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2014年10月22日 第7回 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 議事録
医政局研究開発振興課
○日時
平成26年10月22日(水)16:00~19:00
○場所
厚生労働省 18階 専用第22会議室(中央合同庁舎5号館)
○出席者
委員
遠藤座長 | 桐野座長代理 | 児玉委員 | 楠岡委員 | 近藤委員 |
大門委員 | 武藤(徹)委員 | 望月委員 | 山口委員 | 山本委員 |
事務局
二川局長 (厚生労働層医政局) |
福島審議官 (厚生労働省大臣官房) |
飯田審議官 (厚生労働省大臣官房) |
成田審議官 (厚生労働省大臣官房) |
土生課長 (厚生労働省医政局総務課) |
神ノ田課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課) |
城課長 (厚生労働省医政局経済課) |
赤川課長 (厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課) |
河野治験推進室長 (厚生労働省医政局研究開発振興課) |
上野安全使用推進室長 (厚生労働省医薬食品局安全対策課) |
○議題
1.医療用医薬品の広告の在り方の見直しに関する検討状況について
2.臨床研究に係る制度の見直しの方向性について
3.その他
○配布資料
資料1 | 医療用医薬品の広告の在り方の見直しに関する提言 |
資料2 | 臨床研究に係る制度の見直しの方向性について |
参考資料 | 第6回臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会議事録 |
○議事
○神ノ田課長 それでは、定刻となりましたので、第7回「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」を始めさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本検討会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日、武藤香織委員から御欠席の旨の御連絡をいただいております。あと、児玉委員におかれましては若干遅れているようですが、後ほどいらっしゃる予定となっております。また、本日の議事におきましては、医療用医薬品の広告の在り方の見直しに関する検討状況についてヒアリングを行う予定となっております。参考人としてお招きしている方を御紹介させていただきます。お手元に参考人名簿を配布させていただいております。一般社団法人日本病院薬剤師会副会長の土屋文人参考人でございます。
それでは、配布資料の確認をさせていただきます。1枚紙で議事次第と配布資料一覧を記載したものがございますが、それに沿って御確認ください。議事次第の次にそれぞれ1枚紙で、座席表、参考人名簿、委員名簿がございます。その後、資料1、資料2、参考資料がございます。不足、落丁等ございましたら事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。これより議事に入りますので、審議の円滑な実施のため撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、以後の進行につきましては遠藤座長にお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。それでは議事に移りたいと思います。議題1「医療用医薬品の広告の在り方の見直しに関する検討状況について」を行いたいと思います。第6回の検討会で、事務局から薬事法における広告規制について御説明をいただきましたが、研究班の方から医療用医薬品の広告の在り方の見直しについて中間とりまとめとして提言を行ったということですので、本日は、その概要についてお話を伺いたいと思います。研究協力者でいらっしゃいます、一般社団法人日本病院薬剤師会副会長の土屋先生にお越しいただいていますので、資料1に関連して御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土屋参考人 それでは、お手元の資料1について申し上げます。私は日本病院薬剤師会副会長の土屋文人です。本日は、医療用医薬品の広告の在り方の見直しに関する提言として、平成26年度厚生科学研究班の会議において検討してきました結果について、その中間とりまとめについて御報告をいたします。本来ですと、研究代表者である日本大学薬学部の白神誠教授から御報告すべきところですが、本日、大学の事務の都合により急遽私が代理を務めさせていただくことになりました。御了解のほどよろしくお願いします。
それでは、資料1を御覧ください。本日はこの資料に従って御説明いたします。まず、この本とりまとめは、平成26年度厚生科学研究費補助金、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業の「製薬企業の薬事コンプライアンスに関する研究-情報提供活動を中心に-」という研究テーマにおいて、医薬品の広告の在り方について、現状の広告規制を踏まえつつ、これまで検討した結果をまとめたものです。検討メンバーは、代表者として、日本大学薬学部教授の白神誠先生、東京都福祉保健局健康安全部薬事監視担当課長の早乙女芳明氏、国立がん研究センター企画戦略局長の藤原康弘先生、そして私、土屋文人の4人です。研究班においては、医療用医薬品に関する臨床研究については、本日、お招きをいただいたこの「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」で議論・検討されている方策をもって、その品質が担保されるという前提の下で、「臨床研究の論文を使用した広告に関する基本的な考え方」及び「広告の審査、監視指導の在り方」について検討を行いました。厚生労働省においては、今後、この本とりまとめを受けて適切な対応を検討していただきたいと考えているところです。
それでは、まず1枚目の裏です。大項目1「臨床研究の論文を使用した広告に関する基本的な考え方」について御説明します。医療用医薬品に関する臨床研究の結果の正確性については、先ほども申し上げましたとおり、この検討会において議論、検討されているモニタリング・監査などによる方策に委ねることとし、臨床研究の論文を使用した広告については以下に述べるような取扱いとすべきと致しました。
その内容としては、まず、広告の内容は、その試験対象となった医薬品の日本国内で既に承認を受けた効能・効果等の範囲内とすること。論文の結果を正確に広告に引用することは当然のこととして、それを加工して広告に使用する場合は誤解を生じさせることのないよう配慮すること。広告に引用する論文については、一定の科学的評価がなされたことを確認するため、インパクトファクターの大小にかかわらず査読のある雑誌に掲載されたもののみとするということです。この場合、査読のある雑誌に掲載された臨床研究の結果であれば、主要評価項目、副次評価項目いずれの情報も広告に利用することは可能としますが、サブグループ解析の結果の多くは探索的な解析にとどまるものであることから、原則として利用しないものとすることとしました。その説明については、主要評価項目、副次評価項目及びサブグループ解析の内容は少し小さい字でその下の参考として書かれています。
今言いました、サブグループ解析の結果を広告に利用することを原則不可とした理由としては、臨床研究におけるサブグループ解析はその結果の多くが探索的な解析にとどまるものであること。解析対象の被験者数が少なくなることにより精度が低下すること。複数の解析を実施することにより、実際には差がないのに誤って差があるとする誤りの確率が増加等することの理由により、原則として広告には利用しないということとすべきと考えています。また、医師、薬剤師などの医療従事者が広告に使用された論文のエビデンスレベルを確認することなどを可能とするため、引用した論文の名称、発表時期等を広告に明記するなど、どの論文を引用したのかを容易に識別できるようにすることとしています。また、製薬企業が関与した臨床研究の結果の論文を広告に利用する際には、当該研究への金銭提供や労務提供などの製薬企業の関与の状況を広告に明記すること。以上の取扱いをすべきという検討結果に至りました。
なお、適応外使用ですが、すなわち、承認の範囲外の使用に関する情報については、医療従事者からの求めに応じて、当該情報が記載された論文を提供する場合には、広告には該当しないものとして提供可能とすることとしました。
大項目2「広告の審査、監視指導の在り方について」を説明します。
まず、現状とその問題点の洗い出しを行いました。その内容が(1)となります。現状においては、個々の製薬企業において、薬事法や業界団体の自主規範を基に、広告の内容が適正かどうかについて審査が行われており、また、業界団体においても、会員企業の広告の全てではないものの、業界団体内に設置した審査部門で、その内容と言いますか、表現方法の審査が行われています。しかし、医療用医薬品の広告は製薬企業と医療従事者の間で完結するため、行政の監視の目が行き届きにくくて医療従事者からの指摘がなければ取締りを行うことが困難ではあるという問題が挙げられました。 今、言いました現状及び問題点を踏まえて、研究班では、製薬企業、業界団体、そして行政機関においてそれぞれ講じるべき措置について検討をしました。それが、資料の(2)~(4)までの内容となります。
(2)製薬企業についてです。本来広告は、その作成者たる製薬企業が自らの責任において、薬事法や業界の自主規範に則って適切に審査を行い、作成されるべきものであるので、各製薬企業は、広告の審査に当たっては、社外の第三者を参加させるなど、透明性を確保した組織を設置することが必要であるということです。その上で、広告作成後も定期的に状況に応じた見直しを行うなど、管理体制を強化するという措置を取るべきであると考えています。
(3)業界団体です。ここのところで、業界団体においては、各製薬企業による審査が適切に行われているかどうかを客観的に確認するため、次のような措置を取るべきであると書いて、その次のところに、「業界団体は、医療従事者や法律家などの幅広い専門分野の人的配置に配慮して、社外の第三者を」と書きましたが、当然のことながら、この社外の第三者というのは、団体の場合は、製薬企業の社員以外の第三者という意味ですので、そこのところは御訂正いただきたいと思います。「参加させるなど、透明性というものを確保した組織を設置し、製薬企業が作成する広告について、薬事法や業界の自主規範に抵触していないか、審査を行うこと」が必要である。特に、新薬を製造販売する製薬企業が加盟する業界団体におきましては、現在、主に医療用医薬品製品情報概要といったもののうち総合製品情報概要というものの審査をしておりますが、これに加えて、原則として新薬に関する広告全てを対象として審査を行うこととしました。更に、医療従事者等からの苦情通報窓口というものを新たに設置すること、こういう措置を取るべきであると考えています。
(4)行政機関です。広告審査については、薬事法に抵触する広告が見られる現状に鑑みて、研究班においては公的機関が実施する仕組みを設けることという意見も出ました。しかし、次に掲げるような理由から慎重に検討する必要があるのではないかと思っています。それは、まず第一に、憲法第21条における表現の自由や検閲の禁止といった規定との関係を十分に考える必要があるということです。また、製薬企業の内部統制や業界団体における審査を徹底すべきであり、専ら公的機関がこうした広告審査を行うとすれば、公的機関と言いますと厚生労働省本省、あるいは地方厚生局、独立行政法人の医薬品医療機器総合機構などが考えられると思いますが、について、非効率な肥大化を招くのではないかということです。そして、製薬企業の販売戦略の手段の1つである広告は、その作成量も膨大でして、これら全ての広告が虚偽でないこと、すなわち真正性について審査することとした場合には、医薬品の有効性に関する試験データの確認など審査に膨大な作業を要するのではないかということです。以上が、研究班の中で意見として出たものです。
これらを受けて、研究班としては、広告審査については各製薬企業の責任及び業界団体による客観的審査に委ねることとし、国、都道府県等の行政機関は広告の監視指導を中心に担って、広告違反の端緒を幅広く掴むため2つの枠組みを導入するべきであると考えました。その枠組みとは、まず、現在設置されている薬事法違反に関する通報窓口を活用して広告違反に関する情報を積極的に収集すること。もう1つが、医療用医薬品の広告については医療従事者からの情報が重要であることから、医療用医薬品の監視体制の強化の1つとして、医療従事者による広告監視モニター制度を新たに構築することとしました。以上が、広告の審査、監視指導の在り方について当研究班において議論、検討した結果のとりまとめとなっています。
大項目3「その他」です。ここまでの重点的な検討事項以外に、その他の業界の自主規範の改訂事項として検討すべきことを記載していますので、御説明します。
1つ目は、有識者による座談会や有識者個人の発言などを使用する広告については、先ほど説明しました大項目の1「臨床研究の論文を使用した広告に関する基本的な考え方」のところで示した考え方の範囲内とするということです。
次に、製薬企業のホームページ上の広告や情報提供を閲覧する際には、企業によってパスワードを設定しているところがあって、この場合、行政の監視の目が行き届きにくいという問題が考えられることから、業界団体へパスワードを届け出る新たな制度を新設して、監視指導を行う行政機関からの求めに応じてパスワードを提示できるようにすること。そして、業界団体の自主規範においてホームページ上での広告の基準を設けることとしています。
