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2014年9月18日 第6回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会

職業能力開発局

○日時

平成26年9月18日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室(12階)


○議題

(1) 職業能力開発の今後の在り方に関する研究会報告書(案)について
(2) その他

○議事

○今野座長 定刻になりましたので、ただいまから第6回「職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」を開催いたします。本日は、谷口委員、原委員が欠席です。

 今回は、最終取りまとめということで議論をしていただきたいと思います。お手元に資料1と資料2がございます。資料1は研究会の報告書の()、資料2は前回までの議論の意見のまとめです。まず、事務局から説明をしていただき議論をしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○田中総務課長補佐 事務局でございます。資料2はいつも更新しております主な御意見についての資料です。今回は、(5)で在職者に対する能力開発に関する部分を追加し、(6)で若者に対する支援の観点からいただいた御意見を加えて記述をしたものです。

 資料1の報告書()について御説明いたします。中間取りまとめから変わったところを中心にと思いますが、取りまとめですので、全体を改めて御説明させていただきたいと思います。

1ページの「1 はじめに」という形で中間取りまとめから追加をしています。記載の内容としては、1段落目で、我が国を持続的な成長軌道に乗せるためには、人材力を高めることが不可欠であり、職業能力開発施策への期待が高まっていると。2段落目で、少子高齢化に伴う人口減少やグローバル化による産業構造の変化等の中で、若者を始めとした人材の能力を最大限活かしていくために、職業訓練や職業能力評価制度等の労働市場インフラの戦略的な強化が必要と考えられる。このために本研究会では、以下のように検討を行ったという形で記載をしています。

 「2 職業能力を巡る現状・課題」です。中間取りまとめから若干の修正を加えております。冒頭に雇用情勢等の記載をしていますが、7月のデータに更新して記載しています。2ページの職業能力開発の状況についての2段落目で、産業構造の変化、技術革新、顧客ニーズの変化等が進む中で職業能力開発の必要性が高まっているにもかかわらず、ここでは能力開発基本調査のデータを少し追記をするような形で、職業訓練にかける費用・時間が減少傾向にあることを記載しています。

 また、労働者の職業人生が長期化し、その働き方が多様化する中で、職業訓練に対する投資の不確実性の増大や、予算や時間的な制約により、職業訓練の実施・提供が不十分な状況であると記載しています。

3ページ、「3 今後の方向性」です。こちらも中間取りまとめで記載してありましたが、文言の整理等を加えております。今後の職業能力開発について以下の観点に留意する必要がある。1点目、若年層を中心とした不本意、非正規、育児等でキャリアブランクがある女性、また資金制約のある中小企業に雇用されている者など企業内における人材育成の機会に恵まれにくい労働者等に対して重点的に支援を行うこと。

2点目、産業構造の変化、技術革新、国際化の進展等に対応した職業訓練が提供できるよう、訓練計画、ノウハウの蓄積や訓練提供機関の育成を行うこと。

3点目、職業人生の長期化・多様化に合わせて若年期から中高年齢期までにおける職業能力開発について強化すること。これらを踏まえ、以下の(1)から(4)のような取組を進めることが必要であるとしております。

 その下の「4 具体的な取組」として上記(1)(4)に対応する形で記載をしています。(1)「職業能力評価制度の構築」。4ページの2段落目、職業能力評価制度については、ジョブ型労働市場の拡大、非正規雇用労働者の増加等により、業種・職種をまたぐ円滑な労働移動や客観的な能力評価の観点から重要性が増している。

 その下の「具体的には」の辺りは、今回最終取りまとめに当たり追加した段落です。職業能力評価基準について整備してきたものの、労働市場における活用は必ずしも進んでいない状況を御指摘いただいた上で、これまでの職業能力評価基準の蓄積を反映しつつ、より実践的で具体的な検定等の職業能力評価の「ものさし」の整備が求められるという、具体的な記述を頂いております。

 技能検定制度については、継続的・安定的な運用を図りつつ、外部労働市場での活用を念頭に、産業活動の変化・高度化等に即応をした職種・作業の追加を含む見直しや若者等を重点とした積極的な活用促進を求められることを記載しています。

