ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会))> 平成26年度第7回DPC評価分科会・議事録(2014年11月26日)
2014年11月26日 平成26年度第7回DPC評価分科会・議事録
○日時
平成26年11月26日(水)
13:00~15:30
○場所
中央合同庁舎5号館 専用第22会議室(18階)
○出席者
【委員】
小山分科会長 藤森分科会長代理 池田委員 石川委員 |
猪口委員 井原委員 緒方委員 樫村委員 |
香月委員 金田委員 川上委員 河野委員 |
嶋森委員 竹井委員 福岡委員 伏見委員 |
渡辺委員 |
【事務局】
宮嵜医療課長 佐々木医療課企画官 渡辺医療指導監査室長 他 |
○議題
1.平成25年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告に対する中医協基本問題小委からの指摘事項の分析について(案)その2
2.平成26年度特別調査(ヒアリング)
○議事
13:00 開会
○小山分科会長
それでは、定刻になりましたので、ただいまより、平成26年度第7回「診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」を開催いたします。
年末の大変お忙しい中、また、お足元の悪い中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
まず委員の出欠状況について御報告いたします。
工藤委員、瀬戸委員、美原委員、3名がご欠席であります。
なお、本日は、平成26年度DPC評価分科会における特別調査として、次回診療報酬改定に向けた算定ルール、機能評価係数II等のより適切な見直しに向けた意見交換を目的としたヒアリングを行います。DPC対象病院にお越しいただいておりますが、後ほど御紹介させていただきますので、よろしくお願いいたします。大変お忙しい中お越しいただきまして、誠にありがとうございます。
続きまして、事務局より本日の資料の確認をよろしくお願いいたします。
○事務局
事務局でございます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
D-1、D-1参考1、D-1参考2、D-2、D-2参考1、D-2参考2、医療機関提出資料、また、委員の方々には机上配付資料を配付させていただいております。
過不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
〇小山分科会長 それでは、議事に入らせていただきますが、今日は大きく2つに分かれております。
1つ目が影響評価に係る調査の結果報告とヒアリングですけれども、きょうヒアリングに来ていただいた先生方、誠に申しわけありませんけれども、最初に、通常の議題を進行させていただきまして、その後にヒアリングを開始いたしたいと思いますので、日頃、どのような形で分科会が運営されているかをぜひ見ていただきたいと思っております。
まず、「平成25年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告に対する中医協基本問題小委からの指摘事項の分析について(案)その2」を議題としたいと思います。
まず、事務局より御説明をお願いいたします。
〇事務局
事務局でございます。
それでは、資料D-1に沿って説明させていただきたいと思います。
前回分科会11月10日おいて御議論いただきましたものをまとめさせていただきました。資料の大筋としては変わっておりませんが、ページ数で言いますと、5ページ目でございます。「再入院種別」ですが、委員の方からの御意見もございましたので、「再入院種別」の集計方法を、分母に「全退院症例数」を持ってきまして、集計をし直しました。
6ページ目に、各委員から上がった意見をこちらで適宜まとめさせていただきました。検討結果としては、「治癒・軽快の定義」では、1つ目の〇「「治癒」と「軽快」の定義の違いは、「退院後の継続的な治療」を行うか行わないかという点だけではないか」とか、2つ目の〇ですと、「高齢化に伴い、なんらかの基礎疾患をもつ患者が多いため、入院の目的の疾患を治療し退院しても「治癒」にはならないので、「治癒」が減少し、「軽快」がふえているのではないか」とか、3つ目の〇「出来高算定病院においては、請求上、疾患ごとの転帰を設定し、総合的な転帰を設定することがないため、DPC対象病院と比較した場合にデータの入力精度に差があるのではないか」とか、4つ目の〇「急性期を脱した患者を、その後の機能(リハビリ等)を担う病院での治療に移すなど、病床機能分化をすすめた結果、治癒率が低下し、軽快率は上昇していると考えられるのではないか」以上のような意見を頂戴いたしました。
その他、○2「「治癒」「軽快」以外も含めた追加集計値」では、「増悪」とか「最も医療資源を投入した傷病による死亡」とか、死亡という観点からは増加しておらず、粗診・粗療が起こっているとは言えないのではないか」という意見も頂戴いたしました。
また、○3「再入院種別」に関しては、「いずれの病院種別でも同様の傾向を示していることから、DPC対象病院において、無理に患者を退院させているとは言えないのではないか」という意見を頂戴いたしまして。
最終的な結論として、一概に「治癒」を単独で病院のアウトカム指標として用いるのではなく、「治癒+軽快」をまとめてアウトカム指標として、DPC評価分科会としてはモニタリングしていくことが妥当ではないかと締めくくらせていただいております。
続きまして、「平均在院日数」に関しての項目ですが、こちらも前回の分科会でいただきました意見を10ページ目にまとめさせていただいております。
○1「DPC/PDPSにおける平均在院日数短縮への取組みの診療報酬上の評価」で、2つほど挙げさせていただいております。
2つ目の〇では、DPC制度医療報酬全体での取組みの評価というところをまとめさせていただいております。
3つ目の〇ですが、医療技術等の進歩というところで、各委員から活発な御議論、意見を頂戴いたしましたので、示させていただいているとおりまとめさせていただきました。
○4「病床機能の分化」も、病床機能の分化の結果、「平均在院日数」が減少していると類推できるのではないか、とさせていただいておりまして。
最終的に、結論の部分ですけれども、「平均在院日数の減少には、上記に示したとおり、様々な複合的な要因が考えられる」と締めくくらせていただいております。
資料は、別添、参考としてグラフと、参考資料2として、10月1日の中医協に報告したものをつけさせていただいております。
以上でございます。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
ということでもって、最初の「概要」を見ていただきますと、中医協にこのDPCの結果を御報告したときに、「治癒」の項目が減少しているという点と、「平均在院日数」がどんどん短くなっているけれども、何か問題はないかというような御指摘でありまして。それに対して、前回議論をさせていただきまして、その皆様の議論をまとめさせていただきまして、「治癒・軽快」に関しては6ページ、入院期間の短縮に関しては10ページのような理由が挙げられることによってなっていると。決して、DPCが何か悪い方向に進んでいるのではないという結論だったと思っております。
これに対して、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
〇井原委員
6ページの「治癒・軽快の定義」で、1つだけ補足をさせていただきたいと思います。
DPCはレセプトの記載要領で、医療資源を最も投入した病名に対して転帰を書くということになっています。そのことは、臨床医の先生は皆さん承知をした上で、それでも、退院後に外来受診をすることが決まっていますと、入院中の疾患に対してのフォローはほぼ確実に行うことになるので、現在の定義からして、総合的に考えた上で転帰をつけざるを得ないというニュアンスですので、臨床医の先生方は、通知に書かれていることを考えずに総合的な転帰ということを考えているわけではないということだけは、補足しておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇小山分科会長
はい。
事務局、よろしいですか。
〇事務局
はい。
〇小山分科会長
ほかにどうでしょうか。
よろしいでしょうか。
では、これは恐らく12月の中医協において御報告をさせていただきますということで、皆さんは御異存はありませんか。
(「はい」と声あり)
〇小山分科会長
では、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
それでは、次の議事に入らせていただきます。
続きまして、「平成26年度特別調査(ヒアリング)」を議題といたしたいと思います。
まず、事務局より御説明をお願いいたします。
〇事務局
事務局でございます。
資料としては、D-2(別紙)が最初についておりますが、こちらのほうに、本日お越しいただきました病院様のリストを挙げさせていただいております。調査区分としては、3区分ございます。また、後ほど御説明さしあげます。
資料D-2でございます。こちらに沿って、まずは説明をさせていただきたいと思います。
「平成26年度特別調査(ヒアリング)について」とさせていただいておりますが、1つ目「概要」「次回診療報酬改定に向けた算定ルール、機能評価係数II等の適切な見直しに向けて、合計7医療機関からヒアリングを実施する」とさせていただいております。
「調査方法」としては、下の【図表1】に、「調査票の配布状況」で示させていただいております。区分としては、3つ分かれておりまして、1つ目の区分が「大学病院分院がII群となった理由について」と、2つ目が「精神病床を備えていない理由について」、3つ目が「適切なコーディングについて」で、この3つ目の〇の部分は、診断群分類番号の相違率が高い医療機関と、また、相違率の低い医療機関、両医療機関に調査票を送付させていただいております。調査票の配布数としては、合計45医療機関で、回答数としては、45医療機関、回答率100パーセントとなっております。
III「各検討課題について」ですけれども、まず1つ目の「分院に機能を移しているか」とさせていただいておりますが、「目的」としては、「大学病院分院に本院の機能を移すことで、本院はI群にとどまったまま、分院にII群の選定要件を超える機能を意図的に持たせている医療機関があるのではとの指摘が、分科会で過去にございました」というところでございます。
分院に機能を移している大学病院があった場合には、実態を把握する必要があるのではないかというところで、次の2ページに移っていただきまして、「ヒアリングの論点」としては、「本院と分院の機能分化についてどのように考えるのか」とか、「本院から分院に機能を移すことで、分院がII群病院となっていた場合にどのように対処するか」等が考えられるのかと思います。
「集計値」としては、「ヒアリング対象医療機関」2病院でございます。埼玉医科大学病院様と自治医科大学病院様に、きょう来ていただいております。
(4)に「参考」として、[II群病院の選定に係る実績要件]を示させていただいております。
参考資料1を続きましてごらんいただけますでしょうか。
「大学病院本院と分院の比較」と題をつけさせていただいております。
スライド2枚目には、「基礎係数(医療機関群I群~III群)について」と「II群病院の選定にかかる実績要件」を挙げさせていただいております。
続きまして、ページめくっていただきまして、スライド3枚目でございますが、「1日当たり包括範囲出来高平均点数」が、全て実績要件になりますが、本日お越しいただいております病院様を赤字で示させていただいております。II群になっておられる分院のほうを黒字で示させていただいておりまして。下に「基準値」も示させていただいております。こちらが各項目示させていただいておりますので、合計6つですが、平成24年度から「医療機関群の設定」がありましたので、24年度と26年度の動きを示しております。
最後に、スライド9枚目、10枚目と番号を打たれているものですが、各医療機関の「外科医師数の変遷」で、医療機関様に提出していただきまして、そちらのほうを集計したものを下に掲げさせていただいております。
参考資料1は以上でございます。
D-2の資料に戻っていただきまして、3ページ目ですが、「調査票への回答の概要」で、こちらは調査対象となった医療機関全てからの回答概要を挙げさせていただいております。「本院と分院との間での人事交流はありますけれども、医療提供体制の変更は行っていない」とか、「地域における医療機関としての役割を担った結果、II群となった」という回答をいただいております。
続きまして、2.「精神病床を備えていない理由」の項目ですけれども、こちらの「目的」としては、「総合的な機能の一部(精神病床など)を備えていない大学病院に関して実態を把握して、大学病院として望まれている適切な機能を果たしているのかを把握する」という目的から、本日のヒアリングとなりました。
「ヒアリングの論点」としては、「どういった理由で精神病床を備えていないのか」とか、「学生・研修医の精神科教育はどのように行っているのか」、また、「入院が必要な精神疾患を持つ患者がいた場合に、どのように対処しているのか」とか、「今後、病床を整備する予定があるのか」等あるのかなと、こちらでは挙げさせていただいております。
「集計値」としては、【図表3】「集計値」では、I群病院では、平均として精神病床数は42.8床あるというところでございます。【図表4】の部分ですね。本日来ていただいております昭和大学病院様と関西医科大学附属枚方病院様の精神病床数を挙げさせていただいております。
ページめくっていただいて、4ページ目ですけれども、【調査票への回答概要】は、調査対象全てからいただいております概要を集計させていただいております。「分院に精神科を開設しているため、本院には精神科を設置してしいない」とか、「コンサルテーション・リエゾン診療は行っている」というところの御回答をいただいております。
最後、3.ですが、「手術・処置、定義副傷病の適切なコーディングについて」の項目でございます。
「目的」については、「様式1およびEFファイル等から抽出し機械的に選択した診断群分類番号と実際に選択されておった診断群分類番号の乖離率(相違率)が高い理由を把握する」ことが目的でございます。「ミスコーディングが多い理由を把握した上で、今後、医療機関でのコーディングルールの遵守を求める」必要があるのではないかとさせていただいております。
