ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第21回先進医療技術審査部会(2014年9月11日)




2014年9月11日 第21回先進医療技術審査部会

(了)


第21回先進医療技術審査部会

(1) 日 時:平成26年9月11日(木) 16:00~17:35
(2) 場 所:中央合同庁舎第5号館 専用第23会議室(6階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号TEL:03-5253-1111)
(3) 出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、一色構成員、
佐藤構成員、柴田構成員、関原構成員、竹内構成員、
田島構成員、直江構成員、藤原構成員、山中構成員
  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 専門官

議 題:
1. 新規申請技術の評価結果について
2. 試験実施計画の変更について
3. 協力医療機関の追加について
4. 金沢大学附属病院の事案について
5. 先進医療会議の審査結果について(報告事項)
6. その他

議事録:
○猿田座長
 第21回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。委員の先生方におかれましては、特に新学期が始まっていろいろお忙しいところ、また天候の悪いところ、お出でいただきましてありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 本日の構成員の出欠状況ですが、伊藤構成員、金子構成員、大門構成員、山本構成員から欠席の連絡を頂いています。4名の方が御欠席ということで、16名の構成員のうち、12名の構成員にお集まりいただいていますので、本会議が成立していることを申し上げます。あと会議のことに関しては各委員の先生方から、こちらのほうに任せてくださるということだと思います。それから事務局のメンバーの異動がありましたので、事務局のほうから御紹介をお願いいたします。
○医政局研究開発振興専門官
 事務局でございます。9月1日付で事務局メンバーの異動がございましたので御紹介させていただきます。
○事務局(神ノ田)
 9月1日付で着任いたしました、研究開発振興課長の神ノ田でございます。よろしくお願いいたします。
○猿田座長
 早速ですが、最初に本日の配布資料、案件の確認などを事務局からよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興専門官
 配布資料につきまして、確認させていただきます。議事次第から始まりまして、座席表、開催要綱、構成員及び技術委員名簿と続きます。次に【新規申請技術の評価結果】として、資料1-1~1-5がございます。次に【先進医療Bの試験実施計画の変更について】として、資料2-1、2-2がございます。次に【先進医療Bの協力医療機関の追加について】として、資料3-1、3-2がございます。次に【金沢大学附属病院の事案について】として、資料4-1、【先進医療Bの告示削除について】として、資料4-2がございます。次に【先進医療会議の審査結果について】として、資料5がございます。最後に、参考資料となります。会議資料の最終ページは136ページになります。
 また、今回の新規申請技術の評価における事前審査に係る申請者からの回答を1部、構成員からの御指示に基づく直近のda Vinci各技術を施行する保険医療機関の要件一覧を1部、及び去る9月8日に発表された金沢大学記者会見資料を1部、机上に配布させていただいています。傍聴の皆様におかれましては、金沢大学記者会見資料につきましては金沢大学ホームページより全文を閲覧いただけますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の資料は、以上でございます。乱丁、落丁等ございましたら、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
 それから、利益相反についてです。申請医療機関との関係や対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、資料1-1(P.11)に記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業に関して事前に確認をさせていただいております。今回は、いずれの構成員からも事前の届け出はございませんでした。事前の届け出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いします。該当なしということで、よろしいでしょうか。また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等についてはタブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料のページ、またはタブレットのページと、あらかじめ御発言をいただけますと議事の進行上、助かりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。構成員の先生方、よろしいでしょうか。特になけれは早速、議事に入りたいと思います。最初に、新規申請技術の評価結果について、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興専門官
 御説明させていただきます。なお、撮影されている傍聴者の方がいらっしゃいましたら、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。
 資料1-1、11ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は1件で、整理番号037、内視鏡手術支援用ロボット(da Vinchi Surgical System)による直腸がん手術です。適応症等は直腸悪性疾患となっています。申請医療機関は藤田保健衛生大学病院です。審査担当構成員として主担当が山口座長代理、副担当として柴田構成員、佐藤構成員です。
 資料1-5、45ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。
 1.実施責任医師の要件として、診療科は要(外科)、資格は要(日本消化器外科学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、DVSSのCertificateの3つの資格を取得)、当該診療科の経験年数は要5年以上、当該技術の経験年数は要1年以上、当該技術の経験症例数は実施者[術者]として25例以上必要、その他、1.ロボット支援下大腸切除術を1年以上経験、2.日本内視鏡外科学会技術認定取得者後リンパ節郭清を含むロボット支援下大腸切除術を30例以上経験しており、その内25例以上がロボット支援下直腸切除術であること。
 2.医療機関の要件ですが、診療科は要(外科)、実施診療科の医師数は要、具体的には、日本消化器外科学会指導医の常勤医師1名以上及び日本内視鏡外科学会技術認定取得医の常勤医師1名以上が必要、他診療科の医師数は要、具体的には麻酔科常勤医師が1名以上が必要、その他医療従事者の配置は要(常勤臨床工学技士1名以上)、病床数は要(500床以上)、看護配置は要(7対1看護以上)、当直体制は要(外科)、緊急手術の実施体制は要、院内検査(24時間実施体制)は要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は要、倫理審査委員会により審査体制は要、審査開催の条件は2か月に1回以上開催していること。医療安全管理委員会の設置は要、医療機関としての当該技術の実施症例数は要(30症例以上)、その他、先進医療申請時のロボット支援下大腸切除術を導入後1年以上経過していること。都道府県がん診療連携拠点病院または地域がん診療連携拠点病院であること。過去5年間に直腸がんに対する切除手術を年間50例行った実績がある。術式は問わない。側方郭清を行う際は、施設として5例以上のロボット支援下側方郭清を経験していること。
 3.その他の要件には、特段の決まりはありません。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。この施設の要件が非常に重要ですけれども、今、お話にあったようにロボット手術ということで幾つかの条件が付いています。この要件につきまして構成員の先生方、どなたか御意見はございますか。
○藤原構成員
 消化器外科という領域から考えると、前回の胃がんと今回の直腸がんがあって、配布資料の2枚目の所が胃悪性腫瘍ですけれども、例えば当該技術の経験症例数は実施者として、胃がんの場合だと10例以上で、今回の直腸がんだと25例とか、医療機関としての当該技術の実施症例数は今回の直腸がんの場合だと30例ですが、胃がんの場合は20例です。消化器外科の領域でもこのぐらいの差はつけるべきものなのかどうか、山口先生に聞いてみたいです。
○山口座長代理
