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2014年9月8日 第5回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会議事録

職業能力開発局

○日時

平成26年9月8日(月)14:00~16:00


○場所

中央労働委員会事務局講堂(7階)


○議題

(1) 中間取りまとめについて
(2) 在職者に対する職業訓練について
(3) 若者に対する職業能力開発について
(4) その他

○議事

○今野座長 定刻より少し早いですが、皆さんおそろいですので、ただいまから第5回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会を開催いたします。

 本日、原委員は欠席です。また、事務局内で人事異動がありました。総務課基盤整備室の稲原室長です。総務課の宮下調査官です。よろしくお願いいたします。

 本日は、お手元の議事次第にありますように、中間取りまとめについて事務局から説明を頂きます。それから、次回以降の課題とされた在職者に対する職業訓練についてと、若者に対する職業訓練について議論をしたいと考えております。それでは、最初の議題に入ります。事務局から説明をお願いします。

 

○田中総務課長補佐 前回79日の第4回研究会において、中間取りまとめ()という形で御議論を頂きました。その際出た御意見については、座長御一任ということとしていただき、その後座長と御相談し、中間取りまとめとしてまとめたものが資料1です。変わった所を簡単に説明いたします。1ページの出だしの所ですが、2つ目の○職業能力開発の状況の所で、原委員からの御指摘等があり、企業を通じて職業訓練を受けた労働者の割合が減少傾向にある、と加えております。また、職業訓練と職業能力開発という単語の使い方が、中間取りまとめの中で少し統一が取れていなかった所の統一を取っております。また、「労働移動支援型の政策が進められ」という所ですが、当初案では「行き過ぎた雇用維持型からの」という表現がありましたが、このような形で修文を行っております。

2番目の具体的な取組の中の1点目(1)職業能力評価制度の所ですが、2つ目の○で、職業能力評価制度のそもそもの目的や役割をしっかりと書いた上で、「今後の」ということで円滑な労働移動の視点や企業内における評価の観点からも重要性が一層増しているというような形での記載に変更をしております。

3ページの2つ目の○の例事の所で、育児等でキャリアブランクがある女性等を含めた求職者という形で、例事に追加をしております。3つ目の○は、新たな職業能力評価制度の構築に当たっての視点の1つ目の○の最後の所に、また企業を含む関係者の参画を促す環境整備が必要だということを追記しております。

4ページ(2)の個人主導のキャリア形成支援ですが、主体的なキャリア形成の所で、修文後は「個人」としておりますが、原案では「労働者本人」としたものを「個人が主体的に」ということで、表現を直しております。また、その下の○のキャリア・コンサルティングの役割の重要性も、冒頭この○の中で記載をするということで、文章の整理を行っております。

6ページ(3)、産業界のニーズや職業訓練の効果を踏まえた職業訓練の推進の所では、2つ目の○で、ハローワークとの連携の所を追記で記載しております。その他、一番最後に、情報提供の強化の(2)に記載していたものを後ろに移動する等、若干文章の整理を行っております。このような形で中間取りまとめを頂きました。これについては、731日の労働政策審議会職業能力開発分科会に御報告をしております。その際の分科会での中間取りまとめに対する御意見について簡単にまとめたものが、資料2です。資料2を御覧ください。簡単に紹介いたしますと、731日の分科会において、1つ目の○の取組の観点の1つ目に、企業内育成の機会に恵まれにくい労働者についての記載をしておりますが、中小零細企業労働者という視点も加えるべきという労側の御意見がありました。また、2つ目の○ですが、技能検定について多能工化への対応という視点から御意見を頂いております。3つ目の○は、専門実践教育訓練について触れるべきという御意見を頂いております。これは、いずれも労側委員の意見として頂いたものです。少し飛びまして6つ目の○が、使用者側委員からの御意見です。主体的に自らのキャリア形成をしていくに当たって、学校教育におけるキャリア教育が大事で、それと職業人生をどうつなげていくかが重要だという御意見を頂いております。

 その下の○は、公益委員からの御意見です。育児というのは、単にキャリアブランクと解釈するのではなく、その育児の経験をしっかりと仕事の現場でもいかしていくことが大事なのではないかとの御意見です。最後の下の2つの○は、労使それぞれから出ておりますが、企業内管理職がキャリア形成支援の役割や相談に乗る体制をつくっていくことが、企業の中でのキャリア形成のために大事だと。使用者側からは、それを支援・促進していくのが国の役割ではないかというような御意見を頂いております。資料12の説明は以上です。

 

○今野座長 このように中間取りまとめをいたしましたが、何か御意見はありますか。資料2については、今後拾うべきものがあったら拾う感じですか。

 

○吉永総務課長 基本的には、審議会の中で、特に労使からの御意見があったということで御紹介するということで、この研究会の中で御議論をしていただくものがあればしていただこうということです。

 

○谷口委員 資料2の用語について明らかにしていきたいものがあるのですが、3つ目の○の専門実践教育訓練というのは、もしかすると専修学校の職業実践専門過程のことを指しているのでしょうか。

 

○吉永総務課長 それは、教育訓練給付の今度の拡充の中でできた就職促進支援の新しい101日から施行分の専門実践教育訓練として運用し始めます。もちろん、文科省がやっているものが対象にはなりますが、今後の取組については、教育訓練給付の拡充部分についての指摘だと理解しております。

 

○今野座長 何かこの中で、既に書いてあるよというのが幾つもありますね。

 

○吉永総務課長 記載を踏まえて、そういう御発言があったということですので、それぐらいというわけではないかと思っております。

 

○今野座長 よろしいでしょうか。それでは、以前から宿題にしていた議題2に移ります。事務局から説明をお願いします。

 

○竹内能力開発課()育成支援課主任職業能力開発指導官 資料3、在職者に対する職業訓練関係資料を御覧ください。当局で把握するデータ等の現状に関する資料と、現行の制度、施策に関する資料で構成しております。2ページを御覧ください。企業の支出する教育訓練費の推移ですが、民間企業における労働費用に占める教育訓練費の推移ということで、赤丸で囲んであるとおり、90年代の経済低迷に伴う低下を持ち直しかけたところ、リーマンショック後に再度低下している状況です。

3ページの、企業の重視する教育訓練については、上段の正社員、下段の正社員以外ともにOJT7割を超えており、重視されている状況です。4ページは、過去及び今後3年間のOFF-JTへの支出実績見込みですが、下段の正社員以外のOFF-JTの支出実績なしが多いです。正社員、正社員以外ともに、過去3年間に比べ今後3年間は増加傾向とする企業割合が高くなっております。

5ページは、雇用形態別・規模別のOJT及びOFF-JTを実施した事業所割合です。水色の正社員の部分について、計画的なOJTを実施した事業所は約6割、OFF-JTを実施した事業所は約7割となっており、正社員以外についてはそれぞれ3割、3.5割となっており、正社員に比べて能力開発機会に乏しい状況です。いずれも、企業規模が大きくなるほど、訓練の実施割合が高くなっております。

6ページは、産業別の状況です。正社員については、左側の計画的なOJT、右側のOFF-JTともに、電気・ガス・熱供給・水道業、金融業・保険業、そして複合サービス業の実施率が高く、生活関連サービス業・娯楽業などで低くなっております。水色で示しています正社員以外については、複合サービス業、医療・福祉、金融業・保険業の実施率が高く、特にOFF-JTについては約6割となっております。一方、情報通信業や生活関連サービス業・娯楽業などで低くなっております。

7ページは、事業所におけるOFF-JTの実施内容です。高い数値を示しております研修は、新規採用者や新たに中堅社員となった者、新たに管理職になった者をそれぞれ対象とする職層別の研修が多くなっている状況です。8ページは、事業所が実施したOFF-JTの教育訓練機関の種類です。正社員を対象に実施したOFF-JTの教育訓練機関は、自社がもっとも多く74.8%、ついで民間教育訓練機関、親会社・グループ会社、業界団体の順になっております。

9ページは、人材育成に関する問題点です。「問題がある」とする事業所の割合は約7割です。問題点の内容としては、指導する人材や時間の不足が挙げられており、企業が人材育成を行う余裕を失っている状況がうかがえます。

 次に、2、在職者に対する職業訓練に係る現行の制度・施策等です。11ページを御覧ください。ここからは、認定職業訓練についてです。認定職業訓練制度は、事業主等の行う職業訓練のうち、厚生労働省令に定める基準に適合するものについて、都道府県知事の認定を受けることができる制度です。職業訓練に対する社会的な評価を確立すること、事業主等の行う職業訓練の質的水準を確保すること等を狙いとしたものです。訓練生は、平成24年度実績で、全国で約24万人となっております。

12ページは、認定職業訓練に対する補助制度の概要です。認定職業訓練を行う中小企業事業主等に対して、補助要件を満たす場合に、運営費、施設費、設備費について、国、都道府県が経費の3分の2を上限として補助を行うものです。また、13ページには広域の中小企業事業主によって構成される事業主団体等が認定職業訓練を実施する場合に、運営費については国が経費の2分の1、全国団体の場合にあっては3分の2を助成することとしております。

14ページは、施設及び訓練科数についてです。いずれも、平成24年度実績ですが、認定職業訓練を実施する施設は1,139施設あり、法人が運営するものは586施設でもっとも多く、企業が単独で訓練を実施するものも346施設ほどあります。主な訓練科としては、建築・土木関係がもっとも多く、近年では理美容関係の増加が目立つところとなっております。

