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2014年10月17日 第2回へき地保健医療対策検討会(議事録)

○日時

平成26年10月17日(金)14:00~


○場所

航空会館 701、702会議室
東京都港区新橋1-18-1


○議事

○西嶋救急・周産期医療等対策室長 それでは、定刻になりましたので、第2回「へき地保健医療対策検討会」を開催いたします。

 先生方におかれましては御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、出欠の確認でございますけれども、本日は、畠山構成員、金丸構成員から欠席の御連絡をいただいてございます。

 また、白川構成員の代理として、渡邊参考人の御出席をいただいてございますので、よろしくお願いいたします。

 また、本日は参考人といたしまして、さくもとクリニック、作本修一様。

 医療法人玄州会、光武新人様。

 独立行政法人地域医療機能推進機構、亀井美登里様。

 人吉医療センター、木村正美様にお越しいただいてございます。

 また、事務局のほうでございますけれども、本日、所用により途中で福島審議官のほうが退出をさせていただく予定としてございます。

 それでは、以降の議事進行につきましては、座長にお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。

○梶井座長 座長を務めさせていただいております梶井でございます。

 それでは、早速、議事を進めてまいりたいと思います。

 まず、最初に、資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○西嶋救急・周産期医療等対策室長 それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。

 お手元に、まず、議事次第でございます。

 めくっていただきますと座席表。資料1の1枚紙がございます。

 以降、資料2といたしまして、さくもとクリニック様からいただいている資料。

 資料3といたしまして、玄州会の方からいただいている資料。

 資料4といたしまして、JCHOからいただいている資料がございます。

 資料の過不足がございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。

○梶井座長 ありがとうございました。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日の議題ですけれども、お手元の議事次第をごらんください。

 3点挙がっております。

 第1点ですが、第1回へき地保健医療対策検討会における主な発言であります。

 第2点目としまして、有識者からのヒアリングであります。

 最後に、その他となっております。

 本日は、参考人からの説明が3組予定されておりますが、円滑な進行に御協力、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、議題1につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○西嶋救急・周産期医療等対策室長 資料1をごらんいただければと思います。

 前回の本検討会におきまして、各構成員の方々から、皆様方からお一言ずつ御意見をいただいたところでございますけれども、その御発言をまことに勝手ながら事務局のほうで4つのテーマに大きく分類をさせていただきまして、まとめさせていただいたものが本資料でございます。

 まず、全般的なものといたしまして、ダウンサイジングの話でありますとか、へき地医療が日本の近未来的なものだということが言えるという御発言がございました。

 また、地域医療、へき地医療に係ることなく、地域医療との一体的な検討が必要なのではないかとか、後方支援病院との関係あるいは医師不足という観点から御発言があったと思います。

 また「教育キャリアパス」という観点からは、医師、看護師それぞれのキャリアパスということを学生のうちから考える必要があるのではないかという御指摘がございました。

 裏のページでございますけれども、あとは専門医制度ということで、医師になった後のキャリアデザインをへき地という観点で考えていく必要があるだろうということでございました。

 また、次に「職種の専門性を活かしたへき地医療」という観点で、チーム医療の重要性についての御発言がございました。また、その中でも歯科の観点からの御指摘もあったところでございます。

 また薬剤師のかかわり方ということで、御紹介がございました。

 最後のところですけれども「へき地医療に対する国民(住民)の理解」が必要だろうということでございます。

 これは医師の偏在という問題については、国民全体で共有をするのだろうということでございました。

 また、住民の適切な医療行動が必要なのではないかという御指摘もあったと思います。

 それぞれの委員の先生方からの全ての発言を網羅することはできておりませんけれども、主な発言の要旨という形でまとめさせていただいているところでございます。

 以上です。

○梶井座長 ありがとうございました。

 前回、第1回目の委員会の際に、構成員の皆様から御発言いただきましたものを事務局のほうでおまとめいただきました資料を、今、御説明いただきました。

 この内容を改めて見ますと、いずれもへき地保健医療対策を行っていく上で極めて重要なお話ばかりだと思いますが、今後、ぜひ議論を深めてまいりたいと思います。

 それでは、早速、本日の議題2に入りますけれども、ヒアリングに入りたいと思います。

 本日は、へき地で医療を行っている診療所、病院及び団体の方から御意見をお伺いすることになっております。

 最初に、岡山県の真庭市でクリニックの院長をされております作本様より15分程度で御発表をお願いいたしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○作本参考人 御紹介にあずかりました作本と申します。ありがとうございます。

PP

 へき地医療ということなのですけれども、真庭市は平成の大合併で9つの町村が合併した岡山県でも一番広い面積を持っている自治体なのですね。市場も鳥取県との県境で、非常に過疎がどんどん進んでいる地域です。

PP

 真庭市の医療の問題というのは、マスコミとかで言われているように、医師数が減少しています。診療科目も減少し、高齢化、死亡によって医師の数もどんどん減っている。

 看護師不足もあり、有床診療所、産科医院の減少ですね、去年の11月まで近くの市の年間200例ぐらい出産を請け負っていた診療所も看護師不足のために出産をやめました。

 救急指定病院も減少していますし、救急を受け付けている病院医師の疲弊なども十分考えられるという、普通に一般的に言われている過疎の地域の特徴ですね。

PP

 真庭市医師会としては、地域の住民の健康度アップを、要するにいかに健康を保障するか、予防活動をするかということで、医療機関同士の連携、医療と介護との連携構築が必要と考えて、住民にとって一番高い関心であろうという認知症を取り上げることによって、メタボリックシンドロームのコントロールに留意すること、生活習慣を改善することの重要性を訴える活動、そしてそれを他職種にも参加を呼びかけました。

 人的資源の乏しい地域においては、課題ごとの連携を構築するのは困難でありますので、包括的地域ケアという考え方で進んでいかなければいけないだろうと考えております。

PP

 平成19年に真庭市は認知症かかりつけ医部会というものを立ち上げて、さまざまな活動を始めています。

PP

 どこの地域でも言われていることなのですけれども、7年前、医療と介護のアンケート調査をしましたら、こういうギャップが出てきたわけですね。

PP

 それだといけないということで、医師、ケアマネの懇談会ということを行政の指導のもとに、各テーブルに医師が全部おります。このアンケート調査をもとに、ではどうするかという考え方ですね。

PP

 それで共通シートというものをつくりました。

 現在、真庭市のケアマネの96%が使用経験ありということで、経時的な変化とか、あとブランクにメモをすることで、非常に細かいことも連絡できるようにして、これが、今、動いています。我々医師のほうも、薬の内服状況であるとか、外来でわからなかった認知症の程度とか、そういったものをシェアしてもらいますし、ケアマネのほうもこの活動をすることによって、医師との垣根がだんだん低くなってきたのではないか。また、経時的な変化を捉えることができて非常にいいなという感じで、これをずっと今までも続けております。

PP

 あとは、介護職からの依頼なのですけれども、やはり自分たちは、医療の知識が乏しいということで、医師会のほうに向かって、医療知識の向上のために何かしてくれないかということで、医師会も受けまして、平成22年からもう4年になりますけれども、2カ月、3カ月に一度ずつ、さまざまなことにおいて、医師会の会員が介護職の人たちに話をしております。

PP

 それで、かなり150名~180名ぐらい集まる非常に活発な参加があります。

PP

 あとは、平成20年から行政のほうが医師会が活動を始めたということで、では行政も動こうということで、いろいろな職種が集まりまして、認知症地域支援推進会議というものを立ち上げました。歯科医師会が2年前から、薬剤師会が今年度から参加をしていただいております。

PP

 こういうことを目標にやりまして、キャラバンメイトというものを真庭市は独自に養成しているわけですけれども、小学校に行ったり、サポーター養成や中学校へ行ったり、これは小学校の子供たちの感想文、これもなかなかいい感想文が行政のほうに集まっているようです。それからサロンでの養成、商工会の青年部、市職員ですね。それから、社協が夏のボランティア体験事業の中でも、子供たちにサポーター養成を行っております。

 基本的には、こういう活動をすることによって、要するにメタボリックシンドロームを改善していこうということで話を進めているわけで、認知症はあくまでも切り口という形でやっています。

PP

 先ほど話したように、認知症のキャラバンメイトは、市独自で養成しておりますので、現在、サポーターは人口の17.4%、8,500人ぐらいですね。今年度何とか1万人に行かないかなと思って頑張っているところです。

 キャラバンメイトは292名、今年度も養成する予定にしていますけれども、これが一番特徴があるのは、各職種が垣根を超えてキャラバンメイトとして活動できるということ。

 最近の特徴としましては、非常に若い世代の人たちがキャラバンメイトになっていただいております。

PP

 これは中学生、これは全国で5番目だそうです。

PP

 キャラバンメイトもいろいろ集まってからスキルアップ研修会は毎年2回ぐらいやっていますね。ブロック会議もしています。

PP

 認知症セミナーはいろいろなことをやっています。

 介護保険の相談コーナー、成年後見制度の相談コーナー、それからお口の相談コーナーそれから医師もそのときそのときに開催される場所におる医師会員が相談コーナーに出ています。それから栄養指導ですね。こういうこともやっています。キャラバンメイトはみんなの前で寸劇をしまして、これは認知症セミナーのときに、皆さんで体操をしているときの映像です。それから、グループホームを紹介すると。