「ヒアリングの論点」としては、「どのような手順で診断分類番号の決定・確認を行っているのか」とか、「「適切なコーディングに関する委員会」の開催頻度、メンバー構成といったのはどういったものであるか」また、どういった理由で乖離率(相違率)が高くなったと考えられるのか」等を挙げさせていただいております。
「集計値」としては、【図表5】に示させていただいておりますように、DPC対象病院の平均が乖離率(相違率)0.66パーセント、そのうち不一致になったもののうち、収益がプラスになったものが49.9パーセントが平均、マイナスになったものは、100からこの値を引いたものですね。約50パーセントずつというところでございます。
「ヒアリング対象医療機関」としては、【図表6】に相違率(乖離率)の高かった病院として、あさぎり病院様、静岡徳洲会病院様挙げさせていただいております。
また、「診断分類番号の乖離率(相違率)の低い医療機関として、本日は稲城市立病院様にも来ていただいております。
【調査票への回答の概要】ですが、調査対象全てのものを以下のように挙げさせていただいております。
ページめくっていただいて6ページ目には、【図表8】で、「「適切なコーディングに関する委員会」の開催頻度」相違率の高い病院と低い病院を比較して示させていただいております。
続きまして、D-2の参考2という資料に移っていただきます。「ミスコーディング事例」とさせていただいております資料でございます。
本日来ていただいております病院様のコーディングの不一致率を挙げさせていただいておりまして。その中から具体的な症例をランダムにピックアップさせていただきました。
ページめくっていただきますと、スライド3枚目となっているものですが、「ミスコーディングの具体例」で、こういったミスコーディングがあるというところで、まず1つ目ですが、「K282D水晶体再建術」を実施しているが、「手術・処置等1」が「なし」を選択されておりまして、本来選ぶものと「DファイルのDPC」ですね。請求に使用したDPCコードというものが異なっているのではないかというものがまず1つ目の具体例です。
2つ目の具体例としては、「イレウス用ロングチューブ挿入法」の実施がないのでありますが、「手術・処置等1」で「あり」を選択しておられるというところで、下のほうの診断群分類番号を選ぶのではなく、「手術・処置等1」「なし」のほうを選ぶのではないかというところで示させていただいております。
続きまして、スライド5枚目からですが、「コーディング不一致率等」で、本日来ていただいております静岡徳洲会病院様のものを挙げさせていただいております。
下のほうのスライド6枚目ですが、「ミスコーディングの具体例」で、同様に、「手術・処置等1」が行われておりますが、「なし」のほうを選択されていると。こちらの場合は「K549とか、本来であれば、下の分岐に行くはずのものが上の分岐のほうを選択されているということで、ミスコーディングが起こっているのではないでしょうかというところです。
最後のページに移っていただきまして、スライド7枚目ですが、こちらは、本来であれば包括請求となるところが出来高請求となっておるというところを、「ミスコーディングの具体例○4」ということで挙げさせていただいております。こちらのほうは、机上配付の調査票のほうの御回答とは異なっておりますので御承知おきください。
事務局からの説明としては以上でございます。
続きまして、次回診療報酬改定に向けた算定ルール、機能評価係数II等のより適切な見直しに向けた意見交換を目的としたヒアリング調査に、本日は7病院お越しいただいております。
埼玉医科大学病院様、自治医科大学附属病院様、昭和大学病院様、関西医科大学附属枚方病院様、あさぎり病院様、静岡徳洲会病院様、稲城市立病院様。ちょっと順番が前後いたしました。申しわけありません。
今後の進行でございますけれども、「分院がII群となった理由について」「精神病床を備えていない理由について」「手術・処置、定義副傷病の適切なコーディングについて」、こちらの3項目のテーマでございますが、それぞれのテーマに分けて、各病院様からそれぞれ7分ほど御説明をいただきます。その後、質問の時間を設けたいと思います。6分ほどで目安のため、アラームが鳴りますが、引き続き、7分を目安に御説明いただければと思います。事前に医療機関様に対しては質問事項を送付させていただいておりまして、回答を登録していただいております。こちらについては机上に配付させていただいておりますので、委員の皆様におかれましては、御質問の際には適宜御参照いただければと思います。
また、ヒアリング参加者以外からの直接の御発言はお控えいただきますように、よろしくお願いいたします。
以上です。
〇小山分科会長
どうもありがとうございました。
それでは、お手元の資料の順番に従いまして御説明をお願いいたします。
今、事務局からお話になりましたように、3つに分かれております。1つ目は「分院がII群となった理由」、それから、「精神病床を備えていない理由」、この2つについては、実は前回の分科会において、「I群は大学病院本院とする」ということを継続することになりました。その中で、大学病院の中にも機能がちょっと違う病院があるのではないかということがここでも議論されまして、そのことについて十分お話を伺って、これからの分科会の方向性を見据えていきたいということであります。
では、最初に、「分院がII群になった理由について」埼玉医科大学病院と自治医科大学附属病院の方々にお話を伺いたいと思います。
まず、埼玉医科大学病院と自治医科大学附属病院の方々は前の席へ移動ください。
最後の3つ目の「手術・処置、定義副傷病名の適切なコーディングについて」は、御存知のように、このコーディングがDPCの根幹を成すわけですね。ここがミスリーディングを起こしますと、DPCそのものの根幹が揺るがされてしまうことでもって、非常に大事なことであるということでもって、今後どのような対応をしていく必要があるのかということを含めて御意見を伺いたいと思って、このような形になりました。
それでは、前に来ていただきましたので、まず、埼玉医科大学病院様より御説明をお願いいたします。
〇埼玉医科大学病院
埼玉医科大学病院長の金澤でございます。机上配付資料として3枚ほどおつけしたのを見ながら、7分で何とか終わりたいと思います。
きょうのヒアリングは、大学病院の分院がII群病院となれた理由ということが主な理由ですが、埼玉医科大学病院は急性期の3病院群で運営されておりまして、本院と総合医療センター、国際医療センターの3病院ですが、それぞれ設立の経緯が異なっていて、その都度、順次、医療体制の提供に関しては変遷がありました。それで、ごく簡単にこの3病院の設立の経緯を説明させていただいて、その特徴を説明してまいりたいと思います。
まず、大学病院の本院ですが、現在、特定機能病院として承認していただいていますが、古く明治25年の創設、毛呂病院を母体としています。戦後になりまして、社会福祉法人の総合病院となりまして、昭和47年「1県1医科大学構想」に沿いまして、大学が開設して、附属の大学病院としてスタートしました。
順調にスタートしまして、1,400床の病床を有する大学病院の本院でしたが、平成19年には国際医療センターを開院することになりまして、分離後は800床の特定機能病院として、大学としては、教育と研究の主役を担って、診療面では国際医療センターと、機能分化して現在に至っていると、この辺りが、きょう、本当はお問い合わせの部分だったのだろうと思っております。
II群病院は、川越市にあります総合医療センターという病院があります。この病院は本院から20キロほど離れていて、車で移動しますと1時間以上かかります。実質的な診療圏は異なっておりまして、昭和50年代に川越市長から要請があって、昭和60年に川越市の鴨田という田んぼの真ん中に「総合医療センター」という名称で開院しました。
その後の医療体制の変遷については、ヒアリングの調査票の資料の別紙1をごらんいただきますと、開院後、総合周産期母子医療センターを開設したり、災害拠点病院だったり、高度救急救命センター。現在、総合周産期母子医療センター増床の結果、92+75、NICUは60床、MFICUは22床というふうな医療を提供しています。この病院に関しては、下のコメントにも書きましたが、DPCII群となるために、大学病院の本院より医療提供体制の特別な移動は行っておりません。
それから、次に国際医療センター。これはDPCIII群病院ですが、平成10年代に、埼玉県の「地域保健医療計画」に基づいて、三大成人病と救急に特化した病院をぜひ建設してほしいという依頼がありまして、平成19年に開設しました。本院とは2キロほど離れたところにありまして、車で移動すると5分、全く共通の医療圏です。現在、包括的がんセンター385床、心臓病センター167床、救急救命センター144床で、約700床で稼働しています。病院の機能としては、がん診療連携拠点病院、救急救命センター、ドクターヘリ、さらに、災害拠点病院、DMAT指定病院というふうになっています。
このように埼玉医科大学病院3病院は連携を保ちつつも、それぞれ個性を持って機能分化して、先進的医療から地域医療までを徹底的にやろうというスタンスで発展してきました。特に埼玉県のこの地域は、先生方も御存知のように、病院や医師が少ないために、医療の最後の砦となっている面があります。
学生教育に関しては、大学病院がやはり大きな役割を果たしています。卒後研修については、「3病院自由選択プログラム」というプログラムをつくって、それぞれの病院の中からベストの研修が受けられる体制を組んでいます。後期研修医に関しては、キャリアアップを見て、3病院いずれかで専門研修をしているというふうな特徴を持っています。
きょう、特に議題になると思われますが、大学病院と国際医療センターは2キロの病院ですが、必要時にはお互いに補完し合って診療に当たって、機能を分けてやっています。多くの医師は兼担辞令を発令され、先端医療から地域医療まで対応できる体制をとっている。循環器などで、大学病院で必要な診療部門は、総合診療内科の中に心臓内科を加えていますし、今後は、大学病院としては、総合外科というふうなものも計画しておりまして、必要な部門の充実を図っています。ただ、当院は大学病院と国際医療センター2つの病院で一つと考えて、現在も運営しております。
それと、もう一枚の資料を提示します。これは大学病院をわかりやすく、診療実績、医師数、それから、現在の特徴、それから、今後の計画と分けてありますが、ごらんいただきますように、大変緑豊かな山の中にある病院だということが見てとれると思います。今後、東館という外来の病院をつくりまして、そこに内視鏡センター、難病センター、救急救命の機能、それから、DMAT創設などを考えています。心臓内科や総合外科の計画も持っているということになります。
最後に、教育についてちょっと申し添えさせていただきます。教育に教員がどれだけの時間を割いているかというのを調査しておりまして。大学病院は約3万時間、国際医療センターは13,000時間、総合医療センターは18,000時間というふうに、2つの残りの病院を合わせたぐらいを大学病院が教育に時間を割いていることになります。
それから、研究の面ですけれども、1例として科研費のデータを持ってまいりましたが、文科省科研費は、今年度、埼玉医大は215,000,000円獲得しましたが、その中で大学病院が第1位で53,000,000、基礎部門が110,000,000と高いのですが、国際医療センターが38,000,000、総合医療センターは17,000,000、それから、厚労科研のほうは、大学病院が2億、国際医療センターが180,000,000、総合医療センターが31,000,000で、合計410,000,000で、研究の部分でも250,000,000ほどの研究費を獲得して、大学病院としての先進性の医療ということで貢献していると思います。
大体用意してきたことはこれですが、7分になったでしょうか。
〇小山分科会長
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、自治医科大学附属病院様より御説明をお願いいたします。
〇自治医科大学附属病院
自治医科大学附属病院の安田でございます。どうぞよろしくお願いします。
それでは、資料に基づきまして御説明を申し上げます。
まず1枚目の資料をごらんいただきたいと思います。
自治医科大学附属病院は、栃木県南河内町(現在の下野市)に昭和49年4月に開院いたしまして、今年は40年目を迎えております。
当院は地域医療に貢献する医師の養成を建学の理念といたしまして、本学学生の教育病院として、また、最新の医療を提供する大学附属病院として、地域社会へ貢献することを使命としております。
また、平成18年には、本邦では初めてとなる大学併設型の子ども病院としまして、とちぎ子ども医療センターが開設されております。
2枚目から4枚目の資料をごらんいただきたいと思います。現在、病床数は1,132床、内子ども医療センターは137床でございます。標榜診療科は29科であり、外来患者数は1日平均2,679人、入院患者数は1日平均886人であります。
当院の特徴として、地理的に栃木県の南東部に位置し、茨城の県境近くにありまして、退院患者数の割合は、栃木県72パーセント、茨城県が全体の約21パーセントを占めております。
また、研修医の確保は、卒業生が全員出身都道府県に戻るという本学の独特の制度のために、全て学外からの研修医となっております。
4枚目をごらんいただきたいと思います。
当院の平成25年度手術件数は8,534件、時間数は18,159時間となっております。手術数が減少している一つの原因は、難易度の高い手術へ移行している結果でありまして、手術総時間は次第に長くなる傾向になっております。
当院の特徴として、生体肝移植、生体腎移植をコンスタントに年間20例以上行っておりますが、ほぼ万遍なく、多くの外科系診療科の手術を行っております。
5枚目の資料をごらんいただきたいと思います。
現在、手術適正化の取り組みとして、特定機能病院としての責務となる高度医療、急性期医療、がん疾患などの手術を、地域の二次医療機関との連携を強化いたしまして、手術室の有効活用に取り組み、集中治療体制の拡張として、ICUやCCUの増床を行っております。
6枚目をごらんいただきたいと思います。
次に、分院であります自治医科大学附属さいたま医療センターについて御説明を申し上げます。
昭和61年に埼玉県大宮市(現在のさいたま市)が設置しました大学病院検討委員会において、「さいたま市が誘致する大学病院は、循環器病を主体とする医療センターとする」という結果に基づきまして、平成元年12月に開設されております。
