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2014年10月8日 第2回 医療法に基づく臨床研究中核病院の承認要件に関する検討会 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成26年10月8日(水)16:00~18:30


○場所

厚生労働省 12階 専用第12会議室(中央合同庁舎5号館)


○出席者

委員

楠岡座長 青谷委員 和泉委員 大津委員 近藤委員
下瀬川委員 中川委員 中西委員 橋本委員 花井委員

事務局

福島審議官 (厚生労働省大臣官房)
飯田審議官 (厚生労働大臣官房)
神ノ田課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
河野治験推進室長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)

○議題

1.臨床研究中核病院の承認要件に関する検討について
2.その他

○配布資料

資料1 臨床研究中核病院の承認要件に関する主な論点について
参考資料1 第1回医療法に基づく臨床研究中核病院の承認要件に関する検討会議事録
参考資料2 医療法抜粋(臨床研究中核病院関連記載部分)
参考資料3 特定機能病院制度の概要
参考資料4 製薬企業との不適切な関係が指摘される主な臨床研究事案の概要

○議事

○神ノ田課長 それでは、定刻前ではありますが、委員の皆様方おそろいでございますので、ただいまより「第2回医療法に基づく臨床研究中核病院の承認要件に関する検討会」を始めさせていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本検討会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は全員の委員の皆様方に御出席をいただいております。

 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。

 1枚紙で議事次第と配付資料一覧を記載したものがございますので、それに沿って御確認をください。

 議事次第の次に、それぞれ1枚紙で、座席表、委員名簿がございます。

 その後に資料1と、その後に参考資料が1から4まででございます。

 不足や落丁等ございましたら、事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。

 それでは、これより議事に入りますので、審議の円滑な実施のため、撮影はここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○神ノ田課長 それでは、以後の進行につきましては、楠岡座長にお願いいたします。

○楠岡座長 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速、議事に入りたいと思います。

 本日の議題1は「臨床研究中核病院の承認要件に関する検討について」でございます。資料1として「臨床研究中核病院の承認要件に関する主な論点について」が提出されておりますので、事務局より、まず、これの御説明をお願いいたします。

○南川補佐 それでは、資料1、そして参考資料も含めて御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料1を1枚おめくりいただいて、2ページ目を御確認ください。臨床研究中核病院の要件(医療法第4条の3)と検討会の主な論点については、前回、第1回目の資料の繰り返しになりますが、もう一度御説明させていただこうと思っております。

 医療法上の臨床研究中核病院の承認要件の規定としましては、1から10の号に分かれております。

1号は、特定臨床研究に関する計画を立案し及び実施する能力を有すること。

2号は、他の病院、又は診療所と共同して特定臨床研究を実施する場合に当たっては、特定臨床研究の実施の主導的な役割を果たす能力を有すること。

3号は、他の病院、又は診療所に対し、特定臨床研究の実施に関する相談に応じ、必要な情報提供、助言その他の援助を行う能力を有することとなっております。

4号目が、特定臨床研究に関する研修を行う能力を有することとされておりまして、前回も御議論いただきました主な論点としましては、この確認基準というものをどう定めていくかということになっております。その観点としては、体制及び実績等で考えていくのではないかという御提示をさせていただいたと思っております。

5号については、厚生労働省令で定める診療科名を有すること。

6号については、厚生労働省令で定める数以上の患者を入院させるための施設を有すること。

7号につきましては、その有する人員が第22条の3の規定に基づく厚生労働省令で定める要件に適合するものであること。この要件につきましては、臨床研究に携わる医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者は何名程度必要になるかという形で人員要件となっております。

8、9号についても施設の要件で、臨床研究中核病院はどのような施設が必要か、その施設はどのような構造設備かという形の要件となっております。

次のページを御確認ください。これも前回お出しさせていただいた資料ですが、医療法上の臨床研究中核病院の承認要件(イメージ)という形で、先ほどの1から10の要件について、まず、主な機能を確保するために必要な体制、そして必要な実績の具体例を事務局から例示させていただいて、御議論いただきました。そして、施設に関しては、法律で定めるとされている診療科名、病床数、そのほか、どのような施設が必要かという御議論と、人員に関することについては、具体例を御提示させていただきました。

これにつきまして、次の資料4ページ目を御確認ください。この資料につきまして、さまざまな御意見をいただきまして、まず、主な機能につきましては、講座単位などの縦割りではなくて、病院全体としてのガバナンス能力が発揮できる体制の確保が最も重要であり、ガバナンス体制が確保されているかの確認のためには、第三者による外部評価を導入すべきではないかという御意見。研究不正防止のための管理体制を明確に定めるべきではないかという御意見。国民からの信頼・理解を得て、臨床研究への参加を促すため、みずからの機関における臨床研究に関する情報公開を実施すべきではないかという御意見。臨床研究を担う高度な人材を育成するための系統的なプログラムや施設等の環境整備、そのための研修責任者を明確にするなど、トレーニングログを残すことが必要ではないかという御意見。研究者や専門家同士の評価やピア・レビューが頻繁に実施されるような環境整備が必要なのではないかという御意見。ほかの施設の模範となるような質の高い倫理審査委員会の設置が必要ではないかという御意見。創薬、医療機器開発に関する研究については、異分野と連携を容易にする体制も必要ではないかという御意見。そして、患者が臨床研究への参加を検討する際に、相談できる窓口が必要ではないかという御意見。そのほか、いろいろな御意見をいただきました。

そして、施設に関しては、国際標準化機構や米国病理学会など、国際規格を満たした検査室が必要なのではないかという御意見。データセンターとして、サーバーは必ずしも必要ではないけれども、やはりデータ管理がしっかりできるセンターの役割を有する体制が必要ではないかという御意見。人員に関しては、いろいろなかけ持ち等がある中で、ちゃんとエフォート率を算定すべきではないかという御意見等をいただいていたと思います。

ここまでが前回までの議論の復習という形になります。

その次のページを御確認ください。これらの議論等を踏まえて、事務局のほうで、今回の会議に当たって、論点を11ほど立てさせていただいております。

まず、「主な機能(体制)」に関する論点としまして、論点1ですが、論点1の中に2つございます。1つ目は、研究不正を含めた、臨床研究機関全体のガバナンス体制を、どのように確保するかという点。そして、過去に研究不正が認められた臨床研究機関の取り扱いをどのようにするかという点を立てさせていただいております。

この対応案としまして、1つ目が、病院長を中心として、臨床研究に係る重要事項の審議や不正事案の対応の検討、各種実施状況の報告などについて検討する会議体の設置を要件としてはどうかというのを御提案させていただいております。

そして、2つ目のところですが、臨床研究中核病院における臨床研究の実施状況や研究不正対応に係る第三者委員会の設置を要件としてはどうかと書かせていただいております。

これについて、参考を見ていただければと思いますが、ガバナンス体制のイメージとしましては、病院長を含めた会議体を設置して、そこに対して、研究を実際にやっている研究チームの方、そして、その研究を支援する組織の人も定期的に報告をするという体制をつくりまして、この会議体において、病院長を中心にした強い監督権限を持つことによって、研究不正が起こったときに、この会議体が中心となって、しっかりとした対応ができる体制をとっていくことにし、それに加え、外部に中立・公正な第三者による研究活動全体を評価する第三者委員会を設けて、研究活動全体だったり、不正に対する対応について、しっかりやっているかをチェックする体制の設置を臨床研究中核病院の要件として考えたらどうかということを記載しております。

そして、過去に研究不正が認められた臨床研究機関の取り扱いにつきまして、承認時の審査の際に、研究不正が過去にあったということであれば、どのような不正があって、それに対して、ちゃんとした再発防止をやっているか、そして、そのことが十分確認できるかどうかを審査時に確認するという対応案でいかがかと考えております。

次は論点2ですが、臨床研究中核病院に必要な各種体制を確保するための要件を、どのように設定するかという論点を立てさせていただいております。

特定機能病院でもこのような形で要件を設定している部分があるのですが、部門の設置であったり、専任者の選定、会議体の設置、規程・業務手順書の作成及び教育・研修の実施等を要件としてはどうかとさせていただいております。

具体的には、各種体制というのは、前回の御議論の中で、これぐらいの体制が臨床研究中核にあるべきであろうという体制について、例えば、データの管理体制であれば、管理部門の設置をした上で、管理部門がデータ記録の管理を徹底するとか、利益相反管理体制であれば、利益相反委員会をちゃんと開催していること、もしくは利益相反のポリシーのような規程をちゃんと持っていることであったり、あと、ネットワークの構築体制であれば、中央事務局の設置であったり、それこそ医学分野以外との連携をちゃんと持っていることであったり、安全管理体制であれば、未承認薬等を扱うことも臨床研究中核病院は多いと思いますので、それに対する管理、それは部門の設置なのか、それとも専任者の選定なのか、いろいろな考え方がありますけれども、そういうものをしっかりやれていること。そして、有害事象が起こったときの有害事象に対する評価がちゃんとできる、効果・安全性委員会の開催などが要件として考えられるのかというふうに例示させていただいております。倫理審査体制については、質の高い倫理審査委員会の設置であったり、他の医療機関の倫理審査ができるような体制の構築、知財管理・技術移転体制については、専門家委員会の開催等。研修実施体制については、高度な人材を育成するための統括責任者及び系統的なプログラムを有することであったり、国民への普及・啓発及び研究者への相談体制というのは、情報公開に関する指針の策定であったり、相談室の設置等という形で書かせていただきます。

いずれにしろ、この対応案に書いてある全てのものを要件とする必要があるわけではないですが、どういうものが必要であって、逆に対応案に書いていないような要件もちゃんと設定したほうがいいのではないかという御議論をしていただければと思います。論点2については以上です。

次に、論点3を御確認ください。論点3につきましては、1つ目の論点が、特定臨床研究をどのように定めるかと、「特定臨床計画の計画を立案し実施する」機能を、どのように評価するかという点を論点として挙げさせていただいています。

まず、特定臨床研究についてですが、これまでの経緯もございますので、国際水準の臨床研究として、医師主導治験、first in human試験、ICH-GCP準拠の臨床研究を特定臨床研究として定めてはどうかと御提案しております。

ICH-GCP準拠の臨床研究の定義というのは一体どのようなものかというのは、前回御質問等ありましたけれども、データの信頼性確保がしっかりと行われた研究と定義してはどうかという形の御提案をさせていただいております。

特定臨床研究が定まった上で、要件としてどう考えるかというところですが、これは年間の新規実施件数を要件としてはどうかと考えております。

また、具体的に年間の実施件数は何件かというのは、それを決めるに当たっては、これまでのいろいろな調査等の情報収集だったり、改めて調査を行うことによって決めていけばいいのではないかという形の御提案になっております。

そして、実績要件のもう一つとしては、論文数というのは、特定機能病院でもあるのですが、それに準じて所属機関の医師が研究代表者として、査読のある学術雑誌に掲載した英語の論文数としてはどうかという形で出させていただいております。

次に、論点4ですが、「他の医療機関と共同して特定臨床研究を実施する場合に、主導的な役割を果たす」機能を、どのように評価するかということにつきましては、論点3のところで実際の新規実施件数が1つの実績要件としてあるとしたら、その中で、実際に他施設共同研究を主導しているものがどれぐらいあるかという形で実績の要件を考えてはどうかと思っております。

具体的に、参考のところを見ていただければと思いますが、特定臨床研究として、仮に医師主導治験、first in human試験、ICH-GCP準拠の臨床研究等を定めた場合に、この実施件数が年間何件であるか、そのうち多施設共同研究となるものは何件であるかという形で定めた上で、例えば、その中に医師主導治験もしくはfirst in human試験を含むだったり、それぞれ何件ずつ含むだったりとかいう形の定義の仕方、実績の要件の仕方について御提案させていただいております。論文については、査読のある学術誌に掲載された英語の論文数が幾つかということで、年間何本という形のイメージをお示しさせていただいております。

次は、論点5を御確認ください。論点5についてですが、「他の医療機関に対して、特定臨床研究の実施に関する援助を行う」機能を実績として、どのように評価するかということですが、他の医療機関に対する下記のような支援、これは後ほど御説明しますが、実績要件としてはどうか。また、要件を検討する際には、実績調査、これまでの調査を含めた実態を把握してはどうかということですが、参考にありますとおり、支援の概要としましては、例えば、他の医療機関の研究に対するプロトコール支援を行うだったり、他の医療機関の研究に関する倫理審査を行うだったり、データマネジメントだったり、モニタリング件数を行うだったりするのを、年間何件やっているかという実績です。これについて、定義を明確化するために、他の医療機関と契約に基づいて支援した数という形で定めていってはどうかという形で事務局から提案させていただいております。そのほかの相談件数についても、○件/年という形で提案させていただいております。最終的な○の中身は、先ほどの特定臨床研修のところと同じですが、これについてはまた後ほど、この後の検討会において御議論いただくとして、まず、この考え方として、このような形でいいかを本日御議論いただければと思っております。

論点6の「特定臨床研究に関する研修を行う」機能を実績として、どのように評価するかということですが、これについては、実際に行われている研修の実態、具体的には受講者の職種、人数、開催頻度などを考慮して検討させていただければと思っております。

次のページを御確認ください。論点7ですが、臨床研究中核病院のために必要な診療科名の要件をどのように設定するかというところですが、これの対応案としましては、特定機能病院においては、高度な医療を提供する目的のもと、幅広い診療科名を要件としております。臨床研究中核病院においても重篤な有害事象への対応が求められることでは、一定程度幅広い要件が必要だと考えておりまして、まず同様の要件を前提として、どのように定めるかを考えていただければということで対応案とさせていただいております。