 これに加えて、対人サービス分野等を重点に、外部労働市場を通じてキャリア形成を行う非正規雇用労働者、育児等でキャリアブランクがある女性等を含めた求職者等が活用することのできる職業能力評価制度を構築することが必要であるとしています。

 次も、最終取りまとめに当たり整理して追加した段落です。外部労働市場でも通用する職業能力評価制度を普及することが、労働者にとってこうしたインセンティブを与える効果があると。また、企業にとっても、以下の段落に記載のようなメリットが期待されることを記載しています。

 このような外部労働市場でも活用可能な新たな職業能力評価制度の構築に当たってはとして、マル1~マル4の視点を記載しています。マル1業界団体等が主体となり、リーディングカンパニー等々、幅広い関係者の参画を得て開発・運営を行うことで活用しやすい制度とすること。マル2階層性を持ったものとする。マル3企業の社内検定等との組合せ、または接続が可能となること。マル4ジョブ・カード等を用い他の職業能力評価関連情報等を併せ、蓄積・「見える化」が図られる仕組みを整えること。こうしたことが重要であると記載しています。

 また、制度の信頼性等の観点から、国による質保証の仕組みや受検者のモティベーションを高めるための社会的効果の必要性、教育政策や労働市場政策と連動させた統合的な運用を図ることの重要性についても記載しています。

(2)「職業人生を通じた個人主導のキャリア形成支援」です。「職業人生を通じた」という文言は、中間取りまとめの後に加えております。ここでは結婚・出産等の個々人のライフイベントへの対応という視点をイメージ的に追加したり、個人が主体的にキャリアを考え自己啓発等を通じキャリア形成していくなどの文言を追加した上で、そうしたことを支援するための環境整備を行うことが必要であるという目的を記載しております。

 その下の段落です。労働市場インフラとしてのキャリア・コンサルティング機能の整備が必要であり、それを実質的に機能させていくためにキャリア・コンサルタントの養成促進とその役割の明確化、質の担保・向上を図ることが必要であるとしております。

 職場の中で、管理者等にキャリア形成支援のマインドや基礎的な知識・スキルを持たせる等の取組を行うことにより、企業内におけるキャリア形成支援の裾野を広げていくことが重要であるという記載を盛り込んでいます。

 次に7ページの中ほどです。ジョブ・カードについては、現在見直しを行っており、この見直しの検討結果を踏まえ、着実な普及・促進を図ることが適当であると記載しています。その下の「加えて」以降の段落は、中間取りまとめ以降に追加した段落です。個人の中長期的なキャリア形成の支援の観点から拡充された教育訓練給付金の対象となる専門実践教育訓練については、中長期的キャリア形成支援に資する的確な講座指定と全国で受講可能となる環境整備の重要性を御指摘いただいたことについて記載しています。

8ページで、(3)「産業界のニーズや職業訓練の効果を踏まえた職業訓練の推進」です。国・都道府県・訓練実施機関・産業界等の関係者が連携し、国がコーディネーターとしての役割を果たしつつ、産業界のニーズを踏まえるとともに、地方の創生の観点から職業訓練の推進を図るべきである。さらに、職業訓練の実施に当たっては、若者、女性や就業困難者等、対象者の多様化に応じた職業訓練コースの開発やノウハウの蓄積の重要性を記載しています。職業訓練の効果の把握、検証の取組の強化の必要性について記載しております。その下で、民間教育訓練機関の育成、職業訓練の質の担保・向上のための取組を推進すべきとしています。

 「また、」の段落以降が、中間取りまとめ以降、特に前回の在職者に対する職業訓練について御議論いただいた内容を盛り込んでいます。9ページの上のほうで、労働者がキャリアアップを図るためには、企業内での訓練が大きな役割を果たすことから、今後もこうした支援の効果の把握・検証等を通じて、企業内の人材育成をより効果的に促進するため企業に対する支援を行っていく必要があると記載をしております。特に非正規、企業内における人材育成の機会に恵まれにくい労働者に対して、企業の支援における配慮や職業訓練の充実を行っていくとともに、職業人生の長期化の中で、中高年齢者に対する支援を行っていくことも重要であると記載しています。

