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2014年10月10日 第7回医療法人の事業展開等に関する検討会 議事録
医政局医療経営支援課
○日時
10月10日(金)16:00~18:00
○場所
厚生労働省専用第22会議室(18階)
○出席者
田中座長 (慶應義塾大学名誉教授) |
猪熊委員 (株式会社読売新聞東京本社社会保障部部長) |
今村委員 (公益社団法人日本医師会常任理事) |
梶川委員 (日本公認会計士協会副会長) |
川原委員 (株式会社川原経営総合センター代表取締役社長) |
鶴田委員 (全国衛生部長会会長(静岡県理事)) |
西澤委員 (公益社団法人全日本病院協会会長) |
橋本委員 (東京大学大学院医学研究科教授) |
長谷川委員 (東邦大学医学部教授) |
日野委員 (一般社団法人日本医療法人協会会長) |
松井委員 (立教大学法学部教授) |
松原委員 (明治安田生活福祉研究所主席研究員) |
塚本参考人(山崎委員代理) (公益社団法人日本精神科病院協会病院経営管理委員会委員長) |
浦野委員 (全国社会福祉法人経営者協議会総務委員長) |
太田委員 (公益社団法人全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長) |
瀬古口委員 (公益社団法人日本歯科医師会常務理事) |
○議事
○田中座長 では、定刻となりましたので、第7回「医療法人の事業展開等に関する検討会」を開催いたします。
議事に入ります前に、事務局より委員の出欠状況や資料の確認をお願いします。
○事務局 まず、本日の出席状況でございますけれども、山崎委員は都合が合わないため代理の出席をいただいております。ほか、西澤委員もちょっとおくれているようでございます。
あと、事務局側としましては、前回御指摘いただきました、保険局の医療介護連携政策課とあわせまして老健局総務課にも参加させていただいております。
また、医政局長は、所用のため途中からの出席となりますことをあらかじめ御了承いただければと思ってございます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認いただければと思います。
議事次第
資料1 非営利新型法人制度の創設について
資料2 医療法人の分割について
資料3 社会福祉法人制度改革について
参考資料 10月8日産業競争力会議実行実現点検会合第2回資料
参考資料 社会福祉法人制度改革について(参考資料)
参考資料 医療法人の事業展開等に関する検討会開催要綱
以上となってございます。資料の不備等ございましたら、事務局までお伝えいただければと思います。
○田中座長 ありがとうございました。では早速、最初の議題に入ります。
まず、前回からちょっと名前を変えましたが、「非営利新型法人制度の創設について」です。これまでの議論を柱立ての形で整理する観点から、新型法人制度のポイントと論点を事務局に作成していただきました。説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料1「非営利新型法人制度の創設について」の資料をごらんいただければと思います。
おめくりいただきまして1ページ目、「日本再興戦略」でございます。前回御説明した内容ですので省略させていただきます。
おめくりいただきまして2ページ目、3ページ目、これにつきまして、前回、第6回のときに使いました資料をそのまま使わせていただいております。
おめくりいただきまして4ページ目、今しがた、座長から御指摘のありました点でございますけれども、「地域連携型医療法人制度(仮称)のポイントと論点」というものを事務局において作成いたしましたので、その内容について御説明させていただければと思います。
地域連携型医療法人制度(仮称)のポイントと論点
1.事業地域範囲
○事業的範囲の考え方
・事業地域範囲については、二次医療圏を基本として、地域の医療事業を実施するのに適当な範囲を新型法人が定め、都道府県知事が認可する範囲とすることとしてはどうか
2.対象範囲(参加者)
○複数法人の参加
・新型法人は、複数の法人等における統一的な事業実施方針の決定等を行う法人であるため、参加法人等は複数であることを前提とすることとしてはどうか
○参加法人等の範囲
・地域内の医療事業を実施する者については、法人・個人を問わず、対象とすることとしてはどうか
・地域内の介護事業を実施する者の参加について、どのように考えるのか。
○二以上の事業地域範囲で病院等を開設している法人・自治体病院等の取扱い
・二以上の事業地域範囲で病院等を開設している法人については、多様な非営利法人が参加できるよう、新型法人と当該法人の事業実施方針が異なる場合の調整規定を設けた上で、対象を当該地域の病院に限って参加を認めることとしてはどうか
自治体病院等についても同様の取扱いとすることとしてはどうか
3.法人ガバナンスの仕組み
○議決権の取扱い
・新型法人が社団である場合、現行の医療法人制度と同様に、社員総会では、非営利性を確保する観点から各社員一議決権とするが、理事については、新型法人の社員総会が選んだ者が就任することとしてはどうか
・新型法人が財団である場合、理事については、現行の医療法人制度と同様に評議員会が選んだ者が、評議員については、一般財団法人制度の取扱いを踏まえ、寄附行為で定める方法(評議員会の議決等)により選んだ者が就任することとしてはどうか
○参加法人等の統括方法
・新型法人は参加法人等を統括するが、参加法人等の該当事業に係る事業計画や予算等の重要事項についての関与の仕方としては、事項ごとに、参加法人等から新型法人に対する意見聴取・勧告を行うという一定の関与にとどまる場合と、協議・承認(不承認の場合の修正指示)を行うという強い関与の場合のどちらかを選択することとしてはどうか
○新型法人の理事長要件
・新型法人の理事長要件については、どのように考えるのか
○参加法人等の加入・脱退
・新型法人への加入手続については、新型法人の定款で定めることとしてはどうか
・新型法人からの脱退については、貸付金の清算を条件として任意に可能とすることとするが、新型法人の定款等で脱退手続を定めることも可能とすることとしてはどうか
・新型法人の定款等で脱退手続を定めた場合でも、やむを得ない理由がある場合には、いつでも脱退可能とすることとしてはどうか
○地域協議会の開催
・新型法人が社団である場合、地域関係者の意見を法人運営に反映するため、新型法人において地域の関係者で構成する地域協議会を開催し、新型法人へ意見具申できることとしてはどうか
○地域関係者の評議員及び理事への任命
・地域関係者の意見を法人運営に反映するため、財団たる新型法人においては、地域関係者を評議員の一定割合以上に任命するとともに、社団及び財団たる新型法人においては、地域関係者を理事に任命することとしてはどうか
4.新型法人の非営利性の確保
○新型法人における剰余金の配当禁止
・新型法人における剰余金の配当については、現行の医療法人制度と同様に、禁止することとしてはどうか
○残余財産の帰属先の制限
・新型法人の残余財産の帰属先については、現行の医療法人制度と同様に、国や地方公共団体等に限定することとしてはどうか
5.新型法人の業務内容
○統一的な事業実施方針の決定
・新型法人は、医療法人の横の連携を強化し、競争よりも協調を進めることを目的としているため、複数の法人等における統一的な事業実施方針の決定を新型法人の主な業務とすることとしてはどうか
○新型法人自身による病院等の経営
・新型法人自身が病院等を経営することについては、どのように考えるのか
○参加法人等の共通業務や管理業務等の実施
・法人全体の経営の効率化を図るため、法人全体におけるキャリアパスの構築、医薬品等の共同購入、参加法人等への資金貸付等を実施できることとしてはどうか
・参加法人等への資金貸付等については、貸付だけを認めることとし、贈与については税法上の取扱いを考慮して認めないこととしてはどうか
○参加法人等からの管理運営経費の徴収
・参加法人等から新型法人の管理運営に要する経費を徴収することについてはどのように考えるのか
○関連事業を行う株式会社への出資
・新型法人は、原則として出資はできないこととするが、関連事業(介護事業・医薬品等の共同購入等)を行う株式会社への出資について、一定の条件を付することも含めてどのように考えるのか
6.新型法人の透明性の確保
○外部監査の実施・財務諸表の公告
・新型法人は、複数の法人における統一的な事業実施方針の決定等を行う法人であり、その活動は地域医療へ大きな影響を及ぼすことから、透明性を確保するため、公認会計士等による外部監査の実施やホームページ等による財務諸表の公告を義務付けることとしてはどうか
以上が資料1の内容でございます。
あわせまして御報告でございますけれども、参考資料のほうをごらんいただければと思います。参考資料の1つ目、「平成26年10月8日産業競争力会議実行実現点検会合(第2回)資料」でございます。右肩に「参考資料」と「資料3」と書いてある資料でございます。これは産業競争力会議という会議の中で、右肩にお名前ございますけれども、小林主査という方が、三菱ケミカルホールディングスの社長でございますが、医療介護等分野の主査をされておりまして、その観点から、今、御説明申し上げた非営利新型法人のことについて幾つかの論点提示をしていただいているという状況でございます。
ポイントだけ御紹介させていただければと思います。このペーパーの真ん中、「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)の創設」ということで、その次の段落が制度全体の趣旨でございます。
具体的に幾つか御提案ございまして、「1」としては「非営利HDC型法人に参画できる非営利法人の範囲」ということで、医療法人、社会福祉法人のみならず、多様な非営利法人が参画できる制度とするべきというものでございます。
おめくりいただきまして、「2非営利HDCのガバナンス(社員総会の議決権等)」ということで、1行目後半から、議決権配分については、一般社団法人などと同様に、定款で議決権の在り方を定めることを許容する等柔軟な意思決定が可能となる制度とすべき。また、傘下の医療法人等の社員総会等の過半数を非営利HDC型法人が占めることを認める等により、意思決定に確実に従い、傘下法人の運営がなされるようにすべき。
「3非営利HDC型法人と営利法人との連携」ということで、非営利HDC型法人から営利法人への出資を可能とするべき。
次の3ページの上でございますけれども、「4非営利HDC型法人の活動の自由度(病院直営、地理的活動範囲、資金調達等)」ということで3段落に分けてございまして、病院や社会福祉施設等を直接経営することが可能な制度設計とすべき。次の段落が、地理的活動範囲を、予め規制を行うのではなく、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となる制度とすべき。
3つ目の資金調達等においては、資金融通、剰余金処理、債務保証等が可能な制度設計とすべきというのが論点でございます。
5やその下の2.以降につきましては、5自体は岡山大学というところの内容で、関連はしてございますけれども、大学制度についての話でございますし、2.以降については、今回とは関係ない話でございます。
おめくりいただきまして、写真がついているページが、今、言及いたしました岡山大学のほうから具体的な提案として、こういったものが実現できないかというアイデアとしていただいておるものでございます。その内容については省略させていただきます。
