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2014年7月29日 独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会(第27回) 議事録
政策統括官付政策評価官室
○日時
平成26年7月29日(火)12:58~16:50
○場所
中央労働委員会会館講堂(7階)
○出席者
永井部会長、内山部会長代理、斎藤委員、祖父江委員、福井委員、花井委員、藤川委員、本田委員 |
○議事
(以下、議事録)
○永井部会長
時間よりも少し早いですが、予定の皆様おそろいですので、ただいまから第27回厚生労働省独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を始めます。
委員の皆様方には、お暑い中、また、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
本日は、三好委員が御欠席です。また、祖父江委員が中座されるということでございます。
本日の議事等につきまして、事務局から最初に説明をお願いします。
○政策評価官
御説明に入ります前に、少しだけ御挨拶させていただきます。4月に政策評価官として参りました藤澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。また、7月11日付けで医政局国立病院課の所掌が変わりまして、名称も、医療経営支援課に変更されました。同日付けで課長に交替がありましたので、御紹介させていただきます。佐藤医療経営支援課長でございます。
○医政局医療経営支援課長
改めまして、7月11日付けで医療経営支援課長になりました佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
○政策評価官
それでは、本日の議事について御説明申し上げます。本日の議題は、お手元の議事次第にありますように2つございます。前半が国立循環器病研究センターの平成25年度業務実績に係る個別評価。後半が国立国際医療研究センターの平成25年度業務実績評価の個別評価でございます。
申し上げるまでもないかもしれませんが、改めて参考資料1を御覧ください。独立行政法人は、通則法第32条の規定によりまして、各事業年度ごとに業務実績について、独立行政法人評価委員会の評価を受けなければならないとされております。
厚労省の独法評価委員会におきましては、この評価を2つに分けて行っております。法人の中期計画等に基づいて設定した評価項目ごとに、S~Dの5段階の評定を付ける「個別評価」と、業務実績全体の状況について、記述による評価を行う「総合評価」の2つでございます。本日は、「個別評価」を実施していただきます。
続きまして、「個別評価」の進め方につきまして、和田補佐から説明申し上げます。
○政策評価官室長補佐
それでは、「個別評価」について御説明いたします。
まず、お手元に配布しております参考資料2を御覧ください。こちらの左端になりますが、「説明グループ区分」という欄がありまして、「個別評価」では、法人の評価項目を、このグループ区分に従い、グループごとに、最初に法人から業務実績と自己評定について説明していただき、これに対する質議応答と評定記入用紙、最初の法人は資料1-3、2つ目の法人は資料2-3になりますが、こちらに評定の記入をしていただきます。これをグループごとに繰り返していただきます。
評定につきましては、S~Dの5段階評価となりますが、各委員におかれましては、法人からの説明を踏まえまして、中期計画どおりの実績であれば「B」、上回っていれば「A」、想定外の成果も含めて大幅に上回っていれば「S」、下回る場合は「C」又は「D」を記入していただきます。
評定には、原則として理由を付していただきますが、特に「計画を大幅に上回った場合のS」、あるいは「計画を大幅に下回った場合のD」の評定を付ける場合につきましては、そのように御判断した理由を具体的に記載していただきますようお願いいたします。
法人におかれましても、自己評定で「S」を付けた場合につきましては、説明の際にその理由を明確に御説明していただくようお願いいたします。
また、参考資料2の右側の欄には、「平成25年度の業務実績評価に係る法人の自己評定」と「昨年度の委員会の評定結果及び法人の自己評定」を記載しておりますので、評定を付ける際の御参考としていただければと思います。
なお、委員の皆様方には、評定記入用紙に評定と、その理由を記入しながら議事を進めていただく形になりますが、会議時間内に記入が終わらない場合につきましては、資料をお持ち帰りいただいて御記入いただくか、あるいは、本日、評定記入用紙の電子媒体をメールでお送りいたしますので、電子媒体に御記入の上、御提出いただきますようお願いいたします。その場合には、お忙しいところ大変恐縮ですが、8月1日(金)までに事務局に提出していただきますようお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○永井部会長
それでは議事に入ります。最初に、国立循環器病研究センター理事長から御挨拶と、平成25年度における業務実績のポイントの御説明をお願いいたします。
○国立循環器病研究センター理事長
国立循環器病研究センター理事長の橋本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
昨年度は、循環器病研究センターは大変高い御評価を頂きました。これは、委員の先生方が我々のデータを深く読んでくださり、判定を頂いたものと、深く敬意を表しております。また、センター職員にとっては、このような高い評価を得たことが、もっと頑張ろうというインセンティブになっておりますので、大変有り難いことだと思いますし、また、気を緩めることなく行っていきたいと考えております。
去年も申し上げましたが、中期計画中のそれぞれの年度での目標は、それぞれ連続したものですが、初年度は、独法初年度ですので意識改革と組織改革を重点的に行いました。そして次の年は、赤字になってもいいからということで投資をしまして、基本的な基盤強化に励みました。
それを使ってその後の年度を行ってきているわけですが、この概要資料の5ページを御覧ください。平成25年度は、右に書きましたように、中期計画終了を念頭に置いて、その中で当初予定していたことをいかに達成するかということがありますが、それだけではなくて、その先を考えて、25年度と最終年度は取り組もうと考えております。
基本的には、後で御紹介しますが、ほぼ右肩上がりだと思いますが、右肩上がりだけを狙っていっていいのかということがあります。これは、恐らく第2期の問題になると思いますが、目標設定をもう一度見直さなければいけないと思っております。その中でこの第1期については、もちろん収支バランスを考えないといけないわけですが、しかし、それにこだわっていて、やるべきことができないと困りますので、例えば、この第1期の中では、臨床研究をするための支援体制を非常に強化してきましたが、これは、そういう事業が終了すると人件費の手当が無くなりますので、折角築き上げた支援体制をどう維持していくかが今後の問題になるかと思います。そして、収支バランスと構築したものを維持することとの兼ね合いが問題になると考えております。ただ、25年度は相対的に右肩上がりできたことは事実だろうと判断しております。
また、下にも書きましたように、平成25年の6月にセンターの移転建替えを決定いたしました。これには大変な労力を要しましたが、移転建替えによって、単に建替えだけではなくて、ここに書きましたように、「循環器病の予防と制圧」の国際拠点を目指すことと、単にセンターが1つで存在するのではなくて、その周辺の整備をすることによって、国際級の複合医療産業拠点を作ることについて、着々と整備を進めております。現在は基本設計の段階まで行きまして、また、周辺整備についても自治体等との協議を重ねて、目標に向かって頑張っているところであります。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井部会長
それでは、4つのグループごとに国立循環器病研究センターの個別評価を行っていきます。まず、グループ1、評価項目1と2について評価を行います。説明10分、質疑と評定の記入に15分、合計25分でお願いします。
それでは法人から「平成25年度業務実績」と「自己評定」についての説明をお願いします。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
研究開発基盤センター長の妙中です。どうぞよろしくお願いします。
まず、評価項目1については、説明資料の6、7ページを御覧ください。この中で、主だったところだけを述べさせていただきます。
数値目標1「研究所と病院との共同での研究」ということで、グラフ1のように、中期計画を今回クリアすることができております。数値目標2「企業との共同研究」について、これは昨年度に引き続いて、中期計画の約2倍弱ということで、非常に大きな数を得ることができております。数値目標3「職務発明委員会での特許出願審査件数」について、これも着実に伸びており、恐らく、最終年度でこの目標をクリアできると考えております。
我々の所は産学連携を非常に熱心にやってきているわけですが、そのお陰で数も増えてきております。具体例としては、7ページの写真3に「事業化事例」というのがあります。これは3Dプリンターを用いた心臓レプリカです。特に、小児先天性心疾患の複雑心奇形のようなものを忠実に再現することができると。こういうものを用いることで、医師のトレーニングや手術のリハーサル、あるいは患者への説明、そういうことが非常に効率的に行えるようになりました。この事業については、共同研究開発した企業とともに、「第5回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞」を頂いております。
このように医療機器に関しては、早期・探索的臨床研究拠点事業の中で、着実に研究開発を進めているわけですが、6ページの左の上を見てください。医療機器-品質マネジメントシステム(ISO13485)の構築ということが、今年度の1つの大きな達成項目ではなかったかと思います。これは平成28年3月までに取得するわけです。ISO13485というのは、主として医療機器メーカー等が持っているマネジメントシステムです。この中で、循環器病研究センターで医療機器をデザインして、それを設計していくことを、品質マネジメントシステムで、医療機器メーカーがやるような、品質マネジメントのクオリティを上げてやっていくということです。これは、恐らく国内の大学医療機関では初めて、こういうことを取得することを目指して活動を開始しております。
これを取ることで、企業が循環器病センターと一緒に研究開発をすると、シームレスに製品化まで持っていくことができると。そういうインセンティブを与えることもできますし、将来的には、それで循環器病センターが収益を上げる。しっかりした品質マネジメントシステムの下に設計開発したものだからということで、それに価値を付けて企業に渡していけるという可能性もあると思います。
機器に関して言いますと、医療クラスター棟という建物があり、そこにトレーニングセンターを建てております。機器は薬と違って、うまく使うということが非常に重要で、このトレーニングセンターに関しては、新規のカテーテル等の開発計画にも使用しております。7ページの写真2にありますように、医師と看護師、あるいは臨床工学技士も含めたトレーニングセンターの活用で、1年間に475件。外部からのトレーニングの受入れも約50件ということで、非常に活発に活動させていただいております。国際総合戦略特区事業を使って、アメリカ、ロシア、シンガポール、韓国、台湾、カタールなどから医師等を受け入れ、ここで、我々が研究開発してきたような機器を使用してもらって、それを海外に展開していくというトレーニングにも使わせていただいております。
機器開発以外にも、前回もお話ししましたが、国循の食の事業の展開も、今回もう1点発展させて、今年度の事業に行き着いているわけですが、食であったり、運動であったり、そういうものに入ってくるためのインセンティブを作るための、診断用の在宅の医療機器の研究開発を一緒にして、広告会社大手の博報堂さんと一緒に共同研究契約を結びまして、健康行動デザイン、正に健康寿命延伸の循環器領域での貢献につなげていく事業化も図っております。
次に項目2について、8、9ページです。これも数値目標からお話しますと、8ページのグラフ、「治験依頼から契約締結までの期間」は大幅に短縮してきております。「治験契約金額の推移」、「治験・受託研究収納金額の推移」を見ていただいても、非常に大きな伸びを示しております。「国循で実施された医療機器の治験数」も着実に増えております。
この中で、我々が今回非常に注力したのは、8ページの右の上、「倫理性・透明性の確保」です。信頼性保証システムの運用を開始したことが、1つ非常に大きなものです。これは我々のようなアカデミアではまれな試みだと思われますが、特に医療機器開発に関しては、データの信頼性を保証するために、組織としてシステムの構築、運用を始めました。
9ページの資料4「信頼性保証システム」を見ていただきますと、これは研究開発の過程で、動物実験や非臨床試験等をやる過程で、組織としてセンター長の下に信頼性保証部門を立ち上げて、動物の飼育責任者、施設管理、資料の保守管理責任者等を配置して、一番下のworkflowにありますように、いろいろな書類が全て系統立って、計画書から報告書まで、原本を含めて残っていくことを目指しております。真ん中の段にありますように、正確性、これは申請資料は実施した試験の方法・結果を正確に反映している。完全性・網羅性、これは不都合なデータも含めてきちんと記載されている。保存は、元の資料に必ずたどっていける。こういうことで、試験計画書から始まって、標準作業手順書、試験に使用した機器の点検・校正、生データ、それの報告書、それらを保管するということでやっております。
これは何をするかといいますと、機器の申請も大事ですが、これをやることで、昨今、いろいろな所で研究に関して残念な出来事がありましたが、データが完全に残っている、生で保てるということで、透明性を確保しようという取組です。
8ページの左上の「臨床研究推進の支援」の所ですが、データの品質管理システムREDCap、これは臨床試験をインターネット環境でデータ管理ができるシステムです。これは米国で開発されたもので、無料で我々は入っております。このシステムもデータを書き換えたり、付け加えたりすると、それが全部記録に残るということで、臨床研究の透明性をちゃんと確保していこうという動きを構築しております。
8ページの右にある「医学倫理研究室」は、病院と研究所と事務から独立化させた。これは非常に我々のところでも珍しい形だと思います。臨床研究等、これは研究所の研究の倫理評価などもしておりますが、倫理問題に関するコンサルテーションをセンター内外の研究者に提供しています。外部に12例、内部に65例ということです。
さらに「臨床研究推進の支援」ということで、我々の内部だけでやっているわけではなく、8ページの左上ですが、大阪大学と共催することで、内外に提供しているクリニカルリサーチプロフェッショナルコースを我が国で唯一、EUで標準化された医薬品開発専門家養成コース、PharmaTrainに準拠したコースに拡充したということです。これは正に、医薬品の開発の創薬から始まって、倫理も含めた臨床試験、最終的に市販後調査まで含めた講義を1年間通してやる。2年間で1コースですが、それをやるということで、全国から38名の参加をいただいております。30数万円の参加費を頂いておりますが、この中で、こういう分野での専門家を養成しております。このうちの約40%が医師、60%が医師以外、60%強が企業からで、あとはPMDAからも来ていただいておりますし、筑波大学や東京大学、もちろん循環器病センターも含めて、大学病院からも来ていただいております。このコース自体は、非常に日本の臨床研究の推進の支援に貢献できているのではないかと思います。これは我が国でただ1つのもので、非常に有意義な成果だったのではないかと考えております。以上です。
○永井部会長
それでは、御質問、御意見を頂きたいと思います。
○福井委員
素晴らしい成果だと思いますが、「S」を付けられたポイントは、評価項目1と2について一言で言うとどうなりますか。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
まず、評価項目1については、数値目標、企業との共同研究の数は、圧倒的に元の計画の目標を上回っていると言えると思います。もう1つは、品質マネジメントシステム(ISO13485)の構築が挙げられると思います。もう1つは、トレーニングセンターに関しての活動は、これほど活発にトレーニングセンターを活用している所はないと我々は思っておりますので、そこで「S」としております。
評価項目2に関しては、数値目標は全て「S」に値するのではないかと思います。もう1つは、倫理性・透明性の確保の所は、品質保証システムや、REDCapを使った管理の方法、医学倫理研究室での活動も、我々としては「S」と考えており、こういう評価をしております。
○永井部会長
よろしいですか。ほかにいかがですか。
○花井委員
共同研究は、院内での研究所と病院の共同研究とか、素晴らしく進捗していると思います。これは研究開発基盤センターを設置して、いろいろサポートしているところですが、この体制は、その後増えたりしているのですか。どんな体制で、それとの臨床研究や外部機関との共同研究が、この基盤センターとどのように関係しているのか教えてもらえますか。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
スタートした時点から増えているのは、産学連携を担当する部門の知的資産部というのがあり、ここが外部と内部、あるいは企業とかを結んで、国民への橋渡しも含めて担当しております。臨床研究等に関しては、臨床研究部はトランスレーショナルリサーチをやる所。先進医療・治験推進室は、これは主として治験や先進医療を推進する部屋です。それから、トレーニングセンターを作らせていただきました。プラス、途中から医療倫理の部屋を、もともと病院にあったのを研究開発基盤センターに持ってきて、研究所と病院から独立させ、事務からも独立させたという構成をしております。
バイオデータバンクというのが最初あったのですが、それは国の事業としてバイオバンク事業が動いたので、一応、センターとして全面的に押していこうということで、研究開発基盤センターの中にあったのですが、今は総長付けの所に動いております。
いろいろな医療統計に関しても、予防医学・疫学情報部というのが、研究開発基盤センター室の中にあるのですが、それを統合情報センターを今年建てるということで、これは一応外出しをしております。将来的には、それも全部含めて研究開発基盤センターに戻ってくると思いますが、そういう体制で組織を作りながら、研究開発の振興を産学連携も含めてやっているのが現状です。
予算に関しては、大きかったのは早期・探索的臨床試験拠点整備事業で、人を増やすのにある程度効果があったと思います。去年から今年にかけて、総人数で4人ぐらい増えていると思います。ただ、これは仕分けがあり、予算がどんどん絞られてきて、非常に苦しいことは事実ですが、苦しい中でもやらないといけないことはしっかりやってきていると。その結果、こういう成果が出ているのだと私たちは思います。
