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2014年11月13日 第4回生活保護受給者の健康管理の在り方に関する研究会議事録

社会・援護局

○日時

平成26年11月13日(木)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎4号館 全省庁共用第108会議室(1階)


○出席者

相澤 照代 (委員)
芥川 千津 (委員)
浅沼 奈美 (委員)
石原 美和 (委員)
滝脇 憲  (委員)
津下 一代 (委員)
増田 和茂 (委員)
村山 伸子 (委員)
森  貞述 (座長)
(中板 育美(委員)は欠席)

○議題

とりまとめに向けた議論について

○議事

○森座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第4回「生活保護受給者の健康管理の在り方に関する研究会」を開催させていただきます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきます。

 お手元の議事次第の「(2)とりまとめに向けての議論」ということで、このことにつきまして始めさせていただきます。前回までの事務局からの説明及び各委員の皆様方から大変幅広く真摯な御報告をいただき、特にまた、実践をしていらっしゃる委員の皆様方からは現場の状況もわかりました。本当にありがとうございました。

 今回は、本研究会の取りまとめを見据えて議論を行いますが、議論に当たりまして、まず事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いします。

 

○事務局 それでは、お手元の資料1に沿って御説明をしたいと思います。

 今、座長からお話がありましたように、実際に取りまとめに向けた議論というのをお願いしたいと思っております。

 まず、研究会の取りまとめに向けた論点ということで整理させていただきました。

 これまで第1回におきましては、委員の皆様からフリーにさまざまな視点からの御意見をいただきました。第2回、第3回におきましては、委員の皆様のそれぞれの専門的知見からの御報告をいただいております。それらを踏まえ、具体的な議論に当たり、事務局において整理した論点となります。

 取りまとめの構成としては、大きく4つの柱に分けております。

 1点目として、健康管理支援の対象者についてどうするか。2点目として、その対象者を選定するにはどうするか。3点目として、その方々に対する支援の手法というものはどのようなものがあるか。最後に、支援についての評価というものをどう置くかというようなことで大きく4つに分けてございます。

 それぞれの論点でございますが、3ページ目に移ります。

 「議論の論点-1」として、「健康管理支援の対象者について」です。これまでの議論の中でも、生活保護受給者の抱える健康の課題というのは多岐にわたるものがあるという認識ですが、それぞれの対象者ごとにどのような支援が必要か検討すべきという意見をいただいております。

 しかしながら、限られた時間の中でもありますので、ある程度この中で成果物を出していくという面においては、ある程度対象者に優先順位をつけていくということも必要かと思いますし、即効性という観点からの議論も必要かと思っております。

 事務局としては資料に記載のとおり、例えばそこの2つ目の○に書いてありますが、糖尿病が重症化した場合の影響などを考慮すると、まずは優先として生活習慣病の重症化予防というところにターゲットを絞って議論を深めたいと考えております。

 さらに、これまでの議論の中では、精神疾患の方も多く、アプローチが困難なケースも多いといった問題も挙げられておりますが、特別なアプローチという形はまた先の論点といたしまして、まずはスタンダードに生活習慣病の重症化リスクの高い者というところに議論を絞っていただければと思っております。

 そうした中で一つ核となるスキームを考えて、その後、議論を深めていくということも可能となるかと考えております。したがいまして、対象者につきましては、事務局からの提案になります。

 そうした前提の上で、今後、3つのセクションに分けて御意見をいただければと思います。

まずは、その対象者の選定の部分でございますが、第1として、これまでも議論いただきましたように、いわゆる健康診査が用意されていますので、そういった受診の向上がベターではないか。とはいえ、なかなか受診率も向上していないという現状においては、できるだけ既存の施策に乗せていくとか、既存のデータを活用するとか、あとは、現在の運用に少し工夫を加えるということが、直ちに福祉事務所として行えるのではないかということだと思います。

 1つには、資料の1つ目のポツにありますように、生活習慣病のハイリスク者の把握ということで、入り口のところで検診を受診させてはどうか。

 ここは、現在も福祉事務所の中で病状把握、その他必要な場合に被保護者に検診を受けさせるというスキームがございますので、このスキームにハイリスク者の把握という要素を加えれば、現行の中でも対象者把握ということに十分使えるツールではないかということでございます。

 2つ目に、これまでも継続性という御意見をいただいておりましたが、例えばその方が、生活保護受給に至る前に国保に加入していたとか、そこで健診を受診していたというケースもございます。そうした意味で、ちょうど法改正により健診データの入手ができるような仕組みをつくっておりますので、そこで入手できるデータをフルに活用できるのではないかということです。

 3つ目も継続性の視点ですけれども、例えば国保の保険者と福祉事務所というのは同じ市役所の中にありますので、うまく連携をしていけば、これまでの国保加入時の健診受診行動等を引き継いで、生活保護受給後も福祉事務所がその支援を行っていけるのではないかという視点でございます。

 最後に、これも御意見いただいていたように、ある程度専門的な知識がなくても使えるような簡易なチェックリストなどがあれば、ケースワーカーが健康状態の把握することができるのではないかということでございました。こういったことを論点として挙げております。

 続きまして、4ページ目でございます。

 では、その方々にどういった支援を行っていくかということでございます。これまでの研究会の中でも専門職なりを常勤で福祉事務所の中に配置するというのが一番手っ取り早いということはあったのですが、一方、これも議論がありましたように、そうした形で配置するというのは、とてもハードルが高いということが今までにわかってきています。そこをどうクリアするかということは、ひとまず置いておいて、もちろんそれが大事であるということは取りまとめの中に触れるべきとは思いますが、まずは現状多くの福祉事務所の体制の中でどういったことができるかというところを中心に議論いただければということでございます。

 まずはそこに挙げさせていただいていますが、対象者と選定された方については、月並みですけれども医療機関への受診勧奨や保健指導への参加の促しを行ってはどうか。

さらに、保健指導につきましては、先ほど継続性という話もございましたけれども、同じ自治体で国民健康保険の保険者が特定健診保健指導を行っておりますので、そういったスキームを活用できるのではないか。

 3ポツ目ですが、日常のケースワークの中で、食事に関すること、身体活動に関すること、この研究会の中でもそういうところは重要という話はあったのですが、では、ケースワーカーが日常のケースワークの中でそうした支援を行うためのツールなどそういった御提案であるとか御意見をいただければと考えております。

 2つ目の○ですが、先ほどから申し上げているように、ここは基本的に関係機関、福祉事務所のみならず、医療機関であるとか市町村国保部門・保健部門、こういったところの多機関連携という視点が重要ではないかということでございます。

 3つ目の○も、これまで議論に出ておりましたが、市町村保健部門が持つ健診データと、福祉事務所は医療のレセプトを持っていますので、今、国でデータヘルス等を進めておりますけれども、そういった形と同様のものを生活保護の中でも保健部門との連携により活用していくことができるのではないかという論点でございます。

 最後に「支援の評価」です。第1回目に局長からも申し上げたように、エビデンスのある取組というものが重要であります。とはいえ、この研究会の中でも、その指標をどう置くかというのはなかなか難しいという話もございましたが、論点といたしましては、まずは健康管理支援の取り組みを行うに当たっては定期的な効果測定ということが必要ではないかということ。

2つ目に、効果測定の指標といたしましては、健診の受診率であるとか、未治療者を受診に結びつけた件数、レセプトの入院の動向から生活習慣病による件数等の変化、医療費や介護費の動向等、こういった数字でわかるものを使って効果を測定するものを決めてはどうかということでございます。

 以上、こうした論点を提示させていただきますが、それぞれのセクションごとに幅広く御意見をいただければというふうに思っております。

 なお、資料2につきましては、参考までにこれまでに出た主な意見ということでまとめさせていただきました。これは、この論点に必ずつながっているわけではございませんけれども、あと、取りまとめに向けてはこういった補足の意見等も必要に応じ埋め込む形としたいと思っております。参考までにお示しさせていただいているものでございます。

 

○森座長 

それでは、議論に入りますが、先ほど事務局のほうから、今回の取りまとめに向けて、いわゆる対象者を絞り込む、確かに皆様方からもいろいろな御意見がございました。しかし、やはりこれを取りまとめて、いかにして具体化をして実践をしてもらうか。そして、先ほどの効果を出していくかというようなことからいって、ぜひとも絞り込んでいきたいという中で、生活習慣病の中でも特に糖尿病が重症化した、そういう場合を含めた、ある面では御本人にとってもそうでしょうし、国民経済上にとっても特に糖尿病の場合はいろいろな意味で大変ということで、ここに焦点を当ててということで、冒頭にございました箱の中で健康管理支援の対象者ということにつきましては絞り込みをさせていただきたいということで御了解いただけますでしょうか。

(委員、首肯)

