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2014年8月22日 独立行政法人評価委員会 高度専門医療研究部会(第32回) 議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成26年8月22日(金)13:58~16:18


○場所

中央労働委員会労働委員会館講堂(7階)


○出席者

永井部会長、内山部会長代理、斎藤委員、祖父江委員、花井委員、藤川委員、三好委員

○議事

(以下、議事録)

○永井部会長

 時間になりましたので、ただいまから第32回厚生労働省独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を始めます。委員の皆様方におかれましては、お暑い中、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。本日は福井委員、本田委員が御欠席です。三好委員、祖父江委員も遅れて到着されると御連絡をいただいております。本日の議事につきまして事務局から御説明をお願いいたします。

 

○和田政策評価官室長補佐

 それでは、本日の議事について御説明いたします。本日の議事ですが、お手元の議事次第のとおり7項目あり、国立国際医療研究センター、国立循環器病研究センターに係る平成25年度財務諸表の承認、平成25年度業務実績に係る総合評価、中期目標期間の業務実績評価、いわゆる暫定評価と言われるもの、最後に国立高度専門医療研究センター6法人の組織・業務の見直し(当初案)について審議を行うこととしております。このうち、財務諸表の承認から暫定評価までは昨日行われた部会と同じような審議の流れになりますが、最後の組織・業務全般の見直し(当初案)については、独立行成法人通則法第35条の規定を根拠として、「中期目標期間終了時における独立行成法人の組織・業務全般の見直について」という平成158月の閣議決定に基づき、中期目標期間の終了時において、法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を厚生労働大臣が行うものとなります。本日は当該検討の当初案について、本部会の御意見をいただく形にしております。なお、組織・業務全般の見直し案につきましては、本部会で御議論を踏まえて、826日に開催されます委員会総会の決議をもって最終的に決定される審議事項となります。事務局からは以上です。

 

○永井部会長 

 それでは、議事に入ります。始めに、国立国際医療研究センターの平成25年度財務諸表について審議を行います。財務担当の藤川委員から御報告をお願いいたします。

 

○藤川委員

 それでは、財務諸表に関して意見を申し上げます。国立国際医療研究センターの平成25年度財務諸表については、711日から819日にかけて資料の閲覧及び国立国際医療研究センター経理担当者への質問によって、財務諸表等の内容を検証しました。また会計監査人である新日本有限責任監査法人の独立監査人の監査報告書、監査の概要及び結果について参考となる事項が説明されている監査結果説明書及び監事の監査報告書を閲覧しました。その結果、国立国際医療研究センターから申請された財務諸表を承認すべきでないと思われる事項は見受けられませんでした。以上の点から、独立行政法人国立国際医療研究センターの平成25年度財務諸表については、申請どおり承認することが適当であると考えます。

 また、現状を踏まえて、中期目標期間終了時における収支相償の達成見込みについてコメントを付したいと思います。中期計画の目標値は経常収支率100%以上とされていますが、平成22年以降の経常収支率は3期連続100%を割っていたところ、平成25年度は101.7%と100%超に転じています。しかしながら、4期累積の経常収支率では98.4%であり、4期累積の経常収支額も22億円の赤字と、計画達成状況は不調に終わっています。セグメント情報における診療事業損益に着目しますと、平成25年度は患者数や診療単価の増加によって118千万円の黒字を経常し、昨年度比444%増となるなど、大幅な改善が見られますが、従前からの減価償却費負担は大きく、4期累積の経常収支赤字を黒字転換させるには、全センター挙げての重点的な取り組みが更に必要と考えられます。以上です。

 

○永井部会長

 ありがとうございます。それでは、ただいま御報告いただきました国立国際医療研究センターの平成25年度財務諸表について、御質問、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは修正意見なしということで、ただいまの財務諸表につきましては、資料1-1の意見書()のとおり、本部会として了承したいと思います。

 続きまして、国立国際医療研究センターの総合評価について御審議をお願いいたします。

 私から起草した評価書()について御報告します。国立国際医療研究センターの平成25年度の評価結果について講評を述べさせていただきます。講評に当たりましては評定の結果、各委員の評定コメント、また前回の御議論の内容等を踏まえ、平成25年度の業務実績について、中期目標に掲げられた内容に照らして総合評価書を取りまとめています。

 全体の評価としては、理事長のリーダーシップの下、職員の意識改革が進められる中、現場の裁量・権限の拡大等を通じた業務運営の効率化、国民に対するサービスの質の向上、財務内容の改善を図るための積極的な取組が行われ、今年度において年度計画に掲げる経常収支率に係る目標をほぼ達成したこと、研究・開発については、医学教育や研究の一層の充実を図るため大学と連携協定を締結し、企業との連携強化のため研究所の成果をバイオフォーラムで情報発信し、関係業界との協議の場を設けたこと、また、国内と国外を合わせた新規発明出願件数は平成22年度に比べ大幅に増加したこと、感染症(HIV・エイズ・新興・再興感染症)、糖尿病・代謝性疾患、肝炎・免疫疾患、国際保健医療協力等各分野における研究・開発を着実に実施していることを評価する。医療の提供については、HIV・エイズ患者に対して個々人の病態に即した医療の提供を積極的に行うとともに、先進医療新規技術3件を申請し、先進医療既存技術2件の取得及び6件の申請に向けた取組を実施したことは評価する。

 人材育成として世界的な3大感染症(エイズ・結核・マラリア等)をはじめ、国際的な感染症に対応できる人材を養成するための総合感染症レジデントプログラムなどを実施したこと、学位の取得支援として連携大学院に係る協定締結を更に進めていることは評価する。

 このように、センターは中期目標で求められたミッションを着実に遂行しており、引き続きその時々の政策課題に対応し、研究開発業務等を行っていくことが重要である。更に、研究開発力の一層の向上を図る観点において、特定の疾患群の治療を対象とした病院の治療技術の実用化に軸足を置いた研究所を併設しているという特長をいかし、これまで以上に我が国の治験・臨床研究の推進に貢献していくべきである。以上です。

 ただいま、御報告申し上げた評価書()について御質問、御意見がありましたら、御発言をお願いします。いかがでしょうか。もし御意見がないようでしたら、修正意見なしということで国立国際医療研究センターの平成25年度の業務実績の評価結果については、本部会として決定したいと思います。

 もしこの後、誤字脱字、事実誤認等があり、修正が必要となった場合には私のほうに御一任いただければと思います。よろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○永井部会長

 ではそのようにさせていただきます。

 続きまして、国立国際医療研究センターの暫定評価にについて審議いたします。最初に、法人から説明し、その後私から起草した暫定評価書()について御報告し、最後に質疑応答の形で進めます。それでは法人からどうぞ。

 

○国立国際医療研究センター企画戦略局長

 企画戦略局長です。それでは、資料1-5を御覧ください。こちらの裏表紙に平成22年度から平成25年度までの暫定評価が載っております。

 次の1ページですが、評価シート1です。「臨床を志向した研究・開発の推進(その1)」に書いてありますように、平成2325年度はSという評価をいただいております。その下に中期計画概要という囲みと主な取組状況がありますが、時間の関係で、主な取組状況のみ御説明させていただきます。こちらは全て上の中期計画を反映しております。

 その主な取組状況として4点示されております。赤い字は数値目標です。まず、研究所と病院等、センター内の連携を強化する取組を行っていること。それから産官学等との連携強化で、こちらは右側にグラフがあります。まず研究所等と病院の共同研究についてですが、中期計画の10件を常に上回る共同研究を行っているということ。それからその下ですが、開発初期の外部機関等との共同研究についても、平成2325年度については、やはり中期計画を2倍以上上回るような共同研究を行っています。それから知的財産の管理強化及び活用推進に関連して、右側にグラフがありますが、発明出願件数が平成22年度の4件から平成25年度は国内、海外を合わせて32件と大幅に増加しています。

 続いて、評価シート2「病院における研究・開発の推進」です。これは4年連続でAという評価をいただいております。主な取組状況ですが、臨床研究機能の強化については、臨床研究センターの体制整備など様々な取組を行っておりますが、平成25年度の治験申請から症例登録までの期間が97.6日と、中期計画の60日以内というのを上回っています。ただ、これは対象患者が少ない2件の影響があるということで、それを除くと72.2日となりますが、それでもまだ中期計画に至っていません。そしてそのグラフの下、治験実施症例数の推移ですが、こちらについては戸山地区と国府台地区両方合わせて、平成25年度は295件と非常に増加しています。

 続いて3ページの評価シート3です。「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」で、こちらについては平成24年度、25年度にSをいただいております。主な取組状況です。まず疾病に着目した研究で、1当センターで世界で初めて開発した新型インフルエンザ(H1N1)及び死亡率の高い高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の迅速診断キットの技術を用いて、社会問題化しているタミフル耐性インフルエンザ等の迅速診断法を開発しました。具体的なものはその右側に写真がついております。判定ラインの出現の有無で誰でも判定可能ということで、ちょっと見にくいかもしれませんが、下のH5N1の、右側のピンクの判定に、上のほうはラインが入っていますが、下は入っていないと。こういった非常に簡易な方法で判定できるということです。

C型慢性肝炎の治療効果に強く関係する因子が、ヒトIL28B遺伝子及びその近傍に存在することを発見し、インターフェロン治療の効果予測として、世界で初めて報告ということですが、これは右側の2番目に非常に細かい図がありますが、その右上に2つ小さい矢印が、これは虫眼鏡がないとちょっと見えないような感じで大変申し訳ございません。こちらで有意な一塩基多型が発見されました。そのようにいろいろと発見しております。

 あと糖代謝に重要な「CITED2タンパク」の発見で、これについての説明は、やはり右側に図を付けております。ちょっと分かりにくいですが、時間の関係で説明を省略させていただきます。