 この前もそういう議論がありましたが、科学的にこうだと決めるのは大変難しいと思います。ただ、例えば頭頚科などの疾患のように対象数が非常に少ないとか、そういうことも大きな要素になりますし、技術的に易しいものであれば少ない数でもいいのではないかという考え方もあります。そういう意味では胃がんと直腸がんとどっちが難しいかと言えば、直腸の深部のほうが難しいということでやや厳しくなっているのだと思います。ただ、その根拠というのは全くありませんので、これから決めるとしたら、こういう場で議論して決めたらいいのではないかと思います。
○藤原構成員
 そうなると、例えば20例とか30例やるぐらいだったら、いつも山口先生がおっしゃっている、腹腔鏡下切除がしっかりできる人だったら本来できるはずなので、腹腔鏡下切除の経験をしっかり入れておき、da Vinciを使った症例数というのはそんなに多くなくても早く臨床試験に入れて、臨床試験のほうで当該技術の必要性の是非を検討するほうがリーズナブルのような気もするのです。
○山口座長代理
 それは全く賛成です。
○猿田座長
 この案件では、有害事象などが特に問題になるところかと思います。これは学会としても出しているのですか。
○山口座長代理
 それは非常に問題になる点だと思います。
○猿田座長
 これは内科の先生方はあまり分からない。
○一色構成員
 最後のページのその他の所で、がん拠点病院のことですけれども、つい最近の報道では、拠点病院を実質的に調べると4割ぐらい漏れるのではないかという話で、その体制が見直されるかもしれないということです。報道ベースでしか私は知らないですが、こういうところに拠点病院というのが入った場合に、多分、この施設は大丈夫だろうとは思いますが、もし外れたような場合にどういう扱いになるのか。ちょっと不透明な気がするのと、この項目は必ずなければいけない項目なのかどうかということですが、いかがなのでしょうか。
○猿田座長
 事務局のほうから、お答えをお願いします。
○医政局研究開発振興専門官
 申請医療機関が、当該の実施要件を決める段階においては、かなり慎重を期して項目を選んだと。慎重を期してと申しますのは、要はかなり厳し目の要件で選んだというふうに伺ったと記憶しています。この施設要件、医療機関の要件の数字等々でいくと、今の議論にもございましたように、がん診療連携拠点病院であることがこの条件をかなり大きく規定するものかというと、必ずしもそのような理解ではないと解釈いたしますが、いかがでしょうか。
○山口座長代理
 おっしゃるとおりで、薬剤の場合は機器と全然違うと思います。薬剤であれば基本的な抗がん剤の取扱いとか副作用に対する対策というのは、そんなに大きく変わるものでないと思います。ところが医療機器はいろいろなものがあり、拠点病院でなくてもそういう技術に非常に長けていて、そういう材料や機器を一生懸命やっている所もあるわけです。それを一律に機器に関して拠点だからといって資格があるかというと相当難しいので、これは別個に分けて考えたほうがいいと私は思います。
○猿田座長
 実際に先生、これで先進医療を通ったとしますね。それで症例数を集めなければいけないときに施設を追加していただくことがありますね。その選ぶときも、よほどそこがポイントになるわけです。私たちは事故が怖いですから、各施設にはこれを基本としてやっていただく形にして、特に施設に関しては厳重にチェックしようということでやっています。今、議論があったところは非常に重要なポイントです。
○関原構成員
 私、がんの拠点病院の審査を10年ぐらいやっていて、今年の7月にあったときもこの要件は非常に揉めたわけです。つまり、6大がんについては手術の実績があるということですが、実績というのは1つでも現にそういう所があるのです。肺がんの手術を年に2、3件しかやっていない所と、何百とやっている所を含めて全国に350近い拠点病院がありますが、直腸がん、大腸がんだけを徹底的にやっている所は基本的にないわけで、まず拠点病院という大きな網があり、その中で直腸がんなり大腸も含めて、どのくらいの症例かということですが、ここは25ですから、そういう意味ではこっちのほうが相当絞られていると私は思います。来年の3月に見直しがあるので、そのときに、もう一度この辺は審議会で議論になると思います。
○猿田座長
 ありがとうございます。
○山口座長代理
 実は拠点病院だから新しい医療をやっているかというと、必ずしもそうでなくて、例えば今回話題になっている腹腔鏡の手術は、がんの専門病院ほど遅れていたという事情があります。というのは、自分たちは拡大手術の方向ということでなかなかコンサーバティブで、実はがん専門病院以外の施設から発達したということもあります。この件に関しては、がんの拠点病院がリードしてきたかというとそうではないので、その括りというのは相当問題があると思います。
○猿田座長
 これは非常に難しい問題です。
○医政局研究開発振興専門官
 そうしましたら、ただいまの議論を踏まえ、今、提示されている要件から差し当たり、この都道府県がん診療連携拠点病院または地域がん診療連携拠点病院を削除して差し支えございませんか。
○山口座長代理
 ただ、1つ問題なのは、拠点病院は安全管理とか倫理の点で優れたものを持っていることは間違いないわけで、いくら技術力が良くても、そういうところで劣っている施設は駄目だと思います。ですから、なぜがん拠点という要件を付けたかということを考え、その中からエッセンスとして、少なくともがん拠点病院として認められたうちの、これは拠点病院でなくても必要だというものを括り出すことをしないと、あまり網を外してしまうと非常に危険なので、差し当たってはこれでやっていただいて少し緩めていただくほうがいいと思います。
○医政局研究開発振興専門官
 承知いたしました。
○藤原構成員
 臨床試験として先進医療Bをやるのに、この直腸がんの45ページの倫理審査委員会の審査体制要件の所で、審査開催が2か月に1回以上というのでは今時おかしいように思います。1か月に1回ちゃんとやっておかないと、何か重篤な有害事象が起きたときに、試験を止める止めないというのを、迅速に判断する体制がしっかりしていないといけないと思います。ほかの申請でも厳しくするのだったら2か月に1回でなく、1か月に1回以上開催にしておいたほうがいいと思います。
○猿田座長
 これは症例数の問題もありますね。今の条件ですが、これはどうですか、先生、1か月1回にしたほうがいいという御意見が出ていますけれども。
○山口座長代理
 迅速に開ける体制があればいいと思いますが、定期的に何回が適当か私も分かりません。
○医政局研究開発振興専門官
 そうしましたら、ただいまの議論を踏まえ、倫理審査委員会の開催要件あるいはその他の要件のところを、また申請者とすり合わせて、こちらの条件を付ける形で進めさせていただきます。
○猿田座長
 理想とすれば、今、藤原先生がおっしゃったように、できるだけ1か月1回ということでできれば、それが一番いいと思いますが、先生方は非常にお忙しいですから、そこのところも考慮した上で安全性と両方考えた上でのバランスではないかと思います。そこはもう1回、確認だけ取っていただきたいと思います。
○医政局研究開発振興専門官
 承知しました。
○藤原構成員
 あと、それに関して先ほど申し上げたように、せっかく今、胃がんと直腸がんを同時期に審査しているので、当該技術の実施症例数を例えば20例とかでなく、もう少し症例数で許容するかわりに、腹腔鏡手術の実施経験数のほうを多くして施設用件を縛るとか、それは山口先生と猿田先生にお任せしたいと思いますけれども、せっかくなら早くダビンチの臨床試験をやってもらって、有用性の白黒をはっきりさせてもらったほうが、ダビンチのためにもなるのかなと思います。
○猿田座長
 そうですね、分かりました。よろしければそこは相談させていただいて進めたいと思います。ほかに直江先生、何か御意見はございますか。
○直江構成員
 同じda Vinciなのですが、要件を見比べたときに、確かに根拠と言われると難しいと思います。例えば院内で安全に懸念が出たような症例があった場合に、報告システムとチェックシステムがきちっと働いているかどうかが一番大きいと思います。小さな病院で、例えば外科の先生が一生懸命やっていらっしゃって突出している病院というのは、なかなかコントロールがしにくいかもしれません。どこの病院というわけではないですが、そういう意味で院内での倫理委員会や安全管理がワークしていることを、何らかの形で要件にきちんと書き込むことが一番大事かなと、聞いていてそう思いました。
○猿田座長
 ありがとうございます。ともかくできるだけ早く進められる部分は早く進めなければいけない。しかし、慎重でなければいけない。藤原先生がおっしゃったとおりですから、そこのところは事務局ともう1回相談させてください。
○医政局研究開発振興専門官
 検討させていただきます。
○猿田座長
 ほかに、どなたか御意見はございませんか。もしよろしければ今のようなことを、この施設要件のところでもう少し検討させていただいて進める形にしたいと思います。よろしければ施設の要件はこういう形にして、それでは037の評価結果につきまして主担当の山口先生、全体的にお願いします。
○山口座長代理
 資料13ページを御覧ください。先進医療の名称はこういうことで、要するにロボット手術をやってメリットを示そうということですけれども、エンドポイントは開腹移行率ということが選ばれています。予定症例数は150例です。シングルアームで今までのに比べて開腹の移行率が少なくなれば、よろしいということかと思います。