具体的に特定機能病院の診療科名の要件というのは、※のところにありますが、内科、外科、精神科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、脳神経外科、整形外科、歯科、麻酔科、救急科という15診療科が特定機能病院に必要な診療科名とされておりまして、がん、循環器病疾患、その他国民の健康に重大な影響のある疾患に関し、高度かつ専門的な医療を提供する特定機能病院においては、そのうち10診療科名以上を含むことという形で定められております。これについて、15診療科なのか、15診療科の中でどれが要らないのかとか、15診療科のうちの10を選ぶという形の考え方でいいのではないかということも含めて、いろいろ御議論いただければと考えております。

次に、論点8なのですが、臨床研究中核病院のために必要な臨床数を、どのように設定するかですが、病床数については、病院の一般的な、基礎的な機能も考えるという観点から、特定機能病院と同様に400床以上を施設の要件としてはどうかという形で御提案させていただいております。

論点9は、前回ちょっと御議論いただきました臨床研究中核病院の検査室の要件をどう設定するかということですが、国際水準の臨床研究等を実施するためには、ISOなどの国際規格を参考に一定の基準を満たしていることを要件としてはどうかという形の対応をさせていただいております。

次のページを御確認ください。論点10の人員に関する論点ですが、まず、臨床研究に携わる医師・歯科医師・薬剤師・看護師の算定方法をどうするか。専任の数、または常勤換算の人数だったり、もしくは専従という考え方がございます。また、必要な人員数をどのように設定するかですが、これについては、対応案としては、調査結果に基づき検討なのですが、具体的に調査を行うに当たって、例えば、特定機能病院では、常勤換算の数という形で人員に関する要件を定めていますが、専任の数だったり、専従の数でしっかりと見たほうがいいのではないかとか、そういうような御議論をいただければと思っております。

論点11、その他従事者はどのような者か。また、それぞれ何名必要かという論点ですが、対応案としましては、その他の従事者としては、臨床研究コーディネーター、データマネジャー、モニタリング・監査担当者等は、臨床研究に携わる薬剤師・看護師等とも役割が重複する場合もあるため、最低限の必要人員数を定めてはどうかというふうに立てております。

参考のその他従事者の定義(案)について御確認ください。例えば、臨床・研究コーディネーターというのは、現在の記載では、当該業務の実務経験を○年以上有しており、上級CRCの研修を受けていることという方が何名以上必要かという形の要件の設定になっていくかと考えております。

ただ、実務経験何年以上というのは、例えば、上級CRC研修を受けるための要件として実務研究3年以上という要件がございますが、ほかのものについても具体的に各種調査等考えるに当たって、実務経験何年以上必要かという点だったり、そもそも、例えば、この職種までは要件として要らないのではないかということを御議論いただければと思います。

なお、CRCの機能を持っていたとしても、それは臨床研究に携わる看護師とも役割が重複する場合もあると思いますので、コーディネーターについては最低限の数、どのぐらい基礎体力として必要かという形で定めてあるのかという御提案をさせていただいております。

他方、生物統計家だったり、知財・技術移転担当者については、論点10に掲げられている人員とは重複しない場合が多いと思いますので、これは調査をした上で、最終的に具体的な数を入れてはどうかと思っております。

具体的には、参考の人員の定義だったりとか、本当に必要かどうかについて御議論いただければと思っております。

最後のページ10を御確認ください。これは前回の第1回目の御議論を踏まえて、医療法上の臨床研究中核病院の承認要件のイメージとしまして、必要な体制については、研究不正を含めた研究機関全体のガバナンス体制をしっかりしていくことが極めて重要な要件だと思いまして、それ以外にも、前回御指摘いただいたような体制についての要件を満たしていく必要があるのかなと考えております。

実績については、法律の要件がございますので、臨床研究の実施件数の中で、他施設共同研究をどれだけ主導するかということも実績として考えていかなければいけないと思っているのと、ほかの医療機関に関するプロトコールの作成支援の件数も入れていかなければいけない。研修というところは、高度人材育成のための系統的なプログラム等も考えていかなければいけないという形で入れております。赤い部分は、これまで説明した部分を踏まえて追記しているものでございます。

資料1の説明については以上です。

簡単に参考資料も御説明させてもらいますが、参考資料1については、前回の議事録ですので、また適宜御確認いただければと思います。

参考資料2については、これも前回つけさせていただきましたが、医療法における条文の抜粋でございます。

参考資料3については、特定機能病院制度の概要でございます。これについても適宜御参照いただければと思います。

参考資料4については、研究不正の話は前回かなり御議論になりましたので、製薬企業との不適切な関係、報道だったりとか、自己点検、製薬企業の調査等から指摘されている臨床研究事案の概要を3つ御紹介させていただいております。

事務局からは以上です。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 これから、今の論点を中心に議論を進めていくことになると思いますが、まず、資料全体につきまして、細かい点は後ほどまた詰めていきたいと思いますが、全体につきまして不明の点とかがございますか。よろしいでしょうか。

そうしましたら、個別の点は議論の中で明らかにしていきたいと思います。資料の5ページから、「主な機能(体制)」に関する論点が順番に挙げられております。この資料1の3ページのところの大まかな枠組みに関して、これは法律のほうでもう記載されていますので、どうしても詰めていかないといけない項目です。けれども、それ以外の点に関しては、前回いろいろ御議論いただいて、最後のページにありますように、赤字で記入されているようなことが、追加といいますか、詳細を決めていく必要があるのではないかとまとめたことになるかと思います。したがいまして、最後のイメージの各項目が、5ページの論点1からの順番になっておりますので、論点1から順次進めていきたいと思います。とりあえず、最後の論点まで、一応、きょう、何らかの形で御議論いただいておきたいので、込み入ってきたところになると、後のほうとの関係もございますので、そこは調整させていただきながら順次進めさせていただきたいと思っております。

まず、論点1ですが、これに関しては、前回、まずはとにかくガバナンス体制をしっかり持ってもらわないと、今、いろいろ報告あったようなことを防ぎ切れないのではないかという話になりました。結局、1つの案としましては、病院長を含めた会議体をつくって、そこで全体を見ると同時に、外部に第三者委員会を置いて、そこがさらに検討していくという体制をつくってはどうかという案が、出されたかと思います。まず、この点につきまして、いかがでしょうか。

花井委員、どうぞ。

○花井委員 いわゆる研究のモニターではなくて、例えば、行っている研究を講座がモニターしてもそれはだめだと。それぞれの研究を、外からの視点が要るでしょうという議論のあるところで、その機能をこの病院に付するとしたら、こういう形だろうということだと思うのです。うまくワークすれば、一応、目玉になると思うのですが、注文をつけておきたいのですけれども、まず、位置づけとして、研究は施設長が最終責任を取るわけですね。倫理委員会が承認して、施設長がゴーサインを出す。最終的には倫理委員会の意見を聞きながら、施設長がとめるときも責任を持つということなので、施設長の諮問機関というイメージなのか、もうちょっと外れた形の第三者というイメージなのか、どちらをイメージされているのかということと、それから、大事なのは権限ですね。つまり、何かあるときに調査をできるかですね。何か起こったときに、調査したときにわからない尽くしではどうにもならないので、研究する者たちがこの委員会に対して調査に協力するものだということが決められていて、これがワークするのであれば、かなり効果があると思うのですが、今、思いついた範囲だけを申しましたけれども、必ず機能するようにこれを位置づけることを御議論いただけたらと思います。具体的に言うと、発議権とか、定期報告を求めるのかとか、そういったこと。あと、内部に常にいる人もいなければ、みんなお客さんではまずいので、その配分をどうするかとか、そういったことをきれいに決めていけば、いいものができるかなと思います。

 以上です。

○楠岡座長 1つのイメージとして、病院長を含めた会議体というのが、臨床研究を実施していくことに関する、いわゆる取締役会というか、執行責任部門であって、それに対して第三者委員会が監査役といいますか、監事のような形で存在しているというのが、多分、このイメージだと思います。今、花井委員が指摘されたように、個々の研究に関してはIRBがチェックをする。ただ、システムとしてちゃんと動いているのかどうかとか、あるいはIRBが見る内容を超えたところでの問題点に関しては、まずはこの会議体が調査を行える、あるいはモニタリングする、場合によっては調査を行う。そのため、調査ができる権限を明示しておくことと、そのとき、研究チームから定期報告を受ける。それはできると思いますが、第三者委員会が具体的にどんな役割を持って、権限を持つかということは、言うならば監査役的な形ということで、もうちょっとはっきりさせておかないと、第三者委員会というだけでは具体的な役割がもう一つはっきりしないかと思います。今のような点で考えられているわけですけれども、ほかに御意見としていかがでしょうか。

 青谷委員、どうぞ。

○青谷委員 会議体をつくって監督責任を明確にすることも大事なのですが、ぜひ臨床研究の中核病院には、自浄作用といいますか、自主的に間違っているところを改める機能を持っていただきたいと思うのです。例えば、不正かどうかわからないけれども疑わしい、「不正疑惑」があったときに、告発という言葉が適切かどうかわかりませんがそれを報告して、内部調査を適切に行い、報告者は保護されて、改善策をまずは内部で検討するという体制整備に期待したい。第三者委員会に外出しして、その判断を仰ぐのではなくて、内部で一度、何が起こったのかを早く情報収集して対応策を検討する体制が望ましいと思います。本当にそんな問題が発生したのかという調査のトリガーとなる報告を気軽にできる体制も必要だと思います。「この研究について、私は心配なんです」と、例えば看護師さんや研修医が報告できる体制を作っておくことも大事ではないかと思います。

○楠岡座長 そういう意味では、会議体に対する内部通報のようなものをきっちり体制としては持っておいていただくということ。

○青谷委員 それが病院長を中心とした、偉い先生方の院内監督体制がいいのか、それとも「オフィス・オブ・リサーチ・インテグリティー」という名前は別として、不正疑惑があったときには、このような第三者機関に第一報をお寄せくださいという体制が良いのかについても検討したいところです。各病院が決められればよいと思いますが、院内の職位の高い先生方が集まって研究者を監督するという体制ではなく、中核病院には、職員みんなで臨床研究に取り組んで、何かが間違ったときにはみんなでチェックをしていく体制を作っていくことが、本当の意味でのガバナンス体制整備なのではないかと思います。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。中川委員。

○中川委員 今のお話は、慶應の手術中にありましたね、承諾を得ないで。あのときにも、お話ししましたけれども、この会議でないですけれども、周囲の人はわかっていた。手術室のスタッフもみんな。でも、言えなかった。言えないのですよ、怖くて。俗に言うチクったという形になるのですけれども、間違ったら大変だし、昔のお上に直接訴え出る、そのときは死んでもいい覚悟だという、そういう覚悟までしなければ情報を伝えられない雰囲気がまだ残っていると思う。臨床研究中核病院を目指すような大病院の一部にはまさにそういう雰囲気が残っていると思うのです。そういう意味では、病院長を含めた会議体、これは大学病院で言えば教授会になるのですか。そういうところがこういうふうに研究チームを報告、監査、監督するというのは、なかなか難しいですね。だから、抜本的な仕組みを考えないと、いろいろな大学病院をイメージしても、これは絵に描いた餅になるなという気がします。

 それと、もう一つ、論点1の2つ目のポツ、過去に研究不正が認められた臨床研究機関の取り扱いをどうするか。これだけが論点が異質なのですよ。これを先に決めておかないと、これをあやふやにしてずっと議論を進めるのはまずいと思いますよ。参考資料4の関連でしょうが、最近、こういう不適切な関係が指摘されたのに関連した臨床研究機関をどういうふうに取り扱うのかと。医療法に基づく新しい要件に手を挙げることができるのかどうかということをまず決めておいてから議論しないと、まずいかなと思います。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 そうしましたら、先に2番目の点に関して、何か御意見ございますか。

大津委員、どうぞ。

○大津委員 今の過去の研究不正ということで言うと、不正というのがいろいろな意味合いを含んでしまっていると思うのですが、1つはCOIの問題ですね。一般に研究不正という言葉で言えば、データの改ざんとか、捏造とかというところと、いわゆるCOIの絡みの話と、その下のほうに一応、COI委員会等の開催と書いてあるのですが、今、中川委員が指摘したことも含めて、論点1のところでは、多分、COIというところが何も入っていないというところで、もうちょっとCOIの管理を強化するところを入れないとならないのではないかと思います。日本でも透明性ガイドラインでもう公表が始まりましたし、それから、アメリカのほうも、サンシャイン法で公表が始まって、どちらかというと、アメリカは国が管理しているような感じになってきていると思いますので、その辺の臨床研究中核のところでの特別な管理が必要かどうかというところは1つの論点になるかなと思います。

 それから、もう一点、第三者委員会というところに関しては、このまま施設ごとに第三者委員会という話になると、施設間差がかなり出てしまって、実効性がないのではないかというのを懸念します。特に、今、想定されているようなデータの改ざんとか、捏造とかいう話まで踏み込むとなると、いわゆる外部委員の先生で、年に1回、2回というような委員会では、そこまでの実効性はまず無理ではないかと思うのですね。ですから、望ましいということで言えば、公的な、厚労省なり、どこかのところに第三者委員会を設置して、そこが全部の臨床研究中核の臨床研究に関する中立とか公正性、あと、研究不正ということに関しての監視というか、実効性を伴う研究活動の評価を行ったほうがいいのではないかと、私は個人的には思います。

 以上です。

○楠岡座長 第三者委員会は後でもう一度戻ることにしまして、研究不正が認められた場合の、その後のことに関してですが、基本的に大津委員の意見としては、今回、COI管理とか、そういうものをもう少しはっきりさせる仕組みをつくるということであるので、その仕組みがあれば、再発防止ができるのであればいいのではないかという御意見ですか。それとも、再発防止の実績が多少は出るほうがいい、体制をつくって試運転をしてもらってからという話なのか、体制ができたところで。

