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2014年12月1日 第5回生活保護受給者の健康管理の在り方に関する研究会議事録

社会・援護局

○日時

平成26年12月1日(月)14:30~16:30


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第14会議室(12階)


○出席者

相澤 照代 (委員)
芥川 千津 (委員)
浅沼 奈美 (委員)
石原 美和 (委員)
滝脇  憲 (委員)
津下 一代 (委員)
中板 育美 (委員)
増田 和茂 (委員)
村山 伸子 (委員)
森   貞述 (座長)

○議題

とりまとめ案について

○議事

○森座長 それでは、委員の皆様方おそろいでございますので、ただいまから第5回「生活保護受給者の健康管理の在り方に関する研究会」を開催させていただきます。

 本日は大変お忙しい中、皆様方、雨の中御参集いただきまして、まことにありがとうございました。

 それでは、本日の議事に入らせていただきます。お手元に配付してあります議事次第によりますと、2の取りまとめ案についてを議題とさせていただきます。

 この取りまとめ案につきましては、委員の皆様方から大変幅広く、それぞれの実践活動あるいは研究成果に基づきまして御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。本日はこの取りまとめ案について皆様方から御意見を頂戴していきたい。なお、できれば本日この報告書の取りまとめにつきましては、皆様方の合意をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 では、議論に入る前に、事務局からこの取りまとめ案について説明をお願いいたします。

 

○事務局 それでは、資料に沿って説明いたします。

 1枚表紙をめくっていただきまして、1ページ目は目次となっておりますので、2ページ目のところから読みながら説明を加えていきたいと思います。

 ここは冒頭の導入部分でございます。「1.はじめに」ということで、『生活保護受給者はさまざまな課題を抱えて保護受給に至っているが、制度の目的である自立助長を図る基礎としては、何より健康状態を良好に保つことが重要である。

 これまでも生活保護受給者の健康の保持及び増進のため、専門職による健康診査及び保健指導の活用推進や適正受診指導等の取組を進めてきたところである。

 具体的には、地方自治体において、保健師等を配置し、保健指導等を行うなどしているが、一部の地方自治体の実施に限られている現状であり、全国的に健康管理支援に関する取り組みが行われる状況には至っておらず、生活保護受給者の健康管理支援の取り組みについて、より効果的に実施するための方策について示す必要がある。

 このため、本研究会では、健康管理に関する有識者や、生活保護受給者の健康管理について先進的取組を行っている地方自治体等担当者を委員として、生活保護受給者の健康管理支援のあり方を検討し、地方自治体の取り組みを強化するための具体的な方策をとりまとめ、提言を行うものである。』。

 「2.健康に関する生活保護受給者の現状」でございます。

 最初の○です。『生活保護受給者の約8割は医療扶助を受けており、また、国民健康保険等と比較して、糖尿病や肝炎など、医療機関への受診や健康管理が適切に行われないと重症化するリスクがある傷病の割合が高いという特性がある。』。

 3ページ目にその根拠データとして、これは第1回目に事務局から提示した資料から引用しております。

 2つ目の○です。これは津下委員のプレゼン資料からですが、『ある地方自治体の生活保護受給者の健診のデータでは、適正体重である者が少なく、肥満である者や、低体重である者の割合が高いといった傾向が見られる。』。参考としてデータをつけております。

 3番目の○、これも事務局から提示した資料からです。『生活保護受給者の健康意識に着目すると、一般世帯と比較して、健康意識がよくないと感じている者の割合が高く、健康意識の状態は就労状況にも影響を及ぼしている。また、食事・運動・社会活動に目を向けると、いずれも一般世帯と比較して低調となっている。』。

 4ページ目に、その関連するデータを載せております。

 最後の○ですが、これは村山委員のプレゼン資料からですが、『さらに、世帯収入と生活習慣等との関連を見ると、世帯収入が低い層では、肥満者が増加する、野菜摂取量が減少する等の傾向が見られる。』。

 5ページ目に資料、データを載せております。

 以上が生活保護受給者の健康管理に関する現状として、4点あげております。

 「3.健康管理支援の実施方法」でございます。

 「(1)総論的事項」です。最初の2つの○は、国としての健康日本21の取り組みとの関係等、生活保護受給者も含まれているという考え方、記述でございます。

 『国においては、健康日本21(第二次)の策定を始め、国民の健康づくりに取り組んでいるが、これには当然ながら生活保護受給者も対象となる。健康日本21(第二次)における先進自治体を見ると、健康づくりに全庁的に取り組むことで効果を上げている。よって、地方自治体における健康日本21(第二次)の庁内ワーキンググループなどには、生活保護部局も積極的に参画していくべきである。』。

 6ページ、2つ目の○ですが、『健康日本21(第二次)においては、健康格差(地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差をいう。)の縮小が掲げられているところであるが、地方自治体においては、健康管理支援を含めた生活保護受給者の自立支援の総合的な方針を策定することが有効である。』。

 この研究会で報告いただいた川崎市が定めている生活保護の自立支援対策方針を参考として紹介させていただいております。

 6ページ、下の○でございます。ここは生活保護になってからのみならず、継続性の観点というところです。

 『健康の問題は生活保護を受給する以前から抱えていることも多いため、例えば、国民健康保険加入時から生活保護受給後にかけて、データや支援の継続も重要である。』。

 もう一つ目は、『国民健康保険では既に特定健診・特定保健指導の取り組みが定着し、一定の効果をあげていることから、生活保護受給者の健康管理支援においても、エビデンスに基づく実効性ある取り組みを検討すべきである。』。

 続きまして、前回、対象者については事務局から提示させていただきましたように、効果的に進めていくためにある程度の重点化が必要という観点で記載しております。

 「(2)健康管理支援の対象者」です。

 『健康管理支援を必要とする者は、既に肥満、高血圧、アルコール依存症などの症状がある者だけでなく、喫煙等の生活習慣の改善を要すると考えられる者など、多岐にわたるが、支援を行うに当たっては、特に対応が必要と考えられる者、支援の効果が期待できる健康課題を明確化した上で、実施することが効果的であると考えられる。

 特に糖尿病は重症化した場合、糖尿病性腎症による人工透析治療や、糖尿病性網膜症による失明、糖尿病性壊疽による足の切断など、自立した日常生活への支障が大きい。また、高血圧・喫煙・糖尿病などのリスクが重複することにより、脳卒中の発症の危険性を高めることも明らかにされている。以上のことから、福祉事務所等は、糖尿病等の生活習慣病の重症化予防に取り組むべきである。』。注釈として、『以下、「健康管理支援」については、ここに掲げられたような生活習慣病の重症化予防としての支援を指す。』という注書きを入れております。

 「(3)対象者の選定」です。

 『生活習慣病の重症化予防の支援を要する者を把握する方法については、以下のものが考えられる。』。

 8ページに3つ掲げております。

 まず1つ目が、『生活保護の受給決定の段階において検診を実施し、その結果を活用する。』ということで、この検診と、後から出てくる健診と紛らわしいので注釈を入れました。生活保護法の中では検診がこちらの言葉なものですから、これについては生活保護法に沿って行うものについては検診ということで、その後、いわゆる健康診査の健診と書き分けて使っております。両方とも使うときは「検診等」という言葉にしております。

 2つ目として、『生活保護を受給する以前に受けていた国民健康保険等の保険者が実施する特定健診・特定保健指導の情報を入手する。』。

 最後が、『既に生活保護を受給している者については、健康状態を把握するため健診等の結果を活用する。』、こちらは健康増進法の健診を指します。

 次に補足としまして、『既に生活習慣病により医療機関を受診している者の通院や治療の状況の把握については、福祉事務所における医療レセプトのデータを活用する。

 なお、健康状態は随時変化するものであることから、その把握については、一度限りとせず、定期的に確認することが必要である。』。

 健康診査を含めて検診等としておりますが、『検診等のデータは、リスト化した上で、保健指導における対象者選定・階層化の方法を参考とする等、一定の基準に基づき総覧的に確認し、保健師等の専門職がケースワーカーからの情報を参考にして、専門的な視点から支援の必要な者を選定することが必要である。』。

 続きまして全体的な視点ということでございます。「(4)健康管理支援の視点」。

 1つ目として、『健康管理は、支援対象者が健康に対して意識を高めることが大事であるが、そのためには、支援対象者の自己有用感を高めるという視点が必要である。すなわち、自分が求められているという実感を持ちながら、地域において何らかの役割を担うこと等が健康に対する意識につながるものである。』。この自己有用感という言葉、この研究会では自己効力感という表現もありましたが、これまで福祉の関係では、例えば、先般の法改正に先立つ審議会等でも自己有用感という言葉を使っておりましたので、生活保護の関係ではこちらのほうがこなれた言葉ということで、自己有用感とさせていただいて、なじみのあるほうをチョイスしたということです。

 9ページの2つ目の○ですが、『そのためには、問題解決型の支援思考にとらわれず、本人が望む生活像を目標とし、そのために健康管理支援においてどのような関わりができるかという視点が大切である。』。

