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2014年9月19日 第45回 がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成26年9月19日(金)15:00~17:00


○場所

三田共用会議所大会議室(3階)
(東京都港区三田二丁目1番8号)


○議題

(1)今後のがん対策の方向性について
(2)がん対策推進基本計画の中間評価について
(3)その他

○議事

○江副がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第45回「がん対策推進協議会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、石井委員にかわりまして、今回から新たに加わった委員を御紹介させていただきます。

独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター長の堀部敬三委員でございます。

○堀部委員 名古屋医療センターの堀部敬三と申します。日本小児血液がん学会を代表しまして、前石井理事長のかわりに参りました。どうぞよろしくお願いいたします。

○江副がん対策推進官 引き続き、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。

本日は、工藤委員、佐々木委員、内藤委員、野田委員、湯澤委員より御欠席の連絡をいただいております。また、中川委員が若干おくれているようでございます。

また、事務局側の御紹介ですが、7月11日付で事務局に人事異動がございましたので、御報告させていただきます。

新たに厚生労働省健康局長に着任いたしました新村でございます。

続きまして、新たに健康局がん対策・健康増進課長に着任いたしました正林でございます。

本日のがん対策推進協議会定足数20名に対しまして、現在、出席委員が14名でございますので、議事運営に必要な定足数11名に達していることを御報告申し上げます。

本日は、2名の参考人を招聘しております。

まず、国立がん研究センターがん対策情報センター長の若尾文彦参考人です。

国立保健医療科学院統括研究官の福田敬参考人です。

それでは、以後の進行は門田会長にお願いいたします。

○門田会長 ただいまより協議会を始めたいと思います。見ていただいて非常に資料多いことにお気づきと思いますが、2時間で何とか処理していきたいと思いますが、少々おくれるかもしれないなあとちょっと心配しております。よろしくお願いいたします。

それでは、事務局のほうから資料の確認をお願いします。

○江副がん対策推進官 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 資料1 がん対策推進協議会委員名簿

 資料2 今後のがん対策について

 資料3 小児がん対策

 資料4 医療技術の費用対効果の評価と活用

 資料5 がんの予防・がんの早期発見に関する指標と現況について

 資料6 がん対策推進基本計画中間評価骨子案

 参考資料1 がん対策推進基本計画中間報告書

 参考資料2 がん対策推進基本計画

 参考資料3 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会報告書

 参考資料4 検討会等進捗状況

 参考資料5 平成27年度予算概算要求の概要

 それから、机上配布資料としまして、川本委員より御提出いただきました、厚生労働省委託事業「がん医療に携わる看護研修事業」により作成された教材をお配りしておりますので、御確認いただければと思います。

 資料に不足・落丁等ございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。

○門田会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。資料に問題ございませんか。

 なければ、議事に入りたいと思います。

議題1、「今後のがん対策の方向性について」ということですが、前回は松田参考人よりDPC及びNDBの観点から、がんに関する医療資源の適正配置について御発表いただき、また、厚生労働省老健局老人保健課及び医政局指導課より、通常国会で成立いたしました「地域医療介護総合確保推進法」についての御説明をいただいたところであります。

今回は、最初に堀田委員より「今後のがん対策について」という全体的な内容の御発表をいただき、池田委員より、今般のがん対策推進基本計画で新たに加わっております「小児がん対策」について御発表いただきたいと思います。また、高齢化に伴い、がん患者数が今後も増加していくこと、これも皆さん御存じのとおりですが、がん医療の費用対効果を検証することも一度は考えておかなければならないと思いますが、本日は福田参考人より、「がんに関わる医療技術の費用対効果」について御発表いただきたいと考えております。

その後、もう一つの議題であります、がん対策推進基本計画の中間評価について研究班から御報告を受けたいと思いますが、それについての意見交換を行い、最後に中間評価に関する提案と各施策の現在の進捗状況について事務局のほうより報告していただこうと思っております。

それでは、早速ですが、まず堀田委員より、「今後のがん対策について」の御発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○堀田委員 国立がん研究センターの堀田でございます。

大変大きなテーマをいただきまして、しかも非常に広い範囲なので、ちょっと荷が重いとは思っておりますが、これはあくまで私の委員としての意見ということで出させていただきました。ともかくがん対策は幅が広いものですから全部を網羅することもできませんし、私の力の及ぶ範囲でもないところもあります。その点は御寛容いただきたいと思います。

資料作成につきましては、国立がん研究センターのスタッフに手伝っていただきましたが、あくまでこれはがんセンターの公式見解というわけではありませんで、私の委員としての意見ととっていただきたいと思います。

まず、ページをめくっていただきますと、全体の状況ということで、今後のがんの将来予測も含めますと、人口の高齢化とともに、2025年から30年にかけて、死亡数、あるいは罹患数がまだふえつつあるという状況が予測されておりますし、また現状では、働き盛り世代の約40%の死因ががんであるということ、あるいは小児におきましては、病死の第1位ががんであるということを踏まえますと、まだまだ問題解決しているわけではないという状況でございます。

一方で、早期発見や治療法の進歩によりまして生存率は確実に上昇し、現在では、新たにがんと診断される方と、死亡数の差のいわゆるがん経験者が毎年40万人ずつふえるという状況にございます。

次の3ページを見ていただきますと、このグラフの右のほうにねずみ色の帯がありますけれども、がんの死亡者数がまだまだふえている。特に高齢者でふえるというのが次のページでございます。

次のページが2025年から29年までの予測でありますが、罹患率、それから死亡率につきましても同様に増加傾向にございます。特に75歳以上の幅が広がっていくことが見て取れるかと思います。今後の大きな問題になるところであります。

また、がん種別に見てみますと、ページ5が男性で、ページ6が女性でありますが、種別で見ましてもいろんな特徴がここから見えてまいりますが、細かいことにつきましては後でごらんいただきたいと思います。

また、ページ7でありますが、全部のがんを総括しますと、罹患率はふえつつあり、死亡率は年齢調整では下がるということで、この間の乖離がいわばサバイバーといいますか、経験者の数がふえていくということになるわけであります。

次を見ていただきます。終末期のがん患者さんのことを考えてみますと、日本では、これは人口動態統計でありますけれども、在宅で亡くなられる方と病院で亡くなられる方がちょうど1975年でクロスしておりまして、これはがんだけではなくて全部の死亡でありますが、このような形で現在も推移しています。

一方、いわゆる緩和ケアを中心としましたホスピス、あるいは緩和ケア病棟のキャパシティというのは、これはちょっと古いデータですが、がんで亡くなる方の1~2%をカバーできているということで、多くの方はやはり病院で亡くなっているのが現状でございます。

この状態が続きますとどういうことが起こるか考えますと、ページ9にありますように、これはゴールドエイジ介護事業のホームページから引用したものですが、一番左が75年のちょうどクロスしたときの1975年から始まっています。緑の帯が病院で亡くなる方、そして、赤が在宅の方でありますが、図のように死亡者数が開いてまいります。

緑の病院でのキャパシティがほぼ一定だといたしますと、この在宅のところが伸びてこない限り、その他という、いわゆる「看取り難民」と言われるように、看取りの場所もなかなか困難だという状況が予想されます。

次のページを見ていただきますと、10ページですが、高齢者ではなくて若い人についてはどうかといいますと、ちょうど20歳から65歳までの生産年齢と言われる世代の死因の第1位を占める状況であります。この間の労働力の喪失というのは、離職とか休職等によるものですが、最大で年間1.8兆円ということが本日御出席の福田先生からのデータで示されております。

その次の11ページですが、このように働き盛り世代のがんの主要死因別の中で占める割合は約40%に相当するということであります。

一方で、小児はここに詳細なデータは出しませんでしたが、病死の第1位でありますし、特に若年成人や思春期のAYA世代と言われる方々の治療には問題がありますし、小児のフォローアップのデータも大変重要なポイントであります。

次めくっていただきまして、よく出てくるがんの5年生存率であります。これは地域がん登録に基づくものですが、この20年ぐらいで随分改善してきておりますが、これには治療法の改善だけではなくて、早期発見も大きな意味を持っております。

その次の13ページでありますが、全がん協のデータであります。全体で60%の5年生存割合がありますが、病期で見るととても大きな開きがあることが分かります。早く見つけて早く治療するということが重要だということが見て取れます。

次に、今後のがん対策というところで幾つかの問題点を少し指摘したいと思います。これまでは、15ページにありますように、第1次、第2次、第3次のがん対策が行われてまいりまして、第3次対がんの途中にがん対策基本法及び基本計画が施行されました。これまでは対がん10カ年戦略でしたが、施行を受けて、対がんとがん研究とを分けることになり、第4次は「がん研究10か年戦略」ということになってございます。ここで見ていただきますように、2010年くらいから矢継ぎ早にいろんな対策が進行していることがわかります。

次めくって16ページです。「今後のがん対策に向けて」。私の問題意識として掲げさせていただいたものです。がんが出てきてから治療するというのではがん患者さんは減りませんので、今後、がん患者の減少に向けた特に予防について科学的な根拠に基づく施策が大事だと考えます。今のまま病院依存の診療ではがん診療の需要に追いつかない状況が目に見えています。こうした観点から地域完結型医療へ早く転換する必要があると思う次第であります。

また、ライフステージやがんの特性を考慮した治療概念を、これまでとは異なった視点からもアプローチが必要だろうと思います。また、医療経済的な視点からの検討も必要だと思います。この点は本日、福田先生からお話しいただけると思います。また、サバイバーシップ、あるいはがん教育、そしてまた、これは少しセンシティブな問題でありますが、個人情報を前提とした医療マイナンバーの導入についても検討が必要だろうと思います。

まず、1のがん患者数の減少に向けた予防・早期発見でありますが、特に予防につきましては、リスクを特定したがん予防対策が必要だと思います。また、意義がわかっていても実行できないというエビデンスとプラクティスギャップの解消をどのように埋めていくかという行動変容を促す制度設計というのが必要だろうと思います。

また、早期発見につきましては、組織型検診を整備して、これに基づいて決められた検診をしっかりやる。あるいは、Call-Recallシステムを導入して個別勧奨するといったことをやるかやらないかで死亡率に大きな開きがあります。また、がん検診を誰が負担するかということにつきましても、今は市町村でやっておりますけれども、メタボ健診なんかを参考にして保険者の役割といったものに少し注目するべきではないかと思う次第であります。

次に18ページをごらんいただきますと、がんの検診率、これは左下の表で見ていただきますように、実は職域検診等を含めますとかなり目標に近い線いっているということが最近のデータでございます。これにはアンケート集計の仕方という問題もありますが、今までが受診率を過小評価していたのではないかということが指摘されています。

それから、19ページは「組織型検診の整備状況と死亡率の関係」を示したものです。組織型検診は、先ほど申しましたように、住民のリストをつくって個別に勧奨するというきめ細かい対応を組織的に行うことでありますが、それをやっている国とやってない国でどう違うか、乳がんを例にとって死亡率で見たものです。そうしますと、組織型検診を実施されている国では、1985年以降で乳がんの死亡率は下がっている。一方、組織型検診が十分に徹底されてない国におきましては頭打ちないしは上昇の傾向にある。日本は残念ながら、まだ乳がんの死亡率は上昇傾向にございます。

そして、次、20ページですが、「病院依存から地域完結型の医療への転換」ということを考える上で、私が思う幾つかの点でありますが、今日のような家族状況の中で家族力に過度に依存するやり方ではうまくいかないだろうと考えます。家族力に過度に依存しない体制を構築することが肝要です。そしてまた、病院から在宅のネットワークをつなぐコーディネーターがどうしても必要だと思います。これが適切に医療という立場で行われるとしたら、私は看護師さんの力に大変期待するところであります。

また、がん拠点病院はどちらかというと今までは拠点病院自体の役割を中心に考えてまいりましたけれども、地域完結型医療の中で、では拠点病院は何をすべきかというのを次の見直しのときには考える必要があると思います。