○大津委員 そうですね。COI管理というのは、もう既に全て、医師別の個人名でも公表されてしまっていますので、誰が見てもわかりますので、そうすると、施設側が、誰がどの程度もらって、本当にそれが適切なのかどうかという、ある程度の施設としての目安みたいなものを決めて、あとは施設の管理という話をどういう基準で決めていくかをある程度具体化してもらったほうがいいのではないか。ただCOIをオープンにして、研究代表者が何百万か企業からもらっているという中で、どの辺でCOIというか、研究代表、研究にかかわっていいかどうかという判断をある程度するというところまで踏み込むかどうかというところは、過去に起こったような施設においては、そこは踏み込まざるを得ないのではないかと考えます。ですから、それによって透明化しますので、かなりのCOIがあった人が研究代表者とか事務局というのは、余人をもってかえがたいような場合もございますでしょうけれども、なかなかしにくくはなるのではないかとは感じます。

○楠岡座長 わかりました。今の透明性ガイドライン等では、個人に関するCOIはある程度はっきりするので、今、大津委員がおっしゃったような、研究の責任医師としてCOIがあるかどうかは判断ができる。ただ、今の透明性ガイドラインでも、寄附金とか、受託研究に関しては、個別にはまだ出ていなくて、総額でというのが現状です。先日、別の検討会で製薬協の方は、もう少し踏み込んで、個別を今後明示するという話がありますけれども、臨床研究中核病院であれば、外部が公開するのを待つのではなくて、自主的に、例えば、これとこれに関しては、ちゃんと開示をしていく。国大協がそういう方向で動き出していると思うのですけれども、そういうような形で、みずから開示していくことを求めていくというのも1つの考え方です。

 中川委員、お願いいたします。

○中川委員 COIもそうですけれども、研究費の不正使用といいますか、そっちも含まれますね、もちろん。だから、いろいろな不正があったときに、その改善をすればいいというのではなくて、やってしまったら、その取り扱いを決めましょうということなのです。だから、私のイメージとしては、発覚したと、認めたと、ごめんなさいと、体制も整備したと。しかし、向こう何年間は、この臨床研究中核病院に手を挙げることはできませんよということを決めるべきではないかということなのです。

○楠岡座長 それは、まず、臨床研究中核病院がスタートした後の話なのか。後のほうは、臨床研究中核病院でこれこれのことがあれば、資格停止して、再応募は何年間ペンディングということはできると思います。

○中川委員 それも決め方で、過去、何年前までさかのぼるのか。20年も30年も前にさかのぼられたらかないませんからね。常識の範囲内で。少なくとも皆さんの記憶に鮮明に残っているうちはだめだとか、5年とか10年とかになるのですかね。こういうふうに決めないと、国民に対して説明責任を果たせないと思うのですよ。それは涙をのんで、関係したところは我慢してもらって、その上でと。今回の改正医療法の臨床研究中核病院の指定は、医療機関を限定するということはないですからね。要件さえ満たせばどんどん追加していくという法律ですから。そういう意味では、少々時間がおくれてもいいのだと思うのですよ。そういう議論をしていただきたいと思います。

○楠岡座長 4月以降で臨床研究中核病院になったところは、医療法に基づくものですから、言うなら厚生労働大臣が調査権を持って、内容を調査できることになると思うのですけれども、施行前の現時点において、例えば、検察が送検するみたいなものまで出てきても、検察庁は情報を握っているでしょうけれども、厚生労働省にはない。今回のディオバン事件でも、調査委員会が非常に苦労したのは、調査権がなくて、十分なデータがないので、厚生労働省も憶測的なところでしか情報がつかめていないところ。そうすると、今回、施行した後に関して、応募してきたところは、その調査を受けてもらうことを前提で。もちろん自己申告ではありますけれども、自己申告では不正がないと言っているけれども、本当にないのかどうかに関して、調査を受けていただく。その調査である程度クリアになるとか、多少問題が出てきた場合には、その程度において、1年間は改善に努めてくださいとか、そういうような考え方ということでよろしいですか。

○中川委員 重い、軽いとか、疑いとか、強い疑いとか、送検されたとか、いろいろなことがありますが、重い、軽いは余り問題ではないのではないかと私は思うのです。まだ捜査中だとか、調査中だとかいうことは幾らでも言えますから。逃げられますからね。整備事業の予算の執行、補助金も、保留とか、いろいろなっているわけで、疑われること自体がだめなのだという考えのほうが私はいいと思うのです。その理由は、前回も申し上げましたが、臨床研究中核病院は、日本国民が誇りに思うような病院でなければいけない。そうすると、疑われること自体も問題だというふうな厳しさが必要だと思うのです。

○楠岡座長 ほかに御意見はいかがですか。花井委員、どうぞ。

○花井委員 ディオバンの調査を大臣に言われてやったメンバーの1人として、中川先生のおっしゃることは本当にそのとおりだと思い、本当にはらわたが煮えくり返る思いをしたわけであります。確かにおっしゃるとおり、調査権限がない中、例えば、この場合であっても、では、この中でどこがギルティーかというと、名古屋大はもしかしたらそんなに問題ないのかなとか、そういうところもあって、この中でどれをだめとするかというと、かなり難しい問題が出てくるのではないかという気も同時にするわけです。

前向きな話として、先ほどの言いにくい雰囲気というのは、金沢大学の内部告発事例とかを思い出すわけですね。それによって、ある医師の人生そのものが変わるような、内部告発者に対するひどい仕打ちが行われたとか、それから、研究不正に関しては、ディオバン事件のもう一つの教訓は、寄附金のお金の流れがさっぱりわからず、一体、お金が何に使われたかもわからなかった。それから、公的研究費については、貯金問題ですね。年度いっぱいに使い切れないから、出入りの業者に預けてみたいな話とか、そういうもろもろの、ここ10年振り返るだけでも、かなりの医療機関というか、大学病院で、立派な病院と言われるところがそれにかかわっていると思います。

なので、中川先生には怒られるかもしれませんが、それらの教訓をこれに生かし切って、不正ができないようなシステムを持ったところを指定するということで、一応、スタートラインはそうして、申請したところがそれを具備したということであれば、今度は公的権限で監視する。何かあれば追い出す、もしくはペナルティーということにしないと、過去何年にさかのぼるとかなり膨大な作業になっていくのではないかと思います。ちょっと甘いことを言っているのかもしれませんが、今まで見てきたもののひどさを教訓として、これに入れ込んでほしい。そうであれば、今後は起こらないということを信じられるから、スタートラインはそろえてもよしと。それができないのであれば、中川委員のおっしゃるとおり、札付きのところは何年間は謹慎していろということもやむなしかなと思います。

 以上です。

○楠岡座長 ほかに御意見、中川委員、どうぞ。

○中川委員 花井委員と私、思いは同じなのですよ。軽い、重いはどうでもいいとお話ししましたけれども、そうは言っても、重い人と全く同じではないですね。ちょっとかすったかなというところも入っているわけだから。そう思われるところもね。本当に大丈夫という仕組みができるのかどうかということなのですよ。少なくとも今の提案、対応案の感じでは、到底だめですね。今までと何も変わりません。そういうことで、私、発言しましたけれども、先生方のご意見を聞いていきたいなと思っています。

○楠岡座長 中西委員。

○中西委員 内部の人間として申し上げにくいところもありますけれども、お話をしたいと思います。臨床研究と一言に言いましても、非常に多岐にわたっております。ただの観察研究的なものもありますし、また、介入研究にしましても、本当にこの薬がちゃんと併用で使えるかどうかを少数例で見るものもあれば、薬事法にのっとってやるような、安全性、あるいはデータ信頼性をよりきちんとしなければならないものもある。全ての臨床研究を薬事法の下でやることは基本的に不可能でありますし、そういうことになりますと、今度は逆に、自由な発想や、新規のアイデアに水を差すことがあると思っています。介入研究に絞っての発言ではないことは御理解いただきたいと思いますけれども、介入研究となれば、そういうわけにはいかない。つまり、被験者、患者さんに薬等を投与する場合ですね。

 もう一つの問題点は、今までの状況の中で、ICH-GCPという言葉は先行して出てきておりましたが、臨床試験の実務においてICH-GCPとは何なのかというコンセンサスすらないのが現状です。今、本当に間違いなく法律にのっとって、しかもデータの信頼性をしっかりやって実施できているのは治験だけなのですね。そんな中で、多くの医師主導、研究者主導の臨床研究というものが、今まではヘルシンキ宣言や医学研究に関する、あるいは臨床研究に関する倫理指針対応でやってきた。現場にいる人間としては、非常に申しわけないと思いますけれども、教育機会、つまり、それに対して、きちんと遵守すべきだという教育は再三やってきたつもりではありますけれども、やはり十分にそれが現場に伝わっていなかったり、あるいはこのくらいはいいだろうというようなところから、今回、ここに記載されたような問題が出てきたのは間違いないと思います。

軽重は問わないというのは確かに精神論としては間違いないと思うのですけれども、ちょっとしたうっかりミスと、間違いない捏造、不正というのは、やはりかなり大きな違いがあると思っています。そういう意味では、もしペナルティーを科すとしても、十分に認識していない上に、これであれば被験者の方には迷惑にならないだろうぐらいのうっかりミスから来るものについてまでペナルティーというのは少し問題があるのではないかという気がいたします。

例えば、先ほど、自助努力、あるいは内部からの声がという話がありましたが、いわゆる内部告発そのものが、その研究の根幹を揺るがすようなことがあるようだとすると、先ほど、非常に言いにくいとか、告発しにくい状況があると言いましたけれども、私自身、参考にするべきと思っているのは、いわゆるリスクマネジメントの中のヒヤリハット報告のことだと思っています。これは以前はなかなか報告が出なかったのですね。つまり、そういうことは診療科の恥である、あるいはばれたらだめだという認識でした。今はそれを積極的に出すことを勧奨する。そして、それを出したら、それが出たことに対して、どういう対応をするかという組織としての対応を考える。そして、たくさん出すことに対して、叱責ではなくて、きちんと報告したことに対するある種の称賛の声を出す、こういう形にならないと、特に日本人の国民性では、かえって覆い隠すことがある。その結果、何が起こるかというと、私は臨床研究、臨床試験の隠蔽体制がよくならないという気がしています。

そうしたことを全体考えますと、過去の不正に関して一切ない施設を選定するべきかというと、非常に重篤な、重大なものについて、恣意的なものについては、一定のペナルティーは考えてもいいと思いますが、十分な教育を受けずに、うっかりミスでやって、そしてそれがよくよく見てみると指針違反であったというものについて、そこまでペナルティ対象としますと、結果的には、黙っていて幸運だったみたいな話になるような気がするのですね。ですから、もし過去の事例を評価基準にするとすれば、寛容できないもの以外については、過度に減点評価する必要はなくて、むしろ、今後の体制をしっかり構築して、それを、守れないところはその後、対象から外すということが必要ではないかと思います。

また、自助努力ということに関して言えば、出てきた結果については、社会的な批判も出てくると思いますけれども、内部告発そのものをヒヤリハット経験のときのような形で、出しやすい形にする。そして出たものについては、各機関はそれをある意味オープンにして、こういう問題があって、それに対してどうしたという対応を世間に対してきちんと出したほうが、臨床研究、臨床試験が健全にいくのではないか。現場からすると、ちょっとつらい判断なのですけれども、そういうことをしていかないと、いつまでたっても変わらない。それは、私、今、現場にいる人間として考えていることでございます。

○楠岡座長 ほかに御意見ございますか。中川委員。

○中川委員 今、中西先生がおっしゃったことは、反対ではないのですが、幅がちょっと広過ぎるなという気がします。うっかりしてミスしたのは、そこまで入れたなどということはありませんよ。一般の診療の中のヒヤリハットと、何回も言いますけれども、臨床研究中核病院を目指すようなレベルの病院の臨床試験、臨床研究とは違うということを申し上げているのです。ですから、どのぐらいさかのぼるかも決めていただいて、そして、どういうふうに違うのかと。今回の中には真っ黒がありますからね。真っ黒は間違いなくあるのですから、これをどうするかということを決めましょうということをまず言っているわけです。

○楠岡座長 ほかにいかがですか。近藤委員。

○近藤委員 これは本当に、物事がこれから未来に向かって進んでいかなければならないわけですけれども、今までのことをどうリセットするかということになるのだろう、リセットの仕方だろうと思うのですね。それでガバナンスが真っ先に問われるところであるわけですね。しかも、新しい臨床研究をやろう、世界に先駆ける研究をしようと思うようなところであれば、基本的には能動的でなければいけない。受動的では考えられないですね。だから、誰かに言われたからこうするとか、こういう体制にするとか、受け身のガバナンスではまずだめだろうと思うのですね。ですから、病院長を中心とした責任の取り方であるとか、いろいろなときにさまざまなことが起こるわけでありますけれども、それをどういうふうに間髪を入れず対応をとれるかどうか。つまり、変なことが起こっても、広がらないようにするとか、そういうことが能動的にできるような体制にしないと、とてもではないけれども、中核病院とは言えないだろう。

そういう見方から見て、過去のものについても、それなりのけじめのつけ方があるだろうと思うのですね。ですから、謝るべきところは謝ったほうがいい。それで、二度とこういうことはしないとか。明確に病院長なりがしっかりと判断なさって、これから新しい中核病院を目指す覚悟のところを見せてほしいという気はいたしますね。