大項目4「実施状況の検証について」を説明します。大項目1で示した考え方に基づいた広告の作成と、大項目2で示した審査、監視体制に係る措置を実施の上で、厚生労働省は製薬企業、業界団体、国及び都道府県等が講じた措置の実施状況について検証すべきであると考えています。検証の結果、問題があると判断される場合には、法改正や新たな法制度の構築というものも視野に入れた問題解決のための検討を行う必要があるということです。以上をもって、中間とりまとめとしましたが、本日の検討会でいただいた御意見等もございましたら、研究班にフィードバックして最終的に厚生労働省に報告書として提出することとしたいと考えています。私からの報告は以上です。どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告に関して、御質問、御意見等があれば伺いたいと思います。
○望月委員 2ページの1.の○4つ目で一番最後に、「原則として利用しないものとすること」と書いてあるのですが、これは「原則として」を取ってしまい「利用しないものとすること」にしてはいけないのでしょうか。何か部分的にいい所だけ取るという恐れが出ることを少し懸念するのですが。
○土屋参考人 このサブ解析というものは結構幅が広くて、先ほど言いましたような危険性ということもありますが、そうではないということも言われる場合もありますので、そこら辺については、今回サブグループの解析は、基本的にはやはりその危険性のことを考えると使用すべきではないと考えています。原則を付けた理由は、このサブグループ解析というものには多種類あると言いますか、といったところで全てが全てというわけではないのかなということで、原則という言葉を付けています。
○望月委員 原則としてという言葉が一人歩きする恐れがあります。
○土屋参考人 そうですね。
○望月委員 その辺りももう少し範囲を狭めていただけると分かりやすいかと思います。以上です。
○山口委員 ありがとうございました。4つほど質問があります。まず、2ページの所で、モニタリング監査などはこの検討会の方策に委ねると書いていますが、モニタリング監査と言ったときに、通常治験どおりのモニタリングや監査を想定される方が多くて、お金も掛かって、とても臨床研究まで無理だという御意見がよく出てくるのですが、ここで議論されたときのモニタリング監査というのがどのようなイメージでお話合いがあったのかということがまず1点。それから、全部言ってしまってよろしいですか。
○遠藤座長 はい。
○山口委員 4ページの所で、これ少し分からなくて教えていただきたいのです。一番上のポツの所で、「新薬を製造販売する製薬企業が加盟する業界団体においては、現在、総合製品情報概要を審査している。これに加えて、新薬に関する広告全てを対象に位置し」というのは、これは具体的に何がどう違うのかというのが分からなかったので、具体的に教えていただきたいと思います。
3つ目として、同じ4ページの「したがって」という下のところの1つ目のポツです。これまで薬事法違反に関する通報窓口があって、それを活用して広告違反に関する情報を積極的に収集すると読めたのですが、これは、今まで広告違反に関することはしていなかったけれど更に追加してという意味で積極的と書かれているのか、というところを確認させてください。
最後の5ページの4番、実施状況の検証ということで、厚生労働省はこういう実施状況について検証すべきであると書いてあるのですが、その前のページの行政機関の監視ということにかなり限界があると読めたのですが、限界がある中でこの検証すべきであるという、その辺の棲み分けというか、どの部分は検証するとか、こういうやり方でするとか、具体的な内容を教えていただければと思います。
○土屋参考人 分かりました。どうもありがとうございます。山口委員がおっしゃっている臨床研究におけるモニタリング・監査については、本研究班の検討対象は、やはり広告に関する基本的な考え方ですので、研究班としては、臨床研究そのものは正確になされている、ということが前提で、その上で、それを使った広告の資材についての審査及び監視をどうするかということです。ですから、基本的には、臨床研究におけるモニタリング・監査は、臨床研究が正確に行われるために、この検討会でずっと検討されていることでもありますので、研究班としては、そういうことを前提に、医療用医薬品の広告についての監視・モニターを行う。それが、やはり先ほどの後ろのほうの質問とも兼ね合いますが、医療用医薬品の広告というのは医療関係者に直接示されたりすることが多いのですが、問題のある広告を行政に届け出るという仕組みにはなっていないので、私どもと企業との間で、見せてもらうということがあるので、そういったことを含めると、やはり現場が広告について問題があるという意見を反映させやすいような形でということで、医師とか薬剤師からの情報が重要であることから、医療従事者による広告監視モニター制度を構築するという仕組みがまず1つです。
それから、総合と簡易とかいうのが何かということですが、例えば、これはある企業のページですが、総合製品情報概要と言うと、有効性・安全性など製品情報について、総合的にというのは網羅的に書いたのが総合製品情報概要というものなのです。これに対してもう1つに簡易というのがあります。総合製品情報概要、要するにそれに対して特性のところを、特に重要なデータを切り出したものが簡易総合製品情報概要というものです。ですから、言い方においては特定項目製品情報概要としますが、こういうものについてどうするかということで考えたということでして、今、審査が行われているものが総合製品情報概要、いわゆる網羅的に書かれているものについての審査なので、新薬の広告の審査対象については、その他に切り出したものとか、一般的な広告とか、そういうものも含めたものを対象として審査を行うこと、としました。
それから、行政が積極的に収集するということですが、もともと通報窓口というのは現在もあって、都道府県等にいろいろ通報があったりして、それをもとに監視指導をしているというのが今でもあります。ただ、今回のように、広告監視モニターとかそういうことをもう少し幅広く取ると、意見が現実として幅広く取れるようになれば、そうするとその収集量が変わってくるということから、今までは、あるいは通報窓口ということの存在を医療関係者は知らなかったりとか、そういうこともあるので、その中で、全体的に見たときに収集体制が積極的になるのかなという意味での積極的に収集するということです。
それから、限界の中でとありますが、正に限界の中で、今回、医療関係者、医師、薬剤師が現実的にはなると思いますが、こういうものの様々なところに意見を出す機会が増えれば、結果として行政としては、医療機関の中で行われていて分からないところも、やはり我々、特に薬剤師ですが、薬剤師だと「これって大丈夫なの」とかそういうようなことをやはり言う立場にいますので、ニュートラルな立場ですので、行政が行政だけでやろうとするといろいろ限界があるのですが、こういうように広告監視モニター制度とかそういうことで意見がいろいろ出てくるとか、そういうふうに制度が晒されることによって、意見が出てくるようになるので、そういう意味で検証作業がより有効性をもってくるのではないかと思っています。
○山口委員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○大門委員 貴重なお話をいただきありがとうございます。2点ほどお教えいただきたいのですが、業界団体における自主規範に関して明文化されたものはあるのかという点と、資料の4ページにありますように、医療従事者による広告監視モニター制度に関して、具体的なイメージ等はあるのかという点について、是非お教えいただければと思います。
○土屋参考人 業界において、今、審査が行われている、その規定に明文があるかどうかについては、一定の基準に従ってやっているという話は聞いています。ただ、今回、このように、むしろその基のところのルールがきちんとしてくることによって、当然手順もきちんとそれに応じて変わっていくであろうということは想定しています。
それから、具体的に、例えば医療関係者からのという意味ですが、私ども普段実際業務をしていて、新薬などについて企業から説明を受けたりするわけです。そのときには、必ずしも公になっている資料だけではなくて、様々な個別の企業において考えられたことが示されることもあったりするのです。ですが、やはりそのときに、そういうものは渡されるというよりは示されるということが多いのですが、少なくともそういうことがいろいろ行われているとなると、やはり現場が実際に得ている情報からいろいろな話が出てくるので、モニター制度がしっかりすればかなり変なものは排除されていくのではないかと考えています。
○大門委員 ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしいですか、今の話で。
○大門委員 はい。
○遠藤座長 ほかにありますか。お願いします。
○楠岡委員 基本的に、各企業の自主的な審査、そして業界団体の自主的な審査ということで、方向としてはそれでいいかと思うのですが、業界団体で審査を行って注意を行ったケースに関しては何らかの公票をするのでしょうか。業界団体が注意した場合、それをそのまま業界団体の中だけで置いておくと、結局した者勝ちと言いますか、注意されてから取り下げるとその間は広告として外に出てしまうわけです。細かいものは別として、重大なものに関しては公表していただくと、透明性が保たれ、自主規制も成立していくと思うのですが、その辺りに関してはこの研究班の中では御議論はなかったのでしょうか。
○土屋参考人 研究班としては、やはり不信をもたれるということは結果としてそういう内容が十分でない場合もあるかもしれないと。場合によっては、他の所からここに書いてあることはおかしいよという指摘を、例えば日本病院薬剤師会ですと、このインタビューフォームの記述がおかしい場合にはそれをホームページ上で公開しています。ですから、そういうことを含めて、企業の側でどうするかということの細かなことまでについてはまだ検討していませんが、透明性をもたせるということを、一から十まで全てではなく重大さによると思いますが、やはりそういう仕組みは必要ではないかと思います。
○遠藤座長 ほかにありますか。
○児玉委員 大変貴重なお話をありがとうございました。全体として広告規制の在り方という大きな括りに入れられることだと思いますが、対象とそれから主体について、もし補足をしていただけるのであればお尋ねをしたいと思います。対象について、広告は適正な情報提供であるべきものなので規制できるが学術は規制できないとすると、広告か学術かという線引きについて随分難しい議論があるように思うのですが、その辺について何か補足をしていただけるのであればお聞かせいただきたいと思います。また、広告規制を政府がやる、あるいは公権力をもった組織がやるということになると、冒頭にお話をいただいたような検閲の問題も絡んで大変厄介な表現の自由との関連の問題も出てくるわけですが、業界団体が自主的に行う、言わば同業他社による相互チェック体制ということであれば検閲の問題も少しクリアできると思いますので、主体の問題をどんなふうにお考えになるかということの2点についてお尋ねしたいと思います。
○土屋参考人 先に主体のことですが、公権力がやるということは、おっしゃったように今の憲法問題にも関わる可能性もあるので、やはりそこはまだ一歩引いた上で、業界における、あるいは企業における、そしてそこに対してより透明性をもたせるために外の者を入れてきちんとチェックをしなさい。自分たちだけでチェックをしているというのではなくて、審査体制そのものの仕組みをきちんとすることによって内容が確保できるのではないかと考えていると。それでもどうしても駄目であった場合には、法改正とかそういうことを考えるということではいかがかということの結論になっているということです。
それから、広告と学術というのはなかなか非常に難しい。我々としては、特に広告の部分についてどうするかを考えたので、そもそもの前提として、学術的なところについてはきちんとこの検討会とかそういう所で確立しているものとした上で、その中で広告として使えるものは何なのかを申し述べたということです。やはりベースとしては、私どもの研究班としてはあくまで広告ということを見て、それが学術的にどうのこうのということよりも、いわゆる査読を受けたペーパーになったものは使う。しかし、それはどこで何を使っているのかをきちんと書くことで、やはりそういうことでの透明性を確保するということで研究班としては治めています。
○児玉委員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにありますか。よろしいですか。もし、また関連して何か本日、今後の議論の中であればまた御質問いただければと思います。土屋参考人におかれては、長時間ありがとうございました。この研究はまた続けて中間報告ということがありますね。
○土屋参考人 はい。
○遠藤座長 完成版ができたらば、是非また御紹介いただければと思います。ありがとうございました。
それでは、議題2に入りたいと思います。「臨床研究に係る制度の見直しの方向性について」に入りたいと思います。事務局より資料2が出されています。「臨床研究に係る制度の見直しの方向性について」という名前の資料が出されていますので、まずこの説明をお願いしたいと思います。
○中村補佐 事務局です。資料2「臨床研究に係る制度の見直しの方向性について」の説明をさせていただきます。まず、「これまでの議論等について」ということで、資料の3ページですが、第1回の検討会の資料としても提出させていただきました、そもそもこの検討会の開催の契機となりました「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について」という報告書の概要です。こちらの報告書の中で指摘されていた問題について、最初の○の所ですが、例えばそもそも、このディオバンの事案に関する研究について、医学的研究課題の解明に向けられたものとは言えない臨床研究であったという点。それから、実態としてノバルティス社として事案に関与していたという点。それから、大学及びノバルティス社双方における利益相反管理上の問題点があったということ。それから、データ捜査に関わっていないということの説明責任を、ノバルティス社及び大学双方が果たしていない点。それから、この事案によって我が国の医学界に対する信頼性が大きく低下したということです。加えて実施責任者、また倫理審査委員会において、十分な対応がなされていなかったということ。それから、後で検証する際に、資料の廃棄が行われていたということで、検証が困難であったという点が挙げられていました。