○花井委員
ありがとうございました。
○内山部会長代理
精密な心臓レプリカに感心していますが、具体的に、どんな所で、どんなふうに使われ始めているか、あるいは使われようとしていますか。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
今、使っている使い方は、センターの中でのカンファレンスとか、そういう所でシミュレーションをやったり、そういう使われ方をしております。患者さんへの説明などにも使われていますが、これは将来的には、センターが持っている病理副本は、大群データに全部取って、画像データとして3Dで再生することができると、将来的にはいろいろな機器の開発や手術法の進歩の生のライブラリーになっていくのではないかと思います。これは日本国内だけではなく、センターが持っているデータや標本としての資産を広く広げていく。それは、できれば事業化に持っていけたらと思いますが、そんな方向性を考えております。今年から高度センター間で研究班を立ち上げていただいて、保険収載等も含めてどうやっていくのか、今、ディスカッションをしているところです。
○祖父江委員
大変素晴らしい結果だと思います。特に基礎研究から臨床への一貫したシームレスな流れができているのではないかと感じました。先ほどの質問とも絡むかもしれませんが、いわゆる予算のセグメントとして、臨床のセグメントと基礎の研究者のセグメントというのが、なかなかシームレスに予算化できないというのがあるかと思います。研究を一貫的に進めようという観点から、その辺をどのようにされているのか。例えば人事とか研究予算とか、ポストの面とか、研究所というのは維持発展していくのに、病院に比べてなかなか難しい側面があると思うのですが、そこをどう考えて実行されているのかお聞きしたいと思います。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
研究所の予算については、競争的資金が一番大きなことになります。それとともに、健康・医療戦略推進本部、今度新しい法人等もできますが、あそこに付いている予算というのは、基礎研究もそうなのですが、実用化に向けての目標性みたいなものがあって、ああいう所に積極的に我々は出させていただいて、基礎研究だけではなく、産業化することも含めての医療技術の進歩を我々も狙っていますし、国にもできるだけそういうお願いをして、そういう予算の枠組みを作っていただいております。特に今度厚労省から、我々もさせていただいているのですが、在宅医療用の機器や技術というのは、将来の健康行動デザイン等も含めて関係があると思いますので、そういうことも提案させていただいて、うまく予算に乗せていただいてやっていく。基礎研究だけではなく、将来を見据えたような予算になるように、関係省庁等と協力させていただいているというのがやり方かなと思っております。
○藤川委員
今の質問に絡む話ですが、信頼性の確保ということで、「信頼性保証部門」と図の中に書いてありますが、これは具体的に部門を別に作って、第三者的に信頼性を確保するために、ほかの部門とは関わりなく、接触をしないようにして作られている部門ですか。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
これは、新たにこれだけの人を雇用することはできなくて、内部の中で指名をして、それぞれの責任者としてやっております。例えば、信頼性保証部門の責任者は、臨床研究の開発部門長や部長をしておりまして、新しく出てきたプロトコールに関わらない人間をそれぞれ指名してやっております。
○藤川委員
やはり、何か関わりがあると、第三者性というところが疑われるようでは、せっかくやった意味がなくなるということで、その辺を注意されてやっておられるわけですね。やはり、将来的にお金になるのは何かとよく考えていらっしゃるような気がするのですが、そんな中でいろいろな組織や、すぐにはお金にはならないけど、いろいろ工夫をされていらっしゃるなと感じたのです。やはり、予算面で短期的には赤になってもしょうがないけど、将来的に芽が出るために今やっているというイメージで考えればよろしいですか。
○国立循環器医病研究センター研究開発基盤センター長
そのとおりで、信頼性保証システムというのは、倫理性・透明性の確保ということもありますが、これは商品になるのです。このデータ自体が価値を持つ。循環器病センターで治験をすれば、それをそのまま薬事承認等に使えるということになると、ここで出てくるデータに価値が生まれる。それを我々は狙っています。
○藤川委員
今期は運営費交付金が減じられて赤字が出てしまいましたが、将来的には、いろいろな試みが黒字化につながるという期待を持って評価すればよろしいということですね。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
全ての事業を、研究開発基盤センターは特にそうですが、将来的に事業化できる、自立化できる。先ほど競争的資金等で支援を頂くというお話をしましたが、実はそれだけではなくて、それが終わっても回るシステムにしていきたいということです。例えば、研究開発基盤センターの中に特任部長を1人雇っておりますが、これは元テルモにおられた方で、その方を我々の所の薬事担当で引き込んでやっているのですが、それは外部の企業や我々と一緒に連携する所と、既にコンサルをやり始めております。そういうコンサルフィーのようなものも組織として取っていくことも、自立して活動する方法かと思います。トレーニングセンターも、外部へ貸し出すときは費用を取っているのが今のやり方です。
○藤川委員
ありがとうございました。
○花井委員
細かいところですが、評価シートの25ページの下から2番目の4の利益相反の件で、COIの規程の見直しに着手したと書いてありますが、私の記憶では、昨年度も見直しに着手したと書いてあったと記憶しているのですが、これは進捗していないのですか。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
利益相反委員会は既に活動しています。
○花井委員
これはまた平成25年度の結果でも見直しに着手したとなっているので、一見、字面だけ見ると進捗していないようになっていますが、その辺の進捗状況は。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
これは進捗していると私は思っておりますが。倫理委員会のたびに利益相反委員会もちゃんとやっておりますし、きちんと我々の所はやっていると思います。
○花井委員
COIというのはそうだと思いますが、前年度着手したと書いて、次年度も着手したと書いてあるので、字面で進捗していないように読まれてしまうので、もしそこは誤解であれば、どのような状況か。細かい話で恐縮です。
○国立循環器病研究センター研究開発基盤センター長
進捗しております。失礼いたしました。
○花井委員
分かりました。
○永井部会長
また、適宜御質問を頂くこととして、取りあえず、ここまでのところの記入をお願いします。その間にグループ2、評価項目3について御説明をお願いします。10分でお願いいたします。
○国立循環器病研究センター研究所長
研究所長の寒川です。評価項目3、「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」ということで、自己評価的には「S」としております。
その中で、「循環器疾患の解明と医療推進に大きく貢献する成果」の「主な成果」ということで、これは例年、ある一定以上のインパクトファクターのある論文ということで挙げています。それに関しては、インパクトファクター15以上が5件ということです。ただ昨今、余りインパクトファクターだけを強調するとよくないということで、それと同時に、NATURE、CELL、SCIENCEという雑誌も、再現性が非常に乏しい内容も多いと批判されているので、やはり、こういった数字だけではなく、内容的、あるいは実際に臨床で使える研究・開発を進めることが非常に重要だと私自身は認識しております。
その中で、10ページの左下の「主だった研究・開発」としては、これは一般的に考えにくい結果ですが、グレリンという食欲、あるいは成長ホルモンの分泌を促進するホルモンが、心筋梗塞後の重症不整脈を抑制する効果があることを、ラットのモデル動物で証明しております。同時に、ヒトにおいても、交換神経抑制、不整脈の抑制等につながるかどうかということで、臨床研究も始めたところです。
昨年も、心臓ホルモンのANPががんの転移を抑制する、そのメカニズムとしては、血管の炎症等を抑制して、手術時に血中にばらまかれたがん細胞が血管壁に着床するのを抑制することが転移抑制であることを示しましたが、その後、研究を更に進めており、ANPと抗がん剤を併用することにより抗がん剤の腎毒性を軽減することを見いだしました。抗がん剤は非常に急性の腎障害、腎毒性を有することが多く、連続して繰り返し投与しますと、腎障害で投与不可能になることもあるわけです。これは動物モデルでの結果でありますが、それに対してANPを併用する、実際は1日前からANPを投与しておいて、その次の日から抗がん剤ということですが、実験的にはシスプラチンを使っておりますが、この腎障害を非常に抑制するということです。これについては現在、我々の施設ではないのですが、近隣の刀根山病院で実際の患者に抗がん剤を投与しているときに、ANPを併用するとどうなるかという、これはパイロット的な臨床研究をスタートしたところです。
さらに、抗がん剤とANPを併用することによって、抗がん剤の抗腫瘍効果が増大するということで、このメカニズムについては複雑なところがあるのですが、結果としては、抗がん剤が腫瘍の中心まで届きやすくなるということです。そういうことで、抗がん剤を投与する1週間ぐらい前からANPを投与しておくと、腫瘍の周辺に非常に漏れやすい抗がん剤が血管を正常化にすることによって中心まで届くということを、実際にSPring-8等の非常に微小血管が見えるシステムでも確認しております。
これは、いずれもがんに関係する所で、なかなかセンターで直接患者さんにというわけにはいかないので、いずれにしても、その研究を推進したいのですが、私自身が中心になって、阪大等、実際の患者さんを持っている施設と協力して進めております。いずれにしても、メカニズム的には血管と結び付いておりますので、循環器病センターは血管が専門ですので、そういう面ではがん細胞を直接どうこうという形の抗がんということではありませんので、我々の研究に密接に関係している領域だと思っております。
右のページの「疾病に着目した研究の実施」ということで、「循環器病の本態解明」ですが、その中で、これは赤で書いておりませんが、センター内で心臓の形成と再生に必須な分泌因子を新たに同定したということで、その機能が昨年から非常に進展してきております。
「循環器病の実態把握」については、日本脳卒中協会より脳卒中データバンクの運営を、センターに昨年から移管しております。
2の循環器疾患診療実態調査(JROAD)は、これまで平成16年から循環器病学会のほうで扱っていたのですが、そのデータセンターをセンターが担当することになっており、こういった実態把握について、脳卒中、あるいは心疾患等についても、センターでデータの管理・活用ができるようになっております。
そのほかにも、高度先駆的及び標準的な予防、診断、治療法の開発等も進めております。医薬品及び医療機器の開発の推進も、基礎的な研究から臨床に向けて、薬剤、あるいは診断薬、それから医療機器という面でも、センターで開発したものを臨床に持っていく形のTR的な研究も進めております。
「S」評価ということで、1つ強調しておきたいのは、一番右下に書いてありますように、科研費の新規採択率については、平成21年度は約30%でしたが、平成25年度は48%と非常に高率です。ちなみに、全国平均は27%ぐらいです。これは、それを推進して更に結果を出すことは大事ですが、やはり、若い人というのはこういった採択は励みになりますので、研究推進に結び付くと考えております。
もう1つの数値目標の「臨床研究及び治験の実施件数の合計数」は375件で、対21年度で約45%増加しております。これも中期計画では5%以上という目標ですので、大幅な増加となっております。いずれにしても、全般的に、昨年度もセンターの研究・開発というのは順調に進展していると思っております。以上です。
○永井部会長
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。振り返ると、今年は持ち直したのですが、中期計画の間に、数年、論文数が減りましたが、これはどういうふうに分析されていますか。
○国立循環器病研究センター研究所長
それはなかなか難しいのですが、これはセンターの場合、どちらかというと研究所よりも病院での論文出筆がかなり多かったのですが、そちらのほうが実態的には減少しているということです。やはり、病院は医療の上での採算云々ということで、それに負担が掛かっているのではないかと思っているのですが、今後、その辺りを分析して、臨床でもそういった論文数が増えるようにしたいと思います。
○永井部会長
国際的に、日本はこの10年間論文数が伸びていないということがありますが、若い人たちが研究をしても論文を書かなくなったということはないのか、その辺はどうでしょうか。あるいは、もっと大きな論文を目指していて、小さな論文は余り書かないとか。
○国立循環器病研究センター研究所長
それは何とも言えないのですが。先生も大学のほうでそういった形を。
○永井部会長
ちょっとそういう傾向があるかと、私自身は思っておりまして。
○国立循環器病研究センター研究所長
全体的に、とにかくこの10年間、いずれの分野でも日本は論文数が減っているという分析は出ています。
○内山部会長代理
科研の採択率はとても素晴らしいと思いますが、申請率はいかがですか。何人ぐらいの方が提出して、出さない方はどの位いますか。
○国立循環器病研究センター研究所長
85%以上は申請資格がある人です。85%以上は申請しております。
○内山部会長代理
ということは、研究所に限らず、病院勤務医も臨床をやりながら、研究をしているということでしょうか。
○国立循環器病研究センター研究所長
センターの場合、以前は診療に専念ということで、独法化するまでは病院のほうは申請資格がなかったのです。そういうことで、独法化してから今年で5年目ですが、病院のほうも年々増えております。
○国立循環器病研究センター理事長
永井先生の御質問に対しては、一般的に言われていること以外のことは、なかなか分析ができていないのが実情だと思いますが、センターとしてどうやったら若い人を育てるかということで、研究・開発費を若い人に、ボスがやっている仕事でない仕事、自分でこれをやりたいという仕事を申請させて、年間100万円を研究費として与えて、必ずしも成果は出なくてもいいと思いますが、こういうふうにやって、こうだったということをまた書かせて、それを審査して継続させるという試みをしています。それはすぐには結果には結び付かないと思いますが、2年目の申請というか、こういうことをやった、また続けたいという記載を見ると、そういう文面からはかなりやる気が若い人にも芽生えてきているのかなと。それはただ、結果に出るのは、多分10年先だろうと思いますが、そういう努力はしております。
○花井委員
数字というのはなかなか難しいかもしれませんが、今の科研の関係で、例えば、研究職で、主任研究者が研究所と病院とどちらが多いかとか、主任研究者は医師の方が多いかと思いますが、分担でMEさんとか、薬剤師さんがどの程度研究者として、病院全体若しくは施設全体として、研究マインドは立ち上がっているみたいなので、その数字で、何か参考になるお話があれば聞かせていただきたいのですが。
○国立循環器病研究センター研究所長
採択云々というのは、全て主任研究者としての採択です。ですから、85%以上の申請率ですが、残りの15%の中には、分担者になっているので、主任として申請していないのも含まれております。
○花井委員
全部主任での申請というのは理解したのですが、その研究チームの中に、循環器センター内のほかの職種とかも結構入っているものなのか。普通、主任が研究チームを作って、例えばMEさんや薬剤師さんを分担で入れて、全体で研究を進めるというスタイルだと思います。もちろん他施設の人が入っている場合もあると思いますが、そういった感じで、病院全体が科研にどんどんやっているというムードに、職種を問わずなっているかどうか。少し抽象的ですが。
○国立循環器病研究センター研究所長
詳しく述べませんでしたが、科研というのは文部科研だけを指しております。文部科研の場合は、どちらかというとベーシックな研究で、他職種が加わっているのは比較的少ないと思います。
○花井委員
分かりました。ここはナショナルセンターなので、そういうことはないと思いますが、病院などではよく「あの先生は研究が好きだよね」みたいなことで、病院の職員は遠くで見ているだけみたいなところも結構あるので、こういうセンターであれば、病院全体が研究に取り組んでいるんだというムードになっているのかなと、そこが少し気になったので伺いました。
○国立循環器病研究センター研究所長
それは、総長も先ほど言いましたが、若手の研究に100万円程度出すのは、薬剤師、あるいは臨床工学士、看護部からも応募があり、実際にそういう方たちにも研究費を出して、続けてもらっているということはあります。
○祖父江委員
どうもありがとうございました。1つ実態把握ということを触れられたのですが、私の印象では、ナショナルセンターというのは全国規模といいますか、非常に大きなコホート的なものを動かして、センターになってもらうといいなと思っているのですが、この内容がよく分からない点があったのですが、昨年から脳卒中業務から移管したとか、これは学会とリンクしてやっておられるということですが、多分、予防とかをお考えになって、ファイナルゴールを目指しているのだと思いますが、内容がどういうものかということと、将来構想としてこれはどうされようとしているのか、この2点です。例えば内容は、バイオリソース、血液や遺伝子も含むものなのかどうか、これは臨床情報だけですか。
○国立循環器病研究センター研究所長
これは情報だけですね。今の検体を含む云々については、6ナショセンでもバイオバンクという形で、それぞれのセンターが、我々の所だけではなく、6ナショセンがそれぞれの専門分野の疾患で臨床情報と血液、あるいは尿といったものを一括して、とにかく研究・開発に使ってもらってよろしいという形でスタートしたのが4年前で、今、それは着実に各ナショセンでも進んでおります。将来的には、それを統合して、民間企業も含めて、ある一定以上の検体数が蓄積できれば、共同研究等を通じて一緒にやっていくという形に、今進めつつあります。それはバイオバンクのほうで。
○祖父江委員
循環器病センターとしても、バイオリソースとリンクしたものをどんどん進めようというお考えですか。
○国立循環器病研究センター研究所長
それはそうです。特に、これまでそういったものは研究費が付いてからスタートしていたので、やはり、各ナショセン、私の所もそうですが、これは事業としてやっておりまして、とにかく途中でストップできないということで、研究費がないからできませんということがないような形で、交付金の一部を充ててやっております。
○福井委員
