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2014年11月19日 第1回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会 議事録

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成26年11月19日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

委員

佐藤座長、池田委員、石山委員、神吉委員、田代委員、中井委員、両角委員

厚生労働省

安藤雇用均等・児童家庭局長、木下審議官、古川総務課長、蒔苗職業家庭両立課長、飯野職業家庭両立課育児・介護休業推進室長、中井職業家庭両立課長補佐、川島老健局振興課長補佐

○議題

議題
1 研究会における検討課題等について
2 今後の進め方について
3 仕事と家庭の両立支援に関する実態調査について

○配布資料

資料1  今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会開催要綱
資料2  今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会参集者名簿
資料3 研究会の公開の取扱いについて(案)
資料4 仕事と家庭の両立支援制度に関する各種決定等
資料5 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会における検討課題
資料6 仕事と家庭の両立支援に関する現状
資料7 今後のスケジュール(案)
資料8 仕事と家庭の両立支援に関する実態調査(案)
参考資料1 育児・介護休業法のあらまし
参考資料2  仕事と家庭の両立に関する既存の調査結果

○議事

○蒔苗職業家庭両立課長 ただいまから、「第 1 回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」を開催したいと思います。私は職業家庭両立課長の蒔苗でございます。よろしくお願いします。委員の皆様方には、大変お忙しいところお集まりいただきまして、有難うございます。本日、座長選出までの間、議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いします。

 では、本日は 1 回目ですので、委員の方で始めての方を簡単に自己紹介を 50 音順に池田先生からお願いいたします。


○池田委員 独立行政法人労働政策研究・研修機構で副主任研究員をしています池田心豪と申します。仕事と家庭の両立に関する研究をしています。育児休業や介護休業に関する研究をこれまでしてきました。この研究会でも我々がやりました調査結果を幾つか御報告させていただく機会があるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


○石山委員 東京海上日動ベターライフサービス株式会社の石山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。ケアマネジャーでございます。専門領域は在宅のケアマネジメントにおける家族に関する支援についてなどの教育を行っています。どうぞよろしくお願いします。


○神吉委員 立教大学の神吉と申します。労働法と社会保障を専門にしております。分野は幅広くということで、特に著作として育児・介護休業というのはないのですが、実生活で育児との両立をしながらいろいろ考えています。よろしくお願いいたします。


○佐藤委員 中央大学のビジネススクールにいます佐藤博樹です。専門は人事管理で、最近はワーク・ライフバランスとか、仕事と介護の両立支援に企業としてどう取り組めばよいかというようなことを勉強させていただいています。よろしくお願いします。


○田代委員 
NEC の田代でございます。必ずしも当社の仕組みが両立支援の先端を行っているというわけではないのですが、私は経団連の委員会にもお世話になっておりますし、そういう関係上、企業という立場でこの問題にどう取り組むべきかということでいろいろ皆さんと御議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


○中井委員 東芝労働組合の中井と申します。よろしくお願いいたします。東芝労組の中で労働政策と多様性推進を担当させていただいておりまして、直近では、ちょうど労使でこのテーマの介護と仕事との両立支援をどうやっていこうかといったことで話合いを行っているところですので、是非、皆さんと意見交換をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。


○両角委員 慶應義塾大学のロースクールにおります両角と申します。専門は神吉先生と同じく労働法で、北欧の研究をしていたこともあって、ワーク・ライフバランスには関心をもって研究しております。育児は、神吉先生と同じように実体験もあり大分勉強したのですが、介護については知らないことが多いので勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


○蒔苗職業家庭両立課長 ありがとうございました。本日、御欠席ですが、他に、法政大学キャリアデザイン学部教授の武石先生にも委員をお願いしております。

 続きまして、私から事務局を紹介させていただきます。まずは、雇用均等・児童家庭局長の安藤です。審議官の木下です。総務課長の古川です。当課の育児・介護休業推進室長の飯野です。当課の課長補佐の中井です。老健局振興課長補佐の川島です。本日は 1 回目ですので、議事に先立ちまして、局長の安藤より御挨拶を申し上げます。


○安藤局長 改めまして、雇用均等・児童家庭局長の安藤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会の委員に御就任をいただきまして、誠にありがとうございます。また、本日、お忙しい中を御出席いただきまして重ねて感謝申し上げます。

 人口減少社会が到来する中で、男女共に労働者が仕事と家庭を両立しながら安心して働き続けることができる社会、これを作るということはますます重要な政策課題となっております。平成 21 年に育児・介護休業法を改正いたしました。このときに、改正法の附則で「施行後 5 年を経過した場合において改正後の規定の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」というようにされています。また、附帯決議におきましても、御指摘を受けている事項、これの検討対応をしなければいけないという状況にもあり、また、国会での御議論でも様々な御指摘を頂いたところでございます。

 これらを踏まえまして、厚生労働省といたしましても、仕事と家庭の両立を実現できる社会を目指した取組を、より一層進めていかなければならないと考えています。この研究会で、委員の皆様方の忌憚のない御議論をいただきまして実りあるものにしていただきますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが御挨拶といたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。


○蒔苗職業家庭両立課長 それでは、まず、当研究会の開催要綱について、お手元の資料
1 に基づきまして、私から御説明申し上げます。

 研究会の趣旨については、今ほど局長から申し上げたとおりで、この研究会の検討事項として、我々としては 3 点考えています。 1 つは、仕事と家庭の両立に係る現状、まずデータを使った分析ですとか課題。 2 つ目が諸外国の状況。そうしたことを踏まえて今後の施策の在り方というところまで御議論をいただければと考えています。

 運営については、 3 のようになります。また、座長については参集者の中から互選となっていますので、これより座長の選任をお願いしたいと思います。どなたか御推薦はございますでしょうか。


○池田委員 やはり、こういう場の経験が一番豊富な佐藤先生にお願いするのが一番だと思います。前回の研究会でも座長をされていたということもありますし、いかがでしょうか。


○蒔苗職業家庭両立課長 では、御了解いただきましたので、佐藤先生に前回に引き続き座長をお願いできればと思っております。では、以降の進行を佐藤座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。


○佐藤座長 御指名ですので、進行係として務めさせていただきたいと思います。今日は、多分それだけではなくて、偶然にも何かあいうえお順では席が真ん中で、これは武石先生が欠席されたということが。武石先生が出席するとずれていたのでよかったかなと思ったのですが、しょうがないかなということで引き受けさせていただきたいと思います。前回の育介法改正の前の研究会も座長をやらせていただいたのですが、今回の仕事と子育ての両立もありますが、多分、仕事と介護の両立については、かなり議論をしないと年齢構成上大変かなと思っていますので、そういうことでもやらせていただければと思っています。

 それでは、今日は最初ですので、まず資料 3 の研究会の公開の取扱いについて、案を事務局に御用意いただいているので、それについて御説明いただければと思います。


○中井職業家庭両立課長補佐 厚生労働省としての審議会等の公開に対する取扱いについては、資料
3 「研究会の公開の取扱いについて ( ) 」にありますように、例外的な場合を除き会議を公開することとしています。この研究会においても、原則として会議を公開し、特段の事情により非公開とすることが適当な場合には、座長の御判断により非公開とすることとしたいと考えています。また、議事録についても、原則として公開とし、発言者名を伏せて公開することが適当な場合には座長の判断により発言者名を伏せて公開することとしたいと考えています。


○佐藤座長 どうもありがとうございました。事務局からの御提案について、御意見、御質問があればあれですが、いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、公開という方向の事務局の提案で御異論がないということですので、そういう形で進めさせていただければと思います。よろしくお願いします。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。今日は、まず最初に、議題 1 で、「研究会における検討課題等について」ということで、まず検討事項、あと、仕事と介護の両立の現状、これらについて事務局から御説明いただければと思います。


○中井職業家庭両立課長補佐 議題
1 について資料を 3 つ御用意しました。資料 4 5 6 です。まず、資料 4 の「仕事と家庭の両立支援制度に関する各種決定等について」を御説明します。 2 つ目の○として、先ほど局長からの挨拶の中にもあったとおり、平成 21 年改正育児・介護休業法の附則第 7 条において、この法律の施行後 5 年を経過した場合において、施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとすることとされているところです。そして、○の 2 つ目として、前回、平成 21 年改正の際に衆議院でいただいていた附帯決議があります。こちらは項目が非常に多いので、宿題事項として未対応となっている事項を中心に御説明いたします。

 まず、同じページの一番下、四は、有期契約労働者に関する事項です。有期契約労働者への制度の適用範囲の在り方についての検討等について御指摘をいただいています。 続いて、 2 ページの六です。ひとり親家庭における育児に配慮し、ひとり親家庭の育児休業期間及び子の看護休暇の日数の延長について、引き続いて延長することなどが挙げられています。

 九ですが、所定労働時間の短縮及び所定外労働の制限については、対象となる子の年齢を小学校就学前まで拡大することを検討することなどが挙げられています。

 十一は、子の看護休暇及び介護休暇についての事項です。こちらは、半日単位や時間単位でも取得できるような柔軟な制度とすることについて検討を行うことという御意見をいただいています。