○楠岡座長 ほかに御意見ございますか。

そうしましたら、これはあくまで1つの案として、臨床研究中核病院になったところは、当然、定期的な報告はいただきますし、何らかの問題点が発覚すれば、誰がどう調査するかは今後の問題として、調査を行い、問題があれば、当然、臨床研究中核病院としては取り消しになる。そのときに、再度応募できる機関に関しては、これは今後の問題ということで置いておいて。新たにこれから臨床研究中核病院に応募しようというか、アプライしようというところに関しては、申請の中で、例えば、過去5年間においての自己点検を出していただくということ。その中で明らかになった事案に関して、どう是正措置を行ったかということ、それから、今後の再発防止のためにどういうふうにシステムをつくるかということを明示いただいて、その内容をチェックする。これは書類が出たら、数値だけをチェックして、この数値をクリアしているからオーケーですという話ではなくて、当然、実地調査みたいなものをすることにはなるとは思うのですけれども、その中で判断いただくということで。中川委員から、重い、軽いは問題ではないという御意見がありましたけれども、そこできっちり報告されていて、それに対して是正措置もとられているし、問題としてもそれほど大きな問題でなければ、その時点で、ひょっとすると認可ということになるかもしれませんし、非常に大きな問題点で、これだけのものに対して是正措置が不十分であるとか、再発防止策が不十分であるということであれば、それに関して、もう一度考え直してもらうというような仕組みを。なかなか文章にはしにくいのですけれども、例えば、5年間はさかのぼって自己点検は必ずする。もし自己点検から漏れてきているものが出てきたら、これは論外という話というのが1つ考えられるところなのですけれども、いかがでしょうか。

 中川委員、こういうような考え方はいかがでしょう。

○中川委員 大筋はそういう感じだと思いますけれども、具体的に決めていかないとわかりませんね。難しいですね。

○楠岡座長 では、今の案をベースに、事務局もいろいろ考えていただいて。我々検討会だけではなくて、国民全体として、それだったらいいという納得が得られるものを考えていただく。この点に関しては、後のこともあるので、一応、小括ということで、先に。

○花井委員 ちょっとだけよろしいですか。

○楠岡座長 どうぞ。

○花井委員 考えてもらうに当たって、自己点検を出してもらいましたと。そうすると、ちゃんと自己点検したところと違うところは、自己点検さえすればいいということではないと思う。その場合もう一度出し直してもらう、そういう仕組みも考えられたら考えてもらったらいかがかと思います。

 以上です。

○楠岡座長 次に、もとへ戻ってガバナンスの問題ですけれども、ここに病院長含めた会議体というものを置くことにはなると思うのですが、そこの権限とか役割がもうちょっと明示されないと。会議体を置きましたというだけでは話にならないので、そこが何をするかということ。それから、先ほどの第三者委員会なのですが、各施設でもつのか、それとも、これはほかのところで出てきているオフィス・オブ・リサーチ・インテグリティーというか、アメリカの研究公正局みたいなものをつくれという話が別途あるわけです。今、全国に対してそれを適用するのはなかなか大変な話ですけれども、少なくとも中核病院に関しては、国レベルの第三者的なところで、それはPMDAがやるとか、あるいは来年4月からできる独法がやれとかいう話が出てくるかもしれませんけれども、それはとりあえず置いておいて。この第三者委員会に関して、会社であれば会社ごとに取締役、監査役会があるわけなので、自己で持たすのか、それとも、臨床研究中核病院がどれだけできるかということにはなると思うのですけれども、いきなり50100もできるとは思えないので、それであれば、統一した第三者委員会で、最終的に法律の中で厚生労働大臣の下にあるわけですから、行政側でそういうものも、実際、行政が直接やるのではなくて、どこかにお願いする形になるかもしれませんけれども、そういうところまで求めるのかどうかということで。大津先生としては。

○大津委員 私としては統一の部署を設ける。それは厚労省自身がやるのか、どこかに委託するのかは別な話になりますが、基本的に統一した基準で、かつ専門的なことがわかっていないと、実際にそこの研究不正等に関して見抜けるような実効性がなかなかつくれないのではないかと思いますので、そこは統一したものが必要かなと思います。

○楠岡座長 下瀬川委員。

○下瀬川委員 議論を聞いていると、いろいろな角度から、話が複雑になっているような気がします。この委員会は、日本のこれからの臨床研究をよくしていこう、そのための選定基準をつくろうという委員会であって、過去の研究不正を追及する委員会ではないと思うのです。ですから、今回ここできちんと話し合って決めないといけないのは、こういった不正が起こらないような仕組みづくりです。過去のことについて、それを問題視するかどうかというのは、最終的に、審査会の中で、例えば、過去5年間の事象をある程度記載するということを要件にして、審査委員の判断で決めるべきです。白黒がはっきりしているとか、あるいはグレーとかと言っても、きちんと決まっているところはないと思うのですね。ですから、この判断は極めて難しく、かなりいろいろな考え方が入ってくると思います。ですから、今回は、これからの日本の臨床研究をよくしていくための、過去のことを起こさないような、きちんとした中核病院の選定基準をつくることに集中したほうがいいのではないかと思うのです。ですから、過去のことに関しては、審査委員会で、申請用紙の中に過去5年間にどういったことがあったと記載し、当然それは皆さんよく御存じでしょうから、その中で判断されればいいことではないかと思います。

○楠岡座長 私が申し上げたのも、判断はこの検討会がする話ではなくて、判断するところは別にあることになると思うのですけれども、その判断基準として、どういう資料を提出していただかなければいけないという目安はここでつくらないといけないので。今、下瀬川委員がおっしゃったことは、まさに私も言おうとしている内容で、そこには差はないと思います。

 中川委員。

○中川委員 未来、将来に向かってという話は、そのとおりですけれども、審査委員会で判断するとおっしゃいますが、一定のルールを決めておかないと、どんな圧力がかかるか、風が吹くか、わからないのですよ。これは、極めて重大な判断ですから。研発課の別の会議で保留がありましたね。判断しないというのが、2カ所あったではないですか。ああいうことがあるのですよ。ですから、私は、過去に重大なことが起きた場合にどうするかは、一定程度のルールは決めておかないと、そのときの審査委員会の委員1人1人に重大な圧力がかかるということを心配しているのです。どの方が審査委員になっても、ある程度のルールは決まっているのだからということで、その上で審査するというふうにしておかないとまずいかなと思っているのです。

○楠岡座長 先ほどの話で、全体的な流れは決めていって、今、中川委員がおっしゃる基準値的なものに関しては、今後、全体像が決まったところで相談というか、議論したいと思います。中川委員のおっしゃっているところも、要は、完全な白紙委任では何とでもなってしまうので、そこはきっちり書き込めということだと思います。

 第三者委員会に戻りますけれども、大津委員は外へつくれという御意見ですけれども、まずは中にあってもいいと思います。要は、ある意味、監査部門みたいなもので、自己監査をする部門というような意味ですし、第三者委員会は施設とは直接的なつながりのない人で構成されているということがあるので、まずは第1段階がそこで、そこはかなり定期的にやっていただくようにしないと意味がない。ただ、そこを超えたところに関しては、これは法律の中ですから、最終的に大臣がという話になりますけれども、そういうところまで何か考えているのかどうかということですが、事務局は何か今、考えておられますか。

○南川補佐 この資料を提出させていただいたときの第三者委員会のイメージとしましては、まさしく病院長を含めた会議でしっかり管理していくことは当然のところなのですけれども、さらに研究不正に対する対応とかも含めて、それぞれの臨床研究中核病院において中立的な方がちゃんと確認をし、そこも含めて厚生労働大臣に報告いただくというようなイメージで、この資料自身は作成しておりました。

○楠岡座長 大津委員、どうぞ。

○大津委員 我々のところは中の臨床研究を全部内部監査していますけれども、それはあくまで内部の職員、もちろん組織上は独立した、院長直下的なところになりますけれども、内部の監査はやっています。そのイメージは第三者委員会という話とはちょっと違うのではないか。基本的には施設内での監査という話と、ここにある第三者委員会という話は違うのではないかと思うのです。

○楠岡座長 監査という言葉を使いましたけれども、これはあくまで外部監査という話であって、内部監査は内部監査でもともとあるのに対して、外部監査を第三者委員会で行う。その第三者委員会というのは、あくまで施設ごとの外部監査の担当ということであって、いきなり全国的に外部監査部門をどこかにつくるという話とはちょっと違うのではないかというところです。

 どうぞ。

○橋本委員 先ほど大津先生もおっしゃったかと思うのですけれども、IRBなどでも、施設ごとにしておくとすごいばらつきがあって、かなりお手盛り的な感じで運用されているところもあったりするので、監査をする役割のところは全国で1個とか、ある程度全体を見晴らせるというようなポジションとしてあったほうがいいと思うのですけれども、そうなると、どれだけ調査ができるのか。しかも、何かが起こったものに対して調査に行くのだったら、ある程度できると思うのですけれども、何もない状態で定期的にチェックをするということだと、調査能力も限られているだろうし、実効性としてどれだけ発揮できるのかなというところがあるので、全国統一の第三者委員会とは別に、それこそ会社の監査役的なものを、会議体の中になるのか、あるいはそれも第三者の方を指名してやってもらうような形になるのかわからないですけれども、そういうものをまた別にしたほうがいいのではないかという気がしますね。

○楠岡座長 下瀬川委員。

○下瀬川委員 これから法令上定められた臨床研究中核病院になるわけですから、不正をしたことなどに関してモニタリングする上では、罰則を施行できる権限を付与した、きちんとした第三者機関を設定するべきだと思います。

○大津委員 全く同意見です。例えば、さっきの内部告発等の話にしても、ここが窓口的な部分を担えるような図式で考えて、統一した目での研究の質の確保というものが見るべき中核病院には求められるのだろうと思いますし、これが施設ごとにばらばらというのはちょっとおかしいのではないかと私は思います。質の確保という意味合いのところにおいてはですね。

○楠岡座長 中西委員。

○中西委員 私も基本的に同意見でして、私どものところもGCP適合性調査ですとか、あるいは倫理指針適合性調査を受けてまいりましたけれども、これまで複数の委員の先生方がおっしゃるように、一定の基準での監査がないと、自助努力だけではなかなかうまくいかないことがどうしてもございます。私自身も外部からの監査は必要だと思います。

ただ、それだけでは足りなくて、本当に大事なことは、内部監査であろうと、外部監査であろうと、研究者側からの情報が上がるかどうかが一番の問題で、実際、過去3年間に私どもの病院では約1,000本の臨床研究が新規に始まっております。その全てについて、どこまで調査するかということについては、内部監査委員であれ、外部監査委員であれ、できないことであって、そこをガバナンスで、しっかり情報を収集する。そして、その情報が収集しやすい環境をつくる。そうでないと、いつまでたっても隠蔽体質はよくならない。教育と、不都合なことについて十分に情報が出る環境づくりが非常に大事で、その上で内部監査、外部監査の仕組みがあるというのが一番重要ではないかと思っております。

○楠岡座長 そうしますと、とりあえずのイメージ図としてはよしとして、第三者委員会というものの立ち位置ですけれども、1つの意見としては、完全に全国共通のものという考え方が1つ。そこまでいきなりは難しいということで、この第三者委員会は内部では持っているけれども、第三者委員会なりからの報告をどこかが受けて、外部の、非常に報告があやふやなところと、しっかりやるところの差も出てくるでしょうから、それを年に1回。医療法の中でそういうことができるような仕組みはあるのでしょうか。それから、先ほど罰則という話もありましたけれども、この点はいかがでしょうか。

○神ノ田課長 この検討会では、臨床研究中核病院の承認要件について御議論いただいていますので、中核病院としてやるべきことについて、こういうガバナンスを整え、また第三者に見てもらうと、こういう体制を病院の責任で整えてもらうということを要件にしてはどうかということで提示させていただいています。

 一方で、行政としての指導ということは別途、厚生労働省として、調査に入ったりとか、報告を受けたりと、その際には、この第三者委員会がちゃんとワークしているかとか、機能していないところがあれば改善を求めたりというところはあります。ここでは、行政としての指導と、病院独自の取り組みを分けて考えていただき、今、御議論いただきたいのは、後者の病院独自の取り組みについて、こういう組織を病院として整えていただければ、一定のガバナンスを維持することができるのかどうか、もうちょっと工夫が要るのかどうか、そこら辺のところを御示唆いただければと思います。

○楠岡座長 今の委員全体の考えとしては、この模式図で問題はないであろうと。ただ、この第三者委員会がどれくらい機能するかということに関しても、現段階で、我々も自信を持って、こうすれば絶対大丈夫ですとはなかなか言いづらい状況もあるので。当然、できるところもあるでしょうけれども、できないところをどういうふうに是正していくかということも、ある程度行政側で考えて方針を示しておいていただかないと、我々も、ああ、これでもういいですよとはなかなか言いづらいというのが、多分、全体の今の感じだと思います。この辺に関して、どういう取り組みが考えられるかということも、きょうすぐはちょっと無理ですので、次回には。要は、このシステムが動き出したときに、あってはならないことですが、もし問題を起こすところが出たときには、それに対してどう対処していくのかというスキームを考えておいていただければ、我々としても安心して、このシステムでということが言えると思いますので、ぜひそこをお願いしたいと思います。

○大津委員 よろしいですか。第三者委員会の役割として、研究の質の保証というところでの役割なのか、研究全体のサイエンスとしてのアクティビティーの評価というところでの役割なのか、それによって置き方が違ってくると思うのです。研究の質の保証という話で言うと、例えば、我々のところで内部監査をやっていますけれども、それは第三者委員会にはならないわけですね。中にいる人材という話で言うと。さらに、そこに第三者の監査という話になると、それはかなり難しい話になってくると思うので、その辺をどう捉えるかということを御検討いただければと思います。