 続いて4ページです。主な取組状況で、赤字で書いておりますが、「戦略的かつ重点的な研究・開発を推進したため平成22年度以降、毎年中期計画を上回る論文を掲載」し、その右側にグラフがあります。平成25年度は295本と、中期計画を大きく上回る論文数です。続いて、臨床研究の体制強化などにより、治験を含む臨床研究の実施数、これはその下のグラフですが、特に平成2425年度は中期計画を大きく上回る研究を実施しております。そのほか、均てん化に着目した研究、あるいは国際医療協力研究センターの特性を活かした国際保健医療協力に係る研究も様々実施しております。

 続いて5ページです。「高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供」で、平成23年度から3年連続でSをいただいております。主な取組状況の「1高度先駆的な医療の提供」として、まずHIV・エイズ患者に対し個々人の病態に即した医療を各年度とも150例以上を実施し、右側にグラフがありますが、こちらにありますように、中期計画を大きく上回る件数になっております。ただ見かけ上、平成23年度から少し下がっているように見えるのですが、実は平成23年度は、ある薬品の関係で集中的にここでそういった医療の提供をしたということがありますので、むしろ平成23年度が例外です。それを除きますと、安定的に中期計画を上回る件数を行っています。

 そのほか、1の5番ですが、高度先駆的医療として感染症等に関する先進医療の新規技術3件を平成25年度に申請して、いずれも平成26年度先進医療につながっています。

 それから2番ですが、「医療の標準化を推進するための科学的治験に基づいた医療の提供」は、1番の関係ですが、それは右側のグラフにあります診断・治療ガイドライン等に寄与した臨床試験数、特に平成25年度は14件と大幅に増加しています。

 続いて6ページ「患者の視点に立った良質かつ安心できる医療の提供」です。主な取組状況ですが、患者の自己決定への支援で、右側にありますセカンドオピニオンの実施件数が、年間180件以上という中期目標を全て上回っております。

 「2患者等参加型医療の推進」は、毎年、患者満足度調査を実施して、それを踏まえてサービス改善をしております。これも右側に満足度調査結果の表があります。これは5点満点の調査で、僅かずつですが満足度が向上しています。

 それから「4入院時から地域ケアを見通した医療の提供」では、特に地域の診療所や病院との役割分担の観点から、紹介率・逆紹介率の向上を図っておりますが、下のグラフにありますように、センター病院、国府台病院とも紹介率・逆紹介率は着実に増加しています。

 続いて7ページ、「医療安全管理体制の充実」で、医療安全ポケットマニュアルを毎年改定しております。それから3医療安全研修会・感染症対策研修会も、毎年3回以上実施という目標をきちんと実施しています。またその下に書いております、医療安全研修会及び院内感染研修会について、受講回数の増加や未受講者の補講によって受講率は100%で、そのすぐ上にグラフがありますが、たくさんの参加者を得て実施しています。そういうことで、医療安全等について、我々としては着実に実施しているのですが、これは以前も申し上げましたが、残念ながらこの4月に医療事故、死亡事例が出てしまったということで、今回の評価はAになっております。

 それから、8ページの評価シート6「その他医療政策の一環としてセンターで実施すべき医療の提供」です。これは平成22年度、23年度、25年度がSです。主な取組状況ですが、救急医療の提供として、2番、東京都内の救急搬送は4年連続1位ということで、右側のグラフにありますように、このところ11,000件以上の件数です。平成25年度は若干減っておりますが、これは西東京地域全体として減少しているということで、特に当センター病院が減ったということではありません。それから3番については、国府台病院の精神科救急病棟についての数値目標である、各年度とも5.0%以上の受入れは達成しております。

 その他「2国際化に伴い必要となる医療の提供」として、右側のグラフにありますが、トラベルクリニックにおけるワクチン接種件数は着実に増加しております。その他、こういう国際化に伴う医療の提供を様々実施しています。

 続いて9ページ「人材育成に関する事項」ですが、これは4年連続Aです。「1リーダーとして活躍できる人材の育成」として、1にありますような総合感染症レジデントプログラム等、この国際医療研究センターオリジナルのプログラムを開発して、リーダーシップを発揮できる人材の育成に努めています。それから「2モデル的研修・講習の実施」です。一番下に書いておりますが、各年度とも年間20回以上の医療従事者向け研修会等を開催ということですが、その右側のグラフにありますように、中期計画を上回る回数の研修会を開催しています。

10ページ「医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項」です。これも4年連続Aです。主な取組状況として、ネットワーク構築の推進としては、HIV・エイズにおいて全国8ブロックのブロック拠点病院協議会を開催するなど、こういったネットワークなどを構築しています。

 また「2情報の収集・発信」ですが、ホームページについては、右側のグラフにありますように、ホームページのアクセス件数は平成25年度は1,486万件となるなど、中期計画の1,000万件という目標を大きく上回っている状況です。その他様々な研修会・セミナー等を開催しております。

 続いて、11ページ、「国への政策提言に関する事項、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」については、平成22年度、23年度、25年度はSという評価をいただいております。まず国への政策提言としては、医療分野の研究開発の専門調査会等への参加、それから国際的なWHO総会・執行理事会、世界基金理事会等に積極的に参加して、政府と一体になって寄与しています。その他の医療政策については、まず公衆衛生上の重大な危害への対応について、新感染症の発生に向けた訓練を毎年1回以上開催というのが表の中に出ておりますが、平成25年度は6回も開催して着実に増加しています。そして東日本大震災においては、こういったノウハウをいかして東松島市で継続的支援を実施しています。

 「2国際貢献」です。1にありますように、開発途上国における保健システムの強化を図るための派遣事業ですが、これは右側の上のグラフです。5年間で400人以上派遣という目標ですが、既に4年間でこの目標を達成しています。それから、6番は逆に研修生の受入れですが、これも右側のグラフにありますように、5年間で800人以上という目標を既に4年間で達成しました。

 続いて、12ページ「その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」です。まずHIV・エイズについて、右側にグラフがありますように、HIV・エイズ患者数、延べ入院患者数と外来患者数のグラフがあります。着実に受け入れているわけですが、これは見かけ上、ちょっと数値が減っておりますが、これはむしろこれまで当センターが取り組んできた全国への均てん化の成果ということで、逆紹介などが増えてきているために当センターでの数が減っているということです。それからその下のHIV・エイズに関する英文論文数は着実に増えて、平成25年度は35本になっています。またその他、被害患者等への対応も着実に行っています。

 

○国立国際医療研究センター統括事務部長

 続いて、評価シート11からは統括事務部長が説明させていただきます。ここは看護に関する教育及び研究です。評価については、4年間Aという評価を頂戴しております。主な取組状況の2ですが、平成254月から研究課程部に感染管理看護学を開講して、感染症専門看護師の教育を開始しております。また3ですが、平成25年度には、平成27年度から後期課程(博士課程)を開講するため、認可基準に適合するカリキュラム及び教育体制を整備いたしました。それから良質な学生確保のための情報提供として、赤字で表記しておりますが、オープンキャンパス及び公開講座については各年度7回実施いたしました。右の表に回数を示していますが、中期計画は年3回ですが、毎年7回実施、参加者数も合計数が年々増加しています。

 続いて、14ページの効率的な業務運営体制です。4年間Aの評価を頂戴しております。下の主な取組状況として、1の理事会による重要事項の審議・決定、運営会議による効率的・効果的な業務運営等があります。私どものキャンパスも幾つかに分かれておりますので、このようなガバナンスを取りまして、業務・運営を行っております。続いて2の副院長複数制の導入、そして3の事務部門の改革ということで、国府台病院及び看護大学校の事務の一部も戸山地区で行い、効率化を図っています。

 続いて、評価シート13の効率化による収支改善・電子化の推進です。評価については、平成22年度と平成25年度はA、そのほかの年度はBという評価を頂戴しております。主な取組状況ですが、効率化による収支改善では、右のグラフにありますが、先ほど藤川先生からも御指摘がありましたけれども、4年間で98.4%です。主な取組の内容としては、1の地域連携の強化等による入院・外来患者数の増加。平成22年度と平成25年度との比較の表がそこにありますが、いずれも2桁の増加、あるいは3桁の増加となっております。次に234の救命救急センターと指定地域周産期母子医療センターの指定、そして特定機能病院の名称を取得し、効率的に機能の強化を図っています。

 次ページ、個別事項ですが、5にあります材料費の削減、9にあります一般管理費の削減等々を図っております。電子化の推進による業務の効率化ですが、3にありますように、センター病院では平成22年度に電子カルテの導入、国府台病院においては平成25年度に導入をしております。財務会計システム導入による月次決算の実施ですが、平成22年度から財務会計システムを導入しております。また経営分析システムによって経営分析を行っております。

 評価シート14の法令遵守等内部統制の適切な構築は、4年間Aの評価を頂戴しております。主な取組状況の中では、1にあります理事長直轄の監査室による内部監査で、抜き打ちの監査を含めた監事による監査等を行っております。契約事務の競争性については、外部有識者を含む契約審査委員会、契約監視委員会を実施し、適正さを確保しています。

 次に評価シート15の予算、収支計画及び資金計画です。評価については、平成23年度はB、その他の年度はAの評価を頂戴しております。主な取組状況の中で自己収入の増加に関する事項について、資料の右に表がありますが、寄附金や競争的研究費の増加を図っていますし、受託研究も含んだトータルの外部資金獲得は、平成22年度から大きな増加を図っています。