 私の評価としては、実施責任医師の体制は適だと思います。実施医療機関は非常に経験も豊富で特に問題ないですけれども、この医療技術の有用性を開腹移行率で示すということは、にわかに「ああ、そうですね」とは言えない点があります。そのポイントは幾つかあって、1つは、例えば開腹移行率4%から2%になって、そこにどういう意味があるのかということです。それが患者にとって本当に大きな意味なのか。我々がロボットに期待するとしたら、極めて精密な手術ができて機能が温存できるとか、遠隔成績がよくなるのは大きいと思いますが、今までの不十分なRCTを見ますと、ほとんどそういうものに差が出せていないのです。わずかに差がありそうなのは開腹移行率ということで、それを選んだということでは、本来、それがこの技術導入の目的なのかというところに大きな疑問があります。
 2つ目に、エンドポイントとして選んだときに、その数字にコントロールとして妥当性があるかです。それが大きな問題ですけれども、開腹移行率というのは極めて流動的で時代とともに変わります。なぜならば、術者の技量がどんどん変わってきますね。慣れてきたら速くなりますし開腹移行しなくてもやれるようになる。もう1つは、新しい材料が出ると開腹移行が減ってきます。新しい機器が出れば、例えば3Dが広く普及したら減るかもしれません。つまり、いろいろな要素で変わり得るということですし、実際、いろいろなスタディを見ても、最初に登録したものと比べていったときに、後になればなるほど開腹移行率は減っているのです。それも数年の間に減っているということでかなり流動的で、この先、これがどうなるかのかを考えると、これを5年も6年もデータを外挿して次の結果につなげるというのは相当問題があると思います。
 3つ目に、この移行率というのは、実は施設間でものすごく差がありますし術者間にもあります。自分が腹腔鏡でやろうとして、あるいはロボットでやろうとして開腹に移行するという決定は科学的になかなか決め難いもので、自分が無理だと思ったら決めるわけですね。これはある意味でかなり恣意的にできます。ですから、過去の研究の中ではロボットをやったらゼロだったけれども、そうでなかったら20%移行したというデータがあり、これは極めて信じ難いデータです。ロボットのときは一生懸命やるけれども、腹腔鏡のときは、「もういいよ、開腹しよう」とやったかもしれないという疑念がどうしても残ります。そこのところで、これは必ずしも適切なものではないのではないかということがあります。
 4つ目に、対象疾患のステージが早期から進行にまたがっていますけれども、例えば早期の大腸がんというのはほとんど外からは分からないですし、技術的にはそんなに難しくないものです。一方、進行した直腸がんでは大きながんがあると操作しにくいので、本来、ロボットがもしもいいとしたら、その力を発揮できるのは大きな進行したがんだと思います。その点で申請者である藤田保健衛生大学病院は、進行直腸がんに関して適応にしていないということで、やや問題があるかなと思います。それと評価のときに早期も進行も全部混ぜて一括してやろうというのにも相当問題があります。その中に側方郭清と言って、良いか悪いかも分からないし、技術的にもまだエスタブリッシュされていないものをやったり、やらなかったりするものが入っている。そういうものが混じって本当に有意差を出せるのか。その差にどういう意味があるのか非常に疑問を感じるという点で、医療技術の有用性の評価に関しては不適切としました。資料の中にたくさんやり取りがあって、非常に真剣に答えていただいていますが、まだ不十分ということで、まだ完全には納得していないという状況です。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。非常に貴重な御意見を頂いて、私もやり取りのところを全部読ませていただきましたが、なかなか難しいやり取りで、特に私ども専門でなくても感じたことはエンドポイントの妥当性のところです。それが時代とともに変わってくることと、今、お話がありましたように開腹移行率だけでいいのかどうかという点は、どうしても気になるところだと思いました。これらに関しては後ほどまた先生方と議論させていただくということで、一応、今、山口先生が主担当として全体的に見ていただきましたけれども、佐藤先生と柴田先生の御意見を聞いてから全体的な討議をしたいと思います。佐藤先生から倫理的な面をお願いします。
○佐藤構成員
 今回、倫理的な面の評価をいたしました。いつも倫理的な評価というのは何をすべきなのか迷っているのですが、研究デザインのことは山口先生から御報告いただきましたので、紙資料の14ページにある同意に係る手続き、同意文書、補償内容に絞って報告させていただきます。
 同意に係る手続き、同意文書を不適としました。この課題は患者さんに76万9,900円の負担をかけるのですが、その割にこのda Vinciの手術の有用性というのはあまり明らかでないような気がして、この70万円以上、80万円近くの負担をもし求めるとすると、かなり詳細な説明が必要だろうと思いました。説明文書はそれなりによくできているのですが、先ほど山口先生から御説明のあった、これは開腹手術への移行率をまず見る研究であることと、その対象として、ヒストリカルコントロールですね、これまでの成績を比較対象にするのだということを説明文書に書いてほしいと思いました。そのうち1点目については、これも紙資料の40ページ以降で少し先方とやり取りをしたのですが、私の質問の書き方が悪かったのか、説明文書に記載してくださいと私は書いたつもりだったのですが、私に説明してくださいというふうに取られて、そこの意義について御説明いただいてしまい、もう一度やり取りをする暇がなかったのです。今日の審議結果を受けて再度、説明文書にその旨の記載をお願いしますということで、もう一度指摘させていただこうと思います。
 それから、補償措置は適としてあります。これまで私のスタンスとして、抗がん剤の場合にはどうしても副作用があるので、それに対する補償というのは特に求めていませんでした。手術についても同じように考えていたのです。ところが、去年、ブラジルのフォルタレザで改訂になったヘルシンキ宣言で、被験者への補償ということが明示されたのと、今回の資料5に入っている胃がんと、前回取り上げられた咽喉頭がんで補償措置があったものですから、それと並べたときに、今回、補償措置が全くなくていいかというのは、ちょっと後でまた御議論いただければと思います。ですから、場合によると補償内容についても不適と変更させていただくことになるかもしれません。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。やはりちょっと難しい問題で、これも佐藤先生、後ほど一緒に議論させていただくということで、あと試験の実施計画書、その他に関して柴田先生、お願いします。
○柴田構成員
 試験実施計画書等の評価を担当いたしました。こちらは拝見したところ、安全性情報の扱い、あるいは有効性及び安全性の評価方法に関しては直すべきところがあるのではないかと考え、事前に照会事項をお渡ししました。一番大きな問題はもう既に山口先生から御指摘があったとおり、今回の臨床試験のエンドポイントで臨床的な意義が示されたと考えられるのかという点だと思います。そこについては統計学的な検出力や解析手法の議論にとどまらず、中身に踏み込んだ議論が必要であろうと思います。その点については山口先生の御意見をお伺いしたいところです。その他の臨床試験の計画に関する部分について、お問合せしたところについては、ほぼ適切に改訂していただいていると考えています。以上です。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。それぞれの御意見を頂きまして、全部貴重な御意見で、特に佐藤先生の値段の問題も評価をどう取るかというのは難しいことかと思います。一応、先生のほうで全体をまとめていただいて、議論をもう1回いただいて結論を出すということでいいですか。
○山口座長代理
 プロトコール自体は大変よく書けていて、余り大きな問題は確かにないので、先ほどおっしゃったように、エンドポイントの問題が一番問題になるかと思います。今回、いろいろ御質問しましたが、極めて迅速に返ってきていて、決してだらだらしたものでも何でもなくて、真摯に答えていただいていますので、更に少し議論を深めて、後で後顧の憂いのないような形で結論を出したほうがいいと思って、実は継続審議としました。
○猿田座長
 このda Vinciを使うか、内視鏡というのは非常に問題が多いので。
○医政局研究開発振興課専門官
 念のために御確認ですが、先ほど御説明した机上配布資料として、この資料の作成には間に合わなかったのですが、山口先生からの御質問に対する申請者の最終的な回答がきております。机上配布資料を御覧ください。2ページ、この要旨は、本申請施設は大腸領域では859例の腹腔鏡手術を経験していて、経験が豊富であるということ。また、自施設の腹腔鏡の合併症の発生率に関しても言及があり、進行直腸がんに対する腹腔鏡下直腸症例数113例に対し、開腹移行率は5例で4.5%であったと述べられております。合併症の発生率の移行は、内視鏡外科学会のアンケート調査による開腹移行率の結果でも、2004年以降の変化は1%未満で僅かであり、最近の劇的な合併症発生率の移行はないのではないかと意見として述べられております。