 それから、どこに行ったらいいのかという質問もあるので、パンフレットを参加者全員に配布しまして、どこに行ったら相談に受け付けますよと。真庭市は一応、認知症相談医として7割ぐらいがこの活動に参加しております。

PP

 早期発見、治療ということで、この浦上先生の作ったものを利用させていただいているのですけれども、あとは専門医とともにクリティカルパスも使いまして、医療連携をつくっております。

PP

 これはPTSDをどう評価するかというので、家族の方が一体この薬は効いているのか、効いていないのかと言われるので、家族の方にチェックしていただくと、全然変化がないとすると、それはやはり効いているといって理解もしてもらえますし、ケアマネジャーもどの部門に非常に介護の負担がかかっているのかというのがわかるような、これは岡大の阿部先生がつくったものを利用させていただいております。

PP

 それから、認知症の事例検討会の専門医とともに、3カ月に一遍やっております。

PP

 それから、見守りネットワークですが、キャラバンメイトの方たちが非常に頑張っておりまして、一番最初、キャラバンメイトは認知症のコーディネーターとしてではなくて、真庭市では地域コーディネーターとして位置づけて活動していただいております。

 ですから家族の集い、それから、今、カフェも各所にだんだんできてきまして、それなりの活動を始めております。

 この方たちは、認知症だけのために集まっているわけではなくて、いろいろな悩みがあったり、介護の問題があったりとか、いろいろなことで相談をみんなで語るというカフェをつくっております。それから、徘徊模擬訓練をやっている地区もありますし、警察なども参加している。それから連絡票をつくって。実際やっている。

PP

 それから、サロンで活動としては閉じこもりの高齢者に対しては、サロンのメンバーがいて、そして訪問をしていると。これは岡山県のNHKでちょっと使ってもらったのです。

PP

 あとスーパーの無料相談コーナー、これもスーパーの一角を借りまして、キャラバンメイトがいろいろな相談、これはいわゆる介護何でも相談ということで、認知症だけの問題ではない形のものにしています。

PP

 それから、これは高校生はキャラバンメイトで活動しているのですけれども、真ん中におる彼が全国で15番目のたしか高校生のキャラバンメイトで、地区のキャラバンメイトの協力があり、高校生へのサポーター養成講座、これは皆さんがオレンジリングをつけてなったときの記念写真です。

PP

 それから、認知症セミナーにも、高校のボランティアが参加して協力してくれています。

PP

 そのほかの地区では、この各地区でもいろいろな活動がありまして、こういうふれ合い助け合い隊みたいなものができていまして、支え合いの連絡票というものを各戸に加えて、これは全戸9割ぐらいがもう設置が進んでいます。

PP

 それから、見守りのシートもつくっておりまして、あとはこれは新聞に載ったときの。これはそのときの小学校の校長先生なのですけれども、子供たちともやはり学校とも連携を持とうということでこういう活動もしています。

PP

 たよりもつくっていますし、勉強会もしていますと。

PP

 それから、高校生の交流会、地域の中でどんな活動ができるかということで、いろいろな活動しているグループと高校生が交流会をしていまして、この中の方たちが9名ほどキャラバンメイトになっていただいております。

PP

 これは要するに地区ごとのいろいろな昔からの歴史を持った組織はあるわけなのですけれども、それがですから、地区ごとの歴史を持った活動のメンバーたちが、お互い交流会を持とうということで、だんだんその活動が広がっているということですね。

 平成24年度からは、口腔ケアですね。在宅が非常に多くなるだろうと思うので。それとあと認知症理解の啓発ですとか、介護予防、そしてそれは住民の健康増進の呼びかけになるだろうということですね。

PP

 このようなメンバーが参加しまして、認知症予防教室というものを始めています。だけれども、これは予防というのは認知症だけではなくて、要するに基本的にはメタボリックシンドローム、または生活の習慣を改善することによって、病気にならず、より介護保険を利用する必要のない体になろうということでやっていますね。

PP

 それで、いろいろなことをやっています。そのときの教室の様子ですね。

PP

 問題は、そのアルツハイマー、脳の糖尿病ということをだんだん言われてきまして、いわゆる高血圧であるとか、糖尿病であるとか、高脂血症であるとか、そういったものを改善、予防することがアルツハイマーというものを引き起こすことが低くなってくるのだよということの話をしているわけですね。

PP

 認知症の予防のためといろいろよく言われている話ですけれども、こういうようなことがあります。

 ところが、動脈硬化、これは高脂血症のガイドラインなのですけれども、これを見ても全く同じ内容のものが並んでいるわけですね。

 ですから、いろいろ言うけれども、基本的にはやはり高血圧であろうと、高脂血症であろうと、それから認知症であろうと、やはりやることは同じなのだということを訴えているわけですね。

PP

 それから、いろいろ結果なのですけれども、非常に参加者もやってよかったという結果が出ておりますね。

PP

 今後は、要するにタッチパネルを利用した認知症健診というものをやること、医療機関を受診するように勧めること。必要ならば専門医療機関とかかりつけ医の役割分担というものをつくるようにしております。

PP

 あとはターミナル期ですね。真庭の場合は、全国で肺炎が死亡の原因の第3位になったということですけれども、真庭では2位なのですね。その上に70歳~80歳が99%ぐらいで、特に80歳以上になると、がんを抜いて第1位なのです。大体これは寝たきりの方とか、口腔のケアができていなくて、誤嚥性の肺炎で亡くなると方が大部分ではないかと考えました。

PP

 それで、アセスメントをしたわけですね。そうすると、やはり介護施設ではできているのですけれども、在宅ではできていない件数が多いというので、いろいろと介護を考える、一番最初は医師とケアマネの会だったのですけれども、今は医師と多職種ということで、今、14種類の職種が参加してくれています。

 特に歯科医師の先生たちが非常に活発ですし、それから最近参加してくれた栄養士会がまた活発に活動してくれていまして、施設とかいろいろなところでどんな食べ物を食べたらいいのだろうかということに対して、非常に適切な指導をしてくれているということで、皆さんこれまで以上に顔の見える関係ができ上がったということで、非常に喜んでおります。

PP

 口腔ケアのチェックシート、これは歯科医師の先生たちの協力のもとにつくりました。

PP

 要するに、誤嚥性肺炎で亡くなる方を1人でも減らしたい、それから食べる喜びを持ってもらいたい。

PP

 これがこういう活動を起こすことによって、これが看取りのチームにつながると思いますし、私たちはわからなかったのですが、歯科医の先生が入ってくださったことで、真庭市の子供の虫歯は県下で第2番目に悪いのだそうで、家庭の中でも歯の健康を考える活動につなげようと。

PP

 それと成年後見です。

PP

 岡山県でNPO「こうけん」というものがありまして、今から10年前から活動しています。

 税理士や司法書士、社会福祉士、医師、いろいろなメンバーが集まって、今、後見業務は39件、あといろいろ相談などにも乗っています。

PP

 特色としては、いろいろな職種がいるということで、その職種が必要なその知識を活用して、被後見人を何とか支援していくということです。

PP

 真庭市も、市民後見人の養成を始めておりまして、NPOの「こうけん」が中心となりまして、養成の説明会、それから養成講座というものをやっておりまして、この年は8月の夏の暑いときに60名ぐらいの方が聞きにきてくれました。

PP

 「今後の活動」なのですけれども、キャラバンメイト、サポーターを養成します。それからあとは家族の参加を、後見人を養成。

 ここが大事なのですけれども、要するに認知症の予防教室、セミナーで生活習慣病の予防ということで、いわゆる介護保険を利用することがない体をつくろうではないかと。認知症になる体を予防しようではないか、認知症だけでなく、さまざまな障害を抱えて生活されている当事者、家族の方の支援、権利擁護の問題、独居の問題、老々世帯、子供を含めた虐待とか、ターミナルケア、難病などさまざまなことを地域の中でみんなで考えていこう。そして多職種の連携によって、地域の包括的地域ケアを構築していこうということを、今、運動として目指しております。

24年度からの試みが、来年度3年過ぎますので、保健所などと協力して、どのような結果が出たか、それによってはひょっとすると肺炎の予防で肺炎が少なくなったとか、死亡が少なくなったとか、介護保険を利用する方が減ったとか何かの形でのいわゆる介護または医療の費用の削減につながるようなものが出てくるのではないかと考えております。

PP

 以上です。

 ありがとうございました。

○梶井座長 ありがとうございました。

 ただいまの御発表について、御質問ございませんでしょうか。

 いかがでしょうか。

 佐々木構成員、どうぞ。

○佐々木構成員 日本歯科医師会の佐々木と申します。

 今、真庭市の御報告をいただきまして、どうもありがとうございました。

 今、御報告を聞いて、資料にありますことを全て触れられておりますので、特に質問という形ではないのですが、今、お話を聞きますと、地元の歯科医師会が加わったのも2年前からということで、ちょうど平成24年度からの活動目標に口腔ケアが大きくクローズアップされているかと思います。

