ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業能力開発分科会若年労働者部会(旧勤労青少年部会))> 第13回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会(2014年11月19日)
2014年11月19日 第13回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会
○日時
平成26年11月19日(水)16:00~18:00
○場所
厚生労働省専用第12会議室(12階)
○議題
(1)若者に対する職業能力開発及び勤労青少年福祉対策について
(2)その他
○議事
○宮本部会長 定刻となりました。定足数に達しておりますので、ただいまから第13回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。本日は向澤委員が御欠席です。諏訪委員の代理として、日本商工会議所の福田産業政策第二部副部長に御出席いただいております。
それでは、議事に移ります。議事次第にありますとおり、本日の議題は「若者に対する職業能力開発及び勤労青少年福祉対策について」、「その他」です。資料1、2について事務局から説明をお願いします。
○藤浪キャリア形成支援室長 資料2を御覧ください。前回の本部会でいただきました主な御意見をまとめたものです。何点か紹介いたします。(1)総論といたしまして、若者への支援は、社会全体で取り組んでいかなければならないのではないか。また、支援に当たっては、個別的、持続的、包括的、恒常的・安定的という視点を持つことが重要ではないか。
(2)若者の職業訓練等については、若者の長期的なキャリア形成に資するような訓練等が受けられる環境を、より拡充していくべきではないか。高校の就職指導担当者は、職業訓練の情報を未就職卒業生にあまり伝えていないのではないか。キャリア・コンサルタント等、若者の支援をする人材を育成すべきではないか。という御意見を頂いております。
(3)地域若者サポートステーションの今後の在り方についてです。法的整備も含め、事業が継続的に実施できるように検討すべきではないか。サポステは、それぞれの個性を生かしつつ、ユニバーサルなサービスを提供する機関として機能しなければならないのではないか。サポステ事業を実施するNPO法人等は地域のネットワークの核となるものであり、研修体制の整備や好事例の周知・共有等を通じて、支援に当たる専門人材の育成、人材の拡充を図るべきではないか。サポステとハローワークとの連携が取れるよう整備されることが重要ではないか。学校中退者の情報について、サポステと学校が速やかに共有することが必要ではないか。という御意見を頂いております。
(4)勤労青少年福祉法及び勤労青少年福祉対策の今後の在り方についてです。若者のキャリア形成の充実を促すための施策、雇用に関する施策を重要視するため、勤労青少年福祉法の衣替えが必要な時期に来ているのではないか。勤労青少年福祉法の見直しをする際には、今後も継続すべき施策については配慮をすべきではないか。以上のような御意見を頂いております。
資料1は、今ほど紹介いたしました御意見を基に、部会長と御相談をいたしまして、今部会報告の(案)として取りまとめたものです。第1は、はじめにです。少子高齢化の進展により生産年齢人口が減少する中、全員参加型社会を実現していくことが喫緊の課題で、その中でも若者は、我が国の将来を担う貴重な人材である。これまで、職業能力開発やキャリア形成のための様々な施策が行われてきたが、フリーターの数、ニートの数は高止まりをしている。こうした状況の下、若者が長期的なキャリア形成を図り活躍していくことが重要であり、若者本人やその家族だけでなく、社会全体で取り組んでいくことが重要である。
若者への支援を行うに当たっては、以下の点に留意することが必要といたしまして、4点掲げております。個々の若者の状況を踏まえて「個別的」に支援すること、一過性のものではなく時間を掛けて「持続的」に支援すること、若者を取り巻く機関が連携して「包括的」に支援すること、就職する時代に起因する不遇を生み出さないために、「恒常的・安定的」に支援すること。現在、労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会において、若者に対する雇用対策の在り方について検討がなされているところ、本部会においては、今後の若者に対する職業能力開発及び勤労青少年福祉対策の在り方について以下のとおり取りまとめることとしております。
第2は、若者に対する職業能力開発及び勤労青少年福祉対策についてです。(1)職業訓練です。職業経験の少ない若者が地域社会の中で安定的に自立し、活躍していくためには、職業訓練が果たすべき役割は極めて重要である。このため、日本版デュアルシステムや実践的人材育成コース等の若者向けの訓練メニューや、雇用型訓練を引き続き推進するべきである。また、学校中退者や卒業後に不安定な職に就かざるを得ない者等が進路選択をするに当たって、職業能力開発施策が進路の選択肢として有効に活用されるよう、学校に対する積極的な情報提供・発信や、公共職業能力開発施設と学校等との連携に一層取り組むべきとしております。
(2)職業能力評価です。現代の若者の中には自らのキャリア形成や職業能力開発の方向性に迷いのある者も少なくないが、若者にとって職業能力検定は目指すべき職業能力開発の明確な指標となるものであり、また、いわゆるキャリアラダーとしての機能も有するものである。このキャリアラダーについては、下に注釈を付けております。このため、今後の雇用吸収力の拡大が見込まれ、若者のキャリア形成上の課題がより顕在化している対人サービス分野を重点に職業能力検定の整備等を進めるべきである。併せて、入職促進・キャリアアップに結び付けるため、特に技能検定3級などエントリーレベルの積極的な整備を図るべきとしております。
(3)個人の主体的なキャリア形成支援についてです。若者がその能力を最大限発揮できるようにするためには自ら長期的なキャリア形成を行うことが重要であるが、職業経験が少ない若者にとっては、個人でキャリア形成について考えることは非常に困難であり、キャリア・コンサルタントによる支援を進めていくことが有効と考えられる。このため、キャリア・コンサルタントの資質の向上、養成の促進、それによります支援の機会の拡充が必要としております。また、ジョブ・カードの活用が有効であると考えられることから、所要の見直しを行った上で、その普及を進めるべきとしております。