2点ほど伺います。10ページの右側のカラムの下の2つの項目ですが、科研費以外にイントラミューラルというか、循環器病センターとして持っている研究費をファンディングするとか、そういう研究費が別個にあるということですか。
○国立循環器病研究センター研究所長
循環器病研究・開発費というのがあります。ただ、それも交付金で毎年どんどん減っておりますので、やはり外部資金をできるだけ取らないといけないという状況になっております。これは大学も同じだと思うのです。
○福井委員
下の所ですが、臨床研究などはセンターの研究費を使って行うものが、これには入っているということですね。
○国立循環器病研究センター研究所長
それにも入っておりますし、中には厚労科研とか、外部資金をもらっての研究もあります。
○福井委員
1つだけ確認をお願いしたいのですが、ここで「治験」という言葉が入っていますが、この治験の数というのは、前のページの金額で表わされている治験と同じものの件数ですか。
○国立循環器病研究センター研究所長
そうです。治験に関してはここに挙げています。
○福井委員
分かりました。
○永井部会長
よろしいですか。それでは、適宜記載いただくことにします。
次はグループ3、評価項目4~9について、10分の説明、15分の討論でお願いします。それではよろしくお願いします。
○国立循環器病研究センター病院長
評価項目4~9については、病院長の内藤が説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、病院事業、平成25年度の取組を簡単に要約しますと、病院診療の基本的事項は、センターの理念として、循環器病の究明と制圧です。このためのスタンスとして、高度医療を安全・安心とともに提供するのはもちろん、高度医療の普遍化・標準化、次の医療を患者とともに作ることを基本スタンスと考えております。そのための標的疾患としては、動脈硬化症から心筋梗塞、脳卒中という現在の代表的な病気以外に、難病指定の循環器病、重症心不全、成人先天性心疾患等もターゲットですし、診療のタイプとしては、急性期医療だけではなくて、予防・予測・先制医療、あるいはケア医療にも力を入れています。
病院の診療に係る体制の整備で、今回強調したいのは、1つ目は緩和ケアチームの設立、2つ目は医学倫理研究室の病院側での活動、3つ目は循環器病統合情報センターの設立、この3点は強調したいところです。
それでは、評価項目4、「高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供」については資料の11ページを御覧ください。
患者に優しい医療では、2つの循環器難病の治療につき報告します。禁煙以外に有効な治療法がないとされる四肢の血栓性血管炎、バージャー病に対するカテーテル治療が、写真1のように予想以上の効果を示しております。それから、昨年も報告いたしました、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する経皮的肺動脈形成術については、手法を確立するとともに、ガイドラインを取りまとめて、海外の専門医チームが見学に訪れております。
高度医療については、写真2の内閣総理大臣賞受賞の精密心臓レプリカなど、センター開発の用具を、特に手術前のカンファレンス等で積極的に応用し、非常に良い印象を受けております。
脳動静脈奇形に対する外科手術、血管内治療、ガンマナイフの高度複合治療は、全国5施設で可能なのですが、その中の先導施設として我々の施設は進んでおります。
予防・予測的治療では、虚血性心疾患の再発予防目的だけでなくて、一般病院では行われない重症心不全に対する心臓リハビリテーション等を積極的に実施し、件数が飛躍的に増加しております。
以上、承認された先進医療等に加えて、最新の高度先駆的医療の推進は計画を上回るものと判断し、「A」評価といたしました。
引き続きまして評価項目5、「患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供」について、12ページを御覧ください。
患者支援の視点では、昨年の評価会の後に、予約1患者1枠制の導入を決定いたしまして、昨年内に電子カルテ、予約システムの改築を実施いたしました。ただ、1年先の予約が既に入っていたため、これの実動は平成27年1月より動くことになります。予約制の改築はする方針で動いておりますが、まだ実行はできておりません。
今回強調したいものはチーム医療・職種連携の視点での、循環器病の終末期医療に特化した国内初の緩和ケアチームを平成25年9月に発足しました。図のように医師、看護師、薬剤師、理学療法士、MSW、臨床心理士からなるチームで、平成25年の9月~12月に20件のコンサルテーションをし、患者・家族の苦痛緩和と終末期医療のモデル確立を目指し活躍中で、内部評価は非常に高いものがあります。
医療連携の視点では、連携登録医の順調増加がグラフ1に示され、30年度の移転時に吹田市の市民病院が隣接地に移転する予定なので、高度専門医療施設と総合病院の医療コンプレックスの形成は国内初ということになるために、これを成功させるべく、吹田市民病院との「医療連携連絡会議」を昨年7月以降開催し続けております。
医療の質・医療倫理の視点では、倫理委員会から独立した形での、国循独自の医学倫理研究室の活動が活発化し、グラフ2のように、病院からのコンサルテーション依頼が非常に多く寄せられています。アンケート調査では、内部評価は非常に高くて、本年5月には、特に臨床側からはよく相談のあった、臨床における保険適応外治療についての手順の要約を、この研究室でまとめていただきました。
緩和ケアチーム、医学倫理研究室の活動は、予想を大きく上回り、患者視点の医療の推進に大きく貢献したこと、吹田市民病院との将来の医療コンプレックス形成も、新しい医療の形を期待されるものであることより、「S」評価とさせていただきました。
引き続き、評価項目6です。「医療政策の一環として、センターで実施すべき医療の提供」については13ページです。
まず、センターが今後最も力を入れるべき重症心不全医療では、心臓移植は日本初の60例を達成いたしまして、臓器移植法改正後の4年で、改正前11年の実績を上回っております。更に強調すべきは、植込型左室補助人工心臓の推進で、グラフのように平成23年の植込型保険償還後、25年4月のHeartMate2という機種の登場以降、一気に植込型の使用が加速し、この機種の使用は、アジア最多の実績を誇っております。これにより重症心不全患者の自宅療養が可能となり、著しいQOLの向上が実現しております。これは重症心不全治療に新しい局面をもたらしたと考えております。また、心臓移植患者対象のリハビリテーションは、国内最多の実績を示しております。
その他の取組では2点を強調します。1つは重症先天性心疾患の治療後長期生存例や、成人で初めて発見される病態の進行例などの、いわゆる成人先天性心疾患は診療が難しく、その体制と人材の整備が急がれるところですが、診療体制の整備は、センターの使命でもあり、専門外来を運用するとともに、25年度には専門修練医の特別研修コース、成人先天性心疾患コースに応募があり、懸案の人材育成がスタートしています。
心臓病合併妊娠の取扱いは、25年度も国内1位、世界3位を占めております。
臓器移植法の改正に伴う心臓移植の増加に対応し、国内移植医療の先頭を走っていること、特に補助人工心臓については、HeartMate2という機種の登場で、植込型の使用が一気に加速し、重症心不全の医療に想定を超える新展開をもたらしたこと、加えて、本邦での成人先天性心疾患の医療構築にも進展があること等から、「S」評価とさせていただきました。
評価項目7です。人材育成に関する項目は14ページです。
リーダーとして活躍できる人材の育成として、数値目標である教育研修プログラム数はグラフのように目標を達成しております。
レジデント、専門修練医は高いレベルの人数を維持し、高度専門医療教育の充実を示しています。今回強調したいのは、右下表の国循特有の専門修練医特別コースの実績です。独法化の前後より、表の上3つの特別コース、重症心不全・移植部、成人先天性心疾患、新生児小児集中治療科を開設し、最新は心臓リハビリテーションで、各コースに相当数の応募があり、心臓病診療のスペシャリスト養成が予想以上に順調稼働したと考えています。
独法化の専門修練医制度の大きな改革はもう1つ、複数コースの重複研修ができるように規則を変更したことで、表の下にありますように、重複研修者もかなり多くて、専門修練医の2割程度を占めています。この制度も予想以上の人気があって、特に病理、あるいは画像診断で、専門性に幅を持たせようという意欲を持った方が多く見られております。
研究費配分による若手医師の臨床研究の推進も強調したいところです。
職員のキャリアパスの充実と学位授与機能の補完のため、連携大学院制度と社会人大学院進学を推進し、現在14大学での連携、大学院生は15名となっております。また、例年10人程度の修了者を出しております。
モデル医療研修の実施では、センター外の医療従事者等に対する各種研修は47回となっております。
数値目標である「教育・研修プログラム」は2年目に中期目標を達成し、その後もこれを維持し、センター外の医療従事者等に対する研修も、中期目標計画を大きく上回ること、専門修練医の特別コースは予想以上に順調稼働し、研究費配分、大学院留学など、レジデントの士気向上が著しいことから、「A」評価とさせていただきました。
次は評価項目8です。医療の均てん化と情報の収集・発信の事項については資料の15、16ページを御覧ください。
まず15ページですが、情報の収集・発信について、大きく「国循の減塩プロジェクト」の推進とその他としますと、ここでは減塩プロジェクトの推進のほうを示しております。「国循の減塩プロジェクト」は東日本大震災被災地の健康管理の支援として始まり、その後、国民の循環器病予防のヘルスケア戦略に発展したものであります。国循病院食「かるしおレシピ」は、減塩プロジェクトの手法としての「美味しい減塩食」の提案となり、レシピ本は初版・続編合わせて、想定を大きく上回る33万部の大ヒットとなりました。「ご当地かるしおレシピ大会S-1g」は、全国に「かるしおレシピ」の輪を広げることとなり、また、かるしお波及効果として、受賞レシピの事業化、「かるしおレシピ」の弁当事業化などが進み、商標マークの準備を進めるなど、国循のヘルスケア戦略の推進と、商業化・産業化の推進が進んでおります。
16ページでは、その他について示しておりますが、ホームページのビュー数が順調に増加し、22年度の3.4倍となっております。また、循環器病の予防啓発、研究の公開、地域貢献を目標とした「国循フェスタ」を、隣接する北千里高校とともに開設し、700名以上の来場者が集まりました。
脳卒中予防に関する啓発活動としては、公立中学校に教材を配布し、小学校への出張授業等を実施しております。
病院食レシピ本の発行が大好評を博し、これの関連事業や波及効果から、国民減塩という国循のヘルスケア戦略が大きく前進したと考えています。また、情報の収集・発信については、ホームページが画期的なビュー数の延びを示し、「国循フェスタ」も大成功であったことから、「S」評価とさせていただきました。
評価項目9です。「国への政策提言、我が国の医療政策の推進等」に関する事項については17ページを御覧ください。
政策提言では次の2点を強調します。1つは包括的脳卒中センターの必要についての提言で、国内749施設のアンケート調査から、脳卒中診療医の燃え尽き症候群と、高度治療可能施設での脳卒中死亡率の低さが判明しております。
第2は「循環器病統合情報センター」の開設の計画・準備が平成25年度にあり、26年の4月に開設されております。このセンターは、日本循環器学会の診療情報調査の事務局の国循移転に対応するほか、脳卒中のマスデータなど、循環器病の各種情報を統括管理して、診療の改善や予防の推進に役立てようという画期的なものと考えております。
国際貢献については、外国人医師が参加する国産医療機器使用の国際臨床トレーニングを実施したこと、脳出血に対する積極的降圧療法の有効性・有用性に関する国際共同臨床試験に国内中心施設として参加し、国内施設のサイトモニタリング等を実施しました。
公衆衛生上の重大な危害への対応は、大規模災害時の医療について、厚労科研の3班、私内藤が主任研究者の大規模災害時の循環器病診療体制、橋本総長が主任研究者の、被災地の心不全在宅療法についての班、それから、日本医大の木田教授が主任研究者の、慢性閉塞性肺疾患の災害脆弱性、この3班が連携して、共同発表、あるいは報告会を開催しております。
包括的脳卒中センターについての提言は、脳卒中診療の在り方に大きく関与するものですし、循環器病統合情報センターの開設は、循環器病の情報を統括管理する画期的なものと考えております。また、国際貢献や大規模災害時の危害対応についても実績があることから、今回、「S」評価とさせていただきました。以上です。
○永井部会長
ありがとうございました。御質問はいかがでしょうか。
○斎藤委員
全般的にお伺いしたいのですが、数値目標はめざましく改善し、更に上昇し、新しい取組もいろいろとアグレッシブにやっていらっしゃって、どうすればこれが達成できるのかと思っています。当然、効率化をいろいろ図っていらっしゃると思うのですが、これは捨てた、あるいは、これは余り注力をしないで、代わりにこれに集中的に努力をしたというような、努力の重点的なバランスの強弱というようなものがあれば教えていただきたいと思います。
○国立循環器病研究センター病院長
数値目標の達成は1つの努力目標であるので、それを無視することは当然できませんから、達成できたからといって力を抜くことはもちろんないのですけれども、ただ、目標の設定自体が、そもそも少し軽く設定されていたものも中にあることは確かなのです。例えば、院内講習会で安全や感染の講習会をするのですけれども、そういう全職種参加の講習会の数は、当初やっていたのが、医療安全の2回と感染対策の2回という、4回を必須としてずっときた経緯がありまして、それを目標としたのですが、実際には、その後一気にそのような活動が増えて、あっという間に増加したものもあります。そういうものと、本当に難しいところを達成すべく努力したものと両方ということですので、何かが達成されたからどこかを省くというような形では動いてこなかった経緯があります。
○国立循環器病研究センター理事長
最初に私が申し上げたように、確かにこの中期計画の間に、右肩上がりに総じてきております。ただ、今後を考えたときに、こういう右肩上がりというのを目標にしたわけではありませんが、指標にしてよいのかという疑問はございます。これは、少なくともこの第1期の中では、思い切った投資をするとか、組織再編をするとかいうことで、かなり対応ができたと思っています。
ただ、それは当然有限ですので、今後を考えたときにどうするかということが大きな問題として上がってきます。それは何かといいますと、例えば臨床研究をやるのに、サポートをする人員を大幅に集めて、いい人を集めたり、あるいは教育をしたりして、支援体制を作りました。しかし、それをキープするには、やはり当然お金が必要なわけで、あるいは情報センターを作って情報を集める、集めたけれどもそれを走らせていくにも、当然お金が掛かります。今までのところではどんどん構築していって、ある数値まで予想以上に達成ができたと思っています。しかし、それを今後どう維持していくか、あるいは、配置した人材をキープしていき、それを更にいいものにしていくにはどうしたらいいかというのは、運営費交付金が削られて、研究費もどうなっていくか分からない状況の中で、最大の問題だと思います。1つは、そこまできましたけれども、今後どうするかというのが、恐らく26年度の問題でもありますし、第2期の問題であろうと思います。ですから第2期の目標を設定するときに、どういう形がいいのかというのは、真剣に考えなければいけないと思っております。
○永井部会長
ほかにいかがでしょうか。
○福井委員
17ページの一番下ですが、循環器疾患の分野で大きく国際貢献する人数ですが、グラフですと、これは延べの件数を言っているのか、実人数を言っているのか、トータルして708件というのは708人という意味なのでしょうか。又は、トータルの中には1人で何件も貢献したら、複数となって含まれているのでしょうか。
○国立循環器病研究センター病院長
これの主たる数は、外国の学会に出席して自分で発表した人ということになっておりますので、件と人はほぼイコールと考えていただいてよろしいかと思います。
○福井委員
もしそうですと、この中期目標200というのは、もともと4年間で200件というそういう目標だったのでしょうか。5年間で200人なのでしょうか。
○国立循環器病研究センター病院長
中期目標は、期間中に200人以上とすると決めたと覚えています。
○福井委員
200人で、件とは違うわけですね。
○国立循環器病研究センター病院長
先生のおっしゃるのは、こちらの外国発表は、同じ人が発表していたら、それは1人と数えるべきだということですか。
○福井委員
いえ、両方が同じ数え方をしているのですかという意味です。
○国立循環器病研究センター病院長
外国に貢献した人数。ですから、この22年度から25年度の96、187、175、250は人数で、それは中には重複した方もいらっしゃる数字となります。各年で外国へ出て行って自分で発表された方という人数になります。
○本田委員
12ページですが、大変素晴らしい取組がたくさんあって、敬服しているのですけれども、例えばチーム医療の所で、緩和ケアチームを発足とありますが、循環器疾患に関連するような緩和ケアチームの活動というのは、余り聞いたことがなくて、今後の日本の高齢化に向けてもとても重要な取組になっていくと思うのですが、ナショナルセンターでモデルを作っていて広げていくというのが、また次の目標になると思うのですが、どのように広げていくかということを、今後どのように考えていらっしゃるのか教えていただきたいというのが1つです。
もう1つ、15ページの「かるしおS-1g」、大変興味深く見せていただきました。よく本を作ったり出版をしたりというところまでの普及というのは、医療界とかでもいろいろあると思うのですが、こういうイベントにまでして、ムーブメントを作っていくというのは、なかなか発想として素晴らしいと私は思っているのです。それが皆さんの活動の変化に変わっていくと思うのですが、どのようなチームでこういうことを企画されてやっていらっしゃるのかというのを教えていただきたいのですが。
○国立循環器病研究センター病院長
まず最初に、循環器疾患に特化した緩和ケアチームの必要性というのは、我々の施設では特に重症心不全の末期状況の方のつらさというのは、本当にがんに匹敵するようなつらい部分があって、ここはやはりケアチームが要るだろうという気持ちがずっとあったのです。それもあって作り上げたわけですから、基本的には重症心不全の医療を今後どうしていくかという中で、緩和ケアチームを含めた体制というのが多分理想の形なんだろうと考え、そのような重症心不全の医療体制を作っていくというモデル化の中に組み入れるような形を考えたらどうかと思っています。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