15ページからは、キャリア形成促進助成金の関係です。職業訓練を実施する事業主等に対して、その負担した訓練経費や訓練中の賃金を助成し、労働者のキャリア形成を促進するものです。平成255月から、若年労働者のキャリア支援、成長分野の人材育成といった労働政策における重点課題に対応するため、●の1にありますとおり、政策課題対応型訓練と●2の一般型訓練というように整理をいたしました。政策課題対応型については、より手厚く助成し、メリハリを付ける制度見直しを行ったところです。政策課題対応型訓練については、中小企業に経費の2分の11時間当たり800円の賃金助成。一般訓練については、経費の3分の11時間当たり400円の賃金助成を行っております。本年3月から制度を拡充し、内訳にありますマル1成長分野等人材育成コース等については、大企業も対象に追加するとともに、マル3育休中・復職後等能力アップコースを新設いたしました。

 また、●3ですが、事業主団体等が傘下の事業主の雇用する労働者のために訓練を実施した場合に助成する、団体等実施型訓練も新設しております。また、上の●1の中の内訳マル4ですが、本年10月から中長期的キャリア形成コースを新設する予定です。

16ページは、支給実績の関係です。平成255月からの新制度と、それ以前の旧制度を上下に分けております。右側の平成25年度の支給件数は、21,000件、支給金額は68億円となっております。今年度は、6月末時点ですが、約3,500件、15億円の支給を行っております。政策課題対応型訓練の中では、若年人材育成コース、成長分野等人材育成コースの活用が多くなっております。また、支給実績として実績の出ていないコースもありますが、これは訓練前に提出する計画届けをそれぞれ受け付けており、訓練修了後に支給申請が出て、それから支給決定をしていく予定です。ちなみに、グローバル人材育成コースが2件ほどありますが、こちらの計画は既に100件ほど出ておりますし、認定実習併用職業訓練コースについては0件になっていますが、1,500件ほどの提出を頂いているところです。

 なお、予算額の欄ですが、大企業への拡充等を行ったことにより、平成26年度予算は210億円と大幅に拡充しております。

17ページは、キャリア形成促進助成金の利用状況です。平成24年度の調査において、「知っている」とする事業所が40%で、利用した事業所はそのうち18%となっております。事業所が利用しない理由について確認してみたところ、助成の要件に当てはまらない、手続が面倒又は制度が分かりにくいといった意見が多く、平成25年度の制度見直しの際に助成対象を大企業に拡充することや、手続も簡素化をするなど、対応を図ったところです。

 また、1819ページについては、この助成金の利用実態について調べた利用事業主へのアンケートの調査結果をまとめたものです。事業主の業種は、建設業、製造業、サービス業で7割を占めております。また、制度利用はリピーターが多く、ほぼ毎年利用する利用者が約5割を占めております。利用構成については、一般型訓練の利用が6割、政策課題対応型訓練の利用は5割で、このうち若年人材育成コースが2割、成長分野等が1割の利用になっております。

 右上の訓練時間は、50時間未満が7割と多くなっており、訓練実施機関は公益法人等が3割で、民間教育訓練施設が2割といった状況です。右下を見ますと、実施した訓練内容は技術・技能が約5割といった状況です。

19ページは、効果として、人材育成に役立ったとする事業主が97%で、担当する職務範囲の拡大や給与等の引き上げへ結びついており、労働者の能力向上、若年人材育成等について効果があったと捉えられております。

20ページは、企業内人材育成推進助成金(仮称)です。次のページに、再興戦略の抜粋を付けておりますが、こちらの助成金については改定日本再興戦略においてジョブ・カード及びキャリア・コンサルティング活用のインセンティブ付与について盛り込まれたこと等を踏まえ、新規助成金の創設について平成27年度の概算要求に盛り込ませていただいたところです。この新助成金については、企業内における人材育成を促進するため、職業能力評価、キャリア・コンサルティング、ジョブ・カード、キャリア・パスポート(仮称)、これらを活用したキャリア形成の仕組みを開発し導入していただき、更に実施をしていただいた事業主に対して助成していくものです。したがって、先ほど説明いたしましたキャリア形成促進助成金は、訓練の実施に対する支援。他方、この新助成金は、その環境整備を支援することを目的としているものです。

22ページは、雇用型訓練について説明いたします。雇用型訓練については、企業内でのOJTと教育訓練機関等での座学、いわゆるOFF-JTを組み合わせて実施する訓練です。訓練には、非正規雇用労働者の正規雇用への移行を目的とした有期実習型訓練と、企業現場の中核人材育成を目的とした実践型人材養成システムの2つの類型を設けております。それぞれ対象例については、有期実習型について正規労働者となるために有期実習型訓練を活用して職業能力を向上させる必要があるもの。実践型については、新規学卒者を中心とした15歳以上45歳未満の若者としているところです。また、訓練期間については、有期は3か月以上6か月以内と比較的短めの期間としておりますが、一方で実践型は企業現場での中核人材養成を目的としておりますので、6か月以上2年以内と比較的長めの期間としているところです。また、総訓練時間に占めるOJTの割合に要件を受けており、有期は1割以上9割以下、実践型は2割以上8割以下としております。

 なお、訓練を実施する場合に助成措置を設けており、有期実習型訓練を実施する企業に対しては、キャリアアップ助成金の人材育成コースで対応させていただき、実践型人材養成システムに対してはキャリア形成促進助成金により助成することとしております。

23ページは、雇用型訓練の流れですので、御覧いただくこととし、説明は省略いたします。24ページは、雇用型訓練の実績です。平成20年度から25年度の類型で表のとおりですが、有期実施型訓練について就職率は79.1%。一方、実践型人材養成システムでは、就職率は96.6%となっております。就職率については、訓練修了後に正規雇用労働者として雇用された者の割合です。

 続いて、キャリアアップ助成金についてです。この助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進する取組を実施した事業主に助成するもので、枠囲み部分の人材育成コースについて、非正規雇用労働者に訓練を実施する事業所に対して、訓練に要した費用の一部を助成しております。助成額は、OFF-JTの賃金助成が11時間当たり中小企業800円、大企業500円。OFF-JTの経費助成が、表の中欄の部分ですが、訓練時間数に応じて最高中小企業30万円、大企業20万円。さらに、OJTの実施助成については、11時間当たり中小企業、大企業ともに700円としております。また、本年10月中長期的キャリア形成に係る助成措置を追加することとしており、この訓練のOFF-JTの経費助成については、最高で中小企業50万円、大企業30万円となる予定です。

 続いて、26ページに支給実績があります。キャリアアップ助成金については、平成25年度に創設したもので、制度創設から平成266月までの合計となりますが、OFF-JTのみの一般訓練については、受講予定者数が約18,000人で、訓練が終了して支給決定に至った人数が1,500人で、この支給金額が28,000万円強となっております。有期実習型訓練については、受講予定者数が23,000人ほどで、そのうち支給決定に至った人数が721人で、支給額は27,500万円となっております。

27ページは、分野別の活用状況について計上しております。一般訓練については、医療、介護分野での活用が多くなっており、中小企業の割合が93%。年齢別では、44歳未満の割合が73%で、女性の割合が74%と高くなっております。一方、有期実習型訓練については、生活関連サービス業での活用が多くなっており、中小企業の割合が99%。44歳未満の割合が91%で、女性の割合は49%と若干少なめとなっております。訓練の類型別で見ますと、新たに雇用した労働者を対象とする基本型が44%となっております。

28ページは、公共職業訓練における在職者訓練について説明いたします。国及び都道府県においては、在職者に対する公共職業訓練を実施しております。このうち、国ですが、高齢・障害・求職者雇用支援機構において、主に企業において中核的役割を果たしている方を対象に、専門的知識、技術・技能を習得させる高度なものづくり訓練を実施しており、都道府県においては主に初心者を対象とした基礎的な訓練や、地域の実情に応じた訓練を実施しております。平成25年度の実績については、両方合わせますと、約10万人の在職者訓練が実施されております。

29ページには、高障求機構の実績の詳細を示しております。高障求機構においては、専門的知識等を習得させる高度なものづくり訓練を実施しております。実施に当たり、地方公共団体との役割の明確化、民業補完に徹する観点から、真に高度な訓練に限定するため、設定基準を策定するなどの取組を行っております。具体的には、平成25年度において、約6,700のコースにおいて、約5万人に対して訓練を実施しておりますが、主に中小企業の人材育成課題に対応し、また全てのコースにおいてものづくり分野の訓練を実施しており、受講者、事業主それぞれから高い評価を頂いているところです。資料3の説明は以上です。

 続いて、資料4について説明いたします。資料4は、在職者に対する職業訓練について御議論いただきたい具体的論点として、事務局で参考として御用意したものです。論点1は、現況を踏まえた事業主、労働者、国等の役割について、どうあるべきか。論点2は、様々な人材の育成をする企業への支援措置として、キャリア形成促進助成金についても御議論いただければと思います。論点3は、認定職業訓練制度の在り方についてどのように考えるか。論点4は、非正規雇用労働者への国の支援等、また非正規雇用労働者に対するOFF-JTについて、支援措置についてキャリアアップ助成金についても御議論いただければと思います。論点5は、公共職業訓練における在職者訓練についてどのように考えるかになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。説明は以上です。

 

○今野座長 ありがとうございました。御質問でも結構ですし、あるいは御意見をお願いいたします。いかがですか。

 

○武石委員 質問が2点です。1つは、いろいろな制度があって私はよく理解できていないのですが、基本的にこの助成金は全て事業主に対する助成で、労働者個人に対するものはないと考えてよろしいかどうかというのが1点です。それから細かいのですが、24ページの所のデータで、雇用型訓練の実績の有期と実践型と2つあり、特に有期の訓練のほうで受講者と修了者の人数で結構ギャップがあるように思うのですが、受講しているけれども修了まで至らなかった人が、有期のほうで言うと12,000人ぐらいいると考えていいのでしょうか。その理由が分かりましたら教えていただきたい。その2点です。

 