また、地域で完結できる均てん化の医療と集約化が必要な医療との明確化といったことも議論になると思います。

次は参考にしてください。

それから22ページになりますが、これまではどちらかというと治療法の開発とか薬剤の開発につきましては、比較的年齢層が成年というところに焦点が当てられて、どうしても小児とか高齢者に対する治療法の開発が進んでなかった。これからはライフステージに照準を合わせたがん対策が必要ではないかということであります。

AYA世代の問題につきましては、後で池田先生からお話しいただくと思います。

次に24ページをごらんください。希少がんであります。希少がんは、ここで見ていただけますように、端的にあらわれているのは左下の図でありますが、院内がん登録のデータで1例でも診療したことがある施設を集計いたしますと、390になります。ほとんどの施設が1例とか2例とか数例で全国に散らばっているというのが現状です。

日本はアメリカ、イタリアを比べますと、例えば肉腫の診療をおこなっている施設が大学病院、あるいはがんセンター含めて86施設ございますが、アメリカでは、人口が2.5倍ぐらいですけれども、全部で13施設、そしてイタリアでは、人口が半分ぐらいですが、4施設に集約されているという状況が見て取れます。

希少がんはがん種が多様であり、専門家も分散しております。こういった状況で、少ない症例数ではなかなかラーニングカーブが上昇しないという問題もございます。しかし、一方で強制的に集約するというのは余り現実的ではなくて、やはりがん種ごとのネットワーク化というのが必要だろうと思います。また、こういった希少がんの研究を発展させる上でも、バイオバンクの充実が期待されるところであります。

次の26ページであります。院内がん登録の集計データの一部を取り出してきたものですが、実際、年齢別にどのような治療が行われているかについて、肺がんを例に取り上げてみました。右上に病期の割合が年代ごとに書いてございますが、治療集計は全病期で示してございます。70歳代まではそれ以下の世代と同じような治療が行われていますが、80歳代になると急激に治療のモダリティが変わっているというのがわかります。一番上の矢印のある紺色のところは、治療なしと書いてありますが、何もしないというわけではなくて、緩和療法や対症療法はやっています、がんに対する特別な治療をしていないという意味です。これは国際的に使われている用語でございます。

次に27ページですが、医療経済的な視点で、これはよくある図でございますが、医療費がどんどん伸びつつありますが、OECDの加盟国の中では特別に日本が際立って高いわけではないという状況をまず踏まえておきたいと思います。

次の28ページですが、これは国立がん研究センターがん対策情報センターで作成したデータでありますが、25年度のレセプトデータから割り出した最新の疾患別の医療費の割合であります。がんにつきましては、年に換算しますと3.2兆円、全体の医療費の13%ということでございます。

一方、その次の29ページはレセプトの件数です。これは、大ざっぱに言えば、受診患者数と同じと考えてよろしいかと思います。それだと297万件で4%を占めるということでありますから、点数の割に単価は高いということが言えるかもしれません。

しかし、件数は、がん患者さんは継続的に治療を受けているわけではなく、いっとき集中的な治療が必要だと解釈できます。

次に30ページでありますが、医療費の高騰ということで少し実例をお話ししたいと思います。医薬品でイピリムマブというお薬を例に挙げてあります。FDAでは承認されてアメリカでは使えますが、日本ではまだ未承認のお薬であります。これを自費診療で悪性黒色腫の治療を行いますと、薬剤費で月に340万かかります。これが保険適応になってカバーされれば、高額療養費等の制度を利用しますと月の自己負担分が114,000円ぐらいになります。この落差は大変大きなものがございまして、いわゆる混合診療というような形で患者さんがもし使うことが出来ても、このぐらいの自己負担が必要になるということであります。こういったものをどう今後考えていくかという問題です。

また、多くの高額医療機器が最近は導入されていますけれども、それが本当に適正に配置されているだろうかということは、医療資源の有効活用という点からも考える必要があるかと思いますし、また購入価が、日本に入ってくるときに非常に高いといった問題もございます。

次に、サバイバーシップの取組でありますが、これは小児がん治療後の2次がんへ対応であるとか、あるいは就労支援その他さまざまな問題があります。これはもう既に取り組まれている部分もございますが、今後ますます重要になると考えます。

32ページは「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」の報告の概要をとりまとめたものであります。

それから33ページは、「子どもの頃からのがん教育」を取り上げました。これからは子供のときから、がんに対する予防意識や早期発見の大切さ、あるいは命の大切さを醸成するがん教育、いわゆる知識教育ではなくて、そういったものを進める必要があると思います。いろんな優れた教材ができておりますので、有効に活用して、子供のころから生きる意味を考える教育が必要だろうと思います。

最後に34ページでありますが、医療分野のマイナンバーのことに触れたいと思います。現在、例えば病院から出されるレセプトデータ、あるいはDPCデータ、副作用の報告であるとかがん登録データといったものはそれぞれ別個にサイロ式に積み上がっていきまして、横との関係はほとんどありません。ほかに特定検診とか、あるいは介護保険等もありますし、そしてまた死亡情報はまた別に上がって人口動態調査に使われております。今後、全国がん登録では、死亡情報と突合するという形にはなりますけれども、いずれにしても、せっかくのビッグデータが横につながらないという問題がございます。

それをつなげていくための有効な手段というのが、医療分野の匿名化したIDを使えるようになるということであります。これは個人情報の問題との兼ね合いで解決しなければいけない問題がたくさんありますが、このような問題意識を持っております。

そして、最後であります。「がん研究10か年戦略」がことしの3月31日に3大臣で確認されました。ここに掲げた具体的な研究課題を進めていく中でがん対策に資する研究を進めてまいりたいと思います。

最後のページであります。これからのがん対策では、やはり明確な指標と、それに基づく評価、そして新たな対策、そしてまた、それを実行して、それを評価するというサイクルをきちんと回していって、がん対策全体を見ていくことが重要だろうと思う次第であります。

駆け足でありましたが、以上でございます。

○門田会長 堀田先生、非常に幅広い領域を簡潔におまとめいただきました。

皆さん、御意見、あるいは御質問があるかと思いますが、受けたいと思います。いかがでしょうか。

よろしいですか。

では私のほうから1点、先ほど混合診療のところ、もう少し、先生の個人としてのメッセージはどういうことなのでしょう。

○堀田委員 例えば今、患者申し出療養が俎上に上がっています。当初から大分変わってきたのでどこに落ちつくかよくわかりませんけれども、いずれにしても、薬剤費は個人負担で、それ以外は保険診療とは併用できるとされています。しかし、保険診療の部分よりはその薬剤費に物すごくお金がかかりますよということは余り知らないで議論している人も多いのではないか。今の先進医療のように、申し出療養特約みたいな民間保険ができればこれはカバーされるかもしれませんが、その辺のところを理解しておく必要があります。一方、こうした高額薬剤費を全部保険の中に取り込むためには、保険自体の構造をどうしたらいいかということも考えないと、保険財政自体が成り立たなくなる可能性という兼ね合いについて、国民的なコンセンサスが必要ではないかと思った次第であります。

○門田会長 いろんな見方をすれば変わってくると思いますが、考えていかなければならないことだという指摘ということで。

道永委員、何かございますか。

○道永委員 今、患者申し出療養などいろいろなことが出ていますけれども、結局は患者さんの負担を減らすためにはやはり保険適用するのが一番であると思っているのです。ただ、確かに薬剤が余りに高いと患者さんの負担は同じように高いのですね。ただ、自己負担そのものは減ってくる。だから、全てのものを上手にやっていくのはとても難しいのですが、先進医療A、Bとありますが、保険適用ができる段階までなるべく早く持っていくというのがみんな努力する問題なのかなと思っています。

○門田会長 ありがとうございました。今後、まだまだディスカッションが必要なところだと思いますが、そのほかの御発言ございませんか。

緒方委員、どうぞ。

○緒方委員 今、医療費のことが話題になっていますけれども、患者の立場から言いますと、民間の保険会社に加入していることですごく救われる部分があると思います。その辺のことももう少し枠組の中に入れてもいいのではないかと思います。ちょっと荒唐無稽な言い方ですけれども、成人になったら、皆さん全員、がん保険に入るとか。どんどんがんの診療費は上がってきているし、お金があれば受けられる、お金がないと受けられないというのはちょっと国民としては悲しいかなと思いますので、その辺も全体の枠組の中に入れてはどうかなと思われます。

○門田会長 ありがとうございました。患者さんの立場から言うとということでございましたが、そのほかの御意見いかがですか。

永山委員、どうぞ。

○永山委員 ありがとうございます。

検診の受診率の向上というのは非常に重要だと思いますし、それによって救われる命が多くなるということで、御提案いただいております組織型検診というのは非常に重要になってくると思います。

その次の2点目で、特定健診を参考に保険者の役割ということで御指摘ありますが、この特定健診については、皆様御存知のとおり、今なかなか受診率が上がっていない、また保険者側の財政的な問題もあり、積極的な取組が進んでいないという現状もございますので、受診する国民側のメリット、どれだけ検診を受けることによってインセンティブがあるのか、そういったところの啓発ということもぜひ盛り込んだ形での議論というのが必要なのではないかと思っております。

○門田会長 ありがとうございました。

西山委員、どうぞ。

○西山委員 今後の展開を考えますと、地域型で完結する医療の展開と看取り難民を救うための対策を練るということはとても重要なことです。今後考えていくことなのですが、先生の御意見を聞かせていただきたいのは、現有制度の改革へ踏み込む、あるいは実施施設の拡充へ踏み込むということなのでしょうか。というのは、いずれの施設もすでに今満杯で、これ以上受けることができないというところまできています。新規施設の設置推進についての議論もこれから重ねていくべきだとお考えなのでしょうか。

○堀田委員 在宅という概念は、自宅とは限らなくて、ホームや施設部分も含めて在宅と今捉えるわけですね。そういう意味では、施設はもう少し拡大できるかもしれないと思っています。今ある施設をどう使うかという視点が私は現実的だろうと思っています。制度で言えば、医療なのか介護なのかというのがちょっと不明確ではありますけれども、そこにインセンティブがどうつくかという話と、それから、実際にそれをつなぐためにはコーディネーターがいないと、回っていかない。それぞれ患者さんが自分で見つけるなんていうスタイルになったら、これはなかなかたどり着かないと思いますので、そういったコーディネーター、どういう形で養成するかは別にしまして、先生の考えておられるようにいろんな形のアプローチがあると思います。いずれにしても、何らかのシステムにしないと、個々の努力だけではうまくいかないだろうと思っています。

○門田会長 上田委員、それから川本委員。

○上田委員 今の議論のところで、9ページですけれども、いわゆる看取り難民という表現で、今後の方針や施策を出すのにいい文言で、皆さんが注目してくれるとは思うのですけれども、この定義ですね。先生、これですと、20万人いらっしゃるということになっているのですね。今でも。そうすると、その人たちはどういう範疇の方を、さっきも在宅とかいろんなことをおっしゃった中で、独居老人の死とかそういうことを言っていらっしゃるのか、その辺のこと、クライテリアをしっかりしないと、これがひとり歩きする可能性があるものですから、もう少し説明をお願いしたいと思います。

○堀田委員 これは何も手当てしないとこうなっていくという話であって、現在、2014年でありますが、実際これだけ、どこにも行けない人がいるかというとそうではなくて、無理してでもいろんなところで受け入れているわけですね。ですから、手当てしないとこうなるという、ある意味で警告であって、決して現状がこれでアクセプトしているというわけではないと思います。

○門田会長 上田先生おっしゃっておられるのは、2006年の段階である推計値を出してみてこうなっているけれども、実際問題、これから先の自宅というのがどうなっていくのか、あるいはそのほかのものが、ここには介護施設と、これはほとんど横ばいになっていますけれども、今、いわゆる看取り難民というものをどういう定義というのか、どういう形のものがこれに入っていくのかという。多分、これはグリーンにもイエローにも入らないものがこのぐらいだんだんふえていきますよということで、何らかの対応がということではないのかなと理解しますけれども。

