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2014年9月4日 第2回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成26年9月4日(木)15:00~17:00


○場所

航空会館 大ホール (7階)
(東京都港区新橋1-18-1)


○出席者

田中滋 (部会長)
宮本みち子 (部会長代理)
石橋真二 (委員)
猪熊律子 (委員)
鎌倉克英 (委員)
川井太加子 (委員)
黒岩祐治 (委員)
 (代理:西條由人参考人)
小林光俊 (委員)
関川芳孝 (委員)
高橋英治 (委員)
高橋福太郎 (委員)
 (代理人:後藤修文参考人)
武居敏 (委員)
 (代理人:磯彰格参考人)
橘文也 (委員)
対馬徳昭 (委員)
花井圭子 (委員)
福間勉 (委員)
藤井賢一郎 (委員)
藤野興一 (委員)
松原由美 (委員)
松山幸弘 (委員)
柳川純一 (委員)

○議題

経営組織の在り方について

○議事

○田中部会長 定刻になりましたので、ただいまより第2回「福祉部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 初めに、委員の出欠状況について事務局より説明をお願いします。

○西辻総務課長 それでは、委員の出席状況の前に、前回欠席の委員の御紹介をさせていただきます。
 関川芳孝委員でございます。
 委員の御出欠の状況でございますが、本日は、黒岩委員、高橋福太郎委員、武居委員、堀田委員、三好委員から御欠席の連絡をいただいております。
 それから、松原委員は若干遅れる見込みでございます。
 また、黒岩委員の代理といたしまして、神奈川県保健福祉局福祉部の西條由人参考人、高橋福太郎委員の代理といたしまして、全国福祉高等学校長会副理事長の後藤修文参考人、武居委員の代理といたしまして、全国社会福祉法人経営者協議会副会長の磯彰格参考人にお越しいただいております。
 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。
 議事に入ります前に、ただいま紹介がありました欠席の委員の代理として御出席いただいている参考人について、皆様の御承認をいただく必要があります。
 本日御欠席の黒岩委員、高橋福太郎委員、武居委員の代理として、西條由人参考人、後藤修文参考人、磯彰格参考人の御出席について、異議はございませんでしょうか。

   (「異議なし」と声あり)

○田中部会長 ありがとうございました。
 続いて、資料の確認をいたします。事務局から説明をお願いします。

○西辻総務課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。
 本日は、配布資料といたしまして、資料1、資料2、参考資料の3点。
 資料1 社会福祉法人制度の見直しの論点
 資料2 経営組織の在り方
 参考資料 参考資料集
でございます。御確認をお願いいたします。

○田中部会長 では、早速議事に入ります。
 事務局より、資料「社会福祉法人制度の見直しの主な論点」について説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 それでは、資料1につきまして御説明申し上げます。
 当部会における議論の主な論点については、前回の部会において、大きな項目について掲示させていただきまして、基本的にその線で御了解をいただいています。今回は、その論点についてさらに詳しく示させていただき、議論の射程の明確化の観点から御議論いただきたいと思っております。
 まず資料の論点の検討事項、左の欄につきましては、前回の事項と同じでございます。
 右の論点でございますが、それぞれの項目につきまして、例示といたしまして、このような議論について御議論いただいてはどうかということで示させていただいております。
 まず1番目の「社会福祉法人制度の意義」につきましては、あらゆる回におきまして、そもそも社会福祉法人が担うべき役割、意義というものを議論の基点として御議論いただければと考えております。以下、「経営組織の在り方」以降につきましては、各回において、主な論点として御議論いただきたいと思っております。この順番につきましては順不同でございまして、審議の順番と必ずしも一致しておりません。
 「経営組織の在り方」につきましては本日御議論いただきますが、理事、理事長、理事会の位置付け、権限、責任等、このような項目につきまして、今まで規制改革実施計画あるいは社会福祉法人制度の在り方検討会において挙げられました論点などを参考に整理させていただいております。
 また、「業務運営・財務運営の在り方」においては、規制改革実施計画で提言されました社会貢献活動、あるいは社会福祉法人の在り方検討会で提言されました地域における公益的な活動の位置付け、範囲などについても御議論いただければと思っております。また、財務運営の規律につきましては、規制改革実施計画の中に提言されております、いわゆる内部留保の明確化とその再投資のあり方について御議論いただければと思っております。そして、経営力向上の方策等につきましても、この論点の中で御議論いただければと思っております。
 次に、「運営の透明性の確保の在り方」につきましては、財務諸表、活動状況の公表、あるいは都道府県、国におけます情報集約やその公表の在り方につきまして、御議論いただければと思っております。
 次に、「法人の連携・協働等の在り方」ですが、これは法人の再編等の仕組み、あるいは複数法人による協働の仕組みなどについて、その在り方、方策などを御議論いただければと思っております。
 次に、「行政の関与の在り方」ですが、これにつきましては、まずは適正な運営を確保するための指導監督、また、新たな視点といたしまして、法人の育成の観点からの指導監督、そして、行政が社会福祉法人の運営に関与する中で、国、都道府県、市がそれぞれどのような役割と位置付けを担うかということを御議論いただければと思っております。
 また、「他制度における社会福祉法人の位置付け」につきましては、社会福祉施設職員等退職手当共済などの他制度における社会福祉法人の位置付けについて御議論いただければと思っております。
 説明は以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 個別の論点の中身は毎回これから議論していくことになりますが、ただいまの資料1について何か御質問はおありでしょうか。これらを取り上げるが、順番はこのとおりとは限らない、しかし、いずれみな取り上げる、そういう理解でよろしいですね。御質問はございませんか。
 では、本日の主題であります「経営組織の在り方」を議題として議論いたしましょう。事務局より資料の説明をお願いします。