 そういうことで、10ページにあります「利用者の口腔内のアセスメント」につきましても、居宅介護支援事業所では、まだ非常にばらつきがあるということ。やっているところとやっていないところですね。そういうところの問題点も十分押さえているようですので、ぜひ、今後、またそのようなまだやっていないところをどうかここを皆さんで検討して、全ての支援事業所で行われるように期待したいと思います。

 それからもう一つは、歯科医師会に現場の声がなかなか届かないものですから、きょう初めて現場の報告を聞きまして、どうもありがとうございました。

 以上です。

○作本参考人 ありがとうございました。

 一言言わせていただけたら、歯科医師の先生方に入っていただいたときに、歯科医師の先生からの発言は私たちは介護保険制度が始まったときから蚊帳の外におったということで、やはり自分たちは発言したいことはあったのだということで、我々の活動に参加してくれることになって、物すごく一生懸命活動していただいてくれています。それがやはり肺炎の予防もあるし、口腔内をよくすることによって、非常に食べることができたら栄養もよくなるだろう、そうすると病気になることも少なくなるだろうということもありますので、それとあと、私たちの活動は、まだ、いろいろな人がいろいろだんだんに参加してくるのですけれども、みんながもうそのときそのときにできることをやっていきながら、だんだん先へ進んできたわけで、共通の目標は笑顔でみんなが暮らし続ける地域をつくりたいということで、これだけ過疎がどんどん進んでくることで、地域の住民の方は非常に危機感を持っておられますので、だから、もう本当に役職に就くと、いろいろな立場、そういう方ではない一般の方たちも、非常に我々の活動に参加してくださって、そして何とかやっていこうということで、まだまだ発展途上国ですので、これから先、またみんなの知恵を出しながら、できることをずっと続けていこうと思っています。

○梶井座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。

○釜萢構成員 大変すばらしい御示唆を賜りまして、ありがとうございます。

 まず、認知症の入り口に生活習慣病のほうに広げていこうというこの示唆はとても大事で、ぜひこれを幅広く広げていかなければと思います。

 また、認知症相談医としての全医療機関の7割を超える登録というものも大変すばらしいと思いますが、認知症の専門医との連携について、もう少し教えていただけますでしょうか。

○作本参考人 いわゆる真庭市には、入院施設を持った精神病院が1つあります。そこの院長も我々のメンバーなのです。3、4年ぐらい前から我々と話をすることになって、専門医とかかりつけ医の懇談会から、それが施設の職員も参加するようになりまして、3カ月に一遍ぐらいはお会いしていますし、この活動の一つ、専門の病院の院長も、ですからそういった講話とかその辺の活動をいろいろな講師なども呼んできてくれまして、そういうことの活動をしていただいて、ですから、よその地域に比べてみると、そういう専門医とかかりつけ医の連携というのは、パスを通してかなりできてきていると思います。

○釜萢構成員 どうもありがとうございました。

 なかなか専門医に紹介をしても、専門医のほうももう手いっぱいであって、その辺のところが全国的には厳しい場面もあると認識しておりますので、真庭市ではすばらしいなと思って。

○作本参考人 まだまだシステムとしては行っていないのですけれども、できるだけかかりつけ医と専門医の役割を分担して、在宅で診れる方たちは介護保険などを利用しながら、かかりつけ医で何とか対応しながら専門医の先生方の負担をできるだけ軽くしていきたいという活動をしていこうと思います。

○釜萢構成員 どうもありがとうございました。

○梶井座長 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。

 工藤構成員、どうぞ。

○工藤構成員 工藤です。

 発表を受けて、本当に感銘を受けたのですが、実は2週間ぐらい前にうちの小さな町でも、遠い1時間半のところの精神科のある病院の先生が来ていただいて、認知症の講演会をやったら、認知症のことでやるとすごく住民が集まったのですね。

 でも、その先生がおっしゃったのは、認知症とかで、介護度1や2や3とか、そういうことを判定することではなくて、困っているとか、課題をみんなで解決することが医療ではないだろうかと住民に話してくれて、私、その言葉を今回の先生のお話を聞いて、まさに生活されている課題をみんなで地域全体で考えるということ自体が既に医療なのだということをきょう本当にここでつながってすごく感銘いたしました。

 ありがとうございました。

○作本参考人 ありがとうございます。

○梶井座長 そろそろ。

 金田構成員、どうぞ。

○金田構成員 地元の真庭市の者として一言だけ発言させていただきます。

 もうここ数年で、作本先生のおかげで革命が起きています。

 何が起きたかというと、多職種の集まりに行くと、介護施設の人がいたり、場合によってはほかの医療圏の施設の方がおられたり、それから看護師がいる、ケアマネジャーがいると、全くそういう職種の方々との連携などは、医師会員同士はあっても、ほかはなかったのですね。これは本当に我々意識革命が起きて、非常に風通しがよくなって、ひとつの方向に向かって皆で協働していくというシステムができつつあると思っています。

 ありがとうございました。

○梶井座長 金田構成員に1つお聞きしたいのですけれども、先ほど、御発表の中に、最初に医療の問題のところで、病院医師の疲弊というものがありましたが、こういう活動が始まってからいかがでしょうか。

○金田構成員 ちなみに真庭は大病院がなくて、中小病院ばかりで、医師不足は深刻です。ただ、岡山県内で、重症救急のたらい回し率は最も低い地域です。全国平均3.9%、岡山県が5.1%、県南東部は5.9%ですが、真庭は0.4%です。皆で協力して地域を支えようという危機感のもとになっています。

○梶井座長 ありがとうございました。

 きょうの作本先生のお話の中に、確保とか支援という言葉は出てこなかったですよね。

 ですから、今ある真庭市の資源をどう使っていくか、そこのプレーヤーの皆さんが集まって、いろいろなことを考えて、やはりみんなでつくり上げておられるその姿が見えてきました。

 これから1つ支援ということも大事でしょうけれども、あるいは確保ということも大事でしょうけれども、他からのこういう活動が1つの大きな方向性を示すのではないかと思いながら聞かせていただきました。

 どうもありがとうございました。


(拍 手)

○梶井座長 続きまして、前回の検討会の際に、白川構成員から御提案のありました長崎県の壱岐市で病院をされています医療法人玄州会、光武様より御発表をお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。

○光武参考人 皆さんこんにちは。

PP

 長崎県壱岐市の特定医療法人玄州会の光武でございます。

 本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

PP

 壱岐市は、福岡県福岡市の博多港の北西約80キロメートル、長崎県大村市、長崎空港の北約140キロメートルの玄界灘に浮かぶ離島です。

 面積は139平方キロメートル、人口は約2万9,000人です。博多港よりフェリーで2時間15分、高速艇で1時間5分を要します。県の長崎市へは大村空港経由か博多駅よりJRで行くことになります。

 壱岐は離島ではございますが、へき地ではありません。しかし、離島もへき地と同じように高齢化、過疎化が急速に進行しています。

 離島においては、医療だけではなく、社会生活も深刻な状況に陥りつつあります。

 壱岐の現状と課題は、ほかの離島にも共通する問題と思われます。

 今回におきまして、へき地のみならず、離島の医療についても取り上げていただきたいと考えています。

PP

 壱岐市は単独で二次医療圏とされ、島内で二次医療を完結するように求められています。

PP

 平成24年度の救急概要です。年間1,501件の救急搬送がありました。

 壱岐市の救急告示病院は、壱岐市民病院と光武病院です。

 壱岐市民病院へ802件、光武病院へ507件搬入されています。

 転院等を除き、93%がこの2病院に搬入されています。

 一方、島外の搬送は104件です。ドクターヘリ27件、海上自衛隊ヘリ22件、高速艇等海上搬送が55件あります。

 当該の搬送はこの表にはありませんが、病院車で医師が付き添い、高速艇等で搬送することもあります。

 周産期医療について述べます。

 周産期の救急は、年間約10件ございます。そのうちの5件は緊急を要しますので、ヘリで長崎医療センターのほうへ搬入いたしますし、若干時間的余裕がある5件は海路で福岡市の九大病院等へ搬入をいたします。