 さらに、高度な専門性を求められる分野や技術革新の速い分野では、在職中の職業能力開発の主体として、企業だけではなく労働者個人も重要となっている状況を指摘した上で、資金・時間・情報の制約により労働者個人の職業能力開発が妨げられないような環境を作ることが必要であるとしています。

 なお、企業自身も、業界の人材ニーズを踏まえ、労働者のエンプロイアビリティを高める支援を行うことは、企業の生産性の向上等、ひいては顧客満足度の向上につながるという認識を深めて職業能力開発を推進することが必要であると記述しています。

(4)「若者に対する職業的自立・職業能力開発のための支援の強化」は、追加をした部分です。若者という視点では、10ページの上の段落で、一人一人の状況に応じ、就労やキャリアアップに向けた職業能力開発に対する支援が重要となる。特に、新卒一括採用の中で、希望通りの職業に就けなかったためフリーターやニートになった者等に対しては、景気が改善しているこの時期に、職業能力開発に対する支援を行うということで安定的な就業につなげていくことが必要であるという視点を記載しています。

 次の段落で、いわゆるサポステ、地域若者サポートステーションについて、ニート等の若者の職業的自立支援の観点から、就労支援としての機能強化を進める。また、就労後の定着支援やキャリアアップのための支援を行うことが重要であるとしています。

 その下の段落では、キャリア・コンサルティングについて、若者に対してキャリア・コンサルティングを実施する際に、キャリア・コンサルタントはジョブ・カードの効果的な活用を行うこと。11ページで、また、若者の職業意識の啓発に関して、それぞれの職業の魅力を発信していくことも重要であること、特に、ものづくり分野の魅力の発信の強化ということに触れています。次の段落で、企業実習と組み合わせた職業訓練を産業界や地域のニーズを踏まえて実施していくこと、その特性等に応じ職業訓練機会を充実させることや職業能力評価制度を整備して若者への活用を促進していく重要性を記載しています。

 加えて、例えば、職業人生における「最初の3年間」は基盤的な力を身につける重要な期間として、若者に対し重点的に職業訓練の機会を付与するなど社会全体で若者を育てる環境整備を進めることが考えられると記載しています。

11ページ、「5 終わりに」で、その他の点も含めてまとめております。12ページで、労働者の職業能力開発というものは、企業の雇用管理等と補完関係になければ効率的に機能しないことを踏まえ、企業ニーズを十分に把握し、個々の制度や施策の整備・推進を行うことが重要である。また、その際には職業能力開発関連施策の連携が不可欠であると記載しています。さらに、職業能力開発施策間の連携だけでなく、関係施策と連携した取組の重要性についても記述しています。また、職業能力開発に係る情報提供や事業主に対する助成金制度の周知の強化の記載もしています。その情報についても利用者にとって分かりやすい制度にすることが求められています。最後に、「今後」という形で、この報告書のまとめを行っております。

 そのほかに資料として、開催経過と、研究会の参集者名簿を付けております。報告書()の説明については、以上です。

 

○今野座長 それでは皆さん、御意見をお願いいたします。あるいは全体の感想でも結構ですので、いかがでしょうか。

 

○武石委員 いろいろな議論をまとめていただき、ありがとうございます。1つ気になっています。「1 はじめに」の所ですが、職業能力開発の在り方について検討を行ったときに、この研究会は公的な役割を中心に議論を行ってきたと思うのですが、職業能力開発の在り方というときに、「公的な」というのが、もうこの言葉で読み取れるものなのか。職業能力開発というのは企業がやることもあるし、労働者がやることもあると思うのですが、それを国がどう支援するかというのは、この研究会のメインの議論だったような気がするので、「我が国の職業能力開発の在り方」と言ってしまうと、余りにも大きい話になってしまわないか。その中の公の役割というところに限定しましたということを言わなくていいのかどうかということが気になりました。

