た患者に対して相談員が説明をするということも一つ考えていただけたらと思っております。特に小児がんの場合ですと説明相手が親御さんになりますので、本人は多分子供のころにはわからないというような状況があるかと思います。このため親御さんにしっかり説明するというような機会があるとよいと考えております。

 以上です。

○澁谷委員 お金をかけて媒体をつくられるということも確かにある意味必要かもしれませんけれども、情報を広げるチャンスのところで、どういうところにその情報を届けたらいいかということを考えることもかなり重要ではないかと思います。今、実際のがん患者さんやその家族、あるいは医療従事者もまだよく知らないのではないかという御意見が出ていましたが、そういったところもそうですし、「がん対策推進計画」の課題の中で28年度を目指していくときに、「がんになっても安心して暮らせる社会を構築する」という大きな課題があるわけです。それで、一般の就労支援の窓口、相談をする窓口ですとか、あるいは就職関連の雑誌ですとか、仕事に関連をしてがんになっても働き続けられるというところの視点を持つと、そういったところにもぜひお知らせをするルートとして考えていただきたいと思います。

 それから、保健所から見ますと、2次予防といいますか早期発見ですね。がん検診ですが、それに結びつけて考えてみるというのがかなり有効ではないかと思うのです。やはり先進諸国に比べてがんの検診率が日本はまだまだ低いわけですから、市町村や職域でのがん検診の受診率の向上に結びつくようなところで、がん登録はがんの医療といいますかがんの治療の向上だけではなくて、がん対策の推進に寄与する行政施策の評価をすることに非常に役立つ制度だ、ということを、住民にも行政をする者にもよくPRをする必要があるのではないかなと思います。

 それから、例えばピンクリボンのような、ピンクリボンと聞くとこれは乳がんとすぐに結びつくというふうに、かなり浸透してきていると思うのですが、これまでがんのそういった施策の中で、既によく知られているようなものともリンクさせたり、あるいはロゴを考えられるということですけれども、リボンも考えてもいいのかなというふうに少し思ったりしました。

 それから、お金をかけないということで考えるのは、国立がん研究センターのウエブから直接印刷ができて、難しい冊子ではなくて、本当に薄い1枚のチラシでいいのですが、そういうものが直接日本中どこからも、市町村でも保健所でも印刷できるようなそういうチラシを載せていただくと、非常に活用価値があるのかなと思います。

 とても評価を焦っているように思いますが、2015年の2月から3月ごろにもう評価をするというふうに書いてあるのですが、これはまだ早いのかなと思います。もう少しいろいろな角度のPRをして評価をしないとなかなか浸透するというところまでは行かないような気がするので、評価はそんなに焦って何かをしなければいけないと思わなくてもいいのではないでしょうか。

 やはり市町村や保健所から考えると、きちんと1次予防の対策ができて、罹患率が徐々に下がってきている、というようなこととか、検診の受診率が上がってきて生存率も伸びているよとか、何かそういうわかりやすいものを簡単にお知らせをしていただけると関心を持ってみていただけるのかなと思います。だから、難しく細かい話は次の段階でいいと思うので、まず、言葉を知っていただくというところからが大事ではないかなと思いました。

 以上です。

○辻部会長 ありがとうございます。

 まずは有賀委員、その後、天野委員、お願いします。

○有賀委員 ありがとうございます。帝京大学の有賀と申します。

 同じものが複数の場所で目に触れるというのは重要なことと思います。まず、つくられるロゴでバナーをつくり、それががんセンターのがん情報サービスにリンクが張れるようにします。それをがん診療連携拠点病院、都道府県、保健所、関連する学会等公共のさまざまなところに同一のバナーが張られている状況をつくります。病院のホームページなどでは奥のほうではなく、必ず表紙に張ることをお願いする。

そして、患者さんが医療機関やさまざまなページを検索しても同一のバナーが目に触れるようにします。そこをクリックすると飛ぶ先が1つに絞られていて、そこに情報が集約されているということを一つ提案したいと思います。