 その下の2つは、これは押しつけではなくて、主体的に取り組むという観点で2つ入れております。

 『また、本人が主体的に健康管理に取り組むという視点から、検診等の実施の段階から、検診等を受診する意義等について、本人の理解を得て進めることが必要である。

 なお、主体的な健康管理を促す観点や、検査データの推移や生活習慣の改善状況に関する情報を活用する観点から、市町村保健部門が配布している健康手帳を活用し、本人の健康管理や適切な受診につなげることも有効である。』。

 「(5)健康管理支援の方法」でございます。

 1つ目に援助方針の策定等として、『福祉事務所では、個々の生活保護受給者の自立に向けた援助方針を策定することとされているため、その援助方針の策定にあたっては、健康管理支援の視点を織り込むことが有効である。

 援助方針の策定に当たっては、支援対象者が十分に理解し、自ら目標設定を行うなど、双方的に策定することが必要である。』。

 次に「支援対象者への支援」として、『健康管理支援の対象者となった者について、福祉事務所は保健指導等の支援を行うことが必要である。具体的には、対象者と選定された者については、医療機関への受診勧奨や、市町村保健部門の行う保健指導への参加の促しを行う必要がある。

 市町村保健部門において保健指導が行われていない場合については、例えば、国民健康保険の保険者が実施する保健指導を実施する主体(医療機関や民間企業等)へ委託すること等により、効果的な指導を行うよう工夫することが必要である。

 既に生活保護受給前から国民健康保険の保険者が実施する特定保健指導への参加が定着している者等については、引き続き保健指導が受けられるよう支援の継続性を保つべきである。

 保健師等が保健指導等を行う場合には、ケースワーカーが当該受給者の生活状況や健康に関する考え方等について保健師等に適切に伝えるとともに、日ごろの生活習慣について、ケースワークの中でフォローしていくことも重要である。』。

 次が多機関連携です。

 『対象者の支援においては、福祉事務所、医療機関、市町村国保部門、市町村保健部門等の多機関連携という視点が重要であり、多機関連携については、福祉事務所のみならず、社会保障制度全体をイメージするとともに各機関の役割や情報等の流れを整理し、システムとして構築する必要がある。

 高齢者については、専門職が配置されている地域包括支援センターにおいて、総合的な相談・支援体制が構築されているため、生活保護受給者の個別の支援については、当該生活保護受給者が居住する地域の地域包括支援センターとの連携も効果的と考えられる。

 関係部門との連携については、ケースワーカーがスムーズに対応することができるよう、保健師等の専門的な支援を行う者に繋ぐべきケースの対象を明確化することが有効な方法であり、各自治体において、福祉事務所と保健師等の専門的な支援を行う者や関係部門で協議し、チェックリスト等を作成することが効果的である。

 ケースワーカーが、検診等の結果における個別の数値がどのような生活習慣と関係があるかなど、基本的な知識を得ることで、ケースワークの質の向上につながる。なお、こうした知識の向上については、座学のみではなく、援助方針の見直し等の事例を通じて学ぶことが有効である。

 健康増進法に基づく健診・保健指導については、市町村の保健部門において行われていることから、適切な連携が必要である。』。

 次がデータの活用として、『福祉事務所は、市町村保健部門の持つ健診のデータと、福祉事務所が持つ医療レセプト及び検診のデータを活用し、生活保護受給者の健康状態を把握するだけではなく、両方のデータを持ち寄り、市町村保健部門との合同の会議の場でデータを分析すること等により情報を共有することが有効である。

 医療保険において取り組まれているデータヘルス(データ分析に基づく保健事業)の取り組みを参考とし、市町村保健部門と連携しつつ、生活保護受給者の健康課題について、性別、年齢、地域等の属性別に分析し、対策を検討することが重要である。』。

12ページですが、最後に社会資源の活用ということで1点入れております。

 『健康管理支援においては、在宅生活をしている者に対し、地域における居場所の提供、訪問による安否確認、相談支援等、日常的に生活支援を行っている社会福祉法人やNPO法人等、地域の社会資源を活用することも有効な手段である。なお、社会資源については、取組状況に地域差があるが、既にある社会資源を活用するだけでなく、社会資源を作り、育てるといった視点も重要である。』。

 最後に「(6)健康管理支援の評価」です。

 『地方自治体における健康管理支援の取り組みを効果的に行うためには、地方自治体自らが定期的に事業効果を測定する必要がある。

 効果測定の指標としては、政策的評価を行うものと、保健事業の評価を行うものに分けて考えることができる。具体的には、以下の指標が考えられる。』。

 1つ目、政策的評価指標として、『健診受診率、健診によって保健指導が必要と判定された者の割合、受診継続率、治療終了率、糖尿病等により入院している者の割合、就労等により自立につながった割合等』。

 保健指導の評価指標としては、『保健指導を受けた者の検診等のデータ、主観的健康度、行動の変化等』としております。

 『また、健康管理支援の優良事例を収集し、全国へ広げていくことも必要である。』。

 「4.その他」としておりますが、これについては、直ちに実現するというのはなかなか難しいのですが、研究会として強く発信しておくべき点、メッセージについて整理したものです。

 1点目は、4つ目の○まで関連いたしますが、福祉事務所への専門職の配置というところでございます。

 『福祉事務所が健康管理支援を行うに当たり、健康管理支援専任の保健師等の専門職を配置することは、生活保護受給者に対する健診の実施や、市町村保健部門における保健事業と連動した支援を行う上で有効であることは明らかである。

 国においては、福祉事務所の健康管理支援体制の強化のための交付税措置を行っているところであり、福祉事務所は健康管理支援専任の保健師等の専門職を正規職員として配置を進めるべきである。

 また、都道府県等は、健康づくりの観点から、福祉事務所のケースワーカーに対する研修や、健康管理支援担当者への連絡等、市町村に対する広域的な支援を行うことが期待される。

 なお、現状、保健師等の専門職を配置している福祉事務所は2割弱にとどまっていることを考慮すれば、福祉事務所はケースワーカーの健康管理に関する知識の習得に取り組む必要がある。』。

 最後の○です。今回は対象を絞ったのですが、その周辺対策といいますか、福祉事務所、自治体に心得ていただきたいものとして、『本研究会においては、主に生活習慣病の重症化予防としての支援について焦点を絞って議論を行ったが、生活習慣病の一次予防の観点から、保健指導の対象とならなかった者についても、地域の社会資源を活用する等して、食生活や身体活動等、健康に配慮した日常生活が送れるよう支援を行う必要がある。』

 最後は「5.おわりに」ということで、『本研究会では、生活保護受給者に対し、実効性のある健康管理支援を行うことができるよう、その考え方及び具体的提言を取りまとめた。

 福祉事務所においては、生活保護受給者の自立助長のためには、生活保護受給者の健康の保持及び増進を図ることが必要であるという観点を持ち、十分な支援が行われることを期待する。

 また、地方自治体は、生活保護受給者のみならず、まちづくりという広い視点で、健康管理や重症化予防について、行政や関係団体等が連携・協力するシステムを確立することが必要である。

 そのために可能な限り、具体的な内容となるようとりまとめたので、参考としていただいた上で、創意工夫による支援の一助となることを切に願っている。』。

15ページ、16ページは皆様の委員の名簿と検討過程をつけております。

 報告については以上でございます。

 

○森座長 どうもありがとうございました。

 それでは、今の取りまとめ案につきまして、皆様から御意見等をいただければと思います。

 

○津下委員 現状や課題、そして方向性等についてポイントをよくまとめていただいたと思います。

 おおむねこれでいいかとは思っているのですけれども、7ページ「(2)健康管理支援の対象者」につきまして、1つ目の○ですが、既に肥満、高血圧、アルコール依存症などの症状があると書いてありますけれども、肥満とか高血圧では、症状がないことが非常に多いので、疾病とかそういう言葉に変えていただいたほうがいいかなと思いました。

 もう一点なのですけれども、自己効力感と自己有用感とでは若干ニュアンスが違っているのです。自己効力感はセルフエフィカシーの訳で、自分が生活を変えられるという自信というものです。ここの文脈で言うと、自分が求められている実感を持ちながら地域において何らかの役割を担うこと等が健康に対する意識につながる。これは自己有用感でまさにいいと思います。

 前回のプレゼンテーションでは、目標の立て方とかがうまく立たないとだんだん目標を下げていくということがあるので、本人が自分に対して自信を失ってしまうような支援ではいけないので、できるだけ自己効力感、それこそ自信度といいますか、それを高めるような支援が必要という文脈でその言葉を使いました。福祉の分野では余りなれない言葉で心理学の言葉でもあるけれども、保健指導の分野ではかなり使われている言葉なので、保健師さんたちはそれほど抵抗はないのだろうと思います。これは共通にわかりやすいというところを重視されたというのは、それでいいのかなと思いますのと、やはり自己有用感というものが大切だというのは、自分が健康でいたいという理由が非常に重要だということで有用感というものをクローズアップされたというのは、それはそれでいいのかなという気もしております。ただ、保健指導の場合には自己効力感ということも意識してもらうといいなと思うのですが、似た言葉が重なって意味が違うのもわかりにくいので、まあこれでよいかなと思いました。

 