○森座長 それでは、「対象者の選定」というところから議論に入らせていただきます。先ほど事務局のほうからこれまでの議論の中でこのようなことがございました。例えば、簡易なチェックリストを活用した選定や国民健康保険からの保健指導の継続性の維持、あるいは、健康増進法に基づく健康審査の活用などの意見がございました。これらを踏まえまして、ぜひともまた御意見を出していただき、そして、それがほかの項目も含めて取りまとめのたたき台にさせていただければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。御遠慮なく御発言を、それぞれ1項目ずつやっていきます。最後に、例えば漏れがあったとか、あるいは、こういうことを追加していきたいというようなことがございましたら御発言していただければ結構でございますので、それぞれ最初の「対象者の選定」というところの議論から意見をまた深めていただければと思います。どうぞ御遠慮なく御発言を。

 

○村山委員 私も資料の御提案の1番目のように、まず、糖尿病あるいは生活習慣病の重症化予防を考えるときには、検診を受けて実態把握することが重要だと思います。

 質問なのですが、今の制度上、検診を受診してもらうということはどの程度生活保護を受けるときの要件となっているのかについて教えていただければと思います。

 

○事務局 書き方が「生活保護の決定段階において」となっていますが、これは決定する上で必ず受けなければならないとか、そういった要件ではございません。ただ、例えば、稼働能力は全て活用してもらうという前提に立っていますので、そうした意味で病状の把握であるとか、どのぐらいの就労ができるかとか、今、そういったことに主に活用されているものす。

 スキームとしては、法律上、福祉事務所の権限として検診の命令ということができるとなっております。それを、ハイリスク者の予防とかこうした健康管理のために使っているということは多分現場ではないと思うのですが、そこはできないという法制ではありませんので、その方の自立支援、自立助長のためには、そういった形で、検診命令というと言葉がきつくなってしまいますけれども、スキームを活用できるかなという趣旨です。そこまで強制的なものでもございませんし、生活保護開始にあたって必ず受けなければならない要件につながるものではないということです。

 

○津下委員 今回、健康支援の対象者を絞り込んで、ここを重点的に議論ということで、考えるフレームが明確になったかと思います。

 検診を受けることからスタートということなのですけれども、まず、生活保護に移行されるときに、前の保険者からの情報をきちんと引き継ぐというような観点が重要かと思います。どういう病気で治療していて、検診や保健指導をどのようにされていたのか、本人の同意が要ることかもしれませんけれども、そのデータの受け取るしくみをきちんと整備していただくということと、従来の検診は検査をすることが中心で、その後をどうするのか決めていなかったとすると、これからは、まさにスクリーニングというか、健康支援をする対象者を選び出すための検診という位置づけで、その後の指導・支援が主体であること。検診の位置づけを明確にしていただくということが非常に重要かなと思います。

 特定健診が導入されたときに問題になったのは、老人保健法では衛生部門がやっていて、特定検診保健指導は、国保なのだけれども、実際は衛生部門が実施していたり、アウトソーシングしていたりという、実施者と法律上の責任がまたがっているという状況がありますし、「健康日本21」との連動ということでいうと、まさに連携してやっていかなければいけないということです。その連携の枠組みを福祉事務所にまで広げるという、そこが非常に重要なところだろうと思います。前回までの話でもありましたように、そして、この方々だけのためにわざわざ計画してということが難しい地域もあるので、なるべく他部局とも連動して実施できるようなことを考えていく必要があるというふうに思います。

 そういうことで、検診と定期的にウオッチしていくということが必要ですよね。生活保護に入ったときだけではなくて、毎年そういうデータを更新していきながら支援について考えていく、そういうことで対象者を絞り込む。ただ、絞り込みの条件をどうするかということについて、重症化防止に限った判定値については、特定保健指導の判定値をそのまま使うのか、もう少し重症化防止に限って拾い上げの基準をどうするのかということは目的に合わせて議論が必要ではないかというふうに思います。

 

○森座長 まず、入り口でやるという。先ほど村山委員もおっしゃいましたけれども、法律的に、例えばこの人が過去に検診を、こういうような呼びかけならどうか、あなたは過去に健康審査を受けられた、それは国保で受けられたのか、政府管掌というのですか、今の健康保険協会で受けられたか、そういうようなことを聞き出してアプローチしていくということならば、別に強制的なことではなくできるのではないか。全然やっていない人は、恐らくそんなにないのではないかと思うのです。

 

○津下委員 国保の健診未受診者の理由として、面倒くさいからとかいろいろな理由があるのですけれども、健診を受けて異常が発見されるに決まっているけれども、異常が発見されても後に治療するお金がないから健診を受けないという声が一定程度あるということです。国保で未受診者がある理由としては、異常を知りつつも治療の自己負担ができないということで放置せざるを得ないという人たちが、生活保護になって、もう一回健康管理を立て直すというチャンスにしていただくこともできるのかなと。国保で治療中断の理由として医療費が高いからというのがあるのですが、国保にいる間は健診はずっと未受診だったけれども、一回健康管理しようかということになるのかなということになるかもしれません。

 

○浅沼委員 笑い事ではなくて本当の話で、実際にお金がかかるから受診できないという人はいっぱいいる話で、私が思うのは、やはりこれは権利として、生活保護を受ける方も健康支援を受ける権利があるのだという視点で、保険に入っている人たちと同じようにきちんと健康管理、健康診査を受ける権利があるのだというところで入り口を入っていかないと、医療費を削るために健康管理で締めていくのかという話ではないと思うのです。

 今、言われたように、かかりたくても費用がないという人たちが生活保護にたどり着くわけですから、全員基本的に健康の支援を受ける権利があるという視点できちんと取り組むという視点を持たないと議論がかみ合わなくなるかなと思いました。

 以上です。

 

○森座長 本当によくわかります。まず入り口論では、そういうことが皆さんの共通の土俵でないと、なかなかそれは把握できなくなってくるということで、結局後追いになってくるということにつながるということで、そのほか。

 

○芥川委員 今回の対象者の選定ということで、現在の状況の福祉事務所でできることを考えるということで今回議論をしていくということだったと思うのですけれども、やはり多くの福祉事務所は専門職がいない中でこういうふうなことをやっていかないと思うので、ケースワーカー自体の健康面に関する視点というのをもっと底上げしていかないと、結局、先ほど事務局のほうからも全ての方が保護決定における検診は絶対条件ではなくてと、ハイリスクなのではないかという方に受けていただくというような前提なのかなというふうに思ったのですけれども、では、どの方に受けていただくかというようなことを選定するワーカー自体の底上げがないと、結局、この検診を受けていただくということ自体に至らないことにもなるのではないかと思うのです。やはり、ぱっと見元気そう、見た目が本当にぐあい悪そうだったら、ワーカーのほうも「検診を受けてみようか」というふうなことで勧奨もできるのでしょうけれども、見た目元気な人、検査値的には支援が必要であっても、ぱっと見元気な人に対してケースワーカーが検診を進めるかといったらどうなのだろうという疑問点とかはあるので、やはりケースワーカー自体の健康に関しての意識の底上げに対して、例えば研修会をきちんと実施するというようなところがまず必要なのではないかというふうに思いました。

 

○森座長 今、おっしゃられた入り口のところできちんと、まずケースワーカーが初対面をする、そうすると、そこで意識を持っておられるかどうかによって後が違ってくるということですね。

 

○増田委員 今、ケースワーカーの話が出てきたのですけれども、僕の知り合いの精神科の先生に言わせると、せっかく入院中に禁煙させたのに、ケースワーカーがたばこを吸うもので、またたばこを吸った、そういう実態を御存じでしょうか。本当にケースワーカーの方の喫煙率は高いのですよね。そこも含めて、もし本当にケースワーカーの人がそういう意識を高めてやるのは本当に大変です。しかも、統合失調症の人というのは意外と精神科でずっと先生が見たり、臨床心理士やいろいろな人との接触があるから、かなり面倒を見られていると思うのですけれども、それ以外のところで、例えば、たばこを吸ったら生活保護なんて出さないというぐらいの、前回、私がお話をさせていただいたところで、今、日本人の死亡のリスクファクターの1番がたばこなのです。2番が高血圧、3番が運動不足といっている。他の健康局では、まさしく1に運動、2に食事、しっかり禁煙ということで「健康日本21」を進めているわけでありますから、やはりたばこを吸う方には、まず徹底的な禁煙指導をやる。

 それから、先般、神戸であった事件でも、お酒を結構飲んでいられて、警察官もそれを知っていたのに、結局、警察官は警察官通報というのですか、警察通報ができるのに、それがちゃんと担当の部局に話が行っていなかった。あれだけお酒を飲んでいられるなら、それこそアルコール中毒に対する治療だとか指導をしていればどうなっているかということも考えるわけでありまして、まず、僕のところの財団は健康づくりでありますので、国が進めている、先ほどおっしゃいましたけれども、生活保護者の権利というならば、「健康日本21」の対象だということも権利の一つではないかと思います。

