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2014年11月28日 2014年11月28日 平成26年度第3回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録

○日時

平成26年11月28日(金)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館1111号会議室
東京都千代田区霞が関1-3-1


○議事




平成26年度第3回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会

 

 

                                      日時:平成26年11月28日 ( )  

                        場所:経済産業省別館1111号会議室


 


○桑原臨床研修指導官 おはようございます。定刻より少し早いですが、皆さんそろいましたので、ただいまから医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を開催いたします。本日は御多忙のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日は岡村委員と山下委員から所用により御欠席との連絡を頂いております。また、文部科学省医学教育課からは平子企画官にお越しいただいております。以降の議事運営につきましては部会長にお願いいたします。桐野先生、よろしくお願いいたします。

○桐野部会長 おはようございます。資料の確認をお願いします。

○桑原臨床研修指導官 それでは資料の確認をいたします。また撮影はここまでといたします。お手元の資料、クリップを外しますと、上から議事次第、名簿、座席表とありまして、右上に資料 1-1 とある 1 枚もの、それから横長の資料になりますが資料 1-2 1 枚もの、同じく横長の資料 1-3 1 枚もの、縦長の資料 1-4 、ここまでが一連の資料 1 になります。続きまして資料 2 、ホチキスどめのものが 1 つあります。それから、同じく資料 3 、ホチキスどめのものがあります。その後ゼムクリップでとめてありますのは参考資料集となっております。以上不足する資料がありましたら事務局にお申しつけください。それでは部会長、引き続きお願いいたします。

○桐野部会長 それでは議事に入りたいと思います。本日の議題は「平成 28 年度募集定員について」と「その他」となっております。議題 1 、平成 28 年度募集定員についてに入ります。まずは事務局より資料の説明をお願いいたします。

○田村医師臨床研修推進室長 それでは平成 28 年度の募集定員の上限に関連して、資料 1-1 から 1-4 の資料を用いて説明をさせていただきたいと思います。

 資料 1-1 です。 11 5 日の前回の部会におきまして、平成 28 年度の募集定員の上限の算定に当たりましては実際の募集定員の倍率を 1.18 倍に近づけるよう、次の 2 点について変更 ( 補正 ) をしてはどうかという方向が示されましたので、その点について確認させていただければと思います。変更点の 1 つ目につきましては、研修希望者の推計方法についてです。現行では丸1にありますように医学部の入学伸び率を勘案して、国家試験の受験者数がほぼ研修希望者数と一致しているということで、これを推計するということをやっていたわけですけれど、これですと定員増をしたけれど入学してからの留年等によりずれてきてしまうということがあり、丸2で新たな方法としては本年度の研修希望者数、これははっきりした実数が出ているわけですけれど、これに来年 6 年次の研修希望者の増加分、それから再度研修を希望する者の増加分をそれぞれ推計し加算して算出してはどうかという方向で考えているところです。更に、もう 1 点変更点がありまして、 2 番目、募集定員の上限の算出方法です。これまでは研修希望者数の推計が出ますと、それに 1.18 、さらに来年以降は 1.16 1.14 という数値を掛けるという形にしていたわけですけれど、新たな方法としては研修希望者の推計数、丸2で出てきた者に来年は 1.18 を掛ける、ここまでは同じですけれど、今年度、都道府県が調整枠を配り切れなかった上限と募集定員の差、 361 を予め加えて上限とする、この 2 点の変更を行ってはどうかということです。

 具体的な中身につきまして資料 1-2 を使って説明させていただければと思います。研修希望者数の新たな推計方法についてです。先ほど説明した研修希望者の新たな推計方法を図解し、実際に平成 28 年度が何人になるかを示した資料です。研修希望者には図の一番上にありますように、毎年 6 年次の希望者と、オレンジ色で示したように国家試験の不合格等によって再度研修を希望してくる者の 2 種類のカテゴリーがあるわけです。新たな方法では左上に書いてありますように、本年度の研修希望者数に、丸1として 6 年次の希望者の増加分、それから丸2として再度研修を希望する者の増加分、それぞれを加えて算出しようということです。まず丸1の 6 年次の希望者の増加分についてですけれど、図の左下に括弧書きで書いてありますように、今年の 5 年次の在学生が、学校基本調査等によりますと、平成 25 年度の 8,380 人より平成 26 年度は 8,722 人へと 342 人増加している。これが来年 6 年生が増える人数になるであろうという形で、 6 年次の大学生の増加分と推計されるところです。それから、丸2の再度研修を希望する者の増加分についてですけれど、毎年研修希望者と研修の採用実績の間には 11 %分開きがあります。つまり研修希望者のうち 11 %は国家試験が不合格になってしまったことなどにより次年度の研修希望者に回ってくると仮定できますので、右下に書いてありますけれど、これにより推計される平成 28 年度の再希望者は 1,013 人、それから平成 27 年度の再希望者は 959 人ということで、来年は 54 人増加するのではないかと推計されるところです。ということで平成 28 年度の研修希望者につきましては、青い数字で書いてあります平成 27 年度の研修希望者 9,206 人に、赤の数字である 6 年次の希望者の増加分 342 人と、再度研修を希望する者の増加分 54 人を足して 9,602 人と推計されるところです。

 次に資料 1-3 です。新しい推計方法で計算した結果を図解してある資料です。平成 28 年度の欄を縦に御覧ください。オレンジ色のラインが研修希望者数の推計です。これまでの算定方法では点々で示しておりますように 10,042 という推計ですけれど、新しく変更した算定方法によりますと 9,602 と推計されるところです。これに 1.18 倍を掛けた 11,330 、紫色のラインですけれど、これが平成 28 年度の全国の募集定員数の合計にしたいということで、 11,330 人に、平成 27 年度に都道府県が配り切れなかった上限と募集定員の差 361 人を加えた 11,691 人、赤いラインですけれど、これが平成 28 年度の上限という形になるところです。