3 ページ、十二は、家族の介護を理由とする離職者が多数にのぼる状況を勘案し、仕事と介護の両立を実現するために必要な働き方について介護サービス等の関わりも含め検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが挙げられています。資料 4 については以上です。

 引き続いて、資料 5 は、「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会の検討課題」です。研究会の検討課題について大きく分けて 3 つ、その他を含めれば 4 項目になるかと考えています。まず、 1 つ目としては、「仕事と介護の両立のあり方」です。 (1) 介護休業の在り方、 (2) 介護期の柔軟な働き方の充実です。 (1) には、例えば介護休業について、現在は 93 日以内で、一度きりとなっている制度について、どのように考えるかというような論点があり得るかなと思います。 (2) については、例えば単時間勤務や所定外労働の制限等について充実させるべきかどうかという論点が入ってくる項目かなと考えています。

2 「多様な家族形態・雇用形態に対応した、育児期の柔軟な働き方の充実」ということで、 (1) 育児休業、 (2) 子の看護休暇、 (3) 勤務時間短縮等の措置、所定外労働の免除等としました。具体的には、 (1) では、例えば、先ほどの附帯決議にもあったとおり、ひとり親家庭に係る育児休業の在り方であったり、 (2) に関しては、子の看護休暇を柔軟な制度とすることについてどう考えるか等、 (3) については、これらの制度の在り方についてどう考えるかというようなことを御検討いただければと考えています。

3 「男性の仕事と家庭の両立の促進」です。こちらは、男性の育児休業促進のための方策などについて御議論いただくことを想定しています。

4 「その他」の事項については、必要に応じ御議論いただければと考えています。以上が資料 5 です。

 引き続いて、資料 6 について御説明します。今、御説明した研究会の研究課題に関連して、「仕事と家庭の両立支援に関する現状」という資料を御用意しましたので説明いたします。

 まず、 2 ページです。日本の人口の推移です。皆さんもよく御存じのとおり、日本の人口は近年横這いで人口減少期を迎えています。 2060 年には総人口が 9,000 万人を割り込むと推計されていて、高齢化率も 40 %近くの水準になると推計されています。

3 ページでは、就業者数のシミュレーションで見てみても、経済成長と労働市場への参加が適切に進まないケースでは、 2030 年にかけて就業者数が 821 万人減少するという推計が出されている一方で、経済成長と労働参加が適切に進むケースを想定すると、 2030 年にかけての就業者数の減少は 167 万人にとどまると推計されています。

4 ページは、「経済成長と労働参加が進むケース」についての労働参加の部分に関してです。左側のグラフは、男性の高齢者数の労働力率の上昇を前提としているもので、右の折れ線グラフは、女性の労働力率が大幅に上昇し M 字カーブがほぼ完全に解消することを前提としたものです。つまり、将来的な就業者数の減少を押さえるためには、男性の労働力率の維持及び上昇と、女性の M 字カーブの解消が必要になると考えられています。

5 ページです。ここからは、仕事と介護の両立をめぐる現状について幾つか御紹介します。共働き世帯比率の推移のグラフです。こちらは黒の折れ線グラフが共働き世帯の数ですが、このグラフで分かるとおり、共働き世帯は増加傾向にあります。例えば兄弟姉妹の減少で介護の負担が増大するとか、家庭内の役割分担意識が変化するとか、そういうことなどから、女性はもとより、働く男性も介護に関わる必要性が増大しているものと考えられます。

6 ページは、実際に正社員に占める 40 歳以上の割合のグラフとなっています。上のグラフは男性のグラフですが、特に男性正社員については 40 歳以上の割合が高くなっています。上のグラフで赤線で囲んだ部分が、正社員に占める 40 歳以上の割合が 50 %以上となっている 101 人以上の企業の割合で、 48.0 %を占めています。また、女性は下のグラフです。正社員に占める 40 歳以上の割合が 50 %以上という所が 23.4 %です。

7 ページ、介護をしている人の年齢階級別割合のデータを示しています。こちらで見ると、少し細かいグラフになって恐縮なのですが、棒グラフの一番上の部分で、○で囲んでいる部分ですが、 60 歳~ 64 歳が 108 2,000 (19.4 ) と最も多く、介護をしている者のうち 60 歳以上の割合が約 5 割を占めているという状況です。また、下の円グラフの一番左ですが、雇用者で介護をしている人の年齢階級別割合を見ると、男女共に 40 歳~ 64 歳までの割合が約 8 割を占めています。先ほど御覧いただいた正社員に占める 40 歳以上の割合の高さは、これに鑑みると、働きながら介護をせざるを得ない労働者が全体の相当程度存在することが伺われます。

 それでは、どれぐらいの期間、介護等支援に携わなければならないかという点についてですが、参考として、 8 ページに「平均寿命と健康寿命の差」という資料を御用意いたしました。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間ということです。これと平均寿命との差の期間が、何らかの介護、何らかの支援が必要となる期間と考えられます。こちらの差は、男性で約 9 年、女性で約 13 年と、かなり長い期間となっています。

9 ページ、介護を要する方の数そのものも増加しています。青の折れ線グラフが介護保険の認定者数の推移です。御覧のとおり、年を追い増加しています。平成 25 年で 580 万人となっています。一方で、介護のために離職した介護離職者の数については、増減を繰り返し、平成 24 年、直近では雇用者で 9 5,000 人となっています。

10 ページにも、介護離職者の数の推移について同様のデータを御紹介しています。先ほどの推移を男女別に見たものとなっています。黒の折れ線グラフで男性の比率を示していますが、男性の割合は増加傾向にあることが分かっていて、平成 24 年の雇用者の離職者数では 19.5 %という割合になっています。ここでも、女性のみならず、男性についても介護の負担が介護離職を引き起こしているという問題が深刻になっているところがみられます。

11 ページですが、手助けや介護のために仕事を辞めた理由を見てみたいと思います。手助けや介護のために仕事を辞めた理由を見ると、仕事と「手助・介護」の両立が難しい職場だったためと回答した割合が、男女で最も高い割合を占めています。その他、自分の心身の健康状態が悪化したためということが次に多くなっています。

12 ページは、具体的に介護を行う中で困った点や直面した課題は何かというところを見た資料です。こちらを見ますと、全体として「いつまで、どれくらい介護が必要になるかの見通しが立たない」という割合が最も多くなっています。棒グラフで見ると、一番下の辺りにある大きな赤丸の部分ですが、こちらが一番大きくなっています。その他、「休暇を取得しなければならない」とか、「介護費用・医療費用の負担が大きい」あるいは、「働き方を変えることで収入が減少する」「勤務時間や勤務日数を減らさなければならない」等々の理由が上位に挙がってきています。

13 ページには、仕事と介護の両立のために勤務先によってどういう支援が必要になるのかということについて、働きながら介護をしている方に聞いたところの結果を御紹介しています。ここでは、残業をなくす又は減らす仕組み、出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み等の割合が高くなっています。これらからは、どれくらい介護が必要になるか見通しが立たない中で、残業を減らして対応をしたり、退所、出社時間を柔軟にすることで仕事と介護を両立させていきたいというニーズが見てとれるかと思っています。

14 ページに、仕事と介護の両立支援のために必要な地域や社会による支援について聴いた資料も付けました。こちらでは、介護に関する情報の普及啓発や、あるいはサービス面として緊急時に対応できるショートステイの拡大、又は精神面での負担軽減のための相談の充実等が上位 3 位に挙がってきています。

15 ページ以降で、実際に企業における仕事と介護の両立支援制度の導入及び医療状況はどうなっているかを見ていきたいと思っています。 15 ページの左側のグラフで、介護休業制度等の規定整備状況、あるいは介護休暇制度の規定整備状況のデータを載せていますが、就業規則等に介護休業の定めがある事業所は 65.6 %、また、介護休暇の定めがある事業所は 67.1 %となっています。また、右のグラフですが、介護のための勤務時間短縮等の措置内容別で見ると、短時間勤務制度を設けている企業割合が全体の 53.9 %と、他の措置の中で最も高くなっています。

 実際の制度の利用状況は 16 ページを御覧ください。介護をしている雇用者について「介護休業等制度の利用あり」は 15.7 %となっています。少し細かくなっていて恐縮ですが、左側の表の真ん中辺りの赤枠の中に 15.7 %とあります。このうち、介護休業制度の利用者は 3.2 %、短時間勤務制度は 2.3 %、介護休暇制度は 2.3 %となっています。また、雇用形態別の割合を見ると、介護休業等制度の利用有りの者は正規職員・従業員で 16.8 %である一方で、非正規の職員・従業員は 14.6 %となっていて余り差がない状況です。また、男女別で介護休業を取得した人の割合を見てみると、右側の表になりますが、女性は 2.9 %、男性は 3.5 %となっており、多少男性のほうが高くなっているというデータが出ています。ここまでが仕事と介護の両立に関する内容のデータでした。

