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2014年8月21日 第20回先進医療技術審査部会

(了)


第20回先進医療技術審査部会

(1) 日 時:平成26年8月21日(木) 16:00~17:25
(2) 場 所:中央合同庁舎第5号館 専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号TEL:03-5253-1111)
(3) 出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、一色構成員、
伊藤構成員、柴田構成員、関原構成員、竹内構成員、
大門構成員、田島構成員、藤原構成員、山中構成員、
山本構成員、竹中技術委員
  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 再生医療研究推進室長補佐
保険局医療課 企画官
保険局医療課 専門官
医薬食品局審査管理課 課長補佐

議 題:
1. 新規申請技術の評価結果について
2. 総括報告書の評価について
3. 試験実施計画の変更について
4. 協力医療機関の追加について
5. 先進医療会議の審査結果について(報告事項)
6. その他

議事録:
○猿田座長
 それでは、第20回先進医療技術審査部会を始めます。構成員の先生方におかれましては大変厳しい暑さの中お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の構成員の出欠状況は、金子構成員、佐藤構成員、直江構成員から欠席の連絡を承っております。田島構成員はほかの委員会に出ているということで、30分ぐらい遅れて出席される予定です。16名の構成員のうち、現時点で12名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議の成立が認められます。本日は技術委員として耳鼻科のほうから、竹中先生においでいただいております。竹中先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは本日の資料の確認を、事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 まず議事次第から始まり、座席表、開催要綱、構成員及び技術委員名簿と続きます。「新規申請技術の評価結果」についてとして、資料1-1から1-9があります。「総括報告書に関する評価」として資料2-1、2-2があります。「試験実施計画の変更について」として、資料3-1から3-4があります。「協力医療機関の追加について」として資料4-1、4-2があります。「先進医療会議の審査結果」として資料5があります。最後に参考資料です。会議資料の最終ページは172ページです。もし乱丁・落丁等がありましたら、事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 それから、利益相反についてです。申請医療機関との関係や対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、11ページの資料1-1に記載している申請医療機関、医薬品・医療機器情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業に関して、事前に確認させていただいております。柴田構成員、藤原構成員、山口座長代理より11ページの資料1-1、整理番号036の技術及び申請医療機関との関係について利益相反の届出があり、169ページの参考資料に付けている「先進医療会議における利益相反の対応について」を適用いたします。この取決めにより、柴田構成員におかれましては、整理番号036に関する検討において、事前評価及び議事の取りまとめには加わっていただかないことといたします。また、藤原構成員、山口座長代理におかれましては整理番号036に関する検討において、議事の取りまとめに加わっていただきます。なお、事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場にて御報告をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 今回もお手元のタブレットを御使用いただきたいと思います。届出書類等については、タブレットから閲覧していただくことができます。会議資料とタブレットの内容は若干異なっていることもありますので、発言される方は会議資料の何ページ、又はタブレットの何ページとあらかじめ御発言いただけましたら、議事の進行上助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
○猿田座長
 特に問題がなければ、早速議事に入りたいと思います。まず、新規の申請技術の評価結果について、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 撮影されている傍聴の方がいらっしゃいましたら、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 では、11ページの資料1-1を御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は2件あります。1件目は整理番号035「咽喉頭癌に対する経口的ロボット支援手術の安全性・有効性に関する多施設臨床試験」です。適応症は中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌です。申請医療機関は京都大学医学部附属病院です。審査担当構成員は主担当が伊藤構成員、副担当が大門構成員、佐藤構成員です。また、竹中技術委員にも御担当いただいております。
 続いて27ページの資料1-5を御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。診療科は耳鼻咽喉科若しくは頭頸部外科。資格としては、実施責任医師においては頭頸部がん専門医及びCertificate as a console surgeonです。これはIntuitive Surgical社によるロボット手術支援操作に関する受講証明書が必要となります。当該診療科の経験年数は10年以上、当該技術の経験年数は1年以上、当該技術の経験症例数は実施者(術者)として2例以上です。その他については内視鏡手術の実施者として、経験年数5年以上及び経験症例数20例以上となっております。
 医療機関の要件としては、診療科は耳鼻咽喉科若しくは頭頸部外科。実施診療科の医師数は3名以上、他診療科の医師数として、具体的に常勤麻酔科医師1名以上が必要。その他の医療従事者については、具体的に常勤臨床工学技士1名以上が必要。病床数は400床以上。看護配置、当直体制については特段の取決めはありません。緊急手術の実施体制が必要。院内検査(24時間実施体制)が必要。ほかの医療機器との連携体制は不要。医療機器の保守管理体制が必要。倫理審査委員会による審査体制は、少なくとも2か月に1回以上の開催が必要。医療安全管理委員会の設置が必要。医療機関としての当該技術の実施症例数が2症例以上必要となっております。
○猿田座長
 最後に御説明いただいた27ページの医療機関の要件について、構成員の先生方から御意見は出ませんか。診療科としては耳鼻咽喉科若しくは頭頸部外科ということですが、よろしいですね。ほかの条件も特に問題がなければ、これは一応お認めいただいたということにさせていただきます。
○藤原構成員
 医療機関としての当該技術の実施症例数が2例というのは、何か根拠があるのですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 実施責任医師に2例以上の実施経験が必要ということですが、それに加え、医療機関としても2例以上の実施に関するサポート等々の実績、あるいはその技術が必要な要件であると申請者から伺っております。
○藤原構成員
 将来的にロボット手術というのは、例えば消化器がんなどでも出てくると思うのです。ここは医療機関が一番気にするところで、先進医療Bに申請する前に何例を自費診療でやるのか、10例やるのか、20例やるのかというのが、医療機関には非常に大きな負担として掛かってきます。これが2例で十分だというのであれば、ほかのがんも2例ぐらいでいいのではないかと思われるとどうなのかなと思いました。
○医政局研究開発振興課専門官
 申請者からの聞取りにおいては、耳鼻咽喉科領域でこの手術を日本国内でやっている施設、やっている医師というのは、今のところかなり少ないということで、かなりパイオニア的な技術であることには間違いありません。