 最後に資料 1-4 を御覧ください。これまでの算定方法に研修希望者の推計と上限に 361 を加えるという 2 件の変更を加えた新しい推計方法で、現時点のデータに基づき平成 28 年度の各都道府県の募集定員の上限を試算してみた結果です。大変細かい資料になっていて見づらいところがあるわけですけれど、上のところで丸1から丸23まで欄がありますが、丸21の欄が各都道府県の募集定員の上限という形になります。丸22の欄には平成 27 年度の募集定員の上限との差が記載してあります。先ほどの資料 1-3 のグラフにありましたように、若干全体の上限が少し増えております。各都道府県で見てみますと、やはり平成 27 年度より少し募集定員の上限が増えているという県が大半ですが、幾つかの県では平成 27 年度よりも減少しているという形になっています。この主な理由としては、丸20の欄が各都道府県の調整枠になるわけですけれど、これは直近の採用実績に基づき、全国の都道府県に対するその都道府県の割合を出して配分しているということで、平成 27 年度は平成 25 年度の採用実績を基に配分し、平成 28 年度は平成 26 年度、今年春の採用実績を基に配分しています。このため、平成 25 年度から平成 26 年度にかけて採用実績が減少した県については調整枠が減少し上限が少し減少するという形になっています。ただ一番右側の丸23を御覧いただければと思いますけれど、直近の平成 26 年度の採用実績と上限との差で、いずれの県におきましても非常に差が大きく出ていますので、このくらいの減少幅であれば特段問題はないと判断しています。唯一、このままですと京都府だけが平成 27 年度の上限よりも 21 の減、さらに平成 26 年の採用実績が 254 だったのですけれど、それよりも 11 少ない上限となっており懸念されるところがありますが、この試算等につきましては資料 2 によって後ほど議論いただければと考えております。

 まずは平成 28 年度の募集定員の上限の算定に当たっての 2 点の変更点、それに基づきます試算等につきまして御確認をいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

○桐野部会長 それでは資料 1 、平成 28 年度募集定員の上限についてということで御意見をいただきたいと思います。

○河野委員  1 つ確認させていただきたいのですが、資料 1-2 6 年次の希望者数ですけれども、 6 年次の希望者の値も卒業試験と、それから先ほどの国家試験で 11 %ですか、 1 割ぐらいが落ちるというのの補正はあるのでしょうか。 6 年次の希望者も卒業試験を落ちる人もいるし、国試も落ちる人もいるわけですよね。

○田村医師臨床研修推進室長 研修希望者というのは秋がマッチングのときですので、 6 年生はこれでいいのです。

○河野委員 そうか。秋になるから。そうですね。

○田村医師臨床研修推進室長 ただ前年度落ちた人を勘案しないと。

○河野委員 そこに補正がかかる。

○田村医師臨床研修推進室長 そこに補正がかかっているということです。

○河野委員 はい、了解しました。それから、もう 1 点ですが、 361 人を加えてと、前の配り切れなかった分ですけども、これは結局比較的小さな病院や医師の体制が少し弱い地域で配り切れなかったということが多いと思うのですが、そういった地区がある程度改善して受け入れられるというのも 1 つあると思うのですよね。そうしないと大きい病院にどんどん補正値がいって、いつまでも弱い地域には医者が行かないということになりますので、その辺の改善度の状況の把握はあるのでしょうか。

○田村医師臨床研修推進室長 来年度どうなるかというのは実際にやってみないと分からないところがあるのですけれど、さらに翌年の平成 29 年度にやるときには改善して、もし調整枠をもっと使い切れてるということであれば、それを反映してまた翌年にやっていく。要するに 361 去年は余ってたのですけど、来年は 300 しか余ってないということであれば、平成 29 年度は 300 しか上乗せしない。改善していけばだんだん縮小していくのかなと思っております。

○河野委員 だんだんというのは分かるのですけども、どうしてもやはり大きな設備の整った地域のほうが有利に取れるという可能性はありますよね。やはりそういった取れなかった、枠を満たさなかった地区が改善して、比較的近いうちに取れるようになっていかないと、本当になかなか設備の整わない医師が集まらない地区の地域医療の改善というのはなかなか遅れてしまうのではないか。まあ長い時間かければ補正がきくというのは理解できるのですけども、直近の日本の医療状況を考えると待っていられないのではないかなという気もしますので、そういった指導と改善がないと、先ほど申したように枠が大きな病院のほうに流れていく結果にならないかなというのが危惧されます。

○田村医師臨床研修推進室長 もう 1 点その点について補足しますと、 361 を含めた分は配り切れなかった県にも配り切れた県にも全部平等に流れていくような形になっておりますので、そういう点では大きいところだけにいくという形にはならない仕組みにはなっています。

○小森委員 国試不合格等の 11 %というお話ですよね。国試が資格試験なのか選抜試験なのかということはずっと議論になっていて、つまり、この 11 %というのは直前で見る、毎年見直しをする、そういう理解でよろしいのでしょうか。

○田村医師臨床研修推進室長 この 11 %は直近の 3 年間の実績を基に出しておりますので、毎年、直近の 3 年間を見たうえで平均値を出そうとは考えています。

○小森委員 そうしますと、あくまで公式には少なくとも厚労省は資格試験である、このように明言しているということから、私どもとしては 100 %受かるというのが一番ベストの姿ですから、その数字は今後も 3 年間の数字を平均していこう、こういう基本的な考え方という理解でよろしいのでしょうか。

○田村医師臨床研修推進室長 はい、さようでございます。

○桐野部会長 実際は小森先生がおっしゃったとおりだと思うのですが、結局これは推計値なので推計するしかないということだと思います。よろしいでしょうか。若干複雑に見えますけど、考えていることはごく簡単で、これぐらいの人が研修を希望するだろうということを推計して、それに 1.18 を掛けるという、そういうやり方だということですか。

○小森委員 私、基本的に理解して賛成であることを前提に置いたうえで申し上げますが、 11 %というのは当然表に出ますので、その根拠をみんなで合意をするならしておく必要があるのだと思うのですね。これだけ出ると厚労省は元々それだけ落とすつもりかと世間は見ると思うのですよね。今後も 3 年でやるのだという合意は、もしもこうするのであれば合意をしておく必要があると思ってます。

○桐野部会長 そういう注意は必要だと思います。やはり、これは過去 3 年の平均データを使うという表現でないと、予め 11 %を置いちゃうと、なんかそうなのかと思ってしまいますので。ほかに御意見ございますか。

○清水委員 今の点に関係してですけど、 11 %が全部国試不合格者だけではないのですよね。なので、それも「等」の中にその辺も明記しておくといいかなと思いました。

○田村医師臨床研修推進室長 御指摘のとおり、国家試験に合格したけれど、どこの病院にも採用されなかった。それで翌年まわってくる人もいますので、その辺明確に書いておいたほうが、決して国試不合格者だけではないということが明確になると思います。

○桐野部会長 その「等」がつくというところを、主成分は多分国試不合格でしょうけど、意味をよく書いておかないと分かりにくいですよね。そのほかございますか。これは前回も議論したことなので、こういうやり方で平成 28 年度の募集定員の決め方の基数、それに 1.18 を掛けるのですから、それを決めることについては、この数に 1.18 を乗じた上で平成 27 年度募集定員で都道府県が配り切れなかった調整枠、 361 を補正として加えて、もし今回も 361 が配り切れないとすればぴったり 1.18 になるということですが、多分これはもっと各県努力されてこの数が減ると思うのですけども、その場合次年度はそれを減らしてしまおうということになると思います。これでよろしいでしょうか。よろしければ続いて次の資料の説明をお願いいたします。

