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2014年10月30日 第1回外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会 議事録

社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

○日時

平成26年10月30日(木)16:00~18:00


○場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール4C


○議題

(1)座長の選出について
(2)外国人介護人材受入れに関する主な論点について
(3)その他

○議事

○山田室長補佐 皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第1回「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 座長を選出いただくまでの間、社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室の山田が議事進行を務めますので、よろしくお願いいたします。

 まず、開会に当たり、社会・援護局長の鈴木より、一言御挨拶申し上げます。

○鈴木社会・援護局長 社会・援護局長の鈴木でございます。

 本日は、大変御多忙な中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。冒頭の御挨拶にかえまして、この検討会の趣旨などについて申し上げたいと思います。

 皆様方、御案内のように、外国人材をめぐりましては、主に介護について3つの課題があろうかと思っております。

 具体的には、本年6月に閣議決定されました日本再興戦略におきまして、第1点といたしまして、技能実習制度の対象職種に介護分野を追加する。これについて、日本語要件など介護分野特有の観点を踏まえつつ、年内を目途に検討し、結論を得ることが定められてございます。

 2点目といたしまして、外国人留学生が卒業後に介護福祉士の資格などを取得した場合に、在留資格の拡充を含めまして就労を認めることなどについて、年内を目途に制度設計等を行うこと。これが閣議決定で定められた2点目でございます。

 また、この閣議決定のほかに、EPA、経済連携協定に基づきまして、現在、3つの国から介護福祉士候補者を受け入れておりますけれども、このEPAの仕組みについて、さらに活用したらどうかということを求める声もあると承知いたしております。

 こうした3つの課題につきましては、政府全体として結論を出していく、これが必要だろうと思っておりますけれども、その中で、厚生労働省といたしましては、今後、関係省庁と連携をとりながら、予断なく検討を行ってまいりたいと考えてございます。このため、この検討を進めるに当たりましては、先ほど御紹介申し上げました閣議決定で掲げられた事項などにつきまして、まずは介護サービスあるいは介護人材を所管する立場から課題や論点を明らかにいたしまして、その上で、こうしたものについて検討を進めて結論を得ていくといった手順が必要だろうと考えてございます。したがいまして、本検討会におかれましても、こうした観点に立って御検討を進めていただきたいと考えてございます。

 この閣議決定されました再興戦略におきましては、年内を目途に結論を出すことが求められておりまして、大変タイトなスケジュールになりますけれども、どうぞ精力的に御検討いただくようお願い申し上げまして、冒頭、御挨拶にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○山田室長補佐 それでは、本日御出席の構成員の皆様を五十音順で御紹介いたします。

 公益社団法人日本介護福祉士会会長、石橋真二構成員です。

○石橋構成員 石橋でございます。よろしくお願いします。

○山田室長補佐 株式会社読売新聞東京本社編集局社会保障部部長、猪熊律子構成員です。

○猪熊構成員 猪熊です。よろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 公益財団法人日本生産性本部参事、北浦正行構成員です。

○北浦構成員 北浦でございます。よろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 公益社団法人全国老人福祉施設協議会副会長、熊谷和正構成員です。

○熊谷構成員 熊谷でございます。

○山田室長補佐 学校法人滋慶学園東京福祉専門学校ケアワーク学部教務主任、白井孝子構成員です。

○白井構成員 白井でございます。よろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会副会長、田中博一構成員です。

○田中構成員 田中でございます。よろしくお願いします。

○山田室長補佐 神奈川県立保健福祉大学名誉教授、根本嘉昭構成員です。

○根本構成員 根本です。どうぞよろしくお願いします。

○山田室長補佐 日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、平川則男構成員です。

○平川則男構成員 平川です。よろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 公益社団法人全国老人保健施設協会副会長、平川博之構成員です。

○平川博之構成員 平川でございます。よろしくお願いします。

○山田室長補佐 社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会福祉法人経営者協議会高齢者福祉事業経営委員長、平田直之構成員からは、本日欠席の御連絡をいただいており、代理として、全国社会福祉法人経営者協議会総務委員長、浦野正男様にお越しいただいております。

○浦野代理 代理で参りました浦野でございます。

○山田室長補佐 構成員の御紹介は以上です。

 続きまして、事務局の出席者につきまして御紹介いたします。

 まず、社会・援護局長の鈴木俊彦です。

 大臣官房審議官の谷内繁です。

○谷内審議官 谷内です。よろしくお願いします。

○山田室長補佐 社会・援護局総務課長、西辻浩ですが、本日はおくれて出席の予定です。また、社会・援護局福祉基盤課長の岩井勝弘についても、同じくおくれて参加の予定です。

 社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長、武内和久です。

○武内室長 武内でございます。どうぞよろしくお願いします。

○山田室長補佐 社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長補佐の関口彰です。

○関口室長補佐 関口です。よろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課長の堀井奈津子です。○堀井課長 堀井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課経済連携協定受入対策室長の穴井元尚です。

○穴井室長 穴井です。どうぞよろしくお願いします。

○山田室長補佐 職業能力開発局海外協力課外国人研修推進室長の山田敏充です。

○山田室長 山田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 続きまして、オブザーバーの出席者につきまして御紹介いたします。

 法務省入国管理局企画室長の根岸功様です。

○根岸室長 法務省の根岸と申します。よろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 外務省南部アジア部南東アジア第一課首席事務官の安藤重実様です。

○安藤首席事務官 外務省の安藤でございます。よろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 外務省南部アジア部南東アジア第二課首席事務官の北川伸太郎様です。

○北川首席事務官 北川と申します。よろしくお願いします。

○山田室長補佐 事務局及びオブザーバーの出席者については、以上です。

 続きまして、お手元の資料の確認をお願いいたします。

 皆様のお手元には、資料1といたしまして開催要綱、資料2といたしまして基礎資料、資料3といたしまして検討に当たっての基本的考え方、資料4といたしまして検討事項(案)、資料5として検討会スケジュール(案)を配布しております。

 漏れ等がありましたら、事務局までお申し付けください。御確認をよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは、議事に入ります。

 まずは、座長の選出についてです。資料1をごらんいただければと存じますが、本検討会の座長につきましては、構成員の互選により選出されることとなっております。

 事務局のほうで構成員の方にお伺いしましたところ、根本構成員に御就任していただいてはどうかとのご意見がございました。そのような状況を含め、根本構成員に御相談申し上げたところ、構成員の皆様の御賛同をいただけるのであれば、座長を引き受けてもよいとの御意向でございました。

 そこで、事務局から構成員の皆様に確認させていただきたいと思いますが、根本構成員に本検討会の座長をお願いするということでいかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山田室長補佐 それでは、根本先生、よろしくお願いします。

○根本座長 それぞれ御見識、御造詣の深い方々の中で、座長にとの御指名を受けて、本当に恐縮しております。このような重責、本当に不なれでありますけれども、先ほど局長さんの御挨拶の中にもありましたように、この検討会に課された課題につきまして、検討の期間が非常に限られてはおりますけれども、お互いに英知を出し合って、よりよい方向性を出していければいいなと思っておりますが、その進行役を務めさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

○山田室長補佐 ありがとうございました。

 報道関係者の皆様、撮影はここで終了といたします。

(冒頭カメラ撮り終了)

○山田室長補佐 では、以降の進行は根本座長にお願いいたします。

○根本座長 それでは、早速、議事に入ってまいりたいと思います。

 本日は第1回の検討会でございますので、外国人介護人材受入れに関する基本的な考え方につきまして、この場におられる皆様方と共有いたして、検討する事項につきましてもあわせて共有して、次回以降の議論につなげていければと思っております。

 それでは、初めに、資料につきまして事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○武内室長 それでは、私のほうから御説明申し上げます。

 きょう、お手元の資料、先ほど御紹介しました5種類の資料がございます。資料1は開催要綱でありますが、実質的な資料として、資料2、3、4、5という4種類の資料がございます。この中では、本検討会で議論を進めていただくに当たっての基本的な情報、データ、それから検討に当たっての基本的な考え方、検討事項(案)、そしてスケジュールという構成になっておりますので、少々お時間をいただきまして順次御説明いたします。

 まず、右肩、資料2にあります基礎資料をごらんください。基礎資料の中では、本検討会で議論を進めていただくに当たっての基本的な情報を整理しております。2つありまして、1つは、外国人の受入れに関して、現在走っている制度について、EPA及び技能実習を中心として、関係する資料を入れております。2つ目は、本検討会への契機となりました日本再興戦略の該当部分の抜粋になっております。

 それでは、資料2の3ページをごらんください。まず最初に、日本で就労する外国人のカテゴリー、どういう形で現在、日本で就労できるのかという全体像についてです。こちらにありますように、現在、約71.8万人の外国人の方々が日本で就労されております。その就労する場合のカテゴリーとして、ここにあります5種類あります。こちらは、出入国管理及び難民認定法上、規定されているものです。

 1つ目が就労目的で在留が認められる方ということで、いわゆる専門的・技術的分野と言われているものです。こちらにつきましては、右の部分に吹き出しがありますけれども、専門的・技術的分野に該当する主な在留資格として幾つかの種類があります。この介護に近いものとしましては、この中で下から3番目の枠に医療というものがあります。医師、歯科医師、看護師など、各医療関係の資格を取られた方については、在留資格が1のカテゴリーで付与されるという構成になっております。

 そして、左を見ていただきまして、2つ目が身分に基づき在留される方。これは、日系人などの定住者、それから日本人の配偶者などという方々です。

 3つ目が技能実習です。技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的としまして、現在、13.7万人の方が就労されております。

 4つ目が特定活動というものでして、上記3つのカテゴリーに入らない、独自の類型として設けられているものです。この中には、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士の候補者の方々も含まれております。こちらがトータルで8,000人の方がいらっしゃいます。

