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児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会(第11回)

子ども家庭局総務課少子化総合対策室

○日時

令和2年8月28日(金)10:00~12:00

○場所

中央合同庁舎5号館12階1205号会議室

○出席者

委員

松原委員長 秋庭委員 尾木委員
多田委員 長崎委員 普光院委員
松田委員 水嶋委員 吉田委員
 

オブザーバー

内閣府子ども・子育て本部
独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第1課
 

事務局

大坪審議官  
髙鹿少子化総合対策室長  
山本少子化総合対策室運営指導専門官  
澤浦少子化総合対策室室長補佐  

○議題

(1)認可外の居宅訪問型保育事業に係る対応について
(2)その他
 

○議事

○事務局
定刻となりましたので、ただいまから第11回子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、今回は新型コロナウイルス感染症対策ということで、オンライン形式での開催とさせていただいておりますが、こちらについても御協力いただきましてありがとうございます。
はじめに、昨年7月に開催した前回の専門委員会から、事務局の異動がありましたので御報告いたします。大臣官房審議官子ども家庭、少子化対策担当の大坪審議官です。

○大坪審議官
おはようございます。依田の後任で参りました大坪です。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局
続いて、少子化総合対策室長に高鹿室長が着任いたしました。

○高鹿室長
よろしくお願いします。

○事務局
カメラの撮影につきましては、ここまでとさせていただきます。なお、傍聴される皆様におかれましては、事前にお知らせしております傍聴時の注意事項の遵守を、どうぞよろしくお願いいたします。この後の議事進行については、松原委員長にお願いいたします。

○松原委員長
はじめに、本日の出欠状況について事務局から御確認をお願いいたします。

○事務局
本日は全委員の皆様に御出席いただいており、欠席等はありません。

○松原委員長
次に、事前に皆様のほうへ電子媒体で配布している資料について、事務局から確認をお願いいたします。

○事務局
配布資料は座席表、議事次第、資料については資料1~5となっております。また参考資料1が付いており、合計6点となっております。資料の欠落等がありましたら、事務局のほうに御連絡を頂ければと思います。

○松原委員長
それでは議事に移りたいと思います。本日はベビーシッターに関するこれまでの対応について、厚生労働省及び内閣府から説明を頂き、その後、論点と議論の方向性(案)について御議論を頂きたく思います。まず、これまでの対応について資料1、認可外の居宅訪問保育事業に係るこれまでの対応について、厚生労働省より説明をお願いいたします。

○事務局
厚生労働省の澤浦です。2枚組になっている資料1を御覧いただければと思います。1枚目に関して言いますと、昨年度までの経緯もまとめておりますので、簡単に御説明いたします。もともと当委員会に関して申し上げると、御案内のとおり、平成26年にベビーシッターを名乗る男による事案が発生し、それで立ち上げたものです。その際、マッチングサイトガイドラインなども御審議の上、策定していると思います。昨年度に関しては無償化を契機として、ベビーシッターの資格あるいは研修の基準を御審議いただきました。3つ目のマルが本日の主な話になると思います。今年度に入って報道もされておりますけれども、マッチングサイトを介したベビーシッターの利用に関連して、わいせつ行為による逮捕事案が2件ほど立て続けに発生しております。そちらがこれまでの経緯です。
2枚目を御覧ください。4月と6月にそれぞれ逮捕事案が発生し、今も捜査が続いているという状態です。ただ報道ベースなどでも、ある程度は事実関係が確定してきている部分もありますので、報道を受けて対応させていただいたというところもあります。これは2点ほど、小さいポツで示しております。1点目に関してはマッチングサイト運営者に対してのもので、ベビーシッターに対し、こういう事案が発生したという注意喚起を依頼いたしました。2点目は、ベビーシッターなどを利用するときの留意点です。下にありますように、ピンク色のチラシを作成して、今回配布したものに載せさせていただいております。
大きな10か条自体、もともと従来からありましたので、変更点だけ簡単に御説明いたします。マッチングサイトを通じて発生した事案なので、まずは1の「情報収集を」というところです。マッチングサイトを通じての利用の場合は、特に詳細に収集を行うという点です。2点目に「事前に面接」という部分があります。これも項目としては設けられていたもので、事前に面談を希望する場合には、事業者なり運営者なりのほうに申し出てくださいという内容です。3点目に関してももともとあった項目で、マッチングサイトを通じての利用の場合には、届出をしていることも再度確認するということです。
右側の7番に移ります。これは両者の契約になるかと思いますけれども、預けている間のチェックは、カメラで子どもの様子を見たいなどと保育者に伝えてもいいでしょう。そういう選択肢もあるということをお示ししております。主な変更点は以上です。

○松原委員長
それでは、これまでの対応に関して資料2、内閣府提出の資料について、内閣府より御説明をお願いいたします。

○内閣府
内閣府子ども子育て本部参事官の池上です。どうぞよろしくお願いいたします。内閣府においては厚生年金の適用事業所の従業員を対象に、ベビーシッター利用料の助成を実施しております。それが資料2の表題にある、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業というものです。それに関わる形で本件、ベビーシッター逮捕事案が発生しましたので、それへの対応状況について御報告いたします。囲みの緑色の部分、逮捕事案の概要については重複しますので、御説明は省略いたします。
内閣府の対応の所からです。まず①です。6月25日に実施要綱の改正を行いました。企業主導型ベビーシッター利用者支援事業については、全国保育サービス協会に実施団体として実施を頂いています。その協会にお示ししている実施要綱があり、その中で様々なルールを定めているのですけれども、その実施要綱の改正を行ったというものです。その内容は、今後に向けた対応としてベビーシッター事業者に対し、派遣ベビーシッターが乳幼児等への犯罪行為を行った場合の報告の義務付けを行いました。それから上記報告を踏まえ、状況によりますけれども、ベビーシッター事業者に対する認定の一時停止の措置を導入いたしました。これまでは認定の取消ししかなかったのですけれども、一時停止という措置も導入しました。
それから②の対応として7月13日に、マッチング型割引券等取扱事業者に対する要請を行いました。企業主導型ベビーシッターについては、2社がこのマッチング型に該当するのですけれども、その2社に対して要請を行っております。その内容が1番~5番まであります。1つ目が、初回利用時の保護者との面談を行ってくださいということです。それから、これは毎回になりますが、サービス提供時に保護者の要望をしっかり確認してくださいということです。2番目がベビーシッターサービス提供時の状況確認です。例えばWebカメラを設置するなどにより、保護者が様子を確認することについて同意をしていただきたいということで要請しました。3番目が、サービスに対する評価の実施及び開示をお願いしています。4番目が事故発生時の情報提供等、5番目がベビーシッターに対する指導監督基準の遵守の指導といった内容になっております。
3番目が実施要綱の改正です。これは近日行う予定です。上記要請及び対応状況を踏まえて、実施要綱の再度の改正を行う予定としております。その内容は②の1~3に重複いたしますけれども、初回の面談、保護者の要望の確認、ベビーシッターサービス提供中の状況確認、サービスに対する評価の実施及び開示となっています。内閣府からの御説明は以上です。

○松原委員長
今日はいろいろと議論をしていただく時間を後で取っておりますが、御説明に関して御質問等がありましたらいただきたいと思います。挙手をしていただきましたら私が指名いたしますので、指名を受けた委員はミュートを外して御発言を頂きたいと思います。いかがでしょうか。普光院さん、お願いします。

○普光院委員
資料2に関する御説明についてお聞きしたいと思います。実施要綱の改正の御説明をお聞きしたのですが、今回事件が起こったマッチングサイトの仕組みを見ますと、マッチングサイトを登録するときのフィルタリングが非常に甘いのです。例えば、オンライン説明会とか録画選考というのがあります。録画選考というのは、録画で面接をするということです。また、書類の審査はあるのですけれども、その後の動画研修と確認テストはインターネット上です。ロールプレイング研修というのもあるのですけれども、これもオンラインです。それから適性テストというのもあるのですけれども、これもオンラインです。
ほぼオンラインで登録ができてしまうというこの簡便さが、ある意味、いい面でもあるのですけれども、逆に非常に垣根が低いのです。そこで私どもで考えているのは、こういうように入りやすいということを認識して、犯罪の意図を持って登録されてくる登録者がいるのではないかということです。このマッチングサイトの登録時の手続について、何らかの制約と言うのですか、基準といったものを設ける御予定がないのかどうかということをお聞きしたいと思いました。