 引き継いで、仕事と育児の関係について、主に先ほど御説明した検討課題の項目に対応する形で現状のデータ等を御紹介します。 17 ページです。まず、先ほども言及したように、 M 字カーブについて、右側のグラフで分かるとおり、女性の就業率と潜在的労働力率の差は大きく、就業を希望する女性の数は 315 万人になっています。この潜在的労働力率を就業者に変えていくためにも仕事と育児の両立を進めることが重要となってきます。

 一方で、女性の側にも多様な家族形態や、多様な雇用形態がますます増えてきています。これに対応する制度、施策の在り方を考えることが重要になってくると思われます。 18 ページは、 25 歳~ 34 歳の女性の非正規雇用の労導者割合です。この割合が、 1990 年と 2012 年を比べてみると、 28.2 %と 40.9 %ということで、かなり高くなってきています。

 また家族形態も多様となってきていて、 19 ページに、ひとり親家庭の割合のデータを載せています。現在、児童のいる世帯の 7.5 %、 91.2 万世帯がひとり親家庭となっています。その数は、平成 4 年以降の世帯数の推移を見ると、一貫して増加傾向にあります。平成 4 年では 57.1 万世帯であったのが、平成 25 年では 91.2 万世帯まで増えてきているという状況です。

20 ページの特に赤囲みの部分を御覧ください。ひとり親家庭の母子世帯の就業状況を見ると、パート・アルバイト等の非正規雇用が約 5 割を占めています。このように、ひとり親家庭の中でも非正規雇用が多くなってきているという状況が分かります。

21 ページ、しかしながら、正規の職員でない方が第一子出産前後の育休を利用した継続就業率は非常に低水準となっています。正規の職員の方であれば、育休を利用して継続就業された方の割合が 43.1 %なのですが、パート・派遣では、右側のグラフの一番最終の数字でも僅か 4.0 %です。

22 ページに、正規・非正規別の継続就業の状況を再び載せています。こちらは、非正規雇用でも、職場に育児休業制度があり、利用しやすい雰囲気の所では継続就業率は高くなっているというデータもあり、制度の有り無しと、雰囲気の両面が継続就業のポイントとなっているのが見てとれます。

23 ページは、同様の観点から、非正社員の女性が妊娠・出産を機に退職した理由を見たものです。その理由を見てみると、自発的に辞めたという方が一番割合的には多くなっているのですが、両立が難しかったので辞めたというのが約 16 %となっています。その難しかった理由として、右側のグラフは、正社員と比べたものです。育児休業を取れそうもなかった、保育園等に子供を預けられそうもなかった、会社に育児休業制度はなかった、妊娠・出産に伴う体調不良を挙げる者が、正社員に比べて多くなっています。

24 ページ以降は、男性の仕事と家庭の両立の推進という項目に対応する形でデータを載せています。育児休業取得率の推移を見てみると、皆様よく御存じのとおり、女性は 8 割台で推移している一方、男性の育児休業取得率は非常に低く、平成 25 年度で 2.03 %と低水準になっています。

25 ページ、このように男性の育児休業取得率は全体でも低いのですが、配偶者が専業主婦 ( ) や育児休業中の場合での育児休業取得の状況について見たものです。これは企業規模別で分けていますが、特に右側の円グラフでは、正社員 100 人以下の企業のうち、配偶者が専業主婦や育児休業中の場合で育児休業を取得した人がいたと回答した企業の割合はかなり低く、 2.1 %となっています。

26 ページ、男性の育児参加については、一般的に女性の継続就業率及び出産と、男性の家事・育児参加とは深い関係にあるというデータが出ています。例えば、夫の家事・育児時間が長いほど妻の継続就業率が高い、また、第二子以降の出生割合も高いという傾向にありますので、男性の育児参加、男性の仕事と家庭の両立の推進を進めていく必要が非常に高いと考えています。

27 ページ以降には、育児休業、子の看護休暇、単時間勤務、所定外労働の免除、それぞれの制度に関して、現在の企業における規定の整備状況及び実際の利用状況のデータを載せています。掻い摘んで御説明します。 27 ページは育児休業に関してです。就業規則等に育児休業の定めがある事業所は 72.4 %、子の看護休暇の定めがある事業所は 53.5 %となっていて、企業規模別に見ると、多少やはり大きな企業のほうが規定率は高いという状況です。また、育児のための短時間勤務や労働時間の短縮等の措置内容別で見ると、短時間勤務、所定外労働の免除の順で割合が高くなっています。

28 29 30 31 ページは、それぞれの看護休暇制度、短時間勤務制度、所定外労働の免除の制度に関する利用状況になっていますので、こちらは御覧ください。

 時間がありませんので少し飛ばします。 32 ページ、 33 ページ、 34 ページに、育児・介護休業法に関する都道府県労働局雇用均等室に対する相談件数及びその内訳を御参考までに付けています。例えば、 32 ページでは、平成 25 年度の相談件数は 55 77 件という数字が出ています。こちらも御参考までに御覧いただければと思います。

 また、 35 ページ以降は、育児・介護休業法の概要の資料になっていますので、こちらも適宜御参照ください。駆け足になってしまって恐縮ですが、私からの説明は以上です。


○佐藤座長 どうもありがとうございました。研究会で検討することになるであろう課題について係るデータ、資料、あとはこれまでのいろいろな法改正に伴う附帯決議等々について御説明いただきました。資料
5 については、今日は第 1 回ということですので、今回の研究会のテーマについて、このようなことを議論するのが大事だとか、特に資料 5 の論点に関して、こういう論点を加えたほうがいいとか、そういうことを、少しまとめて御意見を伺う時間を取りますので、ここでは資料 4 と資料 6 について、ここをもう少し説明してほしい、あるいはこういう資料があるのかということがあれば、そこから伺いたいと思います。


○両角委員 資料
6 16 ページの育児休業の利用率の統計の所で、介護をしている雇用者の 3.2 %しか休業を取得していないというのは、ちょっと驚いたのですが、なぜこんなに低いのか、説明等、資料等がありましたら教えていただきたいと思います。


○中井職業家庭両立課長補佐 就業構造基本調査で、介護をしている雇用者を母数に取っています。理由については、詳細な分析はしていないと思いますが、恐らく制度が周知されていないとか等々の理由が考えられるところです。


○佐藤座長 ほかの調査を見ると、多分これは介護の範囲がどうかということもあるのですが、休業を取らなければ両立できない人ばかりで、子育てとは違うので、例えば定時に帰れればとか、有給でとか、長い休業がなくても介護できている人も、もちろん取りにくいから取れてないという人もいると思うのですが、子育てと違って休業を取らなくても両立できているということだと思います。残業をあまりしないとか、定時で帰るということでやっているという結果も出ていますので、そういうこともあるかなと思います。これは分析しなくては、よく分かりません。


○神吉委員 それに関連して、介護をしている雇用者は、主として従事しているわけではなくて、例えば家庭内に、ほかにケアをする人がいるという人も介護をしている雇用者に入っているのでしょうか。


○中井職業家庭両立課長補佐 そうですね。介護をしているかどうかを聞いております。主としてか、従としてかというところは確認させていただきます。


○佐藤座長 分かればあとで。多分いるだけではしていないと思いますが、主か従かは、従も入っているかなと思います。確認していただければと思います。


○神吉委員 では、配偶者がやっているので、自分は休業を取らなくてもいいというか、含んでいる可能性があるということですね。


○佐藤座長 もし分かれば御説明してください。なければ次回でもいいです。よろしいですか。あと附帯決議等々のところの背景とか、知りたいことがあれば。よろしいですか。

それでは、また追加的な資料をお願いすることがあるかも分かりませんが、一応、事前の勉強ということで資料を使わせていただければと思います。

 それでは、資料 5 の「論点」です。もちろんこの論点以外にも、こういう大事な論点があるということなら出していただいてもいいと思いますが、今日は第 1 回ですので、そういう意味で名簿順で池田さんからになってしまうのですが、この辺が大事ではないかとか、今回のテーマだとこういう議論をしたほうがいいのではないかということを 4 分以内で伺えればと思います。


○池田委員 先ほど両角先生と神吉先生から御質問があったように、介護休業の在り方をどうするかというのは非常に大きな論点だと思います。前回改正のときに、私は研究会で調査結果を報告いたしましたが、長期の休業をまとめて
1 回取ることのニーズというのは、あまり高くないのです。割と細切れに休みながら両立を図る人が多いので、そういう意味では、分割取得は 1 つの議論になるかなと思います。

 それから、育休に関しては非正規問題ということになるかなと思います。附帯決議にもありますが、適用の範囲というよりも、今の規定が分かりづらいという声は、現場で結構聞きます。特に子供が 1 歳になったときに、有期契約の人が復職できるかどうかという見通しについて、使用者も労働者もお互いによく分からない状態で育休に入るという問題があります。法律のフレームに乗るかどうかは分かりませんが、 1 つの検討課題になるかなと感じました。