○竹内能力開発課()育成支援課主任職業能力開発指導官 助成金についてですが、助成金は事業主向けで間違いありません。個人向けのものとしては教育訓練給付があります。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 2つ目ですが、有期雇用型訓練の受講者のうち、一定程度の者が離職などにより訓練途中で訓練を修了しており、これらの受講者の離職理由につきまして、これは平成26年のサンプル調査ですが、「他社への就職」が23%、「本人の病気、けが」が14%、「仕事や訓練内容が本人の希望と異なる」が14%、「その他、訓練受講生の都合によるもの」が49%といった状況です。

 

○今野座長 今のデータは、有期実習型の場合ですね。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 そうです。

 

○今野座長 有期実習型と実践型と、どうして比率が違うのですか。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 実践型は新卒の方がほとんどです。これに対して有期実習型はそうではないというか、ここの差が大きいのではないかと思います。

 

○今野座長 なるほど。ほかに、いかがでしょうか。

 

○大久保委員 先ほどキャリア形成促進助成金でしたか、それについて知っている、知っていないというアンケートが入っていましたけれども、これは回答した人の中の比率なので、もしかしたら全体を見ると認知度はさらに低いのではないかという感じもします。先ほどからこれを読みながら、どうしてこんな分かりにくいのかなということをずっと思っていて、これは類似的な名前が全体的に付いていますから、よほど詳しい人でないと、この違いを説明できる人はいないだろうと思います。これはどういう助成金ですかと尋ねて、すぐ答えられる事業者は、ほぼいないぐらい分かりにくいのではないかと思っています。そうすると、結果的にはごく一部の企業が固定的にずっと使い続けている。つまり利用状況も一部の企業が集中的に使っていて、そうでない所はずっと使っていない。そういう状態を繰り返しているのではないかということを、先ほどからずっと考え続けていて、そういう、もともと普及啓発をしようと思っても理解しにくい制度をやっていることに関しては、何かもうちょっとうまい工夫の方法はないのだろうかと思います。そのことについては何かやったことはあるのでしたか。まとめたパンフを作っているというのは知っています。それ以外に何か、その問題について議論されたことはあるのですか。

 

○吉永総務課長 キャリア成形促進助成金に限らず、雇用関係の助成金は非常に数が多いということで、なかなか事業主の方に行き届かないのではないかということは常日頃言われています。例えば雇用調整助成金などの認知度は極めて高いのだと思いますが、各細かいところの助成金、特に能力開発の助成金になると認知度がかなり落ちてきているという現状です。様々な助成金について大括りをして、名前をまとめて何とか認知度を上げようという努力をしつつ、ただ、一方で政策課題に対応するに当たり、こういうものについて上乗せという形でまた細かく制度を作ってしまうことを、循環的にやってきてしまっているというのが正直なところです。

 いずれにしましても、キャリア形成促進助成金は先ほど竹内主任からご説明したように、労働者に対する助成金である教育訓練給付と、かなり軌を一にしたような形で揃えていますので、こういったものをパッケージとして労働者本人、あるいは事業主に対してうまく普及啓発できないかということで考えるところです。労働者にこういう制度があるから使ってほしいという話で、中小企業であればうまく使われる可能性もあるかと思いますし、一方で、キャリア形成促進助成金の中で企業が独自に労働者の自発的な教育訓練を行った場合に対するメニューなどもあります。こういったものを総合的にもう少し周知を徹底できるような形で、少し組立て方を考えてみたいと思っています。

 御指摘のとおり、使っていただいている企業には非常に評価していただいていますし、ずっと使っていただいている状況はあります。例えば建設などについてはこういった事業主に対する助成金は非常に強いので、非常に効果的に使われている例もありますし、毎年、決まった所が使っている。使っていただいている所については非常に有り難いわけですが、先生の御指摘のとおり、使っていない所にどういう形で周知をして使わせていくのかについて、周知の方法も含めて考えていきたいと思っています。現状ですとパンフレットを作ったり、統一的なリーフレットを作ったりということはやっているわけですが、それもかなり厚くなり、それをどういう形で薄くして認知度を上げるかという取組をしている状況です。今年度あるいは来年度もそうですが、教育訓練関係の助成金制度はかなり拡充していますので、そういうものがきちんと行き渡るような形で取組を進めていきたいと思っています。

 

○大久保委員 例えば事業主が、訓練関係の助成金にどんなものがあるのか調べるときに、対象者とか幾つか検索項目があるのだと思いますけれども、そういうものを23指定すると該当する助成金がパッと出てくるよう、ユーザーフレンドリーな事業主向けのサイトはないのかなと思います。あるいは、そのときに申請書が11個全部あるのではなく、ほとんどのところは共通フォーマットで、少し変えると該当するものが出てくるとか、そういうサービスの統一性を図ったり、使い勝手をよくするみたいなことはできないのでしょうか。

 

○吉永総務課長 おっしゃるとおりで、申請書自体は基本的な部分はある程度同じですし、訓練の計画などもある程度同じようなところがありますので、御指摘の点も踏まえ、能力開発だけの助成金でもないのかもしれませんが、もう少し効果的な訓練メニューの周知、事業主の活用状況について検討していきたいと思っています。確かに民間の社労士さんのサイトなどでは、おっしゃるような形で、こういうメニューだと、こういう助成金があるというのがあったような気がしますけれども、もう少し具体的にどういうものがあるのか。申請の手続みたいなものが流れるような形にすることで、こういった助成金の認知度を上げて、実際に労働者に対する教育訓練の機会を増やしていくことができればと考えたいと思っています。

 

○大久保委員 例えば失業者であればハローワークが窓口になるので、公的機関が間に入っていろいろな説明をしてくれると思いますが、在職者に対する職業訓練は企業がそれをプランニングしなければいけないので、要するに企業が分かっていないといかされない。在職者に対する職業訓練の問題ではどうしてもそこが気になるので、是非、また改めて御検討いただきたいと思います。

 

○吉永総務課長 大久保委員が御指摘のとおりで、今、教育訓練給付の拡充部分について101日から施行ですから、これをどういう形で普及させるかは非常に大きな課題になっています。せっかく大きな給付のシステムを作りましたので、これをどういう形で、いつでも利用できるようにするか。雇用保険被保険者であれば相当程度の方が利用できるというものですし、これを本人にどういう形で行き渡らせるか。1つは教育訓練機関を使って周知させるということもなくはないですが、そういうものとは別に、こういう形の支援があるということを本人に理解していただくことが非常に重要だと思います。

 それと併せて、特に中小企業の事業主の方が、雇用する労働者の方に対する教育訓練をどういう形で実施するのか。教育訓練ありきという形で教育訓練をやることはなかなかないのかもしれませんが、そういうメニューを使って企業における生産性を向上させていくなり、新しい産業に展開していくなり、そういうことと軌を一にして活用していただけると非常に効果的だと思われますので、その周知の方法について少し腰を据えて考えていきたいと考えています。

 

○今野座長 ほかに、いかがでしょうか。

 

○橋本委員 質問させていただきます。最初の統計データの理解の仕方を確認させていただきたいのですが、一番最初に、90年代以降、教育訓練にかける費用が低下していて、なかなか企業に余裕がなくなっているという御説明があったかと思いますけれども、4ページで、OFF-JTは今後「増加傾向」だろうということですが、教育訓練はこれから回復というか重要性が高まっているので、企業もお金をかけていくという理解でいいのか教えていただければと思います。

 

○竹内能力開発課()育成支援課主任職業能力開発指導官 4ページの「増加傾向」というのは、企業が、今後どうしていくかという問いに対して「増加させたい」と答えたということで、実態がそうなるかどうかはまた。

 

○今野座長 何かありますか。

 

○吉永総務課長 この事業につきましては、調査対象年度が平成24年度です。その後、経済状況がかなり改善しているということもありますので、企業の採用に対する考え方や教育訓練に対する考え方が大きく変わってきていると思っています。元よりOFF-JTについて増加傾向にあると言っても、そこは正社員に限っているデータですので、正社員に対しては景気後退期においても、一定程度の訓練に対する費用を企業は負担してきたという状況があります。ただ、その過程で正社員の割合が若干低下する中で、全体としての教育訓練費については低下傾向にあるということではないかと思っています。

 いずれにしても、OFF-JTOJTが組み合わさることで労働者の能力が極めて高くなると考えますし、これは両面があるのですが、特に非正規の方の正社員化ということを考えた場合については、OFF-JTが非常に重要ではないかと常日頃言われていますので、こういったデータがあることをチャンスとして、教育訓練給付の経費を何とか拡充するということ。先ほどの助成金のようなメニューを活用しながら、教育訓練投資をいかに増やしていくかが非常に大きな政策課題ではないかと考えています。

 

○今野座長 よろしいですか。ほかに、いかがですか。

 

○吉川委員 大久保委員から若干お話があったように、外国のほうでESSというシステムがあって、それは何かというと、何をやりたいかというのをやっていくと、半分教育であり、半分自分の求めているものが求められるという形で、eラーニングみたいなものを少しモディファイしたような形で使われている事例が、金融関係や年金関係で出ていますから、そういうところを人事担当の人や教育担当の方に普及させるようなやり方も、ひとつ仕組みを入れていく形かなということは、お話を聞いていて思いました。

 あと、この助成金で少し気になったところが、例えば15ページにキャリア形成促進助成金と書いてあり、1コース20時間以上と書いてあったときに、これは一律に20時間という時間を出していると思いますが、これで使っている分野を18ページで見ると、例えばサービス業は就労人口が多いはずですが、こういうところは本当に1コース20時間に設定するのでしょうか。ものづくりだったら20時間は短いと直感的に分かるのですが、サービス業は本当にそうなのかなとか、業界ごとで一律にこの時間でいいのだろうかなど、使い勝手をもう1回見直してもいいのではないかというのが若干あります。知っている、知らないという話もそうですし、これは自分たちに合わないと思った瞬間に見なくなってしまうので、そういうところはどうなのか気に掛かりました。

