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2014年6月20日 第2回キャリア・パスポート(仮称)構想研究会議事録

職業能力開発局

○日時

平成26年6月20日


○場所

虎ノ門SQUARE
(東京都港区虎ノ門1-15ー10 名和ビル2F)


○議題

(1)関係者へのヒアリング等
(2)ジョブ・カード見直しの際の活用方法

○議事

【議題(1)関係者へのヒアリング等】

○今野座長

それでは、時間になりましたので、第 2 回キャリア・パスポート構想研究会を開催いたします。本日は前回ご欠席でした五十嵐教授に出席いただいております。

○五十嵐委員

五十嵐でございます。どうぞよろしくお願いします。

○今野座長

また、阿部委員は欠席です。

本日の議題は、お手元の議事次第にありますように、関係者へのヒアリング等とジョブ・カード見直しの際の活用方法についてです。

最初は関係者へのヒアリング等として、日本商工会議所の菊地部長よりジョブ・カード制度推進事業の現状について20分くらいお話をいただきまして、議論をさせていただきたいと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

○日本商工会議所・菊地部長

日本商工会議所の菊地と申します。よろしくお願いします。座って説明させていただきます。

お手元に「ジョブ・カード制度推進事業の現状」というパワーポイントのものとリーフレットを配布しております。これを使ってご説明させていただきます。

まず、パワーポイントの方を1頁捲っていただきまして、「職業訓練体系でのジョブ・カード制度の位置づけ」です。現在、ジョブ・カードの対象となっています職業訓練は、4つございます。 1 番目の公共職業訓練から4番目の雇用型訓練までの4つございまして、私ども商工会議所で実施していますジョブ・カード制度推進事業は、4番目の雇用型訓練を対象としています。雇用型訓練の実施主体は企業ですが、この雇用型訓練を実施する企業を支援するというのが本事業でございます。この事業は、平成20年度に始まりまして、当初はジョブ・カード制度普及促進事業という名称でございましたけれども、3年程前の事業仕分けによりまして、現在の名称に変更されました。

それから、ジョブ・カードの対象となる職業訓練は、当初は2番目の委託型訓練と4番目の雇用型訓練の2つだけでした。これも、事業仕分けの結果、対象を広げて公共職業訓練と求職者支援訓練が追加されたということでございます。

この雇用型訓練というのは、具体的に申しますと、2つございます。1つが有期実習型訓練といいまして、訓練期間が3カ月以上6カ月以内。それから2つ目が、実践型人材養成システム。これは6カ月以上2年以内。実施企業数でいいますと、97%くらいが有期実習型訓練で、実践型人材養成システムが3%くらいです。
 有期実習型訓練は、事前に訓練計画を作成し、都道府県労働局長の確認を得て実施するものですが、実践型人材養成システムは、厚生労働大臣の認定を得て実施するものということで、訓練期間が長く、ハードルも高くなっているということから、有期実習型訓練を実施する企業が多いということでございます。

それから、2頁目の「ジョブ・カード制度推進事業のスキーム」でございますけれども、私ども日商と厚生労働省とで委託契約を結んでいます。当然、その前に受託団体の公募がございますので、それに応募して審査を受けた結果、日商に委託されたということです。
 事業の仕組みとしましては、47の都道府県に1カ所ずつの商工会議所に地域ジョブ・カードセンターを設置いたしまして、その商工会議所と日商が再委託契約を結んでおります。それから、各都道府県内に地域ジョブ・カードサポートセンターを設置しまして、そこと地域ジョブ・カードセンターとが再々委託契約を結んでおります。どこが違うのかと申しますと、これは国からの委託事業ですから、毎月、報告書を厚生労働省に提出する必要がございますので、地域ジョブ・カードセンターを設置している商工会議所が各都道府県内の報告書などの取りまとめを行っているところです。

平成26年度の設置箇所数は、地域ジョブ・カードセンターが全国に47カ所、それから、地域ジョブ・カードサポートセンターが63カ所の商工会議所に設置しております。全部で110カ所でございます。

3頁目になりますが、北海道から沖縄県まで、4頁目に設置一覧を記載してございます。全国で110カ所。現在、商工会議所は全国に514カ所ございますが、このうち110カ所ですと、2割くらいで実施しているところです。
それから、大都市、都道府県庁の所在地とか、政令指定都市とか、そういった大都市だけではなく、人口が1.5万人、これは具体的に申しますと、高知県の土佐清水市でございますけれど、そういった人口規模の小さい所に所在する商工会議所でも実施しております。
 事業内容としては、大きく分けますと2つございます。1つは、ジョブ・カードを採用面接の応募書類として活用する企業。これは、ジョブ・カード普及サポーター企業と申しますが、これを開拓し、登録していただくというものでございます。
 この事業は、平成20年度から始まっておりますけれど、これまでの6年間の累計では、7.8万社でございます。希望する企業につきましては、厚生労働省のホームページで企業名等を公表しています。このような企業を開拓するためには、個別訪問や説明会とかで、雇用型訓練の活用の働きかけを行っております。

ジョブ・カード普及サポーター企業のうち、雇用型訓練の実施を希望する企業に対しましては、訓練を実施するための訓練カリキュラムとか、あるいは評価シート、ほとんどが中小企業ですから、雇用型訓練を初めて実施する企業が多いということで、商工会議所で訓練計画の作成を支援しております。作成した訓練計画が都道府県労働局長の確認、あるいは厚生労働大臣の認定を受けた企業は、過去6年間の累計で4.3万社というところでございます。

この2つが大きな事業の内容でございますけれども、雇用型訓練が始まりますと、その実施状況を確認しているほか、いろいろなアドバイスをしております。
 訓練期間は、資料の下に書いておりますが、3カ月から2年まででございます。最も多いのが、3カ月超6カ月以内で、これが過半数を超えております。ある程度時間をかけて人材を育成しているということでございます。

それから、雇用型訓練の終了後は、国から助成金が支給されますので、そういった申請手続きについてのアドバイス、あるいは、就労状況についての調査も実施しています。

5頁目でございますけれど、これまでの活動実績ということで、棒グラフで示しております。左側の下方に書いてございますが、長い棒グラフがジョブ・カード普及サポーター企業。それから、網掛けをしておりますのが、訓練計画が都道府県労働局長の確認、あるいは、厚生労働大臣に認定された企業ということです。

平成23年度の活動実績が落ち込んでおりますけれども、これは、矢印の上の方にありますとおり、平成22年10月に事業仕分けがございまして、制度が大幅に見直されたということで、訓練計画の確認、あるいは認定された企業数が8 , 088社から4 , 531社と大幅に減少したということでございます。

それから、平成25年度と平成24年度を比較いたしますと、大幅に伸びています。これは、上側に書いてありますけれど、若者チャレンジ奨励金という助成内容の非常に手厚いもの、訓練生1人当たり1カ月に15万円、それから、正社員にしますと、1人当たり100万円が支給されるものです。ジョブ・カード普及サポーター企業数につきましては、平成24年度と比較しますと1.4倍、それから、訓練計画の確認、あるいは認定された企業数が5 , 620から19,047社ということで、3.4倍に増えております。平成20年度からの累計では、ジョブ・カード普及サポーター企業数は7.8万社。それから、訓練計画が確認、あるいは認定された企業数は4.3万社です。

上の方の囲みの丸の3つ目でございますけど、雇用型訓練を実施した企業の96%が中小企業でございます。特に50人以下の従業員数の企業が79%であり、過去と比較しますと、事業を開始した平成20年度につきましては、中小企業の割合が82%でございました。これが平成25年度では96%に増えております。それから、従業員数が50人未満の企業も、平成20年度が40%だったのが、平成25年度は79%ということで、ほぼ倍増しています。

業種では理容・美容等の生活関連サービス・娯楽業が最も多く、多岐に渡っております。特に、理容と美容は大阪方面で多く、東京ではタクシー会社が多くなっています。

6頁目でございます。訓練計画を作成して雇用型訓練を実施した結果でございますが、なにぶん96%が中小企業ということですので、1社当たりの訓練生は、1人とか2人です。10人とか20人というところは非常に稀です。

訓練生の年齢をみますと、89%が34歳以下です。事業を開始した平成20年度には、34歳以下というのは72%でしたが、平成25年度は89%に増えております。それから、24歳以下は45%、男女別では57%が男性です。これまでに3.2万人程が雇用型訓練を修了しており、このうち、2.5万人が正規雇用されております。正規雇用率で申しますと80%。この正規雇用率をもう少し厳密に説明しますと、80.3%になります。このうち、雇用型訓練を実施した企業に採用された方が80%。それから、雇用型訓練を実施した企業以外で正規雇用された方が0.3%。非正規で雇用された方が13%でございますので、就職率という概念で申しますと、93%が就職しているということでございます。

ということで、この事業が非正規労働者の正規雇用化の促進に貢献しているということでございますので、今後、事業の名称が変わっても、厚生労働省には、引き続きこの事業を継続していただければと思っております。

7頁目でございますが、実際に雇用型訓練を実施した企業から寄せられた声というところで、幾つか書いてございます。中小企業では、経験者等の即戦力を採用したいと考えているところが多いのですが、過去6年間、この事業を実施してきておりまして、時間をかけて非正規の方をキャリアアップさせて、正規雇用する中小企業が増えてきています。資料にホームページアドレスを書いてございますけれど、現在、123社の活用事例を掲載しております。それから、訓練生や訓練の指導者、経営者に対してインタビューしている6つの企業の活用事例を動画で紹介しております。資料には、A社から 社まで書いてございますけれども、実際の活用事例としてホームページに掲載している企業の声を紹介しています。従業員数をみますと、A社の8人とか、F社の6人とか、あるいはN社の9人とか、10人以下の企業も結構あります。それから、訓練期間は、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月とか、時間をかけて訓練しております。全体をみますと、例えばA社ですと、「確実で長続きする雇用関係ができる」とか。あるいは、B社ですと、「初めてだったが、商工会議所の支援があったので、何も心配がなかった」。C社ですと、「助成金が訓練の終了後に支給されますけれど、それよりもやっぱり人材が育つということを実感できた」と。あるいは、ジョブ・カードを作成することによって、D社のように、「訓練生にとっては、キャリアに関する棚卸になる」とか。それから、G社ですと、「特に大きな効果として、やはり、訓練期間を通じて訓練生の力量とか性格といったものが把握できた」「採用時のミスマッチを少なくできた」とか。あるいは、H社ですと、訓練カリキュラムを作りますので、そういった「人材育成の体系を確立できた」とか。それからI社ですと、このI社というのは漬物屋さんでございまして、実際、ハローワークを通じて訓練生を募集したのですが、期限までに集まらなかったということで、急遽、アルバイトの社員を対象として雇用型訓練を実施し、終了後に正規雇用化したものです。ですから、「もう少し求職者に対してPRをしていただけないか」と耳の痛い声もあります。
それから、A社とかM社のように、「定着率の向上に繋がった」といったような声も寄せられております。