 

○今野座長 正しい表現かどうかは別にして、内容的には、今後の我が国の政府が行う職業能力開発政策の在り方について検討を行った、というぐらいに限定したほうがいいのではないかという趣旨ですか。

 

○武石委員 この内容が私の理解で正しければ、そのように限定したほうがいいのではないかと思います。

 

○今野座長 どうですか。

 

○吉永総務課長 考え方としましては、2ページの「職業能力開発を巡る現状・課題」にいろいろ書き込んでおりますが、全体として企業が職業訓練を実施してきているという状況の中で、企業が行う割合が減少してきている。その原因としては、職業人生が長期化しているとか、労働移動が考えられています。

 キャリアアップ、非正規労働者のキャリアアップという課題があります。そういう中で企業がその訓練を行うについては、投資の不確実性が増大するとか、これは企業も本人もということになるかと思いますが、予算や時間の制約がある。こういった全体の中で、企業が能力開発を行うということ、これを所要のものとした上で、本人が行う自己啓発的な訓練あるいはそれに対する国のサポートということの記載がなされているのではないかと思っております。

 端的に言いますと、7ページにもありますが、ここは自己啓発にはなりますが、労働者の職業人生が長期化する中で、様々なことを企業がやっていただく、あとは個人がやっていく、それを国が支援していく。特に中高年齢者の職業能力開発などについて考えていくということがあります。それについては9ページでも同じような形で記載されておりますので、基本的なコンセプトとして企業が行うべきということをベースにしながら、不確実性が増える中で、個人がやる部分、国がやる部分ということで、全体としての報告書の構成になっているのではないかと理解しています。

 そういう意味で、必ずしも公的な部分という形だけでもない。やることは公的な部分なので、国がどういう形で支援して、そういうものを進めていくのか、個人主導を進めていくのかということではありますが、報告書全体としては、企業に多く人材育成を行っていただくことをベースとしつつ、それに対する支援という意味で国が何をやっていくかということではないかと考えています。

 

○武石委員 イメージとして、我が国の職業能力開発の在り方というと、相当大きな話のような気がします。おっしゃったように、企業とか個人がやることに対して、そこを促進するために、国として訓練体系を作るとか、キャリアの支援施策を作るとかという話で、メインは国のやるべきことを議論してきたのかなと思っていたのです。

 我が国の職業能力開発の在り方と言うと、グローバル人材をどうするのとか、いろいろな話があるのですが、どちらかというと、企業が十分取り組まない、こぼれ落ちた所にも目を向けましょうとか、そういう議論が多かった気がしたのです。そういう意味では、「我が国の職業能力開発の在り方」と言ってしまうと、余りにも大きすぎて、相当抜け落ちている議論があったのかなという気がします。

 

○吉永総務課長 そこは今回の研究会の表題が、正に「職業能力開発の今後の在り方に対する研究会」という形で、かなり大きな風呂敷の中で始めておりまして、そういう中で、実際に喫緊の課題として対応すべきこと、あるいは国としてやるべきことを中心として御議論いただいたということで、そこが中心になっているとは思っています。

 もちろんグローバル人材の話もありますし、様々な議論がありますが、そういうものも御議論がまとまらなかったということではないかと思っています。そういう意味で実際に御審議いただいたのが本日を含めて6回ですので、十分議論が尽くされていたかということにはなりますが、その中ではかなり大きな議論もしていただいたのではないか。正に職業能力開発のインフラ整備としての様々な施策についても御提言いただいたということではないかと考えています。

 

○今野座長 今の御意見は、職業能力開発の在り方そのものを正面からやったのではなくて、政府のやる政策を当然考える場合に、周辺の在り方も考えなければ政策の在り方が出ないので、その範囲内で周辺の職業能力開発の在り方についても検討したという範囲で、職業能力開発の在り方を検討したのではないかという意見ですね。