 同じように雇用訓練型の話でも、3年以上継続して正規雇用されていない人に対して、自分たちがここで助成してくれるお金以上に、企業が負担してやるとなったときにかなり勇気が要ります。そこで実際にかかるお金との話になるので、そのバランスで必ず企業にとって判断が出てくると思います。そこのところで使い勝手が本当にどうなのか調査して設計されたのかどうか、お伺いしたいと思いました。

 

○今野座長 前半のESSでしたか、それは御意見ということでいいと思いますが、後半です。

 

○吉永総務課長 20時間以上という考え方ですけれども、ある意味、1つの雇用の中のキーになる数字です。要は週の労働時間が大体40時間を標準としつつ、その半分以上という形です。企業に対して助成金を支給して促進するということであれば、一定程度以上の教育訓練を行っていただくことが必要だろうという形で、この基準自体はかなり昔からこの基準でやっています。現状に即しているかどうかというのは、必ずしも最近の状況について調査しているわけではありませんが、基本的に企業にこれだけの助成金をして進めていただくためには、ある程度まとまった訓練を行っていただく。助成金があると言っても訓練を行う以上、その効果を企業は求めていることからすると、教育訓練に対する効果も大きいだろうという考え方ではないかと思っています。

 そういう中での時間設定ですが、確かに現在利用されているものについては、製造業であるとか伝統的な産業が中心になっています。これは先ほどの認知度の話も多分あるのだと思います。サービス産業のほうが、こういうところについてなかなか届かないという部分もあり、もちろん規模が小さいということもあるのだと思います。ただ、一方で、サービス産業としては正規型の方があまり多くない。しかも作業自体がかなり細分化されている中で、その作業の中で必要な雇用という形にすると、さらにステップアップということが現状ではなかなか進まないような産業ではないか。このあたりをどういう形で進めていくのかというのは非常に大きな課題です。

 そういう意味で、こういった助成金が産業に合っていないということであれば、そういうものを見直しつつ、正に雇用吸収力の非常に大きなサービス産業において能力開発を進めていただく。あるいは非正規の方が正規化していただくことが非常に重要と考えます。そういう意味でサービス産業において利用が進まない理由として、どういうものがあるのかというあたりについては、少し振り返って考えていきたいと考えています。

 

○今野座長 ほかに、いかがですか。せっかく事務局から資料45点ほどですが、こういうことを議論してという話が出ていますので、参考にしていただきたいと思います。

 

○阿部委員 今のと関わりなく、流れ関係なく喋っていいですか。

 

○今野座長 流れはないです。

 

○阿部委員 失礼しました。今、議論いただきたい具体的論点というところにお触れになりましたので、私から資料41の点についてお話したいと思います。今後、事業主、労働者、国等の役割についてということですが、これは能力開発の主体がどう変わっていくかといったところが大事かなと思います。その際、能力開発の主体というのは何が決まっているかというと、その能力開発の内容とか、能力開発をやった結果がどうなっていくかが非常に大きな要素になっているのではないかと思います。一般的に内容というのは、皆さん御存じのように能力開発には開発をした結果として付いたスキルや知識が、どの会社、どの産業でも使えるというものを開発する一般訓練と、ある産業や企業でしか有用でないものを訓練する特殊訓練と、大きく分ければ2つに分かれるだろうと思います。経済学の理論では、一般訓練というのは主体は労働者が行うべきであって、特殊訓練の場合は企業が負担する。その中間はそれぞれ折半することになるわけです。

 今後、一般訓練と特殊訓練のどっちが重要になってくるかですが、それぞれずっと流れていくとは思いますけれども、雇用動向調査で見ると労働者の約15%が離職しているのです。その15%離職した人の約半分は同じ産業の中で転職している。ほかの産業に転職していく人は大体半分、正確に言うと55%がほかの産業に移っている。そうすると、大体半数程度はほかの産業に移るより、同一の産業で見つけたほうが自分にとっては都合がいいということですし、実際にほかの産業に移るよりも同一産業の中で移ったほうが、転職による賃金の変動は少なくて済む。ほかの産業に移った場合の賃金は、むしろ転職によってマイナスになることが多い。特に中高齢者はそういうふうになっているわけです。

 この離職者の産業間移動をもう少し細かく見ていくと、特に産業によって見ていくと、情報通信、医療、学術専門サービスといったところは、大体7割が同一の産業で動いていて、残念ながらサービス業というのは3割程度しか同一の産業では動いていない。これはどういうことかというと、知識、技能、技術といった非常に専門的になりがちな産業では、なかなかほかの産業に移ることができにくい。なぜかと言うと、移れば今まで蓄積していた知識、技能、技術が失われてしまって、生産性が下がって賃金がより下がるからです。そういうことを考えていくと、産業によって濃淡があるし、どういう仕事に就いているかにも濃淡がある。若年か中高齢かでも濃淡が出てくるので、一般訓練と特殊訓練のどっちをやっていくのかというのはあるわけです。全般的に言うと、専門性が高いところは、どちらかというと特殊訓練が多いのかなと思います。

 ただ、話はこんな簡単ではないのです。労働経済調査というのがあって、中途採用を実施した企業の割合を調査していますが、今はないのですが、23年前までは何で中途採用したのかという理由まで聞いているのです。それを見ると、情報通信や医療というのは経験者を採用したくて中途採用しているのです。ということは、もしかしたらですけれども、企業は専門性の高い経験者を中途採用したい。つまり自分の所ではあまり訓練をやらずに、どこかに任せるか労働者個人に任せてしまう。よく考えれば情報通信や医療というのは、どちらかというと学校でやったり、あるいは同一の産業だけれどもほかの企業に移っても使えるスキルが多いので、企業特殊性というより産業特殊なスキルが多い。そういった場合には、いくら特殊訓練だと言っても実は労働者が負担することが多い。特に情報通信のところは技術革新のスピードも速いので、そういう意味では陳腐化が起こりやすいということもあって、能力開発の主体は労働者が多くなる。

 今回の資料3でもそうですが、実は7ページの実施したOFF-JTの内容といったところを見ると、書かれてあるとおり「新規採用者など初任層を対象とする研修」「マネジメント」が高く、その他、仕事に直結するようなところをやっている会社は少ないです。その一方、能力開発調査で自己啓発というのを調査しています。それを見ると、実は今の仕事に直接有効な能力開発を自己啓発という形で労働者はやっている。特に製造業でも機械を扱う自動車とか、金融、医療、介護といったところは自己啓発で、今の仕事をするために自己啓発をかなりやっている労働者層が多い。そういう意味で企業がそういうのをやらない部分は労働者、特に正社員は自己啓発でやっているということが、何となく見えてくるわけです。

 何を言いたいかというと、企業も大事ですけれども、主体は労働者に移りつつあるのではないか。あるいは今後、そういう形で専門性が高くなったり陳腐化が早くなっていけばいくほど、労働者に移りつつあるのかなと思います。このあたりは今野先生が詳しいので後で教えていただければと思います。

 そのときに大きな問題として幾つかあって、資金制約、時間制約、情報制約といったところがあるのかなと思っています。資金制約は労働者が自分でお金をどこまで調達できるかで、もちろん、訓練するためにはお金も必要ですから、それをどの程度調達できるのかという問題がある。

 時間制約というのは、124時間の中で働いて生活して、それから自己啓発するという意味では、労働時間が長いとか生活時間が長ければ、その分、能力開発にしわ寄せがいってしまいますから、生活時間はしようがないとしても、労働時間の問題をどう考えるかは時間制約をする上で大事です。それは資料39ページに、企業側の調査ですけれども、時間がないために問題があるという指摘もあるわけですから、労働時間の問題というのは大事だと思います。

 情報制約としては、何をどこで訓練できるのか。それが将来、何に役立つのか。そういった情報制約というのは労働者にとってもあるわけですから、先ほど大久保委員が言われたように、一部の企業に偏っているのではないかというところもあるわけですが、労働者にとっても積極的な人だけやっているという状況もあるようなので、そういう意味では情報制約をどうやって緩和して周知広報していくか。その際に大事なのは能力評価基準で、自分がどのような位置付けにあって、どういうことを能力開発していけば次のキャリアアップにつながっていくのか。そういったところを情報提供していくことは、特に労働者にとっては重要な情報になるのではないかと思うわけです。

 

○今野座長 阿部さんがいろいろ言われた最後の出口は、労働者個人に対するアプローチの政策というのを、もう少し考えたほうがいいということですね。

 

○阿部委員 そうですね。

 

○今野座長 大久保さん、失礼しました。

 

○大久保委員 資料4の件で、在職者に対する職業訓練についてどう考えるかいろいろ並んでいるわけですが、そもそも在職者に対する職業訓練、つまり企業内の人材に対する人材育成の施策というのは、基本的にそれぞれの事業主が行うべきもので、それをどれだけ行うかというのは会社側の戦略上の判断によるものだと思います。それを外から支援するというのは何だろう、それを正当化する論理は何なのか少し分からなくなってきています。というのは、ここに書いてある対象が「基幹人材、専門人材、グローバル人材、女性、中高年者等、多様な人材」と書いてあり、非正規は機会が乏しいから非正規で、一部の助成金は大企業にも拡大していきますという話になると、だんだん全てになっていくわけです。企業内で働いている人を、全体的にいろいろな施策が結果的にどこかでカバーし、在職者に対する職業訓練をやっている状態というのは何だろうと。

 つまり、当初は限定的な目的で始まった在職者に対する職業訓練が、どういう基準で拡大していっているのかが見えなくなってきている感覚がある。そのことに関しては、もともと事業主が供出している特別会計を使ってやるのだから、それはそれで正当化されるのだという要素があるのかもしれません。もともと在職者に対する職業訓練を拡大していく基本的な考え方の指針みたいなものが、ちょっと分かりにくくなってきているのです。ここに、どう考えるかという5つの質問がありますが、これまでどういうふうに考えてきたのかということを逆にお聞きしたくて、頭の中の整理が付いていない状態ですけれども、質問です。