雇用型訓練の流れは、8頁に記載しているとおり、ジョブ・カード普及サポーター企業を開拓しまして、そのうち、雇用型訓練を実施する企業については、商工会議所で支援しております。右側は雇用型訓練を実施しないで、ジョブ・カードを採用面接での応募書類として活用している流れになっております。

9頁から10頁につきましては、先程申しあげた訓練生の男女別、年齢別の内訳を示しております。事業を開始した平成20年度から平成25年度までの推移を示しております。特に、2番目の年齢別では、24歳以下の方々が平成20年度で3割弱だったのが、平成25年度では4割超になっております。それから10頁目にいきますと、特に従業員数が50人未満の企業がスタート時の平成20年度は4割だったのが、平成25年度には8割弱と倍増したといった傾向がございます。

雑駁でございますけども、ジョブ・カード制度推進事業の現状ということで説明させていただきました。何か、ご質問等ございましたらお願いいたします。

○今野座長

ありがとうございました。それでは、ご質問をお願いします。

○大久保委員

雇用型訓練が有効であるというのはよく承知しているのですが、問題はジョブ・カードというツールの有効性の話をお聞きしたいです。雇用型訓練は多くの場合は、その訓練を行った企業に採用されている。そうならなかった場合に、別の企業に面接に行くと。

このコメントを見ていると、ジョブ・カードを作成するプロセスの中でキャリアの棚卸しが行われるので、これは有効であるというコメントが1件あるのみで、それ以外のジョブ・カードのツールについてのコメントがあまりないですね。知られていないというのもありますが、有効性に関するコメントが見当たりません。例えば雇用型訓練を実施しない企業で、そのジョブ・カードを雇用型訓練のプロセスで作成した人達を面接する時に、そこに書かれている概要が採用を決めるにあたって非常に有効であったのか。あるいは、それを通じて正社員の採用をした人がどのくらいいるのか。その視点でジョブ・カードの情報を整理していただきたいのですが。

○日本商工会議所・菊地部長

雇用型訓練を実施した企業の幾つかに、私が訪問しまして、社長さんとか訓練生に聞いたのですが、やはり、履歴書ですと、自分の一方的な主張が書いてあるだけですが、ジョブ・カードでは、登録キャリア・コンサルタントという第三者の方が訓練生と面談して、良い点、悪い点をコメントしていただいた。経営者としては、これが非常に良かったと。それから、単独で使った企業につきましても、やはり、履歴書にはない第三者のコメントが書いてあって、非常に役に立ったというような声を聞いております。だから、経営者サイド、それから求職者サイドの両方から評価されていると思います。

○大久保委員

今、訪問した時のコメントの話がありましたが、何か定量的なものはないのでしょうか。あるいは、量的に雇用型訓練を実施しない企業に正社員採用された方がどのくらいあるのかということについて、説明をお願いします。

○日本商工会議所菊地部長

先程の正規雇用率が80.3%、具体的な数字でいいますと、3.2万人のうち2.5万人程が雇用型訓練を実施した企業に採用されています。それから、0.3%は、先程申しあげましたが、雇用型訓練を実施しない他社で採用された方が91人。非正規雇用で採用された方は、4 , 242人となっています。

○大久保委員

もう一度言っていただけますか。

○日本商工会議所菊地部長

雇用型訓練を修了した方が3万1,600人。そのうち、雇用型訓練を実施した企業で正規雇用された方が2万5 , 313人。率で申しますと、80%です。それから、他社で正規雇用された方が0.3%で、91人。雇用型訓練を修了し、非正規で採用された方は、4 , 242人、13.4%です。

○大久保委員

訓練していない企業で正社員採用された方が全部で91人ですね。

○今野座長

これは分母が雇用型訓練を受けた人の話ですよね。そうですよね。大久保さんの質問はそうじゃない人では。

○大久保委員

 だから、雇用型訓練を実施した企業で採用されないと、他ではなかなか正社員採用に繋がっていないということです。

○今野座長

他にいかがでしょうか。

先程の大久保さんの質問の延長ですけど、総合的な評価ついてはお話いただいたのですが、現場でこんな点が改善されたらいいとか、こんなところが使いにくいとか、そういう情報はありますか。

○日本商工会議所・菊地部長

1つは先程の企業の声ということで、I社がございます。
また、国の事業として実施していますが、政府広報とかで見たことがないということから、認知度が低いので、PRしていただけないかという声をよく聞きます。それから、先程の説明資料の5頁を見ていただきたいのですが、訓練計画を商工会議所が作成支援しています。その結果として、これまで4.3万社程の訓練計画が都道府県労働局長や厚生労瞳大臣に確認、あるいは認定されています。ただし、この2割くらいが訓練生の募集時点で中止になっております。全体の中止というのは3割くらいです。そのうちの募集時点での中止というのは2割くらい。要は、訓練生が集まらなかったので中止したと。私もたまにハローワークに行くのですが、ハローワークに行っても、PR媒体が何もないのです。ですから、求職者は知らない。雇用型訓練の開始日は訓練計画で決まっていますから、その日までに訓練生が集まらないので、延期します。延期しても、なかなか集まらないということで、中止になると。これが結構大きな問題だと思います。これは、先程のPRのことにも繋がると思います。

○小杉委員

一つよろしいですか。

○今野座長

どうぞ。

○小杉委員

雇用型訓練とのセットの方は、大変有効だと私どもも分析して明らかになっていますが、それと切り離してですね、ジョブ・カードを採用面接時の応募書類として活用する企業の開拓というのは、平成23年から新たな事業になったと思いますが、この事業については、どうでしょう。どういう点が大きな課題だったとお思いでしょうか。

○日本商工会議所・菊地部長

 過去6年間実施してきましたけれど、やはり、認知度が低いことです。企業に行っても、私どもは、こういったリーフレットとかを配っていますが、初めてジョブ・カードについて聞いたということがございます。企業がそういう認識のところがあって、求職者の方も、何かは分からない、お互いに分からない。ということは、ジョブ・カードの様式を変えるのも結構ですが、やはり、ジョブ・カードというものが世の中に知られていない。3年前に事業仕分けがありましたけれど、あの時は毎日、テレビと新聞などでPRしていただいて、ジョブ・カードという中身を知らなくても、ジョブ・カードという用語は知っているという状況でした。そういったようにしていただければいいと思っております。その認知度が高まる中で、事業を実施していければ一番いいかなと思います。

○小杉委員

知らないということだけではなくて、企業としてカードそのものの内容について、こうしたら良いとか等、内容そのものに関するコメントはなかったのでしょうか。

○日本商工会議所・菊地部長

今までご説明したのは、無事に終了して正規雇用した企業ばかりですから、あまり、どこが悪いとかではなくて、どちらかといいますと、先程申しあげたとおり、第三者のコメントがあって良かったと。それから、事例紹介している企業とかは、だいたい、いいことしか言わないですね。そこは、これからヒアリングしていきます。

○根岸委員

ジョブ・カードの企業さんの捉え方で。様式というか、ちょっと細かいことになってしまうのですが、キャリアアップ型、つまり在職者を正社員に導く時にもジョブ・カードを使ったり、今お話いただいたように雇用型訓練を実施する際にも、求職者が企業への応募書類としてジョブ・カードを使ったりしますが、キャリアアップ型にしても新たに雇い入れて実施する場合も、ジョブ・カード様式1と2は同じ使い方ですよね。

資料に書いてある若者チャレンジ奨励金、企業に対してとても高額の助成が出るということで、昨年各労働局でアピールしておりましたが、この奨励金を活用するのにジョブ・カードが必要ということで、ジョブ・カードセンターで企業を支援し、私達労働局も一緒に応援していたのですが、キャリアアップ型という、今非正規で採用している方を若者チャレンジ奨励金で正式に採用することについては、ジョブ・カードの様式1と2は所謂履歴書と職務経歴書なので、必要性に疑問を感じました。非正規で働いている人を正社員化するために、何が課題でこの事業を使うのかといったところが全然無かったように思います。新たに雇い入れる場合ならばともかく、非正規の在職者を正社員として改めて雇用する時についてもジョブ・カードの様式が同じなので、労働局として疑問をもったのです。そのあたり、事業所さんとしての意見が何かなかったのかと思って聞いてみたいと思います。ちょっと現場の話になってしまいますが。

○日本商工会議所・菊地部長

確かに昨年の今頃は、若者チャレンジ奨励金ということで、PRしなくてもお客さんがきておりました。先程申しあげたとおり、ハローワークで求人しても、3割くらいが中止になるということで、今、在職しているパートさんとか、アルバイトさん、これらの方を正社員にしようという傾向が昨年の場合は強かったと思います。それで、このように実績がかなり増えたわけですが、様式については特にコメントとか、企業から意見をいただいていないです。

○根岸委員

実際に拝見する方としては、ジョブ・カードの様式1及び2は採用の時に必要な情報で、非正規の在職者を正規にする場合についてはあまり必要ではないのではと疑問として思いました。

○今野座長

他にいかがですか。

○五十嵐委員

実は、菊地様には福島で大変お世話になっておりまして、福島の方のジョブ・カードセンターの様子を見ていて、ジョブ・カードを活用していただける企業をまず開拓するということで、非常に苦労していたところがあります。

その中で、やはり訓練をしている余裕がない。とにかく、直ぐに求職・求人で上手く結びつけると、どんどんそちらに流れていってしまうというところがあります。なかなか福島でも苦労していたところがあるのですが、そこでのキャリア・コンサルタントの方達の活動、あるいは関わり方についての有効性を示す例はありますでしょうか。はっきりいってコンサルタントやその活用に温度差があるようですから、何か全国的な例があれば是非お話いただきたいのですが。