○岩井福祉基盤課長 資料2「経営組織の在り方」につきまして、御説明申し上げます。先ほど御紹介いたしました論点の「経営組織の在り方」につきまして、資料として提示させていただいております。
 1ページおめくりいただきまして、2ページですが、これが本日御審議いただきたい事項の目次でございます。
 1.理事・理事長・理事会に関する事項
 2.評議員・評議員会に関する事項
 3.監事に関する事項
 4.会計監査人に関する事項
に分けて資料を作成しております。
 1ページおめくりください。まず初めに、「検討に当たっての基本的な視点」につきまして、提示させていただきます。在り方検討会等、これまでの審議の積み重ねから、こうした基本的な視点が必要ではないかということで事務局として用意させていただきました。
 まず、社会福祉法人は、公益性の高い社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人であり、旧民法第34条に基づく公益法人の特別法人として創設された、すなわち公益性の非常に高い法人であるという趣旨でございます。そして、これまで地域の福祉基盤としての役割を果たしてきたということを書いております。
 2番目の段落でございますが、一方、平成18年に公益法人制度改革が行われました。この中で、旧民法第34条に基づく公益法人は、その機関や財務会計の在り方が大幅に見直されました。それとともに、一般社団法人・一般財団法人と公益社団法人・公益財団法人に再編する改正が行われております。こうした公益法人改革の動きというものも視点に置いて御議論いただければと思っております。
 3つ目の段落でございますが、昨今の状況についてです。福祉ニーズの多様化・複雑化に対応していく中で、公益性と非営利性を備えた法人として社会福祉法人の重要性はますます高まっているものと認識されます。そうした中で、ガバナンスの確保など社会福祉法人制度の在り方が問われております。今回の部会におきましては、そうした視点に立ちまして、一般財団法人・公益財団法人を始めとした他の公益法人制度等における制度改革を参考にしながら、公益性を担保できる経営組織について検討していく必要があるとしております。こうした基本的な視点に立ちまして資料を作成しておりますので、御議論いただきたいと思っております。
 次の4ページにつきましては、ただいまの基本的な視点にありましたように、他の公益法人関係の法人における制度の現状の概要を整理しております。社会福祉法人が一番左にございまして、次に一般財団法人・公益財団法人、学校法人、医療法人とございます。一般財団法人・公益財団法人につきましては、これから各論点ごとに御説明申し上げますが、様々な規定が詳細に規定されている状況です。また、学校法人につきましても、一部改正などが行われております。医療法人につきましては、社会医療法人がございますので、必ずしもこれを比較対象とすること自体について議論があろうかと思いますが、参考に付けさせていただいております。
 次の5ページを御覧ください。先ほどの基本的な視点で申し上げましたとおり、公益法人改革というものを一つの参考として議論する必要があると考えられます。したがいまして、社会福祉法人と公益法人に関します組織の基本的な枠組みを、この2ページで整理しております。
 なお、ただいまから私が説明申し上げます社会福祉法人の現状につきましては、法令上の位置付けと通知等運用での位置付けがございます。したがいまして、法令上の位置付け、あるいは制度の仕組みを御説明したとしても、実際はそうではなくて、さらに詳細な制度で運営していただいているという実態が多々ございます。その点につきまして御留意いただければと思います。
 5ページ、社会福祉法人の現状でございますが、大きな枠組みとしては3つあると考えられます。まず理事でございますが、法令上、社会福祉法人の理事は、業務の全てについての代表権を有するとされています。反対に申し上げますと、理事長の規定が整備されておらず、その権限等が明確にされておりません。
 2番目に、法人の業務の決定は、理事の過半数をもって決するとあります。これは、理事会の規定がなく、理事会の権限等が法令上明確にされていないということでございます。
 3番目でございますが、評議員会の設置は法令上は任意とされております。ただし、法令上、重要事項については定款で評議員会の議決を要することができるとされております。これが社会福祉法人の主な枠組みでございます。
 一方、6ページの公益法人、一般財団法人・公益財団法人の仕組みでございます。これにつきましては、代表理事、これは社会福祉法人で言えば理事長に当たると考えられますが、代表理事が法人を代表し、業務の執行を行うことが法令上明記されております。
 また、理事会は、法人の業務執行の決定、理事の職務執行の監督、代表理事の選定・解職を行うと規定されております。
 また、評議員会の設置は必置とされております。そして、議決機関、これは担当省庁の資料等を見ますと最高議決機関と書いてありますが、議決機関として位置付けられております。議決の内容は、定款の変更、理事等の選任・解任、役員の報酬等の重要事項でございます。
 このように、社会福祉法人と公益法人の枠組みを見ますと、大きな違いがあります。
 次に、個別の論点について御説明いたします。
 まず、「理事・理事長・理事会に関する事項」でございます。以降の資料につきましては、まず社会福祉法人の現状を御説明し、次に、考えられる課題、そして、関係する閣議決定等を挙げ、あるいは一般財団法人・公益財団法人における制度の枠組みを紹介しまして、その後、考え方として、今後の見直しの考え方を書かせていただいております。そして、論点があると思われるものにつきましては、論点を事務局の方であらかじめ書かせていただいております。
 まず、「1-(1) 理事・理事長・理事会の位置付け・権限・責任」でございます。現状は、先ほども御説明いたしましたが、法令上、全ての理事が社会福祉法人の業務についての代表権を有することとなっております。
 また、法令上、法人の業務の決定は、理事の過半数をもって決することとされておりまして、理事会の設置や権限に関する規定はございません。
 また、理事の選任は、定款準則上、理事総数の3分の2以上の同意を得て理事長が委嘱することとされております。
 次のページを御覧ください。このような社会福祉法人の制度につきまして、課題として考えられるものを列記しております。まず、理事、理事長の役割、権限の範囲が明確にされておりません。
 理事の義務と責任も法令上規定されておりません。
 理事会に関する規定が法令上なく、理事、理事長に対する牽制機能自体が制度化されていないという状況でございます。ここで言います牽制機能に関する制度化というのは、例えば理事会による理事の職務執行の監督でありますとか理事長の選定・解職等の権限、これらが法令上規定されていることを指しております。
 また、理事は理事の総数の3分の2以上の同意を得て理事長が委嘱することになりますので、すなわち理事会あるいは理事の同意により理事を選任する形になっております。これは、法人の業務執行の決定機関である理事会が執行機関の人選を行うこととなっておりまして、恣意的な法人運営を招くおそれがあると考えられます。
 関係する閣議決定等は、参考にあるとおりでございます。
 一方、一般財団法人・公益財団法人におきましては、先ほども御説明いたしましたとおり、理事、理事長、理事会の位置付け、権限、責任が明確に規定されております。そして、理事会による理事や理事長を牽制する機能が法制化されております。
 理事の義務、権限等も、下の図にございますとおり、かなり詳細に書かれております。その中の理事の義務の中では、善管注意義務とか忠実義務等を始め、義務がありますとともに、責任としましては、損害賠償責任、あるいは後ほど御説明いたします特別背任罪、贈収賄罪などの規定もございます。
 理事会の決定権限といたしましては、法人の業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、代表理事の選定及び解職等が書かれております。
 次のページを御覧ください。これは、関係法人につきまして、どのような規定が整備されているかを示したものでございまして、基本的にはやはり、公益法人改革を行いました一般財団法人・公益財団法人において詳細な規定が整備されているという状況です。
 このような制度の状況、あるいは閣議決定等の提言等を踏まえまして、考え方といたしまして整理したのが12ページでございます。まず、理事の義務と責任を法律上明記してはどうか。すなわち、善管注意義務、忠実義務、法人に対する損害賠償責任、特別背任罪の適用等でございます。
 2番目に、理事長を代表権を有する者と位置付けまして、権限と義務を法律上明記してはどうか。すなわち、業務の執行、理事会への職務執行状況の報告等の権限と義務を明記してはどうかという趣旨でございます。
 3番目、理事、理事長に対する牽制機能を働かせるために、理事会を法人の業務執行に関する意思決定機関として位置付け、理事の職務執行の監督、理事長の選定及び解職等の権限を法律上明記してはどうかとしております。
 業務執行の決定につきましては、下にありますとおり、このような重要事項を業務執行に関する事項と考えております。また、公益法人等におきましては、重要事項の中で、例えば重要な財産の処分等は理事に委任できないという規定がされております。同様の見直しをしてはどうかという趣旨でございます。
 このような考え方に対しまして、考えられる論点でございますが、1つは、やはり制度化した場合におきましても、理事会のメンバーの構成次第によっては、理事、理事長に対する牽制機能の実効性が担保できないのではないか、実効的な牽制機能が働かないのではないかという論点があろうかと思います。これにつきましては、後ほど御説明いたします「評議員・評議員会の位置付け・権限・責任」に関連しますので、そちらの方で御説明申し上げます。
 次のページを御覧ください。「1-(2) 理事等に対する特別背任罪、贈収賄罪の適用」でございます。現状、理事、監事、評議員につきましては、刑法上の背任罪等の適用はございます。一方、こうした役員に対する贈収賄罪の適用は、現在、社会福祉法人についてはございません。
 課題でございますが、公益法人制度改革におきまして、一般財団法人・公益財団法人等につきましては、理事等に対する特別背任罪、贈収賄罪の適用あるいは欠格事由の厳格化などの措置が講じられております。社会福祉法人もその公益性の徹底等の観点から、同様の措置を検討することが必要ではないかという課題があろうかと思います。
 他制度の状況でございますが、次のページで表にまとめております。基本的には、一般財団法人・公益財団法人におきまして、詳細な規定が整理されている状況でございます。
 考え方でございますが、理事等の特別背任罪、贈収賄罪の適用など、公益法人制度改革と同様の見直しを検討してはどうかと記しております。ただし、刑罰等につきましては、基本的に厚生労働省だけで決定できるものではございませんので、これは検討するという域を出ませんが、当部会におきましても検討いただければと思っております。
 次の15ページを御覧ください。「1-(3) 理事の定数」でございます。理事の定数につきましては、現状、法律上は3名以上となっております。一方、通知(審査基準)におきましては6人以上としております。
 この6人以上としている趣旨は、理事数自体が一定程度必要という判断もございますが、租税特別措置の適用要件におきまして6人以上という基準が示されております。そういうことも踏まえまして、現状は6人以上となっております。ただし、これにつきましては、総務省行政評価局から、通知と法律上の規制に違いがあるということで、これは合わせるべきであるという勧告を受けております。
 参考で、他制度でございますが、一般財団法人・公益財団法人は3人以上、学校法人は5人以上となっております。
 考え方でございますが、理事の定数につきましては、適正な運営の確保という観点から、やはり一定以上の人数が必要であろうと考えております。そういう中で、現行の運用上の要件、現在6名となっておりますけれども、6名以上、これを法律上明記してはどうかと考えております。
 16ページを御覧ください。次は、「1-(4) 理事の構成」でございます。理事の構成につきましては、法令及び通知におきまして、以下のように取り扱っております。
 まず、親族等の特殊関係者の制限、いわゆる同族支配の禁止でございます。これにつきましては、法律上はどうなっているかと申しますと、その括弧書きにございますように、「役員のうちには、各役員について、その役員、その配偶者及びその三親等以内の親族が役員総数の2分の1を超えて含まれることになってはならない。」とされております。
 一方、通知による実際の運用は、定款準則におきまして、さらに厳しい制限をつけております。理事定数が6~9名の場合は1名、10~12名の場合は2名、13名以上の場合は3名ということで、基本的には6人に1人を超えない形になっております。
 また、これは同族支配の関係の禁止ではございませんが、一方で、学識経験者、地域の福祉関係者等を加えるということを規定しております。
 また、施設長等を加えるということも規定しております。
 課題でございます。特に同族支配の禁止に関しましては、法律と実際の運用で規制の内容が異なっております。
 他の制度を参考に御覧いただければと思うのですが、一般財団法人・公益財団法人につきましては、まず同族支配の禁止でございますけれども、これは基本的には3分の1を超えないこととなっております。一方、学校法人はさらに厳しく書かれておりまして、とにかく1人を超えてはならない、1人であるとなっております。
 こうした他制度の状況、あるいは法令と通知との乖離の問題等を勘案しまして、考え方として提示していますのが18ページでございます。社会福祉法人の高い公益性に鑑み、他の法人類型の取扱いを参考にしつつ、社会福祉法人に係る現行の運用上の親族等特殊関係者の制限と同様の内容を、法令上明記してはどうかと考えております。
 また、同族支配の禁止ではない別のもう一つの論点であります理事の構成につきましては、地域ニーズに即した質の高いサービスを機動的な経営により提供するため、社会福祉事業に係る学識経験者または地域の福祉関係者、施設長等の事業部門の責任者の選任を法令上明記してはどうかということを掲げさせていただいております。
 以上が理事等に関する事項でございます。
 次に、「評議員・評議員会に関する事項」でございます。
 まずは、「2-(1) 評議員・評議員会の位置付け・権限・責任」でございます。現状につきましては、先ほど御説明いたしましたが、社会福祉法人におきましては評議員会の設置は任意とされております。通知におきまして、さらに措置事業、保育所、介護保険事業のみを行う法人以外には評議員会の設置を求めると、逆に言えば、措置事業、保育所、介護保険事業のみを行う法人については設置を求めていない形になっております。