 

○宮川職業能力開発局長 いろいろな考え方がこれまでもあったと思いますが、キャリア形成促進助成金の源である、もともとの能力開発助成金の源として考えたのは、実はこれは計画的に能力開発を行うことをやってほしいと。いろいろな訓練をそれまでもやっていたし、いろいろな能力開発施策をそれぞれの企業がやっているのですが、大企業は各別、中小零細のほうになるとその場限りと言ったら語弊がありますけれども、OJTにしても計画的なOJTでなくても、現場でそのまま働きながら見様見真似でという形のものを計画的にやっていただく。事業内職業能力開発計画や年間の計画を立てて、それを作成することを義務付け、かつ、推進者も選任してという仕組を源に考えた上で、それを助成していこうと。

 最初の頃は、一般型訓練で全部オーケーという形だったものを、それは政策課題対応型という形で、そちらを重点に置いていくべきであろうと。逆に言えば、一般型訓練としてのんべんだらりとやっているのであれば、そこのところはあまり重点を置かなくてもいいのではないか。今までの大きな流れとして最初のうちは計画的に、そのうちそれに政策課題を加えてということで、こういうようなものをやっていかなければ、特に中小零細のほうについては計画的な能力開発は望めないだろうと、基本的にはそういう発想です。だから大企業は限定的にしか実は助成していないのは、大企業は正に自らの企業戦略の中で計画的な人材育成に現に取り組んでいるし、そこのところをあえて能力開発事業としてやる必要性はないだろうと。

 ただ、中には大企業もこういうものをやったほうがいいよねと、それがふさわしいかどうかは別にして、例えば育休、再就職・復職後の能力アップみたいなものは大企業でも足りないだろうという形とか、グローバル人材みたいな話については、大企業、中堅企業も含めてそういう所でもやってもらったほうがいいだろうと、ある意味、政策的な内意を含めて位置付ける。整理としてはこういうことではないかと思っています。

 

○大久保委員 計画的な訓練を促すという当初の目的は、今現在でも基本的に変わっていないのですね。

 

○宮川職業能力開発局長 基本的には変わっていないと思っています。つまり、要はこの助成金がなければ、計画を立てていろいろ考える機会がないまま能力開発をやったり、やらなかったりみたいな形のもので、恐らく今の段階ではそういうところであろうと思います。これが日本の中で計画的にやるのが当然だという形のものが、中小零細企業も含めて一般化されるところまではいっていないという認識です。

 

○大久保委員 そうすると、もともと計画的な訓練を促すということと、政策課題別にもうちょっと別の角度で、横断的なものを対象に促すことがだんだん乗っかってきていて、言わば在職者に対する職業訓練支援の領域が広がってきている。一部、大企業まで取り込んでいく中でいくと、すごく壮大になってきているので、逆に言えば改めて何を目的として、どこに力点を置いてやるのかという、ある種、もうちょっと優先順位付けとかメリハリみたいなものが、より重要になってくるのではないかと思います。そこをしっかり考えたいなと思っていて、今、私はお話を聞いてイメージが多少湧きましたけれども、何となくそこがベタッと広がっていっているような感じにどうしても見えていて、たまたま自動的に予算が許せば広がっていくみたいな、そういうことにどうしてもなりやすい状況にあるのではないかと思うので、これはどういうふうに整理したらいいのか。そこは優先順位付けが必要なのかなと、とりあえずの意見です。

 

○宮川職業能力開発局長 もともとキャリア形成促進助成金の源である能力開発事業は、当然のことながら事業主のいわゆる二事業として行っている有限な資源なわけですから、その有限な資源について、どのような形で能力開発を促進して課題に応えていくのか。その中では効率的、効果的な在り方というのは、常日頃から考えていかなければならないし、PDCAサイクルも含めてきちっと回していかなければならない。そういう意味で、今、大久保先生が言われたようにメリハリを付けた政策の方向性は維持していかなければならないし、今後ともそれを堅持していかなければならないと考えています。

 

○大久保委員 確認ですが、今までやってきている在職者向けの職業訓練の助成金等については、一般会計でやったことは全くないのでしたか。

 

○宮川職業能力開発局長 私の記憶する限りでは、こういう助成金を、こういう形でやっているものは記憶にないです。

 

○阿部委員 余計なことを言う感じかもしれませんが、私が先ほど言ったように、これから労働者を中心に考えて助成なり何か手助けするのが望ましいと、個人的には思っているのです。ただ、今、企業に対してどう助成するかという話がありますので参考までに、ここ2年ぐらいだったと思いますが、ECB、欧州中央銀行のレポートで、発展途上国の企業約8,000社を調査して、資金の調達制約が非常に強い企業で能力開発の実態がどうなっているか調査した、非常に興味深いレポートがあります。それを見ると、資金調達に大きな制約を抱えている企業は能力開発がてきていない。そもそも資金調達できていない企業は駄目な企業なので、駄目な企業だから能力開発しないと。計量分析上問題がありますけれども、そういう問題をクリアした上でも資金調達の制約がかかっている企業というのは、能力開発まで手が回らないという結果が出されています。

 そういう意味では、審議会でも中小企業に対しての能力開発の在り方という話があったと思いますが、主に大企業に比べれば中小企業のほうが資金調達の制約が非常に高いだろうということなので、今後、資金調達といった面からも企業あるいは事業所に対する助成は必要だということは、私は言えるのではないかと思います。ただ、労働者個人のほうが大事かなとは思っていますが。

 

○今野座長 今日はもう1つ若者のことがあるので、若者の話を聞いて時間があったら、また戻るということにさせてください。まず、事務局から説明をお願いできますか。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 それでは若者に対する職業能力開発について、資料5に基づいて御説明いたします。まず若者をめぐる現状です。2ページを御覧ください。フリーター・ニートの状況です。これは労働力調査によるもので、まずフリーターですが、定義としてはパート・アルバイトで現在働いている者、あるいは働こうとしている者です。平成15年の217万人をピークに、平成21年以降180万人前後で推移し、直近の平成25年で182万人となっています。次にニートです。定義は1534歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者で、平成14年以降60万人台で推移しており、直近の平成25年では60万人ということで、前年度からは3万人減っているという状況です。

3ページが正規雇用と非正規雇用の労働者の状況です。非正規雇用は19952005年までの間に増加しております。現在まで緩やかに増加しており、雇用者全体の36.7%となっております。直近7月現在では、37%という数字も出ているところです。2013年の非正規雇用の内訳を見ますと、男女合わせてパート労働者が928万人ということで、非正規雇用のほぼ半数を占めております。次いでアルバイト、契約社員がともに400万人弱ということで続いているという状況です。

4ページが非正規雇用の労働者の割合を年齢別に見たものです。時系列的に棒グラフが3本立っており、非正規雇用の労働者の割合の全ての年齢層で上昇しております。特に若い1524歳層では、19932003年の10年間で多く上昇しているという特徴が見て取れます。

5ページが非正規雇用の労働者の占める有期労働契約の状況です。非正規雇用労働者1,906万人のうち、約7割に当たる1,328万人が有期契約労働者ということで、期間の定めのある労働契約となっているという実態です。

6ページが不本意非正規雇用労働者の状況です。不本意正規雇用の定義は(3)にありますように、現職の雇用形態に就いた主な理由が「正規職員・従業員の仕事がないから」と回答した者です。この人数を見ますと2534歳が75万人ということで、各年齢層の中でも最も多い人数となっております。各年齢層における割合を見ても、同じく2534歳が26.9%ということで、他の年齢階層よりも高い割合になっております。

7ページが新規学校卒業者の離職状況で、平成223月に卒業した学生・生徒の3年後の状況を見たものです。学歴別に見ますと、3年後の離職率は中卒62%、高卒約4割、短大卒4割、大卒約3割という状況で、学歴の高い順に離職率が下がってくるという状況です。これを事業所規模別で見ますと、大卒、高卒ともに規模が大きくなるほど離職率は低下の傾向という状況です。産業別に見ていきますと、大卒、高卒ともに平均を大きく上回っているのが宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス、娯楽業、教育、学習支援業というところが目立っております。そのほかにも小売業や不動産業、物品賃貸業、あるいは医療福祉というところも高めという状況です。また建設業を見ますと、高卒のみ平均を上回っているという状況が見て取れます。

 次のページが1539歳までの無業者の状況を示したグラフです。先ほどのニートの定義が1534歳までとなっているのですが、地域若者サポートステーションの支援対象者の年齢が39歳までなので、39歳を加えたグラフを示しているわけです。直近の平成25年で80万人、ニートの数からプラス20万人という状況になっております。

 次に、若者に対する職業能力開発に係る現行制度・施策です。まずキャリア・コンサルティングの流れの資料を付けております。これは前々回の研究会でも御説明したものです。特に若い方に対しては早い段階から適切な自己理解、仕事や働くことへの理解に基づいて、また職場体験、インターンシップといったものの経験を通じて、職業選択を支援していくことがキャリア・コンサルティングの中心的な流れになってこようかと考えております。

 その役割を担うのがキャリア・コンサルタントで、それが11ページにあります。これも前にお出しした資料です。標準レベルのキャリア・コンサルタントのその上に技能士として、熟練レベル2級、指導レベル1級があり、その下のレベルとして、標準未満ということでジョブ・カードの作成支援を行う登録キャリア・コンサルタントが存在しています。