 5番目には資格外活動ということで、留学生として入られている方々がアルバイトという形で就労されているケースがあります。1週間28時間以内という範囲が設定されております。

 こちらが全体像となります。この後、御説明させていただく技能実習が3、EPAが4、そして資格に基づき入国する在留資格というのが1に関連すると御理解ください。

 このうち、まず現行で施行されているものの1つとして、EPAについて、5ページ以降、関係する資料がございます。

 5ページをごらんください。経済連携協定(EPA)に基づく受入れの枠組み、介護の部分について、こちらに示しております。EPAに基づく介護福祉士候補者の受入れは、介護分野の労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化という観点から行われています。したがって、公的な枠組みで特例的に行うものという性格を持っています。

 現在、3カ国と協定が結ばれています。インドネシア、フィリピン、ベトナムです。こちらにございますように、フローとして掲げられている大まかな手順になっています。それぞれの国ごとに、入国される候補者の方々の要件が設定されています。教育機関の卒業・終了あるいはさまざまな資格を持たれていることがベースになっています。そして、マッチングというプロセスに入りまして、就労を希望される方と受入れを希望される事業者の方々のマッチングが行われます。それに前後して、ベトナムであれば訪日前に12カ月、その他2カ国であれば、マッチングした後に、訪日前ですけれども6カ月の日本語研修というものを経ることになっています。

 その後、入国していただいて、訪日後の日本語等研修もございまして、インドネシア、フィリピンについては6カ月、ベトナムは2.5カ月ということになっております。なお、インドネシア、フィリピンについては、候補者の就労・研修開始時にN3程度の日本語能力修得を目指すことになっております。

 これらのプロセスを経て、受入れ施設(介護施設等)で雇用契約に基づき就労・研修に入るという流れになっております。

 6ページをごらんください。入国以降の流れを書いております。入国から国家試験に至るまでの過程です。介護福祉士の候補者の方の在留期間は、上限4年と原則なっています。

 入国した後、訪日後研修を受講していただき、その後に介護施設等で就労・研修を行った後、国家試験の受験資格を得た後、4年目に国家試験を受験していただくことになります。そして、この場合、合格すれば、その後引き続き、特定活動として就労が可能です。他方、不合格の場合は、2種類の道があります。1つは、要件を満たせば引き続き介護施設等で就労・研修する。そして、5年目に国家試験をもう一度受験するという道が残されています。こちらは、後ほどまた詳しく御説明します。もう一つは、帰国されるということになります。そして、5年目に合格されれば、引き続き就労が可能になります。

 7ページをごらんください。EPAの受入れの実績についての定量的なデータになっています。EPAに基づく介護福祉士候補者の累計受入れ数は、現在1,500人超となっています。

 その下に、若干小さい文字で恐縮ですが、各国ごとに、薄い色が施設側からの受入れ希望人数、濃い色が実際の受入れ人数ということで、制度開始以降の推移が見てとれます。こちらを見ていただきますと、傾向としましては、平成23年に至るまで、受入れの希望あるいは受入れ人数というのが減少傾向を示した後、上昇傾向に転じていることが見てとれます。また、ベトナムについては26年度から受入れを開始ということで、新しく国として加わっていることになっています。

 具体的な詳細な数字は、下の表をごらんください。

 8ページに参ります。こうした国家試験の受験を目指して活動されている介護福祉士の候補者の方々に対してのサポート体制です。

 上下の点線で囲んだ欄がありますが、上段が協定上定められているものということで、御説明したとおりでありますが、下の段に、これまでそうした方々への日本国政府としてのボランタリーな取り組みとして支援措置を講じています。訪日前から帰国した後まで、さまざまな支援が行われておりまして、就労・研修中の通信添削指導等の国家試験対策の支援、それから国家試験での支援もございます。それから、先ほど少し触れました滞在期間の延長、そして帰国した後の帰国報告会、就職説明会などの支援も行われております。

 このうち就労・研修中という部分について拡大したものが、9ページになります。介護福祉士候補者への学習支援及び試験上の配慮というものです。訪日前、訪日後のプロセスを経た後、受入れ施設での就労・研修中にさまざまな支援を日本国政府として行っています。

 ここに3種類のものが掲げてありますが、1つ目は受入れ施設での学習経費の支援ということで、日本語学校への通学あるいは模擬試験といったものを受けるための経費。それから、研修担当者への手当を支援しています。

 2つ目が外国人介護福祉士候補者学習支援事業ということで、集合研修、通信添削指導。それから、資格を取得できなかった帰国候補者の方々の、母国での模擬試験を受けるといったサポートも行っています。

 3つ目が国際厚生事業団、JICWELSでの受入れ支援です。こちらでは、(1)巡回訪問指導、(2)相談窓口の設置といったことのほか、(5)、(6)では、過去の国家試験問題の翻訳や学習教材の配布。(7)では、学習プログラムの提示などといった形でさまざまな学習支援をしております。なお、こうした支援につきましては、関係省庁で予算を支弁しているという構造になっています。

 そして、右側の国家試験の部分では、漢字へのふりがな付記、疾病名への英語表記、試験時間の延長などの配慮措置を講じています。

 この中で日本語の研修などが言及されておりますが、10ページをごらんいただきますと、これはJICWELSで行ったアンケートの結果ですけれども、EPAの受入れ施設の約9割が日本語能力試験「N3」レベル以上を求めているというデータがございます。これに関して、送り出し国のほうも基本的にN3程度の日本語能力修得を目指すといった形で取り組んでいるということは、既に御説明したとおりです。なお、御参考までに、N3というのは日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる。新聞記事の見出し程度は理解できるというレベルと、一般的に認識されています。

 そして、国家試験について、11ページをごらんください。国家試験については、先ほどお話申し上げましたとおり、1回目、初受験、それから5年目に2回目の受験ができるという、現行、2つの道があります。

 インドネシア、フィリピンについて、合格者数と合格率、特に合格率を緑色で示しています。年を経るごとに、初受験の方々の合格率は50%以上の水準まで上がっています。これは、種々の学習支援の成果あるいは国家試験上の配慮が反映されたものだと考えられます。そして、再受験をされた方、再受験については、まだ制度の歴史が浅いので、データとしては少ないのですけれども、初受験に比べると合格率が低いということが見てとれます。

 そして、12ページをごらんいただきますと、実際に候補者として入国された方がどれぐらい最終的に合格されたのかということのデータです。一番右の累積合格率を見ていただきますと、国や年によって若干の違いはありますが、5割前後の水準に至っていることがわかります。

 そして、13ページをごらんいただきますと、国家試験不合格者への滞在期間の延長についての表です。先ほど申し上げましたとおり、4年間の滞在では合格しなかった場合、外交上の配慮として、一定の条件で特例的な滞在期間の延長を現在、認めています。それで、協定上は4年間、それに特例の1年間ということで、5年間。そして、受験回数は2回ということになっております。

 なお、この一定の条件と言いますのは下の5に書いてありますが、国家試験の得点が一定水準以上。現在は、合格点の半分という水準になっております。

 以上、EPAについての御説明です。

○山田室長 続きまして、私、外国人研修推進室長、山田より、技能実習制度について御説明させていただきます。資料は、14ページ以降でございます。この技能実習制度の基本的な概要、趣旨、それから仮に職種を追加する場合にどのようなことが求められているのか。それから、技能実習制度につきましてはさまざまな問題点も指摘されているところでございまして、それに対応する今後の見直しの全般的な方向性につきましても、あわせて御説明させていただきます。

 おめくりいただきまして、16ページでございます。技能実習制度の仕組みでございますが、一番上の四角の枠にございますとおり、国際貢献を図るという目的で、開発途上国などの外国人を日本で一定期間、現在、最長で3年間ということでございますが、これに限って受け入れて、現場でのOJTを通じて技能を身につけていただいて、そして母国で生かして産業の発展に寄与していただくという国際貢献のための制度ということで、平成5年に制度創設されてございます。その後、何度か制度の改正がなされておりまして、平成22年7月の入管法令の改正に基づいて、現行の仕組みになってございます。

 入国直後の2カ月間、原則として基本的な生活のために必要な座学の講習があるわけですけれども、それ以外の期間につきまして、雇用関係のもとに労働関係法令が適用されるということで、現在、約15万人が在留しているということでございます。

 下の左側でございます。技能実習制度の受入れのタイプにつきましては、大きく2つに分かれます。

 1つが企業単独型と呼ばれるものでございまして、これは比較的規模が大きいところ、海外に現地法人があるとか、いろいろな取引関係があるといった企業の職員を日本に受け入れて、そこで技能を身につけていただいて、また帰っていただくというスキームでございます。

 現在は、その下のほうにございます団体監理型というものが非常に多うございます。企業単独型の場合は、海外に何らかの拠点があることが前提でございますので、中小企業などでもこういった仕組みを使いたいということに応える形で、現在、団体監理型というものがございます。現在、約97%を占めているという状況でございます。これは、非営利の監理団体、後ほどまた御説明いたしますが、事業協同組合とか商工会が技能実習生を受け入れる。送り出し国の送り出し機関と契約を結んで、そこから受け入れをして、そして傘下の幾つかの実習実施機関、いわゆる企業で実習していくという形でございます。

 この場合の監理団体の役割につきまして、後ほど御説明いたしますが、団体監理型で技能実習を遂行していく場合には非常に重要な役割を担っております。

 次に、右側でございますが、現在の技能実習制度の流れでございます。まず、入国いたしますと、原則として最初の2カ月間につきましては、座学での講習というものを実施することになります。それが修了いたしましたら、雇用関係のもとで、各実習実施機関において実習をやっていくという形です。

