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2014年9月8日 第3回医療介護総合確保促進会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成26年9月8日(月)16時~18時


○場所

全国都市会館(2階 大ホール)


○議題

「総合確保方針(案)」について

○議事

○田中座長 定刻となりましたので、ただいまから第3回「医療介護総合確保促進会議」を開催いたします。

 本日は大変お忙しい中お集まりいただき、まことにありがとうございます。

 本日の出欠状況ですが、阿部構成員、荒井構成員、大西構成員、加納構成員、永井構成員、東構成員から御欠席の連絡をいただいております。

 また、加納構成員の代理として、日本医療法人協会副会長の伊藤参考人、東構成員の代理として、全国老人保健施設協会副会長の本間参考人に御出席いただいております。

 また、小林構成員、三浦老健局長、唐澤保健局長、二川医政局長はおくれて御参加との連絡をいただいております。

 では議事に入りますので、カメラはここまでとさせていただきます。

 

(カメラ退室)

 

○田中座長 事務局から資料の説明をお願いします。

 

○渡辺課長 それでは、初めに資料の確認をさせていただきます。

 本日は、資料1といたしまして、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(案)」をつけさせていただいております。

 資料2は、この(案)につきまして、前回からの変更点がわかるようにした見え消し版でございます。

また、参考資料1といたしまして「医療及び介護に関する各種方針・計画等の関係について」、参考資料2としまして「総合確保方針に関連する区域のイメージ」の図をつけさせていただいております。また、本日は、参考資料3-1、3-2といたしまして西澤構成員から、また参考資料4といたしまして東構成員から、参考資料5として和田構成員から資料を提出いただいております。

それでは、事務局から御説明させていただきます。本日は、前回の御議論を踏まえまして、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(案)」につきまして、修正したものを御用意させていただいております。説明のほうは資料2の見え消し版のほうで御説明させていただきます。

この資料2につきましては、前回この場でいろいろ各構成員からいただいた御意見に加えまして、その後欠席された構成員も含めましてさまざま御指摘いただいたものを反映させたものでございます。また、事務局のほうで、法令上の文言との整合性等、一部、文言の修正等もさせていただいておりますので、この後、主に内容に係る部分について変更点を中心に御説明させていただきます。

まず1ページ目でございますが、ここは、この方針の位置づけのところでございまして、いろいろ大幅な修正入ってございますが、内容的には、前回のこの会議の場で、後ろの幾つかの柱立てと文言がちょっと整合的でないのではないかという御指摘がありましたので、そこをそろえさせていただいた形式的な修正でございます。

それから、次の2ページでございますが、上のほうに、「なお、本方針は」ということで、本方針の見直しに関しての規定を入れさせていただいております。本日の資料で申しますと20ページのところでございますが、前回、第5ということで、地方自治体における人材の育成等の支援、それから、この方針の見直しについて1章設けさせていただいておりましたが、これはわざわざ1章設けるほどでもないのではないかということで、内容は変えずに、後ほど申しますが、それぞれ適切な箇所に移動させていただいておりますので、ここは中身的には20ページのものと同じでございます。

それから、次に4ページに移っていただきまして、「医療及び介護の総合的な確保に関する基本的な考え方」の方向性の(1)のところでございます。ここにつきましては、前回お出しした素案では、急性期の医療から在宅医療・介護までの一連のサービスが地域において適切に提供されるという趣旨のことが書いてございましたが、前回の御議論の中で、急性期から在宅医療・介護という一方的な流れではなくて、また逆に地域等で容体が急変した場合、あるいは救急等の場合にさらにまた戻っていくという相互性があるだろうという御指摘が何人かの構成員からございましたので、その趣旨を踏まえまして、「急性期の医療から在宅医療・介護までの一連のサービスが適切に確保され、さらに、救急医療や居宅等で容体が急変した場合の緊急患者の受入れ等の適切な医療提供体制が確保される等」ということで、そういった趣旨を反映した記述にさせていただいております。

それから、次に4ページの下のほうの(2)のところでございます。「地域の創意工夫を活かせる仕組み」というところでございますが、ここも、前回は、高齢化等、地域によって大きく異なるということで簡単に書いてございましたが、特に今後、都市部と地方ではかなり人口の減少の状況、あるいはそれと関連した高齢化の状況が異なるということで、今後、高齢者数も含めた人口減少が進む地方と、それから、今後、高齢者数という意味では急増する大都市というところで、非常に高齢化の状況というのは多様になっていくというところについて少し記述を加えさせていただいております。

それから、次の5ページ目でございますけれども、(3)の「質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携の推進」の最後のところでございますが、これは前回、この場でのプレゼンテーション、御議論の中でも、医療・介護をシームレスで、ワンストップで利用者の方々にさまざまな相談に対応できるように機能として連携していくという御指摘もございましたので、そうした趣旨を少し反映させるということで、多職種連携ということの後に、「その際には、医療及び介護の関係機関・団体が相互の関係を密にして、利用者にとってわかりやすく総合的な支援が行われる体制を確保する」ということを加えさせていただいております。

それから、5ページの下のほう、(5)の「情報通信技術の活用」のところでございますが、ここは2点、内容的な追加をさせていただいておりまして、まず1つは、ICTの活用に当たっては、個人情報の保護ということが前回も入れてございますが、ここについて、より書き込みが必要ではないかということで、医療・介護の情報というのは機微にわたることも多くございますので、5ページの最後の行のところに、「医療及び介護に係る情報の特性を踏まえた個人情報保護に十分に配慮し」ということを入れさせていただいております。

また、その後のところでは、ICTの活用に際して、いろいろ各地でそれぞれ違ったものができて二重投資にならないようにという趣旨の御指摘もございましたので、「標準的な規格に基づいた相互運用性の確保や将来の拡張性を考慮しコスト低減に努める等」ということで少し書き込ませていただいております。

それから、次に6ページの2のところでございますが、ここは行政、それから医療・介護のサービス提供者、利用者の役割をそれぞれ書いたところでございますが、これも前回の御議論の中で、それぞれの役割を書く前としまして、こういった関係者が役割を踏まえつつ一体となって取り組むという大きな姿勢をまず入れるべきではないかという御指摘もありましたので、そこに3行ほど入れさせていただいております。

それから、(1)の「行政の役割」の国の役割のところでございますが、これも前回、都道府県、市町村、地方自治体もさることながら、やはり国の今後の姿勢、あるいは、今まで医療・介護という縦割りでやってきた、これについての今後の姿勢といいますか、そういったところの表現が足りないのではないかという御指摘もありましたので、特に下のほうでございますが、「また」というところで、厚生労働省でも組織再編といった体制強化を医療・介護を通じてやってきたわけでございますが、今後またこの方針を踏まえて、より一層の連携を図っていくと。また、当然、厚生労働省だけにとどまらず、関係省庁とも連携していくという視点も重要かと思いますので、その点を加えさせていただいております。

それから、次に7ページに参りまして、7ページの中ほどのところに、「また、今後、都道府県及び市町村において」云々とございますが、ここは冒頭少し御説明しました、最後のページ、20ページに前の素案で書いてあったことをここの部分に入れたということで、内容的な変更はございません。

それから、その下のところで、国民に対しての的確な情報の提供というところで、さらに「わかりやすく」ということもつけ加えさせていただいております。

それから、次に(2)の「サービス提供者等の役割」のところでございますが、ここにつきましては、ちょっと言葉の問題ですが、「サービス資源」という言葉がわかりにくいということで、この後何回か出てまいりますけれども、「地域における様々な社会資源」ということで、言葉を「社会資源」ということに統一させていただいております。

それから、その後、「また、医療・介護サービス」云々というところでございますが、ここにつきましては、特にサービス提供者等の役割として、今いる人材の離職防止といいますか、定着ということが重要であるということを入れるべきという御指摘も前回ございましたので、そうした趣旨の文言を入れさせていただいております。

それから、次の8ページに参りまして、利用者の役割の最後のパラグラフのところでございますが、前回ここで、「元気な高齢者が介護に携わるボランティアとして活躍する」という記述がございましたが、そもそも「介護に携わるボランティア」という言葉が、介護職の専門性を高めていこうという流れの中に逆行するのではないかという御指摘もございました。ここで想定しておりますボランティアというのは、むしろ生活支援とかそういったことに携わるという趣旨でございましたので、その点、もう一度きちっと明確になるように文章を整理させていただいております。

それから、少し飛ばしていただきまして13ページ、その前いろいろ文言の、先ほど言いました資源という言葉の見直しなどをしております。13ページの二の1の「医療介護総合確保区域」ということで、これにつきまして、前回、二次医療圏、それから老人福祉圏域を念頭に置くということで書いておりましたが、前回の御議論の中でも、そもそもの今の二次医療圏が実態に合っていないのではないか等々の御意見もございましたので、そういう点も少し含めるような形で、「二次医療圏及び老人福祉圏域を念頭に置きつつ、地域の実情を踏まえて設定する」ということで、地域の実情を踏まえて設定ということを入れさせていただいております。

それから、少し飛びますが、18ページでございます。この18ページは、その前のページから、基金を充てて実施する事業の範囲について、それぞれ柱立てでございますが、この18ページの最初のところ、在宅医療のところでございます。ここにつきましては、下のほうでございますが、「利用者にとってわかりやすく総合的な支援が行われる体制を確保」ということを、先ほどの前段のところに入れたところとあわせて入れさせていただいたのと、あと、前回の記述の中では、「医療・介護の連携の推進の観点から」と書きつつ、医療従事者、医療ソーシャルワーカーということで、介護関係のところの記述がありませんでしたので、ここに「介護支援専門員」という言葉を追加させていただいております。

また、その次の3の「介護施設等の整備に関する事業」というところでございますが、ここにつきましては、前回この場でも、中身は地域密着型サービスで、どちらかというと在宅中心ということなのに、タイトルが「介護施設等」になっているということで、ここを見直すべきではないかという御指摘が複数ございました。

ただ、ここの基金を充てて実施する事業のところのそれぞれ5つの柱書きは、実は法律上の文言として、法律にもこういう形で柱書きが立っておるということもございまして、これは法律に基づく告示ということで、この見出しを変えることはなかなか難しいということでここは変えておりませんが、中身としましては、この中にも書いてございますように、地域密着型サービス等を整備していくことに充てていくことになるということでございます。

それから、次の4の「医療従事者の確保に関する事業」のところは、地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターのそれぞれの役割がちょっと前の文章ではわかりにくいところがありましたので、前者は医師等の偏在の解消、後者は医療機関の勤務環境の改善ということですので、そこの関係が少しわかるように文章を整理させていただいたというものでございます。

それから、最後、20ページのところは、冒頭御説明しましたように、中に溶け込ませていただいているということでございます。

続きまして参考資料1でございますが、これは第1回の会議でもお示ししておりますけれども、今回新しく基金事業を実行するために都道府県に計画を立てていただくといったいろんな計画が出てきて、非常に関係がわかりにくいということなので、改めて少しわかりやすく整理させていただいております。