こういった問題について、今回の検討会において、法制度の必要性を含めて検討を行うということと、倫理指針の見直しについても実施するということが提言されました。これを受けて、今回の検討会については、臨床研究の質の確保と被験者の保護、製薬企業の透明性確保等の体制及びガバナンス等について、主な検討課題ということで御議論いただいてきたところです。
4ページにまいります。今回の検討会において、これまでの御議論の中で委員の先生方から頂いた主な御意見ということで、まとめさせていただきました。まず、議論全般につきましては、「一定の規制については必要かもしれないが、研究を萎縮させないように配慮する必要がある」といった御意見ですとか、「研究活動の内容そのものに関する規制については、慎重であるべきではないか」といった御意見がありました。規制の範囲については、ディオバンの事案を踏まえて、研究結果が社会的な影響を与えるということについては、「信頼性を確保するためには国際的な基準の遵守が必要ではないか」といった御意見、また、「欧米の制度も参考に、リスクに応じた柔軟性のある規制を考える必要があるのではないか」といった御意見を頂いたところです。
規制の内容についても、例えば倫理審査委員会の審査については、「研究のリスクによって審査をするべき内容というのはいろいろあって、いずれにしても倫理審査委員会の責任が重要なのではないか」といった御意見、また、以下、少し細かい部分は割愛させていただきますが、例えば研究の実施基準につきまして、「モニタリング等について、研究の内容に応じて、柔軟な対応が行われるべきではないか」といった点、また、製薬企業の透明性確保については、「資金提供そのものを問題視するということではなくて、透明性を確保していくといった視点が重要なのではないか」といった御意見を頂いたところです。
次に、これまでの検討会の中で、ヒアリングの中で、医療現場の先生方から頂いた御意見について、御紹介させていただきます。まず、研究に対する規制を行うことについては、「我が国の臨床研究が停滞するようなこと、あるいは質の低下を招くといったことがないようにするべきである」といった御意見がありました。また、リスクに応じた規制を行うことであるとか、例えば臨床研究が、実際には治療に近い形で行われているような部分も、実態としてあるといった御意見がありまして、その中で、「そういった分野に関する配慮が必要なのではないか」といった御意見がありました。また、臨床研究について、今後はやはり国際的な基準の導入を図っていく必要があるのではないか、また、医薬品と医療機器について、臨床研究を行う中でも、いろいろな点について違いがあるといった部分についても、配慮をする必要があるのではないかといった御意見を頂いたところと認識しています。
次に「臨床研究に関する我が国と諸外国の制度比較」ということで、簡単に資料を付けさせていただきました。7ページです。まず「日本と欧米の法的規制の現状」ということで、規制対象についての比較表となります。日本と米国、また欧州について比較した場合に、規制の対象として、治験と臨床研究というものがありますけれども、日本においては、臨床研究については法的な規制が存在しないという中で、アメリカと欧州は、その対象範囲については少し違いがあるものの、治験と臨床研究について、いずれも法的な規制をかけているといったことを記載しています。
次に、日本と欧米の法的規制の具体的内容の違いについて、御説明をさせていただきます。左側が日本ですが、まず治験については、規制内容について、倫理審査委員会の審査から始まりまして、当局への届け出、研究の実施基準の遵守、副作用の報告という各項目について、基準が定められているという現状です。臨床研究については、現在は倫理指針に基づき、基準の遵守を図っているというところですので、法的な規制については、今はないということで、すべての項目に×をつけています。
次にアメリカです。アメリカは治験と臨床研究、いずれも同じ制度ですが、未承認・適応外の医薬品・医療機器を用いるもの、それから、承認済みの医薬品を用いるものであっても、その後、広告等に用いられる目的を持っている臨床研究については、ここに挙げている規制内容については、全て法的な基準がかかっているという状態になっています。
次に欧州については、これもアメリカと同様に、治験と臨床研究で制度を分けていませんが、医薬品・医療機器を用いる研究については、基本的に倫理審査委員会の審査から、副作用等の報告までは、規制がかかっている。それから、製薬企業等の透明性確保については、一部規制のある国もございますが、全体として法的規制がかかっている状況ではないという状態になっています。以上が現状の、日本と欧米との法的規制の比較になります。
次に、今回の「臨床研究の制度の在り方に関する検討会」の論点ということで、資料の10ページです。まず「規制の必要性と対象範囲についての考え方」ということで、総論的な部分について、論点を挙げさせていただきました。論点の1~3、これらは相互に連関するものではありますが、まず論点1として、これまで臨床研究については、我が国においては倫理指針の遵守を求めるという形で、適正な実施を図ってきたところですが、今回のディオバンのような事例の発生や、あるいは医薬品等の開発の国際化の進展といった状況を踏まえて、法的な規制を導入する必要があると考えるかどうかという点です。
次に論点2として、仮に法制度を導入するとした場合に、過度の法規制については研究の萎縮をもたらすといったことが考えられる中で、法的規制の対象とする範囲については、一定の範囲に限定することが必要ではないかといった点が挙げられます。
次に論点3として、法的な規制を導入するといった場合に、我が国においてはどういった範囲を法的規制の対象とするべきかという点があります。ここで例として○1~○3ということで、○1として、1つは欧州型ということで、医薬品・医療機器に関する全ての臨床研究を、法的な規制の対象とすることが考えられます。
次に○2としてアメリカ型ということですが、未承認・適応外の医薬品・医療機器に関する臨床研究、加えて承認済みのものであっても、医薬品・医療機器の広告に用いられる目的がある臨床研究について、法的な規制の対象とするという考え方があります。○3は、その他の対象範囲についても当然考えられるということです。
11ページです。次に「具体的な規制の内容について」ということで、各論的な部分の論点を挙げさせていただいています。まず全体的なお話ですが、論点4ということで、仮に法的な規制を導入するといった場合に、基本的には我が国の治験に対する規制や、欧米の規制と同等の内容を基本とした上で、我が国における実効性を踏まえて、個別の事項について検討する必要があるのではないかという点です。
次に論点5として、「倫理審査委員会について」です。仮に法的な規制を導入するといった場合に、「自由な研究環境を確保し、法的な規制による研究の萎縮を防止する」という目的において、倫理審査委員会の果たすべき役割は、今後益々重要と考えられるところですが、このために今後、倫理審査委員会が適切に機能するための委員構成、また、構成の要件について、どのようなものが考えられるかという点があります。
次に論点6です。まず、研究を実施するに当たっての当局への届出等、どういった研究が、どのような形で行われているかといったところを含めた、情報入手の方法について、様々な方法が考えられるところですが、医療現場への影響、また、当局の体制等を踏まえて、我が国における実効性を考慮した場合に、どういった方法があるかという点が考えられます。
次に論点7です。具体的な臨床研究の実施基準について、医薬品開発等の国際化の進展を踏まえますと、基本的には欧米と同様の基準を導入するということが必要と考えられます。この場合に、医療現場に対して、我が国において配慮すべき事項として、どういったものが考えられるかという点です。
次に最後のページですが、12ページです。論点8としまして、「副作用等の報告について」です。臨床研究において、予期しない重篤な副作用等が発生した場合に、研究者が、まずは倫理審査委員会に報告を行い、今後の研究の継続の可否等について、倫理審査委員会において十分な検討を行うという形が考えられるということです。
次に論点9として、「ペナルティーについて」ということです。臨床研究の実施中に、不正と疑われるような事案が生じた場合に、その不正の事案が発生した事項について、仮に研究者等に罰則等を課する場合には、研究の萎縮等に関する影響についても十分に検討した上で、必要な最低限の研究の範囲について、罰則を課するといったことが考えられるという点です。また、臨床研究の不正事案が発生したということについて、どのように事実について情報を入手すればよいかといった方策についても、検討する必要があると考えられます。
最後に論点10です。「製薬企業等の透明性確保について」ということで、まず臨床研究の実施に当たって、製薬企業等から資金提供を受けること自体は、研究の実施において必然的に生じるという状況にある中で、資金提供の透明性をもって管理することが重要ではないかという点です。また、それについては現在、関係業界のほうで自主的な取組を進めているという状況ですので、現時点においては、より一層の努力を求めるということが考えられます。また、労務提供についても、今後、関係業界で行動指針等を作成することが必要ではないかと考えられます。また、医薬品と医療機器では、開発の状況について特性が異なるということも勘案した上で、研究開発に影響を及ぼさないような配慮が必要ではないかということが考えられます。事務局からは、資料の説明は以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。事務局から、ある意味、議論の叩き台と言いましょうか。これまでの当部会での議論を反映した形ではありますが、議論のフレームワークが示されたということだと思います。例えば8ページにありますように、規制の内容をこのように分類する、あるいは対象範囲をどう考えるかという視点で、規制の在り方についての国際比較がされているということで、このような視点で規制の中身を考えたらどうかという、そういうフレームワークが出されたわけでして、それに基づいて10ページから論点1~10まで、個別に考え方が整理されているということです。
当検討会の残りもあまりございませんので、意見の集約という方向に向かいたいと思いますので、まずは事務局から出されたようなフレームワークで、今後、意見の集約を図っていくという、そういう方針でよろしいかどうかということを、まず確認させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。特段、反対がないようであれば、そのような形で意見集約に向かっていきたいと思います。
それでは、とりあえず7、8ページに、諸外国の規制との違いを記載してありまして、それを参考に、論点という形になります。今日はまだ2時間ほど時間がありますので、できれば一つひとつ御意見を頂戴できればと思っていますが、まず中身について御質問はありますか。特段ないようであれば、またいつでも御質問を頂いて結構ですので、さっそく論点について踏み込んでいきたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、10ページです。「規制の必要性と対象範囲についての考え方」、これは論点1~3となっていますが、独立したものではなくて、1つの流れになっているわけですので、そういう意味で論点1~3を通じて御意見を頂ければと思います。論点1は、法規制は必要か必要でないかということで、論点2は、必要だとした場合には、対象をどの程度に限定するのかということでして、論点3は、それをより具体的に考えているということですので、法的規制を必要だと考えるのであるならば、論点3が主な議題になると思うわけですが、御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。
○武藤(徹)委員 大変よくまとめられているので、ディスカッションしやすいのですが、一番最初に従来どおり倫理指針の注釈でいいか、あるいは法規制は必要かと大命題が出ているわけですが、後に出てくるのは全部法規制ありのディスカッションなのですよね。これはまず最初に、もし法規制をしなかった場合に、倫理指針の遵守だけでいいのか、もっと何かほかに方法があるかどうか、まずそこでコンセンサスを得ておかないと、議論が混乱します。私は法規制は必要最低限にすべきだと考えます。
○近藤委員 総論として、もう1つ加えさせていただきたいのは、これは規制の話で、やるかやらないかという話になるのだろうと思いますが、臨床研究が将来どのようになるべきかというのがあるのだろうと思うのです。例えば今は規制をやってしまうとできないけれども、しかし将来、欧米などはどんどん厳しくなってくるのかなという流れがあって、日本もやはりそちら側のほうになっていくのかなという気がするわけです。そうした場合、10年先にはこういう姿であってほしいというのがあるのかなと思うので、できれば未来の良い姿を念頭に置いて、でも、当面はこういう程度にするとか、そういう段階的な発展の規制があってもいいのかなという気がします。
ですから、最初から厳しい規制の話というよりも、まず将来どうあるべきかということを考えた上で、規制の手順をとっていただければいいのかなと思うところです。
○遠藤座長 今のお話では、世界的には将来的に厳しくなる方向にあるだろうという見通しが大体立っているということですか。
○近藤委員 サンシャイン条項も含めて、日本では、未だそこまで厳格にやる必要があるのかなと思っていても、やはりそれはそういう方向にいくわけだろうと思います。そうすると、日本がいつまでも座視しているわけにはいかないわけで、それに対してどのような対応をとって行くのか、また、クオリティーもどんどん求められていくわけですし、誰が見ても納得いく先進国の臨床研究はこんなものだというのが求められてくるのかなと思います。国際競争というのは、そういう点でもあるだろうと思います。ですから、いきなりというのは無理でしょうが、10年先はこうなるだろう、5年先はこうなるだろうというような目線で、計画的な規制の進化の在り方があってもいいのかなという気はします。