○内閣府
非常に重要な御指摘を頂いたと思っております。今回措置した内容は、今資料で御説明したとおりですけれども、もちろんこれで全て終わりとは考えておりません。今後、例えばこの場で皆様方からいただいた御意見やその他様々な状況を勘案し、更にどんなことができるかということについては、引き続きよく考えていきたいと考えております。

○松原委員長
普光院さん、よろしいですか。それに関連した発言は、資料3の後でお願いできると思います。それでは水嶋さん、どうぞお願いします。

○水嶋委員
資料2の上記報告を踏まえて、ベビーシッター事業者に対する認定の一時停止、6か月以内の措置の導入があったということは分かったのですが、この一時停止は、今度何をもって解除するのか、一時停止が終わった後はどうなっているのか、そういう方法は取られているのかということをお聞きいたします。

○内閣府
一時停止については事案の報告を頂いて、それにどのように対応したか、再発防止に向けてどのような対応を取ったのかということをしっかり見た上で、必要があればそういった措置まで進むことになります。一旦、一時停止になった後、どうすればまた再開できるのかというところですけれども、例えば期間が経てば自動的に再開できるものとは考えておりません。その間にしっかり事案の原因などを事業者としてよく掘り下げていただいて、それに対して効果的な措置を取っているかどうかをよく見ていきながら、停止措置を解除するかどうかを考えていくことになろうかと思います。

○松原委員長
よろしいですか。

○水嶋委員
はい、ありがとうございます。

○松原委員長
ほかにいかがでしょうか。
ほかになければ3に移ります。そこでいろいろな議論ができると思います。よろしいですか。それでは資料3の説明をお願いしたいと思います。

○事務局
厚生労働省です。資料3をお手元に御準備いただければと思います。資料3に関して申し上げると、今年度の専門委員会で御議論いただきたい論点の全体像を示したものです。上から順番に御説明いたします。
1が、ベビーシッターがわいせつ事案を起こした場合の更なる対応についてです。具体的には都道府県が現行の事業停止命令、若しくは閉鎖命令の発令の権限を有しております。また、今回の事案はベビーシッターが保育士資格も有しておりましたので、保育士登録の取消しという現行もありますけれども、こちらについて更に拡充できないかということです。2に関して申し上げると、そういった行政処分に係る情報を、データベースで掲載あるいは公開できないかと。そうすると論点としてはマルにありますとおり、掲載期間をどうするか、あるいは、公開上、どこまでの情報を載せるのかといった辺りが論点になろうかと思います。以上の1と2は、個人のベビーシッターに対する規制監督あるいは対応です。どちらかと言うと厳しいしっかりとした処分をして、それをもって抑止効果を働かせるといった効果を考えているところです。
1に関しては資料4がありますので、詳しい内容は後で御説明して御議論いただければと思いますけれども、3と4は第2回以降で具体的に御議論いただきたい内容です。3は先ほど当方より説明したマッチングサイトガイドラインです。マッチングサイトに関しては、今は法的な定めがなく、基本的にはガイドラインで遵守を求めています。それで適合している、あるいは適合していない事項に関して、厚生労働省のホームページで公開し、利用者に情報提供をするという仕組みになっています。こちらのほうで更に改善すべき点、変えていただくべき点がないかと考えているところです。先ほど普光院委員より御発言がありましたが、事前チェックと言いますか、事前登録の強化を求めるのであれば、どういったことが考えられるだろうかという点も、論点としてあろうかと思います。
4に関しては、いささか色彩が異なるかもしれませんけれども、研修についてです。こちらは昨年度御審議いただいたベビーシッターの指導監督基準において、宿題と言いますか、最後に論点として残っていたところです。こちらは都道府県が行う研修や市町村が行う研修を設定いただいたところですけれども、事業者が行う研修に関して、最終的な結論を一旦、宿題といった形で事務局のほうに負っておりました。そちらに関してこちらのほうで検討し、それを御審議いただきたいと思っております。
そしてその他というのがあります。1と2以外に現行の法令の中で取り得る手段ということで、こちらのほうで考えていたものです。恐らく幅広い御議論を頂ければ、そこからはみ出すと言いますか、更に踏み込むべきだろうといった御意見もあろうかと思いますので、御準備させていただいているところです。論点と全体像は以上です。

○松原委員長
大きくは4つの柱が立ち、更にいろいろな論点が出てくるのではないかということで、一応、5に準備的に例示がされております。まず中身に入る前に柱の立て方ということで、この柱を立てて次回以降、今期の議論をすべきではないかという御意見があれば伺いたいと思います。いかがですか。普光院委員、どうぞ。

○普光院委員
では、ここで私が委員提出資料として提出している資料5の御説明をさせていただき、私からの提案等もさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○松原委員長
5分、10分程度なら結構です。なるべく手短に。

○普光院委員
分かりました。DBSという制度について資料を作ってきました。これはイギリスの制度で、既に御存じの方も多いかもしれません。今回の検討内容に非常に重要な示唆を含んでいると思いますので、簡単に説明させていただきたいと思います。
イギリスのDBSというのは開示と排除の制度、日本では「無犯罪証明書」と呼ばれています。イギリスのみならず、先進国にはこのような制度を持っている所がたくさんあります。子どもや高齢者など、弱者に関わる仕事に就く人にこの証明を提出することを求める制度です。ポチの1個目ですけれども、イギリスでは、学校、保育施設、チャイルドマインダーなど、一部の例外を除くほとんどの子ども関連施設・事業について、OFSTED、監査機関のようなものに登録することが義務化されています。その登録の際に、DBSの証明書の提出が求められます。雇用者は、職員雇用の際に、それぞれの個人に対してDBSの提出を求めて受けることになっいます。
ここに証明書の申請サイトを載せています。職業によって必要とされるDBSのタイプは異なっており、それによって犯歴照会の範囲なども違っているということで、そのサイトを紹介しております。ここのページで示されている職業群は、「ヘルスケア又は病院で働く」「18歳未満の子どもの世話又は子どもを対象とする仕事、又は学校での仕事」「高齢者、病気又は障害のある成人を対象とする仕事」「どれでもない」というようになっています。「どれでもない」を選ぶと、あなたは必要ないということになるわけです。
この制度には通報の制度もあり、DBSのチェックでは確定した犯罪のみならず、子どもや弱者である大人を対象とする仕事には、不適切と考えられる行動に関する通報も記録されます。雇用主は次のような事実はDBSに通報しなければならないとされています。誰かを傷付けたことを理由にして解雇した場合、誰かを傷付ける可能性があるために解雇したり配置替えをした場合、これらの理由で解雇しようとしていたが、本人が辞職した場合なども通報しなければなりません。このような犯罪歴などの記録の開示は、先ほど挙がっていたような特定の職業に就く場合に求められるものであり、誰でも犯歴のある人が開示しなければならないというわけではないのです。犯歴のある者が特定の職業に就こうとする場合に求められます。逆にその他の職業について社会復帰をする場合には、こういった犯歴を開示する必要がないということが、政府から説明されています。有罪判決に続くリハビリ期間を過ぎれば、自らの犯歴を開示する必要はないと説明されています。
日本にはこのような制度はありませんけれども、制度のある国で働いている日本人が必要があって請求した場合には、外務省設置法によって無犯罪証明書が発行されています。また、児童福祉法では禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなるまでの者は、里親・養子縁組里親になることはできないという定めもあります。保育士資格については2年を経過すれば、再取得できることになっています。教員については3年を経過すれば再取得できることになっています。この再取得できる年数が、非常に短いと思うのです。ちょっと制度が古いのではないかと思っております。
このような制度を説明したのは、かなり厳しめのように見えるのですけれども、これを求めるのは、あくまでも子どもや障害を持つ大人など、自分で自分を守る力が弱い弱者を対象とする職業に就く場合に限られています。あくまでも子どもや弱者の人権を守るための制度だと御理解いただきたいと思います。この委員会が設けられるきっかけとなった2014年の事件や、今回問題となっているわいせつ事件などを振り返っても、非常に残念なことに、子どもはいとも簡単に大人によって人権を侵害されてしまうという事実があります。日本では保育者やシッター、教員によるわいせつ事件が少なくないし、再犯率も高いと言われています。このDBSのような制度は、職業選択の権利を侵害するという意見があるようですけれども、アルコールやドラッグの依存症がある人は、警備業や自動車を運転する職業に就けないことが、日本では既に法律で定められています。一般市民を守るために、職業を制限する法律は既にあるわけです。
これからこの委員会で検討することが予定されている事項に、DBSは含まれていませんけれども、私はDBS制度を設けることが、解決の近道だと考えております。また、仮にそこまで至らなくても、今回の検討にDBSの在り方を参考にすることで、子どもの人権を守ることができるのではないか、近づけるのではないかと思います。子どもの人権を守ることは大人の責任であるということを、この委員会の共通認識として、今後検討を進めていただければいいと思っております。