 内視鏡とda Vinci手術の相違は、鉗子の稼働性が高いことが腹腔鏡で骨盤腔内を操作するものに比べて有用であるところを御評価ください。最後のところに、本試験は、この施設が日本内視鏡外科学会のロボット支援手術検討委員会から大腸領域の委員長を任命いただいているので、信頼ある施設とお考えいただいて結構ですということを意見として頂いております。一応、御参考までに御紹介しました。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。要するに、日本の代表的な施設での成績ということですね。ただ、難しいのは、本当にすごい術者であればよい成績が出てくる。その他の所はなかなか難しいし、da Vinciを使えばもう少し全体的なレベルが出てくるのでしょうが。山口先生が見たらすごいということですよね。
○山口座長代理
 やはり、相当施設間格差があります。例えば、がん研の例を持ち出して申し訳ないですが、がん研は大腸癌手術を年600~700件ぐらいやっているのですが、1%前後の開腹移行率で、直腸に限っても開腹移行は2年に1例ぐらいです。それは適応の選び方にもよるかもしれません。最初から難しいものはやめればそういうことになります。逆さまに昔はやらなかった膀胱合併手術をするとか、そういうものも腹腔鏡でやるようになっています。昔はやらなかったのでそのような開腹移行はなかったのですが、そういう難しいものにチャレンジすると実は増える可能性があります。つまり、いろいろな見方から変わり得るものを本当に評価のコントロールとして置いていいのかという、根本的な疑問がどうしても拭えないということかと思います。
○猿田座長
 ありがとうございます。それでは、構成員の先生方から、特に技術的な面、エンドポイントの面はどうかということ。それから、佐藤先生から御指摘を頂いたように、やはり、費用の問題、患者さんの負担の問題もどう考えていくかということ。あとプロトコール上での問題を挙げていただきましたが、どうぞ御意見を頂ければと思います。
○関原構成員
 この佐藤先生のコメントにもあるように、私も費用との関係が釈然としません。逆に胃がんのケースでは、今日の5番目の資料にありますが、先進医療の会議で費用対効果としては「適」と、つまり評価されているわけです。その会議で特にこれは問題にならなかったのですか?腹腔鏡との比較で、山口先生が胃がんについてここで提起され、議論になりました。結局費用対効果はむしろ先進医療会議の場でやるということで議論が行われました。先進医療会議ではやや効率的ということになっていて、多分計算したら効果ありということになったのかなと思うのですが、どんな議論があったのか教えていただけますか。
○猿田座長
 先進医療会議のほうは、どうしても保険のほうに少し偏ったところの議論が必要で、この間は福田先生が特に費用対効果をいろいろやっていらして、そこでいろいろ意見を頂いて、日本としてこれは非常に重要な問題ですから、いろいろな角度から検討して決めることは重要だということです。これはほかの先生方からも御意見があると思うのですが。
○関原構成員
 効率的というのは、具体的に数字は出ているのですか。64ページに福田先生のレポートが付いていますが。
○猿田座長
 福田先生の御意見も十分検討の必要があるということでした。しかしながら、今の時点では一応こういう形でいいのではないかということで、胃に関しては通ったと私はそう理解しております。
○山口座長代理
 もう1つ、胃がんの場合とこの場合と少し違うのは、やはりエンドポイントの置き方で、胃がんの場合にはある程度例えば膵液瘻とか、極めて重篤な合併症に対するデータがあったので、トライしてもいいのではないかということはありましたが、今回の開腹移行率については、それがどれほどの頻度であって、どれほどの意味を持つのかということに関しては甚だ疑問だということです。
 費用対効果については、基本的にはここでは議論すべきではないというお話で、なるべく主体は、どれほどのメリットが患者さんにあるかということに置いたほうがいいかと思います。最終的に保険収載のときに是非そこのところを見て、それぐらいのことにはお金をかけるべきではないという議論がされるべきだと思います。
○関原構成員
 もう1つ、今の開腹移行率ということに関し、私は大腸を日米で2回開腹しました。要するに開腹したら何がそんなに問題なのかと。つまり、これは8cmだとda Vinciを使えと書いてあります。開腹して自分の傷を見ても、特にアメリカは異常に小さくて、日本はすごく大きかったのです。それでは、ちゃんとがんが切除されていれば、このエンドポイントで計算すればこういうことですが、患者にそれを説明しても、なかなか理解されにくいと思います。何となく開腹というのはものすごく大変で、腹腔鏡とかda Vinciでやれば、えらい軽いようなイメージですが、実際にはそれ程ないと思うだけに、これをもって患者に説明をして、70万円が妥当かどうかは別として、こういう話を病室で説明をして、本当に納得して手術は進むのかどうかということについては私は疑問があるのです。
○山口座長代理
 最初は確かに傷が小さいとか、整容性ということはアピールしていたのですが、本来は開腹しても腹腔鏡でも3か月後に見たら確かに腹腔鏡のほうがいいですが、3年、4年たつと変わらないと思います。ただ問題は、拡大視して解剖をきちんとして見るとより精度の高い手術。先ほども申したように、機能を温存したり、神経を温存したりできますので、そういうことにメリットを求めるべきです。したがって、開腹の移行率というのは、私もそういう意味では余り問題ないので、むしろ本来の目的である、これでやれば精緻な手術ができて、機能の温存もちゃんと図れますよという数字をきちんと出していただきたい。今までのRCTを見るとほとんど差がないので出せないということが現状だと思います。
○猿田座長
 特にこのやり取りでも、本当にほかの機能がどうだろうかとか、性機能がどうだとか、そういうことがやはり議論されて、非常に重要なポイントなのです。
○佐藤構成員
 タブレットの378ページをまず御覧ください。ここでロボット支援手術を使うことによる、患者さんへの利益と不利益が書いてあります。きっとこういうのはある程度はあるのだろうと思います。
 一方、この課題はどういう課題であるか、370ページに研究の目的が書いてあり、これがロボット支援手術だと開腹手術に移行する割合が低いということが書いてあって、これを調べると書いてあるのですが、これが直結するかどうか分からないのですが、かなり高いお金を出していただくということは、それだけこの研究のことを詳しく知って、それでも参加しますということでないと、真摯な同意というか、お金をそれだけもらうということが正当化しにくいのではないかと考えました。ですから、この研究の目的についてもう少し詳しく書いてください、というのが私の指摘事項でした。
○山口座長代理
 実は初めから開腹したのと、開腹に移行してしまったのと、最後まで開腹移行しないで終わったのを比べてみたら、移行した予後が悪いらしいというレベルのデータがあるのです。ただこれは皆さんお気付きのように、難しいものほど、進行したものほど移行する可能性があるので、これは厳密な比較ではないので、そういう可能性があるというところにメリットを示そうということが記載されています。それをそのまま言っていいか分かりませんが、患者さんに「あなたは開腹しないほうがいいかもしれない」ぐらいは言ってもいいかもしれませんが、十分な証拠がないということです。
○猿田座長
 どうしても胃に比べて、手術において直腸のほうがいろいろな問題はあるので、そこのところがやはり難しいと思います。
○藤原構成員
 3点あります。1つは、進行した直腸がんにやったほうがいいのではないかという案件で、藤田保健衛生大は間違いなく技量があるのですが、ほかの先進医療でもそうですが、今回申請が通ったら必ず協力機関がどんどん入ってくるので、そこの人たちのクオリティを担保しないといけないので、回答には「うちはすごいですよ」と書いてあるのですが、それ以降の協力医療機関は施設要件をクリアしていれば入ってきてしまうので、やはり、そこには注意が必要かなというのが1点です。
○猿田座長
 その辺りは内視鏡学会として、術者のレベルをかなり教育しているということはうたっております。
○藤原構成員
 あと佐藤先生がおっしゃっていたお金の話で、今、胃がんのほうを見たのですが、63ページと87ページに胃がんのロボット手術の値段がたまたま書いてあって、胃がんのほうは130万円ぐらい自費診療でやるとかかるのですが、50万円をIntuitive Surgical社が負担してくれて、残った80万円を保険外併用療養費でカバーするところと自己負担分に分けて、自己負担が21万円になるという結果になっています。今回の直腸がんの70万円というのはどこかよく分からなくて、この直腸がんもIntuitiveが50万円も払ってくれるのだったら、多分安いお金になるのではないかと思うのですが。しかも、50万円も会社が払うのだったら、もともと適正な価格かなというのが非常に疑問のところもあるのですが、そこを聞いていただければと思います。
 最後に補償のところですが、臨床研究保険で、がんの患者さんを対象にした場合というのは、保険会社は結構嫌がるところがあって、これまでの頭頸部がん、胃がんで、回答を見ると、「一応、臨床研究保険に入っています」と書いてあるのですが、本当に付保証明とかはあるのかなと。要するに損保会社に聞く前に、臨床研究保険に入っておけば出るのだろうなと申請者が勝手に思っているのか、それとも実際にちゃんとコンタクトして、大体そういうときは見積のためにプロトコールとか、同意説明文書を損保に出して、損保がその内容を見て「保険料は幾らにしますよ」と言ってくるのです。それは胃がんと咽、喉頭がんに保険があるとおっしゃったので、それを確認した上で、直腸がんについてどうですかというのを見ておいてほしいです。