(4)ニート等の若者に対する支援で、サポステ関連です。ニート等の若者が安定的な雇用の場を得て活躍していくことが重要である。平成18年度以降、サポステが地域においてニート等の若者支援の拠点として不可欠な役割を果たしてきており、平成25年度においては約2万人の進路決定の実現に至っている。ニート等の若者に対する支援として、継続的に事業が実施されることが期待されている。一方、サポステに対しては、昨年の秋の行政事業レビューにおいて、事業の有効性等に関して説得的な分析がなされておらず、事業の出口戦略が必要ではないか等の指摘がなされております。こうした状況の下、ハローワークとの連携、職場体験の充実、職場定着支援を全国で実施するなど、より効率的・効果的に事業を実施できるよう必要な見直しを行った上で、期待される機能をサポステが安定的に果たしていくようにしていくことが必要であるとしております。
法的整備という御意見がありましたが、どのような形でサポステを法的に位置付けていくか固まっていない段階ですので、取りまとめの(案)としましては、このような表現振りとしております。また、各サポステが有するノウハウや経験の普及、研修体制の整備や好事例の周知、支援をする専門人材の育成を通じて機能の強化を図っていくべきであって、関係機関、自治体や学校などとの連携や理解・協力も不可欠であるとしております。
(5)勤労青少年福祉対策についてです。親元を離れ就職した若者、勤労学生等の福祉に取り組むために制定された勤労青少年福祉法は、既にその目的をおおむね果たしたものと考えられる。現在、雇用対策基本問題部会において議論がなされている若者の雇用対策に関する今後の在り方の議論とも連携を図りながら、より幅広い若者の状況に目を向け、若者の充実したキャリア形成や雇用について積極的に取り組んでいくために必要な法律として、発展的に整理する方向を含め検討を進めるべきである。ただし、現在、国、地方公共団体において実施されている勤労青少年福祉施策、例えば勤労青少年ホームなどの施策ですが、その必要性に応じて継続できるよう一定の配慮が必要であるとしております。
(6)その他です。若者に対する職業能力開発は、関係府省、地方公共団体、産業界・経済界、教育訓練機関等との連携の下、推進していくことが必要であり、各施策、ここでいう施策は職業訓練や評価、キャリア形成支援、ジョブ・カード等の各施策ですが、これが一体的、有機的に実施されるべきである。また、支援の対象や主体、これは支援を実施する側の主体を指しておりますが、主体が多様であることから、若者本人や保護者が個々の課題等に応じたサポートを受けられるよう、また、真に情報を必要とする者に対し必要な情報が届くよう、利用者の目線に立った広報や情報発信が重要としております。以上が部会報告の取りまとめ(案)の内容です。
そのほか参考資料として、前回の部会でお示しした資料、能開分科会の関係の資料、安定局の雇用対策基本問題部会の関係の資料等を配布いたしております。説明は以上です。
○宮本部会長 それでは本日は、今の事務局の説明を踏まえて議論を進めまして、最終的にこの報告案でいいかどうかを審議したいと思います。本日は比較的時間に恵まれておりますので、どうぞどのような意見でもたくさんお出しいただければ、大変、有意義であろうかと思っております。
短い文章ですが、どこからでもと言うと拡散してしまうかもしれませんので、それでは、最初に第1の「はじめに」の辺りはいかがでしょうか。はじめにのところの中段の若者支援の留意点4点は、前回、玄田委員から御発言していただいたものを土台にして文面が作られております。
○遠藤委員 すみません。遅れてまいりまして申し訳ございませんでした。「はじめに」につきまして、2点改めてお尋ねいたします。私自身がこの会合に携わらせていただきまして、初めて教えてもらいましたことがあります。若者を取り巻く就労環境を見たときに、それは本人の自助努力や自己責任というものでは到底、解決のできない大変厳しい状況に置かれていることを教わりました。
今回、若者本人、さらには、その家族も含めて社会全体でサポートしていくという考え方自体を出すことは、私は望ましい方向だと思っております。黒ポツとして4つ整理されておりますが、方向性に何ら異論を唱えるものではなくて、意味合いということでお尋ねをいたします。2つ目の「持続的に」という意味です。説明として一過性のものではない、これは、そのとおりかと思っていますが、「持続的に」と言ったときに、ずっと続けていくという意味合いが出てしまうとすれば、私は必ずしもそうではなくて、断続的にという施策の展開もあり得ると思っております。言葉の問題かもしれませんが、その辺のところをどう捉えていくのかが1点目のお尋ねです。
2つ目は、「恒常的・安定的に」という部分です。その時代時代によって、求められる政策には濃淡があると思っております。そういう場合に恒常的・安定的という部分をどのように読み替えていくのか、あるいは、どう理解していくのかというところがありますので、お尋ねをさせていただければと思います。
○宮本部会長 ありがとうございます。この辺り、よろしいですか。説明いただけますか。
○藤浪キャリア形成支援室長 最初の持続的という意味合いですが、これは御意見をいただいた玄田先生のほうが、より適切なお話をしていただけるのかもしれませんが、ここでは対個人に対して一過性のものではなくて時間を掛けて、継続的に支援を行っていくということの意味合いでの持続的として表現をしております。
○吉永総務課長 若干、補足いたします。「はじめに」に玄田先生の問題意識を書かせていただいた後で個別の中身を記載しておりますが、若者の関係で特に私どもの施策の中で重要なところが、ニート対策の地域若者サポートステーションです。後ほど出てくる部分ですが、正にそういう中で、例えばニートの方について支援をするという形になると、それなりの時間が掛かってしまうということ。そういう関連からすると、ある程度の期間は持続的にやらなければいけないのではないか。更に、私どもが今考えておりますのは、就職させてしまえばいいということではなくて、就職した後も一定期間のフォローアップは必要です。
そういう意味で、実際にテイクオフできるまでの期間が持続的なのか断続的なのかは、その方々にとって個別的な観点で変わってきます。必要な方に必要なタイミングで必要な支援を行っていくという観点の持続的というイメージではないかと思っております。また、恒常的・安定的にというところも記載しておりますが、これも地域若者サポートステーション事業で申しますと、現在、補正予算で対応しているという形で、いつまで予算があるかどうか分からないということもありますし、あるいは毎年入札をかけているということで3月末になったら、翌年度同じ支援機関が、その事業を受けられるかどうかもよく分からないという状況もあります。