○楠岡座長 第三者委員会の業務というところを少し明示しておいていただく。個々の研究そのものに関しては、病院長を含めた会議体より下に、今回、臨床研究中核病院としてのセンターなり何なりを置くことという、今から議論するところがあって、そこがオーディットなりをするので、研究の質的なものはそこで担保できる。問題は、不正が起こっているとか、あるいは進捗が極めて悪くて、臨床研究中核病院としての役割を果たしていないとかで、多分、第三者委員会というのはそういうものに関わっていくと思いますので、どういう役割を担うかというのをもうちょっと明示しておいていただかないと、内部監査と話がごちゃごちゃになってしまう。第三者委員会が個々の研究の監査をするのだったら、何のためにあるのか全然わかりませんし、監査という言葉が二重になっていて、臨床研究における監査という話と、いわゆる会社とか組織での監査と、同じ言葉を使っていてややこしくなっているので、そこの整理をお願いしたいと思います。

 論点1で余り使ってしまうと後が進みませんので、最後に戻ってきたいと思います。2以下のところ、これは前回少しお話をいただいておりますけれども、参考として、データ管理体制以下、ありますけれども、必要な体制に関して、どういうふうにするかということですけれども、これに対して御意見を。例えば、データ管理体制としては、前回もデータセンターというものを置く、これは多分、必要であろうと。ただ、データセンターというのも、先ほど少しありましたし、後ろのほうで出てきますけれども、データセンターとしてはどれぐらいの機能を持っておればいいのかとか。あと、利益相反管理その他ありますけれども、ここに挙がっているもので、これは要らないというわけではないですけれども、例えば、利益相反委員会だと、多分、施設が持っているので、臨床研究用に新たにつくる必要があるのか、それとも施設の中でやっているものの中で、臨床研究に関しても担当してもらうのかというところ。このあたりに関して、体制として、例示が挙がっているものに関して少し御意見いただけますでしょうか。プラスマイナス両方あると思いますので。

 下瀬川先生。

○下瀬川委員 COIに関しては、東北大学の場合には、本部で全ての部局の研究者のCOIを提出させて、それを月に1回、きちんと目を通して管理しています。そういったものがあれば、それでいいのではないかと思います。

○楠岡座長 いかがですか。確かに大学等は、施設全体というか、大学全体で管理されている。ただ、当然のことながら、COI委員会の中には、臨床研究にかかわることを理解されていて、それに関してチェックできる方がいらっしゃると思うのですけれども、大学だと他の案件もたくさんあるので、そこで薄まってしまわないのか。臨床研究に関しては、今回、特にいろいろな問題が起こっているので、それは別途、この中核病院の中でやったほうがいいのか、その辺に関してはいかがですか。

○下瀬川委員 やはり内容が重要だと思います。単にCOI委員会をつくればいいのではなくて、そのCOI委員会が具体的にどういう審査をするのか、例えば、うちの場合ですと、ある程度問題がありそうな事例や、あるいは厚労省の研究班などに関係している場合には、必ず弁護士にインタビューを受けるのです。中身がきちんとしたものであるかどうかを判断しないといけない。ただあればいいというものではないと思います。

○楠岡座長 中川委員。

○中川委員 このCOIについては、自分で申告して、これはどうですかという場合と、確信犯というか、2通りありますね。センターで体制をつくっても、後者のほうはどうにもなりませんよ。そこで、さっき青谷さんがおっしゃったように、報告システム、決して立場が悪くならない、さっき金沢大学のことをおっしゃっていましたけれども、そういうことを確立して初めて、客観的な信頼性を得るのだろうと思うのです。ですから、各種体制のところで、既にあるから要らないということではなくて、それは当然整備すべきだという意味で、こういうふうに書いたとおりでいいと思います。

○楠岡座長 私が申し上げているのは、大学全体できっちりやっておられるところに関しては、屋上屋になってしまっては意味がないので、例えば、臨床研究中核病院を持っているところは、大学のCOI委員会の中に臨床研究に関するワーキングなり、サブグループなりをつくっていただいて、その中でやっていただくような形でもいいのではないか。今までそういうことを特にやっておられなかったところは、当然、これに関して、もうちょっときっちりした体制をとっていただかないといけないということで。論点としては、既存の病院の中にはないセクションを使うのを認めるか、それとも、それは別の話だから、新たにこの中にその体制をつくりなさいという形にするのかということです。

○中川委員 参考資料4の、明らかにあったと、これが、今、我々が議論している委員会でちゃんとやっていれば防げたのかということだと思うのですよ。従来型のだったら、防げなかったのではないかというので、議論が必要だという意味です。

○楠岡座長 わかりました。

 中西委員。

○中西委員 九州大学のケースを御紹介させていただきます。大学は、特に総合大学は、大学の本部サイドでCOI委員会があると思います。九州大学も同じで、必ず全教員がCOIの開示をします。ただし、臨床研究に関しましては、やはりかなり繊細な部分があるので、開示した資料をもう一度、「臨床研究に係る利益相反マネジメント委員会」で目を通し直して、本部サイドでも問題視されなかったものについては改めて面談をしてやっています。それから、新たな臨床研究を立ち上げるたびに、そのプロトコールの中身を精査させていただいて、個別にその研究者と面談をして、その中身について、本当に適正かどうか、開示もちゃんとやっているか確認しておりますので、大変です。

同じことを全ての中核病院にしろということはなかなか難しいと経験上考えます。ただ、少なくとも総合大学においては、臨床研究に関するパーツについては、かなり繊細な部分もありますので、もし1つのCOI委員会で審査するとしても、臨床研究に関するCOIに精通した方が入ることは最低限必要だろうと思っています。私自身が講演料をいただいたり、寄附をいただく立場にあるものですから、COIのことがよく理解できるし、ようやくここ何年間かで、研究者に対してきちんと開示していませんねということを伝えて、ちゃんと開示してくださるようになりました。幸い、製薬協等がCOI関連情報を出すようになりましたし、国立大学においては3カ月ごとに毎回出させられるようになりましたので、開示しないことはないと思うのですね。一方でセンターホスピタルは、そのものが病院ですから、これは1つの審査でいいと思われます。つまり、病院、大学、組織のあり方に応じて、臨床研究に関する部分についての審査がきちんとできる体制を整えることが重要で、それはそれぞれの組織にフィットした形でいいのではないかと思います。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 青谷委員、どうぞ。

○青谷委員 COIの管理対象についても中核病院では考えていただきたいと思います。研究者だけに限定するのではなくて、例えば、私どもが今やっているのは、私たちのようなデータセンターに所属する者や、研究グループ事務局、それから、効果・安全性評価委員にもCOIを申請していただくようにしています。臨床研究中核病院では、対象を研究者に限定しないでCOI審査できるという体制を作っていただきたいと思います。

○楠岡座長 どうぞ。

○中西委員 理想を追求すれば、対象も業務も拡大すると思います。ただ、例えば、データセンターの生物統計家・解析担当者等は、アメリカ臨床腫瘍学会が当初、それもCOIの対象にすべきだとしていましたけれども、それまでやってしまうと、とてもではないが研究が回らないということで、彼らはそれを要らないとしました。何が言いたいかというと、全てに対して理想論を追求することより、やはり実現可能性を見ながら、本当に問題がある方に絞らないと、逆に違反とか、臨床試験に関わる資格がないということが起こると思います。

○青谷委員 本当にCOI管理が必要な人に限定して管理するというご意見に全く同感でありまして、だからこそ、統計家という試験結果に関わる最終評価をする人や効果・安全性評価委員会という効果判定を実施する人は、私たちが関わる研究においてはCOI管理が重要な位置づけとなる人だと考えて、あえて申請をお願いしています。それは研究単位で考えればよいのかもしれませんが、「研究者以外はCOI審査対象としたことがない」と医療機関に言われて困ることがあります。そのような申請があったときには、研究者でなくともCOI審査と管理ができる体制の整った中核病院であっていただきたい。

理想論を言って管理対象を広げるのは反対です。ですが、例えば、現在50試験を担当している私が同じような内容を書いた申請書を50試験分提出しなくてはならないような手順を見直し、COI管理の効率化を進めることを優先すれば、審査対象者を絞らなくてもよいのではないかと思います。

○楠岡座長 COIの管理の仕方に関して、いろいろあるとは思うのですけれども、細かいところまで決めるのはなかなか難しいので。ここに書かれている中で、今までの話の中で追加しないといけないということでは、内部通報制度に関する体制はつくっておいていただくと。施設で既にそれはつくっておられるとは思うのですけれども、特に臨床研究に関しての配慮をしたような制度にしていただくことは1つあるかと思います。

対応策のところで、部門の設置、専任者の選定、会議体設置、規程・手順書の作成及び教育・研修の実施等を要件としてはどうかということでありますけれども、規程とか手順書は当然出していただかないといけないわけですし、例えば、COI委員会の規程・手順書の中で、余りにも研究者のみしかやっていないというような、今の時点でも少しおくれているなというところに関しては、そこは少し是正をしていただくというか、形をとっていただく。逆にこちらからこれとこれ、というふうに言うのは、施設ごとの体制が違いますので、そこは各施設の判断にお任せする。最後の判定をする委員会の話になってしまいますけれども、そこでの判断にゆだねざるを得ないかと思います。

 個別に確認ですが、データ管理体制は必要であるというのは共通の認識かと思います。ただ、データ管理体制として、各病院で個別に持つのか、それとも複数の病院で共通に持つのか、当然、設置母体が全然違う病院同士で持つということもあるかもしれませんが、設置母体が同じ中で、1つのデータセンターを共用することはあり得ると思いますので、そういう意味では、共用ということも許せるものではないか。

利益相反体制は、今あるものを臨床研究に関して拡充していただく。

ネットワークの構築体制ですけれども、ネットワークというのは、つくっていって、結果的にでき上がっていくような形になる。もちろんネットワークができれば、中央事務局というのは存在することになるでしょうし、その中での相談体制というのは後で出てきますけれども、それと同じような形になると思います。当然、連携も、特に大学などは、医工連携で、そのセクションをつくっているところもあると思いますので、そういうものの中で記載していただく。それも多分、各病院、施設の考え方によるところがあると思いますので、これは出していただくけれども、ないと絶対だめという話にはならないものではないかという気がいたします。

安全管理体制は当然必要です。研究ごとにも効果・安全性評価委員会がありますけれども、部門全体で効果・安全性委員会みたいなものを。大津委員のところでは、薬剤科が兼ねているとか、そういう形なのですか。それとも独自に有害事象報告を集めて、特に系統的に分析するということはされているのか。

○大津委員 いわゆる医師主導治験のところは担当の専門の者が全部管理してやっておりますけれども、一般の臨床研究のところは、基本的には倫理審査委員会の管理下で、重篤な有害事象等は毎回の倫理審査のときに全部挙げて、安全性報告を出して、その審査を全部倫理審査の中でやって管理しています。

○楠岡座長 そうすると、当然、研究ごとに設置する場合もあるわけですけれども、病院全体としてそういうものを特に分析するというところは、今は設けてはいない。

○大津委員 それはないです。

○楠岡座長 青谷委員、何かそういうものは。

○青谷委員 病院単位で安全性情報分析をやられると困るので、研究単位で中央管理をしないといけないことだと思います。

○楠岡座長 安全管理に関しては、どういうような体制を。

○青谷委員 医療機関では、安全性情報をきちんと院内の関係者全員に周知できる体制を確保することのほうが大事なのではないかと思います。

○楠岡座長 では、これは次回、もう少し詳しく、どういう形にするか、いわゆる効果・安全性対策委員会はどちらかというと個別の話で、組織としてどうするかというところですね。これはある意味、医療安全全般と重なるようなところもあると思いますので、お願いします。

 それから、倫理審査体制は、これは当然のことながらIRBを持つと。ただし、前回もありましたけれども、共同IRBをどう利用するかというのは今後の検討課題。

 それから、知財の管理に関しましても、最近は大学の中で一括して管理しているところも多いので、それが共用できるところであれば、共用しても可能なところであろうと。ただ、中核病院の中に中核病院の知財を担当する方がいないと、相談とかができないということがあるので、専任者というか、専従者とまではいかなくても、そういう窓口になるような人はあったほうがいいというぐらいのところかもしれない。これもまた御意見いただきたいと思います。

 研修実施体制は、後ろで出てくると。

 それから、外部への公開の窓口も、1つ、部門として考えていくということで、それで、先ほど出てきた内部通報制度を整備いただくというところ。

 あと、この後ろでまたそれを細かく見ていくことになると思いますが、これ以外に何か、特に。

近藤委員、どうぞ。

○近藤委員 ちょっとさかのぼりますけれども、利益相反ですね。COIについてですけれども、先般、9月の最初にレギュラトリーサイエンス学会がありまして、そこで、医者であり、弁護士である児玉先生が非常にすっきりとした物の考え方をしっかり示されたのですね。例えば、国家公務員は国の業務を負託されているわけですね。それに反することをすると、それはCOI違反になる。それから、いただいた研究費がその方向でちゃんと使われているかどうか、こういうふうな切り口でしっかりとまとめられたのですね。しばしばCOIが混乱している可能性があるので、私も忘れかかったのが随分あるので、一度、児玉先生の意見をお聴きしておいていただき、次回でも紹介していただくとありがたいなと思います。

○楠岡座長 これは、今のCOI管理が、厚生労働省の規程で言うと、狭義の金銭的関係ばかりに行っていて、大学などはむしろ責務相反のほうが大きい話になりますね。要するに、利益相反の教育がまだ十分されていなくて、そこが問題だと思います。利益相反に関しても、今回は単に経済的な問題だけではなくて、責務相反なども十分かかわってくるところがありますので、それをまた整理をお願いします。