○森座長 この言葉というのは、ある面でいわゆる専門職の方ですと、いかにして例えばケースワーカー含めていろいろな人たちがこれをどういうふうにとられるかという、その辺の言葉の違いというものが恐らくおありになると思いますので、この辺でこれは了としていただけますか。

 

○津下委員 はい。有用感のほうが前提にあって、その上で保健指導の仕方として効力感を意識するということですので、まず大切にする局面として有用感を用いる。これまで保健指導の場面で余り自己有用感というのは保健師さんも余り使っていない。初めてですね。なので、こういう言葉の微妙な違いというものが少しずつ理解できると、またこれは1つ新しい言葉・概念を勉強したことになります。それで、強硬に効力感に変えてくれと言うのをやめることにしました。

 

○浅沼委員 今、先生のおっしゃったのはすごく大事なことだと思っていて、特に健康管理そのものの問題もありますけれども、最初に話が出たように、生活保護の受給する方たちの問題解決に至る道のりの困難さを考えると、その自己効力感というものを抜いてしまうと、保健指導に当たって非常に厳しい取り組みがあるかもしれないとなると、例えば健康管理支援においては、まず達成可能な目標を設定して自己効力感を高めることが必要であるとか、最低限のことを入れるのだったら、私だったら入ったほうが。

 

○津下委員 保健師さんたちにはそう受け止められるのなら、入れるとしたら、むしろ9ページの援助方針の策定等について、援助方針の策定に当たっては支援対象者が十分理解し、みずから目標設定を行うなど、ここの文脈の中に自己効力感を高める。ソーシャルワーカーの方々に自己効力感という言葉も、こういう言葉もあるんだということを知っていただくという双方の発見があると思いますので、入れるとしたらここかなと思いました。

 

○浅沼委員 入っていると、非常に大事かなと私も思います。非常に無理なことをまた進めて失敗するという議論をここでもしているわけですから、達成可能な目標を設定して、1つずつクリアしていくというところが、効力感を高めることが大事だというのは抜けないほうがいいのかなという気がしました。

 

○森座長 ほかの委員の方、今こういうような、たまたま自己効力感と自己有用感という、それぞれ専門的な用語も含めて、特に今回この取りまとめというものは、ある面では幅広く皆さん方にこれから実践をしていただかなければ意味がないものですから、その辺のことで今、浅沼委員がおっしゃったように自己効力感というものを津下委員がこれをこういうところへということで今おっしゃっていただいた、そういうことでよろしゅうございますか。保健師の方、その辺はよろしいですね。

 

○芥川委員 具体的な内容になるように取りまとめたということで最後結んであるので、具体的目標の設定についても書いておいたほうが、より具体的にわかりやすくなるかなと思います。

 

○森座長 そのほかいかがですか。

 

○石原委員 あえて自己有用感という言葉と効力感という言葉がそれぞれから出てきていて、それを両方に入れるということでなく、両方とも、平たくすることも可能なのかなと、頭の体操で考えてみたのですが、例えば8ページの自己有用感というところが、実は自己効力感と置きかえないと意味が違うということであれば、支援対象者が健康に対して意識を高め、そのためには支援対象者が健康管理について自信を高める必要、そういうような平たい言葉に噛みくだくというチョイスもあるかなと思ったのですが、どうですか。

 

○森座長 今、このことで何かお感じになることは。

 

○村山委員 自己有用感と自己効力感は意味が違うというのは明らかなので、使い分けたほうがいいと思います。8ページは自己有用感、自分が求められているという実感ですね。

 

○石原委員 私が申し上げたのは、健康管理に関する自信を高めということで、自己効力感という意味を砕いた言葉で書けるかなと思ったのです。

 

○森座長 この表現はなかなか。先ほどおっしゃったように自己効力感ということの持つ意味と、有用感というのはいわゆる健康の意識を高めながら自分が必要とされているということ、要するに2つのものの表現の仕方ですね。同じところになかなか入らないような。

 

○村山委員 自己効力感の概念は、9ページの目標設定のところに入れたほうが違いがわかりやすいかなという気がします。

 

○滝脇委員 この自己有用感で「すなわち」から説明されている内容というものは、12ページの社会資源の活用の中で、日常生活の中で役割を回復したり、他者との関係性の貧困に陥ってしまっている人が尊厳を回復したりということとつながる話だと思います。地域の中での他者との関係の取り結び方のようなものが自己有用感を高め、そこから自分の健康を大切にしようという方向に向かっていったときに、自己効力感を高めていくことが生活の中で構造化されるのではないかと感じました。

 

○森座長 文脈からいってというお話がありましたね。

 

○津下委員 よろしいですか。健康管理支援の視点ということで、8ページの一番下のところは最初の○なので、その人が、自分が健康でいることの大切さを、そこで有用感という言葉を出すかどうかは別として、健康が大事で、健康があるからこそ自分の人生がよりいい方向へ向かうという、そういうような意識というものを大切にする。、まず大前提で健康でいたいということを本人がしっかりと自覚することが最初にある。自己効力感というのはアプローチをするときに保健指導者が、その人が自信が深まるようにアプローチをしていくという、アプローチの1つの仕方ということで言えば9ページの管理支援の方法のところに入っていれば、これは十分だろうと思います。8ページの最初のところが健康でいたい理由で、その中に自分が求められている実感とか、生きていてよかったというか、元気でいることはすばらしいなという感覚を忘れないでほしいという、そこが一番大きな目標として位置づけられているということは、流れとしてはいいのではないかと思うのですけれども、ただ、保健師さんは自己有用感という言葉を恐らく余り聞いていないので、何だろうと思ってしまうかもしれないなと。

 

○森座長 今、津下委員がおっしゃいましたけれども、健康管理支援の一番最初に来るフレームですので、これは、はっきりとやって、その後でいろいろな付随してくることへつながっていくようにしないと、そういう中で自己効力感も途中の段階で埋め込むなら埋め込むという、そういうことの言い回しといいますか、そういうことでよろしゅうございますか。

 

○事務局 9ページ、目標のところに自己効力感という記載を入れて、最初の自己有用感のところは、確かにそれぞれの意味があるのですけれども、似たような言葉で混乱しそうなので、ここは自己有用感という言葉をなくしてもメッセージが伝わるのであれば、そこは外して、後段に「すなわち」以下の記述がありますので、ここにつなげていけば良いかと思いますので、整理させていただきます。

 

○森座長 それでよろしゅうございますか。では、そういうことでまとめていただきたいと思います。

 そのほか、また違う視点から委員それぞれこの取りまとめのことに関しまして。

 

○中板委員 確認なのですけれども、例えば10ページの多機関連携で、対象者の支援においてはいろいろ書いてありまして、システムとして構築する必要があるとか、こういったことというのは、どこが主語になるのか。どこがこれをやるんですかねというか、どこが主語なのかなというのがわかりづらいなと思ったのと、これも含めてなのですけれども、全体的に非常にパーソナルなイメージが強くて、個別の健康支援というのが非常に強くて、後半のその他のところに地域づくりみたいなことが若干書いてあるのですが、自己効力感とか自己有用感といったことを高めていくことを考えたときに、生活保護受給者というのはそもそも自己効力感が一般の集団よりは低い。自分が社会に役に立てるのかという、そういった感覚も低いという中で、そこを高めていくためには説得でもなく、自己効力感を引き出すような支援の仕方が必要ということが先ほどの話の中で出たと思うのですけれども、社会の中になじんでいくというか、そういったニュアンスというものが何となく読み切れにくいなという印象を受けたのですが、その他のところに載ってしまっているものを前に持ってこられないのかなと思いました。

 

○森座長 その辺はどうですか。

 

○浅沼委員 私もその他のところに大事なものがいっぱい載っているような気がして、今、中板委員が言われたように、まず多機関連携のシステムとして構築する必要があるの主語が誰なのかという質問は私もそう思いますし、支援対象者への支援として市町村保健分野が行う保健指導への参加の促しを行う必要があると書いてあるのですけれども、そもそも「はじめに」のところに保健師を配置しというふうに保健指導を行うなどをしているがと書いてあって、ここで連携しろと言っていて、一体、国はどちらを推奨しているのかとか、主語がどうしたいのかがはっきりしないで、その他に保健師の配置が有効であると載っていたり、一体何をどうしたいのか。まさにこれはどういうシステムを誰がつくるのか。中板さんのおっしゃったような、ここは何を考えて一番後ろに保健師を置くのが有効であると書いてあるけれども、その他としてできればやってほしいけれども、でもそうではないのだったら連携してちょうだいというのをメインにしているのか。「はじめに」には保健師を配置しと書いてあるし、このあたりはシステムを構築するのは一体誰なのか、どこの部署の誰なのかという、私もそれを伺いたいですし、これはどういう一貫性を持って書かれているのかなと思ったのです。

 

○事務局 このシステムづくりに関しては、福祉事務所とか生活保護のみならず、保健部門とか国保部門も考えると、首長さんなりに対するメッセージとなります。ただ、流れというのはもう一度見なければなりませんが、「はじめに」のところの保健師を配置してきてというのは、それを推奨してきたけれども、実際には一部の自治体にとどまっているということになれば、少なくとも保健師を置けないという前提で、多機関が連携していくことで何ができるかという視点で書いているものです。