 評議員会の位置付けにつきましては、通知におきまして、原則諮問機関と記されております。法人の業務決定に当たり重要な事項について、あらかじめ評議員会の意見を聞くことが必要とされています。すなわち諮問機関となっております。ただし、法令上は、定款をもって評議員会の議決を要するものとすることができるとされております。
 評議員の権限につきましては以上のようなものでございますが、下の図にございますとおり、評議員会を設置した場合、どのような権限、審議事項があるかということについて定款準則を定めております。それが(1)~(7)でございまして、決算、基本財産の処分から、以下、定款の変更、解散等、こういう事項につきまして、審議するものとして示しております。
 次のページを御覧ください。課題につきましては、現在の社会福祉法人は、評議員会が任意設置の諮問機関として位置付けられています。こうした状況におきましては、そもそも評議員会というものが理事、理事長に対する牽制機能を十分に果たす機関として位置付けられていない、牽制機能としては不十分ではないかということを課題として掲げさせていただいております。これらにつきましては、規制改革実施計画、あるいは在り方等に関する検討会におきましても提言が書かれております。
 一方、22ページですが、一般財団法人・公益財団法人における取扱いです。一般財団法人・公益財団法人につきましては、評議員会は必置の機関の議決機関、議決機関は最高議決機関または最終的な意思決定機関として記されております。
 評議員会の権限につきましては、下の図にあるとおりでございます。また、評議員の義務あるいは損害賠償責任等の責任などについても明記されております。そして、評議員会は、理事、監事、会計監査人の選任・解任、定款の変更、計算書類の承認、合併の承認、役員の報酬の決定等を行うと規定されております。
 23ページを御覧ください。このような状況、閣議決定等を踏まえまして、考え方として23ページに整理させていただいております。まず第1点でございますが、社会福祉法人の高い公益性に照らし、一般財団法人・公益財団法人と同様に、評議員会を最終的な意思決定機関、これはすなわち必置機関でございますが、必置である議決機関として法律上位置付けてはどうかという点が1点でございます。
 また、理事、理事長に対する牽制機能を働かせるため、評議員会に理事、監事、会計監査人の報酬や選任・解任等の重要事項に係る議決権を法律上付与してはどうかということを書かせていただいております。ただし、ここに報酬の点がありますが、報酬の支給基準につきましては、また別の回で御議論いただきます「業務運営・財務運営の在り方」にも関連しますので、そちらの方で取り上げたいと考えております。
 3点目でございますが、重要な役割を担う評議員の権限、責任を法律上明記してはどうか。このように位置付けました場合、評議員の役割は非常に重要になってまいりますので、それに見合う権限、責任というものを法律上明記してはどうかと考えております。具体的には、評議員会の招集請求権、善管注意義務、損害賠償責任等でございます。
 このような考え方を提示させていただいておりますが、論点として考えられるものといたしましては、評議員会を議決機関とした場合、法人運営の機動性を損なうという指摘が以前からございます。このような指摘について、どのように考えるかということが論点でございます。
 続きまして、次の24ページ、「2-(2) 評議員の定数・任期・兼職禁止」でございます。現在の社会福祉法人制度におきましては、評議員は理事等との兼職が認められております。そして、その定数は理事の定数の2倍を超える数とされております。
 また、任期でございますが、これは通知におきまして、2年以内とされています。
 課題でございます。仮に評議員会を議決機関として位置付けた場合、評議員と理事との兼職が認められると、これは制度としては適切ではないのではないかと考えられます。したがいまして、兼職が認められているため、理事会と評議員会の適切な牽制関係が期待できないのではないかということが課題と考えられます。
 ちなみに、他制度でございますけれども、評議員の任期でございますが、社会福祉法人は現在通知で2年以内、それに対しまして、一般財団法人・公益財団法人は4年とされております。
 考え方でございます。評議員と理事等の兼職は禁止してはどうか。
 評議員の定数については、兼職を禁止した上で、理事の定数を超える数としてはどうか。
 任期については、一般財団法人・公益財団法人を参考に、中期的な牽制機能を確保する観点から、4年としてはどうかということを考え方として整理させていただいております。
 次のページを御覧ください。「2-(3) 評議員の選任・解任方法」でございます。現状でございますが、社会福祉法人の評議員は、通知におきまして、理事会の同意を得て理事長が委嘱することとなっています。
 課題でございますが、理事、理事長が評議員の選任にかかわる現行の仕組みの下では、評議員が理事、理事会に対し、独立した立場から牽制機能を働かせることは困難ではないかということを掲げさせていただいております。
 一方、他制度でございますが、一般財団法人・公益財団法人におきましては、定款の定めるところとなっております。
 考え方ですが、社会福祉法人の評議員の選任・解任については、一般財団法人・公益財団法人を参考に、この一般財団法人・公益財団法人の場合は定款で定める方法となっていますが、様々なガイドライン等を見ますと、基本的には当初は選任委員という第三者的な委員で選び、その後、評議員会で議決等をするということが一つの方式として示されております。このような一般財団法人・公益財団法人を参考にした上で、理事または理事会が評議員を選任または解任できないような仕組みとしてはどうかということを考え方として提示させていただいております。
 次に、「2-(4) 評議員の構成」でございます。現在は、通知において評議員の構成を示しております。その通知が以下の(1)、(2)でございますが、(2)地域との連携が必要なことから、評議員には地域の代表を加えることということが書かれております。また、利用者の立場に立った事業経営を図る観点から、利用者の家族の代表を加えることが望ましいということが書かれております。
 課題でございます。今まで御紹介した運用は原則諮問機関である評議員を前提としておりますが、評議員会を仮に議決機関と位置付ける場合、その議決機関としての重要な権限に鑑み、構成の在り方を検討する必要があると考えられます。
 ちなみに、参考でございますが、他制度につきましては、一般財団法人・公益財団法人は法令上の規定がございません。一方、学校法人、医療法人は諮問機関として位置付けられております。学校法人は、例えば、学校法人の職員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者、あるいは学校を卒業した者等が書かれております。医療法人は、医師その他の医療従事者のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者等が書かれています。
 27ページを御覧ください。考え方ですが、仮に評議員会を議決機関として位置付ける場合には、事業に対する識見を有し、中立公正な立場から審議を行える者であることを重視した構成とすべきではないかとしております。すなわち評議員会は、先ほど御紹介しましたように、議決機関になった場合は、人事権を掌握する等ガバナンスの根幹に関わる最終意思決定機関となります。そうした場合、今までのような諮問機関、基本的には意見を聞く機関とは異なりますので、位置付けがおのずから変わってくるのではないかと。その際、公益法人制度改革におけます議論等を参照いたしますと、基本的に出てくる要件としてはこの2つ、事業に対する識見を有し、中立公正な立場から審議を行える者とされております。そうした観点から評議員会の構成を考えていただくことが必要ではないかという形で、ここで提示させていただいております。
 論点でございますが、この場合、仮に今までの諮問機関のように、例えば地域代表というような観点から構成しない場合は、利用者の視点、あるいは地域のニーズをどのように反映させるかということが課題として上がってくると思われます。こうした観点から論点として掲げさせていただいております。
 次に29ページ、「監事に関する事項」でございます。
 監事につきましては、社会福祉法人につきましては、古い法令ということもありまして、法令上の規定は、整備が十分されておりません。監事は、理事の職務執行の監査と法人の財産状況の監査を行うこととされております。これらに不正の点があることを発見したときは、評議員会または所轄庁に報告することとされております。
 その選任は理事会がすることとされております。
 定数は、法律上は1人以上、ただし通知において2人以上とされています。
 その通知における取扱いは、1人は財務諸表等を監査し得る者、1人は社会福祉事業についての学識経験者または地域の福祉関係者とされております。
 また、法令上、監査報告の作成義務等はございません。実際は監査報告等をしていただいていると考えられますが、法令上、作成義務は規定されておりません。他方、適切な監査を実施するために必要と考えられます理事や使用人に対する事業報告の要求、財産状況の調査等の権限は整備されておりません。
 課題でございますが、30ページでございます。在り方検討会等におきましても御意見が出ておりましたが、財務諸表が不正確なケースなどがあるという指摘があります。必ずしも監事機能が十分に機能していないのではないかということが問題意識としてあります。
 また、現行の仕組みは、理事会が監事を選任するになっていますが、こうした仕組みの下では独立した立場から監査を行うことが困難ではないかという課題があります。
 また、監事の理事、使用人に対する事業報告の要求あるいは財産の調査権限等の権限が明確にされていない。あるいは理事会に対する報告義務等が定められておりません。実効性のある監査を行うための制度面の整備が必要ではないかということが課題になると考えております。
 仮に今後監事が重要な役割を担っていただくとした場合は、重要な役割を果たす監事の責任が明確にされていないということが課題となると考えられます。
 次のページを御覧ください。一般財団法人・公益財団法人における取扱いでございますが、こちらにつきましては、監事の権限、例えば監査報告の作成あるいは理事会の招集請求、理事の行為の差止請求等の権限が書かれております。
 義務といたしまして、善管注意義務に始まりまして、理事会への出席義務、理事会への報告義務、評議員会の議案等の調査・報告義務、評議員会に対する説明義務等が書かれております。
 責任といたしまして、損害賠償責任、刑事罰、いずれも理事と同様のものが書かれております。
 他制度につきましては、下にあるとおりでございます。
 32ページに考え方でございます。監事につきましては、一般財団法人・公益財団法人と同様に、監事の選任・解任は評議員会の議決事項とすべきではないかという点が1点でございます。
 続きまして、監事の定数につきましては、現在法律上1名になっていますが、実態は2名で運営しています。法律上2名以上としまして、財務会計及び社会福祉事業に精通する者を選任することとしてはどうかということを書かせていただいております。
 監事の権限につきましては、理事、使用人に対する事業報告の要求や財産状況の調査権限等を法律上整備してはどうかということでございます。
 監事の義務といたしまして、新たに理事会への出席義務、理事が不正行為をした場合等における理事会への報告義務等を法律上に規定してはどうかと書かせていただいております。
 監事の責任につきましても、明確化し、適正かつ公正な監査を促すようにしてはどうかということを考え方としています。
 そうした場合、論点でございますが、このように監事の権限、義務等を明確化する中で、監事による監査機能を強化したいということが1つありますが、それでもさらに財務会計等の監査機能を強化するためには、外部監査の活用が必要ではないかということが論点としてあろうかと思います。これにつきましては、次の会計監査人の事項に関する問題につながります。
 最後の項目でございますが、「会計監査人に関する事項」です。
 まず、「4 会計監査人の位置付け・権限・責任」でございますが、現状は、法令上、会計監査人による財務監査についての規定は置かれておりません。
 通知(審査基準)におきまして、資産額100億円以上もしくは負債額50億円以上または収支決算額10億円以上の法人については、2年に1回の外部監査が望ましいとしており、その他の法人については、5年に1回の外部監査が望ましいとしております。
 課題でございます。特に事業規模が大きい法人などにつきましては、監事による財務監査だけでは十分ではないという実情があろうかと考えています。そういう意味で、会計監査人の活用が必要ではないかという点でございます。
 次のページを御覧ください。一般財団法人・公益財団法人につきましては、会計監査人に関する規定がございます。会計監査人に関する権限あるいは義務等でございます。表に整理したとおりでございます。
 他制度との比較を御覧ください。一般社団法人・一般財団法人につきましては、負債額200億円以上で会計監査人の設置が必要とされております。公益社団法人・公益財団法人につきましては、収益または費用損失が1,000億円以上、負債額が50億円以上の場合、会計監査人の設置が必要となっています。学校法人につきましては、1,000万円以上の助成を受けている場合、公認会計士または監査法人の監査報告書が必要としております。
 考え方でございます。現在の監査の実情等を踏まえますと、一定規模以上の法人については、会計監査人による監査を法律上義務付けてはどうかということです。
 その場合、会計監査人の権限、義務、責任を法律上明記してはどうかということを掲げております。
 論点ですが、その場合、一定規模以上の法人という範囲をどこに考えるかです。先ほど申し上げましたとおり、一般財団法人・公益財団法人は極めて大きな法人を対象としております。基本的には制定当初、株式会社を基準として制度化されたと聞いております。一方、学校法人は1,000万円以上の助成を受けている場合に必要としております。このような他制度の状況、そして、社会福祉法人制度の状況を踏まえまして、どのような規模について外部監査を義務付ける必要があるかということが1つ論点として考えられます。
 また、行政におきましても財務監査が実施されております。仮に会計監査人による財務監査、外部機関による監査が行われた場合は、行政による財務監査との関係をどのように考えるかということが1つの論点として考えられます。
 以上が資料の説明でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。
 では、委員の皆様から、ただいまの説明を下に、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
 磯参考人、お願いします。