また、地域における医療の貢献とへき地等の地域医療に従事する医師に対する生涯教育の確立を図ることを目的とし、診療は循環器病を主体とする高度医療に対応できるよう、優秀な人材を育成し、施設、設備、医療機器についても、最新のものを取り入れております。
外科医師総数のうち、心臓血管外科医の数は14.3パーセントと非常に高くなっております。平成18年度からDPC病院の認定を受け、平成24年度からII群に指定されております。
現在、病床数は608床、標榜診療科は17科であり、外来患者1日平均1,306人、入院患者数1日平均468人であります。退院患者数の内訳は、埼玉県が97パーセントを占めております。
平成25年度手術件数は6,456件、手術の総時間数は13,964時間となっております。心臓血管系の手術時間は全体の29パーセントと、これも高い比率となっております。
次に、ヒアリング調査票について御説明を申し上げます。
大学病院分院である自治医科大学附属さいたま医療センターの選定要件をクリアし、II群病院となれた理由についてですが、先ほど病院の紹介でも御説明申し上げたとおり、分院であるさいたま医療センターは、循環器病を主体とした医療を展開するものとして設立され、医療体制も、循環器内科医25名、心臓血管外科医15名、計40名を配置しております。この数字は、研修医を除くさいたま医療センター医師総数の17.7パーセントを占めております。
このように、自治医科大学附属病院の分院であるさいたま医療センターの設置は、その機能や役割において、自治医科大学附属病院本院と診療機能の補完や分担を目的とするものではなく、本院とは異なった医療供給体制を持つ分院であるとの考えに基づいております。医療提供体制の変更については、II群病院としての選定条件をクリアするためのものではなく、II群病院としての選定条件を意識したものではないことを御理解いただければと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
今、2つの病院から御説明を伺いましたので、ただいまから質疑応答に入りたいと思います。ただいまの御説明について、何か御質問がありましたら、御発言ください。よろしくお願いします。
〇池田委員
池田と申します。
埼玉医科大学病院様にお伺いしたいのですが、「外科医師数の変遷」ということで、資料がD-2参考1の9枚目に示されておりますが、これを拝見いたしますと、埼玉医科大学病院様の本院では、肝胆膵外科あるいは血管外科といった幾つかの外科部門に関して、これは「-」が引いてあるので、恐らく医師の数が0であるということかなと思うのですが、こちらの診療機能あるいは学生教育という点では、その隣に書いてございますII群病院の分院の総合医療センターのほうでそういったことをされているのか。それとも、III群病院であります国際医療センターのほうでそういう機能を持たれているのか、御説明いただければと思います。
〇小山分科会長
よろしくお願いします。
〇埼玉医科大学病院
先ほど申しましたように、II群病院は診療圏がちょっと違いますので、学生教育とかそういったものについてはやってもらっていますけれども、病院の地域の機能としては見ておりませんで、それは国際医療センター、2キロのほうの病院とやっております。ちなみに、今言われた0のところですが、国際医療センターの医師の数を三村のほうから説明させていただきます。
〇埼玉医科大学病院
副院長の三村でございます。
ただいまの御質問に関してですけれども、まず、最初の病院の概要でも述べさせていただきましたように、心臓関係の外科、それから、消化管などのがん、悪性腫瘍、こういったものは全て埼玉医科大学病院から国際医療センターのほうに移っておりまして、外科医もそれに伴って数多くの者が移動、また新たに向こうで就職しているわけですけれども、ここに人数がございます。
先ほど御質問いただきました外科系統、本院のほうにない外科の数は、きょうお持ちした中ではちょっとわかりにくい、これは総合医療センターのほうしか書いてございませんので、国際医療センターのほうで御説明させていただきますと、こちらがおよそですけれども、35~40人診療科の外科医が国際医療センターのほうに移っております。
例えば乳腺腫瘍科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児心臓科、これは外科ではございませんが、小児腫瘍科などがございますし、そのほかも、悪性腫瘍をやっているような診療科は全部そちらに入ります。
というのが現状でございます。ちなみに、国際医療センターのほうの外科医の数、全部で143人となっておりまして。診療の内容自体がかなり分かれておりまして、もちろん当院でそういう患者さんがいれば、国際医療センターで手術をする。それから、学生の実習に関しては、国際医療センター、総合医療センターも含めた3病院でローテートをしながら回っております。全ての診療科はもちろんバランスよく実習できるようになっております。それから、研修に関しても、「3病院自由選択プログラム」というもので、3つの病院を研修医たちは自由に選択できるというような、本学独特の研修システムを持っておりまして、もちろんそれぞれの病院に所属はしていますが、全て回れるという形で、研修、学生の教育に関しては何ら問題なく研修ができているというふうに理解しています。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
〇福岡委員
福岡と申します。
まず埼玉医科大学さんにお聞きしたいのですが、3つの病院があって、非常に機能を分けていらっしゃるということですけれども、例えば学生教育などで救急とか初療を教える場合に、初期段階の一般内科外来から救命救急で非常に重症な患者さんまで、いろいろなバラエティーに富んだ患者さんを診る体制が必要になってくると思います。そのような体制の維持について、例えば教員の配置などについて、大学として何か工夫されている点とかがあれば教えていただきたいのです。
〇小山分科会長
よろしいですか。お願いいたします。
〇埼玉医科大学病院
先ほど申しましたように、総合医療センターのほうは、高度救急救命センターという意味では1・2・3次を全部受ける病院として、ドクターヘリも平成19年から運航しておりますので、そこへ行けば全てわかるということはいいのですが、毛呂の地域といいますか、大学病院と国際医療センターのペアのほうは、大学病院は1次・2次で、救急車大体4,000台年間で受けています。ですから、本当のウォークインとか、初療の必要なER型の救急は大学病院でも診ていますし、それから、3次救急に関しては、スタッフが二十何名いる救急救命チームがありますので、日高の国際医療センターのほうで診ているということで、結局、学生が初療から3次救急まで全てやるという段階で、毛呂の地域でやるか、川越の地域でやるかということは学生に選択させております。それから、研修医の場合は、自分たちで病院を選んで研修をしておりますので、そういった点では、卒後は割と自由にやらせているということになると思います。
〇福岡委員
具体的に、教員の配置等については、何か工夫とかはされているのでしょうか。
〇埼玉医科大学病院
ありがとうございます。
教員の配置に関しましては、まず本院の大学病院はER科と総合診療内科というところがございまして、それらが主に1次及び2次救急を担当しています。日高にある国際医療センターのほうは、3次救急で、救命救急だけでおよそ20名の教員がおります。
それとは別に、総合医療センター(川越)のほうは、救命救急とER科がそれぞれ併設しておりまして、一緒に動いているという形で、病院はそれぞれ、総合医療センターは総合的なものを全て一か所で診られるけれども、国際及び大学病院は、本当に2キロということで、患者さんはかなりしっかりとした振り分けができておりまして、職員を含めて、そこで大きな問題はないというふうに理解しています。また、教育に関しても十分活用しております。
教員の配置ということで、人数を申し上げますと、大学病院のER科は4名、それから、総合診療内科は12名で、ですから、16でやっていると。それから、総合医療センターは、ERが35名、国際医療センターは17名で3次救急は診ていると、そういう体制です。
〇福岡委員
よくわかりました。
同じような質問を自治医科大学のほうにもお聞きしたいのですけれども、ちょっと距離は離れている形で分院を持っていらっしゃるようなのですが、そこで、実際に子ども病院も併設されているような本院と、心臓に特化されている分院と、救急の対応や教育の体制はどのように分担されて、いらっしゃるのでしょうか。
〇自治医科大学附属病院
教育の主体は本院のほうで行っておりますが、学生に関しましては、さいたま医療センターにも宿舎がございまして、ある期間学生をローテーションさせております。ですから、主体は栃木の本院のほうで行っているということでございます。
〇福岡委員
ということは、特にさいたまのほうに救急の教員を派遣しているとかそういう状況ではないわけですね。
〇自治医科大学附属病院
同じ大学ですので、ある程度の交流はありますし、講義においては、さいたまの先生方にも来ていただき、診療応援は分野によりまして、非常に専門的なものに関しては、本院から分院のほうに派遣をしておりますが、いわゆる大きな変動はないというふうに御理解いただければと思います。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
〇河野委員
まず埼玉医科大学様にお尋ねしたいのですが、自治医科大学もちょっと同じ傾向にも見えるのですが、D-2参考1の本院と分院の比較の指数をそれぞれ見ると、診療密度とか、外保連指数等々が、分院のほうが上になっています。これで見ると、分院のほうは高度な医療をやっている、密度の高い医療をやっているというふうに見えてしまうのですけれども、DPC側から言えば、これらをクリアしないとII群になれないというところもあるものですから、この動きが、本院であるべき機能の充実度と分院との間のこれを見るときに、ちょっと違和感があるのですが、いかがでしょうか。
〇埼玉医科大学病院
DPCのように、全ての診療領域を丸めて平均値を見ると、当然そういうことになると思います。埼玉医科大学病院の例えば心臓外科は、日本でトップ3に入るぐらいの開心手術をしているわけですが、大学病院は0ですから。そういった開心術のようなセンターを大学病院も持ちますかということになったら、うちはノーということで、国際医療センターのほうでそれはやりますということになりますので、例えば大きながんの手術とか、脳血管の手術とか、そういった難易度の高い、いわゆる高度なといいますか、その領域については分院でやるという形をとっています。
では、大学病院では高度はやらないかということになるわけですが、そんなことはなくて、我々が分担している分野での、例えば内視鏡で手術をするとか、それから、内科系の難病に対応するとか、そういったふうなものについては、皮膚科の問題、眼科の問題、形成外科の問題、そういった辺りでは全てDPCのランキングでもトップ5に入るようなボリュームもやりますし、それから、質の高い医療もしているということで、それぞれ持ち場を決めて、ここにも書きましたが、先進医療から地域医療までをカバーすると、そういう体制でやっております。
したがって、こういった丸められたトータルの平均の複雑性指数ということになると、大学病院は極めて低い値になってしまうと。これはきょう言われてもしょうがないなと思って参りました。
〇小山分科会長
自治医科大さんはいかがですか。
〇自治医科大学附属病院
本院とさいたま医療センターの手術時間数の割合を見ていただけるとはっきりすると思いますが、さいたま医療センター(分院)のほうは、設立の経緯からいたしまして、循環器病を主体とする病院をという地域の要請がございまして、そういう設立の経緯からして、心臓血管外科の手術の割合がほかの科に比べて非常に高くなっております。本院がございます栃木県とは違った医療構造になっております。本院のほうは一般的なといいますか、心臓血管外科の手術もやっておりますが、ほかの科も万遍なく手術をしておりまして。さいたま医療センターのこの指数が高くなっております1つの理由は、心臓血管外科の難易度の高い手術が本院に比べて比率として大きいということが挙げられると思います。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
よろしいですか。
〇河野委員
はい。
〇小山分科会長
ほかはいかがでしょうか。
〇井原委員
埼玉医科大学さんにお聞きしたいのですけれども、病院の設立の経緯とかそういうことは御説明いただいて、よく理解できました。ただ、一番下のところに、大学病院と国際医療センターの2つの病院で一つと思っていると、こういうふうにお書きになっているのですが、確かにお考えはそうなのでしょうが、国の例えば医療機関の病院のコードとか、DPC病院のI群、II群の設定は、2つで一つという考え方は持っていないわけですね。
先ほどの質問とかぶる点もあるかもしれませんが、高度な手術は国際医療センターのほうであると。この表を見ましても、これはたまたま総合医療センターとの比較になっているからわかりにくいところがありますが、大学病院の本院がまさっているのは医師の数であって、あとの手術実施症例一件当たりの外保連手術指数とか、その下ですね、3ページ目のDPC算定病床当たりの外保連手術指数が、いずれも基準値を下回って、ある意味ではアウトライヤーになってしまっていると。
こうなりますと、先ほど申し上げたみたいに、DPCは大学病院の本院という一つの医療機関コードを付した病院に対して、これはI群の基礎係数をつけようという、こういう仕組みになっておりますね。ですから、埼玉医科大学病院さんの事情は十分理解できるのですけれども、お答えしにくいかもしれませんが、現実的には、本院よりも分院のほうが高機能になってしまっている。それに対して、我々の制度設計の側は、医療機関単位でそういう係数をつけることに対して、若干齟齬が生じているという気が私はするのですが、どういうふうにするべきなのかということのお考えがあれば、お聞かせ願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇埼玉医科大学病院
国際医療センターが計画されたのは10年以上前でして、開院して既に8年目に入っています。ですから、その設計された時点で、三大成人病と救急だということを、非常に行政から、県知事から直接理事者側が言われて造りました。もう一つは、埼玉医科大学としても、何か看板になるような、要するに、欧米で言うところのメガセンターのような病院を持ちたいと。そういう理事者側の希望があってつくりました。
