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2014年7月23日 第4回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会議事録

○日時

平成26年7月23日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省専用第14会議室(22階)


○議題

(1)中間取りまとめ(案)について
(2)その他

○議事

○今野座長 ただいまから「第4回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」を開催いたします。本日、これまで出席できなかった阿部委員が出席でございます。よろしくお願いします。それと、原委員が途中から退席されます。また、事務局内で人事異動がありましたので、御紹介をお願いします。

 

○田中総務課長補佐 それでは、711日付けで事務局内に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。職業能力開発局長、審議官が交代し、局長に宮川、審議官に中山が着任しております。それでは、局長の宮川より挨拶を申し上げます。

 

○宮川職業能力開発局長 職業能力開発局長になった宮川でございます。「職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」のメンバーの先生方には、職業能力開発行政に対して御協力をいただきまして、この場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。

 この「職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」、開催要項にもありますように、今後、職業能力開発行政に幅広く御議論いただくという観点で、様々な観点から御議論いただいていると承知しておりますが、いずれにしましても、日本再興戦略等で期待されている、職業能力開発行政の今後の様々な課題を解決していくためにも、職業能力開発の在り方についての基本的な議論を整理していただければと考えております。本日は中間取りまとめということで、活発な御議論を期待しています。

 なお、私事で大変恐縮ですが、私も17年ぶりに職業能力開発行政に携わることになりました。時代はかなり変わって、私もついていけない部分も相当ありますが、逆に基本的な部分もあるのかなと感じている次第です。今後ともよろしく御指導のほどをお願いして、私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いします。

 

○今野座長 ありがとうございました。今お話がありましたが、今回は中間取りまとめということで、前回までの議論を踏まえて議論していただければと思います。まず事務局のほうで、中間取りまとめ()と、前回までの議論の主な意見をまとめていただいていますので、その説明をしていただいてから議論したいと思います。よろしくお願いします。

 

○田中総務課長補佐 配付資料としまして、資料1、それから、資料2と、2つお配りしております。順番が前後して恐縮ですが、まず、資料2の「第1回から第3回までの研究会の主な御意見について」というものです。毎回更新してお配りしているものですが、前回、第3回の議論を踏まえて、更新した部分を中心に御覧いただきたいと思います。

 資料2を御覧ください。前回、主に個人主導のキャリア形成支援についての御議論ということで、(3)にある、キャリア・コンサルティング、また、キャリア・パスポート制度、ジョブ・カードに関する御議論をいただきました。(3)の「個人主導のキャリア形成支援」の所で、キャリア・コンサルティングについて、2つ目ですが、総論として、必要な技能やそのための取組を理解する観点、自己啓発を促す観点からキャリア・コンサルティングが重要であり、キャリア・コンサルタントの数と質の充実を図るべき。また、キャリア・コンサルタントの役割として、その役割を明確化するべきではないか。また、特に企業領域において何を期待するのか、役割を明確にするべきではないか。また、登録キャリア・コンサルタントにつきましても、役割、名称等について整理するべきではないか。次に、質の確保の観点で、その質を維持していくことが重要である、という御議論をいただいております。

 めくっていただきます。キャリア・コンサルティングを専門に行うプロ以外にも、企業内の管理職、人事の人たちにキャリア形成支援の基礎的な知識、スキルを得てもらうことを促進することが重要ではないかという御議論、また、必ずしも実務経験を求めていない、標準レベルのキャリア・コンサルタントのレベルでは、現時点で企業にキャリア・コンサルタントの設置を義務付けるのは難しいのではないか、といった御意見をいただいております。マル2ですが、キャリア・パスポート(仮称)制度につきましては、現在、ジョブ・カードが普及していない理由をクリアしなければ普及しないのではないか、また、個人がその有用性を理解していくことが重要ではないかといった点。

3点目としては、どのようなタイミングでその情報にアクセス権限を認めるか、また、個人の職業能力を保証する役割を果たせるかどうかが重要になってくるのではないか、といったような御意見をいただいております。こうした主な御意見、いただいてきた御意見を踏まえまして、事務局として、研究会の中間取りまとめ()ということで作成しましたので、資料1を御覧ください。まず、1として、職業能力開発を巡る課題と今後の方向性ということで、雇用情勢につきまして、着実に改善が進んでいる中で、人口減少・少子高齢化社会の進展、若年層を中心とした非正規雇用労働者の増加、グローバル化による競争激化など、我が国の雇用を取り巻く現状は大きく変化している。職業能力開発の状況を見ますと、産業構造のサービス経済化、技術革新、顧客ニーズの変化等が進み、労働者に求められる職業能力が変化している中で、職業能力開発の必要性が高まっているにも関わらず、それにかける費用、時間は減少傾向にある。また、労働者の職業人生が長期化し、その働き方がこれまで以上に多様化する中で、従来の行き過ぎた雇用維持型の政策から労働移動支援型の政策への転換や、非正規雇用労働者のキャリア・アップを図るための、職務等に着目した「多様な正社員」の普及・拡大などが進められていますが、こうした労働環境の変化に応じた職業能力開発の実施・提供や職業能力評価制度の整備やその活用が十分になされていないのではないか。このような状況の変化に対応するために、今後の職業能力開発について、以下の観点から取り組むことが必要ではないかということで3点記載をしております。若年層を中心とした非正規雇用労働者、女性など、企業内育成の機会に恵まれにくい労働者等に対して重点的に支援を行うこと、産業構造の変化、IT化等技術革新、国際化の進展等に対応した職業訓練の提供ができるように、職業訓練の計画、ノウハウの蓄積や訓練提供機関の育成を行うこと、中高年期における職業能力開発について強化すること、こうしたことを踏まえて、具体的には、以下、3つの柱に分けて記載しております。

2(1)、職業能力評価制度の構築。職業能力開発と職業能力評価は車の両輪と言えるものである。しかしながら、職業能力評価制度につきましては、更なる整備やその活用が期待される状況にある。また、産業構造の変化や非正規雇用労働者の増加等により、業種、職種をまたぐ移動とか、企業内の労働者の客観的な能力評価等の観点からも、職業能力評価制度の重要性が増してきている。このため、技能検定制度について、ものづくり人材養成等の観点からの継続的・安定的運用を図りつつ、外部労働市場での活用を念頭に、産業活動の変化、高度化等に即応した見直しや、若者等を重点とした積極的活用促進が求められる。これに加え、既存の資格、技能検定ではカバーできていない対人サービス分野等を重点に、求職者や外部労働市場を通じてキャリア形成を行う非正規雇用労働者等が活用することのできる職業能力評価制度を構築することが必要である。このような、外部労働市場でも活用可能な、新たな職業能力評価制度の構築に当たっては、マル1、業界団体等が自ら制度の設計主体となって、その分野のリーディングカンパニー等々の幅広い関係者の参画を得て、開発、運営を行うことによって、多様な利用主体にとって活用しやすい制度とすること。マル2、円滑な就職、それから、労働者のキャリアアップの目安にもなるように、エントリー級を含めた階層性を持たせること、マル3、企業が独自に行う社内検定等の組合せ又は接続が可能となること。マル4、ジョブ・カード等を用い、他の職業能力評価関連情報と併せて蓄積・「見える化」が図られる仕組を整えること、こうしたことが重要であると考えられます。また、制度の信頼性、受検者数、確保・普及等の観点から、国による保証の仕組みや、受検者のモチベーションを高めるための社会的効果を持てることも必要、更に、大学や専門学校等を含む教育訓練プログラムを接続させること、採用選考場面における積極的な活用を促進することなど、教育政策や労働市場政策と連動させた統合的な運用を図ることが重要である。