○猿田座長
 竹中先生、この件に関して何か御意見はありますか。
○竹中技術委員
 もっともな御意見だと思います。付記事項としてある「内視鏡手術の実施者として」というのが、1つのポイントになろうかと思います。今後の御意見の交換にもあると思いますが、この手術そのものはそれほど症例が多くなる見込みはないのかもしれない。ただ、現行では耳鼻咽喉下の頭頸部がんの手術で何が一番大きな問題かと言いますと、皮膚切開、外切開をして口腔内に入って、その間のリンパ節を取っていくという極めて侵襲度の高い術式しかないということです。内視鏡手術をしてケモラジとのコンビネーションをしたり、ロボット手術をして、もしもコンバインドの術式が確立すれば、患者にとってこれほどいいことはないということにもつながります。技術評価として2例でいいかどうかというのは、多分ここに先行する10年以上で、20例以上でというところを加味されていると考えています。
○藤原構成員
 学会によって10例にしたり20例にしたり、いろいろ変えるので、ほかのことでも、こういうことを聞いておきたいのです。
○山口座長代理
 竹中先生、ロボットを使わない鏡視下の手術というのは、年間どれぐらい行われているものですか。
○竹中技術委員
 鏡視下の手術として、診療報酬上明確にベースがつかめているわけではありませんが、例えば下咽頭、中咽頭、喉頭については、年間大体200~300だろうと思います。ただ、やられている施設が極めて限られておりますので、今回の申請につながるところでやられていると考えております。
○山口座長代理
 内視鏡手術の経験というのは、こういう疾患に対しての症例数が10例以上あるということでしょうか。単に内視鏡を使った手術というのはたくさんありますが、簡単なものまで含めてでしょうか。やはり内視鏡的にも、技術的には難しいものだと思うのです。ですから優れた技術を持った人でないと、特に機械を使ってやるのは危ないのではないかと私は思うのです。
○竹中技術委員
 おっしゃるとおりです。本来の頭頸部腫瘍の手術というのは、かなり大きな皮切を取って全部めくり上げて、広頸筋から筋膜に入って実施臓器に入るまでの間のプロセスが、そこの部分の勉強の仕方というのは、ほとんど頭頸部腫瘍の全てと言ってもいいぐらいです。それを内腔側から必要な部分しか取らないということになると、ある意味では発想の転換でもありますし、それで予防的リンパ郭清などの評価も変わってきますから、意義はとても大きいと思います。しかし、ある種の制限的な要素はあって、それほど爆発的に広まるものではない。まず如実に出てくるのは、多分周術期間がとても短くなるというところが大きいと思います。
○山口座長代理
 恐らく藤原先生の質問には、なかなか答えられないと思うのです。
○竹中技術委員
 そうですね。
○山口座長代理
 そもそも鏡視下でやっている手術が保険採用されていない、収載されていないというのは、きちんと技術評価がされていないということだと私は思うのです。
○竹中技術委員
 例えばD1やN0、M0について、あるいはMがあっても、あるいはNがあってもコンバイントセラピーで治療するという流れの中では結構かと思います。
○山口座長代理
 例えば消化器領域で言えば、普通の鏡視下の手術の有用性がある程度示されて、それに更にロボットを使うと良くなったという話になってくると思うのですが、それを飛び越してしまって、本当にどうなのかがまだ分からないものに、いろいろなものを積み重ねていくと、それぞれの技術の評価がなかなかできなくなってしまうのではないかというのを懸念するのです。いろいろな薬が出たときにそれを評価しないうちに、土台を作らないうちにこれも足したらいい、更にこれも足したらいいということをやってしまうと、結局何が良かったのか悪かったのかが分からなくなってしまうのではないかということを懸念するのです。
○竹中技術委員
 そういう意味でおっしゃっているのであれば、鏡視下手術というのは逆に非常に狭い視野の中でやるので、管腔内からの深さの見極めはとても難しいですね。ロボット手術になりますと、それが画像の中で把握されるわけですから、そういう意味では内視鏡手術の欠点を補うには十分なものがあると思います。
○猿田座長
 これは後ほどもう1回議論をさせていただきたいと思いますが、ほかに御意見がなければ先に進みます。整理番合035の評価の主担当の伊藤先生から、全体的な説明をお願いします。
○伊藤構成員
 この技術は評価するのが大変でした。本試験の対象が中咽頭がんと下咽頭がんと喉頭がんで、病期の浅いT1、T2、M0で、かつ遠隔転移のない患者です。この標準的な治療法は扁平上皮がんを対象にしているものですから、放射線治療若しくは化学放射線療法が、標準治療として取扱われていると認識しております。手術による治療法と化学放射線療法のランダム化比較試験がされていないので、現時点においてロボット技術を含めた内視鏡外科手術が適応になるという明確な症例は少数ではないかと、資料を拝見して思っております。
 こうなりますと、本技術の主要評価項目がの手術病理標本の断端陽性率という評価指標ですと、試験成績向上のために切除範囲が拡大して取られる可能性も含め、内視鏡的な手術をすることによるメリットを打ち消すような、そういう評価指標になっている懸念があるのではないかという気がいたします。したがって、こういった技術を用いた手術が対象になる方がないとは思わないのですが、放射線科医を含めたCancer Boardが明確に機能して、きちんとこの技術の適応になるというのを明確にしていただいた方を対象にしていただかないと、なかなか難しいのではないかと思いました。そういったことを主として評価させていただいております。
 それ以外に評価者の先生方からも御意見を頂いております。その御意見を伺い、さらに耳鼻科の竹中先生にも御意見を伺った上で、最終的に皆さんでどういうようにするのかをお決めいただくのがよろしいのではないかと思って、こういった書き方にさせていただいております。
○猿田座長
 この資料の中を見ると治療法がいろいろあって、それぞれの長所と欠点が書かれていて、これが非常に重要なポイントだと思うのです。これらは後ほど議論をさせていただくということで、取りあえず今、伊藤先生からお話いただいたところがポイントであるということで、竹中先生から実施体制、そのほかの御意見を頂きたいと思います。
○竹中技術委員
 資料ですと22ページですか。適応を決めるに当たって、一体いつ病理組織を決定したのかということについては、期限が切ってなかったということがあります。当然ステージが1つ変わるわけですので、適正な日数を置いていただきたいということで、それについての見解が出たと考えております。
 それ以外に、ここには書きませんでしたが、後で議論になってくると思うことがあります。現在、頭頸部がんについてはヒトパピローマウイルスの存在について、かなり確かな証拠があるのですが、現行の日本ではそれほど検査がされていません。パピローマウイルス陽性のものは、ほとんどケモラジで十分であろうという流れもありますので、術式として認めるかどうかということ以外に、先ほど伊藤先生がおっしゃったようなCancer Boardを通じて、そういう全ての新しい治験を反映させないと、もしかすると不必要な手術をしてしまう可能性があると思います。
○猿田座長
 また後ほど議論をしていただきたいと思います。続いて今日お休みの佐藤先生から、倫理的な観点からの御意見があります。これも事務局から御説明いただけますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 佐藤構成員からは14ページの資料1-2の如く、倫理的観点からの評価判定項目は、いずれも「適」との御判断をいただいております。コメント欄には、「説明同意文書には必要な情報が適切に記載されている。健康被害が生じた場合の補償(の手続)は標準的なものである。COIについては適切にマネジ、また説明されている。患者相談の対応も適切である。」というコメントと、更に16ページに追加のコメントとして、「説明同意文書において、本治療法と他の治療法との比較が記号で示されています(4ページ)。元データは実験計画書8ページの表であろうと思われます。まずは分かりやすさを優先して記号にしたこと自体は適切と思いますが、必要に応じて元データの数字を説明する必要があるように考えております」とのコメントを頂いております。
○猿田座長
 続いて大門構成員から、試験実施計画書等の評価に関してよろしくお願いいたします。
○大門構成員