 とは言え、保健師を福祉事務所の中に配置することは極めて少ないですけれども、行われている自治体の事例から見ると、それがもちろん最善の手段ではあるので、そういったこともきちんと考えてくださいということで、最後の「その他」として記載させていただいたということです。

 保健師をまず配置してという流れでいけば、最後に持ってくる必要はなかったのですが、現状から何ができるかという視点で考えましたので、まずはそこを書いて、終わりに専門職の配置ということに触れているものです。専門職の配置は、これまでの議論の中で例えば5年かかりましたという話もありましたので、中期的に、そこは引き続き考えてくださいということなのですが、それぞれのパーツパーツで、主語が抜けているところがあったので、ここがわかりにくくなったかなと思います。

 

○浅沼委員 その他にでも載せていただけたことはすごくありがたいなと思っていて、総論的には全部盛り込んでいただけたような気はするのですけれども、順番が今お話いただいたように一番最後に来ていて、できないのだったらこれだと言って一番最後にできればこれもあればいいよという感じで、ちょっとここを読んだときに、では連携オンリーでこれは進めていくという書き方かなと思って読んでいくと、最後にそれも出るのかというおもしろいというか、載せてはくれたんだなと思いながらも、これを読んでいると違うのではないかと。

 先ほど中板委員がおっしゃったように、主語が誰になってしまうのかなというのが飛んだ感じがして、だったらここに上尾の例を入れてほしかったなとか、上尾市も非常に5年頑張ってきちんと人をそろえてということをやっていらっしゃったところだし、ないわけではないから、そこを入れていただければみんな参考になるかなと思いながら、専門職の連携とか、多機関連携となってしまっているから、中でどういうふうに、外とばかりの連携あるいは部署連携となっていますけれども、生活保護の福祉事務所の中でどういうふうに仕事をしていくかというのはいろいろ話をしてきたと思うのですが、最後にその他のところに出てきているので、もう少し支援の方法とか体制とか、そんなことで順番を望ましいけれども、実際はこうなのだけれどもという感じであると、順番がとってつけたような感じで意図が見えない。どう考えているのかなと思ったのです。これを見た感じでは。

 

○事務局 基本的には前段までの書き方については、専門職を置けない場合、福祉事務所の中にいない場合を想定して書いていまして、最初にそういうものを目指すという記載は必要かと思うのですが、それを前提にやるとなかなかすぐに移れない。これまでも配置を促してきましたけれども、今、2割にとどまっている現状を考えれば、そこはなかなか実現しないという前提で方策を書かせていただきました。ただ、これまでもこの中で議論したように、もちろん保健師が福祉事務所にいたほうがシステムはスムーズにいくということがありますので、ここにその他に入れたという形の構成にしております。

 

○石原委員 今、浅沼委員から御指摘があった点ですけれども、確かに順番がジグザグな感じがするので、13ページの4つ○がありますが、それの順番を、まず最初の1番があって、保健事業と連動した支援を行う上で有効であることは明らかである。その次に4つ目の、しかしながら、保健師の専門職を配置している福祉事務所は2割にとどまっている。なのでケースワーカーの知識の習得に取り組む必要がある。3個目の○がその次に来て、ケースワーカーに関する研修をする。最後に、せっかくここで正規職員として福祉事務所に配置を進めるべきであるというものがあるので、これを4つ目に持ってくると、話の段取りがスムーズに、内容が生きる順番になるのかなと思ったのです。

 

○津下委員 それと今の4は「その他」なのですが、健康管理支援の実施体制が主に書かれているとすれば、目次のところから見ると「はじめに」があって、現状があって、実施方法があって、それを実際に実施体制としてはどういうふうにしていくかというふうに、ここは「その他」ではなくて「実施体制」とすれば、こういう順番といいますか、大まかな章立てとしてはこれでいけて、実施体制としては福祉事務所が行うこと、ほかの部局で行うこと、地域資源の活用として行うことというように、ドーナツ状に順番が外にだんだん広がっていって、最後に社会資源としては地域のいろいろほかの事業や健康づくりの専門家がいるのでそういうところともつながるというのが一番大枠ということで、そういう順番に整理をしていただくのはいかがでしょうか。

 

○森座長 今、石原委員がおっしゃった順番と、津下委員がおっしゃったいわゆるその他という項目を実施体制の整備という表現にしたほうがということで、それだと問題は先ほど浅沼委員がおっしゃった、要するに主語の問題。実はこれは私が今回この中で今、その他のところで2番目の○、国においてはということが出て、次に都道府県等はというふうに来て、そして一番最後の「おわりに」の2つ目の○に地方自治体はと。結局、この問題は国はどういう役割を果たすか。都道府県はどういう役割か。市町村はどういう役割か。あるいは国、県の例えば研修を含めたいろいろなやり方あるいは交付税措置とかいろいろなものに基づいて、ある面で地方自治体はどうあらねば、役割を果たしていかなければならないよということが私は提示できないと、これは意味が、そうするとその辺のことが主語としてなってくればいいのかなと。そういうふうに私は思ったのですけれども、これは私の考え方です。

 

○中板委員 おっしゃるとおりだと思います。やはりその他のところが非常に重要な1つの、提案事項だと思いますので、その他をおまけのような形ではない書き方が必要だと思います。むしろこれまでのいろいろな実践例を考えても、こうであるという1つの提案という形にしていただいて、その提案を実現していくために国あるいは都道府県、市町村いう、その役割を明記するという形のほうが、報告書として非常に有用かなと思います。

 これははっきり書けるのか書けないのかわからないのですけれども、例えば健康増進法に基づく保健指導については、市町村の保健部門が行っているので適切な連携が必要であると書いてありますが、このために計画を策定しています。来年からデータヘルス計画もつくられていきますがで、高齢者につきましてはそれぞれ介護保険事業計画等々の策定も進んでいきますのでその中にきちんと生活保護あるいは生活困窮の方々の健康管理、健康支援のサポートということをしっかりと、提言できる、提言することも配慮すべきだみたいなことは書けないのかなと思いました。

 高齢者についても、生活保護の人は地域包括から除外なのかというと、決してそうではないと思います。きちんと意識して書かれてもいいのかなというのが1つ、これは思いつきですけれども、思います。

 

○森座長 どうですか。今、中板委員がおっしゃったことですが。

 

○事務局 大きな話について、生活保護の場合は健診が違うセクションであったりとか、本当に難しいところがあるのですけれども、今の国全体の施策の中に関することまでをここで書けるかというのはなかなか難しいと思います。そういった意味で最初の総論的事項の中で、もちろん健康日本21などでも、ここで議論があったように生活保護受給者は除かれているわけではありませんので、そのために健康増進法が用意されているので、そこをもう少し現場の福祉事務所サイドであるとか、保健部門であるとか、そういったところで意識をしてやってくださいということは伝えるべきだと思っております。そういう視点は書いたつもりですが、生活保護の中で全て一貫してできるまでのものというのは、なかなか難しいのではないかと思っております。

 

○中板委員 連携については今までも連携、連携と強調して言ってきましたが、それができていないのでこうなっているという状況があります。ですので現場では文章になり書いてあるのと書いていないのでは対応が全然違うので、配慮するとか、計画策定の中に福祉部門の人が入るとか、そういう多少前向きなことが書かれてもいいのかなと思います。

 

○津下委員 今の点で言うと、保健指導を実施するとか、保健事業を実施するということは、福祉事務所とかそれぞれの責務があると思うので、どこが実施主体になって、またそれが連携として他部局としてつながっていくというのがあるのですけれども、少なくとも生活保護受給者の人の健康状態がどうなっているのかということを、(マクロ的な視点で)国保の担当者や市の健康部門が知っているということは非常に重要なことかなと思います。生活保護受給者の健康状態についての傾向とか、どう予防するのかという観点も大切な見かたです。全庁的にやっていく中で、どこの部分を一緒にやって、そして個々の担当が責任を持ってやるところがどこなのかというところが、それが整理されていないと責任の所在もあいまいになってしまうというのがあります。少なくとも健康日本21の検討をするときに生活保護の受給者の健康状態について十分に把握して、それを自治体の市民の健康状態として全体像を把握することが重要である。そのためには健診データを見なければいけないということになるので、そこになると保険者のものとか制度の壁というのがいろいろあって、いろいろ整理しなければいけない課題が非常に多いと思うので、まずはお互いに集計データを共有して、健康状態の全体像を把握する。ここには生活保護受給者の方々のデータがあり、そして、そこの部門の人たちもそこのほかの部局で何がやられているのかというのを知っていただくのは重要ではないか。顔の見える関係をつくるということです。

 