○田村医師臨床研修推進室長 それでは、資料 2 を御覧ください。募集定員の上限 ( 試算 ) が直近 ( 平成 26 年度 ) の採用実績を下回る都道府県の対応についてです。先ほど、資料 1-4 を御覧いただきますと分かりますように、ほとんどの県では問題がないと判断しておりますが、京都府だけは平成 28 年度の上限の試算が、平成 27 年度の上限から 21 減って、 243 、それから直近の採用実績である 254 、これも 11 下回っている上限となっています。

2 番目を御覧ください。平成 27 年度も同じような現象が起こっておりまして、昨年については、募集定員の上限値、計算値で 244 と出てたわけですが、直近平成 25 年度の採用実績が 264 でしたので、特例として 20 を上乗せしたということを行っております。この際、募集定員の倍率は、もともと古い式で 1.20 で計算してたわけですが、それを決めた後に、最後 20 を上乗せしました。結果全国の募集定員が 1.202 倍にふくらむというような措置を行っています。

 今回、採用実績が 11 下回るというような結果が出ていますが、平成 28 年度にもし何をも対応しない場合に、どういった影響が出るだろうかをその下に書いています。京都府については、人口当たりの医師数が全国でも一番高いと出ています。二次医療圏別にその医師数を見ますと、 3 ページに地図を記載しています。京都・乙訓医療圏、京都市を含むような地域については、非常に高い数値になっています。北のほうの丹後、中丹、南丹などのこういった医療圏は、全国平均をずっと下回っているというような状況になっています。京都府にも確認してみたわけですが、こういった地域にある臨床研究病院、 4 ページにどこがそういう病院に当たるかの一覧を示しています。こういった病院も募集定員、例えば 2 とか 4 に対して、 2 人、 4 人来ているというような状況が採用実績としてあります。採用実績以下の定員になるということであれば、こういったところも削減しなければならない、医師不足地域に与える影響が非常に大きいので、是非御配慮くださいという意見を頂いています。

 その点について、事務局で対応案を考えてみました。 2 ページを御覧ください。

○の 1 つ目の所に書いてありますように、今年度、 20 の県を中心に都道府県調整枠を配り切れなかったということで、先ほど御了解いただいた案ですと、 361 を最後に補正で全国の上限に加える調整を行うということで、一応御了解を頂けたところです。今回、もし京都に特例を何らかの配慮をしていいということであれば、その人数分については、 361 から引いて、要するに京都に加算する分を予め引いた上で全国に加算する。最後に京都の加算分を加算するということで、 1.18 倍の試算を崩さない。去年のように、 1.20 倍のところを 1.202 のように全体を増やすことは行わないという形での対応は、考えられるのではないかと思っています。

 その上で、対応する場合の案ですが、案 1 と案 2 2 つの案を示させていただいているところです。案 1 については、昨年と同じような考え方に立つものです。直近の採用実績 254 と計算値 243 の増減との差 11 、これは戻してあげる。それから、医師不足地域については、先ほど京都府からもお話がありましたが、ずっと採用実績と一致させるというような形で対応してきましたので、従来の定員を維持するようなことも困難になってきています。例えば、配布先をこのような医師不足地域だけに限定した定員枠を+ 5 として加えるというようなことも考えられるのではないかということで、併せてやってみてはどうかと提案しています。

 この+ 5 というのは、一体どこから出てきたのかというと下の※ 2 の所に書いてありますように、京都府には医師不足地域としては、京都・乙訓地域以外に南のほうの山城などの地域もあるのですが、こういった所は、割と交通の便もいいのです。一番京都府としても配慮を考えなくてはいけないのは、丹後、中丹、南丹など、こういった地域です。こういった地域にある臨床研修病院は今 6 つあります。募集定員と採用実績がぴったり一致している所は、 5 病院ですので、 5 くらいの余裕があれば、こういった地域でも、募集定員、採用実績の維持などかキープできるのではないかと考えています。

 それが案 1 です。案 2 については、やはり早い段階で計算値に合わせていただくのが決めたルールだから、採用実績のいかんにかかわらず、上限の値が計算値にぴったり一致するように、着実に京都府の上限を削減していこうという案です。平成 27 年度は+ 20 、平成 28 年度はその半分の+ 10 、平成 29 年度は+ 5 、平成 30 年度はもうやらない。ただ、医師不足地域だけについては、先ほどの+ 5 くらいのところは、上限と採用実績の間に、ある程度開きが出て、調整枠で対応できるようになるまでは、認めてあげるというようなことをやってはどうかというのが案 2 です。

 案 1 でいっても、京都府の募集定員を下げ続ける限りは、必ず国家試験等による不合格者もいますので、募集定員と採用実績がぴったり一致する状態をキープするのは、なかなか難しいと思います。このため、採用実績もいずれこちらの計算値に一致し、更にはその下になってくるであろうとは予想されるわけです。案 1 と案 2 の違いはどれだけ早くその計算値に一致させるかの点の時間の違いかと思っています。どの辺りの案がいいのか。御議論いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

○桐野部会長 御議論をお願いしたいのですが、去年も同じようなことをやって、 1 回限りというお話で調整をしたのです。ただ、この資料 1-4 の総表を御覧になると分かるように、各県とももう激変緩和を数年やって、そういう形に段々馴化したというか。そういう形に各県とも落ち付いてきているのですが、京都府だけは、もうちょっとスピードが遅くて、激変緩和がストップした時点で、まだまだうまく順応していません。これをどうするかですが、何か、御意見がありますか。

○小森委員 基本的な理念として、やはり地域医療をしっかりと守る、強化するというのが第一義だと思うのです。どういう議論があるにせよ、数式で切っていくというのは、本末転倒なのだと思っています。

 しがって、案 2 というのは、やはり数式ありきということですから、ないのだろうなと思います。ただ、案 1 の中で、+ 5 が適切かとか、細かいところはあると思います。そういった理念からは、やはり京都は長い歴史の中で、こういう実態があるのを踏まえて、議論すべきだろうと思います。

1 2 しかないとすればの話ですが、この中では 2 はない。やはり、京都という地域の医療をしっかり守るためには、 1 を基本として、議論するのがいいのではと思います。

○桐野部会長 そのほか、ありますか。

○神野委員 まず、質問です。この京都の乙訓地域の非常に採用実績と募集人員が多くて、しかも地域が非常に高い。京都大学と京都府立医大ですが、ここの中からたすき掛け等で、丹後に行っている、行ってないというのは、分からないでしょうか。