 その最初の1年間は、在留資格上は技能実習1号という形で入管書類上、整理されてございますが、1年目から2年目以降に移行する。在留資格上、別のものとして技能実習2号という形で整理されていますが、この2年目以降の2号に移行するためには、真ん中に基礎2級というのがございます。こういうそれぞれの職種・作業ごとに試験のシステムをつくることになっておりまして、まず、この基礎2級に合格していただくということを条件に、2年目以降の実習を継続していただく形になっております。無事、基礎2級に合格すれば、入国管理局のほうに手続をとっていただいて、2年目以降も雇用関係のもとで、さらに実習を積んでいただくという形になります。

 その後、2年目、3年目に試験システムとして、基礎1級あるいは3級。3級というのは、もともと日本人向けで技能検定制度というものがございますが、おおむね実業高校卒業レベルという形での試験水準と設定されておりますけれども、最終的にはこういった3級を目指すという基本的な考え方で制度が成り立ってございます。実際には、3級まで受験する方は非常に少ないわけですが、それについてはまた後ほど問題点等を御説明いたします。

 次に、17ページでございますが、1号から2号に移る場合、特に2号につきましては、具体的な職種、作業が定められてございます。平成26年4月現在、ちょっと字が細かくて恐縮でございますが、68職種126作業が厚生労働大臣の公示で指定されてございます。ここにありますとおり、職種としましては、農業、漁業、建設あるいはものづくり関係といった職種が多く指定されているところでございます。

 続きまして、18ページでございます。先ほど、技能実習制度につきましては、企業単独型と団体監理型があるということを御説明いたしましたが、ここでは特に団体監理型による技能実習の概要、流れ、それぞれどんな役割を果たすのかということにつきまして御説明いたします。

 まず、団体監理型で受入れが認められる団体、すなわち監理団体になるのですけれども、営利を目的としない団体であることが求められております。こちらにありますとおり、商工会議所、商工会、中小企業団体といった団体が監理団体として受入れを行うことができる形になってございます。

 その下の赤い枠で囲っているところでございますが、「講習」についてということで、最初に入国した後、原則として、2カ月間につきましては座学で講義形式で講習を受けていただくことになっております。こちらにありますとおり、修得する内容といたしましては、日本語とか修得技能に関する基本的な知識、あるいは生活一般に関する知識、さらには労働関係法令とか入国管理法令など、技能実習生の法的な保護に必要な情報などをこの中で学んでいただくということでございます。

 実施すべき講習の時間につきましては、原則は2カ月でございますが、入国の前に一定の講習を受けている場合には、それが短縮されるということでございます。

 それから、下の段でございますけれども、受入れの人数枠というものも法務省令のほうで設定されてございます。下に表の形になっておりますけれども、実習実施機関の常勤の職員の総数によって、例えば50人以下であれば3人、51人以上100人以下であれば6人の方の受入れを新しくできるという形になってございます。

 それから、右側でございます。団体監理型受入れの概要図と書いております。上の段が監理団体の役割、下の段が実習実施機関の役割ということでございます。横軸が時間軸で、左側から最初に入国して1年目、2年目、3年目という形で、どこがどんな役割を果たすのかという形で整理させていただいております。

 監理団体につきましては、ここに書かれておりますとおり、非常に重要な役割を担っていただくということが予定されております。

 まず、監理団体による監査。実習機関に対して、3カ月に1回以上、監査をしていただく。そして、その結果を地方入国管理局に報告していただくということが求められております。

 それから、技能実習生からの相談に対応できる体制をつくっていただく。

 あと、実習実施機関でさまざまな理由で実習の継続が困難な場合に、新たな受入れ先の確保に努めるという努力義務もございます。

 それから、監理団体がそういった監理活動を行うに当たって、一定の費用が当然かかるわけでございますけれども、金額あるいは使途を明確にすることによりまして、間違っても技能実習生に負担を求めるとか、あるいは不明朗なことにならないようにということが定められております。

 それから、その下、ちょっと小さい枠になっておりますが、原則として、最初の2カ月につきましては、監理団体が講習施設を確保した上で講習を実施していただきます。

 そして、最初の1年間につきましては、実習実施機関に一月に1回以上、実習計画に基づいて実習がなされているかどうかということを確認・指導していただくことになっております。

 また、その下、実習生が何らかの事情で帰国した場合には、入管局への報告。

 それから、その下、帰国担保措置と書いてあります。これは、いわゆる技能実習生の帰国旅費の確保ということでございます。これは、最初に技能実習制度の趣旨のところで申し上げましたとおり、この制度は国際貢献。要は、技能を日本で身につけていただいて、そして母国に帰っていただいて、そこで技能を移転して産業の発展に役立てていただくということですので、確実に帰っていただけるような担保措置ということで定められております。

 そのほか、講習の実施に係る文書の作成・保管といったものが定められています。

 それから、下のところは、実際のそれぞれの実習を行う実習実施機関の責務ということですけれども、実習生の宿泊場所を確保する。これは当然のことでございますけれども、実習実施機関、場合によっては監理団体がこれを確保していただくということになります。

 それから、労働者災害補償保険なども含めて、そういった保険について確保していただく。

 それから、給与についてでございますが、省令上は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける雇用契約を締結していただくことを前提に実習していただくことになっています。

 それから、実際の実習に当たっては指導員の確保ということが重要でございますので、5年以上の経験を有する常勤職員をきちんと配置して実習をやっていただく。

 それから、日本での生活、なかなかなれないところもありますので、生活指導員の配置をしていただく。

 あと、そういった実施状況に係る文書を作成し、保存していただくということが求められてございます。

 続きまして、19ページでございます。技能実習制度における役割分担ということでございまして、左側に法務省、右側に厚生労働省と書いております。法務省におきましては、入国管理法令によって入国する、それから残留資格といった出入国管理という観点からの役割を担っていただいているということでございます。右側の厚生労働省のほうですけれども、技能移転を支援していく、あるいは労働関係法令をきちんと守っていただくという観点からの役割でございます。

 まず最初、労働局・需給調整事業担当部署と書いておりますけれども、監理団体は、送り出し機関から集めてくるというか、職業紹介を実際実施することになりますので、法令上、必要な許可・届出を行っていただくことが当然求められます。

 それから、その下にございますけれども、職業能力開発局、実際には私ども、委託事業で行っておりますが、1年目から2年目に移行するためには基礎2級の試験に受かっていただくことが必要になりますけれども、その前提として、まず技能実習計画をきちんとつくられたか、それを確認していただくことと、公的評価システム認定のための支援をやっております。

 あと、右側にございますとおり、もう一つ委託事業ということで、監理団体、実習実施機関において、この技能実習制度を遂行していくに当たって、さまざまな役割を担っていただくわけですけれども、そうしたことに対して、さまざまな支援等を行ってございます。

 1つは、監理団体・実習実施機関への巡回指導ということで、労働関係法令あるいは入管法令についての状況を確認させていただく。それから、死亡事案を初め、労働安全衛生管理についても支援していただく。あと、講習などを通して技能実習指導員を養成する。

 それから、右側にありますとおり、技能実習生に対する支援というものもございます。母国語相談の実施ということで、中国語、インドネシア語、ベトナム語という形で直接電話をしていただいて、いろいろ相談事があれば、そちらのほうにお寄せいただくという窓口を設けてございます。それから、技能実習生手帳の配布ということでございます。1つサンプルをお持ちいたしましたが、左側が日本語、右側が現地語という形で、実習の期間3年間、何か困ったときに見ることができるものとして、さまざまな相談窓口とか労働関係法令の基本的なもの、あるいは医療機関に対する自己問診表も含めて、最低限サポートするために作成して実習生に配布させていただいております。

 それから、委託事業の巡回指導の中で、仮に実習実施機関あるいは監理団体において問題点が見つかった場合には、必要に応じて労働基準監督機関、場合によっては地方入国管理局あるいは労働局といったところに情報を提供して、必要な指導を行政として行うという形になってございます。

 続きまして、20ページでございます。今までが基本的な制度の仕組みでございますが、現状についてということで、現在、技能実習生、平成25年末の数でございますが、約155,000人という状況でございます。

 それから、下のところで受入れの人数でございますけれども、現在、中国、ベトナム、フィリピンという割合で、現在は中国が非常に多いということでございます。ただ、最近は中国につきましては、人数・割合ともだんだん減ってきておりまして、ベトナムなど、別の国の割合も少しずつふえてきているという状況でございます。

 それから、右側のほうに、先ほど職種は68職種あると御説明いたしましたけれども、繊維・衣服関係、機械・金属、農業関係といった職種が多うございます。

 それから、下のほうは、団体監理型の受入れがほとんどということで、かつ右側のグラフですが、実習実施機関の半数以上が従業員数が19人以下の零細企業だというのが実態でございます。

 続きまして、技能実習の対象技能あるいは職種を追加していくという場合に、どんなことが求められるかというものを御説明いたします。

22ページでございます。技能実習の対象となる技能・技術・知識とは何なのかという要件についてまとめたものでございます。大きく3つございます。

 1つは、単純作業ではないこと。これは、技能を身につけていただいて、それを母国で生かしていただくということですので、役に立つような中身であることが必要でございます。ですから、職種を仮に追加していく場合には、具体的にどんな作業をやっていただくのかということを正確に定義していただくことが大変重要になってまいります。間違っても雑用的なものに終始するということでは、国際貢献という趣旨にもとるということになります。

 それから、2送出し国の実習ニーズというものがあるということ。

 それから、3、特に2年目以降、いわゆる2号に移行できる場合には、実習の成果が評価できる公的評価システムがあることが、もう一つ要件とされております。すなわち、先ほど御説明いたしましたとおり、1年目から2年目以降に移行する場合には、きちんと学んだ技能が修得されているかどうかということを確認するために、基礎2級の試験を受けていただいて、それに合格した方のみが2年目以降に移行していただく。また、その後も基礎1級あるいは3級といった形で、実際に技能を修得できたかどうかということを把握できる試験システムを整備していただくことが求められております。この試験システムについては、この後、中身を詳しく御説明いたします。