今、そうやって機能を分けてやっておるわけで、そこだけを見て大学病院がDPC病院として体を成してないと言われたら、そのとおりです。ただ、2キロしか離れてないのです。2キロしか離れてないところで、医療として見ていると。特定の心臓をやらないからおまえは特定機能病院じゃないと言われたら、それはうちは落第だと思います。ただ、そうやってそれぞれの領域で、例えば眼科なんかですと、4つも5つもの病気でトップ10に入ってくるような数を診ているわけで、そうやって診療の機能を分化しているという点で、国の設計はこうなっているから、おまえのところはけしからんと言われると、返す言葉がないと言わざるを得ないと思いますけれども、それでもいいからおまえ行ってこいと言われましたので、私きょうは理事長の支援のもとで申し上げております。
ただ、特定機能病院は大学病院の本院で、今後どうするかということになったときに、やはり0はだめでしょうと。例えば心臓内科医がいない大学病院はないよねというようなことになりますので、それを総合診療内科とか、総合外科という枠組みの中で、これからは整備していこうと。実際に、心臓内科に関しては、3~4人のスタッフが活動しておりますし、理想で分けた形は現実と必ずしも一致してない部分があるので、例えば血管外科などをつくっていかなければいけないだろうとか、そういったところで今一番足りない部分を補っていくと。それが結局地域の患者さんに一番のメリットを生むのだろうと。DPCを取るためにやるのではなくて、医療をするためなので、そこの本質はわきまえてやりたいと思っています。生意気なことも申し上げました。
〇井原委員
とんでもありません。先生、どうもありがとうございました。ほかの大学病院の本院と比べたデータがここに出てきてしまいますので、先生も感じるところがあるということはよくわかりましたので、今後、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
〇埼玉医科大学病院
ちょっとだけ追加させていただきまして。お手元にも資料があるとおり、新しい東館という主に外来診療を中心とした施設も来年にはできます。内視鏡センターなども、東洋でも、もしくは日本でも随一ということを言っていましたが、有数の施設になりまして、内視鏡手術などはこれからかなりふえていくことが予想されます。それから、難病センターというようなものもございまして、内科系を中心ですけれども、かなり高度な医療はできるようになってくるというようなことで、国際医療センターが持っているものを無理やりこっちでもつくってということは、これは内部の事情もございますし、県にとってもプラスにならないと思いますので、その辺りで、私たちが目指すものは、さらに高度は目指してまいりますが、どうしても抜けるところがあるのは御理解いただければというふうに思っております。ありがとうございます。
〇小山分科会長
ありがとうございます。
どうぞ。
〇藤森分科会長代理
分科会長代理の藤森と申します。
大学病院本院がどういう病院をつくるかは、それはまさに病院の意思ですので、我々が云々言うことでは全くないと思っています。ただ、井原委員もおっしゃっていたように、基礎係数というのが、本院の全ての病院の平均値がつくと。基礎係数に診療密度が結構効いているのですけれども、機能を移すことによって診療密度が低い病院になると、ある意味、申しわけないけれども、本院しかない病院から見れば、足引っ張られているというふうに見えてしまうのですね。
ですから、それは戦略ですから結構だと思うのですけれども、フルセットを持たれていない医療機関あるいは医療機能を意図的に移されている医療機関に関しては、次回改定で、基礎係数を少し考え直すというような配慮があってもいいのかなというふうには感じては思います。これは委員の先生方がどういうふうに考えられるか伺いたいと思います。
〇小山分科会長
ありがとうございます。
いいか悪いかを言っているのではなくて、現状を把握させていただきまして、今、藤森分科会長代理が言ったように、これからどうやって評価をしたら一番いいだろうかということを議論のもとにさせていただければと思いますので、大変参考になるお話を聞けたと思います。
ほかに、委員から何か御質問、御意見はございますか。
〇金田委員
金田です。
埼玉医大さんの話はとてもよくわかりました。今、私も藤森分科会長代理と同じ意見です。決して不健全なことをされているわけではなくて、DPCのシステム自体を一歩脱皮させることの検討が必要な時期だなという印象を持ちました。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
〇伏見委員
伏見です。
確かに、病院様の問題というより制度上のゆがみというような印象を持ちました。例えば、今、大学病院本院部分を今はI群と決めているわけですけれども、例えば埼玉医大病院として、自分の病院の中の第1位の病院はどこだというので挙げろと言われたら、どこを挙げるのでしょうか。そういうものを場合によってはI群にしていくという手もあるのかなと思ったのですけれども、どちらが第1番の病院だというふうにお考えになっているのでしょうか。
〇埼玉医科大学病院
私としては、大学病院の本院と国際医療センターを合わせてI群にしていただくのが一番いいと思っております。例えば、国際医療センターなどは、がんセンターとして見ると400床近い病院でして。例えば静岡県立がんセンターとか、国がんの東なんかと遜色ない内容の医療をやっておるわけです。静岡県立がんはI群であるのに、なぜ国際医療センターはIII群なのですかと。
静岡はII群ですか。
〇小山分科会長
I群は本院しかありません。
〇埼玉医科大学病院
そうですか。特定機能病院です。
〇小山分科会長
いや、特定機能病院はI群というくくりはありませんので、I群はあくまでも大学を持っている特定機能病院という位置づけです。
〇埼玉医科大学病院
私が誤解していました。特定機能病院と誤解したのですけれども、I群という意味では、合わせて本当はしていただきたいぐらいの気持ちで、今、国際医療センターはIII群になっておりまして、非常にそこはじくじたる思いがあるということをきょうはお伝えしたいと思います。
〇小山分科会長
I群、II群、III群をつくるときに、最初、I群は、確かに先生がおっしゃったように特定機能病院というくくりだったのですけれども、あの当時、がんセンターと国立循環器センターという形で診療形態が全く違うということでもって、これは一つにくくらないということでもって、わざわざ大学病院本院のみとしたのですね。
今回、問題になってきたのは、大学病院本院のみにしたけれども、本院の中に、このような形で機能を分化されているというところがあるというところでもって、これをどういうふうに評価していったらいいだろうかというお話だと思っております。
〇埼玉医科大学病院
病院長と多少意見が異なるところはあるのですが、先ほどお話ししましたように、教育と研究は、やはり何と言っても大学病院が一番しっかりやっております。これを含めた特定機能病院、そして、それだけ教育・研究に人員を要している病院ということを考えますと、やはり大学病院本院がI群病院であるのがふさわしいというふうに私は個人的に思っていまして。もちろん診療の面で少し弱いところがあるのは、御指摘のとおりだと思います。ただ、機能評価係数などを見ましても、決して本院はほかの病院と比べて劣っていることは全くございませんので、その辺りはぜひ御理解いただきたいと思っております。
〇小山分科会長
ありがとうございます。
予定より大分時間を過ごしています。大体よろしいでしょうか。
では、どうもありがとうございました。お席へお戻りください。
続きまして、「精神科病床を備えていない理由について」のヒアリングを行いたいと思います。
昭和大学病院様と関西医科大学病院様の方々は前の席へ御移動をお願いいたします。
それでは、2つ目のヒアリングを行いたいと思います。
まず、昭和大学病院様より御説明をお願いいたします。
〇昭和大学病院
では、昭和大学病院の病院長をしています有賀と医学部長の久光の2人で当たらせていただきます。
最初に、パワーポイントの「昭和大学病院」と書いた色刷りのものを説明させていただきます。それに引き続いて、先生方分科会からいただきました「事前質問事項」についての御返事、それも多分配られていると思いますが、続けて説明させていただきます。
「昭和大学病院」のパワーポイントのほうでいきますと、下にありますように、幾つかの分院がございます。それぞれDPCのII群、III群と書いてございますが、本日は、めくっていただきまして、精神科病床のことになりますので、2枚目の上のスライド、昭和大学病院本院と、横浜市北部病院、下から4つ目と、下から2つ目の烏山病院、この3つのうちの下の2つが精神科病床をそれぞれ92、296と有していますので、それらとの連携などについて説明申し上げたいと思います。
下は昭和大学病院でございます。診療科の中に精神神経科を持っております。
次のスライドを開けてください。
次のスライドは烏山病院で、これはもともと昔から精神病院として歴史を刻んできた病院でございます。近年、昭和大学病院にあった精神科病床と烏山病院の病床を合体させるというか、烏山病院の東京都の地域における精神科医療の守備範囲については、極めて急性期に特化した形に持っていくと、そういうふうな方針もございまして、烏山病院のほうに全体が吸収されて、今現在、本院にはその病床がないと、こういう話でございます。上が烏山病院、下が精神科病床を持っている横浜市北部病院であります。
次のページを見ていただきますと、今お話ししたように、昭和大学病院と附属東病院があります。行政的には全く別の病院で、病院長も別ですが、この附属東病院のほうに精神科病床がかつてあったという話を先ほど少し触れた次第でございます。昭和大学病院のほうに精神神経科がありまして、入院病床はございませんが、外来診療、それから、その他の診療科との連携、特に救急救命センターなどとの連携については密にやってございます。
その密にやっている、その形式は、何も救急救命センターである3次救急医療だけではございませんので、初期救急からの精神科の連携についてのテキストブックを下に書いてございます。これは某学術団体が精神科の先生方と一緒につくったテキストブックですけれども、これをつくった委員長は昭和大学病院の救急救命センター長であります。
次のページをめくっていただきますと、上が昭和大学病院と東病院のそれぞれの精神神経科への診療の依頼件数でございます。年間にこの程度のことは展開しております。
それから、昭和大学病院並びに東病院から他の医療機関へということになりますと、年間にこれぐらいの数の紹介がございます。病床ということになりますので、転院ということになりますが、昭和大学病院から36件、東病院から93件の転院の依頼がありまして、先ほど話した、専ら東京都にあります烏山病院に24件、並びに66件、計90件ということで、全体129件中の70パーセントが烏山病院への転院となってございます。
その次には、研修を含めた医学教育のことなので、久光医学部長によろしくお願いします。
〇昭和大学病院
続いて、教育関連のお話をさせていただきます。
昭和大学病院で行っております初期臨床研修制度に準じまして、内科6か月、救急3か月、地域1か月の必修科と、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科のうちの2診療科を選択させる条件を満たす3つのプログラムを用意しております。1つが「自主性尊重型プログラム」、2つ目が「小児科キャリアパス支援型プログラム」、3つ目が「産婦人科コース」でございます。
このうちの「自主性尊重型プログラム」では、1年次の12月から2か月間で、精神神経科を選択必修科目として選択できます。また、2年次の7月から9か月間でも、改めて選択をできるように自由度を高めております。
また、「小児科キャリアパス支援型プログラム」では、2年次の11月から12月までの2か月間を自由選択期間として、精神神経科をラウンドできます。
3番の「産婦人科コース」では、2年次の5月から7月までの3か月で、同様に選択できるようにしてございます。
昭和大学病院では、精神神経科を研修する場合は、昭和大学病院の臨床研修分のうちの2つの施設で研修が行われております。先ほど御紹介ありました烏山病院及び横浜市北部病院でございます。
続いて、学部の教育のほうに移りますが、本学の5年生は、ポリクリと称しまして、見学型の臨床実習を行っております。1診療科1週間、1グループ4~5名で、25診療科を27週、小児科と産婦人科だけは2週ずつ回ることになっておりますが、この27週を、昭和大学病院を含める先ほど御紹介ありました7つの病院でずっと回ってまいります。そして、これが終わりました後、1診療科1か月のクリニカル・クラークシップを5年次で3か月、6年次で3か月の計6か月を実施しております。この6か月のうちの内科で2つの科、外科で1つの科が必修選択になりまして、残る3か月については、学内・学外を含めて自由選択になってございます。精神神経科に関してももちろん選択して実習することができます。
以上、病院として、教育に関して、精神神経科に関する教育については、何ら支障は来していないというのが現状でございます。
〇昭和大学病院
引き続いて、先生方から賜ったところの事前質問事項について述べたいと思います。
最初に「精神科の入院病床を備えていない理由」。学生、研修、教育等、それから、入院が必要な精神科疾患をどのように取り扱っているのかということでございます。また、私が最初に述べます。
精神科の入院病床を備えていない理由については、烏山病院と連携しているというようなことになります。烏山病院で入院している患者さんについて、研修医並びに学生は教育を受けると、こういうふうなからくりであります。学生、研修医の教育などについては久光医学部長からお話いただきます。
〇昭和大学病院
こちらも今申し上げたとおりですが、学生が必ず本学の烏山病院等で精神科の診療に関する実習を行っておりますし、また、精神科の医師は、これらの附属病院をローテートしておりますので、学生とともに医師に関しても、昭和大学の中ではローテートしているということで、均一的に学習することが可能でございます。
〇昭和大学病院
次に、「入院が必要な精神科の患者さんについて」というテーマですが、内科であれ、外科の疾患であれ、入院が必要になった場合には、昭和大学病院に入院いたします。主訴の治療とともに精神科医による治療が必要であれば、毎日いますので、コンサルテーションを行って、そのドクターに精神医学的な背景の面倒を見ていただくというようなことになります。精神医学的なものが主になってきた暁には、先ほどのように、烏山病院に専ら入院、治療をお願いしているというようなことになります。