 この度、試験実施計画書等の評価を行いました。資料1-3の17~23ページにわたり、申請者への事前の確認・指摘事項と回答が示されております。実施計画書の書類の内容を見る限り、比較的丁寧に記述されているような印象を受けました。それに私の追加の確認・指摘事項もマイナーなものであり、回答も適切に行われたと考え、実施計画書等の評価に関しては「適」とさせていただきました。
○猿田座長
 それでは伊藤構成員のほうからもう1回まとめていただいて、それから議論に入りましょうか。
○伊藤構成員
 先ほど申し述べたとおりですが、十分に吟味すればケモラジに比べてメリットがあるし、内視鏡手術に比べてもメリットが出てくる人もいるのだろうと思います。ただ、それを耳鼻科の先生だけで判断するというのでは、やはりいけないのではないでしょうか。医療関係者が十分に討議して、この患者にはメリットがあるということを明確にした上で、患者の同意を得た上でというプロセスを踏む形にお作りになられたほうがいいのではないかと思ったので、こういった形で書かせていただきました。これは私の意見ですので、皆さんの御意見を頂いた上で、最終的に決断するものと思っております。
○猿田座長
 今日前もって評価していただいた方には御意見をうかがいましたが、構成員の方々からもう一度御意見を頂ければと思います。
○山口座長代理
 断端陽性をエンドポイントにするというのが、私にはどうしても納得がいかないのです。術中にフローズンで確認したりはしないのですか。
○竹中技術委員
 確認します。御承知のようにスキップリージョンも多いですし、(ハクバエン)?病変もありますし、ましてや内腔からずっと見ていくと、順番にある程度ターゲットは絞りますが、見るわけですから画像で判定されているがん病巣以外の病巣については、かなり気を配っています。大阪医大の実例ですと、フローズン断端で3か所か4か所は必ず登録になります。
○山口座長代理
 ということは、取れるものであれば術中に断端がネガティブになることはないはずなので、切除標本だけからそれを判定するのはフェアでないという具合に思うのです。乳がんもそうですが、放射線化学療法が効くような治療というのは、必ずしも断端ポジティブにはこだわっていません。断端ポジティブでいいから、後で照射を加えるとか化学療法を加えるということで十分な成績を上げているので、やたらと取りまくるためにこのロボットが必要なのかどうかというところで、このロボットの本当の有用性が生きていないのではないかと思うのです。
○竹中技術委員
 確かに、サージカルトリートメントオンリーで頭頸部がんを処理できるかというと、多くの意見はできる。しかし、ごく限られた症例ではそういうことが可能です。ただ、それをいわゆるアウトカムとして評価していくのが適切かどうかということについては、違う可能性はあると思います。全ての症例でそれを求めるのは難しい。
○山口座長代理
 例えば、私がこういう先進医療を受けるとして、受けるメリットは何かと考えたときに、断端ポジティブが少なくなりますよというのはピンとこなくて、取り残しが少なくなってより生存率が上がるとか、より精密な指標ができて機能が温存できるとか、そういうエンドポイントを求めると思うのです。やはりそういう組み方をしないと、本当の意味でのロボットの有用性は出てこないのではないかと思うのです。
○竹中技術委員
 先生がおっしゃっているように、先ほど申し上げたように、低侵襲の中でどれだけトータルのがんに対する治療を縮小することができるかという意味では、評価に値すると思います。場合によっては、ロボット手術だけで完結できるケースもある。その場合は周術期はとても短くなります。しかしコンバインドを使っても多くの場合、コンバインドのときに一番問題になるのは外切開を入れているために、治療開始が非常に遅れるということです。そこもこういったものであれば、ある程度短くしていくこともできるというのを踏まえれば、そういうものを評価の1つに入れるべきかもしれません。
○山口座長代理
 やはりエンドポイントの設定の仕方は、よく考え直していただいて、もう少し客観的で我々もこの治療を受ける方も納得できるようなエンドポイントを示し、その結果が出るような形で計画を組み直していただいた方が良いのではないかというのが、私の意見です。
○猿田座長
 先生のおっしゃることはよく分かりました。私たちも読んでみて、このエンドポイントを取る方は普通の場合と違う感じがします。それで内容をずっと読んでみますと、歴史的にと言うとおかしいのですが、今まで経験的にこのやり方が取られていたということが書いてあるのです。ですからそういうものなのかということで、私も何となくすっきりしないところはあるのですが、その辺りでどなたかありますか。
○山口座長代理
 臨床試験というのはマジックみたいなところがあって、エンドポイントの取り方でどうにでもなる部分があります。例えば差を出したいためのエンドポイントを見つけてきて、その差を出して有意性を示すということになってしまうことがあります。本当にそのエンドポイントが患者にとって有意義なことかを示さないと、本当のエンドポイントではないと思うのです。例えば10ccの出血が5ccになるといっても、何の意味もありませんよ。エンドポイントを輸血するとかしないということにしないと、本当の意味はないわけです。統計学的に推計学的に有意の差が出ても、臨床的に何の意味もないエンドポイントであれば、やはり意味はないと思うのです。その意味で評価も難しいエンドポイントだし、その有用性についても少し疑問を感じるというのが私の意見です。
○猿田座長
 ほかにどなたか御意見はありませんか。この評価について山本先生、何かありますか。
○山本構成員
 領域としては専門外なので難しいのですが、今お聞きしていたら、そもそも現在行われている外科手術の侵襲性が非常に高いという問題があります。外側からというか、体表面からいくのは非常に難しいし、侵襲性も高く、なおかつその前後のケモなりラディエーションなりも期間が限られてきて、全体的に治療期間も長引くということで、今まで手術に対して余り積極的になれない条件がいろいろそろっていたところに、今回da Vinciを使うことで非常に低侵襲に直達手術ができるということがあって、できるだけそちらに行きたいということだと思います。ただおっしゃっているように、ある程度の標準治療が既にガイドラインとして出ているのであれば、今度はその標準治療に対して、da Vinciを使った単独の治療法をガチンコで比較するというのが1つです。
 もう1つは今、多くのがんでやられていると思いますが、組合せをすることで最適な治療を狙うということだと思います。ある程度早期の方で、ケモラジでもある程度治療効果が見込める方に対してこれを使うのであれば、私も山口先生がおっしゃるように、標準治療で問題があるところに対してこれを使うことで、それが改善できるということを示していくほうが、いろいろな意味で早道ではないかと思うのです。ここにもいろいろ書いてありますが、頭頸部がんですので声を出すとか食事をするとか、いろいろな機能がその後に問題が出てくる可能性が高いのです。ケモにしてもラディエーションにしても、まだまだ問題のあるところを少しでも、例えば直達手術で取り除いた上で、ケモやラディエーションがある程度軽くなるということがあって、全体として生活機能への侵襲性が低くなるとか。
 私は医療機器で生命予後まで見るというところには、必ずしも賛成していないのです。医療機器というのは飽くまでも道具ですから、うまく使えるということを出すべきだと思います。今回については、どういう方にどういう状況で使うのが一番。新しい道具を入れることで、今の標準治療を改良することができるということを示されるというのも、1つの考え方だとは思うのです。どちらにしてもワンアームでやるしかないと思いますし、まだ探索的な状況だとは思いますので、できるだけ標準治療を改善する方向に、どうやって使うべきかということを、今回の機会に探索していただけるのが一番いいのではないかと思います。
○猿田座長
 今度の場合は治療法として放射線あるいは薬物療法的なもの、今までの内視鏡手術とがあり、それからda Vinciを使うことにどれだけメリットがあるかということであり、その3つのところでda Vinciを持ち込むことによって、かなり利点がある、非常にいいということが証明されることが大切なことと思います。竹中先生に伺いたいのですが、学会としては今、da Vinciを使ってやっていく方向に動いているのでしょうか。
○竹中技術委員
 da Vinciを使って頭頸部のこういったものにアプローチしようというのは、今回応募している施設を含め、あと10施設ぐらいはあると思います。ただ、実は頭頸部外科学会には、飽くまでも手術を中心とする学会が1つあります。それと、化学療法を中心とする学会があって、先ほどからおっしゃっているコンバインテラピーも含めた標準的な治療そのものが、両方の折り合いが付いているというのは、なかなか難しい状況かと思います。実際に手術をするほうから見ますと、こういった新しい技術が入ってくることによって、場合によれば従来言われていた拡大根治術であったり、非常に侵襲度の大きい手術に対する修正、あるいは新しい提案ができるという期待感はとても大きいですし、若手の教授を中心に、そういうことを求めているという流れはあります。