23ページでございます。実際に技能実習2号、すなわち2年目以降も実習ができる形にするためには、職種の追加という作業が必要ですけれども、その際の簡単なフロー図をまとめたものでございます。

 まず、左上のほうにありますが、業所管官庁に相談ということが書いてあります。これは、業として2号移行対象職種に追加することについての是非を、業所管官庁として判断していただくことが必要であろうと思います。例えば法令上、そういった実習生を受け入れることができるかどうか、あるいは業を所管する産業の振興、その他の観点からいろいろ検討するということで、業所管官庁のほうで一定の御判断をいただくことが必要だろうと思っております。

 もう一つ、業界内で意思統一されているかどうかということにつきましても、非常に重要な要件になっていると考えております。これは、先ほど御説明いたしましたとおり、2号の移行対象職種になるためには、試験制度を整備していただくという形になります。ある職種を追加するときに、試験制度がばらばらたくさんあると、客観的な指標として日本で何を学んできたのかというのがよくわからない形になりますので、仮に何らかの職種を追加する場合には、日本においてどこでも同じレベルの試験が受けられることが重要になっています。

 そうしますと、その試験をつくる前提として、そもそもどんな作業をやっていただく必要があるのか。そして、その作業を1年目、2年目、3年目にわたってステップアップしていく試験システムを業界として統一的なものをつくっていただく必要があるということがございます。このあたりを業所管官庁の御指導などもいただきながらまとめていただくことをお願いしているところでございます。

 それから、右側は外国人研修推進室、私どもの室でございますけれども、先ほど御説明しましたとおり、単純作業ではない。送出国のニーズがある。それから、きちんとした公的評価システムがあるといった要件を御説明させていただくことになります。

 フローでは、その下に既存の枠組みで対応できるかということで、既存の仕組みに対応できれば、それに乗るし、それがもしないということであれば、その下、技能検定の職種の範疇かということになります。これは、日本人向けの技能検定につきましては、法律に基づいて整備されているものがございます。ちなみに介護につきましては、技能検定の職種ということではございません。そういたしますと、業界団体による新たな公的評価システムを構築していくということが求められる形になります。

 この具体的な要件につきましては、また別の資料で御説明いたしますが、こういった要件に基づいて公的評価システムを構築していただいて、それについて業所管省庁もオーケーというか、承認を出していただいた上で、厚生労働大臣の公示に基づいて公的評価システムの認定会議というものがございますので、ここで審議して認定されれば、最終的に職種として新規の認定をするという流れでございます。

 次の24ページでございます。現行の公的評価システム、要するに試験システムですけれども、これを認定していく基準というのはどんなものかということをまとめたものでございます。非常に細かいものでございますが、主なものについて御説明いたします。

 まず、1.試験実施機関の適格性の要件でございますが、1にございますとおり、特定の職種・作業に従事する者全般を対象とする当該職種・作業に係る技能の評価を実施しているということで、その職種・作業を定義すれば、その作業に入ってくる実習生については、その試験を受けられるようにするという団体であることが必要でございます。

 それから、2、この団体が営利を目的としない団体であること。

 それから、6公的評価システムの継続実施が可能な財務基盤を有することになります。技能実習生がそれぞれいろいろな実習実施機関があって、何月ごろ、どれぐらいの人数が入ってくるかというのは、そのときそのときで非常に千差万別でございます。そして、特に基礎2級に受からなければ2号に移行できないという形になっておりますので、そういった試験をきちんと継続して受験できる体制をつくっていただくことが前提になりますので、こういった財務基盤を有することをお願いしております。

 同じ趣旨で、7、そういった実施が可能な組織を有していることをお願いしてございます。

 それから、11でございますが、実習実施機関の要請等に応じて、適切な時期(随時)に公的評価システムの実施が可能であること。

 それから、12、要請に応じて適切な場所(全国)で公的評価システムの実施が可能であること。

 それから、14技能実習制度に係る監理団体又は実習実施機関でないことということですけれども、試験をやる団体と受け入れている団体が同じということになりますと、利益相反の問題もございますので、そこは分けていただくということをお願いしております。

 それから、2番目でございますが、対象職種・作業としての適格性の要件ということでございます。

 1にありますとおり、送出し国のニーズに合致した職種であるということがございます。

 それから、4、具体的には、評価する技能に関して、等級区分、受験資格の設定が可能なものであることが求められます。

 それから、右のほうに3として、基となる一般向け評価システムの要件ということでございますけれども、もともと外国の方が学んでいただくべき技能があるということは、逆に言えば、当然、日本人もそれを学んでステップアップできるということが前提ではないかという観点から、日本人向けの評価システムも存在するということを現在は求めております。

 それから、左下、技能実習生向け評価の内容、評価基準に係る要件でございます。

 1にありますとおり、制度の目的にかなう水準での技能、技術、知識を評価するものであること。

 それから、2評価は、学科と実技の双方を含むことということでお願いしております。

 3出題は、日本語によることとし、内容は通常の技能実習生の日本語能力からみて妥当なものであることです。

 それから、4技能実習制度に係る通常の技能実習期間に対応したものであること。すなわち、2年目に移行するためには基礎2級を受けなければいけない。その後、基礎1級、3級ということを想定しているわけでございますけれども、そういったステップアップしていく基本的な期間に対応していく。

 それから、5、目的にかなう、技能実習の内容に対応したものということで、何を学んでいただいて帰っていただくのか。当然、学んだものがしっかり身についたかどうかということを試験するためのものですので、実際の実習の内容に対応した試験をつくっていただくということが必要でございます。

 それから、右側、他の評価制度との調整ということで、ほかに似たような検定制度とか評価システムがもしあるということであれば、そことの調整を図っていくということも必要になってまいります。

 続きまして、技能実習制度の全体的な見直しについて御説明いたします。資料は26ページでございますが、これはことしの6月10日にまとめられたものでございますが、法務省の第6次出入国管理政策懇談会の外国人受入れ制度検討分科会におきまして、技能実習制度の見直しの方向性について議論され、まとめられたものでございます。

 まず、基本的な考え方のところにございますとおり、技能の修得・移転を確実に達成する受入れ機関についてのみ、受入れを認めていくべきだろう。それから、技能実習制度については、人権侵害というものがあるのではないかという指摘がないように、人権の保護。それから、監理団体の監理体制を強化していく。あるいは、関係機関による監視体制を構築していくことによって、不適正な団体がないようにしていくという基本的な考え方でまとめられているものでございます。

 具体的には下のところで、左側が問題点、右側が方向性ということですけれども、まず技能の修得・移転です。最初の基礎2級の部分は、移行するための要件ですので、皆さん、必ず受けられるわけですけれども、その後の基礎1級とか3級というのは、実績ゼロというわけじゃないですけれども、受けられる方がまだ非常に少ない状況にございます。これは、制度の趣旨にかんがみて、効果測定がきちんとできていなのではないかということで、右側にありますとおり、そういった試験の受験の義務化を図っていくべきではないかといった御指摘でございます。

 次の問題点ですが、監理団体による監理、それから公的機関による監視ということで、3つほどポツがありますが、監理団体による指導・監督が不十分ではないか。それから、JITCOと書いてありますけれども、これは公益財団法人国際研修協力機構でございまして、私ども厚生労働省から監理団体や実習実施機関に対する巡回指導を現在、委託しているところでございます。ただ、そういった巡回指導を行うに当たって、法的な根拠があいまいではないか。十分な権限に基づかない調査・指導では不十分ではないかという指摘がなされております。

 こういったものに対応する形で、右側にありますとおり、監理団体につきましては、例えば外部理事・監事設置又は外部監査導入を義務化する。2番目、行政機関を補完する機関の位置づけの明確化によって、しっかりした政府としての監理体制をつくる。あるいは罰則を整備するとか、不適正な監理団体がある場合には名称を公表するといったことが提言されてございます。

 それから、3番目の指摘で人権侵害への対応ですけれども、例えば賃金不払い等の労働関係法令違反とか、人権侵害に対する保護が不十分ではないか。あるいは、何か問題が起こったときに実習生が申告しにくい状況にあるのではないか。また、不適正な受入れ機関がある場合に、移籍していくことについての支援が十分でないのではないかといった御指摘を踏まえまして、右側にございますとおり、罰則あるいは通報窓口の充実、あるいは転籍できるシステムを構築するといったことでございます。

 それから、4番目の指摘で送出し機関とあります。中国とかベトナムとかインドネシアといったところから来ているという御説明をいたしましたけれども、省令では、違約金とか保証金、もし日本で何か問題を起こした没収するという保証金などは禁止されているわけでございますけれども、実態としては残っている部分があるのではないか。こういったものをどうするかということについて、右側にありますとおり、政府として二国間協定を締結するなどによって、そういったものを排除していくことが提言されています。

 それから、その下でございますが、実習期間、現在、最大3年間ということですけれども、優良な受入れ機関で一定の要件を満たす技能実習生については、2年程度期間を延ばす。あるいは、受入れ人数枠につきましても、優良な受入れ機関については付加的な人数の増を認める。

 最後、対象職種につきましては、多能工化とか技術の進歩、送出し国の産業発展に即した職種を追加する。あるいは、この検討会の中で議題となっております介護などの分野につきまして検討していくということが提言されたものでございます。

 これを踏まえまして、27ページでございますけれども、これは去る6月24日に閣議決定されました日本再興戦略の改訂2014でございます。この中で、技能実習制度につきましては、上のところにありますとおり、入管法令あるいは労働関係法令の違反が発生していることに加え、アメリカの国務省などからも問題点が指摘されているということでございます。一方で、職種の拡大、期間の延長などの要望も寄せられているということを踏まえまして、管理監督体制をしっかり強化していくことを前提に、技能実習制度の拡充を図っていくという基本的な方針が打ち出されているところでございます。