○猿田座長
 いずれも非常に重要な点だと思います。特に今出た補償の問題と個人負担の問題の違い、その辺りのところを事務局から確認をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 はい。
○猿田座長
 ほかにどなたか委員の方で御意見ありませんか。これは非常に難しい問題で、今までも前立腺から始まって、胃、そして直腸へと進んできたわけですが、これからも他の臓器に応用されてくると思います。
○医政局研究開発振興課専門官
 先ほど藤原先生から御指摘を頂いたうちの1つの点については、タブレットの43ページの「先進医療に係る費用」のところで、「直腸のほうも50万円はIntuitive Surgical社が負担する」と書いてありますので、こちらは胃と直腸については、同じような取扱いになっていると御解釈いただければよろしいのではないかと思います。
○藤原構成員
 それで自己負担分は70万円だと。
○医政局研究開発振興課専門官
 はい、そうです。
○猿田座長
 自己負担分は、胃と直腸ではどのくらいの違いになりますか。
○藤原構成員
 タブレットの46ページを見ると、患者負担は18万円になる。ですから、保険外併用療養費、療養分に係る一部の負担金のところは、18万8,000円になっているのです。そうすると胃がんが21万円で、直腸がんは18万円なので、そんなに差はないなということです。
○猿田座長
 委員の先生方、ほかにどなたか御意見はありませんか。これは非常に重要なポイントですし、確かに幾つかの問題点を挙げていただきましたが、そのほかに気が付くところはありますか。
 やはり、一番のポイントはエンドポイントのところですね。
○藤原構成員
 そうですね。この技術の価値ですよね。
○猿田座長
 そうなのですよね。そこが一番重要な点と、難しい手術になるほど、術者のトレーニングと、本当に内視鏡だけやっている先生のプロの腕の違いかと思いますが、そこは非常に重要ですが。どなたかほかの意見はありますか。
○直江構成員
 同じ施設から胃がんのda Vinciが出ていて、これを見比べると、手術合併症が通常の腹腔鏡よりも少ないのではないかというのが胃がんのエンドポイントです。
 私は素人ですので、大腸がんもda Vinciを使うことによって、合併症は少ないといいだろうなという期待や、普通の腹腔鏡ではできないがんが通るといいなという期待感もあるのです。先ほど山口先生は過去にそういうスタディがあって、これが余り有意差がなかったので、こういう設定ではないかとおっしゃったのですが。
 それでもやってみないと分からないと思います。そうすると、これはエンドポイントが問題になると、スタディ全体が揃ってから出さないと、次の審議に来ないと思うのです。例えば、これであえて合併症が少ないというところをエンドポイントにして出し直してくると、これはどういう議論に。それはやはり検討に値するという結論があればゴーになるだろうし、そこはそうではないでしょうとなかなか言えないのかなという、そこは次の問題かなと思います。
○猿田座長
 術者の問題とエンドポイントのところはよくいろいろな角度から見ていく。ですから、開腹技術だけではなく、プラスアルファの面ももちろん含めると。
○直江構成員
 患者さんから見て分かりやすいメリットを示したスタディということですね。
○猿田座長
 その辺りをもう少しクリアにしてもらえればということですね。ほかにありますか。もし大体そういう意見であれば、山口先生にもう1回まとめていただけますか。
○山口座長代理
 一応、継続審議になりました。
○猿田座長
 今の点は特に気を付けていただいて、早く答えていただくと。
○山口座長代理
 まだやり取りは少し続いています。
○猿田座長
 続いていますからね。
○直江構成員
 これは全部の試験期間が6年半となっているのですが、6年もかけてやるということが、私は1つ引っかかるのです。やはりこういう新しい先進技術であれば、6年というのは我々の世界から言うと、随分時間が長いなという感じがします。
○猿田座長
 やり取りを拝見しますと、症例数の問題とda Vinciでも手術をやる人が何人いるかといったことからも計算しているようで、そこのところも今先生の御指摘の通りで、ともかく、少しでも早くやっていただければと思います。
○山口座長代理
 症例数はそんなに時間はかからないと思いますが、セカンダリーのエンドポイントは確認するまでに相当時間がかかるということだと思います。開腹移行術であればたちまち分かるわけです。そこである程度結論を出してもいいかもしれません。
○猿田座長
 ほかに御意見はありますか。もしなければ、山口先生からは継続審議ということです。対応を早くしていただいていますから、かなりポイントが絞られましたので、早く進めていただけると思います。
 一応、今日の時点では継続審議にさせていただいてよろしいですか。もしよろしければ、そういう形でできるだけ早急に的を絞って対応していただくということにさせていただきます。どうもありがとうございました。それでは、山口先生どうもありがとうございました。柴田先生、佐藤先生、ありがとうございました。今申し上げたような継続審議ということで、決定させていただきます。続きまして、先進医療Bの「試験実施計画の変更」について、本日は2件の申請がありますので、よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料2-1、47ページを御覧ください。1件目、名古屋大学医学部附属病院からの申請で、告示番号21「培養骨髄細胞移植による骨延長術について」です。適応症は、骨系統疾患(ただし、低身長又は下肢長不等である者に係るものに限る)となっております。
 本試験は、骨系統疾患症例を対象に、骨延長時に腸骨から骨髄液を採取し、間葉系幹細胞を含む細胞を骨芽細胞へ分化誘導する一方、移植前日に多血小板血漿を自己静脈血より遠心分離法にて精製し、培養細胞と多血小板血漿を混合してトロンビン、カルシウムとともに骨延長部位に注射により移植し、早期に骨延長を図る技術です。予定試験期間は2009年9月14日から2014年9月13日、予定症例数は30骨で、今回の申請時点で12症例から23骨が登録されております。主な変更内容は、試験実施期間の2017年3月31日までの延長等です。
 変更申請の理由ですが、予定30骨のうち23骨までは実施されたものの、直近1年間の一次登録者数が2名4骨であることから、予定症例数に達して試験を完了するまで、今後約2年間が必要と考えており、また、試験期間の延長に伴って、独立データモニタリング委員への委嘱期間も試験総括報告書の提出時まで延長する必要があるとのことです。御審議よろしくお願いいたします。
○猿田座長
 最初のうちはかなり進んだのですが、恐らくその頃は症例がたくさんあって、それがだんだん処理されてきて、少しずつ減って時間が掛かっているのではないかということです。ともかく、もう少し時間が掛かりそうなので、今お話があったように、2017年3月31日まで延長ということです。
○医政局研究開発振興課専門官
 計算上はこの計算で、またこれが滞るようであれば、試験期間の追加等をお願いすることになるかと思います。
○猿田座長
 大体それだけの余裕があって、今までの経過から見ていいだろうということ、これはお認めしてよろしいですね。
(了承)
○猿田座長
 それでは、お認めいただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 次に、2件目をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料2-2、49ページを御覧ください。2件目、山口大学医学部附属病院からの申請で、告示番号32「C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変に対する自己骨髄細胞投与療法について」です。適応症は、C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変(ただし、Child-Pugh分類による点数が7点以上のものであって、ただし、(肝移植術を除く)従来の治療法ではその治療に係る効果が認められないものに限る)となっております。
 本試験は、全身麻酔下で患者の腸骨より骨髄液を約400mL採取の上、血液疾患の骨髄移植に準じて無菌的に単核球分画の分離精製を行い、末梢静脈から約2ないし3時間かけて投与し、肝硬変の改善を図る技術です。予定試験期間は2013年6月1日から2017年3月31日まで、予定症例数は34例で、今回の申請時点での登録症例はありません。
 主な変更内容は、臨床研究保険加入が可能となったことによる変更等です。