かるしおグランプリに関する動きについては、私が責任者をやらせていただきましたので、御説明させていただきます。そもそもの発端は、地方にいきますと、知らないような特産物がいろいろあって、こういったものがいろいろな所で普及をすればいいのになと思いながら、なかなかその地域だけにとどまっているというところで、やはりここにブランド価値なり差別化を図ることによって、その特産物がもっと全国に広がっていくだろうと。いろいろなブランド化、あるいは差別化のやり方はあると思いますが、たまたま私ども国循では、こういった「かるしおレシピ」に取り組んでおりましたので、そこに減塩食、いわゆる「かるしおレシピ」を、特産物を使って地方の方々に作っていただくことによって、地方の方々も特産物の販売拡大につながりますし、私ども国循にとってみても、各地域で、じゃあ、そのレシピを使って料理教室をやろうとか、あるいはレシピを考えるために地域の主婦の方、あるいは最近ですと、退職された男性の方も大変積極的に活躍されていますけれども、こういった方々が一緒に頭をひねって、新しいかるしおのレシピを作ろうと。そういったものをイベントにすれば、双方にとってWin-Winになるのではないかということで始めさせていただきました。
私どもの体制としては、特に国循の特徴だと思いますけれども、単に病院だけ、あるいは単に研究所だけ、あるいは単に事務だけということではなくて、まさに「チームかるしお」と言っておりますけれども、事務部門、病院ではドクター・看護師・栄養士を含めます病院部門、それから企業とのスポンサー契約などの話がありますので、先ほど知的資産部という話が出ましたけれども、基盤センターの知的資産部など、そういった関連部門の者からチームを構成して、そのチームで準備をしたということです。こういったイベントは、イベント会社に丸投げするケースが結構多いのですが、とにかくお金がございませんので、できるだけスポンサー集めから、一から作らせていただいて、それなりに苦労はございましたけれども、何とか1回目は成功しましたので、また2回目以降も、今年度実施したいと考えています。
○本田委員
緩和ケアのほうですが、そういう思いでやられたというのはいいのですが、今後これというのは、ほかの全国の病院に参考になるとか、そういう必要性というのはあるのですか。
○国立循環器病研究センター病院長
それはあると思っております。一番ベーシックのところは、やはり重症心不全の診療体制を今後どうしていくか。特に植込型の補助人工心臓がここまで活発化して、重症の心不全の人でも補助人工心臓を入れて家に帰れるというような時代になったところですから、ここで本当に重症の心不全の診療体制をどう形づくっていくかというモデルを、やはり我々の施設が提示しなければならないと考えていまして、その中での一環として、そこには緩和ケアチームが必ずいるというモデルにしたいなと考えています。
○祖父江委員
先ほどの人材育成の専門医のところでちょっとお聞きしたいのですが、前にもちょっと聞いたことがあるかと思うのですが、センターの狙っていると言いますか、どういう専門医、スペシャリストを育成しようとしているのかということですが、非常に高いレベルの、非常にピンポイントの、グレードの高い専門医というイメージがあるのですが、一方では、最近の専門医制度が変わってきて、私は神経内科なのですが、神経内科の専門医、あるいは脳神経外科の専門医、あるいは循環器でもそうだと思うのですが、非常にジェネラルな、広い範囲の知識をベースにした、あるいは技術をベースにした専門医を、今後目指そうという動きも一方ではあります。その専門医制度の中で、循環器病センターとしては、多分プログラムでリンクしていくことが今後非常に大事だと思うのですが、どういう戦略を今後取っていかれるのか。非常にピンポイントな、本当の専門的なところを狙っておられるという感じがしたのですが、その辺の関係はどうお考えなのかお聞きしたいのですが。
○国立循環器病研究センター病院長
循環器病のスペシャリストをつくるというのが私たちの施設の役目ではありますが、特にジェネラルカルディオロジストという意味合いでのスペシャリストをつくるのは、レジデント制度のほうだと。ベースに3年のレジデントがありまして、その上に専門修練医の2年が乗っていると。下の3年がジェネラルカルディオロジストをつくるところだと考えております。その上で、上の専門修練医のコースというのは、更にジェネラルを磨くというコースもありますし、それではなくて、スペシャルのところだけを狙うコースも作っているということと、専門修練医のコースは複数回取ることができるシステムになっておりますので、各人がどのようなスペシャリストを目指すのかということにも対応できるような形を考えて、このような制度にしたところです。
○永井部会長
あと、出生前診断をされていますが、遺伝子コンサルトや遺伝コンサルトの体制でしているのですか。
○国立循環器病研究センター病院長
それは、臨床遺伝科の医師とコンサルテーションの人間がそろっておりますので、体制はできております。ただ、我々の施設は後発ですし、一般的な遺伝子相談ではなくて、心臓病を持った方の遺伝子相談という形に、かなり特化した形で動いているのが実情です。
○永井委員長
よろしいでしょうか。それでは、最後にグループ4、評価項目10~14についてお願いします。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
企画戦略局長です。評価項目に入ります前に、それに関連しますが資料の18・19ページを御覧ください。特に、19ページに平成25年度の経営状況のデータをお示ししております。残念ながら、平成25年度については経常収支で2億1,800万円の赤字です。これを平成24年度に比べますと、約1億3,000万円の改善を図っておりましたが、残念ながら赤字ということでした。
その分析ですが19ページの左下の黒枠にあります。大きくは2つの要因があり、1つは運営交付金の減少で、実際、平成24年度に比べて約1億1,000万円超減少していることです。もう1つは水道光熱費で、特に私どもは関西電力ですが、料金の値上げがかなり大きいところで、その影響を受けています。使用量自身は、削減努力によって若干、電気・ガスの使用量を減らしたわけですが、値上げにより水道光熱費が約7,300万円ほど、前年度に比べて増えているということです。このようなことで経常収支としては、黒枠にありますように、約1億8,000万円ほど悪化しましたが、一方で、19ページの右側のように、医業のほうが好調で、平成24年度よりも約1億8,000万円改善して、9億円の黒字でした。さらには、先ほど冒頭にもお話がありましたように、受託研究増などにより、研究収支のほうも6,700万円ほどの改善がありました。これらにより、対前年度比約1億3,000万円の利益増になりましたが、数字としては約2億1,800万円の赤字であったということです。
それでは、20ページの評価項目の10を御覧ください。「効率的な業務運営体制」ですが、特に強調させていただきたいのが、いわゆるセンター内の情報システムの整備に力を入れたところです。別紙として1枚紙をお配りしていると思います。こちらと併せて御覧いただきたいと思います。最近、情報に関して、いろいろ外部からの不正アクセスなどの問題がありますので、委員の先生方だけに配らせていただいております。恐れ入りますが、取扱注意でお願いしたいと思います。
表題にありますように、「国循独自の4階層ネットワークシステム」ということで、他のナショナルセンターはもちろんのこと、恐らく、他の大学病院などでもほとんど例がなかろうと思います。特に、利用者の利便性とセキュリティの確保を両立させるための独自のシステムを作り上げました。
評価項目の10に戻りまして、そのような形で1にありますように、このような4階層ネットワークの独自の構築などによって、効率的で安全な情報システムの仕組みを作り上げました。実際にこれを使って、匿名化された診療情報の臨床研究への活用が、平成25年度で178件あり、情報管理をしながらも、円滑なデータ利用を促進しているということが言えようかと思います。
その他、電子化の推進の観点ではeラーニングシステムも今年2月に導入し、平成25年度では2か月だけの実績ですが、延べ約900名弱が利用しております。その下にある、Web会議システムの導入により、平成25年度は実際に会議等で100件の実績があります。このような情報システムを活用することによって、効率的な業務運営体制を作り上げたということです。
総人件費については、そちらに数字がありますように、平成24年度の42%から40.9%に引き下げることができました。さらには、研究不正問題などに対応するために、新たに平成25年4月には研究医療課に専門職ということで、正に研究費の適正執行のための専任職員を設けたところです。このような形で「A」評価としております。
評価項目の11ですが、「効率化による収支改善、電子化の推進」です。まず、データを御紹介いたしますと、経常収支率については、先ほど平成25年度の数字を申し上げましたが、独法になってからの平成22~25年度の計画で累計を出しますと99.8%です。若干ですが、実績では99.92%という形で上回っております。先ほども申し上げましたが、平成24年度に比べますと、約1.3億円の収支改善ということです。
一方で、一般管理費の節減、医業未収金比率の縮減、それぞれ20ページの右下に中期計画が掲げられておりますが、計画の数字を上回るような節減を図ったところです。特に強調させていただきたいのは、後発医薬品の積極的な使用でして、まず、全薬剤に占めるジェネリックの数量割合は、昨年度に比べて平成25年度は5.3%増の34.8%。これは後発医薬品に切り替えたことによる費用の節減効果としては、約3億円になります。また、厚生労働省が先般、後発品の存在する医薬品のみでの目標値、「新基準」を出しておりますが、これが全国の病院について、平成29年度末までに60%以上を目指すという目標値です。私ども国循では、既に平成25年度で63%ということで、4年前倒しする形で達成をしております。このような努力をしているということで「A」評価としております。
続いて評価項目の12、「法令遵守等内部統制の適切な構築」です。昨年度、コンプライアンス室長を社外の弁護士さんにお願いをするということで御報告しましたが、そのコンプライアンス室長を委員長としますコンプライアンス委員会を設置いたしまして、様々な法令遵守等の規範の問題、さらには、内部から上がってきます具体的な法令等に関わる、あるいはコンプライアンスに関わるような問題についての相談に応じてきております。
さらには、内部監査においては、先ほど情報セキュリティに力を入れているというお話をさせていただきましたが、情報セキュリティに関する内部監査の指導要領を作り、IT監査も平成25年度に実施したところです。
さらに強調させていただきたいのが、研究費のより厳格な管理です。いわゆる財団等からセンターの研究者に配られる財団研究費がありましたが、それまでは研究者個人で管理をするというものでしたが、これも、研究費をより厳格に管理をしようということで、今年の1月からは機関管理に移行をさせました。特に、私ども国循の場合には、この財団等研究費が、その下の数字のように、年間で約1億3,600万円、50件と、他のナショナルセンターに比べても大変数が多く、かなり煩雑な作業になるわけですが、研究費に対するより厳格な管理ということで、機関管理に移行させたところです。
評価項目の13、「予算、収支計画及び資金計画等」についてです。これについて、昨年度も外部資金の獲得が想定を上回るということで、「S」評価を頂いたわけですが、平成25年度についても、平成24年度に引き続き、外部資金の受入状況が好調であるということで「S」評価にいたしました。特に、寄附金の受入額については、独法になって初めて寄附金の受入れが可能になったわけですが、平成22年度の2,500万円が平成25年度には約1億2,000万円ということで、約5倍に増えております。
冒頭にも説明がありましたが、研修収入も飛躍的に増えており、特に、トレーニングセンターについて、平成25年9月に外部に貸与する際の「利用要領」を策定をし、また「料金リスト」を明確化することにより、外部に対する研修用に使わせることで増収を図りました。医師のみならず看護師、薬剤師あるいは臨床工学技士など、様々な職種に実際使われるようになって、9月以降の実績ですが、そちらにありますように500万円の収益増につながっております。
さらには、これも先ほど報告がありましたように、治験・受託研究収納額も飛躍的に増えております。特に、最後の特許収入額については、平成21年度に対しては約126%の増ですが、対前年度では36%を超える増ということで、特許収入額も飛躍的に増えているということです。このような、特に外部企業等との連携を強化することによって、外部資金を積極的に取り込む、その結果、数字もかなり飛躍的に上がっているということで、昨年同様「S」評価としたところです。
最後に、評価項目の14、「その他主務省令で定める業務運営に定める事項」です。こちらも「S」評価としております。その理由は、その他の事項の中に、計画的な施設整備があります。国循の場合には、この計画的な施設整備を進めるに当たっての最大のネックが、建替移転問題であったということです。平成16年以降、国時代を含めて、今日まで約10年間、地元との調整あるいは国との調整などで、なかなか方針が決まらなかったわけですが、冒頭の総長のお話にもありましたように、昨年の6月の理事会で、「吹田操車場跡地」への移転建替えを決定し、さらには、昨年11月にはセンターの全幹部の熱心な議論の末に「基本構想」を策定し、現在は基本設計を進めているところです。特に強調させていただきたいのが、単に病院研究所が移転するのみならず、その周辺地域も含めて、オープンイノベーションを指向します「循環器病の予防と制圧」の国際拠点(医療クラスター)といったまちづくりを、地元の自治体あるいは関西の経済界と一緒になって形成をする、その合意形成がなされ、また、その準備を進めているということです。こういったナショナルセンターを核とする、クラスターあるいは「国際戦略総合特区」への位置付けは、他に例がない事例です。そういう意味では、今後のナショナルセンターにとっての新しい姿を示すものという意味でも、是非、強調させていただきたいという意味で、「S」評価としております。
なお、具体的なオープンイノベーションを指向した医療クラスターの形成の基本的な考え方については、裏面の22ページですが、こちらは地元の自治体あるいは産業界などにお示しをした、国循としての考え方です。基本理念の1、2、3に沿って、それぞれ具体的な取組の概要をお示ししております。さらに、詳細なものを作り上げて、現在、関係方面と調整をしているところです。
21ページに戻りまして、評価項目の14で、もう1つ強調させていただきたいのが、「女性研究職・医療職の働き易い環境の整備」という点です。その中で一番下の、看護師の退職者率を御覧ください。平成22年度以来、退職者率についてはいろいろ上下ありましたが、特に平成25年度については、前年の14.5%が9.7%に減っております。人数としては28名退職者が減ったということで、かなり飛躍的に減ったわけですが、その原因としては、看護部を中心としたメンタルヘルス対策に特に力を入れ、特に若手看護師の中で早期にメンタルの問題などがあった場合に、同僚あるいは年の近い上司の方を、プリセプターという形でいろいろ相談に応じる形を取り、その結果、こういった退職率の減少につながっているものと考えております。以上です。
○永井部会長
それでは御質問をお願いいたします。
○斎藤委員
センター移転というのは大変な御努力だったと思いますので、素晴らしい取っ掛かりができたと思うのですが、これが完成するに及び、減価償却の負担が生じてくるわけです。そうしますと、赤字の幅が広がるのではないかと思うのですが、それは来年度どのくらいを見ていらっしゃるのか。来年度の収支に関して、もしも考えていらっしゃるのでしたら教えていただきたいです。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
御指摘ごもっともだと思っております。基本的には、これから国を通じて予算要求あるいは財投要求などを行ってまいりますので、現時点で、来年度は具体的にどのぐらいの補助金が取れるのか、あるいはどのぐらいの財投が取れるのかという数字がまだ分かりませんので、具体的な数字はこの場では申し上げにくいことは御理解いただきたいと思います。
基本的には、まず病院については自前でということで、これは財投、いわゆる財政投融資という政府からの借入金でやりたいと考えております。一方で、研究所については、既に115億円の出資金が付いておりますので、この出資金を活用したいと考えております。それ以外の財源についても、現在、厚生労働省のほうと様々な御相談をしているところです。
理事会でも、キャッシュフローが最終的にどうなるのか、それがある程度見通せないとゴーサインが出せないではないかということで、いろいろな前提を立てた上でのキャッシュフローのシミュレーションなどはしております。大まかな傾向としては、移転が完成する平成30年度から平成31年度にかけてキャッシュフローが一番底を突くといいますか、金額が少なくなりますが、そこはゼロにはならないと考えています。そこからまた、実際に移転先で病院事業が再オープンしていきますので、キャッシュフローが右肩上がりで増えていくというようなシミュレーションをさせていただいているところです。
○永井部会長
よろしいでしょうか。ほかに。
○藤川委員
主に3点お聞きしたいのです。まず、特区構想も含めて、建替えのときに、今までにないような場所を作るのだという、一番大事なのは構想の段階だと思うのです。そういう意味では、今そういう方針を決められてということに関して「S」というのも分からなくはないのですが、平成30年移転建替えまでに向けて、今回、もうちょっとこういういいことを考えたからと、それでまたずっと「S」というのも何となくというところがあります。今回の大きな方針決定をしたところで「S」ということにしてしまっていいのかどうかという辺りがちょっと悩ましい、という点が1点。
それから女性の、特に看護師の退職率が下がったということで、それは非常にいいことだとは思うのですが、メンタルヘルス対策を特に強化したので下がりましたって、そんなにメンタルヘルスに問題があるような環境なのかどうかというところがちょっと気になる、という点がもう1つ。
それから、情報セキュリティといった辺りを非常に強化している、ネットワークシステムも、ほかではないようなものを構築していると。これも非常に評価に値することだと思うのです。
他方、競争入札、不正入札か何かのニュースがありまして、それが確かコンピューターネットワークシステム関連の会社だったと思うのですが、そういった所が関連している。金額的な影響がよく分からないのですが、その辺り、問題が根深いものなのか、たまたまのものなのか、よく分からなかったので、御説明をお願いしたいと思います。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
3点の御指摘だったと思います。まず1点目ですが、移転建替えについては、正にこれから平成30年度に向けて、ある程度スパンをかけての話ですが、1つ私ども「S」で強調させていただきたいのは、これまで様々な地元との調整、あるいは国との調整、いろいろな問題を抱えている中で、移転建替えの方針が決まらなかった。したがって、いろいろな施設整備の長期的な計画が立てられなかった。冒頭、総長が申し上げましたように、昨年の6月に正式決定をし、また、決定しただけではなくて、まちづくりという意味では、政府の「国際戦略総合特区」の対象に既に先行指定させるとか、地元の自治体との調整を進め、関西挙げてバックアップしていただくような体制を取ったということで、ある意味、移転に向けての最小限の基盤を作り上げたという意味で、今回は特に強調させていただきたいと思います。来年度以降どうかというのは、また来年度に考えさせていただきたいと思います。