○遠藤座長 要するに、今の状況だけで判断するのではなく、今後の環境変化をある程度見据えながらの議論をするべきだろうと、そのとおりだと思います。そういう御指摘だったと思います。いかがでしょうか。まず、まず武藤委員のおっしゃっていた法規制が必要かどうかということでコンセンサスがないと、法的規制ではなくて別な代替手段としてどういうものが在り得るのかという議論にしていかなければならないわけです。これは、いかがでしょうか。法的規制を、レベルはともかくとして、考えるという方向は一応コンセンサスを得るという形で。
○大門委員 この論点1に関して、私個人の率直な意見を申し上げますと、スライド7や8に示されていますように、規制対象及び規制内容の観点から見て、我が国の臨床研究が海外と比較していわば野放しなっているのはいかがなものかと思います。あってはなりませんが、もし同じような事件が再び生じたときのことを想定しますと、やはりそれに対応する臨床研究についての法規制は存在してよいのではないかと考えております。ただし、近藤委員がおっしゃられた点は非常に重要なことでして、その点とも深く関連しながら論点2や論点3で議論されることになると思いますが、どのような法を根拠におくか、またその内容・運用・仕組みについては、今後さらに慎重な議論が必要であると考えております。
また、論点2、3に関しては、やはり近藤委員のご意見を意識しますと、欧州型ですと対象範囲が広すぎて、研究の萎縮をもたらす可能性が危惧されるように思います。今回のディオバンの事件を意識しますと、現時点では米国型を参考にするのも1つなのではと感じました。
○遠藤座長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 被験者の立場からしましても、やはり今までどおりの指針だけでは限界があるということで、今このような議論をしているのだと思います。私も、やはり全面的ではないまでも、一部は法制化が必要と考え、論点3にある○2に準じるのが妥当なのかなと思っております。ただ、一方で先ほど近藤委員からお話がありましたように、欧米ということを考えたときに、法制化するという意味では非常に厳しくなるのかもしれません。これまで、この検討会の中でいろいろとヒアリングでお聞きしていきますと、欧米化するということ、欧米に近づくということが必ずしも厳しくなることだけではなく、例えばモニタリング監査の在り方でいうと、実は思っていたよりも自主的にモニタリングをするというようなことだったり、ICH-GCPの捉え方についても、日本のほうがガチガチに捉えているというようなご意見も出てきていました。その辺り欧米化といったときに研究をする方々が、自分たちは何もできなくなるというようなイメージにならないような配慮が必要だと思います。そこを、少し整理しながら見ていく必要があり、その上で、必要な部分の一部法制化が大事なのかなと、私自身は思っております。
○遠藤座長 これまで、そのようなことについて議論がされましたので、その辺りも少し今後議論の材料として事務局にまとめていただければと思います。したがって、法制化をする場合でも、どのような形にするのかは別の論点にありますので、そこでまた御議論を頂きながら、相互にクロスしながら議論をしていくことになると思います。そうはいいましても、余り広げてしまいますと話が進みませんので、とりあえず論点1、2、3について今お聞きしています。
○児玉委員 2点指摘をしたいと思います。1つ目は、法規制という言葉を使うと、ともすれば禁止とか処罰ということを念頭におきがちで、また法規制という言葉を使ったときに、そのような前提に基づいた批判もひょっとしたらあるのかもしれないことを懸念しております。この間の議論で、1つはきちんとアカデミアとインダストリーとガバメントと3つがきちんと役割分担をして連携ができるようなルールづくりと基盤整備をしていくことが課題になってきたように思います。ここでいう法規制も、そういう意味でのルールづくりと基盤整備というような理解を明示して、誤解を避けたいような思いがあります。
2点目は、言わずもがなのことではありますが、しばしばこれも臨床研究と産学連携という、きちんと育成・振興していかなくてはいけない対象について、産学連携そのものについての否定的な御意見も、ひょっとしたら出てきかねない状況にあるかと思います。むしろ、近藤先生がおっしゃられたような臨床研究の未来を語るときには、産学連携の健全な発展が大きな課題になってきていると思いますので、そのことも少し補足して言葉を補ったほうがよいのではないかと思います。
○遠藤座長 法規制というと、どうしても処罰といったようなニュアンスが強く出るけれども、もともとはアカデミア、産業や行政との連携、あるいは産学協同といったものが円滑に行われるためのルールづくりというような意味付けの中での法規制であると位置付けて議論するべきであるということですね。重要な御指摘をありがとうございます。
○望月委員 今までの議論と同じようですが、私も法規制というのは必要最小限とされるべきであり、先ほど近藤先生がおっしゃったように、これから5年後、10年後には例えば研究に関する倫理や、臨床研究に関する教育はどんどん進んでいき、かつ問題が起こらないような仕組みを皆で考えるということがだんだん達成できると思います。そうした場合には、むしろ問題が起きにくくなるので、そちらで進められるようにしたい。現段階では最小限の法規制として、倫理指針でなるべく収めるほうが、私はよいかと思います。
○遠藤座長 いかがでしょうか。このような御意見がありますが、それに対して。
○桐野座長代理 対してではなく賛成の意見なのですが、現在臨床研究の倫理指針あるいは疫学も含めて検討されていると思うのですが、パブコメが終わったところではないかと思います。その臨床研究の倫理指針自身が、やはりバージョンアップしてレベルアップしてきているのですね。今、先生が御指摘のとおりだと思います。
それから、未承認薬や広告に使用する研究などは、普通に考えてもきちんとやってもらわないと困る面もありますし、どうしてもある程度の規制は考えていかざるを得ないのではないかと思います。このようなことを考えると、今までよりは更にいろいろな臨床研究関係の人材を必要とするのですね。安直な研究ではなく、きちんとした人材を育成して、そしてその人材が臨床研究の推進をサポートするような体制が徐々にできていく方向に推進するので、これは決して臨床研究や大学と企業との協同研究を抑制するのではなく、よりまともな研究ができる環境にしていく作用があると私は思いますので、このようなある程度の規制はどうしても今回は考えざるを得ないのではないかと思います。
○遠藤座長 ほかにありますか。
○山本委員 今御意見が出ていることとほぼ同じ趣旨なのですが、1つには、法規制を入れたときの効果は、ごく部分的なものであり、自主的な研究機関や企業の取組もなければ、結局問題が解決されないということを意識する必要があります。他方で、自主的な取組だけでも限界があることは確かで、具体的に申し上げますと、例えば非常に問題のある事案が起きたときに調査を行う。それに関しては、ある程度法的な権限をもって行政機関等が動かないと、なかなか調査等が進まないこともあります。それから、自主的な規制をする場合であっても、法律に違反しているのではないか、あるいは法令の趣旨に反しているのではないかという理由から、自主的にペナルティー、一種のサンクションを課していくこともあるかと思います。要は、両者、つまり法規制と自主的な取組が連携できるような、適度な法規制を入れることが大事なのではないかということです。
もう1つは、同じようなことになりますが、論点2で過度の法規制をすると研究の萎縮をもたらすと。これは全くそのとおりで、特に研究活動の内容に関わるような規制を入れるときには、非常に慎重にならなくてはいけないと。他方で、医薬品の開発やそれに関わる研究の国際的な信頼性、あるいはそれを受ける被験者の方に対する信頼性を確保する上で、法規制がそれを促進する機能もあるだろうと思います。やはり、そこも結局適度な法規制を入れることによって、研究の萎縮をもたらさないようにすることが一方にあり、しかし他方ではそういった信頼性を確保していくために必要な部分はある程度規制を入れていくことが必要なのではないかと思います。
○遠藤座長 大体、皆様の御意見は研究開発が推進していくような適度な形の法規制というものを考えるべきだということで、それは言葉だけの話ですから具体的な議論になるとまたいろいろあるかもしれませんが、そういうことではとりあえずコンセンサスが得られたと了解してよろしいですか。そうしますと、論点3では事務局は一応○1から○3を出しており、大門委員はこの中では○2が一応適切なのではなかろうかとおっしゃっておられます。つまり、法規制の対象とすべき臨床研究はどういうものかということですが、このことについて何か御意見はありますか。今のところ、山口委員も○2の米国型がよろしいのではないかと。米国型とは、具体的にどのようなサンクションをかけるかはともかくとして、未承認と適応外の医薬品と医療機器と。それから、そうではなくても医薬品と医療機器の広告に使われると、この2つのカテゴリーに入るものについては、法的な規制を加えるという視点の議論でよろしいですか。
○楠岡委員 これまでのいろいろなヒアリングを通して、欧州型はやはりの現実的に厳しすぎて、少し緩める方向も出ています。研究に参加していただく被験者の方々をある一定のリスクにさらすわけですが、そのリスクがそんなに問題にならないところまでをガチガチに縛るのは、かえって研究の促進を妨げることになります。一方、ある一定のリスクがあるものに関しては、何らかの形で被験者を保護していくことは必要です。そうしますと、今考えられるリスクの中で比較的リスクの高いものというと、未承認や適応外になるかと思います。
もう1つは、承認されている範囲においての研究ですと、どちらかというとリスクは低いことになるわけですが、広告ということになると、患者に対するリスクは低いのですが、社会に対するリスクは逆に高くなる。そういうリスクベースという考え方からしても、2番目が今のところ妥当ではないかと思います。
○遠藤座長 リスクという視点から見ても、広告というのは社会的に非常に流布するものですから、そういう意味でもリスクとしても大きいと。リスクという視点で考えても、○2は妥当であるということです。よろしいですか。
○武藤(徹)委員 前にも話したのですが、「広告に用いられる臨床研究」は、ちょっと気になるのです。最初から広告に用いるつもりで臨床研究をやるのではなくて、結果として良いと広告に用いられるのですよね。土屋参考人、そうですよね。ですから、これは最初から分かっていないのですよ。だから、その辺のところは技術的な問題をはっきりしておかないと。
○遠藤座長 はい。だから、それは広告に使えないようなやり方でやっていたのに、将来使ってしまったときどうなるのかとか、そういう話になるわけですよね。
○武藤(徹)委員 それは悪いことではない。
○遠藤座長 広告といってもアカデミックなものをMRさんが持ってくるという場合は広告か。広告とはどこまで入るのかという議論とも絡む話かなという気もするのですが、その辺の議論はまたいずれ必要かと思います。そうすると、基本的には臨床研究の中では、まずは医薬品と医療機器が関係していないものについては、法的規制の対象ではないということですよね。その中でも、未承認、適応外、あるいは広告に使うというものだという理解でよろしいですか。薬を使っていなくても、一応リスクの高いものには規制を掛けるべきだとか、そういう議論もあるかもしれませんが、その辺はよろしいですか。そういうことで、これは今取りまとめるつもりはありませんが、一通りの御意見の集約を図りたいと思っております。また、広告については、実行上どうするのかという問題点があるということは事実ですので、そのことについてはまた具体的なところで議論したいと思います。論点1、論点2、論点3については、そのような御意見だったということにさせていただきます。
次に、具体的な規制の内容について、11ページ、論点4です。論点4は頭書きみたいなものですね。「我が国における実効性を踏まえ検討すべきと考える」、そのとおりですねということだと思います。論点5からです。「倫理審査委員会」、これも随分ここで議論になりました。「倫理審査委員会にどのような委員構成や要件が必要か」と事務局は書いてますが、これにこだわることもありません。倫理審査委員会に関して、法的規制を加えるということであるならば。
○山口委員 ディオバンの問題を考えたときに、果たして倫理審査委員会で何とかできたのかというと、その辺はかなり難しいのではないかという思いがずっとしていたのですが、私も実際に入っている倫理審査委員会の中で、大抵の場合は臨床研究が始まる前の段階での審査で終わっていて、その後どう行われているかという、いわゆるモニタリングのところですが、そこのところにほとんど倫理審査委員会は関わっていないと思うのです。そうしますと、ここで倫理審査委員会の役割をもう少し果たしていかないといけないとなると、途中段階でのチェックということも必要なのではないかと感じていました。
要件についてですが、果たして1,300あると言われている倫理審査委員会が、どんなことをどのように審査しているのかというと、実はバラバラで、それはどこも調べていないのではないかと思います。例えば倫理審査委員会メンバーの構成要件や開催要件は調査があったとしても、恐らく具体的に何を審議しているかというところは調査したことがないと思うのです。それを1,300やりましょうというと、とても限界があると思うのですが、まずは臨床研究中核病院に的を絞るなどして、具体的にそれぞれの倫理審査委員会がどのようなことを何に注目して、どのような基準で審査の方法を振り分けたり、内容を分けているのかということを調べ、具体的にこれとこれは倫理審査委員会で諮るべきという基準を決めていかないと、レベルは上がらないのではないかと思っています。
○遠藤座長 私の理解では、今のお話は、倫理委員会については1つは経過についてもちゃんとチェックをする必要があるというお話と、もう1つは倫理委員会のレベルが統一化されるように、ある意味で基準みたいなものが統一化されていく必要があるのではなかろうかと、そういう視点は重要だと、こういう御指摘ですね。ありがとうございます。