あと最後のページ、資料5と右肩に書いてございますけれども、有識者として参加された宮澤弁護士からの「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)の在るべき姿」という新型法人についてのペーパーで、このペーパーでは、中段のところ、「非営利ホールディングカンパニー型法人と参加法人の関係」ということで、(1)の下のところですが、参加法人の議決権の過半数を新型法人が占める必要があるというのは制度的担保であり、(2)の1一定の重要事項を協議、承認というパターンについては、1の最後、制度的保証とは言えないのではないかという御意見でございますとか、裏面に参りまして、3 番、「新型法人の議決権のあり方」ということで、一番最後のところ、一般社団・NPOと同様一社員一議決権ではない議決の形を定款で可とする。
4番、「営利法人との連携」ということで、非営利法人が営利法人に出資可とし、連携を図る。
こういった内容の御提案をいただいているという状況の御報告でございます。
以上でございます。
○田中座長 説明、ありがとうございました。
これまで本検討会で議論してまいりましたが、内容は多岐にわたり、かつ、いずれも大切な論点です。そこで、一括に話すのではなくて、これを3つに分けて討議していきたいと存じます。ただいま説明がありました資料1の4ページ以降、6つの論点、6つの項目に分かれています。
初めに、「1.事業地域範囲」と「2.対象範囲」、4ページについて各委員から御質問、御意見があればお願いいたします。
今村委員、お願いします。
○今村委員 前回、統括医療法人制度について提案させていただきましたので、意見を述べさせていただきます。
まず、この厚労省案に対して、制度の趣旨、目的というのを明確化すべきであると考えております。地域医療ビジョン、医療介護総合確保計画に従って、医療・介護提供体制の充実、地域包括システムの構築を推進するものであるということ、それから医療の非営利原則の堅持、これらの2点は必ず行うということを明記していただきたいと思います。
ということで、厚労省が提案していただきましたこの地域連携型医療法人ですけれども、名称としては非常にいいと考えます。この地域連携型医療法人というのは、私どもが申し上げたような医療法に基づく医療法人の一類型ということで考えてよろしいですね。
○田中座長 質問にお答えいただけますか。
○事務局 医療法人なのかどうかということ、今回、地域連携型医療法人と名前をつけさせていただきましたけれども、現在の医療法の中に規定することを念頭に置いてはございますけれども、まさに医療法人の章の中に書き込めるかどうかについてはちょっと法制的な検討が必要でございますので、その点ちょっと事務的にまた検討して御報告させていただければと考えてございます。
○今村委員 おっしゃる趣旨はわからなくもないけれども、もう議論も相当押し詰まってきているときに、医療法が適用されるのかどうかという非常に基本的な問題を曖昧にしたままこういうのができるのかどうかということで、医療法上の規定のうちに通常の医療法人と共通する部分というのは適用されると少なくとも考えないと、それ以後の議論が非常に進めにくいと思いますけれども、その点についてどうなのでしょう。
○事務局 御指摘のとおりでございまして、先ほど私の言葉が不十分でございましたけれども、医療法を念頭に置きながら、医療法で現在やっている内容について、その趣旨を完全に同じくする内容でございましたら、当然それを準用、適用するというような形になりますし、この新型法人における特色を反映した内容になるということであれば、一部変更して適用していくということになると思います。あと、すみません、私が申し上げたのはちょっと法形式の形で、かなり事務的な内容の話でございましたので、その辺、説明が不十分でございましたけれども、今村委員御指摘のとおりのことになるのかなとは事務局としても考えているということでは変わりないかなと思っています。
○今村委員 検討会の名称自体が「医療法人の事業展開等に関する検討会」となっておりますので、当然のこと、それを前提として考えるべきだと考えております。
まず、事業地域範囲ですけれども、「二次医療圏を基本として」と書いてございますけれども、これはやはり、厚労省が提案しているように、「地域医療構想区域として」と変更したほうが厚労省のほかの政策とも整合がとれるのではないかと思います。そこのところを「地域医療構想区域として」と変更させていただいて、「基本として」というのも削除したほうがいいのではないかと思います。
次に、「都道府県知事が認可」と書いてございますけれども、ここのところを「地域関係者の意見を聞いた上で都道府県知事が」となさったほうがいいと思います。
次に対象範囲ですけれども、「複数法人の参加」、これについては当然のことで問題はございません。
次に、「法人・個人を問わず」と書いてございますけれども、こうした場合には、例えば一般社団法人、一般財団法人、あるいはNPO等の設立が非常に容易で、法人に対する監視・監督機能が厳しくないものも当然のことながら含まれてくると思います。それから、医師、歯科医師以外の個人も含まれてくるということになりますので、こういう場合には非常に監督というのが厳しくはないということで、これはやめたほうがいいと思います。地域連携型法人というのは、その地域の医療や介護の提供体制、連携体制に大きな影響を与えるようになると思います。したがいまして、高い公益性が求められると。すなわち、だからこそ参加法人に対する厳格な監視指導機能が必要であると思います。
以上のような観点から、私ども、統括医療法人案に示しましたけれども、参加法人としては医療法人と医療施設を開設する社会福祉法人、個人では医師又は歯科医師とすべきであり、そしてまた、営利法人は含まないことを明記する必要があると考えます。
以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
松井委員、お願いします。
○松井委員 1点だけ、今村委員にお伺いしたいのですけれども、新型法人が医療法人なのかどうかということと関連で、7ページに、新型法人が病院経営するのを認めるか認めないかとある点につきまして、どうお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○今村委員 認めるべきではないと考えます。新型法人というのは、その参加法人のガバナンスという機能にとどめるべきであると考えます。したがって直接経営はやらないと考えます。
○松井委員 わかりました。医療法人の概念の問題だけ、御参考までにということですが、現在、医療法の39条を見ますと、医療法人という名前がつくものは必ず病院医師、歯科医師が常勤する診療所または介護老人保険施設を開設しようとする社団または財団である、となっています。従いまして、この地域連携型の法人を医療法に規定してつくるということはもちろんあり得ると思うのですが、医療法人という名前を充てるかどうかは、従前の医療法人の概念との調整が必要だという感じがいたしました。
特に病院を新型法人が経営しないとなると、従来の医療法人とは違うタイプの法人になりますので、それに医療法人という名前を充てていいのかどうかというのはちょっと検討する余地がありそうです。
○田中座長 調整が必要になるかもしれないとの御指摘でした。ありがとうございます。
課長、お願いします。
○事務局 ちょっと事務局の説明に補足させていただきますと、参加法人等の範囲のところで、地域内の医療事業を実施する者については、法人、個人を問わずということでございますので、これは医療法によりまして、病院または診療所を開設している法人または個人ということでございます。したがいまして、数は若干少ないのかもしれませんが、個人立の病院、あるいは診療所の場合はむしろ個人で開設しておられる方が多いということでございまして、そういう趣旨も踏まえた上で、今村委員の御意見としては、医療法人、それから病院を経営する社会福祉法人に限定すべきと、そのような御意見と理解してよろしゅうございますか。
○今村委員 この書きぶりというのが、もし、今、課長がおっしゃったようなことで、個人、法人というものを考えておられるのだったら若干再考の余地があると思いますけれども、この書きぶりではそのように読み取れなかったのです。
○事務局 書きぶりが誤解を招いたとすれば、またそこはいろいろとほかの先生方の御意見も聞きながら検討させていただきたいと思います。すみません。
○今村委員 あくまでも医療機関を開設する者ということは最低の条件だろうと考えております。
○事務局 この1つ目のポツは、私どもはそういう趣旨で書かせていただいておりますので、誤解がありましたらそのように補足させていただきます。
○田中座長 御意見でも、それから、今話したように、論点をクリアーにするための御質問でも結構ですので、どうぞ。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 議論が錯綜している部分があるので、私なりに整理をさせていただきます。なぜ錯綜するのかというと、1つは、地域医療を確保するという事と、経済成長をどうやって図るのかという話がどうも一緒になっている。これは別物ではないかと思います。
あともう一点は、法人を例えば規模を大きくしたりして強い組織にする、例えば効率的であるとか、あるいは財政的な健全さを強化するすべを図るということで、これはやはり地域の医療の確保とは違う事柄です。特に後者は非常に、往々にして対立する可能性があるということは我々認識する必要があります。
今村委員がおっしゃったのは、地域医療ビジョンに限定して、非営利性、なおかつ公益性が高い、こういった組織の活動範囲と形態を規定することにより地域医療を担保しようとする考えであると理解されます。さらに一歩踏み込んで、例えば社会医療法人ですと、ある種の医療を提供するということを要件として課しています。だから、高い公益性を担保するには、ただ財産権の問題だけではなくて、実際の医療の内容に含めてある種の責任を課すような、そんな考え方をすることも可能かと思います。
これは私の意見なのですが、事業の範囲ということに関して申し上げますと、もっと広くとったほうが融通がきくのではないかという考え方です。理由は3つありまして、二次医療圏を基本としてとありますが、実際には二次医療圏の中で医療が必ずしも完結していません。特に都市部では完結していないということが、往々に指摘されることであります。
2つ目の理由としては、二次医療圏ごとに見ますと、医療資源に恵まれた医療圏と乏しい医療圏がありまして、乏しい医療圏の中で幾ら一生懸命やってもなかなか、方策に限界があるといった状況があります。
3つ目は、これは政策目的によるのですけれども、どんな形のサクセスストーリーが出てくるかわからないところで、事前に制限を課すと成功事例が出てこないのではないかということが危惧されるので、より広域で設定して、都道府県であるとか、あるいは2つ以上の都道府県にまたがるところ、は例えば厚労省が認可するというような形のほうがよろしいのではないかと思います。
別途、公益性を担保するような方策というのは、組織の形態、地域の声を聞くことに加えて、それ以外にも何か方策を講じて、ある種の医療を課すということに関しては、私はむしろ積極的に考えていいのではないかと思います。
○田中座長 ありがとうございました。
今村委員、お願いします。
○今村委員 この検討会の中に成長戦略云々ということを持ち込むことは非常に危険だと思います。やはり地域医療をしっかり確保するのだということと、その基本的な考え方は非営利の担保なのだということをきっちりしないと、何にもかもいいということであれば、私どもが地域医療をきちっとして提供するということができなくなる。実際問題として。いろんな医療法人のM&Aなんかを見ていると、本当に地域医療がぐちゃぐちゃになるという危機感を私どもは持っております。
ということで、この事業地域範囲ですけれども、これは先ほど申し上げたように、地域医療構想区域とすべきです。広域展開を行っている法人の場合、地域を超えたような視点で法人運営、経営判断をするということが当然のことながら予想されるということで、やはりこの事業地域範囲というのは一つの地域医療構想区域というものに限定したほうがいいと思います。それでこそきちっとした地域医療というのが確保できると判断します。