○森座長 今、津下委員がおっしゃったのは、実は私、自分自身で首長で経験しましたのは、保健部門は保健部門、国保は国保で、全部それぞれシャットアウトして、横軸の連携というのがなかなかとれない。ですから一番最後に自治体の役割で、この問題というのはまちづくりなんだということ。これは1つ今回の生活保護あるいは生活困窮者も含めて、そういう人たちの健康管理を全庁的に、横でスパッと切ってやれるような体制をまずそこからスタートしていかないと、恐らくもっと大きな山というのはこれからあると思うのです。こういうことをやる1つのきっかけにできれば、一歩でもこれは前進して、生活保護者というのは今までどちらかというと福祉事務所的な、そこだけで書かれていた。でもそうではないんだという視点が全庁的にできれば、私は皆さん方が一生懸命御議論していただいたことというのはすごく大きな前進につながるのではないか。これはどちらかと言うと門外漢ですので、率直に感じるというのはそういうことなのです。ぜひそういう意味で皆さん方の真摯な御議論が反映できればと思っています。

 ほかに何か。

 

○浅沼委員 今の森先生のお話にあったように、それをやっていくにしても福祉事務所がそれを提案して話をしたり、全庁的に話をしていくのも、福祉事務所として提案していくという存在が必要ですね。だから、そこのところの責任をうやむやにして連携すればいいからというふうにして流してしまうと、福祉事務所の健康管理の問題は連携して保健部門で健診をやってもらうからいいとなると、この問題を主体的に、全庁に投げかけてやっていく存在がまた薄れてしまうという部分で、せっかく言われてすごくすばらしい話だけれども、先ほどからずっとその話をしているけれども、誰が主体となってやるんだというのをぼやかしてそのままにして流れていくと、では連携すればいいんだと。

 では連携したときにこの話を全庁的に、生活保護の話と言ったって保健部門は保健の事務を抱えているわけですから、そのことを回そうとしているし、福祉事務所の問題をきちんとみんなで全庁的に提案していくというのは、福祉事務所の責任においてやっていかなければ、これは広がらないということなので、きちんとその健康管理に関して主体的に福祉事務所のイニシアチブをとっていく人が必要だということを、最初も言っているような気がするのですけれども、途中で現状がうまくいかないから現状で連携に流れ、そして最後は体制整備が必要だということでまとまっているので、でも全庁的なのはすごく大事だから、福祉事務所の健康管理の問題は全体で考えていくようなきっかけにすると言うには、福祉事務所で健康管理を考えていくという存在もきちんとつくっていかないと、体制をつくらないと、それぞれ保健部署は保健部署の課題に追われているので、全然取り上げられていかないかもという気がしたのですけれども、どうですか。

 

○芥川委員 浅沼委員の意見に賛成なのですけれども、福祉事務所としてきちんと問題意識を持たなければ、見えてこない。健康面はどちらかと言ったら福祉事務所的には優先順位が下がってしまっているところとかもあるのかなと思うので、そこにきちんとした問題意識を持って取り組むというところでは、そこに専門職が入って問題をきちんと明確化した上で全庁的に問題提起をして取り組むということが大切だと思うので、連携をするにしても福祉事務所の中で責任を、問題を明確化して、それにどうやって取り組むのかというのをきちんとするべきだなと考えています。

 

○森座長 ほかに何かございますか。

 

○浅沼委員 最後にちょっとあれなのですけれども、先進的なところの方のお話を聞かせていただくことをしてきたのですが、市町村は限られた職員の人数の中で仕事をされているので、人を配置するというのは大変難しいことだし、特に専門職というのを配置していくというのもまた特別な事情があると思うのです。簡単なことではなくて、確かに進まないことだとは思っているのですけれども、確かに福祉事務所の保健師配置は非常にすばらしいことですが、では今の保健サービス課の保健師を持っていけばいいのではないかというような考え方で進んでいるところもあって、実際その保健師に話を聞いてみると、今は虐待の問題でもこれだけニュースになって、高齢者の問題でも適正な配置で保健事業の中では保健師は配置されているのですが、そのために保健師を持ってくればいいではないかという、福祉事務所に保健師を持っていけばいいではないかということで事業を分散させていっては、全体の、ではそういうことがあって、また虐待の事件が起きた、何をやっているんだというふうになったときに、実は福祉事務所に1名保健師が行って、人が足りなくなったところなんですなんていうふうには言えないと思うのです。

 そうしたときに、結局医療の問題とか医療費の問題とか、福祉事務所がずっと抱えている問題というものを真正面から取り組もうとして、この研究会が発足したときに、福祉のところに連携を多職種でやっていこうといったときに、福祉のワーカーをふやしたり、PSWをふやしたり、福祉事務所は努力してきていると思うのですけれども、そこに保健師も入ってきているということを考えたときに、全庁的な取り組みだからいいではないか。保健部門から取ってくればいいではないか。そういう考えで保健師を引き抜けばいいではないかという考え方は私は違うと思うのです。

 そこまで書いていないのですけれども、ともするとそういうふうにだってやれるというか、それが気になっていて、保健サービス部門がサービスを低下しないでほしいと思って必要かなと思ったのですが、それはちょっとその言葉は書いてはいただけなかったのですけれども、福祉事務所としてはそこは高い理想を持っていただいて、福祉事務所としてきちんと医療の問題に必要なものを配置するというふうに何かないと、やっているほうは、保健部門は何なのだろうと、福祉のほうから言ってきて何だろうと思うわけです。だからその辺はどういうふうに考えられていらっしゃるかなと。

 最後のその他のところに交付税のことを書かれていらっしゃるので、全く書いていないなとは思わないのですけれども、この話は福祉事務所に話をしていくのでしょうが、保健部門にも必ず影響があることだと思うのですけれども、どういうふうに理解を得てもらうようなコンセンサスを得ようというところでお話をしていこうと思っているのかなと思うのです。これは福祉部門のことしか考えていないですね。連携すればいいというのはもちろん連携ですけれども、でも連携先は今やっている保健事業にさらに、もちろん生保の方も入っていますが、より精密に生保の仕事をきちんとしていこうとなると業務はふえるわけです。保健部門からしたら。

 

○事務局 そこは、業務が増えるのか、これまでの既定業務の範疇ではないのかとなるかと思います。いずれにしても、私どもから、福祉事務所としてこうした問題があるためにマンパワーが必要ということは庁内の然るべきところに発信していただきたいとお願いしたいと思います。ただ、やはりここは保健部門というか、当省で言うと健康局になりますが、両方におろさないと、当方から福祉部門にのみおろすのではなくて、健康局は保健部門におろすということをやっていかないと、またここ数年と同じような状態になるのではないかと思っていますので、そこの協力は得たいなと思っております。

 

○森座長 浅沼委員がおっしゃった、これは大変尊大な考え方だったら御無礼ですけれども、ある面で政策の優先順位は誰が云々ということになってくると、首長のトップなのです。首長のトップが例えば我が町の例えば生活困窮者、生活保護をこれ以上ふやしてはいけないとか、いろいろなことで健康管理云々。福祉のところに力を入れるか入れないか、これはやはり最後は首長の判断だと。

 そうすると例えば福祉事務所においてはと一番最後のところにありますね。ここに例えば福祉事務所だけがどうのこうのというと、今、浅沼委員がおっしゃったようになかなか保健師のこの問題は大変だと。だったら自治体は、あるいは市長部局はとか、市長部局と福祉事務所は互いに連携してどういうふうにとか、何かそういうふうにしてある面では1つのたがと言ってはいけませんけれども、そういうようなことをしないと、福祉事務所は云々というだけで言ったら恐らく今、御心配のとおりのことが、これは福祉事務所云々だったら福祉事務所のほうは保健部門に置いて、保健師さんをうちのほうへ割愛してくださいという中でのやりとりだけで終わって、それで終わりになってしまう可能性はなきにしもあらずという懸念はします。

 

○津下委員 いろいろな自治体を見ていると、保健師さんの配置状況はどこの課にどういうふうになっているというのはかなり自治体によって違っていて、かなり手厚いところと、もう本当に全く足りていないところとあって、それ自体がここだけの問題ではないとは思うのですが。市の幹部の方々が健康管理の重要性とかに気づいていただくことが重要と思います。例えば今、データヘルスとかいろいろな形で、数字で見える化してきていることや、そういうことをしっかりとトップまで伝えていく。

 政策の優先度を健康についてもう少し高めてもらうというような取り組みが非常に重要と思います。健康日本21の枠組みの中に生活保護の人の健康データが入ってくるというのは非常に重要だと思うのですけれども、そういう全体像をきちんとトップが理解していただいた上で、配分を重点化や市長さんの政策の非常に重要なこととして優先度を上げていただくようなことは、一福祉事務所だけではできないので、全体像として動いていくことが重要ではないか。

 だからまずはそこに届くような数字をきちんと挙げるとか、保健活動をしたから自立にこれだけつながったんですとか、何か医療費がどうなったんですという数字も一生懸命出していくことや、生活保護の方々が前向きに暮らされるようになったというような評価結果をきちんと得られるような形で事業をしていく必要があるのかなと思います。

 市長さん、命と財産を守るのが市長さんの仕事だというふうにおっしゃられる方もみえます。もう少し予防的なかかわりを重点化すれば、医療費も減らすことができますということを示したりして。命の大切さとお金の節約に置きかえてアピールするような取り組みが大切かと思います。市長さんの耳に入らないと、その先は進まないので、そういう意味では一般衛生部門の方や国保の保健師さんと一緒になって、生活保護の健康管理の問題を挙げていく必要があるのかなと思います。

 