 次、お願いします。

PP

 壱岐市の国保の請求額です。

 総額約40億円です。そのうち島内医療機関24億円、島外医療機関16億円、うち福岡県内医療機関13億円となっています。

PP

 壱岐島内では、二次医療を完結できる高度医療や先端医療にも対応できません。

 島民はやむなく島外の医療機関へ搬送されたり、受診しなければなりません。

 島民は、交通費、宿泊費と医療費にあらわれない経済的、時間的負担を余儀なくされています。

 長崎県医療計画におきましては、長年にわたり、二次医療を島内で完結するように求められてきました。

 しかし、壱岐においては、島外医療圏の依存度はますます高まる傾向にあります。

PP

 壱岐市は現在、人口2万9,062人、高齢化率33%で、高齢人口は9,538人です。

2025年には、人口2万3,059人、高齢化率39.4%、高齢化人口9,065人と想定されています。

 今後、高齢化率は上昇しますが、高齢人口は減少に転じます。

 都市部のように医療費や社会保障費が、今後、急増する可能性は少ないと思われます。

 一方、生産年齢人口が急減することにより、サービスの提供が維持できないおそれがあります。

 都市部とは異なる政策が必要だと思います。

PP

 壱岐市の医師、看護師の状況です。

 壱岐市に常勤、常在する医師数は34名前後でこの20年間変動はありません。

 看護師数は約400名です。

 医療・介護・福祉サービスの整備に伴い、年々増加しました。

 しかし、新卒、若い看護師の島内採用の状況は厳しく、60歳定年を65歳に延長しても、2025年には150名減少することが予想されます。

PP

 医師の高齢化も進みます。常勤・常在する医師は、現在、34名です。

2025年には、約半数が70歳以上となります。

PP

 壱岐市の医療・保健師を支えているのは、九州大学病院等より派遣される非常勤の医師たちです。

PP

 当院の勤務表を示します。グリーンに示した部分が非常勤医です。

 呼吸器内科、糖尿病、肝臓病、消化器内科、皮膚科、整形外科、神経内科、血液内科、心臓外科等の専門外来は、主に九州大学病院の医局より派遣されています。

24時間の救急医療は、私どもの循環器内科の若い人たちが頑張ってくれています。

 当院の非常勤医師は、月に延べ約60名、年間約800名、海上のみの交通費は、年間約800万円です。島内の医療機関を合わせますと、非常勤医師は年間延べ3,906名、年間の海上交通費は3,900万円に達します。

 壱岐の医療は、非常勤医の健診によって守られています。

 医師の確保は、今までは島内の各医療機関の責任と負担で行ってきました。

 長崎県でも、人材対策室等、先進的な医師の確保や意思の偏在には、先進的な努力、取り組みをなされています。しかし、地域や県だけの対応では限界があるように思います。

PP

 診療報酬制度は、都市部の大規模病院に合わせた体系になっているように思います。

 離島の小規模にならざるを得ない医療機関は、経営が大変厳しい状況にあります。

 光武病院は、88床です。医療利益はわずかに100万円です。

 壱岐市民病院は178床です。医療利益は4億8,000万円の赤字となっています。

 離島では、医療ニーズ、医療従事者の確保等の関係で、病床規模をふやすことは困難です。

 診療報酬制度も、離島やへき地の医療の実情に合う御配慮を希望します。

PP

 離島の健康状態を見ました。

 離島は、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎等、主要な疾患の死亡率が高いことが示されています。離島の平均余命も見ました。壱岐、対馬、五島、隠岐の島は男女とも全国平均を下回っています。

PP

 後期高齢者の1人当たりの医療費を見ました。

 長崎県の対馬、五島、壱岐の3離島は県内21市町村中17番目以下にあります。

 最下位の小値賀町も離島です。

PP

 壱岐市の国民健康保険の状況です。

 平成25年度壱岐市の国保医療費は31.8億円です。

PP

 国保保険料収入は8.7億円です。

 滞納繰越金は3.5億円に達します。

 平成24年度より一般会計から2億円繰り入れています。

PP

 国保財政の逼迫の原因は、被保険者の所得の減少、平成18年度119億円より平成25年度66億円に減っています。

 加入所帯の減少、平成21年度5,768世帯より平成26年には5,298世帯に減っています。

 医療費の増大、平成16年、24億円より平成2532億円に増加しております。

 このため、この4年間で国保保険料が24%増加しました。夫婦に子供1人の家庭で年間7万4,000円の負担増になります。

 これらが各家庭の経済を圧迫し、ひいては受診の抑制につながっているように思います。

PP

 壱岐において、主要な疾患の死亡率が高く、平均余命が短いことがわかりました。

 1人当たりの医療費が少ないことも判明しました。国保財政より、所帯当たりの所得は減少し、保険料が増加し、経済状態が悪化していることも伺われます。最近は、経済的理由により、通院や入院を中断する患者も散見します。

 壱岐のみならず、ほかの離島も壱岐と同じような状況にあると推測されます。

 離島において、必要な医療が提供されていないのか、また医療を受ける側に受けることができない状況に陥りつつあるのではないか検証が必要です。

 国保財政の逼迫は、医療のみならず、島民の生活の破綻を来す深刻な問題と考えます。

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 ここで、壱岐医師会の取り組みについて紹介します。

 壱岐医師会は江田邦夫会長以下、34名です。

 会員はこの30年間、大きな変化はありません。

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 約30年前、壱岐の脳血管疾患の死亡率が異常に高いことを知り、驚きました。

 循環器専門医である私は内心忸怩たるものがありました。医療機関内での診療に限界を感じました。

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 昭和62年、医師会有志に保健所も加わり、壱岐医師会地域活動部会が設立されました。

 地域住民の保健予防の啓蒙活動が始まりました。

 地域活動部会は、毎月、第2火曜日に集まり、壱岐の保健医療に関するあらゆることを議論します。

 壱岐市や保健所との連絡、連携の場でもあります。

 以後、今日に至るまで28年間、1日の休会もなく続いています。

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 医師会の在宅医療の取り組みに対し、地域医療再生交付金が交付されました。

 この交付金をてこにして、地域包括ケアの構築を柱とする事業を行うことにしました。

 そのため、壱岐医師会に在宅医療推進部会を立ち上げました。救急医療、在宅、看取りまで、24時間365日。途切れることのない機会を提供すると。

 生活の支障は生命の危機であるとの認識を広めたいと考えました。

 そのため、救急病院の壱岐市民病院の総院長、壱岐市次期保健所担当課長にも委員に加わってもらいました。

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 包括ケアを医師会が指導することにより、それまで頓挫していた多職種の協働ケア会議が立ち上がりました。歯科医師会、薬剤師会、栄養士会、居宅支援事業者、社会福祉協議会、各団体のヘルパーさん等、ケアに関するあらゆる人と組織が集まりました。

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 「オール壱岐」を合言葉に活動が始まりました。

 壱岐では病病連携、病診連携は言うに及ばず、市や県あるいは福祉関係者との関係も良好で、互いの敷居は低いと感じています。

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 へき地の診療について、お話ししたいと思います。

 壱岐は離島であるがへき地ではないとさきにお話ししました。

 壱岐には二次離島が3島あり、それぞれ100人強が住んでおり、計400名の住民がいます。高齢化率は40%です。

 3島をめぐるフェリーが1日4便あります。本島郷ノ浦港より大島まで約50分かかります。この3島は無医地区であるが、へき地ではないということでした。

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 病院に通院していた患者があるとき、もう病院に来ることはできません、フェリーの乗り降りはできませんと言われました。

 島民と島出身の市会議員から、診療所開設の要望がありました。

 私は地域によって、医療に格差があってはならないと思っていました。

 しかし、病院の足元のもう一地区ありました。このことを置き去りして医療の格差の是正を訴えることはあり得ないと思いました。

 常勤医がふえ、私が病院を1日空けても大丈夫とわかりました。

 大島に診療所を開設する方向に進みました。

 壱岐市が開設をし、光武病院が指定管理を受けることになりました。これが最も早く、そして壱岐市の負担が最も少なく開院できると考えたからです。

 平成24年1月5日に開院できました。

 1年52週のうち、盆と正月だけお休み。50週は診療を行いました。

 外来患者は1日、3、4人のこともありましたが、木曜日には、診療所に必ず医者がいるということが大事だと考えたからです。

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 大島と長島は橋で結ばれていますが、原島は無医地区のままでした。動けない患者が正面にいましたので、それまでも月に2回は往診していました。この原島からも、診療所開設の要望がありました。三島診療所と同じ仕組みで平成26年6月5日に原島診療所が開院しました。

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 三島診療所は、開院以来、延べ1,373名診療いただきました。

 原島診療所は、それまでの往診を加えると、延べ225名診療しました。

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 先日の検討会での資料によると、へき地拠点病院の16.7%は医師不足です。

 全国296のへき地拠点病院のうち、63.2%が代診医を1日も派遣していない状況にあります。

 巡回診療0日が68%に達します。

 都市部の拠点病院からの代診医の派遣や巡回診療の推進には、これは限界をあらわしているとは考えられないでしょうか。

PP

 へき地拠点病院の定義とは何でしょうか。

 へき地と無医地区とはどう違うのでしょうか。離島の無医地区の住民にとって、そこに診療所があり、診療を受けることが重要であり、巡回診療や代診医が来ることで安心できるでしょうか。離島やへき地に立地して、そこで実際に診療している医療機関にへき地拠点病院の近くにはないのでしょうか。

PP

 先日の18号台風のとき、日曜日は全便欠航をしました。月曜日の朝の一番の高速艇も欠航しました。

 福岡にいた私は、動き始めたフェリーで病院に着いたのは昼の1230分ごろでした。患者は3時間以上待ったはずなのに、私の顔を見て、きょうはしけで大変だったでしょう。大丈夫ですかと気遣ってくれます。