 今の意見を受けるとしたら、政府が政策を考えるという、いい言葉かどうか分かりませんが、例えば今後の我が国の職業能力開発政策の在り方を、政府が行う政策を中心にしてとか、そういう言葉を少し入れればいいかなと思うのですが、どうですか。用語はまた考えることにして、気持ちはそういうことで、政策を考える上で必要な範囲内では在り方は全部考えましたという意味での在り方だということで、文章は考えるということでいいですか。

 

○武石委員 はい。

 

○今野座長 ほかにいかがですか。

 

○橋本委員 中間報告書でも同じ記述だとしたら、そのとき質問すべきだったのですが、労働市場インフラという言葉の使い方について、ちょっと気になっています。1ページの「はじめに」の2段落目の「職業訓練や職業能力評価制度等の労働市場インフラの戦略的な強化が必要と考えられる」というのは、そのとおりだなと思って読んだのですが、つまり、職業訓練や職業能力評価制度を整えないと、労働市場インフラが整備され労働市場移動や転職しやすい社会とはならないなと理解できるのですが、6ページの(2)「職業人生を通じた個人主導のキャリア形成支援」の2段落目の「労働市場インフラとしてのキャリア・コンサルティング機能の整備が必要であり」という所で、労働市場インフラとしてのキャリア・コンサルティング機能を整備して、なぜ労働市場インフラが整うのかというのは、理解しにくいと言いますか、どのように申し上げたらいいか分かりませんが、個人主導でキャリア形成をできる人は、キャリア・コンサルティングは必要がないのではないかなどとも思いまして…それでこの段落は気になったのです。

 

○今野座長 もう一度お願いします。

 

○橋本委員 労働市場インフラという用語について、6ページの(2)2段落目の「キャリア・コンサルティングの役割が重要である」というのは、突然結論が出てくる感じがしてしまって、なぜ重要なのかと思いました。その理由として読めるところが、労働市場インフラの整備のために必要だと書いてあるようですが、なぜキャリア・コンサルティング機能を整備すれば、労働市場インフラが整うのかというのが、分かりにくいと思ったのです。特にここは具体的な施策とは余り関連がないかもしれないので、こだわりませんけれども。

 

○今野座長 この場合の労働市場インフラというのは、きちんとした定義があるわけではないと思いますが、言ってみれば、マッチングをするときの土台はしっかりしましょうという、その土台のことを「労働市場インフラ」と言っているわけですよね。マッチングをするときに、求職者がキャリアはどうしようかということをちゃんと考えることを支援するのも重要な土台でしょうという意味で、ここでは「労働市場インフラとしてのキャリア・コンサルティング機能の整備」と書いてあると思うのですが、それが疑問ではないのですよね。

 

○橋本委員 それはそうなのです。次の「また」からの段落はよく分かるのですが、上司に日々、部下と接する中でキャリア形成支援の裾野を広げていくというのは分かるのですが、ここはキャリア・コンサルティングという職業を育成していくことが大事だというところですよね。

 

○今野座長 作りとしては、労働市場全体というか社会全体として、キャリア・コンサルティング機能という点での労働市場の充実・整備が必要だと。社会的な仕組みとして重要だと。それは需給調整にとって土台として重要だということを言って、さらに、その中の企業内ではと入っているのですが。分かりにくいですか。

 

○橋本委員 それならいいかなという気がするのですが。すみません。

 

○今野座長 気持ちとしては、社会の土台としてのキャリア・コンサルティング、ここで言うと、労働市場インフラがあって、その上に今度は企業内でもやるような、ここで言うと、管理者がやっているようなものも2階建てで作っておくと、全体としていいというシナリオというか、流れになっていると思いますが、そのように読めないとなると。内容はそういうことですよね。文章が悪いですか。

 

○橋本委員 いいえ。特にこう直したらいいのではないかというアイディアもありませんので、こだわりません。

 

○今野座長 考えてみます。今おっしゃられた段落と、「また」以下の段落が切れた感じになっていますか。

 

○橋本委員 そんなことはありません。もう少し説明があるといいかもしれないという感じがします。なぜ個人主導のキャリア形成を実現する上でキャリア・コンサルティングが必要なのか説明があればいいと思います。