○森座長 今、津下委員おっしゃられましたけれども、私はそんなに詳しくありませんが、生活保護受給者の問題の中では、どちらかというと今まで就労の問題あるいは住まいの問題というのがどうしても、これはやはり就労して、タックスペイヤーになってほしいということもあるから、一生懸命そこに力が入っていったと思う。

 だけれども、それ以前の段階のところで今ようやく、国の方がおられる前でこんなことを言ってはいけないけれども、ようやくここへ、要するに健康管理、ここが前提になってという視点が、生活保護だけではなくて困窮者の問題でも、みんなそこへ今、視点が来ている。

 では地方自治体にとってはどうかというと、いわゆる国民健康保険の問題、最後の砦は国民健康保険。健保協会もあります。組合健保もありますけれども、いわゆる職を離れたら最後は国民健康保険です。国民健康保険の医療費はある面では市町村の国民健康保険者としてはすごい赤字。要するに一般会計からお金を繰り入れなければいけない状況なのです。これをいかにして健全化をするかというのが、ある面ではいかにして健康になるか。それが健康日本21ということを含めて健康意識を持ってもらうという、そういうところに自治体自体も来ている。ある面ではもちろん生活困窮者とか、生活保護受給者をつくらないようにするということ、それ以前の問題として健康ということはある面では市町村にとっても大きなこれから課題であるという、そこへ来ておると思います。

 ちょうど今、介護保険制度が始まって14年、いわゆる第5期が終わるのでしょうか。一番最初のときに、市町村長に何て言ったかといいますと、第2の国民皆保険制度は第2の国民健康保険になるんだと。それぐらい言って危機感を持ったのです。だけれども、実際に今も大変なのです。だけれども、これをいかにして運営していくかということが市町村長に課せられた大きな課題。同じことが国民健康保険も最後の砦である以上は、何とかしてここを守っていく。そのためにはどうしたらいいかというと、いかにして医療の給付を受けないような健康づくりをしていくか。その前の予防の段階も含めてそれをやるか、これしかないと思うのです。そうでないと恐らく市町村財政はもたなくなってくる。そういう意識を皆さん方に持ってもらう、これは1つのきっかけづくりになってもらえば、せっかくならこういうことで皆さん方が現場も含めて一生懸命御議論していただいた、そういう成果の一歩にもなるのではないかと、私は今までも含めて議論をお聞きしておって、そういう気持ちを持ちました。

 

○増田委員 特定健診、特定保健指導でも結局、責任があるのは医療保険者なのです。だから医療保険者がやれと。いいことしたらちょっとご褒美出してやるとか今、言っているわけですね。そうなると本当に生活保護の方というのは医療保険に属していないから、ではこの人たちを1つのそういう保険の枠にはめようとすれば、誰が責任を持つかというところをはっきりすべきだと思います。

 もう一点は、生活保護の受給者の方というのは、どうしても閉じこもりがちになると思うのです。だからそういう方々をいかに外に出すかという努力、これこそまさしく大変だと思いますし、それは保健師さんにはできないことであって、まさしく地域のいろいろな方々が本当に声をかけたり、あしたウォーキング大会があるからおいでよとか、だからいっぱい地域の中にはかなりソーシャルキャピタルとしては何でもあると思うのです。うまく知っていれば。

 この間、ハーバード大学のドクターの話を聞いていたら、要するに運動は関係ないのだと。社会参加しているかしていないかでその人の健康度は決まるということを、彼は世界の文献を調べて言ったのだと思うのですけれども、要するに一番簡単な例で挙げたのは、例えばスポーツクラブがあります。実際に運動している連中と何も運動をしていない、ただ事務方でいろいろやっている、世話を見ている。健康度は変わらないと彼は言ったのです。だからやはり地域にいかに戻してあげるかという努力をしていかないと、本当にそれはもう保健師さんだとかケースワーカーさんだけで今のマンパワーでは無理だから、地域のそういういろいろな活躍をしている、活動をされている方々をいかに引き込んでいくかということも、福祉事務所は自分らが生活保護受給者の健康管理の責任者だという自覚を持ってやっていただきたいなと思います。

 以上です。

 

○森座長 今、増田委員がおっしゃったように、いろいろな意味で例えば福祉事務所とか、ケースワーカーだけで抱え込める問題ではない。そうすると、それは地域資源、これは人材も含めてそういうものを最大限に活用するような仕組みというのは、ここにもありましたように自治体の取り組みということになるのではないか。そういう意識づけをこのまとめがなれば、私はそれは一歩だと思います。そうでなければ、これはいつまでたってもそこだけで、いわゆるこれは福祉事務所の問題だというだけで終わってしまったら意味がないということです。

 

○津下委員 今の増田委員と森座長の話ではないですけれども、保健指導をして何とか運動を頑張ってもらうというのも、もちろんそれは大事なのですが、出ていく場があるというのが何よりも大事なので、それこそ衛生部門でいろいろやっていることとか、地域振興課とかいろいろな課が持っているさまざまな事業に参加を呼びかけるだけではなくて、お手伝いをお願いして、ありがとうございました、また助けてくださいみたいな、そういうつながりまでいければ、それこそ自己有用感が保てると思うので、それはやはり福祉事務所だけでは難しい部分なので、そういう機会の提供。

 保健指導に携わる人も、スポット的にそういう介入をするとしても、結局その後の生活につなぐという役割が非常に重要なので、例えば他部局からさまざまな情報を得たりとか、NPOさんとかいろいろなところとつながっていくということで、その辺の支援の方法の中でもつながるような形を考えていく。地域づくりの担い手として参加を呼びかけるという、そういう観点のつなぎ方をもう少し意識的におこなったほうがよいのかなと思います。

 

○滝脇委員 全くおっしゃるとおりだと思います。

 役割を担っていただくということは、きっかけとして援助者とか専門職がそれを意識していくことが大事だと思いますけれども、地域づくりの担い手となるときには、最終的には地域の横のつながりの中でそれぞれが何をするか、例えば先ほどのイベントの場合、援助者があなたはこれをして、あなたはこれみたいに割り振るのではなくて、当事者同士が話し合い、そのことを通して自分で決めていく、自信を取り戻すとことが大事なところだと思います。

 もう一つは、先ほどケースワーカーの方への研修の話がありました。7ページのところに糖尿病は重症化した場合にさまざまな合併症が起きると書いてあり、実際に私たちがかかわっている人でも失明した方、足を切断した方、当然いらっしゃるので、とても大事なリスクの情報提供だと思います。その一方で、糖尿病を抱えていて健康管理がうまくいかない人というのは、しばしばご自身が一番よくわかっています。例えば注射を毎日打たないとこういうことになってしまうんだということは言われなくてもわかっているのだけれども、それでも自暴自棄になっていたり、健康へのモチベーションがなかったり、そういうことが背景にあると思うのです。

 生活の場所にケースワーカーさんが訪問したり、訪問看護の方が生活の場に来られた時に、こういう治療を受けないとあなた死んじゃうんだよと脅かされたらどうなるか。中板委員が説得でもなく、社会の中になじんでいくニュアンスをとおっしゃったのは、私はとても大事だと思って聞いていたのです。要は、ほっとできる場所がないと、みんなからあれこれ言われて嫌になってきてしまい、ちゃぶ台を返したくなってしまうようなことになってしまう。まずはほっとできる場所というものをどこかで保障し、ケースワーカーさんの説得や指導というニュアンスが余り強くなってしまうと逆効果になりかねないので、そのあたりを研修のところで留意していただけないか、また、そのように読めてしまうような報告書にならないようなニュアンスが必要かなという感じがしました。

 

○増田委員 先ほど中板委員もおっしゃったように、生活保護受給者の方々も団塊の世代が75になる2025年を目指した地域包括ケアシステムの中の一員なのです。だからやはり地域包括ケアシステムをちゃんとしようと思ったら、それこそ全庁、それから、あらゆるソーシャルネットワーク、みんなが一緒になってつくらなければならないわけですから、そこには本当に生活保護受給者の方はちょっと特別なところにいらっしゃるというニュアンスがとれるので、今、安倍内閣が掲げている地域包括ケアシステムというものを何か入れていただいて、それを構築するためには生活保護受給者の方々も当然サービスの中に組み込んでいくんだという、そういう書き方もあるのかなと感じました。

 

○森座長 地域包括支援センターという言葉はあっても、地域包括ケアシステムという、もっといろいろなものを包含した言葉。

 

○中板委員 先ほども言ったのですが、何となく個人に対する健康支援というパーソナルな感じの報告書となっている印象があります。それはとても重要なことでありハイリスクな方たちに対するアプローチとしてはとても重要なのだけれども、やはりその土壌として地域づくりとか健康づくりとか、地域の中で支えていくとか、地域の中で頼られるとか、そういった体験を通しながら孤立化を防ぎ、人とのコミュニケーションがとれるような社会にしていくという、その視点はこれは別に生活保護の受給者は関係ないという話では決してなく、そこを大前提に全面に入れたらいいのではないかというのは強く思います。