第1回目のときにも御説明いたしましたが、現在それぞれ、医療・介護の基盤整備につきましては、医療については医療計画、ここの中に来年度以降さらに地域医療構想が盛り込まれていくわけですが、それについては医療法で定める基本方針がございますし、また、介護の基盤整備については事業計画ないし事業支援計画、これについても基本指針というのがございますが、今回この場で御審議をいただいております総合確保方針の中では、こういったそれぞれの制度の中で進められている基盤整備、これを貫く基本的な方針ということで、ここでも大きく5つの柱を立てておりますが、これを定めると同時に、消費税財源を活用して新たに創設されますこの基金の基本的な考え方、あるいはその基金を使うに当たっての都道府県計画、市町村計画についての基本事項というものを定めておるという関係でございます。

続きまして参考資料2のほうでございますが、前回の御審議の中で、これもいろいろな区域が出てきてわかりにくいということで、概念として少し整理させていただいております。現在、医療・介護のそれぞれの計画の中での区域というのは、医療は三次医療圏、これは原則として都道府県で、北海道が6つですので52カ所になってございますが、三次医療圏と、それから二次医療圏、これが現在344カ所ございます。

一方、介護のほうでは、都道府県の支援計画の中では、老人福祉圏域、これは343カ所でございますが、その下の注書きに書いてございますように、41の都道府県では二次医療圏と老人福祉圏域は完全に一致しておりまして、またそれ以外のところでも、例えば一つの二次医療圏の中に2つの老人福祉圏域があるということで、包含関係にあるような形になっております。

ですので、そういったことを踏まえまして、この新たな指針で定めます医療・介護総合確保区域というのは、この二次医療圏とほぼイコールであります老人福祉圏域、これを念頭に置いて定めていただくという形で整理しております。

また、介護のほうでは、各市町村が市町村の介護保険事業計画を立てるに当たって、一つの考え方として、日常生活圏域というのがございます。今回の医療・介護総合確保区域でも、市町村における医療・介護総合確保区域としてはこれを基本に考えていくということで、それぞれ、今の既存の医療計画、あるいは介護の計画での圏域という考え方を生かしつつ整理させていただいたということでございます。

以上、少し長くなりましたが、事務局からの御説明でございました。

 

○田中座長 ありがとうございました。

 本日は、ただいま事務局からの説明にもありましたとおり、資料1「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(案)」について議論いただきます。

では、御意見等ございましたら、挙手の上、発言をお願いいたします。

 今村構成員、どうぞ。

 

○今村構成員 まず、意見の前に確認をさせていただきたいのですが、理解が進むようにということで、参考資料1で、医療及び介護に関する各種方針計画等を出していただいたのですが、改めて確認なのですが、市町村の市町村計画のところで、これは都道府県の計画と同じ文言が全部入っていますけれども、市町村が行う医療の確保に関する計画というのは在宅医療に限っているということではないのですか。つまり、市町村の中で、市町村における全ての医療の確保をするという話ではないという理解をしているのですけれども、このままこう出ると、何か逆に誤解を招くような気がするのですが、そこはいかがなのでしょう。

 

○渡辺課長 今度の介護保険の改正の中で、在宅医療・介護の連携事業というのが地域支援事業の中に位置づけられましたので、ここで想定しておりますのはその事業のことでございます。書き方は、今、御指摘がありましたので、ちょっと工夫させていただきたいと思います。

 

○田中座長 本間参考人、どうぞ。

 

○本間参考人 資料2の5ページの7行目に「地域包括ケアシステムを構築する観点から、医療及び介護の連携の核となる人材の育成」云々とございますが、可能であれば『医療』と『介護』だけではなく、『行政』という文言もここに追加していただければと全老健としては思っております。

と申しますのは、『医療』と『介護』分野だけではなく、『行政』にも精通しており、その3者に横串を通せるような力のある人材の育成が今後必要になってくると考えているからです。さらに地域包括ケアシステムを構築する上では、『医療という点』と『介護という点』の点と点を結んだ『線の連携』だけではなくて、その医療と介護の『線の連携』に『行政』と『住民』を加えた『面の連携』が必要であり、この『面の連携』をコーディネートできる人材の育成が急務と考えております。そのような意味からも連携の核となる人材には『行政』に対しても連携がとれる人材が必要ということで『行政』という文言も加えて頂ければと考えた次第です。以上です。

 

○田中座長 行政の人材について、お答えになりますか。

 

○渡辺課長 御指摘のとおり、行政との連携ということも当然重要だと思います。ここは、全体の並びの中で、質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携ということで主としてサービス提供者を想定しておりますので、今の御意見をどういう形で取り込ませていただくか、ちょっとまた座長とも御相談させていただきたいと思います。

 

○田中座長 山崎構成員、お願いします。

 

○山崎構成員 関連するかと思いますので発言させていただきます。介護保険部会の審議の中でかなり強い意見としてありましたのは、市町村で専門職、あるいは行政職であってもいいのですが、専門的に福祉等の分野にかかわる人がいないと。いても、力量が不足しているという指摘が随分ありました。したがって、この資料1ですと、7ページの上のほう、2つ目のパラグラフあたりになるのかもわかりませんが、市町村での専門職の確保、そして育成を進める必要があるということと、それから、にもかかわらず、小さな町や村では、それもやはり非常に困難かなと思っております。介護保険部会では、そういった市町村に対しては県の全面的な支援が必要だという議論にもなったわけでございますが、場合によれば、都道府県に一定の専門的な人材を確保して市町村に派遣するということも考えていただかないといけないのではないかと思っております。

それから、ついでに発言させていただきますと、今回の介護保険法の改正では、地域での医療・介護を包括ケアという形で推進していく上で、住まいに並んで、新たに生活支援サービスということが非常に重要で、これを介護保険の地域支援事業として組み込もうと、こういうことになったわけでございますが、地域によって相当生活支援サービスの担い手が不足している。また、コーディネーターも今後養成しなければいけない。それから、立ち上げの施設、設備の費用といったようなものも必要なので、これは基金を使ってぜひ重点的な施策として取り上げていただきたいということで、一応介護保険部会の議論の中では、事務局からもそういう方向で考えたいという答弁をいただいているのですが、この文章の中では明示的にはそれが出ていないことについてどうなのかということを確認したいと思います。以上です。

 

○田中座長 基金の介護分野への適用について説明いただけますか。

 

○高橋課長 老健局です。

御指摘のように、今回の介護保険制度改正で、生活支援の分野ですとかそういうところの充実が必要であります。今回のこの方針には明記しておりませんけれども、そういう部面に基金を活用して充実できるよう、どういうやり方をしていくか検討していきたいと思っております。

今回、法律に基づきまして介護関係の施設整備、それから介護の人材確保、その他の事業と、基金の介護分の対象について、法律で枠組の範囲をまず書いておりまして、具体的には年末までの予算編成過程で検討していく中で、おっしゃるようなことも実現できるよう努力したいと思っております。

 

○田中座長 専門職の確保・育成はいかがでしょうか。

 

○渡辺課長 専門職という形になるかどうかというところはございますが、確かに、今、先生の御指摘になったところは、いろいろ法案の国会審議等の中でも御指摘のあったところでございまして、そういうところも踏まえまして、この7ページのところに、特に国も地方自治体に職員に対する研修等を充実することによって継続的な人材育成を支援していく必要があるということを、そういう趣旨も踏まえて盛り込ませていただいたつもりでございます。

 

○田中座長 よろしゅうございますか。樋口構成員、お願いします。

 

○樋口構成員 ありがとうございます。

6ページのところでございますけれども、特に2「行政並びに医療・介護サービス提供者及び利用者の役割」というところ、またいろいろ書き込んでいただきまして、特に利用者のボランティアのあり方などということも非常に明確に書いていただきましたのでとてもわかりやすくなったと思うのですけれども、本当に私、今度の総合会議でつくられていく医療介護の連携、地域包括ケアシステムというのは、それこそ本当に総資源を挙げての全体の、何といいましょうかね、総力戦だと思っております。

ですから、医療・介護サービスのこれからのあり方のアクターといえば、もちろんサービス提供者、もちろん行政、政府、それから利用者の役割ということをしっかり入れていったのはいいと思うのですけれども、自助、公助、共助云々と言われるときに、ここ数年の高齢者白書などを見ましても、例えばおととしぐらいでしたか、スウェーデンといえども、在宅介護の大半は、八十何%と書いてありましたかね、本当かねえと思ったのですけれども、実は家族が担っていると。公的なものは非常に少ない。日本もまたという感じで書かれておりました。

もちろん家族の役割というのはあると思うのですけれども、一方で、この家族の急激な変化、単身者の増加、老老介護。先日、代理人に話してもらったと思いますけれども、認知症高齢者の踏切事故においての賠償責任ということを考えますと、91歳の認知症の夫を85歳の要介護1の人が介護しているというような状態が非常にふえていくことだけはまぎれもない事実だと思うのです。ここにどう書き込んでいただくは別として、起案者といいましょうか、文章作成の側が、この中に家族というアクターが、にもかかわらず家族は私は重要な役割を果たすと思っております。家族というアクターに本当はどういうことを書きたかったか、書ければ、もし御意見があれば教えていただきたいと存じます。

 

○田中座長 家族について書いてないけれども、どういう考えを持つかという御質問でした。

 

○渡辺課長 先生の御指摘のように、家族というのも重要なファクターでございますけれども、また、そもそも介護保険ができたときの成り立ちということから考えますと、先ほど認知症の話もありましたけれども、家族だけに負わせないという大きな流れの中でできた制度でございますので、その基本理念は遵守しつつ、ただ、実際には、先生おっしゃったような事例というのは今後もふえてくると思いますので、そこはまさに医療・介護という連携の中で今後どうやって支えていくかということ、この方針を実行していく段階で念頭に置かなければならないと考えております。

 

○樋口構成員 ありがとうございます。

 

○田中座長 武久構成員、お願いします。

 

○武久構成員 資本主義社会ではニーズがあるところに供給があり、供給があるところにニーズが寄っていくというのは当たり前の話なのですけれども、ページで言うと4ページあたりですけれども、過疎の地域では、ニーズはあるのだけれども供給が来てないと。要するに、サービス事業者が、効率化というか、公正な競争をする場合には効率がいいところに事業を展開するというのは当然のことでありまして、それをだめだということは言えないわけです。そうなってくると、ニーズがあるけれども供給がないという状況が一番の問題になってくるわけですね。

これを地域の中である程度やりなさいというイメージの書き方なのですけれども、やはりこれは制度とか国とかが直接かかわって、要するに、不効率なところだけれども、必要なのだから絶対に提供するのだと。医療と介護というのは事業ですから、事業はやはり効率がいいところに集中する。どんどん都会に集中すると。この自然の流れを放置しておいたままでは、やはり過疎地においてはますますサービスがなくなって、サービスがあるところにニーズが吸い寄せられていくということの一方的な方向性というのがどうしても進んでいくと思うのですね。

地方創生という大臣もできましたけれども、地方を地方のままで維持して、そこで生活できる生活圏を守ろうとするのであれば、やはり公平な競争だけでなしに、何らかのサポートが、それも政策的に国としてのサポートがないと、それはやはり資本主義社会ではやすきに流れていくというのは事実のことでありまして、ここをもう少し主体性を持って、国なり、この会議なり、総合確保という意味では、何かもうちょっと積極的な表現にしていただけるとありがたいかなと思っております。