○田村医師臨床研修推進室長 少なくとも、自分の知る限りは、府立医大はそういうようなことも行っていると認識しております。そういうプログラムはあります。

○神野委員 だから、もしかしたら、京大、府立医大に入っている方々のどれだけかが、この医師不足地域にたすき掛け等で行っているとするならば、もしかしたらそれなりにあるのかなという質問をします。すぐに実態が分かればと思いました。

 それから、今小林委員がおっしゃったように、やはり地域の医師の偏在を何とかしなければいけないということで、この募集枠の話が出てきているわけです。私も 1 2 なら 1 かという気がします。本質的には、この京都市のほうから削るのは本質だと思うのですが、その辺がなかなかまだ難しいのかという感じでしょうか。

○桐野部会長 ほかに御意見はありますか。

○中島委員 基本的にはやはり数字でシミュレーションをして出したものは、微妙に違ってきます。毎年わずかながらの修正を加えるということがあっていいと思う。案 1 でいいと思いますが、例えばやはり京都・乙訓域に固まって、ほかの所に余りいないのではないか。ということで、 1 つ府の問題になってくるのではないかと思うのです。先ほど、おっしゃいましたが、府立医科大学は北部医療センターというのがあります。これはもともとは与謝の海病院だったか。非常に僻地でもう医者は来ないし、大変だったのです。

 ところが、これを附属病院化することで、職員が 1 日は外へ出ていいということになります。アルバイトに行けるという状況になったので、少し集まりやすくなったと言われてました。そういうことを進めてくださいというのは、あくまでお願いですが、文書でなくとも、言葉で言われても結構ですが、それくらいが関の山でしょう。

○田村医師臨床研修推進室長 その点について、少し補足させていただきます。京都府から事情を聞いたときも、やはりここはもっと強化して、実は募集定員も増やしたいくらいなのですが、実際のところはもう採用実績はぴったりで設定されているので、そういう努力も今はできない状況なので、御配慮いただければと言われています。

○押淵委員 基本的には 1 案が妥当だと思われます。その根拠は、京都・乙訓地区に集中している医師数が、いずれ平成 29 年度から地域医療対策協議会等で、県単位での調整が始まるだろうと思います。そういったことを見据えていくと、徐々に周辺地域への医師の偏在が是正されていく。その時期まではやはり毎年毎年検討しながら、地均しをしていくのが妥当かと思います。 1 案が適当かと思っております。

○河野委員 理解していないかもしれないので、確認させていただきます。案 1 と案 2 の違いなのですが、案 2 のほうにも、まず 361 は、前回配り切れなかった枠は配分するというような前提でいいわけですよね。また、私は京都のこのような状況というのは、ほかから比べても片寄ってますから、対策が必要だと思うのですが、この医師不足、地区特例の上の案 1 の下に書いてある文章は、案 2 も同様に施行されるということですよね。そうしますと、非常に片寄った地区に関しての填補はし、余っていたら、さっきの配分できなかった分も補填するのを原則に、特にへこんだ所には補正するとしますと、案 2 も現実の地区の医療に関しては、運用において按分するのであるならば、影響は少ないのではないか。実際の数が私は見えないものですから、具体的にそのように補正した場合、どの程度案 1 2 、で差が出てしまうのだろうかが分からないのです。流れから言えば、案 1 、と思います。ただ、影響が先ほどから皆さんが御議論のように、現実的な影響と運用を考えたときに、地区での、当然影響に対して、現実的な対応をしなければならない。それは私もそのとおりだと思います。いかがでしょうか。

○田村医師臨床研修推進室長 案 2 と案 1 の違いが大きく出てくるのは、平成 29 年、 30 年のところだと思っております。京都府は募集定員が徐々に減っていきますので、採用実績も減ってくるのでしょうが、今年は直近の採用実績が 254 でした。仮に来年の採用実績が 252 251 位だとします。一方で平成 29 年の京都の計算値は、採用実績が段々減ってくることを踏まえると、計算値もまた落ちていく格好になります。案2ですと平成 29 年は+ 5 ですので、上限が 246 247 くらにしかならず、やはり採用実績を下回ってくる。再来年の平成 30 年のときには、+0ですので更にその開きが大きくなってくるということで、影響が大きいかと思っております。

 その点は案 1 のように、平成 29 年については、直近の来年の採用実績がどうだったかを見た上で、御判断いただくというのが一番無難かと思っております。

○河野委員 合理的にはやはり案 1 で、地域にとっては案 2 にするとかなり厳しいという気はいたします。今のお話は了解しました。

○桐野部会長 そのほか、御意見はありますか。今の委員の御意見では、案 1 であれば、合理的だろうということですが。いずれにせよ、京都府には府としての御努力を頂いて、最終的にはフラットに各県とも同一の算定式で算定されたものでやれる範囲に、いろいろな調整をしていただく必要が、どうしてもあるかと思うのです。このような調整を、今後もずうっと続けていくようなことは、なかなか難しいと、やはり京都府にも言っていただかないと。小川先生は今日は余り発言されませんが、去年は今年限りであるという話であったわけです。それを毎年毎年、今年限りをやっていたのでは、ここで何を決めているのかと問題になります。一方で、地域医療を損じてまで、数字合わせをする必要は確かにない。小森先生の御意見のとおりだと思いますが、一方で京都府としても、こういうルールでやっていく。数で収まる範囲で、上手に案配していただくしかないと思います。そういう基本を前提にした上で、今年については去年は去年限り、今年も今年限りという言葉を入れるかどうかは別として、今年の平成 28 年度においては、ここに書いてありますように、京都府のように上限が直近の採用実績を下回る場合、医師不足地域における臨床研修病院の定員を増員することが困難となるため、直近の採用実績まで戻した上で医師不足地域に限定した定員枠+ 5 を加えることを今年は行ったということにしないと、これは来年もやるかもしれないということを前提とする言葉ですね。

○田村医師臨床研修推進室長 一応、平成 29 年度は来年の状況を踏まえて、御判断いただけたらと思います。

○桐野部会長 そういう意味では、こういうように来年もまたやるかもしれないというニュアンスのある文言よりも、もう本当にないというようなことを言わないと。毎年毎年、これはやるのですか。

○田村医師臨床研修推進室長 ある程度、もう大丈夫だと判断がついたら、打ち切ってもらうということなのではないかと思います。

○桐野部会長 確かに京都府の北部は私もある程度は知っていますが、医師不足は本当に厳しいです。ただ、京都市の周辺については多い。もちろんいろいろな事情、歴史があってそうなっているので分かるのですが。しかし、同じことを言い出せば、東京だって、どこだって同じような問題が起こるのです。