 耳鼻咽喉科学会としても、ある種のフォローはしております。ただしda Vinciの画像の精度が、断端陽性が全て分かるようなものなのかと言われると、その技術の中に使われている画像評価の部分はまだまだ分かりにくい。例えば、マイクロリンパを使ってそのそばにあるものをどうやって見ていくのかという技術までは、とても追い着いてきていません。そういう意味では、この技術がどういうものに使っていけるかという、正に探索的なレベルにあることは事実です。もし御意見を頂ければ、そういう形でまとまるのであれば、それも1つのやり方だと考えております。
○猿田座長
 構成員の先生方、ほかにどなたか御意見はありませんか。どうもお話を伺っていると、伊藤先生がおっしゃった形で1回持っていくのがいいのか。伊藤先生、その辺りはどうですか。
○柴田構成員
 評価方法について、少し補足としてコメントさせていただけますか。プライマリーエンドポイントについては、ヒストリカルコントロールの数字が臨床試験実施計画書の中に書いてあり、それに対して著しく異ならないということを示すのが、この試験の目標になっていると思います。そのほかのセカンダリーエンドポイントについても、例えばPMDAとの相談においては嚥下機能がきちんと保たれているか、そのほかのメリットを示す副次的評価項目も含まれていると思います。
 それを評価する際に、試験が終わったときに既存の方法ではこの程度だから、新しい方法においては悪くなっていないとか、良くなっている、患者にメリットが生まれているということを示すという形になると、実際に現状がどの程度のものであるかというのを、明確に記しておく必要があるのではないかと思いました。そこの認識がこの時点で崩れていると、出てきた結果を議論するときに、また水掛け論になってしまいます。そういう意味では、PMDAの相談のときに指摘された主要評価項目に関する指摘と同様に、副次評価項目についても、現状の手術では大体どのぐらいの問題が起きているのかというのを明らかにしておくほうが良いのではないかと思います。もし、私の書類の見落としでしたら申し訳ございませんが、その辺が気になりました。
○猿田座長
 伊藤先生、もう1回結論的なものをまとめていただけますか。
○伊藤構成員
 幾つかの問題点があります。特に主要評価項目の妥当性と、現在行われているケモラジなどの標準的な治療との差異をどうやって示すかというのを、きちんとされていない面があるような気がします。可能でしたら、そういったものを修正していただいた上で、再度評価させていただくのが妥当ではないかと思っております。
 もう一言付け加えさせていただければ、QOLの評価を手術を対象にするのか、ケモラジも対象にするのか。手術を対象にすれば、通常手術に比べてロボット手術のQOLは良くなるでしょうけれども、ケモラジを対象にするとQOLで勝てるのだろうかという気はして見ておりました。
○猿田座長
 そうしますと、一応今日のところは継続審議という形でいいですか。いろいろな点でまだ少し議論をしなければいけない点があると思います。特にケモテラとの比較、あるいはda Vinciを持ち込むことによって、どれだけのメリットがあるかということも議論していただくということで、山口先生、どうですか。
○山口座長代理
 いいと思います。
○猿田座長
 そうしたら一応、この場では継続審議という形で結論にしたいと思うのですが、構成員の先生方、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長
 それでは、そういう形で判断させていただきます。どうもありがとうございました。
○医政局研究開発振興課専門官
 継続審議になるに際し、私どもから申請者のほうに、この場での議論をまとめた形で質問を返すことになります。それについての御確認だけさせてください。まず、伊藤先生の御意見としては、Cancer Boardを含むBoardによる症例の評価ですね。竹中先生からは、パピローマウイルスについての御指摘がありました。それから多くの先生方から、プライマリー及びセカンダリーのエンドポイントの設定に関する御意見を頂きましたので、主にこの3点ということでよろしいでしょうか。
○猿田座長
 結構だと思います。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 ありがとうございました。
○猿田座長
 それでは次に進めます。2つ目の新規案件ですが、柴田先生、退席をお願いいたします。
(柴田構成員退席)
○猿田座長
 それでは、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料1-1、2件目の新規技術ですが、整理番号036「高度リンパ節転移を有するHER2陽性切除可能進行胃・食道接合部腺癌に対する術前トラスツズマブ併用化学療法」です。適応症は、HER2過剰発現が確認された高度リンパ節転移を有する胃がんです。申請医療機関は、静岡県立静岡がんセンターです。審査担当構成員は、主担当が山口座長代理、副担当が竹中構成員、田島構成員です。
 審議に先立ちまして、本件についても先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より説明いたします。資料1-9、39ページです。実施責任医師の要件として、診療科においては外科若しくは内科、資格は特に不問です。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数としては特にありません。当該技術の経験症例数についても、特記はありません。
 医療機関の要件としては、診療科は外科、内科。実施診療科の医師数は、日本消化器外科学会専門医1名以上、かつ日本内科学会認定医1名以上が必要。他診療科の医師数としては具体的に取決めはありません。その他の医療従事者の配置としては、薬剤師、看護師が必要。病床数は100床以上が必要。看護配置については取決めはありません。当直体制については要。緊急手術の実施体制は要。院内検査(24時間実施体制)は要。他の医療機関との連携体制は不要。医療機器の保守管理体制については、取決めはありません。倫理審査委員会による審査体制は、2か月に1回以上の開催が必要。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数については、特に取決めはありません。そのほかについては、トラスツズマブの使用経験(単独使用を含む)を1例以上有する医師を1名以上、実施者として含むことが必要とされております。以上です。
○猿田座長
 今のような施設要件で、どなたか御質問はありますか。
○藤原構成員
 実施診療科の医師数の所で、内容は消化器外科専門医が1名、かつ内科学会の認定医と書いてありますが、すごくバランスが悪くて、消化器外科の専門医というのは結構難しいのですが、認定内科医はそんなに難しくなくて、総合内科専門医ならまだ分かるのです。あるいは、日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医であるとか、ここが非常にバランスを欠くのですが、ここは何か申請者の方がおっしゃったのですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 私が申請者からこれを聴取したところでは、この医療に関しては術前の内科的、一般的がん治療のメニューに準ずるものであるということで、内科について特に要件が必要ということについては私は伺っておりませんでしたので、それ以上コメントは何ともいたしかねます。
○猿田座長
 いや、私も何となく今おっしゃったことが気になったのです。でも、内科のそういうことで、術前のいろいろなことだということになってしまうと、これでやむを得ないのか。何か意見はありますか。伊藤先生、ありませんか。
○伊藤構成員
 抗がん剤を使うのであれば、やはり抗がん剤になれた人、単に内科医ではなくて、腫瘍内科関係の方に入っていらっしゃったほうがいいのではないかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官
 例えばこちらの胃がんということでしたら、消化器内科関連の資格要件を追加していただく、あるいは腫瘍内科関連の資格を追加していただくという形で申請者に検討をお願いすることはできますが、それでよろしければそのようにさせていただきますが。