○日本商工会議所・菊地部長

現在、全国でこの事業に従事している方は470人くらいいまして、そのうち、200人くらいが登録キャリア・コンサルタントです。
 それで、通常は、キャリア・コンサルティングというのは、求職登録した方については、ハローワークでキャリア・コンサルティングを実施することになっておりますが、それ以外の在職のパートとかアルバイト、それからハローワークを通さず直接募集した方については、地域ジョブ・カードセンターの登録キャリア・コンサルタントがキャリア・コンサルティングを行うことで進めてきております。やはり、訓練生としての要件の確認というのが非常に大事です。訓練生の要件は、リーフレットに書いておりますけれど、過去5年以内に3年以上正社員をやったことのない人とかですね。そういった要件をまず確認し、その上でアドバイスをすることになります。とにかく要件が合わないと、企業が助成金の支給申請をした時に、対象外でしたというのが一番大変なことです。また、訓練生の一生を左右する可能性もありますから、非常に難しいと聞いております。

○今野座長

他にいかがですか。どうぞ。

○大久保委員

さきほどの話に関連して、もう1回確認なのですが、ジョブ・カード普及サポーター企業について、雇用型訓練を実施していない企業に採用された人は91人というお話がありましたが、雇用型訓練を実施した企業は、3ヶ月とか6ヶ月とかその人を実際に訓練している訳ですから、その訓練プロセスの中でその人を正社員として採用して、活躍出来そうな人なのかどうか、訓練を通じてある程度判断している訳ですよね。だから、改めて書類を通して云々というよりは、その実績そのものが選考でもあるということなのだろうと思います。

さきほどのチャレンジ奨励金と同じような話になりますが、そうじゃない会社の就職面接を受ける時に、ジョブ・カードが、選考において初めて意味を持ってくるのではないかと思います。実際に雇用型訓練を受けた企業ではなくて、そこでは残念ながら、採用されなかった2割方の人達は、他で就職活動をする時に、ジョブ・カードを使っているのでしょうか、ということを確認させていただきたい。
さっき、実績として採用されている人が91人しかいないということで、そこは少ないということは分かったのですが、そこで使われているかどうかといったこと自体が、何か分かる資料はあるのでしょうか。

○日本商工会議所・菊地部長

そこまでは調査しておりません。ジョブ・カードを使ったかどうかではなくて、正社員として採用されたかどうかのデータしかございませんので、91人の方が実際に履歴書を使ったのか、ジョブ・カードを使ったのかについては不明です。

○今野座長

いかがでしょうか。

パフォーマンス、県によって出来は多様だと思うのですが、出来の良いところと悪いところの違いは何ですかね。どうでしょうか。そこはこういう工夫をしていると上手くいくとかありますでしょうか。

○日本商工会議所・菊地部長

やはり都市規模が違いますので、一律に数が多いからというので比較はできませんが、一番は、やはり東京ですね。先程、土佐清水市という人口が1.5万人の都市の話をしましたが、ここでは、過去6年間で100人近くを正規雇用に繋げています。これを東京と一緒に数字だけで比較できないと思います。

地域ジョブ・カードセンターで企業を支援している方というのは、企業とか、団体を定年退職されている方が多いですね。先程、470人くらいと申しあげましたが、この中には、商工会議所の現役の職員もおりますが、実際に企業を支援している方というのは、そういった企業や団体のOBの方が多いです。ですから、非常に情熱を持ってやっておられますね。
 街角を歩いておりますと、社長さんに会って、「この間は、どうもありがとう。良い社員を採れたよ。」などと言われます。こうしたことが励みになって、また頑張るということをよく聞いております。

○今野座長

よろしいですか。はい、どうぞ。

○小寺委員

ジョブ・カード普及サポーター企業ですが、その開拓でいろいろご苦労されているかと思うのですけれど、先程認知度が無いというお話があったのですが、ジョブ・カードを使うといった企業さんは、どういったところにメリットを感じてやりましょうかということになるのでしょうか。

○日本商工会議所・菊地部長

今まで聞いておりますと、経験者とか即戦力を取りたいと。ただ、実際に働かせてみると、うちの会社に馴染まなかったとかですね、所謂、雇用のミスマッチです。それがわかるのは、最低でも3カ月程度、時間がかかりますけれども、未経験の人が良いとおっしゃる社長さんもおられます。中途半端な経験を持っている人よりも、我が社の方針とか、やり方とかを自分が手取り足取り教えてあげるから、そっちの方が良いとか。やはり、雇用のミスマッチの問題を解決できると思います。
 3カ月の間にお互いどういう人間かが分かります。それで、能力評価というのを中間でやって、最後にもう1回やって、正規雇用化するかどうかを確認しますので、その中間評価の時に、あなたのここが良いとか、ここは注意した方が良いとか。そういうのが非常に良いのではないかと聞いております。

○小寺委員

すると、職業訓練が前提というのが結構重要視されているのがまずあるのですね。ミスマッチがあるので、この方がどんな人か、採用時に能力もきちんと評価されているというのがメリットだと思われているのかと思って伺ったのですが、職業訓練が前提で、それとの組み合わせに価値を置かれているという感じなのですね。

先程ジョブ・カードの様式の話がありましたが、能力の部分とかがが訓練をしなくても明確に分かれば、ジョブ・カード普及サポーター企業というのが増えていくのではという観点で、ちょっと関心がありましたので。

○今野座長

今の話は、言ってみればジョブ・カードの内容が良くなったら、ジョブ・カード普及サポーター企業が増えるのではないですかということでしょうか。

○小寺委員

採用時の応募書類として利用したいということであれば、履歴書の部分だけを使うなど、何と言いますか、使う企業は十分にジョブ・カードの価値を分かっているから使うのか、それとも職業訓練等で必要な部分だけを使うのか。ジョブ・カード普及サポーター企業を増やしていくという観点では認知もありますが、もう少し何か違う観点があるかなと思って質問しました。

○日本商工会議所・菊地部長

ほとんどが雇用型訓練を実施する企業の支援をやっていまして、3年くらい前に調査した時には、独自にジョブ・カードを採用面接のツールとして活用しているのは、0.8%くらいと非常に少なかったですね。ですから、やはり元に戻りますけど、様式が良いとか悪いとかではなくて、ジョブ・カードそのものを知りませんから。様式が良いとか悪いとかいうコメントは出てこないのではないかと思います。

○今野座長

今のお話は悪循環ですねという話ですね。知らないから採用するところは少ない。少ないから、良い悪いはコメント出来ない。そうすると改善もされない。それで増えないという悪循環かなというコメントかなと思っています。いずれにしても、少ないからわかりませんよねということですね。他にいかがですか。

○下村委員

採用の段階で、ジョブ・カードを有効に活用するということが少ないという話であれば、もう一つジョブ・カードとキャリア・コンサルタントの登場シーンというのは、その冒頭の訓練に入る前の面接かと思われます。ちなみにキャリア・コンサルタントがジョブ・カードを使った面接に関して、何か日本商工会議所の方で、ご意見なりお考えなり、お持ちのものがあるのでしょうか。もしあれば、お聞かせください。

○日本商工会議所・菊地部長

 現時点では、今後どうしてほしいかというのはございません。やはり、私どもは、各地の会社で実際にジョブ・カードを使って、キャリア・コンサルティングをやっていますので、今のところ、各地の商工会議所からここを変えてくれといった話はございません。
 必要であれば、ヒアリングしたいと考えております。以前、ジョブ・カードの様式は6まであった訳ですけれど、今は様式4までに改善されました。その時は、各地の商工会議所を通じまして、企業にも実際にアンケートを取ったという経緯がございます。

○藤村委員

ちょっと確認をさせてください。私は、実践型人材養成システムの認定の仕事を3年間やっておりました。その頃に出ていたキャリア・コンサルタントの方々の意見は、今のジョブ・カード様式、コンサルタントの方が記載する小さなスペースがありますよね。あの小さなスペースでは、書きたいことが書ききれないという意見が大分出ていたような記憶があるのですけど、今はそういう意見は出ていないのでしょうか。
というのは、そこが一番の変動データで途中経過を中間評価で書き込みますから、結構最終的なコメントの方が大事で、中間のところはあまり採用企業に見せてもしょうがないとは思いますが、変動データとなる部分をもう少し書き易くした様式にしてくれという意見が出ていたような記憶があります。その小さな枠内にコメントを書ききれないので、キャリア・コンサルタントの方が、別の様式を自分で勝手にお作りになって、それで受講している方にいろんなコメントを別で渡していると聞いたのですが、その辺をちょっと教えてください。

○日本商工会議所・菊地部長

それは聞いてないです。今申し上げたとおり、様式を変更してくれとか、現時点では特に要望等は聞いていないです。

○今野座長

まだご質問があると思いますが、もう一つ議題があるので、この辺で終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の議題です。ジョブ・カード見直しの際の活用方法について、でございます。最初に厚生労働省の方から説明をお願いします。

 

 

【議題(2)ジョブ・カード見直しの際の活用方法】

○実習併用職業訓練推進室室長補佐

実習併用職業訓練推進室の田中でございます。座ってご説明させていただきます。

厚生労働省より資料の1から4を用意しております。そのうちの資料の1と2について、説明をさせていただきます。

まず資料1ですけれども、これは第1回目の研究会においてジョブ・カードの現状、課題、それと後資料の後ろにも付いておりますけれども、ジョブ・カードの見直しに係る論点案等を踏まえて、前回の委員会で出された主なご意見をまとめたものになっております。それでは、紹介させていただきます。

まずは、主な活用方法に付いてですけれども、ジョブ・カードをミッドキャリアで、キャリアを変更する離職の際に必ず作成すべきであるというようなご意見。離職時に会社に対して記載事項は誤りではないことの確認を求めることは可能ではないかというようなお話が出ております。

次に、能力の客観的評価機能は、ジョブ・カード、キャリア・パスポートとも不可欠であるという意見も出されております。また、キャリアの棚卸しのためのツールとして有効であるというようなご意見。後、職業訓練におけるジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングは、訓練効果を高めるという意見も出されております。
 また、様々な体験、評価をファイルにまとめていくポートフォリオ型のキャリアガイダンスのツールとして活用すべきではないかという意見も出されております。
 この下のほうになりますけど、主な目的をキャリアの棚卸し、エンプロイアビリティ、生涯教育に見直すべきであるというような意見も出されております。
 次に、キャリア・コンサルティングにより、職業経験の棚卸し関係の情報についてのご意見ですけれども、キャリア・コンサルティングにより、職業経験の棚卸しを行った際の記載情報は必ずしも外部には出さず、外部に提出する情報は、個人が選択すべきであるというようなご意見が出されております。
 また、情報の電子化して、個人が必要なものをピックアップできるようにすべきであり、用途に応じて、選択・切出して使う方法もあるのではないかというご意見も出されております。
 後、職業能力評価の際のキャリア・コンサルタントの関わり方についてのご意見としましては、現状は、職業能力評価のツールがない部分において、キャリア・コンサルタントが経験等をまとめて、職務能力を証明しないとジョブ・カードの交付ができないと。この部分をジョブ・カードで対応するのか、しないのかが論点の1つではないかというようなご意見も出されております。
 業種・職種固有の職業能力は、職業能力評価の仕組みの中で評価すべきもので、相談と職業能力評価は可能な限り区別すべきであるというようなご意見も出されております。
最後に、対象者のところになりますけれども、キャリア・コンサルタントによるキャリア・パスポートの活用は、就職困難者への支援を重点にスタートすることも考えられるというようなご意見が出されております。