 いかがでしょうか。では、今年についてはというよりは、来年以降の限定の言葉を交えずに、平成 28 年度については、このようにするということでよろしいですか。

○河野委員 桐野先生の御意見は全く賛成です。やはり、先ほど毎年毎年変えていくというのが、ルールから外れて、何かスタンスが見えなくなってしまうのが一番の危惧で、先ほど発言したのです。そうだとするならば、もう少し、毎年毎年でなくて、今の御説明があった平成平成 29 年平成 30 年の動きを踏まえて、全面的にこれを部会として、方針をある部分、こういう形でいきましょうというのを基本的に変えることにはならないのでしょうか。そうしないと、恐らく来年も似たような議論が起きてしまうのではないかという気がします。それは難しいのですか。

○桐野部会長 いかがでしょうか。来年ということは、平成 29 年の数を決定するときに、どのようなことが起こきるか、まだ想定できない面もあるので、余り縛りまくってしまうということに恐らくちょっと躊躇しているということだろうと思うのです。だから、前年度に+ 20 を加えたときに、これは 1 回限りであるということは、確かにここで協議したと思います。それで、今年度については、京都府はそういうようになりますということは、よく知っておられるので、ここで判断するのは、この採用実績の間 21 ですね。違っていますか。

○田村医師臨床研修推進室長 採用実績との差は 11 です。

○桐野部会長 違っている状況であると、やはり北丹地域に、研修医が行かないという状況は生まれかねないということであって、それをこの部会で検討した上で、案 1 のような修正を今年度については、許容するということだろうと思うのです。来年についてまでは、ここでは言及してません。できれば来年度は全国同じような基準で、研修医が配分できるのであれば、結構であると思います。来年度まで、ここで予言することはできません。これでよろしいでしょうか。よろしいですか。委員の、賛成であると言われる委員の案 1 がいいという意見で、案 2 がいいという意見はありませんでした。案 1 でお願いしたいと思います。

 随分早く進んでいますが、よろしいでしょうか。では、議題の 2 「その他」に移らせていただきます。事務局からお願いします。

○森医師臨床研修専門官 資料 3 を御覧ください。「平成 26 年臨床研修修了者アンケート調査 ( 速報 ) 」がまとまりましたので、御説明いたします。スライド番号 1 は、平成 26 3 月末までに臨床研修を修了予定の研修医 7,534 名にアンケート調査を配布しました。回収数は 5,905 、回収率は 78.4 %です。今回はアンケートを 2 種類用意し、共通項目とアンケートごとに異なる質問項目を設けるような形式としております。配り方として、 5 名に 1 名の割合でアンケート1を配り、その他の研修医にアンケート1を配っております。したがってアンケート1が 4,531 、アンケート2が 1,374 の回収数になっています、基本属性、若しくは臨床研修を行った病院については資料にあるとおりです。

1 枚めくり、「臨床研修の実施状況等」についての結果です。スライド番号 3 ですが、今回新規の質問項目として、「到達目標における各行動目標」の習得状況について回答をいただきました。「十分に習得できた」「ある程度習得できた」と答えた研修医の割合は 8 割を超えております。こちらを大学病院と臨床研修病院と分けて分析をしたところ、全ての項目において大学病院のほうが、臨床研修病院よりポイントが上回っているというデータ結果になっております。

 スライド番号 4 は、「到達目標の臨床知識や技術等」について経年で質問をしている項目になります。たくさんの項目を質問しておりますけれども、代表的なものとして 4 つ取り上げております。おおむね「自信をもってできる」「できる」と答えた研修医の割合は全体的に年々上昇している状況です。ただ気管挿管に関しては、臨床研修病院のほうで若干パーセントが下がっていますが、こちらは平成 23 年度が 96.2 %、平成 26 年度修了者が 94.3 %という状況です。全体的にはおおむね年々上昇、若しくは横ばいといった状況です。

 スライド番号 5 は、「将来希望する診療科の変化」について、こちらも経年で取っているデータです。内科から始まり、スライド番号 6 のリハビリに関してまでの数字を取り上げております。スライド番号 5 では、麻酔科、精神科については増加傾向にあります。スライド番号 6 では、皮膚科、耳鼻咽喉科、放射線科を中心に増加傾向にある診療科があります。ただ、ほかの世代の診療科の状況も考慮する必要があるということで、平成 24 年度の 3 師調査のデータ、 30 代前半・後半についても併記させていただきました。

 また、診療科の変化を男女別に示したものがスライド番号 7 です。男女別では、産婦人科、麻酔科、皮膚科に関しては女性の割合が、研修前後とも 5 割を超えている状況です。

 これらの診療科の変化をもう少し詳しく分析したものがスライド番号 8 以降になります。例えば、スライド番号 8 の内科系に関しては、青い丸で囲んだものが研修開始前に希望した人数で 2,163 人です。研修修了後に内科系を希望した人数が赤い丸で 2,020 人といった変化が見られます。この重なる所に関しては、研修前後で診療科に変化がなかった人数で、青丸の左側に関しては研修後に他の診療科に移行した人数です。赤の右側が研修後に他の診療科から移行してきた人数を示しています。

 参考に 3 師調査の 30 代前半・後半、そして全医師数の割合については右下にグラフで示しております。内科系、外科系、小児科、産婦人科に関しては、希望する人数は出入りがあった結果若干減少している状況です。麻酔科に関しては増えております。救急科、そして精神科の状況はスライドにあるとおりです。

 「臨床研修修了後のキャリアパス等について」ということで質問をしております。スライド番号 16 は、研修修了後に勤務する病院の予定を聞いたところ、大学病院は 5 割を超えた状況です。平成 25 年度と比べて割合が高くなっています。

 スライド番号 17 で、「入局予定について」という質問に関して、修了後に入局を予定している方は全体の約 7 割でした。大学病院では約 9 割、臨床研修病院では約 6 割となっています。平成 25 年度と比べたところ、大学病院及び臨床研修病院のどちらも研修修了後の入局予定者の割合は若干ですけれども、数字的には割合が高くなっている状況です。

 スライド番号 18 は、「医学博士の取得の希望」です。取得希望者が全体の約 4 割で、大学病院と臨床研修病院を比べると、やはり大学病院のほうでその割合が高くなっております。平成 25 年度と比べても、大学病院では希望者の割合が高くなっている状況です。

 大学院の進学の時期について質問したものがスライド番号 19 です。「臨床研修修了後、すぐの進学」が約 1 割、「修了後一定程度経験を積んだ後の進学」が約 7 割となっています。また、「臨床研修期間中に研修と並行した進学」についても約 1 割の回答が上がってきています。