 

○田中座長 御意見ありがとうございました。過疎地の話ですね。

今村構成員、お願いします。

 

○今村構成員 まず、5ページの(3)の「質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携の推進」ということで、先ほど樋口構成員からも総力戦というお話がございましたけれども、今回、この修文で、医療及び介護の関係機関・団体が相互の連携を密にして、利用者にとってわかりやすく総合的な支援が行われる体制整備・確保が大事だと、こう書いていただいたのは大変ありがたいと思っています。

そのことを踏まえて、7ページの(2)ですけれども、「サービス提供者等の役割」とあります。これはそれぞれの医療・介護の従事者の皆さんがプロフェッショナルとして活動して、医療機関などで、サービスを提供しているわけですけれども、そもそもプロフェッションの定義の一つに、一つの団体に属することがあります。専門職の団体に属して、そこで質を担保して活動するということがそのプロフェッションの定義であるという理解をしています。

そういった中で、個別の一つ一つのサービス機関だけでできることには限界があって、やはり地域にあるさまざまな団体の役割というのは非常に大事だと私は思っています。前回の委員会で武久委員から、御自分が所属されているところの地域の地域包括支援センターのお話をいただきました。私は医師会という立場で出ていますから、医師会の役割、重要だということを改めて強調するわけですけれども、医師会に限らず、それこそ、歯科医師会なり薬剤師会なり看護協会なり介護の団体、あるいは病院団体等、それぞれ専門職としてそれぞれの地域に大変大きな役割を担っているわけで、もしこの中の「等」というところにそういう団体が含まれているというのであれば、私はもっともっとこの方針の中でしっかりと団体の役割というものを改めて位置づけていただきたいという思いであります。

もう一点、このサービス提供者の役割の上に、いわゆる国、地方自治体職員の研修ということが書かれています。ぜひとも、こういった団体の役員、あるいは職員に対するデータの活用であるとか、あるいは政策立案のための研修会もあわせて実施していただければありがたいなと思っています。

それから、大変恐縮ですが、前回この会に出ていて、文章読んで気がつかなかったことがあって、改めて追加で申し上げさせていただきたいのは、16ページの「基金と報酬等との関係」というところで、中ほどに、「基金を充てて実施する事業」と、はっきりとこの事業はどういうものを対象にするかということが主語で書かれています。第1回で、この検討会の大きなミッションの一つに、どういった事業を対象にするのかということがこの委員会のミッションとして挙げられておりますし、従来から、この新たな基金の対象事業というのは、病床機能分化、連携の事業と、それから在宅医療・介護サービス充実のための事業、そして医療従事者の確保・養成のための事業、この3本柱ということが示されてきたわけですけれども、ここの文章を見ると、この情報基盤の整備というのは物すごく大事なことだと我々思っていますが、あくまでこれは、今言った3本柱を実施するために必要な、ある意味、道具という位置づけに私はなると理解しています。

したがって、この会としてこの報告書を書くのであれば、本来の基金の目的である三本柱をしっかり明記した上で、次のページの「基金を充てて実施する事業の範囲」というところでそういったものにつなげていただければ良いのではないかと思っています。

それから最後に、18ページの「介護施設等の整備に関する事業」、ちょっと私、聞き漏らしたかもしれません。法律の中でも記載されているとおっしゃったようなことがここのことなのかもしれませんが、ここで書かれていることは、どちらかというと、施設整備というよりも、その他のソフト的なことが非常に書かれているような気がします。もし表題を変えられるのであれば、「介護施設等の整備」というよりも「介護サービス体制の整備」といったような表現のほうがふさわしいのではないかなと思ったので、意見として言わせていただきます。以上です。

 

○田中座長 さまざまな御意見ありがとうございました。後に検討させていただきます。

内田構成員、どうぞ。

 

○内田構成員 ありがとうございます。

細かいことなのですが、18ページで、今回直していただいた上のところですね。「また」というところからですが、体制を確保するためには、「医療従事者、医療ソーシャルワーカー、介護支援専門員等」ということで、ここに介護職員も含めていただいているのだろうなとは思うのですが、やはりきちんと書いておいていただいたほうがいいのではないかと思いますので、済みません、お願いいたします。

 

○田中座長 「介護支援専門員」のほかに「介護従事者」と書いてほしいとの御意見ですね。花井構成員、お願いします。

 

○花井構成員 幾つか修正いただいたことに感謝申し上げます。

16ページのところについて、意見を述べたいと思います。「(1)国における取組」のところですが、次の都道府県、市町村というところに比べますと少し弱いのではないかと思います。多分、法令上の問題があるとは思いますが、これですと、国は、検証を行った後、都道府県に対して必要な助言を行って、適正な評価指標の設定等を行うというふうになっています。都道府県と市町村には、事後評価という言葉がありますが、それがないというのは、検証を行って事後評価を行うという、PDCAサイクルが見えないので、そこを入れるというのは難しいのかという質問と意見と両方兼ねております。

それから18ページ、前回これも発言させていただきましたが、医療従事者と介護従事者確保となっておりまして、確保というのも当然そうですが、今働いている人をやめさせない、やめないということがとても大切で、その上でさらに人を確保していく必要があるというのが2025年に向けた人材確保の姿だと思うわけです。やはり定着であるとか離職防止、とりわけ看護師と介護士の定着という言葉がどこかに入らないかなという要望です。以上です。

 

○田中座長 さまざまな御要望について、どこまで取り入れられるかどうか、後で事務局と座長代理と相談いたしますが、今までのところで質問の何かお答えがあればお願いします。

 

○渡辺課長 今、花井委員からありました、国としてのPDCAをどうしていくかということでございますけれども、これは前回のときもこの場でも出ておりましたけれども、実際にこれから基金を交付していって、その交付状況もまたここで御報告しますし、また、それに基づいて実施された事業についてもここで検証いただくということでございます。

ただ、具体的に、ではどういう評価項目をもって検証していくかということについては、またこれから国のほうでも検討していくということもありまして、この16ページのところの「国における取組」ということは、現時点では「適正な評価指標の設定等を行うものとする」という書きぶりにさせていただいているというところでございます。

 

○田中座長 ちなみに、ページ数を資料1で言っていらっしゃる方と2で言っていらっしゃる方がいることがわかりましたので、申しわけありませんが、資料1のほうのページ数で御発言くださるよう、統一いたしましょう。中身は同じです。

 

○吉田審議官 2のほうが。多分、皆さん方見ておられるのが見え消しバージョンではないかと思いますので。

 

○田中座長 私は別にどちらでもいいですが、どちらかに統一しないと、片方が18ページと言っていて片方が16ページと言っているケースがありましたので。では、審議官の言われるように、資料2のほうに統一いたしましょう。伊藤参考人、お願いします。

 

○伊藤参考人 資料2の4ページでございます。「1 基本的な方向性」の(1)の中にございます「救急医療や居宅等で」というところで、この救急医療という言葉は、前回、加納構成員からの要望で入れていただいたということについて、大変感謝申し上げます。といいますのは、「急性期」という言葉だけで表現されますと病期の表現ということになりまして、救急というその病態重症度等も考慮した言葉は大変重要でございます。そのカテゴリーが曖昧になりますと、救急という言葉の持つ緊急性が消滅するのではないかということを大変危惧しておりまして、こういうところで書き入れていただいたことに大変感謝申し上げたいということが1点でございます。

それから、2番目に、7ページの「(2)サービス提供者等の役割」の中で、良質かつ切れ目のないサービスの提供ということで医療・介護サービスを提供するわけですが、検討すべき項目として、特に医療事業者の守備範囲が非常に厳しく制限されていると思います。大変厳しい制限の中で、切れ目のないサービス提供という考え方に対して、この守備範囲の制限がエアポケットのようにすき間をつくってしまうおそれがあることを勘案しますと、それぞれの守備範囲の見直しだとか、あるいは相互乗り入れというような業務の拡大ということもこの中で検討していくべきかどうか教えていただきたいと思います。

 

○田中座長 長期の政策目標としては間違いないですが、この報告との関係について御説明いただけますか。

 

○渡辺課長 御指摘のところにつきましては、まさに今、座長からもお話ありましたように、中長期の制度としてどこをどう直していくのかということで、それぞれ、関係の審議会もありますので、またいずれ議論していただくことになると思いますが、今回の基本方針は、そういう意味では、個別の制度に立ち入るというよりは大きな方向性を出すということで、こういった書きぶりにとどめさせていただいているということでございます。

 

○田中座長 石川構成員、お願いします。

 

○石川構成員 医療介護総合確保区域におきましての二次医療圏と老人福祉圏域を同一に考えることなど、今回お示しいただきました案に対しまして異論はございません。ただ、今後、基金等の運用を考える際に、3点御配慮いただきたいと考えます。

何度か皆様方から御意見も出ておりますが、1つ目は、地域包括支援センターの期待が高まっていることに配慮いたしまして、機能強化、規模拡大のために基金を有効活用していただきたいということでございます。

また2つ目は、特にいろんな先生方からお話もいただきましたが、人材確保、とりわけ専門職の確保は困難な状況にありますので、こうした専門職の育成・確保・支援のための基金を活用していただきたいということでございます。例えば認知症介護実践者等養成事業でございますが、総合確保方針案にも記載されておりますとおり、医療・介護ニーズを抱えました認知症高齢者はこれから増加の一途を辿ることになります。

しかしながら、幾つかの地域密着型サービスについては、当該養成研修を修了した者をその人員配置基準の要件としていますが、こうしたサービスに当該研修の修了者が集約され、より認知症高齢者の日常生活の自立度が重くなった方がいる施設系サービスなどでは認知症実践者等の確保が非常に難しい状況も少なからず見受けられます。そういうこともございますので、何とぞよろしくお願いしたいということでございます。

特に当該研修につきましては、都道府県または指定都市、団体等の実施が可能になっておりますが、自治体の中にはその運営がままならないところがございます。MCIも含め、800万人近くになるとされる認知症の方々を支えるには、こうした人材育成に関する事業への手当ては必要だと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

また、ほかには喀たん吸引等の研修がありますが、医療ニーズがより高まるということは言うまでもありませんが、生産年齢人口が減少していく中で、担い手の確保、あるいはまた研修体制も重要な要素となると思います。現状、研修体制を組めないことや実地研修におきましても対象となる方がいないことなどから、研修を修了できないこともあると聞いております。制度的な対応が必要な事項かもしれませんが、財政支援としても検討すべき事柄であると考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

3つ目は、介護保険の指定事業所、もともと老人福祉を担う社会資源としての一翼を担っておりますが、そこでは社会的に保護を要する方、特に刑期を終えた方、経済的な困窮を抱えた方などさまざまな方がお過ごしでおられますが、介護保険の導入によって、国民が選択でき、契約によるサービスとしての普遍化が図られているところでございます。これによって一方で、福祉の概念が希薄化しているように思われますので、医療・介護総合保険確保というときに、同じ介護分野であっても、社会的保護が必要となり、福祉的な支援が必要な方々が数多くいらっしゃると思います。二次医療圏、老人福祉圏域の統一等、今後運用する際にはこうした福祉的領域を軽んじることのないように御配慮いただきたいと思います。以上でございます。