○磯参考人(武居委員代理) 全国経営協の磯でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず全体的なことでございますけれども、私ども全国経営協としては、最近の我々社会福祉法人のガバナンスをめぐる様々な報道、そして指摘については十分理解をしておりますし、その強化を図る必要があるものと認識をしております。
 私どもでは、これまでも会員法人に対しまして、理事、理事会の機能強化、そして、評議員の設置、実質的な監事監査の確保といった取組をそれぞれ図っていくように行動指針を示して取り組んでまいりました。そういう点からも、今回示された考え方についてはしっかり受けとめていく必要があろうと考えております。
 ただし、制度の見直しに当たっては、実効性のある仕組みであること、つまり、形骸化を招くような制度であったり、できないことを強いるような仕組みであってはならないということが基本であると考えております。先ほど事務局から御説明がありましたように、公益法人制度改革の進行であるとか、社会医療法人の創設による状況の変化というものは非常に理解をしておりますけれども、我々社会福祉法人らしい経営組織の在り方をやはり目指していくべきであろうと考えております。
 一方で、新聞報道にありますような不適切な社会福祉法人経営者については、厳しい対応がなされるような制度的な担保が必要であると思っております。

○田中部会長 ありがとうございました。
 高橋委員、お願いします。

○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。
 この「経営組織の在り方」について、理事会、評議員会等々につきましては、まだ団体で意見集約をしたり検討したりということではございませんので、本日の段階ではあくまで個人的な意見ということでよろしくお願いしたいと思います。
 まず、社会福祉法人が、より公益性の高い法人としての組織体制や透明性の確保が必要であるということは十分理解をいたしております。現在、評議員会につきましては、措置事業、保育所、介護保険事業のみを行う法人は設置を求められておりません。先ほどの十分な組織体制が必要であることは十分理解しておりますが、現状、一法人一施設の保育所は全国に非常に多くございます。そういった意味では非常に小規模な法人が多く、また、日本全国様々な地域に保育所というものは点在をしております。
 私どもの地元のことで申し上げますと、例えば1つの小学校区、これは世帯数で1,500~1,600世帯が1つの小学校区でありますけれども、その1つの小学校区に4つの一法人一施設の保育所が存在するというケースもあります。そういった状況もありますので、評議員の人選において、こういう方向でするとなれば、非常に負担が大きいといいましょうか、少し経過措置も含めて検討される配慮をお願いしたいと思います。
 冒頭、理事の定数について、通知上6人以上という規定であることは十分承知しておりますけれども、今回、理事の定数を法令上見直すということがあるようでしたら、そのあたりも、ほかの公益法人の、租税特別措置法の関係もあるのでしょうけれども、3人なのか4人なのか5人なのかよく分かりませんが、6人を前提にということでなく検討していただけたら、さらにありがたいと思っております。
 以上でございます。

○田中部会長 藤野委員、お願いします。

○藤野委員 先ほど、法律上はこうなっているけれども運用上はこのようにという、それで法律上やはり規定をすべきであるという説明がありましたけれども、現状から言いますと、先ほど高橋(英)委員が言われたように、保育園あたりは、前の資料を見ましても、一法人一施設が70数%あるわけですね。そういう状況の中で、例えば私のところは保育園もやっていますし、いろいろな事業をやっていますけれども、制度にないような公益的な事業をいっぱいやってきているのですね。それで公益的な事業をやっているということで、評議員会は設けております。
 ただ、先ほど6人ということで、例えば私どものところでは、理事総数が9名で、それの倍以上ということですので19名の評議員という数字になっています。実際に、理事は評議員の2分の1以上で理事を推薦して、それを理事長が委嘱するということになっています。それから逆に、評議員については理事が選んで理事長が、これは鶏が先か卵が先かみたいな状況があって、運用上非常に混乱しているのです。
 そういう意味で言いますと、このたび理事を6人以上として、評議員を兼ねてはならないという形でまた6人という評議員の数にすると。先ほど説明されたことがどのように、例えば新聞報道等で言われるところの不正事件だとかその辺が、こうこうこういうことだからこうなるのだみたいな説明があると非常にありがたいと思うのです。イメージが湧かないのです。
 要は、そういう強化が必要だと私は思います。強化が必要だと思いますけれども、今、説明されたようなことでやれば、例えばこの間あった新聞報道でかなり具体的に報道されたことが、このようにすればこうなって防げるのだという説明があれば非常にわかりやすいと思うのです。
 ただ、保育園だとかそういう点では、評議員会の設置を義務付けるといった場合に、やはりどうしても急にはなかなかできないので、一定の猶予期間といいますか、過渡的な期間を設けていただかないとしんどいなということと、もう一つは、6人という数字が、果たしてそういうところでもうちょっと、3人でもいいのではないかということだとか、その辺のことが実際には求められるのではないかなと、その辺の検討をお願いしたいと思います。

○田中部会長 ありがとうございました。
 福間委員、お願いします。

○福間委員 私どもは、公益法人制度改革ができましてから公益社団法人の申請をして、第1号のような形で認定を受けたわけでありますので、そういう点では、それ以前のいわゆる社団法人から公益社団法人になる際の、まさに法解釈から何から全て公益認定等委員会の事務局の指導を受けながら、考え方そのものを作り上げるという経験をさせていただきました。社会福祉法人のことも承知した上でいろいろと意見交換をすると、公益認定等委員会のいろいろな方々がいらっしゃるところで、客観的にどれだけの表現をして我々がきちんと書き切れるかとか、その解釈とか、そういう経験を随分させていただきました。
 結論から申し上げますと、本日の御提案の中でも、また在り方検討会でも、公益法人制度改革を踏まえた形での公益性の担保云々ということがあちこちに出てまいります。基本的にはそういう考え方でよろしいのではないかと思います。逆に言うと、先ほどから出ている理事とか評議員とか監事、全体として、特に社会福祉法人の場合ですと公益財団法人が一番イメージとして近いと思うので、それとの関係でどのように法律上は書かれているのか、また解釈はどうされているのかとか、それに対して社会福祉法人はどうなのかという組織の全体像がストーリーとして見えてこないと、一個一個でやると見えにくい。
 理事または理事会の権限とか、評議員会の議決機関の権限とか、これも実は公益法人の場合ですと、決算とか計算書類とか財産の処分などに対して評議員会の議決というのは非常に関係付けがはっきりしておりますけれども、実は予算の承認というのは評議員会ではないです。つまり、評議員会は、事業年度が終わったしかるべき時期、大体1カ月以内とかそういう規定になりますけれども、そこで定時評議員会をやれと書かれていて、結果的に決算の議決をして、所轄庁にそれを報告するということになるのだと思うのですが、我々も戸惑ったのは、要するに予算承認の評議員会というのは何も書かれていなかった。ということは、逆に言えば、理事会が予算を作って、年度当初、当然年度がありますので、やっていかなければいけない。だから、理事会には損害賠償責任とか、権限と同時に責任を持ってやるのだというストーリーではないかと私どもは解釈したのですが、やはりそのあたりの権限、責任、そして組織的な関係付けというのも、全体のストーリーがきちんと押さえられた上での経営組織の整理を捉えないと、分かりにくいのかなというのが私の印象です。
基本的にはこの公益法人制度に則してまずはやって、その上で社会福祉法人固有の問題として、なじまないというものがあれば部会で議論いただいて、ここはやはりこれでいいのではないかとか、そうすることで国民の皆さんにも、我々の改革の、よって立つ公益性というのがもう少し分かりやすく説明できることになっていくのではないか、というのが考えであります。

○田中部会長 御経験に基づく論理の筋道について分かりやすく説明いただきました。ありがとうございました。
 橘委員、お願いします。

○橘委員 日本知的障害者福祉協会の橘と申します。
 私どもの協会も、社会福祉法人の在り方等に関する検討会の報告を踏まえて検討しております。全国の知的障害者福祉を担っている法人の理事長の方々を委員として特別委員会を設置し、現在、検討を重ねている途中でございますので、今の時点で協会として申し上げられるのは、介護保険事業や保育所、措置事業のみを経営する法人は評議員会設置が義務化されていないということですけれども、やはりこれらの法人であっても、地域の様々なニーズを拾いあげる意味からも、評議員会必置については大変意味あるものと考えており、賛成です。
 ただ、本日の資料の中にも評議員会を議決機関とすることについては、運営の機動性を損なうとの指摘が記載されていますけれども、そういう観点からも、慎重な検討が必要であろうと思っております。
 まずは理事会のガバナンス強化も必要ですし、評議員の選任方法や構成の在り方も検討が必要であるのではないかと本会の特別委員会の中でも議論しています。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 対馬委員、お願いします。