○松原委員長
ありがとうございました。先ほど事務局からも一言あったのですが、普光院さんが示してくださった資料5というのは、今日の資料3で言うと、2の1つ目のマルと5番の欠格事由の是非に関わる議論になりますか。

○普光院委員
はい、そうですね。個人の権利と行政処分のバランスというのは常に問われていて、恐らく今後の事業停止命令にしろ、保育士登録の取消しに関する手続にしろ、又は情報公開のことにしても、常に個人の権利や職業選択の自由が引っ掛かってくる議論になるとは思うのですけれども、やはり子どもという弱者を守るためには、リスクがあるのであれば、それは積極的に排除していかなくてはいけないのではないかということで、御参考のためにこの制度の説明をさせていただきました。

○松原委員長
ありがとうございます。それでは普光院さんの御発言に関してでもいいですし、新たな論点として、こういうことがあるということでも結構です。今、松田委員が手を挙げていらっしゃいましたか。

○松田委員
私は別の視点なので、普光院委員の意見に対して何か御意見があれば、それを先にやってください。

○松原委員長
では尾木委員、普光院委員の発言に関連してということでよろしいですか。

○尾木委員
はい。先ほど御紹介いただいたイギリスの制度についてです。私もこういった制度を入れることは必要だと思っています。ただ、今はこういった仕組みがない日本で、この制度を一足飛びにここに到達させることはできないのではないかと思うのです。参考になるのは、本人が証明を取得してそれを開示する、見せるということです。ほかの誰かが調べようとするのではなく、本人が自分の無犯罪の証明を取って、それをこれから登録したい事業者、あるいは個人事業主の場合は利用者に見せることができる仕組みを入れることができれば、本人の情報開示請求であれば、今問題になっている個人情報保護や人権問題というのは、もう少しクリアできるのではないかと思っています。
もう1点は、その他の所に入るかと思いますけれども、個人でベビーシッターの仕事をしている方は、都道府県に届出をしています。事業者で所属している方には、そういう届出制がありません。個人でベビーシッターをしている方が事業者に登録したり、あるいはその逆もあると思うのですが、事業者で働いていた人が個人で働くことになったときに、最後まで追えるのかということです。何らかの犯歴がある人がいろいろと業態を変えることによって、その人の記録がどこかで途絶えてしまうのではないかという懸念があります。ですから、例えば保育士登録と同様に、ベビーシッターについても登録制を設けて、研修を受講済みなのか、保育士なのか、無償化の対象となるのか、割引券の対象の保育者なのかということをちゃんと整理した、ベビーシッター独自の名簿やリストを作ることによって、より確認しやすくなるのではないかと考えます。

○松原委員長
児童福祉法関係は厚労省のほうで確認していただいて、この場で述べますか。それとも後ほどにしますか。

○事務局
後ほど担当のほうにも確認して。

○松原委員長
では後日、資料等で教えていただければと思います。

○事務局
お送りし、あるいはホームページに載せるということにしたいと思います。

○松原委員長
あとは普光院委員の御発言に触発されて、ベビーシッター個人による利用者への開示の方法と、ベビーシッターの登録制の提案がされました。別の観点が出て少し重なるので、松田委員、どうぞ。

○松田委員
今回の事件は非常に由々しきことであり、こうしたことが起こらないように、いろいろな措置を取っておくことが必要であると思います。その上で資料3についての意見です。最初に松原委員長から、この立て付けについて何か意見がありますかというお話があったと思うので、立て付けについての私の意見です。こうした犯罪、特に性犯罪の問題の対応を考えるときは、再発を防止するということです。つまり同じ事業者だけではなく、この業界としての再発を防止するという方向と、発生したときにどう対応するか、厳しく対応するか、この2つの立て付けが必要ではないかと思います。
ところが今の議論の方向性を見ますと、その2つが我々には明示的に見えないような気がします。1と2が恐らく後者であり、3と4がひょっとして再発を防止するという前のものかもしれません。そうであれば、そのように見えるように立て付けをしたほうがいいのではないでしょうか。なぜそう言うかというと、そのほかにも取り得る方法があるかもしれないからです。様々な委員の専門の知見がありますので、再発を防止するということと、発生したときにどう対応して厳しくするか、この業者や人がもう1回再発しないようにするかという、この2つの視点を立てて明示した上で、議論を整理されたほうがよいかと思います。これが私の意見です。

○松原委員長
大切な御意見だと思います。そのことに触発されて、これは私の委員としての発言になるのですが、再発予防と言うよりも、むしろ基本的にはまずは発生防止があると思うのです。それで事故や事件が起きたときの対応の問題があって、3番目に再発予防ということで推移していくのではないかという気が、個人としてはしております。観点が全く変わっても結構ですので、ほかに御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
では、行きつ戻りつでも構わないと思いますので、資料が準備されておりますから、一旦資料4の説明をお願いできますか。