 

○田中座長 今後の視点について、ありがとうございました。山本構成員、お願いします。

 

○山本構成員 民間介護事業者の立場から申し上げます。

まず、先般の修正で自治体職員の研修の項目を残していただきまして、ありがとうございました。それと、市町村が介護保険事業計画、都道府県が医療計画、この連携を図るという言葉、前回も申し上げましたとおり、非常に重要だということは重々承知しております。とりわけ都道府県における市町村間の調整という役割について、何らかの記述を加えて頂き強化していただきたいということをお願いしたい。

とりわけ、地方分権と言われるように、国から県に、県から市町村にと、例えば来年の法改正で言えば、平成30年から居宅介護支援事業が都道府県の権限から市町村に移るように、どんどん市町村へ権限が移譲していっております。その中においての、今回の医療と介護の連携ということでありますので、くどいようですが、医療は県、介護は都道府県という中において、一層の市町村間の調整機能という都道府県の機能を強化願いたい。また、その調整機能を都道府県がしっかり果たせるような記述を加えて頂きたい。

地域密着型事業は、御存じのとおり、市町村の権限です。地域密着型事業において、市町村間にまたがるようなケース、住所地特例の利用なんかはまさにそうなのですが、非常にやりづらいケースが出てまいります。そのときに、都道府県の調整という機能を我々民間事業者としては期待するところであります。そういう意味で、隣接する市町村間をまたがって利用するようなサービスのときの調整機能、具体的に言えばそのようなものを都道府県に対して期待するということであります。それが1つであります。

それに関連しまして資料の7ページの2行目であります。「市町村と連携しつつ」云々と1行目にありますが、その下、「広域的に提供される介護サービスの確保を図る」とありますが、ここ意味を教えていただきたい。

先ほど山崎構成員からも話が出たように、我々民間介護事業者としては、地域包括支援センターの体制強化というのは非常にありがたいと思っております。そういう意味で、地方自治体における専門職の確保、あるいは都道府県からの支援というものを、山崎構成員の御発言と同様に非常に期待するものであります。

そういう意味で、昨今の地域包括支援センターの人員の増強という計画が市町村において、現実に幾つか出てきている事例があります。例えば3職種、保健師、社会福祉士、ケアマネージャーに加えて管理栄養士、あるいは歯科衛生士というものまで地域包括の中に置こうという自治体が出ている実態があります。体制を強化すると、我々民間事業者を指導していただく体制が強化されるという意味で、我々としても期待しております。

そんなことをお願いしたいということと、最後でありますが、前回も発言させていただきましたが、先ほどの他の構成員の方からありましたとおり、医療と介護ということもあるのですが、福祉という観点からも忘れないでいただきたいということから、権利擁護の観点からの方策もぜひ加えていただきたいと思います。

 

○田中座長 7ページに関する御質問、お答えください。

 

○高橋課長 老健局です。

7ページの上から2行目のところでございますが、御質問いただいた、「広域的に提供される介護サービスの確保を図るほか」という表現ですが、これは、御承知のように、介護保険の中で、広域型の特養ですとか老健ですとか、これにつきましては基本的には都道府県が管轄しており、また、通常のデイサービスですとかも、広域タイプですので、県が管轄しています。一方で地域密着型は市町村ですので、そういう意味での表現でございます。

また、御指摘ありました市町村支援につきましては、この3行目のところで、「市町村の創意工夫を活かしつつその取組を支援」と。こういう支援の中には、おっしゃるような市町村にまたがる調整でございますとか、それから、体制が弱い市町村への支援ですとか、そういうものをしっかりやっていく必要があると、このように考えてございます。

 

○田中座長 千葉構成員、お願いします。

 

○千葉構成員 山本構成員のただいまの意見に賛同させていただいて、少し追加したいと思います。

私は精神科のほうでございますから、特に認知症の問題につきまして、地域認知症のほとんどのサービスは、今、地域密着型のサービスに置かれておりまして、このために、小さな町村では、そのサービスがつくれない場合に、ほかの隣のまちのサービスをどう使うかということが大きな問題になります。また、今のオレンジプランの中でも、若年の認知症、若年性認知症、これは発症の数からすると大変まばらになってしまうわけで、小さな町村には何人かしかいないと。このためのサービスをわざわざつくるということは非常に難しいわけですね。

そうなってきますと、やはりまたがった形で幾つかの町村、広域にまたがらなければならないと思うのですが、これもまた現在の枠組の中では地域密着型に入られているということで、特に認知症関連から言えば、本来は地域密着型を外していただくべきであろうと。そこに入れていくこと自体がまず介護保険では間違いなのではないかとは思っておるのですけれども、その辺のところは今一番問題になっているのではないかなと思います。

ちょうど境界で、近い場所にサービスがあるのに、その町の遠くの端っこのほうまで1時間かけて行かなければサービスにならないとか、非常に不便な形がよく見られていますし、それを使うこともできないと。だから、もう少しそのあたりの部分が、この間も申し上げましたけれども、柔軟に使えるような形が必要なのではないかなと思います。

 

○田中座長 和田構成員、お願いします。

 

○和田構成員 歯科のほうから参考資料で5つ目、2枚ものを出させていただいております。私どもとしては、今回の総合確保方針については、基本的に了とします。ただ、促進するための基金についても、いろいろ有機的な仕組みになっていくことを期待しております。私ども何度も申し上げますが、こういう書き方の中で、医療と介護という場合に、基本的に、医療の中に、医科医療、歯科医療というのはちゃんと含まれているものだと認識はしておるのですが、ついつい、医療というのは医科医療を指すというような、市町村に行けば大体そう思われるケースが大変多いのが事実です。

私ども、この医療と介護の連携の場合に、歯科から言えば、食べるという軸が本当に担保されていっているのだろうかと感じています。病院の機能の分化をしていくというときに、これはまさに医科医療の中の急性期からいろんな病院機能があろうかと思いますが、患者さんのQOL、あるいは住民のQOLという立場から言えば、食べるということが本当にいろんな中で担保されていくことが重要です。急性期から在宅へ向かうときの連携の話も、あるいは介護の中で歯科医療と介護保険制度というのがどうやってリンクするのかという思いがしております。

そういう中で、私どもが問題点として考えている部分、医科、歯科の連携についてというようなことで、何度も申し上げておりますが、なかなか難しい問題があるなと思っております。

1つ目は、前回からの繰り返しでございますが、今月から、地域医療ビジョンで、病床機能を含めた地域の医療体制のあるべき姿を論議する際に、全てのステージにおいて、歯科との連携、あるいは病院の中における歯科の役割ということについてぜひ論議いただきたいと思います。

2つ目は医療と介護の連携の部分でございますが、医療保険制度として介護保険を支えるという立場に歯科はあるのだとは思っております。

しかしながら、医療保険の入り口の主治医の意見書等には歯科医師の視点が全く入っていないことは問題です。厚労のほうからも、主治医の意見書の、口腔内での状態については、高齢者の口腔ケアはQOLの維持向上に当たって非常に重要だというような観点から、医科の先生方に、口の中もチェックしてくださいねというようなコメントが昨年の6月に出ております。

現在のような気配りというだけではなく、ちゃんと制度としてこういうものが確立されていくような方向として論議いただきたい。介護保険部会には歯科医がいませんので、本来、介護保険制度の中の、調査票、あるいは主治医の意見書といった入り口のところ、調査票、あるいは主治医の意見書のあり方についてもきっちり論議していただきたいし、制度として考えていただきたいと思っております。

超高齢社会の中で、いわゆる食べる機能を向上する、あるいは維持するということの観点を、医療保険、介護保険ぞれぞれの中での位置づけ、あるいは、この基金も含めてそれぞれの場で問題解決できるような論議をいただけたらと思います。介護保険制度の中では、介護保険部会にも歯科医が入って、この食べるという観点から論議ができる、そういう場が与えられるようにお願いしたいと考えております。

 

○田中座長 よろしいですか。今村構成員、どうぞ。

 

○今村構成員 今の和田委員の御発言に関しまして、先ほど私が申し上げたことに多少関係があるかなと思って、改めて言わせていただきたいのですが、参考資料5の裏のほうに、医療と介護の連携で、介護保険の入り口でもある主治医意見書ということが書かれていて、実は本日もお昼、私、地元の認定審査会に出てきたばかりなのですけれども、もともと主治医の意見書の中に、例えば整形外科の先生が書くと内科的な疾病に対する記載が弱くなる、あるいは逆に内科が書くと整形外科的なところが弱くなる、そういう問題はもともとあって、ですから、かかりつけ医、主治医が全体的にその患者さんを診ていくということが大事だという話になっているわけですね。

したがって、今、主治医の意見書の中に他科受診という項目があって、そこに歯科を受診しているかどうかという記載をする欄もある。だから、そこに記載されていればより、なおそのかかりつけ医が意見書を書くときに歯科口腔の機能をしっかりと診ていくということが大事だということだと思います。

ただ、なかなかそこが徹底できないというのは、地域の中できちんとそれぞれの団体が連携しながらそういうことを徹底していく必要があると私思っているので、先ほど申し上げたように、地域の中のそういう団体の役割というものをきちんとこの中に明示していただきたいということを申し上げたと。そういう意味で、先生と思いは同じだということで御理解いただければと思います。

 

○田中座長 それぞれありがとうございます。森構成員、お願いします。

 

○森構成員 ありがとうございます。

前回、いろいろな区域があってわかりにくいということで、参考資料2をおつくりいただき、ありがとうございました。

また、「情報通信技術(ICT)の活用」のところで、「個人情報に十分に配慮し」ということをいれていただき、ありがとうございました。

特に、今回の基本的な方針に関しての意見は、私のほうからはないのですけれども、今後のことになりますが、この基本方針が策定されて重要になるのが、これをどう実効あるものにしていくか、そして、制度をきちんと運用していくかということではないかと思います。もちろん、関係者の努力もそうですけれども、ぜひ今後も国としてきちっと進めていけるような支援をお願いしたいと思います。

それから、先ほど今村先生のほうからも団体としての役割というお話がありました。私たち薬剤師会としても、地域包括ケアの中で訪問薬剤管理指導や、地域住民の健康・介護相談等を、医療・介護関係者と十分に連携を図りながら行い、質の高いサービス提供していく体制を構築していきたいと思っています。

その中で、特にこの中に書き込むことではないかもしれませんが、1点、サービスの提供という視点で言えば、人材の確保とともに研修による質の向上というのが重要になると思います。そもそもの専門職の養成教育の中で、薬剤師で言えば薬学教育の中で、医療と介護の連携について教えていますが、そういう教育をより充実させることが質の向上につながると思います。ぜひ今後、国として教育の充実をお願いしたいと思っております。

以上です。

 

○田中座長 追加の回答は特にないですね。

皆様からは、方針案に関する御意見と、もう少し長期的な医療・介護のあり方、あるいは福祉のあり方についての御意見と両方ありましたが、この方針(案)については以上でよろしゅうございますか。河村構成員、お願いします。