○堀田委員 おっしゃるとおりで、これはこうなるといけないので、どういう手を打てばいいかということを考える必要があると、そういう資料として御理解いただきたいと思います。

○門田会長 よろしいですか。

では、川本委員。

○川本委員 今、いろいろ高齢社会の問題から出てくる課題をお話しになったかと思います。資料の26ページの肺がんの治療のお話の中で、80歳を超えると治療方針や治療体系が変わっていく、見直しが必要ではないかという御提言をいただきまして、まことにその通りだと思っています。今、病院施設の看護職は、がんと認知症の両方を持つ高齢者の対応で非常に困っています。実際に治療に来られると、軽度の認知症が始まった方は、施設が変わったことですごく混乱します。あるいは抗がん剤の治療を自宅で続けようとしたときに、服薬管理ができないことが非常に大きな問題です。認知症の方のがん治療をどうするかということは非常に切実な問題として挙がってきておりますので、この辺の検討をぜひ進めていただきたいなと思っております。

○門田会長 ありがとうございました。

大江委員、どうぞ。

○大江委員 先ほどがん医療費が高騰しているというお話があって、その主な原因が薬剤費だということですけれども、恐らくその理由は、決して新しい薬をつくるのに費用がかかるのではなく、開発に非常に費用がかかるということだと思います。それも、成功した薬だけでなくて、開発途中まで進んで成功しない薬もいっぱいあるわけで

そういうものも全て成功した薬の薬価に上乗せされるような形になって、非常に高い薬価が設定されていると思います。

そう考えると、薬をいかに効率的に開発していくかという、ここだけの問題ではなく世界的に大事だと思うのですが、今、これが有望だと思うようなターゲットに対する薬が、各製薬会社がいろいろなものを、同じようなものをつくって、ばらばらに開発していて、非常に効率悪いのです。だから、その辺を、世界的な問題で、ちょっとここだけでは無理かもしれませんけれども、何かレギュレートしていくようなことを考えないと、薬が無駄な開発費のためにどんどん高くなっていくのではないかという気がいたします。

○門田会長 事実そのとおりだと思うのですけれども、ではこれをどうコントロールするか、非常に難しいのではないかと思いますが。

そのほかにもいろいろあろうかと思うのですが、これは問題提起として堀田委員から出していただきました。そういうことで、この内容について、まだ委員の皆さん方、御意見ございましたら、いつものように、メールで事務局のほうに届けていただくということにして、ひとまずこの件についてはここまでにとどめたいと思います。よろしゅうございますか。

それでは次に移ります。次は「小児がん対策」についてということで、患者さん、家族の立場から池田委員がここに参加していただいているわけですので、池田委員のほうから御発表していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○池田委員 静岡県立こども病院の血液腫瘍科親の会のほほえみの会といいますが、池田でございます。

ほほえみの会といいますのは、1995年にスタートしましたので、ことしで20年を迎えます。毎月1回、患者さんの親が集まって、悩み事の相談などをしております。小児がんが早く当たり前に治る時代が来て、こんな会がなくなるのがいいなあと思っているのですが、先日も日曜日にやったのですけれども、そこに来られたお母さんもずうっと泣いていらっしゃるのですね。ただ、2時間いろんな話をするうちに、最後、笑顔が出て部屋を出ていかれるのです。そうすると、やはりこういった会も必要なのかなあと思って、そんな形で細々と活動を続けております。

きょうは、せっかくこういった発言の機会をいただきましたので、私、全国の親の会にも声をかけまして、それを代表して、患者、家族の立場から皆さんにお願いしたいことなど、なるべく絞り込んでお話をさせていただきたいと思います。

その前に小児がんについて概略をお話しさせていただきたいと思いますが、2ページ目にありますけれども、ここにいる皆さんにとっては釈迦に説法ですので、もう簡単に紹介しておきます。

堀田先生の御説明にもありましたように、小児がんは子供たちの病気による死亡原因の1位です。そして、年間に全国で発症するのは2,000人~2,500人と言われています。小児がんというのは種類が多くて、希少がんも少なくないというのが特徴です。一方で治癒率も高く、70%は治る時代になっていると。ただ、治るとはいっても強力な治療をすることには変わりがありませんので、その後、子供が大人になってからも晩期合併症が問題になっているというのが小児がんの概略でございます。

これに対しまして、小児がんに係るがん対策推進基本計画の中では、重点的に取り組む課題、そして個別目標が定められています。

その目標に定められている小児がん拠点病院の件ですが、4ページ目に行きますが、現在、小児がん治療している病院は全国で200ほどありまして、発症患者は2,000人から2,500人ということで、病院ごとに症例で見ますと非常に数が少ないということで、専門の医師も育たないということで、拠点病院を指定して、そこで高度医療をしていこうというものです。

それに対する期待でございますけれども、この目標については、全国の小児がんの親の会の皆さんからも、非常にいい制度であって、大変ありがたいという感謝の声があります。ぜひこれを進化させていってほしいという声があります。小児がんの中には本当に希少な、治療法の見つかっていないものもありまして、来年になったら新しい治療法があらわれるかもしれないと命を長らえている子供さんもいますので、ぜひ拠点病院には高度医療を集約して研究していただきたいし、全国の治療実績も集約して、より高度な標準治療の開発なども期待したいと思っております。

また、患者、家族の視点では、心理的、社会的な支援とか教育環境、さらに長期フォローアップのあり方などソフト面に対しても大いに期待したいというところでございます。

ただ、現実問題としまして、先日も、北海道のユーイング肉腫の方で、東京の拠点病院へ移ったものの2カ月後にまた北海道へ戻ってしまったという方もいます。これは直接的には子供が地元に帰りたいといったことだったようですけれども、治療につきまして両方の病院の連携が全くうまくいかなかったということも実際あったようです。病気の子を持つ親にとって救いになるような拠点病院の整備をお願いしたいなと思います。

この拠点病院を今後どう運用していくのかということはこれからの議論だとは思いますが、例えば拠点病院ごとに得意の分野、重点疾患を定めて、例えば血液のがん専門とか脳腫瘍専門とか、そういった全国の難病の患者さんのデータとか、患者さんを集めて治療や研究をしていただくということもあるのではないかなあと思います。

それから、そこでの研究成果や実績を、ぜひ全国の拠点病院だけでなく、基幹病院へも情報開示していただきたいと思います。そして、拠点病院とブロック内の病院との診療体制も構築していただきたいと思います。

また、全国からのセカンドオピニオンを受け付けていただくというような形もつくっていただけるとありがたいなと思います。

またさらに、この拠点病院につきましては、この拠点病院を評価する第三者機関の設置も検討されていると聞いておりますので、設置に際しましては患者・家族の声が反映されるような委員構成をお願いできたらいいなと思います。

拠点病院への希望は以上でございますが、これから、私が日ごろ感じております小児がん対策につきまして、3つほどありますので、その辺を御紹介させていただきたいと思います。

まず、1番に治療の全国均てん化という問題でございます。ブロックごとに拠点病院を設置されるということは非常に進めてほしいのですけれども、これは高度医療を目指す医療側の視点ということですけれども、地方の患者視点から見るとなかなか難しいなあと思います。

静岡のこども病院が拠点病院に入らなかったから言うのではありませんが、例えば静岡県の場合、伊豆半島から浜名湖まで非常に距離が長い土地で、特に伊豆地方というのは医療過疎のエリアですね。実際にいるのですが、伊豆の下田とか松崎の子供が小児がんにかかると静岡のこども病院にかかるのですが、親は片道、車と新幹線で3時間の道のり、往復6時間かけてこども病院に通っているわけですね。これは日常生活で限界です。もしその子供がより高度医療が必要だといった場合、中部ブロックの場合は名古屋に行くということになります。これは家族が分断されることになりますし、現実的に難しいし、せっかくそういったいい病院があっても現実的にはかかれないという状況になります。

子供が病気になったら、まずは家族で支え合う問題です。ただ、小児がんの場合は、当たり前ですけれども、親は若いですし、仕事を長期休めないとか、収入はどうなるのかとか、交通費とか外食など経済的な負担も大きいものがあります。きょうだいの面倒は誰が見るのか、学校どうするのか、教育どうするのか、小児ならではの問題は多くあります。

そうしたことを考えるとき、拠点病院と各地区の基幹病院とネットワークを組んでいただいて、各県単位ぐらいで同様の治療が受けられるような仕組みを構築していただけないかと思います。

医療者と患者・家族がより近い距離感で、自宅に近い地域の中で治療とか社会的、心理的な支援を受けられる環境をつくっていけるといいなあと思います。

それから、基幹病院の均てん化以前に、開業医の皆さんに小児がんを疑う意識づけをお願いしたいと思います。小児がんというのは、先ほども言いましたように、症例も少ないことから、どうしても正確な診断がおくれるということもあります。

私の娘も神経芽細胞腫というがんだったのですけれども、最初に足のかかとが痛いと言い出しました。近くのクリニックや総合病院で診てもらってもわからず、結局、こども病院で診ていただくまで1年半かかっています。わかったときにはもう既に全身に転移しておりまして、大人でいう末期ですと言われてしまいました。

全国の親の会の中でも、ランゲルハウス細胞組織球症と診断されるまでに3年かかったという話も聞きます。脳腫瘍で早期に専門治療が受けられなくて再発したという話も、そういう話はいろんなところで聞きます。ぜひ正確な診断が早くできるように、開業医の皆さんにも小児がんの意識を持っていただくような形をお願いしたいと思います。

2番目のお願いです。今これが一番重要な問題かもしれません。長期フォローアップについてです。小児がんは、先ほども言いましたように、7割が治る時代になっています。治った人の人生は長くあります。当然ですが、小児がんのサバイバーは、再発とか2次がん、晩期合併症に大きな不安を持っています。患者とすれば、小さいときからずっと診てくれている先生に、成人になっても続けて診てほしい。ただ、一方、医療側は、成人になったら専門医に診てもらうべきだと。こども病院には診察の年齢制限もある。医療側と患者側のギャップが大きいのが現状です。

先ほどお話ししました私の娘ですが、3歳のときに神経芽腫、もう既に全身転移していたのですが、医療者の皆さんの御努力で、奇跡的な回復をいたしました。ただ、その後、小学生のときに甲状腺のがんになりました。そして、高校生になったら今度は骨肉腫になりました。それも克服しまして、現在、27歳になっています。

当然、定期的に病院で診ていただくことになるのですが、こども病院ではもう診ていただけませんので、紹介状を持って総合病院、今、内分泌とか婦人科だとか7つの科にかかっています。各科に行くたびにこれまでの病気と治療の経過を話すことになるのですが、これがなかなか大変です。医師によっては、何も悪くないのに何しに来たのだと。病院というのは悪くなってから来るところだと。悪くなったら来てくださいと。これは現実の話です。

こういうことを考えますと、せめてカルテは電子化されて、病院間で共有できて、患者がつたない説明をするよりも、治療や投薬とか放射線の量とか、そういったものの正しいデータを示したほうがいいことは目に見えています。今、がん登録の話が進んでいますけれども、がん患者のカルテの共通化とか共有化とか、できないものなのでしょうか。個人情報の問題があることは理解しますけれども、何とかサバイバーのデータも含めて運用ができるような仕組みをつくっていただければと思います。先ほどのマイナンバー制も検討されていると聞きますが、うまく連携ができるといいなと思います。

また、ハード面の整備だけでなくて、小児科医と成人専門医が連携するモデルケース、そういったものをつくっていただいて、それぞれの医師の役割確認など、患者に寄り添う、患者の立場に立った新しい時代のフォローアップ、医療体制の構築をお願いしたいなと思います。

一方で、フォローアップについてはもっと簡単にできることもあるかなと思います。ガイドブックとかマニュアルをつくれば非常に有益でしょうし、それよりもっと簡単なのは、各人の治療経過を記したフォローアップ手帳をつくること。これならすぐにできるのかなとも思います。ですから、こういったことをぜひ国の指導のほうでお願いしたいなと思います。