 次の患者も、その次の患者も異口同音に気遣ってくれます。

 壱岐の島民の限りない優しさに触れ、目頭が熱くなる思いでした。

 春一番は、壱岐の漁師から出た言葉と聞いています。

 春先の突然の嵐で、漁師五十数名が犠牲となりました。

 壱岐の島民の限りない優しさは、海の非情を知っているからこそと思います。

 私は、壱岐で生まれ育ち、島民の限りない優しさの中で医師として過ごすことができました。幸せな人生だと思います。

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 このような島民のニーズがある限り、私個人の都合や、医療機関の都合で医療をやめることは許されません。

 離島やへき地には、都市部では考えられない困難やハンディキャップを背負っています。

 この困難やハンディキャップがこれからさらに深刻化することも覚悟せねばなりません。

 このような状況で、医療機関が継続をし、人材を確保し、地域への貢献を高めるために、離島やへき地にこそ社会医療法人が必要と思います。

 特定医療法人玄州会グループは、救急から在宅、看取りまで、総職員約400名で包括的ケアを行っています。

 年間外来5万7,266名、年間入院860名、救急搬入508台、訪問往診587件、訪問看護8,996件、在宅での看取り17名。無医地区の診療も行っています。

 しかし、社会医療法人の基準に達することはできません。

 現在は、救急や都市の医療機関がへき地のサポートをすることで初めて社会医療法人になれます。

 離島やへき地に立地し、そこで医療を展開している医療機関も社会医療法人として認めていただきたいと考えています。

 私たち玄州会グループの医師は、ある意味では大学のキャリアを捨ててきました。島民の一人一人を診ること、安心してもらうことが私たちのキャリアです。この思いで30年間頑張ってまいりました。しかし、その思いだけでは医療の継続が困難となってまいりました。離島の医療を継続し、改善し、島民の生活を守り、離島という国土を守るため、前向きの対応策を検討いただくよう切にお願いいたします。

 御清聴ありがとうございました。

○梶井座長 ありがとうございました。

 ただいまの御発表に御質問ございませんでしょうか。

 離島医療を守ってこられたその中で、現状、課題それから今後に対する提言、提案をしていただきましたけれども、いかがでしょうか。

 社会医療法人の問題点、それからへき地医療拠点病院の問題点、このあたりも指摘していただきました、きょう全て議論することはできませんけれども、今後の議論における1つの大きな課題を投げかけていただいたと思っています。

 前田構成員、どうぞ。

○前田構成員 非常に広範囲な活動の御紹介をありがとうございました。

 壱岐市には、たしか無医地区があったのですよね。三島地区でございますね。今、そこに診療所が開設されたということは、それはもう無医地区でなくなったということの理解でよろしいですか。

○光武参考人 週に1回ではございますが、その1回をもってして、無医地区ではないということになったと思います。

 しかし、これは島民にとって、本当に幸せなことかどうかということは、医療を受ける立場から考えていただきたいと思っております。もう少し充実すべきだろうと思っております。確かに無医地区ではなくなったと聞いています。

○前田構成員 それで、お聞きしたいのは、こういう無医地区というのは日本中にかなりたくさんあるのですが、そこで光武先生がやられていらっしゃるやり方をどう展開していけばいいのかとか、そういったところでの御提案はございませんか。

○光武参考人 私は、地元に無医地区があることが我慢できなかったわけで、ほかのことまでまだどうしろというような考えは持ち合わせておりませんが、しかし、やはり1つは無医地区というものがあっていいのかという、医者としての良心ではなかろうかと考えております。

○前田構成員 どうもありがとうございました。

○梶井座長 そのほか、いかがでしょうか。

○釜萢構成員 どうもありがとうございました。

 先ほどお話を伺う中で、この非常勤医師の派遣というものも大変大きな力を担っているということがわかりますが、先生がずっとやっていらした中で、その派遣については、少し今後はよい方向が見えるのか、それともますます厳しくなるのか、その辺の御認識を教えていただけますでしょうか。

○光武参考人 一番厳しかったのは、やはり研修医のローテート問題ですか、あれがあったときが各医局が行くというお話でございましたけれども、災難なことにその時期も私の病院からは各医局から1名も派遣を断ることなく現在につながっています。

 ですから、これから先はどうなるか、それはわかりませんけれども、今のところはやめるとか、中断するという話は一切来ておりません。

○梶井座長 白石構成員、どうぞ。

○白石構成員 隠岐島前病院の白石です。

 よく学会とかで発表すると、壱岐島前病院の白石先生お願いしますとやたらと言われるのですけれども、やっと本物の壱岐の人に会えてちょっとうれしいです。

 幾つか聞きたいのですけれども、私たちがいるところに比べると随分大きいというところがあるのですけれども、やはりそうは言いながら、問題を挙げられていたように、島の一番のストレスは、急患で自分のところでやり切れないものの受け入れがどうなのか、要するに搬送手段もそうですけれども、受け入れがはいどうぞと言ってくれるかどうかというのがすごく大きな問題だと思うのですけれども、それがどうなのかなということと、もう一つは島の中に自治体病院があって、そことのすみ分けであるとか、距離的な問題もあるかと思うのですが、その辺をちょっと教えていただきたいなと思います。

○光武参考人 まず、島外の搬送でございますが、夜間はこれは海上自衛隊ヘリしか動きませんので、ほぼ必然的に長崎医療センターのほうへ搬送になるかと思います。

 昼間は、ドクターヘリも動きますし、海上の搬送も可能ですので、その場合には、時間的に余裕がある場合には、福岡市の病院、実は四病院は受け入れ協力病院でございまして、まず断られることはありません。

 ですので、島外の医療機関の都合によって搬送ができないということはまずないと思います。

○白石構成員 長崎の医療センターは、当然、長崎県をカバーするのですけれども、その県を越えての福岡で四病院が協力をして、うまくとってもらうための努力、仕組みづくりみたいなものは何かあったのですか。

○光武参考人 それは、ドクターヘリが開設されたときに、県の担当の方々とそれから私と、私が九州大学出身だったこともあるのでしょうけれども、その4つの病院を回りまして、協力をお願いいたしました。

 非常に協力的でございまして、それから以後、そういう関係を保っています。

○白石構成員 わかりました。

 もう一つ、自治体病院とのすみ分けというのは。

○光武参考人 すみ分けですか。実は、私のところの病院は、内科の救急告示病院です。

 市民病院は整形外科を初めとした外科系が、これはちょっと言いにくいのですがあったのです。

 今、外科の常勤の医師がおりませんので。実は外科の救急はないのですが、主として外科系は市民病院、内科系は私どもの病院、それもお腹から下は市民病院、ここから上が光武病院とおおよそなっております。

 というのは、救急隊員の研修と申しますか、それも光武病院と市民病院で行っていますので、救急隊員の方々もおおよそわかっておられるのではないかと思います。

○白石構成員 そうすると、今は壱岐ではお腹を開ける手術はやっていないということですか。

○光武参考人 常勤のお医者さんがいなくなってからはやっていないと思います。

 やられていないと思います。

○白石構成員 わかりました。ありがとうございました。

○梶井座長 金田構成員、どうぞ。

○金田構成員 金田です。

 我々の病院も実は元は特定医療法人であって、平成21年から社会医療法人になったのですけれども、非常にありがたかったです。数千万税金負担が改善されましたので、保育所をつくったり、看護師の給与を上げたり、さまざまなことができるようになりました。先生のような病院こそ社会医療法人になるべきだと思います。

 それからもう一つ、この先やはり人口が減ってくると、ダウンサイジングをせざるを得ない状況になるので、ダウンサイジングしていくと、なかなか医療安全も含めて管理が難しくなってくるので、やはり、今、厚労省の検討会で検討されている地域連携型医療法人、非営利ホールティングカンパニー型法人のような地域で連合していくシステムが大事ではないかと考えます。

 では、統合して1つになることは、なかなかこれは組織文化が違うし現実的には難しいので、その連合体をつくっていくシステムはやはり検討すべきではないかと。

 それともう一点、医師の派遣については、医局の派遣制度が、今、変わってきていますので、今後、都道府県の地域医療支援センターが核になって、地域枠医師の派遣をはじめ自治医師の派遣に関しても、関与していくのが好ましいのではないかと考えます。

 以上です。
○梶井座長 どうも皆様、御議論ありがとうございました。

 どうも先生ありがとうございました。


(拍 手)


○梶井座長 続きまして、第3組目の御発表ですけれども、地域医療機能推進機構、JCHOの亀井様と熊本県の人吉医療センターの木村様の御発表を承りたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○亀井参考人 皆様、こんにちは。

PP

 地域医療機能推進機構の亀井と申します。

 私が先に新しくこの4月にできました法人、通称JCHOと略称しておりますけれども、これの概略を御説明させていただいて、その中の1つの事例として、きょうは人吉医療センターの院長が参っておりますので、こちらから詳細について御説明させていただくとさせていただきたいと思います。