○桐野座長代理 倫理審査委員会というのは、恐らく20年ぐらい前から徐々にできてきたものであって、例えばインフォームド・コンセントが実際に使われるようになったのも、1990年の初めぐらいだったのではないかと思います。その後、たくさんできたのですが、もう1,000以上存在するということであれば、形式はきちんとしていても内容はよく分からないということにならざるを得ないと思うのです。前もちょっと言ったのですが、倫理審査委員会にはレベルA、レベルB、レベルCというのがどうしてもあるのだろうと思うし、恐らく楠岡先生がよく知っておいでになると思うのですが、倫理審査委員会の認証みたいなことをどこかで考えざるを得ないのではないかと感じるのです。しかし、そこの中には全く医学そのもの、あるいは研究等に関係しない市民の目で意見を言える人も必要ですし、そこはなかなか難しいのですが、そこを考えて相当な能力の高い倫理審査委員会でなければ審査できないような、例えばiPS細胞を使って何か特別な治療法をやるというものはそういう対象になるのではないかと思うのですが、今回かどうかは別にして、そのようなこともどこかで考えなければいけないのではないかと思いました。
○遠藤座長 といいますと、それを法規制の問題と絡めると、実態としてどうしても能力においての違いもあるわけなので、それぞれの基準を作って、ある程度カテゴライズするような形にして、クオリティの均一化を図っていくと。
○桐野座長代理 法規制とは全く関係ありません。
○遠藤座長 はい。
○楠岡委員 倫理審査委員会というものの捉え方ですが、審査委員会の委員数名という、そういう委員会というものとして捉えるのか、委員会といっても、実際はその下にいろいろなスタッフがいて、事務局が機能する、倫理審査委員会というシステムとして捉えるのかというところが大きな問題です。どんなに見識の高い方をたくさん集めても、全ての分野をカバーすることは当然できませんし、また今、非常にレベルの高いと言われている委員会も、実はお一人かお二人、非常に熱心な方がいらっしゃってしっかりやっているからレベルが高いと言われているわけで、その方がいらっしゃらなくなると、途端にレベルがどうなるか心配になるような委員会も、現実にはあるような状況です。これは法的規制としてできるかどうかというよりも、むしろ法律にどう書くか非常に難しいところだと思うのですが、倫理審査委員会というよりも、システムをしっかりする。要するに事務局をしっかりしていただく。
今、再生医療に関しては、法律とか省令の中で、倫理審査委員会が規定されています。これは再生医療に特化した委員会構成になっているわけですが、それをいろいろな分野ごとに全部作っていくかというと、それはとても無理な話です。いろいろの分野を総合的に判断できる審査委員会となると、結果的には案件ごとに専門委員を任命して分析していただく。あるいは今、山口委員からあった、経過を取りまとめるといっても、各研究者が出してきた生の結果、経過データをボンと委員に渡されても、委員はどうしていいか分からないので、そこをしっかり分析して、経過報告的なものを委員が理解しやすいような資料にまとめるような事務局とか、結局、最終的には事務局機能をどれだけ強化するかということにかかってくるのではないかと思います。
今、桐野先生がおっしゃった認定とか、クラスAとかクラスBというのは、結局、事務局がどのぐらい機能できているか、あるいは事務局スタッフがどれだけそろっているかによって決まってくるというところになるかと思います。厚生労働省で今年度事業で倫理審査委員会の認定事業があって、研究班でそれに関しての検討を行ったわけですが、そこでも事務局機能が非常に大事であって、委員の構成に関しては、ICH-GCPに書かれているようなところ、それにもうちょっと加える必要があるにしても、今の倫理指針の中で書かれているような内容で十分ではないか。むしろ個別にこんな専門の人がいると書き出すと、かえって倫理審査委員会が機能しなくなってしまうのではないかということを危惧するところです。
したがって、倫理審査委員会に関しては、システムとしてどう捉えるか、そしてシステムとしてどう機能を持ってもらうかというのが一番大事なところではないかと思います。
○遠藤座長 少し整理させていただきますと、倫理審査委員会の重要性は非常に高いだろうと。倫理審査委員会自体の審査は法規制ではないわけですから、これはアカデミアの自主規制という形になるわけですが、問題は倫理審査委員会そのものをどういう基準で設置するのかということを法的な規制で考えるかどうかという話なわけです。例えば臨床研究中核病院があると。そこで行われる臨床研究は、ある程度自主的に行われるかもしれませんが、中核病院は医療法上決められている法律で決めて、いろいろな基準で作られているわけですので、そのような法的な基準を倫理審査委員会にも作るのかということですね。そういう理解でよろしいですか。
○楠岡委員 法律として、それはなかなか書きにくいところですし、逆にそこまで書いてしまうと、かえって硬直化してしまう可能性があるので、法律としてはもうちょっとフレキシビリティのある書き方になりますが、実際はそれのガイダンスなり解釈みたいなものの中で、もう少し具体的なものを示していく必要があるのではないかという考え方です。
○遠藤座長 了解いたしました。
○近藤委員 臨床研究の信頼感がなくなっている中で、何が一番問題かというと、ガバナンスがしっかりしていなかったと思います。この内容を審査していた所は間違いなく倫理審査委員会なわけです。誰が責任を持ってやっているのかということだと思うところです。したがって、臨床研究をスタートしてやっていて、誰がこの全体の責任を持って、最終的にこれをどう見ているかとなったときに、誰も責任を取っていないという状況が今日の状況になっている。研究者以外はそれは病院であり、大学が責任を取るのか、それとも倫理審査委員会が取るのかという話になると思うのです。とりわけ、非常に機微な研究については、倫理審査委員会の責任はかなり重いと思うのです。ですから、先ほど桐野委員がおっしゃっていたように、それなりのしっかりした臨床研究の制度にするのかどうかとか、楠岡委員がおっしゃったように、その機能を強化するための人員要件の拡充をやるのか、こういう話にもなると思いますが、全ての臨床研究について厳しい規制をやっていたら大変です。ですから、軽いものと重いものがあるわけであり、重いものについては、ある大きな特定の中央倫理審査委員会があってもいいのだろうなと思うのです。だから、そこで大事なところはしっかり見てもらうと。些末なと言うと悪いですが、普通の臨床研究については、それなりの従来の所でいいのかと思うのですが、やはり責任が伴うようなものについては、責任を明確にした倫理審査委員会が必要かと思いますけれども。
○遠藤座長 法制度との絡みでいうと、今のはこういう理解でよろしいでしょうか。例えば非常にリスクが高くて、きちんとした倫理審査委員会の下で置かれなければいけないものについては、レベルAの倫理審査委員会でやらなければならないというように決めてしまうと、そういう考えでよろしいわけですね。
○児玉委員 これまでの議論でもお話をさせていただいたことのあることなのですが、「倫理」という言葉が独り歩きしている部分があって、かえって課題が曖昧になっているのではないかという点を危惧しています。もともと倫理審査というものの原理原則は、医療機関の専門的研究活動を一般市民の目にさらして、通常の人の常識からかけ離れたような人体実験が行われないかどうかをチェックしてもらうのが出発点だったわけですが、それに対して例えば法とか倫理の観点からのチェックもサポートしたほうがいいのではないかということで、倫理委員会がだんだん発展してきた経緯があると思います。
ところが、昨今の課題を正面から見てみると、例えば倫理とか、法とか、一般市民の常識などという観点からのチェックが足りなくて昨今の問題が起こっているというよりは、むしろ科学的方法とか、科学的なデータの保存や処理に関して問題が生じている。そういう事例に多々直面していて、従前の倫理審査の枠組みの拡充も、むしろ科学性と専門性の拡充の方向で制度基盤整備ができてきたように思っています。もちろん倫理審査という大切な言葉をなおざりにするつもりはないのですが、一般市民参加によるチェックに加えて、専門家による科学性のチェックという、エシックス・コミッティというよりは、むしろサイエンティフィック・ボードの方向に向けて制度基盤を拡充するというトレンドを反映したものになっていくといいなと思います。以上です。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございます。そういう意味では、改めてきちんと倫理審査委員会の機能の定義みたいなものを書いておくことが重要かもしれません。
○楠岡委員 今回の論点にない点で気になるのは、先ほど近藤先生がおっしゃったように、研究の責任を持つのが誰なのかということが明確になっていないことです。倫理審査委員会は重要ですが、研究の責任を持てるわけではなくて、あくまでもアドバイザリーボードというとおかしいですが、間接的に見ていてこうすべきであるというようなアドバイスなり、指示を出す所です。今回の件も研究の責任者が本来責任を取らなければいけないわけですが、それが誰かよく分からないのが問題です。責任者がはっきりすれば、その責任者はいろいろなことに関して目配り、気配りをする必要が出てくるので、そこははっきりさせておく必要があるのではないか。企業依頼の治験の場合は、依頼した企業がスポンサーであって、そこが責任を持つということははっきりしていますし、医師主導治験の場合は、医師主導という、依頼企業を医師にそのまま置き換えたような形になっているので、一応、医師主導治験の責任医師がその治験の責任者。それが複数の施設で行われる場合は、全体を統括する人が責任者という形になる。臨床研究も当然そういう形になるわけですが、臨床研究においてはスポンサーといいますか、倫理指針の中でも責任者がもう1つ明確に書かれていない。いろいろな人がいろいろな責任を持っているのですが、最終的に誰が研究の責任者かということよく分からない。もし法律とする場合には、やはり最終的に責任を持つのが誰であって、その人はどういうことをしなければいけないかという、義務なのか努力なのかは別として、そこをはっきりさせておかないと、現状と余り変わらない。むしろ倫理審査委員会だけが責任を負わされたりとかいうことになりかねないと思います。
○遠藤座長 ここの議論の中から出てきた問題点がクリアになったということだと思いますので、非常に貴重な御意見だと思います。次の論点に届出制をどうするかという議論がありますので、例えば届出制の中で責任者は誰かということを明示するとか、あるいは論点7に「臨床研修の実施基準」がありますが、その中で何かするとか、議論としてみればそのような流れなのでしょうか。
○山本委員 倫理審査委員会について、私は実態等をそれほど詳細に承知しているわけではありませんので、言えることに限界がありますが、今回、先ほどのようにリスクが高いと見られる医薬品に関して、倫理審査委員会を通さなくてはいけない。後のほうの論点を見ますと、例えば論点8で副作用等の報告についても、まず倫理審査委員会に報告をすると。そこで審査をするということが書かれていますが、仮にそういうことであるとすると、この法制度の中で倫理審査委員会はかなり重い意味を持つことになると思います。ですから、それに見合っただけのものでないと、なかなか法制度の中のバランスが取れないのではないかという気がいたします。
技術的には法律の中に細かく書かなくても、省令の中に細かく書くとか、あるいはガイドラインのレベルで書くとか、そこはいろいろなやり方がありますので、もちろん法律の中に全部書かなくてはいけないという話ではないと思います。ただ、内容としては倫理審査委員会がきちんと機能するような制度を検討しておかないといけないのではないかという気がいたします。これは実態の問題もありますし、財源等の問題もあるかと思いますので、私がここで具体的にこうすべきだというところまで申し上げられませんが、この法制度全体の中で倫理審査委員会は重い意味を持つということは考えておかなくてはいけないのではないかと思います。
○望月委員 倫理審査委員会で、先ほど研究の責任者を必ずということがあったのですが、責任者は委員会に入って、そのほかに研究とは独立した人間として、先ほど一般人という話が出ましたが、医療倫理なり、研究倫理、生命倫理に長けた人。もう1つは臨床統計その他のレギュラトリーサイエンスを理解できる人。最後には例えばiPS細胞だったら細胞の専門家、医療機器だったら医療機器をよく分かっている専門家、医薬品でしたら薬の専門職である薬剤師。そういうメンバーが倫理委員会において研究責任者と、そこではっきりと話し合い、問題点を正すという形が必要ではないかと私は思います。以上です。
○遠藤座長 委員構成について、具体的にお話を頂いたということです。いずれにしても、倫理審査委員会のウエイトは大きくなるだろうということですし、また同時にマンパワーを見ても、あるいは実態としてのレベルを見ても、格差が大きいということもありますので、それは統一化して、ある程度グレードを決めるなり何なりする形で統一基準を作っていくことは必要になってくるのだと思いますが、そういうところで法的な規制と絡め合っていくという話で、一応、御意見はそういうことかと思いましたが、よろしいですか。
○武藤(徹)委員 理想論はそのとおりなのですが、現実的には日本にはそういう人たちが少ないのです。それを法で規制したら何もできなくなってしまう。そこが一番問題なので、それだからといって、いい加減にしろと言ってはいませんが、例えばAクラスとBクラスとCクラスに分けて、Aクラスをなるべくたくさん作ることを目指す。例えばがんについていえば、がん拠点病院があるわけですから、これがAクラス、そこにはちゃんとした倫理審査委員会を作る。そこを中心にして、レベルアップすると同時に、周りの病院に広げていく。そういう方法で具体的にやらないと、理想を追ってばかりいると、現場は非常に迷惑するし、ものごとが進まなくなります。私はそれを一番恐れますね。