 以上です。

 

○滝脇委員 ふるさとの会の滝脇です。

 今の増田委員のお話に関連して、ふるさとの会の利用者にも喫煙者は多くおられます。私たち生活支援を行う者は、禁煙指導する立場でもありませんが、私たちが借り上げている住宅において、夜間禁煙ミーティングというのをやったのです。認知症の人や要介護の人もいて、「たまゆら」の火災もあったから、逃げおくれる人が出ないよう夜間は煙草をやめようという話をして、入居者も納得してくれました。もし火事が起きたときに誰が逃げおくれるのかということを一緒に考えることから、一番弱い人を守るために夜間は禁煙するのだと、つまり、禁煙とか健康管理ということも、人との関係性とか大切にしたい人がいるかどうかということが生活を変えるきっかけになる。そういう観点を生活の中での健康の援助に盛り込めたらいいのではないかと思いました。

 

○森座長 先ほど増田委員がおっしゃいましたように、ある面では隗より始めよで、指導される方というのですか、そういう方が御自身の健康もそうだけれども相手を思いやってというような、そういう気持ちでないとなかなかアプローチができなくて、そのことによって、ここにもございますように、いかにして継続をしていくか、そういうことにつながらないと、これは一過性の問題だけではだめだということだと思いますので、そんな点でぜひともそれぞれの立場で、例えば「健康日本21」のそういう考え方も御理解していただけるようなことを考えていただければ。

 

○相澤委員 福祉事務所等の実態ですけれども、生活保護の決定段階において福祉事務所が検診を受診させ、生活習慣病のハイリスク者について把握をするということはとてもいい考えだと思います。ただ、現状としましては、生活保護開始時点で傷病を理由に開始する世帯は、川崎市ですと開始後3か月以内に必ず病状調査をすることとしていますが、先ほどいろいろな委員の方からお話があったように、医療機関に実際はかかられていないという方がいらっしゃるのです。その方については、ある一定程度、2か月とか3か月病院に受診をした後で、3か月以内に必ず病状調査をすることというふうに規定をして病状の把握はしています。なので、明らかに病気があって、その病気を理由に開始している世帯というのは事務所では捕捉できているのではないかと思います。ただ、先ほど芥川委員が言ったように、隠れている人、実は元気に見えるのだけれども、もしかすると病気を抱えていて、それが直接の原因ではなくとも失業につながったりということがある方もいるというところでは、この把握の仕方というのは極めて意味があるかなというふうに思います。

 先ほど、検診命令というお話がありましたが、一つは、稼働能力があるかどうかの判定については検診命令を出して把握をしなさいというふうに要領で規定はあるのですが、実際、検診命令という形で使うのは、川崎市でも年に1件か2件あるかどうかです。具体的には検診依頼として、やはり命令という言葉は強過ぎるので、命令という言葉に拒否感が皆さんあるということなので、依頼という形をもって医療機関に受診をしていただいて把握しているというような実態があります。

 以上です。

 

○森座長 依頼、お願いという、表現は別ですけれども、そういうふうにいかにして気持ちの上でやっていただけるように仕向けていく、そういうことが継続していかないと、後々ずっとデータが蓄積できない。そうすると、どういうアプローチをしていいかがわからなくなってくるという。

 

○石原委員 済みません、おくれて来ました。今、議論にまだすぐ入れないかもしれないのですけれども、最初の資料のおまとめいただいた、どういう取りまとめの構成案なのかというのは、これですっきりわかりやすくていいかなというふうに拝見しました。

 この内容に沿っていくと、対象者の選定方法というところで、今、検診の話とかもお出になっていたのだと思うのですけれども、もう一つ、余り努力をしないでというと変なのですけれども、把握できる方法としては、生活保護受給者になられる方は、その前は大体国民健康保険に入っておられた方なので、そこで保健指導や検診というのを受けている継続している記録というのは市役所の中で引き継げるかなというふうに思っています。

 それから、最近、市役所の中では、適正化ということもあるのでしょうけれども、重症化予防というのにも取り組んでいるところがあるので、そういった方なんかは生保の受給者になった途端に、その芽がいきなり絶たれてしまうというのも変な話なので、国保からの引き継ぎのケースに関しては何か継続できるような取り組み、市役所の中でシステムづくりができるといいのかなというふうに思いました。それが大きな対象者の把握にもつながるのかなというふうに思いました。

 あともう一つは、この資料の中にケースワーカーというキーワードが余り入っていないのですけれども、基本的に福祉事務所はケースワーカーさんが御担当されているわけなので、ケースワーカーさんが適切に、例えば保健師さんの配置がいいのではないかという御意見も出ていますけれども、どういったときにそういう方につないだらいいのかというのが少しパターン化というか整理したものがあれば、ケースワーカーさんも適切なところに相談できるのかというふうに思いました。

 以上です。

 

○森座長 これは石原委員も前から言っておられたように、国民健康保険からいろいろな状況になっても、いわゆる連続性ということを大事にして、そして、その記録をやって、どういう介入ができるかということにつながるということだと思います。

 一通り皆様方から御意見をいただきました。それでは、また後ほど最後に御意見がありましたら、このことにつきましても。

 次の項目のほうに移らせていただきます。

 次は、「支援の手法」ということでございます。ここには、福祉事務所、ケースワーカーによる支援のあり方を中心に議論を考えております。これまでの意見では、保健指導の実施やケースワークにおける食事の指導、あるいは身体活動の指導、多機関との連携、健診データの活用など、そういうふうな先ほど事務局のほうからもお話がございましたが、そういう意見がございました。これを踏まえて、また御意見をいただければというふうに思います。今、ここでケースワーカーの話が出てきました。

 

○津下委員 まず、先ほどの増田委員のご意見にも関係することなのですけれども、糖尿病で足を切断する人は喫煙している人が圧倒的に多いのです。だから、糖尿病だけではなくて、たばこと一緒になることで血管閉塞が非常に進むとか、脳卒中にもつながりやすいということを具体的に知ってもらうことが大切です。たばこを吸うのは悪いことだからやめなさいというよりは、あなたの健康上の問題があるから、アルコールも肝臓がぼろぼろになってしまっているから肝臓を大事にしてあげて、というメッセージで、個に対するアプローチとして健診の結果を十分に活用することが有用と思います。まずは第一歩、ケースワーカーさんが、こういうデータのときにはこういう生活習慣が気になるから、こういう生活習慣を改善すれば検査値も改善できる、とか、そういうことをまず身近な人がよく御理解いただいて、その人の生活の実態を知っている方がまたお話しいただけるというのが非常に大事なことかなと。そのためには、まず一般的な健診データの見方、それは、ケースワーカーさんだけでは難しいときには保健師さんにつなぐとか、管理栄養士さんにつなぐとかいろいろなことがあるのですけれども、まず第一歩、そこのフィードバックがあるといいかなと。それも生活を見ている現状があるので、お酒を飲んでいない人に「あなたは、肝機能が悪いのにお酒を飲んでいるのでしょ」という外れたことは絶対に言わないと思うので。

 それから、アウトソーシング先の保健師さんにつながったときに、生活背景がわからないままどうやって保健指導をしたらいいのだろうという声もあると思います。一般の方に対して、野菜を食べなさいとか、高くてもあなたの健康のためにという指導をするかもしれませんが、生活保護を受けておられる方がどういう生活だったらできるのか、どういう支援だったら実現可能なのかわからないまま絵に描いたもちのような保健指導をされても、心に届かないと思います。保健指導をする前にケースワーカーさんなど、その人の生活をよく知っている人から基本的な生活の状況についての情報が保健指導者に行くという流れが必要ですし、そして、保健指導を実際行ったときに、その人がどういう行動目標を立てたのか、どういうデータが気になっていたのか、というような情報を、その人の日ごろを見ているワーカーさんがフォローしていただけるとよいのではないでしょうか。支援の連続性というか、保健の専門家がかかわるところを連続して当人の生活を見ていける方につなぐ、それぞれ役割が違うと思うので、そのあたりの情報の受け渡しとか、そういうことを丁寧にするといい保健事業になるのではないかというふうに思います。

 

○森座長 実は、たまたま保健指導の問題というのは、健診をしたその後の保健指導は、当然、保健師あるいは栄養士も含めてあるのですけれども、今、私がたまたま関係しておる全国健康保健協会、かつての政府管掌健康保険、これは中小・零細が多いのですけれども、そういうところでは、いわゆる健診率は50%とか60%と上がるのですけれども、それに基づいて後の保健指導が10%台とか20%に行かない。これは、いわゆる大企業の組合健保と違う、健診率も違いますし、保健指導も違う。こういうことで、ここに保健指導と書いてあります、この問題をどういうふうに介入をしながら、健診をした、その後どう保健指導へつなげていくか、これがないと健診をしただけで終わってしまう。ここが一番悩ましいのかなと思っております。私が勝手なことを言ってはいけませんけれども。