 その中でよりハイリスクな方たちに対してどういう支援をしていかなければならないかという、何となくそこが抜けているような感じがして、読んでいて物足りないなという感じがします。また、先ほどから出ていますけれども、その他のところの一番最後の本研究会においては、主に生活習慣病の重症化予防としての支援について焦点を絞って議論を行った。これはいいですね。だからこういうことだと。

 が、生活習慣病の一次予防の観点から保健指導の対象とならなかったものについてもという、本来ですと保健師の活動はここがメインであって、医療に少しでもかからない時間を長くする。それから、介護保険を少しでも長く使わずに済むようにする。そこがメインにあって、さらにハイリスクな人たちへの重症化予防という、そこが何か順番が逆ではないのかな、という感じがします。その部分については、順序立てて書いていただけると、良いなというふうに思います。

 先ほど説明がありましたけれども、データヘルスや健康増進、地域包括等々そういったところとはそれぞれ国は縦割りなのかもしれませんが現場では縦割りでやっていくことはできません。地域の中で本当にどんな人も不公平感なく、不利益なく生活していくということを担保をしようとしたときに、そこは頑張って突破していただいて、書いていただくこともありかなと思います。

 

○石原委員 10ページの一番最後の○に、今までなかった地域包括支援センターについて触れているのがすごくいいことかと私は拝見して思いました。しかし、福祉事務所の保健師さんの配置ということが大きな論点になっているので、ここは工夫されたほうがいいかなと思ったのです。

 「高齢者については、専門職が配置されている地域包括支援センターにおいて総合的な相談支援体制が構築されているため」となっているのですが、ここは、高齢者については健康管理と介護予防は密接に関連するため、という健康管理と、介護予防の関連性があるので、個別の支援については地域包括支援センターと連携すると効果的なのではないかというような文脈にしたほうが、よいと思いました。福祉事務所と地域包括支援センターの書き分けをしたほうがいいかなと思いました。

 

○中板委員 地域包括支援センターは、個別の支援について特化しているわけでは決してないので、重症化予防とか、例えば高齢者で医療にかかっていても生活が維持できている人たちというのは、生活支援の担い手になっていくという方向性も出されていますので、個別の対応についての詳細の記述という話ではないのかなという気がします。

 

○石原委員 私の趣旨は、専門職が配置されていて、総合的な相談支援体制が構築されているから地域包括支援センターと連携するという文脈になっているのを、健康管理は介護予防と密接に関連するためと、連携の目的を機能的に書き分けするのがいいのではないかと。福祉事務所の保健師さんの配置が論点になっているので、専門職が配置されている地域包括支援センターを活用すればいいのではないかみたいに取られると、福祉事務所への配置の論点がぼやけるので、ここの書きぶりを工夫されるといいかなと思います。

 中板委員の御指摘の地域包括支援センターが個別の支援かどうかというのは、また違う論点だと思いますが、地域包括支援センターとの連携については、再度発言させていただきました。

 

○事務局 ここまでを総括しますと、今回は現状で福祉事務所ができることを示さなければいけないですし、もちろんその先にある将来的にはというか、本来はここまでがパーフェクトなのだけれども、今回はここですよという話です。もちろんそうしたメッセージ的なことも残したいと思うのですが、あとは確かに書き方によってどこがやるのかというのが明確でないところがありますので、そこは的確に書きたいと思います。

あとはこの報告書を受けて、私どもが自治体に通知なり、全国会議であるとか、研修であるとか、そういった場でどういったことを用意していくかということになります。例えば、先ほどの専門職の福祉事務所内における配置については、先進自治体の協力を得て、本年も開催しました全国会議、福祉事務所長会議であるとか、ケースワーカー研修会であるとか、そういった場を通じて、ここに書かれた要素を伝えていく方法は幾らでもあると考えております。したがいまして、今回記載されたことで、福祉事務所で即、考えてできることと、あるいはもっと現場での理解を進めて今後踏み込んでやることもありますが、そこは、今後、実現させていくための支援が必要かと思います。また順番であるとか、その辺は変えなければいけない部分もありますので、そこは修正させていただきたいと思います。

 

○森座長 相澤委員、先ほどから首をかしげておられたけれども。

 

○相澤委員 皆さんのお話を伺っていく中で、福祉事務所に保健師を置くことで、そちらに保健師が専門家がいることで、保健部門の方たちは全てのことをその保健師がやればいいというような動きもないわけではないということも、実際の現場の保健師からは聞いております。その問題も特化といいますか、差別化ではないですけれども、してしまうことによって起きているということもあると思います。保健部門のところに生活保護受給者が含まれていないわけではないのですから、逆転現象が起きては困るということが1つ思っていることです。

 あとは保健師を置くことの評価というのは、すごく難しくて、上尾市さんは随分前から置かれていて、その評価手法はどうされているのかなというのが、非常に興味があるのですが、今回この会に参加させていただいて、この会の中で評価指標をつくっていきましょうというのが一番最初にお話であったかと思いますので、それをつくっていくことがすごく意味のあることだと思います。川崎も今年2年目で来年3年目になるのですが、その評価指標をもとに先ほどありましたように、市長にこういう効果性があるんだということをアピールしていく必要ももちろんあって、この後、福祉事務所に保健師を置いていく意義というものをどう説明して、継続性を持ってやっていくか、そのためには指標がすごく大事だと思っております。今回まとめの中ではざっくりまとめられた形での指標しか出てこなかったというか、あらわれていないので、保健師を置くことの評価が具体的にどういうふうにあらわせるのかというところが出てこないと、この後、追随して保健師を置くところが出てくるのかなというのがすごく疑問に思っているところです。ですから、繰り返しにはなりますが、どういうふうな指標に基づいて評価をした上で、この後、どう事業を続けていくかということがすごく大事になると思っていて、ぜひ評価指標をもう少しというか、具体性を持って表記できないかなというところが要望になってしまうのですけれども、余り具体的に出なかった話ではあるのですが、書いていただければと思っているところです。よろしくお願いします。

 

○中板委員 今のお話と、先ほどの石原委員のお話とあわせて考えると、福祉事務所に保健師を配置する場合の、その保健師の役割、機能というのを明確に出さないと評価もできないし、ほかのところとの連携のときに、どこの部署が担当するのか、という話になるのだなということを話を伺って思いました。

 例えば児童相談所に保健師を配置するだとか、そういうところでも同じようなことが起きていて、今おっしゃったように児童相談所に保健師がいるのだから、もうこちらの保健のほう(保健衛生部門)ではかかわらなくていいとか、そういう形になりやすい。だけれども、その部署に保健師を配置する意義と役割、機能というものを明確にすると、保健衛生部門とどう絡むのかとか、どうネットワークをつくるのかということが明確になるので、何となくそういう意味では保健師を生活保護のところにしっかりと配置する意味と役割、機能というものをもっと端的に出していただけると、保健師の配置の意義や役割はっきりするのかなという感じはしました。

 

○森座長 いろいろ議論が活発に出されました。そろそろ皆さん方、まだおっしゃりたい方がございましたらということですけれども、どうぞ。

 

○滝脇委員 12ページに健康管理支援の評価というところがあって、糖尿病等により入院している者の割合、就労等により自立につながったというような例示がされております。この研究会の予防や重篤化を防ぐという観点にとっては主題ではないのかと思いますが、我々が相談を受けるケースというのは合併症も抱えていたり、食事が自己管理が難しい、あるいはインシュリンの自己注射ができなくて在宅に戻れないというようなケースが多い。 これは重度化してしまった後の対応の問題なので、報告書に云々ということではないのですけれども、そういった方が地域に移行できる、在宅に復帰できるためには、以前も申し上げましたが、住まいのところから考えてく必要があると思っています。そういう人を在宅で受け入れ、生活を再建するための住まいというものが地域の中にあり、その人の生活を、食事から見守りからやっていく生活支援ということがあり、そこに医療とか介護とか保健師さんの訪問指導とかがうまく乗っかって、つながってくれば、大概の方は在宅で受け入れできる。基本的に私たちはご依頼を断ることはありませんので、どうにかして受け入れることはできるのです。地域の在宅で暮らすためには、支援付きの住まいとか、住まい方の支援ということが必要です。これは多分、生活保護だけではなくて、先ほど座長がおっしゃったように、国民年金の方とか、国保の方にも共通のニーズとしてあると思います。

 

○石原委員 簡単にでいいのですけれども、「はじめに」の中に、財政的な負担が大きくなっているという事を少しでも書いておくのがいいかと思います。医療扶助の問題というのは新聞にもたくさん出ていますし、病気が重症化しないように健康管理することが財政的にもよいのではないかと。この検討会から報告書を出す上で、そのあたりも踏まえていると入れられたら。森座長も元首長ですので、そういったような視点も先ほど御発言にもありましたので、追加されるのがいいのかなと思いました。

 以上です。

 

○津下委員 これもすごくマイナーな話なのですけれども、7ページのところなのですが、糖尿病等の重症化について書いてあるのですが、先ほど滝脇委員の御意見ではないですが、悪くなるよ、悪くなるよと書いてあるだけなので、これらの疾患では健康管理を適切に行うことによって進行を食いとめる効果も期待されるとか、それを入れていただいたら少し前向きメッセージでいけるのかなと思いますので、お願いします。

 