 

○河村構成員 方針(案)全体としては、これからどうしていこうかということについては基本的にはよろしいのではないかなと思うのですが、その基本方針(案)の中の議論した部分を最終的にはいろんな意味で実行していく担保をどこで設けるか。さっき武久先生が言っていただきましたように、私も、この会で何回も実態をお話しさせていただいておりますけれども、画一的に基金を運用するということになると、過疎地域、あるいは山村地域等々については、人材確保はままならぬ、かつ、いろんな意味で基金の活用ができないという状態が出てくる可能性があると私は思っています。

そういう点では、比較的資源が多いところに財源が行って、そうでないところに来なくなるというおそれがあるので、武久先生が言った意見をぜひ、どんな形か知らないですけれども、実行に移すときに反映できるような方策を考えていただきたいと思います。

 

○田中座長 とても大切な点ですね。ありがとうございます。では、小林構成員、お願いします。

 

○小林構成員 非常に時間のない中で、今回の総合確保方針(案)を作成された事務局には敬意を表したいと思います。今後、各自治体においても、短期間で計画が作成されていくことになると思いますが、これまでも申しましたように、今回も含めて、また来年度以降の計画の改定の際にも、地域の被用者保険の一員として、協会けんぽを含む医療保険者からの意見を聴取して、その意見を計画に反映していただくようお願いしたいと思います。

以上です。

 

○田中座長 千葉構成員、どうぞ。

 

○千葉構成員 11ページのところに、実は認知症のところで、認知症の早期対応の方針、ここにということで載っておるのですね。ずっとほかのところを見ていても、1つだけ、施策のピンポイントにこのことだけが書き込まれているという状況になっておりまして、もう少し認知症のさまざまな施策はたくさん盛り込まれてあったはずですから、ここだけスポットライトを浴びさせて認知症への早期対応ということだけになっているのは、どうもちょっと全体的に違和感があったものですから、どうなのだろうなと。何か特別な意図があってここにこれを挙げたのか、さもなくば、ほかの取組のさまざまなものも含めながら、もう少し文言を、ここだけにではなく、そういうものに満遍なくと言ったらあれですが、こういうものを利用していくのだというような形のもののほうがよろしいかと思うのですけれども、何かございましたでしょうか。

 

○高橋課長 老健局でございます。

この11ページのこのあたりの記述は、今回の法律改正で介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業のところに規定を追加した4項目ですね。医療介護連携、認知症の関連、それから地域ケア会議、それから生活支援ですね。法律改正で追加した事項を端的に表現した。そういう意味で、ここだけにちょっと具体的なことが入っているということでございます。恐縮でございます。

 

○田中座長 法律そのものに規定されて書かれているところもところどころあるようです。

 

○千葉構成員 それはわかるのですけれども、今の医療と介護の連携ということからいきますと、認知症の分野では、その辺のところはとても重要なものを占めておりますし、また認知症疾患医療センターと地域の包括ケアセンターとの連携とかさまざまなところで、連携という意味であれば、包括ケアという意味であれば、することがたくさんあるわけでございまして、ここで認知症への早期対応ということをピックアップするというのは、もっとほかのものも考えて含んでいただきたいと思うのですけれども、お考えいただければありがたいと思います。

 

○高橋課長 確かに御指摘のように、本来、できるだけ細かい各論を書き込みたいところではあるのですけれども、今回の総合確保方針全般の総括的なところでございますので、またこれを受けて、介護保険の事業支援計画の指針でございますとかそういうところでより具体化していくというような位置づけであろうかと思います。今回のこの部分は、法律で規定が加わったところだけを端的に書いたわけでございますけれども、おっしゃるように、認知症施策全般、いろいろ重要な項目ございますので、そのところは計画の基本方針で明らかにしたり、今回それぞれの各都道府県での計画により明記していけるような、そのような話を進めてまいりたいと思っております。

 

○千葉構成員 わかりました。全体的に見ると認知症の部分が方針の中には薄いように思われたものですから、ここだけが目立っているのかなと思います。ほかのところにもう少し認知症の部分が総括的にあってもよかったのかなと思います。

 

○田中座長 ほかはよろしゅうございますか。

では、本日は修文にかかわる御意見も幾つかございました。修文を超えて、今後の法律分野のそれぞれの分野のあり方に対しての長期的な御意見もありました。修文に関する扱いについては、私と森田座長代理に御一任いただきたいと存じますが、よろしゅうございますか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○田中座長 では、そうさせていただきます。ありがとうございました。

議題1の総合確保方針についての議論はここまでといたします。

まだ時間も多少残っておりますので、この際、各構成員がこの基本方針(案)を超えて、それぞれのお立場から、医療・介護の連携、統合に対して日ごろ考えておられる制度上の課題など御発言いただく時間を設けたいと存じます。どうぞ御自由な意見をお願いいたします。西澤構成員、どうぞ。

 

○西澤構成員 参考資料を提出させていただいております。参考資料3-1と3-2を御参照ください。この提言をいたしますのは、本日、総合確保方針が決まりましたので、これをもとにして今後いろな検討が行われていくと思いますが、ぜひそのときの参考にしていただきたいということで出させていただきました。

全部説明するとかなり長くなりますので、簡単に要点だけを説明しますので、後でお読みいただければと思っています。

まず、8月8日、「日本医師会・四病院団体協議会合同提言」とございます。これは日本医師会と四病院団体協議会が合同で提言したものです。また、本日提出するに当たりましては、日本医師会、それから四病協の承認を得ていることを申し上げておきます。

めくっていただきます。裏に目次と書いておりますが、「基本方針」「かかりつけ医」、それから「医療・介護の再編」と書いています。きょうは、この「かかりつけ医」というところと「病床の区分」というところを主に説明いたします。

めくっていただきまして、「基本方針」、日本医師会・四病協は、その四角の中で囲ってあるような基本方針をつくりました。1ページでございます。ここだけ読ませていただきます。

1.   目前の超高齢社会にあっても、世界最高水準の健康水準を守り、国民の生活の安心を支えるため、国民とビジョンを共有しながら、新たな時代にふさわしい体制構築に向けて、国民とともに取り組む。

2.   このため、発症からリハビリテーション、在宅復帰支援までどのような病期にあっても、患者の病態にあわせて、最善の医療を切れ目なく提供する体制を構築する。

3.   患者の命を守る質の高い医療を目指すとともに、生活の質を重視し、患者を支える医療を実践する。このため、地域の医療・介護・福祉との連携の下、地域包括ケアシステムの実現に向けて、在宅医療を含めた地域特性にあわせた柔軟な医療提供体制を構築する。

こういうことで、日医と四病院団体は一致してございます。ここに「地域包括ケアシステムの実現」と書いておりますが、これは福祉だけのように思われておりますが、実は医療はこの中に入っているといいましょうか、医療が中心になって頑張らなければできないという認識を持っております。

2ページ目でございます。基本方針における考え方ということで、基本方針をわかりやすく書いてございますので、後でお読みいただければと思っています。

3ページ目です。「かかりつけ医」と書いてございます。5行目ですが、「国が推進している地域包括ケアシステムにおいても、『かかりつけ医』がその中心的な役割を担う仕組みの構築が重要である」と私たちは考えました。そして、日医・四病協は、「かかりつけ医」の養成、「かかりつけ医機能」の充実に努めるということにいたしました。

なお、現在、このほか、「総合医」「総合診療医」などの名称がございますが、それらの関係につきましては、今後も引き続き議論し、国民がどのように受けとめているかを見極めて、改めて整理すると考えております。

「かかりつけ医の定義」ですが、次の4ページです。上に定義、下に「かかりつけ医機能」と書いています。かかりつけ医の定義だけ読ませていただきます。

「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」。非常に厳しく、こんなことできるのかなと思うようなことを書いていますが、これは日本医師会と我々がしっかりと決意を持ってこのように臨んでいくということでございます。

5ページ、「かかりつけ医と在宅医療」。これは非常に大事だということですので、後でお読みいただければと思います。

そして、6ページは「医療・介護の再編」と書いてございます。まず「大きな方向性」、ここをちょっと読ませていただきます。

「医療資源、介護資源が一定以上整備されている地域において機能が重複している場合には、その整理が必要である。一方、医療資源が十分整備されていない地域では、医療に切れ目が生じないように、地域性に応じた機能の見直しと整備が必要である。医療提供体制はこうした点を踏まえて構築していく必要があり、そのために病床機能情報の報告・提供制度を活用する。この制度の下で、都道府県が情報の収集、分析を行い、これを踏まえて地域の医療提供者、関係者等が主体的に医療提供体制を構築していく」。

ということで、今行われようとしております病床機能情報の報告、あるいは地域医療構想を私たちは積極的に推進していくということをここで決意してございます。現時点での提供体制のあり方の大きな方向性ということで、下に1、2、3と書いておりますが、1として、「地域の人口等に応じて一定数確保すべき病床は、医療計画に適切に組み込んでいく」。2番目、ここは急性期病床のことを書いてございますが、「急性期病床は地域における医療ニーズの実態と客観的な将来見込みを踏まえて再編を行う。病期としての急性期には、病態として重症・中等症・軽症が含まれる」と書いています。その他さらに詳しく書いてございますので、お読みいただければと思ってございます。

それから、7ページには慢性期病床、あるいは在宅医療について記述してございますので、これもお読みいただければと思います。

8ページ、「病床の区分」と書いてございます。

めくって9ページに行きます。ここに「報告する病床の区分」と書いてございまして、高度急性期病床、急性期病床、回復期病床、慢性期病床と書きまして、内容を書いてございます。実は今の報告制度と全く同じですが、この資料は医療部会に提出しまして、その後、この4つに決まったということで、私たちの提言が報告制度の病期分類になったと考えております。

ただ、内容について、特に急性期については詳しく、書いてございますので、後でお読みいただければと思っております。

10ページ以降、「病院と病床機能との関係」は、3-2の資料のほうが詳しく書いてございますので省略させていただきます。

11ページには、これは非常に大切だということで、有床診療所のことをまとめて書いてございますので、これもお読みいただければと思ってございます。

3-2の資料でございます。これは四病協だけで出しましたが、日医と四病協との提言に基づいてつくったもので、この提出は日本医師会にも了解いただいております。

めくっていただきます。目次でございますが、基本方針、地域包括ケアについての考え方、病床機能と病院機能等書いてございます。

主にここに書いてございますのは、繰り返しになりますが、今、病床機能の分化とか在宅医療の充実と言われておりますが、その両方がそれぞれ幾ら充実しても、そこがつながらなければ意味がないということが大きな趣旨でございます。

めくっていただきます。1ページです。ここで総論的なことを書いてございますが、ちょうど真ん中あたりです。「在宅療養者と」というところからですが、「その家族が安心して療養生活を送るためには、かかりつけ医(在宅医療)と病院・有床診療所(入院医療)の連携や在宅医療チームと入院医療チームの協働が極めて重要であり、このことなくしては、「地域包括ケアシステム」は機能しないといっても過言ではない」。