 スライド番号 20 は、大学院での研究分野、これは取得希望者のみの回答になります。大学院での研究分野は、「臨床」が約 6 割、「基礎」が約 2 割となっています。大学病院と臨床研修病院と比べると、臨床の割合が約 12 %高いという結果になっております。平成 25 年度と比べて、大学病院と臨床研修病院のどちらも、臨床と回答した者の割合が高くなっている結果です。

 次に、「地域枠の状況や医師不足地域への従事についての体制の意識等について」を説明いたします。スライド番号 22 になります。こちらは平成 26 年度の研修修了者になりますので、入学した時点では、今でいう地域枠の定義には当てはまらない、まだ地域枠が始まっていない頃の時期ですので、そういう点も留意して数字を見てください。「地域枠、地域医療等に従事する明確な意思をもった学生の選抜枠で入学しましたか」という質問に対して 142 人、 2.4 %が回答しております。また、「何らかの奨学金の受給をしていますか」という質問に対しては 521 人、 8.8 %が回答しています。この 1 又は 2 の足した該当するものとしては 599 人という状況でした。

 スライド番号 23 で、奨学金の支給元としては「都道府県」「市町村」「大学」という回答が上げられています。臨床研修中における地域と特定の診療科への従事が求められているかについての質問については、「必ず求められている」、若しくは「全体の臨床研修の期間中が含まれているが必須ではない」の両方を足すと 57.5 %が何らかの地域や診療科への従事が求められています。その求められている方に対して、どのような医療機関を選択するかを聞いたものが下のグラフです。「都道府県内」や、「市町村内」という所での選択の回答が上げられております。

 スライド番号 24 は、研修修了後における地域、若しくは特定の診療科への従事が求められているかという質問になりますが、「必ず求められている」、若しくは「臨床研修期間中は全体の期間に含まれているけれども必須ではない」という回答については 69.2 %です。その医療機関の選択に関しては、下のグラフにあるように「都道府県」、若しくは「大学以外の特定の医療機関」という所での回答が多く寄せられております。

 スライド番号 25 は、地域枠奨学金受給者以外の方への質問での回答になります。医師不足地域への従事についての意識として「積極的に従事したい」「条件が合えば従事したい」については約 7 割弱の回答が上げられてきております。

 スライド番号 26 以降は、今回新規の質問項目になります。研修中の学術活動について質問いたしました。スライド番号 27 は、学術活動の必要性については、全体としても「大変必要である」「まあまあ必要である」と回答した者が 8 割を超えております。実施状況に関しても約 8 割が何らかの活動をしたという回答が寄せられております。

 その中身に関してはスライド番号 28 になりますが、多くは「学会に参加した」というものが上げられております。その他には「症例報告」や、「研究成果を病院内で発表」又は「学会で発表」という回答が寄せられております。「学会に参加した」に関しては、大学病院のほうが多い状況になっております。実際に学会で研究成果や症例報告を行ったということに関しては、大学病院と臨床研修病院を比べると、臨床研修病院のほうが多い状況です。

 スライド番号 29 は、学術活動で支援をもらった内容についての質問です。「指導医による支援を頂いた」が約 8 割です。その他に「レクチャー」、若しくは「研究デザインのコンサルテーション」というものの支援が上げられております。これに関しては、多くは指導医による学術活動の支援は、大学病院のほうで 8 割以上、上げられておりますけれども、コンサルテーションといったところでは、臨床研修病院のほうが支援を多くいただいている状況です。

 スライド番号 30 は、学術活動を行う上での障害の有無についてお聞きしました。障害があるかどうか、「ない」と答えた者が約 7 割以上になっておりますけれども、もしあった場合の具体的内容としては、「学術活動を行うための時間がなかった」が大学病院では多くなっています。逆に、研究デザイン、手法の相談相手がなかったに関しては、臨床研修病院のほうで多くなっています。アンケート調査の速報に関しては以上です。

○桐野部会長 平成 26 年度臨床研修修了者のアンケート調査結果について、何か御意見、御質問があればお願いいたします。今回は回収率が 78.4 %ですから、かなりの割合で答えています。しばらくこれを御覧になって、もし御意見があればお願いします。

○河野委員 大変興味深く拝見したのが、 3 ページと 4 ページの「医師としての行動目標の医療人としての必要な基本姿勢、態度」と「技能」の、大学病院と臨床研修病院の差です。基本姿勢は大学病院のほうが比較的パーセントが高く、技能については前からよく言われていたのですが臨床研修病院のほうが多い。私は前は大学にいて、今は臨床研修病院にいるものですから微妙なのですけれども、自分の感覚としても、これはそうだなという感覚があります。この感じが、両方にいて今は感じます。そうすると、初期の研修医の 2 年間何が一番ポイントなのか。技能を教えるのが重要なのか、医師としての姿勢を教えるのが重要なのかという感じもあって、大変興味深く拝見しました。

○中島委員 ちょっと気になるのは、患者・医師関係については臨床研修病院よりも大学病院のほうが「十分に習得できた」という人の率が高いのです。これは、大学病院のほうが、医師・患者関係に対する見方が甘いのではないか。研修医がそう感じやすい環境があるのではないかと思って他のデータも見ていくと、なるほどなと思えてしまうところは今後の問題ではないかと思うのです。

○押淵委員 25枚目 の医師不足地域への従事についての意識ですけれども、「条件が合えば従事したい」という、こうした条件についてはそれにサブタイトルといいますか、もっと詳しい何かが項目として挙げられているのでしょうか、それともこのままでしょうか。

○森医師臨床研修専門官 今回の平成 26 年度のアンケートでは、質問は省いているのですが、平成 25 年度ではそういう質問をしております。条件についてということで、「一定の期間に限定されている」というものが、複数回答で 43 %ぐらいの回答が上げられています。次に多かったのは、「自分と交替できる医師がいる」で 30 %ぐらいです。「相談ができる常勤や他科の医師がいる」が 28.9 %です。平成 25 年度の結果で公表しているものがありますので、後ほどお渡しいたします。

○押淵委員 参考までに、長崎県の離島が多い地域では、こういうことを常に調べておりますが、やはり同じような回答が出ております。こういう調査項目については、経年的に続けていっていただきたいと思います。

○清水委員 根本的な問題で大変恐縮ですが、前から思っていたことがあります。そのアンケートの配布の方式で、 5 名に 1 名に配るものと、全員に配るものとがあると思うのです。その差はどこで、なぜそのようにしているのかを聞かせてください。