○山口座長代理
 多分今までの経緯から、消化器の領域、特に胃がんの抗がん剤治療は外科医がやってきたので、できる所とできない所があるのです。藤原先生のおっしゃるように、確かに腫瘍内科の専門家がいるべきなのですが、それを要件にしてしまうとできない所があるという心配があると思います。ただ、そこで緩めていくと、いつまでも腫瘍内科医がいつまでも育成されないという懸念もあります。藤原先生がこれは是非に必要ということであれば、むしろそういう意味で、そういう要件でやりなさいということも私は1つの考え方だと思います。でないと、いつまでも外科医がやっているということになると思います。このレジュメが極めて難しいものではないと思うのですが、これからそういうものが出てきたときに、そういう縛りは付けておいたほうがいいのかもしれません。
○藤原構成員
 外来化学療法加算のときには算定要件に学会の認定医とか専門医をくっつけていないのです。がんの化学療法歴が5年以上あるとか、そういうので診療報酬上はなっていますから、余りここでギチギチに縛ると実態とかけ離れた状態になるし、ハーセプチン自体がそんなに怖い薬ではないですから、何か化学療法の経験が多い人がいますとか、外来化学療法加算に合わせたような記載とか、そちらのほうが認定内科医というよりも、よほどいいような気がします。
○猿田座長
 そこはうまく考えてください。
○医政局研究開発振興課専門官
 そうですね。腫瘍の実情に応じて適切な資格認定、あるいは経験認定を加えていただくということで問いかけるようにいたします。
○猿田座長
 ほかになければこの要件で、今の言ったことを加えていただくということでよろしいでしょうか。山口先生のほうからお願いします。
○山口座長代理
 紙の資料の29ページです。これは高度リンパ節転移を有する胃がんのもので、その中でもHER2陽性のものに対するということなのですが、今までは胃がんに適応のあるものであれば、それが効くか効かないか分からずにやったわけですが、個別化医療というのがだんだん出てきて、HER2が陽性のがんにはこういう抗がん剤が効く可能性が高いことが分かってきました。ToGA 試験というのがそういうトライアルのひとつなのです。前もって胃がんにHER2があるかないか調べて、それから投与したほうがいいのではないかという考え方です。切除不能の進行胃がんに対してハーセプチンという薬を上乗せすると、有意に効果が高くなることが分かっています。それが1つです。
 高度のリンパ節転移というのはどういうことかといいますと、例えば胃のすぐそばのリンパ節ではなくて、大動脈の周囲などのように遠くに散らばっているということです。大動脈の周囲はなかなかメスだけでは治らないということも、いろいろな研究で分かりました。ですから、大動脈周囲に癌が散らばっているリンパ節がある場合には、直ちに手術をしても生存率の低いことが分かっていますので、それをあらかじめ有効性の高い抗がん剤でたたこうということです。今まではS-1とシスプラチンの組み合わせは実績があって使われていましたが、ToGA Trialの結果を受けて、HER2陽性のものに関してはもっと有効性を高めるために
ハーセプチンを加えたほうがいいのではないかという考え方です。
 もう1つは、それほど遠くに行っていなくても、胃がんのすぐそばの血管の周囲の転移で累々と脹れあがったリンパ節というのは、血管のそばにずっとありますから、それが大きくなって癒合していくと達磨みたいになって、血管の周りを取り囲んだりして、それをきっちり取るのが技術的に非常に難しくなります。このような場合も、直ちに取りにいくとそこで再発したりする可能性が高いので、このような対象に対して、もしもHER2が陽性であればこれを使おうというトライアルです。
 37ページに大まかな概要が書いてあります。高度リンパ節転移を有するHER2陽性がんをランダムに割り付けます。今かなり行われているS-1とシスプラチンという標準に近い治療法と、それにトラスツズマブを上乗せしたものです。ただし、これはHER2陽性の胃がんであるという条件が付いています。そのように2つに分けて、もう一度29ページに戻って、エンドポイントは全生存期間ということになっています。で、これは紛れもありませんので、この紛れのないエンドポイントを評価した各群65名のRCTであるということです。実施体制について、特には問題ないと思いました。
○猿田座長
 倫理的な面を田島先生のほうからお願いします。
○田島構成員
 同意に係る手続、同意文書について、説明文書の患者負担費用の点と、相談窓口の2点についての指摘事項に適切に対応していただきましたので、全体として「適」と評価いたしました。補償内容については、本件は抗がん剤治療に関わるもので、保険加入なく、補償もありませんがやむを得ないものと判断いたしました。以上です。
○猿田座長
 よろしいでしょうか。試験の実施計画等に関して、その評価は竹内構成員からお願いします。
○竹内構成員
 プロトコールは非常によく書かれていると評価いたしました。ただ、1点だけ、先ほど山口先生が御指摘された37ページの図なのですが、手術をするためにはunblindになっていますので、blindされているかということをちょっと質問したのですが、「術式としてはほとんど決まっているので、バイアスは入りません」というコメントを頂きました。そのコメントの内容が1-7に書いてあります。もう1つ、33ページに書いてあります。
 また、セカンドエンドポイントとして、PFSになっているのですが、これに対しては一応、中央判定にしてはいかがでしょうかという意見を出したのですが、適切に答えていただいているので、これを了承して「適」と判断いたしました。臨床試験実施計画書も全て「適」という判断をいたしました。
○猿田座長
 そういった形で、試験の実施計画等はいいであろうということですが、全体としてもう1回、山口先生、まとめていただけますか。
○山口座長代理
 今、竹内先生がおっしゃったように、この研究の主体がJCOGのスタディで、プロトコールも適切につくられていますし、長い時間をかけてよく練られた内容かと思います。
 1点だけ、blindにしなくてはいけないのではないかということに関して、「progression-free survivalはかなり恣意的なことが入りますから、確かにそれは問題ですが、それはセカンダリーであって、プライマリーは飽くまでもオーバーオールですので」という回答が返ってきています。私としては納得できるのかと思いましたので、総合評価としては「適」ということにいたしました。
○猿田座長
 構成員の先生方からは全て「適」ということで、総合的にもこれでいいのではないだろうかということですが、構成員の先生方、どなたか御意見を頂けますでしょうか。藤原先生、何かありますか。構成員の先生方から特に御意見がなければ評価していただいた先生方のとおり、特に最後の山口先生のおまとめいただいたとおり、この案件は「適」ということで認めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○医政局研究開発振興課専門官
 先ほど実施医療機関、あるいは実施責任医師の要件の所で1点ありましたので、その条件を付けさせていただいて、「条件付き適」ということでよろしいでしょうか。
○猿田座長
 はい、結構です。ですから、先ほどのところは内科の立場というのは難しいので、そこのところを考えていただいて、広げなければいけないということと、一方では腫瘍内科とかそういうこともあります。それをよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 はい。
○猿田座長
 柴田先生に戻っていただくということで、よろしくお願いいたします。
(柴田構成員、復帰着席)
○猿田座長
 それでは、次に移ります。「総括報告書の評価について」、これもまず事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料2-1の41ページです。先進医療Bの総括報告書に関する評価を頂くのは、平成20年4月に高度医療で開始された従前告示番号13「早期胃癌に対する腹腔鏡下センチネルリンパ節検索」です。申請医療機関は慶應義塾大学病院です。審査担当構成員は、主担当が藤原構成員、副担当が竹内構成員です。なお、本研究に関しては、これに引き続く臨床研究が平成26年1月より先進医療B、告示番号39「腹腔鏡下センチネルリンパ節生検」として、一次エンドポイントを「術後5年無再発生存割合」に設定して、合計520例を対象に進行中であることを申し添えさせていただきます。以上です。
○猿田座長
 これも大分長く検討されているわけですが、主担当の藤原先生から御説明をよろしくお願いします。