晩期合併症に伴って、20歳を過ぎた方の医療費とか自立へ向けての援助、さらには末期になったときの在宅支援のあり方など問題は山積しておりますけれども、できるところからお願いしたいなと思います。

そして、あと最後のお願いです。これは「小児がんの教育・啓発」です。がんの教育につきましてはこの協議会でも大きなテーマとなりまして、文部科学省の方もこの会議に出席していただいています。そして、2016年度には小中高それぞれで教科書にも載せていただくことになっています。ただ、小児がんについてまだまだ正しい理解がされていません。小児がんの原因は不明ですし、もちろん生活習慣病でもありません。患者への偏見をなくして、正しい理解をみんなで持てるような社会をつくっていきたい、いけたらいいなと思います。

現実問題、私どもの会でも、厳しい治療を終えてようやく学校に戻れると喜んでいましたら、学校側から受け入れを拒否されたというケースもあります。これは学力不足とか体力不足、休みも多くなる、感染も心配となると、学校も受け入れをちゅうちょするようです。文部科学省からは、病気療養児について、スムースに学校教育が受けられるよう通知が出されています。厚労省のほうからも御支援をいただければと思います。

また、就労につきましても重点的に取り組む課題の一つではあります。成人がんの場合は、治療しながらも仕事は継続できるようにという対策になろうかと思いますが、小児がんの場合は、病気を克服した上で就労となります。初めて社会に出るサバイバーを温かい目で見ていただけるような社会になってほしいなと思います。

私は、ことし2月にがん患者を中心とした世界がん会議というのがオーストリアのウィーンでありまして、そこに出席させていただきました。その中で、アルゼンチンのがん治療について話題になりました。アルゼンチンでは、かつて医師間の連携が悪く、治療まで時間がかかって手おくれになるケースが非常に多かったといいます。国のほうでパブリックアジェンダをつくって、医師やナースを教育して、治療プランを明確にさせたと。それまで医師は縄張り意識が非常に強かったが、病院間、病院内の連絡をよくしただけで、コストをかけずに改善することができたという報告がありました。ぜひ日本でも厚労省の皆さんがリードして、新しい仕組み、それから病院間連携を進めていただきたいなと思います。

いろいろとお願いばかりを申し上げましたけれども、我々患者・家族でできることは仲間で手を取り合ってやっていきたいと思います。よりよい小児がん医療環境のためによろしくお願いしたいと思います。

以上です。ありがとうございます。

○門田会長 池田委員、どうもありがとうございました。小児がん患者の家族としての切実な思いを御紹介していただきました。

どなたか御意見、あるいは御質問ございましたらお願いしたいと思いますが、よろしいですか。

では、若尾参考人。

○若尾参考人 済みません。きょうは別件についての参考人で、発言する立場ではないのかもしれませんけれども、関連しますので情報提供させていただきます。

小児がん拠点病院の連携というお話がありましたが、ことしの2月に国立成育医療研究センターと国立がん研究センターが、この4ページの図にあります小児がん中核機関に相当する小児がん中央機関として指定されました。その後、今まではこの15の小児がん拠点病院間の連携というのがなかったのですが、ちょうど10月9日に第1回の小児がん拠点病院の連絡協議会を開かせていただきます。そこに成育医療と国立がん研究センターで中核機関として、今後、今までできてなかった小児がん拠点病院間の連携なども促進していきたいと考えております。さらに、先ほど第三者による評価機関ということもありましたが、中核機関にはアドバイザリーパネルというのを設けまして、その中にはもちろん、患者さんの代表の方、親御さんの代表の方なども含むことを想定しておりますが、小児がん拠点病院のネットワークについて評価いただきながら進めていくことを考えております。

以上、情報提供です。

○門田会長 情報提供、ありがとうございました。

永山委員、どうぞ。

○永山委員 ありがとうございます。

私が勤めている、毎日新聞では小児がんについてのキャンペーンを長くやっており、小児がんに対する偏見ということがまだ根強く残っているということをキャンペーンで訴えてきているところです。また、私自身の経験として、先日、小児がんではありませんが、20代でがんになられたという方の取材をさせていただき、その方のお話を聞いて非常にショックを受けたのは、若い世代でがんになるということに対する社会の理解が非常に薄いと。そのため、なかなか自分ががんになったということを言い出せない。今、国民の2人に1人ががんになって、3人に1人ががんで亡くなるということで、国民病だということが、協議会の活動もあって広がってきているところがあると思うのですが、子ども、若い世代、そして高齢社会に伴うがん、そういった年齢の幅広さということに対する教育、啓発ということが非常に大事だなと感じ、今のお話の中最後のシートがとても重要なシートだと思いまして、感想として述べさせていただきました。

○門田会長 ありがとうございました。

緒方委員、どうぞ。

○緒方委員 池田委員の経験に基づく非常に説得力のある、いいお話だったと思います。改めて私も小児がんのことがよくわかりました。

1つ、私の知り合いの方が、脳腫瘍で4歳のお子さんを亡くされたのですが、その方の感想として、いわゆる緩和ケアというものを受けたという実感がちゃんと持てなかった。それから、看取りの場所として、普通の病院で、普通の患者さんなどがいるような病棟で看取らなくてはいけなかったということを聞きました。成人のがんについては、緩和ケアとか、それから看取りの場所についてもいろいろ進んできているように思いますが、例えば、これもまた荒唐無稽な提案かもしれませんけれども、おうちでお子さんを看取るなんていうこともこの先あるのではないかなあと思って、ちょっと池田委員のお話を聞きながらそういう感じを持ちました。

○門田会長 ありがとうございました。

堀部委員、どうぞ。

○堀部委員 小児がんの対策については、平成24年のがん対策推進基本計画の中で重点課題に取り上げられて、小児がん拠点病院を中心に国策としてさまざまな角度からいろいろと手が打たれたと思います。よって、それらが5年後にどう結実するかを見ていかないといけないのですが、それぞれの到達目標は一応示されているのですが、具体性に乏しいように思います。

例えば患者さんの希望は、集約化をしてほしい、病気をしっかり診れるところが欲しい。だけど、近くでも診てほしい。均てん化もしてほしい。小児がんは全て希少がんですから、均てん化したときに、専門の先生がどれだけその病気の経験があるのか疑問になります。小児がんは、全国で年間50例にも満たない疾患がほとんどなのです。ということは、各地域で年間で1人しか発生しません。それをばらばらに診ていて、どれだけの経験が積めますかということになります。それゆえに、どこに行ったら自分の珍しい病気をしっかり診ていただけるかについて的確に情報提供すること、専門施設には経験のある人が揃っていること、その経験値が透明性を持って見える形の医療体系をつくることが非常に重要だと思います。

また、それぞれの疾患が余りにも希少で特殊であるために、専門家を拠点病院に全部集めることは不可能と思います。おそらくそれぞれの疾患およびケアの専門家はすでに大勢いますし、トータルケアのでさまざまな角度から患者支援の取組をしている病院も多くあります。それらは必ずしも拠点病院ではなく、あちらこちらでそのような取組が行われていますので、それらを地域の中でどのようにとりまとめて連携させていくか、その役割が拠点病院にはあると思います。

また、拠点病院同士が連携することは大切ですが、そこで全部やろうという動きになることには私は警戒心を持っています。学会の立場からいたしますと、小児がんの専門医については小児血液がん専門医制度を構築しており、2年前からそのための研修病院を認定し、ことし初めて専門医試験を行います。現在、小児血液がん専門医研修病院は98の病院が認定されており、ほぼ全ての都道府県にあります。

残念ながら、3つの県には研修病院がまだない状態ですが、全都道府県に研修病院をつくり、専門医を志す医師を育てることを学会として取り組んでおります。それゆえに、国策として行っている小児がん拠点病院と、専門医を育てる病院との連携が大切であり、拠点病院にはすべての分野の専門医療がどこで行われているかを把握して情報発信の拠点になっていただきたいと思います。

また、15の小児がん拠点病院の選定が、必ずしも患者の要求や地域バランスを考慮されて行われたとは客観的に見て言いがたい部分がございます。選定された機関がそうした活動を5年間のうちに確実にその地域の中で積み上げていくことを先ほど御指摘がありました第三者機関で評価しつつ、患者さんが満足できる医療体系が、もう5年間もありませんが、適正に構築されるようにしていただきたいと考えております。

○門田会長 ありがとうございました。今の御発言、確かに希少疾患をどういう形で集約化、また均てん化していくかということは、知恵を絞って、いろんな技術を導入しながらやっていく必要があることと思います。

そして、今、希少がんが出てきて、高齢化しているということで、まだがん患者さんがふえてきます。先ほど堀田先生のほうからもお話ありましたけれども、病院完結ではなしに地域完結という形で、拠点病院だけでなしに、そのほかの中小病院から開業医の先生方を含めてやっていくということに本格的に知恵を絞っていかないと、これから先の30年ぐらいの間はどうにもならないというのはみんな多分同じように思っておられると思います。今おっしゃっていただきましたけれども、何かそういうものを、より具体的なものをこれからやっていかなければならないと思います。

そのほかにも御意見あるかと思いますが、少しまたおくれております。先ほど堀田先生のときにもお話しいたしましたけれども、御意見をぜひ事務局のほうにメールでお届けいただきたいと思います。

ということで、申しわけございませんが、次の話題に移りたいと思います。

それでは、先ほど御紹介いたしましたけれども、がん対策の費用対効果という面から、福田参考人のほうから御発表していただきたいと思います。ちょっと見せていただいたら、なかなか難しく書いてありますが、わかりやすくお願いいたします。

○福田参考人 国立保健医療科学院の福田と申します。よろしくお願いいたします。

先ほど堀田先生からもありましたが、医療費としては全体が増加しているという状況の中で、医療のやり方、あるいは疾病対策の費用対効果というところに関心が寄せられていると考えております。そこで、私のほうからは「医療技術の費用対効果の評価と活用」ということで少しお話をさせていただきます。

1枚めくっていただいて、最初に簡単に費用対効果の分析の方法をお話しさせていただいた上で、その分析する上での課題と、あとは諸外国でこれを応用している例と、日本では今後どうしていこうかということかと思いますが、お話をさせていただきたいと思います。

3枚目にまいります。この費用対効果、効率性を評価しようということですけれども、簡単に言うと、投入と産出の比をとろうという発想であります。下に絵で書きましたけれども、たくさんの資源を投入するのに対して産出が少ない場合、これは効率が悪いと考えますし、少ない投資でたくさんの効果が得られるのであれば、これは効率が良いという言い方をするわけであります。

次の4枚目に参ります。この投入と産出の比をとって、あるいはその差をとって考えるということは、実は医療分野以外では日本も含めて多く取り組まれている領域であります。代表的には、公共的な投資、例えば道路をつくるとか橋をかけるとか、そのような事業に対して取り組まれている方法でございます。

一般にその場合にどうしているかというと、投入としてある道路をつくろうとしたときに、その建設に幾らかかるかということを考えて、それによって得られる便益はどんなものがあるか、これを金銭で見積もって、かかるお金とそれにより得られる便益とどちらが大きいかを議論しようというものであります。これを一般に費用便益分析と称しております。

次の5枚目のスライドをお願いします。医療についても、これを応用するかというと、実はこのような形は余りとられておりません。一番の課題は、医療によって得られる成果というのは何なのだろうというときに、それによって健康状態が回復する、病気が治るとか、長生きできるようになるとか、生活できるようになる、こういうことでありまして、これを幾らの価値に相当するのだと、このお金をつけるというのは大変難しい作業であり、ほぼ不可能ではないかと考えております。

そのために医療分野で一般に行われているのは、5枚目のスライドだと右側のほうになりますが、費用効果分析と称する方法でありまして、費用はもちろんお金なのですが、効果の部分は、あえてお金の形にしないで、医療の目的である、例えば生存年数の延長であるとか、検査値の改善であるとか、そういう医療の直接的な目的である指標を使って分析をしようという方法です。これを一般に費用効果分析と呼んでおります。