要するに、かかりつけ機能というものが充実する、あるいは入院医療が充実しても、それが連携なしではうまくいかないということをここで述べております。

そうするためにどうしたらいいのだということで、その下に書いてございますが、終わりから4行目あたりです。これを実現するため、「かかりつけ医機能の充実とともに、在宅療養高齢者の受け皿としての入院機能を有する病院・病棟の創設と入院医療・在宅医療・介護の多職種チームが連携して機能を有する円滑な入退院システムの構築を早急に実現する必要がある」と述べております。具体的にはどういうものかというのは後で述べたいと思います。

2ページに移ります。「基本方針」と書きましたが、これは先ほどの日医との共同提言を再掲したものでございます。

3ページです。「地域包括ケアシステムについての私たちの基本的考え方」。ここに詳しく書いてございますので後でお読みいただければと思いますが、中間の4つ目の段落、「しかし」というところで、かかりつけ医と病院機能の機能分化だけではまだ十分でないと、私がさっき言ったことを書いてございます。そして、後ろから5行目だけ読ませていただきます。「従来の病院には求められなかった、転退院支援機能、介護との連携機能の強化された病院が身近な地域に存在することがかつてなく重要になっている。すなわち、医療・介護を通じたシステムの再構築、「かかりつけ医」と病院とを視野に入れた医療提供体制全体の新たな構築が求められている」としております。

4ページに移りますが、そこで基本的な考え方を書いてございますので、これも後でお読みいただければと思っております。

5ページに移りますが、「病床機能と病院機能の整理」と書きました。下の図をごらんください。一番左側は4つの報告制度と同じ分類でございます。黄色で書いたところは、病期としては急性期と回復期にまたがってございます。それを地域医療・介護支援病院と名づけました。これは入院機能はそうでございますが、その医療機能に付加して、病院が持つべき機能として、そこに高齢者の救急受入れ、在宅医療支援、医療・介護連携、ケアマネジメント支援、こういう機能を持った病院、こういうものが必要だということでございます。名づけて、地域医療・介護支援病院です。

次のページでございます。ここでいろいろ定義が書いてございまして、機能とか要件が書いてございます。

機能をちょっと読ませていただきますと、「急性期病床からの転院を受け入れ在宅復帰を支援するとともに、在宅医・介護施設と連携して在宅患者・施設入所者等の急変を24時間体制で受け入れ、在宅療養を支援する。また、地域における医療・介護連携においてネットワーク構築、情報共有、多職種連携支援など、責任ある役割を果たす」、こういう病院と考えています。

要件は以下に書いてございますので、後でお読みいただければと思います。

次のページでございます。このような病院が7ページの図の中では病院類型3としてございます。このABCというのは、Aが高度急性期、Bが急性期、Cが回復期、それからRはリハ、Dが慢性期で、類型3が書いてある通りです。

ここで言いたいのは、類型1から5までございますが、今、病棟の報告制度ということになっていますが、病院を地域の方が見たときに、病棟だけ見てもわからないのではないかと思います。この文章の中の上の4行目、「しかし」のところからでございます。「この4分類は、患者の病期による分類であり、国民にとってわかりやすく、病院にとって追求しやすい「病院類型」をあわせて議論し、その支援策を講じていくことが、地域包括ケアシステムの構築には必要不可欠である」と書きました。

今、病棟の報告をしますけれども、地域の方にそれを情報として出すときには、どういう病院かということを出さないとわからないだろうということで、この下に書いたように、各病院は病棟ごとでいろんな機能を持ったケアミックスなのだろうと、そういう全体像を見せたほうがいいのではないかということでございます。あとは省略させていただきます。

簡単でございますが、今述べたことは、本日決定いたしました総合確保方針、それに基づいて、これから効率的で質の高い医療提供体制の構築、あるいは地域包括ケアシステムの構築に向けての検討が行われると思っています。特に今、地域医療構想のガイドライン策定というものが議論されると思っています。ぜひそのような場において参考資料として活用いただければ幸いと思っております。

ありがとうございました。

 

○田中座長 大変貴重な資料を説明いただきまして、ありがとうございました。菊池構成員、お願いします。

 

○菊池構成員 意見を3点申し上げます。

1点目は訪問看護の人材確保についてです。訪問看護師は、患者の在宅療養を支えるために、地域において医療と介護が総合的に確保される必要性を強く感じており、また、医療と介護をつなぐために連携・協力しています。

一方で訪問看護は、医療と介護の2つの保険制度にまたがっているため、医療保険制度の病院看護職員や介護保険制度の介護職員のように、人材確保対策は十分に検討されておりません。国においては、訪問看護師の養成・確保を所掌する部署が明確でなく、都道府県の計画においても、医療と介護の谷間に落ちてしまいがちなところがありました。

今後、訪問看護は地域包括ケアシステムを構成する重要なサービスと考えますので、国において、訪問看護師を確保所掌する部署を明確にし、対策を立てていただきたいと考えており、医療介護連携政策課に期待しております。また、都道府県においても、医療と介護双方の計画に訪問看護をしっかり位置づけた上で、基金などを活用して訪問看護師確保策を推進することが重要と考えております。

2点目は、サービスを提供する事業者の雇用管理マネジメント強化支援についてです。今回、基本方針の「サービス提供者等の役割」に、人材確保・定着の観点から、「キャリアアップの支援や魅力ある職場づくり等」という文言が入り、重要なことだと思います。人材の確保・定着においては、国において教育制度、処遇改善の制度、報酬体系を整えるとともに、現場の事業所において、それらをきちんと運用するマネジメント力も上げていく必要があると思います。

日本看護協会では、平成22年度から、看護職のワーク・ライフ・バランス推進ワークショップ事業を全国で実施し、参加された病院では離職率の低下などの効果が得られております。経営者や管理者が適切な雇用管理を行うことが質の高い人材の確保・定着にもつながることを経験しております。

今回の医療法改正でも、医療機関においては勤務環境改善の取組が努力義務化されました。厚生労働省の中に横断的プロジェクトがつくられ、関係部局が一緒に取り組んでくださったおかげだと思います。介護の分野においても、事業所の雇用管理やマネジメント力の強化に向け、国や都道府県が研修等で支援していくなど取り組まれることも必要ではないかと思います。

3点目はまちづくりに関してです。今回の基本方針にも明記されましたが、まちづくりの一環として、医療・介護の提供体制を整備していく際の課題についてです。例えば居宅サービスや地域密着型サービスの事業所設置に際し、土地の用途規制が壁になる場合があります。今後、少子高齢、人口減少社会の到来を控え、住み慣れた地域で医療・介護を提供する体制を整備する上では、医療・介護以外の規制の見直しも必要になるかと思います。

以上の3点です。

 

○田中座長 ありがとうございました。本間参考人、どうぞ。

 

○本間参考人 提出させていただきました参考資料4をご覧いただきたいと思います。このポンチ絵にありますように、老人保健施設は、病院と在宅のちょうど中間で、病院からの受け皿となり、在宅支援を繰り返しながら、在宅支援の延長として看取りまで行っております。老人保健施設では、日常がまさに医療と介護の連携の場となっており、医療と介護の専門職種が日常的に多職種協働しているという現状がございます。

こういう現状を踏まえると、医療と介護の連携を図っていく上で、大変恐縮ではございますが、老人保健施設は非常に重要な役割を地域で担っておりますし、また、果たしていくべきだと今後も考えております。ぜひ御参考いただければ幸いと存じます。

ありがとうございました。

 

○田中座長 ありがとうございました。遠藤構成員、お願いします。

 

○遠藤構成員 ありがとうございます。

先ほど菊池委員から訪問看護のお話が出ましたので、介護と医療とをつなぐ非常に重要な位置づけなので、確保することに注力するべきだというお話だと思いますが、私も、ちょっと違う視点から、訪問看護の充実というのは非常に重要だということをお話しさせていただきたいと思います。

在宅医療を考える上で、訪問看護というのはさらに充実させていく必要があるだろうと、てこ入れする必要があるだろうと。在宅医療の推進策、さまざま行われまして、在宅患者は非常にふえておりますけれども、特に平均在院日数の短縮化によりまして、医療的措置の必要な患者さん、言ってみれば重症度が比較的高い在宅の患者さんがふえてきているという状況にあるわけでございます。これは例えば医療保険適用の訪問看護の利用者の比率がだんだん高くなっているとか、さまざまなアンケート調査などでも、その辺、時系列的に明らかになってきているというところがあるわけであります。

自宅でそのような医療的措置が必要な患者さんがふえてまいりますと、医師だけで高い頻度で訪問するということはなかなか難しいということになりますので、そうなってくると当然、訪問看護というサービスが重要になってくるわけであります。しかも、最近はますます在宅へのシフトという政策は強力に進められておりまして、例えば26年度の診療報酬改定では、これまで回復期のリハビリテーションの病棟であるとか、あるいは介護保険の老健施設にはありました在宅復帰率、これがこの療養病床とか新設されるところの地域包括ケア病棟にも適用されるとか、あるいは7:1にも、名前ちょっと違いますけれども、自宅と退院患者割合入るという形でかなり出てくるということで、在宅で、重症かどうかともかくとしまして、医療的必要の高い人たちがかなり出てくる可能性があるということでありまして、したがいまして、受け皿としての訪問看護の充実というのは非常に重要であろうと考えるわけであります。

ただ、現状の訪問看護師の数が適切なのか不足しているのか、なかなか議論するのは難しいわけでありますけれども、例えば在宅医療のほうと比較するということで考えてみると、これはしばしば言われることではありますけれども、在宅医療支援診療所の届出数で見れば、少し数えてみたところ、平成18年から24年までの6年間で1.45倍なわけであります。それから、在宅医療支援病院のほうは、この施設要件が平成22年度で大きく変わりましたので、これは非常にふえまして、22年から24年までの2年間で2.2倍になっているわけですが、これは絶対数はそれほど多くないわけですけれども、いずれにしても、そのようにふえている。

一方、訪問看護ステーションは、平成17年から25年までの8年間で1.21倍ということ、その程度の増加でしかないと。さらに、同時期の病院や診療所の訪問看護の届出数というのはむしろ半減しているということであります。その間、訪問看護ステーションの一ステーション当たりの看護師の数がふえたかというとほとんどふえていないということで、平均が、平成16年が4.2人だったのが、平成23年、7年間の間で、平成23年は4.6人ということで、0.4人ふえただけということで、ほとんどふえてないということでありますので、考えてみると、やはりふえてないのだなあという感じがいたします。

そういうことで、これはやはりてこ入れが必要なのではないかと考えるわけであります。結局、現状を見ても、訪問看護ステーションで働いている看護師さんというのは、働いている看護師さんの中の2%しかいないということで、この水準が適切なのかどうかということも非常に問題であろうかと思いますけれども、これをふやすための方法としてはどのように考えればいいか、いろんな考え方あるかと思いますけれども、私は、1つはやはり報酬の問題があるかなと考えるわけであります。訪問看護ステーションの看護師の給与が、医療機関に勤務している看護師の給与よりも低いという統計があるわけであります。そういうことの一つの要因としては報酬の問題があろうかと。つまり、私はこのように考えます。