○対馬委員 対馬でございます。
 今回の委員会の中でも、経営組織についての見直しをしようということ、これについても大変大事だと思いますが、併せて本質的なところで対策を立てないといけないと考えています。
 私は、社会福祉法人の理事長と学校法人の理事長を兼ねております。今日やはり社会福祉法人に対する批判が強まっているのは、理事長の私的流用、そして、理事長の高い報酬について厳しい指摘がされているところであります。学校法人については、そういった批判はありません。なぜ社会福祉法人について社会がこれだけ厳しい指摘をしているのかといいますと、規定の整備とその運用のチェックが社会福祉法人の場合には行われていないためだと考えます。とりわけ学校法人の規定の中の、権限規定については細分化されています。かつ、監査法人によってその規定に従って運用されているかをチェックされています。そのために学校法人においては理事長の私的流用ができなくなっています。社会福祉法人についても、学校法人並みの権限規定をしっかり定めて、規程通りの運用がされているかを法人監査時にチェックすると、私的流用はなくなるのではないかと考えます。
 特に社会福祉法人の理事長の報酬については、国として報酬額について明確な方針を示していません。いまだに市によっては理事長報酬については日当のみですよと、このように指導しているところもあるわけで、私は、社会福祉法人の理事長を務めておりますが、非常勤でありますので無報酬ですが、理事長に対してたくさんの責任を負わせるわけでありますので、常勤している理事長に対してはきちんと報酬を支払うべきだと考えます。
 報酬の限度については、例えば当期収支差額の何%などという定めをして、なおかつ理事会、評議員会で承認を得られれば、報酬を支払うことについては問題がないと考えます。
 私は昨年、文部科学省の大学認可申請のヒアリング時に、報酬についての指導を受けました。これは何かというと、今まで専門学校を25年やってきたのですが、理事、監事について報酬がゼロだったのです。文部科学省の審査委員会から「対馬さん、これではだめです。理事、監事にはしっかり仕事を担ってもらわないとだめなので、それに見合う報酬を払ってください」という指導を受けたわけであります。今、この改革の中でも、やはり理事、そして監事の責任は重くなるのだろうと考えますので、報酬についてはリミットを国が示して、その中で運用させるべきと考えます。そうなれば、理事長の高額な報酬については社会から批判を受けなくなると私は思います。
 もう一つなのですが、社会福祉法人で措置施設だとか規模の小さいところは別にしても、一定の規模の法人については、公認会計士または監査法人を導入させるべきだと思います。私が理事長を務める学校法人は監査法人を入れていますし、社会福祉法人についても同様に監査法人を入れています。大変大きな費用が掛かりますが、ガバナンスをしっかりさせるために導入しています。
 今、監査法人のチェックは決算のチェックだけではありません。ガバナンス、先ほど言った権限規定に基づいてきちんと運用されているかということについてチェックして、それに対して監査法人として意見書を出すようになっています。そうすることによりこういった問題は起きないのだろうと考えますので、ぜひ組織の在り方の見直しと併せて、やはりしっかりした対策を立てないと解決できないのではないかと考えます。

○田中部会長 非常に論理的な説明をありがとうございました。
 花井委員、それから藤井委員の順でお願いします。

○花井委員 花井でございます。
 私は事業者ではありませんので、これまでの社会福祉法人が果たしてきた役割を大変評価した上で、今後どうしていった方がいいのかという観点から意見を述べさせていただきたいと思います。
 この制度ができて60年以上も経つわけです。最近批判が高まっていますが、将来に向かって多様な福祉ニーズに応えていくということであれば、今、見直すべきところは見直していくことが大切ではないかと考えております。
 意見を幾つか述べたいと思います。まず資料2の全般につきまして、基本的な考え方としましては、執行機関である理事会と議決機関である評議員会の権限、責任を明確にして、評議員会が理事会に対する牽制機能を発揮しながら全体が適切に機能するガバナンス体制を構築すべきであると思います。現在、ガバナンス体制ということがどの分野でも求められております。そういう意味からいうと、今こそそうした体制を構築すべきではないかと思います。
 そのために、20ページになりますが、現在、法令上、評議員会の設置は任意とされているわけですが、基本的には全ての社会福祉法人において設置すべきではないかと思います。ただ、先ほど来出ております保育所とか、障害者施設とか、規模の小さなところがあるということも十分理解しておりますので、そこをどうするかということは検討の必要があると思います。ただ、原則どうすべきか、ということは決めるべきだと思います。
 その評議員会につきましては、25ページにありますとおり、現在、通知において、理事会の同意を得て理事長が委嘱するとなっておりますが、これは順番が逆ではないかと考えております。まず評議員を選任して、評議員会が理事、監事を選任し、そして、理事が互選で理事長を選任するという手続あるいは仕組みが必要ではないかと考えます。
 また、評議員の選任につきましては、社会福祉法人が地域で行う事業の目的に賛同する意思があるメンバーは地域にたくさんいらっしゃると思います。そういう意味で言うと、利用者の家族の代表であるとか地域の代表、自治会代表、あるいはほかの福祉事業者や有識者など、できるだけ地域の賛同を得られるような選出の仕方をすべきではないかと考えます。
 ちょっと戻るのですが、17ページの同族支配の禁止です。現在これは2分の1を超えてはならないとなっておりますが、少なくとも公益法人並みに規制を強化すべきではないかと思います。
 なお、これは質問なのですが、29ページのところで、私は大変驚きました。ほかにもう一カ所出てまいりますが、29ページの四角の「1.現状」の中の一番下の○に、「法令上、監査報告の」云々と書いてありまして、「理事や使用人」ということで、「使用人」という言葉が出てきます。これは従業員という意味なのでしょうか。昭和26年にできた法律ですので、そういう言葉なのかと思いますが、こういう言葉もぜひとも見直していただきたいと思います。
 まずは従業員のことなのか確認させていただき、その上で、こういう言葉も含めて今見直すべきところはぜひとも見直して、引き続き社会福祉法人が発展できるような方向での検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○田中部会長 体系的な意見をありがとうございました。
 御質問にお答えください。

○岩井福祉基盤課長 最後の点、使用人という用語でございますが、詳細に御説明するには商法等の規定の関係でございますが、かつて商法におきまして、いわゆる経営陣と、それ以外は全部使用人と書いていたことで、法律も大変古いものでございますので、それを引き継いでいると考えております。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 先ほど福間委員からありましたように、私も基本的に公益財団法人・公益社団法人というものをベースに見直すと、もともと社会福祉法人そのものが財団法人・社団法人から生まれて、特に財団法人から生まれてきたものですから、それをもっと見直すということで、今回の事務局の案は大きな方針として賛成でございます。
 その上で、資料の3ページに「検討に当たっての基本的な視点」というのがございます。今回は、とにかく社会福祉法人に対する国民の期待に十分に応えていないと、非常にリスク回避的な経営をやっておられて、その結果として目的のない蓄財が随分あるのではないかという疑いと、ごく一部にせよ不正なことが新聞報道等で論じられていると、両方だと思うのですが、3ページの1番目に書いてあることが、これは恐らく非常に高い公益性を持っていると、政府の代わりにやるぐらい、社会福祉法人体制というものが日本の福祉を形づくってきており、今もそれを作っているのだということと、3番目の多様化・複雑化というところなのですが、1番目でいきますと、やはり政府の代わりにきっちりやるということですから、枠組みがあり、ルールがあり、それにきちんと従ってやりましょうということで社会福祉法人はやってきたのだと思うのです。その結果として、往々にしてこの3番目は、多様化しているもの、複雑化しているものにいかに柔軟に応えていくかと。
 もともと社会福祉法人を始められた方々は、そこからスタートしたはずだったのが、この1番目を重視する余りに、ルールとか枠組みの中でやられるということを、自分たちもその枠組にはまっていく、あるいは行政等からそのようにしなさいという指導があったのだろうと思います。この1番目の話と3番目の話、つまりブレーキとアクセル、このバランスをどうするかという話だと思います。
 これは社会福祉法人に限らず、どんな法人でも、株式会社でも、ブレーキとアクセルをいかに踏むかというのが経営の基本になるのだろうと思います。その上でそれぞれの機関について考えますと、まず評議員会なのですけれども、重要な議決機関として位置付けましょうと。これを議決機関とするか諮問機関とするかによって大きく話は違ってくると思うのですが、在り方検討会の中で、私は、諮問機関という頭で地域の方々にいろいろ入ってきていただいて地域のニーズに応えるようにと、今日まさに橘委員がおっしゃったような発言もしたのですけれども、これが重要な議決機関であると、しかも先ほど藤野委員がおっしゃったような鶏が先か卵が先かにならないように、評議員会が理事会を選ぶのだという機関になりますと、これは地域の方にいろいろ入ってきてもらいましょうというような柔軟性を持ち過ぎる難しさというのがあると思います。
 これはちょうどNPO法人が会員組織というものを作っておられまして、どんな方でも入ってくるのが基本になっていて、その結果として乗っ取りめいたことが起きることがあるということもございますので、やはり評議員会は、地域の方が柔軟に入ってくるというものではなくて、公益法人でやられたようなかなりしっかりした枠なりルールなりという世界で運用されるのだろうと思います。
 ただし、そうすると、地域のニーズを拾い上げて柔軟に応えていくというものをどこが担うかということなのですが、1つは、理事会と、今は代表理事か理事長という書き方をしているのですが、公益法人の中でも業務執行理事という概念があると思いますし、会社法の中にもあると思います。つまり、業務を執行する方とそうでない方に理事を分ける。
 先ほどお話がありましたように、業務をしっかり執行される方は当然報酬を支払う、業務を執行されない方は無償で参加するということで非営利法人らしくなると思うのですけれども、業務を執行されない方が入った理事会の中で何を決めるかということで、重要事項ということになると思うのですけれども、重要な財産処分とか多額な借財の云々というのが公益法人でもあると思います。あるいは定款の変更というのもあると思うのですけれども、この重要というのはどこに線を置くかということで、代表理事あるいは業務執行理事がどれだけフリーハンドで地域のニーズにきちんと日々応えていけるかが問われるのだろうと思います。
 ですから、ここをうまく制度上、公益法人を参考にしながら作り込むことによって、業務執行に対して職務執行という言葉があるようですけれども、理事会が職務執行をしていく。つまり、業務執行に関する意思決定とか監督監査を行っていく。そして、理事長及び業務執行理事というのがフリーハンドで動ける。さらに、この理事会を牽制するのが評議員会であるというたてつけがブレーキとアクセルをバランスよく踏めるようなものとしてどう設計していただくか。このときに公益法人とは違う社会福祉法人、日々福祉のニーズに対応していかなければいけないという事業を回している法人がゆえに違う仕組みが必要になるのかもしれないと思いますけれども、基本はそういった形で、今、恐らくこの業界で評議員会といいますと、理事会と一体的にほぼやっている。理事会が年に3~4回やっていて、評議員会も3~4回やるという話なのですが、この改革をしますと、おそらく理事会は月に1回やっていただいて、評議員会は年に1回でもいいかもしれない。このイメージを、まさに福間委員がおっしゃっていたことだと思いますので、何をどこでどのように決めていくことが起きるのかということを伝えた上で議論した方が生産的になるのではないかと思ったりします。
 その上で、同様になのですが、刑事・民事責任というのも在り方検討会で私が何回か言わせていただいたのを明確に書いていただいて、これで私も大分満足したのですけれども、ただ、社会福祉法人に関しては、これまで刑事事件にしろ民事事件にしろ、たしかそんなに判例が積み重ねられていないわけでございまして、やはり社会福祉法人の経営者としては怖がるばかりになってしまうと思いますので、公益法人改革のときには、横領事件が起きたときには誰がどのような責任を負うのか、不祥事が起きたときには誰がどのように責任を負うのかということを、ここで刑事・民事責任に位置付けているのかということをぜひ分かりやすくしていただいて、これは現に法律を変える、あるいは法律を執行されるときの話になるのかもしれないのですけれども、ここの場で議論するときも、枠組みを変える、法律を変えるという議論ではなくて、いかに社会福祉法人が地域のニーズに合って21世紀、22世紀の地域を再生していく存在になり得るか、そのインセンティブをどのように与えるかという観点で議論しないと、ここで法令上の議論もするべきだと思うのですが、それだけではないと思いますので、そのあたりをぜひお示ししていただきながら議論をできればなと思っております。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 西條参考人、お願いします。