○佐藤座長 時間が余れば、
2 巡目をお願いします。


○石山委員 石山です。介護のことについてお話させていただきたいと思います。介護休業のことについては議論が必要だと思っています。私自身がケアマネージャーということもあるのですが、実際に平成
27 年に介護保険の法改正があります。介護保険事業計画も 3 か年の計画で、地域保険ですので、各保険者が立てておりますが、今、その案が各保険者から出ておりますが、見ておりますと、子の介護の構成が前回と変わってきていて、今までは子の場合には娘のほうが多かったのですが、今回の調査結果で息子のほうが多いという保険者が増えてきております。こういったことも考慮して、男性にも、より働きやすい環境の整備が必要だと思います。

 介護保険のほうの観点から見ますと、介護保険の基準では、本人・家族と面会し、アセスメント、いわゆる体の状態や心の状態を確認したり、最初だけではなく毎月面会をしていくという規定になっていますが、実際に現場では就業されている方との毎月の面会は難しい状況になっており、電話とかメールでのやり取りだけになっているのが現状です。

 本当は大変ストレスを抱えておられますので、要介護者の体と心の安定のために、本来はしっかりと面接して、吟味したケアプランで、要介護者の体が安定するようなケアプランにすべきところですが、ほぼ電話やメール等で終わってしまっているという状況があります。


○佐藤座長 要介護者の家族ですね。


○石山委員 そうです。ですから、要介護者の体を整えることが、すなわち従業者、雇用者の安定した生活に直結しますので、ここについてもモニタリング、面会ができるように時短とか、時間給とか、残業をなくすなど、あるいはフレックスで働けるような形の、柔軟な対応が必要ではないかと思っています。こちらは介護保険との整合性も必要ではないかと思っております。

 今、申しましたように、介護の担い手としての家族の形態の多様性も入ってきておりますので、こういったところを考慮していただければと思います。あとは難しい問題が重なってきているということで、独り親の家庭、プラス親の介護をされているという家庭も増えてきているのを、現在はデータで出せませんが、現場の実態として感じているところがあります。

 母親が働いている。例えば、夜勤のある仕事をしている場合に、小学生のお子さんが夜中に要介護者の介護をしているという事例も現場では出てきているという実態もありますので、重なっている課題についても見ていかなければならないのではないかと思います。以上です。


○佐藤座長 介護保険制度ができた当時は、やや極端なことを言うと、要介護者の家族が、例えば専業主婦で家にいるという時代もありましたが、今は家族は働いています。本当は家族とちゃんと会わなければいけないのですが、連絡が取れないということでメールでやっています。これからは家族がみんなが働くようになるということですね。


○石山委員 補足させていただきます。今、申しましたように、介護保険制度の施行当初と比べますと、要介護認定の原因疾患が平成
19 年から認知症が 2 位に上がってきております。そうしますと、単なる見守りは保険給付されませんので、家族にとっては見守っていなければならない時間も増えてきているといった難しさもあります。


○神吉委員 法制度の課題と法改正へ向けての課題ということを考えていきますと、労働時間の柔軟性確保と所得保障、ひいては雇用保障につながる
2 つの面があると思います。労働時間の柔軟性を確保することと、所得を保障することは、それを法制度としてどのように担保していくかということが課題になろうかと思います。

 育児介護人数ですが、今までは就労者 1 1 人の状況は違うのでしょうが、世帯で見た場合に、どちらかが非正規就業することによって、それで柔軟性を確保してきたという側面があるのではないかと思っています。そうすると、非正規というのは、しばしばマイナスに取られがちですが、実は労働時間の柔軟性を確保という面からは、望ましいのかもしれないということからすると、非正規就業によって育児介護人数に対応するということを積極的に捉えていいのか、私も決めかねているところがあります。

 非正規にしても正規にしても、共働きが非常に増えているということで、ただそういうバッファーで柔軟性を確保するのがだんだん限界にきているのかとも同時に感じているところで、正規であっても非正規であっても、就業の中で柔軟性を確保する時期に来ているのかと考えているところです。

 高齢出産などで育児と介護が同時に来ているという社会的な状況もあります。ただ、労働時間の柔軟性だけではなくて、所得保障、雇用保障をどのようにしていくかというのは非常に問題で、柔軟性が確保されても、それが原因で仕事を失ってしまったり、金銭的に苦しくなってしまうとなると、それは望ましいことではないので、その両方を確保できるような措置を考えていきたいと考えています。


○佐藤座長 今、仕事と介護の両立で、介護と子育てが重なるというのは、結構海外でも議論されていて、やはり晩婚化、晩産化で海外の研究でも増えてきています。サンドイッチと言うそうですが、両方が同時にくる。特に、やっと子育てが終わって女性が管理職になって、まだまだ子供が小さいのだけどとか、介護では結構それが大事です。

 所得保障もいろいろあると思います。雇用保険の 4 割ですが、池田委員が言われたように、もし分割ということになってくると、介護の場合は、あまり連続しないほうがよいという、細切りでということになると、今の雇用保険の所得保障をうまく運用できるかどうかと。連続して取るということが前提になっているのです。そういうこともあるかなと思いました。


○田代委員 
NEC の田代です。正直言いまして、介護の問題につきましては、社内的にもまだ事例が多くなくて、介護の問題からくる支援の在り方をどうするかという議論まで行き着いておりません。現状は非常に個別的な、それぞれの家庭の事情に起因して、いろいろな問題が生じています、親御さんが地方にいる場合だったり、休業では最後が見えない、つまり、結果的に介護が終わるというのは、回復されるか、不幸にしてお亡くなりになるのかということですので、育児のように、何才になればという目標感がないというところで非常に御苦労されています。

 それと今の実態で言いますと、 50 歳以上の人が、親御さんの介護に当たる世代になるのですが、その年代になってきますと、介護の問題ということもありますが、自身のキャリアをどう考えるかの問題があって、 60 歳以降、自分はどういう道で働くのかと。今までの会社で、今までの業務でずっと 60 歳以降も雇用延長をやっていくのか、あるいはそろそろ違う道で自分のスキルなり、あるいはボランティアだったり、地域活動をやったり、全然違う道を歩もうかとか、いろいろな選択肢を考える世代の中に現実的に介護という問題も出てくる年代にあたります。介護がイコール介護が大変だからというだけではなくて、たまたまそういう年代のときに介護という現実も、今当たるか、あるいは将来そういうことが予測される中で御自身のキャリアをどう考えるかというところで、いろいろ御相談なり、悩まれる方もあると思います。

 そうなってくると、 1 社で継続雇用をするという前提の仕組みだけでいいのか、高齢者のいろいろな状況の中で、社会全体を通じて、どのようにその人たちの特性を生かしていくかということです。例えば地方に行っても、うまく転職がスムーズになるとか、そういった労働力移動という社会的な全体の労働市場の中での柔軟な移動ということも組み合わせて考えていくことが個人のいろいろなキャリアの選択肢も増えていくのではないかという、そういう視点もあるのではないかと思います。

 育児の問題については、制度的には特に大手企業もかなり行き着いた所まで行っていると思います。今、一番悩ましいのは、男女に限らずですが、育児の世代というのが、ちょうど 30 歳、 40 歳で、当社で言えば、管理職になるか、ならないかというように、将来のキャリアにとって一番大事な時期に、現実的にお客様との関係等々があって、時間的に融通の利かない仕事に就くのが難しいということで、第一線の営業職や、システムエジニアが、いわゆる間接的なスタッフ的な仕事にかなり転換してきているということがあります。それがその人のせっかくのスキルを本当に生かしきれているのだろうかという問題もあります。なるべく働かないですむような、柔軟な勤務で配慮するということ以上に、その人のキャリアをどのように確保してあげるかが課題です。職場ではものすごく仕事の面の配慮あるいはキャリア面の配慮をしてあげていると思います。ただ、対お客様との関係となってくると、日本の商慣行とか、もう少し社会的な問題、働きすぎの問題もあるかもしれませんが、お客様を大事にする社員であればなおさら両立支援をどうはかるかという点で、お客様に迷惑を掛けないように、第一線の営業で勤めるよりも、後方支援的な仕事に回ったほうがいいのではないかと考えるのです。むしろ自分で総合的に判断する年頃の人たちが多いものですから、そういう観点からも悩む人も多いということで、非常に悩ましい問題です。キャリアをどうつなぐか、お客様との関係を良好にうまく保ちながら、御本人が能力アップする機会をビジネスの中で、どう築いていくかという問題が、実際に直面している課題です。論点というよりも、企業の直面している課題としては、そういうことがあるということです。


○佐藤座長 企業の方も、仕事と介護の両立には手探りで、始まったばかりかと思っていますので、そういう意味では、ここでの議論は大企業がこれからどうするかということにも、結構大事な情報提供になるのかと思っています。