 

○今野座長 一番重要なのはここの部分ね。

 

○橋本委員 そうです。

 

○今野座長 そういうことね。

 

○橋本委員 つまり、自分で考えている人は自分で考えているので、コンサルティングを受ける必要がないのではないかと思ったので、疑問に思ったのです。

 

○阿部委員 脇から口を突っ込むようですが、キャリア・コンサルタントという人の役割があって、それを、もっともっと役割を強化していくために、労働市場のインフラとしてどういうものが必要なのかとも読めるし、あるいはそうではなくて、キャリア・コンサルタントそのものがインフラだと言っているのか。確かに文章を読んでいくと、どちらのことを言っているのか分からない点はあるかなという気がします。

 後ろのほうでは、キャリア・コンサルタントの養成を促進するとか、その役割の明確化という意味でのインフラと言っているようにも読めますが、上のほうではそうではなくて、キャリア・コンサルタントそのものもインフラなのかというように。多分その辺りではないかと橋本先生の話を聞いていて思ったのです。

 

○今野座長 最初の入りは、キャリア・コンサルティングという機能が重要であるという意味ですよね。それを担う人はキャリア・コンサルタントなので、その養成が基盤整備には必要だということなのです。そうすると、これは上が役割という言葉を使って、下が機能みたいにしてあるから、上が役割と書いてしまうと、キャリア・コンサルタントみたいに聞こえるからいけないのですかね。

 

○吉永総務課長 あるいはその前のパラグラフで、「自己啓発を通じキャリアを形成していくことが重要であり、それを支援するための環境整備を行うこと」と書いて、そのままキャリア・コンサルティングの役割に飛んでしまっているところが、若干飛んでいるように見えるということかもしれません。

 

○今野座長 それは環境整備の一環としてみたいな。

 

○吉永総務課長 なぜ環境整備が必要なのかとか、そういうところのほうが。キャリア・コンサルタントがやることが前提になってしまいますと、このままという形で書いてしまっているところもありますが、そこは少し飛躍しているように見えるのかもしれません。

 

○今野座長 流れとしては、いろいろなことがあるから、キャリア形成は個人主導で考えなければいけないということになっているわけですね。そのための環境整備が必要ですね。環境整備にはいろいろなことがあるわけですが、その中の1つで重要なのは、キャリア・コンサルティング機能を整備することですよね、という話になっているわけですよね。そうすると、今の橋本さんの御意見に対応するというか、少し読みやすくするためには、個人主導のキャリア形成のための環境整備の中の1つとして、キャリア・コンサルティング機能の整備が重要だという、つなぎをきちんと書いてあげればいいのかなと思ったのですが。

 

○橋本委員 それでいいと思います。

 

○今野座長 橋本さんの最初の疑問は「個人主導のキャリア形成を実現する上でキャリア・コンサルティングの役割が重要である」という文章は唐突であるとおっしゃったので、どういう意味で唐突かというと、先ほど言った上の段落の環境整備の重要な1つのツールであるということが、つなぎで書いてないので唐突だということなので、それはつなぎの文章を入れてあげればいいのではないですか。

 

○吉永総務課長 順番として、「個人主導のキャリア形成を実現する上でキャリア・コンサルティングの役割が重要である」といきなりきているのですが、その次には「個人主導のキャリア形成を支援するための環境整備として」というのが入っていまして、むしろこれを前に出して入れ替えるような形に文章を整理するようなことを。唐突にキャリア・コンサルティングが重要だというのを前面に押し出しすぎた表現になっておりますので、そこで確かに論旨がやや飛んでいるように見えるのかと思います。

 

○橋本委員 意味を説明していただいたということで、これでいいと思います。

 

○阿部委員 インフラというのは社会資本なので、社会資本というのはどこまでなのかを明確にしておいたほうが、公的な役割と、そうではない部分とに分けて書いたほうがいいような気がします。キャリア・コンサルタントそのものは公的部門では必ずしもないわけで、キャリア・コンサルタントの人たちを高めたりするのは、もしかしたら公的部門の役割だという、そういう線引きがあるとしたら、そこはきれいに書き分けたほうがいいと思います。今のままだとキャリア・コンサルタントも社会資本の一部みたいにも読めなくもないような気がしました。