○事務局
資料4「ベビーシッターがわいせつ事案等を起こした場合の更なる対応」いう資料をおめくりください。まず1ページのグレーの項目と矢印が付いた資料で、全体像を説明したいと思います。こちらは、先ほど論点1と2で御説明したものをまとめたものです。全体の流れを上から順番に御説明いたします。まず一番上ですが、ベビーシッターによる犯罪行為等としております。今回はわいせつ事案でしたが、そういった事案が発生すると。赤字部分がアクションとして取り得る内容を書いているところです。こちらは現在も、もともと認可外保育施設の一覧、ベビーシッターも含めてデータベースの構築を進めているところです。事案が発生した場合に、その事案の概要を当該データベースに載せられないだろうかということで、まずはファーストステップとして行政間での情報共有を図ることを考えております。
次に、矢印が下に行って、恐らく事案が発生したならば、点線で囲んでおりますが、こちらは警察、検察ですけれども、捜査が進み、やがて事実関係の確定する日が来ると思います。事実関係が確定したところで、下の矢印にありますが、事業の停止命令あるいは閉鎖命令を出せないかということです。事業の停止命令というのは、一定の期間を定めて都道府県、指定都市、それから中核市が事業の停止を命ずると。閉鎖命令のほうは年限の区切りはありません。廃止届というのは行政処分ではなくて、ベビーシッター側が出してくるといった形になります。右側の部分は保育士の登録、これは保育士資格を持っていた場合に限っての話になりますが、保育士登録を取り消すということです。これらは行政の起こすアクションなのですが、その下にこれらの行政処分の事実関係を当該データベース、今までは行政しか見られなかったものを一般に公開するといった内容を考えております。
2ページと3ページで、今申し上げた部分を文字に書いております。何点か補足的に御説明いたします。一番上のマルですが、現行の法令上の前提条件として御説明いたしますと、児童福祉法でベビーシッターも一般の認可外保育施設も、事業停止命令・閉鎖命令の対象には今のところもなっております。一方で、個人のベビーシッターに対しては、法令上はありますが、実際に発動されたりという実例はありません。施設では過去に幾つかあります。中央で書いておりますとおり、施設内で施設の長がわいせつ行為等を行ったものとか、あるいは再三の指導にも従わないなど、言ってみれば悪質な事案について対応しているというのがあります。
2つ目の部分ですが、保育士登録の取消しという所です。こちらに関連して申し上げると、現行も保育士資格に関しては、欠格事由が設けられております。欠格事由に該当した場合は、都道府県が保育士登録の取消しを行うという法令上の立て付けになっております。取消しは行うのですが、前提条件として都道府県が情報を確認しなければそういったアクションは起こせませんので、認可の保育所等から都道府県に、うちの保育士でこういう話があったという報告を上げていただいて、その上で都道府県が実際にアクションを起こしているという状況なのですけれども、報告する側の主体に届出をしているベビーシッター事業者とか、マッチングサイトの運営者からも情報を都道府県に報告いただけるようにできないかということです。
3ページは、先ほど申し上げた内容なのですが、補足的に申し上げると、データベースは今も都道府県の間では見られる状態になっておりますが、一般の入力作業を進めているところですので、まだ一般の方々は見ることはできないという状況です。矢印の1つ目の部分は、御説明した内容ですので割愛いたします。2つ目の注意書き部分は、いろいろな項目がありますので、後で参考資料で実際のイメージ図も付けておりますが、「備考」欄という自由記述欄があります。こちらに誰々に行政処分を行ったとか、そういった情報を記載いただいて見られるようにするということをイメージしております。
3つ目の矢印ですが、委員から法人のベビーシッター事業者と個人のベビーシッターと行き来できるのではないかという話がありました。行政処分に関して言うと、個人のベビーシッターも法人のベビーシッター事業者も共に対象にはなっておりますが、一方で法人のベビーシッター事業者のうち、1人がわいせつ行為を行ったときに果たして事業者全体に行政処分を科すのかというと、なかなかそうはいかない場合も多いのではないかと思います。
施設でも、1人の保育士が何か事案を起こしたときに、施設全体に一気に事業停止命令とか閉鎖命令までいくといった事例は、それほどないのではないかと思います。そうすると何ができるだろうかということで書いているものですが、事業者の協力が必要になりますし、また法的な部分の詰めも必要になるとは思いますけれども、事案が発生したときに事業者から当該ベビーシッターの情報を自治体に提供いただいて、それを自治体の間で共有できないかというところです。
以上が流れですが、続けて4ページ以降に個別の課題を書かせていただいておりますので、御説明いたします。4ページの真ん中部分に課題があります。今まで御説明した内容を、たたき台という名称で書かせていただいております。まず、事務局としてこれを実際にやるといった場合に考えられる課題は、大きく3つあるかなと思っております。1つは、行政処分を行う範囲です。すなわち、事案としてはわいせつ事案が念頭にありますが、ほかの犯罪行為も対象になり得るかと思います。一方で、あくまでも児童の福祉に関する行政処分というのが法定されているものですから、余りにも幅広い、例えば事務局で考えておりますのは、児童と関わらない範囲で飲酒運転を行ったとか、そういった犯罪行為にまで適用するのはできないだろうと思っています。いずれにしても、そういった対象をある程度こちらでルール化しておくことが、都道府県が実際に発動するに当たって必要になると思っております。
2つ目は、手順と対応についてと書かせていただいているのですが、先ほどのフロー図では、極めて典型的に逮捕され、拘留され、事実関係が確定したとシンプルに書いておりますが、実際は、特にわいせつ行為の場合ですと親告罪ですから、被害届が取り下げられる場合等もあると思います。そういったときに、いろいろなパターンが考えられる中で、いつどういった手順をやるのかというのを検討する必要があると思います。
更に申し上げるなら、ちょっと実務的になりますが、通常こうした行政処分を行うときは、弁明の機会を付与し、また都道府県等の児童福祉審議会の意見を聴取するといった手順が必要になります。ただ、特に身柄が拘束されている場合には、そういった通常に取る手続が、普通のようにスムーズにはいかないと思います。そういった場合に、どういった手順で行うのかというのをしっかり詰める必要があると思っております。
3つ目のマルですが、仮に行政処分を受けたとしてもあくまで届出制で、子どもを預かるという行為自体に制限がかかっているわけではありませんので、再度届出を行い、また預かりを行うといったことを想定していかなければならないと思っております。通常、ベビーシッターに関しては、児童の居宅で預かりを行っておりますので立入調査を行いません。一般の施設であれば、そういった処分を下された施設の管理者がまた対応しているという場合には、重点的に立入調査をし、そこで改善指導なり改善勧告を出しというステップを通常は踏むものだと思いますが、そういった対応は取り難いと。一方で、対応・指導監督というのをやっていく必要がありますので、そういった課題が出てくるかなと考えております。この論点は後でも登場しますので、御説明いたします。
5ページは、矢印等が付いているカラフルなものですが、先ほど口頭でちょっと御説明した保育士の登録取消しについてのフロー図を示しております。現在、考えておりますのが赤い字で囲んだ「など」に「案」と書いておりますが、今は真ん中にある「保育所など」から右の「都道府県」に報告していただいているところなのですけれども、この範囲を広げると。そうすると、実際にアクションを起こすのは都道府県になります。都道府県が、一番下に⑤と書いておりますが、経歴に関する情報を市区町村に照会したりすると。登録を取り消すというアクションを起こすためには、どういった事業者から報告を頂くのか、あるいは報告すべき事項というのをどういうものにするのかというのを決めないと、実質的に都道府県のほうでワークする仕組みにはなり得ないのかなと考えます。
6ページです。恐らく最も論点が多くなろうかとは思いますが、一番上の「行政処分を受けた場合の情報の公開の範囲」です。1つ目の小さいポツと2つ目の小さいポツをまとめて御説明いたします。一番上のポツは、事業停止命令・閉鎖命令を受けたということを、都道府県間の共有にとどめて一般に公開される範囲から消しておくかと。イメージで申し上げると、仮の話としてヤマダタロウさんがA県で処分を受けたといったときに、そもそもヤマダタロウさんという人の情報を消して見えないようにしてしまうというのが1つ目の案です。「または」以降は、そうではなくてヤマダタロウさんという表示は残しておきつつ、ヤマダタロウさんが行政処分を受けたという備考欄に書いた情報が付いた状態で公開するということです。どちらもプラスマイナスはあろうかと思います。恐らく1つ目のポツのほうは、利用者の目線から分かりやすい形にはなるというところはいいのかなと思います。
他方で、先ほどちょっと申し上げたとおり、再度届出をする、特に、引っ越してほかの自治体で届出をするとかといった場合が考えられますから、そうした場合に、A県ではヤマダタロウは消えていると。ところがB県で復活していると。ところが、そこにはヤマダタロウというそれだけの情報が載っていて、一般人からは何があったか分からない可能性があります。そういった点でいうと、2つ目のポツできちんと情報を掲載しておいたほうが見えるのではないかという点は利点です。
3つ目のポツは、公開する場合、どこまでの範囲にするかというところです。行政処分を受けた事実というのは、今の例で申し上げるならば、ヤマダタロウさんにいつ事業停止命令あるいは閉鎖命令が出たという事実だけです。理由というのは、どういう事案があって、これこれの理由によりこういう処分をしたという理由部分までも含めていいものなのだろうかというところです。
2つ目の大きいマルですが、これは事案の発生時の話です。我々のほうでお示しした案では、事案が発生したときに、まずは行政間で共有するとしておりますが、恐らく実際に当該ベビーシッターを雇用あるいはマッチングしているのは、事業者やマッチングサイト運営者であると思います。そういったところにまで共有するべきなのかどうなのか、あるいは、できるのかどうなのかといったところです。もちろん、できたほうが利用者目線で申し上げるならばいい部分はあろうかと思いますが、一方でハードルも出てくるかと思っております。
3つ目のマルは、データベースに載せる情報の掲載期間の話です。掲載期間をどのように設定するか、いつまでも載せ続けるものなのか、あるいは一定の期間を区切って掲載するのかといったところです。「また」以下は、掲載期間を設定したとしたならば、行政間と利用者とで分ける必要があるだろうと、分けるのであれば、それぞれどのように設定するかということを詰めなければならない課題だと思います。
4つ目のマルは、先ほど少し行政処分のタイミングで御説明した内容と重複いたしますが、再度届出を行ってもう一度預かりをしているということを想定しなければなりません。その場合に、過去に行政処分を受けたという歴を掲載するか否か、また、それはできるのかというところです。一応、補足的に法令的に申し上げると、現行上は過去に行政処分を受けたといった内容を特段届け出たりとか、そういったのは義務付けにはなっておりませんので、恐らく義務付けになっていない情報を掲載し、あるいは公表しというのは、普通はちょっと考えられないので、何かしら決める必要があるのではないかと思います。届出の場合は、細かい事項は省令で規定し、更にその様式を通知でお示しするといったのが法令上の立て付けになっております。
実際のデータベースの部分は、画面を御覧いただいたほうがイメージが湧くかと思いましたので、7ページに掲載させていただいております。これはまだ一般には見られないのですが、ここで都道府県等のほうで入力作業を行っていただいているという状態です。この一番下の④で赤囲みにしているのですが、ここが「備考」欄です。指導監督の実績の部分で、ここに行政処分を受けたといった情報を記載し、見られるようにするといったことをイメージしているというところです。8ページは細かいので割愛させていただきますが、実際にデータベースに掲載する項目と、入力する項目とそれを公表するのかどうなのかというところです。
事務局の説明としては以上です。先ほど御説明したうち条文に関しては、9ページ以降に参考資料ということで掲載させていただいております。