○中井委員 私どもも先ほど田代委員からありましたとおり、まだまだ介護支援の在り方は手探り状態ですが、働いておられる組合員とのいろいろな意見交換をする中では、本当に介後の事例というのは、子育てと違い、様々です。遠距離での介護、御自宅での介護、御近所での介護といろいろあります。そういった中で柔軟な働き方、育児でもありますが、介護に関しては、個別で、より柔軟な働き方が求められている部分があるのではないかと。短時間勤務がありますが、今の規定されている期間でいいのかとか、そのほか継続した短時間という働き方だけではなくて、フレキシブルな働き方、時間単位での年休、時間単位の年休も、例えばケアマネージャーとの面接といった点であれば、就業後の面接はなかなか難しいとなると、就業時間中に時間給で面接ができないかとか、そういった声も、中には挙げられています。ただ、それが全て個別の事情になっているので、なかなか企業労使として、では、この方法として何か制度を整備していこうというところまで踏み込めないというのが、今の実態です。ですから、今回もそういう柔軟な働き方を、是非議論していきたいと思います。先ほどありましたように、介護休業も、今、一定期間ということがあります。組合側からしても、介護の相談に来られた方に対して、介護休業というのは、本当に介護の準備のために短期的に取るものだという御説明をしていることもありますので、是非、そういったことを柔軟に分割して取得できるようなことになればなという思いがあります。

 あと育児の面では、男性の育児参加といったところで、若干この場の議論ではないのかもしれませんが、介護も含めてですが、両立促進のネックになっているのはどうしても労働時間が課題になっているかと思います。なかなか具体策はないのですが、そこも含めて、うまく男性の育児参加、育児休業の取得も含めてできないかなという思いもあります。以上です。


○佐藤座長 最後になりましたが、両角委員お願いします。


○両角委員 
3 点申し上げたいと思います。まず 1 つ目に介護については、今、お話を伺って、育児と現状のニーズの違いが大分あるように思いますので、それを明確にして、法律ではくっ付いているのですが、もしかしたら、割と性質の違うものなのかもしれないと思いました。

 第 2 に、育児についてですが、育児休業については、池田先生がおっしゃったように、非正規の問題が 1 つあると思います。例えば有期雇用で 1 歳になっても働き続けるという要件があるのは、同一企業で育休を取ったあとも働き続けることが見込まれる人だけを対象にするからそのようになるので、諸外国の育児休業を見ると、そういう要件はほとんどありません。よく考えてみると、そもそもそれはそういう人だけの権利なのだろうかというと、もっと労働者の基本権みたいなもので、またその子供の福祉ということともすごく密接に関わっているので、今回の研究会でどうのこうのという話ではないかもしれませんが、育児休業の権利の性質というか、そういうものも、もう一回深く考えて、所得保障の仕方もそれによって変わってくると思いますし、是非、諸外国の制度の検討なども、ここでどこまでできるかは別としてやっていくべきではないかと思います。

 第 3 に、男性の両立の件ですが、実は育児も介護と割と似ているのかなと思います。というのは、自分の経験からですが、生まれた立ての赤ちゃんのときに、 1 週間の育休を旦那さんが取るということは、その方の経験としては本当に素晴らしい体験だと思うので、それはもちろん推進するべきだと思いますが、両立という観点からは、もっと育ってから手伝ってくれたほうが全然良くて、例えば所定外の労働の免除とか時間外労働の規制とか短時間勤務とか、その適用範囲も伸ばすことも必要だと思います。できれば小学校低学年ぐらいまであると非常にいいと思います。統計だと男性の取得率はすごく低かったのですが、それを何とか取りやすい形にして、実際に育児なり介護なりができるような体制を法律だけでは無理ですが、工夫していくことが本当に大事ではないかと思います。以上です。


○佐藤座長 もう
1 周ぐらい回る時間があると思いますが、今日は 1 回目ですので、私も、どんなことが大事かと思っていることを幾つかお話します。 1 つは、仕事と介護の両立支援あるいは両立の仕方は、仕事と子育ての両立で、企業による支援と、本人の両立とは相当違うということは大事かと思います。子育ての場合は、男性も女性も、できるだけ子育てに関われるように支援する。育児休業を取って子育てするわけですよね。介護の場合は、もちろん本人が介護に関わることはしないというわけにいかない場合もあると思います。基本的には仕事と介護を両立できるように準備をする。そういう意味で休業される必要はあると思うのですが、基本的には準備する。社員が、あるいは要介護者がいる家族が介護を自分 1 人で抱え込まないで済むような状況を作るために介護休業を使うという意味です。ですから、むしろ私は育児休業・介護準備休業法ぐらいに変えたほうがいいのではないかと冗談を言ったのです。

 もう 1 つは、子育てであれば、例えば妊娠したことが分かってから情報提供をしても、まあまあ遅くはない。お子様が生まれれば育児休業を取れますよというようなことを男性にも情報提供してからでも遅くないのですが、介護の場合は親御さんが要介護状態になって、遠距離にいたときに病院から電話が掛かってきて「倒れたので」と言われたときに、人事に寄ってから行くわけにはいかないので、介護の方を抱える前に事前に情報提供をしなければいけない。そういう意味では相当違うので、その辺を考えていく必要があるかと思います。

 法律も介護休暇のほうは、介護するのではなくて、その他の世話で、ケアマネージャーに会うのに介護休暇を使えると書いてあります。介護休業はどうなのだろうか。例えば、遠距離で認定が取れて、住宅を改修する。すると 2 週間ぐらい掛かる。そうすると、 2 週間帰るのに休業を使う。これはいいのだろうかと思います。自分は介護するわけではないのですが、親御さんが戻ってくるときまでには住宅改修をしなければいけない。でも 1 人しかいないので、自分が業者と会って、あるいは施設を探すのにすごく時間が掛かる。これは介護に入るのかというのが結構あります。つまり、介護休業をどのように使えるのか。聞いてみると使えるみたいですが、ただ介護することにしか使えないと思っている人が結構多いのです。介護休暇のほうは、その他の支援と書いてあるのですが、そういうことも含めて、介護と仕事の両立の在り方をどうするかということを議論していいかなというのが 1 つです。

 もう 1 つは、介護保険制度のほうを視野に入れながら、介護の社会化です。介護の社会化は、基本的には要介護者を家族が介護するのではなく、介護は社会的に支える。これを前提に、もう 1 つ考えなければいけないと思います。

 そのときに実は 40 歳を過ぎると、働いている人であれば、基本的には介護保険の被保険者になるのですが、私たちの調査だと、 40 代、 50 代で自分が介護保険の被保険者になっていることを知っている人は 5 割ぐらいです。ですから、逆に言うと、自分の親が入っていることも知らない可能性が高いのです。よく非正規の人が、自分が例えば 3 級を取れることを知らないとかという議論があって、母子手帳に書くようになって、母子手帳で結構情報提供があったのです。だから介護保険制度についての知識をどう伝えるかは結構大事かなと思います。

 被保険者になるのですが、保険証は来ないのです。 65 歳の誕生月に保険証が届きます。保険料だけ取られて保険証がない。保険料は天引きで取られる。そのときは何の知らせも来ない。「あなたは被保険者になりました。介護保険制度はこういう仕組みです」みたいなものは一切知らない。情報提供されないというのをどうするかです。これは向こうの話なのか分からないのですが、そちらも少し知らなければいけない。ですから、介護休業を取ると言ってきた人が、例えば企業の方が「介護認定を受けていますか」と言うと「えっ、受けてない」と言う人が結構いたりします。

 介護保険制度についてのどういうサービスをやっていくということを事前に提供するのはすごく大事かなと思います。今後の方針では、特に施設に入れるのは、要介護 3 からです。ですから、要支援、要介護 1 2 は在宅ということなので、そうすると、自分で認定の手続をしたりとか、ケアマネージャーを探したりということになってくると思います。そういう意味では介護保険制度の仕組みの知識は結構大事かなと思います。

3 つ目は、短時間勤務なり多様な働き方ですが、難しいのは確かにいろいろな調査をすると、子育て中の女性が短時間勤務を長くしてほしいとか、残業免除の時間を長くしてほしいと言うのですが、問題はフルタイムに早く戻ってしまうと、子育てとの両立ができないような働き方があるので、短時間勤務を長くしてほしいとか、使わざるを得ない。この状況を放っておいて、この制度を伸ばすのがいいのかなというのは、少し。フルタイムの働き方で無理なく両立できるような働き方を用意しておいて、短時間勤務や残業免除があるのが原則かなという気もするので、現状と目指すべき方向が、つまり、女性が早く育児休業と短時間勤務から早くフルタイムに戻れて、無理なく両立できる。もちろんそれには夫の子育て参加や保育サービスが大事ですが、目指すべき方向はそちらかなと思います。そういうことを踏まえながら、短時間勤務や残業免除を今回どう議論するかというのは大事かなと思います。

4 つ目は、男性の子育て参加です。イクメンもそうですが、男性も育児休業を取るようにとやってきたのですが、両角委員が言われるように、短期の育休を取るよりも、小学校に入学するまで保育園の迎えを週 2 日行ってくれるとか。送りはできるのですが、男性が迎えに行ってくれるとか、もう少し多様な男性の子育て参加が大事かなと思います。