○藤川委員
覚えておきます。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
2番目の看護部の退職の関係ですが、退職の理由で一番多いのは、結婚あるいは家事に専念をしたいというところです。メンタルで退職という理由が非常に多いわけではありませんが、特に3年目、4年目ぐらいの若手看護師の方々は、私どものような特定機能の、非常に機能の高いような病院ではどこでもそうだとは思いますが、やはり診療の中身が密であればあるほど、それに対するプレッシャー、あるいは、その職場環境になじまないということで、いろいろ悩みを抱えられる若手の看護師さんが多いのだと思います。ですから、そういった方々が深刻化する前に、自分と年齢が近いようなプリセプターの方々に気軽に相談できるような体制を看護部の中で築き上げたことが、退職者が減った1つの理由になっているのではないかという意味で申し上げさせていただきました。
3つ目の情報システムの件ですが、新聞報道などがなされましたが、大阪地検のほうで任意という形で捜査が入りまして、私どもは全面的にそれに協力をしますということで、様々な資料の提供、事情聴取などにも協力をさせていただいております。捜査の状況については、私どもが申し上げる立場でありませんので、何とも申し上げにくいですが、今年の2月からそれが始まりまして、現在に至るまで、様々な資料提供や事情聴取に応ずるということをさせていただいております。現時点で、その結果どうなるのかということについては、私どもまだ分からない状況です。
○永井部会長
それは、入札情報を漏らしたというのでネットに出ていましたね。それは余り今のところ考え難いということなのでしょうか。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
それを検察のほうがどう評価されているかは、私どももちろん分かりませんが、センター内部で、関係者にいろいろヒアリングなどをして把握している関係においては、法令に抵触するようなものは、現時点では見つかっていないということです。あとは、やはり検察のほうで、向こうは捜査権限がありますので調べられて、その結果問題無しとなるのか、あるいは問題有りということになるのか、その状況を見守っている状況です。
○永井部会長
国循で逮捕された方はいないということですね。
○国立循環器病研究センター企画戦略局長
現在いません。
○福井委員
全般的なことで2点ほど。1つは、平成25年度に特別な医療事故とか院内感染とか、そういうことはなかったかどうかということ。それから、以前も伺ったかもしれませんが、高齢者が多くなって、循環器以外の病気を持っている人もたくさんいると思いますが、そのような患者さんへの対応はどうなっていますか。2点ほど、簡単で結構です。
○国立循環器病研究センター病院長
まず、大きな医療事故あるいは感染の大ブレイクといったものは、程度のこともあろうといたしましても、一応ないということです。
それから、確かに高齢者は循環器以外の病気を持っている人は多々おられるので、その医療をどうするかというのは、根本的な問題です。将来は、先ほど横にやってくる吹田市民病院と連携して、そこは対応したいです。現在はそういうわけではありませんので、近隣のいろいろな専門施設と連携しながら対応を続けているところです。
○国立循環器病研究センター理事長
先ほどの移転建替え決定の件ですが、これは移転建替えということに関しては、移転というか建替えの場所についても、いろいろなステイクホルダーがいて、多様な意見があって、その調整は大変でした。結果として、昨年、移転建替えということを場所も含めて決定できたというのは、時間がないので詳しく御説明しませんでしたが、我々の考えている将来構想、そして新しいセンターの在り方、そういうものを認めていただいたからだと思っております。例えば、病院と研究所を一体化して作って、救急医療から基礎的な研究までグラデーションでもってきて、途中にトランスレーショナルがあるというような構造にするとか、あるいは、その周辺の地域、産官学の連携を含めて、一体化したエリアを作るとかいうことが大変評価されて、決定できたと思っております。ですから、我々の考えています将来構想というか、センターの在り方というのが、周辺自治体を含めて、いろいろな意味でのステイクホルダーを含めて理解していただけたのだと思います。
○永井部会長
医療法が改訂されたりして、大きな変化がありますが、今後、移転を考えるに当たって、どのように国立循環器病センターを位置付けるか。例えば、超急性期が中心の医療なのでしょうけれども、全体のバランスをどう考えておられるのか、教えていただけますか。
○国立循環器病研究センター理事長
超急性期医療はもちろん我々の範囲ですが、やはり予防ということが大きなポイントになってくると思います。その予防というのは、吹田コホートスタディというのをやってきました。あるいは情報のセンターとしていろいろ動いてきて、そういうものを総体として、その中から予防というか、先制医療というか、いろいろな言い方も、あるいはアプローチもあろうかと思いますが、やはりそこを重要視しない限り、患者さんを治しているだけでは患者さんの数は減らないということはありますので、もちろん急性期医療は力を入れていきますが、予防医療、あるいはその前の段階のことにも発信できるセンターを作りたいという考えです。
○永井部会長
最近いろいろな大学病院でも、内科系と外科系の比率が変わりつつあるようです。入院しなくてすむ患者さんが随分増えてきました。病院を外科系の体制にもっていこうとしても、そう簡単ではないと聞くのですが、その辺りは何か検討されましたか。
○国立循環器病研究センター理事長
私も外科医ですので、例えば脳血管外科の在り方については、外科以外のアプローチがたくさん出てきましたし、外科の将来はどうなのかという、自分自身の問題としても考えております。これは外科医をどれだけ育てるかということもあるかもしれませんが、外科的な考え方、外科的なアプローチというのを、少なくとも当面の10年、20年の間は、やはりそういう考え方も残しつつ、恐らくフュージョンしていって、それはまた別のものに、今の外科と内科という分け方と違うモダリティというか、私はそういうものが10年、20年後には出てくるのではないかと思います。ただ、その前の段階として、自分の軸足がどこにあるかというものがないところには、やはり、前に向かってアプローチする力が出ないと思います。ですから、そういう意味で外科的な考え方を踏襲して、推進していくという、こういう集団というのは残していくべきだと思います。そういう形で当面のセンターは運営していきたいと思います。
○永井部会長
外科はますます重要になるだろうという意味なのです。そのときに、看護師さんや手術の体制が整備されているかどうかということなのです。麻酔医不足の問題も。そう簡単には解決できないということを聞くことがあるのですが。
○国立循環器病研究センター理事長
おっしゃるとおりだと思います。
○祖父江委員
どうもありがとうございました。今後に向けて非常にいい展開が描けそうな感じをちょっと受けたのですが、今総長がおっしゃった予防への展開というのは、いろいろな領域で重要だと思うのです。循環器は特に今後、是非やっていただきたいと思っていまして、先程御質問したコホートスタディが全体の中でちょっと弱いかなという。吹田のことを言われましたが、そちらのほうの力をちょっとアップリゲイトしていただくと、予防に向けて非常に頑張っている感じが見える感じがしますので、是非よろしくお願いしたいなと思います。
○国立循環器病研究センター理事長
ありがとうございます。その点については、我々も一番認識していたというか、意識していた部分です。それをどういうふうにしてテコ入れをして強化していくかというのが、ここ数年の課題であったと思います。それが少し前に向かってきたかなと思っております。
○永井部会長
日本循環器学会もコホート研究を進めないといけないということで、循環器病センターを1つの柱として、中核に位置づけ、各施設の連携を進めることになっています。その辺がどう今後進んでいくかだろうと思います。では、最後にどうぞ。
○内山部会長代理
とても忙しい中頑張っておられて、これだけの業績を出されて、新しいこともやられている。今後ますますの御発展を祈念いたします。これは単なるコメントです。
○永井部会長
それでは、国立循環器病研究センターの評価は以上です。そういたしますと、あと、適宜記入いただいて、次の国立国際医療研究センターと入替えをしていただきます。しばらく休憩を取りたいと思います。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
(法人入れ替え)
○永井部会長
続きまして、国立国際医療研究センターの個別評価を行います。
最初に、理事長から御挨拶を頂いて、平成25年度における業務実績のポイントについて、簡単に御説明をお願いいたします。
○国立国際医療研究センター理事長
国立国際医療研究センター理事長をしております春日でございます。本日は、当センターの平成25年度の業務実績の御審議をいただくということで、何卒よろしくお願いいたします。本日頂きましたいろいろな御評価や御助言を参考にしまして、今後、私どもが一層期待される役割を果たせるように、業務運営に取り組む所存でございますので、重ねてよろしくお願い申し上げます。
早速ではありますが、業務実績の概要の2ページを御覧ください。そこには私どもの組織概要があります。私どもは非常に多くの部門を持っておりますが、平成25年度は研究所長とセンター病院長に新しい人材を得まして、新しい体制で年度計画の実施に向け尽力致しました。
平成25年度の業務実績のポイントとして2点、御説明申し上げます。第1は主な成果です。平成25年度は、前年度あるいはそれ以前と比較しまして、研究所と病院との共同研究数、発明出願数、論文数、論文被引用数、先進医療新規技術申請数などの数値が、いずれも増加しておりまして、私どもといたしましては、臨床を志向した研究・開発が推進され、成果が得られつつあると考えております。
次に、例えばトラベルクリニックにおける初診患者数、ワクチン接種件数の増加などから明らかなように、国際化に伴い必要となる医療の提供に関しまして、その実績を伸ばすことができました。それに加えまして、例えばWHO総会等の国際会議に参加しての政策提言、発展途上国における保健医療政策の立案、国際的なリーダーシップを発揮できる人材の育成など、当センターの理念にあります国際協力を意識した活動に、センター全体で活発に取り組むことができたと考えております。
第2は経営の問題です。当センターの経常収支差は、平成22年度は0.5億円、平成23年度は18.5億円、平成24年度は9.8億円と、連続してマイナスでありましたが、平成25年度に初めてプラスに転じることができました。
業務実績の概要の20ページを御覧ください。ここにありますように、平成25年度は平成24年度に比較しまして、医業収益で20.9億円、その他の収益、研修収益、研究収益、教育収益、寄附金等ですが、これで10.2億円の増収となりました。しかしながら、給与費あるいは材料費などの支出も増加したため、最終的には6.5億円のプラスにとどまったわけです。
独法化以降4年間の中期計画と実績との比較については、後ほど詳細に御説明を申し上げたいと思います。センターの経営改善は非常に大きな課題と、役職員一同認識をしておりまして、今後とも一層努力をする所存でございます。
○永井部会長
それでは、4つのグループごとに国立国際医療研究センターの個別評価を行ってまいります。最初に、グループ1、評価項目1~3について評価をいたします。法人の説明を10分、ディスカッションを含めまして25分でお願いします。では、よろしくお願いします。
○国立国際医療研究センター企画戦略局長
企画戦略局長から御説明させていただきます。各評価項目に入ります前に、資料「業務実績の概要」の1ページを御覧ください。国立国際医療研究センターの概要です。これは委員の皆さん方は既に御存じですが、今、総長の挨拶でも触れましたが、左下のほうに「理念」がありまして、国立国際医療研究センターは、人間の尊厳に基づき、医療・研究・教育・国際協力分野で、研究については先ほどの挨拶にもありました臨床志向の研究、こういうものを目指して、下の4つの○に取り組んでいます。
6ページをお願いいたします。評価項目1ですが、今申しました「臨床を志向した研究・開発の推進」ということで、自己評定は「S」となっています。その理由について御説明いたします。
「研究所と病院等、センター内の連携強化」と書いてありますが、研究所・臨床研究センター・病院が三位一体となり、臨床を志向した研究・開発のための更なる推進の基盤を整備ということで、1~4に書いてありますような取組を進めています。センター病院に臨床研究連携部門を設置する、あるいは司令塔としての「臨床研究推進のための戦略会議」を開催するなどの取組をしています。4に「研究所と病院の共同研究16件」とありますが、これは右側のグラフを御覧ください。青で書いてあります研究所・病院共同研究16件ということで、これは中期計画の10件の1.6倍になっています。
「産官学等との連携強化」ですが、1に書いてありますように、順天堂大学、平成26年度は帝京大学・慶應大学と連携協定を締結しているということ。2ですが、開発初期の外部機関等との臨床研究・共同研究。これについて、右側の上の図ですが、外部機関等との共同研究は、赤でありますように20件、中期計画では10件となっていますが、この倍の件数に取り組んでいるということです。
「研究・開発の企画及び評価体制の整備」ということで、1~3に書いてありますように、新たに外部評価委員会を開催する等々の取組を進めています。
最後、「知的財産の管理強化及び活用推進」ですが、企業出身の技術移転担当者・弁理士資格を有する知財管理担当者に加え、新たに特許庁経験者を兼任で配置しています。2に書いてありますが、新規の発明出願件数は右側のグラフにあります。平成25年度、国外で20件、国内で12件ということで、トータルといたしましても、平成22年度から非常に増加している状況です。
以上より自己評定は「S」とさせていただいております。
評価項目2、7ページですが、「病院における研究・開発の推進」ということで、こちらは自己評定「A」です。
「臨床研究機能の強化」ですが、1にありますように、臨床研究を推進するため病院に臨床研究連携部門を設置。これは先ほどと同じですが、その他、生物統計家やプロトコール支援ユニット等、多施設共同医師主導治験を支援する等の取組を進めています。
4にありますが、治験申請から症例登録までの期間が97.6日となっていまして、右側のグラフに書いてありますが、これは症例登録まで非常に長かった糖尿病性末梢神経障害及び統合失調症、これらの影響がありまして、これらを除くと72.2日ということで、年度計画の75日以内をクリアするという状況です。しかし、今のこの2件は非常に候補患者が少ない影響で、今回は97.6日となってしまっています。
5治験実施症例数295件ということで、これについては下の左側のグラフを御覧ください。戸山地区で187件、国府台地区で108件と、いずれも前年を大きく上回っています。また、6平成25年度の治験収益は2.8億円ということで、これは下の右側のグラフですが、平成25年度、国府台地区1.1億円、戸山地区1.7億円ということで、いずれも前年を上回っている状況です。
「倫理性・透明性の確保」については、倫理委員会の開催等々の取組を進めています。
8ページ、評価項目3です。これは「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」ということで、自己評定は「S」とさせていただいております。
担当領域の特性ということで、特に国際医療研究センターの特性を活かしまして、まず、「疾病に着目した研究」としましては、12にありますようなHIV関係の研究、3は海外の感染症系ですが、韓国の三日熱マラリアの研究、4ですが、今、途上国でも感染症と併せまして非常に問題となっています生活習慣病の大きなものとして、糖尿病患者の問題がありますが、この登録データベースに8,000人以上登録しているということ、67のような肝炎の話、こういったものに取り組んでいます。
その結果、右側の上1つ目と2つ目のグラフですが、掲載論文数、論文の被引用数は非常に増えています。特に掲載論文数については、中期計画で183件という目標でしたが、これを大きく上回っている状況です。
左側の11ですが、治験を含む臨床研究の合計実施数は331件ということで、これは右側の一番下のグラフですが、平成25年度、治験が19件、臨床研究が312件ということで、合わせて331件ということですが、これも中期計画を大きく上回っている状況です。
続いて左側の○「均てん化に着目した研究」ということでは、E-learning、マニュアル、ホームページ等を駆使して均てん化に努めています。
一番下の「国際保健医療協力に関する研究」も、6つのナショセンの中で国際医療研究センターのみだと思いますが、各途上国等と連携しながら、1~6に書いてありますような研究を進めています。そういうことで、自己評定は「S」とさせていただいています。
○永井部会長
御質問、御意見をお願いします。中期計画で最後に論文とかを引用するのは評価されるわけですが、全てのナショセンの中で一番伸び率が大きかったのが、国立国際医療研究センターだと思うのですが、そこはどのような対策を取られたのか、よろしければ御説明いただけますか。
○国立国際医療研究センター研究所長
これは春日総長が研究所長の頃、既にそういう姿勢を示されて、その成果が少しずつ出てきているのだと思います。基本的に研究者は論文で評価されるものであるということをかなり徹底していると。さらに、論文の書き方に関する基本的な教育等に対しても投資しているというとはあります。また、研究所内で様々な若手の交流などが活発化しまして、お互いに技術や向上心を磨き合うということで、共同研究が増えていると。そういった様々な要因があると思っております。
○永井部会長
この中期計画が始まるときに、私が提案してこういうグラフを作っていただいたのですが、まだ初めは少し見にくいですが、やはり差が見えてきているように思います。こういう引用回数を、個人についてもを知ることは、研究の活性化に非常に重要なことだと思います。是非これを継続していただきたい。
○内山部会長代理
今のことにも関連して、本当に大変素晴らしいことだと思うのです。そして、非常にたくさんの研修を受け入れて、教育もされていて、お忙しい中でも論文が伸びていると。そういったリサーチマインド的なものを、研修医等若い人たちにどのように普段伝えておられるか、その辺をお聞きしたいのですが。
○国立国際医療研究センター研究所長