○田中座長 鶴田委員、お願いします。
○鶴田委員 岡山大学メディカルセンター構想についての意見です。医者の人事というのは、岡山大学がどの病院にどの診療科の医師を置いて、それぞれの病院の診療機能を決めることは可能かなと思うのですが、この構想の病院にはそれぞれに上部機関がある中で、こういうセンター構想でこれに福祉が加わった形の法人、現実的にそういう組織が成り立つのかなと疑問があります。あと、医療法人と社会福祉法人の税法の違いとか、そこに非常に疑問あります。この構想の中の事務職員は、例えば国立病院機構にしても労災、日赤にしても、本部機能を持って運営する中で、この法人がどのようにして本当にガバナンスを発揮して運営するのかというのはちょっと理解できないところがあります。
○今村委員 先般、私どもも、この岡山大学のメディカルセンター構想について、学長、病院長、事務長などを初め、意見交換をさせていただきました。私どもが懸念することについても話をさせていただきましたけれども、その中で、私どもの疑念、あるいは質問に対して、ああ、そういうことは考えてなかったというお答えが物すごく多かったのですね。そういうことであれば、もう一遍私どもはこの構想について練り直しましょうというお答えでしたので、要するに、岡山大学を中心として、岡山市内における公的性格を持つ病院を自分たちの統括下に置いていこうという構想だったと思いますけれども、その持っている背景というものがその病院ごとに相当違う。人事交流、あるいは資金面の融通ということについても今の体制では、ほとんど制度として成り立たないということをほとんど御理解なさってなかったように拝見したのです。
○田中座長 事務局は何か、今の御質問に対して、知識、情報をお持ちですか。
○事務局 御指摘いただいた点、まず鶴田委員の御質問の関係でございますけれども、それにつきまして、4ページ目の一番最後のポツのところで、広い地域で病院等を開設している法人なり自治体病院の取り扱いということで、今しがた、上部機関との関係どうするのかということについて、例えばということで、この下から3行目にありますけれども、調整規定を設けて、その次の行にありますけれども、病院に限ってというような形の制度づくりができないのかなというイメージで一つの御提案ということでさせていただいているという趣旨でございます。
岡山大学の御提案なり内容については、前から当方としても承知しているものでございまして、それをどのように扱っていくのか、この制度の中に完全に入れるという話とは多分違うとは思いますけれども、御提案の中でいい内容があれば当然取り込んでいくというのは、一つのよりよき制度をつくっていく中ではあり得るのかなとは思ってございます。
○田中座長 今の点、私からも質問させていただきたいのですが、最後の自治体病院は自然人でもなければ法人でもないですよね。これが親法人にぶら下がるときの資格は何になるのですか。
○事務局 すみません。自治体病院等についても同様の取り扱いとさせていただきまして、上の行のところでございますけれども、この場合、先ほど、自治体病院でいくと、例えば県でありますとか市でありますとか、そういう法人格と一般的にみなされているものが参加すると。それは先ほどいう国立病院機構であったり、日本赤十字社本社というか、日本赤十字全体が法人としては参加して、その上で対象を、例えば岡山であれば岡山にある病院に限定する形で、岡山市なりを中心とした新型法人に国立病院機構が法人としては参加するけれども、実質的には岡山医療センターしか対象にならないというようなことを前提にして、さらにその本部の決定と新型法人の決定に関しての調整規定を設けるということであれば、この全国法人、全国的な展開をしている法人は割と大病院が多いと思いますので、そこを最初から排除することなく、広い範囲で参加できるということの一方策としてあるのではないかと考えているという趣旨でございまして、その場合、全国法人と同じように、各自治体についても、岡山市が全部入るというよりかは、岡山市民病院だけが入るというようなパターンを念頭に置いているという趣旨でございます。
○田中座長 理解、よろしゅうございますか。
要するに、全国に例えば新型法人が100個できたとすると、国立病院機構は100の法人に参加することになるわけですね。もし入りたければ。そういうことですね。それぞれ、調整規定で、その地域にある病院だけが参加する。法律上の加入者は、全国展開型法人だったら、参加の。個別病院であり、それがあちこちの親法人のメンバーに加わるような案が今のところ考えられているとの理解でよろしいですね。
○事務局 そこの点、御議論いただければと思いますし、法制的にも可能なのかどうかとかいう点、事務的にもまだ検討途中でございまして、すみません。これぐらいしか、今のところ申し上げられないという状況でございます。
○田中座長 確認、ありがとうございました。
松井委員、お願いします。
○松井委員 事務局にお伺いしたい点がいくつかございます。まず対象範囲のところで、新型法人には参加法人が複数入るということですが、これは複数の法人が参加しなくなった場合、つまり、1人になった場合には当然解散ということになりますでしょうか。あるいは、1法人、ないし1人になった場合でも、別の新たな法人を呼び込んで連携するという可能性を考えて、法人としては存続し得るのでしょうか。
それから財団の場合、参加というのはどういうイメージを考えておられるのか。社団法人の場合は社員になれば参加ですし、脱退すればそれでおしまいですけれども、財団の場合はこの参加という概念をどういうイメージで考えておられるのでしょうか。
最後もう一つ、法人・自治体病院等との関係で調整規定がございまして、恐らくこれは、意見が整わない場合等、あるいは何らかの事情で政策が食い違う場合に協議する等のことが考えられているのではないかと思います。これにつきまして、今後具体的にどういう調整規定を設けるかはまたこの検討会で提示されますでしょうか。
○事務局 御質問の最初のほうでございますけれども、まず制度設計の仕方でございますので、どうするのかというのはもちろんあるわけでございます。そのための御意見をいただければと思ってございますけれども、複数法人が参加ということを前提にするということであれば、当然一つの法人しかいなくなった場合は解散することになろうかなと思ってございます。
財団の場合にそれはどのように結びつけていくのかという話でございますけれども、前の3ページのところで、前回お示しした図の右側のほうがそうでございますけれども、この場合は、右側の財団型の評議員会、理事会の中にそれぞれ役員という形で入れさせていただいて、各法人を入れる形にしてございまして、例えば、このように役員でもって参加法人をつなげていくというような形も含めて制度として可能ではないかと考えているという趣旨でございます。
もう一つの御質問の自治体病院なり調整規定の話でございまして、どのようなことが規定上可能なのかというのは今後も法制的に検討していかなければいけないものでございまして、協議するという文言だけでは恐らく結果まで担保してない形になってございますので、例えば新型法人と当該法人の優劣を、何らかの調整を経た上で最初から決めておくというようなことを法律に書くか、それを法人に決めておくというふうに規定するのかとか、協議が難航した場合の調整規定といって、単に協議するだけでないようなイメージを持ってございますけれども、この点もちょっと事務的にも検討させていただいて、また御提案させていただければと思っております。
○松井委員 どうもありがとうございます。調整規定の点は今後の議論で、ということで承知いたしました。ちょっとこだわって申しわけないですが、財団に関して確認をさせてください。3ページの図で申しますと、例えば医療法人Aが、この新型法人の政策にはとてもついていけないので評議員を引き揚げるとか、あるいは理事を引き揚げるというと、これは参加をやめると、こういうイメージになるわけでしょうか。
○事務局 参加法人の加入・脱退の仕方は、先ほどの先にありますけれども、自由にある程度決めていかれるような形ですので、どこまでを加入の仕方として縛るのかというのはもちろん、それぞれの法人、新型法人次第かなと思いますけれども、今、御提案あったような形で、役員をやめることイコール脱退だというふうな決めをするということも法人によってはあるのかなとは思います。
○松井委員 気になるのは、評議員とか理事、特に評議員は寄附行為に書かなければいけないのですけれども、やめますと言うと、寄附行為を守らないということにもなりそうです。つまり評議員の資格は、医療法人Aから何名とか、医療法人Bから何名と寄附行為に書くことになるのだと思いますけれども、勝手に引き揚げるというのは、評議員が進んで寄附行為違反をやるということになるような気がするのです。このあたりは、結構書き方がデリケートでして、実際に財団型を認めていくときには、どういう方法で参加をやめられるのかを多分決めることになると思いますが、このあたりは制度設計の上で注意されたほうがいい点かなと。
要するに、社団に比べて財団のほうはかなり参加、脱退という概念が曖昧になりやすいのですね。この点はまさに法人の存続とか、あるいはその他の意思決定に全部かかわってきますので、少し検討の余地があるかなという感じがちょっとしております。
○田中座長 御指摘ありがとうございました。今の1と2については今後も発言なさって結構ですが、時間の都合もありますので、5ページから7ページまであります「3.法人ガバナンスの仕組み」と、「4.新型法人の非営利性の確保」について御意見、御質問をお願いいたします。一番大切なところだと思いますが。
浦野委員、お願いします。
○浦野委員 2のところとも多少関連すると思うのですけれども、今回、医療法人を中心にして社会福祉法人も一部加えるという議論が来ているようです。社会福祉法人の立場からすれば、地域包括ケアを本格的に進めていくことになると、介護を無視しては成立し得ないだろうと思っています。ですから、もうちょっと介護が参加する余地をとも思うのですが、反対に、例えば社会福祉法人の組織の特性として、持ち分の定めがないという徹底した非営利性を持っている。現状、持ち分の定めがある法人が大多数の医療法人と社会福祉法人がこの中でどうやって調整していくのか、ということは非常に大きな問題になるのだろうと思います。
さらに後ろの論点では資金の融通ということもあります。持ち分の定めのない、そして、非営利であると言っている社会福祉法人から、持ち分の定めのある法人に資金を融通する。資料によりますと、贈与はないけれども、融資は可能というような受け止めもできると思います。しかし、融資もある種の便宜供与ですから、間接的な意味での資金の移動ということにもなるのではないか。そういうことを含めて、一体ここをどうやって調整するのかというのが、資料を拝見していてもなかなか腹落ちがしない感じがしております。
特に同じ厚労省の中で社会福祉法人については社保審の福祉部会でも議論されておりますし、その前には検討会がまた別途設置されて、社会福祉法人の非営利性というものをより明確化していくのだという方向で議論されているときに、その非営利性をどうするのかというのは、今までの資料の中では十分に見えてこない。間違うと、社会福祉法人制度が一方では非営利性をより高めていくという方向で議論しているにもかかわらず、反対に、この新型医療法人の枠組の中で逆に社会福祉法人の非営利性が不明確な方向に行ってしまわないかということは非常に危惧しております。
もう一方で、組織統治ということから言いましても、社会福祉法人が非営利原則のもとで事業をやっていくのだと言っているところを、新型法人の影響力のもとで社会福祉法人の意思決定に影響を及ぼされるということになると、その非営利原則が果たして社会福祉法人として守れるのかということを非常に危惧します。現段階では少なくともこの資料の中からは見えないと思っております。