それから、その次の「身体疾患を合併する精神科の患者さんの受入体制」でございます。これは基本的にどのような患者さんであれ、初期診療から救命救急に至るまで、背景に精神医学的なテーマを持っている患者さんは非常にたくさんおられます。ですから、ショックとか意識障害などが主だった場合には、もちろんそれに対して治療をいたしますけれども、その後に必ずや生じてくる精神医学的な評価などが必要になってくる場合には、先ほどお話しした、その日勤帯に私の病院にいる精神科の先生方にお願いして診ていただくというようなこともありますし、それが場合によってかなわない日曜日などにおいては、ここにある『PEECガイドブック』というテキストブックがございますが、それらを使いながらやっていくと。そうは言っても、朝の8時と夕方の5時には、救急救命センターの場所で、精神医学の先生と一緒にカンファレンスなどをやっていますので、おおむね診療については、今お話ししたような形でうまくやっているということになります。
それから、その下の「内科疾患や外科疾患を合併しており、入院が必要になった精神科の患者さんについて」は、今と全く基本的には一緒でございます。精神科の先生方と一緒に患者さんを診ますので、いずれ他の時点で精神科の先生方のほうに行くと。つまり、烏山病院に行くということがあれば、そちらに行っていただきますけれども、そうでないときには、私たちが基本的に面倒を見ることになります。平日の時間内において、次のページにありますが、当院の精神科医師がコンサルテーションする。または、かかりつけの先生に連絡して、患者の状況を確認して、適切な治療を行うことになりますが、一般的に、精神医学的な背景を持った患者さんで、かかりつけ医の先生に直接にその患者さんをお返ししますと、また同じようなエピソードで、例えば自殺をするというようなことが知られていますので、できれば、私たちとしては、かかりつけの先生に情報は行きますけれども、その後の精神医学的な治療については、当院の精神科のドクターになるべく多く介入していただくというふうな医学的に正しい方法をとっております。
それから、最後の4番目にありますように、他院への紹介方法などについては、ここに表がございます。昭和大学病院、東病院、それぞれございますが、救急車または介護タクシー、その他、ご自身でというようなことがありますので、そういうような形で移っていただいているということになります。
それから、最後に、「今後、精神病床を本院に備える予定があるのかどうか」については、医学部長にお願いしたいと思います。
〇昭和大学病院
現在の体制で、十分教育あるいは診療をできていると思いますので、当面はございません。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
では、引き続きまして、関西医科大学病院様より御説明をお願いいたします。
〇関西医科大学附属枚方病院
関西医大附属病院長の澤田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
席上に事前に配付させていただきました資料を併せてごらんいただければ幸いでございます。
まず、病院の概要ですけれども、関西医科大学附属枚方病院は、大阪府の北東部に位置する北河内二次医療圏にございます枚方市にあります。この枚方市は大変特徴がございまして、非常に狭い領域で、関西医科大学750床、それから、大阪府立精神医療センター。
〇事務局
恐縮でございますが、事前に発表用として資料をいただいておりませんのでお配りされておりません。
〇関西医科大学附属枚方病院
わかりました。
枚方市には、関西医科大学の枚方病院750床、それから、大阪府立精神医療センター473床、独立行政法人星ヶ丘医療センター580床、国家公務員の共済組合の枚方公済病院に313床、それから、枚方市立のひらかた病院335床があり、また、3つの医系大学、すなわち医学部を持っております本学と大阪歯科大学、また、薬学部と看護学部を有する摂南大学があり、地域を挙げて健康医療都市の確立に向けて取り組んでおります。
その中で、関西医科大学附属枚方病院は、平成18年1月に700床を有する大学附属の本院として、守口市から移転して枚方市に開院いたしました。その後、この枚方病院は、平成25年5月には750床に増床し、そして、平成25年4月には、本院の隣接地に医学部が新設されまして、医科大学としての懸案でございました教育と研究、診療の分化が解消されたということでございます。
枚方病院の機能の概要ですけれども、750床のうち一般病床が670床、重症病床が80床、重症病床80床の内訳は、救命救急が20床、GICUが12床、CCUが12床、MFICUが9床、NICUが12床、GCU15床でございます。
枚方病院は、現在、46診療科を有しております。
それでは、続いて、精神科を分院に残した理由について御説明を申し上げます。
まず、平成18年1月に、先ほど述べましたごとく関西医大の枚方病院が本院として開業し、旧本院であった関西医科大学附属滝井病院は分院となりました。この際、守口市の保健所から、神経内科の滝井病院存続について要請があり、この神経内科に関連いたします我々のところでは、ブレインメディカルセンターを持っておりまして。このブレインメディカルセンターすなわち精神神経科、心療内科、神経内科、脳神経外科の統合部門を滝井に残したというのが一番大きな理由でございます。
その次、本院と分院間との病院のアクセスに関してですけれども、本院である枚方病院と分院である滝井病院は、京阪電車の枚方市駅と滝井駅の駅前にございまして、電車での所用時間は約20分、距離で14.6キロしか離れておりません。極めて交通の便利なところに2つが存在しているのが特徴でございます。
それから、枚方病院での精神科の診療ですけれども、枚方病院では外来機能のみとなりますけれども、積極的に精神科患者を外来で受けいれている方針でございまして。現在、常勤医師が4名で精神科の外来を担当しており、また、医局も院内にございます。また、入院患者のリエゾン及び緩和ケアに対する対応を積極的に行い、初診は月40件、再診は月160件と、滝井病院と同等以上の対応を行っております。
なお、精神科入院を要する場合は、滝井病院へ連絡をいたしまして、転院しております。
枚方キャンパスの教育ですけれども、学生教育は枚方学舎で行い、5年生から6年生にかけての臨床研修や前期研修医の研修は滝井病院で行い、必要に応じて外来研修は本院でも行っているのが現状でございます。
次いで、御質問にございました身体疾患を合併する精神疾患患者の救急受入体制でございます。当院では、身体疾患を合併する精神疾患患者の救急受入は、救急救命科と精神科の医師が連携して行っております。具体的には、救急救命科に搬送されてきた身体疾患を有する精神疾患患者は、救急救命科の担当医が初期治療を行い、救急救命医からの依頼を受けて精神科医が精神科の専門的な治療を行っております。この対応には、先ほども述べましたように、本院に在籍します4名の常勤精神科医が対応し、夜間はオンコール体制をとっております。
また、地域医療の観点から現状を分析いたしますと、当院は、15キロ離れたところに分院があり、また、そこには精神科の認定病床が35床ございます。精神疾患の地域拠点病院として大きな役割を果たしている関係から、当院としては強固な連携を持っているわけでございまして、平成25年には36件の紹介がございます。
また、当院の近隣には、本院の精神科関連病院として医師を派遣しております病院、あるいは、提携病院として、相互に画像診断等の連携対応が可能な473床を持った大阪府立の精神医療センター、これは当院から1600mしか離れておりませんけれども、それが存在し、具体的には、本院との相互に入院患者の受け入れ、または、身体合併症を急性発症した患者さんの救急受入の連携を行っており、地域包括医療の機能分担として連携体制を整えております。
それから、内科、外科等の一般身体疾患対応診療科への入院した患者の精神疾患を有する場合はどのようにしているかということでございます。入院担当医の依頼を受けて、精神科医4名がリエゾン診療を行い、当院で診療が可能と判断された場合には、当該科入院期間中の病床での精神科専門治療を行い、また、その数は2013年には当院で2000件のリエゾン診療を実施いたしております。
診療内容としては、せん妄状態や幻覚、妄想状態などの急性期治療や精神疾患患者の精神症状のコントロール、精神疾患患者の入院、療養手法など、多岐にわたっております。また、退院後に精神治療の継続が必要な場合には、当院精神科外来での診療を継続し、また、適宜、地域の専門機関へ紹介をしております。
さらに、当院は、がん診療拠点病院でもあることから、精神科1名が緩和ケアの担当医として活躍していることも重要でございます。
次いで、当該医療機関を受診した患者が精神科入院を要する場合、他院への紹介方法ですけれども、当院の精神科におきます平成25年4月~26年3月までの外来延べ患者数は5,220人であり、そのうち新患者数は228人でございました。この新患者のうち、他院へ紹介された患者数は209人であり、紹介先での入院患者数は7人でございます。この7人の患者さんについては、救急搬送する必要がなくて、推測の域を出ませんけれども、患者家族による自家用車による受診であろうと、このように考えております。
最後に、今後、精神科病床を本院に備えるかどうかということですけれども、今まで述べてきましたごとく、当院での精神科の診療については、分院である附属滝井病院と機能分化も踏まえて、現在のところ、外来、入院、診療ともその体制は整っております。しかも、この体制は十分な大学附属病院機能を果たしていると考えております。
一方、精神科の学生臨床教育に関しても、本院と分院が15キロしか離れておりませんので、また、お互いの病院が京阪電車という駅前に存在し、学生の移動には支障が生じているとは考えておりません。また、教育カリキュラム上も支障はございません。
さらに、地域医療包括機能分化の観点からも、近隣には、精神科に特化した800床の公立病院が1600m離れたところにございます。また、精神疾患のリハビリやデイケアセンターを持った専門医療機関との連携も図っております。
ただし、今後、特定機能病院の診療機能や教育病院の機能として、精神科の病棟設置が必要であるとの御指摘を受ければ、精神科病棟の設置も考慮に入れて検討をしたいと考えております。しかしながら、なお、その際には建築にかかわる期間と時間的な猶予をいただきたくお願いを申し上げます。
以上でございます。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明について、委員の先生方から御質問をお願いいたします。
〇川上委員
委員の川上と申します。
今回のヒアリングの目的として、総合的な機能の一部、特に精神科病棟などを備えていない大学病院に関して実態を把握するということがございますので、その点でお伺いをさせていただきます。特に身体症状や内科、外科の疾患を合併しているような精神科の患者さんを夜間とか休日に受け入れる場合、それぞれの先生方の御説明の中で、精神科医のコンサルテーションが可能となるまで患者の状態に合わせた対応を行うとか、それから、夜間オンコール体制、また、地域医療として受け入れておられるということで、医療の面では大きな問題はないということはお話で大変よくわかりました。
ただ一方、他の大学病院などですと、精神科医が夜間や休日も含めて診療が受入可能な体制をとっていたり、あるいは、入院機能を維持していたりするわけなので、そういった他の大学病院と先生方のご自身の大学病院、本院を比較されて、何か違いを感じられるか、あるいは、特にそういったことを感じられないかという、率直な印象でも結構ですので、お教えいただければと思います。
〇小山分科会長
では、昭和大学病院さんからお願いします。
〇昭和大学病院
私は昭和大に赴任しまして、もう20年近くになります。かつて東病棟と言われたところに精神科の病床は40床ぐらいあった時代を知っております。その頃には、今、川上委員がおっしゃったように、夜でも日曜日でもいつでも、精神科医に対して来いと言えば来るわけですね。そういうふうな時代と、それから、今の時代とを比較して、ありていに申し上げますと、すぐ来いと言って来たほうが、便利と言えば便利でございます。ただ、本当にそれが必要かどうかということまでいきますと、現状において、時間外において絶対に来いというふうな局面は、私たちの身体疾患を主に診るという、そういう場面においては余りありません。
それでもあるだろうというふうに、もし川上先生がおっしゃった場合には、僕たちは、烏山病院が急性期の精神科病床として複数名の当直医でやっていますので、そこと連絡をとれば、それは幾らでもできると。いよいよそれでもやはりということであれば、そのまま僕らが救急車に乗って向こうへ行ってしまうという話でございます。今は、向こうの烏山病院が比較的急性期の病院として、非常にアクティビティが高くなりましたので、僕らとやりとりすることが非常に多くなってございます。ですから、今、川上先生がおっしゃったような形で、いればいいという時代を知っていますので、いないからよくないかという話になると、むしろ、さっき、ちょっとこの話もしましたけれども、卒前の学生教育、または卒後の若い医者の教育などを考えますと、「すぐ来い」と言ってうまくいったねという話ではなくて、少し考える時間を提供しながら、そして、総合的にきちんとやっていこうというふうな観点でいきますと、僕自身のインプレッションとしては、今のほうがいいのではないかなというのが私の素直な意見でございます。
〇小山分科会長
関西医大のほうはいかがでしょうか。
〇関西医科大学附属枚方病院
私は精神科の主任をやっておりまして、精神科的観点から言いましても、全く問題ございませんし、今おっしゃられましたように、外来の患者さんの場合ですと、距離的に非常に近うございますから、滝井の分院に来ていただくということで十分対応できます。
本院の枚方病院の中で、そういう精神症状を発生された場合は、その日の時間外の間でしたら、オンコールの精神科医に相談していただければ十分対応できますし、翌日で十分対応できると思います。
それと、私の個人的な意見ですけれども、精神科的な時間の流れは、特定機能病院の非常に時間の速いスパンで治療を行っているものではございませんから、むしろ、分院の治療のほうがやはり精神科医療としてはマッチしているような印象は持っております。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
〇池田委員
池田と申します。
関西医科大学さんにお伺いしたいのですが、夜間、精神科の先生のオンコール体制ということですが、おおよそどのぐらいの頻度で精神科の先生の出番があるのかということはいかがでしょうか。
〇関西医科大学附属枚方病院