○松原委員長
このことに関わって、今日、重点的に議論しなければいけないですし、関連して次回以降、議論すべき課題も見えてくるのではないかと思います。御自由に御発言あるいは御質問があればそれも受け付けたいと思いますが、いかがでしょうか。吉田委員、どうぞ。

○吉田委員
内閣府の対応として、ベビーシッター事業者に6か月以内の一時停止をするという件で、解除については、例えば第三者委員会等を設置するなどして、一定の基準をしっかりクリアした者に対して解除するというところの基準を設けたほうがいいのではないかなと思いました。それに関連してなのですが、今回の厚労省側の制度に対しても、同じような形をマッチングサイトの事業者に対して設けるべきなのではないかなと、感じたところです。以上です。

○松原委員長
では、内閣府からお願いいたします。

○内閣府
御意見ありがとうございます。一時停止の解除の判断の仕方については、まだ詳細が決まっていないところがありますので、頂いた御意見も参考にしながら考えていきたいと思っています。どうもありがとうございました。

○松原委員長
普光院委員、手を挙げていらっしゃいましたね。どうぞ。

○普光院委員
たくさんいろいろなことがあるのですが、一つ全体を通して感じたのは、今ほど委員がおっしゃったように、これは事業者での把握なのか個人としての把握なのかというところで、かなりいろいろなことが変わってくるなと。今の立て付けはつまり、例えば事業停止命令や閉鎖命令なども、個人事業の事業に対する行政処分になるわけですね。行政処分だから事業に対するものになるのでしょうけれども、そうすると先ほど来出ていますように、その事業を命令を受けて一旦停止する。しかし、個人ですのですぐに再開するということもできてしまうわけで、事業に対する行政処分であると個人が再開するとまた届け出た、あるいは別の自治体に届け出たということを、恐らく法律的には止めることができないということですよね。利用者の感覚からすると、問題を起こしたシッターが別の自治体あるいは同じ自治体でも、すぐに事業を再開して、それに対して行政がその届出は受理しないと言うことができない仕組みになるとすると、非常に疑問があるなと思います。
行政処分の範囲ということもちょっと出ていましたが、当然、道路交通法違反とかではなくて虐待事例、わいせつ事件のような犯罪、殺人事件もありましたけれども、保育者としてはあってはならない大きな過失があったり、あるいは、私はこういうことをやってほしいと思っているのですが、保護者から苦情があったと。これに対して監査部門が調査を行う、出頭命令を出す、調査を行う。確認して、確かに非常に深刻な出来事が起こっているということを確認できれば、これも対象になるのではないかなと思っています。
一つ確認なのですが、そういった範囲で行政処分が行われた後の実効性というのが、事業再開ができるのだということなのですよね。それから、そういった人たちが事業を再開した場合の情報開示で利用者の安全を守るということを考えているわけですが、これも個人のデータなのか事業のデータなのかによってもちょっと違うのかなと思っています。もし事業を再開できるということになれば、当然、個人事業の場合は個人の方を特定して、利用者が行政処分のあった事実を知り得るようにしておかないと、データベースで安全確認するということの意味がすごく薄れてしまうなと。実名でヤマダタロウさんという方がそういうことがあったということであれば、利用者がそれを検索すればどこの自治体にいても届けられていて確認できて、しかも、過去に履歴があれば見ることができるというようになっていないと、利用者の安全は確保できないのではないかと思っています。そして、そのデータベースの有効期間はかなり長くないといけないのではないかと思っています。一応ここまでにしておきます。

○松原委員長
事務局、何かありますか。

○事務局
行政処分の効力について、状況を含めて御説明いたします。おっしゃるとおりで、もともと事業停止命令・閉鎖命令については、児童福祉法が出来たときから事業停止命令の規定はあるのですが、もともとは施設に対しての規定でした。そこに後からベビーシッターが対象になっているということです。であるからこそ、今まで発動されたことがなかったのだと思います。効力の部分は我々も法制的に詰めを行っているところもありますので、いささかペンディングが付いた状態での御説明になりますが、今までのところ調べている範ちゅうで申し上げるならば、事業停止命令なりというのは実際に保育している行為自体にも及んでいると思います。
ただし、不明点なのが名義を変えて行った場合どうなるのだろうかということと、その効力が果たして広域的に有効なのか、つまり、A県からB県に移った場合に有効なのかといった部分が正直に申し上げると課題になっています。施設であれば、普通はその場所でやっておりますので当該A県に縛られるのですが、ベビーシッターの場合は複数にまたがっているわけです。そういった場合も含めて、果たしてどこまで効力があるのかというのは最終的な詰めを行っているところですが、恐らく一定の限界はある可能性があるものだと思っています。ちょっと不確かな部分もありますが、以上です。

○松原委員長
長崎委員、お願いいたします。その後、松田委員で、長崎委員からどうぞ。

○長崎委員
全国保育サービス協会の長崎です。よろしくお願いいたします。先ほど尾木委員や普光院委員がおっしゃったように、このデータベースにしても事業者に登録しているシッターと、個人のシッターとをどう表示していくのか。事業者単位でデータベースに登録するのであれば、その事業者に所属しているシッターについてはどうなるのか。今現在であれば登録数が何人で、その中の有資格者が何人でという人数だけの表記になるのではないかと思います。
シッターが犯してしまう犯罪行為については、協会としては未然に防ぐための方法を模索していこうと思っています。もし所属しているシッターが犯罪を犯したとしたら、今回のようなわいせつ事件というのは非常に見えづらい、分かりづらいことだったとも思います。言い方は悪いですけれども、ある意味事業者も多少は被害者になる部分があるかもしれません。そのシッターの人となりを見抜けずに採用してしまったということもあるかもしれませんので、そういう部分も全く排除できないと思います。しかしながら、事業者がそのシッターに対しての面接をおろそかにしていたとか、そのシッターの背景などを著しく確認していなかったとか、著しく指導監督や管理をしていなかったということになると、事業所に対する処分ということも起こってくると思います。
ですので、先ほど尾木委員がおっしゃったように、まずはシッター個人がどういう資格を持っていて、ベビーシッターの資格要件も示され有資格者や研修の修了者でないと仕事ができなくなっていく方向になっていますから、まずは個人での何かしらの登録制というのをして、それを見て事業者も安心して採用できる、個人で活動する方は、個人事業主として登録するという方向が今のところは分かりやすいのではないかなと思います。以上です。