そこが見えない限り、社会福祉法人がやっている医療は、無料低額診療事業であれ公益事業としてやっているものであれ、非営利でやっているわけですから、そこの調整規定どうするのだということをもう少し明確にしていかないと、可とも不可ともなかなか言いにくいと思っております。
以上でございます。
○田中座長 賛成、反対以前に、まずそこの危惧を明らかにしなくてはならないということですね。
太田委員、お願いします。
○太田委員 地域包括ケアシステムを円滑に構成するための仕組みとして、この新型法人制度を創設して活用していこうという趣旨は理解できるところでありますけれども、社会福祉法人の立場から気になる点を幾つか申し上げさせていただきたいと思います。
皆さん既に御承知のとおり、社会福祉法人を取り巻く環境が今大きく変わろうとしている中で、時代の要請に応じた社会福祉法人のあるべき姿というものにつきましては、規制改革会議や社会保障制度改革国民会議などでいろいろなところから問題提起されておるところでございますが、本日の資料3にもございますとおり、社会保障審議会の福祉部会では、法改正を前提として社会福祉法人の組織全般にかかわる議論が進められているわけですから、その方向性とこの新型法人の仕組みの整合性を持たせていただくということは当然必要になってくるのではないかと思います。
それから、本日の資料1のところ、今、議論の論点になっております「3.法人のガバナンスの仕組み」の中で、新型法人が参加法人の事業計画や予算等の重要事項について協議・承認を行うといった強い関与のあり方が提案されておりますけれども、そうした場合、実質的な経営権は新型法人になるのではないかと考えております。また、新型法人の業務内容の中では、新型法人自身による病院経営や参加法人への資金の貸し付けが提案されていますけれども、財源は参加法人の出資に頼るということなのでしょうか。
さらに、新型法人が本部的な機能だけではなくて、直接事業運営まで行うのか、赤字事業を抱えた場合どういう影響があるのか、こういったところの課題も多く含まれておるように思います。
このような仕組みの新型法人に社会福祉法人が参画した場合、社会福祉法人の経営の自律性を阻害し、あるいは社会福祉法人に求められている事業の実施が困難になるのではないかと懸念しているところでございます。
福祉部会で社会福祉法人の公益性と非営利性を担保する観点から、自律的なガバナンスの確立が検討されているにもかかわらず、改革の趣旨に反しかねないのではないかと考えております。社会福祉法人と医療法人は、それぞれ社会的役割、使命、責務がある中で、それぞれの法人法、事業法に従った組織運営が優先されるべきではないかと考えております。新型法人の目指す経営の効率化は、医療法人及び社会福祉法人それぞれの経営の自律性に反しない内容にとどめることも考えられるのではないかと思っております。
いずれにしましても、社会福祉法人がこの新型法人に参加するには、社会福祉法人と医療法人の数多くの論点、課題があると思いますので、事務局において問題を整理していただいて、解決に向けた具体的な検討をしていただければと思っております。
以上でございます。
○田中座長 社会福祉法人改革の現在の議論については、後ほど、社会・援護局福祉基盤課長に説明いただきます。ただいま、御懸念を表明いただいたと。ここまでで何かお答えになりますか。特にありませんか。御質問ではなかったので答えなくても結構ですが。
どうぞ、今村委員。
○今村委員 まず議決権の取り扱いですけれども、社団の場合に、各社員につき1票というのは当然のことだろうと思います。財団の場合に、理事は評議員会が選任した者ということで、これもよろしいのではないかと思います。
ただ、資料1の3ページにありますけれども、前回の検討会で参加法人の関係者が評議員の大半を占めるということが例示されておりますけれども、これでは地域連携型医療法人の業務をチェックする機能が非常に危ぶまれるということで、ここのところを「地域の関係者代表を評議員に加え、かつ、評議員会での割合が過半数を占める」とされたほうがいいと思います。
それから、今、統括方法の中で意見聴取・勧告を行うという一定の関与にとどまる場合、これはそのとおりで問題ないと思いますけれども、協議承認、不承認の場合の修正を指示するというような強い権限、関与というものを行うことについては、非常に慎重な検討が必要だろうと思います。
前回検討会で議論されましたように、既存法人の独自性を一定程度保障するのだと、あるいは競争よりも協調を進めていくのだといったような趣旨があることから考えますと、太田委員の懸念というのは当然理解できることだと思います。
○田中座長 事務局から問いかけもありますので、皆様の御意見を伺いたいですね。お願いします。
○長谷川委員 議決権の扱いですが、新型法人を医療法人と考えるかどうかで判断が分かれます。医療法人だと1社員1議決権と規定されていますが、それ以外では公益法人を含めて定款で決めれば良いことになっています。もし新たな考えの下に新型法人をつくるということで、なおかつ、例えばクリニックの院長先生個人を含めて、広く門戸を開くということで考えると、いろんな状況があり得ると思いますので、定款で定めるという形がよいと考えます。
○田中座長 ありがとうございます。
大道委員、どうぞ。
○大道委員 この新型法人の設立の趣旨は一定理解できるところはもちろんあります。ただ、この4ページのところで、自治体病院等の参加という問題、それからあとは大学病院等の問題、あるいは、さらに至っては他府県にまたがるチェーン病院の参画ということになってくると、本来の趣旨から大分逸脱したものになる可能性があると思います。もともとは、地域医療において役割分担をして、それぞれの機能を補完しながら、緩やかな経営統合をすることによって、お互いの体力を強くして、地域医療を安定化しましょう、継続化しましょうというのが趣旨であったと思うのですが、このような大きな医療法人と小さな医療法人がくっつくということになってくると、これは新しいスキームですから必ずうまくいくとは限りませんので、うまくいかないときにどちらが消えるかというのは、これは火を見るより明らかな話でございます。
ですから、まずこういう新しいスキームをスタートするのでしたら、小さく生んで大きく育てるほうがいいのではないかなと思います。
○田中座長 今村委員、どうぞ。
○今村委員 後半の部分についても若干の意見を述べさせていただきます。
理事長要件ですけれども、これはこれまでの医療法人と同様に、原則、医師、歯科医師というのが理事長要件というのが妥当だろうと思います。それから、加入と脱退ですけれども、脱退は自由であるということが原則であろうと思います。ただし、現実的には、即時に退会するということが常に認められるということになりますと地域医療構想への影響などというのが非常に大きくなることから、これは第三者として地域協議会が間に入って調整したらどうかと思います。
それから、定款等で脱退手続を定めるとございますけれども、脱退自由の原則に定款上の制限を加えるという趣旨があるならば、これはちょっと問題だと思います。単に事務的な手続を定めるというものに限定すべきであると思います。
それから、地域協議会の開催ですけれども、地域協議会の地域連携型医療法人に対するチェック機能を担保するためにも、これには情報開示の徹底というのが非常に必要であろうと思います。
それから、意見の具申というのが出てきますけれども、地域協議会の権限というのが意見具申というのにとどまるのは反対です。実効性のある権限を持つことができるように、法的な担保の整備が必要と思います。
具体的には、医療法人の影響下に置かれていたり、地域医療構想に従わないといった問題予防の観点から、監視という権限を持つこと、そして、問題が発生した場合には、医療法人に勧告したり、都道府県医療審議会へ報告したり、あるいは都道府県等の権限行使の前提条件となるような報告権限を持つこと、このようなものを書き込む必要があるのではないかと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
大道委員、どうぞ。
○大道委員 今の今村先生のお話にあったとおり、新型法人が設立当時の理念なり、あるいは中長期計画等々を立ててつくられても、それが確実に履行されているかどうかというのを誰がどうやってチェックするかという話だと思います。例えばそれが当初の予定はこうだったけれども実際は違うほうをやっていらっしゃいますというところに関して、誰かがそれは当初の予定と違うので解散しなさいということが言えるのかどうかというのをどこにつくるかという話でもちょっとあったかと思います。それは基本的にやはり必要なことだと思います。ですから、今回新しい制度でスタートするわけですから、我々としては必ずこれが地域に還元できるものであって、医療機関が自立強化できるものであって、なおかつ、最終的には地域住民にプラスにならなければ意味がないわけですから、それがそうではないと判断した段階で、そのスキームをやめなさいと言えるような仕掛けというのはどこかには歯止めとして必要ではないかなと私は思います。
○田中座長 さらに議論を進めまして、残りの部分、「5、新型法人の業務内容」及び「6.新型法人の透明性の確保」についても御質問、御意見をお願いします。また、さかのぼって、1から4についても御発言いただいて結構です。
今村委員、お願いします。
○今村委員 まず業務内容ですけれども、統一的な事業実施方針の決定ということについては、これは問題ないだろうと思います。それから、先ほども委員の方から御質問がございましたけれども、新型法人自身による病院等の経営、これにつきましては、私どものさきの提案では、病院、診療所、介護老人保健施設の経営を行わないとしておりました。参加法人による医療や介護提供の推進、支援に専心すべきであると思っております。したがいまして、自身による病院等の経営については反対と言わせていただきます。
○田中座長 浦野委員、お願いします。
○浦野委員 繰り返しになりますけれども、共通業務、あるいは管理業務等の実施のところで資金の話が出て、贈与を認めないのは当然のこととして、仮に資金の移動があるとしても、それは営利法人が非営利法人に対して貢献するというのであれば、世の中通る部分もあるかもしれませんけれども、非営利法人が営利法人に貢献する、あるいは持ち分のない組織が持ち分のある組織に金銭的に何らかの貢献をするというのは、社会常識から言ってこれは通らない話です。たとえ貸し付けといっても、それは市中で借りるよりもそっちから借りたほうが得なのだろうという話になりますから、そういう意味では、そこは絶対に非営利組織としてはやってはいけない。それをやってしまえばもう非営利法人としての存立の足元が崩れてしまうという気はしております。ぜひそこのところはきちんとした歯止めをかけるような制度設計をしていただきたいなと思っております。
○田中座長 今村委員。
○今村委員 私も、共通業務や管理業務等の実施については、法人全体におけるキャリアパスの構築であるとか、医薬品等の共同購入であるとか、参加法人等への資金貸付等の実施というのは、このような関連する事業に行う株式会社への出資というのは、当然のことながら認められない。それから、参加法人等への贈与ということについても、これも剰余金の配当につながりかねないということで、この贈与は認められないと思っております。
また、管理運営経費の徴収ですけれども、これは本部経費の徴収に限るというようなきちっとした趣旨を明確にしてやるということに限定したほうがいいと思います。
○田中座長 どうぞ、皆様、それぞれの論点について御意見をお願いします。
今村委員、どうぞ。