2つ目の柱として、(2)、個人主導のキャリア形成支援です。学校在学中から職業人生を通じて、労働者本人が主体的に職業生活設計を行うこと、また、そのための環境整備を行うことが必要である。特に、必要な技能やそのための取組を理解する観点、自己啓発を促す観点からキャリア・コンサルティングの実施が重要である。こうしたキャリア・コンサルティングについて、個人主導のキャリア形成を支援するための労働市場インフラとして実質的に機能させていくために、その養成を促進するとともに、役割の明確化、質の担保・向上を図ることが必要である。また、個々人が自らのキャリアについてスキル適用、職場の中で日常的に部下のキャリア形成に責任を持っている管理職等、こうした専門家としてのキャリア・コンサルタントでない者に、キャリア形成支援のマインドや、これに関する基礎的な知識、スキルを持たせる等の取組を行うことによって、企業内におけるキャリア形成支援の裾野を広げていくことが重要である。なお、企業内におけるキャリア・コンサルティングの体制、制度のためには、企業に対して義務付けるような手法ではなく、こうした環境整備を図りながら、外部のキャリア・コンサルタントの活用を含む、個々の企業における取組を促進、支援していくことが必要である。また、現在、ジョブ・カード制度では登録キャリア・コンサルタントが重要な役割を担っているが、登録キャリア・コンサルタントの役割、位置付け、名称、求められる資質を整理した上でジョブ・カード制度の活用を推進する。さらに、労働者の職業人生が長期化する中で、自らの希望に応じてキャリア・チェンジを可能とするという観点からも、個人主導のキャリア形成について、国もそれを支援し、特にキャリア・チェンジが難しくなる中高齢者の職業能力開発を充実させていくことが必要である。なお、企業自身も雇用する労働者の職業能力開発を行い、労働者のエンプロアビリティを高める支援を行うことは、労働者の意欲の向上、企業の生産性の向上、優秀な人材の確保、ひいては顧客の満足度の向上につながるといった認識を深め、その雇用する労働者の職業能力開発を推進することが必要である。また、キャリア・コンサルティング、ジョブ・カード、職業能力評価制度の3つを活用、機能させていくことが効果的であり、国がこれらの取組を一層促進し、助成措置を持てる等の支援を行っていくべきであると。ジョブ・カードにつきましては、現在、「キャリア・パスポート(仮称)構想研究会」において、キャリア形成支援及び職業能力の見える化のツールとして、職業生活を通じて活用できるものとするよう見直しを行っており、ここでの検討結果を踏まえ、着実な普及促進を図ることが適当である。これらに加えて、初めて労働市場に出て来る者や、労働市場から一旦離れた者に対する情報提供の強化を行うことが重要です。

 最後に(3)ですが、産業界の人数や職業訓練の効果を踏まえた職業訓練の推進について、職業訓練は、個人の職業能力の開発を通じて、キャリア・アップ、キャリア・チェンジを支援する有効なツールであり、マッチングや職業生活において真に役立つものとすることが重要である。このため、国、都道府県、訓練実施機関、産業界等の関係者が連携し、国がコーディネーターとしての役割を果たしつつ、産業界のニーズを踏まえ、また、地方の創生の観点から職業訓練の推進を図るべきである。また、産業構造の変化等に柔軟に対応した職業訓練を実施することが必要である。さらに、職業訓練の実施に当たっては、若者、女性や就業困難者等、対象者の多様化に応じた訓練コースの開発やノウハウの蓄積を図っていくことが重要である。加えて、職業訓練の効果を十分に把握することは非常に重要であることから、客観的な訓練効果の分析にかかる調査研究を行い、職業訓練の効果の把握、検証の取組を強化することが必要である。最後に、現在では、公的職業訓練の約8割が民間教育訓練機関による実施である、ことを踏まえ、民間教育訓練機関の育成、職業訓練の質の担保・向上を図るための取組を更に推進すべきであるとしております。以上でございます。

 

○今野座長 御意見、御質問をお願いします。

 

○大久保委員 2つ意見を申し上げます。

1つは、第1回研究会のときに、高年齢者の職業訓練に関して意見を言わせていただきましたが、今回の中にも何箇所かに散りばめていただいています。

 もともと中高年の人たちの就業のために訓練をというのは、課題としてずっとあったと思うのですが、この10年間ぐらいは、どちらかというと若年の課題対応にウエイトを置いてきたのだと思いますので、やや比重は若年非正規を中心とした職業訓練のところに力点を置くことになっていたのだと思うのです。

 高齢社会になり、高年齢者の就業率を高めていかないといけない状況になってきた中で、60歳で定年した人に対して、定年再雇用という道は作られたのですが、実際には定年で再雇用という道筋に乗る人は、全体の比率でいくとそれほど多くはないです。ある程度の規模のある会社に勤めている人だけになりますし、そうでなくても、定年を迎える前に、離職、転職している人が多くなっていて、その人たちにどういう形で、長期的な就業の機会を作っていくのかは大きな課題だと思っています。

 高年齢者向けの職業訓練というのは、若年の職業訓練とどう違うのかを考えています。若年の場合は、いわゆるジョブ型雇用に合わせるので、どのような訓練をするべきかも見えているのですが、高齢者の場合は、どういう職業訓練をしたら就業できるのかがあまり見えていない。

 御承知のとおりハローワークにいっても、高齢者求人の職域というのは広くなくて、清掃、ビル管理などに偏っています。たとえば、高年齢者が今まで経験してきたものがあると思うので、そういうことを次の若い世代に教えながら仕事をする、つまり教えるスキルを職業訓練で身に付けることができれば、それによって就業の確率が高まることもあるのだと思うのです。

 つまり、若年にする職業訓練と高齢者にする職業訓練は発想が違うのではないか。そこについては今後の長期的な課題としては、しっかり取り組んでいく必要があるのではないかということです。言葉としては書いていただいているのですが、そこは非常に重要なポイントなのではないかと思います。

 もう1つは、これは従来ずっと職業能力開発行政について、分科会の中でも繰り返し指摘されてきたことだと思うのですが、ハローワークの現場との連携については、何度か委員の間からも指摘されてきたと思います。訓練を受ける場合に、ファースト・コンタクトはハローワークの窓口で、そこから紹介を受けて訓練を受けるという流れですから、入口の役割をハローワークが果たしています。

 同時に、今度は訓練を修了した人に対して、その訓練したものをいかして就業の場に紹介していくというのは、その後のハローワークへの期待としてあるわけです。

 その入りと出の密な情報交換、連携というのは、期待が大きい割には、十分に連携できていないところもあったという指摘はされ続けてきています。この機会に改めて、連携については強化を図っていくことを書き込んでもいいのかなと思いました。

 

○今野座長 今の点について何かありますか。前者については書いてあると思うのですが、後者についてはどうですか。ハローワークとの連携についてです。

 

○吉永総務課長 大久保委員が御指摘のとおり、ハローワークとの連携についてはかねてより指摘されていることで、以前よりは進んできている部分はありますが、それでも十分ではないということだと思います。

 例えばどういう訓練を開発するかということも含めて、労働市場の状況をハローワークは一義的には把握していますので、そういったものを活用しながら、その地域において就職可能性が高い訓練を開発することにも重要な機能を持っております。正に委員が御指摘のとおり、入口と出口で、ふさわしい訓練を受けさせて、それに基づいて就職させていく機能も十分に持っております。

 そういったことについて、うまく書き込める場所があるかどうかは考えていきますが、7ページに「国がコーディネーターとしての役割を果たす」ということもありますが、この辺りを膨らませて、ハローワークの機能についても記載していきたいと考えています。

○藤枝能力開発課長 総務課長から話もしましたが、ハローワークとの連携はこれまでも課題として言われております。入口の部分では、特に施設内訓練、ポリテクセンター等の訓練の中身をハローワーク職員が十分に理解していない場合も多いということで、ハローワークの職員向けに訓練施設の見学会をしたり、ハローワーク職員に分かってもらうためのパンフレットを作るという取組をさせていただいております。

 出口の部分では、施設内訓練は訓練施設が積極的に就職支援もするのですが、委託訓練の取組が若干弱いというのは、従来から指摘されているとおりで、都道府県とも連携してやっていかなければという認識でいますので、その辺りは書き込んでいただいてもいいのではないかと思っております。

 

○今野座長 いずれにしても、7ページの一番上の○は膨らましていただいて、大久保さんが言われたようなことを書き込むことにしましょう。ほかにいかがでしょうか。

 

○阿部委員 1ページ目に、「従来の行き過ぎた雇用維持型の政策から、労働移動支援型の政策への転換」という言葉があります。これは日本再興戦略でこういう言葉が使われているので、ここでも使わざるを得ないのかなとは思うのですが、私としては「行き過ぎた」に違和感があります。

 というのは、確かに雇用維持型の政策というのはこれまで行われてきたわけですが、その背景にはそもそも日本の、特に大企業を中心とした日本的雇用慣行というものがあって、それを補完する形で政策がなされてきたと理解しています。高度成長期でしたら、そういった政策は当たり前であって、それが「行き過ぎた」というのは、違和感があると個人的には思います。

 その観点から2点目です。政策が企業の雇用管理、労務管理と補完関係になければ、いくら頑張っても、政策はコストばかりかかって、ベネフィットがない可能性が出てくるわけです。そうしますと、企業の内部労働市場における採用、配置あるいは企業内訓練が、今後どのように形を変えていくのか、あるいは変わっていかないのかを考えておかないと、やたら外部労働市場で訓練を一生懸命やったとしても、内部労働市場で「そんなものは要らない」といわれるとか、内部労働市場の評価と外部労働市場の評価のやり方が違うとか、評価の中身が違うということになってしまうと、結果的にやったとしても、効率的な能力開発にはならないのではないかという危惧があります。

 第1回、第2回でもそのような御発言があったかもしれませんが、内部労働市場での労務管理、特に教育訓練あるいは能力評価がどのようにいくのかというのも、中間報告でできなくても、最終的な報告のところでは、議論したほうがいいのかなという気がした次第です。