 具体的な経緯ですが、2011年12月6日に山口大学から「厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」、いわゆるヒト幹委員会に本研究を申請した際には、臨床研究保険への加入が不可能であり、保険非加入にて承認されました。その後、2012年10月24日に先進医療申請を受け付け、翌2013年6月1日に先進医療告示となりました。この後、多くの共同研究機関の追加手続を経て、本年5月29日、ヒト幹委員会で共同研究機関(山形大学医学部附属病院、国立国際医療研究センター病院)の受診の際、臨床保険への加入検討を要請されたため、山口大学医学部附属病院でも改めて保険加入の検討が必要となり、再見積りを行った結果、多施設共同試験であれば、山口大学を含めて臨床研究保険への加入が可能となったため、保険加入手続後、本年8月19日の厚生科学審議会科学技術部会にて本研究プロトコールが承認されたものです。御審議お願いいたします。
○猿田座長
 今、経過を御説明いただきましたが、一番基本的なところは保険加入の問題であると思います。御存知のとおり、山口大学のこの技術に関しては随分古くから一生懸命検討されていて、少し骨髄液を取る量が多いのではないだろうか、あるいは肝硬変がどのぐらい治るかという判定のところで、この会議では随分議論がありました。もっと早く進むかと思ったら、今言ったような保険の問題があって、遅くなりました。山形大学と国立国際医療研究センターはかなり症例が多いので進むだろうということです。どなたか御意見等ありますか。早く進めていただければと思います。特に御意見がなければ、お認めいただくということでよろしいでしょうか。
(了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、告示番号32についても計画変更をお認めいただくということにさせていただきます。
 続いて、協力機関の追加です。説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料3-1、51ページを御覧ください。これまでに大臣告示されている2つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。51ページに、各々先進医療名、適応症、申請医療機関、追加協力医療機関について記載しております。
 協力医療機関追加の背景について、簡単に御説明します。1件目、告示番号40の議事ですが、こちらの対象疾患であるジアドキサイド不応性先天性高インシュリン血症は、新生児及び乳児の超希少難治性疾患であり、国内年間発症が20例前後と考えられ、疾患の希少性と乳児・新生児の緊急疾患であるという特徴から、国内で遠距離の患者移動が困難なため、日本小児内分泌学会の後援を得て、国内各地でなるべく多くの協力施設を登録し、短い移動距離で国内全症例の25%を把握する計画となっています。計画段階で参加の意思表明があった主要小児医療施設が67施設あり、研究代表施設への承認が2014年1月で、その後、現時点で13施設の承認が得られていますが、結果、その間に協力医療施設のない地区での患者発生による症例の取りこぼしが多く、現時点で2例の参加があるのみで、今後速やかに予定の67施設の協力医療機関参加を行う体制を随時整備していくとのことで、今回は予定された機関の増加となります。
 2件目、告示番号47の議事ですが、元来17施設で50症例の登録予定で開始され、順次追加機関の申請が行われる予定なので、今回は予定された機関の追加となります。
 資料3-2、53ないし54ページを御覧ください。事務局において、協力医療機関として提出のあった先進医療実施届出書等を確認した結果、いずれも先進医療実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることから、協力医療機関の追加として御了承いただきたいと思います。特に御意見がなければ追加の手続を進めたいと思いますが、御審議お願いいたします。
○猿田座長
 覚えていらっしゃるかと思いますが、最初の案件は比較的新しく通ったもので、非常にまれな疾患です。これは小児の難病の中でも非常にまれな病気だということで、難病の班として全国的な調査をやっていたということです。それでもなお取りこぼしがあって、患者は少ないですが、貴重な症例に対しての治療ということもあって、結局こういう形で協力医療機関を増やしてやっていただければと思います。まれな疾患ですので、これはこういう形でやっていただくのがいいということで大きな問題はないと思いますが、どなたか御意見はありますか。
○山口座長代理
 そんなにまれな疾患であり、こういうものがあるのに、そういう恩恵を受けていないことがむしろ非常に問題ではないかと思います。症例があるのに、できていないわけですよね。そちらのほうが問題ではないでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官
 はい。
○山口座長代理
 施設を増やすよりも、今やれていない所はなぜやれていないかということを明らかにしないといけないのではないでしょうか。そんなことをやっていたら申請させないぐらいにしないと、協力機関として意識が低いのではないでしょうか。
○猿田座長
 私もこの班に一部関係したことがあったのですが、難病としてしっかりチームを作ってあったはずなのです。だから、分かっているはずだと思うのです。難病も法律が変わったので、少しやり方が違いますが、一応そういう所も当たってみていただければと思います。
○医政局研究開発振興課専門官
 多施設、数の多い施設の試験医療機関の追加手続については、先般、山本晴子先生の御指摘などもありましたが、時間を要しているということが1つの課題です。それについては、事務局でもなるべく迅速な対応をするようにしておりますが、申請機関にも再度それを喚起したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○猿田座長
 よろしくお願いします。
 それでは、告示番号47に関しては、少しでも協力施設を増やして症例をこなしていただきたいということです。ここに書いてあるように新潟県立がんセンターはしっかりした施設ですが、どなたか御意見ありますか。特になければ、お認めいただいたということでよろしいでしょうか。
(了承)
○猿田座長
 それでは、施設の追加をお認めいただくということにさせていただきます。
 次に、金沢大学病院の案件について御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課先進医療係長
 資料4-1、55ページを御覧ください。金沢大学附属病院における事案です。この事案については、本年4月24日開催の第16回先進医療技術審査部会において、金沢大学附属病院が臨床研究倫理指針の違反行為の調査を行うことについて、一度先生方に御報告させていただいております。
 1.当該医療技術について。告示番号1、告示日平成20年4月1日、医療技術名は化学療法に伴うカフェイン併用療法、適応症は悪性骨腫瘍又は悪性軟部腫瘍、申請医療機関は金沢大学附属病院、協力医療機関は5保健医療機関です。医療技術の内容は、骨軟部腫瘍等に対し、通常の化学療法の抗がん薬に加えてカフェインを併用投与することにより、化学療法の効果を増強させるものです。
 2.経緯について。金沢大学附属病院が中心になって実施している同療法において、臨床研究に関する倫理指針違反などの疑いがあることが発覚したため、同病院は本年4月に倫理指針違反の疑いがある旨を公表の上、外部委員を含めた金沢大学附属病院カフェイン併用化学療法に関する調査委員会を設置して、事実関係の調査等を実施してきました。その結果が報告書として取りまとまったとして、同病院は9月8日(月)に公表したものです。
 3.調査結果について。別紙で御説明します。57ページを御覧ください。この資料は、金沢大学附属病院の調査委員会の報告書の要旨の部分です。なお、説明の都合上、資料中の下線、斜体字については当事務局が追記したものですので御留意ください。
 はじめに。1「一連の問題事象に関する事実関係」。(1)カフェイン併用化学療法についてとして、同療法について述べられております。
 (2)先進医療制度の改正に対する誤解の発生。こちらは、高度先進医療のときから実施しているというカフェイン併用療法の歴史が述べられております。現在、先進医療制度の改正の際、下線部ですが、「当時の大学内の体制の不備もあり、同療法を実施していた整形外科の医師たちは臨床試験の実施が必要なことは認識したが、引き続き先進医療として試験ではない治療としても同療法を実施できると誤解してしまった」とのことです。
 (3)問題事象の具体的内容。マルの1臨床試験の症例登録を行わない患者に対する治療の実施。先ほどの当時の大学内の体制の不備と実施責任医師たちの誤解により、下線部ですが、「臨床試験として有効なデータを得るために設定した被験者の適格基準を満たさない患者や臨床試験として症例登録期間の終了後に新たに受け入れた患者に対して症例登録を行わずに同療法を実施したことが、そのまま先進医療制度からの逸脱となった」とのことです。なお、この研究計画に基づかない治療として実施されたものは、金沢大学附属病院で114症例、協力医療機関で72症例、合計186症例です。
 マルの2臨床試験としての適正さに関する問題として、下線部ですが、「臨床試験の症例登録が行われた患者に対しても、倫理審査委員会の承認を得ずに患者の適格基準を変更したことや、臨床試験のための同意書の所在が確認できない症例が存在すること、試験計画で定められた治療レジメンの違反例が存在したことなど、その管理運営に不適切でずさんな点が見られた」とのことです。なお、臨床研究として実施されたものは、金沢大学附属病院で17症例、協力医療機関で26症例、合計43症例です。
