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2014年11月25日 第2回 技能実習制度の見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会 議事要旨

職業能力開発局外国人研修推進室

○日時

平成26年11月25日(火)17:00~18:55


○場所

中央合同庁舎4号館108階会議室
(〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎4号館)


○出席者

多賀谷座長,青山委員代理,浅井委員,板垣委員,勝野委員,小林委員,新谷委員,高倉委員,高橋委員,根本委員,橋本委員,山川委員,吉川委員

○議題

(1)取りまとめの方向性(たたき台)について
(2)その他

○議事

厚生労働省から,取りまとめの方向性について資料に基づき説明を行い,協議を行った。
委員から出された主な意見は以下のとおりであった。

(制度の適正化方策について)

・技能実習生の帰国後のフォローアップについて,どこまで行うことを求めるのか。
 また,フォローアップを実施する主体は監理団体で適当なのか。国や送出し機関がメインで行うこととするべきではないのか。帰国した技能実習生の追跡を国内の監理団体に課すのは難しい。
・現行のフォローアップ調査は回収率が10%台であり,ミスリーディングがあり得るため,調査を充実することは賛成。しかし,無理に回収率を上げようとして技能実習生の本音を拾えなくならないように,技能実習生が自主的に回答できるような形で実施するべき。
・技能実習制度を円滑に運用するためには,実習実施機関や監理団体に対する支援業務も重要。こうした支援業務がなければ,制度の本質が損なわれかねない。
・日本で修得した技能等を本国で有効に活用するため,2国間取決めの中で相手国側に必要な措置を求めることができるよう検討するべき。
・技能実習の評価の際の情報提供等,これまでJITCOが行ってきたサービスはどうなるのか。
・監理団体は技能実習生の受入れのみを行っているわけではなく,また,外部監査の実施や外部役員の設置は費用負担がかかるため,外部監査の実施や外部役員の設置によるガバナンスの強化がどうなるのか検討が必要。
・新たな制度管理運用機関の創設は是非ともやるべきであり,その際は地方事務所も十分な体制とするべき。
・新たな制度管理運用機関の設立については,行政改革の観点から定員等につき一定の歯止めが必要。
・新たな制度管理運用機関を創設するとしても,同一の案件について,新機関と入管局と労基署がそれぞれ調査するようなことや同一の報告を徴収するようなことにならないよう,業務の重複を排除すべき。
・罰則については,対象となる不適正な行為の中にも重いものと軽いものがあり,どのような行為にどのような罰則が適用されるのか,基準を明確にするべき。
・技能検定3級の受検率は0.3%という現状であり,優良な監理団体でさえ,受検が奨励されていることを知らないこともある。技能実習の効果測定の必要性に鑑み,技能実習修了の各段階における技能評価試験の受検を義務化すべき。
・技能実習2号修了時に義務付ける技能検定3級相当の技能評価試験の対象は,「実技試験」と「学科試験」の双方とすべき。「学科試験」に関し,日本語が受検の障害になるのであれば,外国語での受検や,EPAにおける看護師等の資格受検の特例と同様に試験時間を延長するなどの措置を講ずるべき。
・技能実習生の報酬は,最低賃金スレスレ程度のところも多く,日本人と同等額以上とする法務省令が軽んじられている。この点が,法務省令の実効性を高め,本制度を適正化する上で最も重要。法務省令の実効性を担保するための基準を許可要件に明確に位置付けるべき。
・労働関係法令違反が行われないためにも,技能実習指導員や相談員の要件として,労働法に関する知識が必要。労働者派遣制度では派遣元責任者の講習を義務付けているので,参考にすべき。
・地域協議会(仮称)を構成する業所管省庁は具体的にどうなるのか。
・地域協議会(仮称)での情報共有は必要。会議の場だけでなく,適宜,関係機関が連絡を取って対応するべき。
・通報・申告について,技能実習生が恐れや不安を抱かない形で自由に申告できる仕組みが必要。また,そのような制度とする場合には,実習生に十分な周知も必要。
・人権侵害等を受けた技能実習生の実習実施機関の変更について,実習先変更は事務手続の手間がかかることが予想されるので必要な配慮を御願いしたい。
・2国間取決めについては,現行のJITCOが行っているR/D(討議議事録)よりもしっかりしたものとすべき。
 現行で実習生を受け入れている全ての相手国と取決めを結べる見通しがあるのか。
・技能実習生が受入れ機関の違法行為や不適正な行為を申告・相談するためには,技能実習生が違法不適正を認識していることが前提になる。国によって法令が異なっている場合もあるため,例えば,日本の労働関係法令の周知のために,技能実習生にパンフレットを配布することも重要。
 また,技能実習生本人にも技能実習計画を開示し,技能移転の目的であることを把握させることも重要。
・送出し機関が裏で二重契約を結んで,保証金や違約金を徴収している場合,監理団体や実習実施機関では見抜けないことがある。
・平成25年度帰国後フォローアップ調査において,約16%が保証金契約を締結しており,うち30%が返還されていなかったとの結果があるが,この現状への対応が必要。
・技能移転の有効性の評価,人権侵害の実態,フォローアップ調査など,客観的な根拠やデータで定量的に議論することが重要。例えば,技能評価試験の受検を義務付けると,合格率が出るので,合格率の低いところを精査することも可能となる。また,受入れ枠の拡大についても定量的に検討でき,極端に多く受け入れるとマネジメントできず破綻することにもなりかねない。