 

○今野座長 では、また考えましょう。趣旨はよく分かりましたので。内容について御異議があったわけではないので、少し文章を工夫するということにします。ほかにいかがですか。

 

○大久保委員 全体は大変よくまとめていただいていまして、これまでの議論も反映されていると思います。今まで話題になっていないところで2つほど。1つは8ページの2段落目の「このため」から始まるパラグラフに関連してですが、職業能力開発の行政でいくと、これまで国と地方の関係は随分試行錯誤してきたわけです。また現在、地方創生の議論が始まっていますが、このパラグラフは、よく読んでも、その問題についてはほとんど何も言っていないと思います。いわば国と地方との関係、地方創生というテーマで、職業能力開発行政は、そこで何を今後の課題としてやっていくのかということに関して、何も書かないままでいいのかというのが1つです。

 例えば、それぞれの地域には地域の産業の特性があって、ニーズの違いもありますから、その地域特性を踏まえて、職業能力開発の必要があるという視点もあるでしょうし、例えば都市部などで勤務している人たちが、地方創生の文脈で、Uターンのような形で地方に行くケースもあります。そのときに職業訓練は都市部で受けて、実際のマッチング就労は地方での就労を目指すという連携も出てくると思います。いわゆるそのような領域の所について、何か書かなくていいでしょうかというのが1点目です。

 もう1つは、第1回の在り方研究会のときに申し上げたことですが、職業能力開発の取組行政全般の中で、IT化が進んでいないという問題です。全体として、その話はここには何も書いていないのですが、1つの観点は、前回も言いましたように、職業訓練のプログラムが非常に多岐にわたってきている。国がやっているものだけでも相当な量があって、委託訓練も含めてとか、諸々、広い領分があって、都道府県がやっているものも含めると大変な数があります。実際に求職者や在職者にはどのような訓練が提供されているかということに関して、ほぼ理解できない状態になっている。それは「情報の検索性を高めるなど、利用者にとって分かりやすい制度に」という言葉が12ページに反映されているのですが、1つはユーザーにとってちゃんと分かる状態にするためのITの活用というのがあると思います。

 あと、これは個人だけではなく、実際に手続をする人たちがオペレーションとして手続の効率化としてITを活用する部分があると思います。それから、職業訓練そのものの中でも、実務教育はともかくとして、知識的な部分についてのe-ラーニング的な方法の導入もあるでしょうし、いろいろな関連で、ITをうまく活用して職業能力開発をやっていくことは大事だと思います。最後の「5 終わりに」の所に吸収できる形と一言ぐらい書きませんかというのが2つ目です。以上です。

 

○今野座長 まず2つ言われたました。前者については、多分、全体の流れからすると、余り細かいことは書けないと思います。今おっしゃられたのは8ページの第2パラグラフ辺りだと思います。

 今おっしゃられたのは2つあって、地域特性を踏まえたことを考えろということと、Uターン等の人たちを考えると、言ってみれば、訓練の地域間連携みたいなものを考えろというのが例示として出てきたわけです。

 

○宮川職業能力開発局長 私どもも、地方創生というのは今後非常に重要なテーマだということで、内閣の中で、予算の要求の中でも、そういう形のものを要求しているところです。お話にありましたように、職業訓練というのは、いずれの意味にしても地域のニーズなり特性なりを踏まえなければなりません。そのためのツールとして、国と県が役割分担をして職業訓練を実際にやっています。このデマケについては、特段の御批判などはないわけです。逆にいえば、そういうデマケを基にした上で、地方がいろいろな手法を、我々の思いもよらないような手法も含めて、様々な手法を今後開発していかなければならないというものについて、国として支援するような政策も考えていきたいと思っておりますし、それの予算を芽だししているところです。