○児玉委員 倫理委員会で、ヨーロッパ等で例えば言葉遣いで熟していないところはあるかもしれないのですが、国家倫理委員会という言葉が使われたり、あるいはこの委員会の議論の中でも、地域での倫理委員会の集約化という議論が紹介されたりしてきたわけですが、どちらかというと私が理解しているところでは、倫理を国家統制しようということは誰も考えておらず、むしろ科学性のチェックに関する事務局機能や、医事法等に関わる専門的なチェック機能について、ある程度拠点を設け、それが公的機関であれ、半官半民の機関であれ、研究と研究のチェックを事前に行う作業を支援する仕組みを作っていこうということなのだろうと思います。武藤先生がおっしゃるとおり、人材も予算のバックアップもないまま、今のIRB(Institutional Review Board)で施設内でやらなくてはいけないという仕組みを維持したまま、たくさんのチェック機能を施設に課していくと、結局のところ実態が伴わなくなるのではないかという懸念があって、そういう意味では法的なバックアップや支援の仕組みを併せて考慮しない限りは、現状の施設ごとの倫理審査委員会という枠組みと、精神的な倫理的な取組指針という枠組みだけでは、なかなか問題が解決しないのではないかということは、この間の議論の中でもだんだん明らかになってきたのではないかと思います。以上です。
○遠藤座長 私も全くそのとおりだと思います。ともかく実効可能性のないような法的枠組みはほとんど意味を持ちませんし、混乱のみしか生みませんから、これは医療政策みんなに絡む話ですが、規制とインセンティブの組合せでやっているわけですので、そういう意味では倫理審査委員会についてのある種のインセンティブというか、支援の仕組みも同時にやっていかなければいけないことだとは思います。いずれにしても、実効可能性を見ながらの議論でなければいけないということはよく分かっているつもりです。とりあえず倫理審査委員会については、そのような御意見を承ったということで、ある程度意見の集約ができたと思っております。次回以降もまた御議論したいと思います。
次の論点6「当局への届出」、現行はそれはないわけですね。自由にやっていいということなわけで、当局へ届けるか。届けるとするならば、具体的にどういう方法か。ここで書いてあるのは、当局へ届けるというよりも、データベースによる研究概要などを公表するという形で、後で何か起きたときには、それがはっきり見ることができるという状況にしておこうと。こういう事後チェックの話だと思いますが、これについて何か。届出を義務づけるという話になると、例えばさきほどの責任者を明確にしておくということができるわけです。
○桐野座長代理 臨床研究の中で、多少ともリスクというか、負荷が掛かるようなものについては、公的なデータベースにあらかじめ研究計画を登録して、途中で進捗状況をある程度示して、結果が出たらその結果を書き込むという方向に、今もうなっていると思うし、そういう方向に必ずなると思います。さらに上位の研究に属する今回の検討対象については、届出がいいかどうかは別にして、オーソライズされた所に研究の状況についてきちんと書いておくことは、その研究自体のいろいろな意味での保護にも役に立つので、私はこういうことをする方向でも大きな支障はないのではないかと思いますが、何か研究を妨げるということであれば考えないといけないとは思います。
○遠藤座長 現状で、もう自主的に既にそのようになっていると。これはどういう主体がやっているのですか。学会なのですか。
○桐野座長代理 1つは大学病院のUMINですね。昔、武藤先生が病院長の頃、作ったのではないですかね。全国の国立大学の病院長のネットワークと確かPMDAにもあると思います。PMDAではない、別の機構ですね。
○楠岡委員 今、研究の登録サイトが日本には3つあって、1つは先生が先ほどおっしゃったUMINで、これは運営母体は東京大学、あるいは国立大学の協同ですが、どこであっても登録は可能。もう1つはJPICという、どちらかというと業界が中心になって登録している所。3つ目が日本医師会治験促進センターが作成しているサイト。今、日本にはその3つが別々にあるのですが、それですと検索などができないので、保健医療科学院がその3つを取りまとめた形のポータルサイトを作っているという状況になっています。ただ、今のどれかに登録することを倫理指針では求めているのですが、どこへということはないのと、研究によっては日本のサイトには登録せずに、アメリカのNIHのclinicaltrial.govに登録する所もある。海外に登録して二重登録になってしまうという問題はありますが、国内でどこかに登録してもらわないと把握ができないのも、1つ問題になるかもしれないということがあります。基本はWHOが臨床研究は全部登録するようにということで、各国がそういう登録サイトを持っている。ただ日本の場合は歴史的に別々にスタートしたものがあるので、そこが若干、混乱を起こしているところがあるかと思います。もし法律で4番目のサイトを別途作るという話になると、研究者からすると二重に登録しないといけないということも出てきてしまいますし、またそれをどこがメンテをするのか。今回は国が直接メンテをするような、そういう登録サイトだったら、ほかの3つは要るのかというまた別の議論にもなってきますので、登録に関してもうちょっと細かくしておかないといけない。ただ登録しなさいというだけでは実効性というか、後で情報を集めようとしたときに集められないという問題が出てくるかもしれないということです。
○遠藤座長 分かりました。ありがとうございます。知らない世界だったものですから、勉強になりました。今のお話では、まず一定のリスクがあるものとするかどうかはともかくとして、現行でもデータベースへ登録が行われているわけですから、このこと自体が研究に対してマイナスに働くことは多分ないだろうということでよろしいのかと思うわけです。ただ、もう既に3つのデータベースが動いているという中で、義務化をしていったときにそれをどのように取り扱っていくのかという問題がまた一方で出てくるという問題提起だったと思います。ということは、当局へ一つ一つ届けるよりも、何らかのデータベースに乗せるという方向が実効性が高いのだろうという理解でよろしいですか。ありがとうございます。このデータベースへの届出について、何か御意見があればどうぞ。事務局にお尋ねしたいのですが、ここでいう「データベースによる」というのは、国が管理するデータベースを念頭に置いているのでしょうか。そこまでは何も考えていないということでしょうか。
○中村補佐 現在ここで書いているデータベースは、特に何か特定の運営主体を想定しているものではありませんので、そこも含めて御議論いただければと思っております。
○遠藤座長 そういうことだそうです。だとしても、課題はあるわけですけれども。先ほどある一定以上のリスクということがありましたが、それは何らかの基準で登録しないものもあってもいいということでしょうか。やはり押し並べて全て登録したほうがよろしいのでしょうか。
○児玉委員 倫理委員会の委員として、研究のアイディアを研究実施前の段階でたくさん見せていただく機会があって、倫理委員会の事例として紹介したいとしばしば思うのですが、せっかくの研究アイディアなので、研究アイディアがどんどん外へ漏れてしまうようなことをしてはいけないと思って、そのデータを余り出さないようにしているのです。例えばディオバンのような大規模臨床研究は、どんどん登録していただいても、おいそれと真似などできませんし、巨額の資金と多数のスタッフが必要なので、そういうものについてはどんどん登録を促進したほうがよいと思うのですが、現場の研究者目線だとどういうインセンティブでこういう登録をするかという点は、研究アイディアの問題も含めて、配慮してあげたほうがよい面があるのではないかと思います。
○楠岡委員 1つは今の倫理指針でも、今回改定される倫理指針でも、登録を必須にしているのはいわゆる臨床試験、介入を伴う前向きの研究ということで、そういう意味ではある程度リスクが予想されるものです。ただし、そこで使われるものが承認薬であるか未承認薬かということは特には問うていないので、いわゆる臨床試験という範疇のものはみんな登録することになっています。登録の時期は、研究がスタートして最初の1例目を、登録といいますか、症例に対して試験というか、試験行為を行う、それまでに研究を登録するのが1つの基準となっています。
インセンティブのほうも、もともと登録の話が出てきたのは、アメリカの有力な医学雑誌が、事前にそういう登録をしていない研究に関しては論文を受け付けないという声明を出して、したがって、登録しなければ、どんなに立派な結果が出たとしても、いわゆる一流雑誌が受け入れてくれないということが発端です。その後、幾つもの医学雑誌が同じことを自分の所の編集方針として出していますので、ある意味、臨床試験を行って、必ずその結果をどこかで発表したいという場合には、登録せざるを得ないというのが今の現状になっています。
○児玉委員 こういう法規制を考えるときに、アメリカであれ、ヨーロッパであれ、知的財産権の保護と研究者のインセンティブをとても大事にして、そういうものへのバックアップ体制が研究機関にとても広く整備されているのですが、日本の研究機関は比較的その点の検討が緩いまま、情報開示だけが先行するという事態が少し懸念されるので、その辺の検討も必要なのではないかと思います。
○山口委員 先ほど出ていました保健医療科学院ですが、今お話に出ていた3つの臨床研究の登録を1つに集約するということで、保健医療科学院のポータルサイトで紹介されているのは私も存じ上げています。それに関係するある研究班に昨年度関わっていました。その経験から言うと、ポータルサイトを利用してデータベース化をはかるのが一番スムーズで現実的だと思います。ただ、現在改善がなされたかどうか分からないのですが、私の知っている段階では、ポータルサイトの検索機能を改善しないと役立てることができないと感じています。例えば、実際に行われている研究を調べようと思って検索しても、「がん」を平仮名にするか、片仮名にするか、漢字にするかによって、ヒットする件数や内容が全く違うという現状があります。ですので、もしここをデータベースの前提にするとすれば、システム自体を改善し、整えていただかないといけないと思います。法規制と関係ないのですが、そこをお伝えしておきたいと思いました。
○遠藤座長 いや、関係ないと思いません。やはり規制を加える以上は、それがうまく機能するように、そのような支援が同時にないといけないということだと思いますので、ありがとうございます。とりあえず論点6はそういった御議論があったということで、論点7に移りたいと思います。「臨床研究の実施基準について」ということで、「医薬品開発等の国際化の進展を踏まえると、欧米と同様の基準の遵守が必要と考えるかどうか」と。要するにGCPを臨床研究に適応したらどうかと言っているわけですが、これについて何かお考えはありますか。
○近藤委員 間違いなく将来はICH-GCPですよね。この下でやっていかなければいけない。だから、冒頭申し上げたとおり、いきなりそれをやれと言っても無理なのだろうと思うのです。順を追ってだんだんそういう方向に持っていくということで、体制を整えていくことが必要なのかと思います。ですから、いきなり来年からと言われると、それは困難ですね。現実的に可能なやり方でやっていかれたほうがいいのかと思います。でも、将来は絶対そうなりますね。
○遠藤座長 将来的にはそういう方向にならざるを得ないだろうということですが、現状で考えれば、急にカーブは切れないということですね。
○楠岡委員 新しい倫理指針の中では、既に臨床試験に関しては、モニタリングは必ずしていただく。監査に関しては、必要に応じて行うという形になっていて、来年4月1日からそういう形になっていくと思います。ただし、そのモニタリングの内容なのですが、製薬会社等が行っているような治験レベルのモニタリングを実施するのは非常に困難であろうということで、現状としては研究に携わる人たちが自分でモニタリングをする、ある意味、自己点検になるわけですが、それでも構わないという形で今回の指針は出来上がっています。もし、よりリスクの高い研究を対象にするならば、モニタリングの内容に関して少しレベルを上げる必要があるかもしれませんし、それがすぐに実施不可能であれば、しばらく猶予期間を置いて、そちらへ向かっていく。倫理指針は来年の4月1日に施行され、モニタリング監査に関しては10月からになっていますが、実際そういう形で研究は動き出しますので、少し絞った中でどうしていくかということを考えていく形になるのではないかと思います。
○遠藤座長 今の確認をさせていただきますと、倫理指針の中でそういうものができたということですね。ということは、あくまでも指針ということですから、法的なものではないということですね。
○楠岡委員 はい。モニタリングとか監査の仕方に関しても、ある意味、極めて緩やかな基準でOKにしています。いきなりハイレベルのものを求めても実際できないだろうからということで、基準は今、非常に低いところに置いている状況になっているということです。
○遠藤座長 指針ですから、やらなくてもいいということですか。
○楠岡委員 やらなくてもいいわけです。やらなかったからといって罰則はないのですが、その辺をどうするかは、実際スタートしてから考えないといけないところではあるかと思います。
○遠藤座長 指針の中のモニタリングのところを非常に低い基準で法制化するかどうかと、そういう議論にも展開する話ですね。
○楠岡委員 はい。ここではリスクを少し高めの研究を対象にするのであり、そういう緩い基準ではちょっと心許なければ、もうちょっとレベルを上げることも考えていいのではないかと。
○遠藤座長 特定のリスクの高いものに関してはということですね。
○楠岡委員 はい。
○遠藤座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。論点7の一番下には、「医療現場等に配慮すべき事項としてどういうことが考えられるか」ということについては、先ほど来、近藤委員や楠岡委員がおっしゃっているような内容で、急に難しいことは難しいと。
○山口委員 今の楠岡委員の御意見に関連してなのですが、今日の資料の中の欧米との比較の8ページを見ると、モニタリングが横に並んでいて、日本の場合は治験でやっていて、米国、欧州では全部やっているという○があるのですが、これは横並びになっているから、同じような内容だと読めてしまうのではないかというのがとても気になっていました。これを欧米並みにとするときに、ヒアリングの中で、欧米のモニタリングは日本で行われている治験のモニタリングとは違って、緩やかなものだという話が出てきました。今、楠岡委員がおっしゃったように、モニタリングの中でも緩い、幾つか段階があるのだということを明確に示しながら、厳しくするのはどこなのかということを中に盛り込んでいかないと、モニタリングと言われたときに、すごく拒否反応を示される研究者が大勢いらっしゃると伺っていますので、そこを同列ではなくて段階があることをお示ししないといけないのではないかと思います。