最初に私から少しお話をして、その後病院長から追加があるかもしれません。研修医、特に初期研修医は、非常に優秀な人が激しい競争の中で入ってきます。この病院は単に診療をするだけではなくて、研究をする、そういった法人であることを、最初のガイダンスのときにかなりはっきり言います。それから、初期研修医あるいはレジデントに対して、分子医学入門塾を土曜日の夕方に始めておりまして、日頃の臨床に分子生物学がどのように重要かという教育を行っております。さらに、認定医とか専門医を取ることは重要ですが、同時に学位を取る必要もあるということをお話しし、実際に順天堂大学、東京大学、慶應大学等と連携大学院のシステムを作りました。非常に志の高い、かつ、優秀な研修医、後期研修医に対しては、学位を取る、そういったオプションも作ってあると。こういう幾つかのことがあります。
○福井委員
素晴らしい業績で敬意を表するところです。1点だけ伺います。治験に関してですが、7ページの5の治験実施、これは症例数でしょうか、それとも治験の数なのか教えていただければと思います。それから、その上の行ですが、70日ぐらいということですがほかの施設と比べるとまだ長いと思いますので、センターとして特別これを短縮するのが難しい要因は何かあるのでしょうか。
○国立国際医療研究センター企画戦略局長
これは治験の実施症例数です。人数です。もう1つは期間の話ですが、こちらで出しているのは、治験の申請から症例登録までの期間になっていますが、実はほかの某ナショセンなどは、治験の依頼から契約締結までの期間ということで、その期間をそろえると、うちも実は他の施設と遜色がないことになっています。そこは微妙に違うところです。
○斎藤委員
素人なので教えてください。7ページには治験実施症例数があります。8ページの下には、臨床研究で、これは治験も含むという数字になっていて、治験を含むともっと数字が変わりそうなのですが、治験が19例というのはどういうことかよく分からないのです。それと、平成24年度と比べまして、8ページの所は立派な数字ではありながら、前年度から少し減っているので、何か理由があるのでしたら教えていただきたいと思います。
○国立国際医療研究センター企画戦略局長
治験の件数と症例数ですが、これは1件の治験でも複数の症例をやることが多いので、それで数字が異なるということです。平成24年から平成25年に減ったところは、理由は今ひとつ明確ではないのですが、すみません。
○花井委員
1つは6ページの、センター病院に臨床研究連携部門、国府台に臨床研究支援部門ということで、臨床研究体制を強化しているということですが、7ページの下を見ると、症例数は伸び率からすると国府台のほうが大きいように思うのですが、これはどうなのですか。例えば、国府台は精神、肝炎、脳で、戸山は感染症、糖尿病とか、そういう分野が分かれているとか、その辺のマネジメントはどうなっているのですか。割と一体となってやる部分もあるのか、割と独立してやっているのか。それと国府台が特に伸びているのは研究所が新しくなったとか、そういうことが効いているかどうかとか、その辺を教えていただけますか。
○国立国際医療研究センター国府台病院長
国府台病院の上村と申します。国府台病院での治験の症例数が増えたのは、御存じかもしれませんが、C型肝炎にインターフェロンを用いないという新しいものが、アメリカのベンチャーから言われて、うちの肝炎センター長が治験の責任者となりまして、それですごく多くの症例をやりました。それが昨年、一昨年と来ているので、これは終わりますから、来年は少なくなります。そういうこともあるのです。だから、その時その時の流れがあります。症例数はそういうことです。
○花井委員
プロテアーゼ阻害剤というのはもともとHIVでやって、感染症で、肝炎も今は感染症かなという流れもありますし、研究所にPI専門の先生もおられているようなので、シナジーというか、両方の機関が一緒に。今まで何となく国府台と戸山は少し遠い感じがしたのですが。
○国立国際医療研究センター国府台病院長
肝炎は、センター病院でもお願いして、治験をやってもらいました。ただ、精神は精神神経センターと、国府台病院の昔から居る精神科の先生方とのコラボレーションでの治験が一緒にやっていく形でありまして、センター病院とは一緒ではないことが多いです。
○花井委員
分かりました。
○藤川委員
評価項目1の「臨床を志向した研究・開発の推進」を「S」としている理由の1つとして、発明出願件数の推移がかなり伸びている点も1つのポイントだと思うのですが、発明出願件数は、必ずしも多ければいいということにも言いきれないのであろうと思っているのですが、クオリティがきちんとある、中身のある出願といいますか、その辺りの体制はどうなっているのかを教えてください。
○国立国際医療研究センター理事長
おっしゃるように、国内出願はそういう意味では簡単にできると思うのですが、ここにありますように海外への出願件数はある程度金額も掛かりますので、かなり厳選したものをやっているので、国外への件数が増えているということは、多分、質がある程度いいのではないかと思っています。
○永井部会長
よろしいですか。また後ほど御発言いただくこととしまして、続いてグループ2、評価項目4~6についての御説明をお願いします。
○国立国際医療研究センター企画戦略局長
評価項目4、9ページです。「高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供」ということで、これも自己評定「S」とさせていただいております。
その理由は、大きく分けて高度先駆的な医療の提供と標準化の話がありますが、高度先駆的な医療としては、やはりこの国際医療研究センターの特色であるHIV・エイズの関係、病態に即したテーラーメイド医療を280例実施ということで、これは右側にグラフがありますが、年度計画では200例、中期計画では150例という計画に対して、それを大きく上回る280例について既に実施しています。
また、テーラーメイドということで言うと、4の連続血糖測定が可能なシステムを活用し治療方針を策定するテーラーメイドの糖尿病治療の実施ということで、糖尿病についても、右側の表がありますが、平成24年度の200件に対して平成25年度は330件と、やはりこれも非常に大きく伸びています。
そのほか、2の新型インフルエンザについての「治療の手引」などを作成して、標準化・均てん化を推進したり、あるいは3のC型肝炎のIL-28Bの研究、5の重症低血糖発作を合併するインスリン依存性糖尿病に対する脳死及び心停止ドナーからのシングルドナー膵島移植のための体制整備なども行っています。
6は先進医療の関係ですが、これらについて、その下にありますFDG-PET/CTによる不明熱の熱源診断、全自動遺伝子解析装置を用いた敗血症の迅速診断、腹膜偽粘液腫に対する腹膜切除と術中腹腔内温熱化学療法、これらについて平成25年度に申請していたところ、平成26年度に、いずれも先進医療として承認されたという実績があります。平成25年度は、更に先進医療技術の既存技術を21症例に対して実施しております。また、7にありますが、特定機能病院の名称を取得したということです。
その下です。「医療の標準化を推進するための最新の科学的根拠に基づいた医療の提供」としては、関係学会等との連携により、当センターが直接的又は間接的に支援した臨床試験について、学会等が作成した診療ガイドラインに14件採用ということで、これは右側にグラフがありますが、平成22年度は0件であったものが徐々に伸びてきて、平成25年度には14件と、非常に大きく増加しています。これらのことから「S」という評定にさせていただいています。
続いて10ページです。評価項目5、「患者の視点に立った良質かつ安心できる医療の提供」ということで、これについては「A」となっております。
左側ですが、「患者の自己決定への支援」ということで、カルテ開示の対応、個人情報保護研修会の開催、患者相談窓口の支援、セカンドオピニオンの実施などについて着実に増加しているところです。
「患者等参加型医療の推進」ということで、1にありますような患者サービス推進委員会の定期的開催、4にありますように、患者満足度調査を踏まえたサービスの改善などに取り組んでいます。その他、ボランティアの活用等々、一般の方々参加の医療を推進しております。
「チーム医療の推進」として、多職種連携及び診療科横断によるチーム医療として、年間2,674件の回診又はカンファレンスを実施しました。その下のグラフにありますが、年度計画は900件ということですが、その3倍近くの2,674件の実施ということです。
右側に移りますが、「入院時から地域ケアを見通した医療の提供」ということで、地域医療連携の強化を進めておりますが、センター病院の紹介率・逆紹介率は非常に伸びています。国府台病院についてもそういう状況です。これは、御存じのように、医政局あるいは保険局のほうで、こういう大きい病院について、外来については一般外来というよりは専門外来に特化すべきという国の施策にも合致する形で、当センターとしても紹介率・逆紹介率を高める努力をしているということです。
その下のグラフは、「画像診断機器の共同利用」ということで、こちらで有している高度な医療機器、画像診断機器について、地域の医療機関との共同利用を進めて、地域との連携を深めています。
「医療安全管理体制の充実」ということで、1医療安全委員会の定期的開催、2ヒヤリ・ハット事例の検証と対策の協議、3医療安全ポケットマニュアルの改訂等々を行っていますが、4にありますように、院内の研修会については、受講対象者の受講率は100%と、非常に高い受講率となっています。また、そのほか、地域連携病院とのカンファレンスなども実施しております。
最後ですが、「客観的指標等を用いた医療の質の評価」ということで、抗HIV療法施行中患者のHIVコントロール率を客観的指標として評価、あるいは、医療の質を表すQuality Indicatorの検討を開始したり、データウェアハウスの運用を見直すことをやっております。
これらの実績から、本来であれば自己評定「S」を付けたいところですが、実は4月に医療事故がありまして、本当にこれらが100%の効果を持っていれば、そのような事故は防げたかもしれないということもありまして、今回、評定は「A」とさせていただいております。
続いて11ページです。評価項目6、「その他医療政策の一環としてセンターで実施すべき医療の提供」ということです。これは大きく分けて2つ、救急医療と国際化の話です。
左側の救急医療については、当センターは非常に救急医療に力を入れていますが、東京都内の救急搬送件数は4年連続第1位という実績を誇っています。ただ、その下のグラフですが、平成25年度は191件、平成24年度から若干減っていますが、これは東京都の西部地域全体として救急搬送が減少しているという影響ですので、特にこのセンターのみが減少しているということではないことを申し添えておきます。むしろ、その下のグラフですが、救急搬送依頼に対する応需率としては、年々上がっており、平成25年度は93.3%と非常に高い応需率になっていて、地域における救急の最後の砦としての機能を果たしているということです。
また、2国府台病院については、精神科を有しているその特性から、特に精神科の患者さんで重症の身体合併症の患者さんの受入れを進めているということで、これも中期計画の5%を上回っていますが、これについては、一般に精神の患者さんの身体合併症は非常に受入れが進まない中で、国府台病院はそこのところを非常に積極的に行っています。
右側の国際化の関係ですが、海外渡航前健診とワクチン接種などの渡航相談、帰国後疾患治療を実施ということで、総初診患者数3,853人、これは一番下の右側のグラフです。トラベルクリニックにおける初診患者が年々増えています。海外渡航者の増加に伴って、こちらの医療センターの果たす役割も大きくなっています。
2については、「成田空港検疫所及び東京検疫所との連携による黄熱ワクチン接種を実施」ということで、これは御存じの方もいらっしゃると思いますが、アフリカなどの一部の地域では、黄熱のワクチンを接種した予防接種証明書がないと入国できないということがあり、本来、検疫所で行っていたのですが、そちらのキャパシティが不足しているということで、こちらのセンターで引き受けているものです。このワクチン接種証明書は国がオーソライズする証明書で、こういうものも当センターで引き受けているということです。
その他、ミャンマー難民の受入れ、あるいは総合感染症後期研修プログラム等々、こういった国際的な対応をさせていただいています。
一番右下ですが、「その他」として、国内の成人の風疹アウトブレイクに対して、風疹ワクチンの接種を行いました。
以上のことから、国際医療研究センターの特性に応じて、医療政策の一環として行ったこととして「S」という評価にさせていただいております。説明は以上です。
○永井部会長
御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。
○本田委員
9ページです。医療の専門家ではなく、素人なので教えていただきたいのですが、こういう高度先駆的な医療を提供することは大きな役割だと思うのですが、「S」ということを書いてあるのですが、例えば、テーラーメイドの糖尿病治療をこれだけたくさん実施したと言われても、それがどういいのかがよく分かりません。高度な医療をすればいいというだけではないと思うのです。例えば、その人のQOLをこういうふうに変えるものなのだとか、医療財政的にも、実はこういうふうに良くなるのだとか、何かそういうものを教えてもらえないでしょうか。
○国立国際医療研究センター理事長
ここで書いているテーラーメイドの糖尿病治療というのは、最近、CGMと言ってContinuous Glucose Monitoringという方法で、皮下に針を刺しておくと、大体48時間ぐらい、あるいは3日間ぐらい連続して血糖を計れるのです。そうすると、例えば今までインスリンを打っていた方が、意外に寝ている間に低血糖が起きていたり、同じ経口血糖降下薬でも日内変動が大きいような種類と、割に安定しているものがあるということが明らかになってきました。ここで言っているのは、そういうCGMを入院した患者さんでやって、今までの薬の投与方法などが正しかったかどうか、人によってもある程度違うし、その人の生活様式によっても違うので、それを全部勘案して一番血糖の動揺がないような薬の投与方法を、その人に合うように考えたということです。
○本田委員
そういうことをやることで、糖尿病の人の治療の在り方の全体的なものも見直していく契機になるなどということはあるのですか。
○国立国際医療研究センター理事長
一般的に、同じヘモグロビンA1cであっても、血糖の動揺が激しいほど合併症が起こりやすいと考えられていますので、そういう意味では、血糖の動揺を少なくする治療法は合併症を少なくするだろうと考えられています。
○斎藤委員
先ほど、「S」と言いたいが、医療事故があって「A」だというお話を10ページの所で伺いました。この医療事故が、ここにあることをきちんとやっていれば発生しなかったとおっしゃっていましたが、それをもう少し具体的に教えていただけますか。
○国立国際医療研究センター病院長
センター病院長の中村です。今回発生した医療事故は、腰部脊柱管狭窄症という、腰が痛くて足が痛いという、それで腰の骨に変形があり、そういう症状が生じるという病態に対して、脊髄の中に造影剤を入れて神経の圧迫状態を見る脊髄造影という検査で起きたものです。この造影剤については、脊髄に実際に使える造影剤と、使ったらいけない造影剤と2種類あります。このうち、実際に検査では、脊髄に使ってはいけない造影剤を注入してしまった。そのために、全身の多臓器不全を生じて、残念ながら救命できず死亡に至ってしまったという、非常に残念な症例です。
私どもは、医療安全の基本はチーム医療であると考えています。チーム医療というのは、多職種がそれぞれ異なった立場からお互いにチェックするということでやってきました。しかし今回は、そのチェック機構が十分に発揮できなくて、最終的なところで使用される薬剤が、本来使用されるべきものでないものが使用されてしまったということが起きたわけです。
そういった意味で、かねがねというか、医療安全の基本について、ここにお示ししたようなたくさんの情報を職員で共有して、チーム医療の重要性を認識する機会を設けていたのではありますが、実際に具体的なところで、お互いにチェックできなかったというところがありました。
個別の対応として、今後こういうことが二度と起きないように、薬剤の使用に当たっては必ず多職種の者が入って、声を出して復唱して、その薬剤の使用をチェックするとか、その他、網の目を小さくする様々なネットワークを現在構築しているところです。
○永井部会長
今回の事故で、不注意な使用というのは1つのポイントですが、もう1つ、注入してしまった後の緊急時の対応とはどうだったのでしょうか。注入してしまったのでやむを得ないのか、あるいは何か打つべき手があったのか、それは打たれたのかという点があると思うのですが。
○国立国際医療研究センター病院長
今回の件については、禁忌の薬物が入っているということをチームとして全体が知ったのが、実は、最後の状態になってからでした。救命処置をしている段階では、ウログラフィンが脊髄の中に入ったということは、チーム全体が了解できない状況でした。すなわち、イソビストという薬物を当然使うべきもので、これは、オーダーの過程でも、それから、パスのチェックにおいても、イソビストを使用することになっていたのですが、最終的なところでウログラフィンが使用されていた。したがって、レスキューしている段階では、ウログラフィンの使用は認識できなかったのが現状です。
○永井部会長
分かれば、もっと打つ手はあったということですか。
○国立国際医療研究センター病院長
分かればどういうことができたかということですが、1つは抜くことです。徹底的に脊髄液を抜いて、逆に生理食塩水をどんどん補っていくという手法でレスキューできた症例の、経験に基づく話は伝えられています。しかし、いわゆる症例報告等で、そのような記載は、実はありません。そういった意味で、徹底的に抜いて、新たに生理食塩水を入れることによって救命できたかどうかについては、できた可能性もあるし、やはりそれでも無理であった可能性があるということではありますが、そういう機会は得られなかったのが現状です。
○永井部会長
その辺りを含めた考察が、報告書として必要だろうと思います。
○福井委員
オーダーするときに、いわゆるClinical Decision Supportと言って、幾つかの組合せによって、例えば脊髄造影というオーダーと、使ってはならない造影剤の2つが組み合わさると、それでは駄目だというメッセージを出すようなソフトもありますので、また検討していただければと思います。
○国立国際医療研究センター病院長
これはありがとうございます。電子化の過程でそういったことの可能性を、現在はまだやっておりませんので、検討させていただこうと思っております。
現在のところは、先ほど申しましたように、これを機会に、いわゆるハイアラート薬全ての使用においては、多職種の者が、それぞれチェックし合うということにしております。
○内山部会長代理
今のことと直接には関係がないのですが、救急車も1万2,000台近く受け入れられており、大変なことだと思います。当然、対応するドクターのチームに研修医も加わっていると思うのですが、どのようなチームで対応されていて、どのようにリスクの回避をされているのか、その辺りを教えてください。
○国立国際医療研究センター病院長