 

○相澤委員 先ほど津下委員からお話がありましたように、こちら側がいろいろなことを伝えるのにどういうふうにやっていくかというところなのですが、やはり生活保護を受けている方は、前回でもお話しさせていただきましたが、理解力が低い方ですとか、これまでの生活歴が余り豊かではない生活をされてきた方が多いので、保健師が指導する際も、普通の方であれば立てられる目標がなかなか立てられない。ですから、目標をだんだん落としていかなければならない。次のランク、次のランクと落とす形で一個一個段階を踏んで、ステップを踏んで指導をしていかなければいけないというのが現状にあるという報告を常々いただいています。

 そういうところで、やはりそれに即したといいますか、その方の現状がどこで、そのためにはどういうアドバイスであったり、どういう支援がいいのかというところが見える方でないとなかなか難しいのではないかというところがあります。

 本市では保健師さん、全員正規の職員がついていますので、専門的にその方が行っているのですが、現状の中でケースワーカーがそのレベルまでできるかというと、なかなか一足飛びには難しいのではないかというのが実感としてはあります。なので、そういう意味でいうと、生活保護のケースワーカーはそれぞれ一人一人の方に援助方針というのを立てて支援をして行っていくのですが、その援助方針を立てる段階で健康管理支援というキーを一つ持って、どういう支援が必要なのかというような視点を一人一人のケースワーカーが持つ必要があるかなと思います。そこで実践的に本市がやっていることは、保健師さんが実際に援助方針を策定する委員会に入っていただいて、この方は健康管理支援のキーでいうと、どういうふうな指導がいいのかとか、この方だとどういうところを目標にするのかという目標を立てるというようなことをやっています。

 ですから、ケースワーカー一人一人がそういう視点を持っていただくためのアプローチが一つは必要かなと。現状で保健師が誰も配置されていないという大抵の事務所にとっては、そういう視点を持たせるための何か仕組みづくりみたいなものが必要ではないかというふうに思います。

 

○浅沼委員 今、川崎の方が言われたように、現場のケースワーカーはそれぞれの現場に飛び回り、いろいろな問題があれば駆けつけ、それに追われているのが実際で、一人一人の就労支援も含めた健康支援も一人一人やっていくというのは本当に大変な情報だというのが全国の状況だと思うのです。

 仕組みをつくる必要があるというふうに言われたように、専門職と連携するのはもちろん必要だということなのですけれども、これから後で芥川さんにお話しいただきたいのですけれども、例えばお隣の上尾の方なんかは、最初の受理のところから保健師さんの決裁欄を設けるようにしたいというふうに伺っているのです。ですから、川崎の方と同じように、この方にとっていろいろな支援が必要だろうと、福祉的な支援も必要かもしれないし、そして、保健の部分で何ができるかということを一緒に御本人と相談しながら、そこに決裁の欄をきちんと設けるというシステムをつくれば、必ずサービスとして多様なサービスが支援として活用できますよということが提示できるかと思うのです。そういう仕組みというのは本当に具体的につくっていかないとまずいかなと。だから、ちょっと上尾のお話を紹介していただきたいなと思います。

 

○芥川委員 前回の報告でもお話しさせていただいたのですけれども、実は今まで上尾市のほうでは、保護の開始の決定については保健師のほうまで回ってきてはいなかったのです。なので、健康管理支援の対象に上がってくるかどうかということについては、それぞれのケースワーカーがそういうふうな視点を持ってかかわっていた人については、保健師のほうに「この人をお願いします」と来ていたのですけれども、そうではないワーカーの場合にはそこがスルーしてしまっていた状況ではあったのです。上司とも相談をしまして、保護の開始の時点から健康支援が必要なケースについて、こちらの視点できちんと拾い上げていきたいと思うので決裁欄をつくってもらってということで、つい最近ではあるのですけれども、そういうようなことで保健師のほうの決裁をとるようにして、こちらのほうで必要だなというふうな判断をした人については保護開始と同時にスタートできるようにというふうに開始したところではあります。

 ただ、それは、私が保健師で専門職の視点でというふうなところであるので、多くの福祉事務所に関しては、そういうふうな専門職がいないので、ケースワーカーの力量がそこら辺を左右してしまうというようなところがあるので、健康に対しての視点をいかにケースワーカーの方に持ってもらうかというところが必要なのではないかというふうに常々感じております。

 現在保護をしている人についても、ケースワーカーによってはどんどんケースを紹介してくれるケースワーカーもいれば、ほかのケースワーカーは、例えば記録を見て、上司がこれは保健師にかかわってもらったほうがいいのではないかということで課長からケースワーカーにアドバイスがあり、それでようやくこちらに保健指導の依頼が来るというようなこともあるので、個々のケースワーカーの力量が受給者の方の健康支援の行き届きに差が出てきてしまっているというのが実情ではあるのですけれども、そこをいかになくしていくのかというようなところはすごく大切なのではないかというふうに思っております。

 

○津下委員 自覚症状のない段階から全ての人の健康管理をちゃんとしていくのだという観点でいくと、健診データは保健医療の専門職が全て一回ざっと見て、その視点で必要のある人にきちんとアプローチをしていくというようなことや、健診データ以外にも生活上の問診データとかいろいろあると思うので、まずは全員がどういう状況になっているかのリスト確認というのを漏れなく行う。データを利用することは、みずから訴えない人、保健師の前に積極的に来ない人、訴えのない人まで全員見られるというのがデータのよさなので、まずその一覧リストを必ずチェックする。

 それから、座学でケースワーカーの人が勉強してもなかなか勉強にならないので、ケースワーカーとしてはそう問題ではないと思っていたのだけれども、実はかかわってみるとこういう視点があったのだねとか、そういうことを事例を通して学ぶというのが非常に重要なのかなと思います。連携が言葉としては一番きれいなのですけれども、なかなか定着しないのは、連携をしたいときにしようではなくて、そういうカンファレンスなどを定常化していくとよいと思います。保健師が配置されていればやりやすいですが、配置されていない場合も衛生部門からとか必ず保健師が来て、一緒にカンファレンスを定例でして、健康上の問題のある人に対してどう対応するとか、一連のしっかりかかわったケースについてどのような改善がみられたのかということをみんなで確認し合うというようなしくみを根づかせる。そういうようなアプローチが経験知の積み上げになっていくのではないかというふうに思います。

 

○石原委員 今、保護の受給開始のときのかかわりということにお話が及んだので、1点、私の体験も含めてお話ししたいのは、生活保護の方々は、そもそもみんなが手厚い保健指導が必要かというところを見極めるのが専門職のかかわりだと思うのです。私は、HIVの臨床も昔やっていたのですけれども、感染しているだけで生活保護が通ってしまうケースが余りにもあって、外来患者さんがみんな自立できなくなってしまいまして、病院のほうから福祉事務所と相談をして、とりあえず3か月やってみて見直しを一回やったほうがいいとか、逆のパターンで自立を妨げるような受給をオーケーにするということを、健康面からの自立支援という意味でそういうのをきちんとアセスメントして意見を反映させるということは重要なのではないかと思っています。

 

○森座長 座長がこんな勝手なことを言ってはいけませんけれども、今回、介護保険法の改正の中で地域包括ケアシステムの構築ということで、実はこの地域包括ケアシステムというのは、広い意味で町づくりの、いわゆる支え合いの仕組みをつくっていくことなのです。そうすると、今の生活保護の方たちの健康管理ということを含めて、地域でどのように支えていくか、町づくりをやっていくかということの視点で、そうすると、先ほど津下委員も言われたように、どちらかというと医療の問題も当然あるし、介護・看護の問題もある、そして予防、そうすると、特に予防というのはいかにして早くアプローチするかということ、そして、生活支援は、ある面ではケースワーカーがいろいろな意味でバックアップしていくことにもつながることではないか。そして、ここでも生活保護の問題で必ず住まいの問題が出てきます。そういうようなことから考えたら、2つ目の○のところにも多職種連携ではなくて「多機関連携」とあります。やはり、いかにして横串で刺して連携をしていくかということがないと、ケースワーカーお一人がということ、そうすると、個に対する伴走をしていくのだけれども、それは全体で伴走していかないとケースワーカー一人が抱え込んでしまったら、せっかくのいい取りまとめのものがそれだけで終わってしまったら残念なことで、ぜひともこの辺の書きぶりはいかにして連携をしていくかということが、入り口論があって連携をしてやっていくのだと、もちろんそこの中にデータをきちんとつないでいく、そういう仕組みづくり、先ほど浅沼委員、相澤委員もおっしゃいましたが、仕組みづくりということが役所の中で、組織の中でいかにしてつくるか、これを根気よくやっていかないといつまでたっても同じところで堂々めぐりするのではないか、そんなふうに皆さん方の御意見を拝聴していて感じました。勝手なことを申しました。