○藤原構成員
 配付資料の中にはないのですが、総括報告書本体を御覧になりたい方は、お手元のタブレットの「総括報告書」を御覧ください。
 お手元の資料で技術の概要ですが、45ページ、資料2-2ですが、ポンチ絵の左側です。原発巣を赤く示していますが、胃がんがあって、そこからリンパの流れに乗ってがん細胞が広がっていくときに、見張りリンパ節というのがあって、そこに転移があると、その領域のリンパ節も転移があって、手術のときに郭清といって、リンパ節を取る範囲を結構広げていかないといけないというのが、乳がんとかメラノーマ、悪性黒色腫は結構、もう保険診療上で広く使われている手技で、拡大の手術をするか、しないかの判断に非常に役立つ見張りリンパ節のチェックがやられていますが、それを胃がんの領域で本当にできるかどうかを検討したのがこの試験です。
 手術の前、あるいは手術中に内視鏡を胃の中に入れて、そこから色素とかRIを注入して、それがリンパ節に広がっていった後に、肉眼的に色素で緑に染まるとか、ガイガー・カウンターがビリビリ反応するとかを見て、そこのリンパ節を取って、迅速病理診断で、そこにがん細胞があるかどうかを判断していくという手技が、このセンチネルリンパ節生検です。
 資料2-1に戻って、41ページです。技術の概要は術前の診断がT1/T2、そんなに大きくない腫瘍で、リンパ節、N0M0ですから、一応、臨床的には領域リンパ節転移もなくて、遠隔転移もないような胃がんの症例に対して、先ほど申し上げたセンチネルの生検をして、正診率を調べていくという内容でした。
 予定の組込み症例数は500例で、その後、その下に試験結果の概要がありますが、種々の理由で46例ほど除外され、実際に解析対象になった466例に対してセンチネルリンパ節生検が行われています。その後、定形的な胃切除が行われて、リンパ節郭清も行われていて、そのリンパ節生検が本当に当たっているのか、外れているかを見ていったのがこの試験です。
 センチネルリンパ節の検出率は97.8%で、転移の検出率は94%、陰性的中率は98.9%、正診率は99.1%という内容で、結構良い結果であったと。ただ、偽陰性が4例ありまして、その偽陰性の解析をしたところ、ここに書いてあるようなマルの1~マルの4の基準を満たせば、より正確に判断できるだろうということになって、先ほど事務局の方がおっしゃっていた現行の先進医療につながっています。その偽陰性4例の解析の結果、絞った症例は、年齢は20~80歳。術前はT2を除いたT1N0M0の早期胃がんで、単発性で腫瘍長径が4cm以下の症例であれば、非常に正確にセンチネルのリンパ節生検が進みますというのがこの試験結果の概略です。
 その下をずっと判定していきますが、既存の技術よりもやや有効であるのは問題ないでしょうし、この手技に関しては、普通の胃切除で発生する有害事象以外は出ていませんので、問題ないと判断いたしました。技術的に成熟度は、こういうものをちゃんとやっている、オペがうまい人でないといけないので、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できると思っております。
 総合的なコメントにまとめましたが、本試験に引き続き先進医療B、告示番号39として、ワープロのミスだったので、「腹腔鏡下センチネルリンパ節」を削除していただいて、「臨床試験」と読んでいただければいいです。先進医療Bで告示番号39として、臨床試験が実施中であると。これは昨年10月23日の技術審査部会で審議しております。この告示番号39の試験の結果をもって、胃がんにおけるセンチネル生検の有用性と長期予後における安全性はより明らかになると思いますので、第1段階の試験としては非常に適切に行われて、この総括報告書もきちっと書かれていると判定いたしました。以上です。
○猿田座長
 続きまして、竹内先生のほうからお願いします。
○竹内構成員
 有効性に関しても非常に高い有効性が出ておりまして、多施設で行われていますので、各施設とも同じような有効性が出ていて非常に良かったと思っております。また、安全性に関しても特に問題はありませんでした。ただし、技術的成熟度なのですが、コメント欄に書いてあるとおり、同定率と定率に関して、各施設によって症例数は違ってはいるのですが、推定値が大分ばらけておりました。このところは実際やられていたお医者さんの経験が影響しているのではないかということで、技術的成熟度としてBという判定をさせていただきました。以上です。
○猿田座長
 構成員の先生方から、今の藤原先生、竹内先生の御説明に質問がありますか。山口先生、何かありますか。特にないようでしたら、今の御意見のとおりにさせていただいて、これは従前の告示番号13については、この結果をまとめて先進医療会議に報告するという形ですね。そういう形にもっていかせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。藤原先生、竹内先生、ありがとうございました。
 続きまして、「試験実施計画の変更」について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 「先進医療Bの試験実施計画の変更」について、本日は4件の申請がありました。まず、資料3-1、47ページです。1件目、京都大学医学部附属病院からの申請で、告示番号17「術後のホルモン療法及びS-1内服投与の併用療法」についてです。適応症は原発性乳がん(ただし、エストロゲン受容体が陽性で、HER2が陰性のものに限る)となっています。本試験は、標準的な術後ホルモン療法に加えて、TS-1を併用することにより標準的な術後ホルモン療法単独と比較して、再発率が低下することを検討するものです。 
 両群ともに標準的術後ホルモン療法5年間を実施しますが、併用療法群については標準的術後ホルモン療法開始から1年間、標準的術後ホルモン療法と同時にTS-1の投与を併用いたします。予定試験期間は平成24年2月1日から平成32年1月31日、予定症例数は1,400例で、今回の申請時点で1,213例の登録がなされております。主な変更内容ですが、目標症例数の1,860例への増加、その他です。
 次ページの変更申請の理由ですが、このグラフが症例集積の状況となっております。この申請者記載の理由に加えて、事務局より補足的に申請者に照会いたしましたところ、症例集積が最近、急激に伸びているため、現在、登録されている症例の多くが直近1年以内に登録されている状況で、TS-1投与期間が1年、その後4年観察を続けるため、現時点ではイベントがまだ発生していない患者も多く、正確なイベント発生予想が立たない状況です。一方、治療法の改善から、昨今イベント発生が低下傾向にあることを鑑みると、終了時に当初解析で対照集団に必要と仮定された248イベントを下回る懸念も拭いきれず、試験を確実に実施する上で、症例数の上乗せをしたほうがよいという判断が、4月に実施された本試験実行委員会でなされました。ちなみに、実行委員会開催時点では、イベント数は10例ということで、7月末時点でのイベント数は22例とのことです。
 本件は、新規申請の際に事前審査を御担当いただきました山中構成員、佐藤構成員には事前に御確認いただいております。以上、御審議をお願いいたします。
○猿田座長
 本日は佐藤構成員がお休みですが、山中構成員のほうから御意見を頂けますか。
○山中構成員
 48ページの症例集積のスピードを見ていただければ一目瞭然ですが、尻上がりに登録数が増えてきていると。こういう状況は非常にあり得る状況です。というのは、時間が経てば経つほど、施設もIRBを通して施設数も増えていきますので、尻上がりに増えていくということはよくあるだろうと思います。後半のほうに登録されている症例に関しては、まだフォローアップが十分ではないので、イベント発生を確認していないというケースですので、現時点ではまだ観測イベント数が十分ではないということだと思います。
 今回は、検出力がもともと80%で設定されておりましたが、それを10%足して90%で、より確実に最初の差、見込んだ差を検出できるようにということで、80%から90%への変更に伴って、1,400例から1,860例に変更したと。その他の変更は、特に設定はいじってないと理解しております。より確実に差を検出できるように、この変更に関しては許容できるものだと思います。以上です。
○猿田座長