○松原委員長
ほかにいかがでしょうか。松田委員、その後、尾木委員、お願いいたします。

○松田委員
松田です。今の長崎委員の御発言に私も同感いたします。その上で、今、資料4で議論されている所は、幾つか慎重を要する部分がかなりあるように思いました。もちろん大事な話で何らかの措置は必要ですけれども、非常に難しいところがあるのではないかと。幾つか申し上げた後に、では、どうしたらという話を私も言いたいと思います。
まず、資料4の4ページからですが、細かく言っていきますと、まず「たたき台」に対する課題として、範囲の設定の問題、これは、今、厚労省様から御説明を頂いたとおりですが、やはりここは非常に慎重な議論が必要かと思いました。性犯罪と暴力というのは議論の余地がないですけれども、預かり以外の場面での犯罪を含むか含まないか。あと、過去の犯罪をどうするかですね。過去の犯罪も登録し続けるとなると、今の我々の社会は過去の犯罪から更生させるという方向の議論と全く違う方向になってしまう可能性もあるなど、あと、飲酒運転は全然違うと私も思いますけれども、この範囲の設定は少し慎重を要すると思います。それは、今回の事案以外にも影響を与えてしまう。
次に、手順と対応についても、特に性犯罪、今回の問題も難しいと思いますけれども、逮捕されたらそれが起訴されるかどうか分からないところがあります。また、起訴されたとしても冤罪である可能性もある。本人が否認した場合、最高裁までいって、確定してどうするかという判断もあります。どこの段階でと、これは行政として対応するには慎重な部分があるかと思いました。その一方で、再度届け出る問題については、ここは何か命令で効力が発生させることができるのであれば、再度、届出はすぐ止めてしまうと、それはありだと思います。
6ページに関しては、説明をお聞きしていて思いましたが、まず、6ページの行政処分を受けた場合の情報の公開の範囲の1つ目のポツですが、これは今、厚労省様、内閣府様と、この担当の部局様で完結できる話だと思うのです。しかし、2つ目のポツや3つ目のポツの一般に公開するかとなると影響がベビーシッターや保育の問題を超えて、社会にインパクトを与えてしまう可能性があると思います。それは、一般に公開するというのは、ほかの、では業界でこうした処分を受けたので、というリストがあるかと。例えば学校の問題もありますよね。学校でも、やはり性犯罪は起きている可能性があるわけですけれども、そうしたものを、同じようにどんどん公開していく必要があるかという議論にもつながりますから、我々の議論の範囲を超えてしまうような気がします。
最後ですけれども、お聞きしていて、一番最初の私の資料3での発言に戻りますが、立て付けの問題があるような気がいたします。松原先生がおっしゃったように、この問題は、やはり発生を防止する、とにかく。次に発生したときにどう対応するかということと、再発を防止するという、二本か、三本立てでしっかりやったほうがいいと思います。そして、今、これを一生懸命やっているのですけれども、資料4の議論は発生を防げないと思います。つまり、発生して、明らかになって、そのときに再発をどうしますか、罰をどうしますかなので、ですから、発生防止のほうにもっと力を入れるということが大事なのかと思います。一生懸命、これを厳しくする方向ですけれども、今度、事業者様を萎縮させてしまう可能性があります。次回以降、恐らく発生防止の議論があると思いますが、発生防止は、もう少しいろいろな方法があるのではないか。
例えば、事前に私、申し上げておくと、次回以降で議論すると思いますが、例えば保育士の資格取得の研修の段階でこういうことを学び、良くしていくということが、もっと強くするという方法があると思いますし、また、マッチングサイトは、先ほど議論がありましたとおり、登録時での対面での面接をもう少し推奨する、これは普光院委員が、確かおっしゃったと思います。そのほかは、やはり犯罪の機会を減らすということで、これは事業者様と、業界様として何らかの方法を得る、取るとか、発生を防止するということが必要です。
もう一個だけ言うと、結局、こういう密室での犯罪は我々が見えているのは、多分、氷山の一角だと思います。ですので、これ、全体をできるだけ少なくするというのが大事かなと思いました。以上です。ごめんなさい、長くなりました。

○松原委員長
ありがとうございます。私も松田委員の御意見は非常に貴重だと思います。尾木委員、どうぞ。

○尾木委員
まず、情報収集の対象でベビーシッター事業者にも広げるというところで、そのときに、明らかな犯罪行為を報告するようにするのか、逮捕されたとか、あるいはその子どもにとって不適切な行為があった、あるいは疑われる。例えば、虐待の疑いみたいなところで報告をするのか、その範囲というのが、1つ、ちょっと難しいかなと思いました。
それから、やはり一般に何でもかんでも公開するというのはかなり難しいというか、いろいろ弊害もあると思いますので、私は先ほど申し上げましたように、本人が請求する、そして、そこに犯歴がなければいいわけです。犯歴がないという証明をもって、それをマッチングサイト事業者あるいはベビーシッター事業者に登録する際に見せる。あるいは利用者から要望があったときに見せられるようなもの、届出制の仕組みを使った上で、この1年間の間にこういう研修を受けているとか、何かそういうことまで併せて見られるような書式のものを、発行できるような仕組みというのは考えられないのかなと思っています。取りあえず、以上です。

○松原委員長
ありがとうございます。情報公開については私も懸念があって、行政処分を受けた人の記録を利用者が見れるという立て付けにしてしまうと、場合によっては誰でも見ることができるのではないかという懸念を持ちます。そうすると、犯歴が一般公開されてしまうという、状況が生じてしまう危険性はあるかと思います。今、言ったように、そういうものがないという証明の公開であれば、私は有効かなと思いますけれども。ほかはいかがでしょうか。では、多田委員どうぞ。

○多田委員
東京都の多田です。聞こえていますでしょうか。

○松原委員長
はい。

○多田委員
行政側の立場で、1、2、3について簡単にお話させていただきます。
1点目の事業停止命令等の所です。たたき台に関する課題のとおり、1番目のこの範囲ですが、ここのところは、やはり慎重な検討が必要なのかと思います。子どもに関する犯罪と保育現場での犯罪、ここのところは必須だと思いますけれども、そこからどこまで広げるかというのは、非常に慎重な検討が必要かなと思います。
2番目の手順と対応ですが、分かりやすいのは実刑判決が確定した場合、ここのところについては行政処分等をするというのは事実確認、また、手続的にも簡単かと思いますけれども、その他の部分ですが、起訴猶予処分とか、被害届取下げになった場合は事実確認自体が正直できないということになりますので、これについて行政処分というのは事実上不可能かなと。できたとしても行政間での情報共有。ただ、事実が曖昧なものについて情報共有するというものについてはかなり課題が、問題があるのかなと思います。
3番目、再度の届出の件ですが、これは3点目のマルの4番目の所にも関わりますけれども、先ほど事務局の方から説明がありましたが、そもそも児童福祉法上の解釈のところを、はっきりさせた上で考え、意見を言いたいと思います。今、認可外保育施設の届出ということで、A事業所が、ある場所に認可外保育施設を作りました、設置届出です。それを別の所に引っ越しすると、廃止届出という手続になるわけですが、今回、個人のベビーシッターの場合ですが、個人として届け出たものについては、もし、一度廃止して届け出するというのは、これは法的に同一人格のものなのか、別人格なものなのか、そこのところを法的解釈を、はっきりしていただきたいと思います。その上で、どういう対応が……というのを考えなければいけないのかと思います。
3点目の2番目のマッチングサイト事業者からの事故等の報告の件ですが、これを求める場合、どういった根拠で届出を求めるのか。最初の話ですと、マッチングサイト事業者に対する指導監督の権限はないということですので、そこのところについて法令上の権限を持って報告を求めるのか、また、通知文のような形で協力を求めるという形で求めるのか、そこのところも制度設計としては必要かと思います。
3番目の行政処分等のデータベース等、情報共有の件です。まず、行政処分ですが、東京都では公開しています。プレス発表しておりますので、1件1件の事案自体は公開しています。あとはそれをデータベース化するかとか、その辺りは一定のルール化、行政間で統一したルール化というのは必要かなと思います。私からの意見は以上となります。