 よろしくお願いたします。

PP

 もう皆様御存じかとは思いますけれども、改めまして、この4月に新しくできました独立行政法人地域医療機能推進機構とは何ぞやということから話をさせていただきたいと思います。

 これは全部で57、北は北海道から南は宮崎まで病院がございまして、このグループの特徴は、そこにもお示ししてあるとおり、介護老人保健施設あるいは地域包括支援センター。その他、看護学校等ございます。このような施設があり、地域医療に貢献するような枠組みを持っているということが特徴の1つかと思っております。

 ちなみに病院の規模は500床を超える病院が全体の1割程でございます。平均病床数は300床を切るぐらいでございまして、200床台の病院がこのグループの主体で3割程ございます。

 そして職員は2万8,000人ほどおります。使命といたしましては、そこにもお示ししておりますとおりでございますが、地域医療、地域包括ケアの要として地域を支えるということ、そして情報発信、人材育成そして独立行政法人として、社会的な説明責任を果たしつつ、透明性が高くて、さらに財政的に自立した運営を目指しているところでございます。

PP

 先ほども説明させていただいたとおり、文字どおり、全国に病院がございます。規模はさまざまで、機能も急性期の病院から、地域包括ケアを主眼とするような病院まで、いろいろなタイプがございます。

PP

 独立行政法人でございますので、5カ年計画を立てさせていただいております。病院群の地域的かつ機能的な多様性の強みを生かして、5疾病5事業、5事業は救急、災害、へき地、周産期、小児ですので、当然へき地医療も入っております。

 地域から必要とされる医療及び介護について、全国ネットワークという強みを生かしつつ、医療等の確保と質の向上を目指しております。

PP

 特に、へき地医療でございますけれども、中期医療から抜粋したものをお示しいたします。各病院等におきましては、へき地医療拠点病院の指定またはへき地診療の支援として、巡回診療等に従事します。機構全体としての取り組みでございますけれども、へき地を含む医師不足地域への支援について、全国的なネットワークを生かして協力を行います。また、へき地医療従事者に対する研修を開催するとともに、遠隔医療の支援に積極的に参加します。

PP

 次にへき地医療に関する医療支援の現状を5つのポイントに類別して御説明をさせていただきます。

PP

 まず、へき地医療拠点病院で、このグループは3つございます。

 香川県のりつりん病院、福岡県の九州病院、大分県の南海医療センターです。

PP

 次に、へき地診療所等の指定管理の状況です。佐賀県の伊万里松浦病院。ここは過疎地である隣県の長崎県の松浦市立中央診療所の指定管理者として、へき地の医療支援を行っております。

 人吉医療センターの活動については、この後木村院長から説明をさせていただきますが、医療過疎となっている球磨郡五木村から村立診療所の指定管理者として運営を委託されています。

PP

 へき地診療所支援の例です。長期の派遣の例でございますが、これは東京都からの要請で、現在、新島の本村診療所に診療医1名を1年契約で東京新宿メディカルセンター、東京山手メディカルセンター、いわゆる旧厚生年金病院、旧社会保険中央病院から医師を派遣しています。

PP

 へき地診療所への支援については、玉造病院、徳山中央病院、りつりん病院が行っています。玉造病院は、島根県の海士町海士診療所へ整形外科が月1回行っています。山口県の徳山中央病院は、周南市の大津島診療所へ、ここは内科系が週2回、外科系が週1回行っています。そして香川県のりつりん病院、ここは先ほどへき地医療拠点病院であると説明をさせていただきましたが、ここから小豆島町内海病院へ整形外科が隔週で1回行っています。

PP

 定期的な専門医の派遣の例です。福岡県の九州病院からは新宮町相島診療所へ診療支援、内科隔週で1回行っています。

 熊本県八代市の熊本総合病院は国保の吉尾温泉診療所へ総合診療で隔週で1回行っています。

PP

 医師不足地域への支援例です。北海道と秋田をまずは紹介させていただきます。

 北海道は道庁からの要請により、市立稚内病院の循環器内科に、週2回診療支援しています。

 倶知安厚生病院へも、同じく循環器内科に、週3回診療支援をしています。

 さらに、秋田県の秋田病院はそれぞれの病院からの要請により、湖東総合病院へ週1回消化器内科に診療支援を、能代山本医師会病院へ月2回、整形外科に診療支援をしております。

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 医師不足への支援例が続きます。岐阜県の可児とうのう病院も各病院からの要請で、国保坂下病院の泌尿器科に週1回診療支援を中濃厚生病院の麻酔科に週1回診療支援をしております。

 熊本県の天草中央総合病院も各病院からの要請により、天草市立牛深市民病院へ週1日産婦人科の診療支援を、天草郡市医師会立苓北医師会病院へ週2回小児科の診療支援をしております。

PP

 5番目のカテゴリーとして、被災地への支援を行っています。これは浪江町とJCHOが包括的連携協定を締結して、これに基づいて支援を行っております。浪江町の国保仮設津島診療所に週1回月曜日に診療支援をしております。

 これはこの4月から9月は近隣の栃木県のうつのみや病院からの支援を、10月以降は、JCHOの病院が総出で支援をしています。

 あわせまして、浪江町の仮設住宅を中心としたリハビリ指導・栄養指導もやっています。、これは国保への診療支援と同様に、上半期は福島県の二本松病院より医療従事者を派遣して指導体制を構築しておりましたけれども、10月以降は浪江町の職員でこれは実施しております。実施場所はそれぞれの仮設住宅で、それぞれ1週間ごとに4回ずつやっています。

 以上です。ありがとうございます。

○木村参考人 JCHO人吉医療センターの木村でございます。

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 うちの病院のへき地医療に対する取り組みをお話しさせていただきたいと思います。

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 まず、当センターの概要ですけれども、熊本県で最も面積の広い球磨医療圏にありまして、地域医療支援病院、地域のがん診療連携拠点病院、臨床研修指定病院、災害拠点病院、DMAT指定病院、救急告示、それから地域周産期中核病院、小児救急医療拠点病院等ととっておりますけれども、へき地医療支援病院は、同じ医療圏の中にありまして、うちはとれておりません。

PP

26診療科で許可ベッド数が252、7:1看護で、緩和ケア、ICUを持っております。

 職員数は460人、医師が47名、歯科医師が3名、PET/CTMRI3.0テスラ、ヘリポートなどがあります。

PP

 救急は、この10年間で救急車の搬入件数が倍増して2,500件、夜にかかられる患者さんの数は7,000名ぐらいです。

PP

 熊本県の球磨郡五木村というところは五木の子守歌で有名なところでして、最近では川辺川ダムで、本来、ダムができたら沈んでしまうというところであったのですけれども、この昭和36年ごろは6,000人ぐらい人口がいまして、大体林業で栄えていたわけですが、現在が1,200名、ちょっと書いていませんけれども、高齢化率が43%を超えています。これは熊本県で一番高齢化率が高いというようなところです。

PP

 ちょうど人吉がここなのですけれども、熊本、鹿児島、宮崎とちょうど真ん中で便利がよさそうなのですが、実はみんな山なのですよ。ここが盆地になっておりまして、ここに球磨川が流れております。あと全部緑のところは山なのですけれども、五木診療所はここにありまして、ここに川辺川が流れて球磨川に合流するというようなところです。

PP

 それで、今、ダムはできなかったのですけれども、インフラは整備されまして、40分ちょっとで行くというような道路ができておりますけれども、最近、トンネルの水漏れがありまして、迂回して1時間以上かかっているとそのような状況です。

PP

 こういう形で見ると、ここに川辺川がありまして、ここにその代替地があって、へき地診療所があると。でもこういう山の中腹とか頂上に少数の部落の人たちがみんな住んでいるのです。そこまで在宅診療に行かないといけないというのと、高齢化、老人夫婦2人とか1人とかになってしまって、へき地診療所まで下りてくるのに足がないと。そういうような大変な状況です。

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 五木村診療所の歴史を見ますと、先ほど言いましたように、6,000名の人口だったころにできまして、その頃大学の医局や教授に頼みに行って、人を1カ月交代で出してもらうと、そのようなことでやっていたわけですけれども、そのうち、常勤が見つかって、ただ、常勤の先生が何年間かしたらやめていきますものですから、その間はうちの病院の前身になります人吉総合病院から日替わりで出したりしてやっていたわけです。

 平成11年から、熊本県の協力で自治医科大学の卒業生の先生が派遣されるようになっておりました。

 平成20年から五木村から頼まれまして、うちの方からドクターとナースを派遣して、23年4月から指定管理者としてうちが受け持っております。

PP

 現在、月・火・木・金の8時半から5時15分まで。

 外科、内科系の先生たち、それに自治医大の先生を入れて、あと歯科の先生、看護師、看護助手、事務、歯科衛生士、これらを全部派遣しております。

 車で乗せて行って、場合によっては、向こうからMRIの患者さんとかCTの患者さんを乗せて帰ってくることもあります。

PP

 今、電子カルテが入っていますので、こんな感じで歯科のほうのベッドとか機械も本院に負けず劣らずいいものが入っております。

PP

 指定管理者制度の運営の目的は、五木村の医療の質の確保、健康の維持、それから住民に安心してもらうということでプロポーザルしました。

 それから、具体的にどうするかというのは、一番大事だったのは、最初にあります経営、運営の健全化、その次に健康診断、予防医療の活動、最後にコミュニケーションをとっていこうというようなことです。