 下瀬川委員。

○下瀬川委員 見ていると、技術移転等の知財管理は非常に大事ですね。大学や、臨床研究の一番弱いところの出口まできちんと管理できるような専任の方は、臨床研究中核病院としては必要なのだろうと思います。大学では、今まで、このあたりが弱く、研究をやっていても、それが実際に臨床の現場に届かないことや、あるいはうやむやになってしまうということが結構あったので、ここのところはしっかりしたほうがいいのではないかと思います。

○楠岡座長 そうしますと、知財管理に関しては、ある程度専任の方があったほうがいいと。わかりました。これは次回のところぐらいで少し議論したいと思います。体制としては、とりあえず、これからスタートということで、あと、もし何かあれば追加していくと。

 中西委員、どうぞ。

○中西委員 再生新法ができることもあって、多くの中核病院に特定認定再生医療等委員会の設置が勧奨されておると思いますけれども、まだ最終的な段階に来ていませんが、今後認定する上では、ここは1つ、必須ではないにしても、要件に入れておいていいのではないかと思います。

○楠岡座長 再生医療の取り扱いをどうするか、前回も少し議論しましたけれども、これはまた最後のところで。もちろん、ほとんどのところが再生医療にかかわることにはなると思いますけれども、施設によっては余り再生医療にかかわらないところも出てくるかもしれませんので、それは今後の検討課題で置いておきたいと思います。

 そうしたら、進めさせていただいて、論点3の特定臨床研究をどのように定めるかというところですけれども、これに関しては、新たな倫理指針では、介入研究に関しては、必要に応じて監査をするとかいうものが出てきましたので、ICH-GCP準拠の臨床研究、これは観察研究とかではなくて、完全に介入研究、臨床試験を前提にしている話になると思いますけれども、それについて、どういうふうに定めるかということと、それを立案する機能ということになってくると思うのです。

ここで例示として、医師主導治験とか、first in human、それから、自主臨床試験の中でICH-GCP準拠というふうに挙がっているのですけれども、これは必ずしも排他的なものではない。医師主導で行うfirst in humanとかがありますので、結果的には、臨床研究全体の中で、医師主導の中にfirst in humanがどれだけあるかとか、それから、医師主導ではない形でfirst in humanをどうやっているかという、マトリックスのような形で整理しないと、なかなか見えにくいかと思います。マトリックスで整理するという考え方でいいのかどうかということと、そのときに、縦軸、横軸にどういうものを持っていくのか。研究の内容としても、ICH-GCP準拠の臨床研究とざくっと言っても、それが2相早期のものもあれば、3相もありますし、今度、市販後大規模臨床試験とかになってくると、これは必ずしもICH-GCP準拠という形にならないところも一部出てくるかもしれない。ここのところに関して、どういう設定を行っておくかに関して、御意見いかがでしょうか。

○大津委員 ICH-GCP準拠という意味で一番明確化しているのは、やはり医師主導治験だと思いますので、医師主導治験の数をまず第1の選定条件にするというのが一番客観的かなと思います。

 それから、first in humanに関しては、医師主導治験でやる場合もありますし、企業治験でのfirst in humanもありますし、企業治験のfirst in humanをどう取り扱うのかというところの両方出していいと思うのです。

 それから、一般の臨床研究に関しては、モニタリング監査ということで、この内容をどこまで問うのかによって、大分とり方が変わってきてしまうと思いますので、ある意味、セントラルのモニタリングでもいいという話でされるのか、介入試験である場合には、オンサイトのモニタリングまで必須とするのかというところの明確化ですね。その辺がわかるように提示していただければ。そこによってとり方が大分変わってきてしまうと思いますので。

○楠岡座長 同じ医師主導治験といっても、承認薬の適用外もあれば、全く新規物質でやるというものもありますので、1つの言葉でまとめ上げるのはなかなか難しい。私がマトリックスといったのは、要は、どのファクターを含んでいる研究なのかということを、分類の方法を考えてやっていかないといけない。次の問題として、承認要件として、新規を年何件やっているかという話の中に、医師主導治験を10件やっていますと言って、よく中身を見たら、全部適用外ばかりだったら話にならないわけで、そこのところをもうちょっと書き分ける必要はあるだろうということ。この点に関して、いかがでしょうか。

 和泉委員。

○和泉委員 ICH-GCP準拠の特定臨床研究については、私は観察研究はいかがなものかなと思います。介入研究一本で絞ればいいのかなと思っております。

○楠岡座長 観察研究も非常に大事なものもあるので、申請するときの数の中には入れる。トータルで何本走っているかは、それがIRBなどの業務量との関係にもなりますので、それは申請の中には含めますけれども、特にその中で、評価というか、注目していかなければならない点としては、やはり介入研究、臨床試験ということになっていくと思います。今のような、少し細かい分類に関して、これはまた事務局にも考えていただきたい。1つの研究がいろいろなファクター、医師主導治験であったり、そうでなかったり、first in humanであったり、そうでなかったり、あるいは相がどれぐらいかということがあるので、ファクターを見極めてやっていかないと、ただ数だけでは見えない。分類法みたいなものを。最終的に承認要件としては、例えば、その中でさらに医師主導で、新規に関するようなものを何件やっているかという形で決めていかないと、縛りようがないと思いますので、その方向で少し詰めていくと、そういうことでよろしいでしょうか。

 それから、論文数に関してですけれども、査読のある学術雑誌といっても、今、査読のない雑誌はほとんどなくて、問題は査読のレベルで、出せばすぐ通るところと、採択率が20%という雑誌とあるわけで、この辺をどう見極めるかについて、少し御意見をと思います。1つ、インパクトファクターというのがどうしても出てくるのですが、インパクトファクターというのもかなり偏りのある指標でもあるので、もちろん参考にはなるとは思うのですが、インパクトファクターだけではなかなか評価ができない。特に循環器とか、がんの領域は、インパクトファクターが10ないと一流とは言えないけれども、ある分野だったら、インパクトファクターがついているだけで十分というような、かなり格差もありますので、その辺はなかなか難しいかと思います。

 下瀬川委員。

○下瀬川委員 私も余りインパクトファクターにはこだわる必要はないと思います。高いものが必ずしも臨床研究活動の指標となるものではなくて、基礎研究的なことも結構ありますので。ですから、アクティビティーを見る上では本数、これが基本ではないかと思います。

○楠岡座長 ほかに御意見ございますか。中川委員。

○中川委員 特定機能病院の見直しの要件で、資料3にありますけれども、70本としましたけれども、それよりも厳しくないとおかしいでしょうね。何本かは別として。

○楠岡座長 特定機能病院も一応、臨床研究という中でファーストオーサーで英文という形になっているので、本数で上げるのか、それとも特定機能病院では英文であったらいいみたいな格好になっているので、もうちょっと質を絞り込むかというのも1つの議論かと思うのです。

 花井委員、どうぞ。

○花井委員 質を絞るということになるかもしれませんが、引用数というのは明らかにわかるのですけれども、それを入れたら、かなり狭まってしまうのかもしれません。でも、引用数であれば公平にわかる。

 それと、細かいのですけれども、所属機関の医師がと書いてありますが、薬剤師とかでファーストオーサーでもいいのですね。

○楠岡座長 それは臨床研究ということで、ファーストオーサーの職種にはかかわらずということで。

 ここでどう絞るかなのですが、引用数というのも、結局、それがある意味、インパクトファクターに反映されることになってくる。これはあくまで1つの提案ですけれども、NIHのナショナルライブラリーが『PubMed』という雑誌の目次録みたいなものを出していて、そこに収載される雑誌というのは、ある一定の、向こうの基準ですけれども、質とかをチェックされて、クリアされたものだけがそこに載っている。だから、今、『PubMed』に入れてくれとあちこちからお願いしていても、向こうの委員会がチェックして、ある基準をクリアしないと、その中に収載しないという仕組みがあって、これがある意味では雑誌のレベルというと語弊がありますけれども、それの1つの基準みたいになっています。もちろん、非常に新しい分野で、まだできたばかりの雑誌で、その分野では非常に権威があるのだけれども、まだできてから期間が短いので『PubMed』に載っていないというような例外的なものは若干ありますけれども、『PubMed』なども1つの指標になるということがありますので、このあたりに関して、また御検討いただきたい。日本は、中央雑誌というのは和文しか載っていないので、今回の対象には全然なりませんので、英文に関してというと、世界的にあるとしたら、やはり『PubMed』という形。ただ、『PubMed』も、もう一つ、『PubMed on line』と2つあって、オンラインのほうは少し基準が緩いという話も聞いていますので、その辺がどう違うのかも確認が必要かと思います。

そうしますと、中川委員がおっしゃっていたような、特定機能病院ですと、こういう言い方をすると非常に失礼ですけれども、誰も聞いたことがないような雑誌も英文で書かれていたら1編という話になるのに対して、『PubMed』であれば、検索すれば必ずその論文が引っかかってくるということになりますので、そこは1つの考え方であると思います。この辺に関しても、次回、検討していただきたい。

それから、計画を立案して実施するということに関してですけれども、これは後のほうで少し出てくるところがあると思いますが、多分、中、あるいは外においてどれだけ支援組織として研究立案に関する支援ができるかということになってくるかと思います。

4番目、他の医療機関との共同に関しても同じで、これに関しても後で少し出てきますけれども、多施設共同研究の数というのも、なかなか難しくて、極端なことを言うと、2施設でも多施設になってしまいますし、50施設、100施設も多施設ということになります。疾患にもよりますけれども、10施設ぐらいでも何千例と集める場合もあれば、非常に希少疾患であれば、50施設集まっても100例ぐらいしかないというふうに、症例数でもなかなか切ることもできないという問題があります。多施設共同研究として、どこまでをカウントするか。とりあえず全部出してもらって中身を見るというのもありでしょうけれども、それも結構な数になってくると大変なので、基準をどうするかということを考えていただきたいと思います。これに関しまして何かありますか。

中西委員。

○中西委員 例えば、論点4の対応の中には、所属する医師が主導と書いてある。それから、下の参考のところの実施件数には機関が主導していると書いてあります。実は、そこに所属する医師が主導して別の機関を利用するのもあれば、その逆もありますし、最近は、橋渡し研究拠点間では、お互いに協力し合ってパーツ、パーツを分担してやりましょうということも出てきたので、ここの定義は、医師なのか、機関なのか、あるいは何でもって主導とするのかははっきりしておかないと混乱があるような気がいたします。

○楠岡座長 そうしますと、1つは、その施設で実施されている多施設共同研究で、その中で責任医師、全体の統括医師がその施設に所属しているものが幾つあるかという考え方でよろしいでしょうか。ただ、これに関しては、多分、青谷委員からも意見があるかと思うのですけれども、総括医師はほかの施設だけれども、事務局はこっちだというものがあって、実際はほとんど事務局がマネジメントしている、それをどう扱うかということだと思うのです。

○青谷委員 主任研究者は他施設の所属であっても、あるいは、試験実施医療機関ではなくても、AROとしてコーディネーティングセンターやデータセンターとして参画した臨床試験も実績の1カウントとして認める認定要件は必要なのではないかと思います。

○楠岡座長 そうしますと、数は膨大になるのであれですけれども、まずはその施設で実施されている多施設共同研究があって、その中で1つは、全体の総括医師がその施設の医師である場合と、2番目は、ARO機能をそこの施設が担当しているものというのを、○印とか△印をつけてわかるようにして、その数をある程度カウントすると。要は、多施設共同研究たくさんやっていますけれども、全部下請けばかりではだめで、自分のところが何らかの意味で中心になってやっているところをカウントする。件数に関してはまた今後の議論ということになるかと思います。

 次が5番目ですけれども、援助する機能ということで、プロトコール作成支援、それから、倫理審査件数。倫理審査件数に関しては、もし共同IRBを行っていれば、当然ここには出てきますので、これはわかると思うのですが、データマネジメント機能に関しては、先ほどのAROとの話になってきますし、モニタリング監査もある程度わかると思うのですが。問題はこの「契約に基づき」というところなのですが、倫理審査に関しては、委嘱する場合には契約をもってというのが基本になっています。契約ベースということで、データマネジメント機能も、ある程度契約ベース、青谷委員とか大津委員のところではどういう。

○青谷委員 私どもは全て受託契約、お金が流れないときはアグリーメント、合意書の形をとっています。

○楠岡座長 同じですね。ですから、契約もしくはそれに同等のものという形。それから、国立病院機構などですと、設置母体が1つなので、別に契約とか何かを結ばなくてもやっているというものもあると思いますので、一応、そういう意味で、取り決めがわかるようなものという形になるかと思います。

 それから、モニタリング監査は、がんセンターなどは、JGOGでやっているものに関して、相互モニタリングとか、あるいは相互監査されていると思いますが、これはどこに、点数をつけると言うとおかしいですけれども、というのは、実際、監査に行ったりするのは必ずしもがんセンターの医師とか関係者ばかりではなくて、ネットワークの中の相互という格好になると思うのですけれども。

○大津委員 そうです。相互監査ですので、別にがんセンターの医者がそこに全部入っているわけではありません。入る場合もありますし、入らない場合もあるという。

○楠岡座長 契約に基づいたモニタリング監査というのが、いざ、そういうのを探すと、多分、今、ほとんどないかもしれないと思うのです。ですから、モニタリングに関しては、自己モニタリング、あるいはセントラルモニタリングというときに、セントラルモニタリングを、例えば、AORとして請け負うという場合は、多分、何か契約ベースとかいうものが出てくると思うのですけれども、その辺のところ、どういうふうに定義するかに関して、少し考えないと、なかなか難しいかもしれないと思います。