 そのジョブ・カードについては、次の資料にあります。ジョブ・カードの活用についてということで、平成32年までに300万人という取得者数の目標があります。若者という観点から見ますと、学卒訓練での活用あるいは学生用ジョブ・カードということになるわけですが、いずれにしても訓練のスタイルのジョブ・カードの活用がほとんどで、9割以上を占めているというのが現状です。

13ページがジョブ・カード公付・活用の根拠についてです。ジョブ・カードの根拠については、求職者支援訓練において省令で利用が規定されているということで、それ以外は通達レベルの規定という現状です。

 次が若年技能者人材育成支援等事業、ものづくりマイスター制度です。ものづくり産業が競争力を維持し発展していくためには、基盤となる高度な技能を有する若年技能者の確保・育成が不可欠です。そこで平成25年度から、熟練技能者をものづくりマイスターとして開拓、認定をして学校等に派遣し、技能競技大会の課題を用いた実技指導等を行い、効果的な技能の継承、後継者の育成を図っているところです。平成26年度は学生・生徒を含む若者に、ものづくり産業・技能の魅力を発信して人材確保・育成に資するという観点から、ものづくりマイスターによる派遣、技能検定受験を目指す若者へ、実技指導等の総合的取組を重点的に推進しています。ものづくりマイスターには認定条件があります。技能士1級以上、実務経験15年以上といったもので、ものづくりマイスターの認定数は、平成25年度末で3,116名という状況です。これらのマイスターを中小企業や学校等に派遣することにより、若者のものづくり業界への誘導・若年技能者の人材育成、技能尊重機運の醸成等を行っています。

15ページが学卒者訓練の概要です。国と都道府県において学卒者を対象に、職業に必要な基礎的な技術・知識を習得させるため、この表にありますように1年から2年間の訓練を実施しているところです。実績として平成24年度の受講者数は、機構と都道府県の両方を合わせて計19,000人、就職率94%という高い水準となっております。

 次に、日本版デュアルシステムについてです。主に若者を対象とした公共職業訓練として企業実習又はOJTと、これに密接に関連した教育訓練機関におけるOFF-JTを組み合わせて実施する訓練で、機構と県において行っています。企業実習を組み合わせることでより実践力が身に付くということで、訓練修了者の就職率は高い水準となっております。

17ページが地域の関係機関の協働による職業訓練コース開発です。若者の安定的な就職の実現を進めるため、公的訓練の約8割を実施している民間教育訓練機関における委託訓練について、効果の高い訓練モデルの開発・検証を実施していくものです。開発に当たっては、産学官が協働する体制としてコンソーシアムを形成し、連携体制を坑築することとしております。平成26年度においては、全国10か所で実施しております。

 次が若者育成支援事業、地域若者サポートステーションについてです。ニートの数が高止まりといった中で、将来、生活保護に陥ることのないように経済的に自立させ、世界の支え手とすることが必要ということで、地域若者サポートステーション(サポステ)と言っております。地方自治体と協働し、専門的な相談、コミュニケーション訓練、学校と連携した中退者の支援、あるいは一部のサポステで実施している若者無業者等集中訓練、合宿を含んだプログラム等を行っております。また、地域ネットワークを活用した就労支援を実施しています。平成18年度から全国160か所で、若者支援に実績ノウハウのあるNPO法人に、その実施をお願いしているところです。

 具体的には次のページを御覧ください。サポステによる支援とその利用者のイメージです。まず利用者は、ニート等の若者です。「ニート」に「等」が付いているのは、ニートの定義が34歳までですので、39歳まで対象にしているということで付いております。この若者のうち、就労の意志はあるものの、様々な問題を抱えている者です。様々な課題と言いますと、例えば、働きたいけれども自信が持てず、一歩踏み出せないといった方、生活リズムが不規則、あるいはコミュニケーションが非常に苦手な方々です。こういった方々に対して個別相談、キャリア・コンサルタントによる個人の状況に応じた相談を行い、課題等の洗い出し、あるいは目標の設定を行っております。その中でどういったプログラムがいいかということを相談し、例えばコミュニケーション能力向上のための訓練として、最初は少ない人数からグループで始めていくといったことを繰り返しやっていき、また相談をして振り返ってということをやる。あるいは職場見学、職場体験というものを経験しながら、小さな成功体験をどんどん積み重ねていって、自信を付けて最終的にハローワークでの求職活動ができるところまで持っていくということで、ハローワークなどを経て就職して社会へ出て行っていただくということです。

 次のページに平成25年度の実績があります。新規登録者数43,000人のうち、進路決定者数は19,702人ということで、46%の方が何らかの進路決定をしています。そのうちの83%が就職ということになっております。就職者の内訳を見ていきますと、正社員が25%、それ以外が4分の3ということで、正社員以外の就職が多くなっているという現状です。その下が進路決定者数の推移で、サポステの設置数の拡大に伴って増加してきております。平成26年度も同じく160か所で実施しており、進路決定者数2万人を目標に取り組んでいるところです。

 最後がサポステ卒業者ステップアップ事業です。これは今年度から始めた事業で、サポステの支援を受けて就職に至った方々について、やはり職場になじむのになかなか時間が掛かる方が非常に多いということがありますので、職場定着のためのフォローアップを行っています。また、正社員以外にパート等で働き始めた方で、次は正社員を目指したいといった方にも相談を行っています。卒業者の多い60か所で、今年度は事業を展開しております。以上が若者に関する細目です。

 次に資料6を御覧ください。若者に対する職業能力開発関係について御議論いただきたい具体的論点として、3点挙げております。まず1点目が、若者キャリア形成に関してどのような支援が必要か、また、訓練機関提供について、国、都道府県、事業主等の役割、今後の支援の在り方をどのように考えるかです。2点目が、非正規労働者・無業者、フリーター、ニートといった方々が引き続き高い数字で推移する中、企業の人材育成の取組がどうあるべきか、特に学校卒業後の基礎的な職業能力形成期における企業の人材育成の在り方をどのように考えるかです。3点目が、人口減少社会の中で若者活用が一層求められているところ、サポステの機能や自治体、都道府県労働局・ハローワーク等の関係機関との連携をどう考えるか、また支援対象者就労後の定着支援、キャリアアップのための支援についてどのように考えるかという点です。以上の点について御議論のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

○今野座長 それでは御意見をお願いします。

 

○大久保委員 それでは23意見を言わせていただきます。まず非正規の雇用者というのは、その後も引き続き比率を高めています。中でも今回、不本意な形で非正規に就き続けている人たちの数値が出されていますね。今は非正規全体が非常に大きくなって、人数も多くなってきていますので、不本意就労者に対する支援というのも1つの軸だとは思うのですが、もう1つ、ここではあまり触れられていない非正規の中にも常用雇用の人と臨時の人がいるわけです。特に最近の政策は、常用雇用の人たちに対しては一定の手を差し伸べるようなものが充実してきております。ですから特に臨時雇用の状態で短期の就労を繰り返してきている非正規の人たちに、ある程度軸を置くというか、優先順位を置いて取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。

 先ほどの在職者に対する職業訓練の議論と重なるのですが、非正規でも割と1つの企業で長く継続的に働いていて、それなりに役割期待が上がっていって、チーフ的なポジションに就いていくパターンのステージの人たちと、非常に短期的に移動を繰り返している人たちとがいるわけです。流動性が高ければ高いほど、その会社内、企業内における人材育成は機能しにくいという構造があるので、そういう変化を繰り返している人たちにどういうように支援するのか。企業を通じて支援するべきなのか個人なのかという議論は多分あると思うのですけれども、そこが対象のポイントになるのかなと思っています。

 もう1つ。サポステに関してはもう随分長く事業も継続してきていますし、対象者の数も非常に大きくなってきています。その中でいろいろな相談を受けて、蓄積されてきているところもあると思うのです。なぜ若年者が無業状態に陥っていくのか、ニート状態になっていくのかということに関して、その一つ一つの相談事例を積み重ねていっているところがあると思いますので、今度はそういう情報から分析して、より対処的ではなく、より予防的な方向に政策を展開していくことが大事ではないかと。若年の雇用問題というのはもう10年間、考えられるものはずっとやってきているので、それは本来、徐々に雇用対策の領域から教育の領域にシフトしていくべきものだと思うのです。こちらでやってきた、積み上げてきた情報を、今度は教育行政のほうにフィードバックしていくことがすごく大事ではないかと思います。

 

○今野座長  特に前半については、臨時的な非正社員の人に焦点を当てたらどうかという話だったのですけれども、何かございますか。

 

○吉永総務課長 私ども労働行政においても、特に不本意非正規層が1つの大きな課題になっています。その中で大久保委員が御指摘のとおり、不本意の非正規であって、かつ臨時的な方というのが、やはり一番大きな課題だろうと思います。非正規の方が正規化するに当たっては、基本的に企業の中でのOJTOFF-JTがセットになる場合において正規化できるのです。逆に言うと、OFF-JTをやってまで企業が期待する方については正規化できるという状況です。ただ、飽くまでも臨時的な方についてはそういう機会がないという状況です。

 先ほどの阿部先生の御指摘の中で、一般訓練か企業特殊型訓練かということになると、とても企業特殊型訓練まではいかない方である。ただ、一方で企業の中の就職のタイミングでのOJT的なものがなければ、正規化しにくいでしょう。そういう状況ですので、キャリアアップ助成金などを使いながら、こういう方でも何らかの形で訓練の機会が提供できないかということで、助成金制度を設けるというのは1つです。さはさりながら、企業にそこまでの負担ができるかというと、なかなか難しい状況です。そういう意味でこの部分については、労働者側が一定程度取り組まざるを得ない部分があると思います。

 臨時短期を繰り返しても2年間の雇用保険の被保険者がある場合は、教育訓練給付の中の中長期キャリア形成支援措置の対象というのがあります。そうしますと、実際に係る費用の大体6割は給付が出る。それに加えて貸与型の奨学金の措置も入れております。そういう意味で、こういう方についても専門学校等できちんと役に立つような訓練に誘導できれば、更に一般的な教育訓練を身に付けて、実際の企業に出てきて正規化する道はあるのではないかと思っております。