 もちろん、ここの中に「企業の人事担当の役割をどう変えていくか」というような議論はあるのですが、人事担当者がキャリア・コンサルティングができるようになるだけではなく、人事のやり方そのものがどうなっていくのかというのは、かなり重要な論点になると思っています。

 例えば今回学校での職業能力開発、キャリア形成の話も出ていたと思いますが、我々が大学にいてすごく悩むのは、学生がどういう能力開発をすれば企業が雇ってくれるのかが分からない。なぜかというと、企業に入ってどのような仕事に就くのかが分からない、あるいは学生本人も、どのような仕事をさせられるのかが分からないでいるわけですから、いくら自分が税務の勉強をしたいといっても、会社に入ってそういう仕事に就かなければ、学校時代の勉強は意味のないものになってしまうので、そういうところで、学校の中では、特に専門的な教育の部分、一般的な教育のところは違和感なくインターンシップを受けるとか、employabilityを高めるといったことはいえるのですが、より専門的な話になってくると、やや難しい面があるのかなと思います。

 それは、先ほど第2点目で言った、企業の人事労務管理の内実がどうなのかということと、相当関連するのではないかと思っていまして、参考になるか分からないのですが、中間報告にその辺りを議論したほうがいいと思っています。

 

○武石委員 関連です。私も1ページの「行き過ぎた雇用維持型の政策から」というのは、言い方を変えたほうがいいと思います。

 この中間取りまとめ全体で、職業能力開発というものが第一義的には国の役割として、何をすべきかが書かれているとは思うのですが、部分的に企業がやることもあればこちらがやることもあって、誰がやる話なのかが見えなくなっている気がしました。

 今の内部労働市場、外部労働市場ということで言えば、能力を開発するのはまずは個人だと思うのですが、それは内部労働市場だと企業が仕事をさせたり、Off-JTをしながら育成していくという、内部労働市場の能力開発の姿があって、非正規あるいは再就職の女性のような形で、そこから十分な能力開発の機会が得られない人たちに関しては、個人のところを強く支援しなければいけないという構造があって、そこがゴチャッと書かれているので、何の話をしているのかが見えなくなっている気がします。

 ですから、企業が従業員に対して支援する部分を国がサポートする。例えば「キャリア・コンサルティングのマインドの拡大」の辺りがそうだと思います。そういう話と、個人を流動的な労働市場の中で国が支援していくというのを意識して書き分けたほうが、全体として分かりやすいと思います。具体的にどこがどうということではないのですが、内部労働市場の話をしていたり、外部労働市場の話をしていたりというのが、ゴチャゴチャしているような気がして、それで全体が見えなくなっている気がしました。

 

○今野座長 2つあって、1つは1ページ目の「行き過ぎた雇用維持型の政策から労働移動支援型への政策への転換」という表現の仕方が気に入らないということです。

 そのときに、この認識は一致しているわけですよね。雇用維持型でやってきたけれども、少し労働移動も考えないといけないことについては、認識は一致しているわけです。そうすると、あとは表現の仕方です。

 

○宮川職業能力開発局長 公式文書をそのまま引き写してきたので、やや舌足らずな面があると私自身も思います。もともとここの趣旨の私なりの解釈ですが、雇用維持型の政策をリーマン・ショック後にやるのは当然の話であり、それに対しての批判ではなく、今のような御時世になったのに、まだ引き続き従来の形のものを墨守する必要性はないという趣旨で、「行き過ぎた」という言葉を使っていると理解しています。

 ただ、ここでその文言をさらりと入れると、雇用維持型の政策が全く否定されるようにも読まれかねませんので、そこは表現を工夫させていただければと思います。

 

○今野座長 そういう形で具体的な表現は任せていただきます。「行き過ぎた」といいますと、悪いことをしていたようですね。

2点目は、内部労働市場の状況を考えて政策を打てよということですね。内部労働市場の状況と政策は補完的な関係にあるという原則については、反対する人はいないと思うので、阿部さんが言った点で最大の問題は、内部労働市場がどう変わって、それに対してどのように補完的な関係を作っていくのかということになりますが、内部労働市場がどう変わっていくのかについては大問題です。

 なかなか統一した答えが出ないかもしれないし、もう1つは中間取りまとめの段階、今の段階でこれをやると大混乱になるので、いずれにしても阿部さんが言われたように、中間取りまとめの後に、そういう論点について議論しましょうと。ただ、答えが出るかどうかは私は自信はないのですが、それについては議論しましょうということにさせていただきます。

 武石さんが言われたことは、私の解釈では、書いてある内容はいいけれども書き方が悪いということですね。

 

○武石委員 整理した書き方になっていたら。

 

○今野座長 内容はいいですね。書き方について検討させていただきますが、おっしゃったことは、個人を企業が訓練するときに、企業にどう支援するかという観点と、個人直接にどうやって支援するかを切り分けるような書き方をしたほうが分かりやすいという趣旨ですね。

 

○武石委員 はい。

 

○今野座長 うまくできるかどうか。何かありますか。

 

○吉永総務課長 作り方が十分書ききれてない部分があるということだと思っております。武石先生の御指摘は、正に阿部先生の御指摘と重なる部分が大きくて、この報告書自体、企業が企業内の労働市場に向けて訓練することを趣旨とした文言とした上で、その上で何が足りないかというところで、足りないところたけが書いてあって、誰が何をやるかが整理できていないのだと思っています。

 典型的に言えば、外部労働市場に重点を置いた形で書いていますので、評価制度は外部労働市場でも使えるような、内部労働市場と統一的な評価制度というコンセプトでは書いていますが、例えば在職者に対する訓練という切り口が余り入っていないということもございます。

 そういう辺りも整理しますと、全体を通してどういうパッケージなのかという書きぶりになると思います。あと、誰が何をやるのか、国がやるのか、本人がやるのか、企業がやるのか、その辺りの整理も自ずからできてくるのだと思います。

 いずれにしましても、最終報告書に向けて、全体の内部労働市場の問題、企業の問題という御議論もしていただいた上で、最終的に武石先生の御指摘の整理を再構成できればいいと考えております。

 

○今野座長 整理するときに、お客の観点から整理する場合。武石さんが言ったのはお客さんの観点から整理する場合です。あと、すべきことから整理する場合と両方あると思います。これは後者の書き方になっているわけです。

 だから、この構造を崩さないで武石さんの趣旨を入れるとすると、例えば2ページ目の(1)に「職業能力評価制度」というのがあって、4ページは「キャリア形成支援」とあります。これはやることで目次を作っているわけです。そうなると、お客の観点の整理が薄まるわけです。この構造を維持しながらお客の観点を入れたときに、もう少し分かりやすくなるかどうかですね。

 

○武石委員 イメージとして、政策とお客のマトリックスの中がうまく整理されて出てくると、分かりやすいのだと思うのです。

 

○今野座長 はい。要望は分かりました。

 

○吉永総務課長 そうしますと、第3回の研究会の中で、職業能力開発行政改革検討チームの報告書、これは事務次官以下で作った行政部内の報告書がまとめられています。この中で、国が何をやるべきか、県が何をやるべきか、国がどういう形で事業主を支援するべきかというような、サブ的なフレームワークについての整理をさせていただいております。

 こちらはコンテンツ的な整理の形で作っていたもので、武石先生が御指摘のありましたことには十分に対応できていないところだと思っております。最終的には、そういうもののエッセンスを含めた形で取りまとめていくというのも、1つの考え方ではないかと思っています。そういうことができれば、今の御指摘も解消でき、マトリックス的なところ、コンテンツの話と、具体的にどのような形でやっていくのかの縦糸と横糸が織り重なる形になるのだろうと思いますので、その辺りも最終的な報告書に向けて。

 

○今野座長 具体的には相談させていただきたいのですが、2ページ目の(1)の「職業能力評価制度の構築」という例を挙げると、これの分野で吉永さんがおっしゃったフレームワークを意識して、小見出しが入ると分かりやすいですかね。小見出しに合わせて、○を少し移動すると、少しクリアになるかもしれません。

 その小見出しを考えるときに武石さんが言われたお客の観点、吉永さんが言われたフレームワークを考えながら、小見出しを付けると、分かりやすくなるかもしれません。やってみます。コンテンツはいいということですから、あとは書き方の問題です。

 

○原委員 2つあります。まず用語の確認をさせていただきます。1点目は、「職業能力開発」と「職業訓練」という用語が混同されているのですが、ほぼ同じだと考えてよろしいですか。「職業訓練」は公的職業訓練のニュアンスも含まれているのかと思って読んでいたのですが、同じだと考えてよろしいでしょうか。