 

○滝脇委員 今の座長のお話を受けとめますと、私たちは生活支援をやっておりますので、そういう団体を活用していただきたいということがあります。特に孤立しやすい人の生活に寄り添おうという支援者は各地にいます。保健師さんや専門職の方のご協力を得ながら支援していることを御留意いただきたいと思います。

 それからもう一つは、多職種・多機関の連携に関して、支援者だけが集まるということの限界もあると思うのです。ケースワーカーさんが指導するということは、現場で実践しようとするときにかなり大変だろうなと思いながら聞いていたのですが、私たち支援者にとっても、どうしたら自分を大切にしてくれるかということがとても難しい問題です。私たちが言っても、「もういいです」とか「ほっておいてください」というふうにまず拒否から入られてしまうというのは、多分共通した経験ではないかと思うのです。

 先ほど夜間禁煙ミーティングの話をしたのですけれども、かつて火事に遭った人がいたので、その人は禁煙に賛成してくれると思ったら、「嫌だ、吸いたい」というふうに言われてしまいました。ミーティングを呼びかけた職員は当てが外れてしまったわけなのですが、2回目のミーティングでお隣の方が「おまえが火を出したら俺が担いで逃げてやる」と言ってくれたことがきっかけ夜間の喫煙をやめたということがありました。エピソード的な話で恐縮なのですけれども、生活に寄り添う支援の先に、助け合いの互助をどうやってつくっていくか、医療・保健・介護などのサービスを活用する、利用する、つなげるということはとても大切なのですが、その前に互助がなければ自助の力を発揮できないということは健康の支援にも通じるのではないかと思いました。

 

○森座長 それでは、ここで次の4番目の「支援の評価」というところへ移らせていただきますが、よろしゅうございましょうか。

 この部分につきましては定期的に効果を測定するということに対しては、皆様方、考え方は共通なものでございますけれども、問題は、例えばどういう指標を設定したらいいか。そこにございますように、指標には健診受診率とか、あるいは未治療者を受診に結びつけた件数とかというようなことが載っております。最終的には、これが医療費や介護費の動向というようなことも含めていろいろございますけれども、このことにつきまして御意見をいただければというふうに思います。御遠慮なく御発言ください。


○浅沼委員 今のお話、手法のところとつながって互助のお話があったのですけれども、同じように評価となると非常にシビアで、ここに書かれているような2つを考えなければいけないのですけれども、例えば、これはほかでももちろんやっているのですけれども、福祉事務所の中で、いろいろな取り組みで生活保護の栄養教室をやったり、そうするとアルコールの疾患を持っている人たちが仲間同士で調理実習をやることで非常に楽しいとか乗ってきてくれるということがあるのです。例えば、そういうところに参加している人たちがどうなのかとか、みんな来てくれているのかというのは評価にならないのかというか、そういう視点は全くないのかということを考えますと、ただデータを見て判断するだけではなくて、まずプロセスの中でそこに来てくれている人たちはどれだけいるのだろうかとか、そういうような相談に来てくれる人たちとか、あるいは教室に来てくれる人たちとかという視点も取り入れなければいけないし、その人たちの声はどうなのか、満足してくれているのか、一方的に私たちがサービスするのが評価ではなくて、相手が私たちの健康支援をどういうふうに評価してくれるのかという評価だってあると思うのです。それもあるということも一つの視点だと思います。

 もう一つは、私が思うのは、未受診の人を受診につなぐかかわりというのは非常に地道に何回も何回も血圧計を持ってかかわっている中で、そのケースワークの中で御本人が自分を大事にしようと思って受診してくれるということは結構あるのですけれども、そして受診した後、今度は中断しないで継続して医療機関につながっていてくれるというのもすごく大事で、その中断率というのも指標の一つとして、中断率がないのか、医療機関に一生懸命本人が行っていて、そこで指導していただいているのだけれども、そこを中断しないで継続して医療機関に行けているのかという中断率というのも、つなげただけではなくて、本人が一生懸命頑張ってつながっているという視点、中断率がないかというのもすごく大事だと思うし、治療が完了したかというのも一つの指標かと思うのです。治療完了で、もう医療機関に来なくていいよとか、薬が減ったとか、そういうことも変化なので、ちゃんと治療継続できたか、あるいは治療が完了しているのかとか、していないのか、そういうところも細かい指標としていかないとやっている人たちは非常に疲弊して効果が見えないし、本人たちも見えないし、路頭に迷うのですけれども、いろいろな視点での評価というのを考えていかないと、御本人たちもやらされている感ばかりかなという気がするのです。

 

○津下委員 この評価については、大きな政策的な評価と保健事業の評価と2つの層があると思うのです。ここに書かれているのは、どちらかというと政策的なマクロ的な評価で、こういう数がどのぐらい変化してきたのか、こういう取り組みをやっている自治体とそうでないところで違いがあるのかとか、全体として政策評価をする上では大きな指標を、それも余り項目は多くなく定めておくというのが一つは重要だろうというふうに思うわけです。それは、例えば健診受診率とか、年齢別の異常率がどうなったとか、そういうような数字で押さえられるもので客観評価ができるものは、ひとつそういうマクロ的な評価の指標として押さえておく。

 もう一つは、保健事業の評価としては、まさに今、浅沼委員がおっしゃられたとおりだと思うのですけれども、そういうかかわりをしたことで本人の気持ちがどうなり、行動がどうなり、そして健康状態がどうなり、介護医療費がどうなりという一連のプロセスがどのように動いているのか。そこの一連のプロセスの中で改善を求めたいという気持ちもあるのですけれども、悪化を防止するというのが大事ということを忘れてはならないと思います。いつも保健師さんたちが保健指導しても改善しない、でもそれは悪化を予防しているのかもしれないという側面もあります。だからどう評価するかという、数字をどう見るかという問題はあるにしても、そういう保健事業については丁寧に見ていって、改善できるところは改善していくということが大事だと思います。

 もう一つ、一人一人を見ていくのと同時に、生活保護の受給者がどれだけいて、その中でセグメント分け、もともと自立能力が低いパターンの方と、健康障害がもとで途中からなった方とでは、ある程度かかわり方とか効果も違うので、そういう対象者に合わせ評価、それで介入した人としない人でどうだったのかとか、そういうような見方というのはできるのかなというふうに思います。

 この支援の評価については、大きな政策的な評価を考えられる指標と、保健事業、現場の保健師さん、そしてケースワーカーの方々が取り組みたくなる指標の設定という観点も重要かなというふうに思います。

 

○森座長 先ほど浅沼委員が、ある面では数値だけであらわせるものではなくて、定性的なそういうものもいろいろ考えていくことによって、それが到達度、満足感とかいろいろなものにつながるというふうなお話がございました。今、津下委員も大きい考え方を含めて、数字ではあらわれないそういうものもどのように評価をしていくかということ、これはある面では大切なことだと思います。

 

○村山委員 私も、今、津下委員がおっしゃったのと同様の意見です。大きな政策評価の部分と、個々の保健指導の評価というのが必要だと思います。その中で、先ほど御意見の中でケースワーカーの方々が最初に援助方針を策定する、保健師の方が一緒に入って策定したらいいのではないかというお話があったのですが、その援助方針に従ってどううまく進んだかという評価もあると思います。

 

○浅沼委員 会議がそろそろ終わってしまうので言っておかなければと思うのですけれども、やはり当事者参加というか、もうこの時代なので、最初に自分がどういうふうにしていこうかというところを健康問題に関しても一緒に参加して計画をして、評価のところでもどうだったのかというのを、もうそういう時代だと思いますので、なかなか難しいのですけれども、基本的にはそういう視点を持ちながら、一方的にこちらがプランニングしてでもなくて、基本的に一緒に目標を考えていけるような姿勢を持ち続けていければなという気はいたしました。

 以上です。

 

○相澤委員 先ほどは援助方針のお話をしましたが、もう一つ仕組みがございまして、自立支援プログラムというものを各ケース一人一人に策定をして、この方の実のある支援は何を目的としやっていくのかという仕組みもあるのです。その自立支援プログラムの一つに、健康管理支援というプログラムを定めて、全員の方、どのケースも就労支援ばかりではなく、自立に向けた支援が必要で、日常生活自立と社会生活自立というものがありますので、何かの自立に向けて支援をしていくのだという基本的な考え方に基づき、健康管理支援プログラムに位置づけられた人については、そのプログラムに乗せていってというところが今の現実的な、福祉事務所が保健師もいない中でのケースワーカーが支援をするというところでは、一番現実的なのかなというふうに思っています。