 本日、ここに参りますときに「キャンサーレジストリーズ」で検索をかけてみましたが、世界中のがん登録を検索することができました。患者さんは必ずしも日本語がわかる方々だけではないと思いますので、がん情報サービスの中に、日本語だけではない言語も入れていただくなどのサービスは必要と思います。

サポート体制について、がん相談部門が必ず拠点病院の中にはあると思うのですが、そこにがん登録で予想されるQ&Aを配り、情報を見たときに不安だと思った方々が、そこにアクセスをして相談できる場所を確保しておくことは重要と思います。

 以上です。

○辻部会長 ありがとうございます。

 天野委員、どうぞ。

○天野委員 ありがとうございます。

3点ございまして、まず1点目でございます。

 資料5の2の「方向性と方針」ということで、「意義を理解し、馴染みをもってもらう」ということで、これは全くここへ書かれてあるとおりだと思うのですが、ただ一方で、言葉ということだけではないのですが、「国民に対し『がん登録』に具体的な行動を喚起する必要がないことから」という一文があります。これはもちろんがん登録法が全登録ということですので、まさにこのとおりと言えるのかもしれませんが、ただ一方で、やはり患者さんから情報を提供していただくという視点はぜひ必要なのかなと思っております。

 例えば海外の学会等であれば、臨床試験とか研究とかのプレゼンの一番最後には、まず最初に参加された患者さんに対する謝辞が書かれていることが多いのですが、日本ではなかなかまだそこまでいっていないということもあるかと思います。

 また、今回がん登録法成立に当たって、超党派の国会がん議連で議論いただいた際、私や本日の松本委員や小俣委員も患者の立ち場から呼んでいただいたことがあるのですが、そのときに小児がん経験者の方々も御出席されまして、その方々が、やはり小児がん治療ということを考えた場合、自分たちの仲間をたくさん失ってきたし、自分たちもつらい治療を経験してきた。そういった経験が、もし次の世代や次に生まれてくる方たちにそういったことをさせないということに役立ち、がん医療の向上に役立つのであればぜひやっていただきたい。しかし、現状では小児がん患者の正確な罹患者数もわからない。これでは余りにも厳しいということで、ぜひお願いしたいといった意見もありました。がん患者さんは、そういった自分たちの医療の向上に確かにつながるのだというふうなメッセージを入れていただくということで、「具体的な行動を喚起する必要がない」という書き方ではなく、やはり当事者の方に対する一定の敬意というものは必要なのかなと思いました。

 2点目でございますが、PRする際に、先ほど来冊子とかも見させていただいているのですけれども、一般的な意義というのはわかるのですが、なぜ今、がん登録法ができてこういった議論が行われているのかということについてもぜひPRの中で触れていたただきたい。いわゆる先進諸国の中では、がん登録というものは以前からかなり広く行われてきているわけですが、国内の現状がそれに比べると極めて不十分な状況にあるということは、それはぜひ触れていただいたほうがいいのかなと思います。実際がん登録にかかわられている方々がそういったことをメッセージとして入れるのはなかなか難しいのかもしれませんが、そこはやはり現状がまだまだ不十分だということは入れていただいて、今後改善が必要なのだということはメッセージに入れていただいたほうがいいのかなというのが2点目でございます。その際、国内の実情のみならず、海外の実情もぜひわかるようにしていただきたい。

 3点目で、ウエブであるとかSNSの活用というこれは非常に専門の方がいらっしゃると思いますので、そういった方々から恐らく適切なアドバイス等があるかと思うのですが、その際、わかりやすさと同時にやはり詳しい説明というものを入れていただいたほうがいい。

 がんということは非常にセンシティブな情報ですので、多くの方、非常にがんというものについては関心を持たれていますが、先ほど来あるように、場合によっては誤解をしてしまう場合がある。その際に、わかりやすいメッセージの伝え方というのはもちろんプロの方がいろいろ研究していただけるとは思うのですが、それと同時に、がん登録というもので具体的にどういった研究成果があらわれているのかということを内外の者が、今、恐らく「がん登録」という言葉で検索を、一般の方がもし仮に関心を持ってかけたとしても、ほとんどたどり着けないですね。相当、いわゆるプロの方がわかるようなところに行かないと、がん登録というものの詳しいところはよくわからない。そうなってくるとやはり誤解を生じる事があると思いますので、そういったものがわかりやすいように情報提供をお願いしたい。