 マルの3不透明な形での治療の再開として、下線部ですが、「平成25年末に一旦カフェイン併用化学療法を全て中止した後、同療法を主導的に実施してきた医師によって、希望する患者に対して保険診療で許容された投与量の範囲内でカフェインを投与することが開始された」とのことです。なお、この実施された症例数は金沢大学附属病院で22症例です。
 2「今後のカフェイン併用化学療法について」。下線部ですが、「平成22年に同療法を実施されていた患者の1人が死亡するという事態が発生したが、このことに関してもカフェインが抗がん剤の副作用を増強する未知の作用機序が存在する可能性がないとは言えないのであり、臨床試験において発生した重篤な有害事象と同様に、しかるべき科学的検証を早急に行うことが必要である。また、安全性と有効性に関して信頼できる科学的な評価結果を得られるように、しかるべき肯定的な評価結果が得られない限り、いかなる形であれ同療法を再開すべきではない」とされております。
 3「診療報酬の問題に関する速やかな協議の必要性」。下線部ですが、「不透明な形で一時的に再開された治療の問題も含めて、金沢大学附属病院は速やかに関係機関と協議を行い、その指導を仰ぐことが必要である」とされております。
 4「再発防止のための対策の提言」。下線部ですが、「今後、金沢大学附属病院において二度とこのような問題事象が生じることのないよう、以下のとおりの臨床研究の実施体制を抜本的に整備する必要がある」とされております。
 5「患者に対して講ずべき措置」。「カフェイン併用化学療法の実施を受けた患者や家族に対しては、隠し立てのない事実関係の説明と心からのお詫びとともに、誤解によっていたずらに健康上の不安を感じることがないよう、科学的な堅実性を備えた説明を分かりやすく行うことが重要である。また、健康に不安を感じる方のための相談体制を整備するとともに、必要に応じて無償で検査を利用できるようにすべきである。再発防止策の実施状況について積極的に公表することも重要である」とされております。
調査結果は以上です。
金沢大学附属病院は、この調査委員会の報告書の提言を踏まえて対応を進めていくとのことです。
 55ページに戻ります。4.今後の対応について。当先進医療技術審査部会としては、先進医療B、告示番号1「化学療法に伴うカフェイン併用療法」の告示削除の検討、金沢大学附属病院に対して試験終了に伴う総括報告書の要請を行っていきたいと考えます。
 資料4-2、61ページを御覧ください。先進医療Bの削除についてです。告示番号1、先進医療名は化学療法に伴うカフェイン併用療法。削除理由は、金沢大学附属病院が平成26年9月8日に公表した「『カフェイン併用化学療法』に関する諸問題の調査報告並びに再発防止策等の提言」から、臨床試験の症例登録を行わない患者に対する治療を実施するなど、先進医療Bの実施が不適当と判断されるため。申請医療機関は金沢大学附属病院、協力医療機関は御覧の5医療機関です。
 なお、現在、カフェイン併用療法は全ての医療機関で先進医療として実施されていない状況です。
○医政局研究開発振興課課長
 若干、追加をさせていただきます。厚生労働省としては、先進医療の制度が適切に実施されるように、制度の周知、あるいは必要に応じて指導等をしてきましたが、そういった中で今回のような極めてずさんな臨床研究が実施されていたことについては大変驚いておりますし、残念に思っております。
 今回の報告書については、早速、先進医療の関係機関に周知をし、同様の事案がないかどうか確認をしてもらっております。今までのところそういった事例は報告されていないということですが、こういったことが二度と起こらないようにすることが大事かと思いますので、是非、今回のような事案が繰り返されないようにするためにも、この審査部会においても総括をしていただきたいと思っております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○猿田座長
 1つだけ言わせていただきますと、この金沢大学附属病院の理解が不十分だったということですが、実は平成15年、スタートのときは私が委員長だったのです。山口先生も知っていたと思うのですが、そのときに始まって、それから制度が変わって高度先進医療から先進医療に変わるときには、今まで未承認でやっていた技術をどのように認めてやっていくかということで、臨床的な評価をお願いして、きちんと証明されたら次へ持っていこうという形だったのです。最初に高度先進医療、それから臨床的使用確認試験、そして先進医療になって、現在は先進医療技術会議と今の先進医療になったので、そういう経過をたどり、長くなったので、大学がついて来られなかったこともあると思うのです。私自体がなかなかついていけませんでしたから。しかしながら許されることではないのです。制度というのは、国が決めている制度をしっかり守っていかなければいけないというのが一番重要なことですから、今後はできるだけ通達していかなければいけない。実際、今まで高度先進医療からずっと見ていると、ときどきそういうことが抜けることがあったのです。ですから、そういうところはもう1回皆様にしっかり認識してやっていくことが大切だろうと思います。
 それでは、今、課長からもお話がありましたが、先生方から御意見を頂ければと思います。事務局で非常に簡潔に今までのことをまとめていただいて、制度も変わってきたということで、大学にしっかり認識してもらわなければいけないことは事実です。いかがでしょうか。
○藤原構成員
 私は、金沢大学の症例については臨床的な使用確認試験のときに審査を担当したので、更にショックが大きいのですが、そのときに単一用量でやっていて、金沢大学はこれをやって早く承認申請に持っていきたいとおっしゃっていました。単一用量の試験をやっても駄目でしょうね、というアドバイスはしましたが、まずはやらせてくださいということで始めた試験なのです。ちゃんと臨床試験として始めていただいたのですが、今回このようなことになったのは残念だと思います。
 1つ気になるのは、57、58ページの協力医療機関、61ページに協力医療機関のリストがあって、福島県立医科大学、大阪医療センター、大阪市立大学、愛媛大学、宮崎大学とありますが、この協力医療機関でも適格基準に外れるとか、症例登録を行わないで診療としてやっていた事例があることに関しては、それぞれの協力機関にも問題があると思いますが、そこは今から調査ということになるのでしょうか。
○医政局研究開発振興課先進医療係長
 机上配布資料の報告書45ページを御覧ください。各協力医療機関の実施された症例数の上に詳細が記載されております。この表の上段記載の数が、いわゆる臨床試験としてやられた症例数です。下段記載のものが、臨床試験としては外れた、治療をやった症例数です。数の詳細は、愛媛大学は試験で3例、外れたもので10例、合計13例、宮崎大学は試験で6例、外れたもので14例、合計20例、福島県立医科大学は試験で4例、外れたもので13例、合計17例、大阪市立大学は試験で10例、外れたもので35例、合計45例、大阪医療センターは試験で3例、外れたものはありません。各協力医療機関の試験でされたものが適切だったかどうかについては、現時点では確認は取れておりません。
○藤原構成員
 そうなると、大阪市立大学病院など、各施設で先進医療や高度医療をやっている施設はたくさんありますが、今回の金沢大学の調査報告書を見ると、事務がちゃんと理解していなかったからという理由を言うのであれば、他の施設でもたくさんの見落としがあって、先進医療や高度医療をやっているこれらの機関も、他の事例で同じようなことがたくさん起きているのではないかと思います。
○猿田座長
 この当時の技術では、乳がんのセンチネルと胃がんのセンチネルがあって、臨床的な確認試験をやろうということで、ついこの間この結果が出てきましたね。
○藤原構成員
 もう1点、当時、審査をした頃に、やり取りの中で薬剤部の人たちも、これは注射薬なので医者が調製するわけではなくて、薬剤部でちゃんと調製して病棟に配付することになっていたと思います。今回の金沢大学の調査報告書を見ると、事務の人たちの責任は問うていますが、それを調製した側、特に薬剤師はこういう制度に関して非常に感度が高いのに、漫然と臨床試験が続いていることを彼らのほうから整形外科の講座に言えなかったのか、この報告書では分かりません。その当時の薬剤部の人たちはこれをどのように考えているのか、金沢大学に聞いてほしいと思います。
○猿田座長
 その当時から比べると、大学全体としての統一性はなかったのだと思うのです。今なら薬剤部や各部局に通達がいっていますが、8年ぐらい前ですから、そういう点で不便があったのではないかと感じています。
○医政局研究開発振興課先進医療課係長
 協力医療機関において臨床試験の症例登録を行わない患者に対して治療を実施しているということですが、この点は金沢大学に聴取しております。現行の先進医療は申請医療機関を中心とした多施設共同研究で、当然、協力医療機関に対して金沢大学が正しい理解をうまく周知できなかったことにも原因があるのではないかと聞いております。現時点ではそこは分からないので、金沢大学附属病院を通じて確認したいと思います。
○猿田座長
 後の資料を拝見すると、何度も会議が開かれて、しっかりした対策を練っていらっしゃるので、藤原先生のおっしゃった点をもう1回確認していただいて、特に他の施設についてもやっていただきたいと思います。