 効果測定についても、専門家がいない事務所が大半なわけですので、そういうところでの評価の軸を素人でも持てるようなというか、評価が自分たちで実感できるような評価指標をぜひ設けていただいた上で、そこに乗せていくということをしていただくのが一つ一つ進んでいくステップの中では必要なのかなというふうに思います。

 自立支援プログラムは、実は当事者の方にもこういう支援をしていきます、こういうふうな形で自立に向けてステップアップしていきましょうという形で御本人ともお話をしながらつくっていくということになっていますので、現実的にはそれが効果的かなというふうに思います。

 

○津下委員 そういう意味では、このマクロ的な指標の中にも自立につながった割合というか、そういう方々がどのぐらい派生していて、そこの中で特に健康支援という観点が有用だった事例というのをしっかりと、これも割合というよりはそういう事例をきちんとサンプリングしていきつつ、次につなげていくということが大事だと思います。単に医学的な指標だけではないソーシャルな指標というのも一つ重要なのかなというふうに思いました。

 健康支援、保健指導などでも、本人が生きていきたい理由とか、役立っていたいとか、あなたが必要とされるとか、そういう感覚がある人は動きやすいのですけれども、非常に主観的なのですけれども、そこの部分を大事にした支援というのが重要と思います。先ほどの滝脇委員の話にもありましたけれども、お互いさまということが大切で、そういうソフト的な指標なのですけれども、自分の大切さに気づいてくれる人がふえる、自分の健康の大切さに気付いてまず第一歩動いてくれることが大事だと思うので、それは対象者の声として、または本人の行動変容ステージといいますか、または主観的健康観とか、そういうものが動いてきたかというのをちゃんと評価しておいて、数字で見える化しておいたらいいのかなというふうに思います。

 

○滝脇委員 ふるさとの会でも研究者に御協力いただき利用者の健康調査をやったことがあります。主観的な健康度は国民平均に比べて低い人が多かったという結果が出ました。イベントや互助づくりを目指して生活支援をやっていても、そういうのに拒否的な人というのは必ずいますし、そのことと健康度との関連があることも分かりました。そこに対する働きかけ、先ほどの当事者の方が参加する時代というお話と絡めると、主観的な健康度がどういうふうに改善したということも指標の一つとしていただけると、実際に支援する人にとってもやりがいのある事業になると思います。

 

○森座長 要するに、支援する人と支援される人という、この関係というのがいかに、そうすると、先ほどいみじくも相澤委員がおっしゃいました、自立支援プログラムは、これは私の勝手な考え方なのですけれども、当事者も参加をしてそのプログラムをつくっていくことをしないと、ただ一方通行でこういうふうなというような、そうするとそれはある面では長続きもしなければ、せっかく視点はよかったのだけれども拒否されてしまったらそれで終わり。

 そうすると、これは実は同じことが、先ほど石原委員も、実は私もずっと介護のほうのことばかりやっていましたので、例えば多職種連携というところで、どちらかというと皆さん方御案内のように、医師とか看護師とか介護福祉士とかケアマネジャーとか、どうしても医師がキーになるわけです。どうしても縦線の社会になっていく、そこにはどうしても当事者がスピンアウトされるということがある。そうではなくて、それを横串に刺していく、そういうことの多職種連携ができないと、先ほどの「支援の手法」の2つ目の○で医療機関が入っていましたが、この医療機関をいかにしてうまく連携できるか、恐らくそういうことによって個に合った介入の仕方が変わってくるのではないか。そこには自立支援のプログラムをきちんと御本人も納得した上でというような、そういう仕組みをぜひつくるといいのかなというふうに、お話を聞いていてそう思いました。

 

○津下委員 まさしく、先ほど相澤委員が、目標を立てるのだけれども、だんだん目標を下げざるを得ない。これは失敗なのですね。やはりその本人ができることを見つけていく。できる中で自信をつけて一歩一歩ステップアップする。鬱病のリワーク支援とか、本人はできるのにできることをしていないのではないかということもあるのですけれども、要はできることを見つけて自信をつけていって背中を押す。だから、本人が主体となってゴールセッティングをきちんとしながらステップアップするような保健指導がちゃんとできているかどうか、サポートができているかどうか。これは、そういう支援ができているかどうかの評価を、この健康支援の仕組みの中にその指標を入れて、本人が自信を深めていくようなプロセスをとれているのかどうかということを見ていく。私の嫌いな言葉が「あの人、病識がないからできないのよね」という言葉です。医療機関では「病識がない」という言葉を頻繁に使います。これは病気のことをわかっていなくて、「あの人、わかっていないからできていないのだよね」とか、「食事療法ができないのだよね」という、こういう見方をしたら、誰も完璧にできる人なんていないわけです。やはり、その人ができることを積み上げていかないと、その人に合った支援ができないということ自体がプロとしてとんでもない話なのです。

 だから、大事なことは、その人にどれだけ自信を高められるような支援ができたのかということをポジティブに見ていく。逆に、その人のゴールセッティングが間違ったねというときは、その人が悪いのではなくて、ゴールの立て方が間違ったねという、そこのよりよい支援にフィードバックできるような、そういう評価指標を持つといいのかなというふうに思います。

 

○相澤委員 まさしくそうで、今まで保健師さんは、保健部分に来る方というのは、ある程度の意識を持った方が来られているので、生活保護にいるような人たちは会ったことがなかった、支援をしたことがなかったというのが現実だったのだと思います。余りそういう方に実際に自分たちが直接指導する機会がなかったということを言っていて、成功体験の少ない方、それから、厳しい生活をされてきた方なので、あきらめ感がすごく強くて、そこら辺で支援が、自分たちの思っているものとギャップがあったというところを、その人に合った形で積み上げていく必要があるのだということを、今、1年半経験の中で保健師さんたちが実感として感じて、そこに対する支援はどうしていくかというところを模索しているというのが現実です。

 

○津下委員 そういう形になっていくような見方ですね。だから、行動目標ができないときに、相手が悪いとかできないのだねというふうに切り捨てる評価ではなくて、もうちょっとうまい保健指導の方法はなかったのだろうかという、そういう自分たちのやり方を変えていくほうにうまく評価が使える。だから、評価の持ち方、どういう場面でどういうふうに評価した結果を活用していくのかというのもあわせて整理をしておくといいかなと思います。

 

○芥川委員 上尾市においても保健指導でかかわる中で、こうなってほしいというような保健師の思いとかもある中で、そういうふうな中でかかわっていくとなかなかうまくいかなかったりというようなところで、本人がちょっとだけ頑張ればできるような目標設定を短期スパンみたいな形で一緒に、本人たちから言わせるような、どんなことだったらできそうかみたいなところで本人たちから発言してもらうような形で、本当に小さな目標設定を立て、次に面接とか訪問したときに、その目標は毎日の生活の中でどうだったかというようなところとか、その中で1か月の振り返りはどうだったのかというようなことをするようにしました。

 そういうふうに本人が自分で立てた目標設定をどういうふうにできたかというようなところも、やはり一人一人目標は違うのですけれども、一人一人がどの程度達成できたのかというようなところも全体的な評価の中でできるのではないかというふうに、今聞いていて思いました。

 

○浅沼委員 福祉の方とお話をすると、それは課題解決型の発想だと言われてしまうのです。やはりストレングスに注目したかかわり方というのは、本人がどうなりたいかというところに私たちがどういうふうな支援ができるかというところを見ていくのが本当ではないかというふうに、そこが違うなと思うのです。医療者とかかわり方が違うなと思うので、どうしてもそういう視点を私たちは持ちがちなのですけれども、本人はどういうふうになりたいのかとか、どう生きたいのかとか、まずその中で一緒に考えていって、そして本人が持っている強みとかできること、それを一緒に生かしながら考えていこうというふうに、そこにどう保健指導という言葉が乗っかるのかというせめぎ合いの難しいところなのだけれども、その辺のところを間違えると、私は実際に福祉の職種と話をするとそこが議論になってしまう、それは課題設定型の考え方ではないかというふうに言われるのです。そうではないのではないか、本人たちの生き方というところがまずあって、それにあなたたちはどうかかわってくれるかではないかというふうな話が出てくるので、やっていることは表裏から見れば同じかもしれないのだけれども、職種によって、多職種連携と簡単に言うのですけれども、まさに多職種連携をするときに畑が違うと、福祉から見ればそうなのに、保健でそういうふうに言うのかというところからうまくいかないということが始まってしまうので、目指しているところは同じなので、うまく理解し合いながらやれるといいなと。実際はいろいろな職種の人と、芥川さんもやっているし、苦労なさっているのだろうなと思いました。

 以上です。

 