○森医師臨床研修専門官 平成 25 年度は単一の種類のものを全員に配りました。平成 26 年度の調査については、いろいろな質問項目を盛り込みたかったということです。ただ、それを全員に聞くと負担もあったので、 2 種類に分けてアンケート調査をお配りしました。 5 名に 1 名の割合というのは、臨床研修病院のほうで無作為に選んでいただいている状況です。

○清水委員 今の点で、当院も人数が 10 名以上なので、 5 名に 1 名のものをもらう研修医と、そうでない研修医がいます。意図して恣意的にやるわけではないのですが、場合によっては恣意的になることもあると思うのです。どうせこのように公表されるのであれば、全員同じものでいいのではないかと、以前から思っていましたので、お考えいただけると有り難いと思います。

○森医師臨床研修専門官 平成 27 年度の調査票において、調査手法という視点からも検討させていただきます。

○桐野部会長 スライド番号 16 で、大学へ研修修了後は帰りたいというか、大学で勉強したいという人がかなり増えつつあるような感じなのです。そういう動きであるという以上に何か分かることはないのですか。

○森医師臨床研修専門官 これに関しては理由まで質問していないので、これ以上の分析はなかなか難しいところであります。現場の先生方から、こういう状況があるというようなものがあれば是非参考に教えていただければと思います。

○桐野部会長 これは、もうちょっと見ないと傾向は分からないですね。

○森医師臨床研修専門官 そうです。経年的に見ていかないといけないのかと思います。

○中島委員 大学で研修したいというときに、専門医を意識して大学へ行かれますかと。どういう問い方がいいかは分かりませんけれども、それが必要なのだろうと思います。今の専門医認定機構ができて、やはり専門医が非常に現実化してきている中で、一体どこで研修するのが一番いいかというと、やはり研修医はかなり現実的に考えていると思います。その辺りの設問を 1 個挟んだらいいのではないかと思います。

○神野委員 今の中島先生のお話と同じように、既に研修医たちはまだ決まっていないですが、新しい専門医制度のいろいろな条件の情報を得ているのが現実です。その中で、今の専門医機構や学会等で言われているのは、大変厳しい条件が付いています。そうすると、臨床研修病院で専門医をこれからは取りにくくなるぞというアトモスフェアがあるような気がいたします。

○森医師臨床研修専門官 参考ですけれども、平成 25 年度にはこの病院を選ぶ際の理由を聞いております。一番多い理由としては「出身大学である」、その次に「臨床研修後の研修プログラムが優れている」、これが 18.6 %と 18.4 %です。大学病院以外の病院を選択した研修医の回答のうち、一番の理由としては「研修プログラムが優れている」が 21.5 %、「優れた指導者がいる」が 20.5 %という結果は出ております。専門医の視点が平成 25 年度に質問した内容に含まれていなかったので、平成 27 年度の調査票を作る際には是非参考にさせていただきます。

○桐野部会長 アンケートに関する御意見、御質問は他にありますか。

○河野委員 先ほどは大学病院に少し肩入れした発言をしましたけれども、本日もう 1 つ非常に興味深かったのは、研修中の学術活動等の 26 番、 27 番辺りです。これを見ると、学術活動というと、大学病院というイメージがあったのですが、臨床研修病院がすごく頑張っています。必要性についても臨床研修病院が非常に貴重であるというのが多いです。実際的な活動を見ても、臨床研修病院がこんなに高かったのかという印象があります。これは意外と皆さん認識されているのかという気もいたしました。臨床研修病院はこれをアピールしてもいいのではないかというデータだと思います。

○小川委員 今は、研修修了者のアンケート調査結果について議論しているわけだけれども、これと離れてもよろしいですか。

○桐野部会長 もちろん結構です。

○小川委員 医師臨床研修部会の位置付けなのですけれども、大変真摯に重要事項を議論していることは非常によく分かります。例えば、数の調整など、非常に各論の各論を議論していると思います。臨床研修制度を将来どうするのだという議論が全くないのです。初期臨床研修は平成 16 年にスタートしました。その時には、 5 年後に「臨床研修制度の在り方に関する検討会」が立ち上がって、平成 21 年にその報告書を出しています。その時にはまだ 5 年しかたっていないのだから、今回の見直しでは抜本的な見直しまでは到底いきません、もう少し様子を見ましょうということになりました。しかし、 5 年ごとに見直しをしてゆくことが「臨床研修制度の在り方に関する検討会」の報告書で明示されています。

 これを受けてその数箇月後に、文部科学省の中に臨床研修制度の在り方に関する報告を受けて、医学教育カリキュラム検討会ができました。例えば、全国共用試験を全国統一基準で実施し、そして証明書を発行しましょうということをその時に言っています。臨床研修を充実させて、地域と一体となって医師を養成しましょうと。研究医も養成しましょうということ。あるいは国家試験も改善しましょうということを、かなり突っ込んだ形でカリキュラム検討会の中で議論されて、報告書が平成 21 年に出ています。歩みはちょっと遅いのですけれども、このうちのかなりの部分が最近動き出しました。

 平成 21 年の「臨床研修制度の在り方に関する検討会」の結論にきっちり書かれているのですが、卒前・卒後の一貫した医師養成を図る観点から、医師の生涯にわたる学習の在り方について、更に抜本的に見直していく必要があるのだということです。この文言の中には、初期臨床研修制度が未来永劫このままでありきということではなくて、周りの卒前教育の改善、あるいは卒後教育の改善の進み方によっては、この制度そのものの在り方というか、存続させるのかどうかということについても、抜本的に見直すのだという意味が入っていると思います。抜本的見直しが必要である事を長らく医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で述べてきました。各論のことはやるのですけれども抜本的な、将来初期臨床研修制度が卒前医学教育が変わってきて、専門医制度も変わってきて、卒後の研修の状況も変わってきた。生涯学習のスキームも変わってきた中で、それでは初期臨床研修制度ありきということを前提にして、そしてマイナーチェンジをしていくことが正しいのかどうかということです。

 抜本的見直しをどこで議論をするのかのいうことです。この委員会でやってもいいというのだったらこの臨床研修部会で、きっちりとした、今までどおりこの制度は今後も続くのだということを前提にして議論するのではなくて、この制度そのものの存続、そして別の形に変わっていくような議論をするのかしないのか、それはこの臨床研修部会でやるのか、別の委員会を作ってやるのか、この辺に関してきちんと方向性を決めるべきではないかと思います。