○遠藤座長 治験と並んでいるものですから、同じような基準だと受け止められないような配慮が必要だと。
○山本委員 今の山口委員の意見と重なるのですが、ヒアリングのときにイギリスの例がよく出されて、医薬品等の開発が遅れたという話があったのですが、伺うと、ルールが厳し過ぎたというよりは、現場でルールを厳しく考え過ぎたことが原因であったかと思います。ですから、基本的に欧米と同様の基準の遵守という点に関しては、基本的にはそれでよろしいのかと思うのですが、問題は、更に下のガイドライン等のレベルで細かいことまで定めてしまわないようにする、医療現場で過剰な反応が起きないように十分注意をするなど、かなり現実的な対応の部分で工夫をすべき話ではないかと受け取ったのですが。
○遠藤座長 重要な御指摘ですね。現場が過剰な対応というのは、日本ではありがちなことですから、十分気を付けないといけないことかもしれません。ありがとうございます。そういう意味で、GCPと言っても実際の対応はいろいろありますし、余り厳しいことはできないという話だったと思います。論点7はそれぐらいにさせていただいて、論点8の「副作用報告」に移ります。ここでは、具体的に研究者は倫理審査委員会に報告をし、倫理審査委員会は政府もあえて研究継続の可能性について十分な検討を必要と考える。倫理審査委員会の1つの機能について、具体的に書かれているわけですが、いかがですか。副作用は非常に重要な情報なわけですので。
○桐野座長代理 理解が正しいかどうか分かりませんが、大きな臨床研究を組む場合は、
必ず安全監視委員会を作ると思いますし、何か大きな問題があった場合は、安全監視委員会がまずこれをチェックした上で、場合によっては研究の一時停止とか、そういうことを命ずる権限を持たせていると思うので、一足飛びに倫理審査委員会に行くのかなと、ちょっとそこがどうかなと思いました。
○遠藤座長 関連で楠岡委員どうぞ。
○楠岡委員 ここの副作用の報告に関してです。「副作用」という言葉を使っているのですが、GCPでは「有害事象」という言葉を使っております。重篤な有害事象が発生した場合には、医療機関の長に報告が行って、医療機関の長は倫理審査委員会の意見を聞かなければならないということで、倫理審査委員会が判断する。その内容によって、例えば、場合によっては研究を少し止めて、検討しなければならないとか、あるいは研究を止める必要はないけれども、こういうことが起こったことをほかの被験者にも知らせないといけないので、説明文書を変えたほうがいいとか、そういうようなアドバイスをする形で、ここの内容としては、今のGCPとほぼ横並びの内容になっているかと思います。
ですから、治験に関しては、今こういう形になっていますし、臨床研究でも一部の施設では、重篤な有害事象が起これば、それは全部倫理委員会にかけて意見を聞くということをしていますので、これ自体がすごく過剰な要求ということは決してないと思います。
副作用としてしまうと、因果関係がはっきりあることが前提ですが、これは言葉遣いの上で問題です。未知の副作用を見つけることが1つの目的なので、有害事象という形で、因果関係がはっきりしなくても何か不都合なことが起これば全部報告を上げてくださいということです。その中で同様な事例が多数集まってくると、それは副作用ではないかと疑われて、新たな副作用が見つかるという形で安全性の確保につながる。もちろん研究としてもそれは把握しないといけないので、そこは桐野先生がおっしゃった効果安全性委員会が別途取りまとめて、研究の計画等に反映させることになってくるかと思います。ですから、ここのところは、論点7の「臨床研究の実施基準」をもしICHGCPを1つ念頭に置くならば、当然、8も一緒に入ってくる内容になるかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに御意見はありますか。また何かありましたら戻っていただくということで、それでは論点9の「ペナルティーについて」も当検討会ではいろいろと議論はしたのですが、これについて御意見を承ればと思います。
○武藤(徹)委員 最初からペナルティー、ペナルティーと言っておりますが、ここに書いてあるようなことは私は想定しているわけではなくて、特に法律に基づく罰則。これは法律にふれるような、そんな悪いことをするようなことは余りないと思いますし、今度のことでも、医者サイドは決して法律にふれる罪ではないと思うのです。
私が考えていたペナルティーというのは、やはり医療人として名誉を失うということが一番大きなことではないか。実際の罰金とか、そういうことではなく、例えば学会の会員の資格を停止されたとか、役職を失ったとか、いろいろなことがありますが、名誉を取られるということがペナルティーとしては一番大きいのではないかと考えておりました。
もう1つは、そういう人が出たということが、結局、その科の長の責任さらには大学の責任でもあるので、そういう意味での連帯責任を負わせるという形のペナルティーもあるのではないかと。
さらに、公的研究の公募の資格を1年停止にするとか、あるいは中核病院からそういう事件が出たら、病院にペナルティーを科すべきかどうかという話も実は聞いたことがあります。これは少し範囲が大き過ぎるのではないかと思いますが、いずれにしろ、名誉剥奪と連帯責任をはっきりすれば、それだけで少なくとも医療者に対してはペナルティーの効果は十分ではないかと思います。
ですから、イギリスであったらしいですが、実際に患者さんを間違った医療によって死なせてしまったとか、そういう刑事事件になるようなことはこの場合は余り想定しなくてもいいのではないかと思いますが。
○遠藤座長 基本的には、従って、医学会といいますか、医療界によるところのサンクションで十分機能するだろうと。
○武藤(徹)委員 この検討会として、具体的にどういうアクションをするかというと、例えば、学会に対して、そういうときには何らかのペナルティーを科してくださいと勧告する。学会の判断に任せるか、大学の判断に任せるか、その判断に対して当然世間からいろいろ批判はありますから、それで具体的にどういうレベルにすればいいかということが分かってくるのではないかという気がします。
○遠藤座長 あとはせいぜい公的な研究費の助成を行わないという行政処分ぐらいだというので、懲役や罰金ということは、今は余りそぐわないのではないかという御意見だと理解します。ほかに何か御意見はありますか。
○山本委員 法律で義務を定める場合にも、1つには義務違反があった場合に、いきなり義務違反を理由に刑罰が科されるという、直罰と言われる仕組みもありますが、必ずしもそればかりではなく、義務違反があった場合に、それを是正するように行政機関が命令をすると。命令にも従わない場合に刑罰が科されるといったような、いわば間接的に刑罰が科される、つまり、いきなり刑事捜査が始まって、刑罰が科されることはない仕組みもあります。
もっと極端な例としては、義務は定められていても、およそ刑罰は規定されていないこともあります。ですから、法律で義務を定めたからと言って、直罰を科す仕組みにしなくてはいけないというわけではもちろんありません。医薬品等の法律においても、かなり多いのは、先ほどの間接的な仕組みです。つまり、まずは行政処分が行われて、それにも従わないと刑罰が科されるという仕組みが多いのではないかと思いますので、法律に違反した場合に、少なくともいきなり刑罰を科す仕組みは作る必要はないし、必ずしも適切でもないのではないかという気がします。
2番目の○に、不正事案についてどのように情報を入手するかということですが、刑罰でなくても、義務違反行為があったときに、それを是正して命令するための行政処分を行う仕組みを作る場合には、そのために、間接的に強制して調査ができるようにして、質問をするとか、必要な物件について提出を求める等の調査権限を行政機関に与えることが通常です。先ほど申しましたように、なかなか自主的な取組だけでは、調査が進まないことがあることを考えると、今申し上げたような行政機関による調査の仕組みを作ることが、もしもそういう事案が起きたときのために必要であり、有益なことではないかと考えます。
○遠藤座長 直罰というのは適切ではないだろうということですが、同時に調査に入って、実態を明らかにすることは社会にって利益のあることですので、そういうことを担保する意味で、法的な義務を科すことも考えられるという御意見だったと思います。
○児玉委員 山本先生がおっしゃることに賛成です。例えば研究結果が間違っていたり、臨床研究を行っている中で重篤な有害事象が発生したりすることを処罰や禁止の対象にしてしまうと、あったことをなかなか正直に報告できないほうのインセンティブが働いてしまうおそれがあるように思います。
調査妨害や情報の改ざんについては厳しく臨む必要があると思いますが、正直に情報を提供してくださる全員の研究者の方に処罰が及ばないような工夫が、これまでの薬事法であれ、他の行政法の中でいろいろな工夫があると思いますので、そういう工夫のあるペナルティーならば、ひょっとしたらあり得ることなのかもしれないと思います。以上です。
○武藤(徹)委員 まだ調査が完結していないのでよく分からないのですが、我々は情報を新聞と週刊誌ぐらいからしか手に入れることができないのです。実際に大学の名前だけ出て、いかにもその大学が悪いと思われますので、これは一種の社会的ペナルティーです。実際に悪かったのは、その中の外科ではなく内科。内科の中でも特定されるわけです。しかし、外科の連中も何となく悪いと思われてしまう。これはペナルティーとしてはフェアではないと私はいつも思うのです。問題になっていることは早く明らかにしたほうが本当はいいのではないかと思いますが、現実として、いつも大学の名前が出ます。
○遠藤座長 報道の在り方等との関係もありますので。ありがとうございます。ほかに何かありますか。大体ペナルティーについては、先ほど山本委員がおっしゃったような考え方で、ほぼ御同意が得られるという理解でよろしいですか。この議論はまた少し詳しくいずれやることになると思います。取りあえず、論点9についてはこれぐらいにさせていただきます。論点10は既にここでも議論した内容です。透明性確保についてです。これについては何か御意見はありますか。前回、出尽くした可能性もあるかもしれませんが。
○武藤(徹)委員 「必然的に生じる利益相反」と書いてありますね。いかにも利益相反があってはまずいみたいに書いてありますが、寄附してもらったお金で良い研究をすればそれでいいわけで、利益相反そのものがあってはいけないわけではない。それを正しく使えればいいわけです。ところが今どちらかというと、利益相反が書かれるとまずいというか、疑われると。ありもしないことを勘ぐられるということがあって、製薬会社のほうで研究費を出さなくなりました。がんの研究についてですが、いろいろな大きな団体があって、それぞれ臨床研究をやっているのですが、2年前に2億円位のお金が入ってきたのが、今は7,000万円ぐらいしか入ってこないのです。そのため臨床研究が成り立たなくなっているのです。
このまま続いたら本当に日本の臨床研究は潰れてしまいます。その辺のことをよく考えていただかないと、利益相反が悪いのではなく、そこで闇の取引がされるから悪いのであって、その辺のところをはっきりさせないと将来が大変心配です。日本中でそういう研究団体が関東にも、関西にもたくさんありますが、軒並みそういう状態になっているようです。
○遠藤座長 おっしゃるとおりだと思います。ただ、今こういう問題が起きて、今後どういうふうになるかということがまだ不確実な過渡的状態にあるものですから、それに対して非常にリスク回避的な行動が取られていることも考えられます。そういう意味では、ここである意味方向性をはっきりさせれば、また状況は変わってくる可能性もあるかと思うわけです。
ここに書いてあるように、利益相反については必然的に生ずるものであるからと、ここでは善し悪しは言っていないわけです。むしろ透明性をもって管理することが重要であるということですから、正にそういう意見で意思の統一は我々の中ではされているかと思います。
透明性ということで、業界が現在やっていることについて、前回、説明があったことについてどう評価するか。あれで十分か、そうではないかと。そういう視点からの議論になるかと思います。
もう1つが労務提供についてで、これも重要な課題です。前回の説明では業界は少しでも疑わしいものについては一切提供はしないというスタンスで対応したいというお考えであったと。それに対して委員の中には、そうすると、成り立たない可能性もあるという御意見をおっしゃった方もいらした。
日本はアメリカなどと違って医薬品に限らず、研究費の原資がパブリックなものでなくて、プライベートのものの比率が高いのは昔から言われている話ですから、それとの連携がおかしくなってくると、研究開発そのものが停滞する危険性は持っているわけです。そういう意味で非常に重要な課題です。「資金提供の透明性」について何か御意見はありますか。現状の方法でというのは、製薬会社がホームページ上に出していると。より詳しい情報を知りたいということになると、会社によって多少アプローチの仕方が違って、面倒くさい所と、すんなりいく所があるが、いずれすんなりいくような方向にしたいという形であったと思います。
○近藤委員 私も古い人間で、東大闘争をしっかり経験した者ですから、そういう時代の産学の連携というのは目の敵にされた時代で、それがずっと実は長く続いて、連携することに対するアレルギーというのはかなり最近まであったのだろうと思います。
しかしながら、やはりこの時代になって、世界中が産官学が力を合わせてやっていかなければならなくなったときには、それはやっていかなければならない。一番大事なことは、IT化して、透明性がどんどん高まってきていることは間違いないわけです。昔はIT化も何もなかった時代ですから、隠せることはたくさん隠せたのではないかと思うのです。ですから、こういう時代になってきたら、その武器をちゃんと使って、透明性をはっきりしてやればどんどん有効な連携ができていくのではないかと私は思います。