○滝脇委員 やはり保健師さんが丁寧にかかわってくださって、「よくなっているね」とか言っていただくと、すごく励みになると思います。

 それから、もう一つ、先ほど座長が支援をする人とされる人の関係を固定化しないというようなことをおっしゃいました。

 私たちが居住保証をしていて、特に24時間体制で支援している人の昨年度のデータを見ると、578名の利用者のうち糖尿病の方が44名いました。やはり大きいテーマなのだなと思います。

 その人たちがどういうふうに生活しているかというと、たとえば墨田区の委託で運営している認知症カフェに、要介護で軽度の認知症の方が通っています。実はその人がある楽器の名手ということがわかって、いつも演奏してくれます。生活のメリハリが生まれ、本人の持っている力が発揮されるようになっていきました。こういう方について、評価としてどういうふうに健康度が上がったのかということは分かりませんが、そういう事例の中に評価という問題を解く手がかりがあるのではないでしょうか。

 そのカフェのいいところは、糖尿病とかで、まして介護とかが必要になってくると、その人の日常生活圏域がどんどん狭くなってきてしまうわけです。場をつくるときに、そこに参加できるかとなると、結構距離感があって、場に参加することがしにくくなってしまうという人も出てくる。例えば自治体に1か所、ここでやりますから来てくださいという形だとなかなか参加できないという人がこれからふえてくると思うのです。そのときに認知症カフェだと、毎回保健師またはケアマネジャーが小話を必ずしてくれて、地域のお医者さんとかも来てくれて、順番で専門職の人が小話をするというコーナーがあるのですけれども、そういう形でその人の生活の場所の近くで場をつくって、そこに専門職の方が出張していただけるような仕組みなんかももっとふえていくとありがたいなと思います。そういった小さな場をつくっていくという、いろいろなところであるサロンとかも活用して、どんどんそういう場をつくっていくということ自体も評価の一つにしてもいいのではないかと思いました。

 

○増田委員 まさしく今まで出てきたお話の中で、自分が求められているのかというのがかなりあれになると思うのです。僕の知っているのは、ある人は、受給された年金だけで生きていこうという、だから、今は年金の額からなかなか難しいですよね。だけれども、それをやっている男は、例えば公的な住宅で歯が抜けたように抜けていく。そこにそういう方を入れて、ある人は、昔、料理人をやっていたからといって、その人に食事を全部つくらせる。私は何もできないという人は、周りの花壇の世話をするとか、昔、自分ができること、やってきたことを何かの形で返すということでやっておりまして、まさしく今、滝脇先生がおっしゃったように、どこか集まれるような場でそれぞれが得意なことをやらせるというのも一つの方法かなと思います。

 だから、今の僕自体は、生活保護を受けていられる方がどういう生活実態なのかわかりませんけれども、ほとんどの方は個々に生きていられて、本当に自分が昔得意としたことが生かされていないというのもあるのではないかと思うので、そういう場をどんどん提供してあげることによって、また生活保護を受けている方々が自立していく道ができてくるのかなというふうに感じました。

 

○森座長 一応、それぞれの項目立ての御意見は拝聴いたしました。全体を通してとか、あるいは、このことについてはぜひ発言をしておきたいとかというようなことがありましたら、取りまとめにまだ発言が足りないとか、あるいは、この項目のこのことだけは私はまだ言っておきたいとかということがございましたら、御発言をしていただければというふうに思います。

 

○津下委員 健診データというのを一つのツールにして、その人に健康管理の話をすることからスタートするのですけれども、最終的にはその人が地域に出ていく、地域包括ケアという地域づくりが今、超高齢社会で進んでいるわけですから、その中に生活保護の方々もまた参加をすることで役割を持っていく。今、国保と介護の連携が進んできて、地域包括ケアということで地域づくりという枠組みが出てきているので、そこの中に一つ誘導していって、そこの中でまだ若い人もいれば、高齢者の仲間もいれば、そういうような、そこで新たな役割づくりとか、そういう自分の生きている意味というか、そういうものの再発見もできるかもしれない。入り口として健診保健指導というのがあるのだけれども、それを継続するには継続する場というか、続けたいことというのも非常に重要だと思います。糖尿病の患者さんに多くかかわってきて、一人一人に対する指導もいいのだけれども、グループダイナミクスというか、まだいいやと思っている人に合併症になった人が、「おまえな、そうやっていると俺みたいになるぞ、今なぜやらんのだ」と言ってくれるのが一番きいていたりということもあってお互いに学び合う部分もあると思います。健診保健指導を入り口にして、地域の中でいろいろな場につなげていくというようなことを最終ゴールにイメージしながら、そして、それがまた自立支援につながったり、そこで特技や、本当は持てる力がいろいろあったのだということも再発見して自立につなげていくというのも、大きな理想像かもしれないけれども、そういう全体像のもとに保健指導を考えていく必要があります。最終ゴールは単にデータがよくなることだけではなくて、その人の健康観とか人生そのものにプラスの影響を及ぼしていくというのが最終ゴールですと、そういうイメージでこのことをまとめていただけるといいかなというふうに感じています。

 

○芥川委員 ちょっと話が戻ってしまうかもしれないのですけれども、今回、保健指導というようなところで考えたときに、一般的な福祉事務所には専門職がいないわけで、専門職の指導というふうなことを考えたときには、保健衛生部門との連携というようなところがキーになってくると思うのです。私はほかの自治体のことはわからないのですけれども、上尾市においても、今まで同じ庁内であっても課が違うと、あとは保健センターのほうが出先機関というのもあるのかもしれないのですけれども、気軽に連携というのが、声がかけづらいのかどうなのかというところなのですけれども、本当に問題が複雑化・困難化して、ようやく保健師さんというふうなお声がけがかかって支援が開始するというようなこととかがあるので、もうちょっとお互いが声をかけやすくなるような、問題がそんなに複雑化しないうちに保健師のほうも介入できるような仕組みだったり、あとはケースワーカー自体もほかの課でやっている事業というのをそんなに熟知していなかったりというところもあって、保健センターで実施している保健事業、それは生活保護の人ということではなくて、市民全般に実施している保健事業というのをもっと活用して、そこにどんどん利用してもらうことで保健衛生部門の保健師も生活保護を受けている人と接する機会というのもふえて、より保健衛生部門にいる人が生活困窮者の課題というのを身近に感じることもできると思うのです。

 もっと保健衛生部門で実施している保健事業をフル活用しながら福祉事務所のほうでも活動できるといいのかなと思いますし、あとは、町村なんかだと福祉事務所は県のほうになるのですよね、保健衛生部門は町村みたいになって、余計連携がしにくい。同じ市内であってもそういうふうなところがあって、組織が変わってしまうと余計そういうふうなところがあるのかなと思うので、もっとそこの連携というのですか、もっと気軽にお声がかけ合えるような体制というか、そういうのが必要というのは実感として感じています。

 

○森座長 今、芥川委員がおっしゃいましたけれども、保健センターは出先機関というふうに役所の中の位置づけが大体そういうふうなとらえ方をしておって、そうすると今度は、いわゆる福祉事務所的な、それは福祉部という中だと、それは本庁舎の中にあって、出先機関との連携というのはなかなかできないというのが実際の現場ではないですか。それをいかにして、例えば今回のこういう問題を一つのきっかけにして、どういうふうに連携をしていくかというふうにとらえれば、今度は皆さん方が、こういう問題を解決するには全庁的なというふうな視点というのは、ぜひこれをきっかけに。

 

○芥川委員 もっと気軽に声をかけてもいいと思うのです。福祉事務所のほうがもっと気軽に保健衛生部門の人に、こういう人がいるから保健師的な視点で助言してもらったほうが支援しやすくなると思うからというようなところで、もっと一緒に訪問したりというようなかかわりをしていくことで福祉事務所と保健衛生部門との壁を低くするというか。

 

○浅沼委員 それは30年前からずっといっていることなのです。結局ずっとそれでやってきて、こういう状況になってしまったわけですね。結局、健康問題に着目した職員がきちんと福祉事務所に存在することが必要だというふうに私の調査の結果言っているわけで、今のケースワーカーは本当に大変なのです。一つ一つの問題に本当に飛び回っているわけです。もっと連携しろと言ったって、目の前の人たちの支援をするのに必死なところで、連携しろとさらに言われたって、健康支援のことをまたやるのかと言われたって、どうするのですかという話です。それで非常勤の保健師を雇っても、今、その非常勤の保健師ですら一緒に飛び回るしかできない状況になってしまって、健康管理のほうまで行けていないということを考えたときに、では、健康支援をきちんとしていくにはどういう体制をつくるかということを話し合っているので、もっと福祉事務所が自立支援プログラムをつくったときに、健康支援をする人とは誰なのか、そういう人をちゃんと手当てしてよというのが、現場で飛び回っている人たちの声ではないかと思うのです。