こういう観点からしますと、地域における必要な機関として、ある程度、一定期間きちんと窓口があって、その中で安定的に支援をしていくということが極めて重要な観点ではないか。そういう思いから、玄田先生の前回の御指摘を踏まえて記載いたしました。考え方としては、遠藤委員もおっしゃっておられたとおり、自助努力や自己責任によって解決できない課題を抱えていらっしゃる若年者の方に対して、必要なときに必要な支援をきちんと行っていくということが何より重要ではないかと考えております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
○遠藤委員 ただ今、御説明の中にありましたように、必要な者に必要な期間にわたり支援をしていくという考え方自体は、そのとおりだと思っております。別に書き足してということではないのですが、政策というものは一定の目的があって、その目的をある程度到達したということであれば、それはscrap and buildで、効果的な政策に重点化していく、また新たな政策を展開していくというのは、常に求められる内容です。とりわけ若者については、なかなか政策の効果が見えないというのは多くの方が御指摘されていることですから、通常の評価の仕方とは違う側面があるということも十分に理解しておりますが、だからといっていたずらに政策を効果がない形のまま続けていくことについては、若干の懸念があるということだけ申し上げておきます。
○玄田委員 先ほど吉永さんから御説明いただいたとおりで、特段私から付け足すこともありませんが、確かに遠藤委員がおっしゃるように、こういう施策も長く時間をかければ効果があるということばかりではないので、文言としては例えば、「一過性のものではなく、本人の状況に応じて、定着も含めて適宜必要な時間を確保しつつ、持続的に支援する」といったような文言の工夫も必要かなということは感じておりました。
また、「恒常的・安定的」の部分でもありますが、前回申し上げたのは、非常に世代によって、幸、不幸が生まれてしまうという日本の構造に対処するためには、急に不況になった場合にも機動的に速やかに対応するためには、ある程度安定的な制度が必要であるという面と、もう1つは吉永さんがおっしゃったように、後半にも出てくる、支援の内容、質、量を向上させるためにも、恒常性が必要だということは、初めの部分でも何か少し文言などを検討してもよろしいかなと思いました。
○宮本部会長 今の点について、補うことはありますか。よろしいですか。そのほかに御意見はいかがでしょうか。
○中澤委員 今言われたように、今置かれている状況の方々に対してピンポイントで対応していくということが重要なことではないかと思います。若者は永遠に若者であり続けることはできないわけですので、貴重な資源を市場から排除することを防止すること、このことを最優先に政策は対応していかなければいけないのではないかと思っております。
○宮本部会長 「はじめに」の所はよろしいですか。今、頂いた御意見は一度整理をして、現在(案)として出されているものの表現等を少し工夫するところがあるか、その辺りのところを検討したいと思います。その次に進ませていただいて、思い付かれたことがあったらまた後で御指摘ください。
第2です。(1)は職業訓練です。この部分について、表現についてはいかがでしょうか。
○村上委員 中身ではなくて、表題についての話です。第2「若者に対する職業能力開発及び勤労青少年福祉対策について」ですが、若者に対する職業能力開発という広範なタイトルになっています。しかし、中身は前回議論したような職業訓練、職業能力評価、個人の主体的なキャリア形成支援、ニート等の若者に対する支援となっており、タイトルが大きすぎるのではないかという感じがしています。ジョブ・カードの話など、若者全般に関わることも入ってはいますが、企業内の訓練が抜けているため、若者の能力開発という全体を網羅できていない感じがします。もちろん、この部会で若者の企業内の訓練のことを精力的に議論してきたわけではありませんが、タイトルと中身を合わせるような工夫はできないでしょうか。
また、職業能力開発ということを大きく掲げていくのであれば、職業能力開発分科会でも若者の職業能力開発のことを議論されていると思うので、そこでまとめられた包括的な表現を少し入れていただくと、タイトルと中身が合っていくのではないかという気がいたします。
○吉永総務課長 タイトルとしては「職業能力開発」という形で、かなり広範なタイトルになっています。村上委員が御指摘のとおり、現在全体としての能力開発の観点から、職業能力開発分科会で全体の議論をしていただいているという状況です。もとより、職業能力開発の相当部分が若年者がメインターゲットでこれまできたということもありますので、大きな枠組みとしては、そちらでの検討が重要ではないかと思っております。
ただ、一方でここに書いてあります職業能力開発につきましては、確かに企業内の訓練との関係が若干薄いかもしれないとは思ってはいるのですが、相当程度、少しずつではありますが、メニューとしては、能力開発で特に若者が必要な部分というものについては記載させていただいたのかなとは考えています。
いずれにしましても、少し見直しまして、タイトルなのか全体の中なのか、また分科会との関係もございますので、その辺で御相談させていただければと考えています。
○宮本部会長 そのほかにいかがですか。
○玄田委員 中身が「引き続き推進するべきである」という下から5行目の「また」という所です。連続性はあるのですが、「するべきである」までは比較的幅広い若年の年齢層を想定して、こういういろいろな訓練をということに対し、「また」以降は学校卒業直後、若しくは中退者も含めた学校との連携ですので、内容が少し展開する気もしますので、そこを御理解いただくためには「また」の部分で改行しても、趣旨としてはより明確に伝わるのではないでしょうか。そのような印象を持ちました。
○宮本部会長 そうですね、ここは続いていないですよね。この辺りは改行するほうがよろしいような感じがします。そのほかにいかがでしょうか。御発言はないということで、(1)の「職業訓練」は、これでよいということでしょうか。先に進ませていただいて、また振り返りたいと思います。
次のページ、(2)の「職業能力評価」です。この辺りについていかがでしょうか。
○佐々木委員 こちらの4行目に「いわゆるキャリアラダー」という表現で、注釈をお付けいただいております。この「キャリアラダー」という表現は、ステップ・バイ・ステップのような意味合いなのか、あるいは職業能力開発、職業能力評価も、初級、中級、上級のような施策等、どのような意味合いで使っていらっしゃるのか教えていただきたいと思います。