 あと、先ほど来出ていますけれども、やはりがん患者さんは高齢の方が中心ですので、ウエブやSNSに加えて、オーソドックスでありますけれども、院内でチラシ等で掲示いただくということはぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

○辻部会長 はい、どうぞ。

○坂元委員 これは具体的な提案なのですが、いわゆるどうやって周知させるかという一つの方法としては、市町村はがん検診をやっております。その市町村のホームページにがん検診の項目があって、これは見ている方が多いのです。それを見ていろいろ問い合わせが来ます。一つは、お願いとして市町村にそこにリンクを張ってもらうというお願いを、もちろんやるかやらないかは市町村の判断にはなると思うのですが、国立がんセンターと例えば厚労省と一緒になって、市町村へのお願いとして、こういうのができたので周知をお願いしてはいかがでしょうか。

 あと多分今後、都道府県に対しての説明会とかありますね。そのときに単に法制度の説明だけではなくて、がん登録の重要性も、都道府県も責任を持って伝えてほしいという、そこはしっかり私はやるべきだと思います。

 それから、具体的には都道府県の保健衛生部局の総会というのが11月に開かれますので、具体的にこういうことが始まりますということをしっかり伝えて欲しいと思います。例えば御希望があればお時間をとって説明する時間もつくりますので、そういう場でとにかく自治体に積極的にこの宣伝活動をやらせるということは、やはり自治体はつまり多くの人が集まるそういう支所とかたくさん持っていますので、そういうところで積極的に周知をしてもらうということは非常に私は重要なことだと思います。国だけがやるのではなくて、自治体もそういう責任があるということをしっかり周知させることが大事だと思います。

○辻部会長 ありがとうございます。

 ほかにどなたか。

 はい、どうぞ。

○山本委員 資料5の2まではいいのですけれども、その後半を見ていると、単に言葉の認知度を上げるということが主眼のように見えるのですね。我々はこのがん登録という言葉は既に非常に重要で大切なものだということが共通の認識ですけれども、恐らく一般の方はそうではなくてニュートラルなのです。むしろ不安を持っている方も多分たくさんいらっしゃるので、このPRがパブリック・リレーションズだとすると、これはきちっと説明のところにリンクが張られていないと不安をあおるだけです。要するに、言葉は知られるのだけれども、ネガティブなイメージが広がってしまうということになる可能性は多分にあるのです。例えばコマーシャルで流れてくるキャッチフレーズは、その製品が世界で1番いいと言っているけれども、みんなそれを疑いの目で見るのですね。

 したがって、その疑問に対してちゃんと答えを用意して十分ケアしないといけないと思うのです。単にキャッチフレーズをつくったりロゴをつくったりするだけでは絶対だめなのだということはよく考えていただければと思います。

○辻部会長 どうぞ。

○祖父江委員 国民広く一般への普及ということも重要なのですけれども、意外に医療関係者の中でがん登録に関する認識というのが余りきちんとされていないというのがありますね。

 がん登録の意義、特に地域がん登録というか全国がん登録に発展する部分と、それから院内がん登録の全国集計として行う部分がちょっと意味合いがあって、全国がん登録のほうはそのポリシーメーキングというか、全体の罹患率・死亡率・生存率というものを施策に反映させる指標として計測するのに対して、院内がん登録の集合体としての全国がん登録というのは、むしろ診療の質評価とか、患者さんへの情報提供とかそういったものに使う。そこのところを余り細かく国民の方々に説明するのは何かと思いますけれども、少なくとも医療関係者、特にがんにかかわる人たちにそこのところはきちんと説明をするということが私は必要ではないかなと思っています。

 身近なところで、がんプロフェッショナルの教育の中では私は常に言っているのですが、1人で言っていてもなかなか広がらないので、がんセンターなどにそういうスライド集か何かを置いておいて、そういう中で、がんプロの教育の中でそういうことを普及していただくとかですね。