○松原委員長
ありがとうございます。普光院委員、手を挙げていらっしゃいましたか。

○普光院委員
今まで出た御意見に対する感想になってしまうのですが、利用者に対してリスクがあるということをどうやって知らせるかということを考えれば考えるほど、やはり個人単位ではなくてはならず、また、それも、できればDBSに近づけたような形ですよね。先ほど尾木委員がおっしゃったように、その証明を取ってくる。だから、その証明を常に新しく取るという形にしなければいけないのですけれども、行政処分を受けたことありません、ここ何年間ありませんというような証明、犯歴もありませんという証明を、利用者が要求するたびに最新のものを提出しなければいけないみたいな、そういった仕組みにしないと、利用者を守るというところがクリアできないのではないかという感想を持ちました。つまり、個人情報をどこまで、誰でも見れる形にしていいのかという話になるのであれば、やはりそういうようにせざるを得ないのかなという感想を持ちました。以上です。

○松原委員長
ほかの委員の方はいかがでしょうか。吉田委員、お願いします。

○吉田委員
今回のたたき台については、先ほど松田先生がおっしゃったような形で、例えば罪について本人が認めている場合は、多分、話が早いと思いますが、ずっと否認し続ける場合はどうしたらいいのかという、場合によっては、お話がありましたけれども、冤罪の可能性も当然あるわけで、そういった場合の最終的に、仮に先に起訴された段階で処分をして、結果、冤罪になりました、という可能性は当然、推定無罪なので、あるわけです。そこを多分、可能性をしっかり見極めつつ、対応の方針を決めていかないといけないのではないかと感じたところです。
あと、今回、マッチングサイトについては、全部オンライン上で面接等々をやっていたというところがいろいろ課題に挙げられていましたが、やはりマッチングサイトが登録するベビーシッターに対してどのようにアプローチしていくのか、研修を含めてどうそれを積み上げてスキルを上げていくのかという、冒頭あったような、その入口の議論を、やはりしっかりしなければいけないのではないかと思いました。そういった意味では、マッチングサイト、やはり登録して、初めて利用できるわけなので、マッチングサイトに対してのアプローチを、もっとしていく必要があるのではないかと感じました。
また、例えば犯罪事案が起こった場合に、加害者Aさんが1つのマッチングサイトだけに登録しているとは限らず、また別のサイトにも登録している可能性も当然あるわけで、そのような場合、マッチングサイト同士の情報共有が必要なのではないでしょうか。何か犯罪行為を犯した者が登録していた所だけではなく、ほかのマッチングサイトについて何かしらのアプローチが必要だと思います。例えば、自分のサイトでも同じような事案が起こっていないかとかの究明もアプローチの仕方としては必要になってくるのではないかと思います。こういった気軽に登録できるものなので、ただ、やはりそういった抜けがないような形で業界全体としてそうした情報をきちんと吸い上げて、全体の質を良くしていかなければならないと思います。事案があったマッチングサイトだけではなくて、その事案をどう横につなげていくかということも検討していく必要があるのではないかと感じたところです。以上です。

○松原委員長
ありがとうございます。ほかの方々はいかがでしょうか。松田委員、お願いします。

○松田委員
事実確認をさせてください。これは担当の厚労省様に対してですけれども、今回、2件の事案が立て続けにある業種で起こったということですが、その2人の加害者というか、被告ですけれども、これは再犯の人だったのでしょうか。

○事務局
初犯です。

○松田委員
初犯ですか。

○事務局
複数回逮捕されていますけれども初犯です。

○松田委員
となると、今、議論されている対応は、再犯の防止をするということでありますが、今回のケースのようなものを防ぐことはできるのでしょうか。

○事務局
直接的に初犯ですので、行政処分は下されていませんでしたから、今回の事案について効力が及ぶことはないと思います。抑止効果だと思います。

○松田委員
分かりました。ありがとうございます。以上です。

○松原委員長
ほかはいかがでしょうか。今の御発言は、松田委員が御発言され、私も発言したところですけれども、やはり発生防止に関わるその手立てをどうするかということについては今日は難しいかもしれませんが、次回以降で議論をする柱にしてほしいという御要望だったと思います。私もそれがすごく大切だと思います。それで初犯かどうかという確認もあったのだと思います。長崎委員、どうぞ。

○長崎委員
御参考までに、事業者での採用時の現状をお話します。今、当協会には事業者、いわゆるマッチングサイトではなく、ベビーシッター事業者が会員として約100社ほど所属しています。その事業者では採用時にどのような手続きをしているかというと、まずはベビーシッターとして希望者が来ましたら、面接をして、そして、自社のシッターとしてふさわしいかどうかということで判断をし、採用ということになります。その採用時の手続きにひとつとして、誓約書を書いていただいている所があります。その誓約書の内容は、やはり守秘義務だとか、個人情報に関することや、指示通りに業務を遂行します、そこで知り得た情報は口外しません。他に付け加えて思想、宗教、宣伝活動の禁止や、反社会的な勢力とのつながりはありませんという項目があるところも見受けられます。しかしながら、あくまでも自己申告です。また、更に保証人を付ける事業者もあります。
それから、ほとんどの事業者は、その人の犯罪歴や、その方がどういう人なのかということを調べる手立ては持っていません。ですから、その犯罪歴を調べる方法をどうするかということも議論が必要なのですが、再犯を防ぐのか、やはり最初の採用時のところでどのような確認が必要かなど、今後、協会として十分に検討していきたいと思っております。以上です。

○松原委員長
ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。松田委員、どうぞ。

○松田委員
すみません、何度も恐縮です。全然違う意見です。今、長崎委員もおっしゃられましたが、業界団体様として、まずはどういう対応が自らができて、そして、こういうアイディアがあるというものを出していただくのが大事なのかと思っていました。それは一番情報を知っていて、現場を知っている方は、正に業界の方ですので、それを踏まえて議論、次の展開の参考にもすることが大事かなと思います。以上です。