 まず、1番の管理監督体制の抜本的強化につきましては、1、関係省庁の連携による全体として一貫した国内の管理運用体制の確立。2送出し国との政府間取り決めの作成。3監理団体に対する外部役員設置又は外部監査の義務化。4新たな法律に基づく制度管理運用機関の設置。これは、また後ほど御説明いたします。あと、5、地域協議会の設置といったものが提言されておりまして、特に1から4につきましては、2015年度、平成27年度中の新制度への移行を目指すという形になっております。

 それから、拡充につきましては、下にありますとおり、対象職種の拡大。制度の趣旨を踏まえて、移転すべき技能として適当なものについては、随時対象職種に追加する。それから、(2)の介護分野については、さまざまな論点整理を踏まえて、これは年内を目途に検討していく。これが今回の検討の趣旨でございます。あと、全国一律の職種以外にも地域ごとの職種を認めていく。あるいは、実習期間の延長、受入れ枠の拡大といったものが打ち出されているところでございます。

 最後、28ページでございます。新たな法律に基づく技能実習制度管理運用機関の設置についてということでございます。

 現在の技能実習制度をきちんと適正なものにしていくため、厚生労働省から委託という形で、現在は国際研修協力機構に対して巡回指導を行うように委託しているところでございます。ただ、それにつきましては、先ほどの報告にもございましたとおり、法律等の十分な権限等に基づいているところでないという指摘を踏まえて、こちらにありますとおり、新法人(取締機関)を新たに設置するという方向で検討を進めてございます。

 新法人の業務につきましては、案ということで、まだ検討中のものでございますけれども、例えば監理団体をまず許可制にするということ。あるいは、優良な監理団体・実習実施機関を認定していき、あるいは必要に応じて取り消す。それから、監理団体あるいは実習実施機関について、報告徴収権限あるいは立入検査権限を持った形で監督・指導を行う。あるいは、実習実施計画を認定する。それから、人権を侵害された実習生を保護していく体制をつくるといったものを検討しているところでございます。

 それから、法人の在り方ですけれども、そういった機能を持つということで、行政機関に準じた機能を持つものでございますので、法律に基づく公法人ということで検討中でございます。

 新法人の体制は、まだ政府内で調整中のところでございますけれども、例えば監理団体は全国に約2,000あるわけですけれども、年に1回はそういったところに立入検査をする。あるいは、実習実施機関については約3万あるわけですけれども、現在、技能実習制度は最大で3年間ということですので、その3年間の中で1回は行けるという体制をつくっていく方向で検討を進めているということでございます。

 済みません、ちょっと長くなりましたが、説明は以上でございます。

○武内室長 続きまして、資料の30ページをごらんください。本検討会の契機となりました日本再興戦略の該当箇所を抜粋してあります。

 改めて、こちらを御確認いただきたいのですけれども、まず上の段では、外国人技能実習制度の見直しということで、対象職種の拡大につきまして、技能実習制度の対象とされていないが、国内外で人材需要が高まることが見込まれる分野・職種のうち、制度趣旨を踏まえ、移転すべき技能として適当なものについて、随時対象職種に追加していく。その際、介護分野については、既存の経済連携協定に基づく介護福祉士候補者の受入れ、及び、検討が進められている介護福祉士資格を取得した留学生に就労を認めることとの関係について整理し、また、日本語要件等の質の担保等のサービス業特有の観点を踏まえつつ、年内を目途に検討し、結論を得ると記載されています。

 また、下の段、介護分野の国家資格を取得した外国人留学生の活躍支援等という項目で、我が国で学ぶ外国人留学生が、日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士等の特定の国家資格等を取得した場合、引き続き国内で活躍できるよう、在留資格の拡充を含め、就労を認めること等について年内を目途に制度設計等を行うと記載されております。

 続きまして、資料3以降を御説明します。初めに根本座長からお話がありましたように、第1回目の検討会においては、この検討会で検討を進める上での基本的な考え方、それから検討する事項についてということで、事務局としての案をお示ししています。

 まず、資料3です。検討に当たっての基本的な考え方で、1つ目は、外国人介護人材の受入れに係る検討については、各制度の趣旨に沿って進めていく。日本再興戦略で掲げられている2つのテーマ、それから、それにEPAを加えまして、それぞれの職種追加あるいは在留資格付与について提案されておりますが、これらについてはそれぞれ制度の趣旨があります。技能実習は、日本から相手国への技能移転。資格取得留学生への在留資格付与については、専門的・技術的分野への労働者の受入れ。EPAについては、経済活動の連携強化を目的とした特例的な受入れというものです。

 他方、2番になります。2025年に向けて約70万人規模の介護人材を確保するためには、国内の人材確保対策を充実・強化していくことが基本であるということであります。この※印にありますように、別途、社会保障審議会福祉部会においては、介護人材の総合的な確保方策の検討をしております。

 それから、3番目でありますが、こうした点を踏まえた上で検討を進めるに当たっては、後ほど出てまいります検討事項に基づいて議論を行うということで、その議論を進めるに当たって留意すべき主な事項として、掲げている点が3点あります。

 介護職に対するイメージ低下を招かないようにするということ。

 2つ目は、外国人の方々が担う業務内容に応じた適切な処遇を確保すること。また、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにするということ。

 3つ目は、介護は対人サービスであるということ。また、公的財源に基づき提供されることを踏まえ、介護サービスの質を担保する、利用者の不安を招かないようにするといったことに留意すべきであるということを基本に据えて検討するということを、ここではまとめさせていただいています。

 この3番で掲げられている留意事項について、それを具体的に制度的な観点からブレークダウンしたものが資料4、検討事項(案)になります。3つのテーマについて書いております。

 1ページ目が技能実習への追加に関する主な検討事項です。

 今、技能実習に関して全体の制度の説明がございましたが、それを踏まえて、介護分野について、移転される技能はどのようなものか。技能実習として認められる要件として、求められる技能内容は、同一作業の反復のみによって修得できるものではないことが必要である。あるいは、送り出し国のニーズがあることが必要であるという御説明がございました。これに該当するものであるかどうかということが1つ目です。

 2つ目は、日本再興戦略の中にも明記されているように、「質の担保等のサービス業特有の観点」に基づき、どのような検討が必要かということです。

 (1)では、介護分野の対人サービス特有の要件(日本語能力の在り方等)とはどのようなものか。こちら、言いかえれば、コミュニケーション能力をどのように考えていくのか。また、日本語能力に関しては地域的な差異もありますので、例えば方言への対応などいった観点も含まれてくると考えます。

 (2)では、介護分野の公的評価システムの内容、水準、実施主体等について、どのようなものが求められるのかという点。

 (3)その他利用者の不安を生じさせないようにするための配慮として、何が必要か。

 3つ目は、国内人材の処遇に悪影響を与えないよう、実習生の方々の処遇をどのようにするべきか。そして、それをどのように担保することができるのかという観点です。

 4つ目は、介護分野で外国人を受け入れ、指導することにつきましては、さきに御説明したとおり、EPAで外国人介護福祉士候補者の受入れの経験と蓄積があります。これらを踏まえて、どのようにそれを活用していくかということ。

 5番目には、先ほど技能実習の部分でも説明がありましたが、技能実習の制度趣旨を踏まえて、制度を実際に運用される事業者の方々による合意形成ができるかという観点があります。

 以上が、技能実習への業種追加に関する主な検討事項です。

 次のページが、国家資格取得者に在留資格が付与された場合の運用の在り方等について。こちらは、日本再興戦略で制度設計が求められていることに関連してのものです。

 1つ目が、在留資格として「専門的・技術的分野」として位置づけるならば、その性格を裏づけるような専門性がしっかり担保できるのかどうかという観点。例示的に1つ、この下に書いてありますが、資格を取得された留学生の方々が引き続き国内で活躍できるようにするためには、例えば留学生の適切な環境を確保するために、学習機関、教育機関などの自主的な取組みが求められるのではないかということを掲げております。

 2番目に、その他、制度設計に関連しましては、どのような環境整備が必要になってくるのかという点もございます。

 そして3ページ目、EPAの枠組みのさらなる活用についてということに関してです。

 1つ目が、受験機会の在り方について、どう考えるか。先ほども滞在延長の現行の仕組みを御説明いたしましたが、これに関してどのように考えていくのか。

 2つ目、その他のさらなるEPAの活用方策として、どういう考えがあるのだろうかということ。

 3点目は、若干留意点に近づきますけれども、上記の検討を進めるに当たっては、制度施行から既に5年以上経過して、一定程度、EPAの制度が定着してきたという中で、この合格者の受入れ実績、施行状況や課題を把握して検討を進めていく必要があるのではないかということ。

 4点目は、EPA制度の本来的な性格に関する部分です。EPAに基づく外国人労働者の方々の受入れは、労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化の観点から、二国間の協定に基づいて特例的に行うものであるという制度趣旨、外交上の観点に十分留意した検討が必要ではないかといった検討事項を掲げさせていただいております。

 こうした資料4に掲げている検討事項を共有していただいて、今後、各論の議論を進めていただくことでいかがかと考えております。また、こうした検討事項を一つ一つクリアしていくことによって、基本的考え方に掲げられていた留意事項に対しての答えを出していくことになろうかと考えます。

 最後に、資料5です。検討会のスケジュールということでございますが、閣議決定に基づいて年内を目途に検討の結論、あるいは制度設計を行っていくことを見据えた上で、今回は第1回、検討に当たっての基本的な考え方、そして検討事項(案)について、全体の枠組みとしての御検討をいただきたいと考えております。