医師のチームは、主治医はいわゆる上級医で、いわゆる技官の医師です。これは専門医取得者です。それから、中級医としてフェロー、これは大体卒後5~6年目、8年目までです。そして、初級の、いわゆる初期研修医ないしは初期研修が終わった1年目ないし2年目、基本的には3名ないし2名ということが医師のチームです。
看護師その他とのチームは、それぞれのアクションというか、医療行為において作られていくので、その件については、例えば救急処置の場合にはそれに看護師が加わり、救急の担当の者が更に加わって作られているという形になっています。
今回のことに合わせて考えると、上級医と、いわゆるフェローの前の、5年目の医師との連携が十分でなかったことは、もう1つの大きな原因として考えております。
○永井部会長
糖尿病は大分見えるようになってきたのですが、医療センターとしての医療、国循や精神神経センターなどのセンターに比較して、国際医療センターならではというところを、今後どう打ち立てるかが課題と思いますが、いかがでしょうか。
○国立国際医療研究センター病院長
当院は従来から、救急医療というものが1つ柱としてあったわけですが、いわゆるセンターの病院としては、もう1つ大きな意味での総合医療というものが掲げられています。この内容は、1つの疾患を総合的に診れるチームを組める、という利点を活かした医療をやっていこうということでした。
そういった意味で、今回のような事故は非常に残念なのですが、今後、当院としては、やはり、がんです。それから、糖尿病等を中心とした生活習慣病。それと、高齢者が増加している中で、呼吸器疾患といったものも含めて、多疾患を有する疾患の方々に対しての医療を提供していきたい。がんプラス糖尿病や、呼吸器疾患のある糖尿病などといった方々を対象とする医療が提供できるような病院として進めていきたいと思っております。
○永井部会長
今後、入院診療において、かなり外科の医療の比重が大きくなってくると言われているのですが、その辺りをどう読んでいらっしゃるか。また、そのための体制をどう作ったらいいのか。いろいろな病院で課題として挙げられているのですが、いかがでしょうか。
○国立国際医療研究センター病院長
外科は手術件数の増ということを目標にやっておりまして、昨年は5,000件を超えて、年間約500件程度の増で推移しているところです。そういった意味で、昨年、手術室は13ありますが、それは大体6室しか利用していなかったのを、チーム医療の促進で8室に広げるということで、30%近くの手術場の増加を図ったわけです。
○永井部会長
一方で、外来を減らせという話があるわけです。厚労省が指導していますが、その影響のために、いろいろな病院であたふたしているのですが、いかがでしょうか。
○国立国際医療研究センター病院長
病院全体として、まず、DPC医療というものの基本的な性格を全員で理解することを重点に置いています。限られた資源を有効に利用するという原則は、やはり医療でも必要だということで、これは職員みんなでそういった事実を共有しようということで昨年から進めています。
○国立国際医療研究センター理事長
今の御質問に関して、少し視点を変えて言いますと、私どもとしては、これはいつも病院長とお話していることですが、JCIなどを取得して、いわゆるグローバルスタンダードというか、国際基準に合致した病院を作ると同時に、今後はかなり積極的に外国人の医師、研修というよりは、非常に高度な技術を持った外国人の医師に入ってきていただいて、高度な医療をやっていただくという形に持っていけないかと思っているのです。それにはいろいろな壁があるだろうことは十分に予想はつくのですが、方向性としては、そういうものが、うちのセンターとしての今後の方向のひとつではないかと思っています。
○福井委員
1点だけ確認させてください。今の10ページの右のカラムの下のほうの「医療安全管理体制の充実」の所で、「医療安全・院内感染研修会を開催し、受講対象者の受講率は100%」とありますが、これは全ての職員が、1回はどれかに出たという意味なのか、一つ一つの研修会に100%の職員の出席を求めているのか、どちらなのでしょうか。
○国立国際医療研究センター病院長
これは、1回1回に全て100%です。最初は通常の講義形式で、今度はビデオを撮って、何回も流して、必ず受けることをチェックするということでやってまいりました。
○永井部会長
それでは、項目7~11について御説明をお願いいたします。
○国立国際医療研究センター企画戦略局長
12ページを御覧ください。「人材育成に関する事項」です。これも冒頭で申しましたように、センターの教育機能について「S」という自己評定にしています。
その理由ですが、「リーダーとして活躍できる人材の育成」ということで、これも国際医療研究センターの特性を活かし、1はエイズ・結核・マラリア等に対する国際的な人材を養成するための「総合感染症レジデントプログラム」の設置、2は産婦人科及び小児科等が絡む「国際臨床レジデントプログラム」の設置、3は「国際保健医療協力レジデントプログラム」の設置で、これらのプログラムは全て国際医療研究センターのオリジナルです。
4は精神科のことですが、国府台病院の特性を活かし、今は非常に数が少なくて増やさなければならない思春期精神保健関係の研修を実施しているということ。
あと、先ほど御説明がありましたけれども、総合的な診療能力等々、基本的な能力を身に付ける意味で初期研修の関係ですが、6はセンター病院の初期臨床研修マッチングは4年連続市中病院中全国トップです。そのすぐ下に、小さい字ですが表で書いています。上に大学病院が3つありますが、市中病院としてはこのセンターがトップです。
7の国府台病院の初期臨床研修第一希望者倍率は千葉県トップで、平成22年度は1.3倍だったのが、平成25年度は2.5倍で、非常に人気が高まっているところです。
8の初期研修医に疫学・医学統計基礎講座の受講を義務付け、9の看護師の卒後臨床研修を実施等々、こういった人材育成に取り組んでいるところです。研修医及びレジデント等の在籍者数については、すぐ右側に推移のグラフがあります。
10は連携大学院を通じての学位の取得支援として、先ほど少し触れましたが、東京大学、横浜市立大学、長崎大学、熊本大学に加えて、順天堂大学、帝京大学、慶応大学と協定を締結しているところです。
「モデル的研修・講習の実施」では、12のエイズ/HIV関係についての研修会、その他感染症、糖尿病、精神科、国際保健といった研修・講習等をしています。右側の2番目と3番目のグラフで、センター外の医療従事者向け研修会の実施回数、参加者数の推移がありますので御覧ください。
13ページですが、「医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項」、これも自己評定「S」とさせていただいています。
これまで御説明したような高度な医療等について、それを広く全国に広めるために「ネットワーク構築の推進」ということで、HIV・エイズについては、全国8ブロックのブロック拠点病院協議会を厚労省とも協力して行っています。肝炎については拠点病院間連絡協議会を行っていますし、児童精神についても行っています。
「情報の収集・発信」として、ホームページですが、HIV感染症、輸入感染症といった感染症等についてのホームページアクセス数は1,486万件です。右側にグラフがありますが、年々増加しています。中期計画では1,000万件となっていますが、それを大きく上回る状況です。その下にHIV・エイズ、肝炎、糖尿病、それぞれについてのアクセス件数の推移がありますが、順調に伸びているところです。ただ、HIV・エイズについては、平成24年度に直接ポータル形式のホームページに改訂したので、見かけ上、少し下がっているようになっているところです。
このほか「情報の収集・発信」としては、パンフレット、メディア、メディアセミナー、これはラジオ番組などを設けたりしています。また、研修会、シンポジウム、市民公開講座等を通じて、広く均てん化と情報の収集・発信を図っているところです。
14ページですが、「国への政策提言に関する事項、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」。これも自己評定「S」とさせていただいています。
「国への政策提言」ですが、ここに書いていますように、1は医療分野の研究開発、エイズ、薬事、その他について、小委員会などに出席し専門的な立場から提言しています。2は肝炎対策についての検証を実施しています。3はWHOの総会・執行理事会、世界基金の理事会等の国際会議に政府代表団の一員として出席し、専門的な見地から寄与しています。このように国に対して積極的に政策提言をしているところです。
「公衆衛生上の重大な危害への対応」ですが、これは23にありますように、災害マニュアルの改訂、新感染症の発生に向けた訓練。4の国際緊急医療援助隊への登録。昨年度については、実際の派遣をする機会はありませんでしたが、いつでも派遣できるような体制を整えています。これを活かして大学生の災害訓練もしていますし、東日本大震災における取組もしていて、それを継続しています。
「国際貢献」ですが、1はアジア、アフリカ等の途上国における保健システムの強化を図るため医師、看護師等の専門家を派遣。93人ですが、これは右側のグラフを御覧ください。専門家の派遣状況です。中期計画では5年間で400人以上となっていますが、93人を加えると4年目で既に429人ということで、5年の目標を4年で達成してしまったところです。2は保健省のアドバイザー、つまり途上国政府へのアドバイザーとしての参画。3から6にありますようにWHO等の国際機関との協力などをしているところです。8の研修生の受入れは282人で、これも右側のグフにありますが、5年間で800人以上という中期計画を、4年間で既に達成しています。その他の取組も進めています。
15ページ、評価項目10ですが、「その他我が国の医療政策の推進等に関する事項(HIV・エイズ)」です。これも6つのナショセンのうち、当センターのみの取組として進めているということで、自己評定は「S」とさせていただいています。
HIV・エイズ患者の診療実績ですが、右側のグラフに患者数の推移があります。上は入院患者が減っています。これはちゃんとしたデータはありませんけれども、これまでの均てん化の取組等によって、地域でも受け入れられる患者さんが増えてきて、そういう所への逆紹介を積極的に進めている結果ではないかと思われます。説明が前後しましたが、その上にある三角形ですけれども、こういったHIVの診療ネットワークの頂点として、各ブロックあるいは地域の医療機関へ、こういったHIV・エイズについての取組を進めるリーダーシップを執っているところです。3は、平成25年度に国内施設で唯一米国主催の国際共同臨床治験に参加し、実績を重ねているところです。7にありますように、E-learningの形で公開しているということもあります。こういったことで、右側の一番下のグラフですが、HIV・エイズに関する英文論文数も着実に増加しています。こういうところで実績を重ねているということです。
左側の一番下ですが、被害患者等への対応も進めているところです。
○国立国際医療研究センター国立看護大学校長
大学校長の田村です。評価項目11について私のほうから御報告申し上げます。今回、私たちは自己評定を「S」とさせていただいています。
「教育の充実」についてです。研究課程部、これは通常の大学では大学院になりますが、修士課程において高度実践看護学領域(感染管理看護学)の教育を開始しました。感染症専門看護師の受験資格を付与できるコースで、38単位以上の履修を求める同様のコースは全国で4校だけです。また、博士課程については中期計画に明示していませんでしたが、平成27年度設置に向けて、平成25年度においてはカリキュラム構築と教員審査の準備を手掛けました。大学評価学位授与機構への正式な申請は今年の9月となっていますが、教員体制とカリキュラムについては予備審査段階で、いずれも基準を満たしているという評価を受けています。
看護学部については105名の卒業生でした。この人数は例年よりも10名多いわけですが、全員を国家試験に合格させることができ、98名(93%)がNCに就職しました。研修部等においても、本来4コースを計画していましたが、8コースの研修を行い、がん化学療法の認定看護師コースも行ったところです。いずれも好評でした。
優秀な学生の確保に向けて本学の情報提供というのは、図に示しましたように年ごとに参加者数が増加してきています。昨年は1,300名を超える参加がありました。
「研究の推進」ですが、臨床看護研究推進センターにおいて、ナショナルセンター病院に働く看護師の研究支援を行ってきています。これも計画をはるかに上回る2倍近い18件を実施しました。うち2件は、がん看護と感染管理の外国の学術雑誌に掲載され、これまでにない大きな成果を挙げたところです。
こうした新たな取組、新しい成果を受けて「S」とさせていただきました。以上です。
○永井部会長
ありがとうございます。御質問、御意見、いかがでしょうか。「S」というのが想定外の評価ということで、よくやったというのが「A」なのですが、そのあたりはどう説明されますか。想定外の進展についてですが。
○国立国際医療研究センター企画戦略局長
想定外というと、何をもって想定と言うのか、そこのところは非常に評価の仕方が難しいと思いますけれども、我々としては中期計画というのが、ある意味、想定なわけですので、それをかなり大きく上回って実績を重ねているものは、当然、想定外の事項だと考えてもいいのではないかと思っているわけです。その他についても、もちろん何か想定外の事件が起きて、それに対する対応というのもありますけれども、予測よりもかなり上回っているということは想定外とみなしてもよろしいのではないかということで、こういう評価にさせていただいています。
○永井部会長
いかがでしょうか。
○本田委員
13ページの「情報の収集・発信」に関することですが、ネットワークを作って、こういうふうに専門家の間でという取組は、よく分かりましたけれども、一般の国民及び疾患を持っている方々への疾患情報提供という意味で、ホームページの数が増えているというのはよく使われますが、例えば、どういう情報を提供するように工夫しているとか、疾患経験のある方々から、こういうものがほしいという声を聞くとか、そういう何か工夫をした上でこれだけ増えているのか。ただ、こういうものがあればいいだろうと出すことだけがいいのかどうかも分からないので、そういうようなことをやっていらっしゃるのかということが1つと、これは10ページに関係してしまうかもしれないのですが、患者さんへの相談支援体制というところがあまり触れられていなかったので、そういう情報提供の在り方にどういうふうに取り組んでいらっしゃるのか教えてください。
○国立国際医療研究センター企画戦略局長
ホームページについてですが、確かにおっしゃるとおりで、例えばHIVなどについては、そういう患者さん等とのコミュニケーションもあるということで、そういうものも踏まえているとは考えています。
あと、例えば13ページのHIV・エイズのホームページアクセス件数が非常に減って見えると説明しましたが、これは、もともと内容というよりは入り方が非常に複雑で、幾つも行かなければいけなかったものを、逆にポータルサイトを1個作ってそこから行きやすくしたとか、そういうような工夫もさせていただき、できるだけ一般の方々がアクセスしやすいようにする工夫はしています。また、先ほどちょっと触れたラジオNIKKEIとか、そういう一般向けの広報みたいなものも含めて取り組んでいて、こういうところではむしろメディア側からの御意見なども聞きながら、できるだけ分かりやすい情報提供を考えているところです。
○国立国際医療研究センター統括事務部長
追加で申し上げます。例えばこの中でメディアセミナーということで記していますが、定期的にメディアの方々と、私どもが取り扱っている感染症や糖尿病、いろいろな疾患について、最近の状況を御説明させていただく機会を設けています。そういう機会に、読者や患者さんサイドから、どういうニーズが新聞社や週刊誌にあるかもいろいろ伺い、私どもがどういうふうに情報発信していくか、そういうことの御意見を頂きながら、あるいは参考とさせていただきながら、ホームページ等で発信させていただいています。
○福井委員
2点ほど。評価項目7の人材育成に関するところで、卒後臨床研修評価機構による外部評価は受けているかどうか。それから国際貢献のところとも関わりますが、最近、外国からの医学生あるいは研修医が臨床実習を受けに来ることがしばしばあるようです。外国からの学生、研修医を受け入れているでしょうか。
○国立国際医療研究センター病院長
外部評価は受けていません。外国からの研修は受け入れています。先ほど患者相談の御質問を頂いたかと思いますが、病院といたしましては、患者相談窓口を設けて窓口支援体制の整備をしています。これには専門職の職員が1人、常勤のソーシャルワーカーが7人、看護職が2人いて、平成25年度では4万件を超える相談を受け付けました。これは評価シート39ページの1の4に記載しています。
○永井部会長
ほかに、よろしいでしょうか。
○国立国際医療研究センター亀井総長特任補佐
追加で申し上げます。情報発信の件ですけれども、シンポジウム、市民公開講座をやるときに必ずアンケートを取り、それを次回のシンポジウムや市民公開講座、それから情報発信についてはフィードバックできるような体制をとっています。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
○花井委員
15ページのHIVの外来患者数が右側にあります。割と平成23年度以降、横に出すぎていて、毎年、外来は基本的に患者は増えてしまうのでどんどん増えてしまう。特にこのような設備が整った専門病院は、増えてあっぷあっぷという傾向ですが、かなり横になって、1つは、例えば1か月ごとに来ていた患者さんが3か月ごとになっているとか、もう1つ、地域にうまく返す手管というか、そういうのがあるのですか。逆紹介というか、その辺を教えていただけますか。
○国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター長
我々の所の一番の特徴は、逆紹介率が高いということだと思います。ほかの大きなブロック拠点等は逆紹介はゼロに近いですが、我々の所は50%近くで、安定した人はクリニックに戻すことをかなり積極的に推進しています。それから、今おっしゃったように安定してきたら3か月処方にするということで、極力外来数が増えすぎないようにかなりの努力はしていますし、逆紹介するための地域医療との連携とか、いろいろな研修といったことも繰り返し行っています。
もう1つ、今までHIVについてはずっと「A」できていたのですが、なぜ今年は「S」なのかというところを少し補足させていただきます。患者数や研修、均てん化等の活動については、もちろん絶対値で言うと圧倒的に多かったと思いますが、あくまでも中期計画と比べて「A」評価ということで、今までずっと「A」を付けてきたのです。今年、それで何で「S」かということですけれども、右下の論文数の推移を見ていただくと、若手の研究者の成果が年々増えてきました。それがかなり欧米から認められ、左の3に、平成25年度に国内施設で唯一米国主催の臨床試験に参加できたとあります。今までHIVは全て米国で臨床試験を行い、そのデータをもって日本で申請することがずっとされて、実は日本での臨床試験というのはゼロだったのですが、昨年初めて、アメリカの施設の中に入れていただけたのが大きな第一歩だろうと思っていますので、「S」とさせていただきました。今年、2つ目の臨床試験がきて、それにも参加しています。