○松原委員長
ありがとうございます。普光院委員、どうぞ。

○普光院委員
今、長崎委員からお聞きしたことは非常に大事だったと思いました。ただ、いろいろなことをしても結局分からないのだよという、そういう諦めみたいなものは私はこの際置いておいて、やはりできるだけ不適格な人を排除できる仕組みを新たに導入することによって、もしかして悪しき意図を持ってベビーシッターになろうとしている人がいたとすれば、その人が、いや、なかなか入れないぞと思うような心理的ハードルを上げるということが今は必要だと思いますので、その点、内閣府の方も、まだこれから検討しなければいけないとおっしゃってくださったので、マッチングサイトの登録時の手続について、もっといろいろ知恵を出していく必要があるのだろうということを思います。
中にはそういう特別な傾向を持った、持っているかどうかを検査する、そういった検査が開発できるのではないかという話もあったりしましたけれども、そのことは私はよく知りません。
もう1つは、先ほどの資料の御説明の中にも少し出てきたのですが、評価をするというのがありましたけれども、事件が起こったマッチングサイトでも利用者が「いいね」ではないけれども、感謝を書いたりとか、評価を書けるようになっているのです。何回シッターをやったことがあって、これだけ評価を得ているみたいなのも書けるようになっているのですが、実際には報道されている記事を読んで、利用者に取材した話を読めば、とてもではないけれども、シッターに対して悪い評価をするというのはいろいろな今後の利用のことや、いろいろ考えると非常にやりにくい。そういう厳しい利用者であること自体を、自分をさらしてしまうことがやりにくいので、公開されるような評価はとても難しいという感想があったということです。
その代わりに、苦情というものをしっかり捉えていく、事業者でも捉えていく。それから、市町村や指導監査部門でも、利用者の苦情というのは非常に大事だと思うので、是非是非これは苦情を受けたらどうするかということまでしっかり検討していく必要があると思うのですね。
先ほど松田委員から、氷山の一角だという話がありましたけれども、実は保護者は、あれっと思ってることはありますし、それから、けがとか、完全なわいせつという行為ではなくても、何かおかしいとか、あと、不適切な保育は、保育所でも起こるのですが、不適切な行為を発見したり、何となく気が付いたりすることがあります。子どもは不適切な行為をされている段階で、ものすごく被害を受けています。
私は今、保育施設の苦情をいろいろ相談を受けているのですが、激しく怒られたり、人格を尊重しないような保育をされること、罰を与えられたりすることで子どもはすごく傷ついて、身体症状が現れたり、後遺症が現れたりしています。ですから、けががない、事件に至るようなことが起こっていないということだけではなくて、もっとデリケートのところで本当は大事にしてあげなければいけないことがあるので、そこは、その行政処分と関連付けようというのはちょっと無理があるとは思いますが、未然に防ぐというところでは、苦情というものを、あるいは保護者やシッターに気が付かれないで、こういうことがあったということを言える仕組みをつくることはすごく大事ではないかなと思っています。以上です。

○松原委員長
ありがとうございました。水嶋委員、どうぞ。

○水嶋委員
前回の委員会のときにも、そのことが私も気になりましたが、苦情や何か気になったことを伝えられる場、そして、その苦情がただ苦情で終わってしまわないで、次につないでいけるシステムのようなものがないと、向上しないのではないかと思います。
ベビーシッターに限っては、特に病気とか、理由があってお願いしているわけなので、緊急性がある人もいるでしょうし、、小さな子どもは、預けられた時のことを聞いても、それを説明できない子どものほうが多いと思うので、何か気になることがあれば、伝えることが簡単にできるところがあること、やはり発生を防止するということが重要だと思います。先ほど普光院委員が言われましたが、ハードルの高さをもっときちんと設けて、シッターになる方がそれを理解した上で始めるという、そこの最初のところをしっかりと押さえることが必要だと思います。以上です。

○松原委員長
ありがとうございました。では、順番で、私は先に尾木委員のほうが気が付きましたので、その後に秋庭委員にお願いします。

○尾木委員
では、手短に。今、水嶋委員がおっしゃったことと関連するのですが、厚労省のほうでベビーシッターなどを利用するときの留意点の中に、利用者に知っておいてほしいことを、かなり書き込まれているのですけれども、各自治体のホームページ等に載っているのですが、これは本当に利用者がご覧になっているのかということと、ここに書かれていることをもうちょっと詳細に説明して、こういう確認が必要ですよとか、あるいは子どもの様子次第で本人にも聞いてみましょうというのがあるのですが、それもどのような聞き方をしたら子どもが答えやすいかとか、少しヒントみたいなもの、こういうリスクがあるからこういうことをちゃんと確認しましょうみたいな、もう1つ小冊子みたいなものとか、あるいは説明会があるとか、何かそういうことも必要なのかなと感じています。以上です。

○松原委員長
秋庭委員、お願いします。

○秋庭委員
千葉市、秋庭です。立て付けのところは、私も松田委員のおっしゃるとおりだなと思っておりまして、ただ、それでも、今回の議題の部分で言うと、3番目のデータベースによる行政間の情報公開共有の所で、行政間で共有するというのは当然なのかもしれませんが、それが結局、事業者にまで共有され、事業者が知る必要はあるのかなと思います。また、ベビーシッターで難しいのは、事業者がそのまま個人になっている場合があるということで、そうすると、個人情報の問題になってくると。この辺の整理が必要になるのかなと思いました。
それと、皆様がおっしゃっていた苦情の部分ですが、苦情になると、一般的には私ども行政が苦情を受けるということが多かろうと思いますが、苦情を受けたときに、どうしても我々は捜査機関ではないので、もちろんそこの苦情を聞いて、事業者に対してお話を聞いてぐらいはできるのですが、その先の部分としては、我々は法令に従って基準に沿って何かをやっていくと言うしかできないところもありますので、苦情を受け付ける機関があったら、更にその先で何をどこまでやるのかというところまで決めていかないと、実際にそれを受けるほうとしては、ちょっと困ってしまうところが出てくるのかなと思います。以上です。

○松原委員長
ありがとうございます。それでは、今日の議論をまとめさせていただきますので、修正、追加等があれば、また後でいただきたいと思います。今日はいろいろな議論、ありがとうございました。こういった事件がまず起こらないようにすることが大切だというのが、大方皆さんの御意見だったと思います。そのためにどういう施策が取れるのか、あるいはハードルを上げるということなのか、まだまだ議論していかなければいけないところがあるかと思いますし、長崎委員からは研修・養成の現場的な報告も頂いて、もう少し事業者ごとの工夫もあるのかもしれないと思いました。
それから、情報、事件が起きたときの情報の共有・公開については、多田さん、秋庭さんから留意点の御指摘を頂きました。個人情報の問題もありますので、ここは更なる議論をしていかなければいけないかと思います。
ただ、再発防止というのは非常に大切な観点ですので、資料4については、その幾つかの留意点を踏まえた上で、更に運用的なところで事務局に提案をしていただくということで、少し全体の立て付けが変わってくるかもしれませんが、事件が起きたときの更なる対応についての部分については、枠組みそのものを変えるということではなかったと思いますので、今日頂いた御指摘を受けて、事務局のほうで運用を更に考えていただいて、次回以降、また議論していきたいと思います。その上で、いろいろ残された課題がありますので、次回以降、また議論していければいいかなと思います。このようなところでよろしいでしょうか。

○国民生活センター相談情報部
オブザーバーの立場ですが、苦情の活用についての御意見が出ましたので、少しだけ触れさせていただければと思います。全国の消費生活センターに、子どもの預かりサービスに関する相談が入ったときの特徴として私は気になっているのが、事業者に知られたくないという御相談が多い点です。今後の利用を考えるととか、近所に住んでいるからとか、自宅住所を知られているからというのが主な理由ですが、だからこそ苦情を申し出ないということにつながらないように、今、委員の先生方がおっしゃったとおり、シッター、利用する先、事業者等に気付かれないように申し出るという制度というのは必要だと、感じているところです。
苦情というのは、正にヒヤリ・ハットの、何らか発生していない段階でその芽を見付ける、未然防止の最たるものにつながると私は考えております。先生方から幾つか御意見が出ているとおり、情報の集め方、利用するシッター本人に知られないで事業者に伝えるその伝え方、活かし方については、今後の御議論等で、私どもで何らかのサポートができることがあれば、させていただきたいと感じるところでございます。

○松原委員長
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。それでは、最後になりますが、事務局から今後の専門委員会の進め方と、次回の日程について御説明をお願いします。

○事務局
事務局でございます。本日は、委員の皆様におかれましては、初めてのオンライン開催ということで、事務局のほうの不手際等もありまして、その中、御対応いただきまして、誠にありがとうございました。
次回の会議については、現時点においては10月中旬か、下旬の開催を想定しております。また、課題と日程等については、松原委員長と御相談させていただいた上で、追って御連絡差し上げたいと思います。以上でございます。

○松原委員長
よろしくお願いします。幾つか委員間での情報共有の要望も今日は出ておりましたので、そのようなことも組み込みたいと思います。ありがとうございました。これで閉じたいと思います。

 

 

(了)

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