○浅沼委員 私は石原委員とは逆に「はじめに」の中に医療費の問題を入れなかったことが、事務局の方の良心ではないかと思っていて、医療費削減のためにこれをしていくんだというようなところでいっていったら、もっと全然違う話し合いになっていたと思いますし、そうではなくて格差是正というところもきちんと考えながら文言を織り込んで、当事者の方たちの健康づくりを支援していく。それが就労支援につながるんだと。全体の問題が最終的に解決していくというのはもちろんなのですけれども、最初にそれありきで論じていくというのは私は違うと思うので、出さなかったということを私は逆に評価したいと思っています。

 結局、最後のところでいろいろすったもんだがあったのですけれども、体制整備というか、健康管理支援をこれからもっと大事にしていくというところに、まだまだこれから体制をつくっていかなければいけない段階なんだということがあるとすると、そういうくくりというか、体制整備としてその他のところが入ってきたり、全庁的にやるとか、他機関連携のことでも方法の1つではあるけれども、その前段として体制整備がまだおぼつかない段階ではいろいろなところと連携したり、お願いしたり助けてもらいながら、さらにもっと充実して、成熟してきたらもちろんそれでも連携をしていきますけれども、ちょっとその辺の視点で整理すると、並べ替えたりくくりを変えたりすればもう少しいろいろな意図があちこちにいっぱい入れていただいたので、きょうの議論が少しまとまっていくのかなと思いました。

 滝脇委員から先ほど研修のことが心配だと言われて、そのまま終わってしまったのですけれども、多分この健康づくりと生活の質の観点からとか、もう一つ言葉を加えたいというその心配はよくわかるのです。それだけに研修が走ると怖いという視点もすごくNPOで日々御本人たちに密着して、生活を支えていらっしゃる方の発言としてすごく大事だと思うし、そういうふうにワーカーがなってしまうととてもやりにくい。NPOとしてもやりにくいとおっしゃっているのもすごく大事なので、健康づくりだけではなくて、何かここにいい言葉が入るといいかなと私も思いました。

 以上です。

 

○村山委員 私も最後のところの「その他」のところを、今まで議論がありましたように、体制づくり、あるいは体制整備という形でまとめていただけるとよいと思いました。そのときに、その主語なのですが、福祉事務所、市町村、都道府県、国に加えて、地域社会がどうしていくかという、地域社会はという主語も入れていただくと、今までの議論が生かされるのではないかと思いました。

 もう一点、私は今回の報告書を拝見していて、特に5ページ、6ページの健康部門の健康日本21(第二次)と連動していくことを書いていただいたことは非常に一歩前進だと思いました。その視点を最後の今の体制づくりの中にも入れるとすると、国やそれぞれの主語、主体の中で福祉部門、健康部門の連携あるいはもう少し一歩進めると中板委員がおっしゃったように、それぞれの計画の中に位置づけるというようなことが入っていくとよいと思いました。 以上です。

 

○津下委員 評価指標のところなのですけれども、健診受診率等々が書いてありますが、12ページのところなのですけれども、今回、健康支援ということで保健指導等が入っておりますので、健診を受けなくても例えば治療中で健康状態が把握できている人の定期的に毎年健康状態が確認できている人の割合とか、保健指導が必要と判定された者の割合の後に、そのうち保健指導が実施できた者の割合ということを入れていただいて、落ちのない指標を組み立てていただければチェックしやすいかなと思います。

 

○滝脇委員 私は12ページの社会資源の活用の主語は何がいいのかとずっと考えていて、特に最後の「社会資源については社会資源を活用するだけでなく、社会資源をつくり育てるといった視点も重要である」ということの主語が自治体なのかどこなのか。自治体となってしまうと、地域の側から見たときに違和感があります。ただ、この報告書を主に読むのは自治体の方だと思うので、村山委員の御発言を聞いて、例えば「地方自治体は地域社会とともに」というような主語が考えられると思いました。

 

○森座長 本当にそれぞれ委員の皆さん方から活発に御意見を頂戴しました。本当に御苦労さまでございました。

 それで、本案の取りまとめにつきまして、いろいろな意味で皆様方からさらに肉厚にというようなことも、先ほどの主語の問題とかいろいろありました。そういうことにつきまして、もし御遺漏がありましたら私に一任をさせていただければ、また最終的にそれで取りまとめをさせていただきますけれども、皆様方の御意見、本案で先ほど事務局からお話がございましたように、これを出して、いかにしてこれを実行に移していくか、いろいろな例えば会議等を通じて、それぞれ下へおろしたいという言い方は悪いですが、それぞれ市町村の担当者に研修等を通じておろしていくときに、そこでこういう意見があったということも開陳をしながらやっていくという方法もあると思います。

 いろいろな手法はあると思いますけれども、きょうある面ではたくさんいただきました。事務局がこれを取りまとめるのもまた大変だと思いますけれども、いかにして要は皆様方にとっても事務局にとってもそうだと思いますが、これが実効性あるものでないと絵に描いた餅で、せっかく5回にわたって御議論していただいたことが意味がなくなってしまいます。

 その辺のことについて何かよろしいですか。例えば座長に御一任していただいて、事務局とすり合せするということでよろしゅうございますか。私のほうも実は先ほど事務局がおっしゃったことの中で、要するにこれをどういうふうにこれから普遍的なものにしていくかということが恐らく述べられたと思うのです。これをやはり私どもはちゃんと見守りながら担保していかないと、言っただけで終わってしまう。

 これはこれからのある面では特に国もそうですけれども、地方自治体にとってはすごく大きな私はテーマだと思っています。今までこの分野というのは恐らく手が入っていなかった。だけれども、申しましたようにそれぞれが部局ごとで問題を抱えておったけれども、それが横軸では全然つながっていなかった。こういうことをきっかけとして、ぜひともこれからのまちづくりにとって生活保護の皆さん、あるいはその前の困窮者の皆さんも含めて、健康づくりをきちんと、それはこういうことをやれば一般市民の皆様方にもすごく、しかもこれからデータヘルスを活用していくことがすごく自治体にとって大きな課題だと思います。これをどのように今回のこの問題をきっかけに一歩でも進めればということにつながればいいのかなと、私は今回の御議論を聞かせていただいてそう思いました。

 そんなことで御一任していただいてよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○森座長 では、そのようにさせていただきますので、事務局、済みませんが、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、これで終わりにさせていただきますけれども、きょうは谷内大臣官房審議官が御臨席ですので、ここで一言御挨拶をいただき、また、これからの決意も含めておっしゃっていただければありがたいなと思います。

 

○谷内大臣官房審議官 本日は局長の鈴木が不在でございますので、私、谷内から一言御挨拶申し上げたいと思います。

 この研究会は9月に第1回を開催して以来、本日まで5回にわたって委員の皆様方に非常に精力的に御議論いただきましてありがとうございました。私どもいろいろな都合で欠席したこともありましたけれども、その点については御容赦願えればと思っております。

 第1回目に局長の鈴木から申し上げましたように、また、本日森座長が何度も触れられておりますけれども、これまで生活保護受給者の方々の健康管理、維持向上といった施策がおくれがちな部分があったことは事実でございます。今回、委員の皆様の御議論によりまして、生活保護受給者の健康管理につきまして対象者や支援の方法、さらに体制などにつきまして、一定の方向が整理されたと考えているところでございます。

 今後、本研究会で議論されましたことを指針として、できるだけ具体的な施策を進め、一歩でも生活保護受給者の方々の健康管理、維持向上に努めていきたいと考えておりますので、また皆様今後とも御支援いただければと思っております。

 改めまして、限られた時間の中で大変貴重な御議論をしていただきましたことにお礼申し上げますとともに、今後ともお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

 簡単ではございますけれども、私からの挨拶とさせていただきます。

 

○森座長 どうもありがとうございました。

 それでは、私も、大変つたない座長ということで、皆様方に多々御迷惑をおかけいたしました。本当に申しわけございません。でも、きょうも含めていろいろな場面で皆様方が真摯に、しかもまた時には実践に基づいた、あるいは学問的なことも含めていろいろな意見を開陳していただきました。本当に頭の下がる思いでございます。

 そういう中で、この取りまとめまで来ました。先ほど御一任をいただきましたので、これから事務局とすり合わせて、皆様方のお気持ち、あるいは意見が少しでも反映できるように持っていきたいと思います。

 先ほど来、何度も申しておりますけれども、これはある面で今、谷内審議官もおっしゃったように、新しい分野ということでございます。それであればなおさら、これが第一歩ということは、これからある面ではどのようにplan do seeということでなっていくのか。これは見極めていくこと。そして、それぞれの自治体がこれをどのように受けとめて、そして、それを行政の中へ反映できるかどうか。

 本当に私は行政にとりましても、自治体にとりましてもすごく大きな1つの指針ができた。これをやるやらないは、これからますます自治体自体もいろいろな意味で格差が出てくる、そういうふうに思います。それだけにこうして1つの方向が出たということに対して、委員の皆様方に改めてお礼を申し上げ、また重ねて私自身の取りまとめのふがいなさを反省して終わらせていただきます。本当に皆さんお疲れさまでした。ありがとうございました。


(了)

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