 そういう意味では、地域の特性、ニーズに応じたという形のものとか、今後の地方創生の中で、様々な地域から湧き出てきたそういうものを汲み取っていくという趣旨のことが、正に(3)「産業界のニーズや職業訓練の効果を踏まえた職業訓練の推進」の欄に少し書き足すというか、言葉としては少し圧縮した言葉になるかもしれませんが、そういう地域での特性なりニーズなりを踏まえて、地域自らの主体性に基づく職業訓練の開発などのような言葉を少し入れてみたらいかがでしょうか。

 

○大久保委員 はい。

 

○今野座長 後者については、入るとしたら12ページの「終わりに」の所ですね。12ページについては、IT化は検索性とか、スペシィフィックに書いてあるので、もう少し広めにしてあげればいいということですかね。12ページの下から2つ目の「また」ぐらいの所を上手にいじって、少し広めに書いてあげるということですね。ほかにいかがですか。

 

○堀委員 短い期間にかなりバランスのとれた取りまとめをしていただいたと感じております。中間取りまとめのときも多分同じ表現だったと思うので、そのときに言うべきだったと思いますが、9ページの上から8行目に「企業の支援における必要な配慮や職業訓練の充実を行っていくとともに」という表現がありますが、「企業の支援における必要な配慮」というのは、前後の関係からして分かりにくい感じがします。これは非正規労働者に対して企業が訓練してくれることを支援するという意味なのか、ちょっと分かりにくい感じがしましたので、是非、表現を工夫していただけないかと思いました。

 

○今野座長 それは表現を工夫すればいいですね。ほかにいかがですか。吉川さん、いかがですか。

 

○吉川委員 資料2の「主なご意見について」の(1)総論で、マル1からマル5が書いてあったのですが、ここの中で入ってなさそうだというのが、マル3、マル4が少し弱いかなと思っていました。「学び直し」は企業内教育も入れたので、多分大丈夫かと思いますが、実は高齢者に対しての言葉がなかったなと見ていました。

IT化の話は大久保委員から話が出ていたので、高齢者というところが、どこかに文言として入れられるといいかなと思っていたところです。

 

○今野座長 高齢者はどこかに入っていましたよ。

 

○吉永総務課長 7ページの3段落目です。

 

○吉川委員 あと9ページにあります。

 

○今野座長 7ページの第2段落目の最後のほうと、9ページの第1段落目の最後のほうです。

 

○吉川委員 ここですね。失礼しました。

 

○今野座長 高齢者ではなく、中高年になっているけれど、いいですね。

 

○吉川委員 はい。あと私の気が付いたところはありません。

 

○今野座長 ほかにいかがですか。それでは、いろいろ御意見を頂きましたが、内容上に異論があるということではない御意見で、あとは表現の問題ですので、これから事務局と私とで表現を相談させていただいて、一度メールか何かで皆さんに回して、もう一度見ていただいて、最終的な決定を私に一任していただくということでよろしいでしょうか。

 それでは、そういうことにさせていただきます。ありがとうございました。我々の役割はここで終わりです。最後に宮川局長から御挨拶をお願いします。

 

○宮川職業能力開発局長 6月から3か月という短い期間に集中的に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。この報告書の中にもありますように、我が国の持続的な経済発展のためには人材力や人材の最適配置、最適活用が不可欠でございますし、その中で職業訓練とか職業能力評価制度を含めた労働市場インフラの戦略的な強化という点については、我々も心してかからねばならない点ではなかろうかと思っております。

 本日おまとめいただきましたこの研究会報告につきましては、この後には労働政策審議会の職業能力開発分科会のほうに提出させていただき、御説明させていただき、その分科会の中で日本再興戦略を踏まえた形での職業能力開発政策全体の在り方について、審議会としての御議論を進めていただくという段取りとなっておりますので、皆様方のこの研究会報告を最大限活用させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、今後とも様々な面で御指導の点があろうかと思いますので、引き続き御指導のほど、よろしくお願いしたいということを申し上げまして、簡単ではございますが、私からの挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

○今野座長 それでは皆さん、ありがとうございました。そして、御苦労さまでした。終わりにしたいと思います。


(了)

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