 続いて、評価シート16のその他主務省令で定める業務運営に関する事項です。主な取組ですが、人事システムとして、業務の評価と業績評価制度を平成22年度から実施しております。また人材の確保ということで、国、他のナショナルセンター、国立病院機構等との人事交流を実施しています。女性が働きやすい環境の整備としては、育児短時間勤務の導入、保育所の運営、二交替制の拡大があります。人事に関する方針としては、3の公募の実施、そして4の技能職の退職後不補充を図っています。説明は以上です。

 

○永井部会長

 ありがとうございました。続いて、私から起草した暫定評価書()について御報告を申し上げます。平成22年度から平成25年度までの暫定評価について講評いたします。この評価は、平成224月に厚生労働大臣が定めた中期目標期間、平成22年度から平成26年度のうち中期目標期間終了の前年度までの業務実績について評価を行うもので、評価結果を次期中長期目標等へ反映させる観点から、中期目標期間の最終年度に暫定的に実施するものです。当委員会においては、国立国際医療研究センターの設立目的に照らし、センターが独立行政法人として発足して以来、業務により得られた成果が公衆衛生の向上及び増進にどの程度寄与したか、また業務運営の効率化等の観点から適正に業務を実施したかなどの視点に立って評価を行ってきました。

 まず全体の評価でありますが、独法化のねらいや期待に応え、研究・開発や高度かつ専門的な医療の提供等において中期目標の水準を満たし、大きな成果を上げているものと評価できます。

 初めに研究・開発に関する事項ですが、共同研究件数や掲載論文数について、中期計画に掲げた目標を達成していることを評価いたします。このほか新型インフルエンザ(H1N1)について、他の季節性A型インフルエンザから新型インフルエンザ(H1N1)感染例を識別可能な迅速検索キットを開発したこと、C型肝炎について、インターフェロン治療による副作用である貧血の予知のためのITPA SNPの測定についてキット化を行ったことなど、研究・開発の成果を評価します。

 次に医療の提供に関する事項ですが、HIV・エイズ患者に対する個々人の病態に即した医療の提供数について、中期計画に掲げた目標を達成していることを評価します。このほか、連続血糖測定が可能なシステムを活用し、治療方針を策定するテーラーメイドの糖尿病治療を実施していることなど、高度先駆的な医療を行っていることを評価します。

 次に人材育成、医療の均てん化と情報の収集・発信、国への政策提言、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項ですが、開発途上国における保健システムの強化を目的とした専門家の派遣数、研修生の受入数について、中期計画に掲げる目標を達成していることを評価します。このほか、国際的な感染症に対応できる人材を養成するための総合感染症レジデントプログラムを実施していること、HIV・エイズについて国内施設で唯一アメリカ合衆国主催の無作為割付多施設共同国際臨床治験に参加したことなどを評価します。

 次に業務運営の効率化に関する実績事項等ですが、一般管理費については、中期計画に掲げる目標を達成したことを評価します。このほか独立行政法人化に際し、法人経営の重要事項を審議する理事会を設置するとともに、業務全体を横断的に審査することもできる監査室を設置し、監事、外部監査人と連携強化を図り、法人内の問題抽出及び業務改善に向けた提案を実施し、内部統制のための組織構築を図るとともに、6ナショナルセンターの幹事、連絡会議を開催し、情報共有及び監査水準の向上に努め、ガバナンス及び法令遵守等の内部統制のための業務効率化等を推進したことを評価いたします。

 このように、第一期中期目標期間における4年間の成果を踏まえると、研究所と病院が一体となった感染症その他の疾患に係る研究・開発の推進、高度先駆的医療の提供、人材育成、政策提言、国際協力など、センターが果たしてきた役割は極めて大きく意義深い。一方、近年の科学技術の進歩により、世界的に見ても革新的な医療技術が相次いで開発されるなど、医療分野の研究・開発を取り巻く環境は大きく進展しています。その中で、今後ともセンターがその役割を担っていくためには、その時々の課題に対応できるよう、患者や社会のニーズ、医療上及び経済上のニーズをも十分に意識しつつ、先制医療や新たな医薬品や診断治療法の開発、医療機器の開発が推進される社会の実現に貢献することが期待される。また国の研究・開発に関する戦略を踏まえつつ、国立研究・開発法人として、研究・開発成果の最大化を目指す体制の確保を図ることが重要であり、十分な見通しを持った上で運営されるべきであることに留意されたい。以上です。

 続いて、ただいまのセンターからの報告及び私から報告いたしました暫定評価書()について、御質問、御意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 

○斎藤委員

 暫定評価ですが、これは平均値でなければいけないのでしょうか。と申しますのは、1番のところで平成22年度は3.8でしたが、平成25年度はずっと着実に上がり4.854の方が1人だけで、あとは全員5を付けるという大変めざましい改善を示しているということで、スタートのところでは問題があったのかもしれないけれども、今そうではない状態まで来ているということであれば、暫定評価ももっと高い評価にしたいなという気持ちがあるのですが。

 

○永井部会長

 これは事務局に何か規則はあるのでしょうか。

 

○和田政策評価官室長補佐

 こちらの厚生労働省の所管の法人は本評価委員会として決めたルールで全法人共通して、平均という形にしておりまして、確かに毎年評価は上がってきている部分を評価したいという考え方もあるのですが、やはり各年度、各年度の達成状況、中期目標、達成へ向けた努力の状況をきちんと評価していくということで、毎年度の評価結果を同じ比重でもって暫定評価へつなげていこうといったことで、平均という形を取っております。

 あともう1つは、平成22年度はAなのですが、委員の平均は3.8点ということで、Aというのは4点なのですけれども、その中で委員の意見がABSと若干分かれた部分があって、少しB寄りのAになっていることもあって、こういった結果になっております。

 

○永井部会長

 そうしますと、この平均点による評価は変えられないそうです。よろしいでしょうか。修正意見がないようですので、国立国際医療研究センターの中期目標期間の業務実績の暫定評価結果()については、826日の委員会総会に報告したいと思います。また誤字脱字がある場合には、部会長にお任せいただければと思います。

(各委員了承)

 

○永井部会長

 それではそのようにさせていただきますが、最後に法人の理事長から一言いただければと思います。

 

○国立国際医療研究センター理事長

 今回は、平成25年度並びに平成22年度から平成25年度までの私どもの業務に関して、貴重な評価とアドバイスをいただきましてありがとうございます。本日いただいた評価並びに助言を基に、あと1年間我々の国立国際医療研究センターの業務の改善に向けて更なる努力をしたいと考えております。特に御指摘のありました財務の関係ですが、なかなか厳しい状況ではありますけれども、私ども職員一丸となって全力を挙げて、5年間で収支相償になるように努力したいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 

○永井部会長

 ありがとうございます。それでは、次の議題に入る前に所管課の入替えを行いますので、皆様しばらくお待ちください。どうもありがとうございました。

(法人及び所管課入替え)

 

○永井部会長

 最初に、国立循環器病研究センターの平成25年度財務諸表について審議を行います。財務担当の藤川委員から御報告をお願いします。

 

○藤川委員

 国立循環器病研究センターの平成25年度財務諸表については、711日から819日にかけて、資料の閲覧及び、国立循環器病研究センター経理担当者への質問によって、財務諸表等の内容を検証しました。また、会計監査人である新日本有限責任監査法人の独立監査人の監査報告書、監査の概要及び結果について参考となる事項が説明されている監査結果説明書及び監事の監査報告書を閲覧しました。その結果、国立循環器病研究センターから申請された財務諸表を承認すべきでないと思われる事項は見受けられませんでした。

 以上の点から、独立行政法人国立循環器病研究センターの平成25年度財務諸表については、申請どおり承認することが適当であると考えます。

 また、現状を踏まえて、中期目標期間終了時における収支相償の達成見込みについてコメントをします。中期計画の目標値は経常収支率100%以上とされていますが、平成22年は104.5%であったものの、平成23年度以降は100%割れに終わっています。4年の累計額では99.9%と計算され、4期累積では僅かに計画未達成という状況です。

 セグメント情報における診療事業損益に着目すると102,000万円の黒字を計上しており、昨年度から更に改善が見られますので、中期目標期間終了までのあと1年で、累積経常収支率を100%以上とすることは必ずしも達成が難しい水準ではないと思われます。センター移転に向けて高まりつつある組織の活力を収支改善に結び付ける更なる努力が必要と考えます。以上です。

 

○永井部会長

 ありがとうございました。ただいま御報告いただいた国立循環器病研究センター平成25年度財務諸表について、御質問、御意見を頂きたいと思います。特にありませんか。御意見がないようですので、国立循環器病研究センターの平成25年度財務諸表については、資料2-1の意見書()のとおり、本部会として了承したいと思います。ありがとうございます。

 続いて、国立循環器病研究センターの総合評価について御審議をお願いします。最初に私から、起草した評価書()について御報告します。

 国立循環器病研究センターの平成25年度の評価結果について講評を述べさせていただきます。評価に当たっては、評定の結果、各委員の評定コメントや、前回、729日の御議論の内容等を踏まえ、平成25年度の業務実績について、中期目標に掲げられた内容に照らして総合評価書を取りまとめております。

 全体の評価として、理事長のリーダーシップの下、昨年度に引き続き、職員の質の確保と組織の活性化、業務効率化の更なる推進、研究開発推進基盤強化、重症・超急性期医療体制の更なる強化、外部資金の積極的活用、建替整備の検討などの積極的な取組が行われましたが、年度計画に掲げる経常収支に係る目標を達成できなかった。

 研究・開発については、早期・探索的臨床試験拠点整備事業としてセンターが開発する医療機器の価値向上、及び医療機器開発拠点として企業との連携及び橋渡しが円滑・効果的になされるよう、世界的スタンダードな手法を取り入れた医療機器開発プロセス構築、医療機器薬事申請に資する信頼性を確保した信頼性保証システム構築の2つの体制整備に取り組んだこと。