○西條参考人(黒岩委員代理) 全国知事会の代表という意見ではないのですけれども、実務をやっていて感じているというか、困っていることとして発言させていただきます。我々が指導監査をやる中では、やはり根拠を持って指導していかなくてはいけない。それは国の通知であり、要綱であり、もちろん法律なのですけれども、その中で困っていることの一つとして、本日議題になっています定数の問題があります。通知では6人以上となっていますが、これは実際に重要事項を決するときに、6人のうち1人は議長になってしまいます。5人で決するという話になりますが、一方で、重要事項を決するのは理事の過半数を超えていなくてはいけない、つまり評決には4人いなくてはいけないわけですね。可否同数の場合はと言っても、5人ですから可否同数はあり得ない。その場合は議長が入りますけれども、まずこの6人の根拠というのは何なのかということと、対立が生じてしまえばいつまでたっても議決できない状況が実際にあるのです。対立している法人の事例なのですけれども、3対2になってしまって、過半数に達していないので決せられない、それでいつまでも理事会が流れてしまう。
 ですので、この6という数字にどのような根拠を持たすのかということをまず御検討といいますか、持っていただければありがたいと思います。つまり、過半数で決するというのであれば奇数がいいのかなと。議長が1人議決から抜けるわけですから、6という数字で抜けてしまうと過半数は達しませんというのが、つまらない話かもしれませんけれども、ちょっと実務的に困っています。
 もう一つが、構成でいろいろ言われているのは、地域福祉の関係者を入れなさい、施設長を入れなさい、利用者の代表みたいな人を入れなさい。一方で、先ほど藤井先生もおっしゃったように、経営改革、制度改革をやっていくのであれば、第三者的に客観的にその経営状況を見られる人というのも当然入ってこなくてはいけないのです。そうしますと、今の構成でいきますと、果たして公平中立な運営といいますか、つまり公金の支出がきちんと公平に担保できるかという構成に現状なっているかなというのが実態です。
 例えば入札を指導しても相変わらず地元関係者で契約してしまうとか、そういった事例がある。ただ、それは公金運用上好ましくないので、きちんとその辺は制度にのっとってやりなさいと指導しても、理事会で決まったからこれでいいのですと、こうなってしまうわけです。
 ですので、この構成を考える場合も、確かに福祉の代表者とか利用者、そういうニーズを酌み上げるのももちろん大事ですけれども、きちんと経営を見られる人も含めて人選することも考えていただければと思います。

○田中部会長 ありがとうございました。
 藤井委員も言われましたが、経営を見ることと利用者のためを考える役割は、場合によっては違う組織の責任かもしれませんね。そういう意見もありました。
 磯参考人、お願いします。

○磯参考人(武居委員代理) 今のお話に関してですが、経営協としては、それぞれの法人の現状や、また、目指す方向というのが様々あると思いますので、理事の構成メンバーについては、あまり誰々が何人必要だというような明記は必要ではないと考えております。
 評議員について1点だけ申しあげると、今、藤井先生もおっしゃられましたが、評議員会に議決機能を持たせるかということについては、慎重に考えていかなければならないと思っております。評議員会の役割というのは多分2つあり、1つは地域の皆様の目を入れ、声を聞き、それを事業に反映していくという役割、もう1つは今のガバナンスのチェック機能、これらが大きな2つの役割だと思います。昨今の公共性・公益性という我々に求められている状況を考えますと、ある程度の時間は限定をしつつも、やはり評議員会の設置は義務付けていくべきであろうと考えております。
 ただ、現状、今のルールのもとで、保育園、そして介護の施設等々に関しては評議員の設置義務がありません。1万7,000の社会福祉法人のうち40%が評議員会をまだ持っておりません。そういったことも考えますと、まず、設置をしなければならないという段階、そして、諮問機関という段階、そして、20ページにございましたけれども、定款に定められたことに関しては議決をしていくという、さらに上に上げていく段階があろうかと思います。それを評議員会がない状況の中でいきなり議決機関にしていくというのはあまりにも一足飛びになるということ、もう一点は、やはり機動性が損なわれるのではないかということが懸念されます。我々社会福祉法人には、スピーディーに社会に還元するということが求められていると思いますので、その機動性を発揮させるためにも、評議員会の議決機関化については、なかなか難しい問題であろうと認識しております。

○田中部会長 先ほどどなたかが言われましたが、業務執行に関する議決なのか、ガバナンスに関する事後的な議決なのかによって違ってくると思います。
 関川委員、お願いします。

○関川委員 大阪府立大学の関川でございます。
 社会福祉法人の在り方については、一部法人によるモラルハザードが起きており、それが国民の信頼を損ねる結果となっているということにつきましては、非常に残念なことでございます。ただ、このモラルハザードは、今回問題となっております経営組織の在り方に起因する構造的な問題で、そこで起きていると考えております。
 その1つの解決方法としましては、やはり一連の指摘がありますように、公益財団法人の在り方、あるいは公益法人改革に沿いまして、改めてガバナンス、コンプライアンスを、それと同様の仕組みを確保することによって国民の信頼を取り戻すということが今求められていると思っております。あわせて、従来通知で対応してきたものも、今回、法律上の明記をする方向で制度改革を進めていく必要があると思っております。
 先ほど来から問題となっております評議員会の位置付けの件ですけれども、私も社会福祉法人の評議員をやらせていただき、また、監事をやらせていただいておりますが、その経験からいたしますと、法人経営の最終的な意思決定機関が評議員会であるということについては、現在の状況からいたしますと、やはりかなり違和感がございます。実際には経営及び事業に対する見識を持ち、かつ中立公正的な立場から重要事項について審議する構成内容にはなっていないものを、直ちにそこに変えていくということについては、少し大きな改革提案に過ぎるのではないだろうかという印象です。
 当然、全ての社会福祉法人に評議員会は必置であるべきであると考えますが、基本的には利用者家族の代表にも入っていただき、地域の方々にも入っていただきながら、その意見をもとに地域のニーズに応えた経営が可能となるような制度的なたてつけが望ましいように思います。
 理事会に対する牽制機能を持たせるとすれば、理事、監事の選任・解任について評議員会の同意を要件とするという形での牽制機能の与え方も考えられるのではないだろうかと考えております。仮に事業に関する見識、中立公正な立場からの審議可能な人材をと限定してしまいますと、利用者の代表であったり地域の代表という方々が意見を言うべき組織にはなじまないように考えているからでございます。
 もう一点、監事について少し意見を述べさせていただきたいと思います。私も監事の経験を持っており、制度的にもより実質的な監事監査の体制を確立するべきであると考えています。理事会に対する牽制機能としては、評議員会以上に監事の権限を強めることで、実効性ある牽制機能を確保するということがまず検討されるべきではないだろうかと思っております。
 それにつきましては、事務局の提案のように、監事は全て理事会等に出席をする義務が必要であると考えております。さらには、監事監査といいますと、通常は5月の決算理事会の前に伺って、そして監事監査の結果を理事会で報告するという手続になろうかと思うのですが、その際監事は監事監査の結果報告書を作成し、理事会に出席の上、その報告書の内容を監事自ら報告することを義務付けることが必要です。
また、決算理事会の前に1日ないし2日伺って法人経営の全体を見る。特に事業運営を含め全体を見るというのは非常に難しいことだと考えております。したがって、監事は、法令違反が疑われる場合に限らず、日頃から定期的に各事業を回り、職員の方から事業の内容を意見聴取しながら、理事長及び理事が理事会や評議員会において報告したように適正に事業を執行しているかどうか、事業内容の監査をする必要があります。理事会において説明される法人の理念や使命、さらには事業計画及び事業報告の内容が具体的な内実を伴って執行されているかを確かめるためには、事業の実態を現場の職員から聞き取り確認することが不可欠と考えております。そのためにも、法令違反などが疑われる場合でなくとも、定期的に監事は現場に入り、理事あるいは職員から事業の運営の在り方を聞き取り、法人として解決するべき課題が確認されたならば、監事が理事会あるいは評議員会に報告する必要があると考えます。制度上もこのような監事の役割をぜひとも認めていただきたい。
 牽制機能の位置付けとすれば、評議員会以上に監事の役割を強化する方向で位置付けていただきたいと、このように考えております。

○田中部会長 ありがとうございました。
 石橋委員、お願いします。

○石橋委員 働く立場から、経営組織の在り方について少し御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 平成24年度の社会福祉振興・試験センターによる社会福祉士及び介護福祉士の就労状況調査によりますと、介護の職場を辞めた理由の一番が結婚、出産、育児で31.7%、これは女性が7割以上いるということからやむを得ない理由だと思います。次に、辞めた理由で2番目に多いのが、法人、事業主の理念や運営の在り方に不満があったということで25%となっております。今後の介護人材の確保定着を考えていくためには、法人の運営や理念に大きな影響を持つ組織体制の中立性、透明性の確保というのは非常に重要な課題だと、働く立場の人たちも考えていると思います。
 したがいまして、先ほど来から説明がありましたように、理事長や理事の役割を法律で明確化していくこととか、評議員会設置の義務付けというのは、基本的に行うべきだと思っています。社会福祉法人も、公益社団法人・公益財団法人と同等以上の組織体制を確保していくことが、今後の人材確保にもつながるというように、御意見を述べさせていただきたいと思います。