○今村委員 最後の透明性の確保ということでございますけれども、ホームページで情報開示する、これについて、財務諸表と、ほかに事業報告書などと書かれてございますけれども、これだけでは少し不十分なのではないか。参加法人との関係であるとか、参加法人の財務内容であるとか、医療や介護の分野ごとの地域への貢献度など、こういったものがわかるような報告書というものを公表していただきたいと思います。
○田中座長 今の点にも絡むのですが、私から事務局に質問です。情報公開するときに、参加するメンバーの中に個人がいると、個人の財産をここで公開することになるのですか。
○事務局6番で書かせていただいているのは、新型法人それ自体の話のことで、そこは、先ほどから言っておりますけれども、地域医療へ大きな影響を及ぼすその中心的な存在としての新型法人に関しての各種外部監査や財務諸表の公告、こういったものを義務づけるというのが必要ではないかというような御提案でございまして、それ以外にも、前回の検討会でも御議論いただきましたけれども、医療法人そのもののガバナンスの強化ということで外部監査や財務諸表の公告というような話も差し上げておりますし、あとは、今村委員の御意見でもございましたけれども、参加法人に対してどういった内容の情報公開を義務づける必要があるのか、やるとしたらどういった内容なのかとか、そういった点についてまた御意見いただければと思ってございます。
○田中座長 最初の論点ですけれども、個人が入っていると、個人は医療法人ではないわけですよね。その人たちの参加の形とか、個人には医療法人に関する条文は適用されないので、剰余金の配当禁止などとも個人事業者には当てはまらないですね。個人事業者は、利益は個人所得ですから、全額配当と言われかねない。法人の利益配分の話と個人事業主は性質が違うので一緒にしてはいけないにしても、個人の扱いは結構難しいかなと思うのですが、それをどういう形で取り込む予定なのでしょうか。
○事務局 御指摘のとおりでございまして、この個人というものをどのように取り扱うというのは一つの大きな論点かなと思ってございます。頭の整理というか、一つのアイデアとして申し上げる感じであれば、例えば法人と同じような形で事業計画とか予算書とかそういったもの、完全に自分の中の医療事業をやっている部分についての法人並みの各種書類といいますか、各種整理をしたということをやはり各個人事業主さんたちに求めていくということであれば法人並みの形にはなるのかなと思っておりますし、それがどういった形がいいのかというのはなかなか難しい論点かなと思っております。
一方で、地域の医療に対する個人の方々の影響、個人開業医さんの影響と申しますか、存在感の大きさというのもございますので、それを何かしらの形でこの新型法人にも入ってこれるような道も用意しておくのが地域医療全体を考えるといいのではないかとも考えておるというところで、ちょっと御意見いただきながら、また事務的にも検討してまいりたいと思っております。
○田中座長 個人診療所、とりわけ在宅医療なさっているようなところが地域の貢献のために病院を持つ法人と協力する。これについては誰も反対しないと思うのですけれども、個人にガバナンスという概念は当てはまりません。法人だからこそ当てはまる。地域医療の中の大切な存在であることと、親法人に加わることは異なります。この法人制度の新しいあり方はさらに事務局でも詰めていただく必要があるように感じました。
などと座長が意見だけを言っていてはいけないので、皆さんから意見を言ってください。
松井委員、どうぞ。
○松井委員 ありがとうございます。2点ほど、確認というか、お伺いしたいことがございます。1点目といたしまして、7ページの一番下で、参加法人の業務の中に資金の貸し付けというのが入っております。これを認めることについて、結論において別に反対だというわけではないのですが、新型法人から参加法人に資金の貸し付けをするという場合、その原資はどういうものを想定しているのかがちょっと気になるところです。つまり、この貸し付けという業務をどれだけ新型法人に期待するのかということでもありまして、新型法人の最初の設立段階である程度資金があって、それを貸し付けるということなら比較的シンプルな話なのですけれども、恐らくそれでは足りないような場合もあるだろうと思います。そうなると、新型法人は貸し付けの資金をどこから調達してくるのだろう、と。新型法人自体は基本的に利益を生むわけではありませんし、経費の賦課を別にすれば、参加法人から利益を吸い上げる主体でもありません。そうなりますと、これは制度上ファイナンスができるといっても、どこまで実際に期待できるかというと実は結構怪しいのではないかという素朴な疑問がございまして、そのあたり、何かイメージがあればお伺いしたいというのが1点目です。
2点目は、今も少しふれました経費の賦課です。協同組合にこの制度があるというのは前回申しました。ただこの制度は結構劇薬でして、協同組合なんかですと、協同組合として何らかの事業を行う場合、どうしても資金が必要なときに、組合員に強制的に経費を賦課するという使われ方をするわけです。そして新型法人が何らかの業務を行わなければいけない場合、以上と同じように、経費の賦課が強制的に参加法人になされるという制度になりうるのです。経費を払わないという者に対しては、訴訟をやって判決をもらって強制執行することもできるわけです。ここでは、そのような可能性もあるのだということでこの制度を考えておられるのでしょうか。あるいは協同組合とは違って、もう少し限定的な、先ほど今村委員からもございましたように、使途をかなり特定するとか、あるいは経費の賦課の仕方について何らかの必要性なり相当性の枠をかけるとか、協同組合で一般に用意されているような制度とは少し違うものを想定されているのか、このあたり、何かお考えがあればお伺いしたいと思います。
○田中座長 では、2点質問がありましたので、お願いいたします。
○事務局 今の御質問の点は多分、いろんな制度全体の中で連動してくる部分かなという感じもしております。先ほど松井委員もおっしゃいましたけれども、基本的に本部業務に特化するような形ですとほとんど収入源はないというような形になっております。また一方で、先ほど論点として提示させていただいた病院経営みたいな話でありますと、目的は別として、現金といいますか、収入口は別にあるというような形になっておりますので、そこを制度全体の中でどうやっていくのかというのはやはり大きな検討をしていかなければいけない課題なのかなと思っております。
例えば限定的に考えて本部機能だけですと、おっしゃるとおりで、先ほどのところに書きましたけれども、管理・運営に要する経費ぐらいのものしかなくて、貸し付けというほどにたまるというか、集めるというほどの話ではないとは思いますので、それとは別の形で何らか参加法人からお金を、その場合も恐らく、例えば貸し付けのような形で参加法人から本部法人に貸し付けが一定期間ある、それを前提にして資金を逆に、新規業務をやろうとしている別の参加法人に貸し付けるという資金融通の流れをつくっていくというのが一つのパターンかなというようなイメージでございますけれども、管理運営に要する経費と8ページ目の上で書いてございますけれども、先ほどおっしゃっていた2番目の話とも近づいてきますけれども、病院とかの直営事業を行わない限りですとほとんど収入源がないということになりますので、本部機能を持っている本部事務局の運営経費みたいなものもなかったり、ここに例示はしておりませんけれども、例えば研修事業を一緒にやろうと思っても、その研修のための講師の費用とかもないということになって、どういった形でそれを個別個別に各法人から集めていくのか、一括する形の、先ほどの管理運営に要する経費という中で、事業計画、予算を立てて各法人から集めていくのか、いずれにしても、何らかの、病院経営をしない場合であっては、資金源というのが本部機能を維持するだけでも必要になってございますので、それはある意味、強制的に出させるという意味と近い形でございますが、そういった御疑念とかについて、そして、おっしゃっていましたけれども、使途特定みたいな話等含めて、管理運営に要する経費と表現させていただきますけれども、そのあり方について事務的にも検討を進めていきたいと思います。
○田中座長 梶川委員、お願いします。
○梶川委員 確認にも近いことでございますけれども、今、本部の運営形態ないしはその資金の流れのようなお話が出ていたのですけれども、先ほど御説明の中で、財務諸表というお話で、今村先生、まさに参加法人の財務内容も十分に開示することが必要であるというようなお話の中で、これが協定に基づくものか持ち分に基づくものかはともかくとしまして、一体的な運営をしてある種のガバナンスを考えていこうという場合には、当然それを全体統合した形で財務の状況がわかる財務諸表というものをつくりませんと、多分、そのパフォーマンスがどのように動いていくかということは、普通、常識的に考えると見えにくい話になる。それが目的でおやりになるということなので、いずれにしても、どういう呼び名で言うかは別にして、全体を統合した形の財務諸表というのをおつくりになるのではないかなと。
また、その上で、当然ですけれども、もちろん、参加法人に外部監査というお話は今入られていますけれども、多分、統合した財務諸表に関して技術的に整理した上で外部監査をさせていただくということが、通常、社会的にも意味あることかなとは思うものでございますので、そのように事務局お考えなのかということをちょっと確認させていただきたいと思います。
○事務局 8ページの最後のところで書きましたのは、先ほどもちょっと述べましたけれども、新型法人についてのということでございまして、今、梶川委員から御指摘のあったような、全体での財務諸表の公告みたいな話について、これ自体はちょっと前例もないところでございますので、全体でどういう形でやっていくのかというのはよくよく事務的にも検討したいと思いますし、協会にも御協力いただきながら、それぞれの財務諸表の会計基準自体が異なる法人たちが集まるという中で、統合的なものがどういった形で可能になるのか、できればそれをつくっていくということだと思いますけれども、その点かなり技術的にも新しい分野でございますので、引き続きちょっと検討してまいりたいと思います。
○梶川委員 事務局おっしゃっていただいたように、多分、技術的にもまだ考えていかなければいけない、私どもの専門性から言っても考えていかなければいけないことは間違いないと思います。ただ、基本的に、先ほどの御説明のように、本部だけでございますと、会費が入って、人件費が少し出るという、法人格として単独のそこであれば、まさにそれだけでございますので、本部に20人、人がいたら、20人分の人件費があって、会費があって、ほぼ損益ゼロみたいな財務諸表ということでは、この第6番目の項目の透明性の確保という話とはちょっと違ってしまうと思いますので、もちろん、それぞれ参加法人について別の手当てがあるのだという話の文脈であればそれはそれで考えられますけれども、今、この話、統合型のお話をしている場合には、ぜひこちら会計士協会としても協力させていただきますので、その会計のあり方等も含めて御検討いただきたいということでございます。
○田中座長 御指摘ありがとうございます。
鶴田委員、お願いします。
○鶴田委員 ガバナンスということに関してですけれども、先ほど岡山大学メディカルセンター構想にいろんな課題があるという話がありました。これを静岡市に置きかえて考えますと、大学病院はありませんが、県立病院があり、労災病院のかわりに厚生連の病院があるという構造になっています。岡山大学とは異なり、それぞれの病院への派遣母体が関東の大学であったり、中部の大学であったり、近畿の大学であったりです。複数の大学から医師が派遣されている中で、医療面(医師の配置)だけのガバナンスに関しても、それぞれの病院がまずある程度の採算性を持った上で進める。それにプラス、福祉系の社会福祉法人が加わって、法人化して運営するとのことですが、そういう形でのガバナンスが本当に動くのかということについても現実的かなという懸念を覚えます。