○伊藤能力評価課長 キャリアラダーに関して、このように脚注を入れさせていただいているわけですが、このキャリアラダーという用語そのものについては、政府部内では「実践キャリアアップ戦略」、いわゆるキャリア段位に関わる議論の時期から具体的には使われ始めています。この間の日本再興戦略における議論の中でも、(2)の案に書かせていただいていますような、職業能力評価制度の整備・構築の必要性の裏打ち、政策着眼点として、私ども厚生労働省でも使っている言葉です。
今程のお尋ねに直接関わる話としましては、この能力評価を、この案にもありますように、職業能力開発の目標、動機付け等の観点から、より有効に活用すべきという御指摘を受け、そういった観点からいたしますと、そのための具体的な仕組みとしての技能検定を含めての職業能力検定についても、正に今お話がございましたような、ステップ・バイ・ステップ、階層性を持ったものでなければ、個々の労働者の職業能力は非連続で上がっていくわけではありませんので、連続的な向上を促すということは期し難い。
前回の技能検定の階層性についても御説明申し上げましたように、3級から特級という一定の連続性を加味した設定の中で、とりわけ3級といったグレードに関して、若者の入職時の目標になり、更に3級合格者がより技能や知識を高め、2級、1級を目指していくといった、いわゆるキャリアアップを期すための基盤的な仕組みとして、職業能力検定などの能力評価の仕組みを有効活用すべきであり、そのために今程申し上げましたような、適正な階層性を設定することが適当ではないか。そういった意図を、このキャリアラダーという言葉を用いた案文の中で表現させていただいているという意図です。
○宮本部会長 それに関連して私から伺えればと思います。技能検定3級は高校生ぐらいで取るというのが、1つのめどでしょうか。
○伊藤能力評価課長 前回もお配りをし、今回も参考資料2として添付させていただいておりますポンチ絵資料の22ページです。前回は十分な説明を必ずしもできずに、恐縮でございました。
この案文の中で、いわゆるエントリー級ということで説明させていただいている技能検定3級に関わる具体的な要件等をここでもお示ししています。この間、学校在学中、あるいは訓練校において訓練受講中の方でも受検できる、職業能力開発の目標にできるということで、数次にわたり受検要件を緩和する中で、現状ではここにあるように、関連する学校教育を受けている方、関連する訓練を受けている方も、受講可能な仕組みでして、現実にも都道府県方式による技能検定3級に関しては、8割強が学生、生徒あるいは訓練受講中の方です。典型的にいうと、工業高校などを含めての高校生が学校在学中からの教育を通じて能力を高めて受検をし、実際に多くの方が3級に合格をしているといった実態がございます。
○宮本部会長 もう1点伺います。その高校というのは、今「工業高校」とおっしゃいましたが、いわゆる職業高校以外の普通高校でも、これは可能ですか。
○伊藤能力評価課長 現状で申し上げますと、22ページの資料でも触れていますように、検定職種に関する学科に在学している学生、生徒が対象というのが、現行の制度です。
○宮本部会長 伺ったのは、普通高校の生徒が何の資格も取れないのです。一番就職で問題があるという実態がありますので、職業能力評価のここの部分は、今の普通高校の偏差値の低い高校に何か救済の芽があるのだろうかと期待したのですが、今の御説明だと、そうではないということですよね。
○伊藤能力評価課長 現状の仕組みとしてはそのようになっておりません。
○宮本部会長 そのほかにいかがでしょうか。
○遠藤委員 言葉の意味ということでお尋ねさせてください。職業能力評価で本文の1行目、2行目に関わる所に、「キャリア形成やこれに応じた職業能力開発の方向性に迷いのある若者も少なくない」とあり、そのとおりだと思っております。そういうことを踏まえて、このまとめの中で使っている「キャリア形成」というのは、場合によってはキャリアをチェンジしていくということも含め、個々人のキャリアをどう積んでいくのかという意味で、今後考えていってよいのかどうかということです。
○伊藤能力評価課長 典型的な若者像ということからしますと、職歴が全くない、あるいは非常に乏しいということで、典型的にいうと新たな職業選択、それに関わるキャリア形成ということになるかと思います。もちろん若者の中には、浅い、短いとはいえ一定の職業経験を有する方も含まれているわけですので、そういった方が離職をし、業種あるいは職種をチェンジしていくということも当然あり得ると。そういった場合でも、ここの案文で書かせていただいておりますように、訓練更にはその成果の評価の仕組みとしての能力検定などの評価の仕組みが有用なものになるのではないかという意図で、この案文は書かせていただいているものです。
○玄田委員 最後の「積極的な整備を図るべきである」というのは、正しくそのとおりなのですが、一体この文言が何を意味しているのかということについて、どのぐらい一般的な理解が促されるか、若干どうかなという気がしております。
先ほど御説明のあった前回の資料の25ページのイメージ図は、大変今の課題を明確に整理されていると思っております。この25ページのシートの所に書いてあるものとしては、「対人サービス分野等において、地域・業界横断的な能力を評価する職能検定が未整備である」と、かなりはっきりとした整備の方向性が打ち出されておりますので、対人サービス分野を重点的に整備するということは、特定の地域とか特定の業種ではなく、横断的であり、比較的広範に活用できるといった、少しこの辺の文言をこちらに加筆してもいいのではないかと感じております。
○宮本部会長 この点についていかがでしょうか。
○伊藤能力評価課長 この案文の記述の趣旨について、考え方としては玄田委員からも御紹介いただいたような、対人サービス分野を重点とした能力検定の整備の意図、こういった部分をターゲットというのは正にこの概念図のとおりです。玄田委員をはじめ、各委員の皆様からそこをよりしっかりと書くべきだということで御賛同いただけるのであれば、その方向でこの部分について、今のお話を踏まえた形での加筆を検討させていただきたいと思います。
○宮本部会長 その辺りは検討していただくということでよろしいですか。
もう1点ですが、エントリーレベルに関しては高校生レベルということで、先ほど御説明いただきましたが、高校等、学校を離れた後、この職業能力評価の対象となって、何らかの利益を得るためには、どういう状況が想定されているのでしょうか。どこでどうやって、この評価を受けるチャンスがあるのかということです。
○伊藤能力評価課長 特に参考資料22ページなどにお示ししている現状の技能検定3級の対象職種、ここでは都道府県方式という、いわゆるものづくり技能分野を中心に掲げております。