そもそも医療保険において看護サービスに対しての適正な評価というのはしてないわけですね。してないというのはおかしいですけれども、1対1対応した形の看護料というのはないわけでありまして、基本的には看護体制を基本診療料の要件の一つには入れておりますけれども、医療保険の中で看護サービスの価格というものはないということでありますので、これは言ってみれば医療保険の中で看護サービスに対する適正な価格であるとか、あるいは適正な相場というものが形成されてないわけですね。

一方、訪問看護は医療と介護が連携の狭間にありますから、介護保険のほうの価格の相場に引きずられる可能性がある。そこで設定されておりますので、それは先ほど申し上げたように、訪問看護ステーションの給与のほうが病院勤務の看護師さんの給与よりも下がるということが起きている可能性がある。これはもう少し詳しく調べないとわかりませんけれども、そのような問題もありますので、まず報酬の適切性ということは少し議論する必要があるだろうと思うわけであります。

実際、24年度改定とか26年度改定で、訪問看護の機能と関連づけて、実質的に報酬を引き上げたわけですけれども、それに伴って実は訪問看護ステーションは少しふえてきているという傾向がありますので、そういうことも考えますと、その報酬の問題というのはしっかり考える必要があるだろうなと思うわけであります。

若干それに関連した話ですけれども、現状では、医療保険適用と介護保険適用を医療の必要度で分けているわけですけれども、この分ける基準が適切なのかどうかということも、これから在宅にいろいろと病気を持った患者さんふえてまいりますので、いろいろと検証して、そこら辺は適宜適切になるように、医療保険適用と介護保険適用の分け方を適宜検討するということは必要なのかなあと思います。

実は訪問看護ステーションについてもう一つ重要なのは、これは従来から指摘されておりますように、訪問看護ステーションは、規模が大きくなるほど収益率は安定しますし、24時間対応であるとか看取りの数はふえると。これは昔から言われている話なわけでありますけれども、ただ、現状では、まだ看護師さんが5人未満の訪問看護ステーションというのは6割強だという状態でありますので、やはり適正規模を下回った形で操業しているところが多いと考えますので、これは何らかの形で大規模化、あるいはネットワーク化、そういったことを進める必要があるだろうと思います。

これは1つには、診療報酬、介護報酬という報酬政策で引っ張るというやり方がありまして、今回の機能強化型の訪問看護ステーションの設定というのは、人数が多いと高い点数出すということになっておりますので、そういうことはあるわけですが、それだけでは必ずしも十分ではない。小さいところが大きくなるというのはなかなかそれだけでは難しいので、そこがそれこそ基金を使った補助金政策等々で何がしかのバックアップをするとか、あるいは、これは現在検討中でありますけれども、非営利ホールディングカンパニー型の法人といったような正しいスキームなどを使いながら、統合、ネットワーク化を進めていくという、そのようないろいろな方法を使いながら大規模化をして、規模のメリットが発生するような形を積極的に進めるということは必要なのではないかなと思っております。以上でございます。

 

○田中座長 大切な訪問看護について貴重な意見ありがとうございました。では、今村構成員、相澤構成員の順でお願いいたします。

 

○今村構成員 菊池委員のおっしゃったこと、それから遠藤委員のおっしゃったことにも関係あるのですが、まず菊池委員のおっしゃった2点目の、いわゆる医療機関等の勤務環境の改善ということに関しましては、先ほどあったように、医療法の中で、都道府県に勤務環境改善支援センターを設けることになりました。そして、医療機関や介護従事者の勤務環境改善のための事業として基金を使えるということになっているわけですから、それがきちんと本当に適切に基金で行われているのかどうかというのを検証するのがこの会の場だということなので、きちんとした仕組み自体はできているので、あとはそれが正しく実施されているかどうかを検証することが大事なのだろうなと思って伺っていました。

それから、医師会は地域で訪問看護ステーションを設置しているところが大変たくさんあって、そこも本当にまさしく訪問看護師さんの不足で大変苦労している。私の地元でも、一つの区の中に3カ所ステーションを持って、二十数名の訪問看護師がいたわけですけれども、やはり看護師不足の中で、集約して、今、十数名で1カ所で実施している。ある意味効率的にできているとも言えますが、全区を網羅するにはなかなか厳しい状況にあると思っています。

その際にやはり報酬の視点は、今、遠藤委員がおっしゃったように、物すごく大事なのですけれども、もう一点、直接そういうステーションの運営の委員会などで現場で働いている訪問看護師さんの意見を伺うと、真夏の炎天下、自転車で何カ所かの患者さんのお宅を回ると汗まみれになって、本当に熱中症になるのではないかという状況で働いている。シャワー室を何とかつくってくださいとか、あるいは、24時間の夜中に、家族がいるのだけれどもオンコールで呼ばれるような体制の中で働くということの、いわゆる勤務環境の問題もすごくあるのだと思います。もちろんそういうのは報酬できちんとした手当てがされることによってそういう施設の整備等もできるのかもしれませんけれども、最初のお話にもかかわりますけれども、全ての方たちが働けるような勤務環境の改善ということは非常に重要な視点なので、改めてこの場でそれがきちんと基金でどのようになっているかということを見ていきたいと思っています。

 

○相澤構成員 私は、今回のこのような総合確保をしなければいけなくなったというのは、やはり日本の危機というのがあると思うのですね。だからこそ、行政も、国民も、それから医療・介護を提供するサービス機関も協力してやらなければならないと思っています。

その中で、私は、今一番問題なのはやはり国民であるような気がします。例えば在宅医療を推進したくても、我々、急性期の病院で入ってきた患者さんを家に帰そうにも、家の人が受けてくれないのですね。家の人が受けると言わない限り帰せないという現実があります。そして、頑張って、大変だけれども受けるという、一生懸命やって、大変な思いをする家族ほど大変な思いをして、そして、頑張って家族を見る。片方は、私は見たくありません。その人はどこかへ連れていってくださいという家族のほうが楽をして、そして悠々と生活している。これは自由な国日本であるからこそそうなるのでしょうけれども、私は医療者として物すごい矛盾を感じます。

その中で重要なのは、国民への教育とか国民への情報開示というものは極端に不足している国、日本はそうだと私は思っています。その中で、今回のこの方針の中に、国民にいかに知ってもらうかということを誰が努力するのですか。常にそれが医療機関だとかサービス機関がやるということに押しつけられているということは、私は非常におかしいと思うのですね。行政とか国の責任として、必ず国民にそういうことを知ってもらう努力をする、見える化をして知ってもらう努力をするということは非常に重要なことで、ぜひそれはやっていただきたいなと思います。

もう一つ、今回の視点の中で、予防だとか重度化の防止だとか生活機能の維持とか、そういうことを私はもう少し書き込んでやってもらったほうがいいのではないかと思っております。それがひいては医療費を、あるいは介護の費用をそんなにかけないで済む。私の長野県ではピンピンコロリと言うのですが、ずうっと元気でいて、さっとお亡くなりになっていただくということが一番の理想とされているのですが、そのためには、やはり健康寿命をどうやって延伸するかと。これをやはり行政も医療機関も介護機関も、そして国民もともに取り組むことが私は重要ではないかなと思っています。

それからもう一つ、先ほどからの訪問看護の評価をもう少ししていただきたい。田舎の訪問看護は大変です。靴の並べ方、玄関でのお辞儀の仕方、家族の誰に最初に話をするか、それを間違えると、もうその看護師さんはその家では拒否されます。そんな一々の細かい、そういうところまでやらないと訪問看護ってできないのです。それなのに、違うことで評価される。これは私はもう全くおかしいなと思っています。

もう一つ、私がどうしてもお願いしたいのは医師の教育です。医師の教育の中に、こういう在宅療養をやる、そして急性期の医師が十分に在宅で療養するということをしっかりとわかった上で患者さんや患者さんの家族にお話しする。そういう医師を、残念ながら日本は育ててこなかったと思います。この医師を育てるということは極めて重要なことで、それをやはりこの中にぜひ盛り込んでいただきたいなというのが私の考えです。

以上です。

 

○田中座長 樋口構成員、山口構成員、それから鷲見構成員。

 

○樋口構成員 ありがとうございます。

今の相澤構成員のおっしゃったこと、ほとんど賛成でございますけれども、確かに引き取らないほうが楽をする、そういうところはあると思います。一体家族がどこまで役割を果たしたらいいのか、これは基準ございません。私の知り合いのある地方の特養ホームの施設長は、その辺、もうかなりかんかんになっておりまして、限られた資源を共有するために、楽をしている家族とそうでない家族と、もうしようがない、3カ月ごとのミドルステイを共有するような、要介護認定で行うよりしようがないのではないか、という不公平があるということは重々認めておりまして、私はあるとき、「見る者貧乏」という言葉をつくったこともございますけれども、まさにそういう状況があるということも確かです。

しかし一方で、そんなこと言っていたときはもう少し家族にゆとりがあった時代だという気もいたします。今、ある時期までは特殊なケースだと言われたような老老介護、それから、今、子供が平均2人になってきまして、その2人の子供は幼い子供でなくて、もう50なのです。この50の人たちの、御承知のとおり、いまだに男は5人に1人が独身です。女は9人に1人が独身です。自分で働いて食べていかなければなりませんし、ただいま、介護離職の問題がメディアでもいっぱいなっておりますけれども、介護保険発足時には、家族介護者の男女比は9対1でございました。2010年以降、7対3をじりじりと男性も上げております。ということは、今、在宅で介護しようと思ったら、子供が少ないですから、嫁がやれということはできないです。嫁もまた実家の介護者の当主です。ですから、この15年間、介護保険の進展の中で在宅介護者が大きく変化しております。

1つは、今申し上げたように、男性化です。男が、それも働き盛りの人を含めて介護するようになりました。1割が3割にふえました。もう一つが介護者の血縁化でございます。嫁が激減しました。これは嫁が心がけ悪くなったのではない。嫁も実家の親を介護しなければならない要員になり、そして、今、1夫婦ぐらいしか50代がいないのに、我々親が長生きなものですから、80代の親が4人、80代まではいいけれども、90代ぐらいになると一斉に倒れて、これを「同時多発介護」と言うのです。そういう形で、家族が向かい合おうとしても、夫もやめざるを得なくなった。

最初にやめさせられるのが、実は今、在宅という掛け声のある中で、私、またこのごろ少し健康を回復したものですから、きのうは金沢、おとといは長野、ぐるぐる回ってきました。佐久穂町へ行ってまいりました。その辺で女性たちから出ているのは、結局これから、在宅、在宅と言えば、また女がやらざるを得なくなるのではないか。経済効果から言っても、女性の賃金は少し安いですから、共働きしていたって、誰がやめるかといったら、昔は嫁という家族制度ゆえに、今は、どっちが給料が高いかという経済効果ゆえに、結局女がやめることになる。アベノミクスの女が輝く時代なんて、もうこれ一発で中年以降の女は輝けなくなるではないかと。