 第2回以降、在留資格に関すること、あるいは技能実習に関すること。こちらは、閣議決定のデッドラインがあるものについて検討を進めていただき、中間的な取りまとめ。そして、その後、EPAに関して議論を進めていくということで予定してはいかがかと考えておりますが、必要に応じ、回数の追加等があり得ることもあわせて付言させていただきたいと思います。

 説明は以上となります。

○根本座長 ありがとうございました。非常に広範な内容にわたる、しかも長時間の資料説明で、皆さん、かなりお疲れになっているかと思いますけれども、時間の関係もございますので、早速、内容に入ってまいりたいと思います。

 まず、今、御説明いただいたものは大きく3つの柱があるかなと思いますが、1つは外国人受入れに関する現行の諸制度、2番目に検討に当たっての基本的な考え方、3番目には具体的な検討事項と、その検討スケジュールという御説明だったと思いますけれども、それにつきまして、まず御質問があれば、いろいろと承りたいと思います。非常に広範でありますけれども、どこからでも結構です。まず、御質問があったら承りたいと思います。どうぞ。

○平川則男構成員 確認ですけれども、日本再興戦略の改訂2014の抜粋ですが、原本を持ってきていないので、ちょっと忘れたのですけれども、どういう課題の中で、どういう項目で、外国人技能実習制度の見直しというのが入っているのかを確認したいと思います。○根本座長 それに関連するような御質問、ございますか。なければ、一つ一つお答えいただくような形になると思いますが、はい。

○武内室長 わかりました。

 日本再興戦略、6月24日に閣議決定されたものの中では、「第二 3つのアクションプラン」の1つとして、日本産業再興プランというものがございまして、その中の1つに雇用制度改革・人材力の強化という項目があります。その中には3つの項目があるのですけれども、失業なき労働移動の実現というのが1つ。それから、グローバル化に対応する人材力の強化というものがありますが、これに並んで、2の2として、女性の活躍推進、若者・高齢者等の活躍推進、そして外国人材の活用という項目がございます。そして、この中で具体的には、今、申し上げた3つのテーマが並列に並んでいる中で外国人の活用という部分があり、その中に高度外国人の活用、それから外国人技能実習制度の見直しという項目がございます。

 この中で外国人の問題につきましては、外国人技能実習制度の見直しということで、外国人技能実習制度については、その適正化を図るとともに、海外における人材需要等の実態を踏まえた見直しを行うべきである。そして、国際貢献、技能の移転を目的とするという趣旨を徹底するため、制度の適正化を図る。対象職種の拡大。技能実習期間の延長、受入れ枠の拡大などの抜本的な見直しを行うべきであるという構成の中で書いてあります。

 もう一つは、介護分野の国家資格を取得した外国人留学生の活躍支援という部分につきましても、持続的成長の観点から対応が必要な分野ということで、新たな就労制度という項目の中で掲げられております。

 以上です。

○根本座長 そういうことでよろしゅうございますか。はい。

 それ以外に何か御質問ございますか。

 それでは、御質問がないようでしたら、御意見あるいはコメント等でも構いませんけれども、どうぞ御遠慮なく。どうぞ。

○石橋構成員 今、事務局のほうから御説明がありました外国人介護人材受入れの基本的考え方、検討事項に関しては、このとおりでよろしいのではないかと思っております。基本的には、それぞれの制度の趣旨に沿って検討していただく。今後、日本の介護分野は人材不足が懸念され、外国人を活用しようという考え方もあるかもわかりませんけれども、基本的にはこの趣旨に沿って進めるべきだと思っています。

 なぜなら、2番に書いてありますように、介護人材の確保については、福祉人材確保検討会並びに社会保障審議会福祉部会の専門委員会において、行政を初め、関係団体、事業者、教育機関、そういった団体が一致協力して地域の中での人材を確保していこうと、真摯に取り組んでいる最中でございますので、それに水を指すような形にはならないように、まずはしてもらいたいと思っております。

 もう一点ですけれども、外国人が介護現場に来られる場合に、一番気をつけなければいけないのは、何といっても介護というのは対人援助サービスであり、日本語でのコミュニケーション能力というのが不可欠だと思っております。例えば、食事、入浴、移動、さまざまな介護を行うときに、介護者が利用者さんに対して、これから行う介護の説明をきちんと日本語で行って、その介護を行うことの説明と同意、いわゆるインフォームドコンセントをきちんと行っています。たとえば、「一緒に立ち上がろうね」という声かけをすることによって、利用者さん自身が一緒に立ち上がる、意欲を持って行うことが出来ます。

 介護は、利用者さんと介護者の協同作業ということでありますので、日本語におけるコミュニケーションが欠かせないということです。さらに、施設に入所されている方は中・重度の方が多く、医療的ニーズを併せ持っている方もたくさんいらっしゃいます。

 そのときに、例えば体調が悪いという訴えがあったりするときに、そのことを十分に理解できずに放ったらかしにしている。そのことによって、利用者の体調が悪化して生命に危険を及ぼす可能性もあります。そのために、利用者さんの意向、言葉をしっかり聞く力。それから、医療などの専門職等に伝える力、少なくともそういうことができなければ利用者の生命の危機にもつながります。そういうことで、日本語能力におけるコミュニケーションというのは重要だと思います。

 さらに、今、認知症の方も非常にふえてきております。施設に入っておられる方の8割以上は、何らかの認知症の症状があるわけです。その方たちは、適切に自分の言葉で伝えることができないかもわかりません。そのときに、ちょっとした言葉の端々から、利用者さんが言っているニーズをしっかりと把握して、それを理解して対応していかなければいけないということもあり、日本語コミュニケーションはかなり必要でしょうし、言葉だけではなく、実際に介護の現場では、個別援助計画に基づいて介護が行われております。

 そのときに、記録の読み書きというのも最低限必要ということ等々、さまざまな要因で、介護というものは、対人援助サービスで日本語能力、コミュニケーションが重要だということを十分認識した上で検討していただきたいということを最初に申し上げたいと思います。

○根本座長 ありがとうございました。

 今の御発言に関連して。どうぞ。

○浦野代理 今の石橋構成員の御発言に非常に共感するところでございます。

 事務局に確認も含めて発言したいと思いますけれども、既にEPAで何年間かの外国人の受入れが全国で行われているということでございます。そのEPAの枠組みで受け入れた外国人の日本語能力とかコミュニケーション能力、あるいは外国人であるがゆえに起きた不適切な、例えば、外国人であるがゆえに利用者に不安が生じたという事例が何かあるか、あるいはそういう調査をされているか。あれば聞かせていただきたいなと思います。1点、事務局への御質問です。

 それから、この検討会の検討事項とされている3つの中でEPAだけが現実に行われているということで、今後、このEPAを将来にわたって拡大するということを考えているのかどうかということも、あらかじめ伺いたいと思っております。

 それから、それぞれの趣旨に沿っての検討ということで、それは非常によくわかるわけですけれども、技能実習であれば、相手国への技能移転、留学生の場合には専門的・技術的分野の外国人の受入れ。それから、EPAについては、経済活動の連携強化を目的とした特例的な受入れ。実は、この3番目が一番よくわからない。EPAは、介護そのものは目的ではなくて、何か別の目的の手段として入れたということになるのかという話になってしまう。

 そもそも、このEPAのときも、最初、ある種国際貢献というのがその趣旨の1つだという議論もあちこちでしていた覚えがありますし、連携強化を目的とした特例的な受入れと言われると、介護そのもののことではなくて、外交関係で仕方なく入れるという話になってしまうのか、この辺もよくわからない話だなと思うのですね。この整理の仕方について、もうちょっと御説明をいただければありがたいなと思います。

 以上でございます。

○根本座長 よろしいでしょうか。では事務局のほうからお答えいただいて。

○武内室長 3点、御質問いただきました。

 まず、EPAの候補者の方々のコミュニケーション能力に関して、日本語の能力に関しまして、データに基づいてお話をすると、訪日後の日本語研修の修了時にN3程度に到達されている方々の割合ということで表現させていただきますと、2013年入国組で、フィリピンの方が88.9%、インドネシアの方が97.4%という水準になっております。したがって、N3程度の達成率というのは9割程度である。これは、制度が開始した当初からは、どんどん水準が上がってきて、当初は2割3割という水準だったものが、この水準まで上がってきたということでございます。

 2点目の利用者とのトラブルとか不安な事例については、体系的な調査は特段行われていないと承知していますが、少し確認させていただきまして、もしそういったものでお示しできるものがありましたら、また議論の際にお示ししたいと思います。

○根本座長 もう一つありました。どうぞ。

○穴井室長 3点目の、EPAにつきまして将来拡大ということでありますが、これは外交関係のこともありますので、場合によってはオブザーバーのほうからも若干補足があるかもしれませんが、基本的には相手国からの要望があれば交渉するということでございますが、現時点ではインドとタイのほうから、受入れについて話が来ておりますが、最近は特段の進展はないという状況でございます。

 あと、特例的な受入れということにつきましても御質問ございました。これも通商につきましての外交交渉をする中で、相手国からぜひ人材の受入れをしてもらいたいという要求がある中で交渉した結果、介護福祉士あるいは看護師の候補者を受け入れることになったものでございまして、日本側において労働力を入れなければいけないという事情があったというわけではなくて、通商とか関税の引き下げだけではなくて、サービスの交易とか人の移動といったものも含めての交渉の中で、相手国からぜひ人材の受入れをしてほしいという中で、日本側が交渉する段階で介護・看護の分野で受入れができると決定したと承知をしております。

 以上です。

○根本座長 浦野代理、それでよろしいでしょうか。もし必要であれば、また事務局のほうにお願いして、コミュニケーションにかかるトラブル等の事例について、次回まで御用意いただける部分があれば、それはそれでということでお願いしてよろしいでしょうか。