能力開発に関しては、off-JT、OJTによる、いわゆる職業訓練と自己啓発型のもの、大きくはこのように大別可能かと思います。現在、この技能検定の対象としている多くの職作業の特性に鑑みますと、自力で旋盤のトレーニングができるかというと、それは困難である。特別な訓練の環境がなければ難しいということからしますと、現実に3級を目指していくに当たりましては、今、部会長がおっしゃった学校在学中あるいは公的職業訓練、離職者訓練、それから学卒訓練を含めてですが、こういった訓練受講機会を提供するとともに、その訓練分野に該当する職種における技能検定の受検促進を促していくということが、やはりオーソドックスなアプローチであろうと思っております。
○宮本部会長 それでは、この職業能力評価については終わらせていただき、(3)「個人の主体的なキャリア形成支援」についての御意見をお願いいたします。
○中澤委員 質問です。中段辺りで、「このため若者を支える人材として、キャリア・コンサルタントの資質の向上を図るとともに、養成を促進する」、そのあとの「また」以下で、「所要の見直しを行った上で、その普及を進める」と書いています。
最初のほうの「キャリア・コンサルタントの資質の向上」「養成を促進する」というのは、具体的にはどのようなことを想定されているのか、後段の「また」以下の「所要の見直し」についても、どのようなものを念頭に置かれているのか、現段階で何か構想があるのであればお教えいただきたいと思います。
○藤浪キャリア形成支援室長 キャリア・コンサルタントの資質の向上については、有資格者のキャリア・コンサルタントを対象とした経験交流会、研修といった施策を実施しています。また、各試験実施団体が試験合格者に対して、スキルアップのための講習等も実施しております。
ただ、課題としては、行われている更新の講習が各実施団体で、基準がバラバラという実態がありますので、それについてはその統一化が将来的には必要ではないかと感じているところです。
養成の促進については、この7月にキャリア・コンサルタントの養成計画を策定し、今後10年間で10万人ということで、養成を進めていくことを考えています。現在、ジョブ・カードの交付を担う登録キャリア・コンサルタントを含めて8万7,000人という状況ですが、有資格者のキャリア・コンサルタントを今後増やしていくということで、この10万人の計画につきましては、登録キャリア・コンサルタントを除いた有資格者で10万人としています。それに向けて企業においてキャリア・コンサルタントが従業員に対してキャリア・コンサルティングを行う制度を導入した場合の新たな助成制度についても検討を行っております。そういったことも含めて養成等を進めて、ニーズを増やして活動の場も増やしていくということで進めていきたいと考えているところです。
○塚本実習併用職業訓練推進室長 ジョブ・カードの見直しですが、現在キャリア・パスポート(仮称)構想研究会を設け、検討しております。具体的には、ジョブ・カードについては訓練の場面での活用が大半ですが、これを、生涯を通じたキャリア・プランニングのツール、また円滑な就職等のための職業能力証明のツールといった形で見直す方向で議論がされているところです。
また、これらについては職業能力分科会でも、併せて議論が行われているところです。
○宮本部会長 ここにそこまで具体的に書くという段階ではないわけなのですね。ここの書き方はかなり抽象的ですが。
○塚本実習併用職業訓練推進室長 そうですね。先ほどの構想研究会も今から最終取りまとめという段階でして、また分科会でも様々な議論がなされているという状況です。
○遠藤委員 もしかしたら私の読み方自体がすごく偏った見方であるので、このような質問をさせていただくことになるのかもしれないのですが、(3)のタイトル「個人の主体的なキャリア形成支援」、この「主体的」の意味合いは何か、受け身ではなくて、自らのキャリア形成について積極的に関わりを持ちなさいという意味合いで、私は捉えております。
最初の段落では、「職業経験が少ない若者にとっては、個人でキャリア形成について考えることは非常に困難である」と断定的に言っていて、次に「キャリア・コンサルタントによる支援を進めていくことが有効であると考えられる」と書いています。私は、これは少し行き過ぎではないかなと思います。要するに、「個人でキャリア形成について考える場合に、キャリア・コンサルタントによる支援を進めていくことも有用な場合がある」という程度のことが、私はメッセージとしてありうるのかなと。あたかもキャリア・コンサルタントの力を得なければ主体的なキャリア形成自体が成り立ち得ないと読んでしまったのは、私だけなのでしょうか。もう少しその辺の解説を頂ければ幸いです。
○吉永総務課長 確かに若干記述が不正確な部分もあるのかなと思っています。基本的に、非常に就職に課題を抱えている若者を念頭に置いて記載してしまっておりますので、そういう非常に課題を持っている方のキャリア形成支援を行うということを前提にすると、なかなか難しいというところで「困難」というところまで書き切っているわけですが、ここ自体の主語は「若者一人一人」という形ですので、課題のある方もいらっしゃるし、課題のない方ももちろんいらっしゃると。全く課題のない方というのは、なかなかいないと思いますが、いずれにしても、その程度の関係でいうと、少し表現という意味では工夫が必要であるというのは御指摘のとおりかもしれませんので、若干加筆訂正をさせていただければと思います。
○宮本部会長 そうですね。最初の2、3行の所は、標題に合わせて少し書き方を変えていただくといいかもしれません。若者全体としての主体性という問題と、支援の必要な人たちというところを分けるといいかと思います。そのほかにいかがですか。
○村上委員 キャリア・コンサルタントの資質の向上、養成促進は結構かと思いますが、キャリア・コンサルタントの方々のやるべき役割は様々あると思います。企業の中で果たすべき役割と、今回対象にしているような、なかなか自分でキャリアを考えることは困難な人に対する支援とでは、キャリア・コンサルタントの手法や、やり方も変わってくるのではないかと思っております。そのようなケースごとに標準的なモデルがあると、支援を受ける側も、ここに行けばキャリア・コンサルタントからこのような支援を受けられるのだということが分かっていいのではないかと思っています。ここに書き込んでいただくということではなくて、今後そのようなモデルなども検討いただきたいという要望を申し上げます。
○宮本部会長 そうですね。キャリア・コンサルタントというサービスが重要だということは分かるのだけれども、どこに行けばそれが得られるのか、多くの若い人たちは知らないという問題がありますよね。この文面からは、それを見付けることができないような書き方になっていますね。この辺りに何か工夫がないかどうか。
○吉永総務課長 御指摘の点につきまして、正に安定分科会のところで、それぞれ離職者、在職者あるいは学生の方について、それぞれどういうことをキャリア・コンサルタントがやって、その方がどういう所にいるのか、どういうサービスが必要かという議論を、今させていただいているような状況です。