 ただいまのような御意見ですが、ほかに構成員の先生方、どなたか御意見はありますでしょうか。今、山中構成員がお認めいただいたということで、よろしいでしょうか。もしよろしければ、この変更をお認めいただくということで、告示番号17は、この形で認めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 2件目の試験計画の変更について、これも事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料3-2、49ページです。2件目、京都府立医科大学附属病院からの申請で、告示番号33「自己口腔粘膜及び羊膜を用いた培養上皮細胞シートの移植術」についてです。適応症はスティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡又は熱・化学腐蝕に起因する難治性の角結膜疾患(ただし、角膜上皮幹細胞の疲弊による視力障害が生じているもの、角膜上皮が欠損しているもの又は結膜嚢が癒着しているものに限る)となっております。
 本試験は、被験者より採取した口腔粘膜組織を用いて培養した口腔粘膜上皮シートの移植により、視力改善や上皮修復のための角膜再建及び癒着解除のための結膜嚢再建を行うものです。予定試験期間は承認時、平成25年7月1日より平成28年9月30日まで。予定症例数は30例で、現在までに京都府立医科大学附属病院で2例の登録がされておりますが、ともに施術には至っておりません。主な変更内容は、研究期間の延長、上皮細胞の単離酵素の変更、先進医療に係る費用の変更、その他となっております。
 次ページの変更申請の理由です。このうち酵素の変更については、当初計画で口腔粘膜組織から上皮細胞を単離する工程においてトリプシンを用いていたものを、「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」の承認に際し、より緩徐な作用のTrypLE Selectへの変更を指示された状態で、引き続き先進医療Bの承認を受け試験を開始し、実際に2例が登録されましたが、実際にはこのTrypLE Selectが作用せず、ともに施術には至りませんでした。よって、元来のトリプシンを使用する工程に戻す再変更申請が去る7月30日開催の第34回「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」において承認されたという経緯です。
 この一連の過程で手続に時間を要しまして、当初計画した登録期間内における予定症例数のエントリーが困難となったため、登録期間及び研究予定期間の1年半の延長を申請されたものです。本件については、新規申請の際に御審議いただきました山中構成員、金子構成員には事前に御確認いただいております。御審議のほどお願いいたします。
○猿田座長
 複雑な過程ですが、実際に単離するところで効果がなかったということで、これも山中構成員、お願いします。
○山中構成員
 こちらに関しても、今、専門官から説明があったとおりの経緯でして、もともと設定していたものに戻したということですので、この変更に関しても許容されるものではないかと考えております。
○猿田座長
 問題ないだろうということですが、構成員の先生方、どなたか御意見はありますでしょうか。少しでも早く進めてもらって。
○関原構成員
 今まで2例あった分は、全部、自己負担でやったわけですね。
○医政局研究開発振興課専門官
 2例については、変更された酵素を使って。
○関原構成員
 もう実行されているわけですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 変更されたものを使ってやったのですが、上皮を剥離することができなかったために、手術の材料を用意できなかったということです。
○関原構成員
 ここにある先進医療にかかる費用というのは、前回は患者負担で、今回、厚労科研で出すというようになって、自己負担は1割弱となっているわけです。従来のはそこまで行っていないということですね。
○医政局研究開発振興課専門官
 そうです。
○関原構成員
 はい、分かりました。
○猿田座長
 ほかに御意見はありますでしょうか。大分長くなってしまったものですから、この形にして、とにかく早く進めてもらいたいというのがあります。特に御意見がなければ、これもお認めいただいたことにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 3番目の案件に関して、事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料3-3、51ページです。3件目、京都大学医学部附属病院からの申請で、告示番号34「術前のホルモン療法及びゾレドロン酸投与の併用療法」についてです。適応症は閉経後のホルモン感受性の乳がん(ただし、長径が5cm以下で、リンパ節転移及び遠隔転移がなく、エストロゲン受容体が陽性、HER2が陰性のものに限る)となっております。
 本試験は、術前内分泌療法にゾレドロン酸を併用することで、レトロゾール単剤による内分泌療法に比べて、乳がんに対する直接的な腫瘍縮小の上乗せ効果を検証するものです。予定試験期間は平成24年11月1日より平成28年5月31日まで。予定症例数は75例で、現在まで26例が登録されております。主な変更内容は、試験期間の延長、その他です。
 次ページ、変更申請の理由ですが、本ページのグラフが症例集積状況となっております。現在の症例登録は傾きの緩い折れ線グラフの状況であり、試験実施予定期間内に目標症例を達成することが困難と判断されたため、各施設に症例登録の促進を図るとともに、登録期間、試験期間の1年の延長を申請されているものです。御審議のほどお願いいたします。
○猿田座長
 これはまだ登録予定数までかなりあるようですが、1年で大丈夫なのですかね。
○医政局研究開発振興課専門官
 このグラフに外挿されました現在の登録集積状況がこの折れ線グラフなのですが、これとほぼ同じ傾きで外挿された直線が1年先で集積可能という判断を基に、1年という申請がされております。もちろん、私どもも既存施設に働きかけるとともに、必要でしたら協力施設の追加などもお願いするようにしたいと思います。
○猿田座長
 ここのところ少し早く進めようという動きになっていますから、できるだけ早く進めるようにお願いしたいと思います。どなたか御意見はありますでしょうか。これは期間の延長ということですので、特に御意見がなければ、これもお認めいただいたということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 4件目をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料3-4、53ページです。4件目、国立国際医療研究センター病院からの申請で、告示番号44「FDGを用いたポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影による不明熱の診断」についてです。適応症は不明熱(ただし、画像検査及び血液検査及び尿検査により診断が困難なものに限る)となっております。
 本試験は、38℃以上の熱発が2週間以上、繰り返し出現し、胸部腹部CT等でも診断のつかない不明熱患者を対象に、FDG-PET/CTの有用性を検討するために、FDG-PET/CT及び対照となるガリウムSPECTによる熱源部位検出感度の差を比較するものです。予定試験期間は平成26年1月ないし平成27年12月。予定症例数は180例で、現在まだ登録症例はありません。主な変更の内容は、対照検査であるクエン酸ガリウムの投与量の追加変更及び製品の追加、研究期間の延長、その他となっております。
 次ページ、変更申請の理由です。まとめますと、元来は1994年に発表された標準的な核医学イメージングプロトコールに関するガイドラインの記載である、「本剤111MBqを静注し、48時間後又は72時間後に撮影する」との記載に基づいて、投与量を111MBqと設定しましたが、2007年の全国核医学診療実態調査報告では、クエン酸ガリウムによる腫瘍シンチグラフィーの平均投与量が106MBq、炎症シンチグラフィーの平均投与量は108MBqであったこと。また、2009年に発表された「放射線量適正化のためのガイドライン」によれば74MBq製剤と111MBq製剤がともに汎用されていることが判明したようです。今回の先進医療を行うに当たって、予定している協力施設の一部においても、74MBq製剤を使用しており、今後、多くの施設の参加が必要なため、クエン酸ガリウムの投与量を74ないし111MBqへと変更したとのことです。
 なお、クエン酸ガリウムの投与量に幅があっても、対照診断として標準的に行われている方法で評価には問題なく、一方で試験薬であるフッ素FDG各種の投与量についても、2~5MBq/kgと用量に幅があり、撮像時間等の調整により画像の質は担保できるということを挙げております。また、症例登録に関しては、55ページの別紙2、今後、目標症例数達成に向かうための具体的な登録計画を提示していただいております。