 また、ペプチドホルモンの前臨床研究、血管制御による新しいがん治療法の開発、心臓が産生・分泌するペプチドのカタログ化、循環器疾患素因遺伝子の解明、循環器制御に関する研究、高度先駆的及び標準的な予防・診断・治療法の開発の推進、循環器病の原因究明に基づく予防法の研究開発等、センターの強みをいかした多くの領域の研究を実施したこと。

3「医療の提供について」は、カテーテルを用いた経皮的肺動脈形成術を約40例に対し施行し、大きな合併症を生じることなく、著明な治療効果を実証し、学会の肺高血圧症治療ガイドラインを改定したこと。

 このように、センターは中期目標で求められたミッションを着実に遂行しており、引き続き、その時々の政策課題に対応し、研究・開発業務等を行っていくことが重要である。さらに、研究開発力の一層の向上を図る観点において、特定の疾患群の治療を対象とした病院と治療技術の実用化に軸足を置いた研究所を併設しているという特長をいかし、これまで以上に我が国の治験・臨床研究の推進に貢献していくべきである。以上です。

 それでは、ただいま御報告しました評価書()について、御意見、御質問等ある方は御発言をお願いします。

 御意見、修正意見等ないようですので、国立循環器病研究センターの平成25年度の業務実績の評価結果については、本部会として決定します。もし、誤字脱字、事実誤認等があり、修正が必要となった場合には、その対応は私に御一任ください。

 

○斎藤委員

 すみません。言葉尻というか、言葉の受け止め方だけなのかもしれませんが、今、先生がおっしゃった「貢献していくべきである」という「べき」というのは何かすごく強くて、駄目だからこうしなさいというように私には聞こえてしまったのですが、ほかの方の印象はいかがでしょうか。このまま継続して頑張ってくださいという言い方のほうが、私としてはすんなりいくような気がしました。

 

○永井部会長

 大体どこの評価書案も最後はこういうふうにまとまっているのですが、「べき」というのは命令というのと、必然というのも確かあったと思うのです。必然的にこういう道を歩んでいただきたいと。ここは余り命令的な感じで捉えるのではないということだと思いますが、いかがでしょうか。

 

○斎藤委員

 はい。

 

○永井部会長

 そういう理解だということです。よろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○永井部会長

 では、そのようにさせていただきます。

 続いて、国立循環器病研究センターの暫定評価について審議をいたします。最初に、法人からの説明をお願いいたします。

 

○国立循環器病研究センター病院長

 暫定評価について、まず、病院長の内藤から説明させていただき、その後、橋本理事長からの補足があります。

 資料2-5です。3ページは4年間の取組の要約で、これを各評価項目ごとに説明いたします。4ページ、評価項目1では、独法化とともに新設された研究開発基盤センターが最大の強調点で、臨床研究部、先進医療・治験推進部、知的資産部などからなるこの組織により、その後の研究所と病院の連携や、企業との共同研究が躍進することになりました。ほかに、国内唯一の医療機器開発の早期・探索的臨床試験拠点に選ばれたことなど、多くの成果もあり、暫定評価はSとしております。なお、数字は4年間の評価点の平均値です。

 評価項目2では、臨床研究支援機能の強化として、生物統計家などの人員配置、PMDAとの人材交流、教育プログラムや統計解析プログラム等の整備などを行い、治験実績は著しい成果を上げております。また、基盤センター内の医学倫理研究室の設置は、多方面の研究推進に役立っております。平成25年度は5点満点のSを獲得し、暫定評価はSに近いAとなっております。

 評価項目3では、まず、ペプチドホルモンの研究が注目され、その心血管壁保護作用ががん転移の抑制につながることなどが明らかになりました。超小型の植込式補助人工心臓の開発や、総理大臣賞を受賞した精密心臓レプリカの作成なども大きな成果と思われます。また、循環器病の実態把握のためのビッグデータの管理がセンターに委ねられました。暫定評価はSです。

 病院関連項目について、評価項目4では、体制等の整備として、平成22年当時はアジア初の本格的ハイブリッド手術室の設置、走る診療室と呼ばれる高規格ドクターカーの導入、カテーテル治療や手術ロボットの使用を推進しました。これにより、慢性血栓塞栓性肺高血圧症などの難病治療に成功しております。暫定評価はAです。

 評価項目5では、病院中央部門に、総合入院センター、診療支援部、医療安全管理部などが設置され、連携医登録や医療安全の推進などに大きく寄与しております。また、国循独自の多職種による重症回診の実施や、国内初の循環器病緩和ケアチームの発足、前述の医学倫理研究室による病院コンサルテーションなども成果と言えると思います。暫定評価はAです。

 評価項目6では、センターが今後最も力を入れるべき重症心不全医療について方向性が見えたように思います。心臓移植が、臓器移植法の改正後に大きく増加したものの、まだ不十分な現状では植込型補助人工心臓が突破口になるかもしれず、我々の経験でも、導入後に患者の著しいQOL向上が認められました。また、移植患者の心臓リハビリや、人工心臓手術トレーニングも推進し、暫定評価はSに近いAとなりました。

 評価項目7では、国循開設翌年の1978年にスタートして、既に1,800名ほどの修了者を輩出した、レジデント・専門修練医養成が、独法化後に推進したことが強調点で、特徴的な研修コースの新設や、アウォードによるインセンティブ向上等で、専門修練医数が特に著明に増加しました。また、センターに欠ける学位受与機能の補完のため、連携大学院協定の締結を推進し、暫定評価はAとなっております。

 評価項目8では、東日本大震災の被災地の循環器病予防目的でスタートした国循の減塩プロジェクトが、国循病院食の「かるしおレシピ」本の大ヒットとともに、国民の循環器病予防の動きに発展したことが著しい成果です。関連するS-1g(エス・ワン・グランプリ)大会の開催などで、国循のヘルスケア戦略が大きく推進しました。また、ホームページの改良、市民公開講座などの開設も重要だと思います。この項目も、平成24年度は5点満点のSを獲得し、暫定評価はSに近いAとなっております。

 評価項目9では、政策提言として、植込型補助人工心臓の早期承認、rt-PA静注療法の適応時間延長。国際貢献では、血清脂質測定標準化事業の開始、国際的医師主導治験への日本代表機関としての参加などが成果です。東日本大震災には対策本部を立ち上げて、多くの対応や提言を行い、その中から、かるしおレシピが生まれたことは前述のとおりで、暫定評価はAです。

 この後は、業務運営や収支にかかる項目で、評価項目10では、副院長2人から3人体制、診療部門の部門調整などの導入。病院中央部門の強化では、右の図の色付き部署が新設され、効率的な診療に寄与しました。また、情報運用中枢の情報統括部を設置し、セキュリティと利便性を両立した国循独自のネットワークシステムを整備しています。暫定評価はAです。

 評価項目11では、運営費交付金の削減の中で、ほぼ計画どおりの収支を達成したこと。医業収支は4年間で約24億円の利益を上げたことが注目されます。材料費や一般管理費の節減、調達コストの削減の努力もなされています。また、国循独自の重症系システム連動の電子カルテシステム、これが平成241月にスタートし、驚くほど順調に稼動しています。暫定評価はAです。

 評価項目12でコンプライアンス確保の体制構築、契約事務の適正遂行、研究費の厳格管理が、13では、外部資金の受入れについて、寄附受入れ、取扱い規程の整備、トレーニングセンターの利用促進などが行われています。両項目ともに暫定評価はAです。

 評価項目14では、学閥・年功序列の廃止、人事委員会の設置、女性部長登用4名、院内保育所開設などを実施し、看護師確保対策の推進で、平成25年度の退職率は10%以下となりました。また、最大の懸案であった、移転、建替方針が確定し、現在、基本設計を実施中です。この項目の暫定評価はAです。全体の概要説明は以上です。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 理事長の橋本です。先生方には大変深く読み込んでいただいて、大変高い御評価を頂き、心から感謝を申し上げます。

 ただ、この第1期の暫定あるいは第1期全体での評価となったときに、思い返してみると、やはり少し疑問が生じてまいります。これは何かと申しますと、それぞれの年度の評価のときには、こういうことを中心にやっていくというふうに申し上げてきました。平成22年度独法化のときには、まず意識改革と組織改革を主眼にしてやってまいりましたし、平成23年度は先行投資をするような形で、いろいろな組織の中の体力を付けるようなことを、少し年度の予算を度外視してというか、それを超えてでもしっかり体力を付けて、中期間全体の目標を達成しようということでやってまいりました。その結果、平成24年度、平成25年度は、大変高い評価を頂いたと思っております。

 しかし、これが暫定評価という形で、各年度を足して、割って、平均すると、例えば、評価項目2ですが、初年度は、余り数字を出したくないのですが、3.57という数字です。このとき頂いた平成22年度の評価は、コメントとしては、先制医療と治験推進、CRCの体制強化などをやりましたが、御評価として頂いたのは、実績はこれからだと。そして、これからスタートだと。確かにこれは実績評価ですので、そういうものを構築したというのが余り評価されていなかったのではないか。ただ、それが結果として平成24年度、平成25年度に高い評価として頂いたと思っております。

 ですから、この中期計画の初年度は、実績としては確かに余り出ていませんが、そういう実績というか、独法としての組織を作るために、やはり平成22年度は頑張ったと思いますし、そういうところを見てコメントを頂いていますが、実績という点では余り高い評価にならなかったということがあると思います。