そういう中で、特に若者の方で言いますと、学生の方であれば学校のキャリアセンターのような所で、有資格のキャリア・コンサルタントの方、あるいはそういったノウハウを持った教職員の方が対応する形なのかと思います。あるいは一旦学校から離れて、就職の機会という形で、ハローワークなどの公的なもの、あるいはその他の民間も含めてでありますが、そういう就職の支援機関にも、キャリア・コンサルタントが相当いるという状況もあります。あるいは訓練校に行けば、所属訓練の所でキャリア・コンサルタントがいるというところです。
いずれにしても、課題を抱えた方々が、いずれかの機関に行かれるということであれば、その際にキャリア・コンサルティングを受けることは可能なのかと思っておりますが、細かい議論について、職業能力開発分科会で資料をお出ししながら議論をしているところですので、そういった状況を見ながら、少し加筆が必要であれば加筆をすることも検討していきたいと考えています。
○宮本部会長 今、検討されている議論を見せていただいて、加筆が必要かどうかを検討することにしたいと思います。そのほか、よろしいでしょうか。
○玄田委員 ちょっとずれてごめんなさい。今回のこの案の中の一番頻出ワードは、やはり「キャリア形成」という言葉で、昔に比べてキャリア形成という言葉は認知度は広がっているとは思いますが、かといって全ての方に十分な御理解かということになると、そうでもないかもしれないのです。先ほどのキャリアラダーの所で脚注を付けていることを考えれば、同じく今回の参考資料2の14ページに明確に書いてあるわけですので、キャリア形成というのは、職務経験や教育訓練の受講等を積み重ねていくことによる段階的な職業能力の形成のことだということは、冒頭若しくは、少なくとも(3)の所で、どこかに書いておいていただくと、その言葉を見れば、これは特定の若者だけではなく、全ての若者が蓄積すべきものだということも理解いただけると思いますし、前もって少しキャリア形成という言葉はこういう意味で使っているということは書き加えておくのはいかがでしょうか。
○宮本部会長 そうですね。それを書いていただくと、全体としての新しい方向性みたいなものが示せるような気がいたします。
次の(4)にいきたいと思います。「ニート等の若者に対する支援」です。御意見等お出しください。
○堀委員 (4)の2行目の部分ですが、「ニート等の若者が地域社会の中で安定的な雇用の場を得て活躍していくことが重要である」という表現がありまして、全くそのとおりだと思うのですが、現実には例えばサポステには様々な若者層が来ているということですので、ここに「安定的な雇用の場」というと、すぐに正社員ではないかといった誤解を招く可能性があるのではないかと懸念しております。「安定的な」という形で限定してしまうよりは、例えば「広く雇用の場を得て活躍していくことが重要である」など、もう少し広い表現にしていただくことを御検討いただけないかと思います。
○宮本部会長 的確な言葉でなくてもよろしいですが、「安定的な雇用」に替わるべき適切な表現に関して、堀委員のほうで何かありますか。
○宮川職業能力開発局長 ここで目指すのは、いわゆる正社員的な働き方、あるいは正社員になる、これはニートの方々の様々な状況の中で、今は無理だ、しばらくかかる、あるいはずっとできない、いろいろな方々がおられると思いますが、少なくとも私どもの考え方としては、ある程度しっかりした働き方、最低限でも社会保険や雇用保険が適用されるような働き方。もちろん、その中には短時間の方もおられれば、いわゆる非正規的な働き方の方もおられますが、少なくとも働き方としてはいわゆる半端仕事なんかやるのではなくて、そういう意味での「安定的な」というワーディングを使ったものですので、決してここで正社員を目指しているというわけではないということを、まず御理解いただきたい。ですから、「広く雇用の場」という形で書くと、どんな働き方でもいいのではないかみたいな形になると、逆に私どもとしては、これはある意味、雇用対策として行っていくという観点の中で、正にここに1つの方向性を示していこうという観点です。できますれば、「安定的な」がややあれであったとしても、似たような言葉で、ある意味の安定性を是非お願いしたいと思っております。
○玄田委員 もう少し丁寧に書かれてはどうでしょうか。この参考資料を見ていますと、11ページにはその辺のことがかなり明確に書いてありまして、一義的には就職を支援するという役割がまずあって、それが今の段階では進路決定者の8割強が就職というので達成していて、それを得た後で、次はフォローアップ、早期離職の防止がきて、つまり「安定した雇用へ」ということをキャリアステップで書いているので、そこはちょっと丁寧に書かないと。
○宮川職業能力開発局長 おっしゃるように、ちょっと言葉は別ですが、究極的には安定的だと。
○玄田委員 最終的な目的としてはそうです。
○宮川職業能力開発局長 最終的には安定的なとかですね。
○玄田委員 ここに「安定者雇用へ」と書いてある部分の「へ」までをちゃんと書かないと、最初からニート等を正社員にすることがサポステの役割であるかのように誤解をされると、これは誰にとっても不幸な結果になりかねませんので、今、堀さんのおっしゃったことをもう少し文言として書き加えたほうがいいのではないでしょうか。
○宮川職業能力開発局長 工夫させていただければと思います。
○宮本部会長 そうですね。これは若年労働者部会なので、やはり雇用となるのかもしれませんが、サポステの実態からいうと、どうも雇用だけでは足りなくて、要するに働く場が必要という実態があるように思うのですが、若年労働者部会の提言なのでこういうことになるわけですね。ここは外せないということですね。そのほか、いかがでしょうか。
○福田氏(諏訪委員代理) 質問ですが、(4)「ニート等の若者に対する支援」の項目の一番最後の行にあります「関係機関との連携や理解・協力」という所で、この「関係機関」というのは具体的にはどのような機関を指すのでしょうか。
○藤浪キャリア形成支援室長 関係機関ということでは、サポステを取り巻く自治体、あるいは学校を指しています。今ですと主に高校等を中心ですが、サポステが地域のネットワークの核として機能を十分に発揮していくために、やはり関係機関との連携は不可欠ですので、そういった自治体、あるいは学校関係、そのほかいろいろな関係の施設、引きこもり支援センターとか、発達障害関係のセンターとか様々ありますが、サポステが有効に機能していくためにはそういった所との連携が必要ということで、書かせていただいております。
○宮本部会長 そのほか御意見はありますか。