○田中部会長 ありがとうございました。
 鎌倉委員、お願いします。

○鎌倉委員 社会福祉士会の鎌倉です。
 社会福祉士会の会長でもあるわけですけれども、私も老人福祉施設を経営しておりますので、この2つの視点から見て、今回の検討に当たって事務局が提案されている公益法人以上の規定を考えていこうという道筋は賛成です。
 先ほど藤井先生が言われたところでありますけれども、3ページの基本的な視点のところで、まず社会福祉法人が誕生した経緯が、公益法人の中の特別法人という位置付けで生まれていることを考えれば、公益法人が持っているルールよりももっとより厳しいものでしかるべきだと考えます。
 その中で、3番目の福祉ニーズの多様化、これが一般的に高齢者福祉だとか障害者福祉、児童福祉のようなものを超えて、今、もっともっと大きく範囲が広くなってきております。生活困窮者であればまだ福祉の方で対応できると思うのですけれども、更生保護だとか権利擁護というところになってきますと、厚生労働省の範疇を超えたいろいろなところと関係してくることになってきます。そういうものも社会福祉法人が担うということが将来的にあるとすれば、公益法人の持っているルール以上のものをやはり社会福祉法人が持つべきだろうと考えます。
 ただ、歴史的に見て、先ほど述べられていましたように、児童あるいは障害者関係の社会福祉法人では規模の小さいところがあります。今すぐ規定を決めてそれに従えということはやはり難しいところがあると思いますので、一定の規模というところでルールを定める。そして、小さいところに関しては、ある程度期間をおいて、その一定のルールのところにそろえていけるような何らかの措置をしていただければと思います。
 先ほどから出ております評議員会に関しましては、今回のこの議論よりも前に、評議員会と理事会の在り方というのはかなり前から検討されていたところがあるのですけれども、公益法人と同じように考えるとすれば、やはり理事にすごく責任があるのだということは理事の方々には認識してもらわなければいけないと思います。そういう意味で、評議員会は、地域の方も含めての諮問機関、そして、ある程度牽制がかかるような位置付けがよろしいのではないかと考えます。
 監事に関しましては、前回の資料にもあったと思うのですけれども、監事になられている税理士がかなり多数を占めていたと思うのです。社会福祉法人が税制対策として税理士に監事をお願いしたという経緯もあったかと思いますけれども、今後は、経営の適切な管理ということで、公認会計士というような、ちゃんと経営を分析できる方を位置付けしていただければと思います。
 もう一つ、業務監査となれば、やはり先ほど言われたように、仕事をしている現場を適切に見てほしいのですけれども、これを監事に求めるのはちょっと難しいと思うので、そういうところはやはり理事に責任があるのだということをもう少し明確にされたらいいのではないかと考えています。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 小林委員、お願いします。

○小林委員 私は、今日は介護福祉士養成施設協会ということで参加させていただいているのですが、実は私自身も、学校法人の経営と、更には社会福祉法人の経営、そして公益社団法人の役員をさせていただいています。
 基本的な考え方として、先ほど関川委員がおっしゃったことにかなり近いわけでございますが、私は、理事会の権限あるいはその責任をきちんと持たせるということは大変重要なことだと思っています。その意味では、通知で対応していたようなことに関して、きちんと法律上明文化するということは当然やっていただいていいのだろうと思っております。
 私は東京都で社会福祉法人の経営をしているわけですが、特に東京都の場合は、指導監査が大変厳しいということでございまして、少なくとも3年に一度は複数の人が来て、3日間ぐらい全部の事業あるいは財務状況をきちんと監査し、問題点があればきちんと指導されるということがずっと続いてきております。ただし、全国ということになると、やはりそういったことができていない県もあるのだということを考えると、通知業務だけではなくて、やはりここはきちんと法律に明記をしたほうがいいと思います。
 それから、理事の人数の問題、やはり偶数よりも奇数ということで、過半数ということであれば、6名よりは7名以上の方が公平性が保てるのではないかと思っております。
 養成校の立場からの考えということで言えば、学生を送る立場から考えますと、やはり法人のガバナンスを含めた透明性ということは、きちんと担保していただくようにしていただきたい。そうでないと魅力のある職場にはならないということでありまして、ぜひそこはきちんと透明性が担保でき、そして、学生等が安心をして、信頼をして法人に就職できるような対応をきちんと執っていただきたい。これは制度的にもお願いしたいということであります。
 ただ、その中で、評議員の議論もありましたが、私はやはり評議員会というのは、今までの皆さんの御意見のとおり、地域の代表の方とか利用者の代表の方とかに入っていただくわけでありますが、そういった御意見をお聞きして、そして、法人運営の中に事業として生かしていくということは大変大切なことであります。そこに決定権限を与えるということは、責任を更に負わせることにもなりますから、決定権を持たせることになると、自由な発言がなかなかできにくくなるというマイナス面もあるだろうと。ですから、ここはやはり諮問機関でいいのではないかと思っております。
 以上のようなことを感じたところでございます。どうもありがとうございました。

○田中部会長 ありがとうございました。
 藤野委員、それから松山委員の順で。

○藤野委員 評議員会を義務化するというのは、今の状況からしてやむを得ないと思います。ただ、私はよく分からないのですけれども、評議員会は今、諮問機関と位置付けられています。でも、議決すべき事項というのははっきり明文化されているわけですね。だから、そういう意味では、まだ組織的に全養協として議論したわけではないですけれども、そういう点では諮問機関でもいいのではないかと、それで議決すべき事項というのをはっきり、今でも明記されていると私は理解しているのですけれども、その辺をまた教えてください。
 ただ、26ページのところで「利用者の家族の代表が加わることが望ましいこと」となっていますが、利用者はさておいても、例えば児童の措置施設などの場合、虐待を受けた子供が70%ぐらいという状況の中で、利用者というのは子供なのですね。それこそ子どもの権利条約でも、子供の意見表明というか、その辺はあるわけで、実際には、例えばうちの場合は評議員会の中にOB、施設を退所していった子供の代表が入っていますけれども、ここに保護者を入れるということは、ちょっと無理ですね。非常に今、虐待をした親とかクレーマーなどがたくさんいますから、ちゃんと頑張っている保護者もおられますけれども、そういう意味で言えば、児童の場合、保護者ということは考えられない。児童というか、保育園などはそういうことが十分考えられるのだろうと思いますが、例えば児童養護施設などの場合だと、そういうことがあるということです。
 それから、外部監査のことで、うちも外部監査を受けていますけれども、そういう点では、やはり公認会計士を雇うというのはかなりしんどい状況があって、外部監査は税理士さんにお願いしたりしております。ただ、そういう場合に、今の規定では、これは県が決めたのか、国でそうなっているのか、はっきり分かりませんが、要するに、外部監査を受けている場合には2年に何回かとういうことで、県の監査をしないわけではないのだろうけれども、書類監査だけで終わるとか、そんな規定になっているように思うのです。要は、ここで言われる外部監査ということは、その事業規模と、やはりその場合に県の監査との関係ということなのかと思ったりします。

○田中部会長 松山委員、お願いします。

○松山委員 私も、既に各委員の方がおっしゃったように、原則はやはり公益財団法人のルール、もしくはきょう事務局が考え方として示してくださった内容が最低ラインになるのではないかと思います。しかし、既に何人かの委員が言われたように、規模の小さいところにはそれに対応できないところがたくさんある、むしろそちらのほうが多いということも認識しております。この点については、資料1「社会福祉法人制度の見直しに関する論点」の中に、後の福祉部会で議論されると思うのですけれども、「法人の連携・協働等の在り方」で複数法人による協働の仕組みというのがあります。これは検討会の中でも議論があったのですけれども、具体的には、例えば今、厚労省で検討している非営利ホールディングカンパニーみたいなものを社会福祉法人が集まって地域で作って、そこで評議員会機能を共有する、もしくは監事の人材も共有するというようなことをやれば、規模が小さくてもそういうことができるのではないかという提案です。
 したがって、今回の改革を考えるときには、そういうことも盛り込んで作っていただければと思うのですが、そうすると論点がもう一つ出てきます。それは、そういう仕組みが出てきてもそこにも参加しない、猶予を与えてあげても原則となっているルールに追いつける体制が作れないという法人がたくさんあるのではないかと思うのです。その結果、そういうところは社会福祉法人をやめてもらうのですかという論点が出てくると思うのです。このことも念頭に置いて議論をする必要があるのではないか、ということです。
 以上です。

○田中部会長 柳川委員、それから藤井委員です。

○柳川委員 日本商工会議所の柳川でございます。
 次回以降議論される業務運営の話になるのですが、少し感想じみたことで恐縮なのですが、働いている人の意見なりそういったものをガバナンスの中に吸い上げる機能について、本日の議論の中では、ガバナンス、責任、そういったところがあると思うのですが、本日の議論に加えて、またぜひ業務運営のところでもやっていただきたいと考えています。
 それから、責任等とありますが、地域福祉に関わるメンバーの中で、先ほどから監事とか評議員とかが出て、藤野委員からも、例えばモンスターペアレンツなどの実態のお話もありました。私もよく存じていますが、例えば地域に顔役みたいな方がいらっしゃいます。商工会議所の関係の者が結構多いのですけれども、その方々は日々商売を通じて、経営力のある方々です。そういった方を有資格者の税理士なり公認会計士と組み合わせるとか、あるいは、特例子会社は大都市圏で結構事業所を持っていますので、そういった方々を監事や評議員会に入れる。その人選方法についても、やはりせっかくこれだけの制度改革をするわけですから、この意識とか人に関わるところというのは、業務運営の議論の中でも取り上げていただければと考えております。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