本院も分院も救命はございまして、救命のドクターは、かなり精神科的な対応のできる方ばかりですし、分院には常駐で救命に常勤として働いておる者もおります。本院でそういう対応を求められるケースは、実際、時間外の数時間の間においては極めて少のうございます。
〇関西医科大学附属枚方病院
枚方病院でのデータを調べたのですけれども、今まで1回だったと思います。ほとんどないというのが現状でございますね。
〇小山分科会長
ほかにいかがでしょうか。
〇嶋森委員
大学本院がI群ということは、教育機能と高度な医療の提供を評価していると思いますが、教育機能の中で精神科がないというときに、今は精神科をお持ちでないわけですが、その場合に、大学病院として、精神科の教育をするときに、どういう要件があれば、分院とか分かれていてもいいとお考えでしょうか。何かお考えがありましたらおきかせながえますでしょうか。つまり、今後DPCでそういうことを決めていくことになるわけなので、それに関するお考えお聞かせいただければと思います。昭和大学では連携はうまくいっているということとか、勉強もできるというふうに言っていただいたので、昭和大学や関西医大のようにできれば良いと言う事になります。その場合、何か最低必要な要件は何か、何が整っていたら、I群病院として十分機能を果たすと評価してもいいのかなど、そういうことを考えるときのポイントみたいなことがありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。
〇小山分科会長
お願いします。
〇昭和大学病院
先ほど少し触れたこととも関係ありますけれども、今、医学教育というふうなくくりで御質問されたので、将来医者となっていくという、そういうふうな中でのお話でいきますと、どういうふうな専門科になるとしても、ほかの領域のドクターたちと患者さんのやりとりを円滑にやるというふうなことが必要だと思います。その円滑にやる中には、場合によっては総合診療的な全体を診るような目が必要だということもありますので、医学教育の中では、今は、総合診療をどういうふうに位置づけるかという話も同時進行で行っていますが、そういうふうな全体的な観点からすると、何科のドクターになるにしろ、精神医学的な先生方と上手に連携することが必要であると。その部分にこそ一番大事な教育の部分があるのではないかなと私は思いますので、さっき「ちらっと」言いましたけれども、診療の上で、そのままよろしくねと言ってしまうと、何でもかんでもできてしまうという話は、確かに優れているように見えますけれども、少し立ち止まって考えてもらって、それから、何がどう問題なので精神科の医者に来いというふうに言うのかというところの勉強はやはり必要なのですね。これは循環器病学であれ、神経病学であれ、みんなそうなのです。専門科がどういうふうな形でスタンバっているかというふうなことと、それから、よい教育がどうできるかという話は、今、御質問があったように、連携とか協働というか、そういうふうな切り口で医学部の学生並びに初期研修の人たちが勉強できるかという話になると思います。いればいいという問題ではないということでございます。
〇小山分科会長
関西医大は、精神科の教授にお話を聞いたほうがよろしいですかね。
〇関西医科大学附属枚方病院
本院にも外来はございますから、学生教育にとっては、もちろん本院でもできますし、主には分院に来て、精神科、学生レベルの教育と初期研修はやっておりますし、全く問題はございません。
それと、歴史的な経緯で、もともと滝井が本院でございまして、本院が新たにできたということで、精神科だけ残ったわけですけれども、御存知だと思いますけれども、それは大阪府の精神病床がかなり偏在しておるのです。大阪市内には、大阪市立病院の病床しかございません。守口市と申しましても、一番大阪市に近いところでございまして、そこに精神科病棟を残しておかないと、かなり偏在があるというのも分院に精神科が残った理由でございます。
ただ、先生がおっしゃるように、精神科教育としては、分院の時間的流れのほうがむしろ私は合っていると思います。DPCも載っておりませんし、時間のかかる治療が多ございますので、学生教育にとっても、ゆっくりとできるほうが、精神科的にはいいと思います。
〇昭和大学病院
医学部長としてちょっとお話しさせていただきます。
精神医学に関する教育に関しては、ほかの科と同じように、カリキュラムの上で、烏山病院ないし北部病院の精神科を必ず回るように最初からつくられておりますので、その場所が昭和大学病院の中ではないかもしれませんけれども、学習する時間であったり、チャンスであったり、そういうことは全く同じでやっております。
と同時に、担当してくださる先生方が、精神科は昭和大学では1個しかありませんから、その中のドクターが場所を替わっていきますので、結局、差はないという、そういうふうに考えております。
〇小山分科会長
ありがとうございます。
しかしながら、学生は移動しなければならないということもありますからね。
ほかにいかがでしょうか。何か御質問はありますか。
〇渡辺委員
感想ですが、DPCの要件が病院単位で設定されていますので、精神科の問題が出るわけですが、2つの病院のお話を聞きますと、法人全体としての取組み事例だと思いますので、DPCの要件の中に、法人単位の視点を考えなければいけないのではないかということを少し感じました。
〇小山分科会長
ありがとうございます。
どうぞ。
〇樫村委員
両方の病院にお尋ねしたいのですけれども、今、精神疾患そのものを治療するということであれば、ゆっくりした時間の流れの中でやるということはいいことのように思うのですが、例えば、これからは精神疾患を抱えた方の高度急性期医療というのがふえてくると思うのですが、そういうときには、精神科病床が本院にあるのと分院にあるのとでは、機能の違いをどういうふうにお考えになりますか。
〇小山分科会長
大分時間が押していますので、簡潔にお願いします。
〇昭和大学病院
結論から言いますと、少し離れたところに精神科の本体があっても、私は問題ないと思います。そもそも急性期医療をやるということは、そういうふうな背景を持った患者さんの面倒を見ることだというのが大前提にありますので、精神科の先生方の力をどういうふうに連動させるかという話だけだと私は思っています。
〇関西医科大学附属枚方病院
当該科での入院で、精神科医がリエゾン対応するほうがむしろいいのだろうと思いますし、そういう意味でも全く問題はございません。本院に精神科医が常駐でおりますので。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
大分時間も押してまいりまして、これにて、精神科の病床のない病院のヒアリングを終了したいと思います。
もう時間になりましたけれども、御存知のように、今回は時間を少しオーバーするということなので、30分ぐらいはオーバーする予定で動いていますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。
では、続きまして、「手術・処置、定義副傷病名の適切なコーディングについて」のヒアリングを行いたいと思います。
あさぎり病院、静岡徳洲会病院、稲城市立病院の方々は、前の席に御移動をお願いいたします。
それでは、時間が押しておりますので、早速始めさせていただきます。
まず、あさぎり病院様より御説明をお願いいたします。
〇あさぎり病院
あさぎり病院の前理事長、会長、眼科部長の藤原と申します。よろしくお願いいたします。
本日、相違率の高い医療機関として選ばれたということで、喜んでいいのか、悲しんでいいのか、よくわかりませんが、まず、当院の特徴の説明をさせていただきます。
あさぎり病院は、兵庫県明石市にある99床の一般病院です。一般病院と申しましても、実際には45年の歴史がありまして、眼科、産婦人科、マイナーですが、特化した病院でございます。
手術件数ですが、年間3,788、その中で眼科手術が3,343件ございます。レーザー手術や硝子体内注射などを含めますと、約5,000の手術件数がございます。
眼科入院は約30~40床で、分娩件数が1,042件(昨年度)実績がございまして、実際にDPC対象となるのは、眼科の疾患と一部内科の入院が対象となるということになります。入院の70パーセントが紹介の患者さんで、糖尿病や内科的な合併症を持った方の手術、または、眼科であっても、大学病院とほぼ匹敵する重症の患者さんを扱うことが多く、遠方からの患者さんが多数来院されるため、治療に当たっております。
眼科領域で問題となるのは、臓器が2つということです。眼は2つ、右と左は違うけれども、1つとしてくくられてしまうことが最近多くなっています。白内障の短期滞在におきましても、片眼・両眼という区分が今回ございません。このように、眼は2つ、臓器が2つにもかかわらず、DPCでは、これまで片眼・両眼のルールが明らかにされておりませんでした。平成26年4月よりそのルールが明らかとなりましたので、また、この相違率の問題点も解決されるのではないかと考えております。
眼科の特徴のもう一つは、疾患が合併するということです。右は緑内障、左は白内障という場合もありますし、右が糖尿病網膜症、左は白内障の手術をする。このように右と左、そして、疾患が交差して存在しています。それが今回こういう相違率につながっているのではないかと考えております。
詳しい御質問にありましたことに対しての返答は、医事課福島より返答させていただきます。
〇あさぎり病院
今回、まず理由記入例A、Bのところを出されていた2例とも眼科症例でしたが、当院は、常勤の医師だけでも6名おられまして、兵庫県に限らず近畿・中国地方からも特に多数の紹介があって、難治症例を対応している病院にはなります。
診断分類番号で言うと、020180の糖尿病性増殖性網膜症、もう一つは0202220の緑内障が、今回、乖離率がちょっと高いのではないかという部分が対象になりました。
平成26年の診療報酬の改定の部分において、「その他定義副傷病名等について、診断分類番号上、6桁が同一の疾患であって、左右手術した場合においては両眼とする」というのが初めて明記されたのですが、今はもう既にそれに対応する形で改善はしておりますが、平成25年まではその部分が不明瞭でありましたので、例えば右眼は糖尿病性網膜症に対して、硝子体茎顕微鏡下離断術をして、左眼も白内障を持っておられるので、遠方から来られた方とかおられますので、白内障手術をしたと。そういったときにおいて、両眼手術をしたのですが、どこをもって両眼とするのかという部分は、審査をされる支払基金さんであったり、国保連合会さんを含めて審査をされる先生とかに聞くのですが、そのときにおいては、各々の眼に手術をしたのであれば、「両眼」としてはいかがですかということを言われたので、両眼にすることがありました。
緑内障においても、両方ともが開放隅角緑内障とかを持っておられて、両方とも緑内障手術をする方もおられるのですが、片眼は開放隅角緑内障を持っておられますが、もう片方は、白内障が進行して閉塞隅角緑内障になっていると。両方とも緑内障には変わりないのですが、片方の眼は緑内障手術をする必要がなくて、白内障手術をすれば圧迫がおさまって治癒されると、そういうふうな術式を両眼にされて、その場合も「両眼」になるのではないかということでコーディングをすることがありました。今の部分は、対応を既にさせていただいてはいるのですが、この辺りの部分で、25年までのルールと26年の新しく出た解釈を当てはめると、ちょっと乖離している内容が見受けられます。
実際の記入欄のAのところから見ていきます。記入欄のAについては、入院時に医師が付与した病名のうち、契機となった病名をまずDPC病名として登録しております。それを主治医はDPC傷病名として表示しておりますので、確認してもらいます。最終的に退院までにおいて、主治医に報告や確認をすることで最終決定をしております。
記入例のBの部分ですが、適切なコーディングに関する委員会は、基本的には年2回になります。メンバーは病院長と薬局長、あと、診療情報管理室と医事課の入院係、あとは、実際の症例に携わった先生や看護師などが、その他認めた職員という形で参加してもらって、協議をしております。
Cの部分になりますが、まず当院は、病院長及び理事長を含めて、診療情報管理室は今6名在籍しています。その6名を中心にはなるのですが、DPCレセプトについては、入院係、これは10年以上のベテランが3名でやっております。うちのほうは、事務補助作業体制で、事務補助のほうだけでも10名以上在籍しておりますので、医師と事務補助が連携して病名を登録されます。それを情報管理室が診断群の分類画面に入力をして、入院係がその登録を確認して、適切なコーディングであるのかどうかというのを確認します。その他、オーダーとかが入ってくる内容を精査して会計入力をします。最終的に問題なければ、退院のときに会計を発行して、その後、退院された入力情報をもとに、レセプトを紙発行して、入院係、次に診療情報管理室、最後に先生に回して、内容確認をしてもらいます。さらに、エラーチェックをかけて、全く問題がなければ、初めてそこでのオンラインでの請求となります。
様式1の部分については、もう書いているとおりになりますので、ちょっと割愛させていただきます。
今回、ミスコーディングの症例を最後に2つ出されておられましたので、その部分だけ説明させていただきます。
加齢性黄斑変性を主で入ってこられて、VEGF製剤のアイリーアを注射する形になるのですが、そのときに白内障も合併されておられましたので、白内障手術を同時に行ったと。そうしたときに、加齢性黄斑変性で白内障というのが余りなかったので、定義テーブルにない手術として、水晶体再建術を登録していたのですが、手術・処置1等の部分に水晶体再建術を登録する画面があったのですが、これはちょっと登録が漏れていたということで、これはちょっとミスコーディングになっています。
もう一件の「ヘルニアの記載のない腸閉塞」という部分についても、夜間非常勤の先生がイレウスチューブを挿入してもらったのが電子カルテに載っていたのですが、医事課の2係のほうは病棟等に問い合わせて、ショートタイプと認識していて、コストの算定はショートという形で対応していたのですが、診療情報管理室のほうは、チューブがショートとロングという2つあるというのがわからなかったみたいで、ロングチューブを入れていると認識していたみたいです。この辺り、要は情報共有ができていれば、特に問題はなかったのですが、病歴等の情報共有ができてなかったために、相互の連携不備による登録誤りでありました。
以上です。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
続きまして、静岡徳洲会病院様より御説明をお願いいたします。
〇静岡徳洲会病院