 これは、評価項目8のネットワークの推進等も同じように、ネットワークの構築や情報発信についての意識改革から、そのためのネットワーク作り、そして、ホームページの大幅な改正から、いろいろなことをやりましたが、平成22年度の実績としてこれだけになりましたというものは、正直申し上げて余り出しにくい。ただ、結果としてそれが、2年後、3年後に、かるしおレシピやS-1g(エス・ワン・グランプリ)などを含めて、かなり御評価いただける結果になったと思います。ここも初年度は3.57と、実績はこれからだと評価の所には書いてあります。確かにそうです。実績としては、これは実績評価なのだからそれはやむを得ないという御判断であれば、それは仕方ないと思いますが、第1期の中期全体として見るとか、あるいは、やはり、5年間の中でどういうふうに構築していって成果を出すかという視点で御判断いただくべきものと思います。私は、この次の第2期も、やはり基本的な考え方としては、実績として出なくても、こうするべきだという形で、初年度は目標に向かってやっていくという中期計画の中での振り分けというか、そういうプラニングをすべきだと思います。

 そういうものが実績として4年間、5年間のそれぞれの年度に出たものを足して、割って、「はい、Aです」とか「Sです」というふうにされるのは、これは本当の意味で中期目標を立てて、中期計画を立てて、それを実践していくということを評価していく上で、そういう単純計算が、今回に限らず、今後もそういう形でいいのだろうかと思っております。

 これは、評価を受ける側の戯れ言かもしれませんが、これから次期を考えていく上でも、やはり私は、こういうスタンスを取ってやっていくべきだと思っておりますので、御検討いただけたら有り難いと思います。以上です。

 

○永井部会長

 ありがとうございました。では、私のほうから平成22年度から平成25年度までの暫定評価についての講評を述べたいと思います。

 この評価は、平成224月に厚生労働大臣が定めた中期目標期間、平成22年度から平成26年度のうち、中期目標期間終了の前年度までの業務実績について評価を行うもので、評価結果を次期中長期目標等へ反映させる観点から、中期目標期間の最終年度に暫定的に実施するものです。

 当委員会においては、国立循環器病研究センターの設立目的に照らし、センターが独立行政法人として発足して以来、業務により得られた成果が、公衆衛生の向上及び増進にどの程度寄与したか。また、業務運営の効率化等の観点から適正に業務を実施したかなどの視点に立って評価を行ってまいりました。

 まず、全体の評価です。独法化の狙いや期待に応え、研究・開発や、高度かつ専門的な医療の提供等において中期目標の水準を満たし、大きな成果を上げているものと評価できます。

 研究・開発に関する事項です。研究所と病院の共同研究件数や企業との共同研究件数について、中期計画に掲げた目標を達成していることを評価いたします。このほか、心房性ナトリウムペプチド(ANP)のがん転移予防効果の発見、心臓レプリカプロジェクトの国際特許取得と製品の販売開始、低侵襲かつ高精度の心不全自動診断装置開発におけるパイロット試験の実施など、大きな研究成果を上げたことを評価いたします。

 次に、医療の提供に関する事項です。診療チームによる回診について、中期計画に掲げる目標を達成していることを評価いたします。このほか、植込型補助人工心臓へのブリッジ例への保険償還が認められ、在宅管理が増加したため、人工心臓外来を開設するとともに、心移植実施患者の冠動脈狭窄へのバイパス手術に国内で初めて成功し、移植後の治療も充実させたことを評価いたします。

 人材育成、医療の均てん化と情報の収集・発信、国への政策提言、その他、我が国の医療政策の推進等に関する事項です。教育臨床プログラム数について、中期計画に掲げる目標を達成していることを評価いたします。

 このほか、国民的な課題である高血圧の予防と治療について、平成23年に東日本大震災の被災地の循環器病予防目的でスタートした「国循の減塩プロジェクト」は、国民減塩を目指して全国展開し、その手段の1つとして国循病院食レシピ本を平成24年に全国の書店等で発売するなど、その後も継続して医療の均てん化と情報発信を図ったことを評価いたします。

 業務運営の効率化に関する事項等です。一般管理費について、中期計画に掲げる目標を達成していることを評価いたします。このほか、独立行政法人化に際し、法人経営の重要事項を審議する理事会を設置するとともに、業務全体を横断的に審査することのできる監査室を設置し、監事、外部監査人と連携強化を図り、法人内の問題抽出及び業務改善に向けた提案を実施し、内部統制のための組織構築を図るとともに、6ナショナルセンターの監事連絡会議を開催し、情報共有及び監査水準の向上に努め、ガバナンス及び法令遵守等の内部統制のための業務効率化等を推進したことを評価いたします。

 このように、第1期中期目標期間における4年間の成果を踏まえると、循環器病のモデル医療や、高度先駆的医療の提供、安全で質の高い医療の実現、研究所と病院が一体となった循環器病の最先端研究の推進、人材育成、政策提言など、センターが果たしてきた役割は極めて大きく意義深い。

 一方、近年の科学技術の進歩により、世界的に見ても革新的な医療技術が相次いで開発されるなど、医療分野の研究・開発を取り巻く環境は大きく進展している。その中で、今後ともセンターがその役割を担っていくためには、その時々の課題に対応できるよう、患者や社会のニーズ、医療上及び経済上のニーズをも十分に意識しつつ、先制医療や新たな医薬品や診断治療方法の開発、医療機器の開発が推進される社会の実現に貢献することが期待される。

 また、国の研究開発に関する戦略を踏まえつつ、国立研究開発法人として、研究開発成果の最大化を目指す体制の確保を図ることが重要であり、十分な見通しを立てた上で運営されるべきであることに留意されたい。以上です。

 ただいま報告いたしました暫定評価案について、御意見、御質問を頂きたいと思います。先ほど橋本理事長からお話があった、平均値を取るとどうしても低めに出てしまう。これは、Sの数を数えると、平成22年度は1つ、その後4つ、5つ、8つと増えてきたわけです。ところが、平均値にすると2つになってしまうという。これは計算上のいろいろな綾があるのですが、ただ、先ほども国立国際医療研究センターで同じようなところが議論されましたが、統一してこういうルールでしているということなのです。次の中期計画の評価のときにこの辺りをどうするかという議論はあってしかるべきだと思うのですが、今回はこういうことで御理解いただきたいと思います。委員の方々から何かありますか。

 

○花井委員

 今回は、他の独法でルールがこうだということなのですが、法律上やルール上は、例えば単年度平均だったら、これは単年度でやれば済む話で、4年で暫定評価という、つまりダイナミクスを評価していないということですよね。結局、4年間のストラテジーがあって、うまくいったかとか、そこは何か、暫定評価係数を設けて、それを足して評価するなどということは、今のルール上は不可能なのですね。そうしないと、下がっているのと、上がっているのが、全く同じ評価になる。この評価ではそうなのですが、4年間で暫定的にということは、中期目標独法などと言う意味は、やはりある程度の長期間における戦略を立てて、きちんとそれができたのですかということが目的ですから。

 そういう意味で言うと、今のこの評価ルールは必ずしも独法の政策にマッチしていない部分もあるのではないかと思います。もし、制度上可能であれば、何かそういう仕組みを考えて、次の中期目標からかもしれませんが、そこはあっていいのではないかと思いました。意見です。

 

○永井部会長

 初年度が、独法前の状況を引いているわけです。むしろ、その状況をスタートとして期間中にどこまで頑張ったかという。明らかに、S14588倍に伸びているわけです。

 

○三好委員

 私も皆さんと同じような意見なのですが、昨日、今日と、一応、ずっと暫定評価を聞かせていただいて、単純に平均値なのだなと思いながら見ていたのです。例えば収支にしても、目標を100%以上と。1年目、2年目、3年目、仮にマイナスであっても、最終的に110%いけば、それは中期としては十分ASで付けられるはずなのです。

 ですから、単年度の意味と中期の評価の意味は全然違っていて、初年度、例えばある目的のためにこういう手を打っていったと。すごいたくさん、いろいろなことをやられましたねと。そこは成果がないからAかもしれない。だけれども最終的にそれが成果が出るのならば、やはり最終的な成果の評価であるべきで。ですから、多分、皆さん同じような違和感を、昨日、今日と持っておられるのではないかと思いました。全く同感です。今後に生かしていただければと思います。

 

○祖父江委員

 私も全く同感なのですが、例えば先ほど理事長がおっしゃったように、仕込みを入れて、それを花を咲かせようと思うと、やはり単年度では無理なのです。ですから、それをやることが国の施策として非常に重要な場面が幾つかあると思うのです。それが単年度だけでずっとやっていくとなると、長期的な見通しという点からも、むしろ好ましくない面があると思います。ですから、ここからまた次にいくときに、何を目的にこの5年単位でやるのかをもう少し吟味してやることが非常に重要ではないかと思います。おっしゃるとおりですし、皆さんここにおられる方は大体同じ考えではないかとは思います。

 

○藤川委員

 やはり同感なのですが、ちょっと話は別として、私はよく金融機関のサイドに立って、一般の事業会社が作った計画を評価することを仕事ですごくやっていたのですが、特にこのNCに関しては、平成22年から全部がそろってやってきたと。それまでも、もちろん病院はやっていたけれども、新しい組織の下でやり始めたと。そういう場合に、金融機関では、創業時の法人をどう評価するかというと、一般のずっと継続してやっている所とは目線が違うので、最初は少し違う評価の仕方をしましょうということもあります。今回で言えば、ちょっと違う見方があってもよかったような気もする点は1点あります。

 また、それと逆側で、計画を5年作るときに、1年単位の計画を、大体皆さん5で割って評価するというやり方でやってきているから、今の「平均値」という見方もあるわけです。そうすると、次の中期をやるときに、1年ごとの計画としては、今年はちょっと仕込みの年だからこういうことをします。でも、次はこういうことをしますという、毎年、毎年変えていって5年目でこういう花を咲かせるというシナリオなので、今年はこういう目線で評価してくださいというような、少し違う計画の立て方をするということもあっていいのではないかとも思いました。