○永井部会長
よろしいでしょうか。
○藤川委員
今、なぜ「A」から「S」にしたかおっしゃっていましたが、同様に均てん化の所が「A」から「S」になっています。先ほどホームページのアクセス数が増えたとか、メディアセミナーを開催したということがありましたが、「A」から「S」にするほどの大きな伸びというのは、その2点が理由ということで理解してよろしいのでしょうか。ホームページのアクセス数が増えたということは、ある意味、当然やるべきことであって、見やすくなるように改善するのは当然のことで、増えたから「A」が「S」になるということではないのではないかと思うのですが、そのあたりをもうちょっと説明していただけますか。
○国立国際医療研究センター理事長
私どもとしては平成25年度から、13ページの一番下に記載してある市民公開講座を始めました。もう少し小さい規模の市民公開講座は各診療科単位で、うちの施設を使ってやっていたのですが、これはある新聞社とタイアップし、我々の公開講座の模様を新聞の一面に掲載していただくということで、そういう意味では、今までから一歩抜け出した情報発信をやり始めたのではないかと考えています。
○永井部会長
よろしいですか。では、残りの項目について御説明をお願いいたします。
○国立国際医療研究センター統括事務部長
統括事務部長でございます。16ページの下段で評価項目12、「効率的な業務運営体制」です。1は、任期制の導入ということで、平成25年6月に病院の副院長、部門長、研究所の副所長を対象に任期制を導入しました。また、病院の部門体制を改めて、部門長が部門を統括し、病院運営に参画するようにするなど、組織の活性化と人材の流動化の最適化を図ってきました。
2は、病院における臨床研究を推進するため、臨床研究部門の創設をしました。
3は、招へい型任期付職員、若手育成型任期付職員へ年俸制を導入するとともに、公募による採用数の推移ですけれども、平成24年度については募集ポストが多かったという状況があり、これを除くと、平成22年度の2倍、平成23年度の7割以上の増加ということで、平成25年度は51件の公募による採用をやってきています。
「組織の適正化、効率的な業務運営体制」ですが、1は、センター全体、つまり国府台病院、センター病院を合わせて、より協力してセンター全体の看護師及び薬剤師の人材確保・育成に取り組む人材企画統括職を設置しました。これにより効率的な採用、人材育成を図っています。
2は、理事会による重要事項の審議・決定、運営会議による効率的・効果的な業務運営、監査室による内部監査、監事による業務監査や各種委員会等の参加など適切なガバナンス体制による法人運営も行っています。
4は、国府台病院及び看護大学校の事務の一部、契約や人の採用、募集ですが、こういうことについて戸山地区の方で一元化し、効率的・効果的な業務運営を進めています。
5は、ミッション達成に向けて担当部門と責任を明確にした、複数副院長を設置してきました。センター病院については3人の副院長(平成25年度)、部門としては診療・医療安全・院内感染が1部門、2部門目として医療教育・臨床研究推進、3部門目として経営、これら3部門についてそれぞれ副院長を設置して、責任の明確化を図った運営をしています。なお、センター病院において平成26年度からは医療サービス・医療情報・広報等の担当分野を更に加え、副院長4人体制としています。
6は、センター病院のDPC室では、DPCの精度管理やコーディングの適正化を行いつつ、職員に対しコスト意識の向上等の教育や、他病院の分析、上位係数取得に向けた取組を実施しています。平成24年度に設置したDPC室が、平成25年度においていろいろ取組を更に重ね、平成25年度における前年度比10億円の医業収支改善に結び付いていると認識しています。
これらの効率的な業務運営体制の取組から、自己評定は「A」とさせていただいています。
17ページで、評価項目13、「効率化による収支改善・電子化の推進」です。効率化による収支改善の2つ目のポツの「主な取組内容」ですが、連携強化などにより入院・外来患者数の増加とあります。このページの右上に、1日平均患者数の比較が平成24年度、平成25年度とありますけれども、入院患者数・外来患者数が両病院ともに、1日平均として15~33人の増加です。これは平成24年度から平成25年度にかけて、105の医療機関に病院長、副院長らが足を運んで連携強化を図った結果と考えています。
各部門における費用の関係ですが、共同入札、後発医薬品への切替え、業務委託の見直し等による費用削減も図ってきています。右の真ん中のグラフに経常収支率の推移があります。一旦、平成23年度、平成24年度は90%台半ばにいっていましたけれども、平成25年度においては101.7%という経常収支率の達成です。前年度に対して4.4ポイントの改善です。
左下に一般管理費の状況を記していますが、一般管理費については、平成21年度の実績に対し22%削減の6億900万円という状況になっています。
右の下に医業未収金比率の縮減状況、診療報酬査定率の推移を記していますが、いずれも前年に比べて改善しています。
一番下に電子化の推進について記していますが、センター病院に加え国府台病院に電子カルテを導入するとともに、セキュリティ向上策をとっています。
このような大幅な収支改善、中期計画以上の一般管理費の削減、医業未収金比率の縮減、診療報酬査定率の改善、国府台病院の電子カルテ導入による電子化の推進等の実績により、自己評定は「A」とさせていただいています。
財務状況のポイントについて説明させていただきます。19ページをお開きいただきたいと思います。19ページの右側中段に、平成25年度の経常収支率101.7%と記しています。その隣の総収支率は101.3%です。この資料の一番左の下に運営費交付金予算額の状況について記しています。独立行政法人移行時の平成22年度が84.5億円に対し、平成23年度は9.4億円の減、平成24年度は更に3.8億円の減、平成25年度は更に2.2億円の減というように、運営費交付金については推移してきています。
次に20ページです。冒頭、総長から御説明申し上げましたが、ポイントとしては右下の青で囲った所です。前年に比べて経常収支が16.4億円改善しています。それにより、一番上にオレンジ色で、平成24年度経常損失マイナス9.8億円とあり、中央の下から3行目になりますが、平成25年度経常利益はプラス6.5億円となっています。
次に21ページで、「財務状況の推移(中期計画との比較)」について、4年間(平成22~25)の累計を申し上げます。左下の経常収益の棒グラフですが、一番左が中期計画の累計、その隣が実績の累計です。青の棒グラフが運営費交付金を示しています。中期計画においては334億円でしたが、実際には282億円で52億円の減でした。その上の赤、緑の合計ですが、医業収益、その他の収益は、左側の計画に比べ、実績はプラス127億円といった収益の状況になっています。トータルとして経常収益については、上に記している中期計画累計1,302億円に対し、75億円の増で1,377億円という実績でした。経常費用については、その右の棒グラフです。給与費、材料費、赤、緑の医業収益に応じた増加等もあり、中期計画累計に比べて92億円の増、実績としては1,399億円となっています。その結果、経常収支については中期計画と比べ17億円の差異が生じているところです。
18ページに戻っていただき、評価項目14、「法令遵守等内部統制の適切な構築」についてです。内部統制体制の有効性に関する評価、コンプライアンスの推進、監査室による内部監査の実施、監事による業務監査・会計監査の実施、会計監査人による外部監査の実施、契約事務の競争性、公正性及び透明性の確保ですが、適切な法令遵守等に取り組むため、内部統制としてコンプライアンス室及び監査室による監査等、また、監事による業務監査、外部監査人による会計監査の実施等に加え、それぞれの相互連携を図り、効果的な内部統制の取組を推進してきました。コンプライアンスの推進については、法令違反行為にかかる内部通報、個人情報の取扱いについて、職員に対するコンプライアンス研修を実施しています。契約事務手続に対する執行体制や審査体制については、「契約審査委員会」を監事、外部有識者及び直接契約に関与しない職員で構成し、契約方法の適切性等について審査・評価を行いました。加えて、「契約監視委員会」を監事、外部有識者で構成し、競争性のない随意契約、1者応札・1者応募について、より厳格な審査を行い、審査評価体制の強化を図りました。
このように厳格な体制、対応をとっていることから、自己評定は「A」とさせていただいています。
次に評価項目15、「予算、収支計画及び資金計画」です。一番上の「自己収入の増加に関する事項」ですが、寄附金、受託研究費等、外部資金の更なる獲得に向け、ホームページ記載内容の見直しや、依頼者側が依頼しやすくなるように配慮した規程を備え、外部資金の獲得増加を図りました。これらにより平成25年度寄附金、受託研究、競争的研究費の合計は24億円、対前年度比7億円の受入れ増となっています。
「資産及び負債の管理に関する事項」ですが、平成25年度においては、センター病院の新外来棟整備のために18億円の借入れを行いました。固定負債について約定どおりの償還を行い、期末における長期借入金残高は186億4,000万円となっています。
「施設・設備整備に関する事項」では、平成25年度中にセンター病院の新外来棟完成直前となり、平成26年4月に竣工、5月から運用開始するなど、適切に施工を進めてきました。
このように自己収入を増加させ、適切な対応を図っている観点から、自己評定は「A」とさせていただいています。
次に評価項目16、「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」です。人事システムの最適化については、業績評価制度に基づき、職員の業務実績を評価した給与に反映させています。業務遂行意欲の向上を図っています。また、優秀な人材の確保や組織の活性化を図るため、国や国立病院機構、他のナショナルセンターとの人事交流を図ってきています。平成25年度においては、転出・転入が合わせて75名です。
「人事に関する方針」ですが、看護師の二交替制導入拡大を図り、国府台病院では2看護単位を増やして、6看護単位で二交替制を導入しています。センター全体では24看護単位で二交替制を導入し、看護師人材の確保、女性が働きやすい職場環境に更に努めてきました。育児時間制度の利用件数も前年に比べて10%以上の増加を見ています。
このように人事システム、人事に関する取組、その他の取組が適切に行われているという観点から、自己評定は「A」とさせていただいています。説明は以上です。
○永井部会長
ありがとうございます。それでは御質問をお願いいたします。運営費交付金が毎年減っていますが、特に教育・研究関係、これはどうやって補っているのですか。
○国立国際医療研究センター統括事務部長
21ページのグラフにもありますけれども、この4年間に医業収益等で127億円の増加となっています。そういう意味で、運営費交付金の収益52億円減については、ここで収益の数値としてはカバーしていますが、実際には関連する費用がどうしても発生しますので、現状としては、このような経常収益、経常費用の状況となっているということです。
○永井部会長
医業収益で研究・教育の運営費交付金削減分を補っている、という理解でよろしいのでしょうか。
○国立国際医療研究センター統括事務部長
それぞれ経費についてはセグメントしていますので、先ほど申し上げた外部資金の獲得、つまり、寄附あるいは外部からの補助金の獲得、あとは受託研究、これらの獲得に努めているという状況です。
○永井部会長
いかがでしょうか。
○福井委員
マネジメントのことですが、月次データを職員に知らせていますでしょうか。前月なり2か月前までのデータを職員に説明しながら協力を求めるとか。
○国立国際医療研究センター統括事務部長
職場長以上につきましては、毎月、管理会議で、そのような経営の状況について直接資料をもちまして説明しています。あと、院内のポータルに経営指標を載せ、各職員がそれを実際に見られる状況にしていますし、看護部門あるいは薬剤部門等各部門内の会議においても、現状について伝えている状況で、職員が経営状況については、見られる、分かるという状況を保っているところです。
○永井部会長
医業収入が増えていますが、医薬品あるいは医療材料の経費が上がっているということはないのですか。
○国立国際医療研究センター統括事務部長
医薬品につきましては、国立病院機構あるいは他のナショナルセンターと一緒に共同購入、共同入札をしてきました。さらに、後発医薬品への切替えも進めてきています。なかなか難しい面はありますけれども、できるだけ効率的な購入に現在は努めているところです。
○永井部会長
今、生物製剤が増えて、大学病院では医業収入が増えているけれども、生物製剤にかなり消えているようです。あるいはそれによる医業収入の増加という面があるようです。それはセンターの場合にはあまりないということですね。
○国立国際医療研究センター病院長
生物製剤の使用は一定程度ありますが、抗がん剤等に比べると、それほど多くはありません。薬品比率は現在、総医業支出のうちの30%前後、35%弱のところまではきましたが、それぐらいのところです。医療材料費が少し上がってきていますので、これも30%台で何とかコンテインしたいということですが、40%近くにはなりつつあるという状況です。
○福井委員
全体的なことで恐縮ですが、これから2020年のオリンピックに向かってますます国際化が求められます。特にこちらの病院は国がバックアップして、日本の医療のクオリティが高いところを示す必要があると思います。現在、何パーセントぐらいの患者さんが外国人でしょうか。また、先ほど総長から、職員の中に外国人を入れていくというお話がありましたが、それはどれくらい進みつつあるのか聞かせていただければと思います。
○国立国際医療研究センター病院長
外国人の比率は、一昨年から3%前後です。それが最近のデータでは5%から6%ということで増加の傾向にあります。外国人に対応する直近の手法として、患者の皆様ないしはそれに関連してお出でいただいた方については電話で契約し、電話で取り継いで、それを仲立に利便を図っているところです。センター全体の病院が全体として新しくなった時点で、デジタルサイネージ等で外国語表記を充実させる予定ではあります。職員についても、たちまちではありませんけれども、そういう方向で検討しているところです。
○内山部会長代理
未収金もよく減ってきていて感心しています。憶測かもしれませんが、これからビザの緩和等々で外国人観光客が増えてくるし、不法滞在者も増えてくるのではないかと思います。夜間の救急等も、運び込まれるとしたら真っ先に貴センター病院に運ばれるのではないかと思っています。私は地方にいてそういう経験は少ないのですが、ただ、経験がない中でもそういう方が来られると、その後の診療費請求が難しかったりする場合があるものですから、どのような対策等を考えておられるのでしょうか。
○国立国際医療研究センター病院長
未収金は非常に大きな問題で、いつも頭を悩ましています。特に外国人の方だけではないですが、当院の置かれた地理的な環境から、新宿近辺の方で未収になる方が多い。これについては今のところ全くアナログで、徹底的に御連絡をして、郵送等で手紙を出しながら、回収に努めるというところです。正直、アナログの方法以上にシステムとしてどうするかというのは、今のところ考えあぐねているところです。
○国立国際医療研究センター財務経理部長
今の件の補足ですが、具体的には今年2月ぐらいからですけれども、入院患者について事前にクレジット番号を登録していただき、番号さえ登録していただければサインがなくても請求できる仕組みを、取っています。それで未回収が大分減ってきているのが1点。それから他の病院でも一部やっていますが、保証金を事前に頂くことにより、高額医療の範囲内のものについて、未回収を防ぐ仕組みも使わせていただき、できるだけ入口の段階で未収金をなくしていく形で今は進めているところです。
○福井委員
先ほどの確認で、英語を喋ることができる職員による、ランゲージサービスデスクの設置はされていますか。
○国立国際医療研究センター病院長
院内の活動としてはありません。国際医療協力局のほうでお願いします。
○国立国際医療研究センター企画経営部長(国際医療協力部長)
その点についてお答えさせていただきます。センターの全職員を対象に、例えば英語ですといろいろなレベルに分かれて、センター内において会社と契約し、夕方から夜にかけてランゲージをスキルアップする研修を半期ごとにやっています。そのほか、他の言語につきましてもフランス語、中国語など可能な限り行う形で、それは数年に渡って続けてきています。
○永井部会長
ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、国際医療研究センターの評価は以上で終わりにいたします。ありがとうございました。
議事は以上ですが、事務局から何か連絡事項等はございますか。
○政策評価官室長補佐
それでは、今後の流れについて御説明いたします。資料1-3、資料2-3の評定記入用紙についてですが、こちらの全ての項目について御記入が終わっている場合につきましては、部会終了後に用紙を回収しますので、机の上にそのままにしておいていただくようお願いいたします。記入が終わっていない場合につきましては、冒頭に申し上げましたとおり、評定記入用紙をお持ち帰りいただいて御記入いただくか、あるいは本日、メールにてお送りいたします評定記入用紙の電子媒体に御記入の上、8月1日までに事務局まで御提出いただきますようお願いいたします。
なお、御提出いただいた各委員の評定につきましては、事務局で集計し、本部会の評定結果を確定させていただきます。その後、各委員の評定等を踏まえ、本部会の起草委員である永井部会長と所管課において調整いただき、評価書(案)の作成を行います。こちらは8月21日と22日の総合評価を行う部会において御審議いただく形となります。
続いて、昨年12月及び本年3月に書面にて御意見を賜りました案件についての御報告です。参考資料3として通知の写しを付けていますが、こちらにありますとおり、「国立国際医療研究センター役員の退職金に係る業績勘案率の決定」、「国立がん研究センター及び国立国際医療研究センターの平成26年度長期借入金計画」、「国立高度専門医療研究センター6法人の平成26年度償還計画」につきましては、それぞれ12月25日、3月28日付けで本部会において了承されましたことを御報告いたします。
次に、次回の開催予定ですが、次回は8月1日(金)15時30分から、場所は、厚生労働省12階の専用第12会議室です。議題としましては、国立長寿医療研究センターの平成25年度業務実績に係る個別評価となります。
最後に、本日配布しました資料の送付を御希望される場合につきましては、事務局のほうからお送りいたしますので、机の上にそのままにしておいて、本日は御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。
○永井部会長
ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了いたします。長時間ありがとうございました。
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