6枚目のスライドに参ります。では、この費用効果分析をどうやっていくかということですけれども、2つの、左と右の手順があります。まず1番目に費用と効果、これは基本的に別々に算出していくことになります。先ほど申し上げたとおり、費用はお金の単位で算出しますが、効果はさまざまな指標を使います。それを直接引き算するということはできません。これは費用と効果のバランスを見るといっても、単位が違いますので、お金から生存年数を引くとかそういうことはできませんので、これを別々に算出します。

その上で、右側にありますが、指標としては、増分費用効果比という指標を使います。これはどういうことかといいますと、今まで行っていた治療技術、あるいは対策を、これで言うと、効果がAで、費用がa、右下の白抜きの丸ですけれども、ここを現在行っている対策、あるいは治療法と考えていただいて、それに対して新しい治療法、右上に出てきたものが従来のものと比べてどのぐらい健康状態の改善に寄与するのか、あるいはそれによってどのぐらい追加的にお金がかかるのか、これを考えようということです。

もちろん、一番理想的な新しい対策は健康状態の改善、すなわち病気が治癒したり、あるいは早期発見できたり、この効果が右側に行って、費用が下に行く場合です。これは間違いなく実施すべき領域で、そういうものばかりであればいいのですけれども、必ずしも昨今出てきている技術はそういうものばかりではなくて、健康状態の改善に寄与するのだけれども、追加的にお金がかかる。例えば、先ほどもお話ありましたが、研究開発等にお金がかかるとか、そういう面があるわけであります。

では、追加的に上に行ってしまう、お金がかかったらだめなのかというとそうではないというのをぜひ御理解いただきたいと思います。といいますのは、追加的にお金がかかるにしても、右側に行く分ですね。追加的に得られるメリットがとても多ければ、それはやはり価値があるものだと考えます。そこで、破線の矢印で示されているこの傾きの大きさを考えようというのが増分費用効果比という指標であります。

ですから、これは横軸に効果、縦軸に費用をとってありますので、一般に傾きが小さいほうが、少ない投資に対してより大きな効果が得られるということになりますので、費用対効果にすぐれると、こう見ていこうというわけでございます。

これを計算していく上では幾つかの課題がございます。7ページに参りますが、きょう、3つ代表的な論点を御紹介させていただこうと思います。

もう一枚めくっていただいて、8枚目で、1つ目が比較対照の設定であります。先ほど申し上げましたとおり、新たな技術、あるいは対策を評価するときには、必ずそれを従来の方法であるとかほかの方法と比較する。それに対して追加的にどのぐらいのメリットがあって、どのぐらいのお金がかかるか、これが重要になりますので、その比較対照をどうとるかというのが重要になります。諸外国でも一般的に、あるいは研究でも一般には新しい技術、あるいは対策によって最も置きかわると考えられる技術を比較対照とする場合が多いということでございます。一応これは設定によって影響はされるのですけれども、余り大きな問題ではないかもしれません。

2番目が分析の立場と費用の範囲についてであります。9枚目のスライドをお願いします。これは主に費用についての考え方ですが、新しい技術、あるいは対策にとってかかる費用をどこまで考えるべきかということであります。これは一般に分析の立場、「パースペクティブ」という用語を使うのですけれども、ここには、左側ですが、公的医療費のみを考えるか、それに介護費を加えて考えるか、あるいはより広範に費用を考えるかという3つを書かせていただきました。そのどの立場で費用対効果を考えるかによって含めるべき費用が違うということでございます。

公的医療費のみを考えるのであれば、もちろん医療費だけを考えますし、我が国では公的介護保険制度というのもありますから、例えばがんの種類等、あるいは治療経過によっては介護にも影響あると思いますので、そういうものまで含めて考える。あるいは、より広範に費用を考える立場といいますのは、先ほどのお話にも出てきましたけれども、例えば若年の方ががんに罹患することによって、社会としては生産性の損失が発生する。その方が仕事や家事ができないということによって、これは社会的には損失、つまり、費用と考えようということであります。

あるいは、御本人だけでなくて、場合によっては御家族、先ほどの小児の例もありましたけれども、御家族にとってそういう時間の損失が発生する場合もあります。そういうものを広く捉える立場というのがございます。

これだけ見ると、一番下の広くとったほうがいいのではないかと思われるかもしれませんが、これは目的によるということです。あくまでも、例えば費用対効果を考えるのを、医療費の使い方、38兆円の国民医療費をどう使おうかということであれば、やはり医療費をメインに考えるべきだと思いますし、あるいはもっと広く社会的な立場等で考えるのであれば、生産性損失なども含めて考えるべきだということで、これは目的によって、どれがすぐれているということでなくて、使い分けるというふうに一般的には行っております。

次、3番目の論点が効果指標であります。10枚目のスライドに参ります。効果に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、必ずしもこれはお金に無理に換算するということでなくて、例えば下にあるような生存期間の延長であるとか治癒率、あるいは目標の達成率とか検査値とか、そういうものを使うというのがさまざま考えられる点であります。

ただ、その中でもお金の使い方に反映しようという意味で諸外国でも多く使われるようになってきているのが、スライドの一番下にあります質調整生存年(QALY)というものです。もともとの英語はQuality Adjusted Life Year、質調整生存年と日本語では言っているものであります。ちょっと耳慣れない指標かもしれませんが、次の11枚目のスライドをごらんください。

これは医療の目的をどう捉えるか、医療によって達成すべきものをどう捉えるかということで、例えばがんの治療や対策の大きな目的は、やはり死亡を回避する、あるいは生存年数が延長するということで、一般にはLife Yearというのを単位にする場合が多いです。これは臨床試験等でもしばしば用いられています。

ただ、ここで議論しているのは、単に長生きできればいいのかということです。問題にすべきは、それとあわせて、どう生きるか、つまり、クオリティ・オブ・ライフのところであります。この質調整生存年、QALYという考え方は、生存年数にクオリティ・オブ・ライフの値、これはQOLスコアと書いていますが、これで重みづけをしようという考え方であります。このQOLスコア、QALYという指標で用いるものについては、0が死亡、完全な健康1と定義したQOL調査によって得られる指標でありますけれども、これを使って算出するという方法があります。

次のページへ参ります。こういう新たな指標を諸外国でもよく用いられているのですけれども、なぜこのような指標を用いることになったかといいますと、上にありますとおり、このQALYを用いることによって幾つかの利点があります。

まず1つは、健康関連QOL、クオリティ・オブ・ライフを考慮した分析ができるということです。単に生存をしている、どういう状態であっても生存していればいいかというとそうではなくて、その生活の状態を勘案したほうがいいでしょうということです。

それから、得られた結果の解釈が比較的容易であるということです。これは、その下にもありますけれども、さまざまな疾患の間で共通の尺度を使うことができます。生死だけでなくて、健康状態を反映した指標になっておりますので、がんとか、例えば心疾患とか、特に生死に直結するような疾患だけではなくて、主にクオリティ・オブ・ライフに影響するような疾患の治療、そういうものについても同じ指標を使って議論ができるということで、医療費の使い方とかを議論する場合にしばしば使われるものであります。

あるいは、さまざまな効果を同時に考慮できる、これも一つの点であります。例えばある治療法は、生存年数が長くなることに寄与します。ただし、その治療を行うときには何らかの副作用が発生するという場合があります。つまり、治療期間中はクオリティ・オブ・ライフが下がる可能性があるわけです。QALYのような指標を使いますと、治療期間中は少しQOLが下がります。ただし、将来的にはもう少し長生きします。そういうものを一緒にそのQALYの計算の中に盛り込むことができるということであります。そういう意味で便利な点があります。

ただ、もちろん課題もありまして、下にありますように、何といっても、クオリティ・オブ・ライフの評価、調査をしなくてはいけないということになりますので、さまざまな治療とか有害事象等についての調査が必要になってきます。それがない場合には算出が困難になってくるという課題がございます。

次の13枚目から諸外国での活用状況ということですが、きょうは時間が限られておりますので、イギリスの例だけを御紹介させていただきたいと思います。これはイギリスの特に治療領域についてでありますけれども、15枚目のスライドをごらんください。大きな特徴としては、費用対効果の評価の対象とする医療技術や医薬品等は政府が指定をします。

それから、効果指標は、先ほど御説明したQALYに統一するとしています。繰り返しますが、これによって、実はがん治療だけでなくて、ほかの疾患でも全てQALYを効果指標とすることによって比較して議論ができるということであります。

それから、経済性にすぐれると判断する基準、目安として、増分費用効果比が2万から3万ポンド/QALY以下、これは1QALY増加に対して2万から3万ポンド以下という目安を示しております。

次の16枚目のスライドをお願いします。これをどこがやっているかということですが、イギリスではNICEという独立した組織ができております。これは国立の機関で、National Institute for Health and Care Excellenceといいます。1999年に設立された組織で、約500人のスタッフが活動しているという組織であります。

次のスライドに参ります。17枚目ですが、そこでどういうものの費用対効果を見ようかというと、これは先ほど申し上げたとおり、保健省によって決定するということですが、その選定に当たっては以下のようなものが勘案されます。疾病の負担、特にそれは影響を受ける集団とか罹患率、死亡率が大きいといったものが優先的に選ばれます。それから資源への影響ということで、費用がどのぐらいかかる技術なのか、そういうものが影響します。それから、政府にとって優先的な分野であるか、こういうものも関連するということであります。

次に参ります。18枚目ですけれども、実際の分析をどうやっていくかということですが、先ほどもお話ししたとおり、効果指標はQALYで統一します。それから、分析の立場ですが、ここではNHS、ナショナル・ヘルス・サービスの立場と言っておりまして、医療費プラス、介護や福祉の費用まで含めた立場で考慮するということをやっています。それから、先ほどの費用対効果にすぐれる範囲はお話ししたとおりです。実際にどうやって評価しているかなのですが、次の19枚目に参ります。

実はこの技術評価にSTASingle Technology Appraisal)とMTA(Multiple Technology Appraisal)というのがあります。ちょっと細かいので簡単にさせていただきますが、こういう評価を例えば新しい技術について取り入れる場合に課題となるのは、その評価そのものに時間がかかるという点であります。当然、日本でも、がんの領域に限らずですけれども、海外で承認されている薬が日本ではなかなか入ってこない、いわゆるドラッグラグというような課題が指摘されているところであります。

これは承認に加えて費用対効果も見ようということになると時間がかかる可能性も否定できませんので、イギリスにおいては、このSTAという方法が途中から入ってきて、これはどういうものかというと、新規の技術に限定してですが、費用対効果に関するデータを企業が提出するという形をとっているということです。企業が提出したものについて専門的なアカデミックグループと呼ばれる外部の機関及びNICEという組織が、見直したり、あるいは再分析を行ったりして最終的な結果を出す。それによって迅速に評価結果を出すということです。この取組はそもそも承認される前からその費用対効果の評価もスタートしているということですので、承認が出れば迅速にその推奨等が出せるということであります。

20枚目に参ります。結果の活用方法ですが、最終的に評価対象となった医療技術については、ナショナル・ヘルス・サービスといいます税金で全国民をカバーする医療保障制度の中で使用を推奨するかしないか、あるいは一部の患者集団に限定して使用を推奨するかというものを出しております。重症度等で区切る場合等もございます。NICEで推奨されたものについては、3カ月以内に提供しなければいけないということを言っています。

21枚目は、参考までに、2000年から2012年までにその評価されたものについて結果がどうなっているかということです。評価されたもののうち半分強、53%が推奨されていて、Not Recommended、非推奨となったのは12%、Optimizedというのは先ほどの一部の患者集団等に推奨するというものでありますが、これが16%となっております。

22ページに参ります。イギリスでの評価、あるいはこれはほかの国にも共通ですが、医療技術評価をするときに重要だと考えている点がございます。それは、AssessmentAppraisal、英語ではこのように表現分けをしております。日本語だとなかなか区別が難しいのですが、ここでは一応、Assessmentは「分析」、Appraisalは「評価」と訳させていただきました。