一県一医大のところは、医師の配置に関して、ある程度の大学の影響力でガバナンスを発揮できると思うのですが、静岡県みたいに複数の大学から派遣された地域においては、この岡山方式は現実的ではないと考えます。
○田中座長 川原委員、お願いします。
○川原委員 自治体病院のところで確認しておきたいのですけれども、このペーパー、4ページのところでは「二以上の」というところで自治体病院が記載されているのですが、例えば一つの事業地域範囲の中にある自治体病院というのもありますので、それはそれでまた別途、これとは別の議論で自治体病院については、参画もあり得るという判断でよろしいのでしょうか。
○事務局 すみません。資料の書き方の問題で、誤解を招くような文章になっておるかもしれませんけれども、4ページの下の一番最後のポツのところ、2つの段落に分かれているという趣旨でございまして、上の段落は、二以上の事業地域範囲にまたがっている、大規模ではないかもしれませんけれども、広い範囲で複数の病院やっている場合の参加の仕方で、一方で、自治体病院について、それはまた二以上の事業地域範囲に限らない形で、おっしゃるとおりで、一つの事業地域範囲のものをイメージ、対象としての下の段落という趣旨でございまして、それぞれとも法人と病院と限定する形での参加の仕組みが制度的に可能ではないかというような趣旨でございます。
○田中座長 ほかに論点についての御意見はございませんか。
感想としては、まだ煮詰まってないところがあるから、意見を言うにも中身がつかみ切れないというムードが感じられますさらに事務局ではこの点について今後進めて、また委員が意見を言いやすくなるぐらい具体的にならないと、進まない感じがいたします。きょうの段階の抽象度だと、何人かから言っていただきましたけれども、そこにとどまるのかなあと。
橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 きょう改めて各先生方からのテクニカルなレベルでのお話が出てきた段階で、話の抽象度だとか、それからあと詰めなければいけない点というのが大分きょうの議論で浮き彫りにしていただけたなと、今ずっと拝聴していて感じました。そういった意味で、医療と介護というものの連携の話であるとか、それからあと非営利というものが一体何を指していて、それがガバナンスの問題とどのように関連しているのかと。それと現状の医療施設、もしくは社会福祉施設の現状のガバナンスのありようの問題ということの整合性をやはり詰めていかなければならないということは大分明確になったのではないかと思います。
その点で一番、この時期に、この場に及んでということで、ちょっと前回に引き続きなのですが、冒頭、今村先生がおっしゃったように、この制度はいったい導入の趣旨は何なのだというところが改めて見えないというところがそもそもの根本的な議論の空回りの原因になっているような気がいたします。
特にきょう、この後もしかしたら御発言があるのかとずっと期待していたのですが、保険局の医療介護連携政策課の方もお見えになっておりますし、それからあと、現在、社会福祉施設の方のガバナンスの問題を取り扱っていらっしゃる社会・援護局のほうの御参加もありますし、今日は見ていてどこにも言葉がなくなってしまったのでどうしたのだろうと思ったのですが、もともとはたしか「地域包括ケアシステム」という言葉が入っていたのですけれども、その点からは、老健局が本日は残念ながらオブザーバー参加のようなので御意見伺えないようなのですが、果たしてそういう概念とどの程度整合性がある形で今このシステムの話がされているのかといったところをちょっと整理する必要があるのではないかと思います。そういった意味で、きょうのこの話の流れぐあいから、一体どのように、当初それぞれの課で思われたものと整合性があるのか、ぜひここで医療介護連携政策課の方と、あと社会・援護局からの御意見を伺ってみたいなと思っているところです。
以上です。
○田中座長 吉田審議官、お願いします。
○吉田審議官 前回も途中からの参加で失礼いたしました。医療介護連携政策課を担当しております官房審議官です。
確かに、この制度、きょうの資料で2ページに、前回、9月のときにお示しした資料をそのままもう一度使うという形で新型法人制度の設立の趣旨について書かせていただいておりますが、ここに今、橋本委員御指摘のように、「地域包括ケア」という言葉がないではないかという御指摘をいただきました。3行目から、新型法人設立の趣旨について「地域包括ケアをさらに進めるために」という言葉を頭出しさせていただいておりますように、地域包括ケアという非常に——田中座長を前にして長くは申しませんが——新しいマネジメントシステムというものをサービスとして提供していく際に、その受け皿となるであろう提供側も、従来の医療法人あるいは社会福祉法人という、それぞれの制度の中のそれぞれの仕組みで構築されているものを、もう少し範囲の経済あるいは規模の経済というものも念頭に置きながら、ガバナンスの仕方を工夫した受け皿にできないだろうかというのが議論の出発点。
それは、言葉にこのような形でまとめるのがいいのかどうかというところはございますが、この検討会で途中論点を追加させていただいたときに、いろんなところから同じような、多少、正直、思いは違うのかもしれませんが、地域包括ケアをつくろうではないか、その受け皿となるような法人の仕組みを考えられないだろうかという一点においては共通認識ができたのではないか。この会においても何回かの議論を経て、そこまで先生方の間でコンセンサスが得られていると——私、途中からでございますので余り大きなことは申しませんが——過去の議事録を拝見したり、前回、今回の議論を伺っていても感じております。ですので、今、橋本委員おっしゃっていただきましたように、そのレベルから技術的に具体的に制度論にすると幾つか、既存の仕組みとの関係、あるいは現在の制度における制約というものをどのように超えていくのかという議論に先生方の御議論が進んでいるのだろうと受けとめております。
その上で改めて原点を確認せよという御趣旨だと受けとめれば、地域包括ケアというマネジメントのシステムをやるために受け皿となる法人がどうかということが原点であることは間違いございません。これは、率直に申し上げまして、我々、役所、行政が行います「こんな問題点が出てきました、こういう仕組みが困っております、ですから、これを改善するためにこうしたい」という多くの仕事に比べますと、地域包括ケアという目指すべき方向に新たにみんながそこに参入していただけるようにするための受け皿を、もちろん、先駆的に萌芽はありますけれども、そういう方たちの実例も踏まえながら考えていくという意味では、ちょっとアプローチが違う。新しい仕組みで実務を回せるかどうか、あるいは既存制度と整合するかどうかという議論をするという意味では、我々事務方も悩ましいところがございます。委員の先生方にも、先ほど座長におっしゃっていただいたように、もうちょっと議論しやすくするようなプレゼンの仕方、事務局の準備の仕方をせよという御指示、重ねていただいておりますので、その点は工夫させていただきたいと思いますけれども、そういう大きなコンセプトの中で今日この議論をしていただいているということと、今日までの議論を踏まえて、次回以降、もうちょっと実務的な詰めも並行させていただきながら、先生方の御議論を深めさせていただけるように事務局としても汗を流したいと思います。
1点、ここで終わるべきなのかもしれませんが、2度ほど、鶴田委員のほうから、今日、参考資料として配らせていただきました岡山大学のプロジェクトについての言及をいただきました。今村委員のほうから別途、いろいろとそれについては今村委員としてもお話をされているやに伺いましたが、私ども、この岡山大学提案を厚生労働省の事務局として、いわば腹に入れて何かしているというところではございませんが、この一連の議論の中で、こういう提案があるということもまた事実でありますし、最終的にこれを政府の案としてつくっていく際には、いろいろな各方面からの御提案、こんなこと考えているのだという方がほかにおられるかもしれませんが、そういう御提案もいろいろと頭の中でシミュレーションさせていただきながら、また、御意向があるならば、その御意向のある方々に対して何らかのきちっとした誠実な対応をさせていただくという意味で参考資料につけさせていただいております。そういう趣旨から、繰り返しで恐縮でございますけれども、地域包括ケアというこれからつくるであろう新しいマネジメントシステムの受け皿となり得る法人、受け皿となり得る事業主体というものをどのようにつくるかという観点から、私どもも求めておりますし、委員の先生方からも引き続き御議論いただきたい、ちょっと長くなりましたが、そんなことを考えております。
○橋本委員 吉田審議官から、今こういう明確な御発言をいただけたことは今日最大の収穫ではないかなと思いました。まさに地域包括ケアという新しいマネジメントの形態が求められているのだということ、そのマネジメントを受ける受け皿を今ここで議論しているのだということを言っていただけたことは、今日あった議論のうち幾つか、委員の間で意見が食い違う、もしくは対立した部分を整理するのに非常に重要な論拠になるだろうなと思いました。ありがとうございました。
○田中座長 大変よい発言、ありがとうございました。岩井課長も、資料3の説明は別として、先ほどの御質問で何か御発言いただけますか。
○岩井福祉基盤課長 後ほど資料3で社会福祉法人改革については御説明いたしますが、本日の御議論を伺っておりまして、浦野委員と太田委員の御発言なされました点というのは、社会福祉法人が参加するという場合におきまして非常に重要なポイントになるのだなと私も考えさせられております。
その背景でございますが、そもそも社会福祉法人というのは非常に公益性と非営利性の高い法人として位置づけられております。現在、改革は、公益法人改革の流れと御理解いただいても結構だと思うのですが、まさにその公益性を高める方向で進んでおります。そうしますと、社会福祉法人の公益性というのはあくまで社会福祉に関する公益でございますので、ガバナンスにつきましても、あるいは透明性につきましても、社会福祉事業を行うという観点からのガバナンスとして適切かどうかというところが大きなポイントになろうかと思います。
また、財務規律につきましても、これは公益性を担保する財務規律ということが必要でございまして、これは後ほど御説明いたしますが、やはり社会福祉法人がその本来的な使命であります地域の社会福祉に対していかに財務的に投下するかという点がキーになるという議論になっております。そういう観点から申し上げますと、先ほど両委員が御発言されたということは1つ大きな論点になると考えております。
以上です。
○田中座長 では、非営利新型法人制度の創設については、本日の今までの議論を踏まえて、次回の検討会にさらに整理されたとりまとめに向けた資料を事務局で御準備ください。
松原委員。
○松原委員 すみません。地域包括ケアの受け皿についてなのですけれども、まさに審議官おっしゃったとおりのことだと思っております。ただ一方で、地域包括ケアは、それぞれ独立した機関同士がまさに連携したり提携したり協力し合って同じ理念に向かっていくもので、地域包括ケアをするためには、地域のいろんな資源が全て同じグループにならなければいけないとか、そういうことでは決してないはずです。そこを、混同しないと思いますけれども、混同しないようにしなければいけないのだろうなと思っております。
といいますのも、医療事業者とか介護事業者のように、ほとんどが公的資金で賄えている、そういう組織と、ほとんどは私的財で、公的資金など入っていない事業者とが、地域包括ケアだから、ホールディングカンパニーで一緒にしたほうがいいよねという話になりそうな感じがするのですけれども、そこは本当に、なってはいけないという意味ではなくて、もしなる際には随分といろいろ整理していく点が、詰めなければいけない点が非常に多いのだと。今この場ですぐ、ここを詰めましょうとかそういう話ではないのですが、そういうところがあることをしっかり認識していく必要があるだろうと思っております。