 中西委員のところはどうですか、こういうところに関しては。

○中西委員 セントラルモニタリングをするとしても、COIの観点から契約書を取り交わしておかないと、資金の流れが見えないということもありますので、契約という言葉、あるいは契約に準じるような取り交わしがあるというのは必須でいいと思います。

○楠岡座長 では、契約とあるものが必ずしも契約書という形ではなくて、何らかの取り交わしがあって、受託関係がはっきりわかるようなものという形で考えていただくということでいいかと思います。

 最後の相談件数は、実際、どこからどこまでを相談とするかなのですけれども、これは後にして、最初のプロトコール作成支援に関しては、どうですか。現状として、青谷委員、大津委員のところでは、プロトコール作成支援という業務に関して、契約ベースとかでやるということは。

○青谷委員 もちろんそうです。プロトコール作成支援は、臨床研究のコーディネートという支援業務カテゴリーの項目のひとつとして標準業務手順書にも挙がっています。実際に契約書ベースでプロトコール作成の支援業務を行っています。契約先の多くは、他の医療機関の研究者や海外及び国内の別組織であったり、研究グループであったりします。

○楠岡座長 大津委員のがんセンターはどうですか。

○大津委員 基本的には同じです。他施設の先生がつくったプロトコールの支援というところは、今、計画はしているのですが、まだなので、そこの契約はしていませんけれども、基本的には青谷さんのところと同じです。

○楠岡座長 中西委員、下瀬川委員のところはどうですか。

○中西委員 作成支援の内容が随分バラエティーに富むのですね。例えば、統計解析に関するアドバイスだけをすることもあれば、フルサポートと称して、きちんと料金をいただいてやることもありますので、ここが非常に難しいのです。ただ、現時点では、なかなか切り分けは難しいので、一応、契約があってやったものについては、余り内容を問わずにリストアップしていただいて、ただし、その中にどういう作成支援だったのかを明記させることで、今後の資料にもしていくというのがいかがかと思います。

○下瀬川委員 うちではもう既にプロトコール支援、他の医療機関のものは行っています。これは契約ベースになります。

○楠岡座長 そうしましたら、一応、契約ベースで行う中で、要は、プロトコールのかなりの部分を実際仕上げるところもあれば、症例数の計算とか、統計部門だけ請け負うというところもあると思いますので、どこに関与したかがわかるような形になっていれば評価ができるということになるかと思います。

 それから、研修ですけれども、これは具体的に、何をしているかは絶対必要なのですが、そこにあるように、受講者の職種、人数、開催頻度というところなのですが、これはいかがですか。

○青谷委員 ともすると、セミナーを一回開いて終わりのような単発的な研修になってしまうので、中核病院に難しい要件をつけるようになるかもしれませんが、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの機会を提供するという要件を入れていただきたいと思います。

○楠岡座長 eラーニングをどう評価されますか。

○青谷委員 私どもも、がんセンターでつくられたeラーニングや医師会のeラーニング等を活用させていただいております。乱立してeラーニングを新たにつくるよりは、既にあるeラーニングに問題を提供したり、みんなで見直しをしたりして内容を充実させていくほうがよいのではないかと思います。

○楠岡座長 お聞きしているのは、eラーニングを受けたということをどう評価するか。そのeラーニングシステムの最後にアチーブメントテストみたいなものがあって、受講修了証なり、あるいは資格証明書的なものをプリントアウトできるというシステムであれば、それを中央で集めることによって、このコースは何人受けたというのが把握できますけれども、そういうのがないものに関してだと、言うならば自己申告みたいな話になってしまう。それは最初から含めないとするのか、そのあたりはいかがですか。ただ、今後、eラーニングの占める割合はふえてくると思います。受講者の勤務帯が全くばらばらな病院などだと、一斉のセミナーというのは、やっても3分の1集まるのが精いっぱいみたいな形になってきたときに、どうしてもeラーニングでという話になったときに、それをどういうふうに評価していくか。

 和泉委員。

○和泉委員 今、楠岡座長がおっしゃったとおり、これからはeラーニングが非常に重要だと私は思っておりますので、それに対して、回答して、成績が出るようなものであれば、それは認めたほうがいいのではないかと思います。

○楠岡座長 ほかに。橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 そういう研修の機会が提供されることが非常に重要だし、そういう活動を認めていくということなので、eラーニングであってもいいと私は思います。

○楠岡座長 下瀬川委員、どうぞ。

○下瀬川委員 研修は、ただやっても余り効果がなく、ある程度、ライセンス制度などを取り入れて、例えばこういったものをきちんと受けた者でないと倫理委員会に申請できないなど、縛りは必要になってくると思います。ですから、将来の課題になるかもしれませんが、単に研修の数や、人数だけではなくて、中身、それから、実際に臨床研究にどういうふうに結びついているかというところまできちんと調べたほうがいいのではないかと思います。

○楠岡座長 この研修を必須というのは、研修の内容そのものがまだ標準化されていないので、施設ごと、あるいはeラーニングごとになってしまうと思うのですが、臨床研究に関する研修、講習を実施した内容と、それから、どの職種が何人受けたということ。

それから、後でログの問題がありますので、必ず受講者の名簿とかは残しておいてもらうということは必要最小限の条件で、あと、人数なのですが、その施設で、当然その研修を受けるべき人数があると思われますので、その人数に対して、何%受けたかということもあわせて報告いただく。

それから、伝達講習みたいなことをやる場合もあると思うのです。これはなかなか評価が難しいのですが、きっちり伝達講習に出た人も含めて、そこはカウントしてもいいかもしれないと思うのですけれども、その辺、どんな記載ぶりにするかは考えていただかないと難しいかもしれないと思います。

研修機能は、実際、研修をどれだけやっているかということと、あと、これは後で出てきますが、研修の部隊ですね。それを持つのか、それとも、企画者が1人専任の人がいて、その人が采配していくかというところはあるかと思いますが、後日、このあたりのことを検討することになろうかと思います。

次が、論点7の診療科ですが、これに関してはいかがですか。どうぞ。

○和泉委員 臨床研究中核ということであれば、確かにfirst in humanということもありますと、それなりの副作用が出ることも考えられますし、また、目とか皮膚への副作用とかもありますので、そこの部分はある程度診療科を考慮すべきなのかなと思っております。

○楠岡座長 今、1つの例示として、特定機能病院の要件、15診療科、特定部門に関しては10診療科という形で出ていますけれども、とりあえずはこれでよろしいですか。ふやすとか、減らすとかいうところは。

 中西委員、どうぞ。

○中西委員 大学病院等においては総合病院ですから問題ないと思うのですが、私が懸念しているのは、いわゆるセンターホスピタル等で、非常に高度な医療、これまでも実績があり、実際に実施できる体制をつくっているところが、この基準に合うかどうかは、よくわかりません。べき論という前に、実態がどうかというのは見ておく必要があるのではないかという気がいたします。

○楠岡座長 ここは事務局で何か把握されているところはありますか。

○神ノ田課長 今のはどういう施設なのかを教えていただきたいのですが。

○中西委員 国立循環器病センターとか、国立がん研究センター。

○神ノ田課長 そういう意味では、この資料の8ページに記載されているように、そういった病院については10診療科ということで、ちょっと要件が緩和されている部分で拾われております。

○楠岡座長 中川委員。

○中川委員 特定領域の特定機能病院でしょう。これ、10でなくていいというふうに、特定機能病院の要件はそうなっている。同じことを言ったのですか。

○神ノ田課長 そうです。

○中川委員 そうですか。だから、心配ないというか、それはそれでいいのではないですか。

○楠岡座長 この点に関しては、特定機能病院の要件をそのまま引き継いでということで。

 それから、論点8の病床数で400という数字が、これも特定機能病院が400なのでということですが、これはいかがですか。これも、どこで線を引いていいのか、とりあえず400というところで線を引かせていただくということで。

 それから、後ろのほうの持つべき設備との関連になると思いますが、first in human等を行う場合には、何か特別の機能を持たなければいけないとかいうことはありますか。今、一部の病院では、first in human用の病棟を建てたりしているわけですけれども、がんセンターもfirst in humanをやられていますけれども、別に特別の病棟ではなくて、普通の病棟の中で、少し手厚くという形。

○大津委員 特殊な遺伝子治療とか、そういうものを除けば、絶対ここでないとだめというものはございません。

○楠岡座長 そうしましたら、特別に一相病棟を持たなければいけないというのはなしでいいということでよろしいですね。

 次は論点9で、検査室の要件。これは、今のグローバルを考えると、ISOは取っておいてもらわないとという話になるかと思いますが、病理の方はいかがですか。私は病理のことは余りよくわからないのですが、がんのほうは病理の認定もかかわると思うので、大津委員、何か。

○大津委員 恐らく病理のほうも、アメリカのCAPに似たような質の保証に関する基準をつくるという話で、今、まさに日本の病理学会で立ち上がっている状況だと思いますので、病理の部分までここに含め、CAPのほうはちょっと難しいのかなと。ISOはたしか全国で7080施設とか取っていると聞いています。

○楠岡座長 ISOも、生理機能とか病理機能も含めてですので、一応、ISO一本を今のところ考えるということで、検査に関しては基準が満たせるであろうということで。今、特定機能病院はほとんどISOを取っているのでしょうか。これまた一度調べていただいてということでお願いします。

 そうしたら、次が人員のところなのですが、ここが非常に悩ましいところで。臨床研究に携わる医師・歯科医師・薬剤師・看護師の、「臨床研究に携わる」をどう定義するかというところですが、その下のほうに、今度は生物統計家とか、臨床研究コーディネーター、この中で、臨床研究コーディネーターとか、データマネジャー、あるいはモニタリング担当者、プロジェクトマネジャー、あるいは薬事の関係というのは、看護師、薬剤師とダブルカウントになってしまうところもある。ここもマトリックス的に考えないと。CRCの中で薬剤師が何人、看護師が何人という形になってくるかと思うのですけれども。まず最初の臨床研究に携わる医師等のところのカウントの範囲をどこまでにするかというところで、1つは、ARO機能を担当しているセクションがはっきりあるのであれば、そこに専従とか専任でおられる医師の数ということになるかと思いますが、研究分担医師とかでかかわっている人がどれぐらいいるかというところも含めてカウントするとなると。極端なことを言うと、うちの病院の医師はみんな臨床研究をやっていますという話になりかねないので、このあたりはどういうふうに。

 下瀬川委員。

○下瀬川委員 先ほどの診療科とも関係しますが、私の言うことが当たっているかどうかわからないのですが、医師でも、ある程度臨床研究をできるレベルにあるかどうか、たとえば内科医、外科医が各学会の専門医やその施設が学会専門施設の資格を持っているか、そういったことも、医療機関のクオリティーをあらわす目安にはなるのではないかと思います。ここに織り込むのがいいのかどうかはわかりませんが、そういったものも一応、参考にはなるのではないかと思います。

○楠岡座長 そうすると、今、専門医制度に関しては、基準になる10何学会があるので、その専門医の数が1つ。あるいは、もうちょっと細かく、内科、外科のサブスペシャリティーまで含むかというところが1つあるかと思います。ただ、臨床研究中核病院でも、診療と研究がある意味、区分されているところもあると思うので。残念ながら、今、医師に関して、例えば、臨床研究に携われる資格試験というか、どこかの学会か何かが専門医制度的に、臨床試験に関する資格というのは、実は今、全然ない。アメリカにはそういう団体があって、試験はしていますけれども、日本にはないということと、それから、薬剤師、看護師も、どういう人が携わるか。例えば、がんセンターなどですと、臨床試験病棟みたいなものがあるので、そこで働いている看護師は全部カウントするのかとかいう話になってくるので、ここのところをどういうふうに考えるか。一番単純なのは、先ほど言いましたAROに相当するところにおられる人の数と、それを専従、専任、併任のような形でカウントするということですけれども。

○下瀬川委員 よろしいですか。当然、こういったところに手を挙げてくるところは、十分そのような基準は満たしていると思うのですが、専門医や、あるいは博士課程などで訓練を受けた人間が何人ぐらいいて診療を行っているかは、その医療施設のクオリティーをあらわす目安になるだろうと思います。今後、博士号を取らない医師がふえてくる傾向の中で、きちんとしたレベルの臨床研究を支える人数がどれくらいいるのかというのは、ある程度、目安として押さえたほうがいいのではないかと思います。

○楠岡座長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 臨床もやって、研究もやったということで、分かれて、十分研究として医師がおられるところはいいと思うのですけれども、これは素人っぽい意見で恐縮なのですけれども、そういう医師であれば、それまでにファーストオーサーで論文を書いているので、例えば、論文を何本書いている医師が何人そこに含まれるという形になれば、実績を残している医師がそこにいることは間違いなくなるのではないでしょうかね。それがいいかどうかわかりません。全体の施設としての論文数は聞いているのだから、今度は、それまでにファーストオーサーで論文を10本書いた医師がいるとすれば、それはかなり臨床研究をやられた先生だということは客観的に明らかだと思います。

○楠岡座長 中川委員。

○中川委員 私は、論点10よりも論点11だと思うのですよ。この場合は。論点10に関しては、特定機能病院の要件のように、医師配置基準の半数以上が特定領域の専門医というぐらいの緩い基準で十分だと思います。論点11の従事者が充実しているということは、当然、論点10のほうも充実しているわけですから。ということでどうでしょうか。