Assessmentといいますのは、新しい技術、対策等の有効性・安全性を科学的に検証する、あるいは費用対効果の分析を行う。まさにその数値を出す。先ほどの言い方で言えば増分費用効果比を算出するということであります。Appraisalといいますのは、その結果からこれをどう解釈すればいいか、こういうものはやっていくべきなのだろうか、そういうことを議論しようということです。Appraisalのときに重要なのは、必ずしも費用対効果、増分費用効果比というものは判断する目安の一つにすぎないということであって、ほかにも倫理的な面とか社会的な面、あるいはもちろん臨床的な意味ということを考慮して最終的な意思決定を下す必要があるということです。

23枚目に参りますけれども、実際にイギリスの場合でも、Appraisalの段階で考慮されている費用対効果以外の要素というのは示されております。ある程度お金が多くかかっても、例えば疾患の重症度を加味して、こういうものには治療費を使っていこうとか、致死的な疾患での延命治療、これは無駄と言っている意味でなくて、むしろエンド・オブ・ライフの生活というのは非常に重要なのだということを強調して、そこにお金を使っていこうということです。こういうものに配慮する。あるいは、先ほどのお話でありましたが、小児の疾患についても配慮するということが挙げられております。

イギリスについて、最後ですが、24枚目です。今、イギリスで動いている方法は、評価結果によっては推奨されないということもかつてありましたけれども、それで患者さんが使えなくなるというのは非常に問題だという指摘が出ておりまして、現在は患者アクセス保障という仕組みが入ってきております。これは、費用対効果にすぐれないと判断される可能性がある医薬品の価格を調整する、あるいは価格以外にも、下にあるような企業から払い戻しをしてもらうとか、幾つかの対策をとることによって患者さんが使えるような仕組みを残そうというものが大分入ってきているということです。

これがイギリスの状況でございます。

最後、日本の状況についてですが、これは全くの私見になります。今後こういうのを考えていくべきではないかということです。

1つは、今、イギリスの例で言うと、治療法についてこういうのを考えるのというのはあると思います。これについては、中医協、中央社会保険医療協議会のほうで議論が始まったところであります。今回、特にがん対策という意味で強調させていただきたいのは、26枚目にある検診とか予防対策等への取組ではないか、そちらへの応用ではないかと思っています。1つは、がん検診の項目、あるいは実施方法等について、もちろん有効性・安全性を考慮してガイドライン等がつくられているわけですけれども、費用対効果についても検討することが重要ではないかと考えています。

検診は、多くの人を対象にしますので、お金はかかります。ただ、どういうやり方をとれば、あるいは同じ検診についてもどういう組み合わせで項目をやっていくのが費用対効果がいいか、こういう検討が必要ではないかと思います。あるいは対象年齢であるとか、あるいは検査頻度、2年に1回やるのがいいのか、3年に1回やるのがいいかとか、それらについてもやはり費用対効果が関連してくるところであります。

もう一つががんの予防に結びつく活動ということで、例えば禁煙対策等であります。これについては、そこに対策でお金をかけることに意味があるかどうか、これは費用対効果の観点から見る必要があると思っています。これについては、やはり中医協での議論でありましたけれども、禁煙指導が保険収載された際にも、費用対効果についての議論がされた上で収載されたというような経過がございます。

最後に、こういうがん対策に費用対効果の評価を応用するために、やはりこの点は必要かなということで強調させていただきたいと思います。

1つ目は、費用対効果を応用する目的であります。しばしば誤解されている向きがあるかもしれないのは、費用対効果ということを言うと、なるべく費用を抑制するためにやるのではないかということですが、発想としては、医療費を抑制するということでなくて、限られた資源を効率的に使うということであります。特に患者にとって価値の高い医療というのは何なのだろう、これを見極めるというところは大きな目的ではないかと思っています。

それから、費用対効果といっても、やはりある程度決まった手順を踏んで評価することはとても重要な点と思っています。先ほど、パースペクティブ、どの分析の立場かによって含めるべき費用が変わります、例えば生産性の損失まで含めるかどうか、そういうところが変わりますということを言いました。

ということは、例えばそれが変わってくると、最終的に出る数字としての増分費用効果比というものも全く違う意味になってきます。これを一緒に議論するためには、やはりやり方を統一して臨む必要があるということで、これは先ほど御紹介したイギリスのNICEなどもそうですけれども、諸外国では、この費用対効果、経済評価を行うための方法のガイドラインというものが整備されています。これは我が国にはまだございませんので、こういうものが必要になってくるかと思います。

最後に、費用対効果を評価・活用する仕組みということです。まず評価ですね。AssessmentプラスAppraisalと言いましたけれども、AssessmentAppraisalも、やはり中立的な立場で行うことが重要だと考えています。日本には、今のところ、英国のNICEに相当するような組織はございませんので、こういうことをどこがやっていくのだろうと、これについて考えなくてはいけないのではないかと思います。

最後は活用する場です。そうやって評価されたものを何らかの意思決定に使っていくということが重要だと思いますので、誰が何の意思決定に活用するのかと、ここを考えていく必要があるのではないかと思います。

以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。どことなく概念的にはわかるのですが、これを実際どのようにというとなかなか想像するのが難しいなあと思いながら聞いていましたが、どなたか御発言ございますか。

濱本委員、どうぞ。

○濱本委員 貴重なお話を、ありがとうございました。2つ、私見を交えましてお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

NICEにおける、乳がん治療におけるアバスチンの承認取り消しという、メディア報道などが発端となって、私はこの費用対効果という言葉を知ったわけですけれども、そのように、特にがん患者には抗がん剤治療が高いので、費用対効果の検証対象になっているというやはり印象があると思うのです。

今回のスライドの最後のほうに「検診・予防対策等」とこのようにだけうたわれているのは、その点の誤解を避けて、この方策、議論や研究を推し進めたいというお考えのもとなのでしょうか。

もう一つお尋ねしたいのが、もし医療の中でもがん治療に特化して今後さらに議論を推し進めていかれる御予定があるとするならば、そのときに、患者側の議論への参画、もしくは意見の聞き取り、収集、そういったことについてはどういうお考えをお持ちでしょうか。

例えばこの費用対効果以外の要素というところですけれども、これはかなり多様性、個別性を持っていると思います。ですので、がん患者のそれぞれのQALYといいますか、満足度、期待、希望、そういったものも広く収集していただけるようも私は強く望みたいと思います。以上2点です。よろしくお願いいたします。

○福田参考人 御質問ありがとうございます。少し説明が不十分だったところあるかもしれません。イギリスの例に関しましては、個別の薬剤等も否定されていたりというところがあって、確かに議論はあり得るところだと思います。

ただ、この部分についてあえて今回挙げていないのは、今、中医協で議論されているところですので、主にそちらでの議論かなと思っています。

ちょっと一言だけ申し上げさせていただくと、イギリスと日本で大きく違う、制度的に背景が違うと思っていますのは、医薬品等に限った話ですけれども、価格設定をしているかしていないかというところが違います。イギリスの場合に、新規の薬剤についてはメーカーが価格を決定することになっておりますので、それを推奨するかどうかNICEが判断するということです。

日本の場合にはそうではなくて、薬価を中医協で決めることになっておりますので、そこはやはり違うと思います。イギリスの場合にはメーカーが言ったものに対して、それではできませんという判断をしているのですけれども、日本ではそうでなく、価格で調整することが可能であり、イギリスも、先ほどの患者アクセス保障という考え方で、価格調整のほうに来ていると思います。

 

ということで、検診、予防対策と治療法と両方あるとは思うのですけれども、私の中では、治療については中医協のほうで議論が始まっていますので、そちらでやっていくのかなという気がしていまして、主に検診とか予防対策的なところで特に費用対効果の視点がまだ不足している領域かなと思って、こちらを特に強調させていただいたということでございます。

○門田会長 よろしいですか。

○濱本委員 はい。有難うございます。

○門田会長 そのほか、どなたか。

上田委員、どうぞ。

○上田委員 理解を少し皆さんと共通にしたいので、18ページに書いているイギリスの例ですけれども、このスコアの閾値の設定がQALY単位別に2万から3万ポンド以上というのは、具体的にはどのように我々はイメージすればいいかというのを教えていただきたいのです。

○福田参考人 これは冒頭に申し上げた増分費用効果比というのでやっていますので、ある治療法を従来のものと比べて追加的に1QALYです。1QALYといいますのは、完全に元気な状態、つまりQOLスコアが1の状態で1年長生きするのに相当する価値です。それを1QALYと定義しています。

○上田委員 逆に言うと、それは完全によくならない限りは認可されないということになるのですか。

○福田参考人 違います。0.5の状態で1年生きたら0.5QALYという計算をしています。

○上田委員 それが具体的な話。それで値段としてはその程度に設定するということですね。

○福田参考人 はい。1QALYの増加に対して、これ以下であれば効率的だろうという判断をしているということです。

○上田委員 そして、最初の概念図の6ページ、必ず右肩上がりで増加という前提で説明していらっしゃいますね。このお話が。例えば診断薬とか医療機器を今開発すると、今よりも安く効果が出るというので、下向きになるものがあって、それこそアプルーブすべきであるとか、そのような概念がここからちょっと抜けているような気がするのですが、それは大丈夫なのですか。

○福田参考人 ありがとうございます。重要な点で、本当はそちらから説明しなくてはいけなかったかもしれません。今のものに比べて効果が上がって費用が下がる場合、この場合にドミナントである、優位であるという表現を我々するのですけれども、それはもうすぐにでも採用すべき技術で、費用対効果の観点からは余り問題にならない、むしろ評価は必要なのですけれども、すぐにやるべき領域ということになると思います。

○上田委員 最後にもう一点。それで、今、日本の現状というお話をなさったときに、薬価収載やいろんなことの決定に、この概念はなくてもそうなっているという考えも実経験的にそうしているという感じでいいのですか。それとも非常に間違って行われているのが日本であるとか、こういう分析をしていたときに、認可の仕方がおかしいのではないかというような実例がいろいろあるのかどうかとか、その辺も説明して頂けると我々はもっと理解しやすいのですが。

○福田参考人 そこも説明が不足していたと思います。現状の治療技術に関しては、費用対効果の観点がほぼ入っていないという状況だと思っています。認可自体は、例えば医薬品であれば有効性・安全性に基づいて承認されて、承認されれば必ず保険収載されるという形をとっておりますので、その間で特に費用対効果を明示的には議論していないという状況だと思います。

○上田委員 よくわかりました。ありがとうございました。

○福田参考人 もう一つ御質問があったような気がしているのですが、患者さんの御意見等を聞くべきだということでしたね。

○濱本委員 べきというか、そういう御予定はあるのでしょうか。NICEにおきましても、そういった患者側の参画というのがあると思いますので、お尋ねいたしました。

○福田参考人 これも日本でどうなっているかは中医協のほうの議論なので、全くの私見ですけれども、NICEで行っているようなそういうプロセスは個人的には必要だと考えております。

○門田会長 そのほかにもいろいろあろうかと思いますが、これもまた文書で御意見を頂戴したいと思います。これも一つの考え方の御紹介で、我々が将来これから先のことを考えていく上にどう考えるかということの参考としてもらっていますので、ここで、福田先生がおっしゃっているのを、今やろうとしている、それを我々がどうこうというのではなくて、一つの参考として聞いているという扱いで考えていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

ありがとうございました。

それでは、次に議題の2のほうに移りたいと思います。時間が大分押してきましたけれども、がん対策推進基本計画の中間評価についてということでございますが、これも既に何回もここで話題にし、ディスカッションしてきております。それで、きょうは「がんの予防・がんの早期発見に関する指標と現況について」ということで、若尾参考人のほうから御発表いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○若尾参考人 どうもありがとうございます。研究班が行っています活動について御紹介させていただきます。