○浦野代理 一まず、それで結構です。

○根本座長 はい。

○熊谷構成員 EPAの問題点ということで御質問があったようですが、私どもの会員施設も介護に関しては大勢受入れをしておりまして、私自身の法人でも20年の一番最初のときからインドネシアの方の受入れをしております。20年導入国のものは、1回目の試験、2回目の試験が終了しまして、頑張って2度目の試験も受けたけれども、不合格の者は帰りましたが、合格した者は引き続き就労してくれております。そして、利用者さんからも、利用者の御家族さんからも、トラブルは一切ありませんし、コミュニケーションについても、同僚とも非常にうまくやっております。

 私どもの会員施設からの苦情というものはどういうことがあるかというと、受け入れるときに若干費用がかかるということがありまして、4年間いてもらいたいけれども、家族の都合で帰国してしまったとか、せっかく合格したのに、これからと思ったら帰国してしまったという、期間的に期待に応えてもらえなかったという苦情は聞いておりますが、個々に利用者さんとのトラブルというのは、今のところ私のほうでは聞いておりません。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ、平川委員。

○平川博之構成員 老健施設協会の平川でございます。

 私どもの協会でも外国人労働者を入れておりますけれども、今、特養の団体の先生からお話があったように、私どもの中でも大きなトラブルは伺っていません。私の施設にもフィリピン人の方がEPAで入っていますけれども、国家試験も一発で合格しまして、非常に評判がいい。夏祭などはフィリピン料理を出してもらって、こんなところでフィリピン料理を食べられると思わなかった。職員の忘年会をやっても、横文字の歌をどんどん歌ってくれるものですから、インターナショナルな雰囲気になって、随分雰囲気が変わってきた。もちろん個人的な要因が大きいと思いますけれども、僕らの協会の仲間から大きな苦情は聞いていません。

 もっと前段の段階で、この制度の初めのうちは、日本に入ってから日本語教育をしているわけですけれども、そのときにちょっといなくなってしまった方がいるとか、問題がありましたが、その辺も大分よくなってきたなと思っております。

 あとは、国家試験に受かった後にその施設を去っていってしまう。特に、地方の施設に実習のために4年間いた方が、合格した後、寒いところより暖かいところに行きたいということでやめてしまって、4年間、一生懸命支援してきたのだけれども、残念だったなということを伺っております。

 もう一方、視点が全く別ですけれども、合格した方がどうかといいますと、私の施設にいる女性はお子さんを3人、フィリピンに置いて、4年間、こちらに来てひたすら単身で頑張っていたのですけれども、合格して家族をこっちに呼んでみて様子を見ようかと思ったのですけれども、御主人、お子さんが来ても日本にすぐになじめないですし、言葉もうまく通じなくて、合格して日本に残るといっても、次のステップの支援がないと、日本で頑張ってくださいとモチベーションを継続したりするためには、次の段階の支援も必要かなという理解をしています。

○根本座長 ありがとうございます。

 田中先生。

○田中構成員 介護福祉士を養成しております協会でございますけれども、資料3の1で、資格を取得した留学生の在留許可を認めるということがございます。私どもも長年求めておりまして、やっとこういう結論が出そうだということで、大変歓迎しております。こういうことで、専門職の中に介護福祉士が列せられるということで、我々は大歓迎でございます。

 加えて、私どももこの4月にやった調査でございますが、過去4年に56名の留学生、在学中も含めまして、ございます。その方たちの勉学態度というのは大変熱心であると、高い評価を受けております。ただ、残念ながら、日本語が難しい。実習記録を書くときに非常に困難であるということがございますので、そこのところさえクリアできれば大変優秀な人材があるのではないかと思います。たまたま私、昨年、インドネシアに行きまして、看護学生の3年生にこの話をしました。大変関心が高いです。眼をにらみつけるような形で見ていて、非常に関心が高い。したがいまして、ちょっと情報不足ではないかという気がしております。やり方によっては、優秀な人材がたくさん来ていただけると思います。

 2点目は、技能実習制度でございますけれども、既に閣議決定ということでございますので、これをどういうふうに考えていくかでございます。まず総論的には、介護というのは利用者の尊厳を守ることが非常に大きなことでございます。したがいまして、できれば働く人たちの尊厳もきちんと守っていただきたいと思っております。そういう意味で、今度の新しいスキームというのは、具体的にどのようになっていくのか、注意深く関心を持って見させていただきたいと思います。

 1点だけ申し上げますと、2カ月の講習というのはちょっと短いのではないか。製造業ということであればそういうことかもしれませんが、対人サービスの場合ですともう少し時間が必要ではないかという感想を持っております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ、お願いいたします。

○平川則男構成員 今、EPAなどの実態について報告がされましたがけれども、技能実習制度の状況について報告を求めておきたいと思っています。制度の概要については、はあったのですが、その運用の内容の実態について報告がなかったと思います。

先ほどお聞きしました。その実態について、連合で把握している限りでは、制度は制度としてあるのでしょうけれども、例えば労働関係法令について言いますと、2012年では実習実施機関2,776事業所ありますが、そのうち80%近いところで労働関係法の法令違反がある状況です。またということや、実習生の勤務実態についても、2号移行申請者の支給予定賃金を見ますと、2011年のデータでは、125,000円、となっています。これは2011年のデータですけれども、そういう実態がありまして、制度的な説明はあったのですが、その運用の内容の実態について報告がなかったなと思っています。

 それから、海外からの批判ということでいいますと、技能実習制度については、受入れ実習生のパスポートが取り上げられていたり、さまざまな不当な賃金の搾取があったりという実態も報告されているということがありますので、それもしっかりと報告していただいて、現状を踏まえて、介護分野への拡大が適切かどうかということについて検討項目として出していただければと考えているところであります。

 先ほど介護労働の実態については石橋先生からもいろいろ御報告がございましたが、私もまさにそのとおりだと思います。特に、思いがけない事故ですね。例えば入所者が転倒してしまったときの対応、更にいましたということも含めて、もっと言えば、災害時における対応も含めて言いますと、相当のコミュニケーション能力が必要であるというのは当然の話だと思います。

 また、検討項目では対人サービスとなっていますけれども、一方で、介護現場は、業務の特殊性としてチームで仕事しています。施設であれば、2交代もしくは3交代で仕事するという状況もありますけれども、そのときにどうやって引継書を作成していくか。それによってケアの内容も大きく変わっていく。現場では、引継書の内容について、かなり厳しく指導されているかと思いますが、その内容が不十分だったら、高齢者の自立支援と尊厳の保持ある介護というのはなかなかできないということがあるかなと思います。

 もう一つは、これから介護も医療もそうですけれども、地域包括ケアシステムの構築ということも求められております。対人サービス、職場の中におけるチームとしての仕事。また、地域としての課題をどうやっていくか。多職種連携ということについても、さらに能力が求められるということをどう考えていくのかという観点が必要かと思います。そういった意味で、検討項目の中では、対人サービス特有の要件と書いてありますけれども、チームとしての業務形態であるとか地域包括ケアシステムの構築に向けた課題について、そういう観点を追加していただければと思います。

 最後にお願いがあるのですけれども、日本語能力試験のレベルでN1からN5まであります。N3については、一定程度のコミュニケーションがとれるとなっていますけれども、次回でもいいので、日本語能力のレベルと、それに対応した介護現場で、何が、どのぐらいのレベルが必要なのかというものが、まだないと思いますけれども、ありましたら、ぜひとも示していただきたいなと思います。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございました。

 いろいろな方から、こちらがとても交通整理できないまま、いろいろ出てまいりましたけれども、特に。

○山田室長 まず、田中先生から御指摘いただきました、2点ほどあったと思いますが、まず技能実習制度をしっかり見直していって、制度の適正化を図っていくべきだという御指摘です。これは、私ども、法務省を初めとする関係省庁と協議しているところでございますので、まずしっかりしたものにしていきたいと思っております。

 それから、講習の実施期間について、ちょっと御指摘があったと思いますけれども、基本的に、まずは介護において、どういうものが必要なのかということは、この場で御検討いただくことかなと思っております。制度的には2カ月という形になっていて、その後、雇用契約のもとでのOJTの期間中に座学をやってはいけないということになっていなかったと思いますが、法務省、よろしいですね。制度上は、そのような形になってございます。

 それから、平川先生から技能実習制度の実態について幾つか御指摘いただいたところでございます。これは、必要な数字はまたお渡ししたいと思いますけれども、簡単に口頭で申し上げますと、先ほど御指摘ありましたとおり、労働基準監督機関によって実習実施機関に監督指導に毎年行ってございます。平成25年は全体で2,318の事業場を監督指導したわけですけれども、そのうちの1,84479.6%において、何らかの労働関係法令違反があったというのは事実でございます。主には、安全衛生関係とか労働時間、割増賃金、あるいは労働条件の例示がなされていないといった違反があったという状況でございます。

 あと、保証金の関係についても御指摘があったと思いますけれども、これは国際研修協力機構に対して、私ども、委託している事業の中で、研修生が日本で実習を受けた後、帰国を一旦して、その帰国した後に通信調査でいろいろなこと。例えば、実習が役に立ったのかとか、そういったものを実際聞いてございます。日本にいるうちで調査するよりも、一旦帰った後に調査したほうが信憑性があるのではないかということで、調査しています。それによりますと、保証金の有無ということで、2013年度の調査では、保証金などを預けたというのが全体の中で15.9%という数字が現実に出ているところでございます。

 このあたりは、入国管理懇談会の指摘の中でも、海外の送り出し機関にどのような手当てをするかという難しい点はありますが、二国間の取り決めなどを通じて必要な適正化を図っていくという提言がなされております。

 それから、賃金の実態につきましてですけれども、法務省令によれば、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬という規定がなされておりますけれども、実態としては、平均の賃金、これも国際研修協力機構の数字で出ているものでございますけれども、2012年度の数字で約12万円ということで、最低賃金に近い金額になっているという数字も出ているところでございます。