 続きまして、資料2に参りますけれども、こちらはジョブ・カードの見直しの際の活用方法をご検討いただくために、前回提出しました資料のジョブ・カード制度の主な課題等について、配布の資料2の後ろに付いておりますけれども、そちらに記載されております課題への対応の素案というようなかたちになっております。

まず、資料をみていただきまして、求職者の活用について(1)のところで、就職活動の活用についての対応案ですけれども、キャリア・コンサルタントの記載事項を対外的に活用可能な部分と個人が把握しておくべき部分に区分し、さらに、情報を電子化し、情報を抽出し、多様な応募書類、求職票等を編集、作成できる仕組みとする。
 2としまして、職務及び職業能力の明確化について、社会的な理解の促進を図る。活用する利点について、重点的に周知を行うというようなことです。
(2)の公共職業安定所の活用についてです。まとまった時間をかけて、職業紹介・相談を行う際の活用、促進を行う。そのための研修、マニュアルの整備等を行う。
(3)の外部労働市場での活用につきましては、頁を捲っていただきまして、職業能力評価基準等に基づく評価シートの対象分野の拡充を図る。業界検定における評価指標の一つとして、職務経歴や職務を通じた働きぶりの評価を記載し、これに活用できるものにする。
2としまして、企業に対する在職労働者の評価シートの活用等に関する周知・指導の充実を図るというようなものになっております。

2の職業訓練での活用につきましては、(1)(2)ともキャリア・コンサルタントの確保等の体制整備を行うというようにしております。
 3の在職者の活用につきましては、実務経験の評価、これを反映しジョブ・カードの様式を見直す。これらの活用等を、制度上明確にする。
 2のところで、職業生活設計に基づく企業の取組及びその際の活用に関する指導・援助を重点的に行うというようなものです。
 4の学生の活用につきましては、別途検討とさせていただいておりまして、次回以降検討したいと思っております。

5のその他のところですけれど、(1)の大部分は、職業訓練受講者であることにつきましては、能力開発関係の助成金において、活用のインセンティブを付与するとともに、キャンペーンの実施等広報周知の強化・充実を図る。

(2)の情報の検索、加工等が行いにくいことにつきましては、電子化ということで蓄積した情報の抽出・編集等が可能なものとする。
(3)の登録キャリア・コンサルタントの問題につきましては、キャリア・コンサルタント養成計画に基づき、標準レベルのキャリア・コンサルタントの養成を促進する。登録キャリア・コンサルタントを段階的に本来求められるべきレベルである標準レベル以上のキャリア・コンサルタントに誘導するというようなものです。
 最後に(4)のジョブ・カード見直し後の名称について、名称をキャリア・パスポートに変更するというようなものになっております。以上です。

○今野座長

 ありがとうございました。それでは、今資料1と資料2で説明していただいたので、資料1は前回の整理ですね。これについて何かありますか。無いようでしたら、活用方法全体について、皆さんから議論いただきたいと思いますが。
 何かありますでしょうか。どうぞ。

○藤村委員

資料2の方の学生の活用というところで、今日文科省の方が来られておりますので、少しお聞きしたいことがあります。

私は、文科省の大学生の方を指導をした経験の中で、例えばエントリーシートの添削をしてもらったという学生は結構少なくて、自分が勝手にエントリーシートを書いて応募している事例の方が少なからず見受けられます。非常に困った学生さんだけは、添削依頼があって私の方で添削してあげるのですが。大学によっては、応募段階での支援体制にバラツキがあると感じています。

後は大学によって、キャリア・コンサルタントの配置数が何となく不明確で、実際にいるのかいないのかわかりません。大学の相談室を見ても、キャリア・コンサルタントを配置する体制をとられているのは、あまり見かけなかったりする大学があったりします。
文科省の方で、キャリア・コンサルタントの大学毎の配置数とか、あるいはキャリア・コンサルティングを受けた方が何名ぐらいいるのか。そういう統計的なデータをお取りになっていますか。中身はいいです。取っているか、取っていないのかだけ教えてほしいです。

○文部科学省

 国公私大中心に大学等関係団体で構成する就職問題懇談会において就職活動の実態に関する調査は実施しています。

○今野座長

はい。いいですか。じゃあ、他にいかがですか。

○大久保委員

資料2がジョブ・カード制度の主な課題と対応策となっていますけれど、こういう進め方でよろしいかどうか、ちょっと私は疑問に思っています。

ジョブ・カード自体は、何度もいうように訓練そのものは有効で、ツールとしてのカードの方がなかなか上手く世の中に浸透して活用されていないという現状があります。ジョブ・カード全体の数値目標もありますから、訓練とセットとする方は、手続きを進めてきて広がってきたのですけど、一般求職者向けと学生向けというものはあまり進んでいないという実態かと。

今回、そのキャリア・パスポートという名前に変更して、もう一回基本的な「何が一体必要なのか」というところから抜本的な議論をしようという、大きなチャンスだと私は思うのですけど、そうすると、既存のジョブ・カードのどこが悪くて、どう改善するのか、そもそも今何が必要なのかというのを議論しないと、前回出ているキャリアの棚卸し支援ツールが今本当に必要なのか。それとも、なかなか能力証明ができないものを、能力証明ツールを作って、応募とか採用する場での活用が重要なのか。その基本的なものをまずちゃんとはっきり決めないと、単純にたくさんある課題について、一個一個どうやって見直しますかという議論をしてもね。本来今求められている議論にならないと思います。

○実習併用職業訓練推進室長

これにつきましては、当然のことながらキャリア・パスポートのコンセプトの検討をお願いしていく中で、実は産業競争力会議等におきまして、現行のジョブ・カードの課題等を精査したうえで新しい制度をという部分もございますので、あわせて参考資料ということで素案を提出させていただいたという状況でございます。

そういう意味では、これを中心にという訳ではなくて、全体のコンセプト等を検討していただく際の一つの参考資料ということで、ご活用いただければと考えております。

○今野座長

 今の話は、何を議論しても良いということですかね。

○経済産業省

 そういう理解じゃないかと思いますね。私も大久保先生の意見に賛成で、ジョブ・カードというツールを使って、世の中のどのような課題を解決しようとするのか。コンセプトをこの場のメンバーで合意をした方が良いのかなという感じがいたします。

例えば、今どういう課題があるかというと、産業界は大変な人手不足でございまして、建設業であるとか飲食業であるとか、或いは介護といったところでも、全然人が集まらないという状況になっている訳で、求人側からみて、このジョブ・カードをどのように使うことができるか、一つ視点としてあるのかなという感じがします。
ちょうど、折よく電子化しようということですから、そういう電子化というキーワードを使いながら、求人サイトの抱えている問題というように的合わせしていくかということがあり得るかと思います。

それから、もう一つは、求職者側としては、政府としては、女性の活躍機会を拡大していこうということで、M字曲線をフラットにしていこうと考えている訳ですから、女性の活躍機会を拡大する意味で、ジョブ・カードを使ってどういうアイデアがあり得るか。もうちょっと広めに問題意識を捉えて、その中でジョブ・カードをどう活用していくか。そのためには、ジョブ・カードのどこの部分をどう改めたらいいかというふうな議論でよろしいのではないかと思います。

○今野座長

ちょっと思い出していたのですが、もともとジョブ・カードはこれのためにありますという、目的が記載された文章が当然ある訳ですよね。それはどういう表現でしたっけ。

○実習併用職業訓練推進室長

これは、第一回目の資料で紹介させていただきましたが、通達の中で、ジョブ・カード制度について示しておりまして、これにつきましては、キャリア・コンサルティングの実施、実践的な職業訓練、マッチングの場、就職活動での活用、これらをもとに、求職者、マッチングや実践的な職業訓練を促進し、安定的な雇用への移行等を促進というのを目的としております。ただ、新推進計画の中では、これだけではなくキャリア形成のためのツール、能力評価のツール等でも活用が期待されるとしている状況です。

○今野座長

いえいえ、私の質問は、多分ジョブ・カードをつくることによって、何かを実現して、その結果としてマッチングするとか、安定的な雇用に結び付くという基本理念について、これまでちゃんとどこかに書いてなかったのでしょうか。

○実習併用職業訓練推進室長

第一回目の資料の2に書いてございます。

○今野座長

 そこを一度踏まえないと、ここで空中戦をしてもしょうがないので。

○実習併用職業訓練推進室長

再度、通達の文読ませていただきます。
ジョブ・カード制度は、一定の知識等を有するキャリア・コンサルタントによるジョブ・

カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施。二つ目としましては、企業における実習と教育訓練機関等における座学等を組み合わせた訓練を含む、実践的な訓練の受講機会の提供。三つ目としては、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングにより整理された職務経歴等の他、訓練終了後の職業能力評価の情報を取りまとめたジョブ・カードの就職活動等における活用を促進することにより、求職者と求人企業とのマッチングや実践的な職業能力の習得を促進し、安定性のある雇用へ移行等を促進することを目的としている、というのが中身です。

○今野座長

ということは、結局これまでの職務経歴というのは、今までの能力を表現して実施すると考えている。多分そうだと思います。

○職業能力開発局長

基本的に当初の発想が、訓練をやって能力がどれだけ身についたのかというのを客観的にみる。そういうことが、キャリアの形成に資するものだということなので、採用というよりも、寧ろ訓練をやって評価するということについて、当初の主案があったように思います。今までは、単なる履歴書だけで、自分はこういう仕事をやっていましただけでなくて、その前後に訓練をやって、それを第三者がみて、評価してあげるという目的でつくられたのが、一番当初の構想だったように思います。

○今野座長

そうすると、そういう能力評価というのは、能力が一種のジョブ・カードによって見える化をすれば、それを以ってマッチングもあるし、あるいは能力開発も効率的に行えるし、ひいては安定的な雇用とか。多分そういうシナリオなのだと思います。