(制度の拡充方策について)

・優良な受入れ機関にのみ制度の拡充を認めるのであれば,技能評価試験の合格率や実習体制を要件とすることが必要。
・優良な監理団体及び実習実施機関は3年間の技能実習生の受入れに加え,さらに最大2年間の受入れができるようになるため,受け入れる技能実習生の人数が増える。このため,技能等の指導が適正にできるかどうかの受入れ体制が重要。
・監理団体と実習実施機関の関係において,両方が良い,或いは悪いならともかく,ある実習実施機関には問題があるが,同じ監理団体の別の実習実施機関が優良だった場合の取扱いはどうなるのかも検討が必要。
・実習期間の延長又は再実習において,「一旦帰国」の期間は実習生本人の希望も尊重すべきではないか。
・地域ごとの産業の特色を踏まえた対象職種については,送り出し国のニーズではなく,我が国特有のニーズではないのか。
・旧制度ではあるが,既に受入れ人数枠を拡大している「外国人研修生受入れ特区」では失踪や労働関係法令違反等の事例が顕在化しているところもある。安易な緩和の考えはとるべきではない。
・地域ごとの産業特性を踏まえた職種追加については,地元の企業のニーズを吸い上げる仕組みも必要。
・今回の制度見直しは適正化と拡充を同時に行うものであり,適正化だけでは制度見直しの所期の目的は達成されない。
・受入れ枠の増加は,要望する声も多く,現行制度でしっかり管理ができている受入れ機関には,是非とも増加が認められるようにすべき。
・技能実習生の受入れや在留管理に必要な書類手続が煩雑化しており,実習生のサポートに回す時間が無いという声を聞くが,優良な監理団体及び実習実施機関に対しては事務の簡素化を行うべき。
・監理団体に対して講習の期間についてヒアリングを行ったところ,監理団体の理事長によると,講習の期間は,日本語や日本の生活習慣や法令の修得のみならず,技能実習生が監理団体にいつでも相談できるようになるための信頼関係構築に必要な期間であり,1か月では短いくらいとのコメントがあった。単に日本語能力の程度のみで,講習期間を短縮することには慎重であるべき。
・家族と離れてきていることもあり,技能実習生が地域社会と共生できるような取組は重要。
・一定の日本語要件を満たす技能実習生に対して,講習期間を柔軟化することには賛成。
・建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置が平成27年4月からはじまるが、これにより在留資格「特定活動」で外国人労働者が入国してくる。同じ担当者が技能実習生と特定活動で受け入れる外国人労働者の両方を監理する受入れ先が出てくると思われ,こういった事情についても配慮が必要。


(了)

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