 もう1つの確認です。4ページ目の上から3行目に、「受検者のモチベーションを高めるための社会的効果を設けることが必要」とありまして、「社会的効果を設ける」の意味が分からないので、何をイメージされているのでしょうか。まず教えていただいて、それから幾つか意見を言わせていただきたいと思います。

 

○吉永総務課長 まず後者から申しますと、今、技能検定制度ですと、技能士という呼称を独占的に名乗れる、名称独占がかかっています。そういう意味で、例えばクリーニング店にいきますと、1級技能士の店という形で広告を打っているところもございます。そういう形で、一定の資格を自分で表示できる、それは独占的であるということがあります。

 新しい評価制度についてもそういったものなのか、更にできるのかどうかというのはありますが、そのような形で、資格を取ることでそれを具体的にインセンティブになるような使い方があるのではないかということで、これについては「社会的効果」と記載させていただいております。

 前者について申しますと、職業訓練と職業能力開発が全く同じかということについては、職業能力開発のほうがやや広い概念ではないかと思いますが、この中で施策的に見ますと、具体的に訓練を行うことになりますので、政策的な意味ではかな近似的なものになると思っていますが、具体的な訓練メニューを超えた部分がなくはないだろうと思います。概念的にはもう少し広い概念ではないかと思います。

 

○今野座長 1ページ目の「職業能力開発を巡る課題と今後の方向性」だけを見ると、「職業能力開発」という言葉の中には、職業能力評価も入っているわけです。あとは、もしかしたらここには書いていないけれども、職業訓練に対する情報提供なども入っているかもしれないです。

 だから、本当は職業能力開発のほうが広くて、その中に訓練があったり評価があったりということだと思いますが、言葉を整理して、見直して、修正してもらったほうがいいかなと思います。

 

○原委員 そこまでが質問で、幾つか細かい点があります。1ページ目の2番目の○の上から4行目に、「こういったことを考えるのに、「企業、個人が職業能力開発にかける費用・時間が減少傾向にある」ということをエビデンスとして持ってこられているのですが、それに加えて、大久保先生の御報告にもあったのですが、一昨年度までの能力開発基本調査を見ていると、企業内訓練を実施する事業所の割合はそれほど減っていないのですが、従業員の受講できている人が減っています。受けられる従業員が減っていることを、まずこういうことを考える大事なエビデンスだと思うので、そういう文言も足したらいかがかというのが1点目です。

2つ目です。3ページ目の2番目の○の上から4行目に、「外部労働市場を通じてキャリア形成を行う非正規雇用労働者等」、ここは略されているわけです。

 次の○のマル2の「階層制」の括弧の中の説明も、「学生、フリーター等の若年層を」ということで、ここは若年層について例示が上がっているのですが、この例示の中に「女性」を入れていただきたいと思います。例示が入っているのと入っていないのだと、イメージがしやすくなりますので、入れていただいたらと思うのです。育児で就業中断をして、もう一度就業したいという女性も、この対象として十分に入ってくると思うので、目に見える形で、例示で入れていただけると有り難いと思います。

3点目です。3ページ目の3番目の○に対応するものです。ここでは、外部労働市場で活用可能な新たな職業能力評価制度の構築には何が必要かという視点でいろいろまとめられているわけですが、これも大久保先生の御報告の中にあって、私も大きく賛同したものですが、こういう職業能力評価制度を普及させるには、リーディングカンパニーを巻き込むことが大事だと大久保先生の御報告があって、企業を巻込んでいくことが大事だと思うのです。

 私も発言させていただいたのですが、企業を巻き込んでいくには、制度の普及が企業にもメリットがあるという発信をしていく必要があると思っております。経済理論は様々な可能性を予測するための道具ですが、職業能力評価制度が普及することで、これまで企業にとって訓練しづらかったり、訓練に一生懸命ではなかった人が、訓練に対して強いインセンティブを持つようになり、一生懸命訓練に取り組むようになって、企業にとってもプラスの効果があるという経済理論モデルが示されています。このようなメカニズムが、私は可能性としてはないわけではないと思っています。企業にとってアピールできるような文言がこの中に入っていると、よりよいのかなというのが3点目です。

4点目です。4ページの(2)の「個人主導のキャリア形成支援」の所です。これは阿部先生と重なるのですが、最初の○で、「学校在学中から職業人生を通じて職業生活設計を行う」とありまして、理想を言えば、これができたらすごくいいと思うのです。ここは理念が書かれている場所だと理解したのですが、理念としてそうですし、理想を言えばそうなのですが、例えば「学校」を「大学」と読み換えると、ほぼ無理という感じがします。学生が就活するときに、一般職を選ぶか総合職を選ぶかだけでも大騒ぎで、職業生活設計はほぼ無理です。

 ただ、意味があると思っているのは、人生は何が起こるかは分からなくて、男女ともそうなのですが、結婚、出産、離婚、配偶者が病気になる、いろいろなリスクが人生の中にはあるわけなのですが、そのリスクに対応する支援策としてこういう個人主導のキャリア形成支援は大事だと思っています。

 働く必要が出てきてしまった人を労働市場にうまくつなげてあげる、そういうところにキャリア・コンサルティングの意味があると思っています。リスクに直面して、働く必要が出てきてしまった人にとって、キャリコンは重要な役割を持つと思います。リスク対応の支援という視点もここに入れていただけると、いいかなと思いました。

 

○今野座長 1つ目は、1ページの2個目の○の「費用、時間は減少傾向にある」ということと、言ってみれば、企業の教育訓練投資の偏在化があるのだということを加えろということですよね。

 

○原委員 そのほうがいいと思います。

 

○今野座長 確かにそのとおりです。非正規が増えていることは実情はそうなってきているので、そこは入れましょう。

2番目は3ページ目の下から67行目のマル2の中に、「学生、フリーター等の若年層を対象とするエントリー級も含めたもの」に、「女性」を加えるということですね。

 この趣旨は、エントリー級を含めるということですね。それを説明するために、前に入っているわけですね。「女性」を入れてもいいのですが、女性一般というと、違和感がありますね。

 

○原委員 育児離職して、一旦職を離れて、スキルが劣化してしまった人のようなイメージなので、もしここに入れるのが不適切であれば、同じ3ページの2番目の○の上から4行目の「非正規雇用労働者等」の所に、もう1つ具体例としてそういった記述を入れていただけると有り難いと思っています。

2ページ目には、非正規労働者と女性は2つの例示が入っているのですが、そこから先は読み易さを考えて非正規労働者だけに圧縮されたのかなと思ったのですが、具体例で入っているほうが。

 

○吉永総務課長 原先生が御指摘の2ページ目の一番上の「基本的な3つのコンセプト」の1番目の所に、女性について、特に企業内育成の機会に恵まれにくい労働者という形で入れていて、その後については、強いて言えば「等」の中に読み込んでいるという書きぶりになっています。

 ここは具体的に書けば書くほど、女性一般というのはなかなか書けないものですから、その辺りが、育児離職の方が正にそういう方が対象になるわけですが、そこまで書くとという形で、「等」の中にまとめさせていただいております。

 コンセプトとしては最初の所で書いてますので、原先生のコンセプトについては、事務局としては書いていたつもりではあります。学生、フリーターに合わせて、「育児離職をした女性」というように書くかどうか。

 

○今野座長 長くなってしまうというだけの話なので。

 

○吉永総務課長 そうすると、一人親の母親とか、いろいろと続いていく形になりますので、どこまで書くかということではあります。検討させていただければと思います。

○今野座長 工夫させていただいて。

3番目は、そこの少し上の「リーディングカンパニーを巻き込め」ということです。企業にとっても、それはメリットがあるのだということを書いたほうがいいかなという話ですよね。

 

○原委員 はい。

 

○今野座長 それはそうだと思います。上手に入りますかね。

 その前に、先ほど言われた「企業も協力するといいことがある」ということを原さんが言ったのを、メモを作って回していただけますか。そのほうが正確でいいですよね。

 

○原委員 分かりました。もう一度整理します。

 

○吉永総務課長 趣旨としては、5ページ目の一番下の○の所に、企業自身も、その雇用する労働者の職業能力開発を行い、労働者のエンプロイアビリティを高める支援を行うことについて、企業に大きなメリットがあることを記載はしております。これに加えて、どういう記載ができるかどうかについて、メモなどを頂ければ。

 

○今野座長 正確なほうがいいから、メモを出してもらって。

 

○吉永総務課長 はい。

 

○今野座長 技能検定は巻き込んでいるのですよね。技能検定以外、上の○のサービス分野は技能検定はないわけですが、そういう状況になっていないのですよね。技能検定は、なぜあんなに企業を巻き込めたのですかね。過去の歴史の問題なのだけれども。

 企業の人は試験問題を作ることもボランティアであり、会場も出して、人も出しているわけですよね。政府としては、あんなに少ない予算であれだけの仕掛けを回しているわけですよね。ああいう仕掛けはどうして出てきたのだろうなと、個人的にはいつも思っています。そこはそれで。