静岡徳洲会病院の山之上でございます。私と医事課課長の英が対応させていただきます。
当院は平成17年4月に開院しました。許可病床が499床。現在の稼働病床数は、一般137、障害者が100、療養病棟が55、合計292の稼働病床をしております。1日の平均外来患者数は450、平均入院患者が240名という規模の病院であります。がん検診、人間ドック等に力を入れまして、徳洲会でありますので、年中無休、24時間オープン、これを掲げまして、予防医療から救急あるいは慢性期まで幅広く地域に根ざした医療を提供しております。
事前質問事項の項目については、記載したとおりであります。医師がDPCを決定しまして、医事課担当者、診療情報管理士等と相談しつつ、ツリーを参照しつつ分類ごとの点数は医事課でカルテに表示されますので、それを見ながら決定していくというプロセスはここに記載されたとおりであります。
ミスコーディングの例が出ていると思うのですけれども、この2つを御説明いたしますけれども、まず、我々のところにある1つは閉塞性動脈疾患、もう一つがミスコーディングされている体液量減少症の2つであります。閉塞性動脈疾患については、これは完全にミスコーディングであります。本来、複数の処置があったので、ツリーの上を選択しなければいけないところ、下を選択した結果が、誤った選択をしてしまったという完全なミスコーディングであります。本来、DPCの趣旨からはなってはいけないものでありますので、これについては、適正なコーディングに関する委員会等を通しまして、医師、医局に周知徹底を図りたいと思っております。
もう一点、体液量減少症についてのミスコーディング。これは主要資源病名が脱水症とされており、出来高算定する理由が見当たらないが、出来高で請求されているのでミスコーディングだろうという御指摘を受けております。この方は意識消失発作で来まして、我々のつけた病名で、意識消失で出来高で出しています。つまり、詳細不明コードを使ったのですけれども、これで出すと、我々のシステムではエラーとしてはねられてしまうのですね。提出ができないので、やむなく脱水症でコーディングしたという理由であります。ですので、詳細不明コードが様式1で登録できないというシステムが、我々の病院だけでいけないのか、あるいは、そもそもそういうふうなシステムで詳細不明コードを使わないというふうな方向性なのか、実は我々はわからなくて、それで、実はやむなく、コーディングを脱水症で行っていたという例であります。
以上です。
〇小山分科会長
ありがとうございました。
それでは、稲城市立病院ですけれども、稲城市立病院は、D-2の資料でごらんになっていただくとおり、乖離率が0という病院であります。ある意味大変よくやっていただけている病院だというふうに思っておりますけれども、御説明をお願いいたします。
〇稲城市立病院
院長をしております北井ですが、御説明をさせていただきます。
一応乖離率は0になっていますが、別な資料には0.02で、全くの0というわけではありません。パワーポイントの資料をごらんになりながら、御説明させていただきます。
東京の郊外にある、稲城市にある220床の病院です。場所としては一応郊外ですけれども、東京都を東西に分けると、東京都の東西のちょうど真ん中に当たる病院です。
現在の標榜科目が20科目。7:1のDPC病棟を6病棟備えております。平均在院日数が11日、紹介率が60パーセント弱の急性期病院です。
コーディングに対する人員配置ですけれども、診療情報管理士は全部で4人おりますけれども、そのうち1名は医師で診療情報管理士資格を取ったものです。兼任をしております。さらに、入力補助を行う非常勤職員が2名、紙文書の保管等を担当する委託職員が5名おりまして、保険診療での退院患者は6,000名を超えるといった状況です。
また、DPCレセプトは、医事課の入退院に所属する委託職員が作成していますが、こちらは現在5名制で勤務しております。
さて、DPCに係るシステムですけれども、富士通のGXを導入しておりまして、様式Iや請求に必要なDPC情報も電子カルテの機能の1つであるDPCツールを使用して収集、データ化しています。診療情報士と医事課の入院担当も、電子カルテとレセプトコンピュータの両方を与えられておりまして、それを参考に確認しながらDPCのコーディングの入力をしています。さらに、DPCの分析ソフトである「EVE」を使用していまして、それを通して他院の状況も確認しながら、DPCのコーディングを行っています。このような補助ツールは使っておりますけれども、コンサルタントは導入しないで、職員のみで実施するようにしています。
さて、DPCのコーディングの手順について説明していきたいと思います。
お手元の資料にありますように、予定の入院である場合には、入院オーダーの情報をもとに、パスとかそういう情報をもとに管理士が入力、入院後に医師が確認するという形をとっています。予定外入院の場合には、主に医師が入力しますけれども、ICD-10がわかりにくい場合や緊急入院でも、内容が明確な事例などでは、管理士が先に入力を行う場合があります。いずれの場合も、入院後2日以内に原則として入力して、医師と管理士が相互に確認を行う運用となっています。電子カルテのDPC情報は、医師の確認が済むと、レセコンに転送される仕組みになっていて、入院担当は、指示されている資源病名も見て診療行為のデータを積み重ねています。また、電子カルテからの診療行為の実施情報は、DPCツールにも伝達される仕組みになっています。
これらの情報をもとに、退院予定の2日前から診療行為の算定確認を入院担当が行っていき、その後、管理士がレセプト1、電子カルテの診療内容を比較して確認することになっています。実際の請求は、退院時に、双方のチェックの後に行うことになります。
次に、意見交換の具体例をお示ししたいと思います。5枚目を見てください。
卵巣のう腫で入院になった患者さんが、術後病理検査でチョコレートのう胞との診断となった場合には、ICD-10がD27からN80に変わりますので、管理士から医師へ確認が行きまして、資源病名の変更があれば、入院担当は再度、診療行為や傷病名のうち、分岐に相当するものはないかを確認していきます。分岐が変わる場合や、資源病名と診療行為の整合性がとれなくなるような場合、管理士と相談の上、医師へ再度確認をすることになります。
次の御質問ですけれども、「適切なコーディングに関する委員会の開催頻度」で、6枚目のパワーポイントを見ていただきたいのですが、当院では、保険診療委員会の下に下部組織としてDPC部会というものを置いて、事例検討や運用調整をしております。開催頻度は、昨年までは年2回でしたが、本年度より毎月の開催としております。メンバーは部会長が副院長、今年度は医師、薬剤師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士、診療情報管理士、医事課職員、医事課委託職員が参加しています。これ以外にも、興味を持つ職員はオブザーバーとして参加が可能となっています。職種ごとの参加頻度は、平均すると90パーセントを超えています。一部参加率の低い職種がありますけれども、その場合には、資料を提供したりして、意見を事前に収集するという形で、意見の調整を図っています。
議事内容について、3回の議事では、最近は、8月には「心不全のコーディングの検証」、それから、9月は「救急医療入院について」、それから、10月は「敗血症コーディングの検証」等を行って、いろいろなテーマで検討をしています。最近では、血液凝固のDICのコーディングをしなければいけないのですけれども、なかなか難しいということが、今、委員会で相談されています。
一応以上のような形で、私どもの病院ではコーディングということをしています。御報告させていただきます。
〇小山分科会長
どうもありがとうございました。
以上、3つの病院から御説明をいただきましたけれども、委員から、何か御質問がありましたら、よろしくお願いします。
〇事務局
先ほど、あさぎり病院様から御指摘いただきました、片眼・両眼のコーディングに関してですが、平成26年とおっしゃられておりましたが、平成24年8月9日に「事務連絡」というところで、「診断分類番号上6桁の扱い、両眼・片眼の扱い」というものを発出させていただいております。 以上です。
〇小山分科会長
各委員から、御質問、御意見がありましたら、よろしくお願いします。
〇井原委員
今のような問題の考え方としましても、はじめに、あさぎり病院様にお聞きしたいのですが、診療情報管理士をお持ちのようですね。
〇あさぎり病院
はい。
〇井原委員
こちらのほうで、様式1、EFファイルと、それから、レセプトの突合作業をきちんと行っているか、最終点検を行っているかどうかというのが質問の第1です。
第2番目は、この資料にDPCのコーディングに際して余り使っていただきたくない言葉ですが、点数を含めたシミュレーションをしていると。こういうことをされますと、そこに点数の入ったもののシミュレーションをしますと、やはり人間ですから意図的に高いものに目が移るという可能性をどのようにお考えかということが第2点。
第3点は、結果として、これだけ点検なさっているにもかかわらず、不一致率が高く、それも90パーセントを圧倒的に超えるほとんどのものがプラスにふえているということは、そういったことと関係が本当にないのでしょうかというふうに考えざるを得ないのですが、その3点についてお答えをお願いします。
〇小山分科会長
よろしくお願いします。
〇あさぎり病院
御指摘ありがとうございます。
まず第1点ですが、様式チェックについては、診療情報管理士と入院係が双方立ち合って必ず確認しています。当然、エラーチェックのシステムになりますので、不具合があったら、もうそれ以上は進まない形になるので、整合性をとりながら対応しています。
2点目のDPC傷病名としてのシミュレーションの一覧、確かに不適切な表現と言われればそこまでなのですが、シミュレーションをして、コストが一番高いからといって、それをとっていることはございません。最終的に、先生のほうがコスト的には「これは2番目です」「3番目です」というのでも主にすることは大変たくさんあります。理由としては、先生のほうも、うちの病院はコスト意識がかなり高いので、「どれが高いですか」というのを聞かれることもありますので、シミュレーションも併せて説明はします。ただ、主病名としては、一番適切なものを選ぶようにチョイスはしています。
3番目の部分になるのですが、どうしても特化している病院ですので、眼科の部分で同じような領域、同じような疾患が、自分たちだけではなくて、開業医さんから多数紹介を受けている、すごいありがたいことですが、どうしても遠方であったりとか、隣、淡路島から来られたり、島根県のほうから来られたり、そうすると、片眼だけして、残りは、半月後にまた来てくださいねと言うのも、ちょっと誠実ではない部分があるので、利益を求めてというのは正直考えたことはございません。できるだけ患者さんによい手術、よい治療をそのときにしてあげようというのが、「人に優しい医療を目指して」というのが我々コンセプトになっていますので、その中でちょっと乖離率があったのは、今回ちょっと何とか直さないといけないかなというのは思っておりますし、26年度は、今年度は明確に乖離になっていますので、先ほどの糖尿性網膜症であったり、緑内障であったりとかは、もうある程度の部分は改善ができていると思っていますので、これから先、もっと低い病院になっていければいいかなとは思っております。
〇小山分科会長
そうしていただかないと、成立しなくなりますからね。非常に大きな問題です。
〇井原委員
今の御説明とミスコーディングがどう結びつくのか、私には今ひとつ理解はできないのですが、非常にミスコーディングの内容が、ツリー図の見方とか、定義テーブルの確認とか、DPC病院として行わなければいけない、極めて基本的なことなのですね。ですから、この制度は、まず上6桁の病名をきちんと決めた後に、実施された診療行為を正しく手順を追って、まず、ツリー図は手術のあり・なしから始まって、この流れは変えない。パターンとしては同じことをやっているわけですから、ここを丁寧に行ったものを入れていけば、この間違いはかなり減らせるはずなので、今、最後にお話がありましたが、これは十分に努力していただかないといけないところだと思います。
〇あさぎり病院
申しわけありませんけれども、ミスコーディングと、そういうふうにしたつもりはありません。
先ほど、一連の黄斑疾患は、硝子体注射と白内障を同時に行ったものでありますので、注射は出てきませんので、病名は黄斑変性、手術は白内障ということで、ミスコーディングではありません。
済みません。ミスコーディングですが、そういう病名間違いではありません。
それから、緑内障と白内障と同時手術の場合に、白内障だけを治すことが最近は最新の医療とされています。そういう場合に、ミスコーディングと、そういうふうに捉えることもあったかもしれません。
それから、白内障手術についても、今後、短期滞在で外れていきますので、今後はそういうことはないかと考えています。
〇小山分科会長
いかがでしょうか。
〇藤森分科会長代理
資料D-2の4ページにあるように、全国平均として乖離率が0.66ということで、それなりにDPCのコーディングの難しさがあって、各医療機関に本当に御迷惑をおかけしているのだろうなというふうに反省しています。
一方、プラスマイナスはほぼ五分五分ということで、単純エラーであれば、五分五分に振れるのが一般だと思うのですけれども、あさぎり病院さんに関しては、プラス98.8パーセントと、統計学的に考えても、何か作為はあるよねと見られても、これはしょうがないだろうなということかなと思います。ただ、単科なので、1つ考え方を間違うと、ほとんどが間違うみたいになりますので、ぜひ、鋭意、勉強をされて、特に先ほどの両眼・片眼のことは24年8月に発出されているということですから、当然、単科病院がそれを知らないというわけにはいかないですので、これは本当に真摯に反省していただきたいなと思いますし、当然、これは過誤請求されるのですね。これがわかっているものに関しては修正されますよね。全例ですね。
〇あさぎり病院
そうですね。
〇藤森分科会長代理
そうですね。当然ですよね。ということで、まずお願いしたいと思います。
あと、ヒアリングのところで、「エラーチェック・プログラムを使っている」と書いてありながら、なぜ、先ほどの処置1から漏れたりするのでしょう。ちょっとそれは考えにくいなと。相当性能が悪いソフトなのか。
〇あさぎり病院
確かにおっしゃるとおりでして。その辺り、もう一度ソフトウェアさんと協議して、もっと質のいいようにはしていこうと思います。申しわけございません。
〇小山分科会長