 

○永井部会長

 ほかに御意見はありますか。特に修正意見等はありませんか。それでは、国立循環器病研究センターの中期目標期間の業務実績の暫定評価結果()については、826日の委員会総会に報告いたします。もし、誤字脱字、事実誤認等がありましたら、部会長に御一任いただければと思います。

(各委員了承)

 

○永井部会長

 最後に、法人理事長から、もう一言御発言いただければと思います。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 改めて委員の先生方のお考えを伺うことができて、大変心強く思います。確かに、それを所管する厚労省としては、暫定評価は規則に基づいて行っているものなので、それを勝手に恣意的に変えることはできないだろうということも理解できます。ただ、法人を預る身とすると、先生方がおっしゃってくださったように、やはり、中期だったら中期の間に、ここで何をやるかということで我々はやってきたつもりですけれども、それを単年度評価で、そこで金を使い過ぎて赤字になったから、それがずっと点数として後に引くということがあっては、大きなことを計画しようと思ってもどうしてもひるむ要素になると思いますし、また、そういうものが評価されないのは、法人の職員にとってもインセンティブがそれだけ下がることになりますので、どうか、こういうことを機会にして、これからの独法の在り方について御議論いただいて御提言いただけたら有り難いと思います。本当にありがとうございました。

 

○永井部会長

 どうもありがとうございました。

 

(法人及び所管課入替え)

 

○永井部会長

 続きまして、国立高度専門医療研究センター6法人の組織・業務全般の見直し当初案について審議をいたします。まず、法人所管課より説明をお願いします。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 今回の見直し当初案については、資料3-1、資料3-2ですが、時間の都合もありますので、資料3-1で御説明します。

 国立高度専門医療研究センターは、平成27年度から、独立行政法人通則法の改正に伴い国立研究開発法人となります。この法人については、研究開発成果の最大化に資するように、第2期中長期期間においてもしっかりとナショナルセンターの業務に取り組んでいくこととしております。

1ページです。これについては、昨日、国立がん研究センターほか3センターが、内山部会長代理、祖父江委員、福井委員のそれぞれの起草委員から御報告を受け、本日も国立国際医療研究センター及び国立循環器病研究センターについて永井部会長より御報告がありましたので、時間の関係上省略いたします。

2ページです。「事務及び事業の見直しに係る当初案」です。「研究事業及び臨床研究事業」についてですが、その後も各事業単位で整理をしております。1各ナショナルセンターが担う疾患について症例集積性の向上、臨床研究及び治験手続の効率化、研究者・専門家の育成・確保、臨床研究及び治験の情報公開、治験に関するコスト・スピード・質の適正化に関してより一層強化する。

 2ナショナルセンターを拠点とした施設間ネットワークや患者登録システムの構築をより推進し、他施設に対するサポート体制の確立に資する研究開発成果の最大化を目指す。この1、2については、平成26722日の健康医療戦略推進本部で決定された「医療分野研究開発推進計画」においても、ナショナルセンターに求められている点となります。

 3難治性・希少性疾患の原因解明や創薬に資する治験・臨床研究を推進するために、詳細な臨床情報が付帯された良質なバイオリソースを収集・保存するバイオバンク体制のより一層の充実を図る。

 4First in human試験をはじめとする治験・臨床研究体制を整備し、診療部門や企業等との連携を図り、これまで以上により多くの治験・臨床研究を実施する。

 5医薬品や医療機器の実用化に向けた出口戦略機能の強化や、新たな視点や発想に基づく研究等の推進のため、PMDAや諸外国を含めた他の施設との人事交流を、これまで以上に推進する。

 1~5は各ナショナルセンター共通ですが、6については国立がん研究センターのがん登録推進法に基づいて挙げております。これについては、「全国がん登録データベース」の運用と院内がん登録情報等の収集を通じて、国のがん対策の企画立案又は実施に必要な調査研究を行うということです。

3ページです。「診療事業」についてですが、3点あります。1点目は、国内外の研究施設及び医療機関等の知見を集約しつつ研究部門と密接な連携を図り、その研究成果を活用し、先進医療を含む高度かつ専門的な医療の提供の充実を図る。2点目は、医師及びその他医療従事者等、それぞれの特性を生かした、多職種連携かつ診療科横断によるチーム医療を推進し、特定の職種への過度な負担を軽減するとともに、継続して質の高い医療の提供を行う。3点目は、医療安全管理の体制をより強化し、全職員を対象とした医療安全や感染対策のための研修会を開催するなど、医療事故防止、感染管理及び医療機器等の安全管理に努める。

 次に「教育研修事業」ですが、2点あります。1点目は、国内外の有為な人材の育成拠点となるよう、各ナショナルセンターが担う疾患に対する医療及び研究を推進するにあたり、リーダーとして活躍できる人材の育成を継続して実施をする。2点目は、モデル的な研修及び講習を実施し、普及に努める。

4ページです。「情報発信事業」ですが、2点あります。1点目は、国内外の各ナショナルセンターが担う疾患に関する知識・知見を収集、整理及び評価し、科学的根拠に基づく診断及び治療法等について国民向け及び医療機関向けの情報提供の充実を図る。2点目は、当該疾患に係る中核的な医療機関間のネットワーク化を推進し、高度かつ専門的な医療の普及を図り、医療の標準化に努める。ここまでが、先ほどの国立がん研究センターの所を除いた6ナショナルセンター共通の事業です。

5ページです。ここの部分は、国立国際医療研究センターにおける「国際協力事業、国立看護大学校事業」です。「国立国際協力事業」ですが、2点あります。1点目は、緊急援助等の支援活動を行うとともに、開発途上における保健システムの向上を推進するため、専門家の派遣や研修生の受け入れを行う。2点目は、国際機関やJICA等の依頼に応じ調査研究・評価事業を実施し、また、国際医療協力を実施している機関とのネットワークを構築し、開発途上国等において保健医療分野の共同研究や人材育成等の諸協力を実施する。

 「国立看護大学校事業」ですが、2点あります。1点目は、ナショナルセンターに必要な人材を養成するため看護学部及び研究課程部における教育の充実を図るとともに、研究課程部に後期課程(博士課程相当)を設置する。2点目は、ナショナルセンター等に勤務する看護師等を対象に、専門性の高い研修を実施する。

6ページです。ここから、「組織の見直しに係る当初案」の概要です。組織形態の見直しに係る当初案については、平成251224日に閣議決定された「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」において、分野横断的な疾患や未知の疾患など、その時々の政策課題により柔軟に対応し、研究開発力の一層の向上を図る観点から、将来的には6法人統合など、国立高度専門医療研究センター全体としての組織の在り方の検討を行う、とされております。そのため、今年度が第1期中期計画の最終年度であることから、まずは、これまでの5年間について丁寧な検証が必要と考えております。その上で、研究開発力の一層の向上を図る観点から、ナショナルセンター全体としての組織の在り方について検討を行う必要があると考えております。

 また、国立国際医療研究センターは、平成26722日に閣議決定された「健康・医療戦略」、及び平成26624日に閣議決定された「日本再興戦略(改訂2014)」において同様の記載があることから、医療の国際展開の観点から保健医療分野における国際貢献・国際協力を行うグローバル医療戦略を推進し、センター全体による取組を実施することを記載しております。

 次に、「運営の効率化に係る当初案」の概要です。これについては、組織の当初案と同様、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」に基づいて6法人において共同して実施したほうが、効果的・効率的な業務の共同化や人事交流を更に推進することができるとされております。そのため、ナショナルセンター間における医療安全相互チェックや事務用消耗品の共同購入を進め、事務部門に加え、看護師等の人事交流についても更に進めることを考えております。また、電子化の推進の項目では、セキュリティ対策の強化のため、法人の業務計画の1つとして情報セキュリティ対策を位置付けるなど、情報のセキュリティ対策を推進することを考えております。

7ページ、「財務内容の改善に係る当初案」の概要です。随意契約の見直しの項目では、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」において調達の合理化の取組を促進する記載があるので、研究開発等に係る物品及び役務の調達に関する契約等に係る仕組みの改善を踏まえ、一般競争入札を原則としつつも、研究開発業務を考慮し、随意契約によることができる自由を規定等において明確化し、公平性・透明性を確保しつつ、合理的な調達に努めることを記載しております。また、自己収入増大の項目では、本部会でも外部資金の獲得についてはこれまで以上に努力が求められる点については御議論を頂いているので、日本医療研究開発機構等からの競争的資金や企業治験等の外部資金の獲得を更に進めることを記載しております。組織・業務全般の見直しの当初案については以上です。

 

○永井部会長

 それでは、ただいま御説明いただいた組織・業務全般の見直し当初案について御質問、御意見をお受けします。いかがでしょうか。

 

○花井委員

 理解に乏しいのですが、この案をここで議論するのは、何かが決まるのですか。これでいいですと、そういう趣旨なのでしょうか。大きな話と細かい話がかなり混じっていて、意見はあるのですが、この時間内でどこまでの作業をこの部会がしていいか分かりません。

 

○和田政策評価官室長補佐

 基本的には「組織・業務全般の見直し当初案」ということで、1回目の議論になりますが、こちらについては部会で議論していただいて、意見を頂いた後で、総会で改めて決定するというプロセスになります。

 

○花井委員

 通則法が変わって、この6独法は研究開発法人になるということですね。参考までに、国立病院機構は何法人になるのですか。

 

○和田政策評価官室長補佐

 中期目標管理型法人です。

 