 もう 1 つは、日本の場合は、妊娠・出産で専業主婦になってしまう女性が、まだ結構多いのです。そうすると、専業主婦がいる男性の子育て参加をどう進めていくか。これは結構難しいかなと思います。妻は「そんなことしなくていいよ」と言っていますという男性も、実際は子育て参加は大事だと思うのですが、そのモデルはあまりなくて、育休を取れと言うのもなかなか難しいかなという気もします。日本の場合は、現状で言えば、妻が全部働き続けているわけでもないので、そこをどうするかが大事かなと思います。

 最後に、非正規の問題をどうするかです。雇用継続の話と所得保障。つまり、育休を取れれば所得保障があるわけですが、これをどうするかです。切り離すかというのがあって、財源が雇用保険から出ているので難しいと思います。ですから、今ある期間を取れますよと。復帰して仕事があれば契約更新するけどというやり方もあり得るかもしれません。育休が取れれば所得保障があるわけですから、有期で働いている人の問題は、正社員で育休を取って復帰して辞めてしまう人もいるのです。その人たちは所得保障があるのに、自分たちは全然所得保障なしという不満もあります。雇用継続と同時に、所得保障のほうの不満も結構大きいのです。ですから、雇用継続の話と所得保障は、一応分けて議論してもいいかなと思います。ただ担当のセクションが違うということがあります。

 いろいろお話しましたが、そんなことを考えています。まだいろいろ論点があるかと思います。あとは自由に言い残したことがあれば、あるいはこういうことを議論したいとかあればお願いします。


○池田委員 労働時間に対する御意見が結構出ましたが、我々が調査した結果から、労働時間の長さはもちろん大事なのですが、時間帯の問題も大事だということがわかっています。深夜業に関しては規制がありますが、問題となっているのは保育園の延長保育に間に合わないような
7 時や 8 時の時間帯です。サービス業の人などは復職しても、その問題で結局は辞めてしまうという問題があります。遅番が普段 10 時まで仕事のところを 2 時間短縮の短時間勤務で「 8 時に帰れます」と言われても、両立は無理ということになる。そういう問題があるのが 1 つです。しかし、だからその時間帯の就業を禁止する、ということになると、女性の就業機会を狭めることになりかねないという問題もあります。

 また、男性の継続的な子育て参加の問題で、我々はまだヒアリング調査しかしていないのですが、転居転勤の配慮義務についてどの程度、会社と労働者のコミュニケーションが取れているのかという問題があります。単身赴任したくないという声が出始めているようですので、育介法にある転居転勤配慮義務をこれからどう考えていくかというのも 1 つあるかなと思いました。


○佐藤座長 やはり転勤問題は子育ても介護でもすごく大きくて、もちろん配慮義務のところはあるわけですが、基本的には転勤あるいは異動です。これをもう少し減らせないかとか。これは法律上かどうかは別として、転勤の仕組みをもう少し見直さないと、女性の継続就業あるいは男性も介護の課題に直面すると思います。企業も転勤問題は結構悩んでいるところが多いかと思いますので、実は大きな課題かなと。ですから、転勤の回数や転勤の期間とか、あるいは確実に
3 年で北海道から戻ってこられるかとか。海外だと 3 年ですと言うのですが、国内は人事は基本的に言わないので、これがいいのかどうかも含めて、人事制度上の運用をどうするかは結構大きいかなと思っています。これは法律上の話ではないとは思うのですが。ほかにはいかがですか。

 もう少し具体的に論点という、これは議論しながら見直していくつもりですが、大体これでカバーされているのか、今みたいにちょっと落ちているということがあれば。大体皆さんの御意見はこの中に入るかなと思いますが。若干、その他の中では介護保険制度などの情報提供とか、その辺でやれるとよいかなと個人的には思っています。どこに手続に行ったらいいのかというのは意外に知らない。「地域包括支援センターを知っていますか」と言うと、これも 3 割ぐらいの認知度ということもありますので、そこをどうするかというのは、育介法上の権利について知らないということもあるのですが、雇用保険制度の仕組みも知らないという状況もあるので、これはちゃんとやっていかなければいけないかと思っています。石山さん、その辺はいかがですか。


○石山委員 地域包括支援センターのお話が出ましたが、もし自分の家庭に介護が起きたらということを不安に思って、地域包括に相談しましたという方はいらっしゃるのですが、実際に地域包括は介護が発生してから具体的な御相談になるので「その後に御連絡ください」と言われることが多いですということで、御相談を頂くことが多いのです。ですから、事前の教育が大変重要かなと思っています。何かの形で介護が必要になる前の段階でしっかりと指導ができる教育が必要だと思います。


○佐藤座長 ですから、地域包括支援センターも親が住んでいる所の地域包括支援センターに行かなければいけないので、自分がいる所では駄目なのです。そういうこともあまり知らないので、行ってみて、あっ、違う、向こうへ行かなければいけないということが分かるという状況で、基礎的な情報提供は大事かなと思います。


○田代委員 今、議論になっているとおり、特に介護のほうの問題で、準備ということで、その周知とか教育を企業なり地域なり、あるいは社会全体、行政がどのようにやっていくかという、その他の中でいいのでしょうが、そういう論点は非常に大事かなと思っています。

 私どもも、制度ものよりも、今はどちらかというと、キャリアの節目の研修の中とか、あるいは健康保険組合などが自主的に、介護に関する Web を使った教育とか、実際に介護講座を開いたり、そういうことをやっています。正直言って、まだまだ参加率とか閲覧の率は低いのが現状ですので、その辺の社会的な周知をして、最終的には個々人がきちんと考える素地をいろいろな団体というか、いろいろな組織でやっていくことをかなり一生懸命やる必要があるのではないかと思います。勤務制度とか、そういうことの有り様も大事ですが、そういう論点は大事かなと思います。


○佐藤座長 ほかにありませんか。


○池田委員 介護のことで言うと、企業の方は日々実感していることかと思いますが、誰がそういう課題を抱えているか、まず把握することがかなり難しいのです。辞めるときになって初めて介護していたことを知るというケースもあります。そこも子育てと違うところです。女性が会社に黙って出産することは多分ありませんし、男性も大体自分の子供を扶養に入れることが多いですから、いろいろな手続を通して子どもが生まれることは分かるのですが、介護の場合は、従業員が介護の相談に来やすいとか、そういうところから話を始めないと、短時間勤務とか介護休業の制度だけを問題にしても難しいかなと思います。


○佐藤座長 ですから、やはり事前に情報提供というときに、あるポイントで全員なのです。ですから、
40 歳で介護保険で被保険者であるのだから、 40 歳のときに介護保険制度の仕組みと自社の両立介護と両立支援制度の情報提供をしたらと、私などは言っているのですが、何かの節目でやるのも 1 つかもしれませんね。

 先ほど伺った介護休業でいう休業の、つまり介護の中身はどうなっているのですか。直接介護しなければいけないのか。介護休業を取れるのか。何か分かりますか。例えば施設を探しに行きますとか、先ほど住宅改修で 2 週間実家に帰っていなければいけないというのは休業を使うことはできるのですか。


○蒔苗職業家庭両立課長 限定されてないはずですので。


○佐藤座長 その辺はどのようになっているかは結構大事かなと思っていて、実際上は施設を探すとか、そのようなとき、あるいは認定も今は早くても
1 か月ぐらいかかりますか。


○蒔苗職業家庭両立課長 はい。


○佐藤座長 もう少し掛かりますよね。その手続で待っていたりということもあるので、その辺をどうするかですね。そのルールを教えていただければと思います。ただ、これは御存じのとおり、介護休業とか、こちらは高齢者だけではないのです。いわゆる介護保険制度と範囲が違うので、その辺もどうするかというのは結構大事かなと思います。ですから、介護休業を取れる要件が、介護保険制度の要介護でなければというように対応しているわけではないのですよね。この辺をどうするかというのはあるかなと思います。運用上の話はあるかと。よろしいですか。何かあればお願いします。今日の最後にでも、また伺うようにします。分かりますか。


○蒔苗職業家庭両立課長 次回、整理して。


○佐藤座長 きちんと調べていただいたほうがいいかなと思いますので、次回お願いします。就調
( 就業構造基本調査 ) のほうは今、分かればですが。


○中井職業家庭両立課長補佐 就調の介護をしている者ですが、調査票上「普段介護をしていますか」という質問になっています。普段介護というのが
1 年間に 30 日以上介護をしている場合に当てはまるということにしています。介護は日常生活において、入浴、食事、排泄等について手助けをすることとなっておりまして、自宅内だけではくて、自宅外の家族の介護を含むという形になっています。


○佐藤座長 かなり直接介護をしているという、狭い生活支援とか、見守りみたいなものが入ってないので、実際は多いかも分かりませんね。狭く取っているね。だから、介護しているというのは、実際はもっと多いかもしれません。生活支援みたいなのは入っていない。手続するとか入っていない可能性がありますね。どうもありがとうございました。それを念頭に置きながらデータを見たほうがいいなかと思います。