話を聞いていると、このパーセンテージを見ると、もう一個前の、エラーの前の記録ですか。データに何か不具合があるのではないかという感じさえするのですね。感想を述べてはいけないので。
ただ、コーディング部門の体制の中では、理事長、病院長、先生、診療情報管理士なのですね。これは両方ともドクターで診療情報管理士の資格を持っておられるわけですね。
〇あさぎり病院
持っております。
〇小山分科会長
お一人の先生は、そういうところの講師をなさっているということですね。
〇あさぎり病院
そうですね。
〇小山分科会長
ほか、御質問、御意見はございますか。
〇藤森分科会長代理
静岡徳洲会病院様ですけれども、特定のシステムをコーディングに用いられていないということで、これは全部目視で14桁を決められているということですね。そうすると、当然エラーは出るだろうなというふうには思うのですけれども、それはいかがなのでしょうか。
〇静岡徳洲会病院
特定のシステムというのは、電子カルテでも、病名等を選ぶとコーディングされるようなシステムにはなっているのですけれども、それを検証するというようなシステムはないという意味です。
〇藤森分科会長代理
といいますのは、この事例の○4の動脈塞栓除去術を選ぶと、03ですから、当然、03がシステムがあれば出てくるはずで、97が出てくるはずがないのです。
〇静岡徳洲会病院
それが、定義外手術、両方出てきてしまうシステムでして。それをコーディングの際に、下のツリーを選ぶことが決まっているのですけれども、実は、そのシステムで、定義外手術というのが実は下に出てきてしまって、ツリーの下を選んでいるつもりで、定義外手術を選んでいたというようなことでした。
〇藤森分科会長代理
それは、23年度から3月からずっと間違ってきたということですね。
〇静岡徳洲会病院
そういう症例で「その他」を選ばなければ、正しいものを選んでいるのですけれども、複数やった場合にそういうふうに出てきているので、一方では、「その他の手術」を選んだり、定義にある手術を選んだりと、混在しておりました。
〇藤森分科会長代理
ぜひ、そこも修正していただいて、間違った部分は過誤請求を図っていただければと思います。
〇静岡徳洲会病院
はい。過誤修正の準備をしております。
〇藤森分科会長代理
○4で、出来高に、ある意味「これは故意に落としている」と僕は表現するのですけれども、これはレセに何と書いてあるのですか。出来高レセの摘要欄に必ずコードを書きます。
〇静岡徳洲会病院
レセプトは、この方の場合は、意識消失発作ということでいいと思います。
〇藤森分科会長代理
DPCコードは何を書きましたか。
〇静岡徳洲会病院
DPCコードはついておりませんので、書いてありません。
〇藤森分科会長代理
必ず相当のものをつけるのです。
〇静岡徳洲会病院
出来高ですので、R40.2という形になっています。
〇藤森分科会長代理
そうすると、一般病棟ではそれは許されない。必ず何かを振らなければいけない。振った結果、出来高に落ちるということですから、それはそもそもレセの考え方が間違っています。
〇静岡徳洲会病院
そうですね。こちらの取扱いの問題ですね。
これは、審査支払機関からも、この人の最も医療資源を投入した疾病はRコードではないかというような返戻があるのですけれども、そういった場合にはどういうふうに対応すればいいのか、ちょっとこちらとしてもわかりかねる部分があります。
〇井原委員
まず、これは藤森分科会長代理が質問したので、最初、意識消失を仮にRコードだとしますね、仮にですよ。しかし、最終的に脱水症というふうに直しているわけですね。この時点で正しく入力していただければ、自動的にDPCになるのではないでしょうか。
ということは、内容と、医療資源を最も投入した病名が乖離していることになってしまうのですよ。こういうレセプトを我々はまれに見かけるのですけれども、それは、こういうふうに医療資源を最も投入した病名だけを変えてしまって、もともとの請求はそのままになっていると、乖離したレセプトになってしまうのですね。ですから、今、藤森分科会長代理も御指摘になったように、まずは、最終的にこの「脱水症E86」でコーディングしたのに、どうして正しいDPCのレセプトになってこないのかということを、聞きたいのですけれども、その点はいかがですか。
〇静岡徳洲会病院
レセプトの請求は、出来高でまず出しておりまして。その後に、「様式1」ということで、DPCのデータを作成するのですけれども、そのときに「様式1」のチェックプログラムで、これはRコードがついているからデータがうまく落ちないよということで、エラーが出てしまうのですね。そこを修正して作成しているという状況なので、DPCのデータを後で出すわけなので、そこで修正をしているような形になりました。
〇小山分科会長
システム専門家竹井委員、御意見をお願いします。
〇竹井委員
ちょっとシステムの具体的な動きを見ないとわからないのですけれども、恐らく医療資源を最も投入した病名としては入れてはいけないような病名を入れようとして入れられなかったと。だから、無理やり出来高にしたけれども、「様式1」のためには正しい病名は入れたと、そういうことではないですかね。だから、システム的には、本来、それは医療資源の病名として設定できないものですから、ちゃんと正しい脱水症の病名を入れていただくというのが本来かと思います。
〇静岡徳洲会病院
ありがとうございます。
ただ、Rコードで入れて使っていい病名というのが規定されていると思うのですけれども、全てだめというふうにはなっていないのではないかと思うのです。
〇竹井委員
それは多分システムがもしかしたらチェックし過ぎているのかもわかりません。
〇静岡徳洲会病院
我々の病院のということですか。
〇竹井委員
ええ。医療機関さんの中身を見てみないと、ちょっとわからないということでございます。
〇静岡徳洲会病院
では、それも含めて、システム会社と検証をちょっとしたいと思うのですけれども、要は、Rコードでレセプトを請求するというのが、本来、100パーセントだめなのか、だめではないのかというと、一応Rコードで出来高で算定するのは、その基準に合えばいいというふうにこちらは理解しているのですけれども、それはどうですか。
〇藤森分科会長代理
使っていいRコードは2つしか今コーディング上はなくて、ちょっと定義上は絞り過ぎているという嫌いはあるのでけれども、今それが事実としてありますから、それ以外は使えないので、弾くのは正しい処理。だからといって、出来高で出すのは、それはルール違反です。必ず何かのDPCコードに振っていただかなければ、一般病棟では請求できないのです。
〇井原委員
それから、先ほどの御質問にお答えします。
それは、まだ基金のほうの審査の体制も、DPCが必ずしも100パーセントいっているということは私も申し上げるつもりはありませんし、コーディングの内容を全てごらんになった審査委員が「このコーディングはいかがか」という返戻があるということは起こり得ることだと思います。
ただ、レセプトをつくるときには、レセプトの記載要領や算定の要件に従ってコーディングをしていただいて、請求をしていただくというのが基本中の基本だと思いますので。私も基金の内部のほうで、DPCのレセプトの返戻の仕方については、改めて、また、検討をしたいと思います。
〇小山分科会長
分科会としましても、今のコーディングのあれが全て完璧だというふうに思っていません。そのために、毎年、毎年、コーディング委員会がありまして、そこでもってブラッシュアップをしていただいておりますので、そのような不具合がありましたら、それはそれでもって、別のルートでもって厚労省なりに御指摘をいただければ、それはそれで対応をしていきたいと思いますので、だめだからどうのこうのではなくて、それなりの処置ができるような形にはしておりますので、ぜひ、そこら辺の点を御理解いただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
〇伏見委員
これは、今日来ていただいた方にというよりは全体の話になると思うのですけれども、DPC制度というのは、基本的に性善説に基づいていますし、コードの重要性は非常に高いのですね。そうすると、例えば保険診療係数などでエラーが多い医療機関については、多少ペナルティをつけるとか、いわゆるアップコーディングの場合には、ペナルティをちょっとふやすとか、そのぐらいのこともちょっと考えていく必要があるのではないかと思いました。
〇小山分科会長
ありがとうございます。
コーディングにつきましては、コーディングのテキストまでできていますので、これをもう一個上がって、コーディングの手引きになると、もう少し変わってくるかもしれませんけれども、それなりに分科会で我々は努力しております。そのための素因となるところを、先生方に来ていただきながら、いろいろな御意見を伺っているということであります。
〇福岡委員
稲城市立病院にちょっとお聞きしたいのですけれども、イメージとして、事実があって、そこにEFファイルも正しい、DPCコードも正しいから、両方とも揃っているのだと思うのですね。EFファイルの内容を事実に沿わせるようにするために、現場で、例えば入力の工夫とかそういうのは、具体的に何かされているのでしょうか。
〇稲城市立病院
診療情報管理士から説明してもらいます。
〇稲城市立病院
特にこれといったことはしていないのですけれども、電子カルテが入っていますので、レセコンにも様式1にも、同じ情報が飛ぶような形になっていますから、そこで外れることはやはりないです。そのぐらいでしょうか。
〇福岡委員
その上で、DPCもしっかりつけているので、最終的に、乖離率が非常に低いというふうに認識されているわけですか。
〇稲城市立病院
そうだと思います。
〇藤森分科会長代理
関連して、医事のレセと様式1は別々につくるべきものなのか、それとも、一緒につくったほうがいいのか、どうお考えですか。
〇稲城市立病院
難しいところですけれども、うちの場合は、レセプトを読める管理士だけでやっていますので、やはりレセのことを考えながら様式1をつくっている部分はどうしてもあって、それで、結果としてはよかったということかなとは思います。
〇小山分科会長
ほかにいかがでしょうか。
〇嶋森委員
稲城市立病院ですが、毎月一回会議を持っていらして、看護職も出ていますけれども、そこで教育もやるのですか。看護師は、どういう人が出ているかを教えていただけますか。
〇稲城市立病院
看護師さんでは、師長さん、看護課の中の結構偉い人が来てくださってはいるのですけれども、お二人いらしていただいているのですけれども、看護師さんも入れていただく項目はやはりありますし、あと、在院日数を気にしていただいているので、先生がつけている病名も一緒に見ていただいていたりして、「少し新しいことが入っているよ」と教えていただいたりとか、「ここはもっと見に来たほうがいいんじゃない」とか、いろいろなことを言っていただいています。
〇嶋森委員
ありがとうございます。
〇小山分科会長
ほかにいかがでしょうか。
〇井原委員
稲城市立病院さんに、もう一点確認したいのです。レセプトをつくる担当者と様式ファイルをつくる担当者は、全く同じですか。
〇稲城市立病院
いや、別です。
〇井原委員
別ですか。
〇稲城市立病院
はい。
〇井原委員
それでも、これだけきちんと一致するということなのですね。
〇稲城市立病院
ただ、レセコンもこちらもいただいているので、様式1をつくる際に、実際にレセコンに何を入力しているのかを見ています。
〇井原委員
それで、一致率が非常に高いという。ありがとうございます。
〇小山分科会長
ほかにいかがでしょうか。
DPC委員会といいますか、コーディング委員会が大事だということだったのですけれども、最初のあさぎり病院のときの「適切なコーディングに関する委員会」について、メンバーが、病院長、薬局長等々となっていますけれども、担当医はここに入ってこないのですか。
〇あさぎり病院
症例を事前にわかっていれば、その担当の先生が入ってこられることもありますが、うちは眼科のほうがメインになってくるので、状況によりけりですかね、そのときに呼びましょうとなったときは、呼ぶことはあります。
〇小山分科会長
そうすると、コーディング委員会の位置づけは、コーディングを見るという、保険会議みたいな感じの位置づけですか。そこはどうなのですか。
〇あさぎり病院
ちょっと疑義的なコーディングとかを見る場合もありますし、病名、この症例についてはどう考えていくべきかというのもありますし、特に初めて出る症例とかについては、「今回こういうふうにコーディングしたのですが、先生どうでしょう」とか含めた部分、総合的には話はしております。
〇小山分科会長
これは、ぜひ担当の先生に入っていただいて、DPC全体のことを理解していただきながら、その細部の選び方が上に行かないような工夫が必要だと、そういうような話がコーディング委員会で、適正なコーディングというのはこういうことなんですよと言うことの場としていただきたいという感じはいたします。
〇あさぎり病院
おっしゃるとおりですので、ちょっと持ち帰って、検討させてもらいます。
〇小山分科会長
ぜひ、担当の先生に出ていただきたい。今、稲城市立病院の話を聞きまして、そんなことをちょっと思いました。
ほかにいかがでしょうか。特に御質問がございませんか。
それでは、ヒアリングの先生方、どうもありがとうございました。お席へお戻りください。
時間を延長しましたけれども、これで一通り御説明いただきましたが、全体の病院に対して御質問、御意見がありましたら、御発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
ほかに質問がないようでしたら、本件に係る質疑はここで終わりにしたいと思います。
本日の議題は以上であります。
なお、本日、御議論いただきました事項につきましては、当分科会で引き続き検討を行いまして、取りまとめた結果を中医協・総会に報告をいたします。
次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
〇事務局
事務局でございます。
次回の開催は未定です。日程等が決まりましたら御連絡させていただきます。
〇小山分科会長
それでは、平成26年度第7回DPC評価分科会を終了させていただきます。本日は、ヒアリングに参考に来て、いろいろなお話を聞かせていただきました先生方に、重ねて御礼を申し上げるとともに、委員の先生方には、年末の大変お忙しい中、また、お足元の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
それでは、これでもって終了させていただきます。どうもありがとうございました。
15:30 閉会
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