 ここで一番大切なことは、「化学療法に伴うカフェイン併用療法について」の告示の削除を認めるかどうか、これが今日の委員会の一番重要なことではないかと思いますが、これはやむを得ないでしょうね。どうでしょうか。何か他にこれに関して御意見はありますか。田島先生、いかがですか。
○田島構成員
 ここまで問題になったら、削除はやむを得ない、そうすべきではないかと考えます。
○猿田座長
 佐藤先生、倫理的にいかがですか。
○佐藤構成員
 もし、これが有効だとすると、患者に対しては申し訳ないというか、不満に思うだろうと思いますが、責任の取っていただき方としては削除せざるを得ないかと思います。
○猿田座長
 特に金沢大学としても、患者さんに対する対応はしっかり書いてくださっていますから、そのとおりですね。一番重要なところですから、そこはやっていただくと。
 そうすると、この告示の削除はお認めいただくということでよろしいでしょうか。
(了承)
○猿田座長
 それでは、お認めいただいたということにさせていただきます。あとはできるだけ事務局と金沢大学と関連施設で、ここで1回削除になると止まりますが、よろしくお願いします。課長、こういう形でよろしいですか。
○医政局研究開発振興課課長
 患者にとっては、こういう治療が受けられなくなるということですが、今後ちゃんと体制を整えて、しっかりとした計画を立てて、申請が上がってくればこういう機会も設けることができるのではないかと思いますので、体制が整ったらまた御審議をいただきたいと思います。
○山口座長代理
 金沢大学はいろいろな先進医療をやっていると思いますが、その他のことは大丈夫なのでしょうか。これは明らかにこの診療科だけの問題ではない可能性があると思うのです。
○医政局研究開発振興課先進医療係長
 今現在、金沢大学は、協力医療機関として3つの先進医療Bの技術を実施しております。確認したところ、いずれも特に問題はなく試験を遂行していると聞いております。
○藤原構成員
 先ほど事務局が金沢大学を通して協力医療機関に確認するとおっしゃいましたが、研究開発振興課が各協力医療機関に聞いたほうが早いのではないかと思うのです。それは大変なのですか。
○医政局研究開発振興課先進医療係長
 そこは申請医療機関が取りまとめとなって協力医療機関を引っ張っていくという構図ですので、取りまとめ医療機関でやっておりますが、そこは事務局で検討したいと思います。
○猿田座長
 他にどなたか御意見はありますか。一応そういう形で処理させていただくことと、私どもの委員会としてもこういったことが起こらないように、常に注意してやっていかなければいけないと思いますので、また委員の先生方と一緒にいろいろと考えながらやっていきたいと思います。
○柴田構成員
 議論の大きな流れについては特に追加はありませんが、これからのことで、資料の55ページには総括報告の要請をする旨書いてあります。これについて1つコメントさせていただきます。
 今回のお話を伺うと、臨床試験に登録された患者の数と実際に実施された患者の数とあって、これまで対外的にいろいろ情報が出ているこのものの有効性・安全性に関する報告はその中間ぐらいの数、79例とか、その前後の数の患者のデータが公表されているのではないかと思います。そうなると、臨床試験に登録されているわけでもなく、実施された全員でもなく、その中間ぐらいのあたりの患者のデータが成績を提示するときに示されていることになりますが、どういう理由で選ばれたのか。総括報告をまとめていただくときには、こういう公表データがあって、それについてはどういう基準で選ばれて、最終的にはきちんと臨床試験として実施したものがこういう成績であったということを整理して出していただくようにしないと、都合の良いデータだけ抜き出したのではないかという疑念が生じるとまずいと思います。ですので、そこの整理はしていただくようにお願いしたいと思います。
○猿田座長
 非常に大切なことだと思いますので、是非それはまとめるときにお願いしたいと思います。よろしければ、そういう形でこの案件は決定して、事務局から金沢大学とその関連施設に対して対応していただくことにしたいと思います。ありがとうございました。
 次に、この間のda Vinciのことについてお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 先進医療会議の審査結果について御報告します。
 資料5、63ページを御覧ください。去る9月4日に開催された第22回先進医療会議にて、整理番号070、内視鏡手術支援ロボットda Vinci Surgical Systemによる胃手術について審議され、適の判断となりましたので、ここに御報告いたします。以上です。
○猿田座長
 整理番号070、内視鏡手術支援ロボットda Vinciによる胃の手術についてですが、何か御意見はありますか。
○藤原構成員
 施設要件は、適にしてしまうと、胃がんについてはこれからいじれないということになるのですか。多分、大腸がん、直腸がん、胃がんをもう少しすり合わせて、必要症例数から先生方にもう一度見てもらうことになると。
○医政局研究開発振興課専門官
 胃のほうでしょうか。
○藤原構成員
 はい。
○猿田座長
 一応、向こうは通ったけれどもということですね。
○医政局研究開発振興課専門官
 胃については、申請者からの追加要請、あるいは変更要請がない限りはお認めいただいた条件で行われるという規則になっておりますが、例えば先ほど御指摘を頂いたように、もし協力医療機関について条件を満たすためにその変更が必要な場合が生じてくるようなことがあれば、機関の追加申請等々に合わせて主機関から申請いただくことになると思います。
○藤原構成員
 多分、腹腔鏡の要件がこのやり取りの中には入りますね。そのときの議論の続きからすると、腹腔鏡の要件を高くして、そのとき医療機関が先進医療Bに入るまでの要件の数字はいじれなかったのです。だから、今回も20例のままになっていますが、むしろ臨床試験でやっていただくのであれば、要件をちゃんと満たせば、この数字は先ほど山口先生が任意なものだから余り意味はないのでとおっしゃったので、もう少し少なめにして、早くいろいろな協力機関にこの臨床試験に参画していただいて、早く結果が出たほうが患者のためにもなるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官
 先進医療Bの制度として、臨床施設の要件及び術者の要件、プロトコール等々を一体として御評価いただいて進めていく臨床試験のパッケージですので、それを変更するとなると一定の手続が必要ですが、症例の登録の迅速化等が火急の要件となった場合には、その旨、迅速な症例登録をなし得るように申請を変更いただくものと。
○猿田座長
 決めてしまったものですから、しばらくこの状況を見て。
○藤原構成員
 症例集積の進捗が悪かったら増やす……。
○猿田座長
 おっしゃるとおりです。プロトコール変更その他あったように、これは施設の要件もということになると思いますので。そこの連携が悪かったのかもしれませんが。
○山口座長代理
 胃がんの場合には、腹腔鏡の手術がまだ完全にスタンダードとして認められていないのですが、今は認められるか認められないかの瀬戸際ぐらいなので、どちらかといえば厳しめにしておいて、その後で申請者や関連の施設からここまで緩めてもいいのではないかという意見が出たときに対応するということでいいのではないでしょうか。
○猿田座長
 そういうことで、私も注意しておきます。
○石川構成員
 今、金沢大学の話がありましたが、こういうルール違反というか、今後、御案内のように患者申出医療といったもので、どんどん出てくる中で、具体的には若い先生方等はルールについてなかなか周知できていない部分もあると思うのです。もっと分かりやすい形で、先進医療Bの話やAの話を、携わっている者しかほとんど分からない内容ですし、大学の医局でも余り議論にならないで進んでいる可能性があるので、分かりやすく教育することも踏まえて、より複雑になってくるので、確認をしたほうがいいのではないかと思っております。特に先進医療をやっている施設では周知徹底が必要だと考えますので、よろしくお願いします。
○猿田座長
 特に、先生がおっしゃるように、医療事故は先進医療の場合は恐いものですから、そこは厳重に注意しています。私も実際にあちこちの施設を回っていると、まだ完全に徹底していないところがあります。そういったことで、これからもまだしっかりしていかなければいけないと思います。
○医政局研究開発振興課専門官
 了解いたしました。
○猿田座長
 もし他に御意見がなければ、これで終わりたいと思います。次回の予定をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 次回の日程ですが、10月の開催は9日(木)16時から18時までといたします。場所については別途御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、本日の議事録については、作成次第先生方に御確認をお願いし、その後公開とさせていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。以上です。
○猿田座長
 他に御意見がなければ、第21回の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第21回先進医療技術審査部会(2014年9月11日)

ページの先頭へ戻る