そればかりではありません。男性の退職者がどんどんふえております。私は、医療財政をいろいろ考えれば、在宅へ来るのは、これは一方で当然だと思っているし、在宅で死にたいという人もいるから在宅医療を進めることは大賛成なのですけれども、一方で、こういう家族が少なくなっているときに、働いている人が、現職の50から60までの人がやめざるを得なくなってくる。日本の個人所得で誰が一番払っているかというと、中小企業、中企業以上の企業に勤めているサラリーマンのこの年代が個人所得を一番払っているのです。自営業の人、悪いけれども、個人所得税、お医者さんは払っているだろうけれども、本当に大勢払っていませんよ。サラリーマンが、ここにいる官僚の偉い人だの、中くらいに偉い人とうんと偉い人も含めて、こういう高級サラリーマンが、女もこのごろだんだんふえてきましたけれども、こういう人たちが個人所得税を、逃げも隠れもできない源泉所得税でがばと引かれ、それと一緒に今度は社会保険料をがばと引かれ、この人たちが日本の社会保障を支えているのですね。これを家族で家族でと言っていると、楽しているみたいに見えるけれども、そこのうちは夫と妻が必死こいて外へ働きに出ているのかもしれない。この介護離職ゼロ作戦というのは、私たちは今活動を展開しておりまして、田村厚生労働大臣にも要望書を持っていきまして、まことにそのとおりとおっしゃっていただいております。こういう総介護時代にどのように介護を分かち合うかを、家族けしからん論だけではやはり私は済ませられないのではないかということが1つ。先生のおっしゃっていることの7分目は賛成です。

それからもう一つ、きょうはここに恐らく介護者を代表する方もいらしていると思うのですけれども、私、もう80の大台を超えて、後期高齢者、医療制度の側からここに参加させていただいておりますけれども、訪問看護の報酬を含めて何とか上げていただきたい。それから往診してくださるお医者さんも何とか確保して、収入も確保してください。これは絶対賛成です。

と同時に、やはり一番危機感を感じるのは、例えば生活援護は、確かに私は老老協力でもいい面もあると思うのです。全部がいいとは限らないけれども、ボランティアもいいと思います。だけど、中重度の介護は誰がやるのだろうか。やはり専門的な介護者が中心ですね。こうなったとき、ここが、今、日本中見ていて一番人手不足です。どのようにしてこの中重度の在宅介護を担う人をきちんと確保していただくか。これはやはり真剣に考えてください。安全保障と言うならば、国の安全保障はもちろん大事でございますけれども、これは人生90年、100年を生きる人々の人間の安全保障だと思っております。これを担う人々に適正な待遇を与えていただきたい。

私は昔、若気の至りで、介護保険始まりますころ、3K職種と言われることに反発して、あるメディアで、5K職種にしなければいけないし、現実に5K職種でもあるのではないかと。5Kというのは、労働そのものから「感動できる」、社会に「貢献できる」、自分自身もキャリアパスで「向上できる」、そして、人々と「交流できる」、その上、「感謝される」。こんな5K職場はないだろうと言って、今いたく反省いたしております。やはり3Kの部分は変わっておりません。私、5Kは本当だと思うのです。この5K職場にぜひしていただきたい。誇りを持って携われる仕事にしていただきたい。

その上で、今度はICTの話に急に飛びます。科学技術時代でございます。ICT確保も結構だと思いますけれど、介護する人の60%から70%が腰痛症を持っていると。これは私はやはりかなり国の恥だと思っております。ぜひICTの発達と同時に、IT機器の導入の中には、介護というのは在宅でも施設でも、一種、重さとの闘いなのです。この重さとの闘いができる医療工学が十分に発達、ロボットと一口に言ってしまっていいのか悪いのか、私、専門でないからわかりませんけれども、介護する人々が、家族においても、ヘルパーにおいても、訪問看護師においても、腰痛に悩まないような、これは科学技術の発達が十分なされているそうでございますから、ICTのところにちょいそういうことも取り入れてやっていただけないかということがお願いでございます。

長くなりました。済みません。

 

○山口構成員 私も、患者、利用者の立場として発言したいと思いますが、先ほど相澤構成員がおっしゃったように、国民への教育については私もとても大事だと思っています。第1回目の会議のときにも、医療・介護総合確保が始まっていること自体、ほとんどの国民が知らないのが現状で、こういうことが始まっているのだということこそ、きちんと国から伝えていただきたいと申しあげました。まずは、それが欠かせないことではないかと思っています。

ただ、相澤構成員もおっしゃったように、今は大きい声を出して言った者勝ちみたいな時代になってきていますから、中には本当は在宅に引き取ることができるのに、単に嫌だらと受け入れない方もいらっしゃいますし、施設に入れたら入れっぱなしという御家族がたくさんいらっしゃることも、電話相談をお聞きしているととても感じます。そのあたりの節度が少しと失われてきているような国民性を感じる一方で、共働き世帯がふえてきていることと、それから老老夫婦であったり、老老介護をしないといけないという非常に厳しい現状もあります。今国で進めようとしている在宅医療ですが、実際担っている人を見れば、なかなかそう簡単には進んでいかないのが現状ではないかとも思います。それだけに、在宅医療を本当に実現するためにはまだまだ大きく変化していかないといけない部分があるのではないかと思っています。

先ほどから訪問看護ステーションの話が出ていますけれども、全体としては数がふえていると言われる中で、特に小さな事業所の閉鎖が割と多いという現状を聞きます。そうしますと、せっかく見つかったのに閉鎖になると一番困るのは利用者の立場です。ですので、安定した事業所の運営ということについてぜひ考えていかないといけないのではないかと思っております。

最後に、先ほどかかりつけ医が必要だというような話がございましたけれども、今、総合診療医とか総合医とか言われる中で、一般的に市民権を得ている呼び名はやはりかかりつけ医なのかなと思います。201447日の日経新聞で、風邪をひいたら、大病院に行かずに、開業医さんであったり、地域の小さな病院に行くという方が86%と、比較的ふえてきていると紹介されていました。しかし、一方で、そういう方が実際にかかりつけ医を持っているかを問うと、持っている人が38.4%、持っていない人が61.6%だったそうです。

実際に私たちのところにも、かかりつけ医を見つけたいけれども、どうやって探せばいいかわからない、なかなか見つからないという声はいまだに多くあります。ですので、先ほど理想的なかかりつけ医を御説明いただいたのですけれども、なかなかそれが現実見えていないことも感じる中で、これから急速に複数の疾患を持って高齢になってくる人たちがふえてくるとすれば、患者側とか医療側とか分けるのではなくて、なぜここが進まないのかというところを、先ほどいろんな団体の連携ということの話がございましたけれども、やはりそこに患者側も加わって、もっと全体を前に進めていけるようなことがこういう会議をきっかけに進めていただきたいと望んでおります。以上です。

 

○鷲見構成員 ありがとうございます。

1つは、生活の場面では生活支援というものは絶対、非常に重要なことであるということですね。ですから、そこにはやはり専門職のかかわりというものが大事になってくるということを現場にいまして実感しているところです。

もう一つ、今回の修文の中で「効率的」という文言が大分少なくなってきていることには非常にうれしく思いました。といいますのも、現場におりますと、なかなか効率的というところでは物事が進まないことが多いです。それは、一つの大きな理由としては、最終的には利用者、御家族がきちんと納得ということがなされないと前に進まないということが一番大きな理由だろうと思います。

そのためには、ここにも「連携」ということがいっぱい入っておりますが、専門職間同士が、今までの手慣れた連携から一歩前へ進んで、相手をきちんと考えて連携の仕方をしていくことが必要だろうと感じます。そこをしないと、むしろ利用者さんや御家族さんを置いてきぼりにしてしまうような現実が起きてきそうな気がしますので、ぜひそのあたりを皆さんもう一度、連携の仕方から考えるということをしていっていただきたいと望みます。以上です。

 

○内藤構成員 ありがとうございます。

樋口先生におっしゃっていただいたように、介護は非常に大事だと言われながら、介護従事者、介護職員の確保とか育成については大きな問題を抱えたままになっているかと思います。もちろん、今、介護職員の待遇がそれほど悪くないのではないかという御意見もあるのですけれども、医療とか介護の現場の中の専門職としては、その処遇、待遇については決して高いとは言えないような状況であるということと、どの職種も楽な仕事でないのはわかりますが、介護は心身両面から重労働であるということ。そういう中で、まだまだ労働環境としては悪い中で働いている人たちも数多くいるというようなことも御理解いただきたいのと、それから、環境の悪いという中でなかなか研修とか教育とかいうことに恵まれないままで働いている人たちもおりますので、ぜひとも教育といった機会をこの法律等によっても与えていただけるようになればありがたいなと思っております。

 

○田中座長 どうぞ、和田構成員。

 

○和田構成員 先ほども少しお話しいたしましたが、超高齢社会を迎える中で、多職種の連携、どうやってみんなで乗り切ろうかという論議がこういう場でされるというのは大変ありがたいし、いいことだと思います。地域の中で、殊に私なんかは徳島の田舎でございますので、そういう場所からこの医療・介護を見ていますと、本当に樋口先生がおっしゃるのもそうですし、相澤先生も皆さん、中身は同じことをおっしゃっているという気がします。

ただ、専門職種がそれぞれあって、では連携をどうするのだというときに、ついつい、行政も縦でございますが、それぞれの職種も、変なところで縦になっている。それをどうやって本当に専門がお互いを生かし合えるような組み合わせができるのだろうかと感じます。

たとえて言えば、口腔ケアという言葉が常識的にあっちもこっちでも使われる。ただ、そのときに何を原点として、誰が何を担うのだということも、同じ連携をする場の中、それこそ患者さんに対して何が一番いい組み合わせなのだろうかと考える視点が重要です。専門は専門として、あるいはケアをする方、看護をする方、いろんな立場の方が組み合わせをどうつくっていけるのか。そういう場が地域包括ケアシステムの中で、本当に違いがわかって、違いの中で、なお利用者が本当にいいなと思えるような選択が結構フレキシブルに行われるようにしないといけません。形だけで連携だと言うと、また10年後も同じことではないかという危惧をいたします。

私ども、専門職種としても、もちろん歯科医療を提供していくというのは当たり前ですけれども、やはりいろんな職種の方が、それぞれの主張ではなくて、利用者の視点に立ってという原点だけは忘れずに、うまく組み合わせればもっと有効に働くのではないかという思いがいたしております。生活の質という視点は大変大事だという思いで、この連携がうまくいくようなことを願います。以上です。

 

○田中座長 ありがとうございました。

時間になりました。後半、ほとんどシンポジウムの開催のような議論をありがとうございます。大変多方面の意見をそれぞれ言い合える会議は今までなかなかなかったので、皆さんのおっしゃる、答えというより問題意識を共有することによって解決に向かって進めていけると思います。どうもありがとうございました。では、事務局から今後の予定についての説明をお願いします。

 

○渡辺課長 ありがとうございました。

総合確保方針(案)につきましては、本日、座長と座長代理に御一任いただきましたので、この後早急に御相談させていただきまして確定し、告示等の手続を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

また、次回の会議につきましては、基金の交付状況の報告等を議題として開催したいと思っておりますが、日程等につきましては追って連絡させていただきます。

 

○田中座長 では、以上をもちまして、第3回「医療介護総合確保促進会議」を終了いたします。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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