○花井委員

 そうすると、どうしてもナショナルセンターが独法化するときの議論の中で、結局国立病院機構とどう違うのだという議論があって、それは研究開発型だという整理になったと思うのです。今回の案の診療事業の2や3といったものは、ある種当たり前のことが書いてあって、診療に特化した法人と研究独法だというところの棲み分けを5年前よりも更に明確化する方向があっていいかと思うのです。その辺りをどう考えたらいいかというのが1点です。

 また、結局のところ、国がいろいろと評価する理由は税金を入れているからということだと思うのです。その割には、5年間で運営費交付金がギリギリ減らされていて、その使い道について研究独法であれば採算性がない、外部資金を入れろ入れろと言いながら、ある程度公的お金で必要な研究を整備するのがNCだと思うのです。そうすると、運営費交付金の使い道についても、研究独法にふさわしいかどうかということが入ると。今回6独法を評価しましたが、通常、診療業務には運営費交付金は入らないのですが、独法によっては全くゼロでやっている所と、ある程度運営費交付金が診療事業のセグメントに入っている所があります。そうすると、国立病院機構から言わせれば、診療部門はそれで回るのに、何で研究独法は税金が入っているのだとか、そういう議論が出てくると思うのです。ただ、研究独法としてのクリアさを、次の5年間は更に出すということで言うと、少しぶれがある気がします。すみません、質問なのか意見なのか分からないかもしれませんが、いかがでしょうか。

 

○永井部会長

 特に運営費交付金が今後どうなるかについての見通しは、何かあるのでしょうか。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 これは毎年毎年予算要求をしていくことになりますので、現状でいけば運営費交付金については、今年度も省によって多少ばらつきはあると思いますが、閣議の了解を踏まえ、当初予算の要求の基本方針で裁量的経費を1割削減して、新しい事業でまた要求する形に現状はなっています。

 今後、私どもとしても今の交付金をそのようにされていく中で、どれだけいろいろな事業の必要性を強く説明して予算を取っていくかに尽きるのではないかと考えています。恐らくこの場では、来年国立研究開発法人になるので、こういう予算を取っていくということはなかなか申し上げづらいのですが、少なくとも担当課としては、できるだけ必要な予算は財務省に強く説明しながら取っていかざるを得ないと考えています。

 

○祖父江委員

 私も今のディスカッションには賛成というか、そういう方向を目指すべきだと思うのです。今までは、むしろ医療施設、あるいは教育施設、情報発信施設と並行して研究もやると。もちろん、研究は非常に重要な意味を持っていたのですが、これが研究のほうにずっとシフトしてくるとなると、今のお金の問題も含めて、受皿の体制として研究型にシフトさせないとうまく回らないのではないかと。今と同じ体制で、目いっぱいいろいろな方向でやっていながら、研究を更に上乗せせよとなると、なかなかそちらの方向へ向かない可能性もあるので、選択と集中ではありませんが、お金あるいは人事の面を含めてどういう体制を目指すのか、そこの青写真、あるいはお金を取ってくる仕組み、今は運営交付金について基礎と病院のセグメントが分かれているので、それをどういう仕組みに変えたらこれがうまくいくだろうかという受皿作りの構想も、同時にやっていく必要があるのではないかと思います。そこは各法人独自で考えなさいという点もあると思いますが、厚労省としてもこういう方策があるのだということを提示していただけると有り難いと思います。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 その辺りは、各法人からいろいろ意見を聞きながら検討していきたいと考えております。今すぐいつまでとは御返事できないので恐縮ですが、そういうことも考えていきたいと思います。

 

○斎藤委員

 加えて、各センターで次の5年間で何を目標にするかは、それぞれ違うと思います。また、国のほうで各センターにお願いしたいという、重点的にやっていただきたいところも違うのだろうと思いますが、これを拝見すると全て頑張りなさいというメッセージのようで、そうすると、リソースが分散されて、やりたいことがやれないというもどかしい思いをなさるのではないかと思いました。ある程度ウエイト付けをするのは当然必要なことだと思いますので、その辺りを各センターに任せていただけるのか、あるいは国として何か方針を出すのか、その辺りを伺いたいと思います。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 当初、この形で目標を作って、その後に各ナショナルセンターで中長期計画、その後に年度計画という形で、そこは各ナショナルセンターでまずは厚生労働大臣が一番初めの目標を示して、それを受けた形で各ナショナルセンターがそれに基づいて自分たちの計画を作っていくことになります。

 

○斎藤委員

 そうしますと、今回いろいろな項目の採点をしてきましたが、結局、項目は全て同じウエイトで採点するわけですね。今の状況だとここは捨てて、その分違うところに重点を置きたいというセンターの思いは反映できないわけですね。結局は全部網羅的に努力しなさいというメッセージですか。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 それは今後の中長期計画の中で、この目標を受けてここの部分は重くして、ここの部分は軽くしてという形になるのではないかと思います。

 

○長島医政局医療経営支援課長補佐

 補足しますと、平成27年から国立研究開発法人ということで、独立行政法人の中の1つの類型なのですが、この研究開発法人については厚生労働大臣と法人の理事長が目標を立てるとき、計画を立てるときに、よく意思疎通を図ってやっていきなさいと言われているので、そういった中でそれぞれの法人の特徴や、今これを是非やってもらいたいということがあれば、それを踏まえてこれから目標を具体的に作っていき、年明けにこの部会の場で議論していただきたいと考えております。

 

○永井部会長

 つまり、改めてこれに基づいて中期計画を各センターが立てるということですね。

 

○長島医政局医療経営支援課長補佐

 まず、大臣がこういった大方針と申しましょうか、それを踏まえて、国立研究法人にふさわしい中長期目標を作っていくことになります。その前段階の御議論として、今日御提示し、これが総務省の政独委に移り、その場でも御議論いただき、それが厚生労働省に返ってきて、それを踏まえて大臣が目標を作っていくという流れになります。

 

○花井委員

 分かるのですが、例えば6ページの上の段にある組織形態の見直しの話は、もっと大きな話を先ほどされたわけです。6法人をまとめる話も含めて検討しましょうみたいなことがここに書かれていて、でも、結局今からやることは次の目標に、一応通則法は変わったし、それでよく話し合うと言っていますが、基本的には今までからして大臣が中期目標を立てて、それを見て、国の方針を見た上で理事長が中期目標を立てるというスキームなのだから、大した差はないわけです。そうすると、通則法が変わったことによって、次の中期目標が前回の中期目標とどれほど色彩の変わったものになるのかということと、前回はスタートだったからいろいろバタバタと滑り出したので、同時進行的に中期目標と計画を立てたのは皆さん御記憶かと思いますが、そのときは運営費交付金が大体これだけ入るということで立ててやったけれども、この評価が始まって1年、2年とやったとき、理事長が話が違うではないかと。国の方針はこうだから、こういうことでやると大臣が目標を立てて、そのアジェンダを受けてやろうとしたら、てんこ盛りの仕事を押し付けられた割には、約束したお金はほとんど入ってこなくなっていると。これで目標を達成しろとはひどい話だと、そういう言い方はしませんでしたが、代弁すればそういう話になっていったわけです。それを踏まえると、今回、国の方針は確かに政治的なところで右往左往しているのは知っていますが、もう少しきちんとスタートの段階で明確にしておいたほうが、今後5年間、相互にハッピーなのではないかという気がするのです。だから、6ページの一番上の話は、今回は前政権のゴタゴタで大して体制は変わらずに、粛々と通則法の下に次の展開を作るということなのでしょうか。答えにくいかもしれませんが。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 政独委の委員の先生たちにも、そこはどうするのだと聞かれたことがあります。先ほど申し上げたとおり、6独法は今年度でようやく第1期目が終わるのです。それをすぐ、この1法人はどうするのだと言われても、私どもも「今の法人形態が良いかどうかも引っくるめて検証した上で、次の計画の中でいろいろ考えていきたいと思います」とお答えしているのです。ですから、あくまでも1つの法人ありきではなくて、そこはきちんと1期の中でどういうことがあったのかも含めて検証していかなければならないという形にしているのですが、一方で閣議決定の中にこれが書かれているのです。私どもとしては、そこは少なくとも目標の中に入れておかなければいけないということがあって入れているということです。

 

○永井部会長

 かなり大きな話がたくさん書いてあるのですが、よく読むと、今の点も検討を行うとか、必ずしもこうしようということではないような気もするのです。他についても、これこれを進めるとか、提供するとか、努めるとか、要は中期計画でどのように書くか、具体的な数字を挙げて、改めてこれを噛み砕いた形にするわけです。そのときにもう1回議論になるのではないかと思いますが、いずれにしても中期計画については、具体の目標はここで議論することになるということでよろしいでしょうか。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 目標を年明けぐらいまでに決めて、2月ぐらいまでに中長期計画を決めていくというスケジュールになっていくと思います。少なくとも4月から始まりますので、大体2月ぐらいまで、当然、総務省の政独委ともいろいろ調整をしながら決めていくことになろうかと思います。

 

○永井部会長

 そういうことで、これはやや漠とした心構えみたいなところで、具体の行動計画はもう一段議論が必要なのではないかというように理解できますが、よろしいでしょうか。

 

○祖父江委員

 少し細かい話ですが、研究事業、臨床研究事業ということで6つ挙がっていて、これは個々のNCの評価の中でもときどき出てきた話ですが、今は疾患になった患者をどう治療するかが主体で、6つのNCはむしろそちらに重点を置いているかと思いますが、今後の予防という観点をどう持たせていくのかが、1つ大きな課題になるのではないかと思うのです。これは余り具体的にはうたっていませんが、国の中で疾患を予防していく組織はどこになるのか。NCではないかと私は思っているのですが、その辺りはどのように位置付けしたらよろしいでしょうか。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 恐らく、ナショナルセンターの中でも国立循環器病研究センターの「かるしおレシピ」や国立長寿医療研究センターの「コグニサイズ」といったことで疾患の予防等をやっていますので、ここだけがやるということではなくて、当然ナショナルセンターにおいてもコホート研究の実施等を通じて一部担っていくことになるのではないかと考えております。現状でもそういう予防的なこともやっていることを踏まえれば、そういうことをやっていくことになるのではないかと考えております。