資料5になります。資料5をめくっていただきまして、2ページです。これは何回もお示ししている図なのですが、私どもの研究班は一番左の列にございまして、前回と前々回のこの協議会のお時間をいただきまして、1.分野別施策の部分、それから全体目標の評価方法の指標の確立ということについて御説明させていただきました。3の目にある、既存の指標に関しては収集し公表というアクティビティも持っていますので、これについて今回御報告させていただきます。その対象となりますのは、分野別施策4のがんの予防、そして5のがんの早期発見という部分になります。

3ページをごらんになってください。非常にビジーなスライドなのですが、これは第2期のがん対策推進基本計画のがんの予防の部分の個別目標を書き出したものです。成人喫煙率を12%、未成年の喫煙をなくす、それから、行政、医療機関は受動喫煙の機会を有する者をゼロとする、職場も受動喫煙のない職場を実現、さらに、家庭では3%、飲食店15%とする。それから、感染に起因するがん対策を推進することにより、がんを予防する。さらには、生活習慣の改善では、ハイリスク飲酒者の減少、運動習慣者の増加、野菜と果物の摂取量の増加、塩分摂取量の減少等を目標とする。これが基本計画に書かれている部分です。この部分について、既存の指標等、今回調べさせていただいたものを報告させていただきます。

現時点であるデータに基づきますので、ちょっと4ページをごらんになってください。今回の第2期の計画、2012年から始まっていて、今の時点でわかるものが、12年までしかわからないものは12年とありますが、こちらにありますように、例えば「国民健康・栄養調査」につきましては、12月にまた13年のデータが出ると思いますので、出た時点でアップデートしていくということで、今回は今までの経緯を見ていただき、参考にしていただければと思います。

まず4ページです。成人喫煙率、データ源は「国民健康・栄養調査」の生活習慣調査票です。主に表の部分でピンク色の網かけをしているところが基本計画等の目標となっています。それで、年次で、全体では、2003年の27から2012年の20%と減少傾向があるというところです。

ただ、全体として低下減少がある中で、40歳代女性で95年以降増加しております。5ページに男性のグラフがあり、太い黒色の線がが全体を表し、あとは年齢階級別となっています。

ページめくっていただきまして6ページ、こちらは女性のグラフで、黒い線が全体値で、えんじ色の部分は40歳代で、これが増加傾向にあるという状況です。

それから7ページで、たばこに関する指標の2番目としまして未成年者の喫煙率というのがございます。これのデータ源としましては、「未成年の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究」というものがございまして、例えば2010年の調査では、大体中学の1%、高校の2%程度、約10万人弱の方が対象となっています。それのデータが下の表になっているものです。

1枚めくっていただきまして8ページ、こちらでグラフを示していますが、中学男子、中学女子、高校男子、高校女子とも経年で減少傾向が認められるという状況です。赤字につきましては毎日喫煙で、こちらのほうも減っていて、月喫煙というのは、30日で1日でも喫煙というのを拾っているものとなります。

それから9ページです。受動喫煙の機会を有する者の割合で、先ほど述べましたとおり、行政機関、医療機関、家庭、飲食店と分かれておりますが、こちらのデータとしましても、「国民健康・栄養調査」の生活習慣調査票でとっております。こちらも目標値が書いてあり、これもちょっと古いもので11年のデータとなっておりますが、全て減少傾向となっているという状況です。

ページめくって10ページです。受動喫煙のない職場の割合ということで、労働安全衛生特別調査における「労働者健康状況調査」「労働災害防止対策重点調査」及び「職場における受動喫煙防止対策に係る調査」、これらを情報源としまして、受動喫煙のない職場の実現が、これも2007年と2011年の比較ですけれども、46%から64%にふえている。さらに全面禁煙の割合ということで、2002年から2012年で14%だったものが51%にふえているという状況です。現時点で増加傾向が見られるというところです。

それから、2番です。感染症に起因するがん対策における進捗状況ということですけれども、感染症につきましては、個別目標で感染に起因するがんへの対策を推進すると書かれておりまして、具体的にどのようなことをするということはない状況です。それと、この感染の状況につきまして、まず過去のベースラインははかれていないものもございまして、今回は、トレンドを見るというよりかは、今、感染症の状況を調べるにこのような数値が使われるのではないかということの提示となります。

1番としましてB型・C型肝炎ウイルス感染率ということで、データ源として、研究班のものですけれども、ウイルス感染の状況・長期経過と予後調査及び治療導入対策に関する研究のデータということで、こちらで1つ言えますことは、「現状」の真ん中にありますが、献血者によるHCV抗体の陽性率、これが年齢別にありますが、若い世代ほど陽性率が低い。逆に60歳代ですと3.38%と高くなっているという状況が確認されています。今後これをベースラインとしてフォローしていただくことが必要になってくるのではないかと思われます。

それから、B型・C型肝炎ウイルス抗体検査でも、これも一時期のデータでしかないのですが、肝炎検査の受検状況実態把握事業の報告書から、B型では57.4%、C型では40.8%というものが推計値として出ております。

「備考」のところに書かれておりますが、結局、検査を受けたことを認識してない方が多数存在するということが課題となっていると思います。

それから、ヒトTリンパ好性ウイルス感染率、これも調査中ですが、我が方におけるHTLV-1感染及び関連疾患の実態調査と総合対策というものをベースで、現在、推定で約108万人の感染があると考えられております。

それから、4番のHPVにつきましては調査中です。これは研究班の調査結果を待っているところです。

12ページをごらんになってください。生活習慣の改善に関するものでは、まず、指標1としてハイリスク飲酒者の割合ということで、このデータも「国民健康・栄養調査」の生活習慣調査票です。

13ページのグラフで、男性が青、女性が赤となっております。このグラフは12年のものですが、男性では10年と比較して減少傾向、女性ではほぼ変化なしという状況となっております。

それから、14ページをごらんになってください。運動習慣のある者の割合ということで、こちらの目標値は、健康日本21の第2次の目標値をそちらに持ってきております。この目標値に対しまして、現在、2012年で、全体で36.1%という状況となっております。女性では28.2%です。

年齢階級別に見たものが15ページで、それぞれの組みグラフになっておりますが、60歳以上ではこの経年変化で増加が見られるという状況ですが、働く世代、60歳未満のところではほぼ横ばいという状況になっております。

それから16ページ、生活習慣の3番目としまして野菜と果物の摂取量ということで、これも「国民健康・栄養調査」のデータを用いております。目標値は健康日本21の目標値で、野菜類を350グラム、果実類を100グラム未満のものを30%にするということで、2012年の状況ですが、野菜のほうはほぼ変化がないという状況、それから果実類のほうにつきましては摂取量が減少しているというところです。特に20代、40代で摂取量が少ない傾向があるという状況でした。

それから、生活習慣に関係するもので、塩分の摂取量、これも「国民健康・栄養調査」です。健康日本21で8グラムですが、減少傾向にありますが、2012年の状況で、男性11.3、女性が9.6グラムということになっております。

それから、身体状況で、これも「国民健康・栄養調査」の身体状況からですが、BMIの値で、健康日本21の目標に対しまして、男性の肥満者はほぼ横ばいで、40歳から60歳代の女性の肥満者がやや減少している。

やせにつきましてはほぼ横ばいというところになっております。

ここまでが実際に予防分野で、個別目標に書かれているものの現存のデータではかれたもののデータ源とその状況の御紹介です。

19ページからはがんの早期発見に関する個別目標を書かせていただいております。1つ目としまして、5年以内に全ての市区町村が精度管理・事業評価を実施するとともに、科学的根拠に基づくがん検診を実施すること。

2番目としまして、5年以内に50%、胃、肺、大腸については当面40%の受診率を達成すること。

3番目に、科学的根拠のあるがん検診の実施を目標とするということ。

これらにつきまして、まず20ページ、市区町村における科学的根拠に基づくがん検診の実施状況ということで、こちら、厚労省の市区町村におけるがん検診の実施状況調査をデータ源としまして、まず2つのものをはかっています。指標の1aとしまして、指針に基づかないがん検診を実施している市区町村の割合、1bとしまして指針に基づくがん検診を実施している市区町村の割合ということです。

この1aのところで指針に基づかないがん検診の中には、まず21ページにあります指針以外のがん種に対するがん検診の実施割合ということで、指針にないがん種としまして、この表にありますとおり、前立腺がん、肝臓がん、卵巣がん、甲状腺がん、口腔がんなどの検診を実施されている市区町村の割合がこちらのデータとして出ています。19年、21年、24年の3点のデータが出ておりますが、いずれも増加傾向ということになっております。

それから、1aの2つ目で指針以外のがん検診項目によるがん検診。がん種については指針にあるものですが、項目、検診のモダリティが指針にあるものと違うということで、例えば胃がんですと、内視鏡とかペプシノゲン、肺がんでは胸部CT、乳がん、超音波などが行われている割合ということで、これは実際の数値として、大腸がんは横ばいですが、胃がん、肺がんなどは増加傾向にあるという状況です。

それから、23ページですが、1bとして、逆に指針に基づくがん検診を実施している市区町村の割合ということで、こちらはそれぞれのがん種について、胃がんが99%等、全てほぼ90%を超えているような形になっております。

それから、24ページをごらんになってください。制度管理の実施状況ということで、こちらは国立がん研究センターがん対策情報センターによる調査結果と、あとは研究班の調査結果なども一部流用しているような形のデータとなっております。

25ページ、ちょっと細かいスライドになるのですが、チェックリスト、研究班でつくりまして、今、がん研究センター等で調査している状況ですが、チェックリストを実施している市区町村の割合ということで、それぞれのがん種別で、数値の右側に上向きの矢印のついているところが実施状況が増加しているというところです。

それから、26ページをごらんになっていただいて、こちらが市区町村におけるがん検診の精度管理状況ということで、27ページにありますそれぞれの指標に対しまして、これも研究班が定めたものですが、27ページの下側で、各プロセスにおいて目標値と、目標値に至る前の前段階として許容値というものを設けておりますが、それに対して実際の数値が28ページ以降に、胃がん、肺がん、大腸がん、後ろ、乳がん、子宮頸がんということでそれぞれの目標値に対する実際の22年度の割合をお示しさせていただいているところです。

最後の指標としまして、31ページにございますがん検診の受診率で、こちらのデータにつきましては、「国民生活基礎調査」の大規模調査の健康票をもとにしております。この7月にデータが出まして、皆さん、これも御承知だと思いますが、32ページにグラフがありますとおり、今年度出ました2013年のデータで、従来の2007年、あるいは2010年に比べて大幅に増加が見られたというところです。

ただ、実際に現場の感覚としては、そんなに10%もふえていないだろう、あるいは肺がん検診の男性など20%ふえてないだろうということであり、何か今回の調査でふえた原因について検討するために、調査の相違点を33ページにまとめております。

まずがん種別の具体的な検査法、記載の方法ですが、13年と10年では、こちらの記載表は変わっていません。ただ、7年から10年に行くときでやや詳細な記載になったということと、今回大きく変わったのが(2)の回答方法および調査票の回収方法ということで、回答方法は、今まで、10年までは受診したがん種を回答する、受診したがん種の項目が並んでいて、受診したものに丸をつけるという回答方法だったものが、13年につきましては、がん種ごとに、受けました、受けていませんというように一つ一つ回答する形式に変わっているということ。それから、調査票の回収方法も、10年までは密封方式で回答していたものが、今回は非密封方式で、例えば記入がないときなどは、記入ありませんねという指摘で、そこで追加で記入していただくようなことがあったのではないか。これはあくまで推測です。

最後、34ページ、参考ですが、これは内閣府の「世論調査」の結果で、こちらは調査員による個別面接聴取方式による実施ですが、19年と21年のデータが出ておりますが、こちらだと、男性で40%、女性で35%と今回の調査にほぼ近い形が出ております。これもあくまで推測ですが、今までの「国民生活基礎調査」の数値が過少なデータとして出ていて、今回のがより現実に近い数値が出たのではないかということが、研究班で検討していることとなっております。