○玄田委員 せっかくなので教えていただきたいのは、3ページの4行目にあえて、「より効率的・効果的」という「効率」と「効果」という言葉を併用して表現されているのは、何か深い意図がおありだと思うので、改めて伺っておきたいです。「効率」という言葉は、経済学の中でもある程度明確な定義がありますが、「効果的」というのは非常に解釈の余地のある言葉に思いますが、これをあえて2つ表現されたことに深い意味があれば教えていただきたいです。
○吉永総務課長 この点については2ページの最後の2行の所から記載がありますが、行政事業レビューという形で、財政支出について非常に厳しい指摘がなされている中で、私どもはサポステ事業は極めて重要な事業だと思っております。こうした指摘を踏まえる形で、一方で私どもが是非必要だと思っているニート対策を進めていくに当たっては、こうした観点が不可欠であるといいますか、こういう観点がないと、逆に言うと財政的な裏付けができなくなってしまうという課題もあります。効率的・効果的という幅が広い概念で、何が効率的か、何が効果的かというところがあるわけですが、サポステには様々な課題を抱えていらっしゃる方が来るわけですが、その方々に適切な支援を行っていく。あるいは、どうしてもサポステだけで受けきれない方々については専門の機関もありますので、そちらに誘導するということ。あるいは、ハローワークが入口の所から関与していくということ。そういったものを考えながら、全体としてのニート対策が効果を上げていけるような形にしていくということ。そういう形で行政事業レビューの指摘と私どもの事業の目的をうまく均衡させていきたいという思いで、あえて記載しているところです。
○玄田委員 分かりました。特に異論はありませんが、前回、若干申し上げたかもしれませんが、今、私の理解する限り、若年雇用対策はある程度、手間暇を掛けていくという、人と時間をかなり要しなければ、結果的に成果が生まれにくいという状況であると思います。これが21世紀の後半になると、また状況も変わっているかもしれませんが、当面はそうだということを考えると、この「効率的」という言葉を、できるだけ人も時間も掛けずにという意味で理解されると、大変残念なことになろうかと思います。「効果的」というのは、掛けるべきときには一定のコストを掛けて、比較的時間も踏まえながら、その成果を判断するという、もう少し広い言葉で理解されることが多いような印象を個人的には持ちますので、その辺りの誤解のない形で、ある程度掛けるべきコストは掛けていくのだということが伝わるような。自分で難しいことを申し上げていることは分かりますが、いずれにせよ、よく理解できました。ありがとうございました。
○宮本部会長 (4)の部分はこれでよろしいでしょうか。先に進ませていただきます。(5)「勤労青少年福祉対策」について、何かお気付きの点がありましたらお願いします。
○中澤委員 直接(5)に関連することではないのですが、先ほど(4)の「ニート等の若者に対する支援」についてのご説明で、室長から法的整備については書き込まなかったという御説明がありました。一方で、(5)においては、現行の法律を見直していくということが書かれており、「より幅広い若者の状況に目を向け、若者の充実したキャリア形成や雇用について積極的に取り組んでいくために必要な法律として」と記載されております。勤労青少年福祉法の抜本的な見直しということを念頭においても、このくだりには、(4)の「ニート等の若者」に対する取組は含まれないと理解していいのでしょうか。
○宮川職業能力開発局長 前回、玄田先生からもお話がありましたように、勤労青少年福祉法は昭和45年という時代背景の中で、当時の勤労青少年、故郷から東京とか大阪、大都市に出られた方々とか、いわゆる勤労学生の方々、当時の様々な課題を抱えられた方に対して、勤労青少年福祉という、労働福祉の世界の中で、その中でも例えば職業指導の充実とか、職業訓練の奨励とか、正に雇用対策的な面も含めて、トータルなものとしての福祉対策を規定されていたものです。ある程度法律としての役割は終えつつあり、その中で今まで勤労青少年という若者の中での限られた部分から、課題を抱えられた方、課題を抱えていない方も含めて、より全体としての若者。そのときに、課題を抱えられた方々に対してどういう政策をやっていくのか。こういうことがトータルで分かるような法律に、いわば衣替えしていくという発想が必要なのではないか。それが1つの発展的に整理をするという考え方として、今後、検討していくべきものではなかろうかと思っているところです。いずれにしても、法制的な内容のものもありますので、具体的にどのような形になるか。最終的には来年度の、審議会との関係で言えば諮問・答申という中で説明する形にはなるかと思いますが、方向性としてはそういう形で考えていると御理解いただければと思います。
○宮本部会長 1つ私のほうから伺いたいのですが、最後の3行です。「勤労青少年福祉施策は、その必要性に応じて」と書いてあるのですが、この「福祉施策」というのは、具体的には何を指していると考えればよろしいですか。
○宮川職業能力開発局長 今回の資料で、参考資料2の34ページの中に、現状の実施状況が書かれております。その中には、スポーツ・レクリエーションを中心として、様々な催しなど、勤労青少年の日を中心にして、施策を現実に行っているところですので、こういうものが施策として必要だという自治体等が更に引き続き行うことについて、それが阻害されないような形でなされるようにしたらどうかと。つまり、要はこういうものをやめろという意味ではないという趣旨です。実は国のほうから何らかの形での支援、つまり金銭面では今、現実には行っていないところで、あくまでも自治体の独自の判断で行っていただいているところです。
○玄田委員 冒頭に書いてあるとおり、親元を離れ就職とか勤労学生という、かなり時代背景の変化があって見直しをすることについては、恐らく多くの委員の方が御同意なさるのではないかと思うのですが、一方で勤労青少年福祉法の大事なことは、時代状況と併せて、勤労青少年福祉に関する原理を明らかにすると。つまり、どのように勤労青少年の福祉を増進していくかということに関する理念型を定めるという、大きな役割が当初あったかと思います。その中では、具体的には都道府県も一定の努力をするべきだとか、事業主についても余暇の有効活用に対して何かすべきであるとか、学びたいという青少年に対してはそういう機会を与えると。ある意味ではこういうものは、この理念は今の時代だからこそ極めて重要だと言えるわけで、見直す部分は見直すけれども、今、改めて勤労青少年福祉法にある理念、何をもって青少年の福祉の増進とすべきかということについて、守るべき部分はしっかりと継承していかなければいけないということはどこかで書いておかないと。理念そのものが必要なくなったのだということではなく、あくまで時代背景の状況に応じて、やり方、スタイルを変えていくのだということが重要だと思いますので、この法律によって明らかにされた理念を実効性の高いものにしていくという形の表現も、もう1、2行あってもよろしいのではないかと感じました。