 もう1つは4ページ目の(2)ですね。学生にこのようなことは無理だという話です。

 

○原委員 はい。

 

○今野座長 書いたほうは、職業生活設計を行うというときに、次の仕事はこうして、ああして、こうしてということより、おっしゃられたように、今後どうしようかとキャリアを考えるみたいなことをメインで想定しているのではないかと思うのですが、どうですか。

 

○吉永総務課長 そのとおりです。若干趣旨は違うのですが、報告書の6ページ目の3つ目の○について、職業能力開発に関わる情報について、原先生がおっしゃられたような方についても、届いていないのではないか。初めて労働市場に出る方というのは、正に学生に当たるのだと思いますが、あるいは一旦労働市場から離れた方、こういう方々がジョブ・カード、評価制度、キャリア・コンサルティングというものを、どこに行けば受けられるのかという能力開発に係る情報を受けられるように。そういうものがあるという情報が届くような仕組みを作っていくことが必要なのだというところで、こういうものを受けていただいて、きちんとキャリア・コンサルティングが必要な方には、そういうものを受けていただくという趣旨の文言は、この部分に入れてあります。

 

○今野座長 原さんが言われたのは、「職業生活設計を行う」といってしまうと、次は何の仕事をしてという子とになる。

 

○原委員 いえ、これは個人主導のキャリア形成支援をすることの理念的な文章だと理解はしたので、正にそのとおりだと思うのですが、それに加えて、個人がリスクに直面したときに。

 

○今野座長 それも入っていると思います。

 

○原委員 入っていますか。

 

○今野座長 入っていると思います。会社に入ってもリストラされるかもしれないので、これからどうやって仕事をしていこうかとか、あるいは能力アップしていこうかということも考えるというのは、全部入っていると思いますが。

 

○原委員 ライフステージで様々に直面するリスクというのがあって、先が読めないのだけれども、そのときに直面してしまったら、対応せざるを得ないことは世の中にはたくさんあって、そういうのも入っているとは読み取れなかったので、書いていただいたほうが、後のキャリア・コンサルティングの重要性を書いているので、つながりがよくなるのかなと思いました。座長が、ここに入っているとおっしゃるので。

 

○今野座長 入っていると思いますが、違うのですか。一般的な理解です。

 

○阿部委員 ただ、これは「労働者本人が」に変わってしまうのです。個人主体のキャリア支援が労働者本人に限定されてしまうのです。そうすると、例えば離婚された女性は労働者でなかったら入らないとか、例えば個人が主体的に職業生活設計を行うとかなると、また幅が広がって、今野先生がおっしゃるような、それだったら理解できるかなと思います。

 

○原委員 設計というのに、将来に対して予定を立てているというイメージがあるのですが、そうではなくて、何かリスクに直面して、突然対応しなければいけないことというのがあって、そういうことへも目配りしているというのが一言入ってもいいのかなと思いましたが。キャリア・コンサルティングと矛盾しないというか、むしろつながりはよくなるように思いました。それは座長のお考えで結構です。

 

○今野座長 いや、私の理解が違うならしようがないのです。どなたが詳しいですか。職業生活設計というのは、原さんが言われていることも入っているのではないかと思うのですが、違いますか。

 

○堀委員 分かりません。

 

○今野座長 堀さんに分からないと言われると困る。

 

○堀委員 原さんの御懸念も分からなくはなくて、少しrigidなイメージがあるということですよね。

 

○今野座長 何という言葉がいいですか。

 

○堀委員 思い付きません。

 

○原委員 職業生活設計は能開法の言葉かなと思ったので。

 

○堀委員 なるほど。それではそのままという。

 

○今野座長 ああ、能開法の言葉。別に能開法の言葉を使わなくてもいいですよ。

 確かに、もう少しフワッとした。「設計」で原さんが考えているように、何年後にこの仕事をして、何年後にこの仕事をしてとイメージするというのは、学生には絶対に無理ですよ。そんなことは考えていないと思いますよ。「設計」ではハードすぎるのです。

 

○阿部委員 ただ、もう1つ短期的な話もあるということですよね。今、起きたリスクにどう対応するか。

 

○原委員 そうですね。

 

○阿部委員 長期の設計ではなくて、今どうするという。

 

○武石委員 設計というと設計書を書くイメージなので、職業生活を見通すための環境整備とか、設計というのが狭いイメージになるのかもしれないです。設計というと、あらかじめ計画を作るイメージですよね。

 

○宮川職業能力開発局長 長期的に職業生活を考えてくれという趣旨での、「職業生活設計」という用語があるのではないかと思いますが、そういう趣旨からすれば、職業生活設計を行うことも非常に重要ですが、いろいろな機会、例えばあるリスクに直面した場合に、緊急に職業生活について考え直す、あるいは新たに考えるというような趣旨の言葉が入り得るような形のもので、キャリア・コンサルティングが必要ですとするべく、そこの言葉を「職業生活設計」だけではなくて、それを含めて、あるいはそれを頭出しした上で、何か職業生活について考えるべきときに考えるという趣旨のものが入るような用語に変えたらいかがでしょうか。

 

○今野座長 そういう趣旨で書くということについては、合意があると思うので、あとはどう書くかです。

 

○阿部委員 職業生活設計とキャリア形成というのは、何が違うのですか。

 

○今野座長 職業生活設計は能開法の言葉です。

 

○阿部委員 直前に「キャリア形成支援」というタイトルがあるので。

 

○田中総務課長補佐 お手元に分厚い「労働総覧」を用意していますが、能開法第2条第4項が1931ページにあります。能開法の定義としては、「職業生活設計とは、労働者が自らその長期にわたる職業生活における職業に関する目的を定めるとともに、その目的の実現を図るため、その適性職業経験その他の実情に応じ、職業の選択、職業能力の開発及び向上のための取組その他の事項について自ら計画することを言う」ということです。「その他の事項」というところでは、長期的なスパンで考える中での住居の移転などいろいろな環境変化やリスクも含めた実情も踏まえたものです。飽くまで「長期的な計画の中で」のというのは御指摘のとおりかもしれません。

 

○今野座長 労働者本人が主体的にキャリアを考えていく。そのための環境整備を行う。そのほうがソフトだね。考えというのは、考え設計しかな。趣旨は皆さんの中で合意ができていますので、あとは表現ですので、お任せいただくとして。キャリアを考えてのほうがいいかな、緩く。自らキャリアを考えなさいということ。駄目か、設計が入らなければ。

 

○原委員 急には思い付きませんが、そうかもしれません。

 

○今野座長 「キャリアを考え計画し」だよな。はい、それでは考えます。

 

○阿部委員 労働者本人が主体的にというのか、それとも個人が主体的にというのか、その辺りは法的には労働者本人なのでしょうけれども。

 

○宮川職業能力開発局長 ここは「個人」で結構だと思います。「労働者本人」と書いたのは、個人のことを意識して書いたので、個人で結構だと思います。

 

○今野座長 それは、将来労働者になるということで。

 

○阿部委員 学校在学中からと。

 

○今野座長 分かりました。それでは、「個人が」はいいですね。他にはいかがでしょうか。

 

○大久保委員 2ページから始まる「職業能力評価制度の構築」の所なのですけれども、○の2つ目にある「また」から始まる4行を先ほどから何回も読んでいるのですが、なかなか理解できないのです。ここの内容が伝わりにくいと思っています。それから、「職業能力制度の構築はなぜするのか」という所が、ちょっとスキップされてしまっている感じがします。もしかすると、これだけを読んだ人には、正確に伝わりにくいのではないかと思うのです。

 職業能力評価制度を構築すること自体は、もともとこれは職業訓練の場面だけではなくて、企業内のOJTを中心とした人材育成を促進したり、あるいはそれを効率的に行えるようにしたりすること、あるいはそれを受ける労働者というか従業員の動機付けになったり、自己啓発としてそれを受けたいと思うことにつながります。これは階層、ラダーを形成しているので、自分自身のキャリアを考えるときの1つの目標になったり、材料になったりすることが、職業能力評価制度の原点としての目的だと思います。

 それが、企業を巻き込んで普及したときに、処遇とか採用という場面にも活用されていって、その結果労働移動のところにまで使えるようになっていくのが理想的だと思うのです。ここでは、話が非正規の労働移動のことにフォーカスしすぎていて、本質的な部分がスキップしているような感じがします。多分、○の2番目の4行の所にそれを書きたかったのではないかと思うのですけれども、これだと伝わらないと思うので、文章を再考していただいたほうがいいかと思います。

 

○今野座長 今、大久保さんが言われた、雇用能力評価制度がなぜ必要かという基本原則があります。そういう原則があって、更に現状を見ると産業構造の変化や、非正規雇用労働者が増加したことにより、特にこれこれの側面については、これまで以上に重要であるというような書き方にしたらどうですか。