ですから、あえてこの利益相反の言葉に余り踊らされることなく、それはそれなりに堂々と正直な研究をしていただきたいと思います。
○遠藤座長 そうすると、例えば今の業界が自発的に資金提供の実態をホームページ上に開示しているのが今の状態ですが、お金の問題については、その現状を眺めるということでよろしいということでしょうか。
○楠岡委員 もちろん製薬企業側からの資金提供のデータを全部開示していくのも大事ですが、受け取る側というか、研究者自身のCOIの開示というのも大事です。海外の学会ではCOIの開示のスライドには本当にぎっしり書かれていて、学会によってはスライドに納まらないので、COIだけで別冊が1冊できるぐらいの状況です。それに対して、日本でも最近、学会でCOIを開示してくださいとなっていますが、ほとんどCOIはありませんみたいな1行で済んでいて、やはりそこがまだちょっと熟していない。今は製薬企業のほうが開示していくのに対して、研究者がまだ追い付いていないような状況というのが1つです。
また、海外ではCOIがたくさんあるというのは、産官で、それだけ認められているから、研究費も来るし、いろいろなコンサルタント依頼も来るということで、ポジティブな
評価であるのに対して、日本は何かつながりがあるだろうというネガティブな評価になってしまっているところも問題です。そこを変えて、両側が開示していかないと、一方側が出すばかりで、それでいいでしょうというのは手落ちになるかもしれない。ですから、個々の研究に関しては、研究計画書の中にCOI関係を記載することが倫理指針でも求められていますが、それ以外に研究者個人のCOIの開示をどこまで求めていくのかということも、考えておかないといけないところかもしれません。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございます。この点について何か御意見はありますか。
○武藤(徹)委員 今回の発端は、結局、生物統計学者が用意できなくて、製薬会社の人が代役を演じたわけです。実際、日本に生物統計学者がどれぐらいいるか知りませんが、とにかくべらぼうに少ない、ほとんどいないと言っていいぐらいです。
結局、それが発端ですから、これを正さないとまた似たようなことが起こり得るし、また、製薬会社に助けてもらわなければならない事態がたくさん出てくるわけです。今回の答申の中にその必要性を是非入れていただきたいです。
○遠藤座長 報告書をどういう形でまとめるかということについては、また事務局と相談が必要だと思います。ただ、法制化のことだけではなくて、当然、それに関連し付髄した
様々なことの御提案がありますから、それは適切に盛り込むべきだと思っておりますので、また皆さんに御相談したいと思います。今、武藤委員がおっしゃったのは、どちらかというと労務提供の話ですね。そういう課題があるので、必然的にこういう労務提供が起きているということですので。
○山口委員 今、法制化だけではなく、提言というお話でしたので、先ほどから出ている利益相反について意見を述べさせてください。利益相反について、例えばメディアで紹介されると、産学共同でよくないことをしているのだという風潮になってしまっていると思います。
今回、臨床研究について議論した結果、産学が共同するのは悪いことではない、共同しないと研究は進んでいかない、適切に公表していることは良いことなんだという、世の中の空気というか、周知といいますか、そういう方向に今回の検討会も、是非、アピールできるものにしていただきたいと思います。そうでないと、何か研究者と企業はつるんでいるといったイメージになったり、報道されるときにどうしてもみんなが横しまな目で見る傾向にあるような気がしますので、この際、せっかくこういう検討会で報告書を出すとしたら、正しい情報が提供されるような在り方も是非お願いしたいと思います。
○遠藤座長 それは報告書をまとめる段階で御相談させていただきます。お気持ちはよく分かりました。
○望月委員 武藤先生と同じ意見になるのですが、やはり教育というのを考えなければいけません。先ほど5年先、10年先という話が出ましたが、5年先、10年先を目指して生命倫理であるとか、生物統計の専門家がきちんと揃えるような体制を作るべきであるという提言を是非していただきたい。それまでの間は人材バンクという形で、間に合わせかもしれませんが、そういう専門家を集めることを一緒に提言の中に入れていただきたいと思います。以上です。
○遠藤座長 論点10については、ほかにありますか。なければ論点1~10まで通しても結構ですし、あるいはもっと幅の広い話でも結構です。全体を通して何か御質問、御意見はありますか。
○山口委員 最初に、楠岡委員が責任者をどうするのかという論点がないというお話があったのですが、それについてもここで議論すると考えてよろしいのですか。
○遠藤座長 一応、議論としては結論は出ておりませんが、責任者を明示することの重要性ということについては、多分、皆様御同意されていると思います。私が議論の中に入れたのは、例えば、データベース用の報告書のようなものを届出する中で、当然、責任者の名前が出てくるということを申し上げました。具体的にはどうするかということまでは決まっていないということです。
○山口委員 ということは、今、届出をするときに誰の名前でするかということを明確にしていくということですか。
○遠藤座長 そういう方法もありますねということです。つまり、それを明確にしておけば、誰か責任者を決めなければいけないということになるわけで、現状は決めなくてもいいという状況であれば、それははっきりしてくるかと思います。
○山口委員 以前にもこの議論は出ていて、そこの医療機関の長ということになると、少し違うのではないかという気がしています。やはり、ディオバンのときも研究の代表者が進捗状況も把握していなかったということに非常に衝撃を受けました。やはり、研究の責任者がきちんと責任を取る体制が大事ではないかと思いましたので、先ほど論点にないとおっしゃって、本当だなと思いましたので、そこは明確にしていく必要があるかと思います。
○遠藤座長 そこは責任者を明確にすることを入れるという書きぶりになるのかもしれませんが。ほかに何かありますか。
○児玉委員 制度の見直しの方向性ということで、法制度を検討をしている中で、もう1回何の教訓で、何を目的として検討しているのかということを、きちんと言葉にして明記をしておいていただきたいと思います。やはり、データが改ざんされて、学術と市場の操作が行われたことは重く受け止めなければいけないことです。今回の制度改正で一体何を目指そうとしているのかというと、やはり、産学連携と学術産業の振興を図り、市場の健全な発展を促したいことが目標なので、例えば、産学連携による資金提供や、労務提供そのものを問題視するような方向であったとすれば、それは必ずや学術と産業の衰退を招くので、やはり方向性は学術と産業の振興を図って、産学連携の発展を目指していくことが重要ではないかと思います。以上です。
○遠藤座長 そういうようなまとめになるかどうかはともかくとして、少なくとも健全な産学の在り方が重要だということでは、ほぼ委員の皆様共通の御認識を持たれているのではないかと思いますので、多分、そういう書きぶりになるかと思います。具体的な文案についてはまた御相談したいと思います。
○楠岡委員 今の点に関して、そこはもちろん、全く同じ意見です。もう1つは、結果として被験者を守ることにつながることも認識しておかないと、バランスを欠くような気がします。要するに、産学の振興につながると同時に被験者も保護することができるという、その2つの面を併せてきっちり押さえておく必要があるのではないかと思います。
○遠藤座長 そうですね。ありがとうございます。
○武藤(徹)委員 提言についてですが、臨床研究における倫理感の欠如が一番の大きな問題なので、そこを学生のときに、しかも、早い時期に講義をすることが必要だということを提言していただきたいと思います。桐野先生、学部長をやられていたから、どの辺でそういうことを入れたいか、何かお考えはありますか。
○遠藤座長 医師の倫理、教育についてはどこで教えているのですかということです。
○桐野座長代理 もちろん、学生のレベルから教育をしなければいけないことについては誰も反対はしないですが、どのように、どの段階でやるかというのは、まだはっきりしていないと思います。今の医学教育に欠けているものは本当にたくさんあって、生命倫理に関しても十分な講義をするだけのスタッフが十分準備できていないと思います。ただ、確かに欠けていることは事実ですが、20年、30年前に比べれば圧倒的にそういう方向の視点は進んでいて、それを全く無視したような方向にいくということは考えにくい状況になっているとも思いますが。医療倫理や生命倫理に関して、特別講義のような形で行われているだろうと思います。それが例えば講習をどこに組み込めばいいかということについては、私が学部長だった時代にはまだ具体的な議論はありませんでした。今の学部教育では相当議論されているはずですが、そこまで詳しくは承知しておりません。
○望月委員 私から少し追加させてください。薬学教育で、薬学教育モデル・コアカリキュラムを医学部のあとを追って改訂しております。その中にはSBOとして生命倫理、医療倫理、研究倫理とも入っており、それは必修科目として行います。授業の時期としては多分1年、2年なのです。そのほか、レギュラー・ティサイエンスもSBOとして入っていますので、それらの科目は平成27年から入学する学生はきちんと学びます。ただし、それを待ってはいられないので、在学する学生もそれに沿って、必修とは言えないでも、選択する科目で入れるべきと私は思います。その方向で進んでいると思います。
○遠藤座長 大体よろしいですか。私から1つだけ確認させてください。先ほど楠岡委員の御発言の中にもありましたが、再生医療については、臨床研究の中の規制の中には組み込んだ議論はしなくてもいいという理解でよろしいですか。本日の中医協で再生医療の保険収載について議論されていましたが。我々は再生医療については別の法律があるので、ここでは議論しなくてもいいという理解でよろしいかどうかの確認をさせてください。
○中村補佐 再生医療については、昨年成立した再生医療の安全性の確保等に関する法律がありまして、この中で安全性の確保については、当局において、届出も含めて審査をする体制が規定されておりますが、今回御議論いただいているような、モニタリング等については、再生医療等安全性確保法において規定があるということではありません。再生医療についても、臨床研究に係る部分については、仮に法制度を導入するとなれば、その対象になることが考えられるかと思います。
○遠藤座長 なるほど。そうすると、先ほどここで議論する対象を限定しましたが、未承認、あるいは適応外の医薬品と地位。そうでないものも含めて広告に使う場合とやったわけですが、さらに再生医療も入る可能性もあるわけですね。
○中村補佐 はい。この資料の中には詳細に書いておらず失礼しました。再生医療等製品というものも、今年の11月末から薬事法の規制の対象になりますので、未承認の医薬品等を対象とするという場合には、医薬品と医療機器に加えて、再生医療等製品についても対象になるものと考えられます。
○遠藤座長 ということだそうです。ほとんどの再生医療製品は未承認という形になるのでしょうから、それに関連した臨床研究もこの議論の範囲の中に入れるかどうかということです。入れてもいいという話になったと思います。何か御意見はありますか。よろしいですか。突然、我々も意見を言えと言われても難しいので、そういう問題意識もあったということも含めて、次回、事務局でその辺のところを整理していただければと思いますので、よろしくお願いします。
○神ノ田課長 若干補足します。再生医療新法で規制されている部分があります。そこは当然再生医療をやる上では守らなければいけないわけですが、それでカバーされてない部分については、今回新たに法律を作るとすると、こちらの法律の対象にもなってくるという関係になっています。
○遠藤座長 個別の法律で一応対象は決まっているのですね。
○武藤(徹)委員 再生医療というのは特別ですよね。スーパーAクラスですよね。そうすると、いろいろなことが起こったときに罰則は当然出てきますし、法規制がどんどんこちらのほうに侵入してきたら、厳し過ぎて、自由度がなくなるというのが心配です。
大体再生医療は新しいから、トップクラスの人を集めて、みんな真面目にちゃんとやります。そうしないとスタートできない。それと一緒に論じられると大変ブレーキになる可能性があります。それはよく議論していただきたい。
○遠藤座長 どこまでが新法で規制している範囲で、ここでの議論はもしするとするならば、新法で規制していない範囲はどういう話なのかということが分かるように説明していただければ、入れるべきか、入れないべきかという議論にもなるかと思います。そういう整理で可能ですか。
○神ノ田課長 先ほど御説明したのは、再生医療新法の基準に合わせようという話ではなく、それはそれで規制されていますので。
○遠藤座長 ですから、そこは規制の外にあるものは。
○神ノ田課長 その整理を資料として用意したいと思います。
○遠藤座長 ほかに何かありますか。よろしいですか。本日、御用意させていただいた案件については、全て終了しました。「その他」がありますが、事務局から何かありますか。
○中村補佐 特に事務局からはありません。
○遠藤座長 ありがとうございます。それでは本日予定していた議題は以上です。非常に活発な御意見を頂きましてどうもありがとうございました。事務局から次回の連絡事項をお願いします。
○神ノ田課長 次回は11月6日(木)10時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。場所等、詳細については事務局から追って御連絡をさせていただきます。また、本日の議事録については、作成次第委員の皆様方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○遠藤座長 それではこれにて閉会したいと思います。どうもありがとうございました。
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