そうすると、大久保さんがいわれた根本的に何のために見直そうか、何を考えれば良いのか。たぶん大久保さんそういったから、大久保さん何かアイデアがあるのかな。まず、大久保さん。何を考えていたのか教えてください。

○大久保委員

さっきお話があったとおり、ジョブ・カード制度は、訓練とカードがセットになっていたので、その段階における目的というのは、訓練したことでもって、どのような能力が開発されたのか、その訓練の成果はどうなったかというのを記載して、客観的に認められるための、書き込むためのツールということだったと思います。

それが事業仕分けの辺りから、必ずしも、訓練とセットでやるのではなくて、ジョブ・カードそのものを単独で運用することを増やしていこうとなったところからは、広い意味での採用選考における能力の客観的証明ツールとしての要素が入ったと。この辺りからは段々不明確なのですが、その内キャリアの棚卸し等が入ってきて、そういった状態で今に至っているのではないかと思います。

前回のときの議論は、キャリアの棚卸しを支援するツールとして、つまりキャリア・コンサルティングのプロセスで使うツールとして、あるいはキャリア・コンサルティングしながら、その訓練の効果を高めるツールとして、一定の有効性がありますよねというお話がありまして。それに特化すべきじゃないかという議論が、確か委員の方から出たかと思います。

もう一つとしては、何かしらの方法で客観的能力を証明するとか、今までの経験を評価してもらい、みんなで書き込んで。その人が、何が出来るのかということを採用側が想像するためのツールとして、採用場面において活用できるものにするというのと、大きくこの二つの狙いがあるのだと思っています。

ただ、この二つの狙いは、ジョブ・カードのつくり方やプロセスが全然違うものになってくるので、この二つが本当に今後つくる新しいキャリア・パスポートの目的なのかどうかということを最初に確認した方がいいのではないかと。

○今野座長

 現状は両方やっているような感じですよね。

○小杉委員

 基本的な認識は大久保さんと一緒です。当初、雇用能力開発機会に恵まれない方を中心にして、その方たちに実践的な能力開発の場面を提供して、それを証明して、キャリアを築いていただく。それが当初の狙いであったのは間違いないです。ですから、先程日商の方からあったように、雇用型訓練という当初の狙いにぴったりだったところについては、これはどこからも評価が高いという状態です。

ただ、それが変化して、更に一歩先に進んだ段階だと思うのですね。産業競争力会議の話が、まず事務方から出されましたように、こういう方向に使えるように変えてくれというのがメッセージだと私は思いまして。私が最初にミッドキャリアのキャリアチェンジに使うべきだと言ったのは、その辺の空気を読んで、変化はこういう方向じゃないかということを議論させていただいたということです。多分、大久保さんがおっしゃっているように、何に向けてという部分はもう一度みんなで確認する必要があるかと思います。

○五十嵐委員

そういう意味では、前回出席していない立場で、先程の資料1で質問させていただけれ良かったのかも知れませんが、職業訓練において、その訓練効果を高めるというときに、やはり今までのジョブ・カード利用者は、結構定着率が高い。或いは、雇用者側から受けが良いというのはあります。しかし、もともとジョブ・カードで訓練をしてみようと人自体が、サンプルとして偏っているのではないかという疑問があります。訓練をするだけの意欲もあれば積極性もある人物となってくると、広く一般にというときに、みんなに効果があるのかというところが、少し疑問です。

後、ツールとして確定していくというところも、先程藤村さんからご指摘ありましたが、エントリーシートと同じで、いろんな相談者からある意味では、マニュアルを押し付けられて書いている学生も多いようですね。逆に自分で書いてくる学生というのは、出来は悪いかもしれませんが、ある意味オリジナルで良いのかなと。
それが今度ツールとして、どんどん確定していったときに、こう書くと良いよ、みたいになっていく。このパターン化も怖いと思います。そのような疑問点というか、懸念もあるなと思って、話を伺っていました。

○藤村委員

先程の日本商工会議所の菊地部長から雇用型訓練の効果があるという話であったと思います。もともとこの雇用型訓練のときもそうですけども、ジョブ・カードの中の一番の肝というのは、教育訓練機関の中の評価ではなくて、平成 15 年頃だったと思いますが、職場での OJT 実習を組み込んだデュアルシステム訓練で始めた OJT 評価を重視した経緯がありますから、企業が実際にその方を受け入れて、職場で働いてもらう。その結果を評価して、企業が証明するのですね。そこのところが結構大事だという話も、先程の商工会議所さんの説明でもあったと思います。

すなわち、今回のジョブ・カードでの肝は、実務の能力をある程度、一定評価を企業の方にしていただける。それが結構就職のときに有効なのだと思います。その前の履歴書だとか、資格を持っているとかは従来と何ら変わりませんから。一番の使いどころは、働いてみてそこの実務能力を第三者に証明してもらうと。そうすると、キャリア・パスポートのイメージで一番大事なところは、職場の実務経験、或いは能力を第三者の方が証明されたものが付いていますよというところが、一番の肝ではないかと。一番そこが、時間がかかって、またかかりすぎて、悩みどころだったというのがこれまでの経緯でもあるわけであります。ちょっとそこのところ、単に職業訓練といいますと、教育訓練機関の中の学校教育のようなイメージがあるのですが、そうではなくて、学校教育であれば、インターンシップのときの評価。そういったところがきちんと入っているツールということですね。

昔、ホテル業で調べたときも、例えば、有名な大手ホテルでインターンシップした専門学校生です。そこではきちんと評価されています。大手ホテルの支配人に直接お会いしたところ、評価結果をみせていただきました。その評価結果があれば、他のホテルでも採用できるらしいですね。つまり、そういう証明、どこにいっても、その評価した証明があれば、就職し易いですよというところを拝見したこともあるのですが、そこを外さないでいただければなと思っています。以上です。

○今野座長

ということは、やはり能力評価をちゃんとしようということですよね。そのときに、いつも問題になるのですが、第三者は誰かです。一般的に雇用型訓練の場合は、ジョブ・カードを使って、企業はほとんど自分の会社の社員にするので評価するインセンティブがある。それが他の会社に行くことを前提に、企業が実務能力をジョブ・カードで評価をして、手間がかかるのにもかかわらず、そのインセンティブは何なのか。第三者を誰にするかというのが難しい問題、ここを解決しないと。

後は、インセンティブのない人にやらせるのは、法律で強制するか、脅すか、エサをいっぱいつけるかしかないですけど、素直にインセンティブをつけるとすると、そこはすごい工夫がいるかなというふうに思うのと、もう一つ今の話で、大手ホテルが評価したものが就職の役に立ったというのは、同じ業界の人だからというのがあるのかもしれないですね。

他にいかがですか。はい、どうぞ。

○下村委員

ジョブ・カードを立ち上げたときの内部の議論には参加しておりませんが、外側から出来たものを勉強させていただいた身としては、明らかにジョブ・カード制度のフローチャートの中で、冒頭の相談というところが、外からみるとすごく大事な要素にも関わらず、実際の制度の中では、あまり真面目に運用されていないのではないかという懸念があります。

ジョブ・カード制度全体の中で、ジョブ・カードが少し浮いてしまうのも冒頭のキャリコンをあまり真面目に捉えていないが故に、そのため、そこで活用するはずのジョブ・カードが浮いてしまって、全体として訓練は良いのだけれど、カードは今一つ活用がなされていないという評価になっていったのではないかと思います。

なので、ジョブ・カード制度の冒頭、相談の部分を書かれてあるとおりに真面目に運用して、きちんと対応し、その際にジョブ・カードを活用するという仕組みをもっと強固に打ち出せるようなかたちに変化していければ、望ましいのかなと思っているところです。

補足する情報としては、藤村所長が前回、相談と訓練のセットというのが有効だというお話をされていましたし、私が今、求職者支援制度の調査データを分析していても、訓練そのものもさることながら、やはりキャリコンに一対一で相談を受けた。そこで、ジョブ・カードの作成指導を受けたというのが、評価が高くなっているという結果となっております。

また、外国のキャリアガイダンス事例においても、訓練と評価がワンセットでというよりは、相談と訓練がワンセットになっているのが多いように見受けられます。
評価と訓練がワンセットになる際には、評価の前に相談がきて、この人にはこうした能力が足りないし、市場でもニーズがあるので、この訓練を受けましょうと。評価が先にきて、訓練があるのが多いと思いますけども、訓練を受けてから、いざ身についたかどうかを評価しましょうという好事例は、私の勉強不足かもしれませんが、あまりないように思われます。

○今野座長

今お二人は、全く違うことを言っていて、藤村さんは訓練でもいいですし、職務経験でもいいですが、結果として見える化ツールとして非常に重要だとおっしゃっている。下村さんは、結局事前の評価というキャリアの棚卸しで使った方がいいとしている。全く違うことを言っていますけど、どっちかにしてくれないと、或いは両方というようにしないと。両方なのでしょうか。

○藤村委員

両方関係してくるのです。それは、キャリア・パスポートというものを結果でみるのか、プロセスをみるのかということですね。採用する側は結果をみたいだろうし、訓練している方はプロセスが大事だし。立場、立場でそのパスポートの見方が変わるのです。
 ですから、下村さんがおっしゃったようなことも、そのとおり結果として実際に統計的に出ていましたし、実は評価と就職の関係の調査は確かあまりされていなかったような気がします。だから、そこはたまたま統計的なデータが抜け落ちている。でも、プロセスと結果ですから、全部繋がっています。

○今野座長

私なりに、大久保さんに聞いた訳じゃないですけど、大久保さんが言われた問題提起ではどっちかにするか、要するにウェイトの置き方を変えるのか。何かちょっと戦略を考えたらいいのではないかという問題提起だったと思いますけども、お二人の話にしたがうと両方重要だということになり、今と変わらない。後は使い方を上手にするかという話になる。

○大久保委員

決めるうえで、不足している材料があると思っていまして、一つはジョブ・カードをつくるのに、一回どのくらいの手間とコストがかかるのかと。それに基づいて、成果とのコストパフォーマンスをやはりみないといけないのだけど、そのことが含まれてなかったですね。多分、手間ばかりかかるようなかたちになっていて、なかなか進まなかったというところもあると思います。