○宮本部会長 この件について、委員のほうからいかがですか。
○遠藤委員 ただ今、玄田先生がおっしゃったことは、是非その方向で加筆をお願いしたいと思っています。ただ、最初にこの文面を見たときに、「発展的に整理する」という文言で、事務方の皆さんは玄田先生の思いを何とか表現したかったのかなと思うこともできます。そこをどう書いていくのかというところは、今後、新法のあり様にも関わる部分があり、制約がある中でどこまで書けるかということは十分理解をしています。可能であれば、多少なりとも加筆いただくことでお願いできれば幸いです。
○宮川職業能力開発局長 今後の話ですが、例えば現在、勤労青少年福祉法の第2条には「基本的理念」という規定がありまして、「すべて勤労青少年は、心身の成長過程において勤労に従事する者であり、かつ、特に将来の産業及び社会をになうものであることにかんがみ、勤労青少年が充実した職業生活を営むとともに、有為な職業人としてすこやかに成育するように配慮されるものとする」という、正にこういう理念の下に関係者の責務等を規定されているところです。いずれにしても、今後の若者雇用対策の新規法制度の中において、若者に対する理念、若者に対する関係者の責務、若者の責務というものの中に取り込んでいく1つの理念なのではないかと考えているところです。いずれにしても、言葉のところは何か考えるということでよろしいですか。
○宮本部会長 (5)の「勤労青少年福祉対策」については、御意見はこの辺りでよろしいでしょうか。
○玄田委員 ありがとうございました。余談、無駄話です。先ほどおっしゃったように、「成育」という言葉が入っていて、それはそれとしてとてもいいと思ったのですが、昨日たまたま別の研究会に出ていて、宮本さんもよく御存じの斎藤環さんの話をちょっとしていて、今、若者にとって苦しいのは成熟をするチャンスがなかなか持てないのではないかと。彼の持論は社会が成熟すればするほど、人間は成熟するのが遅れてくると。守られるような状況になってくると、ゆっくり時間をかけて成熟していくという構造になることを考えると、成育というのは高度成長期とか、まだ高齢社会に行く前の段階では確かにという説得力のある言葉ですが、今、若者に限らないのかもしれませんが、適切に成熟していくことが難しくなっている社会であるとすると、ここは能力開発の分科会ですので、その言葉に文句は言いませんが、人材育成というのは能力開発と同時に、今は人間の成熟するとか、人間が成長するという両方の面がないと、企業も成長できないし、いろいろな意味でリスクマネージメントもできないという状況になっているので、私は絶対、成熟という言葉を使うべきだと申し上げているわけではありません。ただ、今お話があったので、ふと思い出して、何となく成育ということと同時に、やはり人間として成熟する場として、職場も含めた努力が必要だなということを思いましたので。次へ行ってください。
○宮本部会長 非常に本質的な御指摘だと思います。今、高齢期でも成熟は難しいという議論もあって、死ぬまで成熟できないという悩みを抱えているということも言われています。(6)の「その他」について、いかがでしょうか。
○玄田委員 これもある方の受け売りなので、私は自分の日本語能力に全く自信がないので、間違っていれば無視していただきたいのですが、一番最後の文章に「利用者の目線に立った」というので、「目線」という言葉は、今盛んに上から目線と言ったりして、当たり前のように使います。でも、日本語としては「目線」という言葉は余り適切ではなく、普通は一般的には「視線」という言葉が日本語としてはより適当なのではないかと。「立ち位置」などという人もいますが、本来は「立場」という言葉であり、そういう意味では正式な報告なので、日本語としてより適切なものがいいとすると、もしかしたら「目線」よりも「視線」とか、「目線に立った」よりも「視線に沿った」という表現のほうが妥当かもしれない。余り自信がないので、そこは表現を御確認いただければと思います。
○宮本部会長 何か良い表現はありますか。
○玄田委員 「視線に沿った」でいいと思います。
○宮本部会長 「視線に沿った」。あるいは「利用者の立場」ですよね。
○玄田委員 「立場」ですかね。「視線」若しくは「立場に沿った」ということですかね。「立ち位置」ではないでしょうね。
○宮川職業能力開発局長 その辺は少し。
○玄田委員 是非お願いします。
○宮本部会長 一通り、しかし重要なポイントを突いた御意見をたくさんいただいたと思います。もし言い忘れて、今思い出したということがありましたら、付け加えていただければと思いますが、よろしいですか。それでは、御意見が大体出尽くしたと判断させていただきます。たくさんの御意見を頂いております。この場で一つ一つについて回答して決めていくには、かなり本質的な問題もたくさん出ております。したがって、頂いた御意見等を踏まえて必要な修正を施すという作業をさせていただくことになりますが、その辺りは私に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○宮本部会長 ありがとうございます。それでは、一任いただきまして、職業能力開発分科会への報告をまとめさせていただきたいと思います。
最後に、宮川局長から御挨拶を頂きます。
○宮川職業能力開発局長 若年労働者部会の皆様方には、大変限られた期間の中で、集中的な御議論をしていただき、本日こういう形で取りまとめに向けて御議論いただきましたこと、大変有り難く思っております。今後は、今、部会長からお話がありましたように、職業能力開発分科会に報告申し上げて、分科会としての考えを御議論いただきます。最終的には、法的整備を含めた必要な措置に結び付けたいと考えておりますので、引き続き様々な面での御指導・御鞭撻をお願いして、私の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○宮本部会長 その他の委員の皆様から、何か付け足すことはありますか。特にないようでしたら、本日の議論は以上といたします。本日の議事録の署名委員は、労働者側の佐々木委員、使用者側の遠藤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは、本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
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