 本件については、新規申請の際に事前審査を御担当いただいた柴田構成員、伊藤構成員、田島構成員に事前に御確認いただいております。御審議のほどお願いいたします。
○猿田座長
 まだ進んでいないようですが、柴田先生、伊藤先生、田島先生、何か御意見はありますか。
○柴田構成員
 こちらはやむを得ない変更であると思いますので、特に追加のコメントはありません。
○猿田座長
 これで早く進めていただければということですね。田島先生、いいですか。
○田島構成員
 ございません。
○猿田座長
 それでは、今のような形でこの変更をお認めいただくことにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 次は「協力医療機関の追加」ですが、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料4-1、57ページです。これまでに大臣告示されている4つの技術について、告示番号5、12、40、42の4つの技術について、協力機関の追加申請がありました。同じページに各々、先進医療名、適応症、申請医療機関、追加協力医療機関についての記載があります。
 資料4-2、59ページないし62ページには、事務局において協力機関として提出のあった先進医療実施届出書を確認した結果、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることから、協力医療機関の追加として御了承いただければと思います。
○猿田座長
 この57ページの追加機関の所に書いてあるように、各機関とも資格があるということで、お認めしていいのではないかということですが、構成員の方、どなたか御意見はありますでしょうか。
○山本構成員
 施設の追加については、別に何の問題もないと思っております。今までの幾つかの変更を見てみますと、やはり試験期間の延長が多いのですが、その原因として、先進医療が通った後に必ずしもスムーズにスタートできていないという問題があって、これはかなりの部分がスケジュール観が研究者自身もとれていないですし、実際にやってみると、ものすごく時間がかかるのですね。
 先進医療Bを通すときに、まず何か月か、かかりますね。技術部会が通って、本会議が通って、初めてできるのですが、実際にはその中で結構プロトコールが変更されてしまうので、全部にIRBをかけておくと、今度は先進医療Bが通った後に、もう1回IRBの変更申請をかけて、そのIRBの変更が通ってから始まるというようになって。実際そういうことで、ものすごく準備をしていて、例えば10施設なら10施設、全員が最初から施設に入っていたとしても、かなりかかるのですね。
 実際には、多分そこまで準備はできていなくて、まず主立った施設で通して、それからほかの施設で倫理委員会にかけてもらってと。そこもまた、主立った施設のほうも、通った後にプロトコールの変更をかけて、その後に、それが承認されたのをもって、ほかの施設のIRBをかけてもらうみたいな、最短でも3か月ぐらいかかっておりまして。ほかの施設に関しては、悪くすると始まるのが半年ぐらい遅れてしまうような状況が実際あると思うのです。
 先進医療Bを何回か経験されている施設であれば、その辺のことは分かって、ある程度対処できると思いますが、どこもそういう所ではないので、これは仕方ないのですが、そういう事務的な手続で非常に時間がかかるということと、我々もそこをどうやったら短くできるかということを考えていかないといけないと思いますし、できたら事務局のほうも、そういう手順もヒアリングの中で伝えていただけると、スタートの遅れが少しでも改善できるのかと思いまして、ちょっと。
○猿田座長
 非常に重要なのですが、実際、先生方のやり取りを読ませていただいても、先生方は非常に丁寧にやり取りをやっていただいていて、本当によくやってくださっているものですから、こちらとしても上からは早く進めろと言われますが、皆さん方は。
○山本構成員
 十分な照会事項のやり取り自身は必要だと思うのですが、短縮できるところがどこにあるのかということを考えていく必要もあると思うのですね。特に科研費とか、期限の切られた研究費をもってやっていらっしゃる所などは、科研費を取ってから1年ぐらいかかってからやると、実際始まったらもう2年しかないみたいなことになってきますので。本当に実務的なことなのですが、臨床試験のスピードアップは、実務的なところが一番問題になっていると思いますので。
○猿田座長
 先生の御意見は非常に貴重ですので、事務局ともよく相談させていただいて、それから先生方とまた相談させていただくということで、要は少しでも早く進めるという形でいきたいと思います。どうもありがとうございました。
○医政局研究開発振興課専門官
 ただいまの件に関しては、貴重な御意見としてお伺いいたしまして、私ども先進医療の申請書が出てまいります前に、事務局として事前相談等々の機会がありまして、やり取りをしておりますので、その過程の中でも丁寧に説明するようにいたします。
○猿田座長
 こちらもいろいろな所から、皆さん、「早く、早く、事前相談行ってくれ」と言うものですから、事前相談もかなり大変なのです。それもよく分かっていますから、私どもももう少し考えますので、事務局も頑張っていただきたいと思います。ほかに御意見がなければ、あとは予定ですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 先進医療会議の報告だけさせてください。資料5、63ページになります。去る8月7日に開催された第21回の先進医療会議では、御覧のように新規案件、こちらで御審議いただいて「適」の判断を頂いた案件を3件挙げました。いずれも特段の指摘事項なく、「適」とされましたので、報告いたします。以上です。
○猿田座長
 3件、066と067、068、全て許可を頂いたということです。先の予定をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局から次回の日程についてお知らせいたします。次回の日程ですが、9月の開催は11日(木)16時ないし18時とさせていただきます。場所については、別途、連絡させていただきます。
 ここで1点、事務局よりお詫びと訂正をさせていただきます。先ほど私が資料1、新規の案件の評価の整理番号035に関して、佐藤先生のコメントを読み上げさせていただきました。資料の14ページの下段ですが、「患者相談等の対応が整備されているかについても記載をください」という括弧内の文言に関してコメントと申し上げましたが、こちらも記載整備に対するメモですので、コメントのほうからは削除させていただきます。謹んで訂正いたします。
○猿田座長
 構成員の先生方、ほかに何か御意見はありますでしょうか。
○山口座長代理
 追加の施設が出てくるのですが、この出てくる理由が、良さそうなのでたくさん手を挙げてくるのか、予定が追い付かないので増やしているのかということ、何か分かるような資料があればいいと思います。というのは、例えば5番とか42番は、たくさん増えていますよね。これは何か手応えを感じてみんながバッと来たのか。もしそのようなことがわかる資料をお示しいただければ。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局といたしましても、今後そのような聴取も含めて検討させていただきます。
○山口座長代理
 お願いします。
○藤原構成員
 COIで確認しておきたいのですが、いつも事務局から送られてくるものは、最初の前半の評価のところはあるのですが、変更申請とか施設追加のところは用紙がないのです。今日も私が見ていたら、自分の所属している診療科でTS-1の術後の補充療法をやっていたりとか、過去3年を振り返ったら、ノバルティスの講演料をもらっているなとか、それを言い出すと、毎回出たり入ったりなのです。これは実際、議事にはほとんど何も影響はしない額なのですが、今後どのように対応させて頂ければよいのでしょう。
○医政局研究開発振興課専門官
 現状では、こちらの「利益相反の対応について」という要綱にもありますが、新規の技術案件の検討に対して適用させていただいているものです。とりあえず現状としては、新規技術に関することと解釈ください。
○猿田座長
 よろしいですか。
○藤原構成員
 ありがとうございます。
○猿田座長
 本当に混乱するのです。できるだけ明瞭にしたいということです。ほかに御意見がなければ、これで本日の先進医療技術審査部会を終わりたいと思います。御協力どうもありがとうございました。

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