 ただ、一方で闇雲に訓練を受けて教育機関や専門学校に通ったところで、その人にとってきちんと正規化できる道があるかどうかは分かりません。そこについてはキャリア・カンウセリングをきちんとやっていく必要があるだろうということで、この10月から始まる教育訓練給付については、制度設計をしているという状況です。特に若年層については一般的な訓練であっても、ある程度企業の中で働くという経験が将来にわたる職業生活における訓練としては、極めて効果的であろうと思っております。そういったものについても一方で誘導しつつ、さはさりながら労働者がやらざるを得ない部分もあるので、そこについては誘導していくということが、現状の政策の考え方ではないかと思っております。

 

○堀委員 ただいま大久保委員から、サポステについての御意見が出たわけですが、そのことに関連して申し上げられればと思います。サポステはそれなりの事業を重ねているので、ある程度予防的な方向を考えても良いのではないかという御指摘があったわけです。18ページの左下の黄色の濃い部分のマルの2つ目、今、大久保委員がおっしゃった部分は、サポステが学校連携推進事業に一部反映されているのではないかと推測するところです。しかしながら、学校連携推進事業が少なくとも目覚ましくうまくいっていない1つの理由は、やはりサポステがきちんとした法律の中で位置付けられていないので、継続性を持った機関としてきちんと信頼していいかどうかというのが、学校にとって疑問であるというのが1つあるのではないかと推測いたします。サポステは今、ハローワークでもなく、かといって従来の支援機関でもない独自の位置付けを占めており、一定の成果も上げているわけです。是非、継続性の担保について御検討いただければと考えております。

 それから、ここに濃い黄色と薄い黄色があります。いわば濃い黄色の部分がナショナルミニマムとして、国がサポステの支援機能として明確にしている部分かと思うのです。薄い黄色の部分は、サポステ独自の取組ということで進められているわけです。やはりサポステの有効性を保つためにはナショナルミニマムの部分だけでなく、現場独自の仕掛けと言いますか、現場が独自に工夫できる部分を担保していくことが、有効性を高める上で非常に重要だと考えております。

 しかしながら、この部分というのは非常に悩ましいのです。利用者側から言うと、有料のサービスと無料のサービスが同じ機関で提供されるようなイメージ、誤解を与えてしまうという問題もあるのではないかと思っており、この切分けは非常に気を付けていったほうがいいのではないかと感じております。それと同時に、もし今後きちんと継続性が担保されていくとしますと、国はナショナルミニマムとしての支援内容と、支援者の能力開発の部分についてはきちんと枠組みを決めて支援をするとともに、長期的には都道府県が主体となるような形で運営されていくような方向性も、検討されても良いのではないかと考えております。

 

○吉永総務課長 堀先生が御指摘のとおり、サポステについては継続性の問題が指摘されております。これは毎年の予算事業でやっておりますので、毎年、成績の良い所から160か所契約するという形になっておりますので、年度末になりますと翌年契約が続くのかどうかという課題があります。また、年度末に跨る形での支援対象者の選定が非常に難しいわけです。この辺りについては、私どもも非常に大きな課題だと思っておりますので、これは何とか整理していく必要があるのではないかと思っております。

 ナショナルミニマムについては、国が対応する必要があるだろうと思っております。その上で現場独自の工夫をどういう形で反映させていくかです。これまでサポステの箇所数が増えるなり、いろいろな形での予算措置が増えるなり、体制が整備されていけばいくほど、相談事例の集積が進んで、様々な予防的措置あるいはノウハウも蓄積されていく一方、今まで想定されていなかった方々も取り込んでいくような形になってしまっています。そういう意味で、国が行うべき部分がどの辺りにまだあるのか。ただ、それだけではなかなか成果が上がらないので、サポステによっては自治体がかなり支援をしている所も出てきております。そういう所でその地域の実態に即した形で支援措置を行うことは、極めて有効だろうと思っております。ただ、現時点では基本的に国の予算措置ですので、県の協力をどういう形で入れていくのか、その関係をどういう形で整理するのか、その辺りを政策課題として考え、来年度以降に展開していく必要があると考えているところです。

 

○阿部委員 若年の能力開発の所で、職業教育ではなくて学校教育の重要性、学校現場におけるキャリア教育の重要性と言われて、それはそれでそうなのだろうと思うのです。資料54ページの非正規雇用の労働者の割合で、1524歳の所に着目すると、在学中を除いた1524歳の非正規労働者の割合というのは、20032013年にかけて余り変わっていないのが現実です。この10年間、学校でインターンシップを含め、キャリア教育という取組がかなり進んできたとは思うのです。結果として非正規雇用の割合は変わらなかったというのが何を意味するかを少し考えておく必要があるかと思います。学校教育におけるキャリア教育がまだまだ足りないというのが背景なのか、それともキャリア教育をやっても余り関係ないのかというところなのかと思っています。これはどちらなのだろうかというのが素朴な疑問としてあります。

 一方でこれまでの研究をいろいろ見ると、特に東京大学の玄田さんとか、慶應大学の太田さんがやられている研究では、学校卒業時の失業率が高いか低いかで、その人の生涯所得や、あるいは生涯の転職回数が大きく違っている。失業率が高いときは良好なマッチングが得られずに、転職率が高い、生涯所得が低い。失業率が低いときにはその逆が起こっている。彼らは世代効果と呼んでいます。これは、生まれた年によって、その人の職業人生はある程度決まってしまうということなので、これは学校教育を幾ら頑張っても、もしこの世代効果が起こっている状況の中では、学校教育が同様に全ての人に影響しているわけではないというようになるわけです。

 何を言いたいかというと、なぜこんなことが起こるか。日本の採用方式は新卒一括採用がメインであった。メインではないのだとは思うのですが、かなり重要だというところがある。これは、世代効果のようなデメリットばかりではなくて、実はメリットもあって、日本の若年失業率は世界的に見ると低い。これは、集中して行うことにより、職探しの強度が学生も高いですし、企業も高いということが、マッチングに結び付くわけです。ただ、そこから落ちこぼれていくと、今のような世代効果が生まれたり、あるいは非正規問題、あるいはニート問題、フリーター問題が起こってしまう。

 何を言いたいかというと、結局一括採用が行われている、これは今後も続くだろうということを考えていくと、むしろ学校教育でキャリア教育をやるのを重視するよりも、むしろ一括採用で落ちてしまった人たち、ニート、フリーター、あるいは不本意な就職をした人たちを、次の景気が良くなったところで、あるいは状況が良くなったところで、うまく円滑に転職させていくか、あるいはフリーターから、あるいはニートから正規へと、就業へという形にできるかというところに、政策資源を回したほうが、もしかしたら効率的ではないかと思うようになっています。

 政策資源は限られていて、特に厚生労働省の場合には、学校教育に手を突っ込むというよりは、むしろ労働市場の中でどのように整備していくかというところだと思います。今の政策をもう少し捉え直して、一括採用でうまくいかなかった層や、あるいは不本意だった層をどうやってうまく円滑に正規就業なりに転職させていくかを考えるような施策を打ったほうが効果的ではないかと思います。個人的な感想です。

 

○今野座長 雇用型というのは、それを狙ったのに近いのではないですか。

 

○阿部委員 そうです。

 

○今野座長 雇用型がどれだけ機能しているかです。阿部さんが言われたように、次のチャンスのときに、もう一度トライというか再挑戦できるようにすると言っても、次のチャンスまでの間に何もしていないと劣化していきますから、そこをどうするかということで雇用型の訓練をしたのでしょうけれども。キャリア教育は駄目ですか。

 

○阿部委員 分かりません。

 

○大久保委員 阿部さんのお話に関連して若干気になっているのは、非正規雇用が増えているのはなぜ増えているのか。そうは言っても、サービス業の就業人口の比率が上がっていることの産業特性とも非常に密接に関連して、非正規が増えている所もあると思うのです。更に非正規の問題で、先ほど臨時と常用の話もしましたけれども、これは今は大変求人難の状況です。ある程度常用で働いている、まだ会社に戦力として残り続けてほしいと思っている人は、もうちょっと長期化させるとか、もう一回正社員化するというように動き始めているわけです。

 そういうことと関係なく、なかなか安定的な地位につけない、それは環境の問題と本人自身の課題もあるのだと思うのです。そういう状況における臨時であったり、未就業状態が続いている人たちをどうするのか。労働者の年齢別の状況とか変化の所も、20年間の変化を見てみることはポイントとしてあるという感じはします。非正規雇用全体をいけないという問題にするのとは随分考え方が変わると思うのです。そこがちょっと気になるかなと思います。

 

○今野座長 大久保さんが言われた、臨時で働いて転職していく人は、事業主に何かお願いするのは難しいのではないですか。そうすると、いかに個人をつかまえるかと言うのも変な言い方ですけれども、つながっているかということ。いずれにしても訓練をするとなると、一定期間は移動しないとか、座っていただく必要があります。

 

○吉川委員 少し話が変わるのですけれども、いろいろな企業の人事担当、特に教育担当の人とか、逆に社員と話をしていて特に考えなければいけないのは、私の立場から考えると実は学べない人たちです。トレーニングをどれだけ掛けても、例えば新入社員訓練で同じレベルにするには以前よりもコストが相当かかるそうです。学べなくなっているという実態がかなりあって、それは本当に若者たちだけのせいかというと、教え方も変わっていないのです。だから、教える人と学ぶ人のマッチングが取れていないのが一番大きいと思います。