 平成 16 年にスタートして、ちょうど 5 年後の見直しのときに、臨床研修制度の在り方に関する検討会があって、そのときはたった 5 年しかたっていないのだから、抜本的な改変は無理だとされました。次の 5 年後の議論に任せましょうという報告書でした。現在はもう 10 年を過ぎているわけですから、 10 年を過ぎた段階で、この制度を将来どのように位置付けていくのかの議論が必要です。そして、卒前の医学教育カリキュラム検討会で検討して、今は全国医学部長病院長会議だとか、国際認証だとか、様々な変化が起こっているわけです。その変化を無視して、ただ単に延々と続けていくのがいいのかどうか。これをどこで議論していただけばいいのかということを申し上げたいのです。。

○桐野部会長 非常に本質的な御意見です。初期臨床研修制度自体が、戦後のインターン制度から 60 年を経てやっとできたというか、それほどいろいろな軋轢があり、副作用はあったのですが、かつてのインターン制度のような、とんでもないというようなことではなく、それなりにしっかりやっていこうということで 10 年やってきました。少なくとも私が感じている範囲では、これを早急に抜本的な変更を検討すべきであるという議論は、そんなに社会的に起きているようには感じないのです。もちろんそういう意見もあるだろうとは思います。

 現在行われようとしていることは、 5 年おきの見直し、それはあくまで通常の段階を経れば 18 歳で大学に入り、 24 歳で卒業して、そのまま医師免許を取れば、その後は 26 歳で本当の意味の現場に出る臨床家になっていくというやり方をしていく。スーパーローテート方式のようなやり方のみでやるのではなく、それなりに選択肢を設けるという見直しが行われて、現在はかなり多くの診療科を回る方式でやっている所もあれば、比較的そうでなくて 1 年間に限定されたやり方をしている所もあるという状況で何年か来ているわけです。現在、次回の見直しに向けて進行している準備状況について事務局から言っていただけますか。

○田村医師臨床研修推進室長  5 年ごとの見直しで小川先生が言った 5 年前の 1 回目、それから昨年は 2 回目の見直しの報告書を頂きました。臨床研修の理念は大事だけれども、根本的に 10 年見直していない到達目標からきちんと見直しをして、特に卒前教育、専門医の教育、国家試験等もこれから変わってくるので、もっと連続性を踏まえて見直しを行っていこうという方向性が今は示されているという認識をしています。

 去年 12 月の報告書を踏まえ、今年の 8 月にはそれを具体的に検討するワーキンググループを立ち上げて今検討を始めました。正に小川先生が御提示されているような、卒前・卒後の一貫、生涯教育まで見据えたところの見直しを次の 5 年に向けて行っていこうというところです。その際には、報告書にも臨床研修の期間も、状況によっては見直しもということが記載されておりますので、それも含めて臨床研修部会で検討していただく流れになっていると理解しております。

○桐野部会長 その検討は、あくまでも卒後 2 年間の初期研修を行うという法令の定めに従って、 2 年間の初期研修をどう有効に行うか。確かに先生がおっしゃるように、学部教育と初期臨床研修と、その後の専門医教育はシームレスにうまくつながるようにするという観点も含めてやるということだろうと思います。この初期臨床研修制度の改廃を含めたような大きな議論はここには向かないと思います。

 ただ、それが社会のかなり大きな問題として、そういうことが例えば医学部長会議からもそれが必要であるというようなことであり、日本医師会からも当然それは根本的に見直すべき時期に来たということがあれば、どういう言い方がいいのか分からないですけれども、多分医道審議会の中に、そういう会が作られて議論されると思います。だから、ここでは恐らく 2 年間をどのように良い初期臨床研修制度にしていくかという議論に限定した議論が当面我々の役割と思います。

○小川委員 もう 1 点は、今の学生というか卒業生も含めて見ていると、 CBT 4 年生から 5 年生に進級するときに、これは知識を問うているわけです。それの到達目標と、国家試験の到達目標と、更にこの 2 年間の初期臨床研修の到達目標がほぼ同じなのです。そういうことになると、日本のような借金大国で、こんな効率の悪い教育をしていていいのかというのがあります。 CBT のところで、その知識の部分をチェックして臨床実習でやる。今の臨床実習は参加型実習になって、どんどんシフトしてきておりますし、国際臨床制度の関係でも、これはどんどん加速していくと思うのです。そうなってくると、卒後臨床研修と、学部で行う臨床実習がほとんどかぶってくる。そうなると、ダブッて 3 回も同じ到達目標で学習をさせる必要はないのです。日本国民の方々の福祉を考えれば、もっと早く一人前にして世の中に出してやるという仕組みそのものが必要なのだろうと思っております。

○北澤医事課長 ありがとうございます。小川先生から本質的な話がありました。 1 つ御紹介したいのは、この場ではないのですけれども、国家試験の見直しについても先生がおっしゃるとおり、学部教育での CBT の標準化を踏まえた国家試験の在り方も現在検討されております。同じような考え方からすれば、先ほど室長から申し上げた到達目標をどうするかということを検討する中で、やはりその中には学部教育、あるいはその後の話も踏まえた形の検討がされると思います。そういう中で、小川先生がおっしゃるような重複の有り無し、あるいはどの時点でどこまで到達すべきかというのは、それぞれが少しずつ動きながら行われるものだと思いますので、その時々の状況をよく御議論いただくということは非常に重要かと思います。

○桐野部会長 医学教育の方法の根本に触れる問題で、非常に重要だろうと思うのです。確かに小川先生が言うように、冗長に同じことを繰り返しやる必要があるかというのは恐らくないだろうと思います。似た同じことを繰り返しやることが必要な場合もあるので、これはなかなか一概には言い難い面があります。当面ここでは次回の見直しに向けた議論も、特に到達目標についての問題については恐らくやることになると思います。今は数の調整をやっていますけれども、この数の調整は、初期臨床研修制度の本質ではありません。もうしばらくすると自動運転になりますから、この議論は余り大きな問題にならないと思います。今後は、初期臨床研修制度を、いかにその質を高めていくのかという議論をしていただくようになるのかと思います。何か御意見はありますか。

 よろしいでしょうか。重要な御指摘を頂いたと思うのです。これについては、是非今後この到達目標の議論の中には、当然その前提として初期臨床研修制度の在り方、基本的考え方がベースにあって出てくるものですから、その基本的在り方についての御意見も当然ある程度そこに出てくるだろうと思います。他になければ事務局から何かありますか。

○田村医師臨床研修推進室長 本日の御議論の結果を踏まえ、平成 28 年度の研修については都道府県別上限を最初に設定した上で、募集開始に向けた準備を進めたいと思います。臨床研修のアンケートについても、本日頂いた御意見も踏まえ、来年に向けた内容にしていきたいと思います。小川先生から御指摘のありました御意見もワーキンググループのほうでしっかりと議論していきたいと思います。ありがとうございました。

○桐野部会長 どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局医事課
    医師臨床研修推進室
(直通番号)
03-3595-2275

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