もう一つは、もしそれを能力証明の客観的証明として、応募とか採用の場面とかに使っていくのだとすれば、実際に応募行動を取っている個人の話とか、或いはそれを受け取って選考に使っている企業といった、そういう当事者の声が全然この場に出てこないということで、つくる側の論理だけで、使う側の論理が上手く展開されていないので、どうしても議論が空回りすることがあるのではないかと。そういうものを踏まえたうえで、本来の目的を明確にする。そのうえで何を実現したいのかを明確にすれば、自ずと最適な手法についても議論し易くなるのではないかと思います。

○今野座長

本来の目的はもう決まっている。つまり、先程の言葉でいうと、棚卸しのツール、能力の見える化にも使うということのような気がします。そうすると後は、私がさっき言った、非常に大雑把に言うと、有効性高く効率性高くするやり方を考えるのは、どうするかというところに入ると思います。

そうじゃなくて、やはり能力の見える化だけでいく、というのだったら、それはそれであわせなければいけないし、或いは先程の言葉でいうと、プロセスの方で使うのであれば、それにあわせないといけない。でも、皆さんは両方でやれという感じなので、だから基本的なターゲットはそれで良いかという感じがします。
そうすると、大久保さんの意見は、後はそれをいかに効率的に効果的に仕掛けるかということとして受け止めたのですが、それで良いでしょうか。

○大久保委員

今のその二つの目的がありますよね。この二つの目的が、何となく混在化した状態でジョブ・カードをつくっていると非常に非効率が発生するということは、僕は強く思っていて、だったらキャリコンの関わり方も違うだろうし、書式も違うだろうし、色々違う訳です。だから、スパッと切るのであれば切って、それぞれ考えて、最後もう一回全体をみるようなかたちにした方が良いと思いますね。

○今野座長

それは良いアイデアですね。

○根岸委員

例えば、ハローワークのような職業相談機関は、多分評価として使うのが難しいので、やはり相談の場で活用していくか。訓練はやはり訓練前と訓練の結果、未就職者の訓練期間をつくって、ジョブ・カードをみながら、再度キャリアシートをつくる際の相談の場面で使うという形ではないと、ちょっと評価は難しいかと。

○大久保委員

今の御意見に対して、一言言いたいのですが、そこはすごく大事なところだと思っていまして、つまりその今回政府で出てきたものも、確かにそういう用途としての目的があるのだけれども、それを通じて、最終的にはマッチングに繋げていきたいというのが書かれている内容だと思っています。マッチングが必要だから、そういうプロセスの目的も一つの価値創造という感じがしていて、そこははっきりした方が良いのかなと。つまり、単独にスタンドアローンで能力の棚卸しの支援ツールとして、ジョブ・カードにどれくらいその税金を使ってやることになるのかというのは、議論になると思います。

○今野座長

でも、その点については、両方でやるという話になっている。そうすると、マッチング一つの前提条件として、ちゃんと棚卸ししといた方が良いよなということで、そこはあまり心配ないと思います。

ただ、大久保さんの問題提起で非常に重要なのは、フェーズが違うから同じでやって良いのかということですね。もし、違うとするとジョブ・カードそのものの設計の問題とジョブ・カード活用の仕方の問題になる。もしかしたら極端にいうと二種類用意する。あるいは、それが分離できるようにするということになるのかも知れません。いずれにしても、その二つの領域の問題があります。

○小杉委員

ジョブ・カード単体で議論するのではないのではないかというのは、もう一つ付け加えたいと思います。やはり、能力評価基準という話は、別のところでやることが必要で、先程の大手ホテルの評価が効くというのは、やはりホテル業界の中で能力評価の基準として、ある程度共通した認識があって、そういったものがあるからこそ、大手ホテルの支配人のコメントが有効だということになるので、そちらの方の議論を同時に進めていかなければ、有効性はそちらにかかってくると思いますね。そこのところとあわせて、進めなければいけないかなと思います。

○今野座長

抽象的にいうとその点も私がいった、ジョブ・カードそのものの設計の問題とその活用方法の問題の中に全部入っていて、当然設計するときに、それを運用するための一種のインフラがありますから、今おっしゃられた職業能力規制は一種のインフラなので、それを前提にどう使うかとかいって、カードの設計の仕方を変えるとかいうことだと思いますね。

○下村委員

なので、評価にも恐らく二種類のものが混在して今議論しているかと思うのですが、これから能力を伸ばしていくための自己評価としての評価、目標設定としての評価と身についた能力を保証する、公的な認証としての評価は、同じ評価とはいっても、だいぶ性質が違っていて、小杉さんがおっしゃるのは能力評価等の公的な評価かと思います。

ジョブ・カードで行う評価というのは、訓練に先立って何を勉強したらいいかということを検討するための評価もあり得るのではないかと思っていますので、前者の評価に力を入れた方が、寧ろジョブ・カードを活用して行うキャリア・コンサルティングの趣旨には沿うのかなという印象を持っています。

○今野座長

下村さんは、一貫しているよね。

○藤村委員

 今下村さんがおっしゃったところは、今でもハローワークでやっています。例えば、私どもの離職者訓練の具体例でお話しした方が早いですけども、薬剤師として10年働きましたという人が来られて対応すると、違う職種に転職したいという要望がある。当然今までのキャリアを棚卸しして、どういう職種にいきたいかを聞くと、自動制御をやりたいと。自動制御関係は薬剤師とは関係ないのですが、本人は薬剤師をやりたくないと。じゃどうしようといったところで、たまたま公共職業訓練にそういうコースがあったので、じゃ受けてみますかということで受けられた。職場実習も行って、そこで気に入られて自動制御の会社で正社員になった。これが一つの典型的な例です。
 ですから、ちゃんと今でもキャリア・コンサルタントが棚卸しのときに、下村さんがおっしゃったことはもうやっています。ただ、受け入れられていない方が多いので、重視されていないのかと思います。

もう二つお話させていただきますが、具体例で話しますと、大学生の問題が一番大きいと思っています。文科省で、たくさん学生の方にインターンシップにいってもらうような動きというか取り組みがなされておりますが、インターンシップに行って、その評価はされているのでしょうか。具体例で申しますと、ある大手の3社が大学3年生を対象に募集をかけ、色々な大学の学生の方々がインターンシップに申し込みをされます。例えば、20人とか30人。その後、評価は受けたのかとそのインターンシップに参加した学生に聞いたところ、一応感想として評価はあったけれど、書面では何ももらっていないと。

結果的にその学生は、非常に良かったといわれましたが、その3社全部応募して全部落ちていますね。ということは、インターンシップを推進するのは良いのだけれども、評価が曖昧なために、せっかく頑張って夏休みとか秋頃に、大体3日から5日くらいやるらしいですが、そこに入ったときに結果がついてこなかった。非常にもったいない話です。ところが、さっきのホテル業のように、業界がしっかりしていれば、専門学校の学生であろうが大学生であろうがインターンシップに行くと、ある程度の評価はしていただけるのです。学生の場合もまず、インターンシップで評価を受けることがジョブ・カードに繋がると思います。

在職の場合。これは私たちの高度職業能力開発促進センターでは、全国レベルの在職者訓練をやっていますから、今業界毎に、例えばソフトウェア産業、工業組合等から、在職者のレベルアップについて相談を受けています。そのための教育訓練を我々が提供しますが、教育訓練を受講した証明は修了証の発行だけで、ジョブ・カードにつながるような習得した職業能力の証明までは実はできていません。そのため、在職の場合は結果証明になるのかもしれないですけども、業界または企業ごとに受講者本人の職業能力の格付けをきちんとしていければ、有効に活用出来るのではないかと。

実は、ある業界団体の企業へは私からそういう提案をしているところです。これは、実践型人材養成システムのときにも、業界毎にやった経験がありますので、上手く継続的にやっていけば、今のプロセスと結果の使い分けがしっかり出来ていくのかなと思います。

○今野座長

問題はですね、今おっしゃられたことに踏まえて、今のジョブ・カードで良いのかということです。それがここの問題点です。つまり、何でもいいですよ、インターンシップでも、あるいは今おっしゃられたような例でもいいですけども、それが能力評価とか能力評価証明として、今のジョブ・カードがちゃんと機能するのか。しないとすれば、どういう点が問題なのかということとその問題を考えるときに、論点としては、棚卸しの場合と能力の見える化の場面は、きちっと明確に分けた方が良いのではないかということ。その点はどうですか。

○藤村委員

私は切り分ける方が正解だと思います。それは随分前から、我々の中では議論をしていました。と申しますのは、キャリア・コンサルタント記入欄があるために外部に出せないとかですね。あれは変動的なデータだから、外出しにしておくべきだと。評価は評価、キャリコンのところはキャリコンと分けておけば、非常に使い易かったと思います。

○今野座長

 それは一理ある。

 ついでに、前半のキャリコンと後半のキャリコンの能力要件は一緒ですか。

○藤村委員

キャリコンの方の能力要件ですか。

○今野座長

そうです。前半と後半は違うということを意識してやろうとか。

○藤村委員

キャリア・コンサルタントの養成講座も、発足時に実は私が一部を担当していまして、その頃から職種別、業界別にキャリコンを将来は専門分野別に、能力をちゃんと身につけられた方が、もっと評価の部分でキャリコンやるうえではいいですよという話はしておりました。

○今野座長

 藤村さんがそういう提案していただくときには、特に出口の方で有効ですと言っていただくといいかな、我々としては。

○藤村委員

人事をやっていた方がキャリコンの資格を取ることが多いと思いますが、中にたまたまソフトウェアの技術部長を経験した方がキャリコンの資格を取られていた場合、そういう方は、ソフトウェア産業の転職の時の相談には、非常にマッチングするのですね。それは随分前から分かっています。ところが人事の経験しかない方は、当然全業種はわかりませんから、一般的なキャリコンで終わってしまいます。ですから、キャリコンの要件としては、やはり専門別に研修をするか、特定業種で人事経験のある方にキャリコンになっていただくか。

○今野座長

そうすると、前半は、一般キャリコン資格をつくって、後半は業種別キャリコンを作るわけですね。なるほど。

○大久保委員

 キャリコンというものに、資格とか訓練とかですね。来る人の中には、確かにその就業のマッチングとか、経験を積んできた人たちが、応募するケースもあるということですけれども、キャリコンという制度に担保されているわけではないですよね。なので、キャリコンを教えて資格を与えているそのもの自体は、キャリアの棚卸しについてのコミュニケーションのノウハウとかは教えている訳ですけれど、マッチングについて教える訳ではないですね。それは大前提なので、本来のキャリコンとは、棚卸しのパートナーであって、マッチングのパートナーの役割はキャリコンだから果たせる訳ではないですね。そこは分けて考えとかないと駄目ですね。