 ですから、医療関係者は、特にがん専門医、がん関係の方々の中でのがん登録の理解というものを深めるというのも、一つ大きなものではないかなと思います。

○辻部会長 この問題、大変重要な問題だと思います。きょうは国民向けPRということでしたけれども、やはり医療関係者向けのPRというのは非常に大事だと思うのですが、特に今度の制度では病院の負担が非常にふえてきますので、永井先生にもお聞きしたいのですが、病院協会としていろいろな御議論がこれまでもあったと思いますが、どのようなサポートをこれからしたほうがいいのか。情報提供も含めまして、先生の御意見をいただければと思います。

○永井委員 やはり病院協会はいろいろな講習会をやっているわけですね。例えば個人情報だとか、安全管理とか、感染管理とかいろいろなことをやっているわけで、そういう中で日本病院会、全日本病院協会、日医等を含めて、がんの全国登録に向けての講習会、講演会みたいなものはかなりできるのだろうと思っています。

その中で、先ほど祖父江構成員がおっしゃった、医療関係者にもきちんと院内の質評価としてがん登録は必要だという話は、施設間のベンチマークも含めてきちんとどこかでやらなければいけないのだろうと思っています。

○辻部会長 先生、何かありますか。

○道永委員 医療機関向けというか、医師に対するPRは絶対必要だと思います。今、祖父江先生がおっしゃったように、なぜがん登録が必要なのか。今度は診療所も手挙げしますので、どういう形になるのか。その資料というかデータがどのように使われるかということを、がんに携わる医師のみならず、ほかに開業している先生方もがんを診断する可能性はあるわけなので、それを知らせる必要はあると思います。

 ここでついでにちょっと伺いたいのですが、ずっとこの会というか、前からがん登録にかかわってきましたけれども、全国がん登録というのが一つできました。それで、地域がん登録と院内がん登録。これが今までどういうふうに来て、これからどういう立ち位置になるのかということを少しわかりやすい図式みたいにしていただけると、医療機関にすごく説明がしやすいのです。

院内がん登録というのは今まで連携病院というか拠点病院で行われていましたが、今度手挙げをする医療機関、あと病院全部ですが、それも今度の新しい院内がん登録を始めるのかとか、そういった実務的なことが医師会としてPRではないのですが周知するのには必要だと思っていますので、そこをお願いできたらと思います。

○辻部会長 ありがとうございます。ぜひこれは次回の本部会で事務局のほうから御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ほかにどなたかございますでしょうか。

 どうぞ。

○事務局 本日、委員の皆様には机上に配付させていただいております、本日御欠席の薄井委員からいただいております御意見がありますので、こちらを簡単に御紹介させていただきたいと思います。

 まず、3番目の「ターゲット層とメッセージ」につきまして、がん登録というものを間違ったイメージを持たれるようなPRは控えたほうがよいと思いますというような御意見いただいております。

 4番目の「PRの実施方法」につきまして、がん関連の学会のホームページのみならず、内科学会、外科学会などの大きな学術団体のホームページですとか、日本医師会、各地区の医師会のホームページなどへの広告の提供というものが必要ではないかというような御意見もいただいております。

 また、2015年に開催される日本医学会総会において、全国がん登録の広報の場を得ることや、ホームページへの広告の提供を考慮してはいかがでしょうかというような御意見をいただいておりますので御紹介させていただきます。

○辻部会長 ありがとうございました。

 ほかにどなたか、意見のほうはよろしいでしょうか。

 それでは、これにつきましては以上ということにさせていただきます。

 では、議論はこれまでとしたいと思いますけれども、事務局から連絡事項等ございますか。

○がん対策推進官 活発な御意見ありがとうございました。

 次回、事務局の不手際で12月4日と一旦お伝えしておったのですけれども、ちょっとまた調整が必要となりましたので、12月のどこかでということで、また再調整して次回の日程につきましては御連絡させていただきたいと思います。

○辻部会長 それでは、以上をもちまして本日の部会を終了いたします。

 どうもありがとうございました。


(了)

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