 

○祖父江委員

 もちろん、現状でもそれぞれのセンターで工夫しながらやっておられると思います。がんセンターなどは、国全体のコホート化まではいっていないと思いますが、非常に大きなフィールドを持ちながら、何かインターベンションを入れていこうという方向が打ち出されているように思いますが、そういうコホート、あるいは国全体の症例の前向きの調査を予防的な観点からやっていくとか、コホートをもう少しきちんとした形で各センターが持つとか、そういう構想は特にないのでしょうか。それは個々のセンターが今後中期目標を考えていく上で入れていくという話になりますかね。

 

○長島医政局医療経営支援課長補佐

 健康長寿社会の実現ということで、政権としても大きく掲げておりますので、予防等の取組は正に重要であるという認識は、厚生労働省としてはそういう方向に向いております。その中で、各ナショナルセンターにどういう部分を担っていかせるのか、担っていってもらいたいのかといった部分は、また個々の議論になるのかなと考えております。

 

○藤川委員

 漠然と各項目のカテゴリーに載っている個数を見ると、5個、3個、2個、2個という感じで、割と総花的ではあるけれども、ウエイトとしてはこんなイメージを持たれているのかなという感じがしました。ただ、研究を中心とする独法ということであれば、5というよりは、ここはもう少しボリュームが増えてきてもいいのではないかというイメージもありますし、6は別としても、1~5で挙がっている内容はテクニカルなワードが入っていて、具体的なことも入っているのですが、その割には個数が少ないのではないかという気もしますし、もう少し研究に重視できる環境を作るようにしないと特徴も出し切れないし、十分そこで力を発揮することができないような気がするのです。

 また、早めに目標を作ってあげないと、今回の評価においても、独法になる前の数値を引きずったことによって目標となる数値がやたら低いのではないかというものも数多くあって、それを5年間引きずってしまうと、評価に関しても非常にやりにくくて、それで評価される側も納得がいかない、する側も納得がいかないということが続いてしまうので、そこは早めに手当をしていただくようにお願いしたいと思いました。

 

○永井部会長

 何か加えたほうがいい項目はありますか。全体としてはかなり研究にウエイトが置かれているというのは通じているように思いますが。

 

○三好委員

 もう1点、感想ですが、研究にウエイトを置くということで、2ページは次の中期を作るためのガイドラインというか、視点という見方でいいのでしょうか。そういう前提であれば、どこにポイントを置くかは、NCは日本にとって非常に重要な高度の国立医療研究センターになるわけですから、具体性を余り感じないと思ったのは、例えば1でも、疾患について「症例集積性の向上、臨床研究の効率化うんぬんを一層強化する」としか書かれていないのですが、もう少し視点の高いところで書けないかと。私も何を書いたらいいかは専門家ではないので分かりませんが、ほかの所も「研究成果の最大化を目指す」とありますが、何のために最大化を目指すとか、そこがないのかなというのが私の直感的な印象です。もう少し目指したほうが、これはNCとしてこういうことを担うのだということで、ターゲットが分かりやすくなるような気がするのです。それが私の感想です。

 

○内山部会長代理

 私の感想としては、第1期中期目標の各NCの業績を拝見すると、皆さん本当によく頑張ってやっておられると思うのです。だから、全く新たに始まるということではなく、この延長だと思うのです。研究もすばらしい成果を上げておられるし、逆に余り細かく縛らないで、それぞれのNCの良いところを伸ばしていただくのがいいのではないかという気もしております。

 

○永井部会長

 これはおおよその方向性と基本的な考え方なので、中期計画で詳細を記載するときに、各NCの特徴、全体的なミッションを踏まえて書いていただくためのものだという理解でよろしいでしょうか。

 

○長島医政局医療経営支援課長補佐

 先ほど事務局から説明がありましたが、今年度が目標期間の最終年度ですので、今までのものを踏まえて組織の在り方や事業の見直しについて、どのような見直しが必要かという観点で、資料3-2を総務省から求められているということがあります。ご提示した見直し当初案は、基本的にはそういうところに特化して作成したもので、ただ、ナショナルセンターとして今後目指すべき方向性も多少織り込んだということです。

 

○永井部会長

 これは、この後どこへ提出するのですか。

 

○和田政策評価官室長補佐

 この後、総会で審議していただいて、その結果を総務省政策評価・独立行政法人評価委員会に提出します。その先の流れですが、更に総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から意見が来て、それを受けて12月に、当初案ではなく見直し案として本部会と総会の審議を経て、再度総務省政策評価・独立行政法人評価委員会と調整します。それを行った上で、来年の2月ぐらいを目処に中期目標等にこの見直し案を反映させていくといった流れになります。

 

○永井部会長

 見直し案は、この部会では議論はしないのですか。

 

○和田政策評価官室長補佐

 今回は当初案で、総務省と調整した上で、見直し案という形で12月にこの部会でも議論します。

 

○永井部会長

 出てくるわけですね。政独委が求めているのは、まずはこの程度のものでよいということなのでしょうか。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 この資料3-2がもともと総務省から示されている様式なので、その様式に基づいて作っていますので、そんなに問題にはならないと考えています。先ほど申し上げた資料3-1というのは、あくまでも資料3-2の全体を説明すると非常に時間が要るので、簡単にまとめたものだと御理解いただければと思います。

 

○斎藤委員

 実際に執行なさる各センターの理事長の方々がどのように受け止められたのか、少しコメントを頂きたいと思います。

 

○永井部会長

 どなたでも、橋本さん、いかがでしょうか。

 

○国立循環器病研究センター理事長

 委員の先生方のいろいろな御指摘、これは非常に我々も身にしみて感じる部分ですし、大変良いコメントをしていただいたと思っておりますので、大変嬉しく拝聴しておりました。それ以上は踏み込みません。

 言い出したらきりがないのですが、第1期については、最初のスタートの段階で中期計画を立てて、花井委員もおっしゃっていたように、中期計画がスタートしたときと運営費交付金がとんでもなく違うわけです。しかし、その中で計画は全然変えずにやってきたのです。こういう中で、研究開発法人ということで、研究開発を全面に打ち出した法人として今後やっていくときに、現状は運営費交付金がどんどん削られて、病院の収益をセンターの維持のために回していかなければいけない。うちのセンターについて言えば、平成24年度から平成25年度にかけて9億円利益が増えたわけですが、電気代が上がり、消費税が上がると、同じだけのことをやろうと思うと、単純計算で12億円ぐらい増収して、同じことしかできないわけです。しかし、運営費交付金は更に減らされているわけです。

 そう考えると、本省も非常に努力はしてくれていると思いますが、こういう形で研究開発が今後もやっていけるかについては大変疑問を持っております。では、単純に交付金を増やしてくれというわけにもいきませんが、研究開発法人の在り方をもう少し根本的なところから変えない限り、研究のアクティビティも、やがてプラトーに達してそこからじり貧になるのではないかと大変心配しております。恐らくは、委員の先生方がおっしゃってくださいましたが、6法人とも非常にやる気があって、それなりの成果を出してきましたが、今と同じやり方で今後も右肩上がりの仕事ができるのかについては、何らかの方策を考えないと難しいのではないかと思っております。

 

○永井部会長

 ありがとうございました。そうしますと、まず当初案ということでこの形で出していただいて、見直しのときに協議、御相談させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、そのようにさせていただきます。最後に、法人所管課から一言お願いします。

 

○佐藤医政局医療経営支援課長

 平成22年のナショナルセンターの独立行政法人化以降、各ナショナルセンターは研究所と病院、各部門が連携した取組を行ってきました。その中で多くの研究成果を上げてきています。見直し案の冒頭に申し上げましたが、平成27年度から新たに国立研究開発法人になるわけですので、それを踏まえてしっかりやっていきたいと考えております。引き続きよろしくお願いいたします。

 

○永井部会長

 ありがとうございました。事務局から連絡事項等をお願いします。

 

○和田政策評価官室長補佐

 本日決定した国立国際医療研究センター、国立循環器病研究センターの平成25年度の業務実績の評価結果の取扱いですが、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会へ通知するとともに公表いたします。また、後日、委員の皆様には決定版をお送りします。国立国際医療研究センターと国立循環器病研究センターの暫定評価書()、国立高度専門医療研究センター6法人の組織・業務全般の見直し当初案については、この後予定されている委員会、総会の審議に付される形になります。こちらも、総会での審議を経たものを後日委員の皆様にお送りします。

 なお、見直し当初案については、総会での審議後、厚生労働大臣から総務省政策評価・独立行政法人評価委員会に提出しており、先ほども御説明しましたとおり、この後、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の審議を経て、本年12月に見直し案として本部会、総会で御審議いただきます。その上で最終的には来年2月ぐらいに予定されている部会で御審議いただき、中期目標等に反映する形になります。

 次回以降の開催予定ですが、正委員の皆様におかれましては、826()14時から、厚生労働省9階省議室において第36回独立行政法人評価委員会総会が予定されておりますので、御出席のほどよろしくお願いいたします。以上です。

 

○永井部会長

 それでは、今年夏の高度専門医療研究部会の審議は以上です。委員の皆様には、長時間熱心な御審議をありがとうございました。


(了)

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