○楠岡座長 今の御意見は、特定機能病院の人員配置のところを見ていただきますと、参考資料3の3ページ目のところに人員配置基準というのがあって、医師は入院患者プラス外来患者数割る2.5の合計を8で割った以上とか、一応、こういう基準が出ていますので、医師・歯科医師・看護師・薬剤師等に関しては、一応、この基準。論文の数という話がありましたけれども、カウントの仕方、例えば、過去何年以内とか、臨床論文なのか、基礎なのかとか、細かい話があるので、少なくとも専門医がどれだけいるかというぐらいの数は出していただくことと、あとは11のほうで、今から検討する以外に、ARO機能の中に、そこに専従しているところで、医師とか、看護師とかが何人いるかというのもカウントするという形になって、そのあたりが妥当なところかと思うのですが。

 事務局、どうぞ。

○神ノ田課長 補足ですけれども、法律上、臨床研究に携わる医師となっていますので、単に資格を持っている医師が、日ごろ臨床だけをしているという場合にはカウントできないのかなと理解しております。括弧書きで専任の人数と書いておりますけれども、専任でしたら、半分は臨床、診察とかをやっているかもしれないけれども、半分ぐらいの時間は臨床研究支援に携わっていますと、そういうことで定義をして、そういう医師が何人以上と。さらに厳しくして専従ということになると、8割ぐらいですね。専ら臨床研究の関係の仕事をしているという形で定義をして、その数が何人という形の基準の設定の仕方になると思います。

 あと、またはで、常勤換算の人数と書いていますけれども、これは臨床研究に携わっているエフォート率みたいなことですかね。1割ぐらいのエフォートの人が10人いれば1カウントとか、そういうような基準の設定の仕方でよいのかどうか、そこら辺を。

○中川委員 課長、今の説明は参考資料2の2ページの第22条の3の第1項のことを言っているのだろうけれども、厚生労働省令で定める員数の臨床研修に携わる医師、これを言っているのでしょう。この臨床研修に携わるという定義はどうなっていますか。

○神ノ田課長 そこを決めなければいけないかなということで、専任という考え方をとるのであれば、半分以上の時間は臨床研究に従事しているという定義で、そういう専任医師が何人以上というような基準の設定の仕方になります。また、もうちょっと厳しくするということであれば、専従ということで8割以上という設定の仕方もあります。

○楠岡座長 それを厳密に解釈すると、医師が日常診療をやっている中で、同意を取った被験者にどれだけかかわっているかと。要するに、一日診療で受け持ちが20人いて、ずっと見ている中で、治験とか臨床研究に同意をしていただいて被験者になっている人が何人ぐらいいるのか、その人にどれだけかかわっているかとか、時間帯とかいうような、要するに業務調査的な内容で出さないとよくわからないし、逆に今度は、AROのところで、マネジメントでずっと一日やっている人は、それは臨床研究に携わっているのかどうかというところで、臨床研究に携わるという定義が非常に難しい。治験責任者、分担医師になっている人は1人としてカウントするかといっても、責任医師になっていても、実際はほとんどほかの人が患者さんのケアに当たっていたら、その人は臨床研究を1日の中で何時間やっているかといったら、ほとんどやっていないみたいな話になる。専任、専従ということになると、むしろ研究センター的なところで専任か、専従かぐらいの分け方しかないし、逆に携わるというところ、どれだけ患者さんにコミットしているかということになると、実際、今、毎日接している中で、同意していただいた被験者が何人で、その人にどれだけかかわっているかみたいな話で、測定することが非常に難しくなる。そのあたりに関して、事務局としては何か案があるのかどうか。

○神ノ田課長 そこで、資料にありますように、現状ではデータがないと、そこら辺、決められないと思いますので、調査をまずしてみて、実態がどうなっているかを確認した上で御議論いただいたらどうかと考えています。

○下瀬川委員 非常に幅がある解釈をされる可能性がありますので、調査で見ても、それが参考になるかと言われると、私は参考にならないと思います。

○楠岡座長 どうぞ。

○中川委員 課長、この辺は緩くていいと思う。さっき楠岡先生おっしゃったように、どれを指して携わるかというのは、考え方の問題だから。

○楠岡座長 2つあって、1つは、少なくとも既にARO的なものを持っておられる施設であれば、当然のことながら、そこのマネジメントにかかわっている医師なり、薬剤師、看護師なりがおられると思うので、何人働いている、それが専任なのか、専従なのか、これはつかめる数字ですし、それは出せると思います。

ただ、もう一方の、実際の臨床の中で、どれだけ臨床研究に携わっているかということに関しては、強いて数として出すとすると、責任医師、分担医師になっている人、それがどれだけ1日の間で被験者に接しているかというのは難しいですけれども、それであれば、例えば、スタッフが100人いる病院の中で、責任医師、分担医師をやっている人が20人しかいないというところと、50人という、もちろん走っている研究の数とか内容にもよりますけれども、そこである程度考える。当然ながら、責任研究者、分担医師になる場合は、ほかの病院は手を挙げたらなれるのかもしれませんけれども、臨床研究中核病院は、先ほどの研修との兼ね合いで、何らかの研修をクリアしていないと、分担医師とか責任医師にはしないというシステムをとっておいていただければ、それなりに評価できる。臨床研究に理解があって、素養があって、実際、どれぐらいコミットできているかわからないけれども、分担医師等に名前が挙がっていて、当然それはプロトコールを読んで、患者さん対応で被験者対応もしている人だろうからという形でのカウントはできると思う。

ただ、今度、看護師、薬剤師になってくると、なかなかそこが難しいので、これは下のほうの臨床研究コーディネーターとか、それを専任でやっているのか、兼任でやっているのかで分けていかないと、なかなか具体的な数字として出てこない。例えば、1日の業務の中で、治験薬を処方に基づいて出していたら、それは研究に携わっているのかと言われると、それは通常業務のごく一部ということになってしまいますから、そこまで含めるのもちょっと無理があると思うのです。

今、下瀬川先生がおっしゃったように、臨床研究に携わっている医師は何人いますかといっても、施設ごとに全然違う数字が出てくると思うので、今のようにかなり細かく要件を絞って、それに何人いるかということ。

それから、責任医師、分担医師は、当然、施設では把握していますけれども、延べはすぐわかるのですけれども、同じ人が幾つも兼ねているので、実際の数を出すときは相当施設は大変だと思いますけれども、それも今回は調査、協力いただければというところでお願いできるかと思います。よろしいですか。そういう形でないと、なかなか実際の数にはならないと思いますので。よろしいでしょうか。

それから、11のほうは、今のようなところで、これに関して、大体、どの部門もそうですけれども、実務経験2年か3年がひとり立ちできるところと考えられているので、実務経験を2年とか3年とするか。臨床研究コーディネーターは上級を考えているので、もうちょっと経験年数をふやすかということになるかと思いますが、これはまた考えていただいて、1つの目安としては2年とか3年だと思いますけれども、特定のところに関しては、もうちょっと要る。あるいは逆に、この部分は2年経験している人がまだいないようなというのはまずないと思うので、そのあたりを1つということと、あと、何名以上というところに関しては、これは次回調査していただいて、実際の数字等を見ながら決めることにはなると思うのですけれども、今のCRCなどもどれぐらいかかわっているかによると思うのです。

下瀬川委員。

○下瀬川委員 この中でも、例えば、生物統計家などは、何人以上となると、数は限られてくると思います。こういった職種が日本の中で認識されるようになってまだ年数が浅いので、余り厳しい基準を設けると、かなりの足かせになってしまう可能性があると思います。現在教育中のところが多いと思ますので、厳しい経験年数は設けないほうがいいのではないかと思います。

○楠岡座長 では、その辺を加味して、少し検討してください。例えば、生物統計家ですと、これを2名以上としたら、ほとんどのところがだめみたいなので、最低1名はいていただくという形にせざるを得ないところもあるかと思います。

 それから、ここの中で1つ抜けているのが、生命倫理というか、研究倫理の専門家なのですが、これも数がおられないのです。それを必須要件にしてしまうと、多分、大変なことになると思うのですが、先ほど来の研究倫理とかのこともありますので、倫理に関して、これは専任、専従ではなくて、併任とか、あるいはよそとの兼任みたいなものでもいいとは思うのですが、そういう人を置いているかどうかは確認の必要があるところだと思いますので、そこは1つ考えていただきたい。

 ほかに、その他、あるいはこれはもういいのではないかというところ、先ほど知財のところでは、お1人は要るだろうというところがありました。ただ、ここに弁理士の資格を有しているというのが入っていますけれども、このあたりはいかがでしょうか。

○大津委員 ほとんど難しいと思います。

あと、研究倫理に関しては、入れるのは構わないのですけれども、研究倫理の専門家という定義を何にするのかというところを明確化していただきたい。特に資格というのはないと思いますので、その辺の明確化をお願いいたします。

○楠岡座長 そうすると、知財のところは弁理士を要件にするのは難しいという御意見がありました。

 それから、薬事承認審査関連業務、これは具体的にはPMDAにどれだけ行っていたかという話になるかと思うのですけれども、これもどこまで含めるかというところですね。

 それから、プロジェクトマネジャーは、プロジェクトごとに発生してくるので、AROに常にいるべきなのかどうかということで、これは青谷委員はいかがですか。

○青谷委員 中核病院にどこまでの機能を求めるかという話になってくるのだと思うのですが、今まで案に出てきた要件を全て持つ中核病院が果たして日本に幾つあるだろうというのが、心配になってきました。結局、絵に描いた餅のように、高い水準の要件をつけて、どこも全部を一医療機関として満たすところはできないために、この機能は他機関と提携して、この機能は外注してという形になってしまうのではないかと思います。プロジェクトマネジャーの人数に限らず、スタッフ配置については医療機関の特殊性により、ある程度の独自性が各中核病院に認められてもよいのではないかと、個人的には思います。

○楠岡座長 いかがでしょうか。では、その点を少し考慮して、ただ、一度調査はしていただいて、自前で抱えられるのかどうか。生物統計家は今までの議論の中から、どうしても1人は要るでしょうし、臨床研究コーディネーターは、具体的に治験と臨床研究を兼ねていいのかとか、独立していなければいけないのかという話もありますけれども、そこは調査の中で確認いただくということで。それから、データマネジャーも、データマネジメントは行うわけですけれども、サーバーとかは外に置くという話もあります。だから、データマネジメントの機能を担える人材というのは、最低何名ぐらいが要るのか。

それから、モニタリングとか、監査を実施することに関しては、これはモニタリングを直接するか、それとも、今回、モニタリングに関しては、自主点検的なことが出てきましたので、モニタリングの仕方を教える人みたいな形も考えられるので、このあたりも少し幅を考えないと。製薬会社のようにモニタリング業務だけに専従する人がいるとは思えませんので、CRC業務の中でモニタリングもやっているということもあるかもしれません。

それから、プロジェクトマネジャーに関しては、必須とかではなくて、全体の中でプロジェクトマネジメントの経験者が何人いるかを聞くということで。プロジェクトマネージを専門にする人がいるかどうかはなかなか、今考えても、本当に片手ぐらいしかいらっしゃらないと思うので、必須というよりも、実際どれぐらいやっているかという状況を聞くことになるかと思います。

知財は先ほど来、お1人要るだろうと。

それから、薬事に関しては、この方の業務内容がどういうことか。PMDAに行った経験はあるけれども、実際上は、今、CRCとして働いているという方もおられるので、業務としてどういうことをするかを、制約をつけておかないと、経験者という形でみんなカウントされてしまう可能性もあるので、そこを調査のところで見ていただく。今、調査対象としてどこを考えておられるのですか。

○神ノ田課長 特定機能病院あたりまで、幅広く調査票は投げてみたいと考えています。回収率がどこまで上がるかというところはあるのですけれども。

○楠岡座長 わかりました。今の特定機能病院でどれぐらいのところかというのを1つの目安として、その中で、別にこれはハードルを下げる話ではなくて、そこを参考に人数を決める。

 あと、CRCに関しては、単に人数だけではなくて、走っている試験の数当たり何名とかいう考え方もあると思うのですね。例えば、今、CRCは、治験に関しては5本から7本に1人と数値が挙がっていますし、これは具体的な調査データもある。既存のデータもあると思いますので、そういう形での縛り方もあるかもしれないと思います。

 済みません、ちょっと時間が超過しましたので、論点1に戻ることができなかったので、これはまた次回、先ほどの案をベースにいろいろ考えていただいて、具体的な提案をいただき、議論したいと思います。

 あと、3の「その他」に関しては、何か事務局のほうでは。

○神ノ田課長 特にございません。

○楠岡座長 わかりました。そうしましたら、今、御意見をもとに、論点1に関しては、ちょっと方向性が見えてきたと思いますので、それに関して、もう一度、事務局で整理していただきます。次回は数値データとかに関しても、データがもし間に合えば、それを参考に、もし間に合わなければ、その次になるかもしれませんけれども、数字を決めていきたいと思います。

 本日予定していた議題は以上であります。ほかに委員から、これを追加とか、はい、和泉委員。

○和泉委員 先ほどの生命倫理の件について、そもそも生命倫理の専門家の定義の問題はあるのですけれども、もし調査するのであれば、IRBとか、倫理委員会に生命倫理担当の委員の先生がいらっしゃるかどうかを調査していただければ、そこでかなりプロトコールを審議されているのかなと思いますので、その点、お願いできればと思います。

○楠岡座長 それも調査項目でお願いします。

 ほかにございますか。よろしいでしょうか。もしなければ、事務局から事務連絡をお願いいたします。

○神ノ田課長 次回の開催日時、場所等につきましては、事務局から追って御連絡させていただきます。

 また、本日の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、あわせてよろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○楠岡座長 どうもありがとうございました。

 ちょっと時間が超過して申しわけございませんでした。これにて本日は閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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