 それでは、議題 2 「今後の研究の進め方」、議題 3 「仕事と両立についての実態調査」について、事務局から御説明いただければと思います。


○中井職業家庭両立課長補佐 議題
2 、議題 3 について、資料 7 及び資料 8 に基づいて御説明させていただきます。まずは資料 7 、今後のスケジュール ( ) について、本日 11 19 日に研究会が発足いたしまして、今後、有識者等からのヒアリングを行い、そのあと個別の課題の検討に進む予定です。この間、仕事と家庭の両立に関する実態調査を並行して行いたいと考えているところです。実態調査を行い、その結果を 4 月頃に研究会に御報告させていただき、そちらも踏まえた上で、引き続き個別課題の検討を行っていただきたいと思っています。スケジュール ( ) としては夏頃に、検討結果の取りまとめを行う予定にしています。取りまとめまで、基本的に月 1 2 回程度の開催にしたいと考えているところです。

 開催イメージ ( ) として、年度内の開催イメージについて、 ( 別紙 ) に、もう少し具体化した案を提示させていただいています。第 1 回を本日行い、第 2 回は平成 26 12 月上旬の開催を考えています。内容としては、本日の第 1 回研究会で御議論いただきました内容及び今後のスケジュールの整理について御議論いただき、また仕事と介護の両立に関する実態調査の項目 ( ) 、具体的な案について御議論いただければと思っています。

 また、先ほどの議論の中でも介護保険の整理等のことも出ていましたので、介護保険制度の概要について御説明し、御議論していただきたいと考えています。第 3 回~第 5 回は 12 月中旬、 1 月下旬、 2 月上旬になるかと思いますけれども、ここでは有識者の方からのヒアリングを行いたいと考えています。ヒアリング内容 ( ) として、企業等の現場における仕事と介護の両立に向けた取組、課題についてとか、国内の仕事と介護の両立の現状について、あるいは諸外国における仕事と介護の両立支援制度について、また検討項目の育児時期の柔軟な働き方、男性の育休取得に対応する形で、諸外国における育児休業について、これらがヒアリング ( ) として挙げられるかと思います。第 6 回は 2 月中旬に開催し、個別課題に係る論点整理を行った上で、第 7 回を 3 月中旬頃に個別課題についての検討に入るというように考えています。こちらがスケジュールに関する部分です。

 引き続き、資料 8 は、仕事と家庭の両立支援に関する実態調査について、先ほどスケジュール ( ) のところでも御説明しましたとおり、本研究会での議論に資するための実態調査を行うことを予定しています。その設計や調査項目等について、委員の皆さんに御意見を賜われればと考えています。本日は資料 8 に調査概要及び調査項目 ( ) の大枠について掲げさせていただきました。また、参考資料 2 として仕事と家庭の両立に関する既存調査で既に調査されているような項目について求めさせていただきましたので、そちらも御参考にしていただければと思います。参考資料 2 は横書きの表になっていますので、適宜御参考いただければと思います。

 それでは、資料 8 に沿って御説明いたします。調査概要について、調査対象は企業 5,000 社及び労働者 1 万人を考えています。労働者については、 30 歳以上の男女で、家族の介護を要する者 ( 就業者及び離職者 ) とし、 (2) 男性の仕事と家庭の両立の促進の部分ですが、 2(2) の内容については、同対象者の中で把握できる範囲で把握することとしてはどうかと書かせていただいています。これを 30 歳以上の男女としたのは、先ほどの御意見もいろいろ出ましたように、育児と介護の負担が同時にかかっている労働者の方についても実態を把握できればと考えてのことです。また、二択調査で行う制約上、仕事と介護の両立のテーマで調査対象として考えられる 40 代、 50 代の労働者への調査と、それに合わせて仕事と育児の両立というテーマで対象となるような、もう少し若い労働者への調査を、 2 つを同時に行うことはちょっと難しいかと考えております。したがって対象は 30 歳以上の男女とした上で、調査項目の (2) の男性の仕事と家庭の両立の促進に関する項目について、その中でできる範囲で把握することとしてはどうかと考えています。男性の仕事と家庭の両立の促進については、ほかの項目に比べて比較的既存の蓄積が少ないのではないかと考えて、そのように書いているところです。

 次に、 2 番の調査項目の ( ) として、こちらは大枠の案を示させていただきました。また第 2 回で細かい調査項目について、もう少し具体的なところの御意見をいただければと思っています。こちらは大枠の案として、まず、 (1) 仕事と介護の両立のあり方。企業調査は、各種制度導入状況、各種制度の利用状況、制度導入以外の取組、 ( 介護が必要な家族がいる労働者の把握方法や情報提供のあり方など ) 、また育児・介護休業法上、制度利用の対象となる要介護状態の判断基準があり得るかと考えています。労働者調査については、仕事と介護の両立に係る就業状況及び希望 ( 離職者については離職理由等 ) 、介護を要する家族の状況及び介護の実態、仕事と介護の両立のために必要な支援が考えられるかと思います。

 次に、 (2) 男性の仕事と家庭の両立の促進です。企業調査の項目としては、各種制度導入状況、各種制度利用状況、制度導入以外の取組 ( 育児期の子どもがいる労働者の把握方法や情報提供のあり方等 ) です。労働者調査については、配偶者の属性 ( 共働きなのか専業主婦なのか ) 、育児休業等を取得しない理由、育児休業等を取得するために必要な支援があり得るかを考えています。なお先ほど申しましたとおり、本日この調査項目の枠について御意見を賜り、それらを踏まえ、次回は、もう少し具体的な調査項目 ( ) についてお示しし御議論いただければと考えているところです。


○佐藤座長 
2 つの資料を御説明いただきました。 1 つはスケジュールですが、最終的には来年の夏頃にこの研究会としてアウトプットをまとめるということで、そのスケジュールがこのぐらいということです。そのスケジュールについて御質問や御意見はありますか。

 次回は一応、今日の議論を少し整理していただいて、後で議論していただくための調査も、もう少し詳しいものが出てきます。後、今日の議論になります介護保険制度について、我々も知識や情報を提供したほうがいいと思いますので、御説明いただくということです。これは多分、常時なので一応、こういう形でやらせていただくということですが、 3 回以降は、いろいろまだ調整できると思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは当面は、こういう形で進めさせていただきます。

 次の資料 8 については、詳細は次回ということですので、大枠で、こんなことを調べたほうがいいということがあれば伺いたいと思います。労働者調査、個人調査は結構難しいかと思われます。家族に要介護者がいるというのは、従来の多くはモニター調査で、事前にスクリーニングをかけてやっているということなので、多分 40 歳以上でも、家族に要介護者がいるという人は平均では 7 8 %です。ほかのデータでもいろいろありますけれども、これは企業にお願いして撒いてもらうのですね。


○蒔苗職業家庭両立課長 企業調査は企業ですけれども、労働者側は別途、まだ決まっていないのですが、委託先のシンクタンクから。


○佐藤座長 ではモニター調査でやるということですか。


○蒔苗職業家庭両立課長 まだ決まっていないのですが、使っている業者さんがあるというようには聞いています。


○佐藤座長 多分そうですね、事前にスクリーニング調査をやって、現在、介護に関わっているというような人の従業員を取り出してやるということですね。あと
1 つは、有期の人も入れるのでしょうか。


○蒔苗職業家庭両立課長 有期は一応、入れたほうがいいのではないかと思っています。ちょっと、そこはサンプルとの相談でありますが。


○佐藤座長 労働者のほうは、今回のテーマでいくと、有期の人も入れてということになりますかね。ちょっと私が気付いたことですが、いかがでしょうか。大枠で、調査対象や内容で、企業調査と個人調査です。個人調査は企業調査とは別に、多分モニター調査を使ってやるということになるようです。


○神吉委員 この労働者調査となると、今働いている人となるので、就業者及び離職者、特に介護離職した人のニーズをどのように図るかが課題になると思うのですが。参考資料
2 の所ですが、仕事を辞めた理由とか、辞めた経験がある人のきっかけというものは、以前も調査されているので、それは担保されるという見込みでよろしいのでしょうか。


○蒔苗職業家庭両立課長 サンプルが広いので、ちょっとそこは、委託先が決まったら相談をしていきたいと思います。


○神吉委員 それではそのときに。


○佐藤座長 幾つかあります。
1 枚目の、みずほ情報総研でやったところですが、介護で離職して、その後転職して働いている人とか、離職したままの人とか、今の仕事を継続しながら両立している人とか、対象を選んで比較した調査はあります。ただ、それを早くするのは、サンプルを取るのはすごく大変だったと。


○神吉委員 サンプル的にどれだけの。


○佐藤座長 ですからちょっと見ていただいて、新たにやる必要があるかどうか、必要があれば、できるだけ報告書を見ていただけるようにしたいと思います。ネットには載っているかと思います。当面は在職していてですね。