以上です。
○田中座長 吉田審議官。
○吉田審議官 私の発言、言葉足らずかなと自分で思ったところを松原委員からも御指摘をいただいてありがとうございました。
先ほどの私申し上げた言葉、気持ちとしてそのとおりなのですけれども、この検討会でこれまでも御議論いただいている大前提として、今回の受け皿の仕組みというものは、先ほども議論になりましたように、参加する、あるいは脱退するに対して、もちろんそれは自由なものであり、どこかからそれが強制されるものでも、あるいは強いられるものではない。そういう意味では、いろいろな地域包括ケアという概念のもとに行われている取り組みは既にあるわけでありますので、その今ある取り組みをより進めるときの選択肢を広げるための一つの受け皿というふうに、先ほど申し上げた言葉、少し言葉を足して言わせていただきたいと思いますし、私の先ほど申し上げたことも、また、今、松原委員が御指摘いただいたことも、私としては同じ思いだということを付言させていただきたいと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
では、時間の都合もありますので、2つ目の議題、「医療法人の分割について」に移ります。事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 それでは、資料2「医療法人の分割について」をごらんいただければと思います。
おめくりいただきまして1ページ目でございます。本年6月に閣議決定いたしました「日本再興戦略」でございます。その中で、中段のところにございますけれども、「医療法人制度に関する規制の見直し」ということで、その中の一項目として医療法人の分割、「会社法の会社分割と同様のスキームを医療法人について認める」ということについての検討を求められているものでございます。
おめくりいただきまして2ページ目でございます。「医療法人の分割に関する論点」ということで書かせていただいております。
その前に、まず下半分のほう、「株式会社における事業譲渡と分割の比較」というのをごらんいただければと思います。事業譲渡と分割、今回4つの側面に沿って、大きく違ったり同じだったりする内容を書かせていただいています。
権利業務の承継については、計画なり契約の定めに従って承継するというのは似たような内容でございますけれども、その次の2つ、大きく違ってございまして、債権者保護、雇用契約につきまして、事業譲渡ですと個別の対応が必要ですけれども、分割については個別は不要だというような形が大きいかなと。さらに、一番下の課税関係でも違いがあるということでございます。
それらも含めまして、上の方の行でございますけれども、現行の医療法人では、今申し上げた事業譲渡を行うことは可能でありますけれども、分割については制度化されてないというのが現状でございます。
事業譲渡の場合につきましては、病院の廃止、新規、そういった手続が必要だとか、今ほど申し上げた債権者の個別の承諾、こういったものが必要でありまして、手続はいろいろとかかるということで、今般はその医療法人においても分割の制度を認めることとしてはどうかというものが大きな論点かと思います。
「その際」と書きました段落でございますけれども、分割制度の対象範囲は、持分ありは既存の法人しか認めていないということなので対象とするわけでございませんで、持分なし医療法人について認めることとしてはどうか。
さらに申し上げれば、最後の段落でございますけれども、税制上の観点から、税制優遇を受けている社会医療法人・特定医療法人については対象外としてはどうかというものでございます。
おめくりいただきまして次のページでございます。会社法と医療法の規定の比較というものでございますけれども、今ほどの論点を踏まえて、会社法の分割の制度をつくるといった場合におきまして、会社法における分割と、その反対であります合併、それぞれの規定と、医療法の合併の規定は既に存在しております。それらをマトリックスのような形で用意したのが3ページの図でございます。
医療法人の分割制度を導入する際には以下の規定が必要と考えられるのではないかということでございますけれども、会社法の左側の欄をごらんいただきますと、合併と分割、上下で分かれてございますけれども、細かい内容が多いのでポイントだけ申し上げれば、基本的には、内容については契約なり計画を立ててそれに沿ってやっていくと。各種手続が下半分のほうに規定されていて、株主関係も、会社なのでいろいろ規定されているという内容ですけれども、ざっくり見ればほぼ同じ内容が入っているというのが会社法の規定でございます。
一方で、医療法、右上の合併は現在もあるところでございまして、社団では総社員の同意、財団では理事の3分の2以上の同意で、知事の認可によって権利業務の承継をされるということで、その他、各種手続が下のほうに書いてあるということでございます。
そのため、医療法の合併にパラレルな形で分割というのを設けるとなると、社団の場合ですけれども、総社員の同意、財団ですと理事の3分の2以上の同意、都道府県知事の認可を受けて権利義務の承継をするということ。財産目録、貸借対照表をつくったり、債権者保護として公告や異議手続を設けるということ。最終的に登記で効力が発生しますので、登記の手続を定める。こういったものを新設分割、吸収分割という形、両面合わせて認めていくことになるのではないかというマトリックスの図でございます。
おめくりいただきまして4ページ目、5ページ目でございます。この分割という内容については、各ほかの法人についても検討されているということの例でございまして、4ページのほうは、上の点線の中段でございます。農業協同組合の改革という中で、ウ)と書いてあるところでございますけれども、「農業協同組合の見直し」ということで、単協・連合会組織の分割ということが書いてございます。
もう一ページの5ページ目でございますけれども、これは社会福祉法人制度のあり方についてのことでございます。その報告書で書かれておりますのが、一番下の方のブロックの1行目、組織再編の手段として、事業の安定性・効率性に十分配慮した上で、分割の手続を検討するべきであるということで、これらとタイミングを一にしたような医療法人の分割の制度の導入について御議論いただければと思ってございます。
○田中座長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明に対して御意見、御質問があればお願いいたします。
今村委員、お願いします。
○今村委員 この分割の制度というのが何か唐突に出てきたような感じで、私どもにとっては非常になじみのない考え方だということで、これについてはもう少し、私を含めていろいろ勉強する必要があると考えます。この医療法人の分割制度の導入というのが地域医療にとってどんな影響があるのか、果たして非営利性が担保できるのかどうか、こういった問題も重要な論点だろうと思います。
会社法の分割制度、これにもいろいろな類型があると思いますけれども、これにしても、どのような類型があって、それぞれどのように活用されているのかということも私たちは勉強していかなければいけないし、また、過去の医療法人制度改革では、制度はつくったけれども、税制がネックになって動かないというようなことがございましたので、税制上の適格分割の要件についても資料を出して説明をいただきたいと思います。
一方、一般社団法人、一般財団法人、これには分割制度はないと思いますけれども、これとの関係をどのように考えるのか。そして、分割された事業というのが他の法人に吸収されるというようなことがあれば、合併や買収と同じような見方が必要だろうと思います。そうすると、地域医療にとって非常に混乱要因になると考えますので、これについてのしっかりした検討もなされなければいけないということで、今回これだけの資料でいろんな結論を出すというのはまだ非常に拙速だと思います。
○田中座長 ありがとうございました。
松井委員、お願いします。
○松井委員 何点か御質問と、あと意見ですけれども、まず質問のほうからまいりますと、分割という制度をつくった場合に、考えられるメリットというのは恐らく2ページに挙げておられる許認可の関係で、もし分割の制度をつくった場合には、この病院の廃止届や新規の開設許可については何らかの対応措置を厚労省としてはとっていきたいということであろうと思うのですけれども、その趣旨でよいのかということ。それから、今村委員からもありましたけれども、税法上適格分割として認められるということを想定してこの制度をつくるのかということ。このあたりが多分ポイントになるのではないかと思うのですが、これがまず質問の1点目です。
それから2点目ですけれども、会社法の分割においては、立法の過程で一番問題になったのは労働者保護の問題です。これは政治問題化もしましたのでなかなかデリケートだったのですけれども、仮に医療法人について分割制度を設けた場合には、やはり労働者保護の手当てをしていくのかということです。これは2ページの雇用契約のところにもちょっと出てきますけれども、要は、分割をしますと、従来は例えばA法人の雇用を受けていたものが当然B法人の雇用に変わるわけですから、労働者に関して何らかの対応措置をとるのかどうか、そういうことを考えておられるのかどうかというのが2点目です。
特にこの場合に労働者に医師も含まれるのかというのはかなりデリケートな問題ではないかと思います。
それから3点目ですが、これは半分は意見なのですけれども、分割をした場合に、新たに法人をつくるということよりも、恐らく想定できるとすれば、既存の医療法人にある医療法人のある部門を分割して承継させるということが多分あり得るのではないかと思いますが、そのときに、例えばA法人の病院を引き継いだB法人がいた場合に、この引き継いだB法人の社員にA法人の社員が入ってきてしまう。要するに会社法の分割を考えるとそういう、今の会社法にはその制度ないのですが、昔の会社法の制度にあった制度を考えますと、B法人が病院を引き継いだ場合には、B法人の社員にA法人の社員だった人が入ってくるという可能性が出てくるのですけれども、本当にその制度でよいのか。これを認めると、分割をするインセンティブが物すごく下がるのではないかと思います。つまり、新たな社員を受け入れるか受け入れないかというのは、各法人にとっては非常に重要な問題ですから、このあたり、どうお考えなのかなというあたりをちょっとお聞かせいただければという気がいたします。
○田中座長 3点質問がございました。お願いします。
○事務局 御質問のあった点の関係でございまして、どういった制度にしていくのがいいのかというのは検討会の皆様の御意見をいただきながらというのはもちろん前提でございますけれども、こちらとして、私が思っている内容でお話しすれば、許認可ということについて何らかの対応をするのかということであれば、何らかの対応をしていくということも含めて考えていくのがいいのではないかなと。都道府県知事の認可ということでございますので、そこを何かしら、分割だけでない形にするということも十分に考えられるのかなという趣旨でございます。
それに連動しまして、税法上の扱いというのはなかなか難しい部分でございますけれども、まずは分割という制度をどうするのか考えるものなのかなと考えておりまして、言ってしまうと、税務当局とも今相談している最中でございまして、この適格分割というものがどういった範囲で対象になるのか、全てということでは恐らくないとは思いますけれども、どういった内容になっていくのかというところについて引き続き事務的にも調整を進めていきたいなと思ってございます。