 

○大久保委員 そうですね。

 

○今野座長 最初に原則を言っておいて、こういう状況だから更に重要になっているのだと。

 

○大久保委員 非正規の話は、○の4つ目にもう一回出てくるので、そことのバランスを取りながら考えたいと思います。

 

○今野座長 それは、そういう形で対応させていただきます。

 

○大久保委員 もう1つは、○の4番目に「技能検定ではカバーできていない対人サービス分野等を重点に」という書き方がされています。対人サービス分野については、職業能力評価基準はこれまでに作ってきました。基準は作ったのですけれども、それを具体的にそのアクションにつなげていく施策が展開してこなかった。その基準を活用し、対人サービス分野について、その評価制度を構築するというような趣旨だと思うのです。その辺りの言葉を補ったほうが伝わりやすいかという感じがします。

 

○今野座長 なるほど、それはいいですね。他にはいかがでしょうか。

 

○阿部委員 大久保さんがおっしゃったことに関連するかもしれないのですけれども、2ページの2番目、「能力開発と能力評価は車の両輪」といっています。特に私が気になったのは、3ページのマル2の「階層性」というラダーの所です。評価の所ではこういう階層性を作りましょうと言っていて、その受ける側の能力開発の所とか、キャリア形成支援の所に、そのラダーをどうするという議論が少ないかなというか、ないかなという感じがしています。それは、評価の所で階層を作っていったら、それを能力開発の所で受けて、それをどう使うとか、あるいは配置の所で、転職の所でどう使うかというのも少し考えていく必要があるかという気がしました。

 

○今野座長 それは書きにくいな。

 

○阿部委員 ただ、これから議論してもいいと思います。多分余り議論されていない可能性は高いです。

 

○今野座長 階層性に対応して、職業訓練をどうするかという話は大問題で、階層を下から上まで考えてみる。特に公共はどこまでやるのかというのも大問題です。これは宿題で残しておこう。今回、中間報告ではいいね。

 

○阿部委員 いいです。

 

○今野座長 階層をずうっと作っても、いろいろなアイディアがあると思います。階層をずうっと作っても、公共職業訓練は入口しかしないという選択肢もある。

 

○阿部委員 もちろんあります。

 

○今野座長 あるいは、もう少し上のほうもサポートする政策をやらなければいけないということもあり得るし、これはいろいろな選択肢があります。特に上へ行けば行くほど、もしかしたら在職者訓練をどうするかという問題がすごく出てくるので、その論点だけは残しておいていただいて、中間報告以降でそんなことを議論する機会があればということですね。

 ちなみに、これには在職者訓練についてはほとんど書いてないのですが、何か理由があるのですか、余り重視していないのですか。

 

○吉永総務課長 そういうことではないのですけれども、在職者訓練の基本的整理からすると、基本的には企業で行うということでやっていたということ。公共では在職者訓練をどうするのかというのは過去から議論があります。原則としては離職者訓練を中心にやっていくという建前で今は動いてきています。

 一方で、在職者訓練をかなり増やしてきているのですけれども、この辺りの整理がなかなかうまくできないところがあります。意識して落としたというわけではないのですけれども、うまく書き切れていないところはあります。

 

○今野座長 これは大問題ですね。

 

○吉永総務課長 阿部先生がおっしゃられたとおり、階層性のラダーを作っていくということと、訓練をどう組んでいくのか。階層性が上がっていくということは、基本的には在職者が対象となって、その在職者の能力を評価していく中での評価制度がある中で、当然訓練もあるべきだという議論になってまいります。その辺りの在職者訓練を誰がやるのか、どういう形でやっていくのかという辺りは、公共で受けられるというのもありますし、それ以外でやっていかなければいけない部分もあります。その辺りは先ほどの議論ともつながるところでありますので、次回辺りに少し御議論していただくような形で整理できればと思います。

 

○今野座長 今回、中間報告に1行ぐらい入れておきたいね。内容は入っていなくても、在職者訓練も考えなければいけないみたいな。

 

○吉永総務課長 そうですね。

 

○今野座長 今まで、少し長いというか何年か分かりませんけれども、吉永さんが言われたように、政策的には在職者訓練を縮小するという政策でずっとやってきて、離転職みたいな、言ってみれば就職弱者みたいな人たちをメインにずっとやっていくということで流れてきていると思うのです。そこで、もう一度在職者訓練を見直す、強化することになると、これはまた少し転換かと思います。従来でしたら、中小企業の場合には自分の所で教育訓練をし切れないので、やはり公共でやって、公共財として訓練を提供して、全体の底上げを図るのだということで、在職者訓練を重視してきたと思うのですが、そこが後退してきました。もう一度在職者訓練を強化しようとなると、また転換になる。

 

○吉永総務課長 実質的には在職者訓練も大分ウエイトが増えてきています。教科を短期で受けられて、例えば金型とかそういうものについて、少しレベルの高いものを含んできている、というのは公共訓練の中で大分増えていると思います。そういう辺りの御議論もあるのかと思います。

 

○今野座長 そういう点からすると、認定訓練はどうするかという問題も出てきます。認定訓練もずっと縮小してきてしまったわけだけれども、それでいいのかという問題もあります。一度議論したほうがいいかもしれないです。○を1つどこかに作って、1行でもいいから「重要」と書いておいてもらって、コンテンツは後から考える。

 

○吉永総務課長 はい。

 

○今野座長 他にはどうでしょうか。

 

○吉川委員 今までの議論と少し変わってしまうのかもしれないのですが、読んでいて違和感があったのは、「労働環境の変化」という外部労働市場の話があったり、阿部委員がおっしゃったように、内部労働市場の話の変化というのもあるだろうという話を考えたときに、そもそもこの仕組み自体に、要は継続的に変化を捉えていく仕組みは入れなくていいのだろうかということがすごく気になったのです。企業で、いわゆるPDCAサイクルをどう回すかという話になります。

 せっかくこのような仕組みを作っていった中で蓄積されたデータも活用していくと、冒頭に大久保委員が言われたのは、高齢者は教えるような可能性もどこかに入れたほうがいいというのが分かってきたりするのです。自分自身で変化を捉えていく仕組みを中に入れないと、きっとこれからの時代はもっと変わってしまうので、多分どんどん陳腐化してしまうだろうという気がして、そういう仕組みをこの中のどこかに入れられたらと思うのです。

 

○今野座長 実際に今回は訓練をどうするかとか、評価制度をどうするかということはいろいろ書いてあるのですけれども、それをどう回していって良くしていくかという、その仕組みの問題についてはほとんど議論もしていないので、多分書いていないのではないかと思うのです。せいぜい入っているとすると、7ページの下の2つですね。

 

○吉永総務課長 はい。

 

○今野座長 それに近くて、評価と、あとは民間教育訓練に任せているので、それのレベルアップというのは仕掛けの問題です。この仕掛けの問題も、真正面からやろうとすると、これも大問題です。

 

○吉永総務課長 中で効率的にしていく、時々に応じて見直していくというコンセプトはここに入っていますけれども、その仕掛けそのものまではこの中には入っていません。そこをどう書けるか、なかなか知恵がなかったということです。

 

○今野座長 ですから、本日の整理としては中間取りまとめでは難しいから、それは私もいいと思うのです。問題は、中間取りまとめの後に、それを我々が真っ正面で論点として取り上げてやるか、ということは考えなければいけないですよね。

 

○吉永総務課長 大きな仕組みからいくと、法律上の仕組みでは5か年計画を立てておりますので、その5か年計画の中で全体のフレームワークを見直すのが基本的な職業能力開発促進法のコンセプトではあります。そういう5年サイクルで回していくような訓練は時々見直せるわけですけれども、大きな枠組みをどうしていくのか、というところがうまく整理が付くかどうかという辺りは少し考えていきたいと思います。

 

○吉川委員 細かいサイクルでPDCAを回すという話での議論でもあると思いますし、5か年という話であっても、せっかくこのような施策を打ったのだったら膨大なデータがあるはずです。それを何らかの形で分析をしておくことになれば、その5か年計画を見直すときにも絶対に有用になるはずです。そのようなことを、ある程度内在的に持っているかどうかといのは、今後ラピットに変化を捉えていくのであれば、重要なキーファクターになるのかという気がするのです。

 

○今野座長 今のことだけで言うと、7ページの下から2つ目で、「職業訓練効果の把握・検証の取組を強化する」の所に入ってしまいます。吉川さんが言っているのは、このぐらいの狭さのことを言っているのですか。私は、もっと広いのかと思っていたのです。

 

○吉川委員 座長のおっしゃる方向です。

 