PP

 患者数はやや横ばいから減っているのですけれども、歯科はちょっとふえている収入は少しふえているということです。

PP

 歳入はちょっと減っていますが、一番大事なのは、五木村からの繰入金が平成16年から比べると、1,200万ぐらい減少して今は300万、400万ぐらいに減っているということです。

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 あとは人間ドックの方はうちでほとんどやっていただいております。

 それから、小児科等の予防接種、それから禁煙の講演とか、小児の発熱対応の講演とか、そういうような啓発活動等を行っております。

PP

 一番インパクトのあることといいますのは、電子カルテにして、結局、本院の方からも診療所の患者さんのデータを全部見れますし、診療所に当番で行ったドクターの本院に残してきた術後の患者さんのデータとか、それから薬の処方とか、検査のオーダーとか、それは全部できるということで、これは非常によかったかなと思っている次第です。

 それから、後でもちょっと話しますが、結局、夜間とかにはドクターはいないわけですけれども、先ほど言いましたように、インフラそれからドクターヘリとかが整備されましたので、その医療情報が電子カルテで全部の村民というか、診療所にかかってある村民の人の医療情報がわかりますので、何かあるときには、本院のほうにすぐおいでくださる、もしくは救急車で搬入されると。

PP

 ここで、最初に五木診療所に派遣された若い自治医大出身の先生の中で、外科の専門医を取りたいという人が最初にいたのですが、ずっとへき地を回っていって、外科の専門医のキャリアは重ねることができないのですね。それで、中核病院でうちの方に来たらどうかというので、それから始めたのですけれども、やはり考えたら、へき地に行って、学会参加とか有給休暇とかも遠慮して取らないといけないし、この下に書いていますけれども、へき地医療支援機構の方から出してもらわないと取れないわけですから、そういうことを考えたら、今のシステムはまだいいのかなと思います。

 仕事自体がもっとへき地になると、午前中だけで患者さんがいなくなるような診療所もあると思うのですけれども、やはり仕事に対する充実感がないというストレス。それからコンビニも何もないわけですから、そういうようなところで、若い人がずっと1年間住むというのは、へき地生活のストレスとかがあると思います。

 では、熊大出身者の先生に代わりに行ってこいと言って、何で行かないといけないのだと思う人がいるのではないかなと思ったのですが、月1回とか週1回ぐらいだったら、余り文句が出なくて、そもそも熊本から五木に行くと、2時間以上かかるわけですから、やはり地域の中核病院から出たほうがいいだろうし、ただし、大学のローテーションの若い先生には行かさないようにしております。

リフレッシュにつながっているかどうかはちょっとわからないですが

PP

村のほうの住民は、やはり1人で全身が診れる医者に24時間365日いてほしいというのが希望だと思いますけれども、そういう先生というのは、今のところ自治医大出身の先生ぐらいでしょうし、実際、無床診療所だったら、水曜日はいないわけで。それから陸続きで通いになったら、夜間はいないわけですから。実際は24時間365日にはならないわけですね。離島は別としましても。

 また、診療内容が最近は、プライマリーケアや救急というよりも、むしろ慢性疾患とか、介護とか、それに近いような内容になっているのではないかと思います。

 住民のほうに言ったのは、やはり専門性の高い外来診療ができるのではないかと、いろいろ専門医がどんどん来ますので。

 それから、先ほど言いましたけれども、電子カルテに連結していますので、皆さん方は安心してくださいと。24時間365日病院がバックアップしますというようなことを申し上げました。

PP

 ただ、これを続けていくためには、うちも決して十分に医者が余っているほどいるわけでもなくて、頑張ってやっているわけですので、医者を絶対確保といいますか、医者がいないとできないということです。

 それから、今後、さらに進めていけるとすれば、距離的に離れているところで、なかなか診療所まで下りて来れない人、そういうような人を含めて、IT化でどうにかできないかなと考えています。

PP

 熊本県の場合だけかもしれませんけれども、地域医療支援病院と先ほど出ましたけれどもへき地医療支援病院、この違い、地域とへき地の違い、へき地医療支援機構、地域医療支援機構、それからうちの地域医療機能推進機構、非常に響きは同じですけれど、最後に医療計画とへき地保健医療計画、抱えている問題はほとんど一緒だと思うのです。

 地方においては、熊本県の場合は熊本市にほとんどの医者がいます。熊本市を出たら、中間部の八代を除いたらほとんど医師不足です。

 今まで、へき地が問題になっていましたけれども、そこの地域の中核病院でさえ、今、問題になってきているわけです。だから、そこが一番問題ではないかと思います。

PP

 前回の資料を見せていただいたら、このスキームが出てきましたが、この点については、私は同じことを考えています。

PP

 今回、来年から地域枠の学生が熊大からも出てきますけれども、熊本県の地域医療支援機構が熊大と県で一緒になってできました。ここからどういう形で地域枠の学生を育てていって、出していくかによって、へき地医療も地域医療もうまくいくか、うまくいかないかというのはかかってくるのではないかと思っております。

PP

 ここにへき地医療支援機構の熊本の地図が出ていますけれども、この橙色がへき地医療支援病院なのですけれども、へき地の支援病院が、今、支援されているような状況です。

 だから、やはりそこら辺が問題かなと思います。

PP

JCHOの病院は、先ほど理事がおっしゃいましたが、地方の中小都市の小さ目な中小病院が多いわけで、その中には医師不足で苦しんでいるところもたくさんあります。

PP

 しかしながら、へき地医療の支援とかをやっているわけですけれども、先ほどありましたが、天草のこのあたりは書いていないのですけれども、やはり自治体病院の小さな病院がへき地では今までなかったのですが、そういうところが今は大変な状況で、だから、ここら辺の中核病院、JCHOの病院にでも人を出していただければ、そこから地域のへき地をきちんとサポートする、そういうのが一番大事なのではないかなと思います。

PP

 これも前回もありましたけれど、以前はへき地医療支援機構とか、県とかが飛び越してへき地に人を出していったわけですけれども、やはり県や大学、へき地医療支援機構、地域医療支援機構が地域の中核病院に出して、そこから支援していくこと。川の流れのように、やはり上流からちゃんとやったほうがうまくいくのではないかと考えております。

 以上です。

○梶井座長 ありがとうございました。

 御質問いかがでしょうか。

 松岡構成員、どうぞ。

○松岡構成員 お話ありがとうございました。

 青森県の六ヶ所村地域家庭医療センターの松岡と申します。

 最初の一般的な支援の話に関する質問なのですけれども、長期支援というものがありますよね。長期支援の一例というものがありますが、これは依頼を受ける施設で長期派遣するかどうかを決めるものなのですか。それとも、組織全体として決めるものなのでしょうか。

○亀井参考人 この場合は、東京都からの要請でございますので、東京都さんのほうの御希望によるということでございます。

○松岡構成員 それは希望があれば応えるという意味でよろしいのですか。

○亀井参考人 ええ。応えるように、今、努めているということでございます。

 1年ずつの相談になると思いますので。

○松岡構成員 わかりました。東京都以外ではどうでしょうか。

○亀井参考人 今、長期はここだけでございます。

○松岡構成員 長期では、これから何か見通しがありますか。

○亀井参考人 JCHO内の話でよろしゅうございますか。

○松岡構成員 ええ。そうです。

○亀井参考人 医師の場合、やはりやりくりというのが、JCHO内でも調整が大変でございまして、とりあえず今年度は先ほど申し上げましたように、東京新宿メディカルと東京山手メディカルセンターから出しておりますが、来年度以降どうするかというのは、機構の中で、今、話し合っている状況でございます。

○松岡構成員 わかりました。次に支援のあり方としては施設がある県内というのが基本になるのでしょうか。全国規模で。

○亀井参考人 私どものほうで枠組みを決めているわけではございませんけれども、たまたま、今、やっている現状を紹介すると、自治体さんから御依頼がある場合と、それからもう長く個別に関係があって、個別の病院からの御要請があってやっているものと大きく分けるとその2つに分けられるということでございます。


○松岡構成員 ありがとうございます。済みません。もう一つよろしいですか。

 後半のお話の中で、へき地中核病院に医者を確保して、そこからサテライトという形で診療所をカバーするというお考えと理解しましたけれども、2017年から新しい専門医制度が始まりますと、各科専門医はその専門性を維持するためには、100床、200床レベルの病院では勤務できないのではないかなと予想するのですけれども、それとの兼ね合いはいかがですか。