労働者保護の関係でございますけれども、会社法の場合も含めてでございますけれども、労働者、どういった範囲の人たちが新しい分割先に行くのか、残るのかということについて、それぞれを分割していくための計画なり契約に書いていくというのが一般的な形でございまして、それについては、当然のことながら、この医療法人においても同様な形で、労働者保護のスキームといいますか、制度というのは、医師の方も含めて労働者保護に欠けることのないような制度にしていくというイメージでございます。
あと、社員等の関係という御質問がございまして、これもいろんな考え方あるかなと思いますが、社員というのは医療法人において大きなウエートを占めているということでもございますけれども、法人間の一方で、どういった分割をしていくのかという法人同士の、法人の中での決定というふうにも理解できますので、言われたのは、別の法人に分割していくというパターンでございますけれども、そういった場合ですと、既存の法人と分割を受ける法人との間でどのように決めていくのかという、ある程度の法人の自治に委ねていくというのも一つのパターンなのかなと思っておりますし、新しい制度でございますので、ほかの法人類型の検討状況も見ながら、どういった内容がいいのか、具体的なものについてまたお示ししたいなと思ってございます。
○松井委員 すみません。先ほど、コメントすると言って、意見の部分をちょっと忘れてしまったのですけれども、新しく分割して法人をつくる場合には、その既存の社員が新しい、分割してできた法人の社員にもならないと社員がいなくなってしまうので、多分、これはそのままで、既存の社員が新しい法人の社員になるというのでいいと思うのですけれども、承継する法人がいる場合については、私は、当然に既存の法人の社員が例えば病院なら病院を引き継いだ法人の社員にならなくてもいいという選択肢があるのではないかという感じがしております。
会社法、要するに株式会社の場合については、持分持っていますから、事業を引き継いだ法人の株主にもならないと財産権侵害になってしまうのですけれども、要するに財産を食い取られてしまうことになるのですけれども、持分なし法人についてこれを認めるということであれば、病院が移転したからといって何らかの財産権なり持分なりが侵害されたという話になりませんので、なので、株式会社とはそこは違う考え方をする余地はあるのかなと。細かく詰めているわけではありませんけれども、そのように考えております。
○田中座長 西澤委員、お願いします。
○西澤委員 1つ教えていただきたいのですが、2ページですが、対象とするのは、持分なし医療法人、しかし、社会医療法人、特定医療法人は対象外ということになっていますが、現在、この対象になる医療法人の数というのはどのぐらいあるのでしょうか。
○事務局 大ざっぱに数だけ申し上げれば、医療法人約5万あるうちの持分なしが約8,000という数字でございまして、社会医療法人、特定医療法人は数百、200と300ぐらい、合計500程度でございますので、大体7,000ぐらいの法人が対象になるかなというイメージでございます。
○西澤委員 全医療法人ですね。私のイメージだと、分割ということは、1人医療法人は多分対象外だとすると、病院をやっている医療法人だけとすると、数はもうちょっと絞られるのではないかと思います。そういうことで、実際分割可能な法人という数で見るとどれぐらいあるのか教えていただければと思います。
○事務局 1人医師を除きますと約1,000法人ということになります。病院開設をしている医療法人の社団と財団を合わせますと約1,000、950でございます。
○田中座長 この点についても、きょう結論を出す話でないので、幾つかの御質問もありましたし、懸念もあったし、コメントもいただきました。それを踏まえて次回に向かってさらに整理をお願いいたします。
では3つ目の議題、「その他」に移ります。社会・援護局、岩井福祉基盤課長から、社会福祉法人制度改革について説明をお願いいたします。
○岩井福祉基盤課長 それでは、お時間もございませんので、簡単に社会福祉法人制度改革について御説明いたします。資料3と参考資料がございますが、資料3で御説明いたします。
初めに、一番最後の8ページをご覧いただきたいのですが、社会福祉法人につきましてはさまざまな指摘がございますが、本年の6月24日に閣議決定で規制改革実施計画が定められております。その内容は、経営管理体制の強化、情報開示ですとか、内部留保の明確化と、その福祉サービスへの再投資、社会貢献での活用、社会貢献活動の義務化などと多岐にわたる事項が定められております。これらにつきましては、当然でございますが、きっちり対応していくということが前提でございます。
その上で、先ほども申し上げましたが、社会福祉法人改革について議論されているのは、社会福祉法人の公益性と非営利性というものを、もともと高いものをきっちりと高めていく。そして、あるべき姿にしていくということがポイントになっているわけでございます。その中で、公益法人改革なども参考にして議論がされております。
2ページをごらんください。「社会保障審議会福祉部会の審議経過」でございます。8月27日に第1回を行いまして、月に3回程度のペースで行っております。現在、経営組織の在り方、運営の透明性の確保の在り方、業務運営、財務運営の在り方などについて議論が進んでおります。今後、年内にとりまとめていただきまして、次期通常国会に法案を提出する予定でございます。
次、3ページでございますが、メンバーでございます。これは田中部会長以下23名の委員の先生方に現在御審議いただいております。
4ページをごらんください。改革事項の第1点でございますが、「経営組織の在り方について」です。いわゆるガバナンスの強化でございますが、ここにありますとおり、社会福祉法人につきまして、一般財団、あるいは公益財団と同等以上の公益性を担保できる経営組織とするという形になっております。
具体的な内容でございますが、例えば理事会につきまして、それを制度化しまして、理事、理事長に対する牽制機能を働かせる。そして、その一方で、理事等の義務と責任を法律上明記するという点です。
また、評議員会でございますが、現在、任意設置の諮問機関となっておりますけれども、これを議決機関で必置の機関にするという形になっております。そして、理事会が一般的な経営についての意思決定機関であれば、評議員会は基本的なルール、体制、そして事後的な監督を行う機関として位置づけるという方向で議論が進んでおります。
また、監事につきましても、調査権限や、その義務などを明確にするという方向です。
また、会計監査人につきまして、一定規模以上の法人への会計監査人による監査の義務づけを法律上明記する方向で議論が進んでおります。
いずれにいたしましても、公益性を担保する観点から、社会福祉法人の自律的な経営を確立する方向で議論が進んでおります。
1ページ飛ばしまして、6ページをごらんください。改革事項の第2点目でございます。運営の透明性の確保です。これにつきましては、見直し案にございますとおり、社会福祉法人の高い公益性に照らしまして、公益財団以上の運営の透明性を確保するという観点から議論が進んでおります。
具体的には、ここにありますとおり、定款、事業計画書、役員報酬基準を新たに閲覧対象とすること、閲覧請求者を利害関係人から国民一般にすること、貸借対照表、収支計算書、役員報酬基準を公表対象とすることとなっています。
また、2番目の○でございますが、既に通知で公表を義務づけておりますが、現況報告書、これは役員名簿、補助金、社会貢献活動に係る支出額、役員の親族等との取引内容などでございまして、参考資料のスライドの56、57にございますが、極めて多岐にわたる事項が盛り込まれております。
これらにつきまして、さらに役員区分ごとの報酬総額を追加した上で、閲覧、さらに公表の対象とすることを法令上明記する方向で議論が進んでいます。また、公表の手段につきましては、国民が情報を入手しやすいホームページを活用するという方向で議論されています。
下の表をごらんいただければと思いますが、現行に対しまして見直し案というのが社会福祉法人改革の姿でございます。公益財団等に比べましても公表範囲が広く、現在の議論でありますと、我が国で最も透明性の高い法人という形になる方向で議論が進んでおります。
次のページをごらんください。改革事項の第3番目でございます。財務規律についてです。財務規律につきましては、これも社会福祉法人の公益性を担保する財務規律を確保するという方向で議論がされております。3つの柱からなっておりまして、第1点目が適正かつ公正な支出管理。具体的に申し上げますと、役員報酬基準の設定や関係者への特別利益供与の禁止、外部監査の活用等でございます。これによりまして、そもそも支出管理、運営等の適正性をまず確保するということが第一でございます。
その上で、社会福祉法人の事業を適正に運営した上で、さらに利益が生じます。これにつきまして、余裕財産の明確化を行うのが第二の柱です。そもそもこの議論の背景といたしまして、特別養護老人ホームにおいて内部留保が蓄積しているのではないかという議論がございます。しかしながら、内部留保につきましては、何を内部留保と考えるかについては明確な定義がなく、また内部留保それ自体は決して余裕財産をあらわすものではないと。すなわち、資産になっているものもありますし、それ自体が余裕財産とは言えないということでございます。したがいまして、そもそも余裕財産とは何かをまず明確化するということが柱の2番目でございます。
その内容が「2」のところでございまして、いわゆる内部留保と言われているもの、この中から法人が事業継続する上で必要な財産というものをまず控除する。また手元流動性の運転資金なども控除する。それで残ったものがいわゆる余裕財産と考えられるものでございますので、社会福祉法人の場合はこれを計画的に福祉サービス等に再投下していただく方向で議論が進んでおります。
すなわち、社会福祉法人におきましては、余裕財産というものは基本的にはなくて、全て地域住民に還元するという形に制度設計が進んでいる状況です。その具体策がいわゆる再投下計画でございまして、この中で地域のニーズに対応した新たなサービスへの展開や人材への投資、また社会貢献活動というものの義務づけが閣議決定されていますが、地域における公益的な活動を実施する方向でございます。
こうした中で、その対象でございますが、全て投下の対象は社会福祉法人の本来事業であります社会福祉事業、あるいは公益事業、いわゆる社会福祉に関する事業に限定いたしましてこれを投下していただくという方向で議論が進んでおります。そういう形で全て地域住民に還元していただく。その結果、社会福祉法人の財務規律の公益性が担保されるという方向で議論がされております。
現在、投下先の地域公益活動とは何か等の議論が進んでいるという状況でございます。
簡単でございますが、以上です。
○田中座長 短い時間で説明ありがとうございました。何かコメントございますか。
社会福祉法人をめぐって、改革に向かってかなり急ピッチで議論が進んでいるところです。医療法人についても、前にあった公益法人改革、そして、現在の社会福祉法人制度改革などを踏まえた議論も今後必要になってくると考えます。御説明ありがとうございました。
時間になりましたので、本日はここまでといたします。事務局より、次回の説明をお願いします。
○事務局 本日はありがとうございました。次回につきましては11月上旬で調整中でございますので、また改めて御連絡いたします。
また、本日御議論いただいた点につきまして、時間の関係上発言できなかった御意見等ございましたら、適宜事務局まで御連絡いただければと思います。
○田中座長 大変難しい課題であるにもかかわらず、本日それぞれ委員から的確な御発言をいただきまして、まことにありがとうございました。これにて終了いたします。
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