○今野座長 宿題に残しておこうかな、どうするかな。ここでこの問題をやるときに、正面からはやらないで、改善すべき点だけ考えて出すというやり方と、正面からやるというやり方があると思うのです。7ページにある最後の2つというのは、ここだけ重要だからと言って取り上げているわけです。いずれにしても、オペレーションというか仕掛けの問題をどうするかというのは、論点としてはあり得るので、後半戦でそういうことを議論するということで考えましょう。

 

○吉川委員 ありがとうございます。

 

○今野座長 ただ、私は余り正面からやるつもりはないです。少なくとも改善すべき点はこういう所があるぐらいにしたいと、個人的には思います。やり出したら、それだけでも大変だもの。

 

○阿部委員 ただ、実際には政策評価は厚生労働省は前からやっていますし、審議会でも計画とその結果というのは、毎年毎年報告されているとは思うのです。更にそれ以上やるかどうかということを考えるのなら議論すべきでしょう。そのコストとベネフィットの見合いというのはどれぐらいになるのかというのはまた考えるべきことです。

○今野座長 そういうことです。他にはいかがでしょうか。

○谷口委員 具体的な取組の大きな項目(1)「職業能力評価制度の構築」、(2)「個人主導のキャリア形成支援」、(3)「産業界ニーズや職業訓練効果を踏まえた職業訓練の推進」ということです。(3)については、先ほど原さんから職業訓練の用語について、職業能力開発とどう違うのかという御質問がありました。職業能力開発というのは非常に包括的な言葉で、その中に職業訓練という言葉が位置付くわけです。そういう意味で(3)は能力開発の中でも非常に限定的な部分に関しての取組ということで挙げています。

 原さんのために一言私の理解を申し上げると、職業訓練というのは昭和44年法以降、法律による言葉の定義はなくなりました。ただ、コンメンタールでは解説があります。基準に基づく訓練を職業訓練と理解しております。したがって、能力開発というのはその他自己啓発だとか、OJTだとか様々な部分を含むわけです。そうしたことに関して、恐らく(2)が職業能力開発のテーマを支えるこれからのテーマではないかということで、私はこの項目を理解しました。

 何を申し上げたいかというと、今は(1)(2)(3)の並びなのですけれども、(2)「個人主導のキャリア形成支援」というのが、職業能力開発における今日的な大きなテーマであるとするならば、これを最初に持ってきて、職業能力評価制度というのは、それに基づく1つのサブシステムというか、そんな位置付けと私は理解したものですから、順番としては(2)1に持ってきて、(1)2に持ってきたほうが座りはいいのではないか。そのような理解で(2)も個人主導というような、キャリア形成というような流れの中での能力評価というような理解のほうが、私としては理解しやすいような気がしました。

 

○今野座長 なるほど。後から考えてみますか。御提案頂いたわけですが、何かありますか。

 

○吉永総務課長 順番をどうしようかというのはいろいろ考えてはいました。バランスがいいかというと、なかなかというのが正直なところです。一方で、担当者のやりたい順番というか、そういうところがありますので、そういう熱意の表れだ御理解いただければと思います。

 

○武石委員 今のとも関連すると思うのですけれども、6ページの上の○の所に、労働者の職業能力開発の推進に当たって、キャリコンとジョブ・カードと、職業能力評価制度の3つがここで入っていて、これが(2)の個人主導のキャリア形成支援の中に入っています。今の話にあったように、個人主導の中にこの3つがあって、そのうちのキャリコンとジョブ・カードをここでは個人主導の所に書いて、職業能力評価制度というのが、そこから1つやりたい政策なのだと思うので、1つ目立つようになっているのだと思うのです。この構造が、今の(1)(2)(3)と並んでいるとちょっと分かりにくくなっています。ここの○は、ここでいう(1)(2)に掛かってくる話なので、ここの位置でいいのかというのが1つです。

(2)の個人主導のキャリア形成支援の○の並び方が、何となくキャリコンの話が出てきて、その流れで登録キャリア・コンサルタントが出てきて、これがジョブ・カードとも関連するし、ここも行ったり来たりで頭にスッと入ってこない感じがしました。政策なのか目的なのかみたいなのがあるのですけれども、ここの整理が悪いという感想だけなのですけれども、そんな気がしました。もうちょっと整理が必要かという気がします。

 

○今野座長 武石さんの意見は、谷口さんの意見との関係で言うと、(1)(2)は入れ換えてしまったほうがいいということですか。

○武石委員 入れ換えてもいいような気がします。要は(1)(2)というのは、もちろん企業の支援という部分はあるのですけれども、主として個人のキャリア支援につながる部分なのですということを明らかにする。それで、全体の話は(2)のような気がするので、その中で(1)が特別に出てくるのか、そのように全体が読めたのです。もしそうでなかったら、そうでないように書く必要があるのかと思います。

 

○今野座長 確かに武石さんが言われたように、6ページの一番上の○はちょっと浮いているという感じです。もっと全体の話かなという感じです。分かりました、他にはいかがでしょうか。

 

○大久保委員 4ページの「個人主導のキャリア形成支援」の○の2つ目の内容が気になっています。ここには、「必要な技能やそのための取組を理解する観点からキャリア・コンサルティングの実施が重要である」と書いてあります。例えば、ある仕事について、その仕事に必要な技能とか、その技能を身に付けるためにどういう取組をしたらいいかということを、キャリア・コンサルタントが教えてくれると書いてあるような感じがしています。

 その次のパラグラフで、もともとの議論で職業能力評価はキャリア・コンサルタントの仕事ではないことを確認したと思います。それの流れを受けて、そのキャリア・コンサルティングについては、その役割の明確化を図ることが重要と書いてあります。その上のパラグラフで、また新しいキャリア・コンサルタントの役割が出てきているような感じがしています。この上の文章は一体どう理解したらいいのだろうかをお聞きします。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 大久保委員御指摘のように、確かにこの文章を読むと、取組を理解する観点や自己啓発を促す観点ということで、前回の研究会でも御議論があって、また御説明もしたとおり、キャリア・コンサルタントの役割としては、主体的に能力開発なりを決められるようにしてあげるということですので、誤解を生じるような書きぶりであれば、修正していきたいと思います。

 

○今野座長 いずれにしても、(2)2番目の○については、そういう形で修文してもらうことにしても、2番目と3番目は何となく場所が逆という感じがします。明確化します。その中の1つとしてこういうことがありますと言って、2番目の○が来るというようにしないと。

 

○大久保委員 2番目の○で言いたいことは、キャリア・コンサルティングの実施が重要であるということですよね。

 

○今野座長 いずれにしても、これは2つの○を少し整理したほうがいいですね。2番目と3番目をくっ付けて。他にはいかがでしょうか。

 

○橋本委員 報告書の順番が、(1)「職業能力評価制度の構築」と、(2)「個人主導のキャリア形成支援」とどちらが先のほうが分かりやすいかという議論がございましたが、「職業能力評価制度の構築」のほうが、個人主体のキャリア形成支援にも関係してくると思いますし、企業が評価制度を整えることによって、個人のキャリア形成支援を支えるということが前提でもあるので、(1)が先の今の順番のほうが私は分かりやすいかと思います。

 個人主導のキャリア形成支援は、この研究会でも随分議論があったかと思うのですが、まだ何をしたらいいのか労働者自身が分からない中で、キャリア・コンサルティングの役割というのも、まだ企業内でのキャリア・コンサルタントをどう位置付けるかについて、前回もかなり議論されていたかとおもいます。やはり、「個人主導のキャリア形成支援」の内容については、まだ漠然としている印象がありますので、(1)のほうが施策としても具体的かと思っております。

(1)に関係して、中間報告についてはこの記述でいいかと思います。私のように能力開発行政に疎い人間にとっては、最初の(1)2ページの○で、「職業能力開発と職業能力評価は車の両輪であるが、能力開発は順次整備されたが、職業能力評価はまだ不十分である」という記述があります。この研究会でも御紹介がありましたが、能力評価基準が順次整備されているという情報も得て、どんなものなのかを厚労省のHPで見てみたら、かなり詳しいというのが私の印象です。

 販売業務についてはレベル1からレベル4まであり、レベル1についてもそれぞれ40項目ぐらいあって、かなり能力の見える化は進んでいるというのが私の率直な印象でした。従来の施策との関係で、これはこれから報告書の中間段階ではいいかとは思うのですが、従来の施策との関係で何が足りないのかという点がもう少し内容が明確になっていると、十分これまでの蓄積があるのに何もしていないように読めてしまうのでもったいないと思いました。

 

○伊藤能力評価課長 能力評価基準に関しては、先ほど座長や大久保委員からも御指摘を頂きました。ただいまは橋本委員からも、これをポジティブに捉えるコメントを頂いて有り難く思っております。この中間まとめ案では、直接的には能力評価基準について言及はしておりませんけれども、考え方としては先ほど来の議論にありますように、能力評価基準がベースとなり、これに準拠して、あるいはこれを反映した形で具体的な評価ツールとしての技能検定があるべきであり、この中間まとめ案でも書いておりますような新たな検定制度が整備されるべきです。基本的には雇用対策法などに基づいて、そういう両者の関係であるべきという理解です。