 そうだとすると、今の人たちに対する教え方を企業に伝えないと、企業側はずっと従前のやり方をしていて、結局学べない人たちを作ってしまって、学べないから嫌になってという話が出てきてしまう。このような形で学び方、ラーニングスキルを今どういう人たちが、どれだけ持っているのだろうか。ティーチングスキルも、仕事ができる人とは別のスキルとして、ティーチングスキルにはどういうのがあるのだろうかというところのマッチングを図っていかないと、結局効率的な人材育成が企業内で行われていない。それでいて、先ほどの3割の早期離職者が出てしまうと、もう新入社員を育てたくないと言っている企業も出てきました。そうしていくと、そういう企業は中途採用がいいというと、資源が枯渇してしまう話も出てきます。

 もちろん阿部委員がおっしゃられたように、IT企業は他からどんどん入れるという話になります。あそこの産業の特殊性というのは、本当に速度が速く動いてしまって、もともとある種全部を人材育成する気がない。そうすると、他の分野から必要なときに人を流入してくればいいというような考え方を持っていたりします。そういう産業の特殊性もあれば、人材の教え方そのものを知らない、今の人の学び方を併せた教え方ができないというのも含めて、そこをどうするかという問題を持っているだろうと。

 もう1つは、人材育成するときには将来の投資なので、その時にどういう人を育てるといいかというのが、企業単体ではなかなか今は把握できない状況になってきて、それは昔に比べて難しい。これからはどういう人材が売れるのだか分からないところに対する、ある種の羅針盤が欲しいという企業もかなり出てきていて、そういうミスマッチはかなり起きているというのが、いろいろな企業の話を聞いての実感です。参考までに。

 

○武石委員 本日は、データとか今の制度を御紹介いただいているのですが、今ひとつよく分からないのが、こういう制度とか助成金が全体の必要なうちのどのぐらいをカバーしているのかというイメージが湧かないのです。特に、今の若年のことで言うと、サポートステーションは堀委員もおっしゃったように、大変重要な機能を持っていると思うのです。ニートが60万人のうち、就職実績が19,000人、その数字を比較するわけではないのですが、実際に必要な人にどれだけのサービスが、公的に職業訓練の在り方をどうしようというのを考えているので、必要な人に必要なサービスが届かないと意味がないと思うのです。それがどのぐらい抜け落ちていて、それが何なのかというのが分からないと、なかなか議論をするのが難しいのかというのが、何となく本日の印象なのです。

 特に若者に関して言えば、この資料にもありますが、職業生活のスタートできちんとした訓練が受けられないと、そのまま将来は生活保護になってしまうかもしれない。そうすると、社会的なコストが大きくなることを考えると、相当ここには資源を投入しても、この能力開発という部分を公的に支える必要性がすごく高いと思うのです。サポートステーションに来ている若者はまだそういう情報があるからよくて、そこに来られないで、こういうことも知らないでいる若者が相当数いるはずなので、その人たちに対してどうすればこういうサービスを使ってもらえるのかというところがすごく重要な気がします。何かをしようという問題意識を感じました。

 

○今野座長 先ほどの在職者でも結構ですので、いろいろなアイディアを頂いたほうがいいと思います。もう十分しゃべりましたか。資料62番目の質問の意味がよく分からないのです。後半なのですが、「特に学校卒業後の基礎的な就業能力形成期における企業の人材育成の在り方をどのように考えるか」というのは、これに込められた気持ちみたいなのは何かあるのですか。

 

○吉永総務課長 先ほども若干触れてはいたのですけれども、一般職業訓練の中で、若者が訓練されて社会に出ていくことだけで、企業の中で働ける能力が身に付くかどうかということがあるのだと思います。そういう意味である程度の能力は必要なわけですけれども、企業の中で一定期間働くことが、就職の段階だけではなくて、将来にわたる職業能力形成にとって極めて重要ではないかという考え方があるのではないかと思います。

 先ほどの世代効果の話もありますけれども、最初の段階である程度いけば、その後つながっていく。そういう思いの中で多少流動性がある産業においても、きちんと企業が若年者の能力開発を進めていけるようなフレームワークが取れないだろうか。非常に難しいのですけれども、そのようなことで、企業はそれなりに投資ですから、それについて将来的な仕事を前提とした訓練をやるわけではありますが、ある程度歩留まりが悪くても、それをやっていただくことが、その労働者にとって次のステップになる。ひいてはそれが日本全体の労働力の質を高めていくことがあり得るのではないかという思いを込めて書いてみたものです。

 

○今野座長 そうすると、日本の企業は若者訓練会社になれと。

 

○吉永総務課長 ということが、非常に難しいのですけれども。

 

○今野座長 でも、ドイツはこの仕組みに近いですね。ドイツでは学校を出ると、有名なデュアルシステムというのは3年間勉強しながらOJTをするわけです。OJTのコストは企業負担です。よくああいう社会が出来上がっていると思いますけれども、企業はすごい負担をしているはずなのです。それにちょっと近いのかなと思ってお話を聞いていました。

 

○宮川職業能力開発局長 若者の立場から考えてみても、最初の3年間なら3年間なりをフリーターで過ごしたのか、それとも中小・零細も含めてですけれども、1つの会社なりどこかの会社へ行ったのかというのは、今後の職業人生を考えた場合に、その3年間何をやっていたのかは恐らくものすごく大きな影響だと思われます。

 普通の企業で人を採用するときに、フリーター的な働き方をしている時間は無どころか、何をやっていたのだという話に基本的にはなるわけです。その3年間で、恐らく様々な経験なり職業人生の中での位置付けをやられたときに、その3年間は決して無駄ではないどころか、評価されるべきものとなると思います。

 そういう意味で、3年間で去ってしまうということは、初期投資を掛ける意味から、企業にとっての大きな負担であることは間違いないにしても、逆に言えば、若い人にとってみれば、昔の石の上にも3年ではないですけれども、3年ぐらいはきちっとどこかで働けと、あるいはその3年間は我慢しろと。逆に企業にとってみれば、3年ぐらいは長い目で見てくれと、3年ぐらいはやらせてくれというような形も含めて、卒業後の初期の職業能力形成期における、企業の中で働くことの重要性というのは、いろいろな意味でこれは政策の話ではないかもしれませんけれども、御指摘なり御議論なりを頂ければと思います。

 

○今野座長 先ほども出た、若年層を対象とした雇用型訓練の大拡張ですが、できるかな。私は良いと思っているのですけれども、どうやったらできるのだろうか。

 

○吉永総務課長 その辺りについてお知恵を頂ければと思います。

 

○今野座長 少なくともヨーロッパの場合は、比較的低い賃金を払ってもいいぞみたいなところで事業主側にはメリットがあります。だから、裏側の批判としては、低賃金労働で使っているのではないかみたいな潜在的な批判というのはいつもあります。でも今見ると、ドイツはあれだけ競争力があって、人材が育っていっているわけです。ドイツのデュアルシステムは潰れそうで潰れないで、衣替えしながらずうっと来て、高学歴者もあそこに入ってくるみたいなことになっています。何か良いアイディアがあって、これさえすれば前に進むと。

 

○大久保委員 今の新卒採用は、大学進学率が上がっていることと比例して、マーケットが大きくなってきています。新卒採用する会社の数も増えている。今採用をやっている所でいくと、従来新卒採用について、定期的に採用していない中小企業が今年は採用を予定している所がすごく多くて、そのためにニーズが膨らんでいます。現状でいくと、求人数と求職数の差を取ると25万人分ぐらいの採用枠が未充足のまま終わる予定なのです。つまり、中小企業は採りにくいという話です。

 そういう環境の中で、中小企業に例えば1人が採用されても、なかなか育成がうまくいかずに、結局早期に離職してしまう可能性が高いのです。中小企業に私たちがずっと奨めているのは、毎年できないのだったら、やる年にはせめて何人かまとめて採りましょうと。人材育成を考えると、複数名採らないと難しくて、そのようなやり方で最初のスタートで何人かの人たちを育てることをうまく促進できるといい。1人ではない、中小企業における複数採用の育成みたいなことを何かうまく支援できるといいという気持ちはあるのですが、具体的な話はあれですけれども。

 

○阿部委員 複数の会社を集めてやることはできないのですか。それはやっていますよね。

 

○大久保委員 そうなのです。

 

○今野座長 本日の前半で出た認定訓練はそういう考え方です。企業にまず採用され、その後に2年くらいの認定訓練を受ける。

 

○大久保委員 地域における同業種で労働訓練みたいなものをやって、新人同士が横のつながりを付けるような方法というのは、やれば必ずそれなりの成果は上がるのだと思います。

 

○今野座長 そうすると、職業評価の団体型とつながったりしていきます。

 

○大久保委員 この例がよいかどうか分かりませんけれども、美容院とかもそうなのです。要するにもともと規模が小さい所が主流となっている産業・業界で育てる人もそんなにいない、育てるプログラムも充実したものがないという所は、やはり中では育てにくいから、どうしても教育を外部化したりする。そのときに、その業種がまとまった業界団体か、若しくは他の所でも何でもいいのですけれども、そういう所がまとめて新人の育成についてフォローアップしてくれると随分変わります。そういう形態が、うまくいろいろな施策の集合体になると思うのですけれども、できればいいのだと思うのです。

 

○今野座長 私の知っている範囲内ですけれども、お酒が有名です。日本酒の杜氏の養成で、山形県、新潟県は集団で人材育成しています。ああいうのが、もっと、このような仕組みがワーッと広がるといいですね。時間になりましたが、本日はお題が難しくて、なかなか良いアイディアが出ませんでした。本日の議論を事務局で整理をしていただきます。次回の日程について事務局からお願いします。

 

○田中総務課長補佐 ありがとうございました。次回は918()1012時を予定しておりますが、会場についてはまた御連絡をさせていただきます。

 

○今野座長 それでは終わりましょう。ありがとうございました。


(了)

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