以上となります。

○門田会長 ありがとうございました。非常にたくさん出てきておりますが、最後の検診率、これをどう扱うか、なかなか難しいですね。第2期の基本計画の中に、50%、当面は40%と書いたところでこれが出てきて、扱いがなかなか難しいなと。今のお話を聞いても、どのように受診率を表現していくというのを決めてやっていかないと。これ、どうしていくのですかね。

○若尾参考人 これもあくまで私見なのですが、今のが現実に近い値としましても、50%は超えていない状況ですので。あと、今ですと、住民検診は受診率が出せる状態なのですが、職場検診の部分が全く受診率が出せない状況なので、現状ですと、この「国民生活基礎調査」に頼らざるを得ない状況だと思いますので、これをやはり今回も指標として、この職場検診をどう図っていくか、あるいは精度管理していくか、同時に検討していくということが現実的な対応ではないかと考えております。

○門田会長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 今おっしゃるとおりなのですが、受診率の実態は詳細には把握し切れない状況があるのですね。例えば一般診療の中に混じって検診をやっている部分があります。でも、アンケート調査だと、それを検診と考えて丸つけている人もいるし、逆に、一般診療だから違うと思っている人もいたりするものですから、なかなかその部分の実態が捉え切れないので、本当のところがどこにあるかというのは幅を見て考えないといけないと思いますね。

○門田会長 それと1点、細かいことなのですけれども、4ページの喫煙率の話で、ピンク色のところに、基本計画目標で全体も12%、男性も12%、女性も12%、これは何かの間違いではないのですか。これ全体で12%と言っていたと思うので、性別に分けてこの数値を入れないほうがいいのではないかな。

○若尾参考人 御指摘ありがとうございます。こちら、表をつくる上でのミスです。全体で12%というのが目標です。

○門田会長 どなたか御発言。

緒方委員、どうぞ。

○緒方委員 この場でお話しすることではないかもしれないですけれども、19ページのがん検診の年齢ですが、子宮頸がんは20歳からですが、乳がんなどは40歳からしか実際には検診の対象になっていません。でも、20代の乳がん患者の方もいらっしゃいますし、30代の方もいらっしゃいます。検診がないせいかどうかわかりませんけれども、結構進んだ状態でがんが見つかっているケースが見受けられます。何か行政のほうの都合があってそうなっているのかもしれませんけれども、それだったら、自己観察といいますか、しこりを見つける方法とか、そういう20代、30代の方もかかるのだという啓蒙みたいなものは必要なのではないかなと思います。

○門田会長 これは、この条件で率を計算すると、一まずそのように決めたということでよろしいのでしたかね。

○若尾参考人 はい。あと、今、科学的根拠に基づく検診とございますが、それの検診の指針が40歳以上ということになっていまして、逆に、それにつきましては、検診の検討会で検診方法、あるいはその対象年齢などは検討していただいているということだと思います。その指針がまた変わってくると、それに合わせてこちらの対象も変わってくるということになると思います。

○門田会長 よろしいですか。

どうぞ。

○江副がん対策推進官 今、若尾参考人がおっしゃったとおりで、検診のあり方の検討会というところで、昨日も検討したところなのですけれども、そこでエビデンスに基づく検診というのを推奨しております。その中では、特に上限というのを設けておりません。あくまでこちらについては算定に当たっての算定の方法ということで、このような年齢の幅ということになっております。それについて、いずれにしても、最新のエビデンスに基づいてより適切な検診を推奨していきたいということで、担当している検討会のほうで検討していきたいと考えています。

○門田会長 よろしいでしょうか。

濱本委員、どうぞ。

○濱本委員 既存の公表できるデータの一つとしまして、特に検診のほうにがん登録データを用いることはいかがかと思いました。例えばプロセス指標的なものがたくさん見受けられる中に、病期別の検診による発見率ですとか、早期診断割合ですとか、こういうものを組み入れていただきますと、短期的なアウトカム指標になるのではないかと思いました。

○門田会長 それはどうですか。

○江副がん対策推進官 がん登録の運用の詳細については、今まさに政省令、ガイドライン等の検討を行っておりますので、確かに発見経緯というものについては今後把握が可能になりますので、こちらとどのような分析ができるのかということはちょっと検討させていただきたいと思います。

○門田会長 そのほかもあるかもしれませんが、これは今後最終的な中間評価として残っていくもので、またディスカッションすることがあると思いますので、きょうの御発表について何か御意見、あるいは改善・改良というような御意見ありましたら、これも同じように検討してお送りいただきたいと思います。

ということで、この件はこれで置きたいと思います。

それでは、引き続きまして、資料6に基づいて、事務局のほうから今後の中間評価のとりまとめの進行についてと各施策の進捗状況について御報告していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○江副がん対策推進官 それでは、資料6をごらんください。時間も押しておりますので、手短に御説明したいと思います。

来年の6月に向けまして、こちらの第2期の基本計画の中間評価を行うこととされておりますので、その中間評価の骨子の素案をお示ししたものでございます。こちら、参考にしましたのは第1期の中間評価の報告書ということで、参考資料1につけておりますけれども、そのときの構成を参考に作成させていただいております。

最大の相違点としましては、今、若尾参考人のほうから御説明がありました評価指標については、今回より明確に測定するということとされておりますので、それを最後につけているという点が異なっております。

もしこのような方向でよろしければ、今後これに肉づけするような形でさらに議論を進めていきまして、最終的なとりまとめを行えればと考えております。

○門田会長 これだけで具体的なのが見えてこないので、この方針で順次準備していただきながらディスカッションを進めると。

では、今お示しいただいた方向で順次進めていただくということでよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○江副がん対策推進官 今後、またこれについての御意見も含めていただきながら、さらに肉づけをして、まとめていければと考えております。

○門田会長 そのほかの施策の進捗状況については。

○江副がん対策推進官 では引き続き御説明いたします。参考資料3をごらんください。

こちらは報告事項となりますが、ことしの2月に設置しました「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」と、座長、堀田理事長のほうにお願いしておりましたが、こちらの報告書が8月15日付でとりまとまりましたので御紹介いたします。時間の関係で詳細は後ほど御確認いただければと思います。

それから、参考資料4を御確認ください。並行して、がんの関係で行われております検討の進捗状況についての御報告になります。

まず1枚目が「がん登録部会」でございまして、これまで第1回、第2回開催いたしまして、政省令の方向性についての議論を行っております。現在、その議論を踏まえまして、政省令の具体的な検討を事務局のほうで行っているところでございます。再来年、平成28年1月からの運用開始でございますので、それまでにさらにガイドライン等の詳細を詰めていきたいと考えております。

おめくりいただきまして、「がん検診のあり方に関する検討会」です。こちら、昨日、約半年ぶりに開催したところでございまして、これからは、きのうお示ししたのですが、特に当面の課題としまして、乳がん検診、胃がん検診の方法のあり方につきまして主に検討を加えていきたいと考えております。

それから、さらにおめくりいただきまして3ページですが、「緩和ケア検討会」の下にあります緩和ケアのワーキンググループというものがございます。こちら、さまざまな検討の中で、緩和ケアについてわかりやすい表現をまとめてはどうかということで、ワーキンググループの中で合意が図られましたので、そちらの御紹介をします。

○の2つ目ですけれども、「緩和ケアとは、病気に伴う心と体の痛みを和らげること」ということで、わかりやすい一言ということで、今後折に触れて活用してはどうかということでございます。

なお、注書きにございますけれども、日本緩和医療学会のほうでも、もう少し詳しい表現を定めてございますので、御参考までにつけさせていただいております。

最後に4ページ、こちらは「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」ということで、指針がことしの1月に見直されたところですけれども、その指針に基づきまして新規の指定を7月に行ったところでございます。こちらにございます施設が新たに指定された病院ということになります。

検討状況の進捗状況の御報告につきましては以上になります。

引き続きまして参考資料5を御確認ください。こちらも簡単な御紹介にとどめますが、平成27年度の厚生労働省の概算要求の概要ということで、がん関係の予算についてまとめたものでございます。

詳細は割愛いたしますけれども、おめくりいただきまして、一番上の予算額をごらんいただきますと、要求ベースでございますが、平成26年度の230億円から若干ふえておりまして、241億円で要求させていただいているところでございます。こちらも詳細は後ほど御確認いただければと思います。

事務局からの御説明は以上です。

○門田会長 ありがとうございました。今後の中間評価のとりまとめの話、それから各施策の進捗状況、そして概算要求の概要について、今、御報告いただきましたが、どなたか、あわせて何か御質問ございますでしょうか。

よろしいですか。

ないようでしたら、報告はそれまでとさせていただきます。

それで、急に申しわけないですが、1つだけちょっと皆さんの御意見を聞かせていただきたいのは、先ほど堀田委員の説明の後半の部分で、マイナンバーということをやはり考えたほうがいいのではないかという御発言がございましたが、過去さかのぼってみますと、前のときも、がん登録法をつくるとかいうあたりも、この協議会のほうから提言として出していったのですね。そういうことで、ある意味、患者さんの代表の委員の方がいらっしゃるこの協議会からそういう意見として出ていくというのはやはり世の中を動かすのに大きく影響があったのではないかと思っておるのですが、このマイナンバーも、医療については明確にそこに応用するということは、今、検討されているそうですが、今そういう段階だとすれば、ぜひ積極的にそういう方向で行くということを提言としてここの協議会から出すか出さないか、ちょっと皆さんの御意見を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○道永委員 がん登録部会でお話が出たのですが、絶対必要だと思います。医療に関してのマイナンバー制というのは。がん登録に関しても、重複もなくなりますし、登録は非常に簡単になると思います。先ほどの小児がんの患者さんについても、それをずっと持っていけるので、ぜひともこのがん対策推進協議会のほうで話を進めていただけたらと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

西山委員、どうぞ。

○西山委員 私も大賛成です。ただ、その際には、堀田委員も明快にされましたように、個人情報管理をしっかりとやっていただくということを必須条件としていただき、ぜひともがん対策推進協議会から提言なり何なりの正式な形で出されるべきと思います。

○門田会長 ありがとうございました。その方向性で、皆さんよろしゅうございますか。

それでは、事務局のほうと、今の検討の進捗状況と、今後日程的にどういう動きをするのかということを調べてもらって、そしてちょっと文案を考えてみて、そのタイミングに合わせて出せるような準備を進めていく方向でやらせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○門田会長 では、その方向でやらせていただきます。

最後になりますけれども、この緩和ケアの日本看護協会から出ておりますことについて、川本委員から簡単に御紹介お願いいたします。

○川本委員 ありがとうございます。

昨年度からがん医療にかかわる緩和研修事業ということで始めさせていただいております。昨年度はテキストで出させていただきましたが、今年は、改定版と緩和ケア教育の指導マニュアルということで補助的なテキストをつくらせていただきました。9月5日と6日に、がん拠点病院の認定看護師、専門看護師の方を対象に研修を開催し、154名参加していただきました。また2月に行うことになっております。今年は450名ぐらいを目標に研修を行っていきたいと考えておりますので、また御支援のほどお願いいたします。参考にしていただければありがたいです。

以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。

以上で準備いたしました内容は全て終わりましたが、今後ですけれども、今の協議会でとにかく中間評価、それともう一つは今後の方向性ですね。今までディスカッションしていただいていますものをまとめて次期協議会に申し渡していくという2つの作業を進めていくというふうにするのが来年6月までの作業でございます。ですから、これからちょっと、今まで以上に文書のやりとり、そのほかが出てくるのではないかと思っております。そういった意味で、きょうのディスカッションにつきましては、御意見ございましたら事務局のほうにお寄せいただきたいと思います。

よろしゅうございますか。

では、事務局のほう、何か報告事項ございますか。

○江副がん対策推進官 御議論ありがとうございました。

それでは、次回の協議会につきましては、ちょっと先になりますが、1212日(金曜日)15時より、同じく三田共用会議所で予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○門田会長 ありがとうございました。

冒頭に申しましたけれども、やはり15分延びてしまいました。これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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