○今野座長

そうしたら、じゃあ誰がやりますか。

○大久保委員

誰がやるという前に、能力証明とマッチング、その2つの棚卸しが並列的に語られているのですが。

○今野座長

いや、だいぶ整理されてきましたよ。繋がっているけど別で考えていますよ。

○大久保委員

繋がっているとは思いますが、目的の大きさは同じでしょうか。僕は、マッチングの方に重きがあると思っていて、それを促進するためにはキャリアの棚卸しというパートも必要だという議論だったと思っていたので。同じ大きさで二つある、どちらかの目的に資すればいいのかというのとは違うかなと思ったのですけど。

○小寺委員

求職側の方からみると、マッチングが最初にあると思いますが、実際に必要なのは棚卸しツールだけということもあると思いますので、求職者側にどうみえるかという視点もあるのだと思います。ただ、一連の流れのなかで、マッチングをどう成功させるかというところは、肝だと思います。

あと、能力評価ですが、能力評価を受けてメリットがある人はどういう人なのかと。能力評価が必要じゃない人も多分いると思うのですが、キャリア・コンサルタントの支援を受けなくても、能力評価を自分で出来る人もいるかと思います。そのときには、客観的な指標があれば、シートに丸を付けたりすればいいと思うのですが。そのようなものは今もあるのかもしれませんが。
 例えば、能力評価が必要な方というのは、誰も能力を証明してくれないような方だとか、キャリアチェンジをする方とか、働いたことがない方だと思うので、今の評価といっているのは、そういう方々に対してという意味で捉えておけばいいのでしょうか。在職の場合は、社外へ移るときに証明をするというのが一つあると思うのですが、それがその人にとって役に立つのか。一般的な能力評価は出来ると思いますが、それがその人に役立つかどうかという観点では、私は聞いていて、企業で働く身として、能力評価とは誰を対象にしているのかということが分からなくなりました。

○今野座長

後半が、少し理解が出来なくて。もうちょっと言っていただけますか。

○小寺委員

ある程度の期間、仕事を経験してきた在職者であれば、非正規の方だとしても、能力評価が無くてもある程度の能力を培っているだろうと判断することができるのではないかと。再就職では、求人元が必要とする能力があるかないか、即戦力という観点でいうとそこが問われるので、求人企業が評価する能力とジョブ・カードの能力評価が果たしてマッチするかという意味で疑問だと思ったのですが。ただ、一般的にここまでの能力は保証しますよというのはあると思いますね。ですから、それは企業が出来る話だとは思います。

○今野座長

 最後の企業は求人企業の方ですか。

○小寺委員

いえ、送り出す方です。能力評価がどういう評価だったらメリットがあるのかなと思いまして、求職者にとって。私には誰も能力を証明してくれる人がいないという人とか、業種や職種が変わるキャリアチェンジだから何の保障も無いのだけど、ここまで能力がありますから、即戦力で働けますよという、そういった人にとっての証明かなと思って聞いていたのですけれども。

○今野座長

十分私も理解出来たか分からないのですが、例えば、先程藤村さんのような例だと、同業界で動くので、送り出し側の企業の評価というのは、求人側の企業のニーズと大体ぴったり一致するという話が出ていましたね。それが業界を超えたときはどうなるかというと・・・・。はい、どうぞ。

○五十嵐委員

評価の話となるとジョブ型で本当に採用しているのか、やはり最後は人で採るのか。どの企業もそういうところはあると思いますね。例えば、大手ホテルで評価した人が確かに今回は一つの事例としては上手くいったかもしれませんが、別なところでは合うか合わないか分からないですよね。となってくると、例の社会人基礎力と同じで、評価出来る限界というものを踏まえておかないと、危険なのではないかと考えます。あるいは、ジョブで評価しました、こういう訓練を受けましたと、事実の記述をするしかない。後、判断についてですがマッチングまではキャリア・コンサルタントには無理で、そこをやるのは人事が採るか採らないかという話になるのかなと思って聞いていました。

○今野座長

それは100点は無いし、最後は採る方が決めるのですよ。それを前提で何か意見はないでしょうか。

○小寺委員

人柄は逆にはかれるものなのかと。ただ、コミュニケーションスキルというかたちにすれば、態度とかそういう項目にするとはかれると思うので、そこはキャリア・コンサルタントでも評価できるかとは思うのですが・・・。はかるものは何かというと、ジョブに即して必要な能力の評価のことなのだと私は認識しています。

○藤村委員

一つ参考にいいですか。参考として、平成 16 年くらいですが、厚労省の方で転職市場の詳しい方をお呼びになって、その方からヒアリングした結果が今もインターネットに掲載されていますが、大手人材紹介企業さんだったと思います。よくテレビにも最近出ている方が回答されていました。

そのときの転職市場の場合の要件というのは、個々の技術的な能力よりも経験だと言われていました。そこでは経験マップを作っておられる。それは業種が代わる場合、経験が一番キーになるというお話でした。

○大久保委員

 実際に採用するときは、その人の人間性とか人柄みたいなものが大事ですけど。面接を通じて、それをみようとする。今日本の新卒採用、中途採用であれ、採用選考の一番メインの手法は、圧倒的に面接な訳で、面接でみることには限界がありますよ。そこで、補助ツールの資料が欲しい。そのときの補助ツールというのは、その人のコミュニケーションスキルとか、その人の人柄とかというのは、ある程度面接をしていく中で、多少は分かるのですけれど、実際にその人が、どれくらい仕事ができるのかということは、面接だとコミュニケーションスキルにごまかされてよく分からないということがあるのですね。

だから、補助ツールが欲しい。補助ツールというと現在何があるかというと、中途採用であれば、職務経歴書に代表されるような、どういう仕事をして来たのですか、ということぐらい。

あと資格とかは、重視していないところが多くて、実は、経験をみている。職務経歴書もしっかり書き込んであるものに関しては、どこまでが本人の思い込みで、どこまでが客観的なものかがよく分からないなと思いながらみているというのが実態です。

それ以外で例えば、どこかで3ヶ月でも6ヶ月でも実践的な活動で訓練を受けたのだったら、そういうものがあれば、参考になるし、あるいは学生であればインターンシップでどれくらい評価を得たのかというのも参考になるかもしれないし。
もうちょっとそのある材料を増やしたいというニーズに上手く答えることができれば、採用の場面でジョブ・カードが使えるという話だと思います。

○能力評価課長

 能力評価という観点でのお話もございましたので、労働市場で活用可能な評価の仕組みということで、色々な検討を、取り組みを進めてきた中で、事務局としての問題意識として申しあげたいと思うのですけれども、この一定客観化された職業能力評価ツールの整備が有用な分野という観点で申し上げますと、もう既に各委員の皆様からいくつか出てきていますが、一般的にはジョブ型労働市場で、レベル的にいえば概ねミドルまでのレベル、かつ統一また類似の同種職種間の労働等。こういった場面で比較的客観的な検定、資格等の職務評価が有用だと認識しています。ただ、そういった活用可能性がある分野で、既に客観性を備えた能力評価ツールというのが、必ずしも一通り整備されている訳ではないということで、別の場面でも、既にいろいろご議論いただいたうえで、典型的な抜けている分野としての対人サービス分野における業界検定の整備といった、そういう方向性もお示しをいただいております。

 前回の研究会の中では、モジュール化が可能な部分ということでお話申し上げたわけですが。それはそれでやっていかないといけない。ただ、今大久保委員のお話でもございました通り、どこまでいっても検定だけで評価されるわけではない。経験だけでもない、またインタビューも十全ではない。ある種のバッテリー型でより精度の高い、100%には決してならない訳ですけれども、能力評価の統合的なプラットフォームを作って行かないといけないという、全体を俯瞰しての課題設定なのだろうと能力評価を担当している立場で思っております。

そういう意味でいくと、前半の方で議論いただいた、キャリアの棚卸しというのは直接的には対労働者、求職者の視点、あるいはプロセス思考の支援として、このジョブ・カード、あるいはキャリア・パスポートをどう活用していくのかということになってくる訳です。同時にその一連のプロセスを通じて今ご議論いただいておりますように、職場におけるその働きぶり、評価といった資格とか検定とかそういったもので図りきれないような職業資産というものが、本人のための支援を通じてキャリア・パスポート、あるいはジョブ・カードといったものの中に蓄積をされて、それをマッチング、あるいはプレイスメントサービス、特定の場面で、かつ求人者の側から見た場合に、今度はその人がどういう職業資産を持っているのか。求人者が求める職業能力を本当に満たしているのかということで、本人のために蓄積をしてきたキャリア・パスポートにおける情報を上手く編集・抽出し、そこに更に必要に応じて、モジュール化された職業能力に係る検定等の成果であったり、大久保先生がおっしゃったようなインタビューを通じての精度の確認であったり、そういう意味ではキャリアの棚卸しの観点でのキャリア・パスポートとマッチング場面での客観的能力とは全く別ということでは本当になくて、第一の観点で蓄積された情報を検証した上で更にキャリア・パスポート以外のツールを上手く組み合わせることによって、職業能力の見える化の観点でマッチング精度を高める。全体としてはそういった問題構造なのかと。必ずしも、今日ご提示している資料に入れてない部分があるかも知れませんが、能力評価に関わる整備を進める立場では、だいたいそういった問題ということで、検討を進め、またキャリア・パスポートの方を見ていくということでございます。

○今野座長

 先程からお話に上がっていることは、要するに能力の見える化。何だろうな。求職側からすると、自分の能力を把握して、表現出来ること、伝えられること。求人側からすると、分かること、知ることが出来ることだと思う。その時に、じゃそれをどうしたらいいかという話がここでいろんな議論になっている。そこはジョブ・カードをどうやって設計するのか、どうやって運用するのかというこという話だと思いますね。

ですから、私が一番気にしていた全体のなんて言いますかね。最初に大久保さんが言われた、何のためにあるのということについては、だいたい合意が出来て、それで前半と後半は区別していきましょうね、というのが出来てきた。さらに後半については、どうやって能力評価するのかについては色々な問題があるよね、というくらいまではきたので、だいたいいいかなと。後はそこまで合意できれば、 HOW TO を一緒に考えられますよ、これから。この全体把握の仕方の議論をいつまでもやっていると、ずっと混迷していってしまうから。そこまで整理が出来れば、後は如何に効率的に効果的な方法を考えるかということで、議論を集中できるかな、前に進むかな、というふうに思っていますが。