 その上で、能力評価基準については確かに52業種、非常に粗い積算では就業者数カバレッジで大体全就業者の半分ぐらいまで来ています。ただ、一方で能力評価基準に関しては実践性、具体的な活用がまだまだ進んでいないのではないかという御指摘を頂いていることも事実です。

 広い意味での能力評価のためのクライテリアということで、ここで御議論いただいておりますような活用法だけではなくて、いわゆる人事評価、採用、場合によっては教育訓練プログラムのベースメントと、いろいろ幅広い目的を持った評価基準に対し、ここで書いておりますような検定、テスト、客観的な能力評価、アセスメントのためのツールという対比関係があり、それに対応する形で能力評価基準について、私どもはコンピテンシー・ディクショナリーという言い方もしておりますけれども、特定の業種、職種、レベルに応じ、何ができる、何をしているということを、かなり網羅的に整理しました。

 たまたま、今は百貨店販売職種の能力評価基準が手元にあるのですけれども、こういう分厚いものです。それに対して、検定といった仕組みに関してはかなりオペレーショナルな観点で、単に記述をして、それができる、できないというよりは、客観的にそれができるかできないかを評価するために、具体的な課題に落とし込んで、そういう課題対応性で、中立性みたいな違いもあります。

 したがって、評価基準は汎用性を持った言わばベースメントとして、引き続き整備、あるいはメンテナンスを進めていかなければいけないと思っています。同時に、個々具体的な目的、今回の中間まとめ案でも示されているような、例えば外部労働市場におけるジョブ型労働市場に対応した採用や人事にも使える客観的な能力評価というように、ターゲットや目的を絞り込んだ場合には、それに応じたより客観的、具体的なツールがあるべきである。

 そういう発想の下で、今後の能力評価基準整備そのものに関しても、この中間まとめに示されているような、例えば対人サービス分野等における客観的な能力評価といったツールへのコンバートも可能な、その可能性が高いような分野を重点的に開発、メンテナンスをしていくことも必要です。せっかくのこれまでの能力評価基準の蓄積を反映した形で、またこの中間まとめ案の中に示されているような視点をできるだけ盛り込んだ上での対人サービス分野等も含めた、具体的、実践的な検定等の能力評価の仕組みが必要だと。ですから、ここで御議論いただいているような方向性を踏まえて、ベースメントの評価基準も、具体的な検定等のツールも整合的に開発・運用していくことなのかと事務局としては理解しております。

 

○今野座長 ここの所ですけれども、細かいことは別にして、私の認識は、委託訓練や求職者支援制度というのは、先ほどの言葉で言うと職業訓練ですよね。それに比べるとここに書いてあるとおりで、能力評価制度は少しビハインドだというのが私の認識です。ここ10年で考えると、職業訓練は大幅に変わりました。公共訓練は公共訓練施設がするものというところから、公共訓練は民間がするものというぐらいにガーッと変わって整備してきました。そういう点では、職業能力評価制度については余り変わってきていないですから、全体としてはこういう評価でいいと思っています。

 ただ、最終報告のときには橋本さんが言われたように、なぜ更なる整備が必要なのかということについての説明は必要だろうと思いますけれども、中間報告ではこれでいいかという感じです。他にはいかがですか。

 

○堀委員 4ページの、個人主導のキャリア形成支援については、前に持ってくるのか、それとも今の位置になるのか分からないです。今回、4ページの(2)の個人主導のキャリア形成支援の上ですけれども、職業能力評価制度を、例えば学校でプログラムに接続させるというのは結構新しいことかと思います。(2)の個人主導のキャリア形成支援の、正にこの問題になった職業生活設計の部分になるのかもしれないのですが、職業能力開発のプロセスはどこから捉えるかという問題があるのではないかと思っています。やはり、職業能力開発のプロセスを、学校段階から捉えているという点が、今回新しいのかと思っています。もし可能であれば、そのような表現をした部分を、多分(2)の最初の○の工夫になると思うのですけれども御検討いただければと思います。

 

○今野座長 書くのは簡単なのだけども、政策的にカバーできるかどうかと考えるとどうですか。

 

○伊藤能力評価課長 なかなか難しいです。

 

○今野座長 理念としては、考え方としては教育段階からちゃんと考えなければいけないのだと書くことはいいのだけれども、それでは政策としてどうなのかと言われると。

 

○堀委員 でも、そこの上が能力評価制度を学校で活用してもらうと。ラダーの話もありましたけれども、技能検定3級ぐらいまでは、今も学校で取れるようにというお話があったかと思うのです。そうした形で組み込んで、既に工業高校などでは活用されています。もう少し広くこちらでも書いていただけると、一般に知っていただけていいのかと思います。

 

○今野座長 書き方としては、教育段階から見るぞという書き方、これは真正面からです。もう1つは、教育段階と連携するぞという書き方があります。

 

○堀委員 連携で結構です。

 

○今野座長 これは大分違うよね。

 

○堀委員 はい。

 

○今野座長 連携ぐらいだったら平気かなと。連携ぐらいだったら、そういう感じで書いてあると思うのです。堀さんが言われたのは、最初に理念として、学校段階との連携もちゃんと考えて、職業能力開発政策を考える必要があるぞ、みたいなのが一本ここにきちっと入ったほうがいいということですね。

 

○堀委員 はい、そうではないかと。

 

○今野座長 連携だったら問題ないですね。どこかに入っていないですか。

 

○吉永総務課長 評価のことは、4ページの1つ目の○で、「教育政策と労働市場政策を連動させた統合的な運用」という形で、評価の所では入っていますので、同じような考え方にはなるかと思います。

 

○堀委員 それを、個人主導の所に書き込んでいただけると、個人の側にもアピールになってよいのかという意見です。

 

○今野座長 連携しようというのは基本理念だから、それが個別の所にあちこち入ってくるとおかしいですよね。評価でも連携しましょう、訓練でも連携しましょう、キャリア形成でも連携しましょうというと。

 

○堀委員 個人主導なので、個人が連携するわけではないのです。

 

○今野座長 えっ。

 

○堀委員 個人主導の所で書き込んでいただくことになると、個人が連携することはできない。

 

○今野座長 いやいや、政策的に。

 

○吉永総務課長 現段階では中間的整理なので、後書きみたいな所は入っていないのですけれども、そういう所にバスケット的にいろいろ入れ込んでいくことはできるのかと思っています。

 

○今野座長 入れるとしたら、一番前か一番後ろかということになりますね。

 

○吉永総務課長 ちょっと、前に入れるのはどうでしょうか。

 

○今野座長 私が気になっているのは、連携するというのはやり方の問題でしょう。そうすると、やり方で気を付けなければいけないことは他にもありそうな気がするのです。今度は、一番前に出してくると。そうすると、それも考えて前に出さなければいけないので、今回は入れにくいです。適切な例かどうか分かりませんが、やり方の問題なので、例えば教育行政との連携を進めながらやりましょうというやり方もあるし、あるいは民間ともう少しうまくやっていきましょうというやり方もあるし、あとは違うやり方もあるし、いろいろ重要なやり方があると思います。

 もし、その問題を例えば1ページにあるように前のほうに書くとすると、どこかの○にやり方についての基本理念みたいな○を1つ作って、こういう点でいきましょうと入れなければいけない。その時に教育の連携とともに、他も全部入れ込まなければいけないから、今回は勘弁かな。

 

○堀委員 はい。

 

○今野座長 でも、重要だと思っています。部分的には入っていると思いますので、もしそういうことだったら、中間取りまとめではなくて、本取りまとめのときに、そういうことを整理して、整理できれば入れることにするということにさせてください。私は、中間報告以降に、宿題をいっぱい残しているのですけれども、全部できますかね。この取りまとめ以降に何を議論するか、もう一度整理します。他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。たくさんの意見を頂きましてありがとうございました。本日の意見を踏まえて、中間取りまとめをしたいと思います。その取りまとめについては、私と事務局にお任せいただけますか。よろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。今後の進め方、次回の日程について事務局からお願いします。

 

○田中総務課長補佐 ありがとうございました。本日御議論いただきました中間取りまとめについては、今後、座長の御指導を頂きながらまとまりましたら、事務局から731日に予定されている労働政策審議会職業能力開発分科会へ報告させていただきます。また、研究会として最終取りまとめに向け、引き続き御議論いただきたいと思いますが、具体的な進め方については今野座長と御相談させていただき、次回の日時、場所等については別途事務局より御連絡させていただきます。

 

○今野座長 本日はこれで終わります。御苦労さまでした。


(了)

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