 以上でございます。

○根本座長 はい。

○武内室長 あと、平川構成員からお話のありました、介護についてチームで仕事をするという観点、あるいは地域包括ケアの中での観点をどういうふうに考えていくのかということで、今回の検討事項(案)の中では、対人サービス特有の要件ということで、日本語能力の在り方等と書かせていただきましたが、御指摘いただいた点は、まさにコミュニケーションをどういうふうにとっていくのか。特に問題意識としては、チームで同僚の方々とどういうふうにコミュニケーションをとっていくのかという問題に直結する部分かと思いますので、御指摘のような趣旨も踏まえて整理させていただきたいと思います。

 あと、日本語のN3試験のレベルについての御質問がございました。こちらは、介護現場で具体的にどのレベルで、どのような介護のレベルが担保されるのかということについて、あらかじめ絶対的な水準について整理したものは、今のところ承知しておりませんけれども、1つの参考値として、先ほど御説明させていただいた資料の中で、10ページでは、介護現場のほうからは、約9割が日本語能力N3レベル以上を求めているというデータがございました。こうした部分について、御指摘の点を踏まえて、何かつぶさに追加的な情報がお示しできるかどうかは検討させていただきたいと思います。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○白井構成員 白井と申します。私は教育機関におりますので、今回、教育についてということで少し私的な観点としてですが、観点として語らせていただければと思います。

 先ほど田中先生からもありましたが、留学生ということで、本校でも留学希望者がかなりおります。何十名も来るわけではないですが、1名2名、そういう学生さんたちが来た場合に、自分の国に戻って日本の介護のすばらしさを伝えたいという思いで入学するわけですけれども、現状としては、労働として受け入れられない。学校で学んだだけでは、それをどう応用していったらいいのかということを、現場でもっと体験したいという思いが非常に留学生さんもいらっしゃいますので、在留資格を付与ということは非常にいいかなと思います。

 その理由は、日本の介護のすばらしさを、高齢化になって、いろいろ試行錯誤した、この二十数年の介護を近隣の国で広げていただける方たちにもなっていただけるということで、留学生への付与ということは非常に期待するところであります。

 また、留学生の現状を言いますと、日本語能力はある程度できていて、養成校に入りまして2年なり4年なりの学校での就学というところでは、日本語は日本人の中にいるとかなり伸びるという印象です。それと、先ほど御指摘がありました、施設で異常があったりしたときにどう話すかというときにも、実習生という立場ですので、指導者がいるということで、とにかく指導者に報告するという点ではクリアできているのかなというところがあります。技能実習においても、日本語がどのような支援体制かというのが問題なのかなと思っております。

 あと、EPAというところで言わせていただきますと、私、ここ数年、EPAでいらっしゃるインドネシア、フィリピン、それとことしはベトナムの方々の教育をさせていただきましたが、日本語能力は、今回、特にベトナムの方たちはN3以上ということですので、非常に能力が高く、日本語で演習した課題を書いてみましょうというと、漢字を入れたりして、かなり能力の高さがあって、教育があれば、この日本語能力は上がるのではないかと実感しております。

 それと、全般的に言えることは、技能実習生も含めて、どのような教育をして介護の専門性を伝えるかということを、先ほどでいくと2カ月、あとはOJTということでしたが、介護現場の人のいないところで、2カ月して出しました。そこで本当に十分な教育ができるのかというところは少し懸念するところでもあって、それを何か補完するうまいシステムができればいいかなと思っております。

 以上でございます。

○根本座長 ありがとうございます。

 大分時間も押してまいりましたけれども、どうでしょうか。どうぞ、北浦先生。

○北浦構成員 北浦でございます。ほとんど意見が出ておりますが、2点だけ申し上げたいと思います。

 1つは、技能実習制度の問題が出ておりますが、これも御説明にありましたとおり、いろいろ見直しがされている。したがって、技能実習制度のいろいろな問題点、固有の問題点と、技能実習制度の現状を前提として介護を入れる問題、そこを分けて議論しないと、話がどんどん広がっていくかなと思っております。

 そういった意味で、先ほどの御説明の中で、特に管理・監視を強化していくという中での技能実習制度が今後あり得るということでありますので、そういうことで新法あるいは見直しの動向も動いておりますので、そういった情報もここで適宜入れていただきまして、それを前提に考えていくということがよろしいのかなと思っております。

 それから、2点目にコミュニケーションの問題が出ていますが、私、介護労働のほうをやっておりまして、介護の職場で大変なのは介護人材の確保と定着の問題。特に、労働移動が非常に激しい職場ということになっております。そういった中に労働として、こういう実習生の方が入られる。そのときに、立場は違うけれども、介護職場のいろいろな問題点を一緒に共通に問題として背負われる可能性もあるだろうと思います。

 そのときに、これはマネジメントの問題もございますが、コミュニケーション能力というのは大きな要因だと思っておりまして、そういったことの不足から定着に至らなかった例もあります。そういったことが実習生に響かないような配慮も必要かと。これは介護サービスの対人サービスとしてのコミュニケーション問題もありますが、中で働く上での必要なことだろうと思っております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。幾つか各論に入った御意見もありましたけれども、技能実習を初めとする制度につきましては、その問題点あるいは今後、いろいろ考えられている方向性も含めて、一つの共通理解ができたと思われます。

 それから、今後検討するに当たっての前提となる基本的な考え方。あと、それに基づく検討事項、観点等において、少し補充すべきところはあると思いますけれども、そういうことを含めた検討事項につきましても、そういう方向で今後進めていくことについて共通の御理解をいただけるということでよろしいでしょうか。はい。

 まだ、御発言いただいていない方もいらっしゃいますけれども、もし何かいただけるのであれば。

○猪熊構成員 猪熊です。今、北浦さんがおっしゃいましたけれども、技能実習のことを念頭に置いて発言すると、技能実習の器そのものを今、見直しているということがあります。そこで、連合の方もおっしゃいましたけれども、現時点の技能実習でいろいろ問題が出ているということがございます。そこがどうなるかわからない中で、介護の部分を検討しなきゃいけないというところがあるなということが一点です。

 それと、実際に技能研修をしてもらう介護の中身とは、具体的にどういうものなのだろうということを考えると、ここは外国人の介護について話す場ではありますけれども、日本における介護の中身というものも考えなければいけないということがあると思います。私自身としては、今、寿命が非常に長くなっているので、前に御発言された方もいらっしゃいましたけれども、介護、ケアの部分だけでなく、医療とか看護とかも同時に必要な方がすごく増えている。例えば、認知症とがんを同時に煩う人が非常に増えていくので、そういう看護・医療的知識を持った人が介護現場に非常に必要じゃないかということを考えております。だから、外国の方に技術移転をする際の介護とは何だろうということも、若干議論できたらいいなと思います。

 もう一点、これは言わずもがなかもしれませんけれども、日本政府は、単純労働は受け入れていないし、人手不足の問題ではないという立場です。これはこの場で検討することではないとは思いますけれども、人口減の中で、単純労働をどうするかとか、人手不足問題をどうするかとか、そういうことを、しっかり、政府・国として考えていく必要があるのではないかということ、はちょっと言っておきたいと思います。

 それで、検討を進めるにあたっての3点ということですが、とにかく介護は人の健康とか命を預かるということですから、イメージ低下を招かないとか、介護の質を担保するということは非常に重要だと思っていますので、「基本的考え方」の3の部分はその通りだなと思います。

 最後にもう一点だけ。今後、議論を詰めていく際には、社会・援護局だけじゃなくて、恐らく老健局の方の出席も必要になるのかなと思いますので、御検討いただければいいかなと思います。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○田中構成員 短く申し上げます。私ども、外国人留学生を含めまして、協会は、単に介護人材の不足を云々ということではなくて、国際貢献という形でこれを受けとめております。と申しますのは、日本モデル、介護モデルというのは、国際的に見ても独自の論理を持っております。そういう意味では、これをきちんと海外に移転していくということは協会の仕事だと思っております。

 今、介護とは何かということを申されましたけれども、私どもはコンピテンスに基づく教育をするということで、4つ挙げております。1つは、介護課程ということです。これがきちんとできるかどうか。2つ目は、生活支援技術が安全にきちんとできるかどうか。3つ目は、医療的ケアでございます。そして、包括的に認知症ケアができるかどうか。この4つの柱をコンピテンスに基づいてきちんと教育する。私は、これは外国人の場合、3年間で介護課程まではどうかなと、非常にその辺を危惧しております。生活支援技術については、きちんと修得できるだろうと思っております。

 そういう意味で、我々は人手が足りないということじゃなくて、国際貢献、国際関係ということが今度の場合は大変重要なテーマになってくるのではないかと理解しております。

○根本座長 ありがとうございます。いずれにしても、現行制度をきちんと前提とした上での技術移転は何なのだろうか。その中で、介護とは何かということについてもきちんと踏まえて検討してまいりたいと思います。

 ちょうどここでいい時間になったのですが、どうしてもまだ何か発言されたい方、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。とりあえずは、そういうことで本日やるべきこと、確認すべきことは確認できたということを前提として、次回以降に臨みたいと思います。

 それでは、次回の開催につきまして、事務局より御連絡をお願いいたします。あわせて、ほかの部局、老健局等の御出席等についても、どのような考えなのか御意見をいただければと思います。

○山田室長補佐 他部局の出席については、事務局のほうで検討させていただきます。

 その上で、次回の日程についてでございますけれども、後日、調整させていただきまして、また御連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上です。

○根本座長 ありがとうございました。

 進行役、不なれでございましたけれども、何とか予定の6時ぴったりに終えることができました。本当にありがとうございました。

 それでは、また次回、お会いすることを楽しみにしております。これで本日は終了といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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