勝手に整理したけど、如何ですかね。もし、この整理で合意いただければ、次回以降はこういう議論はしないとしますけれど。

○大久保委員

 今の先生の整理について、大体そういうことかと思いますけど、今の話にもう一つ対象者の問題もセットして決めておかないと HOW TO に入れないのではないかと。

○今野座長

在職者とか離職者とかそういう意味でしょうか。

○大久保委員

そう、女性とか高齢者とか、いろいろあるじゃないですか。それは全体をやるっていうのは、これは合意になっているのかな。今までは、ある意味若年をかなり中心にやって来たのは事実で、経験の少ない若年に対するものと、非常に長い職務経歴を持っている高齢者にやるものでは、やり方は違いますよね。それは確認しておいた方がいいと思います。

○今野座長

 多分、今までの事務局の提案は高齢者とか、男女とか属性は一切考えない。学生とか、在職者とか、離職者とかそういう全てをカバーするようなものを作りたいと言うのが、一応事務局が考えていた提案ですね。その提案は一応それで聞いておいて、ここの議論のなかで同じ求職者でもミドルと高齢者は違う、分けた方がいいぞということになれば、高齢者向けにどうするかという話になるのではないかと思っています。ですから、大久保さんの提案は、我々はどう考えるかという話です。事務局からの提案ははっきりしている。

○経済産業省

 何故これが広まらなかったのかというところを押さえておかないと、対象者を限定すれば広がらなくてもいいという話になってしまう。

○今野座長

 ただ、多分大久保さんが言われた問題意識は、最初どなたかがおっしゃっていましたけど、何が政策的観点か。実現したいのか。例えば、何でしたっけ。

○経済産業省

女性の労働就業者とか、高齢者の雇用を促進するとか、そういう世の中に分かり易い成果ですかね。

○今野座長

そういうことが必要だということですよね。今の話は、効率的な分野と非効率な分野あるから、それを考えて展開した方がいいじゃないかということ。見方が逆転しているのですね。見方が完全に違うかなということですね。この辺をちょっと整理して今日終わりにしようかな。どうでしょうか。

○五十嵐委員

 対象の一つに学生もあるかと思いますが、学生向けのジョブ・カードの話がでたときに、はっきりいって、大学内ではかなり評判がよくない。職業訓練をやっているのが大学か。そういう批判されやすい部分もあります。

○小寺委員

 ちょっと大学の件でいいですか。この間、ある大学でキャリア・コンサルタントとして活動されている方のお話を伺ったのですが、ジョブ・カードを1年生に見せて、君たちは、4年後卒業するとき、ここに埋まるくらい色々な経験をし、学んでください、ということを言われるそうです。このように考えると、ジョブ・カードの活動は、プロセスのところもあるとおっしゃっていたのですが、まずそういう切り口もあるかなと。その方は7回くらいキャリア・コンサルティングを行い、はじめ全然意識していなかった学生さんがインターンシップをして、その結果も一緒に振り返ってやっていったそうですが、すると、内定率が高まるというような話を聞いたのですね。なので、そういう活用もされているところもあるので、すごく良い使い方だなと思います。

○五十嵐委員

 それは、ジョブ・カードの広がりと考えていいですか。つまり、キャリア教育の一つのツールとして、使っているという話ですよね。

○小寺委員

はい。ただ、最終的には応募書類とは連携していないので、キャリア教育の中で書かれたものはその中で一旦クローズしますけれども、キャリア教育で書いたものをキャリアシートに書いたりできる訳ですよね。ですから、ジョブ・カードの用途の一つになっているという理解なのですが。

○五十嵐委員

私の発言はあくまでも、こういう政策をすすめるうえで、その成果を求められた時にある程度ターゲットを絞ることになる。効率性が求められたりしたときに、女性というターゲット、高齢者といったターゲットというのがはっきりしているかなと思った次第です。

○小寺委員

 一ついいですか。高齢者といった場合に、どういう方をサポートしようとしているか、具体的には。高齢者はもいろんな方がいらっしゃると思いますけど、どういう人をフォーカスするかということも入れておいた方がいいかと。とすると、高齢者でもミドルでも女性でも、あまり違いがないような気がするのですが。

○今野座長

 お二人から、女性だとか、高齢者とかでましたけど。司会者としてはですね、あまりやりたくないなと。だって、変数を増やすとまた複雑になりますからね。先程、事務局から提案されたような切り方は、これはやらざるを得ないと思っている訳ですけど、それプラス高齢者とか女性とか、また変数増やして苦労するのは嫌だなと。

○大久保委員

ターゲットに合わせて沢山バリエーションをつくるということを想定しているという訳ではなくて、対象者を確認しておかないと、新聞とかに若年非正規対策と出ますよ。ずっとそこにはまり続けていくというのは、いい加減変えた方が良い。本当にこの高齢者とか女性とかに貢献するものをつくりたいのであれば、そういう人たちに認知をしていかないといけないので。ちゃんと今回は、女性とか高齢者とかに対応するようなキャリア・パスポートをつくっているのですよ、というメッセージを入れないと。

○今野座長

 最後はそうなるのでしょうね。

○大久保委員

 その意味が強くて、また若年非正規に閉じたものをやるのですか、といったことに関して私はやめたいと思います。

○根岸委員

東京労働局では、一般窓口でのジョブ・カードの交付についての取り組みを進めているところなのですけど、目標数もあって、訓練だけに限って言うと全体も増えていかないし、やはり訓練ありき、目的ありきでジョブ・カードをつくるよりは、やはり職業相談の中で、この人には何が課題で、何が必要でというのを整理して、マッチングに繋げていく取り組みにしましょうということで、求職者全般使っていますけども、厚生労働省が今専門ハローワークつくっているのですが、わかものハローワークとか、そういった対策で。高齢者は無いのですが、新卒応援ハローワークとか。そういう所は、基本的に予約担当制の相談を中心に相談しているので、やはりジョブ・カードは使い易いと思っています。

後それから、高齢者については、今までの経験で使えない人、使って就職出来ない人もたくさんいらっしゃって、何が次の再就職に使えるものになるのか。求人情報とか見て、どういう所を狙えばいいのかということで、やはり高齢者は高齢者で使い方があるのかなというふうに思っています。

○今野座長

多分、大久保さんの発言を言い換えれば、高齢者のためのジョブ・カード、女性のためのジョブ・カードというのをつくる気はなくて、万人のためのジョブ・カードをつくるといった構想だと思いますね。そうすると、先程話した前半ね。キャリア相談を受けて訓練しますという場面と、後はマッチング、前半と後半ある訳で、前半ちょっと考えると、例えば公共訓練とかを考えると、でもその訓練は、今日の話でもあったけど、仕事の経験も入っているよね。ですから、訓練上のOJTもあるけど、働きながらの本当のOJTも入っている訳だから、実は前半は全員を対象としたイメージですよ。後半も全員を対象にしたイメージなので、ですから、今回のジョブ・カードの見直しで、どういうジョブ・カードを考えるかといったら、万人のためのジョブ・カードということでしかないかなと思っているのですが。そういう方向でいきたいと思うのですが、どうですか。
つまり、どこかに限定しない。いかがでしょうか。

○職業能力開発局長

よろしいでしょうか。それは、我々としても是非お願いしたいところで、今回の資料でもありますが、競争力会議なり、再興戦略でうたわれているのが、学生時代から職業生活を通じて使えるものにするということですので、今までの職業訓練中心でしか使われていなかったものを、さらに長いスパンで使い易いものにしていくということで、カバーできるかたちにしていただくのが非常にありがたい。それをどうアピールしていくかという問題も勿論あると思いますが。
 ありえないと思いますけれど、専用のとか、高齢者だけのとか、そういうことではなくて、やはり若いうちにつくったものが高齢者になってもずっと使えるものとして、考えていただくのが、非常にありがたいと我々の立場からするとそうです。

○今野座長

どうでしょうか。何か今まで全部前提条件を議論しているよね。そこをみんなで一致させましょう。そこから、次回以降はもう少し HOW TO に入らせていただくと。
何かありますか。

○小杉委員

ちょっとだけいいでしょうか。一つ考えたいと思っているのが、これは HOW TO の話になってくるのかも知れませんが、労働力、需要側をどう巻き込むかということを最初から設計していかないといけないのではないかと。外部労働市場、需要側が受け入れられるような仕組みにしていくということで、多分ストラテジーの話になってくるかと思いますが、そこの視点が必ず必要だと思います。

○今野座長

先程からの切り分けでいうと、前半戦と後半戦があるから、特に後半戦について、そういう視点が必要だということですよね。
さっきの僕は気に入っているのですが。キャリア・コンサルタントを2種類つくるという。

○小杉委員

 私は、これはキャリア・コンサルタントで出来ることを超えているのではないかと思います。

○今野座長

 そうですか、分かりました。じゃ前半を担当する人と後半を担当する人とで違う人ということを明確にした方が良いと。そういうことですね。

○下村委員

 先生のおっしゃることはよく分かるのですけども、古今東西、キャリアカウンセラーの能力要件、コンピテンシーに「評価」を含めることというのはまずないと思います。だから多分、人事部内にキャリコンがいる場合でも、評価であったり、昇進であったり等は、きっぱり分けるということを必ず徹底していると思うのです。

○今野座長

 そうなると、現在のジョブ・カードの仕組みが、出来が悪いということですね、仕掛けが。キャリコンがそこまで領域に入れということだから。

○下村委員

仕組みが悪いということではありませんが、例えばジョブ・カードの評価シートで、寸評を書かせるといったところに困難を感じる登録キャリコンの方がたくさんいらっしゃるというのは、登録キャリコンの方の力量がないのではなくて、もともとキャリアカウンセラーのコンピテンシーに入っていないので、どうしていいのかが分からないのだと思います。なので、そこは別のものかと思います。

○今野座長

はい、いいですよ。じゃ言い直すね、別の人ね。
それでは、やっと前提条件をお互いに合意できたということですので、事務局からは資料をみて、具体的な対応策について提案をしていただきましたが、残念ながらそこまでいかなかったので、これは次回でも平気ですか。

○実習併用職業訓練推進室長

はい。

○今野座長

次回にやっとそういうところには入れますので。いいですかね。次回以降は、もう少し戦略、戦術の問題に入っていきたいと思いますので。では次回の予定を説明してください。

○実習併用職業訓練推進室室長補佐

第3回は、平成26年7月16日14時から開催する予定でおります。議題につきましては、今日お話があったところで、またやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○今野座長

 終わりましょうか。はい。ありがとうございました。


(了)

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