○蒔苗職業家庭両立課長 そうです。


○佐藤座長 介護の課題、そういう意味では、ある程度両立できているということにはなるかも分かりません。


○神吉委員 もう
1 つ、育児のほうです。 (2) で労働者調査に関して、育児休業等を取得しない理由と、それを取得するために必要な支援ということになっているのですが、これは既存の制度に対してなのでしょうか。例えば先ほど両角先生からの御意見のように、今は小さいときにしか取れないですけれど、もうちょっと大きくなってから取りたいのにというようなニーズを拾うような調査項目があってもいいかなと思うのですが。


○蒔苗職業家庭両立課長 そういう御指摘も踏まえて。


○神吉委員 来週ですか。


○蒔苗職業家庭両立課長 次回出すときにちょっと工夫します。そういうのもあったほうが、調査の目的としては、現在ある制度の確認というよりは、今はないけれどもこういう制度がいいというニーズはありますので。


○神吉委員 はい。それも聞いてみてもいいかなと思いました。


○佐藤座長 
30 歳以上で、家族に要介護者がいるような、そういう就業者を正社員と有期の仕組みでとるといったときに、男女ともに、だけどもう 1 つ子育ても聞くのは、そのサンプルにというと、ちょっとやや。


○蒔苗職業家庭両立課長 そこはどこまでできるかあれなのですが。


○佐藤座長 そうですね。


○蒔苗職業家庭両立課長 介護だけでもいいですし、先生が以前おっしゃったように、サンドイッチになっている方を把握できれば。


○佐藤座長 そこだけでないと、なかなか難しいかも分かりません。先ほど男性の子育て参加というと、対象が介護のほうである人だけにセレクションされているので、出てきた結果の読み方が難しいかなと思って、介護の方があって、かつ子育てもあるかどうかだけしか、こ
対象だと難しいのかもしれないですね。もちろん男性の子育て参加の調査は大事ではないというのではないですけれど、ただこのやり方だとちょっと難しいかも分からない。


○神吉委員 
1 万人を、以前はモニタリングではなくて、ランダムに取る感じではなかったですか、説明として。それほど対象者を絞ってという感じではなかったような気がするのですが。


○蒔苗職業家庭両立課長 そうなのですね。ちょっとそこは決まってから相談して、まだ一応、契約が不調になって、もう
1 回やらないといけないのです。


○神吉委員 そうですか。もう制度設計次第ですけれど。


○佐藤座長 一般的に取ってしまうと、先ほどお話しましたように一割もいないと。要するに
1 万人取れても 1,000 人ぐらいしか介護を抱えている人が逆にいなくなってしまうということになります。その 1,000 人を、正規何とかに分けてしまうと、サンプルもすごく小さくなるという問題があります。


○神吉委員 そうですよね、きっと回収率もそんなに高くないです。


○佐藤座長 モニター調査なので、
1 万人集めるという。


○神吉委員 回収率がこっちは違いましたよね、企業の回収率で。


○蒔苗職業家庭両立課長 
1 万人対象にした回収率は 2 3 割か 4 割ぐらいでしたか。


○佐藤座長 そのようにやるの。


○神吉委員 労働者は回収率ではなくてという感じでしたね。これは配布が
1 万で、だから返ってくるのは 20 %ぐらいだろうという話だったので、更に……人が。


○佐藤座長 多分それは企業を通じて撒いてもらうときの発送ではそうなのですが、モニター調査だと、普通は
3,000 集まるときは 5,000 集まるというやり方。普通は回収率で、発送はないので。


○神吉委員 多分、この設計は違う。


○佐藤座長 違うのですか、そこはよく分からない。


○神吉委員 この企業と労働者は別の調査ですよね。


○蒔苗職業家庭両立課長 別です。


○佐藤座長 そうすると、普通はモニター調査だと
1 万集めるとか、 3,000 集めるというのは依頼の仕方になるのです。そういう意味では回収率というものではなくなってしまうのです。変な言い方ですけれど、割り当ててしまう。


○池田委員 一般サンプル調査は、
web モニターではない調査をするのですか。


○蒔苗職業家庭両立課長 
web だったはずですけれど。


○池田委員 住基台帳から抽出するのだと、スケジュール的に
1 月は無理だと思います。 web モニター調査で、サンプルの代表性を確保するために、例えば回収結果を就調の分布に近似させるようにすることはできますし、今はモニターの中の属性もかなり多様な人を取れるようになっているので、そういうところでコントロールすれば、かなり良質なデータが取れるのではないかと思います。


○佐藤座長 調査の議論をしてもしょうがないのですが、調査のやり方は普通は就調の、例えば雇用形態が年齢別に合うように、そのサンプルが集まるまで発送を続けるというやり方なので、全て回収率ではなくて、例えば
30 代の正社員は 1,000 人集めるとか、そのようにして、 1,000 人集まるまでやるという感じなのですね、調査の仕方としては。ですから、 1 万集めるといったら全体で 1 万集まるまでやるということです。そのときに発送が会社によっては 3 万発送する会社と、 5 万発送しなくてはいけない会社があると。余り多く発送する会社はいいかもしれないですけれど、こんなのはもういいです。もう少し、その辺はどうするか。


○蒔苗職業家庭両立課長 この調査が今年度は、これ
1 回ですけれど、来年度も予算が付いていますので、 4 月以降、準備を早めれば 1 月ぐらいに、来年度の調査ということで、今回の年度内調査と、来年度当初の 2 回はできますので、今回はどこまで聞くかを整理していこうかなと思っています。


○神吉委員 では、その
2 回を介護と育児に分けてもいいということですか。


○蒔苗職業家庭両立課長 そうですね、そこはあります。


○神吉委員 そのほうが設計としては、よいような。


○佐藤座長 取りあえず、ここは仕事と介護の両立についての、企業も労働者も調査で、ただ労働者のほうは、もしかしたら介護の課題があると同時に子育てがあるかどうかぐらいの
1 問をちょっと聞くぐらいな感じで、余り。男性の子育て参加とかそういうことは、もう 1 つの、来年度の調査のほうに回すということでいいですか。全体としてはいかがですか。


○両角委員 来年度に回すことになったと。申し訳ないですけれど、その男性のところで、これは男性の労働者だけに聞くのですか。


○蒔苗職業家庭両立課長 今年度やれるとしたら、やはり項目は絞らなければいけなかったので男性に絞りましたけれども、来年度に回すのであれば、当然、男性だけではなくて、広げてできます。


○両角委員 是非、女性もやってほしいなと思います。女性がやってほしいと思うことと、男性が取りたいことは違うかもしれないので、両方やっていただきたいなと思います。


○佐藤座長 そうですね。極端な言い方をすると、女性のほうだけを調査して、専業主婦の人も含めて、配偶者にどのような子育て参加を求めているかとか、いろいろなやり方、ペアで調査をするというのがあります。カップル調査と言いますが、両方にそれぞれ聞くというのもあ
ったりします。

 この労働者調査が、今は要介護者がいるということですので、会社の制度もそうですけれども、介護保険制度のサービスをどのように利用しているかとか、あるいは利用していない人でもどの程度知っているかと、認識状況みたいなのは聞いたほうがいいかなという気がしますけれど。多分、見守りみたいな人も入れたほうがいいと思います。遠距離介護で月 1 回親元に帰っているというようなのも、実際は働く人からすれば、介護保険上の介護ではなくても、結構大事なことなので。

 あと、遠距離介護ですが、特に大企業の場合は結構多いので、遠距離介護をどうするかというのがあると思います。要介護者がどこにいるかというのは結構大事です。

 ほかに、何か大きな点でありますか。一応、整理して、そういう意味では、労働者調査はどちらも介護に絞るということで。要介護者を抱えているということで、それを広めに取ったほうがいいかも分かりません。つまり、どの程度、就調の定義みたいな人と、もう少し広めのほうが幾つかに分かれていいと思います。広めに、見守りみたいなものまで含めて広めにしておいて、他方で就調に当てはまるようなのも分かるようにしていると、両方分かりますから、ちょっと広めに取るほうがいいかもしれません。

 具体的な調査項目、調査表の形になっているかどうかは分かりませんけれど、次回には出てくるということですので、よろしくお願いいたします。そうしますと、既にスケジュールの中にも御説明していただいていますけれども、次回の内容は、今回の第 1 回の議論の整理と幾つかの宿題、調べてくださいとお願いしたことについて御説明いただくのと、今の調査をもう少し具体的に、こんな内容でやりたいというのを出していただくということと、介護保険制度の概要について御説明いただくということですが、よろしいでしょうか。

 それでは最後に、事務局から次回の日程について御説明いただければと思います。


○中井職業家庭両立課長補佐 本日は誠にありがとうございました。次回の日程については、
12 5 日金曜日、 10 時~ 12 時となります。会議室については、 12 階の専用第 14 会議室になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


○佐藤座長 どうも活溌に御議論いただきましてありがとうございました。これで終了いたします。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
電話 03-5253-1111(内7864)

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