○藤井委員 今ほど藤野委員、小林委員、鎌倉委員、関川委員、磯参考人が、皆さん、評議員会については諮問機関のままでいいではないかという御意見だったと思います。このような大先輩の方に矢を放つのは大変苦しいのですが、私は諮問機関であるべきではないという意見を持っておりますので、その意見を述べさせていただきます。
 というのは、5方共通して思われているのは、恐らく今の評議員会をベースにすると議決機関ではないのではないか、地域の人たちが参加してくるよさがあるのではないかということだったと思います。
 22ページを見ていただきたいのですが、下の評議員会の権限に関して言うと、理事、監事、会計監査人の選任・解任ということが加わっております。定款変更、計算書類の承認、合併の承認、役員報酬の決定というのが入っておりまして、実は今の社会福祉法人の評議員会について、例えば通知で書かれています事業計画及び事業報告みたいなものであるとか、先ほど福間委員がおっしゃったような予算を承認するとか、そういったことは入っておりませんで、社団と財団の違いはありますが、NPO法人の会員総会であるとか株式会社における株主総会に該当するようなチェックを行うものであるということが1点でございます。
 もう一点は、やはりこの会そのものが、社会福祉法人というものが非課税法人として国民の信を問うようなことができるようになっているか。まさに関川委員がおっしゃったとおりモラルハザード、ほとんどのきちんとした方はそんなことをしないのですけれども、今の状況ですと、理事は誰が選任したのか分からないという状況の中で、理事の方々でおかしなことをされる方がいるのをチェックすることができない。これが非課税法人としてふさわしいのだろうかということが問われていることを考えますと、私はやはり、選任したのは評議員会であるという評議員会の権限を明確にすることによって初めてそこが担保できると考えます。
 ただ、そうしますと、今の地域の代表者の方々の意見を吸い上げる、それから、今ほど出ました従業員の意見を吸い上げる的なものが評議員会で同じくできるかと。もちろんやっていただいてもいいのですが、特に多地域展開をしておられる社会福祉法人の評議員会、私もそういうところに加わっているのですが、東京にも事業所があるので東京の人にも評議員会に入ってもらおうという形で入るのですが、では、東京の意見をそこで吸い上げていただけるかというと、これはかえって非常に難しいです。
 むしろアメリカのNPO等はそういう組織になっていると思うのですけれども、理事会、評議員会とは別に各地域ごとの懇話会といいますか、ボードと呼んでおりますが、それぞれの地域で地域の意見を聞く、吸い上げるというものがございまして、これを特に理事会は重視しなくてはいけない。そこで地域の懇話会の意見とかニーズを吸い上げて、きちんとそれが形になっているわけでございますから、理事会あるいは業務執行理事は、果たしてそれに対してどのように応えたのか、あるいは応えていないのかという説明責任が生まれてくるのだと思うのですけれども、それがありますと、例えば評議員会もチェックしやすくなる。あるいは行政が監査に入ったときに地域のニーズとしてこういうものが上がっていますので、何をやられたのですかということも非常にやりやすくなると思うのです。
 これが今、評議員会でやられているところもあると思うのですけれども、現に地域の代表者という方が地域の有力者であることも多くて、細かな多様なニーズに応えるというよりは、まあ、頑張ってくださいみたいな感じになっているケースも多いのではないかと思います。ですから、むしろ評議員会の機能とは切り分けて、評議員会は議決機関で、特にここにある理事、監事、会計監査人の選任・解任及び役員報酬の決定権を持つということを明確化して、地域のニーズを吸い上げる機関を別に作る。これは社団、財団に公益財団がないことでございますから、社会福祉法人というのは、さらに厳しいハードルを超えてきたものであるということで作られたと思いますので、そういった地域ニーズを吸い上げるための組織というものを位置付けてはどうかと思っております。
 以上です。

○田中部会長 では、発言のない方。
 西條参考人。

○西條参考人(黒岩委員代理) 今の藤井委員のお話ともちょっと関連するのですけれども、現行の我々の指導の根拠としています国の定款準則の中で、評議員会を設置する場合は、評議員会において役員を選任することが適当だと、これは定款準則の備考で書いてあるのです。ですので、評議員会は、保育所とか介護事業のみやっているところは置かなくてもいいのですが、それ以外は原則置きなさいと我々は指導しているのです。その中で、先ほど藤野委員からもお話があったと思うのですけれども、まず理事が評議員を選ぶ、今度は逆に評議員が理事を選ぶ、理事が同意をして初めて就任できる、現行制度の中ではそんな仕組みになっているのです。その中で、牽制機能というのは現行法人に対しては私どもも指導させていただいています。
 もう一つが、先ほど藤野委員からお話があった県の監査と外部監査の関係はどうなのだということですが、県の監査というのはあくまでも法人の定款とか国の定款準則や要綱に基づいて、手続的な瑕疵がないかどうか、その辺がチェックのポイントといいますか、つまり、社会福祉法で定められている法人の経営自主権を損なわない範囲で指導、助言を行うというのが大原則になっているのです。ですので、どうしても形的なものといいますか、手続的なものがきちんと法律に基づいて行われているか、そこがポイントになっているのです。
 あと、外部監査を受けるメリットというのは、県の監査が2年に1回のところ、4年に1回になります。そのぐらいのメリットしかないというのが実情でございます。

○田中部会長 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 先ほどの松山委員の御意見に対して、社会福祉法人は、やはり独立した経営理念とかを持って公益性のために一生懸命やっているわけです。そうすると、それに共通の評議員会を設けるなどといったら、やはりその辺は具合が悪いと思います。そういう点では、例えば保育園だとか単独の単一法人でやっているところなど、やはり一定の猶予期間が必要だし、それぞれの評議員会をちゃんと組織する必要があるのだろうと。それを、共通の評議員会を設けるというのは、私はそのような発想にはならないと思うのですが、いかがでしょうか。

○田中部会長 今のことに対して、松山委員。

○松山委員 これは私の意見ですけれども、別に共通の評議員会機能を持つ組織を作ってもいいよというのは義務化ではないのです。それに賛同する経営者が集まって、共通の評議員会機能を持って地域に貢献することを考えることも認めたらいいのではないかということです。ただし、今おっしゃったように、あくまで独立してやりたいという法人はそれを尊重するのですけれども、一定の猶予期間が終わったら原則どおりやってくれるのですねということです。もしそれができないのだったら、公益法人以上に優遇する意味というのが国民に説明できなくなりますので、そのときはそれなりの覚悟はあるのですねという話だと私は思います。

○田中部会長 福間委員、どうぞ。

○福間委員 先ほどから権限の問題があります。提案の中で、もう少し書き込んでほしいと思いますのは、理事の権限の中で業務執行のことが若干書いてあるのですが、私どもの例で申しわけないですが、業務執行理事を非常に明確に位置付けています。それは、財務執行理事と人事労務理事というように分担するわけです。社会福祉法人の場合もそういう形ができると思います。場合によったら、先ほど来のもう一つの課題である地域担当理事とかもありうる。
 そして、業務執行理事は3カ月に1回は理事会で報告しなければならないというのが、公益法人の場合では法律に書いてある。つまり、理事会は3カ月に1回は必ず開かねばいけないということにもなるわけです。そして、監事はそこに出席しなければならない。ということは、監事は業務執行理事がどういう業務をしたかという報告を必ず聞く機会が登場するわけですね。そういう意味では非常に全体の進行状況と牽制というのが、理事会の機能の中に効率的に整理できています。その上で、評議員会の問題というのは、先ほど来の議論がありますので、藤井委員がおっしゃったようなことの整理は必要だと思っています。
 あわせて、社会福祉法人がキャリアアップの問題であったり、これからの事業をどう拡大していくかというのも大きなテーマでありますので、当然そこをにらんだ評議員会の在り方とか理事会の在り方を考えていかないと、もちろん現状は、その中でのケース・バイ・ケースとしてどうするかという二段構えの中で中期的展望に立って整理をしていった方が分かりやすい。
 最後に、先ほど来の説明にもありましたが、通知とか定款準則とか、結局法律ではない。私は、なるべく法律に書かれて、その上に施行規則なりがあるという法体系の下に、なるべく多くのことが見えるようにしておく方が行政の指導も分かりやすいし、社会福祉法人の在り様も、地域の人に分かりやすいという意味でも、ぜひ細かくてもそうしていただくほうがベストではないかと思います。

○田中部会長 ありがとうございます。座長まとめに近いことを言っていただいている感じがしました。
 時間になってまいりましたが、発言のなかった方、どうしてもという方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 私も一言言うと、先ほど藤井委員が、評議員会は議決といっても株主総会の議決に近いとの説明をしていただいたのが分かりやすいと思うのです。株主総会があると経営のスピードが遅くなるなどということはないです。株主総会は年に1回しか開かれません。そこで行われている議決とは、別に毎日毎日社長が行っている経営執行に関する意思決定とは全然違うレベルのガバナンスに関わる議決です。そういう日々の執行に関する議決に評議員会が加わる意味ではないとのご指摘で、先ほどの比喩はわかりやすかったと感じました。よろしゅうございますか。
 松原委員、どうぞ。

○松原委員 本日御提案いただいた内容について、私は原則、異論ございません。こういうことだろうと思います。
 ただ1点だけ、今後の検討の際にちょっと気になるのは、公益法人の多くは事業性がない法人でして、要は、事業性のある非営利組織の代表といったらやはり社福だと思うのです。ですから、今後検討するときに、公益法人をあくまで横目で見ながら参考にするというのは非常に重要だと思いますが、全て真似する必要はないと思います。例えば多くの公益法人の場合は事業性がないということや、収入に公金が入っているわけではないので株式所有は自由だと、それに倣って社福も株式所有オーケーとなってしまったのです。でも、2年前の内部留保の問題の調査のときには、社福が公金を使いながらこんなに株式を保有しているのというのが問題視されることもありましたので、やはり社福はどういう組織であるべきか、主な収入が公的資金である非営利組織の経営はどうあるべきなのかという視点をしっかり持って、そういう評価尺度を持って検討していく必要があると思います。
 繰り返しますけれども、別に今回はこの公益法人に倣ったこれということに全く異論はございません。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 もう一点どうぞ、小林委員。

○小林委員 私も、理事の職務と責任を法律上明記するということについて異存はないと思っております。ただ、細かいことで恐縮なのですが、こういうケースもあるのでということで申し上げるのですが、そのことに関して12ページに考え方を書いていただいて、理事の義務と責任を法律上明記するということです。この中で、法人に対する損害賠償責任というのがあるのですが、これについては、いろいろ中身についてきちんと精査してもらわなければならない問題があるだろうと思うのです。
 学校法人でも、例えば学校法人の理事の場合、理事会で決めた、あるいは理事長を含めて株をやって、そして学校法人に大変損害を与えたということがリーマン・ショックのときに随分話題になったことがありました。社会福祉法人はもともと利益を目的とした法人ではないので、株を持ったりすることは認められていないと私は感じているのです。役所の東京都などではそんなことは絶対認められていないと感じております。
 ただし、例えば不動産や何かが、この20年ぐらいで買ったものが、何年かの中で資産価値が大きく下がるようなことが法人の中で起きてくることがあります。そういう場合に理事の責任ということで損害賠償責任まで負わせられることになると、理事の引き受け手がなくなるのではないかという危惧があります。
 ですから、これに関しては、例えば故意に基づく場合に損害を与えたものに関しては責任を持たせるということがあってもいいのですが、その辺はきちんと棲み分けなりをしていただくことを考えていただいた方がいいかと思いました。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 では、予定の時間になりましたので、本当はまだもう少し議論したい点もあるのかもしれませんが、本日はここまでとさせていただきます。
 次回の開催について、事務局から連絡をしてください。

○西辻総務課長 次回でございますが、9月11日木曜日、来週の木曜日でございます。16時から、場所は本日と同じこの航空会館の大ホールで開催を予定しております。詳細は追って連絡をさせていただきます。
 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事を終了いたします。大変活発な御議論をありがとうございました。

 


(了)

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