 だから、今やっている人たちのきゅうきゅうの状況をもっと締めつけたり、仕事をふやしたりというのではなくて、もっと連携しろよというのだともっと仕事がふえるわけです。そうではないシステムを考えていらっしゃるであろうから、国もこういうような研究会があるのだろうと私は思っております。

 以上です。

 

○芥川委員 上尾市においても、こうやって専門職を置いていただいている自治体なので、私もそれにこしたことはないというふうに、福祉事務所にもきちんと健康のことがわかる専門職を配置されるということが、早急にそういうふうな形で進めていただきたいというところが切な願いではあります。

 ただ、今の置かれている状況の中でというようなところであったので、その中でもっと保健センターの事業を十分に活用し切れていないかなというふうなところとかもあったので、そういうふうなところが活用できるといいのかなというところで、ちょっと発言させていただきました。

 

○村山委員 今、行政の内部の話が出たのですが、先ほどの座長からもお話があったように、この重症化予防ということを考えると、医療機関は地域の中の資源としてすごく重要だと思うのです。なので、医師会とか医療機関とどう連携していくかということも一つこの仕組みの中に重点として入れていただけたらと思います。

 医療機関には管理栄養士等、いろいろな人材がいますので地域資源として有用だと思います。

 ただ、医療機関にいる専門職、例えば管理栄養士にしても、生活保護の方々の置かれた状況を理解した上で自立支援をしていくという視点で栄養指導をするということになれていないことがありますので、そういったときに使えるようなツールや教材のようなものが別途あるとよいと思いました。

 

○森座長 今、私が余分なことをしゃべってはいけませんけれども、実は、医療と介護とか、看護の連携といいますが、実際は、どちらかというと市町村は今まで医療ということに対して、いわゆる都道府県が医療計画を担っていました。そうすると、結局、医師会、医師との接点は、医療の分野というのは予防接種と学校医ぐらいのことしか、そうすると、いかにして、先ほど申しました町づくりという視点から言ったら、お医者さん、医師会をどういうふうにこの分野にも巻き込んでくるか、そういうふうな視点がないと、ただお医者さんは別だとか、医療機関ということを言っていますけれども、地元の医師会、例えば上尾なら上尾の医師会と行政がどう向き合うか、やはりこれがないと、そうすると、この問題は、医師会と対等にお話しできるのは首長さんなのです。上尾はぜひ首長さんが、いかにして町づくりの中でお医者さんが大事だということをお伝えください。

 

○増田委員 僕は、きのうたまたま埼玉の浦和に行って、健診機関の指導に行ってきたのですが、そこの院長としては、医師会の中でもちゃんとそういう健康づくりの重要性の認識をされていて、その先生は、僕はこの浦和地域の健康づくりを任されているのだ。だから、いろいろなところに行って講演をしたり、そういう生活習慣病の話をされたりしているわけです。だから、少なくとも都道府県レベルの医師会ならば、そういう担当の常任理事も必ずいると思いますので、そういうところとお話をされ、かつ、三師会とか四師会とか看護協会だとか、栄養士の会だとか、あと、薬剤師さんの連中も非常に健康づくりには積極的、特に禁煙に関しては薬剤師会は物すごく熱心に取り組んでおります。そういう意味では、おっしゃるとおり、地域のどういうソーシャルキャピタルがあって、それをいかに活用するかだと思うのです。

 例えば、食生活改善推進員の方々も結構いろいろなところで、町の施設とか保健所の施設を使って、栄養・その他、つくったりして実際に住民も参加してやっています。いかにそういうものを、ケースワーカーの人は非常に難しいから、どんなところがあるかというのがわからなければ、まさしく本庁はそういうのを全部把握して、こういうところがあるよということを本庁のほうからいろいろと情報伝達していくというのがまず取り組むことかなと思います。

 以上です。

 

○津下委員 2点あるのですけれども、1つは、まず、医師の側の動きなのですけれども、特定保健指導が始まって、生活習慣改善だけでこれだけデータがよくなるということもわかってきたことと、薬依存はいけないということもわかってきた。それから、若いドクターというか、私たちぐらいより下というのはチーム医療をやっている人たちが町に出てきているということで、チームで生活習慣病を見ていく。昔の医者は、感染症の時代は医者が治す時代だったのですけれども、私たちの世代からは、糖尿病とかでもチームで病院の中でもやっていくチーム医療をやってきた人たちで、予防に対して関心のある人たちがふえてきています。そういう中で、これからまさにそういう地域の医療資源もうまく活用されていくといいのかなというのが第1点。

 2点目は、より大きい話なのですけれども、生活保護の方々の市町村のデータとかを分析している市町村は、全庁的な健康づくりを進めている。これは、「健康日本21」なのです。「健康日本21」の枠組みで健康格差を小さくする。健康のことは衛生部門だけではできなくて、生活インフラから、歩きやすい道づくりから全てがかかわるということで全庁的に取り組んでいる。何が市民の健康を阻害しているかとか、どういう人が健康弱者なのかというような議論を進めたところに生活保護の情報も持ってきて集まってきて、生活保護のケースワーカーさんもそういう「健康日本21」の庁内ワーキングに出てくるわけです。だから、逆に、健康づくりという観点でケースワーカーさんもどんどん「健康日本21」全庁的な健康づくりの取り組みの中に入っていただいて、一緒になって健康格差をどうしていこうというような議論をしていただくというのは非常に重要なことだと思います。「健康日本21」第二次スタートして、健康格差とは言っているのですけれども、地域格差まで言うのが精いっぱい。地域特性に合わせたプロモーションをしましょうという話なのですけれども、もう一歩、せっかくここの議論が深まってきているので、逆に社会援護局のほうから健康局側に、もう少し「健康日本21」の第二次のところで書き込みを依頼していくとか、例えば生活保護の方々への健康管理についてはこんなことをして、こんな成果が上がっていますという事例を、逆に「健康日本21」の中に盛り込むということができたら、さらに全庁的な取り組みがスタートするのかなと。そこの状態が衛生部門に見えないという現状もあるので、厚生労働省の中でその枠組みの中にうまく今回の動きを取り入れていただけると進みやすいのかな、意識が上りやすいのかなというふうに思いました。

 

○滝脇委員 ボール球ばかり投げてしまう感じで申しわけないのですが、健康管理そのものではないのですけれども、1点留意していただきたいところとしては、健康的な住まいということがないとなかなか、例えば糖尿病の方が自炊もできないような住まいで暮らしているということもありますし、あるいは、もっとポジティブに考えれば、みんなで食べるというような場所をどれだけつくれるかということも健康にかかわってくると思うのです。最近では大家さんと協力してアパートの中にサロンをつくって、それをお手伝いしてみたり、そうすると地域の人たちがみんなでいろいろなものをつくるわけです。カレーライスから野菜から30品目ぐらいあるような、地域のおばあちゃんたちがいろいろなものをつくってくれる、そういうところに生活保護のケースワーカーは、そのアパートに連れていけば何とかなるということで受給者の方を連れてきたり、そういうサロンがついているアパートに入居させたいとか、そういうような地域ぐるみの支え合いみたいなことというのも行っておりまして、そういうサロンつきのアパートみたいなものを我々もどんどんふやしていきたいと思っていますから、住まいの観点からちょっと、どんどん大きくなってしまうのですけれども。

 今、基準部会でも住宅扶助の問題をやっていますけれども、安かろう悪かろうというふうにならないような、住まいが健康を支えるのだという視点を補足的で結構ですので御留意いただけたらありがたいと思います。

 

○森座長 きょうは、いろいろ皆さん方から発言していただきました。

 これは、とりあえずこれで事務局のほうでおまとめをいただきます。そして、一応予定されているのが12月1日ということでございますけれども、そのまとめをあらかじめ皆様方のほうに御送付させていただいて、予定としては12月1日が取りまとめの最終ということでございますので、当日ここでその取りまとめたものを提示するよりも、あらかじめ皆様方に御送付して、もしそこの中で、まだ次回のときにこういう表現がとかいうのでいろいろなこと、あるいはまた、事前にそれを事務局のほうにお申し越しいただいて、そこの中でということ、そういう事務局でまとめをつくっていただきます。それは、私、座長という立場で一度皆様方にお諮りする前に見させていただいたところで調整をさせていただくこともあるかもしれませんけれども、そうではなくて、本当にすばらしいものができ上がればそれでというようなことだと思いますので、その辺のことをあらかじめ御了解いただきたいというふうに思います。

 それでは、時間が10分ほど前でございますけれども、これで本日の予定を終了させていただきます。

 次回は、12月1日(月曜日)の1430分ということで、詳しい日程、場所等につきましては、後日、事務局のほうから御送付をさせていただくということで御理解いただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)

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