○木村参考人 中核病院といいましても、やはり熊本市外の中核病院の中でも、それをクリアできるところと、クリアできないところがあると思うのです。二次医療圏の中で、もう既に熊本市に近いところというのは、熊本市に全部依存されていますから、中核病院という形にはなっていますけれども、ほとんどがクリアできないと思うのです。

 そういうところは、少なくとも二次医療圏とか自治体という単位でこういう病院がないといけないとか、無医村になってはいけないとか、そういうようなことを考える必要はないのではないかなと私は思っています。

 むしろ、それをクリアできるようなところからすれば、もうちょっと二次医療圏とか、そういう自治体の境界を越えてそういうような形で派遣すればいいのではないかと思います。


○松岡構成員 わかりました。どうもありがとうございました。


○梶井座長 白石構成員、どうぞ。


○白石構成員 後段の話で、医療センターからの支援のことをちょっとお聞きしたいのですけれども、もともと自治医大の卒業生が10年ぐらいいたときは、五木村にいたのか、それとも通いだったのかというのを。


○木村参考人 以前は、やはり五木診療所にいて、水曜日は研究日で、土日はフリーという形で、その時間はいないということなのですけれども、五木は、今、うちから出していますが、その隣の五家荘というところがありまして、そこはもっと不便なところなのですが、そこはさすがに通ってもいいという形になっています。今は通いではなくて、気に入っているからここにいる。ただし1年間いるわけですから、やはり子供さんがいる先生は、八代から1時間ぐらいかかりますよね、通っているというような感じです。


○白石構成員 恐らく、でも1,200人いるとできれば、今はトンネルから水が出て1時間と言われていましたから、多分、いてほしいというのが村民の強い願いなのだろうなとは思うのですけれども、支援の形としては、最後のところでスライドに出されたように、大きなところが中ぐらいのところを支援して、中ぐらいのところが小さいところを支援するというのが、多分、理想的な形なのではないのかなと思うのは、1つは、うちも産休で2カ月ぐらい島根県の県立中央病院から派遣を受けたことがあるのですが、やはり完全に臓器別に分かれているところから来ると、1人1人のストライクゾーンがすごく小さいのですよね。その球が飛んできたらみんなホームランを打つのですけれども、ストライクゾーンが小さ過ぎるものだから、例えばそれが消化器外科から定期的に来るのであれば、消化器外科が強い診療所という形になるのでしょうけれども、消化器外科が来る、それから血液内科が来る、何が来るというと、そのストライクゾーンの重なりで言うと、研修医以下のぐらいの感じになって、要するに診療所代診を頼んだのですけれども、そうすると患者さんが行かないですよね。結局、うちの親病院のほうへ患者さんはいっぱい要するに行っても完結しないので、流れてくるという形になって、派遣で来た医者は、やはり診療所は暇だなと言って帰っていくのですよね。結局、やはりもしかすると、中ぐらいのところで250床なので、臓器別と言いながら、割といろいろなことを診られていて。


○木村参考人 それはやはり、ベテランの医者を行かせるというのは、そういうことなのです。


○白石構成員 そうですね。


○木村参考人 だから、血液内科の先生といっても、感染症から何か全部診れるわけで、代謝内科の先生でも、結構範囲が広いのです。若い医者を行かせていないというのは、大学の医局から文句を言われるかもしれないということを考えるのもそうですけれども、やはりベテランの先生をやったほうが、いろいろ評判はいいです。そういうことです。


○白石構成員 ありがとうございました。


○梶井座長 それでは、どうもありがとうございました。

 佐々木構成員、どうぞ。


○佐々木構成員 五木村診療所に口腔外科医が勤務しているということですが、在宅のほうにも外にも出て診療されているのでしょうか。それとも診療所内だけの診療でしょうか。


○木村参考人 知りません。ただし、うちはうちの病院の大きさからして、歯科医が3人というのは、よそに話すとびっくりされるのですけれども、在宅歯科もほかの在宅医療を含めて、本院のほうではやっています。


○渡邊参考人 よろしいでしょうか。


○梶井座長 どうぞ。


○渡邊参考人 本当にへき地の医療の問題を端的に御説明していただいたと思っています。2点お伺いしたいのは、1つはきょうの支援の例が出ていますが、これは機構ができてからのものがあるのでしょうか。それとも今まで続いていたものでしょうかということと、それに関連して、松岡先生ともちょっと関連するかもしれませんが、この支援について、全体的に何かこれからシステマティックに対応していくような計画があるのかどうかというのが1点です。

 それから2点目は、指定管理の話がありましたが、今、自治体の病院は非常に赤字で苦しんでいて、指定管理をお願いしたいという要請もかなりあろうかと思うのですけれども、この点について、どういう取り組みをされるつもりなのかという点を2点教えていただきたいと思います。


○亀井参考人 最初のほうの御質問ですけれども、JCHOという組織ができてから、始まった派遣という支援は、先ほどの東京都などの件とそれから被災地の支援でございます。あとは、それ以前からそれぞれの病院が都道府県とかあるいは個別の病院からの御要請があって続けていたものを引き続きやっているというような状況でございます。

 それから、システムとしてこれをやっていくのかという御質問だったかと思いますけれども、まだこれはできたてほやほやの法人で、半年が経ったところでございますけれども、私どもは、最初に説明させていただいたとおり、中期計画の中でもきちんとこれをやっていくのだということを掲げておりますので、今、その辺、システマティックにできないかということを考えているところでございます。

 済みません。それから2番目は。


○渡邊参考人 指定管理。


○亀井参考人 指定管理。ごめんなさい。


○渡邊参考人 自治体から指定管理の要請があった場合にはどういうように対応されるつもりなのですか。


○亀井参考人 それはできるだけ受ける方向で機構の中では検討してまいりたいと思っております。

 以上でよろしゅうございますか。


○渡邊参考人 どうもありがとうございました。


○梶井座長 では、最後の御質問でお願いいたします。


○工藤構成員 教えてほしいのですが、北海道の病院への医師不足、地域の支援で市立稚内病院の週2回、循環器内科の先生を派遣されていると、私もちょっと勉強不足できょうちょっとありがたかったのですが、実は同じ管内なのですが、こういうものが新聞に出たりして大変な状だったのですが、ちょっとふと思ったのですけれども、この派遣されている先生というのは、JCHOの中の例えば北海道の社会保険病院とか、札幌の病院の先生を稚内に派遣。


○亀井参考人 はい。そのとおりでございます。

 そこはちょっと見にくくございますけれども、札幌にございますよね、北海道病院、ここから医師を派遣してやっております。


○工藤構成員 ああそうですか。

 実は、私も患者だったりするものですから、自分の小さな枝幸町から旭川といえば、全国で一番医師数がすごく多いと有名な多分そうだと思うのです。そのぐらいお医者さんがいるのに、きょうこれを見てすごくショックを受けたのですよね。道庁からの依頼だったというのですが、私も自分の専門の外来がないので、旭川の個人病院に行きますと、専門外来の大学の教授、准教授、いろいろな先生方の専門外来がずらっとその個人病院にあって、行けば予約すぐ入れます。検査もして、私は車で行って3時間半往復7時間バスとか車で行って、帰ってこれて、行ったら本当にいい医療を受けられるのですが、そこの旭川市内はすごいのです。やはり個人病院の中で専門外来がいっぱいあって。だけれども、稚内とかそういう中で一番に中核の病院に誰もそこに行かないでJCHOさんが行っているというのは、私は本当にきょうはびっくりしたのとありがたいなと思いました。

 以上です。

○梶井座長 どうもありがとうございました。

 これから、地域医療機能推進機構の今後に期待したいと思います。

 どうもありがとうございました。

(拍 手)


○梶井座長 以上、一通りヒアリングが終わりました。

 前回は、私、発言を残したまま終わりましたので、一言だけ最後に言わせていただきたいと思います。

 前回の検討会で、へき地保健利用計画と医療計画を統一するということで、構成員の皆様の御参考は得られたと思っております。

 一方で、へき地保健医療対策が医療計画の一事業として埋没してはこれはよくないという御意見も出ました。これも、私、もっともだと思います。

 この検討会では、そこのところを十分に今後検討して、そのようにならないようにしていかなければいけないと思います。

 ただし、現時点では、平成30年度以降の医療計画の姿がまだ見えない状況です。その検討委員会もまだ立ち上がっていないように伺っております。

 へき地保健医療対策が医療計画の中の一事業として埋没しないためにも、医療計画の検討を私たちは注視していかなければいけないと思う次第であります。

 本検討会も、医療計画の検討時期とあわせたスケジュールで、今後、進めていかれなければいけないと思いますので、ぜひ、事務局のほうにその点、検討を賜りたいと思います。

 簡単ではございますけれども、以上、私、発言させていただきました。

 ありがとうございました。

 最後に、3の「その他」とありますけれども、事務局から何かございますでしょうか。


○西嶋救急・周産期医療等対策室長 特にありません。


○梶井座長 それでは、少し予定の時間より早いのですが、本日はここまでといたしたいと思います。

 ヒアリングにおいでいただきました皆様、どうもありがとうございました。


(了)

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